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特表2023-501950サイクリン依存性キナーゼ7(CDK7)の阻害剤を用いてバイオマーカーにより特定された患者におけるがんを処置する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(54)【発明の名称】サイクリン依存性キナーゼ7(CDK7)の阻害剤を用いてバイオマーカーにより特定された患者におけるがんを処置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/506 20060101AFI20230113BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230113BHJP
   A61K 31/4162 20060101ALI20230113BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230113BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230113BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20230113BHJP
   A61K 31/439 20060101ALI20230113BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20230113BHJP
   A61K 33/42 20060101ALI20230113BHJP
   A61K 31/5415 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A61K31/506
A61P35/00
A61K31/4162
A61P35/02
A61K45/00
A61K31/437
A61K31/439
A61K31/5377
A61K33/42
A61K31/5415
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525292
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(85)【翻訳文提出日】2022-06-27
(86)【国際出願番号】 US2020057998
(87)【国際公開番号】W WO2021087138
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】62/927,561
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517342268
【氏名又は名称】サイロス ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ホジソン, ジェイ. グレーム
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネセン, リブ ヘレナ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084ZB261
4C084ZB262
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086BC73
4C086CB03
4C086CB05
4C086GA07
4C086GA10
4C086GA12
4C086GA16
4C086HA19
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
(57)【要約】
本発明は、単独で、または第2の治療剤(例えば、別の抗がん治療)と組み合わせて投与または使用した場合のどちらかで、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩による処置に応答する可能性がより高い、様々なタイプのがんに罹患している患者を特定する方法に関する。患者は、ある特定のバイオマーカー(例えば、RB1またはE2F経路の別のメンバー)の1つまたは複数の特徴(例えば、遺伝子コピー数または発現レベル)に基づいて特定される。さらに、本発明は、特定された患者を、単独で、または第2の治療剤と組み合わせた、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩により処置する方法に関する。別の態様では、本発明は、本明細書に記載されている通りに特定された患者を処置するための指示書を含むキットを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
選択された患者におけるがんの処置における、構造式(I):
【化29】
の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用であって、式中、
環Aは、
【化30】
から選択される二環式6,5-環系であり、4個以下の環窒素原子を含み、
Xは、NまたはC(R)であり、
各Yは独立して、NまたはC(R)であり、
Zは、NまたはC(R)であり、
は、水素、-C~Cアルキル、-O-(C~C-アルキレン)-O-(C~C-アルキル)、-(C~Cアルキレン)-カルボシクリル、-C(O)-O-(C~Cアルキレン)、-(C~Cアルキレン)-ヘテロシクリル、-(C~Cアルキレン)-ヘテロアリール、-(C~Cアルキレン)-N(R’)、-(C~Cアルキレン)-NR’-S(O)-(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-NR’-SO-N(R’)、-(C~Cアルキレン)-S(O)-(C~Cアルキル)または-(C~Cアルキレン)-S(O)-N(R’)であり、Rのいずれかのカルボシクリル、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール部分は、必要に応じて置換されており、Rのいずれかのアルキルまたはアルキレン部分は、1つまたは複数の独立して選択された一価置換基により必要に応じて置換されており、
各R’は独立して、水素もしくは必要に応じて置換されたC~Cアルキルであるか、または
2個のR’は、それらが結合される窒素原子と必要に応じて一緒になって、N、OおよびSから選択される最大2個の追加のヘテロ原子を含む4~6員の必要に応じて置換されたヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成し、
各Rは、存在する場合、独立して、ハロ、-OH、-CN、-C~Cアルキル、-(C~Cアルキレン)-カルボシクリル、-(C~Cアルキレン)-ヘテロシクリル、-(C~Cアルキレン)-ヘテロアリール、-(C~Cアルキレン)-アリール、-(C~Cアルキレン)-C(O)-ヘテロシクリル、-(C~Cアルキレン)-C(O)-ヘテロアリール、-O-(C~C-アルキル)、-O-(C~C-アルキレン)-O-(C~C-アルキル)、-O-(C~C-アルキレン)-カルボシクリル、-O-(C~C-アルキレン)-ヘテロシクリル、-O-(C~C-アルキレン)-ヘテロアリール、-O-(C~C-アルキレン)-アリール、-NH-C(O)-C~Cアルキルもしくは-C(O)-NH-(非置換のC~Cアルキル)であるか、または
およびいずれかのRは、それらが結合される原子と一緒になって、ピペリジン環に縮合、スピロ縮合もしくは架橋された、必要に応じて置換されたヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成するか、または
2個のRは一緒になって、オキソを形成するか、もしくはそれらが結合される原子(単数または複数)およびいずれかの介在する環原子と一緒になって、ピペリジン環に縮合、スピロ縮合もしくは架橋された、必要に応じて置換されたアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成し、
のいずれかのカルボシクリル、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール部分、RをRと一緒にすることによって形成されたいずれかの環、または2個のRを一緒にすることによって形成されたいずれかの環は、必要に応じて置換されており、Rのいずれかのアルキルまたはアルキレン部分は、他に指定がない限り、1つまたは複数の独立して選択された一価置換基により必要に応じて置換されており、
は、水素、ハロ、-CN、必要に応じて置換された-C~Cアルキルまたは必要に応じて置換されたカルボシクリルであり、
は、ハロ、-CN、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、-O-C~Cアルキル、-S-C~Cアルキルまたはカルボシクリルであり、Rのいずれかのアルキル、アルケニル、アルキニルまたはカルボシクリル部分は、必要に応じて置換されており、
各Rは独立して、ハロ、-OH、-C~Cアルキル、-CN、-(C~Cアルキレン)-C(O)OH、-(C~Cアルキレン)-C(O)-(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-C(O)-N(R’)、-(C~Cアルキレン)-S(O)-(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-S(O)2-N(R’)、-(C~Cアルキレン)-P(O)-O-(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-P(O)-(C~Cアルキル)(O-C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-P(O)(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-カルボシクリル、-(C~Cアルキレン)-ヘテロシクリル、-(C~Cアルキレン)-ヘテロアリール、-(C~Cアルキレン)-C(O)-ヘテロシクリル、-(C~Cアルキレン)-C(O)-ヘテロアリール、-O-(C~C-アルキル)、-O-(C~C-アルキレン)-O-(C~C-アルキル)、-O-(C~C-アルキレン)-カルボシクリル、-O-(C~C-アルキレン)-ヘテロシクリル、-O-(C~C-アルキレン)-ヘテロアリール、フェニル、-(C~Cアルケニレン)-フェニル、-S(O)-(C~Cアルキル)、-S-(C~Cアルキル)、-S(O)-OH、もしくは-S(O)-OHであり、Rのいずれかのアルキル、アルキレン、アルケニレン、カルボシクリル、ヘテロシクリル、フェニルおよびヘテロアリール部分は、必要に応じて置換されているか、または
2個の隣接Rは、それらが結合される環原子と一緒になって、必要に応じて置換されたカルボシクリルもしくは必要に応じて置換されたヘテロシクリルを形成し、各カルボシクリルもしくはヘテロシクリルは、環Aに縮合されており、
’は、水素、-CN、-C~Cアルキル、-(C~Cアルキレン)-S(O)2-N(R’)、-(C~Cアルキレン)-カルボシクリル、-(C~Cアルキレン)-C(O)-N(R’)、-(C~Cアルキレン)-アリール、-(C~Cアルキレン)-ヘテロシクリル、-(C~Cアルキレン)-ヘテロアリール、-(C~Cアルキレン)-S(O)-(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-O-(C~Cアルキレン)-C(O)-N(R’)、-(C~Cアルキレン)-O-(C~Cアルキレン)-P(O)(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-O-(C~Cアルキレン)-P(O)(C~Cアルキル)-O-(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-O-(C~Cアルキレン)-P(O)-(O-C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-O-(C~Cアルキレン)-S(O)-(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-O-(C~Cアルキレン)-S(O)2-N(R’)、-(C~Cアルキレン)-O-(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-O-カルボシクリル、-(C~Cアルキレン)-O-ヘテロアリール、-(C~Cアルキレン)-O-ヘテロシクリル、-(C~Cアルキレン)-P(O)(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-P(O)(C~Cアルキル)-O-(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-P(O)-(O-C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-C(O)-(C~Cアルキル)、および-(C~Cアルキレン)-C(O)OHであり、R’のいずれかのアルキル、アルキレン、カルボシクリル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール部分は、必要に応じて置換されており、
’およびいずれかのRは、それらが結合される環原子と一緒になって、必要に応じて置換されたヘテロシクリルを形成し、各ヘテロシクリルは、環Aに縮合されており、
は、水素、-CN、-CH、-CHF、-CHFまたは-CFであり、
各Rは独立して、水素またはRであり、
は、水素またはフルオロであり、
nは、0、1、2、3または4であり、
前記化合物が、以下の化合物または薬学的に許容されるその塩:
【化31】
のうちの1つ以外のものであり、前記患者が、
(a)RB1、RBL1、RBL2、CDKN2A、CDKN2B、CDKN2C、CDKN2D、CDKN1A、CDKN1B、CDKN1CおよびFBWX7から選択される遺伝子が、変異している、遺伝的に欠失している、エピジェネティックな変化を含有する、転座している、所定の閾値に等しいもしくはそれより低いレベルで転写される、または所定の閾値に等しいもしくはそれより低いレベルで翻訳され、もしくは参照標準に対して活性が低下しているタンパク質をコードする、
(b)E2F1、E2F2、E2F3、E2F4、E2F5、E2F6、E2F7、E2F8、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CCNA1、CCNB1、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1およびCCNE2から選択される遺伝子が、変異している、遺伝的に獲得もしくは増幅されている、エピジェネティックな変化を含有する、転座している、所定の閾値に等しいもしくはそれより高いレベルで転写される、または所定の閾値に等しいもしくはそれより高いレベルで翻訳され、もしくは参照標準に対して活性が増大しているタンパク質をコードする、または
(c)遺伝子Bcl2様1が、変異している、エピジェネティックな変化を含有する、転座している、所定の閾値に等しいもしくはそれより低いレベルで転写される、または所定の閾値に等しいもしくはそれより低いレベルで翻訳され、もしくは参照標準に対して活性が低下しているBCL-xLタンパク質をコードする
がんを有すると決定されている、使用。
【請求項2】
環Aが、
【化32】
である、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項3】
環Aが、
【化33】
である、請求項2に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項4】
が、水素、シクロプロピル、-CH、-CHCH、-CHCHOCH、-CH(CHもしくは-CHCH(CHであるか、またはRが、1個のRおよび各々が付着される原子と一緒になって、架橋された環を形成し、これが、RおよびRが結合される環と一緒になって、
【化34】
を形成する、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項5】
が水素である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項6】
nが、0、1、2または3であり、各Rが、存在する場合、独立して、フルオロ、-CH、-CHCH、-OH、-CH(CH、-C(O)NHCH、-NHC(O)CHCH、3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル、1,2,4-トリアゾロ[4,3-a]ピリジン-3-イル、8-メチルスルホニル-1,2,4-トリアゾロ[4,3-a]ピリジン-3-イル、ピロリジン-1-イルカルボニル、3-ヒドロキシピロリジン-1-イルカルボニルもしくは非置換のフェニルであるか、または
異なる原子における2個のRが、それらが結合される原子およびいずれかの介在する環原子と一緒になって、環を形成し、これが、両方のRが結合されるピペリジン環と一緒になって、
【化35】
であるか、または
同じ環原子に結合される2個のRが一緒になって、オキソを形成するか、もしくはそれらが結合される原子と一緒になって、環を形成し、これが、両方のRが結合されるピペリジン環と一緒になって、
【化36】
である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項7】
nが、0、1、2または3であり、各Rが、存在する場合、独立して、フルオロ、-CH、-CHCH、-OH、-CH(CH、-C(O)NHCH、-NHC(O)CHCH、3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル、1,2,4-トリアゾロ[4,3-a]ピリジン-3-イル、8-メチルスルホニル-1,2,4-トリアゾロ[4,3-a]ピリジン-3-イル、ピロリジン-1-イルカルボニル、3-ヒドロキシピロリジン-1-イルカルボニルもしくは非置換のフェニルであるか、または
異なる原子における2個のRが、それらが結合される原子およびいずれかの介在する環原子と一緒になって、環を形成し、これが、両方のRが結合されるピペリジン環と一緒になって、
【化37】
であるか、または
同じ環原子に結合される2個のRが一緒になって、オキソを形成するか、もしくはそれらが結合される原子と一緒になって、環を形成し、これが、両方のRが結合されるピペリジン環と一緒になって、
【化38】
である、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項8】
nが0である、請求項2に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項9】
が水素である、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項10】
が、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、シクロプロピル、-CN、-CF、-CHCF、-CHCHF、-CH、-CHCH、-CHCHCH、-CH(CH、-CHCH(CH、-OCH、-CH(OH)CH、-CH=CH、-C(O)CH、-OCHF、S-CH、-S-CHF、-S-CFまたは-C≡CHである、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項11】
各Rが、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、-CN、-CH、-CHCHC(CHOH、-C(O)-CH、-C(O)OH、-C(O)-NH-CH、-P(=O)(OCHCH、-P(=O)(OCHCH)CH、-S(O)CH、-P(O)-(CH、-P(O)-(CHCH、-S(O)N(CH、-S(O)CH(CH、-S(O)CHF、-S(O)CHF、-SCHF、-S(O)CHF、-S(O)OH、-S(O)OH、-S(O)NHCH、-(CHCH、-CHS(O)CH、-S(O)-CHCH、1H-ピラゾール-4-イル、1-メチルピラゾール-4-イル、1,3-ジメチル-ピラゾール-4-イル、5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル、1-メチル-2-オキソイミダゾリジン-3-イル、4-メチルイミダゾール-1-イル、モルホリン-4-イル、ピリジン-4-イル、ピリダジン-4-イル、4-ヒドロキシシクロヘキシル、4-ヒドロキシ-4-メチルシクロヘキシル、5-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル、5-メチル、1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,3-ジメチルピリダジン-4-イル、1,5-ジメチルピリダジン-4-イル、3-メチル-1H-ピリダジン-4-イル、1-(2-メチル-2-ヒドロキシプロピル)ピリダジン-4-イル、イミダゾール-1-イル、1-メチル-5-シアノピロール-3-イル、5-シアノ-1H-ピロール-3-イル、およびピリダジン-4-イル、1H-ピラゾール-3-イル、1-ジフルオロメチル-ピラゾール-3-イル、1-ジフルオロメチル-ピラゾール-4-イル、1-メチルピラゾール-3-イル、3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル、3-メチル-3-ヒドロキシピロリジン-1-イルカルボニル、3-ヒドロキシピロリジン-1-イルカルボニル、4-ヒドロキシシクロヘキシル、4-ヒドロキシシクロヘキサ-1-エニル、1,1-ジオキソチオモルホリン-4-イル、4-シアノ-1H-イミダゾール-1-イル、2,3-ジメチル-1,2,4-トリアゾール-5-イル、1,5-ジメチル-ピラゾール-4-イル、ピリジン-3-イル、1-(2-メチル-2-ヒドロキシプロパン-1-イル)ピラゾール-4-イル、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-1-イルカルボニル、1H-ピラゾール-2-イル、3-ヒドロキシ-3-トリフルオロメチルピロリジン-1-イルカルボニル、3-メトキシピロリジン-1-イルカルボニル、3-シアノピロリジン-1-イルカルボニル、4-ヒドロキシ-4-メチルピペリンジン(methylpiperindin)-1-イルカルボニル、3-オキソピロリジン-1-イルカルボニル、3-(ピロリジン-1-イルカルボニル)フェニル、3-フェノキシフェニル、チアゾール-2-イル、ピラジン-2-イル、2,4-ジオキソ-1H,3H-ピリミジン-5-イル、3-メチル-3-ヒドロキシピロリジン-1-イルスルホニル、5-フルオロピリジン-3-イル、2-ヒドロキシピリジン-3-イル、3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ、3,5-ジメチルオキサゾール-4-イル、3-フルオロフェニル、4-メチルピリジン-3-イル、2-ヒドロキシメチルピリジン-3-イル、6-ヒドロキシメチルピリジン-2-イル、5-ヒドロキシメチルピリジン-3-イル、1-メチル-6-オキソピリジン-3-イル、4-アミノスルホニルフェニル、3-アミノスルホニルフェニル、3-ヒドロキシ-3-エチルピロリジン-1-イルカルボニル、3-シアノ-4-ヒドロキシフェニル、ベンゾ[d]チアゾール-6-イル、2H-インダゾール-6-イル、1H-ベンゾイミダゾール-5-イル、2-オキソ-3-シアノ-4-メチルピリジン-5-イル、2-アミノベンゾ[d]チアゾール-2-イル、3-アミノカルボニルフェニル、6-トリフルオロメチル-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-3-イル、2-アミノキナゾリン-8-イル、スチリル、1-メチル-1H-インダゾール-6-イル、2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-7-イル、2-エトキシフェニル、3-(2-ヒドロキシエチル)フェニル、3-(メチルカルボニルアミノメチル)フェニル、1-メチル-6-トリフルオロメチル-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-3-イル、キノリン-4-イル、イソキノリン-5-イル、イソキノリン-7-イル、または2-オキソ-3,4-ジヒドロキノリン-7-イルである、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項12】
’が、水素、C~Cアルキル、-(C~Cアルキレン)-アリールまたは-(C~Cアルキレン)-O-(C~Cアルキル)である、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項13】
が、水素またはメチルである、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項14】
前記化合物が、式(II)の化合物:
【化39】
または薬学的に許容されるその塩であり、式中、
は、NまたはC(R7e)であり、
2aおよびR2bの各々は独立して、水素もしくはC~Cアルキルであるか、または
2aおよびR2bは一緒になって、ピペリジン環にスピロ縮合されたシクロアルキルもしくは複素環を形成し、前記シクロアルキルもしくは複素環は、1つもしくは複数の独立して選択されたC~CアルキルもしくはC~Cハロアルキルにより必要に応じて置換されており、
7dは、水素、-C(O)-(C~Cアルキル)、-CN、または1つもしくは複数の独立して選択されたC~CアルキルもしくはC~Cハロアルキルにより必要に応じて置換されたヘテロアリールであり、
7eは、存在する場合、水素、ハロ、-S(O)-(C~Cアルキル)、-P(O)(C~Cアルキル)、-C(O)NH-(C~Cアルキル)、-C(O)N(C~Cアルキル)、-S(O)NH-(C~Cアルキル)、-S(O)N-(C~Cアルキル)、または1つもしくは複数の独立して選択されたC~CアルキルもしくはC~Cハロアルキルにより必要に応じて置換されたヘテロアリールであり、
14は、C~CアルキルまたはC~Cハロアルキルである、
請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項15】
2aが、水素または-CHであり、
2bが、水素または-CHであり、
7dが、水素、-CN、ピラジン-2-イル、チアゾール-2-イルまたは3,5-ジメチルイソオキサゾール-4-イルであり、
7eが、存在する場合、水素、フルオロ、-C(O)NHCH、-P(O)(CH、-S(O)CH、-S(O)N(CH、1,3-ジメチルピラゾール-4-イルまたはピリダジン-4-イルであり、
14が、-CHCHまたは-CFである、
請求項14に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項16】
選択された患者におけるがんの処置における、構造式(IV):
【化40】
の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用であって、式中、
15は、水素、各々1~3個のハロゲンによって必要に応じて置換されたC~CアルキルもしくはC~Cシクロアルキルであり、
16は、水素、ハロゲン、C~CアルキルまたはC~Cハロアルキルであり、
17は、ハロゲン、-CN、C~Cアルキル、C~CシクロアルキルおよびC~Cハロアルキルからなる群から選択される1~3個の置換基で必要に応じて置換されたフェニルであり、前記患者が、
(a)RB1、RBL1、RBL2、CDKN2A、CDKN2B、CDKN2C、CDKN2D、CDKN1A、CDKN1B、CDKN1CおよびFBWX7から選択される遺伝子が、変異している、遺伝的に欠失している、エピジェネティックな変化を含有する、転座している、所定の閾値に等しいもしくはそれより低いレベルで転写される、または所定の閾値に等しいもしくはそれより低いレベルで翻訳され、もしくは参照標準に対して活性が低下しているタンパク質をコードする、
(b)E2F1、E2F2、E2F3、E2F4、E2F5、E2F6、E2F7、E2F8、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CCNA1、CCNB1、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1およびCCNE2から選択される遺伝子が、変異している、遺伝的に獲得もしくは増幅されている、エピジェネティックな変化を含有する、転座している、所定の閾値に等しいもしくはそれより高いレベルで転写される、または所定の閾値に等しいもしくはそれより高いレベルで翻訳され、もしくは参照標準に対して活性が増大しているタンパク質をコードする、または
(c)遺伝子Bcl2様1が、変異している、エピジェネティックな変化を含有する、転座している、所定の閾値に等しいもしくはそれより低いレベルで転写される、または所定の閾値に等しいもしくはそれより低いレベルで翻訳され、もしくは参照標準に対して活性が低下しているBCL-xLタンパク質をコードする
がんを有すると決定されている、使用。
【請求項17】
15が、水素、C~C-アルキルまたはC~C-シクロアルキルである、請求項16に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項18】
16が、水素またはハロゲンである、請求項16または請求項17に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項19】
17が、ハロゲンおよび-CNからなる群から選択される1個の置換基により必要に応じて置換されたフェニルである、請求項16から18のいずれかに記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項20】
15が、水素、C~C-アルキルまたはC~C-シクロアルキルであり、R16が、水素またはハロゲンであり、R17が、ハロゲンおよび-CNからなる群から選択される1個の置換基により必要に応じて置換されたフェニルである、請求項16に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩の使用。
【請求項21】
選択された患者におけるがんの処置における、化合物
【化41】
または薬学的に許容されるその塩の使用であって、前記患者が、
(a)RB1、RBL1、RBL2、CDKN2A、CDKN2B、CDKN2C、CDKN2D、CDKN1A、CDKN1B、CDKN1CおよびFBWX7から選択される遺伝子が、変異している、遺伝的に欠失している、エピジェネティックな変化を含有する、転座している、所定の閾値に等しいもしくはそれより低いレベルで転写される、または所定の閾値に等しいもしくはそれより低いレベルで翻訳され、もしくは参照標準に対して活性が低下しているタンパク質をコードする、
(b)E2F1、E2F2、E2F3、E2F4、E2F5、E2F6、E2F7、E2F8、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CCNA1、CCNB1、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1およびCCNE2から選択される遺伝子が、変異している、遺伝的に獲得もしくは増幅されている、エピジェネティックな変化を含有する、転座している、所定の閾値に等しいもしくはそれより高いレベルで転写される、または所定の閾値に等しいもしくはそれより高いレベルで翻訳され、もしくは参照標準に対して活性が増大しているタンパク質をコードする、または
(c)遺伝子Bcl2様1が、変異している、エピジェネティックな変化を含有する、転座している、所定の閾値に等しいもしくはそれより低いレベルで転写される、または所定の閾値に等しいもしくはそれより低いレベルで翻訳され、もしくは参照標準に対して活性が低下しているBCL-xLタンパク質をコードする
がんを有すると決定されている、使用。
【請求項22】
選択された患者におけるがんの処置における、化合物
【化42】
またはYKL-5-124もしくはYKL-5-167の薬学的に許容される塩の使用であって、前記患者が、
(a)RB1、RBL1、RBL2、CDKN2A、CDKN2B、CDKN2C、CDKN2D、CDKN1A、CDKN1B、CDKN1CおよびFBWX7から選択される遺伝子が、変異している、遺伝的に欠失している、エピジェネティックな変化を含有する、転座している、所定の閾値に等しいもしくはそれより低いレベルで転写される、または所定の閾値に等しいもしくはそれより低いレベルで翻訳され、もしくは参照標準に対して活性が低下しているタンパク質をコードする、
(b)E2F1、E2F2、E2F3、E2F4、E2F5、E2F6、E2F7、E2F8、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CCNA1、CCNB1、CCND1、CCND2、CCND3、CCNE1およびCCNE2から選択される遺伝子が、変異している、遺伝的に獲得もしくは増幅されている、エピジェネティックな変化を含有する、転座している、所定の閾値に等しいもしくはそれより高いレベルで転写される、または所定の閾値に等しいもしくはそれより高いレベルで翻訳され、もしくは参照標準に対して活性が増大しているタンパク質をコードする、または
(c)遺伝子Bcl2様1が、変異している、エピジェネティックな変化を含有する、転座している、所定の閾値に等しいもしくはそれより低いレベルで転写される、または所定の閾値に等しいもしくはそれより低いレベルで翻訳され、もしくは参照標準に対して活性が低下しているBCL-xLタンパク質をコードする
がんを有すると決定されている、使用。
【請求項23】
前記がんが、血液がん、好ましくは急性骨髄性白血病(AML)、乳がん、好ましくはトリプルネガティブ乳がん(TNBC)またはホルモン受容体ポジティブ(HR+)乳がん、ユーイング肉腫、卵管がん、GI管がん、好ましくは結腸直腸がん、神経膠腫、肺がん、好ましくは非小細胞肺がん、黒色腫、骨肉腫、卵巣がん、好ましくは高悪性度漿液性卵巣がん、上皮性卵巣がんまたは明細胞卵巣がん、膵臓がん、原発性腹膜がん、前立腺がん、網膜芽細胞腫または頭頸部扁平上皮細胞がんである、必要に応じて医薬組成物内にある、先行する請求項のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項24】
前記患者が、遺伝子Bcl2様1が、変異している、エピジェネティックな変化を含有する、転座している、所定の閾値に等しいもしくはそれより低いレベルで転写される、または所定の閾値に等しいもしくはそれより低いレベルで転写され、もしくは参照標準に対して活性が低下しているBCL-xLタンパク質をコードする、好ましくは前記がんにおけるBcl2様1 mRNAのレベルが、前記所定の閾値レベルに等しいかまたはそれより低い、がんを有すると決定されており、必要に応じて医薬組成物内にある、請求項23に記載の化合物の使用。
【請求項25】
前記患者が、Bcl-2阻害剤、好ましくはAPG-1252、APG-2575、BP1002(プレキシゲベルセン)、オブリメルセン(G3139)として知られているアンチセンスオリゴヌクレオチド、S55746/BCL201、またはベネトクラックスによる処置を受けていた、現在その処置を受けている、またはその処置を受けるように処方されている、必要に応じて医薬組成物内にある、請求項23または請求項24に記載の化合物の使用。
【請求項26】
前記Bcl-2阻害剤が、ベネトクラックスであり、そして/または前記患者が、乳がん、好ましくはTNBC;血液がん、好ましくはAML;卵巣がん;または肺がん、好ましくは非小細胞肺がんを有する、請求項25に記載の化合物の使用。
【請求項27】
前記患者が、
(a)RB1またはCDKN2Aが、変異しており、エピジェネティックな変化を含有し、転座しており、所定の閾値に等しいもしくはそれより低いレベルで転写され、または所定の閾値に等しいもしくはそれより低いレベルで転写され、もしくは参照標準に対して活性が低下しているタンパク質をコードする、好ましくはRB1またはCDKN2A mRNA、好ましくはRB1 mRNAが、所定の閾値に等しいまたはそれ未満である、および/または
(b)CDK6、CCND2またはCCNE1が、変異しており、コピー数変化を有し、エピジェネティックな変化を含有し、転座しており、所定の閾値に等しいもしくはそれより高いレベルで転写され、または所定の閾値に等しいもしくはそれより高いレベルで転写され、もしくは参照標準に対して活性が増大しているタンパク質をコードする、好ましくはCDK6、CCND2またはCCNE1 mRNA、好ましくはCCNE1 mRNAが、所定の閾値レベルに等しいまたはそれより高い、
がんを有すると決定されている、請求項23または請求項24に記載の化合物の使用。
【請求項28】
前記患者が、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、好ましくはタモキシフェン、ラロキシフェンまたはトレミフェン;選択的エストロゲン受容体ディグレーダー(SERD)、好ましくはフルベストラント;またはPARP阻害剤、好ましくはオラパリブまたはニラパリブ;またはシスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、カルボプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、サトラプラチン(JM216)もしくは四硝酸トリプラチン、好ましくはカルボプラチンまたはオキサリプラチンなどの白金をベースとする治療剤による処置を受けていた、現在その処置を受けている、またはその処置を処方されている、必要に応じて医薬組成物内にある、請求項23または請求項24に記載の化合物の使用。
【請求項29】
SERMまたはSERDによる処置を受けていた、現在その処置を受けている、またはその処置を受けるよう処方されている前記患者が、HR+乳がんを有し;PARP阻害剤による処置を受けていた、現在その処置を受けている、またはその処置を受けるよう処方されている前記患者が、乳がん、好ましくはTNBCまたはHer2/ER/PR乳がん、卵管がん、神経膠腫、卵巣がん、好ましくは上皮性卵巣がんまたは原発性腹膜がんを有し;または白金をベースとする治療剤による処置を受けていた、現在その処置を受けている、またはその処置を受けるよう処方されている前記患者が、卵巣がんを有する、請求項28に記載の化合物の使用。
【請求項30】
前記患者が、ABBV-075、BAY-299、BAY-1238097、BMS-986158、CPI-0610、CPI-203、FT-1101、GS-5829、GSK-2820151、GSK-525762、I-BET151、I-BET762、INCB054329、JQ1、MS436、OTX015、PFI-1、PLX51107、RVX2135、TEN-010、ZEN-3694または米国出願第12/810,564号に開示されている化合物などのBET阻害剤;BPI-1178、G1T38、パルボシクリブ、リボシクリブ、ON123300、トリラシクリブまたはアベマシクリブ、好ましくはパルボシクリブなどのCDK4/6阻害剤;CDX-301、CG’806、CT053PTSA、クレノラニブ(例えば、ベシル酸クレノラニブ)、ENMD-2076、FF-10101-01、FLYSYN、ギルテリチニブ(ASP2215)、HM43239、レスタウチニブ、ポナチニブ、NMS-088、ソラフェニブ、スニチニブ、パクリチニブ、ペキシダルチニブ/PLX3397、クイザルチニブ、ミドスタウリン、SEL24、SKI-G-801またはSKLB1028、好ましくはクレノラニブ、ギルテリチニブもしくはミドスタウリンなどのFLT3阻害剤;またはトラメチニブなどのMEK阻害剤による処置を受けていた、現在その処置を受けている、またはその処置を受けるように処方されている、必要に応じて医薬組成物内にある、請求項23または請求項24に記載の化合物の使用。
【請求項31】
CDK4/6阻害剤による処置を受けていた、現在その処置を受けている、またはその処置を処方されている前記患者が、乳がん、好ましくはTNBCまたはエストロゲン受容体-ポジティブ(ER)乳がん、膵臓がんまたは頭頸部扁平上皮細胞がんを有し;FLT3阻害剤による処置を受けていた、現在その処置を受けている、またはその処置を受けるように処方されている前記患者が、血液がん、好ましくはAMLを有し;BET阻害剤による処置を受けていた、現在その処置を受けている、またはその処置を処方されている前記患者が、乳がん、好ましくはTNBC、血液がん、好ましくはAML、ユーイング肉腫または骨肉腫を有する、請求項30に記載の化合物の使用。
【請求項32】
前記患者が、第2の抗がん剤による処置を受けていた、現在その処置を受けている、またはその処置を処方されている、必要に応じて医薬組成物内にある、請求項1から20のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項33】
前記第2の抗がん剤が、APG-1252、APG-2575、BP1002(プレキシゲベルセン)、オブリメルセン(G3139)として知られているアンチセンスオリゴヌクレオチド、S55746/BCL201またはベネトクラックスなどのBcl-2阻害剤;アルボシジブ/DSP-2033/フラボピリドール、AT7519、AZD5576、BAY1251152、BAY1143572、CYC065、ナノフラボピリドール、NVP2、セリシクリブ(CYC202)、TG02、TP-1287、VS2-370またはボルシクリブ(以前のP1446A-05)などのCDK9阻害剤;フルベストラントなどのホルモン受容体(例えば、エストロゲン受容体)分解剤;CDX-301、CG’806、CT053PTSA、クレノラニブ(例えば、ベシル酸クレノラニブ)、ENMD-2076、FF-10101-01、FLYSYN、ギルテリチニブ(ASP2215)、HM43239、レスタウチニブ、ポナチニブ、NMS-088、ソラフェニブ、スニチニブ、パクリチニブ、ペキシダルチニブ/PLX3397、クイザルチニブ、ミドスタウリン、SEL24、SKI-G-801またはSKLB1028などのFlt3(FMS様チロシンキナーゼ3)阻害剤;オラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ(ABT-888)またはニラパリブなどのPARP阻害剤;ABBV-075、BAY-299、BAY-1238097、BMS-986158、CPI-0610、CPI-203、FT-1101、GS-5829、GSK-2820151、GSK-525762、I-BET151、I-BET762、INCB054329、JQ1、MS436、OTX015、PFI-1、PLX51107、RVX2135、TEN-010、ZEN-3694または米国出願第12/810,564号(現在は、米国特許第8,476,260号)に開示されている化合物などのBET阻害剤;シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、カルボプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、サトラプラチン(JM216)または四硝酸トリプラチンなどの白金をベースとする治療剤;BPI-1178、G1T38、パルボシクリブ、リボシクリブ、ON123300、トリラシクリブまたはアベマシクリブなどのCDK4/6阻害剤;トラメチニブなどのMEK阻害剤;または必要に応じてクラスI(例えば、クラスIA)の、および/もしくは特定のPI3Kアイソフォームを必要に応じて指向するホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3キナーゼ)阻害剤(イデラリシブ、コパンリシブ、デュベリシブまたはアルペリシブなど);またはカペシタビンである、必要に応じて医薬組成物内にある、請求項32に記載の化合物の使用。
【請求項34】
前記第2の薬剤が、ベネトクラックスなどのBcl-2阻害剤、オラパリブまたはニラパリブなどのPARP阻害剤、カルボプラチンまたはオキサリプラチンなどの白金をベースとする抗がん剤、パクリタキセルなどのタキサン、パルボシクリブ、リボシクリブ、アベマシクリブまたはトリラシクリブなどのCDK4/6阻害剤、タモキシフェンなどの選択的エストロゲン受容体モジュレーターまたはフルベストラントなどの選択的エストロゲン受容体ディグレーダーから選択される、必要に応じて医薬組成物内にある、請求項33に記載の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年10月29日出願の米国仮出願第62/927,561号の出願日の利益を主張するものであり、その内容は、これによりその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
健康管理の長期的な進化が、バイオマーカー分析の有望性が実現され始めているという時期に到達している。医師が、患者を、多数の類似した生理的特徴を共有しかつ所与の疾患の共通する症状を示す患者でさえも、さらに特定のグループに階層化することができると、医師は処置を一層、良好に調節して、各患者に対する転帰を最適化することができる。しかし、分子診断法の開発は難題であり、実用化されていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
発明の概要
本発明は、とりわけ、本明細書に記載されているCDK7阻害剤による処置についてがん患者を特定する診断方法(すなわち、処置について患者を選択する診断方法)、および特定された患者を、このような阻害剤を単独で、またはさらに以下に記載されている1種または複数の追加の治療剤(例えば、第2の抗がん剤)と組み合わせて用いて処置する方法を特徴とする。本診断方法は、以下にさらに示されかつ記載されている、本明細書に記載のCDK7阻害剤による処置に十分に応答する可能性が高いがんに罹患している患者を特定するステップを含む。本処置法は、特定された患者へのこのようなCDK7阻害剤を投与するステップであって、患者の応答が、例えば、有意な腫瘍成長阻害(TGI;例えば、約80~90%を超えるTGIであり、そして/または処置の停止後でさえ腫瘍抑制が継続される)であり得る、ステップを含む。したがって、本発明は、患者が処置に対する良好な候補となる診断されるだけの方法(すなわち、処置を特定する)、処置に対する良好な候補になると決定された患者(例えば、既に特定された)が処置される方法、および患者が本明細書に記載されている通りの診断および処置の両方を受ける必要がある方法を包含する。
【0004】
「本明細書に記載されているCDK7阻害剤」について参照する場合、式(I)の化合物:
【化1】
または薬学的に許容されるその塩(式中、
環Aは、
【化2】
から選択される二環式6,5-環系であり、4個以下の環窒素原子を含み、
Xは、NまたはC(R)であり、Rは、水素、-CN、-CH、-CHF、-CHFまたは-CFであり、
各Yは独立して、NまたはC(R)であり、Rは、水素またはRであり、
Zは、NまたはC(R)であり、Rは、水素またはフルオロであり、
は、水素、-C~Cアルキル、-O-(C~C-アルキレン)-O-(C~C-アルキル)、-(C~Cアルキレン)-(C~Cシクロアルキル)、-(C~Cアルキレン)-ヘテロシクリル、-(C~Cアルキレン)-ヘテロアリール、-(C~Cアルキレン)-N(R’)、-(C~Cアルキレン)-NR’-S(O)-(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-NR’-SO-N(R’)、-(C~Cアルキレン)-S(O)-(C~Cアルキル)または-(C~Cアルキレン-S(O)-N(R’)であり、Rのいずれかのアルキル、アルキレン、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール部分は、必要に応じて置換されており、
各R’は独立して、水素もしくは必要に応じて置換されたC~Cアルキルであるか、または
2個のR’は、それらが結合される窒素原子と必要に応じて一緒になって、N、OおよびSから選択される最大2個の追加のヘテロ原子を含む4~6員の必要に応じて置換されたヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成し、
各Rは、存在する場合、独立して、ハロ、-OH、-CN、-C~Cアルキル、-(C~Cアルキレン)-(C~Cシクロアルキル)、-(C~Cアルキレン)-ヘテロシクリル、-(C~Cアルキレン)-ヘテロアリール、-(C~Cアルキレン)-アリール、-(C~Cアルキレン)-C(O)-ヘテロシクリル、-(C~Cアルキレン)-C(O)-ヘテロアリール、-O-(C~C-アルキル);-O-(C~C-アルキレン)-O-(C~C-アルキル);-O-(C~C-アルキレン)-(C~Cシクロアルキル)、-O-(C~C-アルキレン)-ヘテロシクリル、-O-(C~C-アルキレン)-ヘテロアリールもしくは-O-(C~C-アルキレン)-アリールであるか、または
およびいずれかのRは、それらが結合される原子と一緒になって、ピペリジン環に縮合、スピロ縮合もしくは架橋された、必要に応じて置換されたヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成するか、または
2個のRは一緒になって、オキソ(=O)を形成するか、もしくはそれらが結合される原子(単数または複数)およびいずれかの介在する環原子と一緒になって、ピペリジン環に縮合、スピロ縮合もしくは架橋された、必要に応じて置換されたアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成し、
のいずれかのアルキル、アルキレン、シクロアルキル、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール部分、RをRと一緒にすることによって形成されたいずれかの環、または2個のRを一緒にすることによって形成されたいずれかの環は、必要に応じて置換されており、
は、水素、ハロ、-CN、必要に応じて置換された-C~Cアルキルまたは必要に応じて置換されたC~Cシクロアルキルであり、
は、ハロ、-CN、-C~Cアルキル、-C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、-O-C~Cアルキル、-S-C~CアルキルまたはC~Cシクロアルキルであり、Rのいずれかのアルキル、アルケニルまたはアルキニル部分は、必要に応じて置換されており、
各Rは独立して、ハロ、-OH、-C~Cアルキル、-CN、-(C~Cアルキレン)-C(O)OH、-(C~Cアルキレン)-C(O)-(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-C(O)-N(R’)、-(C~Cアルキレン)-S(O)-(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-S(O)2-N(R’)、-(C~Cアルキレン)-P(O)-O-(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-P(O)-(C~Cアルキル)(O-C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-P(O)(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-(C~Cシクロアルキル)、-(C~Cアルキレン)-ヘテロシクリル、-(C~Cアルキレン)-ヘテロアリール、-(C~Cアルキレン)-C(O)-ヘテロシクリル、-(C~Cアルキレン)-C(O)-ヘテロアリール、-O-(C~C-アルキル)、-O-(C~C-アルキレン)-O-(C~C-アルキル)、-O-(C~C-アルキレン)-(C~Cシクロアルキル)、-O-(C~C-アルキレン)-ヘテロシクリル、もしくは-O-(C~C-アルキレン)-ヘテロアリールであり、Rのいずれかのアルキル、アルキレン、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール部分は、必要に応じて置換されているか、または
2個の隣接Rは、それらが結合される環原子と一緒になって、必要に応じて置換されたシクロアルキルもしくは必要に応じて置換されたヘテロシクリルを形成し、各シクロアルキルもしくはヘテロシクリルは、環Aに縮合されており、
’は、水素、-CN、-C~Cアルキル、-(C~Cアルキレン)-S(O)2-N(R’)、-(C~Cアルキレン)-(C~Cシクロアルキル)、-(C~Cアルキレン)-C(O)-N(R’)、-(C~Cアルキレン)-アリール、-(C~Cアルキレン)-ヘテロシクリル、-(C~Cアルキレン)-ヘテロアリール、-(C~Cアルキレン)-S(O)-(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-O-(C~Cアルキレン)-C(O)-N(R’)、-(C~Cアルキレン)-O-(C~Cアルキレン)-P(O)(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-O-(C~Cアルキレン)-P(O)(C~Cアルキル)-O-(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-O-(C~Cアルキレン)-P(O)-(O-C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-O-(C~Cアルキレン)-S(O)-(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-O-(C~Cアルキレン)-S(O)2-N(R’)、-(C~Cアルキレン)-O-(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-O-(C~Cシクロアルキル)、-(C~Cアルキレン)-O-ヘテロアリール、-(C~Cアルキレン)-O-ヘテロシクリル、-(C~Cアルキレン)-P(O)(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-P(O)(C~Cアルキル)-O-(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-P(O)-(O-C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-C(O)-(C~Cアルキル)、または-(C~Cアルキレン)-C(O)OHであり、R’のいずれかのアルキル、アルキレン、シクロアルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロアリール部分は、必要に応じて置換されており、
nは、0、1、2、3または4である)を含む、本明細書に記載されているもののいずれか1つを含む化合物を意味するものとする。疑念がある場合には、このような化合物の各々は、後述する実施形態および別個の化合物の各々と同様に、「本明細書に記載されているCDK7阻害剤」である。
【0005】
様々な実施形態では、Rは、-C(O)-O-(C~Cアルキル)または-(C~Cアルキレン)-カルボシクリルであり、カルボシクリルは、必要に応じて置換されている。
【0006】
様々な実施形態では、各Rは、存在する場合、-NH-C(O)-C~Cアルキル、-C(O)-NH-(非置換のC~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-カルボシクリルまたは-O-(C~C-アルキレン)-カルボシクリルであり、各アルキレンまたはカルボシクリルは、必要に応じて置換されている。
【0007】
一部の実施形態では、Rはその上、必要に応じて置換されたカルボシクリルから選択される。
【0008】
一部の実施形態では、Rはその上、必要に応じて置換されたカルボシクリルから選択される。
【0009】
一部の実施形態では、各Rはその上、-(C~Cアルキレン)-カルボシクリル、-O-(C~C-アルキレン)-カルボシクリル、フェニル、-(C~Cアルケニレン)-フェニル、-S(O)-(C~Cアルキル)、-S-(C~Cアルキル)、-S(O)-OHおよび-S(O)-OHから選択され、いずれかのアルキル、アルキレン、アルケニレン、カルボシクリルまたはフェニルは、必要に応じて置換されている。
【0010】
一部の実施形態では、R’およびいずれかのRは、それらが結合される環原子と一緒になって、必要に応じて置換されたヘテロシクリルを形成し、各ヘテロシクリルは、環Aに縮合されている。
【0011】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は、
【化3】
または前述の薬学的な塩ではない。
【0012】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は、
【化4】
または前述のいずれかの薬学的に許容される塩ではない。
【0013】
一部の実施形態では、環Aは、
【化5】
である。
【0014】
一部の実施形態では、環Aは、インドール-3-イルまたはインダゾール-3-イルである。一部の実施形態では、環Aは、インドール-3-イルである。一部の実施形態では、環Aは、
【化6】
である。
【0015】
一部の実施形態では、Rのいずれかのアルキルまたはアルキレン部分は、1つまたは複数の独立して選択された一価置換基(例えば、このような置換基は、=Oを含まない)により必要に応じて置換されている。
【0016】
一部の実施形態では、Rのいずれかのヘテロシクリルまたはヘテロアリール部分は、ハロ、C~Cアルキル、C~Cシクロアルキル、-OH、=O、-CN、-C(O)N(R’)、-S(O)-(C~C-アルキル)および-S(O)-N(R’)から独立して選択される1つまたは複数の置換基により必要に応じてかつ独立して置換されており;Rのいずれかのアルキル、アルキレンもしくはシクロアルキル部分またはそこに置かれた置換基は、フッ素、OHおよびCNから独立して選択される1つまたは複数の置換基により必要に応じて置換されている。
【0017】
一部の実施形態では、Rは、水素、-C~Cアルキル、-O-(C~C-アルキレン)-O-(C~C-アルキル)、-(C~Cアルキレン)-N(R’)、-(C~Cアルキレン)-NR’-S(O)-(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン)-NR’-SO2-N(R’)、-(C~Cアルキレン)-S(O)-(C~Cアルキル)、-(C~Cアルキレン-S(O)-N(R’)または-(C~Cアルキレン)-(C~Cシクロアルキル)であり、Rのいずれかのアルキルまたはアルキレン部分は、1つまたは複数の独立して選択された一価置換基により必要に応じて置換されており、Rのいずれかのシクロアルキル部分は、1つまたは複数の独立して選択される置換基により必要に応じて置換されており;各R’は独立して、水素または必要に応じて置換されたC~Cアルキルである(すなわち、2個のR’は、一緒になって環を形成することができない)。
【0018】
一部の実施形態では、Rは、水素、シクロプロピル、-CH、-CHCH、-CHCHOCH、-CH(CHもしくは-CHCH(CHであるか、またはRは、1個のRおよび各々が付着される環原子と一緒になって、架橋された環を形成し、これは、RおよびRが結合される環と一緒になって、
【化7】
を形成する。一部の実施形態では、Rは、水素、-CHまたは-CHCHOCHである。一部の実施形態では、Rは、水素である。
【0019】
一部の実施形態では、いずれかのR’における各アルキルは、フッ素、-OHおよび-CNから独立して選択される1つまたは複数の置換基により必要に応じて置換されている。
【0020】
一部の実施形態では、2個のR’から形成されるいずれかのヘテロシクリルおよびヘテロアリール環は、ハロ;C~Cアルキル;フッ素、-OHおよび-CNから独立して選択される1つまたは複数の置換基により必要に応じて置換されているC~Cシクロアルキル;-OH;=O;-CN;-C(O)NH;-C(O)NH(C~Cアルキル);-C(O)N(C~Cアルキル);-S(O)-C~C-アルキル;-S(O)-NH;-S(O)-NH(C~Cアルキル);ならびに-S(O)-N(C~Cアルキル)から独立して選択される1つまたは複数の置換基により必要に応じて置換されており、2個のR’から形成されたいずれかのヘテロシクリルおよびヘテロアリール環における置換基のいずれかのアルキル部分は、フッ素、-OHおよび-CNから独立して選択される1つまたは複数のさらなる置換基により必要に応じて置換されている。
【0021】
一部の実施形態では、Rのいずれかのアルキル、アルキレンまたはアリール部分は、1つまたは複数の独立して選択された一価置換基により必要に応じて置換されている。例えば、Rのいずれかのアルキル、アルキレン、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール部分、RをRと一緒にすることによって形成されたいずれかの環、または2個のRを一緒にすることによって形成されたいずれかの環は、1つまたは複数の独立して選択された一価置換基により必要に応じて置換されていてよい。
【0022】
一部の実施形態では、Rのいずれかのヘテロシクリルおよびヘテロアリール部分は、ハロ、-C~Cアルキル、-OH、=O、-CN、-C(O)N(R’)、-C(O)OR’、-C(O)OH、-S(O)-(C~C-アルキル)、-S(O)2-N(R’)から独立して選択される1つまたは複数の置換基により必要に応じて置換されており;Rのいずれかのアルキル、アルキレンおよびシクロアルキル部分またはそこに置かれた置換基は、フッ素、-OHおよび-CNから独立して選択される1つまたは複数の置換基により必要に応じて置換されている。
【0023】
一部の実施形態では、2個のRが一緒になって環を形成する場合、またはRおよびRが一緒になって環を形成する場合、結果として生じる環は、ハロ、C~Cアルキル、-OH、=O、-CN、-C(O)NR、-S(O)-C~C-アルキル、-S(O)-N(R’)から独立して選択される1つまたは複数の置換基により必要に応じて置換されており;2個のRが一緒になって環を形成する場合に、またはRおよびRが一緒になる場合に形成された環における置換基のいずれかのアルキル部分は、フッ素、-OHおよび-CNから独立して選択される1つまたは複数の置換基により必要に応じて置換されている。一部の実施形態では、各Rは、存在する場合、ハロ、-OH、-C~Cアルキル、-NHC(O)-(C~Cアルキル)、-C(O)NH-C~Cアルキル、-C(O)-(必要に応じて置換されたヘテロシクリル)、必要に応じて置換されたアリールおよび必要に応じて置換されたヘテロアリールから独立して選択されるか、または
およびいずれかのRは、それらが結合される原子と一緒になって、ピペリジン環に縮合、スピロ縮合もしくは架橋された、必要に応じて置換されたヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成するか、または
2個のRは一緒になって、オキソ(=O)を形成するか、もしくはそれらが結合される原子(単数または複数)およびいずれかの介在する環原子と一緒になって、ピペリジン環に縮合、スピロ縮合もしくは架橋された、必要に応じて置換されたアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリルもしくはヘテロアリール環を形成し、
のいずれかのアルキルまたはアルキレン部分、RをRと一緒にすることによって形成されたいずれかの環、または2個のRを一緒にすることによって形成されたいずれかの環は、1つまたは複数の独立して選択された一価置換基により必要に応じて置換されている。
【0024】
一部の実施形態では、各Rは、存在する場合、独立して、ハロ、=O、-OH、必要に応じて置換された-C~Cアルキル、必要に応じて置換されたフェニルまたは必要に応じて置換されたヘテロアリールである。一部の実施形態では、-C~Cアルキルまたはフェニルである各Rは、1つまたは複数の独立して選択された一価置換基により必要に応じて置換されている。一部の実施形態では、各Rは、存在する場合、独立して、ハロまたは必要に応じて置換された-C~Cアルキルである。一部の実施形態では、各Rは、存在する場合、独立して、ハロまたは1つもしくは複数の独立して選択された一価置換基により必要に応じて置換された-C~Cアルキルである。一部の実施形態では、各Rは、存在する場合、ハロである。一部の実施形態では、各Rは、存在する場合、必要に応じて置換された-C~Cアルキルである。一部の実施形態では、各Rは、存在する場合、1つまたは複数の独立して選択された一価置換基により必要に応じて置換された-C~Cアルキルである。
【0025】
一部の実施形態では、nは、0、1、2または3である。
【0026】
一部の実施形態では、nは、0、1、2または3であり、各Rは、存在する場合、独立して、フルオロ、-CH、-CHCH、-OHもしくは非置換のフェニルであるか、または2個のRは一緒になって、オキソを形成する。
【0027】
一部の実施形態では、nは、0、1、2または3であり、各Rは、存在する場合、独立して、-CH(CH、-C(O)NHCH、-NHC(O)CHCH、3-メチル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル、1,2,4-トリアゾロ[4,3-a]ピリジン-3-イル、8-(メチルスルホニル)-1,2,4-トリアゾロ[4,3-a]ピリジン-3-イル、ピロリジン-1-イルカルボニルもしくは3-ヒドロキシピロリジン-1-イルカルボニルであるか;または異なる原子における2個のRは、それらが結合される原子およびいずれかの介在する環原子と一緒になって、環を形成し、これは、両方のRが結合されるピペリジン環と一緒になって、
【化8】
であるか;または同じ環原子に結合された2個のRは、それらが結合される原子と一緒になって、環を形成し、これは、両方のRが結合されるピペリジン環と一緒になって、
【化9】
である。
【0028】
一部の実施形態では、Rの各アルキルまたはシクロアルキル部分は、1つまたは複数のフッ素により必要に応じてかつ独立して置換されている。
【0029】
一部の実施形態では、Rは、水素である。
【0030】
一部の実施形態では、Rのいずれかのアルキル、アルケニル、アルキニルまたはシクロアルキル部分は、-OHおよびフッ素から独立して選択される1つまたは複数の置換基により必要に応じてかつ独立して置換されている。
【0031】
一部の実施形態では、Rは、ハロ、-CN、必要に応じて置換されたC~Cアルキル、必要に応じて置換されたC~Cアルキニル、必要に応じて置換された-O-C~Cアルキルまたは必要に応じて置換されたC~Cシクロアルキルである。一部の実施形態では、Rは、ハロ、-CN、必要に応じて置換されたC~Cアルキルまたは必要に応じて置換されたC~Cハロアルキルである。一部の実施形態では、Rは、ハロ、C~CアルキルまたはC~Cハロアルキルである。一部の実施形態では、Rは、C~Cアルキルである。一部の実施形態では、Rは、C~Cハロアルキルである。一部の実施形態では、Rは、ハロである。
【0032】
一部の実施形態では、Rは、水素または-C(O)-(必要に応じて置換されたC~Cアルキル)である。
【0033】
一部の実施形態では、Rは、クロロ、フルオロ、ブロモ、ヨード、シクロプロピル、-CN、-CF、-CHCF、-CH、-CHCH、-CH(CH、-CHCH(CH、-OCHまたは-C≡CHである。一部の実施形態では、Rは、クロロ、フルオロ、-CF、-CHCF、-CH、-CHCHまたは-C≡CHである。一部の実施形態では、Rは、クロロ、-CF、-CHまたは-CHCHである。一部の実施形態では、Rは、クロロまたは-CFである。一部の実施形態では、Rは、クロロである。一部の実施形態では、Rは、-CFである。
【0034】
一部の実施形態では、Rは、-CHCHF、-CHCHCH、-CH(OH)CH、-CH=CH、-C(O)CH、-OCHF、-S-CH、-S-CHFまたは-S-CFである。
【0035】
一部の実施形態では、各Rのいずれかのヘテロシクリルもしくはヘテロアリール部分または2個の隣接Rが一緒になる場合に形成された環は、ハロ、-CN、C~Cアルキル、-OH、=O、-C(O)NRまたは-SO-NRから独立して選択される1または2個の置換基により必要に応じてかつ独立して置換されており;Rのいずれかのアルキル、アルキレンおよびシクロアルキル部分、Rにおける置換基、または2個のRを一緒にすることにより形成された環における置換基は、フッ素、-OHおよび-CNから独立して選択される1つまたは複数の置換基により必要に応じて置換されている。
【0036】
一部の実施形態では、1個のRは、必要に応じて置換されたヘテロアリールまたは必要に応じて置換されたヘテロシクリルである。例えば、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルは、ピラゾール-4-イル、イミダゾール-1-イル、モルホリン-4-イル、ピリジン-4-イル、ピリダジン-4-イル、1H-ピロール-3-イル、ピリダジン-4-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イルまたは1,2,4-オキサジアゾール-3-イルであり;ハロ、-CN、C~Cアルキル、-OH、-C(O)N(R’)および-SO-N(R’)から選択される1または2個の置換基により必要に応じて置換されている。
【0037】
一部の実施形態では、各Rは独立して、水素、ハロ、-C~Cアルキル、-CN、-C(O)OH、-C(O)-(C~Cアルキル)、-C(O)-N(R’)、-S(O)-(C~Cアルキル)、-P(O)(C~Cアルキル)-O-C~Cアルキル、-P(O)(O-(C~Cアルキル))、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり、いずれかのアルキル、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールは、必要に応じて置換されている。
【0038】
一部の実施形態では、各Rは独立して、-C(O)-ヘテロシクリル、-S(O)N(R’)、-(C~Cアルキレン)-S(O)-(C~Cアルキル)、カルボシクリル、-O-(C~C-アルキレン)-カルボシクリル、フェニル、-(C~Cアルケニレン)-フェニル、-S(O)-(C~Cアルキル)、-S-(C~Cアルキル)、-S(O)-OHまたは-S(O)-OHであり、いずれかのアルキル、アルキレン、アルケニレン、カルボシクリル、フェニルまたはヘテロシクリルは、必要に応じて置換されている。
【0039】
一部の実施形態では、各Rは独立して、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、-CN、-CH、-CHCHC(CHOH、-C(O)-CH、-C(O)OH、-C(O)-NH-CH、-P(=O)(OCHCH、-P(=O)(OCHCH)CH、-S(O)CH、1H-ピラゾール-4-イル、1-メチルピラゾール-4-イル、1,3-ジメチル-ピラゾール-4-イル、5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル、1-メチル-2-オキソイミダゾリジン-3-イル、4-メチルイミダゾール-1-イル、モルホリン-4-イル、ピリジン-4-イル、4-ヒドロキシシクロヘキシル、4-ヒドロキシ-4-メチルシクロヘキシル、5-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル、5-メチル、1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,3-ジメチルピリダジン-4-イル、1,5-ジメチルピリダジン-4-イル、3-メチル-1H-ピリダジン-4-イル、1-(2-メチル-2-ヒドロキシプロピル)ピリダジン-4-イル、イミダゾール-1-イル、1-メチル-5-シアノピロール-3-イル、5-シアノ-1H-ピロール-3-イル、またはピリダジン-4-イルである。
【0040】
一部の実施形態では、各Rは独立して、-P(O)-(CH、-P(O)-(CHCH、-S(O)N(CH、-S(O)CH(CH、-S(O)CHF、-S(O)CHF、-SCHF、-S(O)CHF、-S(O)OH、-S(O)OH、-S(O)NHCH、-(CHCH、-CHS(O)CH、-S(O)-CHCH、1H-ピラゾール-3-イル、1-ジフルオロメチル-ピラゾール-3-イル、1-ジフルオロメチル-ピラゾール-4-イル、1-メチルピラゾール-3-イル、3-メチル-1H-ピラゾール-4-イル、3-メチル-3-ヒドロキシピロリジン-1-イルカルボニル、3-ヒドロキシピロリジン-1-イルカルボニル、4-ヒドロキシシクロヘキシル、4-ヒドロキシシクロヘキサ-1-エニル、1,1-ジオキソチオモルホリン-4-イル、4-シアノ-1H-イミダゾール-1-イル、2,3-ジメチル-1,2,4-トリアゾール-5-イル、1,5-ジメチル-ピラゾール-4-イル、ピリジン-3-イル、1-(2-メチル-2-ヒドロキシプロパン-1-イル)ピラゾール-4-イル、ピロリジン-1-イル、ピロリジン-1-イルカルボニル、1H-ピラゾール-2-イル、3-ヒドロキシ-3-トリフルオロメチルピロリジン-1-イルカルボニル、3-メトキシピロリジン-1-イルカルボニル、3-シアノピロリジン-1-イルカルボニル、4-ヒドロキシ-4-メチルピペリンジン(methylpiperindin)-1-イルカルボニル、3-オキソピロリジン-1-イルカルボニル、3-(ピロリジン-1-イルカルボニル)フェニル、3-フェノキシフェニル、チアゾール-2-イル、ピラジン-2-イル、2,4-ジオキソ-1H,3H-ピリミジン-5-イル、3-メチル-3-ヒドロキシピロリジン-1-イルスルホニル、5-フルオロピリジン-3-イル、2-ヒドロキシピリジン-3-イル、3,3-ジフルオロ-4-ヒドロキシ、3,5-ジメチルオキサゾール-4-イル、3-フルオロフェニル、4-メチルピリジン-3-イル、2-ヒドロキシメチルピリジン-3-イル、6-ヒドロキシメチルピリジン-2-イル、5-ヒドロキシメチルピリジン-3-イル、1-メチル-6-オキソピリジン-3-イル、4-アミノスルホニルフェニル、3-アミノスルホニルフェニル、3-ヒドロキシ-3-エチルピロリジン-1-イルカルボニル、3-シアノ-4-ヒドロキシフェニル、ベンゾ[d]チアゾール-6-イル、2H-インダゾール-6-イル、1H-ベンゾイミダゾール-5-イル、2-オキソ-3-シアノ-4-メチルピリジン-5-イル、2-アミノベンゾ[d]チアゾール-2-イル、3-アミノカルボニルフェニル、6-トリフルオロメチル-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-3-イル、2-アミノキナゾリン-8-イル、スチリル、1-メチル-1H-インダゾール-6-イル、2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-7-イル、2-エトキシフェニル、3-(2-ヒドロキシエチル)フェニル、3-(メチルカルボニルアミノメチル)フェニル、1-メチル-6-トリフルオロメチル-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-3-イル、キノリン-4-イル、イソキノリン-5-イル、イソキノリン-7-イル、または2-オキソ-3,4-ジヒドロキノリン-7-イルである。
【0041】
一部の実施形態では、R’の各ヘテロシクリルおよびヘテロアリール部分は、ハロ、C~Cアルキル、-OH、=O、-CN、-C(O)NRおよび-SO2-NRから独立して選択される1つまたは複数の置換基により必要に応じて置換されており、R’の各アルキル、アルキレンおよびシクロアルキル部分またはR’の置換基は、フッ素、-OHおよび-CNから独立して選択される1つまたは複数の置換基により必要に応じて置換されている。
【0042】
一部の実施形態では、R’は、水素、C~Cアルキル、-(C~Cアルキレン)-アリールまたは-(C~Cアルキレン)-O-(C~Cアルキル)である。例えば、R’は、水素、メチル、イソプロピル、-CH-O-CH、-(CH-O-CHまたはフェニルであり得る。一部の実施形態では、Rは、水素またはメチルである。
【0043】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-a)の化合物:
【化10】
または薬学的に許容されるその塩(式中、環A、R、R、R、Rおよびnの各々は、式(I)に関して定義されている通りである)である。
【0044】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-b)の化合物:
【化11】
または薬学的に許容されるその塩(式中、環A、R、R、R、Rおよびnの各々は、式(I)に関して定義されている通りである)である。
【0045】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-c)の化合物:
【化12】
または薬学的に許容されるその塩(式中、X、R、R、R’、R、Rおよびnの各々は、式(I)に関して定義されている通りであり;Yは、NまたはC(R7a)であり;Yは、NまたはC(R7b)であり;X、YまたはYのうち1つ以下は、Nであり、R7a、R7bおよびR7cの各々は独立して、式(I)に関して定義されている通りのRから選択される)である。
【0046】
一部の実施形態では、式(I-c)の化合物は、式(I-c1)の化合物:
【化13】
または薬学的に許容されるその塩(式中、Rもまた、式(I)に関して定義されている通りである)である。
【0047】
一部の実施形態では、式(I-c)の化合物は、式(I-c2)の化合物:
【化14】
または薬学的に許容されるその塩である。
【0048】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は、式(II)の化合物:
【化15】
または薬学的に許容されるその塩であり、式中、
は、NまたはC(R7e)であり、
2aおよびR2bの各々は独立して、水素もしくはC~Cアルキルであるか、または
2aおよびR2bは一緒になって、ピペリジン環にスピロ縮合されたシクロアルキルもしくは複素環を形成し、前記シクロアルキルもしくは複素環は、1つもしくは複数の独立して選択されたC~CアルキルもしくはC~Cハロアルキルにより必要に応じて置換されており、
7dは、水素、-C(O)-(C~Cアルキル)、-CN、または1つもしくは複数の独立して選択されたC~CアルキルもしくはC~Cハロアルキルにより必要に応じて置換されたヘテロアリールであり、
7eは、存在する場合、水素、ハロ、-S(O)-(C~Cアルキル)、-P(O)(C~Cアルキル)、-C(O)NH-(C~Cアルキル)、-C(O)N(C~Cアルキル)、-S(O)NH-(C~Cアルキル)、-S(O)N-(C~Cアルキル)、または1つもしくは複数の独立して選択されたC~CアルキルもしくはC~Cハロアルキルにより必要に応じて置換されたヘテロアリールであり、
14は、C~CアルキルまたはC~Cハロアルキルである。
【0049】
一部の実施形態では、式(II)の化合物は、式(IIa)の化合物:
【化16】
または薬学的に許容されるその塩(式中、Y、R2a、R2b、R7d、R7eおよびR14は、式(II)に定義されている通りである)である。
【0050】
一部の実施形態では、式(II)の化合物は、式(IIb)の化合物:
【化17】
または薬学的に許容されるその塩(式中、Y、R2a、R2b、R7d、R7eおよびR14は、式(II)に定義されている通りである)である。
【0051】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は、式(III)の化合物:
【化18】
または薬学的に許容されるその塩(式中、Y、R2a、R2b、R7d、R7eおよびR14は、式(II)に定義されている通りである)である。
【0052】
一部の実施形態では、式(III)の化合物は、式(IIIa)の化合物:
【化19】
または薬学的に許容されるその塩(式中、Y、R2a、R2b、R7d、R7eおよびR14は、式IIに定義されている通りである)である。
【0053】
一部の実施形態では、式(III)の化合物は、式(IIIb)の化合物:
【化20】
または薬学的に許容されるその塩(式中、Y、R2a、R2b、R7d、R7eおよびR14は、式(II)に定義されている通りである)である。
【0054】
一部の実施形態では、式(II)、(IIa)、(IIb)、(III)、(IIIa)または(IIIb)のうちいずれか1つの化合物において、
2aは、水素もしくは-CHであり、
2bは、水素、-CH、-CHCHもしくは-CH(CHであるか、またはR2aおよびR2bは一緒になって、オキセタン-3-イルを形成し、
7dは、水素、-C(O)CH、-CN、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イル、1-メチル-5-シアノピロール-3-イル、1-メチルピラゾール-4-イル、1-メチルピラゾール-3-イル、1H-ピラゾール-4-イル、1H-ピラゾール-3-イル、1H-イミダゾール-2-イル、1,3-ジメチルピラゾール-4-イル、1,5-ジメチルピラゾール-4-イル、1,5-ジメチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル、イミダゾール-1-イル、1-ジフルオロメチルピラゾール-3-イル、1-ジフルオロメチルピラゾール-4-イルまたはチアゾール-2-イルであり、
7eは、存在する場合、水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、-CN、-P(O)(CH、-S(O)CH(CH、-S(O)CHCH、-S(O)N(CH、-C(O)NHCH、ピリジン-4-イル、ピリダジン-4-イル、5-メチル-1H-ピラゾール-4-イル、1-メチルピラゾール-4-イル、4-メチル-1H-イミダゾール-1-イル、1H-ベンゾ[d]イミダゾール-5-イル、6-(トリフルオロメチル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-3-イル、1-メチル-6-(トリフルオロメチル)-1H-ピロロ[3,2-c]ピリジン-3-イル、イソキノリン-7-イル、イソキノリン-5-イル、ピラジン-2-イル、2H-インダゾール-6-イル、3,5-ジメチルイソオキサゾール-4-イル、チアゾール-2-イル、4-メチルピリジン-3-イル、1-メチルインダゾール-6-イル、キノリン-4-イル、ベンゾ[d]チアゾール-6-イル、または1,3-ジメチルピラゾール-4-イルであり、
14は、-CH、-CF、-CHCH、-CHCF、-CHCHFまたは-CH(CHである。
【0055】
一部の実施形態では、式(II)の化合物において、R2aは、水素または-CHであり、R2bは、水素または-CHであり、R7dは、水素、-CN、ピラジン-2-イル、チアゾール-2-イルまたは3,5-ジメチルイソオキサゾール-4-イルであり、R7eは、存在する場合、水素、フルオロ、-C(O)NHCH、-P(O)(CH、-S(O)CH、-S(O)N(CH、1,3-ジメチルピラゾール-4-イルまたはピリダジン-4-イルであり、R14は、-CHCHまたは-CFである。
【0056】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は、図1A図1Xの表における化合物のうちいずれか1つである、または薬学的に許容されるその塩である。
【0057】
本明細書に記載されている診断および治療方法は、ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-5,7-ジアミンに関係する化合物を用いることもできる(すなわち、このような化合物は、本明細書に記載されている様式で処置のために特定された患者に投与することができる):
【化21】
【0058】
また、反復するために、後述する亜属の化合物を含むあらゆるこのような化合物は、「本明細書に記載されているCDK7阻害剤」への本発明者らの参照によって包含される。より具体的には、4-[[(7-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-5-イル)アミノ]メチル]ピペリジン-3-オール:
【化22】
に関係する。さらにより具体的には、用いられる化合物は、以下の構造式を有する式(IV)の、ある特定の置換された4-[[(7-アミノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-5-イル)アミノ]メチル]ピペリジン-3-オールである(式中、R15、R16およびR17は、本明細書に定義される通りである)。
【化23】
(式中、R15は、水素、C~C-アルキル(例えば、メチル)またはC~C-シクロアルキルであり、各々、1~3(例えば、1または2)個のハロゲン(例えば、フルオロ)によって必要に応じて置換されており;R16は、水素、ハロゲン、C~C-アルキルまたはC~C-ハロアルキルであり;R17は、ハロゲン(例えば、フルオロ)、-CN、C~C-アルキル(例えば、メチル)、C~C-シクロアルキルおよびC~C-ハロアルキルから選択される1~3(例えば、1または2)個の置換基により必要に応じて置換されたフェニルである)。
一部の実施形態では、R15は、水素、C~C-アルキルまたはC~C-シクロアルキルである。一部の実施形態では、R15は、水素、エチル、イソプロピルまたはシクロプロピルである。一部の実施形態では、R16は、水素またはハロゲンである。一部の実施形態では、R17は、ハロゲン、-CN、C~C-アルキル、C~C-シクロアルキルおよびC~C-ハロアルキルからなる群から選択される1個の置換基により必要に応じて置換されたフェニルである。一部の実施形態では、R17は、ハロゲンおよび-CNから選択される1個の置換基により必要に応じて置換されたフェニルである。一部の実施形態では、R15は、水素、C~C-アルキルまたはC~C-シクロアルキルであり;R16は、水素またはハロゲンであり;R17は、ハロゲンおよび-CNから選択される1個の置換基により必要に応じて置換されたフェニルである。
例示的な/有用な化合物は、図2の表Xに示される。本診断および/または治療方法は、同様に「本明細書に記載されているCDK7阻害剤」である以下の化合物(ICEC0942)を用いて実行することができる:
【化24】
本明細書に記載されている診断および治療方法は、式(X)の化合物を用いることもできる(すなわち、このような化合物は、本明細書に記載されている様式で処置のために特定された患者に投与することができる):
【化25】
[式中、RA6は、C~Cアルキルであり;RA7は、C~Cアルキルであり;Rは、結合であり;Qは、必要に応じて置換された二価ヘテロアリールであり;Rは、C~Cアルキレンであり;Zは、単環式ヘテロアリールであり;Rは、式(ii-1):
【化26】
(式中、Lは、結合であり;Yは、O、SまたはN(R)であり、Rは、水素であり;RE1は、水素であり;RE2は、水素であり;RE3は、CHN(Rであり、Rは、水素または非置換のアルキルである)である]。他の実施形態では、式(X)の化合物において、RA6は、メチルであり;RA7は、Cアルキル(例えば、CH(CHなどの分枝状Cアルキル)であり;Qは、非置換の二価ピペリジンであり;Rは、Cアルキレンであり;Zは、ピロリルであり;Yは、Oであり;Rは、メチルである。一実施形態では、Rは、第1のメチレン単位が-O-により置き換えられ、第2のメチレン単位が-C(O)-により置き換えられた、Cアルキレンである。一実施形態では、RA7は、分枝状Cアルキル(CH(CH)であり、Rは、第1のメチレン単位が-O-により置き換えられ、第2のメチレン単位が-C(O)-により置き換えられた、Cアルキレンである。
例えば、化合物/CDK7阻害剤は、
【化27】
であり得る。本方法において有用な他のCDK7阻害剤は、
【化28】
である。YKL-5-124およびYKL-5-167ならびに他の同様の化合物の合成に関する情報、ならびに例えば、投薬量および適応症に関するガイダンスは、その内容全体がこれにより参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2019/0055248号に見出すことができる。
【0059】
処置に対する患者を特定する診断方法は、バイオマーカーの状態に関する情報を決定することにより、この情報の決定を完了することにより、またはその情報を受け取ることにより、患者から取得した生体試料中の本明細書に記載されている1つまたは複数のバイオマーカーを分析するステップを含む。様々な実施形態では、状態は、野生型もしくは変異体形態でのバイオマーカー遺伝子の存在、非存在(例えば、遺伝的欠失)、場所(例えば、染色体転座)もしくはコピー数、エピジェネティック修飾の包含、スーパーエンハンサー(SE)もしくはある特定の強度、蔓延(prevalence)ランクもしくは順序ランクのSEとバイオマーカー遺伝子の関連、バイオマーカー遺伝子の発現のレベル(例えば、そのRNA(例えば、一次RNA転写物またはmRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA))発現レベルによって証明されるような)、および/またはバイオマーカー遺伝子によってコードされるタンパク質の発現もしくは活性のレベルに基づき評価され、これらの各々は、さらに後述される。当業者は、RNA配列を逆転写して、相補的DNA(cDNA)を生成することができ、本明細書に記載されているRNAから生成されたcDNAを用いて、本明細書に記載されている方法および使用のいずれかを実行することができる(すなわち、患者のバイオマーカー状況は、RNAではなくcDNAを使用して決定されていてよい)ことを理解するであろう。バイオマーカーの状態は、使用されている的確なバイオマーカーまたはバイオマーカーが評価されている正確な方法もしくは文脈に関係なく、単に収載されている特色のうちいずれか1つまたは複数の観点から評価することができる。所与のバイオマーカーの状態(例えば、そのコピー数、関連するエンハンサー、発現レベルまたは活性)は、さらに後述する通り、所定の閾値レベルもしくはカットオフに等しくもしくはそれより高く、または所定の閾値レベルもしくはカットオフに等しくもしくはそれより低くなることができる。本発明の方法において、遺伝子BRAF、c-myc(MYCとしても公知)、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、およびE2F経路メンバーをコードするある特定の遺伝子(下の表を参照)、またはこれらによってコードされるタンパク質から選択されるバイオマーカーを、このようなバイオマーカーの状態が、所定の閾値レベル(RB1-E2Fファミリーメンバーについては、下の表および添付の教示を参照)に等しいまたはそれより高い(例えば、それより高い)という情報を決定することにより、この情報の決定を完了することにより、および/またはその情報を受け取ることにより、分析することができる。その代わりにまたはその上、遺伝子BCL2様1、CDK7、CDK9、CDKN2AおよびRB(RB1または別のE2F経路メンバーとしても公知)、ならびに/またはこれらによってコードされるタンパク質から選択されるバイオマーカーを、このようなバイオマーカー状態が、所定の閾値レベル(RB/E2Fファミリーメンバーについては、下の表を参照)に等しいまたはそれより低い(例えば、それより低い)という情報を決定することにより、この情報の決定を完了することにより、および/またはその情報を受け取ることにより、分析することができる。いずれのバイオマーカー(複数可)を利用するべきかについての選択は、一部には、患者が患う特定のがんと共に、本明細書に記載されている他の因子に依存することができる。CDK18は、CDK18をコードし、CDK19は、CDK19(メディエーターコアクチベーター複合体の成分)をコードし;CCNE1は、サイクリンE1をコードし(Koff et al., Cell 66:1217-1228, 1991を参照);FGFR1は、チロシンキナーゼ活性を有する細胞表面膜受容体であるFGFR1をコードし;RBは、アクチベーターE2Fのアクチベータードメインに結合するpRBをコードし;BCL2様1は、ミトコンドリアにおける膜貫通タンパク質であるBCL-XLをコードし;CDK7は、CDK7をコードし;CDK9は、CDK9をコードし;CDKN2Aは、p16およびp14arfをコードする。別の面では、Homo sapiens以外の種における、バイオマーカーとして本明細書に記載されている遺伝子およびタンパク質の染色体上の場所、スプライスバリアントおよびホモログは、当技術分野で公知である。
【0060】
本発明の処置法および対応する「使用」は、本明細書に記載されるCDK7阻害剤(例えば、式(I)の化合物)を投与するステップまたはその使用を含み、これらのいずれも、薬学的に許容される組成物に含まれ得、経路およびレジメン(例えば、本明細書にさらに記載されている)によって、本明細書に記載されている通りに(例えば、本明細書に記載されているがんの種類を有すると)特定された患者に投与され得る。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1-1】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-2】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-3】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-4】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-5】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-6】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-7】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-8】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-9】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-10】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-11】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-12】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-13】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-14】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-15】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-16】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-17】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-18】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-19】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-20】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-21】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-22】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-23】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図1-24】図1A図1Xは、式(I)の例示的な/有用な化合物の表である。追加の例示的な/有用な化合物は、直ぐ下で言及する表Xに示される。
図2図2は、本発明の方法において有用な追加のCDK7阻害剤を説明する表(表X)である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
詳細な説明
本発明者らは、本明細書に記載されている通りのCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩の有効性が、ある特定の遺伝的シグネチャー(すなわち、同様に本明細書に記載されている通り、特定の状態にある1つまたは複数のバイオマーカー)を有する患者において一層高くなるであろうと考えている。さらに、本発明者らは、このような化合物およびその塩の有効性が、本明細書に記載されている通り、本明細書に記載されているがんを有する患者および/または本明細書に記載されている通りにバイオマーカーに基づいて特定された患者を含む患者において、他の抗がん治療と組み合わせた場合に増強され得ると考えている。
【0063】
以下の定義は、特に文脈が明白に示さない限り、本明細書に記載されている組成物、方法および使用に当てはまり、必要な場合または望ましい場合、特許請求の範囲が定義の範囲内の文言を含むよう修正されてもよいことを理解すべきである。さらに、この定義は、定義されている用語の言語上および文法上の変化形(例えば、単数形態および複数形態の用語)に該当し、一部の言語上の変化形は、特に、以下に明記されている(例えば、「投与」と「投与すること」)。化学元素は、Periodic Table of the Elements, CAS version, Handbook of Chemistry and Physics, 75th Edに従って特定される。さらに、有機化学の一般原理は十分に確立されており、当業者は、所望の場合、Organic Chemistry by Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito, 1999; Smith and March, March’s Advanced Organic Chemistry, 5th Edition, John Wiley & Sons, Inc., New York, 2001; Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers, Inc., New York, 1989; and Carruthers, Some Modern Methods of Organic Synthesis, 3rd Edition, Cambridge University Press, Cambridge, 1987を参考にすることができる。
【0064】
値を参照して使用する場合、用語「約」は、明記した値のプラスまたはマイナス10%となる、任意の値または値の範囲(例えば、明記されている値のプラスまたはマイナス1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%または10%の範囲内)を表す。例えば、約10mgの用量は、10mgより10%少ない任意の用量(9mg)、10mgより10%多い任意の用量(11mg)、およびそれらの間の任意の用量または投与量範囲(例えば、9~11mg;9.1~10.9mg;9.2~10.8mgなど)を意味する。別の例として、約80%の集団における有病率ランクは、72~88%(例えば、79.2~80.8%)の有病率ランクを意味する。疑念がある場合、「約X」は、「X」(例えば、約80%は80%であり得る)であり得る。明記した値を超えることができない(例えば、100%)場合、「約」は、明記した値よりも最大で10%(これを含む)小さい任意の値または範囲を表す(例えば、約100%の純度は、90%~100%純粋であることを意味する(例えば、95%~100%純粋、96%~100%純粋、97%~100%純粋などである))。値を測定する機器または技法が、10%を超える誤差範囲を有する事象では、所与の値は、それらがそのような機器または技法に関する誤差の範囲内にどちらもある場合、明記されている値とほぼ同じになる。
【0065】
用語「投与」、および「投与すること」などのその変化形は、本明細書に記載されているCDK7阻害剤(本明細書に開示される式に適合する化合物またはそれらの薬学的に許容される塩、追加剤/第2の薬剤、またはいずれかのそのような化合物のうちの1つまたは複数を含有する組成物を含む)を対象(例えば、ヒト患者)または系(例えば、ex vivoで維持される細胞または組織をベースとする系)に投与することを指す。投与の結果として、前記化合物または該化合物を含有する組成物(例えば、医薬組成物)は、対象または系に導入される。本発明の組成物および併用療法に有用な第2の薬剤に加えて、それらのいずれもが化合物であり得る、ポジティブ対照、ネガティブ対照およびプラセボとして使用される物品もまた、「投与される」ことができる。当業者は、対象または系に投与するために、適切な状況で利用することができる、様々な経路であることに気付く。例えば、投与経路は、経口であってもよく(すなわち、医薬組成物を嚥下することによる)、または非経口であってもよい。より詳細には、投与経路は、気管支(例えば、気管支点滴による)、口による(すなわち、経口)、皮膚による(これは、真皮への局所適用または皮内、皮下または経皮投与であり得るか、またはこれらを含むことができる)、胃内または腸内(すなわち、それぞれ、胃または腸に直接)、髄内、筋肉内、鼻内、腹腔内、鞘内、腫瘍内、静脈内(または動脈内)、心室内、特定の臓器(例えば、肝内)、粘膜(例えば、口内、直腸、舌下または膣)、皮下、気管(例えば、気管内点滴による)、または眼(例えば、局所、結膜下または硝子体内)への適用または注入によるものであり得る。投与は、断続的投与(すなわち、様々な時間により間隔が設けられた用量)、および/または定期的投与(すなわち、一般的な期間(例えば、多くの時間毎に、毎日(例えば、1日1回の経口投与)、毎週、1週間あたり2回など))により間隔が設けられた用量)を含むことができる。他の実施形態では、投与は、選択した時間の間(例えば、約1~2時間)の連続投与(例えば、潅流)を含むことができる。
【0066】
2つの事象、2つの実体、または1つの事象と1つの実体は、第1の特徴の1つまたは複数(例えば、その存在、レベルおよび/または形態)が、第2の特徴と相関する場合、互いに「関連している」。例えば、第1の実体(例えば、酵素(例えば、CDK7))、遺伝子発現プロファイル、遺伝子シグネチャー(すなわち、遺伝子発現の特異的な特徴パターンを有する、細胞における遺伝子の単一群または複合群)、代謝産物または事象(例えば、骨髄浸潤)の存在、レベルおよび/または形態が、疾患(例えば、本明細書において開示されているがん)の出現率、その重症度および/または疾患への感受性に相互関連する場合、それらは、ある事象(例えば、特定の疾患の発病または進行)と関連している。本明細書に記載されているバイオマーカーは、本明細書に記載されている方法で特定された患者に関連する(例えば、その発現のレベルによる)。関連性は、通常、関連集団にわたり評価される。2つまたはそれより多くの実体が、直接、または間接的に相互作用する場合、それらは、互いに物理的に「関連する」ことになり、その結果、これらの実体は、所与の状況(例えば、生理的条件下で維持されている細胞内(例えば、細胞培養物内)または医薬組成物内)において互いに物理的に近接し、そして/またはそのような状態にある。互いに物理的に関連する実体は、互いに共有結合により連結され得るか、または例えば、水素結合、ファンデルワールス力、疎水性相互作用、磁力またはそれらの組合せにより非共有結合により結合され得る。本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩は、CDK7と非共有結合により会合し得る。
【0067】
用語「生体試料」とは、目的の生物学的供給源(例えば、組織または生物(例えば、動物またはヒト患者)または細胞培養物)から取得または誘導される試料を指す。例えば、生体試料は、本発明の方法により診断および/または処置される疾患(または、動物モデルの場合、ヒト疾患におけるそのような疾患のシミュレーション)に罹患している個体(例えば、患者または動物モデル)から、または参照もしくは対照(または、その試料は、参照標準または対照集団に寄与する)となる役割を果たすことに役立つ個体から得られる試料であり得る。生体試料は、生物細胞、組織または流体またはそれらの任意の組合せを含有することができる。例えば、生体試料は、腹水;血液;血液細胞;体液(それらのいずれも、細胞(例えば、腫瘍細胞(例えば、少なくとも血液またはリンパ液管に見出される、血中循環腫瘍細胞(CTC))を含んでもよく、またはこれを除外してもよい);骨髄またはその構成成分(例えば、造血細胞、骨髄脂肪組織または間質細胞);脳脊髄液(CSF);糞便;フレクチュアル流体(flexural fluid);自由遊走核酸(例えば、循環性腫瘍DNA);婦人科医学的流体;免疫浸潤物質;リンパ液;腹膜流体;血漿;唾液;痰;外科的に得られた試験体;皮膚または粘膜(例えば、鼻、口または膣)から掻き取ったまたは拭いとった組織;組織または微細ニードル生検試料;尿;乳管洗浄または気管支肺胞洗浄などの洗液または洗浄液;または他の体液、組織、分泌物および/または排出液であり得るか、またはこれらを含むことができる。体液(例えば、血液、CSF、リンパ液、血漿または尿)の試料またはこれから得られる試料は、腫瘍細胞(例えば、CTC)、および/または腫瘍の自由遊走核酸もしくは細胞不含核酸を含んでもよい。試料中の細胞(例えば、がん細胞)は、処置が意図されている個々の患者から得られてもよい。試料が得られる形態で使用される試料は、「一次」試料と称することができ、さらに操作された試料(例えば、試料の1つまたは複数の構成成分を除去することによる)は、「二次」試料または「処理済み」試料と称されることがある。このような処理済み試料は、特定の細胞タイプ(例えば、腫瘍細胞であり得るCDK7発現細胞)、細胞の構成成分(例えば、膜の画分)または細胞物質(例えば、CDK7、DNA、またはCDK7をコードすることができる、および増幅が施され得るRNA(例えば、mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA))を含めた1種または複数の細胞タンパク質)を含有するか、またはそれに富むことがある。本明細書で使用する場合、用語「バイオマーカー」とは、実体であって、その状態が特定の生物学的事象と相互に関係し、その結果、その事象に対する「マーカー」と考えられる、実体を指す(例えば、特定のがんの存在、および/または本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩への感受性)。バイオマーカーは、核酸またはタンパク質レベルで分析され得る。核酸レベルでは、野性型または変異体形態の遺伝子の存在(例えば、コピー数変化(CNA))、その非存在もしくは染色体位置、エピジェネティックな変化(例えば、メチル化において)、そのスーパー-エンハンサーとの関係性、および/またはその発現のレベル(例えば、一次RNA転写またはmRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)レベルによって証明される)を分析することができる。タンパク質レベルでは、バイオマーカー遺伝子によってコードされるタンパク質の発現および/または活性のレベルを分析することができる。バイオマーカーは、その治療的転帰または可能性(例えば、可能性の増大)を示すことがある。したがって、バイオマーカーは、予測的または予後的であり得、したがって、本明細書に記載されている患者を特定または処置する方法に有用であり得る。
【0068】
用語「がん」は、生物細胞が、疾患を有する患者に有害となる程度に細胞増殖の制御を失うことにより特徴付けられる異常な成長表現型を示す疾患を指す。がんは、がんの元々の組織のタイプ(組織学的タイプ)、および/またはがんが最初に発生した身体の原発部位によって分類することができる。組織学的タイプに基づいて、がんは、一般に、6つの主要なカテゴリー:癌腫;肉腫;骨髄腫;白血病;リンパ腫;および複合タイプに分類される。本明細書に記載されている通りに処置されるがんは、これらのタイプのいずれか1つであり得、前がん性(例えば、良性)、悪性、前転移性、転移性および/または非転移性の細胞を含むことができる。悪性腫瘍または悪性病変を有する患者は、がんを有する。本開示は、その教示が特に関連し得るある特定のがんを具体的に表し、これらのがんの1つまたは複数は、固形腫瘍によって、または血液がん(例えば、本明細書に記載されているタイプ)としても知られることがある血液学的腫瘍により特徴付けられ得る。すべてのがんが、固形腫瘍として現れるわけではないが、本発明者らは、いかなる悪性細胞も指すよう、用語「がん細胞」および「腫瘍細胞」を互換的に使用することがある。
【0069】
用語「併用療法」とは、対象が、単一疾患(例えば、がん)を処置するために、2つまたはそれより多くの治療レジメン(例えば、2種またはそれより多種の治療剤)にさらされるそのような状況を指す。2種またはそれより多種のレジメン/薬剤は、同時にまたは逐次に投与されてもよい。第1の薬剤の用量および第2の薬剤の用量は、同時に投与される場合、ほぼ同じ時間に投与され、こうして、両方の薬剤が、同時に患者に対して効果を発揮するか、または第1の薬剤が、期間の重なる間に、第2の薬剤よりも速く、または遅く作用する。第1の薬剤および第2の薬剤の用量が、逐次に投与される場合、それらは、時間内で分けられ、その結果、それらは、患者に同時に効果を発揮することがあるか、または発揮しないことがある。例えば、第1および第2の薬剤は、同じ時間または同日内に投与されてもよく、この場合、第1の薬剤は、第2の薬剤が投与される際に、依然として活性である可能性が高い。代替的に、第1の薬剤と第2の薬剤の投与の間に、かなり一層長い期間が経過することがあり、その結果、第1の薬剤は、第2の薬剤が投与される際にもはや活性でない(例えば、不応性がんを処置する際に行うことができる通り、第1のレジメンの全用量は、投与の同一経路または異なる経路によって、第2のレジメンの任意の用量の投与前に投与される)。明確にするため、併用療法は、2種の薬剤が、単一組成物で一緒に、または同時に投与されることを必要とするものではないが、一部の実施形態では、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩、および本明細書に記載されている第2の薬剤を含めた、2種またはそれより多種の薬剤が、同一期間内に投与されてもよい(例えば、同じ時間、日時、週数または月数)。
【0070】
用語「カットオフ」および「カットオフ値」は、集団の2つのサブセット間の分割線を定義するアッセイにおいて測定される値を意味する(例えば、可能性として、応答者および非応答者(例えば、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩への応答者および非応答者))。一部の例では、カットオフ値に等しいまたはそれより高い値は、集団のサブセットの1つを規定し、カットオフ値より小さな値は、集団の他のサブセットを規定する。他の例では、カットオフ値に等しいまたはそれより低い値は、集団のサブセットを規定し、カットオフ値より大きな値は、他を規定する。さらに以下に記述されている通り、カットオフまたはカットオフ値は、閾値を規定することができる。
【0071】
本明細書で使用する場合、「診断情報」は、患者が疾患を有するかどうかを決定する際、および/または疾患を、遺伝子型分類もしくは表現型分類、または疾患の予後またはその処置(一般的な処置または本明細書に記載されている任意の特定の処置のいずれか)に対して応答する可能性に関して重要性を有する任意の分類に分類する(階層化する)際に有用となる情報のことである。同様に、「診断」とは、以下に限定されないが、患者が疾患を有するまたは発症する可能性があるかどうか;その疾患がある特定の状態もしくは段階を有する、あるいはそれらに到達する可能性があるまたは特定の特徴(例えば、治療剤に対する抵抗性)を示す可能性があるどうか;腫瘍の性質または分類に関連する情報;予後に関連する情報(これは、抵抗性に関連することもある);および/または適切な処置を選択する際に有用な情報(例えば、このような阻害剤または他の処置に応答する可能性のあるがんを有すると特定された患者のために、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩を選択する)を含めた、任意のタイプの診断情報を得ることまたは提供することを指す。本明細書に記載されている方法により分類(階層化)されて、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩による処置について選択された患者は、処置に十分に応答する可能性があり、このことは、このような患者が、同じタイプのがんを有する患者であって、そのように特定されておらず、かつ同じ階層にない患者よりも首尾よく処置される可能性が高いことを意味する。利用可能な処理は、治療剤、および手術、放射線照射などの他の処置モダリティを含み、適切な処置の選択は、特定の治療剤を差し控える選択、投与レジメンの選択、および併用療法を使用する選択を包含する。診断情報は、患者を階層化するために使用することができ、したがって、例えばバイオマーカー状態に応じて、所与の患者を特定および分類するのに有用である。診断情報の取得は、本明細書に記載されている患者階層法のいずれかにおけるステップを構成することができる。
【0072】
当業者は、用語「剤形」は、患者に投与するための、活性剤(例えば、治療剤または診断剤)の物理的に個別の単位を指すために使用することができることを認識する。通常、このような単位はそれぞれ、所定量の活性剤を含有する。一部の実施形態では、このような量は、関連集団に投与すると(すなわち、治療的投与レジメンを用いて)、所望のまたは有益な転帰と相関するよう決定された、投与レジメンに従って投与するのに適切な、単位投与量(または、その全体の画分)である。当業者は、特定の患者に投与される治療組成物または薬剤の総量は、1名または複数の主治医により決定され、多回剤形の投与を含んでもよいことを認識している。
【0073】
当業者は、用語「投与レジメン」は、同じ期間または同じではない期間によって間隔が設けられている、患者に個々に投与される、一組の単位用量(通常、1つ超)を指すために使用することができることを理解する。所与の治療剤は、通常、推奨投与レジメンを有しており、このレジメンは、1つまたは複数の用量を含んでもよく、それらはそれぞれ、同じ単位用量の量または異なる量を含有してもよい。一部の実施形態では、投与レジメンは、第1の投与量において第1の用量と、その後の第1の投与量と異なる第2の用量の1つまたは複数の追加の用量を含む。一部の実施形態では、投与レジメンは、関連集団全体に投与されると、所望のまたは有益な転帰と相互関連する(すなわち、レジメンは、治療的投与レジメンである)。
【0074】
本明細書で使用する場合、式(I)の化合物または本明細書に記載される他のCDK7阻害剤などの薬剤の「有効量」(例えば、本明細書に記載されている化学的化合物)とは、そのために投与される所望の効果を生じる、または生じることが予期される量を指す。有効量は、以下にさらに議論され、当分野において認識される、所望の生物学的エンドポイント、投与される化合物の薬物動態、処置される状態、投与形式、および患者の特徴などの因子に応じて様々となる。この用語は、治療的方法および予防的方法に適用することができる。例えば、治療有効量は、疾患の兆候もしくは症状のうちの1つまたは複数の出現率および/あるいは重症度を低減するものである。例えば、がんの処置において、有効量は、腫瘍負荷を軽減する、腫瘍成長を阻害する、転移を阻害するまたは患者生存を延長することができる。当業者は、この用語は、実際には、任意の特定の個体において実現される処置の成功を必要とするものではないことを理解する。むしろ、治療有効量は、このような処置を必要とする患者に投与されると、かなり多数の患者に特定の所望の薬理学的応答を実現する量である。一部の実施形態では、治療有効量を言う場合、1つまたは複数の特定の組織(例えば、疾患により罹患している組織)または流体(例えば、血液、唾液、血清、汗、涙液、尿など)において、投与される量または測定される量のことが言及され得る。有効量は、(例えば、投与レジメンの一部として)単回用量もしくは多回用量で製剤化および/または投与されてもよい。
【0075】
本明細書で使用する場合、「エンハンサー」とは、遺伝子の発現を調節する一助となる最大でおよそ1Mbp離れたゲノムDNAの領域のことである。エンハンサーは、重なることがあるが、多くの場合、遺伝子コード化領域から構成されない。エンハンサーは、多くの場合、転写因子により結合されており、特異的なヒストンマークによって表される。
【0076】
「mRNA」は、遺伝子のコード配列のうち1つまたは複数を含む、DNAの転写によって合成された一本鎖RNA産物である。mRNAは、前駆体(プレmRNA)の形態であっても、またはイントロンを欠くmRNAの成熟形態へとさらにプロセシングされてもよい。
【0077】
用語「患者」とは、例えば、実験目的、診断目的、予防目的および/または治療目的で、本明細書に記載されている診断方法が施されるもしくは施されることがある生物、あるいは本明細書に記載されている化合物もしくはそれらの薬学的に許容される塩が投与される、または投与されることがある任意の生物を指す。典型的な患者は、動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類およびヒトなどの哺乳動物;イヌおよびネコなどの家畜動物;および家禽、または農業的価値もしくは商業的価値のある任意の動物)を含む。患者は、本明細書に記載されている疾患に罹患している可能性があるか、または疾患に罹患し易い(すなわち、発症する平均リスクよりも高いリスクを有する)恐れがあり、その1つもしくは複数の兆候または症状を示すことがある。
【0078】
用語「薬学的に許容される」は、本明細書において開示されている組成物(例えば、医薬組成物)を製剤化するために使用される担体に適用される場合、組成物の他の成分と適合可能であり、かつ患者に有害ではない(例えば、必要量および/または投与量(例えば、単位剤形中)において非毒性である)担体を意味する。
【0079】
用語「薬学的に許容される」は、塩に適用した場合、許容できない毒性、刺激、アレルギー反応などなしに、妥当な医療的判断の範囲内で、ヒト(例えば、患者)および下等動物(以下に限定されないが、実験研究に使用されるマウスおよびラットを含む)の組織に接触して使用するのに好適であり、かつ妥当な利益/リスク比に見合うように使用され得る、化合物の塩形態を指す。多数の薬学的に許容される塩が、当分野で周知である(例えば、Berge et al., J. Pharm. Sci. 66:1-19, 1977を参照されたい)。本明細書において記載されている化合物の薬学的に許容される塩は、好適な無機酸および有機酸、ならびに無機塩基および有機塩基から誘導されるものを含む。薬学的に許容される非毒性酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸と共に形成される、またはイオン交換などの当分野において公知の他の方法を使用することにより形成されるアミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩(MALAT1e)、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタ
ンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、pトルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが含まれる。適切な塩基から誘導される塩には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN(C1~4アルキル)塩が含まれる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれる。さらに、薬学的に許容される塩には、適切な場合、非毒性のアンモニウム、四級アンモニウム、およびハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、低級アルキルスルホン酸イオンおよびアリールスルホン酸イオンなどの対イオンを使用して形成されるアミン陽イオンが含まれる。
【0080】
本明細書で使用する場合、用語「集団」とは、より規模の大きな群における、その集団において測定される値の分布に妥当な程度に反映するのに十分な、いくつかの数の項目(例えば、少なくとも30、40、50またはそれより多い)を意味する。本発明の文脈では、集団は、データ収集および分析の目的で、少なくとも1つの共通した特徴により特定される、ヒト、実験室用動物または細胞系(例えば)の離散群であり得る。例えば、「試料の集団」とは、より規模の大きな群の試料における、値(例えば、バイオマーカーの状態に関連する値)の分布に妥当な程度に反映するのに十分に大きな複数の試料を指す。集団における項目は、本明細書に記載されている生体試料であってもよい。例えば、試料の集団における各試料は、患者から取得された細胞系もしくは生体試料の細胞、または異種移植片(例えば、腫瘍形成性細胞系または患者試料をマウスに埋め込むことによって、マウス中で成長させた腫瘍)であり得る。留意される通り、集団内の個体は、共通した特徴により特定される離散群であり得、これは、同じタイプのがんに罹患している生物、またはそのようながんを呈する細胞系もしくは異種移植片から試料が取得されたかどうかに関わりなく、同じ疾患(例えば、同じタイプのがん)であり得る。
【0081】
用語「有病率カットオフ」は、指定値(例えば、本明細書に開示されるバイオマーカーに関連するSEの強度)を参照して本明細書で使用する場合、集団の2つのサブセット間を分割する線を規定する有病率ランクを意味する(例えば、「応答者」のサブセットおよび「非応答者」のサブセットであり、これらは、名称が暗示する通り、それぞれ、治療剤または薬剤に対して有益な応答を起こす可能性があるまたは起こす可能性がない患者を含む)。したがって、有病率カットオフに等しいまたはこれより大きな(例えば、百分率の値がより小さい)有病率ランクは、集団の1つのサブセットを規定する。有病率カットオフより小さな(例えば、百分率の値がより大きい)有病率ランクは、集団の他のサブセットを規定する。
【0082】
本明細書で使用する場合、指定値(例えば、指定したバイオマーカーのmRNAレベル)に対する用語「有病率ランク」は、その指定値に等しいまたはそれより大きな集団の百分率を意味する。例えば、試験細胞における指定したバイオマーカーのmRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)の量に対する35%有病率ランクは、その集団の35%が、そのレベルのバイオマーカーmRNAを有するか、または試験細胞よりも高いレベルを有することを意味する。
【0083】
「一次RNA転写物」は、DNAの転写によって合成された一本鎖リボ核酸(RNA)産物であり、これは、プロセシングされて、mRNA、tRNAおよびrRNAなどの様々な成熟RNA産物を生じる。mRNAとして指定された一次RNA転写物は、1つまたは複数の遺伝子コード領域(エクソン)を含むDNA配列から転写され、遺伝子に関連する調節領域(例えば、エンハンサーまたはスーパーエンハンサー)から転写された配列を含むことができる。このような一次RNA転写物は、翻訳に備えて修飾される。前駆体mRNA(プレmRNA)は、転写により創出されたRNAの最初の形態であり、これが修飾されて、イントロンを欠く成熟mRNAになる。
【0084】
本明細書で使用する場合、用語「予後情報」および「予測情報」は、処置の非存在下または存在下のどちらかにおいて、疾患または状態の経過の任意の様子を示すために使用され得る任意の診断情報を指すために使用される。このような情報は、以下に限定されないが、患者の平均余命、患者が所与の時間量(例えば、6か月、1年、5年など)の間に生存する可能性、患者が疾患から治癒する可能性、患者の疾患が特定の治療法に応答する可能性(この場合、応答は、様々な方法のいずれかにおいて定義され得る)を含むことができる。診断情報は、予後的または予測的であり得る。
【0085】
本明細書で使用する場合、用語「ランク順位付け」とは、最高値から最低値まで、または最低値から最高値までの値の順序を意味する。
【0086】
本明細書で使用する場合、用語「RB-E2F経路」および「RB-E2Fファミリー」とは、一連の遺伝子、およびそれらによりコードされるタンパク質であって、文脈が明らかにするように、その発現または活性がRB遺伝子ファミリーの活性を調節し、ひいては、細胞周期に進入して、これを介して進行するために必要な転写因子のE2Fファミリーの活性を調節する、上記の遺伝子およびタンパク質を指す。以下の表は、RB-E2Fファミリーにおける遺伝子の一覧表示、コードされるタンパク質の現在理解されている機能の表示、およびがんにおけるこれらのバイオマーカーの状態を含む。本発明者らは、遺伝子の属性(例えば、そのコピー数または発現のレベル)または遺伝子がコードするタンパク質(例えば、その発現または活性のレベル)が、健常な対象よりも、ある特定のがんを有する一部の患者において高いことを示すために、省略した「活性化されている、または過剰発現されている」を使用する。このような活性化されたまたは過剰発現されたRB-E2Fファミリーメンバーに関する所定の閾値は、比較分析によって求めることができ、がん患者において見出された場合または超えた場合、本明細書に記載されている処置に対する候補として、患者を特定するレベル(例えば、mRNAレベル(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)、タンパク質レベル、遺伝子コピー数、遺伝子に関連するエンハンサーの強度)である。本発明者らは、遺伝子の属性(例えば、そのコピー数または発現のレベル)または遺伝子がコードするタンパク質(例えば、その発現または活性のレベル)が、健常な対象よりも、ある特定のがんを有する一部の患者において低いことを示すために、省略した「不活性化されているまたは過少発現されている」を使用する。このような不活性化されたまたは過少発現されたRB-E2Fファミリーメンバーに関する所定の閾値は、比較分析によって求めることができ、がん患者において得られない場合、本明細書に記載されている処置に対する候補として、その患者を特定するレベル(例えば、mRNAレベル、タンパク質レベル、遺伝子コピー数、遺伝子に関連するエンハンサーの強度)である。
【表3】
【0087】
本明細書で使用する場合、「参照」とは、標準品または対照であって、それらに対して比較が行われる、標準品または対照を指す。例えば、目的の薬剤、患者、集団、試料、配列または値は、参照となる薬剤、患者、集団、試料、配列または値と比較される。参照は、目的の項目の分析もしくは決定と実質的に同時に分析または決定され得るか、ある時点の早期時点において決定され、有形媒体に必要に応じて統合されている、過去の標準または対照を構成してもよい。当業者は、目的の項目によって直面されるものと同等の条件下で通常、決定または特徴付けられる、適切な参照の選択に十分な訓練を受けている。当業者は、十分な類似性が存在する場合に、標準品または対照として、特定の考えられる参照への信頼性および/または比較を妥当とみなすことを理解する。
【0088】
本明細書で使用する場合、処置への「応答」とは、処置に起因する、または処置に相関する患者の状態における何らかの有益な変化のことである。変化は、状態の安定化(例えば、処置の非存在下で起こると思われる悪化の阻害)、状態の1つもしくは複数の兆候または症状の改善、その開始の遅延および/またはその頻度の低下、状態の治癒の見込みの改善、一層長い生存期間などであり得る。応答は、患者の応答または腫瘍の応答であり得る。
【0089】
本明細書で使用する場合、用語「強度」は、エンハンサーまたはSEの一部を指すように使用される場合、この用語は、H3K27Acの数の曲線下面積、または分析されたゲノムDNAセグメントの長さに対してプロットした他のゲノムマーカーの読取り値を意味する。したがって、「強度」とは、測定するよう選択される領域を規定する塩基対の間隔に対する、所与の塩基対における印を測定することに起因するシグナルの統合のことである。
【0090】
本明細書で使用する場合、用語「スーパー-エンハンサー」(SE)とは、特定の細胞または細胞タイプにおける、他のエンハンサーに対する、ヒストンマークおよび/または転写タンパク質の不均衡な共有を含有する、エンハンサーのサブセットを指す。SEによって調節される遺伝子は、細胞の機能に対して重要性が高いと予期される。SEは、強度に基づいた細胞中のエンハンサーのすべてをランク順序付けることによって、およびROSEなどの入手可能なソフトウェア(bitbucket.org/young_computation/rose)を使用して、細胞におけるメジアンエンハンサーよりも強度がかなり大きなエンハンサーのサブセットを決定することによって通常、決定される(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第9,181,580号を参照されたい)。
【0091】
用語「閾値」および「閾値レベル」は、集団(例えば、応答者および非応答者)の2つのサブセット間を分割する線を規定するレベルを意味する。閾値または閾値レベルは、有病率カットオフまたはカットオフ値を規定することができる。
【0092】
本明細書で使用する場合、用語「処置(treatment)」、「処置する(treat)」および「処置すること(treating)」とは、本明細書に記載されている「病的状態」(例えば、がんなどの疾患)を反転させ、軽減し、その始まりを遅延させ、そして/またはその進行を阻害することを指す。一部の実施形態では、「処置」、「処置する」および「処置すること」は、疾患の兆候または症状が発症した、または観察されることを必要とする。他の実施形態では、処置は、疾患もしくは状態の兆候または症状の非存在下で行われることがある(例えば、症状歴に照らし合わせて、および/または遺伝的もしくは他の感受性因子に照らし合わせて)。処置はまた、症状が解決した後に、例えば再発を遅延または阻害させるために継続されてもよい。
【0093】
本発明は、がんを有する患者を診断および処置するための組成物および方法に関するので、用語「活性剤」、「抗がん剤」、「医薬剤」および「治療剤」は、互換的に使用され(特に文脈が明白に示さない限り)、本明細書に記載されるCDK7阻害剤およびそれらの薬学的に許容される塩は、活性剤、抗がん剤、医薬剤または治療剤として当業者によって理解される。留意される通り、処置法および使用は、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩が投与されるか、または本明細書に記載されている1種もしくは複数の追加剤(例えば、追加の抗がん治療剤)と組み合わせて使用される、併用療法/使用を包含する。習慣に沿って、2種の薬剤を必要とするいずれかの実施形態では、本発明者らは、1つを「第1の」薬剤と称して、もう一方を「第2の」薬剤と称して、第1の薬剤および第2の薬剤が互いに区別されることを強調することができる。
【0094】
本発明はまた、本明細書に記載されている通りのCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩と、好適な/特定された患者、処置のためにこのような患者を特定する方法(例えば、本明細書に記載されている診断的層別化法のうちいずれか1つにより)、および/またはCDK7阻害剤を単独でもしくは少なくとも1つの他の治療剤(例えば、追加の/第2の抗がん治療薬)と組み合わせて投与するための指示を記載する教材とを含むキットを特色とする。本発明のキットは、本明細書に記載されている第2の薬剤のうちいずれか1つまたは複数を含む第2の薬剤(例えば、抗がん剤)と、記載されている通りに特定された患者の集団における使用のための指示とを含むこともできる。
【0095】
表示されている通り、本明細書に開示されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩を使用する各治療的方法および任意の診断方法はまた、使用に関して表現されることがあり、その反対であることもある。例えば、本発明は、本明細書に記載されている疾患(例えば、がん)を処置するための、本明細書に記載されている化合物または組成物の使用;疾患(例えば、がん)の診断および/または処置に使用するための化合物または組成物;および本明細書に記載されている疾患(例えば、がん)を処置する医薬を調製するための化合物または組成物の使用を包含する。
【0096】
本明細書に記載されているがんの診断および/または処置に関する本発明の方法(または、このような目的のためのCDK7阻害剤の使用)は、本明細書に記載されているタイプのがんのうちのいずれか1つまたは複数を具体的に除外してもよい。例えば、本発明は、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩を投与することによりがんを処置する方法を特徴とするが、但し、がんは乳がんではいこと、但し、がんは乳がんでも白血病でもないこと、但し、がんは、乳がん、白血病または卵巣がんではないことなどを条件とし、除外物は、本明細書において列挙されている疾患のタイプのいずれかから選択され、本発明の他の態様に関連する要素の一覧表示から変数を除外する(例えば、本明細書に記載される化合物の化学置換基またはキットおよび医薬組成物の構成成分)という同じ概念を伴う。
【0097】
一態様では、本発明は、(a)患者から取得されたがん細胞を含む生体試料中のBCL2様1 RNA(例えば、BCL-XLをコードする一次RNA転写物またはmRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA))のレベルであって、所定の閾値に等しいもしくはそれより低いレベル;または(b)そのDNAの変化(例えば、変異)、エピジェネティックな変化、RNA(例えば、mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA))の発現のレベルの変化、もしくはコードされるタンパク質の発現もしくは活性のレベルの変化を有するRB-E2F経路における少なくとも1つの遺伝子を有することに基づいて特定された患者におけるがんの処置における、本明細書に記載されているCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩の使用を特色とする。そのような患者は、第2の薬剤としての白金をベースとする治療剤(例えば、カルボプラチンまたはオキサリプラチン)により処置することができる;そのがんが、白金をベースとする治療剤(例えば、カルボプラチンまたはオキサリプラチン)に対する抵抗性を発生させた患者であり得る;または単独で、もしくはアロマターゼ阻害剤、選択的エストロゲン受容体モジュレーターもしくは選択的エストロゲン受容体ディグレーダーのうち1つもしくは複数と組み合わせて使用されるCDK4/6阻害剤による処置を受けている患者であり得る。患者のがんは、CDK4/6阻害剤に対して抵抗性になっていてよい、またはそうなるリスクがあってよい。本明細書に記載されている使用の文脈において(例えば、患者が、所定の閾値レベルに等しいまたはそれより低いBLC2様1 mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)のレベルを有することに基づいて選択された場合の)、がんは、乳がん(例えば、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、卵巣がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がん)または血液がん(例えば、急性骨髄性白血病(AML))であり得、それらのいずれも、新たに診断されたものであっても(処置ナイーブ)、または再発であっても、または以前の処置に対して不応性であってもよい。
【0098】
患者は、ベネトクラクスなどのBcl-2阻害剤による処置を受けていた、現在その処置を受けている、またはその処置を受けることになる(例えば、その処置を処方された)患者であり得る。この使用の文脈において、患者は、a)所定の閾値に等しいもしくはそれより高い、がんにおけるCCNE1遺伝子コピー数、mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)もしくはタンパク質のレベル;b)所定の閾値に等しいもしくはそれより低い、がんにおけるRB1遺伝子コピー数、mRNAもしくはタンパク質のレベル、もしくは発現された野生型RB1遺伝子の非存在;c)所定の閾値レベルに等しいもしくはそれより高いCDK6 mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)のレベル;d)所定の閾値レベルに等しいもしくはそれより高いCCND2 mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)のレベル;またはe)所定の閾値レベルに等しいもしくはそれより低いCDKN2A mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)のレベルのうち1つまたは複数を有することに基づいて選択することができる。具体的な実施形態では、患者は、所定の閾値に等しいもしくはそれより高い、がんにおけるCCNE1遺伝子コピー数、mRNAもしくはタンパク質のレベル;所定の閾値に等しいもしくはそれより低い、がんにおけるRB1遺伝子コピー数、mRNAもしくはタンパク質のレベル;または発現された野生型RB1遺伝子の非存在を有することに基づいて選択される。この使用の文脈において、患者は、卵巣がん、乳がん、TNBCまたはホルモン受容体陽性乳がんに罹患している可能性があり、患者は、タモキシフェンなどの選択的エストロゲン受容体モジュレーター、フルベストラントなどの選択的エストロゲン受容体ディグレーダーおよび/またはオラパリブもしくはニラパリブなどのPARP阻害剤による処置を受けていた、現在その処置を受けている、またはその処置を受けることになる患者であり得る。
【0099】
別の態様では、本発明は、がんを有する患者の処置における有効量の第2の薬剤との併用療法による、本明細書に記載されている通りに特定された患者の処置における、本明細書に記載されているCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩の使用であって、(a)がんが、TNBC、エストロゲン受容体陽性(ER)乳がん、膵がんまたは頭部もしくは頸部の扁平上皮がんであり;第2の薬剤が、CDK4/6阻害剤である;(b)がんが、乳がんまたは卵巣がんであり;第2の薬剤が、PARP阻害剤である;(c)がんが、AMLであり;第2の薬剤が、FLT3阻害剤である;(d)がんが、卵巣がんであり;第2の薬剤が、白金をベースとする抗がん剤である;(e)がんが、TNBC、AML、ユーイング肉腫または骨肉腫であり;第2の薬剤が、BET阻害剤である;(f)がんが、TNBC、AML、卵巣がんまたは非小細胞肺がんであり;第2の薬剤が、Bcl-2阻害剤である、使用を特色とする。特定の実施形態では、がんは、AML(例えば、単球性サブタイプの、例えば、AMLのM4またはM5サブタイプの)であり、第2の薬剤は、ベネトクラクスなどのBcl-2阻害剤である;がんは、卵巣上皮がん、卵管がん、原発性腹膜がん、トリプルネガティブ乳がんまたはHer2/ER/PR乳がんであり、第2の薬剤は、オラパリブまたはニラパリブなどのPARP阻害剤である;がんは、卵巣がんであり、第2の薬剤は、カルボプラチンまたはオキサリプラチンなどの白金をベースとする抗がん剤である。
【0100】
一実施形態では、本発明は、がんを処置する方法であって、有効量の本明細書に記載されているCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩を、所定の閾値に等しいまたはそれより低い、がん(例えば、処置されるべき患者から取得された生体試料)におけるB細胞リンパ腫-エクストララージ(extra large)(BCL-XL)mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)のレベルを有すると特定された患者(例えば、ヒト患者)(すなわち、「特定された患者」)に投与するステップを含む方法を特色とする。方法は、患者由来のがん細胞の試料中に存在するBCL-XL mRNAのレベルを決定するステップをさらに含むことができ、これは一般に、本明細書に記載されている処置方法に当てはまる;分析されているバイオマーカーまたは問題になっているがんの型に関係なく、処置方法は、バイオマーカーを分析する明確なステップを用いずに、またはバイオマーカーが分析される(例えば、患者から生体試料を取得することにより)明確なステップを用いて、特定された患者において実行することができる。ヒト患者は、決定に対して応答性があるCDK7阻害剤に対して感受性があるがんを有すると診断されていてよく、BCL-XLバイオマーカーの状態は、本明細書に記載されている追加的な仕方のいずれかで決定することができる。所定の閾値は、カットオフ値または蔓延(prevalence)カットオフである。CDK7阻害剤に対して感受性があるがんを有すると決定された患者はその上、Bcl-2阻害剤(例えば、ベネトクラクス(Venclexta(登録商標)として入手可能))を投与されてよく、本明細書に記載されている通りに選択された患者(BCL-XLの状態の分析により)は、乳がん、卵巣がん、肺がんまたは血液学的がんに罹患している可能性がある。より具体的には、患者は、TNBC、卵巣がん、非小細胞肺がんまたはAMLに罹患している可能性がある。
【0101】
一実施形態では、本発明は、がん(例えば、TNBCまたはHR+乳がんを含む、本明細書に記載されている通りの乳がん)を処置する方法であって、有効量の本明細書に記載されているCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩を、c-mycの変異、コピー数変化(CNA)、染色体転座もしくは転写上方制御(例えば、所定の閾値レベルに等しいまたはそれより高いRNA(例えば、mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA))レベルによって証明される通り)、所定の閾値よりも高いc-myc SEもしくはSE強度、またはMYCの発現もしくは活性の増大によって特定された患者(例えば、ヒト患者)に投与するステップを含む方法を特色とする(Kalkat et al., Genes 8(6):151, 2017を参照)。c-mycは、62,000および66,000の見かけ分子量を有する少なくとも2つのリンタンパク質をコードし(Ramsay et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 81(24):7742-7746, 1984を参照されたい)、chr8:128628088-128778308(ヒトゲノムビルドhg19/GRCh37のジーンコードv19アノテーション)におけるMYC遺伝子に関連するSE遺伝子座が存在するH3K27Ac ChIP-seq(ChIP配列決定)法により決定された。
【0102】
本方法において、CDK18 SE(例えば、所定の閾値よりも高いCDK18 SE強度を特定すること)またはFGFR1 SE(例えば、所定の閾値よりも高いFGFR1 SE強度を特定すること)を評価することができる。一部の実施形態では、方法は、患者由来のがん細胞を含む生体試料におけるSEを分析するステップ(例えば、その存在もしくは非存在および/またはその強度を決定することにより)をさらに含む。ヒト患者は、決定に対して応答性があるCDK7阻害剤に対して感受性があるがんを有すると診断されていてよい。本明細書に記載されている通りに選択された患者(MYC、CDK18またはFGFR1の状態の分析により)は、乳がん(例えば、TNBC)に罹患している可能性がある。患者を特定する診断ステップは、MYC SEまたはCDK18 SEの存在(または非存在)または強度に基づき得る。これらの方法および他の方法において、患者は、卵巣がんに罹患している可能性があり、診断は、MYC、CDK18またはFGFR1 SEの存在、非存在または強度に基づき得る。
【0103】
一実施形態では、本発明は、がんを有するヒト患者を診断および処置する方法であって、(a)患者由来のがん細胞の試料を分析することによって以前に決定された、CDK7、CDK9、CDK18およびCDK19から選択されるバイオマーカーの状態(例えば、CDK7、CDK9、CDK18またはCDK19 mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)のレベル)に基づき、患者が、CDK7阻害剤に対して感受性があるがんを有するかどうかを診断するステップと、(b)有効量の本明細書に記載されているCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩を、がんを有すると特定された患者に投与するステップであって、(i)CDK18もしくはCDK19バイオマーカーの状態(例えば、CDK18またはCDK19 mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)レベル)が、所定の閾値に等しいもしくはそれより高いか、または(ii)CDK7もしくはCDK9バイオマーカーの状態(例えば、CDK7またはCDK9 mRNAレベル(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA))が、所定の閾値に等しいまたはそれより低いのいずれかである(すなわち、「選択された対象」)ステップとを含む方法を特色とする。これらの方法は、対象のがん細胞におけるCDK7、CDK9、CDK18およびCDK19から選択されるCDKバイオマーカーの状態を決定するステップ;患者から生体試料を取得するステップを含むことができる能動的(active)分析ステップによって決定するステップをさらに含むことができる。患者は、決定に対して応答性があるCDK7阻害剤に対して感受性があるがんを有すると診断されていてよい。他の実施形態と同様に、CDK7阻害剤は、本明細書に記載されているCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩であり得る。バイオマーカーが、CDK7、CDK9、CDK18またはCDK19である場合、患者は、リンパ腫を有し得、診断/特定ステップは、より具体的には、CDK7(例えば、CDK7 mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)のレベル)の分析に基づき得る;患者は、TNBCを有し得、診断/特定ステップは、より具体的には、CDK9(例えば、CDK9 mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)のレベル)に基づく;患者は、TNBCを有し得、診断ステップは、より具体的には、CDK18(例えば、CDK18 mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)のレベル)に基づく;患者は、TNBCまたはSCLCを有し得、診断ステップは、より具体的には、CDK19(例えば、CDK19 mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)のレベル)に基づく。
【0104】
併用療法に関すると、本明細書に記載されている通りに特定された患者は、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩を第2の薬剤と組み合わせて処置することができ、上記の第2の薬剤は、以下に限定されないが、APG-1252、APG-2575、BP1002(プレキシゲベルセン)、オブリメルセン(G3139)として知られているアンチセンスオリゴヌクレオチド、S55746/BCL201またはベネトクラックス(例えば、Venclexta(登録商標)として上市されているベネトクラックス錠剤)などのBcl-2阻害剤;アルボシジブ/DSP-2033/フラボピリドール、AT7519、AZD5576、BAY1251152、BAY1143572、CYC065、ナノフラボピリドール、NVP2、セリシクリブ(CYC202)、TG02、TP-1287、VS2-370またはボルシクリブ(以前のP1446A-05)などのCDK9阻害剤;フルベストラント(例えば、Faslodex(登録商標)および他のものとして上市されている)などのホルモン受容体(例えば、エストロゲン受容体)分解剤;CDX-301、CG’806、CT053PTSA、クレノラニブ(例えば、ベシル酸クレノラニブ)、ENMD-2076、FF-10101-01、FLYSYN、ギルテリチニブ(ASP2215)、HM43239、レスタウチニブ、ポナチニブ(例えば、Iclusig(登録商標)として上市されており、以前のAP24534)、NMS-088、ソラフェニブ(例えば、Nexavar(登録商標)として上市されている)、スニチニブ、パクリチニブ、ペキシダルチニブ/PLX3397、クイザルチニブ、ミドスタウリン(例えば、Rydapt(登録商標)として上市されている)、SEL24、SKI-G-801またはSKLB1028などのFlt3(FMS様チロシンキナーゼ3)阻害剤;オラパリブ(例えば、Lynparza(登録商標)として上市されている)、ルカパリブ(例えば、Rubraca(登録商標)として上市されている)、タラゾパリブ(例えば、Talzenna(登録商標)として上市されている)、ベリパリブ(ABT-888)またはニラパリブ(例えば、Zejula(登録商標)として上市されている)などのPARP阻害剤;ABBV-075、BAY-299、BAY-1238097、BMS-986158、CPI-0610、CPI-203、FT-1101、GS-5829、GSK-2820151、GSK-525762、I-BET151、I-BET762、INCB054329、JQ1、MS436、OTX015、PFI-1、PLX51107、RVX2135、TEN-010、ZEN-3694、またはその全体が参照により本明細書に組み込まれている米国出願第12/810,564号(現在の米国特許第8,476,260号)に開示されている化合物などのBET阻害剤;シスプラチン、オキサリプラチン(例えば、Eloxatin(登録商標)として上市されている)、ネダプラチン、カルボプラチン(例えば、Paraplatin(登録商標)として上市されている)、フェナントリプラチン、ピコプラチン、サトラプラチン(JM216)または四硝酸トリプラチンなどの白金をベースとする治療剤;BPI-1178、G1T38、パルボシクリブ(例えば、Ibrance(登録商標)として上市されている)、リボシクリブ(例えば、Kisqali(登録商標)として上市されている)、ON123300、トリラシクリブまたはアベマシクリブ(例えば、Verzenio(登録商標)として上市されている)などのCDK4/6阻害剤;トラメチニブ(例えば、Mekinist(登録商標)として上市されている)などのMEK阻害剤;または必要に応じてクラスI(例えば、クラスIA)の、および/または特定のPI3Kアイソフォームを必要に応じて指向するホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3キナーゼ)阻害剤であり得る。PI3K阻害剤は、イデラリシブ(例えば、Zydelig(登録商標)として上市されている)、コパンリシブ(例えば、Aliqopa(登録商標)として上市されている)、デュベリシブ(例えば、Copiktra(登録商標)として上市されている)またはアルペリシブ(例えば、Piqray(登録商標)として上市されている)であり得る。他の実施形態では、追加剤/第2の薬剤は、カペシタビン(例えば、Xeloda(登録商標)として上市されている)であり得る。
【0105】
APG-1252は、SCLCまたは別の固形腫瘍を有する患者に、28日間のサイクルで、3週間、毎週2回、静脈内に10~400mgの間(例えば、160mg)を投与すると、早期臨床試験において有望であることを示したデュアルBcl-2/Bcl-xL阻害剤である(Lakhani et al., J. Clin. Oncol. 36:15_suppl, 2594およびClinicalTrials.gov識別番号NCT03080311を参照されたい)。APG-2575は、イブルチニブと組み合わせたFLおよびDLBCLの前臨床研究において有望であることを示したBcl-2選択的阻害剤であり(Fang et al., AACR Annual Meeting 2019, Cancer Res. 79(13 Suppl):Abstract No. 2058を参照されたい)、血液がんを有する患者に対して単剤処置として臨床試験が開始された;用量漸増試験では、患者は、1サイクルとして4週間連続して、経口により1日1回、20mgの投与を受けている。MTDを特定するため、50、100、200、400、600および800mgの漸増が計画され(ClinicalTrials.gov識別番号NCT03537482を参照されたい)。BP1002は、他のアンチセンスアナログほど有害作用を有さないことがあるBcl-2 mRNAを標的とする非電荷P-エトキシアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドであり、4日間、BP1002と共にインキュベートしたヒトリンパ腫細胞系、およびSCIDマウスに埋め込まれたCJ細胞(形質変換FL細胞)の成長を阻害するのに有望であることを示した(Ashizawa et al., AACR Annual Meeting 2017, Cancer Res. 77(13 Suppl):Abstract No. 5091を参照されたい)。BP1002もまた、AMLを有する患者にシタラビン(LDAC)と組み合わせて投与されている(ClinicalTrials.gov識別番号 NCT04072458を参照されたい)。S55746/BCL201は、経口利用可能な選択的Bcl-2阻害剤であり、マウスでは、2つの血液がん異種移植片モデルにおいて抗腫瘍効力があることを実証した(Casara et al., Oncotarget 9(28):20075-88, 2018)。CLLまたはB細胞NHL(FL、MCL、DLBCL、SLL、MZLおよびMMを含む)を有する患者への、最大で1500mgの用量で、50または100mgのS55746を含有するフィルムコート錠剤を投与する第I相用量漸増研究を設計した(ClinicalTrials.gov識別番号NCT02920697を参照されたい)。ベネトクラックス錠剤は、CLLまたはSLLを有する成人患者を処置するため、および少なくとも75歳であるか、または強力な誘導化学療法の使用不可能にする共存症を有する患者において、新たに診断されたAMLを処置するため、アザシチジンまたはデシタビンまたは低用量のシタラビンと組み合わせて承認されている。CLL/SLLの投与は、5週間の強化スケジュールの後に行うことができ、AMLの投与は、4日間の強化スケジュールの後に行うことができ、どちらも、他の適切な情報と共に製品インサートに記載されている(それらの全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第8,546,399号;同第9,174,982号;および同第9,539,251号も参照されたい)。アルボシジブは、AMLを有する患者において、シタラビン/ミトキサントロンまたはシタラビン/ダウノルビシンと組み合わせて研究が行われ、投与の詳細は、識別番号NCT03563560を有するClinicalTrials.govにおいて入手可能である(Yeh et al., Oncotarget 6(5):2667-2679, 2015, Morales et al., Cell Cycle 15(4):519-527, 2016およびZeidner et al., Haematologica 100(9):1172-1179, 2015も参照されたい)。AT7519は、不応性固形腫瘍を有する適格患者への用量漸増形式で投与されている。臨床活性の証拠がいくらか存在するが、QTc長期化が見られたので、Mahadevanらにより記載されている用量スケジュールでのさらなる開発は行われなかった(J. Clin. Oncol. ASCO Abstract No. 3533;MMにおいてAT7519の前臨床活性を説明する、Santo et al., Oncogene 29:2325-2336, 2010も参照されたい)。AZD5576は、ナノモル濃度レベルで、乳がんおよび肺がん細胞系におけるアポトーシスを誘導し(Li et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. 27(15):3231-3237, 2017を参照されたい)、NHLの処置の場合、単独で、およびアカラブルチニブと組み合わせて試験されている(AACR 2017 Abstract No. 4295を参照されたい)。BAY1251152は、進行性血液がんを有する患者において、MTDを特徴付ける第I相臨床試験の対象であった。この薬剤は21日間のサイクルで毎週、注入された(ClinicalTrials.gov識別番号NCT02745743を参照されたい;Luecking et al., AACR 2017 Abstract No. 984もやはり参照されたい)。ボルシクリブは、MCL-1を抑制し、BCL2阻害剤に対する高いリスクのDLBCLを感作する、臨床段階にある経口CDK9阻害剤である。Deyら(Scientific Reports 7:18007, 2017)は、ボルシクリブおよびベネトクラックスを組み合わせると、高いリスクにあるDLBCL患者の小集団に有望であることを示唆している(ClinicalTrials.gov識別番号NCT03547115もまた参照されたい)。フルベストラントは、進行性ホルモン受容体(HR)-ポジティブ乳がん、HER2-ネガティブ乳がんを有する閉経後女性、他の抗エストロゲン治療法による処置、およびパルボシクリブ(Ibrance(登録商標))と組み合わせた処置の後にその疾患が進行したHRポジティブ転移性乳がんを有する閉経後女性への投与に承認されている。フルベストラントは、1日目、15日目および29日目、およびこれ以降毎月1回、500mgまたは250mg(中度の肝障害を有する患者の場合、一層少ない用量が推奨される)で筋肉内注射することにより投与される(追加情報に関しては、製品インサートを参照されたい;それらの各々の全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6,744,122号;同第7,456,160号;同第8,329,680号;および同第8,466,139号も参照されたい)。ポナチニブは、臨床試験において、CMLまたはALL(ClinicalTrials.gov識別番号NCT0066092072、NCT012074401973、NCT02467270、NCT03709017、NCT02448095、NCT03678454およびNCT02398825を参照されたい)、ならびに胆道がんおよびNSCLCなどの固形腫瘍(NCT02265341、NCT02272998、NCT01813734、NCT02265341、NCT02272998、NCT01813734、NCT02265341、NCT02272998、NCT01813734、NCT01935336、NCT03171389およびNCT03704688;Tan et al., Onco. Targets Ther. 12:635-645, 2019による総説も参照されたい)を有する患者に投与されている。投与レジメンに関する追加情報は、製品インサートに見出すことができる。それらの各々の全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第8,114,874号;同第9,029,533号;および同第9,493,470号も参照されたい。ソラフェニブは、腎臓および肝臓がん、AML、および放射活性ヨウ素抵抗性の進行性甲状腺がんを処置するために承認されており、デスモイド型線維腫症を有する患者において、臨床試験が開始された(ClinicalTrials.gov識別番号NCT02066181を参照されたい)。投与量に関する情報は、製品インサートに見出すことができ、このインサートは、400mgの錠剤2個を1日2回、投与するよう助言している。それらの各々の全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第7,235,576号;同第7,351,834号;同第7,897,623号;同第8,124,630号;同第8,618,141号;同第8,841,330号;同第8,877,933号;および同第9,737,488号も参照されたい。ミドスタウリンは、AML、MDSまたは全身性肥満細胞症を有する患者に投与されており、慣用的な誘導治療法および地固め療法と組み合わせた場合、FLT3変異AML患者の生存を有意に延ばすことを見出されている(Stone et al., ASH 57th Annual Meeting, 2015およびGallogly et al., Ther. Adv. Hematol. 8(9):245-251, 2017を参照されたい;臨床は、製品インサート、ClinicalTrials.gov識別番号NCT03512197、およびそれらのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第7,973,031号;同第8,222,244号;および同第8,575,146号も参照されたい)。ここで提示されている、および公表されている情報を使用して、本発明の方法および使用を実践することができる。疑念がある場合、本発明は、本発明の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩およびいずれか1つまたは複数の追加剤/第2の薬剤を必要とする併用療法を包含し、これは、単一使用に現在承認されている投与量(例えば、上記の通り)でまたはそれ未満で本明細書に記載されている患者に投与され得る。
【0106】
併用療法が、本明細書に記載されるCDK7阻害剤、および:CDK4/6阻害剤を使用する場合、患者は、乳がん(例えば、TNBCまたはER+乳がん)、膵臓がん、肺がん(例えば、SCLCまたはNSCLC)または頭頸部扁平上皮細胞がんを有することができ;CDK9阻害剤を使用する場合、患者は、乳がん、およびより詳細には、Her2/ER/PR乳がんを有することができ;FLT3阻害剤(例えば、ミドスタウリン)を使用する場合、患者は、血液学的がん(例えば、AML)を有することができ;BET阻害剤を使用する場合、患者は、血液学的がん(例えば、AML)、乳がん(例えば、TNBC)、骨肉腫またはユーイング肉腫を有することができ;Bcl-2阻害剤(例えば、ベネトクラックス)を使用する場合、患者は、乳がん(例えば、TNBC)、卵巣がん、肺がん(例えば、NSCLC)または血液学的がん(例えば、AML(例えば、新たに診断されたAML)、慢性リンパ球性白血病(CLL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)(17p欠失ありまたはなし))を有することができ;またはPARP阻害剤(例えば、ニラパリブまたはオラパリブ)を有する場合、患者は、乳がん(例えば、TNBCまたはHer2/ER/PR乳がん)、卵巣がん(例えば、上皮性卵巣がん)、卵管がんまたは原発性腹膜がんを有することができる。患者が、本明細書に記載されている通りのCDK7阻害剤およびBcl-2阻害剤(例えば、ベネトクラクス)により処置される場合、患者は、アザシチジン、デシタビンおよび低用量シタラビンから選択される第3の薬剤により同様に処置することができる。
【0107】
本発明は、がんを処置するための医薬品キットであって、本明細書に記載されているCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩と、必要に応じて、(a)Bcl-2阻害剤、(b)CDK9阻害剤、(c)Flt3阻害剤、(d)PARP阻害剤、(e)BET阻害剤および(f)CDK4/6阻害剤から選択される第2の治療剤とを含み、これらのいずれも、本明細書に開示されているものから選択することができ、本明細書に記載されている通りに、または製造業者によって指示される通りに投与することができる、医薬品キットを提供する。キットは、(a)本明細書に記載されているCDK7阻害剤もしくは薬学的に許容されるその塩および/または第2の治療剤を再構成するため(必要であれば);(b)本明細書に記載されているCDK7阻害剤もしくは薬学的に許容されるその塩および/または第2の治療剤の各々を投与するため;ならびに/または(c)キットが有用となる具体的ながんもしくはがんが決定され得る診断方法のリストのための、必要に応じた指示を含むことができる。キットは、その中に含有される活性薬剤(複数可)の投与において有用な用具のいずれかの型を含むこともできる(例えば、管状材料、シリンジ、針、無菌包帯材、テープおよびその他)。
【0108】
本発明は、がんを有するヒト患者を処置する方法であって、RB-E2F経路に関与する遺伝子の少なくとも1つにおいて、(1)DNAの変化(例えば、遺伝子コピー数、変異、メチル化);(2)エピジェネティックな変化(例えば、ヒストンメチル化、ヒストンアセチル化);または(3)RNA(例えば、mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA))もしくはタンパク質の発現のレベルの変化を有すると特定された患者に、有効量の本明細書に記載されているCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩を投与するステップを含む方法を提供する。患者は、RB-E2F経路に関与する少なくとも1つの遺伝子から発現されるmRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)のレベルの変化を有すると特定された(すなわち、選択された)患者である。この態様では、患者に有効量の本明細書に記載されているCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩を投与する前に、患者は、所定の閾値に等しいもしくはそれより高い、RbE2F経路に関与する少なくとも1つの遺伝子のRNA(例えば、mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA))のレベル、または所定の閾値に等しいまたはそれより低い、RB-E2F経路に関与する少なくとも1つの遺伝子のRNA(例えば、mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA))のレベルのいずれかを有すると決定される。
【0109】
当業者には、がんにおいて活性化または過剰発現されるRB-E2F経路における遺伝子に関して、(1)増大された発現をもたらした、このような遺伝子をコードするDNAの変化(例えば、上昇された遺伝子コピー数、増大された活性を生じた変異、増大された発現を生じたメチル化の変化);(2)増大された発現をもたらした、当該遺伝子に関連するエピジェネティックな変化(例えば、増大された発現を生じたヒストンメチル化またはヒストンアセチル化パターン);または(3)mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)もしくは当該遺伝子によってコードされるタンパク質の発現のレベルの増大を有する患者を選択するであろうことが容易に明らかとなるであろう。がんにおいて不活性化または過小発現されるRB-E2F経路における遺伝子のために、(1)低下された発現もしくは活性をもたらした、当該遺伝子をコードするDNAの変化(例えば、低減された遺伝子コピー数、低下された活性または不活性を生じた変異、低下された発現を生じたメチル化の変化);(2)低下された発現をもたらした、当該遺伝子に関連するエピジェネティックな変化(例えば、低下された発現を生じた、ヒストンメチル化またはヒストンアセチル化パターン);または(3)mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)もしくは当該遺伝子によってコードされるタンパク質の発現のレベルの低下を有する患者を選択するであろう。
【0110】
バイオマーカーとしてRB-E2F経路遺伝子の使用に関する一部の態様では、本発明は、がんを有しているヒト患者を処置する方法であって、(a)所定の閾値に等しいかまたはそれより高いCCNE1 mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)またはがんのタンパク質のレベル、および/または(b)所定の閾値に等しいかまたはそれより低いRB1 mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)またはがんのタンパク質のレベルのどちらかを有すると特定された患者に、有効量のCDK7阻害剤を投与するステップを含む、方法を提供する。これらの方法の一部の実施形態では、当業者は、患者に由来するがん細胞の試料中に存在する、RB1および/またはCCNE1 mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)またはタンパク質のレベルを求めることができる。一部の実施形態では、ヒト患者は、その決定に応答するCDK7阻害剤に感受性のあるがんを有すると診断されている;ヒト患者は、卵巣がんに罹患している;および/またはヒト患者は、乳がんに罹患している。一部の実施形態では、ヒト患者は、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)またはホルモン受容体陽性(HR(例えば、HR+/HER2-)乳がんを患う。これらの実施形態のいずれかでは、CDK7阻害剤は、本明細書に記載されているCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩であり、この阻害剤またはその塩は、PARP阻害剤またはタモキシフェンもしくはフルベストラントなどのSERMもしくはSERDと必要に応じて同時投与される。これらの実施形態の一部では、がんは、パルボシクリブに対して不応性である。
【0111】
本発明は、CDK7阻害剤およびがんに対する白金をベースとする標準治療(SOC)の抗がん剤またはタキサンの組み合わせを患者に投与することによってヒト患者におけるがんを処置する方法を提供する。がんは、卵巣がんであり得、SOC抗がん剤は、白金をベースとする抗がん剤(例えば、カルボプラチン、シスプラチンまたはオキサリプラチン)および本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩であり得る。一部の実施形態では、ヒト患者は、単剤療法として、またはCDK7阻害剤以外の抗がん剤と組み合わせてのどちらか一方で投与した場合に、白金をベースとする抗がん剤に対して抵抗性がある、抵抗性があると決定される、または抵抗性になっている(いくらかの初期応答後)。本実施形態の一部の態様では、ヒト患者は、以前の処置の初期有効性がいくらかあった後に、単剤療法として、またはCDK7阻害剤以外の抗がん剤と組み合わせてのどちらか一方で投与した場合に、白金をベースとする抗がん剤に抵抗性になったと決定される。本実施形態の一部の態様では、SOC抗がん剤は、タキサン(例えば、パクリタキセル)である。
【0112】
本発明はまた、CDK4/6阻害剤による処置に抵抗性があることに基づいて選択されるヒト患者における、HR乳がんを処置する方法であって、患者に本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩を投与するステップを含む、方法も提供する。一部の実施形態では、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩を投与する前に、患者は、CDK4/6阻害剤を単独で、またはCDK7阻害剤以外の乳がんのための別のSOC剤(アロマターゼ阻害剤(例えば、レトロゾール、アナストロゾール)またはSERM(例えば、タモキシフェンまたはフルベストラントなどのSERD)と組み合わせた処置の前に、抵抗性である、抵抗性があると決定された、または抵抗性になっている(いくらかの初期応答後)。言い換えると、特定された患者は、CDK4/6阻害剤を単独で、またはCDK7阻害剤以外の、乳がんのための別のSOC剤と組み合わせて処置する前に抵抗性であることに基づいて、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩による処置について選択される。一部の実施形態では、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩は、アロマターゼ阻害剤またはフルベストラントに関する失敗の後に、アロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、エキセメスタンまたはレトロゾール)などの別のSOC剤、またはタモキシフェンまたはフルベストラントなどのSERMもしくはSERD、または第2選択処置と共投与される。一部の実施形態では、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩の投与前に、患者は、CDK4/6阻害剤を単独で、またはアロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾール、エキセメスタンまたはレトロゾール)、またはSERM、またはタモキシフェンなどのSERD、またはフルベストラントなどのCDK7阻害剤以外の、乳がんのための別のSOC剤と組み合わせた処置に抵抗性である、抵抗性があると決定された、または抵抗性になっている;本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩は、乳がん(例えば、アロマターゼ阻害剤、またはSERM、またはタモキシフェンなどのSERD、またはフルベストラントの失敗の後の第2選択処置)のためのSOC剤と共投与される。
【0113】
本発明は、がんを有するヒト患者を診断および処置する方法であって、(a)患者由来のがん細胞の試料において以前に決定された、FGFR1、CDK6、CCND2もしくはCDKNA2のレベルまたは野生型RB1遺伝子の非存在に基づき、患者が、CDK7阻害剤に対して感受性があるがんを有するかどうかを診断するステップと、(b)有効量のCDK7阻害剤を、がんを有すると特定された患者に投与するステップとを含み、(a)FGFR1、CDK6もしくはCCND2A mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)のレベルが、所定の閾値レベルに等しいもしくはそれより高いか;(b)CDKN2A mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)のレベルが、所定の閾値レベルに等しいもしくはそれより低いか;または(c)患者が、野生型RB1遺伝子の存在を欠く、方法を提供する。これらの実施形態の一部の態様では、化合物は、本明細書に記載されているCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩である。これらの実施形態の一部の態様では、がんは、卵巣がんである。
【0114】
関連する実施形態では、本発明は、(a)所定の閾値レベルに等しいもしくはそれより高い、FGFR1 mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)のレベル;(b)所定の閾値レベルに等しいもしくはそれより高い、CDK6 mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)のレベル;(c)所定の閾値レベルに等しいもしくはそれより高い、CCND2 mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)のレベル;(d)所定の閾値レベルに等しいもしくはそれより低い、CDKN2A mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)のレベル;または(e)野生型RB1遺伝子の非存在のうち1つまたは複数を有するがんに基づいて選択されたヒト患者におけるがんを処置する方法であって、選択された患者が、本明細書に記載されているCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩を投与される、方法を提供する。一部の実施形態では、がんは、卵巣がんである。
【0115】
エンハンサーまたはSEは、当分野において公知の様々な方法によって特定することができる(その各々の全体が、参照により本明細書に組み込まれている、Hinsz et al., Cell, 155:934-947, 2013; McKeown et al., Cancer Discov., 7(10):1136-53, 2017;およびPCT/US2013/066957を参照されたい)。SEの特定は、患者(例えば、生検、または本明細書に記載されている他の起源)に由来する生体試料を取得することによって実現することができる。エンハンサー測定に対する重要な測定基準は、二次元で行われる:ゲノムマーカー(例えば、H3K27Ac)が連続的に検出されるDNAの長さに沿って、およびそのDNAのスパンに沿った各塩基対におけるゲノムマーカーの編集された発生率、すなわちこれらの大きさを構成する編集された発生率。長さおよび大きさの分析の統合に由来する曲線下面積(「AUC」)の測定により、エンハンサーの強度が決まる。適切な参照に対する、BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(上方制御されるものについての表を参照のこと)のSEをコードするある特定の遺伝子の強度は、患者を診断(階層化)するために使用することができ、それにより、患者は、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩に十分に応答する可能性が高いかどうかを決定することができる。特に、本明細書に鑑みると、ゲノムマーカーが検出されるDNAの長さが、BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(上方制御されるものについての表を参照のこと)をコードするある特定の遺伝子、および参照/対照の各々に関して同じであれば、対照に対する、BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(上方制御されるものについての表を参照のこと)のSEをコードするある特定の遺伝子の大きさの比は強度と等価となり、この比をやはり使用して、患者は、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩に応答するかどうかを決定することができる。細胞における、BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(上方制御されるものについての表を参照のこと)のSEをコードするある特定の遺伝子の強度は、これらを他の試料と比較する前に正規化することができる。正規化は、すべての細胞において同様のレベルで存在する、ユビキタスSEまたはエンハンサーを含むことが知られている同じ細胞中の領域と比較することによって実現される。このようなユビキタススーパーエンハンサー領域の一例は、MALAT1スーパー-エンハンサー座位(chr11:65263724-65266724)(ゲノムビルドhg19)である。
【0116】
H3K27Ac ChIP-seq(ChIP配列決定)法により、chr1:205399084-205515396におけるCDK18遺伝子に関連するSE遺伝子座に関連するSE遺伝子座;chr6:110803523-110896277におけるCDK19遺伝子に関連するSE遺伝子座;chr19:30418503-30441450におけるCCNE1遺伝子に関連するSE遺伝子座;およびchr8:38233326-38595483におけるFGFR1遺伝子に関連するSE遺伝子座が存在することが決定された。すべての遺伝子座は、ヒトゲノムビルドhg19/GRCh37のジーンコードv19アノテーションに基づく。
【0117】
ChIP-seqを使用し、DNA関連タンパク質の結合部位を特定するため、クロマチン免疫沈降(ChIP)と大部分が平行なDNA配列決定とを組み合わせることによって、DNAとのタンパク質相互作用を分析する。ChIP-seqを使用して、目的の任意のタンパク質に対して、全結合部位を正確にマッピングすることができる。以前には、ChIP-オン-チップが、これらのタンパク質-DNAの関係を研究するために利用された最も一般的な技法であった。ChIP-seqの成功は、超音波処理強度および方法、緩衝液組成、抗体の質および細胞数を含めた、多数の因子に依存する(例えば、Furey, Nature Reviews Genetics 13:840-852, 2012); Metzker, Nature Reviews Genetics 11:31-46, 2010;および Park, Nature Reviews Genetics 10:669-680, 2009を参照されたい)。ChIP-seqを使用して、SEを特定するために使用することができる、H3K27Ac以外のゲノムマーカーは、P300、CBP、BRD2、BRD3、BRD4、メディエータ複合体の構成成分(Loven et al., Cell, 153(2):320-334, 2013)、ヒストン3リシン4モノメチル化(H3K4me1)、および他の組織特異的エンハンサー付き転写因子(Smith and Shilatifard, Nature Struct. Mol. Biol., 21(3):210-219, 2014;およびPott and Lieb, Nature Genetics, 47(1):8-12, 2015)を含む。エンハンサー強度の定量およびSEの同定は、SEスコアを使用して決定することができる(McKeown et al., Cancer Discov. 7(10):1136-1153, 2017; DOI: 10.1158/2159-8290.CD-17-0399)。
【0118】
一部の例では、H3K27Ac、または細胞系もしくは患者試料の全ゲノムの他のマーカーとなるChIP-seqデータのSEマップは既に存在している。次に、chr8:128628088-128778308(ゲノムビルドhg19)座位におけるこのようなマップ中のエンハンサーまたはSEの強度、順序ランクまたは有病率ランクが、所定の閾値レベルに等しいか、またはそれより高いかどうかを単に決定する。一部の実施形態では、chr1:205399084-205515396(ゲノムビルドhg19)座位におけるこのようなマップ中のエンハンサーまたはスーパー-エンハンサーの強度または順序ランクが、所定の閾値レベルに等しいか、またはそれより高いかどうかを単に決定する。
【0119】
BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(本明細書の表を参照のこと)およびMALAT1をコードするある特定の遺伝子の特定の染色体位置は、様々なゲノムビルドおよび/または様々な細胞タイプに関して異なり得ることを理解すべきである。同じことが、BCL2様1、CDK7、CDK9、CDKN2AおよびRB(RB1としても公知、またはがん(本明細書の表を参照のこと)において過少発現される別のE2F経路のメンバーにも当てはまる。しかし、当業者は、特に、本教示に鑑みると、ゲノムビルドhg19における遺伝子座に対応する、このような他のゲノムビルド特異的配列に配置することによって、このような異なる位置を決定することができる。
【0120】
本方法の文脈において、SEを特定するために使用することができる他の方法は、クロマチン免疫沈降(Delmore et al., Cell, 146(6):904-917, 2011)、チップアレイ(ChIP-chip)、およびクロマチン免疫沈降と、その後の同じ免疫沈降したゲノムマーカーおよびchr8:128628088-128778308(ゲノムビルドhg19)MYC座位またはchr1:205399084-205515396(ゲノムビルドhg19)CDK18座位(例えば)にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド配列を使用するqPCR(ChIP-qPCR)を含む。ChIP-チップの場合、シグナルは、通常、他のアレイをベースとする技術と同様に、プローブとインプットアッセイ試料のハイブリダイゼーションに由来する蛍光強度により検出される。ChIP-qPCRの場合、PCR反応において生成する二本鎖DNAをインターカレートした後に蛍光になる色素を使用して、鋳型の増幅を測定する。
【0121】
一部の実施形態では、細胞が、必要な閾値レベルに等しいまたはそれより高い強度の、BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(本明細書の表を参照されたい)をコードするある特定の遺伝子のSEを有するかどうかの決定は、試験細胞中のBRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(本明細書の表を参照されたい)をコードするある特定の遺伝子のエンハンサーの強度を、細胞試料の集団における対応するBRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(本明細書の表を参照されたい)をコードするある特定の遺伝子の強度を比較することによって達成され、この場合、細胞試料はそれぞれ、処置される同じ疾患を反映する様々な起源(例えば、異なる患者、異なる細胞系、異なる異種移植片)から得られる。一部の実施形態では、閾値レベルを決定するため、患者に由来する原発腫瘍細胞の試料しか使用されない。これらの実施形態の一部の態様では、集団における試料の少なくとも一部は、(a)そのような特定の化合物に応答する集団における、試料のM BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(本明細書の表を参照されたい)をコードするある特定の遺伝子のエンハンサーの最低強度(「最低応答者」);および、必要に応じて、(b)その特定の化合物に応答しない集団における、試料のBRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(本明細書の表を参照されたい)をコードするある特定の遺伝子のエンハンサーの最高強度(「最高非応答者」)を確立するため、特定のCDK7阻害剤(例えば、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩)への応答が試験されている。これらの実施形態では、試験細胞がそのような特定の化合物に応答したと考えられる、BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(本明細書の表を参照されたい)をコードするある特定の遺伝子のエンハンサーの強度のカットオフは、i)集団中の最低応答者において、5%に等しい、またはこれより最大で5%高い、BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(本明細書の表を参照されたい)をコードするある特定の遺伝子のエンハンサーの強度;またはii)集団の最高非応答者において、5%に等しい、またはこれより最大で5%高い、BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(本明細書の表を参照されたい)をコードするある特定の遺伝子のエンハンサーの強度;またはiii)集団における、最低応答者と最高非応答者との間の、BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(本明細書の表を参照されたい)をコードするある特定の遺伝子のエンハンサーの強度の値に設定される。
【0122】
上記の実施形態では、集団における試料のすべてが、必ずしも、特定のCDK7阻害剤(例えば、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩)に応答するかどうかを試験する必要はないが、試料はすべて、BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(本明細書の表を参照されたい)をコードするある特定の遺伝子のエンハンサーの強度について測定される。一部の実施形態では、試料は、M BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(本明細書の表を参照されたい)をコードするある特定の遺伝子のエンハンサーの強度に基づいて、ランク順序付けされる。カットオフを確立するために使用する、上で説明した3つの方法のいずれを選択するかは、集団における、最低応答者と最高非応答者との間の、BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(本明細書の表を参照されたい)をコードするある特定の遺伝子のエンハンサーの強度の差異に依存し、この目的は、擬陽性数を最小化するため、または潜在応答試料もしくは患者を見逃す機会を最小化するためである。最低応答者と最高非応答者との間の差異が、大きい場合(例えば、BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(本明細書の表を参照されたい)をコードするある特定の遺伝子のエンハンサーの強度のランク順序付けにおける、最低応答者と最高非応答者との間に収まる応答について試験されていない多数の試料が存在する場合)、カットオフは、通常、集団の最低応答者における、BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(本明細書の表を参照されたい)をコードするある特定の遺伝子のエンハンサーの強度に等しく、またはこれより最大で5%高く設定される。このカットオフは、潜在的な応答者の数を最大化する。この差異が、小さい場合(例えば、BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(本明細書の表を参照されたい)をコードするある特定の遺伝子のエンハンサーの強度のランク順序付けにおける、最低応答者と最高非応答者との間に収まる応答について試験されていない試料がほとんどまたは全くない場合)、カットオフは、通常、最低応答者と最高非応答者との間の、BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(上を参照されたい)をコードするある特定の遺伝子のエンハンサーの強度の値に設定される。このカットオフは、擬陽性の数を最小化する。最高非応答者が、最低応答者よりも高い、BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(本明細書における表を参照されたい)をコードするある特定の遺伝子のエンハンサーの強度を有する場合、カットオフは、通常、集団の最高非応答者における、BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(本明細書の表を参照されたい)をコードするある特定の遺伝子のエンハンサーの強度に等しく、またはこれより最大で5%高く設定される。この方法はやはり、擬陽性の数を最小化する。
【0123】
一部の実施形態では、上に記述されている方法を用いて、患者由来の罹患細胞(例えば、がん細胞)が、本明細書に記載されている通りのバイオマーカー(例えば、BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、もしくはE2F経路メンバーをコードするある特定の遺伝子(本明細書における表を参照)、またはそれらによってコードされるタンパク質)に関連するSEを有するかどうかを単純に決定することができる。SEの存在は、患者が、本明細書に記載されているCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩に十分に応答する可能性があることを示す。エンハンサーが、MALAT-1に関連するエンハンサーに等しいまたはそれより高い強度を有する場合、細胞は、バイオマーカー(例えば、BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、もしくはE2F経路メンバーをコードするある特定の遺伝子(本明細書における表を参照)、またはそれらによってコードされるタンパク質)に関連するSEを有すると決定される。代替的な実施形態では、BRAF関連性、MYC関連性、CDK1関連性、CDK2関連性、CDK4関連性、CDK6関連性、CDK17関連性、CDK18関連性、CDK19関連性、CCNA1関連性、CCNB1関連性、CCNE1関連性、ESR-1関連性、FGFR1関連性、PIC3CA関連性、またはE2F経路のメンバー(本明細書の表を参照されたい)関連性エンハンサーをコードするある特定の遺伝子が、細胞におけるエンハンサーのすべてのメジアン強度よりも少なくとも10倍高い強度を有する場合、細胞は、BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(本明細書の表を参照されたい)をコードするある特定の遺伝子に関連するSEを有すると決定される。他の実施形態では、遺伝子関連エンハンサーが、正弦の傾きが細胞におけるエンハンサーの強度のランク順序付けグラフにおいて1となる点より大きな強度を有する場合、細胞は、上述の遺伝子に関連するSEを有すると決定される。
【0124】
CDK18が関与する実施形態では、エンハンサー強度に関するカットオフ値は、有病率カットオフへと変換することができ、有病率カットオフは、次に、所与のmRNAアッセイにおいて、CDK18 mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)レベルに適用されて、mRNAカットオフ値を求めることができる。
【0125】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている遺伝的バイオマーカーの特色(例えば、mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)レベル)は、本明細書に記載されているCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩に対する患者の感受性の決定に使用される。
【0126】
一部の実施形態では、目的の遺伝子/患者におけるバイオマーカーmRNAレベル(例えば、患者から取得した生体試料において評価される)は、同一アッセイを使用して、同じ疾患または状態(あるいは効率的な比較を可能とするのに十分に類似である疾患または状態)を有する患者の集団における同じ目的の遺伝子/バイオマーカーmRNAレベルと比較し、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩に対する可能性のある応答者を特定する。バイオマーカーの別の特徴が分析に選択される場合(例えば、そのコピー数、染色体位置、一次RNA転写物レベルまたはmRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)レベルまたは発現するタンパク質レベル)、類似の比較を行うことができる。実施形態では、バイオマーカー(例えば、CDK18、CDK19およびCCNE1)が、本発明の化合物への応答に相互関連する場合(例えば、その発現(例えば、mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)発現)がこの応答に相互関連するものである場合)、その集団における試料の少なくとも一部は、阻害剤(例えば、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩)に応答するかを検査して、(a)そのような特定の化合物に応答する集団の試料における最低レベル(例えば、mRNAレベル)(「最低のmRNA応答者」);および必要に応じて、(b)そのような特定の化合物に応答しない集団の試料の最高のレベル(例えば、最高のmRNAレベル)(「最高のmRNA非応答者」)を確立する。これらの実施形態では、試験細胞が、そのような特定の化合物に応答するとみなされるよりも高いバイオマーカーmRNAレベルのカットオフは、i)集団の最低のmRNA応答者におけるレベル(例えば、mRNAレベル)に等しい、またはそれより最大で5%高く、またはii)集団の最高のmRNA非応答者において、レベル(例えば、mRNAレベル)に等しい、またはそれより最大で5%高く;またはiii)集団の最低応答者(例えば、最低のmRNA応答者)と最高応答者(例えば、最高のmRNA)非応答者との間のレベル(例えば、mRNAレベル)の値に設定される。
【0127】
mRNAレベルが、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩への感受性と正に相互関係する実施形態では、集団における試料のすべてに、前記化合物(または塩)に対する応答を試験する必要はないが、試料はすべて、目的のmRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)レベルの遺伝子について測定される。一部の実施形態では、試料は、目的のmRNAレベルの遺伝子に基づいてランク順序付けされる。カットオフを確立するために使用する、上で説明した3つの方法のいずれを選択するかは、集団における最低のmRNA応答者と最高のmRNA非応答者との間の目的のmRNAレベルの遺伝子の差異に依存し、カットオフは、擬陽性を最小化するよう、または応答者の潜在数を最大化するよう設計される。この差が大きい場合(例えば、mRNAレベルのランク順序付けにおける、最低のmRNA応答者と最高のmRNA非応答者との間に収まる応答について試験されていない多数の試料が存在する場合)、カットオフは、通常、最低のmRNA応答者のmRNAレベルに等しく、またはそれより最大で5%高く設定される。この差が小さい場合(例えば、mRNAレベルのランク順序付けにおける、最低のmRNA応答者と最高のmRNA非応答者との間に収まる応答について試験されていない試料がほとんどまたは全く存在しない場合)、カットオフは、通常、最低のmRNA応答者と最高のmRNA非応答者との間のmRNAレベルの値に設定される。最高のmRNA非応答者が、最低のmRNA応答者よりも大きなmRNAレベルを有する場合、カットオフは、通常、集団の最高のmRNA非応答者におけるmRNAレベルに等しい、またはそれより最大で5%高い値に設定される。
【0128】
バイオマーカーが、そのmRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)発現が、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩(すなわち、BCL-xL、CDK7、CDK9、またはRB1ファミリーメンバー)への応答に逆に相互関連するものである実施形態では、集団の試料の少なくとも一部は、(a)そのような特定の化合物に応答する集団における試料の最高のmRNAレベル(「最高のmRNA応答者」);および必要に応じて、(b)そのような特定の化合物に応答しない集団における試料の最低のmRNAレベル(「最低のmRNA非応答者」)を確立するため、前記化合物への応答が試験される。これらの実施形態では、試験細胞が、そのような特定の化合物に応答するとみなされるよりも高いmRNAレベルのカットオフは、i)集団の最高のmRNA応答者におけるmRNAレベルに等しい、またはそれより最大で5%低く;またはii)集団の最低のmRNA非応答者において、mRNAレベルに等しい、またはそれより最大で5%低く;またはiii)集団における最低のmRNA非応答者と最高のmRNA応答者との間のmRNAレベルの値に設定される。
【0129】
mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)レベルが、本発明の化合物への感受性と反対に相互関係する実施形態では、集団における試料のすべてに、前記化合物に対する応答を試験する必要はないが、試料はすべて、目的のmRNAレベルの遺伝子について測定される。一部の実施形態では、試料は、目的のmRNAレベルの遺伝子に基づいてランク順序付けされる。カットオフを確立するために使用する、上で説明した3つの方法のいずれを選択するかは、集団における最高のmRNA応答者と最低のmRNA非応答者との間の目的のmRNAレベルの遺伝子の差異に依存し、カットオフは、擬陽性を最小化するよう、または応答者の潜在数を最大化するよう設計される。この差が大きい場合(例えば、mRNAレベルのランク順序付けにおける、最高のmRNA応答者と最低のmRNA非応答者との間に収まる応答について試験されていない多数の試料が存在する場合)、カットオフは、通常、最高のmRNA応答者のmRNAレベルに等しく、またはそれより最大で5%低く設定される。この差が小さい場合(例えば、mRNAレベルのランク順序付けにおける、最高のmRNA応答者と最低のmRNA非応答者との間に収まる応答について試験されていない試料はほとんどまたは全くない場合)、カットオフは、通常、最高のmRNA応答者と最低のmRNA非応答者との間のmRNAレベルの値に設定される。最高のmRNA応答者が、最低のmRNA応答者よりも小さなRNAレベルを有する場合、カットオフは、通常、集団の最低のmRNA非応答者におけるmRNAレベルに等しい、またはそれより最大で5%低い値に設定される。
【0130】
CDK18を含む実施形態では、CDK18 mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)レベルのカットオフは、上記の通り、CDK18エンハンサー強度に基づいて確立した有病率カットオフを使用して決定されてもよい。こられの実施形態の一部の態様では、集団は、mRNAレベルについて測定され、これまでに決定された有病率カットオフをその集団に適用して、mRNAカットオフレベルを決定する。これらの実施形態の一部の態様では、集団におけるCDK18 mRNAレベルのランク順序の標準曲線が作製され、事前に決定された有病率カットオフが、その標準曲線を適用して、CDK18 mRNAカットオフレベルを決定する。
【0131】
試験細胞または試料が、集団と比較される一部の実施形態では、その集団に対して取得したカットオフmRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)レベル値は、有病率ランクへと変換され、mRNAレベルのカットオフは、カットオフ値またはそれより高い、例えば有病率カットオフを有する集団の割合として表される。
【0132】
理論によって拘泥されないが、本出願人らは、集団における試験試料および有病率カットオフの有病率ランクは、mRNAレベルを決定するために使用される方法に関わらず類似すると考えている。
【0133】
生体試料中の例えば、RNA(例えば、mRNAレベル)によって決定される、BRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(本明細書の表を参照されたい)をコードするある特定の遺伝子の状態が、その集団における同じパラメータ(例えば、mRNAレベル)を評価することによって、それぞれ、決定されるBRAF、MYC、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6、CDK17、CDK18、CDK19、CCNA1、CCNB1、CCNE1、ESR-1、FGFR1、PIC3CA、またはE2F経路のメンバー(上を参照されたい)をコードするある特定の遺伝子の状態によって決定すると、集団において、約80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%、66%、65%、64%、63%、62%、61%、60%、59%、58%、57%、56%、55%、54%、43%、42%、51%、50%、49%、48%、47%、46%、45%、44%、43%、42%、41%、40%、39%、38%、37%、36%、35%、34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%または20%の有病率ランクに相当する(例えば、これらに等しい、またはそれらより高い)場合、患者は、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩に十分に応答する可能性が高いと特定され得る。BCL2様1、CDK7、CDK9、CDKN2AおよびRBの状態(患者に由来する生体試料における、例えば、RNA(例えば、mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA))レベルまたは対応するタンパク質レベルによって決定される)が、その集団における同じパラメータ(例えば、mRNAレベル)を評価することによって、それぞれ、決定されるBCL2様1、CDK7、CDK9、CDKN2AおよびRBの状態によって決定すると、集団において、約80%、79%、78%、77%、76%、75%、74%、73%、72%、71%、70%、69%、68%、67%、66%、65%、64%、63%、62%、61%、60%、59%、58%、57%、56%、55%、54%、43%、42%、51%、50%、49%、48%、47%、46%、45%、44%、43%、42%、41%、40%、39%、38%、37%、36%、35%、34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%または20%未満の有病率ランクである場合、患者は、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩に十分に応答する可能性が高いと特定され得る。一部の実施形態では、カットオフ値または閾値は、バイオマーカー(例えば、mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA))有病率値に基づいて確立される。
【0134】
一部の実施形態では、集団は、3つの群:応答者、部分応答者および非応答者に分類することができ、2つのカットオフ値または有病率カットオフ(または閾値)が、設定または決定される。部分応答者の群は、応答者、および非応答者、ならびにそれらの患者であって、その本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩に対する応答が応答者の群ほど高くはない患者を含むことができる。階層化のこのようなタイプは、集団において、最高の非応答者が、最低の応答者(同じパラメータ(例えば、mRNAレベル)について評価した)の値(例えば、mRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)レベル)よりも高いmRNAレベルを有する場合に、特に有用であり得る。このシナリオでは、CDK18またはCDK19の場合、応答者と部分応答者との間のカットオフレベルまたは有病率カットオフは、最高のCDK18またはCDK19 mRNAの非応答者のCDK18またはCDK19 mRNAレベルに等しいか、またはそれより最大で5%高く設定され;部分応答者と非応答者との間のカットオフレベルまたは有病率カットオフは、最低のCDK18またはCDK19 mRNA応答者のCDK18またはCDK19 mRNAレベルに等しいか、またはそれより最大で5%低く設定される。BCL-xL、CDK7またはCDK9の場合、最高のmRNA応答者が、最低のmRNA非応答者のmRNAレベルよりも低いmRNAレベルを有する場合、このタイプの階層化が有用であり得る。このシナリオでは、BCL-xL、CDK7またはCDK9の場合、応答者と部分応答者との間のカットオフレベルまたは有病率カットオフは、最低のmRNA非応答者のmRNAレベルに等しいか、またはそれより最大で5%低く設定され;部分応答者と非応答者との間のカットオフレベルまたは有病率カットオフは、最高のmRNA応答者のmRNAレベルに等しいか、またはそれより最大で5%高く設定される。部分応答者に、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩が投与されるべきであるかどうかの決定は、処置する医師の判断、および/または規制機関による承認に依存する。
【0135】
生体試料中の特定の一次RNA転写物を定量するために使用され得る方法は、当分野で公知であり、以下に限定されないが、NanoString Technologiesにより提供されるサービスおよび製品で利用されるものなどの蛍光ハイブリダイゼーション、アレイをベースとする技術(Affymetrix)、SYBR(登録商標)グリーン(Life Technologies)またはTaqMan(登録商標)テクノロジー(Life Technologies)のような逆転写酵素qPCR、RNA配列決定法(例えば、RNA-seq)、RNAscope(登録商標)(Advanced Cell Diagnostics)と共に利用されるRNAハイブリダイゼーションおよびシグナル増幅、またはノーザンブロットを含む。一部の場合、様々な細胞タイプにおける様々な遺伝子に関するmRNA発現の値は、公表されている(例えば、broadinstitute.org/ccle;およびBarretina et al., Nature, 483:603-607, 2012を参照されたい)。
【0136】
一部の実施形態では、試験生体試料と参照標準の両方、または集団のすべてのメンバーにおけるバイオマーカーの状態(例えば、一次RNA転写のレベルによって評価される)は、比較前に正規化される。正規化は、あるRNA転写量の決定したレベルを、天然のおよび両細胞(例えば、GADPH mRNA、18S RNA)において等価なレベルで存在する別のRNA転写量のいずれかと、またはスーパーエンハンサー強度決定前に、各細胞の試料に「スパイクした」外因性RNAの固定したレベルと比較することによって調節することを含む(Loven et al., Cell, 151(3):476-82, 2012; Kanno et al., BMC Genomics 7:64, 2006; Van de Peppel et al., EMBO Rep., 4:387-93, 2003)。
【0137】
本明細書に記載されているがんに罹患し、かつバイオマーカー状態に基づいて本明細書に記載されている通りに特定された患者(例えば、ヒト)は、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩の前に投与された治療剤に抵抗性がある(または、初期のいくつかの有効性の後に、抵抗性を獲得した)および/または化学治療剤(例えばベネトクラックスなどのBcl-2阻害剤、BET阻害剤、パルボシクリブまたはリボシクリブなどのCDK4/6阻害剤、アルボシジブなどのCDK9阻害剤、FLT3阻害剤、トラメチニブなどのMEK阻害剤、オラパリブまたはニラパリブなどのPARP阻害剤、アルペリシブまたはカペシタビンなどのPI3K阻害剤、シスプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、カルボプラチン、フェナントリプラチン、ピコプラチン、サトラプラチン(JM216)または四硝酸トリプラチンなどの白金をベースとする治療剤、タモキシフェン、ファロキシフェンまたはトレミフェンなどのSERM、またはステロイド受容体分解剤(例えば、フルベストラントなどのSERD)に対して抵抗性であると決定され得る。これらの薬剤のうちの1つまたは複数を含む併用療法(ここで投与は、本明細書に記載されるようにまたはその他の方法で選択された患者になされる)もまた、本発明の範囲内にあり、本明細書においてさらに議論される。例えば、一実施形態では、本方法は、パルボシクリブまたはリボシクリブなどのCDK4/6阻害剤による処置に抵抗性のがん(例えば、乳がん(例えば、ER+乳がん(例えば、HR+/HER2-がん)))を処置するための、フルベストラントなどのSERDと組み合わせた、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩の使用または投与を包含する。
【0138】
一部の実施形態では、以前の治療剤は、単剤療法として、またはSOC剤と組み合わせて投与される白金をベースとする抗がん剤であり得る。大部分のがん患者は、以下の機構:(i)細胞膜輸送タンパク質の分子改変により、白金剤の取り込み量が低下する;(ii)細胞が細胞死するのを防止するアポトーシスシグナル伝達経路の分子改変;(iii)細胞が白金剤誘導性DNA損傷を修復する能力を回復させる、ある特定の遺伝子(例えば、BRCA1/2、CHEK1、CHEK2、RAD51)の分子改変の1つまたは複数による白金をベースとする治療法に最終的に抵抗性を発生させる。K.N. Yamamoto et al., PloS ONE 9(8):e105724, 2014,。用語「分子改変」は、これらの機能に関与する遺伝子に由来するmRNA(例えば、プレmRNAまたは成熟mRNA)発現量の増加または低下;このような遺伝子に由来するタンパク質の発現量の増加または低下;およびそのような遺伝子から発現されるmRNA/タンパク質の変異を含む。
【0139】
抵抗性は、通常、処置中の疾患進行(例えば、腫瘍サイズおよび/または数の増加)、または腫瘍の収縮速度の低下によって決定される。一部の例では、患者のがんが、処置に応答し、その間に安定化するが、薬剤により処置して1~6か月後以内に進行した場合、患者は、白金をベースとする薬剤に抵抗性となったとみなされる。抵抗性は、白金剤による何らかの数の処置後に起こる恐れがある。一部の例では、疾患進行は、処置を完了する間、またはその1か月以内に起こる。この場合、患者は、この薬剤に対する応答を決して実証しなかったとみなされる。これもまた、処置に対する「不応性」と呼ばれる。抵抗性はまた、白金剤が、がんに対する有効な処置ともはやみなされなくなると、処置医師によって決定されることがある。
【0140】
一部の実施形態では、患者は、単剤療法として、またはSOC剤と組み合わせて投与されるCDK4/6阻害剤による処置に抵抗性があるか、または抵抗性があると決定されている。
【0141】
がん(例えば、本明細書に記載されるHR乳がん)におけるCDK4/6阻害剤は、G1停止を誘導することによって、細胞周期のS期への進入を遮断することが知られている。がん(例えば、HR転移性乳がん)におけるCDK4/6阻害剤への抵抗性は、1)CDK6、CCND1またはFGFR1の増幅などのCDK4/6活性を増大する(Formisano et al., SABCS 2017, Publication Number GS6-05; Cruz et al., SABCS 2017 Publication Number PD4-05)、または2)RB1損失およびCCNE1増幅などのCDK4/6の細胞周期の下流での進入を再活性化する(Condorelli, Ann. Oncol., PMID: 29236940, 2017; Herrera-Abreu, Cancer Research PMID: 27020857, 2016)、分子改変によって一部が媒介されることが示されている。
【0142】
パルボシクリブ、リボシクリブまたはアベマシクリブなどのCDK4/6阻害剤は、通常、ある期間投与されて、次いで処置のない期間が続く、白金をベースとする薬剤とは異なり、疾患進行が観察されるまで投与される。一部の例では、患者のがんが、最初に処置に応答し、その間に安定化するが、処置が依然として続いている間に、最終的に進行が始まる場合、患者は、CDK4/6阻害剤に抵抗性になったとみなされる。一部の例では、患者は、処置の間に、何らかの有意な応答または安定化を実証することなくがんが進行する場合、CDK4/6阻害剤による処置に抵抗性(または不応性)とみなされる。抵抗性はまた、CDK4/6阻害剤が、がんに対する有効な処置ともはやみなされなくなると、処置医師によって決定されることがある。
【0143】
本発明の方法は、本明細書に記載されているCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩と、必要に応じて、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を用いることができる。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載されている(一般的にまたは具体的に)式の化合物または薬学的に許容されるその塩を含む。記されている通り、医薬組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体を含むことができ、活性薬剤/成分は、有効量(例えば、治療有効量または予防有効量)でその中に提供することができる。何らかの疑念がある場合には、本明細書に記載されているCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩のいずれかは、本発明の医薬組成物中に含まれて、本明細書に記載されている診断および処置方法において使用されてよい。
【0144】
本発明の医薬組成物は、薬理学の分野において公知の関連方法によって調製され得る。一般に、このような調製方法は、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩を含む本明細書に記載されている化合物を担体および/または1つもしくは複数の他の活性成分(例えば、本明細書に記載されている第2の薬剤)および/または副成分と混合するステップ、次に、必要な場合および/または所望の場合、この生成物を所望の単回用量単位または多回用量単位(例えば、経口投与向け)に成形するおよび/または包装するステップを含む。副成分は、本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩の生体利用率を改善することがあり、その代謝を低減および/または改変することがあり、その排出を阻害することがあり、そして/または身体内のその分布を改変する(例えば、罹患組織(例えば、腫瘍)を標的とすることによる)ことがある。本医薬組成物は、バルク容器中を含めた様々な方法で、単回単位用量(例えば、個別の所定量の活性剤を含有する)またはその複数物として包装され得、このような包装されたもしくは分割された剤形のいずれも、本発明の範囲内にある。活性成分の量は、単位投与量、または例えば、用量の2分の1または3分の1などの投与量の都合のよい割合を構成する量に等しくすることができる。
【0145】
本発明の医薬組成物中の活性剤/成分、薬学的に許容される担体および/または任意の追加の成分の相対量は、これらが何であるか、サイズおよび/または処置される対象の状態に応じて、ならびにさらには組成物が投与される経路および処置される疾患に応じて様々になり得る。例として、本組成物は、約0.1%~99.9%(w/wまたはw/v)の間の活性剤/成分を含むことができる。
【0146】
本明細書に記載されている医薬組成物の製造に有用な薬学的に許容される担体は、医薬製剤の分野で周知であり、不活性希釈剤、分散剤および/もしくは造粒剤、表面活性剤および/もしくは乳化剤、崩壊剤、結合剤、保存剤、緩衝化剤、滑沢剤、ならびに/または油を含む。本明細書に記載されている医薬組成物の製造に有用な薬学的に許容される担体には、以下に限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウムなどの緩衝物質、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩など)、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースをベースとする物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれる。
【0147】
本明細書に記載されている通りに使用される医薬組成物は、経口投与されてもよい。このような経口許容される投与量形態は、固体(例えば、カプセル剤、錠剤、サシェ剤、散剤、顆粒剤および経口分散性フィルム剤)または液体(例えば、アンプル、半固体、シロップ剤、懸濁液剤または溶液剤(例えば、水性懸濁液剤または分散液剤および溶液剤))であり得る。錠剤の場合、一般に使用される担体には、ラクトースおよびトウモロコシデンプンが含まれる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も含まれ得る。カプセル剤の場合、有用な希釈剤は、ラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンを含む。水性懸濁液が製剤化される場合、活性剤/成分は、乳化剤および懸濁化剤と一緒にされ得る。任意の経口用製剤において、甘味剤、着香料または着色剤も添加されてもよい。本明細書に記載されている様々な実施形態のいずれかにおいて、経口用製剤は、即時放出または持続放出/遅延放出するよう製剤化され得、コーティングされていてもよく、またはコーティングされていなくてもよい。提供される組成物はまた、マイクロカプセル封入され得る。
【0148】
口内投与または舌下投与に好適な組成物は、錠剤、ロゼンジ剤およびパステル剤を含む。皮下、静脈内、筋肉内、眼内、硝子体内、関節内、滑膜内、胸骨内、鞘内、肝内、腹腔内、病巣内向けに、および頭蓋内注射または注入技法による製剤もまた調製され得る。好ましくは、本組成物は、経口、皮下、腹腔内または静脈内に投与される。本発明の組成物の滅菌注射剤形態は、水性または油性懸濁液剤であり得る。これらの懸濁液剤は、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、当分野で公知の技法に従い、製剤化することができる。滅菌注射用調製物はまた、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液剤として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の注射用滅菌溶液剤または懸濁液剤とすることもできる。使用することができる、許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌不揮発油が、溶媒または懸濁媒体として、慣用的に使用される。
【0149】
本明細書において提供される医薬組成物の説明は、ヒトへの投与に好適な医薬組成物を原理的に対象としているが、このような組成物は、一般に、すべての種類の動物への投与に好適であることが当業者によって理解される。組成物を様々な動物への投与に好適にするための、ヒトへの投与に好適な医薬組成物の改変が十分に理解され、当分野の獣医学の薬理学者は、このような改変を設計および/または実施することができる。
【0150】
本明細書に記載されている化合物は、投与を容易にするためおよび投与量を均質とするために、投与単位形態、例えば単一単位剤形で通常、製剤化される。任意の特定の対象または生物に対する具体的な治療的または予防的有効用量レベルは、処置される疾患および障害の重症度、使用される具体的な活性成分の活性、使用される具体的な組成物、対象の年齢、体重、一般的な健康、性別および食事、投与時間、投与経路ならびに使用される具体的な活性成分の排出速度、処置期間、使用される具体的な活性成分と組み合わせてまたは同時に使用される薬物、ならびに医療技術において周知の同様の因子を含めた様々な因子に依存する。
【0151】
有効量を達成するために必要な化合物の正確な量は、例えば、対象の人種、年齢および一般状態、副作用の重症度、処置される疾患、投与される特定の化合物が何であるか、投与様式などに応じて、対象毎に様々であり得る。所望の投与量は、1日3回、1日2回、1日1回、1日おき、3日毎、毎週、2週間毎、3週間毎または4週間毎に送達され得る。ある特定の実施形態では、所望の投与量は、多回投与(例えば、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回またはそれより多くの投与)を使用して送達することができる。
【0152】
ある特定の実施形態では、成人ヒト(例えば、70kg)に1日1回または複数回(例えば、1回)投与するCDK7阻害剤の有効量は、約1~100mg、約1~50mg、約1~35mg(例えば、約1~5、1~10、1~15、1~20、1~25または1~30mg)、約2~20mg、約3~15mgまたは約10~30mg(例えば、10~20または10~25mg)を含むことができる。この場合およびどの範囲が参照されようとも、端点が含まれる。提示される投与量は、様々な体重または身体の表面をしている患者に対してスケールを調節することができ、患者の身体表面1mあたりで表すことができる。
【0153】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、1日1回、投与されてもよい。本明細書に記載されるCDK7阻害剤またはそれらの薬学的に許容される塩の投与量は、約1~100mg、約1~50mg、約1~25mg、約2~20mg、約5~15mg、約10~15mgまたは約13~14mgであり得る。
【0154】
ある特定の実施形態では、本発明の組成物は、1日2回、投与されてもよい。一部の実施形態では、各投与のための式(I)またはその下位属(subgenus)または化学種の投与量は、約0.5mg~約50mg、約0.5mg~約25mg、約0.5mg~約1mg、約1mg~約10mg、約1mg~約5mg、約3mg~約5mgまたは約4mg~約5mgである。
【0155】
本明細書に記載されている化合物または他の組成物(例えば、CDK7阻害剤を含む医薬組成物)は、本明細書に記載されている第2の薬剤またはその複数との併用療法(例えば、本明細書に定義およびさらに記載されている通り)において投与することができる。併用療法において用いられる追加の/第2の薬剤は、同じ障害(例えば、同じがん)のために所望の効果を達成する可能性が最も高いが、これは、患者を助ける異なる効果を達成することができる。したがって、本発明は、治療有効量の、本明細書に記載されているCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩と;各々治療有効量の、ベネトクラクスなどのBcl-2阻害剤、オラパリブまたはニラパリブなどのPARP阻害剤、カルボプラチン、シスプラチンまたはオキサリプラチンなどの白金をベースとする抗がん剤、パクリタキセルなどのタキサン、パルボシクリブ、リボシクリブ、アベマシクリブまたはトリラシクリブ(trilaciclib)などのCDK4/6阻害剤、タモキシフェン(Nolvadex(商標)およびSoltamox(商標)の商品名により入手可能)、ラロキシフェン(Evista(商標)の商品名により入手可能)およびトレミフェン(Fareston(商標)として入手可能)などの選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)、ならびにフルベストラント(Faslodex(商標)として入手可能)などの選択的エストロゲン受容体ディグレーダーから選択される第2の薬剤と、薬学的に許容される担体とを含有する医薬組成物を特色とする。
【0156】
特定された患者は、「新たに診断」されてよく、したがって、本明細書に記載されている通りの第2の薬剤に以前に曝露されたことがなくてよく、この場合、患者は、処置ナイーブとして定義されてよい。
【0157】
他に指定がない限り、本発明の方法において本明細書に記載されているCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩および第2の治療剤の組合せを用いる場合、第2の治療剤は、本明細書に記載されているCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩と同時発生的に、その前に、またはその後に投与することができる。第2の治療用医薬剤は、当該医薬剤のために決定された用量および/またはタイムスケジュールで投与することができる。第2の治療剤は、本明細書に記載されているCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩と単一の剤形中で一緒に投与することも、異なる剤形中で別々に投与することもできる。一般に、本明細書に記載されているCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩と組み合わせて利用される第2の治療剤が、それが個々に利用されるレベルを越えないレベルで利用されることが予想される。一部の実施形態では、組み合わせて利用される第2の治療剤のレベルは、相乗効果が原因で、単剤療法において利用されるものよりも低くなるであろう。
【0158】
本明細書に記載されているCDK7阻害剤または薬学的に許容されるその塩、および本明細書に記載されているもののうちいずれか1つから選択される追加の/第2の薬剤の組合せのため、2つの活性治療薬(またはそれよりも多い、例えば、第3の薬剤をさらに含む)の各々を含むキットを提供することができ、これは、本発明の範囲内にある。このようなキットは、本明細書に記載されている診断および処置方法のいずれかにおいて有用性を見出す。一部の例では、第1および第2の薬剤は、個別の容器(例えば、第1の容器に収容された第1の薬剤、および第2の容器に収容された第2の薬剤を含む)中にあり、そして/または第1の薬剤、第2の薬剤および薬学的に許容される担体を含む、必要に応じて単位剤形の薬学的に許容される組成物中に製剤化されている。一部の例では、キットは、がん(例えば、本明細書に記載されている)に罹患しており、かつ本明細書に記載されている方法による処置に適していると特定される患者において、2種(またはそれより多種の)治療剤を使用するための指示書を含む書面のインサートまたはラベルを含む。指示書は、治療剤を含む容器(単数または複数)に貼り付けられてもよく、またはそうでない場合、取り付けられてもよい。代替的に、指示書および容器は、互いに分けられているが、単一のキット、パッケージ、箱、バッグまたは他のタイプの容器に一緒に存在することができる。キット中の指示書は、通常、組合せ物の治療的使用を承認した政府機関により義務付けられるか、または推奨される(例えば、本明細書に記載されている通りに特定された患者集団において)。指示書は、各治療剤に関する投与情報、組合せ物の処置が承認されたもしくは処方されてもよいがんのタイプ、各治療剤に関する物理化学的情報、各治療剤に関する薬物動態情報、薬物-薬物相互作用情報、または診断情報(例えば、本明細書に記載されている処置のための患者を特定するバイオマーカーまたは方法に基づく)を必要に応じて含むことができる。本発明のキットはまた、本明細書に記載されている診断方法に有用な試薬も含むことができる。
【実施例
【0159】
本明細書に記載されている発明についてより十分に理解することができるように、以下の実施例を示す。本出願に記載されている合成および生物学的実施例は、本明細書に提供されている化合物、医薬組成物および方法を説明するために提供されており、その範囲を限定するものとして解釈されるべきでは決してない。
【0160】
本明細書に提供されている化合物は、当業者にとって周知であろう下に示す具体的な合成プロトコールに対する修正を使用して、容易に入手可能な出発材料から調製することができる。典型的なまたは好まれるプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力等)が示されている場合、他に断りがなければ、他のプロセス条件を使用することもできることが認められるであろう。最適な反応条件は、使用されている特定の反応物または溶媒と共に変動し得るが、このような条件は、慣用的な最適化手順により、当業者によって決定され得る。
【0161】
さらに、当業者には明白であるが、ある従来の官能基が望ましくない反応を受けるのを防止するため、保護基が必要であり得る。特定の官能基に好適な保護基、ならびに保護および脱保護の好適な条件の選択は、当分野で周知である。例えば、様々な保護基、ならびにその導入および除去は、Greeneら(Protecting Groups in Organic Synthesis, Second Edition, Wiley, New York, 1991、およびそれらに引用されている参照文献)に記載されている。
【0162】
図1A図1X由来の例示的な化合物の合成は、WO2018/013867に記載されている。
【0163】
(実施例1)
CDKキナーゼ活性の阻害。本発明の化合物を、キャリパー/LabChip EZリーダー(Perkin Elmer、Waltham、MA)を用いて開発した各CDKに関するキナーゼアッセイを使用して、Biortus Biosciences(Jiangyin、Jiangsu Province、P.R.of China)においてCDK7、CDK9、CDK12およびCDK2活性の阻害に関してアッセイした。これらのアッセイは、以下の構成成分:以下の緩衝液:2-(N-モルホリノ)エタンスルホネート(MES緩衝液、20mM)、pH6.75、0.01%(v/v)Tween(登録商標)20洗剤、0.05mg/mLウシ血清アルブミン(BSA)中での試験化合物(3倍段階希釈シリーズで10μMから0.508nMまで低下させた様々な濃度)、活性CDKキナーゼタンパク質(各CDKについて以下に列挙した、表示されているサイクリンを含む)、ATP(2mM)および基質ペプチド(以下に列挙)を用いて、27℃でのインキュベート期間の後の、全ペプチドの割合として生じたリン酸化ペプチド基質の量を測定する。
【0164】
具体的には、CDK7阻害アッセイは、上で列挙した緩衝液組成物中の6mM MgClを含む、CDK7/サイクリンH/MAT1複合体(6nM)および「5-FAM-CDK7tide」ペプチド基質(2μM、以下の配列:5-FAM-YSPTSPSYSPTSPSYSPTSPSKKKK(配列番号1)を有する合成フルオロフォア標識ペプチドであり、「5-FAM」は、5-カルボキシフルオレセインを意味する)を使用した。さらに、CDK9阻害アッセイは、上で列挙した緩衝液組成物中に10mM MgClを含む、CDK9/サイクリンT1複合体(8nM)および「5-FAM-CDK9tide」ペプチド基質(2μM、以下の配列:5-FAM-GSRTPMY-NH有する合成フルオロフォア標識ペプチドであり、5-FAMは上で定義されており、NHはC末端アミドを表す)を使用した。CDK12阻害アッセイは、上記の緩衝液組成物中、2mM MgClを含む、CDK12(aa686-1082)/サイクリンK複合体(50nM)および上で定義した「5-FAM-CDK9tide」(2μM)を使用した。さらに、CDK2阻害アッセイは、上で列挙した緩衝液組成物中、2mM MgClを含む、CDK2/サイクリンE1複合体(0.5nM)および上で定義した「5-FAM-CDK7tide」(2μM)を使用した。
【0165】
各CDK阻害アッセイについて、27℃でのインキュベート期間は、全ペプチド濃度に対する、各アッセイにおいて生成するリン酸化ペプチド生成物の割合が、非阻害キナーゼに関して約20%(±5%)となるよう選択した(CDK7の場合、35分間、CDK2の場合、35分間、CDK12の場合、3時間、CDK9の場合、15分間)。化合物の滴定を試験し、ペプチド生成物の形成が阻害された場合、これらのデータをあてはめて、最良適合IC50値を生成した。これらのアッセイの結果を下の表1に示し、表中、「A」は、20nM未満の計算されたIC50を表し;「B」は、20nM~200nM未満の間の計算されたIC50を表し;「C」は、200nM~5μM未満の間の計算されたIC50を表し;「D」は、5μMを超えるまたはこれに等しい計算されたIC50を表し、「NT」は、指定の化合物が、指定のアッセイにおいて検査されなかったことを表す。
【0166】
表1. CDK2、CDK7、CDK9およびCDK12に対する本発明の選択された化合物の阻害活性
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0167】
(実施例2)
細胞増殖の阻害
A673細胞:A673細胞は、ヒト筋肉ユーイング肉腫に由来する細胞系である。本発明の代表的な化合物を、異なる濃度(4μM~126.4pM;0.5log系列希釈)で、A673細胞の増殖を阻害するその能力について検査した。公知CDK阻害剤のディナシクリブまたはN-((1S,3R)-3-((5-クロロ-4-(1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)シクロヘキシル)-5-((E)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エナミド(enamido))ピコリンアミド(picolinamide)およびトリプトライドを、陽性対照として使用した。細胞をダルベッコ変法イーグル培地、+10%FBS+1mMピルビン酸ナトリウムにおいて育成した。37℃、加湿チャンバー内で、5%COの存在下、細胞を培養した。72時間の期間にわたり増殖アッセイを行った。CyQUANT(登録商標)(Life Technologies、Chicago、IL USA)を使用して、製造業者の指示に従って、CyQUANT(登録商標)キットとともに供給されている試薬を利用して、化合物の抗増殖性効果を評価した。アッセイの結果を下の表1に示し、表中、「A」は、20nM未満の計算されたIC50を表し;「B」は、20nM~200nM未満の間の計算されたIC50を表し;「C」は、200nM~5μM未満の間の計算されたIC50を表し;「D」は、5μM超の計算されたIC50を表す。
【0168】
HCC70細胞:HCC70細胞は、ヒトトリプルネガティブ乳がんに由来する細胞系である。本発明の代表的な化合物を、異なる濃度(4μM~126.4pM;0.5log系列希釈)で、HCC70細胞の増殖を阻害するその能力について検査した。公知CDK阻害剤のディナシクリブまたはN-((1S,3R)-3-((5-クロロ-4-(1H-インドール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)シクロヘキシル)-5-((E)-4-(ジメチルアミノ)ブタ-2-エナミド)ピコリンアミドおよびトリプトライドを陽性対照として使用した。細胞をATCC処方RPMI-1640培地(ATCC 30-2001)+10%FBSにおいて育成した。37℃、加湿チャンバー内で、5%COの存在下、細胞を培養した。72時間の期間にわたり増殖アッセイを行った。CyQUANT(登録商標)Direct細胞増殖アッセイ(Life Technologies、Chicago、IL USA)を使用して、製造業者の指示に従って、CyQUANT(登録商標)Direct細胞キットとともに供給されている試薬を利用して、化合物の抗増殖性効果を評価した。アッセイの結果を下の表2に示し、表中、「A」は、100nM未満の計算されたIC50を表し;「B」は、100nM~1000nM未満の間の計算されたIC50を表し;「C」は、1000nM~5μM未満の間の計算されたIC50を表し;「D」は、5μM超の計算されたIC50を表す。
【0169】
表2. 本発明の化合物によるA673細胞およびHCC70細胞の増殖の阻害
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図1-5】
図1-6】
図1-7】
図1-8】
図1-9】
図1-10】
図1-11】
図1-12】
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図1-19】
図1-20】
図1-21】
図1-22】
図1-23】
図1-24】
図2
【国際調査報告】