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特表2023-501889有機廃棄物の熱分解-熱触媒分解用の装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(54)【発明の名称】有機廃棄物の熱分解-熱触媒分解用の装置
(51)【国際特許分類】
   C10G 3/00 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
C10G3/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022523105
(86)(22)【出願日】2020-10-16
(85)【翻訳文提出日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 IB2020059752
(87)【国際公開番号】W WO2021074872
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】PV2019-645
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CZ
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522154032
【氏名又は名称】アイコナ リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド シルハン
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129AA01
4H129BA11
4H129BB03
4H129BB04
4H129BC10
4H129BC12
4H129BC13
4H129BC14
4H129BC41
4H129KA02
4H129KC03Y
4H129KC10Y
4H129KD03Y
4H129KD04Y
4H129NA04
4H129NA29
4H129NA43
4H129NA46
(57)【要約】
有機廃棄物の熱触媒分解-熱分解用の装置。本明細書は、熱触媒分解-有機廃棄物の熱分解用の装置において、供給ラインによって反応器に連結されたリザーバであって、ライン内に弁が配置されており、反応器がほぼ反応器の底部からの高さの1/3に相当する最大レベルまで位置する加熱素子及び/又は放射源を含む、リザーバと、当該温度センサが、前記反応器の底部からの高さの1/3に相当する最大レベルまで位置しており、アウトプットラインが、冷却器が連結された反応器の蓋から突出しており、アウトプットラインの端部が、生産物ガスを排出するための分岐部を介して、液化済み生産物を含有するための受容器のオリフィスに接続されている、温度センサと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機廃棄物の熱触媒分解-熱分解用の装置において、
前記装置が以下のもの、すなわち、
供給ライン(2)によって反応器(4)に連結された、廃棄物用のリザーバ(1)であって、
前記ライン(2)内に、前記廃棄物の量の制御を保証するための弁(3)が配置されており、
前記反応器(4)が前記反応器(4)の外部又は内部に位置する廃棄物を、前記反応器(4)の底部(7)からの高さの約1/3に相当する最大レベルまで分解するための加熱用の加熱素子(5)及び/又は放射源(5a)を含む、
リザーバ(1)と、
電力供給量を制御するために前記加熱素子及び/又は前記放射源の近くに設けられ、前記反応器(4)の底部(7)からの高さの1/3に相当する最大レベルまで位置している温度センサ(6)と、を含む装置であって、
アウトプットライン(10)が、得られた生産物の気体状の成分を運ぶために、前記得られた生産物の気体状の成分を液化するための冷却器(16)が連結された状態で、前記反応器(4)の蓋(9)から突出しており、
前記アウトプットライン(10)の端部が、生産物ガスを排出するための分岐部(21)を介して、液化済み生産物を含有するための受容器(17)のオリフィスに接続されている、
ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記装置が、前記廃棄物から得られた気体状の成分の温度を判定するための温度センサ(8)を備えた前記反応器(4)の上半部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置が、気体状の生産物成分の温度及び流量をチェックするためのセンサ(11)を備えたアウトプットライン(10)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置が、前記反応器(4)を出るガスの化学組成をチェックするための制御センサ(12)と、前記センサ(11)と前記冷却器(16)との間に位置するガス流量を制御するためのスロットルフラップ弁(13)とを含む連続的な配置を含むアウトプットライン(10)とを有するように構成された前記センサ(11)と前記冷却器(16)とを含み、
前記アウトプットライン(10)内にはさらにフォローアップ冷却器(16)と還流部(15)との両方に接続された中間冷却器(14)がさらに配置されており、前記還流部は前記加熱素子(5)の外部で前記反応器(4)のオリフィス内へ接続されていることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記装置が、前記廃棄物のレベルの下方で前記反応器の内部に配置された前記放射源(5a)を含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記装置が、それぞれ誘導素子又は固形燃料バーナーである前記加熱素子(5)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記装置が、供給ライン(2)によって前置された前記反応器(4)を含み、前記供給ライン(2)が、廃棄物の前記反応器(4)内への進入前に廃棄物を予め加熱することを保証するための予熱器(18)を備えていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置が、前記供給ライン(2)によって前置された反応器(4)を含み、前記供給ライン(2)が、前記反応器(4)の内部のレベル高さのインジケータとしてのレベルゲージ(20)を結合するためのT字形継手(19)と、前記反応器(4)の前記蓋(9)内に、前記レベルゲージのオリフィスとを備えていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記装置が、前記反応器(4)の気密シーリングと酸素の流入の予防とを保証するために、前記放射源(5a)の近くで、前記反応器(4)の内部に配置された閉鎖格子(22)を含むことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機物を熱分解により(熱的に)分解するための装置、及びこのプロセスによって製造される熱分解油に関する。本発明は2つの科学的分野、すなわち物理学と化学とを組み合わせる。
【背景技術】
【0002】
非再生可能資源の製造業者は、主に地上輸送目的の液体燃料の製造に関わる油及び他の化石炭素源のような非再生可能資源の利用を制約するための強い圧力に現在直面している。自動車における火花点火式エンジン用の燃料は、主に高炭水化物含量の農作物を発酵させることによって製造されたバイオエタノール、及び植物油又は任意には動物性脂肪の再エステル化によって製造された脂肪酸メチルエステルを含む。植物油の水素化(HVO)によって得られた炭化水素によって形成された再生可能資源を使用した燃料の製造量は、少量である。バイオエタノール及び脂肪酸メチルエステルの使用可能な特性は、古典的な化石燃料の特性と比較すると、ある特定の観点において悪い。すなわちバイオエタノールは主として水とのその混和性、及びその結果生じ得る長期の保管期間にわたる燃料品質劣化に関する問題が明確であり、これとともに空気湿度の進入が長期の保管中に燃料品質を悪化させる。メチルエステルは保管における安定性及び熱酸化安定性の悪化を被る。水素化植物油の製造、圧縮点火エンジン用の使用に際したこれらの使用可能な特性は、極めて良好であり、水素の消費量を高くし、生産プロセスにおいて必須の水素化触媒の実働寿命を短くすることに繋がる。
【0003】
現時点で一般的な再生可能資源から液体燃料を製造するためのさらなる選択肢はない。液体燃料の生産は種々の種類のバイオマスを利用することが期待されている。これは主として熱分解又は熱触媒分解を取り扱うことにより、通常の液体燃料に関係する沸点範囲に相応する沸点がより低い物質を形成するプロセスを主に採用する。このような分解によって得られた生産物をさらに処理することによって、結果として生じた特性が消費者間に分配される最終製品の品質に対する要件を満たすことを保証しなければならない。上述のものとは別の処置は、合成ガスを生産し、続いて液体燃料を生産するのに適した炭化水素を合成する熱分解である。
【0004】
熱分解反応器の加熱された内面上の上澄み吸収フィルムを特徴とする装置内で植物油及び動物性油脂を熱分解することが、特許文献1によって記載されている。種々の植物油及び他の生物学的原料と混合された脱酸剤を反応器内で利用し、この反応器は、赤外スペクトル内の所定のエネルギー量を伝達する放射源を備える一方で、電磁場によってもたらされる効果の影響を受けることが特許文献2によって記載されている。特許権を与えられた他の処置は、原材料の分解中の触媒作用を含む。
【0005】
例えば特許文献3には、触媒剤として使用される焼成ドロマイトと接触した有機油ベースの原料を熱分解する方法が述べられている。前処理ゾーンと、処理済み材料の熱分解ゾーンとを含む装置内で廃棄物を2段階で熱触媒分解することによって熱分解油を製造することが、特許文献4に記載されている。注入された材料を超音波噴霧化するためにノズルを介して原料注入することによって管状炉内部で植物油及び他の液体原料を熱分解することが米国特許出願公開第20190144758号明細書に述べられている。反応器内への原料の注入は、アンモニア、メタノール、又は水素の導入と並行して行われる。反応器の一部はまた、ゼオライト、金属酸化物、固体酸、及びアルカリ性触媒を基剤とする材料を充填された触媒床を含む。植物油及びその他の熱分解用の種々の反応器の具体的な構成とは別に、特許文献5に開示されているように、伝統的な精製技術も詳述されている。前記明細書において、原料分解は、古典的な分解触媒を特徴とする流動触媒分解(FCC)ユニット内で行われ、熱分解段に続いてその循環再生プロセスが行われる。
【0006】
高品質のエンジン用燃料を製造するという目的を持ったさらなる処理において利用されるように液体部分を生産するために熱分解を行う場合、例えば、所望される結果は、ガス、コークス、又は生じ得る未反応原料を費やして液相からの産出量を最大化することである。分解条件(高い温度、熱分解ガスの同時生産)は通常、生産物中への原料の何らかの未分解粒子の侵入を伴うので、熱分解プロセスへ戻されることが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】チェコ国第306462号明細書
【特許文献2】欧州特許第2129746号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第20110289826号明細書
【特許文献4】欧州特許第3132004号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第20070007176号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明の主題
本明細書中に提示された解決手段は本発明に従い、元の有機物、好都合には液体状態にあるもの、のセル(cell)内の化学構造の変化を行う、必要に応じて異なるセル構造(cellular structure)を形成し、有機物の全く新しいセルを確立するための装置に適用される。この変化法は、元の構造にだけでなく、物質の元の状態にも影響を与えることができる。この事例において言及されるセルは、最も単純に化学的に割り出された有機物質粒子を含む。
【0009】
本明細書の説明の目的上、物理化学的な熱触媒法(分解)とは、温度勾配を同時に利用しつつ、温度効果及び放射の効果を受けるときに、元の物質のセル構造が崩壊することを意味する。
【0010】
本発明の目的は、特定の装置及び要求の高くない技術条件(大気圧下で水素の存在なしに実施される)を利用することによって、脱酸剤の有無とは無関係に、又は任意には触媒を使用して、元の原料を処理し、エンジン用燃料成分のそれぞれを生産するための後続の精製に適したより低い分子量及び高い炭化水素含量、又は低い残留酸素含量の生産物を得ることである。
【0011】
脂肪酸のトリグリセリドのエステル基中に含有される酸素は、脱酸-酸化反応中に一酸化炭素及び二酸化炭素の形態で排出させられる。脱酸の範囲は、添加された残留石油分によって支援され、そして酸素基含量の著しい低減は、反応混合物中の触媒補充によって達成されている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実体は、有機廃棄物の熱触媒分解-熱分解用の装置において、
前記装置が以下のもの、すなわち、
供給ラインによって反応器に連結された、廃棄物用のリザーバであって、ライン内に、廃棄物の量の制御を保証するための弁が配置されており、
反応器が当該反応器の外部又は内部に位置する廃棄物を、当該反応器の底部からの高さの約1/3に相当する最大レベルまで分解するための加熱用の加熱素子及び/又は放射源5aを含む、
リザーバと、
電力供給量を制御するために加熱素子及び/又は放射源の近くに設けられ、反応器(4)の底部(7)からの高さの1/3に相当する最大レベルまで位置している温度センサ(6)と、を含む、装置であって、
アウトプットライン(10)が、得られた生産物の気体状の成分を運ぶために、得られた生産物の気体状の成分を液化するための冷却器(16)が連結された状態で、反応器(4)の蓋(9)から突出しており、
アウトプットライン10の端部が、生産物ガスを排出するための分岐部21を介して、液化済み生産物を含有するための受容器17のオリフィスに接続されている、
装置を含む。
【0013】
アウトプットライン10上にセンサ11と冷却器16とを含む好ましい構成は、反応器を出るガスの化学組成を制御するための制御センサ12と、前記センサ11と前記冷却器16との間に位置するガス流量を制御するためのスロットルフラップ弁13とを含み、前記アウトプットライン10内にはさらにフォローアップ冷却器16と還流部15との両方に接続された中間冷却器14がさらに配置されており、還流部15は加熱素子の外部で反応器のオリフィス内へ連結されている。
【0014】
さらに、好都合な形態では、廃棄物から得られた気体状の成分の温度を確立するための温度センサを備えた反応器の上半部を特徴とするものとする。
【0015】
本発明の目的のために、廃棄物は、それ自体特定の廃棄物ではなく、非食品用途用の有機原料を含むものとする。
【0016】
本発明の実施態様のうちの1つは、気体状の生産物成分の温度及び流量用のセンサ11の好都合な形態を備えたアウトプットライン10を含む。
【0017】
本発明による装置におけるセンサの数及び位置は好ましくは、方法を実施するための条件、装置の種類、及び原料又は特定の装置内で処理されるべきあらゆる可能な添加剤を含めた、原料の混合物の具体的な種類によって決定される。
【0018】
放射源5aは反応器の内部で、好ましくは廃棄物レベル(level)の真下に配置され、その一方、反応器の内部における前記レベルの最高点は、還流部15のすぐ下方に達する。
【0019】
放射源の形態及び形状は、反応器のサイズ及び形状、並びに所望の分解速度に応じて、最適な反応面を備えなければならない。好都合な構成部分は、反応器の内部の表面が、螺旋状、二重又は多重捩じれ螺旋、ねじ線、又は傾斜しており、又はこれらの任意の組み合わせを反応器の内部に含む。
【0020】
別の好都合な実施態様は、誘導素子又はガスバーナーをさらに備えた加熱素子を有する装置を含むものとする。
【0021】
本発明による別の好都合な実施態様では、反応器4が供給ラインによって前置されており、供給ラインが、廃棄物の反応器内への進入前に廃棄物を予め加熱することを保証するための予熱器18を備えている。
【0022】
反応器の手前のラインは好ましくは、レベルゲージ20を設けるためのT字形継手19を備えており、レベルゲージ20は、反応器内部の内容物レベルのインジケータとして好ましくはガラスからできており、反応器の蓋のオリフィス内に結合されている。
【0023】
本発明のさらに別の実施態様は、前記反応器の内部の放射源5aの近くが、前記反応器の気密シーリングを確実にしてあらゆる酸素の流通を防止するために、閉鎖格子22を用いて構成されていることを特徴とする。
【0024】
本発明の好都合な実施態様はまた、原料リザーバが、支配的な量の高沸点炭化水素、及びその他の有機物質、例えば油起源の蒸留残渣及び真空蒸留物により、最大20重量パーセントまで増加した廃棄物を含有し、より好ましくは、アルカリ金属の水酸化物、最も好ましくはKOHとNaOHとの混合物、を基剤とした触媒が設けられることを特徴とする。
【0025】
装置全体は、ガラス繊維断熱材を有するステンレス、耐熱性且つ耐化学薬品性の鋼から形成されている。反応器内部の加熱素子のために設けられる給電部は、セラミックのグロメットを備えている。
【0026】
熱分解用の好都合な反応器は、特に、ポット状又は管状反応器である。
【0027】
反応器内部の原料レベルは、新しい原料を保持するリザーバに連結された反応容器の平らな底部と、反応器頂部との間に、インパルス配管(impulse piping)を形成する適切な金属キャピラリによって取り付けられたガラスの液位計を使用して、適切にチェックされた。
【0028】
原料レベルの下側の温度、前記レベルの上方の蒸気の温度、及び水冷却器内への進入前に反応配管から放出される蒸気の温度の測定を確実にするため、好ましくは、熱電気的な小区分を備えた温度計ウェルが、装置に設けられた。
【0029】
実際の反応経過
第1段階:開始(開始ローンチ)
この段階は、変化させられるべき物質を、この変化のために確実に必要な他の物質と一緒に供給することを伴う。これらは均質又は不均質混合物を形成するか、又は個別ベース及び段階ベースで加わる。
【0030】
原料の分解の開始及びさらなる変化のために必要な初期エネルギーは、内部に設けられた放射源、すなわち、このような開始条件の最良且つ最速の進展用の空間内にある放射源を介して反応器に供給されるか、又は反応器の内部シェル又は反応器の内部に位置する放射源5aにエネルギーが向けられた状態で、外部から誘導加熱によって反応空間内にエネルギーを送達することによって、反応器に供給されるか、或いはこれらの加熱選択肢の組み合わせ、ガスを動力とする熱供給装置、又は別の利用可能な熱供給装置によって反応器に供給される。
【0031】
開始インパルスは、温度差の利用又は個々の物質の熱分解を可能にするような範囲までエネルギーを供給することによって定義される。特定の温度に達したら、物質は熱分解を施され、続いて反応器内部に存在する他の物質が熱分解される。この段階では全ての物質は、60~600℃の温度に達したガス状態に変化させられる。
【0032】
第2段階:伝搬
a) 反応経路及び反応器内部のその部分的な制御
進行中のラジカル反応にともなって、合体・分解プロセスを実行するための作用には複雑なメカニズムがあるが、最終反応段まで、すなわち気体状ラジカルの最終残渣がさらなる分解を停止し相互作用を開始する温度レベルまで冷却されたときに終了(完了)が発生するまで、種々の中間体又は生産物が、形成され、続いて分解される。
【0033】
反応器のこの部分は、時間、圧力、温度、量、流量、そしてこの技術のための個々の構成部分からのフィードバックをモニタリングするために検知素子(測定センサ)を備えることにより、他の技術セグメントを制御するためのフィードバックインパルスを利用し、反応のために設定された条件を維持する。
【0034】
したがって、この反応は計算によって割り出される化学作用を用いて直接制御されるのではなく、反応の経過に影響をほとんど及ぼさない許容レベル内で特定の反応のために設定された最適な条件を介して間接的に制御される。
【0035】
反応の経過中に個々のセンサから受信されたデータをモニタリングして比較し、そして生じ得る偏差範囲、及び最終生産物の品質に及ぼし得るその影響とともに、プロセス遵守を検証する。
【0036】
b) 反応経過、及び反応器外部における可能な測定によるその評価
相互作用中のまだ個々のラジカルが高温ガスの形態で反応器から去ると、個々の測定センサからのデータの評価をなおも使用し、生産の目的である化合物、並びに最終生産物中では目下所望されない化合物を部分的に選択することによりこれらを捕捉し、反応空間内へ戻し、続いて化学反応させることにより、その特定の時点に所望される化合物を生産する。
【0037】
第III部:終了
化学変化の次の終了段階は、高温ガスを急速に冷却することにより、現存の生産物がもはや変化することがなく、これらの組成が一定であり続け、そして極めて安定である一方で、生産されるべき化合物に適合しているという条件で、ラジカル反応を停止する。
【0038】
次いで、生産された化合物のさらなる処理は、該当する場合には液体、気体、又は固体の状態で、必要に応じてこれらを処理又はアップグレードすることを伴う。
【0039】
再生可能資源、特に植物起源の原料から燃料及び潤滑剤を生産するために好ましく用いられるように、このプロセスは元の原料と同じ長さの、又は任意には異なる長さの炭素鎖を有する極めて純粋な炭化水素、並びに元の物質中に存在する元素の種々の組み合わせを含有するような化合物、例えばFFA(遊離脂肪酸)、アルコール、フェノール、ケトン、グリセリン、エステル、及び炭素(C)、水素(FI)、酸素(O)、窒素(N)、リン(P)、カルシウム(Ca)、又はカリウム(K)を主に含有する他の物質を生産することができる。
【0040】
原理は特定の装置、すなわち反応器内のラジカル反応経過を部分的に制御することに基づく。この制御は、着火点又は反応に入る個々の物質の熱分解点の差、均質性並びに不均質、又は、ラジカル反応を開始するために他の原料中の分子のセル構造を崩壊し得るほどに強力なこれらの物質のうちの1つの攻撃性、を本質的に利用しながら行われる。
【0041】
反応空間内でのラジカル反応、そして特定の時点に得られるガスの後続の冷却を容易にするために特定の時間、温度、圧力、及び他の条件を形成することに基づいて、前記条件によって誘導される有機物組成物の構造は正確に最適なものとして生産される。
【0042】
初期有機物質の化学構造は、多機能機器、すなわち熱分解反応器を使用してこのように変化させられ、結果として得られた化学物質の後続の処理は、このような変化を徐々に発生させるためにいくつかの後続部分を含む。
【0043】
酸素の流通の無いより高い温度における熱分解は、炭素、水素、又は任意には酸素及び他の元素を含有する初期有機物質を主に液状の熱分解生産物(熱分解油)、熱分解されたガス、又は任意には固形炭素残渣に変化させる。これらの生産物の産出比は、原料の組成及びプロセス条件、特に温度及び反応器保持時間に依存する。熱分解油中に含有される化合物の平均分子量は、初期原料と比較して低い。可能な原料は使用済み調理油、動物性油脂、及び有機起源の他の液体混合物、好ましくは液体物質の単独物又は混合物を含む。
【0044】
生産された熱分解油は好ましくは液体燃料を製造するために使用することができる。
【0045】
有機起源、特に廃棄物の熱分解(物質の熱分解)を実施するための装置の好都合な実施態様のうちの1つは、原料の予熱装置の特定部分と、熱分解反応器と、部分凝縮器ユニットと、熱分解油用の凝縮器とを含む。原料の予熱は交換器によって行われ、原料は200℃~400℃で予熱される。予熱交換器に続いて、材料は熱分解反応器に入り、250℃ p~430℃での分解反応を保証するためにさらに熱が供給される。分解によって得られた生産物は冷却器内へ蒸気相で抽出される。ここでは部分凝縮が生じ、最高沸点を有する部分を伴う。これらの部分は次いで原料と再混合され、そして熱分解反応器に入る。部分凝縮のために冷却器内部で凝縮されなかった生産物量は、別の冷却器(熱交換器)内へ排出され、これにより熱分解ガスを除いて完全凝縮を経る。熱分解反応器から連続して抽出された固形部分(コークス)を含有する少量の未分解原料も存在する。
【0046】
反応器内への進入前に、原料は好ましくは、高沸点炭化水素の大部分及び他の有機物質、例えば油由来の蒸留残渣及び真空蒸留物、煤、又は炭を含有する少量の物質と混合される。
【0047】
原料を分解温度レベルにもたらすために必要となるエネルギーは、反応器内部に設けられた放射源を使用して直接に、又は誘導加熱設備によって間接的に熱分解反応器内へ供給される。誘導加熱設備では、所要エネルギーが、反応器空間外部に配置されたコイルを使用して放射源上に伝達される。この反応器加熱法は、固形燃料バーナーを特徴とする別の加熱ユニットと組み合わせることができる。このようなバーナーは好ましくは、熱分解によって得られた生産物のガス部分を使用することができる。
【0048】
不溶性物質(コーク)を含有する未反応原料部分が熱分解反応器の底部から抽出されることは、不溶性物質が装置の連続動作中に反応器内部に蓄積しないことを保証する。
【0049】
本明細書中に記載された装置内で実施される処置を用いた熱分解は、プロセス条件、特に熱分解の反応温度、熱分解反応器内部のレベル高さ、保持時間、部分凝縮冷却器の温度、及び高沸点炭化水素及び他の有機物質を含有する添加物質の量を調節することによって、熱分解によって得られた生産物の組成に、主に不飽和炭化水素及び酸素物質の含量に関して影響を与えることにより、適合させることができる。
【0050】
熱分解生産物の組成はさらに、触媒を熱分解反応器内へ添加することにより酸素物質の含量を低減するように影響を受けることもできる。触媒としては、アルカリ金属、主にNa及びKの水酸化物の溶融物が使用された。
【0051】
不均質及び均質な脱酸という用語に関する限り、均質脱酸は液体原料(石油蒸留残渣)と混和可能な脱酸剤を伴う。不均質脱酸は非混和性のもの(煤、油を含むコークス、又は逆もまた同様、藁、アスファルトを含むおが屑)を取り扱う。
【0052】
本発明の目的上、脱酸剤は、高炭素過剰含量を有する原材料であり、脱酸最終生産物に影響を与えるように脱酸のために意図される初期原料に対する所定の比で添加される。
【0053】
本発明の目的上、脱酸は、環境が酸素の流通から保護された状態で、脱酸剤中に含有される炭素をその着火点まで加熱するためにこの装置内に発生し、そして初期原料からその着火のために必要な酸素を剥ぎ取るために、加熱された炭素を保持し、初期原料のセルを崩壊し、そしてラジカル反応を開始するプロセスと解釈される。この反応の結果として、初期原料が脱酸され、酸素化合物の含量が低減する一方、純粋な炭化水素の含量が増大する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1図1は、本発明において定義された装置の第1実施態様-未接続の還流ポット反応器を示す図である。
図2図2は、本発明において定義された装置の第2実施態様-ポット還流反応器を示す図である(均質脱酸)。
図3図3は、本発明において定義された装置の第3実施態様-ポット還流反応器を示す図である(不均質脱酸)。
図4図4は、本発明において定義された装置の第4実施態様-管状還流反応器を示す図である。
図5A-5D】図5A,5B,5C,5Dは、試料PL8,PL9,PL10及びPL11のFTIRスペクトルを示す図である。
図5E-5G】図5E,5F,5Gは、試料PL12,PL13及びPL14のFTIRスペクトルを示す図である。
図6図6は、試料1~4の波数に対する吸光度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
実施例
熱分解を施されるインプット物質:
食品品質油:
菜種油: 15℃における密度:919.1 kg.m-3
40℃における動粘性率:39.8 mm2s-1
着火点:235℃
パルミチン酸:3.8重量%
パルミチン酸:3.8重量%
オレイン酸:61.8重量%
リノール酸:32.3重量%

ヒマワリ油: 15℃における密度:919.1 kg.m-3
40℃における動粘性率:38.3 mm2s-l
着火点:>250℃
パルミチン酸:7.6重量%
ステアリン酸:4.9重量%
オレイン酸:21.1重量%
リノール酸:66.4重量%

Russian Export Mixture (VZ PSP, Litvinov refinery)の石油の真空残渣(VR):
貫入(penetration):213 p.u.
密度:1006.2 kg.m-3
100℃における粘度:1850 mPa.s
150℃における粘度:156 mPa.s
アスファルテン含有率:5.8重量%
イオウ含有率:2.1重量%

Azeri LightとCPC Petroleum(Kralupy n. Vlt. refinery)との混合物からの常圧蒸留残渣:
密度:960.5 kg.m-3
100℃における粘度:180 mPa.s
イオウ含有率:2.1重量%
【0056】
本発明による装置の具体的な実施例
実施例1:未接続の還流ポット反応器(図1参照)
リザーバは供給ラインを備えており、この供給ラインは制御弁を通ってポット反応器内へ延びており、供給ラインは液体原料(植物油-食品品質)を送達し、この液体原料は、放射源5aを使用して380~430℃の温度範囲内で熱分解を施される。この放射源は、熱分解によって分解される液体レベルのすぐ下方、すなわち反応器底部から約1/4上側のところに抵抗ワイヤを含む。その一方で、熱分解温度範囲は、センサ6によってモニタリングされる。このセンサは、反応器内部の内容物レベルを示すために好ましくはガラスから形成されたサーモウェル(thermowell)内に熱電対を含み、反応器蓋に結合されている。
【0057】
反応器内部の原料のレベルは好ましくはレベルゲージ20を使用してモニタリングされる。レベルゲージは好ましくはガラスから成り、反応器の蓋内のオリフィスに結合されている。レベルゲージ20は好ましくは反応器の手前に位置するT字形継手19によって結合されている。
【0058】
発生した熱分解ガスの温度は、センサを使用して測定され、アウトプットライン10をセンサ11と連結することにより、流量及び温度データを判断し、これに続いてこのようなガスを冷却器16内部で冷却し液化する。その一方で、炭化水素の残留気体状部分は部材21を通過し、液体生産物受容器17から放出される。
【0059】
実施例2:ポット還流反応器(均質脱酸)(図2参照)
脱酸剤-石油蒸留残渣及び植物油が使用される。蒸留残渣が反応器内へ充填され、その示強性熱分解温度(intensive cracking point)(ほぼ410℃)に近似する温度まで予熱されるように、脱酸剤-石油蒸留残渣及び植物油は、使用される。一方で、反応器の手前のインプットライン2は、好ましくは予熱器18を備えている。
【0060】
KOH及びNaOHの混合物を含む触媒を添加することが好ましい。410℃の温度に達したら、蒸留残渣レベルのすぐ下方に設けられた放射源はパワーオンされ、油と5%の蒸留残渣又は煤とを含有する所定量の混合物が反応器内に導入される。
【0061】
蒸留残渣(煤)で充填された空間内には以下の3つのセンサが存在する。
1) 蒸留残渣をモニタリングするための温度センサ、そのフィードバックは、可能な冷却をスイッチオンする。
2) 蒸留残渣レベル用の温度センサ6b、そのフィードバックは、効率的な放射源を、ほぼ常に沈め込まれた状態に維持するように、反応混合物の供給量を増やす。
3) 放射源5a用の温度センサ6a、そのフィードバックは、温度が低下した場合に放射線源の電力入力を増大させる。
反応器内部に位置するセンサ:
4) 反応器内部に発生した生産物蒸気をモニタリングするための温度センサ
反応器の後ろに設けられたセンサ:
5) 反応器の後ろにあり、冷却器内へのガス排出時に、ガス混合物及び予想される組成(目標状態)に対するそのコンプライアンス(compliance)をモニタリングするためのセンサ11a、フィードバックは還流機器への流路を開き、又は直接に冷却器内への流路を開く。
還流機器は、上述の全ての沸騰部分を反応空間内へ戻すための出口を有している。
【0062】
センサ11と冷却器16との間のアウトプットライン10は、反応器及びスロットルフラップ弁13とを出るガスの化学組成を制御するための制御センサ12を備えており、これにより並列に接続されたガスの流量を調節する一方、アウトプットライン10はさらに中間冷却器14を備えている。中間冷却器は、後続の冷却器16、並びに加熱素子の外部で反応器に接続された還流部15の両方に接続されている。
【0063】
実施例3:ポット還流反応器(不均質脱酸)(図3参照)
プロセスは、脱酸剤-蒸留残渣及び植物油を使用した。この場合石炭(コークス)が反応器内へ充填され、ほぼ700℃の温度まで予熱されるものとする。KOH及びNaOHの混合物を含む触媒を添加することが好ましい。700℃の温度に達したら、蒸留残渣レベルのすぐ下方に設けられた放射源5aはパワーオンされ、油と5重量%の蒸留残渣又は煤とを含有する所定量の混合物が反応器内に導入された。
【0064】
これは、プロセスが不均質脱酸を伴う点で実施例2とは異なっている。
【0065】
ポット反応器内へ供給される熱を、ホッパー23及び閉鎖弁24を使用して生成し、これにより石炭又はコークスを装置内へ供給し、続いて設定温度700℃までこれを予熱する。
【0066】
用いられる技術に関して、装置はまた格子22を備えており、この格子は周囲環境から機密にシールされることを必要とする。
【0067】
反応器の下方で灰を排出することはフラップ弁25によって確実に行われる。
【0068】
蒸留残渣(煤)を充填された空間内には以下の3つのセンサが存在する。
1) 蒸留残渣用の温度センサ、そのフィードバックは、可能な冷却をスイッチオンする。
2) 原料-石炭(コークス)用のレベルセンサ6b、そのフィードバックは原料を全て揃えることによって、放射源を原料中に沈めこまれた状態に維持する。
3) 放射源用の温度センサ6a、そのフィードバックは電力入力を増減する。
反応器内部に位置するセンサ:
4) 反応器内部に発生したガスの温度用の温度センサ
5) 生産されたガスの温度及び流量用のセンサ11、混合物投与用のフィードバック。
反応器の後ろに設けられたセンサ:
6) 予想される組成(目標状態)に対してガス混合物が満たすことをチェックするために、冷却器内へのガス排出時に反応器の後ろにあるセンサ11a、フィードバックは還流機器内へのインプットを開き、又は直接に冷却器内へのインプットを開く。
還流機器は、上述の全ての沸騰部分を反応空間内へ戻すための出口を有している。
【0069】
実施例4:管状還流反応器(図4参照)
誘導素子(任意には固体燃料バーナー)を含む加熱素子は、管状反応器の全面を加熱し、そして全面が反応温度に達したときに、この面は、油と脱酸剤-蒸留残渣(又は煤)とから成る混合物で均一に噴霧された。この事例における蒸留残渣の比は、全混合物重量に対して5~70重量%に達する。
【0070】
1) 反応面用の温度センサ6a、電力入力を増減するためのフィードバックをする。
2) ガス用の温度センサ、原料投与速度を増減するためのフィードバックをする。
3) 反応器内部に発生したガス用の温度センサ
4) 生産されたガスの温度及び流量用のセンサ11、混合物投与量を制御し、反応器内部の圧力(又は任意には反応器内部の反応時間)を増減するためのフィードバックをする。
5) ガス混合物及び予想される組成(目標状態)に対するそのコンプライアンスをチェックするために、冷却器内へのガス排出時に反応器の後ろにあるセンサ11a、そのフィードバックは還流機器内へのインプットを開き、又は直接に冷却器内へのインプットを開く。
還流機器は、上述の全ての高沸点部分を反応空間内へ戻すための出口を有している。
【0071】
得られた生産物を、図5A,5B,5C,5D,5E,5F,及び5Gに示されたFTIR分光分析(フーリエ変換を含む赤外分光分析)を用いて分析した。
【表1】
【0072】
図5A,5B,5C,5D,5E,5F,及び5Gに示されているような個別の試料のFTIRスペクトルにおいて、下記詳細な表には、単独の炭化水素並びに別の化合物、すなわちカルボン酸、カルボン酸のエステルなどの炭化水素ストランドの両方の炭素フレームワーク群に対応するバンド域に対するカルボニル及びカルボン酸基に対応するFTIRスペクトルにおけるバンドのエリア比が言及されている。供給時に触媒を使用すると、最終生産物(PL12~PL14)中のカルボニル基及びカルボン酸基を著しく低減した。
【表2】
【0073】
下記図は最終試験段階から生産物を分析することにより得られた赤外スペクトルの例を示している。バッチは試料1~試料4を含む。試料3及び4は、反応混合物中にナトリウム系触媒を添加したときに得られた。試料1及び2としてマーキングされた試料は参照のために役立つ。添加剤の存在は以下に要約し得る肯定的な効果をもたらした。スペクトルは、1700及び2900cm-1におけるスペクトルバンド範囲によって解釈することにより、化合物の内容を結論づけることができる。これらの試料中の酸素は既に10パーセント未満にしか達しない。試料は主に、3100cm-1においてC=C-H振動の低いバンドによって示される飽和炭化水素鎖を含有する。
【0074】
生産物の組成には、反応条件の調節、又は任意には原料の組成、触媒の添加、又は任意の他の酸化、水素化、又は脱酸剤及び脱水素化剤によって影響が与えられる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は精製所、石油化学、化学、廃棄物管理、及び環境保全産業、並びに特殊化学プラントなどで利用することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 リザーバ
2 供給ライン
2a 供給インプットライン
3 弁
4 反応器
5 加熱素子
5a 放射源
6 温度センサ
6a 放射源温度センサ
6b 原料レベル温度センサ
6b 蒸留残渣モニタリングレベルセンサ
7 反応器底部
8 反応器の後ろの排ガス用の温度センサ
9 反応器蓋
10 アウトプットライン
11 温度・流量センサ
11a ガス混合物組成チェックセンサ
12 制御センサ
13 スロットルフラップ弁
14 中間冷却器
15 還流部
16 冷却器
17 受容器
18 予熱器
19 T字形継手
20 レベルゲージ
21 生産物ガス排出用の分岐部
22 閉鎖格子
23 石炭(コーク)リザーバ
24 閉鎖フラップ弁
25 灰排出フラップ弁
図1
図2
図3
図4
図5A-5D】
図5E-5G】
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-12-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱酸剤を伴う、非食品、有機の熱触媒分解-熱分解用の装置において、
前記装置が以下のもの、すなわち、
供給ライン(2)によって反応器(4)に連結された、廃棄物用のリザーバ(1)であって、
前記ライン(2)内に、前記廃棄物の量の制御を保証するための弁(3)が配置されており、
前記反応器(4)が前記反応器(4)の外部又は内部に位置する廃棄物を、前記反応器(4)の底部(7)からの高さの約1/3に相当する最大レベルまで分解するための加熱用の加熱素子(5)及び/又は放射源(5a)を含む、
リザーバ(1)含む装置であって、
アウトプットライン(10)が、得られた生産物の気体状の成分を運ぶために、前記得られた生産物の気体状の成分を液化するための冷却器(16)が連結された状態で、前記反応器(4)の蓋(9)から突出しており、
前記アウトプットライン(10)の端部が、生産物ガスを排出するための分岐部(21)を介して、液化済み生産物を含有するための受容器(17)のオリフィスに接続されている、
ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記装置が、前記廃棄物から得られた気体状の成分の温度を判定するための温度センサ(8)を備えた前記反応器(4)の上半部を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項3】
前記装置が、気体状の生産物成分の温度及び流量をチェックするためのセンサ(11)を備えたアウトプットライン(10)を含むことを特徴とする、請求項1~3のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項4】
前記装置が、前記反応器(4)を出るガスの化学組成をチェックするための制御センサ(12)と、前記センサ(11)と前記冷却器(16)との間に位置するガス流量を制御するためのスロットルフラップ弁(13)とを含む連続的な配置を含むアウトプットライン(10)とを有するように構成された前記センサ(11)と前記冷却器(16)とを含み、
前記アウトプットライン(10)内にはさらにフォローアップ冷却器(16)と還流部(15)との両方に接続された中間冷却器(14)がさらに配置されており、前記還流部は前記加熱素子(5)の外部で前記反応器(4)のオリフィス内へ接続されていることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記装置が、前記廃棄物のレベルの下方で前記反応器の内部に配置された前記放射源(5a)を含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記装置が、それぞれ誘導素子又は固形燃料バーナーである前記加熱素子(5)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記装置が、供給ライン(2)によって前置された前記反応器(4)を含み、前記供給ライン(2)が、廃棄物の前記反応器(4)内への進入前に廃棄物を予め加熱することを保証するための予熱器(18)を備えていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置が、前記供給ライン(2)によって前置された反応器(4)を含み、前記供給ライン(2)が、前記反応器(4)の内部のレベル高さのインジケータとしてのレベルゲージ(20)を結合するためのT字形継手(19)と、前記反応器(4)の前記蓋(9)内に、前記レベルゲージのオリフィスとを備えていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記装置が、前記反応器(4)の気密シーリングと酸素の流入の予防とを保証するために、前記放射源(5a)の近くで、前記反応器(4)の内部に配置された閉鎖格子(22)を含むことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の装置。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱酸剤を伴う、非食品、有機物の熱触媒分解-熱分解用の装置において、
前記装置が以下のもの、すなわち、
供給ライン(2)によって反応器(4)に連結された、廃棄物用のリザーバ(1)であって、
前記ライン(2)内に、前記廃棄物の量の制御を保証するための弁(3)が配置されており、
前記反応器(4)が前記反応器(4)の外部又は内部に位置する廃棄物を、前記反応器(4)の底部(7)からの高さの約1/3に相当する最大レベルまで分解するための加熱用の加熱素子(5)及び/又は放射源(5a)を含む、
リザーバ(1)含む装置であって、
アウトプットライン(10)が、得られた生産物の気体状の成分を運ぶために、前記得られた生産物の気体状の成分を液化するための冷却器(16)が連結された状態で、前記反応器(4)の蓋(9)から突出しており、
前記アウトプットライン(10)の端部が、生産物ガスを排出するための分岐部(21)を介して、液化済み生産物を含有するための受容器(17)のオリフィスに接続されている、
ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記装置が、前記廃棄物から得られた気体状の成分の温度を判定するための温度センサ(8)を備えた前記反応器(4)の上半部を含むことを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記装置が、気体状の生産物成分の温度及び流量をチェックするためのセンサ(11)を備えたアウトプットライン(10)を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置が、前記反応器(4)を出るガスの化学組成をチェックするための制御センサ(12)と、前記センサ(11)と前記冷却器(16)との間に位置するガス流量を制御するためのスロットルフラップ弁(13)とを含む連続的な配置を含むアウトプットライン(10)とを有するように構成された前記センサ(11)と前記冷却器(16)とを含み、
前記アウトプットライン(10)内にはさらにフォローアップ冷却器(16)と還流部(15)との両方に接続された中間冷却器(14)がさらに配置されており、前記還流部は前記加熱素子(5)の外部で前記反応器(4)のオリフィス内へ接続されていることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記装置が、前記廃棄物のレベルの下方で前記反応器の内部に配置された前記放射源(5a)を含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記装置が、それぞれ誘導素子又は固形燃料バーナーである前記加熱素子(5)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記装置が、供給ライン(2)によって前置された前記反応器(4)を含み、前記供給ライン(2)が、廃棄物の前記反応器(4)内への進入前に廃棄物を予め加熱することを保証するための予熱器(18)を備えていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記装置が、前記供給ライン(2)によって前置された反応器(4)を含み、前記供給ライン(2)が、前記反応器(4)の内部のレベル高さのインジケータとしてのレベルゲージ(20)を結合するためのT字形継手(19)と、前記反応器(4)の前記蓋(9)内に、前記レベルゲージのオリフィスとを備えていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記装置が、前記反応器(4)の気密シーリングと酸素の流入の予防とを保証するために、前記放射源(5a)の近くで、前記反応器(4)の内部に配置された閉鎖格子(22)を含むことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項に記載の装置。
【国際調査報告】