(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(54)【発明の名称】シャフトレスエアヒーター
(51)【国際特許分類】
C21B 9/00 20060101AFI20230113BHJP
【FI】
C21B9/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528606
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(85)【翻訳文提出日】2022-05-16
(86)【国際出願番号】 RU2021050166
(87)【国際公開番号】W WO2021256966
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】RU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522193145
【氏名又は名称】アクトシオネルノエ オブシュチェストヴォ カルギン
【氏名又は名称原語表記】AKTSIONERNOE OBSHCHESTVO ’KALUGIN’
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】アントン アナトリエヴィチ スッボーチン
(72)【発明者】
【氏名】ボリス ニコラエヴィチ プロコフィエフ
(72)【発明者】
【氏名】ユーリー アレクサンドロヴィチ ムルジン
(57)【要約】
ガスと空気とを混合するチャンバを備えるプレチャンバ(1)の上部に配置されるバーナーシステムを備えるシャフトレスエアヒーター。前記プレチャンバ(1)は、ライナーを備えるジャケット(2)を有する。前記ジャケット(2)の内部には環状ダクトが供される。前記ダクトは内側環状壁(3)と外側環状壁(4)によって囲まれることで、ガス収集部(12)を構成する。前記プレチャンバ(1)のライナーは金属輪ビーム(5)によって支持され、前記ジャケット(2)の一の壁は前記ジャケット(2)の拡張部を表す一方、前記ジャケット(2)の他の壁は燃焼チャンバ(6)のドーム形状部の外形を表し、その底部は前記プレチャンバ(1)の支持体を構成する。前記燃焼チャンバ(6)は外形(7)及びライナー(8)と共に前記プレチャンバ(1)の下でかつ、前記プレチャンバ(1)と同軸に配置される。前記金属輪ビーム(5)は前記ジャケット(2)及び前記外形(7)と恒久的に結合され、上方からベースプレートを備えることで、空気マニフォールド(10)が形成される。前記外側環状壁(4)はガスを供給するパイプ(18)を備える開口部を有する。ガス排出口(13)は前記内側環状壁(3)の上部で列をなすように配置され、空気穴(14)は前記内側環状壁(3)の底部に設けられる。本発明は、シャフトレスエアヒーターの安定性と耐久性を向上させることによって動作安全性と信頼性を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状ガス収集器を備えるバーナーと、ガスと空気流の混合、発火、及び初期燃焼用チャンバを示す空洞を有するプレチャンバと、上部にドーム形状を有して前記プレチャンバの下に設けられて前記プレチャンバからの混合ガスの燃焼用チャンバと、発生した燃焼生成物を通過させる格子耐火煉瓦チャンバを含むシャフトレスエアヒーターであって、
前記プレチャンバ、前記燃焼用チャンバ、及び前記格子耐火煉瓦チャンバは相互連通し、かつ同軸上に位置し、前記プレチャンバと前記燃焼チャンバはそれぞれ自身のライナーのシェルを備え、前記プレチャンバのシェルベースの直径は前記のドーム形状の燃焼チャンバのシェルのスロートの直径より大きく、
前記ガス収集器は前記プレチャンバ耐火物の内側環状壁と外側環状壁を形成する前記プレチャンバの耐火ライニング内に実装される環状チャネルを示し、前記混合チャンバは環状空気収集器と相互連通し、混合チャンバへの放出ガス及び空気用ノズルは前記内側環状壁内に作られ、前記ガス及び放出ノズルは前記ガス及び空気収集器を介して外側からのそれぞれのガス及び空気分岐管と相互連通し、
差異は、前記空気収集器が、前記ガス収集器の下の前記プレチャンバの下部に位置し、前記金属環状ビームとベースプレートとの間の空洞により形成されている環状チャンバを表し、前記ベースプレートは前記プレチャンバの底部に設置され、互いに連結され、かつ、前記プレチャンバと前記燃焼チャンバのシェルに連結されている点で、
前記金属環状ビームはプレチャンバ支持体を形成し、前記ベースプレートは、前記空気供給チャンネルを介して前記混合チャンバへの放出空気ノズルと相互連通する前記空気収集器からの空気放出用の穴を備え、後者は前記混合チャンバへの前記放出ガスノズルの下の前記内側環状壁に位置し、前記空気供給チャンネルは前記プレチャンバの耐火物ライニングの下側に位置する、
シャフトレスエアヒーター。
【請求項2】
請求項1に記載のシャフトレスエアヒーターであって、前記混合チャンバ内に供給するための前記放出ガスノズルは、プレチャンバ混合チャンバに向かっている内側の環状壁の複数の高さに配置される、シャフトレスエアヒーター。
【請求項3】
請求項1に記載のシャフトレスエアヒーターであって、前記ノズルの中心線は、水平面に対して15°~45°の下向き傾斜角度を有する、シャフトレスエアヒーター。
【請求項4】
請求項1に記載のシャフトレスエアヒーターであって、前記ガス収集器から前記混合チャンバへの前記放出空気ノズルの中心線は、垂直面に対して0°~45°の傾斜角度を有する、シャフトレスエアヒーター。
【請求項5】
請求項1に記載のシャフトレスエアヒーターであって、前記金属環状ビームは低合金鋼からなる、シャフトレスエアヒーター。
【請求項6】
請求項1に記載のシャフトレスエアヒーターであって、前記金属環状ビームは直角三角形の形状の断面を有し、前記直角三角形の一の辺はプレチャンバシェルの延長部として機能し、前記直角三角形の他の辺は前記ドーム状の燃焼チャンバシェルによって形成され、底部は前記プレチャンバ支持部によって表わされる、シャフトレスエアヒーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高炉で使用されるブラストの加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉の加熱には、内燃チャンバ付き、外燃チャンバ付き、従来の燃焼チャンバなし(上部燃焼式、シャフトレス式)の異なる設計の空気加熱器が使用されている。より高度な空気加熱器として、空気加熱器のドームにバーナーシステムを設置した燃焼チャンバのない空気加熱器(シャフトレスエアヒーター)が知られている(ロシア特許第2145637号、発明者証第602555号、日本国特許第48-4284号、米国特許第3473794号)。
【0003】
特に、シャフトレス空気加熱器(特許第2145637号、2000年)は、耐火物ライニングを有するシェル、格子耐火煉瓦、ドーム、格子耐火煉瓦の上方で熱風の流れの断面の中心線までの直径以上離れた距離に位置する熱風出口、ならびにドームの上部にそれと同軸に位置しドームシェルによる個々の支持でドーム耐火物ライニングから独立して行われる耐火物ライニングシェルを有するプレチャンバを含むバーナーシステムを有している。プレチャンバ内には、シェルとプレチャンバ耐火物ライニングの側壁の間に、環状のガスと空気の収集器があり、互いに仕切り板で仕切られた状態で他の上に配置されている。集塵機には入口枝管と放出ノズルがあり、放出ノズルはプレチャンバ耐火物ライニングの垂直側壁に作られ、ガスと空気はプレチャンバに直接供給される。下部収集器の上段のノズルの中心線はプレチャンバの中心線に向けられ、水平面から30°の角度で上にずれており、他のすべてのノズルの中心線は水平面内にあり、その放出部分の中心を通るプレチャンバ半径に対して15~30°の角度で向けられているという事実により、プレチャンバ内にガスと空気の旋回流が形成されている。この旋回流は、ガスが格子耐火煉瓦に入る前に完全に燃焼させ、格子耐火煉瓦全体に流れを均一にする効果がある。
【0004】
高炉用エアヒーターは大型の高温容器であり、その建設や運転には大きなコストがかかる。そのため、エネルギーコストの低減が大きな要求事項の一つとなっている。また、高炉の炉内では、有害ガスである一酸化炭素(CO)を含む高炉ガスが大量に燃焼する。そのため、高炉熱風炉の運転では、ガスの完全燃焼による環境安全性が重要な要件となる。
【0005】
プレチャンバ内で良好に混合と燃焼を行うように、ガスと空気の旋回流が形成される。ガスはプレチャンバの上部に供給され、そこでガスの旋回流が形成される。公知の空気加熱器において良好なガスと空気の混合を可能にするために、下部集熱器の上部列の空気ノズルの中心線はプレチャンバの中心線に向けられ、水平面から30°までの角度で上方にずらされたものであった。半径方向に向けられ上方にずれた空気流は、ガス流を通りプレチャンバ中央部に向かい、プレチャンバ中央部でのガスの混合・燃焼を良好にすることが期待される。他の列のノズルからの空気流は、プレチャンバ半径に対して斜めに向けられ、周辺部のガス流を良好に混合・燃焼させるものとする。しかし、大型高炉に設置される空気加熱器では、プレチャンバの断面寸法が大きく、空気流は高濃度の強い旋回ガス流を乗り越えてプレチャンバ中心線に到達しなければならない。このため、大幅な増速や強力な送風機の設置が必要となり、エネルギーコストが増大する。また、プレチャンバ中心部ではガスの不完全燃焼が起こり、空気加熱装置の環境性能の劣化につながる。この場合、矛盾が生じる。一方、空気流の浸透力を高めるためには、その速度を大幅に上げる必要があり、その結果、集じん機内の圧力も高くなるため、送風機の能力を大幅に上げる必要がある。一方、他の列のノズルからの空気流については、プレチャンバの周辺部で格子耐火煉瓦に入る前に、通常の速度と流れの旋回で、ガスの良好な混合と完全燃焼が行われるので、この速度の増大は必要ない。
【0006】
したがって、同じ収集器内の異なる列のノズルには異なる圧力が必要であり、これを提供することは不可能である。また、集塵機内の空気圧は標準圧力の送風機を用いているため、上段のノズルからの空気の流速が十分でなく、プレチャンバの中央部にはガスの完全燃焼に必要な空気量が供給されない。その結果、一部のガスが燃焼されずに大気中に排出され、空気加熱装置の環境性・経済性を悪化させる。
【0007】
特許RU第2316600号、2008年のKalugin Shaftless Air Heaterのプロトタイプは、技術的本質と特徴の全体によって、提案された発明に最も近いものである。公知の空気加熱器は、耐火物ライニングを有するシェル、格子耐火煉瓦、ドーム、その中心線までそのフローセクションの1直径より小さくない距離で格子耐火煉瓦の上に位置する熱風出口、それと同軸にドームの頂部に位置し、ドームシェルによる個々の支持でドーム耐火物ライニングから独立して行われる耐火物ライニングを有するシェルから構成されている。ドームとプレチャンバ耐火物ライニングの側壁との間に位置し、それらの間に仕切り板を有するガスおよび空気収集器であって、プレチャンバ耐火物ライニングの垂直側壁に設けられた入口分岐管および放出ノズルを有するガスおよび空気収集器。この場合、下部集熱器の放出ノズルはその上部に位置し、水平面から15°~30°の角度で上方に向けられ、上部集熱器の出口ノズルはその下部に位置し、水平面から15°~30°の角度で下方に向けられ、これらのノズルの中心線の水平面への突出は、ノズル放出部の中心を通るプレチャンバ半径の水平面への突出と15°~45°の角度を形成している。
【0008】
高炉用空気加熱装置は、修理間隔が長い(15~20年)機器に関するものであり、したがって、運転信頼性と長期間の運転がこれらの空気加熱装置に対する大きな要求の一つである。公知の空気加熱器では、上下に配置されたガスと空気の集じん器が薄い仕切り板で仕切られている。集じん器内のガスと空気は、プロセス条件(ガスまたは空気の加熱)により異なる温度を持つことがある。この温度差はかなり大きい場合が多く、その結果、集じん機の温度変形が起こり、その結果、集じん機間の仕切り板が損傷することがある。この場合、ガスと空気の混合が起こり、引火性の混合物が形成され、これが発火を起こしたり爆発したりすることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、シャフトレスエアヒーターの安全性と動作信頼性を高めることである。
【0010】
技術的成果は、シャフトレスエアヒーターの安定性と耐久性が向上することによる、運転安全性と信頼性の向上である。
【0011】
さらに、技術的な成果として、空気加熱器の寸法を縮小すると同時に、高い効率を得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この問題はシャフトレスエアヒーターを用いることによって解決される。当該シャフトレスエアヒーターは、環状ガス収集器を備えるバーナーと、ガスと空気流の混合、発火、及び初期燃焼用チャンバを示す空洞を有するプレチャンバと、上部にドーム形状を有して前記プレチャンバの下に設けられて前記プレチャンバからの混合ガスの燃焼用チャンバと、発生した燃焼生成物を通過させる格子耐火煉瓦チャンバを含む。当該シャフトレスエアヒーターでは、前記プレチャンバ、前記燃焼用チャンバ、及び前記格子耐火煉瓦チャンバは相互連通し、かつ同軸上に位置し、前記プレチャンバと前記燃焼チャンバはそれぞれ自身のライナーのシェルを備え、前記プレチャンバのシェルベースの直径は前記のドーム形状の燃焼チャンバのシェルのスロートの直径より大きく、前記ガス収集器は前記プレチャンバ耐火物の内側環状壁と外側環状壁を形成する前記プレチャンバの耐火ライニング内に実装される環状チャネルを示し、前記混合チャンバは環状空気収集器と相互連通し、混合チャンバへの放出ガス及び空気用ノズルは前記内側環状壁内に作られ、前記ガス及び放出ノズルは前記ガス及び空気収集器を介して外側からのそれぞれのガス及び空気分岐管と相互連通し、違いは、前記空気収集器が、前記ガス収集器の下の前記プレチャンバの下部に位置し、前記金属環状ビームとベースプレートとの間の空洞により形成されている環状チャンバを表し、前記ベースプレートは前記プレチャンバの底部に設置され、互いに連結され、かつ、前記プレチャンバと前記燃焼チャンバのシェルに連結されている点である。前記金属環状ビームはプレチャンバ支持体を形成し、前記ベースプレートは、前記空気供給チャンネルを介して前記混合チャンバへの放出空気ノズルと相互連通する前記空気収集器からの空気放出用の穴を備え、後者は前記混合チャンバへの前記放出ガスノズルの下の前記内側環状壁に位置し、前記空気供給チャンネルは前記プレチャンバの耐火物ライニングの下側に位置する。
【0013】
前記金属環状ビームは、好ましくは低合金鋼からなり、前記金属環状ビームの断面は直角三角形の形状を有することができ、前記直角三角形の一の辺はプレチャンバシェルの延長部として機能し、前記直角三角形の他の辺は前記ドーム状の燃焼チャンバシェルによって形成され、底部は前記プレチャンバ支持部によって表わされる。
【0014】
前記バーナーシステムにおいて、前記混合チャンバ内に供給するための前記放出ガスノズルは、プレチャンバ混合チャンバに向かっている内側の環状壁の複数の高さに配置され、これらのノズルの中心線は、水平面に対して15°~45°の下向き傾斜角度を有している。
【0015】
前記混合チャンバに供給するための前記放出空気ノズルも、前記内側環状プレチャンバ壁に配置されているが、その下部には、これらのノズルの中心線は、垂直面に対して0°~45°の傾斜角度を有している。
【0016】
このように前記ガスと空気のノズルを前記プレチャンバの内側環状壁に配置することにより、ガスと空気の混合物を完全燃焼させる旋回流を形成し、前記空気加熱器の効率を高めることができる。
【0017】
前記空気収集器は、ベースプレートに設けられた空気孔を通して前記混合チャンバに供給するための放出空気ノズルと連通し、プレチャンバ耐火ライニングの下部に設けられた空気供給用のチャネルと連通している。
【0018】
本願構造は、プレチャンバの底部であり、バーナーシステムの外側に位置する空気収集器を特徴とする。この場合、空気収集器は、互いに接続され、プレチャンバ壁および燃焼チャンバ壁に接続された金属環状ビームとベースプレートとの間の空洞によって形成された環状チャンバを表している。空気加熱装置の空気収集器の動作は、ガスと空気の混合チャンバに供給されるガス流と相互作用するように、空気流を上方に向ける動きを提供する。プレチャンバ支持体に位置する環状チャンバとして実装された空気収集器の設計上の特徴は、バーナーとガス混合燃焼チャンバとの相互配置と他の属性とともに、混合チャンバの中央部でのガスと空気の混合の可能性を提供することを可能にすることである。請求項に記載の設計では、ガスおよび空気収集器が耐火物ライニングの巨大な層によって互いに分離されているので、ガスおよび空気収集器間の仕切り板の焼損に関する悪影響を排除し、ガスおよび空気混合物の発火および/または爆発の危険を排除し、それによって運転信頼度を高め、シャフトレス空気加熱器の高い効率を提供する。
【0019】
請求項に記載の設計の比較は、それがプロトタイプおよび既知の技術状態から知られていない新しい特徴的な特徴を特徴とし、新しい技術的成果の達成、すなわち、動作中の温度曝露に対する空気収集器の安定性の向上による動作信頼性の向上、ひいてはシャフトレス空気ヒータの耐久性を提供するという結論を下すことを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
請求項に記載の設計を、その実施可能なオプションの1つにおいて、以下の図に示す。
【
図1】縦断面におけるシャフトレス空気加熱器の可能な実施態様の1つを示す図である。
【
図2】
図1のシャフトレス空気加熱器の断面を示している。
【
図3】
図1のシャフトレス空気加熱器の断面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
請求項に記載のシャフトレス空気加熱器は、空洞がガスと空気の混合チャンバを表すキノコ形状を有するプレチャンバ1内の上部にバーナーを配置する。プレチャンバ1は、好ましくは低合金鋼で作られたシェル2を有する。プレチャンバ1のシェル2は、シェル2の内部側に軽量耐火物からなる耐火物ライニングが形成されている。ガスと空気の混合チャンバ側には、内側の環状壁3と外側の環状壁4とで制限される環状流路を形成した耐熱性耐火物からなるプレチャンバ耐火物ライニングが使用されている。プレチャンバ1の耐火物ライニングは、低合金鋼からなり、その断面が直角三角形の形状を有する金属製環状ビーム5によって支持されており、その一辺はプレチャンバ1のシェル2の延長部として機能し、他辺はドーム状燃焼チャンバ6のシェル7によって形成され、底部はプレチャンバ支持体によって表されている。プレチャンバ1の下には、プレチャンバ1と同軸に位置するドーム状の上部を有し、プレチャンバ1と相互連通し、好ましくは低合金鋼製のシェル7と耐火物製のライニング8とを備える燃焼チャンバ6が存在する。プレチャンバ1と燃焼チャンバ6との間の界面領域において、プレチャンバ1の底部のシェル2は、燃焼チャンバ6のドーム状部分のシェル7の直径を超える直径を有する。金属環状ビーム5は、例えば溶接によってシェル2および7と取り外し不能に接続され、それは、空気収集器10として機能する空洞を有する内部チャンバを形成するベースプレート9を上部から備えている。燃焼チャンバ6の下には、好ましくは六角形の耐火煉瓦からなる耐火性の格子耐火煉瓦(図示せず)を備えた格子耐火煉瓦チャンバ11があり、層状に敷かれた耐火煉瓦の穴が燃焼生成物の通過と熱伝達を提供し得るように、層状に敷かれた穴を有する。プレチャンバ1の外側環状壁4には、ガス供給分岐管18を有する穴があり、内側環状壁3と外側環状壁4との間には、ガス収集器12の機能を果たすガス供給用の環状チャネルがある。内側環状壁3の上部には、数列に配置された放出ノズル13があり、このノズルは混合チャンバ内で旋回流の形でガスの移動を供し、その目的のためにこれらのノズルの中心線は水平面に対して下方に15から45°の傾斜角を有し、それによって混合チャンバの中央部でガスの効率的な旋回流を形成している。内側の環状壁3の下部には、プレチャンバ1の混合チャンバに空気を供給する空気ノズル14があり、これらのノズルの中心線は、垂直面に対して0から45°上方の傾斜角度を有する。ノズル14から斜め上方に向かう空気の旋回流は、放出ガスノズル13から斜め下方に向かうガスの旋回流とプレチャンバ1の混合チャンバ内で出会い、プレチャンバ1の混合チャンバ内でそれらと混合して均質な燃料混合物を形成し、それによりこの混合物の完全燃焼させる。空気収集器10の側壁には、空気収集器10への空気供給枝管15を有する孔がある。内側環状壁3の下部に位置する混合チャンバへの放出空気ノズル14は、ベースプレート9の空気孔17に接続された空気チャネル16を介して空気収集器10と相互連通する。相互連通するプレチャンバ1およびガスと空気の混合燃焼チャンバ6は、ガス収集器12および空気収集器10とともに同軸上に位置し、その上部に、ガスと空気の混合チャンバであるプレチャンバ2によって表されるバーナーがある請求項に記載の空気加熱器のバーナーシステムを形成する。
【0022】
請求項に記載のシャフトレスエアヒーターは、以下に示すように動作する。ガスと空気の混合チャンバを表すプレチャンバ1の空洞では、ガス収集器12と空気収集器10と相互連通する空気供給路16から、ガス供給枝管18と空気供給枝15を経てそれぞれ行くガスと空気流の混合が起こり、外部からの圧力下でガスと空気が供給される。放出ガスノズル13および放出空気ノズル14から混合チャンバに向かう旋回流の混合により燃料混合物が形成され、形成されたガスと空気の混合物が燃焼チャンバ6のドーム状部分でさらに発火し、燃焼される。得られた燃焼チャンバは、燃焼チャンバ6から格子耐火煉瓦チャンバ11に供給される。
【0023】
相互連通するプレチャンバ1と燃焼チャンバ6によって形成される請求項に記載の空気加熱器のバーナーシステムは、ガス収集器12と空気収集器10が互いに相対的に空間的に分離されていることを特徴とする。このようにバーナーシステム内のガスと空気の流れを分離し、空気収集器を空気加熱器の最もストレスのかかる領域であるプレチャンバ支持体によって形成された空洞に配置することにより、ガスと空気の混合効率が高く、得られたガスと空気の混合物の完全燃焼、ならびにガスと空気の供給領域を安全に制御できるようにする。これにより、バーナーシステムのプレチャンバにおけるガスと空気の無秩序な混合を排除し、混合気の発火や爆発の危険性を排除し、空気加熱装置の完全な安全運転でガスの完全燃焼を確実に実現する。さらに、プレチャンバ支持に金属製環状ビームを使用し、その中に環状収集器を配置することにより、空気加熱器の高さが減少するため寸法が減少し、設備投資が削減され、それによって新しい空気加熱器の設置時および既存のものの再建時の両方のコストを削減できる。
【国際調査報告】