(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(54)【発明の名称】強化された色安定性を有する化粧品組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/37 20060101AFI20230113BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230113BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20230113BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230113BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A61K8/37
A61K8/34
A61K8/46
A61Q19/00
A61K8/67
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523628
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(85)【翻訳文提出日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 EP2020078953
(87)【国際公開番号】W WO2021078611
(87)【国際公開日】2021-04-29
(32)【優先日】2019-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ベクト,ハシバ
(72)【発明者】
【氏名】フアン,レイ
(72)【発明者】
【氏名】モアデル,ティーノッシュ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC012
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC242
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC341
4C083AC442
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC532
4C083AC761
4C083AC762
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD152
4C083AD621
4C083AD622
4C083AD662
4C083BB11
4C083BB46
4C083BB47
4C083BB48
4C083BB51
4C083CC02
4C083DD33
4C083EE01
(57)【要約】
本発明は、レゾルシノール類を含んでいるパーソナルケア組成物を対象とする。レゾルシノール類を含んでいる組成物の色安定性を改善するための効果的な方法が望まれている。適合性のある油及び特定の比率の酸化防止剤と組み合わせられたアルキルレゾルシノール類及びレチノイド類は、レゾルシノール類の改善された色安定性を提供することが見出された。従って、本発明は、ブチル化ヒドロキシトルエン及びジラウリルチオジプロピオネートとアルキルレゾルシノール類及びレチノイド類との相乗的組み合わせを含んでいる組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧品組成物であって、
(a) 油溶性アルキルレゾルシノール;
(b) レチノイド;
(c) 油(ここで、該油は、16~22のHansen総溶解度パラメーターを有する);及び、
(d) BHTとジラウリルチオジプロピオネートの活性混合物(ここで、BHTとジラウリルチオジプロピオネートの重量比は、0.8:4.2~4.2:0.8である);
を含んでいる、前記化粧品組成物。
【請求項2】
抗酸化剤が、前記化粧品組成物の0.15重量%の最小総重量パーセントで存在している、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項3】
前記アルキルレゾルシノールが、4-ヘキシルレゾルシノール、4-フェニルエチルレゾルシノール、4-シクロペンチルレゾルシノール、4-シクロヘキシルレゾルシノール及びそれらの混合物からなる群から選択され、さらに、前記組成物が、0.001~10重量%のアルキルレゾルシノール又はその混合物を含んでいる、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項4】
前記レチノイドが、レチニルエステル、レチノール、レチナールエステル、レチノイン酸、レチナールエステル、レチニルエステル及びそれらの混合物を含んでおり、さらに、前記組成物が、0.001~10重量%のレチノイド又はそれらの混合物を含んでいる、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項5】
前記組成物が、0.8:2.2~2.2:0.8の比率のBHTとジラウリルチオジプロピオネートを含んでいる、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項6】
前記組成物が、0.8:1.2~1.2:0.8の比率のBHTとジラウリルチオジプロピオネートを含んでいる、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項7】
前記組成物が、17~19のHansen総溶解度パラメーターを有する油を含んでいる、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項8】
前記組成物が、14~28重量%の油を含んでいる、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項9】
前記組成物が、15~25重量%の油を含んでいる、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項10】
前記組成物が、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド又はそれらの混合物から選択される油を含んでいる、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項11】
前記組成物が、ナイアシンアミド、12-ヒドロキシステアリン酸、日焼け止め剤、しわ低減剤又はそれらの混合物のうちの少なくとも1をさらに含んでいる、請求項1に記載の化粧品組成物。
【請求項12】
ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)とジラウリルチオジプロピオネートから本質的になる活性抗酸化剤混合物であって、BHTとジラウリルチオジプロピオネートの重量比が0.8:4.2~4.2:0.8であり、さらに、総重量で0.2~4重量%の該活性混合物は、化粧品組成物において使用するのに適している、前記活性抗酸化剤混合物。
【請求項13】
前記混合物が、該混合物の総重量の0.1~300重量%の量のアルキルレゾルシノール又はその混合物をさらに含んでいる、請求項14に記載の活性抗酸化剤混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルケア組成物の分野にあり;特に、スキンベネフィット組成物の分野にある。より特定的には、本発明は、該組成物の改善された色安定性を提供するために、適合性油及び抗酸化剤と組み合わせて油溶性アルキルレゾルシノール類及びレチノイド類を含んでいる化粧品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
理想的な皮膚の標準的な定義には、現在、均一な色の分布と全体にわたって滑らかな質感を有する若くて弾力性のある皮膚が含まれる。しかしながら、皮膚は、例えば、クロノエージングによる、劣化を免れない。老化した人は、顔の小じわ、しわ、黄変又は黄ばみ、たるみ、色素沈着過剰、しみ及び老化の一般的な兆候をますます示す。
【0003】
レチノールなどのレチノイドを含んでいるスキンケア組成物は、近年極めて顕著になっている。ビタミンAとしても知られているレチノール及びそのエステル誘導体の多く、並びに、レチノイドファミリーメンバー(これは、例えば、プロピオン酸レチニルを包含する)は、局所的に適用された場合、他の利点の中でもとりわけ、小じわやしわを減らすこと、皮膚を滑らかにすること及び不均一な肌の色調を改善することにおいてに有効である。レチノイド類の利点にもかかわらず、化粧品組成物にレチノイド化合物を含ませると、多くの場合、組成物の安定性が困難になる。
【0004】
さらに、多くの人々は、多くの場合、望ましい均一な肌の色調のために、美白効果のある化粧品に目を向ける。有効性と安定性が強化された新しい化粧品の美白剤に対する業界のニーズは常に存在している。
【0005】
美白剤の例としては、ナイアシンアミド、ヒドロキノン及びコウジ酸などを挙げることができる。ヘキシルレゾルシノールなどのレゾルシノール類は、皮膚への局所適用において使用され得る美白剤のさらなる例を提供する。
【0006】
ヘキシルレゾルシノールなどの美白剤を含んでいるスキンケア組成物は、近年極めて顕著になっている。しかしながら、色安定性のあるレゾルシノール類含有化粧品組成物を得ることは、挑戦的である。特に、色の変化が化学的活性の低下の手がかりであると人々が信じる場合、消費者は、自分が使用する化粧品組成物の色の外観の変化に敏感であるので、色の不安定性は重要である。レゾルシノール類の色の不安定性は、レゾルシノール類の化学的不安定性と非線形的に正に相関しているが、比例的には相関していない。レゾルシノール類を含んでいる組成物の色の安定性は、化学的活性が低下するよりも短時間で劣化する傾向がある。配合の場合における不純物などの外的要因に起因するレゾルシノール類の微量の化学的劣化は、色の大幅な劣化を引き起こし得る。化粧品組成物の色の不安定性の問題は、その組成物中にレゾルシノール類とレチノイド化合物の両方が存在する場合に悪化する。それは、レゾルシノール類とレチノイド化合物の両方が存在することで、それぞれの活性物質が独立して存在している組成物と比較して、色の劣化が大きくなるからである。従って、レゾルシノール類とレチノイド類の両方を含んでいる化粧品組成物の色の不安定性は、克服するのがさらに困難である。
【0007】
従って、本発明者らは、油溶性アルキルレゾルシノール類とレチノイド類及び/又は後者のエステル誘導体の両方を含んでいる、改善された色安定性を有する化粧品組成物を開発する必要性を認識した。従って、本発明は、ブチル化ヒドロキシトルエン、ジラウリルチオジプロピオネート及び適合性のある油に加えて、(a)レチノイド、(b)レチノイドのエステル誘導体又は(c)それらの混合物と組み合わせられた油溶性アルキルレゾルシノールを有する化粧品組成物を対象とする。
【0008】
追加情報
レゾルシノール類及びレチノイド類を含んでいる化粧品組成物に抗酸化剤を組み込むための努力が開示されている。
【0009】
米国特許出願公開US 2017281507、US 2017281508及びUS 2017304178は、老化症状を軽減する方法及び/又はヒト外皮の健康を改善する方法並びにそれぞれのアミノ酸配列を有するペプチドを含んでいるその有用な組成物を開示している。これらの組成物は、特許請求されている発明において、抗酸化剤、レチノール及び/又はヘキシルレゾルシノールを含むことができる。
【0010】
PCT出願WO 2011/047420は、2-プロペナールのポリマー、C3-10アルカンジオールを含み、場合によりでレゾルシノール又はレチノールを含んでいてもよい、局所抗菌組成物について報告している。
【0011】
米国特許出願公開第US 20160256368号は、抗酸化剤、レチノール類及びレゾルシノール類を場合により含んでいてもよい少なくとも2種類の別個の組成物を順次的に、回転的に又は交互に局所適用することによる、老化の兆候を低減させるために及び/又は皮膚の健康を改善するために皮膚を処置する方法について報告している。
【0012】
上記追加情報は、いずれも、特許請求されている本発明において開示されている老化防止効果及び美白効果のために使用される色安定な化粧品組成物を達成するための、抗酸化剤(これは、ブチル化ヒドロキシトルエン及びジラウリルチオジプロピオネートを包含する)とレゾルシノール、レチノイド及び適合性のある油との組み合わせにつて記載していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】US 2017281507
【特許文献2】US 2017281508
【特許文献3】US 2017304178
【特許文献4】WO 2011/047420
【特許文献5】US 20160256368
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明者らは、適合性のある油性担体の使用に加えて、BHT及びジラウリルチオジプロピオネートを含んでいる特定の比率の抗酸化剤が、レチノイドと油溶性アルキルレゾルシノールの両方を含んでいる組成物の色安定性を強化することを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0015】
従って、本発明は、ブチル化ヒドロキシトルエンとジラウリルチオジプロピオネートとの活性な抗酸化剤混合物に関する。
【0016】
第1の態様において、本発明は、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)とジラウリルチオジプロピオネートの抗酸化剤混合物において、油溶性アルキルレゾルシノール、レチノイド又はそれらと適合性油との混合物をさらに含んでいる、前記抗酸化剤混合物を対象とする。
【0017】
第2の態様において、本発明は、以下のものを含んでいる化粧品組成物を対象とする:(i)油溶性の4-置換アルキルレゾルシノール化合物のうちの1種類以上;(ii)レチノイド、レチノイドエステル誘導体又はそれらのブレンドのうちの1種類以上;(iii)本発明の第1の態様による活性な抗酸化剤混合物;(iv)適合性の油;及び、(v)化粧品的に許容されるビヒクル。
【0018】
本発明の他のすべての態様は、以下の詳細な説明及び実施例を考慮に入れると、より容易に明らかになるであろう。
【0019】
不確かさを避けるために、用語「含んでいる(comprising)」は、記載された要素に限定されるのではなく、機能的な重要性に大きい又は小さい特定されていない要素を包含することが意図されている。従って、記載されている段階、要素又はオプションは、網羅的である必要はない。表現「含んでいる(including)」又は「有している(having)」が使用されている場合は、常に、これらの用語は、上記で定義された「含んでいる(comprising」と同等であることが意図されている。
【0020】
本明細書中で使用されている用語「皮膚」は、顔、首、胸、背中、腕、腋窩、臀部、手、脚及び頭皮の皮膚を包含する。活性物質は、本明細書中で使用されている場合、局所適用後に顔面若しくは身体の特性(例えば、皮膚特性)を改善する及び/又は顔面若しくは身体の特性に利益を与える成分を含んでいることが意図されており、ここで、該活性物質は、クリーム、ポンプスプレー若しくはエアロゾルスプレー、血清、ローション、香油、消臭剤、ジェル又はウォッシュ組成物であることが可能であり、そして、好ましくは、そのような組成物である。特に好ましい実施形態では、本発明の組成物は、リーブオン組成物であり、該活性物質は、レチノイド化合物及び油溶性アルキルレゾルシノール類である。色安定性を維持することは、本明細書中で使用される場合、Hunter Lab分光光度計で得られたL*、a*及びb*の色差に基づいて10以下のΔEを有する化粧品組成物を示している。一般に、ΔE≦10は許容可能であり、10~20のΔEは交渉の余地があり、ΔE>20は許容されない。本明細書中で使用されている用語「適合性がある」は、16~22の範囲内のHansen総溶解度パラメーター値を有する油を示している。Hansen総溶解度パラメーターは、3つのHansenパラメーター〔即ち、δt(分子間の分散力からのエネルギーを定義する)、δp(分子間の双極子分子間力からのエネルギーを定義する)、及び、δn(分子間の水素結合からのエネルギーを定義する)〕に基づいて決定される。δt値は、「CRC Handbook of Solubility Parameters and other Cohesion Parameters, Second Edition by Allan F.M. Barton」に従って得られる。
【0021】
実施例の中を除き、又は、別途明示的に示された場合を除き、本明細書中における物質の量を示している全ての数字は、単語「約」によって修飾されていると理解されるべきである。全ての量は、別途指定されていない限り、該組成物の総重量に基づいている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の化粧品組成物に含まれているレゾルシノール化合物は、油溶性アルキルレゾルシノール類である。油溶性の4-置換アルキルレゾルシノール類の例示される非限定的な例としては、4-ヘキシルレゾルシノール、4-フェニルエチルレゾルシノール、4-シクロペンチルレゾルシノール、4-シクロヘキシルレゾルシノール及びそれらの混合物などを挙げることができる。該組成物は、0.001~10重量%、好ましくは、0.01~5重量%、最も好ましくは、0.01~1重量%の該アルキルレゾルシノールを含んでいる。本発明の一実施形態では、本発明において使用される油溶性アルキルレゾルシノールは、4-ヘキシルレゾルシノールである。
【0023】
本発明の組成物は、レチノイドを含んでおり、ここで、該レチノイドは、レチニルエステル、レチノール、レチナール及びレチノイン酸から選択され、好ましくは、レチナール又はレチニルエステルから選択される。本発明における使用に適したレチニルエステルの例としては、限定するものではないが、以下のものを挙げることができる:パルミチン酸レチニル、ギ酸レチニル、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、酪酸レチニル、吉草酸レチニル、イソ吉草酸レチニル、ヘキサン酸レチニル、ヘプタン酸レチニル、オクタン酸レチニル、ノナン酸レチニル、デカン酸レチニル、ウンデカン酸レチニル、タウリン酸レチニル、トリデカン酸レチニル、ミリスチン酸レチニル、ペンタデカン酸レチニル、ヘプタデカン酸レチニル、ステアリン酸レチニル、イソステアリン酸レチニル、ノナデカン酸レチニル、アラキドン酸レチニル、ベヘン酸レチニル、リノール酸レチニル、及び、オレイン酸レチニル。本発明において使用するのに好ましいエステルは、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル及びそれらの混合物から選択される。リノール酸レチニル及びオレイン酸レチニルも好ましい。レチノール又はレチニルエステルは、本発明の組成物において、0.001~10%の量で、好ましくは、0.01~1%の量で、最も好ましくは、0.01~0.5%の量で、使用される。
【0024】
アルキルレゾルシノール、レチノイド及び抗酸化剤を含んでいる組成物において適合性油を使用すると、予想外に色の安定性の向上に寄与することが分かった。驚くべきことに、Hansen総溶解度パラメーター(δt)値が16~22(好ましくは、17~19)の範囲内にある油が最も適合性が高く、従って、そのような化粧品組成物での使用に適していることが分かった。本発明において使用するための適切な油の例示的な例としては、ミリスチン酸イソプロピル(δt=17.5)、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(δt=18.9)及びパルミチン酸イソプロピル(δt=17.2)などがある。適合性油は、本発明の組成物において、該組成物の総重量に基づいて、13~30%の量で、好ましくは、14~28%の量で、最も好ましくは、15~25%の量で、使用される。
【0025】
さらに、レチノイド及び油溶性アルキルレゾルシノールを、確認された比率のブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)及びジラウリルチオジプロピオネート(これは、供給業者BASFから「Tinogard DA」の商標で市販されている)と組み合わせて、本発明の組成物に対する化粧品的に許容されるビヒクル添加した場合、同じビヒクルの対照と比較して、強化された色安定性が予想外に観察されることが分かった。
【0026】
本発明に含まれる抗酸化剤の総重量パーセントは、好ましくは、0.01~4重量%、さらに好ましくは、0.02~3重量%、そして最も好ましくは、0.05~2重量%である。本発明に含まれる抗酸化剤の最小総重量パーセントは、該組成物の総重量に基づいて、好ましくは0.15重量%である。
【0027】
一実施形態では、レゾルシノール類及びレチノイド類を含んでいる化粧品組成物に加えて、0.8:4.2~4.2:0.8の重量比のBHT対ジラウリルチオジプロピオネートが好ましい。
【0028】
別の実施形態では、BHTとジラウリルチオジプロピオネートの0.8:2.2~2.2:0.8の重量比がより好ましい。
【0029】
さらに別の実施形態では、BHTとジラウリルチオジプロピオネートの0.8:1.2~1.2:0.8の重量比が最も好ましい。
【0030】
色の安定性は、LabScan XE装置(Hunter Associates Laboratory, Inc. Reston, Virginia)を使用して確認する。LabScan XEは、色データを測定する。バイアル又は測定セルの中に収容された種々の保存段階にあるサンプルを、LabScan XE測定ポートにロードする。関連する機器メニュー及びコンピュータソフトウェアにおいて指定されている測定手順に従って、色(a*、b*及びL*)を測定及び計算して、色変化データ(ΔE)値が得られる。参考までに、約3のΔEは、元のサンプルからの色の変化を視覚的に検出できる閾値である。
【0031】
本発明の化粧品組成物は、さらに、該組成物が皮膚に適用されるときにその分配を促進するために、該組成物中の皮膚有益剤のための希釈剤、分散剤又は担体として作用する適合性油に加えて、化粧品的に許容されるビヒクルも含むことができる。この化粧品的に許容されるビヒクルは、水性、無水物又はエマルションであることができる。水と乳化剤の存在下における油性担体は、担体としてエマルション系を形成する。好ましくは、該組成物は、水性又はエマルションであり、特に、油中水型又は水中油型のエマルションであり、優先的には、水中油型エマルションである。該化粧品組成物は、通常、クリーム又はローションの形態にあるが、これらに限定されない。
【0032】
最も好ましい実施形態では、水が担体である。水の量は、該化粧品組成物全体の総重量に基づいて、それに含まれるすべての範囲を含めて、好ましくは、5~85%、さらに好ましくは、15~75%、最も好ましくは、30~70%の範囲であり得る。水に加えて、適切な担体のクラスには、シリコーン、多価アルコール、脂肪酸、炭化水素、トリグリセリド、蝋及び増粘剤が含まれる。
【0033】
シリコーンは、揮発性と不揮発性の種類に分類することができる。量は、該組成物の、例えば、0.01~25重量%、さらに好ましくは、0.1~20重量%の範囲であることができる。本明細書中で使用されている用語「揮発性」は、周囲温度で測定可能な蒸気圧を有する物質を示している。揮発性シリコーン油は、好ましくは、3~9個(好ましくは、4~5個)のケイ素原子を含んでいる環状(シクロメチコン)又は線状のポリジメチルシロキサンから選択される。
【0034】
この組成物において有用な不揮発性シリコーンとしては、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン及びポリエーテルシロキサンコポリマーなどがある。本発明において有用な本質的に不揮発性のポリアルキルシロキサンとしては、例えば、25℃で約5×10-6~0.1m2/秒の粘度を有するポリジメチルシロキサンなどがある。乳化性及び非乳化性のシリコーンエラストマーも、本発明の化粧品組成物において使用するのに適している。
【0035】
一般に多価アルコールタイプの物質の慣習的な保湿剤を、本発明において使用することができる。典型的な多価アルコールとしては、グリセロール(即ち、グリセリン(glycerine)又はグリセリン(glycerin))、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、エトキシ化グリセロール、プロポキシ化グリセロール及びそれらの混合物などを挙げることができる。最も好ましい実施形態は、グリセリン、プロピレングリコール又はそれらの混合物を含んでいる。使用される保湿剤の量は、該化粧品組成物の0.5~25重量%、好ましくは、1~20重量%の範囲であり得る。
【0036】
脂肪酸も有用な担体であり得る。用語「脂肪」は、10~30個の炭素原子の範囲の炭素鎖長を示している。このカテゴリーの実例は、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸、エルカ酸及びそれらの組み合わせである。使用される場合、0.01~5重量%の脂肪酸が該組成物中に存在する。
【0037】
蜜蝋、鯨蝋、トリベヘニン蝋、カルナウバ蝋及びカンデリラ蝋などの蝋及び蝋エステルも、本発明において担体として使用するのに適している。使用される蝋及び蝋エステルの量は、該組成物の0.01~10重量%、好ましくは、0.1~8重量%の範囲であり得る。
【0038】
トリグリセリドは、担体として有用な別の群の物質である。例示される非限定的な例は、ヒマワリ種子油、綿実油、菜種油、ブドウ種子油、大豆油、ヒマシ油、ルリジサ油、オリーブ油、シアバター、ホホバ油及びそれらの混合物である。モノグリセリド及びジグリセリドも有用である可能性があり得る。これらのカテゴリーの実例は、モノステアリン酸グリセリル及びジステアリン酸グリセリルである。トリグリセリドの量は、該組成物の0.01~10重量%、好ましくは、0.1~8重量%の範囲であり得る。
【0039】
該担体は、該組成物に対して、好ましくは、0.05~10重量%、さらに好ましくは、0.1~5重量%、一層さらに好ましくは、0.25~4重量%の1種類以上の増粘剤を含むことができる。有用な増粘剤としては、多糖類を挙げることができ、その多糖類には、デンプン、天然/合成ガム及びセルロース誘導体が包含される。適切なデンプンとしては、タピオカデンプン、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルミニウムデンプンオクテニルスクシネート及びナトリウムヒドロキシプロピルデンプンホスフェートなどがある。適切なガムとしては、キサンタンガム、スクレロチウムガム、ペクチンガム、カラヤガム、アラビアガム、寒天ガム、グアーガム、カラギーナン、アルギネート及びそれらの組み合わせなどがある。適切なセルロース誘導体としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースナトリウムなどがある。増粘剤として機能する合成ポリマーも使用するのに適しており、ここで、そのような合成ポリマーとしては、ポリアクリルアミド、カーボポール、タウレートコポリマー及びアクリレート系ポリマーなどがある。
【0040】
乳化剤は、好ましくは、本発明の化粧品組成物の中に存在する。本発明において使用するのに適している乳化剤は、2.5~17のHLBを有する。油連続エマルションが望まれるときに使用される乳化剤のHLBは、2.5~7.5であり、好ましくは、3~6.5であり、そして最も好ましくは、3~6であり、そこに含まれるすべての範囲を包含する。水連続エマルションが望まれるときに使用される乳化剤のHLBは、8~17であり、好ましくは、8.5~15であり、そして最も好ましくは、9~14であり、そこに含まれるすべての範囲を包含する。
【0041】
該乳化剤の総濃度は、該組成物の0.1~20重量%、好ましくは、1~10重量%、最も好ましくは、1~8重量%の範囲であることができ、そこに含まれるすべての範囲を包含する。該乳化剤は、陰イオン性活性物質、非イオン性活性物質、陽イオン性活性物質及び両性活性物質からなる群から選択することができる。特に好ましい非イオン性活性物質は、以下のものを含んでいる非イオン性活性物質である: 疎水性物質1モルあたり約2~約100モルのエチレンオキシド又はプロピレンオキシドと縮合したC10-C20の脂肪アルコール疎水性物質又は脂肪酸疎水性物質:2~20モルのアルキレンオキシドと縮合したC2-C10アルキルフェノール;エチレングリコールのモノ脂肪酸エステル及びジ脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセリド;ソルビタン、モノ-C8-C20脂肪酸及びジ-C8-C20脂肪酸;及び、ポリオキシエチレンソルビタン、並びに、それらの組み合わせ。アルキルポリグリコシド及び糖脂肪アミド(例えば、メチルグルコンアミド)も適切な非イオン性乳化剤である。
【0042】
好ましい陰イオン性乳化剤としては、アルキルエーテルスルフェート及びスルホネート、アルキルスルフェート及びスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキル及びジアルキルスルホスクシネート、C8-C20アシルイセチオネート、C8-C20アルキルエーテルホスフェート、アルキルエーテルカルボキシレート及びそれらの組み合わせなどがある。
【0043】
使用することが可能な陽イオン性乳化剤としては、例えば、パルミタミドプロピルトリモニウムクロリド、ジステアリルジモニウムクロリド及びそれらの混合物などがある。有用な両性乳化剤としては、ココアミドプロピルベタイン、C12-C20トリアルキルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム及びラウロジアンホ酢酸ナトリウム又はそれらの混合物などがある。
【0044】
他の一般的に好ましい乳化剤としては、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリコール、ステアラミドAMP、ステアリン酸PEG-100などがあり、並びに、ヒドロキシエチルアクリレート/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー/スクアラン及びそれらの混合物などの乳化/増粘添加剤などもある。
【0045】
香料、活性物質、固定剤及び研磨剤は、場合により、本発明の化粧品組成物に含ませることができる。本発明において使用するのに適している活性剤は、限定するものではないが、乳白剤、着色剤、保湿剤、エモリエント剤、閉塞剤、植物抽出物、光学剤、美白剤、抗炎症剤、抗にきび剤、日焼け止め剤、光安定剤、界面活性剤、しわ低減剤、落屑促進剤、角質除去剤、それらの混合物などを包含することが意図されている。これらの物質は、それぞれ、0.05~5重量%、好ましくは、0.1~3重量%の範囲であり得る。
【0046】
炭化水素は、場合により、本発明の化粧品に含ませることができる。適切な炭化水素としては、鉱油、ワセリン及びポリアルファオレフィンなどがある。好ましい揮発性炭化水素の例としては、ポリデカン、例えば、イソデカン及びイソドデカン、並びに、C7-C8~C12-C15のイソパラフィンなどがある。
【0047】
本発明の化粧品組成物は、所望の活性物質としてビタミンを含むことができる。例示的なビタミンは、ビタミンB2、ビタミンB3(ナイアシンアミド)、ビタミンB5(パンテノール)、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンE、葉酸及びビオチンである。ビタミンの誘導体も使用することができる。例えば、ビタミンC誘導体としては、アスコルビルテトライソパルミテート、マグネシウムアスコルビルホスフェート及びアスコルビルグリコシドなどがある。ビタミンEの誘導体としては、酢酸トコフェリル、パルミチン酸トコフェリル及びリノール酸トコフェリルなどがある。本発明による化粧品組成物中に存在する場合、ビタミンの総量は、該化粧品組成物の0.001~10重量%、好ましくは、0.01~重量5%、最適には0.05~2.5重量%の範囲であり得る。
【0048】
本発明において使用するのに適している場合による活性物質としては、レスベラトロール、サッカリドイソメレート、セラミド(例えば、セラミド1、セラミド3、セラミド3B及びセラミド6)及びプソイドセラミド、アラントイン、テトラジ-t-ブチルヒドロキシヒドロケイヒ酸ペンタエリスリチル、サリチル酸、ピログルタミン酸(PCA)塩誘導体、例えば、亜鉛PCA及びナトリウムPCA、12-ヒドロキシステアリン酸、ペトロセリン酸、共役リノール酸、オクタデカン酸、ヒアルロン酸及びその塩誘導体並びにそれらの混合物などがある。そのような活性物質は、使用される場合、全体として、該化粧品組成物の0.001~12重量%を構成する。
【0049】
植物抽出物の幅広い選択物は、場合により、本発明の化粧品組成物に含ませることができる。該抽出物は、水又は油に可溶であることができ、それぞれ親水性又は疎水性の溶媒に含まれ得る。好ましい実施形態では、水又はエタノールが抽出溶媒である。実例としては、緑茶、ノコギリソウ、カモミール、甘草、アロエ、ウンシュウミカン、ヤナギの樹皮、アルファルファ、藻類、マンサク、セージ、タイム及びローズマリーからの抽出物、並びに、油類、例えば、シーバックソーン、モリンガ、アルガン、アボカド、キンセンカ、藻類、マルーラ及びヘンプシードに由来する油などを挙げることがきる。大豆抽出物を使用することができ、特にレチノールを含めることが望ましい場合に使用可能である。
【0050】
慣習的な緩衝液又はpH調整剤も、本発明の化粧品組成物に含ませるのに適している。これらには、一般的な添加剤、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸、クエン酸、トリエタノールアミン及びアミノメチルプロパノールなどが包含される。好ましい実施形態では、本発明の化粧品組成物のpHは、4~8であり、さらに好ましくは、4.25~7.75であり、最も好ましくは、5~7.5である。本発明の化粧品組成物の粘度は、T.A. Instruments(ディスカバリー名)などの供給業者から市販されているひずみ制御平行板レオメーターを用いて、周囲温度及び1s-1の剪断速度の条件下で測定して、好ましくは、約1,000~約120,000cpsであり、最も好ましくは、約5,000~80,000cpsである。あるいは、粘度は、Brookfield Viscometer(速度20rpm、スピンドル5、ヘリオパス オフ、周囲温度で1分間)を使用して測定することも可能である。本発明の化粧品組成物は、4,000~10,000mPasの粘度を有するローション、10,000~20,000mPasの粘度を有する流動性クリーム又は20,000~100,000mPas若しくはそれ以上の粘度を有するクリームとして、製剤することができる。
【0051】
潜在的に有害な微生物の増殖から保護するために、必要に応じて、本発明の組成物に防腐剤を組み込むことができる。化粧品の化学者は、適切な防腐剤に付いてよく知っており、防腐剤テストと製品安定性テストを満たすために日常的にそれらを選択する。防腐剤系は、当該組成物の用途及び防腐剤と当該製剤中の他の成分との間の可能性のある不適合性を考慮して選択されるべきである。本発明の組成物のための防腐剤の代表的な例としては、限定するものではないが、ヨードプロピニルブチルカルバメート(IPBC)、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、1,2-オクタンジオール、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウム、プロパンジオール、パラヒドロキシ安息香酸のアルキルエステル、ヒドロキシアセトフェノン、DMDMヒダントイン誘導体、クリンバゾール、プロピオン酸塩及びさまざまな第4級アンモニウム化合物などを挙げることができる。防腐剤は、好ましくは、該組成物の0.01~2重量%の範囲の量で使用され、そこに含まれるすべての範囲を包含する。
【0052】
本発明の化粧品組成物を製造する場合、所望の成分を慣習的な方法で混合させる。該当する場合、油相及び水相は、標準的な混合機と混合ブレードを使用して別々に混合させ、大気圧下、通常約25~約85℃の同じ温度に加熱する。所望の温度に達したら、油相を水相に加えてエマルションを生成させる。次いで、化粧品組成物中の他の成分を、任意の順序で、添加し、混合させる。
【0053】
本発明の化粧品組成物は、ヒトの皮膚への局所適用に適した組成物であり、リーブオン製品及びウォッシュオフ製品を包含する。好ましくは、該用語は、流動性液体を包含し、特に、メイクアップ製品ではなく保湿剤を包含する。最も好ましいのは、リーブオン組成物である。本明細書中の組成物に関して使用される用語「リーブオン」は、皮膚に適用されるか又は塗りつけられ、そして、その表面上に残される組成物を意味する。
【0054】
本発明の組成物を貯蔵及び送達するために、多くの種類のパッケージングを使用することができる。パッケージングの選択は、パーソナルケア最終用途とその組成物自体の粘度に依存する。一例として、皮膚用のリーブオンローション及びリーブオンクリームは、典型的には、適切なクロージャーで覆われた分注端に開口部を有するプラスチック製容器を使用する。慣習的なクロージャーとしては、フリップトップヒンジ付き蓋、ねじ蓋及び非エアロゾルポンプなどがある。別の例として、制汗剤、デオドラント及び脱毛剤に使用される適切なパッケージングは、該組成物が流動性であり、粘度がより低い場合、分注端にローラーボールアプリケーターを備えた容器などがある。該組成物がスティック形態である場合、そのスティックが分注オリフィスに向かってプラットフォーム上に固定されている推進反発機構を備えた容器が適切である。該組成物がエアロゾル形態である場合、噴射剤によって加圧され、スプレーノズルを有している金属缶が適切である。一般に、パッチ、ボトル、チューブ、ローラーボールアプリケーター、スクイーズコンテナ又は蓋付きジャーが好ましい。
【0055】
以下の実施例は、本発明の理解をより完全に促進する。これらの実施例は、「特許請求の範囲」の範囲を制限することを意図したものではない。
【実施例】
【0056】
実施例
すべてのサンプルは、適度な剪断(sheer)、周囲温度~約85℃及び大気圧の条件下で上記の成分を混合させることによって製造した。
【表1】
【表2】
【0057】
データから分かるように、本発明と調和して使用した油は、HR及びRPの両方を有する製剤を予想外に安定化させる。13%を超える油を含んでいる製剤では、10%の油を含んでいる製剤よりも、時間の経過とともにΔE値が低くなる。
【表3】
【0058】
サンプル(a)は、δ
tが14.4のC
12-13アルカン油である。サンプル(b)は、δ
tが17.5のミリスチン酸イソプロピルである。サンプル(c)は、δ
tが18.9のカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドである。サンプル(d)は、δ
tが24.7のベンジルアルコールである。全てのδ
tデータは、「CRC Handbook of Solubility Parameters and Other Cohesion Parameters, Second Edition (by Allan F.M Barton)」から収集する。この実施例のデータから、本発明と調和するδ
t値を有する油は、時間の経過とともにより低いΔE値(即ち、優れた色安定性)をもたらすことが実証される。
【表4】
【表5】
【表6】
【0059】
個々の抗酸化剤のみを含んでいるHR及びRPサンプルと比較すると、驚くべきことに、BHT及びTinogard DAを含んでいる組成物は、全てのサンプル組成物が2週間でほぼ同様のΔE値で始まるにもかかわらず、時間の経過とともに低いΔE値を示すことが示されている。
【表7】
【0060】
上記データは、予想外に、HR及びRPを含んでいるO/Wベースの製剤におけるBHTとTinogard DAの比率が4:1及び1:4であると、時間の経過とともに低いΔE値を示し、従って、優れた色安定性を示すことを実証している。
【表8】
【0061】
Tinogard TTは、BASFから市販されている、化学名「テトラジ-t-ブチルヒドロキシヒドロケイヒ酸ペンタエリスリチル」のフェノール系抗酸化剤である。Rosamoxは、Keminから市販されている、化学名「Rosmarinus officinalis (Rosemary) Leaf Extract」で販売されている天然の抗酸化物質である。
【0062】
上記結果は、アルキルレゾルシノール及びレチノイドを用いた色安定性評価の目的で、実施例1で供された基本製剤において多くの他の抗酸化剤が試験されたことを示している。これらの他の抗酸化剤は、単独で又は追加の抗酸化剤候補と組み合わせて、驚くべきことに、本発明と調和するBHT-Tinogard DAの組み合わせで見られるものほど効果的ではない。
【国際調査報告】