(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(54)【発明の名称】グラフェンの連続合成のためのデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
C01B 32/184 20170101AFI20230113BHJP
【FI】
C01B32/184 ZNM
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528218
(86)(22)【出願日】2020-11-17
(85)【翻訳文提出日】2022-07-15
(86)【国際出願番号】 CA2020051565
(87)【国際公開番号】W WO2021092705
(87)【国際公開日】2021-05-20
(32)【優先日】2019-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522165061
【氏名又は名称】ユニバーサル マター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】マンチェフスキ,ウラジーミル
【テーマコード(参考)】
4G146
【Fターム(参考)】
4G146AA01
4G146AB07
4G146BA01
4G146BC03
4G146BC06
4G146BC07
4G146BC31B
4G146BC32A
4G146BC33A
4G146BC36A
4G146DA03
4G146DA23
4G146DA26
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4G146DA32
4G146DA33
4G146DA43
4G146DA45
4G146DA48
(57)【要約】
本明細書では、グラフェンの連続合成のための方法およびデバイスを提供する。デバイスは、炭素源を保持するための空間を有する容器であって、容器が炭素源材料を受け入れるための入口開口部を有する、容器と、炭素源をジュール加熱するための空間を通して電流を印加するための少なくとも2つの電極であって、炭素源をジュール加熱するための空間が少なくとも2つの電極の間にある、少なくとも2つの電極と、炭素源を容器に対して第1の方向に入口開口部に移動させるための移動構成要素であって、少なくとも2つの電極が第2の方向に電流を印加し、第1の方向が第2の方向と同じではない、移動構成要素と、を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフェンの合成のためのデバイスであって、
炭素源を保持するための空間を有する容器であって、前記容器が炭素源材料を受け入れるための入口開口部を有する、容器と、
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間を通して電流を印加するための少なくとも2つの電極であって、前記炭素源をジュール加熱するための前記空間が前記少なくとも2つの電極の間にある、少なくとも2つの電極と、
前記炭素源を前記容器に対して第1の方向に入口開口部に移動させるための移動構成要素であって、前記少なくとも2つの電極が第2の方向に前記電流を印加し、前記第1の方向が前記第2の方向と同じではない、移動構成要素と、を含む、デバイス。
【請求項2】
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間から外に前記グラフェンを移動させることを可能にするように、前記少なくとも2つの電極に対して配置された出口開口部をさらに含み、前記入口開口部が、前記電流を印加しながら、前記炭素源をジュール加熱するための前記空間に前記炭素源の移動を可能にするように、前記少なくとも2つの電極に対して配置される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記電極に前記電流を流して、前記炭素源をジュール加熱するための前記空間において前記炭素源の少なくとも一部をグラフェンに変換するための前記電極に接続された電源をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも2つの電極が、銅、真ちゅう、ステンレス鋼、およびグラファイトを含む群のうちの少なくとも1つから作製される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記少なくとも2つの電極は、前記電流が前記炭素源に印加される際にガスを逃がすためのベントを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間が、少なくとも1つの石英壁によって囲まれている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも2つの電極のうちの少なくとも1つが、前記炭素源をジュール加熱するための前記空間を囲んでいる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも2つの電極が、高温で弾力性がある、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも2つの電極が、室温~3200℃の温度で動作する、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記炭素源を400℃~800℃の温度まで加熱するための前処理電極をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項11】
前記少なくとも2つの電極が、前記炭素源を2800℃~3200℃の温度まで加熱する前記電流を印加するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間に移動させる前に前記炭素源を保持するための炭素源リザーバをさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間から外に移動させた後に前記グラフェンを捕集するためのグラフェンリザーバをさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記炭素源を圧縮するための圧縮構成要素をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
前記圧縮構成要素が、前記炭素源を圧縮するための圧縮ピストンである、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記圧縮構成要素が、圧縮コークスクリューである、請求項14に記載のデバイス。
【請求項17】
前記電極が、リング電極、ピン電極、およびメッシュ電極を含む群のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
前記少なくとも2つの電極が、互いに対向して配置されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項19】
前記少なくとも2つの電極が、互いに同心に配置されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
前記電流がDCである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
前記電流がACである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項22】
前記電流が、ACとDCとの組み合わせである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項23】
請求項1に記載のデバイスによって製造された、グラフェン。
【請求項24】
前記グラフェンが、乱層グラフェンである、請求項23に記載のグラフェン。
【請求項25】
グラフェンを合成するためのデバイスであって、
内側電極および外側電極と、
前記内側電極と前記外側電極との間にある炭素源のために前記炭素源をジュール加熱するための空間であって、前記内側電極および前記外側電極が前記炭素源をジュール加熱するための前記空間に放射状に電流を印加するように配置されている、空間と、
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間への前記炭素源の移動を可能にするように、前記内側電極および前記外側電極に対して配置された入口開口部と、
前記内側電極および前記外側電極に前記電流を流して、前記炭素源をジュール加熱するための前記空間において前記炭素源の少なくとも一部をグラフェンに変換するための前記内側電極および前記外側電極に接続された電源と、を含む、デバイス。
【請求項26】
前記外側電極が、前記炭素源をジュール加熱するための前記空間を囲んでいる、請求項25に記載のデバイス。
【請求項27】
前記内側電極および前記外側電極を含む群のうちの少なくとも1つを冷却するために、冷却構成要素をさらに含む、請求項25に記載のデバイス。
【請求項28】
前記電流がDCである、請求項25に記載のデバイス。
【請求項29】
前記電流がACである、請求項25に記載のデバイス。
【請求項30】
前記電流が、ACとDCとの組み合わせである、請求項25に記載のデバイス。
【請求項31】
グラフェンを合成するためのデバイスであって、
炭素源を保持するための容器であって、前記容器が第1の電極を含む、容器と、
第2の電極と前記第1の電極との間に電流を印加するための、前記炭素源をジュール加熱するための空間であって、前記炭素源が前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置されている、空間と、
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間に前記容器を移動させるための移動構成要素と、
前記電極に前記電流を流して、前記炭素源の少なくとも一部をグラフェンに変換するための前記第1の電極および前記第2の電極に接続された電源と、を含む、デバイス。
【請求項32】
前記移動構成要素が、コンベヤーベルトである、請求項31に記載のデバイス。
【請求項33】
グラフェンを合成するための方法であって、前記方法が、
第1の方向において炭素源をジュール加熱するための空間に、前記炭素源を第1の方向に移動させることと、
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間への前記炭素源の移動を可能にするように配置された少なくとも2つの電極によって前記炭素源に第2の方向に電流を印加することと、を含み、前記第1の方向および前記第2の方向が同じではない、方法。
【請求項34】
前記炭素源に電流を印加することが、
前記炭素源から水分および揮発性材料を除去するために、より低い電圧で炭素炭素源に第1の電流を印加することと、
前記炭素源をグラフェンに変換するために、より高い電圧で前記炭素源に第2の電流を印加することと、をさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記より低い電圧が、前記炭素源を400℃~800℃の温度まで加熱する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記電流が、50ミリ秒~約1秒の間、印加される、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記より高い電圧が、2800℃~3200℃で前記炭素源を加熱する、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記炭素源を圧縮することをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記炭素源が、圧縮ピストンを使用して圧縮される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記炭素源が、圧縮コークスクリューを使用して圧縮される、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記グラフェンから未変換の炭素を除去することをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項42】
前記炭素源が、圧縮ピストンを使用して移動される、請求項33に記載の方法。
【請求項43】
前記炭素源が、コンベヤーベルトを使用して移動される、請求項33に記載の方法。
【請求項44】
前記少なくとも2つの電極が、互いに対向して配置されている、請求項33に記載の方法。
【請求項45】
前記少なくとも2つの電極が、互いに同心に配置されている、請求項33に記載の方法。
【請求項46】
前記電極が、リング電極、ピン電極、およびメッシュ電極を含む群のうちの少なくとも1つである、請求項33に記載の方法。
【請求項47】
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間への前記炭素源の前記移動が連続的である、請求項33に記載の方法。
【請求項48】
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間への前記炭素源の前記移動がバッチにおけるものである、請求項33に記載の方法。
【請求項49】
前記電流がDCである、請求項33に記載の方法。
【請求項50】
前記電流がACである、請求項33に記載の方法。
【請求項51】
前記電流が、ACとDCとの組み合わせである、請求項33に記載の方法。
【請求項52】
請求項33に記載の方法から製造された、グラフェン。
【請求項53】
前記グラフェンが、乱層グラフェンである、請求項52に記載のグラフェン。
【請求項54】
グラフェンを合成するためのデバイスであって、
炭素源を保持するための空間を有する容器であって、前記容器が前記炭素源を受け入れるための入口開口部を有する、容器と、
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間を通して電流を印加するための少なくとも2つのリング電極であって、前記炭素源をジュール加熱するための前記空間が前記少なくとも2つの電極の間にある、少なくとも2つのリング電極と、
前記少なくとも2つのリング電極が前記電流を印加するのと同じ方向において前記容器に対して前記炭素源を前記入口開口部に移動させるための移動構成要素と、を含む、デバイス。
【請求項55】
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間から外に前記グラフェンを移動させることを可能にするように、前記少なくとも2つのリング電極に対して配置された出口開口部をさらに含み、前記入口開口部が、前記電流を印加しながら、前記炭素源をジュール加熱するための前記空間に前記炭素源の移動を可能にするように、前記少なくとも2つの電極に対して配置される、請求項54に記載のデバイス。
【請求項56】
前記電流を前記少なくとも2つのリング電極に流して、前記炭素源をジュール加熱するための前記空間において前記炭素源の少なくとも一部をグラフェンに変換するための前記電極に接続された電源をさらに含む、請求項54に記載のデバイス。
【請求項57】
前記少なくとも2つの電極が、銅、真ちゅう、ステンレス鋼、およびグラファイトを含む群のうちの少なくとも1つから作製される、請求項54に記載のデバイス。
【請求項58】
前記少なくとも2つの電極は、前記電流が前記炭素源に印加される際にガスを逃がすためのベントを含む、請求項54に記載のデバイス。
【請求項59】
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間が、少なくとも1つの石英壁によって囲まれている、請求項54に記載のデバイス。
【請求項60】
前記少なくとも2つのリング電極が、高温で弾力性がある、請求項54に記載のデバイス。
【請求項61】
前記炭素源を400℃~800℃の温度まで加熱するための前処理リング電極をさらに含む、請求項54に記載のデバイス。
【請求項62】
前記少なくとも2つの電極が、前記炭素源を2800℃~3200℃の温度まで加熱する前記電流を印加するように構成されている、請求項54に記載のデバイス。
【請求項63】
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間に移動させる前に前記炭素源を保持するための炭素源リザーバをさらに含む、請求項54に記載のデバイス。
【請求項64】
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間から外に移動させた後に前記グラフェンを捕集するためのグラフェンリザーバをさらに含む、請求項54に記載のデバイス。
【請求項65】
前記移動構成要素が、前記炭素源を圧縮する、請求項54に記載のデバイス。
【請求項66】
前記移動構成要素が、圧縮コークスクリューである、請求項54に記載のデバイス。
【請求項67】
前記炭素源を圧縮するための圧縮構成要素をさらに含む、請求項54に記載のデバイス。
【請求項68】
グラフェンを合成するための方法であって、前記方法が、
炭素源をジュール加熱するための空間に、前記炭素源を第1の方向に移動させることと、
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間への前記炭素源の移動を可能にするように配置された少なくとも2つのリング電極によって前記炭素源に第2の方向に電流を印加することと、を含み、前記第1の方向および前記第2の方向が同じではない、方法。
【請求項69】
前記炭素源に電流を印加することが、
前記炭素源から水分および揮発性材料を除去するために、より低い電圧で炭素炭素源に第1の電流を印加することと、
前記炭素源をグラフェンに変換するために、より高い電圧で前記炭素源に第2の電流を印加することと、をさらに含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記より低い電圧が、前記炭素源を400℃~800℃の温度まで加熱する、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記電流が、50ミリ秒~約1秒の間、印加される、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記より高い電圧が、2800℃~3200℃で前記炭素源を加熱する、請求項69に記載の方法。
【請求項73】
前記炭素源を圧縮することをさらに含む、請求項68に記載の方法。
【請求項74】
前記炭素源が、圧縮ピストンを使用して圧縮される、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記炭素源が、圧縮コークスクリューを使用して圧縮される、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記グラフェンから未変換の炭素を除去することをさらに含む、請求項68に記載の方法。
【請求項77】
前記炭素源が、圧縮ピストンを使用して移動される、請求項68に記載の方法。
【請求項78】
前記炭素源が、コンベヤーベルトを使用して移動される、請求項68に記載の方法。
【請求項79】
前記少なくとも2つの電極が、互いに対向して配置されている、請求項68に記載の方法。
【請求項80】
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間への前記炭素源の前記移動が連続的である、請求項68に記載の方法。
【請求項81】
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間への前記炭素源の前記移動がバッチにおけるものである、請求項68に記載の方法。
【請求項82】
前記電流がDCである、請求項68に記載の方法。
【請求項83】
前記電流がACである、請求項68に記載の方法。
【請求項84】
前記電流が、ACとDCとの組み合わせである、請求項68に記載の方法。
【請求項85】
請求項68に記載の方法から製造された、グラフェン。
【請求項86】
前記グラフェンが、乱層グラフェンである、請求項86に記載のグラフェン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される実施形態は、グラフェンの製造に関し、具体的には、グラフェンの連続製造のための方法およびデバイスに関する。
【0002】
グラフェンは、ジュール熱による炭素源の変換によって製造され得る。炭素源は、小さな石英管容器に充填される炭素系粉末であり、金属(銅、銅ウール、真ちゅう)電極を介して粉末材料の両端に電圧が印加される。しかしながら、グラフェンを合成する従来の方法は、産業用途でいくつかの課題を生み出し、方法は、グラフェンの大量製造には実用的ではない。
【0003】
さらに、ジュール加熱に使用され得る石英管は、炭素粉末が石英と接触する際に、ジュール加熱プロセス中に劣化および汚染されるため、コスト効率が悪い。石英管は、1回の使用後に廃棄しなければならず、これにより、工業規模でグラフェンを製造するコストが大幅に増加し得る。電極として使用される銅ウールもまた、このプロセスによって劣化し、グラフェンの製造コストがさらに増加する。グラフェンと直接接触する銅および真ちゅうなどの金属電極を使用すると、製造されるグラフェン粉末に金属汚染物質が添加される場合もある。グラフェンを合成するための従来のデバイスもまた、グラフェンの異なるバッチを交換する間に組み立てたり外したりする必要があり、大規模で連続的なグラフェンの製造を妨げていた。
【0004】
したがって、工業規模でグラフェンを製造するための新しい費用対効果の高い方法、製品、およびデバイスに関するニーズが存在する。合成中に使用される石英を保存するグラフェンを製造する方法、製品、およびデバイスは、コストを削減し得る。さらに、グラフェンを製造するために必要な材料の連続処理を可能にし、それによってグラフェンの低コストで工業生産を可能にする製品、方法、およびデバイスが必要である。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの実施形態によれば、グラフェンを合成するためのデバイスが存在する。このデバイスは、炭素源を保持するための空間を有する容器を含む。容器は、炭素源材料を受け入れるための入口開口部を有する。このデバイスは、炭素源をジュール加熱するための空間を通して電流を印加するための少なくとも2つの電極を含む。炭素源をジュール加熱するための空間は、少なくとも2つの電極の間にある。デバイスはまた、容器に関して炭素源を第1の方向に開口部に移動させるための移動構成要素を含み、少なくとも2つの電極は第2の方向に電流を印加する。第1の方向は、第2の方向と同じではない。
【0006】
デバイスはまた、炭素源をジュール加熱するための空間から外にグラフェンを移動させることを可能にするように、少なくとも2つの電極に対して配置された出口開口部も含み得る。入口開口部は、電流を印加しながら炭素源をジュール加熱するための空間への炭素源の移動を可能にするように、少なくとも2つの電極に対して配置され得る。
【0007】
デバイスはまた、電極に電流を流して、炭素源をジュール加熱するための空間において炭素源の少なくとも一部をグラフェンに変換するための電極に接続された電源も含み得る。
【0008】
デバイスは、少なくとも2つの電極が、銅、真ちゅう、ステンレス鋼、およびグラファイトを含む群のうちの少なくとも1つから作製されることを提供し得る。
【0009】
デバイスは、電流が炭素源に印加される際にガスの逃げを可能にするために、少なくとも2つの電極がベントを有することを提供し得る。
【0010】
デバイスは、炭素源をジュール加熱するための空間が少なくとも1つの石英壁によって囲まれていることを提供し得る。
【0011】
デバイスは、少なくとも2つの電極のうちの少なくとも1つが、炭素源をジュール加熱するための空間を取り囲むことを提供し得る。
【0012】
デバイスは、少なくとも2つの電極が高温で弾性があることを提供し得る。
【0013】
デバイスは、少なくとも2つの電極が室温から3200℃の温度で動作することを提供し得る。
【0014】
デバイスはまた、炭素源を400℃~800℃の温度まで加熱するための前処理電極も含み得る。
【0015】
デバイスは、少なくとも2つの電極が、炭素源を2800℃~3200℃の温度まで加熱する電流を印加するように構成されることを提供し得る。
【0016】
デバイスはまた、炭素源をジュール加熱するための空間に移動させる前に炭素源を保持するための炭素源リザーバも含み得る。
【0017】
デバイスはまた、炭素源をジュール加熱するための空間の外に移動させた後にグラフェンを捕集するためのグラフェンリザーバも含み得る。
【0018】
デバイスはまた、炭素源を圧縮するための圧縮構成要素も含み得る。
【0019】
デバイスは、圧縮構成要素が炭素源を圧縮するための圧縮ピストンであることを提供し得る。
【0020】
デバイスは、圧縮構成要素が圧縮コークスクリューであることを提供し得る。
【0021】
デバイスは、電極が、リング電極、ピン電極、およびメッシュ電極を含む群のうちの少なくとも1つであることを提供し得る。
【0022】
デバイスは、少なくとも2つの電極が互いに対向して配置されることを提供し得る。
【0023】
デバイスは、少なくとも2つの電極が互いに同心に配置されていることを提供し得る。
【0024】
デバイスは、電流がDCであることを提供し得る。
【0025】
デバイスは、電流がACであることを提供し得る。
【0026】
デバイスは、電流がACとDCの組み合わせであることを提供し得る。
【0027】
グラフェンは、デバイスによって製造され得る。
【0028】
グラフェンは、乱層グラフェンであり得る。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、グラフェンを合成するためのデバイスが存在する。デバイスは、内側電極および外側電極を含む。デバイスはまた、内側電極と外側電極との間にある炭素源のために、炭素源をジュール加熱するための空間も含む。内側電極および外側電極は、炭素源をジュール加熱するための空間に放射状に電流を印加するように配置される。デバイスはまた、炭素源をジュール加熱するための空間への炭素源の移動を可能にするように、内側電極および外側電極に対して配置された入口開口部も含む。デバイスはまた、内側電極および外側電極に電流を流して、炭素源をジュール加熱するための空間中にある炭素源の少なくとも一部をグラフェンに変換するための内側電極および外側電極に接続された電源も含む。
【0030】
デバイスは、外側電極が炭素源をジュール加熱するための空間を囲むことを提供し得る。
【0031】
デバイスはまた、内側電極および外側電極を含む群のうちの少なくとも1つを冷却するための冷却構成要素も含み得る。
【0032】
デバイスは、電流がDCであることを提供し得る。
【0033】
デバイスは、電流がACであることを提供し得る。
【0034】
デバイスは、電流がACとDCとの組み合わせであることを提供し得る。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、グラフェンを合成するためのデバイスが存在する。デバイスは、炭素源を保持するための容器を含む。容器は第1の電極を含む。デバイスはまた、第2の電極と第1の電極との間に電流を印加するために炭素源をジュール加熱するための空間を含む。炭素源は、第1の電極と第2の電極との間に配置される。デバイスはまた、炭素源をジュール加熱するための空間に容器を移動させるための移動構成要素も含む。デバイスはまた、電極に電流を流して、炭素源の少なくとも一部をグラフェンに変換するための第1の電極および第2の電極に接続された電源も含む。
【0036】
デバイスは、移動構成要素がコンベヤーベルトであることを提供し得る。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、グラフェンを合成するための方法が存在する。方法は、第1の方向において炭素源をジュール加熱するための空間へと、第1の方向に炭素源を移動させることを含む。方法はまた、電流を印加しながら炭素源をジュール加熱するための空間への炭素源の移動を可能にするように配置された少なくとも2つの電極によって炭素源に第2の方向に電流を印加することも含む。第1の方向と第2の方向は同じではない。
【0038】
方法は、炭素源に電流を印加することは、炭素源から水分および揮発性材料を除去するために、より低い電圧で炭素炭素源に第1の電流を印加することを含むことを提供し得る。炭素源に電流を印加することはまた、炭素源をグラフェンに変換するために、より高い電圧で炭素源に第2の電流を印加することも含み得る。
【0039】
方法は、より低い電圧が炭素源を400℃~800℃の温度まで加熱することを提供し得る。
【0040】
方法は、電流が50ミリ秒~約1秒間印加されることを提供し得る。
【0041】
方法は、より高い電圧が炭素源を2800℃~3200℃で加熱することを提供し得る。
【0042】
方法はまた、炭素源を圧縮することも含み得る。
【0043】
方法は、炭素源が圧縮ピストンを使用して圧縮されることを提供し得る。
【0044】
方法は、炭素源が圧縮コークスクリューを使用して圧縮されることを提供し得る。
【0045】
方法はまた、グラフェンから未変換の炭素を除去することも含み得る。
【0046】
方法は、炭素源が圧縮ピストンを使用して移動されることを提供し得る。
【0047】
方法は、炭素源がコンベヤーベルトを使用して移動されることを提供し得る。
【0048】
方法は、少なくとも2つの電極が互いに対向して配置されることを提供し得る。
【0049】
方法は、少なくとも2つの電極が互いに同心に配置されることを提供し得る。
【0050】
方法は、電極が、リング電極、ピン電極、およびメッシュ電極を含む群のうちの少なくとも1つであることを提供し得る。
【0051】
方法は、炭素源をジュール加熱するための空間への炭素源の移動が連続的であることを提供し得る。
【0052】
方法は、炭素源をジュール加熱するための空間への炭素源の移動がバッチにおけるものであることを提供し得る。
【0053】
方法は、電流がDCであることを提供し得る。
【0054】
方法は、電流がACであることを提供し得る。
【0055】
方法は、電流がACおよびDCの組み合わせであることを提供し得る。
【0056】
グラフェンは、方法から製造され得る。
【0057】
グラフェンは、乱層グラフェンであり得る。
【0058】
いくつかの実施形態によれば、グラフェンを合成するためのデバイスが存在する。デバイスは、炭素源を保持するための空間を有する容器を含み、容器は、炭素源を受け入れるための入口開口部を有する。デバイスはまた、炭素源をジュール加熱するための空間を通して電流を印加するための少なくとも2つのリング電極も含む。炭素源をジュール加熱するための空間は、少なくとも2つのリング電極の間にある。デバイスはまた、少なくとも2つのリング電極が電流を印加するのと同じ方向に容器に対して炭素源を入口開口部に移動させるための移動構成要素も含む。
【0059】
デバイスはまた、炭素源をジュール加熱するためにグラフェンを空間から外に移動させることを可能にするように、少なくとも2つのリング電極に対して配置された出口開口部も含み得る。入口開口部は、炭素源をジュール加熱するための空間に炭素源の移動を可能にするように、電流を印加しながら少なくとも2つの電極に対して配置され得る。
【0060】
デバイスはまた、少なくとも2つのリング電極に電流を流して、炭素源をジュール加熱するための空間において炭素源の少なくとも一部をグラフェンに変換するための電極に接続された電源も含み得る。
【0061】
デバイスは、少なくとも2つの電極が、銅、真ちゅう、ステンレス鋼、およびグラファイトを含む群のうちの少なくとも1つから作製されることを提供し得る。
【0062】
デバイスは、電流が炭素源に印加される際にガスを逃がすためのベントを少なくとも2つの電極が含むことを提供し得る。
【0063】
デバイスは、炭素源をジュール加熱するための空間が少なくとも1つの石英壁によって囲まれていることを提供し得る。
【0064】
デバイスは、少なくとも2つのリング電極が高温で弾性があることを提供し得る。
【0065】
デバイスは、炭素源を400℃~800℃の温度まで加熱するための前処理リング電極を含み得る。
【0066】
デバイスは、少なくとも2つの電極が、炭素源を2800℃~3200℃の温度まで加熱する電流を印加するように構成されることを提供し得る。
【0067】
デバイスは、炭素源をジュール加熱するための空間に移動させる前に炭素源を保持するための炭素源リザーバを含み得る。
【0068】
デバイスは、炭素源をジュール加熱するための空間の外に移動させた後にグラフェンを捕集するためのグラフェンリザーバを含み得る。
【0069】
デバイスは、移動構成要素が炭素源を圧縮することを提供し得る。
【0070】
デバイスは、移動構成要素が圧縮コークスクリューであることを提供し得る。
【0071】
デバイスは、炭素源を圧縮するための圧縮構成要素を含み得る。
【0072】
いくつかの実施形態によれば、グラフェンを合成するための方法が存在する。方法は、炭素源をジュール加熱するための空間へと第1の方向に炭素源を移動させることを含む。方法はまた、炭素源をジュール加熱するための空間への炭素源の移動を可能にするように配置された少なくとも2つのリング電極によって炭素源に第2の方向に電流を印加することも含む。第1方向と第2方向は同じである。
【0073】
方法は、炭素源に電流を印加することは、炭素源から水分および揮発性材料を除去するために、より低い電圧で炭素炭素源に第1の電流を印加することを含むことを提供し得る。方法はまた、炭素源をグラフェンに変換するために、より高い電圧で炭素源に第2の電流を印加することも含み得る。
【0074】
方法は、より低い電圧が炭素源を400℃~800℃の温度まで加熱することを提供し得る。
【0075】
方法は、電流が50ミリ秒~約1秒間印加されることを提供し得る。
【0076】
方法は、より高い電圧が炭素源を2800℃~3200℃で加熱することを提供し得る。
【0077】
方法はまた、炭素源を圧縮することも含み得る。
【0078】
方法は、炭素源が圧縮ピストンを使用して圧縮されることを提供し得る。
【0079】
方法は、炭素源が圧縮コークスクリューを使用して圧縮されることを提供し得る。
【0080】
方法はまた、グラフェンから未変換の炭素を除去することも含み得る。
【0081】
方法は、炭素源が圧縮ピストンを使用して移動されることを提供し得る。
【0082】
方法は、炭素源がコンベヤーベルトを使用して移動されることを提供し得る。
【0083】
方法は、少なくとも2つの電極が互いに対向して配置されることを提供し得る。
【0084】
方法は、炭素源をジュール加熱するための空間への炭素源の移動が連続的であることを提供し得る。
【0085】
方法は、炭素源をジュール加熱するための空間への炭素源の移動がバッチにおけるものであることを提供し得る。
【0086】
方法は、電流がDCであることを提供し得る。
【0087】
方法は、電流がACであることを提供し得る。
【0088】
方法は、電流がACおよびDCの組み合わせであることを提供し得る。
【0089】
グラフェンは、方法から製造され得る。
【0090】
グラフェンは、乱層グラフェンであり得る。
【0091】
他の態様および特徴は、いくつかの例示的な実施形態の以下の説明を検討することにより、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0092】
本明細書に含まれる図面は、本明細書の物品、方法、およびコークスクリューデバイスの様々な例を説明するためのものである。
【0093】
【
図1】一実施形態による、実験室環境でグラフェンを製造するためのデバイスの図を例示している。
【
図2】一実施形態による、実験室環境でグラフェンを製造するためのデバイスの圧縮方向および電極を示す図を例示している。
【
図3】一実施形態による、実験室環境でグラフェンを製造するためのグラファイトディスクを有するデバイスの圧縮方向および電極を示す図を例示している。
【
図4】一実施形態による、グラフェンの連続的およびバッチ合成のためのデバイスの図を例示している。
【
図5】一実施形態による、ピストン様作用を利用して連続的およびバッチでのグラフェン合成のためのデバイスの図を例示している。
【
図6】一実施形態による、容器および容器の上部および底部からの電極を利用して連続的およびバッチでのグラフェン合成のためのデバイスの側面図および上面図を例示している。
【
図7】一実施形態による、ジュール加熱によるグラフェン製造のためのベルトを利用してグラフェンの連続的およびバッチ合成のためのデバイスの図を例示している。
【
図8】一実施形態による、炭素源をジュール加熱するための空間に隣接する分割リング電極を有するコークスクリュー圧縮を利用してグラフェンの連続的およびバッチ合成のためのデバイスの側面図を例示している。
【
図9】一実施形態による、炭素源をジュール加熱するための空間に隣接するメッシュ状およびリング状の電極を用いるコークスクリュー圧縮を利用して連続的およびバッチグラフェン合成のためのデバイスの図を例示している。
【
図10】一実施形態による、炭素源をジュール加熱するための空間に隣接するリング状電極を利用して、グラフェンを連続的およびバッチ合成するためのデバイスを例示している。
【
図11A】一実施形態による、放射状電極配列を利用してグラフェンの連続およびバッチ合成のためのデバイスの断面図である。
【
図11B】一実施形態による、放射状電極配列を利用してグラフェンの連続およびバッチ合成のためのデバイスの断面図と、デバイスの放射状空間に炭素源を出し入れする押出スクリューの断面図である。
【
図12】一実施形態による、グラフェンを合成するための方法のフローチャートを例示している。
【発明を実施するための形態】
【0094】
様々な装置またはプロセスを以下で説明して、各特許請求される実施形態の例を提供する。以下に記載される実施形態は、特許請求される実施形態を限定するものではなく、特許請求される実施形態は、以下に記載されるものとは異なるプロセスまたは装置をカバーし得る。特許請求される実施形態は、以下に記載される任意の1つの装置もしくはプロセスのすべての特徴を有する装置もしくはプロセス、または以下に記載される複数もしくはすべての装置に共通の特徴に限定されない。
【0095】
本明細書では、ジュール加熱によって炭素源からグラフェンを連続的に合成するためのデバイスおよび方法を提供する。
【0096】
「グラフェン」という用語は、ハニカム結晶格子に密に充填されているsp2結合炭素原子の1原子厚の平面シートであり、さらに、内部シートの少なくとも大部分にわたって炭素原子と芳香族結合との無傷のリング構造を含有し、かつ炭素原子の有意な酸化修飾が無い材料を指す。グラフェンは、OH、COOH、およびエポキシドなどの酸素含有基の程度が低いという点で、酸化グラフェンと区別することができる。「グラフェン単分子層」という用語は、グラフェンの単層であるグラフェンを指す。「極少数の層のグラフェン」という用語は、1~3層のグラフェンであるグラフェンを指す。「数層グラフェン」という用語は、2~5層のグラフェンであるグラフェンを指す。「多層グラフェン」という用語は、2~10層のグラフェンであるグラフェンを指す。
【0097】
「乱層グラフェン」という用語は、グラフェン層間にほとんど秩序がないグラフェンを指す。使用され得る他の用語としては、方向が間違っている、不整合、ねじれ、回転断層、および弱くカップリングした、を挙げることができる。乱層グラフェンの回転スタッキングは、層間結合を緩和し、平面間の間隔を広げるのに役立ち、これにより、同様の重量に基づいて比較した場合、競合するグラフェン構造と比較して優れた物理的特性が得られる。隣接する層のスタッキング配向の微妙な違いは、製品性能属性の重要な違いとなって現れる。乱層グラフェンで明らかな重要な性能上の利益は、多層グラフェン構造が少数の個々のグラフェン層へとより分離しやすく、グラフェン層が再結合しない傾向があることである。グラフェンの乱層性は、ラマン分光法、透過型電子顕微鏡法(TEM)、選択領域電子顕微鏡法(SAED)、走査型透過電子顕微鏡法(STEM)、およびX線回折(XRD)分析によって観察および確認することができる。
【0098】
「開口部」という用語は、一般に、炭素源またはグラフェンを通過させて、グラフェンを合成するためのデバイスの炭素源をジュール加熱するための空間に出入りすることができる任意の通路を指す。開口部は、遮るもののない入口または出口を含み得る。例えば、「入口開口部」は、グラフェンを合成するためのデバイスの炭素源をジュール加熱するための空間に、炭素源またはグラフェンを移動させるための任意の入口点であり得る。「出口開口部」は、グラフェンを合成するためのデバイスの炭素源をジュール加熱するための空間から外に、炭素源またはグラフェンを移動させるために使用される任意の出口点であり得る。
【0099】
「炭素源」という用語は、一般に、グラフェン材料、好ましくは乱層グラフェンに変換され得る任意の炭素系材料を指す。炭素源は、粉末形態または圧縮ピル形態を含む任意の形態であり得る。炭素源としては、石油コークス、タイヤカーボンブラック、カーボンブラック、冶金コークス、プラスチック灰、プラスチック粉末、粉コーヒー、無煙炭、石炭、コーンスターチ、松樹皮、ポリエチレンマイクロワックス、ワックス、ケムプレックス690、セルロース、ナプテン油、アスファルテン、ギルソナイト、およびカーボンナノチューブが挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される装置、方法、および製品は、グラフェンの連続合成を提供することができ、炭素源は、ジュール加熱のための空間に移動され、グラフェンに変換され、同時に連続的に外に移動される。いくつかの実施形態では、ジュール加熱はバッチで行うことができ、第1のバッチ炭素源はジュール加熱空間に移動され、炭素源はグラフェンに変換され、炭素源はジュール加熱空間から外に移動され、新しいバッチ炭素源はジュール加熱空間に移動され、このプロセスが繰り返さる。バッチにおけるジュール加熱は、部分的バッチまたは完全バッチであり得る。いくつかの実施形態では、複数の部分的バッチは、バッチのすべてが外に移動される前に、ジュール加熱空間に移動され得る。同様に、複数の部分的バッチは、別のバッチで移動される前に、ジュール加熱空間から外に移動され得る。
【0101】
フラッシュジュール加熱合成法およびその組成物は、国際公開日2020年3月12日を有するTourらによる国際公開第2020/051000A1号を有する特許協力条約出願に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0102】
炭素ピルをジュール加熱することによってグラフェンを合成する方法およびその組成物は、国際出願日2020年10月13日のMancevskiによる国際出願第PCT/CA2020/051368号を有する特許協力条約出願に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0103】
図1を参照すると、そこには、一実施形態による、実験室設定でグラフェンを製造するためのデバイスの図が例示されている。グラフェン合成のためのデバイス100は、容器115(例えば、石英管)115、炭素源105、および銅ウールまたはグラファイトで作製され得る電極110を含む機械的アセンブリからなる。機械的アセンブリはまた、
図1には示されていない圧縮ピストン/スクリューおよび保護エンクロージャも含む。デバイスはまた、電極に電流を供給するための電気的アセンブリも含む。電気的アセンブリは、
図1に示されていない電源、コンデンサバンク、高電力スイッチ、およびコントローラを含む。電極110は、炭素源105と直接接触する。炭素源105はまた、石英管115の壁とも接触し、これにより、ジュール加熱プロセス後に石英管115が劣化する。ジュール加熱電流は800~2500アンペアである。それらは炭素源および電極110と直接接触するため、電極110が真ちゅうまたは銅で作製される場合、それらはジュール加熱プロセス中に部分的に溶融し、グラフェンに不純物を導入する可能性がある。
【0104】
図1のデバイス100は、様々な炭素源から約15分ごとに1gのグラフェンまたは30g/日のグラフェンのバッチを製造し得る。石英管115は、15mmの内径(ID)を有し、炭素体積は約5ccである。ジュール加熱プロセスは、炭素粉末を石英管115に装填することからなる。プロセスはまた、石英管115末端の各々を、電極110の層で塞ぐことも含む。プロセスはまた、スクリューで炭素源を圧縮することも含む。ジュール加熱は、10ms~100msで実行され、得られたグラフェンをチューブから取り出す。実験室の設定では、このプロセスは手動で行われ、バッチごとに約15分かかる。処理時間のほとんどはオーバーヘッドであるが、実際の炭素からグラフェンへの処理時間はわずか10ms~150msである。炭素をグラフェンに変換するために必要なエネルギーは、100ms間でジュール加熱プロセスを完全に放電させるために、4Wh/g(14.4kJ/g)である。ハイパワーエレクトロニクスの制限速度のために、エネルギーの一部は浪費される。
【0105】
図2を参照すると、そこには、一実施形態による、実験室設定でグラフェンを製造するためのデバイスの圧縮および電極の方向を示す図が例示されている。電極210の方向と圧縮方向は主に一直線上に揃えられる。炭素源205の両端は、電極210によって圧縮されている。
図2に示された設計の利点は、標準的な丸い石英管215を使用する可能性であり、炭素源205のジュール加熱(放射冷却プロセスを介して)中に放射される光は、石英管215を通って出て冷却時間を短縮することができ、ガスは銅ウール210を通って出る。デバイス200は、取り扱い中にグラフェン材料の損失をほとんどもたらさない。デバイス200はまた、グラフェンを除去するために分解を必要とするなどの欠点も有する。さらに、グラフェンが銅に固着し、銅ウール粒子は、結局、グラフェンと混合されてしまう。さらに、石英管215は、使用するたびに汚染される。
【0106】
図3を参照すると、そこには、一実施形態による、実験室設定でグラフェンを製造するためのグラファイトディスクを有するデバイスの圧縮および電極の方向を示す図が例示されている。
図2のデバイス200の欠点を克服するために、多孔質グラファイトプラグまたはディスク220が、炭素源305に直接接触する電極構成要素として配置される。銅ウール310で作製された別のプラグを、任意選択で、炭素源と接触していないグラファイト側であるグラファイト320の各側に追加することができる。次いで、銅ウール310は、電池またはコンデンサなどのDC電源またはAC電源に接続されている銅または真ちゅうのロッドによって接触され得る。炭素源305は、電極の方向と同一平面において片側から圧縮される。いくつかの実施形態では、圧縮は、電極の方向と同一平面において両側から行うことができる。
【0107】
デバイス300の利点は、標準的な丸い石英管315を使用する可能性であり、炭素源305をジュール加熱する際に放射される光(放射冷却)は、石英管315を通って出て、冷却時間を短縮することができ、ガスは、多孔質グラファイトおよび銅ウールを通って出ることができる。さらに、グラファイトが多孔質でない場合、プロセスガスは、グラファイトプラグと石英管の内径との間のギャップから出ることができる。さらに、デバイス300を使用すると、取り扱い中の材料の損失が少ない。さらに、炭素源305の後に合成されるグラフェンは、2800℃~3200℃の高温にさらされ、グラファイトプラグに固着しないか、または合成されたグラフェンが固着する場合、合成されたグラフェンはグラファイト320から容易に除去され得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、方法、デバイス、および製品は、バッチサイズを1g~10gに増加させる。バッチサイズが大きくなると、製造プロセスの規模が直接的に大きくなる。既存の実験室のセットアップでは、ID15mm、管長約25mmの石英管を使用し、炭素質量1g/バッチ、体積約5cc/バッチである。装填物の抵抗ジュール加熱性に起因して、管直径を2倍にすると、電圧要求を変えない場合、電流は4倍に増加させる必要がある。管の長さを2倍にすると、電流要求を変えない場合、電圧は2倍に増加させる必要がある。したがって、バッチサイズは利用可能なスイッチ電子機器によって制限される場合がある電動部に一般的に使用される典型的な絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)高出力スイッチングモジュール、無停電電源装置(UPS)システム、およびソーラーインバータは、最大1700Vの電圧および最大1800Aの電流を有し、反応管の柔軟な設計が可能である。最大5000A以上の電流を可能にするために、並列に作動する複数のIGBTスイッチを使用し得る。これは、10gを超えるバッチを設計することが実用的ではないことを意味している。規模化(scaling)は、各バッチの頻度(ターンアラウンドタイム)を増やすことによって行うことができる。
【0109】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法、デバイス、および製品は、1バッチ当たり5gのバッチサイズ(約24cc/バッチの体積)を達成し、これは1kg/日の製造に相当する。これは、ID20mmおよび管長約75mmの石英管で達成し得る。5gのための変換電力は、約110kW/g(1500Aおよび750V)である。電力は線形電圧放電を有するコンデンサのバンクによって供給されるため、エネルギー計算に使用される平均電圧は最大電圧の1/2である。いくつかの実施形態では、バッチ当たり10gのバッチサイズ(約48ccの体積/バッチ)が可能であることができ、これは、1トン/時(8トン/日)の製造を可能にする自動化かつ並行製造ラインの追加による商業生産を可能にする。バッチ当たり10gは、ID20mm、チューブ長約150mmの石英チューブで達成され得る。10gのための変換電力は、約110kW/g(1500Aおよび1500V)である。
【0110】
表1を参照すると、3つの異なる実施形態のデバイスパラメータの要約が示され、各々がより大規模な製造を可能にする。実施形態1は、グラフェンの最小規模の製造を可能にする。実施形態2は、実施形態1よりも大規模な製造を可能にする。実施形態3は、3つの実施形態のうちの最大規模の製造を可能にし、商業規模の製造を可能にする。
【表1】
【0111】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法、デバイス、および製品は、グラフェン合成のための各バッチプロセスのプロセス時間(ターンアラウンドタイム)を短縮する。プロセス時間の短縮は、グラフェン製造の拡張性の向上に直接的な関係がある。
図1、2、および3のデバイスでは、グラフェン合成プロセスは1gのバッチ当たり15分かかる。処理時間のほとんどはオーバーヘッドであるが、実際の炭素からグラフェンへの処理時間はわずか10ms~150msである。残りの時間は、手動による炭素の装填、炭素粉末の手動による圧縮、および手動によるグラフェンの取り出しに費やされる。
図1、2、および3のデバイスを使用すると、1gの炭素源の30バッチは、1日当たり30gのグラフェンを製造し得る。
【0112】
1日当たり1kgのグラフェンの製造は、各々5gの200バッチで達成され得る。1日8時間の製造とすると、200バッチの製造には、バッチ当たり2分の配分が必要である。2分のスループットでは、グラフェン合成プロセスは、10以上のバッチが同時に装填され、5gの炭素が、装填および取り出す必要なしに、ジュール加熱プロセスを次々に受けるセミバッチモードで運転され得る。
【0113】
同様に、1トン/時の製造は1時間当たり100,000バッチで達成され得、各バッチは各々10gである。40の並列製造ラインを実装することは、各製造ラインが1日当たり20,000バッチ、または1日8時間の製造を想定して1時間当たり各10gの2500バッチを製造する必要があることを意味している。1時間当たり2500バッチの製造には、バッチ当たり1.4秒の配分が必要である。需要は、装填および取り出す必要なしに、10gの炭素が各々1.4秒ジュール加熱される連続様式で、炭素がプロセス管に供給され除去される自動化のレベルを明確に求めている。代替的に、100の並列製造ラインを使用することは、時間配分を3.6秒に増加させるもう1つの合理的な可能性である。
【0114】
表1の3つの実施形態に関する製造パラメータの要約である表2を参照されたい。
【表2】
【0115】
いくつかの実施形態では、方法、デバイス、および製品は、グラフェン製造の連続プロセスを可能にする。連続グラフェン合成法は、炭素粉末を連続的に装填および取り出す機能を有する。連続グラフェン合成法はまた、装填および取り出しとは独立して炭素粉末を圧縮する機能も有する。連続グラフェン合成法はまた、炭素源の流れの方向から独立している電極の配向も有する。連続グラフェン合成法はまた、ジュール加熱プロセスの結果として作出された高温ガスの迅速な排出を可能するように、ベントホール/ベント孔の利用可能性も有する。また、熱的力および電気力学的力が炭素源を圧縮しないように、ジュール加熱プロセス中に反応器をベントする必要がある。
【0116】
図4を参照すると、そこには、一実施形態による、グラフェンの連続合成のためのデバイスが例示されている。デバイス400は、グラフェンの規模化製造を可能にする。電極410は、ピストン415による炭素源405の圧縮方向に対して直角である。炭素源405が、電極410の真ん中にある炭素源420をジュール加熱するための空間に押し込まれると、炭素源は、グラフェン425を形成するためにジュール加熱され得る。新しい炭素粉末が容器421の入口開口部422に押し込まれ、炭素源420をジュール加熱するための空間に押し込まれると、炭素源405のジュール加熱から製造された得られたグラフェン425は、新しい炭素源405が挿入される場所の反対側に排出され得る。いくつかの実施形態では、炭素と管との摩擦が、炭素の流れを止め、ジュール加熱を開始することを可能にする役割を果たすので、管の出口側にピストンまたは他の物体はない。
【0117】
図4のデバイス400の利点は、デバイスが連続的な炭素源405およびグラフェン425の流れを可能にする点である。デバイス400はまた、炭素源405を挿入するために、またはグラフェン425を除去するために分解される必要もない。さらに、グラフェンは、グラファイト電極410に固着しない。処理中のグラフェン材料の損失は少ない。
【0118】
いくつかの実施形態では、グラフェンの連続合成のためのデバイスは、炭素源の独立した前処理のための電極の第2のセットを含む。一次電極セット410の左側に位置している二次電極セットを使用して、400℃~1000℃のより低い温度で炭素を前処理して、炭素源を炭化し、水分、揮発性物質、およびこれらの温度範囲で蒸発する他の物質を除去する。炭素源が前処理された後、炭素源405は、一次電極410に向かって押し込まれ、そこで炭素源405は、ジュール加熱され、グラフェンに変換される。プロセス管は、円形または長方形を含むがこれらに限定されない任意のサイズであり得る。プロセス管は、石英またはセラミックから作製され得るが、これらに限定されない。グラフェンの大きなセグメントを移動させるのに必要とされる力は、炭素源を移動させるのに十分に大きくなければならない。
【0119】
図5を参照すると、そこには、一実施形態による、ピストン様作用を利用して連続グラフェン合成のためのデバイスの図が例示されている。デバイス500は、グラフェンの規模化製造を可能にする。デバイス500は、容器516の入口開口部515中に炭素源505を移動させるための移動構成要素525を含む。移動構成要素はまた、炭素源505を圧縮し、炭素源505を、炭素源520をジュール加熱するための空間に向かって押し出すためのものである。デバイス500はまた、炭素源が入口開口部515に移動する前に、炭素源505を保持するための炭素源リザーバ535も含む。電流は、炭素源505の圧縮と同じ方向ではない。電流は、炭素源505の流れに対して、好ましくは直角または直角に近いが、圧縮の方向と同じ方向ではない任意の方向であり得る。炭素505の流れは連続的であることができ、電極510は炭素源505の流れを妨げない。炭素源505がジュール加熱された後、炭素源505は、炭素源505の流路をたどるグラフェン粉末506に変換される。変換されたグラフェン506は、出口開口部545からグラフェンリザーバ540に移動する。代替的に、ピストン525および530は、前後のストロークで移動する代わりに連続的に回転するコークスクリューまたは押出スクリューで置き換えることができる。
【0120】
図5のデバイス500は、楕円形または長方形の断面の石英またはセラミック管(約150×150mm)で構成することができ、管の中央セクションに平行板電極(約150×18mm)のための切り欠きがある。代替的に、電極は、入口および出口導管の曲率半径に一致するように湾曲させることができる。電極間の体積は、表1の寸法に従って、24cc(5g)または48cc(10g)に適合する必要がある。
図3の実験室設定でグラフェンを製造するためのデバイスとは異なり、
図5の圧縮ピストン525、530、および電極510の機能は、別個の構成要素によって実行される。電極510は、銅、ステンレス鋼、グラファイト、またはタングステンから作製され得るが、これらに限定されない。電極510は石英に取り付けられているが、ジュール加熱プロセス中に高温プロセスガスを逃がすことを可能にするようにベントホールを有している。圧縮ピストン525、530は、ピストンのアースへの短絡を防ぐために、石英またはセラミックなどの誘電体材料で作製され得る。炭素源505は、炭素源リザーバ535を通って、プロセス管の入口開口部515に供給される。炭素源の移動は、最初の圧縮ピストンが左に引っ込められている間、シェーカーによって支援される。炭素粉末が管中に分配された後、第1の圧縮ピストン525は、電極の下の炭素源をジュール加熱するための空間から変換した炭素506を移すのに十分なストロークで動き、それと同時に、第2の圧縮ピストンは右に後退してグラフェンを捕集瓶の中へと取り出すことを可能にする。移動は、シェーカーまたは真空吸引によって補助される。ストロークが終了した後、第2の圧縮ピストン530が押し込んで管をブロックし、第1の圧縮ピストン525は、ジュール加熱プロセスが完了するまで、炭素源505に所定の圧力を加える。ピストンサイクルは、連続プロセスのスループットと一致する必要がある。炭素源505およびグラフェン材料506の流れは、操作を安全にする密閉環境にある。
【0121】
図6を参照すると、そこには、一実施形態による、容器620の上部および底部から見た容器および電極を利用して連続グラフェン合成のためのデバイスの側面図および上面図が示されている。デバイス600は、グラフェンの規模化製造を可能にする。この実施形態では、容器620は管ではない。代わりに、炭素源605は、入口開口部を介して容器620に装填され、電極610は、容器620の上部および底部に存在する。
【0122】
図6のデバイスの利点としては、デバイス600が連続的な炭素源605/グラフェン606の流れを可能にすることが挙げられる。デバイス600は、炭素源605を挿入するために、またはグラフェン606を除去するために分解される必要はない。グラフェン606は、グラファイト電極610に固着せず、デバイス600は、炭素源605の独立した前処理のために電極610の第2のセットの使用を可能にする。一次電極セット610の左側に位置している二次電極セットを使用して、400℃~1000℃のより低い温度で炭素源を前処理して、炭素源605を炭化し、水分、揮発性物質、および前処理温度範囲で蒸発する他の物質を除去する。炭素源605が前処理された後、炭素源容器620は一次電極610の下に移動され、炭素源605はグラフェン606に変換される。
【0123】
図7を参照すると、そこには、一実施形態による、ジュール加熱によるグラフェン製造のためのベルトを利用してグラフェンの連続合成のためのデバイスの図が例示されている。デバイス700は、グラフェンの規模化製造を可能にする。炭素源705は、リザーバ725を介して、電気的に接地され、連続ベルト735の一部である金属底部電極711を有する石英またはセラミック容器730の入口開口部731に供給される。石英容器730は、直径20mmおよび深さ150mmのシリンダーであることができ、ボート(boat)間のピッチは50mmである。ピストン/電極710は、ボートの上面を覆いかつ密封するための直径>20mmを有するシリンダーである。ピストン/電極710は、銅、鋼、タングステン、またはグラファイトであり得る。ベントホールは、電極710に含まれている。容器730の容積は、表1からの寸法に従って、24cc(5g)または48cc(10g)である。容器730は、電流が電極710、711によって印加される方向とは異なる方向でジュール加熱空間720中に移動される。
【0124】
炭素源705の分配は、容器730がピストン/電極710の下の空間に到達するまでは緩く、空間では、炭素源705を圧縮し、ジュール加熱を炭素源705に適用して、容器730中の炭素源705をグラフェン706に変換する。炭素源720をジュール加熱するための空間からベルトが離れると、容器730は、捕集瓶(図示せず)へと空にされる。ピストンサイクルは、2分または1.4秒であり、グラフェンの連続合成のスループットに合わせる。ベルト速度は、電極の下に、次の容器を2分または1.4秒ごとに(所望の規模によって)移動させる。操作を安全にするために、デバイス全体は密閉される。
図6および7のデバイスにおける制限ステップは、リザーバ725からの炭素源705で容器730を満たす速度である。
【0125】
図8を参照すると、そこには、一実施形態による、炭素源をジュール加熱するための空間に隣接している分割リング電極を有するコークスクリューまたは押出スクリュー圧縮を利用してグラフェンの連続合成のためのデバイスの側面図が例示されている。デバイス800は、グラフェン806の規模化製造を可能にする。炭素源805は、押出構成要素である容器831の入口開口部830中に移動され、コークスクリュー圧縮815によって圧縮される。コークスクリュー圧縮815は、前処理空間821および炭素源820をジュール加熱するための空間が存在する流管の側面に配置された2セットの電極810、811の向こうに炭素源805を押す。電極は、炭素源の流れに対して直角に配置される。コークスクリュー815は、シングルコークスクリューまたはツインコークスクリュー機構であり得る。電極810、811は、平行板830、または押出構成要素の同じレベルで互いに対向して位置している対向ハーフサイド電極830である。電極811の第1のセットは、炭素源805をプレフラッシュするために使用され、別のセット810は、炭素源805をジュール加熱するために使用される。前処理された炭素源は、炭素源820をジュール加熱するための空間の方向に移動し、そこには電極810の第2のセットが配置されている。任意選択のバネ仕掛けの蓋825は、グラフェン粉末806が除去される準備ができるまで、グラフェン粉末806を保持し得る。蓋825の開放は、コークスクリュー815の動きと同期している。電流は、炭素源805の流れに直角である。
【0126】
図8のデバイス800には、電極812、813の代替セットを使用することができる。リング電極813は、1つ以上の端子に使用することができ、ピン電極812は、少なくとも1つの端子に使用することができる。断面は、前処理スペース821の前処理電極811が平行対向電極830であり、ジュール加熱電極812、813が、負端子用のリング電極813および正端子用のピン電極812であることを示している。リング813およびピン812の電極は同心円状であり、ピンとリングとの間の炭素源820をジュール加熱するための空間において炭素源805をジュール加熱する。
【0127】
図9を参照すると、そこには、一実施形態による、炭素源をジュール加熱するための空間に隣接するメッシュ状およびリング状の電極を用いるコークスクリュー圧縮を利用して連続グラフェン合成のためのデバイスの図が例示されている。デバイス900は、グラフェン906の規模化製造を可能にする。炭素源905を圧縮し、かつ、炭素源905を、炭素の流れの上流および下流に配置された2セットの電極911、910の向こうに押す、押出機様機械のコークスクリュー機構915に炭素源905は挿入される。電極911の第1のセットは、材料の流れを可能にするが、通電され得、ジュール加熱を可能にするメッシュ電極である。上部メッシュ930は接地電極であり、底部電極931は正極である。電極930、931はまた、対向配向で配置することもでき、正電極931が上部メッシュであり、接地電極930が底部電極である。電極911の第1のセットは、前処理空間921で炭素源905を前処理するためのものである。電極910の第2のセットは、炭素源920をジュール加熱するための空間で炭素源905をジュール加熱するためのものである。任意選択のバネ仕掛けの蓋925は、グラフェン粉末906が除去される準備ができるまで、グラフェン粉末806を保持し得る。蓋925の開放は、コークスクリュー915の動きと同期している。電流は、炭素源905の流れに直角である。炭素源905は、押出構成要素である容器923の入口開口部922中に移動される。
【0128】
図9に示した別の実施形態では、電極911、912、913、914はリング電極であり、接地電極913は上部電極であり、底部電極912は正端子である。電極911、912、913、914はまた、対向配向でも配置され得る。リング電極911、912、913、914は、試料を流れる電流のより均一な分布のために、半リング、半極リング、または直角極電極(quadrature-pole electrodes)であり得る。任意選択のバネ仕掛けの蓋925は、グラフェン粉末906が除去される準備ができるまで、グラフェン粉末906を保持し得る。蓋925の開放は、コークスクリュー915の動きと同期されなければならない。
【0129】
図9に示した両方の例において、炭素源905は、管の上部から管の底に流れ、電流は、炭素流の方向に流れるが、カーボン粉末流を妨げないように開放流(open flow)設計を有している。
【0130】
図10を参照すると、そこには、一実施形態による、炭素源をジュール加熱するための空間に隣接しているリング状電極を利用してグラフェンの連続合成のためのデバイスが例示されている。デバイス1000は、グラフェン1006の規模化製造を可能にする。炭素源1005は、押出機様機械を使用して移動され、電極1025、1030は、圧縮された炭素源1005流の長さに沿って位置しているリング電極である。1つのリング電極1030は、押出機の出口開口部1035のすぐ近くに位置し、他の電極1025は、入口開口部に隣接している炭素源1005流の上流の管1040に沿ってさらに位置している。この実施形態では、管1040は容器であり、炭素源は、リング電極1025、1030からの電流と同じ方向で管の入口開口部1026中に移動される。リング1025、1030の分離は、炭素源1045をジュール加熱するための空間のサイズを決定する。電流は、第1の電極1025の内輪から第2の電極1030の内輪に流れる。操作中、電極間の炭素源1045をジュール加熱するための空間は、炭素源1005で満たされ、炭素源1005のジュール加熱が実行される。電極間の炭素源1040をジュール加熱するための空間における合成されたグラフェン1006は、出口開口部1035を通して除去される。グラフェン粉末1006の望ましくない流れを防ぐために、制限オリフィス1050が出口開口部1035に追加される。さらに、管1040中のグラフェン粉末1006の摩擦は、グラフェン粉末1006の望ましくない流れを防止する。炭素源1005の流れは、完全なバッチであることができ、電極1045間の炭素源をジュール加熱するための空間は完全に満たされる。炭素源1005の流れはまた、半バッチであることもでき、グラフェン1006の一部分のみが除去され、炭素源1005の同じ部分が埋め戻される。炭素源1005の流れはまた、連続的であることもでき、炭素源1005およびグラフェン1006の連続的な動きに関して放電は周期的である。
【0131】
図11Aを参照すると、そこには、一実施形態による、放射状電極配列を利用してグラフェンの連続合成のためのデバイスの断面斜視図が例示されている。デバイスは、好ましくはグラファイトから作製されている内側電極1110および外側電極1120を含む。このデバイスの電位は、内側電極1110の外面から始まり、外側電極1120の内面で終わる、またはその逆の半径方向である。デバイス1100は、電極として機能するが、石英管を置き換えるための閉じ込め管としても機能する外部グラファイト電極1120を含み、伝導または対流冷却を使用して外部から冷却することができる。デバイスは、誘電性油または同様の誘電性液体から作製された循環冷却剤を有する銅管1105と、熱交換器(図示せず)とを含むことができ、銅パイプ1105は、内側電極1110を冷却し、炭素源1130から熱を除去するために中空内側電極1110の内側に挿入される。デバイス1100はまた、上部石英蓋1125を押し、空間1131中の炭素源1130を圧縮するための上部ばね1115と、底部石英蓋1135を押し、空間1131中の炭素源1130を圧縮するための底部ばね1140とを含む。炭素源1130は、炭素源1131をジュール加熱してグラフェンに変換するための空間中に移動される。炭素源1130は、バッチモードで挿入および除去することができ、炭素源1130は、放射状空間1131に挿入され、ジュール加熱されて、グラフェンに変換され、放射状空間1131から除去される。炭素源1130はまた、石英蓋によって提供される閉じ込めを置き換える押出スクリューを用いて挿入および除去され得る。
【0132】
電流は、内側電極1110から外側電極1120に、またはその逆に放射状に流れ、炭素源1130は閉じ込められ、外部グラファイト電極1110および1120によってジュール加熱される。いくつかの実施形態では、内側電極1110および外側電極1120は、液体冷却され得る。
【0133】
グラファイトは黒体熱受容体であるため、放射冷却は、炭素源1130から外側グラファイト電極1120まで高効率で発生し得る。外側グラファイト電極1120もまた、炭素源1130からの伝導によって加熱されるが、その後、その外面から熱を再放射することができ、さらに外部からの対流または伝導によって冷却され得る。外側電極1120は、ガスおよび熱がより効率的に炭素源を離れることを可能にする多孔質グラファイトであり得る。外側電極1120はまた、ガスが電極の内部から外部に逃げることを可能にするために、その表面に沿って広がった孔を有し得る。グラファイト電極は炭素源および変換されたグラフェンを閉じ込めるため、消耗品の石英管は必要ない。グラファイト電極1120、1110は、最小限の摩耗でほぼ無期限に使用され得る。
【0134】
図11Bを参照すると、そこには、一実施形態による、放射状電極配列を利用してグラフェンの連続合成のためのデバイス1101と、デバイス1101の放射状空間に炭素源1150を出し入れする押出スクリュー1145との断面図が例示されている。デバイス1101は、放射状に整列された内側1155および外側1160電極を含む。デバイス1101はまた、炭素源粉末1150を外側リザーバ(図示せず)からセラミック管導管1170に移動させ、次いで放射状電極1155、1160の間の放射状空間に移動させる押出スクリュー1145も含む。管1170は容器であり、炭素源1150は、容器の入口開口部1171に移動される。押出スクリュー1145は、中空シャフト1180を有する。内側電極1155は、押出スクリュー1145のシャフトに固定することができ、電気接続は、中空シャフトを流れ得る。正端子1172および負端子1173は、交流(AC)、直流(DC)、またはACとDCとの組み合わせのいずれかでの操作のために電源に接続される。操作中、電極1155、1160間の炭素源1150をジュール加熱するための空間1175は、炭素源1150で満たされ、炭素源1150のジュール加熱が実行される。電極1155、1160の間の炭素源1150をジュール加熱するための空間における合成されたグラフェン1165は、出口開口部を通して除去される。炭素源1150の移動は、連続的であり、電極1155、1160によって妨害されない。さらに、炭素源1150の流れは管を長手方向に流れ、電流は半径方向に流れる。
【0135】
図12を参照すると、そこには、一実施形態による、グラフェンの合成のための方法に関するフローチャートがある。方法1200は、1205において、炭素源をジュール加熱するための空間へと第1の方向に炭素源を移動させることを含む。方法1200は、任意選択で、1206での炭素源の圧縮を含む。方法1200はまた、1210において、炭素源をジュール加熱するための空間への炭素源の移動を可能にするように配置された少なくとも2つの電極によって、第2の方向で炭素源に電流を印加して、炭素源の少なくとも一部をグラフェンに変換することを含む。1210での方法1200は、炭素源から水分および揮発性物質を除去するために、より低い電圧で炭素源に第1の電流を印加することを含む1215での追加のステップを任意選択で含み得る。より低い電圧は、炭素源から水分および揮発性物質を除去するが、炭素源をグラフェンに変換しないより低いプロセス温度を発生させる。1210での方法1200は、炭素源の少なくとも一部をグラフェンに変換するために、より高い電圧で第2の電流を印加することを含む、1220での追加のステップを任意選択で含み得る。より高い電圧は、炭素源のジュール加熱およびグラフェンへの変換を可能にする。方法1200は、1230でのグラフェンから未変換炭素を除去することを任意選択で含み得る。
【0136】
上記の説明は、1つ以上の装置、方法、またはシステムの例を提供するが、他の装置、方法、またはシステムは、当業者によって解釈される特許請求の範囲の範囲内にあり得ることが理解されよう。
【手続補正書】
【提出日】2022-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフェンの合成のためのデバイスであって、
炭素源を保持するための空間を有する容器であって、前記容器が前記炭素源を受け入れるための入口開口部を有する、容器と、
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間を通して電流を印加するための少なくとも2つの電極であって、前記炭素源をジュール加熱するための前記空間が前記少なくとも2つの電極の間にある、少なくとも2つの電極と、
前記炭素源を前記容器に対して第1の方向に入口開口部に移動させるための移動構成要素であって、前記少なくとも2つの電極が第2の方向に前記電流を印加し、前記第1の方向が前記第2の方向と同じではない、移動構成要素と、を含む、デバイス。
【請求項2】
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間から外に前記グラフェンを移動させることを可能にするように、前記少なくとも2つの電極に対して配置された出口開口部をさらに含み、前記入口開口部が、前記電流を印加しながら、前記炭素源をジュール加熱するための前記空間に前記炭素源の移動を可能にするように、前記少なくとも2つの電極に対して配置される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記電極に前記電流を流して、前記炭素源をジュール加熱するための前記空間において前記炭素源の少なくとも一部をグラフェンに変換するための前記電極に接続された電源をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも2つの電極は、前記電流が前記炭素源に印加される際にガスを逃がすためのベントを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間が、少なくとも1つの石英壁によって囲まれている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間に移動させる前に前記炭素源を保持するための炭素源リザーバと、前記炭素源をジュール加熱するための前記空間から外に移動させた後に前記グラフェンを捕集するためのグラフェンリザーバと、をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記炭素源を圧縮するための圧縮構成要素をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記圧縮構成要素が、前記炭素源を圧縮するための圧縮ピストンである、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも2つの電極が、互いに対向して配置されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
請求項1に記載のデバイスによって製造された、グラフェン。
【請求項11】
前記グラフェンが、乱層グラフェンである、請求項10に記載のグラフェン。
【請求項12】
グラフェンを合成するためのデバイスであって、
内側電極および外側電極と、
前記内側電極と前記外側電極との間にある炭素源のために前記炭素源をジュール加熱するための空間であって、前記内側電極および前記外側電極が前記炭素源をジュール加熱するための前記空間に放射状に電流を印加するように配置されている、空間と、
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間への前記炭素源の移動を可能にするように、前記内側電極および前記外側電極に対して配置された入口開口部と、
前記内側電極および前記外側電極に前記電流を流して、前記炭素源をジュール加熱するための前記空間において前記炭素源の少なくとも一部をグラフェンに変換するための前記内側電極および前記外側電極に接続された電源と、を含む、デバイス。
【請求項13】
前記外側電極が、前記炭素源をジュール加熱するための前記空間を囲んでいる、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記内側電極および前記外側電極を含む群のうちの少なくとも1つを冷却するために、冷却構成要素をさらに含む、請求項12に記載のデバイス。
【請求項15】
グラフェンを合成するためのデバイスであって、
炭素源を保持するための空間を有する容器であって、前記容器が前記炭素源を受け入れるための入口開口部を有する、容器と、
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間を通して電流を印加するための少なくとも2つのリング電極であって、前記炭素源をジュール加熱するための前記空間が前記少なくとも2つの電極の間にある、少なくとも2つのリング電極と、
前記少なくとも2つのリング電極が前記電流を印加するのと同じ方向において前記容器に対して前記炭素源を前記入口開口部に移動させるための移動構成要素と、を含む、デバイス。
【請求項16】
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間から外に前記グラフェンを移動させることを可能にするように、前記少なくとも2つのリング電極に対して配置された出口開口部をさらに含み、前記入口開口部が、前記電流を印加しながら、前記炭素源をジュール加熱するための前記空間に前記炭素源の移動を可能にするように、前記少なくとも2つの電極に対して配置される、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記電流を前記少なくとも2つのリング電極に流して、前記炭素源をジュール加熱するための前記空間において前記炭素源の少なくとも一部をグラフェンに変換するための前記電極に接続された電源をさらに含む、請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
前記炭素源を400℃~800℃の温度まで加熱するための前処理リング電極をさらに含む、請求項15に記載のデバイス。
【請求項19】
前記少なくとも2つの電極が、前記炭素源を2800℃~3200℃の温度まで加熱する前記電流を印加するように構成されている、請求項15に記載のデバイス。
【請求項20】
前記炭素源をジュール加熱するための前記空間に移動させる前に前記炭素源を保持するための炭素源リザーバと、前記炭素源をジュール加熱するための前記空間から外に移動させた後に前記グラフェンを捕集するためのグラフェンリザーバと、をさらに含む、請求項15に記載のデバイス。
【国際調査報告】