(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(54)【発明の名称】振動生成器
(51)【国際特許分類】
A61H 23/02 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
A61H23/02 330
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572605
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(85)【翻訳文提出日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2020065867
(87)【国際公開番号】W WO2020245467
(87)【国際公開日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521533382
【氏名又は名称】シンダーミックス アーゲー
【氏名又は名称原語表記】SYNDERMIX AG
【住所又は居所原語表記】Buochserstrasse 2, 6370 Stans, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カモッツィ, カルロス ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】マルザック, サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】クヌヘル, スティーブ
【テーマコード(参考)】
4C074
【Fターム(参考)】
4C074AA05
4C074BB05
4C074CC01
4C074DD04
4C074GG01
(57)【要約】
本発明は、トランスデューサ、特に線形振動生成器の分野に関する。それは、振動生成器、そのような振動生成器を備えるデバイス、および関連する治療方法に関する。振動生成器は、質量体と、コイルと、永久磁石と、ハウジングと、を備え、質量体は、コイルに電流を印加することによって、ハウジングに対してオシレーション運動することができ、振動生成器は心棒をさらに備え、オシレーション運動は心棒に沿っており、質量体は永久磁石を備え、コイルはハウジングに固定されている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量体と、コイルと、永久磁石と、ハウジングと、を備える、振動生成器であって、前記質量体は、前記コイルに電流を印加することによって、前記ハウジングに対してオシレーション運動することができ、
前記振動生成器が、心棒をさらに備え、前記オシレーション運動が、前記心棒に沿っており、前記質量体が、前記永久磁石を備え、前記コイルが、前記ハウジングに固定されている、振動生成器。
【請求項2】
前記永久磁石が、リング磁石であり、前記リング磁石および前記コイルが、前記心棒の周りに同心円状に配置されている、請求項1に記載の振動生成器。
【請求項3】
前記質量体が、スリットを備え、前記スリットが、前記心棒に対して同心円状に配置されており、前記コイルが、前記スリット内に配置されている、請求項1または2に記載の振動生成器。
【請求項4】
前記質量体および前記永久磁石が、前記スリットのセクション内に本質的に均一な場を生成するように構成されており、前記均一な場が、前記スリットのこのセクション内の前記心棒に対して半径方向に走る、請求項3に記載の振動生成器。
【請求項5】
前記セクションが、コアリングとコア底部との間に形成され、前記コアリングが、高い飽和レベルを有する材料のものであり、前記コア底部が、前記高い飽和レベルを有する前記材料の飽和限界を超えないように構成されている、請求項4に記載の振動生成器(10)。
【請求項6】
前記心棒に平行な方向における前記コイルの延在部が、前記心棒に平行な方向における前記セクションの延在部よりも小さく、前記振動生成器が、前記コイルが前記振動生成器の配向とは独立して前記セクション内にあるように構成されている、請求項4または5に記載の振動生成器。
【請求項7】
前記振動生成器が、前記オシレーション運動が前記質量体の最大偏向の2つの位置の間に制限されるように構成されており、前記振動生成器が、前記コイルが主に前記均一な場の前記セクション内にあるように構成されている、請求項5に記載の振動生成器。
【請求項8】
前記心棒に平行な方向における前記コイルの延在部が、前記心棒に平行な方向における前記セクションの延在部よりも大きく、前記振動生成器が、前記オシレーション運動が前記質量体の最大偏向の2つの位置の間に制限されるように構成されており、前記振動生成器が、前記コイルの一部が前記質量体の前記位置とは独立して前記セクションの前記完全な延在部にわたって延在するように構成されている、請求項4または5に記載の振動生成器。
【請求項9】
前記振動生成器が、前記振動生成器が給電されていないときに、前記質量体を中心に置く、弾性要素を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の振動生成器。
【請求項10】
前記弾性要素が、前記振動生成器の動作中に圧縮される、請求項9に記載の振動生成器。
【請求項11】
前記振動生成器が、前記振動生成器が動作している周波数範囲外にその基本調波を有するように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の振動生成器。
【請求項12】
前記振動生成器が、前記振動生成器が動作している前記周波数範囲において、前記質量体のオシレーション運動の振幅に関して有意な調波を有しないように構成されている、請求項11に記載の振動生成器。
【請求項13】
前記コイルが、良好な熱伝達特性を有する支持体上に装着されており、前記支持体が、前記ハウジングに熱接続されており、前記ハウジングが、前記コイルによって生成され、かつ前記支持体を介して前記ハウジングに伝達される熱を吸収することが可能な材料のものである、請求項1~12のいずれか一項に記載の振動生成器。
【請求項14】
信号処理ユニットを備え、前記信号処理ユニットが、前記質量体の前記オシレーション運動に使用される制御信号をさらなる信号と重ね合わせるように構成されており、前記さらなる信号および前記振動生成器が、可聴信号が前記振動生成器によって、前記さらなる信号から生成され得る様態で構成されている、請求項1~13のいずれか一項に記載の振動生成器。
【請求項15】
前記振動生成器が、複数の周波数にわたって掃引するように構成されている、請求項1~14のいずれか一項に記載の振動生成器。
【請求項16】
前記振動生成器が、1Hz、5Hz、10Hz、20Hz、30Hz、40Hz、50Hz、60Hz、70Hz、80Hz、90Hz、または100Hz以上の周波数でオシレーションするように構成されている、請求項1~15のいずれか一項に記載の振動生成器。
【請求項17】
前記振動生成器が、約2000Hz、1900Hz、1800Hz、1700Hz、1600Hz、1500Hz、1400Hz、または1300Hz以下の周波数でオシレーションするように構成されている、請求項1~16のいずれか一項に記載の振動生成器。
【請求項18】
前記振動生成器が、1Hz~2000Hzの範囲内、より好適には、20Hz~1500Hzの範囲内、および任意選択的に約60Hz~約1300Hzの範囲内のオシレーションのために構成されている、請求項1~17のいずれか一項に記載の振動生成器。
【請求項19】
前記振動生成器が、約60~約1300Hzの周波数範囲、またはそのセクションにわたって掃引するように構成されている、請求項1~18のいずれか一項に記載の振動生成器。
【請求項20】
前記掃引が、最大で約60秒、45秒、30秒、25秒、20秒、15秒、10秒、または5秒の期間にわたって発生する、請求項19に記載の振動生成器。
【請求項21】
刺激される対象にオシレーションを印加するためのデバイスであって、請求項1~20のいずれか一項に記載の振動生成器を備える、デバイス。
【請求項22】
デバイスヘッドと、デバイス本体と、を備え、前記振動生成器が、前記デバイスヘッド内に配置されている、請求項21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記デバイスヘッドが、前記デバイス本体に対して第1の位置に、および前記デバイス本体に対して第2の位置に移動可能であり、前記デバイスが、前記デバイスヘッドが前記第1の位置に移動した場合に、前記デバイスをスリープモードに切り替えるように、かつ前記デバイスヘッドが前記第2の位置に移動した場合に、前記デバイスをアクティブモードに切り替えるように構成されたコントローラを備える、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記デバイスヘッドが、前記デバイス本体に対して第3の位置に移動可能であり、前記第3の位置が、洗浄のために、接触表面へのアクセスを可能にし、前記コントローラが、前記デバイスヘッドが前記第3の位置に移動した場合に、前記デバイスを前記スリープモードに切り替えるように構成されている、請求項23に記載のデバイス。
【請求項25】
対象をオシレーションを用いて治療する方法であって、請求項1~20のいずれか一項に記載の振動生成器を備えるデバイス、または請求項21~24のいずれか一項に記載のデバイスを、前記対象と接触させるステップを含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスデューサの分野に関する。これは、振動生成器、特に線形振動生成器に関する。本振動生成器は特に、-しかし排他的にではなく-医療用途のデバイスに適しており、特にオシレーション(振動)による対象への刺激のための医療デバイス、特に変調振動療法などの振動療法に適している。音響振動療法、音響エネルギーによる療法、超音波による療法、または超低周波音による療法は、振動療法の例である(場合によっては変調される)。本発明はさらに、振動生成器を含むオシレーション(振動)療法のためのデバイスおよび関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
線形振動生成器は、軸に沿ってオシレーション運動を実行するように作動させることができる質量体を備える。したがって、振動生成器は、永久磁石または電磁石、コイル、および反発力を発生させるための手段を備える。
【0003】
様々な種類の線形振動生成器が知られている。家庭用電化製品では、線形振動生成器は通常、振動生成器のホースにしっかりと取り付けられた永久磁石または電磁石、および質量体にしっかりと取り付けられたコイルを備える。
【0004】
最先端の線形振動生成器は、部品の数および設計の点でかなり複雑である。US2019/0068039A1およびWO2011/043536A1は、最先端の振動生成器の例を示す。多くの場合、それらは、効率的で高い応答感度を有するために、オシレーション運動の共振周波数で動作し、および/または狭い周波数範囲で最適化されている。WO00/058505A1は、非常に低い周波数範囲で最適化されているバイブレータを開示しており、これは、30Hz未満の周波数範囲を意味している。
【0005】
オシレーション(振動)療法のためのデバイスは、医療用途の例示的な分野でよく知られている。
【0006】
例えば、WO2011/159317A1は、複数の感覚入力を提供する疼痛軽減デバイスを開示し、複数の感覚入力は、温度、触覚入力、および複数の小型振動モータを利用することによる振動によって生成される。
【0007】
US2012/0253236A1は、健康、状態、およびパフォーマンスを改善するための治療刺激を外部に送達するためのウェアラブルデバイスを開示している。刺激は、振動、トーン、オーディオまたは電気パルス、光または他のソースを介して行われる。実施形態では、デバイスは、通常のもしくは振動スピーカ、またはモータを備えた振動構成要素を備える。
【0008】
US2003/0172939A1は、振動発生手段を患者の頭部の硬組織に取り付け、亜音速周波数で振動を印加することによって不快感を軽減する方法およびデバイスを開示している。
【0009】
US2008/0200848A1は、特に、振動刺激と患者の呼吸経路に向かって強制される流体の流れとを組み合わせることによって、鼻づまりを治療し、および/または副鼻腔炎の症状を緩和するための方法およびデバイスを開示している。
【0010】
US2013/0253387A1は、例えば、体内の閉塞エリアを治療するための、または体内の病理学的物質を低減するためのシステムおよび方法を開示している。したがって、振動エネルギーは、体の治療エリアの病理学的物質に適用される。振動エネルギーは、圧電トランスデューサおよびエフェクタを使用することによって治療エリアに提供され、エフェクタは、閉塞エリアの中に到達するように、または額もしくは別の外部身体部分に位置付けされるように設計することができる。
【0011】
WO2010/113046A1は、副鼻腔内の一酸化窒素の換気のため、および上気道の障害を抑制するためのデバイスを開示している。このデバイスは、振動生成器、振動生成器と機械的/物理的に接触している振動伝達器、および制御ユニットを備える。振動生成器には、電気モータと偏心輪とが含まれている。制御ユニット、振動生成器、および振動伝達器は、所与の周波数範囲での高速回転変化を可能にするように設計されている。
【0012】
CN108704826Aは、第1および第2のコイルが巻かれる(1、4)第1および第2の固定部材(6、10)によって覆われる2つの端部を備える心棒、すなわちガイドコラム(2)を有するデバイスを記載している。心棒(2)の中央に磁石が配置されている。
【0013】
WO2015/030602A1は、確率的振動のためのバイブレータ装置を記載している。バイブレータ装置(34)は、振動デバイス(1)の部材(1”)、例えば、フレームまたはビーム、に堅固に取り付けられた可動コイル(35)、電気信号、例えば、信号ユニット(25)からの脈動および/または正弦波電気信号、を受信するように構成されている装置の選択された振動モードのための可動コイル(35)、および当該部材(1”)に取り付けられたばね(49、50;93、94)によって懸架されている永久磁石(48)と協働する可動コイル(35)、とを備え、コイル(35)および磁石(48)は、可動コイル(35)に当該電気信号を印加すると、相互に線形および同軸に移動可能である。装置の述べられた目的は、例えば、聴覚、ADHD、ならびに無動症、パーキンソン病、および老化などのドーパミン関連の神経変性障害にプラスの効果を与えるとされる外部確率的ノイズを提供することである。
【0014】
US3366749Aは、心棒、すなわち、ロッド10を有する移動ポスト6、両方とも心棒を囲むボイスコイル16および永久磁石8を有する、オーディオトランスデューサを記載している。弾力性のある取り付け手段9が、磁気アセンブリを保持しているように見え、心棒に取り付けられている。
【0015】
DE10 2015/209639A1は携帯電話技術に関連しており、触覚出力を生み出す電磁リニアアクチュエータを記載している。アクチュエータは、心棒、すなわちシャフト320、移動質量体/中央磁石アレイ310、およびコイル300を有する。
【0016】
JP2005/348815Aは、疲労回復および血液循環改善のための人体用の振動マッサージ装置を記載している。この装置は、ばね部材から延在する質量体を有するが、心棒は存在するように見えない。
【0017】
最先端の振動生成器は、多くの用途、特に医療用途には適していない。それらの設計は、異なる周波数範囲に簡単に調整することができない、ならびに/またはそれらの周波数チューニング特性が制限されている、および/もしくは線形からはほど遠い。さらに、生成することができるインパルスは、多くの用途、例えば、医療用途には十分ではない。
【発明の概要】
【0018】
本発明の第1の態様では、質量体と、コイルと、永久磁石と、ハウジングと、を備える、振動生成器が提供され、質量体は、コイルに電流を印加することによって、ハウジングに対してオシレーション運動することができ、振動生成器は、心棒をさらに備え、オシレーション運動は、心棒に沿っており、質量体は、永久磁石を備え、コイルは、ハウジングに固定されている。
【0019】
実施形態では、永久磁石はリング磁石であり、リング磁石およびコイルは心棒の周りに同心円状に配置されている。
【0020】
さらなる実施形態では、質量体はスリットを備え、スリットは心棒に対して同心円状に配置され、コイルはスリット内に配置されている。
【0021】
別の実施形態では、質量体および永久磁石は、スリットのセクション内に本質的に均一な場を生成するように構成され、均一な場は、スリットのこのセクション内の心棒に対して半径方向に走る。
【0022】
実施形態では、セクションは、コアリングとコア底部との間に形成され、コアリングは、高い飽和レベルを有する材料のものであり、コア底部は、高い飽和レベルを有する材料の飽和限界を超えないように構成されている。
【0023】
さらなる実施形態では、心棒に平行な方向におけるコイルの延在部は、心棒に平行な方向におけるセクションの延在部よりも小さく、振動生成器は、コイルが振動生成器の配向とは独立してセクション内にあるように構成されている。
【0024】
別の実施形態では、振動生成器は、オシレーション運動が質量体の最大偏向の2つの位置の間に制限されるように構成されており、振動生成器は、コイルが主に均一な場のセクション内にあるように構成されている。
【0025】
実施形態では、心棒に平行な方向におけるコイルの延在部は、心棒に平行な方向におけるセクションの延在部よりも大きく、振動生成器は、オシレーション運動が質量体の最大偏向の2つの位置の間に制限されるように構成されており、振動生成器は、コイルの一部が質量体の位置とは独立してセクションの完全な延在部にわたって延在するように構成されている。
【0026】
さらなる実施形態では、振動生成器は、振動生成器が給電されていないときに、質量体を中心に置く、弾性要素を備える。
【0027】
別の実施形態では、弾性要素は、振動生成器の動作中に圧縮される。
【0028】
実施形態では、振動生成器は、振動生成器が動作している周波数範囲外にその基本調波を有するように構成されている。
【0029】
さらなる実施形態では、振動生成器は、振動生成器が動作している周波数範囲において、質量体のオシレーション運動の振幅に関して有意な調波を有しないように構成されている。
【0030】
別の実施形態では、コイルは、良好な熱伝達特性を有する支持体上に装着され、支持体はハウジングに熱接続されており、ハウジングは、コイルによって生成され、かつ支持体を介してハウジングに伝達される熱を吸収することが可能な材料のものである。
【0031】
実施形態では、振動生成器は、信号処理ユニットをさらに備え、信号処理ユニットは、質量体のオシレーション運動に使用される制御信号をさらなる信号と重ね合わせるように構成され、さらなる信号および振動生成器は、可聴信号が振動生成器によって、さらなる信号から生成され得る様態で構成されている。
【0032】
さらなる実施形態では、振動生成器は、複数の周波数にわたって掃引するように構成されている。
【0033】
別の実施形態では、振動生成器は、1Hz、5Hz、10Hz、20Hz、30Hz、40Hz、50Hz、60Hz、70Hz、80Hz、90Hz、または100Hz以上の周波数でオシレーションするように構成されている。
【0034】
さらなる実施形態では、振動生成器は、約2000Hz、1900Hz、1800Hz、1700Hz、1600Hz、1500Hz、1400Hz、または1300Hz以下の周波数でオシレーションするように構成されている。
【0035】
実施形態では、振動生成器は、1Hz~2000Hzの範囲内、より好適には20Hz~1500Hzの範囲内、および任意選択で約60Hz~約1300Hzの範囲内のオシレーションのために構成されている。
【0036】
さらなる実施形態では、振動生成器は、約60~約1300Hzの周波数範囲、またはそのセクションにわたって掃引するように構成されている。
【0037】
別の実施形態では、掃引は、最大で約60秒、45秒、30秒、25秒、20秒、15秒、10秒、または5秒の期間にわたって発生する。
【0038】
さらなる態様では、刺激される対象にオシレーションを印加するためのデバイスが提供され、前述の態様および実施形態による振動生成器を備える。
【0039】
さらなる実施形態では、デバイスは、デバイスヘッドと、デバイス本体と、を備え、振動生成器は、デバイスヘッド内に配置されている。
【0040】
別の実施形態では、デバイスヘッドは、デバイス本体に対して第1の位置に、およびデバイス本体に対して第2の位置に移動可能であり、デバイスは、デバイスヘッドが第1の位置に移動した場合に、デバイスをスリープモードに切り替えるように、かつデバイスヘッドが第2の位置に移動した場合に、デバイスをアクティブモードに切り替えるように構成されたコントローラを備える。
【0041】
実施形態では、デバイスヘッドは、デバイス本体に対して第3の位置に移動可能であり、第3の位置は、洗浄のために、接触表面へのアクセスを可能にし、コントローラは、デバイスヘッドが第3の位置に移動した場合に、デバイスをスリープモードに切り替えるように構成されている。
【0042】
別の態様では、対象をオシレーションを用いて治療するための方法が提供されており、上記の態様および実施形態のうちの1つによる振動生成器を備えるデバイスを対象と接触させるステップを含むことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】振動生成器を備えるデバイスの例示的な実施形態の外観図である。
【
図2】振動生成器を備えるデバイスのさらなる例示的な実施形態の外観図である。
【
図3】振動生成器を備えるデバイスのなおさらなる例示的な実施形態の外観図である。
【
図5】
図1に示されたデバイスヘッドの例示的な実施形態の分解図である。
【
図6】デバイスヘッドのさらなる例示的な実施形態の分解図である。
【
図8】振動生成器の例示的な実施形態の分解図である。
【
図10】
図8に示された振動生成器の作動領域の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本明細書で使用される場合、「含む」という用語は、記載される要素のいずれかが必ず含まれ、他の要素も同様に任意選択的に含まれ得ることを意味する。「~から本質的になる」は、記載される要素が必ず含まれ、列挙される要素の基本的および新規の特性に実質的に影響を及ぼす要素が除外され、他の要素が任意選択的に含まれ得ることを意味する。「~からなる」は、列挙されるもの以外のすべての要素が除外されることを意味する。これらの用語の各々によって定義される実施形態は、本発明の範囲内である。
【0045】
本発明による振動生成器およびデバイスの実施形態は、外部身体部分に適用される振動療法、特に変調振動療法、に特に適している。
【0046】
変調振動療法に適した実施形態では、周波数は、少なくとも、例えば、以下に開示されるような掃引を適用することによって変調される。
【0047】
振動療法は、慢性副鼻腔炎(CRS)、偏頭痛、慢性創傷治癒、痛みの緩和、筋肉の緊張など、いくつかの医療用途に使用される。以下に指摘するように、様々なさらなる医療用途での振動療法の潜在的な使用の兆候がある。
【0048】
他の治療法に対する(外部)振動療法の主な利点は、(本発明による振動生成器によって提供されるような)方向付けられた振動が使用される場合、局所適用性を著しく失うことなく、その非侵襲的で薬物を含まない安全な特性である。治療が本発明によるデバイスで実行される場合、さらなる利点は、容易で快適な適用性である。
【0049】
振動療法によって生体に引き起こされる特定の生物学的、物理的および化学的効果は、今後の試験でまだ調査されることになるが、一般的な効果については以下で考察する。振動療法の一般的な効果には、とりわけ、血管拡張、細胞の刺激、および分泌物のクリアランスの増強(例えば、輸送および/または(流出)の流れの促進による)が含まれる。
【0050】
以下において、慢性副鼻腔炎(CRS)の治療例で、これらの効果がどのように有意な治療効果を引き起こすかが示されている。振動生成器およびデバイスは、特に、これらの効果のうちの少なくとも1つを引き起こすように、したがって、当該治療効果を引き起こすように構成されている(以下に与えられる「適用例」に示されるように)。
【0051】
振動療法用のデバイスが、CRS(慢性副鼻腔炎)の治療のために頬骨に適用されると、振動は上顎洞のような副鼻腔および鼻腔に伝播し、副鼻腔および鼻腔をオシレーションさせる。これらのオシレーションは、例えば、機械的に誘発された輸送および/または粘液線毛クリアランスの増加によって、過剰な粘液および分泌物の鼻における輸送を加速し、例えば、上皮を振動させることによって、および血管拡張によって、鼻および副鼻腔上皮を刺激する。加速された輸送および刺激の両方が治癒過程を加速し、特に炎症を軽減し、副鼻腔の小孔の開口に貢献する。後者は、振動する上顎洞と組み合わせることで、副鼻腔から鼻腔への一酸化窒素(NO)の迅速な放出を可能にする。加えて、上顎洞の振動は、おそらくNO産生を促進する。高濃度のNOには、保護効果または治癒効果さえあるということが示されており、この効果は、所与の作用メカニズムにより、上顎洞および鼻腔で有効である。
【0052】
要約すると、振動療法は、治癒過程を強化および加速し、CRSの病的症状(例えば、顔面痛、うっ血、鼻漏、など)を軽減し、短期および長期の両方でCRS患者の健康を改善する。言い換えれば、それは抗炎症効果、抗浮腫効果、および抗アレルギー効果を示し、体の防御の正常化を促進し、単独療法として使用され得る。この方法は生理学的であり、上顎洞炎での穿刺の数を減らし、皮膚および粘膜に傷をつけず、薬物の使用を減らす。
【0053】
前の段落で要約された作用のメカニズムは、開示された振動生成器およびデバイスを使用してさらに探求されるであろう。
【0054】
開示されているように振動生成器およびデバイスを適用することの効果は、臨床試験においてさらに探求されるであろう。ドイツで検証された疾患固有の20項目のSino-nasal Outcome Test(SNOT-20 GAV)によって定量化された自覚症状の変化、内視鏡の外観の変化、外科的処置の必要性の変化、通常の活動を行う能力の変化、全体的な疾病管理、治療の受容性、SNOT-20の全体的なスコア、疼痛スコア(VAS)、および有害事象、のうちの少なくとも1つを評価することが想定されている。
【0055】
振動療法は概して、上記の生物学的、物理的、化学的効果に基づいて、および印加された振動がこれらの効果を引き起こすのに適した特性を有するかどうかに基づいて、様々な病状および身体的不安の理由を治療する可能性を有する。
【0056】
振動療法は血管新生および肉芽組織の形成を増加させ、好中球の蓄積を減少させ、マクロファージの蓄積を増加させるということが示されている。加えて、創傷における治癒促進成長因子およびケモカイン(インスリン様成長因子-1(IGF-1)、血管内皮増殖因子(VEGF)、および単球走化性タンパク質-1)の発現を増加させる場合がある(Eileen M.et al.,2014;PLoS ONE 9(3))。振動露出は、コラーゲン-1α(3倍)、IL-6(7倍)、COX-2(5倍)、および骨形成タンパク質-12(4倍)の遺伝子発現を増加させる場合がある(Thompson W et al.,The Orthopaedic Journal of Sports Medicine,3(5))。
【0057】
本発明の目的は、最先端の線形振動生成器の欠点を克服する線形振動生成器を提供することである。
【0058】
特に、本発明の目的は、医療用途に関する、特に変調振動療法などの振動療法に関する最先端の線形振動生成器およびデバイスの欠点を克服するそのような振動生成器を備える線形振動生成器およびデバイスを提供することである。
【0059】
例えば、本発明の目的は、(外部)振動療法、特に変調振動療法によるCRSの治療に適した線形振動生成器およびデバイスを提供することである。
【0060】
例えば、本発明の目的は、改善された周波数チューニング特性を備えた線形振動生成器を提供することである。特に、オシレーション運動を実行するように構成された質量体を備える線形振動生成器を提供することが目的であり、振動生成器は、対象の周波数範囲にわたってチューニング可能であり、オシレーションの振幅は、最先端の線形振動生成器と比較して、対象の周波数範囲全体にわたってより均一である。
【0061】
例えば、本発明の目的は、最先端の線形振動生成器と比較して、より強力なインパルスを生成するのに適した線形振動生成器を提供することである。
【0062】
これらの目的のうちの少なくとも1つは、特許請求の範囲に記載のデバイスおよび方法によって達成される。
【0063】
特に、心棒はハウジングにしっかりと取り付けられている。言い換えれば、心棒はハウジングに対して移動しないが、それは質量体のオシレーション運動の心棒である。
【0064】
特に、心棒はまっすぐな心棒である。
【0065】
心棒は、縦軸になることができる(方向)軸を定義することができる。
【0066】
質量体は永久磁石を備え、コイルはハウジングに固定されている。
【0067】
質量体は、最大で約50g、40g、30g、25g、20g、または15gの重量を有することができる。
【0068】
質量体は、少なくとも約1g、2g、5g、または10gの重量を有することができる。
【0069】
実施形態では、質量体は好ましくは2g~20gである。
【0070】
質量体の重量は、用途によって異なり得る。言い換えれば、振動生成器は、この用途に最適化された質量体を備えることによって、用途に適合させることができる。
【0071】
オシレーション運動の振幅は、最大で約50mm、45mm、40mm、35mm、30mm、25mm、20mm、15mm、10mm、5mm、または2mmにすることができる。振幅は用途によって異なり得る。言い換えれば、振幅は用途に適合させることができる。例えば、振幅は5mm未満、特に人間の副鼻腔の治療のためには2mm未満であり得る。
【0072】
例えば、振幅は1mm、2mm、3mm、4mm、または5mmにすることができる。
【0073】
振動生成器は、少なくとも約1Hz、5Hz、10Hz、20Hz、30Hz、40Hz、50Hz、60Hz、70Hz、80Hz、90Hz、または100Hzのオシレーション用に構成され得る。
【0074】
振動生成器は、最大で約2000Hz、1900Hz、1800Hz、1700Hz、1600Hz、1500Hz、1400Hz、または1300Hzのオシレーション用に構成され得る。
【0075】
振動生成器は、好ましくは1Hz~2000Hzの範囲内、より好ましくは20Hz~1500Hzの範囲内、より好ましくは60Hz~1300Hzの範囲内のオシレーション用に構成され得る。言い換えれば、オシレーションは、好ましくは1Hz~2000Hzの範囲内であり、より好ましくは20Hz~1500Hzの範囲内であり、より好ましくは60Hz~1300Hzの範囲内である。典型的には、オシレーションは、少なくとも約60Hzから最大で約1300Hzの範囲内で掃引する。
【0076】
開示された振動生成器は、記載された種類の振動生成器のオシレーション運動の振幅が周波数の減少とともに増加するので、60Hz~1300Hzの範囲内で動作するのに特に適していると洞察される。さらに、開示された種類の振動生成器のオシレーション運動の振幅および周波数は、当該範囲で十分に制御可能であり得る。特に、振幅と周波数は、代替の振動生成器と比較してより良く制御することができる。
【0077】
リング、ディスク、または正方形の形状など、永久磁石の様々な形状を想定することができる。
【0078】
永久磁石は、例えば、ネオジムを含むことができる。言い換えれば、それはいわゆるネオジム磁石であることができる。
【0079】
一実施形態では、永久磁石はリング磁石であり、リング磁石およびコイルが心棒の周りに同心円状に配置されている。例えば、リング磁石およびコイルは、心棒の周りに同心円状に配置することができ、コイルは、リング磁石よりも心棒により近く配置される。
【0080】
リング磁石およびコイルは、心棒に沿ってオフセットすることができる。
【0081】
振動生成器は、複数(すなわち、2つ以上)のリング磁石を備えることができる。この場合、前述のリング磁石は、第1のリング磁石と見なすことができる。
【0082】
さらなるリング磁石を、心棒に対して同心円状に配置することもできる。
【0083】
さらなるリング磁石は、第1のリング磁石と同じ寸法を有することができ、それ/それらは心棒に沿ってオフセットすることができる。例えば、さらなるリング磁石を心棒に沿ってオフセットすることができ、第1のリング磁石に隣接させることができる。
【0084】
さらなるリング磁石の数および配置は、磁場、特に磁場強度および/または磁場分布が、使用される質量体および/または所望の治療に関して最適化されるようなものであり得る。
【0085】
一実施形態では、質量体はスリットを含み、スリットも心棒に対して同心円状である。
【0086】
この実施形態では、コイルをスリット内に配置することができる。これはまた、スリットが、第1のリング磁石、および-場合によっては-少なくとも1つのさらなるリング磁石よりも心棒に近い環状開口(リング状の開口部)であるか、またはそれを含むことを意味する。
【0087】
一実施形態では、質量体およびリング磁石(または複数のリング磁石)は、スリットのセクションで本質的に均一な磁場を生成するように構成され、均一な場は、少なくともスリットのこのセクションで心棒に対して半径方向に走る。
【0088】
例えば、本質的に均一な場が生成されるスリットのセクションは、リング磁石(または複数のリング磁石)がその周りに配置されるコアおよびコアリングを形成する質量体の一部によって形成することができる。当該コアを含む質量体の部分は、以下では「コア底部」と呼ばれる。
【0089】
コアリングは、本質的に均一な場が生成される様態で、リング磁石およびコア底部に対して配置することができる。
【0090】
コアリングは、磁場を伝導するのに非常に適した材料、特に金属の材料を含み得るか、またはそれからなることができる。特に、材料は、高い飽和レベル、例えば、1Tよりも大きいまたは1.5Tよりも大きい飽和レベルを有することができる。コア底部の寸法は、磁場に関する材料(金属)の飽和限界を超えないようなものにすることができる。したがって、コア底部およびコアリングは、事実上、磁束のガイドとして作用し、スリットのセクションに本質的に均一な磁場をもたらす。
【0091】
一実施形態では、心棒に平行な方向におけるコイルの延在部、これはコイルの長さを意味する、は、均一な場を含むセクションの延在部よりも小さく、このセクションの延在部も心棒に平行な方向である。
【0092】
この実施形態では、振動生成器は、コイルが、振動生成器の配向とは独立して、均一な場を含むセクションにあるように構成される。
【0093】
特に、それは、振動生成器のアイドル状態における均一な場を含むセクションにあり、これは、コイルに電流が流れていない状態にあることを意味する。
【0094】
振動生成器は、質量体のオシレーション運動が、質量体の最大偏向の2つの位置の間で制限され、コイルが、主に均一な場のセクションにあるようにさらに構成することができる。
【0095】
特に、コイルは、最大偏向の2つの位置の間の質量体の位置とは独立して、主に均一な場のセクション内にあることができる。
【0096】
均一な磁場、特に、均一な場でのみまたは主にオシレーションする開示されたようなコイルと組み合わせた均一な磁場は、コイルに生成された電流に対する質量体の動きの一貫した、かつ十分に制御可能な応答を有するために重要である。
【0097】
一実施形態では、心棒に平行な方向におけるコイルの延在部は、心棒に平行な方向におけるセクションの延在部よりも大きい。
【0098】
この実施形態では、振動生成器は、コイルの一部が、質量体の位置とは独立して、セクションの完全な延在部にわたって延在するように構成されている。
【0099】
この場合も、質量体のオシレーション運動は、質量体の最大偏向の2つの位置の間で制限することができる。
【0100】
セクションの関連する延在部よりも大きい延在部を備えたコイルを有する実施形態は、例えば、セクション内の巻線の数が最大であり、質量体の位置とは独立しているという利点を有する。これは、作動力などの質量体の作動の点から有利である。
【0101】
一実施形態では、振動生成器は、振動生成器が給電されていないときに、質量体を中心に置く、少なくとも1つの弾性要素を含む。
【0102】
特に、少なくとも1つの弾性要素は、コイルがスリット内に、特に本質的に均一な場を含むスリットのセクション内に配置される様態で質量体を中心に置く。
【0103】
実施形態では、振動生成器は、2つの弾性要素、例えば、物理的な心棒の周りにまたは近接して配置された2つの弾性要素を備える。
【0104】
一実施形態では、少なくとも1つの弾性要素は、質量体のオシレーション中に圧縮される。
【0105】
1つ以上の弾性要素は、オシレーションの振幅の範囲を定めるように構成することができる。
【0106】
弾性要素は、質量体の最大偏向の範囲を定めるように構成することができる。特に、弾性要素は、最大偏向の2つの位置を画定することができる。
【0107】
あるいは、弾性要素は、1回以上の停止が質量体の最大偏向の範囲を定めるように構成することができる。例えば、停止は、ハウジングおよび/またはコイルブラケットなどの弾性要素のベアリングによって与えることができる。
【0108】
弾性要素は、ばね、特にコイルばねであり得る。
【0109】
例えば、振動生成器は2つの弾性要素を備え、一方は、心棒に沿った一方向における質量体の偏向(振幅)の範囲を定め、他方は、心棒に沿った他の方向に沿った質量体の偏向の範囲を定める。
【0110】
質量体は、コイルばねであってもよい2つの弾性要素によって懸架することができる。
【0111】
振動生成器は、調波、特に少なくとも質量体のオシレーション運動の振幅に関して有意な調波が、治療に使用される周波数範囲内にないように構成することができる。言い換えれば、好ましくは、治療周波数範囲は、デバイス自体の共振周波数とは異なる。
【0112】
これは、例えば、弾性要素の弾性特性と質量体の重量とを調整することによって行うことができる。
【0113】
特に、振動生成器は、少なくとも第1の(基本)調波が、治療に使用される周波数範囲の外側、特にそれより下にあるように構成することができる。
【0114】
決定された周波数範囲の振幅に関して調波を有しないか、または少なくとも有意な調波を有しないように構成された振動生成器は、周波数範囲にわたる掃引を含む用途と組み合わせると有利である。
【0115】
例えば、振動生成器または振動生成器を備えるデバイスは、非共振で動作するように構成することができる。これは、振動生成器またはデバイスが、調波周波数に対応する周波数または周波数範囲を省略または迅速に通過するように構成できることを意味する。
【0116】
一実施形態では、コイルは、良好な熱伝達特性を有する支持体に装着され、支持体は、振動生成器のハウジングに熱的に接続されている。ハウジングは、コイルによって生成され、かつ支持体を介してハウジングに伝達される熱を吸収することが可能な材料のものである。
【0117】
例えば、ハウジングおよび/または支持体の比熱容量は、400J/kg-1 K-1より大きくすることができる。ハウジングおよび/または支持体は、鋼を含むか、または鋼から構成することができる。
【0118】
例えば、ハウジングおよび/または支持体の比熱容量は、900J/kg-1 K-1より大きくすることができる。ハウジングおよび/または支持体は、アルミニウムを含むか、またはアルミニウムから構成することができる。
【0119】
一実施形態では、振動生成器または振動生成器を備えるデバイスは、信号処理ユニットを備えることができ、信号処理ユニットは、制御信号を重ね合わせるように構成され、これは、さらなる信号とともに、質量体の動きを生成するために使用される入力信号を意味する。
【0120】
さらなる信号および振動生成器は、オーディオ信号をさらなる信号から生成することができる様態で構成することができる。
【0121】
振動生成器は、複数の周波数にわたって掃引するように構成することができる。例えば、振動生成器(または振動生成器を備えるデバイス)は、掃引を含む様態で振動生成器を稼働させるように構成されたコントローラを備えることができる。
【0122】
医療用途に関しては、掃引が、複数の共振、例えば、以下の適用例に関連して開示されるような異なる種類の共振も励起することによって治療効率を改善することができるということが示されている。
【0123】
共振周波数は、対象固有のものとすることができる。掃引は、少なくとも1つの共振周波数が、刺激された対象から独立した周波数の適用範囲内にあることを確実するように構成することもできる。
【0124】
例えば、振動生成器または振動生成器を備えるデバイスは、60~1300Hzの周波数範囲またはそのセクションにわたって掃引するように構成することができる。
【0125】
複数の周波数にわたる掃引は、掃引時間によって特徴付けることができ、これは、複数の周波数の最低周波数値から最大周波数値まで走査し、最低値に戻るのに必要な時間を意味する。
【0126】
掃引時間は、最大で約60秒、45秒、30秒、25秒、20秒、15秒、10秒、または5秒であることができる。掃引時間は、少なくとも約0.5秒、1秒、1.5秒、2秒、3秒、4秒、または5秒であることができる。
【0127】
掃引時間は、好ましくは0.5秒~30秒、より好ましくは1秒~10秒である。
【0128】
複数の周波数は、上に開示された任意の周波数範囲によって与えることができる。
【0129】
掃引時間は、振動生成器の動作中に変化することができる。言い換えれば、掃引速度は、変化することができる。特に、掃引時間は、上記に開示された掃引時間から生じる任意の時間範囲内で動作中に変化することができる。例えば、掃引時間は、0.5秒~30秒、または1秒~10秒で変化することができる。
【0130】
例えば、掃引時間は、動作中に減少することができる。言い換えれば、掃引速度は、増加することができる。掃引時間の減少(掃引速度の増加)は、振動生成器から振動生成器と接触している対象へのエネルギー伝達を増加させるという利点を有し得る。
【0131】
振動生成器または振動生成器を備えるデバイスは、動作中に複数の掃引を実行するように構成することができる。
【0132】
本発明はさらに、刺激される対象にオシレーション(振動)を印加するためのデバイスに関し、デバイスは、開示される任意の実施形態において振動生成器を備える。
【0133】
開示された振動生成器は、振動生成器をオシレーション(振動)療法での使用に適したものにする様々な利点を含むことが見出された。
・コイル、特に開示されているコイル(およびボイスコイルと呼ばれることもある)を備える振動生成器は、例えば、圧電トランスデューサまたは回転質量体を備えるトランスデューサと比較して、そのような振動生成器をオシレーション(振動)療法の分野での使用に非常に適したものにする特性を有することができる。
例えば、そのような振動生成器は、ある方向に向けられた、または集中されさえする振動を生成することができる。
・振動生成器は、例えば、圧電トランスデューサまたは回転質量体を備えるトランスデューサと比較して、オシレーション(振動)療法の分野において対象の全周波数範囲にわたってより均一である振動の振幅を有するように設計することができる。これが、振動生成器が対象の周波数範囲の上限の周波数によく適することができる理由の1つである。
特に、質量体が磁石を含む設計は、より重い質量体につながり、スペース要件を増加させることなく、および振動生成器の総重量を増加させることなく、より高い強度を可能にする。それはさらに、スペース要件を増加させることなく、および振動生成器の重量を増加させることなく、振動生成器の作動領域においてより均一な磁場を可能にする。作動領域におけるより均一な磁場は、例えば、電気入力信号に対する振動生成器のより線形な応答、および対象の周波数範囲にわたってより均一な振幅をもたらす。
【0134】
特に、デバイスは、副鼻腔の治療のために、例えば、慢性副鼻腔炎の治療のために構成することができる。
【0135】
一実施形態では、デバイスは、デバイスヘッドおよび任意選択でデバイス本体を備え、振動生成器はデバイスヘッド内に配置される。
【0136】
デバイス本体は、ユーザによって保持されるように設計することができる。
【0137】
デバイスは、ハンドヘルドデバイスにすることができる。
【0138】
デバイスは、ポータブルにすることができる。
【0139】
デバイスは、薬物を用いない使用のために構成することができる。
【0140】
デバイスは、非侵襲的使用のために構成することができる。
【0141】
デバイス、特にデバイスヘッドは、例えば、デバイスがデバイス本体に保持されているとき、およびデバイスが対象の刺激に適した状態にあるとき、対象に接触させることができる表面(以下では「接触表面」と呼ぶ)を備えるように設計することができる。
【0142】
デバイスは、表面と対象との間で直接接触するように構成することができ、これは、使用中、表面とデバイスが適用される身体部分の皮膚との間を意味する。言い換えれば、表面と皮膚の間に中間要素または層は必要ない。特に、ゲルなどは必要ない。
【0143】
一実施形態では、デバイスヘッドは、デバイス本体に対して第1の位置に、およびデバイス本体に対して第2の位置に移動可能である。
【0144】
デバイスはさらに、デバイスヘッドが第1の位置に移動した場合に、デバイスをスリープモードに切り替えるように、かつデバイスヘッドが第2の位置に移動した場合に、デバイスをアクティブモードに切り替えるように構成されたコントローラを備える。
【0145】
一実施形態では、デバイスヘッドは加えて、デバイス本体に対して第3の位置に移動可能であり、第3の位置は、洗浄のために接触表面へのアクセスを可能にする。
【0146】
この実施形態では、コントローラは、デバイスヘッドが第3の位置に移動した場合に、デバイスをスリープモードに切り替えるようにさらに構成される。
【0147】
例えば、デバイス本体は、くぼみを備えることができ、デバイスヘッドは、それがくぼみに完全に格納できる様態で設計することができる。特に、デバイスヘッドは、デバイス本体と同じ高さにすることができる。
【0148】
この場合、完全にくぼみに格納されているデバイスヘッドの位置を第1の位置とすることができる。
【0149】
この場合、第1の位置はまた閉じた位置と見なすこともできる。
【0150】
閉位置にあるデバイスヘッドは、例えば、汚染、意図しない始動、損傷のうちの少なくとも1つから防止される。
【0151】
デバイスは、デバイスヘッドを少なくとも部分的にくぼみの外に移動させるように装備することができる。
【0152】
例えば、デバイスは、デバイスヘッドをその周りで枢動させることができる軸、またはデバイスヘッドをそれに沿って移動させることができる軸を備えることができる。
【0153】
デバイスが、デバイスヘッドをその周りで枢動させることができる軸を備える場合、かつ、0°の回転角度が、第1の位置(閉位置、デバイスがスリープモード)に対応する場合、第2の位置(アクティブモード)は、例えば、90°~150°の回転角度であり得る。例えば、第2の位置は、115°、118°、120°、122°、または125°など、110°~130°であり得る。
【0154】
特に、第2の位置は、最大で約150°、145°、140°、135°、または130°であり得る。第2の位置は、少なくとも約90°、95°、100°、105°、または110°であり得る。
【0155】
そのような構成では、任意選択の第3の位置(洗浄モード)は、例えば、150°~200°の回転角度であり得る。例えば、第3の位置は、160°、170°、180°、または190°であり得る。
【0156】
一実施形態では、第3の位置は180°である。
【0157】
デバイスは、少なくとも1つの位置でデバイス本体に対してデバイスヘッドを自動または手動で固定することを可能にする固定手段を備えることができる。
【0158】
デバイスは、自動化された様態で、デバイスヘッドを第1、第2、または第3の位置のうちの少なくとも1つに移動させるように構成することができる。
【0159】
あるいは、または加えて、デバイスは、自動化された様態で、第1、第2、および第3の位置のうちの少なくとも2つの間でデバイスヘッドを移動させるように構成することができる。
【0160】
デバイスは、自動化された様態でデバイスヘッドを移動させるように構成されたモータ、特に電気駆動装置を備えることができる。
【0161】
デバイスヘッドの自動化された移動の代わりに、またはそれに加えて、デバイスは、手動でデバイスヘッドを移動させるように構成することができる。
【0162】
スリープモードおよび-存在する場合-洗浄モードでは、振動生成器を非アクティブにすることができる。
【0163】
デバイスは、デバイスヘッドが第2の位置に移動された場合に、特に振動生成器を作動させるように、自動化された様態で刺激を開始するように構成することができる。
【0164】
本発明はさらに、オシレーションで対象を治療するための方法に関する。本方法は、開示された任意の実施形態の振動生成器を備えるデバイス、または開示された任意の実施形態のオシレーションを印加するためのデバイスを対象と接触させるステップを含む。
【0165】
本方法は、少なくとも約0.5秒、1秒、2秒、5秒、10秒、15秒、または20秒の治療時間中に対象を治療するステップを含むことができる。
【0166】
本方法は、最大で約5分、4分、3分、2分、90秒、60秒、45秒、または30秒の治療時間中に対象を治療するステップを含むことができる。
【0167】
治療時間は、0.5秒~2分、例えば、2秒~90秒、2秒~60秒、または5秒~30秒であり得る。例えば、5秒、10秒、15秒、20秒、25秒、30秒、45秒、60秒、75秒、90秒、105秒、または120秒にすることができる。
【0168】
本方法は、治療を複数回実行するステップを含むことができる。言い換えれば、本方法は、複数の治療セッションを含むことができる。
【0169】
本発明の主題は、添付の図面に図示されている例示的な実施形態を参照して、以下のテキストでより詳細に説明され、以下に概略的に示す。
図1は、振動生成器10を備えることによって対象にオシレーション(振動)を印加するためのデバイス1の例示的な実施形態の外観図を示す。
【0170】
示されているデバイス1は、コンパクトなハンドヘルドデバイスである。
【0171】
デバイスは、デバイス本体2およびデバイスヘッド3を備え、デバイスヘッド3は、振動生成器10をホストする。
【0172】
示されるデバイスヘッド3は、治療される対象と少なくとも部分的に接触するように配置された接触表面4を備える。
【0173】
接触表面4は、デバイス1の交換可能な部品5の表面であり得る。
【0174】
示された実施形態では、接触表面4は、凸状のくぼみの形状の陥凹7を備える。
【0175】
示されているデバイスヘッド3は、デバイス本体2(二重矢印で示されている)に対して枢動している。枢動可能な取り付けは、デバイスヘッド3が、上記のデバイス本体2に対して少なくとも第1および第2の位置にもたらされ得るようなものであり得る。加えて、デバイスヘッド3は、任意選択で、少なくとも上記の第3の位置に持ってくることができる。
【0176】
言い換えれば、示されているデバイスヘッド3は、可動デバイスヘッドである。
【0177】
示されたデバイスは、複数のLEDを備えるさらなるユーザインターフェース26を備える。LEDは、デバイスのステータスおよび治療または治療のセッションのステータス(進行)のうちの少なくとも1つを示すことができる。
【0178】
図2は、振動生成器10を備えるデバイス1のさらなる例示的な実施形態の外観図を示す。
【0179】
示されたデバイス1は、ハンドヘルドであり得るが、
図1のデバイス1ほどコンパクトではない。言い換えれば、
図2のデバイス1は、病院および専門家によって設置または提供されるのにむしろ適しており、一方、
図1のデバイス1は、より広範囲な公衆による使用にむしろ適しており、例えば、ユーザが持ち運ぶことができる。
【0180】
図2のデバイス1は、-少なくとも
図1のデバイス1と比較して-強力なコンピュータ化されたデバイス29およびより詳細なユーザインターフェース26を備える。任意選択で、それは固定具またはグリップ28を備えることができる。
【0181】
図3は、主に、振動生成器10を備えるデバイスヘッド3の例示的な実施形態の外観図を示す。
【0182】
示されたデバイスヘッド3は、ハンドヘルドデバイスヘッド3であり、デバイス本体2は、ハンドヘルド、例えば、携帯電話もしくはタブレット、または、パーソナルコンピュータ(PC)もしくは例えば、
図2示されるような別のコンピュータ化されたデバイスなどのしっかりと設置されたものであり得る。
【0183】
デバイス本体2は、例えば、デバイスヘッド3に電力および/または制御信号を供給することができる。
図3の実施形態では、そのような供給は、デバイスヘッド3とデバイス本体2との間の有線接続によって実行されている。
【0184】
【0185】
示された実施形態では、デバイス本体のハウジングは、前部41および後部42を備える。
【0186】
後部42は、電池8、例えば、充電式電池、を保持するように装備されている。
【0187】
前部および後部は、プリント回路基板(PCB)22、デバイス1のコントローラ23.1などのデバイス1のよりセンシティブな部品、LED9および少なくとも1つの手動制御要素43(制御ノブ、ボタンなど)などのユーザインターフェース26の構成要素、ならびに示された実施形態では可動デバイスヘッドであるデバイスヘッド3のための少なくとも1つの支持体44、をホストするように設計されている。
【0188】
図5は、
図1に示されたデバイスヘッド3の例示的な実施形態の分解図を示す。
【0189】
デバイスヘッド3の形状は、ハウジング6および交換可能部品5によって与えられる。
【0190】
交換可能部品5は、例えば、交換可能部品5上に配置されてハウジング6に到達し、ハウジング6とのポジティブフィット接続を形成するように設計された突起を備えることによって、ハウジング6に取り付けることができる。
【0191】
示されたデバイスヘッド3は、さらに、容量性(タッチ)センサ51、トランスデューサ(振動生成器)10、およびプリント回路基板(PCB)22を備える。
【0192】
示された実施形態では、接触表面4および陥凹7を備える交換可能部品5、容量性センサ51、ならびにPCB22が、接触表面4と対象との間の接触を検出し、かつ関連する出力信号を生成するように構成されたセンサ要素50の主要構成要素である。
【0193】
出力信号は、いくつかの実施形態では圧力に依存する。
【0194】
PCB22は、出力信号を生成するように構成されたセンサ要素のコントローラ23.2を備える。
【0195】
PCB22は、メモリ24および/またはコンピュータ化されたデバイス29への通信手段25をさらに備えることができる。
【0196】
代替の実施形態では、容量性センサ51は、コントローラ23.2、メモリ24、および/または通信手段25を備える。
【0197】
通信手段25は、例えば、
図2および
図3の実施形態の場合のように、無線通信手段または有線通信手段であり得る。
【0198】
コンピュータ化されたデバイス29は、携帯電話もしくはタブなどのハンドヘルド(携帯型、モバイル)のコンピュータ化されたデバイスであり得、または、
図2および
図3に関して開示されたようなしっかりと設置されたコンピュータ化されたデバイスであり得る。
【0199】
コンピュータ化されたデバイス29は、ユーザインターフェース26を備えることができ、デバイス1を制御することのうちの少なくとも1つに適したアプリケーション(プログラム)を実行するように構成することができ、例えば、出力信号の特性を現在の値と比較し、出力信号の特性が事前設定値よりも大きいかどうかを判定し、イネーブル信号を生成し、治療が開始されたときにタイムスタンプを設定し、治療の規則性を決定し、治療の完全性を決定し、接触品質を決定し、治療品質を決定し、所望の治療を選択し、目標位置および任意選択で目標配向を示す。
【0200】
治療の規則性は、一連の治療が所与の用途に必要な規則性で実行されるかどうかを表す。例えば、治療の規則性は、2つのタイムスタンプ間の期間を事前設定された期間と比較することによって決定することができ、事前設定された期間は、特定の治療のための2つの治療間の最適な期間であり得る。
【0201】
治療の完全性は、実行される治療の数が所与の用途に十分であるかどうかを表す。例えば、治療の完全性は、全体的な治療が行われるように計画されている期間(例えば、1日または1週間)中に設定されたタイムスタンプの数を、事前に設定された治療の数と比較することによって決定することができる。
【0202】
接触品質は、デバイス1と刺激される対象との間の接触が、所与の用途の治療中に十分であるかどうかを表す。例えば、接触品質は、治療中に繰り返し出力信号の特性が事前設定値よりも大きいかどうかを判定することによって、および分析される出力信号の総数に関して、事前設定値よりも大きい特性の数を設定することによって、決定することができる。
【0203】
治療品質は、良好な治療をもたらす条件下で対象に対して治療が実行されるかどうかを表す。例えば、治療品質の決定は、治療中に繰り返し、圧力依存出力信号、特に接触圧力に関連する特性の値を読み出すこと、および、目標値に関連して読み出し圧力依存出力信号を設定すること、を含むことができる。目標値は、時間依存の目標値であり得る。
【0204】
例えば、治療品質の決定は、読み出し圧力依存出力信号の時間進展の積分と目標圧力の時間進展の積分との間の比率を決定することを含み得る。この場合、例えば、1より大きい比率は、良好な治療品質につながる良好な接触品質と見なすことができる。
【0205】
例えば、治療品質の決定は、パーセンテージの決定を含むことができる。例えば、読み出し圧力依存出力信号が、治療時間の少なくとも50%の間、特に、治療時間の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の間、目標値よりも大きい場合、良好な治療品質が想定され得る。言い換えれば、治療時間中に印加される圧力が、治療時間の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の間に圧力閾値を超える場合、良好な治療品質が保証される。
【0206】
場合によっては、メモリ24および/またはユーザインターフェース26と組み合わせたコントローラ23.2は、上記に列挙されたアクションの1つ、複数、またはすべてを実行するように構成され得る。上記に列挙されたアクションの1つ、複数、またはすべては、デバイス1のコントローラ23.1によって実行され得る。
【0207】
センサ要素のコントローラ23.2は、デバイス1のコントローラ23.1に統合することができる。メモリ24および/または通信手段25は、例えば、
図4に示されるように、デバイスPCB22上に配置することができる。
【0208】
図6は、デバイスヘッド3のさらなる例示的な実施形態の分解図を示す。
【0209】
示された実施形態では、陥凹7を備える接触表面4は、デバイスヘッド3のハウジング6の一体部分である。
【0210】
このため、デバイスヘッド3の一部の構成要素の設計は、
図5によるデバイスヘッド3と比較して異なる。例えば、デバイスヘッド3は、ハウジング6内にセンサ要素50および振動生成器10を配置した後、デバイスヘッド3を閉じるためのカバープレート39を備える。
【0211】
図6の分解図は、デバイスヘッド2およびワイヤ用のダクト44の枢動可能な取り付けのためのさらなるベアリング(37、38)を示している。
図6の例示的な実施形態では、カバープレート39内のダクト、ベアリング37内のダクト、および振動生成器10上のダクトが見える。
【0212】
図6の分解図は、さらなるバッファ40、例えば、ゴムバッファを示している。
【0213】
図7は、
図5の(組み立てられた)デバイスヘッド3の断面図を示す。とりわけ、振動生成器10の詳細、および交換可能部品5とハウジング6との間のポジティブフィット接続が示されている。
【0214】
振動生成器10の例示的な実施形態の詳細は、
図8~
図11に関して開示されている。
図7は、
図5および
図8~
図11に示される構成要素に加えて、デバイスヘッド3の内部を封止するためのガスケット52を示している。
【0215】
図8は、振動生成器10の例示的な実施形態の分解図を示す。
【0216】
振動生成器の形状は、振動生成器のハウジング14およびいわゆるコイルブラケット30によって与えられる。
【0217】
振動生成器10は、さらに、(方向)軸15を画定する(物理的)心棒31、永久磁石(図示の実施形態では2つのリング磁石13)、いわゆるコアリング34、いわゆるコア底部35、およびコイル12(
図11には示されていない)、特に以下に開示されるようなコイル、を備える。以下に開示されるようなコイルは、ボイスコイル12と呼ばれることもある。
【0218】
コイルブラケット30は、振動生成器10の基部と見なすことができ、当該基部は、コイル12のための支持体21を備える。
【0219】
質量体11、これは、軸15に沿ってオシレーション運動を実行するように作動させることができる振動生成器10の構成要素を意味し、コア底部35、永久磁石(図示の実施形態ではリング磁石13)およびコアリング34を備える。
【0220】
コア底部35は、質量体11の重量の大部分を占めることができる。コア底部35の重量は、用途に合わせて調整することができる。
【0221】
振動生成器10は、示されている実施形態では、さらに2つの弾性要素(コイルばね20)を備える。ばね20は、質量体を中心に置き、質量体11に反発力を発生させるように構成される。
【0222】
示された実施形態では、それぞれコア底部およびコイルブラケット30のくぼみに部分的に配置された弾性要素(コイルばね20)によって質量体11の最大偏向の範囲を定めるのは、ハウジング14およびコイルブラケット30である。
【0223】
図9は、
図8の組み立てられた振動生成器の断面図を示す。
【0224】
示された実施形態では、心棒31の一端はコイルブラケット30に装着され、心棒31の他端はハウジング14に装着される。
【0225】
第1のばね20は、ハウジング14への装着点で心棒31の周りに配置され、第2のばね20は、コイルブラケット30への装着点で心棒31の周りに配置される。
【0226】
ハウジング14および第1のばね20、ならびにコイルブラケット30および第2のばね20は、質量体の最大偏向を画定する。
【0227】
コイルブラケット30は、例えば、ネジ33によってハウジング14に装着される。
【0228】
示された実施形態では、コア底部35、リング磁石13、およびコアリング34は、軸15に対して同心円状に配置されている。
【0229】
さらに、コア底部35、リング磁石13、およびコアリング34は、例えば、接着によって互いにしっかりと装着されている。言い換えれば、質量体11は一体的に形成されている(ワンピース)。
【0230】
コア底部35は、突起36を備え、リング磁石13およびコアリング34は、突起36の周りに配置されている。
【0231】
突起36は、突起36とコアリング34との間にスリット16を形成するように設計されている。スリット16は、軸15に対して同心円状に延びている。
【0232】
突起36はまた、リング磁石13と突起36との間に形成されるスリット16のためにさらに設計することができる。
【0233】
コアリング34およびコアリング34と突起36との間にスリット16を形成する突起36の一部は、コアリング34および突起36によって形成されるスリット16のセクション17における磁場を最適化するように設計することができる。
【0234】
磁場は、例えば、均一性の観点から最適化されている。
【0235】
示された実施形態では、磁力線は、スリット16の当該セクション17において軸15に対して半径方向に走る(またはむしろ走らなければならない)。
【0236】
支持体21および支持体21によって定位置に保持されたコイル12は、コイル12の少なくとも一部がコアリング34および突起36によって形成されたスリット16のセクション17に配置される様態でスリット16内に延在するように設計されている。特に、振動生成器10のアイドル状態では、コイル12の少なくとも一部が当該セクション17内にある。
【0237】
図10は、最適化された磁場のセクション17におけるコイル12、コイルリング34、および突起36の詳細図を示しており、これは、振動生成器10の作動領域にあることを意味する。
【0238】
示された実施形態では、セクション17の延在部18は、当該延在部18は、軸15に平行であり、コイル12の関連する延在部19よりも小さい。
【0239】
特に、コイル12の延在部19は、コイル12の一部が、質量体11の位置とは独立して、セクション17の延在部18全体にわたって延在するようなものである。
【0240】
図9に関して示されるように、質量体11の位置は、最大偏向の2つの位置内にある。
【0241】
図10に示されるようなコイル12とセクション17との間の構成は、最大数の巻線が常に作動領域内にあるという利点を有する。これは、作動力などの質量体の作動の点から有利である。
【0242】
【0243】
示された実施形態では、セクション17の延在部18は、コイル12の関連する延在部19よりも大きい。
【0244】
特に、コイル12の延在部19は、コイル12全体が、少なくともアイドル状態では最適化された磁場のセクション17内にあるが、振動生成器10の配向とは独立しているようなものである。
【0245】
任意選択で、コイル12全体は、質量体11の位置とは独立して、最適化された磁場のセクション17内にある。
【0246】
図11に示されるようなコイル12とセクション17との間の構成は、コイル12が均一な磁場の領域のみにあるという利点を有する。これは、例えば、質量体11の応答挙動および質量体のオシレーション運動の可制御性の観点から有利である。
【0247】
図12~
図15は、振動生成器およびデバイスの適用例、すなわち、変調振動療法により、かつ
図1および
図4に例示的に示されるようなデバイス1の使用、ならびに
図8~
図10に例示的に示されるような振動生成器10を備えることによる、慢性副鼻腔炎(CRS)の治療、を示す。
【0248】
図12は、人間の頭蓋骨のモデルを示す。人間の頭蓋骨(より正確には人間の頭)は、適用例の対象100である。人間の頭蓋骨のこのようなモデルは、人間の頭の機械的、特に振動性の、特性に関する情報を取得することを目的として、数値シミュレーションを実行し、上顎洞(左上顎洞102.1、右上顎洞102.2)の、および前頭洞103の振動励起の指標を提供するために使用された。
【0249】
副鼻腔は、頭蓋骨の内側(主に、それぞれ上顎骨と前頭骨の後ろ)に配置されているため、
図12では見ることができない。
【0250】
図13は、数値計算された上顎洞の共振周波数に近い周波数の振動エネルギーによって励起されたとき、かつ振動エネルギーが適用点101で振動生成器によって頭蓋骨に結合されたときの、左上顎洞102.1の数値計算された変形を視覚化したものであり、これは、示された適用点101で頬骨104と接触する振動生成器によることを意味する。
【0251】
色は変形の程度を示し、Hの隣の色は変形が大きいことを示し、Lの隣の色は変形が小さいことを示す。
【0252】
図14は、
図13に関連して論じたように、励起されたときの右上顎洞102.2の数値計算された変形を視覚化したものである。これは、振動エネルギーが左頬骨104に結合されたときの右上顎洞102.2への影響が示されていることを意味する。
【0253】
この場合も、色は変形の程度を示し、Hの隣の色は変形が大きいことを示し、Lの隣の色は変形が小さいことを示す。
【0254】
図13および
図14は、左頬骨104のみに結合された振動エネルギーによる上顎洞の変形のスナップショットを示す。上顎洞の時間依存性変形は、
図13および
図14に示す変形状態と反対の状態との間のオシレーション変形である。
【0255】
図13および
図14は、頬骨104に適用される特定の周波数、すなわち上顎洞の共振周波数、の振動エネルギーによって、上顎洞がオシレーション変形に励起され得ることを示唆している。
【0256】
図13および
図14はさらに、振動エネルギーの左頬骨への結合が、左上顎洞102.1に影響を有するだけでなく、右上顎洞102.2にも影響を有する場合があること、およびその逆も同様であることを示唆している。
【0257】
図13および
図14の結果をもたらす振動励起の周波数は、約355Hzであった。しかしながら、数値シミュレーションは、少なくとも、100Hz~1300Hzの様々なさらなる共振周波数を示唆している。
【0258】
数値シミュレーションは、副鼻腔の構造-機械的特性の供給指標を実行した。副鼻腔の振動特性の別の態様は、ヘルムホルツ共鳴器によって副鼻腔を近似することによって、および、ヘルムホルツ方程式を使用して、副鼻腔によって(ヘルムホルツ共鳴器によって)形成される空洞内の空気共鳴を推定することによって得ることができる。
図13および
図14に示す副鼻腔の約27.6Hzの基本共振周波数が、ヘルムホルツ方程式から計算され得る。
【0259】
したがって、数値シミュレーションとヘルムホルツ方程式は、少なくとも、20Hz~1300Hzの周波数範囲で、構造-機械的および幾何学的な両方の種類の共鳴が存在することを示唆しており、構造-機械的共鳴は、頬骨104に適用されたデバイス1によって励起することができる。さらに、頬骨104に加えられた振動は、副鼻腔がヘルムホルツ共鳴器によって近似され得る場合、副鼻腔の変形を介して幾何学的種類の共鳴(すなわち、ヘルムホルツ共鳴)を励起することができると考えられる。
【0260】
原則として、構造-機械的および幾何学的共鳴の励起は、例えば、副鼻腔の小孔を開き、幾何学的共鳴の出現を可能にする構造-機械的共鳴によって相乗効果を有すると考えられる。
【0261】
しかしながら、悪影響の可能性があるため、60Hz未満の励起周波数は避けることが好ましい。
【0262】
さらに、文献は、160Hz~1240Hzの前頭洞の共振周波数を提案している。
【0263】
要約すると、60Hz~1300Hzの周波数範囲が、CRSの治療にとって好ましい周波数範囲である。
【0264】
ある周波数範囲にわたって、例えば、好ましい周波数範囲にわたって、走査することは、副鼻腔が様々な共振周波数で励起されることを保証し、さらに、副鼻腔の共振周波数の対象依存の変動が治療の成功に悪影響を有さないことを保証する。
【0265】
デバイス1から対象100へのエネルギー伝達に対する、掃引時間、これは好ましい周波数範囲の最低周波数値から最大周波数値まで、そして最低値に戻る走査のための時間を意味する、の影響は、実験的に推定された。実験は、少ない掃引時間、特に5秒未満の掃引時間に対してエネルギー伝達が増加することを示し、一方で、エネルギー伝達は、少なくとも5秒~30秒の掃引時間に対して本質的に一定である。
【0266】
言い換えれば、デバイス1から対象100への効率的なエネルギー伝達の観点から、短い掃引時間が好ましいように思われる。しかしながら、掃引時間が短いと、ユーザ(患者)が不快に感じることがよくある。さらに、副鼻腔の励起効率に対する掃引時間の影響は、なおさらに研究する必要がある。
【0267】
それ故に、1回の治療中に変化する掃引時間は、有利であるように思われる。さらに、変化する掃引時間を使用して、ユーザに治療が退屈だと思わせないようにし、および/または治療の終わりが近づいていることをユーザに知らせることができる。
【0268】
図15は、CRS治療のためにデバイス1によって生成された振動周波数の例示的なコースを示す。掃引時間は、10秒から1.5秒に減少する。走査される周波数範囲は、60Hz~1300Hzである。
【0269】
振動周波数の他のコース、例えば、副鼻腔の効率的な共振励起によって与えられる範囲内にある一定の掃引時間および/または複数の掃引時間を有するコースを想定することができる。
【0270】
変調振動療法によって慢性副鼻腔炎(CRS)を治療する方法は、上記を考慮すると次のようになり得る。
・デバイス1の接触表面4が、対象100の左頬骨上の皮膚上の適用点101に適用される。
・デバイス1が作動され、これは、デバイスが、50Hz~1600Hz、特に60Hz~1300Hz、の周波数範囲の振動を生成することを意味し、周波数範囲は、0.5秒~30秒、例えば、1秒~10秒、の掃引時間で繰り返し走査される。
掃引時間は、治療中に変えることができる。例えば、振動周波数のコースは、
図15に示すようなものであり得る。
・デバイス1は、事前に設定された治療時間の後に停止れる。治療時間は、CRS治療の場合、0.5秒~2分の範囲内、例えば1分、とすることができる。
・治療は、右頬骨上で繰り返される。
治療が片方の頬骨のみで実行される場合、治療時間は、上記開示の0.5秒~2分より長くなる可能性がある。この場合、治療時間は、例えば、2分もしくは3分、または2分~3分であり得る。
【0271】
CRSを治療するための方法は、通常、複数の治療セッションを含む。これは、上に列挙されたステップが、所定の期間に複数回繰り返されることを意味する。特に、1日当たり3~4回の治療セッションが実行される。
【国際調査報告】