(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-19
(54)【発明の名称】ヨウ化物の切断、ヨウ素の自己融解および分離のための連続プロセス、ならびにそのようなプロセスを実行するための機器
(51)【国際特許分類】
C01B 7/14 20060101AFI20230112BHJP
【FI】
C01B7/14 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528549
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(85)【翻訳文提出日】2022-07-05
(86)【国際出願番号】 CL2020050146
(87)【国際公開番号】W WO2021092707
(87)【国際公開日】2021-05-20
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522191200
【氏名又は名称】ウニベルシダッド デ サンティアゴ デ チレ
【氏名又は名称原語表記】Universidad de Santiago de Chile
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225060
【氏名又は名称】屋代 直樹
(72)【発明者】
【氏名】リカルド エミーリオ ヴェガ ヴィヴェロス
(57)【要約】
本発明は、ヨウ化物溶液に含有される元素状ヨウ素を採取および精製するためのプロセスに関するものであり、とくにこのプロセスは、ヨウ素が結晶状態を経ることなく、元素状溶融ヨウ素を直接的に生成するために予加熱したヨウ化物溶液を酸化剤と反応させることによって同時に起こる、ヨウ化物切断ステップおよびヨウ素溶融のステップと;液-液分離によって使用済み溶融水から元素状溶融ヨウ素を分離するステップと;を備え、単一の連続動作システムでこれらすべてのステップを実行する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヨウ化物溶液に含有される元素状ヨウ素を採取および精製するため、とくに酸化剤によるヨウ化物の切断ステップ、ヨウ素融解ステップ、および分離ステップのための連続的なプロセスであって、
前記ヨウ化物の切断ステップは、予加熱されたヨウ化物溶液フローを酸化剤フローと反応させて、元素状溶融ヨウ素を直接的に生成するステップを含み、
使用済み溶融水からの前記元素状溶融ヨウ素の分離は、液-液分離によって生じ、
ヨウ素を切断するステップは、ヨウ素が結晶状態を経ることなく生じ、かつ、上述したそれら前記ステップは単一のシステムで実行されることを特徴とする、プロセス。
【請求項2】
請求項1に記載のプロセスにおいて、前記切断ステップは、ヨウ素の融解温度(113.6℃)以上で連続的に実行され、かつ、該温度は、反応中に付加的な熱を追加する必要性がなく、反応するフローを混合することによってのみ維持されることを特徴とする、プロセス。
【請求項3】
請求項1に記載のプロセスにおいて、前記切断の温度には、自己生成と称される前記切断反応の熱を利用して到達することを特徴とする、プロセス。
【請求項4】
請求項1に記載のプロセスにおいて、前記ヨウ化物の切断ステップは、液体状態の精製ヨウ素を直接的に生成することを特徴とする、プロセス。
【請求項5】
請求項1に記載のプロセスにおいて、前記切断反応に使用される前記酸化剤は、とりわけ、塩素、臭素、亜硝酸、過酸化水素、塩素酸塩、ヨウ素酸塩から選択されることを特徴とする、プロセス。
【請求項6】
請求項5に記載のプロセスにおいて、前記酸化剤は過酸化水素から選択されることを特徴とする、プロセス。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセスにおいて、切断する前に、前記ヨウ化物溶液が、そのヨウ素含有量および前記酸化剤の性質に依存する温度に予加熱されることを特徴とする、プロセス。
【請求項8】
請求項7に記載のプロセスにおいて、前記酸化剤が過酸化水素である場合に、ヨウ素含有量が約50~約250gpLであるヨウ化物に対して、前記予加熱の温度が50℃~130℃であることを特徴とする、プロセス。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセスにおいて、前記切断は、前記ヨウ化物フローおよび前記酸化剤フローの各々に含有される反応種の化学量論的比率で実行され、後者の前記酸化剤フローがわずかに過剰であることを特徴とする、プロセス。
【請求項10】
請求項9に記載のプロセスにおいて、前記酸化剤が過酸化水素である場合に、前記切断ステップは、化学量論的比率を1%~7%の間で超える過剰な酸化剤を使用して実行されることを特徴とする、プロセス。
【請求項11】
請求項1に記載のプロセスにおいて、前記切断ステップは、前記ヨウ化物溶液および前記酸化剤の溶液の両方について広い濃度範囲で実行されることを特徴とする、プロセス。
【請求項12】
請求項11に記載のプロセスにおいて、前記濃度範囲は、前記ヨウ化物溶液について50~250gpLのヨウ素であり、過酸化水素の場合は前記酸化剤の溶液について15%~70%(p/p)であることを特徴とする、プロセス。
【請求項13】
請求項12に記載のプロセスにおいて、前記ヨウ化物溶液は、100~500kPa(1.0~5.0バール)の圧力を受けることを特徴とする、プロセス。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセスにおいて、反応を完了させ、精製液体ヨウ素および消耗ブラインの分離を、ヨウ素の融点以上の温度で、かつ、該使用済みブラインの沸点よりも高い圧力で実行するために必要な連続動作において必要な流体力学を付与するように決定されたサイズおよびジオメトリの、合目的的に設計された液体遠心分離機または沈降タンクなどの遠心作用および/または重力作用の液-液分離機器によって実行されることを特徴とする、プロセス。
【請求項15】
ヨウ化物溶液に含有される元素状ヨウ素を採取および精製するための連続プロセスを実行するためのシステムであって、
図2で規定され、かつ、
ヨウ化物溶液ヒーターと、
酸化剤フローフィーダーおよびヨウ化物溶液フローフィーダーであって、両方のフローを同時にヨウ素切断が発生するポイントに導き、元素状ヨウ素および使用済み溶液の生成を可能にする、酸化剤フローフィーダーおよびヨウ化物溶液フローフィーダーと、
切断反応を完了させ、かつ、精製ヨウ素および消尽した溶液の液-液分離を実行することを可能にする分離反応器と、
を備えることを特徴とする、システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムにおいて、前記分離反応器は液体遠心分離機であることを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的かつ経済的な高速プロセスによって、および単純化された機器を用いて、濃縮ヨウ化物溶液に含有される元素状ヨウ素を採取および精製することに関する。本発明はまた、前記プロセスを実行するための機器に関する。
【発明の概要】
【0002】
具体的には本発明のプロセスにおいて、ヨウ化物は、特定の流体力学的体系の、従来は不連続かつ別々に実行されている、ヨウ素の採取および精製に必要なすべての操作、すなわちヨウ化物切断、ヨウ素融解およびヨウ素分離が同時に実行されることを決定する条件の下で操作される特定のジオメトリ(幾何学的構成配置)特性を有する反応器内において、特定の温度および圧力状態で酸化試薬、双方操作用の試薬と共に「熱間(hot)」反応し、これら操作は、瞬時にすべて連続プロセス内で液体ヨウ素を生成するために切断の反応熱を利用するものであり、ヨウ素自己融解(IAF:Iodine Autogenous Fusion)と称されている自動制御を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】ヨウ素を採取および精製するための従来のラインである。
【
図2】IAFヨウ素自己融解プロセスを実行するための機器を含む完全なシステムであり、ヨウ化物溶液ヒーター、酸化剤フィーダー、および分離反応器機器(液体遠心分離機)を含む。
【
図3】20L/分のヨウ化物のIAFプロセスの例について試験的な液体遠心分離機を詳述する本発明のシステムの一部である。
【
図4】試験的な液体遠心分離機における142gpLヨウ化物熱間切断の温度記録である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
工業的なヨウ素抽出プロセスは、様々な鉱物資源由来のヨウ素含有量に強く依存する。世界最大の2つの埋蔵量(非特許文献1)は、日本の東京東部における天然ガス井からの地下 ブライン(brine)であり、ここではヨウ化ナトリウムの形態でヨウ素を150~160ppmのオーダーの濃度で含有しており(乾燥産出物1トンあたりのグラム数)、また、チリのタラパカ(Tarapaca)およびアントファガスタ(Antofagasta)地域の硝酸塩鉱床(カリシェ)であり、ここでは、300~400ppmのヨウ素の典型的な濃度のヨウ素酸塩が含有されている(非特許文献2)。これら資源の埋蔵量は、各々500万トンおよび180万トンのヨウ素と見積もられており、両者のヨウ素生産量は、現在の世界の生産量の55%に相当する(非特許文献3)。
【0005】
基本的に、由来資源のヨウ素含有量が低いことを考えると、現在の工業プロセスは、明確に特徴的な2つの単一操作ライン、すなわち、「抽出ライン」と称され、ヨウ素酸塩またはヨウ化物(通常は後者)の水性濃縮ブラインを採取することを目的とする第1のラインと、及びそれに次いで、精製された元素状ヨウ素を採取するため濃縮ブラインの処理に費やされる、「精製ライン」と称される別のラインとのシーケンスとして構成されている。この最後のプロセスラインは、本明細書の技術分野のセクションで先に述べたように、本発明の関心事である。例えば(非特許文献4)、プロセスの抽出ラインは、ヨウ素酸塩またはヨウ化物などのある種のヨウ素溶液を処理することから始まり、ヨウ素含有量が0.3グラム/リットル(gpL)ほどの低い濃度を、濃縮後、50~250gpLとする。このプロセスは精製ラインで継続され、精製ラインの操作は、この濃縮溶液を処理して元素状ヨウ素を採取し、99.5%を超える純度の固体生成物に精製することを意図している。
【0006】
本主題に関連する特許および研究の多くは、2つの示されたラインに基づいて分類することさえもできる。発明特許に関連する研究および先行技術のほとんどは、ある種のヨウ素(一般にヨウ素酸塩またはヨウ化物)を濃縮する抽出ラインの単一操作に言及しており、その中にはとりわけ次のようなものがある、すなわち、空気の引き込みまたは吹き付けによる気-液抽出(ブローアウト、非特許文献4、5、6、特許文献CL35944、CL37655、CL34656、CL38613、US1853621、US1897031、US1922693、US2282289、US2143222)、冷間(cold)一次切断反応(非特許文献4、5、特許文献CL34662、CL35944、CL37655、CL34656、US1897031、US2282289、US2143222)、イオン交換樹脂を使用した固-液抽出(非特許文献5、特許文献US33526419)、または、例えば、活性炭への吸着(特許文献US2028099、US1897031、US1922693)、有機または無機溶媒による液-液抽出(非特許文献4、5;特許文献CL38613、US1853621)、SO2吸収による還元(非特許文献4、5、特許文献CL34662、CL37655、CL34656、US2143222)、昇華(非特許文献5、特許出願US2010308261)、および電気分解(特許文献US1853621)。現在広まっているプロセスは、上記操作のいくつか、主に最初の3つを使用して、また多くの場合、それらのいくつかの組み合わせを採用して、一般にヨウ化物の形態でヨウ素濃度が通常50~250gpLのヨウ素を含有する水性ブラインを採取する。この濃縮ヨウ化物溶液は、洗練(polishing)として知られる活性炭のろ過操作を受け、最終的には、ヨウ素を採取および精製するためのライン処理に送られる前にタンクに収集される。一般に、上述したほとんどすべての単位操作は連続的に実行され、そうでない場合、それらを連続動作に転換することは比較的容易である。
【0007】
しかし、精製ライン、つまり精製された固体ヨウ素を採取する場合、全産業界での現在の慣行は、常に不連続かつ逐次的な独立した操作で構成され、僅かな変更を伴う以下の特許文献、すなわち、US1936553A、US1895929A、CL35944、US2010308261のうち1つ以上の特許文献によって、大部分が裏付けられているが、最初の2つが本発明に最も近いものである。特許文献US1936553は、純粋なまたはヨウ素酸塩と混合された可溶性ヨウ化物の水溶液のバッチを、固体の元素状ヨウ素を沈殿させるための酸化剤のバッチで処理することからなる、ヨウ素を採取および精製するための不連続バッチプロセスを記載している。ヨウ素酸塩と混合すると、酸化前に還元剤の作用によってヨウ化物に還元される。酸化は、予加熱せずに(「冷間(cold)」)、室温で試薬を用いて実行され、ブラインに懸濁したままの固体結晶性ヨウ素を沈殿させる。次いで、ヨウ素を溶融させるために前記の懸濁液を114℃より高い温度に加熱し、これを沈降またはサイフォン吸い上げにより分離する。懸濁液の沸点が114℃未満の場合、沸騰を防ぐために、加熱は圧力をかけて実施されなければならず、または、好ましくは、懸濁液中の高濃度の塩分を調整することによって沸点を上げ、該加熱を大気圧で実施することができる。
【0008】
特許文献US1895929は、特許文献US1936553に記載されているプロセスに従って、冷間切断で得られた固体ヨウ素を精製するためのバッチごとに動作する機器を記載している。未加工ヨウ素結晶を鉱酸溶液と一緒に撹拌し、また次いで混合物をヨウ素の融点よりわずかに高い温度に加熱する。最終的に、溶融ヨウ素は、サイフォン吸い上げする、又は代案として、機器自体内で冷却及び固化することができる。
【0009】
次いで、主に記載された特許(非特許文献4、5、特許文献US1936553、US1895929)に基づいて、産業界において現行の従来的な精製ラインが記載され、
図1に概略的に示されている。この精製ラインの第1の操作は、いわゆる切断であり、これは、溶液中のヨウ化物イオンと、とりわけ水溶液中の過酸化水素もしくはヨウ素酸塩などの化学量論的な量の強酸化試薬、またはガス状塩素などとの酸化反応に基づいており、元素状固体ヨウ素を生成する。この操作の明確な特徴は、試薬の混合が室温または一般に50℃未満の温度で実行されることであり、これにより、固体ヨウ素パルプの生成を決定し、後者(50℃未満の温度)は本発明との実質的な違いを構成し、「冷間切断(cold cutting)」と称されている。したがって、ヨウ素濃度が50~250gpLのヨウ化物、ヨウ化水素酸、硫酸および塩を含有するプロセスの第1濃縮ラインからもたらされる、所定量のヨウ化物および清浄化された(活性炭素ろ過)濃縮ブラインは、化学量論的量の過酸化水素(プラス約10%を超える)と一緒に攪拌タンクに入れられ、両方とも50℃未満の温度で、ブラインに懸濁した結晶性固体のペースト状粘稠度のスラリー形態で元素状ヨウ素を生成する。次いで、このパルプは、濾過、沈降、浮選(flotation)、またはサイフォン吸い上げのいずれかによって、固体ヨウ素濃縮操作を受ける。次に、濃縮されたパルプは、結晶の融解温度(約114℃)に達するまで、外部エネルギー源によって溶融タンク内で加熱される溶融操作を受ける。消耗(Exhausted)ブライン(比重約1.2)と比較して生成された液体ヨウ素のより高い相対密度(比重3.9)によれば、沈降によるそれからの分離、ならびにその結果としての洗浄(濃縮ブライン自体および硫酸の添加により)が可能になる。最終的に、液体ヨウ素は、所与のジオメトリ(一般的に、プリル(顆粒)と称される球形)で精製された生成物の形態として固化させるための冷却操作を受ける。
【0010】
本発明の提案は、ヨウ素の由来源に関わらず、現在実施されているすべての工業用ヨウ素抽出プロセス(非特許文献5)に共通のラインである、ヨウ素を採取および精製するためのラインの従来の操作、すなわち、1)ヨウ化物濃縮のライン1で生成された濃縮ヨウ化物溶液を冷間切断して、元素状固体ヨウ素のパルプを採取する、2)ろ過、浮選、沈降、またはサイフォン吸い上げによるパルプの濃縮により、より高濃度の固体ヨウ素を有するパルプを採取する、3)濃縮パルプを予加熱して結晶の融解を促進する、4)固体ヨウ素の融解および重力による液体ヨウ素の分離により、使用済みブラインフリーの精製ヨウ素を採取する、および5)液体ヨウ素を冷却して、固体の精製ヨウ素生成物を採取する、という操作が直面する問題を低減および/または排除する。
【0011】
上記の従来操作によって示される課題を、以下で詳細に説明する。すなわち、
1)「冷間(cold)」切断
通常、100gpLのヨウ素を含有するヨウ化物溶液の投入量(load)は、大気に開放された「カッター」と称される攪拌タンク型反応器内で、化学量論量の30%(w/w)の過酸化水素(H2O2)溶液と反応し、30分から1時間、さらに投入(loading)および排出(unloading)のために30分間動作する。発熱反応によって放出される熱に起因して、反応混合物は40~50℃の温度に達するが、その融点、約114℃に達していないため、ブラインに懸濁した固体ヨウ素パルプを生じさせる。ヨウ素パルプは、依然として未反応の含有ヨウ化物ブラインの一部を吸蔵し、過酸化物との接触を妨げ、明らかな反応の「不動態化」効果を有する保護メカニズムを確立するようになり、すなわち、反応速度の低下として顕現するが、実際に発生するのは試薬の物理的な分離であり、試薬の一部が固体ヨウ素のスポンジ状のマトリックスに吸蔵されたままであるため、反応が妨げられ、完了までにより多くの時間が必要となる。このことは、反応が熱間(hot)で実行される場合には発生せず、これは、後で説明するように、液体ヨウ素が生成されるのがほぼ瞬間的な速度であるという事実によって証明される。攪拌および熱反応による気泡の発生、ヨウ素の昇華、ならびにペースト状ヨウ素の浮遊フロックの形成および沈降ヨウ素結晶によって、冷間切断の制御が極めて困難になる。
【0012】
反応に必要な長い保持時間(1/2~1時間)には、大掛かりのカッターが必要となる、又は代案的に、それらカッターのいくつかは、大気に開放して動作すると、40~50℃の温度に達したときに、結果的に環境問題を伴う昇華によるヨウ素の損失をもたらすこととなる。例えば、1日あたり20トンのヨウ素を生成する一般的なプラントにおいては、20,000/100 = 200m3/日の100gpLヨウ化物溶液を切断すべきである。攪拌力があるため、有効容量4m3 (4 useful m3)オーダーのカッタータンクを使用すると都合がよく、このタンクの動作サイクルは1時間(反応時間は30分のみであることを考慮して)であり、つまり、各カッターは理想的には24カット/日を実施し得る。したがって、それぞれ([4/0.8=])5m3の([200/4/24)≒])2つのカッターが必要である(有効容量の80%を考慮)。温度、酸性環境および濃縮ハロゲンの条件により、ファウドラー(ドイツブランドのガラス反応器)のような特殊な機器が必要になるか、またはハステロイCのような、機器の構築のための特殊な合金を使用する必要が生じる。大気に開放された反応器内での昇華によるヨウ素の損失は、バッチで生成されたヨウ素の約1.5%に達し、これは、作業環境ですでに2ppmのレベルで生命および健康に危険なレベルである。
【0013】
2)パルプ濃縮
この操作は、固体ヨウ素の含有量が高いパルプを生成するために実行され、含有されるブラインの一部を排除して、ポンプ、熱交換器、溶融タンクなどのラインの下流で使用される機器のサイズおよび動作時間を低減する。
【0014】
しかし、冷間切断で沈殿した結晶性固体ヨウ素は様々なブライン比率で埋め込まれているため、該結晶性固体ヨウ素はペースト状の粘稠度を呈し、これが機器の一部に沈殿して蓄積し、結果として閉塞を引き起こす傾向があるために、輸送およびポンピングを妨げる。さらに深刻なのは、パルプがブラインから完全に分離すると、パルプのヨウ素濃度を標準化することが困難になるという事実である。パルプ内のヨウ素濃度が、保持時間、試薬の比率、エネルギー量およびその供給速度、動作温度、ポンピングおよび再循環速度、攪拌力など、多くの下流機器の動作パラメータの値を左右し、パルプ内のヨウ素濃度の変動は多くの操作上の問題を引き起こし、最終的には精製された生成物の標準純度を達成することを困難にしてしまう。
【0015】
これまでに見られた最も実用的な操作は、ブラインサイフォンであり、これは、切断反応後に反応器自体内で実行される職人技の操作であり、様々な量のブラインを吸蔵する綿毛状の固体によって、通常は250~1300gpLというヨウ素含有量の非常に変動しやすいパルプが得られる。これら濃度の制御は容易ではなく、先行の項番において上述したプラントタイプの例では、100gpLのヨウ化物溶液を使用して1日あたり20トンのヨウ素を生成した場合、パルプの1日の量は各々、[20000/250=]80m3および[20000/1300=]15m3の間で得られるだろう。この変動性は、プロセスの下流のすべての動作に先送りされ、特に熱交換器および溶融タンクの動作を妨げる。これらは、極めて類似性のない特性を有するパルプ投入の処理に直面し、それらの要件を満たすためには保持時間を大いに変動させることを要する。この変動性に対処する1つの方法は、機器の個数および/またはサイズを過大にすることであるが、その結果、効率性の低下、ならびに投資コストおよび運用コストの増加を伴う。さらには、サイフォン吸い上げ操作により、反応器のオープンワイド操作が少なくとも30分追加されたことにより、ヨウ素の損失および昇華によるコンタミネーションが結果的に付随する。
【0016】
同様に、ろ過、沈降および浮選操作など、パルプ濃縮の他の代替手段もまた、パルプの特性に由来して、極度に面倒かつ制御が困難である、すなわち、そのペースト状の粘稠度により、取り扱いおよび輸送が困難になり、多くの手作業を必要とし、固体ヨウ素の沈降ならびにフィルター、パイプ、バルブおよびポンプの詰まりが頻繁に発生し、これにより、該固体を懸濁状態に保つための溶液の高いポンピング再循環率を維持する必要が生じ、また、多くの場合、機器の詰まりを取り除くために100psiを超える加圧空気の吹き付けを行う必要があり、その結果、効率性の低下、運用コストおよび投資コストの増加、および安全上のリスクを生じさせることとなる。これらの問題に加えて、固体ヨウ素結晶の腐食性および摩耗性に由来する、機器および付属品が被る腐食および摩耗があり、これには、例えばハステロイC276などの構築用の特殊合金、またはタンタルなどのレアメタルを使用する必要があり、それにもかかわらず、頻繁な保守、修理および交換が必要であり、それに伴う費用もかかる。
【0017】
3)結晶の融解を促進するための濃縮パルプの予加熱
固体ヨウ素結晶は熱伝導率が低く(24.4℃で0.4581W/m/K)、一般的な耐火材料の3~5倍しかなく、融点は極めて低いものの、その融解熱は鉄に匹敵する。また、液体ヨウ素は熱容量が低く(114~160℃の間で0.077cal/g/℃)、水の13分の1であり、粘度は水の2倍である。固体ヨウ素のこれらすべての物理的特性が組み合わさって、熱伝達に対する高い耐性を生み出し、その結果、加熱および融解が極度に遅くなる。保持時間が長いため、予加熱用に大型の機器を指定する必要がある。これらすべてが、固体ヨウ素を生成してそのような状態で処理することを極めて不便なものにし、その後の精製のためにそれを溶錬する必要があり、次いで、精製された固体生成物を得るためにそれを再び固化させる必要があることを考慮すると、これら代わる代わる行われる熱処理が極度に遅く、同時に証明されたエネルギー非効率性の原因である。
【0018】
したがって、従来のプロセスでは、溶融プロセスを高速化し、それにしたがった溶融タンクのサイズおよび/または個数を減らすために、濃縮されたパルプは、溶融タンクに投入される前に予加熱され、間接熱交換器、同心状チューブ、またはプレート交換器を介して、最低23.7psiaの蒸気を用いてポンプで送られる。セクション(項)1)の冷間切断で示した例について、100gpLのヨウ素のヨウ化物を処理して20トン/日のヨウ素を生成する典型的なプラントの冷間切断では、先行の項番における計算に従うと、処理されるべきパルプの量は15~80m3/日の範囲であり、これは、以下の項番で示されるように、生産能力の目標を確保する目的で機器を大きくする必要性があることにより、効率性の低下、投資コストおよび運用コストの増加の原因となる。
【0019】
高い表面温度、ならびにヨウ素、未反応の過酸化物および強鉱酸の存在に長期間さらされることを考慮すると、この機器は腐食、摩耗および詰まりの影響を特に受けやすく、上記のような固体結晶性ヨウ素のパルプ化に固有の問題である。
【0020】
4)固体ヨウ素融解および重力液体ヨウ素分離
上述した熱交換器で50~90℃の温度で予加熱されたパルプの投入は、「ノックアウト」と呼ばれるファウドラーまたはハステロイタイプの溶融タンクに給送され、ここでは、固体ヨウ素は114℃の温度に達すると溶融し、同時に、消尽した(depleted)ブラインは、給送されたパルプ中の固体ヨウ素の含有量の高低に応じて、重力によって(上層にある)液体ヨウ素から4~20時間の可変期間で分離され、その後、液体ヨウ素は「トランスファー」と呼ばれる溶融タンクに移送されて精製が終了し、冷却操作を待って精製ヨウ素が得られる。
【0021】
通常、処理量が多い場合は、
図1に示すように、2m
3の一連のノックアウトタンクが並列に使用され、各タンクは1.5m
3の容量(有効容量の80%を考慮)のトランスファータンクと直列になっている。両方のユニットは、120℃のスチームジャケットによる間接加熱を備えており、ファウドラータイプまたはハステロイ製である。
【0022】
上述した一連の溶融タンクの個数は、プラントの生成能力および各溶融タンクに必要な滞留時間(投入および排出に30分かかり、実際には4~20時間)に依存する。項1)の冷間切断で示したのと同じ例に続けて、100gpLのヨウ素のヨウ化物を処理して20トン/日のヨウ素を生成する典型的なプラントで、必要な溶融タンクの個数を計算する。各貯留槽での溶融について4時間の保持時間を用いると(ユニットの個数またはそれらのサイズは時間の経過とともに増加するため、控えめな見積もり)、各ユニットは1日にわずか[24/4.5≒]5サイクルのみ実施し得る。20トン/日のヨウ素の生成には合計[200/2/0.8=]125サイクルが必要であるため、[125/5=]25ノックアウト溶融タンクの最小要件があり、25個のノックアウト溶融タンクが連続するもう一組の一連のタンクも使用されるため、合計50個の溶融タンクが必要であり、結局、合計で[25×(2+1.5)=]87.5m3となる。このように、2つの切断反応器のそれぞれの24回の毎日の操作は、合計で10m3になり(同一の項1で行われた計算によると)、50の溶融タンクの125回の毎日のサイクルとリンクされなければならず、それにより合計で最大87.5m3となり、20トン/日のヨウ素を生成する。各溶融タンクでの溶融について保持時間を4時間とする代わりに、時に必要であった20時間とした場合、250の溶融タンクの1日125サイクルが必要になり、結局合計で437.5m3になる。この状況に向き合い、設計目的のため、[(4+20)/2=]12時間の平均保持時間が考慮されるべきであり、これには、保持時間の増加のためだけに、125の溶解タンクの1日125サイクル、すなわち、溶融タンクの個数を[125/50=]2.5倍に増やす必要がある。
【0023】
先の図は、機器のサイズおよび個数、ならびに従来のヨウ素の採取および精製ラインに包含される操作の複雑さおよび面倒くささを示している。さらに、実際には、ヨウ素、未反応の過酸化物、および強鉱酸の存在に高温で長期間さらされることを考慮すると、溶融タンクの耐用年数は1~2年である。
【0024】
加えて、硫酸を用いた融解による精製に関して、従来のプロセスの課題を補強する公表文献があり、融解のための滞留時間を3時間以上と規定している。他方、反応器にヨウ素を連続的に給送するための定量的方法(特許文献US8268284)は、その融点でヨウ素を供給するという欠点をもたらす。これら欠点は、加熱のための外部熱エネルギーの必要性、ヨウ素が昇華する自然な傾向、および機器の腐食を含む。
【0025】
5)固体の精製ヨウ素生成物を得るための液体ヨウ素の冷却
精製液体ヨウ素は、トランスファー溶融タンクから、上部に液体ヨウ素の分配器を備えた垂直シリンダーからなる顆粒化(prilling)タワーの上部に送られ、該液体ヨウ素は、重力によって落下し、その(塔の)長さに沿ったさまざまな点に注入された空気および水流によって冷却され、精製固体生成物を構成する球体の形状に固化する。ヨウ素が融点にある状態で大気に開放して動作すると、昇華によるヨウ素の損失が発生し、その結果、コスト負担および環境汚染をもたらす。さらには、再処理用に仕様を外れた材料を送って、球体サイズを標準化するために生成物を分別する必要がある。
【0026】
要約すると、現在の工業プロセスにおけるヨウ素の採取および精製操作の従来の慣行は、以下の問題を抱えている。
a)制限された生成能力
機器の不連続動作に由来し、主要機器の長すぎる保持時間:カッターで30分(投入、排出およびサイフォン吸い上げに、プラス1時間)、ノックアウト溶融タンクおよびトランスファー溶融タンクで4~20時間(投入および排出に、プラス30分)である。例えば、1日あたり20トンのヨウ素の容量を備えるプラントが、合計6つの機器(それぞれ4時間の保持時間を有する)を直列に接続して動作していると仮定すると、そのうちの1つにおける保持時間が運用上の問題で8時間に増加した場合(「ボトルネック」効果)、1日の生成能力は[20×24/28≒]17トン/日に制限される。
【0027】
さらに、不連続動作固有の分断化が、プロセスの自動化を防止、妨害またはむしろ無効にしてしまう。
【0028】
b)過剰なエネルギー消費
パルプに含有される固体ヨウ素からの熱の伝達が非常に遅いことに由来して、該パルプは初めに予加熱、次いで溶融を受け、これにより、両方の操作で長時間の加熱が確実となり、結果として熱の損失が生じる。さらに、ヨウ素が冷間切断で被る周期的な固化-融解-固化操作、ならびにその後の溶融およびプリル(顆粒)化(prilling)の各々が、間接加熱を実際に使用していることを考えるとなお、熱的非効率性の固有の原因を構成している。
【0029】
c)動作条件の管理および標準化の過度な困難性
機械的攪拌(反応塊に常に空気を取り入れる)下での冷間切断によって生成されるペースト状の固体ヨウ素の結晶化および凝集化の複雑な現象に由来して、パルプは、絶えず量が変化する吸蔵されたブラインを用いて得られ、切断だけでなくその後の融解からも規則化および自動化を管理できない状態にする。結晶性の固体ヨウ素は沈降する傾向があり、空気に閉じ込められると浮遊する傾向があり、ポンプ、パイプおよびバルブの詰まりを引き起こす。これに対しては、頻繁な不測の事態に対処するための時間および処理に加えて、該固体を懸濁状態に保つための強制エアブラストおよび高速パルプ再循環などの厄介な解決策が必要となる。
【0030】
d)主要機器の操作の非効率
冷間切断で生成された固体ヨウ素は、試薬の分離またはシールド効果のために反応の効率を減少させ、これには、保持時間および/またはカッター容量、またはカッター数の増加を必要とする。処理されるパルプ固体ヨウ素の濃度の変動は下流に先送りされ、該変動を考慮すると生ぜざるを得ない機器容量の過大化に起因して、その後のすべての操作を妨げる。生成されたヨウ素の固体的性質は、熱伝達の抵抗が高く、移動度が低いため、過度の加熱時間が必要になる、すなわち、より長い保持時間が必要であり、したがって、処理されるべき同じ流量に対して、より大きな容量の溶融タンクあるいは複数のタンクが必要になる。
【0031】
e)生成物品質の均質化および規則性の過度な困難性
パルプのヨウ素濃度の変動性に由来して、処理される各機器部分の動作条件を変える必要がある。溶融ヨウ素は、それを含むブラインに存在するかなりの量の塩を溶解し、この状況は、融解-分離ステップでの保持時間が長くなると悪化し、生成物の純度に悪影響を及ぼす。
【0032】
f)機器の過多な個数および容量
特に処理されるべき保持時間またはフローの観点で、機器が直面している変動する動作条件は、所与の生産能力を維持するために、常に機器の容量の増加および/またはその機器の個数の増加を必要とする。溶融タンクの場合、問題は、パルプ中のヨウ素の比率が変化すること、および熱伝達に対する耐性が高いことの両方によって悪化する。
【0033】
g)機器の保守、修理および交換のための過剰な要件
一般に、固体結晶性ヨウ素および酸性溶液による、特に高温での腐食および摩損にさらされる曝露時間および/または表面量が、動作期間の延長、機器および付属品の容量または個数の増加、あるいは輸送または取り扱いの必要性の増加、保守の必要性、のいずれかによって増加する範囲で、機器および付属品の修理および交換を比例して増大させる。
【0034】
h)過剰なヨウ素の損失
前出のポイントd)およびf)と同じ理由で、輸送および取り扱いの量が大きいほど、ヨウ素の昇華損失が大きくなり、ならびに、保持時間が長く大気に開放されている不連続な機器における動作期間の延長、または機器の個数が多い、もしくはそれらの容量の増加によっても、ヨウ素の昇華損失は大きくなる。
【0035】
i)環境汚染および安全性による過剰な業務上のリスク
上記のより高い損失に由来して、アメリカの機関OSHA(労働安全衛生局)によって確立された0.1ppmというヨウ素の制限が、作業環境における安全性およびコンタミネーションのリスクを浮き彫りにしている(非特許文献5)。
【0036】
本発明は、本発明を使用することができる様々な方法のいくつかを明記する、対応する特許請求の範囲、添付の図および以下の記載とともに、以下に完全に説明される改良した方法からなる。
図2は、本発明を実施するのに適した機器の一形態を表す。
【0037】
本発明は、元素状ヨウ素を採取し、それを精製する過程において、ヨウ素の由来資源、使用される抽出プロセス、およびヨウ化物濃度にかかわらず、切断および自己融解の両方、ならびに消耗ブラインの分離の連続動作の実施を通じて、従来技術の前述の課題を解決することを目的とする。
【0038】
本発明のプロセスは、連続プロセスであることに加えて、より一層速く、より単純で、よりコンパクトで、より安全で、無公害である。切断-攪拌タンクタイプの反応器の必要性、パルプ濃縮器システムまたは機器の必要性、およびかさばるパルプ予加熱器の必要性が排除され、これらすべての機器、およびそれらの間の移送システムにおける腐食および摩損を回避する。過剰な溶融期間を有する溶融タンクが排除され、精製された生成物の純度が均質化され、かつ、プラントの生産能力が向上する。いくつかの機器(反応タンク、パルプ分離システム、パルプ熱交換器、パルプ溶融タンク)を、非摩耗性かつ低い腐食性の条件を受ける、より一層小さいサイズ、かつ少ない投資で済む2つの単純な普通の機器(溶液を予加熱するための普通の設計の熱交換器、および遠心作用および/または重力分離器)に置き換えることによって、加熱蒸気の要件、保守、修理、交換のレベル、それらのみならず、ヨウ素の昇華損失、ならびに環境汚染および安全性に起因する付随的な業務上のリスクが低減される。
【0039】
実際、本発明の自己融解自動制御による不連続プロセスから連続プロセスへの変換は、投資、運用コスト(特にエネルギー消費)、チームの保守、修理、および交換を大幅に削減し、ヨウ素の損失、汚染および業務上の危険を減らす。これにより、すべてのプロセスストリームの輸送および処理が容易になり、不測の事態の発生および頻繁な処理の必要性がなくなり、操作の自動制御ならびに生成物の特質および品質の効率的な標準化が可能になる。
【0040】
先行技術で知られているものとは異なり、本発明の元素状ヨウ素を採取および精製するためのプロセスは、自動的に制御される連続プロセスであり、これは、可溶性ヨウ化物水溶液の所与の流量を、「熱間(hot)」の酸化剤の化学量論的流量で、すなわち、酸化剤フローに接触すると、そのような温度に事前に加熱されるヨウ化物フローで処理することからなり、放出された反応熱のおかげで、反応生成物は114℃以上の温度に達し、そのため、液体ヨウ素の連続的なフローが生成され、これが、従来技術と比較して相対的優位性を示し、ヨウ素業界における重要な競争力の高い優位性につながり得る。
【0041】
実際、上記のようにして実行される「熱間」切断は、例えば過酸化水素を用いたヨウ化物酸化反応により、実質的に理論上の速度で発生する元素状ヨウ素を得ることを可能にし、切断が完了し、液体状態のヨウ素を生成するのに数秒しかかからず、該液体状態のヨウ素は、[3.9-1.2=]2.7の比重の違いのおかげで、使用済みの液体ブラインから比較的簡単に分離される。このようにして、保持時間は、従来の不連続プロセス(項番4で説明されている20トン/日の容量プラントの典型的な例の保守的なシナリオによる)の[1×1/2+4.5=]6時間の切断および溶融から短縮され、連続IAFプロセスは1分未満の保持時間で、プラントの容量が34トン/日に増加すると推定される。この最後のプロセスのその他の利点の中でも、従来のプラントの1日10時間の動作に相当するエネルギー消費量の削減、ならびに、生産の規則化および生成物品質の均質化を可能にすることになる動作条件の自動制御および標準化が予見され得る。
【0042】
他方、本発明の酸化反応は、反応器の入口で行われ、該反応器は、反応を完了させ、遠心力および/または重力作用のいずれかによって上澄みから液体ヨウ素を分離するよう、流体力学が特別に設計された液体遠心分離機または沈降タンクの形態とすることができ、該ヨウ素のフローはその底部から出て、該上澄みのフローはその上部から出る。操作全体は、上澄みの沸点よりも高い圧力で実行される。
【0043】
従来技術で説明されていることに従って、本発明の相違点および利点を理解することが可能である。表1は、IAFプロセスと、業界で現行の元素状ヨウ素を採取および精製するための従来プロセスとの比較を要約したものである。
【0044】
【0045】
[発明の詳細]
本発明は、ヨウ化物溶液と酸化剤(H
2O
2など)との反応、融解、および得られた液体ヨウ素の分離のための制御された動作および条件を通じて、精製元素状ヨウ素を得るためのプロセスを同時かつ連続的に実行することを可能にする。すなわち、本発明により、これまで不連続に実施されてきた従来技術の説明で記載されたステップ(
図1)が、行程に必要な条件を達成するように設計された単一機器要素(反応器-溶鉱炉-セパレーター)で実質的に実行される、連続的な安定した大規模プロセスに転換されるプロセスを実現することが可能である。
【0046】
本発明は、多相かつ非等温の流体力学的体系で生じる極めて高速な発熱反応の結果である、精製元素状ヨウ素を得るためのプロセスに関する。具体的には、1)後続の操作の前に、ヨウ化物溶液フローを特定の温度に予加熱する操作、2)特定の温度に予加熱されたヨウ化物溶液を酸化剤(例えば、過酸化水素)の溶液と室温で密に混合することを含む、前記予加熱された溶液の切断反応を行い、結晶状態を回避して進行し、自己生成形態の溶融ヨウ素を直接生成する操作、および3)精製液体ヨウ素から使用済みブラインを分離する操作に言及し、単一の液-液分離機器においてこれら最後の2つの操作を検証する。
【0047】
ヨウ化物溶液フローの予加熱は、標準設計の連続シェル・アンド・チューブまたはプレート熱交換器において、ヨウ化物溶液フローのヨウ素含有量に応じて、40~120℃の特定の温度までなされ、それによって、インラインミキサーで酸化剤フローと混合および反応すると、発熱反応によって生成された熱のおかげで、生成物および反応物の両方がヨウ素の融解温度113.6℃に達し、ヨウ素の結晶化を回避しながら溶融ヨウ素を直接得ることができる。その反応速度は、理論的に瞬間的であり、「冷間」切断の場合のように、ヨウ化物溶液を吸蔵する固体ヨウ素が生成されず、明らかな還元の原因となる試薬の分離が生じないため、「熱間」で実行された場合は実質的に変化しない。したがって、流体力学が確立されて連続分離を実行可能にし、得られたヨウ素純度を確保する液体遠心分離機などの装置において、遠心作用および/または重力作用によって消耗ブラインから分離される。
【0048】
図2は、本発明を実施するための適切な動作スキームを示している。ヨウ化物フローは、そのヨウ素濃度によって決定される温度に予加熱され、次いで、酸化剤フローと共に反応器-分離器ユニットへ化学量論的比率で同時に給送され、そこでそれらは反応して、遠心力および/または重力作用によって分離される溶融ヨウ素および消耗溶液を生成する。
【0049】
本発明で使用される酸化剤は、とりわけ、塩素、臭素、亜硝酸、過酸化水素、塩素酸塩、ヨウ素酸塩とすることができる。酸化剤およびヨウ化物溶液の間のフロー比率は、プロセスの決定的な特性であり、化学量論的比率よりもわずかに高い比率を用いて、通常は1%~10%追加される。他方、該プロセスは、ヨウ化物および酸化剤の両方について広い濃度範囲で溶液を処理し、それらが含有する反応種間の化学量論比を常に維持することが可能である。
【0050】
生成されたヨウ素の分離は、例えば、溶融ヨウ素および使用済みブラインの液-液分離用に設計された液体遠心分離機で実行され得、これには、設計(サイズおよび形状)ならびにプロセス条件(適用される流量、温度および圧力)に関連する非常に具体的な特性が必要である。
【0051】
液体遠心分離機のサイズおよび形状は、反応を完了させ、使用済みブラインから液体ヨウ素を分離するために必要な流体力学を反応物のフローに付与することを可能にする一方で、温度および圧力の動作条件は、ヨウ素を溶融させ、消耗ブラインの沸騰を回避しつつ反応が液相で行われることを確実にすることができる。
【0052】
[不連続なIAF運用の概念実証]
バッチ式で操作される実験室規模の反応器(80mL)を使用して、基礎研究から、従来技術の通常プロセスが再現され、ヨウ化物およびH2O2の間の反応熱を利用して液体ヨウ素を生成する技術的実現可能性を研究した。表2は、この概念実証のいくつかの実験結果を示している。これは、61gpL~242gpLのヨウ素濃度範囲をカバーする、処理された全ヨウ化物溶液について、到達した最高温度がすべての場合で113.6℃より高かったために溶融ヨウ素が得られたことを示している。放出された反応熱の大きさは、融解に必要な熱に加えて、消耗ブラインおよび生成されたヨウ素の最終到達温度に必要な熱の配分に関与し、その関与は、より高濃度のヨウ素溶液に対してより実質的であることが観察された。
【0053】
【0054】
バッチ操作の実現可能性の証拠に基づいて、同じ反応器内で実質的に瞬時にヨウ素の融解および分離を同時に実行するように連続プロセスが設計された。このプロセスは、本発明者がIAF(ヨウ素自己融解:Iodine Autogenous Fusion)と名付けたものであり、試験的スケールで実施され、連続動作を通じて、「熱間」IAF切断の熱力学的および流体力学的挙動、ならびにその後の相分離に必要な条件を研究した。
【実施例】
【0055】
元素状ヨウ素およびヨウ素精製を生成するIAFプロセスは、ヨウ素含有量が例えば約50~約250gpLの広い濃度範囲にあるヨウ化物水溶液フローを処理し得るが、ヨウ化物溶液の濃度について以前の動作が有し得た制限よりも実質的に制限はない。その濃度範囲に対しては、ヨウ化物溶液の温度および圧力はそれぞれ50℃~130℃および100~500kPa(1.0~5.0バール)の間とすべきであり、一方で過酸化水素溶液の濃度は15%~70%(w/w)の間とすることができる。
【0056】
例として、
図3は、IAFプロセスに従って20L/minのヨウ化物溶液を切断するように設計された試験的な液体遠心分離機の寸法を示している。この試験的機器の生成能力は、20L/minのヨウ化物溶液の流量で動作し、処理するヨウ化物中のヨウ素濃度に応じて変化し、ヨウ素濃度100;150;210gpLに対して各々、一月当たり86;130;181トンヨウ素である。
【0057】
この液体遠心分離機を使用して、70%(w/w)過酸化水素を0.62±1%L/minの化学量論的流量(2%過剰を含む)で、50~110℃の温度に予加熱した142gpLのヨウ素から20±1%L/minのヨウ化物の流量を切断し、これが、ちょうど液体遠心分離機入口に設置されたインラインミキサーに投入された。
図4は、実験中の液体遠心分離機の温度連続記録を示しており、過酸化物の注入が開始されてから、75秒で85℃から114℃(ヨウ素の融解温度)に上昇、ラインの温度調整に起因する過渡現象(transient)が生じ、過酸化物の給送開始から94秒で121±2℃で定常状態に達し、4分以上連続動作を維持していることがわかる(ヨウ化物付与ポンプへの腐食による損傷を避けるために、すべてのテストで合計動作時間は10分未満に制限した)。
【0058】
液体遠心分離機の上部出口からは、流量19.04L/minの消尽したブラインが得られ、一方、液体遠心分離機の下部出口からは約120℃の温度で流量0.69L/hの液体ヨウ素が得られた(これは、昇華したヨウ素蒸気の漏れを防ぐためにヨウ化物溶液に収集された)。定常動作の4分後、7.71gpLのヨウ素を含有する消耗ブラインサンプルおよび溶融ヨウ素サンプルを抽出した。これが、99.6%(w/w)の純度を示し、このことは、自己生成形態で溶融した元素状ヨウ素の形成、および消耗ブラインからの分離を示し、液体状態で高純度の生成物が得られたことを示した。
【0059】
表3は、連続動作における動作条件セットおよび様々なパイロットテストの結果を示す。
【表3】
【0060】
バッチおよび連続IAFプロセスの最終収率は、表2および表3に示されており、各々類似しているが、連続IAFプロセスは、表1に示された実質的にすべての技術的利点を示し、「冷間」切断および「熱間」切断の両方について不連続的な適用を無用なものとするため、比較的に相当優れている。
【0061】
[非特許文献]
(1)USGS (2013) Mineral Commodities Summary. Iodine.
(2)Chilean Copper Commission (2013) Monitoring of Industrial Minerals of Chile. Analysis of saline resources.
(3)Krukowski, ST (2004) Iodine, Min. Engng. 56: 27-28.
(4)SQM, DIP, PV (1989), Iodine Plant Operations Manual No. 3.
(5)Tatsuo Kaiho (ed., 2015) Iodine Chemistry and Applications, John Wiley, USA.
(6)Johnson KS and Gerber WR (1998). Iodine geology and extraction in northwestern Oklahoma. In: Johnson KS, (ed., 1999) Proceedings of the 34th Forum on the Geology of Industrial Minerals, Vol 102, Oklahoma Geological Survey Circular; pp 73-79.
(7)Cosayach Nitrates S.A. (2012). Emissions, discharges and residues. In: Environmental impact statement increase in iodine production Cala-Cala. Tarapaca, Chile. Retrieved from http://seia.sea.gob.cl/archivos/CAPITULO_III_Emisions_descargas_y_residuos.pdf
【手続補正書】
【提出日】2022-08-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続的かつ経済的な高速プロセスによって、および単純化された機器を用いて、濃縮ヨウ化物溶液に含有される元素状ヨウ素を採取および精製することに関する。本発明はまた、前記プロセスを実行するための機器に関する。
【発明の概要】
【0002】
具体的には本発明のプロセスにおいて、ヨウ化物は、特定の流体力学的体系の、従来は不連続かつ別々に実行されている、ヨウ素の採取および精製に必要なすべての操作、すなわちヨウ化物切断、ヨウ素融解およびヨウ素分離が同時に実行されることを決定する条件の下で操作される特定のジオメトリ(幾何学的構成配置)特性を有する反応器内において、特定の温度および圧力状態で酸化試薬、双方操作用の試薬と共に「熱間(hot)」反応し、これら操作は、瞬時にすべて連続プロセス内で液体ヨウ素を生成するために切断の反応熱を利用するものであり、ヨウ素自己融解(IAF:Iodine Autogenous Fusion)と称されている自動制御を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】ヨウ素を採取および精製するための従来のラインである。
【
図2】IAFヨウ素自己融解プロセスを実行するための機器を含む完全なシステムであり、ヨウ化物溶液ヒーター、酸化剤フィーダー、および分離反応器機器(液体遠心分離機)を含む。
【
図3】20L/分のヨウ化物のIAFプロセスの例について試験的な液体遠心分離機を詳述する本発明のシステムの一部である。
【
図4】試験的な液体遠心分離機における142gpLヨウ化物熱間切断の温度記録である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
工業的なヨウ素抽出プロセスは、様々な鉱物資源由来のヨウ素含有量に強く依存する。世界最大の2つの埋蔵量(非特許文献1)は、日本の東京東部における天然ガス井からの地下 ブライン(brine)であり、ここではヨウ化ナトリウムの形態でヨウ素を150~160ppmのオーダーの濃度で含有しており(乾燥産出物1トンあたりのグラム数)、また、チリのタラパカ(Tarapaca)およびアントファガスタ(Antofagasta)地域の硝酸塩鉱床(カリシェ)であり、ここでは、300~400ppmのヨウ素の典型的な濃度のヨウ素酸塩が含有されている(非特許文献2)。これら資源の埋蔵量は、各々500万トンおよび180万トンのヨウ素と見積もられており、両者のヨウ素生産量は、現在の世界の生産量の55%に相当する(非特許文献3)。
【0005】
基本的に、由来資源のヨウ素含有量が低いことを考えると、現在の工業プロセスは、明確に特徴的な2つの単一操作ライン、すなわち、「抽出ライン」と称され、ヨウ素酸塩またはヨウ化物(通常は後者)の水性濃縮ブラインを採取することを目的とする第1のラインと、及びそれに次いで、精製された元素状ヨウ素を採取するため濃縮ブラインの処理に費やされる、「精製ライン」と称される別のラインとのシーケンスとして構成されている。この最後のプロセスラインは、本明細書の技術分野のセクションで先に述べたように、本発明の関心事である。例えば(非特許文献4)、プロセスの抽出ラインは、ヨウ素酸塩またはヨウ化物などのある種のヨウ素溶液を処理することから始まり、ヨウ素含有量が0.3グラム/リットル(gpL)ほどの低い濃度を、濃縮後、50~250gpLとする。このプロセスは精製ラインで継続され、精製ラインの操作は、この濃縮溶液を処理して元素状ヨウ素を採取し、99.5%を超える純度の固体生成物に精製することを意図している。
【0006】
本主題に関連する特許および研究の多くは、2つの示されたラインに基づいて分類することさえもできる。発明特許に関連する研究および先行技術のほとんどは、ある種のヨウ素(一般にヨウ素酸塩またはヨウ化物)を濃縮する抽出ラインの単一操作に言及しており、その中にはとりわけ次のようなものがある、すなわち、空気の引き込みまたは吹き付けによる気-液抽出(ブローアウト、非特許文献4、5、6、特許文献CL35944、CL37655、CL34656、CL38613、US1853621、US1897031、US1922693、US2282289、US2143222)、冷間(cold)一次切断反応(非特許文献4、5、特許文献CL34662、CL35944、CL37655、CL34656、US1897031、US2282289、US2143222)、イオン交換樹脂を使用した固-液抽出(非特許文献5、特許文献US33526419)、または、例えば、活性炭への吸着(特許文献US2028099、US1897031、US1922693)、有機または無機溶媒による液-液抽出(非特許文献4、5;特許文献CL38613、US1853621)、SO2吸収による還元(非特許文献4、5、特許文献CL34662、CL37655、CL34656、US2143222)、昇華(非特許文献5、特許出願US2010308261)、および電気分解(特許文献US1853621)。現在広まっているプロセスは、上記操作のいくつか、主に最初の3つを使用して、また多くの場合、それらのいくつかの組み合わせを採用して、一般にヨウ化物の形態でヨウ素濃度が通常50~250gpLのヨウ素を含有する水性ブラインを採取する。この濃縮ヨウ化物溶液は、洗練(polishing)として知られる活性炭のろ過操作を受け、最終的には、ヨウ素を採取および精製するためのライン処理に送られる前にタンクに収集される。一般に、上述したほとんどすべての単位操作は連続的に実行され、そうでない場合、それらを連続動作に転換することは比較的容易である。
【0007】
しかし、精製ライン、つまり精製された固体ヨウ素を採取する場合、全産業界での現在の慣行は、常に不連続かつ逐次的な独立した操作で構成され、僅かな変更を伴う以下の特許文献、すなわち、US1936553A、US1895929A、CL35944、US2010308261のうち1つ以上の特許文献によって、大部分が裏付けられているが、最初の2つが本発明に最も近いものである。特許文献US1936553は、純粋なまたはヨウ素酸塩と混合された可溶性ヨウ化物の水溶液のバッチを、固体の元素状ヨウ素を沈殿させるための酸化剤のバッチで処理することからなる、ヨウ素を採取および精製するための不連続バッチプロセスを記載している。ヨウ素酸塩と混合すると、酸化前に還元剤の作用によってヨウ化物に還元される。酸化は、予加熱せずに(「冷間(cold)」)、室温で試薬を用いて実行され、ブラインに懸濁したままの固体結晶性ヨウ素を沈殿させる。次いで、ヨウ素を溶融させるために前記の懸濁液を114℃より高い温度に加熱し、これを沈降またはサイフォン吸い上げにより分離する。懸濁液の沸点が114℃未満の場合、沸騰を防ぐために、加熱は圧力をかけて実施されなければならず、または、好ましくは、懸濁液中の高濃度の塩分を調整することによって沸点を上げ、該加熱を大気圧で実施することができる。
【0008】
特許文献US1895929は、特許文献US1936553に記載されているプロセスに従って、冷間切断で得られた固体ヨウ素を精製するためのバッチごとに動作する機器を記載している。未加工ヨウ素結晶を鉱酸溶液と一緒に撹拌し、また次いで混合物をヨウ素の融点よりわずかに高い温度に加熱する。最終的に、溶融ヨウ素は、サイフォン吸い上げする、又は代案として、機器自体内で冷却及び固化することができる。
【0009】
次いで、主に記載された特許(非特許文献4、5、特許文献US1936553、US1895929)に基づいて、産業界において現行の従来的な精製ラインが記載され、
図1に概略的に示されている。この精製ラインの第1の操作は、いわゆる切断であり、これは、溶液中のヨウ化物イオンと、とりわけ水溶液中の過酸化水素もしくはヨウ素酸塩などの化学量論的な量の強酸化試薬、またはガス状塩素などとの酸化反応に基づいており、元素状固体ヨウ素を生成する。この操作の明確な特徴は、試薬の混合が室温または一般に50℃未満の温度で実行されることであり、これにより、固体ヨウ素パルプの生成を決定し、後者(50℃未満の温度)は本発明との実質的な違いを構成し、「冷間切断(cold cutting)」と称されている。したがって、ヨウ素濃度が50~250gpLのヨウ化物、ヨウ化水素酸、硫酸および塩を含有するプロセスの第1濃縮ラインからもたらされる、所定量のヨウ化物および清浄化された(活性炭素ろ過)濃縮ブラインは、化学量論的量の過酸化水素(プラス約10%を超える)と一緒に攪拌タンクに入れられ、両方とも50℃未満の温度で、ブラインに懸濁した結晶性固体のペースト状粘稠度のスラリー形態で元素状ヨウ素を生成する。次いで、このパルプは、濾過、沈降、浮選(flotation)、またはサイフォン吸い上げのいずれかによって、固体ヨウ素濃縮操作を受ける。次に、濃縮されたパルプは、結晶の融解温度(約114℃)に達するまで、外部エネルギー源によって溶融タンク内で加熱される溶融操作を受ける。消耗(Exhausted)ブライン(比重約1.2)と比較して生成された液体ヨウ素のより高い相対密度(比重3.9)によれば、沈降によるそれからの分離、ならびにその結果としての洗浄(濃縮ブライン自体および硫酸の添加により)が可能になる。最終的に、液体ヨウ素は、所与のジオメトリ(一般的に、プリル(顆粒)と称される球形)で精製された生成物の形態として固化させるための冷却操作を受ける。
【0010】
本発明の提案は、ヨウ素の由来源に関わらず、現在実施されているすべての工業用ヨウ素抽出プロセス(非特許文献5)に共通のラインである、ヨウ素を採取および精製するためのラインの従来の操作、すなわち、1)ヨウ化物濃縮のライン1で生成された濃縮ヨウ化物溶液を冷間切断して、元素状固体ヨウ素のパルプを採取する、2)ろ過、浮選、沈降、またはサイフォン吸い上げによるパルプの濃縮により、より高濃度の固体ヨウ素を有するパルプを採取する、3)濃縮パルプを予加熱して結晶の融解を促進する、4)固体ヨウ素の融解および重力による液体ヨウ素の分離により、使用済みブラインフリーの精製ヨウ素を採取する、および5)液体ヨウ素を冷却して、固体の精製ヨウ素生成物を採取する、という操作が直面する問題を低減および/または排除する。
【0011】
上記の従来操作によって示される課題を、以下で詳細に説明する。すなわち、
1)「冷間(cold)」切断
通常、100gpLのヨウ素を含有するヨウ化物溶液の投入量(load)は、大気に開放された「カッター」と称される攪拌タンク型反応器内で、化学量論量の30%(w/w)の過酸化水素(H2O2)溶液と反応し、30分から1時間、さらに投入(loading)および排出(unloading)のために30分間動作する。発熱反応によって放出される熱に起因して、反応混合物は40~50℃の温度に達するが、その融点、約114℃に達していないため、ブラインに懸濁した固体ヨウ素パルプを生じさせる。ヨウ素パルプは、依然として未反応の含有ヨウ化物ブラインの一部を吸蔵し、過酸化物との接触を妨げ、明らかな反応の「不動態化」効果を有する保護メカニズムを確立するようになり、すなわち、反応速度の低下として顕現するが、実際に発生するのは試薬の物理的な分離であり、試薬の一部が固体ヨウ素のスポンジ状のマトリックスに吸蔵されたままであるため、反応が妨げられ、完了までにより多くの時間が必要となる。このことは、反応が熱間(hot)で実行される場合には発生せず、これは、後で説明するように、液体ヨウ素が生成されるのがほぼ瞬間的な速度であるという事実によって証明される。攪拌および熱反応による気泡の発生、ヨウ素の昇華、ならびにペースト状ヨウ素の浮遊フロックの形成および沈降ヨウ素結晶によって、冷間切断の制御が極めて困難になる。
【0012】
反応に必要な長い保持時間(1/2~1時間)には、大掛かりのカッターが必要となる、又は代案的に、それらカッターのいくつかは、大気に開放して動作すると、40~50℃の温度に達したときに、結果的に環境問題を伴う昇華によるヨウ素の損失をもたらすこととなる。例えば、1日あたり20トンのヨウ素を生成する一般的なプラントにおいては、20,000/100 = 200m3/日の100gpLヨウ化物溶液を切断すべきである。攪拌力があるため、有効容量4m3(4 useful m3)オーダーのカッタータンクを使用すると都合がよく、このタンクの動作サイクルは1時間(反応時間は30分のみであることを考慮して)であり、つまり、各カッターは理想的には24カット/日を実施し得る。したがって、それぞれ([4/0.8=])5m3の([200/4/24)≒])2つのカッターが必要である(有効容量の80%を考慮)。温度、酸性環境および濃縮ハロゲンの条件により、ファウドラー(ドイツブランドのガラス反応器)のような特殊な機器が必要になるか、またはハステロイCのような、機器の構築のための特殊な合金を使用する必要が生じる。大気に開放された反応器内での昇華によるヨウ素の損失は、バッチで生成されたヨウ素の約1.5%に達し、これは、作業環境ですでに0.1ppmのレベルで生命および健康に危険なレベルである。
【0013】
2)パルプ濃縮
この操作は、固体ヨウ素の含有量が高いパルプを生成するために実行され、含有されるブラインの一部を排除して、ポンプ、熱交換器、溶融タンクなどのラインの下流で使用される機器のサイズおよび動作時間を低減する。
【0014】
しかし、冷間切断で沈殿した結晶性固体ヨウ素は様々なブライン比率で埋め込まれているため、該結晶性固体ヨウ素はペースト状の粘稠度を呈し、これが機器の一部に沈殿して蓄積し、結果として閉塞を引き起こす傾向があるために、輸送およびポンピングを妨げる。さらに深刻なのは、パルプがブラインから完全に分離すると、パルプのヨウ素濃度を標準化することが困難になるという事実である。パルプ内のヨウ素濃度が、保持時間、試薬の比率、エネルギー量およびその供給速度、動作温度、ポンピングおよび再循環速度、攪拌力など、多くの下流機器の動作パラメータの値を左右し、パルプ内のヨウ素濃度の変動は多くの操作上の問題を引き起こし、最終的には精製された生成物の標準純度を達成することを困難にしてしまう。
【0015】
これまでに見られた最も実用的な操作は、ブラインサイフォンであり、これは、切断反応後に反応器自体内で実行される職人技の操作であり、様々な量のブラインを吸蔵する綿毛状の固体によって、通常は250~1300gpLというヨウ素含有量の非常に変動しやすいパルプが得られる。これら濃度の制御は容易ではなく、先行の項番において上述したプラントタイプの例では、100gpLのヨウ化物溶液を使用して1日あたり20トンのヨウ素を生成した場合、パルプの1日の量は各々、[20000/250=]80m3および[20000/1300=]15m3の間で得られるだろう。この変動性は、プロセスの下流のすべての動作に先送りされ、特に熱交換器および溶融タンクの動作を妨げる。これらは、極めて類似性のない特性を有するパルプ投入の処理に直面し、それらの要件を満たすためには保持時間を大いに変動させることを要する。この変動性に対処する1つの方法は、機器の個数および/またはサイズを過大にすることであるが、その結果、効率性の低下、ならびに投資コスト、運用コスト、および保守コストの増加を伴う。さらには、サイフォン吸い上げ操作により、反応器のオープンワイド操作が少なくとも30分追加されたことにより、ヨウ素の損失および昇華によるコンタミネーションが結果的に付随する。
【0016】
同様に、ろ過、沈降および浮選操作など、パルプ濃縮の他の代替手段もまた、パルプの特性に由来して、極度に面倒かつ制御が困難である、すなわち、そのペースト状の粘稠度により、取り扱いおよび輸送が困難になり、多くの手作業を必要とし、固体ヨウ素の沈降ならびにフィルター、パイプ、バルブおよびポンプの詰まりが頻繁に発生し、これにより、該固体を懸濁状態に保つための溶液の高いポンピング再循環率を維持する必要が生じ、また、多くの場合、機器の詰まりを取り除くために100psiを超える加圧空気の吹き付けを行う必要があり、その結果、効率性の低下、運用コストおよび投資コストの増加、および安全上のリスクを生じさせることとなる。これらの問題に加えて、固体ヨウ素結晶の腐食性および摩耗性に由来する、機器および付属品が被る腐食および摩耗があり、これには、例えばハステロイC276などの構築用の特殊合金、またはタンタルなどのレアメタルを使用する必要があり、それにもかかわらず、頻繁な保守、修理および交換が必要であり、それに伴う費用もかかる。
【0017】
3)結晶の融解を促進するための濃縮パルプの予加熱
固体ヨウ素結晶は熱伝導率が低く(24.4℃で0.4581W/m/K)、一般的な耐火材料の3~5倍しかなく、融点は極めて低いものの、その融解熱は鉄に匹敵する。また、液体ヨウ素は熱容量が低く(114~160℃の間で0.077cal/g/℃)、水の13分の1であり、粘度は水の2倍である。固体ヨウ素のこれらすべての物理的特性が組み合わさって、熱伝達に対する高い耐性を生み出し、その結果、加熱および融解が極度に遅くなる。保持時間が長いため、予加熱用に大型の機器を指定する必要がある。これらすべてが、固体ヨウ素を生成してそのような状態で処理することを極めて不便なものにし、その後の精製のためにそれを溶錬する必要があり、次いで、精製された固体生成物を得るためにそれを再び固化させる必要があることを考慮すると、これら代わる代わる行われる熱処理が極度に遅く、同時に証明されたエネルギー非効率性の原因である。
【0018】
したがって、従来のプロセスでは、溶融プロセスを高速化し、それにしたがった溶融タンクのサイズおよび/または個数を減らすために、濃縮されたパルプは、溶融タンクに投入される前に予加熱され、間接熱交換器、同心状チューブ、またはプレート交換器を介して、最低16663kgf/m
2
(23.7psia)の蒸気を用いてポンプで送られる。セクション(項)1)の冷間切断で示した例について、100gpLのヨウ素のヨウ化物を処理して20トン/日のヨウ素を生成する典型的なプラントの冷間切断では、先行の項番における計算に従うと、処理されるべきパルプの量は15~80m3/日の範囲であり、これは、以下の項番で示されるように、生産能力の目標を確保する目的で機器を大きくする必要性があることにより、効率性の低下、投資コストおよび運用コストの増加の原因となる。
【0019】
高い表面温度、ならびにヨウ素、未反応の過酸化物および強鉱酸の存在に長期間さらされることを考慮すると、この機器は腐食、摩耗および詰まりの影響を特に受けやすく、上記のような固体結晶性ヨウ素のパルプ化に固有の問題である。
【0020】
4)固体ヨウ素融解および重力液体ヨウ素分離
上述した熱交換器で50~90℃の温度で予加熱されたパルプの投入は、「ノックアウト」と呼ばれるファウドラーまたはハステロイタイプの溶融タンクに給送され、ここでは、固体ヨウ素は114℃の温度に達すると溶融し、同時に、消尽した(depleted)ブラインは、給送されたパルプ中の固体ヨウ素の含有量の高低に応じて、重力によって(上層にある)液体ヨウ素から4~20時間の可変期間で分離され、その後、液体ヨウ素は「トランスファー」と呼ばれる溶融タンクに移送されて精製が終了し、冷却操作を待って精製ヨウ素が得られる。
【0021】
通常、処理量が多い場合は、
図1に示すように、2m
3の一連のノックアウトタンクが並列に使用され、各タンクは1.5m
3の容量(有効容量の80%を考慮)のトランスファータンクと直列になっている。両方のユニットは、120℃のスチームジャケットによる間接加熱を備えており、ファウドラータイプまたはハステロイ製である。
【0022】
上述した一連の溶融タンクの個数は、プラントの生成能力および各溶融タンクに必要な滞留時間(投入および排出に30分かかり、実際には4~20時間)に依存する。項1)の冷間切断で示したのと同じ例に続けて、100gpLのヨウ素のヨウ化物を処理して20トン/日のヨウ素を生成する典型的なプラントで、必要な溶融タンクの個数を計算する。各貯留槽での溶融について4時間の保持時間を用いると(ユニットの個数またはそれらのサイズは時間の経過とともに増加するため、控えめな見積もり)、各ユニットは1日にわずか[24/4.5≒]5サイクルのみ実施し得る。20トン/日のヨウ素の生成には合計[200/2/0.8=]125サイクルが必要であるため、[125/5=]25ノックアウト溶融タンクの最小要件があり、「トランスファー溶融炉」として知られる25個のノックアウト溶融タンクが連続するもう一組の一連のタンクも使用されるため、合計50個の溶融タンクが必要であり、結局、合計で[25×(2+1.5)=]87.5m3となる。このように、2つの切断反応器のそれぞれの24回の毎日の操作は、合計で10m3になり(同一の項1で行われた計算によると)、50の溶融タンクの125回の毎日のサイクルとリンクされなければならず、それにより合計で最大87.5m3となり、20トン/日のヨウ素を生成する。各溶融タンクでの溶融について保持時間を4時間とする代わりに、時に必要であった20時間とした場合、250の溶融タンクの1日125サイクルが必要になり、結局合計で437.5m3になる。この状況に向き合い、設計目的のため、[(4+20)/2=]12時間の平均保持時間が考慮されるべきであり、これには、保持時間の増加のためだけに、126の溶解タンクの1日125サイクル、すなわち、溶融タンクの個数を[125/50=]2.5倍(溶融炉の総容量が220m
3
)に増やす必要がある。
【0023】
先の図は、機器のサイズおよび個数、ならびに従来のヨウ素の採取および精製ラインに包含される操作の複雑さおよび面倒くささを示している。さらに、実際には、ヨウ素、未反応の過酸化物、および強鉱酸の存在に高温で長期間さらされることを考慮すると、溶融タンクの耐用年数は1~2年である。
【0024】
加えて、硫酸を用いた融解による精製に関して、従来のプロセスの課題を補強する公表文献があり、融解のための滞留時間を3時間以上と規定している。他方、反応器にヨウ素を連続的に給送するための定量的方法(特許文献US8268284)は、その融点でヨウ素を供給するという欠点をもたらす。これら欠点は、加熱のための外部熱エネルギーの必要性、ヨウ素が昇華する自然な傾向、および機器の腐食を含む。
【0025】
5)固体の精製ヨウ素生成物を得るための液体ヨウ素の冷却
精製液体ヨウ素は、トランスファー溶融タンクから、上部に液体ヨウ素の分配器を備えた垂直シリンダーからなる顆粒化(prilling)タワーの上部に送られ、該液体ヨウ素は、重力によって落下し、その(塔の)長さに沿ったさまざまな点に注入された空気および水流によって冷却され、精製固体生成物を構成する球体の形状に固化する。ヨウ素が融点にある状態で大気に開放して動作すると、昇華によるヨウ素の損失が発生し、その結果、コスト負担および環境汚染をもたらす。さらには、再処理用に仕様を外れた材料を送って、球体サイズを標準化するために生成物を分別する必要がある。
【0026】
要約すると、現在の工業プロセスにおけるヨウ素の採取および精製操作の従来の慣行は、以下の問題を抱えている。
a)制限された生成能力
機器の不連続動作に由来し、主要機器の長すぎる保持時間:カッターで30分(投入、排出およびサイフォン吸い上げに、プラス1時間)、ノックアウト溶融タンクおよびトランスファー溶融タンクで4~20時間(投入および排出に、プラス30分)である。例えば、1日あたり20トンのヨウ素の容量を備えるプラントが、合計6つの機器(それぞれ4時間の保持時間を有する)を直列に接続して動作していると仮定すると、そのうちの1つにおける保持時間が運用上の問題で8時間に増加した場合(「ボトルネック」効果)、1日の生成能力は[20×24/28≒]17トン/日に制限される。
【0027】
さらに、不連続動作固有の分断化が、プロセスの自動化を防止、妨害またはむしろ無効にしてしまう。
【0028】
b)過剰なエネルギー消費
パルプに含有される固体ヨウ素からの熱の伝達が非常に遅いことに由来して、該パルプは初めに予加熱、次いで溶融を受け、これにより、両方の操作で長時間の加熱が確実となり、結果として熱の損失が生じる。さらに、ヨウ素が冷間切断で被る周期的な固化-融解-固化操作、ならびにその後の溶融およびプリル(顆粒)化(prilling)の各々が、無駄な切断反応熱によって悪化する、(表面を通過する)間接加熱の使用により、熱的非効率性の固有の原因を構成している。
【0029】
c)動作条件の管理および標準化の過度な困難性
機械的攪拌(反応塊に常に空気を取り入れる)下での冷間切断によって生成されるペースト状の固体ヨウ素の結晶化および凝集化の複雑な現象に由来して、パルプは、絶えず量が変化する吸蔵されたブラインを用いて得られ、切断だけでなくその後の融解からも規則化および自動化を管理できない状態にする。結晶性の固体ヨウ素は沈降する傾向があり、空気に閉じ込められると浮遊する傾向があり、ポンプ、パイプおよびバルブの詰まりを引き起こす。これに対しては、頻繁な不測の事態に対処するための時間および処理に加えて、該固体を懸濁状態に保つための強制エアブラストおよび高速パルプ再循環などの厄介な解決策が必要となる。
【0030】
d)主要機器の操作の非効率
冷間切断で生成された固体ヨウ素は、試薬の分離またはシールド効果のために反応の効率を減少させ、これには、保持時間および/またはカッター容量、またはカッター数の増加を必要とする。処理されるパルプ固体ヨウ素の濃度の変動は下流に先送りされ、該変動を考慮すると生ぜざるを得ない機器容量の過大化に起因して、その後のすべての操作を妨げる。生成されたヨウ素の固体的性質は、熱伝達の抵抗が高く、移動度が低いため、過度の加熱時間が必要になる、すなわち、より長い保持時間が必要であり、したがって、処理されるべき同じ流量に対して、より大きな容量の溶融タンクあるいは複数のタンクが必要になる。
【0031】
e)生成物品質の均質化および規則性の過度な困難性
パルプのヨウ素濃度の変動性に由来して、処理される各機器部分の動作条件を変える必要がある。従来のプロセスにおける溶融ヨウ素は、それを含むブラインに存在するかなりの量の塩を溶解し、この状況は、融解-分離ステップでの保持時間が長くなると悪化し、生成物の純度に悪影響を及ぼす。
【0032】
f)機器の過多な個数および容量
特に処理されるべき保持時間またはフローの観点で、機器が直面している変動する動作条件は、所与の生産能力を維持するために、常に機器の容量の増加および/またはその機器の個数の増加を必要とする。溶融タンクの場合、問題は、パルプ中のヨウ素の比率が変化すること、および熱伝達に対する耐性が高いことの両方によって悪化する。
【0033】
g)機器の保守、修理および交換のための過剰な要件
一般に、固体結晶性ヨウ素および酸性溶液による、特に高温での腐食および摩損にさらされる曝露時間および/または表面量が、動作期間の延長、機器および付属品の容量または個数の増加、あるいは輸送活動または取り扱い活動の必要性の増加、保守の必要性、のいずれかによって増加する範囲で、機器および付属品の修理および交換を比例して増大させる。
【0034】
h)過剰なヨウ素の損失
前出のポイントd)およびf)と同じ理由で、輸送および取り扱いの量が大きいほど、ヨウ素の昇華損失が大きくなり、ならびに、保持時間が長く大気に開放されている不連続な機器における動作期間の延長、または機器の個数が多い、もしくはそれらの容量の増加によっても、ヨウ素の昇華損失は大きくなる。
【0035】
i)環境汚染および安全性による過剰な業務上のリスク
上記のより高い損失に由来して、アメリカの機関OSHA(労働安全衛生局)によって確立された0.1ppmというヨウ素の制限が、作業環境における安全性およびコンタミネーションのリスクを浮き彫りにしている(非特許文献5)。
【0036】
本発明は、本発明を使用することができる様々な方法のいくつかを明記する、対応する特許請求の範囲、添付の図および以下の記載とともに、以下に完全に説明される改良した
プロセスからなる。
図2は、本発明を実施するのに適した
システムおよび機器を表す。
【0037】
本発明は、元素状ヨウ素を採取し、それを精製する過程において、ヨウ素の由来資源、使用される抽出プロセス、およびヨウ化物濃度にかかわらず、切断および自己融解の両方、ならびに消耗ブラインの分離の連続動作の実施を通じて、従来技術の前述の課題を解決することを目的とする。
【0038】
本発明のプロセスは、連続プロセスであることに加えて、より一層速く、より単純で、よりコンパクトで、より安全で、無公害であり、自動化の影響を受けやすい。切断-攪拌タンクタイプの反応器の必要性、パルプ濃縮器システムまたは機器の必要性、およびかさばるパルプ予加熱器の必要性が排除され、これらすべての機器、およびそれらの間の移送システムにおける腐食および摩損を回避する。過剰な溶融期間を有する溶融タンクが排除され、精製された生成物の純度が均質化され、かつ、プラントの生産能力が向上する。いくつかの機器(反応タンク、パルプ分離システム、パルプ熱交換器、パルプ溶融タンク)を、非摩耗性かつ低い腐食性の条件を受ける、より一層小さいサイズ、かつ少ない投資で済む2つの単純な普通の機器(溶液を予加熱するための普通の設計の熱交換器、および遠心作用および/または重力分離器)に置き換えることによって、加熱蒸気の要件、保守、修理、交換のレベル、それらのみならず、ヨウ素の昇華損失、ならびに環境汚染および安全性に起因する付随的な業務上のリスクが低減される。
【0039】
実際、本発明の自己融解自動制御による不連続プロセスから連続プロセスへの変換は、投資、運用コスト(特にエネルギー消費)、チームの保守、修理、および交換を大幅に削減し、ヨウ素の損失、汚染および業務上の危険を減らす。これにより、すべてのプロセスストリームの輸送および処理が容易になり、不測の事態の発生および頻繁な処理の必要性がなくなり、操作の自動制御ならびに生成物の特質および品質の効率的な標準化が可能になる。
【0040】
先行技術で知られているものとは異なり、本発明の元素状ヨウ素を採取および精製するためのプロセスは、自動的に制御される連続プロセスであり、これは、可溶性ヨウ化物水溶液の所与の流量を、「熱間(hot)」の酸化剤の化学量論的流量で、すなわち、酸化剤フローに接触すると、そのような温度に事前に加熱されるヨウ化物フローで処理することからなり、放出された反応熱のおかげで、反応生成物は114℃以上の温度に達し、そのため、液体ヨウ素の連続的なフローが生成され、これが、従来技術と比較して相対的優位性を示し、ヨウ素業界における重要な競争力の高い優位性につながり得る。
【0041】
実際、上記のようにして実行される「熱間」切断は、例えば過酸化水素を用いたヨウ化物酸化反応により、実質的に理論上の速度で発生する元素状ヨウ素を得ることを可能にし、切断が完了し、液体状態のヨウ素を生成するのに数秒しかかからず、該液体状態のヨウ素は、[3.9-1.2=]2.7の比重の違いのおかげで、使用済みの液体ブラインから比較的簡単に分離される。このようにして、保持時間は、従来の不連続プロセス(項番4で説明されている20トン/日の容量プラントの典型的な例の保守的なシナリオによる)の[1×1/2+4.5=]6時間の切断および溶融から短縮され、連続IAFプロセスは1分未満の保持時間で、プラントの容量が34トン/日に増加すると推定される。この最後のプロセスのその他の利点の中でも、従来のプラントの1日10時間の動作に相当するエネルギー消費量の削減、ならびに、生産の規則化および生成物品質の均質化を可能にすることになる動作条件の自動制御および標準化が予見され得る。
【0042】
他方、本発明の酸化反応は、反応器の入口で行われ、該反応器は、反応を完了させ、遠心力および/または重力作用のいずれかによって上澄みから液体ヨウ素を分離するよう、流体力学が特別に設計された液体遠心分離機または沈降タンクの形態とすることができ、該ヨウ素のフローはその底部から出て、該上澄みのフローはその上部から出る。操作全体は、上澄みの沸点よりも高い圧力で実行される。
【0043】
従来技術で説明されていることに従って、本発明の相違点および利点を理解することが可能である。表1は、IAFプロセスと、業界で現行の元素状ヨウ素を採取および精製するための従来プロセスとの比較を要約したものである。
【0044】
【0045】
[発明の詳細]
本発明は、ヨウ化物溶液と酸化剤(H
2O
2など)との反応、融解、および得られた液体ヨウ素の分離のための制御された動作および条件を通じて、精製元素状ヨウ素を得るためのプロセスを同時かつ連続的に実行することを可能にする。すなわち、本発明により、これまで不連続に実施されてきた従来技術の説明で記載されたステップ(
図1)が、行程に必要な条件を達成するように設計された単一機器要素(反応器-溶鉱炉-セパレーター)で実質的に実行される、連続的な安定した大規模プロセスに転換されるプロセスを実現することが可能である。
【0046】
本発明は、多相かつ非等温の流体力学的体系で生じる極めて高速な発熱反応の結果である、精製元素状ヨウ素を得るためのプロセスに関する。具体的には、1)後続の操作の前に、ヨウ化物溶液フローを特定の温度に予加熱する操作、2)特定の温度に予加熱されたヨウ化物溶液を酸化剤(例えば、過酸化水素)の溶液と室温で密に混合することを含む、前記予加熱された溶液の切断反応を行い、結晶状態を回避して進行し、自己生成形態の溶融ヨウ素を直接生成する操作、および3)精製液体ヨウ素から使用済みブラインを分離する操作に言及し、単一の液-液分離機器においてこれら最後の2つの操作を検証する。
【0047】
ヨウ化物溶液フローの予加熱は、標準設計の連続シェル・アンド・チューブまたはプレート熱交換器において、ヨウ化物溶液フローのヨウ素含有量に応じて、40~120℃の特定の温度までなされ、それによって、インラインミキサーで酸化剤フローと混合および反応すると、発熱反応によって生成された熱のおかげで、生成物および反応物の両方がヨウ素の融解温度113.6℃に達し、ヨウ素の結晶化を回避しながら溶融ヨウ素を直接得ることができる。その反応速度は、理論的に瞬間的であり、「冷間」切断の場合のように、ヨウ化物溶液を吸蔵する固体ヨウ素が生成されず、明らかな還元の原因となる試薬の分離が生じないため、「熱間」で実行された場合は実質的に変化しない。したがって、流体力学が確立されて連続分離を実行可能にし、得られたヨウ素純度を確保する液体遠心分離機などの装置において、遠心作用および/または重力作用によって消耗ブラインから分離される。
【0048】
図2は、本発明
のプロセスの操作を実施するための適切な
システムを示している。ヨウ化物フローは、そのヨウ素濃度によって決定される温度に予加熱され、次いで、酸化剤フローと共に反応器-分離器ユニットへ化学量論的比率で同時に給送され、そこでそれらは反応して、遠心力および/または重力作用によって分離される溶融ヨウ素および消耗溶液を生成する。
【0049】
本発明で使用される酸化剤は、とりわけ、塩素、臭素、亜硝酸、過酸化水素、塩素酸塩、ヨウ素酸塩とすることができる。酸化剤およびヨウ化物溶液の間のフロー比率は、プロセスの決定的な特性であり、化学量論的比率よりもわずかに高い比率を用いて、通常は1%~10%追加される。他方、該プロセスは、ヨウ化物および酸化剤の両方について広い濃度範囲で溶液を処理し、それらが含有する反応種間の化学量論比を常に維持することが可能である。
【0050】
生成されたヨウ素の分離は、例えば、溶融ヨウ素および使用済みブラインの液-液分離用に設計された液体遠心分離機で実行され得、これには、設計(サイズおよび形状)ならびにプロセス条件(適用される流量、温度および圧力)に関連する非常に具体的な特性が必要である。
【0051】
液体遠心分離機のサイズおよび形状は、反応を完了させ、使用済みブラインから液体ヨウ素を分離するために必要な流体力学を反応物のフローに付与することを可能にする一方で、温度および圧力の動作条件は、ヨウ素を溶融させ、消耗ブラインの沸騰を回避しつつ反応が液相で行われることを確実にすることができる。
【0052】
[不連続なIAF運用の概念実証]
バッチ式で操作される実験室規模の反応器(80mL)を使用して、基礎研究から、従来技術の通常プロセスが再現され、ヨウ化物およびH2O2の間の反応熱を利用して液体ヨウ素を生成する技術的実現可能性を研究した。表2は、この概念実証のいくつかの実験結果を示している。これは、61gpL~242gpLのヨウ素濃度範囲をカバーする、処理された全ヨウ化物溶液について、到達した最高温度がすべての場合で113.6℃より高かったために溶融ヨウ素が得られたことを示している。放出された反応熱の大きさは、融解に必要な熱に加えて、消耗ブラインおよび生成されたヨウ素の最終到達温度に必要な熱の配分に関与し、その関与は、より高濃度のヨウ素溶液に対してより実質的であることが観察された。
【0053】
【0054】
バッチ操作の実現可能性の証拠に基づいて、同じ反応器内で実質的に瞬時にヨウ素の融解および分離を同時に実行するように連続プロセスが設計された。このプロセスは、本発明者がIAF(ヨウ素自己融解:Iodine Autogenous Fusion)と名付けたものであり、試験的スケールで実施され、連続動作を通じて、「熱間」IAF切断の熱力学的および流体力学的挙動、ならびにその後の相分離に必要な条件を研究した。
【実施例】
【0055】
元素状ヨウ素およびヨウ素精製を生成するIAFプロセスは、ヨウ素含有量が例えば約50~約250gpLの広い濃度範囲にあるヨウ化物水溶液フローを処理し得るが、ヨウ化物溶液の濃度について以前の動作が有し得た制限よりも実質的に制限はない。その濃度範囲に対しては、ヨウ化物溶液の温度および圧力はそれぞれ50℃~130℃および100~500kPa(1.0~5.0バール)の間とすべきであり、一方で過酸化水素溶液の濃度は15%~70%(w/w)の間とすることができる。
【0056】
例として、
図3は、IAFプロセスに従って20L/minのヨウ化物溶液を切断するように設計された試験的な液体遠心分離機の寸法を示している。この試験的機器の生成能力は、20L/minのヨウ化物溶液の流量で動作し、処理するヨウ化物中のヨウ素濃度に応じて変化し、ヨウ素濃度100;150;210gpLに対して各々、一月当たり86;130;181トンヨウ素である。
【0057】
この液体遠心分離機を使用して、70%(w/w)過酸化水素を0.62±1%L/minの化学量論的流量(2%過剰を含む)で、50~110℃の温度に予加熱した142gpLのヨウ素から20±1%L/minのヨウ化物の流量を切断し、これが、ちょうど液体遠心分離機入口に設置されたインラインミキサーに投入された。
図4は、実験中の液体遠心分離機の温度連続記録を示しており、過酸化物の注入が開始されてから、75秒で85℃から114℃(ヨウ素の融解温度)に上昇、ラインの温度調整に起因する過渡現象(transient)が生じ、過酸化物の給送開始から94秒で121±2℃で定常状態に達し、4分以上連続動作を維持していることがわかる(ヨウ化物付与ポンプへの腐食による損傷を避けるために、すべてのテストで合計動作時間は10分未満に制限した)。
【0058】
液体遠心分離機の上部出口からは、流量19.04L/minの消尽したブラインが得られ、一方、液体遠心分離機の下部出口からは約120℃の温度で流量0.69L/hの液体ヨウ素が得られた(これは、昇華したヨウ素蒸気の漏れを防ぐためにヨウ化物溶液に収集された)。定常動作の4分後、7.71gpLのヨウ素を含有する消耗ブラインサンプルおよび溶融ヨウ素サンプルを抽出した。これが、99.6%(w/w)の純度を示し、このことは、自己生成形態で溶融した元素状ヨウ素の形成、および消耗ブラインからの分離を示し、液体状態で高純度の生成物が得られたことを示した。
【0059】
表3は、連続動作における動作条件セットおよび様々なパイロットテストの結果を示す。
【表3】
【0060】
バッチおよび連続IAFプロセスの最終収率は、表2および表3に示されており、各々類似しているが、連続IAFプロセスは、表1に示された実質的にすべての技術的利点を示し、「冷間」切断および「熱間」切断の両方について不連続的な適用を無用なものとするため、比較的に相当優れている。
【0061】
[非特許文献]
(1)USGS (2013) Mineral Commodities Summary. Iodine.
(2)Chilean Copper Commission (2013) Monitoring of Industrial Minerals of Chile. Analysis of saline resources.
(3)Krukowski, ST (2004) Iodine, Min. Engng. 56: 27-28.
(4)SQM, DIP, PV (1989), Iodine Plant Operations Manual No. 3.
(5)Tatsuo Kaiho (ed., 2015) Iodine Chemistry and Applications, John Wiley, USA.
(6)Johnson KS and Gerber WR (1998). Iodine geology and extraction in northwestern Oklahoma. In: Johnson KS, (ed., 1999) Proceedings of the 34th Forum on the Geology of Industrial Minerals, Vol 102, Oklahoma Geological Survey Circular; pp 73-79.
(7)Cosayach Nitrates S.A. (2012). Emissions, discharges and residues. In: Environmental impact statement increase in iodine production Cala-Cala. Tarapaca, Chile. Retrieved from http://seia.sea.gob.cl/archivos/CAPITULO_III_Emisions_descargas_y_residuos.pdf
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヨウ化物溶液に含有される元素状ヨウ素を採取および精製するため、とくに酸化剤によるヨウ化物の切断ステップ、ヨウ素融解ステップ、および分離ステップのための連続的なプロセスであって、
前記ヨウ化物の切断ステップは、予加熱されたヨウ化物溶液フローを酸化剤フローと反応させて、元素状溶融ヨウ素を直接的に生成するステップを含み、
使用済み溶融水からの前記元素状溶融ヨウ素の分離は、液-液分離によって生じ、
ヨウ素を切断するステップは、ヨウ素が結晶状態を経ることなく生じ、上述したそれら前記ステップは
、急速な切断反応が、液体-液体分離器に入る直前にほぼ完全にインラインミキサーで行われ、これにより、使用済みブラインから液体ヨウ素を完了および分離するのに十分な時間が得られる単一のシステムで実行されることを特徴とする、プロセス。
【請求項2】
請求項1に記載のプロセスにおいて、前記切断ステップは、ヨウ素の融解温度(113.6℃)以上で連続的に実行され、かつ、該温度は、反応中に付加的な熱を追加する必要性がなく、反応するフローを混合することによってのみ維持されることを特徴とする、プロセス。
【請求項3】
請求項1に記載のプロセスにおいて、前記切断の温度には、自己生成と称される前記切断反応の熱を利用して到達することを特徴とする、プロセス。
【請求項4】
請求項1に記載のプロセスにおいて、前記ヨウ化物の切断ステップは、液体状態の精製ヨウ素を直接的に生成することを特徴とする、プロセス。
【請求項5】
請求項1に記載のプロセスにおいて、前記切断反応に使用される前記酸化剤は、とりわけ、塩素、臭素、亜硝酸、過酸化水素、塩素酸塩、ヨウ素酸塩から選択されることを特徴とする、プロセス。
【請求項6】
請求項5に記載のプロセスにおいて、前記酸化剤は過酸化水素
であることを特徴とする、プロセス。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセスにおいて、切断する前に、前記ヨウ化物溶液が、そのヨウ素含有量および前記酸化剤の性質に依存する温度に予加熱されることを特徴とする、プロセス。
【請求項8】
請求項7に記載のプロセスにおいて、前記酸化剤が過酸化水素である場合に、ヨウ素含有量が約50~約250gpLであるヨウ化物に対して、前記予加熱の温度が50℃~130℃であることを特徴とする、プロセス。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセスにおいて、前記切断は、前記ヨウ化物フローおよび前記酸化剤フローの各々に含有される反応種の化学量論的比率で実行され、後者の前記酸化剤フローがわずかに過剰であることを特徴とする、プロセス。
【請求項10】
請求項9に記載のプロセスにおいて、前記酸化剤が過酸化水素である場合に、前記切断ステップは、化学量論的比率を1%~7%の間で超える過剰な酸化剤を使用して実行されることを特徴とする、プロセス。
【請求項11】
請求項1に記載のプロセスにおいて、前記切断ステップは、前記ヨウ化物溶液および前記酸化剤の溶液の両方について広い濃度範囲で実行されることを特徴とする、プロセス。
【請求項12】
請求項11に記載のプロセスにおいて、前記濃度範囲は、前記ヨウ化物溶液について50~250gpLのヨウ素であり、過酸化水素の場合は前記酸化剤の溶液について15%~70%(p/p)であることを特徴とする、プロセス。
【請求項13】
請求項12に記載のプロセスにおいて、前記ヨウ化物溶液は、100~500kPa(1.0~5.0バール)の圧力を受けることを特徴とする、プロセス。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセスにおいて、反応を完了させ、精製液体ヨウ素および消耗ブラインの分離を、ヨウ素の融点以上の温度で、かつ、該使用済みブラインの沸点よりも高い圧力で実行するために必要な連続動作において必要な流体力学を付与するように決定されたサイズおよびジオメトリの、合目的的に設計された液体遠心分離機または沈降タンクなどの遠心作用および/または重力作用の液-液分離機器によって実行されることを特徴とする、プロセス。
【請求項15】
ヨウ化物溶液に含有される元素状ヨウ素を採取および精製するための連続プロセスを実行するためのシステムであって、
ヨウ化物溶液ヒーターと、
酸化剤フローフィーダーおよびヨウ化物溶液フローフィーダーであって、両方のフローを同時に
インラインミキサーの混合ポイントに導き、
そこでヨウ化物の切断が生じ、実質的に瞬時に元素状
液体ヨウ素および使用済み溶液
が生成
される、酸化剤フローフィーダーおよびヨウ化物溶液フローフィーダーと、
前記混合ポイントのすぐ下流に配置された分離反応器であって、切断反応を完了させ、かつ、精製
溶融ヨウ素および消尽した溶液の
流れの分離を実行することを可能にする
、分離反応器と、
を備えることを特徴とする、システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムにおいて、前記分離反応器は液体遠心分離機であることを特徴とする、システム。
【国際調査報告】