(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(54)【発明の名称】微量の血液中のビタミンK1およびビタミンK2を同時に検出する方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/82 20060101AFI20230113BHJP
G01N 30/88 20060101ALI20230113BHJP
G01N 30/72 20060101ALI20230113BHJP
G01N 30/04 20060101ALI20230113BHJP
G01N 30/06 20060101ALI20230113BHJP
G01N 30/86 20060101ALI20230113BHJP
G01N 27/62 20210101ALI20230113BHJP
【FI】
G01N33/82
G01N30/88 E
G01N30/72 C
G01N30/04 P
G01N30/06 Z
G01N30/86 J
G01N27/62 V
G01N27/62 X
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020573538
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(85)【翻訳文提出日】2020-12-28
(86)【国際出願番号】 CN2020118947
(87)【国際公開番号】W WO2022067533
(87)【国際公開日】2022-04-07
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521001870
【氏名又は名称】北京和合医学診断技術股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING HARMONY HEALTH MEDICAL DIAGNOSTICS CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】趙 金 宝
(72)【発明者】
【氏名】賈 永 娟
(72)【発明者】
【氏名】▲ニ▼ 君 君
【テーマコード(参考)】
2G041
2G045
【Fターム(参考)】
2G041CA01
2G041DA09
2G041DA18
2G041EA04
2G041EA12
2G041FA10
2G041FA21
2G041GA09
2G041HA01
2G041JA05
2G041LA09
2G045AA13
2G045BA13
2G045BB10
2G045BB60
2G045CA25
2G045CA26
2G045DA57
2G045FA40
2G045FB06
(57)【要約】
本発明は、微量の血液中のビタミンK1およびビタミンK2を同時に検出する方法を提供し、2次元液体クロマトグラフィー-質量分析装置を構築して分析方法を確立し、構築した2次元液体クロマトグラフィー-質量分析装置を用いて少なくとも3種の混合標準溶液を検出し、第1検出結果を取得することと、ビタミンK1およびビタミンK2にそれぞれ対応する検量線方程式をフィッティングすることと、抽出試薬および一定量の内部標準物質が加えられた血液サンプルを均一に混合して遠心し、上清を窒素ブローで乾燥して再溶解させた後、構築した2次元液体クロマトグラフィー-質量分析装置で検出し、第2検出結果を取得することと、血液サンプル中のビタミンK1およびビタミンK2の濃度を取得することとを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置システムモジュールの選択、2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置システムの構築、および2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置の分析条件の確立を含む血液中のビタミンK1およびビタミンK2を検出する分析方法の確立と、
(2)標準溶液の標定であって、
(2a)少なくとも3種の混合標準溶液を調製し、前記混合標準溶液は、内部標準物質、ビタミンK1およびビタミンK2を有する溶液であり、且つ、前記少なくとも3種の混合標準溶液中の内部標準物質の濃度は同じであり、
(2b)2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置を用い、ステップ(1)で確立した分析方法により、前記少なくとも3種の混合標準溶液のそれぞれを検出し、前記少なくとも3種の混合標準溶液のそれぞれに対応する第1検出結果を取得し、
(2c)それぞれの前記第1検出結果、前記混合標準溶液中の内部標準物質、ビタミンK1およびビタミンK2の濃度に基づき、ビタミンK1およびビタミンK2にそれぞれ対応する検量線方程式をそれぞれフィッティングする、標準溶液の標定と、
(3)血液サンプルの測定であって、
(3a)血液サンプルに前記混合標準溶液中と同じ量の内部標準物質を加え、更に抽出試薬を加えて抽出した後、遠心処理を行い、遠心処理後の上清をブローで乾燥し、再溶解液を用いて再溶解させ、分析サンプルを取得し、
(3b)2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置を用い、ステップ(1)で確立した前記分析方法により、前記血液サンプルを検出し、前記血液サンプルに対応する第2検出結果を取得し、
(3c)前記ビタミンK1およびビタミンK2のそれぞれに対応する検量線方程式および前記第2検出結果に基づき、前記血液サンプル中のビタミンK1およびビタミンK2の濃度を取得する、血液サンプルの測定と、
を含む、血液中のビタミンK1およびビタミンK2を同時に検出する方法。
【請求項2】
ステップ(1)に記載の2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置システムモジュールは、液体ポンプ、オートサンプラ、カラムインキュベーターおよび質量分析装置を含み、
前記液体ポンプは少なくとも2セットであり、そのうちの一方のセットの液体ポンプは前記オートサンプラに接続され、他方のセットの液体ポンプは独立してポンプ動作を行い、
前記オートサンプラは、サンプル注入動作を行うために用いられ、
前記カラムインキュベーターは、2次元液体のカラム切替動作を行うために少なくとも1セットの切替弁を含み、
前記切替弁のうちの各セットは、独立して六方弁または十方弁から選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(1)に記載の2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置システムの構築は、
一方のセットの液体ポンプがオートサンプラに直列に接続され、オートサンプラが第1次元カラムに接続されて切替弁にアクセスされ、他方のセットの液体ポンプが切替弁にアクセスされて第2次元カラムに接続され、第2次元カラムが質量分析装置にアクセスされ、且つ、切替弁により、サンプル注入、2次元転移、分析という3種の状態を含む前記システムの分析状態を制御することと、
前記サンプル注入時に、サンプルを第1次元カラムにより分析し、非目的分析物を切替弁の廃液から排出することと、
前記2次元転移時に、第1次元カラムと第2次元カラムとを直列に接続し、目的分析物を第1次元カラムから第2次元カラムに転移することと、
前記分析時に、サンプルを第2次元カラムにより分析し、質量分析装置を接続してデータ収集を行うことと、
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(1)に記載の2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置の分析条件の確立は、
2次元液体クロマトグラフィーの移動相の流速が0.5~2.0mL/minであることと、
前記移動相は超純水、メタノール、アセトニトリル、および任意の2種または3種の任意の割合の混合溶媒を含む極性溶媒であり、前記移動相に0.01%~1%のギ酸が含まれることと、
2次元液体クロマトグラフィーのサンプル注入量は1~100μLであることと、
2次元液体クロマトグラフィーカラムインキュベーターのカラム温度は20~60℃であることと、
質量分析装置は、APCI源、正イオンスキャンモードを採用し、霧化ガス流量が0.5~3L/minで、加熱ガス流量が3~20L/minで、イオン源温度が100~400℃で、脱溶媒管温度が30~300℃で、ヒータブロック温度が30~500℃で、乾燥ガス流量が0~20L/minで、インターフェース電圧が1~5kVであることと、
を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(1)に記載の2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置の分析条件の確立は、
2次元液体クロマトグラフィーの第1次元カラムはフェニルヘキシルであることと、第2次元カラムはC18であることと、
を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記内部標準物質は、ビタミンK1同位体マーカー、ビタミンK2同位体マーカーを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ビタミンK1に対応する検量線方程式の2つの変数は、それぞれ、ビタミンK1のクロマトグラフピーク面積とビタミンK1に対応する内部標準物質のクロマトグラフピーク面積との比、およびビタミンK1の濃度とビタミンK1に対応する内部標準物質の濃度との比であり、
前記ビタミンK2に対応する検量線方程式の2つの変数は、それぞれ、ビタミンK2のクロマトグラフピーク面積とビタミンK2に対応する内部標準物質のクロマトグラフピーク面積との比、およびビタミンK2の濃度とビタミンK2に対応する内部標準物質の濃度との比である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(2a)に記載の少なくとも3種の混合標準溶液を調製する方法は、
標準混合中間液の調製であって、ビタミンK1標準原液、ビタミンK2標準原液を異なる割合で混合し、希釈液を用いて希釈し、少なくとも3種の異なる濃度の標準混合中間液を得て、光を避けて保存する、標準混合中間液の調製と、
混合内部標準作動液の調製であって、ビタミンK1内部標準物質原液、ビタミンK2内部標準物質原液を異なる割合で混合し、希釈液を用いて希釈し、混合内部標準作動液を得て、光を避けて保存する、混合内部標準作動液の調製と、
混合標準溶液の調製であって、同じ体積かつ異なる濃度の少なくとも3種の標準混合中間液をそれぞれ取り出し、同じ体積の前記混合内部標準作動液および同じ体積の前記希釈液をそれぞれ加え、1500~3000r/minで30s~1min渦巻いて均一に混合し、少なくとも3種の異なる混合標準溶液を作成する、混合標準溶液の調製と、
を含み、
前記希釈液は、メタノールまたはメタノール水溶液、アセトニトリルまたはアセトニトリル水溶液、イソプロパノールまたはイソプロパノール水溶液を含み、前記メタノール水溶液、アセトニトリル水溶液、イソプロパノール水溶液の体積濃度は、独立して50%~100%から選ばれる、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記標準混合中間液中のビタミンK1の濃度は0.05~500ng/mLであり、ビタミンK2の濃度は0.05~500ng/mLであり、
前記混合内部標準作動液中のビタミンK1内部標準物質の濃度は10~30ng/mLであり、ビタミンK2内部標準物質の濃度は10~30ng/mLである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記血液サンプルは、全血、血清、または血漿を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記血液サンプルの使用量は20μL以上である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ステップ(3a)の前に、
血液サンプルを遠心速度1000~3000r/minで10~20min遠心し、遠心後の上清を前記血液サンプルとして-80℃の条件で保存することを更に含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ステップ(3a)は、
血液サンプルに前記混合標準溶液中と同じ量の内部標準物質を加え、抽出試薬を更に加えて抽出した後、1000~2500r/minの回転速度で5~15min渦巻いて振動混合させてから、10000~15000r/minの回転速度で5~15min高速遠心し、遠心処理後の上清の一部または全てを窒素ブローで乾燥し、再溶解液を用いて再溶解させ、1000~2500r/minの回転速度で1~5min渦巻いて振動混合させ、分析サンプルを得ることを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記抽出試薬は極性抽出試薬と非極性試薬との組み合わせであり、
前記極性抽出試薬は、メタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトン、またはイソプロパノールのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、
前記非極性抽出試薬は、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-オクタン、または石油エーテルのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、
前記再溶解液は、メタノール、エタノール、またはアセトニトリルのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、生物検出の技術分野に関し、例えば、微量の血液中のビタミンK1およびビタミンK2を同時に検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビタミンK1(Phylloquinone)は天然の緑色の植物に広く存在している。空気および湿気に対して安定するが、日光の下で分解される。また、ビタミンK1は、生体の正常な血液凝固の維持に重要な役割を果たし、いくつかの血液凝固因子および抗凝固タンパク質の活性化に補助的な役割を果たす。
【0003】
ビタミンK2(Menaquinone-4)は、骨密度保護剤および人体代謝物としての作用を有し、潜在的な抗腫瘍活性を有し、糖尿病、骨粗鬆症、糖尿病前期状態および肝癌の治療の研究に用いられる。
【0004】
現在、文献で報告されている血液中のビタミンK1、ビタミンK2を検出する方法は、主に、高速液体クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィータンデム質量分析法を主としている。従来の文献で報告されている方法は、検出項目が単一であり、検出速度が遅く、分析時間が長く、採血量が多く、コストが高い等の問題があることが多い。その中でも、ビタミンK1の単項検出は特に多い。ビタミンK2は、人体内の含有量が低いため、従来の文献における報告では、いずれも前処理の血液使用量を増大することで検出の感度要求を満たし、臨床での大量検出に適しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の目的は、操作しやすい、分析が速い、適用範囲が広い微量の血液中のビタミンK1およびビタミンK2を同時に検出する2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析法を提供することを含む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の実施形態は、
(1)2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置システムモジュールの選択、2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置システムの構築、および2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置の分析条件の確立を含む血液中のビタミンK1およびビタミンK2を検出する分析方法の確立と、
(2)標準溶液の標定であって、
(2a)少なくとも3種の混合標準溶液を調製し、前記混合標準溶液は、内部標準物質、ビタミンK1およびビタミンK2を有する溶液であり、且つ、前記少なくとも3種の混合標準溶液中の内部標準物質の濃度は同じであり、
(2b)2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置を用い、ステップ(1)で確立した分析方法により、前記少なくとも3種の混合標準溶液のそれぞれを検出し、前記少なくとも3種の混合標準溶液のそれぞれに対応する第1検出結果を取得し、
(2c)それぞれの前記第1検出結果、前記混合標準溶液中の内部標準物質、ビタミンK1およびビタミンK2の濃度に基づき、ビタミンK1およびビタミンK2にそれぞれ対応する検量線方程式をそれぞれフィッティングする、標準溶液の標定と、
(3)血液サンプルの測定であって、
(3a)血液サンプルに前記混合標準溶液中と同じ量の内部標準物質および抽出試薬を加えて抽出した後、遠心処理を行い、遠心処理後の上清をブローで乾燥し、再溶解液を用いて再溶解させ、分析サンプルを取得し、
(3b)2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置を用い、ステップ(1)で確立した前記分析方法により、前記血液サンプルを検出し、前記血液サンプルに対応する第2検出結果を取得し、
(3c)前記ビタミンK1およびビタミンK2のそれぞれに対応する検量線方程式および前記第2検出結果に基づき、前記血液サンプル中のビタミンK1およびビタミンK2の濃度を取得する、血液サンプルの測定と、
を含む血液中のビタミンK1およびビタミンK2を同時に検出する方法を提供する。
【0007】
本願に係る上記分析方法は、血液中のビタミンK1およびビタミンK2を同時に検出でき、検出時間を5.5minまで効果的に短縮し、検出コストを低減することを実現する。構築した2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置により、分析方法は感度が高くて特異性が強く、血液サンプル中のビタミンK1およびビタミンK2の同時検出に適用し、特に、指先血または踵血を含む微量(20~200μL)の血液サンプルの検出に適用し、患者の採血苦痛を低減することができ、前処理を操作しやすく、自動化操作を実現しやすく、検出干渉を大きく低減し、検出の感度を向上させ、分析が速く、検出時間が短く、検出コストを低減する。
【0008】
好ましい技術案として、ステップ(1)に記載の2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置システムモジュールは、液体ポンプ、オートサンプラ、カラムインキュベーターおよび質量分析装置を含み、
前記液体ポンプは少なくとも2セットであり、そのうちの一方のセットの液体ポンプは前記オートサンプラに接続され、他方のセットの液体ポンプは独立してポンプ動作を行い、
前記オートサンプラは、サンプル注入動作を行うために用いられ、
前記カラムインキュベーターは、2次元液体のカラム切替動作を行うために少なくとも1セットの切替弁を含み、
前記切替弁のうちの各セットは、独立して六方弁または十方弁から選ばれる。
【0009】
好ましい技術案として、ステップ(1)に記載の2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置システムの構築は、
一方のセットの液体ポンプがオートサンプラに直列に接続され、オートサンプラが第1次元カラムに接続されて切替弁にアクセスされ、他方のセットの液体ポンプが切替弁にアクセスされて第2次元カラムに接続され、第2次元カラムが質量分析装置にアクセスされ、且つ、切替弁により、サンプル注入、2次元転移、分析という3種の状態を含む前記システムの分析状態を制御することと、
前記サンプル注入時に、サンプルを第1次元カラムにより分析し、非目的分析物を切替弁の廃液から排出することと、
前記2次元転移時に、第1次元カラムと第2次元カラムとを直列に接続し、目的分析物を第1次元カラムから第2次元カラムに転移することと、
前記分析時に、サンプルを第2次元カラムにより分析し、質量分析装置を接続してデータ収集を行うことと、
を含む。
【0010】
好ましい技術案として、ステップ(1)に記載の2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置の分析条件の確立は、
2次元液体クロマトグラフィーの移動相の流速が0.5~2.0mL/minであることと、
前記移動相は超純水、メタノール、アセトニトリル、および任意の2種または3種の任意の割合の混合溶媒を含む極性溶媒であり、前記移動相に0.01%~1%のギ酸が含まれることと、
2次元液体クロマトグラフィーのサンプル注入量は1~100μLであることと、
2次元液体クロマトグラフィーカラムインキュベーターのカラム温度は20~60℃であることと、
質量分析装置は、APCI源、正イオンスキャンモードを採用し、霧化ガス流量が0.5~3L/minで、加熱ガス流量が3~20L/minで、イオン源温度が100~400℃で、脱溶媒管温度が30~300℃で、ヒータブロック温度が30~500℃で、乾燥ガス流量が0~20L/minで、インターフェース電圧が1~5kVであることと、
を含む。
【0011】
好ましい技術案として、ステップ(1)に記載の2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置の分析条件の確立は、
2次元液体クロマトグラフィーの第1次元カラムはフェニルヘキシルであることと、第2次元カラムはC18であることと、
を含む。
【0012】
フェニルヘキシルカラムを第1次元カラムとして選択し、C18カラムを第2次元カラムとして選択するように特定することにより、血液中の内因性不純物の分離を最適に実現することができる。
【0013】
好ましい技術案として、前記内部標準物質は、ビタミンK1同位体マーカー、ビタミンK2同位体マーカーを含む。
【0014】
好ましい技術案として、前記ビタミンK1に対応する検量線方程式の2つの変数は、それぞれ、ビタミンK1のクロマトグラフピーク面積とビタミンK1に対応する内部標準物質のクロマトグラフピーク面積との比、およびビタミンK1の濃度とビタミンK1に対応する内部標準物質の濃度との比であり、
前記ビタミンK2に対応する検量線方程式の2つの変数は、それぞれ、ビタミンK2のクロマトグラフピーク面積とビタミンK2に対応する内部標準物質のクロマトグラフピーク面積との比、およびビタミンK2の濃度とビタミンK2に対応する内部標準物質の濃度との比である。
【0015】
好ましい技術案として、ステップ(2a)に記載の少なくとも3種の混合標準溶液を調製する方法は、
標準混合中間液の調製であって、ビタミンK1標準原液、ビタミンK2標準原液を異なる割合で混合し、希釈液を用いて希釈し、少なくとも3種の異なる濃度の標準混合中間液を得て、光を避けて保存する、標準混合中間液の調製と、
混合内部標準作動液の調製であって、ビタミンK1内部標準物質原液、ビタミンK2内部標準物質原液を異なる割合で混合し、希釈液を用いて希釈し、混合内部標準作動液を得て、光を避けて保存する、混合内部標準作動液の調製と、
混合標準溶液の調製であって、同じ体積かつ異なる濃度の少なくとも3種の標準混合中間液をそれぞれ取り出し、同じ体積の前記混合内部標準作動液および同じ体積の前記希釈液をそれぞれ加え、1500~3000r/minで30s~1min渦巻いて均一に混合し、少なくとも3種の異なる混合標準溶液を作成する、混合標準溶液の調製と、
を含み、
前記希釈液は、メタノールまたはメタノール水溶液、アセトニトリルまたはアセトニトリル水溶液、イソプロパノールまたはイソプロパノール水溶液を含み、前記メタノール水溶液、アセトニトリル水溶液、イソプロパノール水溶液の体積濃度は、独立して50%~100%から選ばれる。
【0016】
好ましい技術案として、前記標準混合中間液中のビタミンK1の濃度は0.05~500ng/mLであり、ビタミンK2の濃度は0.05~500ng/mLであり、
前記混合内部標準作動液中のビタミンK1内部標準物質の濃度は10~30ng/mLであり、ビタミンK2内部標準物質の濃度は10~30ng/mLである。
【0017】
好ましい技術案として、前記血液サンプルは、全血、血清、または血漿を含む。
本願に係る分析方法は、全血、血清、または血漿を含む血液サンプルに適用でき、適用範囲が広い。
【0018】
好ましい技術案として、前記血液サンプルの使用量は20μL以上である。
本願に係る分析方法は、指先血または踵血を含む非常に微量の血液サンプルだけで検出することができ、患者の採血苦痛を減少することができる。
【0019】
好ましい技術案として、ステップ(3a)の前に、
血液サンプルを遠心速度1000~3000r/minで10~20min遠心し、遠心後の上清を前記血液サンプルとして-80℃の条件で保存することを更に含む。
【0020】
好ましい技術案として、ステップ(3a)は、
血液サンプルに前記混合標準溶液中と同じ量の内部標準物質を加え、抽出試薬を更に加えて1000~2500r/minの回転速度で5~15min渦巻いて振動混合させてから、10000~15000r/minの回転速度で5~15min高速遠心し、遠心処理後の上清の一部または全てを窒素ブローで乾燥し、再溶解液を用いて再溶解させ、1000~2500r/minの回転速度で1~5min渦巻いて振動混合させ、分析サンプルを得ることを含む。
【0021】
好ましい技術案として、前記抽出試薬は極性抽出試薬と非極性試薬との組み合わせであり、
前記極性抽出試薬は、メタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトン、またはイソプロパノールのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、
前記非極性抽出試薬は、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-オクタン、または石油エーテルのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含み、
前記再溶解液は、メタノール、エタノール、またはアセトニトリルのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組み合わせを含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施形態において、2次元液体クロマトグラフィー-質量分析装置を用いて少なくとも3種の濃度の混合標準溶液をそれぞれ検出し、ここで、混合標準溶液は、内部標準物質を有するビタミンK1およびビタミンK2の溶液であり、且つ、少なくとも3種の濃度の混合標準溶液中の内部標準物質の濃度は一致する。少なくとも3種の濃度の混合標準溶液の検出結果に基づき、ビタミンK1およびビタミンK2の検量線方程式をそれぞれフィッティングする。血液サンプルに混合標準溶液中と同じ量の内部標準物質作動液を加え、更に抽出試薬を加え、十分に均一に混合して抽出した後、高速遠心を行い、遠心処理後の上清を窒素ブローで乾燥し、再溶解液を用いて再溶解させ、溶液を均一に混合させて干渉物が除去された上清を取得する。構築した2次元液体クロマトグラフィー-質量分析装置を用いて該上清を検出し、ビタミンK1およびビタミンK2の検出結果および検量線方程式に基づき、血液サンプル中のビタミンK1およびビタミンK2の濃度を得る。顕著な有益な効果は以下のとおりである。血液中のビタミンK1およびビタミンK2を同時に検出することができ、検出時間を5.5minまで効果的に短縮し、検出コストを低減することを実現する。構築した2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置により、分析方法は感度が高く、特異性が強く、検出干渉を大きく低減し、血液サンプル中のビタミンK1およびビタミンK2の同時検出に適用され、特に、指先血または踵血を含む微量(20~200μL)の血液サンプルの検出に適用され、患者の採血苦痛を減少することができ、前処理を操作しやすく、自動化操作を実現しやすく、分析が速く、検出時間が短く、検出コストを低減する。
【0023】
本発明の実施例または従来技術における技術案をより明らかに説明するために、以下、実施例または従来技術の説明に使用する必要のある図面について簡単に説明し、明らかに、以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施例であり、当業者は、創造的な労働を行わない前提で、これらの図面に基づいて他の図面を更に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施例に係る混合標準溶液中のビタミンK1のクロマトグラムである。
【
図2】本発明の一実施例に係る混合標準溶液中のビタミンK2のクロマトグラムである。
【
図3】本発明の一実施例に係る混合標準溶液中のビタミンK1同位体マーカー(D7-ビタミンK1)のクロマトグラムである。
【
図4】本発明の一実施例に係る混合標準溶液中のビタミンK2同位体マーカー(D7-ビタミンK2)のクロマトグラムである。
【
図5】本発明の一実施例に係る血液サンプル中のビタミンK1のクロマトグラムである。
【
図6】本発明の一実施例に係る血液サンプル中のビタミンK2のクロマトグラムである。
【
図7】本発明の一実施例に係る血液サンプル中のビタミンK1同位体マーカー(D7-ビタミンK1)のクロマトグラムである。
【
図8】本発明の一実施例に係る血液サンプル中のビタミンK2同位体マーカー(D7-ビタミンK2)のクロマトグラムである。
【
図9】本発明の一実施例に係る血液サンプル中のビタミンK1のクロマトグラムである。
【
図10】本発明の一実施例に係る血液サンプル中のビタミンK2のクロマトグラムである。
【
図11】本発明の一実施例に係る血液サンプル中のビタミンK1のクロマトグラムである。
【
図12】本発明の一実施例に係る血液サンプル中のビタミンK2のクロマトグラムである。
【
図13】本発明の一実施例に係る血液サンプル中のビタミンK1のクロマトグラムである。
【
図14】本発明の一実施例に係る血液サンプル中のビタミンK2のクロマトグラムである。
【
図15】本発明の一実施例に係る血液サンプル中のビタミンK1のクロマトグラムである。
【
図16】本発明の一実施例に係る血液サンプル中のビタミンK2のクロマトグラムである。
【
図17】本発明の一実施例に係る血液サンプル中のビタミンK1のクロマトグラムである。
【
図18】本発明の一実施例に係る血液サンプル中のビタミンK2のクロマトグラムである。
【
図19】本発明の一実施例に係る血液サンプル中のビタミンK1のクロマトグラムである。
【
図20】本発明の一実施例に係る血液サンプル中のビタミンK2のクロマトグラムである。
【
図21】本発明の一実施例に係る血液サンプル中のビタミンK1のクロマトグラムである。
【
図22】本発明の一実施例に係る血液サンプル中のビタミンK2のクロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施例の目的、技術案および利点をより明らかにするために、以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案について明確かつ完全に説明し、明らかに、説明する実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではなく、本発明における実施例に基づき、当業者は、創造的な労働を行わない前提で取得する全ての他の実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0026】
本発明の実施例は、微量の血液中のビタミンK1およびビタミンK2を検出する2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析法を提供し、以下のステップを含む。
【0027】
ステップ101において、2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置を構築し、微量の血液中のビタミンK1およびビタミンK2を検出する2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析法を確立し、検出条件を予め設定する。
【0028】
ステップ102において、少なくとも3種の濃度の混合標準溶液を調製し、ここで、前記混合標準溶液は、内部標準物質、ビタミンK1およびビタミンK2を有する溶液であり、且つ、前記少なくとも3種の濃度の混合標準溶液中の内部標準物質の濃度は同じである。
【0029】
ステップ103において、2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析法を用いて所定の検出条件で、各種の前記混合標準液をそれぞれ検出し、前記少なくとも3種の濃度にそれぞれ対応する第1検出結果を取得する。
【0030】
ステップ104において、各前記第1検出結果、前記混合標準溶液中のビタミンK1、ビタミンK2および内部標準物質の濃度に基づき、ビタミンK1およびビタミンK2にそれぞれ対応する検量線方程式をそれぞれフィッティングする。
【0031】
ステップ105において、血液サンプルに前記混合標準溶液中と同じ濃度の内部標準物質および抽出試薬を加え、十分に均一に混合して抽出した後、高速遠心処理を行い、遠心処理後の上清を窒素ブローで乾燥し、再溶解液を用いて再溶解させ、均一に混合した後、分析サンプルを得る。
【0032】
ステップ106において、2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析法を用いて前記検出条件で分析サンプルを検出し、前記血液サンプルに対応する第2検出結果を得る。
【0033】
ステップ107において、ビタミンK1、ビタミンK2にそれぞれ対応する検量線方程式および前記第2検出結果に基づき、前記血液サンプル中のビタミンK1、ビタミンK2の濃度を得る。
【0034】
本発明の実施例に係る検出方法に使用される2次元液体クロマトグラフィー-質量分析装置の検出過程は以下のとおりであってもよい。混合標準溶液中の標準目的物のクロマトグラフピーク面積と標準目的物の濃度との間の関係に基づいて標準目的物のクロマトグラフピーク面積と標準目的物の濃度との間の検量線方程式を構築でき、更に血液サンプル中の目的物のクロマトグラフピーク面積を検量線方程式に代入すれば、血液サンプル中の目的物の濃度を計算することができる。
【0035】
上記第1検出結果とは、各濃度の混合標準溶液のグラフにおけるビタミンK1、ビタミンK2のクロマトグラフピーク面積を意味することが理解できる。
【0036】
しかし、血液サンプルの処理過程および検出誤差により、上記標準目的物のクロマトグラフピーク面積および標準目的物の濃度に基づいて構築された検量線方程式に一定の偏差が存在し、これにより、該検量線方程式に基づいて計算される血液サンプル中の目的物の濃度にも偏差が存在する。好ましくは、検出方法に使用される2次元液体クロマトグラフィー-質量分析装置の検出過程は以下のとおりであってもよい。目的物のクロマトグラフピーク面積と内部標準物質のクロマトグラフピーク面積との比を第1引数とし、目的物の濃度と内部標準物質の濃度との比を第2引数とし、少なくとも3グループ(第1引数および第2引数)で線形回帰を行って検量線方程式をフィッティングし、また、血液サンプル内の目的物のクロマトグラフピーク面積と内部標準物質のクロマトグラフピーク面積との比を上記検量線方程式に代入することにより、血液サンプル中の血液サンプルの目的物のクロマトグラフピーク面積および内部標準物質の濃度を得て、血液サンプル中の目的物の濃度と内部標準物質の濃度との比を計算することができ、内部標準物質の濃度が既知であるため、血液サンプル中の目的物の濃度を計算することができる。
【0037】
好ましくは、上記標準目的物および血液サンプル中の目的物はいずれもビタミンK1、ビタミンK2である。
【0038】
好ましくは、内部標準物質は、ビタミンK1同位体マーカー(D7-ビタミンK1)、ビタミンK2同位体マーカー(D7-ビタミンK2)である。
【0039】
ここで、ビタミンK1同位体マーカー(D7-ビタミンK1)はビタミンK1に対応し、ビタミンK2同位体マーカー(D7-ビタミンK2)はビタミンK2に対応する。
【0040】
好ましくは、ビタミンK1に対応する検量線方程式の2つの変数は、それぞれ、ビタミンK1のクロマトグラフピーク面積とビタミンK1同位体マーカー(D7-ビタミンK1)のクロマトグラフピーク面積との比、およびビタミンK1の濃度とビタミンK1同位体マーカー(D7-ビタミンK1)の濃度との比である。
【0041】
ビタミンK2に対応する検量線方程式の2つの変数は、それぞれ、ビタミンK2のクロマトグラフピーク面積とビタミンK2同位体マーカー(D7-ビタミンK2)のクロマトグラフピーク面積との比、およびビタミンK2の濃度とビタミンK2同位体マーカー(D7-ビタミンK2)の濃度との比である。
【0042】
以上から分かるように、血液サンプルの処理方式は最終的な検出結果に影響を与え、本発明の実施例は、血液サンプルに混合標準溶液中と同じ量の内部標準物質および抽出試薬を加え、十分に均一に混合して抽出した後、高速遠心処理を行い、遠心処理後の上清を窒素ブローで乾燥し、再溶解液を用いて再溶解させ、均一に混合した後、分析サンプルを得ることにより、血液サンプル中のビタミンK1、ビタミンK2を最大限に保留するとともに干渉物を除去することができ、前処理のステップが簡単で、自動化前処理を実現しやすいため、血液サンプルの前処理の時間を大きく短縮し、更に検出時間長を短縮し、血液サンプルの検出効率を向上させることができる。
【0043】
一般的には、混合標準溶液の調製方式は検出の正確性に直接影響を与え、本発明の実施例に使用される混合標準溶液の調製方式は検出結果の正確性を確保することができる。本発明の一実施例において、前記少なくとも3種の濃度の混合標準溶液の調製は以下を含む。
【0044】
標準混合中間液の調製:ビタミンK1標準原液、ビタミンK2標準原液を異なる割合で混合し、希釈液を用いて希釈し、少なくとも3種の異なる濃度の標準混合中間液を得て、-80℃で光を避けて保存する。
【0045】
混合内部標準作動液の調製:ビタミンK1内部標準物質原液、ビタミンK2内部標準物質原液を異なる割合で混合し、希釈液を用いて希釈し、混合内部標準作動液を得て、-80℃で光を避けて保存する。
【0046】
混合標準溶液の調製:同じ体積かつ異なる濃度の少なくとも3種の標準混合中間液をそれぞれ取り出し、取り出した各濃度の前記標準混合中間液内に同じ体積の前記混合内部標準作動液および同じ体積の前記希釈試薬を加え、1500~3000r/minで30s~1min渦巻いて均一に混合し、少なくとも3種の異なる濃度の混合標準溶液を作成する。
【0047】
前記血液サンプルに前記混合標準溶液中と同じ濃度の内部標準物質を加え、更に2種の抽出試薬を加え、十分に均一に混合して抽出した後、高速遠心処理を行い、遠心処理後の上清を窒素ブローで乾燥し、再溶解液を用いて再溶解させ、均一に混合した後、分析サンプルを得る。本発明の実施例に係る血液サンプルは血液そのものであってもよく、全血、血清、血漿等のような血液の関連サンプルであってもよい。
【0048】
以下のいくつかの実施例は、当社が選択したボランティアに由来する血清(20μL)を例として微量の血液中のビタミンK1およびビタミンK2を検出する方法について詳細に説明する。
【0049】
実施例1:2次元液体クロマトグラフィー-質量分析装置を構築して検出条件を予め設定した。
【0050】
2次元液体クロマトグラフィー-質量分析装置を構築し、そのシステムモジュールは、
一方のセットが前記オートサンプラに接続され、他方のセットが独立してポンプ動作を行う2セットの液体ポンプと、
サンプル注入動作を行うための1台のオートサンプラと、
六方弁である2セットの切替弁を含む1台のカラムインキュベーターと、
を備え、
前記質量分析装置はAPCIイオン源を備えた。
【0051】
2次元液体クロマトグラフィー-質量分析装置を構築し、そのシステムの接続は、
一方のセットの液体ポンプがオートサンプラに直列に接続され、オートサンプラが第1次元カラムに接続されて切替弁にアクセスされ、他方のセットの液体ポンプが切替弁にアクセスされて第2次元カラムに接続され、第2次元カラムが質量分析装置にアクセスされ、且つ、切替弁により、サンプル注入、2次元転移、分析という3種の状態を含む前記システムの分析状態を制御することと、
サンプル注入時に、サンプルを第1次元カラムにより分析し、非目的分析物を切替弁の廃液から排出することと、
2次元転移時に、第1次元カラムと第2次元カラムとを直列に接続し、目的分析物を第1次元カラムから第2次元カラムに転移することと、
分析時に、サンプルを第2次元カラムにより分析し、質量分析装置を接続してデータ収集を行うことと、
を含んだ。
【0052】
構築した2次元液体クロマトグラフィー-質量分析装置に検出条件を予め設定し、以下を含んだ。
【0053】
血液サンプル中のビタミンK1およびビタミンK2を検出する2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置における2次元高速液体に対し、所定の検出条件における対応するクロマトグラフィー条件は、
2セットの液体ポンプは、移動相がメタノール(0.2%のギ酸を含む)で、流速が1.2mL/minで、定組成溶離が5.50minであることと、
カラムインキュベーターは、カラム温度が50℃で、カラムがKinetex Phenyl-Hexyl 2.6μm 100*4.6mmおよびKinetex C18 2.6μm 100*4.6mmであり、2つの六方弁を含み、0.00min左弁位置1-2、1.40min左弁位置1-6、1.85min左弁位置1-2で、右弁位置は常に1-6であることと、
オートサンプラは、温度が15℃で、プローブ洗浄液がメタノールで、サンプル注入量が30μLであることと、
を含んだ。
【0054】
血液サンプル中のビタミンK1およびビタミンK2を検出する2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置における質量分析に対し、所定の検出条件における対応する質量分析条件は、
APCI源、正イオンスキャンモードを採用することと、
霧化ガス流量が1.5L/minで、イオン源温度が400℃で、脱溶媒管温度が200℃で、ヒータブロック温度が300℃で、乾燥ガス流量が0L/minであることと、
インターフェース電圧が5kVで、衝突ガスがアルゴンガスで、パラメータを200kPaとすることと、
を含んだ。
【0055】
更に、2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置における質量分析の検出イオン対のパラメータは、以下の表1に示すとおりであった。
【0056】
【0057】
実施例2:シリーズ濃度の混合標準溶液を調製した。
標準混合中間液の調製:同じ体積のビタミンK1標準原液、ビタミンK2標準原液を取り出した。
【0058】
取り出した濃度が100μg/mLのビタミンK1標準原液と、濃度が100μg/mLのビタミンK2標準原液とを混合させ、90%のメタノール水溶液を用いて希釈し、9種の異なる濃度の標準混合中間液を得て、-80℃で光を避けて保存した。
【0059】
ここで、異なる濃度の標準混合中間液において、ビタミンK1の各レベルの濃度は順に0.05ng/mL、0.1ng/mL、0.2ng/mL、0.5ng/mL、2ng/mL、10ng/mL、50ng/mL、200ng/mL、500ng/mLであった。ビタミンK2の各レベルの濃度は順に0.05ng/mL、0.1ng/mL、0.2ng/mL、0.5ng/mL、2ng/mL、10ng/mL、50ng/mL、200ng/mL、500ng/mLであった。
【0060】
混合内部標準作動液の調製:濃度が100μg/mLのビタミンK1内部標準物質原液、濃度が100μg/mLのビタミンK2内部標準物質原液を取り出して混合させ、更に、90%のメタノール水溶液を用いて20ng/mLに希釈し、混合内部標準作動液を得た。
【0061】
混合標準溶液の調製:上記9種の異なる濃度の標準混合中間液をそれぞれ20μL取り出し、取り出した各濃度の標準混合中間液に10μLの混合内部標準作動液および70μLのメタノールをそれぞれ加えて混合させ、2500r/minで1min渦巻いて均一に混合し、9種の異なる濃度の混合標準溶液を作成した。
【0062】
実施例3:検量線方程式をフィッティングした。
構築した2次元液体クロマトグラフィー-質量分析装置を用いて上記実施例1で得られた各濃度の混合標準溶液を検出し、9種の異なる濃度の混合標準溶液のグラフを得た。
【0063】
上記各濃度の混合標準溶液のグラフから、ビタミンK1、ビタミンK2、ビタミンK1同位体マーカー(D7-ビタミンK1)、ビタミンK2同位体マーカー(D7-ビタミンK2)のクロマトグラフピーク面積をそれぞれ得た。
【0064】
上記9種の異なる濃度の混合標準溶液中のビタミンK1のクロマトグラフピーク面積とビタミンK1同位体マーカー(D7-ビタミンK1)のクロマトグラフピーク面積との比をそれぞれ検量線方程式q1の縦軸y1とし、ビタミンK2のクロマトグラフピーク面積とビタミンK2同位体マーカー(D7-ビタミンK2)のクロマトグラフピーク面積との比を検量線方程式q2の縦軸y2とした。
【0065】
上記9種の異なる濃度の混合標準溶液中のビタミンK1の濃度とビタミンK1同位体マーカー(D7-ビタミンK1)の濃度との比を検量線方程式q1の横軸x1とし、ビタミンK2の濃度とビタミンK2同位体マーカー(D7-ビタミンK2)の濃度との比を検量線方程式q2の横軸x2とした。
【0066】
上記9種の異なる濃度のデータを線形回帰し、重み係数を1/(x^2)にフィッティングし、ビタミンK1に対応する検量線方程式q1がy1=a*x1+bで、ビタミンK2に対応する検量線方程式q2がy2=c*x2+dであることを得て、ただし、a、cはそれぞれの検量線方程式の傾きであり、ただし、b、dはそれぞれの検量線方程式の切片であった。
【0067】
なお、該検量線方程式および重み係数は、毎回の検出の前に再測定する必要があった。即ち、該実施例3は、しばらくの間に血液中のビタミンK1、ビタミンK2を検出するために実行する必要があるステップであった。該しばらくの間は、一般的に混合標準溶液の有効時間帯内にあった。
【0068】
上記実施例における混合標準溶液中のビタミンK1のクロマトグラムは
図1に示すとおりであり、混合標準溶液中のビタミンK2のクロマトグラムは
図2に示すとおりであった。混合標準溶液中のビタミンK1同位体マーカー(D7-ビタミンK1)のクロマトグラム
図3に示すとおりであり、混合標準溶液中のビタミンK2同位体マーカー(D7-ビタミンK2)のクロマトグラムは
図4に示すとおりであった。
【0069】
ここで、混合標準溶液中のビタミンK1の保留時間は4.700minであり、ビタミンK2の保留時間は3.600minであった。
【0070】
混合標準溶液中のビタミンK1同位体マーカー(D7-ビタミンK1)の保留時間は4.700minであり、ビタミンK2同位体マーカー(D7-ビタミンK2)の保留時間は3.600minであった。
【0071】
実施例4:血清サンプルを処理した。
混合標準溶液中と同じ量の混合内部標準作動液を10μL取り出し、取り出した混合内部標準作動液に20μLの血清サンプルを加え、更に2種の抽出剤である100μLのメタノールおよび1000μLのn-ヘキサンを加え、2500r/minの回転速度で10min渦巻いて振動混合させてから、14000r/minの回転速度で10min高速遠心した。遠心後の900μLの上清を窒素ブローで乾燥し、100μLのメタノールを用いて再溶解させ、2500r/minの回転速度で1min渦巻いて振動混合した後、分析サンプルを得た。
【0072】
実施例5:実施例3で与えられた検量線方程式および実施例4で得られた上清に基づき、微量の血清サンプル中のビタミンK1およびビタミンK2を検出した。
【0073】
構築した2次元液体クロマトグラフィー-質量分析装置を用いて実施例4で得られた上清を検出し、血清サンプルのグラフを得た。
【0074】
血清サンプルのグラフから、血清サンプル中のビタミンK1のクロマトグラフピーク面積、ビタミンK2のクロマトグラフピーク面積、ビタミンK1同位体マーカー(D7-ビタミンK1)のクロマトグラフピーク面積、ビタミンK2同位体マーカー(D7-ビタミンK2)のクロマトグラフピーク面積を得た。
【0075】
血清サンプル中のビタミンK1のクロマトグラフピーク面積とビタミンK1同位体マーカー(D7-ビタミンK1)のクロマトグラフピーク面積との比をy1としてy1=a*x1+bに代入し、血清サンプル中のビタミンK1の濃度とビタミンK1同位体マーカー(D7-ビタミンK1)の濃度との比x1を得て、ビタミンK1同位体マーカー(D7-ビタミンK1)の濃度が既知であるため、血清サンプル中のビタミンK1の濃度を計算することができた。
【0076】
同様に、血清サンプル中のビタミンK2のクロマトグラフピーク面積とビタミンK2同位体マーカー(D7-ビタミンK2)のクロマトグラフピーク面積との比をy2としてy2=c*x2+dに代入し、血清サンプル中のビタミンK2の濃度とビタミンK2同位体マーカー(D7-ビタミンK2)の濃度との比x2を得て、ビタミンK2同位体マーカー(D7-ビタミンK2)の濃度が既知であるため、血清サンプル中のビタミンK2の濃度を計算することができた。
【0077】
該実施例において、液体クロマトグラフィー-質量分析装置の高速液体のクロマトグラフィー条件および質量分析装置の質量分析条件は上記実施例3で与えられたものと一致し、ここで説明を省略する。
【0078】
血清サンプル中のビタミンK1のクロマトグラム
図5に示すとおりであり、血清サンプル中ビタミンK2のクロマトグラム
図6に示すとおりであり、血清サンプル中のビタミンK1同位体マーカー(D7-ビタミンK1)のクロマトグラム
図7に示すとおりであり、血清サンプル中のビタミンK2同位体マーカー(D7-ビタミンK2)のクロマトグラム
図8に示すとおりであった。
【0079】
ここで、血清サンプル中のビタミンK1の保留時間は4.700minであり、ビタミンK2の保留時間は3.600minであった。
【0080】
血清サンプル中のビタミンK1同位体マーカー(D7-ビタミンK1)の保留時間は4.700minであり、ビタミンK2同位体マーカー(D7-ビタミンK2)の保留時間は3.600minであった。
【0081】
混合標準溶液中のビタミンK1、ビタミンK2の保留時間と血清サンプル中のビタミンK1、ビタミンK2の保留時間との比較により見られるように、混合標準溶液中の目的物と血清サンプル中の対応する目的物の保留時間が一致し、且つ、ビタミンK1同位体マーカー(D7-ビタミンK1)、ビタミンK2同位体マーカー(D7-ビタミンK2)を内部標準物質とすることで、ビタミンK1、ビタミンK2の識別をより正確にし、分析時間が短く、干渉が小さく、内部標準定量特異性が強く、正確度および感度が高い。
【0082】
なお、
図1~
図8の横軸はいずれも収集時間であり、縦軸はいすれもイオン信号強度である。
【0083】
実施例6:血清中のビタミンK1およびビタミンK2を検出する方法の線形関係および定量限界
上記実施例2で調製した9種の濃度の混合標準溶液を実施例3に従って実行してクロマトグラムを得た。クロマトグラフピーク面積-濃度でプロットして検量線を得た結果、ビタミンK1およびビタミンK2の線形範囲は以下のとおりである。
【0084】
(1)線形範囲:
ビタミンK1は0.05ng/mL~500.00ng/mLの範囲内にあり、線形が良好であり、相関係数R2>0.99であった。
【0085】
ビタミンK2は0.05ng/mL~500.00ng/mLの範囲内にあり、線形が良好であり、相関係数R2>0.99であった。
【0086】
ボランティアの血清サンプルからビタミンK1およびビタミンK2の含有量が低いサンプルを選別し、生理食塩水を溶媒として希釈して異なる希釈割合の希釈後の一連の血清サンプルを得て、実施例4に従って前処理を行った後、実施例5に従ってサンプル注入して検出結果およびクロマトグラムを得て、目的物の信号対雑音比を3として検出限界(LOD)を得て、目的物の信号対雑音比を10として定量限界(LOQ)を取得した結果、ビタミンK1およびビタミンK2の検出限界(LOD)および定量限界(LOQ)は以下のとおりであった。
【0087】
(2)検出限界(LOD):
ビタミンK1:0.011ng/mL。
【0088】
ビタミンK2:0.037ng/mL。
(3)定量限界(LOQ):
ビタミンK1:0.013ng/mL。
【0089】
ビタミンK2:0.043ng/mL。
実施例7:微量の血清中のビタミンK1およびビタミンK2を検出する方法の回収率および精密度
実施例2における任意の3種の混合標準溶液を取って高、中、低という3種の濃度に作成してサンプル追加回収率実験および精密度実験を行い、実施例2~5の処理方式および検出条件に従って検出し、3バッチを繰り返し分析して測定し、得られた血清中のビタミンK1、ビタミンK2の回収率および精密度の結果は以下の表2に示すとおりであった。
【0090】
【0091】
上記検証試験をまとめ、本実施例の平均回収率、検出限界および精密度等の各項目の技術指標はいずれも要求に合致し、本願の微量の血液中のビタミンK1およびビタミンK2を同時に検出する方法は感度が高く、特異性が強く、再現性が良く、正確度が高いことが見られる。
【0092】
実施例8:1次元液体クロマトグラフィー-質量分析装置を用いて血清中のビタミンK1およびビタミンK2を検出した。
【0093】
実施例1~5の内容を繰り返し、その区別は、2次元液体クロマトグラフィーを1次元液体クロマトグラフィーに置き換えることのみであり、ここで、カラムはKinetex Phenyl-Hexyl 2.6μm 100*4.6mmであり、他の前処理条件および検出条件はいずれも変わらなかった。微量の血清サンプル中のビタミンK1およびビタミンK2を検出した。
【0094】
血清サンプル中のビタミンK1のクロマトグラムは
図9に示すとおりであり、血清サンプル中ビタミンK2のクロマトグラム
図10に示すとおりであり、図から分かるように、安定したベースラインおよび良好な分離が得られなかった。
【0095】
実施例9:1次元液体クロマトグラフィー-質量分析装置を用いて血清中のビタミンK1およびビタミンK2を検出した。
【0096】
実施例1~5の内容を繰り返し、その区別は、2次元液体クロマトグラフィーを1次元液体クロマトグラフィーに置き換えることのみであり、ここで、カラムはKinetex C18 2.6μm 100*4.6mmであり、他の前処理条件および検出条件はいずれも変わらなかった。微量の血清サンプル中のビタミンK1およびビタミンK2を検出した。
【0097】
血清サンプル中のビタミンK1のクロマトグラム
図11に示すように、血清サンプル中ビタミンK2のクロマトグラム
図12に示すように、図から分かるように、安定したベースラインおよび良好な分離が得られなかった。
【0098】
実施例10:1次元液体クロマトグラフィー-質量分析装置を用いて血清中のビタミンK1およびビタミンK2を検出した。
【0099】
実施例1~5の内容を繰り返し、その区別は、2次元液体クロマトグラフィーを1次元液体クロマトグラフィーに置き換えることのみであり、ここで、カラムはKinetex F5 2.6μm 100*4.6mmであり、他の前処理条件および検出条件はいずれも変わらなかった。微量の血清サンプル中のビタミンK1およびビタミンK2を検出した。
【0100】
血清サンプル中のビタミンK1のクロマトグラム
図13に示すとおりであり、血清サンプル中ビタミンK2のクロマトグラム
図14に示すとおりであり、図から分かるように、安定したベースラインおよび良好な分離が得られなかった。
【0101】
以上をまとめ、保留能力では、実施例9>実施例8>実施例10であるが、血清サンプル中のVK1およびVK2の検出に1次元液体クロマトグラフィーの3種のカラムを使用しても、安定したベースラインおよび良好な分離はいずれも得られなかった。
【0102】
実施例11:2次元液体クロマトグラフィー-質量分析装置における1次元カラムおよび2次元カラムの選択について検討した。
【0103】
(1)実施例1~5の内容を繰り返し、区別は、第1次元カラムがKinetex Phenyl-Hexyl 2.6μm 100*4.6mmであり、第2次元カラムがKinetex C18 2.6μm 100*4.6mmであることのみであった。他の前処理条件および検出条件はいずれも変わらなかった。微量の血清サンプル中のビタミンK1およびビタミンK2を検出した。
【0104】
血清サンプル中のビタミンK1のクロマトグラム
図15に示すとおりであり、血清サンプル中ビタミンK2のクロマトグラム
図16に示すとおりであり、図から分かるように、該カラムの組み合わせ方式で、安定したベースラインおよび良好な分離が得られた。
【0105】
(2)と(1)の区別は、2種のカラムの順序を入れ替えることのみであり、即ち、第1次元カラムはKinetex C18 2.6μm 100*4.6mmで、第2次元カラムはKinetex Phenyl-Hexyl 2.6μm 100*4.6mmであった。他の前処理条件および検出条件はいずれも変わらなかった。微量の血清サンプル中のビタミンK1およびビタミンK2を検出した。
【0106】
血清サンプル中のビタミンK1のクロマトグラム
図17に示すとおりであり、血清サンプル中ビタミンK2のクロマトグラム
図18に示すとおりであり、図から分かるように、該カラムの組み合わせ方式のターゲットピーク前の不純物が多くとなり、クロマトグラフィーピーク前のベースラインの持ち上げは検出に影響を与えてしまった。
【0107】
以上をまとめ、本願に係る検出方法におけるカラムの順序は検出に重要な作用を果たす。
【0108】
(3)実施例1~5の内容を繰り返し、区別は、第1次元カラムがKinetex F5 2.6μm 100*4.6mmで、第2次元カラムがKinetex C18 2.6μm 100*4.6mmであることのみであった。他の前処理条件および検出条件はいずれも変わらなかった。微量の血清サンプル中のビタミンK1およびビタミンK2を検出した。
【0109】
血清サンプル中のビタミンK1のクロマトグラム
図19に示すとおりであり、血清サンプル中ビタミンK2のクロマトグラム
図20に示すとおりであり、図から分かるように、該カラムの組み合わせ方式で、安定したベースラインおよび良好な不純物分離が得られなかった。
【0110】
(4)実施例1~5の内容を繰り返し、区別は、第1次元カラムがKinetex Phenyl-Hexyl 2.6μm 100*4.6mmで、第2次元カラムがKinetex F5 2.6μm 100*4.6mmであることのみであった。他の前処理条件および検出条件はいずれも変わらなかった。微量の血清サンプル中のビタミンK1およびビタミンK2を検出した。
【0111】
血清サンプル中のビタミンK1のクロマトグラム
図21に示すとおりであり、血清サンプル中ビタミンK2のクロマトグラム
図22に示すとおりであり、図から分かるように、該カラムの組み合わせ方式で、安定したベースラインおよび良好な不純物分離が得られなかった。
【0112】
以上をまとめ、フェニルヘキシルカラムを第1次元カラムとして選択し、C18カラムを第2次元カラムとして選択するように特定するのみで、血液中の内因性不純物の分離を最適に実現することができることが分かった。
【0113】
上記実施例の試験結果により、以下のことが分かった。
(1)本願は、2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置を構築し、2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置を用いて血液中のビタミンK1およびビタミンK2を同時に検出することを実現し、微量の血液サンプルの検出に特に適用される。ここで、血液サンプルは血清、血漿、全血を含む。サンプル使用量は20~200μLである。
【0114】
(2)本願において、ビタミンK1およびビタミンK2の検出は、1対の定量イオンおよび定性イオンを提供するとともに、内部標準としてビタミンK1およびビタミンK2の同位体マーカーを使用することにより、血液サンプル中のビタミンK1およびビタミンK2の識別および定量をより正確にする。
【0115】
(3)本願において、血液サンプルの前処理が簡単で、サンプル追加、サンプリング、均一混合、遠心、窒素ブロー、再溶解等の簡単なステップのみであり、生産中に自動化操作を実現しやすく、バッチサンプル分析時に前処理時間を大きく減少して検出効率を向上させることができる。
【0116】
(4)本願において、5.5min内に単一のサンプルのビタミンK1およびビタミンK2の検出を完了することができ、構築した2次元液体クロマトグラフィータンデム型質量分析装置で分析することにより、分析が速く、感度が高いことを実に達成する。
【0117】
なお、本発明において、第1および第2等のような関係用語は、1つのエンティティまたは操作を別のエンティティまたは操作と区別するためのみに使用され、これらのエンティティまたは操作の間には、任意のこのような実際の関係または順序が存在することを要求または暗示するとは限らない。更に、「備える」、「含む」という用語、もしくはこれらの他の任意の変化形は、非排他的な包含を網羅することが意図され、それにより、一連の要素を含むプロセス、方法、物品または装置は、それらの要素を含むだけでなく、更に、明確に記載されていない他の要素も含み、または、このようなプロセス、方法、物品または装置のために固有する要素を更に含む。それ以上の制限がない場合、「1つの……を含む」という文で限定される要素は、前記要素を含むプロセス、方法、物品または装置に別の同じ要素が更に存在することを排除しない。
【0118】
最後に、上記は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明の技術案を説明するためのものに過ぎず、本発明の保護範囲を制限するものではない。本発明の保護範囲は特許請求の範囲により限定される。
【国際調査報告】