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特表2023-501803体外診断装置の操作を証明するための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-19
(54)【発明の名称】体外診断装置の操作を証明するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
G01N35/10 G
G01N35/10 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528333
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(85)【翻訳文提出日】2022-07-08
(86)【国際出願番号】 IB2020060684
(87)【国際公開番号】W WO2021094988
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】102019000021264
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】522190225
【氏名又は名称】マクス エス. アール. エル.
【氏名又は名称原語表記】MACS S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100080230
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 詔二
(72)【発明者】
【氏名】ユージェニー、アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】カステロ、マルコ
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058ED36
2G058GB03
2G058GB06
(57)【要約】
体外診断装置(50)の操作を証明するための装置(100)は、チップ(51)の複数のフレームを捕捉するためのブロック(101)と、複数のフレームを格納するためのブロック(102)と、体外診断装置(50)に対するチップ(51)の正しいフッキングを評価するためのブロック(103)と、チップ(51)に含まれる液体の容積を評価するためのブロック(104)と、液体を分注する操作の前に検証を実行するためのブロック(105)と、分注後検証を実行するためのブロック(106)と、電子信号を発するためのブロック(107,108)と、エラーを管理するためのシステムを統合するためのブロック(109)と、データを保存するためのブロック(110)と、体外診断装置(50)と通信するためのブロック(111)とを備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともチップ(51)をフッキングし、液体を汲出し及び分注する操作を含むワークセッションを有する、体外診断装置(50)の操作を証明するための装置(100)であって、
-前記装置(100)が固定される前記体外診断装置(50)の前記チップ(51)の複数のフレームを捕捉するためのブロック(101);
-前記ワークセッション、吸引及びピペッティングのチャネル、及び前記フレームが参照するピペッティングサイクルのベースに分割された前記ブロック(101)によって捕捉された複数のフレームを格納するためのブロック(102);
-前記体外診断装置(50)への前記チップ(51)の正しいフッキングを評価するためのブロック(103);
-前記チップ(51)に含まれる液体の容積を評価するためのブロック(104);
-予想される容積を検証するためのブロックと、前記チップ(51)の存在を検証するためのブロックとを備え、前記チップ(51)に含まれる液体を分注する操作の前に検証を実行するためのブロック(105);
-前記チップ(51)の存在を検証するためのブロックと、分注された液体の容積を評価するためのブロックとを含む、分注後検証を実行するためのブロック(106);
-液体を汲出す操作の確認を信号で知らせることができる電子信号を発するためのブロック(107);
-液体を分注する操作の確認の信号を送ることができる電子信号を発するためのブロック(108);
-前記体外診断装置(50)を制御するためのソフトウェアプログラムによってエラーを管理するためのシステムを統合するためのブロック(109);
-単一のワークセッションに関する操作の証明に関連するデータを保存するためのブロック(110);
-通信チャネルによって前記装置(100)を管理するために前記体外診断装置(50)と通信するためのブロック(111);
を含み、
前記ブロック(103)が、前記チップ(51)の存在を検証するためのブロックと、前記チップ(51)のクリーニングを検証するためのブロックと、前記チップ(51)の寸法、角度、及びピックアップを検証するためのブロックと、を備えることを特徴とする体外診断装置(50)の操作を証明するための装置(100)。
【請求項2】
複数のフレームを捕捉するための前記ブロック(101)が、時間tで前記チップ(51)をピックアップし、時間t>tで血清又は試薬を汲出し、時間t>tで血清又は試薬を分注し、そして時間t>tで前記チップ(51)を落とすようにした、所定の各時間でフレームを捕捉することができる少なくとも1台のカメラを備えることを特徴とする請求項1に記載の体外診断装置(50)の操作を証明するための装置(100)。
【請求項3】
複数のフレームを取り込むための前記ブロック(101)が、ワークセッション全体を撮影し、その映像を保存することができる少なくとも第2のカメラを備えることを特徴とする請求項1に記載の体外診断装置(50)の操作を証明するための装置(100)。
【請求項4】
前記チップ(51)に含まれる液体の容積を評価するための前記ブロック(104)が、前記チップ(51)の存在を検証するためのブロックと、前記チップ(51)内の液体の存在を検証するためのブロックと、前記チップ(51)内の液体の容積及び異常を評価するためのブロックと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の体外診断装置(50)の操作を証明するための装置(100)。
【請求項5】
前記チップの捕捉されたフレーム及び前記装置(100)の予想される数値を示すことができるディスプレイを備えるインターフェースと、光学的又は音響的警告信号を発する手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の体外診断装置(50)の操作を証明するための装置(100)。
【請求項6】
-前記ブロック(101)を介して前記チップ(51)の複数のフレームを捕捉する工程;
-前記複数のフレームのデジタル署名を添付する工程;
-前記体外診断装置(50)によってなされた前記チップ(51)のピックアップを検証し、前記ピックアップが適合していない場合に第1の警告信号を発する工程;
-前記チップ(51)の寸法を検証し、前記チップ(51)が適合していない場合に第2の警告信号を発し、逆にデータを分類し、格納する工程;
-前記チップ(51)のピックアップの正しい位置及び角度を検証し、ピックアップの位置又は角度が前記装置(100)の所定の値に適合しない場合に第3の警告信号を発する工程;
-前記チップ(51)のスリップの可能性を検証し、前記チップ(51)がスリップした場合に第4の警告信号を発する工程;
-液体の汲出しの操作の後に、前記装置(100)によって捕捉されたフレームの処理に基づいて前記チップ(51)の吸引量を確認し、所定の値に一致しない場合に第5の警告信号を発する工程;
-前記チップ(51)内に収容された液体を分注する操作の後に、前記装置(100)によって捕捉されたフレームの処理に基づいて、前記チップ(51)内に収容された液体の分注の発生を検証し、前記チップ(51)内で検出された液体の容積が所定の値に適合しない場合に第6の警告信号を発する工程;
-人工知能システムと画像解析によって凝血の存在を検証し、凝血が検出された場合には第7の警告信号を発する工程;
-人工知能システム及び画像解析によって泡の存在を検証し、泡が検出された場合に第8の警告信号を発する工程;
を含み、
-第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び第8の警告信号のうちの1つ又は複数は、前記装置(100)によって発せられる光信号であり;
-第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び第8の警告信号のうちの1つ又は複数は、前記装置(100)によって発せられる音声信号である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の装置(100)によって体外診断装置(50)の操作を証明するための方法(200)。
【請求項7】
捕捉処理に関連する日時、装置ID、操作に関連する器具のIDと共に捕捉された複数のフレームを格納する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の体外診断装置(50)の操作を証明する方法(200)。
【請求項8】
機器制御システムと通信するステップを含み、
当該機器制御システムが、
-前記装置(100)の構成のためのコマンドの受信;
-機能起動コマンドの受信;
-捕捉されたフレームの要求に対するコマンドの受信;
-ステータス要求コマンドの受信;
-フレームの解釈要求コマンドの受信;
-フレームの捕捉の管理;
-フレームの確認;
-パターンの識別と評価の後続の活動を可能にするための画像解析の操作の実行;
-前記チップ(51)の存在、液体の存在、泡又は気泡の存在の識別;
-前記チップ(51)の長さ;及び前記チップ(51)内に存在する容積の物理的パラメータに関する評価の実施、及び関連する予想数値の前記装置(100)への送信;
を含むことを特徴とする請求項6に記載の体外診断装置(50)の操作を証明する方法(200)。
【請求項9】
-前記ブロック(101)によって捕捉された複数のフレームを前処理する工程であって、フレームに対応する画像をグレースケールに変換する工程と、前記設定された関心領域(ROI)の周囲で前記画像をセグメント化する工程と、前記画像のノイズをフィルタリングして前記ノイズを低減する工程と、前記画像をより均一にするためにガウシアンバイラテラルフィルタを行う工程と、を含む工程;
-進行中の検証工程に基づいて特定の特徴を処理し抽出する工程;
を含むことを特徴とする、請求項6に記載の体外診断装置(50)の操作を証明する方法(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体外診断装置の操作を証明するための装置に関する。
【0002】
本発明はまた、体外診断装置の操作を証明するための方法に関する。
【0003】
特に、本発明は、流体の吸引及び分注を意図した装置に適用可能なタイプの体外診断装置の操作を証明するための装置及び方法に関する。
【0004】
診断分野では、体外で解析を実施するのに有用な様々な診断システム、及び診断装置の正しい操作を検証するのに有用なシステム及び方法が知られている。
【0005】
第1の例は特許文献1であり、これは、診断装置の適切な機能を決定又は検証するための方法を記載する。方法は1つ以上の容器の全投薬成分の吸引、分注、及び/又は容積充填を決定するために、1つ以上の撮像デバイスを用いて、1つ以上の位置を監視することを含む。また、チップの深度及びダイブ位置を測定及び/又は検証することができる。
【0006】
代わりに、特許文献2には、実験室での実験を管理するための管理システムが記載されている。このシステムは、実験に関連する状態を検出するカメラと、実験の状態に関連するデータ収集装置と、インターネットネットワークを介して前記カメラによって収集された画像及び収集されたデータを遠隔監視端末に送信する送信機とを備える。前記データ収集装置は、判定部と、当該判定部が変化を検出したときにトリガ信号を生成し、その結果をリアルタイムで監視端末に送信する信号生成部とを用いる。
【0007】
しかしながら、ここで説明したようなシステムは、液体が注入される管を画像化しそしてチップの代わりに画像化しないカメラを使用するという問題を抱えており、それによって計測は間接的な計測である。実際、吸引された容積は、以前に存在した容積と吸引後に存在した容積との間の差として測定される。分注された容積は、容積間の差と同様に測定される。従って、マイクロリットルに等しい感度及び解像度に達することは不可能であり、有効で信頼性のある解決策が度々必要となる。これらの場合、液体が吸引されるか又は液体が注入される容器(試料の場合には試験管、又は試薬の場合には瓶)の完全な特徴付けを行うことも必要である。その代わりに、チップのみを特徴付けることは、はるかに単純かつ安価である。さらに、公知技術のシステム及び方法は、実験室解析の分野と比較して診断結果を保証しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US 2016291049 A1
【特許文献2】JP 2003092749 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、単純かつ経済的な体外診断装置の操作を証明するための装置及び方法であって、診断結果の保証を提供し、したがって、診断解析機械の操作を保証する既存の装置及び方法の限界を克服するような特徴を有する装置及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、請求項1に規定されるように、体外診断装置の操作を証明するための装置が提供される。
【0011】
本発明によれば、請求項7に規定されるように、体外診断装置の操作を証明するための方法も提供される。
【0012】
本発明をより良く理解するために、添付の図面を参照して、純粋に非限定的な例として、好ましい実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明による体外診断装置の操作を証明するための方法のフレームを格納するための方法の概略図を示す。
図2】本発明による体外診断装置の操作を証明するための方法のブロック図を示す。
図3】本発明による体外診断装置の操作を証明するための方法の詳細なブロック図を示す。
図4】本発明による体外診断装置の操作を証明するための装置のブロック図を示す。
図5】本発明による体外診断装置の操作を証明するための装置の概略図を示す。
図6】本発明による体外診断装置の操作を証明するための装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図5を参照すると、体外診断装置の操作を証明するための装置が示されている。
【0015】
前記装置100は以下を含む:
-前記装置100が取り付けられるか又は一体化される前記体外診断装置50(IDV)の前記チップ51の複数のフレームを捕捉するためのブロック101;
-前記ワークセッション、吸引及びピペッティングチャネル、及び前記フレームが参照するピペッティングサイクルのベースに分割された前記ブロック101によって捕捉された複数のフレームを格納して、最終的な将来の相談を可能にするするためのブロック102;
-クリーニングをチェックするためのブロック、前記チップ51のサイズ、角度、及びグリップの検証のためのブロックによって、存在、クリーニング、サイズ、及び位置(角度及びグリップ)に関して、前記チップ51の前記体外診断装置50への正しいフッキングを評価するためのブロック103;
-前記チップ51の存在ブロックの検証、前記チップ51の内部の液体の存在の検証のブロック、前記チップ51の内部の液体の容積及び異常を評価するためのブロックによって、チップの存在、液体の存在、気泡もしくは泡の存在又は粒子状物質、フィブリン、他の異物の存在などの、前記チップ51の内部の液体の容積及び異常の評価のために、チップの存在、液体の存在に関して、前記チップ51の内部に存在する液体の容積を評価するためのブロック104;
-予想される容積の存在を検証するためのブロックと、前記チップ51の存在を検証するためのブロックとを含む、前記チップ51に含まれる液体の分注の最初の検証の実行のためのブロック105;
-前記チップ51の存在を検証するためのブロックと、分注された液体の容積を評価するためのブロックとを含む、分注後検証を実行するためのブロック106;
-液体を汲出す操作の確認を信号で知らせることができる電子信号を発するためのブロック107;
-液体を分注する操作の妥当性確認の信号を送ることができる電子信号を発するためのブロック108;
-前記体外診断装置50を制御するためのソフトウェアプログラムによってエラーを管理するため及びシステムを統合するためのブロック109;
-単一のワークセッションに関するワークの保証に関連するデータを保存するためのブロック110;
-RS485、RS232、CAN、Wifi、イーサネット(登録商標)、ZigBee、Bluetooth(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)LowEnergy(登録商標)の中から選択されるべき通信チャネルによって前記装置100を管理するため及び前記体外診断装置50と通信するためのブロック111。
【0016】
加えて、本発明の一態様によれば、前記装置100は次のフェーズに対応して、前記診断装置50の前記チップ51の画像を取得するためのカメラを備えている。即ち、時間tに対応するチップ51のグリップ、時間t>tに対応する血清又は試薬の吸引、時間t>tに対応する血清又は試薬の分注、及び時間t>tに対応するチップ51のリリースである。
【0017】
本発明の一態様によれば、前記装置は、上述の操作を実行するための単一のカメラを備える。
【0018】
本発明の別の態様によれば、前記装置は全体のワークセッションを記録し、ビデオを格納し、前記診断装置の「ブラックボックス」を構成するように構成された第2のカメラを備える。
【0019】
本発明の別の態様によれば、前記装置100は、前記機械50 IDVのワーク面に向けて配向された第3のカメラを備えており、当該機械は、当該機械がそこに分注しなければならないウェルの上に、又は当該機械がそこから吸引しなければならないボトル及びチューブの上方に、及び当該機械がフッキングしなければならないチップ上に、正確に当該機械の位置決めを保証するタスクを有している。
【0020】
本発明の一態様によれば、前記第3のビデオカメラは、前記ウェル上方の正確な位置決めをガイドするような情報及び表示をIDV機械に提供するようになっている。
【0021】
本発明の一態様によれば、チップ51の複数のフレームを取得するために前記ブロック101によって取得された画像の処理は、分類アルゴリズム、人工知能、及びデータ符号化によって実行することができ、これらは、以下のステージを含む:
-取得ブロック101によるチップ51の複数のフレームの取得すること;
-前記複数のフレームのデジタル署名を挿入すること;
-前記機械50による前記チップ51のグリップをチェックすること;
-前記チップ51の寸法をチェックすること;
-前記チップ51の位置とグリップ角度をチェックすること;
-前記チップ51のなんらかのロスをチェックすること;
-前記チップ51の吸入量を確証すること;
-前記チップ51内の液体が分注されたことをチェックすること;
-凝血をチェックすること;
-泡の有無をチェックすること。
【0022】
使用時には、体外診断解析機械50のワークセッション中に取得された画像は関連情報(特に、日付及び時刻、装置のID、器具のID)及び前記装置によって実行される操作及びコマンドに関する関連情報ログとともに格納される。
【0023】
セッション中に遭遇した問題又はエラー信号の場合、画像を調べることができ、そしてこの画像は問題の原因を識別するために解析操作中に何が起こったかを理解するための貴重な情報を提供する。フレームの獲得は、コードIDとデジタル署名をもつワークセッションのすべての最も洗練されたフェーズの間に、それらを当該セッションに独自にリンクさせ、そして全体の手続きが正しく実行されたことを検証するために、前記装置が実行していた特定の操作が有用であるようにする。
【0024】
これらのフレームは前記装置100に格納され、そしてオペレータが容易に調べることができるが、デジタル署名はそれらを変更することを不可能にする。
【0025】
前記装置100は、前記機械50が前記チップ51を取り出したときにフレームを取得し、前記チップ51が取り出されたことをチェックし、そして情報は分類されて格納される。当該検証が否定的な結果を与える場合、又は前記診断機械がチップをとることを試みていない場合、前記装置100は、チップがないことをオペレータに知らせるようになっている第1のエラー信号を発する。
【0026】
前記チップ51の寸法を検証する工程の間、また、前記装置100は、前記チップ51が実行されている解析プロトコルに従っているかどうかをチェックする。当該検証が肯定的な結果を与える場合、即ち、前記チップが準拠している場合、前記装置100は情報を分類し、それを格納する。取り込んだチップが予期されたものでなかった場合、前記装置100は第2のエラー信号を発し、前記機械が行った誤操作をオペレータに知らせるようになっている。
【0027】
前の操作に加えて、前記装置100は、前記チップの位置及びグリッピング角度が最適なものであるかどうかをチェックすることができる。方法200は、前記チップ51の正しい位置決め及びグリッピング角度を検証する工程を含む。この検証が肯定的な結果を与える場合、又はこの情報が装置100に予め設定された規格を反映する場合には、この情報は分類され、格納される。そうでない場合、前記装置は第3のエラー信号を発し、グリッピング位置のチップが正しくないことをオペレータに知らせるようになっており、そしてそれは再び操作を実行するために必要とされるものである。
【0028】
前記チップ51の漏れを検証する工程では、各取得時に、機械50のピペッティングチャネルに載置された前記チップ51の存在がチェックされる。その検証が失敗した場合、即ち、チップの不在が検証された場合、前記装置は第4のエラー信号を発し、オペレータは、当該機械診断が実行された誤操作を知らされる。
【0029】
前記チップ51の吸入量を確認するフェーズでは、前記装置100がソースから液体を吸入するための操作を行った後に前記チップ51の画像を取得し、フレームを処理し、前記チップ内に含まれる液体の容積に関する表示を提供する。その検証が失敗した場合、即ち、前記チップ51内に存在する容積が分注操作を実行するために必要な容積に対応しない場合、前記装置100は第5のエラー信号を発し、それによって、オペレータは、その機械が実行した誤った操作を知らされる。
【0030】
発生した分注を検証するフェーズにおいて、ウェル内の液体を分注するための操作が実行された後に、前記装置100は前記チップ51の画像を取得し、フレームを処理し、前記チップ内に含まれる液体の容積に関する表示を提供する。このことが起こらない場合、又は前記上記チップ内に存在する容積が予想される残留容積に対応しないことが判明した場合、前記装置100は第6のエラー信号を発し、これによって、オペレータは、前記機械が操作したという誤操作を知らされる。
【0031】
凝血の存在をチェックするフェーズは実行される。何故なら、凝血の存在が前記チップのスロットを塞ぎ、そして分注を無効にするからである。人工知能システム及び画像解析は、吸引されたサンプル又は試薬の完全性及び均一性を解析することを可能にする。この検証が失敗した場合、又は吸引された液体内の凝血の存在が識別された場合、装置100は第7のエラー信号を発し、これによって、オペレータは、前記機械が実行した誤った操作を知らされる。
【0032】
試薬中の泡の存在が、一貫性のない容積の吸引をもたらす機械のレベルを探索するためのシステムをだますことが出来るので、泡又は気泡の同定のフェーズが実行される。人工知能及び画像解析システムは、吸引された液体の均質性の解析を可能にする。この検証が失敗した場合、又は吸引された液体内の泡又は気泡の存在が同定された場合、前記装置100は第8のエラー信号を発し、これによって、オペレータは、機械が操作したという誤った操作を知らされる。
【0033】
本発明の一態様によれば、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び第8のエラー信号のうちの1つ又は複数は、前記装置100によって発せられる光信号である。
【0034】
本発明の一態様によれば、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、及び第8のエラー信号のうちの1つ又は複数は、前記装置100によって発せられる音響信号である。
【0035】
本発明の一態様によれば、前記装置100は、48V~5Vの間の供給電圧を管理することができる電源スイッチングによって給電される。
【0036】
本発明の一態様によれば、前記装置100はコンパクトであり、かつ既知の診断機械に組み込むことができる。
【0037】
本発明の一態様によれば、前記装置100は、5メガピクセル以上の解像度を有するカメラを含む。
【0038】
これらの図面、特に図2及び図3を参照すると、以下の工程を含む、体外診断装置の操作を証明するための方法200が提供される:
-吸入量を確認すること;
-吸引量を確認すること;
-凝血をチェックすること;
-泡をチェックすること;
-複数フレームを取得すること;
-複数のフレームをデジタル署名すること;
-チップ51のグリップをチェックすること;
-チップ51の大きさをチェックすること;
-チップ51の位置とグリッピング角度をチェックすること;
-チップ51のロスを識別すること。
さらに、方法200は機械50を制御するためのシステムと通信する工程を含み、この工程は、以下の複数の工程を含む:
-前記装置100の構成のためにコマンドを受信すること;
-機能起動コマンドを受信すること;
-取得したフレームを要求するコマンドを受信すること;
-ステータス要求のコマンドを受信すること;
-フレームの解釈要求のコマンドを受信すること;
-フレームの獲得を管理すること;
-フレームを保証すること;
-識別及び推定におけるパターンの後続するアクティビティを可能にする画像(前処理、セグメンテーション等)を解析する操作を実行すること;
-チップの存在、液体の存在、チップの縁部に存在する容積を識別すること;
-物理的パラメータ(チップの長さ;チップの現在の容積)に関する推定を実行すること。
【0039】
図1を参照すると、方法200のブロック図において、示される頭字語は以下の意味を有する:
・SID=セッションID(session ID):解析セッションの独自の識別キー;
・CH1..CHN=チャネル1...チャネルn°:ピペッティングチャネルを示し、各機械50は1~n°のチャネルを有することができる;
・T-ハンドル-0(T-Handle-0)...T-ハンドル-N(T-Handle-N)=チップハンドル0(Tip Handle 0)...チップハンドルn°(Tip Handle n°):チップオブジェクト51の独自の識別子を示し、各ピペットチャネルを用いて、0~n°のチップ51を取得することが可能である;
・Bk=背景(background):チップ51をフッキングする前の画像;
・Tip(チップ)=tip(チップ):チップ51をグリッピングした直後の画像;
・S-ハンドル-0(S-Handle-0)...S-ハンドル-N(S-Handle-N)=ソースハンドル0(source handle 0)...ソースハンドルn°(source handle n°):液体が吸入されるボトルの識別を示し、各チャネル及び各チップ51について、それらは0~n°であり得る;
・ソース(Source)=ソースボトルから液体を吸引した直後に撮影した画像;
・ドレイン0(Drain 0)...ドレインN(Drain N)=液体をウェルに分注した直後に撮影した画像。チップ51で吸引された液体は、0~n°の異なるウェル上に分注することができる。
【0040】
図3は、本発明による方法200の詳細を示す。
【0041】
特に、ワークセッションの保証のためのフレームを保存するフェーズでは、各セッションはIDによって独自に識別される。各セッション内で、N個の可能なピペッティングチャネルの各々によって実行されるワークが分割される。各ピペッティングチャネルは一度に1つのチップをフッキングすることができ、IDによって独自に識別される。この識別子は、グリッピングの瞬間からリリースの瞬間まで、チップ51の全ライフサイクルに付随する。各チップ51について、グリッピング操作の前後に画像が取得され、チップ51の存在、タイプ、及び相似性の分類解析に使用される。各チップ51はIDによって一義的に識別されるソースと呼ばれる単一の試験管から液体を汲出すことができ、ドレインと呼ばれる異なるウェル上の1つ又は複数のチップへの1つ又は複数の分注を実行することができる。ピペッティングサイクルは、1回の吸引と次の吸引との間に行われる操作として定義される。各ピペッティングサイクルについて、画像は吸引の終わりに取得され、吸引された液体の量及び均質性の正確さを検証するために処理され、各分注の終わりに画像は正確な量の液体が分注されたことを検証するために処理される。セッションの最後に、フォルダは暗号化され、今後の参照とチェックのためにアーカイブされる。
【0042】
「無効」から「準備完了」までの状態では、最初のコマンドを受信する前に、初期状態からの前記装置100がその機能のすべてのチェックが完全であることがチェックされる。このコマンド群は、それをホストする前記機械50のスイッチオン又はリセット/リスタートと同期され、従って、前記機械50は操作を開始する前に、前記装置100が準備完了位置になるのを待つ必要がない。この状態に達すると、前記装置100は機械50と同期される。状態4からの範囲の許容状態の第2のグループ、即ち、初期化されたセッションから精緻化されたチップまではチップの制御に関連するものである。前記装置は、状態6まで、ピペッターが前のサイクルのチップをまだフッキングしておらず、そして新しいチップと接続しようとしているピペッターの背景的情報の正確な取得を実行していないことをチェックした。1個のピペッター又は複数個のピペッター(体外診断機械(IVD)が支持するチャネルの数に基づく)がチップを取得すると、前記装置はこの情報を取得し、装着されたチップ51が、進行中の試験方法の現在のフェーズによって正しく予測されるものである場合には、処理に進む。前記チップ51が正しいものである場合、吸引された容積の処理の状態11から状態15に進む連続状態に移行することが可能である。これらは、チップ内の容積が試験方法で設定された容積と一致するかどうか、気泡が存在するかどうか、正しい分注を妨害し得る微粒子が存在するかどうか等をチェックするために使用される。容積チェックが実行され、当該容積が正しいものであることを前記装置が検出すると、前記装置は状態17から状態20に移動し、そこで容積が分注され、前記装置はチップに残っている容積について解析を実行する。この処理も異常を検出しなかった場合、サイクルを再び開始する前に前記機械によって許可された最後の状態はセッションクローズされる。いつでも、許容状態の1つに到達することは不可能であり、エラーが発生し、そしてシステムは再始動可能になる前に無効状態に戻る。
【0043】
前記装置100は、通信プロトコルRS485、又はRS232、ZigBee、CANを介して、前記体外診断機械50(IVD)とハードウェアレベルで通信する。具体的な操作及び処理を実行するために追加情報として渡される実装されたコマンド及び相対パラメータは、セッションID(Session ID)、ソースハンドル反復(Source Handle Iteration)、チャネルパターン(Channel Pattern)、チップハンドル(Tip Handle)、予期された容積(Expected Volume)、検出された容積(Detected Volume)である。この情報は、前記装置100と前記機械50との間で交換される。
【0044】
方法200は、人工視覚及び知能システムに基づいており、それが適用される体外診断解析機械50のワークセッションを保証する。画像を取得し、次いで前処理のフェーズが続き、特徴抽出を行い、最後に機械学習アルゴリズムを通して分類し、二次元画像から出発して三次元実世界の近似モデルを作成する。
【0045】
有利には、本発明による装置及び方法は、二次元画像の取得だけでなく、とりわけその画像の内容の解釈によって、検査技師の人の視覚から実行されるチェックを再現する。抽出される情報は、機械によって実行される操作を確認するか否かの機械による自動決定を意味する。人工視覚システムであり、それは可視光スペクトルと赤外光スペクトルの両方で画像の取得、記録、処理を可能にする光学、電子、及び機械コンポーネントの統合で構成されている。処理の結果は、チップグリップと容積、チップタイプの分類、液の濃度の選択などをチェックする目的で画像のある種の特性を認識することである。前記画像から収集されたフレームは、暗号化されたフォルダ又は暗号化されたデータベースのシステムに格納される。セッション全体に関連するデータは当該セッション全体のログファイルに添付される。前記チップ解析を実行するために、前記フレームが処理される。
以下の操作で構成される典型的な前処理フェーズがある:
-画像のグレースケールへの変換;
-設定されたROI(関心領域)の周りの画像のセグメント化;
-ノイズを低減するための前記画像のノイズフィルタリング(ノイズ除去);
-図形のエッジのコントラストを変更することなく、画像をより均一にするためのバイラテラルガウシアンフィルタリング。
この予備処理フェーズの後に、実行されている処理の目的に基づいて、特徴の特定の処理及び抽出フェーズが続く。具体的には、有無の認識、及び、チップの類型に関して、その目的は背景画像として使用されるチップグリップのフェーズの直前に撮影された画像との比較から得られる、画像内のオブジェクトの存在及びその寸法を特徴付ける特徴を抽出することである。参照されるメトリックのいくつかは次の通りである:
・画像と背景との間の数理的比較の結果;
・画像と背景との間の構造的類似性の指標;
・画像と背景との間の比較における平均二乗誤差;
・画像内のオブジェクト検出アルゴリズムで識別されるオブジェクトのエッジを構成するピクセルの数として意図される境界線。
チップグリップの正確さの認識に関して、その目的は、画像内に存在するオブジェクトの幾何学的構造を特徴付ける特徴を抽出することである。
参照されるメトリクスは次の通りである:
-エッジポイント極値、さらに下方で測定されたエッジポイントの値;
-Sxスロープ(SxSlope)とDxスロープ(DxSlope)、画像の左半分と右半分で検出されたエッジポイントの後退から得られた直線の傾きの値。
吸引されそして分注される液体の容積レベルに関しては、その目的は、チップの頂部間の距離と、チップ内の液体と空気との間の分離レベルとを強調する特徴を抽出することである。前記チップ51の幾何学的形状は、そのタイプを分類した後には既知となるので、2点間の垂直距離の測定と容積を関連付けることが可能である。
参照されるメトリクスは次の通りである:
-画像と背景との間の比較、閾値処理、及びマスクの適用のみによる点画像のセグメント化;
-ある容積の液体を含むチップの画像への当該マスクの適用;
-チップのモデルとのテンプレートマッチング及びあるレベルのモデルとのテンプレートマッチング;
-ハフ変換アルゴリズム(Hough Transform Algorithm)又は別の変換による線及び水平線の存在の識別;
-空のチップの画像と液体で満たされたチップとの間の減算ピクセルのカウント。
【0046】
分類アルゴリズムの学習フェーズは、分類器自体の使用フェーズに常に先行する。この目的のために、各画像にはそれに対応する部類のラベルを随伴する1組のデータの取得セッションが準備され、そして分類器をトレーニングするための入力データとして使用される。VitroCERTシステムは、オンライントレーニングフェーズを追加する。本発明は、スキャンされた画像と、ソフトウェアが実行した予測とを検査技師に示すインターフェースを備える。有利には、技術者がその予測を確認し又は分類器エラーの場合にはその予測を訂正する可能性を有する。安全にラベル付けされた画像は、トレーニングデータベースに追加され、そして分類システムの正確さ及び精密さを向上させる。異なる分類器が各分類目標に対して使用される:コンボリューショナルニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network)、デシジョンツリー(Decision Tree)、パーセプトロン(Perceptron)、アーティフィシャルニューラルネットワーク(Artificial Neural Network)。
【0047】
従って、本発明による体外診断装置の操作を証明するための装置及び方法は、体外解析に関連するすべての操作の正しさを検証及び保証するものである。
【0048】
本発明による体外診断装置の操作を証明するための装置及び方法の別の利点は、1つ又は複数の操作及び相対パラメータが不適合であり、正しくない場合に、オペレータに対して警告する信号を提供することにある。
【0049】
最後に、本発明による体外診断装置の操作を証明するための装置及び方法は経済的である。
【0050】
最後に、本明細書に記載され図示された体外診断装置の操作を証明するための装置及び方法は、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の範囲から逸脱することなく、修正及び変形することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】