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特表2023-501783格子状のフラクタル分配要素または収集要素
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-19
(54)【発明の名称】格子状のフラクタル分配要素または収集要素
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/32 20060101AFI20230112BHJP
   B01J 10/00 20060101ALI20230112BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20230112BHJP
   B01J 19/24 20060101ALI20230112BHJP
   B01F 25/41 20220101ALI20230112BHJP
   B01F 23/20 20220101ALI20230112BHJP
   B01D 3/32 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
B01J19/32
B01J10/00 101
B01J10/00 102
B01F35/71
B01J19/24 Z
B01F25/41
B01F23/20
B01D3/32 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022525723
(86)(22)【出願日】2020-10-10
(85)【翻訳文提出日】2022-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2020078521
(87)【国際公開番号】W WO2021089273
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】19207307.0
(32)【優先日】2019-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519404643
【氏名又は名称】ヒルシュベルク エンジニアリング アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒルシュベルク、セバスチャン
【テーマコード(参考)】
4D076
4G035
4G037
4G075
【Fターム(参考)】
4D076BB04
4D076CA11
4D076CA19
4D076CC11
4D076JA03
4G035AB04
4G035AC01
4G035AE13
4G037AA01
4G037AA02
4G037AA11
4G037EA01
4G075AA03
4G075AA13
4G075BA01
4G075BA10
4G075BB02
4G075BB04
4G075BB05
4G075BB08
4G075BD02
4G075BD12
4G075BD13
4G075BD15
4G075BD22
4G075BD23
4G075BD26
4G075DA02
4G075DA18
4G075EA01
4G075EB02
4G075EB04
4G075EB09
4G075EB21
4G075EE15
4G075EE32
4G075EE34
4G075FA01
4G075FA12
4G075FA14
4G075FA20
4G075FB02
4G075FB04
4G075FB12
(57)【要約】
本発明は、物質移動カラムの断面平面などの断面平面上で、液体などの第1の流体を均一に分配するための分配要素および/または収集要素に関し、気体などの第2の主流体は、分配要素を通って第1の流体に対して並流および/または向流で流れ、分配要素は、開口部および開口を含むフラクタルプレートによって互いに分離された少なくとも2つのレベルを含み、各レベルは、第2の主流体が流れるチャネルと、チャネルの間に、第1の流体が流れることができる1つまたは複数の流体経路とを含み、開口部の数は、最上部のフラクタルプレートから最下部のフラクタルプレートへと増加し、第2の主流体が流れるチャネルは、第1の流体が流れることができる流体経路を画定する1つまたは複数の中空空間のすべてから壁によって流体密に分離され、流体経路の各々は、少なくとも実質的に同じ長さを有し、実質的に同じ長さは、レベルの流体経路の各々が、同じレベルの他の任意の流体経路の長さと比較して、20%を超えて長さが変化しないことを意味する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面平面上に第1の流体を均一に分配するための分配要素(10)、または断面平面上に分配されている第1の流体を収集するための収集要素(10)であって、第2の主流体は、前記分配要素または収集要素(10)を通して、前記第1の流体に対して並流および/または向流で流れ、前記分配要素または収集要素(10)は、互いに対して少なくとも実質的に平行に配置された少なくとも2枚のフラクタルプレート(12、12’、12’’)を含み、これらはそれぞれ、前記フラクタルプレート(12、12’、12’’)の下のレベル(18)を画定し、前記少なくとも2枚のフラクタルプレート(12、12’、12’’)のうちの前記第1の最上部は、第1の数の開口部(20)を含み、各開口部は、その下側において、下方に延在する壁(22)によって取り囲まれ、前記第1の最上部のフラクタルプレート(12)の下の前記第1のレベル(18)において、前記第2の主流体が流れるチャネル(24)を画定し、前記チャネル(24)を画定する前記壁(22)の間の前記第1のレベル(18)には、1つまたは複数の流体経路(33)を画定する1つまたは複数の中空空間が形成され、その中を前記第1の流体が流れることができ、前記第1のレベル(18)の底部を形成する前記少なくとも2枚のフラクタルプレート(12、12’、12’’)のうちの前記第2のフラクタルプレート(12’)は、第2の数の開口部(20)を含み、各開口部は、その下側において、下方に延在する壁(22)によって取り囲まれ、壁は、前記第2のフラクタルプレート(12’)の下の前記第2のレベル(18)において、前記第2の主流体が流れるチャネル(24)を画定し、前記チャネル(24)を画定する前記壁(22)の間の前記第2のレベル(18)では、1つまたは複数の流体経路(33)を画定する1つまたは複数の中空空間が形成され、その中を前記第1の流体が流れることができ、前記第2の数の開口部(20)は、前記第1の数の開口部(20)より多く、前記各レベル(18)の前記各チャネル(24)は、任意の隣接するレベル(18)の少なくとも1個のチャネル(24)に接続され、前記各レベルの前記1つまたは複数の流体経路(33)のうちの少なくとも1つは、前記隣接するレベル(18)を互いに分離する前記フラクタルプレート(12、12’、12’’)に位置する少なくとも1個の開口(28、28’、28’’、28’’’、28iv)によって、任意の隣接するレベル(18)の前記1つまたは複数の流体経路(33)のうちの少なくとも1つと接続され、前記第2の主流体が流れる前記チャネル(24)は、前記第1の流体が流れることができる前記流体経路(33)を画定する前記1つまたは複数の中空空間のすべてから前記壁(22)によって流体密に分離され、前記流体経路(33)の各々は、少なくとも実質的に同じ長さを有し、実質的に同じ長さは、前記レベル(18)の前記流体経路(33)の各々が、前記同じレベル(18)の他の任意の流体経路(33)の長さと比較して、20%を超えて長さが変化しないことを意味する、分配要素または収集要素(10)。
【請求項2】
前記分配要素または収集要素(10)は、2枚の隣接するフラクタルプレート(12、12’、12’’)間のレベル(18)をそれぞれ画定する、互いに少なくとも実質的に平行に配置された少なくとも3枚のフラクタルプレート(12、12’12’’)を含み、前記第2のレベル(18)の前記底部を形成する前記少なくとも3枚のフラクタルプレート(12、12’、12’’)のうちの前記第3のフラクタルプレート(12’’)は、第3の数の開口部(20)を含み、各開口部は、下方に延在する壁(22)によって下側が取り囲まれ、前記第2のフラクタルプレート(12’)の下の前記第3のレベル(18)において前記第2の主流体が流れるチャネル(24)を画定し、前記チャネル(24)を画定する前記壁(22)の間の前記第3のレベル(18)には、前記第1の流体が流れることができる1つまたは複数の流体経路(33)を画定する1つまたは複数の中空空間が形成され、前記第3の数の開口部(20)は、前記第2の数の開口部(20)より多く、前記各レベル(18)の前記チャネル(24)の各々は、任意の隣接するレベル(18)の少なくとも1個のチャネル(24)と接続されており、前記各レベルの前記1つまたは複数の流体経路(33)のうちの少なくとも1つは、前記隣接するレベル(18)を互いに分離する前記フラクタルプレート(12、12’、12’’)に位置する少なくとも1個の開口(28、28’、28’’、28’’’、28iv)によって、任意の隣接するレベル(18)の前記1つまたは複数の流体経路(33)のうちの少なくとも1つと接続される、請求項1に記載の分配要素または収集要素(10)。
【請求項3】
前記少なくとも2枚のフラクタルプレート(12、12’、12’’)の各々は、少なくとも実質的に矩形または方形の形状を有し、各フラクタルプレート(12、12’、12’’)の前記開口部(20)は、少なくとも実質的に矩形または方形であり、各フラクタルプレート(12、12’、12’’)の前記開口部(20)は、各フラクタルプレート(12、12’、12’’)において格子状に配置されている、請求項1から2のいずれか一項に記載の分配要素または収集要素(10)。
【請求項4】
各フラクタルプレート(12、12’、12’’)の開口部(20)の数は4×(4)であり、nは、前記第1の最上部のフラクタルプレート(12、12’、12’’)に対する前記それぞれのフラクタルプレート(12、12’、12’’)の数であり、前記第1の最上部のフラクタルプレート(12)はフラクタルプレート1である、請求項1から3のいずれか一項に記載の分配要素または収集要素(10)。
【請求項5】
2~15枚、好ましくは2~12枚、より好ましくは2~10枚、最も好ましくは3~5枚のフラクタルプレート(12、12’、12’’)を含み、各下部フラクタルプレート(12’、12’’)は、それぞれの前記上部フラクタルプレート(12、12’)より多くの数の開口部(20)を有し、各フラクタルプレート(12、12’、12’’)は複数の開口(28、28’、28’’、28’’’、28iv)を含み、前記開口(28、28’、28’’、28’’’、28iv)の数は、好ましくは前記フラクタルプレート(12、12’、12’’)の前記開口部(20)の数の0,1~200%の間、より好ましくは0,5~50%の間、さらにより好ましくは1~20%の間、さらにより好ましくは3~10%の間である、請求項1から4のいずれか一項に記載の分配要素(10)。
【請求項6】
前記最下部のフラクタルプレート(12’’)の下には、少なくとも1枚の分配プレート(16、16’、16’’、16’’’、16iv)が存在し、前記少なくとも1枚の分配プレート(16、16’、16’’、16’’’、16iv)の各々は、前記隣接する上部プレートと前記少なくとも1枚の分配プレート(16、16’、16’’、16’’’、16iv)との間にレベル(18)を画定する前記隣接する上部プレートに少なくとも実質的に平行に配置され、前記少なくとも1枚の分配プレート(16、16’、16’’、16’’’、16iv)の各々は、前記隣接する上部プレートと同じ形態および同じ数の開口部(20)を有し、前記少なくとも1枚の分配プレート(16、16’、16’’、16’’’、16iv)の各々の前記開口部(20)は、前記隣接する上部プレートの前記開口部(20)と同じ形態および寸法を有し、前記隣接する上部プレートと同じ位置で前記少なくとも1枚の分配プレート(16、16’、16’’、16’’’、16iv)の各々に形成され、前記分配要素または収集要素(10)は、1~3枚、好ましくは2枚または3枚の分配プレート(16、16’、16’’、16’’’、16iv)を備え、前記分配プレート(16、16’、16’’、16’’’、16iv)の各々は、前記隣接する上部プレートより多くの数の開口(38、38’、38’’)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の分配要素または収集要素(10)。
【請求項7】
前記第1の最上部のフラクタルプレート(12)は、少なくとも実質的に矩形または方形の形状を有し、各々が少なくとも実質的に同じサイズおよび形態を有する、16個の格子状に配置された、少なくとも実質的に矩形または方形の開口部(20)を含み、前記16個の開口部(20)は、前記第1の最上部のフラクタルプレート(12)内に4行4列の開口部(20)で等距離に配置される、請求項1から6のいずれか一項に記載の分配要素または収集要素(10)。
【請求項8】
前記第1の最上部のフラクタルプレート(12)の前記16個の開口部(20)の各々は、前記第1の最上部のフラクタルプレート(12)の下面から前記下方の第2のフラクタルプレート(12’)の上面へと下方に延在する壁(22)によって取り囲まれており、したがって、前記第1のレベル(18)において、前記第2の主流体が流れる16個の閉鎖チャネル(24)を形成し、前記壁(22)の間に、前記流体経路(33)を画定する1つまたは複数の中空空間を形成する、請求項7に記載の分配要素または収集要素(10)。
【請求項9】
前記第1のフラクタルプレート(12)の下に配置されている前記第2のフラクタルプレート(12’)は、少なくとも実質的に矩形または方形の形状を有し、各々が少なくとも実質的に同じサイズおよび形状を有する64個の格子状に配置された、少なくとも実質的に矩形または方形の開口部(20)を含み、前記64個の開口部(20)は、前記第2のフラクタルプレート(12’)内に8行8列の開口部(20)で等距離に配置され、前記第2のフラクタルプレート(12’)の前記64個の開口部(20)の各々は、前記第2のフラクタルプレート(12’)の前記下面から下方のプレートの前記上面へと下方に延在する壁(22)によって取り囲まれており、したがって、前記第2のレベル(18)において、前記第2の主流体が流れる64個の閉鎖チャネル(24)を形成し、前記壁(22)の間に、前記流体経路(33)を画定する1つまたは複数の中空空間を形成し、前記第2のフラクタルプレート(12’)は、前記第1のレベル(18)の前記流体経路(33)を前記第2のレベル(18)の流体経路に接続する4個の開口(28、28’、28’’、28’’’、28iv)を含み、1個の開口(28、28’、28’’、28’’’、28iv)が、前記第1および前記第2の行の前記第1および前記第2の列の前記4個のチャネル(24)の間の前記交点に形成され、1個の開口(28、28’、28’’、28’’’、28iv)が、前記第1および前記第2の行の前記第3および前記第4の列の前記4個のチャネル(24)の間の前記交点に形成され、1個の開口(28、28’、28’’、28’’’、28iv)が、前記第3および前記第4の行の前記第1および前記第2の列の前記4個のチャネル(24)の間の前記交点に形成され、1個の開口(28、28’、28’’、28’’’、28iv)が、前記第3および前記第4の行の前記第3および前記第4の列の前記4個のチャネル(24)の前記交点に形成される、請求項7または8に記載の分配要素または収集要素(10)。
【請求項10】
前記第2のフラクタルプレート(12’)の下に配置された少なくとも1枚の第3のフラクタルプレート(12’’)を含み、前記第3のフラクタルプレート(12’’)は、少なくとも実質的に矩形または方形の形状を有し、各々が少なくとも実質的に同じサイズおよび形状を有する256個の格子状に配置された、少なくとも実質的に矩形または方形の開口部(20)を含み、前記256個の開口部(20)は、前記第3のフラクタルプレート(12’’)内に16行16列の開口部(20)で等距離に配置され、前記第3のフラクタルプレート(12’’)の前記256個の開口部(20)の各々は、前記第3のフラクタルプレート(12’’)の前記下面から下方のプレートの前記上面へと下方に延在する壁(22)によって取り囲まれており、したがって、前記第3のレベル(18)において、前記第2の主流体が流れる256個の閉鎖チャネル(24)を形成し、前記壁(22)の間に、前記流体経路(33)を画定する1つまたは複数の中空空間を形成し、前記第2のフラクタルプレート(12’)の前記開口部(20)の各々の下に、前記第3のフラクタルプレート(12’’)の4個の開口部(20)が配置される、請求項7から9のいずれか一項に記載の分配要素または収集要素(10)。
【請求項11】
前記第2のフラクタルプレート(12’)の下に配置された少なくとも1枚の第3のフラクタルプレート(12’’)を含み、前記第3のフラクタルプレート(12’’)は、前記第2のレベル(18)の前記流体経路(33)を前記第3のレベル(18)の流体経路に接続する16個の開口(28、28’、28’’、28’’’、28iv)を含み、前記開口(28、28’、28’’、28’’’、28iv)は、行1、3、5、7、9、11、13、15の列1、3、5、7、9、11、13、15の前記チャネル(24)間の前記交点において前記流体経路(33)を画定する前記1つまたは複数の中空空間に隣接して形成され、前記分配要素または前記収集要素(10)は、好ましくは、前記第3のフラクタルプレート(12’’)の下に第4のフラクタルプレートを含み、第4のフラクタルプレートは、少なくとも実質的に矩形または方形の形状を有し、各々が少なくとも実質的に同じサイズおよび形状を有する1.024個の格子状に配置された、少なくとも実質的に矩形または方形の開口部(20)を含み、前記1.024個の開口部(20)は、前記第4のフラクタルプレート内に32行32列の開口部(20)で等距離に配置される、請求項7から10のいずれか一項に記載の分配要素または収集要素(10)。
【請求項12】
前記最下部のフラクタルプレート(12’’)の下には、前記最下部のフラクタルプレート(12’’)と同じ形状および同じ数および寸法の開口部(20)を有する分配プレート(16)が配置され、前記分配プレート(16)は、前記最下部のフラクタルプレート(12’’)の前記開口(28、28’、28’’、28’’’、28iv)が位置するものより下の交点に前記流体経路(33)を画定する前記1つまたは複数の中空空間に隣接する開口を有さないが、前記分配プレート(16)は、前記最下部のフラクタルプレート(12’’)の前記開口(28、28’、28’’、28’’’、28iv)が位置するものに隣接する任意の交点に開口(38、38’、38’’)を有し、好ましくは、前記分配プレート(16)の下に、1~5枚、好ましくは1~4枚、より好ましくは2枚、3枚または4枚のさらなる分配プレート(16’、16’’、16’’’、16iv)が配置され、これらは、前記最下部のフラクタルプレート(12’’)および前記分配プレート(16)と同じ形状、同じ数、同じ寸法の開口部(20)を有し、前記さらなる分配プレート(16、16’、16’’、16’’’、16iv)の各々は、その隣接する上部プレートより多くの数の開口(38、38’、38’’)を有する、請求項7から11のいずれか一項に記載の分配要素または収集要素(10)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の、1つまたは複数の分配要素(10)および/または1つまたは複数の収集要素(10)を含む装置であって、
i)前記装置が、物質移動カラム(8)、混合器、分散器、発泡装置、化学反応器、晶析装置、または蒸発器であるか、
ii)前記装置が、物質移動カラム(8)であり、前記1つまたは複数の分配要素(10)の下および/または前記1つまたは複数の収集要素(10)の上に、接触トレイ、ランダム充填物および構造化充填物(42)からなる群から選択される物質移動構造を含むか、
iii)前記装置が、物質移動カラム(8)であり、前記1つまたは複数の分配要素(10)の下および/または前記1つまたは複数の収集要素(10)の上に、毛細管を含むハニカム形状を有する物質移動構造を含み、前記チャネル(24)を画定する前記壁(22)は、階段形状であるか、もしくは組織から作製されるか、もしくは任意に形成された連続気泡フォームであるか、
iv)前記装置が、前記1つまたは複数の分配要素(10)の下および/または前記1つまたは複数の収集要素(10)の上に、第2の流体を導くように設計された接触領域を含む物質移動構造を含み、それによって、前記接触領域において、前記第1の流体を前記第2の流体と接触させることができ、前記接触領域において、前記第2の流体の流れを遮断するための少なくとも1つのフロー遮断器が設けられるか、
v)前記装置が、前記1つまたは複数の分配要素(10)の下および/または前記1つまたは複数の収集要素(10)の上に、組織、開気孔材料、毛細管、階段構造、および前述の構造のうちの2つ以上の任意の組み合わせからなる前記群から選択される物質移動構造を含む、装置。
【請求項14】
断面平面に第1の流体を均一に分配するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の分配要素(10)の使用、および/または断面平面に分配されている第1の流体を収集するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の収集要素(10)の使用であって、前記流体経路を画定する前記1つまたは複数の中空空間のうちの少なくとも1つに第1の流体を流すステップと、前記分配要素および/または前記収集要素の前記チャネルを通って第2の流体を流し、前記分配要素および/または前記収集要素は、好ましくは物質移動カラム(8)、混合器、分散器、発泡装置、または化学反応器で使用されるステップとを含む、分配要素および/または収集要素(10)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の流体を断面平面上に均一に分配するための分配要素、または物質移動カラム、混合器、分散器、発泡装置、化学反応器などの断面平面上に分配されている第1の流体を収集するための収集要素に関し、第2の主流体は、分配要素を通して、第1の流体に対して並流および/または向流で流れる。さらに、本発明は、そのような分配要素および/または収集要素のうちの1つまたは複数を含む物質移動カラムなどの装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの技術的処理では、流体は装置の断面平面上に均一に分配されなければならず、第2の流体はこの平面を通って流れる。両方の流体が液体または気体であってもよく、あるいは流体の一方が気体であり、もう一方が液体であってもよい。そのような処理の例としては、精留や吸収などの物質移動処理、混合処理、分散処理、発泡処理などが挙げられ、それぞれの装置の例としては、化学反応器、精留カラム、吸収カラム、ガススクラバー、流下膜蒸発器、膜晶析装置、ガス乾燥装置、混合装置などが挙げられる。
【0003】
典型的には、分配要素が別の装置と共に使用され、分配要素は、第1の流体をもう一方の装置の断面平面上または断面平面にわたってそれぞれ均一に分配する。もう一方の装置は、例えば、物質移動処理においては、構造化充填物などの任意の種類の充填物であるが、装置は、化学反応器においては、異なる種類の不均一または均一な触媒で操作される反応器であり、流下膜蒸発器または膜晶析装置においては、管束であり、ガススクラバーおよびガス乾燥装置においては、液体中のガスを吸収するための装置において1つまたは複数の静的混合器を分散または発泡するための充填物または混合器である。
【0004】
液体用の従来の分配要素は、開口チャネルを含み、この開口チャネルを通って、液体が、開口部を通って直接的に、またはシートを介して間接的に、物質移動カラム内の構造化充填物の表面などの平面上に規則的な距離で移送される。そのような分配要素は、例えば、米国特許第4855089号明細書、米国特許第3158171号明細書、および欧州特許第0 112 978号明細書に記載されている。しかしながら、これらの分配要素は高価である。これらの分配要素のさらなる欠点は、液面がチャネル開口部を通る体積流量を決定するので、それらの動作中、液面がすべてのチャネルにおいて同じであることを保証しなければならないことである。さらに、これらの分配要素の少なくともいくつかは、同等の高い圧力損失を有し、第2の主流の流れを妨げる。各収集要素についても同様である。
【0005】
ガスを分配するために、分配ランスが適用されることが多い。これらの分配ランスはノズルを含み、ノズルは、動作中にノズルを通る体積流量が同じになるように具現化されなければならない。液体を分配するために同様の分配ランスが使用されてもよい。複数のこのような分配ランスを組み合わせて、ランス格子を構成してもよい。しかしながら、これらの分配要素も高価であり、操作が複雑であり、同等の高い圧力損失を有し、第2の主流の流れを妨げる。各収集要素についても同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4855089号明細書
【特許文献2】米国特許第3158171号明細書
【特許文献3】欧州特許第0 112 978号明細書
【発明の概要】
【0007】
それに鑑みて、本発明の根底にある目的は、断面平面上に第1の流体を高い分布密度で均一に分配する分配要素、または、断面平面上、特に物質移動カラムの断面平面上に分配されている第1の流体を均一に収集する収集要素を提供することであって、平面を通る第2の流体の流れを本質的に妨げず、製造が容易でコスト効率がよい分配要素または収集要素を提供することである。
【0008】
本発明によれば、この目的は、断面平面上に第1の流体を均一に分配するための分配要素、または断面平面上に分配されている第1の流体を収集するための収集要素を提供することによって満たされ、第2の主流体は、分配要素または収集要素を通して、第1の流体に対して並流および/または向流で流れ、分配要素または収集要素は、フラクタルプレートの下のレベルをそれぞれ画定する、互いに対して少なくとも実質的に平行に配置された少なくとも2枚のフラクタルプレートを含み、少なくとも2枚のフラクタルプレートのうちの第1の最上部は、第1の数の開口部を含み、各開口部は、その下側において、下方に延在する壁によって取り囲まれ、第1の最上部のフラクタルプレートの下の第1のレベルにおいて、第2の主流体が流れるチャネルを画定し、チャネルを画定する壁の間の第1のレベルには、1つまたは複数の流体経路を画定する1つまたは複数の中空空間が形成され、その中を第1の流体が流れることができ、第1のレベルの底部を形成する少なくとも2枚のフラクタルプレートのうちの第2のフラクタルプレートは、第2の数の開口部を含み、各開口部は、その下側において、下方に延在する壁によって取り囲まれ、第2のフラクタルプレートの下の第2のレベルにおいて、第2の主流体が流れるチャネルを画定し、チャネルを画定する壁の間の第2のレベルでは、1つまたは複数の流体経路を画定する1つまたは複数の中空空間が形成され、その中を第1の流体が流れることができ、第2の数の開口部は、第1の数の開口部より多く、各レベルの各チャネルは、任意の隣接するレベルの少なくとも1個のチャネルに接続され、各レベルの1つまたは複数の流体経路のうちの少なくとも1つは、隣接するレベルを互いに分離するフラクタルプレートに位置する少なくとも1個の開口によって、任意の隣接するレベルの1つまたは複数の流体経路のうちの少なくとも1つと接続され、第2の主流体が流れるチャネルは、第1の流体が流れることができる流体経路を画定する1つまたは複数の中空空間のすべてから壁によって流体密に分離され、流体経路の各々は、少なくとも実質的に同じ長さを有し、実質的に同じ長さは、レベルの流体経路の各々が、同じレベルの他の任意の流体経路の長さと比較して、20%を超えて長さが変化しないことを意味する。
【0009】
本発明の収集要素は、本発明の分配要素と同じである。しかしながら、その使用中、収集要素は、分配要素に関して反転される。すなわち、分配要素の最上部のプレートは、収集要素の最下部のプレートに対応し、逆もまた同様である。ただし、定式化を容易にするために、収集要素は分配要素として説明される。
【0010】
チャネルは、気体などの第2の主流体が分配要素または収集要素を通って本質的に干渉することなく上昇などして流れることを可能にする一方で、チャネル壁の間の中空空間に画定された流体経路は、液体などの第1の流体が分配要素の断面平面にわたって分配されるか、または収集要素の断面平面にわたって収集されることをそれぞれ可能にする。チャネルの数は、分配要素または収集要素の第1の最上部レベルから下位レベルへと増加するので(これは、上述したように、使用中に反転される収集要素について、チャネルの数が分配要素または収集要素の第1の最上部レベルから下位レベルへと減少することを意味する)、分配要素の断面平面を横切る流体経路の数および/または長さが、レベルからレベルへと増加し、最下部レベルにおいて分配要素の断面平面上における第1の流体の均一な分配を保証する。したがって、本発明による分配要素は、例えば物質移動カラムの断面平面上に液体などの第1の流体を均一に分配することを可能にする一方で、平面を通る第2の流体の流れを本質的に妨げず、その結果、動作中に低い圧力損失を有する。同様に、本発明による収集要素は、例えば物質移動カラムの断面平面上に分配された液体などの第1の流体を均一に収集することを可能にする一方で、平面を通る第2の流体の流れを本質的に妨げず、その結果、動作中に低い圧力損失を有する。特に、本発明による分配要素は、特定の高い分布密度を得ることを可能にし、本発明による収集要素は、特定の高い分布密度で断面平面上に分配されている流体を収集することを可能にする。本発明のさらなる特定の利点は、分配要素または収集要素が、以下でさらに詳細に説明するように、特にスクリーン印刷などの生成的な製造方法によって容易にかつコスト効率よく製造され得ることである。特に、本発明は、その底部に1平方メートル当たり最大20万個、さらには最大150万個の流体出口を有する分配要素を容易にかつコスト効率よく得ることを可能にする。市販の分配要素は、1平方メートル当たり100~200個の流体出口しか有していない。
【0011】
本発明による分配要素または収集要素のプレートは、その使用中に水平に配置される必要はない。しかしながら、理解を容易にするために、本発明による分配要素または収集要素は、分配要素または収集要素をその少なくとも実質的に平行なプレートと共に配置し、したがって、それらが少なくとも実質的に平行なプレートと共に水平に配置されることによって、本特許出願に記載されている。「少なくとも2枚のフラクタルプレートの第1の最上部」、「下方に延在する壁」という用語は、この意味で理解されるべきである。したがって、分配要素または収集要素が、すべてのプレートが垂直である向きで使用される場合、第1の最上部のフラクタルプレートは、最も少ない数の開口部を有する最外フラクタルプレートであり、壁は、最上部のフラクタルプレートの表面に対して少なくとも実質的に垂直に延在する。
【0012】
「開口部」および「開口」という用語はそれぞれ、本発明に従って同じ意味、すなわち、プレートの凹部または孔としてそれぞれ使用される。しかしながら、明確さを改善するために、「開口部」という用語は、プレートの上側および/または下側に配置され、プレートの上および/または下のレベルでプレートの凹部または孔を取り囲む壁と共に、第2の主流体が流れるチャネルを形成するプレートの凹部または孔にのみ使用されるのに対して、「開口」という用語は、あるレベルの中空空間に画定された流体経路と隣接するレベルの中空空間に画定された流体経路を開口が接続するように第2の主流体が流れるチャネルによって取り囲まれていないプレートの凹部または孔にのみ使用される。
【0013】
さらに、「レベル」という用語は、本発明によれば、上部プレートと下部プレートとの間の空間を意味し、この空間には、第2の主流体が流れるチャネルおよび流体経路が配置される。各「レベル」は、中空空間によって互いに分離されたチャネルを含む。したがって、各レベルの総体積は、チャネルの体積の合計+中空空間の体積の合計である。
【0014】
したがって、「中空空間」という用語は、レベルの総体積から、チャネルの体積の合計を差し引き、そのレベルに設けられた隔壁などの任意のさらなる構成要素を差し引いたものを意味し、すなわち、「中空空間」は3次元空間である。2個以上のチャネル壁の外側の一部を互いに接続する隔壁などがレベルに設けられていない場合、レベルは1つの中空空間のみを含む。しかしながら、残りの中空空間をいくつかの中空空間に細分するために、例えば1つまたは複数の隔壁によって、2個以上のチャネル壁の一部の外側を互いに接続することが可能である。
【0015】
「中空空間」という用語とは対照的に、「レベルの流体経路」という用語は、本発明によれば、あるレベルの中空空間に隣接するプレートの開口から中空空間を通って、同じレベルの中空空間の反対側の場所にある隣接するプレートの開口までの線を意味する。プレートの理論的に可能な設計のみを除いて、レベルが1つの中空空間のみを含む場合であっても、任意のレベルは実際には2つ以上の流体経路を含む。これは、特に、両方のプレートの少なくとも一方が2個以上の開口を有する場合に当てはまる。言い換えれば、「レベルの流体経路」は、液体が1枚のプレートの開口を介してレベルの中空空間に入り、隣接するプレートの開口のうちの1つを介して同じレベルの反対側の中空空間を出るときに、液体が取り得る線(またはそれぞれ道)である。全体として、「中空空間」は体積(すなわち、レベルの総体積からチャネルの体積の合計を差し引いたもの)であるが、「流体経路」は、プレートの開口を隣接するプレートの開口と、中空空間を通って接続する線(またはそれぞれ道)である。したがって、「レベルの流体経路」の長さは、レベルの中空空間を通る流体経路を辿るプレートの開口から隣接するプレートの開口までの距離であり、一方、「分配要素または収集要素の流体経路」の長さは、すべてのレベルの中空空間を通る流体経路を辿る第1の最外プレートの開口から分配要素または収集要素の反対側の最外プレートの開口までの距離である。
【0016】
さらに、「フラクタルプレート」という用語は任意のプレートを意味し、「フラクタル」という用語は、これらのプレートを、以下でさらに「分配プレート」と呼ばれる他のプレートと容易に区別するために、明確にするためにのみ使用される。「フラクタルプレート」は、別のプレートの下に配置されているフラクタルプレートが、隣接する上部プレートより多くの数の開口部を有し、最上部のフラクタルプレートが、隣接する下部プレートより少ない数の開口部を有することを特徴とする。
【0017】
さらに、「互いに実質的に平行」という用語は、2枚の隣接するプレートが、互いに対して10°を超えて、好ましくは5°を超えて、より好ましくは2°を超えて、さらにより好ましくは1°を超えて傾斜していないことを意味する。最も好ましくは、2枚の隣接するプレートは、互いに平行に配置され、すなわち、それらは互いに対して傾斜していない。
【0018】
さらに、「第2の主流体が、分配要素または収集要素を通して、第1の流体に対して並流および/または向流で流れる」とは、第2の流体が要素の最下端から要素の最上端まで、またはその逆に流れ、また第1の流体も要素の最下端から要素の最上端まで、またはその逆に流れることを意味する。
【0019】
本発明によれば、少なくとも2枚のフラクタルプレートそれぞれの開口部は、下方に延在する壁によってその下側が取り囲まれており、それぞれのフラクタルプレートの下のレベルにおいて、第2の主流体が流れるチャネルを画定する。これは、壁の各々が、それぞれのフラクタルプレートの下面に取り付けられ、隣接する下部プレートの上面まで延在し、壁が、上部フラクタルプレートの開口部および下部プレートの開口部を包み込み、それによって、上部フラクタルプレートの開口部を通って流れる気体または液体が、チャネルを通って下部プレートの対応する開口部に流入することを意味する。したがって、好ましくは、壁の各々は、それによって包み込まれる対応する開口部と同じ形状および寸法を有する。
【0020】
上記から、特に好ましくは、第2の主流体が流れるチャネルは、各レベルにおいて、第1の流体が流れることができる流体経路を画定する1つまたは複数の中空空間のすべてから壁によって流体密に分離されることになる。
【0021】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、分配要素または収集要素は、2枚の隣接するフラクタルプレート間のレベルをそれぞれ画定する、互いに少なくとも実質的に平行に配置された少なくとも3枚のフラクタルプレートを含み、第2のレベルの底部を形成する少なくとも3枚のフラクタルプレートのうちの第3のフラクタルプレートは、第3の数の開口部を含み、各開口部は、下方に延在する壁によって下側が取り囲まれ、第2のフラクタルプレートの下の第3のレベルにおいて第2の主流体が流れるチャネルを画定し、チャネルを画定する壁の間の第3のレベルには、第1の流体が流れることができる1つまたは複数の流体経路を画定する1つまたは複数の中空空間が形成され、第3の数の開口部は、第2の数の開口部より多く、各レベルのチャネルの各々は、任意の隣接するレベルの少なくとも1個のチャネルと接続されており、各レベルの中空空間によって画定された1つまたは複数の流体経路のうちの少なくとも1つは、隣接するレベルを互いに分離するフラクタルプレートに位置する少なくとも1個の開口によって、任意の隣接するレベルの1つまたは複数の流体経路のうちの少なくとも1つと接続される。したがって、この実施形態では、分配要素または収集要素は、互いに少なくとも実質的に平行に配置され、フラクタルプレートの下のレベルをそれぞれ画定する少なくとも3枚のフラクタルプレートを含み、少なくとも3枚のフラクタルプレートのうちの第1の最上部は、第1の数の開口部を含み、開口部の各々は、その下側において、下方に延在する壁によって取り囲まれ、第1の最上部のフラクタルプレートの下の第1のレベルにおいて、第2の主流体が流れるチャネルを画定し、チャネルを画定する壁の間の第1のレベルにおいて、1つまたは複数の流体経路を画定する1つまたは複数の中空空間が形成され、その中を第1の流体が流れることができ、第1のレベルの底部を形成する少なくとも3枚のフラクタルプレートのうちの第2のフラクタルプレートは、第2の数の開口部を含み、開口部の各々は、その下側において、下方に延在する壁によって取り囲まれ、第2のフラクタルプレートの下の第2のレベルにおいて、第2の主流体が流れるチャネルを画定し、チャネルを画定する壁の間の第2のレベルには、1つまたは複数の流体経路を画定する1つまたは複数の中空空間が形成され、その中を第1の流体が流れることができ、第2のレベルの底部を形成する少なくとも3枚のフラクタルプレートのうちの第3のフラクタルプレートは、第3の数の開口部を含み、開口部の各々は、その下側において、下方に延在する壁によって取り囲まれ、第2のフラクタルプレートの下の第3のレベルにおいて、第2の主流体が流れるチャネルを画定し、チャネルを画定する壁の間の第3のレベルでは、1つまたは複数の流体経路を画定する1つまたは複数の中空空間が形成され、その中を第1の流体が流れることができ、第2の数の開口部は第1の数の開口部より多く、第3の数の開口部は第2の数の開口部より多く、各レベルのチャネルの各々は、任意の隣接するレベルのうちの少なくとも1個のチャネルと接続され、各レベルの中空空間によって画定された1つまたは複数の流体経路のうちの少なくとも1つは、隣接するレベルを互いに分離するフラクタルプレートに位置する少なくとも1個の開口によって、任意の隣接するレベルの1つまたは複数の流体経路のうちの少なくとも1つと接続される。
【0022】
前述の実施形態のすべてにおいて、少なくとも2枚または少なくとも3枚のフラクタルプレートはそれぞれ、使用中に少なくとも実質的に水平に配置されてもよい。実質的に水平とは、これに関して、各プレートが水平面に対して10°を超えて、好ましくは5°を超えて、より好ましくは2°を超えて、さらにより好ましくは1°を超えて変化しないことを意味する。最も好ましくは、各プレートは水平に配置され、すなわち水平面に対して傾斜していない。
【0023】
制御された方法で第1の流体を第1のレベルに供給するために、本特許出願の着想のさらなる発展形態では、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3枚のフラクタルプレートのうちの第1の最上部が、第1のレベルの1つまたは複数の流体経路を画定する1つまたは複数の中空空間への第1の流体の移送経路となる入口を含むことが提案される。入口は、第1の流体がパイプを通り、開口を通って、第1のレベルの中空空間によって画定される流体経路内に流れることができるように、第1の最上部のフラクタルプレートの開口を覆うパイプの形状を有することができる。好ましくは、開口、したがって入口もそれぞれプレートの中央に配置される。
【0024】
本発明は、少なくとも2枚、好ましくは少なくとも3枚のフラクタルプレートの形状に関して特に限定されない。例えば、フラクタルプレートは、円形、長円形、楕円形、矩形、または方形の断面形状を有することができる。好ましくは、すべてのフラクタルプレートは同じ形状および同じ寸法を有する。少なくとも特定の用途では、フラクタルプレートは、少なくとも実質的に矩形または方形の形状を有する。
【0025】
少なくとも2枚、好ましくは少なくとも3枚のフラクタルプレートの開口部の形状に関しても、本発明は特に限定されない。例えば、開口部は、円形、長円形、楕円形、矩形、または方形の断面形状を有することができる。好ましくは、すべての開口部は同じ形状を有し、各フラクタルプレートのすべての開口部は同じ寸法を有する。各フラクタルプレートの開口部が少なくとも実質的に矩形または方形の断面形状を有する場合、良好な結果が特に得られ、矩形または方形の開口部の縁部はそれぞれ丸みを帯びていてもよい。
【0026】
上述のように、チャネルを画定する壁の各々は、それによって包み込まれる対応する開口部と同じ形状および寸法を有することが好ましい。したがって、壁の各々は、円形、長円形、楕円形、矩形、または方形の断面形状を有することができ、矩形または方形の断面形状が好ましく、矩形または方形の開口部の縁部はそれぞれ丸みを帯びていてもよい。
【0027】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、各フラクタルプレートの開口部は、各フラクタルプレートにおいて格子状に、すなわち周期的な形状で配置され、したがって、(開口部を除くフラクタルプレートの部分によって形成される)フラクタルプレートの枠組みは、平行で交差したバーからなる。したがって、第2の主流体が流れる各レベルのチャネルも、好ましくは、レベルの断面で見て格子状に配置される。
【0028】
本発明によれば、各レベルのチャネルまたはチャネル壁をそれぞれ画定する壁の間に、1つまたは複数の流体経路を画定する1つまたは複数の中空空間が形成され、各レベルの1つまたは複数の流体経路のうちの少なくとも1つは、隣接するレベルを互いに分離するフラクタルプレートに位置する少なくとも1個の開口によって、任意の隣接するレベルの1つまたは複数の流体経路のうちの少なくとも1つと接続される。あるレベルのすべてのチャネル壁が互いに完全に分離されている場合、1つの同等の巨大な中空空間がそのレベル内に形成され、中空空間は、チャネル体積の合計を除くそのレベルの全体積である。
【0029】
上述のように、プレートの理論的に可能な設計のみを除いて、レベルが1つの中空空間のみを含む場合であっても、任意のレベルは実際には2つ以上の流体経路を含む。本発明の着想のさらなる発展形態では、少なくとも第2のレベル、また存在する場合には第2の主流体が流れるチャネルを画定する壁の間の各下位レベルにおいて、中空空間によって画定される2つ以上の流体経路が形成され、流体経路の各々は少なくとも実質的に同じ長さを有することが提案される。少なくとも実質的に同じ長さを有する流体経路を設けることによって、分配要素の各レベルの断面にわたる第1の流体の均一な分配が達成される。「実質的に同じ長さ」を有する「各レベルの流体経路」は、本発明によれば、レベルの流体経路の各々が、同じレベルの他の流体経路の長さと比較して、20%を超えて、好ましくは10%を超えて、より好ましくは5%を超えて、さらにより好ましくは2%を超えて、さらにより好ましくは1%を超えて長さが変化しないことを意味する。最も好ましくは、当然ながら、各レベルのすべての流体経路は、まったく同じ長さを有する。中空空間によって画定された単一の流体経路は、適切な位置でチャネル壁の間に配置された1つまたは複数の隔壁を設けることによって形成することができる。あるいは、中空空間によって画定された単一の流体経路(複数可)は、第2の主流体が流れるチャネル間に形成されたギャップの一部を充填することによって形成されてもよく、一方、第2の主流体が流れるチャネル間に形成された他のギャップは開いたままであり、したがって流体経路(複数可)を形成する。
【0030】
本発明のさらなる実施形態によれば、分配要素の上部入口(すなわち、最上部のプレートの開口)と分配要素の最下部のプレートの各開口との間に形成される中空空間によって画定される流体経路の各々は、収集要素についても同様に、少なくとも実質的に同じ長さおよび流れ抵抗を有することが好ましい。言い換えれば、各レベルに形成された流体経路が水平面内で少なくとも実質的に同じ長さを有するだけでなく、分配要素の上部入口と最下部のプレートの各開口との間に形成された流体経路も少なくとも実質的に同じ長さおよび流れ抵抗を有することが特に好ましい。
【0031】
本発明によれば、各下部フラクタルプレートの開口部の数は、それぞれの隣接する上部フラクタルプレートの開口部の数より多い。断面平面にわたって第1の流体の均一な分配を達成するために、各下部フラクタルプレートの開口部の数は、それぞれの隣接する上部フラクタルプレートの開口部の数の倍数であることが好ましい。したがって、好ましくは、第2の数の開口部は第1の数の開口部の倍数であり、第3の数の開口部は第2の数の開口部の倍数であり、以下同様である。
【0032】
各下部フラクタルプレートが隣接する上部フラクタルプレートより4倍多い開口部を含む場合、分配要素内のフラクタルプレートの総数を最小にしたいという要望と、非常に高い分布密度を達成したいという要望との間の妥協点として、特定の良好な結果が得られる。したがって、各フラクタルプレートの開口部の数は4×(4)であることが特に好ましく、ここでnは、第1の最上部のフラクタルプレートに対するそれぞれのフラクタルプレートの数であり、第1の最上部のフラクタルプレートはフラクタルプレート1である。この実施形態は、各フラクタルプレートの開口部が少なくとも実質的に矩形または方形の断面形状を有する場合に特に適しており、矩形または方形の開口部の縁部はそれぞれ丸みを帯びていてもよい。
【0033】
本発明による分配要素のフラクタルプレートの数は、特定の用途に依存する。しかしながら、一般に、分配要素は、2~15枚、より好ましくは2~12枚、さらにより好ましくは2~10枚、最も好ましくは3~5枚のフラクタルプレートを含み、各下部フラクタルプレートは、それぞれの上部フラクタルプレートより多くの数の開口部を有することが好ましい。最下部のフラクタルプレートの下には、1つまたは複数の分配プレートが、以下でさらに説明されるように配置されてもよい。しかしながら、最下部のフラクタルプレートの下には、最下部のフラクタルプレートの下のレベルの境界を形成するように任意の他のプレートが配置されてもよい。
【0034】
上述のように、本発明によれば、各下部フラクタルプレートの開口部の数は、それぞれの隣接する上部フラクタルプレートの開口部の数より多い。同様に、各下部フラクタルプレートの開口の数は、それぞれの隣接する上部フラクタルプレートの開口の数より多いことが好ましい。より具体的には、各フラクタルプレートは複数の開口を含むことが好ましく、開口の数は、フラクタルプレートの開口部の数の0,1~200%の間、好ましくは0,5~50%の間、より好ましくは1~20%の間、さらにより好ましくは3~10%の間、最も好ましくは約6,25%である。
【0035】
あるレベルの流体経路を隣接するレベルの流体経路と接続する機能を果たすために、開口は、各フラクタルプレートの枠組み内の各フラクタルプレートにおいて形成されることが好ましい。フラクタルプレートの枠組みとは、プレートの総面積から開口部の面積の合計を差し引いたもの、すなわち、開口部の間にあるプレートの部分であることを意味する。
【0036】
さらに、開口が各フラクタルプレートにわたって規則的に分配され、各フラクタルプレートの開口が同じ形状および同じ寸法を有することが好ましい。
【0037】
良好な結果は、例えば、各開口が少なくとも実質的に円形または十字形の断面を有する場合に得られる。
【0038】
本発明の着想のさらなる発展形態では、分配要素は、最下部のフラクタルプレートの下に少なくとも1枚の分配プレートを含むことが提案される。少なくとも1枚の分配プレートの各々は、少なくとも1枚の分配プレートと隣接する上部プレートとの間にレベルが画定されるように、その隣接する上部プレートに少なくとも実質的に平行に配置される。好ましくは、少なくとも1枚の分配プレートの各々は、隣接する上部プレートと同じ形態および同じ数の開口部を有し、少なくとも1枚の分配プレートの各々の開口部は、隣接する上部プレートの開口部と同じ形状および寸法を有する。さらに、少なくとも1枚の分配プレートの各々の開口部は、少なくとも1枚の分配プレートの各々において、隣接する上部プレートと同じ位置に形成されることが好ましい。本発明によれば、少なくとも1枚の分配プレートのいずれも、最下部のフラクタルプレートより多くの数の開口を有する。これにより、第1の流体は、最下部のフラクタルプレートの下に形成されたレベルと同様に、各分配プレートの下に形成されたレベルの断面のより大きな面積にわたって分配される。それにより、図面に関連して以下でさらに説明するように、分配プレートは、中空空間によって画定された流体経路内に第1の流体をさらに分配する。少なくとも1枚の分配プレートの最上部の開口の数が、最下部のフラクタルプレートの開口の数より少なくとも50%多い場合、良好な結果が特に得られる。より好ましくは、少なくとも1枚の分配プレートの最上部の開口の数は、最下部のフラクタルプレートの開口の数より100~300%多い。分配要素が2つ以上の分配プレートを含む場合、任意の下部分配プレートは、好ましくは、隣接する上部プレートより多くの数の開口を有する。特に、任意の下部分配プレートが、隣接する上部プレートより多数の開口を有することが好ましい。
【0039】
少なくとも1枚の分配プレートの各々は、その隣接するプレートに対して少なくとも実質的に水平に配置されてもよい。
【0040】
少なくとも1枚の分配プレートのいずれかは、各分配プレートが最下部のフラクタルプレートより多くの数の開口を有することを除いて、最下部のフラクタルプレートと同一であることがさらに好ましい。
【0041】
分配プレートの数は用途に依存する。しかしながら、一般に、分配要素は、1~3枚、より好ましくは2または3枚の分配プレートを含むことが好ましい。
【0042】
本発明による分配要素は、例えば混合装置などの複数の装置に適用することができる。そのような場合、分配要素は、1つまたは複数の混合器、好ましくは静的混合器を含むことが好ましい。例えば、少なくとも1つの静的混合器は、フラクタルプレートのうちの少なくとも1枚または任意選択の分配プレートのうちの少なくとも1枚の、少なくとも1個の開口部に配置されてもよい。
【0043】
特に、少なくとも1つの静的混合器は、フラクタルプレートまたは任意選択の分配プレートの少なくとも1個の各開口部に配置されてもよい。
【0044】
本発明の特定の好ましい実施形態では、フラクタルプレートおよび任意選択の分配プレートは、少なくとも実質的に矩形または方形の形状を有し、それぞれが、格子状に配置された少なくとも実質的に矩形または方形の開口部を含む。したがって、この実施形態では、第1の最上部のフラクタルプレートは、少なくとも実質的に矩形または方形の形状を有し、各々が少なくとも実質的に同じサイズおよび形状を有する16個の格子状に配置された、少なくとも実質的に矩形または方形の開口部を含み、16個の開口部は、第1の最上部のフラクタルプレート内に4行4列の開口部で等距離に配置される。フラクタルプレートの下のレベルに壁によって画定されたチャネルの間には、1つまたは複数の流体経路を画定する1つまたは複数の中空空間が形成される。好ましくは、1個の流体経路が存在し、これは、チャネル壁の間に配置された隔壁によって、または第2の主流体が流れるチャネル間に形成されたギャップの一部を充填することによって画定され、一方、第2の主流体が流れるチャネル間に形成された他のギャップは開いたままであり、したがって中空空間によって画定された流体経路を形成する。少なくとも実質的に矩形または方形の開口部の各々は、丸みを帯びた縁部を有することができる。
【0045】
同じサイズを有する開口部とは、これらの開口部の1つの面積が、これらの各開口部の面積から20%を超えて、好ましくは10%を超えて、より好ましくは5%を超えて、最も好ましくは2%を超えて変化しないことを意味する。
【0046】
本発明のさらなる発展形態では、1個の開口が、4個の隣接する開口部の間の第1のフラクタルプレートの枠組みの中心に形成され、開口は、上方に延在し、分配要素の入口を形成する壁によって取り囲まれることが提案される。
【0047】
例えば、開口は少なくとも実質的に円形であってもよく、それを取り囲む壁はパイプであってもよい。あるいは、開口は、少なくとも実質的に十字形であってもよく、それを取り囲む壁は、対応する形状であってもよい。
【0048】
さらに、第1の最上部のフラクタルプレートの16個の開口部の各々は、その下側において、第1の最上部のフラクタルプレートの下面から下方の第2のフラクタルプレートの上面へと下方に延在する壁によって取り囲まれており、したがって、第1のレベルにおいて、第2の主流体が流れる16個の閉鎖チャネルを形成し、壁の間に、1つまたは複数の流体経路を画定する1つまたは複数の中空空間を形成することが好ましい。
【0049】
本発明のこの実施形態のさらに好ましい変形例によれば、第2のフラクタルプレートは、少なくとも実質的に矩形または方形の形状を有し、各々が少なくとも実質的に同じサイズおよび形状を有する64個の格子状に配置された、少なくとも実質的に矩形または方形の開口部を含み、64個の開口部は、第2のフラクタルプレート内に8行8列の開口部で等距離に配置される。少なくとも実質的に矩形または方形の開口部の各々は、丸みを帯びた縁部を有することができる。
【0050】
好ましくは、第2のフラクタルプレートの64個の開口部の各々は、第2のフラクタルプレートの下面から下方のプレートの上面へと下方に延在する壁によって取り囲まれており、したがって、第2のレベルにおいて、第2の主流体が流れる64個の閉鎖チャネルを形成し、壁の間に、1つまたは複数の流体経路を画定する1つまたは複数の中空空間を形成する。
【0051】
第1の最上部のフラクタルプレートの開口部の各々の下に、第2のフラクタルプレートの4個の開口部が配置される場合、良好な結果が特に得られる。
【0052】
特に、第2のフラクタルプレートは、第1のレベルの流体経路を第2のレベルの1つまたは複数の流体経路と接続する4個の開口を含むことができる。好ましくは、1個の開口が、第1および第2の行の第1および第2の列の4個の開口部間の交点に形成され、1個の開口が、第1および第2の行の第3および第4の列の4個の開口部間の交点に形成され、1個の開口が、第3および第4の行の第1および第2の列の4個の開口部間の交点に形成され、1個の開口が、第3および第4の行の第3および第4の列の4個の開口部間の交点に形成される。
【0053】
任意選択的に、1つまたは複数の流体経路は、チャネル壁の間の中空空間に適切に配置された隔壁によって画定されてもよい。あるいは、単一の流体経路(複数可)は、第2の主流体が流れるチャネル間に形成されたギャップの一部を充填することによって形成されてもよく、一方、第2の主流体が流れるチャネル間に形成された他のギャップは開いたままであり、したがって流体経路(複数可)を形成する。
【0054】
本発明のこの実施形態のさらに好ましい変形例によれば、分配要素または収集要素は、第2のフラクタルプレートの下に配置された少なくとも1枚の第3のフラクタルプレートを含み、第3のフラクタルプレートは、少なくとも実質的に矩形または方形の形状を有し、各々が少なくとも実質的に同じサイズおよび形状を有する256個の格子状に配置された、少なくとも実質的に矩形または方形の開口部を含み、256個の開口部は、第3のフラクタルプレート内に16行16列の開口部で等距離に配置される。少なくとも実質的に矩形または方形の開口部の各々は、丸みを帯びた縁部を有することができる。
【0055】
好ましくは、第3のフラクタルプレートの256個の開口部の各々は、その下側において、第3のフラクタルプレートの下面から下方のプレートの上面へと下方に延在する壁によって取り囲まれており、したがって、第3のレベルにおいて、第2の主流体が流れる256個の閉鎖チャネルを形成し、壁の間に、1つまたは複数の流体経路を画定する1つまたは複数の中空空間を形成する。
【0056】
第2のフラクタルプレートの開口部の各々の下に、第3のフラクタルプレートの4個の開口部が配置される場合、良好な結果が特に得られる。
【0057】
特に、第3のフラクタルプレートは、第2のレベルの中空空間によって画定される流体経路を第3のレベルのものと接続する16個の開口を含み、開口は、行1、3、5、7、9、11、13、15の列1、3、5、7、9、11、13、15の開口部間の交点に形成される。
【0058】
用途に応じて、本発明による分配要素または収集要素は、任意選択の第3のフラクタルプレートの下に、1つまたは複数のさらなるフラクタルプレートを含んでもよい。したがって、分配要素は、任意選択の第3のフラクタルプレートの下に、少なくとも実質的に矩形または方形の形状を有し、各々が少なくとも実質的に同じサイズおよび形状を有する1.024個の格子状に配置された、少なくとも実質的に矩形または方形の開口部を含む、第4のフラクタルプレートを含むことができ、1.024個の開口部は、第4のフラクタルプレート内に32行32列の開口部で等距離に配置される。少なくとも実質的に矩形または方形の開口部の各々は、丸みを帯びた縁部を有することができる。
【0059】
任意選択的に、分配要素または収集要素は、任意選択の第4のフラクタルプレートの下に、少なくとも実質的に矩形または方形の形状を有し、各々が少なくとも実質的に同じサイズおよび形状を有する4.096個の格子状に配置された、少なくとも実質的に矩形または方形の開口部を含む、第5のフラクタルプレートを含むことができ、4.096個の開口部は、第5のフラクタルプレート内に64行64列の開口部で等距離に配置される。少なくとも実質的に矩形または方形の開口部の各々は、丸みを帯びた縁部を有することができる。
【0060】
さらに任意選択的に、分配要素または収集器は、任意選択の第5のフラクタルプレートの下に、少なくとも実質的に矩形または方形の形状を有し、各々が少なくとも実質的に同じサイズおよび形状を有する16.386個の格子状に配置された、少なくとも実質的に矩形または方形の開口部を含む、第6のフラクタルプレートを含むことができ、16.386個の開口部は、第6のフラクタルプレート内に128行128列の開口部で等距離に配置される。少なくとも実質的に矩形または方形の開口部の各々は、丸みを帯びた縁部を有することができる。
【0061】
さらに任意選択的に、分配要素または収集要素は、任意選択の第6のフラクタルプレートの下に、少なくとも実質的に矩形または方形の形状を有し、各々が少なくとも実質的に同じサイズおよび形状を有する65.536個の格子状に配置された、少なくとも実質的に矩形または方形の開口部を含む、第7のフラクタルプレートを含むことができ、65.536個の開口部は、第7のフラクタルプレート内に256行256列の開口部で等距離に配置される。少なくとも実質的に矩形または方形の開口部の各々は、丸みを帯びた縁部を有することができる。
【0062】
分配要素が2枚、3枚、4枚、5枚、6枚、7枚、またはそれ以上のフラクタルプレートを含むかどうかとは無関係に、この実施形態のさらなる変形例によれば、最下部のフラクタルプレートと同じ形状、同じ数、同じ寸法の開口部を有する少なくとも1枚の分配プレートが、最下部のフラクタルプレートの下に配置され、分配プレートは、最下部のフラクタルプレートの開口が位置する開口の下の交点に開口を有さず、分配プレートは、最下部のフラクタルプレートの開口が位置する開口に隣接する任意の交点に開口を有することが特に好ましい。これにより、分配要素の動作中、第1の流体のさらなる分配が、中空空間によって画定される1つまたは複数の流体経路において達成される。
【0063】
任意選択の上述の分配プレートの下に、1~5枚、より好ましくは1~4枚、最も好ましくは2枚、3枚または4枚のさらなる分配プレートが配置されることがさらに好ましく、これらは、任意選択の上述の分配プレートと同じ形状、同じ数、同じ寸法の開口部を有し、さらなる分配プレートの各々は、その隣接する上部プレートより多くの数の開口を有する。これにより、分配要素の動作中に1つまたは複数の流体経路の任意の部分が第1の流体で充填され、したがって分配プレートの最下部の多数の開口を介して特定の高い分布密度が達成されることが可能になる。
【0064】
上述のように、2枚のプレートそれぞれの間にはレベルが画定され、そのレベルを通ってチャネルが延在し、そのレベルにおいて中空空間によって画定される流体経路が配置される。各レベルの高さ、すなわちその上部プレートと下部プレートとの間の距離は一定であってもよい。しかしながら、本発明のさらに特定の好ましい実施形態によれば、レベルの距離は変化するが、より好ましくは、各レベルの高さは第1のレベルから最下部のレベルへと減少する。これは、各レベル内の流れ抵抗が高すぎないという利点を有する。各レベルまたは少なくとも第1のレベルの高さは、0.2~250mmの間、より好ましくは1~100mmの間、最も好ましくは2~50mmの間であってもよい。
【0065】
各プレート、好ましくは少なくとも第1のフラクタルプレートの開口部は、1~500mm、より好ましくは1.5~100mm、最も好ましくは2~50mmの直径を有することができる。上述のように、開口部の直径は、第1のフラクタルプレートから最下部のフラクタルプレートへと減少することが好ましい。各プレートのすべての開口部は、少なくとも実質的に同じ直径を有することが好ましい。
【0066】
各プレート、好ましくは少なくとも第1のフラクタルプレート、より好ましくはすべてのプレートの開口は、0.1~100mm、より好ましくは0.2~50mm、最も好ましくは0.4~20mmの直径を有することができる。各プレートのすべての開口は、直径など、少なくとも実質的に同じサイズを有することが好ましい。
【0067】
好ましくは少なくとも実質的に同じサイズを有する開口の各々は、これらの開口の1つの面積が、これらの開口の各々の面積から20%を超えて、好ましくは10%を超えて、より好ましくは5%を超えて、最も好ましくは2%を超えて変化しないことを意味する。
【0068】
好ましくは、分配要素の最下部のプレートまたは収集要素の最上部のプレートは、1平方メートル当たり1,000から150万個、より好ましくは2万から20万個の流体出口を有する。上記からわかるように、要素の最下部のプレートの開口は、流体出口(分配器の場合)または流体入口(収集器の場合)である。
【0069】
分配要素または収集要素、すなわちプレート、チャネル壁、および存在する場合には隔壁の各々は、セラミック材料、プラスチック、金属、合金、複合材料などの任意の適切な材料で形成することができる。特に好ましい材料は、限定はしないが、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、ムライトおよびコージェライトなどの工業用セラミック、または限定はしないが、アルミニウム合金もしくはステンレス鋼などの金属材料、または広範囲のプラスチック材料である。
【0070】
本発明による分配要素の特定の利点は、国際公開第2016/095059号パンフレットに記載されている方法などのスクリーン印刷などの生成方法によって容易に製造できることである。
【0071】
特に、第1の流体が分配される断面積が非常に大きい場合、分配器は、1つだけでなく、2つ以上の上述の分配要素を含むことが好ましい。
【0072】
上述したように、上述した分配要素は、収集器として、すなわち、大きな断面平面にわたって分配された第1の流体を収集するための要素としても使用することができ、収集は一点にある。この目的のために、上述の分配要素は、単独で反転されなければならない。
【0073】
したがって、本発明はまた、断面平面から、特に物質移動カラムの断面平面から第1の流体を均一に収集するための収集要素に関し、収集要素は、それが反転されることを除いて、分配要素として具現化される。
【0074】
特に、第1の流体が収集される断面積が非常に大きい場合、収集器は、1つだけでなく、2つ以上の上述の収集要素を含むことが好ましい。
【0075】
別の態様によれば、本発明は、前述の分配要素のうちの1つまたは複数および/または前述の収集要素のうちの1つまたは複数を含む装置に関する。
【0076】
例えば、装置は、物質移動カラム、混合器、分散器、発泡装置、化学反応器、晶析装置または蒸発器であってもよい。
【0077】
本発明の好ましい実施形態によれば、装置は物質移動カラムであり、1つまたは複数の分配要素の下および/または1つまたは複数の収集要素の上に、接触トレイ、ランダム充填物および構造化充填物からなる群から選択される物質移動構造を含む。
【0078】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、装置は、物質移動カラムであり、1つまたは複数の分配要素の下および/または1つまたは複数の収集要素の上に、毛細管を含むハニカム形状を有する物質移動構造を含み、チャネルを画定する壁は、階段形状であるか、もしくは組織から作製されるか、もしくは任意に形成された連続気泡フォームである。そのような物質移動構造は、国際公開第2014/043823号パンフレットおよび国際公開第2017/167591号パンフレットにさらに詳細に記載されている。
【0079】
本発明のさらに別の好ましい実施形態によれば、装置は、1つまたは複数の分配要素の下および/または1つまたは複数の収集要素の上に、第2の流体を導くように設計された接触領域を含む物質移動構造を含み、それによって、接触領域において、第1の流体を第2の流体と接触させることができ、接触領域において、第2の流体の流れを遮断するための少なくとも1つのフロー遮断器が設けられる。
【0080】
本発明のさらに別の好ましい実施形態によれば、装置は、1つまたは複数の分配要素の下および/または1つまたは複数の収集要素の上に、組織、開気孔材料、毛細管、階段構造、および前述の構造のうちの2つ以上の任意の組み合わせからなる群から選択される物質移動構造を含む。
【0081】
本発明の別の態様は、第1の流体を断面平面上に均一に分配するための方法であって、第2の主流体が、平面を通って第1の流体に対して並流および/または向流で流れ、流体経路を画定する1つまたは複数の中空空間のうちの少なくとも1つに第1の流体を流すステップと、上述したように分配要素のチャネルを通って第2の流体を流すステップとを含む、方法である。
【0082】
続いて、本発明を、例示的であるが限定的ではない図によって説明する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1】本発明の一実施形態による分配要素の斜視側面図である。
図2図1に示す分配要素の上面図である。
図3a図1に示す分配要素の第1のフラクタルプレートの下の第1のレベルの断面図である。
図3b図3aの概略図である。
図4a図1に示す分配要素の第2のフラクタルプレートの下の第2のレベルの断面図である。
図4b図4aの概略図である。
図5a図1に示す分配要素の第3のフラクタルプレートの下の第3のレベルの断面図である。
図5b図5aの概略図である。
図6a図1に示す分配要素の第1の分配プレートの下の第4のレベルの断面図である。
図6b図6aの概略図である。
図6c図6bの概略部分を拡大して示す。
図7a図1に示す分配要素の第2の分配プレートの下の第5のレベルの概略図である。
図7b図7aの概略部分を拡大して示す。
図7c図1に示す分配要素の第3の分配プレートの下の第6のレベルの概略図である。
図7d図7cの概略部分を拡大して示す。
図7e図1に示す分配要素の第4の分配プレートの下の第7のレベルの概略図である。
図7f図7eの概略部分を拡大して示す。
図8】本発明の一実施形態による、分配要素、構造化充填物、および収集要素を含む物質移動カラムの内部の斜視側面図である。
図9】本発明の別の実施形態による、複数の分配要素、複数の構造化充填物、および複数の収集要素を含む物質移動カラムの内部の斜視側面図である。
図10】本発明の別の実施形態によるフラクタルプレートを示す。
図11】本発明の別の実施形態による第1のフラクタルプレートを含む分配要素を示す。
【0084】
図1は、本発明の一実施形態による分配要素10の斜視側面図を示す。分配要素10は、3枚のフラクタルプレート12、12’、12’’を含み、第3のフラクタルプレート12’’’の下に5枚の分配プレート16、16’、16’’、16’’’、16ivを含む。隣接する2枚のプレート12、12’、12’’、16、16’、16’’、16’’’、16ivそれぞれの間には、レベル18が画定される。各プレート12、12’、12’’、16、16’、16’’、16’’’、16ivは、開口部20を含み、各開口部20は、丸みを帯びた縁部を有する方形の断面を有する。各開口部20は、各プレート12、12’、12’’、16、16’、16’’、16’’’16ivの下の各レベル18において、第2の主流体が流れるチャネル24を画定する壁22によって取り囲まれている。第1のフラクタルプレート12の中心の上には、パイプの形状の入口26が配置されている。
【0085】
図2は、図1に示す分配要素10の上面図を示す。最上部のフラクタルプレート12は、16個の格子状に配置された、丸みを帯びた縁部を有する少なくとも実質的に方形の開口部20を含む。開口部20の各々は、同じサイズおよび形状を有し、16個の開口部は、第1の最上部のフラクタルプレート12内に4行4列の開口部20で等距離に配置される。本質的に十字形の開口28は、第1のフラクタルプレート12の中心に配置され、対応する形状を有する入口26によって取り囲まれている。
【0086】
図3aは、図1に示す分配要素10の第1のフラクタルプレート12の下および第2のフラクタルプレート12’の上の第1のレベル18の断面図を示し、図3bは、図3aの概略図を示す。16個のチャネル24が、最上部のフラクタルプレート12の開口部20の下に位置しており、各チャネル24は、最上部の第1のフラクタルプレート12の下面から第2のフラクタルプレート12’の上面まで延在するチャネル壁22によって取り囲まれている。図3bの円28は、最上部のフラクタルプレート12に形成された開口28の位置を概略的に示しており、これを通って、分配要素10の動作中に第1の流体が第1のレベル18に入る。最上部のフラクタルプレート12に形成された開口28が、図2に示すように本質的に十字形である場合でも、図3bに示されるレベル18の上に配置されているプレート12の開口は、それが「流入開口」、すなわち液体がレベル18に流入する開口であることを示すために、図3bおよびその後のさらなる概略図4bおよび5bにおいて、円形として示される。これとは対照的に、図3bに示すレベル18の下に配置されているプレート12’の開口28’、28’’、28’’’、28’vは、それらが「流出開口」、すなわち液体が次の下位レベルに流入する開口であることを示すために、図3bおよび後続のさらなる概略図4b、5b、6b、7a、7cおよび7eにおいて矩形として示されている。チャネル壁22のいくつかの間には、隔壁32が配置されており、隔壁は、第1のレベル18の4つの中央チャネル20の間および周囲に8個の流体経路33を画定する中空空間を画定する。第1のレベル18の8個の流体経路33の各々は、少なくとも実質的に同じ長さを有する。中空空間内に画定された8個の流体経路33内の分配要素10の動作中の第1の流体の流れ方向が、矢印34によって概略的に示されている。隔壁32に起因して第1の流体が通過することができないチャネル24の部分は、図3bにそれぞれ斜線またはハッチングで示されている。したがって、分配要素10の動作中、第1の最上部のフラクタルプレート12の入口26および中央の開口28を通って第1のレベル18の中空空間に入る第1の流体は、4個の中央のチャネル24の間の中空空間に画定された8個の流体経路33に沿って流れ、その間、第1の流体は隔壁32で偏向され、第2のフラクタルプレート12’の4個の開口28’、28’’、28’’’、28ivに向けられ、そこから第2のレベルに下方に流れる。したがって、第1の流体は、第1のレベルにおいて、チャネル24によって形成された8個の流体経路33および隔壁32を介して1つの中心点28から分配され、4個の開口28’、28’’、28’’’、28ivに収集される。
【0087】
図4aは、図1に示す分配要素10の第2のフラクタルプレート12’の下および第3のフラクタルプレート12’’の上の第2のレベルの断面図を示し、図4bは、図4aの概略図を示す。64個のチャネル24が、第2のフラクタルプレート12’の開口部20の下に位置しており、各チャネル24は、第2のフラクタルプレート12’の下面から第3のフラクタルプレート12’’の上面まで延在するチャネル壁22によって取り囲まれている。4つの円28は、第2のフラクタルプレート12’に形成された開口28の位置を概略的に示しており、これを通って、分配要素10の動作中に第1の流体が第2のレベル18に入る。やはり、図4bに示すレベルの上に配置されたプレート12’の開口28は、図3aに示すように上部フラクタルプレート12’に形成された開口28’、28’’、28’’’、28’vが本質的に十字形であっても、それらが「流入開口」28、すなわち液体がレベルに流入する開口28であることを示すために、図4bにおいて円形として示される。これとは対照的に、図4bに示すレベルの下に配置されているプレート12’’の開口28’、28’’、28’’’、28’vは、それらが「流出開口」28’、28’’、28’’’、28’v、すなわち液体が次の下位レベルに流入する開口28’、28’’、28’’’、28’vであることを示すために、図4bにおいて矩形として示されている。チャネル壁22のいくつかの間には、隔壁32が配置されており、これは32個の流体経路33を画定し、各流体経路は、第2のフラクタルプレート12’の開口28’を取り囲む4個のチャネル20の間および周囲の中空空間内または中空空間によってそれぞれ画定される。分配要素10の動作中の第1の流体の流れ方向が、矢印34によって概略的に示されている。やはり、隔壁32に起因して第1の流体が通過することができないチャネル24の部分は、図4bにそれぞれ斜線またはハッチングで示されている。したがって、分配要素10の動作中、開口28を通って第2のレベルに入る第1の流体は、各チャネル24の間の中空空間に画定された32個の流体経路33に沿って流れ、その間、第1の流体は隔壁32で偏向され、第3のフラクタルプレート12’’の16個の開口28’、28’’、28’’’、28’vに向けられ、そこから第3のレベルに下方に流れる。したがって、第1の流体は、第2のレベルにおいて、4個の開口28から16個の開口28’、28’’、28’’’、28’vまで分配される。
【0088】
図5aは、図1に示す分配要素10の第3のフラクタルプレート12’’の下および第1の分配プレート16の上の第3のレベル18の断面図を示し、図5bは、図5aの概略図を示す。256個のチャネル24が、第3のフラクタルプレート12’’の開口部20の下に位置しており、各チャネル24は、第3のフラクタルプレート12’’の下面から第1の分配プレート16の上面まで延在するチャネル壁22によって取り囲まれている。16個の円28は、第3のフラクタルプレート12’’に形成された開口28’、28’’、28’’’、28’vの位置を概略的に示しており、これを通って、分配要素10の動作中に第1の流体が第3のレベルに入る。やはり、図5bに示すレベルの上に配置されたプレート12’’の開口28は、図4aに示すように上部フラクタルプレート12’’に形成された開口28’、28’’、28’’’、28’vが本質的に十字形であっても、それらが「流入開口」28、すなわち液体がレベルに流入する開口28であることを示すために、図5bにおいて円形として示される。これとは対照的に、図5bに示すレベルの下に配置されている分配プレート16の開口38は、それらが「流出開口」38、すなわち液体が次の下位レベルに流入する開口38であることを示すために、図5bにおいて矩形として示されている。しかしながら、実際には、図5aに示すように、分配プレート16の開口38ならびにすべての下部分配プレート16’、16’’、16’’’、16’vの開口は円形であり、上部フラクタルプレート12、12’、12’’’のように本質的に十字形ではない。チャネル壁22のいくつかの間には、(図5aおよび図5bには示されていない)隔壁が配置され、隔壁は、128個の流体経路33を画定し、各流体経路33は、第3のレベルの中空空間内にそれぞれ画定または形成される。分配要素10の動作中の第1の流体の流れ方向が、矢印34によって概略的に示されている。やはり、隔壁32に起因して第1の流体が通過することができないチャネル24の部分は、図5bにそれぞれ斜線またはハッチングで示されている。したがって、分配要素10の動作中、開口28を通って第3のレベルに入る第1の流体は、各チャネル24の間の中空空間に画定された128個の流体経路33に沿って流れ、その間、第1の流体は隔壁で偏向され、第1の分配プレート16の64個の開口38に向けられ、そこから第4のレベルに下方に流れる。したがって、第1の流体は、第3のレベルにおいて、16個の開口28から64個の開口38まで分配される。
【0089】
図6aは、図1に示す分配要素10の第1の分配プレート16の下および第2の分配プレート16’の上の第4のレベルの断面図を示す。図6bは、図6aの概略図を示し、図6cは、図6bの一部を拡大した図である。第1の分配プレート16は、第3のフラクタルプレート12’’と同じ形状、同じ数、同じ寸法の開口部20を有し、第1の分配プレート16は、第3のフラクタルプレート12’’の開口28’、28’’、28’’’、28’vが位置するものより下の交点に開口38を有さないが、第1の分配プレート16は、第3のフラクタルプレート12’’の開口28’、28’’、28’’’、28’vが位置するものに隣接する任意の交点に開口38を有する。これにより、分配要素10の動作中、図6bおよび図6cに示すように、中空空間によって画定された流体経路33において第1の流体のさらなる分配が達成される。
【0090】
図7aから図7eに示すように、4枚のさらなる分配プレート16’、16’’、16’’’、16ivのそれぞれ隣接する間には、レベルが画定される。4枚のさらなる分配プレート16’、16’’、16’’’、16ivの各々は、第3のフラクタルプレート12’’および第1の分配プレート16と同じ形状、同じ数、同じ寸法の開口部20を有する。しかしながら、さらなる分配プレート16’、16’’、16’’’、16ivの各々は、その隣接する上部プレート16、16’、16’’、16’’’より多くの数の開口38、38’、38’’を有する。これにより、流体経路33を画定する中空空間の任意の部分が、分配要素の動作中に第1の流体で充填され、したがって分配プレート16ivの最下部の多数の開口38、38’、38’’を介して特定の高い分配密度が達成されることが可能になる。
【0091】
図8は、分配要素10、構造化充填物42、および収集要素44を含む、物質移動カラム8の内部40の斜視側面図を示す。物質移動カラム8は、精留カラム8であってもよい。分配要素10は、上述のように、かつ図1から図7に示すように構成される。収集要素44は、分配要素10として構成されているが、第1のフラクタルプレートが最下部のプレートであり、第5の分配プレートが最上部のプレートであるように単純に反転されている。物質移動カラム8の動作中、液体は、入口16を介して分配要素10に入り、図1から図7を参照して上述したように断面平面にわたって分配される。次いで、分配された液体は、構造化充填物42の表面上を下方に流れ、さらに下方に流れる。ガスは、反対方向に、すなわち物質移動カラム8の底部から上方に、連続的に流れる。構造化充填物では、液体と気体が構造化充填物42の大きな比表面積にわたって分配されるので、液体と気体との間で集中的な質量およびエネルギーの伝達が生じる。次いで、液体は収集要素44の表面上に流れ、そこで収集されて一点に濃縮され、そこから出口46を介して内部を出る。
【0092】
図9は、複数の分配要素10と、複数の構造化充填物42と、複数の収集要素44とを含む物質移動カラム8の内部の斜視側面図を示し、これらの各々は、上述のように、かつ図8に示すように構成される。第1の流体を複数の分配要素10のすべてに分配するために、分配マニホールド48が複数の分配要素10の上に配置される。同様に、収集マニホールド50が、複数の収集要素44の下に配置される。
【0093】
図10は、本発明の別の実施形態によるフラクタルプレート12’’を示す。フラクタルプレート12’’は、本質的に十字形の断面を有する開口28の寸法がわずかに異なることを除いて、図1図2、および図4に示す実施形態の第3のフラクタルプレート12’’と同様である。
【0094】
図11は、本発明の別の実施形態による第1のフラクタルプレート12を含む分配要素を示す。第1のフラクタルプレート12は、図1および図2に示す実施形態の第1のフラクタルプレート12と同様であるが、チャネル24内に、分配要素10の動作中にそこを通って流れる第2の主流体を混合するための静的混合器52が配置されている点が異なる。
【符号の説明】
【0095】
8 物質移動カラム
10 分配要素
12,12’,12’’ フラクタルプレート
16、16’、16’’、16’’’、16iv 分配プレート
18 レベル
20 開口部
22 チャネル壁
24 チャネル
26 入口
28、28’、28’’、28’’’、28iv フラクタルプレートの開口
32 隔壁
33 流体経路
34 流体経路内の第1の流体の流れ方向
38,38’,38’’ 分配プレートの開口
40 物質移動カラムの内部
42 構造化充填物
44 収集要素
46 出口
48 分配マニホールド
50 収集マニホールド
52 静的混合器
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図7c
図7d
図7e
図7f
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】