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  • 特表-アシストシステムの操作方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(54)【発明の名称】アシストシステムの操作方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/02 20120101AFI20230113BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20230113BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20230113BHJP
   B60W 30/08 20120101ALI20230113BHJP
【FI】
B60W50/02
B60W60/00
B60W30/10
B60W30/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546119
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(85)【翻訳文提出日】2022-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2020083604
(87)【国際公開番号】W WO2021151555
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】102020000593.4
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】ヘックマン,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】コルベ,ウリ
(72)【発明者】
【氏名】オルトマン,フォルカー
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA11
3D241BA31
3D241BA64
3D241BB16
3D241BB37
3D241BB72
3D241BB74
3D241DB07Z
3D241DB09Z
3D241DB12Z
(57)【要約】
【課題】車両の自動運転用アシストシステムの操作方法を提供する。
【解決手段】本発明は車両(1)の自動運転用アシストシステムによる操作方法に関するもので、決められた標準軌道(S)を縦軸及び横軸において走行制御されて辿り、その中で、緊急軌道(N)が継続的に決定され、それに沿って車両(1)が緊急操作モード作動後、縦軸及び横軸において走行制御され停止される。本発明においては、車両(1)が開始車線(F1)から目標車線(F2)へ進路を変更、あるいは決められた標準軌道(S)に従って既に変更済みの際に緊急操作モードが作動した場合、車両(1)を開始車線(F1)及び目標車線(F2)のいずれで停止させるかを判定し、当該判定は、標準軌道(S)上の車両の位置に応じて行われる。この時、車両(1)が所定の経路長内および/または所定の時間内に開始車線(F1)上で停止させられる緊急軌道(N)が計画され、車両(1)に作用する側方加速度が所定の快適値を超えず、車両(1)の目標車線(F2)への進入度が所定の進入度を超えない場合、車両(1)が開始車線(F1)上で停止させられる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
決められた標準軌道(S)を縦軸及び横軸において走行制御されることで辿り、緊急操作モードの作動後に車両が縦軸及び横軸において走行制御され停止される緊急軌道(N)が継続的に決定される車両の自動運転用アシストシステムの操作方法であって、
前記決められた標準軌道(S)に従う前記車両の開始車線(F1)から目標車線(F2)への車線変更が差し迫るまたは既に開始されている際に、緊急操作モードが作動した場合、前記決められた標準軌道(S)上の前記車両の位置に応じて、前記車両(1)を前記開始車線(F1)上で停止させるか前記目標車線(F2)上で停止させるかを判定し、
前記判定において、所定の経路長内および/または所定の時間内に前記車両(1)を前記開始車線(F1)上で停止させる緊急軌道(N)が計画されており、前記車両(1)に作用する側方加速度が所定の快適値を超えず、前記車両(1)の前記目標車線(F2)への進入度が所定の進入度を超えない場合に、前記車両(1)を前記開始車線(F1)上で停止させる
ことを特徴とする操作方法。
【請求項2】
前記判定は、前記開始車線(F1)及び/又は前記目標車線(F2)上に衝突の危険性が存在することを考慮して行われ、
前記車両(1)は、より危険性の少ない車線(F1、F2)において停止させられる
ことを特徴とする請求項1記載の操作方法。
【請求項3】
前記車線変更の予定または開始の後、2つの緊急軌道(N)を継続的に決定することにより、前記車両(1)を前記所定の経路長及び/又は前記所定の時間内に、前記開始車線(F1)または前記目標車線(F2)上で停止させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2記載の操作方法。
【請求項4】
前記緊急操作モードが作動した場合、該緊急操作モードが作動した際または前記車両(1)が停止した際のいずれかにおいて、前記車両(1)のハザード警告ランプが該車両(1)が位置する国に応じて自動的に作動される
ことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項記載の操作方法。
【請求項5】
前記車両(1)の現在位置が、衛星を利用した位置特定ユニットから取得した信号に基づいて決定される
ことを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項記載の操作方法。
【請求項6】
前記緊急操作モードが作動した場合、前記車両(1)において視覚的、聴覚的、及び/又は触覚的に警告が出力される
ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項記載の操作方法。
【請求項7】
前記車両(1)が停止している場合、該車両(1)のパーキングブレーキが作動し、適切なギアが設定される
ことを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか一項記載の操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決められた標準軌道を縦軸及び横軸において走行制御されることで辿り、緊急操作モードの作動後に車両が縦軸及び横軸において走行制御され停止される緊急軌道が継続的に決定される車両の自動運転用アシストシステムの操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転モードで車両を運転する方法及び装置は、下記特許文献1から知られている。自動運転モードにおいて通常の機能が働いている間、緊急軌道が継続的に決定及び記憶される。これは、少なくとも1つの所定の障害イベントの発生後に車両の自動軌道制御のためのベースとして使用される。少なくとも1つの所定の障害イベントが検知された場合、緊急操作モードが作動される。このモードでは、車両の制御を運転者が行わない限り、車両が所定の期間及び/又は停止するまで、少なくとも1つの所定の障害イベントの発生前に記憶された緊急軌道に従って車両の自動軌道制御が開始および実行される。
【0003】
更に、下記特許文献2には、自動運転モードにおいて車両を制御する方法および当該方法を実行するための装置が記載されている。自動運転モードは、主制御ユニットの機能障害が検出された場合、主制御ユニットにより車両が自動運転で通常の目標軌道に沿って所定の目標位置まで案内される通常の操作モードから、補助制御ユニットにより車両が自動運転で緊急軌道に沿って緊急停止位置まで案内される緊急操作モードへ切り替えられる。通常の操作モードにおいて、通常の目標軌道、緊急操作の目標軌道および車両が走行する車線は、主制御ユニットの車両固定座標システムの中で継続的に決定される。決定された緊急操作の目標軌道および決定された走行車線は、補助制御ユニットに送られて記憶される。緊急操作モードにおいて、車両が移動した車線は補助制御ユニットの車両固定座標システムの中で決められる。緊急操作モードにおいて、主制御ユニットと補助制御ユニットとの間の座標系のずれは、補助制御ユニットの中に記憶されている走行車線と補助制御ユニットによって決定された走行車線とに基づいて補われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許公開第10 2015 003 124 A1号公報
【特許文献2】独国特許公開第10 2017 011 808 A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、車両の自動運転用アシストシステムの操作方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、その目的は、請求項1に示されている特徴を有する方法によって達成される。
【0007】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項に示されている。
【0008】
車両の自動運転用アシストシステムの操作方法は、車両が決められた標準軌道を縦軸及び横軸において走行制御されて辿り、車両の緊急操作モードの作動後に縦軸及び横軸において走行制御され停止される緊急軌道が継続的に決定される。本発明によれば、決められた標準軌道に従う車両の開始車線から目標車線への車線変更が差し迫る、あるいは既に開始された際に、緊急操作モードが作動された場合、車両が開始車線あるいは目標車線において停止するべきかの判定がなされる。つまり、車線変更を開始するかどうかの判定がなされ、あるいは既に開始した車線変更を継続あるいは中止すべきかが判定される。判定は決められた標準軌道上で車両の現在位置に応じて下される。車両は開始車線上で停止させられ、既に車線変更が開始された場合は、所定の経路長および/または所定の時間内に開始車線上に車両を停止する緊急軌道が計画され、車両に作用する側方加速度の所定の快適値を超えず、車両の目標車線への所定の進入度を超えない場合、車両が開始車線に戻される。
【0009】
特に、決められた標準軌道が車両の定義された観察視野内で車線変更を提供する場合、つまり、車線変更が所定の時間内あるいは経路部分内で予定される場合、車線変更が差し迫っていると推測される。
【0010】
差し迫っている車線変更の場合、開始車線という用語は差し迫っている車線変更が開始された車両の車線、つまり、車両の瞬間的車線を意味する。既に開始された車線変更の場合、開始車線という用語は車線変更が開始された車線を意味する。目標車線という用語は中止されなかった場合の車線変更終了時における車両の車線を意味する。
【0011】
本方法は、例えば車両の主制御ユニットの不良(故障)が発生した場合の車両の緊急操作モードに対するいざという時の解決策を表し、そこでは、車両の操作、特に自動運転操作が余分な環境センサーなしで最大限の範囲で可能となる。
【0012】
本方法を適用することで、緊急操作モードの車両が、緊急操作モードが作動した時に下された判定結果に従って開始車線あるいは目標車線のいずれかにおいて安全に停止することが実質的に保証される。これは、停止された車両により両車線において他の車両が妨害される、あるいは両車線が塞がれる可能性を排除できる。
【0013】
従って、車線変更が既に開始されていたとしても、緊急操作モードが作動した場合に、車両が直ちに車線変更を中止することや、効果的な側方加速度が快適値を超え、目標車線への所定の進入度を超えた場合に車両が停止するか開始車線に戻ることを排除できる。この場合、車線変更が実行され、車両は目標車線に方向付けられ、比較的快適で安全に減速する。
【0014】
本方法の更なる実施形態において、車両をどの車線で停止させるかの判定については、開始車線または目標車線において衝突の危険性を考慮して行われ、リスクがより少ない車線において車両が停止するようにされる。従って車両は、他の道路使用者、特に他の車両との衝突及び接触のリスクが比較的低い車線において停止させられる。
【0015】
本方法の更なる発展形態において、車線変更を予定あるいは開始後、所定の経路長内及び/又は所定の時間内で開始車線および目標車線のそれぞれにおいて車両を停止させる2つの緊急軌道が継続的に決定される。このようにすることで、作動した緊急操作モードにおいて、車両を開始車線と目標車線の両方において安全に停止させるために減速させることが可能である。
【0016】
車両の緊急操作モードが作動した場合、緊急操作モードが作動した時点および車両が停止した時点の少なくともいずれかで、車両のハザード警告ランプが車両の所在国に応じて自動的に作動される。
【0017】
ハザード警告ランプを作動させることで、車両の近くを走行している他の道路使用者にブレーキ作動中の車両あるいは停止している車両を認識させ、当該車両を避ける十分な機会を与えることができる。
【0018】
このために、特に、車両の現在位置が衛星を利用した位置決定ユニットから取得した信号に基づいて決定されるため、車両が現在位置している所在国を特定できる。所在国が分かっている場合、車両のハザード警告ランプを他の車両の注意を引くためにどのタイミングで点灯させるかを決めることができる。
【0019】
特に、故障を検出したことによって車両の緊急操作モードが作動した場合、車両のユーザーおよび他の車両同乗者に車両の状況を認識させるよう、警告が視覚的、聴覚的、または触覚的に出力される。
【0020】
可能な更なる発展形態において、停止した車両の安全を確保するために、車両がそれ以上動かないようにサイドブレーキが作動し、該当するギアが設定される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】先行技術に係る車両の自動運転モードにおける運転状況を示す模式図である。
図2】先行技術に係る車両の自動運転モードにおける更なる運転状況を示す模式図である。
図3】本実施形態に係る操作方法を用いた自動運転モードにおける車両の運転状況を示す模式図である。
図4】本実施形態に係る操作方法を用いた自動運転モードにおける車両の更なる運転状況を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に係る実施形態を、図面を参照して以下により詳細に説明する。
【0023】
対応する各要素は、全ての図面の中で同じ参照符号が付されている。
【0024】
図1および図2は、それぞれ先行技術に係る車両1の自動運転の運転状況を示す。
【0025】
自動運転モードを実行するために、作動した時に運転操作を完璧に実行するアシストシステムが車両1には装備されている。
【0026】
自動運転モードにおいて、車両1に対して予め定義され、車両が縦軸及び横軸において制御(走行制御)されて辿る標準軌道Sは、特にアシストシステムによって決められる。
【0027】
車両1が標準軌道Sを辿っている間、緊急軌道Nが決められ、例えば主制御ユニットの故障により、車両1の緊急操作モードが作動した後、車両1が縦軸及び横軸において制御されて停止、特に安全に停止される。この緊急操作モードは特に、自動運転モードの安全な継続が保証できない場合、作動する。
【0028】
図1は車両1の自動運転モードにおける運転状況を示し、その中で、開始車線F1から目標車線F2に車両1の車線変更が予定されており、これは予定された標準軌道Sによって示されている。
【0029】
緊急軌道Nのコースが標準軌道Sに対応するため、車両1は車線変更が実行された際に、車両1の余分な運転機能として、作動した緊急操作モードで停止するようにブレーキが作動する。車両1は従って、開始車線F1と目標車線F2との両方に位置するよう、ブレーキが作動する。車両1が停止している際に、開始車線F1と目標車線F2とを塞いでいるため、その他の道路使用者は結果として妨害される可能性がある。
【0030】
図2に示されている車両1の運転状況においては、車線変更が既に開始されており、車両1が開始車線F1にまだ位置している。緊急軌道Nのコースは、標準軌道Sに対応するため、作動した緊急操作モードにおいて車両1が車線変更を実行する。
【0031】
車両1は、図示しない環境センサーシステムを備え、環境センサーシステムの多数の環境センサーの機能が、車両1の作動した緊急操作モードの最中でも利用可能である。
【0032】
アシストシステムは、自動運転を実行するための主制御ユニットと、車両1を緊急操作モードにおいて制御するための補助制御ユニットとを備える。自動運転モード中、主制御ユニットは緊急操作モードで使用される緊急軌道Nを継続的に決め、これを補助制御ユニットに利用可能とする。作動した緊急操作モードにおいて、補助制御ユニットは、車両1の制御操作を引き継ぐ。従って、主制御ユニットの故障によって発生した緊急操作モードの場合においても、アシストシステムは主制御ユニットによって事前に決められた緊急軌道Nに従って車両1を安全な状態、特に、安全な停止状態に導くことができる。一般的に、補助制御ユニットは車両の動的安定のための制御ユニットであり、衛星によりサポートされる情報や環境センサーとして車載カメラから取得した信号を処理するように設計されている。衛星によりサポートされる情報を用いることにより、検出された車輪の速度に基づいて車両1の現在位置が決定される場合よりも、より詳細に車両1の位置を特定することが可能となる。
【0033】
車両1の自動運転モードに比較的重大な障害が発生、例えば、主制御ユニットの故障が発生した場合、作動した緊急操作モードにおいて、最も必要な環境センサーの機能が車両1に利用可能となる。その種の分け方は、主制御ユニットあるいは補助制御ユニットの故障時、余分な環境センサーなしでも車両1を制御することを可能にする。
【0034】
車両1の主制御ユニットと補助制御ユニットの両方は、それぞれ自動運転モードおよび緊急操作モードのための運転制御装置と、ステアリング及びブレーキングのための装置と、複数の環境センサーやその他センサーとに接続されている。
【0035】
緊急操作モードにおいて、例えば、カメラとして設計された少なくとも1つのセンサーの機能が利用可能であり、開始車線F1と目標車線F2が特に画像信号として取得した信号に基づいて、開始車線F1と目標車線F2とが検出される。カメラの検知領域は、車両1の前方向けられ、車両1の運転操作中、信号が継続的に取得され、車両1の前方にある物体や障害物も検出される。これによって、衝突回避または衝突という結果を減らす方策を実施することが可能になる。
【0036】
アシストシステムは、環境センサーから取得された信号を用いて、比較的早い巡航速度で車両1を自動運転モードによって走行させようとし、そこでは、車両1は決められた標準軌道Sを縦軸及び横軸において走行制御されて辿る。
【0037】
先行技術によれば、標準軌道Sは、作動した緊急操作モードのための緊急軌道Nとして使用され、そこでは、車両1が所定の減速プロファイルによって停止する。特に、標準軌道Sと緊急軌道Nは、車両1が導かれる一組の位置座標だけでなく、これらの位置座標に沿った所望の速度と加速度プロファイルに関する情報も提供する。
【0038】
車両1が標準軌道Sに従って車線変更を実施した場合、その間に車両1の緊急操作モードが作動すると、車両1が車線変更を行いながら停止するため、図1に示されているように開始車線F1と目標車線F2に跨って停止してしまう恐れがある。
【0039】
図2に示されているように、緊急操作モードが作動中の車両1は、標準軌道S、延いては1段階減速された減速度プロファイルによる緊急軌道Nに沿って車線変更を行う場合、車線変更の目標車線である目標車線F2の中に確かにあるが、側方と後方の物体検出を行うことなく車線変更が行われる。その結果、車両1はその他の道路使用者にかなりの危険を及ぼし、自身も高い衝突の危険性に晒されることになる。例えば、目標車線F2は、車線変更を実行している車両1のエリア内に他の道路使用者が進入することができ、他の道路使用者が検出されないか、されてもタイミング的に遅すぎることになる。この種の危険性は、目標車線F2における所定の緊急軌道Nに関する移動時間に応じて増加する。通常、自動運転モードにおける車両1の車線変更は、変更先が目標車線F2、詳細には図示されていない出口車線あるいは路肩に向けられる。
【0040】
予定あるいは既に開始された車線変更中の車両1の作動された緊急操作モードを、車両1およびその他の道路使用者の快適性と安全性に関して最適化するために、図3および図4に基づいた以下で説明する方法が提供される。
【0041】
車両1の自動運転モードにおいて、車線変更の予定あるいは開始後、2つの緊急軌道Nが決定され、所定の経路長内あるいは所定の時間内に、車両1が一方の緊急軌道Nに沿って開始車線F1上で安全に停止する。他方の決定された緊急軌道Nは、所定の経路長内あるいは所定の時間内に車両1を目標車線F2上に停止させるために提供される。
【0042】
図3の例示的な実施形態によれば、車両1は、標準軌道Sによって示される目標車線F2への車線変更が予定されているものの、開始車線F1上で決定された緊急軌道Nに従う。車両1は緊急軌道Nの所定の減速プロファイルに基づいて停止する。
【0043】
特に、図4に示されるように、車両1に作用する側方加速度が所定の快適値を超えず、且つ、車両1が既に目標車線F2に所定の深さ(進入度)だけ進入していない状態で、車両1が所定の経路長内または所定の時間内に開始車線F1において減速できることが緊急軌道Nにより規定されている場合、車両1が開始車線F1上で停止される。
【0044】
例えば、側方加速度に関する快適値は、0.5m/s~3m/sの間の範囲に存在する。
【0045】
判断基準としての既に車線変更を開始している車両1の目標車線F2への側方加速度及び進入度に応じて、対応する緊急軌道Nが選択され、この軌道に沿って車両1が安全に停止する。選択された緊急軌道Nは、車両1の縦軸及び横軸における走行制御のための目標軌道を表す。
【0046】
環境センサーとしてカメラの画像信号を考慮することにより、それぞれの緊急軌道N上で、衝突の危険性がある物体を検知および緊急軌道Nが決定(選択)された時に検出されなかった物体を検検出することができる。結果として、例えば、より強くブレーキを踏むことにより、車両1と衝突の可能性がある物体との間の衝突を避けることができる。従って、緊急軌道Nの速度及び/又は加速度曲線が環境状況の変化に適応される。また、衝突の危険性がより低く、緊急ブレーキを最大限に避けることができる緊急軌道Nが選択される。従って、側方加速度と進入度に加えて、危機的な状況に陥る可能性が低い又は全く存在しない緊急軌道Nが選択される。例えば、危機的な状況は、突然現れた障害物によって発生することがあり、それは例えば、1つの緊急軌道N上にあるゆっくり走行する車両、ゆっくり走行する車両の追い越し、または静止した物体等がある。
【0047】
更に、本実施形態に係る操作方法は、車両1の緊急操作モードが作動した時に、車両1の車内に警告が出力されることを提供し、この出力は例えば、リバーシブルシートベルトテンショナーを作動させるなどして視覚的、聴覚的、及び/又は触覚的に出力される。
【0048】
車両1が位置する所在国によって、車両1のハザード警告ランプが緊急操作モードの作動時あるいは車両1の停車時に自動的にオンになる。
【0049】
車両1の所在国を特定するために、車両1の現在位置が衛星を利用した位置特定ユニットからの位置決定信号を用いて検出される。ハザード警告ランプは、車両1の所在国および適用される法律に従って、スイッチがオンになる。
【0050】
更に、車両1が停止状態の場合、車両1が移動しないようにサイドブレーキが自動的に作動し、駐車用のトランスミッションギアが設定される。
【符号の説明】
【0051】
1 車両
F1 開始車線
F2 目標車線
N 緊急軌道
S 標準軌道
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】