(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(54)【発明の名称】MAGL阻害剤の結晶形態
(51)【国際特許分類】
C07D 295/205 20060101AFI20230113BHJP
A61K 31/495 20060101ALI20230113BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20230113BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20230113BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230113BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20230113BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20230113BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20230113BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230113BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
C07D295/205 CSP
A61K31/495
A61P19/02
A61P25/08
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/24
A61P25/22
A61P29/00 101
A61P25/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527893
(86)(22)【出願日】2020-11-12
(85)【翻訳文提出日】2022-07-01
(86)【国際出願番号】 US2020060261
(87)【国際公開番号】W WO2021097107
(87)【国際公開日】2021-05-20
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591143065
【氏名又は名称】ハー・ルンドベック・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141195
【氏名又は名称】西澤 恵美子
(72)【発明者】
【氏名】グライス,シエリル エー.
(72)【発明者】
【氏名】バザード,ダニエル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シャガフィ,マイケル ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,ニコル エス.
(72)【発明者】
【氏名】ロペス デ ディエゴ,ヘイディ
(72)【発明者】
【氏名】サーケルセン,フランス デニス
(72)【発明者】
【氏名】クヌーセン,イダ マリー ブロッズガード
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC50
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA03
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA06
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA16
4C086ZA96
4C086ZB15
(57)【要約】
MAGL阻害剤2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の新規な結晶形態が本明細書に記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態。
【請求項2】
前記結晶形態が、以下の2θ角:10.36、16.45、16.71、19.66、21.85、及び24.93°でピークを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸形態Aである、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項3】
前記結晶形態が、以下の2θ角:5.75、11.08、12.50、15.21、17.58、及び20.06°でピークを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸形態Cである、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項4】
前記結晶形態が、以下の2θ角:6.12、12.26、12.44、13.42、18.46、及び19.26°でピークを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸形態Dである、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項5】
前記結晶形態が、以下の2θ角:10.25、15.41、16.29、16.55、19.56、及び24.72°でピークを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸形態Eである、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項6】
前記結晶形態が、以下の2θ角:8.84、14.74、15.95、17.42、20.70、及び22.71°でピークを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸水和物である、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項7】
前記結晶形態が、以下の2θ角:7.13、9.03、12.16、18.09、18.47、及び18.89°でピークを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸ナトリウム塩一水和物形態である、請求項1に記載の結晶形態。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又は薬学的に許容される塩の結晶形態と、1つ以上の薬学的に許容される担体又は希釈剤とを含む医薬組成物。
【請求項9】
医薬として使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態。
【請求項10】
疼痛、てんかん/発作性疾患、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、ハンチントン病、多発性硬化症、強迫性障害、パーキンソン病、うつ病、外傷後ストレス障害、全般不安症、持続性運動性チック障害、持続性音声チック障害、及びジストニアから選択される疾患又は障害の治療に使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又は薬学的に許容される塩の結晶形態。
【請求項11】
急性疼痛、炎症性疼痛、癌性疼痛、慢性疼痛、末梢神経障害に起因する疼痛、中枢性疼痛、複合性局所疼痛症候群、線維筋痛症、片頭痛、鎌状赤血球症における血管閉塞性疼痛危機、多発性硬化症に関連する痙縮若しくは疼痛、過敏性腸症候群に関連する腹痛、機能性胸痛、関節リウマチ、変形性関節症、身体表現性障害、又は機能性ディスペプシアからなるリストから選択される、疼痛の治療に使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態。
【請求項12】
中枢性疼痛の治療に使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態。
【請求項13】
急性反復性発作、側頭葉てんかん、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群又はアンジェルマン症候群の治療に使用するための、請求項1~7のいずれか一項に記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態。
【請求項14】
疼痛、てんかん/発作性疾患、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、ハンチントン病、多発性硬化症、強迫性障害、パーキンソン病、うつ病、外傷後ストレス障害、全般不安症、持続性運動性チック障害、持続性音声チック障害、及びジストニアから選択される疾患又は障害の治療のための方法であって;それを必要とする患者への、治療有効量の、請求項1~7のいずれか一項に記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態の投与を含む方法。
【請求項15】
疼痛、てんかん/発作性疾患、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、ハンチントン病、多発性硬化症、強迫性障害、パーキンソン病、うつ病、外傷後ストレス障害、全般不安症、持続性運動性チック障害、持続性音声チック障害、及びジストニアから選択される疾患又は障害の治療のための医薬の製造における、請求項1~7のいずれか一項に記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドカンナビノイド系シグナル伝達活性の調節に関連すると考えられる様々な疾患及び障害の治療に使用するためのモノアシルグリセロールリパーゼ(MAGL)阻害剤である2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態に関する。さらに、本発明は、エンドカンナビノイド系シグナル伝達活性の調節に関連すると考えられる様々な疾患及び障害の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸、又はその薬学的に許容される塩に関する。
【背景技術】
【0002】
モノアシルグリセロールリパーゼ(MAGL)は、セリンヒドロラーゼスーパーファミリーのメンバーである。MAGLは、脳、ニューロン中、ミクログリア、星状膠細胞、及び乏突起膠細胞全体にわたって発現される。MAGLは、2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)からアラキドン酸(AA)への分解を制御する主要な酵素である(Blankman et al.Chem Biol.2007;Nomura et al.Science.2011)。
【0003】
2-AGは、脳内で最も豊富なエンドカンナビノイドリガンドであり、脳内で、それは、シナプス前CB1受容体の活性化によって過剰な神経伝達を低減するために逆行性伝達物質として働き(Kano et al.Physiol Rev.2009;Katona and Freund.Physiol Rev.2009)、ミクログリアCB2受容体の活性化によって免疫応答を調節し(Turcotte et al.Cell Mol Life Sci.2016)、例えば、乏突起膠細胞産生及び生存に対するその効果によって、神経保護を促進する(Ilyasov et al.Front Neurosci.2018)。
【0004】
AAは、脳内の最も豊富な脂肪酸の1つであり、公知の炎症性メディエータであるプロスタノイド及びロイコトリエンなどのエイコサノイドの主要な前駆体である。
【0005】
MAGLは、エンドカンナビノイド及びエイコサノイドシグナル伝達系の間の分岐点にある。MAGLの作用又は活性化の阻害は、病理学的特徴が、過剰な神経伝達、神経炎症又は神経変性を含む脳障害、例えば、アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、ハンチントン病(HD)、多発性硬化症(MS)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、外傷性脳損傷、脳卒中、てんかん、疼痛、片頭痛、中毒、不安症、うつ病及び他のストレス関連疾患の予防又は治療のための有望な治療法である(Grabner et al.Pharmacol Ther.2017;Mulvihill et al.Life Sci.2013;Gil-Ordonez et al.Biochem Pharmacol.2018)。有望な医薬品の薬物候補を指定するために、さらなる開発のために好適な候補を選択するために、薬物候補が、多形形態並びにこれらの形態の熱力学的安定性を有するかどうかを理解することが重要であり得る。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の第1の態様において、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が提供される。
【0007】
本発明のさらなる態様において、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態と、1つ以上の薬学的に許容される担体又は希釈剤とを含む医薬組成物が提供される。
【0008】
本発明のさらなる態様において、疼痛、てんかん/発作性疾患、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、ハンチントン病、多発性硬化症、強迫性障害、パーキンソン病、うつ病、外傷後ストレス障害、全般不安症、持続性運動性チック障害、持続性音声チック障害、及びジストニアから選択される疾患又は障害の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が提供される。
【0009】
本発明のさらなる態様において、疼痛、てんかん/発作性疾患、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、ハンチントン病、多発性硬化症、強迫性障害、パーキンソン病、うつ病、外傷後ストレス障害、全般不安症、持続性運動性チック障害、持続性音声チック障害、及びジストニアなどの疾患又は障害の治療のための方法であって;治療有効量の、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態の投与を含む方法が提供される。
【0010】
本発明のさらなる態様において、疼痛、てんかん/発作性疾患、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、ハンチントン病、多発性硬化症、強迫性障害、パーキンソン病、うつ病、外傷後ストレス障害、全般不安症、持続性運動性チック障害、持続性音声チック障害、及びジストニアから選択される疾患又は障害の治療のための医薬の製造における、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態の使用が提供される。
【0011】
本明細書に記載される化合物、方法、及び組成物の他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、本開示の趣旨及び範囲内の様々な変形及び変更が、この詳細な説明から当業者に明らかになるため、詳細な説明及び特定の例が、特定の実施形態を示しながら、例示として示されるに過ぎないことが理解されるべきである。本明細書において使用される項の見出しは、組織化のためのものであるに過ぎず、記載される主題を限定するものと解釈されるべきではない。限定はされないが、特許、特許出願、論文、書籍、説明書、及び専門書を含む、本出願において引用される全ての文献、又は文献の部分は、あらゆる目的のために、全体が参照により本明細書に明示的に援用される。
【0012】
参照による援用
本明細書に記載される全ての刊行物及び特許出願は、該当し、関連する範囲で、参照により本明細書に援用される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】化合物(I)形態AのX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。X軸:°2θ;Y軸:強度(カウント)。
【
図2】化合物(I)形態Aの熱重量分析(TGA)サーモグラムを示す。X軸:温度(℃);Y軸:重量(%)。
【
図3】化合物(I)形態Aの示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す:X軸:温度(℃);熱流量(正規化された)(W/g)。
【
図4】化合物(I)形態CのX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。X軸:°2θ Y軸:強度(カウント)。
【
図5】化合物(I)形態Cの熱重量分析(TGA)サーモグラムを示す。X軸:温度(℃);Y軸:重量(%)。
【
図6】化合物(I)形態Cの示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す:X軸:温度(℃);熱流量(正規化された)(W/g)。
【
図7】化合物(I)形態DのX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。X軸:°2θ;Y軸:強度(カウント)。
【
図8】化合物(I)形態Dの熱重量分析(TGA)サーモグラムを示す。X軸:温度(℃);Y軸:重量(%)。
【
図9】化合物(I)形態Dの示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す:X軸:温度(℃);熱流量(正規化された)(W/g)。
【
図10】化合物(I)形態EのX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。X軸:°2θ;Y軸:強度(カウント)。
【
図11】化合物(I)形態Eの熱重量分析(TGA)サーモグラムを示す。X軸:温度(℃);Y軸:重量(%)。
【
図12】化合物(I)形態Eの示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す:X軸:温度(℃);熱流量(正規化された)(W/g)。
【
図13】化合物(I)形態Eの示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す:X軸:温度(℃);25℃~130℃の温度範囲(主要ピーク前)内の熱流量(正規化された)(W/g)。
【
図14】化合物(I)水和物のX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。X軸:°2θ;Y軸:強度(カウント)。
【
図15】化合物(I)水和物の熱重量分析(TGA)サーモグラムを示す。X軸:温度(℃);Y軸:重量(%)。
【
図16】化合物(I)水和物の動的水蒸気吸着(DVS)吸着速度プロットを示す。X軸:時間(分);Y軸(左側):質量の変化(%);Y軸(右側):相対湿度(%)。
【
図17】化合物(I)水和物の示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す:X軸:温度(℃);熱流量(正規化された)(W/g)。
【
図18】化合物(I)Na.H
2OのX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。X軸:°2θ;Y軸:強度(カウント)。
【
図19】化合物(I)Na.H
2Oの熱重量分析(TGA)サーモグラムを示す。X軸:温度(℃);Y軸:重量(%)。
【
図20】化合物(I)Na.H
2Oの示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムを示す。X軸:温度(℃);Y軸:正規化された熱流量(W/g)。
【
図22】化合物(I)Na.H
2Oの偏光顕微鏡法。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において化合物(I)として示される化合物、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸は、構造:
【化1】
を有する。
【0015】
化合物(I)は、50nM以下のIC50を示すMAGL阻害剤である。実験プロトコルは、実施例14に見られ得る。
【0016】
本発明は、化合物(I)の結晶形態、及びエンドカンナビノイド系シグナル伝達活性の調節に関連すると考えられる様々な疾患及び障害を治療するための化合物の使用に関する。本発明はさらに、「化合物(I)形態A」、「化合物(I)形態C」、「化合物(I)形態D」、「化合物(I)形態E」、及び「化合物(I)水和物」として本明細書に記載される化合物(I)の結晶形態を提供する。これらは、化合物(I)の遊離形態である。「遊離形態」という用語は、非塩形態の化合物(I)を指す。「水和物」という用語は、化合物(I)を含有するだけでなく、結晶格子に組み込まれた水の分子も含有する物質を指す。化合物(I)のさらなる結晶形態は、本明細書にさらに記載され、ここで、化合物(I)は、結晶性の薬学的に許容される塩の形態である。薬学的に許容される塩という用語は、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属塩基、水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩基、リジン及びアルギニンなどのアミノ酸、並びにトリメチルアミン、トリエチルアミンなどの有機塩基などの、無機及び/又は有機塩基とともに形成される塩を含む。
【0017】
「化合物(I)Na.H2O」として示される化合物(I)のナトリウム塩一水和物形態が、本明細書にさらに記載される。
【0018】
本発明の一実施形態において、化合物(I)Na.H2Oは、以下の構造:
【化2】
を有する。
【0019】
化合物(I)に関連して「薬学的に許容される塩」という用語は、それが投与される哺乳動物に対する大きな刺激を引き起こさず、化合物の生物学的活性及び特性を実質的に損なわない、化合物(I)の塩を指す。
【0020】
特に記載されない限り、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又は薬学的に許容される塩の結晶形態への言及が、溶媒付加形態(溶媒和物)を含むことが理解されるべきである。溶媒和物は、化学量論量又は非化学量論量のいずれかの溶媒を含有し、水(例えば水和物)、エタノール、メタノール、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)、ジイソプロピルエーテル(DIPE)、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、イソプロピルアルコール、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ニトロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、ジクロロメタン(DCM)、ジオキサン、ヘプタン、トルエン、アニソール、アセトニトリルなどの薬学的に許容される溶媒を用いて、生成物形成又は単離のプロセス中に形成される。水和物は、溶媒が水である場合、又は環境からの水の吸収によって形成され得る。
【0021】
何らかの特定の理論によって制約されることを意図するものではないが、特定の固体形態が、医薬品及び治療剤形に適切な、異なる物理的及び化学的特性、例えば、安定性、溶解性及び溶解速度を有する。さらに、何らかの特定の理論によって制約されることを望むものではないが、特定の固体形態が、固体剤形の製造に好適な特定の固体形態を作製する特定のプロセス(例えば、産出、ろ過、洗浄、乾燥、粉砕、混合、錠剤化、流動性、溶解、製剤化、及び凍結乾燥)に影響を及ぼす異なる物理的及び化学的特性(例えば、密度、圧縮性、硬度、形態、切断、粘着性、溶解性、吸水、電気的特性、熱挙動、固体反応性、物理的安定性、及び化学的安定性)を有する。このような特性は、本明細書に記載されるように及び当該技術分野において公知であるように、固体状態分析技術(例えば、X線回折、顕微鏡検査法、分光法及び熱分析)を含む特定の分析化学技術を用いて決定され得る。DSC分析は、化合物(I)形態Aが、60℃まで最も安定した遊離形態である一方、化合物(I)形態Dが、より高い温度でより熱力学的に安定していることを示した。
【0022】
定義
特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、権利請求される主題が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。上記の一般的な説明及び以下の詳細な説明が、例示的及び説明的なものであるに過ぎず、権利請求される主題を限定するものではないことが理解されるべきである。本出願において、単数形の使用は、特に記載されない限り、複数を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される際、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈上特に明記されない限り、複数の指示対象を含むことが留意されなければならない。本出願において、「又は」の使用は、特に記載されない限り、「及び/又は」を意味する。さらに、「含む(including)」という用語並びに「含む(include)」、「含む(includes)」、及び「含まれる(included)」などの他の形態の使用は、限定的なものではない。
【0023】
本明細書において使用される際、製剤、組成物又は成分に関して、「許容される」又は「薬学的に許容される」という用語は、治療される対象の全体的な健康に持続的な有害作用を与えないか、又は化合物の生物学的活性若しくは特性を損なわず、比較的無毒であることを意味する。
【0024】
本明細書において使用される際、特定の化合物又は医薬組成物の投与による、特定の疾患、障害又は病態の症状の「改善」は、化合物若しくは組成物の投与に起因するか若しくは関連付けられ得る、永続的か若しくは一時的か、持続的か若しくは一過性かにかかわらない、重症度の低下、発症の遅延、進行の減速、又は期間の短縮を指す。
【0025】
本明細書において使用される際の「共投与」などの用語は、単一の患者への選択された治療剤の投与を含むことを意味し、薬剤が、同じ若しくは異なる投与経路によって、又は同じ若しくは異なる時点で投与される治療計画を含むことが意図される。
【0026】
本明細書において使用される際の「有効量」又は「治療有効量」という用語は、治療される疾患又は病態の症状の1つ以上をある程度軽減する、投与される薬剤又は化合物の十分な量を指す。結果は、疾患の兆候、症状、若しくは原因の減少及び/又は軽減、或いは生体系の任意の他の所望の変化であり得る。例えば、治療的使用のための「有効量」は、過度の有害な副作用なしに疾患の症状の臨床的に有意な減少を提供するのに必要とされる本明細書に開示される化合物を含む組成物の量である。任意の個々の場合の適切な「有効量」は、用量漸増試験などの技術を用いて決定され得る。「治療有効量」という用語は、例えば、予防的に有効な量を含む。本明細書に開示される化合物の「有効量」は、過度の有害な副作用なしに所望の薬理学的効果又は治療的改善を達成するのに有効な量である。「有効量」又は「治療有効量」が、化合物(I)の代謝、対象の年齢、体重、全体的な健康、治療される病態、治療される病態の重症度、及び処方医師の判断の変化により、対象ごとに変化し得ることが理解される。単なる例として、治療有効量は、限定はされないが、用量漸増臨床試験を含む日常的な実験によって決定され得る。
【0027】
本明細書において使用される際の酵素の「阻害する(inhibits)」、「阻害する(inhibiting)」、又は「阻害剤(inhibitor)」という用語は、酵素活性の阻害を指す。
【0028】
本明細書において使用される際の「単離された」という用語は、対象としない成分から対象とする成分を分離及び除去することを指す。単離された物質は、乾燥若しくは半乾燥状態、又は限定はされないが、水溶液を含む溶液中のいずれかにあり得る。単離された成分は、均質な状態であり得、又は単離された成分は、さらなる薬学的に許容される担体及び/若しくは賦形剤を含む医薬組成物の一部であり得る。
【0029】
本明細書において使用される際の「調節する(modulate)」という用語は、単なる例として、標的の活性を高め、標的の活性を阻害し、標的の活性を制限し、又は標的の活性を拡大することを含む、標的の活性を変化させるように、直接又は間接的に標的と相互作用することを意味する。
【0030】
本明細書において使用される際、「調節剤(modulator)」という用語は、分子の活性を変化させる化合物を指す。例えば、調節剤は、調節剤の非存在下での活性の大きさと比較して、分子の特定の活性の大きさの増加又は減少を引き起こし得る。特定の実施形態において、調節剤は、阻害剤であり、これは、分子の1つ以上の活性の大きさを減少させる。特定の実施形態において、阻害剤は、分子の1つ以上の活性を完全に防止する。特定の実施形態において、調節剤は、活性化剤であり、これは、分子の少なくとも1つの活性の大きさを増加させる。特定の実施形態において、調節剤の存在は、調節剤の非存在下で生じない活性をもたらす。
【0031】
本明細書において使用される際の「予防的に有効な量」という用語は、治療される疾患、病態又は障害の症状の1つ以上をある程度軽減する、患者に適用される組成物の量を指す。このような予防的用途において、このような量は、患者の健康状態、体重などに依存し得る。限定はされないが、用量漸増臨床試験を含む日常的な実験によってこのような予防的に有効な量を決定することが、当業者の技能の十分範囲内であると考えられる。
【0032】
本明細書において使用される際の「対象」という用語は、治療、観察又は実験の対象である動物を指す。単なる例として、対象は、限定はされないが、限定はされないが、ヒトを含む哺乳動物であり得る。一実施形態において、対象は、ヒトである。
【0033】
本明細書において使用される際、「標的活性」という用語は、選択的な調節剤によって調節されることが可能な生物学的活性を指す。特定の例示的な標的活性としては、限定はされないが、結合親和性、シグナル伝達、酵素活性、腫瘍増殖、炎症又は炎症関連プロセス、及び疾患又は病態に関連する1つ以上の症状の改善が挙げられる。
【0034】
本明細書において使用される際の「治療する(treat)」、「治療する(treating)」又は「治療(treatment)」という用語は、疾患若しくは病態の症状を軽減、抑制若しくは改善すること、さらなる症状を防ぐこと、症状の根本的な代謝上の原因を改善若しくは防止すること、疾患若しくは病態を阻害すること、例えば、疾患若しくは病態の発生を停止させること、疾患若しくは病態を軽減すること、疾患若しくは病態の退縮を引き起こすこと、疾患若しくは病態によって引き起こされる病態を軽減すること、又は疾患若しくは病態の症状を停止させることを含む。「治療する(treat)」、「治療する(treating)」又は「治療(treatment)」という用語は、限定はされないが、予防的及び/又は治療的処置を含む。
【0035】
本明細書において使用される際、IC50は、MAGLの阻害などの最大応答の50%阻害を、このような応答を測定するアッセイにおいて達成する、特定の試験化合物の量、濃度又は投与量を指す。
【0036】
本明細書において使用される際、EC50は、特定の試験化合物によって誘導、誘発又は促進される特定の応答の最大発現の50%で用量依存的応答を引き起こす、特定の試験化合物の投与量、濃度又は量を指す。
【0037】
本発明の実施形態
以下において、本発明の実施形態が開示される。第1の実施形態は、E1と示され、第2の実施形態は、E2と示されるなどである。
【0038】
E1.2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態。
【0039】
E2.結晶形態が、以下の特性:
a)
図1に示されるのと実質的に同じXRPDパターンを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるX線粉末回折(XRPD);
b)以下の2θ角:10.36、16.45、16.71、19.66、21.85、及び24.93°として特性ピークを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)
図2に記載されるものと実質的に同様の熱重量分析(TGA);又は
d)それらの組合せ
の少なくとも1つを有する2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸形態Aである、実施形態1に記載の結晶形態。
【0040】
E3.前記結晶形態が、以下の2θ角:10.36、16.45、16.71、19.66、21.85、及び24.93°でピークを示すCuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する、実施形態E2に記載の結晶形態。
【0041】
E4.前記結晶形態が、
図1に示されるのと実質的に同じXRPDパターンを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する、実施形態E2に記載の結晶形態。
【0042】
E5.結晶形態が、
図2に記載されるものと実質的に同様の熱重量分析(TGA)を有する、実施形態E2に記載の結晶形態。
【0043】
E6.結晶形態が、以下の特性:
a)
図4に示されるのと実質的に同じXRPDパターンを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるX線粉末回折(XRPD);
b)以下の2θ角:5.75、11.08、12.50、15.21、17.58、及び20.06°として特性ピークを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)
図5に記載されるものと実質的に同様の熱重量分析(TGA);又は
d)それらの組合せ
の少なくとも1つを有する2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸形態Cである、実施形態E1に記載の結晶形態。
【0044】
E7.前記結晶形態が、以下の2θ角:5.75、11.08、12.50、15.21、17.58、及び20.06°でピークを示すCuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する、実施形態E6に記載の結晶形態。
【0045】
E8.前記結晶形態が、
図4に示されるのと実質的に同じXRPDパターンを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する、実施形態E6に記載の結晶形態。
【0046】
E9.結晶形態が、
図5に記載されるものと実質的に同様の熱重量分析(TGA)を有する、実施形態E6に記載の結晶形態。
【0047】
E10.結晶形態が、以下の特性:
a)
図7に示されるのと実質的に同じXRPDパターンを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるX線粉末回折(XRPD);
b)以下の2θ角:6.12、12.26、12.44、13.42、18.46、及び19.26°として特性ピークを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)
図8に記載されるものと実質的に同様の熱重量分析(TGA);又は
d)それらの組合せ
の少なくとも1つを有する2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸形態Dである、実施形態E1に記載の結晶形態。
【0048】
E11.前記結晶形態が、以下の2θ角:6.12、12.26、12.44、13.42、18.46、及び19.26°でピークを示すCuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する、実施形態E10に記載の結晶形態。
【0049】
E12.前記結晶形態が、
図7に示されるのと実質的に同じXRPDパターンを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する、実施形態E10に記載の結晶形態。
【0050】
E13.結晶形態が、
図8に記載されるものと実質的に同様の熱重量分析(TGA)を有する、実施形態E10に記載の結晶形態。
【0051】
E14.結晶形態が、以下の特性:
a)
図10に示されるのと実質的に同じXRPDパターンを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるX線粉末回折(XRPD);
b)以下の2θ角:10.25、15.41、16.29、16.55、19.56、及び24.72°として特性ピークを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)
図11に記載されるものと実質的に同様の熱重量分析(TGA);又は
d)それらの組合せ
の少なくとも1つを有する2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸形態Eである、実施形態E1に記載の結晶形態。
【0052】
E15.前記結晶形態が、以下の2θ角:10.25、15.41、16.29、16.55、19.56、及び24.72°でピークを示すCuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する、実施形態E14に記載の結晶形態。
【0053】
E16.前記結晶形態が、
図10に示されるのと実質的に同じXRPDパターンを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する、実施形態E14に記載の結晶形態。
【0054】
E17.結晶形態が、
図11に記載されるものと実質的に同様の熱重量分析(TGA)を有する、実施形態E14に記載の結晶形態。
【0055】
E18.結晶形態が、以下の特性:
a)
図14に示されるのと実質的に同じXRPDパターンを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるX線粉末回折(XRPD)パターン;
b)以下の2θ角:8.84、14.74、15.95、17.42、20.70、及び22.71°として特性ピークを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)
図15に記載されるものと実質的に同様の熱重量分析(TGA);又は
d)それらの組合せ
の少なくとも1つを有する2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸水和物である、実施形態E1に記載の結晶形態。
【0056】
E19.前記結晶形態が、以下の2θ角:8.84、14.74、15.95、17.42、20.70、及び22.71°でピークを示すCuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する、実施形態E18に記載の結晶形態。
【0057】
E20.前記結晶形態が、
図14に示されるのと実質的に同じXRPDパターンを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する、実施形態E18に記載の結晶形態。
【0058】
E21.結晶形態が、
図15に記載されるものと実質的に同様の熱重量分析(TGA)を有する、実施形態E18に記載の結晶形態。
【0059】
E22.結晶形態が、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸のアルカリ金属塩である、実施形態E1に記載の結晶形態。
【0060】
E23.薬学的に許容される塩が、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸のナトリウム塩である、実施形態E22に記載の結晶形態。
【0061】
E24.前記ナトリウム塩が、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸のナトリウム塩の一水和物である、実施形態E23に記載の結晶形態。
【0062】
E25.2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸の前記ナトリウム塩一水和物形態が、以下の構造:
【化3】
を有する、実施形態E23~E24に記載の結晶形態。
【0063】
E26.結晶形態が、以下の特性:
a)
図18に示されるのと実質的に同じXRPDパターンを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるX線粉末回折(XRPD);
b)以下の2θ角:7.13、9.03、12.16、18.09、18.47、及び18.89°として特性ピークを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるX線粉末回折(XRPD)パターン;
c)
図19に記載されるものと実質的に同様の熱重量分析(TGA);
d)
図20に記載されるものと実質的に同様のDSCサーモグラム;
e)約130℃で開始を有する吸熱を有するDSCサーモグラム;又は
f)a)~e)の2つ以上
の少なくとも1つを有する2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸ナトリウム塩一水和物形態である、実施形態E1及び実施形態E22~E25に記載の結晶形態。
【0064】
E27.前記結晶形態が、以下の2θ角:7.13、9.03、12.16、18.09、18.47、及び18.89°でピークを示すCuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する、実施形態E26に記載の結晶形態。
【0065】
E28.前記結晶形態が、
図18に示されるのと実質的に同じXRPDパターンを示すCuK
α1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する、実施形態E26に記載の結晶形態。
【0066】
E29.結晶形態が、
図19に記載されるものと実質的に同様の熱重量分析(TGA)を有する、実施形態E26に記載の結晶形態。
【0067】
E30.結晶形態が、約130℃で開始を有する吸熱を有するDSCサーモグラムを有する、実施形態E26に記載の結晶形態。
【0068】
E31.結晶形態が、実質的に純粋である、実施形態E1~E30に記載の結晶形態。
【0069】
E32.結晶形態の純度が、95%以上、約96%以上、約97%以上、約98%以上、約98.5%以上、約99%以上、約99.5%以上、又は約99.8%以上である、実施形態E1~E31に記載の結晶形態。
【0070】
E33.実施形態E1~E32のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態と、1つ以上の薬学的に許容される担体又は希釈剤とを含む医薬組成物。
【0071】
E34.医薬として使用するための、実施形態E1~E32のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態。
【0072】
E35.疼痛、てんかん/発作性疾患、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、ハンチントン病、多発性硬化症、強迫性障害、パーキンソン病、うつ病、外傷後ストレス障害、全般不安症、持続性運動性チック障害、持続性音声チック障害、及びジストニアから選択される疾患又は障害の治療に使用するための、実施形態E1~E32のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態。
【0073】
E36.障害がてんかん/発作性疾患である、実施形態E35に記載の治療に使用するための、実施形態E1~E32のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態。
【0074】
E37.てんかん/発作が、急性反復性発作、側頭葉てんかん、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群及びアンジェルマン症候群から選択される、実施形態E36に記載のてんかん/発作の治療に使用するための、実施形態E1~E32のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態。
【0075】
E38.多発性硬化症の治療に使用するための、実施形態E1~E32のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態。
【0076】
E39.1つ以上の症状が、疲労、痙縮、うつ病、行動障害、易刺激性・興奮、及び疼痛から選択される、実施形態E38に記載の多発性硬化症の1つ以上の症状の治療に使用するための、実施形態E1~E32のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態。
【0077】
E40.障害が、急性疼痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、癌性疼痛、慢性疼痛、末梢神経障害に起因する疼痛、中枢性疼痛、複合性局所疼痛症候群、線維筋痛症、片頭痛、鎌状赤血球症における血管閉塞性疼痛危機(vasoocclussive painful crises)、多発性硬化症に関連する痙縮若しくは疼痛、過敏性腸症候群に関連する腹痛、機能性胸痛、関節リウマチ、変形性関節症、身体表現性障害、又は機能性ディスペプシアから選択される疼痛である、実施形態E35に記載の疼痛の治療に使用するための、実施形態E1~E32のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態。
【0078】
E41.疼痛が神経因性疼痛である、実施形態E40に記載の疼痛の治療に使用するための、実施形態E1~E32のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態。
【0079】
E42.神経因性疼痛が、脊髄損傷における神経因性疼痛及び頸部ジストニアにおける神経因性疼痛から選択される、実施形態E41に記載の神経因性疼痛の治療に使用するための、実施形態E1~E32のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態。
【0080】
E43.疼痛が中枢性疼痛である、E40に記載の疼痛の治療に使用するための、実施形態E1~E32のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態。
【0081】
E44.疼痛が線維筋痛症である、E40に記載の疼痛の治療に使用するための、実施形態E1~E32のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態。
【0082】
E45.疼痛が片頭痛である、E40に記載の疼痛の治療に使用するための、実施形態E1~E32のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態。
【0083】
E46.片頭痛が、慢性片頭痛及び片まひ性片頭痛の予防から選択される、実施形態E45に記載の片頭痛の治療に使用するための、実施形態E1~E32のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態。
【0084】
E47.障害が、多発性硬化症、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、及び筋萎縮性側索硬化症から選択される、実施形態E35に記載の障害の治療に使用するための、実施形態E1~E32のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態。
【0085】
E48.疼痛、てんかん/発作性疾患、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、ハンチントン病、多発性硬化症、強迫性障害、パーキンソン病、うつ病、外傷後ストレス障害、全般不安症、持続性運動性チック障害、持続性音声チック障害、及びジストニアから選択される疾患又は障害の治療のための方法であって;それを必要とする患者への、治療有効量の、実施形態E1~E32のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態の投与を含む方法。
【0086】
E49.疼痛、てんかん/発作性疾患、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、ハンチントン病、多発性硬化症、強迫性障害、パーキンソン病、うつ病、外傷後ストレス障害、全般不安症、持続性運動性チック障害、持続性音声チック障害、及びジストニアから選択される疾患又は障害の治療のための医薬の製造における、実施形態E1~E32のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態の使用。
【0087】
E50.2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態。
【0088】
E51.結晶形態が、以下の2θ角:10.36、16.45、16.71、19.66、21.85、及び24.93°でピークを示すCuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸形態Aである、実施形態E50に記載の結晶形態。
【0089】
E52.結晶形態が、以下の2θ角:5.75、11.08、12.50、15.21、17.58、及び20.06°でピークを示すCuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸形態Cである、実施形態E50に記載の結晶形態。
【0090】
E53.結晶形態が、以下の2θ角:6.12、12.26、12.44、13.42、18.46、19.26°でピークを示すCuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸形態Dである、実施形態E50に記載の結晶形態。
【0091】
E54.結晶形態が、以下の2θ角:10.25,15.41、16.29、16.55、19.56、及び24.72°でピークを示すCuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸形態Eである、実施形態E50に記載の結晶形態。
【0092】
E55.結晶形態が、以下の2θ角:8.84、14.74,15.95,17.42、20.70、及び22.71°でピークを示すCuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸水和物である、実施形態E50に記載の結晶形態。
【0093】
E56.結晶形態が、以下の2θ角:7.13、9.03、12.16、18.09、18.47、及び18.89°でピークを示すCuKα1線(λ=1.5406Å)を用いて得られるXRPDによって特徴付けられる結晶形態を有する2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸ナトリウム塩一水和物形態である、実施形態E50に記載の結晶形態。
【0094】
E57.実施形態E50~E56のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態と、及び1つ以上の薬学的に許容される担体又は希釈剤とを含む医薬組成物。
【0095】
E58.医薬として使用するための、実施形態E50~E56のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態。
【0096】
E59.疼痛、てんかん/発作性疾患、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、ハンチントン病、多発性硬化症、強迫性障害、パーキンソン病、うつ病、外傷後ストレス障害、全般不安症、持続性運動性チック障害、持続性音声チック障害、及びジストニアから選択される疾患又は障害の治療に使用するための、実施形態E50~E56のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又は薬学的に許容される塩の結晶形態。
【0097】
E60.疼痛、てんかん/発作性疾患、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、ハンチントン病、多発性硬化症、強迫性障害、パーキンソン病、うつ病、外傷後ストレス障害、全般不安症、持続性運動性チック障害、持続性音声チック障害、及びジストニアから選択される疾患又は障害の治療のための方法であって;それを必要とする患者への、治療有効量の、実施形態E50~E56のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態の投与を含む方法。
【0098】
E61.疼痛、てんかん/発作性疾患、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、ハンチントン病、多発性硬化症、強迫性障害、パーキンソン病、うつ病、外傷後ストレス障害、全般不安症、持続性運動性チック障害、持続性音声チック障害、及びジストニアから選択される疾患又は障害の治療のための医薬の製造における、実施形態E50~E56のいずれかに記載の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態の使用。
【0099】
医薬組成物
上記の化合物又は薬学的に許容される塩は、単独の有効成分として又は他の有効成分と組み合わせて、組成物中にあり得る。さらに、1つ以上の薬学的に許容される担体又は希釈剤は、組成物中にあり得る。
【0100】
医薬組成物は、経口、直腸、経鼻、経肺、局所(口腔及び舌下を含む)、経皮、嚢内、腹腔内、膣内及び非経口(皮下、筋肉内、髄腔内、静脈内及び皮内を含む)経路などの任意の好適な経路による投与のために特に製剤化され得、経口経路が好ましい。好ましい経路が、治療される対象の全身状態及び年齢、治療される病態の性質及び選択される有効成分に依存することが理解されるであろう。
【0101】
経口投与用の医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、糖衣錠、丸薬、トローチ剤、粉剤及び顆粒剤などの固体剤形を含む。適切な場合、それらは、コーティングとともに調製され得る。
【0102】
経口投与用の液体剤形は、液剤、乳剤、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤を含む。
【0103】
非経口投与用の医薬組成物は、滅菌水性及び非水性注射用溶液、分散液、懸濁剤又は乳剤並びに使用前に滅菌注射用溶液又は分散液で再構成される滅菌粉剤を含む。
【0104】
他の好適な投与形態は、坐薬、スプレー、軟膏、クリーム、ゲル、吸入剤、皮膚パッチ、インプラントなどを含む。
【0105】
好都合には、本発明の化合物は、約0.1~500mg、例えば、1mg、2mg、4mg、6mg、8mg、10mg、20mg、30mg、40mg、50mg 100mg、150mg、200mg又は250mgの本発明の化合物の量で、前記化合物を含有する単位剤形中で投与される。
【0106】
非経口投与の場合、滅菌水溶液、水性プロピレングリコール、水性ビタミンE又はゴマ油若しくはピーナッツ油中の本発明の化合物の溶液が用いられ得る。このような水溶液は、必要に応じて好適に緩衝され、液体希釈剤が、まず、十分な生理食塩水又はグルコースで等張にされるべきである。水溶液は、静脈内、筋肉内、皮下及び腹腔内投与に特に好適である。用いられる滅菌水性培地は全て、当業者に公知の標準的な技術によって容易に入手可能である。
【0107】
好適な医薬担体は、不活性な固体希釈剤又は充填剤、滅菌水溶液及び様々な有機溶媒を含む。固体担体の例は、ラクトース、白土、スクロース、シクロデキストリン、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸及びセルロースの低級アルキルエーテルである。液体担体の例は、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、リン脂質、脂肪酸、脂肪酸アミン、ポリオキシエチレン及び水である。その後、本発明の化合物及び薬学的に許容される担体を組み合わせることによって形成される医薬組成物は、開示される投与経路に好適な様々な剤形で容易に投与される。
【0108】
経口投与に好適な本発明の製剤化は、所定の量の有効成分をそれぞれ含有し、好適な賦形剤を含み得る、カプセル剤又は錠剤などの別個の単位として提供され得る。さらに、経口投与可能な製剤は、粉剤若しくは顆粒剤、水性若しくは非水性液体中の溶液若しくは懸濁液、又は水中油型若しくは油中水型液体エマルジョンの形態であり得る。
【0109】
固体担体が、経口投与に使用される場合、製剤は、例えば、粉末若しくはペレット形態で硬ゼラチンカプセルに入れられた錠剤又はトローチ若しくは舐剤の形態であり得る。固体担体の量は、変化し得るが、通常、約25mg~約1gである。
【0110】
液体担体が使用される場合、製剤は、シロップ、乳剤、軟ゼラチンカプセル又は水性若しくは非水性液体懸濁液若しくは溶液などの滅菌注射用液体の形態であり得る。
【0111】
錠剤は、有効成分を、通常の補助剤及び/又は希釈剤と混合した後、従来の打錠機中で混合物を圧縮することによって調製され得る。補助剤又は希釈剤の例は、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、滑石、ステアリン酸マグネシウム、ゼラチン、ラクトース、ガムなどを含む。着色剤、着香剤、保存料などのこのような目的のために通常使用される任意の他の補助剤又は添加剤は、それらが有効成分と適合性であれば使用され得る。
【0112】
治療のための条件
本発明の化合物は、MAGL阻害剤が治療的に有益であり得る、エンドカンナビノイド系シグナル伝達活性の調節に関連する疾患及び障害の治療のために意図される。上述されるように、本発明の化合物は、病理学的特徴が、過剰な神経伝達、神経炎症又は神経変性を含む適応症において有益であり得る。
【0113】
したがって、一実施形態において、医薬として使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が、本明細書に開示される。
【0114】
さらなる実施形態において、疼痛、てんかん/発作性疾患、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、ハンチントン病、多発性硬化症、強迫性障害、パーキンソン病、うつ病、外傷後ストレス障害、全般不安症、持続性運動性チック障害、持続性音声チック障害、及びジストニアから選択される疾患又は障害の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が、本明細書に開示される。
【0115】
てんかん及び発作の治療
Sugaya et al.による論文、Cell Rep.2016において、2-AGが、発作を抑制するのに重要であることが示唆されている。したがって、別の実施形態において、てんかん/発作性疾患の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が、本明細書に開示される。さらに、エンドカンナビノイド(endocannobinoid)シグナル伝達を標的とすることが、自閉症スペクトラム障害における症状を治療するための潜在的な方法であることが、Yeh et al.,Perspectives on the Role of Endocannabinoids in Autism Spectrums Disorders,OBM Neurobiol.2017によって示唆されている。
【0116】
さらなる実施形態において、急性反復性発作、側頭葉てんかん、ドラベ症候群、レノックス・ガストー症候群又はアンジェルマン症候群の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が、本明細書に開示される。
【0117】
疼痛の治療
一実施形態において、急性疼痛、炎症性疼痛、癌性疼痛、慢性疼痛、末梢神経障害に起因する疼痛、中枢性疼痛、複合性局所疼痛症候群、線維筋痛症、片頭痛、鎌状赤血球症における血管閉塞性疼痛危機、多発性硬化症に関連する痙縮若しくは疼痛、過敏性腸症候群に関連する腹痛、機能性胸痛、関節リウマチ、変形性関節症、身体表現性障害、又は機能性ディスペプシアから選択される疼痛の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が、本明細書に開示される。
【0118】
一実施形態において、神経因性疼痛の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が、本明細書に開示される。
【0119】
一実施形態において、脊髄損傷における神経因性疼痛及び頸部ジストニアにおける神経因性疼痛から選択される神経因性疼痛の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が、本明細書に開示される。
【0120】
中枢性疼痛
中枢性疼痛は、中枢神経系の病変又は機能障害によって引き起こされる神経因性疼痛、例えば、脳卒中後、多発性硬化症、視神経脊髄炎、特発性炎症性横断性脊髄炎、脊髄損傷、上腕橈骨(brachial-radial)疼痛症候群、及び中心頭蓋(central craniofacial)疼痛である。エキソカンナビノイドは、多発性硬化症に関連する中枢性疼痛における活性を示した。CB1アゴニストΔ-9-テトラヒドロカンナビノール及びカンナビジオール(別の大麻由来アルコール)を含有する口腔粘膜スプレー、THC/CBDを用いた、MS及び中枢性疼痛についての4週間のランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間試験は、活性薬剤が、疼痛(NRS-11)及び睡眠障害の平均強度を低下させる際、プラセボより優れていたことを示した(Rog et al.,Neurology.2005)。同じTHC/CBD製剤が、2段階設計を用いて、中枢神経因性疼痛を有するMS患者のより大きな群において試験され;この試験の第2の段階において、治療不成功までの時間(主要エンドポイント)は、統計的に、THC/CBDに有利に働き、疼痛NRS-11及び睡眠の質の改善についても同様であった(Langford et al.,J Neurol.2013)。さらに、THCに構造的に関連する合成CB1アゴニストであるナビロンは、MS誘導性中枢神経因性疼痛において有効性を示した(Turcotte et al.,Pain Med.2015)。中枢性疼痛におけるエキソカンナビノイドの試験は、活性を示し、これは、MAGL阻害剤がまた、中枢性疼痛の治療において有効性を有し得ることを示唆している。したがって、一実施形態において、中枢性疼痛の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が、本明細書に開示される。
【0121】
線維筋痛症
線維筋痛症(FM)は、拡散性の身体疼痛及び圧力異痛症の存在によって特徴付けられる一般的な慢性の特発性の疾患である。デュロキセチン及びプレガバリンは、FMにおける疼痛の治療のために特異的に標識され、アミトリプチリンのような三環系抗うつ薬は、FM治療には特異的に標識されないが、第一選択薬剤である。FMについて明確に病理学的に理解されておらず、実証された前臨床モデルがない。しかしながら、FMにおけるエキソカンナビノイドの試験は、活性を示し、これは、MAGL阻害剤がまた、FMの治療において有効性を有し得ることを示唆している。疼痛の尺度(例えば、NRS-11、疼痛VAS)、及びFMによって影響されたいくつかの日常生活動作の制限を測定する線維筋痛影響質問票(FIQ)は、FM臨床試験において薬物の活性を実証した(Burckhardt et al.,J Rheumatol.1991);Mease et al.,J Rheumatol.2008)。疼痛、凝り、幸福感、リラクゼーション及び眠気などの一連の疾患症状に対する大麻の効果を特定するために、スペイン人の大麻使用者及び非使用者のFM患者の調査が行われ;認められた緩和は、疼痛、睡眠障害、凝り、気分障害及び不安症について共通であった(Fiz,PLoS One,2011,6(4),e18440)。8週間の40人の患者の試験において、プラセボと比較して、エキソカンナビノイドナビロンは、10cmのVASで測定された疼痛を改善し、不安症のFIQ範囲及びFIQ合計スコアを改善した(Skrabek et al.,J Pain.2008)。31人の患者の試験において、アミトリプチリンと比較して、ナビロンは、睡眠指数(不眠重症度指数)を改善し、疼痛の尺度(McGill Pain Questionnaire)及びFIQについて非劣性であると判断された(Ware,Anesth Analg,2010,110(2),604-10)。したがって、一実施形態において、線維筋痛症の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が、本明細書に開示される。
【0122】
片頭痛
片頭痛は、頭及び顔面の疼痛の一般的な突発性障害である。片頭痛発作は、NSAIDs、アセトアミノフェン、様々なトリプタン(例えば、スマトリプタン)、及び制吐薬で迅速に治療され得るが、一部の片頭痛患者は、既存の治療選択肢に反応しない疼痛を有する。データは、エンドカンナビノイド経路が、片頭痛に関連し得ることを示唆する。慢性片頭痛及び推定される鎮痛剤乱用頭痛を有する患者において、CSFサンプルは、健康な対照と比較して、より高いレベルのエンドカンナビノイドパルミトイルエタノールアミド及びより低いレベルのアナンダミドを示した(Sarchielli et al.,Neuropsychopharmacology.2007)。さらに、片頭痛の一次診断を受けた、医学的な大麻を使用する診療所に通う患者のレトロスペクティブチャートレビューによれば、大麻治療を開始した後に片頭痛の頻度の減少が見られ(Rhyne et al.,Pharmacotherapy.2016)、これは、MAGL阻害剤がまた、片頭痛の治療において有効性を有し得ることを示唆している。したがって、一実施形態において、片頭痛の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が、本明細書に開示される。
【0123】
さらなる実施形態において、慢性片頭痛及び片まひ性片頭痛の予防の処置に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が、本明細書に開示される。
【0124】
神経変性疾患
一実施形態において、多発性硬化症、パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、及び筋萎縮性側索硬化症から選択される障害の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が、本明細書に開示される。
【0125】
多発性硬化症の対症療法
全ての亜型のほぼ全てのMS患者は、痙縮、疼痛、睡眠障害、膀胱機能障害、及び疲労の1つ以上の症状を有する。疾患修飾治療は、症状を改善しない。痙縮は、MS患者の80%超に影響を及ぼし;34%は、中程度、重度、又は完全な痙縮を有する。重度の痙縮は、ケアのコスト及びレベルに関連し、独立して、MSにおける生活の質に関連している。2つの最近の概説は、MS痙縮及び疼痛の治療のためのエキソカンナビノイドの使用を支持している(Whiting et al.,JAMA.2015);Hill et al.,JAMA.2015)。
【0126】
エキソカンナビノイド製剤は、MSに関連する痙縮のための承認された治療薬である。CB1アゴニストTHC及び別の大麻植物由来アルコール、カンナビジオールの口腔粘膜スプレー混合物であるSativexは、自己報告された痙縮関連症状を減少させることが示された。ランダム化治療中止設計を用いたSativexの主試験において、痙れん頻度、痙縮による睡眠障害、対象の変化の全般的印象、介護者の変化の全般的印象、及び医師の変化の全般的印象における継続的なSativexによる改善があった。他の臨床試験は、MSによる痙縮における様々なエキソカンナビノイドの活性を示した(Zajicek et al.,Lancet.2003;Collin et al.,Eur J Neurol.2007;Collin et al.,Neurol Res.2010)。これらの並行群間試験は、MAGLがMSにおける痙縮に利益をもたらすことを示すのに使用され得る、臨床試験設計及びエンドポイントを例示する。
【0127】
一実施形態において、多発性硬化症の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が、本明細書に開示される。
【0128】
一実施形態において、疲労、痙縮、うつ病、行動障害、易刺激性・興奮、及び疼痛から選択される多発性硬化症の1つ以上の症状の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が、本明細書に開示される。
【0129】
MAGLはまた、自己免疫性脳脊髄炎に関連する適応症の治療において有益であろうと考えられる。したがって、さらなる実施形態において、ラスムッセン脳炎、全身性エリテマトーデス、ベーチェット病、橋本脳症、及びシデナム舞踏病の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が、本明細書に開示される。
【0130】
筋萎縮性側索硬化症
Pryce et al.Handb Exp Pharmacol.2015;231:213-31において、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者が、典型的に、徐々に悪化する筋力低下及び/又は線維束性れん縮、延髄症状及び最終的には呼吸器疾患をいかに生じるかが記載されている。ALSの前臨床モデルにおいて、カンナビノイドが、かなりの神経保護効果を有し得ることが示唆された。
【0131】
したがって、一実施形態において、筋萎縮性側索硬化症の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が、本明細書に開示される。
【0132】
気分障害及び不安障害
気分障害及び不安障害は、患者及び社会の両方にコストを課す慢性の身障状態である。気分障害及び不安障害に関連して、エンドカンナビノイド系は、近年、ますます高い関心を集めている。Bedse G et al.,Transl Psychiatry.2018による最近の試験において、MAGL阻害剤の使用が、ストレスに関連する精神病理学における有益な効果を有し得ることが示唆されている。したがって、一実施形態において、気分障害及び不安障害の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が、本明細書に開示される。
【0133】
さらなる実施形態において、うつ病、及びGADから選択される気分障害及び不安障害の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が、本明細書に開示される。
【0134】
さらなる実施形態において、大うつ病性障害、治療抵抗性うつ病、緊張病性うつ病、メランコリー型うつ病、非定型うつ病、精神病性うつ病、周産期うつ病、産後うつ、双極性I型うつ病及び双極性II型うつ病を含む双極性うつ病、並びに軽度、中程度若しくは重度のうつ病から選択されるうつ病の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が、本明細書に開示される。さらなる実施形態において、大うつ病性障害の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が、本明細書に開示される。
【0135】
さらなる実施形態において、GADの治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が、本明細書に開示される。
【0136】
外傷後ストレス障害
外傷後ストレス障害(PTSD)は、外傷又はストレスに関連する疾患である。PTSDを有する患者は、外傷のフラッシュバック、回避、過覚醒、及び否定的認識/気分の症状を有するであろう。Hillらによる概説、Neuropsychopharmacology.2018において、エンドカンナビノイドシグナル伝達に影響を及ぼす薬物(MAGL阻害剤など)が、PTSDの症状を治療するのに有益であり得ることが示唆されている。したがって、一実施形態において、PTSDの治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸又はその薬学的に許容される塩の結晶形態が、本明細書に開示される。
【0137】
ある実施形態において、MAGLの活性を調節する方法が、本明細書に開示される。考えられる方法は、例えば、前記酵素を、本明細書に記載される化合物に曝すことを含む。MAGLを調節又は阻害する本明細書に記載される化合物の能力は、当該技術分野において公知であるか及び/又は本明細書に記載される手順によって評価される。本開示の別の態様は、患者におけるMAGLの発現又は活性に関連する疾患を治療する方法を提供する。
【0138】
組合せ治療
例えば、開示される化合物及びさらなる活性薬剤を、これらの治療剤の共作用からの有益な効果を提供することが意図された特定の治療計画の一環として共投与する組合せ治療も、本明細書において想定される。組合せの有益な効果は、限定はされないが、治療剤の組合せから得られる薬物動態学的又は薬力学的共作用を含む。組み合わせたこれらの治療剤の投与は、典型的に、規定された期間(通常、選択された組合せに応じて、数週間、数か月又は数年間)にわたって行われる。組合せ治療は、複数の治療剤の、連続した投与、すなわち、各治療剤が異なる時点で投与される投与、並びにこれらの治療剤、又は治療剤の少なくとも2つの、実質的に同時の投与を含むことが意図される。
【0139】
実質的に同時の投与は、例えば、単一の製剤又は組成物(例えば、一定の比率の各治療剤を有する錠剤又はカプセル剤を、又は治療剤のそれぞれについて複数の、単一の製剤(例えば、カプセル剤)中で対象に投与することによって行われる。各治療剤の連続又は実質的に同時の投与は、限定はされないが、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、及び粘膜組織を介した直接吸収を含む任意の適切な経路によって影響される。治療剤は、同じ経路又は異なる経路によって投与される。例えば、選択された組合せの第1の治療剤が、静脈注射によって投与される一方、組合せの他の治療剤は、経口投与される。或いは、例えば、全ての治療剤が、経口投与されるか、又は全ての治療剤が、静脈注射によって投与される。
【0140】
組合せ治療はまた、他の生物学的に有効な成分及び非薬物療法とさらに組み合わせた上記の治療剤の投与を包含する。組合せ治療が、非薬物療法をさらに含む場合、非薬物療法は、治療剤及び非薬物療法の組合せの共作用からの有益な効果が達成される限り、任意の好適な時点で行われる。例えば、適切な場合、有益な効果は、非薬物療法が、場合により数日又はさらには数週間だけ、治療剤の投与から一時的に取り除かれた場合、まだ達成される。
【0141】
組合せの構成要素は、同時に又は連続して、患者に投与される。構成要素が、同じ薬学的に許容される担体中に存在し、したがって、同時に投与されることが理解されるであろう。或いは、有効成分は、同時に又は連続して投与される、従来の経口剤形などの別個の医薬担体中で存在する。
【0142】
例えば、疼痛の考えられる治療について、開示される化合物は、オピオイド、カンナビノイド受容体(CB1若しくはCB2)調節剤、COX-2阻害剤、アセトアミノフェン、及び/又は非ステロイド系抗炎症剤などの、疼痛のための別の治療薬と共投与される。例えば、共投与される疼痛の治療のためのさらなる治療薬としては、モルヒネ、プレガバリン、ガバペンチン、コデイン、ヒドロモルフォン、ヒドロコドン、オキシモルフォン、フェンタニル、トラマドール、及びレボルファノールが挙げられる。
【0143】
共投与のための他の考えられる治療薬としては、アスピリン、ナプロキセン、イブプロフェン、サルサラート、ジフルニサル、デキシブプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン、インドメタシン、トルメチン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、セレコキシブ、パレコキシブ、リモナバント、及び/又はエトリコキシブが挙げられる。
【0144】
項目リスト
さらなる態様において、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸、又はその薬学的に許容される塩を用いた障害又は疾患の治療が提供されることが、本明細書に記載される。以下において、前記態様の実施形態が開示される。第1の実施形態は、EE1と示され、第2の実施形態は、EE2と示されるなどである。
【0145】
EE1.急性反復性発作、レノックス・ガストー症候群アンジェルマン症候群、側頭葉てんかん、ドラベ症候群、外傷後ストレス障害、うつ病、及び全般不安症から選択される障害の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸、又はその薬学的に許容される塩。
【0146】
EE2.前記障害が、アンジェルマン症候群、レノックス・ガストー症候群、急性反復性発作、側頭葉てんかん、及びドラベ症候群から選択される、実施形態EE1に記載の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸、又はその薬学的に許容される塩。
【0147】
EE3.前記障害が、PTSD、うつ病、及びGADから選択される、実施形態EE1に記載の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸、又はその薬学的に許容される塩。
【0148】
EE4.前記障害がPTSDである、実施形態EE3に記載の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸、又はその薬学的に許容される塩。
【0149】
EE6.前記障害が全般不安症である、実施形態EE3に記載の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸、又はその薬学的に許容される塩。
【0150】
EE7.前記障害がうつ病である、実施形態EE3に記載の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸、又はその薬学的に許容される塩。
【0151】
EE8.うつ病が、大うつ病性障害、治療抵抗性うつ病、緊張病性うつ病、メランコリー型うつ病、非定型うつ病、精神病性うつ病、周産期うつ病、産後うつ、双極性I型うつ病及び双極性II型うつ病を含む双極性うつ病、並びに軽度、中程度若しくは重度のうつ病から選択される、実施形態EE7に記載の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸、又はその薬学的に許容される塩。
【0152】
EE9.うつ病が大うつ病性障害である、実施形態EE8に記載の治療に使用するための、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸、又はその薬学的に許容される塩。
【0153】
EE10.急性反復性発作、アンジェルマン症候群、レノックス・ガストー症候群、側頭葉てんかん、ドラベ症候群、外傷後ストレス障害、うつ病、全般不安症、及び身体表現性障害から選択される疾患又は障害の治療のための方法であって;それを必要とする患者への、治療有効量の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸の投与を含む方法。
【0154】
EE11.急性反復性発作、アンジェルマン症候群、レノックス・ガストー症候群、側頭葉てんかん、ドラベ症候群、外傷後ストレス障害、うつ病、全般不安症、及び身体表現性障害から選択される疾患又は障害の治療のための医薬の製造における、2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸の使用。
【実施例】
【0155】
実験項
略語のリスト
上記で使用される際、及び本発明の説明全体を通して、以下の略語は、特に示されない限り、以下の意味を有することが理解されるべきである:
t-Bu:tert-ブチル
DCM:ジクロロメタン(CH2Cl2)
DMF:ジメチルホルムアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
equiv:当量
EtOH:エタノール
EtOAc:酢酸エチル
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
i-PrOAc:酢酸イソプロピル
MS:質量分析
NMR:核磁気共鳴
MTBE:Tert-ブチルメチルエーテル
TFA:トリフルオロ酢酸
TLC:薄層クロマトグラフィー
RT:室温。
【0156】
化学合成
特に断りのない限り、試薬及び溶媒は、商業的供給業者から入手したまま使用した。無水溶媒及びオーブン乾燥されたガラス製品を、水分及び/又は酸素の影響を受けやすい合成変換に使用した。収率は最適化されなかった。反応時間は概算値であり、最適化されなかった。特に断りのない限り、カラムクロマトグラフィー及び薄層クロマトグラフィー(TLC)を、シリカゲルにおいて行った。
【0157】
実施例1.化合物(I)の調製
【化4】
工程1:t-ブチル2-(2-ホルミル-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパノエートの調製
【化5】
丸底フラスコに、2-ヒドロキシ-4-(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド(0.200g、1.05mmol、1.00当量)、tert-ブチル2-ブロモ-2-メチルプロパノエート(0.466g、2.09mmol、2.00当量)、炭酸セシウム(1.03g、3.16mmol、3.00当量)、及びDMF(5mL)を充填した。反応混合物を、60℃で一晩撹拌し、水(20mL)でクエンチした。得られた溶液を、DCM(3×20mL)で抽出し、有機層を組み合わせて、塩水(20mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣をクロマトグラフィーにかけて、0.150g(52%の収率)のt-ブチル2-(2-ホルミル-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパノエートを黄色の油として得た。LCMS(ESI、m/z):333[M+H]
+。
【0158】
工程2:1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-((1-(tert-ブトキシ)-2-メチル-1-オキソプロパン-2-イル)オキシ)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシレートの調製
【化6】
丸底フラスコに、t-ブチル2-(2-ホルミル-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパノエート(200mg、0.600mmol、1.00当量)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イルピペラジン-1-カルボキシレート(202mg、0.720mmol、1.20当量)、及びDCM(10mL)を充填した。混合物を、室温で1時間撹拌してから、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(511mg、2.41mmol、4.00当量)を加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、水(20mL)でクエンチした。得られた溶液を、DCM(3×20mL)で抽出し、有機層を組み合わせて、塩水(30mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムにおけるクロマトグラフィーにかけて、300mg(84%の収率)の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-((1-(t-ブトキシ)-2-メチル-1-オキソプロパン-2-イル)オキシ)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシレートを黄色の油として得た。LCMS(ESI、m/z):597[M+H]
+。
【0159】
工程3:2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸の調製
【化7】
丸底フラスコに、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル4-(2-((1-(t-ブトキシ)-2-メチル-1-オキソプロパン-2-イル)オキシ)-4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペラジン-1-カルボキシレート(200mg、0.335mmol、1.00当量)、TFA(3mL)、及びDCM(10mL)を充填した。得られた溶液を室温で一晩撹拌し、減圧下で濃縮した。粗生成物を、飽和NaHCO
3溶液(10mL)に溶解させ、DCM(3×20mL)で抽出した。有機層を組み合わせて、塩水(30mL)で洗浄し、無水Na
2SO
4上で乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗生成物(200mg)を、分取HPLCによって精製して、60.9mg(34%の収率)の2-(2-((4-(((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)カルボニル)ピペラジン-1-イル)メチル)-5-(トリフルオロメチル)フェノキシ)-2-メチルプロパン酸を白色の固体として得た。
1H NMR(300MHz、メタノール-d
4)δ 7.54(d,J=7.8Hz、1H)、7.23-7.19(m,2H)、6.18-6.10(m,1H)、3.80(s,2H)、3.63(s,4H)、2.71(s,4H)、1.60(s,6H)。LCMS(ESI、m/z):541[M+H]
+。
【0160】
実施例2.化合物(I)形態Aの調製
化合物(I)形態Aが、以下の手順を用いて得られた。
【0161】
i-PrOAc(15mL)中の化合物(I)(4.23g)を、80℃に加熱して、化合物(I)を溶解させた。ヘプタン(32mL)を、80℃で滴下して加えた。溶液を、50℃に冷ました。さらなるヘプタン(45mL)を、50℃で40分間にわたって加え、沈殿物が形成された。スラリーを、一晩、室温に冷まし、次に、1.5時間にわたって氷浴中で冷却してから、ろ過した。ろ過ケーキを、i-PrOAc:ヘプタン、1:4(8mL)で洗浄し、40℃で、真空オーブン中で乾燥させて、生成物を白色の固体(3.33g)として得た。NMRは、構造に従う。
【0162】
実施例3.化合物(I)形態Cの調製
化合物(I)形態Cが、以下の手順を用いて得られた。
【0163】
化合物(I)133mgを、700μLの酢酸イソプロピルに加え、80℃に加熱し、それによって、それを溶解させた。溶液を室温に冷却し、12~20時間以内に沈殿物が発生した。固体を、室温で2日間放置してから、スラリーを、蒸発乾燥させるために開放空間に置いた。NMRは、構造に従う。
【0164】
実施例4.化合物(I)形態Dの調製
化合物(I)形態Dが、以下の手順を用いて得られた。
【0165】
EtOAc(3mL)中の化合物(I)(1.08g)を、加熱還流させた。ヘプタン(6mL)を、80℃に加熱しながら、溶液に滴下して加えた。溶液を、55℃に冷ました。ヘプタン(9mL)を、55℃で溶液に滴下して加え、沈殿物が形成された。混合物を、氷浴中で急速に冷却し、ろ過し、周囲温度のヘプタンで洗浄した。ろ過ケーキを、週末にかけてドラフトチャンバ中で乾燥させて、生成物を白色の粉末(0.88g)として得た。NMRは、構造に従う。
【0166】
実施例5.化合物(I)形態Eの調製
化合物(I)形態Eが、以下の手順を用いて得られた。
【0167】
i-PrOAc(15mL)及びヘプタン(15mL)中の化合物(I)形態A(3.00g)を、周囲温度で3日間撹拌してから、ろ過し、ヘプタンで洗浄した。白色の固体を、ドラフトチャンバ中で、周囲温度で乾燥させた。NMRは、構造に従う。
【0168】
実施例6.化合物(I)水和物の調製
化合物(I)水和物が、以下の手順を用いて得られた。
【0169】
化合物(I)(0.32g)を、周囲温度で週末にかけて水(1.5mL)及びEtOH(1mL)中で撹拌し、ろ過し、ドラフトチャンバ中で乾燥させた。NMRは、構造に従う。
【0170】
実施例7.化合物(I)Na.H2Oの調製
化合物(I)Na.H2Oが、以下の手順を用いて得られた。化合物(I)(5.10kg)を、撹拌しながら室温でエタノール(8.16kg)に加えた。溶液を、約50℃に加熱した。水酸化ナトリウム(27%、0.99当量)を、撹拌しながら加えた後、約50℃で20~45分間にわたって2-プロパノール(8.14kg)を加えた。溶液を、さらに2~30分間の期間にわたって撹拌した後、約50℃で80~120分間にわたってMTBE(45.10kg)を加えた。次に、溶液を、約50℃でさらに25~45分間撹拌した後、溶液を室温に冷却した。溶液を、さらに12~20時間撹拌してから、溶液を約0℃に冷却した。次に、溶液を、約1時間撹拌した。固体を、遠心分離に移し、エタノール(1.19kg)、2-プロパノール(1.2kg)、及びMTBE(7.29kg)の溶液で洗浄した後、MTBE(9.45kg)でさらに洗浄した。収集された固体を、約16時間にわたって約40℃で、減圧下で乾燥させて、化合物(I)Na.H2O(4.41kg)を得た。NMRは、構造に従う。
【0171】
実施例8:X線粉末回折(XRPD)
X線粉末ディフラクトグラムを、CuKα1線(λ=1.5406Å)を用いてPANalytical X’Pert PRO X-Ray Diffractometerにおいて測定した。サンプルを、X’celerator検出器を用いて、2θ-範囲3~40の反射モードで測定した。
【0172】
表1において、化合物(I)形態A、化合物(I)形態C、化合物(I)形態D、化合物(I)形態E、化合物(I)水和物、及び化合物(I)Na.H2Oについてλ=1.5406Åで測定された特性ピークが列挙されている。回折データは、±0.05°2θとして示される。
【0173】
【0174】
化合物(I)形態AのXRPD分析(
図1)は、この形態が結晶性であることを示した。
【0175】
化合物(I)形態CのXRPD分析(
図4)は、この形態が結晶性であることを示した。
【0176】
化合物(I)形態DのXRPD分析(
図7)は、この形態が結晶性であることを示した。
【0177】
化合物(I)形態EのXRPD分析(
図10)は、この形態が結晶性であることを示した。
【0178】
化合物(I)水和物のXRPD分析(
図14)は、この水和物が結晶性であることを示した。
【0179】
化合物(I)Na.H
2OのXRPD分析(
図18)は、この塩が結晶性であることを示した。
【0180】
実施例9:熱重量分析(TGA)
熱重量分析(TGA)を、TA-instruments Discovery TGAを用いて測定した。1~10mgのサンプルを、窒素流れ下で、開放したパン中で10°/分で加熱する。
【0181】
実施例10:示差走査熱量測定(DSC)
示差走査熱量測定を、開始値として融点を得るために5°/分で調整されたTA-Instruments Discovery-DSCを用いて測定した。約2mgのサンプルを、蓋にピンホールを有する閉じたパン中で、窒素流れ下で、5°/分で加熱する。
【0182】
化合物(I)Na.H
2OのDSC分析(
図20)は、約130℃で開始を有する広い吸熱を示した。
【0183】
化合物(I)形態AのDSC分析(
図3)は、139.2℃で開始を有する吸熱を示した。融解エンタルピーは、69J/gであった。
【0184】
形態CのDSC分析が、
図6に示される。サーモグラムから見られるように、広い弱い発熱が、融解吸熱の前に出現する。130℃(発熱温度を超える)に加熱された化合物(I)形態CのサンプルについてのXRPDは、それが形態Aに変換されたことを示した。これは、化合物(I)形態の、化合物(I)形態Aへの発熱変換が、融解の前に起こり、したがって、化合物(I)形態Aが、化合物(I)形態Cより熱力学的により安定していることを意味する。
【0185】
化合物(I)形態DのDSC分析は、142.2℃の開始温度を有する吸熱及び56J/gの融解エンタルピーを示した。
図9から見られるように、化合物(I)形態Dは、化合物(I)形態Aより高い融点を有するが、より低い融解エンタルピーを有し、これは、エナンチオトロピー関係を示している。これは、化合物(I)形態Dが、化合物(I)形態Aと比較して、高温で熱力学的により安定しているが、低い温度で安定性がより低いことを意味し、これは、さらなる医薬品開発及び貯蔵安定性に適している。60℃までの温度における様々な溶媒中での化合物(I)形態Aを用いたスラリー実験は、化合物(I)形態Dへの変換をもたらさず、したがって、化合物(I)形態Dがより安定した形態である温度は、60℃以上である。
【0186】
1℃/分で130℃に加熱された形態EのDSC分析が、
図13に示される。曲線は、発熱イベントを示す。加熱の後、XRPDは、サンプルが、化合物(I)形態Aに変換されたことを示した。これは、化合物(I)形態Eの、化合物(I)形態Aへの発熱変換が、融解の前に起こることを意味する。したがって、化合物(I)形態Aは、化合物(I)形態Eより熱力学的により安定している。
【0187】
実施例11-動的水蒸気吸着(DVS)
動的水蒸気吸着(DVS)を、0%のRHから95%のRHまで10%のRHの段階(90から95%のRHの間は5%)で相対湿度を変化させながら、SMS DVS advantage 01を用いて測定した。2つのサイクルを、30%のRHから開始して、約4mgを用いて行った。吸着/脱着サイクル中の重量変化をプロットし、サンプルの吸湿性を決定するのを可能にした。
図16中のDVS曲線は、水和物の脱水が、低い相対湿度で起こることを示す。測定の後、サンプルは、非晶質になった。
【0188】
実施例12-化合物(I)の結晶形態の1H NMR
1H NMRスペクトルを、TCI CryoProbeを備えたBruker Avance-III-600機器において600.16MHzで記録する。ジメチルスルホキシド(99.8%のD)を、溶媒として使用し、テトラメチルシラン(TMS)を、内部参照標準として使用する。
【0189】
実施例13-化合物(I)の結晶形態の偏光顕微鏡法:
サンプルを、Pixelink PL-A662カメラを備えたOlympus BX50偏光顕微鏡において顕微鏡スライドに載せた。10倍の対物レンズを、
図21及び22に見られるように写真撮影のために使用した。
【0190】
化合物(I)Na.H2Oの顕微鏡写真(
図22)は、針のような形状の形態を示し、これは、錠剤化性能に関連して医薬品開発において理想的でないことがある。
【0191】
化合物(I)形態Aの顕微鏡写真(
図21)は、非針形状の形態で結晶性材料を示す。
【0192】
実施例14-化合物(I)のMAGLデータ
生物学的評価
化合物(I)を、以下のインビトロ及びインビボアッセイを用いて、そのMAGL及びセリンヒドロラーゼ阻害活性を評価するために試験した。
【0193】
インビトロの競合活性ベースのタンパク質プロファイリング
プロテオーム(マウスアッセイのためのマウス脳膜画分又は細胞溶解物;ヒトアッセイのためのヒト前部前頭葉又は細胞膜画分)(50μL、1.0mg/mLの総タンパク質濃度)を、37℃で様々な濃度の阻害剤とともにプレインキュベートした。30分後、FP-Rh又はHT-01(1.0μL、DMSO中50μM)を加え、混合物を、37℃でさらに30分間にわたってインキュベートした。反応物を、SDSローディングバッファー(15μL-4回)でクエンチし、SDS-PAGEにおいて電気泳動した。ゲルイメージングの後、セリンヒドロラーゼ活性を、ImageJ 1.43uソフトウェアを用いて、MAGLに対応するゲルバンドの蛍光強度を測定することによって決定した。
【0194】
阻害剤で処置されたマウスからのマウス脳プロテオームの調製
阻害剤を、ポリエチレングリコールのビヒクル中での強制経口投与によって、野生型C57Bl/6Jに投与した。各動物を、投与の4時間後に殺処分し、脳プロテオームを調製し、既に確立された方法にしたがって分析した(Niphakis et al.,ACS Chem.Neurosci.2011及びLong et al.Nat.Chem.Biol.2009を参照)。
【0195】
化合物(I)は、表2に示されるように、本明細書に記載されるアッセイにおいて活性を示した。
【0196】
【国際調査報告】