(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(54)【発明の名称】自動車用のディスクホイール及びこのようなディスクホイールを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
B60B 3/08 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
B60B3/08 B
B60B3/08 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022515878
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(85)【翻訳文提出日】2022-03-10
(86)【国際出願番号】 EP2020077043
(87)【国際公開番号】W WO2021094028
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】102019130608.6
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ファシンガー・フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】アダム・アンドレアス
(57)【要約】
本発明は、特にシングルトラック自動車用のディスクホイール(1)において、ディスクホイール(1)が、ディスクホイール(1)の回転軸(A)に対して同軸に配置された、自動車にディスクホイール(1)を取り付けるためのホイールハブ(10)と、ホイールハブに対して同様に同軸のホイールリム(30)と、第1及び第2のホイールディスク(21,22)を有すること、第1のホイールディスク(21)及び第2のホイールディスク(22)が、それぞれホイールリム(30)からホイールハブ(10)の方向に延在し、ホイールハブ(10)上でディスクホイール(1)の回転軸(A)に対して平行な横方向に互いに離間し、ホイールハブ(10)に向かって互いに接近すること、ディスクホイール(1)が、更に、少なくとも2つの補強リブ(40,41)を有し、これら補強リブが、第1のホイールディスク(21)から第2のホイールディスク(22)まで延在し、これらホイールディスクを互いに結合すること、及び、補強リブ(40,41)が、ディスクホイール(1)の回転軸(A)を中心として均等に分配されて配置されていること、を特徴とするディスクホイールに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にシングルトラック自動車用のディスクホイール(1)において、
ディスクホイール(1)が、ディスクホイール(1)の回転軸(A)に対して同軸に配置された、自動車にディスクホイール(1)を取り付けるためのホイールハブ(10)と、ホイールハブに対して同様に同軸のホイールリム(30)と、第1及び第2のホイールディスク(21,22)を有すること、
第1のホイールディスク(21)及び第2のホイールディスク(22)が、それぞれホイールリム(30)からホイールハブ(10)の方向に延在し、ホイールハブ(10)上でディスクホイール(1)の回転軸(A)に対して平行な横方向に互いに離間し、ホイールハブ(10)に向かって互いに接近すること、
ディスクホイール(1)が、更に、少なくとも2つの補強リブ(40,41)を有し、これら補強リブが、第1のホイールディスク(21)から第2のホイールディスク(22)まで延在し、これらホイールディスクを互いに結合すること、及び、
補強リブ(40,41)が、ディスクホイール(1)の回転軸(A)を中心として均等に分配されて配置されていること、
を特徴とするディスクホイール。
【請求項2】
第1及び第2のホイールディスク(21,22)が、それぞれ、回転軸(A)を中心とする周方向(U)に完全に閉じた面を形成すること、を特徴とする請求項1に記載のディスクホイール。
【請求項3】
第1及び第2のホイールディスク(21,22)が、ホイールリム(30)から少なくともホイールリム(30)とホイールハブ(10)の間の半径方向(R)の距離の1/4にわたってホイールハブ(10)に向かって延在し、それぞれ、完全に閉じた面を形成すること、を特徴とする請求項2に記載のディスクホイール。
【請求項4】
ホイールリム(30)が、ディスクホイール(1)の回転軸(A)に直交する対称面(E)に対して鏡像的に対向する互いに分離された2つの部分(31,32)を備えること、及び、これら部分(31,32)が、ホイールディスク(21,22)によって互いに結合されていること、を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のディスクホイール。
【請求項5】
少なくとも1つの補強リブ(41)が、ホイールリムに向かって開放した空所(42)を形成すること、を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のディスクホイール。
【請求項6】
空所(42)内に、センサが配置されていること、及び/又は、両ホイールディスク(21,22)の一方に、補強リブ(41)の空所(42)に通じる開口(43)が設けられ、この開口内に、センサ及び/又はバルブ(44)が収容されていること、を特徴とする請求項5に記載のディスクホイール。
【請求項7】
補強リブ(40,41)の少なくとも一部のホイールリム(30)に向いた側に、及び/又は、補強リブの少なくとも一部の回転軸(A)を中心とする周方向(U)に、ディスクホイール(1)のバランス取りをするための余剰材料が設けられていること、を特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のディスクホイール。
【請求項8】
ディスクホイール(1)が、一体的に形成されていること、を特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のディスクホイール。
【請求項9】
更に、少なくとも2つのスポーク(50)を有し、これらスポークが、それぞれ、第1のホイールディスク(21)及び第2のホイールディスク(22)からホイールハブ(10)まで延在しかつこれらを互いに結合すること、を特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載のディスクホイール。
【請求項10】
スポーク(50)が、ディスクホイール(1)の回転軸(A)を中心として均等に分配されて配置されていること、を特徴とする請求項9に記載のディスクホール。
【請求項11】
スポーク(50)の数が、補強リブ(40,41)の数に一致し、ホイールディスク(21,22)の間に配置された補強リブ(40,41)が、スポーク(50)に移行すること、を特徴とする請求項9又は10に記載のディスクホイール。
【請求項12】
スポーク(50)が、それぞれ、第1の部分(51)で回転軸(A)に直交する対称面(E)内に延在し、第2の部分(52)で対称面(E)に対して位置をずらして延在すること、を特徴とする請求項9~11のいずれか1項に記載のディスクホイール。
【請求項13】
更に、ホイールハブを中心として環状に配置された、ディスクホイールに機能要素を固定するための少なくとも1つの群の固定要素(61,62,63)を備えること、を特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載のディスクホイール。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載のディスクホイールを製造するための方法において、
ディスクホイール(1)が、鋳造材料から一体的に形成され、ディスクホイールの製造時に、まず、実質的にディスクホイール(1)に対応するディスクホイール(1)のブランク体が、少なくとも2つのスライドを備える鋳型内で鋳造されること、
スライドが、製造すべきディスクホイール(1)の回転軸(A)を中心として均等に分配されて配置され、2つのスライドの間のスペースが、それぞれ、製造すべきディスクホイール(1)の補強リブ(40,41)を決定すること、
ブランク体が、鋳型から離型され、スライドが、離型時に半径方向外に向かって移動されること、及び、
少なくとも、ホイールディスク(21,22)に対応するブランク体の一部で、表面品質を改善するためにブランク体の外層が除去されること、
を特徴とする方法。
【請求項15】
補強リブ(40,41)の材料が、ディスクホイールのバランス取りをするために除去されること、を特徴とする請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばモーターサイクルのような特にシングルトラック自動車用のディスクホイール及びこのようなディスクホイールを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、既に、自動車並びにシングルトラック自動車用の多数のホイール及びディスクホイールが知られている。
【0003】
基本的に、ディスクホイールは、ホイールハブとホイールリムの間に実質的に閉じた面を有し、その間に開口が位置するスポーク又はブレースは有しない。閉じた面により、ディスクホイールの場合は、乱気流が低減され、これにより、車両の空気力学にプラスに作用する。
【0004】
シングルトラック自動車の場合、観察者に可能な両観察側から実質的に同一の従って魅力的な外観を提供し、同時にディスクホイールの両側に実質的に同一の空気力学的特性を提供するために、ディスクホイールがディスクホイールの回転軸に直交する対称面に対して実質的に対称に形成されているべきものとなる。
【0005】
このため、従来技術では、それぞれ閉じた面をディスクホイールの一方の側に提供し、ホイールリムからホイールハブまで延在する金属板又は他の材料を設けることが既に知られている。ディスクホイールの十分な安定性保証するため、比較的厚い金属板もしくは材料が選択され、これにより、従来技術で知られたディスクホイールの重量は、高く、従って不利になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の根底にある課題は、前述の欠点を克服し、安定した軽量のディスクホイール及びこれに付随する製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1による特徴の組合せによって解決される。
【0008】
本発明によれば、自動車用のディスクホイールが提供されるが、この自動車は、好ましくは、モーターサイクル又はスクーターのようなシングルトラック自動車であり、ディスクホイールは、更に、好ましくはシングルトラック自動車の前輪である。ディスクホイールは、ディスクホイールの回転軸に対して同軸に配置された、自動車にディスクホイールを取り付けるためのホイールハブと、特にタイヤを収容するために使用されかつハブを中心としてリング状に延在する、ホイールハブに対して同様に同軸のホイールリムと、第1及び第2のホイールディスクを有する。第1のホイールディスク及び第2のホイールディスクが、それぞれホイールリムからホイールハブの方向に延在し、ホイールディスクが、ホイールハブ上でディスクホイールの回転軸に対して平行な横方向に互いに離間し、ホイールハブに向かって互いに接近し、これにより、ホイールディスクの間に、好ましくは横断面がv字状の空所が形成されている。ホイールディスクの厚さができるだけ小さく、それに伴って材料が節約されるにもかかわらず、ディスクホイールの安定性を保証するため、ディスクホイールが、本発明により、更に、少なくとも2つの補強リブを有し、これら補強リブが、第1のホイールディスクから第2のホイールディスクまで延在し、これらホイールディスクを互いに結合すること、が企図されている。補強リブは、ディスクホイールの回転軸を中心として均等に分配されて配置されている。
【0009】
補強リブ及び補強リブの回転軸を中心とする均等な分配により、ディスクホイールもしくは第1及び第2のホイールディスクは、実質的に均等な大きさの円セクタに細分化される。補強リブは、好ましくは連続的に、ホイールリムから、ディスクホイールが互いに離間したディスクホイールの部分に沿って、ディスクホイールが直接的に互いに当接するもしくは互いに結合されたディスクホイールの部分まで延在する。
【0010】
本発明の基本原理は、ホイールが、その側面に向かう可視領域内を、ホイールディスクによって閉じられ、相応にディスクホイールとして形成され、ホイールディスクが、好ましくは2つの部分から構成されたリムと共に補強リブによって補強されることである。可視領域は、半径方向外側に向かって直接的にホイールハブに隣接する領域が、自動車にホイールを取り付けた時に自動車の別の構成要素によって覆われるので、半径方向内側に向かってホイールリムに隣接する部分に対応する。この場合、補強リブは、同時に別の機能要素もしくは機能を統合するために使用することができる。加えて、補強リブは、回転軸を中心とするその均等な分配によって、バランスウエイトとして一体的に使用可能であり、その重量は、バランス取り時に所定量まで低減することができ、これによりディスクホイールはバランス取りをすることができるので、ホイールのバランス取りをするためのウエイトは、ホイールに、全く配置する必要がないか、少なくともより少なくしか付加的に配置する必要がない。
【0011】
従来技術で知られたホイールディスクを備えたディスクホイールに対して、ホイールディスクの厚さは、これによりディスクホイールの重量は、著しく低減させることができる。例えば、補強リブを設けることによって、さもなければ少なくとも2.5mmの厚さのホイールディスクを2mmの低減された厚さで形成することが可能である。
【0012】
低圧ダイカストによるディスクホイールの形成時、後から説明する後加工の前のホイールディスクもしくは同様に後から説明するブランク体のホイールディスクは、4~6mmの肉厚を、好ましくは5mmの肉厚を備える。
【0013】
ディスクホイールの製造時、スポークバスケットもしくはスポークケージの製造のためにも必要となることがありかつホイールディスクの外側に配置することができる1つのサンドコアもしくは複数のサンドコアが使用される場合、鋳造プロセスでは、3~4mm、好ましくは3.5mmのホイールディスクの肉厚が実現可能である。
【0014】
ホイールディスクのこの肉厚は、機械加工の後加工によって更に低減させることができる。
【0015】
補強リブは、そのホイールリムに向いた側に、真直ぐな、しかしながら選択的にまた凹又は凸の形態を備えることができる。この場合、特に凹の形態は、各補強リブによって、リブとして両ホイールディスクに沿って延在する部分が構成され、これにより、補強リブのリブ材の間に位置する領域が自由なままで、材料が節約されるので、有利である。
【0016】
可視領域でもしくはホイールリムに隣接して閉じた面を提供し、これによりディスクホイールを形成するため、本発明の有利な発展形の場合、第1及び第2のホイールディスクが、それぞれ、回転軸を中心とする周方向に完全に閉じた面を形成すること、が企図されている。
【0017】
この場合、更に、1つの発展形の場合、第1及び第2のホイールディスクが、ホイールリムから少なくともホイールリムとホイールハブの間の半径方向の距離の1/4にわたって、更に好ましくは距離の1/2にわたってホイールハブに向かって延在し、それぞれ、閉じた面を形成すること、が有利である。
【0018】
ホイールハブに隣接しかつホイールディスクとホイールハブの間の半径方向に位置する領域に、重量削減をするために自由な領域を設けることができる。
【0019】
ディスクホイールのブレーキディスクが設けられている場合には、第1及び第2のホイールディスクが、ホイールリムから少なくともブレーキディスクの外周の高さまでホイールハブに向かって延在し、ホイールディスクから自由な、ホイールハブに隣接する領域が、ブレーキディスクによって覆われる場合が、特に有利である。この場合、ブレーキディスクの外周からホイールリムまで延在する、ホイールのそれぞれ一方の側のリング状の面は、ブレーキディスクの背に位置する領域がブレーキディスクによって覆われ、従って、実質的に可視でないので、可視領域に相当する。
【0020】
好ましくは、ディスクホイールの1つの実施形態は、ホイールリムが、互いに分離された2つの部分を備えることを企図する。好ましくはそれぞれタイヤの最終ビードを収容するために使用される互いに分離された2つの部分は、ディスクホイールの回転軸に直交する対称面に対して鏡像的に互いに対向する。これら分離された両部分は、ホイールディスクによって互いに結合されている。
【0021】
特に有利であるのは、少なくとも1つの補強リブが、ホイールリムに向かって開放した空所を形成することである。空所は、空所がホイールリムに向かって開放していることによって、同時に、流体力学的にも、ホイールリムに取り付けられたタイヤもしくはその内部空間と接続されているので、空所内は、タイヤの内圧が支配する。
【0022】
従って、1つの発展形の場合、空所内に、例えばタイヤ空気圧センサのようなセンサが配置され得るもしくは配置されていること、が企図されている。これに対して付加的又は選択的に、両ホイールディスクの一方に、補強リブの空所に通じる、従って流体力学的に空所と接続された開口が設けられ、この開口内に、例えばタイヤ空気圧センサのようなセンサ及び/又はバルブが収容され得る又は収容されている。従って、空所もしくはホイールディスクの一方内の空所に通じる開口により、センサ及び/又はバルブが、機能要素としてディスクホイールに統合され得る。
【0023】
このような空所は、1つ又は複数の補強リブ内に設けることができ、空所を備える補強リブは、好ましくはディスクホイールの周方向に、周辺の補強リブよりも厚く形成され、これにより、アンバランスを補償するための措置を設けることができる。空所を備える補強リブ自体によっても付属のセンサ又は付属のバルブによっても生じ得るアンバランスは、例えば、回転軸に関して対向する1つ又は複数の補強リブもしくは対向する補強リブのために使用される材料量によって補償することができる。即ち、偶数の補強リブが設けられている場合、空所を備える補強リブに対向する補強リブのために多くの材料を設けることができる。奇数の補強リブが設けられている場合、アンバランスは、空所を備えた補強リブに直接的に対向する位置に最も近い隣接する両補強リブのために利用される材料によって補償することができる。
【0024】
ディスクホイールの製造時には、不均等な材料分布又は例えばセンサ又はバルブによるような付加的な重量を、さもなければ付加的な重量によって補償しなければならない、ディスクホイールのアンバランスを生じさせることが生じ得るので、ディスクホイールの有利なバリエーションの場合、補強リブの少なくとも一部のホイールリムに向いた側に、及び/又は、補強リブの少なくとも一部のディスクホイールの周方向に、ディスクホイールのバランス取りをするための余剰材料が設けられていること、が企図されている。余剰材料を、ディスクホイールの製造の範囲内の加工時に完全に又は少なくとも部分的に除去すること、及び、センサ及び/又はバルブが設けられた又はセンサ及び/又はバルブが設けられていないディスクホイールをバランス取りすること、ができる。更に、余剰材料は、好ましくは、補強リブの、これによりディスクホイール全体の所定の負荷能力もしくは安定性に影響を及ぼすことなく、余剰材料が完全に除去され得ることを特徴とする。
【0025】
好ましくは、ディスクホイールは、一体的に形成されている。特に、ディスクホイールの重要な構成要素、即ち、ホイールリム、ホイールディスク、補強リブ及びホイールハブ並びに場合によっては設けられるスポークは、互いに一体的に形成され、材質的に結合されている。ディスクホイールのバリエーションにおいて設けられたセンサ及び/又はバルブは、例えばネジによって補強リブにねじ込むことができる。
【0026】
ディスクホイールもしくは互いに一体的に形成された構成要素用の材料として、特に鋳造アルミニウム合金、鋼が考えられるが、しかしながらまた、熱硬化性マトリクス又は熱可塑性マトリクスを備えた繊維強化材料が考えられる。相応に、ディスクホイールは、鋳造法、鋼溶接法又は繊維複合部品を製造するための方法によって製造することができる。鋳造法として、特に回転鋳型式鋳造を使用することができる。
【0027】
第1のバリエーションでは、ホイールディスクが、ホイールリムからホイールハブまで延在し、この場合、ホイールディスクは、ホイールハブに隣接して共通の部分を備えることができ、この部分内で、第1及び第2のホイールディスクが、直接的に互いに結合され、この部分内で、共通のディスクとしてホイールハブまで延在する。
【0028】
付加的なウエイトを削減することができる、これに対して選択的なバリエーションの場合、ディスクホイールが、更に、少なくとも2つのスポークを有し、これらスポークが、それぞれ、第1のホイールディスク及び第2のホイールディスクからもしくは第1及び第2のホイールディスクのホイールハブに向いた端部分からホイールハブまで延在しかつこれらを互いに結合すること、が企図されている。この場合、スポークの間に、いずれの材料からも自由なスペースを形成することができ、このスペースにより、ディスクホイールの重量が更に低減される。
【0029】
加えて、第1及び第2のホイールディスクの一部もしくは第1及び第2のホイールディスクの共通の延長部は、スポークに沿って更にホイールハブの方向に延在することもできる。
【0030】
ディスクホイールにスポークが設けられている場合、スポークが、ディスクホイールの回転軸を中心として均等に分配されて配置されている実施形態が有利である。
【0031】
加えて、スポークの数が、補強リブの数に一致し、ホイールディスクの間に配置された補強リブが、スポークに移行する場合が有利である。これにより、補強リブを内部スポークと呼ぶこと及びスポークを外部スポークと呼ぶこともでき、タイヤを備えているディスクホイールの外部スポークは、好ましくはブレーキディスクもしくはブレーキシステム全体のような自動車の別の構成要素によって覆われる。
【0032】
ホイールハブの周囲の領域内で同時にディスクホイールのできるだけ軽量の構造とディスクホイールへの別の機能要素の取付けの両方を可能にするため、本発明の同様に有利な形態の場合、スポークが、それぞれ、第1の部分で回転軸に直交するディスクホイールの対称面内に延在し、第2の部分で対称面に対して位置をずらして又は選択的に対称面に対して斜めに延在する。スポークの対称面に対して位置をずらして延在する部分に、機能要素は固定することができ、第2の部分は、好ましくは、横方向のディスクホイールの幅を決定する平面に隣接する。
【0033】
加えて、本発明の1つの発展形の場合、ディスクホイールが、更に、ホイールハブを中心として環状に配置された、ディスクホイールに機能要素を固定するための少なくとも1つの群の固定要素を備えること、が企図されている。1つの群の固定要素によって固定される機能要素は、例えばブレーキディスク又はセンサディスクであり得る。好ましくは、ディスクホイールには、ディスクホイールの対称面に関して互いに対向する、それぞれ1つのブレーキディスクを固定することができる2つの群の固定要素が設けられている。更に好ましくは、特に直接的にホイールハブに隣接して形成されかつセンサディスクを固定することができる第3の群が設けられている。固定要素は、更に好ましくは、ネジを備える開口として形成され、これら開口は、スポークに、特にスポークの第1と第2の部分の間の移行部に設けられている。
【0034】
更に、互いに直接的に隣接するスポークは、横ブレースによって結合することができ、横ブレースは、好ましくは、スポークの第1の部分から第2の部分への移行部に設けられ、これら部分は、更に好ましくは対称面に対して位置をずらして第2の部分の平面内に位置する。スポークの第2の部分と、第2の部分の間に延在する横ブレースとにより、ホイールハブを中心としてスポークバスケット又はスポークケージが形成され、その節点に、好ましくはディスクホイールに機能要素を固定するための固定要素を設けることができる。
【0035】
スポークが、横方向に互いに離間した部分を備えたスポーク及び/又はスポークを結合する横ブレースが設けられるべき場合、製造時に、好ましくは付加的にサンドコアが使用され、このサンドコアは、スポーク及び横ブレースの形態を決定し、これらとハブの間に配置されている。サンドコアは、後で洗い流すことができる。
【0036】
本発明は本発明によるディスクホイールを製造するための方法に関する。提案した方法の場合、ディスクホイールが、鋳造材料から、特にアルミニウム合金から一体的に形成される。まず、ディスクホイールの製造時に、実質的にディスクホイールに対応するディスクホイールのブランク体が、少なくとも2つのスライドを備える鋳型内で鋳造される。ブランク体は、好ましくは、ディスクホイールの端領域に少なくとも部分的に、表面品質を改善するため及び製造公差を低減するために除去することができる余剰材料もしくはオーバーサイズ部が設けられている。スライドは、製造すべきディスクホイールの回転軸を中心として均等に分配されて配置され、それぞれ2つの直接的に隣接するスライドの間のスペースが、それぞれ、製造すべきディスクホイールの補強リブを決定する。ブランク体の鋳造もしくは製造後、ブランク体が、鋳型から離型され、スライドが、離型時に半径方向外に向かって移動され、これにより、簡単な離型が可能にされる。離型後、少なくとも、ホイールディスクに対応するブランク体の一部で、表面品質を改善するためにブランク体の外層が除去される。外層の除去は、例えば旋盤加工又はフライス加工又は他の機械加工プロセスによって実現することができ、平らな載置面を形成するために、ブランク体の別の部分を後加工することもできる。
【0037】
加えて、方法の発展形は、補強リブの材料が、ディスクホイールのバランス取りをするために除去されること、を企図する。補強リブの材料の除去も、旋盤加工、フライス加工又はボーリング加工のような他の機械加工プロセスによって実現することができる。除去された材料により、周方向に均等な材料分布が生成され、ディスクホイールにタイヤを取り付けた後、更なるバランス取りが必要になることがあるが、その場合は、更なるバランス取りにより、より少ないアンバランスしか低減する必要がない。
【0038】
前で開示した特徴は、技術的に可能で、互いに矛盾しない限り、任意に組合せ可能である。
【0039】
本発明の他の有利な発展形は、従属請求項に特徴付けられているか、もしくは、以下で図による本発明の好ましい構成の説明によって詳細に示される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図3】ディスクホイールの第1の側に対向する第2の側の平面図
【発明を実施するための形態】
【0041】
図は、模範的に概略的であり、本発明によるディスクホイールの可能な実施形態を示す。図内の同じ符号は、同じ機能的及び/又は構造的な特徴示す。全ての図に可能な実施形態が図示されているので、以下の図の説明は、同時に全ての図に関する。
【0042】
図1には、ディスクホイールが、斜視図もしくはアイソメ図で図示されている。ホイールリム30は、互いに分離された2つの部分31,32から成り、これら部分は、幅方向に、ディスクホイール1の回転軸Aに対して平行に互いに離間している。
図1に、しかしながらまた特に
図4~6に認められるように、両部分31,32は、ホイールディスク21,22及びホイールディスク21,22の間に位置する補強リブ40,41を介して結合されている。
【0043】
ホイールディスク21,22は、ホイールリム30からもしくはそれぞれホイールリム30の一方の部分31,32から半径方向Rに内方へホイールハブ10に向かって延在する。この場合、ホイールディスク21,22は、それぞれ、周方向にかつホイールリムとホイールハブの間の距離に沿って、ディスクホイール1に設けられたブレーキディスク2,3の下まで完全に閉じた面を提供し、これにより、観察者に、少なくともブレーキディスク2,3の外周とホイールリム30との間の領域内でディスクホイールの典型的な外観が提供される。
【0044】
ブレーキディスク2,3の外周内に位置する領域は、本発明によるディスクホイールが自動車もしくはモーターサイクルに取り付けられた場合、そこに配置されたブレーキシステムに基づいて観察者に可視ではないので、ホイールハブ10とホイールリム30の間の面全体が、観察者に閉じて見える。
【0045】
両ホイールディスク21,22は、ホイールハブ10の方向に互いに接近するので、回転軸Aに対する間隔が少なくなるにつれて互いの間隔が減少する。この場合、ホイールディスク21,22は、特に
図5及び6でそれぞれ断面図に基づいて特に良好に可視の共通の部分23を形成し、この部分にて、ホイールディスクが、互いに結合され、ホイールハブ10まで共通の経過を備える。
【0046】
重量低減のため、更に、ホイールディスク21,22がホイールハブ10まで延在するのではなく、その共通の部分23内でスポーク50に移行し、これらスポークが、共通の部分23からホイールハブ10まで延在し、ホイールリム30並びに第1及び第2のホイールディスク21,22をホイールハブ10と結合すること、が企図されている。
【0047】
ホイールディスク21,22を補強するため、更に、回転軸Aを中心とする周方向に均等な間隔で補強リブ40,41が設けられ、模範的に示したディスクホイール1の場合、スポーク50の数は、補強リブ40,41の数に一致し、補強リブ40,41は、これによりスポーク50に移行する。
【0048】
図2及び3は、それぞれ、ディスクホイール1の側面図を示すが、
図2は、第1の側の第1の側面図に一致し、
図3は、第1の側に対向する第2の側の第2の側面図に一致する。ディスクホイールの図示したバリエーションは、5つのスポーク50と5つの補強リブ40,41が設けられ、これらは、それぞれ回転軸Aを中心として均等に分配されるので、直接的に隣接するそれぞれ2つのスポーク50の間もしくは直接的に隣接するそれぞれ2つの補強リブ40,41の間には、同一の角度αが存在し、ディスクホイール1もしくはディスクホイール1の円形の基本形状は、均等な大きさの円セクタに分割されている。
【0049】
ディスクホイール1の第1の側では、スポーク50に、固定要素61,62,63を介して第1のブレーキディスク2が固定され、ディスクホイール1の第2の側では、第2のブレーキディスク3と、半径方向Rに第2のブレーキディスク3によって包囲されたABSセンサディスク4が固定されている。
【0050】
スポーク50は、それぞれ3つの部分に分割されている。第1の部分51が、ディスクホイール1の対称面E内に延在し、2つの第2の部分52に移行し、これら第2の部分が、それぞれ、対称面Eに対して離間して斜めに延在する。両第2の部分52は、対称面Eに対して鏡像的に対向する。第1の部分51から両第2の部分52へのそれぞれの移行領域内に、固定要素61,62が、ディスクホイール1に第1及び第2のブレーキディスク2,3を固定するためのネジ孔として形成されている。加えて、移行部分では、直接的に隣接するそれぞれ2つのスポーク50の間に、横ブレース53が設けられ、これら横ブレースは、それぞれ第2の部分52を移行領域内で互いに結合し、これにより、スポーク50が、横ブレース53と共にバスケット状又はケージ状の構造を提供し、この構造は、別の機能要素、即ちここではブレーキディスク2,3を固定するために一体的に利用することができ、僅かな重量であっても高い安定性を提供する。
【0051】
ABSセンサディスク4の固定のため、第2の側でスポークに、ホイールハブ10に直接的に隣接して、固定要素の第3の群の固定要素63が設けられている。
【0052】
図4~6は、それぞれ、ディスクホイール1の正面図を示し、ディスクホイール1は、
図5及び6では、回転軸Aに沿って切断され、
図6では、
図5に対して周方向に回転されている。
【0053】
図4に図示したようにホイールリム30の部分31,32は、間隔Bによって互いに離間しており、部分31,32は、ホイールディスク21,22によって互いに結合されている。この場合、ディスクホイール1のホイールリム30に半径方向Rで内側に向かって隣接する領域に、ホイールディスク21,22によって画成された空所が構成され、この空所は、補強リブ40,41によってセクタに分割される。補強リブ40,41のホイールリム30に向いた側45に、補強リブ40,41は、凹に形成され、ディスクホイール1のバランス取りをするために、ホイールリム30に向いた側45で、補強リブ40から材料を除去することができる。
【0054】
図5の断面は、空所42を形成しない単純な補強リブ40を通る。
【0055】
これとは違って、
図6の断面は、ホイールリム30に向かって開放しかつホイールディスク21内の開口43と流体技術的に接続された空所42企図する補強リブ41を通る。模範的に示したディスクホイール1の場合、開口43内にバルブ44がねじ込まれ、このバルブ44が、開口43及び空所42を介して、ホイールリム30もしくはその上に配置されるタイヤと流体力学的に接続されているので、バルブ44を介してタイヤのタイヤ空気圧を変更することができる。更に、
図6には、ブレーキディスク3,4の両側に、ブレーキシュー5が、モーターサイクルのブレーキシステムの一部として示されている。
【0056】
本発明は、その構成について前記好ましい実施例に限定されない。むしろ、基本的に異なる形式の構成でも示した解決策を利用する多数のバリエーションが考えられる。
【国際調査報告】