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▶ ボストン サイエンティフィック ニューロモデュレイション コーポレイションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(54)【発明の名称】RF電極カニューレ
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/14 20060101AFI20230113BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A61B18/14
A61M5/32 540
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022523924
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 US2020057463
(87)【国際公開番号】W WO2021086817
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】62/926,683
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507213592
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック ニューロモデュレイション コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ランプラ ヒマーンシュ
(72)【発明者】
【氏名】ナガオカ エリック ケイ
(72)【発明者】
【氏名】マレック パトリック エム
【テーマコード(参考)】
4C066
4C160
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD08
4C066DD12
4C066EE06
4C066EE14
4C066FF03
4C066FF10
4C066KK04
4C066KK08
4C160KK03
4C160KK13
4C160KK20
4C160KK36
4C160KK57
4C160KK70
4C160MM32
(57)【要約】
本明細書では、カニューレ管とカニューレ先端部とを含むカニューレを説明する。カニューレ管は、近位端と、遠位端と、カニューレ管内腔と、側壁と、側壁を通って延びる側壁開口とを備え、側壁開口は近位端と遠位端とを備えている。カニューレ先端部は、カニューレ管の遠位端に固定され、カニューレ管内腔に挿入される近位先端部分と、カニューレ管の遠位端を超えて延びる遠位先端部分を備える。カニューレ先端部は、その中を流体が流れるように構成され、細長い装置がカニューレ管の近位端からカニューレ管を通して挿入されるときに、細長い装置の遠位先端をカニューレ管の側壁開口を介して排出するように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カニューレであって、
(a)近位端、遠位端、カニューレ管内腔、側壁、及び前記側壁を通って延びる側壁開口を含み、前記側壁開口が近位端及び遠位端を有する、カニューレ管と、
(b)前記カニューレ管の遠位端に固定されるカニューレ先端部と、を備え、
前記カニューレ先端部は、前記カニューレ管内腔内に挿入される近位先端部分と、前記カニューレ管の遠位端を越えて延びる遠位先端部分と、を備え、
前記カニューレ先端部は、流体が前記カニューレ先端部を通って流れるように構成されており、且つ、前記カニューレ先端部は、細長いデバイスが前記カニューレ管の近位端から前記カニューレ管を通して挿入されると、前記側壁開口を通して前記細長いデバイスの遠位先端部を排出するように構成されている、カニューレ。
【請求項2】
前記カニューレ先端部は、溶接によって前記カニューレ管に固定され、前記側壁開口の遠位端が斜めに面取りされており、及び/又は、前記側壁開口が前記カニューレ管の円周の周りに120~160度の範囲の角度で広がっている、請求項1に記載のカニューレ。
【請求項3】
前記カニューレ管が、前記側壁開口の近位端において、5~45度の範囲の角度で曲げられている、請求項1又は2に記載のカニューレ。
【請求項4】
前記近位先端部分は第1の外径を有し、前記遠位先端部分は前記第1の外径よりも大きい第2の外径を有し、
前記近位先端部分が前記カニューレ管の遠位端に挿入され且つ前記遠位先端部分の近位端が前記カニューレ管の遠位端に接するように、前記近位先端部分と前記遠位先端部分の間に径方向の段差がある、請求項1~3のいずれかに記載のカニューレ。
【請求項5】
前記遠位先端部分は、前記カニューレ管の外径と同じ外径を有する、請求項1~4のいずれかに記載のカニューレ。
【請求項6】
前記カニューレ先端部は、内腔を通って流体が流れることを可能にする前記内腔、チャネルを通って流体が流れることを可能にする前記チャネル、スロットを通って流体が流れることを可能にする前記スロット、内腔とスロットとの組み合わせを通って流体が流れることを可能にする前記内腔とスロットとの組み合わせ、内腔とチャネルとの組み合わせを通って流体が流れることを可能にする前記内腔とチャネルとの組み合わせ、チャネルとスロットとの組み合わせを通って流体が流れることを可能にする前記チャネルとスロットとの組み合わせ、又は、内腔とチャネルとスロットとの組み合わせを通って流体が流れることを可能にする前記内腔とチャネルとスロットとの組み合わせを備える、請求項1~5のいずれかに記載のカニューレ。
【請求項7】
前記近位先端部分はスロットを備え、前記遠位先端部分は前記スロットと流体連通する遠位先端内腔を備える、請求項1~6のいずれかに記載のカニューレ。
【請求項8】
前記近位先端部分は、近位端に傾斜部を備え、該傾斜部が近位端と遠位端とを有する、請求項1~7のいずれかに記載のカニューレ。
【請求項9】
前記スロットが前記傾斜部を二分しており、及び/又は、前記傾斜部の遠位端が前記側壁開口の遠位端付近で終端している、請求項8に記載のカニューレ。
【請求項10】
前記スロットは、前記近位先端部分の遠位端までは延びておらず、及び/又は、前記スロットの遠位端は、前記遠位先端内腔と軸方向に整列し且つ前記遠位先端内腔と同じ直径を有する円形凹部を備える、請求項8又は9に記載のカニューレ。
【請求項11】
前記カニューレは、前記カニューレ管の近位端に取り付けられるハブをさらに備える、請求項1~10のいずれかに記載のカニューレ。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載のカニューレと、遠位電極先端部を有する電極と、を備えるシステムであって、
前記電極は、前記カニューレの近位端から前記カニューレ管を通って挿入されるように構成され、前記カニューレ先端部は、前記電極が前記カニューレの近位端から前記カニューレ管を通して挿入されると、前記カニューレ管の前記側壁開口を通して前記遠位電極先端部を排出させるように構成されている、システム。
【請求項13】
前記遠位電極先端部は丸みを帯びた形状を有する、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載のカニューレと、スタイレット先端部を有するスタイレットと、を含むアセンブリであって、
前記スタイレットは、前記カニューレの近位端から前記カニューレ管を通して挿入されると、完全に挿入されたときに前記スタイレット先端部が前記側壁開口に近接するように構成されている、アセンブリ。
【請求項15】
前記カニューレは、前記カニューレ管の近位端に取り付けられるハブをさらに備え、前記スタイレットは、前記スタイレットの近位端に取り付けられるスタイレットキャップを備える、請求項14に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年10月28日に出願され「RF ELECTRODE CANNULA」と題する米国仮出願第62/926,683号の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、新規なカニューレと、そのようなカニューレを採用するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
カニューレ及び電極のアセンブリが知られており、組織切除のために以前から使用されている。これらのうち、カニューレは、カニューレの遠位先端から短い距離離れた側面開口を備え、この側面開口を通して電極が案内され、電極の遠位先端が側面開口から延びるようにされているカニューレ及び電極アセンブリが挙げられる。このようなアセンブリに電流が供給されると、電極がカニューレの遠位端から延びるアセンブリによって影響を受ける場合よりも大きな体積を通って切除電流が流れる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの態様において、本開示は、(a)近位端、遠位端、カニューレ管内腔、側壁、及び側壁を通って延びる側壁開口を備えるカニューレ管であって、側壁開口が近位端及び遠位端を有するカニューレ管と、(b)カニューレ管の遠位端に固定されるカニューレ先端部と、を備えるカニューレに関し、カニューレ先端部は、カニューレ管内腔に挿入される近位先端部分と、カニューレ管の遠位端を越えて延びる遠位先端部分とを備え、カニューレ先端部は、流体がそこを通って流れるように構成され、カニューレ先端部は、細長いデバイスがカニューレ管の近位端からカニューレ管を通して挿入されると、側壁開口を介して細長いデバイスの遠位端を排出するように構成されている。
【0005】
いくつかの実施形態では、カニューレ先端部は、溶接によってカニューレ管に固定されている。
【0006】
上記の態様及び実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態では、側壁開口の遠位端は斜めに面取りされている。
【0007】
上記の態様及び実施形態のいずれかと組み合わせて使用され得るいくつかの実施形態において、側壁開口は、カニューレ管の円周の周りに120度から160度の範囲の角度で広がっている。
【0008】
上記の態様及び実施形態のいずれかと組み合わせて使用され得るいくつかの実施形態において、カニューレ管は、側壁開口の近位端において、5~45度の範囲の角度で曲げられている。
【0009】
上記の態様及び実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態において、近位先端部分は第1の外径を有し、遠位先端部分は第1の外径よりも大きい第2の外径を有し、近位先端部分がカニューレ管の遠位端に挿入されるように、且つ遠位先端部分の近位端がカニューレ管部分の遠位端に接するように、近位先端部分と遠位先端部分の間に径方向の段差が存在する。
【0010】
上記の態様及び実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態では、遠位先端部分は、カニューレ管の外径と同じ外径を有する。
【0011】
上記の態様及び実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態では、カニューレ先端部は、流体がそこを流れることを可能にする内腔、流体がそこを流れることを可能にするチャネル、流体がそこを流れることを可能にするスロット、流体がそこを通って流れることを可能にする内腔とスロットの組み合わせ、流体がそこを通って流れることを可能にする内腔とチャネルの組み合わせ、流体がそこを通って流れることを可能にするチャネルとスロットの組み合わせ、又は、流体がそこを通って流れることを可能にする内腔、チャネル及びスロットの組み合わせを備える。
【0012】
上記の態様及び実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態では、近位先端部分はスロットを備え、遠位先端部分はスロットと流体連通している遠位先端内腔を備えている。
【0013】
上記の態様及び実施形態のいずれかと組み合わせて使用され得るいくつかの実施形態において、カニューレ先端部の近位部分は、その近位端にランプ又は傾斜部を備え、傾斜部は、近位端及び遠位端を有する。これらの実施形態のいくつかにおいて、スロットは、傾斜部を二分しており、及び/又は、傾斜部の遠位端は、側壁開口の遠位端付近で終端する。
【0014】
上記の態様及び実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態では、スロットは近位先端部分の遠位端までは延びていない。
【0015】
上記の態様及び実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態では、スロットの遠位端は、遠位先端内腔と軸方向に整列し、遠位先端内腔と同じ直径を有する円形凹部を備える。
【0016】
上記の態様及び実施形態のいずれかと組み合わせて使用することができるいくつかの実施形態では、カニューレは、カニューレ管の近位端に取り付けられるハブをさらに備える。
【0017】
いくつかの態様において、本開示は、(a)上記の態様及び実施形態のいずれかによるカニューレと、(b)遠位電極先端部を有する電極と、を備えたシステムをさらに提供し、電極が、カニューレの近位端にカニューレ管を通して挿入されるように構成されており、カニューレ先端部は、電極がカニューレの近位端からカニューレ管を通して挿入されると、遠位電極先端部をカニューレ管の側壁開口を通して排出するよう構成されている。いくつかの実施形態において、遠位電極先端部は丸みを帯びた形状を有する。
【0018】
いくつかの態様において、本開示は、(a)上記の態様及び実施形態のいずれかによるカニューレと、(b)スタイレット先端部を有するスタイレットと、を備えるアセンブリをさらに提供し、スタイレットは、完全に挿入されたときにスタイレット先端部が側壁開口に近接するように、カニューレの近位端にカニューレ管を通して挿入されるように構成されている。
【0019】
いくつかの実施形態において、カニューレは、カニューレ管の近位端に取り付けられるハブをさらに備え、スタイレットは、スタイレットの近位端に取り付けられるスタイレットキャップを備える。これらの実施形態のいくつかにおいて、スタイレットキャップは、カニューレハブと係合する。
【0020】
本開示のこれら及び他の態様、実施形態及び利点は、後に続く詳細な説明及び特許請求の範囲を検討すれば、当業者にとって直ちに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本開示の一実施形態によるカニューレの遠位端の概略図である。
図2図2は、本開示の一実施形態によるカニューレ管の遠位端の概略図である。
図3図3は、本開示の実施形態によるカニューレ先端部の概略図である。
図4A-4B】図4A及び図4Bは、本開示の実施形態によるカニューレ及び電極を含むシステムの遠位端の概略図である。
図5図5は、本開示の別の実施形態によるカニューレ及び電極を含むシステムの遠位端の概略図である。
図6図6は、本開示の実施形態によるカニューレ先端部の概略図である。
図7図7は、本開示の別の実施形態によるカニューレ先端部の概略図である。
図8図8は、本開示のさらなる実施形態によるカニューレ先端部の概略図である。
図9A-9C】図9A図9Cは、本開示の実施形態によるカニューレと電極を含むシステムの、カニューレ内での電極の様々な前進点における写真画像である。
図10A-10C】図10A図10Cは、本開示の実施形態によるカニューレハブを有するカニューレと、スタイレットキャップを有するスタイレットとを備えるアセンブリの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下でより詳細に議論されるように、1つの態様において、本開示は、細長い内部デバイスがカニューレの遠位端を通して延びるのではなく、カニューレの側壁開口を通して排出されるように細長い内部デバイスを導くのに有用なカニューレに関する。本明細書に記載される様々な実施形態において、細長い内部デバイスはRF電極である。しかしながら、本明細書に記載されるカニューレは、RF電極以外の内部デバイスを含むシステムで使用することができることが理解されるべきである。
【0023】
本開示に係るカニューレは、(a)近位端、遠位端、カニューレ管内腔、側壁、及び側壁を通って延びる側壁開口を備えるカニューレ管と、(b)カニューレ管の遠位端に固定されたカニューレ先端部であって、カニューレ先端部はカニューレ管内腔内に挿入される近位先端部分とカニューレ管の遠位端を超えて延びる遠位先端部分とを有するカニューレ先端部と、を備える。カニューレ先端部は、流体がカニューレ先端部を通って流れることを可能なように構成され、また、細長いデバイス(例えば、電極)の遠位先端部を、デバイスがカニューレ管の近位端からカニューレ管を通って挿入されると、側壁開口を通して排出するように構成されている。このようにして、本開示のカニューレは、カニューレ管の内腔を通して注入される流体が、カニューレの遠位端から分注されることを可能にすると同時に、電極が側部ポートを越えてカニューレの遠位端に進むことを不許可にする。
【0024】
ここで図面を参照すると、本開示によるカニューレ100が図1に示されている。図1に示されるカニューレは、図2に示されるようなカニューレ管110と、図3に示されるようなカニューレ先端部120とから形成されている。カニューレ管110及びカニューレ先端部120を形成するために、様々な金属材料及びポリマー材料を含む、様々な材料を使用することができる。
【0025】
ここで図2(例えば、図4A図4Bにも見られる)に目を向けると、本開示の実施形態によるカニューレ管110の遠位部分が模式的に示されている。カニューレ管110は、カニューレ管内腔110lと、側壁110sと、近位端110op及び遠位端110odを有する側壁開口110oと、を含む。カニューレ管の外径は、用途に応じて大きく異なり、例えば、16ゲージ(1.651mm)と23ゲージ(0.6414mm)との間にわたり得る。側壁110sの厚さ及び内腔110lの直径は、選択されたゲージに依存する。典型的には、側壁110sの厚さは、他の値の中でも、0.229mm(例えば、16ゲージのレギュラー壁の場合)から0.102mm(例えば、23ゲージの薄壁の場合)までの範囲であり得る。典型的には、内腔110lの直径は、他の値の中でも、1.194mm(例えば、16ゲージのレギュラー壁の場合)から0.432mm(例えば、23ゲージの薄壁の場合)までの範囲であってよい。側壁開口の長さ110olも、選択されたゲージに応じて変わり得る。いくつかの実施形態では、側壁開口の長さ110olは、、他の値の中でも、例えば、1.5mm~4.0mm、例えば2.425mm(18ゲージ原型に基づく)から2.88mm(20ゲージ原型に基づく)であってもよい。
【0026】
側壁開口110oは、様々な角度110oaでカニューレ管110の円周方向に延びており、他の値の中でも、例えば45~240度、好ましくは100~180度、より好ましくは120~160度にわたって、カニューレ管110の円周の周りに広がる。
【0027】
側壁開口110oは、機械加工、ワイヤEDM、研削、又はレーザー切断を含む任意の適切なプロセスによって形成することができる。形成されると、側壁開口110oのエッジは、研削及び/又は電解研磨プロセスを介して斜めに面取りされてもよい。種々の実施形態において、側壁開口110oの遠位端110odは、カニューレ先端部120の傾斜部の角度(以下に記載される)と一致するベベル角度又は面取り角を備えてもよい。
【0028】
特定の実施形態では、カニューレ管110の遠位端は、電極の放出を支援するために角度110a(図4B参照)で曲げられてよい。例えば、カニューレ管110は、他の値の中でも、5度~45度の範囲、典型的には10度~30度の範囲の角度110aで曲げられてもよい。
【0029】
特定の実施形態では、カニューレ管110の材料は、ステンレス鋼などの鉄クロム合金、ニチノールなどのニッケルチタン合金、及びインコネルなどのニッケルクロム合金を含む金属材料から形成されてもよい。
【0030】
ここで図3図4A図4Bも参照)に目を向けると、本開示の一実施形態によるカニューレ先端部110が概略的に示されている。カニューレ先端部120は、近位端110p及び遠位端110dを有する。カニューレ先端部120は、以下でより詳細に議論されるように、これを通して流体の流れを可能にするように構成される。また、カニューレ先端部120は、その近位部分120pに傾斜部又はランプ122を備え、傾斜部122は、電極の先端を側壁開口110oの方向に押しやることによって、カニューレ100の側壁開口110oから電極などの内部デバイスを放出することを支援するように構成されている。特定の実施形態において、傾斜部の近位面は、カニューレ先端部120の長手方向軸に対して傾斜部角度122a(図4Bを参照)が設けられている。例えば、傾斜部122は、他の値の中でも、例えば、15~60度の範囲、典型的には25~35度の範囲の傾斜部角度122aを備えてもよい。
【0031】
さらに、カニューレ先端部120は、典型的には、その遠位先端部に、カニューレ100が組織を突き刺す能力を高めるように構成されたベベル又は斜角部124を備えている。
【0032】
特定の実施形態において、カニューレ先端部120の材料は、ステンレス鋼などの鉄クロム合金、ニチノールなどのニッケルチタン合金、及びインコネルなどのニッケルクロム合金を含む金属材料から形成されてもよい。
【0033】
図1から分かるように、カニューレ管110とカニューレ先端部120の組み立て時に、側壁開口110oの遠位端110odは、カニューレ先端部120の最遠位先端から所定の距離100dを有する。いくつかの実施形態において、距離100dは、2~10mmの範囲であってもよい。
【0034】
示された実施形態では、カニューレ先端部120は、カニューレ管110の遠位先端部110dtと嵌合する。この特徴を提供するために、カニューレ先端部120の近位部分120pは、カニューレ先端部120の近位部分120pがカニューレ管110の遠位端110dに挿入され得るように、カニューレ管110dの遠位端において、近位部分120pの直径がカニューレ管110の内径(すなわち、内腔110lの直径)より小さいように形成されている。
【0035】
様々な実施形態において、カニューレ先端部120の遠位部分120dは、カニューレ管110の遠位端110dにおいてカニューレ管110の内径(すなわち、内腔110lの直径)よりも大きい直径で形成されている。言い換えれば、カニューレ先端部120の遠位部分120dがカニューレ先端部120の近位部分120pに移行する箇所において、カニューレ先端部120の直径のステップアップ又は段差が存在する。このようにして、カニューレ先端部120の近位部分120pは、カニューレ管110の遠位120dに挿入され得るが、カニューレ先端部120の遠位部分120dの近位先端部120dpがカニューレ管110の遠位先端部110dtに接する点までしか挿入されない。様々な実施形態において、遠位部分120dの近位先端部120dpにおける外径は、カニューレ管110の遠位先端部110dtにおけるカニューレ管110の外径と一致する。
【0036】
カニューレ先端部120は、例えば、他の方法のうち、溶接(例えば、レーザー溶接)、摩擦嵌め、適切な接着剤の使用によるものを含む様々な方法によって、カニューレ管110の遠位端110dに固定することができる。
【0037】
前述のように、様々な実施形態において、本開示に従うカニューレ100は、流体がカニューレ100の遠位端から流れるように、カニューレ100を通って流体が流れることを可能にするように構成される。最初の問題として、本明細書に記載されるカニューレにこの特徴を提供するために、カニューレ先端部120を通して及び/又はその周囲に流体を流すことを可能にする何らかの機構が提供されなければならないことに留意されたい。本発明者らは、内腔、チャネル、スロット、及びこれらの特徴の組み合わせを含む、この特徴を本明細書に記載されるカニューレに提供するための様々な戦略を開発した。
【0038】
例えば、図6を参照すると、一実施形態では、カニューレ先端部120が提供され、その中を延びる内腔120lを有する。図示の内腔120lは、カニューレ先端部120の近位部分120pとカニューレ先端部120の遠位部分120dとの間で直径が増加しているが、他の設計が可能であり、他の設計では、内腔120lがカニューレ先端部120の近位部分120pとカニューレ先端部120の遠位部分120dとの間で直径が減少し、又は内腔120lがカニューレ先端部120の近位部分120pとカニューレ先端部120の遠位部分120d内で一定の直径を有する。
【0039】
別の例として、図7に見られるように、カニューレ先端部120の近位部分120p及びカニューレ先端部120の遠位部分120dに沿って延びるチャネル120cを有するカニューレ先端部120が提供され得る。
【0040】
別の例として、図8に見られるように、カニューレ先端部120の近位部分120p内にチャネル120cを有し、カニューレ先端部120の遠位部分120d内に内腔120lを有するカニューレ先端部120が提供され得る。
【0041】
図1図3図4A図4B及び図5に示す他の実施形態では、カニューレ先端部120の近位部分120p内のスロット120s及びカニューレ先端部120の遠位部分120p内の内腔120ldを有するカニューレ先端部120が提供され得る。図5のスロット120sは、カニューレ先端部120の近位部分120pの全長に沿って(すなわち、カニューレ先端部120の直径にステップアップ又は段差があるカニューレ先端部120の遠位部分120dの近位先端部120dpまでずっと)延びることに留意されたい。
【0042】
一方、図3図4A図4Bでは、スロット120は、遠位部分120dの近位先端部120dpまでずっと延びていない(すなわち、スロット120sは、カニューレ先端部120の直径がステップアップ又は段差に近接する位置で終端している)。その結果、カニューレ先端部120の近位部分120pは、内腔120lpのセクションを含み、これは、スロット120sに開口し、カニューレ先端部120の遠位部分120pの内腔120ldの延長部である。他の実施形態(図示せず)において、スロット120sは、傾斜部122の軸方向の長さだけ延びていてもよい。カニューレ先端部120の直径のステップアップ又は段差に近接した位置でスロット120sを終了させることの潜在的な利点は、カニューレ先端部120がカニューレ管110に溶接されるときに生じ得る潜在的な問題が回避され得るということである。
【0043】
図3及び図4Bから更に分かるように、図示の設計では、スロット120sの遠位端に円形凹部120rが形成され、これは、内腔120lp/120ldと軸方向に整列し、同じ直径を有する。
【0044】
特定の実施形態において、本開示に従うカニューレ先端部120は、例えば、材料の遠位端に穴を開け、材料の遠位端にベベル又は斜角部を形成し、材料の近位端の直径を縮小し、材料の近位端に傾斜部を研磨形成し、及び材料の近位端にスロットを形成することによって、材料の中実ロッドから機械加工することが可能である。
【0045】
例えば、図1図4A及び図5から分かるように、カニューレ先端部120の近位部分120pの長さは、カニューレ先端部120の近位部分120pをカニューレ管110の遠位端110dに挿入すると、傾斜部122は、傾斜部122の遠位端122dが側壁開口110oの遠位端110odに位置するか又はちょうど近接するように位置決めされるように有利に寸法決めされている(例えば、図4Aを参照)。さらに、上述のように、側壁開口110oの遠位端110odは、特定の有益な実施形態において、傾斜部122の角度とほぼ一致する角度で斜めに面取りされる。
【0046】
ここで図10A図10Cに目を向けると、様々な実施形態において、本開示に従うカニューレ100は、カニューレ管110の近位端110pに取り付けられるカニューレハブ140を備えてもよい。様々な実施形態において、スタイレットキャップ152を有するスタイレット150をさらに含むアセンブリ160が提供されてもよい。スタイレット150は、本開示に従うカニューレ100のカニューレハブ140及びカニューレ管110の中に挿入することができる。さらにスタイレットキャップ152は、図示のようにカニューレハブ140と係合するように構成することができる。スタイレットキャップ152及びカニューレハブ140を形成するための材料は、任意の適切な材料を含み、プラスチック、例えば、アクリルポリマー及びポリカーボネートが、いくつかの実施形態において特に有益である。スタイレット150を形成するための材料は、ポリプロピレン、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、及びABS/ポリカーボネートブレンドを含む。スタイレット150は、患者への挿入中、カニューレ100に構造的剛性を提供することができる。さらに、スタイレット150の遠位先端を側壁開口110oで終端させる(しかしそこから延びない)ことによって、カニューレ100の挿入中の組織のコアリングは、低減又は防止され得る。
【0047】
ここで、図4A図4B図5、及び図9A図9Cに概略的に示される実施形態を参照すると、いくつかの態様において、本開示は、本開示によるカニューレ100と、カニューレ100に挿入可能である電極125とを含むシステムを提供する。これらの実施形態のうちのあるものにおいて、電極125は、丸みを帯びた形状(例えば、半球状)の遠位先端部125dが設けられている。これらの実施形態のうちのあるものでは、電極125は、曲がりのない直線状である。電極125を形成するための材料は、ステンレス鋼、インコネル、又はニチノールのような金属及び金属合金を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、電極125は、例えば、患者の身体上に配置された1つ又は複数の戻り電極と連動して、単極方式で作動させることができる。いくつかの実施形態では、電極125は、例えば、カニューレ100の遠位先端部120が双極対の他方の部材として作用するように、双極方式で作動させることができ、この場合、電極125及び/又はカニューレ100は、電極125及びカニューレ100の短絡を避けるように適切に絶縁される。
【0049】
本開示に従ってカニューレ100の近位端からカニューレ管110を通して挿入された電極125の遠位先端部125dが(例えば、カニューレ管110の近位端110pで図10A図10Cに示されるようなハブ140を通して挿入されることによって)、遠位先端部125dがカニューレ先端部120の傾斜部122に到達する地点までカニューレ管110を通って移動するとき、傾斜部122は、電極125の電極遠位先端部125dをカニューレ先端部120の中へ移動し続けることを許容するよりも、むしろカニューレ管110の側壁開口110oを通して電極遠位先端部125dを外に逸らせるように作用する。これらの実施形態において、電極125の幅は、カニューレ管110の内腔110lの幅よりも狭く、傾斜部122に形成されているスロット(又は他の実施形態において傾斜部122に形成されるチャネル又は穴)よりも広い。この点に関して、本開示によるカニューレ100の上面図が図9Aに示され、この図において、カニューレ管110の側壁開口110o及び挿入されたカニューレ先端部120の傾斜部122を見ることができる。カニューレ先端部120をカニューレ管110に固定する溶接部Wが、写真の右側部分に見られ得る。図9B及び図9Cから分かるように、カニューレ100の近位端に挿入された電極125が傾斜部122に到達すると、傾斜部は、電極125の遠位先端部125dを逸らして、カニューレ管110の側壁開口110oを通して外へ出すように作用する。
【0050】
いくつかの実施形態では、システムは、注射用の流体の容器、例えば、麻酔液、生理食塩水、造影剤(放射線透過液を含む)、色素含有流体、又はステロイド含有流体の容器を更に備えている。例えば、注射用流体は、カニューレハブ140と係合可能なシリンジで提供することができる。上述のように、本開示のカニューレ設計は、カニューレ管の内腔を通して注入される流体をカニューレの遠位端から吐出させる一方で、同時に、挿入された電極がサイドポートを越えてカニューレの遠位端に進むことを防止するという点で有利である。
【0051】
本明細書では様々な実施形態が具体的に図示及び説明されているが、本開示の修正及び変形は、上記の教示によってカバーされ、本開示の精神及び意図する範囲から逸脱せずに添付の請求項の範囲内にあることが理解されよう。
【符号の説明】
【0052】
100 カニューレ
110 カニューレ管
110a 角度
110dt 遠位先端部
110l 内腔
110o 側壁開口
110oa 角度
110od 遠位端
110op 近位端
110p 近位端
110s 側壁
120 カニューレ先端部
120c チャネル
120d 遠位部分
120dp 近位先端部
120l 内腔
120ld 内腔
120lp 内腔
120p 近位部分
120r 円形凹部
120s スロット
122 傾斜部
122a 傾斜部角度
122d 遠位端
124 斜角部
125 電極
125d 電極遠位先端部
140 ハブ
150 スタイレット
152 スタイレットキャップ
160 アセンブリ
W 溶接部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10A-10B】
図10C
【国際調査報告】