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特表2023-501758赤外線カメラレンズの光学的位置合わせ及び較正のためのシステム及び方法
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  • 特表-赤外線カメラレンズの光学的位置合わせ及び較正のためのシステム及び方法 図1
  • 特表-赤外線カメラレンズの光学的位置合わせ及び較正のためのシステム及び方法 図2A
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  • 特表-赤外線カメラレンズの光学的位置合わせ及び較正のためのシステム及び方法 図3
  • 特表-赤外線カメラレンズの光学的位置合わせ及び較正のためのシステム及び方法 図4
  • 特表-赤外線カメラレンズの光学的位置合わせ及び較正のためのシステム及び方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】赤外線カメラレンズの光学的位置合わせ及び較正のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20230111BHJP
【FI】
G02B7/02 C
G02B7/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540353
(86)(22)【出願日】2020-12-01
(85)【翻訳文提出日】2022-06-28
(86)【国際出願番号】 IB2020061329
(87)【国際公開番号】W WO2021111299
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】16/699,894
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516326117
【氏名又は名称】アダスカイ・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ADASKY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【弁理士】
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】クペルマン,ビタリー
(72)【発明者】
【氏名】カズ,アビ
(72)【発明者】
【氏名】チュクラノフ,ミカエル
【テーマコード(参考)】
2H044
【Fターム(参考)】
2H044AA02
2H044AB02
2H044AC01
(57)【要約】
カメラ本体に対する赤外線カメラレンズの位置を調整するように構成されたレンズ支持機構と、赤外線を出力するよう構成された少なくとも1つのコリメータであって、前記少なくとも1つのコリメータは、出力赤外線が前記赤外線カメラレンズを介して前記カメラ本体内の赤外線センサー上に収束するように配置される、該コリメータと、理想的なレンズ位置が決定されると、前記赤外線カメラレンズ上に配置された接着剤を硬化させるように構成された少なくとも1つの硬化触媒と、を含む、赤外線カメラレンズの光学的位置合わせ及び較正のためのシステム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ本体に対する赤外線カメラレンズの位置を調整するように構成されたレンズ支持機構と、
赤外線を出力するよう構成された少なくとも1つのコリメータであって、前記少なくとも1つのコリメータは、出力された前記赤外線が前記赤外線カメラレンズを介して前記カメラ本体内の赤外線センサー上に収束するように配置される、該少なくとも1つのコリメータと、
理想的なレンズ位置が決定されると、前記赤外線カメラレンズ上に配置された接着剤を硬化させるように構成された硬化触媒と、
を備える、赤外線カメラレンズの光学的位置合わせ及び較正のためのシステム。
【請求項2】
前記レンズ支持機構はさらに、
前記赤外線カメラレンズの前記位置を操作するように構成されたロボットアームと、
前記ロボットアームを6自由度で動かすように構成されたヘキサポッドプラットフォームと、
を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ヘキサポッドプラットフォームは、3対のアクチュエータを有するスチュワートプラットフォームである、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのコリメータは、前記赤外線カメラレンズの較正ターゲットとして構成された黒体を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記レンズ支持機構は、前記較正ターゲットに関連する変調伝達関数(MTF)チャートに基づいて、前記赤外線カメラレンズの前記位置を調整するように構成される、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記硬化触媒が紫外線(UV)光源である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
さらに、前記カメラ本体の周囲に均等に配置される複数のUV光源を備える、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記硬化触媒が、可視光源、温度変化及び硬化化学反応のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
接着剤を赤外線カメラレンズに塗布するステップであって、前記接着剤は硬化触媒によって硬化されるように構成される、該ステップと、
調整可能なアームを用いて前記赤外線カメラレンズをカメラ本体上に配置するステップと、
少なくとも較正ターゲットと、それに関連する変調伝達関数(MTF)チャートとに基づいて理想的なレンズ位置を決定するステップと、
決定された理想的なレンズ位置に基づいて前記赤外線カメラレンズの位置を調整するステップと、
前記硬化触媒で前記接着剤を硬化させ、前記赤外線カメラレンズをその場に固定するステップと、
を含む、赤外線カメラレンズの光学的位置合わせ及び較正のための方法。
【請求項10】
前記理想的なレンズ位置の決定は、前記MTFチャートに基づいて解像度を最適化することに基づく、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記理想的なレンズ位置の決定は、前記MTFチャートに基づいてコントラストを最適化することに基づく、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記硬化触媒が、紫外線光源、可視光光源、温度変化、硬化化学反応のうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2019年12月2日に出願された米国特許出願第16/699,894号の利益を主張し、それぞれの内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般に、カメラレンズ較正に関し、より具体的には、赤外線カメラレンズの初期位置合わせ及び較正に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、センサーベースの技術が飛躍的に向上したため、センサーの新しい用途が可能になった。特に、カメラは、先進運転支援システム(ADAS)や自律車両システムを含む様々な用途に広く利用されるようになった。これらの用途で利用され得るカメラの1つのタイプは、熱赤外線カメラである。赤外スペクトルは可視光範囲外にあり、0.75~1マイクロメートル(μm)の波長を有する近赤外セクション(NIR)、1~3μmの波長を有する短波長赤外セクション(SWIR)、3~5μmの波長を有する中波長赤外セクション(MWIR)及び8~14μmの波長を有する長波長赤外セクション(LWIR)からなる。多くの熱赤外線(IR)カメラはLWIRセクション内で動作し、カメラのレンズを通してIRセンサーに導かれる赤外線エネルギーを検出する。これらのIRカメラは受動運動検出、暗視、熱マッピング、ヘルスケア、建物検査、監視、ADASなどを含むがこれらに限定されない、様々な撮像用途に利用することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
赤外線カメラの製造時には、レンズをカメラ本体、即ち、赤外線イメージセンサーを収容するカメラの要素に取り付けるべきである。レンズはセンサーから理想的な距離に配置されるだけでなく、理想的な平面に配置されなければならないため、この取り付けは厳密な基準に従って実行されるべきである。何らかの小さくずれた(又は、シフトした/shift)又は歪んだ位置決めは、水準以下の(又は、サブパーな/subpar)又は焦点が合っていない画像をもたらすからである。したがって、レンズは6自由度に沿った最適な位置決めでカメラ本体に固定する必要がある。そのような正確な方法で手動でレンズを取り付けることは、効果的でないだけでなく、一貫した基準で複製(又は、再現)することそして、言うまでもなく効率的な方法で達成することは困難である。さらに、たとえロボットアームが取り付けを実行し、カメラ毎に同じ動きを確実に繰り返すために使用されても、各レンズ及びセンサーはわずかに変化することがあり、センサーとレンズペア毎に固有の(unique)個別化された取り付けを必要とし、一般的なロボットにとって困難な作業であることがわかる。
【0005】
したがって、上記の課題を克服する解決策を提供することが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のいくつかの例示的な実施形態の概要を以下に示す。この概要は、そのような実施形態の基本的な理解を提供するために読者の便宜のために提供され、開示の幅を完全に定義するものではない。この概要は、すべての企図される実施形態の広範な概観ではなく、すべての実施形態の鍵となる(又は、重要な/key)又は重要な(critical)要素を識別することも、任意の又はすべての態様の範囲を線引きすることも意図されていない。その唯一の目的は、後に提示されるより詳細な説明の前置きとして、1つ又は複数の実施形態のいくつかの概念を簡略化された形態で提示することである。便宜上、用語「特定の実施形態」は、本明細書では本開示の単一の実施形態又は複数の実施形態を指すために使用され得る。
【0007】
本明細書に開示される特定の実施形態は、カメラ本体に対する赤外線カメラレンズの位置を調整するように構成されたレンズ支持機構と、赤外線を出力するように構成された少なくとも1つのコリメータであって、前記少なくとも1つのコリメータは、出力赤外線が前記赤外線カメラレンズを介して前記カメラ本体内の赤外線センサー上に収束するように配置される、該コリメータと、理想的なレンズ位置が決定されると、前記赤外線カメラレンズ上に配置された接着剤を硬化させるように構成された少なくとも1つの硬化触媒と、を含む、赤外線カメラレンズの光学的位置合わせ及び較正のためのシステム、を含む。
【0008】
本明細書に開示される特定の実施形態はまた、接着剤を赤外線カメラレンズに塗布するステップであって、前記接着剤は硬化触媒によって硬化されるように構成される、該ステップと、調整可能なアームを用いてレンズをカメラ本体上に配置するステップと、少なくとも較正ターゲットと、それに関連する変調伝達関数(MTF)チャートとに基づいて理想的なレンズ位置を決定するステップと、決定された理想的なレンズ位置に基づいて前記赤外線カメラレンズの位置を調整するステップと、前記硬化触媒で前記接着剤を硬化させ、前記赤外線カメラレンズをその場に(又は、定位置に/in place)固定するステップと、を含む、赤外線カメラレンズの光学的位置合わせ及び較正のための方法、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に開示される主題は、本明細書の末尾にある特許請求の範囲において特に指摘され、明確に特許請求される。開示された実施形態の上記及び他の目的、特徴及び利点は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0010】
図1】一実施形態による赤外線カメラレンズの光学的位置合わせ及び較正のためのシステムの概略図である。
【0011】
図2A】一実施形態による較正ターゲットの概略図である。
【0012】
図2B】較正システムを通して見たときの、複数の較正ターゲットの例示的なスクリーンショットである。
【0013】
図3】較正が完了した後に較正ターゲットの画像上に投影された多重変調伝達関数(MTF)チャートの例示的なスクリーンショットである。
【0014】
図4】一実施形態による赤外線カメラレンズを取り付けて位置合わせする方法を示す一例のフローチャートである。
【0015】
図5】一実施形態による赤外線レンズ位置合わせシステム及び硬化ライトの一例のセットアップである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書に開示される実施形態は、本明細書の革新的な教示の多くの有利な使用の例に過ぎないことに留意することが重要である。一般に、本出願の明細書においてなされる記述は、必ずしも様々な特許請求される実施形態のいずれかを限定するものではない。さらに、いくつかの記述はいくつかの発明的特徴に適用されてもよいが、他の特徴には適用されなくてもよい。一般に、特に断らない限り、単数の要素は複数であってもよく、一般性を失うことなくその逆であってもよい。図面において、同様の数字は、いくつかの図を通して同様の部分を指す。
【0017】
図1は、一実施形態による赤外線カメラレンズ120の光学的位置合わせ及び較正のためのシステム100の概略図である。システム100はレンズ較正のために使用されるべき、赤外線レンズのようなレンズ120の真上に配置された1つ又は複数のコリメータ150を含む。システム100のレンズ支持機構はレンズ120を保持し、カメラ本体110に対してその位置を操作するように構成されたロボットアーム140を含む。一実施形態では、ロボットアーム140がヘキサポッドプラットフォーム145によって支持される。例示的な実施形態では、プラットフォーム145がロボットアーム140及びそれに取り付けられたレンズ120を、所定の数(例えば、6)の自由度で移動させるように構成される。さらなる実施形態では、ヘキサポッドプラットフォーム145がピッチ、ロール及びヨーと共にx、y及びz軸を調節するように構成された3対の油圧式、空圧式又は電気機械式アクチュエータを使用する高解像度(又は、分解能/resolution)運動学(又は、動力学/キネマティック/kinematic)システムを備えたスチュワート(Steward/Stewart)プラットフォームである。これにより、それに取り付けられたロボットアーム140、したがってレンズ120の位置決めに対する正確な調整が可能になる。一実施形態では、ヘキサポッドが以下でさらに説明するように、コリメータ150からの読み取り値に従ってヘキサポッドを調整するように構成されたソフトウェア、又はそのようなソフトウェアを実行するように構成されたハードウェアによって制御される。
【0018】
ソフトウェアは、機械可読媒体に格納され、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語又は別なように呼ばれるかどうかにかかわらず、任意のタイプの命令を意味するように広く解釈されるべきである。命令はコード(例えば、ソースコードフォーマット、バイナリコードフォーマット、実行可能コードフォーマット又は任意の他の適切なフォーマットのコード)を含み得る。
【0019】
コリメータ150は、その焦点面において、照明された較正ターゲットを有する良好に補正された対物レンズを含む光学機器である。出てくるビーム(又は、出射ビーム)は較正ターゲットの画像が無限遠に投影されるように、平行な、又はコリメートされたビームである。一実施形態では、レンズ120及びカメラ本体110の上方に配置された5つのコリメータ150があり、較正ターゲットの投影を出力するように構成されている。コリメータ150は、出力較正ターゲットの投影がレンズ120を通して、カメラ本体110内の赤外線センサー上に収束するように配置される。コリメータの角度配置は、カメラの見かけの視野(FOV)に従ってイメージセンサーの全領域を規定するように設計されている。一実施形態では、シャッタ機構(図示せず)は、レンズ120とコリメータ150との間に配置され、レンズ120の位置が調整されるにつれて、シャッタを開閉できるようになって、種々の位置の間でレンズを較正する効率的な方法を提供する。
【0020】
各コリメータ150は3つの主要部分、すなわち、黒体、ターゲット及びコリメートレンズシステムを含む。コリメータ150の部品(又は、部分)は、コリメータの構造内に配置され、図1には示されていない。一実施形態では、黒体はターゲットのための高度に安定なバックグラウンド放射線源として使用される電気的に制御されるデバイスである。一実施形態では、それは室温に対して10度の差を提供する。カメラセンサーはレンズ120がその場にある(又は、定位置にある/in place)ときに、センサーによって生成された画像が黒体の背景とともに較正ターゲットを含むように、黒体に向かって配置される。適切に較正された位置にあるとき、較正ターゲットの投影はレンズ120が定位置にあるとき、すべての較正ターゲットに対してMTFの値が最適化されるように、カメラ110の赤外線センサー上に収束する。システム100は、レンズの較正ターゲットとして使用されるセンサーのFOV内に位置決めされた複数の黒体を含んでもよい。較正ターゲットについては、以下でさらに説明する。
【0021】
一実施形態では、1つ又は複数の紫外線(UV)光源170がレンズ120及びカメラ本体110の周囲に配置される。レンズ120をカメラ本体110に固定するために接着剤を使用することができ、この場合、接着剤は、UV光に曝されたときにのみ硬化される。したがって、レンズ120の位置は以下に説明するように、理想的な位置が決定されるまで自由に調整することができ、その時点で、UV光源170を使用して接着剤を硬化させ、レンズをその場に固定する。さらなる実施形態では、UVによる硬化メカニズムの代わりに、可視光硬化、温度ベース硬化、化学硬化などの代替の硬化メカニズムが使用される。
【0022】
図2Aは、一実施形態による較正ターゲット200の概略図である。ターゲットは、熱放射の基準として温度差を提供するように設計された黒体を含んでもよく、検出器によって記録され、画像処理ソフトウェアによって分析され得る、ある(又は、特定の)パターンで配置された黒体の一部を露出させ(reveal)てもよい。一実施形態では、例示的なパターンが円形の形状を有する較正ターゲット200と、黒体を露出させるために曝された円形の形状の一部とを含む。例えば、特定の角度、例えば、104度の角度(4分の1円の90度、楔の各軸から外側に延在する追加の7度220を有する楔210が示されている。一実施形態では、楔210のサイズ、例えば楔の角度は調整可能であり、これはパターンの外観の制御を可能にし、様々な用途の必要性をサポートするために様々な異なるパターンをサポートする。楔の形状の直線エッジ、設定角度(set angle)及び湾曲した外周はレンズのシャープな焦点及び較正を決定するのを補助するために、異なる有用な基準点を提供する。レンズのFOVが規定された部分に5つの較正ターゲット200を配置することにより、レンズの位置のより顕著な(又は、より大きな/greater)最適化を可能にする。
【0023】
図2Bは、較正システムを通して見たときの、複数の較正ターゲット200の例示的なスクリーンショットである。較正ターゲット200は、イメージセンサーのFOVのカバレッジ(coverage)を最大にするように配置される。一実施形態では、5つの較正ターゲット200が使用され、ここで、コーナーごとに1つのターゲットが配置され、1つのターゲットはフレームの中央に配置される。較正ターゲット200は、コリメータ、例えば図1のコリメータ150を通して見える。即ち、5つのコリメータはそれぞれ1つの較正ターゲット200を含むことができ、イメージセンサーのFOVを満たすように配置される。
【0024】
図3は、較正ターゲットの画像上に投影された多重変調伝達関数(MTF)チャート300の例示的なスクリーンショットである。MTFは、光学デバイスのコントラストや解像度を含む、イメージング品質を測定するために使用されるツールである。MTFグラフは、コントラストを空間周波数の関数として表示する。一実施形態では、イメージセンサーの中央(又は、中間)は、センサーの両端部と比較して、より高いMTFを検出する。開示された実施形態では、較正ターゲット200を含むフレームの各セクション(又は、部分)にはMTFチャート300が設けられている。レンズの位置決めは、例えば、図1のレンズ120を保持するヘキサポッド145及びロボット140を制御することによって、各MTFチャート300が最適化されるまで調整される。一実施形態では、レンズ120の位置を調整するためにヘキサポッド145を制御するためのフィードバックを提供するために、ターゲットからのテスト画像内の局所MTF応答を分析するためにソフトウェアが使用される。
【0025】
較正プロセスは、MTFチャート300のデータを、レンズの最適位置のための決定における測定基準として使用する収束ルーチンを含む。一実施形態では、収束ルーチンが5つのターゲット、すなわち、画像の中央に1つ、4つのコーナーの各々に1つのターゲットからの測定値を考慮に入れる。図示の例では、収束ルーチンが空間周波数50に対して、受信されたMTF値が各MTFチャート300に対して約0.2である最適位置を決定する。
【0026】
一実施形態では、正確なレンズの位置決め310(例えば、基準点からミリメートル及び度で測定)が決定され、将来の基準のために保存される。
【0027】
図4は、一実施形態による赤外線カメラレンズを取り付け、位置合わせする方法を示す一例のフローチャート400である。
【0028】
S410では、赤外線カメラ用に構成されたレンズに接着剤を塗布する。接着剤は、硬化触媒、例えば紫外線(UV)光、温度変化、化学反応などに曝されると固められ(又は、セットされ/set)硬化するように配合される。一実施形態では、レンズは、接着剤がレンズの周囲に塗布されるように、ロボットアームで取り扱われる。
【0029】
S420では、レンズは接着剤が塗布された状態で、例えばロボットアームによって依然として保持されている間に、カメラ本体の上方に配置される。したがって、そのレンズの位置決めは、接着剤がまだ硬化されていない間に、ロボットアーム又はそれに取り付けられたヘキサポッドによって依然として調整することができる。
【0030】
S430では、理想的なレンズ位置が図3で上述したように、それらのターゲットに関連する較正ターゲット画像及びMTFチャートに基づいて決定される。レンズの位置は、MTFチャートからのフィードバックに基づいて調整され、レンズが配置されたカメラからの画像の解像度及びコントラストは例えば、4つのコーナー領域と1つの較正ターゲットに割り当てられた1つの領域を有する中央領域との全ての画像領域において最大化される。一実施形態では、各較正ターゲット画像に関連付けられた全てのMTFチャートを単一の位置で最大化できない場合、全ての較正ターゲット画像の中で最良の解像度及びコントラストを均一に生成する位置が使用される。
【0031】
S440では、決定された理想的な位置に基づいてレンズの位置が調整される。
【0032】
S450では、接着剤が硬化され、レンズがその場に固定される。一実施形態では、硬化が均一な硬化を確実にするために、接着剤を複数の方向からの強力なUV光に曝すことによって達成される。さらなる実施形態では、硬化が可視光源、温度変化、化学反応などの代替触媒によって達成される。
【0033】
図5は、一実施形態による赤外線レンズ位置合わせシステム及び硬化ライトの一例のセットアップである。ロボットアーム140は、赤外線イメージセンサー(図示せず)を含むカメラ本体110の上方にレンズ120を保持する。複数のUV光源170、例えばUV発光ダイオード(LED)は、均等な量の光を提供するためにレンズ120の周囲に分配する(又は、分散配置する)ことができる。UV光は、レンズ120のための接着剤として使用することができる特定の樹脂を硬くする光化学プロセスを生成する。一実施形態では、365nmの波長で動作する4つの高強度スポット硬化LEDが使用される。さらなる実施形態では、可視光硬化、レーザ、ハロゲン光又はタングステン光などの他の硬化技術を使用することができる。
【0034】
本明細書で開示される様々な実施形態は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はそれらの任意の組合せとして実装することができる。さらに、ソフトウェアは、好ましくは一部又は特定のデバイス、及び/又はデバイスの組み合わせからなるプログラム記憶ユニット又はコンピュータ可読媒体上に有形に具現化されたアプリケーションプログラムとして実装される。アプリケーションプログラムは、任意の適切なアーキテクチャを備えるマシンにアップロードされ、それによって実行され得る。好ましくは、マシンが1つ又は複数の中央処理装置、メモリ及び入出力インターフェースなどのハードウェアを有するコンピュータプラットフォーム上に実装される。コンピュータプラットフォームはまた、オペレーティングシステム及びマイクロ命令コードを含んでもよい。本明細書で説明される様々なプロセス及び機能はマイクロ命令コードの一部、又はアプリケーションプログラムの一部、又はそれらの任意の組合せであってもよく、それらはそのようなコンピュータ又はプロセッサが明示的に示されているかどうかにかかわらず、CPUによって実行されてもよい。さらに、追加のデータ記憶ユニット及び印刷ユニットなどの様々な他の周辺ユニットをコンピュータプラットフォームに接続することができる。さらに、非一時的なコンピュータ可読媒体は、一時的な伝播信号を除く任意のコンピュータ可読媒体である。
【0035】
本明細書で使用されるように、語句「のうちの少なくとも1つ」の後に、列挙された項目のうちのいずれかを個別に利用することができることを意味する項目の列挙が続く、又は列挙された項目のうちの2つ以上の任意の組合せを利用することができる。例えば、システムが「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」を含むものとして記載されている場合、システムは、A単独、B単独、C単独、A及びBの組合せ、B及びCの組合せ、A及びCの組合せ、又はA、B及びCの組合せを含むことができる。
【0036】
本明細書に列挙されたすべての例及び条件付き言語は開示された実施形態の原理、及び当技術分野を促進するために本発明者によって寄与された概念を読者が理解するのを助けるための教育目的のためのものであり、そのような具体的に列挙された例及び条件に限定されないものとして解釈されるべきである。さらに、開示された実施形態の原理、態様、及び実施形態、ならびにその特定の例を列挙する本明細書のすべてのステートメントは、その構造的及び機能的同等物の両方を包含することが意図される。さらに、そのような均等物は現在知られている均等物と、将来開発される均等物、すなわち、構造にかかわらず、同じ機能を実行する開発された任意の要素との両方を含むことが意図される。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
【国際調査報告】