(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(54)【発明の名称】デング病の治療及び予防
(51)【国際特許分類】
A61K 31/404 20060101AFI20230113BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A61K31/404
A61P31/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528008
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(85)【翻訳文提出日】2022-06-20
(86)【国際出願番号】 EP2020082102
(87)【国際公開番号】W WO2021094563
(87)【国際公開日】2021-05-20
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514010601
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド
(71)【出願人】
【識別番号】512320560
【氏名又は名称】カトリック ユニヴェルシテット ルーヴェン
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】ゲタルス,オリヴィア,ガブリエラ,エム
(72)【発明者】
【氏名】ケステルイン,バート,ルドルフ,ロマニー
(72)【発明者】
【氏名】ストープス,バート,ヘンリ,テレジア
(72)【発明者】
【氏名】ボンファンティ,ジャン-フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】ヨンカース,ティム,ヒューゴ,マリア
(72)【発明者】
【氏名】ファン ローク,マルニクス
(72)【発明者】
【氏名】カプテイン,スザンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ネイツ,ヨハン
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC13
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA16
4C086MA52
4C086MA65
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZB33
(57)【要約】
本発明は、デングウイルスに感染した個体におけるデング病の治療、又はデングウイルスに感染するリスクがある個体におけるデング病の予防のための薬剤の製造における、置換インドール誘導体及び置換インドリン誘導体の使用に関する。本発明は更に、デングウイルスに感染するリスクがある個体におけるデングの治療又は予防のための方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デングウイルスに感染するリスクがある個体におけるデング病の予防における、又はデングウイルスに感染した個体におけるデング病の治療のための使用のための式Iの化合物であって、前記化合物が、少なくとも12時間の時間間隔で断続的に投与される薬剤に含まれ、式Iが、
【化1】
その立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、又は多形に対応し、前記化合物が、
R
1がHであり、R
2がFであり、R
3がH又はCH
3である、
R
1がH、CH
3、又はFであり、R
2がOCH
3であり、R
3がHである、
R
1がHであり、R
2がOCH
3であり、R
3がCH
3である、
R
1がCH
3であり、R
2がFであり、R
3がHである、
R
1がCF
3又はOCF
3であり、R
2がHであり、R
3がHである、
R
1がOCF
3であり、R
2がOCH
3であり、R
3がHである、
R
1がOCF
3であり、R
2がHであり、R
3がCH
3である、の群から選択される、化合物。
【請求項2】
前記薬剤が、24時間毎に少なくとも1回、好ましくは1週間毎に少なくとも1回、より好ましくは2週間毎に少なくとも1回、より好ましくは1ヶ月毎に少なくとも1回、最も好ましくは6ヶ月毎に少なくとも1回投与される、請求項1に記載の使用のための化合物。
【請求項3】
前記薬剤の初回投与が、デングウイルスによる感染の少なくとも5分前かつデングウイルスによる感染の最大10日後に行われる、請求項1又は2に記載の使用のための化合物。
【請求項4】
前記薬剤が、有効量の式Iの化合物を含み、前記有効量が、血液中のデングウイルス負荷が15log
10コピー/mL以下、好ましくは10log
10コピー/mL以下、より好ましくは7log
10コピー/mL以下、更により好ましくは5log
10コピー/mL以下、最も好ましくは3log
10コピー/mL以下、更に最も好ましくは2log
10コピー/mL以下のレベルに保持されるように選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項5】
前記化合物の前記有効量が、0.05mg/kg~500mg/kg体重である、請求項4に記載の使用のための化合物。
【請求項6】
前記薬剤が、経口、皮下、筋肉内、又は静脈内投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項7】
デングウイルスに感染するリスクがある個体におけるデングの予防のための、又はデングウイルスに感染した個体におけるデング病の治療のための方法であって、前記方法が、前記個体に、式Iの化合物を含む薬剤を投与する工程を含み、前記薬剤が、少なくとも12時間の時間間隔で断続的に投与され、前記式Iが、
【化2】
その立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、又は多形に対応し、前記化合物が、
R
1がHであり、R
2がFであり、R
3がH又はCH
3である、
R
1がH、CH
3、又はFであり、R
2がOCH
3であり、R
3がHである、
R
1がHであり、R
2がOCH
3であり、R
3がCH
3である、
R
1がCH
3であり、R
2がFであり、R
3がHである、
R
1がCF
3又はOCF
3であり、R
2がHであり、R
3がHである、
R
1がOCF
3であり、R
2がOCH
3であり、R
3がHである、
R
1がOCF
3であり、R
2がHであり、R
3がCH
3である、の群から選択される、方法。
【請求項8】
前記薬剤の初回投与が、デングウイルスによる感染の少なくとも5分前かつデングウイルスによる感染の最大10日後に行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記薬剤が、24時間毎に少なくとも1回、好ましくは1週間毎に少なくとも1回、より好ましくは2週間毎に少なくとも1回、より好ましくは1ヶ月毎に少なくとも1回、最も好ましくは6ヶ月毎に少なくとも1回投与される、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記薬剤が、有効量の式Iの化合物を含み、前記有効量が、血液中のデングウイルス負荷が15log
10コピー/mL以下、好ましくは10log
10コピー/mL以下、より好ましくは7log
10コピー/mL以下、更により好ましくは5log
10コピー/mL以下、最も好ましくは3log
10コピー/mL以下、更に最も好ましくは2log
10コピー/mL以下のレベルに保持されるように選択される、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物の前記有効量が、0.05mg/kg~500mg/kg体重である、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記薬剤が、経口、皮下、筋肉内、又は静脈内投与される、請求項7~11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デングウイルスに感染するリスクがある個体におけるデング病の治療又は予防のための薬剤の製造における、置換インドール誘導体及び置換インドリン誘導体の使用に関する。本発明は更に、デングウイルスに感染するリスクがある個体におけるデング病の治療又は予防のための方法を提供する。
【0002】
発明の背景
デングは、Flaviviridae科のFlavivirus属に属する、4つの抗原的に異なるDENV血清型(DENV-1、-2、-3、及び-4)のいずれかによって引き起こされる。DENVは、Aedes属、主にAedes aegypti種、及び比較的程度は低いがAedes albopictusの感染した雌の蚊の刺咬を通して伝播されるヒト病原体である(Carrington et al.,2014)。デングは、125を超える国において流行性であり、また、プエルトリコの米国(United States、US)領土、及びバージン諸島においても再び流行性になっている(CDC,2019)。世界人工の約半分は現在、DENVに感染するリスクがある(Bhatt et al.,2013;Brady et al.,2012;WHO,2019)。世界保健機関(World Health Organization、WHO)によると、デングは、2019年の世界的な健康に対する脅威の上位10に入っている(WHO,2019)。
【0003】
デング症例の実際の数は、過小報告されている。世界的に毎年3億9000万のDENV感染があると推定され、そのうちの9600万は、臨床的に発現する(疾患のいずれの重症度で)(Bhatt et al.,2013)。平均して、毎年約500,000のデング症例が、重度かつ生命を脅かす疾患により入院を必要とし、最大25,000人の患者が、デングにより死亡する。
【0004】
一次DENV感染の間、個体の75%は、無症候性である。臨床症状を示す個体は、主に急性、自己限定性の発熱性疾患を発症する。最初の臨床症状は、DENV感染したウイルス血症の蚊による刺咬の3~8日後に生じる。感染の治癒は、通常、強固な先天性及び適応性の免疫応答により、4~7日以内に生じる(Whitehorn and Simmons.,2011)。DENV感染の割合が少ないほど、デング出血熱及びデングショック症候群などの重度のデング転帰をもたらす。二次DENV感染、又は特に毒性ウイルス株による感染症は、重度のデングのリスク増加に関連すると考えられている(Murray et al.,2013)。
【0005】
古典的デング熱の間、突然の発熱は、広範囲の潜在的な症状、すなわち、筋痛、関節痛、頭痛、及び発疹を伴い、眼窩後痛及び下背部痛は、原型的な症状である。嘔吐、悪心、及び食欲不振も一般的である(WHO,2009)。この発熱段階の間、重度及び非重度のデング症例を区別することができない。重大な段階は、毛細血管漏出及び出血の傾向の増加によって特徴付けられ、典型的には、散在性点状出血、血尿、及び消化管出血により明らかになる(Whitehorn and Simmons,2011;Murray et al.,2013)。早期診断及び適切な管理がない場合、一部の患者は、失血又は血漿漏出によるショックを経験し、これは、患者の状態の突然の悪化をもたらす可能性がある(Gubler,1998)。
【0006】
現在、利用可能なデング特異的治療はないため、臨床治療は、本質的に主として支持的である。
【0007】
2015年12月に、DENVに対する最初のワクチンが、メキシコで許可された。キメラ黄熱-DENV四価デングワクチン(chimeric yellow fever-DENV tetravalent dengue vaccine、CYD-TDV;Dengvaxia(登録商標))は、Sanofi Pasteurによって開発された四価弱毒化生ワクチンである。2016年11月までに、ワクチンは、ブラジル、メキシコ、エルサルバドル、コスタリカ、及びフィリピンを含む18か国において使用が承認されている。近年、ワクチンは、検査で確認された以前のデング感染を有し、流行地域で生活している9~16歳の人々における、すべてのDENV血清型(DENV-1、DENV-2、DENV-3、及びDENV-4)によって引き起こされるデング病の予防のために、米国でも承認された。しかしながら、ワクチンの広範な使用は、多数の要因が更なる検討を必要とするため、予防接種のWHO研究グループによって予測されていない(WHO,2017)。専門家の戦略的諮問委員会は、国々に、デング流行性が高い地理的背景(全国又は地方)においてのみ、Dengvaxia(登録商標)の導入を考慮することを推奨した。
【0008】
近年、予防的使用のために開発された薬物が、デングを予防するための潜在的な代替物として徐々に更なる注目を集めている(Whitehorn et al.,2014)。予防は、デング流行地域への旅行者(例えば、救援者、観光旅行者、ビジネス及び軍事旅行者)、並びに流行地域で生活している影響を受けやすい集団にとって有益であり得る。ウイルス血症を予防することによって、及び/又はウイルス負荷を低減することによって、デング関連の罹患率及び死亡率は、著しく低減され得るか、又は更には防止され得る(Whitehorn et al.,2014)。加えて、有効かつ安全なデング抗ウイルス化合物は更に、治療薬としてのその用途もあり得る。
【0009】
国際公開第2017/167951号及び同第2016/180696号は、デングウイルス感染の予防及び治療のための化合物を開示している。しかしながら、動物において、より具体的にはヒトにおいて、デング病(デングとも呼ばれる)の治療又は予防を可能にする薬剤に対して、満たされていない高い医学的必要性がある。
【0010】
本発明は、デングウイルスに感染した個体におけるデング病の治療、又はデングウイルスに感染するリスクがある個体におけるデング病の予防のための薬剤の製造における、置換インドール誘導体及び置換インドリン誘導体の使用に関する。本発明は更に、デングウイルスに感染した個体におけるデング病の治療、又はデングウイルスに感染するリスクがある個体におけるデング病の予防のための方法を提供する。
【0011】
発明の概要
第1の態様では、本発明は、デングウイルスに感染するリスクがある個体におけるデングの予防のための薬剤の製造における、置換インドール誘導体及び/又は置換インドリン誘導体の使用を提供する。薬剤は、好ましくは、少なくとも6時間、好ましくは少なくとも12時間、好ましくは少なくとも20時間、より好ましくは少なくとも24時間、より好ましくは少なくとも36時間、より好ましくは少なくとも48時間、より好ましくは少なくとも72時間の時間間隔で断続的に投与される。置換インドール誘導体及び/又は置換インドリン誘導体は、本明細書に記載されるとおりである。本発明は更に、デングウイルスに感染した個体におけるデング病の治療のための薬剤の製造における、置換インドール誘導体及び/又は置換インドリン誘導体の使用を提供する。
【0012】
第2の態様では、本発明は、デングウイルスに感染するリスクがある個体におけるデングの予防のための方法を提供する。当該方法は、リスクがある個体に、置換インドール誘導体及び/又は置換インドリン誘導体を含む薬剤を投与することを含み、薬剤は、少なくとも6時間、好ましくは少なくとも12時間、好ましくは少なくとも20時間、より好ましくは少なくとも24時間、より好ましくは少なくとも36時間、より好ましくは少なくとも48時間、より好ましくは少なくとも72時間の時間間隔で断続的に投与される。置換インドール誘導体及び/又は置換インドリン誘導体は、以下に記載されるとおりである。本発明は更に、デングウイルスに感染した個体におけるデングの治療のための方法を提供する。
【0013】
本発明は、デング病の予防的処置又は曝露前予防とも呼ばれる、予防のための化合物の使用を提供する。予防の背後にある概念は、化合物が存在し、ウイルス感染前及び/又はウイルス血症がそのピーク(ピークウイルス負荷)に達する時点の前に、十分なレベルの全身曝露を示すことである。本発明は、デングウイルス複製のかなりの阻害をもたらし、それによって、デングに感染するリスクを最小限に抑え、更には排除する。これは、救援者、観光旅行者、ビジネス及び軍事旅行者、並びに訪問する友人及び家族など、流行地域で生活している集団及びデング流行地域への旅行者を含むがこれらに限定されない、複数の集団にとって有益である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】インビボウイルス血症AG129マウス実験の概略図であり、化合物(a)は、10
6プラーク形成単位(plaque forming unit、PFU)のDENV-2/Regaの高いウイルス投入量又は接種量に対する有効性について試験される。図面の底部の矢印は、化合物(a)/ビヒクルの投与を示す。0日目、化合物(a)の初回投与の1時間後、マウスを10
6PFUのDENV-2/Regaで腹腔内(intraperitoneal、i.p.)感染させた。
【
図2】感染後(post infection、p.i.)3日目の、ビヒクル及び2’-C-メチルシチジン(2'-C-Methylcytidine、2’CMC)1日2回で処置されたマウスと比較した、経口で(per os、p.o.)1日2回(b.i.d.)、0.1、0.3、1、3、10、及び30mg/kg/用量における化合物(a)で1日2回処置されたDENV-2/Rega感染マウス(10
6PFU)の血清中の平均log
10ウイルス負荷(コピー/mL)。点線:定量下限(Lower limit of quantification、LLOQ)(3.8log
10コピー/mL)。図面の下部に示される塗りつぶされた横方向に長い長方形:負の値:すべての負の値を、40のCt値に対応する2.6log
10コピー/mLの値に補完した。有意な平均ウイルス負荷低減(log
10コピー/mL)をアステリスクによって示す(
*p<0.05及び
**p<0.001)。処置群毎の推定平均log
10ウイルス負荷(コピー/mL)値を、95%信頼区間の上限と合わせたグラフ表示を示す。
【
図3】インビボウイルス血症マウス実験の概略図であり、化合物(a)(q.d.)は、DENV-2/Regaの高いウイルス投入量又は接種量(10
6PFU)に対する有効性について試験される。図面の底部の矢印は、1日1回の化合物(a)/ビヒクルの経口投与を示す。0日目、化合物(a)の初回投与の1時間後、マウスを10
6PFUのDENV-2/Regaで腹腔内感染させた。
【
図4】感染後3日目の、ビヒクル1日1回及び2’CMC 1日2回で処置されたマウスと比較した、経口で0.3、3、及び30mg/kg/用量、1日1回における化合物(a)で1日1回処置されたDENV-2/Rega感染マウス(10
6PFU)の血清中の平均log
10ウイルス負荷(コピー/mL)。標準偏差を図面中のエラーバーとして示す。点線:定量下限(LLOQ)=3.8log
10コピー/mL。図面の下部に示される塗りつぶされた横方向に長い長方形:負の値:すべての負の値を、40のCt値に対応する2.6log10コピー/mLの値に補完した。
【
図5】インビボウイルス血症マウス実験の概略図であり、1日2回の化合物(a)は、DENV-2/Regaの低いウイルス投入量又は接種量(10
2PFU)に対する有効性について試験される。上向きの矢印:化合物(a)/ビヒクルの1日2回の投与。下向きの矢印:ウイルスRNA負荷を測定するための血液試料の採取。0日目、化合物(a)の初回投与の1時間後、マウスを10
2PFUのDENV-2/Regaで腹腔内感染させた。
【
図6】ビヒクル処置されたマウスと比較した、1日2回0.1、1、及び10mg/kg/用量における化合物(a)で処置された、11日間にわたるDENV-2/Rega感染マウス(10
2PFU)の血清中のlog
10ウイルス負荷中央値(コピー/mL)。x軸の下の矢印は、化合物(a)の1日2回の投与を示す。定量下限(LLOQ)=3.8log
10コピー/mL。すべての負の値を、40のCt値に対応する2.6log
10コピー/mLの値に補完した。
【
図7】インビボウイルス血症マウス実験の概略図であり、1日1回の化合物(a)は、DENV-2/Regaの低いウイルス投入量又は接種量(10
2PFU)に対する有効性について試験される。上向きの矢印:化合物(a)/ビヒクルの1日1回の投与。下向きの矢印:ウイルスRNA負荷を測定するための血液試料の採取。0日目、化合物(a)の初回投与の1時間後、マウスを10
2PFUのDENV-2/Regaで腹腔内感染させた。
【
図8】ビヒクル処置されたマウスと比較した、0.1、0.6、及び30mg/kg/用量、1日1回の化合物(a)で処置された、11日間にわたるDENV-2/Rega感染マウス(10
2PFU)の血清中のlog
10ウイルス負荷中央値(コピー/mL)。x軸の下の矢印は、化合物(a)の1日1回の投与を示す。定量下限(LLOQ)=3.8log
10コピー/mL。すべての負の値を、40のCt値に対応する2.6log
10コピー/mLの値に補完した。
【
図9】ビヒクル処置されたマウスと比較した、0.1、0.3、及び1mg/kg/用量、1日1回の化合物(a)で処置された、11日間にわたるDENV-2/Rega感染マウス(10
2PFU)の血清中のlog
10ウイルス負荷中央値(コピー/mL)。x軸の下の矢印は、化合物(a)の1日1回の投与を示す。定量下限(LLOQ)=3.8log
10コピー/mL。すべての負の値を、40のCt値に対応する2.6log
10コピー/mLの値に補完した。
【
図10】ビヒクル処置されたマウスと比較した、1、3、及び10mg/kg/用量、1日1回の化合物(a)で処置された、11日間にわたるDENV-2/Rega感染マウス(10
2PFU)の血清中のlog
10ウイルス負荷中央値(コピー/mL)。x軸の下の矢印は、化合物(a)の1日1回の投与を示す。定量下限(LLOQ)=3.8log
10コピー/mL。すべての負の値を、40のCt値に対応する2.6log
10コピー/mLの値に補完した。
【
図11】インビボ非ヒト霊長類(Non-Human Primate、NHP)実験の概略図であり、アカゲザルを10
2TCID
50のDENV-2/16681のウイルス接種量で感染させた。水平の矢印は、-1日目からの、及び10日目を含む、化合物(a)/ビヒクルの1日1回の投与を示す。濃い灰色の下向き矢印:ウイルスRNA負荷を測定するための血液試料の採取。
【
図12A-1】ビヒクル処置されたアカゲザル(0mg/kg/用量、1日1回)と比較した、0.01、0.024、0.09、0.18、0.93、及び3mg/kg/用量、1日1回の化合物(a)で12日間処置された、DENV-2/16681感染アカゲザル(10
2TCID
50のDENV-2/16681で感染)の血清中のlog
10ウイルスRNA(GCE/mL)。化合物(a)の経口投与を、DENV-2での感染の1日前に開始し、接種の10日後まで毎日投与し続けた。灰色の破線は、アッセイの定量下限(LLOQ)(1286RNAゲノムコピー当量(GCE/mL)を表す。すべての負の値を、35のCt値に対応する42GCE/mLの値に補完した。
【
図12A-2】ビヒクル処置されたアカゲザル(0mg/kg/用量、1日1回)と比較した、0.01、0.024、0.09、0.18、0.93、及び3mg/kg/用量、1日1回の化合物(a)で12日間処置された、DENV-2/16681感染アカゲザル(10
2TCID
50のDENV-2/16681で感染)の血清中のlog
10ウイルスRNA(GCE/mL)。化合物(a)の経口投与を、DENV-2での感染の1日前に開始し、接種の10日後まで毎日投与し続けた。灰色の破線は、アッセイの定量下限(LLOQ)(1286RNAゲノムコピー当量(GCE/mL)を表す。すべての負の値を、35のCt値に対応する42GCE/mLの値に補完した。
【
図12B-1】ビヒクル処置されたアカゲザル(0mg/kg/用量、1日1回)と比較した、0.01、0.024、0.09、0.18、0.93、及び3mg/kg/用量、1日1回の化合物(a)で12日間処置された、DENV-2/16681感染アカゲザル(10
2TCID
50のDENV-2/16681で感染)の血清中のlog
10ウイルスRNA(GCE/mL)。化合物(a)の経口投与を、DENV-2での感染の1日前に開始し、接種の10日後まで毎日投与し続けた。灰色の破線は、アッセイの定量下限(LLOQ)(1286RNAゲノムコピー当量(GCE/mL)を表す。すべての負の値を、35のCt値に対応する42GCE/mLの値に補完した。
【
図12B-2】ビヒクル処置されたアカゲザル(0mg/kg/用量、1日1回)と比較した、0.01、0.024、0.09、0.18、0.93、及び3mg/kg/用量、1日1回の化合物(a)で12日間処置された、DENV-2/16681感染アカゲザル(10
2TCID
50のDENV-2/16681で感染)の血清中のlog
10ウイルスRNA(GCE/mL)。化合物(a)の経口投与を、DENV-2での感染の1日前に開始し、接種の10日後まで毎日投与し続けた。灰色の破線は、アッセイの定量下限(LLOQ)(1286RNAゲノムコピー当量(GCE/mL)を表す。すべての負の値を、35のCt値に対応する42GCE/mLの値に補完した。
【
図13】インビボ非ヒト霊長類(NHP)実験の概略図であり、アカゲザルを0.5mLのDENV-1/45AZ5(1.2×10
5PFU/mLの力価)で0日目に感染させた。水平の矢印は、-3日目からの、及び10日目を含む、化合物(a)/ビヒクルの1日1回の投与を示す。濃い灰色の下向き矢印:ウイルスRNA負荷を測定するための血液試料の採取。
【
図14-1】6mg/kg/用量、1日1回の化合物(a)で14日間処置された、DENV-1/45AZ5感染アカゲザル(10
4.7PFU)の血清中のlog
10ウイルスRNA(GCE/mL)(Y)と、ビヒクル処置されたアカゲザル(0mg/kg/用量、1日1回)(X)との比較であり、化合物(a)(6mg/kg)の経口投与を、DENV-1での感染の3日前に開始し、感染の10日後まで毎日投与し続けた。アッセイ定量限界(LOQ)は、100ゲノムコピー/反応である。
【
図14-2】6mg/kg/用量、1日1回の化合物(a)で14日間処置された、DENV-1/45AZ5感染アカゲザル(10
4.7PFU)の血清中のlog
10ウイルスRNA(GCE/mL)(Y)と、ビヒクル処置されたアカゲザル(0mg/kg/用量、1日1回)(X)との比較であり、化合物(a)(6mg/kg)の経口投与を、DENV-1での感染の3日前に開始し、感染の10日後まで毎日投与し続けた。アッセイ定量限界(LOQ)は、100ゲノムコピー/反応である。
【
図15-1】予防的設定における、ウイルス血症及び疾患発症に対する化合物(b)のインビボ有効性。X:ウイルス血症及び生存研究の概略図。Y:感染後3日目のウイルス血症に対する化合物(b)の阻害効果、及びZ:ビヒクル処置されたマウス(黒色の点)と比較した、30mg/kg、10mg/kg、3mg/kg、又は1mg/kgの化合物(b)で1日2回処置されたマウスにおけるウイルス誘発性疾患。データは、1群当たりn=8(ウイルス血症)又はn=10(生存)を用いた2つの独立して実施された研究からコンパイルされている。統計分析を、クラスカル・ウォリス検定(ウイルス血症)又はログランク検定(生存)を使用して実施した。ビヒクル処置されたマウスと比較して、
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001、
****P<0.0001。LLOQ、定量下限=3.8log
10コピー/mL。すべての負の値を、40のCt値に対応する2.6log
10コピー/mLの値に補完した。
【
図15-2】予防的設定における、ウイルス血症及び疾患発症に対する化合物(b)のインビボ有効性。X:ウイルス血症及び生存研究の概略図。Y:感染後3日目のウイルス血症に対する化合物(b)の阻害効果、及びZ:ビヒクル処置されたマウス(黒色の点)と比較した、30mg/kg、10mg/kg、3mg/kg、又は1mg/kgの化合物(b)で1日2回処置されたマウスにおけるウイルス誘発性疾患。データは、1群当たりn=8(ウイルス血症)又はn=10(生存)を用いた2つの独立して実施された研究からコンパイルされている。統計分析を、クラスカル・ウォリス検定(ウイルス血症)又はログランク検定(生存)を使用して実施した。ビヒクル処置されたマウスと比較して、
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001、
****P<0.0001。LLOQ、定量下限=3.8log
10コピー/mL。すべての負の値を、40のCt値に対応する2.6log
10コピー/mLの値に補完した。
【
図15-3】予防的設定における、ウイルス血症及び疾患発症に対する化合物(b)のインビボ有効性。X:ウイルス血症及び生存研究の概略図。Y:感染後3日目のウイルス血症に対する化合物(b)の阻害効果、及びZ:ビヒクル処置されたマウス(黒色の点)と比較した、30mg/kg、10mg/kg、3mg/kg、又は1mg/kgの化合物(b)で1日2回処置されたマウスにおけるウイルス誘発性疾患。データは、1群当たりn=8(ウイルス血症)又はn=10(生存)を用いた2つの独立して実施された研究からコンパイルされている。統計分析を、クラスカル・ウォリス検定(ウイルス血症)又はログランク検定(生存)を使用して実施した。ビヒクル処置されたマウスと比較して、
*P<0.05、
**P<0.01、
***P<0.001、
****P<0.0001。LLOQ、定量下限=3.8log
10コピー/mL。すべての負の値を、40のCt値に対応する2.6log
10コピー/mLの値に補完した。
【
図16-1】予防的設定における、DENV複製の動態に対する化合物(b)のインビボ有効性。Y:インビボ動態研究の概略図。各処置群を、1日置きの採血のために、2つのサブグループ(各々n=8)に分けた。Z:ビヒクル処置されたマウス(黒色の点、n=16)、30mg/kg(白色の点、n=8)、10mg/kg(薄い灰色の点、n=8)、3mg/kg(薄い灰色の点、n=16)、1mg/kg(薄い灰色の点、n=8)、又は0.3mg/kg(薄い灰色の点、n=8)の化合物(b)で1日2回処置されたマウスにおける、感染後の様々な日数のウイルス血症に対する化合物(b)の阻害効果。データは、2つの独立して実施された研究からコンパイルされている。LLOQ、定量下限=3.8log
10コピー/mL。すべての負の値を、40のCt値に対応する2.6log
10コピー/mLの値に補完した。
【
図16-2】予防的設定における、DENV複製の動態に対する化合物(b)のインビボ有効性。Y:インビボ動態研究の概略図。各処置群を、1日置きの採血のために、2つのサブグループ(各々n=8)に分けた。Z:ビヒクル処置されたマウス(黒色の点、n=16)、30mg/kg(白色の点、n=8)、10mg/kg(薄い灰色の点、n=8)、3mg/kg(薄い灰色の点、n=16)、1mg/kg(薄い灰色の点、n=8)、又は0.3mg/kg(薄い灰色の点、n=8)の化合物(b)で1日2回処置されたマウスにおける、感染後の様々な日数のウイルス血症に対する化合物(b)の阻害効果。データは、2つの独立して実施された研究からコンパイルされている。LLOQ、定量下限=3.8log
10コピー/mL。すべての負の値を、40のCt値に対応する2.6log
10コピー/mLの値に補完した。
【
図17-1】曝露後予防(Post-Exposure Prophylaxis、PEP)及び治療設定における、DENV複製の動態に対する化合物(b)のインビボ有効性。Y:DENV攻撃後1~5日目に治療を開始したインビボ動態研究の概略図(群3~7)。対照群では、感染日に治療を開始した(群1~2)。各処置群(各々n=8)を、1日置きの採血のために、2つのサブグループ(各々n=4)に分けた。Z:30mg/kgで1日2回、6日間連続して処置されたマウスにおける、様々な時点でのウイルス血症に対する化合物(b)の阻害効果。遅延処置群(群3~8)では、化合物(b)による処置を1日目(群3)、2日目(群4)、3日目(群5)、4日目(群6)、5日目(群7)、又は6日目(群8)に開始した。対照として、マウスの2つの群は、感染日に処置を受けた:群1(ビヒクル、黒色に塗りつぶされた点/バー)、及び群2(化合物(b)、白色の塗りつぶされていない点/バー)。LLOQ、定量下限=3.8log
10コピー/mL。すべての負の値を、40のCt値に対応する2.6log
10コピー/mLの値に補完した。
【
図17-2】曝露後予防(Post-Exposure Prophylaxis、PEP)及び治療設定における、DENV複製の動態に対する化合物(b)のインビボ有効性。Y:DENV攻撃後1~5日目に治療を開始したインビボ動態研究の概略図(群3~7)。対照群では、感染日に治療を開始した(群1~2)。各処置群(各々n=8)を、1日置きの採血のために、2つのサブグループ(各々n=4)に分けた。Z:30mg/kgで1日2回、6日間連続して処置されたマウスにおける、様々な時点でのウイルス血症に対する化合物(b)の阻害効果。遅延処置群(群3~8)では、化合物(b)による処置を1日目(群3)、2日目(群4)、3日目(群5)、4日目(群6)、5日目(群7)、又は6日目(群8)に開始した。対照として、マウスの2つの群は、感染日に処置を受けた:群1(ビヒクル、黒色に塗りつぶされた点/バー)、及び群2(化合物(b)、白色の塗りつぶされていない点/バー)。LLOQ、定量下限=3.8log
10コピー/mL。すべての負の値を、40のCt値に対応する2.6log
10コピー/mLの値に補完した。
【0015】
発明の詳細な記述
本発明は、デング病の予防的処置とも呼ばれる予防を提供する。本明細書で使用される場合、予防的及び予防という用語は、曝露後予防(PEP)及び曝露前予防(Pre-Exposure Prophylaxis、PrEP)を指す。曝露後予防としても知られるPEPは、デングウイルスへの曝露後、好ましくはピークウイルス負荷に達する前に開始される処置を指す。PrEPは、デングウイルスへの曝露前に開始される処置を指す。本発明は更に、デング病の治療に関する。治療は、デングウイルスへの曝露後に開始され、好ましくはピークウイルス負荷に達した後及び/又は症状の発現後に開始される処置を指すために、本明細書で使用される。
【0016】
第1の態様では、本発明は、デングウイルスに感染するリスクがある個体におけるデング感染又はデング病の予防のための薬剤の製造における、式I又は式IIの化合物の使用を提供し、薬剤は、少なくとも6時間、好ましくは少なくとも12時間、好ましくは少なくとも20時間、好ましくは少なくとも24時間の時間間隔で断続的に投与され、式Iの化合物は、
【0017】
【化1】
その立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、又は多形に対応し、当該化合物は、
R
1がHであり、R
2がFであり、R
3がH又はCH
3である、
R
1がH、CH
3、又はFであり、R
2がOCH
3であり、R
3がHである、
R
1がHであり、R
2がOCH
3であり、R
3がCH
3である、
R
1がCH
3であり、R
2がFであり、R
3がHである、
R
1がCF
3又はOCF
3であり、R
2がHであり、R
3がHである、
R
1がOCF
3であり、R
2がOCH
3であり、R
3がHである、
R
1がOCF
3であり、R
2がHであり、R
3がCH
3である、の群から選択され、
式IIの化合物は、
【0018】
【化2】
その立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、又は多形に対応し、
R
1はクロロであり、R
2は水素であり、R
3はトリフルオロメチルであり、R
4は水素であるか、又は
R
1はクロロであり、R
2は水素であり、R
3はトリフルオロメトキシであり、R
4は水素であるか、又は
R
1はクロロであり、R
2は水素であり、R
3はトリフルオロメチルであり、R
4はメトキシであるか、又は
R
1はクロロであり、R
2はメトキシであり、R
3はトリフルオロメチルであり、R
4は水素であるか、又は
R
1はクロロであり、R
2はメトキシであり、R
3はトリフルオロメチルであり、R
4はメトキシであるか、又は
R
1はクロロであり、R
2はメトキシであり、R
3はトリフルオロメトキシであり、R
4は水素であるか、又は
R
1はクロロであり、R
2はフルオロであり、R
3はトリフルオロメチルであり、R
4は水素であるか、又は
R
1はクロロであり、R
2はフルオロであり、R
3はトリフルオロメトキシであり、R
4は水素であるか、又は
R
1はクロロであり、R
2はフルオロであり、R
3はトリフルオロメチルであり、R
4はメトキシであるか、又は
R
1はクロロであり、R
2は水素であり、R
3はトリフルオロメトキシであり、R
4はメトキシである。
【0019】
本発明はまた、デングウイルスに感染するリスクがある個体におけるデング病の予防における、又はデングウイルスに感染した個体におけるデング病の治療のための使用のための式Iの化合物を提供し、化合物は、少なくとも6時間、好ましくは少なくとも12時間、好ましくは少なくとも20時間、好ましくは少なくとも24時間、好ましくは少なくとも36時間、好ましくは少なくとも48時間、好ましくは少なくとも72時間の時間間隔で断続的に投与され、式Iは、
【0020】
【化3】
その立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、又は多形に対応し、当該化合物は、
R
1がHであり、R
2がFであり、R
3がH又はCH
3である、
R
1がH、CH
3、又はFであり、R
2がOCH
3であり、R
3がHである、
R
1がHであり、R
2がOCH
3であり、R
3がCH
3である、
R
1がCH
3であり、R
2がFであり、R
3がHである、
R
1がCF
3又はOCF
3であり、R
2がHであり、R
3がHである、
R
1がOCF
3であり、R
2がOCH
3であり、R
3がHである、
R
1がOCF
3であり、R
2がHであり、R
3がCH
3である、の群から選択される。
【0021】
式I又は式IIの化合物のすべての立体異性体(その1つ又は2つ以上の混合物を含む)が、本発明の範囲内に含まれる。
【0022】
式I又は式IIの化合物の無水形態が、本発明の範囲内に含まれる。
【0023】
式I又は式IIの化合物のすべての非晶質形態が、本発明の範囲内に含まれる。
【0024】
好ましくは、式Iの化合物、又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくは多形は、以下の群から選択される。
【0025】
【0026】
好ましくは、式IIの化合物、又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくは多形は、以下の群から選択される。
【0027】
【0028】
式I及びIIの化合物の薬学的に許容される塩は、その酸付加塩及び塩基塩を含む。好適な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。好適な塩基塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。式I及びIIの化合物は、非溶媒和形態及び溶媒和形態で使用され得る。「溶媒和物」という用語は、式I及びIIの化合物、及び1つ又は2つ以上の薬学的に許容される溶媒分子、例えば、エタノールを含む分子複合体を説明するために、本明細書で使用される。
【0029】
本発明に従った式Iの化合物は、国際公開第2016/180696号に開示されるように、当該技術分野で記載される方法に従って合成され得る。本発明に従った式IIの化合物は、国際公開第2017/167951号に開示されるように、当該技術分野で記載される方法に従って調製され得る。
【0030】
好ましい実施形態では、式Iの化合物は、
【0031】
【化6】
化合物(a)、又はその立体異性体、薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくは多形である。化合物(a)は、例えば一水和物として、溶媒和形態であり得る。
【0032】
好ましくは、式(I)の化合物は、化合物(a)の(S)-エナンチオマーである。好ましくは、化合物(a)は、無水形態である。好ましくは、化合物(a)は、非晶質形態である。好ましくは、化合物(a)又はその薬学的に許容される塩形態は、非晶質形態又は溶解状態である。好ましくは、化合物(a)は、非晶質形態又は溶解状態である。好ましくは、式(I)の化合物は、非晶質形態の(S)-エナンチオマーである。好ましくは、式(I)の化合物は、無水形態の(S)-エナンチオマーである。好ましくは、化合物(a)は、非晶質形態の(S)-エナンチオマーである。好ましくは、化合物(a)は、無水形態の(S)-エナンチオマーである。
【0033】
化合物は、結晶性又は非晶質の生成物として投与され得る。それらは、単独で、又は本発明の1つ若しくは2つ以上の他の化合物と組み合わせて、又は1つ若しくは2つ以上の他の薬物と組み合わせて投与され得る。一般に、それらは、1つ又は2つ以上の薬学的に許容される賦形剤と併せて、製剤として投与される。「賦形剤」という用語は、本発明の化合物以外の任意の成分を説明するために、本明細書で使用される。賦形剤の選択は、特定の投与方法、溶解度及び安定性に対する賦形剤の効果、並びに剤形の性質などの要因に大きく依存する。
【0034】
「多形」という用語は、式I及びIIの化合物が、2つ以上の形態又は結晶構造で存在する能力を指す。
【0035】
好ましくは、薬剤は、6時間毎に少なくとも1回、8時間毎に少なくとも1回、12時間毎に少なくとも1回、20時間毎に少なくとも1回、24時間毎に少なくとも1回、36時間毎に少なくとも1回、48時間毎に少なくとも1回、72時間毎に少なくとも1回、1週間毎に少なくとも1回、2週間毎に少なくとも1回、3週間毎に少なくとも1回、1ヶ月毎に少なくとも1回、6週間毎に少なくとも1回、2ヶ月毎に少なくとも1回、3ヶ月毎に少なくとも1回、4ヶ月毎に少なくとも1回、5ヶ月毎に少なくとも1回、6ヶ月毎に少なくとも1回、又は1年に少なくとも1回投与される。「月」及び「4週間」という用語は、本明細書では同等物として使用される。
【0036】
薬剤は、デングウイルスに感染するリスクがある個体に投与され得る。当該個体は、デング流行地域で生活しているか、又はそこに旅行している。薬剤はまた、デングウイルスに既に感染しているが、血液中のピークウイルス負荷がまだ達成されていない個体に投与され得る。好ましくは、デングウイルスに感染するリスクがある個体について、薬剤の初回投与は、感染の少なくとも5分、少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月前(したがって、例えば、旅行者に関しては流行地域に入る前、又は流行地域で生活している個体に関してはデング流行期の前)に行われる。薬剤の初回投与はまた、デングウイルスに感染した最大15日、最大14日、最大13日、最大12日、最大11日、最大10日、最大8日、最大6日、最大5日、最大4日、最大72時間、最大48時間、最大36時間、最大24時間、又は最大12時間後に行われ得る。
【0037】
薬剤は、有効量の式I又は式IIの化合物を含む。当該有効量は、血液中のデングウイルス負荷が、最大0コピー/mL、最大0.5log10コピー/mL、最大1log10コピー/mL、最大1.5log10コピー/mL、最大2log10コピー/mL、最大2.5log10コピー/mL、最大3log10コピー/mL、最大3.5log10コピー/mL、最大4log10コピー/mL、最大4.5log10コピー/mL、最大5log10コピー/mL、最大5.5log10コピー/mL、最大6log10コピー/mL、最大6.5log10コピー/mL、最大7log10コピー/mL、最大7.5log10コピー/mL、最大8log10コピー/mL、最大8.5log10コピー/mL、最大9log10コピー/mL、最大9.5log10コピー/mL、最大10log10コピー/mL、最大10.5log10コピー/mL、最大11log10コピー/mL、最大11.5log10コピー/mL、最大12log10コピー/mL、最大12.5log10コピー/mL、最大13log10コピー/mL、最大13.5log10コピー/mL、最大14log10コピー/mL、最大15log10コピー/mLのレベルで長期間保持されるように選択される。
【0038】
当該有効量は、血液中のデングウイルス負荷が、最大0コピー/mL、最大0.5log10コピー/mL、最大1log10コピー/mL、最大1.5log10コピー/mL、最大2log10コピー/mL、最大2.5log10コピー/mL、最大3log10コピー/mL、最大3.5log10コピー/mL、最大4log10コピー/mL、最大4.5log10コピー/mL、最大5log10コピー/mL、最大5.5log10コピー/mL、最大6log10コピー/mL、最大6.5log10コピー/mL、最大7log10コピー/mL、最大7.5log10コピー/mL、最大8log10コピー/mL、最大8.5log10コピー/mL、最大9log10コピー/mL、最大9.5log10コピー/mL、最大10log10コピー/mL、最大10.5log10コピー/mL、最大11log10コピー/mL、最大11.5log10コピー/mL、最大12log10コピー/mL、最大12.5log10コピー/mL、最大13log10コピー/mL、最大13.5log10コピー/mL、最大14log10コピー/mL、最大15log10コピー/mLのレベルで保持されるように選択される。
【0039】
好ましくは、式I又は式IIの化合物の有効量は、血液中のデングウイルス負荷が、最大2log10コピー/mL、最大2.5log10コピー/mL、最大3log10コピー/mL、最大3.5log10コピー/mL、最大4log10コピー/mL、最大4.5log10コピー/mL、最大5log10コピー/mL、最大5.5log10コピー/mL、最大6log10コピー/mL、最大6.5log10コピー/mL、最大7log10コピー/mL、最大7.5log10コピー/mL、最大8log10コピー/mL、最大8.5log10コピー/mL、最大9log10コピー/mLのレベルで長期間保持されるように選択される。
【0040】
好ましくは、式I又は式IIの化合物の有効量は、血液中のデングウイルス負荷が、最大2log10コピー/mL、最大2.5log10コピー/mL、最大3log10コピー/mL、最大3.5log10コピー/mL、最大4log10コピー/mL、最大4.5log10コピー/mL、最大5log10コピー/mL、最大5.5log10コピー/mL、最大6log10コピー/mL、最大6.5log10コピー/mL、最大7log10コピー/mL、最大7.5log10コピー/mL、最大8log10コピー/mL、最大8.5log10コピー/mL、最大9log10コピー/mLのレベルで保持されるように選択される。
【0041】
長期間は、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、又は少なくとも4週間の期間を指す。当該長期間は、最大1年、最大6ヶ月、最大5ヶ月、最大4ヶ月、最大3ヶ月、又は最大2ヶ月の期間を指す。
【0042】
好ましくは、薬剤は、経口、皮下、筋肉内、又は静脈内投与される。
【0043】
薬剤は、異なる投与目的で、様々な薬学的形態に製剤化され得る。薬剤は、有効量の上記の任意の化合物又はその混合物を、有効成分として、任意選択で付加塩形態で含む。当該活性成分は、薬学的に許容される担体と密接に混合して組み合わされ得、この担体は、投与に望ましい調製物の形態に応じて多種多様な形態をとり得る。薬剤は、例えば、経口、局所、直腸、又は当業者に既知の任意の他の投与経路に好適な単一剤形であり得る。例えば、経口剤形として薬剤を調製する際に、例えば、懸濁液、シロップ、エリキシル剤、エマルジョン、及び溶液などの経口液体調製物の場合、水、グリコール、油、アルコール;又は粉末、ピル、カプセル、及び錠剤の場合、デンプン、糖、カオリン、希釈剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などの固形担体など、通常の薬学的媒体のいずれかが用いられ得る。薬剤はまた、使用直前に液体形態に変換され得る固体形態の調製物であり得る。
【0044】
投与を容易にし、投与量を均一にするために、上記の薬剤を単位剤形として製剤化することが特に有利である。本明細書で使用される場合、単位剤形は、単一の投与量として好適な物理的に分離した単位を指し、各単位は、必要な薬理学的担体と併せて、所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の活性成分を含有する。そのような単位剤形の例は、錠剤(割線入り錠剤又はコーティング錠剤を含む)、カプセル、ピル、粉末パケット、ウエハー、坐剤、注射用溶液又は懸濁液など、及びそれらの複数分割量である。
【0045】
薬剤(例えば、単一錠剤又は剤形)に含まれる式I又は式IIの化合物の有効量は、0.05mg/kg~500mg/kg体重、0.1mg/kg~400mg/kg体重、0.5mg/kg~300mg/kg体重、1mg/kg~200mg/kg体重、1.5~180mg/kg体重、3mg/kg~150mg/kg体重、5mg/kg~120mg/kg体重、6mg/kg~110mg/kg体重、10mg/kg~100mg/kg体重、15mg/kg~90mg/kg体重、20mg/kg~80mg/kg体重、25mg/kg~70mg/kg体重、30mg/kg~60mg/kg体重、35mg/kg~55mg/kg体重、40mg/kg~50mg/kg体重、42~45mg/kg体重、又は約43mg/kg体重である。
【0046】
式I又は式IIの化合物の有効1日量は、0.1~2400mg、0.2~2000mg、0.3mg~1600mg、0.5mg~1500mg、1mg~1400mg、2mg~1300mg、3mg~1200mg、4mg~1100mg、5mg~1000mg、6mg~950mg、7mg~900mg、8mg~850mg、9mg~800mg、10mg~750mg、11mg~700mg、12mg~650mg、13mg~600mg、14mg~550mg、15mg~500mg、16mg~450mg、17mg~400mg、18mg~350mg、19mg~300mg、20mg~250mg、21mg~200mg、22mg~150mg、23mg~100mg、24mg~95mg、25mg~90mg、26mg~85mg、27mg~80mg、28mg~75mg、29mg~70mg、30mg~65mg、31mg~60mg、32mg~55mg、33mg~50mg、34mg~45mg、35mg~40mg、36mg~38mgである。有効1日量は、本明細書において、1日当たり又は24時間当たり投与される式I又は式IIの化合物の量を指す。
【0047】
化合物の有効1日量は、予防処置期間中に変化しないままであり得る。当該有効1日用量又は量はまた、指示された予防処置期間中に減少及び/又は増加し得るように可変であり得る。当該有効1日量は、変化しない又は異なる濃度(又は有効量)の本発明の化合物を含む薬剤の投与によって達成され得る。
【0048】
本明細書に記載される式I又はIIの化合物はまた、デング病の治療のための薬剤の製造で使用され得る。薬剤は、好ましくは1日当たり1、2、3、又は4回投与される。
【0049】
上記のすべての先の実施形態は、式I又はIIの化合物を含む薬剤にも適用可能であり、デング感染の治療に使用される。当該実施形態は、以下を含む。
-薬剤に含まれる式I又は式IIの化合物の有効量は、血液中のデングウイルス負荷が上記のように保持されるように選択される、
-薬剤投与及び製剤、
-薬剤(例えば、単一錠剤又は剤形)に含まれる式I又は式IIの化合物の有効量、並びに
-式I又は式IIの化合物の有効1日量。
【0050】
化合物の有効1日量は、処置期間中に変化しないままであり得る。当該有効1日用量又は量はまた、指示された処置期間中に減少及び/又は増加し得るように可変であり得る。当該有効1日量は、変化しない又は異なる濃度の本発明の化合物を含む薬剤の投与によって達成され得る。
【0051】
第2の態様では、本発明は、デングウイルスに感染した個体におけるデング病の治療、又はデングウイルスに感染するリスクがある個体におけるデング病の予防のための方法を提供し、当該方法は、当該個体に、式I又は式IIの化合物を含む薬剤を投与する工程を含み、薬剤は、少なくとも6時間、好ましくは少なくとも12時間、好ましくは少なくとも20時間、より好ましくは少なくとも24時間、より好ましくは少なくとも36時間、より好ましくは少なくとも48時間、より好ましくは72時間の時間間隔で断続的に投与され、式I又は式IIの化合物は、本発明の第1の態様で上述されたとおりである。
【0052】
本方法の好ましい実施形態では、薬剤は、薬剤の投与タイミングを含む本発明の第1の態様において上記で指定されたように投与される。本方法の好ましい実施形態では、薬剤は、有効量の式I又は式IIの化合物を含み、当該有効量は、本発明の第1の態様において上記で指定されたように選択され、指定されたような値を有する。
【実施例】
【0053】
1.曝露前予防として1日2回の化合物(a)を使用した、高ウイルス投入量106PFU)のDENV-2に対する、AG129マウスのウイルス血症モデルにおけるインビボ有効性研究。
AG129マウスモデルは、インビボでDENVに対する化合物の抗ウイルス効果を研究するための十分に確立されたモデルである(Zompi and Harris,2012)。これらの129/Svマウスは、IFN-α/β及びIFN-γ受容体の両方を欠損しており、DENVによる静脈内(intravenous、i.v.)又は皮下(subcutaneous、s.c.)感染時に末梢ウイルス複製を可能にする(Johnson and Roehrig,1999)。セルゴシビル(α-グルコシダーゼ阻害剤)Wathanebe et al,2012及びRathore et al.,2011)、並びにNITD-008(アデノシンヌクレオシド阻害剤、Yin et al.,2009)を含むいくつかの前臨床候補が、このモデルで評価されている。
【0054】
本発明の化合物(a)を、AG129マウスのウイルス血症モデルで試験した。化合物(a)の合成は、国際公開第2016/180696号の実施例9に記載されている。
【0055】
【0056】
年齢及び性別が適合した(6~10週齢)AG129マウスを使用して、血清中のウイルスRNAレベルに対する化合物(a)の抗ウイルス効果を評価した。動物を、10
6プラーク形成単位(PFU)のDENV-2/Rega実験室株の高ウイルス投入量で腹腔内(i.p.)感染させた。動物を、感染の1時間前の初回投与を用いた強制経口投与によって化合物(a)を投与することによって処置した。12時間毎に1回(1日2回又はb.i.d.)の化合物(a)の投与で、3日間連続して処置を継続した。感染後(p.i.)3日目に、マウスを屠殺し、血液を採取し、ウイルス負荷決定のために-80℃で保存した(
図1)。
【0057】
マウスを、以下の処置レジメンを表すいくつかの群(n=8/群)に分けた。
(i)ビヒクル80%/20% PEG400/H2O、
(ii)皮下(s.c.)投与される1日2回の参照化合物(2’CMC):50mg/kg/用量、
(iii)化合物(a):30mg/kg/用量、1日2回
(iv)化合物(a):10mg/kg/用量、1日2回
(v)化合物(a):3mg/kg/用量、1日2回
(vi)化合物(a):1mg/kg/用量、1日2回
(vii)化合物(a):0.3mg/kg/用量、1日2回、及び
(viii)化合物(a):0.1mg/kg/用量、1日2回
【0058】
血清からの全RNAを、NucleoSpin RNAウイルスキットを製造元のプロトコル(Macherey-Nagel、Duren,Germany)に従って使用して抽出した。ウイルスRNA負荷を、一段階TaqMan RT-qPCR(Eurogentec、Seraing,Belgiumからのマスターミックス)によって決定した。
【0059】
化合物(a)による処置後の3つの実験にわたる平均ウイルスRNAレベルを推定するために、統計分析を実施している。3つの実験からの結果を一緒にプールした。二元配置ANOVAモデルを使用して、平均ウイルスRNAレベルを推定した。
【0060】
平均ウイルス負荷の用量依存的な低減を、血清中の0.1、0.3、1、3、10、及び30mg/kg/用量、1日2回の化合物(a)の用量範囲について推定した(
図2)。0.1mg/kg/用量、1日2回を除くすべての用量は、ビヒクル処置群と比較して、血清中の有意なウイルス負荷低減をもたらした(p<0.001)。30mg/kg/用量、1日2回における血清中、4.4log
10コピー/mLのウイルス負荷低減が観察され、最低用量の化合物(a)(0.1mg/kg/用量、1日2回)において、0.47log
10コピー/mLのウイルス負荷低減が依然として達成された。
【0061】
2.曝露前予防として1日1回の化合物(a)を使用した、高ウイルス投入量10
6PFU)のDENV-2に対する、AG129マウスのウイルス血症モデルにおけるインビボ有効性研究。
1日2回の投与量研究と同様の設定で、インビボ有効性を、高ウイルス接種量及び化合物(a)の1日1回の投与を用いたDENV-2に対して、AG129標準ウイルス血症モデルにおいて研究した。動物を、200μLの体積の10
6PFUのDENV-2/Rega実験室株で腹腔内感染させた。動物を、感染の1時間前の初回投与を用いた強制経口投与によって化合物(a)を投与することによって処置した。24時間毎に1回(1日1回又はq.d.)の化合物(a)の投与で、3日間連続して処置を継続した。感染後(p.i.)3日目に、マウスを安楽死させ、血液を採取した(
図3)。ウイルスRNA負荷を、実施例1に概説されるように決定した。
【0062】
マウスを、以下の処置レジメンを表す5つの群(n=8/群)に分けた。
(i)ビヒクル80%/20% PEG400/H2O、
(ii)参照化合物(2’CMC、50mg/kg/用量、1日2回、皮下)、
(iii)化合物(a):0.3mg/kg/用量、1日1回
(iv)化合物(a):3mg/kg/用量、1日1回
(v)化合物(a):30mg/kg/用量、1日1回
【0063】
血清中、感染後3日目に、ウイルス負荷中央値の用量依存的な低減が観察された。0.3、3、及び30mg/kg/用量の化合物(a)の用量範囲に関して、それぞれ、0.7、3.1、及び4.5log
10コピー/mLのウイルス負荷中央値の低減が、ビヒクル処置されたマウスと対比して(versus、vs.)観察された(
図4)。
【0064】
3.曝露前予防として1日2回の化合物(a)を使用した、低ウイルス投入量102PFU)のDENV-2に対する、AG129マウスのウイルス血症モデルにおけるインビボ有効性研究。
この実験では、高ウイルス投入量を用いた標準的なウイルス血症実験(106PFU)と比較して、より低いウイルス投入量を使用した(102PFU)。102PFUは、マウスモデルにおけるデング感染につながる最低ウイルス負荷であるため選択された。より低いウイルス投入量を使用してもなお、マウスの100%の感染をもたらすが、ピークウイルス負荷は、1~2日延期され、これは、自然なヒト感染をより密接に模倣する(Clapham et al.,2014及びSim et al.,2015)。マウスを6日連続して処置した。
【0065】
動物を10
2PFUのDENV-2/Rega実験室株で腹腔内感染させ、強制経口投与による化合物(a)で1日2回、6日間連続して処置した(
図5)。
【0066】
マウスを、以下の処置レジメンを表す4つの処置群(n=16/群)に分けた。
(i)ビヒクル80%/20% PEG400/H2O、
(ii)化合物(a):10mg/kg/用量、1日2回、経口
(iii)化合物(a):1mg/kg/用量、1日2回、経口
(iv)化合物(a):0.1mg/kg/用量、1日2回、経口
【0067】
毎日、血液試料を採取して、経時的なウイルス負荷を追跡した。ウイルスRNA負荷検出のための採血を、マウスの2つの交互のサブグループで実施した。各サブグループは、処置群(i)~(iv)の各々からのマウスの半分(n/2=8)を含んでいた。感染後1、3、5、及び8日目に第1のサブグループから、並びに感染後2、4、6、及び11日目に第2のサブグループから、血液を採取した。感染後8日目に、第1のサブグループのマウスを屠殺した一方で、第2のサブグループのマウスを感染後11日目に屠殺した。常に、化合物の次の投与直前に採血を実施した。
【0068】
ビヒクル処置されたマウスが、感染後4日目~5日目にピークウイルス負荷に達した一方で、0.1mg/kg/用量、1日2回の化合物(a)で処置されたマウスについては、ピークは、約1日遅延した。5日目に、0.1mg/kg/用量、1日2回の化合物(a)の用量は、ビヒクルと比較して、ウイルス負荷を0.50log
10コピー/mL低減した。2つのより高い用量(10及び1mg/kg/用量、1日2回の化合物(a))は、すべての日数にわたって、マウスにおけるウイルス負荷を検出不可能なレベルまで低減した(
図6)。
【0069】
4.曝露前予防として1日1回の化合物(a)を使用した、低ウイルス投入量10
2PFU)のDENV-2に対する、AG129マウスのウイルス血症モデルにおけるインビボ有効性研究。
年齢及び性別が適合した(6~10週齢)AG129マウスを使用して、血清中のウイルスRNAレベルに対する化合物(a)の活性を評価した。動物を、200μLの体積の10
2PFUのDENV-2/Rega実験室株で腹腔内感染させた。動物を、感染の1時間前の初回投与を用いた強制経口投与によって化合物(a)を投与することによって処置した。24時間毎に1回(1日1回又はq.d.)の化合物(a)の投与で、6日間連続して処置を継続した(
図7)。
【0070】
3つの独立した実験を実施した。3つの実験の各々において、ビヒクルに加えて3つの異なる用量の化合物(a)を試験した。マウスを、以下の処置レジメンを表す4つの処置群(n=16/群)に分けた。
(i)ビヒクル、
(ii)実験1:0.1、0.6、及び30mg/kg/用量、1日1回において1日1回経口投与される化合物(a)(
図8の結果)
(iii)実験2:0.1、0.3、及び1mg/kg/用量、1日1回において1日1回経口投与される化合物(a)(
図9の結果)
(iv)実験3:1、3、及び10mg/kg/用量、1日1回において1日1回経口投与される化合物(a)(
図10の結果)
【0071】
交互のサブグループを使用して、毎日の採血を可能にした。ウイルスRNA負荷検出のための血液を、2つの交互のサブグループのマウスから採取した。各サブグループは、処置群(i)~(iv)の各々からのマウスの半分(n/2=8)を含んでいた。感染後1、3、5、及び8日目に第1のサブグループから、並びに感染後2、4、6、及び11日目に第2のサブグループから、血液を採取した。常に、化合物の次の投与直前に採血を実施した。感染後8日目に、各処置群のマウスの半分(n=8/群)を屠殺した。各処置群の残りのマウス(n=8/群)を感染後11日目に屠殺した(
図7)。
【0072】
3つの実験にわたって、ビヒクル処置されたマウスは、一般に感染後5日目~6日目にピークウイルス負荷に達し、ウイルス負荷中央値は、実験1、2、及び3において、それぞれ、4.3、7.1、及び6.6log
10コピー/mLであった(それぞれ
図8、
図9、及び
図10)。7つの用量のうち5つ、すなわち0.6、1、3、10、及び30mg/kg/用量、1日1回の化合物(a)は、11日すべてにわたるマウスにおける血清ウイルス負荷中央値を検出不可能なレベルまで低減し(LOD=2.59log
10コピーmL)、1mg/kg/用量、1日1回において、1つのウイルスのリバウンドが8日目にあった(3.78log
10コピー/mLのウイルス負荷中央値)。0.3mg/kg/用量、1日1回において、ビヒクル処置されたマウスと比較して、5日目に1.6log
10コピー/mLのウイルス負荷低減が達成されたが、11日目までのウイルス負荷の更なる低下を観察することはできなかった。最低用量の0.1mg/kg/用量、1日1回において、経時的なウイルス負荷は、ビヒクル処置されたウイルス負荷曲線と同等であった。
【0073】
5.DENV-2/16681に対する、非ヒト霊長類モデル(macaca mulatta)における化合物(a)、1日1回による曝露前予防。
化合物(a)を、DENV-2/16681に対して非ヒト霊長類(NHP)モデルで試験した。実験の設定を、曝露前予防(PreP)研究として設計した。化合物(a)の経口投与は、実験感染の1日前(-1日目)に開始し、感染後10日まで毎日の投与を継続した。0日目に、動物を、0.1mLの総体積の100TCID
50のDENV-2/16681ウイルスを用いた皮内接種によって感染させた(
図11)。
【0074】
アカゲザルを、以下の処置レジメンを表す7つの群に分けた。
(i)ビヒクル100% PEG400(n=5)
(ii)群1:0.01mg/kg/用量、1日1回(n=3)、
(iii)群2:0.18mg/kg/用量、1日1回(n=3)、
(iv)群3:3mg/kg/用量、1日1回(n=3)、
(v)群4:0.024mg/kg/用量、1日1回(n=4)、
(vi)群5:0.09mg/kg/用量、1日1回(n=4)、
(vii)群6:0.93mg mg/kg/用量、1日1回(n=4)。
【0075】
予防的設定における化合物(a)の抗ウイルス活性が、DENV-2/16681感染アカゲザル(Macaca mulatta)において評価されている。血液試料を、0日目から11日目まで、並びに14日目及び28日目に毎日採取した。DENV RNAを、Santiago et al.(2013)によって記載されるように、リアルタイムqPCRを使用して測定した。感染前1日目から感染後10日目まで、1日1回投与された0.01、0.024、0.09、0.18、0.93、及び3mg/kgの化合物(a)用量からの結果を、
図12A及び
図12Bに示す。
【0076】
2つの最高用量(0.93及び3mg/kg用量)について、研究期間全体を通して、すなわち投与後28日目まで、DENV RNAは、検出可能ではなかった。DENV RNA及びピークRNAの開始遅延が、0.09及び0.18mg/kg投与群の一部の動物で観察された(
図12B)。各個々の動物についてのデータを示す(各線は、1つの動物からのデータを表す)。1286GCE/mLにおける水平の破線は、アッセイの定量下限(LLOQ)を表す(
図12A及び
図12B)。
【0077】
ベイズ的非線形用量応答統計モデルに基づいて、ビヒクルと比較したピークウイルス負荷低減を各投与群について推定した。ビヒクルと比較したピークDENV RNA中央値の統計的に有意な低減は、0.01及び0.024mg/kgの2つの最低用量について観察されなかった。ビヒクル対照と比較した、0.78、1.91、4.73、及び6.76log10ゲノムコピー当量(GCE)/ミリリットル(GCE/mL)の血漿のDENVピークRNAレベルの用量依存的な中央値の低減を、それぞれ、0.09、0.18、0.93、及び3mg/kgの用量で推定した(表1)。
【0078】
【表1】
*ビヒクルと比較した投与群のピークウイルス負荷中央値の統計的に有意な低減(95%の信頼性区間)。
【0079】
6.非ヒト霊長類(Macaca mulatta)におけるDENV 1/45AZ5に対する化合物(a)の抗ウイルス活性。
予防的設定における化合物(a)DENVの抗ウイルス活性を、株DENV 1/45AZ5に感染したアカゲザル(Macaca mulatta)において評価した。化合物(a)(6mg/kg)の経口投与を、DENVでの感染の3日前(-3日目)に開始し、感染の10日後まで毎日投与し続けた。0日目に、動物に、0.5mLのDENV 1/45AZ5(1.2×105プラーク形成単位[PFU/mL])を皮内接種した。動物を感染後28日まで追跡した(
図13X)。
【0080】
アカゲザルを、以下の処置レジメンを表す2つの群に分けた。
(i)ビヒクル100% PEG400(n=6)
(ii)群1:6mg/kg/用量、1日1回(n=6)
【0081】
ビヒクル対照群のすべての動物は、ウイルス攻撃の4日後に開始して14日目まで検出可能なDENV RNAを有し、ピークRNAは、8.15×103~5.88×105ゲノム当量/mLの範囲である(
図14Xを参照されたい)。個々の動物のウイルスRNAは、一般に、攻撃後9~10日目にピークに達し、14日目に依然としてDENV-RNA陽性であったプラセボ群の1匹の動物(AID14U018)を除いて、ウイルスRNAは、11日目に最後に検出された。化合物(a)で処置された動物において、DENV RNAは、全研究期間中に検出不可能なままであった(
図14Yを参照されたい)。
【0082】
7.曝露前予防として1日2回の化合物(b)を使用した、高ウイルス投入量106PFU)のDENV-2に対する、AG129マウスのウイルス血症モデルにおけるインビボ有効性研究。
本発明の化合物(b)を、AG129マウスのウイルス血症モデルで試験した。化合物(b)の合成は、国際公開第2017/167951号の実施例4に記載されている。
【0083】
【0084】
年齢及び性別が適合した(6~9週齢)AG129マウスを使用して、マウスの血清中のウイルスRNAレベルに対する化合物(b)の活性、及びマウスのウイルス誘発性疾患又は死亡率を評価した。
【0085】
ウイルス血症研究のために、動物を1×10
6プラーク形成単位(PFU)のDENV-2/Rega実験室株で腹腔内(i.p.)感染させた。動物(n=8/群)を、感染の1時間前の初回投与を用いた強制経口投与によって化合物(b)を投与することによって処置した。12時間毎に1回(1日2回又はb.i.d.)の化合物(b)の投与で、3日間連続して処置を継続した。感染後3日目に、マウスを屠殺し、血液を採取し、ウイルス負荷決定のために-80℃で保存した(
図15X)。血清からの全RNAを、NucleoSpin RNAウイルスキットを製造元のプロトコル(Macherey-Nagel、Duren,Germany)に従って使用して抽出した。ウイルスRNA負荷を、上記のようにRT-qPCRによって決定した。
【0086】
致死的なDENV攻撃研究(又は生存研究)において、抗体依存性増強(antibody-dependent-enhancement、ADE)誘発性デング病を、DENV-2 Rega実験室株での攻撃(1×10
6PFU、腹腔内)の1日前に、抗フラビウイルス群抗原抗体、クローンD1-4G2-4-15(「4G2」;Millipore)をAG129マウス(n=10/群)に腹腔内注射することによって模倣する。動物を、感染の1時間前の初回投与を用いた強制経口投与によって化合物(b)を投与することによって処置した。12時間毎に1回(1日2回又はb.i.d.)の化合物(b)の投与で、5日間連続して処置を継続した。(
図15X)。
【0087】
マウスを、以下の処置レジメンを表すいくつかの群(ウイルス血症研究のためにn=8/群、及び生存研究のためにn=10/群)に分けた。
(i)ビヒクル、80%/20% PEG400/H2O
(ii)化合物(b):30mg/kg/用量、1日2回
(iii)化合物(b):10mg/kg/用量、1日2回
(iv)化合物(b):3mg/kg/用量、1日2回
(v)化合物(b):1mg/kg/用量、1日2回
【0088】
ウイルス血症研究において、1、3、10、及び30mg/kg/用量、1日2回の化合物(b)の試験された用量レジメンについて、血清中の平均ウイルス負荷の用量依存的な低減が観察された。4つすべての用量は、ビヒクル処置群と比較して、有意なウイルス負荷低減をもたらした(p<0.05)。30mg/kg/用量、1日2回で処置された動物の血清中、3.8log
10コピー/mLのウイルス負荷低減が観察された。最低用量(1mg/kg/用量、1日2回)において、0.70log
10コピー/mLのウイルス負荷低減が依然として達成された(
図15Y)。
【0089】
次に、化合物(b)の影響を、感染日に開始してちょうど5日間連続して投与した場合(経口、1日2回)のウイルス誘発性疾患及び死亡率に対して評価した(生存研究)。動物を25日の最大期間監視した。1匹を除くすべて(20匹のうち19匹)のビヒクル処置されたマウスを安楽死させる必要があった。30mg/kgの用量において、マウスの90%がウイルス攻撃を生き延び、10、3、及び1mg/kgの用量において、生存率は、それぞれ80%、85%、及び75%であった(
図15Z)。
【0090】
8.曝露前予防として1日2回の化合物(b)を使用した、低ウイルス投入量10
2PFU)のDENV-2に対する、AG129マウスのウイルス血症モデルにおけるインビボ有効性研究。
年齢及び性別が適合した(6~10週齢)AG129マウスを使用して、血清中のウイルスRNAレベルに対する化合物(b)の活性を評価した。動物を、200μLの体積の10
2PFUのDENV-2/Rega実験室株で腹腔内感染させた。動物を、感染の1時間前の初回投与を用いた強制経口投与によって化合物(b)を投与することによって処置した。12時間毎に1回(1日2回又はb.i.d.)の化合物(b)の投与で、6日間連続して処置を継続した(
図16Y)。
【0091】
ビヒクルに加えて、5つの異なる用量の化合物(b)を試験した。マウスを、以下の処置レジメンを表す6つの処置群(n=16/群)に分けた。
(i)ビヒクル、
(ii)0.3mg/kg/用量、1日2回において1日2回経口投与される化合物(b)、
(iii)1mg/kg/用量、1日2回において1日2回経口投与される化合物(b)、
(iv)3mg/kg/用量、1日2回において1日2回経口投与される化合物(b)、
(v)10mg/kg/用量、1日2回において1日2回経口投与される化合物(b)、
(vi)30mg/kg/用量、1日2回において1日2回経口投与される化合物(b)
【0092】
交互のサブグループを使用して、毎日の採血を可能にした。ウイルスRNA負荷検出のための血液を、2つの交互のサブグループのマウスから採取した。各サブグループは、処置群(i)~(vi)の各々からのマウスの半分(n/2=8)を含んでいた。感染後1、3、5、及び8日目に第1のサブグループから、並びに感染後2、4、6、及び11日目に第2のサブグループから、血液を採取した。常に、化合物の次の投与直前に採血を実施した。感染後8日目に、各処置群のマウスの半分(n=8/群)を屠殺した。各処置群の残りのマウス(n=8/群)を感染後11日目に屠殺した(
図16Y)。
【0093】
30、10、又は3mg/kg/用量、1日2回のいずれかの用量の化合物(b)は、ウイルスRNAレベルを検出不可能なレベルまで低減した(
図16Z)。1及び0.3mg/kgほど低い用量においてさえ、ピークウイルス血症におけるウイルスRNAレベルは、それぞれ1.8log
10及び0.8log
10低減した(
図16Z)。
【0094】
9.DENV-2/Regaに対するインビボAG129マウスモデルにおけるPrEP、曝露後予防(PEP)、及び化合物(b)による処置。
年齢及び性別が適合した(6~9週齢)AG129マウスを使用して、マウスの血清中のウイルスRNAレベルに対する化合物(b)の活性を評価した。動物を1×102PFUのDENV-2/Rega実験室株で腹腔内(i.p.)感染させ、強制経口投与によって投与された化合物(b)で5日間連続して処置した。化合物(b)を12時間毎に(1日2回又はb.i.d.)投与した。
【0095】
マウスを、以下の処置レジメンを表す6つの処置群(n=8/群)に分けた。
(i)ビヒクル80%/20% PEG400/H2O(群1)、
(ii)30mg/kg/用量の化合物(b)、1日2回:感染の1時間前に初回投与(群2)、
(iii)30mg/kg/用量の化合物(b)、1日2回:感染の1日後に初回投与(群3)、
(iv)30mg/kg/用量の化合物(b)、1日2回:感染の2日後に初回投与(群4)、
(v)30mg/kg/用量の化合物(b)、1日2回:感染の3日後に初回投与(群5)、
(vi)30mg/kg/用量の化合物(b)、1日2回:感染の4日後に初回投与(群6)、
(vii)30mg/kg/用量の化合物(b)、1日2回:感染の5日後に初回投与(群7)、
(viii)30mg/kg/用量の化合物(b)、1日2回:感染の6日後に初回投与(群8)。
【0096】
ウイルスRNA負荷検出のための血液を、2つの交互のサブグループのマウスから採取した。各サブグループは、処置群(i)~(viii)の各々からのマウスの半分(n/2=4)を含んでいた。感染後2、4、6、8、及び12日目に第1のサブグループから、並びに感染後3、5、7、9、及び14日目に第2のサブグループから、血液を採取した。感染後12日目に、各処置群のマウスの半分(n=4/群)を屠殺した。各処置群の残りのマウス(n=4/群)を感染後14日目に屠殺した(
図17Y)。
【0097】
ビヒクル処置されたマウスは、感染後7日目に7.0log
10コピー/mLのピークウイルス負荷に達した。群2、群3、及び群4に属するマウスの血清中のウイルスRNAは、群4の2つの測定値(感染後9日目(3.0log
10コピー/mL)及び14日目(4.7log
10コピー/mL)にウイルスのリバウンドが観察された)を除いて、検出不可能なレベル(2.6log
10コピー/mLの負の値の補完された値未満)まで低減した(
図15Z)。処置を感染後3日目に開始し、感染後9日目に停止した群5において、検出不可能なウイルス負荷が感染後9日目まで観察されたが、ウイルスRNAは、感染後12日目に検出された(5.0log
10コピー/mL)(
図17Z)。
【0098】
群6及び群7において、ピークウイルス負荷は、それぞれ1.1及び0.7log
10コピー/mLで、依然として低減した。ビヒクル処置されたマウスと比較して、検出不可能なウイルス負荷は、両方の処置群について早く達成された(
図17Z)。
【0099】
この実験は更に、追加の処置群、すなわち、動物を30mg/kg/用量の化合物(b)、1日2回で処置した群8を含む。化合物(b)の初回投与は、感染の6日後に行われた。この群では、ピークウイルス負荷は、ビヒクル処置群と同様であったが、検出不可能なウイルス負荷は、ビヒクル処置されたマウスについてよりも早く達成された(
図17Z)。
【国際調査報告】