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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(54)【発明の名称】特性を高めたバルーンカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20230113BHJP
【FI】
A61M25/10 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527153
(86)(22)【出願日】2020-11-12
(85)【翻訳文提出日】2022-07-07
(86)【国際出願番号】 US2020060296
(87)【国際公開番号】W WO2021097137
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】62/934,423
(32)【優先日】2019-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517416374
【氏名又は名称】マイクロベンション インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MICROVENTION, INC.
【住所又は居所原語表記】35 Enterprise, Aliso Viejo, California 92656 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【弁理士】
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】ギョン,ローランド
(72)【発明者】
【氏名】グラチェンスキ,ジョセフ エー.
(72)【発明者】
【氏名】グエン,ビン
(72)【発明者】
【氏名】コルベセ,ラッセル
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA06
4C267BB05
4C267BB08
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB28
4C267BB31
4C267CC09
4C267DD01
4C267HH08
(57)【要約】
バルーンの固着を抑制することによって、より均一な膨張形状を確保する特徴部を有したバルーンカテーテルが記載される。いくつかの実施形態では、付加的なカテーテルまたはデバイスのための導管または通路を備えたバルーンガイドカテーテルが記載される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張ルーメンを有する外側アセンブリと、
前記外側アセンブリの長さ方向に延在し、前記外側アセンブリを越えて遠位側に延びる内側アセンブリと、
近位側が前記外側アセンブリに接続されると共に、遠位側が前記内側アセンブリに接続され、前記外側アセンブリの前記膨張ルーメンに連通するバルーンと、
前記内側アセンブリの遠位部分を覆うように配置された層であって、前記内側アセンブリが、当該層によって覆われていない露出部分を有するように、前記内側アセンブリの前記遠位部分の周囲に部分的に配置された層とを備え、
前記内側アセンブリの前記露出部分は、1つまたは複数の表面突起を備える、
バルーンカテーテル。
【請求項2】
前記1つまたは複数の表面突起は、前記内側アセンブリの前記露出部分に沿って長手方向に延在する、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項3】
前記1つまたは複数の表面突起は、前記内側アセンブリの前記露出部分を越えて長手方向に延在する、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項4】
前記1つまたは複数の表面突起は、複数の表面突起からなる、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項5】
前記1つまたは複数の表面突起は、前記内側アセンブリの前記露出部分に沿って周方向に延在する、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項6】
前記内側アセンブリの前記露出部分は、1つまたは複数の表面窪みを備える、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項7】
前記1つまたは複数の表面突起は、前記1つまたは複数の表面窪みに隣接している、請求項6に記載のバルーンカテーテル。
【請求項8】
前記層は、膜である、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項9】
前記膜は、実質的に非粘着性である、請求項8に記載のバルーンカテーテル。
【請求項10】
前記膜は、ePTFEからなる、請求項8に記載のバルーンカテーテル。
【請求項11】
前記膜は、気体の通過を許容する一方、液体の通過を阻止する大きさの複数の細孔を備える、請求項8に記載のバルーンカテーテル。
【請求項12】
前記膜は、細長いパージ通路の径方向外側に配置され、前記細長いパージ通路は、前記内側アセンブリ内に位置し、前記バルーンからガスを放出するように構成される、請求項8に記載のバルーンカテーテル。
【請求項13】
前記バルーンカテーテルは、バルーンガイドカテーテルであり、前記内側アセンブリは、処置カテーテルを収容する大きさの通路を有する、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項14】
膨張ルーメンを有する外側アセンブリと、
前記外側アセンブリの長さ方向に延在し、前記外側アセンブリを越えて遠位側に延びる内側アセンブリと、
近位側が前記外側アセンブリに接続されると共に、遠位側が前記内側アセンブリに接続され、前記外側アセンブリの前記膨張ルーメンと連通するバルーンと、
前記内側アセンブリの遠位部分を覆うように配置された層であって、前記内側アセンブリが、当該層によって覆われていない露出部分を有するように、前記内側アセンブリの前記遠位部分の周囲に部分的に配置された層とを備え、
前記内側アセンブリの前記露出部分は、1つまたは複数の表面窪みを備える、
バルーンカテーテル。
【請求項15】
前記1つまたは複数の表面窪みは、前記内側アセンブリの前記露出部分に沿って長手方向に延在する、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項16】
前記1つまたは複数の表面窪みは、前記内側アセンブリの前記露出部分を越えて長手方向に延在する、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項17】
前記1つまたは複数の表面窪みは、複数の表面窪みからなる、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項18】
前記1つまたは複数の表面窪みは、前記内側アセンブリの前記露出部分に沿って周方向に延在する、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項19】
前記1つまたは複数の表面窪みは、前記内側アセンブリの表面にインプリント加工されたコイルまたはメッシュから形成される、請求項5に記載のバルーンカテーテル。
【請求項20】
膨張ルーメンを有する外側アセンブリと、
前記外側アセンブリの長さ方向に延在し、前記外側アセンブリを越えて遠位側に延びる内側アセンブリであって、処置カテーテルの通過を可能にする通路を有する内側アセンブリと、
近位側が前記外側アセンブリに接続されると共に、遠位側が前記内側アセンブリに接続され、前記外側アセンブリの前記膨張ルーメンと連通するバルーンとを備え、
前記内側アセンブリの外面は、1つまたは複数の表面突起、および1つまたは複数の表面窪みのうちの少なくとも一方を備える、
バルーンガイドカテーテル。
【請求項21】
血管処置を行う方法であって、
バルーンガイドカテーテルを設け、前記バルーンガイドカテーテルが、
膨張ルーメンを有する外側アセンブリと、
前記外側アセンブリの長さ方向に延在し、前記外側アセンブリを越えて遠位側に延びる内側アセンブリであって、通路を有する内側アセンブリと、
近位側が前記外側アセンブリに接続されると共に、遠位側が前記内側アセンブリに接続され、前記外側アセンブリの前記膨張ルーメンと連通するバルーンとを備え、
前記内側アセンブリの外面は、1つまたは複数の表面突起、および1つまたは複数の表面窪みのうちの少なくとも一方を備える、ステップと、
頸動脈サイフォンの少なくとも一部を通って前記バルーンガイドカテーテルを進めるステップと、
前記内側アセンブリの前記通路を通し、前記バルーンガイドカテーテルを通過させて処置カテーテルを送給するステップと、
前記バルーンガイドカテーテルの前記バルーンを膨張させるステップと、
前記処置カテーテルを用いて前記血管処置を行うステップと
を備える、方法
【請求項22】
前記血管処置は、吸引である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記処置カテーテルの近位端に、吸引源が接続される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記血管処置は、血栓摘出である、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記処置カテーテルを通して血栓摘出デバイスが送給される、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記処置カテーテルは、マイクロカテーテルである、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
前記処置カテーテルは、遠位アクセスカテーテルである、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記バルーンガイドカテーテルは、前記内側アセンブリの遠位部分を覆うように配置された層を更に備え、前記層は、前記内側アセンブリが、前記層によって覆われていない露出部分を有するように、前記内側アセンブリの前記遠位部分の周囲に部分的に配置され、前記内側アセンブリの前記露出部分は、1つもしくは複数の表面窪み、または1つもしくは複数の表面突起を備える、請求項21に記載の方法。
【請求項29】
血管処置を行う方法であって、
バルーンカテーテルを設け、前記バルーンカテーテルが、
膨張ルーメンを有する外側アセンブリと、
前記外側アセンブリの長さ方向に延在し、前記外側アセンブリを越えて遠位側に延びる内側アセンブリと、
近位側が前記外側アセンブリに接続されると共に、遠位側が前記内側アセンブリに接続され、前記外側アセンブリの前記膨張ルーメンと連通するバルーンと、
前記内側アセンブリの遠位部分を覆うように配置された層であって、前記内側アセンブリが当該層によって覆われていない露出部分を有するように、前記内側アセンブリの前記遠位部分の周囲に部分的に配置された層とを備え、
前記内側アセンブリの前記露出部分が、1つまたは複数の表面突起を備える、ステップと、
頸動脈サイフォンの少なくとも一部を通って前記バルーンカテーテルを進めるステップと、
前記バルーンカテーテルの前記バルーンを膨張させるステップと、
前記バルーンカテーテルを用いて前記血管処置を行うステップと
を備える、方法。
【請求項30】
前記1つまたは複数の表面突起は、前記内側アセンブリの前記露出部分に沿って長手方向に延在する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記1つまたは複数の表面突起は、はんだごてを用いて形成される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記1つまたは複数の表面突起は、複数の表面突起からなる、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記1つまたは複数の表面突起は、前記内側アセンブリの前記露出部分に沿って周方向に延在する1つまたは複数の径方向突起である、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記内側アセンブリの前記露出部分は、1つまたは複数の表面窪みを備える、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
血管処置を行う方法であって、
バルーンカテーテルを設け、前記バルーンカテーテルが、
膨張ルーメンを有する外側アセンブリと、
前記外側アセンブリの長さ方向に延在し、前記外側アセンブリを越えて遠位側に延びる内側アセンブリと、
近位側が前記外側アセンブリに接続されると共に、遠位側が前記内側アセンブリに接続され、前記外側アセンブリの前記膨張ルーメンと連通するバルーンと、
前記内側アセンブリの遠位部分を覆うように配置された層であって、前記内側アセンブリが当該層によって覆われていない露出部分を有するように、前記内側アセンブリの前記遠位部分の周囲に部分的に配置された層とを備え、
前記内側アセンブリの前記露出部分が、1つまたは複数の表面窪みを備える、ステップと、
頸動脈サイフォンの少なくとも一部を通って前記バルーンカテーテルを進めるステップと、
前記バルーンカテーテルの前記バルーンを膨張させるステップと、
前記バルーンカテーテルを用いて前記血管処置を行うステップと
を備える、方法。
【請求項36】
前記1つまたは複数の表面窪みは、前記内側アセンブリの前記露出部分に沿って長手方向に延在する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記1つまたは複数の表面窪みは、はんだごてを用いて形成される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記1つまたは複数の表面窪みは、複数の表面窪みからなる、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記1つまたは複数の表面窪みは、前記内側アセンブリの前記露出部分に沿って周方向に延在する、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記1つまたは複数の表面窪みは、前記内側アセンブリの表面にインプリント加工されたコイルまたはメッシュから形成される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
外側管状部材と、
前記外側管状部材の内側に配置され、前記外側管状部材を越えて延在する遠位延長端部を有する内側管状部材と、
前記外側管状部材および前記内側管状部材に取り付けられ、前記内側管状部材の前記遠位延長端部に及ぶバルーンと、
前記遠位延長端部に配置され、前記バルーンの内側と前記内側管状部材との面接触を低減するように構成される表面特徴部と
を備える、バルーンカテーテル。
【請求項42】
前記遠位延長端部に配置された膜を更に備える、請求項41に記載のバルーンカテーテル。
【請求項43】
前記膜は、前記バルーンの前記内側に対して前記表面特徴部を露出させるギャップ領域を形成する、請求項42に記載のバルーンカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、非固着性バルーンカテーテルの名称で、2019年11月12日に出願された米国仮出願第62/934,423号に基づく優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
バルーンカテーテルは、血流停止、血流逆転、閉塞を含む、血管系における種々の処置のために使用することが可能であり、後で送り込まれる医療デバイスのための枠組みとして機能すると共に、血餅または血栓が回収処置中に対象領域から離脱しないようにするために血流停止を行う、吸引または血餅回収の処置の一部として機能する。一部のバルーンカテーテルは、神経血管系の用途のために構成され、これらのバルーンカテーテルは、その領域の小さめの血管を通るために小さなサイズとなっており、組み合わされるバルーンは、一般に、血管の損傷を防止し、血管の形状に順応させるために、非常に柔らかく、即ち順応性を有している必要がある。
【0003】
バルーンカテーテル、特にデュアルルーメンバルーンカテーテルは、バルーンの膨張の際に、膨張前のバルーンが、カテーテルの一部(例えば、内部のガイドワイヤルーメンまたは通路)に、意に反して接着または固着してしまうという問題に遭遇する傾向がある。このような現象は、バルーンが非常に柔らかく、即ち高い順応性を有する場合に顕著であり、これは、血管のサイズが小さいことに加え、より小さく、より遠位に位置するこれらの血管に到達するように柔軟性を高めることに起因する、神経血管系の用途に使用されるバルーンの共通の特徴である。
【0004】
このような固着または意に反した接着は、バルーンの不完全な膨張をもたらし、治療される患者の血管内で、膨張したバルーンが、非対称の、または非完全に膨張した形状を有することになり、それによって、治療処置の有効性を制限する可能性がある。例えば、血流停止処置(例えば、処置を行うのを支援するために、血流が近位側で停止されている場合)において、バルーンが完全には満たされていない場合、血液が依然として処置部位に到達し、処置が一層困難なものとなる。一例において、バルーンは、吸引または機械的血餅回収処置の一部として使用することが可能であり、この場合、バルーンは、近位血流停止のために使用され、血餅または血栓が処置中に下流に確実に移動しないようにするのを補助する。しかしながら、バルーンの固着により、当該バルーンが不完全な形状となり、それによって、意図したとおりに血流停止が機能しなくなり、血餅または血栓が移動したり、下流に追い出されたりすることになる可能性がある。
【0005】
医師は、非対称性を緩和しようとするか、またはバルーンに完全に膨張した形状をとらせるために、更なる膨張媒体を加えてバルーンへの過剰充填を行うことにより、このような問題を解消しようとするかもしれないが、これにより、過剰な圧力が印加されることになり、患者に対して血管の外傷を生じさせたり、バルーンの破裂を引き起こしたりする可能性がある。
【0006】
このような問題を回避するための1つの可能な方法は、より硬いバルーン材料を使用して、バルーンの順応性/柔軟性を低減することである。但し、1つの大きな欠点は、より硬いバルーンが、順応性が低く、従って、複雑な血管形状への適応性が低く、血管の外傷を引き起こす可能性があることである。また、このようなバルーンは、小さい特定の血管(例えば、神経血管系のもの)において面倒な事態を引き起こす可能性もある。
【0007】
また、より硬い材料は、バルーンカテーテルの追従性に影響を与え、曲がりくねった屈曲部の周辺をたどってバルーンカテーテルを移動させるのが一層困難となる。1つのケースとして、神経血管系の処置において使用されるバルーンカテーテルは、一般に、頸動脈におけるU字状またはS字状の屈曲部である頸動脈サイフォン内をたどって移動させる必要がある。血管閉塞、吸引、血流逆転、血餅回収などの静脈内処置中に、バルーンカテーテルを用い、頸動脈サイフォンの先に存在する脳の血管系にアクセスすることが望ましい場合がある。しかしながら、曲がりくねった屈曲部(例えば、頸動脈サイフォン)を通って進んでいく上で十分な柔軟性を有したバルーンカテーテルを構成するのは、特に、柔らかい、即ち順応性を有したバルーンの必要性によって潜在的なバルーン固着の問題が生じる可能性がある場合に、困難なものとなる可能性がある。
【0008】
従って、少なくともこれらの要求、即ち、曲がりくねった屈曲部内をたどって移動させるための柔軟性と、バルーンがカテーテルに固着することのない柔らかい、即ち順応性を有したバルーンを使用することができることとのバランスをとることが可能なバルーンカテーテルが必要とされている。
【0009】
多くの医療処置は、対象領域にアクセスするため、または処置において使用される治療デバイスを送り込むために使用される更に小さいカテーテル(例えば、マイクロカテーテル)のための導管として、ガイドカテーテルを利用する。このガイドカテーテルは、当該ガイドカテーテルを通って送り込まれる更に小さいカテーテルよりも大きくて剛性があり、ガイドカテーテルは、当該ガイドカテーテルを通して送り込まれる更に小さいカテーテル/デバイスのための支持構造として機能することを意図する。理想的なガイドカテーテルは、曲がりくねった解剖学的構造(例えば、前述の頸動脈サイフォン)を通って進んでいく上で十分な柔軟性があると同時に、解剖学的構造の脈動圧力に耐える上で十分に強く、それを通る更に小さいカテーテルまたはデバイスの配置を支援する上で十分な構造的強度を提供する。
【0010】
例えば、治療処置(例えば、吸引、または機械的血栓摘出による血餅回収)を補うための近位血流停止を行うことが可能なバルーンを備え、カテーテルまたは付加的な医療デバイスを収容する上で十分に大きな通路を有したバルーンガイドカテーテルは、重要な利点を有する場合がある。しかしながら、これらのデバイスは、構成するのが難しい場合がある。例えば、バルーンを備えることにより、別個の膨張ルーメンとバルーンとが必要となるので、ガイドカテーテルが大幅に複雑なものとなり、追加の部品のためにガイドカテーテルの剛性が劇的に増大する可能性がある。このように増大した剛性は、頸動脈サイフォンのような曲がりくねった解剖学的構造を通るガイドカテーテルの追従性を損なう可能性がある。また、柔軟性/順応性のあるバルーンを使用すること(例えば、神経血管系空間内)には、膨張したときに血管壁を傷つけないといった利点があるが、そのようなバルーンは、上述のように固着または接着の問題が生じる可能性がある。
【0011】
更に、これらのカテーテルは、柔軟性と剛性/強度とのバランスを必要とする。バルーンガイドカテーテルが硬すぎると、曲がりくねった解剖学的構造(例えば、頸動脈サイフォン)を進んでいくことができず、従って、最終的に、何らかの利益を得るには所望の到達点から離れすぎて配置されることになる(例えば、血餅回収処置のための最適な血流停止を行うには遠すぎる)。また、このような隔たりは、医師が、血餅をガイドカテーテル内へと更に長い距離にわたって近位方向に追っていかなければならない可能性があるような面倒な事態を引き起こす可能性があり、回収処置中に血餅が断片化したり、移動したりする可能性があるリスクが増大する。一方、バルーンガイドカテーテルの柔軟性が高すぎると、バルーンガイドカテーテルのルーメンを通して送り込まれる更に小さいカテーテルまたは治療デバイスのための支持を提供する上で十分な剛性が得られず、医師が処置を完了できなくなる可能性がある。
【0012】
従って、少なくともこれらの要求、即ち、曲がりくねった屈曲部内をたどって移動させるための柔軟性と、バルーンをカテーテルに固着させることのない、柔らかな、即ち順応性を有したバルーンを使用できることと、バルーンガイドカテーテルの通路を通して送り込まれるカテーテルまたはデバイスのための十分な構造的強度とのバランスをとることができるバルーンガイドカテーテルが必要とされている。
【発明の概要】
【0013】
一態様として、バルーンガイドカテーテルが示される。このバルーンガイドカテーテルは、後で送り込まれる治療用または処置用のデバイス/物質(例えば、ガイドワイヤ、カテーテル、血栓摘出デバイス、吸引/吸入、塞栓コイル、および/または液体塞栓)のための通路として機能する内側アセンブリと、バルーンに膨張流体を移送する外側アセンブリとを用いる。一態様において、バルーンガイドカテーテルの内側アセンブリは、後で送り込まれる治療用または処置用のデバイス/物質(例えば、血栓摘出デバイス、吸引/吸入、塞栓コイル、液体塞栓、塞栓メッシュ、塞栓または薬物含有ビーズ、より小さい処置用バルーンカテーテルなど)のための導管として使用される更に小さいカテーテルのための通路を備える。
【0014】
一態様として、順応性を有したバルーンと、バルーンの固着を防止する機構とを有したバルーンガイドカテーテルが示される。一態様において、バルーンの固着を防止する機構は、当該固着の問題を防止する方法として、バルーンガイドカテーテルだけでなく、様々なサイズおよび機能のバルーンカテーテルに適用することが可能である。
【0015】
一態様において、機構は、バルーンカテーテルの内側アセンブリの外側部分に沿って配置された1つまたは複数の溝である。一態様において、1つまたは複数の溝は、バルーンカテーテルの内側アセンブリの外周の周りに長手方向に配置される。一態様において、1つまたは複数の溝は、バルーンカテーテルの内側アセンブリの外周の周りに周方向に配置される。一態様において、1つまたは複数の溝は、バルーンカテーテルの内側アセンブリの外周の周りに螺旋状に配置される。
【0016】
一態様において、機構は、バルーンカテーテルの内側アセンブリの外側部分に沿って配置された1つまたは複数の隆起である。一態様において、1つまたは複数の隆起は、長手方向および/または放射状に配置される。一態様において、1つまたは複数の隆起は、バルーンカテーテルの内側アセンブリの外側部分に沿った複数の位置に配置されたスポット状の隆起またはスポット状の突起である。
【0017】
一態様において、機構は、バルーンカテーテルの内側アセンブリの外側部分に沿って配置された1つまたは複数の窪みである。一態様において、1つまたは複数の窪みは、長手方向および/または放射状に配置される。一態様において、1つまたは複数の窪みは、バルーンカテーテルの内側アセンブリの外側部分に沿った複数の位置に位置するスポット状の窪みである。
【0018】
一態様において、機構は、バルーンカテーテルの内側アセンブリに沿って配置された1つまたは複数の放射状に配向された隆起/突起または窪み/凹み/溝である。一態様において、放射状に配向された隆起または溝は、螺旋状の要素によって形成される。一態様において、放射状に配向された隆起または溝は、メッシュ状の要素によって作成される。
【0019】
一態様において、バルーンガイドカテーテルは、バルーンカテーテルの遠位部分にある膜を使用し、当該膜は、実質的に非粘着性であることによって、バルーンの固着を防止する。一態様において、膜は、下方にあるバルーンカテーテル表面の一部分が露出されるように、ギャップ部分または切り欠き部分を備え、バルーンの固着を防止する機構(上述のものなど)は、バルーンの固着防止を補助するために、露出されたバルーンカテーテルの表面に沿って適用される。
【0020】
一態様において、バルーンガイドカテーテルは、バルーンカテーテルの遠位部分にある膜と、バルーンガイドカテーテルの内側アセンブリ内で、膜の下方、または径方向で膜に隣接するパージ通路または逃がし通路とを使用し、パージ通路または逃がし通路は、バルーンからのガスの逃げ道を提供する。一態様において、膜は、気体がバルーンを通過するのを許容する一方、液体(例えば、造影剤または生理食塩水などの膨張媒体)の通過を阻止することによってバルーンを膨張状態に保つために、気体の通過を許容する一方、液体の通過を許容しない大きさの細孔を有する。
【0021】
一態様として、頸動脈周辺で処置を行うためのバルーンガイドカテーテルが示される。一態様として、内頚動脈周辺で処置を行うためのバルーンガイドカテーテルが示される。一態様として、神経血管系の内頚動脈の海綿状セグメントまたは床突起セグメントの周辺で処置を行うために、頚動脈サイフォンを通って進んでいくようにサイズが定められ、構成されたバルーンガイドカテーテルが示される。一態様において、バルーンガイドカテーテルは、外径が約0.09インチ~0.12インチのサイズであり、内側アセンブリの内径よりも小さいサイズのカテーテルを収容するようにサイズが定められた約0.08インチ~0.09インチのサイズの内径/通路を有した内側アセンブリを備える。
【0022】
一態様として、バルーンの固着を防止するための製造方法が示される。一態様において、この製造方法は、1つまたは複数の長手方向のはんだ付け経路を、バルーンカテーテルの管状要素(例えば、バルーンカテーテルの内側アセンブリ)の外面に沿って配置する工程を備える。一態様において、この製造方法は、バルーンカテーテルの管状要素(例えば、バルーンカテーテルの内側アセンブリ)の外面の周りに1つもしくは複数のコイルまたは1つもしくは複数のメッシュを配置する工程を備え、一態様では、次に、当該1つまたは複数のコイルまたは1つまたは複数のメッシュが除去され、インプリント加工された表面が残る。一態様において、この製造方法は、バルーンカテーテルの管状要素(例えば、バルーンカテーテルの内側アセンブリ)の外面に沿って、1つまたは複数の隆起した面を作成する工程を備える。一態様において、この製造方法は、バルーンカテーテルの管状要素(例えば、バルーンカテーテルの内側アセンブリ)の外面に沿って、1つもしくは複数の窪んだ、引っ込んだ、または凹んだ面を作成する工程を備える。
【0023】
一態様として、バルーンカテーテルにおけるバルーンの固着を抑制する方法が示される。一態様において、この方法は、はんだごてを用い、バルーンカテーテルの管状要素(例えば、バルーンカテーテルの内側アセンブリ)の外面に沿って、1つまたは複数の長手方向の経路を作成するステップを備える。一態様において、この方法は、バルーンカテーテルの要素(例えば、バルーンカテーテルの内側アセンブリ)の外面の周りに巻き付けられた1つまたは複数のコイルを配置するステップを備え、一態様では、次に、当該1つまたは複数のコイルが除去され、インプリント加工された表面が残る。一態様において、この方法は、バルーンカテーテルの要素(例えば、バルーンカテーテルの内側アセンブリ)の外面の周りに1つまたは複数のメッシュを配置するステップを含み、一態様では、次に、当該1つまたは複数のメッシュが除去され、インプリント加工された表面が残る。一態様において、この方法は、バルーンカテーテルの管状要素(例えば、バルーンカテーテルの内側アセンブリ)の外面に沿って、1つまたは複数の隆起した面を作成するステップを備える。一態様において、この方法は、バルーンカテーテルの管状要素(例えば、バルーンカテーテルの内側アセンブリ)の外面に沿って、1つもしくは複数の窪んだ、引っ込んだ、または凹んだ面を作成するステップを備える。一態様において、この方法は、バルーンカテーテルの管状要素(例えば、バルーンカテーテルの内側アセンブリ)の部分的な外面の周りに周方向に膜要素を配置するステップを備え、膜要素は、実質的に非粘着性である。一態様では、その後、膜要素の遠位部分の外側に、管状のバンド要素が配置される。一態様において、1つまたは複数の隆起した面が、バルーンカテーテルの管状要素(例えば、バルーンカテーテルの内側アセンブリ)の露出された面に沿って配置されることにより、固着または接着を防止する面が生成される。一態様において、1つもしくは複数の窪んだ、引っ込んだ、または凹んだ面が、覆っている膜のギャップ部分に対応するバルーンカテーテルの管状要素の露出部分に沿って配置される。
【0024】
一態様として、血管処置を行う方法が示される。一態様において、この方法は、バルーンカテーテル(例えば、バルーンガイドカテーテル)の遠位部分に沿って実質的に非粘着性の膜要素を有するバルーンカテーテルを設けるステップと、対象の治療部位にバルーンカテーテルを送り込むステップと、バルーンに膨張流体を送給してバルーンを膨張させるステップとを備え、実質的に非粘着性の膜要素が、バルーンの固着を防止することによって、適切な膨張を促進する。
【0025】
一態様として、血管処置を行う方法が示される。一態様において、この方法は、バルーンカテーテル(例えば、バルーンガイドカテーテル)の遠位部分に沿って1つまたは複数の隆起した面を有するバルーンカテーテルを設けるステップと、バルーンカテーテルを対象の治療部位に送り込むステップと、バルーンに膨張流体を送給してバルーンを膨張させるステップとを備え、隆起した面が、バルーンの固着を防止することによって、適切な膨張を促進する。
【0026】
一態様として、血管処置を行う方法が示される。一態様において、この方法は、バルーンガイドカテーテルを設け、頸動脈サイフォンの少なくとも一部の中をたどってバルーンガイドカテーテルを移動させるステップと、バルーンを膨張させる(例えば、血流停止のために)ステップと、バルーンガイドカテーテルを通過して対象の治療位置にカテーテルを配置し、処置を行うステップとを備える。一態様において、処置は吸引であり、バルーンガイドカテーテルを通して送り込まれるカテーテルを介した吸引または真空を用いる。一態様において、処置は血栓摘出であり、バルーンガイドカテーテルを通して送り込まれたカテーテルを介して送給される機械的血餅回収デバイスを用いる。一態様において、処置は液体塞栓の送給であり、バルーンカテーテルを通して送り込まれたカテーテルを介して送給される液体塞栓を用いる。一態様において、処置は塞栓の送給であり、バルーンカテーテルを通して送り込まれたカテーテルを介して送給される1つまたは複数の塞栓デバイス(例えば、塞栓コイル)を用いる。
【0027】
一態様として、血管処置を行う方法が示される。一態様において、この方法は、バルーンガイドカテーテルを設けるステップと、頸動脈サイフォンの少なくとも一部の中をたどってバルーンガイドカテーテルを移動させるステップと、バルーンを膨張させる(例えば、血流停止のために)ステップと、吸引のため、またはバルーンガイドカテーテルの近傍に位置する治療部位にデバイスまたは物質(例えば、機械的血餅回収デバイス、液体塞栓、または塞栓デバイス)を配置するために、バルーンガイドカテーテルの内部ルーメンを使用するステップとを備える。
【0028】
一態様として、血管処置を行う方法が示される。一態様において、この方法は、バルーンガイドカテーテルを設けるステップと、内頚動脈の海綿体セグメントの少なくとも一部の中をたどってバルーンガイドカテーテルを移動させるステップと、バルーンを膨張させる(例えば、血流停止のために)ステップと、吸引のため、またはバルーンガイドカテーテルの近傍に位置する治療部位にデバイスまたは物質(例えば、機械的血餅回収デバイス、液体塞栓、または塞栓デバイス)を配置するために、バルーンガイドカテーテルの内部ルーメンを使用するステップとを備える。
【0029】
一態様として、血管処置を行う方法が示される。一態様において、この方法は、バルーンガイドカテーテルを設けるステップと、内頸動脈の少なくとも一部の中をたどってバルーンガイドカテーテルを移動させるステップと、バルーンを膨張させる(例えば、血流停止のために)ステップと、吸引のため、またはバルーンガイドカテーテルの近傍に位置する治療部位にデバイスまたは物質(例えば、機械的血餅回収デバイス、液体塞栓、または塞栓デバイス)を配置するために、バルーンガイドカテーテルの内部ルーメンを使用するステップとを備える。一態様において、バルーンガイドカテーテルは、内頸動脈の頸部セグメント(C1)、錐体セグメント(C2)、破裂孔セグメント(C3)、海綿体セグメント(C4)、または床突起セグメント(C5)のうちの少なくとも1つの中をたどって移動する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明の具現化によって可能となる、これらのおよび別の態様、特徴、および利点は、添付の図面を参照した、本発明の実施形態についての以下の記載から明白であり、明らかとなる。
【0031】
図1】バルーンカテーテルの一部に固着したバルーンを示す図である。
【0032】
図2】バルーンカテーテルの一部にバルーンが固着しているために不完全な外形となったバルーンを示す図である。
【0033】
図3】一実施形態によるバルーンカテーテル(例えば、バルーンガイドカテーテル)を示す図である。
【0034】
図4】一実施形態による、図3のバルーンカテーテルの断面を示す図である。
【0035】
図5】一実施形態による、図3のバルーンカテーテルの遠位部分を示す図である。
【0036】
図6a-6b】一実施形態による、固着防止機構を組み込んだバルーンカテーテルの遠位部分を示す図である。
【0037】
図6c】一実施形態による、突出面を適用したバルーンカテーテルの断面を示す図である。
【0038】
図6d】一実施形態による、窪んだ面を適用したバルーンカテーテルの断面を示す図である。
【0039】
図6e】一実施形態による、突出面および窪んだ面を適用したバルーンカテーテルの断面を示す図である。
【0040】
図6f】一実施形態による、突出面および窪んだ面を適用したバルーンカテーテルの断面を示す図である。
【0041】
図6g】一実施形態による、複数の突出面を適用したバルーンカテーテルの断面を示す図である。
【0042】
図6h】一実施形態による、複数の窪んだ面を適用したバルーンカテーテルの断面を示す図である。
【0043】
図6i】一実施形態による、複数の突出面および複数の窪んだ面を適用したバルーンカテーテルの断面を示す図である。
【0044】
図6k】一実施形態による、複数のスポット状の突出面および複数のスポット状の窪んだ面を適用したバルーンカテーテルの断面を示す図である。
【0045】
図6l】一実施形態による、螺旋溝状の窪みを生成するために使用されるコイル状要素を適用したバルーンカテーテルの断面を示す図である。
【0046】
図7】一実施形態による、膜およびパージ通路を組み込んだバルーンカテーテルの遠位部分を示す図である。
【0047】
図8】一実施形態による、より小さな処置カテーテルのための導管として使用されるバルーンガイドカテーテルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
添付図面を参照し、本発明の具体的な実施形態について、以下に説明する。但し、本発明は、多くの様々な形態で具現化されてもよいものであって、本明細書に記載した実施形態に限定されるものと解釈されるべきではなく、これらの実施形態は、本開示が綿密かつ完全であり、本発明の範囲が当業者に完全に伝わるように提供されるものである。添付図面に示される実施形態についての詳細な説明で使用する用語は、本発明の限定を意図するものではない。図面において、同様の番号は同様の要素を指している。
【0049】
なお、近位および遠位の方向について言及する場合があることに留意されたい。近位とは、身体の外側に向かう方向、処置を行う医師に向かう方向、および処置の位置から離れる方向をいう。遠位とは、血管系に近付く方向で、対象の治療部位に近付く方向をいう。これにより、遠位方向に押されている医療デバイス(例えば、バルーンカテーテル)は、治療部位に近付く方向に送られており、近位方向に引かれているデバイスは、治療部位から離れる方向に引かれているか、または横切っている。
【0050】
バルーンカテーテルは、背景技術の項で述べたように、バルーンが、バルーンカテーテルの一部に固着する可能性があるという問題を有することがある。このような固着は、様々な理由で生じる。例えば、バルーンが柔らかく順応性を有する場合で、これは、神経血管バルーン、またはより小さいか、もしくはより繊細な血管系領域において使用されるバルーンの共通の特徴であるが、この柔軟性および順応性は、バルーンカテーテルの一部(例えば、バルーン内に径方向に配置される内側部分)への、このような固着または接着を引き起こす可能性がある。
【0051】
このような固着は、主として、バルーンが非膨張状態にあるときに問題となり、バルーンの一部が、この非膨張状態である間にカテーテルの一部に固着する可能性がある。バルーンのこの領域は、膨張中にカテーテルの表面に接着し続け、バルーンを不完全な膨張状態、即ち不完全な膨張形状にする。
【0052】
図1は、そのような深刻な一例を示すものであり、内側要素106の一部を露出させるギャップ108が生じているバルーンカテーテルの内側要素/ガイドワイヤポート106の一部に、バルーン102が固着することによって、当該バルーンが完全には膨張していない。図示した特定のタイプのバルーンカテーテルは、デュアルルーメンバルーンカテーテルとして知られており、バルーンを膨張させるために使用される膨張ルーメンとして機能する1つの外側要素と、ガイドワイヤポートとして機能する1つの内側要素とを用いている。デュアルルーメンシステムの1つの利点は、内側要素106を利用してバルーンカテーテルを治療部位に進めるのにガイドワイヤを用いることが可能であり、バルーンカテーテルがガイドワイヤ上をたどるようにすることができることである。このようなガイドワイヤポートを用いない処置では、ガイドワイヤを治療部位まで誘導し、ガイドワイヤ上をたどるように、ガイドワイヤ上のシースまたはガイドカテーテルを移動し、ガイドワイヤを完全に引き抜き、その後、シースまたはガイドカテーテルを介して、バルーンカテーテルを治療部位まで押し込む必要があり、これは、より面倒で時間のかかる作業となる。
【0053】
別の例では、バルーンを膨張させるために使用される膨張ルーメンなど、バルーンカテーテルの別の部分にバルーンが固着する可能性がある。このような固着は、上述のデュアルルーメンデバイス(ガイドワイヤポートを含む)において、またはシングルルーメンバルーンカテーテル(外側要素/膨張管腔のみを使用)において生じる可能性がある。図2は、バルーン102の固着により、バルーンが不完全な、即ち非対称の形状110となる一例を示している。
【0054】
このような、バルーンカテーテルの一部へのバルーンの固着または接着は、背景技術の項で述べたように、様々な面倒な事態を引き起こす可能性がある。例えば、この問題は、バルーンを完全な外形(例えば、完全な円形、楕円形、または卵形の外形)にさせないことによって、血管内の処置におけるバルーンの有効性を低下させる可能性がある。
【0055】
バルーンカテーテルは、様々な処置において使用することができる。例えば、バルーンカテーテルを使用して、吸引処置における吸引力を増大させるための血流停止または近位バリアを生成したり、液体塞栓送給処置における近位バリアを生成したりする(例えば、処置領域の外への塞栓の消散を防ぐため)ことが可能であり、また塞栓(例えば、血管閉塞コイル)送給処置における枠組みまたは支持部材として、バルーンカテーテルを使用することができる。バルーンが完全に膨張した形状をとることができないことにより、バルーンが、血管に対する完全な密封を行なえなくなるので、これらの処置の有効性を低下させる可能性がある。例えば、血栓摘出または吸引の処置(血栓摘出は、機械的血餅回収デバイスを使用し、吸引は、吸入または真空を利用して血餅を除去する)では、バルーンが、血管を閉塞する上で完全な/十分な膨張形状をとることができないことで、血餅が移動したり、吸引処置の吸引効果が低下したりする可能性がある。バルーンが枠組みとして機能する血管閉塞処置では、バルーンが完全に膨張した形状をとることができないことで、血管閉塞コイルまたは血管閉塞デバイスが、治療部位(例えば、動脈瘤、または閉塞されている血管の一部)から離脱することによって、処置の有効性が低下したり、デバイスが他の場所に移動して凝血リスクが生じたりする可能性がある。液体塞栓送給処置では、固着によってバルーンが完全に膨張した形状をとることができないことで、液体塞栓が治療部位から離れるように逆流することにより、近位位置における血餅生成または卒中のリスクが生じる可能性があり、また血液が塞栓を遠位に押し出すことによって、遠位位置における血餅生成または卒中のリスクが生じる可能性がある。液体塞栓は、一般的には、例えば、血管の閉鎖、または動静脈奇形(AVM)の閉塞に使用される。
【0056】
神経血管系治療のためのバルーンカテーテルを含む、バルーンカテーテルおよびデュアルルーメンバルーンカテーテルは、米国特許第9884172号および第10786659号に記載されており、これら米国特許は、いずれも、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0057】
医師は、完全に膨張した形状にさせるべく、バルーンに追加の膨張媒体を押し込んで、バルーンを過度に膨張させようと試みることによって、バルーンの固着の問題に対処しようとするかもしれない。しかしながら、このような過剰な膨張は、バルーンを破裂させる可能性や、血管壁に対するバルーンの圧力を劇的に増加させ、時間の経過と共に破裂を引き起こす可能性があり、また血管に外傷を与える可能性がある。
【0058】
本明細書に示す実施形態は、バルーンの固着または接着の課題に対処することにより、このような問題を解決するものである。
【0059】
図3は、一実施形態によるデュアルルーメンバルーンカテーテル200を示しており、このデュアルルーメンバルーンカテーテル200は、膨張可能なバルーン202と、バルーンを膨張させる膨張流体のための導管として機能する通路204aを中に有する外側アセンブリ204と、自身の通路を中に有する内側アセンブリ206とを備える。一例では、バルーン202を膨張させるために、造影剤または生理食塩水などの液体膨張媒体が使用され、この膨張媒体は、外側アセンブリ204の通路204aを通って送給される。
【0060】
内側アセンブリ206および外側アセンブリ204のそれぞれは、管状であり(例えば、それぞれ管状アセンブリ)、内側アセンブリ206が外側アセンブリ204内に同心円状に位置するように配置される。内側アセンブリ206および外側アセンブリ204のそれぞれは、管状アセンブリ(例えば、内側管状アセンブリ206および外側管状アセンブリ204)と見なすことができる。内側アセンブリ206および外側アセンブリ204のそれぞれは、それぞれの全長にわたる通路、チャネル、または細長いルーメン206aおよびルーメン204aを備える。外側アセンブリ204は、その中に形成されたルーメン204aを有し、このルーメン204aは、内側アセンブリ206によって部分的に占有され、内側アセンブリ206は、図3に示すように、外側アセンブリ204の全長にわたって位置し、外側アセンブリ204を通り過ぎて遠位に及んでおり、即ち遠位に延在している。
【0061】
内側アセンブリ206および外側アセンブリ204は、それぞれ、ポリマ層および金属補強層(例えば、金属コイルまたは金属編組)の様々な組み合わせから構成することができる。一例において、外側アセンブリ204および内側アセンブリ206のそれぞれは、複数のポリマ層を使用する。一例において、外側アセンブリ204および内側アセンブリ206のそれぞれは、複数のポリマ層を使用し、外側アセンブリ204および内側アセンブリ206のうちの少なくとも一方は、更なる構造強度を得るために、更に少なくとも1つの金属補強層を使用することができる。内側アセンブリ206および外側アセンブリ204のそれぞれの異なる部分は、構造層の様々な組み合わせによって構成することが可能であり、例えば、より近位の部分は、より強度のある材料(例えば、より硬質のポリマ)を用いる一方、より遠位の部分は、より柔軟な材料(例えば、より軟質のポリマ)を用いることができる。
【0062】
内側アセンブリ206と外側アセンブリ204とを示すバルーンカテーテルの断面が、より詳細に図4に示されている。内側アセンブリ206は、ルーメン206aを備えており、一実施形態において、デュアルルーメンバルーン200が、バルーンガイドカテーテルとして機能し、このルーメン206aは、カテーテルの通過経路として機能する。外側アセンブリ204は、当該外側アセンブリ204の内壁と内側アセンブリ206の外壁との間の空間に形成される膨張ルーメン204aを備え、これは、内側アセンブリ206と外側アセンブリ204との間の開放空間を表すものである。
【0063】
バルーンカテーテル200の近位端部は、2つのポート(各ポートがY字状の分岐を形成)を有した止血アダプタまたはY字型アダプタ(図示せず)を備えており、一方のポートは、膨張流体(例えば、生理食塩水または造影剤)を、バルーン202に向けて遠位方向に移送するために膨張ルーメン204aと連通し、他方のポートは、物体(例えば、医療機器を収容するカテーテル、または吸引のための通路として機能するカテーテル)を移送するために内側ルーメン、即ち通路206aと連通している。
【0064】
内側アセンブリ206の遠位部分は、バルーンが内側アセンブリ206の外面に固着するのを防止するための機構を利用する。図3に示すように、内側アセンブリ206は、バルーン202の全長を含むバルーンカテーテル200の全長に及んでいる。バルーンカテーテル200の遠位部分は、機構のおおよその位置が示されている図5に、更に詳細に示されている。
【0065】
バルーン202は、位置202c,202dにおいて、近位側が外側アセンブリ204に結合され、この結合は、(図5に示すように)外側アセンブリ204の外面に対してなされるか、または外側アセンブリ204の内壁に沿って行うこともできる。バルーン202は、内側アセンブリ206の外面に沿い、位置202a,202bにおいて、遠位側が内側アセンブリ206に結合される。図示するように、バルーン202は、これらの結合位置202a~202dで、(例えば、接着剤を介して)内側アセンブリ206や外側アセンブリ204に取り付けられるので、これらの結合位置202a~202dでは膨張しない。換言すれば、これらの結合位置の間のバルーン202の部分は膨張または収縮するが、結合位置202a~202dでは、バルーン202が固定されていて膨張はしない。
【0066】
バルーンカテーテル200の領域208は、図6a、図6bに、より詳細に示されている。図中の左から右に見ることは、近位から遠位に見ることになり、右側がバルーンカテーテルの遠位端と見なされることに留意されたい。膜210が、内側アセンブリ206の外面に重ねられている。内側アセンブリ206の構造層または壁には、細長いパージ通路またはチャネル212が配置され、しかも膜210の下に配置されている。遠位側には、マーカバンド214が配置され、このマーカバンド214は、チャネル212に対応したギャップ216を備える。
【0067】
膜210は、内側アセンブリ206の外面の周囲に配置される。一実施形態において、膜210は、シートの素材からなり、シートの端部が接したカール状態では、内側アセンブリ206の外周よりも、全周が小さくなっている(または同様である)。その結果、シートの端部は、内側アセンブリ206の外周に配置されたとき、互いに結合することはない。これにより、膜210が内側アセンブリ206の外周に配置されたときに、膜210の2つの端部の間にギャップが生じる。このギャップにより、膜210が覆っていない内側アセンブリ206の露出部分218が生じる。一実施形態では、膜210が内側アセンブリ206の外周に配置され、次に、膜210の一部分が切断または除去されて、内側アセンブリ206の露出部分218を生成する。膜210は、例えば、接着剤を介して、または一例として膜210の遠位部分に配置されるマーカバンド214の機構によって、内側アセンブリ206に結合される。
【0068】
膜210は、内側アセンブリ206の部分的な円周部分を覆うので、膜210を、例えば、上に重ねられた層(例えば、内側アセンブリ206の部分的な円周部分を覆うもの)、上に重ねられた要素、部分的円周層/要素、径方向外側層/要素、外側層/要素と考えることもできる。
【0069】
内側アセンブリ206の外側の面、即ち外面は、露出部分218(膜210によって覆われていないことを意味する)を有し、1つまたは複数の要素220が、この露出部分218に配置される。要素220は、バルーンが収縮した状態にあるときにバルーンが固着するのを防止するための平坦でない面を生成するように機能する凹凸部分、突出面、または窪んだ面として構成される。生成された面は、バルーンが内側アセンブリ206の表面に(例えば、露出部分218に沿って)固着または接着するのを防止する。
【0070】
図6aは、バルーンカテーテル200の領域208の1つの図(例えば、上面図)であり、この上面図に示すように、内側アセンブリ206内で膜210の下に配置された細長いパージ通路、即ちチャネル212がある。図6bは、領域208の別の図(例えば、底面図)であり、この底面図に示すように、露出部分218と、この露出部分218に沿った1つまたは複数の要素220とが存在し、これらについては、より詳細に後述する。一例において、チャネル212と要素220とは、周方向で互いに180度の位置で対向している。別の例において、これらは、周方向のある角度(例えば、5~180度または90~180度の間)だけ互いに位置をずらして配置される。
【0071】
一実施形態において、要素220は、内側アセンブリ206の表面から内側に入り込む1つもしくは複数の窪んだ領域、溝状の領域、または凹んだ領域を備える。これらの窪みは、様々な方法で生成することが可能であり、例えば、ワイヤまたはマンドレルを、内側アセンブリ206の表面に配置し、次に、その長手方向に沿って(例えば、はんだごてなどのこてを介し)加熱して、内側アセンブリ206の表面にインプリント加工を行うことができる。その後、ワイヤまたはマンドレルを取り去ることで、(例えば、図6dに示すように)窪んだ、溝状の、または凹んだ面を形成するようにインプリント加工された形状が残る。複数の窪んだ面を作成する場合、この手法において、内側アセンブリ206の露出部分218の周囲に並べられた複数のワイヤを用いることができる。一実施形態において、窪んだ領域、溝状の領域、または凹んだ領域は、内側アセンブリ206の表面に沿って通される加熱要素によって生成され、それによって、内側アセンブリ206の表面から内方へと溶融を生じさせ、加熱要素の経路に沿って窪んだ面を残す。一実施形態において、窪み領域を生成するプロセスは、窪み領域からその窪みに隣接する領域に材料を移動させることにより、窪みと、材料が移動してできた、その窪みに直接隣接する隆起領域とを残す。
【0072】
一実施形態において、要素220は、(例えば、図6cに示すように)内側アセンブリ206の表面から外方に突出する1つまたは複数の突出領域を備える。この突出領域は、例えば、はんだごてからのフラックスを、付加的な容量で利用して、はんだごての経路に沿った突出面を作り出すことによって形成することができる。
【0073】
一実施形態において、窪み領域または突出領域は、1つまたは複数の連続した線を形成する。一実施形態において、窪み領域または突出領域は、実質的に螺旋状である(例えば、内側アセンブリ206の表面に沿って螺旋状またはコイル状の経路で延在)。一実施形態において、窪み領域または突出領域は、実質的にスポット状または点状であり、突出する面または窪んだ面が、内側アセンブリ206の表面に沿って局所化された点に適用される。
【0074】
いくつかの実施形態では、堆積、3D印刷、付加要素(例えば、内側アセンブリ206の外面に、接着により、または物理的に取り付けられた要素)などの様々な付加技術を使用して、突出する面を生成することができる。いくつかの実施態様では、堆積、3D印刷、および削減技術(例えば、ピン要素または剛体要素を用いて、内側アセンブリ206の外側部分を除去)などの技術を使用し、内側アセンブリ206に沿って窪んだ面または凹んだ面を作成することができる。
【0075】
図6cは、膜210が、内側アセンブリ206の一部の周囲の外側に部分的に配置されて露出部分218を残し、更に内側アセンブリ206に沿って突出面220aを適用した断面を示している。なお、露出部分218に沿って、2つ以上の突出面220aを適用可能であることに留意されたい。更に、突出面220aは、窪んだ、凹んだ、または引っ込んだ面(図6dに示す)と組み合わせることが可能であり、例えば、突出面を、図6eおよび図6fに示すように、窪んだ、凹んだ、または引っ込んだ面に隣接して、または近接して配置することができる。
【0076】
図6c~図6eは、突出面220aまたは窪んだ面220bが、バルーンの固着防止にどのように寄与するかを示す上で有用である。これらの要素220aまたは要素220bを備えない場合、内側アセンブリ206の露出部分218の全体が、バルーン220の一部と接触可能となり、潜在的に固着の可能性のある広範囲の領域を作り出す。しかしながら、要素220aまたは要素220bを備えることにより、凹凸の、またはでこぼこの面が生成され、非膨張状態にあるバルーン200に接触可能な総表面積を減少させることによって、バルーンの固着または接着のリスクを減少させる。例えば、隆起面220aを使用した場合、非膨張状態にあるバルーン200は、隆起面220aの「上端」部分にのみ接触する可能性があり、バルーン200が、露出部分218の残りの部分に対して「持ち上がる」ので、隣接する領域に接触する可能性は低い。窪んだ面220bを使用した場合、非膨張状態にあるバルーン200は、窪んだ面220bに隣接する「高められた」面の一部にのみ接触する可能性があるが、窪んだ面220b自体には接触しない。言い換えれば、要素220aまたは要素220bを備えることにより、膨張していないときのバルーン200に接触可能な総表面積が減少し、その結果、バルーン200が膨張するときの固着のリスクが減少する。
【0077】
一例では、複数の突起(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、または12個)が、内側アセンブリ206の遠位部分の周囲に、周方向に等距離の間隔で形成される。一実施形態において、これらの突起は、内側アセンブリ206の露出部分218に沿ってのみ適用される。このような構成の1つの利点は、突起を生成する製造工程が、内側アセンブリ206の全周ではなく、内側アセンブリ206の露出部分218(即ち、換言すれば、膜210によって覆われていない内側アセンブリ206の部分)に適用されるだけでよく、それによって、製造および組立工程が容易になることである。別の実施形態において、これらの突起は、内側アセンブリ206の遠位部分の全周に沿って適用され、このとき、膜210は、内側アセンブリ206の外周に配置され、溝は、露出部分218に沿ってのみ露出する。
【0078】
図6dは、膜210が、内側アセンブリ206の一部の周囲の外側に部分的に配置されて露出部分218を残し、更に、内側アセンブリ206に沿って、窪んだ、凹んだ、または引っ込んだ面220bを適用した断面を示している。また、面220bは、溝として考えることもできる。なお、露出部分218に沿って、2つ以上の窪んだ、凹んだ、または引っ込んだ面220bを適用可能であることに留意されたい。更に、窪んだ、凹んだ、または引っ込んだ面220bは、突出面(図6cに示す)と組み合わせることが可能であり、例えば、突出面を、窪んだまたは凹んだ面に隣接して、または近接して配置することができる。
【0079】
一例では、複数の溝(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、または12個)が、内側アセンブリ206の遠位部分の周囲に、周方向に等距離の間隔で形成される。一実施形態において、これらの溝は、内側アセンブリ206の露出部分218に沿ってのみ適用される。このような構成の1つの利点は、溝を生成する製造工程が、内側アセンブリ206の全周ではなく、内側アセンブリ206の露出部分218(即ち、換言すれば、膜210によって覆われていない内側アセンブリ206の部分)に適用されるだけでよく、それによって、製造および組立工程が容易になることである。別の実施形態において、これらの溝は、内側アセンブリ206の遠位部分の全周に沿って適用され、このとき、膜210は、内側アセンブリ206の外周に配置され、溝は、露出部分218に沿ってのみ露出する。
【0080】
一実施形態では、金属マンドレルまたはワイヤ70を、内側アセンブリ206の表面に沿って配置することにより、内側アセンブリ206の外面に沿って、1つまたは複数の長手方向の溝/窪んだ面が形成される。このとき、マンドレルまたはワイヤが、はんだごてを用い、加熱されて内側アセンブリ206の外面から内側に押し込まれる。はんだごては、マンドレルまたはワイヤの長さ方向に移動され、内側アセンブリ206内への均一な加熱および押し込みを確実に行う。溝が形成されると、マンドレルが取り外され、内側アセンブリ206の別の周方向部分に別の長手方向の溝を作るために(複数の溝が望ましい場合)再配置される。
【0081】
要素220の別の実施形態は、例えば、内側アセンブリ206の外面の様々な部分に、はんだごてまたは穿孔要素(例えば、ピン)を配置し、内側アセンブリ206の露出部分218の全域にわたって、いくつかの異なる面または構造を形成することによって生成される、1つもしくは複数のスポット状の凹部(即ち、窪んだ、凹んだ、または引っ込んだ面)、または1つもしくは複数のスポット状の突起を適用することができる。
【0082】
なお、カテーテルの表面に面の特徴(例えば、溝、窪み、隆起、突起、凹み、引っ込み部分など)を作り出すために提示される様々な実施形態は、バルーンの固着または接着を防止するための滑らかでない面を生成するために使用されるものであることに留意されたい。従って、これらの要素(例えば、溝、窪み、隆起、突起、凹み、引っ込み部分など)は、このような目的を達成するための、面の特徴、凹凸領域、変化のある形状もしくは外形を有した面、または実質的に滑らかでない面と見なすことができる。更に、これらの要素が、カテーテル(例えば、内側アセンブリ206)の表面から突出する場合、それらは、表面突起、表面隆起などと見なすことができる。これらの要素が、カテーテル(例えば、内側アセンブリ206)の表面から内側に入り込んでいる場合、それらは、表面の溝、表面の窪み、表面の凹み、表面の引っ込み部分などと見なすことができる。本明細書で説明するように、面の特徴により、バルーン200の内側部分と、内側アセンブリ206(例えば、内側アセンブリ206の露出部分218)との間の接触面積を減少させることによって、バルーンの固着または接着のリスクが低減または排除される。
【0083】
一実施形態において、膜210は、非粘着性であるか、または実質的に非粘着性であることで、バルーンが、その収縮状態において、膜に固着できないようにしている。一例において、膜210は、ePTFEで構成される。このようにして、バルーン202は、膜210の非粘着性と、膜210によって覆われていないギャップ部分218に沿って固着または接着を防止する要素220との両方によって、内側アセンブリ206の表面への固着が防止される。バルーンの固着に影響を及ぼす1つの要因は、バルーン202に接触する材料の相対的な柔らかさであり、従って、膜210は、バルーン202よりも硬質の材料から構成されることが好ましい。
【0084】
一実施形態において、膜210は、内側アセンブリ206の遠位端から、約1~50mm、5~30mm、5~15mm、5~10mm、または約7~8mmの長さに及ぶ。一例において、要素220(例えば、突起220a、窪み220b)は、内側アセンブリ206の遠位端から、約1~50mm、5~30mm、5~15mm、10~15mm、または約13mmの長さに及ぶ。これらの実施形態において、膜210および要素220は、バルーン202の全長に及ぶわけではない。理由の1つは、バルーンの固着が、一般的に、バルーンの遠位領域において、より問題となることである。カテーテルの遠位領域の柔軟性を増大させるために、内側アセンブリ206は(後述するように)、潜在的な固着の問題を生じさせるか、または当該問題に寄与する遠位端領域において、軟質ポリマ要素を使用する。更に、バルーン202の更に内側の部分(例えば、図5に示す結合位置202a~202dから更に離れた部分)は、バルーンが収縮状態にあるときに、必ずしも内側アセンブリ206の表面に対して直に接して、またはそれに隣接して静止している必要はなく、バルーンの固着または接着は、バルーン202の遠位領域に沿うことが、より大きな要因であることを意味する。
【0085】
別の実施形態では、バルーン202の実質的に全長、またはバルーン202の大部分に対応する内側アセンブリ206の表面に沿って、膜210および/または要素220を用いてもよい。膜210および/または要素220が、バルーン202の実質的に全長に沿って配置される場合、これは、図5に示すように、バルーン202が、近位側で外側アセンブリ204に結合され、遠位側で内側アセンブリ206に結合されるので、外側アセンブリ204より遠位側に配置される内側アセンブリ206の部分の実質的な全長に相当するものとなる。
【0086】
膜210は、多数の細孔(例えば、多孔質の構成を生成する多数の小さな細孔)を備え、これら細孔により、膜が、その下にあるチャネル212内にガスを通過させるのを可能にするという点で、別の重要な機能を果たし、このように、チャネル212は、パージ通路または脱気通路と見なすことができる。膜210の細孔は、下にあるチャネル内への気体の通過を許容する上で十分な大きさであるが、液体の通過を許容するには小さすぎる。このようにして、膜は、気体の通過を許容する一方、液体を保持し、これにより、使用者が、血管内処置の前に、バルーンの脱気またはガス抜きを行うことが可能となる。血管内処置のためのバルーンを準備するために、使用者が、膨張媒体(例えば、生理食塩水または造影剤)をバルーン内に送り、膨張媒体が、保持されていたなんらかの気体または空気を排出させるようにすると、この気体または空気は、細孔を通って、膜からチャネル212内へと押し出される。膨張媒体がバルーンを膨張させ始めると、使用者は、全ての空気または気体がバルーンから取り除かれたことが判り、その後、使用者は、シリンジプランジャを近位側に引っ張るか、または真空システムを使用し、バルーン202から膨張媒体を引き戻して、バルーンを収縮させることができる。
【0087】
チャネル212は、バルーンカテーテル200の遠位端まで完全に延びており(即ち、内側アセンブリ206の遠位端で開口している)、従って、チャネル212は、バルーンカテーテル200/バルーン202の遠位側に気体または空気が放出されるのを可能にする。別の例において、チャネル212は、遠位端より近位側の位置で終端するが、チャネル212が適用されている内側アセンブリ206の部分は、このチャネルがない内側アセンブリ206の遠位端部分よりもより厚くなっており(例えば、小さな凹んだ遠位端部分が、チャネル212が適用されている部分の遠位側に配置される)、これにより、チャネル212は、やはり、内側アセンブリ206からガスまたは空気を放出する。
【0088】
一例において、膜210は、約0.0006~0.0007インチの厚さ、および約0.4~0.6μmの孔径を有したePTFE層である。このサイズの範囲の細孔は、液体(例えば、生理食塩水または造影剤)の通過を妨げる一方、空気/気体の通過を許容する。適切なサイズの細孔を付与して膜を作り出すために、多くの異なる方法で、膜のポリマを処理することができる。好ましい一実施形態では、ポリマを延伸可能にするためにポリマを熱処理し、次に、ポリマを延伸して、その中にいくつかの細孔を生成し、次に、再加熱して特定の延伸形状に固定する。別の実施形態では、化学物質を使用し、この化学物質が、ポリマを貫通して浸食し、膜を生成する。別の実施形態では、電子紡糸プロセスを使用し、適切なサイズの細孔を有した蜘蛛の巣状の構造を生成することができる。別の実施形態において、膜は、多孔質発泡材である。
【0089】
膜210(例えば、ePTFE)は、上述したように、実質的に非粘着性であり、バルーン材には接着しない。バルーン202は、神経血管系の用途に有用な軟質材料から形成されるのが好ましい。一実施形態において、バルーン202は、ポリブレンド45Aまたはそれ以外のポリマのエラストマ材料から形成される。バルーン202は、約15mmまでの外径と、5~50mmの範囲の長さ、好ましくは10~20mmの範囲の長さとを有していてもよい。
【0090】
2つの柔軟な表面は、互いに固着または接着する傾向がある。バルーンカテーテル200は、内側アセンブリ206の遠位端部分に、軟質ポリマ材料(例えば、低密度ポリエチレン、または低デュロメータ硬度ペバックス)を用いた、より柔らかい遠位端部分を備えており、これは、内側アセンブリ206の外周面において、膜210の下に配置される。より柔らかい遠位面は、バルーンカテーテル200の遠位部分に沿って柔軟性を高めるのに役立つ。膜210(例えば、ePTFEを使用)は、内側アセンブリ206において下にある軟質ポリマ材料よりも少なくともわずかに硬く、この結果、膜210の増大した相対硬度に起因して、膜210とバルーン202との間の固着が抑制される。更に、膜210の細孔は、膜210の表面全体に多数の小さな不均一な要素を生成して、不均一な表面が形成され、膜210の固着防止への寄与を更に補助する。
【0091】
より柔らかい遠位端部分を内側アセンブリ206に用いること(例えば、低密度ポリエチレン、または低デュロメータ硬度ペバックスの遠位要素による)についての更なる利点は、内側アセンブリの遠位端が、バルーンカテーテル200の遠位端、即ち遠位末端となるので、先端がより柔らかくなるほど、バルーンカテーテル200が血管に与える可能性のある損傷が少なくなることである。このようにして、より柔らかい遠位端は、血管に対する外傷性がより少ないものとなる。
【0092】
図7は、バルーンカテーテル200の遠位部分の別の図であって、膜210およびパージ通路212を、より詳細に図示しており、右側は、バルーンカテーテル200の遠位側の部分を示す。内側アセンブリ206は、ポリマの内側ライナ226(例えば、PTFE)と、その上に重なる構造ポリマ層228とから構成される。膜210は、ポリマ層228の上に配置され、膜210の外面は、バルーン202の内面に面している。このようにして、バルーン202が膨張していないときには、当該バルーン202が膜210に接して静止しており、バルーン202が膨張すると、図7に示すような構成となる。バルーン202の遠方部分は、図7に示すように、膜210の遠位部分に接合されており、前述したように、バルーンは、近位側および遠位側が結合されている(例えば、近位側が、外側アセンブリ204の遠位部分に結合され、遠位側が内側アセンブリ206の遠位部分に結合されている)。
【0093】
細長いパージ通路、即ちチャネル212は、組立工程において、ポリマ層228内に細いマンドレルロッドを配置することによって形成される。組み立て後、マンドレルロッドは取り外され、図7に示す細長い通路212が残る。膜210が、ポリマ層228(細長い通路212を含む)の上に配置される。膜210は、前述したように、内側アセンブリ206のポリマ層228の外周の一部を包み込み、図6b~図6dに示すような、内側アセンブリ206の露出部分218に対応する円周方向のギャップを残す。
【0094】
一実施形態において、ポリマ層228は、比較的軟質の材料(例えば、低密度ポリエチレンまたは低デュロメータ硬度ペバックス)であり、これによって、ポリマ層228の上への、より硬質の膜210(例えば、より高いデュロメータ硬度のポリマ、またはより高密度のePTFE分子プロファイルを膜210に用いる場合)の追加は、極めて順応性のある/柔軟なバルーン202と内側アセンブリ206との間のあらゆる固着を低減する上で有用となる。
【0095】
一実施形態において、ポリマ層228は、より硬質の/より堅いポリマ(例えば、高密度ポリエチレンまたは高デュロメータ硬度ペバックス)であり、その後、バルーンカテーテル200の追従性を高めるべく、内側アセンブリ206の遠位領域に沿って柔軟性を高めるために、追加の軟質材料層(例えば、低密度ポリエチレンまたは低デュロメータ硬度ペバックス)が、内側アセンブリ206の遠位部分に沿って(例えば、膜210の下に重なる内側アセンブリ206の部分に沿って)、このポリマ層228の上に配置される。
【0096】
また、図7は、バルーンと、パージ通路、即ちチャネル212との間の導管として機能するパージポート224も示している。パージポート224は、ガスが、膜210の細孔を通過した後、パージ通路212に入って流動するときに、このガスをバルーンから逃がすための導管として機能する。
【0097】
前に示した実施形態(例えば、図6bに示す)は、膜210によって覆われていない部分におけるバルーンの固着または接着を防止する機構を設けるために、特に、膜210によって覆われていない内側アセンブリ206の露出部分内での要素220の適用について述べた。要素220は、前述したように、隆起面または突出面、窪んだ/溝状の/凹んだ/引っ込んだ面などを含む、様々な構成をとることができる。これらの要素220の別の実施形態では、表面へのバルーンの固着を阻止するための、凹凸のある、滑らかでない、または一様でない形状を生成するために、様々な構成を用いることができる。一実施形態では、コイル(例えば、コイル状金属)が、内側アセンブリ206の外面に配置され、後に取り除かれて、コイルの形状を外面にインプリント加工する。コイルは、直線的に配列された円形のインプリント加工部分、即ち螺旋状の溝を、当該コイルが配置されていた位置に残す。これにより、それまでコイルが配置されていた領域に、凹凸があって、跡が付いた、即ち引っ込んだ形状が生成され、隣接する領域に、隆起した、または突出した面(コイルが配置された領域よりも隆起している)が生成される。別の実施形態では、より複雑にインプリント加工された表面形状を生成するために、編組を使用することができる。上に重なる膜210(内側アセンブリ206の一部218のみが露出される)を備えることから、要素220は、内側アセンブリ206の露出部分218の全体に沿って、そして膜210の下にも配置されるが、要素220は単に露出され、従って、露出部分218に沿って固着または接着を抑制する機能的効果を提供する。
【0098】
一実施形態では、ワイヤが、内側アセンブリ206の外面の周囲に巻き付けられた後、加熱される。その後、熱収縮管材のチューブを、ワイヤの周囲に配置して熱を加え、チューブをワイヤの方に収縮させることによって、加熱されたワイヤを内側の管状要素の外面に押し付け、複数の溝を形成する。冷却されると、収縮したチューブが、内側アセンブリ206から外され、次に、ワイヤが取り除かれ、複数の溝が残る。次に、膜210が、内側アセンブリ206の一部に配置され、露出したギャップ部分218に位置する露出した溝付きの面が残る。
【0099】
一実施形態では、網目状の編組チューブを、同様の方法で使用して、異なるパターンを形成してもよい。内側アセンブリ206の遠位端が、編組チューブ内に配置され、この編組チューブが引き伸ばされて、内側アセンブリ206の周囲における直径が減少し、その後、編組チューブが、カテーテルの材料を軟化させる温度まで加熱される。次に、別の熱収縮チューブを適用し、編組チューブをカテーテルの内方に押圧し、内側アセンブリ206の外面に、パターン化された跡を形成することができる。その後、上述したように、膜210が、内側アセンブリ206の一部分の外周に配置される。
【0100】
別の実施形態では、内側アセンブリ206の遠位部分の全周に配置された膜210を用いることができる(例えば、それによって、内側アセンブリ206の露出部分218が存在しない)。バルーン202の内面に対する膜210の非粘着性により、バルーンの固着が防止されることになる。
【0101】
別の実施形態は、膜210の使用を完全に回避することができる。代わりに、これまでに示した実施形態で述べたような、長手方向の溝/窪み、長手方向の突起、スポット状の凹部、スポット状の突起、らせん状の溝、らせん状の突起などが、内側アセンブリ206の外側部分に沿って周方向に配置される。膜を使用せずに、内側アセンブリ206に沿って周方向に配置された1つ以上の長手方向の溝または窪みを用いるシステムの利点の1つは、これらの溝または窪みがバルーン202のかなりの長さに及ぶ場合に、遠位方向にバルーン202まで膨張流体(例えば、造影剤または薬剤)を移送するために、これら溝または窪みを使用することが可能となり、より均一なまたは安定した膨張プロセスを得る上で有用となることである。溝または窪み(例えば、220b)は、膨張流体の通過を可能にする溝付きの表面をもたらし、より多くの膨張流体がバルーンに加えられるにつれて、膨張流体が遠位側に押され、それにより、特にバルーンの遠位部分に沿って、より均一な膨張形状が確保される。一例では、バルーンから空気を除去するための準備作業中に、膨張媒体が、最初にバルーンを通って移送されて、バルーンからパージ通路212(前述して、図6aに示す)内に空気を押し出す。また、窪みは、空気を、バルーンカテーテル200の膜およびパージ通路212へと遠位方向に押し出して、バルーンから放出するための通路を形成することになる。
【0102】
これらの概念は、図6g~図6iに示されており、この場合、膜は使用されず、突起220aおよび窪み220bの様々な組み合わせが使用される。直線で構成された形状が示されているが、いくつかの実施形態(膜210を使用するものを含む)では、形状を、実質的に丸みを帯びたものとすることが可能であり、また尖ったものとすることもできる。より尖った形状220a,220bは、図6jに示されている。図6kは、内側アセンブリ206の表面全体にランダムに分散している複数のスポット状の突起220aおよびスポット状の凹部/窪み220bを示している。図6lは、最初にコイル236が内側アセンブリ206の表面の外側に配置され、その後、コイル236が除去され、コイル236の配置を写し取って、内側アセンブリ206の表面に沿う螺旋状の溝/窪みを残した、前述の構成を示している。
【0103】
なお、膜210を使用する場合であっても(この場合、突起220aまたは窪み220bは、内側アセンブリ206の露出部分218に沿って機能的な効果を有する)、窪み220bは、空気排出作業中における、空気の通過のための通路の提供、および内側アセンブリ206の露出部分218に沿う遠位方向への膨張流体の通過のための通路の提供において、依然として効果が得られ、従って、そのような処置上の利益も得られることに留意されたい。
【0104】
これまでの実施形態は、バルーンカテーテルにおけるバルーンの固着を抑制するための様々な機構を述べてきた。いくつかの実施形態では、これらの機構が、バルーンガイドカテーテルの一部として使用される。
【0105】
背景技術の項では、バルーンガイドカテーテルを構成する際の様々な困難のほか、そのようなシステムの利点について述べた。一般的に、バルーンカテーテルは、その外側にあるガイドカテーテルを通して送り込まれる。神経血管系の処置、または頚動脈もしくはその近傍での処置に使用する場合、ガイドカテーテルは、理想的には、頚動脈、特に内頚動脈の、より遠位の部分の非常に曲がりくねったU字状またはS字状の屈曲部分である頚動脈サイフォンを進んでいくことができなければならない。
【0106】
頸動脈サイフォンにより、神経血管系へのアクセスがもたらされる。ガイドカテーテルが、頸動脈サイフォンを進んでいく上で十分な柔軟性を有していないと、ガイドカテーテルは、この屈曲部分を進んでいくことができず、対象の治療位置まで誘導しようとするときに、より小さい処置カテーテル(例えば、マイクロカテーテル、遠位アクセスカテーテル、または処置用バルーンカテーテル)が保護されないままとなる可能性がある。
【0107】
ガイドカテーテルは、より大きく、より剛性が高いことから、より小さい処置カテーテルの支持を行うので、重要なものであるが、頸動脈サイフォンなどの曲がりくねった解剖学的構造を通って進んでいく上で十分な柔軟性を有していなければならない。また、ガイドカテーテルは、頸動脈サイフォンを進んでいくのに十分な柔軟性を有する一方で、血管系の曲がりくねった状態および脈動のもとで座屈しないように十分に強くなければならないし、ガイドカテーテルを通して送り込まれる小さいカテーテルの支持体として機能する上で十分に強くなければならない。
【0108】
バルーンガイドカテーテルの使用は、バルーンを有するガイドカテーテルを、より小さい処置カテーテル(例えば、マイクロカテーテル、遠位アクセスカテーテル、またはより小さい処置用バルーンカテーテルであって、バルーンガイドカテーテルを通して送り込まれるこの小さいカテーテルが、医療デバイス、または治療物質を送給するために、または吸引/吸入のための導管として使用される)のための支持構造およびアクセス用通路として使用することができるので、特に有利である。このとき、バルーンガイドカテーテルを使用して、処置部位の近位で血流停止を行うことが可能であり、バルーンカテーテルのルーメンを通して、より小さい処置カテーテルを配置した後、バルーンを使用して、例えば、近位の血流停止を行い、治療領域への血流を制限する。
【0109】
また、バルーンガイドカテーテルは、特定の処置に特に有利となることがある。例えば、血餅/血栓を回収するために用いられる吸引処置または血栓摘出処置の場合、バルーンガイドカテーテルを使用し、血餅/血栓回収処置が行われるときに処置部位への血流を制限するための近位シールを(バルーンを介して)得ることができる。バルーンガイドカテーテルの内側通路は、吸引のための導管となる更に小さなカテーテル(例えば、マイクロカテーテルまたは遠位アクセスカテーテル)、または処置を行う血栓摘出デバイスのための通路として使用される。
【0110】
図8は、バルーンガイドカテーテル300が、機械的血栓摘出デバイスを送り込むために使用される例を示している。当業者であれば理解するように、上述した実施形態の特質は、例えば、本明細書に開示するようなバルーンガイドカテーテルを含む、別のシステムに適用することが可能である。
【0111】
内側アセンブリ306の通路306aは、より小さい処置カテーテル330(例えば、図8の例ではマイクロカテーテル)のための通路として使用され、処置カテーテル330(例えば、マイクロカテーテル)は、血栓摘出デバイス334を収容している。一例において、血栓摘出デバイス334は、ステントのように構成されているが、血餅の捕捉に使用するステントリーバとしても知られているステント状デバイスであり、血餅または血栓を捕捉する大きさの開放した遠位端と、デバイスを治療部位に送り込む(即ち、血栓摘出デバイス334をマイクロカテーテル330から押し出す)ために使用されるデリバリプッシャ332に接続された閉じた近位端とを有する。バルーン302は、(図8に示すように)送り込み処置中に膨張させることが可能であるか、または処置カテーテル330(例えば、マイクロカテーテル)および血栓摘出デバイス334が、血餅/血栓回収処置を実施するために処置部位に送り込まれた後に膨張することが可能である。一例において、血栓摘出デバイスは、米国特許第9211132号に記載されたデバイスのように、血餅または血栓に係合するために使用される複数の係合部材を備えており、当該米国特許は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0112】
例示的な一実施形態において、処置カテーテル330は、吸引のための導管として機能し、その結果、吸引/真空源(例えば、真空ポンプ)が、処置カテーテル330の近位側に連結され、処置位置で血餅/血栓を吸引する。バルーンガイドカテーテル300は、神経血管系の領域にアクセスするために、頸動脈サイフォンの少なくとも一部を介して(そして、必要に応じて通過して)誘導される。次に、処置カテーテル330(例えば、マイクロカテーテル、遠位アクセスカテーテル、またはより小さなバルーンカテーテル)が、バルーンガイドカテーテル300の内側通路306aを介して対象の治療位置まで誘導される。バルーンガイドカテーテル300のバルーン302は、近位血流停止を生じさせ、対象の治療部位への血流を制限するために膨張され、次に、処置カテーテル330が吸引処置を実施するために使用されることにより、血餅または血栓が処置カテーテル330内に吸入または吸引される。
【0113】
血管閉塞コイル、液体塞栓、塞栓または薬物含有ビーズ/マイクロスフェア、塞栓メッシュステントなど、様々なデバイスを、処置カテーテル330を通して送り込むことができるので、上述した例は、例示的に使用するものである。一実施形態において、処置カテーテル330は、より小さなバルーンカテーテルであり、バルーンガイド330が、頸動脈サイフォンの近傍で近位血流停止を生じさせることができると共に、バルーンガイドカテーテル300を通って送り込まれるこのより小さいバルーンカテーテルが、より処置位置に近い位置で血流停止を生じさせる。
【0114】
前述の例のいくつかでは、バルーンガイドカテーテル300のバルーン302を介した近位血流停止の使用について述べてきた。これは、いくつかの理由で有用である。バルーン302の膨張は、膨張したバルーンでカテーテル300の周りの領域を満たすか、または閉塞し、遠位に流れる血液にとっての流れの防壁として機能する。バルーンガイドカテーテル300が治療位置の近位側(例えば、頸動脈の近傍、即ち、例えば、頸動脈サイフォンまたはその周辺)に配置されている際の、治療位置における処置カテーテル330は、バルーンガイドカテーテル300のバルーン302が膨張すると、対象の治療位置への血流の制限を助長する。このような血流の制限は、例えば、回収処置中(例えば、血餅または血栓が、機械的血栓摘出デバイスによる吸引または回収の際に断片化する可能性がある場合)における更に下流側への血餅/血栓の移動を防止するのに有用である。このように、血流停止は、回収処置中に、血餅または血栓が更に下流側に移動または追い出されるのを防止する上で有用である。
【0115】
バルーンガイドカテーテル300のバルーン302の膨張による血流停止は、別の処置においても有用である。例えば、バルーンガイドカテーテル300自体は、吸引に使用することが可能であり、この場合、内側アセンブリ306は、吸引/真空のための導管として機能し、吸引が内側アセンブリ通路306aを介してなされる。このような処置は、例えば、より遠位およびより小さい神経血管系領域ではなく、頸動脈サイフォンの近位側または僅かに遠位側に、血餅または血栓が位置する場合(例えば、バルーンガイドカテーテル300を容易に追従させることができる場合)に使用することができる。このようにして、バルーン302は、バルーンガイドカテーテル300自体を用いて吸引処置が行われる場合に、吸引処置のためのすぐ近位の血流の防壁をもたらす。
【0116】
別の目的(例えば、血管閉塞コイルまたはメッシュの送給、液体塞栓送給、塞栓/薬物含有ビーズの送給など)のために、処置カテーテル330が、バルーンガイドカテーテル300を通って送り込まれるような別の処置では、バルーン302が、処置部位の近傍での近位血流停止をもたらし、送給処置中に、処置カテーテル330を介して送給される治療物質が血液によって押し出されないようにするのを補助する。このようにして、処置の間、バルーン302は、処置中に必要に応じて膨張され、治療物質が処置カテーテル330を介して送給された後、処置カテーテル330がバルーンガイドカテーテル330内に引き込まれ、バルーンガイドカテーテル300のバルーン302が収縮し、バルーンガイドカテーテル300が、その位置から引き抜かれる。
【0117】
適切に機能するバルーンガイドカテーテルの必要な特性は、これまでに説明した。これらの特性には、血管系(例えば、頸動脈サイフォン)の、より曲がりくねった解剖学的構造を通過する上で十分な柔軟性が含まれると共に、バルーンガイドカテーテルを通して送り込まれる更に小さいカテーテル(例えば、マイクロカテーテルおよび遠位アクセスカテーテル)のための通路として機能する上で十分な強度を有することが含まれる。
【0118】
バルーンカテーテルに必要とされる追加の機構(例えば、膨張ルーメン、バルーン)により、一般的なガイドカテーテルと比較して、バルーンガイドカテーテルの剛性が大幅に増大する可能性があり、バルーンおよびバルーンの膨張に必要な材料を含むことから、従来のガイドカテーテルよりもかなり堅くなる可能性があるという点で、独特の構成上の課題が生じる。バルーンガイドカテーテルの剛性を低下させ、柔軟性を増大させるために、特定の特徴を用いることができる。例えば、これまでに示した実施形態で述べたように、バルーンカテーテルに、低密度ポリエチレンまたは低デュロメータ硬度ペバックスといった、より柔らかい遠位ポリマ部分を備えることである。しかしながら、より柔らかい機構を備えることは、(例えば、バルーン302自体が柔らかいので)バルーンの固着をもたらす可能性がある。従って、上述した実施形態で説明した機構(例えば、いくつかの構成が図6a~6cに示される)を用いて(例えば、膜210や、内側アセンブリ206の表面に沿って配置された要素220の使用により)、バルーンの固着の問題を軽減することは、使用可能なバルーンガイドカテーテルを構成するのに有用である。
【0119】
一実施形態において、バルーンガイドカテーテル300は、外径が約0.09インチ~0.12インチのサイズであり、内側アセンブリの内径よりも小さいカテーテルを収容するようなサイズで、約0.08インチ~0.09インチのサイズの内径(内側アセンブリ306の通路306aのサイズを意味する)を有した内側アセンブリを有する。なお、示したサイズは、対象となる特定の血管系領域(例えば、血管系の頸動脈サイフォンの領域を進んでいく場合)に有用であるが、バルーンガイドカテーテルは、必要に応じて大きさを増減することができることに留意されたい。
【0120】
バルーンガイドカテーテル300の内側アセンブリ306の通路306aは、後続のもの(例えば、医療デバイス、吸引、治療物質など)を送給するために使用可能な処置カテーテル330(例えば、マイクロカテーテルまたは遠位アクセスカテーテルなど、より小さいカテーテル)のための導管として使用される際に、特定の機能を有する。一例において、処置カテーテル330は、遠位アクセスカテーテルであり、このとき、この遠位アクセスカテーテルは、後続のもの(例えば、医療デバイス、吸引、治療物質など)の送給のために使用される更に小さいカテーテル(例えば、マイクロカテーテル)のための導管として使用される。一例では、遠位アクセスカテーテル自体が、後続のもの(例えば、医療デバイス、吸引、治療物質など)の送給のために使用される。
【0121】
一例において、バルーンガイドカテーテル300の内側アセンブリ306の通路306aは、まず、ガイドカテーテルを治療位置(例えば、頸動脈サイフォン領域)の近傍まで誘導するために使用される小さなアクセスワイヤであるガイドワイヤのための導管として使用される。一例において、バルーンガイドカテーテルは、頸動脈サイフォンに固定されるか、または頸動脈サイフォンを越えて遠位側に固定され、ガイドワイヤが、この領域を通過して治療位置まで誘導され、処置カテーテル330が、ガイドワイヤ上を治療位置まで誘導される。その後、ガイドワイヤが除去される。
【0122】
様々な実施形態で、使用または処置の方法が示される。一実施形態において、方法は、使用者が、血管系の頸動脈サイフォン領域の少なくとも一部の中をたどってバルーンガイドカテーテルを移動させるステップと、バルーンガイドカテーテルの内側アセンブリまたは内側通路、およびバルーンガイドカテーテルの遠位部分を通して、処置カテーテル(例えば、マイクロカテーテルまたは遠位アクセスカテーテル)を治療部位に配置するステップと、バルーンガイドカテーテルのバルーンを膨張させて、対象の治療部位の近位に血流停止をもたらすステップと、処置カテーテルを使用して処置を実行するステップとを備える。様々な実施形態において、処置は、吸引、機械的血栓摘出、または塞栓送給とすることが可能であり、処置カテーテルは、吸引、機械的血栓摘出デバイス、または塞栓材のための導管である。機械的血栓摘出デバイスは、血餅回収デバイスまたはステントリーバとすることができる。塞栓材は、液体塞栓、塞栓メッシュ、または塞栓/血管閉塞コイルからなるものとすることができる。一実施形態において、この方法は、バルーンガイドカテーテルの内側通路の中をたどってガイドワイヤを移動させるステップと、ガイドワイヤを使用して、バルーンガイドカテーテルを特定の位置に誘導するステップと、その後、ガイドワイヤを使用して、処置カテーテルを治療位置(例えば、治療位置は、バルーンガイドカテーテルの位置より遠位側にある場合)に誘導するステップとを更に備える。ガイドワイヤは、対象の治療位置に到達したら、引っ込められる。
【0123】
一実施形態において、方法は、血管系の頸動脈サイフォン領域の少なくとも一部に、バルーンガイドカテーテルを通して誘導するか、または追従させるステップと、バルーンガイドカテーテルのバルーンを膨張させるステップと、バルーンガイドカテーテルの内側通路を使用して、血管処置を行うステップとを備える。一実施形態において、血管処置は、血餅または血栓の吸引であり、吸引、吸入、または真空が、バルーンガイドカテーテルの内側通路を介してもたらされる。
【0124】
バルーンガイドカテーテルは、上述したように、内頚動脈の頚動脈サイフォンのような曲がりくねった屈曲部を進んでいくのに特に有用である。頸動脈サイフォンは、神経血管系動脈につながっていることから、神経血管系にアクセスするために進んでいく必要がある屈曲したまたは曲がりくねった部分である。内頚動脈は、いくつかのセグメントで構成されている。近位側(神経血管系から離れていく側)から遠位側(神経血管系の方に向かう側)への方向で、これらのセグメントは、頸部セグメント(C1)、錐体セグメント(C2)、破裂孔セグメント(C3)、海綿体セグメント(C4)、床突起セグメント(C5)、眼動脈セグメント(C6)、およびC7(連絡セグメント)を含む。頸動脈サイフォンは、海綿体セグメント(C4)の遠位部分に沿って位置し、床突起セグメント(C5)は、頸動脈サイフォンに対して遠位側に位置する。
【0125】
頸動脈サイフォンを進んでいく能力を有したバルーンガイドカテーテルについて述べると、このことは、海綿体セグメントを通って頸動脈サイフォン領域まで進んでいくことが可能であり、従って、少なくとも内頸動脈の海綿体セグメント、即ちC4セグメントを通って進んでいく能力を有することを意味する。血管のサイズおよびバルーンガイドカテーテルに付随する柔軟性(例えば、柔軟性を増大のための様々な方法を述べた実施形態)に応じ、使用者は、バルーンガイドカテーテルを、例えば、床突起C5セグメント、または場合によっては眼動脈C6セグメントおよび連絡セグメントC7をも含む、より遠位の領域まで、中をたどらせて移動させることが可能となり得る。言い換えれば、バルーンガイドカテーテルは、場合によっては、血管系の、より遠位の領域において使用することが可能である。同様に、本明細書で示す実施形態は、必要に応じ、サイズを大きくしたり小さくしたりして、より大きな動脈や、より小さな動脈において動作可能なバルーンガイドカテーテルまたはバルーンカテーテルを構成することができる。
【0126】
いくつかの例において、バルーンガイドカテーテル300は、C1~C4セグメントなど、内頸動脈の別のセグメント内で処置に使用することができる。
【0127】
本明細書において前述したように、使用方法は、内頸動脈などの血管系の様々な部分を進んでいくことのほか、内頸動脈の関連する部分を進んでいって、バルーンガイドカテーテルを配置することと理解することができる。このように、使用者が、頸動脈サイフォンの少なくとも一部を通して、バルーンガイドカテーテルまたはバルーンカテーテルを配置する場合、頸動脈サイフォンが、海綿状C4セグメントに沿って位置しているので、C1~C3セグメントと、このC4セグメントの少なくともかなりの部分とを通して、カテーテルを進めていくことが必然的に伴うことになる。
【0128】
一実施形態において、血管処置を実施する方法は、内頚動脈を通し、内頚動脈の海綿体セグメントを通し、頚動脈サイフォンの少なくとも一部を通して、バルーンガイドカテーテルを進めていくステップと、バルーンを膨張させるステップと、バルーンガイドカテーテルの内側通路を用いて血管処置を実施するステップとを備える。一実施形態において、方法は、バルーンガイドカテーテルの内側通路に処置カテーテルを通すステップと、処置カテーテルを用いて処置(例えば、デバイスの送給または吸引)を実行するステップとを更に備える。一実施形態において、処置は、バルーンガイドカテーテルの近傍で吸引を行うために、バルーンガイドカテーテルの内側通路を用いるステップを備える。一実施形態において、本明細書に記載のステップは、バルーンカテーテルを用いて使用することができる。一実施形態において、バルーンガイドカテーテルまたはバルーンカテーテルは、バルーンの固着を抑制するための要素(例えば、膜210および/または要素220)を用いる。一実施形態において、本明細書に記載の方法は、内頚動脈の別のセグメント(例えば、C1、C2、またはC3、C5、C6、またはC7セグメント)に沿って処置を行うために用いられる。処置が、海綿体C4セグメントを越えて遠位側(例えば、C5~C7セグメント)で行われる場合、この処置は、頸動脈サイフォンを完全に通してカテーテルを進めていくステップを備える。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法は、バルーンガイドカテーテルまたはバルーンカテーテルを、血管系のいずれかの曲がりくねった部分を通して進めていくことが可能であり、カテーテルは、これに対応してサイズを定め、目標を定める(例えば、十分なレベルの強度および柔軟性を持たせる)ことができる。
【0129】
なお、頸動脈サイフォンが神経血管系に通じることを考えると、頸動脈サイフォンを進んでいくバルーンガイドカテーテルを有すること、およびバルーンガイドカテーテルの通路が、処置を実行するために使用される処置カテーテル(例えば、マイクロカテーテルまたは遠位アクセスカテーテル)のための導管として使用されている間に、(膨張したバルーンを介して)血流停止をもたらすことができることに、特に有用性があることに留意されたい。一例において、処置カテーテル(例えば、遠位アクセスカテーテル)は、神経血管系内の、より遠位の領域(バルーンガイドカテーテルの位置の遠位を意味する)で吸引を実行するために使用され、バルーンガイドカテーテルの膨張したバルーンが、対象領域への血流の減少を補助することによって、処置の実行を支援する。一例では、バルーンガイドカテーテルの通路自体が、バルーンガイドカテーテルの近傍での吸引処置を実行するために使用される。このような後者の例は、例えば、バルーンガイドカテーテルが進んでいくことが可能な領域(例えば、内頚動脈のC1~C5、C3~C5、またはC4~C5セグメント)に、血餅または血栓が位置する場合に、有用である。
【0130】
なお、本明細書では、固着を抑制する方法と、有用なバルーンガイドカテーテルを作成するために、これらの概念を用いる方法に主に焦点を当ててきたが、これらの概念は、より有用なバルーンカテーテルを作成するために、別のバルーンカテーテル(例えば、バルーンガイドカテーテルだけでなく)にも適用可能であることに留意されたい。従って、論じられるバルーンカテーテルは、様々な場面で使用するために本明細書で提示する着想を組み込み、必要に応じて、より大きいサイズや、より小さいサイズとすることができる。
【0131】
特定の実施形態および用途に関して本発明を説明したが、当業者であれば、本教示に照らして、特許請求される発明の真意から逸脱することなく、または特許請求される発明の範囲を超えることなく、更なる実施の形態および変形例を生成することが可能であろう。従って、図面および本明細書の記載は、本発明の理解を容易にするために一例として提供されるものであって、本発明の範囲を限定するものであると解釈されるべきでないことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図6g
図6h
図6i
図6j
図6k
図6l
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-07-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
図6i】一実施形態による、複数の突出面および複数の窪んだ面を適用したバルーンカテーテルの断面を示す図である。
図6j】一実施形態による、複数の突起および複数の窪みを適用したバルーンカテーテルの断面を示す図である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張ルーメンを有する外側アセンブリと、
前記外側アセンブリの長さ方向に延在し、前記外側アセンブリを越えて遠位側に延びる内側アセンブリと、
近位側が前記外側アセンブリに接続されると共に、遠位側が前記内側アセンブリに接続され、前記外側アセンブリの前記膨張ルーメンに連通するバルーンと、
前記内側アセンブリの遠位部分を覆うように配置された層であって、前記内側アセンブリが、当該層によって覆われていない露出部分を有するように、前記内側アセンブリの前記遠位部分の周囲に部分的に配置された層とを備え、
前記内側アセンブリの前記露出部分は、1つもしくは複数の表面突起、または1つもしくは複数の表面窪みを備える、
バルーンカテーテル。
【請求項2】
前記1つもしくは複数の表面突起、または前記1つもしくは複数の表面窪みは、前記内側アセンブリの前記露出部分に沿って長手方向に延在する、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項3】
前記1つもしくは複数の表面突起、または前記1つもしくは複数の表面窪みは、前記内側アセンブリの前記露出部分を越えて長手方向に延在する、請求項2に記載のバルーンカテーテル。
【請求項4】
前記1つもしくは複数の表面突起、または前記1つもしくは複数の表面窪みは、1つまたは複数の溝を備え、前記1つまたは複数の溝は、前記内側アセンブリの外周の周りに長手方向に配置されている、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項5】
前記1つもしくは複数の表面突起、または前記1つもしくは複数の表面窪みは、前記内側アセンブリの前記露出部分に沿って周方向に延在する、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項6】
前記1つもしくは複数の表面突起、または前記1つもしくは複数の表面窪みは、前記内側アセンブリの外側部分に沿って配置された1つまたは複数の隆起を備える、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項7】
前記内側アセンブリの前記露出部分は、前記1つまたは複数の表面突起、および前記1つまたは複数の表面窪みの両方を備え、前記1つまたは複数の表面突起は、前記1つまたは複数の表面窪みに隣接している、請求項6に記載のバルーンカテーテル。
【請求項8】
前記層は、実質的に非粘着性の膜である、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項9】
前記1つもしくは複数の表面突起、または前記1つもしくは複数の表面窪みは、前記内側アセンブリの外側部分に沿って配置された1つまたは複数の凹みを備える、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項10】
前記は、気体の通過を許容する一方、液体の通過を阻止する大きさの複数の細孔を備える、請求項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項11】
前記は、細長いパージ通路の径方向外側に配置され、前記細長いパージ通路は、前記内側アセンブリ内に位置し、前記バルーンからガスを放出するように構成される、請求項に記載のバルーンカテーテル。
【請求項12】
前記バルーンは、近位側が前記外側アセンブリの外面に結合されるか、または前記外側アセンブリの内壁に沿って結合される、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項13】
前記バルーンは、遠位側が前記内側アセンブリの外面に結合される、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項14】
前記バルーンは、近位側が第1の位置および第2の位置で前記外側アセンブリに結合されると共に、遠位側が第3の位置および第4の位置で前記内側アセンブリに結合され、前記バルーンは、前記第1の位置、前記第2の位置、前記第3の位置、および前記第4の位置では膨張しない、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項15】
前記1つもしくは複数の表面窪みは、前記内側アセンブリの表面にインプリント加工されたコイルまたはメッシュから形成される、請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【国際調査報告】