(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(54)【発明の名称】間質液中の分析物測定のための装置、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/1473 20060101AFI20230113BHJP
G01N 27/30 20060101ALI20230113BHJP
G01N 27/416 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A61B5/1473
G01N27/30 A
G01N27/416 338
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524021
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(85)【翻訳文提出日】2022-04-22
(86)【国際出願番号】 EP2020080920
(87)【国際公開番号】W WO2021089597
(87)【国際公開日】2021-05-14
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522093823
【氏名又は名称】アセンシア ディアベテス ケア ホールディングス エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ゴフマン,イゴール ワイ.
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK10
4C038KL01
4C038KL09
4C038KX02
(57)【要約】
分析物モニターは、メモリに連結されたプロセッサを含むコントローラを含む。メモリはその中に記憶された、プロセッサによって実行されるとき、コントローラに、分析物センサの作用電極に作用電極電圧を提供させ;分析物センサの対極に第一の対極電圧および第二の対極電圧を選択的に提供させ;および、作用電極に関連付けられたガードリングにガードリング電圧を供給させる命令を有する。分析物モニターは、コントローラに連結され、作用電極への電流を測定するように構成された電流測定回路、および作用電極と作用電極と関連付けられたガードリングとの間に電気的に連結された基準抵抗器をさらに含む。その他のモニター、システム、センサ、および方法が開示される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析物モニターであって、
メモリに連結されたプロセッサを含むコントローラであって、前記メモリがその中に、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに:
分析物センサの作用電極に作用電極電圧を提供させ;
前記分析物センサの対極に第一の対極電圧および第二の対極電圧を選択的に提供させ;および、
前記作用電極の接触領域を少なくとも部分的に取り囲むガードリングに、ガードリング電圧を提供させる、記憶された命令を有する、コントローラ;
前記コントローラに連結され、前記作用電極への電流を測定するように構成される、電流測定回路;および、
前記作用電極と前記ガードリングとの間に電気的に連結された基準抵抗器、を備え;
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに:
前記作用電極に前記作用電極電圧を適用すること、
前記第一の対極電圧または前記第二の対極電圧を前記対極に適用すること、
前記ガードリング電圧を前記ガードリングに適用すること、および、
前記電流測定回路を使用して前記作用電極への電流を測定すること、による少なくとも一つの整合性検査を実施させる命令をさらに含む、分析物モニター。
【請求項2】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに:
前記作用電極に前記作用電極電圧を適用すること、
前記対極に前記第一の対極電圧を適用することであって、前記第一の対極電圧が前記作用電極電圧と等しくない、適用すること、および、
前記ガードリングに前記ガードリング電圧を適用することであって、前記ガードリング電圧が前記作用電極電圧と等しい、適用すること、によって分析物濃度を測定させる命令をさらに含む、請求項1に記載の分析物モニター。
【請求項3】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに、分析物濃度の測定中に、前記作用電極への測定電流が所定のアンペア数を超過することに応答して信号を生成させる命令をさらに含む、請求項2に記載の分析物モニター。
【請求項4】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに:
前記作用電極に前記作用電極電圧を適用すること、
前記対極に前記第二の対極電圧を適用することであって、前記第二の対極電圧が前記作用電極電圧と等しい、適用すること、および、
前記ガードリングに前記ガードリング電圧を適用することであって、前記ガードリング電圧が前記作用電極電圧と等しい、適用すること、によって第一の整合性検査を実施させる命令をさらに含む、請求項1に記載の分析物モニター。
【請求項5】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに、前記第一の整合性検査の間に、前記作用電極への測定電流が所定のアンペア数を超過することに応答して信号を生成させる命令をさらに含む、請求項4に記載の分析物モニター。
【請求項6】
前記所定のアンペア数が、前記第一の整合性検査の間に20ナノアンペアより大きい、請求項5に記載の分析物モニター。
【請求項7】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに、前記第一の整合性検査の間、前記分析物センサの基準電極に前記第二の対極電圧と等しい基準電極電圧を適用させる命令をさらに含む、請求項4に記載の分析物モニター。
【請求項8】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに、前記ガードリングに第一のガードリング電圧および第二のガードリング電圧を選択的に提供させる命令をさらに含み、および、
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに:
前記作用電極に前記作用電極電圧を適用すること、
前記対極に前記第二の対極電圧を適用することであって、前記第二の対極電圧が前記作用電極電圧と等しい、適用すること、および、
前記ガードリングに前記第二のガードリング電圧を適用することであって、前記第二のガードリング電圧が前記作用電極電圧と等しくない、適用すること、によって少なくとも一つの整合性検査を実施させる命令をさらに含む、請求項1に記載の分析物モニター。
【請求項9】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに、前記少なくとも一つの整合性検査の間に、前記作用電極への測定電流が第一の所定のアンペア数を超過すること、または第二の所定のアンペア数未満であることに応答して信号を生成させる命令をさらに含む、請求項8に記載の分析物モニター。
【請求項10】
前記少なくとも一つの整合性検査の間、前記第一の所定のアンペア数は、前記作用電極電圧と前記第二のガードリング電圧との差を前記基準抵抗器の抵抗値で除した値よりも少なくとも2%大きく、前記第二の所定のアンペア数は、前記作用電極電圧と前記第二のガードリング電圧との差を前記基準抵抗器の抵抗値で除した値よりも少なくとも2%小さい、請求項9に記載の分析物モニター。
【請求項11】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに、前記少なくとも一つの整合性検査の間、前記分析物センサの基準電極に前記第二の対極電圧と等しい基準電極電圧を適用させる命令をさらに含む、請求項8に記載の分析物モニター。
【請求項12】
分析物モニタリングシステムであって、
作用電極および対極を有する分析物センサ;
前記作用電極の接触領域の少なくとも一部分を囲むガードリング;
前記作用電極と前記ガードリングとの間に電気的に連結された基準抵抗器;および、
前記分析物センサに連結された分析物トランスミッタであって:
メモリに連結されたプロセッサを含むコントローラであって、前記メモリがその中に、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに:
前記作用電極に作用電極電圧を提供させ;
前記対極に第一の対極電圧および第二の対極電圧を選択的に提供させ;および、
前記ガードリングにガードリング電圧を提供させる、記憶された命令を有する、コントローラ;および、
前記コントローラに連結され、前記作用電極への電流を測定するように構成される、電流測定回路、を含む分析物トランスミッタ、を含み、
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに:
前記作用電極に前記作用電極電圧を適用すること、前記対極に前記第一の対極電圧または前記第二の対極電圧を適用すること、および前記ガードリングに前記ガードリング電圧に適用すること;および、
前記電流測定回路を使用して前記作用電極への電流を測定すること、による少なくとも一つの整合性検査を実施させる命令をさらに含む、分析物モニタリングシステム。
【請求項13】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに:
前記作用電極に前記作用電極電圧を適用すること、
前記対極に前記第一の対極電圧を適用することであって、前記第一の対極電圧が前記作用電極電圧と等しくない、適用すること、および、
前記ガードリングに前記ガードリング電圧を適用することであって、前記ガードリング電圧が前記作用電極電圧と等しい、適用すること、によって分析物濃度を測定させる命令をさらに含む、請求項12に記載の分析物モニタリングシステム。
【請求項14】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに、分析物濃度の測定中に、前記作用電極への測定電流が所定のアンペア数を超過することに応答して信号を生成させる命令をさらに含む、請求項13に記載の分析物モニタリングシステム。
【請求項15】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに:
前記作用電極に前記作用電極電圧を適用すること、
前記対極に前記第二の対極電圧を適用することであって、前記第二の対極電圧が前記作用電極電圧と等しい、適用すること、および、
前記ガードリングに前記ガードリング電圧を適用することであって、前記ガードリング電圧が前記作用電極電圧と等しい、適用すること、によって第一の整合性検査を実施させる命令をさらに含む、請求項13に記載の分析物モニタリングシステム。
【請求項16】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに、前記第一の整合性検査の間に、前記作用電極への測定電流が所定のアンペア数を超過することに応答して信号を生成させる命令をさらに含む、請求項15に記載の分析物モニタリングシステム。
【請求項17】
前記所定のアンペア数が、20.0ナノアンペアより大きい、請求項16に記載の分析物モニタリングシステム。
【請求項18】
前記分析物センサが基準電極を有し、前記メモリが、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに、前記第一の整合性検査の間、前記基準電極に前記第二の対極電圧と等しい基準電極電圧を適用させる命令をさらに含む、請求項15に記載の分析物モニタリングシステム。
【請求項19】
前記メモリがその中に、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに:
前記ガードリングに第一のガードリング電圧および第二のガードリング電圧を選択的に提供させ;および、
以下:
前記作用電極に前記作用電極電圧を適用すること、
前記対極に前記第二の対極電圧を適用することであって、前記第二の対極電圧が前記作用電極電圧と等しい、適用すること、および、
前記ガードリングに前記第二のガードリング電圧を適用することであって、前記第二のガードリング電圧が前記作用電極電圧と等しくない、適用すること、によって少なくとも一つの整合性検査を実施させる命令をさらに含む、請求項13に記載の分析物モニタリングシステム。
【請求項20】
前記メモリが、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに、前記少なくとも一つの整合性検査の間に、前記作用電極への測定電流が第一の所定のアンペア数を超過すること、または第二の所定のアンペア数未満であることに応答して信号を生成させる命令をさらに含む、請求項19に記載の分析物モニタリングシステム。
【請求項21】
前記少なくとも一つの整合性検査の間、前記第一の所定のアンペア数は、前記作用電極電圧と前記第二のガードリング電圧との差を前記基準抵抗器の抵抗値で除した値よりも少なくとも2%大きく、前記第二の所定のアンペア数は、前記作用電極電圧と前記第二のガードリング電圧との差を前記基準抵抗器の抵抗値で除した値よりも少なくとも2%小さい、請求項20に記載の分析物モニタリングシステム。
【請求項22】
前記分析物センサが基準電極を有し、前記メモリが、前記プロセッサによって実行されるとき、前記コントローラに、前記少なくとも一つの整合性検査の間、前記基準電極に前記第一の対極電圧と等しい基準電極電圧を適用させる命令をさらに含む、請求項19に記載の分析物モニタリングシステム。
【請求項23】
分析物モニタリングシステムを動作させる方法であって:
作用電極および対極を有する分析物センサを提供すること;
前記作用電極の接触領域の少なくとも一部分を囲むガードリングを提供すること;
前記作用電極と前記ガードリングとの間に連結された基準抵抗器を提供すること;
作用電極電圧を前記作用電極に適用すること;
第一の対極電圧および第二の対極電圧のうちの一つを前記対極に選択的に適用すること;
少なくとも第一のガードリング電圧を前記ガードリングに適用すること;および、
前記作用電極への電流を測定すること、を含む、方法。
【請求項24】
分析物濃度を:
前記対極に前記第一の対極電圧を適用することであって、前記第一の対極電圧が前記作用電極電圧と等しくない、適用すること、および、
前記ガードリングに前記第一のガードリング電圧を適用することであって、前記第一のガードリング電圧が前記作用電極電圧と等しい、適用することによって測定することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
第一の整合性検査を:
前記対極に前記第二の対極電圧を適用すること、および、
前記ガードリングに前記第一のガードリング電圧を適用すること、によって実施することをさらに含み、
前記第二の対極電圧および前記第一のガードリング電圧が、前記作用電極電圧と等しい、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
第二の整合性検査を:
前記対極に前記第二の対極電圧を適用することであって、前記第二の対極電圧が前記作用電極電圧と等しい、適用すること、および、
前記ガードリングに第二のガードリング電圧を適用することであって、前記第二のガードリング電圧が前記作用電極電圧と等しくない、適用すること、によって実施することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
皮膚に取り付けるように構成される分析物センサであって:
作用電極;
前記作用電極の接触領域の少なくとも一部分を囲むガードリング;および、
前記作用電極と前記ガードリングとの間に接続された基準抵抗器を備える、分析物センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は2019年11月8日に出願された、「DEVICES,SYSTEMS,AND METHODS FOR MEASURING ANALYTES IN INTERSTITIAL FLUID」と題された、米国仮特許出願第62/933,308号の利益を主張するものであり、その開示は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、間質液中の分析物を測定するように適合された装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
持続グルコースモニタリング(CGM)などのインビボおよび/またはインビトロ試料における持続検体検出は、特に糖尿病ケアにおいて、ルーチン検出動作となっている。リアルタイムグルコース濃度を提供することによって、治療/臨床行為をよりタイムリーに適用し得、血糖状態をより良好に制御し得る。
【0004】
CGM動作中、バイオセンサは通常、皮下に挿入され、組織および間質液に囲まれた環境で持続的に動作する。皮下に挿入されるバイオセンサは、CGMセンサ装置の無線CGMトランスミッタに信号を提供し、その信号はユーザの血糖値を示す。これらの測定は、一日を通して(例えば、数分毎、または他の間隔で)、自動的に何度も行われ得る。
【0005】
無線CGMトランスミッタは、腹部、または上腕後部などのユーザの皮膚の外表面に貼付けられ得、一方、バイオセンサは、間質液に接触するように皮膚を通して挿入される。
【0006】
正確なグルコース測定値を確保するために、CGM装置は、定期的に自己診断を実施し、バイオセンサおよびCGMトランスミッタの適切な動作を確認し得る。セルフテストシステムは、追加のスイッチやその他のハードウェアを必要とするため、CGMトランスミッタの複雑さとコストを増大させ得る。したがって、CGMトランスミッタおよびバイオセンサの適切な動作を確認するための改善されたシステム、方法、および装置が望まれる。
【発明の概要】
【0007】
第一の態様によれば、分析物モニターが開示される。分析物モニターは、メモリに連結されたプロセッサを含むコントローラを含み、当該メモリはその中に記憶された命令を有し、プロセッサによって実行されたとき、コントローラに:分析物センサの作用電極に作用電極電圧を提供させ;分析物センサの対極に第一の対極電圧および第二の対極電圧を選択的に提供させ;作用電極の接触領域を少なくとも部分的に取り囲むガードリングに、ガードリング電圧を提供させる。分析物モニターはまた、作用電極への電流を測定するように構成される、コントローラに連結された電流測定回路を含む。分析物モニターは、作用電極とガードリングとの間に電気的に連結された基準抵抗器をさらに含む。メモリは、プロセッサによって実行されるとき、コントローラに、作用電極電圧を作用電極に適用すること、第一の対極電圧または第二の対極電圧を対極に適用すること、ガードリング電圧をガードリングに適用すること、および電流測定回路を使用して作用電極への電流を測定することによって、少なくとも一つの整合性検査を行わせる命令をさらに含む。
【0008】
第二の態様によれば、分析物モニタリングシステムが開示される。分析物モニタリングシステムは:作用電極および対極を有する分析物センサ;作用電極の接触領域の少なくとも一部分を囲むガードリング;作用電極とガードリングとの間に電気的に連結された基準抵抗器;および分析物センサに連結された分析物トランスミッタを含む。分析物トランスミッタは、メモリに連結されたプロセッサを含むコントローラを含み、当該メモリはその中に記憶された命令を有し、プロセッサによって実行されたとき、コントローラに:分析物センサの作用電極に作用電極電圧を提供させ、第一の対極電圧および第二の対極電圧を分析物センサの対極に選択的に提供させ、ガードリングにガードリング電圧を提供させる。分析物トランスミッタはまた、コントローラに連結され、作用電極への電流を測定するように構成される、電流測定回路を含む。メモリは、プロセッサによって実行されるとき、コントローラに:作用電極電圧を作用電極に適用すること、第一の対極電圧または第二の対極電圧を対極に適用すること、ガードリング電圧をガードリングに適用すること、および電流測定回路を使用して作用電極への電流を測定することによって、少なくとも一つの整合性検査を行わせる命令をさらに含む。
【0009】
第三の態様では、分析物モニタリングシステムを動作させる方法が開示される。方法は:作用電極および対極を有する分析物センサを提供すること;作用電極の接触領域の少なくとも一部分を囲むガードリングを提供すること;作用電極とガードリングとの間に連結された基準抵抗器を提供すること;作用電極電圧を作用電極に適用すること;第一の対極電圧および第二の対極電圧のうちの一つを対極に選択的に適用すること;少なくとも第一のガードリング電圧をガードリングに適用すること;作用電極への電流を測定することを含む。
【0010】
別の態様では、皮膚に取り付けられるように構成された分析物センサが開示される。分析物センサは:作用電極;作用電極の接触領域の少なくとも一部分を囲むガードリング;および作用電極とガードリングとの間に連結された基準抵抗器を含む。
【0011】
本開示のさらなる他の態様、特徴、および利点は、いくつかの例示的実施形態および実施例を説明する以下の記述から容易に明らかであり得る。本開示はまた、他の異なる実施形態をとることができ、そのいくつかの詳細は、その範囲から逸脱することなく、様々な点で修正され得る。したがって、図面および説明は、本質的に例示として見なされ、制限するものとして見なされるべきではない。本開示は、特許請求の範囲に含まれる全ての修正、均等物、および代替物を網羅する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下に説明される図面は、例示のみを目的としたものであり、必ずしも正確な縮尺で描かれるとは限らない。図面は、本開示の範囲をいかなる方法でも制限することを意図するものではない。同一または類似の要素を示すために、全体的に同じ数字が使用される。
【0013】
【
図1A】
図1Aは、一つまたは複数の実施形態による、皮膚に付着したグルコースセンサおよびグルコースセンサから分離された状態で示されているグルコーストランスミッタを含む、グルコースモニタリングシステムの部分的断面側面図を示す。
【0014】
【
図1B】
図1Bは、一つまたは複数の実施形態によるグルコーストランスミッタの底面図を示す。
【0015】
【
図1C】
図1Cは、一つまたは複数の実施形態による、グルコーストランスミッタに取り付けられたグルコースセンサを備えるグルコースモニタリングシステムの部分的断面側面図を示す。
【0016】
【
図2】
図2は、本明細書に開示される一つまたは複数の実施形態によるグルコースセンサを含むグルコースモニタリングシステムの一部分を概略的に図示する。
【0017】
【
図3】
図3は、本明細書に開示される一つまたは複数の実施形態による、動作状態にあるグルコースセンサを含むグルコースモニタリングシステムの一部分を概略的に図示する。
【0018】
【
図4】
図4は、本明細書に開示される一つまたは複数の実施形態による、第一の分析状態にあるグルコースセンサを含むグルコースモニタリングシステムの一部分を概略的に図示する。
【0019】
【
図5】
図5は、本明細書に開示される一つまたは複数の実施形態による、第二の分析状態にあるグルコースセンサを含むグルコースモニタリングシステムの一部分を概略的に図示する。
【0020】
【
図6】
図6は、本明細書に開示される一つまたは複数の実施形態による、グルコースセンサを含むグルコースモニタリングシステムの一部分を概略的に図示する。
【0021】
【
図7】
図7は、本明細書に開示される一つまたは複数の実施形態による、作用電極とガードリングとの間に抵抗器が接続されたグルコースセンサの平面図を示す。
【0022】
【
図8】
図8は、本明細書に開示される一つまたは複数の実施形態による、グルコースモニタリングシステムを動作させる方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
持続分析物モニタリング(CAM)システムは、間質液中の二点以上の間の電流を監視し、間質液中の分析物濃度(例えば、グルコース濃度)を決定し得る。CAMシステムは、分析物センサ(例えば、グルコースセンサ)に電気的に連結された、分析物トランスミッタを含み得る。分析物トランスミッタは、作用電極、対極、基準電極および/またはそれに類するものなど、分析物センサの電極の接触領域に電気的に連結する接触領域を有するアナログフロントエンドを含み得、これは、CAMトランスミッタと分析物センサの電極との間の電気接続を生成する。
【0024】
分析物センサは、ベースプレートの接触領域でベースプレートに連結され得る。ベースプレートは、ユーザの皮膚に取り付けられ得、分析物トランスミッタは、ベースプレートに連結され得る。分析物センサの針は、ベースプレートからユーザの皮膚を通って延び、ユーザの間質液に接触するように皮下配置するように構成される。針は、作用電極、対極、および基準電極などの分析物センサの電極を含み、これらの電極をユーザの皮膚の下の間質液と接触させる。分析物トランスミッタおよび/またはベースプレートは、分析物センサの作用電極および/または基準電極の接触領域を少なくとも部分的に取り囲む一つまたは複数のガードリングを含み得る。例えば、一部の実施例において、ガードリングは電極の接触領域の50%以上を、および/またはそれを実質的に囲み得る。
【0025】
CAM中、作用電極と対極との間に電圧が適用され、電極間の電流が測定される。電極間の電流は、間質液中の分析物(例えば、グルコース)濃度に比例する。作用電極に適用される同じ電圧が、作用電極に関連付けられたガードリングに適用され、ベースプレート上の汚染物質を通る電流を防止、および/または分析物トランスミッタが間質液を通した電流測定に干渉することを防止し得る。間質液を通る電流は、ナノアンペアレンジなど、非常に小さくてもよく、それによって、分析物モニタリングシステムの感度は非常に高くなる。整合性検査(例えば、自己診断ルーチン)は、システムが正確に動作していることを確保するために、CAMシステムによって実施され得る。
【0026】
本明細書に開示される分析物モニタリングシステムの実施形態は、(作用電極と関連付けられた)ガードリングと作用電極との間に電気的に連結された基準抵抗器を含み得る。第一の整合性検査中、作用電極、ガードリング、および対極に適用される電圧は等しく設定される。分析物トランスミッタおよび/または分析物センサが適切に動作している場合、すべて同じ電圧に設定されているため、ガードリングと電極との間に電流がほとんどないか、または全くないことになる。任意の電流または所定の(例えば、閾値)アンペア数を超える電流は、(例えば、分析物トランスミッタ、ベースプレートまたはセンサの電気接続エラーまたは汚染による)分析物モニタリングシステムにおける障害を示し得る。
【0027】
第二の整合性検査の間、作用電極および対極に適用される電圧は等しくてもよく、一方でガードリングに適用される電圧は、作用電極に適用される電圧とは異なっていてもよい。分析物トランスミッタおよび/または分析物センサが適切に動作している場合、作用電極と対極との間に電流がほとんどまたは全く流れない。しかしながら、ガードリングと作用電極の間には、基準抵抗器のみを通して電流が流れなければならない。電流の大きさは、作用電極とガードリングとの間の電圧差を基準抵抗器の抵抗で割ったものに等しくなければならない。その他の電流が測定された場合、(例えば、分析物トランスミッタ、ベースプレートまたはセンサの電気接続エラーまたは汚染による)分析物モニタリングシステムにおける障害が存在し得る。
【0028】
これらおよび他の実施形態は、本明細書の
図1A-8を参照して詳細に記載される。グルコースモニタリングシステムを使用したグルコース濃度決定に関して主に説明されているが、本明細書に記載の実施形態は、他の分析物モニタリングシステム(例えば、コレステロール、乳酸、尿酸、アルコール、または他の分析物モニタリングシステム)と共に使用されて得る。
【0029】
ここで、グルコーストランスミッタ102およびグルコースセンサアセンブリ104を含むグルコースモニタリングシステム100の部分的な断面側面図を示す
図1Aを参照する。グルコーストランスミッタ102は、グルコースセンサアセンブリ104から分離された状態で示され、以下に説明される様々な特徴を示し、グルコースセンサアセンブリ104は皮膚106に取り付けられた状態で示される。また、グルコーストランスミッタ102の一実施形態の底面図を示す
図1Bを参照する。間質液108は、皮膚106の下方に位置する。グルコースモニタリングシステム100の構成要素および皮膚106は、縮尺通りに描かれていない場合がある。グルコースセンサアセンブリ104は、グルコースセンサアセンブリ104の構成要素が位置する基材110(例えば、ベースプレート)を含み得る。基材110の部分は、プラスチック、セラミック、または別の適切な材料などの非導電性材料で作製され得る。一部の実施形態では、基材110は、積層材料を含み得る。基材110は、基材110の中またはそれに取り付けられた構成要素に電流を流す、電気トレース(図示せず)を含み得る。アクリル、シリコーンなどの接着剤112は、基材110を皮膚106の外表面に取り付け得る。
【0030】
図1A~1Bの実施形態では、グルコースセンサアセンブリ104は、以下でさらに説明するように、それぞれ、作用電極117、基準電極119および対極121と接触するための、作用電極接触領域116A、基準電極接触領域118A、および対極接触領域120Aを含む、センサ電極接触領域114Aを含み得る。より少ないまたはより多くの電極接触領域および/または電極、および/または他の適切な電極構成が使用され得る。例えば、一部の実施形態では、第二の作用電極(例えば、バックグラウンド電極)が使用され得る。電極117、119および121は、電極117、119および121が間質液に接触し、センサ電極接触領域116A、118Aおよび120Aに電流を流すことができるように、間質液108の皮膚106の少なくとも部分的に下に位置付けられるように構成された針122を形成され得る、および/またはその中に封入され得る
【0031】
グルコーストランスミッタ102は、トランスミッタ接触領域114Bが位置する表面124を含み得る。トランスミッタ接触領域114Bは、センサ電極接触領域114Aとして、対応する個々の接触領域を含み得る。例えば、トランスミッタ接触領域114Bは、作用電極接触領域116B、基準電極接触領域118B、および対極接触領域120Bを含み得る。センサ電極接触領域114Aおよびトランスミッタ接触領域114Bの個々の接触領域は、円形、楕円、正方形、および長方形などの任意の形状を有し得る。
【0032】
上述の接触領域に加えて、グルコーストランスミッタ102および/またはグルコースセンサアセンブリ104は、接触領域の少なくとも一つを少なくとも部分的に取り囲むガードリングを有し得る。
図1Aおよび1Bに図示された実施形態では、グルコースセンサアセンブリ104は、作用電極接触領域116Aの少なくとも一部を取り囲む作用電極ガードリング128Aを含む。グルコースセンサアセンブリ104はまた、基準電極接触領域118Aの少なくとも一部を取り囲む基準電極ガードリング130Aを含み得る。グルコーストランスミッタ102は、作用電極接触領域116Bの少なくとも一部を取り囲む作用電極ガードリング128B、および基準電極接触領域118Bの少なくとも一部を取り囲む基準電極ガードリング130Bを含み得る。
【0033】
グルコースモニタリングシステム100の動作中、グルコーストランスミッタ102およびグルコースセンサアセンブリ104は、トランスミッタ接触領域114Bがセンサ電極接触領域114Aに電気的に接触するように、
図1Cに示すように、一緒に取り付けられ得る。グルコーストランスミッタ102のガードリングはまた、グルコースセンサアセンブリ104のそれぞれのガードリングに電気的に接触し得る。グルコースセンサアセンブリ104がグルコーストランスミッタ102に取り付けられる場合、作用電極接触領域116Aおよび作用電極接触領域116Bが、作用電極117と電気的に接触し得、基準電極接触領域118Aおよび基準電極接触領域118Bが、基準電極119と電気的に接触し得、対極接触領域120Aおよび対極接触領域120Bは、対極121と電気的に接触し得る。加えて、作用電極ガードリング128Aおよび作用電極ガードリング128Bは、ガードリング128を形成し得、基準電極ガードリング130Aおよび基準電極ガードリング130Bは、ガードリング130を形成し得る。センサ電極接触領域114Aおよびトランスミッタ接触領域114Bは、電極接触領域114と総称され得る。一部の実施形態では、ガードリング128および/またはガードリング130は、環状形状を有し得る。一部の実施形態では、ガードリング128および/またはガードリング130のうちの少なくとも一つは、円形、楕円形、長方形、または任意の他の適切な形状を有し得る。
【0034】
電極117、119および121は、針122を介して間質液108を通して電圧を適用および/または電流を流し得る。例えば、グルコースモニタリングシステム100の動作中、電流は、作用電極117と対極121との間を流れ得る。基準電極119は、電流が全くまたはほとんどなくてもよく、対極121の電圧を設定するように機能し得る。本明細書に記載されるように、作用電極117と対極121との間の電流は、間質液108のグルコース濃度に比例する。したがって、グルコースモニタリングシステム100は、作用電極117と対極121との間の電流を測定し、間質液108のグルコース濃度を決定し得る。
【0035】
ガードリング128は、グルコーストランスミッタ102の表面124および/または基材110の表面上に迷走電流が流れるのを防ぎ、間質液108を流れる電流として解釈されるのを防止する。ガードリング128は、作用電極接触領域116の少なくとも一部を囲む導電性リングを含み得、表面124に接触し得る。グルコースセンサアセンブリ104の動作中、ガードリング128は、作用電極117と同じ電圧で動作し得る。ガードリング128および作用電極117は、同じ電圧で動作するため、作用電極117とガードリング128との間に電流が流れないこととなる。したがって、間質液108を流れる電流のみが、作用電極117を流れる。
【0036】
本明細書に提供されるグルコースモニタリングシステム100の一部分の一実施形態を概略的に図示する
図2をさらに参照する。
図2に図示されるグルコースモニタリングシステム100は、グルコースセンサアセンブリ104に電気的に連結されたグルコーストランスミッタ102を含み得る。グルコーストランスミッタ102は、グルコースセンサアセンブリ104の構成要素に電気的に連結するように構成され得るアナログフロントエンド220を含み得る。
【0037】
グルコーストランスミッタ102は、グルコースモニタリングシステム100および/またはアナログフロントエンド220内の構成要素を制御および監視するように構成されたコントローラ222を含み得る。コントローラ222は、メモリ222Mに連結されたプロセッサ222Pを含み得る。メモリ222Mは、プロセッサ222Pによって実行されるとき、コントローラ222に、本明細書に記載のグルコースモニタリングシステム100の様々な構成要素を制御および/または監視させる、その中に記憶された命令を有し得る。
【0038】
プロセッサ222Pは、限定するものではないが、例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、内蔵マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラとして動作するように構成されたフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの計算リソースであり得る。メモリ222Mは、限定するものではないが、揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリのうちの一つまたは複数など、任意の適切なタイプのメモリであり得る。
【0039】
アナログフロントエンド220はまた、グルコースセンサアセンブリ104の構成要素に電気的に連結されるように構成され、コントローラ222によって制御され得る複数の電源を含み得る。例えば、電源は、電極117、119および121などの構成要素を、異なる所定の電圧でバイアスし得る。
図2に示す実施形態では、アナログフロントエンド220は、作用電極(WE)ソース224、ガードソース226、および対極(CE)ソース228と個々に称される三つの電源を含み得る。アナログフロントエンド220は、図示されていない他の構成要素を含み得る。例えば、アナログフロントエンド220は、基準電極119の電圧を監視する構成要素を含み得る。
【0040】
WEソース224は、作用電極電圧VWEをグルコースセンサアセンブリ104の作用電極接触領域116Aに適用するように構成され得る。WEソース224は、コントローラ222に連結された制御入力224A、および、作用電極電圧VWEを適用し、電流I21を供給する出力224Bを含み得る。例えば、コントローラ222は、制御入力224Aを介してWEソース224に命令を送信し、それによって、WEソース224に、出力224Bを介して作用電極電圧VWEを出力させ得る。
【0041】
アナログフロントエンド220はまた、作用電極117に流れる電流であり得る、WEソース224の出力電流I21を測定するように構成された電流測定回路(例えば、電流計)230を含み得る。電流計230は、電流I21のアンペア数を示す信号を生成し得、これらの信号をコントローラ222に送信し得る。一部の実施形態では、メモリ222Mは、プロセッサ222Pによって実行されるとき、コントローラ222に、所定の(例えば、閾値)アンペア数を超えるか、または所定の(例えば、閾値)アンペア数の範囲外にある、電流計230の測定された電流に応答して信号を生成させる命令を含み得る。例えば、一部の実施形態では、コントローラ222は、電流計230によって測定された電流I21が、第一の所定のアンペア数より大きいかまたは第二の所定のアンペア数より小さいことに応答して信号を生成するように構成され得る。コントローラ222によって生成された信号は、グルコースモニタリングシステム100にエラー状態が存在することを示し得る。
【0042】
CEソース228は、二つ以上の対極電圧を対極接触領域120に提供するように構成され得る。CEソース228は、二つ以上の対極電圧を出力する制御入力228Aおよび出力228Bを含み得る。制御入力228Aは、コントローラ222に連結され得、出力228Bで出力すべき電圧に関する命令を受信し得る。CEソース228は、少なくとも第一の対極(CE)電圧VCE1および第二のCE電圧VCE2を対極121に出力するように構成され得る。例えば、コントローラ222は、制御入力228Aを介して命令をCEソース228に送信して、CEソース228に、第一のCE電圧VCE1または第二のCE電圧VCE2のうちの少なくとも一つを出力させ得る。
【0043】
一部の実施形態では、CEソース228は、グルコースモニタリングシステム100の通常の動作中に、第一のCE電圧VCE1を出力し得る。CEソース228は、グルコースモニタリングシステム100が本明細書に記載されるように分析(例えば、自己診断)状態にあるとき、第二のCE電圧VCE2を出力し得る。一部の実施形態では、第一のCE電圧VCE1は、作用電極電圧VWEと等しくなく、第二のCE電圧VCE2は、作用電極電圧VWEと等しい。他の適切な電圧が使用され得る。
【0044】
ガードソース226は、一つまたは複数のガードリング電圧をガードリング128に適用するように構成され得る。
図2に図示された実施形態では、ガードソース226は、少なくとも第一のガードリング電圧V
G1および第二のガードリング電圧V
G2をガードリング128に出力するように構成され得る。ガードソース226は、コントローラ222に連結された制御入力226A、およびガードリング128に電気的に連結されるように構成された出力226Bを含み得る。出力226Bは、少なくとも第一のガードリング電圧V
G1または第二のガードリング電圧V
G2をガードリング128に適用し得る。例えば、コントローラ222は、制御入力226Aを介して命令をガードソース226に送信して、ガードソース226に、第一のガードリング電圧V
G1または第二のガードリング電圧V
G2のうちの少なくとも一つをガードリング128に出力させ得る。
【0045】
一部の実施形態では、第一のガードリング電圧VG1は、作用電極電圧VWEと等しくてもよく、第二のガードリング電圧VG2は、作用電極電圧VWEと等しくなくてもよい。他の適切な電圧が使用され得る。一部の実施形態では、ガードソース226は、グルコースモニタリングシステム100が動作状態にある時、第一のガードリング電圧VG1を出力し得る。ガードソース226は、グルコースモニタリングシステム100が分析状態にある時、第二のガードリング電圧VG2を出力し得る。一部の実施形態では、ガードソース226の出力226Bは、グルコースモニタリングシステム100が本明細書に記載されるような分析状態であるとき、ソースまたはシンク電流(例えば、電流I21)に対する低インピーダンスを有し得る。
【0046】
基準抵抗器R21は、作用電極117(例えば、作用電極接触領域116Aおよび/または116B)と、例えば、ガードリング128との間に電気的に連結されるように構成され得る。一部の実施形態では、基準抵抗器R21は、電流計230の出力とガードソース226の出力226Bとの間に電気的に連結され得る。一部の実施形態では、基準抵抗器R21は、例えば、0.5~1%の精度で約5MΩなど、高い抵抗値を有し得る。基準抵抗器R21は、他の適切な抵抗および精度値を有し得る。一部の実施形態では、基準抵抗器R21は、グルコーストランスミッタ102内に位置し得、他の実施形態では、基準抵抗器R21は、(例えば、
図7のグルコースセンサアセンブリ704に示すように)グルコースセンサアセンブリ104内に位置し得る。
【0047】
一部の実施形態では、グルコースモニタリングシステム100は、少なくとも動作状態、第一の分析状態、および第二の分析状態で動作し得る。グルコースモニタリングシステム100が動作状態にある時、本明細書の記載の通り、グルコースモニタリングシステム100は間質液108のグルコース濃度を測定する(
図1A)。間質液108中のグルコース濃度は、間質液108の導電性に比例する。したがって、間質液108内のグルコース濃度は、作用電極接触領域116Aに流れる電流I21を(例えば、一定のバイアス下で)持続測定することによって持続測定され得る。例えば、電流計230は、電流I21を持続測定し得る。電流I21は、作用電極117と対極121との間に流れる電流に、基準抵抗器R21を流れる電流を加えたものと等しくてもよい。グルコースモニタリングシステム100がグルコース濃度を監視する通常の動作では、作用電極電圧V
WEと第一のガードリング電圧V
G1は等しくてもよく、従って基準抵抗器R21を電流は流れない。
【0048】
本明細書に記載のグルコースモニタリングシステム100およびグルコーストランスミッタ102のすべての状態では、WEソース224は、作用電極電圧VWEを作用電極117に適用し得る。例えば、コントローラ222は、WEソース224に命令を送信し、それによって、WEソース224に、出力224B上に作用電極電圧VWEを出力させ得る。一部の実施形態では、作用電極電圧VWEは、約1.5vであり得るが、他の適切な値(例えば、1.5ボルト超、1.5ボルト、1.0ボルト、0.5ボルト、0.1ボルト未満など)を使用し得る。WEソース224の出力224Bは、WEソース224が電流I21をソースおよび/またはシンクできるように低インピーダンスを有し得る。
【0049】
グルコーストランスミッタ102は、一つまたは複数の分析状態にあり、一つまたは複数の自己診断または整合性検査を実施し得る。グルコーストランスミッタ102はまた、グルコーストランスミッタ102がグルコース濃度を測定するためにグルコースセンサアセンブリ104からの信号を処理するとき、動作状態または正常状態であり得る。WEソース224、ガードソース226、およびCEソース228の出力の状態の例は、表1に示す相対値によって要約される。異なる状態のVWE、VCE1、VCE2、VG1、およびVG2の例示的な値を、表2に示す。他の適切な電圧が使用され得る。
【0050】
【0051】
【0052】
ここで
図3を参照すると、動作状態で構成されたグルコースモニタリングシステム100の実施形態が概略的に示される。グルコースモニタリングシステム100が動作状態にある時、CEソース228は、対極接触領域120Aに第一のCE電圧V
CE1を適用し得る。例えば、コントローラ222は、制御入力228Aを介して命令をCEソース228に送信して、CEソース228に、出力228Bで第一のCE電圧V
CE1を出力させ得る。グルコースモニタリングシステム100が動作状態にあるときにCEソース228によって出力される第一のCE電圧V
CE1は、作用電極電圧V
WEと等しくない。例えば、第一の対極電圧V
CE1は、作用電極電圧V
WEよりも小さくてもよく、または第一の対極電圧V
CE1は、作用電極電圧V
WEよりも大きくてもよい。したがって、電流は、作用電極117と対極121との間に流れ得る。一部の実施形態では、作用電極電圧V
WEと第一の対極電圧V
CE1との間の差は約0.5vである。一部の実施形態では、作用電極電圧V
WEは約1.5vであり、第一の対極電圧V
CE1は約1.0vである。他の適切な電圧が使用され得る。
【0053】
グルコースモニタリングシステム100が動作状態にある時、ガードソース226は、第一のガードリング電圧V
G1をガードリング128に適用し得る。上述のように、第一のガードリング電圧V
G1は、作用電極電圧V
WEと等しくてもよい。例えば、コントローラ222は、制御入力226Aを介して命令をガードソース226に送信して、ガードソース226に、出力226Bで第一のガードリング電圧V
G1を出力させ得る。第一のガードリング電圧V
G1を作用電極電圧V
WEと等しく設定することによって、ガードリング128と作用電極接触領域116Aとの間に電流が流れない。したがって、作用電極接触領域116Aを流れる電流は、間質液108(
図1A)を流れる電流であり、間質液108のグルコース濃度に比例する。こうした実施形態では、作用電極117を流れる電流は、グルコーストランスミッタ102の表面124または基材110の表面上の汚染物質などによって影響されない(
図1A)。
【0054】
正確性を確保するために、グルコースモニタリングシステム100は、定期的な自己診断(例えば、整合性検査)を実施し得る。従来的なグルコースモニタリング装置は、自己診断中に使用するためのスイッチ等を含み得る。本明細書に記載のグルコースモニタリングシステム100は、作用電極接触領域116Aとガードリング128との間に持続的に電気的に連結され得る基準抵抗器R21を含む。したがって、本明細書に記載のグルコースモニタリングシステム100は、追加のスイッチング回路を必要としない。
【0055】
ここで
図4を参照すると、第一の整合性検査を実施するために第一の分析状態にあるアナログフロントエンド220の一実施形態が概略的に示される。アナログフロントエンド220が第一の分析状態にあるとき、電極の電圧はコントローラ222によって等しくなるように設定される。したがって、WEソース224、ガードソース226、およびCEソース228は、V
WE=V
G1=V
CE2のように同じ電圧を出力するように命令される。一部の実施形態では、すべての電圧は1.5vに設定され得る。作用電極117、ガードリング128、および対極121の電圧は同じであるため、電極間に電流は流れないはずである。したがって、電流計230は、いかなる電流も測定し得ない。コントローラ222は、電流計230が電流を測定するのに応答して、グルコースモニタリングシステム100内の障害を示す信号を生成し得る。一部の実施形態では、コントローラ222は、電流計230が所定の(例えば、閾値)アンペア数よりも大きい電流を測定するのに応答して、信号を生成し得る。一部の実施形態では、コントローラ222に信号(例えば、エラーメッセージ、障害信号および/または警報)を生成させる所定のアンペア数は、約10~20ナノアンペア以上であってもよいが、他の適切な値を使用し得る。例えば、構成要素に関連付けられた一部の迷走電流は、迷走電流がグルコースモニタリングシステム100に悪影響を及ぼさないように流れ得る。一部の実施形態では、コントローラ222に信号を生成させる所定のアンペア数は、グルコースモニタリングシステム100における許容誤差に基づいて設定され得る(
図1A)。
【0056】
ここで
図5を参照すると、第二の整合性検査を実施するために第二の分析状態にあるアナログフロントエンド220の一実施形態が概略的に示される。アナログフロントエンド220が第二の分析状態にある時、すべての電極の電圧は、電流I21が基準抵抗器R21を介して引き出されるように、コントローラ222によって設定される。例えば、第二のCE電圧V
CE2は、作用電極電圧V
WEと等しくてもよい。ガードソース226は、作用電極電圧V
WEと等しくない第二のガードリング電圧V
G2を出力するように命令され得る。一部の実施形態では、第二のガードリング電圧V
G2は、作用電極電圧V
WEよりも小さい。例えば、作用電極電圧V
WEは1.5vであり得、第二のガードリング電圧V
G2は1.0vであり得る。
【0057】
上述のように、アナログフロントエンド220が第二の分析状態にあるとき、作用電極117とガードリング128との間に電圧差が存在する。
図5に示すように、この電圧差は基準抵抗器R21を横切って存在する。CEソース228によって出力される第二のCE電圧V
CE2は、作用電極117における作用電極電圧V
WEと等しいため、作用電極117と対極121との間には電流が流れない。グルコースモニタリングシステム100が正しく動作している場合、電流計230によって測定される電流は、基準抵抗器R21を流れる電流I21のみである。基準抵抗器R21は、精密抵抗器であり得、作用電極電圧V
WEおよび第二のガードリング電圧V
G2は、精密電圧であり得、その結果、抵抗および電圧の精度は、グルコースモニタリングシステム100によって実行される第二の自己診断の精度に比例する。理想的な条件下では、電流計230によって測定される電流は、基準抵抗器R21の抵抗で割った電圧差(V
WE~V
G2)と等しい。
【0058】
コントローラ222は、第二の整合性検査の間、電流計230によって測定された電流が第一の所定の(例えば、閾値)アンペア数より大きい、および/または第二の所定の(例えば、閾値)アンペア数より小さいことに応答して、信号(例えば、エラーメッセージ、障害信号および/または警報)を生成し得る。例えば、一部の実施形態では、第一の所定のアンペア数は、理想的な条件下で測定された電流よりもわずかに大きい(例えば、2%大きい、5%大きい、など)場合があり、第二の所定のアンペア数は、理想的な条件下で測定された電流よりもわずかに小さい(例えば、2%小さい、5%小さい、など)場合がある。他の適切な所定のアンペア数を使用し得る。コントローラ222によって生成された信号は、グルコースモニタリングシステム100に、汚染などの故障があることを示し得る。
【0059】
ここで、グルコースモニタリングシステム100のアナログフロントエンド620の他の実施形態を概略的に図示する
図6を参照する。アナログフロントエンド620は、コントローラ222に連結されたデジタル-アナログ変換器(DAC)を含み得、DACは、グルコースセンサアセンブリ104に上述の電圧を出力する。例えば、コントローラ222は、個々のDACが出力される電圧を表すデジタル(例えば、バイナリ)値を出力し得る。
【0060】
図6に示すアナログフロントエンド620は、コントローラ222に連結されたデジタル入力を有する第一のDAC640Aを含み得る。第一のDAC640Aのアナログ出力は、バッファとして構成され得る第一のオペアンプ642Aの非反転入力に連結され得る。第一のオペアンプ642Aの出力は、作用電極接触領域116に連結するように構成され得る。アナログフロントエンド620はまた、コントローラ222に連結されたデジタル入力を有する第二のDAC640Bを含み得る。第二のDAC640Bのアナログ出力は、第二のオペアンプ642Bの非反転入力に連結され得る。第二のオペアンプ642Bの出力は、ガードリング128に連結するように構成され得る。第二のオペアンプ642Bは、バッファとして構成され得る。アナログフロントエンド620はまた、電流計230の出力と第二のオペアンプ642Bの出力との間に連結された基準抵抗器R21を含み得る。一部の実施形態では、基準抵抗器R21は、
図7に示されるグルコースセンサアセンブリ104に位置し得る。
【0061】
アナログフロントエンド620はまた、コントローラ222に連結されたデジタル入力を有する第三のDAC640Cをさらに含み得る。第三のDAC640Cのアナログ出力は、バッファとして構成され得る第三のオペアンプ642Cの非反転入力に連結され得る。一部の実施形態では、対極接触領域120および基準電極接触領域118は、コントローラ222によって制御され得るスイッチSW61によって一緒に連結され得る。コントローラ222は、アナログフロントエンド620が分析状態にある時にスイッチSW61を閉じ、コントローラ222は、アナログフロントエンド620が通常の動作状態にある時にスイッチSW61を開けてもよい。グルコーストランスミッタ602が分析状態にある時、スイッチSW61を閉じてもよく、これは基準電極電圧として対極電圧を適用する。スイッチSW61は、グルコーストランスミッタ602がグルコース濃度を測定する正常動作にあるとき、開き得る。一部の実施形態では、類似のスイッチング機構(図示せず)は、
図2~5のグルコーストランスミッタ102に含まれ得る。
【0062】
アナログフロントエンド620は、アナログフロントエンド220(
図2~5)と同じ様式で動作し得る。例えば、アナログフロントエンド620は、アナログフロントエンド620および/またはグルコーストランスミッタ602の状態に応じて、電圧V
WE、V
CE1、V
CE2、V
G1、およびV
G2を出力し得る。
【0063】
一部の実施形態では、基準抵抗器R21は、グルコースセンサアセンブリ104上またはその中に位置し得る。
図7を参照すると、基準抵抗器R21がその上に位置するグルコースセンサアセンブリ704の平面図が示される。基準抵抗器R21は、例えば、作用電極接触領域116とガードリング128との間に電気的に接続され得る。別の方法として、基準抵抗器R21は、他の実施形態では、作用電極117とガードリング128との間に直接連結され得る。グルコーストランスミッタ102(
図1A)は、グルコースセンサアセンブリ704に電気的に連結され、本明細書に記載されるように機能し得る。
【0064】
ここで
図8を参照すると、本明細書に提供される実施形態による、分析物モニタリングシステム(例えば、グルコースモニタリングシステム100)を操作する方法を図示するフローチャート800が示される。方法は、802で、作用電極(例えば、作用電極117)、対極(例えば、対極121)、および作用電極接触領域の少なくとも一部を囲むガードリング(例えば、ガードリング128)を有する、分析物センサ(例えば、グルコースセンサアセンブリ104または704)を提供することを含む。方法は、804で、作用電極と分析物センサのガードリングとの間に電気的に連結された基準抵抗器(例えば、基準抵抗器R21)を提供することを含む。方法は、806で、作用電極電圧(例えば、作用電極電圧V
WE)を、分析物センサの作用電極に適用することを含む。方法は、808において、第一の対極電圧(例えば、第一のCE電圧V
CE1)および第二の対極電圧(例えば、第二のCE電圧V
CE2)のうちの一つを、分析物センサの対極に選択的に適用することを含む。方法は、810で、少なくとも第一のガードリング電圧(例えば、第一のガードリング電圧V
G1)を、分析物センサのガードリングに適用することを含む。方法は、812で、作用電極への電流を測定することを含む。
【0065】
一部の実施形態では、第一の対極電圧VCE1および第一のガードリング電圧VG1は、作用電極電圧VWEと同じであり得る。他の実施形態では、第一のガードリング電圧VG1は、作用電極電圧VWEとは異なり得る。作用電極117への電流は、グルコースモニタリングシステム100が適切に機能しているかどうか(例えば、作用電極117、対極121、ガードリング128および/または基準電極119に適用された電圧に基づく電流が予想通りか)を判定するために測定され得る。
【0066】
一部の実施形態では、基準電極接触領域118A/118Bは、基準電極接触領域118A/118Bを少なくとも部分的に囲むガードリング130を含み得る。
【0067】
本開示は、様々な修正および代替形態をとることができるが、特定のアセンブリおよび装置の実施形態およびその方法は、図面に例として示されており、本明細書に詳細に説明されている。しかしながら、本発明は、本明細書に開示される特定のアセンブリ、装置、または方法に限定されないが、逆に、本発明は、特許請求の範囲に含まれる全ての修正、均等物、および代替物を網羅する。
【国際調査報告】