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特表2023-502008飼育動物用の飼料または飼料サプリメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(54)【発明の名称】飼育動物用の飼料または飼料サプリメント
(51)【国際特許分類】
   A23K 40/30 20160101AFI20230113BHJP
   A23K 20/28 20160101ALI20230113BHJP
   A23K 20/20 20160101ALI20230113BHJP
   A23K 50/80 20160101ALI20230113BHJP
【FI】
A23K40/30 B
A23K20/28
A23K20/20
A23K50/80
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526472
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(85)【翻訳文提出日】2022-07-05
(86)【国際出願番号】 FR2020052042
(87)【国際公開番号】W WO2021089971
(87)【国際公開日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】1912521
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522179389
【氏名又は名称】ハドル・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】HUDDLE CORP
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100221534
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 志穂
(72)【発明者】
【氏名】エル ハラク,アブデスラム
(72)【発明者】
【氏名】クレテル,セザール,アドリアン クロード ルネ
【テーマコード(参考)】
2B005
2B150
【Fターム(参考)】
2B005NA13
2B150AA08
2B150AB01
2B150AE02
2B150AE27
2B150DH04
2B150DH14
2B150DH15
2B150DJ02
2B150DJ22
2B150DJ24
(57)【要約】
本発明は、コアおよびコアのコーティングを含む、単胃動物のための栄養素および/または生理学的活性物質の制御放出のためのモジュール式に積み重ねられた物体の形態の飼料または飼料サプリメントであって、コアは、水溶性活性物質を含む水相、および脂溶性活性成分を含む脂質相を含み、脂質相は、鉱物充填剤を含み、コーティング層および水相は、有利には、分散した剥離鉱物充填剤を有する、飼料または飼料サプリメントに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア12、およびコア12のコーティング14を含む、単胃動物のための栄養的および/または生理学的活性物質の制御放出を可能にする飼料または飼料サプリメントであって、該コア12が、水溶性活性物質を含む水相A、および脂溶性活性成分を含む脂質18を含み、水相Aがゲル粒子16からなり、ゲル粒子16が脂質相18中に分散していることを特徴とし、そして、脂質相18がフィロケイ酸塩群より選択される剥離鉱物充填剤を含むことを特徴とする、飼料または飼料サプリメント。
【請求項2】
フィロケイ酸塩が、スメクタイトである、請求項1に記載の飼料または飼料サプリメント。
【請求項3】
脂質相18における鉱物充填剤の分散が、界面活性剤の存在下で行われる、請求項1~2のいずれか一項に記載の飼料または飼料サプリメント。
【請求項4】
界面活性剤が、カチオン性または双性イオン極性ヘッドを有する、請求項3に記載の飼料または飼料サプリメント。
【請求項5】
界面活性剤が、レシチンである、請求項3または4に記載の飼料または飼料サプリメント。
【請求項6】
脂質相18中の鉱物充填剤の含有量が、脂質相18の重量に対して、0.5~35重量%、好ましくは0.5%~15重量%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の飼料または飼料サプリメント。
【請求項7】
コア12とコーティング14の間に位置するゲル化タンパク質相11を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の飼料または飼料サプリメント。
【請求項8】
ゲル化タンパク質相11が、鉱物充填剤を含む、請求項7に記載の飼料または飼料サプリメント。
【請求項9】
コア12のコーティング14が、層の積み重ねにおいて架橋および構造化されたコアセルベートを形成する、正と負の静電荷の交互積み重ねを有する生体適合性材料のn個の層Cを含み、nが少なくとも2と等しく、n個の層Cが、正の静電荷を有する生体適合性材料M+と多価アニオンより選択される架橋剤R-とを含む少なくとも1層のC+、および負の静電荷を有する生体適合性材料M-と多価カチオンより選択される架橋剤R+とを含む少なくとも1層のC-を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の飼料または飼料サプリメント。
【請求項10】
コーティング14が、少なくとも1層の強化材料MRを含む、請求項9に記載の飼料または飼料サプリメント。
【請求項11】
鉱物充填剤または強化材料MRが、粘土、シリカおよび帯電線維からなる群より選択され、有利にはフィロケイ酸塩群より選択される、請求項8~10のいずれか一項に記載の飼料または飼料サプリメント。
【請求項12】
フィロケイ酸塩が、スメクタイトである、請求項11に記載の飼料または飼料サプリメント。
【請求項13】
水相が、負に帯電したカルボキシル官能化多糖、例えばアルギン酸塩を含み、含有量が、水相の乾燥抽出物の重量に対して1~8重量%である、請求項1~12のいずれか一項に記載の飼料または飼料サプリメント。
【請求項14】
水相Aが、ピロリン酸塩またはグルコノデルタラクトンの存在下でカルシウム塩などの反応物と帯電した多糖の反応によりゲル化している、請求項13に記載の飼料または飼料サプリメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単胃飼育動物、特に魚のための飼料または飼料サプリメントに関する。特に、本発明は、飼料または飼料サプリメントが含む活性物質の制御放出を可能にする飼料または飼料サプリメントに関する。
【背景技術】
【0002】
飼育動物の衛生状態を改善し、成長を促進するために、飼育動物の餌を補うために生理活性物質を使用することはよく知られている。
【0003】
このような生理活性物質は、タンパク質、脂質、炭水化物だけでなく、ビタミン、および直接的または間接的な栄養補助食品または治療目的のプレバイオティクス、プロバイオティクス、アミノ酸、抗酸化剤またはその他の分子(すなわちエッセンシャルオイル)を対象としたあらゆる形態の飼料サプリメントであり得る。
【0004】
飼料が摂取され消化される条件の多様性は、動物の各種属および成熟の各段階に適応した対応を必要とする。
【0005】
例えば、特開平10-327770は、脂溶性活性物質を含む脂質相に分散させた水溶性活性物質を含むマイクロカプセルを記載しており、全体が油と有機溶媒の混合物に製造中に分散させた生分解性ポリマーでコーティングされている。マイクロカプセルのサイズは5~20μmであり、養殖稚魚の餌となるワムシの餌に適している。生分解性コーティングポリマーの例には、多糖類、ポリペプチド、脂肪族ポリエステル、およびゼラチンが含まれる。多糖類が好ましい。その文書に記載されているコーティングシステムを製造する方法は、食物連鎖に入ることが意図された製品には推奨されない有機溶媒にコーティング生体高分子を溶解することを必要とする。さらに、コーティングシステムは、鎖の切断によってのみ動物の消化器系で溶解できる。これは、腸の末端にある微生物叢の作用によりしばしば得られる適切な動態および酵素を必要とする。例えば、セルロースは、これらの鎖切断を行うことができないため、魚により消化されることはできない。その結果、用いられる繊維の消化率が低いため、消化が遅くなり、遅延することがある。
【0006】
動物の各種属および成熟の各段階に適応した提案される対応を可能とする、飼料または飼料サプリメント、その構造および製造方法への関心がある。
【0007】
さらに、特に、これらの栄養素のより良い代謝のために、標的動物の消化器系の正確かつ特定されたゾーンにある、活性物質または栄養素の迅速であるが連続した放出を可能にする飼料および飼料サプリメントが必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の対象は、以下の製品である:
・コア12、およびコア12のコーティング14を含む、単胃動物のための栄養的および/または生理学的活性物質の制御放出を可能にする、モジュール式に積み重ねられた対象Oの形態の飼料または飼料サプリメントであって、該コア12が、水溶性活性物質を含む水相A、および脂溶性活性成分を含む脂質18を含み、該脂質相18が、鉱物充填剤を含むことを特徴とする、飼料または飼料サプリメント。

1. コア12、およびコア12のコーティング14を含む、単胃動物のための栄養的および/または生理学的活性物質の制御放出を可能にする飼料または飼料サプリメントであって、該コアが、水溶性活性物質を含む水相A、および脂溶性活性成分を含む脂質18を含み、水相Aがゲル粒子16からなり、粒子16が脂質相18中に分散しており、そして、脂質相18がフィロケイ酸塩群より選択される剥離鉱物充填剤を含む、飼料または飼料サプリメント。したがって、飼料または飼料サプリメントは、モジュール式に積み重ねられた対象Oの形態である。
2. フィロケイ酸塩が、スメクタイトである、製品1に記載の飼料または飼料サプリメント。
3. 脂質相18における鉱物充填剤の分散が、界面活性剤の存在下で行われる、先行する製品のいずれか1つに記載の飼料または飼料サプリメント。
4. 界面活性剤が、カチオン性または双性イオン極性ヘッドを有する、製品3に記載の飼料または飼料サプリメント。
5. 界面活性剤が、レシチンである、製品3または4に記載の飼料または飼料サプリメント。
6. 脂質相18中の鉱物充填剤の含有量が、脂質相18の重量に対して、0.5~35重量%、好ましくは15%未満である、先行する製品のいずれか1つに記載の飼料または飼料サプリメント。
7. コア12とコーティング14の間に位置するゲル化タンパク質相11を含む、先行する製品のいずれか1つに記載の飼料または飼料サプリメント。
8. ゲル化タンパク質相が、鉱物充填剤を含む、製品7に記載の飼料または飼料サプリメント。
・コア12および所望によりタンパク質相11が、反対の電荷のポリマーで交互にコーティングされ、コアセルベートを形成する、先行する製品のいずれか1つに記載の飼料または飼料サプリメント。
9. コア12のコーティング14が、層の積み重ねにおいて架橋および構造化されたコアセルベートを形成する、正と負の静電荷の交互積み重ねを有する生体適合性材料のn個の層Cを含み、nが少なくとも2と等しく、n個の層Cが、正の静電荷を有する生体適合性材料M+と多価アニオンより選択される架橋剤R-とを含む少なくとも1層のC+、および負の静電荷を有する生体適合性材料M-と多価カチオンより選択される架橋剤R+とを含む少なくとも1層のC-を含む、先行する製品のいずれか1つに記載の飼料または飼料サプリメント。
10. コーティング層14が、有利には強化材料MRの層を含む、製品9に記載の飼料または飼料サプリメント。
11. 鉱物充填剤または強化材料が、粘土、シリカおよび帯電線維からなる群より選択され、有利にはフィロケイ酸塩群より選択される、製品9~10のいずれか1つに記載の飼料または飼料サプリメント。
12. フィロケイ酸塩が、スメクタイトである、製品11に記載の飼料または飼料サプリメント。
13. 水相Aが、負に帯電したカルボキシル官能化多糖、例えばアルギン酸塩を含み、含有量が、水相の乾燥抽出物の重量に対して1~8wt%、好ましくは5.5%未満、有利には1~4%である、先行する製品のいずれか1つに記載の飼料または飼料サプリメント。
14. 水相Aが、ピロリン酸塩またはグルコノデルタラクトンの存在下でカルシウム塩などの反応物と帯電した多糖の反応によりゲル化している、製品13に記載の飼料または飼料サプリメント。
【0009】
コアの脂質マトリックス18中に、剥離したフィロケイ酸塩タイプの鉱物充填剤、例えば、剥離したスメクタイトが存在することは、製品の密度、それ故にそれらの浮遊能力を調節することを可能にするという利点を有する。この剥離鉱物充填剤は、分離されたシートの形態であり、それに、剥離の質に応じて100m2/g~800m2/g、有利には200m2/g~500m2/gの極めて高い表面積を与える。これらのシートには、酸素などの小分子を吸着させることができる。したがって、この剥離鉱物充填剤は、製品に含まれる栄養素に向かって外部からの攻撃的な分子、特に酸素の浸透および拡散に対抗するバリアを形成する。また、鉱物充填剤のフラクタル組織により脂質相18を微細構造化し、脂質相全体を覆うまで3方向に浸透させることができ、これにより、栄養素および他の目的の分子の封じ込めに貢献する。フィロケイ酸塩シートの存在はまた、脂質相18に更なる特性をもたらす目的の分子を吸着することができる。例えば、比表面積の高いフィロケイ酸塩シートは、脂質相に不溶性または難溶性であっても、極性抗酸化剤などの保護分子を分散させるためのサポートであり得る。これは、例えば、ビタミンC、特定の水溶性ポリフェノール、フラボノイドなどの場合である。
【0010】
さらに、脂質マトリックス18に分散させた水相Aのゲル化は、栄養素の外向きへの漏出を制限するという利点を有する。それはまた、粒子の合体を回避することにより粒子のサイズを安定させることを可能にし、したがって、水相Aと消化剤との界面面積を増加させ、したがって消化段階での放出速度を加速させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明を、例示のためにのみ示す図1~14にさらに説明する:
図1】本発明の第1対象製品を、それぞれの寸法を考慮せずに、断面で概略的に示す。
図2】本発明の第2対象製品を断面で概略的に示す。
図3】本発明の第3対象製品を断面で概略的に示す。
図4】本発明の対象製品のコアのコーティングの一実施態様を概略的に示す。
図5】第1製品の製造方法のスキームを示す。
図6】第3製品を製造するための追加工程のスキームを示す。
図7】水性粒子のサイズ分布を示す。
図8】脂質粒子のサイズ分布を示す。
図9】開放空気での脂質粒子のエージング中に測定したヨウ素価の経時変化を示す。
図10】走査型電子顕微鏡で得られた脂質粒子の画像を示す。
図11】タンパク質層のレオロジー挙動に従った曲線を示す。
図12】ゲル化後に得られるタンパク質粒子の例を示す。
図13】水中の帯電した生体高分子の定量的添加の導電率モニターを示す。
図14】帯電した生体高分子の定量的添加の関数としての脂質粒子の導電率の経時変化を示す。
図15】小角散乱の基本図を示す。
図16】ひまわり油に分散したベントナイトの小角散乱のスペクトルを示す。
図17】Porod Iq 4 = f(q)表現におけるベントナイトの分散のSAXSデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
用語「対象(object)」または「特徴」は、本発明による飼料または飼料サプリメントの様々な構成部分を指す。
【0013】
用語「製品(product)」は、様々な物体を積み重ねることにより得られる、本発明による飼料および飼料サプリメントを指す。
【0014】
用語「ゲル」は、主に液体からなるが、液体内の絡み合った三次元ネットワークのために固体のものに近い挙動を有する材料を意味する。ゲルにそれらの構造とそれらの特性を与えるのはこれらの絡み合いである。液体で希釈された固体の三次元ネットワークは、化学的もしくは物理的結合、または分散液中に無傷のまま残っている小さな結晶または他の結合の結果であり得る。
【0015】
本発明の文脈において、用語「剥離鉱物充填剤」は、剥離を受けた鉱物充填剤、すなわち、その個々のシートの多かれ少なかれ完全な分離を意味する。剥離プロセスは通常、次の3段階を含む:
-(1)水中での膨潤によるフィロケイ酸塩シートの予備膨潤、
-(2)分散脂質相、例えばレシチンと適合させるための、フィロケイ酸塩粒子の表面での疎水性分子の吸着、および
-(3)溶液中のフィロケイ酸塩粒子を分離するためのせん断エネルギーの適用。
【0016】
本発明の文脈において、「単位質量あたりの面積」とも呼ばれる比表面積(Ss)は、単位質量(M)あたりの物体の表面積(As)を表し、一般にm2/gで表される。比表面積は、見かけの表面ではなく、対象に利用可能な表面の実際の面積を示す。
【0017】
図1は、各相のそれぞれの寸法を考慮せずに、本発明の対象の1つによる鉱物充填剤を含む脂質相18を含む第1製品10を概略的かつ断面で示す。
【0018】
この第1製品10は、コア12、タンパク質相11、およびコア12とタンパク質相11の集合物のコーティング14を含む。コア12は、球状(または不規則な)ゲル粒子16の形態の水相Aを含み、粒子16は、脂質マトリックス18に分散されている。タンパク質相11は、コア12を取り囲み、コーティング14に取り囲まれている。
【0019】
この第1製品10の第1の特徴または対象は、それが、特に栄養素を含む水溶性活性物質を含むゲル化水相Aを含むことである。したがって、ゲル粒子16は、特に栄養素を含む水溶性活性物質を含む。
【0020】
有利には、ゲル粒子16のサイズは、1~200μm、好ましくは20~100μmである。
【0021】
水相Aのゲル化は、粒子16からの栄養素および活性物質の漏出を制限することを可能にする。それはまた、合体を制限し、したがって水相Aの比表面積、すなわち各ゲル化粒子16の比表面積の合計を増加させ、したがって消化相中に含まれる活性物質の放出速度を加速することにより粒子径16の安定化を可能にする。
【0022】
好ましい実施態様によれば、水相Aは、水相の重量に対して1~4重量%の含有量を有するアルギン酸塩などのアニオン性多糖を含む。
【0023】
好ましい実施態様によれば、水相Aは、カルボン酸官能化多糖を含み、したがって、水相Aの乾燥抽出物の重量に対して、すなわちゲル粒子16の集合物の乾燥抽出物の重量に対して、1~8重量%、有利には1~5.5重量%、より有利には1~4重量%のカルボン酸官能化多糖の含有量を有するアルギン酸塩などの適切なpH条件下で負に帯電する。
【0024】
水相Aは、有利には、カルボキシル官能化されたアニオン性多糖と、カルシウム塩およびピロリン酸塩またはグルコノデルタラクトンなどの試薬との反応により形成されるゲルであり得る。
【0025】
カルシウム塩は、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、酒石酸カルシウム、カゼインカルシウムおよびステアリン酸カルシウム、およびそれらの混合物からなる群、特に硫酸カルシウム、炭酸カルシウムおよびステアリン酸カルシウムからなる群、およびそれらの混合物からなる群より選択され得る。
【0026】
カルシウム塩の溶解度は、インサイチュで放出されたプロトン(酸)との反応により得られる。それは、水と接触して、ピロリン酸塩またはグルコノデルタラクトン試薬により生成できる。
【0027】
有利には、水相Aはまた、浸透圧剤含む。
【0028】
この浸透圧剤は、糖、塩、好ましくは分子量が150kg/mol未満の水溶性ポリマー、およびそれらの組合せからなる群より選択され得る。
【0029】
浸透圧剤の好ましい選択は、最終製品を難消化性にしないために、水溶液の重量、すなわち(完全な製剤中の)水相Aの重量に対して、5重量%未満の含有量を有するソルビトールであり得る。ソルビトールの含有量は0.8重量%~1.5重量%が最適である。ゲランド塩の有利な使用もまた可能であり、それはまた有用なミネラル塩をもたらす。
【0030】
好ましくは、脂質マトリックス18に分散した水相Aの含有量、したがってゲル粒子16の含有量は、水相Aおよび脂質マトリックス18の総容量に対して、すなわちコア12の総容量に対して10~50容量%、好ましくは15~30容量%で構成される。
【0031】
10容量%未満では、水相Aの容量は、水溶性活性物質を容易に導入し、製品のコア12の組成の良好な均一性を有するのにもはや十分ではない。
【0032】
50容量%超では、分散水エマルション、すなわちゲル粒子16を脂質相18中に維持することが極めて困難になる。
【0033】
水相Aゲルは、親水性活性物質、例えばアミノ酸、ビタミン、プレバイオティクス、プロバイオティクス、抗酸化剤、およびそれらの組合せを含み得る。
【0034】
この第1製品10の第2の特徴または対象は、水相16、すなわちゲル粒子16が、脂質マトリックスまたは相18に分散していることである。
【0035】
有利には、製品10の第2の対象または特徴である脂質マトリックス18は、少なくとも1つの植物油または動物油、特に魚油、および少なくとも1つの結晶性ワックスを含む。ワックスは、動物(蜜蝋)または植物由来のものであり得る。
【0036】
好ましくは、用いるワックスは、摂氏90度未満、極めて好ましくは摂氏65度未満の融解温度を有する結晶性ワックスである。
【0037】
ワックス含有量は、脂質マトリックス18全体の重量に対して有利には5~25重量%であり、極めて有利には10~20%である。
【0038】
好ましい実施態様によれば、脂質マトリックス18は、実質的に球形であり、したがってコア12は、実質的に球形であり、直径が10~1000μm、好ましくは200~400μmである。
【0039】
脂質マトリックス18は、有利にはビタミンを含み得る。
【0040】
好ましくは、この脂質マトリックス18は、オメガ6およびオメガ3、特にDHAおよびEPAタイプの含有量が高い。
【0041】
脂質マトリックス18は、脂質マトリックス18の重量に対して、有利には少なくとも1重量%のDHAおよびEPAタイプのオメガ3を含む。それはまた、脂質マトリックス18の重量に対して、好ましくは30重量%未満のDHAおよびEPAタイプのオメガ3を含み、極めて好ましくは10重量%未満である。
【0042】
本質的な特徴によれば、脂質相18は、粘土、タルクおよび雲母などのフィロケイ酸塩からなる群より選択される剥離鉱物充填剤を含む。剥離鉱物充填剤は、有利には、100m2/g超、有利には100m2/g~800m2/g、より有利には200~500m2/gの比表面積を有する。
【0043】
フィロケイ酸塩は、好ましくはスメクタイトである。スメクタイトは、他のフィロケイ酸塩より層間のギャップが大きい層状構造により、疎水性の小分子により膨潤でき、粘土小板の剥離を改善し、これにより脂質マトリックス18への分散を促進するという利点がある。雲母およびタルクもまた、この方法で剥離できるが、脂質マトリックスにおける薄層シートを分散させるために必要なエネルギーははるかに高くなる。
【0044】
有利な実施態様によれば、脂質マトリックス18中の鉱物充填剤の含有量は、脂質マトリックス18の重量に対して、0.5重量%~35重量%、好ましくは15重量%未満、すなわち、0.5重量%~15重量%で含まれる。
【0045】
脂質マトリックス18中のこの鉱物充填剤の存在は、いくつかの重要な利点を有する。第一に、充填剤が密度を制御することを可能にし、その結果、水産養殖で使用されるときに製品が浮くことができる。また、製品のコア12での拡散速度を大幅に低下させることにより、酸素の作用に対する製品の耐性を強化し、栄養素および活性物質の小分子の漏出を制限するバリアとして機能する。最後に、スメクタイトシートにより生じた極めて大きな表面積は、ナノメートルスケールでの脂質マトリックス18の微細構造化を可能にし、これは、脂質マトリックス18の消化率の動態に対して区画化し、影響を与えることを可能にする。
【0046】
この第1製品10の第3の特徴は、脂質マトリックス18を取り囲み、したがってコア12を取り囲むゲル化タンパク質相11である。このタンパク質相11は、タンパク質を含む。このタンパク質相11は、有利には、水相A2ゲルに溶解したンパク質から調製される。
【0047】
用語「タンパク質」は、アミノ酸およびそれらのすべてのオリゴマーおよびポリマー、特にオリゴペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質を意味する。
【0048】
このタンパク質相11の存在は、活性物質に加えて、その成長に必要なアミノ酸を標的動物に提供し、飼料10の魅力的な性質を促進するという利点を有する。
【0049】
有利には、このタンパク質相11のタンパク質含有量は、タンパク質相11の乾燥抽出物の重量に対して6~95重量%である。この含有量は、好ましくは、タンパク質相11の乾燥抽出物の重量に対して45~80重量%である。
【0050】
タンパク質含有量が95%を超えると、タンパク質が多糖類の反応部位をブロックするため、タンパク質相11のゲル化が困難になる。6%未満では、飼料サプリメントとしての栄養的寄与が不十分になる。
【0051】
図1に示すように、タンパク質相11は、実質的に球形の形状を有する単一のコア12を取り囲む。しかしながら、タンパク質相11にコア12を分散させるために使用するプロセスに応じて、所与の製品10は、タンパク質相11に分散した複数のコア12を含み得る。その結果、製品10およびこのタンパク質相11の外部形状は大きく変動する(図12を参照)。
【0052】
タンパク質相11は、好ましくは、アルギン酸塩、ペクチン、キサンタン、ジェランガムなどの負に帯電したゲル化可能な多糖類を含む。これらの多糖類は、有利には水相A2に存在し、特に多糖類とゲル化剤の反応によるそのゲル化を可能にする。ゲル化剤はまた、有利には多糖類の相互の架橋を可能にする。
【0053】
負に帯電した多糖類は、カルボン酸、スルホン酸、アルコキシド(alcoholate)またはリン酸官能基で単独で、または正の電荷(ヒアルロン酸など)と組み合わせて官能化され得る。カルボン酸官能基が好ましい。物理化学的条件は、過剰な負電荷を有するように調整され、ゲル化条件を促進する。
【0054】
有利には、ゲル化タンパク質相11は、遅延時間を有し放出されるゲル化剤の作用により架橋され、これは、例えば、標的多糖、すなわちタンパク質相11に存在する多糖の電荷と反対の電荷の多糖類または無機または有機オリゴマーのカルボキシル官能基と複合体を形成できる金属であり得る。
【0055】
15分から数時間の架橋遅延時間の調節は、ゲルの質量増加なしに成分の質量混合を促進することを可能にし、したがって、飼料または飼料サプリメント10を成形することを可能にする。
【0056】
ゲル化剤は、カルシウム、亜鉛、マグネシウムまたは遷移金属のカチオン、および水中で加水分解されてイオン形態の放出を可能にする酸プロトン源(ピロリン酸塩またはグルコノデルタラクトンなど)を含み得る。
【0057】
ゲル化タンパク質相11は、このタンパク質相11の製造中、すなわち製品10の最終乾燥段階の前に、ゲル化タンパク質相11の重量に対して、0.5~4.5重量%、好ましくは2重量%未満のゲル化多糖の含有量を含み得る。
【0058】
ゲル化タンパク質相11は、好ましくは、ゲル化タンパク質相11の乾燥抽出物の重量に対して、2~20重量%、好ましくは2~10重量%のゲル化可能多糖の含有量を含む。
【0059】
タンパク質相11中のアルギン酸塩が2重量%未満では、製品10の安定性に対してゲル化が不十分であることが観察される。タンパク質相11の乾燥抽出物の重量に対して、25重量%を超えると、アルギン酸塩などの多糖類は、より多くの水および関連する栄養素を捕捉することにより緩下剤として機能する。
【0060】
有利には、タンパク質相11のタンパク質は、30kDa未満のサイズのタンパク質を含む。したがって、これらのタンパク質の消化は、ペプチドのフラグメントが腸で吸収できるサイズになるために切断する結合が少ないため、より迅速に起こり得る。
【0061】
有利な実施態様によれば、タンパク質相11はまた、シリカ、フィロケイ酸塩、金属酸化物タイプなどの分散鉱物充填剤を含む。鉱物充填剤は、有利には水相A2ゲルに分散される。
【0062】
この鉱物充填剤、例えば粘土は、製品10の浮力を調節できるという利点を有する。それはまた、製品10への酸素の拡散に対抗するバリアを形成する。実際、スメクタイトシートにより生じた極めて大きな表面積は、ナノメートルスケールでのタンパク質マトリックス11の微細構造化を可能にし、これは、タンパク質マトリックス11の消化率の動態を区画化し、影響を与えることを可能にする。微細構造は、シートの側面にある正に帯電したシートと、アルギン酸塩などの多糖類またはタンパク質相11のタンパク質を含むシートの最大表面にある負に帯電したシートとの相互作用により得られる。
【0063】
鉱物充填剤は、有利にはフィロケイ酸塩であり、極めて有利にはスメクタイトである。
【0064】
タンパク質相11は、有利には浸透圧剤を含む。
【0065】
この浸透圧剤は、糖、塩、好ましくは分子量が150kg/モル未満の水溶性ポリマー、およびそれらの組合せからなる群より選択され得る。
【0066】
好ましい選択は、最終製品10を消化不能にしないために、水溶液の重量、すなわち水相A2ゲル(その完全な製剤中)の重量に対して含有量が5重量%未満であるソルビトールであり得る。0.8重量%~1.5重量%の含有量が最適である。ゲランド塩の有利な使用も可能であり、それは有用なミネラル塩をもたらし得る。
【0067】
別の有利な特徴によれば、タンパク質相11とコア12の全体は、最大寸法が500μm~5mmである任意の形状である。
【0068】
本発明による製品10のサイズは、意図された標的が食べる能力に適合するために、意図された標的に容易に適合させることができる。
【0069】
本発明の別の対象は、最終製品10全体の重量に対して20~70重量%であり得る総タンパク質含有量を有する飼料である。この含有量は、製品10の任意の乾燥最後工程の後に得られる。タンパク質は、実質的にタンパク質相11により提供される。特に、飼料のタンパク質の80~100重量%、有利には90~100重量%がタンパク質相11により提供される。
【0070】
本発明の別の対象は、最終製品10全体の乾燥抽出物の重量に対して有利には40~80重量%であり得る総タンパク質含有量を有する飼料である。タンパク質は、実質的にタンパク質相11により提供される。特に、飼料のタンパク質の80~100重量%、有利には90~100重量%がタンパク質相により提供される。
【0071】
本発明の別の対象は、最終製品10全体の重量に対して10~20重量%であり得る総タンパク質含有量を有する飼料サプリメントである。この含有量は、製品10の任意の乾燥最後工程の後に得られる。タンパク質は、実質的にタンパク質相11により提供される。特に、飼料サプリメントのタンパク質の80~100重量%、有利には90~100重量%がタンパク質相11により提供される。
【0072】
本発明の別の対象は、最終製品10全体の乾燥抽出物の重量に対して有利には3~40重量%であり得る総タンパク質含有量を有する飼料サプリメントである。タンパク質は、実質的にタンパク質相11により提供される。特に、飼料サプリメントのタンパク質の80~100重量%、有利には90~100重量%がタンパク質相11により提供される。
【0073】
タンパク質相11のタンパク質は、動物の胃で少なくとも部分的に予備消化されるが、コーティング14と結合したこのタンパク質相11のゲル化は、これらの予備消化されたタンパク質の胃への放出に対する物理的バリアを構成する。魚では、胃での代謝が消化と運動エネルギーを生み出し、それらの吸収がこれらの動物の成長のために最も効率的である動物の腸で代謝されるのではなく、この異化作用から生じるアンモニアタイプの排出を引き起こすため、予備消化されたタンパク質の胃への放出を制限することは有用である。
【0074】
この第1製品10の第4特徴は、コア12およびタンパク質相11の周囲にコーティング14を含めることである。
【0075】
このコーティング14は、層の積み重ねにより構造化されたコアセルベートを形成する正と負の静電荷の交互積み重ねを有する、生体適合性材料M+およびM-、特に生体高分子のn個の層Cを含み得て、nは少なくとも1に等しい。
【0076】
このコーティング14は、層の積み重ねにより架橋および構造化されたコアセルベートを形成する正と負の静電荷の交互積み重ねを有する、生体適合性材料M+およびM-、特に生体高分子のn個の層Cを含み得て、nは少なくとも2に等しい。
【0077】
正の静電荷M+を有する生体適合性材料を含む1個以上の層C+は、多価アニオンより選択される架橋剤R-を含む。
【0078】
負の静電荷M-を有する生体適合性材料を含む1個以上の層C-は、多価カチオンより選択される架橋剤R+を含む。
【0079】
したがって、各層Cは、静電荷を有する生体適合性材料M、すなわち、適切な物理化学的条件下で機能的イオン化可能およびイオン化基を有する生体適合性材料を含む。これらの電荷は正の静電荷であってもよく、M+で示される生体適合性材料は、例えばアミン官能基などのカチオン性官能基を含む。これらの電荷は負の静電荷であってもよく、M-で示される生体適合性材料は、例えば、カルボン酸、スルホン酸、アルコキシドまたはリン酸塩官能基などのアニオン性官能基を含む。
【0080】
各層Cは、生体適合性材料Mに加えて架橋剤Rを含む。この架橋剤はまた、材料Mのものと反対の電荷の静電荷を含む。しかしながら、層Cの総静電荷は、材料Mのものに対応する。実際、層Cにおいて、比(nMで示される生体適合性材料の静電荷の数/nRで示される架橋剤の静電荷の数)(すなわち、nM/nR)は、厳密に1より大きい、有利には2より大きい、より有利には5以上である。
【0081】
したがって、層C+と示される材料M+を含む層はまた、R-と示される負電荷を含む架橋剤を含む。層Cは全体として正に帯電している。実際、層Cにおいて、比(nM+で示される生体適合性材料の正の静電荷の数/架橋剤nR-の負の静電荷の数)(すなわち、nM+/nR-)は、厳密に1より大きい、有利には2より大きい、より有利には5以上である。
【0082】
したがって、層C-と示される材料M-を含む層はまた、R+と示される正電荷を含む架橋剤を含む。層C-は全体として負に帯電している。実際、層C-において、比(nM-で示される生体適合性材料の負の静電荷の数/架橋剤nR+の正の静電荷の数)(すなわち、nM-/nR+)は、厳密に1より大きい、有利には2より大きい、より有利には5以上である。
【0083】
各タイプの層Cにおいて、比nM/nR(nM+/nR-またはnM-/nR+のいずれか)の調節は、コーティング14の硬さを調節することを可能にする。例として、架橋剤を、5/1の比nM/nRを有することを可能にする含有量レベルで加えるとき、極めて硬いコーティングが得られ、架橋剤を、100/1の比nM/nRを有することを可能にする含有量で加えるとき、極めて柔軟なメッシュが得られる。
【0084】
比nM/nRは、有利には2/1から300/1まで、より有利には5/1から150/1まで変化する。
【0085】
このコーティングシステム14は、コーティング14の層の厚さの調節を容易にする利点を有し、生体適合性材料、特に生体高分子、M+およびM-の幅広い選択は、生体適合性材料、特に表面の生体高分子のメッシュを調節することを可能にし、このメッシュの架橋強度の強弱によって硬化もさせる。コーティング14の硬さの調節は、栄養的および/または生理学的活性物質の放出を調節することを可能にする:硬化が密であるほど、生体高分子のメッシュ化がより減少し、放出がより遅くなる。多層Cのこのタイプの架橋および構造化コーティング14はまた、飼料10の消費および栄養的および/または生理活性物質の放出まで、必要な飼料10の保存、特にその取り扱いに必要な構造的安定性を得ることを可能にする。
【0086】
架橋剤R+は、多価カチオンより選択される。有利には、多価カチオンは、アルカリ土類金属、遷移金属および貧金属からなる群より選択される。
【0087】
極めて有利には、多価カチオンは、カルシウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、およびそれらの組合せのカチオンからなる群より選択される。
【0088】
多価カチオンは塩により提供され、それ故にアニオンも含み得ることに留意されたい。重要なことは、用いる化合物が、生体適合性材料M-の負電荷と反応でき、したがって層C-の架橋に寄与できるカチオンの放出を可能にすることである。
【0089】
架橋剤R-は、多価アニオンより選択される。用語「多価アニオン」は、複数の負に帯電した官能基を含む化合物を意味する。官能基は一価または多価であり得る。好ましい実施態様によれば、多価アニオンはポリリン酸塩である。架橋剤R-は、好ましくは、トリメタリン酸ナトリウム(STMP)、ヘキサメタリン酸ナトリウムおよびそれらの混合物、好ましくはトリメタリン酸ナトリウム(STMP)より選択される。
【0090】
有利には、各層Cにおいて、生体適合性材料M+は、生体高分子であり、特に正に帯電した多糖類より選択され、有利にはポリペプチド、キトサン、キチンの誘導体、官能化グアーガムなどのアミン官能化微細構造化(texturing)化剤として使用されるガム、およびそれらの混合物より選択される。より有利には、生体適合性材料M+は、キトサンより選択される。
【0091】
有利には、各層C+において、生体高分子M+は、キトサンであり、架橋剤R-は、有利にはトリメタリン酸ナトリウム(STMP)である。
【0092】
有利には、各層C-において、生体適合性材料M-は、生体高分子であり、特に負に帯電した多糖類より選択され、有利にはポリペプチド、ペクチン、アラビアゴム、キサンタンガム、アルギン酸塩、カラギーナン、セルロース誘導体、およびそれらの混合物より選択される。より有利には、生体適合性材料M-は、アルギン酸塩、ペクチン、およびそれらの混合物より選択される。
【0093】
有利には、各層C-において、生体高分子M-は、アルギン酸塩またはペクチンより選択され、架橋剤R+は、有利にはカルシウムカチオンより選択される。
【0094】
有利には、各層C+において、架橋剤R-は、比nM+/nR-が5/1~150/1で得られることを可能にする特定の含有量で導入される。特に、各層C+において、架橋剤R-は、高架橋率のために1gのM+に対して0.5g~2gの含有量で、および低架橋率のために1gのM+に対して15~70mgの含有量で導入される。
【0095】
有利には、各層C-において、架橋剤R+は、比nM-/nR+が5/1~150/1で得られることを可能にする特定の含有量で導入される。特に、各層C-において、架橋剤R+は、高架橋率のために1gのM-に対して0.5g~2gの含有量で、および1gのM-に対して15~70mgの含有量で導入される。
【0096】
したがって、有利には、層Cは、層C-のための金属錯化または層C+のための化学的架橋による、材料Mと架橋剤R間の結合を含む。
nは整数である。nは、有利には15以下、より有利には2~15、好ましくは2~10である。
【0097】
この層C数が可変であることは、簡単な実行を可能にしながら、封入の品質と腸での徐放性との間の適切な妥協点を得るのに適する。
【0098】
このコーティング14の外層は、抗菌特性を有し、それ故に飼料または飼料サプリメントの保存を改善するため、好ましくは、正に帯電したポリマー、すなわち層C+からなる。
【0099】
コーティング14に2つの架橋化学物質、金属錯化および化学架橋化学物質を使用することにより、消化サイクルの進行に従って栄養素を放出するためのトリガーを有することが可能になる。したがって、タンパク質の消化は、多価金属イオン(電子供与体と複合体を形成している)の酸性媒体中での放出により促進され、これは、消化物の放出を遅くしながら、胃に存在する酸によりコーティング14の透過性を高め、消化物の放出を遅くするが、これは、ポリカチオンの層は、トリメタリン酸ナトリウム(STMP)の作用により得られるホスホルアミドブリッジにより架橋されたままであるためである。その後、これらの最後の架橋点は、通常、肝臓から分泌され、胆汁により腸に排出されるアルカリホスファターゼ酵素の作用により放出される。したがって、飼料または飼料サプリメントは、腸にその予備消化された栄養素をより遅い速度で放出し、吸収効率および標的動物の畜産的実施のための最も好ましい代謝経路を促進する。
【0100】
有利には、コア12および/またはタンパク質相11はまた、荷電ポリマー、または表面電荷またはカチオン性、アニオン性または双性イオン性界面活性剤を有するタンパク質を含む。
【0101】
これらの電荷を生成するために、荷電生体高分子をコア12および/またはタンパク質相11に特異的に添加することも可能である。これらは、上記のアニオン性またはカチオン性ポリマーより選択されるが、ヒアルロン酸のように電荷を組み合わせ得る。
【0102】
これは、媒体のpH条件を調節するか、またはタンパク質相11の錯化システムの化学量論的バランスを調節することにより、残留電荷または遊離電荷を調節することを可能にする。
【0103】
物理化学的システムは、9未満のpH条件で正に帯電するタンパク質相11のタンパク質に由来する過剰の遊離アミンが得られるように調節する。この過剰な正電荷は、コーティング14のアニオン性生体高分子C-の第1層を堆積させるために必要な条件である。
【0104】
この場合、タンパク質層11の物理化学的システムが、それを構成する成分のバランスのために、代わりにかなり過剰な負電荷を有する場合、コーティング14は、カチオン性生体高分子C+の第1層で始まる。
【0105】
タンパク質相11および/またはコア12のコーティング14はまた、強化材料MRの層を含み得る。
【0106】
これらの強化材料MRは、粘土、シリカ、帯電繊維、およびそれらの組合せからなる群より選択され得る。
【0107】
これらの強化材料MRは、それらの表面で負の静電荷が優位であり、それ故に、コーティング14、層C+の正の表面電荷により引き寄せられる。強化層はまた、カチオン性生体高分子C+の2つの層間に配置し得る。
【0108】
強化材料MRは、好ましくはフィロケイ酸塩であり、極めて好ましくはスメクタイトである。
【0109】
高い比表面積、すなわち100m2/gを超える比表面積を有する強化材料の使用は、大きな相互作用を発達させながら、コーティング14におけるそれらの挿入を強化するコアセルベートの高分子との相互作用を促進し得て、一方で、入ってくる分子(酸素、酸化剤分子)または出て行く分子(栄養素)との大きな相互作用面を生じ、一方で、栄養素の酸化速度の低下と小分子の封入の改善により明らかになる平均自由通路を増加させる。
【0110】
したがって、このコーティング14は、生体高分子C+およびC-、有利には多糖類の正および負に交互に帯電した層からなる。動物の胃では、pHは、酸性であり、それは、この酸性pHに対して最も耐性があり、コーティング14の完全性を確実にする、正に帯電した生体高分子、層C+のメッシュである。
【0111】
コーティングの層C-は、有利にはCa++などの陽イオンにより架橋される。これらの架橋は、酸性媒体に溶解しており、それ故に、中性から塩基性の媒体(腸)に到達すると、コーティング14の層の集合物の真の放出がある。コーティング14に破れがあるとすぐに、胆汁の酵素がコア12に浸透し、脂質とその栄養素および活性物質の放出を引き起こし、極めて急速に水相の粒子16とその栄養素および活性物質を放出させる。したがって、このコーティング14は、それらの通過中のそれらの吸収が最も効果的である、単胃動物の腸領域におけるすべての栄養素および活性物質の迅速な放出を確実にする。
【0112】
この製品10は、病原菌および繁殖環境のストレスに対処しなければならない急速に成長する動物に栄養バランスを提供するように設計されている。したがって、この製品10は、飼料または飼料サプリメントの形態で、死亡率の高い単胃種の若年期、例えば養鶏ではヒヨコに、または水産養殖では稚魚に推奨される。配合の柔軟性および特性の調節もまた、販売前の動物の仕上げに加える有用な製品にする。
【0113】
図2は、本発明の対象による鉱物充填剤を含む脂質相18を含む第2製品20を示す。
【0114】
この第2製品20は、第1製品10と同様であるが、単純化された構造を有する:それは、コア12とコーティング14との間にタンパク質相を含まない。製品10と同様に、脂質マトリックス18に分散した水性粒子16とコーティング14とからなる水相を含むコア12を含む。
【0115】
この第2製品は、特定の栄養素または活性物質を提供するのに特に有用である。
【0116】
図3は、図1の第1製品10と同様の第3製品30を示す。第3製品30はまた、本発明の対象の1つによる鉱物充填剤を含む脂質相18を含む。
【0117】
この第3製品30はまた、第1製品10と比較して、この脂質マトリックス18とタンパク質相11との間に堆積した脂質マトリックス18の被覆またはコーティング34を含む。
【0118】
製品10のコーティング14と同様に、この被覆34は、層の積み重ねにより構造化されたコアセルベートを形成する正と負の電荷の交互積み重ねを有する、生体適合性材料Mのn個の層C'を含み、nは少なくとも1に等しい。好ましくは、層の数nは2~10である。nは整数である。層C'は、上記の層Cと同じ定義に対応する。生体適合性材料Mは、コーティング14について前述した通りである。
【0119】
より具体的には、この被覆34は、層の積み重ねにより構造化および架橋されたコアセルベートを形成する正と負の電荷の交互積み重ねを有する、生体適合性材料のn個の層C'を含み、nは少なくとも2に等しい。したがって、この被覆34は、被覆14について前述した層C+と同じ定義に対応する少なくとも1層C'+と、被覆14について前述した層C-と同じ定義に対応する少なくとも1つの層C'-とを含む。好ましくは、層の数nは2~10である。nは整数である。生体適合性材料Mは、コーティング14について前述した通りであり、すなわちM+およびM-について前述した通りである。
【0120】
この被覆34の追加は、必要に応じて、コア12の内相の活性成分の放出を遅くすることを可能にする。この被覆34の外層は、抗菌特性を有し、それ故に飼料または飼料サプリメントの保存を改善するため、好ましくは、正に帯電したポリマー、層C+からなる。
【0121】
この第3構造は、消化管でのコアのさらに遅延した放出の要件、例えば消化管の終末段階まで完全なままでなければならないプレバイオティクスまたはプロバイオティクスの放出に対応し得る。
【0122】
図5は、第1製品10を製造するための方法の様々な工程を示す。
【0123】
第1製品10の1つまたは複数のコア12は、二重の水中油中水型エマルションのから製造され、続いてろ過またはデカントされる。その後、このコア12は、標的サイズおよび形状に成形されるタンパク質相11により完成され、その後係合Aのコーティング14が生成される。製品を製造するための最後の任意の工程は、製品10の水分含有量を製品10の総重量に対して10重量%未満の値にするための乾燥である。この乾燥は、低温、好ましくは50℃未満、例えば18℃~40℃にて行われる。
【0124】
工程(a)は、必要な水溶性活性物質を水に分散させ、ゲル化試薬を添加することにより水相を製造することからなる。これらの試薬は、水相Aゲルについて上記した通りであり、ピロリン酸塩またはグルコノデルタラクトンの存在下で、多糖、カルシウム塩、特に硫酸カルシウムまたは炭酸カルシウムであり得る。
【0125】
工程(a')は、ゲル化試薬、所望により浸透圧剤、および所望によりフィロケイ酸塩などの鉱物充填剤を含むタンパク質を水に分散させることにより、ゲル化タンパク質相ゲル11を製造することからなる。
【0126】
工程(b)において、工程(a)から生じる水相は、油中の水性粒子の第1エマルションを得るために、植物油または動物油に注入される。
【0127】
その後、工程(c)において、この第1エマルションを静置するか、100℃未満、理想的には60℃未満、例えば40℃~60℃に適度に加熱して、水性粒子のゲル化反応を完了させ、油に分散した堅牢なゲル化水性粒子を得る(工程(c))。
【0128】
その後、工程(c)に由来する第1エマルションを、少なくとも1つの動物油または植物油と、予め製造した少なくとも1つの液体ワックスとの混合物に添加する。油とワックスの混合物は、有利には、混合物の総重量に対して1~50重量%、より有利には5~15重量%のワックスを含む。用いる結晶性ワックスが液体であるために、混合物の温度は、ワックスの溶融温度より高い(工程(d))。
【0129】
工程(e)において、工程(c)に由来する、第1エマルションの全体および少なくとも1つの油と少なくとも1つの液体ワックスの混合物の全体を、撹拌下水溶液に導入して、第2エマルションを得る:この第2エマルションは、それ自体が水溶液に分散した粒子の形態である脂質マトリックスに分散した第1エマルションのゲル化水性粒子を含む。
【0130】
工程(f)において、工程(e)に由来するこの第2エマルションを、脂質粒子を安定化するために存在する結晶性ワックスの固化温度より低い温度に冷却する。
【0131】
工程(g)において、ろ過またはデカントにより製品のコアまたは脂質粒子を単離し、水相を除去することが残っている。
【0132】
工程(g)の後、工程(g)に由来する脂質粒子を、工程(a')で製造したゲル化中にタンパク質相11に分散させる。均質化を、最小限のせん断力で行い、せん断力は、例えば手動で撹拌することにより得られる(工程(h))。その後、分散液を、例えば、ダイを通して製品を成形するために冷間押出機に導入する。ダイの出口で、押出物を、回転ブレードで目標寸法まで連続的に切断し、コーティングの準備ができているタンパク質相11でコーティングされたコア12からなる集合物を得る。
【0133】
このタンパク質相11の添加はまた、流動床で、または球形化(spheronisation)により行い得る。
【0134】
選択された方法、押出成形、流動床、球形化は、例えば、18℃~50℃の範囲の50℃未満の低温で実施される(工程(h))。
【0135】
注:工程(h)のすべての操作を実行できるようにするために、タンパク質相11のゲル化速度を調整する。ゲル化は、層の固化を可能にする休止時間の後の工程(h)の終わりにのみ達成される。
【0136】
エマルションの製造による製造方法のために、水相16および脂質粒子18は、比較的球形の形状を有することに留意されたい。対照的に、ダイから出る押出物を切断することにより得られる製品20の脂質相18を取り囲むタンパク質相11からなる集合物は、任意の形状をとり得る。
【0137】
最後に、工程(i)において、コーティング14を、カチオン性M+およびアニオン性M-生体適合性材料の溶液が交互に提供される水浴に浸漬することにより、工程(h)に由来する脂質相18を取り囲むタンパク質相11からなる集合物から形成する。
【0138】
工程(i)のコーティング後、製品を、有利には、50℃未満、好ましくは18~40℃の低温にて空気流により乾燥して、製品の総重量に対して水分含有量を10重量%未満の値にする。これは、製品の保存期間を延ばすことができる。この最後の工程(j)は、任意である。
【0139】
図4は、正M+におよび負M-に帯電した生体高分子、有利には多糖類の連続的な添加による、工程(g)に由来する脂質相18を取り囲むタンパク質相11で構成される集合物のコーティング14のこの形成を示す。
【0140】
注:図4のタンパク質相11の表現は、明確にするために他の図の表現に対して修正している。
【0141】
注:集合物はここでは粒子の形状で概略的に示されているが、どのような形状でも構わない。
【0142】
図4の左側には、タンパク質相11に取り囲まれた第1製品10のコア12からなる集合物がある。このタンパク質層11は、正または負の自由表面電荷を含む。
【0143】
この集合物を、負に帯電した生体高分子52(M-)、例えば多糖類の水溶液を添加することによりコーティングする。
【0144】
静電相互作用により、負に帯電した生体高分子M-は、集合物の表面を覆って、コアセルベートの負の層C-を形成する。
【0145】
その後、正に帯電した生体高分子54M+の水溶液を、表面が府に帯電した粒子を含む分散液に添加する。これにより、予め配置した層C-が自発的に覆われる。
【0146】
この操作を、所望の数nの層Cを含むコーティング14が得られるまで、正に帯電したM+および負に帯電したM-生体高分子の水溶液を交互に繰り返す。通常、nは2~10である。
【0147】
有利には、工程(e)において、第2エマルション(脂質とワックスのエマルション)が生成される連続水溶液は、少なくとも1つの浸透圧剤および少なくとも1つの界面活性剤を含む。
【0148】
浸透圧剤は、糖、塩、好ましくは分子量が150kg/モル未満の水溶性ポリマー、およびそれらの組合せからなる群より選択され得る。
【0149】
好ましい選択は、最終製品が難消化性とならないように、連続水溶液の重量に対して5重量%未満の含有量を有するソルビトールであり得る。0.8重量%~1.5重量%のソルビトールの含有量が最適である。ゲランド塩の有利な使用もまた可能であり、それはまた有用なミネラル塩をもたらし得る。
【0150】
浸透圧剤の存在は、有利には前述のものの中で、外側連続相のものと同じタイプまたは異なる浸透圧剤も含む第1エマルションの水相に存在する活性物質の通過を防ぐ浸透圧バリアを設置する利点を有し;この内部水相はそれ自体が脂質相に分散している。浸透圧剤は、浸透圧のバランスを確保する。これにより、脂質壁を通しての栄養素のポンプ効果が回避される。
【0151】
タンパク質相11はまた、有利には前述のものの中で、外側連続相のものと同じタイプまたは異なる浸透圧剤を含む。これにより、浸透圧バリアの有効性が強化される。
【0152】
極めて有利には、界面活性剤は、リン脂質、ポリマー、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒアルロン酸、ポリリジン、タンパク質、例えばカゼイン、または植物もしくは動物タンパク質の加水分解物、界面活性剤、およびそれらの組合せからなる群より選択される。
【0153】
図5はまた、粘土などの鉱物相の分散液が、少なくとも1つの油と少なくとも1つの液体ワックス、動物油または植物油、および工程(d)で用いた液体ワックスの混合物の少なくとも一部で生成される、追加の任意の工程(a'')を示す。先に示したように、これらの粘土は、好ましくはフィロケイ酸塩、極めて好ましくはスメクタイトである。
【0154】
この脂質媒体中の粘土のシートの剥離を容易にするために、分散を、好ましくはカチオン性機能を有する極性ヘッドを有する、界面活性剤の存在下で実施する。
【0155】
有利には、レシチン、ベタイン、ポリリジン、およびそれらの組合せを用い得る。
【0156】
図5はまた、油中の水性粒子の第1エマルションを得た後(工程(b))、ローター/ステーターなどの高せん断に供して、均質化し、完全にゲル化する前に、これらの水性粒子のサイズを小さくする、別の追加の任意の工程(c')を示す。このせん断は、好ましくは2000~20,000min-1である。
【0157】
第2製品20の製造は、製品10のものと同様である;工程(g)で脂質粒子を得た直後にコーティングを生成する。
【0158】
図6は、第3製品を製造するための追加の工程を示す。
【0159】
ろ過またはデカントにより脂質粒子18を得ることを可能にする工程(g)の後、これらの脂質粒子18のコーティング34を、有利には正に帯電したM+および負に帯電したM-多糖類である生体高分子溶液の連続添加により形成する(工程(g'))。最後の添加は、好ましくは、正に帯電したM+生体高分子のものである。このコーティング34を形成するための工程は、工程(i)について前述した通りである。
【0160】
その後、工程(g')に続いてこのようにして得られたコーティングされた脂質粒子18を、タンパク質相11に分散させ、集合物を、冷押出しにより成形する。タンパク質相11への粒子の添加はまた、流動床への堆積または球形化により行い得る。脂質粒子18が分散しているタンパク質相11のシリンダーまたは他の形状(用いるダイによる)が得られる。その後、第3製品のタンパク質相11に分散したコーティング34でコーティングされたコア32の集合物を得るために、例えば回転ブレードでこれらの押出物を切断する必要がある(工程(h))。
【0161】
これらの第3製品30を得るために、コーティング14を生成することが残っている。このコーティング14は、前述の通り生成される。
【0162】
その後、乾燥する最後の任意の工程を、低温、好ましくは50℃未満、例えば18~40℃にて空気流下で、製品の総重量に対して水分含有量が10重量%未満に達するまで、前述の通り実施し得る。
【0163】
剥離鉱物充填剤(粘土)の特性評価
X線小角散乱(SAXS)
X線小角散乱(SAXS)は、約1~100nmのスケールで材料の構造に関する情報を取得するための技術である。マイクロメートルオーダーのスケールもまた、USAXSにより調べることができる。さらに、この技術は、濃縮媒体の研究を可能にする。この技術は、X線ビームを試料上に送り、試料により生成される散乱の空間分布を測定することから構成される。そして、測定された強度は、材料の構造組織、より正確には位相差の関数である。電子密度の差に比例する。
【0164】
X線のビームを、分析すべき試料を照射する。ビームの光子は、試料の原子の電子雲と相互作用し、試料により散乱される。試料の後ろに配置された検出器は、散乱角の関数として散乱強度を測定できる(図15を参照)。
【0165】
散乱角θの方向は、散乱ベクトル(q)とも称される。観測されるスケールの寸法は、散乱ベクトルに反比例する。観察されたスケールは、散乱ベクトルが小さいほど大きくなる。
【0166】
散乱強度は、対象の形状(形状係数P(q))と対象の相関(構造係数S(q))の関数として次のように記述される:
I(q)= α.φ.(Δρ)2.P(q).S(q)
式中、α:定数(-);φ:試料の体積分率;Δρ:対象と溶媒間の位相差。
【0167】
装置:
分析に使用した装置は、CEA(Saclay、France)のLaboratoire Leon Brillouinで稼働されているXeuss 2.0である。波長1.54オングストロームおよび出力8keVの、マイクロフォーカスCuKアルファ源を用いる。2D検出器は、Dectris(Switzerland)のPilatus 3 1Mである。
【0168】
2つの構成は、検出器を2.494m(0.3×0.3mm2のビーム)、次に0.539m(0.8×0.8mm2のビーム)に配置することにより、0.003オングストローム-1<q<1オングストローム-1の広い範囲の散乱ベクトルをカバーすることを可能にする。シグナルを正規化して、cm-1単位で強度を取得し、実施する分析において定量的になる。
【0169】
試料調製:
脂質媒体(SAXS実験にはひまわり油を使用)中のベントナイトの効率的な剥離は、これらの粘土の分散プロセスの3つの重要な工程を促進するプロトコルに従う必要がある。
-(1)フィロケイ酸塩シートの予備膨潤
-(2)分散脂質相と適合させるための、フィロケイ酸塩粒子の表面での疎水性分子の吸着。
-(3)連続脂質相中でフィロケイ酸塩粒子を分離するためのせん断エネルギーの適用。
【0170】
工程(1)は、シートを含浸させるのに十分な量の水を加えることにより得られる。
従うプロトコルでは、使用するベントナイトの量に対して少なくとも10%の水を使用することを推奨しており、この量は、剥離の品質を向上させるために増加させることができ、SAXSによる特性評価のために調製した試料は、1gのベントナイトに対し0.5gの水で予備膨潤される。
【0171】
工程(2)は、イオン相互作用により表面に吸着される、剥離剤としてレシチンを使用することにより得られる。SAXSの特性評価では、1gのベントナイトに対して0.3gのレシチンを使用した。その組み込みを容易にするために、それを工程1で水に予備溶解させた。
【0172】
工程(3)は、様々な効果的なせん断または分散手段により得ることができる。
SAXS試料を、予備含浸させたベントナイト(工程(1)および(2))をひまわり油に分散させることにより得られた。最小製造量は200mlで、せん断を、バッチモードで、周囲温度で、150μmのエアギャップで30mmスターラーを使用して、4000rpmにて5分間適用した。
【0173】
実験の目的で、ベントナイトの20重量%および8重量%の溶液をひまわり油で製造した。
【0174】
結果と解釈:
20重量%および8重量%のベントナイト溶液をSAXSで測定し、図16のスペクトルを得た。
【0175】
測定されたスペクトルは、複数のスケールでベントナイトの組織化を示す。シグナルは分散したベントナイトの量に比例し、同じ外観を有する。ショルダーが高いqで観察され、これは、第1ショルダーで63オングストローム(2×π/q)、第2ショルダーで28オングストロームの特徴的な距離に対応する材料の特徴的な距離(構造のピーク)として解釈できる。これは、膨潤したまたは膨潤していないベントナイトクラスターのシート間距離の特徴であり得る。ショルダーは、試料の調製で提供された水の量がすべてのベントナイトを膨潤させることができず、試料中で完全に剥離されていない膨潤したベントナイト粒子が残っていると解釈できる。
【0176】
小さな散乱ベクトルによる上昇(q→0)は、フラクタル構造の特徴的なシグナルであり、q-4の傾きに向かう傾向があり、これにより、巨視的対象の最初のサイズを想定することを可能にし、その寸法は、約50nmであると推定できる(I(q)α exp(-q2Rg2/3)のギニエシグナルの開始)。
【0177】
0.008<q<0.08では、q-3の傾きは、ベントナイトのフラクタル構造化を確認するものであり、コンパクトなクラスター(通常q-4のシグナルを与える)および細長い構造またはクラスター間の接続経路(浸透経路)の形態の両方が組織化され、q-2のシグナルが得られる。これら2つのシグナルの組合せは、q-3のフラクタル次元を正当化し、これは、フラクタル集合体と呼ばれる。
【0178】
さらに、Porodで表現するベントナイト分散のSAXSデータIq4 = f(q)は、大きな散乱ベクトルシグナル(大きなq)シグナルの読み取りを促進することから、比表面積を決定することにより、より定性的なアプローチも可能にする(図17を参照)。
【0179】
この表現は、2相媒体を試験し、その界面特性を評価するために一般的に使用される。フラクタル集合体のモデルケースでは、Porodプラトーが集合体の散乱表面積を特徴付ける。この場合、この表現では、ベントナイト集合体が脂質相に組織化されているため、それらの正味の散乱表面積を評価できる。シグナルは8重量%ベントナイトと完全に平行であるため、20重量%ベントナイトシグナルに焦点を当てる(図17を参照)。
【0180】
これは、Porod表現スペクトルの2つの特徴的領域(regime)を示しており、散乱ベクトルが増加する順に強度の変化が増加し、その後、0.3オングストローム-1付近で形成されるプラトーが続く。Iq4が一定である散乱ベクトルは、先のスペクトルで説明した28オングストロームでの構造ピークの存在により引き起こされる振動によってここで乱される。したがって、qが0.3オングストローム-1に向かう傾向があるとき、4.41×10-3cm-1でのPorodシグナルを投影できる。
【0181】
q=0.25オングストローム-1からのPorodプラトーの出現は、分散したベントナイトクラスターのスケールで、剥離の質に敏感なベントナイト粒子のスケールで試験した比表面積を計算することを可能にする。
【0182】
したがって、次のように記述される:
q→∞の場合Lim(I(q)×q4)=(2π×(Δρ)2)×(表面/体積)
式中、表面は比表面積である。
【0183】
ベントナイトとひまわり油の位相Δρは、0.335×E-5オングストローム-2と計算された。
【0184】
20重量%ベントナイト溶液(ベントナイト密度=2.2、ヒマワリ密度=0.94)の体積分率は、9.65容量%と変換された。
【0185】
これにより、剥離したベントナイトの比表面積を液体媒体中で285m2/gと決定できる。
【0186】
生のベントナイトの比表面積が約10~70m2/gであり、常に100m2/g未満であるため、これらの結果は、ベントナイトのシートと、特に製品に移動できる酸素分子の間の相互作用の質に対して剥離の重要性を示している。特に、前述の結果は、脂質マトリックスでの剥離方法が良好な剥離につながること、および浸透するまで、粘土粒子の相互接続された三次元組織が観察されることを示している。
【0187】
この剥離プロセスは、他の粘土、特にすべてのフィロケイ酸塩に適用できる。
【0188】
飼料サプリメントの製造
以下に、第1製品の飼料サプリメントの製造例を記載する。
【0189】
内側のゲル化水相の製造
この製造には、次の手順が含まれる。
【0190】
ビーカーを水で満たす。その後、封入する親水性のサプリメント栄養素を加える。これらのサプリメント栄養素は、ビーカーに入れた水の重量に対して約30重量%に相当する。その後、溶液を高せん断ローターステータータイプのミキサーであるSilverson L5M-Aで、1000rpm(1分あたりの回転数)にて1分間混合する。その後、3.5重量%のアルギン酸ナトリウムを上記溶液に加える。混合を、高せん断ミキサーで2000rpmにて5分間行う。上記のアルギン酸塩を完全に分散させた後、0.5重量%のピロリン酸塩および1.75重量%の硫酸カルシウムを同時に加える。混合物をローター-ステーターミキサーで2000rpmにて急速に均質化し、その後、この水相全体を分散媒体として機能する大量のタラ肝油に注ぐ。水相の体積に対する油の体積の比は3.4未満である。水相のゲル化前に、油中の水滴のサイズを小さくするために、集合物を高せん断ミキサーで2000rpmにて強く混合する。水相粒子が固化するように15分間放置する。
【0191】
得られたゲル化水性粒子のサイズ分布を図7に示す。2000rpmでのせん断速度で得られた水相粒子の平均サイズは、161μmである。平均サイズは、溶液のせん断速度を上げるか、またはアルギン酸塩溶液の粘度を変えることにより減少させることができる。溶液中のアルギン酸塩の濃度を3.5重量%から2重量%に低下させることにより、10分の1以上の粘度の低下が得られた。その場合、せん断はより効率的になり、粒子の平均サイズは減少する。
【0192】
結晶性脂質相の製造
第1ビーカーの融解ワックスの製造
蜜蝋またはステアリン酸ナトリウムの所定の質量、および蜜蝋またはステアリン酸ナトリウムの質量の15%を超えるひまわり油の質量を第1ビーカーに加える。2つの成分の合計は、製造した脂質相の総質量の25.5重量%に相当する。その後、第1ビーカーを、ワックスが完全に融解するまで75℃に予熱した水浴に入れる(60~63℃のワックスの融解温度)。
【0193】
第2ビーカーの油中の剥離粘土の製造
第2ビーカーに、100重量単位の菜種油、30重量単位の亜麻仁油、1.24重量単位のクエン酸ベタイン、1.24重量単位の大豆レシチン、モンモリロナイトの重量に対して10重量%の水に予め含侵させた50重量単位のモンモリロナイト(10%の水で実施したこの剥離手順は、50%の水でのSAXS特性評価に最適化されている)を加えた。集合物を、高せん断ミキサーで2000rpmにて30分間混合する。混合物は、0.2重量単位未満のビタミンA、E、D、Kなどの特定のサプリメントで完成する。剥離粘土の製造物は、製造した脂質相の総質量に対して約30重量%に相当する。油中のモンモリロナイトの剥離の質は、分散の均一性を観察することにより光学顕微鏡で評価でき、数百μmの微細な集合体が減少する。
【0194】
製造した脂質相を第3ビーカーで組み合わせる
70℃の水浴に保持した第3ビーカーにおいて、製造した油相を以下の比に従って組み合わせる:
- 44重量%の、先に製造したタラ肝油脂質マトリックス中のゲル化水性粒子の分散液;
- 31重っ量%の、第2ビーカーの混合物(菜種油と亜麻仁油、剥離したモンモリロナイトなど);および
- 25重量%の、先に製造した液体ワックスとひまわり油の混合物。
【0195】
これを高せん断ミキサーで1000rpmにて2分間均質化する。濃縮脂質粒子を形成するために分散させる準備ができている油相が得られる。
【0196】
外側水相の製造
水溶液を、以下の組成に従って、撹拌機および温度制御装置を備えたジャケット付き反応器で製造する。
- 分散させる脂質相の体積の2.5倍に相当する水の体積;
- 水溶液の質量に対して1重量%の、浸透圧剤(ソルビトールまたは塩化ナトリウム);および
- 水溶液の質量に対して0.4重量%の、カゼイン(界面活性剤であり、動物性または植物性タンパク質で置換可能)。
【0197】
これを、成分の完全な可溶化が達成されるまで均質化し、溶液を65℃まで加熱する。
【0198】
脂質粒子の製造
固体を分散させることができる撹拌機を用いて、温度を65℃に維持しながら、連続水相を450rpmにて撹拌する。その後、70℃に保持した先に製造した脂質相全体を、外側水相に急速に注ぐ。分散体を約62℃に達するまで一定に保ち、撹拌を400rpmに下げ、反応器ジャケットで60℃に達するまで冷却し、撹拌を350rpmに下げ、氷水を加えることにより冷却を加速して45℃に急速に達し、脂質粒子を、150rpmにて撹拌を維持しながら、反応器ジャケットにより周囲温度まで放冷する。分散液が25℃未満になったとき、固化した脂質粒子をふるいでろ過する。
【0199】
このようにして得られた脂質粒子を、サイズ決定装置のソフトウェア(Fraunhofer式)を使用して、ハイドロEVにより製造した液体分散体でMalvern Mastersizer 3000粒子径分析器を用いてサイズにより特性評価する。測定を3回の製造テストで実施し:3回のテストで、330μmの脂質粒子の同じ平均サイズが得られた(図8)。
【0200】
図9は、開放空気での脂質粒子のエージング中の、標準NF EN ISO 3961(2013年9月)に従って測定したヨウ素価の経時変化を示す。線L1は、粒子の製剤から得られる参照ヨウ素価を示す。線L2とL3は、95%の上限と下限を示し、線L4は、脂質粒子の測定したヨウ素価の経時変化である。この線L4は、第1の測定後のすべての測定値が信頼限界の上限と下限の間にあることを示し、これにより、特に粘土の存在により課せられる酸素分子の平均経路が増加することによる、粒子の保存安定性を確認することができる。したがって、保存中、製剤に用いた油により提供される不飽和(オメガ3~6および9に由来する二重結合)の数に大きな変動が観察される。
【0201】
図10は、走査型電子顕微鏡で得られた脂質粒子の画像を示す。
【0202】
外側のタンパク質層-脂質粒子を覆うことによるタンパク質層の製造
脂質粒子を含むタンパク質マトリックスの製造:
ニーディング型プラネタリーミキサーに導入した
- 標的種の栄養必要量に対応する、100重量部のタンパク質製剤;
- 33重量部のアルギン酸ナトリウム;
- 8.3重量部のピロリン酸塩;
- 33重量部の硫酸カルシウム;
- 1重量部のソルビトール(浸透圧剤)
- 栄養標的に応じた栄養添加物(2重量部未満の量)。
【0203】
固体を均質化した後、質量が600重量部に相当する一定量の水を加え、その後、ニーディング型プラネタリーミキサーを用いて10分間激しく均質化する。
【0204】
630重量部に相当する脂質粒子の塊を導入する。注:脂質粒子の残留水分含有量は2~50重量%の範囲で変動し得ることを考慮する必要がある。その後、均質化を継続し、均質なペーストが得られるまでせん断が制限される。その後、このペーストを一軸スクリュー冷間押出機に導入して、飼料サプリメントのサイズの標的直径を有するダイを通してペーストを成形する。押出物を、回転ブレードにより飼料サプリメントの標的サイズへ連続的に切断する。
【0205】
タンパク質粒子を、2時間静置して、固化させる。
【0206】
飼料の固化速度を、TA-instrumentのARES-G2レオメーターを用いて、40mm2の可動コーンおよびプレートで特性評価した。1Hzの周波数にて5°の回転せん断力を加え、力の経時変化を測定した。
【0207】
図11は、タンパク質相の総重量に対して2重量%のアルギン酸塩と15重量%のタンパク質で得られたタンパク質相の場合のタンパク質層のレオロジー挙動をモニターする曲線を示す。この図11は、測定した弾性率G'とG''の経時変化を示す。
【0208】
短い観察時間で、高分子電解質/タンパク質ゲルの破壊が観察され、せん断力G'が減少し、複数のレベルがマークされる。その後、3800秒を超えると力の回復があり、これは、2つのせん断プレートの間に浸透する架橋領域の出現を示す。この架橋は、8300秒で飽和すると考えられ、その後、コーン/プレートの壁からの固化した試料の分離におそらく関連する回帰がある。
【0209】
このことから、ゲル化メカニズムを破壊するリスクなしに混合を約1時間実施でき、2時間の連続休止で、飼料サプリメントの最大レベルの剛性が達成されると推定される。このようにして得られたタンパク質粒子は、冷蔵(4℃)で保存でき、または生体高分子を層ごとに堆積させることでコーティング工程に使用できる。
【0210】
図12は、ゲル化後に得られたタンパク質粒子の例を示し、サイズはミリメートルの範囲である。
【0211】
層ごとに堆積させた生体高分子による放出を調節するためのコーティングの製造
層ごとのコーティング層
手順は、1%ソルビトールを添加した300gの水に分散した100gの脂質粒子について説明する。
【0212】
スターラーを、溶液の過度のせん断を誘発することなく、良好な均質化を促進するために用いる(ダブルブレードスターラー)。
【0213】
製造は次の通りである。
- 水溶液の重量(0.05重量%の酢酸を含む)に対して0.1重量%のキトサン(M+)の第1水溶液2000ml;
- 0.1重量%のアルギン酸ナトリウム(M-)の第2水溶液2000ml;
- 2重量%の塩化カルシウム(R+)の第3水溶液200ml;および
- 0.5重量%のSTMP(R-)の第4水溶液200ml。
注意:TSTPは、導入された反応物であるSTMPの化学的架橋により得られる。
【0214】
最初に、0.1重量%のアルギン酸ナトリウム溶液を加え;撹拌を、各添加間に1~2分間行う。その後、キトサン溶液を加える。
【0215】
従う手順および各添加の割合は次の通りである(すべての%は重量%である):
- 0.1%アルギン酸ナトリウム溶液20ml;
- 0.1%キトサン溶液20ml;
- 0.1%アルギン酸ナトリウム溶液60ml;
- 0.5%STMP溶液20ml;
- 0.1%キトサン溶液10ml;
- 2%塩化カルシウム溶液10ml;
- モンモリロナイト4.25g;
- 0.1%キトサン溶液100ml;
- 0.1%アルギン酸ナトリウム溶液80ml;
- 0.1%キトサン溶液20ml;および
- 2%塩化カルシウム溶液20ml。
【0216】
370rpmにて15分間撹拌する。この手順により、7個の層でコーティングを得ることができ、その最初の層はアニオン性アルギン酸ナトリウム層であり、最後の層はカチオン性キトサンである。コーティングの中間には、スメクタイト(モンモリロナイト)シート(MR)の層がある。これらの操作は、実験室で最大7回繰り返すことができる。
【0217】
特徴評価:
脂質粒子は溶液中に分散したままである。帯電した生体高分子の添加中の非凝集は、肉眼で確認する。
【0218】
溶液の導電性の導電率モニターは、帯電した生体高分子の堆積をモニターする。
【0219】
参考として、0.1%キトサン溶液を定量的に添加した純水の溶液(曲線C1)、独立して0.1%アルギン酸ナトリウムを定量的に添加した溶液(曲線C2)、最後に2つの組合せ(曲線C3)の導電率の経時変化を測定する。得られた結果を図13に示す。
【0220】
したがって、溶液の導電率の増加を、キトサンおよびアルギン酸ナトリウムの添加中に特性評価し、アルギン酸塩の導電率がより大きくなる。2つの試薬の組み合わせにより、電荷が互いに大部分を中和し、コアセルベートの回転半径が大きくなるため(見かけ上導電率が低くなる)、アニオン性またはカチオン性ポリマー単独のものと比較して、導電率の急激な鋸歯状上昇が小さくなる。
【0221】
図14は、帯電した生体高分子の定量的添加中の脂質粒子の溶液の導電率の経時変化を示す。この図14は、アニオン性(M-)およびカチオン性(M+)生体高分子の添加が溶液の導電率の増加を誘発せず、逆に低下させることを示す。大きな脂質粒子が導電率にほとんど寄与せず、溶液中の塩(浸透圧剤)が縮合中に界面で捕捉され、溶液の導電率に寄与しなくなるため、これは、粒子の表面でのアニオン性およびカチオン性生体高分子の縮合の特徴であり、溶液の全体的な導電率の低下につながる。
【0222】
したがって、本発明の特定の対象を構成する飼料および飼料サプリメントは、様々な栄養素および活性物質を封入し、それらを標的動物の消化器系に放出できるモジュラー構造を有する製品である。
【0223】
コーティング材料による安定化により、胃の酸性媒体に抵抗すると同時に、その後の塩基性媒体での急速な崩壊を可能にし、栄養素と活性物質の集合物を最も効果的な場所で極めて急速かつ効率的に放出することを確実にする。
【0224】
コアのモジュラー構造により、20種類の水溶性活性物質を内部水相に組み込むことができ、第1製品では、この組み込みは直径約20~100μmの粒子で行われ、直径約400μm以下のマトリックスに約20種類の脂溶性活性物質を組み込むことも可能である。
【0225】
製造方法自体は、これらの栄養素および活性物質を極めて大切にしている。
【0226】
本発明の対象である製品は、それらのモジュラー構造により、極めて柔軟な使用法を有し、製造条件を変えることにより、最終的にすべての標的動物にそれらを適応するために粒子およびコアのそれぞれの寸法、ならびに活性物質および栄養素の性質および量を変えることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】