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特表2023-501786粘着付与剤を含まないホットメルト接着剤組成物、その使用方法、及びそれを用いた製造品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-19
(54)【発明の名称】粘着付与剤を含まないホットメルト接着剤組成物、その使用方法、及びそれを用いた製造品
(51)【国際特許分類】
   C09J 123/10 20060101AFI20230112BHJP
   C09J 123/22 20060101ALI20230112BHJP
   C09J 123/16 20060101ALI20230112BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
C09J123/10
C09J123/22
C09J123/16
C09J11/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525829
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(85)【翻訳文提出日】2022-06-13
(86)【国際出願番号】 US2020057632
(87)【国際公開番号】W WO2021086896
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】62/928,504
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/053,072
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】313011456
【氏名又は名称】ボスティック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】シークリスト,キンブリー,イー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャネツキ,ニール ジー.
(72)【発明者】
【氏名】グレイ,スティーブン,ディー.
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040DA111
4J040DA121
4J040DA141
4J040JB01
4J040KA29
4J040KA31
4J040LA01
4J040LA06
4J040MA09
4J040MB02
4J040NA02
4J040NA10
(57)【要約】
粘着付与剤を含まないホットメルト接着剤組成物は、好ましくは重量平均分子量(M)が80,000g/モル超の非結晶の単一部位触媒化高分子量プロピレンコポリマー;好ましくはMが60,000g/モル未満の半結晶の単一部位触媒化低分子量プロピレンコポリマー;及びポリイソブテンを含む。該組成物は、必要に応じて、可塑剤、ブテンに富むコポリマー、及び酸化防止剤を含み得る。ホットメルト接着剤は、使用中に著しく膨潤又は伸長する基材を結合するのに特に有用である。そのような用途は、超吸水性ポリマーを基材に接着すること、又は2つの基材を一緒に接着することを含み、2つの基材のうちの少なくとも一方は、おむつなどの使い捨て衛生用品の吸収性コアの層などの超吸水性ポリマーを有する。粘着付与剤を含まない組成物は、適切な破断伸び、応力保持、及び熱安定性を実証し、超吸水性ポリマーなどの膨張種の安定化によく適している。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)本質的に非結晶の単一部位触媒化高分子量プロピレンコポリマー;
(b)半結晶の単一部位触媒化低分子量プロピレンコポリマー;及び
(c)ポリイソブテン;
を含むホットメルト接着剤組成物であって、粘着付与剤を含まないホットメルト接着剤組成物。
【請求項2】
前記高分子量プロピレンコポリマーが、少なくとも約80,000g/モル、好ましくは少なくとも約95,000g/モル、及び最も好ましくは少なくとも約105,000g/モルの重量平均分子量を有し、最大で約20J/g、好ましくは最大で約15J/g、及び最も好ましくは最大で約10J/gの融解熱を有し、並びに
前記低分子量プロピレンコポリマーが、最大で約60,000g/モル、好ましくは最大で約40,000g/モル、及び最も好ましくは最大で約30,000g/モルの重量平均分子量を有し、少なくとも約20J/g、好ましくは少なくとも約25J/g、及び最も好ましくは少なくとも約30J/gの融解熱を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記高分子量プロピレンコポリマーが、約5未満、好ましくは約4未満、及び最も好ましくは約3未満の多分散性指数を有し;並びに
前記低分子量プロピレンコポリマーが、約5未満、好ましくは約4未満、及び最も好ましくは約3未満の多分散性指数を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記高分子量プロピレンコポリマーが、プロピレンと、エチレン及びC~C12アルキレン、好ましくはエチレンからなる群から選択されるコモノマーとのコポリマーであり、並びに
前記低分子量プロピレンコポリマーが、プロピレンと、エチレン及びC~C12アルキレン、好ましくはエチレンからなる群から選択されるコモノマーとのコポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリイソブテンが、少なくとも約750g/モル、好ましくは少なくとも約900g/モル、より好ましくは少なくとも約1,500g/モル、及び最も好ましくは少なくとも約2,000g/モルの数平均分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記高分子量プロピレンコポリマーが、前記組成物の全重量に基づいて、約10重量%~約60重量%、好ましくは約20重量%~約50重量%、及び最も好ましくは約25重量%~約40重量%の量で存在し;
前記低分子量プロピレンコポリマーが、前記組成物の全重量に基づいて、約3重量%~約40重量%、好ましくは約4重量%~約30重量%、及び最も好ましくは約5重量%~約20重量%の量で存在し;並びに
前記ポリイソブテンが、前記組成物の全重量に基づいて、約5重量%~約50重量%、好ましくは約10重量%~約40重量%、及び最も好ましくは約15重量%~約30重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
1-ブテン系コポリマーのポリマーをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記1-ブテン系コポリマーが、ブテン-エチレンコポリマーを含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記1-ブテン系コポリマーが、最大で約0.907g/cm、好ましくは最大で約0.905g/cm、より好ましくは最大で約0.900g/cm、及び最も好ましくは最大で約0.895g/cmの密度を有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記1-ブテン系コポリマーが、前記組成物の全重量に基づいて、約5重量%~約40重量%、好ましくは約7重量%~約30重量%、及び最も好ましくは約10重量%~約25重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
可塑剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記可塑剤が、鉱油及び合成ポリアルファオレフィン油及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記可塑剤が、前記組成物の全重量に基づいて約5重量%~約60重量%、好ましくは約10重量%~約50重量%、及び最も好ましくは約15重量%~約40重量%の量で存在する、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物が、非結晶のポリアルファオレフィンを含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物がワックスを含まない、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記高分子量プロピレンコポリマーの分子量が、前記低分子量プロピレンコポリマーの分子量の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍、及び最も好ましくは少なくとも4倍である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記低分子量プロピレンコポリマーの融解熱が、前記高分子量プロピレンコポリマーの融解熱の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍、及び最も好ましくは少なくとも4倍である、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物の粘度が177℃(350°F)で最大で約17,500センチポアズ(cP)、好ましくは177℃(350°F)で最大で約15,000センチポアズ(cP)、及び最も好ましくは177℃(350°F)で最大で約12,500センチポアズ(cP)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
酸化防止剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物が、少なくとも約350%、好ましくは少なくとも約400%、及び最も好ましくは少なくとも約450%の破断伸びを有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物が、少なくとも約0.4MPa、好ましくは少なくとも約0.5MPa、及び最も好ましくは少なくとも約0.6MPaの降伏応力を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物が、少なくとも30%、好ましくは少なくとも約40%、及び最も好ましくは少なくとも約45%の応力保持を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物が、177℃で少なくとも3日間にわたって約90%超、好ましくは少なくとも3日間にわたって約95%超、及び最も好ましくは少なくとも5日間にわたって約90%超保持される粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】
積層体を製造する方法であって、
請求項1~23のいずれかのホットメルト接着剤組成物を主基材に溶融状態で塗布する工程;及び
二次基材を前記接着剤組成物と接触させることにより、二次基材を主基材に接合する工程、
を含む、方法。
【請求項25】
前記主基材が吸収性コアの第1の層を含み、前記二次基材が前記吸収性コアの第2の層を含み、前記第1の層又は前記第2の層の少なくとも一方が、それに結合する超吸収性ポリマーを有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
第1の層と第2の層を含む吸収性コアであって、前記第1の層及び前記第2の層の少なくとも一方が、超吸収性ポリマーを含み、前記第1の層及び前記第2の層が、請求項1~23のいずれかに記載のホットメルト接着剤組成物によって互いに接着され、前記接着剤組成物が、前記吸収性コア内で前記超吸収性ポリマーを接着する吸収性コア。
【請求項27】
請求項26に記載の吸収性コアを含む使い捨て衛生用品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、おむつ及びトレーニングパンツなどの使い捨て衛生用品に使用するのに適する、粘着付与剤を含まないホットメルト接着剤組成物に関する。該接着剤は、高い破断伸び、応力保持、及び熱安定性を必要とする用途に特によく適している。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ホットメルト接着剤は、典型的には、周囲温度で固体の塊として存在し、熱を加えることによって流動性液体に変換させることができる。これらの接着剤は、様々な基材の結合が必要である場合が多い、様々な、典型的に使い捨ての製品の製造に特に有用である。具体的な用途には、集合的に使い捨て衛生製品又は物品として知られている使い捨ておむつ、病院用パッド、女性用生理用ナプキン、パンティシールド、外科用ドレープ及び成人用失禁ブリーフが含まれる。さらに、該接着剤は、後に使い捨て又は再使用可能な製品に挿入される予備成形された吸収性コアを製造するために使用され得る。他の多様な用途には、紙製品、包装材料、自動車ヘッドライナー、器具、テープ及びラベルが含まれている。これらの用途のほとんどにおいて、ホットメルト接着剤は、その溶融状態まで加熱され、次いで、しばしば主基材と命名される場合が多い基材に塗布される。二次基材と命名されることが多い第2の基材は、次いで、第1の基材と直ちに接触し、圧着される。該接着剤は、冷却時に固化して強力な結合を形成する。ホットメルト接着剤の主要な利点は、水又は溶剤をベースとする接着剤の場合に存在する液体担体が存在せず、それによって、溶剤の除去に関連する費用のかかる工程並びに潜在的に有害な及び/又は臭気性の溶剤を排除することである。
【0003】
多くの用途のために、ホットメルト接着剤は、ピストン又はギアポンプ装置を使用して、薄膜又はビーズの形態で基材上に直接押出される場合が多い。ダイの温度は、溶融したホットメルト材料が塗布ノズルの中を円滑に流れることを可能にするために、接着剤の融点より十分上で維持されなければならない。ほとんどの用途では、特に食品包装及び使い捨て不織布衛生用品の製造、シンゲージ(thin gauge)プラスチックフィルムなどの繊細で感熱性の基材の結合において見られるものが含まれる場合が多い。これは、ホットメルト接着剤の適用のためのコーティング温度に上限を課す。今日の市販のホットメルト剤は、基材の燃焼又は歪みを回避するために、典型的には200℃未満のコーティング温度を有するように配合される。この場合、該接着剤は、最も典型的には、超吸収性ポリマーを含む基材などの目的の基材又は材料上に設定された距離でノズルから噴霧される。ホットメルト接着剤を、圧縮空気の助けを借りて一定の距離から基材上にスプレー塗布することができるいくつかの間接的又は非接触コーティング法も開発されている。これらの非接触コーティング技術には、従来のスパイラルスプレー、Signature(商標)、Control Coat(商標)、UFD(商標)、及び様々な形態のメルトブロー法が含まれる。しかし、間接的な方法では、許容可能なコーティングパターンを得るためには、接着剤の粘度は十分に低く、通常2,000~30,000mPa sの範囲、しばしば2,000~15,000mPa sの範囲でなければならないことが必要である。
【0004】
ホットメルト接着剤は、伝統的に、ポリマー、可塑剤、粘着付与樹脂(本明細書では「粘着付与剤」とも呼ばれる)、並びにワックス及び酸化防止剤などの任意選択の添加剤で構成される。粘着付与剤は、長い間、ホットメルト接着剤の必要な成分であると考えられてきた。伝統的に、スチレンブロックコポリマー系を有する粘着付与剤の役割は、接着剤系のガラス転移温度を上昇させることによって粘着性を増大させることである。粘着付与剤は、さらに、最終配合物の粘度を抑制するのに役立つ。しかし、粘着付与剤は、臭い及び揮発性有機化合物(VOC)を接着剤配合物に与え得るので、否定的に見られ得る。したがって、粘着付与樹脂を含まないホットメルト接着剤を製造することが望まれる。このような接着剤は、高温に対処し、スチレンブロックコポリマー系の接着剤などの他の接着剤よりも臭いが少ないと一般的に認識されるので、ポリオレフィンをベースとするものが望ましい。
【0005】
粘着付与剤を含まないホットメルト接着剤を開発する努力がなされてきた。例えば、米国特許第9,139,755号は、約10~90重量%の非晶性ポリオレフィンコポリマー、約50~70重量%の1-ブテン;プロペンと、エチレン、1-ヘキセン又は1-オクテンを含み、非結晶特性及び結晶性ブロックを有するコモノマーとを含む約10~90重量%のヘテロ相ポリプロピレンコポリマー組成物;並びにAlClを用いて製造された約0.1~30重量%のポリイソブチレン可塑剤を含むホットメルト接着剤組成物を開示しており、該接着剤は、ヘテロ相ポリプロピレンコポリマーから凝集の強さを、及び非結晶のポリオレフィンコポリマーから接着強度を提供する。
【0006】
加えて、米国特許第8,623,480号は、約50重量%超のポリプロピレンを含む非官能化非結晶ポリアルファオレフィンポリマーからなる少なくとも55重量%の第1のポリマーと、ポリプロピレンホモポリマー、プロピレンコポリマー、及びそれらの組み合せからなる群から選択される第2のポリマーと、官能化ポリプロピレンワックスと、ポリエチレンワックスとを含むホットメルト接着剤組成物を開示している。前記ホットメルト接着剤組成物は、好ましくは粘着付与剤を含まない。
【0007】
国際特許出願WO 2013/039261は、(A)メタロセン触媒を用いてプロピレンを重合することによって得られる、融点が100℃以下のプロピレンホモポリマーと、(B)エチレン系コポリマーを含むホットメルト接着剤組成物を開示している。
【発明の概要】
【0008】
当技術分野では、湿潤した場合に、それでもなお、その間ずっと所望の適用温度で適切な粘度を有している超吸収性ポリマーの膨潤などの顕著な膨潤に耐えることができるように、低い粘着性と十分に高い破断伸び、応力保持、及び熱安定性とを有する接着剤が必要とされている。
【0009】
したがって、上述の従来技術の接着剤の欠点を克服するホットメルト接着剤を提供することが有利である。特に、粘着付与剤を含まないホットメルト接着剤を製造することが望まれる。そのような接着剤は、高い温度に対処することができ、一般的に臭いがより少ないと認識されるので、望ましくはポリオレフィンベースである。そのような接着剤は、湿潤時又は膨潤/膨張時に、超吸収性ポリマーの膨潤に耐えるのに十分に高い破断伸び及び応力保持を有する。そのような接着剤は、単独で、又は別の接着剤及び/若しくはセルロース繊維と組み合わせて、おむつなどの衛生用品内に超吸収性ポリマー(SAP)を含有するのに関与するマイクロファイバー化接着剤として特によく適している。この機能を果たす接着剤は、コアの安定化を提供することが知られている。該接着剤は、高度の粘着性を有する必要はないが、それが膨潤/膨張する際に、SAPを含有するために非常に良好な伸びを有することが要求される。粘着付与剤を含まない接着剤を製造する際の難題は、破断伸び及び応力保持などの力学的特性を満たすのに良好な熱安定性及び十分な「強度」を有する配合物を開発することである。
【0010】
従来技術の欠点を考慮して、本発明は、本質的に非結晶の単一部位触媒化高分子量プロピレンコポリマーと、半結晶の単一部位触媒化低分子量プロピレンコポリマーと、ポリイソブテンとを含むホットメルト接着剤組成物であって、粘着付与剤を含まないホットメルト接着剤組成物を提供する。そのような組成物は、優れた熱安定性を有しながら、高い破断伸びと応力保持の両方を提供する。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、積層体を製造する方法は、本発明のホットメルト接着剤組成物を溶融状態で主基材に塗布する工程と、二次基材を該接着剤組成物と接触させることにより、二次基材を主基材に接合する工程とを含む。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、吸収性コアは、第1の層と第2の層とを含み、第1の層及び第2の層の少なくとも一方は超吸収性ポリマーを含み、第1の層及び第2の層は、本発明のホットメルト接着剤組成物によって互いに接着され、該接着剤組成物は、吸収性コア内に超吸収性ポリマーを接着する。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、使い捨て衛生用品は、本発明の吸収性コアを含む。
【0014】
発明の詳細な説明
本発明の一実施形態によれば、ホットメルト接着剤組成物は、(a)非結晶の単一部位触媒化高分子量プロピレンコポリマーと、(b)半結晶の単一部位触媒化低分子量プロピレンコポリマーと、(c)ポリイソブテンとを含み、該組成物は粘着付与剤を含まない。該接着剤組成物は、必要に応じて、酸化防止剤(複数可)と、必要に応じて可塑剤(複数可)と、0.908g/cm未満の密度を有する追加のブテンに富むポリマーを含んでよい。そのような組成物は、優れた熱安定性を有しながら、高い破断伸びと応力保持の両方を提供する。したがって、そのような接着剤は、使用中に大きな程度(例えば、350%以上など)まで伸長する能力を必要とする用途に特によく適しており、高い応力保持(300%伸長時の10分後に30%以上など)、及び優れた熱安定性(高温で3日後に保持される90%粘度など)を提供する。
【0015】
本発明で使用される第1及び第2のプロピレンコポリマーはいずれも、単一部位で触媒される。単一部位触媒システム(SSC)は、従来の触媒(チーグラー・ナッタ触媒など)と少なくとも1つの顕著な点;それらは、各触媒分子に対する単一の活性遷移金属部位のみを有し、したがって、この金属部位における活性は、全ての触媒分子について同一である、という点で異なる。現在工業的規模で広く使用されている1種類のSSC触媒は、触媒及び共触媒又は活性剤からなるメタロセン触媒システムである。触媒は、2つの環状有機配位子の間に位置する金属原子を有する遷移金属錯体であり、配位子は、シクロペンタジエンの同じ又は異なる誘導体であり得る。共触媒は、メタロセン錯体を触媒活性種に変換することによってメタロセン触媒を活性化することができる任意の化合物であり得、そのような化合物の例は、アルモキサン、好ましくは4~30の平均オリゴマー化度を有するメチルアルモキサンである。本発明の目的のために、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニルボレート、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニルボレート)、又はトリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニルボレート)などの様々な有機ホウ素化合物を含むが、これらに限定されない他の中性又はイオン活性剤を使用することができる。別の種類のSSC触媒は、幾何拘束触媒(CGC)である。
【0016】
本明細書で使用されるように、CGCは、幾何拘束触媒として知られているサブクラスのSSC触媒システムを指す。メタロセンとは異なり、幾何拘束触媒(CGC)は、piシステムの重心と追加の配位子との間のこの金属における角度が比較可能な非架橋複合体よりも小さいように、同じ金属中心上の他の配位子の1つに連結される環状配位子を1つのみ有することを特徴とする。より具体的には、用語CGCは、この定義がこのクラスの化合物をはるかに越えているにもかかわらず、アンサ架橋されたシクロペンタジエニルアミド錯体のために使用される。したがって、用語CGCは、アンサ架橋されたシクロペンタジエニルアミド配位子系とアイソローバル及び/若しくは等電子であっても、又はそうでなくてもよい多かれ少なかれ関連する他の配位子系を指すために広く使用されている。さらに、この用語は、歪みを誘発しない長いアンサ架橋を有する関連する複合体のために頻繁に使用される。
【0017】
メタロセンのように、適切なCGCは、活性化メチルアルミノキサン(MAO)、過フッ素化ホウ素及びトリチルホウ酸塩共触媒であり得る。しかし、CGCに基づく触媒システムは、比較可能なメタロセン系システムよりもはるかに大きい程度までより高いアルファ-オレフィンの組み込みを示す。オレフィン重合のための単一部位触媒である、ポストメタロセンとも呼ばれている非メタロセン系SSCも知られている。典型的なポストメタロセン触媒は、嵩高で中性のアルファ-ジイミン配位子を特徴とする。しかし、これらのポストメタロセン触媒は、プラストマー及びエラストマーを生成するためにエチレンの重合のために頻繁に使用される。それらは、プロピレンなどのアルファ-オレフィンの重合にはほとんど使用されない。オレフィン重合のための単一部位触媒システムは当業者に周知であり、Lisa S.Baugh及びJo Ann M.Canichにより編集され、CRC pressによって出版された単一部位触媒を用いた立体選択的重合(Stereoselective Polymerization with Single-Site Catalysts)(2008)、及びWalter Kaminskyにより編集され、Springer Heidelbergによって出版されたポリオレフィン:チーグラーとナッタII後の50年:メタロセンと他の単一部位触媒によるポリオレフィン(Polyolefins: 50 Years after Ziegler and Natta II: Polyolefins by Metallocenes and Other Single-Site Catalysts)(2013)というタイトルの2つのシンポジウムで広範に議論されている。
【0018】
本明細書で上述したSSC触媒システムの進歩により、様々な鎖微細構造及び特定の立体化学を有するプロピレン系ポリマー及びコポリマーを生成することが実用化された。触媒及び反応条件の選択に依存して、プロピレンポリマー及びコポリマーの特定の種類は、例えば、狭い分子量分布、統計学的にランダムなコモノマーの取り込み、アタクチック鎖配列の高画分、及びより短い結晶性のアイソタクチック又はシンジオタクチック鎖の配列を有するように意図的に製造することができる。巨視的には、ポリマーは、比較的より低い融点、より低い融解エンタルピー、より低い結晶性、及びより低い密度を示し、従来の触媒によって製造されたポリプロピレンよりもエラストマーに類似の挙動を示し得る。そのようなポリマーは、1,000g/モル~1,000,000g/モルなどの様々な重量平均分子量(Mw)範囲、iPPの融点170℃を十分に下回る20℃~150℃などの融点の範囲、0J/g~100J/gなどの融解のエンタルピーの範囲、及び0.85g/cc~0.90g/ccなどの密度の範囲を有してよい。これらのポリマーのいくつかは、ホットメルト接着剤用途によく適している。
【0019】
第1及び第2のプロピレンコポリマーはいずれも、主としてプロピレン単位で構成される。これは、それらが少なくとも50重量%のプロピレンを含むことを意味する。2つのプロピレンコポリマーは、プロピレンと同じコモノマー又は異なるコモノマーとのポリマーであり得る。好ましくは、高分子量プロピレンコポリマーは、プロピレンと、エチレン及びC~C12アルキレン、好ましくはエチレンからなる群から選択されるコモノマーとのコポリマーである。同様に、低分子量プロピレンコポリマーは、プロピレンと、エチレン及びC~C12アルキレン、好ましくはエチレンからなる群から選択されるコモノマーとのコポリマーである。第1及び第2のプロピレンコポリマーは、同じ又は異なるコモノマー含量を有してよい。好ましくは、第1及び第2プロピレンコポリマーは、約5%~約25%、より好ましくは約7%~約20%、さらにより好ましくは約9%~約17%、及び最も好ましくは約10%~約15%のエチレン含量を有する。
【0020】
好ましくは、高分子量プロピレンコポリマーは、少なくとも約80,000g/モル、好ましくは少なくとも約95,000g/モル、及び最も好ましくは少なくとも約105,000g/モルの重量平均分子量を有する。好ましくは、高分子量プロピレンコポリマーの重量平均分子量は、最大で約250,000g/モル、好ましくは最大で約200,000g/モル、及び最も好ましくは最大で約175,000g/モルである。成分の若しくは接着剤の若しくは他の特性又は濃度の範囲の上限及び下限が本明細書に記載されている場合には、任意の下限から任意の上限まで伸びる任意の範囲が、本発明によって企図されると推定され、並びに任意の下限から伸びる任意の範囲又は任意の上限から伸びる任意の範囲も、本発明によって企図されると推定される。したがって、本発明の実施形態は、例として、重量平均分子量が少なくとも約80,000g/モルから最大で約250,000g/モルである高分子量プロピレンコポリマーと、重量平均分子量が少なくとも約95,000g/モルから最大で約250,000g/モルである高分子量プロピレンコポリマーと、重量平均分子量が少なくとも約80,000g/モルである高分子量プロピレンコポリマーとを含む。好ましくは、低分子量プロピレンコポリマーの重量平均分子量は、最大で約60,000g/モル、好ましくは最大で約40,000g/モル、及び最も好ましくは最大で約30,000g/モルである。好ましくは、低分子量プロピレンコポリマーの重量平均分子量は、少なくとも約10,000g/モル、好ましくは少なくとも約15,000g/モル、及び最も好ましくは少なくとも約17,500g/モルである。本明細書に記載の2つのプロピレンコポリマーの重量平均分子量は、ポリプロピレン基準標準を用いた高温サイズ排除クロマトグラフ(SEC)を用いて特徴付けられる。
【0021】
好ましくは、2つのプロピレンコポリマーの分子量は互いに顕著に相殺される。例えば、本発明の一実施形態では、高分子量プロピレンコポリマーの分子量は、低分子量ポリプロピレンコポリマーの分子量の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍、及び最も好ましくは少なくとも4倍である。
【0022】
プロピレンコポリマーの多分散指数(PDI)は、広範囲にわたって変化してもよく、同じであっても異なっていてもよい。2つのプロピレンポリマーの多分散指数は、好ましくは最大で約5、好ましくは最大で約4、及び最も好ましくは最大で約3である。2つのプロピレンポリマーの多分散指数は、好ましくは少なくとも約1.5、好ましくは少なくとも約1.8、及び最も好ましくは少なくとも約2である。これらのPDI値は、一般に、メタロセン触媒などの単一部位触媒を用いて製造されているポリマーの特徴である。好ましくは、本発明のプロピレンコポリマーは、メタロセン触媒を用いて製造される。プロピレンコポリマーの多分散指数(PDI)は、重量平均分子量を数平均分子量(M/M)で割ることにより決定され、M及びMの各値は、同じ分析方法からのデータを用いて(すなわち、ポリプロピレン参照標準を使用して、高温サイズ排除クロマトグラフ(SEC)を用いて)決定される。
【0023】
2つのプロピレンコポリマーの結晶化度は、本発明の特定の目的を達成するのに重要であることが見出されている。本発明によれば、高分子量プロピレンコポリマーは本質的に非結晶であり、これは結晶化度が比較的低いか、又は有していないことを意味する。ポリマーの融解熱の観点から結晶化度を見ると、高分子量プロピレンコポリマーは、好ましくは最大で約20J/g、好ましくは最大で約15J/g、及び最も好ましくは最大で約10J/gの融解熱を有する。好ましくは、高分子量プロピレンコポリマーは、好ましくは少なくとも約0J/g、好ましくは少なくとも約2J/g、及び最も好ましくは少なくとも約5J/gの融解熱を有する。本発明の実施形態によれば、低分子量プロピレンコポリマーは、好ましくは少なくとも約20J/g、好ましくは少なくとも約25J/g、及び最も好ましくは少なくとも約30J/gの融解熱を有する。好ましくは、低分子量プロピレンコポリマーは、好ましくは最大で約100J/g、好ましくは最大で約75J/g、及び最も好ましくは少なくとも約50J/gの融解熱を有する。これらの融解熱の値を決定するために使用される試験方法は、ASTM E793-01「示差走査熱量測定による融解及び結晶化のエンタルピーの標準試験法」である。
【0024】
好ましくは、2つのプロピレンコポリマーの融解熱は互いに顕著に相殺される。例えば、本発明の一実施形態では、低分子量プロピレンコポリマーの融解熱は、高分子量ポリプロピレンコポリマーの融解熱の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍、及び最も好ましくは少なくとも4倍である。
【0025】
2つのプロピレンコポリマーの融点とも呼ばれる融解温度は、広い範囲にわたって変化してもよく、同じであっても又は異なっていてもよい。好ましくは、低分子量プロピレンコポリマーの溶融温度は、約35℃~100℃である。より好ましくは、低分子量プロピレンコポリマーの溶融温度は、約40℃~約90℃、より好ましくは約50℃~約80℃、及び最も好ましくは約55℃~約75℃である。好ましくは高分子量プロピレンコポリマーの融解温度は、約70℃~約130℃である。より好ましくは、高分子量プロピレンコポリマーの溶融温度は、約75℃~約125℃、さらにより好ましくは約85℃~約115℃、及び最も好ましくは約90℃~約110℃である。本明細書に記載の融解温度は、1分当たり10℃の代わりに、1分当たり20℃の走査温度を用いるという1つの変更を試験に行ったことを除き、ASTM E-794-01に準拠した示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される。
【0026】
2つのプロピレンコポリマーのガラス転移温度は、広範囲にわたって変化してもよく、同じであっても又は異なっていてもよい。好ましくは、各コポリマーのガラス転移温度は、約-45℃~約-5℃である。より好ましくは、ガラス転移温度は-35℃~-15℃であり、さらにより好ましくは約-32℃~-20℃であり、及び最も好ましくは約-30℃~-22℃である。本明細書に記載のガラス転移温度は、1分当たり10℃の代わりに、1分当たり20℃の走査温度を用いるという1つの変更を試験に行ったことを除き、ASTM E-794-01に準拠した示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される。
【0027】
高分子量プロピレンコポリマーのメルトフローレートは、広範囲にわたって変化してもよい。高分子量プロピレンコポリマーは、約1g/10分~約75g/10分、好ましくは約2g/10分~約50g/10分、及び最も好ましくは約5g/10分~約25g/10分のメルトフローレートを有してよい。低分子量プロピレンコポリマーは、高分子量プロピレンコポリマーのメルトフローレートよりも高いメルトフローレートを有してよく、又はメルトフローレートを測定するのが困難な場合もある。本発明の一実施形態では、全て190℃で、約500cP~約2,500cP、好ましくは約750~約2,000cP、及び最も好ましくは約1,000~1,500cPの粘度を有する低分子量プロピレンコポリマーが選択される。本明細書で使用されるように、2つのプロピレンコポリマーのメルトフローレートは、190℃で2.16キログラム重量を用いてASTM D 1238に準拠して決定される。
【0028】
本発明で使用するのに適する典型的な高分子量プロピレンコポリマーには、VISTAMAXX6202及び6502を含むExxonMobileから市販されている特定グレードのVISTAMAXX(商標)プロピレンコポリマー、及びVERSIFY3000を含むDow Chemical Companyから販売されている特定グレードのVERSIFY(商標)プロピレンコポリマーが含まれる。本発明で使用するのに適する典型的な低分子量プロピレンコポリマーには、VISTAMAXX8880を含むExxonMobileから販売されている特定グレードのVISTAMAXX(商標)プロピレンコポリマーが含まれる。
【0029】
2つのプロピレンコポリマーに加えて、本発明の接着剤組成物はポリイソブテンを含む。本明細書で、ポリイソブテン(PIB)は、イソブテン単量体から製造され、-[C(CHCH]-の繰り返し単位を保有するホモポリマー又はオリゴマーを指す。これらの材料は、ある程度の不飽和度を含んでも、又は含まなくてもよい。一般に、それらは、低い数平均分子量(950~4,500g/モル)を保有し、室温で薄い又は比較的粘性のある液体であり得る。本発明の実施形態によれば、ポリイソブテンは、少なくとも約750g/モル、好ましくは少なくとも約900g/モル、より好ましくは少なくとも約1,500g/モル、及び最も好ましくは少なくとも約2,000g/モルの数平均分子量を有する。好ましくは、ポリイソブテンは、最大で約7,500g/モル、好ましくは最大で約6,000g/モル、及び最も好ましくは最大で約4,500g/モルの数平均分子量を有する。それらはまた、典型的には、本発明にとって重要ではないが、狭い多分散性指数(Mw/Mn<4)を保有する。本発明で使用するのに適する典型的なポリイソブテンには、Ineos Capital Ltdから市販されているINDOPOL(登録商標)H-1900又はINDOPOL(登録商標)H-100が含まれる。いずれの理論にも束縛されないが、ポリイソブテンは、接着剤の凝集強度を改善するのに役立ち、プロピレンコポリマーを可塑化するのにも役立つと考えられる。
【0030】
本発明のホットメルト接着剤組成物は、必要に応じて、1-ブテン系コポリマーを含む。本明細書で使用される用語「1-ブテン系コポリマー」は、コポリマーが50モル%超のブテンを含み、ブテンに加えて少なくとも1種の他のモノマーから製造されることを意味する。一実施形態では、選択される1-ブテン系コポリマーは、広範囲の結晶化度(及び広範囲の融解熱の値)を有し得る。好ましくは、1-ブテン系コポリマーは、ブテン-エチレンコポリマーを含む。一般に、1-ブテン系コポリマーの重量平均分子量は、好ましくは約15,000~約160,000g/モル、及び最も好ましくは約30,000~約150,000g/モルである。本明細書で使用する場合、1-ブテン系コポリマーの重量平均分子量を参照すると、重量平均分子量は、ポリプロピレン標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィーによって決定される。好ましくは、1-ブテン系コポリマーは、約0.907g/cm、好ましくは最大で約0.905g/cm、より好ましくは最大で約0.900g/cm、及び最も好ましくは最大で約0.895g/cmの密度を有する。
【0031】
本発明のホットメルト接着剤組成物は、必要に応じて可塑剤を含む。可塑剤は、任意の公知の相溶性可塑剤であってよく、好ましくは鉱油及び合成ポリアルファオレフィン油からなる群から選択される。適切な可塑剤は、オレフィンオリゴマー及び低分子量ポリマー、並びに植物及び動物油及びそれらの誘導体からも選択され得る。使用され得る石油由来油は、少量の芳香族炭化水素のみを含有する比較的高沸点の物質である。この点に関して、芳香族炭化水素は、好ましくは、芳香族炭素原子の画分によって測定した場合に、油の30%未満、より特には15%未満であるべきである。より好ましくは、油は、本質的に非芳香族であり得る。本発明において有用な可塑剤は、任意の数の異なる可塑剤であり得るが、鉱油及び5,000ダルトン未満の平均分子量を有する他の可塑剤が特に有利である。理解されるように、可塑剤は、典型的に、接着剤の接着強度及び/又は使用温度を実質的に低下させることなく、接着剤組成物全体の粘度を低下させ、並びに開放時間を延長し、接着剤の柔軟性を改善するために使用されてきた。
【0032】
本発明の実施形態は、高分子量プロピレンコポリマーと低分子量プロピレンコポリマーとの混合物に基づく接着剤であり、高分子量プロピレンコポリマーと低分子量プロピレンコポリマーの比は、約1:1~約5:1、好ましくは約3:2~約4:1、より好ましくは約2:1~約7:2、及び最も好ましくは約3:1である。
【0033】
様々な成分の量は、接着剤の所望の適用温度及び他の条件及び所望の性能特性に応じて広範囲にわたって変化し得る。本発明の実施形態によれば、接着剤は、
組成物の全重量に基づいて約10重量%~約60重量%、好ましくは約20重量%~約50重量%、及び最も好ましくは約25重量%~約40重量%の量の高分子量プロピレンコポリマー;
組成物の全重量に基づいて、約3重量%~約40重量%、好ましくは約4重量%~約30重量%、及び最も好ましくは約5重量%~約20重量%の量で存在する低分子量プロピレンコポリマー;並びに
組成物の全重量に基づいて、約5重量%~約50重量%、好ましくは約10重量%~約40重量%、及び最も好ましくは約15重量%~約30重量%の量で存在するポリイソブテン
を含む。
【0034】
本発明は、任意の範囲の1つの成分と任意の範囲の若しくは制限されない量の別の成分との任意の組み合わせ、又は他の両方の成分との任意の組み合わせを含む。存在する場合、1-ブテン系コポリマーは、組成物の全重量に基づいて、約5重量%~約40重量%、好ましくは約7重量%~約30重量%、及び最も好ましくは約10重量%~約25重量%の量で存在し得る。また、存在する場合、可塑剤は、組成物の全重量に基づいて、約5重量%~約60重量%、好ましくは約10重量%~約50重量%、及び最も好ましくは約15重量%~約40重量%の量で存在し得る。
【0035】
本発明は、必要に応じて、安定剤とも呼ばれる酸化防止剤を含み得る。含まれる場合、酸化防止剤は、全接着剤組成物中に約0.1重量%~約3重量%の量で存在し得る。好ましくは、約0.2%~2%の酸化防止剤が該組成物中に組み込まれる。本発明のホットメルト接着剤組成物に有用な酸化防止剤は、上述のポリマーを保護し、それによって、接着剤の製造及び適用中に、並びに最終製品の周囲環境への通常の暴露において通常生じる熱分解及び酸化的分解の影響から全接着剤系を保護するのを助けるために組み込まれる。適用可能な酸化防止剤の中には、高分子量ヒンダードフェノール並びに硫黄及びリン含有フェノールなどの多官能フェノールがある。ヒンダードフェノールは、当業者に周知であり、そのフェノール性ヒドロキシル基に近接して立体的に嵩高いラジカルも含有するフェノール化合物として特徴づけられ得る。特に、3級ブチル基は、一般に、フェノール性ヒドロキシル基に対してオルト位の少なくとも1つのベンゼン環上に置換される。ヒドロキシル基の近傍におけるこれらの立体的に嵩高い置換ラジカルの存在は、その伸縮振動数及びそれに対応してその反応性を遅延させるのに役立ち、そのため、この立体障害はフェノール化合物にその安定化特性を提供する。代表的なヒンダードフェノールには、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3-5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン;ペンタエリトリトールテトラキス-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート;n-オクタデシル-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート;4,4'-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール);2,6-ジ-tert-ブチルフェノール;6-(4-ヒドロキシフェノキシ)-2,4-ビス(n-オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン;2,3,6-トリス(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェノキシ)-1,3,5-トリアジン;ジ-n-オクタデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート;2-(n-オクチルチオ)エチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート;及びソルビトールヘキサ-3(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートが挙げられる。
【0036】
これらの酸化防止剤の性能は、(1)例えば、チオジプロピオン酸エステル及びホスファイトなどの相乗剤;並びに(2)キレート剤及び金属不活性化剤、例えば、エチレンジアミンテトラ四酢酸、その塩、及びジサリチルアルプロピレンジイミン(disalicylalpropylenediimine)と組み合わせて利用することによりさらに増強され得る。
【0037】
特定の物理的特性を変更するために、本発明の接着剤組成物に他の補助添加剤を配合してもよいことは理解されるべきである。これらは、不活性着色剤、例えば、二酸化チタン、充填剤、蛍光剤、UV吸収剤、界面活性剤、他の種類のポリマーなどの材料を含み得る。典型的な充填剤には、タルク、炭酸カルシウム、粘土シリカ、雲母、ウォラストナイト、長石、ケイ酸アルミニウム、アルミナ、アルミナ水和物、ガラス微小球、セラミック微小球、熱可塑性微小球、重晶石及び木粉が挙げられる。界面活性剤は、例えば、おむつのコアに適用される接着剤の表面張力を劇的に減少させ、それによって、コアによる尿のより迅速な移動及びその後の吸収を可能にすることができるので、衛生的な使い捨て不織製品に特に重要である。
【0038】
本発明の実施形態によれば、ワックスは接着剤組成物に含まれる。そのようなワックスは、低分子量ワックス、パラフィンワックスなどの石油ワックス、合成ワックス、及びポリオレフィンワックスを含むことができる。好ましくは、接着剤組成物は、実質的にワックスを含まず、例えば組成物の全重量に基づいて、1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満のワックスを含み、及び最も好ましくはワックスを含まない。
【0039】
本発明の実施形態によれば、ホットメルト接着剤組成物は、本質的に非結晶の単一部位触媒化高分子量プロピレンコポリマー、半結晶の単一部位触媒化低分子量プロピレンコポリマー、及びポリイソブテン、及び必要に応じてブテンに富むコポリマー、及び必要に応じて、本明細書で述べた1以上の他の任意成分から本質的になるか、又はそれらからなり、該接着剤は粘着付与剤を含まない。「粘着付与剤を含まない」は、該組成物が粘着付与剤を含有しないか、又は参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,011,744号に開示されているものなどのホットメルト接着剤に使用するための当技術分野で公知の粘着付与剤を最小量のみ含有している。そのような粘着付与剤のクラスには、脂肪族及び脂環式石油炭化水素樹脂;芳香族石油炭化水素樹脂及びその水素化誘導体;脂肪族/芳香族石油由来炭化水素樹脂及びその水素化誘導体;芳香族変性脂環式樹脂及びその水素化誘導体;軟化点が約10℃~約140℃であるポリテルペン樹脂;天然テルペンのコポリマー及びターポリマー;天然及び変性ロジン;天然及び変性ロジンのグリセロール及びペンタエリスリトールエステル;並びにフェノール変性テルペン樹脂が挙げられる。本発明の一実施形態によれば、該接着剤組成物は、非結晶ポリアルファオレフィンを含まない。本発明の別の実施形態によれば、該接着剤組成物は、40重量%未満、好ましくは25重量%未満、より好ましくは10重量%未満、さらにより好ましくは5重量%未満、及び最も好ましくは1重量%未満の非結晶ポリアルファオレフィンを含む。本発明の別の実施形態によれば、該接着剤組成物はスチレンを含まない。
【0040】
該接着剤組成物の流動特性及び粘度は、当業者に公知の方法で、特定のパラメータ内で調節することができる。特定の温度における所望の粘度は、他の要因の中でも、適用の様式、適用時の所望の流れ、ライン速度、及びそのような適用に使用されるシステムを含む適用条件に依存するであろう。本発明の実施形態によれば、該組成物の粘度は、約177℃(350°F)で最大で約17,500センチポアズ(cP)、好ましくは177℃(350°F)で最大で約15,000センチポアズ(cP)、及び最も好ましくは177℃(350°F)で最大で約12,500センチポアズ(cP)である。本発明の実施形態によれば、該組成物の粘度は、177℃(350°F)で少なくとも約1,000センチポアズ(cP)、好ましくは177℃(350°F)で少なくとも約2,500センチポアズ(cP)、及び最も好ましくは177℃(350°F)で少なくとも約5,000センチポアズ(cP)である。接着剤の粘度は、ASTM D3236に準拠してスピンドル27で測定される。
【0041】
本発明の実施形態による接着剤は、優れた機械的特性(例えば、高い破断伸び及び高い応力保持)並びに熱安定性を示す。そのような特性により、本発明の接着剤は、衛生、構造、及び包装用途に有用となり、特に、水分が急に入ってきた際に顕著に膨潤する超吸収性ポリマーを含有する吸収材コアのコア安定化に適している。本発明のホットメルト組成物は、さらに、2”/分のプル速度で測定した場合、少なくとも約350%、好ましくは少なくとも約400%、より好ましくは少なくとも約450%、及び最も好ましくは少なくとも約475%の破断伸びを有することによって特徴付けられる。本発明の配合物は、300%伸長時の10分後に保持される応力などの追加の機械的特性をさらに満たす。好ましくは、300%伸長時の10分後に保持される応力は、少なくとも30%、好ましくは少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約45%、及び最も好ましくは少なくとも約50%である。加えて、本発明の実施形態は、少なくとも約0.4MPa、好ましくは少なくとも約0.5MPa、及び最も好ましくは少なくとも約0.6MPaなどの優れた降伏応力を実証する。ホットメルト接着剤組成物は、さらに、高温で保持される粘度が少なくとも約3日間にわたって約85%超、好ましくは少なくとも約3日間にわたって約90%超、及び最も好ましくは少なくとも約5日間にわたって約90%超であるような優れた熱安定性を有する。破断伸び、応力保持、降伏応力、及び熱安定性(粘度保持によって反映されるような)を決定する方法論は、以下の実施例の節により詳細に記載されている。
【0042】
本発明のホットメルト接着剤組成物は、当技術分野で公知のいずれかの混合技術を用いて配合され得る。混合手順の代表的な例は、ロータを備えたジャケット付き混合釜に全ての成分を入れ、その後、混合物の温度を150℃~200℃の範囲に上昇させて内容物を溶融させることを含む。いずれの成分も、混合釜に個別に予め混和されてもよく、又は添加されてもよい。例えば、ポリマーは、予め形成された混合物若しくは混和物であり得るか、又は混合釜に個別に添加され得る。この工程で使用される正確な温度は、特定の成分の融点に依存することが理解されるべきである。混合は、一貫した均一な混合物が形成されるまで継続される。釜の内容物は、全混合プロセスの間、二酸化炭素又は窒素などの不活性ガスで保護される。本発明の趣旨を侵害することなく、例えば、閉じ込められた空気の除去を容易にするために真空を適用することなどの、ホットメルト組成物を生成するための該手順に様々な追加及び変更を行うことができる。本発明の組成物を配合するのに有用な他の装置には、単軸若しくは二軸のスクリュー押出機又は他の変形形態の押出機械、混練機、集中ミキサー、Ross(商標)ミキサーなどが挙げられるが、これらに限定されない。次いで、ホットメルト接着剤を室温まで冷却し、その上に形成された保護スキンを有するチャブ(chubs)に又は出荷及び使用のためのペレットに形成する。
【0043】
本発明の接着剤組成物は、例えば、使い捨て不織衛生用品、紙変換、可撓性包装、木材加工、カートン及びケース封着、ラベリング及び他の組立用途などの多くの用途において、汎用のホットメルト接着剤として使用され得る。特に好ましい用途には、不織使い捨ておむつ及び女性用生理用ナプキン構造、予め形成されたコアを組み入れる再使用可能な衛生製品、おむつ及び成人用失禁用ブリーフ弾性アタッチメント、おむつ及びナプキンのコアの安定化、おむつのバックシートの積層、工業用フィルタ材料変換、外科用ガウン及び外科用ドレープアセンブリなどが挙げられる。本発明の組成物は、おむつ、女性用ケアパッド、及び成人用失禁製品などの使い捨て衛生用品のための超吸収性ポリマーを有する吸収性コアのコア安定化における使用に特に適している。
【0044】
生じたホットメルト接着剤は、様々な適用技術を用いて基材に塗布され得る。例としては、ホットメルトグルーガン、ホットメルトスロットダイコーティング、ホットメルトホイールコーティング、ホットメルトローラーコーティング、溶融吹付けコーティング、スパイラルスプレー、Signature(商標)、Control Coat(商標)、UFD(商標)などと商標のついた接触又は非接触ストランドコーティングが挙げられる。好ましい実施形態では、ホットメルト接着剤は、基材上に間接的に噴霧される。
【0045】
本発明の一実施形態では、積層体を作製する方法は、(1)本発明のホットメルト接着剤組成物を溶融状態で主基材に塗布する工程と、(2)二次基材を接着剤組成物と接触させることにより、二次基材を主基材に接合する工程とを含む。本発明の一実施形態では、第1の基材は、吸収性コアの第1の層(底層などの)を含み、二次基材は、吸収性コアの第2の層(上層などの)を含み、第1の層又は第2の層の少なくとも一方は、それに結合する超吸収性ポリマーを有する。第1の基材及び二次基材は、単一の連続材料であってよいが、2つの折り畳みが第1及び二次基材を形成するように折り畳まれてよい。
【0046】
超吸収性ポリマーを有する任意の適切な吸収性コアを本発明に関連して使用することができる。適切な吸収性コアは、米国特許出願第2017/0209616号、同第2017/0165133号、及び同第2016/0270987号に記載されており、これらの全ては参照により本明細書に組み込まれる。米国特許出願第2017/0165133号に記載されているように、吸収性コア構造は、典型的には、吸収性ゲル化材料AGMとも呼ばれるヒドロゲル形成ポリマー材料などの吸収性ポリマー材料、又は超吸収性ポリマーSAPを含む。この吸収性ポリマー材料は、大量の体液、例えば尿が、使用中に吸収性物品によって吸収され、閉じ込められるため、低い再湿潤性及び良好な皮膚乾燥性を提供することを確実にする。より薄い吸収性コア構造は、吸収性コア構造中のセルロース又はセルロース繊維の従来の使用を減らすか又は排除することによって製造することができる。これらの吸収性コア構造の力学的安定性を維持するために、場合によっては接着剤であり得る繊維化網目構造を追加して、吸収性ポリマー材料を安定化させてもよい。吸収性コアはまた、繊維化網目構造接着剤を補助するため、かつ/又は他のコア材料を互いに及び/若しくは他の物品構成要素と結合させるために、追加の接着剤を有してよい。超吸収性ポリマー材料は、第1及び第2の基材上に堆積されるか、又は関連付けられてよく、繊維化網目構造は、それぞれの第1及び第2の基材上の超吸収性ポリマー材料を覆う。
【0047】
本発明の実施形態では、繊維化網目構造は、本発明の接着剤組成物を含む。繊維化網目構造は、他の接着剤又はセルロース繊維などの他の材料を含んでよい。本発明の別の実施形態では、繊維化網目構造に使用される唯一の接着剤は、本発明の接着剤組成物である。本発明のさらに他の実施形態では、繊維化網目構造は、本発明の1以上の接着剤組成物のみからなる。本発明の一実施形態では、第1の吸収層の繊維化網目構造の少なくとも一部が、第2の吸収層の繊維化網目構造の少なくとも一部と接触するように、第1及び第2の吸収層が組み合わされ、繊維化網目構造に使用される本発明の接着剤は、2つの層に共に接着して吸収性コアを形成するのに役立つ。本発明の実施形態では、吸収性コアの第1と第2の層の両方は、それに結合する超吸収性ポリマーを有する。本発明の他の実施形態では、これらの層のうちの一方のみが、それに結合する超吸収性ポリマーを有する。
【0048】
本発明の積層体を製造する方法の別の実施形態では、主基材は吸収性コアの第1の層であり、二次基材は超吸収性ポリマーである。超吸収性ポリマーは、該接着剤組成物を塗布する前に、第1の層上に沈着されてよい。この実施形態では、該接着剤は、超吸収性ポリマーの上及び周囲に繊維化網目を形成してよく、第1の層に接着されてもよい。さらなる実施形態では、第2の層が同様に形成され、次いで、接着剤が冷却される前に、2つの層が接合されて、吸収性コアを形成する。
【0049】
本発明の態様
1.(a)本質的に非結晶の単一部位触媒化高分子量プロピレンコポリマー;
(b)半結晶の単一部位触媒化低分子量プロピレンコポリマー;及び
(c)ポリイソブテン;
を含むホットメルト接着剤組成物であって、粘着付与剤を含まないホットメルト接着剤組成物。
【0050】
2.該高分子量プロピレンコポリマーが、少なくとも約80,000g/モル、好ましくは少なくとも約95,000g/モル、及び最も好ましくは少なくとも約105,000g/モルの重量平均分子量を有し、最大で約20J/g、好ましくは最大で約15J/g、及び最も好ましくは最大で約10J/gの融解熱を有し、並びに
該低分子量プロピレンコポリマーが、最大で約60,000g/モル、好ましくは最大で約40,000g/モル、及び最も好ましくは最大で約30,000g/モルの重量平均分子量を有し、少なくとも約20J/g、好ましくは少なくとも約25J/g、及び最も好ましくは少なくとも約30J/gの融解熱を有する、態様1に記載の組成物。
【0051】
3.該高分子量プロピレンコポリマーが、約5未満、好ましくは約4未満、及び最も好ましくは約3未満の多分散性指数を有し;並びに
該低分子量プロピレンコポリマーが、約5未満、好ましくは約4未満、及び最も好ましくは約3未満の多分散性指数を有する、態様1又は2に記載の組成物。
【0052】
4.該高分子量プロピレンコポリマーが、プロピレンと、エチレン及びC~C12アルキレン、好ましくはエチレンからなる群から選択されるコモノマーとのコポリマーであり、並びに
該低分子量プロピレンコポリマーが、プロピレンと、エチレン及びC~C12アルキレン、好ましくはエチレンからなる群から選択されるコモノマーとのコポリマーである、態様1~3のいずれかに記載の組成物。
【0053】
5.該ポリイソブテンが、少なくとも約750g/モル、好ましくは少なくとも約900g/モル、より好ましくは少なくとも約1,500g/モル、及び最も好ましくは少なくとも約2,000g/モルの数平均分子量を有する、態様1~4のいずれかに記載の組成物。
【0054】
6.該高分子量プロピレンコポリマーが、該組成物の全重量に基づいて、約10重量%~約60重量%、好ましくは約20重量%~約50重量%、及び最も好ましくは約25重量%~約40重量%の量で存在し;
該低分子量プロピレンコポリマーが、該組成物の全重量に基づいて、約3重量%~約40重量%、好ましくは約4重量%~約30重量%、及び最も好ましくは約5重量%~約20重量%の量で存在し;並びに
ポリイソブテンが、該組成物の全重量に基づいて、約5重量%~約50重量%、好ましくは約10重量%~約40重量%、及び最も好ましくは約15重量%~約30重量%の量で存在する、態様1~5のいずれかに記載の組成物。
【0055】
7.1-ブテン系コポリマーのポリマーをさらに含む、態様1~6のいずれかに記載の組成物。
【0056】
8.該1-ブテン系コポリマーが、ブテン-エチレンコポリマーを含む、態様7に記載の組成物。
【0057】
9.該1-ブテン系コポリマーが、最大で約0.907g/cm、好ましくは最大で約0.905g/cm、より好ましくは最大で約0.900g/cm、及び最も好ましくは最大で約0.895g/cmの密度を有する、態様7又は8のいずれかに記載の組成物。
【0058】
10.該1-ブテン系コポリマーが、該組成物の全重量に基づいて、約5重量%~約40重量%、好ましくは約7重量%~約30重量%、及び最も好ましくは約10重量%~約25重量%の量で存在する、態様7~9のいずれかに記載の組成物。
【0059】
11.可塑剤をさらに含む、態様1~10のいずれかに記載の組成物。
【0060】
12.該可塑剤が、鉱油及び合成ポリ-アルファオレフィン油及びそれらの混合物からなる群から選択される、態様11に記載の組成物。
【0061】
13.該可塑剤が、該組成物の全重量に基づいて約5重量%~約60重量%、好ましくは約10重量%~約50重量%、及び最も好ましくは約15重量%~約40重量%の量で存在する、態様11又は12に記載の組成物。
【0062】
14.該組成物が、非結晶のポリアルファオレフィンを含まない、態様1~13のいずれかに記載の組成物。
【0063】
15.該組成物がワックスを含まない、態様1~14のいずれかに記載の組成物。
【0064】
16.該高分子量プロピレンコポリマーの分子量が、該低分子量プロピレンコポリマーの分子量の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍、及び最も好ましくは少なくとも4倍である、態様1~15のいずれかに記載の組成物。
【0065】
17.該低分子量プロピレンコポリマーの融解熱が、該高分子量プロピレンコポリマーの融解熱の少なくとも2倍、好ましくは少なくとも3倍、及び最も好ましくは少なくとも4倍である、態様1~16のいずれかに記載の組成物。
【0066】
18.該組成物の粘度が177℃(350°F)で最大で約17,500センチポアズ(cP)、好ましくは177℃(350°F)で最大で約15,000センチポアズ(cP)、及び最も好ましくは177℃(350°F)で最大で約12,500センチポアズ(cP)である、態様1~17のいずれかに記載の組成物。
【0067】
19.酸化防止剤をさらに含む、態様1~18のいずれかに記載の組成物。
【0068】
20.該組成物が、少なくとも約350%、好ましくは少なくとも約400%、及び最も好ましくは少なくとも約450%の破断伸びを有する、態様1~19のいずれかに記載の組成物。
【0069】
21.該組成物が、少なくとも約0.4MPa、好ましくは少なくとも約0.5MPa、及び最も好ましくは少なくとも約0.6MPaの降伏応力を有する、態様1~20のいずれかに記載の組成物。
【0070】
22.該組成物が、少なくとも30%、好ましくは少なくとも約40%、及び最も好ましくは少なくとも約45%の応力保持を有する、態様1~21のいずれかに記載の組成物。
【0071】
23.該組成物が、177℃で少なくとも3日間にわたって約90%超、好ましくは少なくとも3日間にわたって約95%超、及び最も好ましくは少なくとも5日間にわたって約90%超保持される粘度を有する、態様1~22のいずれかに記載の組成物。
【0072】
24.積層体を製造する方法であって、
態様1~23のいずれかのホットメルト接着剤組成物を主基材に溶融状態で塗布する工程;及び
二次基材を該接着剤組成物と接触させることにより、二次基材を主基材に接合する工程、
を含む、方法。
【0073】
25.該主基材が吸収性コアの第1の層を含み、該二次基材が該吸収性コアの第2の層を含み、該第1の層又は該第2の層の少なくとも一方が、それに結合する超吸収性ポリマーを有する、態様24に記載の方法。
【0074】
26.第1の層と第2の層とを含む吸収性コアであって、該第1の層及び該第2の層の少なくとも一方が、超吸収性ポリマーを含み、該第1の層及び該第2の層が、態様1~23のいずれかに記載のホットメルト接着剤組成物によって互いに接着され、該接着剤組成物が、該吸収性コア内で該超吸収性ポリマーを接着する、吸収性コア。
【0075】
27.態様26に記載の吸収性コアを含む使い捨て衛生用品。
【0076】
実施例
本発明を、以下に示す実施例によってさらに説明する。ホットメルト接着剤を調製するために、全ての成分を単層アルミニウムパイント缶で秤量し、窒素ブランケット(5scfh)下で177℃に加熱した。オーバーヘッドミキサー中のダブルブレードインペラーでアルミニウム缶内に入れ、ポリマーが十分に動くまで25rpmで攪拌した。次いで、混合物が均質で一定温度になるまで、速度を50rpmに上昇させた。混合物が均質に見え、ポリマーからの凝集物が見えなかった時を、配合が完了したとみなした。次いで、この配合物を用いて粘度、引張特性を試験し、及び/又は最終性能試験用の積層体を作製した。システムの適合性が優れていることにより、全混合時間を妥協することなく、全ての成分を一緒に入れることが可能になった。この適合性及び安定性により、177℃で数日間たっても粘度を維持することができる非常に耐熱性のシステムが作られた。
【0077】
下記及び表1~3に列挙した成分を使用して接着剤を作製した。与えられた原料について列挙した数値は重量%であり、100%に等しくなければならない。
【0078】
Calsol 5500は、Calumet Specialty Productsから入手可能なナフテン系プロセスオイルである。
【0079】
Indopol H-1900は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて供給業者(Ineos Capital Ltd)によって決定された数平均分子量が2,500g/モルの利用可能なポリイソブテンオリゴマーであり、本明細書で作製したポリイソブテンの数平均分子量への言及は全て同じ方法に基づく。
【0080】
Indopol H-100は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて供給業者(Ineos Capital Ltd)によって決定された数平均分子量が910g/モルの利用可能なポリイソブテンオリゴマーである。
【0081】
Irgafos 168は、BASF Chemicalsから入手可能なトリス(2、4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェートであり、酸化防止剤として使用される。
【0082】
Irganox 1010は、BASF Corpから入手可能なペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)であり、酸化防止剤として使用される。
【0083】
Koattro PB M 1200Mは、LyondellBasell Industries Holdingsから入手可能である密度0.908g/cm3(ISO 1183-1に準拠して供給業者により試験された)の1-ブテンコポリマーである。
【0084】
Koattro PB M 1500Mは、LyondellBasell Industries Holdingsから入手可能である密度0.890g/cm3(ISO 1183-1に準拠して供給業者により試験された)の1-ブテンコポリマーである。
【0085】
ExxonMobil Chemical Company,Houston,TXから入手したVistamaxx 6502は、約13重量%のエチレンコモノマーを含み、80,000g/モル超の重量平均分子量(Mw)、0.865g/cmの密度(ASTM D1505を用いて供給業者によって報告された)を有する本質的に非結晶のポリ(プロピレン-コ-エチレン)である。
【0086】
ExxonMobil Chemical Company,Houston,TXから入手したVistamaxx 8380は、低分子量の低粘度ランダムプロピレン-エチレンコポリマーである。それは、約12重量%のエチレンコモノマー、60,000g/モル未満の重量平均分子量(Mw)及び0.864g/cmの密度(供給業者によって報告された)を有する。
【0087】
ExxonMobil Chemical Company,Houston,TXから入手したVistamaxx 8880は、約6重量%のエチレンコモノマーからなる半結晶の低分子量プロピレンコポリマーであり、60,000g/モル未満の重量平均分子量(Mw)及び0.879g/cmの密度(供給業者によって報告された)を有する。
【0088】
粘度は、163、177及び190℃で、スピンドル27でASTM D3236に準拠して測定した。スピンドル速度を、パーセントトルクが45%~90%であるように調節した。粘度は、接着剤をNordson Signature(商標)低フローノズルを用いて5gsmで噴霧したときに、10~60μmの繊維直径をもたらすのに十分な低さであるべきであった。
【0089】
引張試験用のドッグボーンは、溶融した接着剤をシリコーン型に注入することにより作製され、その結果、全体のドッグボーンの長さは3.5”×1.0”であり、型と同一平面上にある時に、厚さは0.125”であった。ドッグボーンの試験領域は0.5”×0.5”であった。ドッグボーンの厚さは可能な限り0.125”に近くなるように、ホットスパチュラを用いて、シリコーン型から過剰な接着剤を掻き取った。試料を室温まで少なくとも12時間冷却させた後、破断伸び、最大応力、及び他の力学的試験に関して試験した。ドッグボーンの頂部及び底部をインストロン引張試験機にクランプし、0.5”×0.5”試験領域のみを露出させた。プル速度は2”/分であり、検体が破壊されるまで継続した。破断伸び及び最大応力は、インストロン(Instron)で利用可能なBlueHill3ソフトウェアにおいて自動的に計算した。最初の長さで割った、最終の長さと最初の長さとの差に基づくパーセンテージとして、破断伸びを記録し、接着剤がSAP粒子の膨潤からの伸びに耐えることができるかどうかを決定した。目標は、接着剤に約475%以上の伸びを維持させることであった。また、所定の伸びで保持したときに、経時的に良好な応力保持を有することも必要であると考えられた。伸び値は300%であり、0.5”の初期試験の高さは、インストロンのジョーが合計で2”離れるまで(2”/分で)伸びることを意味する。300%に達した際の応力又は荷重値を記録する。次いで、最終的な応力又は荷重値が記録される前に、試験片を300%の伸びで10分間保持する。以下の表に見られる「10分、300%伸長時に保持される応力(%)」は、300%伸長時の10分保持後の応力を300%伸長時の初期応力で割って、100を掛けたものを指すので、その値を維持される応力のパーセンテージとして列挙する。この因子は、少なくとも30%、好ましくは少なくとも約40%、及び最も好ましくは少なくとも約45%又はさらに少なくとも約50%であるべきである。
【0090】
パターン品質を定性的かつ定量的に決定した。該接着剤を約190℃に加熱し、ホースを通して5gsmコート重量、200フィート/分のライン速度でSignature Low Flowノズル(Nordson Corp.)に送り込んだ。空気の流れを調整して、最小の凝集物(液滴の平均サイズの約2倍超のサイズを有するもの)又はフライアウェイ接着ストランド(定性的)を有する最も視覚的に繊維化したように見えるパターンを形成した。平均して、空気圧は約20psiであったが、これは装置の各ピースのセットアップに依存し、参照としてのみ意図される。ノズルヘッドは、33gsmスパンボンド不織布である主基材上20mmに配置した。二次基材は剥離ライナーであったので、試料をより良好に分析することができた。定性分析を顕微鏡で行って、スプレー塗布中に生成された繊維の直径を決定した。目標は、60μm未満、好ましくは30μm未満の繊維直径を生成することであった。接着剤の引張特性は、繊維径の関数であるので、所望の繊維径は、接着剤配合、所望の特性、及び他の条件に依存して変化し得る。
【0091】
約150gの接着剤を8オンスのガラスジャーに注ぎ、蓋を緩く固定することによって熱安定性を決定した。ジャーを高温、すなわち177℃のオーブンに入れた。ジャーをオーブンから毎日取り出して、不適合性を示唆する黒焦げ又はゲル化を観察した。さらに、接着剤の10gスラグをジャーから毎日注ぎ、粘度保持を決定した。所定の温度の粘度を熱老化前の初期粘度で割り、100を掛けることによって粘度保持を計算する。好ましくは、保持される粘度は、少なくとも3日間にわたって85%超である。理想的には、保持される粘度は、少なくとも3日間又はさらに少なくとも5日間にわたって90%超である。
【0092】
【表1】
【0093】
表1は、ポリイソブテン(PIB)成分及び任意選択のブテンに富むポリマーの重要性を実証する。実施例2は、ブテンに富むコポリマーは任意選択であるが、実施例1に示される粘度を低下させ、伸び及び保持される応力を増加させるので含めることが好ましいことを示す。比較例1(CE1)では、ナフテン油のみを使用すると、300%伸長で保持される間に結果として失敗した破断時の許容できない低い伸びを示す接着剤が得られる。PIBを含有する本発明の実施例1及び2は、525%超の破断伸びを有し、300%伸長時、10分後にその元の応力の約50%超を保持した。低分子量PIBを含有する実施例3は、300%伸長時の10分後に約35%の応力を保持し、破断伸びは463%であった。本発明の全ての実施例は、少なくとも0.61MPaの最大応力を有していた。さらに、実施例1及び2は、望ましくは、5gsmが190℃で適用されたときに、17μmの平均繊維直径をもたらした。
【0094】
【表2】
【0095】
表2は、高分子量プロピレンコポリマー成分の役割を実証する。比較例3(CE3)は、高分子量成分を追加の低分子量成分と置換する。高分子量成分の喪失により、破断伸びが劇的に減少し、300%伸長時の10分後に保持される応力が完全に失われる。
【0096】
【表3】
【0097】
比較例4(CE4)は、比重0.908g/cmのブテンに富むコポリマーを含有する。生じた配合物は、部分的に不適合となり、破断伸びが急速に減少し、300%伸長時の10分後に保持される応力が完全に失われる。
【0098】
【表4】
【0099】
表4は、177℃のオーブンに長期間置いたときの粘度保持を介した優れた熱安定性を実証する。理想的には、ホットメルト接着剤は、必要とされる期間だけ加熱されるが、場合によっては、数時間から数日、溶融状態のままであり得ることがある。例えば、生産ラインが問題を有している場合には、ラインが再び稼働するまで、接着剤を溶融状態で保持することができた。さらに、いくつかの製造業者は、週末にかけて製品を生成せず、場合によっては、ラインを再開始する際に接着剤が再溶融するのを待つ必要がないように、溶融タンクを残すことがある。したがって、これらの状況を可能にするために、優れた熱安定性を有する接着剤を有することが有利である。好ましくは、該ホットメルト組成物は、高温で保持される粘度を少なくとも約3日間にわたって約85%超、好ましくは少なくとも約3日間にわたって約90%超、及び最も好ましくは少なくとも約5日間にわたって約90%超有する。
【0100】
値の範囲が提供される場合には、その範囲の上限と下限の間の各介在値、及び介在値の任意の組み合わせ又は部分組み合わせ並びにその規定範囲内の任意の他の規定値若しくは介在値は、列挙される値の範囲内に包含されることが理解される。加えて、本発明は、その構成要素の第1の範囲の下限及び第2の範囲の上限である構成要素の範囲を含む。
【0101】
特に限定されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で具体的に言及した全ての刊行物及び特許は、本発明に関連して使用される可能性のある刊行物に報告されている化学物質、器具、統計分析及び方法を記載し、開示することを含む全ての目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書で引用される全ての参考文献は、当業者のレベルを示すものとして解釈されるべきである。本明細書におけるいかなるものも、本発明が、先行発明よる開示に先行する権利を有さないことを認めるものとして解釈すべきではない。
【0102】
特定の具体的な実施形態を参照して本明細書で説明及び記載されるが、本発明は、それにもかかわらず、示される詳細に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明の趣旨から逸脱することなく、特許請求の有効範囲及びその等価物の範囲内で詳細に様々な変更がなされ得る。
【国際調査報告】