(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(54)【発明の名称】治療装置のためのフィードバック検出
(51)【国際特許分類】
A61N 5/067 20060101AFI20230113BHJP
A61B 18/20 20060101ALN20230113BHJP
【FI】
A61N5/067
A61B18/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525790
(86)(22)【出願日】2020-11-10
(85)【翻訳文提出日】2022-06-30
(86)【国際出願番号】 US2020059842
(87)【国際公開番号】W WO2021096863
(87)【国際公開日】2021-05-20
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520204630
【氏名又は名称】アヴァヴァ、 インク.
【氏名又は名称原語表記】AVAVA, INC.
【住所又は居所原語表記】275 2nd Avenue, 3rd Floor, Waltham, Massachusetts 02451, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100120662
【氏名又は名称】川上 桂子
(74)【代理人】
【識別番号】100216770
【氏名又は名称】三品 明生
(74)【代理人】
【識別番号】100217364
【氏名又は名称】田端 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【氏名又は名称】梶谷 美道
(72)【発明者】
【氏名】バーウォルカー、 ジャヤント
(72)【発明者】
【氏名】カトカム、 ラジェンドラ
(72)【発明者】
【氏名】レビン、 ルイス、 ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ドレッサー、 チャールス、 ホーランド
【テーマコード(参考)】
4C026
4C082
【Fターム(参考)】
4C026BB08
4C026FF22
4C026FF33
4C026HH02
4C082PA01
4C082PC08
4C082PE10
4C082PG12
4C082PG17
(57)【要約】
いくつかの実施形態によれば、組織を分割して治療するためのシステムは、横方向リングエネルギープロファイルを有するEMRビームを生成するように構成された電磁放射線(EMR)源と、EMRビームを組織内に位置する焦点領域に集束するように構成された光学系と、組織の外面と接触して配置されるとき組織を冷却するように構成された光学系からビーム下流に位置する窓組立体と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
横方向リングエネルギープロファイルを有するEMRビームを生成するように構成された電磁放射(EMR)源と、
前記EMRビームを組織内に位置する焦点領域に集束するように構成された光学系と、
前記組織の外面と接触して配置されるときに、前記組織を冷却するように構成された前記光学系からビーム下流に位置する窓組立体と、
を含み、
前記窓組立体は、
第1の窓、
前記第1の窓と分離した第2の窓、及び
前記第1の窓と前記第2の窓との間に位置する冷却剤チャンバであって、前記EMRビームの実質的に非吸水性である冷却剤を収容するように構成される冷却剤チャンバ、を含む、
システム。
【請求項2】
前記EMRビームは、約1000nmから4000nmの間の範囲の波長を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記冷却剤は、誘電性流体、フルオロカーボン系流体、水、不凍液、エチレングリコール、及びプロピレングリコールのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記光学系は、少なくとも約0.2の開口数(NA)で前記EMRビームを集束するようにさらに構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記窓組立体と前記組織との間に位置する光学組織クリアリング媒体をさらに含み、前記光学組織クリアリング媒体は、グリセリン、ポリエチレングリコール、及びリン酸緩衝生理食塩水のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記EMR源は、前記横方向リングエネルギープロファイルを成形するように構成されたビーム整形器をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ビーム整形器は、アキシコンを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記EMRビームを生成する前に、前記窓組立体が前記組織を所定の温度に冷却することを確実にするために、前記EMR源を制御するように構成されたコントローラをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記EMRビームを生成する前に、前記窓組立体が所定期間の間前記組織を冷却することを確実にするために、前記EMR源を制御するように構成されたコントローラをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
方法であって、
組織の外面に接触する窓組立体を使用して組織を冷却するステップであって、
前記窓組立体は、
第1の窓、
前記第1の窓と分離した第2の窓、及び
前記第1の窓と前記第2の窓との間に位置する冷却剤チャンバ、
を含み、
前記冷却剤チャンバは、EMRビームの実質的に非吸水性である冷却剤を収容するように構成されるステップと、
電磁放射(EMR)源を使用して、横方向リングエネルギープロファイルを有するEMRビームを生成するステップと、
光学系を使用して、前記EMRビームを組織内に位置する焦点領域に集束させるステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記EMRビームは、約1000nmから4000nmの間の範囲の波長を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記冷却剤は、誘電性流体、フルオロカーボン系流体、水、不凍液、エチレングリコール、及びプロピレングリコールのうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記EMRビームを集束させるステップは、少なくとも約0.2の開口数(NA)で実行される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記窓組立体と前記組織との間に光学組織クリアリング媒体を導入するステップをさらに含み、前記光学組織クリアリング媒体は、グリセリン、ポリエチレングリコール、及びリン酸緩衝生理食塩水のうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記電磁放射線源は、前記横方向リングエネルギープロファイルを成形するように構成されたビーム整形器をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記ビーム整形器は、アキシコンを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記EMRビームを生成する前に、前記窓組立体が前記組織を所定の温度に冷却することを確実にするために、コントローラを使用して前記EMR源を制御するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記EMRビームを生成する前に、前記窓組立体が所定期間の間前記組織を冷却することを確実にするために、コントローラを使用して前記EMR源を制御するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
システムであって、
約1400nmから3400nmの範囲の波長のEMRビームを生成するように構成された電磁放射(EMR)源と、
前記EMRビームを横方向リングエネルギープロファイルに成形するように構成されたビーム整形器であって、アキシコンを含むビーム整形器と、
少なくとも約0.2の開口数で前記EMRビームを組織内に位置する焦点領域に集束するように構成された光学系と、
前記組織の外面と接触して配置されるときに、前記組織を冷却させるように構成された前記光学系を形成するビーム下流に位置する窓組立体であって、
第1の窓、
前記第1の窓と分離した第2の窓、及び
前記第1の窓と前記第2の窓との間に位置する冷却剤チャンバであって、前記EMRビームの実質的に非吸水性でフルオロカーボン系流体を含む冷却剤を収容するように構成される冷却剤チャンバ、
を含む窓組立体と、
を含み、
前記窓組立体は、EMRビームを生成する前に、所定の温度及び所定の時間のうちの少なくとも1つによって組織を冷却することを確実にするために、前記EMR源を制御するように構成されたコントローラを含む、
システム。
【請求項20】
システムであって、
波長を有するEMRビームを生成するように構成された電磁放射線(EMR)源と、
前記EMRビームを幅にコリメートするように構成されたコリメータと、
前記コリメートされたEMRビームを横方向リングエネルギープロファイルに成形するように構成された第1アキシコン及び第2アキシコンを含むビーム整形器であって、前記第1アキシコン及び前記第2アキシコンは、前記横方向リングエネルギープロファイルの所望の内径に影響を与えるように選択される光軸に沿った分離距離によって分離し、前記コリメートされたEMRビームの幅は、前記横方向エネルギープロファイルの所望の厚さに影響を与えるように選択されるビーム整形器と、
前記EMRビームを組織内の焦点領域に集束させて、前記焦点領域内の前記組織に影響を与えるように構成された光学系と、
を含む、システム。
【請求項21】
システムであって、
横方向リング状エネルギープロファイル及び約1200nmから約12000nmの範囲の波長を有するEMRビームを生成するように構成された電磁放射(EMR)源と、
前記EMRビームを組織内に位置する焦点領域に集束するように構成された光学系と、
前記組織内の前記焦点領域を走査するように構成されたビーム走査システムと、
前記組織の外面と接触して配置されるときに、前記EMRビームを透過させて前記組織を冷却するように構成された前記光学系からビーム下流に位置する窓組立体であって、
第1の窓、
前記第1の窓と分離した第2の窓、及び
前記第1の窓と前記第2の窓との間に位置する冷却剤チャンバであって、前記EMRビームの実質的に非吸水性であるフルオロカーボン系流体を含む冷却剤を収容するように構成される冷却剤チャンバ、
を含む窓組立体と、
複数のパルスで前記EMRビームを生成するために前記EMR源を制御するように構成されたコントローラであって、前記複数のパルスのうちの少なくとも1つのパルスは、約100マイクロ秒より小さくないパルス持続時間を有するコントローラと、
を含む、システム。
【請求項22】
前記複数のパルスのうちの少なくとも1つのパルスは、約100mJより大きくないパルスエネルギーを有する、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記冷却剤を約-20℃から約20℃の範囲内の温度に冷却するように構成された冷却装置をさらに含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記光学系は、少なくとも約0.2の開口数(NA)で前記EMRビームを集束するようにさらに構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項25】
前記窓組立体と前記組織との間に位置する光学組織クリアリング媒体をさらに含み、前記光学組織クリアリング媒体は、グリセリン、ポリエチレングリコール、及びリン酸緩衝生理食塩水のうちの少なくとも1つを含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項26】
前記EMR源は、前記横方向リング状エネルギープロファイルを成形するように構成されたビーム整形器をさらに含む、請求項21に記載のシステム。
【請求項27】
前記ビーム整形器は、アキシコンを含む、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記コントローラは、前記EMRビームを生成する前に、前記窓組立体が前記組織を所定の温度に冷却することを確実にするために、前記EMR源を制御するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項29】
前記コントローラは、前記EMRビームを生成する前に、前記窓組立体が所定の期間前記組織を冷却することを確実にするために、前記EMR源を制御するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項30】
前記EMR源、前記光学系、及び前記ビーム走査システムのうちの少なくとも1つは、前記リング状エネルギープロファイルの内径、前記リング状エネルギープロファイルの外径、前記リング状エネルギープロファイルの厚さ、及び前記組織内の前記焦点領域の深さのうち1つ以上を含む、前記EMRビームの1つ以上のパラメータを制御するように構成される、請求項21に記載のシステム。
【請求項31】
方法であって、
組織の外面に接触する窓組立体を使用して組織を冷却するステップであって、
前記窓組立体は、
第1の窓、
前記第1の窓と分離した第2の窓、及び
前記第1の窓と前記第2の窓との間に位置する冷却剤チャンバ、
を含み、
前記冷却剤チャンバは、EMRビームの実質的に非吸水性であるフルオロカーボン系流体を含む冷却剤を収容するように構成されるステップと、
電磁放射(EMR)源を使用して、横方向リング状エネルギープロファイル及び約1200nmから約12000nmの範囲の波長を有するEMRビームを生成するステップと、
光学系を使用して、前記EMRビームを組織内に位置する焦点領域に集束させるステップと、
ビーム走査システムを使用して、前記組織内の前記焦点領域を走査するステップと、
コントローラを使用して、複数のパルスで前記EMRビームを生成するように前記EMR源を制御するステップであって、前記複数のパルスのうちの少なくとも1つのパルスは約100マイクロ秒より小さくないパルス持続時間を有するステップと、
を含む、方法。
【請求項32】
前記複数のパルスのうちの少なくとも1つのパルスは、約100mJより大きくないパルスエネルギーを有する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
冷却装置を使用して、前記冷却剤を約-20℃から約20℃の範囲内の温度に冷却するステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記EMRビームを集束させるステップは、少なくとも約0.2の開口数(NA)で実行される、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記窓組立体と前記組織との間に光学組織クリアリング媒体を導入するステップをさらに含み、前記光学組織クリアリング媒体は、グリセリン、ポリエチレングリコール、及びリン酸緩衝生理食塩水のうちの少なくとも1つを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記電磁放射線源は、前記横方向リング状エネルギープロファイルを成形するように構成されたビーム整形器をさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記ビーム整形器は、アキシコンを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記EMRビームを生成する前に、前記窓組立体が前記組織を所定の温度に冷却することを確実にするために、コントローラを使用して前記EMR源を制御するステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項39】
前記EMRビームを生成する前に、前記窓組立体が所定の期間前記組織を冷却することを確実にするために、コントローラを使用して前記EMR源を制御するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項40】
前記リング状エネルギープロファイルの内径、前記リング状エネルギープロファイルの外径、前記リング状エネルギープロファイルの厚さ、及び前記組織内の焦点領域の深さのうち1つ以上を含む、前記EMRビームの1つ以上のパラメータを制御するステップをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項41】
システムであって、
約1400nmから3500nmの範囲の波長を有するEMRビームを生成するように構成された電磁放射(EMR)源と、
前記EMRビームをコリメートされたビーム幅にコリメートするように構成されたコリメータと、
前記EMRビームを横方向リング状エネルギープロファイルに成形するように構成された第1アキシコン及び第2アキシコンを含むビーム整形器であって、前記第1アキシコン及び前記第2アキシコンは、軸に沿った分離距離によって分離し、前記リング状エネルギープロファイルの内径は前記分離距離と関連し、前記リング状エネルギープロファイルの厚さは前記コリメートされたビーム幅に関連するビーム整形器と、
少なくとも約0.2の開口数で前記EMRビームを組織内に位置する焦点領域に対して集束するように構成された光学系と、
前記組織内の前記焦点領域を走査するように構成されたビーム走査システムと、
前記組織の外面と接触して配置されるときに、前記EMRビームを透過させて前記組織を冷却するように構成された前記光学系からビーム下流に位置する窓組立体であって、
第1の窓、
前記第1の窓と分離した第2の窓、及び
前記第1の窓と前記第2の窓との間に位置する冷却剤チャンバであって、前記EMRビームの実質的に非吸水性であるフルオロカーボン系流体を含む冷却剤を収容するように構成される冷却剤チャンバ、
を含む窓組立体と、
前記冷却剤を約-20℃から約20℃の範囲内の温度に冷却するように構成された冷却装置と、
前記窓組立体が前記EMRビームを生成する前に、所定の温度に又は所定の時間前記組織を冷却することを確実にするために、前記EMR源を制御し、複数のパルスで前記EMRビームを生成するように前記EMR源を制御するように構成されたコントローラであって、前記複数のパルスのうちの少なくとも1つのパルスは、100マイクロ秒より小さくないパルス持続時間を設けるコントローラと、を含み、
前記EMR源、前記光学系、及び前記ビーム走査システムのうちの少なくとも1つは、前記リング状エネルギープロファイルの内径、前記リング状エネルギープロファイルの外径、前記リング状エネルギープロファイルの厚さ、及び前記組織内の前記焦点領域の深さのうち1つ以上を含む、前記EMRビームの1つ以上のパラメータを制御するように構成される、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2019年11月13日に提出された「電磁放射線ベースの治療装置及び方法」と題された米国仮特許出願第62/934,583の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
現在、真皮の分割治療(fractionated treatment)には、多くのエネルギーベースの装置を使用することができる。これらの方法には、切除レーザ(ablative laser)、非切除レーザ(non-ablative laser)、マイクロニードリング(micro-needling)、及びRFエネルギー治療(energy treatment)が含まれる。一般に、現在の利用可能なこのような分割エネルギーベースの治療(fractionated energy-based treatment)は、治療中の皮膚の外側部分(例えば、表皮)に損傷を要する。多くの場合、表皮が損傷すると、治療直後に皮膚に炎症を起こしたり、傷ついたり、又は不健康になり得る。また、表皮への深刻な損傷は、1つ以上の感染が発生し、追加の治療が必要になることもある。このような望ましくない外観は、表皮が治るまで続く治療後のダウンタイム(downtime)をもたらし、使用される治療パラメータ(例えば、切除と非切除)に応じて数日から数週間かかる場合がある。多くの患者は、治療後のダウンタイムが終わるまで通常の生活に戻ることができない。従って、治療後のダウンタイムを最小限に抑えるために、表皮の損傷を最小限に抑えながら真皮に確実に影響を与えることができる分割治療システム及び方法を利用できることが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
皮膚の再生(skin rejuvenation)は、多くの場合、分割治療によって実行される。分割又は分割エネルギーベースの治療は、組織の一部の領域のみがエネルギーに曝される治療法を指す。例えば、分割皮膚治療は、レーザビームで皮膚の領域の25%を治療し、その領域の残り75%の皮膚を治療せずに残すことができる。エネルギーベースの皮膚の再生には、コラーゲンネットワーク内に制御された小さな損傷を作ることが含まれる。小さな傷によって、新しいコラーゲンが形成される傷の治癒過程が発生する。新しく形成されたコラーゲンは、皮膚を引き締めて皮膚をより若々しく見せる。多くの皮膚の再生分割治療システムは、光熱分解を達成する発色団として水を標的にして作動する。
【0004】
分割治療は、一般に切除及び非切除の2つのカテゴリーに分けることができる。切除治療は、組織を除去し、真皮内に熱損傷を引き起こすことに加え、表面上に微小損傷をもたらす。非切除治療は通常、組織の除去を誘発せず、代わりに熱破壊のみ誘発する。切除分割治療に対する非切除分割治療の利点は、ダウンタイムを短くすることである。
【0005】
組織のエネルギーベース分割治療は、一般に所望の破壊又は損傷をもたらすために、組織の選択された部分に大量のエネルギーが送達及び吸収されなければならない。このような破壊又は損傷は、組織領域で繰り返されるため、破壊された組織の小さな領域(例えば、直径0.1~10mm)は、損傷を受けていない組織と組み合さる。損傷した組織の小さな領域は、治療後の治癒過程で新しい組織に置き換えられる。上にある表皮層への損傷を最小限に抑えながら皮膚の真皮層内に損傷を誘発することは、様々な技術的課題が提示され、そのいくつかを以下に列挙する。
【0006】
第一に、組織の真皮層には、組織の表皮層内に存在しない既知の発色団はない。これは、真皮内で吸収するように選択された放射線も表皮層内で吸収されることを意味する。
【0007】
第二に、EMRは皮膚の表皮層と真皮層に等しく吸収されるため、表皮よりも真皮層に高いエネルギー密度を供給する必要がある。これを達成するために、EMRプロファイルは、EMRビームの焦点領域(即ち、最大エネルギー密度の領域)が真皮内に位置し、EMRビームの焦点が合わない領域(即ち、最小エネルギー密度の領域)だけが皮膚の表皮層に従属するように変化する必要がある。
【0008】
第三に、皮膚組織は、混乱した媒体(turbid medium)であり、これは、皮膚を介して伝播する放射線が散乱することを意味する。皮膚組織内での放射線の散乱により、組織内の任意の深さで焦点領域(最大エネルギー密度領域)を形成することがさらに難しく、上記の第一及び第二の課題を複雑にさせる。
【0009】
第四に、焦点領域(又は最大エネルギー密度の領域)は、皮膚の真皮層内の深さに正確に位置する必要がある。これにより、表皮への望ましくない損傷を防止するために、最大エネルギー密度の領域が真皮に位置し、表皮内に位置しないようにする。
【0010】
第五に、EMRビームは、組織外部から伝えられ、従って、表皮は、最小限の照射及び軽微な熱加熱(即ち、真皮より少ない)を経験する。この第五の課題に対応して、表皮への熱損傷を防ぐために、治療中の真皮層の真上にある表皮層を能動的に冷却する必要がある。
【0011】
従って、皮膚組織の真皮層に分割された治療的な破壊を提供する一方で、上部の表皮層への損傷を最小限に抑えるために、上記の全ての課題を解決する分割治療システム及び方法が必要である。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、組織を分割して治療するためのシステムは、横方向リングエネルギープロファイルを有するEMRビームを生成するように構成された電磁放射線(EMR)源と、EMRビームを組織内に位置する焦点領域に集束するように構成された光学系(optic)と、組織の外面と接触して配置されるとき組織を冷却するように構成された光学系からビーム下流(down-beam)に位置する窓組立体(window assembly)とを含む。窓組立体は、第1の窓、第1の窓から分離した第2の窓、及び第1の窓と第2の窓との間に位置する冷却剤チャンバ(coolant chamber)を含み、冷却剤チャンバは、EMRビームに実質的に非吸水性である冷却剤(coolant)を収容するように構成される。
【0013】
システムのいくつかの実施形態では、EMRビームは、約1000nmから4000nmの間の範囲の波長を有する。
【0014】
システムのいくつかの実施形態では、冷却剤は、誘電性流体(dielectric fluid)、フルオロカーボン系流体(fluorocarbon-based fluid)、水、不凍液、エチレングリコール(ethylene glycol)、及びプロピレングリコール(propylene glycol)のうちの少なくとも1つを含む。
【0015】
システムのいくつかの実施形態では、光学系は、少なくとも約0.2の開口数(numerical aperture;NA)でEMRビームを集束するようにさらに構成される。
【0016】
システムのいくつかの実施形態では、システムはまた、窓組立体と組織との間に位置する光学的クリアリング媒体(optical clearing medium)を含む。場合によっては、光学的クリアリング媒体は、グリセリン(glycerin)、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol)、及びリン酸緩衝生理食塩水(phosphate-buffered saline)のうちの少なくとも1つを含む。
【0017】
システムのいくつかの実施形態では、EMR源は、横方向リングエネルギープロファイルを成形するように構成されたビーム整形器(beam shaper)を含む。システムのいくつかの変形例ではビーム整形器にアキシコン(axicon)が含まれている。
【0018】
システムのいくつかの実施形態では、システムは、コントローラをさらに含む。場合によっては、コントローラは、EMRビームを生成する前に、窓組立体が組織を所定の温度に冷却することを確実にするために、EMR源を制御するように構成される。場合によっては、コントローラは、EMRビームを生成する前に、窓組立体が所定期間組織を冷却することを確実にするために、EMR源を制御するように構成される。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、組織を部分的に治療するための方法は、組織の外面に接触する窓組立体を使用して組織を冷却するステップと、電磁放射線(EMR)源を使用して横方向リングエネルギープロファイルを有するEMRビームを生成するステップと、光学系を使用して、組織内に位置する焦点領域にEMRビームを集束させるステップと、を含む。場合によっては、窓組立体は、第1の窓、第1の窓から分離した第2の窓、及び第1の窓と第2の窓との間に位置する冷却剤チャンバを含み、冷却剤チャンバは、EMRビームの実質的に非吸水性である冷却剤を収容するように構成される。
【0020】
方法のいくつかの実施形態では、EMRビームは、約1000nmから4000nmの間の範囲の波長を有する。
【0021】
方法のいくつかの実施形態では、冷却剤は、誘電性流体、フルオロカーボン系流体、水、エチレングリコール、及びプロピレングリコールのうちの少なくとも1つを含む。
【0022】
方法のいくつかの実施形態では、EMRビームを集束は、少なくとも約0.2の開口数(NA)で実行される。
【0023】
方法のいくつかの実施形態では、方法は、窓組立体と組織との間に光学組織クリアリング媒体(optical tissue clearing medium)を導入するステップをさらに含む。場合によっては、光学組織クリアリング媒体は、グリセリン、ポリエチレングリコール、及びリン酸緩衝生理食塩水のうちの少なくとも1つを含む。
【0024】
方法のいくつかの実施形態では、EMR源は、横方向リングエネルギープロファイルを成形するように構成されたビーム整形器をさらに含む。方法のいくつかの変形例では、ビーム整形器はアキシコンを含む。
【0025】
方法のいくつかの実施形態では、方法は、EMRビームを生成する前に、窓組立体が組織を所定の温度に冷却することを確実にするために、コントローラを使用して、EMR源を制御するステップをさらに含む。
【0026】
方法のいくつかの実施形態では、方法は、EMRビームを生成する前に、窓組立体が所定期間組織を冷却することを確実にするために、コントローラを使用して、EMR源を制御するステップをさらに含む。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、組織を部分的に治療するためのシステムは、約1400nmから3400nmの範囲の波長を有するEMRビームを生成するように構成された電磁放射(EMR)源と、EMRビームを横方向リングエネルギープロファイルに成形するように構成されたビーム整形器であって、アキシコンを含むビーム整形器と、少なくとも約0.2の開口数(NA)でEMRビームを組織内に位置する焦点領域に集束するように構成された光学系と、組織の外面と接触して配置されるときに、組織を冷却するように構成された光学系からビーム下流に位置する窓組立体であって、第1の窓、第1の窓から分離した第2の窓、及び第1の窓と第2の窓との間に位置する冷却剤チャンバを含み、冷却剤チャンバは、EMRビームの実質的に非吸水性でフルオロカーボン系流体を含む冷却剤を収容するように構成される窓組立体と、を含み、窓組立体が、EMRビームを生成する前に、所定の温度及び所定の時間のうちの少なくとも1つによって組織を冷却することを確実にするために、EMR源を制御するように構成されたコントローラを含む。
【0028】
いくつかの実施形態によれば、組織を部分的に治療するためのシステムは、波長を有するEMRビームを生成するように構成された電磁放射線(EMR)源と、EMRビームを幅にコリメートするように構成されたコリメータ(collimator)と、コリメートされたEMRビームを横方向リングエネルギープロファイルに成形するように構成された第1アキシコン及び第2アキシコンを含むビーム整形器であって、第1アキシコン及び第2アキシコンは、横方向リングエネルギープロファイルの所望の内径(inner diameter)に影響を与えるように選択された光軸に沿った距離だけ分離してコリメートされたEMRビームの幅は、横方向エネルギープロファイルの所望の厚さに影響を与えるように選択されるビーム整形器と、EMRビームを組織内の焦点領域に集束させて焦点領域を有する組織に影響を与えるように構成された光学系と、を含む。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、システムは、横方向リング状エネルギープロファイル及び約1200nmから約12000nmの範囲の波長を有するEMRビームを生成するように構成されたEMR源と、EMRビームを組織内に位置する焦点領域に集束するように構成された光学系と、組織内の焦点領域を走査するように構成されたビーム走査システムと、EMRビームを透過させて組織の外面と接触して配置されるとき組織を冷却するように構成された光学系からビーム下流に位置する窓組立体であって、第1の窓、第1の窓から分離する第2の窓、及び第1の窓と第2の窓との間に位置する冷却剤チャンバであって、EMRビームの実質的に非吸水性であるフルオロカーボン系流体を含む冷却剤を収容するように構成される冷却剤チャンバ、を含む窓組立体と、複数のパルスでEMRビームを生成するようにEMR源を制御するように構成されたコントローラであって、複数のパルスのうちの少なくとも1つのパルスは約100マイクロ秒より小さくないパルス持続時間を有するコントローラと、を含む。
【0030】
システムのいくつかの実施形態では、複数のパルスのうちの少なくとも1つのパルスは、約100mJより大きくないパルスエネルギーを有する。
【0031】
システムのいくつかの実施形態では、システムは、冷却剤を約-20℃から約20℃の範囲内の温度に冷却するように構成された冷却装置(chiller)をさらに含む。
【0032】
システムのいくつかの実施形態では、光学系は、少なくとも約0.2の開口数(NA)でEMRビームを集束するようにさらに構成される。
【0033】
システムのいくつかの実施形態では、システムは、窓組立体と組織との間に位置する光学組織クリアリング媒体をさらに含み、光学組織クリアリング媒体は、グリセリン、ポリエチレングリコール、及びリン酸緩衝生理食塩水のうちの少なくとも1つを含む。
【0034】
システムのいくつかの実施形態では、EMR源は、横方向リング状エネルギープロファイルを成形するように構成されたビーム整形器をさらに含む。システムのいくつかの変形例ではビーム整形器にアキシコンが含まれている。
【0035】
システムのいくつかの実施形態では、コントローラは、EMRビームを生成する前に、窓組立体が組織を所定の温度に冷却することを確実にするために、EMR源を制御するように構成される。
【0036】
システムのいくつかの実施形態では、コントローラは、EMRビームを生成する前に、窓組立体が所定の期間組織を冷却することを確実にするために、EMR源を制御するように構成される。
【0037】
システムのいくつかの実施形態では、EMR源、光学系、及びビーム走査システムのうちの少なくとも1つは、リング状エネルギープロファイルの内径、リング状エネルギープロファイルの外径、リング状エネルギープロファイルの厚さ、及び組織内の焦点領域の深さのうち1つ以上を含む、EMRビームの1つ以上のパラメータを制御するように構成される。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、方法は、組織の外面に接触する窓組立体を使用して組織を冷却するステップと、EMR源を使用して横方向リング状エネルギープロファイル、及び約1200nmから12000nmの範囲の波長を有するEMRビームを生成するステップと、光学系を使用して、EMRビームを組織内に位置する焦点領域に集束させるステップと、ビーム走査システムを使用して、組織内の焦点領域を走査するステップと、コントローラを使用して、複数のパルスを有するEMTビームを生成するようにEMR源を制御するステップであって、複数のパルスのうちの少なくとも1つのパルスは約100マイクロ秒より小さくないパルス持続時間を有するステップと、を含む。いくつかの実施形態では、窓(windoew)は、第1の窓と、第1の窓から分離した第2の窓と、第1の窓と第2の窓との間に位置する冷却剤チャンバと、を含む。冷却剤チャンバは、EMRビームの実質的に非吸水性であるフルオロカーボン系流体を含む冷却剤を収容するように構成される。
【0039】
方法のいくつかの実施形態では、複数のパルスのうちの少なくとも1つのパルスは、約100mJより大きくないパルスエネルギーを有する。
【0040】
方法のいくつかの実施形態では、方法は、冷却装置を使用して冷却剤を約-20℃から約20℃の範囲内の温度に冷却するステップを追加的に含む。
【0041】
方法のいくつかの実施形態では、EMRビームを集束させるステップは、少なくとも約0.2の開口数(NA)で実行される。
【0042】
方法のいくつかの実施形態では、方法は、窓組立体と組織との間に光学組織クリアリング媒体を導入するステップを追加的に含み、光学組織クリアリング媒体は、少なくとも1つのグリセリン、ポリエチレングリコール、及びリン酸緩衝生理食塩水を含む。
【0043】
方法のいくつかの実施形態では、EMR源は、横方向リング状エネルギープロファイルを成形するように構成されたビーム整形器をさらに含む。方法のいくつかの変形例では、ビーム整形器は、アキシコンを含む。
【0044】
方法のいくつかの実施形態では、方法は、EMRビームを生成する前に、窓組立体が組織を所定の温度に冷却することを確実にするために、コントローラを使用してEMR源を制御するステップをさらに含む。
【0045】
方法のいくつかの実施形態では、方法は、EMRビームを生成する前に、窓組立体が所定の期間組織を冷却することを確実にするために、コントローラを使用してEMR源を制御するステップをさらに含む。
【0046】
方法のいくつかの実施形態では、方法は、リング状エネルギープロファイルの内径、リング状エネルギープロファイルの外径、リング状エネルギープロファイルの厚さ、及び組織内の焦点領域の深さのうち1つ以上を含む、EMRビームの少なくとも1つのパラメータを制御するステップをさらに含む。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、システムは、約1400nmから約3500nmの範囲の波長を有するEMRビームを生成するように構成されたEMR源と、EMRビームをコリメートされたビーム幅にコリメートするように構成されたコリメータと、EMRビームを横方向リング状エネルギープロファイルに成形するように構成された第1アキシコン及び第2アキシコンを含むビーム整形器であって、第1アキシコンと前記第2アキシコンは光軸に沿って分離距離だけ離れ、リング状エネルギープロファイルの内径は分離距離に関連し、リング状エネルギープロファイルの厚さはコリメートされたビーム幅に関連するビーム整形器と、少なくとも約0.2の開口数でEMRビームを組織内に位置する焦点領域に集束するように構成された光学系と、組織内の焦点領域を走査するように構成されたビーム走査システムと、EMRビームを透過して組織の外面と接触して配置されるとき組織を冷却するように構成された光学系からビーム下流に位置する窓組立体であって、第1の窓、第1の窓と分離した第2の窓、及び第1の窓と第2の窓との間に位置する冷却剤チャンバを含み、冷却剤チャンバは、EMRビームを実質的に非吸水性であるフルオロカーボン系流体を含む冷却剤を収容するように構成される窓組立体と、冷却剤を約-20℃から約20℃の範囲内の温度に冷却するように構成された冷却装置と、EMRビームを生成する前に、窓組立体が所定の温度に又は所定の時間組織を冷却することを確実にするために、EMR源を制御し、及び複数のパルスでEMRビームを生成するようにEMR源を制御するように構成されたコントローラであって、複数のパルスのうちの少なくとも1つのパルスは、100マイクロ秒より小さくないパルス持続時間を設けるコントローラと、を含み、EMR源、光学系、及びビーム走査システムのうちの少なくとも1つは、リング状エネルギープロファイルの内径、リング状エネルギープロファイルの外径、リング状エネルギープロファイルの厚さ、及び組織内の焦点領域の深さのうち1つ以上を含む、EMRビームの1つ以上のパラメータを制御するように構成される。
【0048】
本開示の実施形態は、添付された図面と共に以下の詳細な説明からより完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】いくつかの実施形態による、電磁放射線(EMR)治療のための装置を概略的に示す図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、EMR治療のための方法を説明するフローチャートである。
【
図3A】いくつかの実施形態による、EMR治療のための装置の例示的な実施形態の概略図である。
【
図3E】いくつかの実施形態による、接触窓組立体の背面等角図である。
【
図3F】いくつかの実施形態による、
図3Eの接触窓組立体の正面等角図である。
【
図3G】いくつかの実施形態による、
図3Eの接触窓組立体の正面図である。
【
図4A】いくつかの実施形態による、ビーム整形器のシミュレーションのための光路レイアウトの概略図である。
【
図4B】いくつかの実施形態による、横ガウスモードを示す。
【
図4C】いくつかの実施形態による、焦点の0.5mm前の横方向リングエネルギープロファイルを示す。
【
図4D】いくつかの実施形態による、焦点の0.2mm前の横方向リングエネルギープロファイルを示す。
【
図4E】いくつかの実施形態による、焦点の0.1mm前の横方向リングエネルギープロファイルを示す。
【
図4F】いくつかの実施形態による、焦点0.5mm前にガウスビームのエネルギープロファイルを示す。
【
図4G】いくつかの実施形態による、焦点0.5mm前の横方向リング(即ち、ドーナツ)エネルギープロファイルのエネルギープロファイルを示す。
【
図5A】いくつかの実施形態による、本明細書で論じられる研究番号1からの組織サンプルの水平組織学を示す。
【
図5B】いくつかの実施形態による、本明細書で論じられる研究番号1からの組織サンプルの垂直組織学を示す。
【
図5C】いくつかの実施形態による、本明細書で論じられる研究番号1からの組織サンプルの水平組織学を示す。
【
図5D】いくつかの実施形態による、本明細書で論じられる研究番号1からの組織サンプルの垂直組織学を示す。
【
図6A】いくつかの実施形態による、本明細書で論じられる研究番号2からの組織サンプルの垂直組織学を示す。
【
図6B】いくつかの実施形態による、本明細書で論じられる研究番号2からの組織サンプルの垂直組織学を示す。
【
図7A】いくつかの実施形態による、本明細書で論じられる研究番号3からの組織サンプルの多重垂直組織学的画像を示す。
【
図7B】いくつかの実施形態による、本明細書で論じられる研究番号3からの組織サンプルの多重水平組織学的画像を示す。
【
図7C】いくつかの実施形態による、本明細書で論じられる研究番号3からの組織サンプルの多重水平組織学的画像を示す。
【
図7D】いくつかの実施形態による、本明細書で論じられる研究番号3からの組織サンプルの多重水平組織学的画像を示す。
【
図7E】いくつかの実施形態による、本明細書で論じられる研究番号3からの組織サンプルの多重水平組織学的画像を示す。
【
図8】いくつかの実施形態による、ビーム成形のための光学方式を概略的に示す図である。
【
図9A】いくつかの実施形態による、分割治療のための光学方式を概略的に示す図である。
【
図9B】いくつかの実施形態による、分割治療のための光学方式を概略的に示す図である。
【
図11A】治療システムの例示的な実施形態の正面図を示す。
【
図11B】治療システムの例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図12】いくつかの実施形態によるライン走査パターンを示す。
【
図13】プリオブジェクティブ走査システムの概略図である。
【
図14】例示的なプリオブジェクティブ走査システムを示す図である。
【
図15】
図14のプリオブジェクティブ走査システムのビーム折曲平面を示す。
【
図17】例示的なプリオブジェクティブ走査システムを示す図である。
【
図18】例示的なプリオブジェクティブ走査システムを示す図である。
【
図19A】
図14,17及び18のプリオブジェクティブ走査システムに関連する例示的な走査パターンを示す。
【
図19B】
図14,17及び18のプリオブジェクティブ走査システムに関連する例示的な走査パターンを示す。
【
図19C】
図14,17及び18のプリオブジェクティブ走査システムに関連する例示的な走査パターンを示す。
【
図20】例示的なプリオブジェクティブ走査システムを示す図である。
【
図21】
図23のプリオブジェクティブ走査システムの例示的なプリズムシステムを示す。
【
図23】例示的なプリオブジェクティブ走査システムを示す図である。
【
図24】例示的なプリオブジェクティブ走査システムを示す図である。
【
図25】回転オブジェクティブ走査システムの概略図である。
【
図26】いくつかの実施形態による、一次元(1D)ビーム走査システムを概略的に示す。
【
図27】いくつかの実施形態による、二次元(2D)ビーム走査システムを概略的に示す。
【
図28】ポストオブジェクティブ走査システムの概略図である。
【0050】
図面は、必ずしも縮尺の通りではないことに留意されたい。図面は、本明細書で開示された主題の典型的な態様のみを示すことを意図しており、従って、本開示の範囲を制限するものと見なされるべきではない。本明細書に具体的に説明され、添付の図面に示されたシステム、装置、及び方法は、非限定的な例示的な実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本明細書に開示される装置及び方法の構造、機能、製造、及び使用の原理の全般的な理解を提供するために、特定の例示的な実施形態がここに説明される。これらの実施形態の1つ以上の例が添付の図面に示されている。当業者は、本明細書に具体的に説明され、添付の図面に示された装置及び方法が非限定的な例示的実施形態であり、本開示の範囲が特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。例示的な一実施形態と関連して図示又は説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。このような修正及び変更は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0052】
本開示の実施形態は、皮膚の再生(skin rejuvenation)及び皮膚の表面再生(skin resurfacing)を含む分割治療、例えば、にきび、水痘及び外科的瘢痕、眼窩周囲及び口周囲のしわ、光老化の変化、顔面色素異常症及び妊娠線のための分割治療に関して以下で詳細に説明する。本開示に関連する追加の治療には、肝斑(melasma)などの皮膚の色素性疾患(pigmentary condition)、及び環状肉芽腫(granuloma annulare)のような他の色素性状態の治療を含む。
【0053】
しかし、開示された実施形態は、制限されることなく他の色素性及び非色素性疾患及び他の組織及び非組織標的の治療に使用することができる。色素性疾患の例には、炎症後色素沈着(PIH)、目の周囲の色黒の皮膚(dark skin surrounding eyes)、黒目(dark eyes)、カフェオレ斑(cafe au lait patches)、ベッカー母斑(Becker’s nevi)、太田母斑(Nevus of Ota)、先天性色素細胞性母斑(congenital melanocytic nevi)、そばかす(小斑点(freckles))及び黒色点(lentigo)を含むことができるが、これらに限定されない。治療できる色素組織(pigmented tissue)及び構造の追加例は、ヘモジデリン(hemosiderin)リッチ構造、色素胆石(pigmented gallstone)、タトゥー(tattoo)を含む組織、及びルテイン(lutein)、ゼアキサンチン(zeaxanthin)、ロドプシン、カロチノイド(carotenoid)、ビリベルジン(biliverdin)、ビリルビン(bilirubin)、及びヘモグロビン(hemoglobin)リッチ構造を含むが、これらに限定されない。非色素性構造、組織及び状態の治療の標的の例には、毛嚢、毛幹、血管病変、感染状態、皮脂腺、にきびなどを含むことができるが、これらに限定されない。
【0054】
例えば、美容目的などの様々な皮膚状態を治療する方法は、本明細書に記載のシステムを使用して実施することができる。このような方法は、医師によって実施され得るが、エステティシャン及びその他の適切に訓練された要員などの非医師が本明細書で説明したシステムを使用して、医師の監督の有無に関わらず様々な皮膚状態を治療できることを理解できる。
【0055】
さらに、本開示では、実施形態の同様の名称の構成要素は、一般に同様の特徴を有し、特定の実施形態内では、それぞれ同様の名前の構成要素の各特徴は、必ずしも完全に記述されているわけではない。また、開示されたシステム、装置、及び方法の説明において、直線又は円形の寸法が使用される限り、そのような寸法は、そのようなシステム、装置、及び方法と組み合わせて使用できる形態の類型を制限すること意図しない。当業者は、そのような直線及び円形の寸法と同等の寸法が任意の幾何学的形態に対して容易に決定され得ることを認識するであろう。システム及び装置、並びにそれらの構成要素のサイズ及び形状は、システム及び装置が使用される構成要素のサイズ及び形、システム及び装置が使用される方法及び手続は、システム及び装置が使用される対象の解剖学的構造に少なくとも依存し得る。
【0056】
一般に、電磁放射(EMR)(例えば、レーザビーム)を組織の治療領域に集束させることができる高開口数(NA)光学治療システムが記述されている。集束レーザビームは、周辺組織を損傷することなく治療領域に光エネルギーを伝達することができる。伝達された光エネルギーは、例えば、皮膚の真皮層の治療領域を、周囲の領域(例えば、上にある表皮層、真皮層の他の部分など)に影響を与えることなく、治療することができる。他の実施形態では、伝達された光エネルギーは、タトゥーの除去又は変更、又はヘモグロビン関連の治療を誘発することができる。
【0057】
光又は光エネルギーで皮膚状態を治療するための例示的な方法及び装置は、「皮膚肝斑を治療するための方法及び装置及び方法」と題する米国特許出願公開第2016/0199132号に開示されており、及び「真皮肝斑の治療のための方法及び装置」という題名の米国仮出願第62/438,818号に開示されており、これらの各々は、その全体が参照として本明細書に組み込まれている。
【0058】
一般に、色素沈着症状の治療のためのシステム及び対応する方法が提供される。以下でより詳細に論じられるように、開示されるシステム及び方法は、レーザビームなどの電磁放射(EMR)を使用して、所定の量のエネルギーを標的組織に伝達する。EMRは、焦点領域に集束させることができ、焦点領域は標的組織に対して任意の方向に平行移動又は回転し得る。所定の量の放射線は、組織の部分を熱的に破壊するか、又は損傷するように構成され得る。このようにして、所定の量のエネルギーは、その外観を改善するための治療のために標的組織内の任意の位置に伝達され得る。
【0059】
ここで、
図1を参照すると、放射線治療(radiative treatment)システム100が示されている。電磁放射線(EMR)源(例えば、レーザ源)110は、波長(約1000nmから約12,000nmの範囲内、例えば、約1550nm)を有するEMRビーム(例えば、レーザビーム)112を生成する。いくつかの実施形態によれば、EMRビーム112は、EMR源110から基本的に横方向リングエネルギープロファイル(例えば、TEM01*)を有する。他の実施形態によれば、ビーム整形器114は、横方向リングエネルギープロファイルを生成するためにEMRビームを形成する。
図1は、2つのアキシコンを使用するビーム整形器114を示す。第1くさび角度(wedge angle)を有する第1アキシコン116は、EMRビーム112を受け入れ、ベッセルビーム(Bessel beam)118を生成する。ベッセルビームが伝播すると、発散リングエネルギープロファイルが形成される。発散リングエネルギープロファイル(diverging ring energy profile)120は、第2アキシコン122によって横方向リングエネルギープロファイル124を有するコリメートされたEMRビームにコリメートされる。いくつかの実施形態によれば、第2アキシコン122は、第1アキシコン116の第1くさび角度と実質的に等しい第2くさび角度を有する。その後、リングエネルギープロファイル(ring energy profile)124は、焦点光学系(focus optic)128に向けられる。焦点光学系128のいくつかの例には、集束光学系(converging optic)(例えば、平面凸レンズ)及びアキシコンが含まれる。焦点光学系128は、EMRビームを集束させ、これを組織130(例えば、皮膚)に向ける。場合によっては、焦点光学系は、少なくとも約0.2(例えば、約0.3から約0.5)の開口数(NA)でEMRビームを集束させる。いくつかの実施形態によれば、窓組立体132は、焦点光学系128と組織130との間に位置する。窓組立体132は、EMRビーム124の波長で実質的に透明である。例示的な窓材料には、ガラス、石英、及びサファイアが含まれる。いくつかの実施形態では、窓組立体132は冷却され、治療中に組織130を冷却するために使用される。一般に、窓組立体132は、装置100の作動中に組織の外面と接触して配置される。いくつかの実施形態によれば、窓組立体132は、2つの窓、即ち第1の窓134及び第2の窓136を含み、冷却チャンバ(cooling chamber)138は、2つの窓の間に位置する。冷却チャンバは、冷却剤を収容するように構成される。いくつかの実施形態では、冷却剤140の流れは、冷却剤チャンバ138を通過する。いくつかの実施形態では、冷却剤は、誘電性流体、フルオロカーボン系流体、エチレングリコール、プロピレングリコール、水、及び不凍液のうちの1つ以上を含む。多くの場合、冷却剤は、EMRビーム124の波長で一般に(例えば、約50%を超えて)透過性であるように選択される。例えば、例示的な実施形態は、1550nmの波長を有するEMRビーム124、及び1550nmで実質的に透過性であるフルオロカーボン系流体(例えば、3Mからのフロリナート(商標))を含む冷却剤を収容する。いくつかの実施形態では、媒体142は、窓組立体132の底面と組織130の外面との間に配置される。いくつかの変形例では、この媒体142は、窓組立体132の屈折率を組織130と一致させるように作用する。他のいくつかの変形例では、媒体が組織に浸透する。媒体142の例は、グリセロール(glycerol)、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ポリエチレングリコール(PEG)400、及び皮膚にほぼ等しい屈折率(例えば、約1.4)を有する他の適切な生体適合性材料(suitable biocompatible material)を含む。いくつかの実施形態では、システム100は、EMR源110を制御するためのコントローラ150をさらに含む。例えば、いくつかの実施形態では、冷却された組織だけが照射されるようにするために、EMR源110が組織の冷却に応答して制御されることが有利である。場合によっては、コントローラ150は、EMRビームを生成する前に、窓組立体が組織を所定の温度に冷却することを確実にするために、EMR源を制御するように構成される。他のいくつかの場合において、コントローラ150は、EMRビームを生成する前に、窓組立体が所定の期間冷却されることを確実にするために、EMR源を制御するように構成される。いくつかの実施形態によれば、温度センサ152(例えば、熱電対、又は、サーミスタ)は、組織の温度を直接測定するために使用される。代替的に、組織と熱連通する構成要素の温度は、温度センサで測定される。例えば、冷却剤チャンバ138を流出するときの冷却剤の温度は、組織温度の指標として使用することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、コントローラ150は、EMR源110、ビーム整形器114、及び焦点光学系128のうちの1つ以上と通信して、EMRビームの1つ以上のパラメータを制御するようにさらに構成される。例示的なEMRビームパラメータは、リング状エネルギープロファイルの内径、リング状エネルギープロファイルの外径、リング状エネルギープロファイルの厚さ、及び組織内の焦点領域の深さを含む。いくつかの実施形態によれば、EMRビームは、皮膚組織全体にわたって走査され、例えば、分割治療を提供するために組織内に数多くの熱破壊の位置を発生させる。高NA EMRビーム(high NA EMR beam)の走査に関連するシステム及び方法の例は、「電磁放射線ビーム走査システム及び方法」と題された米国特許出願第16/219,801号、及び「EMRベースの組織治療のための走査システム」と題された国際出願第PCT/US2018/065508号の両方が参照として本明細書に組み込まれる。
【0061】
図2を参照すると、フローチャート200は、いくつかの実施形態による組織を照射するための方法を示す。最初に、組織は、組織の外面と接触して配置される窓組立体を使用して冷却される(210)。いくつかの実施形態によれば、窓組立体は、第1の窓及び第2の窓の2つの窓を含み、2つの窓の間に冷却チャンバが配置される。冷却チャンバは、冷却剤を収容するように構成される。いくつかの実施形態では、冷却剤の流れは、冷却剤チャンバを通過する。いくつかの実施形態では、組織は、方法200の任意の後続ステップの前に所定の温度に冷却される。いくつかの実施形態では、組織は、任意の後続ステップの前に所定の時間冷却される。場合によっては、組織を所定の温度まで所定の時間冷却することにより、組織の外層(例えば、表皮)への熱損傷を防ぎ、それによってダウンタイムを減らすことができる。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、温度センサは、組織に関連する温度、例えば、組織と接触(故に、熱的に連通)している構成要素の温度を測定するために使用される。例示的な温度センサには、サーミスタ、熱電対、及び赤外線温度センサが含まれる。温度センサは、組織の温度を直接検出する場合や、組織の温度に関連する別の材料(例えば、組織と接触する接触冷却アセンブリから流出する冷却剤)の温度を検出する場合がある。
【0063】
次に、電磁放射(EMR)ビームが生成される(220)。EMRビームには、横方向リングエネルギープロファイル(例えば、TEM01*又はドーナツエネルギープロファイル)が含まれる。次に、EMRビームは、焦点領域を形成するように集束される(230)。通常、EMRビームは、1つ以上の光学系(例えば、集光レンズ(converging lens)及び/又はアキシコン)を使用して集束される。いくつかの変形例では、EMRビームは約0.2以上の開口数(NA)で集束される。最後に、EMRビームは、焦点領域が少なくとも部分的に組織内(即ち、組織の外面の下)に位置するように、組織に向けられる(240)。いくつかの変形例では、EMRを組織に向けること(240)は、EMRビームを走査することを追加的に含み、それにより焦点領域が組織内に移動する。EMRの走査は、通常3つの軸のうちの少なくとも1つで実行される(例えば、光軸に垂直にある軸と光軸に平行な軸)。例えば、焦点領域は、組織内の深さだけでなく、組織内の側面で走査され得る。方法200のいくつかの実施形態では、光学組織クリアリング媒体が組織に導入される。例えば、場合によっては、光学組織クリアリング媒体は、組織と窓組立体との間の組織の表面に導入される。いくつかの実施形態では、方法200は、EMRビームの少なくとも1つのパラメータを制御するステップをさらに含む。EMRビームの例示的なパラメータには、リング状エネルギープロファイルの内径、リング状エネルギープロファイルの外径、リング状エネルギープロファイルの厚さ、及び組織内の焦点領域の深さが含まれる。
[例示的な実施形態]
【0064】
ここで、
図3Aを参照すると、例示的なシステム300が、前面カバーが取り外された状態で示されている。光ファイバレーザ源310は、レーザを出力する。例示的なファイバレーザ源310は、平均出力が20WのCW Er-Ybレーザ(例えば、マサチューセッツ州オックスフォードのIPGフォトニクス社のIPG部品番号ELR-20-1550-LP)である。レーザは、コリメータ312によって直径約4mmのビーム幅にコリメートされる。次に、コリメートされたレーザビームは、ビーム整形器314によって、横方向リング(即ち、ドーナツ)エネルギープロファイル(例えば、TEM01*)に成形される。次に、レーザビームは、光学列に沿って向けられ、最終的に、例示的なシステム300の底面にある窓組立体316の外に集束して向けられる。
【0065】
図3Bは、例示的なシステム300及び
図3Aで断面線B-Bに沿ったビーム整形器314の断面図を示す。
図3Bでは、ビーム整形器は、2つの同一のアキシコン、第1アキシコン320及び第2アキシコン322を含む。例示的なアキシコンは、ソーラボ社(Thorlabs)の部品番号AX2510-Cであり、この物理的なくさび角度は10°である。ほぼ一次モード(即ち、ガウス横方向エネルギープロファイル及びM2≦1.5)を有するレーザビームは、第1アキシコン320によって、最初にベッセルビームで形成され、次に発散横方向リング(即ち、ドーナツ)エネルギープロファイルで形成される。第2アキシコンは、発散横方向リングエネルギープロファイルをコリメートされた横方向リングエネルギープロファイルにコリメートする。ビーム整形器は、横方向リングエネルギープロファイルの内径が第1アキシコン320と第2アキシコン322との間の分離距離に比例して関連するように構成される。例示的な実施形態によれば、横方向リングエネルギープロファイルの内径は、名目上4mmである。ここで、横方向リング(即ち、ドーナツ)エネルギープロファイルに成形されたレーザビームは、光路に沿ってさらに伝播し、最終的に窓組立体316を介してシステム300を出る。
図3Cは、例示的なシステム300及び
図3Aの断面線C-Cに沿った窓316の断面図を示す。焦点光学系330は、窓316から上方ビーム(up-beam)に位置し、レーザビームが窓組立体316を介して透過するときに集束する。最終的に、焦点光学系330は、レーザビームを窓組立体316の外側の焦点領域にもたらし、窓組立体が組織と接触するように配置されると、焦点領域は組織内に位置する。焦点光学系の例としては、公称有効焦点距離が8mmの非球面レンズであるソーラボ社の部品番号A240-Cがある。いくつかの実施形態では、Zステージ331は、焦点光学系330を収容し、光軸に沿って焦点光学系330の位置を調節し、それによって、窓316に対する焦点領域の深さ(即ち、組織内の焦点領域の深さ)に影響を与えるように構成される。例示的なZステージ331は、ニューヨーク州ビクターのNewscale Technologies社のNewscale PN:M3-FSである。場合によっては、コントローラ150は、焦点領域深さの変化に影響を与えるためにZステージを制御するように構成される。
【0066】
図3Dは、
図3Cの詳細円Dから取られた例示的なシステム300の詳細図を示す。窓組立体316は、
図3Dにさらに詳細に示されている。第1の窓340が焦点光学系330の近位に示されている。第1の窓340から分離した第2の窓342が示されている。冷却剤チャンバ344は、第1の窓340と第2の窓342との間に見られる。冷却剤チャンバ344は、冷却剤チャンバ344を介して流動するときに冷却剤を受容するために密閉されている。冷却剤は、窓組立体316との接触によって暖められ、冷却装置で復元する。次に、冷却剤は、冷却装置、例えば、熱電冷却装置(例えば、ニューヨーク州ワッピンガーズフォールズのSolid State Cooling社の部品番号UC190)によって冷却され、窓組立体316で再循環される。照射中の冷却のための窓組立体に関する開示は、ドレッサー(Dresser)らの米国特許出願第16/237,367号に含まれ、本明細書に参照として組み込まれる。
図3A~Dを参照して開示される例示的な窓組立体は、以下により詳細に説明される。
【0067】
照射中の冷却のための例示的な窓組立体316は、
図3E~3Hの様々な図に概略的に示されている。
図3Eは、組立体(assembly)316(即ち、EMR源に面する/標的組織から離れて面する冷却要素316の部分)の上面等角図を示す。
図3Fは、窓組立体316(即ち、標的組織に面する/EMR源から離れて面する窓組立体316の部分)の下部等角図を示す。
図3Gは、窓組立体316の底面図を示す。
図3Hは、
図3Gに示される断面線に沿った窓組立体316の断面図を示す。例示的な窓組立体316は、フレーム350を含む。
図3E及び
図3Gを参照すると、フレーム350は、3つのデータム(datum)352を有する。データム352は、エネルギーベースの装置(例えば、300)上のマウントに対応し、これは、照射を発生させることができ、それによって、窓組立体316をエネルギーベースの装置に脱着可能に取り付けて交換できるようにする。いくつかの実施形態によれば、データム352は、1つ以上の幾何学的形態、例えば、平面、線、及び点を近似することができる。いくつかの変形例によれば、データム352は、キネマティックマウント(kinematic mount)(例えば、マクスウェル又はケルビンマウント)の一部を含む。窓組立体316の3つのデータム352は、平面に配置することができる。例示的な窓組立体316は、第1シール(first seal)354によってフレーム350に封止された第1の窓340、及び第2シール356によってフレーム350に封止された第2の窓342を含む。いくつかの実施形態によれば、第1シール354及び第2シール356は、接着剤を含む。接着剤の例は、光硬化性接着剤、シリコーン、及びエポキシを含むことができる。他の実施形態によれば、第1シール354及び/又は第2シール356は、溶接(weld)、ろう接(braze)、又は、はんだ(solder)を含み、対応する第1の窓340及び/又は第2の窓342のエッジは、この種類のシールを可能にする材料(例えば、金属)で金属化、スパッタリング、コーティングすることができる。さらに、第2の窓342は、1つ以上の締結具(fastener)358でフレーム350に取り付けられている。
図3G及び
図3Hに見られるように、窓組立体316の締結具358は、3つの機械ねじによって所定の位置に固定されたクランププレート(clamp plate)を含む。締結具の追加の例には、ねじ、クランプ、スナップ止めリング、タブ、又はそれらの任意の組み合わせが含まれ得る。第2の窓342をフレームに取り付けることにより、第2シール356に追加の応力を導入することなく、第2の窓342の遠位表面360を組織としっかり接触して配置することができ、これは、第2の窓342の遠位表面360の屈曲又は移動をもたらし得る。
【0068】
遠位表面360とEMRビームを集束させる光学系との間の距離の変化は、ビームの作動距離(working distance)及び組織内の結果として生じる焦点の位置に影響を与える。いくつかの実施形態によれば、第2の窓342の遠位表面360は、データム352に対する所定の形状(例えば、配向、位置など)に配置することができる。例えば、いくつかの変形例では、第2の窓342は、所望の公差(例えば、0.5mrad)内の1つ以上のデータム352によって近似された平面に平行に位置する。さらに、第2の窓342は、所望の公差(例えば、0.05mm)内で、光軸(例えば、z軸)に沿って正確な距離に配置され得る。さらに、いくつかの実施形態によれば、第1の窓340及び第2の窓342の両方は平行に位置し、それらの間の所定の距離は、所望の公差(例えば、0.5mrad及び0.05mm)内であり得る。様々な理由により、いくつかの実施形態における第2の窓の遠位表面360は、非平面形状(例えば、凸状又は凹状)を含む。例えば、凸状の遠位表面360は、組織と接触して配置されたときに組織を圧迫するのに有利であり得る。
【0069】
図3Hは、システム400内のチャンバ(chamber)344を示す。チャンバ344は、フレーム350、第1の窓340及び第2の窓342によって境界が定められている。チャンバ344は、第1シール354及び第2シール356によって封止され得る。チャンバ344は、冷却剤を収容するように構成される。いくつかの実施形態によれば、冷却剤の流動がチャンバ344と流体的に連通する1つ以上のポート(port)362を介してチャンバ344に供給される。いくつかの実施形態によれば、ポート362は、ポート362と流体的に連通する冷却剤流動源からの冷却剤の流動を提供することができる。いくつかの実装形態では、冷却剤の流動源は、1つ以上の継手(fitting)364を介してポート362と流体的に連通し得る。
図3E及び
図3Fは、チャンバ344に冷却剤を供給し、チャンバ344から冷却剤を戻すための冷却剤供給継手364a及び冷却剤戻り継手364bの両方を示す。
【0070】
いくつかの実施形態によれば、第2の窓は、高い熱浸透率(thermal effusivity)を有する材料(例えば、石英、サファイア、ダイヤモンドなど)を含む。熱浸透率が高いほど、組織表面から冷却剤の流れにより多くの熱を伝達することを可能にする。同様に、いくつかの実施形態によれば、第1の窓340は、より低い熱浸透率を有する材料(例えば、ガラス又はポリマー)を含む。より低い熱浸透率材料を備えた第1の窓340を有する実装は、第1の窓を介して冷却剤の流れにより少ない熱を伝達することができる。その結果、凝縮は、第1の窓340が高い熱浸透率材料を含む変形例よりもゆっくりと発生する可能性がある。さらに、いくつかの実施形態では、第1の窓は、第2の窓の厚さ(例えば、約0.5mm)よりも大きい厚さ(例えば、約1mm)を有し、熱エネルギー伝達が第2の窓を横切ってより自由に起こることを可能にする。いくつかの変形例によれば、きれいで乾燥した空気、窒素、二酸化炭素、又はアルゴンなどの非凝縮ガスを第1の窓に吹き付けて、凝縮をさらに防ぐことができる。
【0071】
図4Aは、いくつかの実施形態によるシミュレートされた光学レイアウト400を示す。コリメートされたガウスビーム410は、ベッセルビーム414を形成する第1アキシコン412に入射して中心上に伝播する。ベッセルビーム414は、コリメートされた横方向リング(即ち、ドーナツ)エネルギープロファイルビーム(energy profile beam)418を形成する第2アキシコン416に入射して中心上に伝播する。コリメートされた横方向リングエネルギープロファイルビーム418は、焦点領域424に集束させる横方向エネルギープロファイル422を形成する非球面焦点光学系420に入射して中心上に伝播する。
【0072】
図4Bは、コリメートされたガウスビーム410の第1シミュレートされたガウスビームプロファイル430を示す。
図4Cは、焦点領域424の0.5mm前に集束する横方向リングエネルギープロファイル422の第1シミュレートされた横方向リング(即ち、ドーナツ)ビームプロファイル432を示す。
図4Dは、焦点領域424の0.2mm前に集束する横方向リングエネルギープロファイル(422)の第2シミュレートされた横方向リングビームプロファイル434を示す。そして、
図4Eは、焦点領域424の0.1mm前に集束する横方向リングエネルギープロファイル422の第3シミュレートされた横方向リングビームプロファイル436を示す。集束する横方向リングエネルギープロファイルビーム422は、同じ条件下でガウスモードビームが有するよりもビームプロファイルにわたって放射照度(irradiance)を有する。
図4Fを参照すると、焦点から0.5mmのガウスビームに対するガウスエネルギープロファイル440が示されている。焦点から0.5mmの横方向リングエネルギープロファイルビームに対する横方向リング(即ち、ドーナツ)エネルギープロファイル442が
図4Gに示されている。
図4Fと
図4Gに特性化された2つのビームは、どちらも同一の出力(例えば、1W)を有する。しかし、ガウスビームの局所的な最大放射照度は、横方向リングエネルギープロファイルビーム(例えば、0.75W/cm
2)よりはるかに大きい(例えば、1.29W/cm
2)。これにより、横方向リングビームは、皮膚の外層(例えば、表皮)により少ないピークエネルギー密度を伝達すると共に、皮膚の深層(例えば、真皮)に同じ量のエネルギーを伝達できるようにする。横方向リングビームのピーク局部エネルギー密度の減少の制御は、横方向リングエネルギープロファイルの内径の幅を変化させることによって達成される。内径が大きいほど、ビームの外側部分により多くのエネルギーが押し出され、ビーム内のピークエネルギー密度(又は出力密度)が低下する。さらに、焦点光学系420の開口数を増加させることによって、ガウス及び横方向リングエネルギープロファイルの両方でピーク局部エネルギー密度が減少し得る。
[例示的な生体外研究(Exemplary Ex Vivo Studies)]
【0073】
いくつかの実施形態に従って、多くの研究が実施された。この研究は、最大平均出力が20Wで波長が1550nmの連続波(CW)Er-Ybファイバレーザ(IPGレーザモデル:ELR-20-1550LP)を使用して実行された。切除されたヒト組織は、高い開口数(例えば、0.4以上のNA)焦点システムを使用して照射された。分割照射は、X-Y転換ステージ(X-Y translation stage)で焦点システムを基準としてヒト組織を走査するときにCWファイバレーザをパルス化することによって達成された。次に、ヒト組織を切片化して染色し、検査した。ニトロブルーテトラゾリウムクロリド(nitro blue tetrazolium chloride)(NBTC)染色を使用して生存率をテストした。具体的には、NBTC染色は、組織内のタンパク質に作用する。これらのタンパク質が損傷すると(例えば、熱変性)、それ以上NBTCによる染色はなくなり、染色されていないように見える。
[研究番号1]
【0074】
最初の研究は、ガウスビームを使用して組織の非切除熱破壊に必要なパルスエネルギーを決定するために実施された。研究番号1で使用されたパラメータは、以下の通りである。
【0075】
【0076】
研究番号1のいくつかの代表的な結果は、
図5A~Dの組織学的スライドに示されている。
図5Aは、約10mJのエネルギーを有するパルスを照射した後に得られた水平断面を示す。
図5Bは、約10mJのエネルギーを有するパルスを照射した後に得られた垂直断面を示す。タンパク質のごくわずかな熱変性は、NBTC染色によって証明される。対照的に、10mJを超過するパルスエネルギー、例えば、約40mJでの照射は、顕著な熱破壊をもたらすことが明らかになった。
図5Cは、パルス照射当たり40mJの組織ポスト表面の下約300マイクロメータで取った水平断面を示す。そして、
図5Dは、パルス照射当たり40mJ後の組織の垂直断面を示す。研究番号1から、このパラメータのセットが与えられた場合、パルス当たり10mJが閾値パルスエネルギーであり、それ以下では熱崩壊がほぼ又は全く発生しないと結論付けた。
[研究番号2]
【0077】
研究番号2は、分割非切除生体外照射に対する光学組織クリアリング媒体の影響を決定するために実行された。切除されたヒト組織のサンプルを照射前に4時間光学組織クリアリング媒体に入れた。サンプルは、媒体表皮を入れたペトリ皿に浸された。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)とグリセロールの2つの光学組織クリアリング媒体がテストされた。研究番号2に使用されたパラメータは、次の通りである。
【0078】
【0079】
熱破壊は、光学組織クリアリング媒体に浸した組織サンプルでは、パルス当たり20mJでのみ見られた。より低いテストパルスエネルギー(5mJ、7mJ及び10mJ)におけるNBTC生存率染色では、熱破壊が明らかでなかった。研究番号2のいくつかの代表的な結果は、
図6A~Bの組織学的スライドに示されている。
図6Aは、パルス当たり20mJで照射されたグリセロールに浸された組織で取られた垂直断面を示す。
図6Bは、パルス当たり20mJで照射されたPBSに浸された組織で取られた垂直断面を示す。
[研究番号3]
【0080】
研究番号2は、分割非切除生体外照射に対する横方向リング(即ち、ドーナツ)エネルギープロファイルの影響を決定するために実施された。切除されたヒト組織のサンプルを照射前に4時間光学組織クリアリング媒体に入れた。サンプルは、媒体表皮(medium epidermis)を入れたペトリ皿に浸された。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)とグリセロールの2つの光学組織クリアリング媒体がテストされた。レーザビームは、上記のように横方向リングエネルギープロファイルに成形され、組織に集束された。研究番号2に使用されたパラメータは、次の通りである。
【0081】
【0082】
研究番号3の組織学的結果は、
図7A~Eを参照して説明される。
図7Aは、上にグリセロールに浸した組織、下にPBSに浸した組織、左側にパルスエネルギー当たり10mJ、右側にパルスエネルギー当たり20mJを有するデカルトレイアウトの4つの組織学的画像を示す。一般に、10mJのパルスエネルギーよりも20mJのパルスエネルギーの方がより広く深い熱破壊が見られる。
図7Bは、グリセロールに浸され、10mJのパルスエネルギーで照射された組織を撮影した水平組織学的画像を示す。
図7Cは、グリセロールに浸され、20mJのパルスエネルギーで照射された組織を撮影した水平組織学的画像を示す。
図7Dは、PBSに浸され、10mJのパルスエネルギーで照射された組織を撮影した水平組織学的画像を示す。
図7Eは、PBSに浸され、20mJのパルスエネルギーで照射された組織を撮影した水平組織学的画像を示す。横方向リングエネルギープロファイルで照射された組織の水平組織学では、リング状の損傷を見ることができる(例えば、
図7C)。水平組織学でリングとして現れる損傷は、組織内の深いポイント(例えば、300~1000マイクロメータ)に到達する、薄壁中空の円錐形の3次元である。損傷の円錐内には、水平断面(例えば、
図7C)の損傷リングと垂直断面の「Y」字型の損傷(例えば、
図7A)によって証明される健康な影響を受けていない組織が存在する。この照射パターンの利点は、現在の分割照射技術よりも表皮の損傷が少ないことであり、損傷した表皮は、健康な(即ち、影響を受けない)組織に囲まれた小さく狭い幅(例えば、1~100マイクロメータ)で損傷する。
[パラメータの選択]
【0083】
本開示の実施形態の実行に関連するパラメータは、下の表に概説されている。
【0084】
【0085】
いくつかの実施形態では、リング状エネルギープロファイルの態様は、制御可能である。
図8Aは、リング状エネルギープロファイルを生成するように構成された一対のアキシコン800を示す。2つのアキシコン800の分離(S)810と得られたリング状ビームの大径(major diameter)812との間の関係は、次のように表すことができる。
【数1】
ここで、nは第1及び第2アキシコンの屈折率であり、αは第1及び第2アキシコン800のくさび角度である。
【0086】
上述したように、コリメートされたビーム直径814は、それがアキシコンペア(axicon pair)800に進入するにつれ、リング状のエネルギープロファイル幅816を決定する。従って、いくつかの実施形態では、リング状エネルギープロファイル816の幅は、コリメートされたビーム直径814を変化させることによって制御される。例えば、場合によっては、ビームエキスパンダ(beam expander)(例えば、ガリアンビームエキスパンダ又はケプラー式ビームエキスパンダ)がアキシコンペア800に到達する前に、コリメートされたビーム直径814を拡張(又は減少)するために使用される。小径(即ち、内径)818は、リングエネルギープロファイルの大径(即ち、外径)812で表すことができる。具体的には、小径(minor diameter)818は、大径812からコリメートされたビーム814の直径を差し引いたものに等しい、又は、
φminor=φMajor-φbeam
である。ここで、φminorは小径818、φMajorは大径812、φbeamはビーム直径814である。いくつかの実施形態によれば、リング状エネルギープロファイルに関連する1つ以上のパラメータは、上記のパラメータを操作するコントローラによって制御される(例えば、アキシコンペア800の分離距離810及び/又はビームエキスパンダレート)。例えば、場合によっては、アキシコンペア800間の分離距離810は、電動ステージ(例えば、ソーラボ社のPN:PT1-Z8)を使用して電子的に操作されてもよい。同様に、場合によっては(例えば、ガリアンビームエキスパンダ)、2つの光学系間の光路距離がビームエキスパンダのビーム拡大(又はビーム縮小)率を制御する。この場合、電動ステージは、アキシコンペア800に進入するときのビーム814の幅を制御するためにも使用され得る。
【0087】
小径の分割治療は、より小さな傷と早い治癒をもたらす。例えば、特定の幅(例えば、約0.15mm、0.25mm、又は0.5mm)を超える部分的な損傷は、一部の個人への傷跡の原因になり得ることが明らかになった。現在の商業的に達成可能なものよりも小さい部分損傷の幅は、閾値最小部分の損傷幅のサイズまでダウンタイムをより最小限に抑える。具体的には、単一セルよりも小さいビームサイズ(例えば、約20マイクロメータ)は、実質的に可能な限り最小の分割損傷をもたらす。上述したように、場合によっては、上述した例示的な光学システムは、このような規模の組織への熱損傷を達成する。追加の例示的な実施形態では、この組織への小さく分割された損傷は、他の例示的な光学システムによって達成される。
【0088】
当業者は、上記の実施形態に基づくさらなる特徴及び利点を理解するであろう。従って、開示された実施形態は、添付の特許請求の範囲によって示さる場合を除いては、特に図示され記載されたものに限定されない。本明細書で引用されている全ての刊行物及び参考文献は、その全体が参考として本明細書に明示的に組み込まれている。
[追加の実施形態]
【0089】
数十マイクロメータスケールで分割された損傷に影響を与えるための更なる実施形態を、
図9A~Bを参照して説明する。
図9Aを参照すると、ベッセルビーム焦点領域910を生成する光学方式900が示されている。ベッセルビーム焦点領域は、通常の回折限界焦点領域とは異なり、焦点幅と焦点領域長さを有し、互いに分離し得る。一般に、焦点領域長さ(即ち、被写界深度)は、焦点領域半径(例えば、レイリー範囲)の二乗に比例する。焦点領域長さを焦点領域幅から分離することにより、非常に狭く(例えば、約0.1mm未満)、非常に長い焦点領域(例えば、0.5mm以上)を形成することができる。
【0090】
図9Aは、細長いビームを生成するために使用することができる光路を概略的に示している。この構成では、3つのアキシコンが使用される。第1アキシコン912及び第2アキシコン914は、ビームをコリメートされた環状ビーム916に成形するのに使用され、第3アキシコン918は、ビームをベッセルビーム焦点領域910に集束するために使用される。
【0091】
いくつかの例示的な実施形態によれば、部分治療のための損傷の幅は、ベッセルビーム焦点領域910の第1ローブ(lobe)の幅に関連する。ベッセルビーム焦点領域910の第1ローブの半値幅ω
oは、波長λ、アキシコンのくさび角度α、及びアキシコンの屈折率nの関数である。
【数2】
【0092】
従って、いくつかの実施形態によれば、このような光学パラメータの選択は、第3アキシコン918のアキシコンくさび角度の選択によって達成される。下の表は、アキシコンくさび角度に基づく1550nmビームのいくつかの例示的な第1ローブ直径を示す。
【0093】
【0094】
分割治療による損傷の長さは、ベッセルビーム焦点領域910の長さに関連する。アキシコンによって形成されたベッセルビームの長さ(例えば、被写界深度[DOF])920は、アキシコンでのビームの幅の関数である。環状ビームが使用される場合、焦点領域長さは環状部922の幅の関数である。次に、環の幅は、順にコリメートされたビーム924の幅の関数(例えば、半分)であり、これは、環状ビームを形成するように形成される。ベッセルビームの長さは、次の式を使用して近似化できる。
【数3】
【0095】
例えば、出力ビームが4mm、波長が1550nm、及びくさび角度が20°の場合、ベッセルビーム焦点領域の長さは15mmに近似する。
【0096】
第3焦点アキシコン918の先端とベッセルビーム焦点領域910との間の作動距離(WD)926は、環状リング(annular ring)916の内径928の関数である。アキシコン918の先端から測定された作動距離926は、
図9A~Bを参照して、次の式を使用して近似化することができる。
【数4】
【0097】
上記の式は、X1とX0に対する次の2つの式から導き出される。
図9Bは、これらの式の関係を示す。
【数5】
【0098】
上記に見られるように、リングエネルギープロファイル916の小径(即ち、内径)928は、作動距離926に影響を与える。例えば、アキシコンが作用する非環状ビームは、アキシコンの先端から始まるベッセルビーム焦点領域を生成する。いくつかの実施形態では、焦点領域910は、焦点アキシコン(focusing axicon)918に入射する環状ビームの小径928を制御することによって組織内の深さ(例えば、組織の表面の下)に制御され、焦点領域910の作動距離926に影響を与える。いくつかの変形例では、環状ビーム916の小径928は、第1アキシコン912と第2アキシコンとの間の分離(separation)関数である。小径は、リングエネルギープロファイル916の大径(即ち、外径)930で表すことができる。具体的には、小径928は、大径930からコリメートされたビーム924の直径を差し引いたものに等しい、又は、φminor=φMajor-φbeamである。
【0099】
図10は、治療システム1010の例示的な一実施形態を示す。図に示すように、治療システム1010は、プラットフォーム1012、エミッタ1014、及びコントローラ1016を含む。プラットフォーム1012は、1つ以上のマニピュレータ又はアーム1020を含んでもよい。アーム1020は、被験者(subject)1024の標的組織1022に様々な治療を行うためにエミッタ1014に結合することができる。プラットフォーム1012及びエミッタ1014の動作は、ユーザによって、手動で、又はコントローラ16を使用して(例えば、ユーザインターフェースを介して)指示されてもよい。特定の実施形態で(図示せず)、エミッタは、ハンドヘルド形状因子を有することができ、プラットフォーム1012は省略されてもよい。他の実施形態では、プラットフォームは、ロボットプラットフォームであってもよく、アームは、エミッタの操作のためにコントローラに通信可能に接続されてもよい。
【0100】
エミッタ1014とコントローラ1016(及び任意にプラットフォーム1012)は、通信リンク1026を介して通信することができ、これは、任意の適切な通信プロトコルによって任意の適切なタイプの信号(例えば、電気、光学、赤外線など)を伝達する任意の適切なタイプの有線及び/又は無線通信リンクであり得る。
【0101】
コントローラ1016の実施形態は、エミッタ1014の動作を制御するように構成してもよい。一態様では、コントローラ1016は、EMR1030の移動を制御することができる。以下で詳細に説明するように、エミッタ1014は、EMR1030の放出のための源1032、及びEMR1030の操作のための走査システム1034を含むことができる。一例として、走査システム1034は、EMR1030を焦点領域に集束させ、この焦点領域を空間内で平行移動及び/又は回転させるように構成してもよい。コントローラ1016は、通信リンク1026を介して源1032に、波長、出力、反復速度、パルス持続時間、パルスエネルギー、集束特性(例えば、焦点体積、レイリー長など)の1つ以上の選択された特性を有するEMR1030を放出するように命令するために、信号を源1032に送信することができる。他の態様では、コントローラ1016は、通信リンク1026を介して走査システム1034が1つ以上の平行移動及び/又は回転動作で標的組織1022に対してEMR1030の焦点領域を移動するように命令するために、走査システム1034に信号を送信することができる。
【0102】
治療システム1010及び方法の実施形態は、皮膚層などの皮膚組織内の治療の環境において本明細書で説明される。しかしながら、開示された実施形態は、制限されることなく被験者の任意の場所の任意の組織の治療のために使用され得る。非皮膚組織の例には、粘膜組織、生殖器組織、内臓組織、及び胃腸管組織の表面領域及び表面下領域を含むことができるが、これらに制限されない。
[例示的な手動走査システム(Exemplary Manual Scanned System)]
【0103】
いくつかの実施形態では、治療領域上において、手動で走査される(即ち、臨床医によって手動で移動される)ハンドヘルドシステム1100が使用される。
図11A~
図11Cは、手動で走査することができる例示的な実施形態を示す。
図11Aは、システム1100の正面図を示し、
図11Bは、システム1100の側面図を示し、
図11Cは、システム1100の断面図を示す。
図11A~
図11Cを参照すると、ファイバレーザは、コリメータ1110を介してレーザビームを出力する。レーザビームは、任意の波長にすることができる。波長選択の詳細は、上記で詳細に説明されている。コリメートされたレーザビームは、ビーム整形器1112によって作用される。上述したように、ビーム整形器1112は、コリメートされたレーザビームをコリメータ1110から取り出し、それを横方向リングエネルギープロファイルに成形する。断面図(
図11C)に示すように、ビーム整形器は、第1アキシコン1112A、位置合わせミラー(alignment mirror)1112B、及び第2アキシコン1112Cを有する。2つのアキシコン(1112A及び1112C)は、ビームを成形するのに使用される。位置合わせミラー1112Bは、第2アキシコン1112C上にレーザビームを整列するために使用される。通常、アキシコンは、誤整列、特に中心のずれに非常に敏感である。ビーム整形器1112の後、レーザビームは、第1ガルバノミラー(galvanometer mirror)1114によって反射され、ビームエキスパンダ1116内に向けられ、ビームエキスパンダ1116を通過するように向けられる。ビームエキスパンダは、ケプラー式ビームエキスパンダ(Keplerian beam expander)であり、ビームを中間焦点に集束させる第1の正の光学要素1116A及びレーザビームをコリメートする第2の正の光学要素1116Bを含む。場合によっては、ビームエキスパンダ光学系のうちの1つ以上が動的であり、光軸に沿って移動することができる。線形ステージ1116Cは、第2の正の光学要素1116Bを光軸に沿って移動させる。例示的な線形ステージは、ニューヨーク州ビクターのNewscale Technologies社のNewscale M3-LS-3.4-15である。ビームエキスパンダ1116は、コリメートされたリングビームを、例えば、2~20Xの間の係数だけ拡張させる。ビームエキスパンダ1116を抜け出るとき、レーザビームは、対物レンズ(objective lens)1119(例:非球面焦点光学系、例えば、ドイツのイエナ(Jena)にあるAsphericon社のAsphericon PN:AFL25-40)によって集束される静的フォールドミラー1118によって反射され、第2ガルバノミラー1120によって反射され、接触窓1122から出るように向けられる。いくつかの変形例では、ビームエキスパンダは、第1ガルバノミラー114と対物レンズ1119との間の共役距離に配置される無限焦点リレーシステム(afocal relay system)である。上記で詳細に説明した多くのように、接触窓1122は、第1の窓1122A、第1の窓から分離した第2の窓1122B、及び第1の窓1122Aと第2の窓1122Bとの間に位置する冷却剤チャンバ1122Cを含む。第2の窓1122Bは、凸状の組織接触面(即ち、外面)を有する。この形状は、治療中の組織と確実な接触を確保し、組織からより容易にスライドするのに役立つため、一部の状況において有利である。
【0104】
図11A~
図11Cに記載されているハンドヘルドシステム1100は、領域を手動で処理するために使用される。臨床医がハンドヘルドシステム1100を治療組織上で移動させると、第2ガルバノミラー1120は、皮膚の表面上の点のラインを走査する。次に
図12を参照すると、走査ポイント1200の例示的なラインが表示される。例示的なライン1200は、レーザエネルギーが伝達される8つの個別ポイント1210を含む。8つのポイント1210は、
図12に表示すように上から下ヘ(即ち、A~H)順番に走査される。最後のポイントでエネルギーが伝達された後(即ち、ポイントH)、ライン走査が繰り返して再開される。ラインは、ポイント1210の数にピッチ(pitch)1214(即ち、隣接するポイント間の距離)をかけた値とほぼ等しい幅1212を有する。
図11A~Cを再度簡単に参照すると、ラインは、ハンドヘルドシステム1100の第2ガルバノミラー1120によって、ライン走査1200の方向に概ね垂直な手動走査方向1216に沿って走査される。
[代表的なビーム走査システム(Exemplary Beam Scanning Systems)]
【0105】
いくつかの実施形態では、ビーム走査システム及び方法が提供される。このような実施形態及びビーム走査システム及び方法に関する開示を以下に説明する。一般に、ビーム走査システム及び方法は、プリオブジェクティブ走査(pre-objective scanning)、オブジェクティブ走査(objective scanning)、及びポストオブジェクティブ走査(post-objective scanning)のタイプのうちの1つ以上に分類することができる。プリオブジェクティブ走査は、対物レンズ(objective)に入射するように向けられる前に(即ち、上方ビームから)ビームを走査(例えば、偏向、傾き、及び/又は傾斜)する実施形態を含む。オブジェクティブ走査は、例えば、対物レンズを移動させることによって、ビームを走査(例えば、偏向、傾き、及び/又は傾斜)する実施形態を含む。ポストオブジェクティブ走査は、対物レンズの後に(即ち、ビーム下流から)走査(例えば、偏向、傾き、及び/又は傾斜)を実行する実施形態を含む。
[プリオブジェクティブ走査(Pre-Objective Scanning)]
【0106】
図13は、対物レンズ2110及び走査ユニット2112を含むプリオブジェクティブ走査システム2100の概略図である。走査ユニット2112は、レーザ源2102からレーザビーム2104を受光して、レーザビーム2104を対物レンズ2110に向けることができる。対物レンズ2110は、レーザビーム2104を受光して組織2116(例えば、皮膚)の治療領域に集束レーザビーム2106を焦点体積2108に向けることができる。走査システム2112は、対物レンズ2110を向けられたレーザビーム2104の方向を変えることができる。例えば、走査システム2112は、1つ以上の走査方向に沿って出射レーザビームの方向を変えることができる。対物レンズ2110に衝突するレーザビーム2104の方向の変化は、焦点体積2108に組織2116の治療経路2114を追跡させることができる。焦点体積2108は、走査速度で治療経路2114を横断する。走査ユニット2112は、レーザビーム2104(又はレーザビーム2104の一部)を対物レンズ2110に向けることができる1つ以上の光学要素を含む。プリオブジェクティブ走査システム2100は、対物レンズ2110と組織2116との間に配置できる(例えば、
図24に示すような)接触面含むことができる。接触面は、組織2116の表面に圧力を加えることができ、組織2116の表面からの熱の消散を可能にする。
【0107】
図14は、例示的なプリオブジェクティブ走査システム2200を示す図である。走査システム2200は、入射レーザビーム2104を受光(例えば、レーザ源2102から)し、入射レーザビーム2104を対物レンズ2110(例えば、fθレンズ)に向けることができるポリゴンスキャナ2202を含む。レーザビーム2104の出射方向(例えば、レーザビーム2104が対物レンズ2110に衝突する入射角)は、組織2116(例えば、x-y平面)における焦点体積2108の位置を決定することができる。いくつかの実施形態によれば、レーザ源2102は、複数の対応する焦点体積をもたらす複数のレーザパルスを提供する。逐次的レーザパルスから生じる2つの焦点体積の間の距離は、焦点体積ピッチである。
【0108】
ポリゴンスキャナ2202は、複数の反射面(例えば、2202a~2202c)を含むことができる。ポリゴンスキャナ2202は、回転方向2206に沿って軸2204を中心に回転することができる。反射面2202a~2202cが軸2204を中心に回転する(例えば、軸2204に対する反射面2202a~2202cの角度位置が変化する)につれて、y-z平面における入射レーザビーム2104の入射角が変化する。これは、第1の走査方向に沿って(例えば、y軸に沿って)出射レーザビーム2104の方向を変化させる。例えば、反射面(例えば、2202b)が回転方向2206に沿って軸2204を中心に回転している場合、出射レーザビームの方向は、より高いy値からより低いy値にスイープ(sweep)する。
【0109】
軸2204は、z軸及び/又はx軸を中心に傾斜/回転することができる。これにより、x-z平面における入射レーザビーム2104の入射角が変化し、それにより、第2の走査方向に沿って(例えば、x軸に沿って)出射レーザビーム2104の方向を変化させる。ポリゴンスキャナ2202の回転及び軸2204の回転/傾斜は、x-y平面における出射レーザビーム2104の走査をもたらし得る出射レーザビーム2104の方向の変化を可能にすることができる。
【0110】
出射レーザビーム2104の方向の変化に基づいて、対物レンズ2110は、組織2116内の1つ以上の治療経路に沿って焦点体積2108を追跡することができる。例えば、ポリゴンスキャナ2202の回転による出射レーザビーム2104の方向の変化は、焦点体積2108をy軸に沿って移動させることができる。軸2204の傾斜による出射ビームの方向の変化は、焦点体積2108をx軸に沿って移動させることができる。一実施形態では、プリオブジェクティブ走査システム2200は、組織2116に対してx軸に沿って移動してもよい。これは、x軸に沿った焦点体積2108の位置の追跡をもたらし得る。
【0111】
焦点体積2108は、第3治療経路、即ちz軸に沿って移動することもできる。これは、z軸に沿って(例えば、組織2116から離れて又は組織2116に向けて)対物レンズ2110を変化させることで実行されてもよい。代替的又は追加的に、レンズ2240は、入射又は出射レーザビーム2104のビーム経路に配置することができる。ビーム伝播方向2242(光軸とも呼ばれる)に沿ってレンズ2240の位置を変化させることにより、位置焦点体積2108は、z軸(例えば、組織2116の深さ)に沿って追跡することができる。
【0112】
図15は、プリオブジェクティブ走査システム2200のためのビーム折曲平面2300を示す。走査システム2200は、ビーム折曲平面2300の周辺に走査システム2200を折り曲げることにより(例えば、z軸に沿って走査システム2200の範囲を縮小することにより)小型化することができる。これは、例えば、ビーム折曲平面にミラー(例えば、平面ミラー)を配置してミラーをx-y平面に平行に向けることによって達成してもよい。
【0113】
図16は、プリオブジェクティブ走査システム2200で対物レンズとして使用され得る例示的なfθレンズ2400を示す。入射レーザビーム2104は、出射レーザビーム2104をfθレンズ2400に向けることができる反射面2402(例えば、ポリゴンスキャナ2202の反射面2202b)に衝突することができる。反射面2402の向きは、出射レーザビーム2104がfθレンズに衝突する入射角(例えば、y-z平面における入射角)を決定することができる。入射角は、焦点体積2108の位置(例えば、y軸に沿って)を決定することができる。
【0114】
図17は、例示的なプリオブジェクティブ走査システム2500を示す図である。走査システム2500は、(例えば、光ファイバ2520を介して)レーザビーム2104を受光し、レーザビーム2104を対物レンズ2110(例えば、fθレンズ)に向けることができるミラーシステムを含む。出射レーザビーム2104cの方向は、組織2116内の(例えば、x-y平面内)の焦点体積2108の位置を決定することができる。
【0115】
ミラーシステムは、2つの走査ミラーを含むことができる。第1走査ミラー2506は、第1軸2522を中心に回転(例えば、時計回り、反時計回りなど)することができ、第2走査ミラー2508は、第2軸2524を中心に回転(例えば、時計回り、反時計回りなど)することができる。第1走査ミラー2506が回転すると、ミラー2506への入射レーザビーム2104の入射角が変化する。これは、第1の走査方向に沿って(例えば、y軸に沿って)出射レーザビーム2104bの方向を変化させる。第2走査ミラー2508が回転すると、走査ミラー2508へのレーザビーム2104bの入射角が変化する。これは、第2の走査方向に沿って(例えば、x軸に沿って)出射レーザビーム2104cの方向を変化させる。第1走査ミラー2506及び第2走査ミラー2508の回転は、対物レンズの平面内で出射レーザビーム2104cの走査をもたらすことができる出射レーザビーム2104cの方向の変化を可能にすることができる。
【0116】
出射レーザビーム2104cの方向の変化に基づいて、対物レンズ2110は、組織2116内の1つ以上の治療経路に沿って焦点体積2108(図示せず)を追跡することができる。例えば、第1走査ミラー2506の回転による出射レーザビーム2104cの方向の変化は、焦点体積2108が第1治療経路に沿って移動させることができる。第2走査ミラー2508の回転による出射レーザビーム2104cの方向の変化は、焦点体積2108が第2治療経路に沿って移動させることができる。
【0117】
走査システム2500は、レーザビーム2104a,2104b,2104cのビーム経路に配置され得るレンズ2540を含むことができる。レンズ2540の位置をビーム伝播方向に沿って変化させることにより、位置焦点体積2108を組織2116の深さに沿って追跡することができる。
【0118】
走査ミラーシステムのいくつかの実装形態では、第1走査ミラー2506によるレーザビーム2104bの方向の変化は大きくなり得る。これは、レーザビーム2104bが第2走査ミラー2508に衝突することを防ぐことができる。また、第2走査ミラー2508へのレーザビーム2104bの大きい入射角は、焦点領域の湾曲した治療経路をもたらし得る。これらの効果は、第1走査ミラー2506と第2走査ミラー2508との間に第3走査ミラーを含めることによって防止/低減することができる。
図18は、第1走査ミラー2506から下流にあり、第2走査ミラー2508の上流にある第3走査ミラー2507を含む例示的なプリオブジェクティブ走査システム2600の図である。第3走査ミラー2507は、より小さい第2走査ミラー2508を可能とし、焦点領域治療経路の湾曲を防止/低減することができる。
【0119】
図19A~
図19Cは、走査ユニット2112(例えば、ポリゴンスキャナ2202、ミラーシステム2502等)から出射ビーム(例えば、出射レーザビーム2104)の様々な走査パターンを示す。
図19Aは、出射ビームが次の順序で走査する第1走査パターンを示す。(a)左から右への移動(例えば、x軸に沿って)、(b)上から下への移動(例えば、y軸に沿って)、及び(c)右から左に移動(例えば、負のx軸に沿って)。
図19Bは、出射ビームが次の順序で走査する第2走査パターンを示す。(a)左から右への移動(例えば、x軸に沿って)、(b)上から下への移動及び右から左への移動の重畳、及び(c)左から右への移動。
図19Cは、出射ビームが次の順序で走査する第3走査パターンを示す。(a)左から右への移動及び上から下への移動の重畳、及び(b)右から左への移動及び上から下への移動の重畳。走査ミラー2506,2507,2508の時計回り又は反時計回りの回転、又はポリゴンスキャナ2202の回転/軸の傾斜による光ビームの移動(例えば、左から右に、右から左に、上から下になど)を得ることができる。
【0120】
図20は、例示的なプリオブジェクティブ走査システム2800を示す図である。走査システム2800は、(例えば、光ファイバ2820を介して)入射レーザビーム2104を受光し、対物レンズ2110(例えば、fθレンズ)に向けて出射ビーム2105(
図21参照)を透過することができるプリズムシステム2802を含む。出射ビーム2105の方向は、組織2116内の焦点体積2108の位置を決定することができる。
【0121】
図21は、プリオブジェクティブ走査システム2800と共に使用することができるプリズムシステム2802を示す。プリズムシステム2802は、共通軸2822を中心に回転できる第1プリズム2806及び第2プリズム2808を含む。各プリズムは、入射光ビームの方向を特性角度で変えることができる。第1プリズム2806と第2プリズム2808の両方が完全に位置合わせされている場合、入射レーザビームの方向は、特性角度の2倍だけ変化する。第1プリズム2806と第2プリズム2808が完全にずれている場合、入射レーザビームの方向は変化しないまま保持される。プリズム2806,2808の他の全ての配向に沿って、入射レーザビームの方向は、0度から特性角度の2倍の間の範囲にある角度に変更され得る。
【0122】
プリズム2806,2808の両方が同じ角速度で回転する場合(例えば、それらの相対配向は、回転中に変化しない)、出射ビーム2105は、円形治療経路に沿って走査する。プリズム2806,2808が異なる角速度で回転している場合、それらの相対的な向きは回転中に変化する。例えば、プリズムのペアは、完全な整列状態(出射ビームの方向が特性角度の2倍外れた)と完全な非整列状態(出射ビームの方向が変わらない状態)との間でスイングする。
【0123】
図22は、第1プリズムと第2プリズムの角速度が異なるプリズムシステム2802から発生する出射ビーム2105の走査パターンを示す。出射ビームは、螺旋状のパターンを形成し、出射ビーム2105は、内側(例えば、中心に到達するまで)に螺旋状になり、その後、外向きの螺旋が続き得る。
【0124】
図23は、例示的なプリオブジェクティブ走査システム3100の例である。走査システム3100は、レーザビーム2104を案内することができる光ファイバ3110に接続された走査ユニット3102を含む。走査ユニット3102は、第1アクチュエータ3106及び第2アクチュエータ3108を含むことができる。第1アクチュエータは、光ファイバ3110の一部(例えば、対物レンズ3112に近接するファイバの先端)を、x軸を中心に回転させることができる。これは、第1の走査方向に沿って(例えば、y軸に沿って)出射レーザビーム2104の方向を変化させる。第2アクチュエータ3108は、y軸を中心に光ファイバ3110の一部(例えば、対物レンズ3112に近接する光ファイバの先端)を回転させることができる。これは、第2の走査方向(例えば、x軸に沿って)出射レーザビーム2104の方向を変化させる。第1及び第2アクチュエータによる作動は、対物レンズ3112の平面(例えば、x-y平面)における出射レーザビーム2104の走査をもたらし得る出射レーザビーム2104の方向の変化を可能にすることができる。出射レーザビーム2104の方向の変化に基づいて、対物レンズ3112(例えば、fθレンズ)は、組織2116内の1つ以上の治療経路に沿って焦点体積2108を追跡することができる。
【0125】
図24は、例示的なプリオブジェクティブ走査システム3200の例示である。走査システム3200は、レーザビーム2104を案内することができる光ファイバ3210に結合された(例えば、堅固に結合された)走査ユニット3202を含む。走査ユニット3202は、6軸アクチュエータ3206及び支持アーム3208を含むことができる。光ファイバ3210の一部は、6軸アクチュエータ3206上の取付位置3230に堅固に結合され得る。支持アーム3208は、組織2116に近接した光ファイバの部分を支持することができる。
【0126】
6軸アクチュエータ3206は、x、y及びz軸に沿って光ファイバ3210を移動することができる。付加的に又は代替的に、6軸アクチュエータ3206は、x、y及びz軸を中心に光ファイバ3210を回転させることができる。光ファイバ3210の先端は、出射レーザビーム2104を組織2116内の焦点体積2108に集束させることができる対物レンズ3212に結合されてもよい。プリオブジェクティブ走査システム3200は、対物レンズ3212と組織2116との間で出射レーザビーム2104の光路に置かれ得る接触面3216を含むこともできる。
【0127】
焦点体積2108は、y軸の周りに光ファイバを回転させることにより、第1治療経路に沿って(例えば、x軸に沿って)移動することができる。焦点体積2108はまた、x軸の周りに光ファイバを回転させることにより、第2治療経路に沿って(例えば、y軸に沿って)移動することができる。いくつかの実装形態では、焦点体積2108が組織2116内の固定された深さに留まることを確実にするために、回転中に(例えば、x軸、y軸に沿って)光ファイバ3210の先端と組織2116との間の距離を変更する(例えば、光ファイバの先端をz軸に沿って移動させる)ことが望ましい場合がある。
[オブジェクティブ走査(Objective Scanning)]
【0128】
図25は、回転オブジェクティブ走査システム(rotary objective scanning system)3300の概略図である。回転オブジェクティブ走査システム3300は、レーザ源3302からレーザビーム3304を受光することができる。走査システム3300は、レーザビーム3304を集束させ、組織3311(例えば、皮膚)の治療領域3310内の焦点領域3308に集束レーザビーム3306を向ける対物レンズ(図示せず)を含む。対物レンズが移動すると(例えば、走査システム3300に対して、及び/又は全体の走査システム3300の移動により)、焦点領域は、治療領域3310を通る治療経路3312をたどることができる。治療経路3312は、経路形状(例えば、円形、楕円形など)を有することができる。走査システム3300は、レーザビーム3304(又はレーザビーム3304の一部)を移動する対物レンズに向けることができる光学要素を含む。
【0129】
走査システム3300はまた、治療領域3310を安定化することができ、及び/又は照射プロファイルの制御及び均一性を容易にすることができるインターフェース(「ベース」、「窓」、又は「接触面」とも呼ばれる)を含むことができる。例えば、インターフェースは、圧力を加えることにより、及び/又はインターフェースと治療領域との間にゲルパッドを含むことにより、治療領域3310を固定することができる。治療領域3310上のインターフェースによって加えられた圧力は、圧力検出器によって検出されてもよい。インターフェースはまた、皮膚とインターフェースとの間の相対運動を検出する接触センサを含むことができる。インターフェースによって治療領域に提供される圧力は、照射される治療領域の体積を白くする(又はいくらかの血液を除去する)こともできる。これは、血管への望ましくない損傷のリスクを低減しながら、治療領域(例えば、治療領域における着色細胞)による集束レーザビーム3306の吸収の選択性をもたらすことができる。
【0130】
インターフェースは、例えば、集束レーザビーム3306による治療領域3310の加熱によって発生し得る治療領域3310からの熱を冷却/放出することができる。インターフェースは、放熱に適した材料(例えば、サファイア、ダイヤモンド、ガラスなど)で製造されてもよい。いくつかの実装形態では、インターフェースは、治療領域の温度が閾値温度を超過するのを防止できる冷却システムを含むことができる。冷却システムは、治療領域の温度を検出できる温度センサを含むことができる。温度が閾値温度を超過する場合、ユーザに通知することができ、及び/又は冷却ユニット(例えば、ペルチェ素子、クライオスプレー(cryospray)、導電性コールドコンジット(cold conduit)など)を作動させて治療領域を冷却することができる。
【0131】
回転オブジェクティブ走査システムは、様々な実施形態を有することができる。回転オブジェクティブ走査システムの2つの例示的な実施形態は、内面回転オブジェクティブ走査システム及び横方向回転オブジェクティブ走査システムを含み、これらの両方が以下に説明される。
【0132】
図26は、くつかの実施形態による、電磁放射線(EMR)ビーム3402を走査するためのシステム3400を概略的に示す。モータ3404は、回転運動3406を生成する。モータ3404は、回転運動3406が往復機構3408を駆動するように、往復機構3408に動作可能に結合されている。往復機構3408は、回転運動3406を、一般に第1走査軸3412(例えば、x軸)に沿って一般に直線的に作用する往復運動3410に変換する。いくつかの実施形態によれば、往復機構は、カム及びフォロア、クランク及びスライダ、スコッチヨーク及びマルチバーリンケージのうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態によれば、往復運動3410は、複数のストローク(例えば、2つのストローク、前進ストローク、及び後退ストローク)で移動する。典型的に、往復機構3408は、往復運動3410に一定の速度を提供するように構成される。別の方法では、往復運動3410は、少なくとも1つのストロークのある部分にわたって実質的に平坦な速度プロファイルを有する。
【0133】
一定速度の実施形態は、所定の又は所望の一定速度を採用することができる。例えば、所望の一定の速度は、約2mm/Sから約5m/Sの範囲で選択してもよい。特定の実施形態では、一定速度は、所望の一定速度の選択されたパーセンテージであってもよい。例えば、選択されたパーセンテージは、所望の一定速度の約10%から約90%の範囲(例えば、約50%)で選択してもよい。
【0134】
一定の速度が提供される往復運動3410のストロークの部分は、変えることができる。例えば、一定の速度を有するストロークの部分は、約5%から約95%の範囲(例えば、約10%以上)で選択してもよい。
【0135】
焦点光学系3414は、往復運動3410によって影響されて移動するように、往復機構3408に動作可能に結合されている。焦点光学系3414は、光軸3418に沿ってEMRビーム3402を焦点3416に集束するように構成される。そのため、焦点光学系3414の往復運動3410は、焦点3416及び光軸3418を第1走査軸3412に沿って移動させる。
【0136】
いくつかの実施形態によれば、EMRビーム3402は、電磁放射(EMR)源3420によって生成される。EMR源の例を以下に詳しく説明する。EMRビーム3402は、EMR源3420から送達され、光学システム3422によって焦点光学系3414に入射するように向けられる。典型的には、光学システム3422は、1つ以上の反射及び/又は透過光学系を含む。いくつかの実施形態によれば、光学システム3422は、移動する1つ以上の動的光学要素3424を含む。例えば、光軸3418に沿って配置され、焦点光学系3414に機械的に取り付けられた反射器の形態の動的光学要素3424は、往復運動3410に従って影響され、移動する。以下でより詳細に説明するように、EMR源3420は、所定の繰返し率に従ってパルスモードで動作するように構成してもよい。EMR源の繰返し率と往復運動3410の一定速度との間の関係は、第1走査軸3412に沿った連続するパルス焦点間の公称ピッチを決定することができる。
【0137】
いくつかの実施形態によれば、ハウジング3426は、光軸に沿って焦点光学系3414と焦点3416との間に設けられる。ハウジング3426は、接触面を介して、標的表面、例えば、標的組織3428の表面に接触するように構成される。図に示すように、焦点(focus)3416は、標的組織3428の表面のビーム下流に位置する。ハウジング3426については、以下でより詳細に説明する。一実施形態では、接触面は、標的組織3428を冷却するように構成してもよい。他の実施形態では、1つ以上のセンサ(例えば、圧力センサ、接触センサ、温度センサなど)をハウジング内に配置し、標的組織の1つ以上の変数を測定するように構成してもよい。1つ以上の変数は、少なくとも1つの圧力、接触面と標的組織との間の接触、及び温度を含むことができる。
【0138】
いくつかの実施形態によれば、コントローラ3430は、モータ3404、往復機構108、及びEMR源3420のうちの1つ以上を制御するために使用される。いくつかの変形例では、コントローラ3430は、回転運動3406及び往復運動3410のうちの少なくとも1つを測定する1つ以上のセンサ3432からの入力を受け取る。
【0139】
図27は、2つの軸で電磁放射線(EMR)ビームを走査するシステム3500を概略的に示す。モータ3502は、第1走査軸3510に沿って回転運動3504を往復運動3508に変換する往復運動3504を生成し、往復機構3506に伝達する。いくつかの実施形態によれば、往復運動3508は、線形ストロークを含み、線形ストロークの一部にわたって一定の速度を有する。焦点光学系3512は、往復運動3508に従って影響され移動するように、往復機構3506の出力に機械的に取り付ける。間欠機構(intermittent mechanism)3514は、往復機構3506と動作可能に結合される。間欠機構3514は、間欠運動(intermittent movement)3516を間欠的に出力する。いくつかの実施形態によれば、間欠機構は、ラチェット機構、ジュネーブホイール機構、カム機構、及び間欠歯車機構のうちの1つ以上を含む。いくつかの実施形態によれば、間欠運動3516は、線形であり、一般に第1走査軸3510に直交し、一般に第2走査軸3518に沿って作用する。
【0140】
いくつかの実施形態によれば、間欠機構3514は、往復運動3508が特定位置に又はその近くにあるとき、例えば、ストロークの開始時、ストロークの途中で、又はストロークの終わりに間欠運動3516を導入する(例えば、タイミンを合わせる)ように構成される。
【0141】
いくつかの実施形態によれば、コントローラ3530は、モータ3502、往復機構3506、及び間欠機構3514のうちの1つ以上を制御するために使用される。いくつかの変形例では、コントローラ3530は、回転運動3504、往復運動3508、及び間欠運動3516のうちの少なくとも1つを測定する1つ以上のセンサ3532から入力を受け取る。
[ポストオブジェクティブ走査(Post-Objective Scanning)]
【0142】
図28は、ポストオブジェクティブ走査システム3600の概略図である。ポストオブジェクティブ走査システム3600は、対物レンズ3610及び走査ユニット3612を含む。対物レンズ3610は、レーザ源3602からレーザビーム3604を受光し、集束レーザビーム3606を走査ユニット3612に向けることができる。走査ユニット3612は、集束レーザビーム3606を受光し、それを組織3616(例えば、皮膚)の治療領域内の焦点領域3608に向けることができる。走査ユニット3612は、焦点領域3608が治療経路3614を追跡することを可能にすることができる。走査ユニット3612は、集束レーザビーム3606(又は集束レーザビーム3606の一部)を皮膚に向けることができる1つ以上の光学要素を含む。
【0143】
プリオブジェクティブ及びポストオブジェクティブビーム走査装置のいくつかの実施形態による例示的なパラメータを、以下の表に示す。
【0144】
【0145】
本明細書に記載の主題は、デジタル電子回路、又はコンピュータソフトウェア、ファームウェア、又はハードウェアで実装することができ、ここでは、本明細書に開示された構造的手段とその構造的均等物、又はこれらの組み合わせが含まれる。本明細書に記載の主題は、データ処理装置によって実行されるか、又はデータ処理装置(例えば、プログラミング可能なプロセッサ、コンピュータ、又は複数のコンピュータ)の動作を制御するために情報キャリア(例えば、機械可読記憶装置)に有形的に具現化されるか、又は伝播された信号によって具現化された1つ以上のコンピュータプログラムなど、1つ以上のコンピュータプログラム製品として実装することができる。コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとも呼ばれる)は、コンパイル済み又は解釈済みの言語を含む任意の形式のプログラミング言語で記述することができ、独立実行型プログラム又はコンピューティング環境における使用に適したモジュール、構成要素、サブルーチン、又はその他の装置を含んで任意の形式で配布してもよい。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルに対応しているわけではない。プログラムは、他のプログラムやデータを保持するファイルの一部、該当するプログラム専用の単一ファイル、又は複数の調整ファイル(例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部を格納するファイル)に格納されてもよい。コンピュータプログラムは、1台のコンピュータ又は1つのサイトの複数のコンピュータで実行されるように配布されるか、又は複数のサイトに分散して通信ネットワークで相互接続されてもよい。
【0146】
本明細書に記載の主題の方法ステップを含む本明細書に記載のプロセス及びロジックフローは、入力データ及び出力生成に対して作動で本明細書に記載の主題の機能を行うために、1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラマブルプロセッサによって実行されてもよい。プロセス及びロジックフローは、次のように実行することもでき、本明細書に記載の主題の装置は、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)などの特殊目的の論理回路で実装することができる。
【0147】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサは、例えば、汎用及び特殊目的のマイクロプロセッサの両方、及び任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサを含む。一般に、プロセッサは、読み出し専用メモリ又はランダムアクセスメモリ、或いはその両方から命令語とデータを受信する。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令及びデータを格納するための1つ以上のメモリ装置である。一般に、コンピュータはまた、データを格納するための1つ以上の大用量記憶装置、例えば、磁気、光磁気ディスク、若しくは光ディスクを含む、又はそれらからデータを受信するか、データを転送する、若しくはその両方のために動作可能に接続される。コンピュータプログラムの命令及びデータを具体化するのに適した情報媒体には、例えば、半導体記憶装置(例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリ装置)、不揮発性メモリ磁気ディスク(例えば、内臓ハードディスク又はリムーバブルディスク)、光磁気ディスク、及び光ディスク(例えば、CD及びDVDディスク)を含む全ての形態の不揮発メモリの形態が含まれる。プロセッサとメモリは、特殊目的の論理回路によって補完又は組み込まれ得る。
【0148】
ユーザとの相互作用を提供するために、本明細書に記載の主題は、例えば、ユーザに情報を表示するためのCRT(陰極線管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタなどのディスプレイ装置、及びユーザにコンピュータへの入力を提供できるキーボード及びポインティング装置(例えば、マウス又はトラックボール)を有するコンピュータ上に実装され得る。他の種類の装置を用いてユーザとの相互作用を提供することもできる。例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック(例えば、視覚的フィードバック、聴覚的フィードバック、又は触覚的フィードバック)であってもよく、ユーザからの入力は、音響、音声、又は触覚入力を含む任意の形式で受信され得る。
【0149】
本明細書に記載の技術は、1つ以上のモジュールを使用して実装することができる。本明細書で使用される場合、「モジュール」という用語は、コンピューティングソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、及び/又はそれらの様々な組み合わせを意味する。ただし、少なくとも、モジュールは、ハードウェア、ファームウェアに実装されていない、又は非一時的なプロセッサで読み出し可能な記録可能な記憶媒体に記録されていないソフトウェアとして解釈されるべきではない(即ち、モジュール自体はソフトウェアではない)。実際、「モジュール」は、プロセッサやコンピュータの一部など、少なくとも一部の物理的な非一時的なハードウェアを常に含むと解釈される。2つの異なるモジュールが同じ物理的ハードウェアを共有することができる(例えば、2つの異なるモジュールが同じプロセッサ及びネットワークインターフェースを使用することができる)。本明細書に記載のモジュールは、様々なアプリケーションをサポートするために、結合、統合、分離、及び/又は複製してもよい。また、特定モジュールで実行されることにより、本明細書に記載の機能は、1つ以上の他のモジュール及び/又は特定モジュールで実行される機能の代わりに、又はそれに加えて1つ以上の他の装置によって実行され得る。また、モジュールは、複数の装置、及び/又はローカル又はリモートの他の構成要素に実装できる。さらに、モジュールを1つの装置から他の装置に移動してもよく、及び/又は両方の装置に含めてもよい。
【0150】
本明細書に記載の主題は、バックエンド構成要素(例えば、データサーバ)、ミドルウェア構成要素(例えば、アプリケーションサーバ)、又はフロントエンド構成要素(例えば、ユーザが本明細書に記載の主題の実装と相互作用のできるグラフィクユーザインターフェース又はウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ)、又はこのようなバックエンド、ミドルウェア、及びフロントエンド構成要素の任意の組み合わせを含むコンピューティングシステムによって実装され得る。システムの構成要素は、通信ネットワークなどのデジタルデータ通信の任意の形式又は媒体によって相互接続され得る。通信ネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(LAN)及び広域ネットワーク(WAN)(例えば、インターネット)が含まれる。
【0151】
本明細書及び特許請求の範囲の全体で使用される概略的な言語は、関連する基本機能の変更をもたらすことなく許容可能に変化する可能性のある任意の定量的表現を変更するために適用され得る。特に明示されていない、又は文脈から明らかでない限り、「概略」、「実質的に」、又は「約」は、1%の範囲内、又はいくつかの実施形態では5%の範囲内、又はいくつかの実施形態では10%の範囲内にある数(数値よりも大きい又は小さい)を含むことができる(そのような数字が許容可能な値の100%を超える場合を除く)。
【0152】
従って、「約」、「概略」、又は「実質的に」などの用語又は用語によって修正された値は、指定された正確な値に限定されない。少なくともいくつかの例では、近似言語は、値を測定するための機器の精度に対応し得る。明細書及び特許請求の範囲の全体を通して、範囲制限は、組み合わせ及び/又は相互交換されてもよく、そのような範囲は、文脈又は言語が特に指示しない限り、そこに含まれる全てのサブ範囲を識別して含む。
【0153】
明細書及び特許請求の範囲において、本明細書で使用される冠詞の1つ(「a」及び「an」)は、明確に反対が示されない限り、複数の指示対象を含むものと理解しなければならない。グループ構成のうちの1つ、2つ以上、又は全ての構成が使用されている場合、グループの1つ以上の構成の間に「又は」を含む請求項又は説明は、充足するものと見なされるか、又は特に明示されていない又は文脈で特に明示されない限り、与えられた生成物又はプロセスと関連がある。本開示はまた、グループの正確に1つの構成が与えられた生成物又は工程に存在するか、使用されるか、又は別に関連する実施形態を含む。本開示はまた、1つ以上の又は全てのグループ構成が与えられた生成物又はプロセスに存在するか、使用されるか、又は別に関連する実施形態を含む。さらに、特別の指示がない限り、又は矛盾又は不一致が生じることが当業者に明らかでない限り、開示された実施形態は、羅列された請求項のうちの1つ以上からの1つ以上の制限、要素、節、説明用語などが同一の基本請求項(又は、その他の全ての請求項)に依存する異なる請求項に導入される全ての変形、組み合わせ、及び順列を提供することを理解されたい。本明細書に記載の全ての実施形態は、適切な場合、開示された実施形態の全ての異なるの態様に適用可能であることが企図される。また、任意の実施形態又は態様が、適切な場合には1つ以上の他のそのような実施形態又は態様と自由に組み合わせ得ることも企図される。要素がリストとして提示される場合(例えば、Markushグループ又は類似の形式)、要素の各サブグループも開示され、任意の要素がグループから除去され得ることを理解されたい。一般に、開示された実施形態又は開示された実施形態の態様が、特定要素、特徴などを含むと言及される場合、本開示の特定の実施形態又は本開示の態様は、このような要素、特徴などで構成されるか、又は本質的に構成される。簡略化のため、これらの実施形態は、全ての場合において、本明細書でそれほど多くの言葉で具体的に説明されていない。また、明細書に特定の除外が言及されているか否かに関係なく、本開示の任意の実施形態又は態様を特許請求の範囲から明示的に除外し得ることも理解されたい。例えば、任意の1つ以上の活性剤、添加剤、成分、任意の薬剤、有機体の種類、障害、被験者、又はそれらの組み合わせを除外し得る。
【0154】
本明細書に範囲が示される場合、本開示の実施形態は、エンドポイントが含まれる実施形態、両方のエンドポイントが除外される実施形態、及び一方のエンドポイントが含まれ、他のエンドポイントが除外される実施形態を含む。特別に明記されない限り、両方のエンドポイントが含まれていると想定しなければならない。さらに、別段の表示があるか、当業者の文脈及び理解から別段の指示がない限り、範囲として示される値は、文脈で特に明示がない限り、範囲の下限の単位の10分の1まで本開示の他の実施形態における言及された範囲内の任意の特定値又は下位範囲を仮定できることを理解されたい。また、一連の数値が本明細書に記載されている場合、本開示は、一連の任意の2つの値によって定義される任意の中間値又は範囲と同様に、関連する最も低い値を最小値と見なし、最も大きい値を最大値と見なすことができる実施形態を含む。本明細書で使用された数値は、パーセンテージで表わされる値が含まれる。
【0155】
いくつかの変形が上記にて詳細に説明されたが、他の変更又は追加が可能である。
【0156】
上記の説明及び請求の範囲における「少なくとも1つ」又は「1つ以上」などの語句は、要素又は特徴の結合リストが後に続く場合がある。「及び/又は」という用語は、2つ以上の要素又は特徴のリストに現れることもある。使用される文脈と異なって暗示的又は明示的に矛盾しない限り、そのような語句は、羅列する要素又は特徴のいずれかを個別に、又は引用された要素又は特徴のいずれかを他の引用された要素又は特徴と結合して意味するものと意図される。例えば、「A及びBのうちの少なくとも1つ」、「AとBのうちの1つ以上」、及び「A及び/又はB」という語句は、それぞれ「Aのみ、Bのみ、又はAとBを共に」を意味することを意図する。同様の解釈は、3つ以上の項目を含むリストにも適用される。例えば、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」、「A、B、及びCのうちの1つ以上」、及び「A、B、及び/又はC」という語句は、それぞれ「Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBを共に、AとCを共に、BとCを共に、又はAとBとCを共に」を意味することを意図してる。さらに、上記及び特許請求の範囲で「に基づく」という用語の使用は、「少なくとも部分的に基づく」ことを意味することを意図しており、その結果、記載されていない特徴又は要素も許容される。
【0157】
本明細書に記載の主題は、所望の構成に応じて、システム、装置、方法、及び/又は物品に具体化することができる。上述の説明に記載されている実装は、本明細書に記載されている主題と一致する全ての実装を示すものではない。代わりに、それらは、説明された主題に関連する態様と一致するいくつかの例に過ぎない。いくつかの変形が上記にて詳細に説明されたが、他の変更又は追加が可能である。特に、本明細書に記載されたものに加えて、さらなる特徴及び/又は変形を提供することできる。例えば、上記の実装は、開示された特徴の様々な組み合わせ及びサブの組み合わせ、及び/又は上記に開示されたいくつかのさらなる特徴の組み合わせ及びサブの組み合わせに関するものであり得る。さらに、添付の図に示されている、及び/又は本明細書に記載のロジックフローは、望ましい結果を達成するために示される特定の順序又は逐次的順序を必ずしも必要としない。他の実装は、特許請求項の範囲内にあり得る。
【国際調査報告】