IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アバサ リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(54)【発明の名称】管状組織変形器
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/11 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
A61B17/11
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526439
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(85)【翻訳文提出日】2022-06-24
(86)【国際出願番号】 NZ2020050141
(87)【国際公開番号】W WO2021091398
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】758894
(32)【優先日】2019-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522179057
【氏名又は名称】アバサ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】アべイセケラ,ワリムニ ナンドウン アクブホ メンディス
(72)【発明者】
【氏名】キム,ハン サン
(72)【発明者】
【氏名】マティ,ジョン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC32
4C160MM32
(57)【要約】
管状組織構造用の管状組織変形器(TTT)。管状組織変形器は、複数のリーフと、複数のリーフの各々の上の複数のリテーナとを有する。各リテーナは、それぞれのリーフ上で管状組織構造を保持する。管状組織構造を結合するための結合システム、ならびに管状組織構造を付着させ、拡径するための用具および方法も提供される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状組織構造用の管状組織変形器(TTT)であって、
複数のリーフと、
前記複数のリーフの各々の上または前記複数のリーフの各々に隣接する複数のリテーナであって、各々が前記管状組織構造をそれぞれの前記リーフ上でしっかりと保持するように構成された複数のリテーナと
を備える管状組織変形器(TTT)。
【請求項2】
前記複数のリテーナはピンである、請求項1に記載のTTT。
【請求項3】
前記ピンのうちの1つまたは複数は、前記TTTの長手方向軸から離れるように湾曲している、請求項2に記載のTTT。
【請求項4】
前記ピンのうちの1つまたは複数は直線状である、請求項2に記載のTTT。
【請求項5】
前記ピンのうちの1つまたは複数は、前記TTTの長手方向軸から傾斜している、請求項4に記載のTTT。
【請求項6】
前記ピンは、0.2mm~1.5mmである、請求項2~請求項5のいずれか一項に記載のTTT。
【請求項7】
各リーフは、2個~10個のピンを有する、請求項2~請求項6のいずれか一項に記載のTTT。
【請求項8】
各々の前記ピンは、隣接するピンから0.1mm~0.5mm離れて位置決めされる、請求項2~請求項7のいずれか一項に記載のTTT。
【請求項9】
前記TTTのピンの総数は、少なくとも8である、請求項2~請求項8のいずれか一項に記載のTTT。
【請求項10】
各々の前記リーフは、複数列のピンを有する、請求項2~請求項9のいずれか一項に記載のTTT。
【請求項11】
前記複数のリテーナのうちの1つまたは複数はそれぞれ、吸引口を備える、請求項1~請求項10のいずれか一項に記載のTTT。
【請求項12】
前記吸引口は、それぞれの前記ピンを貫通する吸引ラインを介して低圧源と連通している、請求項2~請求項10のいずれか一項に従属する場合の請求項11に記載のTTT。
【請求項13】
前記1つまたは複数のリーフは、少なくとも4個のリーフである、請求項1~請求項12のいずれか一項に記載のTTT。
【請求項14】
前記1つまたは複数のリーフは、少なくとも5個のリーフである、請求項13に記載のTTT。
【請求項15】
前記複数のリーフは、弾性的に可撓性である、請求項1~請求項14のいずれか一項に記載のTTT。
【請求項16】
前記TTTは、貫通して画定された通路を有し、前記複数のリーフは、前記通路の開口部の周りに位置決めされる、請求項1~請求項15のいずれか一項に記載のTTT。
【請求項17】
前記通路に沿って移動可能であるように構成されたブッシュをさらに備える、請求項16に記載のTTT。
【請求項18】
前記ブッシュは、前記複数のリーフの各々の一部の外向きの移動を引き起こすように、前記通路に沿って第1の位置から第2の位置まで移動可能であるように構成される、請求項17に記載のTTT。
【請求項19】
前記複数のリーフの前記一部の外向きの移動は、前記リテーナによって保持されたときに前記管状組織構造を外翻させるように行われる、請求項18に記載のTTT。
【請求項20】
前記ブッシュは、前記管状組織構造の外表面を外翻状態で支持するように構成された1つまたは複数の支持面を有する、請求項17~請求項19のいずれか一項に記載のTTT。
【請求項21】
前記複数のリテーナは、複数のリーフインサートを備え、各リーフインサートは、前記管状組織構造を前記リーフインサート上で保持するための1つまたは複数のフックを含む、請求項1~請求項20のいずれか一項に記載のTTT。
【請求項22】
前記ブッシュは、前記複数のリーフインサートの各々の基部と接触するように構成され、そのことにより、前記ブッシュを長手方向に押すことで前記リーフインサートを押し進め、その結果、前記複数のリーフの各々の一部の外向きの移動を引き起こす、請求項17~請求項20のいずれか一項に従属する場合の請求項21に記載のTTT。
【請求項23】
前記外向きの移動は、長手方向軸に対して2°~15°である、請求項22に記載のTTT。
【請求項24】
前記複数のリーフインサートは剛性であり、前記複数のリーフは変形可能である、請求項21~請求項23のいずれか一項に記載のTTT。
【請求項25】
管状組織構造を管状組織変形器(TTT)に付着させる方法であって、
前記管状組織構造の一部を押圧して前記管状組織構造を複数の位置で同時に保持するステップを含む方法。
【請求項26】
前記管状組織構造の前記一部を押圧するステップは、前記管状組織構造の前記一部を付着用具の変形可能な表面で押圧するステップを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記管状組織構造の前記一部は、切断された管状組織構造の開放端の少なくとも一部である、請求項25または請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記管状組織構造の前記一部は、前記管状組織構造の側部のスリットを囲む領域の少なくとも一部である、請求項25または請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記管状組織構造は動脈である、請求項25~請求項28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
管状組織構造用の管状組織変形器(TTT)であって、
前記管状組織構造の外翻部分を保持するように構成された複数のリーフと、
第1の位置と第2の位置との間で移動可能であるように構成され、前記第2の位置にあるときに前記管状組織構造の前記外翻部分の外表面を支持するように構成されたブッシュと
を備える管状組織変形器(TTT)。
【請求項31】
前記ブッシュの断面は、実質的に円形である、請求項30に記載のTTT。
【請求項32】
前記ブッシュは、前記ブッシュが前記第2の位置にあるときに、前記外翻した管状組織構造の前記外表面に隣接して位置決めされるように構成された1つまたは複数の支持面を有する、請求項30または請求項31に記載のTTT。
【請求項33】
前記1つまたは複数の支持面の各々は、30°~90°で外向きに湾曲する、請求項32に記載のTTT。
【請求項34】
前記1つまたは複数の支持面の各々は、前記管状組織構造を損傷する値よりも大きい曲率半径で外向きに湾曲する、請求項33に記載のTTT。
【請求項35】
前記1つまたは複数の支持面の各々は、0.2mmより大きい曲率半径で外向きに湾曲する、請求項34に記載のTTT。
【請求項36】
前記複数のリーフの各々は、前記管状組織構造の前記外翻部分の前記外表面に隣接して位置決めされるように構成された支持面を有する、請求項35に記載のTTT。
【請求項37】
前記複数のリーフの各々の前記支持面は、前記ブッシュが前記第2の位置にあるときに、前記ブッシュの支持面に対して45°未満の角度で隣接して配置されるように構成される、請求項36に記載のTTT。
【請求項38】
前記ブッシュは、前記第2の位置から離れる方向の移動を阻止するように構成される、請求項30~請求項37のいずれか一項に記載のTTT。
【請求項39】
前記ブッシュは、前記リーフと係合して、前記第2の位置から離れて前記第1の位置に向かう後退を阻止するように構成される、請求項38に記載のTTT。
【請求項40】
前記ブッシュは、前記第2の位置を越えてさらに前進するのを阻止するように構成される、請求項38または請求項39に記載のTTT。
【請求項41】
前記1つまたは複数のリーフは、前記ブッシュが前記第1の位置にあるときに半径方向収縮形態を有し、前記ブッシュが前記第2の位置にあるときに半径方向拡張形態を有するように構成される、請求項30~請求項40のいずれか一項に記載のTTT。
【請求項42】
前記ブッシュは、前記リーフを前記拡張形態に保持するために、前記第2の位置において前記リーフの内表面に接触するように配置された外表面を有する、請求項41に記載のTTT。
【請求項43】
前記半径方向収縮形態において、前記リーフは、前記半径方向拡張形態におけるよりも少ない外翻状態で前記管状組織構造を保持するように構成される、請求項41または請求項42に記載のTTT。
【請求項44】
前記リーフまたは前記ブッシュのうちの1つまたは複数は透明である、請求項30~請求項43のいずれか一項に記載のTTT。
【請求項45】
管状組織構造の一部を外翻させるステップと、
前記管状組織構造の外翻部分の外表面を、前記外翻部分の中心から離れるように外向きに湾曲する表面の上で支持するステップと
を含む方法。
【請求項46】
前記支持するステップは、前記管状組織構造の外周のかなりの部分において前記外翻部分を支持するステップを包む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記支持するステップは、前記管状組織構造を損傷する値よりも大きい前記管状組織構造の前記外翻部分の曲率半径を維持するステップを含む、請求項45または請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記支持するステップは、前記管状組織構造の前記外翻部分の曲率半径を0.2mm超に維持するステップを含む、請求項45~請求項47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記管状組織構造の前記外翻部分を別の管状組織構造の外翻部分と並置させるステップをさらに含む、請求項45~請求項48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記管状組織構造は動脈である、請求項45~請求項49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
管状組織変形器(TTT)の開口部の周りにおいて前記管状組織変形器上で保持された管状組織構造の一部を拡径するための用具であって、
前記開口部に挿入して前記開口部を拡径し、そのことにより前記管状組織構造の一部を拡径するためのテーパ状部分を備える用具。
【請求項52】
管状組織変形器(TTT)の開口部の周りにおいて前記管状組織変形器上で保持された管状組織構造の一部を拡径するための用具であって、
前記開口部に挿入して、前記開口部内で拡張して前記開口部を拡径し、そのことにより前記管状組織構造の一部を拡径するための拡張可能部分を備える用具。
【請求項53】
流体を封入する変形可能な表面を備える、請求項52に記載の用具。
【請求項54】
管状組織構造の一部を拡径する方法であって、
前記管状組織構造の前記一部を第1の直径で保持するステップと、
前記管状組織構造の前記一部が保持されている間に、前記管状組織構造の前記一部を前記第1の直径よりも大きい第2の直径に変形させるステップと、
前記第2の直径を有する前記管状組織構造の前記一部を保持するステップと
を含む方法。
【請求項55】
管状組織構造用の管状組織変形器(TTT)であり、
前記管状組織変形器の通路の周囲に位置決めされ、前記管状組織構造の一部を保持するように構成された1つまたは複数のリーフと、
前記通路内に少なくとも部分的に位置決め可能であるように構成されたブッシュと
を備える管状組織変形器であって、
前記ブッシュは、前記1つまたは複数のリーフを半径方向に拡張し、前記リーフを半径方向拡張状態に保持するように少なくとも部分的に塑性変形可能である、管状組織変形器(TTT)。
【請求項56】
管状組織構造を結合するためのシステムであり、
管状組織構造の一部を保持するように構成された1つまたは複数のリテーナを有する第1の管状組織変形器(TTT)であって、前記1つまたは複数のリテーナは前記管状組織構造の前記保持部分の周りの1つまたは複数のリテーナ位置に位置決めされる、第1の管状組織変形器(TTT)と、
管状組織構造の一部を保持するように構成された1つまたは複数のリテーナを有する第2の管状組織変形器(TTT)であって、前記1つまたは複数のリテーナは前記管状組織構造の前記保持部分の周りの1つまたは複数のリテーナ位置に位置決めされる、第2の管状組織変形器(TTT)と、
第1の結合装置と、
前記第1の結合装置に結合するように構成された第2の結合装置と
を備えるシステムであって、
前記第1の結合装置および前記第2の結合装置は、前記管状構造の前記保持部分を結合し、前記第1の管状組織変形器の前記1つまたは複数のリテーナ位置と前記第2の管状組織変形器の前記1つまたは複数のリテーナ位置との間の所定の回転オフセットを維持するように構成され、前記回転オフセットは、前記保持部分が結合されるときに前記結合装置を通る長手方向軸を中心とするオフセットである、システム。
【請求項57】
前記第1の結合装置および前記第2の結合装置の一方または両方は、他方の結合装置内に画定された1つまたは複数の対応する穴に受け入れられる1つまたは複数のピンを含む、請求項56に記載のシステム。
【請求項58】
前記1つまたは複数のピンはテーパ状である、請求項57に記載のシステム。
【請求項59】
前記ピンは、前記1つまたは複数の穴のそれぞれの周囲で他方の結合装置と係合するための歯または返しを含む、請求項57または請求項58に記載のシステム。
【請求項60】
前記1つまたは複数のピン上に接着剤をさらに備える、請求項57~請求項59のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項61】
前記1つまたは複数の穴はテーパ状である、請求項57~請求項60のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項62】
各々の前記結合装置内には、前記それぞれのTTTを受容するための凹部が画定され、前記凹部の内表面および前記凹部内に位置決めされるように構成された前記それぞれのTTTの一部の外表面の断面は、非円形である、請求項57~請求項61のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項63】
各々の前記TTは、1つまたは複数の結合ウィングを有し、各々の前記結合装置内には、それぞれの前記結合ウィングを受容するための凹部が画定され、前記結合装置は、1つまたは複数の結合ピンによって一緒に保持される、請求項57~請求項61のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項64】
前記結合装置および前記TTTは、前記長手方向軸を中心とした1つまたは複数の所定の相対角度で嵌合するように構成された嵌合構造を有する、請求項57~請求項62のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項65】
前記第1の結合装置および前記第2の結合装置の一方または両方は、管状組織構造の未切断部分の挿入を可能にする側部開口部を有する、請求項57~請求項63のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般的には、管状組織構造用の管状組織変形器ならびに関連する用具および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外科手術において、組織構造は、吻合を形成するために結合され得る。従来、これは、組織構造を手で縫合することが必要であり、この縫合は、時間がかかり、危険を伴い、要求が厳しいものであり、広範な訓練および高い精度を必要とし得る。
【0003】
組織構造の結合を補助するための装置は、1つずつ組織構造に付着される大きな固定ピンによって組織構造を保持し得る。しかしながら、いくつかの組織構造は、それらのピンへの付着に伴う歪みを受けた場合に、裂ける場合がある。これは、動脈のような比較的厚壁の組織構造または柔軟性のない組織構造にとって特に問題となり得る。
【0004】
治癒のために組織構造の内側表面間の良好な接触を確実にするために、組織構造を互いに結合する前に外翻させ得る。いくつかの状況において、このことは、組織構造を過度に変形させ、吻合を妨げることによって、組織構造の損傷を引き起こし得る。これは、動脈のような比較的厚壁の組織構造または柔軟性のない組織構造にとって特に問題となり得る。いくつかの状況では、結合された組織構造の内側表面間の良好な接触を維持するために、適切な形状の表面を提供することが困難であり得る。
【発明の概要】
【0005】
1つの例示的な実施形態によれば、管状組織構造用の管状組織変形器であって、
複数のリーフと、
複数のリーフの各々の上の複数のリテーナであって、各々が管状組織構造をそれぞれのリーフ上で保持するように構成された複数のリテーナと
を備える管状組織変形器が提供される。
【0006】
別の例示的な実施形態によれば、管状組織構造を管状組織変形器に付着させる方法であって、
管状組織構造の一部を押圧して、管状組織構造を複数の位置で同時に保持するステップを含む方法が提供される。
【0007】
別の例示的な実施形態によれば、管状組織構造用の管状組織変形器であって、
管状組織構造の外翻部分を保持するように構成された複数のリーフと、
第1の位置と第2の位置との間で移動可能であるように構成され、第2の位置にあるときに管状組織構造の外翻部分の外表面を支持するように構成されたブッシュと
を備える管状組織変形器が提供される。
【0008】
別の例示的な実施形態によれば、
管状組織構造の一部を外翻させるステップと、
管状組織構造の外翻部分の外表面を、外翻部分の中心から離れるように外向きに湾曲する表面の上で支持するステップと
を含む方法が提供される。
【0009】
別の例示的な実施形態によれば、管状組織変形器の開口部の周りにおいて管状組織変形器上で保持された管状組織構造の一部を拡径するための用具であって、
開口部に挿入して開口部を拡径し、そのことにより管状組織構造の一部を拡径するためのテーパ状部分を備える用具が提供される。
【0010】
別の例示的な実施形態によれば、管状組織変形器の開口部の周りにおいて管状組織変形器上で保持された管状組織構造の一部を拡径するための用具であって、
開口部に挿入して、開口部内で拡張して開口部を拡径し、そのことにより管状組織構造の一部を拡径するための拡張可能部分を備える用具が提供される。
【0011】
別の例示的な実施形態によれば、管状組織構造の一部を拡径する方法であって、
管状組織構造の一部を第1の直径で保持するステップと、
管状組織構造の一部が保持されている間に、管状組織構造の一部を第1の直径よりも大きい第2の直径に変形させるステップと、
第2の直径を有する前記管状組織構造の一部を保持するステップと
を含む方法が提供される。
【0012】
別の例示的な実施形態によれば、管状組織構造用の管状組織変形器であり、
管状組織変形器の通路の周囲に位置決めされ、前記管状組織構造の一部を保持するように構成された1つまたは複数のリーフと、
通路内に少なくとも部分的に配置可能であるように構成されたブッシュと
を備える管状組織変形器であって、
ブッシュは、1つまたは複数のリーフを半径方向に拡張し、リーフを半径方向拡張状態に保持するように、少なくとも部分的に塑性変形可能である、管状組織変形器が提供される。
【0013】
別の例示的な実施形態によれば、管状組織構造を結合するためのシステムであり、
管状組織構造の一部を保持するための1つまたは複数のリテーナを有する第1の管状組織変形器であって、1つまたは複数のリテーナは管状組織構造の保持部分の周りの1つまたは複数のリテーナ位置に位置決めされる、第1の管状組織変形器と、
管状組織構造の一部を保持するための1つまたは複数のリテーナを有する第2の管状組織変形器であって、1つまたは複数のリテーナは管状組織構造の保持部分の周りの1つまたは複数のリテーナ位置に位置決めされる、第2の管状組織変形器と、
第1の結合装置と、
第1の結合装置に結合するように構成された第2の結合装置と
を備えるシステムであって、
第1の結合装置および第2の結合装置は、管状構造の保持部分を結合し、第1の管状組織変形器の1つまたは複数のリテーナ位置と第2の管状組織変形器の1つまたは複数のリテーナ位置との間の所定の回転オフセットを維持するように構成され、
回転オフセットは、保持部分が結合されるときに結合装置を通る長手方向軸を中心とするオフセットである、システムが提供される。
【0014】
別の例示的な実施形態によれば、
管状組織構造の一部を管状組織変形器の複数のリテーナに押し付けて、管状組織構造の一部を管状組織変形器に付着させるように構成された変形可能な表面を含む付着用具が提供される。
【0015】
実施形態は、従属請求項のいずれかに従って実装され得る。
【0016】
「備える(comprise)、(comprises)、(comprising)」という用語は、様々な管轄下で、排他的または包含的意味を有するものであり得ることが認められている。本明細書の目的のために、および特に断りのない限り、これらの用語は、包括的な意味を有することが意図され、すなわち、これらの用語は、その使用が直接言及されている列挙構成部品、およびおそらく他の特定されていない構成部品または要素の包含を意味すると解釈される。
【0017】
本明細書における文献の言及は、それが先行技術であること、他の文献と有効に組み合わせ可能であること、またはそれが共通の一般知識の一部を形成することを認めるものではない。
【0018】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付図面は、本発明の実施形態を示しており、上記の本発明の概要および下記の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】非拡張休止状態にある、一実施例に係る管状組織変形器の斜視図である。
図1B】管状組織変形器の例示的な代替形態の斜視図である。
図2A】拡張状態にある、図1の管状組織変形器の斜視図である。
図2B】拡張状態にある、図1Bの管状組織変形器の斜視図である。
図3A図1Aおよび図2Aの管状組織変形器の分解図である。
図3B図1Bおよび図2Bの管状組織変形器の分解図である。
図4】一実施例に係る管状組織変形器の断面図である。
図5】一実施例に係る管状組織変形器、および管状組織変形器の通路内に位置決めされた管状組織構造の斜視図である。
図6】一実施例に係る管状組織変形器および管状組織変形器上で保持された管状組織構造の斜視図である。
図7】一実施例に係る管状組織変形器、および管状組織変形器上で外翻した管状組織構造の斜視図である。
図8A】一実施例に係る管状組織構造を結合するためのシステムの斜視図である。
図8B】管状組織構造を結合するための例示的な代替システムの斜視図である。
図9A図8Aのシステムの分解図である。
図9B図8のシステムの例示的な代替形態の分解図である。
図9C図8Bのシステムの分解図である。
図10】一実施例に係る管状組織変形器、結合装置および管状組織構造の斜視図である。
図11図8の管状組織構造を結合するためのシステムおよび管状組織構造の斜視図である。
図12】一実施例に係る管状組織変形器に挿入された管状組織構造の断面図である。
図13】一実施例に係る図12の挿入された管状組織構造上で動作する用具の断面図である。
図14】一実施例に係る管状組織構造を管状組織変形器に付着させるために管状組織構造上で動作する図12および図13の用具の断面図である。
図15】一実施例に係る非拡張休止状態にある管状組織変形器および管状組織変形器上で保持された管状組織構造の断面図である。
図16】一実施例に係る拡張状態にある図15の管状組織変形器および管状組織変換器上で外翻した図15の管状組織構造の断面図である。
図17】一実施例に係る管状組織変形器および管状組織変形器上で保持された管状組織構造上で動作する用具の断面図である。
図18】一実施例に係るブッシュを変形させるために図17の管状組織変形器のブッシュ上で動作する図17の用具の断面図である。
図19】一実施例に従う管状組織構造と管状組織構造とを結合するためのシステムおよび管状組織構造の部分断面図である。
図20】一実施例に係るシステムの管状組織変形器がシステムの結合装置と係合された、図19のシステムおよび管状組織構造の部分断面図である。
図21】一実施例に係る結合装置と管状組織構造とが結合された、図19および図20のシステムおよび管状組織構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本出願は、リーフ、ブッシュ、およびリテーナを有する管状組織変形器(TTT)に関する。各リーフは、2つ以上のリテーナを有する。リテーナは、管状組織構造をリテーナに1つずつ付着させるのではなく、管状組織構造を2つ以上のリテーナに同時に付着させることを可能にし得る。このことにより、組織構造の付着が単純化され、迅速化され得る。
【0021】
ブッシュはさらに、リーフを拡張することによって組織構造を外翻させ、外翻した組織構造の外表面を支持するように設計される。このことは、別の組織構造に結合するための組織構造の大きく良好に支持された表面を提供し得、外翻時の組織構造の損傷を低減し得る。
【0022】
本出願はさらに、組織構造の付着を補助し、組織構造を拡径するための用具および方法、ならびに管状組織変形器と管状組織構造とを結合するためのシステムに関する。
【0023】
以下の用語が全体を通して使用される。
【0024】
管状組織変形器(TTT) 吻合を容易にするために組織構造を変形させる装置である。さらに、任意に、組織構造を保持し、組織構造を外翻させ、および/または組織構造の直径を変化させ得る。さらに、任意に、これらのプロセスのうちの1つまたは複数のプロセスの間、組織構造の完全性を保持し得る。本明細書および特許請求の範囲を通して、管状組織変形器またはTTTの言及は、そのような装置を指すと理解すべきである。
【0025】
管状組織構造 組織から形成されたヒトまたは他の動物の身体の一部であり、内腔を有する形状が略管状の構造である。例としては、血管(例えば、静脈、動脈、リンパ管、尿管、膵管、腸および他の管)が挙げられる。
【0026】
リーフ 対象物の別の部分を引き伸ばし、その長さに沿った少なくとも1つの位置においてその長さを横断する有意な幅を有する、対象物の一部である。
【0027】
ブッシュ 通路または開口部の内周に位置決めされる部材である。
【0028】
外翻 管状組織構造の文脈において、内腔の周りの組織構造の内表面が接触のためにアクセス可能であるように外側にめくれることを意味する。「外翻」および「外翻した」などの派生用語は、これと同じ意味を有する。
【0029】
吻合 管状組織構造間の円周方向接続のことである。
【0030】
例示的な管状組織変形器(TTT)1を図1A図2Aおよび図3Aに示す。この装置1は、リーフ2を有し、リーフ2の各々にリテーナ3が設けられている。この実施例では、TTT1はさらにブッシュ4を含む。図1Aにおいて、装置1は、リーフ2が休止位置にあり、ブッシュ4が非前進位置にある第1の形態にある。図2Aは、リーフ2が拡張形態にあり、ブッシュ4が前進位置にある第2の形態にある同じ装置1を示す。
【0031】
この実施例におけるリーフ2の各々は、付着された管状組織構造を保持する多数のリテーナを有する。各リーフ2上に2つ以上のリテーナを有することは、従来、各リテーナへ組織構造を個々に付着させる必要がある装置において不利であると考えられる場合がある。しかしながら、本発明のTTT1の各リーフ上のリテーナは、各リテーナへの個々の付着を必要とせずに、1ステップで組織構造に同時に付着して保持するように設計されている。このことは、組織構造をリテーナに付着させるのに必要な時間、スキルおよび専門知識を低減し得る。
【0032】
リテーナは、吸引口、ピン、グリッパ、または組織構造に付着させることができる他の要素であり得る。図1Aの実施例では、リテーナはピン3である。ピン3は直線状であり得る、または外向きに湾曲し得る。外向きとは、TTT1を通る長手方向軸19から傾斜することを意味し、長手方向軸19はリーフ2の延在方向と概ね整列している。リテーナは、いくつかの直線状ピンといくつかの湾曲ピンとの組み合わせであってもよい。いくつかの用途では、直線状ピンは、組織構造内に押し込むことがより容易であり得る。いくつかの用途では、湾曲ピンは、組織構造をより良好に保持し、組織構造がTTT1から外れる可能性を低減し得る。直線状ピンは、長手方向軸19から傾斜して延在し得る。異なる角度の直線状ピンの組み合わせがあり得る。
【0033】
ピン3の長さは、この実施例では0.2mm~1.5mm、例えば0.5mm~1.2mmである。異なる長さのピン3は、異なる組織構造のような異なる用途に好適であり得る。例えば、短いピンは、小さいまたは薄壁の構造への付着により好適であり、長いピンは、大きいまたは厚壁の構造への付着により好適であり得る。TTT1は、各リーフ2上に様々な長さのピンを有してもよい。各リーフ上に様々な長さのピンを有することにより、付着前の管状組織構造の外層(または外膜)の下準備が低減され得る。このことはまた、結合処置に必要な時間を短縮し得る。
【0034】
多数のリテーナは、組織構造が組織構造の周囲の多数の点で付着するのを可能にし得、このことが各々の付着点にかかる応力を低減し得る。多数の付着点はまた、個々のリテーナへの接続の必要とされる強度を低減し得、このことは、組織構造に大きな穴を作り、潜在的に組織構造の有意な損傷を引き起こし得る大きなピンのような比較的破壊的なリテーナの必要性を回避し得る。さらに、多数の付着点は、押し付けられる組織構造に同時に付着することが可能であり得る、比較的小さい、近接したリテーナ群が使用されることを可能にし得る。組織構造の性質およびサイズ、リテーナのサイズおよびタイプ、ならびにリーフ2の数に応じて、異なる数のリテーナが好適であり得る。例えば、厚壁または比較的非可撓性の組織構造は、大きな組織構造と同様に、1つのリーフ2ごとにより多くのリテーナを必要とし得る。同様に、個々のリテーナがより小さい場合には、より多数のリテーナが必要とされ得る。TTT1が少数のリーフ2を有する場合には、各リーフ2上により多数のリテーナが必要とされ得る。一実施例では、各リーフ2上に2個~10個のリテーナが存在する。一実施例では、TTT1上に合計で少なくとも8個のリテーナが存在する。図1Aの実施例では、各リーフ2上にピン3の形態の8個のリテーナが存在する。この実施例では、TTT1上に合計32個のリテーナが存在する。
【0035】
リテーナは、各リーフ2上に1つまたは複数の列で配置され得る。このことにより、より多くのリテーナを各リーフ2の保持面6に取り付けることができる。図1Aの実施例では、各リーフ2上に、外側列に5本のピン、内側列に3本のピンの2列のピン3が存在する。より多くのリテーナを各リーフ上に取り付けるために、リテーナは、例えば隣接するリテーナ間が0.2mm~0.5mmとなるように、互いに近接して配置され得る。
【0036】
異なる数のリーフが、異なる用途に好適であり得る。リーフの数が多いほど、特に、組織構造が受け得る任意の拡張または外翻時に、組織構造にかかる力をより均一に分散させることが可能になり得る。リーフの数が少ないほど、操作者が操作するのが容易になり得る。リーフの数は、少なくとも4個または少なくとも5個であり得る。図1Aの実施例では、TTT1は4個のリーフ2を有する。別の実施例では、複数のリーフ2の代わりに単一のリーフが存在し得る。この実施例では、リーフは、可変外周を有する略円筒状または円錐台状であり得る。このようなリーフの外周は、変形、伸張、または巻回および巻戻しによって変化し得る。
【0037】
リーフ2は、TTT1を通る通路17の周りに位置決めされ得る。使用時には、組織構造が通路17内に位置決めされ、通路17の開口部の周りにおいてリーフ2上で保持され得る。通路17は、組織構造を収容することができるように寸法決めされる。
【0038】
リーフ2は、広狭動作するように可撓性である。リーフ2の一部は、長手方向軸19から離れて外向きに、または長手方向軸19に向かって内向きに移動することができる。図1A図2Aおよび図3Aの実施例では、リーフ2はリングまたは基部5から延びている。リーフ2およびリング5は、一体となって1つの一体型本体10を形成する。リーフ2の遠位端は、通路17の開口部を拡張または収縮するために、軸19に向かっておよび軸19から離れるように移動することができる。このことにより、開口部の直径を変化させて、TTT1または別の組織構造への組織構造の付着を補助することが可能になり得る。リーフ2の外向きの撓みはまた、図6および図7を参照しながらより詳細に説明するように、組織構造を外翻させるのに有用であり得る。
【0039】
リーフ2を内側に撓ませるために、操作者は、例えば鉗子を用いて、リーフ2を把持し、リーフ2を締め付けることができる。このことにより、開口部の直径を小さくして、組織構造の付着をより容易にすることができる。このプロセスを支援するために、リーフ2には、把持しやすくする特徴部が設けられ得る。図1Aの例では、TTT1は、リーフ2に形成された溝7を有し、この溝7は、鉗子の端部を受容し、鉗子がTTT1から外れるのを防止するのに役立ち得る。
【0040】
図1Aに示されるものとは異なる構造を有する代替の実施例では、リーフ2の異なる部分が拡張され得る、または狭められ得る。例えば、リーフ2の端部間の一部で組織構造が保持される場合、この部分でリーフ2が拡張され得る、または狭められ得る。
【0041】
リーフ2は、リーフ2が解放された後に元の形態に戻るように、使用時に経験される典型的な撓み範囲全体にわたって弾性的に可撓性であり得る。
【0042】
図3Aの分解図において、本体10、リテーナ(ピンの形態)3、およびブッシュ4が別々に示されている。リーフ2の穴8は、この実施例のピン3を受け入れるために設けられる。ピン3は、リーフ2と同様に円の周りに配置される。ブッシュ4は、この図に、より詳細に示されている。
【0043】
ブッシュ4は、実質的に円筒状の本体13を含む。ブッシュ4の前部(すなわち、リーフ2の遠位端に最も近い端部)において、ブッシュ4は支持面11に成形される。この支持面11は、使用時に組織構造の外表面を支持するために設けられる。支持面11は、ブッシュ4の拡径部分から形成され得る。拡径部分はさらに、ブッシュ4が第1の後方位置から第2の前進位置まで前進するにつれて、リーフ2を外方に押し出すためにリーフ2の内表面に当接し得る。拡径部分はまた、リーフ2と係合して、ブッシュ4が前進位置から後方位置に向かって戻るのを阻止し得る。例えば、拡径部分は、拡径部分の後面がリーフ2の端部と接触し、そのことによりリーフ2を通り越して引き戻されるのを阻止するように、リーフ2の端部を越えて延在し得る。代替として、リーフ2の内表面に溝または非対称傾斜部が存在し得、これに拡径部分が係合して、溝からまたは傾斜部の急勾配側を通り越して引き戻されるのを阻止する。
【0044】
支持面11は、ブッシュ4の本体13から外向きに、かつ本体13に対して鋭角、例えば90°で延在するフランジから形成され得る。代替として、支持面11は、本体13から外向きに湾曲する「フレア状」部分から形成され得る。管状組織構造は、管状組織構造の支持部分の中心から外向きに湾曲する支持面による外向きの湾曲を有するこの表面上で支持され得る。支持面11は、10°~120°、または30°~90°、外向きに湾曲し得る。支持面11は、支持される組織構造の特性に基づいて選択された曲率半径で外向きに湾曲し得る。いくつかの組織構造は、きつく外側にめくられ過ぎると容認できないほどの損傷を受ける場合がある。そのような場合、組織構造の許容できない損傷を引き起こす可能性がある値よりも大きい曲率半径を選択することが有利であり得る。例えば、動脈は、静脈のような他の組織構造と比較して比較的厚いかつ非弾性の壁を有し、きつく外側にめくられ過ぎると容認できないほどの損傷を受ける場合がある。いくつかの実施例では、曲率半径は0.2mmより大きい。
【0045】
ブッシュ4はさらに、第2の前進位置を越えて前進するのを防止するために、フランジ12または他の特徴部を含み得る。フランジ12は、ブッシュ4が前進位置を越えて前方に移動するのを防止するために、リング5の後面または本体10の別の部分に当接し得る。代替として、ブッシュ4は、TTT1の本体10の開口部との摩擦嵌めを形成するための拡径部分、TTT1の本体10の相補的な取付具に嵌合するためのバヨネット式取付具、またはTTT1の本体10に接着するための接着剤を含み得る。ブッシュ4が拡径部分、バヨネット式取付具または接着剤を含む場合、これは、支持面11を形成する拡径部分に加えて、またはその代わりに、ブッシュ4が第2の位置から第1の位置に向かって移動することを阻止するようにさらに作用し得る。
【0046】
ブッシュ4はさらに、図17および図18を参照ながら詳述するように、ブッシュ4の拡径を可能にするように、本体13内に間隙14を有し得る。間隙14があるにもかかわらず、ブッシュ4は断面が実質的に円形であり得る。実質的に円形とは、ブッシュ4が、完全な円の50%超、75%超、85%超、または好ましくは90%超を形成することを意味するが、言及されている円は、実際の実装において完全な円形でなくてもよいことに留意されたい。
【0047】
ブッシュ4はさらに、リーフ2の撓みを引き起こし得る。この実施例では、ブッシュ4は、通路17内に設けられ、通路17に沿って移動するように構成される。図1Aおよび図2Aに示すように、ブッシュ4は、第1の後方位置(図1A)と第2の前進位置(図2A)との間で移動され得る。ブッシュ4が後方位置にある状態では、リーフ2は拡張されず、すなわち、リーフ2は、図1Aに示すような「休止」形態にある。ブッシュ4が前進位置に移動すると、支持面11を形成する拡径部分の外縁がリーフ2の内表面に当接し、リーフ2を図2Aの半径方向拡張形態へと押し込み、リーフ2をその形態で保持する。代替として、ブッシュ4は、支持面11を形成する拡径部分とは別の部分を有し、リーフ2に当接してリーフ2を拡張させ、および/またはリーフ2を拡張形態で保持し得る。
【0048】
ブッシュ4は、少なくとも部分的に塑性変形可能であり得る。このことにより、ブッシュ4は力を加えると変形し、力が除去された後も変形した形状を保持することができる。ブッシュ4またはその一部は、用途に応じて適切な変形特性を有する材料から形成され得る。例えば、材料は、(図17および図18を参照しながら詳述する)拡径手順において操作者によって加えられる典型的な力で塑性変形を受けるが、拡径手順の前後にリーフ2および組織構造の保持部分によって加えられる典型的な力でその形状を保持することができる(すなわち、剛性である)ように選択され得る。1つの好適な材料は、金属(例えば、ステンレスまたは外科手術用鋼材、チタン合金、またはコバルト・クロム)であるだろう。別の好適な材料は、ポリテトラフルオロエチレン/シリコーン複合材のようなポリマーであるだろう。
【0049】
TTT1の一部は、操作者が使用中に組織構造を見ることができるように透明であり得る。特に、ブッシュ4および/またはリーフ2のうちの1つまたは複数は、透明であり得る。
【0050】
一実施例では、TTT1に吸引口が設けられ得る。吸引口は、単独で、またはピン3と組み合わせてリテーナを構成し得る。一実施例では、吸引口はピン3の端部に設けられる。
【0051】
図4は、リテーナが端部に吸引口29を有するピン3である一実施例を示す。吸引口29は、吸引ライン9を介して低圧源に接続される。図4の実施例では、吸引ライン9は、それぞれのピン3およびリーフ2を貫通し、リング5の領域で低圧源に結合する。この実施例における低圧源は、シリンジ28であり、シリンジ28は、そのプランジャが退避されたときに吸引ライン9内に部分真空を生成する。代替として、低圧源は、真空ポンプまたは同様のものであり得る。
【0052】
図5図7は、様々な状態の管状組織構造16と共に使用されるTTT1を示す。
【0053】
図5において、組織構造16は通路内に位置決めされる。この実施例における組織構造は切断されており、切断端付近の一部18は通路17から延出して、リテーナ(この実施例ではピン3である)の領域内へ延在する。この状態では、ブッシュ4は前進せず、リーフ2は休止位置にある。
【0054】
図6において、組織構造16は一部18においてリテーナ3に付着されている。図6に見られるように、その部分18は、概ね円形に配置された多くの点でリテーナに付着し、装置1上で保持される。この状態では、ブッシュ4は前進せず、リーフ2は休止位置にある。この位置では、組織構造16のその部分18は完全には外翻していない。リーフ2の動きの範囲、およびリーフ2が後退形態で組織構造16に付着する角度に応じて、組織構造16のその部分18は、部分的に外翻する場合がある、または全く外翻しない場合がある。
【0055】
図7では、ブッシュ4は前進位置まで前進している。リーフ2は、外向きに拡張されている。このことにより、組織構造16のその部分18は、図5および図6の形態よりも大きく外翻している。組織構造16のその部分18は、最大90°、約90°、または90°を超えて外側にめくられてもよく、完全に「裏返し」にされる必要はない。一実施例では、組織構造16のその部分18は、約90°外側にめくられる。90°の外翻は、いくつかの状況において、必要以上に組織構造16を外側にめくらずに、別の管状組織構造に結合するために管状組織構造16の内表面の大きな領域を示すのに最適であり得る。
【0056】
図7には示されていないが、ブッシュ4の支持面はリーフ2の端部近くに位置決めされる。この位置では、ブッシュ4の支持面は、組織構造16の外翻部分18の外表面と接触して、吻合を形成するために別の組織構造と並置するのに好適な広い実質的に円形の表面を形成するように外翻部分18の外表面を支持する。リーフ2の端部はまた、この状態で組織構造の外翻部分のための支持面を形成し得る。この実施例では、リーフ2の支持面6は、ブッシュ4の支持面11の近くに、支持面11に対して小さな角度で位置決めされることにより、リーフ2およびブッシュ4が協働して複合支持面を形成する。リーフ2の支持面6は、この形態において、ブッシュ4の支持面に対して45°未満、30°未満、または15°未満の角度であり得る。代替の実施例では、リーフ2は、ブッシュ4の寄与なしに支持面全体を形成し得る。
【0057】
図3Aに示されているように、ブッシュ4の支持面11は、ほんの小さな間隙14と共に、実質的に円全体を覆う。拡張された場合であっても、これらの間隙は、隣接するリーフ2間の間隔15よりも小さく、リーフ2の支持面6単体で支持するよりもさらに大きな支持面を形成することができる。このようにして、ブッシュの支持面11は、外翻部分18の実質的に全周にわたって大きな均一に支持された表面を確保するのに役立つ。実質的に全周とは、全周の50%超、75%超、85%超、または好ましくは90%超を意味する。このことは、吻合を形成するために結合されるときに、2つの組織構造間に良好なシールを形成するのに役立ち得る。外翻部分の中心から離れるブッシュ4の支持面11の外向きの湾曲により、組織構造16の外翻部分18は、同様に外向きに湾曲するように支持される。外翻部分18は、その外表面と接触する支持面11によってこの形状で支持される。既に述べたように、このことは、組織構造16の損傷を回避するのに役立ち得る。
【0058】
図8Aは、第1のTTT1、第2のTTT1’、第1の結合装置21および第2の結合装置22を含む、管状組織構造を結合するためのシステム20を示す。図9Aは、システムの分解図であり、第1の結合装置、第2の結合装置、第1のTTT1および第2のTTT1’を別々に示した図である。図9Bは、代替システムの分解図である。図10は、第1の結合装置21および第1のTTT1をより詳細に示した図である。
【0059】
第1のTTT1および第2のTTT1’は、図1A図2A図3Aおよび図4図7を参照しながら説明したTTTであり得る、または異なるTTTであり得る。TTT1、TTT1’は各々、組織構造の周りの少なくとも1つのそれぞれの保持位置27で管状組織構造の一部を保持する。一実施例では、TTT1、TTT1’の各々は、2つ以上の保持位置27で組織構造を保持する。図8の実施例では、TTT1’、TTT1aはそれぞれ4個のリーフ2を有し、各リーフ2は、多数のピン3、3’によって覆われる領域に対応する保持位置27を有する。
【0060】
第1の結合装置21および第2の結合装置22は、突き合わされて、組織構造の外翻部分を並置して結合し、組織構造を結合することができる。結合装置21、22は、結合されたときに保持装置の保持位置27、27’が確実に互いにオフセットされるようにする。このことは、一方のTTTの保持位置と他方の装置の保持位置との間の間隙を「埋める」ことによって、結合界面の周囲の良好で均一なシールを確保するのに役立ち得る。このことはまた、一方の装置のリテーナが他の装置のリテーナとぶつかる可能性を防止または低減し得る。例えば、リテーナがピンである場合、所定のオフセットは、TTTのピンが互いに接触するのを防止する。ピンが接触した場合、組織構造の保持部分が良好なシールを形成するほど十分につなぎ合わされるのを妨げる可能性がある。
【0061】
結合装置21、22は、それらが長手方向軸25を中心とした相対配向の離散セットのうちの1つにおいてのみ確実に結合するための位置合わせ特徴部を含む。一実施例では、位置合わせ特徴部は、1つまたは複数のピンおよびピンを受容するための1つまたは複数の穴である。ピンは、結合装置の両方または一方のみに設けられ得る。これに対応して、結合装置の両方または一方のみに穴が設けられ得る。図8A図9Aおよび図9Bの実施例では、第1の結合装置21は2つのピン23を有し、第2の結合装置22は2つの穴24を有する。この実施例におけるピン23は、長手方向軸25を中心として等間隔に離間されるのではない、すなわち、ピン間の回転オフセットは360°/nではなく、この場合、nはピン数である。このことにより、結合装置21、22は、長手方向軸25を中心とした1つの相対配向でしか結合することができないように制限される。ピン23は、穴24の周囲で第2の結合装置22と係合するための歯または返しなどの特徴部を有し得る。ピン23または穴24に接着剤が設けられ得る。ピン23または穴24は、摩擦嵌めを形成するようにテーパ状であり得る。一実施例では、穴24は、一定の断面を有するピン23と係合するようにテーパ状にされる。
【0062】
各結合装置はさらに、長手方向軸25を中心とした相対配向の離散セットのうちの1つにおいて確実にそれぞれのTTT1を保持することができるように、1つまたは複数の位置合わせ特徴部を有する。すなわち、TTTは、どんな角度でも結合装置内で保持することができるのではなく、そのリテーナが他のTTTのリテーナから確実にオフセットされる角度でしか保持することができない。このことにより、結合装置およびそれぞれのTTT1は、軸25を中心とする1つまたは複数の所定の適合する配向で嵌合することができる。各結合装置は、それぞれのTTT1、TTT1’を受容する凹部26、26’を有し得る。一実施例では、凹部26、26’の内表面は非円形であり得、それぞれのTTT1、TTT1’の一部の外表面も非円形であり得る。装置の非円形は、TTT1、TTT1’が凹部26、26’内に受容されたときに、装置が特定の相対配向からずれて回転するのを防止し得る。図9Bの実施例では、凹部26、26’およびTTT1、TTT1’は多角形である。追加的にまたは代替的に、結合装置21、22に対する特定の相対配向からずれるTTT1、TTT1’の回転を防止する他の嵌合構造が設けられ得る。例えば、これらは、一方の装置のピンと、他方の装置のピンを受容するための穴と、一方の装置の隆起部と、他方の装置の隆起部を受容するための溝とを含み得る。そのような嵌合構造が設けられる場合、凹部26、26’およびTTT1、TTT1’の外側部分は円形であり得る。図8および図9Aの実施例では、凹部26、26’は断面が概ね円形であるが、この実施例ではそれぞれが完全な円を形成していない。より具体的には、各凹部は、断面がほぼ3/4円形である。
【0063】
図8Aおよび図9Aの実施例では、結合装置21、22は、断面が概ね円形であるが、完全な円を形成していない。この実施例では、結合装置21、22は、ほぼ3/4円形である。つまり、結合装置21、22はそれぞれ片側が開いているということである。このことにより、結合装置21、22をその側部から管状組織構造の上に移動させて、結合装置21、22の中央開口部内に組織構造を位置決めすることができる。このことは、完全な円形の開口部を通して長手方向に組織構造の切断端を挿入するよりも迅速かつ容易であり得る。開口部はまた、操作者がTTT1、TTT1’および組織構造間の界面を、組織構造を結合しながら見ることを可能にし得る。
【0064】
図10は、第1のTTT1が凹部内に位置決めされた第1の結合装置21を示す。第1のTTT1は、保持部分18の周りの4つの保持位置27で保持された管状組織構造16を有する。
【0065】
図11は、第1の管状組織構造16と第2の管状組織構造16’とを互いに結合するために使用されるシステムを示す。第1のTTT1の保持位置27は、第2のTTT1’の保持位置27’からオフセットされた状態で示されている。第1の結合装置21のピン23は、第2の結合装置22の穴24に挿入された状態で示されている。この形態において、システム20は、2つの管状組織構造16、16’間の結合または吻合を形成する。
【0066】
代替の実施例を、図1B図2B図3B図8B、および図9Cに示す。この場合、TTT装置1は5個のリーフ2を有する。図3Bに示されているように、各リーフ2は、フックインサート102を受容する凹部100を有する。各フックインサート102は、図1Aのピン3と同様に管状構造が付着され得る多数のリテーナ/フック3を有する。この実施形態は、装置の製造および組み立てをより容易にし、血管保持のプロセスを改善し得る。フックインサート102は、ワイヤEDM加工を使用して機械加工された鋭利なフック3を有するステンレス鋼のような硬質材料から作製され得る。鋭利で硬質のフック3は、動脈の壁を容易にかつ非外傷的に穿刺する。フックインサート102の基部106は、ブッシュがTTTを通って前進してリーフを半径方向外向きに撓ませるときにブッシュが接触する滑らかな表面を形成する。しかしながら、フックインサート102が挿入されるリーフ2は、ブッシュ4が前進して血管を外翻させるときにリーフ2が半径方向外向きに撓むことができるように、変形可能な状態を維持しなければならない。これを全て実現するために、フックインサート102は、凹部100内に逆行性に挿入され得る別個の構成要素として最も容易に製造される。すなわち、これらの凹部100は、図3Aのピン3を受け入れる穴8と同様に機能し得る。
【0067】
フック3は、1つのフックインサートにつき3つのフックを含み得る。1つの内側フックと、2つの外側フックとが存在し得る。各フックは、テーパ状であり得、および/または外向きに湾曲し得る。各フックの長さは、0.5mm~2.0mmであり得る。各フックの厚さは、0.05mm~1.00mmであり得、例えば、0.15mmであり得る。
【0068】
フックインサート102は、締まり嵌めタイプの機構を使用することによって定位置に保持され得る。代替として、フックインサート102の後端にリップを設けて、凹部100内の適所にスナップ嵌めすることができる。別の代替の実施例では、低粘度接着剤を使用して、フックインサート102と凹部100との間を結合することができる。上記のすべての組み合わせを利用することもできる。
【0069】
フックインサート102は、鉗子がリーフから外れるのを防止するために外表面上にリップ104を有する。鉗子は、保持するために使用され得る血管の上にTTT1を適切に位置決めするために使用される。動脈のような柔らかい管状組織構造がTTTのフック3に付着されているときには、ユーザは、細い鉗子を使用して血管を持ち上げて、血管をフック3に付着させることができる。このプロセス中の血管保持を助け、血管歪みを最小限に抑えるために、ユーザは、鉗子を用いて圧縮力を加えることによって、リーフ2を半径方向内向きに撓ませてフック3を血管壁に近づけることができる。圧縮力が加えられると、リップ104は、鉗子が意図せずに前縁から外れて軟組織構造を損傷するのを防止する。このリップは、図1Aの溝7と同じ機能を果たす。リップの高さは、約0.2mm~1.0mmであり得る。
【0070】
5個のリーフが存在するこの特定の構成では、操作者がTTTの側部からリーフを把持する場合、一方の鉗子先端は上部の1つのリーフに当てられ、他方の鉗子先端は下部の2つのリーフに当てられる。上部のリーフは、最も内側への撓むリーフであり、操作者は動脈をそのフック群に最初に付着させる。操作者は、TTTを回転させて、各リーフ上のリテーナに動脈を付着させながら各リーフを順次圧縮する。
【0071】
フックインサート102の基部106は、そのそれぞれのリーフ2よりもわずかに半径方向内向きに延在し、したがって、ブッシュ4と接触するのはこの基部106である。この表面は、ブッシュ4がリーフを半径方向に拡張するように前進するにつれて、より滑らかな界面を形成する。上述したように、フックインサートは、ステンレス鋼、チタンまたは硬質プラスチックのような剛性材料であり得る。この文脈における剛性とは、ブッシュ4を最終位置まで押し込むことによって生じる力に応答して生じる性質を指す。
【0072】
リーフ2は、変形可能なプラスチックから成形され得る。各リーフ構造のプラスチックおよび剛性は、ブッシュ4が前進するにつれて、リーフ角度(長手方向軸19に対して)が2°~15°、または約9°変化するように設計され得る。この文脈における変形可能とは、ブッシュ4を最終位置まで押し込むことによって生じる力に応答して生じる性質を指す。
【0073】
図9Cに示すように、結合装置21のこの実施形態は、TTT1の両側の結合フランジまたはウィング108を受容する凹部26と、TTT1が凹部26から滑り出るのを防止する結合装置21の前部クリップ112上のリップ110とを特徴とする。TTT1およびTTT1’は、外翻した血管の各端部に付着し、各結合装置21、21’に挟み込まれる。次に、2つの結合装置21、21’を近接させ、(それぞれのリーフおよびフックが対向するリーフ間の空間にインターロックするように)回転オフセットされ、次にピン23によって永久的に結合される。代替として、各TTTは結合穴24、24’を含み得、結合ピン23はそれぞれのTTT1、TTT1’に直接係合し得る。
【0074】
結合装置21のこの型は、TTT1が適合しなければならない凹部26の視認性を改善し得る。結合ウィング108は、TTT1を上から挿入することを可能にし(または逆に、結合装置21を下から導入することができる)、そのことにより、TTT1をその対応する結合装置21と嵌合させるのに必要な全移動量を低減する。嵌合は、締まり嵌め、または変形可能な前部クリップ112によるスナップロックを使用して実現され得る。
【0075】
前部クリップ112は、結合ウィング108を定位置に固定し、順方向の移動を防止する。つまり、TTT1が結合装置から滑り出ない、または中心軸25から傾斜しないということである。
【0076】
このアプローチはまた、結合器全体の長さ(すなわち、結合装置がピン23によって連結される場合)を低減することができる。これは、TTTが最初に通過しなければならない中心間隙が、図9Aに示されているように凹部26に適合するために逆行並進する前に不要となるためである。
【0077】
次に、図12図21を参照しながら様々な方法について説明する。これらの方法は、別々の手順として個々に実施され得るか、または1つの手順の一部としてまとめて実施され得る。
【0078】
図12において、管状組織構造16の一部18は、矢印33で示される方向にTTT1の通路内へ挿入されている。この実施例では、挿入部分18は組織構造16の切断端である。この実施例におけるTTT1は、図1図8を参照ながら説明したTTTである。このような実施例では、組織構造16の一部18は、ブッシュ4を通ってリーフ2間に通される。
【0079】
図13において、付着用具30は、位置30’において組織構造16の一部18と接触している。付着用具30は、管状組織構造16の開口部に挿入される先端31のような部分を含み得る。付着用具30は、組織構造16の一部18を多数のリテーナに同時に押し付けることができる変形可能な表面32を有する。組織構造16の一部18をリテーナに押し付ける前または押し付けている間に、操作者は、リーフ2を内向きに締め付けてまたは他の方法で収縮させて、リーフ2の端部を互いに接近させ得る。このことにより、特に狭いまたは比較的非可撓性の組織構造の場合に、組織構造をTTT1に付着させるのが容易になる。一実施例では、操作者は、溝7内のTTT1を鉗子で把持し、締め付けてリーフ2を収縮させる。
【0080】
図14において、用具30は位置30’にあり、変形可能な表面32は、図13に示される状態から変形して、組織構造16の一部18とより良好に接触し、それをリテーナに押し付ける。用具30はさらに、矢印36で示されるように回転されて、組織構造16の一部18の周囲全体の付着を補助し得る。
【0081】
一部18をリテーナに押し付けることにより、各々の位置がリテーナの1つに対応する多数の位置で、同時にその一部18をリテーナに付着させる。このことにより、組織構造をリテーナに1つずつ付着させる必要がなくなる。矢印37で示されるように、組織構造は、リテーナ上でいくらか外側にめくられて、リテーナに付着される。
【0082】
用具30は、変形可能な表面32によって封入された空気、水またはゲルなどの流体を含み得る。一実施例では、流体で満たされた領域は、組織構造と接触している領域における用具の拡張を引き起こすために、1つの領域において操作者によって締め付けられ得る、または他の方法で圧縮され得る。このことは、その周囲の全体または大部分で組織構造を穏やかに押圧して、同時に多くのリテーナに迅速に付着させるのを助けることができる。変形可能な表面32は、弾性的に可撓性の表面であり得る。
【0083】
代替的な実施例では、操作者は、用具30の助けなしに、例えば指で組織構造を押圧することができる。
【0084】
図12図14に示される実施例では、組織構造16の保持部分18は、組織構造の切断端付近の部分である。代替的な実施例では、保持部分は、組織構造の側部におけるスリットの周囲の領域であり得る。このことにより、TTT1を管状組織構造の端側結合のための側部結合器として使用することが可能であり得る。
【0085】
図15において、組織構造16は、一部18においてTTT1に付着している。ブッシュ4は第1の後方位置にあり、リーフ2は収縮形態にある。矢印38で示される方向にブッシュ4を押すことによって、操作者は、図16に示される第2の前進位置に向かってブッシュ4を前進させることができる。
【0086】
図16では、ブッシュ4は前進位置にあり、リーフ2の端部は、矢印39で示されるように、半径方向外向きに拡張されている。この拡張は、組織構造16の一部18を外翻させている。外翻部分18は、ブッシュ4の支持面11によって外翻状態で支持されている。ブッシュ4は、外翻部分18の外表面を湾曲支持面11と接触させることによって、外翻部分18を外向きに湾曲した形態に維持する。したがって、TTT1は、ブッシュ4の前進によって組織構造の一部を迅速かつ容易に外翻させることができる。
【0087】
外翻部分の曲率半径は、組織構造を損傷する値よりも大きい値であり得る。曲率半径は、0.2mmより大きい値であり得る。
【0088】
代替の実施例では、TTT1は、リーフ2を拡張させ、一部18を外翻させるための別の機構を含み得る。例えば、TTT1は、リーフに接続され、後方に摺動してリーフを外向きに引っ張って、その後定位置に固定される外側リングを含み得る。別の代替の実施例では、TTT1は、組織構造を保持するだけでよく、別個の装置を使用して組織構造を外翻させることができる。さらに別の実施例では、以下の図17および図18の拡径プロセスによって、組織構造を外翻させることもできる。
【0089】
図17および図18には、管状組織構造の一部を拡径するための用具が示されている。これは、組織構造が、結合される組織構造の直径よりも小さい直径を有する場合に有用であり得る。図17に示されるように、組織構造16の一部18は、TTT1の開口部17の周りに保持される。最初は、この部分は第1の直径を有する。拡径用具40は、開口部17を拡径するために使用され、このことはまた、第2の直径を有するように組織構造16の保持部分18を拡径する。図17および図18の実施例では、拡径用具40のテーパ状部分41は、矢印43で示される方向に開口部17へと挿入される。用具40は、グリップ42で操作者によって把持され得る。
【0090】
テーパ状部分41の挿入は、図18の矢印44で示されるように、ブッシュ4の塑性変形可能な部分を半径方向外向きに押しやる。このことは、TTT1のリーフ2を外側に押しやる。ブッシュ4は、次に、組織構造をその拡径状態に保持するために、リーフおよび組織構造の内向きの力に対してこの形状を保持することができる。組織構造は、それが付着される別の組織構造の幅により近くなるように拡径され得る。このことは、組織構造を結合するのを補助し得る。結合される組織構造の直径が異なる場合、より小さい直径を有する方の組織構造が拡径され得る。組織構造が同様の直径を有する場合には、拡径プロセスの必要はない。
【0091】
代替として、拡張可能部分を有する異なる拡径用具が、開口部を拡径するために使用され得る。テーパ状部分の代わりに、拡張可能部分を開口部に挿入して拡張させることにより開口部を拡径してもよい。一実施例では、用具は、流体が用具の別の領域で圧縮されたときに拡張することができる変形可能な表面によって封入された流体を含む。上述したように、開口部の拡張を使用して、リーフを外向きに撓ませ、そのことにより組織構造の保持部分18を外側にめくることによって、組織構造の一部を外翻させてもよい。
【0092】
図19図21において、TTT1およびTTT1’は、結合装置21、22と係合され、組織構造16、16’は、吻合を形成するために結合装置を使用して結合される。
【0093】
図19において、結合装置21、22は、組織構造16、16’の外翻部分がTTT1、TTT1’上で保持されている間に、側部から組織構造16、16’を通過している。次に、結合装置21、22は、矢印45、45’で示される方向にそれぞれのTTT1、TTT1’に向かって移動される。このことは、図20に示されるように、結合装置21、22をTTT1、TTT1’と係合させる。
【0094】
図20において、TTT1、TTT1’は、それぞれの結合装置21、22と係合される。この実施例では、TTT1、TTT1’は、図8を参照しながら詳述したように、長手方向軸を中心とした所定の相対角度で結合装置21、22内に位置決めされる。次に、結合装置21、22は、TTT1、TTT1’と共に、矢印45、45’で示される方向に互いに向かって移動されて、互いに係合し、そして組織構造16、16’の外翻部分を互いに接触させる。
【0095】
図21では、結合装置21、22は、ピン23および穴24によって互いに結合されている。組織構造16、16’の外翻部分はまた、縫合糸またはステープルを必要とせずに、結合装置21、22によって互いに対して保持されることによって、界面50において互いに結合されている。
【0096】
図8を参照しながら詳述したように、TTT21、TTT22は、TTTのリテーナ間の所定の回転オフセットで突き合わせられる。図3を参照しながら詳述したように、突き合わされた外翻部分は、実質的にそれらの全周囲において支持される。これらの特徴部は、界面50の周囲の良好なシールおよび流体の最小限の漏出を確実にし得る。
【0097】
装置21、22および組織構造16、16’を結合した後、操作者は、漏れまたは不十分な結合の他の徴候について、新たに形成された吻合を観察し得る。これらに気付いた場合、操作者は、縫合糸またはステープルを除去せずに、装置21、22を引き離すことによって装置21、22を切り離すことができる。これは、組織構造16、16’からTTT1、TTT1’を取り外さずに、または組織構造16、16’の保持部分を切断せずに、装置21、22が分離された(および再付着などの任意の他の是正処置がなされた)後に再び突き合わされ得るように、非破壊的プロセスであり得る。
【0098】
説明する装置、システム、および方法は、管状組織変形器への組織構造の迅速、安全、かつ容易な付着、組織構造の外翻、組織構造の拡径、および組織構造の損傷のリスクを低減した組織構造の結合を可能にし得、これらは、動脈の結合に特に好適であり得る。
【0099】
本発明の実施形態の説明によって本発明を例証し、実施形態を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限すること、またはいかなる形でも限定することは、本出願人の意図することではない。追加の利点および修正形態は、当業者には容易に明らかになるであろう。したがって、本発明は、そのより広範な局面において、特定の詳細、代表的な装置および方法、ならびに図示および説明した例示的な実施例に限定されない。したがって、本出願人の一般的発明概念の精神または範囲から逸脱することなく、そのような詳細から逸脱してよい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【国際調査報告】