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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(54)【発明の名称】歯科用複合材料
(51)【国際特許分類】
   A61K 6/853 20200101AFI20230113BHJP
   A61K 6/831 20200101ALI20230113BHJP
   A61K 6/889 20200101ALI20230113BHJP
【FI】
A61K6/853
A61K6/831
A61K6/889
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525464
(86)(22)【出願日】2020-10-29
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 EP2020080364
(87)【国際公開番号】W WO2021083992
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】102019129550.5
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517275117
【氏名又は名称】クルツァー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Kulzer GmbH
【住所又は居所原語表記】Leipziger Strasse 2, D-63450 Hanau, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ウテロト
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ マイアー
(72)【発明者】
【氏名】ネリ シェーンホーフ
(72)【発明者】
【氏名】ユタ シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】クアト ライシュル
(72)【発明者】
【氏名】ライフ ココグル
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル エック
【テーマコード(参考)】
4C089
【Fターム(参考)】
4C089AA06
4C089BA01
4C089BA14
4C089BC03
4C089BC08
4C089BD02
(57)【要約】
本発明は、重合性歯科用複合材料であって、
(i)少なくとも1種の歯科用ガラスと任意選択的な少なくとも1種のアモルファス金属酸化物とを含む無機フィラー成分40~90質量%、
(ii)理想化された式Iの少なくとも1種のウレタン(アルキル)アクリレート10~60質量%、
(iii)ウレタン(アルキル)アクリレートではない少なくとも1種の二官能性、三官能性、四官能性、または多官能性のモノマー0.01~15質量%、
(iv)少なくとも1種の開始剤、開始剤系、ならびに任意選択的な少なくとも1種の安定化剤および任意選択的な少なくとも1種の顔料0.01~10質量%、
を含有し、複合材料の組成の合計が100質量%である重合性歯科用複合材料、ならびに直接歯科修復物または間接歯科修復物を製造するための、重合した複合材料に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性歯科用複合材料であって、
(i)少なくとも1種の歯科用ガラスと任意選択的な少なくとも1種のアモルファス金属酸化物とを含む無機フィラー成分を40~90質量%、
(ii)少なくとも1種のウレタンアクリレートであって、理想化された式Iの二価脂環式基を有するウレタンアクリレート
【化1】
[RおよびRは、それぞれ独立してHまたは1~8個のC原子を有するアルキルから選択される]、および/または前記式Iのウレタンの混合物、ならびに任意選択的な前述した化合物の異性体の混合物を含むウレタンアクリレートを10~60質量%、
(iii)ウレタンアクリレートではない、および/またはウレタンアルキルアクリレートではない、少なくとも1種の二官能性、三官能性、四官能性、または多官能性のモノマーを0.01~15質量%、
(iv)少なくとも1種の開始剤、開始剤系、ならびに任意選択的な少なくとも1種の安定化剤および任意選択的な少なくとも1種の顔料を0.01~10質量%、
含有し、前記複合材料の組成の合計が100質量%である、重合性歯科用複合材料。
【請求項2】
(i)少なくとも1種の歯科用ガラスと任意選択的な少なくとも1種のアモルファス金属酸化物とを含む無機フィラー成分を70~85質量%、
(ii)少なくとも2種の異なるウレタンアクリレートの混合物であって、理想化された式Iの二価脂環式基を有する少なくとも1種の二官能性ウレタンアクリレートおよび/またはウレタンアルキルアクリレート
【化2】
[RおよびRは、それぞれ独立してHまたは1~8個のC原子を有するアルキルから選択される]、ならびに/または前記式Iのウレタンの混合物、ならびに任意選択的な前述した化合物の異性体の混合物を含む混合物を10~30質量%、
(iii)ウレタンアクリレートではない、および/またはウレタンアルキルアクリレートではない、少なくとも1種の二官能性、三官能性、四官能性、または多官能性のモノマーを0.01~5質量%、
(iv)少なくとも1種の開始剤、開始剤系、ならびに任意選択的な少なくとも1種の安定化剤および任意選択的な少なくとも1種の顔料を0.01~10質量%、
含有し、前記複合材料の組成の合計が100質量%であることを特徴とする、請求項1記載の歯科用複合材料。
【請求項3】
前記少なくとも1種の歯科用ガラスが、0.5~10μmの平均粒子サイズd50を有することを特徴とする、請求項1または2記載の歯科用複合材料。
【請求項4】
a)前記歯科用ガラスが、1.8μmの平均粒子サイズd50、好ましくは20μm以下のd99を有する、または
b)前記歯科用ガラスが、i)2~8μmのd50、ii)1.0~2.0μmのd50、およびiii)0.5~2μmのd50である平均粒子サイズを有する歯科用ガラスの混合物を含有し、i)対ii)対iii)の画分が1~4:1:4~8、特に2~3:1:6~7の比率で存在する、
ことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の歯科用複合材料。
【請求項5】
前記アモルファス金属酸化物が2~150nmの一次粒子サイズを有する少なくとも1種の非凝集アモルファス金属酸化物を含み、前記アモルファス金属酸化物が、任意選択的に、沈降酸化ケイ素、焼成シリカ、酸化ジルコニウム、または混合酸化物を含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の歯科用複合材料。
【請求項6】
前記複合材料が、(i)無機フィラー成分として、前記複合材料の100質量%の組成の合計を基準として、
(i.1)少なくとも1種の歯科用ガラスを70~84質量%と、任意選択的に、
(i.2)アモルファス金属酸化物、特に焼成シリカおよび/または沈降二酸化ケイ素を2~10質量%、
含有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の歯科用複合材料。
【請求項7】
(ii)が、少なくとも3種の異なるウレタンアクリレートおよび/またはウレタンアルキルアクリレートの混合物を含み、前記混合物が、式Iの二価脂環式基を有する少なくとも1種の二官能性ウレタンおよび/またはその異性体、ならびに二価アルキレン基を有する二官能性ウレタンアクリレートおよび/またはウレタン(アルキル)アクリレート、ならびに任意選択的な少なくとも1種の少なくとも四官能性の樹状ウレタンアクリレートおよび/または対応するウレタンアルキルアクリレート、好ましくは少なくとも1種の六官能性の樹状ウレタンアクリレートまたは対応するウレタンアルキルアクリレートを含むことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の歯科用複合材料。
【請求項8】
(iii)が、ポリエーテルのジメタクリル酸エステル、三官能性、四官能性、または多官能性のポリエーテルのメタクリル酸エステル、およびビス-(2’-オキサ-3’-オキソ-ペンチル-4’-エン)テトラヒドロジシクロペンタジエンおよびその異性体から選択されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の歯科用複合材料。
【請求項9】
前記少なくとも1種の安定化剤が、水、少なくとも1種のベンゾフェノン誘導体、および/または少なくとも1種のフェノール誘導体を含むことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の歯科用複合材料。
【請求項10】
(v)が、高分子粒子状フィラーを0.01~15質量%含み、前記複合材料の組成の合計が100質量%であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の歯科用複合材料。
【請求項11】
i)UVおよび/またはVIS放射源を使用して、好ましくは、400nm~530nmのスペクトル範囲に放射極大を有する、好ましくは440~500nmのスペクトル範囲に少なくとも1つの極大を有するVIS放射源を使用して、ならびに/またはii)50~300MPaの圧力および/またはiii)高温、好ましくは90~150℃で、請求項1から10までのいずれか1項記載の複合材料を重合することによって得られる、重合した歯科用複合材料。
【請求項12】
0.5~10μmの平均粒子サイズd50の少なくとも1種の歯科用ガラスと、任意選択的な2~150nmの一次粒子サイズのシラン処理されたアモルファス金属酸化物とを含む少なくとも1種の無機フィラー成分を40~90質量%、
理想化された前記式Iのウレタンを含む、二価脂環式基を有する少なくとも1種の二官能性ウレタンアクリレートおよび/もしくは二価脂環式基を有するウレタンアルキルアクリレート、ならびに/または前記式Iのウレタンの混合物、ならびに任意選択的な前述した化合物の3,8-/3,9-/4,8-/3,10-/4,10-異性体および/もしくはシス-およびトランス-異性体の混合物、ならびに任意選択的な二価アルキレン基を有する少なくとも1種のジ-ウレタンアクリレート、二価アルキレン基を有するジ-ウレタンメタクリレートに基づく、少なくとも1種のポリマーを10~60質量%、
少なくとも1種の、四官能性から十官能性の樹状ウレタンメタクリレート、および少なくとも1種の二官能性、三官能性、四官能性、または多官能性の、ポリエーテルのメタクリル酸エステル、好ましくはジメタクリレートトリエチレングリコールを0.01~15.0質量%、ならびに
少なくとも1種の顔料、特には少なくとも1種の蛍光顔料、および少なくとも1種の有機着色顔料および/または少なくとも1種の無機着色顔料を0.01~10質量%、
含有し、前記複合材料の組成の合計が100質量%である、重合した歯科用複合材料、特に請求項11記載の重合した歯科用複合材料。
【請求項13】
前記重合した歯科用複合材料が材料のブロックの形態で存在し、特に前記材料のブロックが、三次元幾何学形状体として、特にアダプタのないミリングブランクとして存在するか、または自動化されたデバイス除去材料に取り付けるためのアダプタを有するミリングブランクとして存在することを特徴とする、請求項11または12記載の重合した歯科用複合材料。
【請求項14】
材料除去プロセスにおいて、特に前記重合した複合材料が、ミリング、カッティング、ポリッシング、クラッキング、チッピング、および/もしくはドリルによって除去されるプロセスにおいて、特に前記複合材料がレーザーエネルギによって除去されるプロセスにおいて、歯科充填材料、歯科補綴修復物を製造するための、または蹄修復材料としての、骨セメントとしての、人工関節補綴物、矯正装置および器具をセメント固定するための骨セメントとしての、直接接着性歯科修復物を製造するための、請求項1から13までのいずれか1項記載の歯科用複合材料の使用。
【請求項15】
クラウン、インレー、アンレー、上部構造、人工歯、歯科用ブリッジ、歯科用バー、スペーサ、アバットメント、またはベニヤを含む歯科補綴修復物を製造するための、請求項14記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合性歯科用複合材料であって、(i)0.5~10μm、特には0.7~7.5μmの平均粒子サイズd50の少なくとも1種の歯科用ガラスと、任意選択的な少なくとも1種のアモルファス金属酸化物とを含む少なくとも1種の無機フィラー成分を40~90質量%、(ii)式Iの少なくとも1種のウレタン(アルキル)アクリレート、特に少なくとも2種の異なるウレタン(アルキル)アクリレートの、特にウレタン(メタ)アクリレートの混合物を10~60質量%、(iii)ウレタン(アルキル)アクリレートではない、特にウレタン(メタ)アクリレートではない、少なくとも1種の二官能性、三官能性、四官能性、または多官能性のモノマーを0.01~15質量%、ならびに(iv)少なくとも1種の開始剤、開始剤系、ならびに任意選択的な安定化剤および任意選択的な顔料を0.01~10質量%含有し、複合材料の組成の合計が100質量%である、重合性歯科用複合材料、ならびに高い破壊靭性と好ましくは高い曲げ強さとを有する重合した複合材料に関する。
【0002】
直接接着する修復や間接的な義歯の口腔外製造のために一般的に利用可能な歯科用複合材料は多数知られている。この目的のためには基本的に、歯科用複合材料の材料の分類から、無機充填材料の割合が多い無機-有機ハイブリッド材料、例えば歯科用ガラスおよび/または鉱物ナノ凝集体のみが適している。1980年代に導入されたプレポリマーフィラーを含むマイクロフィラー複合材料は、材料にかけることができる負荷(曲げ強さ)に限りがあるので、後方領域(犬歯より奥の歯)における使用(クラスIおよびII)には適していない。
【0003】
市販の歯科用複合材料は、通常、ビスフェノールAの構造単位を有する架橋モノマー(例えばビス-GMA、ビス-EMA)および粘度低減効果を有する別のモノマー(例えばTEGDMA、UDMAなど)に基づいている。BPA構造単位を持たない歯科用複合材料は、ラジカル架橋TCDウレタンモノマーを使用して得ることができ、さらに、1.0MPa・m0.5を超える大幅に改善された破壊靭性(ISO 13586:2000)を特徴とする。咀嚼圧の下での歯科用複合材料の破壊が依然としてこの修復材料群の破損の一般的な理由であるため、この驚くほど高い破壊靭性(1.5…2.4MPa・m0.5)は、長期使用における優位性を示唆する。
【0004】
硬化した複合材料の非常に良好な機械的特性を実現し、それと同時に硬化中に発生する重合収縮を低減するためには、高いフィラー含有量が有利である。これらの特性は、義歯材料の長期的な成功にとっても決定的である。
【0005】
直接接着する修復のために優れたポリ脂環式構造要素を有するエステルの歯科用複合材料の材料特性、特に低い収縮力および高い曲げ強さはよく知られている。
【0006】
本発明の目的は、歯科用充填材料を製造するために適しているのみならず、材料の大きなブロック、特にミリングブロックなどの幾何学的成形体の製造にも適した歯科用複合材料を提供することであった。さらに、複合材料は、材料における亀裂伝播にかけられる力の尺度を表す破壊靭性の良好な値を有する必要がある。加えて、重合の前後に均一な単色の着色を有する歯科用複合材料を提供することが目的であった。これとの関係においては、歯科用充填材を製造する場合だけでなく、均一な単色の着色も、より大きな材料のブロックで実現可能である必要がある。さらに、多色、すなわち規定された色の材料の多色のブロックが製造可能である必要がある。加えて、非重合状態で十分な流動特性を示し、なおかつ紫外線または可視光によって、優れた機械的特性を備えた重合された状態で転写できる歯科用複合材料を提供する必要がある。より大きな材料ブロックを製造する場合であっても、重合された状態での収縮が少ない歯科用複合材料を提供する必要もある。さらに、複合材料は、大きい体積の材料ブロックであっても、硬化中に亀裂や細孔を発生させるべきではない。
【0007】
先行技術の複合材料から開始して、三環を有する新規のウレタン誘導体を含む新たな複合材料が開発された。本発明は、請求項1に記載の複合材料、請求項11および12に記載の重合した複合材料、ならびに請求項14に記載の使用に関するものであり、好ましい実施形態は各従属請求項および説明において詳細に説明される。
【0008】
粒度分布は、必要なフィラーの含有量に応じて、高い充填材充填密度と優れた機械的特性のためには比較的広くてもよく、あるいは特定の用途のためにはかなり狭くすることもできる。粒度分布の平均値は、0.5μm~10μmの範囲、好ましくは0.7μm~7.5μmの範囲であってよい。これに関連して、粒度分布は、0.7μm~2.0μm、特には1.2~2.0μm(マイクロメートル)の範囲の歯科用ガラス画分の粒度分布d50を有する歯科用ガラスの、組成の合計を基準として5~75質量%の含有量に基づいて設定することができ、好ましくはこれらは1.8μmプラス/マイナス0.25μmのd50、特に好ましくは20μm以下のd99、または10μm以下のd99を有する。代替形態では、充填密度を最適に調整するために、上記と異なるより小さいおよび/またはより大きい粒度分布を有する追加の歯科用ガラス画分を添加することができる。調整された充填密度により、機械的特性の最適な設定および収縮の低減が可能になる。
【0009】
TCDエステルの低減された収縮と良好な曲げ強さとを備えた複合材料は公知である。驚くべきことに、理想化された式I、特に理想化された式Iaのウレタンの重合生成物を含む、放射により硬化した複合材料において、好ましくは放射による硬化後に、非常に良好な破壊靭性の値(ISO 13586:2000に従って測定)が示される可能性がある。同様に、理想化された式Iのウレタンの重合生成物を含む熱硬化複合材料では、驚くほど良好な曲げ強さの値(ISO 13586:2000に従って測定)が得られる可能性がある。
【0010】
驚くほど高い曲げ強さ(DIN ISO 404902019に準拠)は光化学的に開始された重合によっても実現できることから、驚くべきことに、テトラヒドロジシクロペンタジエンなどの脂環式構造要素を有するウレタンモノマーに基づく複合材料が、間接的な義歯の製造に非常に適していることが判明した。すでに説明した光硬化性歯科用複合材料の光重合と比較した高レベルの材料強度は驚くべきものであり、このような大幅に増大した値は予想外であった。
【0011】
本発明の主題は、
(i)特に0.5~10μm、好ましくは0.7~7.5μm、特には0.7~5.5μm、好ましくは0.8~5.5μmの平均粒子サイズd50の少なくとも1種の歯科用ガラスと、組成の合計を基準として特に2質量%から10質量%未満、好ましくは2~7.5質量%の任意選択的な少なくとも1種のアモルファス金属酸化物と、を含む、40~90質量%、特には70~90質量%の少なくとも1種の無機フィラー成分、および
(ii)10~60質量%、特には10~30質量%、好ましくは12~20質量%の、理想化された式Iの二価脂環式基を有する少なくとも1種のウレタンアクリレートを含む、好ましくは少なくとも2種の異なるウレタンアクリレートの混合物を含む、少なくとも1種のウレタンアクリレート、特には理想化された式Iのウレタン
【化1】
[RおよびRは、それぞれHと1~8個のC原子を有するアルキルとから独立して選択される]を含む二価脂環式基を有する少なくとも1種の二官能性ウレタンアクリレートまたは二官能性ウレタンアルキルアクリレートの混合物、および/または式Iのウレタンの混合物、ならびに任意選択的な式I(式Iaも参照のこと)のウレタンの異性体混合物、特に前述した化合物の3,8-/3,9-/4,8-/3,10-/4,10-異性体および/またはシス-およびトランス-異性体の混合物、好ましくは、特に二官能性から十官能性のウレタンアクリレートを含む少なくとも3種の異なるウレタンアクリレートおよび/またはウレタンアルキルアクリレートの混合物、
(iii)ウレタンアクリレートまたはウレタン(アルキル)アクリレートではない、特にウレタン(メタ)アクリレートではない、0.01~15質量%、特に0.01~5質量%の、少なくとも1種の二官能性、三官能性、四官能性、または多官能性のモノマー、
(iv)0.01~10質量%の、少なくとも1種の開始剤、開始剤系、ならびに任意選択的な少なくとも1種の安定化剤および任意選択的な少なくとも1種の顔料、特に蛍光を含む少なくとも1種の顔料および着色顔料、
を含有し、複合材料の組成の合計が100質量%である、重合性歯科用複合材料、特に光開始重合性複合材料である。
【0012】
理想化された式Iのウレタンは、cas番号94 5656-78-0(2-プロペン酸,1,1’-[(オクタヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデン-5,?-ジイル)ビス(メチレンオキシカルボニルアミノ-2,1-エタンジイル)]エステル)として記載されている。あるいは、この式は以下の通りに図示することができる。
【0013】
【化2】
【0014】
二官能性ウレタンアクリレートは、好ましくは、アルキル1~10C原子とアルキレン3~20C原子とを含む二価アルキレン基を有する二官能性ウレタンアルキルアクリレートを好ましくは含む二価アルキレン基を有する二官能性ウレタンアクリレートから選択される。
【0015】
特に好ましい歯科用複合材料は、
(i)70~85質量%の、少なくとも1種の歯科用ガラスと、任意選択的な少なくとも1種のアモルファス金属酸化物とを含む少なくとも1種の無機フィラー成分、
(ii)10~30質量%の、少なくとも2種の異なるウレタンアクリレートの混合物であって、理想化された式Iのウレタンを含む、二価脂環式基を有する少なくとも1種の二官能性ウレタンアクリレートおよび/またはウレタンアルキルアクリレート、ならびに/または前記式Iのウレタンの混合物、ならびに任意選択的な前述した化合物の異性体の混合物[RおよびRは、それぞれHと1~8個のC原子を有するアルキルとから独立して選択される]を含む混合物、
(iii)ウレタンアクリレートではない、および/またはウレタンアルキルアクリレートではない、0.01~15質量%の、少なくとも1種の二官能性、三官能性、四官能性、または多官能性のモノマー、
(iv)0.01~10質量%の、少なくとも1種の開始剤、開始剤系、ならびに任意選択的な少なくとも1種の安定化剤および任意選択的な少なくとも1種の顔料、
を含有し、複合材料の組成の合計が100質量%である。
【0016】
さらに特に好ましい複合材料は、
(i)特にはシラン処理された、好ましくはメタクリロイルオキシプロピル基で官能化された、特に0.5~10μm、好ましくは0.7~7.5μm、特には0.7~5.5μm、好ましくは0.8~5.5μmの平均粒子サイズd50の、ホウケイ酸バリウムアルミニウムガラス、フルオロホウケイ酸バリウムアルミニウムガラス、および/または長石を含む少なくとも1種の歯科用ガラスと、任意選択的には1質量%超10質量%まで、好ましくは2~7.5質量%、特に好ましくは3~7.5質量%の、2~150nm、特には2~100nm、好ましくは2~45nmの一次粒子径の非凝集アモルファス金属酸化物であって、二酸化ケイ素、沈降二酸化ケイ素、焼成シリカ、酸化ジルコニウム、混合酸化物、またはこれらの混合物を含み、特にシラン処理されている金属酸化物とを含む、70~85質量%の少なくとも1種の無機フィラー成分、
(ii)10~30質量%、例えば最大29.98質量%、好ましくは12~20質量%の、少なくとも2種の異なるウレタンアクリレートの混合物、特には理想化された式Iのウレタンを含む、二価脂環式基を有する少なくとも1種のウレタンアクリレートもしくは二官能性ウレタンアルキルアクリレートの混合物、および/または式Iのウレタンの混合物、ならびに任意選択的な式I(式Iaも参照のこと)のウレタンの異性体混合物、特に前述した化合物の3,8-/3,9-/4,8-/3,10-/4,10-異性体および/またはシス-およびトランス-異性体の混合物[RおよびRは、それぞれHと1~8個のC原子を有するアルキルとから独立して選択される]、好ましくは、特に二官能性から十官能性のウレタンアクリレートを含む少なくとも3種の異なるウレタンアクリレートおよび/またはウレタンアルキルアクリレートの混合物、
(iii)ウレタンアクリレートではない、またはウレタン(アルキル)アクリレートではない、特にウレタン(メチル)アクリレートではない、0.01~5質量%の、少なくとも1種の二官能性、三官能性、四官能性、または多官能性のモノマー、
(iv)0.01~10質量%の、少なくとも1種の開始剤、開始剤系ならびに任意選択的な少なくとも1種の少なくとも1種の安定化剤、および任意選択的な少なくとも1種の顔料、特には蛍光を含む少なくとも1種の顔料および着色顔料、
を含有し、複合材料の組成の合計は100質量%である。
【0017】
一実施形態の変形例では、重合性複合材料は、それぞれ光化学的に重合可能であるか、または光により開始して重合可能であることが好ましい。あるいは、重合性複合材料は熱重合性であることが好ましい。光化学的に重合可能な複合材料は、UV発光および/または可視光(Vis発光)によって重合可能な複合材料、好ましくは、400nm~530nmのスペクトル領域で発光極大を有する放射源、好ましくは440~500nmのスペクトル領域で極大を有する放射源によって重合可能な複合材料を意味すると理解される。特に好ましくは、複合材料の照射は、特に放射源の投影面ごとに、10秒以上行われる。放射源の投射面あたり15秒以上から5分まで、好ましくは10~30秒の照射がさらに好ましい。適切な放射源は、通常、特に歯科分野で使用される440~480nmのスペクトル範囲に発光波長、好ましくは発光極大を有し、かつ500mW/cmを超える強度を有するあらゆる通常の放射源を含む。LEDランプを備える放射源が特に好ましい。
【0018】
熱重合性複合材料は、本明細書では、60℃以上150℃まで、好ましくは70℃以上150℃まで、特に好ましくは90~150℃で重合され得る複合材料を意味すると理解される。これに関連して、本発明によれば、体積収縮が1.5%以下であることがさらに好ましい(ISO 17304:2013)。
【0019】
また、本発明の主題は、i)UV/Vis放射源を使用して、好ましくは380nm~530nmのスペクトル領域に発光極大を有する、好ましくは400nm~500nmのスペクトル領域に少なくとも1つの発光極大を有するVis放射源を使用して、および任意選択的にはii)50~300Mpaの圧力および/または高温、好ましくは90~150℃で、または
i)UV/Vis放射源を使用して、好ましくは380nm~530nmのスペクトル領域に発光極大を有する、好ましくは400nm~500nmのスペクトル領域に少なくとも1つの極大を有するVis放射源を使用して、ならびに/またはii)50~300Mpaの圧力および/もしくは高温、好ましくは90~150℃で、
重合することによって得られる歯科用複合材料でもある。
【0020】
一実施形態の変形例では、無機フィラー成分が、少なくとも歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物、特に前述した平均粒子サイズを有するものと、アモルファス金属酸化物、特に非凝集アモルファス酸化物、好ましくはシラン処理されたアモルファス金属酸化物とからなることが特に好ましい。歯科用ガラスは、好ましくはシラン処理されていてもよい。好ましくは、シラン処理はアクリル官能化を含む。
【0021】
以下の歯科用ガラスが好ましくは考慮される:ケイ酸アルミニウムガラスもしくはフルオロケイ酸アルミニウムガラス、ホウ素成分を含むフルオロケイ酸アルミニウムガラス、ケイ酸バリウムアルミニウム、ケイ酸ストロンチウム、ホウケイ酸ストロンチウム、ケイ酸リチウムおよび/またはケイ酸リチウムアルミニウム、ならびに前述した歯科用ガラスのうちの少なくとも2種の混合物。アモルファスSiO、ZrO、またはSiOとZrOとの混合酸化物などの酸化物または混合酸化物に基づくアモルファス球状フィラーを、金属酸化物として、またはアモルファス金属酸化物の混合物として使用することができる。
【0022】
本発明の主題は、
a)1.8μm、プラス/マイナス0.25μmの平均粒子サイズd50、好ましくは20μm以下のd99の歯科用ガラス、または
b)i)2~8μm、任意選択的にはプラス/マイナス0.5μm、特には4~6μm、任意選択的にはプラス/マイナス0.25μmのd50、ii)1.0~2.0μm、任意選択的にはプラス/マイナス0.25μm、特には1.2~2.0μm、任意選択的にはプラス/マイナス0.5μm、好ましくは1.5μm、任意選択的にはプラス/マイナス0.15μmのd50、およびiii)0.5~1.2μm、任意選択的にはプラス/マイナス0.15μm、0.7~0.9μm、任意選択的にはプラス/マイナス0.5μmのd50である平均粒子サイズを有する、異なる画分の歯科用ガラスの混合物を含有し、i)対ii)対iii)の画分が1~4:1:4~8、特には2~3:1:6~7の比率で存在する歯科用複合材料でもある。i)5μm、任意選択的にはプラス/マイナス0.5μmのd50、ii)1.8μm、任意選択的にはプラス/マイナス0.25μmのd50、およびiii)0.85μm、任意選択的にはプラス/マイナス0.15μmのd50が特に好ましく、i)対ii)対iii)の画分は、1~4:1:4~8、特には2~3:1:6~7の比率で存在する。
【0023】
好ましい実施形態によれば、歯科用複合材料は、1.2~2.0μmの平均粒子サイズd50、好ましくは1.35~1.95μmの平均粒子サイズ、特には1.8μm、任意選択的にはプラス/マイナス0.15μmのd50、好ましくは10μm以下のd99を有する少なくとも1種の歯科用ガラス、特に放射不透過性歯科用ガラスを含む。特に好ましくは、0.85μm、任意選択的にはプラス/マイナス0.1μm、特にはプラス/マイナス0.05μm、好ましくはプラス/マイナス0.03μmのd50の平均粒子サイズを有する、および好ましくは10μm以下のd99を有する歯科用ガラスが追加的に存在する。特に好ましい歯科用ガラスは、ホウケイ酸バリウムアルミニウムガラスを含む。さらに、屈折率がn=1.52~1.55、好ましくは1.53であるケイ酸バリウムアルミニウムガラスが特に好ましい。特に好ましい粒度分布は、0.2μm以上のd10から20μm以下、好ましくは7.5μm以下のd99、好ましくは0.4μm以上のd10から7.5μm以下のd99、および0.7~7.5μmの平均径d50の範囲であってよい。
【0024】
好ましい実施形態によれば、歯科用複合材料は、
(i)70~85質量%の少なくとも1種の無機フィラー成分を含有し、ここで、組成全体が100質量%の複合材料を基準として、0.7~2.0μmの平均粒子サイズd50の少なくとも1種の歯科用ガラスが50~80質量%存在し、特に100質量%の組成全体において55~76質量%で、好ましくは60~75質量%で、特に好ましくは60~71質量%で存在する。組成全体の中で4~7.5質量%のアモルファス二酸化ケイ素との組み合わせがさらに好ましい。
【0025】
さらに、本発明の主題は、(i)特にはシラン処理された、好ましくはメタクリロキシプロピル基で官能化された、ホウケイ酸バリウムアルミニウムガラス、フルオロホウケイ酸バリウムアルミニウムガラスを含む少なくとも1種の歯科用ガラスと、任意選択的には2~150nm、特には2~100nm、好ましくは2~45nmの一次粒子サイズの少なくとも1種の非凝集アモルファス金属酸化物と、を含む少なくとも1種の無機フィラー成分を70~85質量%を含有する歯科用複合材料であり、アモルファス金属酸化物は、二酸化ケイ素、沈降二酸化ケイ素、焼成シリカ、酸化ジルコニウム、混合酸化物、またはそれらの混合物を含み、特に金属酸化物はシラン処理されたものである。
【0026】
高い曲げ強さを実現するために、歯科用複合材料は、好ましくは、無機フィラー成分として、組成全体の中で(合計100質量%)(i.1)66~84質量%、特には68~78質量%、あるいは75~78質量%の少なくとも1種の歯科用ガラスと、任意選択的には(i.2)2~10質量%、特には3質量%から10質量%未満、好ましくは4~8質量%のアモルファス金属酸化物とを含有する。歯科用ガラス対アモルファス金属酸化物の比率は、好ましくは20:1~7:1、好ましくは15:1~10:1である。
【0027】
好ましくは、85~99質量%、好ましくは91~99質量%、あるいは92~99質量%の、少なくとも1種の歯科用ガラスまたは歯科用ガラスの混合物と、任意選択的には1質量%超13質量%まで、特には8~15質量%、あるいは2~8質量%のアモルファス金属酸化物または金属酸化物の混合物、特に焼成シリカおよび/または沈降二酸化ケイ素が、無機フィラー成分中に存在する。
【0028】
好ましい代替形態では、複合材料は、無機フィラー成分に加えて、一定量の高分子粒子状フィラーを含み得る。そのような高分子粒子状フィラーの合計量は、100質量%の複合材料の組成全体中で、0.01~15質量%、好ましくは0.5~10質量%の量とすることができる。高分子フィラーの粒子サイズは、好ましくは10~200マイクロメートルの範囲、特には30~90マイクロメートル、特に好ましくは20~50マイクロメートルの範囲である。高分子粒子状フィラーは、好ましくは非球状である。好ましくは、高分子粒子状フィラーは、破砕されたポリマーの形態で存在する。
【0029】
特に好ましい実施形態の変形例によれば、歯科用複合材料は、組成の合計を基準として、(i)(i.1)60~84質量%、特には66~78質量%、好ましくは66~70質量%、または75~78質量%の、0.7~7.5μm、特には1.8μmの平均粒子サイズd50の、任意選択的には前述した標準偏差を有する少なくとも1種の歯科用ガラスと、任意選択的には(i.2)2~34質量%、特には3質量%~15質量%、好ましくは3~10質量%、特に好ましくは4~10質量%、さらに好ましくは1~7.5質量%の、2~100nm、好ましくは2~45nmの一次粒子サイズの少なくとも1種のシラン処理されたアモルファス金属酸化物および/または焼成シリカとを含有する、70~85質量%の少なくとも1種の無機フィラー成分、
(ii)10~30質量%、特には15~30質量%、好ましくは18~22質量%の、少なくとも3種の異なるウレタンアクリレートおよび/またはウレタンアルキルアクリレートの混合物、特には二官能性から十官能性のウレタンアクリレートおよび/または対応するウレタンアルキルアクリレートの混合物、好ましくは15~19質量%の、理想化された式Iのウレタン
【化3】
を含む少なくとも1種の二官能性ウレタンアクリレートおよび/もしくはウレタンアルキルアクリレート、ならびに/または前記式Iのウレタンの異性体混合物、ならびに特に式Ia
【化4】
の3,8-/3,9-/4,8-/3,10-/4,10-異性体および/または前述した化合物のシス-およびトランス-異性体の混合物[RおよびRは、それぞれHと1~8個のC原子を有するアルキルとから独立して選択される]、ならびにアルキル1~10C原子とアルキレン3~20C原子とを含む二価脂環式基を有する5~6質量%の二官能性ウレタンアクリレート、ならびに任意選択的にそれぞれ0.1~2質量%の少なくとも1種の六官能性ウレタンアクリレートおよび/または六官能性ウレタンメタクリレートまたは樹状ウレタンメタクリレート、ならびに
(iii)0.01~5質量%、特には0.5~3質量%、好ましくは0.8~2.0質量%の、ウレタンアクリレートでもウレタンアルキルアクリレートでもない少なくとも1種の二官能性、三官能性、四官能性、または多官能性のモノマー、特には少なくとも1種の二官能性、三官能性、四官能性、または多官能性のポリエーテルのメタクリル酸エステル、好ましくはジメタクリレートトリエチレングリコール、ジメタクリレートテトラエチレングリコール、および/またはビス-(2’-オキサ-3’-オキソ-ペンチル-4’-エン)テトラヒドロ-ジシクロペンタジエンおよびその異性体、
(iv)0.01~10質量%、特には0.5~5質量%、好ましくは0.5~2質量%の、少なくとも1種の開始剤または開始剤系、好ましくはi)UVおよび/もしくはVisスペクトル領域のための少なくとも1種の光開始剤、またはUVおよび/もしくはVisスペクトル領域のための光開始剤系および任意選択的な少なくとも1種の安定化剤、ならびに/またはii)少なくとも1種の熱開始剤または熱開始剤系、ならびにiii)任意選択的な少なくとも1種の安定化剤、およびiv)任意選択的な少なくとも1種の顔料、特に蛍光および着色顔料から選択される顔料を含む顔料混合物、
を含み、複合材料の組成の合計は100質量%である。
【0030】
二官能性から十官能性のウレタンアクリレートまたは二官能性から十官能性のウレタンアルキルアクリレートがモノマーとして使用され、ペルオキシ基を含まない。
【0031】
特に好ましい実施形態の変形例によれば、歯科用複合材料は、(ii)少なくとも3種の異なるウレタンアクリレートおよび/またはウレタンアルキルアクリレートの混合物、好ましくは少なくとも3種の異なるウレタンの混合物を10~30質量%含み、混合物は、理想化された式I(式Iaも参照のこと)
【化5】
の少なくとも1種の二官能性ウレタンアクリレートおよび/もしくはウレタンアルキルアクリレート、ならびに/または前記式Iのウレタンの混合物、ならびに任意選択的な前述した化合物の3,8-/3,9-/4,8-/3,10-/4,10-異性体および/またはシス-およびトランス-異性体の混合物[RおよびRは、それぞれHおよび1~8個のC原子を有するアルキルから独立して選択され、好ましくはHまたはメチルである]、ならびに1~10個のC原子のアルキル、好ましくはメチルに等しいアルキルおよび3~20個のC原子を有するアルキレンを有する二価アルキレン基を有する二官能性ウレタンアクリレートおよび/または二価アルキレン基を有するウレタンアルキルアクリレートの混合物、好ましくは3種の異なるウレタン(アルキル)アクリレート、ならびに任意選択的な少なくとも1種の少なくとも四官能性の樹状ウレタン(アルキル)アクリレート、好ましくは少なくとも1種の六官能性の樹状ウレタン(アルキル)アクリレート、特にウレタン(メタ)アクリレートの混合物を含む。
【0032】
特に好ましい実施形態の変形例によれば、歯科用複合材料は、(ii)理想化された式Iのウレタンを含む少なくとも1種の二官能性ウレタンアクリレートおよび/もしくはウレタンアルキルアクリレートを含む混合物、ならびに/または前記式Iのウレタンの混合物、ならびに任意選択的な前述した化合物の3,8-/3,9-/4,8-/3,10-/4,10-異性体および/またはシス-およびトランス-異性体[RおよびRは、それぞれHと1~8個のC原子を有するアルキルとから独立して選択される]、例えばビス-(2’,7’-ジオキサ-3’,8’-ジオキソ-4’-アザ-デシル-9’-エン)テトラヒドロジシクロペンタジエン、ビス-(2’,7’-ジオキサ-3’,8’-ジオキソ-4’-アザ-9’-メチル-デシル-9’-エン)テトラヒドロジシクロペンタジエン、ならびに任意選択的なビス-(4’,7’-ジオキサ-3’,8’-ジオキソ-2’-アザ-デシル-9’-エン)テトラヒドロジシクロペンタジエン、ビス-(4’,7’-ジオキサ-3’,8’-ジオキソ-2’-アザ-9’-メチル-デシル-9’-エン)テトラヒドロジシクロペンタジエン、および/またはこれらの混合物から選択される二価脂環式基を有する少なくとも1種の二官能性ウレタンアクリレートおよび/または二価脂環式基を有する少なくとも1種の二官能性ウレタン(メタ)アクリレートの混合物、ならびに任意選択的な前述した化合物の3,8-/3,9-/4,8-/3,10-/4,10-異性体および/またはシス-およびトランス-異性体の混合物、ならびに少なくとも1種の追加の二官能性ウレタン(メタ)アクリレート、特に二価脂環式基を有する少なくとも1種の二官能性ウレタンアクリレートおよび/または二価脂環式基を有するウレタンメタクリレート、ならびに任意選択的な少なくとも1種の少なくとも五官能性の樹状ウレタンアクリレートおよび/または対応するウレタンメタクリレート、好ましくは少なくとも1種の六官能性樹状ウレタンアクリレートおよび/またはウレタンメタクリレートから選択される少なくとも2種の異なるウレタンアクリレートの混合物を10~30質量%含む。特に好ましいものは、ウレタンアクリレートおよびウレタンメタクリレートから選択される少なくとも3種の異なるウレタン(メタ)アクリレートである(100質量%の組成全体に基づく)。
【0033】
特に好ましい実施形態の変形例によれば、歯科用複合材料は、(ii)少なくとも2種の異なるウレタン(メタ)アクリレートの混合物、好ましくは3種の異なるウレタン(メタ)アクリレートの混合物を含む。
【0034】
括弧内に(アルキル)を含む(アルキル)アクリレートもしくは(メタ)アクリレートもしくはウレタン(アルキル)アクリレートという用語、または括弧内に(メタ)を含むウレタン(メタ)アクリレートという用語は、アルキル基またはメチル基を含むか、または含まないアクリレートまたはウレタンアクリレートを含み得ることを意味する。アルキル基は、好ましくは、前記ウレタンアルキルアクリレート中に1~10個のC原子、好ましくは1~2個のC原子を含む。アルキル基は、好ましくは、前記(アルキル)アクリレート中に1~10個のC原子、好ましくは1~2個のC原子を含む。
【0035】
特に好ましい実施形態の変形例によれば、歯科用複合材料は、ii)少なくとも、一般式Iの二官能性ウレタン(メタ)アクリレート、および二価のアルキレン基を有する少なくとも1種の二官能性ウレタン(メタ)アクリレート、ならびに任意選択的な少なくとも1種の少なくとも四官能性の樹状ウレタン(メタ)アクリレート、好ましくは少なくとも1種の六官能性樹状ウレタン(メタ)アクリレートを含む、少なくとも2種の異なるウレタン(アルキル)アクリレートの混合物、好ましくは少なくとも3種の異なるウレタン(メタ)アクリレートの混合物を10~30質量%含む。
【0036】
本発明によれば、二価脂環式基を有するウレタンアクリレートは、理想化された式Iのウレタン
【化6】
および/または前記式Iのウレタンの混合物、ならびに任意選択的な前述した化合物の3,8-/3,9-/4,8-/3,10-/4,10-異性体および/またはシス-およびトランス-異性体の混合物[RおよびRは、それぞれHと1~8個のC原子を有するアルキルとから独立して選択される]、例えば、好ましくは、ビス-(2’,7’-ジオキサ-3’,8’-ジオキソ-4’-アザ-デシル-9’-エン)テトラヒドロジシクロペンタジエン、ビス-(2’,7’-ジオキサ-3’,8’-ジオキソ-4’-アザ-9’-メチル-デシル-9’-エン)テトラヒドロジシクロペンタジエン、特に好ましくはビス-(2’,7’-ジオキサ-3’,8’-ジオキソ-4’-アザ-デシル-9’-エン)テトラヒドロジシクロペンタジエンから選択される。式Iのウレタンは、ヒドロキシメチレン基で2回置換された対応するテトラヒドロジシクロペンタジエンと、2-イソシアナトエチルメタクリレートなどのアクリル誘導体の対応するイソシアネートとの反応によって得られる。
【0037】
二官能性ウレタン(アルキル)アクリレート、二価のアルキレン基を有するウレタン(アルキル)アクリレート、または二価脂環式基を有するウレタン(メタ)アクリレートは、好ましくは、二価のアルキレン基で官能化されている直鎖または分岐のウレタンジメタクリレート、アルキレン基を有するウレタンジメタクリレート官能化ポリエーテル、例えばビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)アルキレン、ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)-置換ポリアルキレンエーテル、好ましくは1,6-ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)-2,4,4-トリメチルヘキサン、UDMA(別名HEMA-TDMI)から選択される。アルキレンが直鎖または分岐鎖のC3~C20、好ましくはC3~C6を含むビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)アルキレンが好ましく、例えば、特に好ましくはHEMA-TMDIなどのメチル基で置換されたアルキレンである。二価のアルキレンは、好ましくは、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンおよび/または2,4,4-トリメチルヘキサメチレンを含む。
【0038】
少なくとも四官能性の樹状ウレタンメタクリレートは、四官能性から十官能性の樹状ウレタンメタクリレートを含む。
【0039】
(ii)組成の合計を基準として10~30質量%、好ましくは15~20質量%の、少なくとも2種の異なるウレタン(メタ)アクリレートの混合物、例えば一般式Iの少なくとも1種の二官能性ウレタンおよび少なくとも1種の六官能性樹状ウレタン(メタ)アクリレート、任意選択的な二価のアルキレン基を有する少なくとも1種の二官能性ウレタン(メタ)アクリレートを含むことも好ましい。
【0040】
好ましくは、複合材料は、組成の合計を基準として、5~25質量%、特には15~19質量%のビス-(2’,7’-ジオキサ-3’,8’-ジオキソ-4’-アザ-デシル-9’エン)テトラヒドロジシクロペンタジエン、ビス-(2’,7’-ジオキサ-3’,8’-ジオキソ-4’-アザ-9’-メチル-デシル-9’-エン)テトラヒドロジシクロペンタジエン、および/またはそれらの混合物、ならびに任意選択的な3,8-/3,9-/4,8-/3,10-/4,10-異性体および/または前述した化合物のシス-およびトランス-異性体の混合物、1~15質量%、特には5~6質量%のそれぞれUDMA(1,6-ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)-2,4,4-トリメチルヘキサン)、またはHEMA-TMDI、および0.1~5質量%、好ましくは0.2~2質量%、特に好ましくは0.1~1質量%の少なくとも1種の四官能性から十官能性の樹状ウレタンメタクリレートを含む。
【0041】
好ましくは、複合材料は、組成の合計を基準として、10~18質量%のビス(2’,7’-ジオキサ-3’,8’-ジオキソ-4’-アザ-デシル-9’-エン)テトラヒドロジシクロペンタジエン、ビス-(2’,7’-ジオキサ-3’,8’-ジオキソ-4’-アザ-9’-メチル-デシル-9’-エン)テトラヒドロジシクロペンタジエン、および/またはそれらの混合物、ならびに任意選択的な3,8-/3,9-/4,8-/3,10-/4,10-異性体および/または前述した化合物のシス-およびトランス-異性体の混合物、3~8質量%の二価のアルキレン基を有する二官能性ウレタン(メタ)アクリレート、特にそれぞれUDMAまたはHEMA-TMDI、および0.1~2質量%、好ましくは0.2~2質量%、特に好ましくは0.1~1質量%の少なくとも1種の四官能性から十官能性の樹状ウレタンメタクリレートから選択される少なくとも3種の異なるウレタン(メタ)アクリレートの混合物を10~20質量%含む。
【0042】
さらに好ましい実施形態によれば、歯科用複合材料は、成分(iii)として、ウレタン(アルキル)アクリレートではなく、かつポリエーテルのジメタクリル酸エステル、ビス-(2’-オキサ-3’-オキソ-ペンチル-4’-エン)テトラヒドロジシクロペンタジエンまたはその異性体、および三官能性、四官能性、または多官能性のポリエーテルのメタクリル酸エステルから選択される、少なくとも1種の二官能性、三官能性、四官能性、または多官能性のモノマーを0.01~5質量%含有する。
【0043】
好ましくは、成分(iii)の含有量は、0.15~15質量%、特には0.15~5質量%、特に好ましくは1.0~2質量%であり、成分(iii)は、ポリエーテルのジメタクリル酸エステル、例えば、好ましくはジメタクリレートポリエチレングリコール、ジメタクリレートポリプロピレングリコールから選択される。ジメタクリレートトリエチレングリコール(TEGDMA)、ジエチレングリコールジメタクリレート(DEGMA)、およびジメタクリレートテトラエチレングリコール(TEDMA)が特に好ましい。
【0044】
プロセスエンジニアリングの加工性のための稠度および流動特性を改善するために、歯科用複合材料に安定化剤としての水を添加することができる。安定化剤は、好ましくは、早すぎる重合を防止し、材料に一定の貯蔵寿命を与えるために、複合材料に添加される。複合材料は、成分(iv)における好ましい安定化剤として、水、少なくとも1種のベンゾフェノン誘導体、好ましくはアルコキシ置換ベンゾフェノンおよび/またはフェノール誘導体、例えば2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,6-ビス(1,1-ジメチル)-4-メチルフェノール、または3種の安定化剤の混合物から選択される少なくとも1種の安定化剤を含む。安定化剤は、好ましくは、組成全体の中で0.01~10質量%、特に好ましくは0.7~10質量%、特には0.5~2質量%で存在する。さらに、複合材料は、0.01~2質量%の安定化剤としての水、好ましくは0.1~1.0質量%の水を含むことが好ましい。
【0045】
重合した複合材料の色および自然な審美的外観の最適な調整のために、少なくとも1種の蛍光顔料ならびに任意選択的な少なくとも1種の有機着色顔料および/または少なくとも1種の無機着色顔料、特に非蛍光着色顔料を含む少なくとも1種の顔料が、複合材料に添加される。少なくとも1種の蛍光顔料は、好ましくは有機蛍光顔料、特に適切な場合にはアリールカルボン酸エステル、アリールカルボン酸、クマリン、ローダミン、ナフタレンイミド、またはそれぞれの物質の誘導体を含む非重合性有機蛍光顔料である。無機蛍光顔料は、CaAl:Mn2+、(Ba0.98Eu0.02)MgAl1017、BaMgF:Eu2+、Y(1.995)Ce(0.005)SiOを含み得る。
【0046】
複合材料は、顔料として、特に着色顔料、有機顔料、および無機顔料を含み、特に、ジエチル2,5-ジヒドロキシテレフタレート、N,N’-ビス(3,5-キシリル)ペリレン3,4:9,10-ビス(ジカルビミド)、銅フタロシアニン、チタン酸顔料、特にチタン酸アンチモンクロム(ルチル構造)、スピネルブラック、特に鉄(Fe)が部分的にクロムおよび銅またはニッケルおよびクロムまたはマンガンで置換されている酸化鉄ブラック(Fe)に基づく顔料、亜鉛鉄クロムスピネル、ブラウンスピネル、((Zn,Fe)(Fe,Cr))、コバルト亜鉛アルミネートブルースピネル、および/または酸化チタンを含み得る。蛍光顔料および着色顔料を含む顔料は、好ましくは、組成全体の中に0.01~10質量%、特に好ましくは0.01~5質量%、好ましくは0.01~1質量%存在する。
【0047】
顔料の選択は、重合性複合材料と重合した複合材料の両方で均一な色を実現するために、歯科用複合材料組成物に特に適合させる必要がある。また、材料の大きなブロックの製造は、材料の重合したブロックの寸法に起因する望ましくない変色を回避するために、顔料の選択および濃度に関しての調整も必要とする。
【0048】
さらに特に好ましい実施形態によれば、歯科用複合材料は、フィラー成分を形成する成分(i)を含み、フィラー成分は、フィラー成分中に、(i.1)85~95質量%、特には90~94.5質量%、好ましくは92~94.5質量%の少なくとも1種の歯科用ガラスと、任意選択的には(i.2)5~15質量%、特には5~10質量%、好ましくは5.5~8質量%のアモルファス金属酸化物とを含み、(i.1)および(i.2)の合計は、フィラー成分の100質量%である。
【0049】
さらに特に好ましい実施形態によれば、歯科用複合材料は、モノマー成分を形成する成分(ii)および(iii)を含み、モノマー成分は、(ii.1)40~75質量%の式Iの少なくとも1種のウレタンを、特に、ビス(2’,7’-ジオキサ-3’,8’-ジオキソ-4’-アザ-デシル-9’-エン)テトラヒドロジシクロペンタジエン、ビス(2’,7’-ジオキサ-3’,8’-ジオキソ-4’-アザ-9’-メチル-デシル-9’-エン)テトラヒドロジシクロペンタジエン、および/またはそれらの混合物、ならびに任意選択的な前述した化合物の3,8-/3,9-/4,8-/3,10-/4,10-異性体ならびに/またはシス-およびトランス-異性体の混合物、ならびに(ii.2)21~38質量%の、二価アルキレン基を有する少なくとも1種の二官能性ウレタン(メタ)アクリレート、ならびに(ii.3)0.1~10質量%の、特に0.2~9質量%の、少なくとも1種の四官能性から十官能性の樹状ウレタンメタクリレート、特に六官能性の樹状ウレタンメタクリレート、ならびに
(iii)1~14質量%の、ウレタン(アルキル)アクリレートではない少なくとも1種の二官能性、三官能性、四官能性、または多官能性のモノマーを含み、モノマー(ii.1)、(ii.2)、(ii.3)、および(iii)の合計は、モノマー成分において100質量%である。
【0050】
さらに好ましい実施形態によれば、複合材料は、(iv)0.01~2質量%の、UVおよび/もしくはVisスペクトル領域のための光開始剤またはUVおよび/もしくはVisスペクトル領域(可視光)のための光開始剤系、ならびに0.01~2質量%の安定化剤を含み得る。
【0051】
本発明の別の主題は、本発明による複合材料の重合によって、特にUVおよび/またはVis放射による、好ましくはVis放射による、特に好ましくは、400nm~530nmのスペクトル範囲に放射極大を有する放射源による重合によって、得られる重合した歯科用複合材料である。
【0052】
特に好ましい実施形態によれば、本発明の主題は、0.8~5.5μmの範囲の平均粒子サイズd50、好ましくは20μm以下、好ましくは7.5μm未満のd99の少なくとも1種の歯科用ガラスと、任意選択的な少なくとも1種のシラン処理されたアモルファス金属酸化物、特に一次粒子サイズが2~150nm、好ましくは2~100nm、特に好ましくは2~45nmの沈降二酸化ケイ素および/または焼成シリカとを含有する少なくとも1種の無機フィラー成分を70~85質量%、式Iの少なくとも1種のビスウレタンを含む重合した混合物と、二価のアルキレン基を有する少なくとも1種のジウレタン(メタ)アクリレートと、少なくとも1種の四官能性から十官能性の樹状ウレタンメタクリレートと、少なくとも1種の二官能性、三官能性、四官能性、または多官能性のポリエーテルのメタクリル酸エステル、好ましくはジメタクリレートトリエチレングリコールに基づく、少なくとも1種のポリマー、特にコポリマーを10~30質量%、ならびに少なくとも1種の顔料、特には少なくとも1種の蛍光顔料ならびに少なくとも1種の有機着色顔料および/または少なくとも1種の無機着色顔料を0.01~10質量%含有する、重合した歯科用複合材料であり、着色顔料は、好ましくは蛍光性ではなく、複合材料の組成の合計は100質量%である。
【0053】
さらに、重合した複合材料は、直接歯科修復物、間接歯科修復物、歯科補綴修復物、例えばクラウン、インレー、アンレー、上部構造、人工歯、歯科用ブリッジ、歯科用バー、スペーサ、アバットメント、またはベニヤを製造するために使用することができる。重合した複合材料は、さらに、直接接着する歯科修復物を製造するための複合材料として使用することができる。
【0054】
以下のものも、好ましい本発明によるウレタン(メタ)アクリレートであるとみなされる:(ii)少なくとも1種のウレタン(メタ)アクリレート、特にウレタンジメタクリレート、好ましくはビス(メタクリロキシ-2-エトキシカボニルアミノ)アルキレン、ジウレタンアクリレートオリゴマー、アルキル官能性ウレタンジメタクリレートオリゴマー、芳香族官能化ウレタンジメタクリレートオリゴマー、脂肪族不飽和ウレタンアクリレート、ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)置換ポリエーテル、芳香族ウレタンジアクリレートオリゴマー、脂肪族ウレタンジアクリレートオリゴマー、脂肪族ウレタンジアクリレート、六官能性脂肪族ウレタン樹脂、脂肪族ウレタントリアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー、不飽和脂肪族ウレタンアクリレート。特に、ウレタンジ(メタ)アクリレートなどの二官能性および多官能性のウレタン(メタ)アクリレートが好ましく、少なくとも1種の(iii)ウレタンジメタクリレートは、特に好ましくは、直鎖または分岐のアルキル官能化ウレタンジメタクリレート、ウレタンジメタクリレート官能化ポリエーテル、特にビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)アルキレン、ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)-置換ポリエーテル、好ましくは1,6-ビス(メタクリロキシ-2-エトキシカルボニルアミノ)-2,4,4-トリメチルヘキサンから選択される。適切なウレタン(メタ)アクリレートは、次のブランド名で入手可能である:Ebecryl 230(脂肪族ウレタンジアクリレート)、Actilane 9290、Craynor 9200(ジウレタンアクリレートオリゴマー)、Ebecryl 210(芳香族ウレタンジアクリレートオリゴマー)、Ebecryl 270(脂肪族ウレタンジアクリレートオリゴマー)、Actilane 165、Actilane 250、Genomer 1122(一官能性ウレタンアクリレート)、Photomer 6210(cas番号52404-33-8、脂肪族ウレタンジアクリレート)、Photomer 6623(六官能性脂肪族ウレタン樹脂)、Photomer 6891(脂肪族ウレタントリアクリレート)、UDMA、Roskydal LS 2258(脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー)、Roskydal XP 2513(不飽和脂肪族ウレタンアクリレート)。ウレタン(メタ)アクリレートは、好ましくは、前述したウレタン(メタ)アクリレートから、または少なくとも2種の異なる、好ましくは少なくとも3種の異なる前述したウレタン(メタ)アクリレートの混合物から選択することができる。
【0055】
ウレタン(アルキル)アクリレートではない、特にウレタン(メタ)アクリレートではない、少なくとも1種の二官能性、三官能性、四官能性、または多官能性のモノマーは、好ましくは、以下のモノマー、特にはビス-(2’-オキサ-3’-オキソ-ペンチル-4’-エン)テトラヒドロジシクロペンタジエン(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールと2種のアクリレートとのエステル)およびその異性体、1,4-ブタンジオールジメタクリレート(1,4-BDMA)またはペンタエリスリトールテトラアクリレート、ビス-GMAモノマー(ビスフェノールAグリシジルメタクリレート)、トリエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)およびジエチレングリコールジメタクリレート(DEGMA)、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキシルデカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ならびにブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化/プロポキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、これらの(メタ)アクリレートのうちの少なくとも1種を含む混合物、ならびに/または前述したモノマーのうちの1種または少なくとも2種を含むコポリマー、を含有するモノマー混合物のうちの少なくとも1つから選択される。
【0056】
架橋剤および/またはマルチ架橋剤とも呼ばれる典型的な二官能性モノマーとしては、トリ-またはテトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、BDMA、1,4-ブタンジオールジメタクリレート(1,4-BDMA)、ビス-GMAモノマー(ビスフェノールAグリシジルメタクリレート、メタクリル酸とビスフェノールAジグリシジルエーテルとの付加生成物)、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキシルデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ならびにブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化/プロポキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートが挙げられる。以下の二官能性モノマーも希釈剤(低粘度アクリレート)として添加することができる。三官能性および四官能性モノマーならびに/またはマルチ架橋剤には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートが含まれる。
【0057】
少なくとも1種のモノマーを含む、二官能性、三官能性、または多官能性のモノマーに加えて、以下のモノマー、特にメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、テトラヒドロフリルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、イソデシルアクリレート、テトラヒドロフリルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ベンジル-、フルフリル-、もしくはフェニル(メタ)アクリレートのモノマーの混合物、これらの(メタ)アクリレートのうちの少なくとも1種を含む混合物、および/または前述したモノマーのうちの1種または少なくとも2種を含むコポリマーのうちの少なくとも1種が複合材料中に存在し得る。
【0058】
さらに、本発明の主題は、フィラー、顔料、安定化剤、調整剤、抗菌添加剤、UV吸収剤、チクソトロープ剤、触媒、および架橋剤からなる群からの少なくとも1種以上の物質を好ましくは追加的に含む複合材料である。かなり少量の、例えば複合材料の組成の合計を基準として合計で0.01~3.0質量%、特には0.01~1.0質量%の、前記添加剤(顔料、安定化剤、および調整剤も同様)が使用される。適切な安定化剤としては、例えばヒドロキノンモノメチルエーテルまたは2,6-ジ-tert-ブチル4-メチルフェノール(BHT)が挙げられる。
【0059】
好ましくは、複合材料は、成分(iv)として、0.01~10質量%、特には0.5~5質量%、好ましくは0.5~2質量%の、少なくとも1種の開始剤または開始剤系、好ましくはi)UVおよび/もしくはVisスペクトル領域用の少なくとも1種の光開始剤、またはUVおよび/もしくはVisスペクトル領域用の光開始剤系、ならびに任意選択的な少なくとも1種の安定化剤、ならびに任意選択的な追加の通常の添加剤、任意選択的な顔料または染料を含有する。
【0060】
特に好ましい光開始剤は、アルファ-ヒドロキシフェニルケトン、ベンジルジメチルケタールまたは2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン酸エチルエステル、および少なくとも2種の光開始剤の混合物、ビスアシルホスフィンオキシド(BAPO)を含む。あるいは、N,N-ジメチルp-トルイジン、N,N-ジヒドロキシエチルp-トルイジン、およびp-ジメチルアミノ安息香酸ジエチルエステルから選択されるアミンを含むカンファーキノンも含まれる。
【0061】
典型的な安定化剤には、2,6-ジ-tert-ブチル4-メチルフェノール(BHT)またはヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、HALS(ヒンダードアミン光安定化剤)、ベンゾトリアゾール紫外線吸収剤(UVA)、およびヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)が含まれる。特に適切な安定化剤は、例えばヒドロキノンモノメチルエーテルまたは2,6-ジ-tert-ブチル4-メチルフェノール(BHT)である。
【0062】
ペルオキシド、ヒドロキシルペルオキシド、任意選択的なアゾ化合物、またはそれらを含む混合物は、開始剤、特に熱開始剤または開始剤系として適切である。適切な熱開始剤は、70~150℃、好ましくは90~150℃の温度範囲でラジカル開始剤として使用することができる。好ましい熱開始剤は、ジラウロイルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジクミルヒドロペルオキシド、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、ベンジルバルビツール酸誘導体、特に好ましくは、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジクミルヒドロペルオキシド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジルバルビツール酸誘導体、例えばフェニルベンジルバルビツール酸、シクロヘキシルベンジルバルビツール酸から選択される少なくとも1種の開始剤を含む。
【0063】
以下の自家重合または低温重合用の開始剤および/または開始剤系は、a)少なくとも1種の開始剤、特に少なくとも1種のペルオキシドおよび/またはアゾ化合物、特にLPO:ジラウロイルペルオキシド、BPO:ジベンゾイルペルオキシド、t-BPEH:tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、AIBN:2,2’-アゾビス-(イソブチロニトリル)、DTBP:ジ-tert-ブチルペルオキシド、および任意選択的なb)少なくとも1種の活性化剤、特に少なくとも1種の芳香族アミン、例えばN,N-ジメチルp-トルイジン、N,N-ジヒドロキシエチルp-トルイジン、および/またはp-ジメチルアミノ安息香酸ジエチルエステル、またはc)レドックス系から選択される少なくとも1種の開始剤系、特にN,N-ジメチルp-トルイジン、N,N-ジヒドロキシエチルp-トルイジン、およびp-ジメチルアミノ安息香酸ジエチルエステルから選択されるアミンを含む、ジベンゾイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、およびカンファーキノンから選択される組み合わせを含む。あるいは、開始剤は、過酸化物と、アスコルビン酸、アスコルビン酸誘導体、バルビツール酸またはバルビツール酸誘導体、スルフィン酸、スルフィン酸誘導体から選択される還元剤とを含むレドックス系であってよく、特に好ましいものは、(i)バルビツール酸またはチオバルビツール酸またはバルビツール酸誘導体またはチオバルビツール酸誘導体と、(ii)少なくとも1種の銅塩または銅錯体と、(iii)イオン性ハロゲン原子を有する少なくとも1種の化合物とを含むレドックス系であり、特に好ましいものは、1-ベンジル5-フェニルバルビツール酸と、銅アセチルアセトナートと、ベンジルジブチルアンモニウムクロリドとを含むレドックス系である。特に好ましくは、2成分補綴ベース材料における重合は、バルビツール酸誘導体によって開始される。
【0064】
一般に、低温重合または自家重合の出発混合物の重合反応の開始剤は、ラジカル重合反応を開始できるものであるとみなされる。好ましい開始剤は、ペルオキシドおよびアゾ化合物であり、例えば以下のものである:LPO:ジラウロイルペルオキシド、BPO:ジベンゾイルペルオキシド、t-BPEH:tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、AIBN:2,2’-アゾビス-(イソブチロニトリル)、DTBP:ジ-tert-ブチルペルオキシド。
【0065】
ペルオキシドによるラジカル重合の開始を加速するために、適切な活性化剤、例えば芳香族アミンを添加することができる。適切なアミンの例は、N,N-ジメチルp-トルイジン、N,N-ジヒドロキシエチルp-トルイジン、およびp-ジベンジルアミノ安息香酸ジエチルエステルである。これとの関係において、アミンは通常は共開始剤として機能し、通常、最大0.5質量%の量で存在する。
【0066】
以下の例示的な実施形態は、本発明をこれらの実施例に限定せずに、本発明を説明することを意図している。
【0067】
実施例
例示的な実施形態:
ISO-13586:2000に準拠した破壊靭性を決定するための試験方法
ASTM E1820-13およびISO13586:2000に準拠した試験片(CT試験片)。W/B2≦W/B≦4の代替比を使用。
【0068】
測定する組成物の破壊靭性は、規格ASTM E1820-13およびISO 13586に準拠した試験片の寸法の比率または割合を使用して、W(ASTM 1820-13に準拠)およびw(ISO 13586に準拠)=10mm、B(ASTM 1820-13に準拠)、およびh(ISO 13586:2000に準拠)=5mmの寸法を有する試験片(CT試験片)で決定する。
【0069】
まず、厚さ5mm、ベース面積/デッキ面積12.0×12.5mmの試験片(直方体)を製造する。光硬化または光重合は、それぞれ、青色光の照射によって行い、合計5個のスポット(投射面)をそれぞれ20秒間照射した(Translux 2 Wave, KULZER GmbH)。
【0070】
1mmの回転切削工具を使用して、長手方向端部に対して中央にかつ垂直に位置合わせされたノッチ(約0.55W)を形成する。ベース/デッキ領域に垂直に開けられる穴は、(ASTM 1820-13およびISO 13583:2000)の試験片に付与されるものと同じ位置に配置された直径2mmの切削工具によって、ピンを受け入れるように開けられる。
【0071】
中央に配置されたノッチの上部にかみそりの刃によって切り込みを入れ、直径≦8μm未満の亀裂を形成する。亀裂の長さ(a)は、測定を行う前に光学顕微鏡によって測定する。変化する亀裂の長さaは、規定された機械的な力の影響の下で測定する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1a】参照番号およびラベル付けの凡例、ならびに測定のセットアップの説明を含む、試験片の断面図である。
図1b】参照番号およびラベル付けの凡例、ならびに測定のセットアップの説明を含む、試験片の上面図である。
【0073】
記号の説明
w=2つの穴の中心点と反対側の試験片の端との間の距離;B=試験片全体の幅;l=長さ;l=亀裂面に対称的に配置された2つの穴の中心点間の距離+/-0.005w;R=半径;h=厚さ;a=亀裂の長さ;P=力
B=1.25w+/-0.01w;l=1.2w+/-0.01w、l=0.55w+/-0.0005w、R=0.125w+/-0.005w、0.4w<h<0.6w;0.45w≦a≦0.55w
ピンおよび穴は、摩擦を避けるために滑らかな表面およびゆるいはまり具合を有することが意図されている。
【0074】
【数1】
【0075】
その後、試験片を、穴を通してガイドされる金属ピンを使用して、万能試験機(Zwick/Roell)に固定する。続いて、規定された引張力(P)が、1mm/minの速度で破壊されるまでピンを介して試験片に加えられる。引張力(P)、厚さ(B)、幅(W)、および亀裂長さa、破壊靭性KIcは、以下の式に従って計算される。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
【表4】
【0080】
【表5】
【0081】
【表6】
【0082】
表4のサンプルそれぞれ1つ×20秒で、試験片の表面の5つの投射面で青色光(発光極大約440~460nm)により試験片の表面を照射する方法。表4に示される追加の重合のための熱硬化は、95℃で約3時間行った。
【0083】
【表7】
【0084】
ポリマーマトリックス中の成分としてビス-GMAを含む比較例の放射重合のみの試験片での破壊靭性測定の結果は、非常に低い破壊靭性についての値(VG3a、VG3b)を示し、これは、先行する照射に後続の98℃で3時間の熱硬化を組み合わせても、それ以上大幅に改善することはできない(VG3c、VG3d)。
【0085】
実施例VG1およびVG2におけるポリマーマトリックスの成分としてTCDエステルを有する例でさえも、ビス-GMAに基づくマトリックスと比較して、すでに改善された値を示す。ポリマーマトリックス中のビス-(2’,7’-ジオキサ-3’,8’-ジオキソ-4’-アザ-デシル-9’-エン)テトラヒドロジシクロペンタジエンおよびその異性体に基づく本発明による複合材料を用いると、破壊靭性について、1.9および2.3MPa・m1/2という大幅に優れた値が得られる。
図1a
図1b
【手続補正書】
【提出日】2022-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性歯科用複合材料であって、
(i)少なくとも1種の歯科用ガラスと任意選択的な少なくとも1種のアモルファス金属酸化物とを含む無機フィラー成分を40~90質量%、
(ii)少なくとも種の異なるウレタンアクリレートの混合物であって、理想化された式Iの二価脂環式基を有する少なくとも1種のウレタンアクリレート
【化1】
[RおよびRは、それぞれ独立してHまたは1~8個のC原子を有するアルキルから選択される]、および/または前記式Iのウレタンの混合物、ならびに任意選択的な前述した化合物の異性体の混合および二価アルキレン基を有する少なくとも1種の別の二官能性ウレタンアクリレートおよび/またはウレタン(アルキル)アクリレート、および任意選択的な少なくとも1種の少なくとも四官能性の樹状ウレタンアクリレートおよび/または対応するウレタンアルキルアクリレートを含む、混合物を10~60質量%、
(iii)ウレタンアクリレートではない、および/またはウレタンアルキルアクリレートではない、少なくとも1種の二官能性、三官能性、四官能性、または多官能性のモノマーを0.01~15質量%、
(iv)少なくとも1種の開始剤、開始剤系、ならびに任意選択的な少なくとも1種の安定化剤および任意選択的な少なくとも1種の顔料を0.01~10質量%、
含有し、前記複合材料の組成の合計が100質量%である、重合性歯科用複合材料。
【請求項2】
(i)少なくとも1種の歯科用ガラスと任意選択的な少なくとも1種のアモルファス金属酸化物とを含む無機フィラー成分を70~85質量%、
(ii)少なくとも2種の異なるウレタンアクリレートの混合物であって、理想化された式Iの二価脂環式基を有する少なくとも1種の二官能性ウレタンアクリレートおよび/またはウレタンアルキルアクリレート
【化2】
、ならびに/または前記式Iのウレタンの混合物、ならびに任意選択的な前述した化合物の異性体の混合物[RおよびRは、それぞれ独立してHまたは1~8個のC原子を有するアルキルから選択される]を含む混合物を10~30質量%、
(iii)ウレタンアクリレートではない、および/またはウレタンアルキルアクリレートではない、少なくとも1種の二官能性、三官能性、四官能性、または多官能性のモノマーを0.01~5質量%、
(iv)少なくとも1種の開始剤、開始剤系、ならびに任意選択的な少なくとも1種の安定化剤および任意選択的な少なくとも1種の顔料を0.01~10質量%、
含有し、前記複合材料の組成の合計が100質量%であることを特徴とする、請求項1記載の歯科用複合材料。
【請求項3】
前記少なくとも1種の歯科用ガラスが、0.5~10μmの平均粒子サイズd50を有することを特徴とする、請求項1または2記載の歯科用複合材料。
【請求項4】
a)前記歯科用ガラスが、1.8μmの平均粒子サイズd50、好ましくは20μm以下のd99を有する、または
b)前記歯科用ガラスが、i)2~8μmのd50、ii)1.0~2.0μmのd50、およびiii)0.5~2μmのd50である平均粒子サイズを有する歯科用ガラスの混合物を含有し、i)対ii)対iii)の画分が1~4:1:4~8、特に2~3:1:6~7の比率で存在する、
ことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の歯科用複合材料。
【請求項5】
前記アモルファス金属酸化物が2~150nmの一次粒子サイズを有する少なくとも1種の非凝集アモルファス金属酸化物を含み、前記アモルファス金属酸化物が、任意選択的に、沈降酸化ケイ素、焼成シリカ、酸化ジルコニウム、または混合酸化物を含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の歯科用複合材料。
【請求項6】
前記複合材料が、(i)無機フィラー成分として、前記複合材料の100質量%の組成の合計を基準として、
(i.1)少なくとも1種の歯科用ガラスを70~84質量%と、任意選択的に、
(i.2)アモルファス金属酸化物、特に焼成シリカおよび/または沈降二酸化ケイ素を2~10質量%、
含有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の歯科用複合材料。
【請求項7】
(ii)が、少なくとも3種の異なるウレタンアクリレートおよび/またはウレタンアルキルアクリレートの混合物を含み、前記混合物が、式Iの二価脂環式基を有する少なくとも1種の二官能性ウレタンおよび/またはその異性体、ならびに二価アルキレン基を有する二官能性ウレタンアクリレートおよび/またはウレタン(アルキル)アクリレート、ならびに任意選択的な少なくとも1種の少なくとも四官能性の樹状ウレタンアクリレートおよび/または対応するウレタンアルキルアクリレート、好ましくは少なくとも1種の六官能性の樹状ウレタンアクリレートまたは対応するウレタンアルキルアクリレートを含むことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の歯科用複合材料。
【請求項8】
(iii)が、ポリエーテルのジメタクリル酸エステル、三官能性、四官能性、または多官能性のポリエーテルのメタクリル酸エステル、およびビス-(2’-オキサ-3’-オキソ-ペンチル-4’-エン)テトラヒドロジシクロペンタジエンおよびその異性体から選択されることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の歯科用複合材料。
【請求項9】
前記少なくとも1種の安定化剤が、水、少なくとも1種のベンゾフェノン誘導体、および/または少なくとも1種のフェノール誘導体を含むことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の歯科用複合材料。
【請求項10】
(v)が、高分子粒子状フィラーを0.01~15質量%含み、前記複合材料の組成の合計が100質量%であることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の歯科用複合材料。
【請求項11】
i)UVおよび/またはVIS放射源を使用して、好ましくは、400nm~530nmのスペクトル範囲に放射極大を有する、好ましくは440~500nmのスペクトル範囲に少なくとも1つの極大を有するVIS放射源を使用して、ならびに/またはii)50~300MPaの圧力および/またはiii)高温、好ましくは90~150℃で、請求項1から10までのいずれか1項記載の複合材料を重合することによって得られる、重合した歯科用複合材料。
【請求項12】
0.5~10μmの平均粒子サイズd50の少なくとも1種の歯科用ガラスと、任意選択的な2~150nmの一次粒子サイズのシラン処理されたアモルファス金属酸化物とを含む少なくとも1種の無機フィラー成分を40~90質量%、
理想化された前記式Iのウレタンを含む、二価脂環式基を有する少なくとも1種の二官能性ウレタンアクリレートおよび/もしくは二価脂環式基を有するウレタンアルキルアクリレート、ならびに/または前記式Iのウレタンの混合物、ならびに任意選択的な前述した化合物の3,8-/3,9-/4,8-/3,10-/4,10-異性体および/もしくはシス-およびトランス-異性体の混合物、ならびに二価アルキレン基を有する少なくとも1種のジ-ウレタンアクリレート、ならびに任意選択的な少なくとも1種の四官能性の樹状ウレタンアクリレートおよび/または対応するウレタンアルキルアクリレートに基づく、少なくとも1種のポリマーを10~60質量%、
少なくとも1種の、四官能性から十官能性の樹状ウレタンメタクリレート、および少なくとも1種の二官能性、三官能性、四官能性、または多官能性の、ポリエーテルのメタクリル酸エステル、好ましくはジメタクリレートトリエチレングリコールを0.01~15.0質量%、ならびに
少なくとも1種の顔料、特には少なくとも1種の蛍光顔料、および少なくとも1種の有機着色顔料および/または少なくとも1種の無機着色顔料を0.01~10質量%、
含有し、前記複合材料の組成の合計が100質量%である、重合した歯科用複合材料、特に請求項11記載の重合した歯科用複合材料。
【請求項13】
前記重合した歯科用複合材料が材料のブロックの形態で存在し、特に前記材料のブロックが、三次元幾何学形状体として、特にアダプタのないミリングブランクとして存在するか、または自動化されたデバイス除去材料に取り付けるためのアダプタを有するミリングブランクとして存在することを特徴とする、請求項11または12記載の重合した歯科用複合材料。
【請求項14】
材料除去プロセスにおいて、特に前記重合した複合材料が、ミリング、カッティング、ポリッシング、クラッキング、チッピング、および/もしくはドリルによって除去されるプロセスにおいて、特に前記複合材料がレーザーエネルギによって除去されるプロセスにおいて、歯科充填材料、歯科補綴修復物を製造するための、または蹄修復材料としての、骨セメントとしての、人工関節補綴物、矯正装置および器具をセメント固定するための骨セメントとしての、直接接着性歯科修復物製造に使用するための製品としての、請求項1から13までのいずれか1項記載の歯科用複合材料の使用。
【請求項15】
クラウン、インレー、アンレー、上部構造、人工歯、歯科用ブリッジ、歯科用バー、スペーサ、アバットメント、またはベニヤを含む歯科補綴修復物を製造するための、請求項14記載の使用。
【国際調査報告】