(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(54)【発明の名称】加工対象物の高分解能測定のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/02 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
G01B11/02 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525338
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(85)【翻訳文提出日】2022-06-27
(86)【国際出願番号】 US2020057838
(87)【国際公開番号】W WO2021087029
(87)【国際公開日】2021-05-06
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】マダラ,ラッセル ウェイン
(72)【発明者】
【氏名】ヨーダー,アマンダ ニコル
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン,ブレット クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】スターンズ,ジェイ カツヒコ
(72)【発明者】
【氏名】トレーシー,エリック ダニエル
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA03
2F065AA23
2F065BB02
2F065DD03
2F065FF01
2F065FF04
2F065GG00
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2F065JJ03
2F065JJ26
2F065MM02
2F065MM03
2F065MM04
2F065PP22
2F065QQ38
2F065RR02
2F065RR07
2F065RR09
(57)【要約】
ハニカム体などの加工対象物の検査のための方法及びシステムが本明細書に説明される。方法及びシステムはハニカム体の複数の画像を収集することと、複数の画像のそれぞれから測定データを抽出することと、各画像から抽出された測定データを共通基準系に変換することと、それらの測定データを結合することとを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハニカム体又はハニカム押出金型から成る加工対象物の特徴を測定する方法であって、
前記加工対象物の第1部分の第1画像を撮像システムのカメラを使って撮るステップと、
前記第1画像の第1基準系における前記加工対象物の前記第1部分の複数の第1測定値を前記第1画像から求めるステップと、
前記加工対象物又は前記カメラの少なくとも一方を他方に対して移動させるステップと、
前記加工対象物の第2部分の第2画像を前記カメラを使って撮るステップであって、前記第1部分と前記第2部分は少なくとも部分的に重なり共通の特徴を共有する、ステップと、
前記第2画像の第2基準系における前記加工対象物の前記第2部分の複数の第2測定値を前記第2画像から求めるステップであって、前記複数の第1測定値と前記複数の第2測定値は前記ハニカム体の交差する壁の寸法又は前記ハニカム押出金型の交差するスロットの寸法に対応する、ステップと、
前記第1画像と前記第2画像内の前記共通の特徴を特定するステップであって、前記共通の特徴は前記第1基準系における第1位置と前記第2基準系における第2位置を有する、ステップと、
前記第1基準系と前記第2基準系の間の空間関係を前記第1位置と前記第2位置の比較に基づいて決定するステップと、
前記複数の第1測定値又は前記複数の第2測定値、又は両方を前記空間関係に少なくとも部分的に基づいて共通基準系に変換するステップと、
前記共通基準系に変換された前記複数の第1測定値及び複数の第2測定値を結合することで、前記加工対象物の一組の特徴寸法を生成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記加工対象物の第3部分の第3画像を撮るステップであって、前記共通の特徴は第1共通特徴であり、前記第3部分は前記第2画像と部分的に重なり、前記第2画像と共通の第2共通特徴を含む、ステップと、
前記第3画像の第3基準系における前記加工対象物の前記第3部分の複数の第3測定値を前記第3画像から求めるステップと、
前記第2画像内及び前記第3画像内の前記第2共通特徴を特定するステップであって、前記第2共通特徴は前記第2基準系における第3位置と前記第3基準系における第4位置を有する、ステップと、
前記第3位置を前記第4位置と比較し前記第2基準系と前記第3基準系の間の第2空間関係を前記比較に基づいて決定するステップと、
前記複数の第3測定値を前記第2空間関係に少なくとも部分的に基づいて前記共通基準系に変換するステップと、
前記共通基準系に変換された前記複数の第3測定値を前記一組の寸法に結合するステップと
を更に含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の方法を含みセラミックハニカム体を製造する方法。
【請求項4】
ハニカム体又はハニカム押出金型から成る加工対象物の特徴を測定する方法であって、
撮像システムを準備するステップと、
前記加工対象物の第1部分の画像を撮るステップであって、前記加工対象物の前記第1部分の前記画像は基準系を画定する、ステップと、
前記加工対象物の前記第1部分の前記画像に少なくとも部分的に基づいて複数の第1測定値を算出するステップと、
前記加工対象物の第2部分の画像を撮るステップであって、前記加工対象物の前記第1部分と前記加工対象物の前記第2部分は複数の共通特徴を含み、前記第2部分は前記加工対象物の前記第1部分に含まれていない少なくとも1つの特徴を含む、ステップと、
前記加工対象物の前記第2部分の前記画像に少なくとも部分的に基づいて複数の第2測定値を算出するステップであって、前記複数の第1測定値と前記複数の第2測定値は前記ハニカム体の交差する壁の寸法又は前記ハニカム押出金型の交差するスロットの寸法に対応し、前記複数の第1測定値の少なくとも1つは前記複数の共通特徴によって画定された第1基準寸法であり、前記複数の第2測定値の少なくとも1つは前記複数の共通特徴によって画定された第2基準寸法であり、前記第1基準寸法は前記加工対象物の前記第1部分の前記画像に少なくとも部分的に基づいて前記複数の共通特徴間の寸法によって定められ、前記第2基準寸法は前記加工対象物の前記第2部分の前記画像に少なくとも部分的に基づいて前記複数の共通特徴間の同じ寸法によって定められる、ステップと、
前記第1基準寸法を前記第2基準寸法と比較して変換値を算出するステップと、
前記変換値を前記複数の第2測定値に適用して前記複数の第2測定値を前記基準系に変換するステップと、
前記複数の第1測定値と前記複数の変換された第2測定値を結合するステップと
を含む方法。
【請求項5】
ハニカム体又はハニカム押出金型から成る加工対象物の寸法を測定するための撮像システムであって、
前記加工対象物の画像を撮るように構成されたカメラと、
前記加工対象物に対して前記カメラを又は前記カメラに対して前記加工対象物を移動させるように構成されたアクチュエータと、
前記カメラ及び前記アクチュエータとデータ通信し該撮像システムに
前記加工対象物の第1部分の第1画像を前記カメラを使って撮るステップと、
前記第1画像から前記加工対象物の複数の特徴の複数の第1測定値を求めるステップであって、前記複数の第1測定値は前記第1画像の第1基準系に対して測られる、ステップと、
前記カメラの視野を前記加工対象物の第2部分に対して位置付けるステップであって、前記第2部分は前記第1部分と部分的に重なり前記第1部分と共通の特徴を含む、ステップと、
前記加工対象物の前記第2部分の第2画像を撮るステップと、
前記第2画像から前記加工対象物の複数の特徴の複数の第2測定値を求めるステップであって、前記複数の第2測定値は前記第2画像の第2基準系に対して測られ、前記複数の第1測定値と前記複数の第2測定値は前記ハニカム体の交差する壁の寸法又は前記ハニカム押出金型の交差するスロットの寸法に対応する、ステップと、
前記第1画像内の前記共通の特徴の第1位置と前記第2画像内の前記共通の特徴の第2位置を特定するステップと、
前記第1基準系と前記第2基準系の間の空間関係を前記第1位置と前記第2位置の比較に基づいて決定するステップと、
前記複数の第1測定値又は前記複数の第2測定値、又は両方を前記空間関係に基づいて共通基準系に変換するステップと、
前記共通基準系に変換された前記複数の第1測定値及び複数の第2測定値を結合することで、前記加工対象物の一組の特徴寸法を生成するステップと
を実行させるように構成された制御装置と
を備える撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2019年10月31日に出願された米国仮特許出願第62/928847号の米国特許法第120条の下の優先権の利益を主張するものであり、その内容全体を本明細書に援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は加工対象物の高分解能測定のための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ハニカム体は様々な用途、例えば微粒子フィルター及び作動流体中の不要成分、例えば燃焼排ガス中の汚染物質を処理する触媒式浄化装置の構成において使用される。ハニカム体の製造は本体のハニカム構造の特徴の検査を含むことがある。
【発明の概要】
【0004】
特にハニカム体又はハニカム押出金型の改善された検査を提供するための様々な手法が本明細書で説明される。説明される方法では、ハニカム体全体の合成画像を生成して合成画像から測定値を得るのでなく、ハニカム体の部分の複数の画像から得た測定データは先ず共通基準系に変換され、次に結合される。また、ハニカム体を撮像するための改善された装置が説明され、ハニカム体の画像内のパターンバイアスを低減するように構成されうる。
【0005】
1つの態様では、加工対象物の特徴を測定する方法が提供される。その方法は、前記加工対象物の第1部分の第1画像を撮像システムのカメラを使って撮るステップと、前記第1画像の第1基準系における前記加工対象物の前記第1部分の複数の第1測定値を前記第1画像から求めるステップと、前記加工対象物又は前記カメラの少なくとも一方を他方に対して移動させるステップと、前記加工対象物の第2部分の第2画像を前記カメラを使って撮るステップであって、前記第1部分と前記第2部分は少なくとも部分的に重なり共通の特徴を共有する、ステップと、前記第2画像の第2基準系における前記加工対象物の前記第2部分の複数の第2測定値を前記第2画像から求めるステップであって、前記複数の第1測定値と前記複数の第2測定値は前記ハニカム体の交差する壁の寸法又は前記ハニカム押出金型の交差するスロットの寸法に対応する、ステップと、前記第1画像と前記第2画像内の前記共通の特徴を特定するステップであって、前記共通の特徴は前記第1基準系における第1位置と前記第2基準系における第2位置を有する、ステップと、前記第1基準系と前記第2基準系の間の空間関係を前記第1位置と前記第2位置の比較に基づいて決定するステップと、前記複数の第1測定値又は前記複数の第2測定値、又は両方を前記空間関係に少なくとも部分的に基づいて共通基準系に変換するステップと、前記共通基準系に変換された前記複数の第1測定値及び複数の第2測定値を結合することで、前記加工対象物の一組の特徴寸法を生成するステップとを含む。
【0006】
幾つかの実施形態では、前記移動させるステップは、前記加工対象物又は前記カメラの少なくとも一方を所定の距離移動させるステップから成り、前記第1基準系と前記第2基準系の間の前記空間関係は前記所定の距離に少なくとも部分的に基づく。
【0007】
幾つかの実施形態では、本方法は前記加工対象物又は前記カメラの少なくとも一方を互いに対して移動させる時の誤差を求めるステップを更に含む。
【0008】
幾つかの実施形態では、前記誤差は、前記所定の距離を前記共通基準系における前記第1位置と前記第2位置の差と比較することで求められる。幾つかの実施形態では、前記第1基準系と前記第2基準系の間の前記空間関係は前記所定の距離と前記誤差に基づく。
【0009】
幾つかの実施形態では、前記共通基準系は前記第1基準系である。幾つかの実施形態では、前記共通基準系は前記第2基準系である。
【0010】
幾つかの実施形態では、前記共通基準系は前記第1基準系及び前記第2基準系と異なる第3基準系である。
【0011】
幾つかの実施形態では、前記第1及び第2基準系は両方とも直交座標系に適合する。
【0012】
幾つかの実施形態では、本方法は前記共通基準系における前記複数の第1測定値及び前記複数の第2測定値を結合した後、重複する測定値を除去するステップを更に含む。
【0013】
幾つかの実施形態では、前記共通の特徴は2点間の寸法から成る。
【0014】
幾つかの実施形態では、前記加工対象物は複数の縦方向セルを備えるハニカム体である。幾つかの実施形態では、前記共通の特徴は前記ハニカム体の縦方向セルの重心である。
【0015】
幾つかの実施形態では、前記加工対象物はハニカム体から成り、前記共通の特徴は前記ハニカム体の縦方向セルの壁の長さである。
【0016】
幾つかの実施形態では、前記寸法は前記ハニカム体の第1セルの第1重心と記ハニカム体の第2セルの第2重心との距離である。
【0017】
幾つかの実施形態では、前記撮像システムは前記カメラ、レンズ、第1光源、及び第2光源を備える。
【0018】
幾つかの実施形態では、前記第1光源は明視野照明を提供するように構成され、前記第2光源は暗視野照明を提供するように構成される。
【0019】
幾つかの実施形態では、前記レンズは光軸を画定し、前記第1光源は第1照明軸を画定し、前記第2光源は第2照明軸を画定し、前記第1照明軸は前記光軸に対して0°から20°の範囲内の角度αだけ傾斜し、前記第2照明軸は前記光軸に対して70°から90°の範囲内の角度θだけ傾斜する。
【0020】
幾つかの実施形態では、前記第1光源及び前記第2光源はリング光である。
【0021】
幾つかの実施形態では、前記第1及び第2画像を撮る間、前記加工対象物は前記第1光源及び前記第2光源によって同時に照明される。
【0022】
幾つかの実施形態では、前記第1及び第2画像を撮る間、前記加工対象物は前記撮像システムの前記カメラに対して静止している。
【0023】
幾つかの実施形態では、本方法は前記加工対象物の第3部分の第3画像を撮るステップであって、前記共通の特徴は第1共通特徴であり、前記第3部分は前記第2画像と部分的に重なり、前記第2画像と共通の第2共通特徴を含む、ステップと、前記第3画像の第3基準系における前記加工対象物の前記第3部分の複数の第3測定値を前記第3画像から求めるステップと、前記第2画像内及び前記第3画像内の前記第2共通特徴を特定するステップであって、前記第2共通特徴は前記第2基準系における第3位置と前記第3基準系における第4位置を有する、ステップと、前記第3位置を前記第4位置と比較し前記第2基準系と前記第3基準系の間の第2空間関係を前記比較に基づいて決定するステップと、前記複数の第3測定値を前記第2空間関係に少なくとも部分的に基づいて前記共通基準系に変換するステップと、前記共通基準系に変換された前記複数の第3測定値を前記一組の寸法に結合するステップとを更に含む。
【0024】
1つの態様では、加工対象物の特徴を測定する方法が提供される。本方法は撮像システムを準備するステップと、前記加工対象物の第1部分の画像を撮るステップであって、前記加工対象物の前記第1部分の前記画像は基準系を画定する、ステップと、前記加工対象物の前記第1部分の前記画像に少なくとも部分的に基づいて複数の第1測定値を算出するステップと、前記加工対象物の第2部分の画像を撮るステップであって、前記加工対象物の前記第1部分と前記加工対象物の前記第2部分は複数の共通特徴を含み、前記第2部分は前記加工対象物の前記第1部分に含まれていない少なくとも1つの特徴を含む、ステップと、前記加工対象物の前記第2部分の前記画像に少なくとも部分的に基づいて複数の第2測定値を算出するステップであって、前記複数の第1測定値と前記複数の第2測定値は前記ハニカム体の交差する壁の寸法又は前記ハニカム押出金型の交差するスロットの寸法に対応し、前記複数の第1測定値の少なくとも1つは前記複数の共通特徴によって画定された第1基準寸法であり、前記複数の第2測定値の少なくとも1つは前記複数の共通特徴によって画定された第2基準寸法であり、前記第1基準寸法は前記加工対象物の前記第1部分の前記画像に少なくとも部分的に基づいて前記複数の共通特徴間の寸法によって定められ、前記第2基準寸法は前記加工対象物の前記第2部分の前記画像に少なくとも部分的に基づいて前記複数の共通特徴間の同じ寸法によって定められる、ステップと、前記第1基準寸法を前記第2基準寸法と比較して変換値を算出するステップと、前記変換値を前記複数の第2測定値に適用して前記複数の第2測定値を前記基準系に変換するステップと、前記複数の第1測定値と前記複数の変換された第2測定値を結合するステップとを含む。
【0025】
別の態様では、加工対象物の寸法を測定するための撮像システムが提供される。本システムは前記加工対象物の画像を撮るように構成されたカメラと、前記加工対象物に対して前記カメラを又は前記カメラに対して前記加工対象物を移動させるように構成されたアクチュエータと、前記カメラ及び前記アクチュエータとデータ通信し該撮像システムに前記加工対象物の第1部分の第1画像を前記カメラを使って撮るステップと、前記第1画像から前記加工対象物の複数の特徴の複数の第1測定値を求めるステップであって、前記複数の第1測定値は前記第1画像の第1基準系に対して測られる、ステップと、前記カメラの視野を前記加工対象物の第2部分に対して位置付けるステップであって、前記第2部分は前記第1部分と部分的に重なり前記第1部分と共通の特徴を含む、ステップと、前記加工対象物の前記第2部分の第2画像を撮るステップと、前記第2画像から前記加工対象物の複数の特徴の複数の第2測定値を求めるステップであって、前記複数の第2測定値は前記第2画像の第2基準系に対して測られ、前記複数の第1測定値と前記複数の第2測定値は前記ハニカム体の交差する壁の寸法又は前記ハニカム押出金型の交差するスロットの寸法に対応する、ステップと、前記第1画像内の前記共通の特徴の第1位置と前記第2画像内の前記共通の特徴の第2位置を特定するステップと、前記第1基準系と前記第2基準系の間の空間関係を前記第1位置と前記第2位置の比較に基づいて決定するステップと、前記複数の第1測定値又は前記複数の第2測定値、又は両方を前記空間関係に基づいて共通基準系に変換するステップと、前記共通基準系に変換された前記複数の第1測定値及び複数の第2測定値を結合することで、前記加工対象物の一組の特徴寸法を生成するステップとを実行させるように構成された制御装置とを備える。
【0026】
幾つかの実施形態では、前記アクチュエータは前記加工対象物又は前記カメラの少なくとも一方を所定の距離移動させることで前記カメラを位置付けるように構成され、前記第1基準系と前記第2基準系の間の前記空間関係は前記所定の距離に少なくとも部分的に基づく。
【0027】
幾つかの実施形態では、前記制御装置は、前記カメラの視野を前記加工対象物の前記第2部分に対して位置付ける時の前記加工対象物又は前記カメラの少なくとも一方の互いに対する移動の誤差を求めるように更に構成される。
【0028】
幾つかの実施形態では、前記誤差は、前記所定の距離を前記共通基準系における前記第1位置と前記第2位置の差と比較することで求められる。
【0029】
幾つかの実施形態では、前記第1基準系と前記第2基準系の間の前記空間関係は前記所定の距離と前記誤差に基づく。
【0030】
幾つかの実施形態では、前記共通基準系は前記第1基準系又は前記第2基準系である。
【0031】
幾つかの実施形態では、前記共通基準系は前記第1基準系及び前記第2基準系と異なる第3基準系である。
【0032】
幾つかの実施形態では、前記加工対象物は複数の縦方向セルを備えるハニカム体である。幾つかの実施形態では、前記共通の特徴は前記ハニカム体の縦方向セルの重心である。
【0033】
追加の実施形態は詳細な説明に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本明細書に取り込まれ一部を成す添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、記述と共に関係する原理を説明するように働き当業者が開示された技術を実施し使用するのを可能にする。
【0035】
開示された技術の特徴及び利点が、類似の符号が対応する要素を示す図面と併せて下記に明記した詳細な説明からより明らかとなるであろう。全図面を通して、類似の符号は同一の、機能的に類似の、及び/又は構造的に類似の要素を概ね示す。要素が最初に現れる図面を対応する符号内の最も左の数字で示す。
【
図3】本書に開示された実施形態において使用されうる一例の撮像システムの側面図である。
【
図7】本書に開示された実施形態に係るハニカム体などの加工対象物の特徴を測定する一例の方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
下記の詳細な説明は本発明の実施形態を例示する添付図面を参照する。しかし、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されず、添付の請求項によって規定される。従って、添付図面に示された実施形態以外の実施形態、例えば例示された実施形態の部分変更バージョンは本発明に包含されることがある。
【0037】
明細書における「1つの実施形態」、「一例の実施形態」などへの言及は、記述された実施形態は特定の特徴、構造、又は特性を含みうることを示すが、全ての実施形態はその特定の特徴、構造、又は特性を必ずしも含まないことがある。また、このような句は同じ実施形態を必ずしも指していない。また、特定の特徴、構造、又は特性が実施形態に関連して説明される時、そのような特徴、構造、又は特性を他の実施形態に関連して実施することを、明示されていてもいなくても当業者は認識すると考えられる。
【0038】
本書に記載した例としての実施形態は、ハニカム体の特徴を測定するための既知の方法及びシステムに比べて改善を提供する。加工対象物の特徴を測定する方法の一例の実施形態は、加工対象物の第1部分の画像を撮り、第1部分の画像に基づいて複数の第1測定値を求め、加工対象物の第2部分の画像を撮り、第2部分の画像に基づいて複数の第2測定値を求め、画像間の重なり領域内の共通の特徴の位置を特定し、画像内の共通の特徴の位置を使って複数の第1測定値、又は複数の第2測定値、又は両方を共通の基準系に変換し、その共通の基準系における測定値を結合することを含む。
【0039】
その改善は既知のシステム、例えば平台スキャナーを利用するシステム及び顕微鏡ベース撮像システムに比べて多数の利点を提供する。改善は、画像を縫い合わせ合成画像を作るのでなく測定データを結合することを含む。これは、画像を繋ぎ合わせることで形成される合成画像について測定値を求める時に生じうる測定データの誤差を低減する。一例の実施形態では、測定データの低減された誤差は、加工対象物の性能特性、例えば 静水圧強度をより正確に予測するのに使用されうる。改善はまた、画像内のパターンバイアスを低減する一方、加工対象物(例えば、ハニカム体又はハニカム押出金型)の端面に亘る画像を撮る時間を低減する。幾つかの例では、改善はまた、加工対象物の部分の高解像度画像を提供する。更にまた、改善は暗い材料及び明るい材料から作られる加工対象物に有効であり、加工対象物の端面全体をより短い時間で検査するのを許す。
【0040】
図1及び2は代表的なハニカム体100を例示する。ハニカム体100は複数の間隔を空けられ交差する内壁102又はウェブを有し、内壁102は第1端面104から第2端面106までハニカム体100を通して縦方向に延在する。複数の内壁102は結合され複数のチャネル108又はセルを画定し、これらはハニカム体100のセルラーハニカム構造を形成する。ハニカム体100はまた、ハニカム体100の外殻112と交差する通常、部分チャネルである周縁チャネル110を備える。図示のように、ハニカム体100は正方形断面形状のチャネル108を備えるが、チャネル108は他の断面形状、例えば三角形、六角形、八角形、くさび形、又はこれら又は他の形状の組み合わせを有しうる。同様に、ハニカム体100は図示のように円形断面形状を有するが、他の形状、例えば矩形、正方形、三角形もしくは三葉形、又は楕円形などを使用できる。ハニカム体100は第1端面104と第2端面106の間を延在しチャネル108の縦軸と概ね平行な縦軸Lを有する。
【0041】
ハニカム体100はどんな所望のやり方、例えばセラミック形成混合物を押出金型によって押し出し成形して素地を形成し、素地を乾燥し、素地をある長さに切断し、素地を焼いてセラミック材料を形成することでも、形成されうる。ハニカム体100のセラミック材料は多孔性セラミック材料でありうる。ハニカム体は素地(焼く前)又はセラミック(焼いた後)の時に検査されうる。ハニカム体100は、壁102に触媒材料を詰め込むことで触媒式浄化装置組立体において利用され、及び/又は幾つかのチャネル108に栓をする(例えば、複数のチャネル108の入口面と出口面に交互に栓をする)ことで微粒子フィルター組立体において利用されうる。
【0042】
図3を参照すると、ハニカム体100の高解像度画像を撮るのに使用されうる一例の撮像システム320が説明される。撮像システム320はハニカム体100の部分の画像を撮るのに使用されうる。画像は機械視覚ソフトウェアを使って分析されハニカム体100の特徴の測定データが収集されうる。幾つかの実施形態では、撮像システム320はハニカム体100の少なくとも5000×5000ピクセル、少なくとも10000×10000ピクセル、又は少なくとも20000×20000ピクセルもの解像度の画像を収集するように構成される。撮像装置320はカメラ322及びレンズ324を備える。本書で説明するように、撮像装置320はまた、第1光源326、第2光源328、部品保持器330、及び制御装置332を備えうる。
【0043】
カメラ322はハニカム体100の第1側に配置されハニカム体100の端面(例えば、入口面104又は出口面106)の高解像度画像を撮るように構成される。カメラ322はハニカム体100に対応するデジタル画像データを記録するように構成されたデジタルカメラであり、ハニカム体100の特徴の測定データを収集しうる。デジタル画像データは、レンズ324を通ってカメラ322内のデジタル画像センサー上に投影されたハニカム体100の画像に少なくとも部分的に基づく。カメラ322は単色又は多色画像データを収集するように構成されうる。使用されうる代表的なデジタルカメラはDalsa Falcon 4 86MPデジタルカメラ、Prosilica GT 6600 28.8MPデジタルカメラ、及びAdimec S25A80 25MPデジタルカメラであるが、他のカメラも可能である。幾つかの実施形態では、カメラ322はハニカム体100の物理的寸法に関係する解像度を有し、1ピクセル当たり約4~50μm(μm/ピクセル)に対応する。
【0044】
レンズ324は光軸OPを有する。レンズ324はカメラ322と一体か又はカメラ322に他のやり方で光学的に結合され、ハニカム体100の画像(例えば、ハニカム体100からの反射光の形態で)はレンズ324を通過してカメラ322、例えばカメラ322の画像センサーに向けられる。レンズ324は任意の選択された倍率を提供し所望の寸法解像度を提供しうる。レンズはテレセントリック又はマクロレンズとして構成されうる。実施形態では、レンズは倍率1x、テレセントリック性0.03°、及び歪み0.02%のテレセントリックレンズである。使用されることがある代表的なレンズは、米国Opto Engineering社のTC16M036レンズを含む。
【0045】
撮像システムは可動台334を備えうる。可動台334はハニカム体100とカメラ322の間の相対移動を提供する、例えばカメラ322とレンズ324をハニカム体100に向かう及び離れる方向、例えば
図3に示されたZ軸に平行な方向に移動させるように構成される。可動台334は、ハニカム体100の選択された部分がレンズ324の被写界深度内に位置するように相対移動を提供するのに使用されうる。一例の実施形態では、レンズ324の被写界深度は5mm未満であり、別の一例の実施形態では、レンズ324の被写界深度は約1mmである。
【0046】
第1光源326はハニカム体100の第1側、即ち、ハニカム体100のカメラ322及びレンズ324と同じ側に配置されうる。その位置は第1光源326がハニカム体100のレンズ324に最も近い端面を直接照明するのを可能にする。第1光源326はレンズ324に近接して配置されレンズ324に結合されうる。第1光源326は概ね環状でレンズ324の光軸OP(及び視野)に外接する高強度単色リング光でありうる。第1光源326は光軸の周りに分散された複数の光源、例えば発光ダイオード(LED)から構成されうる。幾つかの実施形態では、第1光源326の複数の光源は選択された色の均一な単色光、例えば単色緑色光を放出するように選択される。
【0047】
図3に示すように、第1光源326はハニカム体100の直接明視野照明を提供するように構成されうる。幾つかの実施形態では、第1光源326は明視野照明を提供し、照明軸がレンズ324の光軸OPと、例えば約0°(平行)と約45°の間又は約0°と20°の間の範囲内の低い照明角度αを形成する。低い照明角度αによりハニカム体100の端面から反射する光はレンズ324内に戻される。一例の実施形態では、第1光源326はリング光として構成される、幾つかの実施形態では、第1光源326はレンズ324に結合される。一例の実施形態では、光源326によって提供される照明角度αはレンズ324の光軸OPに対して20°未満であり、別の一例の実施形態では、照明角度αは15°未満であり、更に別の実施形態では、照明角度αは約10°と約0°の間である。
【0048】
撮像装置320はハニカム体100の暗視野照明を提供するように構成された第2光源328を任意選択で含みうる。暗視野照明を提供する光源の追加は、明視野照明だけで撮られた幾つかの画像に含まれるパターンバイアス、即ち、ハニカム体100の端面の画像の部分の歪みを低減するのに有用でありうると発明者らによって判断された。幾つかの実施形態では、第2光源328はレンズ324の光軸OPと、例えば約45°と約90°の間又は約70°と約90°の間の範囲内の高い照明角度θを形成する照明軸を提供する。幾つかの実施形態では、第2光源328は第1光源326の構成と同様のリング光として構成されるが、異なる照明角度を提供する。一例の実施形態では、第2光源328の照明角度θはレンズ324の光軸OPに対して45°超又は70°超、又は75°超又は約75°と約90°の間でさえある。
【0049】
第2光源328はハニカム体100の近くに位置し暗視野照明を提供しうる。第2光源328は、ハニカム体100と撮像システム320の間の相対移動の間にハニカム体100と第2光源328の衝突のリスクなく、ハニカム体100の可能な限り近くに配置されうる。一例の実施形態では、第2光源328はハニカム体100から10mm未満だけ隔てられ、別の一例の実施形態では、約6~7mmだけ隔てられる。
【0050】
部品保持器330は、ハニカム体100の選択部分が撮像されうるようにハニカム体100を所望の向きに保持及び/又は配置するように構成される。部品保持器330は可動台336、例えばXY台及び/又は傾斜台を備え、ハニカム体100をカメラ322及びレンズ324に対して移動できる。ハニカム体100とカメラ322及びレンズ324の間の相対的X軸、Y軸、及びZ軸移動は、部品保持器330に直接、又はカメラ322及びレンズ324に直接、又は両方に結合されたアクチュエータを使って実行されうる。
【0051】
制御装置332はハニカム体100と撮像システム320の間の相対移動、画像の取り込み、画像の処理、及び本書で説明される測定データの結合を制御しうる。制御装置332はプロセッサ、データ記憶部、及び表示器を備えうる。ハードウェア部品と共に、制御装置332は撮像システム320の部品の動作、例えばカメラ322が画像を撮る、又は部品保持器330がハニカム体100と撮像システム320の相対位置を変えるのを指示するように構成されたソフトウェアを含みうる。また、制御装置332は画像測定ソフトウェアを実行することで特徴測定を実行するように構成されうる。制御装置332はまた、画像を収集し処理するためのユーザーインターフェースを提供する画像取得及び処理ソフトウェアを含みうる。
【0052】
幾つかの実施形態では、撮像システム320は距離センサー340を含む。距離センサー340は、例えばハニカム体100とレンズ324の距離を測定することでハニカム体100の有無及び/又はハニカム体100の位置を特定するのに使用されうる。ハニカム体100とレンズ324の距離はカメラ322及びレンズ324のための可動台334とハニカム体100のための可動台338を制御するのに使用されうり、ハニカム体100は撮像のためにレンズ324の被写界深度内に配置される。幾つかの実施形態では、距離センサー340はレーザー線表面形状測定装置である。
【0053】
ハニカム体100の様々な物理的な特徴を撮像システム320を使って測定できる。例えば、壁102及び/又はチャネル108の寸法を測定できる。幾つかの例では、撮像システム320を使って撮像及び測定される特徴は、物理的な欠陥、即ち、ハニカム体100の設計形状寸法と異なる形状寸法(例えば、寸法又は形状)を含む。例えば、破損、ひび、亀裂、又は欠けのある壁は欠陥と認識されうる。形状寸法欠陥はハニカム体100の押し出し成形又は他の製造工程中に生じることがあり、それらの欠陥はハニカム体100の静水圧強度などの特性を変えることがある。
【0054】
図4を参照すると、ハニカム体100の個別の部分に関するハニカム体100の複数の画像が撮られる。ハニカム体100と撮像システム320を互いに対して移動させハニカム体100の個別の部分を撮像する。移動はステップ移動又は連続的であってよい。一例の実施形態では、ハニカム体100を横切ってステップ移動することで撮像システム320を使ってハニカム体100の端面に適合した2次元グリッドパターン、例えば
図4に示すグリッドに従って画像を撮る。各画像を撮る間、ハニカム体100と撮像システム320は互いに対して静止状態に保持されうる。グリッドパターンに沿って画像を撮ると、複数の画像が画像の行444a~g及び列446a~gに配列される。グリッドは特定の部品サイズ、例えば選択されたハニカム体の直径に基づいてサイズが決められうる。或いは、グリッドは最大の大きさのハニカム体を覆うのに十分大きいサイズを有しうり、その最大までの大きさのどんな加工対象物の画像も撮ることを許す。
【0055】
ハニカム体100全体の複数の画像を収集することで、それらの画像はそうでなければ画像を収集するカメラで可能であるより高解像度を有することになりうる。即ち、各画像は、ハニカム体100全体を撮像するのでなくハニカム体100の一部を撮像するように構成されうる。結果として、カメラの全解像度が各画像においてハニカム体100の一部だけを撮像するのに使用されうる。
【0056】
図4に示すように、グリッドパターンは端を切り取られうり、複数の画像は各行又は各列で同じ数の画像を含む必要はない。例えば、グリッドパターン内の画像でハニカム体100のどんな部分も撮像しない画像を収集する必要はない。
【0057】
各撮られた画像は1つ以上の隣接する画像と少なくとも部分的に重なる。隣接する画像は、それらの隣接する画像に撮像されたハニカム体100の部分が少なくとも1つの共通の特徴を含むように配置される。例えば、共通の特徴は、チャネル108のうち特定の1つの重心、チャネル108のうち特定の1つの特定の隅、又は他の視覚的に特定可能な特徴でありうる。本書に説明するように、隣接する画像の重なり及び画像により捕えられた共通の特徴は、複数の画像から集められた測定データを結合するために使用される情報を提供する。下記により詳細に説明するように、隣接する画像内の共通の特徴の特定された位置は、隣接する画像間の空間関係を決定するのに使用される。それらの関係は次にそれら隣接する画像から求めた測定データを共通の基準系に変換するのに使用される。測定データが共通の基準系に変換された後、そのデータは結合されハニカム体100の一組の特徴寸法を生成しうり、画像を繋ぎ合わせる必要がない。
【0058】
図4の実施形態では、画像の第1行444aは5つの画像から成る。説明の容易さのために、3つのそのような画像が第1画像448、第2画像450、及び第3画像452と特定される。第1画像448はハニカム体100と撮像システム320の間の第1相対位置から撮られうる。第2画像450はハニカム体100と撮像システム320の間の第2相対位置から撮られうる。第3画像452はハニカム体100と撮像システム320の間の第3相対位置から撮られうる。各行及び列の各続く画像についても同様である。行内の隣接する画像は重なり領域を含む。例えば、重なり領域449は、第1画像448で描かれたハニカム体100の部分の幅より小さい第1相対位置と第2相対位置の距離を選択することで第1画像448と第2画像450の間に作られる。重なり領域449は隣接する画像にハニカム体の共通の特徴が示されていること、即ち、同一の特徴が第1画像448及び第2画像450両方に示されていることを保証する。同様に、重なり領域451で示すように第2画像450も第3画像452と重なる。また、各列内の隣接する画像は重なり領域を含みうる。例えば、第1行444aの第1画像448の一部と第2行444bの第2画像456の一部(両方とも列446bに含まれる)は重なり領域453で重なる。一例のグリッドパターンでは、各画像は5mm~50mm角の視野、例えば約20mm~30mm角の視野を描き、画像間ステップサイズは視野の幅の約50%~90%である。例えば、1つの実施形態では、約15mmのステップサイズが約20mm~25mmの画像サイズに対して使用され、約5mm~10mmの隣接画像間重なりを生成する。
【0059】
各画像について生成された測定データは画像特定測定値及びセル属性測定値を含みうる。画像特定測定値は画像X指標(即ち、画像の既知の位置のx座標、例えば画像の重心のx座標)及び/又は画像Y指標(即ち、画像の既知の位置のy座標、例えば画像の重心のy座標)を含みうる。X及びY指標を使うことで、画像同士の互いに対する相対位置を確立できる。例えば、
図4の例を参照すると、X指標は列と相互に関係し、Y指標は各画像がいる行と相互に関係しうる。相対位置、例えば行及び列が分かると、画像間の近接性も決定されうる。
【0060】
セル属性測定値はセル壁角度、水平及び垂直セルピッチ、水平及び垂直壁厚み、水平及び垂直壁反り量、せん断角、ウェブ歪み、セル面積及びアスペクト比、周囲長さなどを含みうる。測定データは1つ以上のプロセッサ(例えば、制御装置332に含まれるプロセッサ)によって実行される機械視覚ソフトウェアを使って画像から抽出されうる。寸法データを画像から抽出するシステム及び方法の例は2012年10月9日に発行された米国特許第8285027号及び2018年6月12日に発行された米国特許第9996766号に記載されている。それらの全体を本明細書に引用する。1つ以上のプロセッサは撮像システムに組み込まれても、又はネットワークを通じて通信する別々のプロセッサであってもよい。一例では、OpenCVなどのコンピュータ視覚ライブラリーを使用できる。
【0061】
従って、上述したように、各画像内に捕えられた様々な特徴の測定データ(例えば、ハニカム体100のセル108及び/又は壁102の寸法データ)が集められうる。有利にも、システム320は、測定データの複数の部分は複数の異なる画像から抽出されるにも拘らず、測定データが結合され共通データセットになるのを可能にする。特に、システム320は、後に続く画像の撮像の間にカメラ又はハニカム体を移動させる時に誤差が生じても、そのような測定データの結合を可能にする。また、上述したように、システム320は、全ての画像を1つの合成画像に繋ぎ合わせる必要なしにそのような結合された測定データセットを生成できる。有利にも、画像を繋ぎ合わせる必要を回避することは、撮られた画像から測定データを抽出するのに必要な計算時間と資源をかなり低減し、そうでなければ可能でない画素分解能で画像を分析するのを維持する。
【0062】
図5A~5Cを参照すると、撮像システム320の動作の更なる詳細が理解されうる。上述したように、ハニカム体100は複数の画像、例えば第1画像670と第2画像672(例えば、
図4に関して説明した画像448と450に類似)を撮ることで撮像される。明確さのために、第1画像670の視野は一点鎖線で示され、第2画像672の視野は二点鎖線で示される。第1及び第2画像670及び672は隣接して位置し、重なり領域678(例えば、
図4の重なり領域449に類似)を共有する。従って、重なり領域678に描かれたハニカム体100の部分内の特徴、例えば物理的構造又は形状寸法は、第1画像670と第2画像672両方に共通である(第1画像670及び第2画像672によって描かれたハニカム体100の第1及び第2部分にも共通である)。
【0063】
図5A~5Cの例では、第1セル674の重心C1は重なり領域678に位置し、従って、第1画像670及び第2画像672の共通の特徴として使用されうる。即ち、第1画像670及び第2画像672両方が第1セル674の重心C1を描き、重心C1は第1画像670及び第2画像672のそれぞれで特定されうる。可動台334及び336の状態を制御し監視することで、
図5Aに示すように、第1画像670及び第2画像672のそれぞれを撮る時、カメラ322(及び/又はレンズ324)に対するハニカム体100の位置がグローバル基準系に関して分かる。グローバル基準系は画像の互いに対する位置、例えば上述したX及びY指標を決めるのに使用されうる。例えば、
図5の例を参照すると、グローバル基準系は行及び列を決める系でありうる。従って、カメラ322及び/又はハニカム体100を所定の量(即ち、前記ステップサイズ)だけ他方に対してグローバル基準系のX及び/又はY方向にステップ移動させ、画像を連続して撮ることができる。
【0064】
下記により詳細に説明するように、ハニカム体100に対するカメラ322(及び/又はレンズ324)の位置は上記で既知とされるが、この位置の精度にある程度の不確かさ又は誤差がありうる。それに応じて、各撮られた画像はグローバル基準系とは別の基準系を有しうる。例えば、
図5Aで第1画像670は第1基準系を有し、第2画像672は第2基準系を有する。基準系はグローバル基準系と同じ座標系(例えば、X及びY軸)及び向きを使用しうる(例えば、第1及び第2画像670及び672の第1及び第2基準系のX及びY軸はグローバル基準系のX及びY軸とそれぞれ平行でありうる)。統一するために、画像の基準系は各画像に対して同じ位置、例えば
図5A~5Cの向きに対して各画像の左下隅に設定されうる。
【0065】
従って、重心C1は第1位置に位置し、
図5Bに示すように第1画像670によって画定される第1基準系における第1座標(X
11,Y
11)を有する。本書で使用されるように、座標Xnmは「m」基準系における特徴「n」のX軸座標を表すのに使用される。従って、X
11は第1基準系における第1共通特徴(例えば、重心C1)を示し、X
12は第2基準系における第1共通特徴(例えば、重心C1)を示す。従って、カメラ322をハニカム体100に対して移動させ第2画像672を撮った後、同じ重心C1はまた、第2位置に位置し、
図5Cに示すように第2画像672によって画定される第2基準系における第2座標(X
12,Y
12)を有する。例えば、
図5Aに関して、第1位置は第1画像670の第1基準系に対して右側近くにあり、第2位置は第2画像672の第2基準系に対して左側端近くにある。言い換えると、これらの座標はグローバル基準系ではなくそれぞれの対応する基準系に対して決定されるので、座標X
11の値は座標X
12の値より大きいと予想される。
【0066】
図5Aを参照すると、カメラ322(及び/又はレンズ324)に対するハニカム体100の相対位置決めが第1及び第2画像を撮る間の移動誤差を呈示しない場合、第1画像670の視野は第2画像672の視野に対して予想される距離Sだけグローバル基準系において移動させられる。即ち、予想される距離Sは制御装置332が可動台334及び/又は336に取るよう指示するステップサイズを表す。従って、移動誤差がなく視野のサイズが不変であれば、第2基準系における第2座標(X
12,Y
12)は、重心C1の第1座標(X
11,Y
11)から予想される距離(例えば、距離S)を減算することで得られうる。この例では、第2画像672は第1画像670に対してX方向だけにずれている(即ち、第1画像670と第2画像672は同じ行にあり、従って、グローバル基準系におけるY指標又は座標は同じはずである)。従って、測定値、例えば1つの基準系において決定された重心C1の座標は、少なくとも部分的に距離Sに基づいて次の座標関係に従って他方の基準系に変換されうる(誤差なしを仮定して)。もし第1画像と第2画像の間の近接性がX方向でステップサイズSを持つなら、
X
12=X
11-S (1)
Y
12=Y
11 (2)
もし第1画像と第2画像の間の近接性がY方向でステップサイズSを持つなら、
X
12=X
11 (3)
Y
12=Y
11-S (4)。
【0067】
これらの関係に基づいて、第1画像670と第2画像672のどちらのどの測定された特徴の座標もどちらの基準系にも変換されうる。例えば、第1画像670によって画定される第1基準系で測定された座標は、Y座標は不変で各X座標から距離Sを減算することで第2画像672によって画定される第2基準系の座標に変換されうる。従って、この変換は第1基準系又は第2基準系のどちらかを共通基準系として使用するのを可能にする。ハニカム体100の他の特徴に対応する測定値も同様に共通基準系に変換されうる。例えば、第2画像に描かれたセルnの重心Cnは第2基準系における座標(Xn2,Yn2)を有し、第1基準系における座標に変換されうる。各所望の測定値が共通基準系に変換されると、それらは1つの共通測定データセットに結合されうり、複数の画像の画像データを結合する必要がない。
【0068】
第2画像672に示された他の特徴の測定値も第2画像672内の共通の特徴に対して決定されうる。特に、第2画像672にだけ示された特徴の測定値は、他の画像だけに示された特徴を共通の特徴と関係付けることでそれらと結合されうる。例えば、第2画像672にだけ示された重心Cnの座標などの測定値が決定されうる。第2画像672内で、共通の特徴、重心C1と重心Cnは、X方向に距離dxだけY方向に距離dyだけ互いに離れており、座標は次の関係を有する。
Xn2=X12+dx (5)
Yn2=Y12+dy (6)
複数の画像の決定された複数の測定値が共通基準系に変換されると、それらの測定値は1つの共通測定データセットに結合されうる。
【0069】
この例は第1画像670に対してX方向にだけ距離S平行移動させた第2画像672を含むが、これらの画像はX及びY方向のどちらか又は両方にずれ、座標関係はそれに応じて変更されうる。例えば、
図4に示すようなグリッドパターン内の複数の画像からの測定データを結合することは、共通基準系に対する各画像の異なる空間関係を適用することを必要とする。
【0070】
追加の画像が撮られ、画像から測定値が収集されうる。後に続く画像から生成された測定データは間にある隣接画像からの変換を使って共通基準系に変換されうる。例えば、重なり領域がないように第1画像670から隔てられた第3画像から生成された測定値は、第1画像670と第2画像672の間の測定値変換と第2画像672と第3画像の間の測定値変換とを組み合わせることで共通基準系に変換されうる。
【0071】
別の例では、測定値は、位置付け誤差を求め及び/又はそれに対して補正した後、共通基準系に変換されうる。例えば、位置付け誤差は特定の基準系における共通の特徴の予想される位置をその基準系におけるその共通の特徴の実際の位置と比較することで求められうる。例えば、上述のように、上記例では、X
12=X
11-SとY
12=Y
11が予想される。しかし、予想される位置と実際の位置の間の誤差は、連続する各画像を撮る間にカメラ322とハニカム体100を互いに対して移動させる時に生じうる。例えば、重心C1の第2位置は、予想される第2位置と異なる第2画像672内の位置(
図5Cに破線で示す)でありうる。特に、実際の第2位置はC1’として示され、座標(X
12’,Y
12’)を有し、予想される第2位置は座標(X
12,Y
12)を有する。この例では、相対位置付けの誤差は、X座標誤差e
x1とY座標誤差e
y1を生じ、座標は次の関係を使って変換されうる。もし第1画像と第2画像の間の近接性がX方向でステップサイズSを持つなら、
X
12’=X
11-S+e
x1 (7)
Y
12’=Y
11+e
y1 (8)
もし第1画像と第2画像の間の近接性がY方向でステップサイズSを持つなら、
X
12’=X
11+e
x1 (9)
Y
12’=Y
11-S+e
y1 (10)。
【0072】
これらの関係に基づいて、第2画像672からのどの測定された特徴の座標も、各X座標を距離SとX軸誤差で調整しY座標をY軸誤差で調整することで、第2画像672によって画定された第2基準系における座標から第1画像670によって画定された第1基準系における座標へより正確に変換されうる。
【0073】
図6A~6Cを参照すると、重なり領域内に示された複数の共通特徴はまた、測定データを結合する前にスケーリング誤差(個々の画像を撮る時のレンズ324の視野のサイズの変化)を求めるのに使用されうる。第1画像770は、第1特徴、例えば第1セル774の重心C1と第2特徴、例えば第2セル776の重心C2とを含むハニカム体100の第1部分を描く。第2画像772はハニカム体100の第2部分を描き、ハニカム体100の第1部分の少なくとも一部を含み、重なり領域778を画定する。第1画像770と第2画像772は、重なり領域778が第1セル774の重心C1と第2セル776の重心C2を含むようにサイズ及び向きが決められる。その結果、第1画像770と第2画像772両方が第1セル774の重心C1と第2セル776の重心C2を描く。
【0074】
重心は第1画像770と第2画像772内の共通の特徴を提供する。第1画像770と第2画像772内で測定されうる寸法、例えば重心間の距離は、画像から生成された測定データを正規化してそれらの画像がハニカム体100の部分を同じスケール又は倍率で描くのを保証するのに使用されうる。例えば、画像から測定データを生成することは、第1画像770に基づいて重心C1と重心C2の距離と第2画像772に基づいて重心C1と重心C2の距離とを生成することを含みうる。第1画像770から抽出した重心C1と重心C2の距離は、
図6Bに示す第1基準寸法R1を画定する。第2画像772から抽出した重心C1と重心C2の距離は、
図6Cに示す第2基準寸法R2を画定する。第1基準寸法R1は第2基準寸法R2と比較されスケーリング誤差を算出する。スケーリング誤差は複数の画像から測った測定値からの測定データに、結合され共通測定データセットになる前に適用され、全ての測定データを正規化しうる。
【0075】
次に、データを結合することは、測定データを結合して1つの共通測定データセットにすることから成る。例えば、基準画像から抽出した測定データと後に続く画像から抽出し変換された測定データは結合されハニカム体100全体の一組の測定データになる。測定データを結合するステップは、画像の重なり領域から抽出した測定値に起因する重複する測定データを除去することも含みうる。結果として、撮像によって生じる誤差を低減し重複する測定データのない一組の測定データが生成される。
【0076】
図7は加工対象物、例えばハニカム体100の特徴を測定するためのフローチャート560を示す。ハニカム押出金型はハニカム体100の特徴に対応する特徴(例えば、壁102を形成する押出金型のスロット及びチャネル108を形成する押出金型のピン)を有するので、撮像システム320及び方法560はハニカム押出金型のピン及びスロットの寸法を検査するために使用されうる。即ち、ハニカム体及びハニカム押出金型両方が本書に記述したハニカムパターンを有する加工対象物である。例えば、
図2の画像はハニカム押出金型も表しうり、符号108はピンを示し、符号102はピン間に形成されたスロットを示す。フローチャート560は
図3に示す撮像システム320を使って、
図4、5A~5C、及び6A~6Cに関して説明したように実行されうる。追加の構造及び動作の実施形態はフローチャート560に関する説明に基づいて当業者には明らかであろう。
【0077】
図7に示すように、フローチャート560の方法はステップ562から始まる。ステップ562では、加工対象物(例えば、ハニカム体100)の検査がその加工対象物を撮像システム(例えば、撮像システム320)に装填することで始まる。例えば、ハニカム体100は部品保持器330上に装填されうる。
【0078】
ステップ564では、加工対象物の位置を求める。特に、撮像システム320に対するハニカム体100の位置を求める。一例の実施形態では、ハニカム体100の位置はレンズ324とハニカム体100の距離を測定することで求められる。距離は撮像システム320の距離センサー340を使って測定されうる。距離は加工対象物上の複数の位置において測定されうり、レンズ324の光軸に対する加工対象物の端面の角度を求めることができる。
【0079】
ステップ566では、加工対象物はカメラ(例えば、カメラ322及び/又はレンズ324)に対して配置され、加工対象物の一部を撮像するための所望の位置合わせと位置付けを提供する。一例では、ハニカム体100は、XY平面内を平行移動させ、X軸及び/又はY軸の周りに傾けることでハニカム体100の所望の部分がカメラ322及びレンズ324の視野内に配置されるように、レンズ324に対して配置される。ハニカム体100は、端面がレンズ324の光軸に垂直であるように傾けられうり、撮像を向上させる。XY平面内を移動は
図4に示したグリッドパターン内の位置に対応する。ハニカム体100は、可動台、例えばカメラ322及びレンズ324の可動台334及び/又は可動台336の任意の組み合わせを使ってレンズ324に対して配置されうる。可動台はハニカム体と撮像システム320の相対位置の精度及び再現性が所定の許容範囲内で既知であるように選択される。例として、可動台の精度は、隣接画像に示された共通の特徴の位置がセル幅の半分である許容範囲内で既知であるように選択される。別の一例の実施形態では、可動台の精度は、隣接画像に示された共通の特徴の位置が20画素である許容範囲内で既知であるように選択される。このように、移動に何らかの誤差があり特徴が正確に予想した所になくても、小さい許容範囲内であるのでこの特徴はなお特定されうる。
【0080】
ステップ566はまた、加工対象物と撮像システムの相対的なZ軸位置を、加工対象物を撮像システムの被写界深度内に配置する距離に設定することを含む。一例の実施形態では、カメラ322及びレンズ324をハニカム体100に対してZ軸に平行な方向に可動台334によって平行移動させる。この移動はハニカム体100の端面をレンズ324の被写界深度内に配置し、ハニカム体100の一部に焦点が合う。ステップ566及び568における移動の組み合わせが、撮像システムにおける加工対象物の自動水平化及び自動焦点を効果的に提供する。
【0081】
ステップ568では、画像が撮られる。例えば、ハニカム体は照明され、加工対象物の少なくとも一部の画像が撮られる。一例の実施形態では、プロセッサ(例えば、制御装置332が備える)はハニカム体がグリッド内の所望の位置に位置する(例えば、所望のX及び/又はY座標又は指標を持つ)と判断し、第1及び第2光源に加工対象物を照明するよう指示し、及び/又はカメラ322にハニカム体100の画像を撮るよう指示する。
【0082】
ステップ570では、加工対象物の特徴は撮られた画像を分析することで測定される。言い換えると、ハニカム体100の特徴の寸法、例えば壁102及び/又はチャネル108の寸法に関する測定データは撮られた画像から抽出される。画像はハニカム体100の特徴の種類、位置、及び寸法を特定するのに使用される。ハニカム体100の特徴に対応する測定データは画像毎にまとめられる。一例の実施形態では、ハニカム体100と撮像システム320は
図4に示すようなグリッドパターン内の位置から位置へステップ移動させられ、画像が各位置で撮られ分析される。
【0083】
ステップ572では、測定データは、画像の各隣接ペア間の重なり領域内の共通の特徴を使って共通基準系に変換され、ステップ574で測定データは結合され1つの測定データセットになりうる。このように、測定データは異なる基準系を有する複数の画像から抽出されるにも拘らず、結合された測定データセットは加工対象物全体に対応する。一例の実施形態では、測定データは全測定データが1つの座標系に対応するように正規化され、正規化された測定データは1つの基準系に変換され結合されうる。一例の実施形態では、複数の画像のうち1つが、全測定データの共通基準系として使用される基準系を画定するために選択されうる。或いは、複数の画像のどんな基準系とも異なるグローバル基準系が全測定データの共通基準系として使用されてもよい。隣接する画像からの測定データは収集され、それらの隣接する画像に捕えられた共通の特徴に対応する測定データを含む。共通の特徴は複数の画像からの測定データが共通基準系に変換されるのを許し、全測定データが結合され1つの測定データセットになりうる。
【0084】
共通の特徴はハニカム体100の両方の画像に捕えられた1つ以上の特徴でありうる。共通の特徴は2つの画像の重なり領域に示された1つのセルの隅柱、1つのセルの重心、複数のセルの重心などでありうる。共通の特徴は形状寸法欠陥、例えば曲がった壁、途切れた壁、壁厚み異常、又は別の壁欠陥の測定値でありうる。共通の特徴に基づいて、画像間の空間関係、例えばX及び/又はY方向の相対ずれを求めうり、測定データを任意の画像の基準系から共通基準系に変換するのに使用されうるので、共通基準系に基づいて、全測定値が結合され1つの測定データセットになりうる。
【0085】
共通の特徴の特定はまた、所定の予想されるオフセット距離に基づいて画像の互いに対する位置付けの誤差を求めるのに使用されうる。例えば、画像内の共通特徴の測定された位置を、所定の予想されるオフセットに基づいて予想されるその画像内のその共通特徴の位置と比較して、次々画像を撮る間のハニカム体100と撮像システム320の相対移動の誤差を求めることができる。任意の誤差と結合された所定の予想されるオフセット距離は、第1基準系と第2基準系の間の空間関係に対応する画像間の空間関係を決定するのに使用されうる。
【0086】
加えて、隣接する画像における複数の共通特徴間の寸法は、スケーリング誤差などの誤差を求めるのに使用されうる。例えば、同じ寸法は隣接する画像のそれぞれで測定され第1基準寸法及び第2基準寸法を提供しうる。それらの寸法の測定された値は比較され隣接する画像間でスケーリング誤差などの誤差があるかを判断する。誤差がなければ、第1基準寸法と第2基準寸法は同じである。しかし、撮像誤差があれば、基準寸法は異なり、その差は変換値を定めるのに使用されうる。この変換値は測定データに適用されて、正規化され共通基準系に変換された測定データを生成しうる。
【0087】
一例の実施形態では、各画像は分析され次の位置に移動する前に測定データを抽出し、ステップ566、568、570、及び572がハニカム体100の端面全体が撮像されるまで繰り返され測定データを求めて分析される。しかし、ステップ570及び/又は572は画像毎にステップ568の直後に実行される必要はなく、画像及び/又は抽出された測定データは保存され(例えば、制御装置332のデータ記憶部に)後で分析されうる。
【0088】
ステップ574では、測定データは結合される(例えば、制御装置332によって)。本書で説明したように、合成画像を作成し合成画像から測定値を抽出するのでなく、複数の画像のそれぞれから生成された測定データが直接結合される。
【0089】
主題が構造特徴及び/又は動作に特有の言葉で説明されたが、添付の請求項に規定された主題は上述した特定の特徴又は動作に必ずしも限定されないことは理解されるべきである。むしろ、上述した特定の特徴及び動作は請求項を実施する例として開示され、他の等価な特徴及び動作は請求項の範囲内であると意図されている。
【0090】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0091】
実施形態1
ハニカム体又はハニカム押出金型から成る加工対象物の特徴を測定する方法であって、
前記加工対象物の第1部分の第1画像を撮像システムのカメラを使って撮るステップと、
前記第1画像の第1基準系における前記加工対象物の前記第1部分の複数の第1測定値を前記第1画像から求めるステップと、
前記加工対象物又は前記カメラの少なくとも一方を他方に対して移動させるステップと、
前記加工対象物の第2部分の第2画像を前記カメラを使って撮るステップであって、前記第1部分と前記第2部分は少なくとも部分的に重なり共通の特徴を共有する、ステップと、
前記第2画像の第2基準系における前記加工対象物の前記第2部分の複数の第2測定値を前記第2画像から求めるステップであって、前記複数の第1測定値と前記複数の第2測定値は前記ハニカム体の交差する壁の寸法又は前記ハニカム押出金型の交差するスロットの寸法に対応する、ステップと、
前記第1画像と前記第2画像内の前記共通の特徴を特定するステップであって、前記共通の特徴は前記第1基準系における第1位置と前記第2基準系における第2位置を有する、ステップと、
前記第1基準系と前記第2基準系の間の空間関係を前記第1位置と前記第2位置の比較に基づいて決定するステップと、
前記複数の第1測定値又は前記複数の第2測定値、又は両方を前記空間関係に少なくとも部分的に基づいて共通基準系に変換するステップと、
前記共通基準系に変換された前記複数の第1測定値及び複数の第2測定値を結合することで、前記加工対象物の一組の特徴寸法を生成するステップと
を含む方法。
【0092】
実施形態2
前記移動させるステップは、前記加工対象物又は前記カメラの少なくとも一方を所定の距離移動させるステップから成り、前記第1基準系と前記第2基準系の間の前記空間関係は前記所定の距離に少なくとも部分的に基づく、実施形態1記載の方法。
【0093】
実施形態3
前記加工対象物又は前記カメラの少なくとも一方を互いに対して移動させる時の誤差を求めるステップを更に含む実施形態2記載の方法。
【0094】
実施形態4
前記誤差は、前記所定の距離を前記共通基準系における前記第1位置と前記第2位置の差と比較することで求められる、実施形態3記載の方法。
【0095】
実施形態5
前記第1基準系と前記第2基準系の間の前記空間関係は前記所定の距離と前記誤差に基づく、実施形態3記載の方法。
【0096】
実施形態6
前記共通基準系は前記第1基準系である、実施形態1~5のいずれかに記載の方法。
【0097】
実施形態7
前記共通基準系は前記第2基準系である、実施形態1~6のいずれかに記載の方法。
【0098】
実施形態8
前記共通基準系は前記第1基準系及び前記第2基準系と異なる第3基準系である、実施形態1~7のいずれかに記載の方法。
【0099】
実施形態9
前記第1及び第2基準系は両方とも直交座標系に適合する、実施形態1~8のいずれかに記載の方法。
【0100】
実施形態10
前記共通基準系における前記複数の第1測定値及び前記複数の第2測定値を結合した後、重複する測定値を除去するステップを更に含む実施形態1~9のいずれかに記載の方法。
【0101】
実施形態11
前記共通の特徴は2点間の寸法から成る、実施形態1~10のいずれかに記載の方法。
【0102】
実施形態12
前記共通の特徴は、前記加工対象物が前記ハニカム体である場合は、縦方向セルの重心であり、前記加工対象物が前記ハニカム押出金型である場合は、ピンの重心である、実施形態1~11のいずれかに記載の方法。
【0103】
実施形態13
前記加工対象物は前記ハニカム体から成り、前記共通の特徴は前記ハニカム体の縦方向セルの前記壁のうちの1つの長さである、実施形態1~11のいずれかに記載の方法。
【0104】
実施形態14
前記寸法は前記ハニカム体の第1セルの第1重心と記ハニカム体の第2セルの第2重心との距離であり、前記第1セル及び第2セルは前記ハニカム体の交差する壁によって画定される、実施形態1~11のいずれかに記載の方法。
【0105】
実施形態15
前記撮像システムは前記カメラ、レンズ、第1光源、及び第2光源を備える、実施形態1~14のいずれかに記載の方法。
【0106】
実施形態16
前記第1光源は明視野照明を提供するように構成され、前記第2光源は暗視野照明を提供するように構成される、実施形態15記載の方法。
【0107】
実施形態17
前記レンズは光軸を画定し、前記第1光源は第1照明軸を画定し、前記第2光源は第2照明軸を画定し、前記第1照明軸は前記光軸に対して0°から20°の範囲内の角度αだけ傾斜し、前記第2照明軸は前記光軸に対して70°から90°の範囲内の角度θだけ傾斜する、実施形態15記載の方法。
【0108】
実施形態18
前記第1光源及び前記第2光源はリング光である、実施形態17記載の方法。
【0109】
実施形態19
前記第1及び第2画像を撮る間、前記加工対象物は前記第1光源及び前記第2光源によって同時に照明される、実施形態15記載の方法。
【0110】
実施形態20
前記第1及び第2画像を撮る間、前記加工対象物は前記撮像システムの前記カメラに対して静止している、実施形態1~19のいずれかに記載の方法。
【0111】
実施形態21
前記加工対象物の第3部分の第3画像を撮るステップであって、前記共通の特徴は第1共通特徴であり、前記第3部分は前記第2画像と部分的に重なり、前記第2画像と共通の第2共通特徴を含む、ステップと、
前記第3画像の第3基準系における前記加工対象物の前記第3部分の複数の第3測定値を前記第3画像から求めるステップと、
前記第2画像内及び前記第3画像内の前記第2共通特徴を特定するステップであって、前記第2共通特徴は前記第2基準系における第3位置と前記第3基準系における第4位置を有する、ステップと、
前記第3位置を前記第4位置と比較し前記第2基準系と前記第3基準系の間の第2空間関係を前記比較に基づいて決定するステップと、
前記複数の第3測定値を前記第2空間関係に少なくとも部分的に基づいて前記共通基準系に変換するステップと、
前記共通基準系に変換された前記複数の第3測定値を前記一組の寸法に結合するステップと
を更に含む実施形態1記載の方法。
【0112】
実施形態22
実施形態1記載の方法を含みセラミックハニカム体を製造する方法。
【0113】
実施形態23
ハニカム体又はハニカム押出金型から成る加工対象物の特徴を測定する方法であって、
撮像システムを準備するステップと、
前記加工対象物の第1部分の画像を撮るステップであって、前記加工対象物の前記第1部分の前記画像は基準系を画定する、ステップと、
前記加工対象物の前記第1部分の前記画像に少なくとも部分的に基づいて複数の第1測定値を算出するステップと、
前記加工対象物の第2部分の画像を撮るステップであって、前記加工対象物の前記第1部分と前記加工対象物の前記第2部分は複数の共通特徴を含み、前記第2部分は前記加工対象物の前記第1部分に含まれていない少なくとも1つの特徴を含む、ステップと、
前記加工対象物の前記第2部分の前記画像に少なくとも部分的に基づいて複数の第2測定値を算出するステップであって、前記複数の第1測定値と前記複数の第2測定値は前記ハニカム体の交差する壁の寸法又は前記ハニカム押出金型の交差するスロットの寸法に対応し、前記複数の第1測定値の少なくとも1つは前記複数の共通特徴によって画定された第1基準寸法であり、前記複数の第2測定値の少なくとも1つは前記複数の共通特徴によって画定された第2基準寸法であり、前記第1基準寸法は前記加工対象物の前記第1部分の前記画像に少なくとも部分的に基づいて前記複数の共通特徴間の寸法によって定められ、前記第2基準寸法は前記加工対象物の前記第2部分の前記画像に少なくとも部分的に基づいて前記複数の共通特徴間の同じ寸法によって定められる、ステップと、
前記第1基準寸法を前記第2基準寸法と比較して変換値を算出するステップと、
前記変換値を前記複数の第2測定値に適用して前記複数の第2測定値を前記基準系に変換するステップと、
前記複数の第1測定値と前記複数の変換された第2測定値を結合するステップと
を含む方法。
【0114】
実施形態24
ハニカム体又はハニカム押出金型から成る加工対象物の寸法を測定するための撮像システムであって、
前記加工対象物の画像を撮るように構成されたカメラと、
前記加工対象物に対して前記カメラを又は前記カメラに対して前記加工対象物を移動させるように構成されたアクチュエータと、
前記カメラ及び前記アクチュエータとデータ通信し該撮像システムに
前記加工対象物の第1部分の第1画像を前記カメラを使って撮るステップと、
前記第1画像から前記加工対象物の複数の特徴の複数の第1測定値を求めるステップであって、前記複数の第1測定値は前記第1画像の第1基準系に対して測られる、ステップと、
前記カメラの視野を前記加工対象物の第2部分に対して位置付けるステップであって、前記第2部分は前記第1部分と部分的に重なり前記第1部分と共通の特徴を含む、ステップと、
前記加工対象物の前記第2部分の第2画像を撮るステップと、
前記第2画像から前記加工対象物の複数の特徴の複数の第2測定値を求めるステップであって、前記複数の第2測定値は前記第2画像の第2基準系に対して測られ、前記複数の第1測定値と前記複数の第2測定値は前記ハニカム体の交差する壁の寸法又は前記ハニカム押出金型の交差するスロットの寸法に対応する、ステップと、
前記第1画像内の前記共通の特徴の第1位置と前記第2画像内の前記共通の特徴の第2位置を特定するステップと、
前記第1基準系と前記第2基準系の間の空間関係を前記第1位置と前記第2位置の比較に基づいて決定するステップと、
前記複数の第1測定値又は前記複数の第2測定値、又は両方を前記空間関係に基づいて共通基準系に変換するステップと、
前記共通基準系に変換された前記複数の第1測定値及び複数の第2測定値を結合することで、前記加工対象物の一組の特徴寸法を生成するステップと
を実行させるように構成された制御装置と
を備える撮像システム。
【0115】
実施形態25
前記アクチュエータは前記加工対象物又は前記カメラの少なくとも一方を所定の距離移動させることで前記カメラを位置付けるように構成され、前記第1基準系と前記第2基準系の間の前記空間関係は前記所定の距離に少なくとも部分的に基づく、実施形態24記載のシステム。
【0116】
実施形態26
前記制御装置は、前記カメラの視野を前記加工対象物の前記第2部分に対して位置付ける時の前記加工対象物又は前記カメラの少なくとも一方の互いに対する移動の誤差を求めるように更に構成される実施形態25記載のシステム。
【0117】
実施形態27
前記誤差は、前記所定の距離を前記共通基準系における前記第1位置と前記第2位置の差と比較することで求められる、実施形態26記載のシステム。
【0118】
実施形態28
前記第1基準系と前記第2基準系の間の前記空間関係は前記所定の距離と前記誤差に基づく、実施形態27記載のシステム。
【0119】
実施形態29
前記共通基準系は前記第1基準系又は前記第2基準系である、実施形態24記載のシステム。
【0120】
実施形態30
前記共通基準系は前記第1基準系及び前記第2基準系と異なる第3基準系である、実施形態24記載のシステム。
【符号の説明】
【0121】
100 ハニカム体
102 内壁
104 第1端面
106 第2端面
108 チャネル又はセル
110 周縁チャネル
112 外殻
320 撮像システム
322 カメラ
324 レンズ
326 第1光源
328 第2光源
330 部品保持器
332 制御装置
334、336 可動台
340 距離センサー
444a~g 画像の行
446a~g 画像の列
448 第1画像
449 重なり領域
450 第2画像
452 第3画像
453 重なり領域
670 第1画像
672 第2画像
674 第1セル
678 重なり領域
【国際調査報告】