(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(54)【発明の名称】核酸の増幅
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6848 20180101AFI20230113BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20230113BHJP
C12N 9/12 20060101ALN20230113BHJP
【FI】
C12Q1/6848 Z
C12Q1/6844 Z
C12N9/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022523464
(86)(22)【出願日】2020-10-21
(85)【翻訳文提出日】2022-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2020079657
(87)【国際公開番号】W WO2021078813
(87)【国際公開日】2021-04-29
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319016046
【氏名又は名称】エム アイ ピー ダイアグナスティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100182084
【氏名又は名称】中道 佳博
(74)【代理人】
【識別番号】100150326
【氏名又は名称】樋口 知久
(72)【発明者】
【氏名】ゲレイロ,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】カンファロッタ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】キンケイド,エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】グローヴズ,アリステア
【テーマコード(参考)】
4B050
4B063
【Fターム(参考)】
4B050CC07
4B050DD02
4B050LL01
4B063QA01
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】
(a)標的核酸を含むDNAサンプルを、DNAポリメラーゼ、標的核酸に隣接するように設計された少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマー、dATP、dGTP、dCTP、およびdTTPの混合物、ならびに負の温度感受性ポリマーに共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含むコンジュゲートと接触させること、(b)工程(a)の産物を、コンジュゲートが沈殿し、それによりDNAポリメラーゼが阻害されなくなる温度に加熱すること、ならびに(c)例えば、標的核酸を変性させ、プライマーを標的核酸にアニーリングし、プライマーを伸長するPCR工程を実行することにより、標的核酸を増幅することを含む、DNAサンプル中の標的核酸を増幅する方法であって、工程(c)が少なくとも2回繰り返される、方法。負の温度感受性ポリマーに共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含むコンジュゲート、該コンジュゲートを含むキット、および水性組成物も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)標的核酸を含むDNAサンプルを:
(i)DNAポリメラーゼ、
(ii)標的核酸に隣接するように設計された少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマー、
(iii)dATP、dGTP、dCTP、およびdTTPの混合物、ならびに
(iv)負の温度感受性ポリマーに共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含むコンジュゲート
と接触させること、
(b)工程(a)の産物を、コンジュゲートが沈殿し、それによりDNAポリメラーゼが阻害されなくなる温度に加熱すること、
(c)例えば、標的核酸を変性させ、プライマーを標的核酸にアニーリングし、プライマーを伸長するPCR工程を実行することにより、標的核酸を増幅すること、
を含む、DNAサンプル中の標的核酸を増幅する方法であって、
工程(c)は少なくとも2回繰り返される、方法。
【請求項2】
前記DNAポリメラーゼ阻害剤が、ビダラビン、ラミブジン、リファマイシンSV一ナトリウム塩、ネオババイソフラボン、ヘキサプレニルヒドロキノン、アバカビルヘミ硫酸塩、アフィジコリン、ミトラマイシンA、テノホビル、またはチオルチンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記DNAポリメラーゼ阻害剤がジドブジンである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記負の温度感受性ポリマーが、以下:
(i)ポリ(N-置換アクリルアミド)およびその誘導体、
(ii)ポリ(メチルビニルエーテル)、
(iii)ポリ(N-ビニルカプロラクタム)、
(iv)ポリ(2-置換2-オキサゾリン)およびその誘導体、
(v)ポリ(2-置換2-オキサジン)およびその誘導体、
(vi)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、
(vii)エチルヒドロキシエチルセルロース、
(viii)ヒドロキシエチルセルロース、
(ix)ポリ(アスパラギン)およびその誘導体、ならびに
(x)PNiPMAM
から選択される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記コンジュゲートが、35℃から65℃の間、好ましくは40℃から60℃の間、より好ましくは45℃から55℃の間の温度で沈殿する、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記コンジュゲートが48℃から52℃の間の温度で沈殿する、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
沈殿温度より2℃高い場合、前記コンジュゲートの10%以下が溶液中にあり、沈殿温度より2℃低い場合、前記コンジュゲートの90%以上が溶液中にある、請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
沈殿温度より1℃高い場合、前記コンジュゲートの10%以下が溶液中にあり、沈殿温度より1℃低い場合、前記コンジュゲートの90%以上が溶液中にある、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記コンジュゲートが、前記負の温度感受性ポリマーの末端または末端近くで共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含む、任意の先行する請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記コンジュゲートが、前記負の温度感受性ポリマーの末端で共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記DNAポリメラーゼが熱安定性DNAポリメラーゼである、任意の先行する請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記DNAポリメラーゼがTaqポリメラーゼである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(a)DNAポリメラーゼ、および
(b)負の温度感受性ポリマーに共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含むコンジュゲート
を含み、前記コンジュゲートが、35℃から65℃の間、好ましくは40℃から60℃の間、より好ましくは45℃から55℃の間の温度で沈殿する、キット。
【請求項14】
前記コンジュゲートが、48℃から52℃の間の温度で沈殿する、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
前記DNAポリメラーゼ阻害剤が、ビダラビン、ラミブジン、リファマイシンSV一ナトリウム塩、ネオババイソフラボン、ヘキサプレニルヒドロキノン、アバカビルヘミ硫酸塩、アフィジコリン、ミトラマイシンA、テノホビル、またはチオルチンである、請求項13または14に記載のキット。
【請求項16】
DNAポリメラーゼ阻害剤がジドブジンである、請求項13または14に記載のキット。
【請求項17】
沈殿温度より2℃高い場合、前記コンジュゲートの10%以下が溶液中にあり、沈殿温度より2℃低い場合、前記コンジュゲートの90%以上が溶液中にある、請求項13から16のいずれかに記載のキット。
【請求項18】
沈殿温度より1℃高い場合、前記コンジュゲートの10%以下が溶液中にあり、沈殿温度より1℃低い場合、前記コンジュゲートの90%以上が溶液中にある、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
前記コンジュゲートが、前記負の温度感受性ポリマーの末端または末端近くで共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含む、請求項13から18のいずれかに記載のキット。
【請求項20】
前記コンジュゲートが、前記負の温度感受性ポリマーの末端で共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含む、請求項19に記載のキット。
【請求項21】
前記DNAポリメラーゼが熱安定性DNAポリメラーゼである、請求項13から20のいずれかに記載のキット。
【請求項22】
前記DNAポリメラーゼがTaqポリメラーゼである、請求項21に記載のキット。
【請求項23】
(ii)負の温度感受性ポリマーに共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含むコンジュゲートと結合した(i)DNAポリメラーゼを含む、水性組成物。
【請求項24】
前記コンジュゲートが、35℃から65℃の間、好ましくは40℃から60℃の間、より好ましくは45℃から55℃の間の温度で沈殿する、請求項23に記載の水性組成物。
【請求項25】
前記コンジュゲートが、48℃から52℃の間の温度で沈殿する、請求項24に記載の水性組成物。
【請求項26】
前記DNAポリメラーゼ阻害剤が、ビダラビン、ラミブジン、リファマイシンSV一ナトリウム塩、ネオババイソフラボン、ヘキサプレニルヒドロキノン、アバカビルヘミ硫酸塩、アフィジコリン、ミトラマイシンA、テノホビル、またはチオルチンである、請求項23から25のいずれかに記載の水性組成物。
【請求項27】
前記DNAポリメラーゼ阻害剤がジドブジンである、請求項23から25のいずれかに記載の水性組成物。
【請求項28】
沈殿温度より2℃高い場合、前記コンジュゲートの10%以下が溶液中にあり、沈殿温度より2℃低い場合、前記コンジュゲートの90%以上が溶液中にある、請求項24から27のいずれかに記載の水性組成物。
【請求項29】
沈殿温度より1℃高い場合、前記コンジュゲートの10%以下が溶液中にあり、沈殿温度より1℃低い場合、前記コンジュゲートの90%以上が溶液中にある、請求項28に記載の水溶性組成物。
【請求項30】
前記コンジュゲートが、前記負の温度感受性ポリマーの末端または末端近くで共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含む、請求項23から29のいずれかに記載の水性組成物。
【請求項31】
前記コンジュゲートが、前記負の温度感受性ポリマーの末端で共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含む、請求項30に記載の水性組成物。
【請求項32】
前記DNAポリメラーゼが熱安定性DNAポリメラーゼである、請求項23から31のいずれかに記載の水性組成物。
【請求項33】
前記DNAポリメラーゼがTaqポリメラーゼである、請求項32に記載の水性組成物。
【請求項34】
負の温度感受性ポリマーに共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含む、コンジュゲート。
【請求項35】
前記コンジュゲートが、35℃から65℃の間、好ましくは40℃から60℃の間、より好ましくは45℃から55℃の間の温度で沈殿する、請求項34に記載のコンジュゲート。
【請求項36】
前記コンジュゲートが、48℃から52℃の間の温度で沈殿する、請求項35に記載のコンジュゲート。
【請求項37】
前記DNAポリメラーゼ阻害剤が、ビダラビン、ラミブジン、リファマイシンSV一ナトリウム塩、ネオババイソフラボン、ヘキサプレニルヒドロキノン、アバカビルヘミ硫酸塩、アフィジコリン、ミトラマイシンA、テノホビル、またはチオルチンである、請求項34から36のいずれかに記載のコンジュゲート。
【請求項38】
前記DNAポリメラーゼ阻害剤がジドブジンである、請求項34から36のいずれかに記載のコンジュゲート。
【請求項39】
沈殿温度より2℃高い場合、前記コンジュゲートの10%以下が溶液中にあり、沈殿温度より2℃低い場合、前記コンジュゲートの90%以上が溶液中にある、請求項35から38のいずれかに記載のコンジュゲート。
【請求項40】
沈殿温度より1℃高い場合、前記コンジュゲートの10%以下が溶液中にあり、沈殿温度より1℃低い場合、前記コンジュゲートの90%以上が溶液中にある、請求項39に記載のコンジュゲート。
【請求項41】
前記コンジュゲートが、前記負の温度感受性ポリマーの末端または末端近くで共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含む、請求項34から40のいずれかに記載のコンジュゲート。
【請求項42】
前記コンジュゲートが、前記負の温度感受性ポリマーの末端で共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含む、請求項41に記載のコンジュゲート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(導入)
本発明は、核酸増幅に使用するためのコンジュゲート、前記コンジュゲートに結合したDNAポリメラーゼを含む組成物、DNAポリメラーゼおよび前記コンジュゲートを含むキット、ならびに前記コンジュゲートを使用してDNAサンプル中の標的核酸を増幅する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
相転移ポリマーまたは刺激応答性ポリマーとしても知られるスマートポリマーは、それらの物理的および/または化学的特性を変化させることによってそれらの環境に応答するポリマーである。スマートポリマーは、温度、湿度、pH、化合物、光の波長もしくは強度、電場または磁場を含むさまざまな環境要因に応答し、そしてさまざまな方法で、例えば、それらの形状、色、または溶解状態を変化させることにより、応答し得る。重要なポイントにおいて、環境のわずかな変化がスマートポリマーの物理的および/または化学的特性に大きな変化を引き起こすのに十分であるため、スマートポリマーはそれらの環境のわずかな変化に対して不連続な応答を示し得る。
【0003】
近年、スマートポリマーは、酵素にコンジュゲートしたスマート生体触媒や、特異的に標的化された薬物送達のためのバイオ医薬品など、さまざまな用途でそれらが使用されるため、大きな関心を集めている。
【0004】
スマートポリマーの他の用途は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の分野である。2015年9月、Chenらは、ACSの出版物(「Improvement in the Thermal Stability of Pyrophosphatase by Conjugation to Poly(N-isopropylacrylamide): Application to the Polymerase Chain Reaction」というタイトルの論文)で、酵素の耐熱性を改善し、それによりPCR反応の伸長段階で使用されるような高温での活性を維持する試みで、熱応答性ポリマーであるポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)を、ピロホスファターゼ(PPase)にコンジュゲートさせたことを報告した。PPase-PNIPAMコンジュゲートの最適温度は、コンジュゲートされていない遊離酵素と比較した場合、45℃から60℃に上昇することが示された。さらに、60℃で3時間のインキュベーション後、77%の酵素活性がPPase-PNIPAMコンジュゲートで保持され、コンジュゲートされていない遊離酵素と比較して6.8倍の増加を示した。PCRで使用した場合、PPase-PNIPAMコンジュゲートは、コンジュゲートされていない遊離酵素のみを使用した場合よりも1.5倍高い収量を生じた。
【0005】
しかしながら、PPaseの熱感受性だけがPCRの課題ではない。さらなる課題は、(1)室温で部分的にアニーリングされたプライマーのDNAの非特異的部位への伸長(例えば、PCR反応成分が組み合わされ、反応がセットアップされている場合)、および(2)プライマーダイマーの伸長、を触媒するDNAポリメラーゼ酵素の能力から生じる。PCR反応で一般的に使用される熱安定性DNAポリメラーゼの効率は、室温では高温よりも低くなり、例えば、PCR反応の伸長段階で使用されるものは、室温で少量の活性はなお存在する。目的の標的核酸が高濃度で存在する場合、非特異的増幅は大きな問題ではない。しかしながら、標的核酸がはるかに低い濃度で存在する場合、非特異的増幅は、所望の標的核酸の検出を著しく損なう可能性があるため、はるかに大きな問題となり得る。
【0006】
非特異的増幅を減らすために、いくつかの方法が開発されてきた。かかる方法の総称はホットスタートPCRである。ホットスタートPCRの背後にある原理は、反応温度がプライマーアニーリング温度を超えるまでDNAポリメラーゼを不活性状態に維持することであり、これはさまざまな方法で達成されている。
【0007】
最初の方法は原始的であり、すべてのPCR反応容器を氷上に保持し、次いでそれらをすでに95℃に設定されたサーモサイクラーに移すことを提唱している。前記方法を少し変更すると、DNAポリメラーゼが反応のセットアップから省略され、PCR反応容器が95℃に設定されたサーモサイクラーに配置された後にのみ追加される。しかし、これは実行が難しく、PCR反応容器を開いたときに反応成分の汚染/損失の恐れがある。
【0008】
より高度な方法として、例えば、DNAポリメラーゼを除くPCR反応成分を凍結し、次いで液体状態でDNAポリメラーゼを添加することにより、他のPCR反応成分からDNAポリメラーゼを物理的に単離することが挙げられる。凍結層が溶けると、DNAポリメラーゼは他のPCR反応成分と混合する。DNAポリメラーゼを他のPCR反応成分から分離する他の手段として、ワックスビーズまたはワセリンを使用することが挙げられる。
【0009】
最新の方法は、DNAポリメラーゼ酵素の阻害に関する。現在までに2種類の阻害剤が知られており、抗体とオリゴヌクレオチドである。
【0010】
US 5,338,671には、標的核酸を含む疑いのある試料と、DNAポリメラーゼの温度感受性阻害剤を含むPCR試薬とを接触させる工程を含み、前記阻害剤が、DNAポリメラーゼに特異的であり、約85℃未満の温度T1でDNAポリメラーゼを阻害し、T1より高く、また約40℃より高い温度T2で不可逆的に不活性化される抗体である、標的核酸の増幅方法が記載されている。したがって、抗体は、抗体が不可逆的に変性するようなPCRの温度になるまでDNAポリメラーゼを阻害することにより機能する。その時点で、DNAポリメラーゼは阻害されなくなる。しかし、この方法は有用であるが、このアプローチの欠点は残る。1つ目は抗体の使用に伴う高コスト、2つ目は異なる酵素ごとの抗体の要件、3つ目は抗体-DNAポリメラーゼが温度の上昇によって緩徐にのみ破壊されるため、ポリメラーゼが活性化される特定の温度を制御できないことである。さらなる欠点は、抗体が不可逆的に変性するため、DNAポリメラーゼが、PCR反応中ではなく、PCR反応の開始時にのみ阻害されることである。
【0011】
US 5,693,502には、(1)標的核酸を含むサンプルを、温度依存的様式でDNAポリメラーゼを阻害することができる一本鎖核酸リガンドと混合する工程、(2)核酸がDNAポリメラーゼを阻害しなくなる温度まで混合物を加熱する工程、および(3)PCRを実行する工程を含む、PCRを実施するための方法が記載されている。核酸リガンドは抗体よりも安価であるが、それでも欠点が残る。すなわち、核酸-DNAポリメラーゼは温度の上昇によって緩徐にのみ破壊されるため、ポリメラーゼが活性化される特定の温度を制御することはできない。また、阻害は室温またはそれよりわずかに高い温度でのみ有効である。よって、この技術は完全なホットスタートを提供しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的の1つは、標的核酸を増幅するための代替の方法および試薬を提供することである。さらなる目的は、標的核酸を増幅するための改善された方法および試薬を提供することである。関連する目的は、かかる方法で使用するためのコンジュゲート、ならびに前記コンジュゲートを含む水溶液およびキットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の概要)
したがって、本発明は、
(a)標的核酸を含むDNAサンプルを:
(i)DNAポリメラーゼ、
(ii)標的核酸に隣接するように(to flank)設計された少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマー、
(iii)dATP、dGTP、dCTP、およびdTTPの混合物、ならびに
(iv)負の温度感受性ポリマー(negative temperature sensitive polymer)に共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含むコンジュゲート
と接触させること、
(b)工程(a)の産物を、コンジュゲートが沈殿し、それによりDNAポリメラーゼが阻害されなくなる温度に加熱すること、
(c)例えば、標的核酸を変性させ、プライマーを標的核酸にアニーリングし、プライマーを伸長するPCR工程を実行することにより、標的核酸を増幅すること、
を含む、DNAサンプル中の標的核酸を増幅する方法であって、
工程(c)は少なくとも2回繰り返される、方法
を提供する。
【0014】
負の温度感受性ポリマーに共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含むコンジュゲートも提供される。
【0015】
さらに、
(a)DNAポリメラーゼ、および
(b)負の温度感受性ポリマーに共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含むコンジュゲート
を含む、キットが提供される。
【0016】
(ii)負の温度感受性ポリマーに共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含むコンジュゲートに結合した(i)DNAポリメラーゼ、を含む水性組成物がさらに提供される。
【0017】
本発明の使用において、例えば、試薬が存在し室温(20℃)でのPCRによるDNA増幅の前に、コンジュゲートは溶液中にあり、阻害剤部分は、DNAポリメラーゼに結合してDNAポリメラーゼの活性を阻害する。温度を上げると、コンジュゲートが沈殿するまでそれは溶液中に残存し、阻害剤が溶液から取り出され、DNAポリメラーゼが遊離する。
【0018】
適切には、コンジュゲートは、35℃から65℃の間、好ましくは40℃から60℃の間、より好ましくは45℃から55℃の間の温度で沈殿する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【発明を実施するための形態】
【0020】
(発明の詳細)
本発明は、
(a)標的核酸を含むDNAサンプルを:
(i)DNAポリメラーゼ、
(ii)標的核酸に隣接するように設計された少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマー、
(iii)dATP、dGTP、dCTP、およびdTTPの混合物、ならびに
(iv)負の温度感受性ポリマーに共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含むコンジュゲート
と接触させること、
(b)工程(a)の産物を、コンジュゲートが沈殿し、それによりDNAポリメラーゼが阻害されなくなる温度に加熱すること、
(c)例えば、標的核酸を変性させ、プライマーを標的核酸にアニーリングし、プライマーを伸長するPCR工程を実行することにより、標的核酸を増幅すること、
を含む、DNAサンプル中の標的核酸を増幅する方法であって、工程(c)は少なくとも2回繰り返される、方法を提供する。
【0021】
典型的には、増幅は水性緩衝液中で実施される。したがって、この方法は、
(a)標的核酸を含むDNAサンプルを:
(i)DNAポリメラーゼ、
(ii)標的核酸に隣接するように設計された少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマー、
(iii)dATP、dGTP、dCTP、およびdTTPの混合物、
(iv)水性緩衝液、ならびに
(v)負の温度感受性ポリマーに共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含むコンジュゲート
と接触させること、
(b)工程(a)の産物を、コンジュゲートが沈殿し、それによりDNAポリメラーゼが阻害されなくなる温度に加熱すること、
(c)標的核酸を変性させ、プライマーを標的核酸にアニーリングし、プライマーを伸長する標準的なPCR工程を実行すること、
を含み、工程(c)は少なくとも2回繰り返される、DNAサンプル中の標的核酸を増幅することを含み得る。
【0022】
本発明を説明するために実施された実施例において、以下に詳細に記載されるように、DNAポリメラーゼは、cDNAのDNA増幅の前に、RTase反応において本発明のコンジュゲートを使用して可逆的に阻害された。理解されるように、本発明の使用は、改善されたDNA増幅反応にある。PCR反応で使用される典型的なプライマーのアニーリング温度よりも低いが、室温および高温での阻害剤の存在により、PCR反応の産物を汚染し得る望まれない生成物の形成が低減される。たとえば、低温でのプライマーの非特異的結合は、DNAポリメラーゼが存在し、活性である場合、標的以外の配列の増幅をもたらし得る。本発明のコンジュゲートはこれを防ぐ。
【0023】
本発明の方法は、負の温度感受性ポリマーに共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含むコンジュゲートを使用する。したがって、本発明はまた、負の温度感受性ポリマーに共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含むコンジュゲートを提供する。
【0024】
DNAポリメラーゼ阻害剤は、それぞれDNAテンプレートまたはRNAテンプレートからのDNA分子の合成を触媒するDNAまたはRNA指向性DNAポリメラーゼを阻害し得る。
【0025】
本発明のコンジュゲートで使用され、順次本発明の方法で使用される阻害剤の標的として適切なDNAポリメラーゼの例としては、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、サーモコッカス・コダカラエンシス(Thermococcus kodakaraensis)、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)、パイロコッカス・ウォエセイ(Pyrococcus woesei)、サーマス・フィリフォルミス(Thermus filiformis)、サーマス・フラブス(Thermus flavus)、サーマス・ユビキタス(Thermus ubiquitous)、サーマス・リトラリス(Thermus litoralis)、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima)から単離されたもの、または前記DNAポリメラーゼの任意の組換体バージョンが挙げられる。
【0026】
DNAポリメラーゼの阻害剤の例として、ビダラビン、ラミブジン、リファマイシンSV一ナトリウム塩(rifamycin SV monosodium salt)、ネオババイソフラボン、ヘキサプレニルヒドロキノン、アバカビルヘミ硫酸塩、アフィジコリン、ミトラマイシンA、テノホビルおよびチオルチンが挙げられる。
【0027】
本発明の好ましい実施形態において、阻害剤はジドブジンである。
【0028】
DNAポリメラーゼ阻害剤の例が特定されているが、DNAポリメラーゼを阻害するために使用される阻害剤の種類、およびその作用機序は、実際は重要ではない。阻害剤は、競合的または非競合的様式でDNAポリメラーゼを阻害し得る。PCRは当業者によく知られた技術である。所与の候補阻害剤がDNAポリメラーゼを阻害するかどうかを試験するために、候補阻害剤および既知の阻害剤有り(陽性対照)および阻害剤無し(陰性対照)で、既知の標的DNA、標的に対するプライマー、標準試薬を使用して、標準条件下少なくとも25サイクルでPCR反応を行うことができる。(ネガティブコントロール反応に対する)生成物の存在により、DNAポリメラーゼが活性であることが確認されるため、候補阻害剤に対する生成物の不在は、候補物質が実際にDNAポリメラーゼの阻害剤であることを示す。この文脈における生成物の不在は、ネガティブコントロールに対するよりも、25%以下、好ましくは10%以下の生成物の形成を指す。
【0029】
本発明の方法で使用される本発明のコンジュゲートは、負の温度感受性ポリマー、特定の種類の熱応答性ポリマーを含む。
【0030】
温度応答性ポリマーとしても知られる熱応答性ポリマーは、温度変化に応答して物理的または化学的特性の劇的かつ不連続な変化を示すポリマーである。
【0031】
本発明の方法で使用される本発明のコンジュゲートにおいて、温度に敏感であるのは、熱応答性ポリマーの溶解度であり、ひいてはコンジュゲートである。
【0032】
温度変化に応じて溶解状態が変化する熱応答性ポリマーは、2つのクラスに分類できる。1つ目のクラスは、下限臨界溶液温度(LCST)と呼ばれる臨界温度を超えると不溶性になる熱応答性ポリマーを含み、2つ目のクラスは、沈殿し、上限臨界溶液温度(UCST)として知られる臨界温度以下で相変化を起こす熱応答性ポリマーを含む。
【0033】
LCSTを示すポリマーを水系に溶解すると、一般にLCSTより下で完全に混和するが、水溶液への溶解度は、温度の上昇とともに低下する。臨界値、すなわちLCSTを超えると、それらは相分離を示し、ポリマー鎖はコイル-グロビュール-凝集体転移(coil-to-globule-to-aggregate transition)を示す。LCSTを示すポリマーは、「負の温度感受性ポリマー」としても知られている。LCSTポリマーの例としては、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAAm)、ポリビニルカプロラクタム(PNVCL)、ポリ(N,N-ジエチルアクリルアミド)(PDEAM)、ポリ(N-エチルメタクリルアミド)(PNEMAM)、ポリ(メチルビニルエーテル)(PMVE)およびポリ(2-エトキシエチルビニルエーテル(PEOVE)が挙げられる。
【0034】
UCSTを示す熱応答性ポリマーは、「正の温度感受性ポリマー」と称される。これらのポリマーは、特定の温度を超えると、溶液中で混和性を維持するが、溶液の温度が臨界値、すなわちUCSTを下回ると、相分離が発生する。UCSTポリマーの例としては、ポリ(アクリル酸)(PAA)、ポリアクリルアミド(PAAm)、およびポリ(アクリルアミド-co-ブチルメタクリレート)が挙げられる。
【0035】
LCSTまたはUCSTは、熱応答性ポリマーの固有の特性であり、ポリマーを阻害剤、例えばDNAポリメラーゼ阻害剤と単に混合しても変化しない。しかしながら、ポリマーが、阻害剤、例えばDNAポリメラーゼ阻害剤に化学的に結合している場合は、LCSTまたはUCSTが変化し得る。LCSTまたはUCSTの変化は、阻害剤、例えばDNAポリメラーゼ阻害剤の性質に依拠する。
【0036】
LCSTポリマーに関して、阻害剤が親水性の場合、LCSTは通常上昇し、したがって、溶液相からコンジュゲートを沈殿させるためにより高い温度が必要となる。反対に、阻害剤が疎水性の場合、LCSTは、通常低下する。
【0037】
UCSTポリマーに関して、阻害剤が親水性の場合、UCSTは通常低下し、したがってコンジュゲートが溶液になるにはより低い温度が必要となる。反対に、阻害剤が疎水性の場合、UCSTは通常上昇する。
【0038】
上述のように、熱応答性ポリマーの重要な特徴は、温度変化に応答して、物理的または化学的特性の劇的で不連続な変化を示すことである。
【0039】
熱応答性ポリマーが、DNAポリメラーゼの阻害剤などの阻害剤に共有結合している場合、この特性は、コンジュゲート全体に実質的に付与できる。すなわち、コンジュゲートも、温度変化に応じて、その物理的または化学的特性に劇的かつ不連続な変化を示す。
【0040】
本発明において、DNAポリメラーゼ酵素がいつ活性化され、いつ阻害されるかを厳密に制御できることが有利である。
【0041】
本明細書において、LCSTへの言及は、単離された(非共役ポリマー)ではなく、共役のLCSTへの言及である。したがって、本発明の方法で使用される本発明のコンジュゲートにおいて、熱応答性ポリマーが負の温度感受性ポリマーであり、LCST(すなわち、沈殿温度)より5℃高い場合、コンジュゲートの10%以下が溶液中にあり、LCST(すなわち沈殿温度)より5℃低い場合、コンジュゲートの90%以上が溶液中にある。より好ましくは、LCST(すなわち、沈殿温度)より2℃高い場合、コンジュゲートの10%以下が溶液中にあり、LCST(すなわち、沈殿温度)より2℃低い場合、コンジュゲートの90%以上が溶液中にある。さらにより好ましくは、LCST(すなわち、沈殿温度)より1℃高い場合、コンジュゲートの10%以下が溶液中にあり、LCST(すなわち、沈殿温度)より1℃低い場合、コンジュゲートの90%以上が溶液中にある。
【0042】
本発明の好ましい実施形態において、負の温度感受性ポリマーは、ポリ(N-置換アクリルアミド)およびその誘導体、ポリ(メチルビニルエーテル)、ポリ(N-ビニルカプロラクタム)、ポリ(2-置換2-オキサゾリン)およびその誘導体、ポリ(2-置換2-オキサジン)およびその誘導体、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ(アスパラギン)ペプチドおよびその誘導体から選択されるポリマーであるか、該ポリマーを含む。最も好ましくは、負の温度感受性ポリマーは、PNiPMAMとも称されるポリ(N-イソプロピルメタクリルアミド)である。
【0043】
サイズ、すなわち負の温度感受性ポリマーの分子量は、最大200 KDaの範囲であってもよく、200 KDaから10 KDaの範囲であってもよい。それでも、適切には、負の温度感受性ポリマーは、200 KDa未満、より適切には100 KDa未満の分子量を有し、そして50 KDa未満でもよく、または20 KDa未満でもよい。いくつかの好ましい実施形態において、本発明の方法で使用される本発明のコンジュゲートの負の温度感受性ポリマー成分は、該ポリマーの感受性を損なうことなく、使用される材料の量を最小限に抑えるために、比較的小さく/短くなるように選択される。一部のポリマー、例えば、アクリルアミド誘導体の場合、LCSTは、分子量やポリマー濃度によって大きく変化しないため、さまざまなサイズ/重量を使用し得る
【0044】
熱応答性ポリマー、例えば、本発明のコンジュゲートで使用され、順次本発明の方法で使用される負の温度感受性ポリマーのサイズを決定するための適切な方法として、高分子膜浸透圧測定、ゲル浸透クロマトグラフィー、粘度分析、質量分析、例えば、NMRおよび静的光散乱法による末端基分析が挙げられる。
【0045】
本発明のコンジュゲートで使用され、順次本発明の方法で使用される負の温度感受性ポリマーを選択する際に留意する必要がある1つの考慮事項は、コンジュゲートが相転移を示す所望の温度である。これは、コンジュゲートの負の温度感受性ポリマー成分によって主に決定されるためである。
【0046】
本発明の好ましい実施形態において、コンジュゲートは、35℃から65℃の間、好ましくは40℃から60℃の間、より好ましくは45℃から55℃の間、さらにより好ましくは48℃から52℃の間の温度で沈殿する。
【0047】
PCRは、より長いDNA配列またはDNA分子の混合物から特定の標的DNAの複数のコピーを作製するために用いられる手法である。言い換えれば、PCRはDNAサンプル中の標的核酸を増幅する方法である。この手法は、DNA合成の開始点を提供するプライマーまたはオリゴヌクレオチドプライマーとして当該技術分野で既知のヌクレオチドの2つの短い配列を必要とする。プライマーは、標的DNAに隣接するように設計された一本鎖DNAの短い配列であり、通常は、長さが約20~25ヌクレオチドである。すなわち、それらは、複製される領域の末端で標的DNAの反対側の鎖に相補的であるように設計されている。したがって、一方のプライマーはフォワードプライマーと称され、もう一方のプライマーはリバースプライマーと称される。PCR反応は、特定の標的DNAを含むテンプレートDNAを、2つのプライマー、デオキシヌクレオチド三リン酸(dNTPs)、例えば、dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP、緩衝液(大抵、MgCl2含有)、ならびにDNAポリメラーゼと共に、反応容器に添加することによって行われる。準備ができたら、反応容器を、所定の時間、温度を上昇したり下降したりするサーマルサイクラーに入れる。まず、テンプレートDNAを変性させるために、すなわち、二本鎖DNAを一本鎖に分離するために、温度を約90℃以上に昇温する。この段階は、一般に「変性段階(denaturation phase)」と称される。次に、プライマーを一本鎖DNAにアニーリングさせるために、温度を約55℃~65℃に降温させる。この段階は、一般に「アニーリング段階(annealing phase)」と称される。次に、温度を約72℃に昇温し、DNAポリメラーゼがプライマーを伸長し、そして新しいDNA鎖を合成できるようにする。この段階は、一般に「伸長段階(extension
phase)」と称される。伸長段階が完了すると、変性、アニーリング、および伸長のサイクルが通常、25~35回繰り返される。
【0048】
逆転写PCR(RT-PCR)は、RNAの相補的DNA(cDNA)への逆転写と、DNAサンプル中の標的核酸の増幅を組み合わせた関連技術である。RT-PCRでは、RNAテンプレートは、最初に逆転写酵素を用いてcDNAに変換される。次に、cDNAは、上述のように、通常のPCRのテンプレートとして使用される。
【0049】
本発明の好ましい実施形態において、DNAポリメラーゼ阻害剤はジドブジンであり、負の温度感受性ポリマーはPNiPMAMである。
【0050】
PCR反応におけるDNAポリメラーゼの阻害剤と負の温度感受性ポリマーを含むコンジュゲートの使用に関連する利点は、温度が上昇しても阻害剤がその効果を維持することである。これは、例えば、DNAポリメラーゼを阻害するために抗体が用いられる状況とは正反対である。DNAポリメラーゼを阻害するために抗体が使用される場合、温度の上昇は、抗体の不可逆的な変性を引き起こす。対照的に、本発明の方法で使用される本発明のコンジュゲートは、必要に応じて、溶液に出入りして、PCR反応を通して阻害効果を維持する。
【0051】
本発明の特定の方法、本発明のキット、および本発明の水性組成物で使用されるDNAポリメラーゼは、好ましくは、耐熱性/熱安定性(thermostable/heat-stable)DNAポリメラーゼである。このようなポリメラーゼを単離できる種の例としては、サーマス・アクアティカス(Thermus aquaticus)、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、サーモコッカス・コダカラエンシス(Thermococcus kodakaraensis)、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilus)、パイロコッカス・ウォエセイ(Pyrococcus woesei)、サーマス・フィリフォルミス(Thermus filiformis)、サーマス・フラブス(Thermus flavus)、サーマス・ユビキタス(Thermus ubiquitous)、サーマス・リトラリス(Thermus litoralis)、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima)が挙げれられる。DNAポリメラーゼはまた、前述の天然DNAポリメラーゼのいずれかの組換体バージョンであり得る。本発明の好ましい実施形態において、DNAポリメラーゼは、Taqポリメラーゼである。
【0052】
本発明の方法における重要な工程は、工程(b)であり、これは、工程(a)の産物を、コンジュゲートが沈殿し、DNAポリメラーゼがもはや阻害されない温度に加熱することを含む。本発明の好ましい実施形態では、工程(a)の産物は、少なくとも35℃、好ましくは少なくとも40℃、さらにより好ましくは少なくとも45℃、最も好ましくは少なくとも48℃の温度に加熱される。したがって、本発明の好ましい実施形態において、コンジュゲートは、少なくとも35℃、好ましくは少なくとも40℃、さらにより好ましくは少なくとも45℃、最も好ましくは少なくとも48℃の温度で沈殿する。また、好ましくは、コンジュゲートは、60℃以下、適切には55℃以下、または52℃以下の温度で沈殿する。
【0053】
PCR法の工程(c)は、標的核酸を変性させ、プライマーを標的核酸にアニーリングし、プライマーを伸長する標準的なPCR工程を実行し、次に、伸長工程が完了すると、変性、アニーリング、および伸長のサイクルを少なくとも2回繰り返すことを含む。この工程(c)、つまり変性、アニーリング、および伸長のサイクルが繰り返される回数は、反応に投入されたDNAテンプレートの量とPCR産物の所望する収量に依存する。投入量が少ないほど、工程(c)を繰り返す必要がある回数が多くなる。同様に、PCR産物の所望する収量が多いほど、工程(c)を繰り返す必要がある回数が多くなる。本発明の好ましい実施形態では、工程(c)は、少なくとも10回、さらにより好ましくは少なくとも20回、そして最も好ましくは少なくとも30回繰り返される。
【0054】
本発明のキットおよび水性組成物に存在し、本発明の方法で使用される本発明のコンジュゲートを調製するために用いられる方法は、DNAポリメラーゼ阻害剤および負の温度感受性ポリマーが共有結合でコンジュゲートする限り、重要ではない。分子を共有結合でコンジュゲートさせる方法は、当業者によく知られている。コンジュゲートは、DNAポリメラーゼ阻害剤が、負の温度感受性ポリマーへの結合を可能にする官能基を含む場合は直接的であり、リンカーが、DNAポリメラーゼ阻害剤と負の温度感受性ポリマーの間に存在し得る場合は間接的であり得る。実施例1のコンジュゲートにおいて、DNAポリメラーゼ阻害剤は、リンカーを介してポリマーにコンジュゲートされる。
【0055】
本発明の好ましい実施形態において、コンジュゲートは、負の温度感受性ポリマーの末端またはその近く(near)に共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含む。この文脈で、近く(near)とは、負の温度感受性ポリマーの末端から20モノマー以内、好ましくは10モノマー以内、好ましくは5モノマー以内、より好ましくは2モノマー以内を意味する。
【0056】
さらにより好ましくは、コンジュゲートは、負の温度感受性ポリマーの末端に共有結合したDNAポリメラーゼ阻害剤を含む。この構成に関連する利点は、DNAポリメラーゼ阻害剤がDNAポリメラーゼによりアクセスし易いことである。負の温度感受性ポリマーに対するDNAポリメラーゼ阻害剤のこの配置を達成するために、モノマーが組み合わされ、そして阻害剤の添加前に一定期間重合が行われ、その後、阻害剤が、その末端またはその近くでポリマーに組み込まれる/結合される。
【実施例】
【0057】
(実施例)
次に、本発明を、添付の図面を参照して特定の例でさらに説明する。ここで、
図1は、RTaseを単独で、またはジドブジン-ポリ-N-イソプロピルメタクリルアミドに結合させて、さまざまな温度で実施したRTase反応由来のcDNAの定量化を示し、続いてRTase cDNAは、増幅させて、qPCRで定量した。
【0058】
(実施例1)
熱応答性ジドブジン-ポリ-N-イソプロピルメタクリルアミド阻害剤の調製
(工程1:アクリル酸プロパルギルとの反応による重合性ジドブジンの調製)
アクリル酸プロパルギル(413μl、2当量)を密閉可能な容器内のエタノール(30 ml)に添加し、窒素で5分間フラッシュした後、ジドブジン(0.50 g)、硫酸銅(水中30 mg、1 mol%)およびアスコルビン酸ナトリウム(水中62 mg、17 mol%)を添加した。硫酸銅とアスコルビン酸ナトリウムは、それらの両方を溶解するのに十分な水を反応に加えた場合、固体として添加し得る。容器を密閉し、穏やかに攪拌しながら30℃に加熱し、一晩放置した。次に、窒素ガスを使用して、溶媒を部分的に蒸発させた(カラムあたり約4時間で十分)。次に、フラッシュシリカクロマトグラフィー(100% 酢酸エチル)を精製に使用し、溶媒を減圧下、室温で除去した。0.332 gの白色固体(0.88 mmol、収率47%)を得た。
【0059】
(工程2:フリーラジカル重合とポリマー精製)
ガラスバイアルに、26 mgの重合性ジドブジン、50 mgの1,1'-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)および0.9 gのN-イソプロピルメタクリルアミドを、20 mlのエタノールを用いて溶解した。次に、混合物を窒素で5分間バブリングし、スクリューキャップで密封し、70℃のオーブンに24時間入れた。ポリマー(「P」)を、上記のように調製した。ポリマー(「P1X」)を上記のように調製したが、26 mgの重合可能なジドブジンの添加を、2時間の重合後に行った。ポリマー(「P2X」)を、ポリマー(「P1X」)のように調製したが、26 mgの重合性ジドブジンの代わりに52 mgを添加した。重合後、すべてのポリマーを同じプロトコルを用いて精製した。このために、重合混合物を、およそ150 mlの脱イオン水に添加し、最初の沈殿物をろ過により除去し、廃棄した。次に、フィルターの通過画分を60℃に加熱した。形成した沈殿物を、公称孔径1.2μmのガラス繊維膜を用いて濾過することで除去した。回収後、メンブレンを室温まで冷却し、温度応答性ポリマーをエタノール/水50/50%(v/v)で溶出した。得られたポリマーは、水に分散したポリマー溶液を加熱すると濁りが形成されることから観察されるように、約52℃の下限臨界溶液温度を有していた。
【0060】
(実施例2)
実施例1の熱応答性ジドブジン-ポリ-N-イソプロピルメタクリルアミド阻害剤を用いた逆転写酵素(RTase)可逆的阻害実験
この実施例は、RTaseの可逆的阻害のための実施例1からの熱応答性ジドブジン-ポリ-N-イソプロピルメタクリルアミド阻害剤の使用を示す。反応は、PCR Bio(UK)のUltraScript 2.0逆転写酵素を用いて、製造元の指示に従って行った。一般的な条件は、総反応量が20μlの場合である。
【0061】
RNA = PCRバイオバッファーミックス(Bio buffer mix)中に、5μgテンプレートとランダムヘキサマープライマー
PCR Bio RTase = 324 nM
150 ngのジドブジン-ポリ-N-イソプロピルメタクリルアミド
【0062】
(RTase反応)
反応を、ジドブジン-ポリ-N-イソプロピルメタクリルアミドのLCST未満および超の温度範囲で実施し、コンジュゲートの阻害と熱可逆性の両方を評価した。個々の反応バイアルを設定温度で30分間保持し、反応を進行させた。使用した温度は25℃、43℃、55℃、および35℃で、後者は55℃の工程の後に行った。各インキュベーション後、qPCR増幅および定量化のために1~2μlのcDNA産物を回収した。結果を
図1に示す。生成物のピークの損失を観察することで阻害を検出した。
【0063】
実施例1で調製したジドブジン-ポリ-N-イソプロピルメタクリルアミドは、約52℃の下限臨界溶液温度を有し、したがって、約52℃を超える温度では、実質的にすべてのコンジュゲートが溶液からなくなっていたことに留意すべきである。
【0064】
これにより、RTaseが熱応答性ポリマーに結合した場合のRTase活性(可用性)への温度依存性を確認し、そして阻害は可逆的であった。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)標的核酸を含むDNAサンプルを:
(i)
Taqポリメラーゼ、
(ii)標的核酸に隣接するように設計された少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマー、
(iii)dATP、dGTP、dCTP、およびdTTPの混合物、ならびに
(iv)負の温度感受性ポリマーに共有結合した
Taqポリメラーゼ阻害剤を含むコンジュゲート
と接触させること、
(b)工程(a)の産物を、コンジュゲートが沈殿し、それにより
Taqポリメラーゼが阻害されなくなる温度に加熱すること、
(c)例えば、標的核酸を変性させ、プライマーを標的核酸にアニーリングし、プライマーを伸長するPCR工程を実行することにより、標的核酸を増幅すること、
を含む、DNAサンプル中の標的核酸を増幅する方法であって、
工程(c)は少なくとも2回繰り返され
、沈殿温度より2℃高い場合、前記コンジュゲートの10%以下が溶液中にあり、沈殿温度より2℃低い場合、前記コンジュゲートの90%以上が溶液中にある、方法。
【請求項2】
前記コンジュゲートが沈殿する温度で加熱した場合、前記コンジュゲートが不可逆的に変性しない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記
Taqポリメラーゼ阻害剤が、ビダラビン、ラミブジン、リファマイシンSV一ナトリウム塩、ネオババイソフラボン、ヘキサプレニルヒドロキノン、アバカビルヘミ硫酸塩、アフィジコリン、ミトラマイシンA、テノホビル、またはチオルチンである、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項4】
前記
Taqポリメラーゼ阻害剤がジドブジンである、請求項1
または2に記載の方法。
【請求項5】
前記負の温度感受性ポリマーが、以下:
(i)ポリ(N-置換アクリルアミド)およびその誘導体、
(ii)ポリ(メチルビニルエーテル)、
(iii)ポリ(N-ビニルカプロラクタム)、
(iv)ポリ(2-置換2-オキサゾリン)およびその誘導体、
(v)ポリ(2-置換2-オキサジン)およびその誘導体、
(vi)ヒドロキシプロピルメチルセルロース、
(vii)エチルヒドロキシエチルセルロース、
(viii)ヒドロキシエチルセルロース、
(ix)ポリ(アスパラギン)およびその誘導体、ならびに
(x)PNiPMAM
から選択される、請求項1から
4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記コンジュゲートが、35℃から65℃の間、好ましくは40℃から60℃の間、より好ましくは45℃から55℃の間の温度で沈殿する、請求項1から
5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記コンジュゲートが48℃から52℃の間の温度で沈殿する、請求項1から
6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
沈殿温度より1℃高い場合、前記コンジュゲートの10%以下が溶液中にあり、沈殿温度より1℃低い場合、前記コンジュゲートの90%以上が溶液中にある、任意の先行する請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記コンジュゲートが、前記負の温度感受性ポリマーの末端または末端近くで共有結合した
Taqポリメラーゼ阻害剤を含む、任意の先行する請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記コンジュゲートが、前記負の温度感受性ポリマーの末端で共有結合した
Taqポリメラーゼ阻害剤を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(a)
Taqポリメラーゼ、および
(b)負の温度感受性ポリマーに共有結合した
Taqポリメラーゼ阻害剤を含むコンジュゲート
を含み、前記コンジュゲートが、35℃から65℃の間、好ましくは40℃から60℃の間、より好ましくは45℃から55℃の間の温度で沈殿
し、および
沈殿温度より2℃高い場合、前記コンジュゲートの10%以下が溶液中にあり、沈殿温度より2℃低い場合、前記コンジュゲートの90%以上が溶液中にある、キット。
【請求項12】
前記コンジュゲートが、48℃から52℃の間の温度で沈殿する、請求項
11に記載のキット。
【請求項13】
前記
Taqポリメラーゼ阻害剤が、ビダラビン、ラミブジン、リファマイシンSV一ナトリウム塩、ネオババイソフラボン、ヘキサプレニルヒドロキノン、アバカビルヘミ硫酸塩、アフィジコリン、ミトラマイシンA、テノホビル、またはチオルチンである、請求項
11または
12に記載のキット。
【請求項14】
Taqポリメラーゼ阻害剤がジドブジンである、請求項
11または
12に記載のキット。
【請求項15】
沈殿温度より1℃高い場合、前記コンジュゲートの10%以下が溶液中にあり、沈殿温度より1℃低い場合、前記コンジュゲートの90%以上が溶液中にある、請求項
11に記載のキット。
【請求項16】
前記コンジュゲートが、前記負の温度感受性ポリマーの末端または末端近くで共有結合した
Taqポリメラーゼ阻害剤を含む、請求項
11から
15のいずれかに記載のキット。
【請求項17】
前記コンジュゲートが、前記負の温度感受性ポリマーの末端で共有結合した
Taqポリメラーゼ阻害剤を含む、請求項
16に記載のキット。
【請求項18】
(ii)負の温度感受性ポリマーに共有結合した
Taqポリメラーゼ阻害剤を含むコンジュゲートと結合した(i)
Taqポリメラーゼを含
み、前記コンジュゲートが、35℃から65℃の間、好ましくは40℃から60℃の間、より好ましくは45℃から55℃の間の温度で沈殿し、および沈殿温度より2℃高い場合、前記コンジュゲートの10%以下が溶液中にあり、沈殿温度より2℃低い場合、前記コンジュゲートの90%以上が溶液中にある、水性組成物。
【請求項19】
前記コンジュゲートが、48℃から52℃の間の温度で沈殿する、請求項
18に記載の水性組成物。
【請求項20】
前記
Taqポリメラーゼ阻害剤が、ビダラビン、ラミブジン、リファマイシンSV一ナトリウム塩、ネオババイソフラボン、ヘキサプレニルヒドロキノン、アバカビルヘミ硫酸塩、アフィジコリン、ミトラマイシンA、テノホビル、またはチオルチンである、請求項
18または19に記載の水性組成物。
【請求項21】
前記
Taqポリメラーゼ阻害剤がジドブジンである、請求項
18または19に記載の水性組成物。
【請求項22】
沈殿温度より1℃高い場合、前記コンジュゲートの10%以下が溶液中にあり、沈殿温度より1℃低い場合、前記コンジュゲートの90%以上が溶液中にある、請求項
18から21のいずれかに記載の水溶性組成物。
【請求項23】
前記コンジュゲートが、前記負の温度感受性ポリマーの末端または末端近くで共有結合した
Taqポリメラーゼ阻害剤を含む、請求項
18から
22のいずれかに記載の水性組成物。
【請求項24】
前記コンジュゲートが、前記負の温度感受性ポリマーの末端で共有結合した
Taqポリメラーゼ阻害剤を含む、請求項
23に記載の水性組成物。
【請求項25】
負の温度感受性ポリマーに共有結合した
Taqポリメラーゼ阻害剤を含
み、前記コンジュゲートが、35℃から65℃の間、好ましくは40℃から60℃の間、より好ましくは45℃から55℃の間の温度で沈殿し、および沈殿温度より2℃高い場合、前記コンジュゲートの10%以下が溶液中にあり、沈殿温度より2℃低い場合、前記コンジュゲートの90%以上が溶液中にある、コンジュゲート。
【請求項26】
前記コンジュゲートが、48℃から52℃の間の温度で沈殿する、請求項
25に記載のコンジュゲート。
【請求項27】
前記
Taqポリメラーゼ阻害剤が、ビダラビン、ラミブジン、リファマイシンSV一ナトリウム塩、ネオババイソフラボン、ヘキサプレニルヒドロキノン、アバカビルヘミ硫酸塩、アフィジコリン、ミトラマイシンA、テノホビル、またはチオルチンである、請求項
25または26に記載のコンジュゲート。
【請求項28】
前記
Taqポリメラーゼ阻害剤がジドブジンである、請求項
25または26に記載のコンジュゲート。
【請求項29】
沈殿温度より1℃高い場合、前記コンジュゲートの10%以下が溶液中にあり、沈殿温度より1℃低い場合、前記コンジュゲートの90%以上が溶液中にある、請求項
25から28のいずれかに記載のコンジュゲート。
【請求項30】
前記コンジュゲートが、前記負の温度感受性ポリマーの末端または末端近くで共有結合した
Taqポリメラーゼ阻害剤を含む、請求項
25から
29のいずれかに記載のコンジュゲート。
【請求項31】
前記コンジュゲートが、前記負の温度感受性ポリマーの末端で共有結合した
Taqポリメラーゼ阻害剤を含む、請求項
30に記載のコンジュゲート。
【請求項32】
(a)標的核酸を含むRNAサンプルを:
(i)逆転写酵素、
(ii)標的核酸に隣接するように設計された少なくとも2つのオリゴヌクレオチドプライマー、
(iii)dATP、dGTP、dCTP、およびdTTPの混合物、ならびに
(iv)負の温度感受性ポリマーに共有結合した逆転写酵素阻害剤を含むコンジュゲート
と接触させること、
(b)工程(a)の産物を、コンジュゲートが沈殿し、それにより逆転写酵素が阻害されなくなる温度に加熱すること、
(c)例えば、cDNAを変性させ、プライマーをcDNAにアニーリングし、プライマーを伸長するPCR工程を実行することにより、工程(b)のCDNA産物を増幅すること、
を含む、RNAサンプル中の標的核酸を増幅する方法であって、
工程(c)は少なくとも2回繰り返され、沈殿温度より2℃高い場合、前記コンジュゲートの10%以下が溶液中にあり、沈殿温度より2℃低い場合、前記コンジュゲートの90%以上が溶液中にある、方法。
【国際調査報告】