(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-19
(54)【発明の名称】可撓性を有する冷凍プローブ
(51)【国際特許分類】
A61B 18/02 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
A61B18/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022508910
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(85)【翻訳文提出日】2022-04-07
(86)【国際出願番号】 US2020046474
(87)【国際公開番号】W WO2021030734
(87)【国際公開日】2021-02-18
(32)【優先日】2019-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518312426
【氏名又は名称】バイオコンパティブルズ ユーケー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】323000284
【氏名又は名称】ラマディアニ、サティシュ
【氏名又は名称原語表記】RAMADHYANI,Satish
(71)【出願人】
【識別番号】323000295
【氏名又は名称】クビーン、グレイグ
【氏名又は名称原語表記】KVEEN,Graig
(71)【出願人】
【識別番号】323000309
【氏名又は名称】ナテサン、ハリシャンカー
【氏名又は名称原語表記】NATESAN,Harishankar
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ラマディアニ、サティシュ
(72)【発明者】
【氏名】クビーン、グレイグ
(72)【発明者】
【氏名】ナテサン、ハリシャンカー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160JJ04
(57)【要約】
冷凍アブレーション器具はカテーテルを含む。カテーテルは、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間に延びるシャフト壁とを有するシャフトを有する。シャフト壁は外周面と、内周面と、それらの間に真空チャンバーを形成する真空間隙とを有する。シャフト壁の内周面は気体透過性を備え、シャフト壁の内周面で画定されたシャフトルーメンは冷却剤気体を送達する。真空チャンバーは真空源に接続可能な近位開口部を有する。近位開口部は真空チャンバーと真空源とを連通する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端と、
遠位端と
前記近位端と前記遠位端との間に延びて、外周面と、内周面と、前記内周面と前記外周面との間においてチャンバーを形成する間隙とを有するとともに、気体透過性を有する、シャフト壁と、
近位端および遠位端で開放されており、前記シャフト壁の内周面によって画定されているシャフトルーメンと、
を有するシャフトを備え、
前記チャンバーはチャンバーの遠位端で密封されて真空源に接続可能な近位開口部を有しており、前記近位開口部は前記チャンバーと真空源とを連通しており、前記チャンバー内のチャンバー流体圧力は真空源を介して調節可能である、カテーテル。
【請求項2】
前記シャフトルーメン内に収容された冷却剤供給導管をさらに備え、前記冷却剤供給導管は、冷却剤源から冷凍アブレーション器具の遠位部分に冷却剤を送達するように構成されている、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記シャフトルーメンは、冷却剤を前記冷凍アブレーション器具の遠位端から離れる方向に送達するように構成された戻り流路を形成する、請求項2に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記シャフト壁は、内側シャフト壁および外側シャフト壁を含み、前記シャフトの前記内周面は、前記内側シャフト壁の内周面であり、前記シャフトの前記外周面は、前記外側シャフト壁の外周面であり、前記外側シャフト壁と前記内側シャフト壁との間に画定される間隙は、チャンバーを形成する、請求項1~3のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項5】
気体が前記チャンバーから引き出されるとき、前記チャンバーの崩壊を防止するように構成された1つ以上の支持要素を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項6】
前記シャフト壁の外周面の外径は、5mm未満である、請求項1~5のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項7】
前記シャフトは、20mmの最小半径を有する前記チャンバーの範囲に沿って湾曲を形成するのに十分に可撓性である、請求項1~6のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項8】
真空が前記チャンバー内に能動的に引き込まれるとき、前記チャンバーの少なくとも一部は、前記シャフトルーメンの外周囲に断熱性を付与する断熱領域を形成する、請求項1~7のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項9】
前記シャフト上に配置されたシースをさらに備え、前記シャフトの遠位端が前記シースを越えて延伸可能であり且つ前記シース内に格納可能であるように、前記シースおよび前記シャフトは互いに変位可能である、請求項1~8のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項10】
ワーキングチャンネルを有する内視鏡と、
真空源と、
前記ワーキングチャンネルに挿入可能な冷凍アブレーション器具と、
を備える冷凍アブレーションシステムであって、前記冷凍アブレーション器具は、
近位端と、
遠位端と、
前記近位端と前記遠位端との間に延びるシャフト壁であって、外周面と、内周面と、前記外周面および前記内周面の間に画定されてチャンバーを形成する間隙とを有し、気体透過性を備える前記シャフト壁と、
前記シャフト壁の内周面によって境界が定められたシャフトルーメンと、
を有する、シャフトを備え、前記チャンバーは、真空源に接続可能な近位開口部を有して、前記近位開口部は、前記チャンバーと真空源とを連通しており、
前記チャンバー内のチャンバー流体圧力は真空源を介して調節可能である、
冷凍アブレーションシステム。
【請求項11】
前記シャフトルーメン内に収容された冷却剤供給導管をさらに備え、前記冷却剤供給導管は、冷却剤源から冷凍アブレーション器具の遠位部分に冷却剤を送達するように構成されている、請求項10に記載の冷凍アブレーションシステム。
【請求項12】
前記シャフト壁は、内側シャフト壁および外側シャフト壁を備え、前記シャフト壁の前記内周面は、前記内側シャフト壁の内周面であり、前記シャフト壁の前記外周面は、前記外側シャフト壁の外周面であり、前記外側シャフト壁および前記内側シャフト壁の間に形成された間隙は、前記チャンバーを形成する、請求項10または11に記載の冷凍アブレーションシステム。
【請求項13】
前記シャフト壁の外周面の外径は、5mm未満である、請求項10~12のいずれか一項に記載の冷凍アブレーションシステム。
【請求項14】
真空がチャンバー内に能動的に引き込まれると、前記チャンバーの少なくとも一部は、前記シャフトルーメンの外周囲に断熱性を付与する断熱領域を形成する、請求項10~13のいずれか一項に記載の冷凍アブレーションシステム。
【請求項15】
前記シャフト上に配置されたシースをさらに備え、前記シャフトの遠位端が前記シースを越えて延伸可能且つ前記シース内に格納可能であるように、前記シースおよび前記シャフトは、互いに対して変位可能である、請求項10~14のいずれか一項に記載の冷凍アブレーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍アブレーションで使用するための冷凍プローブおよび冷凍アブレーションのためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍手術中、外科医は、1つ以上の冷凍プローブを配備して組織を冷凍および解凍することによって、患者の生体構造の標的部位をアブレーションする。一例では、冷凍プローブはジュールトムソン効果を利用して、プローブ先端の冷却または加熱を行う。このような場合、冷凍プローブ内の冷却流体が高圧から低圧に変化したことにより膨張すると、装置の先端が、先端近傍の組織を冷凍アブレーションすることに対応する温度以下の温度に冷却される。膨張した冷却流体と冷凍プローブの外壁との間の熱伝達により先端部周囲の組織に氷球が形成されて組織が冷凍アブレーションされる。
【0003】
いくつかの冷凍プローブは、人間の肺の病変を切除するのに有用である。このような場合、冷凍プローブは蛇行状経路を移動する必要がある。シャフトが硬い冷凍プローブは、このような用途には適さない場合がある。
【発明の概要】
【0004】
一般に、様々な実施形態は、冷凍プローブ、断熱シース、および断熱カテーテルのための装置、システムおよび方法に関する。そのような装置、システムおよび方法は、医療技術における例示的な用途で使用することができる。これらの実施形態は、例えば、冷凍アブレーションを実施する場合などの例示的な用途において有用である。しかし同時に、これらの実施形態は、上記問題のいくつかを解決し得る。
【0005】
本発明の一態様は、シャフトを備える冷凍アブレーション器具に関する。シャフトは近位端、遠位端、及びシャフト壁を含む。シャフト壁は、近位端と遠位端との間に延びており、外周面と、内周面と、外周面および内周面の間においてチャンバーを形成する間隙とを有する。いくつかの態様では、シャフト壁は気体透過性である。シャフトは、シャフト壁の内周面によって境界が定められたシャフトルーメン、ならびに冷却剤供給導管をさらに含む。冷却剤供給導管は、シャフトルーメン内に収容され、冷却剤源から冷凍アブレーション器具の遠位部分に冷却剤を送達するようにさらに構成される。シャフトルーメンは、冷凍アブレーション器具の遠位端から冷却剤気体を送達するように構成された戻り流路をさらに形成する。シャフト壁の外周面および内周面の間に画定されるチャンバーは、真空源に接続可能な近位開口部を有する。近位開口部は、チャンバーと真空源との間を連通する。チャンバー内の圧力(チャンバー流体圧力)は、真空源を介して調節可能である。
【0006】
本発明の別の態様は、冷凍アブレーション器具とともに使用することに適した断熱シースに関する。シースは、近位端、遠位端、およびシャフト壁を有するシャフトを含む。シャフト壁は、近位端と遠位端との間に延びており、外周面、内周面、ならびに外周面および内周面の間においてチャンバーを形成する間隙を有する。いくつかの態様では、シャフト壁は気体透過性である。シャフトは、シャフト壁の内周面によって境界が定められたシャフトルーメンをさらに含む。シャフトルーメンは、冷凍アブレーション器具を受け入れるように構成されており、近位端および遠位端で開放されている。シャフト壁の外周面および内周面の間に画定されるチャンバーは、遠位端で密封されており、真空源に接続可能な近位開口部を有する。近位開口部は、チャンバーと真空源とを連通するために使用される。チャンバー内圧力(チャンバー流体圧力)は、真空源を介して調節可能である。
【0007】
本発明の追加の態様は、断熱カテーテルに関する。断熱カテーテルは、近位端、遠位端、およびシャフト壁を有する管状シャフトを備える。シャフト壁は、近位端と遠位端との間に延びており、外周面、内周面、ならびに外周面および内周面の間に画定されてチャンバーを形成する間隙を有する。いくつかの態様では、シャフト壁は気体透過性を有する。シャフトは、近位端および遠位端で開放されており、シャフト壁の内周面によって境界が定められたシャフトルーメンをさらに備える。シャフト壁の外周面と内周面との間に画定されるチャンバーは、真空源に接続可能な近位開口部を有する。近位開口部は、チャンバーと真空源とを連通する。チャンバー内の圧力(チャンバー流体圧力)は、真空源を介して調節可能である。
【0008】
本発明の追加の態様は、冷凍アブレーションシステムに関する。このシステムは、内視鏡、真空源、シース、および冷凍アブレーション器具を備える。内視鏡はワーキングチャンネルを有する。冷凍アブレーション器具は、本明細書に開示された任意の種類のものであってよい。冷凍アブレーション器具は、シースから延伸するとともに、シース内に後退することが可能である。冷凍アブレーション器具およびシースは、ワーキングチャンネルに挿入可能である。冷凍アブレーション器具は、本明細書に開示される任意の種類のシャフトおよびチャンバーを有する。シャフトは、20mmの最小半径を有するチャンバーの範囲に沿って湾曲を形成するのに十分に柔軟である。真空源は、チャンバーの流体圧力を低下させることなど、チャンバー内の流体圧力を能動的に調節するために、チャンバーの近位開口部に接続可能である。
【0009】
本発明の別の態様は、内視鏡、真空源、断熱シース、および冷凍アブレーション器具を有する冷凍アブレーションシステムに関する。断熱シースは、本明細書に開示された任意の種類のものであってよい。冷凍アブレーション器具は、断熱シース内に挿入可能である。冷凍アブレーション器具は、シャフトと冷却剤供給導管を備える。シャフトは、近位端、遠位端、およびシャフト壁を有する。シャフト壁は、近位端と遠位端との間に延びており、内周面と外周面、およびシャフト壁の内周面によって境界が定められたシャフトルーメンを有する。冷却剤供給導管は、シャフトルーメン内に収容されて、冷却剤源から冷凍アブレーション器具の遠位部分に冷却剤を送達するように構成される。冷凍アブレーション器具は、断熱シースから延伸するとともに、断熱シース内で後退することが可能である。冷凍アブレーション器具およびシースは、ワーキングチャンネルに挿入可能である。冷凍アブレーション器具のシャフトは、シャフトに沿って最小半径20mmの湾曲を形成するのに十分な柔軟性を有する。真空源は、チャンバー流体圧力の低下を含む、チャンバー流体圧力を能動的に調節するために、チャンバーの近位開口部に接続可能である。
【0010】
1つ以上の例の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。その他の機能、目的、および利点は、説明と図面から理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】非限定的な例示的な実施形態にかかる、冷凍アブレーション器具を含む冷凍アブレーションシステムの例を示す概略図。
【
図2】非限定的な例示的な実施形態にかかる、シャフト壁の外周面を備えた外側管状部材を示す端面図。
【
図3A】非限定的な例示的な実施形態にかかる断熱シースを含むシステムの例を示す概略図。
【
図4】冷凍アブレーションシステム、断熱シースシステム、または断熱カテーテルシステムの一部である構成要素とともに、シャフト壁の近位端を示す拡大図。
【
図5】冷凍アブレーション器具の構成要素の3点曲げ試験の詳細を示すプロット図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、一実施形態にかかる冷凍アブレーション器具100を含む冷凍アブレーションシステムの例示的な概略図である。いくつかの実施形態によれば、冷凍アブレーション器具100は、カテーテル102を含む。好ましい態様では、カテーテル102は、気管支鏡104などの内視鏡のワーキングチャンネルに挿入することができ、したがって、一般に可撓性である。いくつかの態様では、冷凍アブレーション器具は、シースと組み合わせて使用される。シースは、冷凍アブレーション器具のシャフト上に配置される。いくつかの態様では、冷凍アブレーション器具のシャフトの外周面は、シャフトの内周面から熱的に絶縁されている。いくつかの態様では、シースのシャフトの外周面は、内周面から熱的に絶縁されている。このような態様への1つのアプローチについて、
図3Aを参照して説明する。いくつかの態様では、冷凍アブレーション器具100は、冷凍アブレーション器具に接続可能な真空源を含む冷凍アブレーションシステムの一部である。いくつかの態様では、冷凍アブレーション器具100は、シース160と、冷凍アブレーション器具が内視鏡のワーキングチャンネル内に挿入可能な気管支鏡104などの内視鏡とを含む冷凍アブレーションシステムの一部である。
【0013】
図1を参照する。カテーテル102は、シャフト壁106を有する管状シャフト200を含む。シャフト壁106は、近位端108と、遠位端110との間に延びる。シャフト壁106は、シャフト壁106の外側を形成する外周面112と、シャフトルーメン150を画定するシャフト壁106の内側を形成する内周面114とを含む。本実施形態のいくつかの態様では、シャフト壁106は、内側シャフト壁201および外側シャフト壁202を含む。外周面112は、外側シャフト壁202の外周面である。内周面114は、内側シャフト壁201の内周面である。外側シャフト壁202は、外側シャフト壁内周面203を有し、内側シャフト壁201は、内側シャフト壁外周面204を有する。外側シャフト壁と内側シャフト壁との間の間隙206は、チャンバー180を形成し、チャンバーは、環状をなす。チャンバー180は、外側シャフト壁内周面203および内側シャフト壁外周面204によって境界される。
【0014】
一態様において、内側シャフト壁201は、内側管状部材によって形成される。外側シャフト壁202も同様に、外側管状部材によって形成される。外側管状部材は、内側管状部材から径方向に変位させることができる。外側管状部材は、内側管状部材を囲む。間隙206は、外側管状部材と内側管状部材との間に形成される。この態様では、この間隙206がチャンバー180を形成する。
【0015】
外周面112および内周面114はそれぞれ、冷凍アブレーションツール100の近位端108と遠位端110との間に延びる。同様に、内側シャフト壁201および外側シャフト壁202はそれぞれ、冷凍アブレーション器具100の近位端108および遠位端110の間に延びる。シャフトの遠位端110は、遠位操作先端部116で終端する。遠位操作先端部116は、組織に囲まれており、いくつかの場合には、組織を極低温でアブレーションし得る。遠位操作先端部116は、いくつかの場合には組織を貫通するように有利に構成される。例えば、遠位操作先端部116は、トロカールチップ(trocar tip)などの鋭利な先端部を含む。代替的には、遠位操作先端部116は、鋭利な先端部でなくてもよい。
【0016】
図1を参照する特定の任意の態様では、シャフトの特定部分は可撓性である。例えば、一態様では、近位端108と遠位端110との間に延びるシャフトの全長に亘って可撓性である。例えば、シャフトは、
図1に点線で示すシャフトの長手方向軸118を中心として曲げることができる。いくつかのそのような実施形態では、シャフトは、シャフトが所望の曲率半径を有する湾曲を形成するのに十分に柔軟であるように構成されたシャフト直径を有する。さらに、特定の例示的な態様では、シャフトの全長は均等に柔軟であり得る。そのような実施形態では、シャフトの異なる部分の曲率半径は異なっていてもよい。
【0017】
好ましい態様では、シャフトの材料および寸法は、その長手方向軸118を中心として曲げることができるのに十分な程度の柔軟性を付与するように構成される。一態様によれば、カテーテルシャフトは、ポリマーを含有し得る。例えば、内側シャフト壁201は、ポリマーを含有し得る。一例では、ポリマーはポリイミドを含有し得る。追加の態様では、外側シャフト壁202も、ポリマーを含有し得る。一実施形態によれば、外側シャフト壁202は、ポリイミドを含有し得る。さらに、外側シャフト壁202は、ポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」)および/または1つ以上のポリエーテルブロックアミド(商品名Pebax(登録商標)、以下「Pebax」として知られている)を含有し得る。
【0018】
図2に示すそのような一例では、外側シャフト壁202は、略円筒形の外側管状部材210から形成される。外側シャフト壁の設計の態様では、外周面112は、外側シャフト壁202の外層に形成される。外側シャフト壁202は、シャフト壁106(
図1)と一体的に形成すること、または、別々の構成要素からともに組み立てることができる。外側シャフト壁202は、1つ以上の層を含むことができる。したがって、外側シャフト壁202の第1の層120は、ペバックスを含み得る。外周面112の第2の層122は、PTFEおよび/またはポリイミドを含有し得る。外側シャフト壁202の第3の層124は、ポリイミドを含有し得る。第1の層120は、外側シャフト壁の最外層である。第2の層122は、第1の層120と第3の層124との間に配置される。第3の層124は、外側シャフト壁の最内層を形成する。外側シャフト壁202は、外側シャフト壁202の第3の層124によって、具体的には外側シャフト壁内周面203によって境界が定められる中空の内側部分126を含む。
【0019】
例示の構造によれば、シャフトは、約5ミリメートル(以下、「mm」)未満のシャフト直径を有する。したがって、シャフト壁の寸法は、シャフト直径が約5mm未満になるように構成され得る。この例では、外周面112(管状部材によって形成され得る)の外径130は、約5mm未満である。特定の好ましい実施形態では、外周面112の外径130は、約1mmから約2mm(例えば、約1.75mm)の間である。
図2を参照すると、外側シャフト壁202の内径132は、約1mmから約1.8mm(例えば、約1.6mm)の間である。外側シャフト壁202(1つ以上の層を含む)は、内周面203と外周面112との間に径方向に画定された径方向厚さ134を有する。そのような実施形態では、外側シャフト壁202の径方向厚さ134は、約0.01mmから約0.5mmの厚さ(例えば、約0.07mm)である。
【0020】
図3は、
図1の冷凍アブレーション器具100の寸法図を示す。
図3の例示的な実施形態によれば、シャフト壁106の内側シャフト壁201は、ポリマーチューブである略円筒形の内側管状部材から形成される。内側管状部材は、外側シャフト壁202内に挿入することができ、外側シャフト壁も円筒形の外側管状部材であり、ポリマーチューブであり得る。設計の態様では、内周面114は、内側シャフト壁の内層に形成され、外周面112は、外側シャフト壁の外層に形成される。内側シャフト壁201および外側シャフト壁202は、シャフト壁106と一体的に形成されてもよいし、別個の構成要素からともに組み立てられてもよい。
【0021】
例示的な構造では、内側シャフト壁201は、一般に、外側シャフト壁202と同軸をなす。内側シャフト壁201は、外径136、内径138、および径方向に外側シャフト壁および内側シャフト壁の間に画定された径方向厚さ140を有する。内側シャフト壁の外径136は、内側シャフト壁が外側シャフト壁の中空内に挿入、または含まれるように、シャフト壁202の内径よりも小さい。
【0022】
図3を参照すると、例示的な実施形態では、内側ポリマーの外径136は、約0.5mmから約1.5mm(例えば、1.4mm)の間であり得る。内側シャフト壁201の内径138は、約0.5mmから約1.4mm(例えば、約1.3mm)の間であり得る。内側シャフト壁の径方向厚さ140は、約0.01mmおよび約0.2mm(例えば、約0.1mm)であり得る。
【0023】
特定の任意選択の実施形態では、シャフト壁106は、機械的強度のために少なくとも1つの補強層を含み得る。
図2を参照すると、この補強層142は、特に外側シャフト壁202に存在する。外側シャフト壁では、補強層は、ペバックスを含有する第1の層120とポリイミドを含有する第2の層122との間に挿入される。特定の例では、補強層は、金属(例えば、ステンレス鋼)を含有し得る。さらに、好ましい任意の実施形態では、補強層は、編組ステンレス鋼などの編組構造を含み得る。
【0024】
補強層は、一般に、内側シャフト壁201の径方向外方にあり、したがって、チャンバー180の径方向外方にあり、特に、外側シャフト壁202の内周面203の径方向外方にある。補強層は、冷却剤供給導管152内の冷却剤の圧力または冷却剤戻り導管158内の圧力などに耐えるために十分な機械的強度を付与し、これは、内周面114で画定されるシャフトルーメン150内のシャフトルーメン圧力として機能する。
図2を参照すると、補強層は、一般に、第2の層122および第3の層124の径方向外方にある。さらに、補強層は、一般に、第1の層120の径方向内方にある。
【0025】
上記のようなシャフトの材料および寸法は、その長手軸118を中心に曲げることができるのに十分な程度の柔軟性を付与し得る。例えば、シャフトは、特にチャンバー180の範囲に沿って十分に柔軟であるため、シャフトは、曲がったシャフトの曲率中心と長手軸118との間で測定された、20mmの最小曲率半径を有する湾曲を形成し得る。シャフトは、最小曲率半径が10mmまたは5mmの湾曲を形成し得る。
【0026】
図1に戻って参照すると、本発明の特定の態様によれば、シャフトの内部は、シャフトルーメン150を含む。シャフトルーメン150は、シャフト壁の内周面114によって境界が定められる。シャフトルーメン150は、冷却剤を受け入れることができる。例えば、一実施形態では、冷却剤供給導管152は、シャフトルーメン150内に(例えば、環状に)収容される。冷却剤供給導管152は、冷却剤源から冷凍アブレーション器具100の遠位部分(例えば、遠位端110または遠位操作先端部116)に冷却剤を供給するように構成される。冷却剤供給導管152は、いくつかの例示的な例では、毛細管である。任意の実施形態では、冷却剤供給導管152は、シャフトと同軸をなす。シャフトルーメン150は、冷凍アブレーション器具の遠位端から冷却剤気体を送達するように構成された戻り流路158を形成する。戻り流路158は、少なくとも部分的に、内側シャフト壁201、より具体的には、シャフト114の内周面によって囲まれる。戻り流路は、シャフトルーメン150と同一の広がりを有する。
【0027】
以下でさらに説明する特定の態様では、冷却剤は、クライオクーラー154を通過して、極低温に達する。冷却剤温度では、冷却剤はシャフトの遠位部分の表面を冷却するのに適している。例えば、冷却剤は、シャフトの遠位端110(および/または遠位操作先端部116)の外周面112を冷却することにより、遠位端110(および/または遠位端110を囲む組織)から熱を除去する(例えば、好ましくは、アブレーションする)ことができる。
【0028】
一構成では、冷却剤供給導管は、ジュールトムソン(「J-T」)オリフィス154で遠位側に終端する。したがって、クライオクーラー154は、J-Tオリフィス154などの開ループクライオクーラーである。冷却剤は、実施形態では、冷却流体(例えば窒素、空気、アルゴン、クリプトン、キセノン、N2O、CO2、およびCF4)であり得る。そのような場合、冷却剤は、J-Tオリフィス154を介した膨張が遠位操作先端部116を囲む冷凍アブレーションをする組織のための温度まで冷却剤を冷却するような圧力にあり得る。特定の態様では、J-Tオリフィス154の上流の冷却剤の圧力は、約7メガパスカル(以下、「MPa」)と約15MPA(例えば、約12MPA)との間である。したがって、冷却剤が冷却流体である実施形態では、J-Tオリフィス154からの膨張した後の冷却剤の温度は、約190ケルビン未満となり得る。
【0029】
代替的には、冷却剤は、加熱流体(例えば、ヘリウム、水素)である。そのような場合には、冷却剤は、J-Tオリフィス154を介した膨張により冷却剤の温度が上昇して、遠位側の作動流体の周囲の組織を加熱するような圧力になり得る。そのような実施形態は、凍結組織を解凍するために有用である。
【0030】
図1を引き続き参照すると、クライオクーラー154がJ-Tオリフィス154である実施形態では、シャフトの遠位端は、戻り流路と連通する遠位拡張チャンバー156を含む。冷却剤供給導管は、膨張室に通じるJ-Tオリフィスで終端する。冷却剤がJ-Tオリフィス154を介して冷却剤供給導管152をでるとき、冷却剤は、J-T膨張を受けて、遠位膨張チャンバー156内に膨張する。遠位拡張チャンバー156は、本明細書の他の場所でさらに説明するように、組織との熱交換を改善するために、シャフトの可撓性部分内に配置され、特にシャフトの活性領域172内、特にその金属部分内に配置される。
【0031】
図1を参照すると、冷却剤戻り導管158は、冷却剤をシャフトの遠位部分から離れる方向に送達する。図示のように、いくつかの実施形態では、冷却剤戻り導管158は、膨張室と連通している。したがって、遠位膨張室156内で膨張した後、冷却剤は、冷却剤戻り導管158を介して流れることができる。図示の実施形態では、冷却剤戻り導管158は、シャフト壁106の内周面114によって形成されているため、内側壁114で画定されたシャフトルーメン150と同一の広がりをなす。代替的には、冷却剤戻り導管158は、別個の物理的導管であってもよい。例示的な態様では、冷却剤戻り導管158は、冷却剤供給導管152と同軸をなす。さらに、好ましい態様では、冷却剤戻り導管158は、冷却剤供給導管152を環状に囲むことにより、冷却剤戻り導管158内の膨張した冷却剤で冷却剤供給導管152内の冷却剤の予冷(例えば、冷却剤が冷却流体である場合)または予熱(例えば、冷却剤が加熱流体である場合)を容易にする。
【0032】
図1に戻って参照すると、冷凍アブレーション器具100は、シャフト上に配置されるシース160を含む。シース160は、特定の実施形態では、シャフト壁106を囲む。例えば、シース160は、シャフトと同軸に配置され、シャフトを環状に囲む。好ましい態様では、シース160およびシャフト壁106は、互いに対して変位し得る。例えば、シース160およびシャフト壁106は、
図1の矢印161(長手方向軸118に対して平行)で示すように、変位し得る。一例では、シャフトの遠位部分は、シース160を超えて延びること、およびシース160内に格納することが可能である。シャフトに対するシース160の変位は、冷凍アブレーション器具100の近位端108から制御できる。シース160は、冷凍アブレーション器具100の遠位(例えば、鋭利な)操作先端部を好ましくは収容および格納できる。そのような実施形態は、例えば、冷凍アブレーション器具100が鋭利な先端部を含み、冷凍アブレーション器具100が気管支鏡104などの内視鏡のワーキングチャンネルに挿入される場合に有利である。そのような例では、シース160は、遠位(例えば、鋭利な)操作先端部がシース160から突き出して、ワーキングチャンネルを不注意に損傷することから保護できる。さらに、好ましくは、シース160は、気管支鏡104のワーキングチャンネルに挿入されたときに、シャフトの外周面112を機械的損傷(例えば、摩耗)から保護できる。
【0033】
シース160の材料は、所望の程度の柔軟性および他の機械的特性を付与するように構成される。一態様によれば、シース160は、ポリマーを含有する。一実施形態では、ポリマーは、十分な柔軟性および耐キンク性のためにペバックスを含有する。ポリマーは、カテーテル102に関してシース160の係合の容易性を付与し得るPTFEを含有する。シース160の外周面112への摩擦を低減するために、追加のポリマー添加剤をシース160の材料に添加することができる。さらに、任意選択で、シース160は、1つ以上のポリマーの層状配列として形成され得る。
【0034】
シース160の寸法は、所望の程度の柔軟性および他の機械的特性を付与するように構成され得る。例示的な構成では、
図3に示すように、シース160は、内部にカテーテル102を収容するのに十分に大きいが、十分な程度の柔軟性およびキンク抵抗性を有する。シース160は、約1mmから約3mm(例えば、約2mm)の外径162と、約1mmから約2mm(例えば、約1.8mm)の内径164とを有し得る。
【0035】
再び
図1、
図3を参照すると、シャフトは、断熱領域170を含む。真空がチャンバー180内に能動的に引き込まれると、チャンバーの少なくとも一部は、シャフトルーメンの外周囲に断熱性を付与する断熱領域を形成する。断熱領域170内では、シャフト112の表面は、戻り導管158内の冷却剤から熱的に絶縁されている。断熱領域は、チャンバー180と同一の広がりを有する。図示の例では、断熱領域170は、シャフトのかなりの長さにわたって延びている。断熱領域170は、シャフトをシース160および/または気管支鏡104のワーキングチャンネルから熱的に絶縁することができる。そのような実施形態は、シャフトの外部の領域からシャフトの所望の領域以外の部分を断熱するのに有利である。例えば、熱絶縁領域は、冷凍アブレーション手術が実施される標的部位以外の患者の部位からシャフトを熱的に絶縁し得る。
【0036】
一態様によれば、断熱領域170は、シャフトのかなりの長さにわたって延びる。
図3の実施形態では、例えば、断熱領域170は、遠位端110の近くの活性領域172を除いて、近位端108と遠位端110との間に延びる。断熱領域170は、シャフトの内周面114の外径136の外周囲に少なくとも部分的に周方向に延びる。特定の好ましい態様では、断熱領域170は、シャフトの周方向全体でシャフトの外周面112に断熱性を付与する。
【0037】
上記のように、シャフトの材料および寸法は、所望の程度の柔軟性を付与するように選択することができる。したがって、そのような実施形態では、シャフト壁の材料は気体透過性であり得る。例えば、シャフト壁の内周面114、シャフト壁の外周面112、またはその両方は、気体透過性である。内側シャフト壁201、外側シャフト壁202、または両方のシャフト壁は、気体透過性である。表面およびシャフト壁は、特にチャンバー180内の流体圧力が大気圧よりも低い場合、例えば0.1トル(toll)など部分真空が適用された場合、気体透過性である。一構成では、シャフト壁106(例えば、内側シャフト壁、外側シャフト壁、外周面、内周面などの要素)は、チャンバー流体圧力が0.1トルに低下したときに、チャンバー流体圧力は、継続的な排気がない場合には、気体が気体透過性のシャフト壁を透過するため、30分以内に0.9トルに増加する。
【0038】
例えば、シャフト壁の内周面114は、冷却剤戻り導管158からの膨張した冷却剤が内周面114を通過して流れて、シャフト壁の内周面114と外周面112との間の環状空間に入ることを可能にする。膨張した冷却剤が入ると、内周面114と外周面112との間の断熱性が低下するため、シャフトルーメン150の冷却剤戻り導管158内の冷却剤と、シャフト壁の外周面112の部分と、シャフト壁の外周面112を囲む外部領域の部分との間で意図しない熱伝達が生ずる。チャンバー流体圧力が真空圧であると、シャフトルーメン158に送達される低温気体がシャフト壁106内を貫通してチャンバー内に浸透する可能性がある。内側シャフト壁201内を通過する冷却剤の浸透は、少なくとも部分的には、シャフトルーメンの流体圧力がチャンバー180の流体圧力よりも大きいことに起因する。したがって、チャンバー流体圧が真空源を介して調整されない限り、チャンバー流体圧は上昇する。
【0039】
任意選択で、シャフト壁の外周面112および/またはシャフト外壁自体は、同様に気体透過性を有しており、窒素または酸素などのシャフトを囲む空気からの気体が外周面112および/または外壁を通過して流入して、特にチャンバー内の流体圧力がシャフトを囲む空気の流体圧力よりも低い場合は、チャンバー180内に入ることを可能にする。
【0040】
内周面114および/または外周面112ならびに内側シャフト壁および外側シャフト壁を透過する気体は、能動真空が維持されない場合には、シャフト壁の断熱能力を低下させ、チャンバー内の真空状態を低下させる可能性がある。したがって、例示的な実施形態は、シャフト壁の内周面114と外周面112との間、または内側シャフト壁と外側シャフト壁との間に能動真空を確立する。例えば、チャンバー180内である。
【0041】
図4にシャフト壁の拡大図を示す。
図3、
図4を参照すると、断熱領域170は、外周面112と内周面114との間に配置されたチャンバー180によって形成される(例えば、それによって断熱される)。チャンバー180内の圧力は、チャンバー流体圧力と呼ばれることもあり、調整可能である。例えば、チャンバー180のチャンバー流体圧力は、断熱領域170を設けるために真空に維持される。
図4を引き続き参照すると、特定の例示的な態様では、チャンバー180は、内側シャフト外周面203(例えば、内側管状部材の径方向最外層)と外側シャフト202の内周面204(例えば、外側管状部材112の径方向最内層)の間に形成される。内側シャフト201および外側シャフト202は、環状の間隙206がそれらの間に存在し、チャンバー180を形成するように、径方向に互いに間隔をあけて配置される。真空がチャンバーに適用された場合(以下でさらに説明するように)、チャンバー180は、シャフトの内周面114がシャフトの外周面112から断熱されるように、および外周面112が、内周面114から断熱されるように、シャフトの内周面114と外周側面112との間に断熱性を設ける。
【0042】
態様によれば、チャンバー180は、シャフトルーメン150を中心として少なくとも部分的に周方向に延びる。例えば、一実施形態では、チャンバーは、周方向にシャフトルーメン150を中心として全体に延びる。チャンバー180は、
図4に示すように、シャフトの断熱領域170において、シャフトルーメン150を中心として環状に延びて、それと同軸をなす。
【0043】
冷凍アブレーション器具100は、チャンバー180と真空源182との間の真空接続を形成するために近位側に構成される。
図4に示す実施形態によれば、冷凍アブレーション器具100は、真空源182に接続するために近位側に構成される。例えば、チャンバー180は、真空源182に接続し得る近位開口部184を有する。開口部184は、チャンバー180への唯一の開口部である。チャンバーは遠位側で閉鎖されている。一態様では、真空源182は、真空ポンプ182である。真空ポンプ182は、チャンバー180と動作可能に連通して(例えば、近位開口部184を介して)、チャンバー180内の気体を引き込むことができる。近位開口部184を除いて、チャンバー180は密封される。チャンバーが近位開口部184以外で密閉されている場合には、真空源182で気体の引き抜くことにより、チャンバー流体圧力を大気圧より低い値に低下させて、部分真空にすることができる。例示的な態様によれば、部分真空は、チャンバー180内で能動的に維持される。真空ポンプ182は、チャンバー180から気体を積極的に引き出し続けることにより、チャンバー180内の圧力を大気圧より低い値に維持することができる。
【0044】
チャンバー180は、約0.01mmから約0.1mm(例えば、0.05mm)の間の径方向厚さ190を有し得る。一実施形態によれば、真空源182は、約0.05トル(約6.6パスカル)のチャンバー流体圧力を維持し得る。好ましい態様では、そのような深い真空圧では、流体は、内周面114および/または外周面112を通過して移動し、冷却剤供給導管152内の冷却剤の比較的高い圧力、チャンバー180内の深真空、内周面114、外周面112、外側シャフトの透過性のうちの1つ以上のために、外側シャフトおよび/または内側シャフト内を通過してチャンバー180に入ることができる。内周面114、内側シャフト201、外周面112および外側シャフトの透過性は、これらの要素の材料および寸法に起因し得る。本明細書に記載のように、シャフト壁106の好ましい態様では、シャフト壁106は、本明細書に記載の方法でその長手方向軸118を中心に曲げることができる適切な程度の柔軟性を有する。内側シャフト201および外側シャフト202の材料(例えば、本明細書の他の場所で説明されるポリマー)および寸法(本明細書の他の場所で説明されるミリメートルの厚さ)は、部分的に、シャフト壁106にそのような程度の柔軟性を付与するように選択される。その結果、流体(例えば、冷却剤戻り導管158内の膨張した冷却剤によるシャフトルーメン圧力)は、冷却剤供給導管152内の比較的高い圧力、チャンバー180内の深真空、内側シャフト201および内周面114の透過性、および外側シャフト202および外周面112の透過性のうちの1つ以上のために、チャンバー180内に移動し得る。真空源182は、そのような移動した流体をチャンバー180から吸引するように能動的に作動し、本明細書の他の場所で説明されるように、チャンバー流体圧力を真空圧に能動的に維持する。
【0045】
図4を引き続き参照すると、シャフトは、真空がチャンバー180内で能動的に維持される場合に機械的強度を改善するための構造を含み得る。一実施形態では、シャフトは、1つ以上の支持要素192を含み得る。支持要素192は、好ましい態様では、内側シャフト壁201(内側管状部材であり得る)と外側シャフト壁202(外側管状部材であり得る)との間の環状の間隔を維持することができる。支持要素192は、チャンバー内に配置される。好ましくは、それらは、チャンバー180の全体積を占有することはできず、環状をなすチャンバー180で利用可能な空間を部分的に占有することができる。そのような実施形態は、気体がチャンバー180から引き出された場合にチャンバー180の崩壊の防止を容易にするように構成される。
【0046】
一態様によれば、支持要素192は、支持フィラメント192を含む。支持フィラメント192は、ポリマーを含有し得る。一実施形態では、ポリマーは、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」)を含有し得る。支持フィラメント192は、フィラメントを巻回することによって形成され、例えば、より具体的には、内側シャフトを中心として、より具体的には、内側シャフト壁20の外周面204を中心として一連のターンでポリマーフィラメント(例えば、PEEK)192を巻回することによって形成することができる。いくつかの実施形態によれば、フィラメント192は、約0.01mmから約0.1mm(例えば、約0.05mm)の間の直径を有する。支持フィラメント192の巻線は、好ましくは、内側シャフト壁201を外側シャフト壁と同軸配置に維持することができる。フィラメント192は、好ましくは、外側シャフト壁202の内周面203(例えば、外管状部材)と内側シャフト壁の外周面204(例えば、内管状部材)との間の直接的な接触を防止して、真空圧による力に対抗し、カテーテル102の機械的強度を改善する。
【0047】
好ましい実施形態では、
図1に戻ると、カテーテルシャフトの遠位端110は、活性領域172を含み、その上で、拡張された冷却剤は、シャフトの外側の領域(例えば、組織)と熱を交換し得る。したがって、活性領域172は、断熱性を有さない場合がある。断熱領域170は、活性領域172を除いて、カテーテルシャフトのかなりの長さにわたって延び得る。活性領域172は、断熱領域170の遠位側に配置された金属部分を含み得る。活性領域172は、冷却剤戻り導管158内を流れる膨張した冷却剤とシャフトの外側の領域(例えば、組織)との間の熱交換を容易にし得る。
【0048】
本発明の特定の態様によれば、活性領域172はまた、ほぼ柔軟である。活性領域172は、断熱領域170とほぼ同程度に可撓性である。活性領域172は、1つ以上のベローズ、溝などを含み、金属領域内でねじれることなく十分な程度の曲げ性を設けることができる。したがって、シャフトは、シャフト200の遠位端110に配置された可撓性の金属領域を含むことができる。可撓性金属領域は、組織の貫通のために構成された遠位先端操作先端116で終端し得る。
【0049】
図1、
図3に戻って参照すると、特定の実施形態によれば、カテーテル102は、冷却剤供給導管152上で少なくとも遠位側に巻回された熱交換スパイラル194を含む。熱交換スパイラル194は、冷却剤の循環時間および/または滞留時間を(例えば、膨張時に)増強することができ、さらに、冷却剤供給導管152と活性金属領域との間の同軸配置を維持することを支援し得る。一実施形態では、熱交換スパイラル194は、冷却剤供給導管152(例えば、毛細管)の遠位端11を中心として巻回された金属(例えば、スズ被覆銅)ワイヤから形成され得る。熱交換スパイラル194は、所望のピッチ(例えば、約1mmから約10mmの間、例えば、約4mm)を有し得る。
【0050】
さらなる実施形態では、冷凍アブレーション器具の断熱領域のシャフト壁は、断熱シースのシャフト壁として使用され、または断熱カテーテルのシャフト壁としてさらに使用される。断熱シースは、本明細書でさらに説明するように、冷凍アブレーション器具と共に使用することができる。
【0051】
冷凍アブレーション器具には断熱領域を欠く場合があるが、気管支鏡や同様の装置などの内視鏡と組み合わせて使用されることは少なくない。1つのアプローチでは、冷凍アブレーション器具は、冷凍アブレーション器具に見られる極低温から内視鏡のワーキングチャンネルを保護するために、断熱シースと組み合わせて使用することができる。シースはまた、アブレーションされることが意図されていない組織を保護し得る。
【0052】
図3Aを参照すると、シース(またはカテーテル)は、シャフト壁106を有し、これは、一般に管状であり、近位端108および遠位端230を有する。シャフトは、本明細書の他の場所で説明されている冷凍アブレーション器具のシャフトと同一要素を備える。
【0053】
シャフト壁106は、近位端と遠位端との間に延びる。シャフト壁は、外周面112および内周面114を有する。間隙206は、シャフトの外周面112とシャフトの内周面114との間に画定される。この間隙206は、2つの表面の間にチャンバー180を画定する。チャンバーは、閉鎖部231などによって遠位端230で密封される。
【0054】
シャフトは、内側シャフト壁201を含み、外側シャフト壁202を含む。外側シャフト壁202の外周面は、外側シャフトの外周面112を形成する。内側シャフト壁201の内周面は、シャフトの内周面114を形成する。チャンバー180は、外側シャフト壁202と内側シャフト壁201との間に形成される。より具体的には、チャンバー180は、外側シャフト壁の内周面203と内側シャフト壁の外周面204との間に形成される。
【0055】
シャフト壁の構成要素、構造、材料、および気体透過性の特性は、本明細書の他の場所で詳細に説明されている冷凍アブレーション器具のものと同一である。
シースまたはカテーテルは、シャフト壁114の内周面によって境界が定められたシャフトルーメン232を有し、シースのシャフトルーメンは、冷凍アブレーション器具300を受け入れるように構成される。シースまたはカテーテルのルーメンは、遠位端230で開放されており、また近位端で開放されている。
図4を参照して、同様に、シャフトの内周面114と外周面112との間に形成されたチャンバーは、真空源182に接続可能な近位開口部184を有し、近位開口部184は、チャンバー180および真空源間の真空連通を確立するように構成され、チャンバーは、内部にチャンバー流体圧力を有する。チャンバー180を真空源182に接続することにより、冷凍アブレーション器具に関して本明細書の他の場所で説明したアプローチと同様に、チャンバー流体圧力を真空源によって調節することができる。
【0056】
図3aを引き続き参照すると、冷凍アブレーション器具300は、108を有するシャフト340および遠位端110を有する。シャフト壁341は、近位端と108と遠位端110との間に延びる。シャフト壁は、内周面342および外周面343を有する。シャフト壁は、一般にはポリマーの性質であり、いくつかのアプローチでは、本明細書の他の場所で
図2を参照して説明した冷凍アブレーション器具の外側シャフト壁と同一の方法で一連の層から構築され得る。特に、シャフト壁は、編組層、特に本明細書の他の場所に記載されているステンレス鋼編組、を備える補強層142を含み得る。器具は、シャフト壁の内周面342によって境界が定められたシャフトルーメン158を有することができる。冷却剤供給導管152は、シャフトルーメン内に収容することができ、冷却剤供給導管は、冷却剤源から冷凍アブレーション器具の遠位部分110に冷却剤を送達するように構成される。器具は、冷却剤を排出するための冷却剤戻り通路を備え、これは、本明細書の他の場所で説明された装置に関して、一般には近位側に排出、またはリサイクルされる。戻り流路は、冷凍アブレーション器具の遠位端から冷却剤気体を送達するように構成されたシャフトルーメンによって形成される。
【0057】
冷凍アブレーション器具の遠位端110は、遠位操作先端部116で終端する。遠位操作先端部116は、組織を貫通するように好ましくは構成される。例えば、遠位操作先端部116は、トロカールチップなどの鋭利な先端部を含み得る。代替的には、遠位操作先端部116は、鋭利な先端部でなくてもよい。
【0058】
一構成では、冷却剤供給導管は、ジュールトムソン(「J-T」)オリフィス154で遠位側に終端できる。シャフトの遠位端はまた、戻り流路と連通する遠位拡張チャンバー156を含む。冷却剤供給導管は、膨張室に通じるJ-Tオリフィスで終端できる。
【0059】
実施例
図5は、一実施形態にかかるカテーテル102の様々な構成要素の柔軟性を示す。構成要素の柔軟性は、3点曲げ試験によって定量化できる。テストした構成要素は、約25mm離れた2点間で支持した。テストした構成要素を約3mm偏倚させるのに必要な力(ポンド単位)を
図5にプロットした。
【0060】
図5を引き続き参照する。一実施形態では、外側シャフト壁202は、内径132が約1.6mm、外径130が約1.75mmを有し、第1の層120は、Pebax(登録商標)72Dを含有するように構成され、補強層142は、ステンレス鋼ワイヤ編組を有し、第2の層122は、ポリイミド-PTFEブレンドを含有し、第3の層124は、ポリイミドを含有するように構成された。外周面112を3mm偏倚させるための力は、約0.375ポンド(約1.668N)であった。この実施形態による外側シャフト壁202は、約12.7mmの曲げ半径および約27MPAの破裂圧力を有していた。
【0061】
図5を参照すると、別の実施形態では、内側シャフト壁201は、内径138が約1.32mmであり、外径136が約1.45mmとなるように構成され、ポリイミドを含んでいた。内側シャフト壁201を約3mm偏倚させる力は、約0.14ポンド(約0.6228N)であった。
【0062】
再び
図5を参照すると、別の実施形態では、シース160は、内径164が1.8mmであり、外径162が約2mmであるように構成された。シース160は複数の層を含み、シース160の第1の層120はPTFEを含み、シース160の第2の層122はステンレス鋼を含み、シース160の第3の層124はPebax63D(登録商標)を含んでいた。シース160の曲げ半径は約12.7mmであった。シース160を約3mm偏倚させるための力は、約0.3ポンド(約1.334N)であった。
【0063】
さらなる実施形態では、冷却剤供給導管152は、約0.57mmの外径を有するニチノールキャピラリーを含んでいた。この実施形態によれば、キャピラリーを3mm偏倚させるための力は、約0.38ポンド(約1.69N)であった。シース160、外周面112、内周面114、および毛細管を約3mm偏倚させるための合計力は、約0.954ポンド(約4.244N)であった。
【0064】
さらなる実施形態は、断熱シースを設けたものであった。断熱シースは、本明細書でさらに説明するように冷凍アブレーション器具とともに使用することができ、または断熱カテーテルとして使用することができる。
【0065】
冷凍アブレーション器具には断熱領域がない場合があり得るが、気管支鏡や同様の装置などの内視鏡と組み合わせて使用することは少なくない。1つのアプローチでは、冷凍アブレーション器具は、冷凍アブレーション器具に見られる可能性のある極低温から内視鏡のワーキングチャンネルを保護するために、断熱シースと組み合わせて使用することができる。シースはまた、アブレーションされることを意図されていない組織を保護し得る。
【0066】
図3Aを参照すると、シースまたはカテーテルは、シャフト壁106を有し、これは、一般に管状であり、近位端108および遠位端230を有する。シャフトは、本明細書の他の場所で説明されている冷凍アブレーション器具のシャフトと同一要素を備える。
【0067】
シャフト壁106は、近位端と遠位端との間に延びる。シャフト壁106は、外周面112および内周面114を有する。間隙206は、シャフト112の外周面とシャフト114の内周面との間に形成される。この間隙206は、2つの表面間にチャンバー180を形成することができる。チャンバーは、閉鎖部231などによって遠位端230で密封される。
【0068】
シャフトは、内側シャフト壁201を含み、外側シャフト壁202を含む。外側シャフト壁202の外周面は、シャフトの外周面112を形成する。内側シャフト壁201の内周面は、シャフトの内周面114を形成する。チャンバー180は、外側シャフト壁202と内側シャフト壁201との間に形成することができる。より詳細には、チャンバー180は、外側シャフト壁の内周面203と内側シャフト壁の外周面204との間に形成される。
【0069】
シャフト壁の構成要素、構造、材料、および気体の透過性の特性は、本明細書の他の場所で詳細に説明されている冷凍アブレーション器具のものと同一である。
シースまたはカテーテルは、シャフト壁114の内周面によって境界が定められたシャフトルーメン232を有し、シースのシャフトルーメンは、冷凍アブレーション器具300を受け入れるように構成される。シースまたはカテーテルのルーメンは、遠位端230で開放されていてもよいし、近位端で開放されていてもよい。
図4を参照して、同様に、シャフトの内周面114と外周面112との間に形成されたチャンバーは、真空源182に接続可能な近位開口部184を有し、近位開口部184は、チャンバー180と真空源間の真空連通を確立するように構成され、チャンバーはその中にチャンバー流体圧力を有する。チャンバー180を真空源182に接続することにより、冷凍アブレーション器具に関して本明細書の他の場所で説明するアプローチと同様に、チャンバー流体圧力を真空源によって調節することができる。
【0070】
図3Aを引き続き参照すると、冷凍アブレーション器具300は、108を有するシャフト340および遠位端110を有する。シャフト壁341は、近位端と108と遠位端110との間に延びる。シャフト壁は、内周面342および外周面343を有する。シャフト壁は、一般にポリマーの性質であり、いくつかのアプローチでは、本明細書の他の場所で
図2を参照して説明した冷凍アブレーション器具の外側シャフト壁と同一方法で一連の層から構築される。特に、シャフト壁は、編組層、特に本明細書の他の場所に記載されているステンレス鋼編組を備える補強層142を備える。器具は、シャフト壁の内周面342によって境界が定められたシャフトルーメン158を有することができる。冷却剤供給導管152は、シャフトルーメン内に収容することができ、冷却剤給導管は、冷却剤源から冷凍アブレーション器具の遠位部分110に冷却剤を送達するように構成される。器具は、冷却剤を排出するための冷却剤戻り通路を備え、既述の装置において、近位側に排出、またはリサイクルすることができる。戻り流路は、シャフトルーメンによって形成され、冷凍アブレーション器具の遠位端から冷却剤気体を送達するように構成される。
【0071】
冷凍アブレーション器具の遠位端110は、遠位操作先端部116で終端する。遠位操作先端部116は、好ましくは組織を貫通するように構成され得る。例えば、遠位操作先端部116は、トロカールチップなどの鋭利な先端部を含む。代替的には、遠位操作先端部116は、鋭利な先端部でなくてもよい。
【0072】
一構成では、冷却剤供給導管は、ジュールトムソン(「J-T」)オリフィス154で遠位側に終端する。シャフトの遠位端は、戻り流路と連通する遠位拡張チャンバー156を含む。冷却剤供給導管は、膨張室に通じるJ-Tオリフィスで終端する。
【国際調査報告】