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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-20
(54)【発明の名称】体液成分分離装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/02 20060101AFI20230113BHJP
   B04B 5/02 20060101ALI20230113BHJP
   B04B 7/16 20060101ALI20230113BHJP
   B04B 7/12 20060101ALI20230113BHJP
   B04B 11/00 20060101ALI20230113BHJP
【FI】
A61M1/02 120
B04B5/02 A
B04B7/16
B04B7/12
B04B11/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554167
(86)(22)【出願日】2020-10-28
(85)【翻訳文提出日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 KR2020014769
(87)【国際公開番号】W WO2021096107
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】10-2019-0143458
(32)【優先日】2019-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0108311
(32)【優先日】2020-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522189056
【氏名又は名称】イ ジュン ソク
(74)【代理人】
【識別番号】100112874
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 薫
(72)【発明者】
【氏名】イ ジュン ソク
【テーマコード(参考)】
4C077
4D057
【Fターム(参考)】
4C077AA12
4C077BB04
4C077NN02
4D057AA03
4D057AB01
4D057AB03
4D057AC01
4D057AC05
4D057AD01
4D057AE11
4D057BA13
4D057BA15
4D057BA20
4D057BC11
(57)【要約】
【課題】 液体成分分離装置を提供すること。
【解決手段】一実施形態に係る体液成分分離装置は、ハウジングと、前記ハウジングを第1空間及び第2空間に分離し、前記第1空間及び前記第2空間を流体連結するピストンと、前記ピストンに作動可能に結合し、前記第1空間と前記第2空間との間の圧力平衡を保持させ、前記第1空間が第1容積を有する第1位置及び前記第1空間が前記第1容積とは異なる第2容積を有する第2位置との間で前記ピストンの移動を調整し、前記第1位置と前記第2位置との間の任意の位置に前記ピストンを固定させるように構成されたマニピュレーターを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングを第1空間及び第2空間に分離し、前記第1空間及び前記第2空間を流体連結するピストンと、
前記ピストンに作動可能に結合し、前記第1空間と前記第2空間との間の圧力平衡を保持させながら、前記第1空間が第1容積を有する第1位置と、前記第1空間が前記第1容積とは異なる第2容積を有する第2位置との間で前記ピストンの移動を調整し、前記第1位置と前記第2位置との間の任意の位置に前記ピストンを固定させるように構成されたマニピュレーターと、
を含む、体液成分分離装置。
【請求項2】
前記マニピュレーターは、
長手方向の軸を有するシャフトと、
前記シャフトに形成された雄係合要素と、
前記雄係合要素と係合して前記ピストンに固定されるように設けられた雌係合要素と、
を含む、請求項1に記載の体液成分分離装置。
【請求項3】
前記マニピュレーターは、
第1係合部材を含むハンドルと、
前記シャフトに連結されて前記第1係合部材と係合する第2係合部材と、
を含む、請求項2に記載の体液成分分離装置。
【請求項4】
前記第1空間及び前記第2空間を流体連結し、前記第1空間から前記第2空間に流動するターゲット物質を含む層を示すように構成されたインジケータをさらに含む、請求項1に記載の体液成分分離装置。
【請求項5】
前記インジケータは、
流入ポートと、流出ポートと、前記流入ポートと前記流出ポートとの間に規定されたメインチャネルを含むチューブと、
前記チューブの内部、そして前記メインチャネル上に配置され、前記チューブと共に前記メインチャネルの断面のサイズよりも小さいサイズの断面を有するサブチャネルを規定するインサートと、
を含む、請求項4に記載の体液成分分離装置。
【請求項6】
前記インサートは、前記メインチャネルを流動する流体を前記サブチャネルにガイドするガイド部分を含む、請求項5に記載の体液成分分離装置。
【請求項7】
前記第1空間及び前記第2空間を流体連結し、前記第1空間から前記第2空間に流動する流体をフィルタリングするフィルタ構造体をさらに含む、請求項1に記載の体液成分分離装置。
【請求項8】
前記フィルタ構造体は、
前記第1空間と流体連結された流入ポートと、前記第2空間と流体連結された第1流出ポートと、前記第2空間と流体連結されて前記第1流出ポートの向い側にある第2流出ポートを有するフィルタハウジングと、
前記第1流出ポートに設けられた第1フィルタと、
前記第2流出ポートに設けられた第2フィルタと、
を含む、請求項7に記載の体液成分分離装置。
【請求項9】
前記フィルタ構造体は、前記第1空間と流体連結された第1端部と、前記フィルタハウジングの流入ポートと流体連結された第2端部と、前記第1端部と前記第2端部との間で延長する長手方向部分を含むチューブを含み、
前記チューブの第2端部は、前記フィルタハウジングの内部に向かって前記フィルタハウジングの内壁から突出する、請求項8に記載の体液成分分離装置。
【請求項10】
前記ピストンは、
前記ハウジングに沿って移動する外部本体と、
前記外部本体の内部に位置する内部本体と、
前記外部本体の端部及び前記内部本体の端部を連結し、前記ハウジングの内部を前記第1空間及び前記第2空間に分離するパーティションと、
前記外部本体と前記内部本体との間、そして前記パーティションから延長し、前記第1空間及び前記第2空間を流体連結する流体通路と、
を含む、請求項1に記載の体液成分分離装置。
【請求項11】
前記パーティションは、ターゲット物質を収容するための溝を含む、請求項10に記載の体液成分分離装置。
【請求項12】
体液成分分離装置用ピストンにおいて、
外部本体と、
前記外部本体の内部に位置し、前記外部本体と共に内部空間を規定する内部本体と、
前記外部本体及び前記内部本体を連結し、前記外部本体の外部及び前記内部空間を分離するパーティションと、
前記内部空間、そして前記パーティションから延長し、前記内部空間及び前記外部ボディの外部を流体連結する流体通路と、
を含む、ピストン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下、実施形態は体液成分分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の体液、例えば、血液及び骨髄などには様々な有効性分及び細胞が含まれている。そのうち、血液の中に含まれている血漿(plasma)は、血液から赤血球を分離除去した中性の黄色液相成分として、血漿を遠心分離して取得する多血小板血漿(platelet rich plasma;PRP)は、生体内で阿膠(glue)の役割、血液凝固及び止血、幹細胞及び単一細胞(primary cell)の移住及び分化のためのスキャフォールド(scaffold)の役割、血管新生調整、抗炎症作用、抗菌作用、陣痛作用などの様々な機能を行う。特に、腱、靭帯、軟骨、筋肉の細胞増殖、分化促進、血管新生など組織再生に関連しており、筋骨格系損傷の際にPRPの臨床的な効用が注目されている。例えば、公開特許公報第10-2019-0059019号は、血液成分遠心分離装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10-2019-0059019号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一実施形態に係る目的は、ピストンが下降するときピストンの下部空間の圧力が増大しピストンの上部空間の圧力が減少するように、ピストンを下方に移動させる外部の力に関わらず、ピストンの上部空間とピストンの下部空間との間の圧力の平衡を保持しながら、ピストンを下方に移動させる体液成分分離装置を提供することにある。
【0005】
一実施形態に係る目的は、分離対象体液が任意の容量を有するように、その容量に合わせてピストンの初期位置を調整し、固定されるよう設定する体液成分分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る体液成分分離装置は、ハウジングと、前記ハウジングを第1空間及び第2空間に分離し、前記第1空間及び前記第2空間を流体連結するピストンと、前記ピストンに作動可能に結合し、前記第1空間と前記第2空間との間の圧力平衡を保持させながら、前記第1空間が第1容積を有する第1位置と、前記第1空間が前記第1容積とは異なる第2容積を有する第2位置との間で前記ピストンの移動を調整し、前記第1位置と前記第2位置との間の任意の位置に前記ピストンを固定させるように構成されたマニピュレーターとを含むことができる。
【0007】
前記マニピュレーターは、長手方向の軸を有するシャフトと、前記シャフトに形成された雄係合要素と、前記雄係合要素と係合して前記ピストンに固定されるように設けられた雌係合要素とを含むことができる。
【0008】
前記マニピュレーターは、第1係合部材を含むハンドルと、前記シャフトに連結されて前記第1係合部材と係合する第2係合部材とを含むことができる。
【0009】
前記装置は、前記第1空間及び前記第2空間を流体連結し、前記第1空間から前記第2空間に流動するターゲット物質を含む層を示すように構成されたインジケータをさらに含むことができる。
【0010】
前記インジケータは、流入ポートと、流出ポートと、前記流入ポートと前記流出ポートとの間に規定されたメインチャネルを含むチューブと、前記チューブの内部、そして前記メインチャネル上に配置され、前記チューブと共に前記メインチャネルの断面のサイズよりも小さいサイズの断面を有するサブチャネルを規定するインサートとを含むことができる。
【0011】
前記インサートは、前記メインチャネルを流動する流体を前記サブチャネルにガイドするガイド部分を含むことができる。
【0012】
前記装置は、前記第1空間及び前記第2空間を流体連結し、前記第1空間から前記第2空間に流動する流体をフィルタリングするフィルタ構造体をさらに含むことができる。
【0013】
前記フィルタ構造体は、前記第1空間と流体連結された流入ポートと、前記第2空間と流体連結された第1流出ポートと、前記第2空間と流体連結されて前記第1流出ポートの向い側にある第2流出ポートを有するフィルタハウジングと、前記第1流出ポートに設けられた第1フィルタと、前記第2流出ポートに設けられた第2フィルタとを含むことができる。
【0014】
前記フィルタ構造体は、前記第1空間と流体連結された第1端部と、前記フィルタハウジングの流入ポートと流体連結された第2端部と、前記第1端部と前記第2端部との間で延長する長手方向部分を含むチューブを含み、前記チューブの第2端部は、前記フィルタハウジングの内部に向かって前記フィルタハウジングの内壁から突出することができる。
【0015】
前記ピストンは、前記ハウジングに沿って移動する外部本体と、前記外部本体の内部に位置する内部本体と、前記外部本体の端部及び前記内部本体の端部を連結し、前記ハウジングの内部を前記第1空間及び前記第2空間に分離するパーティションと、前記外部本体と前記内部本体との間、そして前記パーティションから延長し、前記第1空間及び前記第2空間を流体連結する流体通路とを含むことができる。
【0016】
前記パーティションは、ターゲット物質を収容するための溝を含むことができる。
【0017】
一実施形態に係るピストンは、体液成分分離装置用ピストンであって、外部本体と、前記外部本体の内部に位置し、前記外部本体と共に内部空間を規定する内部本体と、前記外部本体及び前記内部本体を連結し、前記外部本体の外部及び前記内部空間を分離するパーティションと、前記内部空間、そして前記パーティションから延長し、前記内部空間及び前記外部ボディの外部を流体連結する流体通路とを含むことができる。
【発明の効果】
【0018】
一実施形態に係る体液成分分離装置は、ピストンが下降するときピストンの下部空間の圧力が増大してピストンの上部空間の圧力が減少するよう、ピストンを下方に移動させる外部の力に関わらず、ピストンの上部空間とピストンの下部空間との間の圧力の平衡を保持しながら、ピストンを下方に移動させることができる。
【0019】
実施形態に係る体液成分分離装置は、分離分離対象体液が任意の容量を有するよう、その容量に合わせてピストンの初期位置を調整して固定されるように設定することができる。
【0020】
一実施形態に係る体液成分分離装置の効果は、以上で言及されたものなどに限定されず、言及されない異なる効果は、下記記載によって当業者にとって明確に理解できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係る体液成分分離装置の斜視図である。
図2】第1実施形態に係る体液成分分離装置の分解斜視図である。
図3図1の体液成分分離装置をA-Aから見た断面図である。
図4図3の体液成分分離装置をB-Bから見た断面図である。
図5図3の体液成分分離装置のインジケータの拡大図である。
図6】第1実施形態に係る体液成分分離装置の動作図である。
図7】第1実施形態に係る体液成分分離装置の動作図である。
図8】第1実施形態に係る体液成分分離装置の動作図である。
図9】第1実施形態に係る体液成分分離装置の動作図である。
図10】第1実施形態に係る体液成分分離装置の動作図である。
図11】第2実施形態に係る体液成分分離装置の斜視図である。
図12】第2実施形態に係る体液成分分離装置の分解斜視図である。
図13図11に示す体液成分分離装置をC-Cから見た断面図である。
図14図11に示す体液成分分離装置をD-Dから見た断面図である。
図15図12に示す体液成分分離装置のフィルタ構造体の分解斜視図である。
図16図14に示す体液成分分離装置のフィルタ構造体の断面図である。
図17】第2実施形態に係る体液成分分離装置の動作図である。
図18】第2実施形態に係る体液成分分離装置の動作図である。
図19】第2実施形態に係る体液成分分離装置の動作図である。
図20】第2実施形態に係る体液成分分離装置の動作図である。
図21】第3実施形態に係る体液成分分離装置の斜視図である。
図22】第3実施形態に係る体液成分分離装置の分解斜視図である。
図23図21に示す体液成分分離装置をE-Eから見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付の図面を参照して実施形態について詳説する。しかし、本明細書で開示する特定の構造的又は機能的な説明は単に実施形態を説明するための目的として例示したものであり、実施形態は様々な異なる形態で実施され、本発明は本明細書で説明した実施形態に限定されるものではない。実施形態に対する全ての変更、均等物ないし代替物が権利範囲に含まれているものと理解されなければならない。
【0023】
実施形態で用いられる用語は、単に、説明を目的として使用されたものであり、限定しようとする意図として解釈されることはない。単数の表現は、文脈上、明白に異なる意味をもたない限り複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを示すものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除しないものとして理解しなければならない。
【0024】
異なるように定義さがれない限り、技術的であるか又は科学的な用語を含むここで用いる全ての用語は、本実施形態が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に用いられる予め定義された用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであって、本明細書で明白に定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されることはない。
【0025】
また、添付図面を参照して説明することにおいて、図面符号に関係なく、同じ構成要素は同じ参照符号を付与し、これに対する重複する説明は省略することにする。実施形態の説明において、関連する公知技術に対する具体的な説明が実施形態の要旨を不要に曖昧にするものと判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0026】
また、実施形態の構成要素の説明において、第1,第2,A,B,(a),(b)などの用語を使用することがある。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものにすぎず、その用語によって該当の構成要素の本質や順番又は順序などが限定されない。
【0027】
いずれか一つの実施形態に含まれている構成要素と、共通の機能を含む構成要素は、他の実施形態で同じ名称を用いて説明することにする。反対となる記載がない以上、いずれか一つの実施形態に記載した説明は、他の実施形態にも適用され、重複する範囲において具体的な説明は省略することにする。
【0028】
図1図5を参照すると、一実施形態に係る体液成分分離装置10は、分離対象体液からターゲット物質である多血小板血漿(platelet rich plasma;PRP)及び濃縮骨髄細胞(bone marrow cell concentrate;BMC)を分離することができる。例えば、体液成分分離装置10は、遠心分離を用いて流体を複数の層に分離してもよく、複数の層のうち、バフィーコート層からPRP及びBMCを抽出してもよい。体液成分分離装置10は、ハウジング110、ピストン120、マニピュレーター130及びインジケータ140を含む。
【0029】
ハウジング110は、ピストン120、マニピュレーター130の少なくとも一部及びインジケータ140を収容することができる。ハウジング110は、コンテナ111及びリード112を含む。コンテナ111及びリード112は、外部に対して密閉された空間を規定できる。
【0030】
コンテナ111は、細長い形態の円筒状を有してもよい。また、コンテナ111は、開放された上端部と、閉鎖された側部及び下端部を有する。コンテナ111は、開放された上端部でコンテナ111の半径方向にリセスされた段差111Eを有する。
【0031】
コンテナ111は、コンテナ111の内部がコンテナ111の外部に見えるよう、実質的に透明な材質又は実質的に半透明な材質から形成されてもよい。ユーザは、コンテナ111の内部に存在する分離対象体液の量、体液の分離後に分類された複数の層の物質の移動などを確認できる。
【0032】
リード112は、コンテナ111の開放された上端部を密封することができる。リード112は、密封プレート113、第1プラグ114A、第2プラグ114B、チェック弁115、密封キャップ116A、密封リング116B、及びピストンガイド117を含む。
【0033】
密封プレート113は、コンテナ111の開放された上端部をカバーする。密封プレート113は、実質的に円盤状を有してもよい。密封プレート113は、コンテナ111の開放された上端部でコンテナ111の段差111Eに結合されてもよい。
【0034】
密封プレート113は、流体疎通可能な第1プラグ114A及び第2プラグ114Bを含む。一例として、分離対象体液は、第1プラグ114A及び第1開口部O1を介してコンテナ111の内部に収容されてもよい。異なる例として、コンテナ111に収容されている一部の物質は、第1プラグ114A及び第1開口部O1を介してコンテナ111の外部に除去されてもよい。また、第2空間S2に収容されたターゲット物質は、第2プラグ114Bを介して抽出されてもよい。第1開口部O1は密封プレート113の中心部に形成され、第2開口部O2は密封プレート113の周辺部に形成されてもよい。
【0035】
密封プレート113は、第1開口部O1の周辺に形成され、コンテナ111から離れる方向に突出する第1環状突出部P1、及び第1開口部O1の周辺に形成されてコンテナ111の内側に向かって突出する第1ニードル結合部C1を含む。また、密封プレート113は、第2開口部O2の周辺に形成され、コンテナ111から離れる方向に突出する第2環状突出部P2、及び第2開口部O2の周辺に形成されてコンテナ111の内側に向かって突出する第2ニードル結合部C2を含む。第1ニードルN1は、分離対象流体をコンテナ111の内部に注入するように構成され、第1ニードル結合部C1に結合されてもよい。また、第1ニードルN1は、コンテナ111の内部に含まれている一部の物質をコンテナ111の外部に除去するために使用されてもよい。第2ニードルN2は、第2空間S2に入ったターゲット物質を抽出するよう構成され、第2ニードル結合部C2に結合されてもよい。
【0036】
第1プラグ114Aは、第1開口部O1を開放及び閉鎖することができる。第1プラグ114Aは、一終端に注射器のような外部ユニットと結合できる第1ネジ山114A-1を含み、内部には、第1密封部材114A-2を収容することができる。第1密封部材114A-2は、第1開口部O1を実質的に開放及び閉鎖することができる。第1プラグ114Aは、第1環状突出部P1に除去可能に結合される。
【0037】
第2プラグ114Bは、第2開口部O2を開放及び閉鎖することができる。第2プラグ114Bは、一終端に注射器のような外部ユニットと結合し、第2ネジ山114B-1を含み、内部には、第2密封部材114B-2を収容することができる。第2プラグ114Bは、第2環状突出部P2に除去可能に結合される。
【0038】
第1密封部材114A-2及び/又は第2密封部材114B-2は、シリコンのような軟性の材質から形成されてもよい。従って、第1プラグ114A及び/又は第2プラグ114Bが外部ユニットと結合するとき、第1密封部材114A-2及び/又は第2密封部材114B-2は変形され、第1開口部O1及び/又は第2開口部O2が開放される。一方、第1プラグ114A及び/又は第2プラグ114Bが外部ユニットから分離されれば、変形されていた第1密封部材114A-2及び/又は第2密封部材114B-2は本来の形状に回復し、第1開口部O1及び/又は第2開口部O2が再び密閉される。
【0039】
チェック弁115は、コンテナ111の外部からコンテナ111の内部への流体(e.g.空気)の流入を遮断するが、コンテナ111に入っている流体がコンテナ111の外部への流出を許容する。チェック弁115は、密封プレート113の周辺部に配置されてもよい。
【0040】
密封キャップ116A及び密封リング116Bは、密封プレート113と後述するマニピュレーター130の調整部136との間の結合部分を密封することができる。密封プレート113は、調整部136のシャフト1361の一部を取り囲み、コンテナ111から離れる方向に突出する第3環状突出部P3を含み、第3環状突出部P3とシャフト1361との間に密封キャップ116A及び密封リング116Bが介在される。
【0041】
ピストンガイド117は、ピストン120の移動をガイドする。ピストンガイド117は、第3環状突出部P3のある密封プレート113の位置でコンテナ111の内側にを向って細長く延びる。
【0042】
ピストン120は、コンテナ111の内部に収容されてコンテナ111の内面に沿ってコンテナ111の長手方向に移動することができる。ピストン120は、外部本体121、内部本体122、パーティション123、流体通路124及びピストン密封リング125を含む。
【0043】
内部本体122は、外部本体121の内側に配置されてもよい。外部本体121及び内部本体122はそれぞれ円筒状を有してもよい。従って、外部本体121と内部本体122との間には実質的に環状の空間が規定され得る。第2空間S2は、前記のような外部本体121及び内部本体122により規定された環状の空間を含む。外部本体121と内部本体122との間の環状の空間にはピストンガイド117が配置される。内部本体122の外面の少なくとも一部は、ピストンガイド117と実質的に接触してもよい。ピストン120がコンテナ111の長手方向に沿って移動するとき、ピストン120の内部本体122は、ピストンガイド117に沿って移動できる。
【0044】
内部本体122は、第1直径を有する第1長手方向の部分1221及び第1長手方向の部分1221に連結され、第2直径を有する第2長手方向の部分1222を含む。第1長手方向の部分1221の第1直径は、第2長手方向の部分1222の第2直径よりも小さくてもよい。従って、第1長手方向の部分1221と第2長手方向の部分1222との間に段差が形成されてもよい。
【0045】
パーティション123は、外部本体121及び内部本体122を連結してコンテナ111及びリード112が規定するハウジング110の密閉空間を第1空間S1及び第2空間S2に分離することができる。例えば、第1空間S1は、パーティション123を基準にして区分されるコンテナ111の下部空間を意味し、第2空間S2は、パーティション123を基準にして区分されるピストン120の内部及びコンテナ111の上部空間を意味する。パーティション123は、外部本体121の下端部及び内部本体122の下端部を連結する。また、パーティション123は、外側から内側に向かって直径が小さくなる円錐形状を有してもよい。
【0046】
パーティション123は、第2空間S2で少なくとも1つの物質を収容するための溝1231を含む。ここで、溝1231は、実質的に傾斜するよう形成されているパーティション123の最も低い位置に形成され、パーティション123の厚さ方向に沿って幅が狭くなる形状を有する。
【0047】
パーティション123は、ピストン120の半径方向に形成された密封リセス1232を含む。ピストン密封リング125は、密封リセス1232に結合してピストン120とコンテナ111との間の密封を保持する。
【0048】
流体通路124は、第1空間S1及び第2空間S2を流体連結することができる。パーティション123がハウジング110の密閉空間を第1空間S1及び第2空間S2に分離しているため、第1空間S1と第2空間S2との間の流体連結は、流体通路124を介して行われる。流体通路124は、外部本体121と内部本体122との間、そしてパーティション123から延びてもよい。流体通路124の延長の長さは、外部本体121の長さ及び内部本体122の長さよりも小さくてもよい。一方、流体通路124は、第1ニードルN1を収容することができる。第1ニードルN1は、流体通路124を介して第1開口部O1及び第1空間S1を流体連結できる。
【0049】
一方、パーティション123は、外部本体121及び内部本体122を流体通路124に連結できる。例えば、ピストン120を第1半径方向から見るとき、パーティション123は、外部本体121の下端部から流体通路124の下端部に向かって収斂する形状を有している一方、ピストン120を第1半径方向に交差する第2半径方向から見るとき、パーティション123は、流体通路124の下端部から外部本体121の下端部に向かって発散する形状を有してもよい。言い換えれば、パーティション123は、外部本体121及び内部本体122を流体通路124に連結し、実質的に傾斜した上部部分及び上部部分から離れる方向に流体通路124の端部から延びて実質的に水平である下部を含んでもよく、上部部分及び下部部分の間に間隙Gが形成されてもよい。
【0050】
マニピュレーター130は、ハウジング110に対してピストン120を相対的に移動させることができる。マニピュレーター130は、ピストン120に作動可能に結合されてもよい。ここで、「作動可能に結合」されることは、マニピュレーター130がピストン120を直接的に駆動させることを意味する。好ましくは、マニピュレーター130は、ピストン120を実質的に正常状態(steady state)を保持してピストン120を移動させ得る。これは、ピストン120によって分離される第1空間S1及び第2空間S2に対して外部から密封を保持し、第1空間S1と第2空間S2との間のピストン120の圧力の平衡を保持させることを意味する。また、マニピュレーター130は、雄係合要素1362及び雌係合要素1363によってマニピュレーター130が作動しない場合、ハウジング110に対するピストン120の位置を固定させてもよい。これは、体液成分分離装置10に遠心力、振動などの外力が加えられても、ピストン120が本来の位置に固定され、ハウジング110に入っている分離対象体液の容量に合わせるよう第1空間S1及び第2空間S2の容積比率を正確に決定することができる。
【0051】
マニピュレーター130は、ハンドル131、一対の係合部材134A,134B、及び調整部136を含む。
【0052】
ハンドル131は、ユーザによって操作されるよう構成される。ここで、ハンドル131は、人により操作される他にも、機械的及び/又は電気的なメカニズムによって操作されてもよい。ハンドル131は、内側空間132を規定するベース面及び側面135Aを有し、実質的に円筒状を有してもよい。ハンドル131の側面135Aには、ハンドル131の円周方向に沿って形成された複数のリセス135Bが形成される。また、ハンドル131は、内側空間132を規定するベース面から突出する中空の突出部133を含んでもよく、中空の突出部133は、第1プラグ114Aを収容することができる。
【0053】
ハンドル131は、ハウジング110に回転可能に結合され得る。また、ハンドル131は、ハウジング110に除去可能に結合されてもよい。
【0054】
一対の係合部材134A,134Bは、中空の突出部133の周辺に形成された第1係合部材134A及び調整部136に作動可能に連結された第2係合部材134Bを含む。第1係合部材134A及び第2係合部材134Bは、互いに作動可能に係合してもよい。使用の際に、ユーザがハンドル131を回転させれば、第1係合部材134Aも共に回転し、第1係合部材134Aに係合されている第2係合部材134Bが回転することで調整部136が作動する。一例として、一対の係合部材134A,134Bは平ギヤを含んでもよい。
【0055】
調整部136は、ピストン120の移動を微細調整できる。また、調整部136は、ピストン120を本来の位置に固定させることができる。調整部136は、シャフト1361、雄係合要素1362、及び雌係合要素1363を含む。
【0056】
シャフト1361は、長手方向の軸を有し長手方向の軸に対して回転できる。シャフト1361は、密封プレート113に設けられたヘッド1365及び第2係合部材134Bと結合する結合部1366を含む。ヘッド1365は、密封プレート113の上面に置かれ、ヘッド1365の上、そしてシャフト1361及び第3環状突出部P3の間に密封キャップ116A及び密封リング116Bが介在してもよい。結合部1366は、ヘッド1365の上、そして密封キャップ116A上に位置する部分として、シャフト1361の上端部を規定することができる。
【0057】
雄係合要素1362は、シャフト1361の長手方向に沿って形成されて所定ピッチを有してもよい。雄係合要素1362は、密封プレート113の下方にあるシャフト1361部分に螺旋状に形成されてもよい。シャフト1361及び雄係合要素1362は、剛性のスクリュー構造を形成するものと理解される。雌係合要素1363は雄係合要素1362と係合し、雄係合要素1362のピッチに対応するピッチを有してもよい。雌係合要素1363は、ナットの構造を形成するものと理解される。雄係合要素1362のピッチ及び雌係合要素1363のピッチは、ユーザのハンドル131の回転操作角度及びピストン120の移動距離に基づいて決定される。また、ピッチが大き過ぎると、外力(e.g.遠心力)によりピストンに加えられる力によってシャフト1361が回転しながらピストン120が移動することもあるため、ハンドル131の操作を最大に減らして外力によってシャフト1361が回転しないよう、ピッチを適切な範囲に決定することがでる。
【0058】
一方、雌係合要素1363は、ピストン120の第2長手方向の部分1222のキャビティに収容及び装着されてもよい。これにより、雌係合要素1363は、ピストン120と共に移動できる。例えば、雌係合要素1363は、ピストン120の内部本体122に堅牢に固定され得る突起1364を含んでもよい。また、雌係合要素1363は、第1長手方向の部分1221及び第2長手方向の部分1222の間の段差により制限されてもよい。
【0059】
前記のような雄係合要素1362及び雌係合要素1363の相互係合は、ピストン120の正常状態移動を保障しながらユーザが所望する位置にピストン120の固定を可能にする。
【0060】
インジケータ140は、第1空間S1と第2空間S2との間に流動する所定の流体を示すように構成される。インジケータ140が「流体を示す」とは、分離対象流体が所定の工程によって分離された複数の層のうち、多血小板血漿が含まれているバフィーコート層の量及び流れをユーザに可視化させるものと理解される。
【0061】
通常、分離対象流体が一連の処理を介して、例えば、遠心分離工程を介して複数の層に分離されるが、複数の層のうち、多血小板血漿が含まれているバフィーコート(buffy coat)層は、多血小板血漿の量が他の成分に比べて相対的に極めて小さく、その厚さが極めて薄い。従って、ユーザは、バフィーコート層に含まれている多血小板血漿を抽出するために極めて細かい注意をしなければならず、抽出過程でユーザの操作によりバフィーコート層が他の層に混合される可能性がある。従って、ユーザの操作によるバフィーコート層の混合を防止する次元で、バフィーコート層をユーザによく示す必要がある。
【0062】
インジケータ140は、チューブ141及びインサート143を含む。
【0063】
チューブ141は、流体通路124と流体疎通可能に連結された流入ポート及び第2空間S2と流体疎通可能な流出ポートを有する。チューブ141の内部には、流体が流動可能なメインチャンネルCH1が規定され得る。また、チューブ141は、流出ポートに形成されたシート142を含む。
【0064】
インサート143は、チューブ141の内部に配置されてもよい。ここで、「インサート」という用語は、チューブ141の内部に所定の方向に挿入されることを意味する他にも、単に、チューブ141の内部に配置されていることを意味するものと理解される。インサート143は、管の形状を有してもよく、インサート143の内部には第1ニードルN1が通過されてもよい。また、インサート143は、シート142に結合される放射状の延長部144を含む。
【0065】
インサート143は、チューブ141と共にメインチャネルCH1の流動面積よりも小さい流動面積を有するサブチャネルCH2を形成するよう、メインチャネルCH1上に配置されてもよい。従って、所定の流量を有するメインチャネルCH1を流動する流体がサブチャネルCH2に進入すれば、流体は、メインチャネルCH1に比べてサブチャネルCH2において著しく増加した流動の長さを有し得る。例えば、分離対象流体において、極めて少ない量を有する多血小板血漿が含まれているバフィーコート層の流動の長さは、メインチャネルCH1よりもサブチャネルCH2でさらに長いため、ユーザがバフィーコート層の存在及び範囲を正確に把握することができる。
【0066】
インサート143は、第1ニードルN1を収容するための中空部分を含む。第1ニードルN1は、インサート143の中空部分を介してインサート143を貫通でき、インサート143を通過した後、流体通路124及び第1空間S1に順次進入できる。
【0067】
インサート143は、メインチャネルCH1からサブチャネルCH2への流体の流れをスムーズにガイドするガイド部分145を含む。ガイド部分145は、サブチャネルCH2の上流部分でインサート143の端部に形成されてもよい。ガイド部分145は、インサート143の端部に向かって幅が可変するテーパ形状を有してもよい。例えば、ガイド部分145は、インサート143の長手方向に沿ってインサート143の端部に向かって幅が狭くなってもよい。
【0068】
以下、図6図10を参照して一実施形態に係る体液成分分離装置10の作動について説明する。図6図10に表示されていない構成要素は、図1図5において自明に理解される。
【0069】
図6を参照すると、ハンドル131が除去された状態で、ユーザは、第1プラグ114Aに外部ユニット(e.g.注射器)を結合してピストン120の下方のコンテナ111の第1空間S1に、第1ニードルN1を介して分離対象体液である血液BF又は骨髄を注入する。その後、ユーザは、血液BF又は骨髄の容量に合わせてピストン120を下降させ、ピストン密封リング125が血液BF又は骨髄に近接するようピストン120を位置させて固定させることができる。
【0070】
その後、ハンドル131が結合された状態で、体液成分分離装置10に対して遠心分離が実行されれば、血液BF又は骨髄は、比重により第1物質M1が含まれた層、第2物質M2が含まれた層、及び第3物質M3が含まれた層に分離してコンテナ111の下方から形成されることができる。例えば、第1物質M1は赤血球を含み、第2物質M2は多血小板血漿(PRP)及び濃縮骨髄細胞を含み、第3物質M3は乏血小板血漿(platelet poor plasma)又は脂肪及びオイルを含む。特に、第2物質M2が含まれた層は、第1物質M1が含まれた層及び第3物質M3が含まれた層に比べて極めて小さい厚さを有する。
【0071】
図7を参照すると、ユーザがハンドル131を把持してハンドル131を回転させれば、第1係合部材134Aがハンドル131と共に回転しながら、第1係合部材134Aと係合された第2係合部材134Bが回転する。そして、第2係合部材134Bに連結されているシャフト1361が回転し、シャフト1361に形成されている雄係合要素1362と係合して雄係合要素1362の決定されたピッチ距離だけ移動する。そのため、雌係合要素1363が装着されたピストン120は、雌係合要素1363と共に前記のような決定されたピッチ距離だけ下降する。ピストン120が下降すれば、第1空間S1の体積が減少し、それに相応したサイズで第2空間S2の体積が増加する。その結果、第1空間S1及び第2空間S2は、圧力平衡をなすことができる。ここで、第3物質M3は、パーティション123に沿って移動して流体通路124及びインジケータ140のメインチャネルCH1とサブチャネルCH2を介して流動して第2空間S2に満たされ、第2物質M2は、パーティション123に沿って移動して流体通路124に流動し、流体通路124の所定の高さまで流体通路124を満たすことができる。
【0072】
その後、ユーザは、ハンドル131を除去し、抽出手段を第1プラグ114Aに結合して第1ニードルN1を介して第2物質M2をコンテナ111の外側に抽出することができる。例えば、抽出手段は、第1プラグ114Aの第1ネジ山114A-1に結合されているシリンダー及びシリンダーの前方から後方に圧力を加える圧力ユニットなど、その他の物質を抽出するための様々なメカニズムを含んでもよい。このような過程を経過すれば、第1空間S1には実質的に第1物質M1が主に残り、上記のような抽出手段により抽出されることなく残っている少量の第2物質M2が存在し得る。
【0073】
ここで、第2物質M2の損失を最小化して濃縮するためには、前記の方式で第2物質M2を抽出することなく、次のような方式で第2物質M2を抽出することが好ましい。
【0074】
図8を参照すると、ユーザがハンドル131を把持してハンドル131を回転すれば、第1係合部材134A、第2係合部材134B、シャフト1361、雄係合要素1362、雌係合要素1363及びピストン120に動力が伝えられながら、ピストン120が持続的に下降し得る。そのため、第1空間S1にあった第2物質M2及び第1物質M1の流動が、流体通路124を介して第2空間S2に追加的に強制される。特に、極少量の第2物質M2がチューブ141のメインチャネルCH1を流動してからチューブ141及びインサート143により規定されたサブチャネルCH2に進入すれば、第2物質M2の含まれている層がチューブ141及びインサート143の間のサブチャネルCH2に沿って広がる。これは、サブチャネルCH2の流動面積がメインチャネルCH1の流動面積よりも小さことから、サブチャネルCH2を流動する第2物質M2の流動の長さがメインチャネルCH1を流動する第2物質M2の流動の長さよりも長いものとして理解される。このような方式において、ユーザは、サブチャネルCH2に存在する第2物質M2の存在有無、量などを著しく容易に確認し、第2物質M2と第1物質M1との間の境界をより明確に区分することができる。
【0075】
図9を参照すると、ユーザは、ピストン120を追加的に下降させるためにハンドル131を追加的に回転させることができる。ピストン120が十分に下降すれば、第3物質M3に追加してチューブ141の内部とチューブ141とインサート143との間に存在する第2物質M2がチューブ141の流出ポートを介して第2空間S2に進入し、第2空間S2に進入した第2物質M2及び第3物質M3がパーティション123に沿って溝1231及び第2空間S2に収容される。ここで、第2物質M2及び第3物質M3は、溝1231及び第2空間S2で混合された状態を保持できる。ユーザは、インジケータ140のサブチャネルCH2を介して第2物質M2及び第1物質M1の流動を確認し、第1物質M1がチューブ141の流出ポートを介して第2空間S2に進入しない位置にピストン120を停止させ、第1物質M1がチューブ141の流出ポートを介して第2空間S2に流動しないようにした後、ハンドル131を反対に回転させて第2ニードルN2が(その後、遠心分離によって溝1231に収容される)第2物質M2を抽出するために充分なピストン120を上昇させる。その後、ユーザは、体液成分分離装置10に対して追加的な遠心分離を行ってもよい。これにより、比重の差によって第2物質M2が含まれている層が溝1231に主に形成され、その上部に第3物質M3の含まれた層が形成されることができる。
【0076】
図10を参照すると、追加的に遠心分離した後ユーザは、ハンドル131(図3参照)を除去し、上記の図7を参照して説明したような抽出手段を用いて第2ニードルN2を介して第2物質M2をコンテナ111の外側に抽出することができる。ここで、ユーザは、必要に応じて第2物質M2を抽出して第3物質M3の一部を共に抽出したり、ピストンを適所まで下降させて第3物質M3を先に抽出した後、ピストン120を上昇させてから第2物質M2を抽出することができる。
【0077】
図11図16を参照すると、一実施形態に係る体液成分分離装置20は、上記の図1図10を参照して説明した体液成分分離装置10と同様に、分離対象流体からターゲット物質である多血小板血漿(PRP)及び濃縮骨髄細胞(BMC)を分離することができる。この実施形態における体液成分分離装置20は、図1図10を参照して説明した体液成分分離装置10のインジケータ140の代わりに、フィルタ構造体240を含んでもよい。従って、別途に説明しない限り、同じ図面番号を有する構成要素及びその下位構成要素については同じ構造、機能、効果などを有することを前提にし、一実施形態に係る体液成分分離装置20について説明する。
【0078】
フィルタ構造体240は、ピストン120によって分離されたコンテナ111の第1空間S1及び第2空間S2を流体に連結しながら、第1空間S1から第2空間S2に流動する流体のうち一部の物質をフィルタリングすることができる。
【0079】
フィルタ構造体240は、フィルタハウジング241、第1フィルタF1、第2フィルタF2、チューブ242、フィルタキャップ243、密封キャップ244A及び密封リング244Bを含む。
【0080】
フィルタハウジング241は、第1空間S1から第2空間S2に流動する流体が滞留する空間を形成することができる。例えば、フィルタハウジング241は、第1空間S1と流体連結する流入ポートIPと、第2空間S2と流体連結する一対の流出ポートOP1、OP2と、流入ポートIP及び一対の流出ポートOP1、OP2の間の滞留空間を有する。一対の流出ポートOP1、OP2は、流動方向を基準にして互いに向い側に配置される。これは、フィルタハウジング241を通過する流体が、流入ポートIPから滞留空間を経て第1流出ポートOP1に続く第1経路、及び流入ポートIPから滞留空間を経て第2流出ポートOP2に続く第2経路に分類されるものとして理解される。
【0081】
第1フィルタF1及び第2フィルタF2は、フィルタハウジング241の滞留空間から第2空間S2に流動する流体をフィルタリングすることができる。また、第1フィルタF1は第1流出ポートOP1に設けられ、第2フィルタF2は第2流出ポートOP2に設けられる。第1フィルタF1及び第2フィルタF2は、第2空間S2に多血小板血漿及び濃縮骨髄細胞を通過させるが、赤血球に対しては遮断のために適切な任意の孔径(pore size)を有する。例えば、第1フィルタF1及び第2フィルタF2はメッシュ型のフィルタであってもよい。
【0082】
フィルタハウジング241は、フィルタハウジング241の中央部が第1ニードルN1を収容し、フィルタハウジング241の第1側2411が第2ニードルN2を取り囲み、フィルタハウジング241の向い側の第2側2412がピストンガイド117を取り囲むように形成されてもよい。例えば、フィルタハウジング241は全体的に円筒状を有するが、第1側2411及び第2側242は湾曲なリセス形状を有してもよく、第1側2411の曲率半径が第2側2412の曲率半径よりも小さくてもよい。
【0083】
チューブ242は、流体通路124及びフィルタハウジング241を流体連結することができる。例えば、チューブ242は、流体通路124の下流に連結された第1端部2421、フィルタハウジング241の滞留空間につながってフィルタハウジング241の流入ポートIPに連結された第2端部2422、及び第1端部2421と第2端部2422との間に延長する長手方向部分2423を含んでもよい。第1ニードルN1は、フィルタハウジング241、チューブ242及び流体通路124を通過することができる。
【0084】
チューブ242の第2端部2422は、フィルタハウジング241の滞留空間の内部に突出してもよい。例えば、チューブ242の第2端部2422は、フィルタハウジング241を構成する内壁から突出してもよい。これは、チューブ242を流動するターゲット物質(e.g.多血小板血漿)が滞留空間に進入する形状をユーザに可視的に見せるという点で有利である。また、チューブ242は、チューブ242の第2端部2422及びフィルタハウジング241の内壁の間に形成された段差2424を含む。段差2424の一部の厚さ部分は、フィルタハウジング241の内壁から第2端部2422に向かう方向に可変し得る。
【0085】
フィルタキャップ243は、第1フィルタF1を収容することができる。フィルタキャップ243は、フィルタハウジング241の断面形状と同じ形状を有する断面を有してもよい。フィルタキャップ243は、フィルタハウジング241の第1流出ポートOP1に除去可能に設けられる。また、フィルタキャップ243の中心部は、第1ニードルN1を収容することができる。
【0086】
密封キャップ244A及び密封リング244Bは、第1ニードルN1とフィルタキャップ243との間の結合部分を密封することができる。
【0087】
以下、図17図20を参照して一実施形態に係る体液成分分離装置20の作動について説明する。図17図20に表示されていない構成要素は、図1図5及び図11図16に基づいて自明に理解され、図17図20を参照して説明しない動作方式は、図6図10を参照して説明した体液成分分離装置10の動作方式の一部と重複するため、その説明は省略することにする。
【0088】
図17を参照すると、ユーザがマニピュレーター130を作動させてピストン120を下降すれば、第3物質M3、第2物質M2、及び第1物質M1が流体通路124に沿って順次流動することができる。特に、ユーザは、第2物質M2がチューブ242からフィルタハウジング241の滞留空間に移動しようとする瞬間を取ってハンドル131を除去した後、先に説明したような抽出手段を用いて第1ニードルN1を介して第2物質M2を抽出することができる。一方、第1ニードルN1を介して抽出されていない余分の第2物質M2は、フィルタハウジング241の滞留空間に進入することができる。
【0089】
図18を参照すると、第2物質M2及び第3物質M3の一部は、フィルタハウジング241の滞留空間に混合した状態で存在してもよく、ピストンが持続的に下降すれば、第2空間S2に真空が発生してフィルタハウジング241の滞留空間から第2空間S2への流動が強制される。ここで、第1フィルタF1及び第2フィルタF2は、第2物質M2及び第3物質M3の流動を許容するが、第1物質M1の流動を遮断することができる。従って、フィルタハウジング241の滞留空間に存在する第2物質M2及び第3物質M3のみが第2空間S2に抜け出ることができ、一部の残存する第2物質M2及び第3物質M3は、後で行う遠心分離過程により抜け出る。
【0090】
図19を参照すると、第2空間S2に抜け出た第2物質M2及び第3物質M3は、混合されている状態でパーティション123の溝1231及び第2空間S2に収容される。その後、ユーザは、体液成分分離装置20に対して遠心分離を行う。これにより、比重の差によって第2物質M2が含まれた層が溝1231に主に形成され、その上に第3物質M3が含まれた層が形成される。
【0091】
図20を参照すると、ユーザは、第2物質M2を抽出するためにピストン120を上昇させることができる。第2ニードルN2が溝1231に収容された第2物質M2を充分に抽出するためのピストン120が上昇されれば、ユーザは、ハンドル131(図3参照)を除去し、先に説明したような抽出手段を用いて第2ニードルN2を介して第2物質M2をコンテナ111の外側に抽出できる。ここで、ユーザは、必要に応じて、第2物質M2を抽出して第3物質M3の一部を共に抽出したり、ピストンを適所まで上昇させて第3物質M3を先に抽出してから追加的にピストン120を上昇させ、第2物質M2を抽出することができる。
【0092】
図21図23を参照すると、一実施形態に係る体液成分分離装置30は、上記の図1図20を参照して説明した体液成分分離装置10,20と同様に、分離対象体液からターゲット物質である多血小板血漿(PRP)及び濃縮骨髄細胞(BMC)を分離することができる。この実施形態における体液成分分離装置30は、図1図20を参照して説明した体液成分分離装置10,20のマニピュレーター130とは異なる構造のマニピュレーター330、及び図11図20を参照して説明した体液成分分離装置20のフィルタ構造体240とは異なる構造のフィルタ構造体340を含む。別途に説明しない限り、同じ名称及び/又は図面番号を有する構成要素及びその下位構成要素については、同じ構造、機能、効果などを有すると前提にし、一実施形態に係るPRP分離装置30について説明する。
【0093】
マニピュレーター330は、ピストン120の移動を微細調整してピストン120を本来の位置に固定させるよう構成された調整部336を含む。調整部336は、雄係合要素1362が形成されているシャフト3361を含む。
【0094】
シャフト3361は、管状を有してもよい。また、雄係合要素1362は、シャフト3361の長手方向に沿ってシャフト3361の一部にのみ形成されてもよい。例えば、雄係合要素1362は、シャフト3361の上部から中心部まで形成されてもよい。
【0095】
シャフト3361は、シャフト3361の長手方向から見たとき、上部に位置する第1端部における第1開口部H1、及び下部に位置する第2端部における第2開口部H2を含む。ユーザは、ハンドル131を除去してから第1開口部H1を介して分離対象体液を注入し、注入された分離対象体液は、シャフト3361の内部キャビティに沿って第2開口部H2を介して第1空間S1に収容される。
【0096】
シャフト3361は、コンテナ111の中心部に配置されてもよい。この場合、ピストンガイド117及び内部本体122もコンテナ111の中心部に位置してもよく、流体通路124はピストンガイド117の周辺部に配置してもよい。
【0097】
一方、ピストン120は、シャフト3361と内部本体122との間の追加的な密封リング126を含む。密封リング126は、内部本体122の内側リセスに収容され、シャフト3361と内部本体122との間の密封を保持できる。
【0098】
フィルタ構造体340は、フィルタハウジング341及び第1フィルタF1を含む。フィルタハウジング341は、実質的にボウル(bowl)の形状を有してもよく、流体通路124の端部がフィルタハウジング341を貫通できる。フィルタハウジング341の上部は第2空間S2に対して開放されている一方、フィルタハウジング341の下部は第1フィルタF1を媒介に第2空間S2に流体連結されている。従って、流体通路124を通過した体液のうち、ターゲット物質(e.g.多血小板血漿)は、フィルタハウジング341に収容されており、遠心分離時に第1フィルタF1を介して第2空間S2に流動し、特定物質(e.g.赤血球)は、フィルタハウジング341に収容されたままフィルタハウジング341に保持されることができる。
【0099】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、当技術分野で通常の知識を有する者であれば、前記に基づいて様々な技術的な修正及び変形を適用できる。例えば、説明された技術が説明された方法とは異なる順序で実行されたり、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法とは異なる形態に結合又は組み合せられたり、他の構成要素又は均等物によって代替、置換されても適切な結果を達成することができる。
【0100】
従って、他の実現、他の実施形態、及び権利要求と均等なものなども後述する権利要求の範囲に属する。
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【国際調査報告】