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特表2023-502237MNK阻害剤としてのピロロトリアジン系化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-23
(54)【発明の名称】MNK阻害剤としてのピロロトリアジン系化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 519/00 20060101AFI20230116BHJP
   A61K 31/53 20060101ALI20230116BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230116BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
C07D519/00 311
C07D519/00 CSP
A61K31/53
A61P35/00
A61P43/00 111
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528959
(86)(22)【出願日】2020-11-18
(85)【翻訳文提出日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 CN2020129603
(87)【国際公開番号】W WO2021098691
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】201911129114.5
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010329964.6
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522194474
【氏名又は名称】成都嘉葆薬銀医薬科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】呉凌雲
(72)【発明者】
【氏名】魏霞蔚
(72)【発明者】
【氏名】楊鵬
(72)【発明者】
【氏名】趙楽楽
(72)【発明者】
【氏名】張臣
(72)【発明者】
【氏名】姜寧
(72)【発明者】
【氏名】鄭維
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジェン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シューフイ
【テーマコード(参考)】
4C072
4C086
【Fターム(参考)】
4C072MM02
4C072UU01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB05
4C086GA13
4C086MA01
4C086MA04
4C086ZB26
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ相互作用キナーゼ(MNK)阻害剤としてのピロロトリアジン系化合物、及びマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ相互作用キナーゼ阻害剤薬物の調製におけるそれらの使用を開示し、具体的には、式(I)に示される化合物又はその薬学的に許容される塩を開示する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)に示される化合物又はその薬学的に許容される塩であって、
【化1】

そのうち、R1は、H、F、Cl、Br又はC1-3アルキル基であり、
R2及びR3は、それぞれ独立してH又はC1-3アルキル基であり、そのうち、前記C1-3アルキル基は、任意選択にF、Cl、Br又はIから独立的に選ばれる1、2又は3個の置換基により置換され、
又は、R2及びR3は、それらが結合した炭素原子と連結されてシクロペンチル基、シクロヘキシル基又はピペリジニル基を形成し、そのうち、前記シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びピペリジニル基は、任意選択に1、2又は3個のRaにより置換され、
各Raは、独立してH、F、Cl、Br又はC1-3アルキル基であり、
R4は、H、F、Cl、Br又はC1-3アルキル基であり、
R5及びR6は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I又はC1-3アルキル基であり、
R7はピロリジニル基であり、そのうち、前記ピロリジニル基は、任意選択に1、2又は3個のRbにより置換され、
各Rbは、独立してH、F、Cl、Br、I又はC1-3アルキル基であり、そのうち、前記C1-3アルキル基は、任意選択にF、Cl、Br又はIから独立的に選ばれる1、2又は3個の置換基により置換され、
nは1又は2である、
式(I)に示される化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
各Raは、独立してH、F、Cl、Br、-CH3又は-CH2CH3である、
請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
R2及びR3は、それぞれ独立してH、-CH3又は-CH2CH3である、
請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R2及びR3は、それらが結合した炭素原子と連結されて
【化2】

を形成する、
請求項1又は2に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R2及びR3は、それらが結合した炭素原子と連結されて
【化3】

を形成する、
請求項4に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
構成単位
【化4】

である、
請求項1又は3に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
構成単位
【化5】

である、
請求項6に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
化合物は、式(I-1)~(I-4)の何れか1つの構造式に示される構造:
【化6】

を有し、
そのうち、R1、R4、R5、R6、R7、Ra及びnは、請求項1に定義された通りである、
請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
各Rbは、独立してH、F、Cl、Br、I、
【化7】

である、
請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
R7
【化8】

であり、そのうち前記
【化9】

は、任意選択に1又は2個のRbにより置換される、
請求項1、8又は9の何れか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
R7
【化10】

である、
請求項10に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
R7
【化11】

である、
請求項11に記載の化合物又は薬学的に許容される塩。
【請求項13】
R4は、H又は-CH3である、
請求項1又は8に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
化合物は、式(I-5)~式(I-9)の何れか1つの構造式に示される構造:
【化12】

を有し、
そのうち、R1、R5、R6、Ra及びRbは、請求項8に定義された通りである、
請求項8に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
R1は、H、F、Cl又は
【化13】

である、
請求項1、8又は14に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
R5及びR6は、それぞれ独立してH又は
【化14】

である、
請求項1、8又は14に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
下記式の化合物又はその薬学的に許容される塩:
【化15】

【請求項18】
前記薬学的に許容される塩は、塩酸塩又はトリフルオロ酢酸塩である、
請求項1~17の何れか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項19】
MNK1/2阻害剤薬物の調製における請求項1~17の何れか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項20】
結腸直腸癌を治療する薬物の調製における請求項1~17の何れか1項に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は下記の優先権を請求する。
CN201911129114.5、出願日2019年11月18日。
CN202010329964.6、出願日2020年04月24日。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ相互作用キナーゼ(MNK)阻害剤としてのピロロトリアジン系化合物、その医薬組成物及びマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ相互作用キナーゼ阻害剤薬物の調製におけるそれらの使用に関する。具体的には、式(I)に示される化合物又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0003】
〔背景技術〕
マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ相互作用キナーゼ(MAP kinase interacting kinase、MNKと略称される)は、セリン/スレオニンタンパク質キナーゼに属する。ヒトのMNKは、それぞれMNK1及びMNK2遺伝子によって発現されるMNK1a、MNK1b及びMNK2a、MNK2bという4つのアイソフォームがある。4つのアイソフォームは、N末端において核局在化シグナル配列(nuclear localization signal, NLS)及びeIF4Gに結合する配列を含むため、細胞核に入って役割を果たし、下流のeIF4Eを認識して結合することができる。アイソフォームMNK1a及びMNK2aのC末端は、MAPKに結合する部位を有し、上流のERK及びp38リン酸化によって活性化されることができる。MNK1aは、そのC末端における核外搬出シグナル配列(nuclear export signal, NES)により、細胞質に広く存在することができるが、他の3つのアイソフォームは、細胞核に存在することが多い。
【0004】
真核生物翻訳開始因子4E(eukaryotic initiation factor 4E、eIF4Eと略称される)は、キャップ結合タンパク質であり、mRNAの5’末端のキャップ構造を特異的に認識することができ、タンパク質翻訳プロセスに重要な開始因子である。S209でリン酸化されたeIF4Eは、下流のタンパク質の翻訳プロセスを促進することができ、主にc-MYC、cyclin D1、VEGF、FGF及びmcl-1とBcl-2などの抗アポトーシスタンパク質を含む。eIF4Eの発現は、肺癌、結腸直腸癌、胃癌、膵管癌などの種々の悪性腫瘍においてアップレギュレートされる。MNKは、eIF4Eをリン酸化できる既知の唯一のキナーゼである。なお、MNKは、腫瘍及び免疫シグナル経路に関連する複数の交差部位に位置し、例えばRASとT細胞受容体(TCR)であり、抗腫瘍免疫応答のモジュレーターの転写を選択的に制御することができる。MNK活性及びeIF4Eの活性化は、腫瘍の発生及び進行に対して非常に重要であるが、正常な細胞に対して必須ではない。従って、選択的MNK阻害剤は、低毒性の抗腫瘍薬物になることが期待されている。
【0005】
EFT508(WO2015/200481、WO2016/172010、WO2017/075394、WO2017/075412、WO2017/087808、WO2017/117052、WO2018/152117、WO2018/218038)は、EFFECTOR THERAPEUTICS, INC.社により開発された選択的経口MNK阻害剤である。研究により、eFT508は、PD-1、LAG3、IL-10の発現を選択的に阻害し、細胞毒性T細胞の機能を向上させることができると同時に、正常なT細胞の増殖に影響を与えていないことが示されている。前臨床研究において、eFT508とPD-1モノクローナル抗体の併用によって薬効を強化すると共に応答率を高めることが示されている。現在、第I相臨床試験が完了し、安全性が良好であり、また、血液腫瘍及び去勢性前立腺癌における単剤の使用は、いずれも第II相臨床研究中であり、マイクロサテライト安定性結腸直腸癌(MSS CRC)の治療におけるAvelumabモノクローナル抗体との併用は、第II相臨床研究中であり、固形腫瘍の治療におけるPD-1/PD-L1療法との併用(単一のPD-1/PD-L1療法に対して疾患進行が発生したか或いは完全に寛解されてない又は部分に寛解された患者)は、第II相臨床研究中である。
【0006】
〔発明の概要〕
一態様において、本発明は、式(I)に示される化合物又はその薬学的に許容される塩を提供し、
【0007】
【化1】
【0008】
そのうち、R1は、H、F、Cl、Br又はC1-3アルキル基であり、
R2及びR3は、それぞれ独立してH又はC1-3アルキル基であり、そのうち、前記C1-3アルキル基は、任意選択にF、Cl、Br又はIから独立的に選ばれる1、2又は3個の置換基により置換され、
又は、R2及びR3は、それらが結合した炭素原子と連結されてシクロペンチル基、シクロヘキシル基又はピペリジニル基を形成し、そのうち、前記シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びピペリジニル基は、任意選択に1、2又は3個のRaにより置換され、
各Raは、独立してH、F、Cl、Br又はC1-3アルキル基であり、
R4は、H、F、Cl、Br又はC1-3アルキル基であり、
R5及びR6は、それぞれ独立してH、F、Cl、Br、I又はC1-3アルキル基であり、
R7はピロリジニル基であり、そのうち、前記ピロリジニル基は、任意選択に1、2又は3個のRbにより置換され、
各Rbは、独立してH、F、Cl、Br、I又はC1-3アルキル基であり、そのうち、前記C1-3アルキル基は、任意選択にF、Cl、Br又はIから独立的に選ばれる1、2又は3個の置換基により置換され、
nは1又は2である。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態において、上記各Raは、独立してH、F、Cl、Br、-CH3又は-CH2CH3であり、他の変数は、本発明に定義された通りである。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態において、上記R2及びR3は、それぞれ独立してH、-CH3又は-CH2CH3であり、他の変数は、本発明に定義された通りである。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態において、上記R2及びR3は、それらが結合した炭素原子と連結されて
【0012】
【化2】
【0013】
を形成し、Ra及び他の変数は、本発明に定義された通りである。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態において、上記R2及びR3は、それらが結合した炭素原子と連結されて
【0015】
【化3】
【0016】
を形成し、他の変数は、本発明に定義された通りである。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態において、上記構成単位
【0018】
【化4】
【0019】
であり、R1、Ra及び他の変数は、本発明に定義された通りである。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態において、上記構成単位
【0021】
【化5】
【0022】
であり、他の変数は、本発明に定義された通りである。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態において、上記化合物は、式(I-1)~(I-4)の何れか1つの構造式に示される構造:
【0024】
【化6】
【0025】
を有し、
そのうち、R1、R4、R5、R6、R7、Ra及びnは、本発明に定義された通りである。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態において、上記各Rbは、独立してH、F、Cl、Br、I、
【0027】
【化7】
【0028】
であり、他の変数は、本発明に定義された通りである。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態において、上記R7
【0030】
【化8】
【0031】
であり、そのうち、前記
【0032】
【化9】
【0033】
は、任意選択に1又は2個のRbにより置換され、Rb及び他の変数は、本発明に定義された通りである。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態において、上記R7は、
【0035】
【化10】
【0036】
であり、Rb及び他の変数は、本発明に定義された通りである。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態において、上記R7は、
【0038】
【化11】
【0039】
であり、他の変数は、本発明に定義された通りである。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態において、上記R4はH又は-CH3であり、他の変数は、本発明に定義された通りである。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態において、上記化合物は、式(I-5)~式(I-9)の何れか1つの構造式に示される構造:
【0042】
【化12】
【0043】
を有し、
そのうち、R1、R5、R6、Ra及びRbは、本発明に定義された通りである。
本発明のいくつかの実施形態において、上記R1は、H、F、Cl又は
【0044】
【化13】
【0045】
であり、他の変数は、本発明に定義された通りである。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態において、上記R5及びR6は、それぞれ独立してH又は
【0047】
【化14】
【0048】
であり、他の変数は、本発明に定義された通りである。
【0049】
本発明の更なる実施形態は、上記変数を任意に組み合わせて得られる。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態において、上記化合物は、下記式の化合物:
【0051】
【化15】
【0052】
【0053】
である。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態において、上記薬学に許容される塩は、塩酸塩又はトリフルオロ酢酸塩である。
【0055】
本発明は、MNK1/2阻害剤薬物の調製における上記化合物及その薬学的に許容される塩の使用を更に提供する。
【0056】
本発明は、結腸直腸癌を治療する薬物の調製における上記化合物及その薬学的に許容される塩の使用を更に提供する。
【0057】
〔発明の効果〕
本発明に係る化合物は、MNK1/2に対して高い選択性を有し、且つ当該キナーゼに対して顕著な阻害活性を有し、同時に良好な膜透過性及び溶解性を有し、且つ優れた薬物動態学及び薬力学的性質を有する。
【0058】
定義及び説明
特に断りのない限り、本明細書で用いられる下記用語及び語句は下記の意味を有する。1つの特定の用語又は語句は、特別に定義されていない場合に不確定又は不明だと考えられるものではなく、一般的な意味で理解すべきである。本明細書に商品名が現れる場合、その対応する商品又はその活性成分を意味する。
【0059】
ここで用いられる「薬学的に許容される」という用語は、確実な医学的判定の範囲内で、ヒト及び動物の組織との接触に使用するのに適しており、過度の毒性、刺激性、アレルギー反応或いは他の問題又は合併症がなく、合理的な利益/リスク比に見合う化合物、材料、組成物及び/又は剤形を意味する。
【0060】
「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明で発見されて特定の置換基を有する化合物と比較的無毒な酸又は塩基から調製される本発明に係る化合物の塩を指す。本発明に係る化合物に比較的酸性の官能基が含まれる場合、純粋な溶液又は適切な不活性溶媒において十分な量の塩基をこのような化合物と接触させることにより塩基付加塩を得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アンモニウム、有機アミン又はマグネシウム塩又は類似する塩を含む。本発明に係る化合物に比較的塩基性の官能基が含まれる場合、純粋な溶液又は適切な不活性溶媒において十分な量の酸をこのような化合物と接触させることにより酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の実例は、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸水素基、リン酸、リン酸一水素基、リン酸二水素基、硫酸、硫酸水素基、ヨウ化水素酸、亜リン酸などを含む無機酸の塩と、例えば酢酸、プロピオン酸、イソブタン酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、クエン酸、酒石酸及びメタンスルホン酸などの類似する酸を含む有機酸の塩とを含み、アミノ酸(例えばアルギニン酸など)の塩、及び例えばグルクロン酸などの有機酸の塩を更に含む。本発明に係るいくつかの特定の化合物は、塩基性と酸性の官能基を含むため、いずれかの塩基付加塩又は酸付加塩に変換されることができる。
【0061】
本発明に係る薬学的に許容される塩は、酸基又は塩基が含まれる親化合物から従来の化学的方法により合成することができる。通常の場合、このような塩の調製方法は下記の通りである:水又は有機溶媒又は両方の混合物において、遊離酸又は遊離塩基の形態のこれらの化合物を化学量論量の適切な塩基又は酸と反応させることによって調製する。
【0062】
本発明に係る化合物は、特定の幾何又は立体異性体の形態で存在してもよい。本発明においては、このような化合物の全ては、シス及びトランス異性体、(-)-及び(+)-エナンチオマー、(R)-及び(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、並びにそのラセミ混合物及び他の混合物、例えばエナンチオマー的に又はジアステレオマー的に富化された混合物を含むと想定され、これらの混合物は、全て本発明の範囲に属する。アルキル基などの置換基に他の不斉炭素原子があってもよい。これらの異性体及びそれらの混合物は、いずれも本発明の範囲に含まれる。
【0063】
特に断りのない限り、「エナンチオマー」又は「光学異性体」という用語は、互いに鏡像関係である立体異性体を指す。
【0064】
特に断りのない限り、「シストランス異性体」又は「幾何異性体」という用語は、二重結合又は環構成炭素原子の単結合が自由に回転できないことによるものである。
【0065】
特に断りのない限り、「ジアステレオマー」という用語は分子に2つ又は複数のキラル中心を有すると共に、分子間が非鏡像関係である立体異性体を指す。
【0066】
特に断りのない限り、「(+)」は右旋性を示し、「(-)」は左旋性を示し、「(±)」はラセミ体を示す。
【0067】
特に断りのない限り、
【0068】
【化16】
【0069】
により1つの立体中心の絶対配置を示し、
【0070】
【化17】
【0071】
により立体中心の相対配置を示し、
【0072】
【化18】
【0073】
により
【0074】
【化19】
【0075】
を示し、又は
【0076】
【化20】
【0077】
により
【0078】
【化21】
【0079】
を示す。
【0080】
特に断りのない限り、「互変異性体」又は「互変異性体の形態」という用語は、室温で、異なる官能基異性体が動的平衡状態にあり、且つ迅速に相互に変換できるということを意味する。互変異性体が可能(例えば溶液中において)であると、互変異性体の化学的平衡に達することができる。例えば、プロトン互変異性体(proton tautomer)(プロトン遷移互変異性体(prototropictautomer)とも呼ぶ)は、プロトン遷移により行われる相互変換、例えばオン-エノール異性化及びイミン-エナミン異性化を含む。原子価異性体(valence tautomer)はいくつかの結合電子の再配列により行われる相互変換を含む。そのうち、オン-エノール互変異性化の具体的な実例は、ペンタン-2,4-ジオンと4-ヒドロキシペント-3-アルケン-2-オンという2つの互変異性体間の相互変換である。
【0081】
特に断りのない限り、「一異性体に富む」、「異性体富化」、「一エナンチオマーに富む」又は「エナンチオマー富化」という用語は、そのうちの1つの異性体又はエナンチオマーの含有量が100%より低く、且つ、当該異性体又はエナンチオマーの含有量が60%以上、又は70%以上、又は80%以上、又は90%以上、又は95%以上、又は96%以上、又は97%以上、又は98%以上、又は99%以上、又は99.5%以上、又は99.6%以上、又は99.7%以上、又は99.8%以上、又は99.9%以上であるということを意味する。
【0082】
特に断りのない限り、「異性体過剰」又は「エナンチオマー過剰」という用語は、2つの異性体又は2つのエナンチオマーの相対百分率間の差を示す。例えば、そのうちの一方の異性体又はエナンチオマーの含有量は90%であり、他方の異性体又はエナンチオマーの含有量は10%であると、異性体又はエナンチオマー過剰(ee値)は80%である。
【0083】
キラル合成又はキラル試薬又は他の従来の技術により光学活性な(R)-及び(S)-異性体並びにD及びL異性体を調製することができる。本発明に係る化合物の1つのエナンチオマーを得ることが望まれる場合、不斉合成又はキラル助剤を有する誘導作用により調製することができ、得られたジアステレオマーの混合物を分離すると共に、基が分解するように補助して純粋な所望のエナンチオマーを提供する。又は、分子に塩基性官能基(例えばアミノ基)又は酸性官能基(例えばカルボキシル基)が含まれる場合、適切な光学活性な酸又は塩基とジアステレオマーの塩を形成し、その後に本分野で公知の従来方法によりジアステレオマーを分解し、回収して純粋なエナンチオマーを得る。なお、エナンチオマー及びジアステレオマーの分離は、一般的にクロマトグラフィーにより完成し、前記クロマトグラフィーは、キラル固定相を用い、且つ任意に化学的誘導法と組み合わせる(例えばアミドからカルバメートを生成する)。本発明に係る化合物は、当該化合物を構成する1つ又は複数の原子においては非天然割合の原子同位体を含むことができる。例えば、三重水素(3H)、ヨウ-125(125 I)又はC-14(14C)などの放射性同位体標識化合物を用いることができる。さらに例えば、重水素で水素を置換して重水素化薬物を形成することができ、重水素と炭素から構成される結合は、一般の水素と炭素から構成される結合より強固であり、重水素化されていない薬物と比べ、重水素化薬物は、副作用を低下させ、薬物安定性を向上させ、治療効果を向上させ、薬物の生物学的半減期を延長させるなどの利点を有する。本発明に係る化合物の全ての同位体により構成される変化は、放射性の有無を問わず、いずれも本発明の範囲に含まれる。「任意」又は「任意に」は、その後に説明するイベント又は状況は可能であるが、必須ではなく、且つ当該説明は前記イベント又は状況が発生する場合及び前記事件又は状況が発生しない場合を含むということを意味する。
【0084】
「置換される」という用語は、特定の原子における任意の1つ又は複数の水素原子が置換基により置換され、重水素及び水素の変異体を含むことができるが、特定の原子の原子価が正常であり、且つ置換された化合物が安定であればよいということを示す。置換基が酸素(即ち=O)である場合、2つの水素原子が置換されるという意味である。酸素置換はアリール基において発生しない。「任意に置換される」という用語は、置換されても置換されなくてもよいことを意味し、特に断りのない限り、置換基の種類及び数に関しては、化学的に実現可能であれば任意にすることができる。
【0085】
いずれかの変数(例えばR)は、化合物の組成又は構造において1回以上出る場合、各場合におけるその定義がいずれも独立である。従って、例えば、1つの基が0~2個のRにより置換されると、前記基は任意選択に2個までのRにより置換されてもよく、且つ各場合のRとしてはいずれも独立な選択対象がある。なお、置換基及び/又はその変異体の組み合わせはこのような組み合わせが安定な化合物を生成できる場合にのみ許容される。
【0086】
1つの連結基の数量が0、例えば-(CRR)0-である場合、当該連結基が単結合であるということを示す。
【0087】
そのうちの1つの変数が単結合から選択される場合、その連結される2つの基が直接連結されることを示し、例えば、A-L-ZにおいてLが単結合を示す場合、当該構造が実際にA-Zであることを示す。
【0088】
1つの置換基が欠ける場合、当該置換基が存在しないことを示し、例えば、A-XにおいてXが欠ける場合、当該構造が実際にAであることを示す。挙げられた置換基においてそれがどの原子を介して置換される基に連結されると明示しない場合、このような置換基はその任意の原子を介して結合することができ、例えば、ピリジニル基は置換基としてピリジン環における任意の炭素原子を介して置換される基に連結することができる。
【0089】
挙げられた連結基がその連結方向を明示しない場合、その連結方向が任意であり、例えば、
【0090】
【化22】
【0091】
において連結基Lが-M-W-であり、この場合に-M-W-は、左から右への読み取り順序と同じ方向で環Aと環Bを連結して
【0092】
【化23】
【0093】
を構成してもよく、左から右への読み取り順序と逆の方向で環Aと環Bを連結して
【0094】
【化24】
【0095】
を構成してもよい。前記連結基、置換基及び/又はその変異体の組み合わせはこのような組み合わせが安定な化合物を生成できる場合にのみ許容される。
【0096】
特に断りのない限り、ある基が1つ又は複数の連結可能な部位を有する場合、当該基の任意の1つ又は複数の部位は、化学結合を介して他の基と連結することができる。前記部位と他の基を連結する化学結合は、
【0097】
【化25】
【0098】
によって示すことができる。例えば、-OCH3における直形実線結合は、当該基における酸素原子を介して他の基と連結することを示し、
【0099】
【化26】
【0100】
における直形破線結合は、当該基における窒素原子の両端を介して他の基と連結することを示し、
【0101】
【化27】
【0102】
における波線は、当該フェニル基における炭素原子の1位及び2位を介して他の基と連結することを示し、
【0103】
【化28】
【0104】
は、当該ピペリジニル基における任意の連結可能な部位が1つの化学結合を介して他の基と連結できることを示し、
【0105】
【化29】
【0106】
という4つの連結方式を含み、-N-にH原子が描かれても、当該部位の-N-が化学結合を介して他の基と連結できることを示す。
【0107】
特に断りのない限り、環における原子の数は、通常、環の員数と定義され、例えば、「5~7員環」は5~7個の原子が環状に配列される「環」を指す。
【0108】
特に断りのない限り、「C1-3アルキル基」という用語は、1~3個の炭素原子により構成される直鎖又は側鎖の飽和炭化水素基を示すために用いられる。前記C1-3アルキル基はC1-2及びC2-3アルキル基などを含み、それは一価(例えばメチル)、二価(例えばメチレン)又は多価(例えばメチン)であってもよい。C1-3アルキル基の実例は、メチル基(Me)、エチル基(Et)、プロピル基(n-プロピル基及びイソプロピル基を含む)などを含むが、これらに限定されない。
【0109】
特に断りのない限り、本発明において、「C6-10アリール環」及び「C6-10アリール基」という用語は交換可能に使用され、「C6-10アリール環」又は「C6-10アリール基」という用語は、6~10個の炭素原子により構成され、且つ共役π電子系を有する環状炭化水素基を示し、単環式、縮合二環式又は縮合三環式環系であってもよく、そのうち、各環はいずれも芳香族性である。それは、一価、二価又は多価であってもよく、C6-10アリール基は、C6-9、C9、C10及びC6アリール基などを含む。C6-10アリール基の実例は、フェニル基、ナフチル基(1-ナフチル基及び2-ナフチル基などを含む)を含むが、これらに限定されない。
【0110】
特に断りのない限り、Cn-n+m又はCn~Cn+mはn~n+m個の炭素の任意の具体的な状況を含み、例えばC1-12はC1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11及びC12を含み、n~n+mのうちの任意の範囲も含み、例えばC1-12はC1-3、C1-6、C1-9、C3-6、C3-9、C3-12、C6-9、C6-12及びC9-12などを含み、同様に、n員~n+m員とは環における原子数がn~n+m個であるということを示し、例えば3~12員環は3員環、4員環、5員環、6員環、7員環、8員環、9員環、10員環、11員環及び12員環を含み、n~n+mのうちの任意の範囲も含み、例えば3~12員環は3~6員環、3~9員環、5~6員環、5~7員環、6~7員環、6~8員環及び6~10員環などを含む。
【0111】
「脱離基」という用語は、別の官能基又は原子が置換反応(例えば親和置換反応)により置換できる官能基又は原子を指す。例えば、典型的な脱離基は、トリフルオロメタンスルホナート、塩素、臭素、ヨウ素、例えばメシレート、トシレート、ブロシレート、p-トルエンスルホネートなどのスルホネート基、例えばアセトキシ基、トリフルオロアセトキシ基などのアシルオキシ基を含む。
【0112】
「保護基」という用語は、「アミノ保護基」、「ヒドロキシ保護基」又は「メルカプト保護基」を含むが、これらに限定されない。「アミノ保護基」という用語は、アミノ窒素位置における副反応を阻害することに適用する保護基を指す。典型的なアミノ保護基は、ホルミル基、例えばアルカノイル基(例えばアセチル基、トリクロロアセチル基又はトリフルオロアセチル基)などのアシル基、例えばt-ブトキシカルボニル基(Boc)などのアルコキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニル基(Cbz)及び9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基(Fmoc)などのアリールメトキシカルボニル基、例えばベンジル基(Bn)、トリチル基(Tr)、1,1-ジ-(4'-メトキシフェニル)メチルなどのアリールメチル基、例えばトリメチルシリル基(TMS)及びt-ブチルジメチルシリル基(TBS)などのシリル基を含むが、これらに限定されない。「ヒドロキシ保護基」という用語は、ヒドロキシ基副反応を阻害することに適用する保護基を指す。典型的なヒドロキシ保護基は、例えばメチル基、エチル基及びt-ブチル基などのアルキル基、例えばアルカノイル基(例えばアセチル基)などのアシル基、例えばベンジル基(Bn)、p-メトキシベンジル基(PMB)、9-フルオレニルメチル基(Fm)及びジフェニルメチル基(ベンズヒドリル基, DPM)などのアリールメチル基、例えばトリメチルシリル基(TMS)及びt-ブチルジメチルシリル基(TBS)などのシリル基を含むが、これらに限定されない。
【0113】
本発明に係る化合物は、当業者によく知られている従来の方法によって構造を確認することができ、本発明が化合物の絶対配置に関すると、当該絶対配置は、当該分野で従来の技術的手段によって検証することができる。例えば、単結晶X線回折法(SXRD)であり、培養された単結晶の回折強度データをBruker D8 venture回折計によって収集し、光源がCuKα放射であり、走査方式がφ/ω走査であり、関連データを収集した後、更に直接法(Shelxs97)によって結晶構造を解析し、このように絶対配置を確認することができる。
【0114】
本発明に係る化合物は当業者によく知られている多種の合成方法により調製することができ、下記で挙げられる発明を実施するための形態、それと他の化学合成方法の組み合わせにより形成される実施形態及び当業者によく知られている同等の代替形態を含み、好ましい実施形態は本発明の実施例を含むが、これらに限定されない。
【0115】
本発明で用いられる溶媒は、市販により入手可能である。更に精製することなく使用できる。反応は、通常、不活性窒素ガス下で無水溶媒において行われる。
【0116】
本発明は下記略語を採用する:MeOH-d4は重メタノールを表し、CDCl3は重クロロホルムを表し、DMSO-d6は重ジメチルスルホキシドを表し、D2Oは重水を表し、Pivはピバロイル基を表し、DBUは1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンを表す。
【0117】
本発明に係る化合物は、当該分野の従来の命名規則に従い、又はChemDraw(登録商標)ソフトウェアを用いて命名され、市販化合物は供給業者のカタログ名称を採用する。
【0118】
〔発明を実施するための形態〕
以下、実施例を参照しながら本発明を詳しく説明するが、本発明の何らの不利な制限にもならない。本明細書は既に本発明について詳細に説明し、その具体的な実施例形態も開示するが、当業者にとって、本発明の精神及び要旨を逸脱しない範囲で本発明の発明を実施するための形態に対して様々な変化や改善を行うことが明らかである。本発明に係る化合物の塩酸塩又はトリフルオロ酢酸塩に飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えてpHを中性に調節し、高速液体クロマトグラフィーによって分離して(中性, 炭酸水素アンモニウム系)化合物の遊離塩基を得る。
【0119】
実施例1
【0120】
【化30】
【0121】
合成経路:
【0122】
【化31】
【0123】
ステップ1
化合物1a(100 g, 462 mmol)をエタノール(500 mL)に溶解し、0℃で濃硫酸(49.94 g, 509 mmol, 純度:98%)を滴下し、反応液を95℃で16時間撹拌した。反応が完了した後、反応液を減圧濃縮して大部分のエタノールを除去し、濃縮液に水(300 mL)を加え、酢酸エチル(250 mL×3)で抽出し、合わせた有機相を飽和炭酸水素ナトリウム(300 mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮し、化合物1bを得た。
【0124】
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ8.60 (s, 1H), 7.78 (s, 1H), 4.48-4.42 (m, 2H), 2.58 (s, 3H), 1.43 (t, J=7.2 Hz, 3H)。
【0125】
ステップ2
化合物1b(10.0 g, 41.0 mmol)をジクロロメタン(200 mL)に溶解し、0℃で撹拌しながらトリフルオロ酢酸無水物(17.2 g, 81.9 mmol)及び尿素過酸化水素(8.09 g, 86.0 mmol)を加え、反応液を25℃に昇温させて16時間撹拌した。反応液に水(200 mL)を加え、ジクロロメタン(100 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム(200 mL×2)及び飽和食塩水(500 mL)を順に用いて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、化合物1cを得た。
【0126】
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.23 (s, 1H), 7.29 (s, 1H), 4.52-4.45 (m, 2H), 2.29 (s, 3H), 1.41 (t, J=7.2 Hz, 3H)。
【0127】
ステップ3
化合物1c(22.0 g, 84.6 mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(130 mL)に溶解し、0℃で撹拌しながらトリフルオロ酢酸無水物(35.5 g, 169 mmol)を加え、反応液を50℃で1時間撹拌した。反応液に水(200 mL)を加え、酢酸エチル(100 mL×4)で抽出し、有機相を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム(200 mL×3)及び飽和食塩水(150 mL×3)を順に用いて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。粗製品を石油エーテル/酢酸エチルの混合溶液(8/1, 90 mL)において室温で2時間撹拌し、濾過して化合物1dを得た。
【0128】
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 9.89 (br s, 1H), 7.75 (s, 1H), 4.46-4.41 (m, 2H), 2.44 (s, 3H), 1.43 (t, J=7.2 Hz, 3H)。
【0129】
ステップ4
化合物1d(2.00 g, 7.69 mmol)をエタノール(20 mL)に溶解し、アンモニア水(16.2 g, 115 mmol, 純度:25%)を加え、反応液を40℃で16時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、粗製品をメタノール/ジクロロメタンの混合溶液(1/5, 48 mL)において室温で一晩撹拌した。その後、濾過し、ジクロロメタン(5 mL×2)で洗浄し、濾過ケーキを減圧濃縮して化合物1eを得た。
【0130】
MS-ESI計算値[M+H]+ 231及び233、実測値231及び233。
【0131】
ステップ5
化合物1e(37.0 g, 67.3 mmol)及びシクロへキサノン(26.4 g, 269 mmol)をジオキサン(400 mL)に溶解し、撹拌しながら濃硫酸(3.30 g, 33.6 mmol, 純度:98%)を滴下し、反応液を95℃で3時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、粗製品を酢酸エチル(100 mL)において室温で3時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを飽和炭酸水素ナトリウム溶液(350 mL)において室温で1時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを減圧乾燥して化合物1fを得た。MS-ESI計算値[M+H]+311及び313、実測値311及び313。
【0132】
ステップ6
化合物1g(50 g, 0.442 mol)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU, 67.3 g, 0.442 mol)をテトラヒドロフラン(500 mL)に溶解した。反応液を55℃に加熱し、この温度で反応液にアセトアルデヒド(9.74 g, 0.221 mol)を加えた。反応液を55℃で18時間撹拌した。反応液を22℃に降温させ、酢酸(25 mL)でクエンチした。反応液を減圧濃縮し、残留物を酢酸エチル(1000 mL)及び希塩酸(1000 mL, 1 M)に溶解し、分液後に有機相を保持し、水相を酢酸エチルで抽出し(300 mL×3)、有機相を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(100 mL)及び食塩水(200 mL)を順に用いて有機相を洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって分離して(4/1, 石油エーテル/酢酸エチル, Rf=0.56)化合物1hを得た。
【0133】
MS-ESI計算値[M+H]+ 226、実測値226。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ9.29 (br s, 1H), 7.48 (d, J=3.2 Hz, 1H), 4.35 (q, J=7.2 Hz, 2H), 4.29 (q, J=7.2 Hz, 2H), 2.61 (s, 3H), 1.38 (t, J=7.2 Hz, 3H), 1.35 (m, J=7.2 Hz, 3H)。
【0134】
ステップ7
化合物1h(11.0 g, 48.8 mmol)をN-メチルピロリジノン(60 mL)に溶解し、反応液にカリウムt-ブトキシド(6.03 g, 53.7 mmol)を加えた。反応液を25℃で0.5時間撹拌した後、化合物1i(9.78 g, 53.7 mmol)のN-メチルピロリジノン(30 mL)溶液を加えた。引き続き反応液を20時間撹拌した。反応液を水(200 mL)で洗浄し、酢酸エチルで抽出し(200 mL×3)、有機相を合わせ、有機相を飽和食塩水(20 mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって分離して(4/1, 石油エーテル/酢酸エチル, Rf=0.55)化合物1jを得た。
【0135】
MS-ESI計算値[M+H]+ 241、実測値241。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.49 (s, 1H), 4.35 (q, J=7.2 Hz, 2H), 4.27 (q, J=7.2 Hz, 2H), 2.57 (s, 3H), 1.40 (t, J=7.2 Hz, 3H), 1.34 (t, J=7.2 Hz, 3H)。
ステップ8
化合物1j(10.2 g, 42.5 mmol)をカルボキサミド(120 mL)に溶解し、反応液にリン酸(832 mg, 8.49 mmol)を加えた。反応液を125℃で16時間撹拌した。反応液を22℃に降温させ、この時、大量の白色固体が析出した。混合物を濾過し、収集した濾過ケーキを石油エーテル/酢酸エチルの混合溶液(1/1, 100 mL)に加え、混合物を30℃で0.5時間撹拌し、濾過して化合物1kを得た。
【0136】
MS-ESI計算値[M+H]+ 222、実測値222。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ7.90 (s, 1H), 7.84 (s, 1H), 4.23 (q, J=7.2 Hz, 2H), 2.61 (s, 3H), 1.28 (t, J=7.2 Hz, 3H)。
【0137】
ステップ9
化合物1k(4.00 g, 18.0 mmol)を無水テトラヒドロフラン(50 mL)に溶解した。25℃で反応液にメチルマグネシウムブロミド(30.1 mL, 90.3 mmol)を滴下した後、反応を25℃に昇温させ、15時間撹拌した。反応液を飽和塩化アンモニウム溶液(100 mL)でクエンチし、酢酸エチル(50 mL×5)で抽出し、有機相を合わせ、有機相を飽和食塩水(10 mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、粗生成物を薄層クロマトグラフィーによって分離して(2/1, 石油エーテル/酢酸エチル, Rf=0.39)化合物1lを得た。
【0138】
MS-ESI計算値[M+H]+ 208、実測値208。
【0139】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) 7.30 (br s, 1H), 7.24 (br s, 1H), 2.59 (s, 3H), 1.54 (s, 6H)。
【0140】
ステップ10
化合物1l(1.00 g, 4.83 mmol)、過酸化水素水(4.64 mL, 48.26 mmol, 含有量:30%)を無水テトラヒドロフラン(30 mL)に溶解した。0℃で反応液に冷メタンスルホン酸(3.44 mL, 48.26 mmol)の水(10 mL)溶液を滴下した。反応液を0℃で1時間撹拌した。ヨウ化カリウムデンプン紙が陰性を示すまで、反応液を10%亜硫酸ナトリウム水溶液(15 mL)でクエンチした。溶液を酢酸エチル(50 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、有機相を飽和食塩水(10 mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって分離して(2/1, 石油エーテル/酢酸エチル, Rf=0.38)化合物1mを得た。
【0141】
MS-ESI計算値[M+H]+ 166、実測値166。
【0142】
ステップ11
化合物1m(400 mg, 2.42 mmol)を無水テトラヒドロフラン(10 mL)に溶解し、反応液にトリエチルアミン(0.674 mL, 4.84 mmol)、塩化ピバロイル(350 mg, 4.84 mmol)を加えた。反応液を0℃で1時間撹拌し、反応液を水(10 mL)で洗浄し、酢酸エチルで抽出し(10 mL×5)、有機相を合わせ、有機相を飽和食塩水(10 mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、粗生成物を薄層クロマトグラフィーによって分離して(2/1, 石油エーテル/酢酸エチル, Rf=0.63)化合物1nを得た。
【0143】
MS-ESI計算値[M+H]+ 250、実測値250。1H NMR (400 MHz, MeOH-d4) 7.61 (s, 1H), 7.47 (s, 1H), 2.34 (s, 3H), 1.38 (s, 9H)。
【0144】
ステップ12
化合物1n(450 mg, 1.81 mmol)をオキシ塩化リン(8.85 mL)に溶解した。反応液を100℃で1時間撹拌した。反応液を室温に降温させ、飽和炭酸水素アンモニウム溶液(300 mL)に注入した。混合物をジクロロメタンで抽出し(50 mL×3)、有機相を合わせ、有機相を飽和食塩水(20 mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して化合物1oを得た。
【0145】
MS-ESI計算値[M+H]+ 268、実測値268。
【0146】
ステップ13
化合物1o(2.00 g, 7.47 mmol)、2,4-ジメトキシベンジルアミン(1.87 g, 11.21 mmol)、トリエチルアミン(2.27 g, 22.4 mmol)を無水テトラヒドロフラン(30 mL)に溶解した。反応液を70℃で1時間撹拌した。反応液を減圧濃縮して粗製品である化合物1pを得た。
【0147】
MS-ESI計算値[M+H]+ 399、実測値399。
【0148】
ステップ14
化合物1p(3.50 g, 8.78 mmol)をメタノール(3 mL)及びテトラヒドロフラン(20 mL)に溶解し、反応液に水酸化ナトリウム(703 mg, 17.6 mmol)の水(20 mL)溶液を加えた。反応液を25℃で0.5時間撹拌した。反応液を濃縮して有機溶媒を除去し、水相を希塩酸水溶液(1 M)でpH=7に調節し、混合物をジクロロメタンで抽出し(50 mL×3)、有機相を合わせ、有機相を飽和食塩水(10 mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって分離して(2/1, 石油エーテル/酢酸エチル, Rf=0.32)化合物1qを得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 315、実測値315。1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ 7.67 (s, 1H), 7.21 (d, J=8.4 Hz, 1H), 7.07 (s, 1H), 6.56 (d, J=2.4 Hz, 1H), 6.47 (dd, J=2.4, 8.4 Hz, 1H), 4.66 (s, 2H), 3.90 (s, 3H), 3.79 (s, 3H), 2.36 (s, 3H)。
【0149】
ステップ15
化合物1q(350 mg, 1.11 mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(10 mL)に溶解し、水酸化ナトリウム(89.1 mg, 2.23 mmol)及び1-(2-ブロモエチル)ピロリジン(238 mg, 1.34 mmol)を加えた。反応液を50℃で2.5時間撹拌した。反応液に水(10 mL)を加え、酢酸エチル(20 mL×4)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(50 mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィー(10/1, ジクロロメタン/メタノール, Rf=0.28)によって分離して化合物1rを得た。
【0150】
MS-ESI計算値[M+H]+ 412、実測値412。
【0151】
ステップ16
化合物1r(190 mg, 462 μmol)をトリフルオロ酢酸(5 mL)に加え、反応液を100℃で24時間撹拌した。反応液を直接減圧濃縮した。残留物を高速液体クロマトグラフィー(トリフルオロ酢酸条件)によって精製して化合物1sのトリフルオロ酢酸塩を得た。
【0152】
MS-ESI計算値[M+H]+ 262、実測値262。
【0153】
ステップ17
化合物1sのトリフルオロ酢酸塩(100 mg, 0.266 mmol)の無水ジオキサン(5 mL)溶液に1f(91.2 mg, 0.293 mmol)、メタンスルホン酸(2-ジシクロヘキシルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2,4,6-トリイソプロピル-1,1-ビフェニル)(2-アミノ-1,1-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(24.2 mg, 26.6 μmol)及び炭酸セシウム(217 mg, 0.666 mmol)を加えた。反応液を窒素ガスで3回置換し、95℃で16時間撹拌した。反応液を室温に降温させ、減圧濃縮し、残留物を高速液体クロマトグラフィー(塩酸条件)によって精製して化合物1の塩酸塩を得た。
【0154】
MS-ESI計算値[M+H]+ 492、実測値492。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 10.23 (s, 1H), 8.93 (s, 1H), 8.67 (s, 1H), 8.13 (s, 1H), 7.82 (s, 1H), 4.35-4.34 (m, 2H), 3.62-3.61 (m, 4H), 3.22-3.13 (m, 6H), 2.97-2.93 (m, 2H), 2.04-1.91 (m, 4H), 1.75-1.67 (m, 6H), 1.51-1.48 (m, 2H), 1.29-1.23 (m, 2H)。
【0155】
実施例2
【0156】
【化32】
【0157】
合成経路:
【0158】
【化33】
【0159】
ステップ1
化合物1e(500 mg, 2.16 mmol)及びN-t-ブチルオキシカルボニル-4-ピペリドン(1.72 g, 8.66 mmol)をジオキサン(10 mL)に溶解し、撹拌しながら濃硫酸(106 mg, 1.08 mmol, 純度:98%)を滴下し、反応液を95℃で16時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、粗製品を酢酸エチル(20 mL)において室温で1時間撹拌し、濾過し、減圧濃縮して化合物2aを得た。
【0160】
MS-ESI計算値[M+Na]+ 434及び436、実測値434及び436。
【0161】
ステップ2
化合物1sのトリフルオロ酢酸塩(100 mg, 266 umol)を無水ジオキサン(5 mL)に溶解し、化合物2a(157 mg, 293 umol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(24.4 mg, 26.6 umol)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(30.8 mg, 53.3 umol)及び炭酸セシウム(304 mg, 0.932 mmol)を加え、窒素ガスで3回置換し、反応液を110℃で16時間撹拌した。反応液を直接減圧濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーによって分離して(10/1, ジクロロメタン/メタノール, Rf=0.35)精製し、溶離剤を濃縮した後に化合物2bを得た。
【0162】
MS-ESI計算値[M+H]+ 593、実測値593。
【0163】
ステップ3
化合物2b(150 mg, 132 umol)をトリフルオロ酢酸(2 mL)に溶解し、25℃で1時間撹拌し、反応液を直接減圧濃縮し、残留物を高速液体クロマトグラフィー(塩酸条件)によって精製して化合物2の塩酸塩を得た。
【0164】
MS-ESI計算値[M+H]+ 493、実測値493。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 11.09 (s, 1H), 10.55 (s, 1H), 9.60 (s, 1H), 8.68 (s, 1H), 8.13 (s, 1H), 7.83 (s, 1H), 4.40-4.38 (m, 2H), 3.60-3.59 (m, 4H), 3.47-3.37 (m, 4H), 3.28-3.25 (m, 2H), 3.12-3.08 (m, 2H), 2.53-2.52 (m, 6H), 2.02-1.89 (m, 4H), 1.84-1.81 (m, 2H)。
【0165】
実施例3
【0166】
【化34】
【0167】
合成経路:
【0168】
【化35】
【0169】
ステップ1
化合物2の塩酸塩(40.0 mg, 75.6 μmol)をメタノール(2 mL)及びジクロロメタン(2 mL)に溶解し、その後、ホルムアルデヒド水溶液(18.4 mg, 0.226 mmol, 純度:37%)、酢酸(7.72 mg, 0.128 mmol)及び酢酸水素化ホウ素ナトリウム(64.1 mg, 0.302 mol)を加え、反応液を25℃で16時間撹拌した。反応液を直接減圧濃縮した。残留物を高速液体クロマトグラフィー(塩酸条件)によって精製して化合物3の塩酸塩を得た。
【0170】
MS-ESI計算値[M+H]+ 507、実測値507。1H NMR (400MHz, D2O) δ 7.67 (s, 1H), 7.51 (s, 1H), 6.93 (s, 1H), 3.87-3.86 (m, 2H), 3.78-3.76 (m, 2H), 3.68-3.66 (m, 2H), 3.52-3.51 (m, 2H), 3.31-3.30 (m, 4H), 3.19-3.13 (m, 2H), 2.95 (s, 3H), 2.17-2.13 (m, 2H), 2.10 (s, 3H), 1.99-1.90 (m, 4H), 1.83 (s, 3H)。
【0171】
実施例4
【0172】
【化36】
【0173】
合成経路:
【0174】
【化37】
【0175】
ステップ1
実施例1のステップ1を参照して化合物4bを得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.81 (d, J=1.6 Hz, 1H), 8.03 (d, J=8.4 Hz, 1H), 7.98 (dd, J=1.6, 8.4 Hz, 1H), 4.48 (q, J=7.2 Hz, 2H), 1.44 (t, J=7.2 Hz, 3H)。
【0176】
ステップ2
実施例1のステップ2を参照して化合物4cを得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.40 (d, J=1.6 Hz, 1H), 7.51 (d, J=8.4 Hz, 1H), 7.40 (dd, J=1.6, 8.4 Hz, 1H), 4.46 (q, J=7.2 Hz, 2H), 1.41 (t, J=7.2 Hz, 3H)。
【0177】
ステップ3
実施例1のステップ3を参照して化合物4dを得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 246及び248、実測値246及び248。
【0178】
ステップ4
実施例1のステップ4を参照して化合物4eを得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 217及び219、実測値217及び219。
【0179】
ステップ5
実施例1のステップ5を参照して化合物4fを得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 297及び299、実測値297及び299。
【0180】
ステップ6
化合物1sのトリフルオロ酢酸塩(40.0 mg, 0.107 mmol)を無水ジオキサン(2 mL)に溶解し、化合物4f(35.2 mg, 0.117 mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(9.76 mg, 10.7 μmol)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(12.3 mg, 21.3 μmol)及び炭酸セシウム(121 mg, 0.373 mmol)を加え、窒素ガスで3回置換し、反応液を110℃で16時間撹拌した。反応液を直接減圧濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(10/1, ジクロロメタン/メタノール, Rf=0.32)によって分離して精製し、粗製品を高速液体クロマトグラフィー(塩酸塩)によって精製して化合物4の塩酸塩を得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 478、実測値478。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 11.12 (s, 1H), 10.38 (s, 1H), 8.84 (s, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.83 (s, 1H), 6.97 (s, 1H), 4.74-4.70 (m, 2H), 3.60 (s, 4H), 3.11-2.96 (m, 4H), 2.66 (s, 3H), 2.02-1.91 (m, 4H), 1.76-1.67 (m, 4H), 1.53-1.51 (m, 2H), 1.30-1.24 (m, 2H)。
【0181】
実施例5
【0182】
【化38】
【0183】
合成経路:
【0184】
【化39】
【0185】
ステップ1
実施例1のステップ1を参照して化合物5bを得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.62 (d, J=0.8 Hz, 1H), 7.77 (dd, J=1.6, 9.2 Hz, 1H), 4.49 (q, J=7.2 Hz, 2H), 1.44 (t, J=7.2 Hz, 4H)。
【0186】
ステップ2
実施例1のステップ2を参照して化合物5cを得た。計算値[M+H]+ 264及び266、実測値264及び266。
【0187】
ステップ3
実施例1のステップ3を参照して化合物5dを得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ 7.84 (d, J=8.4 Hz, 1H), 4.47 (q, J=7.2 Hz, 2H), 1.43 (t, J=7.2 Hz, 3H)。
【0188】
ステップ4
実施例1のステップ4を参照して化合物5eを得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 235及び237、実測値235及び237。
【0189】
ステップ5
実施例1のステップ5を参照して化合物5fを得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 315及び317、実測値315及び317。
【0190】
ステップ6
化合物1sのトリフルオロ酢酸塩(40.0 mg, 0.107 mmol)を無水ジオキサン(2 mL)に溶解し、化合物15f(38.9 mg, 0.117 mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(9.76 mg, 10.6 μmol)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(12.3 mg, 21.3 μmol)及び炭酸セシウム(121 mg, 0.373 mmol)を加え、窒素ガスで3回置換し、反応液を110℃で16時間撹拌した。反応液を直接減圧濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(10/1, ジクロロメタン/メタノール, Rf=0.32)によって分離して精製し、粗製品を高速液体クロマトグラフィー(塩酸条件)によって精製して化合物5の塩酸塩を得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 496、実測値496。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 10.27 (s, 1H), 8.96 (s, 1H), 8.82 (d, J=10.8 Hz, 1H), 8.17 (s, 1H), 7.88 (s, 1H), 4.36-4.34 (m, 2H), 3.62 (s, 4H), 3.17-3.14 (m, 2H), 2.92-2.89 (m, 2H), 2.53 (s, 3H), 2.07-2.02 (m, 2H), 1.92-1.90 (m, 2H), 1.79-1.75 (m, 2H),1.68-1.65(m, 2H), 1.61-1.58(m, 3H), 1.29-1.23 (s, 1H)。
【0191】
実施例6
【0192】
【化40】
【0193】
合成経路:
【0194】
【化41】
【0195】
ステップ1
実施例1のステップ1を参照して化合物6bを得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 264及び266、実測値264及び266。
【0196】
ステップ2
実施例1のステップ2を参照して化合物6cを得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 280及び282、実測値280及び282。
【0197】
ステップ3
実施例1のステップ3を参照して化合物6dを得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 280及び282、実測値280及び282。
【0198】
ステップ4
実施例1のステップ4を参照して化合物6eを得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 251及び253、実測値251及び253。
【0199】
ステップ5
実施例1のステップ5を参照して化合物6fを得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 331及び333、実測値331及び333。
【0200】
ステップ6
実施例4のステップ6を参照して化合物6の塩酸塩を得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 512、実測値512。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 10.71 (s, 1H), 10.45 (s, 1H), 8.80 (br s, 1H), 8.18 (br s, 1H), 7.87 (br s, 1H), 4.37 (br s, 2H), 3.66-3.65 (m, 4H), 3.12 (br s, 2H), 2.91 (br s, 2H), 2.55 (s, 3H), 2.04-2.00 (m, 2H), 1.93-1.87 (m, 2H), 1.78-1.74 (m, 2H), 1.65-1.58 (m, 5H), 1.26-1.21 (m, 1H)。
【0201】
実施例7
【0202】
【化42】
【0203】
合成経路:
【0204】
【化43】
【0205】
ステップ1
化合物1e(500 mg, 1.97 mmol)及びシクロペンタノン(664 mg, 7.89 mmol)を無水ジオキサン(6 mL)に溶解し、反応液に濃硫酸(98.7 mg, 0.986 mmol, 純度:98%)を1滴ずつ加え、反応液を95℃で3時間撹拌した。反応液を減圧濃縮して一部のジオキサン(約3 mL)を除去し、濾過した。収集した濾過ケーキにn-ヘキサン(10 mL)を加え、室温で2時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを真空下で2時間乾燥し、化合物7aを得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 297及び299、実測値297及び299。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ10.16 (s, 1H), 8.02 (s, 1H), 2.71-2.78 (m, 2H), 2.37 (s, 3H), 1.91-1.93 (m, 2H), 1.79-1.84 (m, 2H), 1.63-1.67 (m, 2H)。
【0206】
ステップ2
実施例4のステップ6を参照して化合物7の塩酸塩を得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 478、実測値478。1H NMR (400MHz, D2O) δ 7.68 (s, 1H), 7.49 (s, 1H), 7.00 (s, 1H), 4.02-4.01 (m, 2H), 3.70-3.69 (m, 2H), 3.57-3.56 (m, 2H), 3.28 (s, 3H), 3.18-3.17 (m, 2H), 2.58-2.57 (m, 2H), 2.14-2.13 (m, 3H), 2.00-1.93 (m, 5H), 1.84-1.79 (m, 4H), 1.69-1.66 (m, 1H)。
【0207】
実施例8
【0208】
【化44】
【0209】
合成経路:
【0210】
【化45】
【0211】
ステップ1
化合物1e(500 mg, 1.97 mmol)及びアセトン(458 mg, 7.89 mmol)を無水ジオキサン(6 mL)に溶解し、反応液に濃硫酸(96.7 mg, 0.966 mmol, 純度:98%)を1滴ずつ加え、反応液を95℃で6時間撹拌した。反応液を減圧濃縮してジオキサン(約3 mL)を除去し、濾過した。収集した濾過ケーキを石油エーテル/酢酸エチルの混合溶液(10/1, 8 mL×2)で洗浄し、濾過ケーキを真空下で2時間乾燥し、化合物8aを得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 271及び273、実測値271及び273。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ9.82 (s, 1H), 8.01 (s, 1H), 2.37 (s, 3H), 1.74 (s, 6H)。
【0212】
ステップ2
実施例4のステップ6を参照して化合物8の塩酸塩を得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 452、実測値452。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 10.96 (s, 1H), 9.71 (s, 1H), 8.65 (s, 1H), 8.12 (s, 1H), 7.82 (s, 1H), 4.38-4.37 (m, 2H), 3.67-3.65 (m, 2H), 3.60-3.59 (m, 2H), 3.16-3.10 (m, 2H), 2.47-2.46 (m, 6H), 2.02-1.90 (m, 4H), 1.80-1.76 (m, 6H)。
【0213】
実施例9
【0214】
【化46】
【0215】
合成経路:
【0216】
【化47】
【0217】
ステップ1
化合物1e(500 mg, 1.97 mmol)及び化合物9a(1.06 g, 7.88 mmol)を無水ジオキサン(6 mL)に溶解し、反応液に濃硫酸(98.7 mg, 0.985 mmol, 純度:98%)を1滴ずつ加え、反応液を95℃で1.5時間撹拌した。反応液を減圧濃縮して一部のジオキサン(約3 mL)を除去し、濾過した。収集した濾過ケーキにn-ヘキサン(12 mL)を加え、室温で2時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキを真空下で2時間乾燥し、化合物9bを得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 347及び349、実測値347及び349。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ10.57 (s, 1H), 8.05 (s, 1H), 3.17-3.25 (m, 2H), 2.39 (s, 3H), 2.14-2.27 (m, 4H), 1.61-1.64 (m, 2H)。
【0218】
ステップ2
実施例4のステップ6を参照して化合物9の塩酸塩を得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 528、実測値528。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 10.91 (s, 1H), 10.46 (s, 1H), 8.68 (s, 1H), 8.13 (s, 1H), 7.83 (s, 1H), 4.38-4.37 (m, 2H), 3.60-3.59 (m, 4H), 3.27-3.10 (m, 4H), 2.43-2.41 (m, 6H), 2.18-2.16 (m, 4H), 2.07-2.02 (m, 2H), 1.90-1.88 (m, 2H), 1.69-1.66 (m, 2H)。
【0219】
実施例10
【0220】
【化48】
【0221】
合成経路:
【0222】
【化49】
【0223】
ステップ1
化合物6e(1.50 g, 4.71 mmol)及びシクロペンタノン(1.59 g, 18.9 mmol)をジオキサン(10 mL)に溶解し、撹拌しながら濃硫酸(462 mg, 4.71 mmol)を滴下し、反応液を95℃で16時間撹拌した。反応液に水(10 mL)を加え、酢酸エチル(15 mL×4)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。残留物をクロマトグラフィーによって分離して(1/1, 石油エーテル/酢酸エチル, Rf=0.31)精製して化合物10aを得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 317及び319、実測値317及び319。
【0224】
ステップ2
化合物1sのトリフルオロ酢酸塩(230 mg, 613 μmol)を無水ジオキサン(5 mL)に溶解し、化合物10a(249 mg, 674 μmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(56.1 mg, 61.3 μmol)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(70.9 mg, 123 μmol)及び炭酸セシウム(699 mg, 2.14 mmol)を加え、窒素ガスで3回置換し、反応液を110℃で16時間撹拌した。反応液を直接減圧濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーによって分離して(10/1, ジクロロメタン/メタノール, Rf=0.35)精製し、溶離剤を濃縮した後に高速液体クロマトグラフィー(塩酸系)によって精製して化合物10の塩酸塩を得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 498、実測値498。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 10.68 (s, 1H), 10.26 (s, 1H), 8.79 (s, 1H), 8.17 (s, 1H), 7.86 (s, 1H), 4.38-4.36 (m, 2H), 3.61-3.60 (m, 4H), 3.13-3.11 (m, 2H), 2.83-2.78 (m, 2H), 2.52 (s, 3H), 2.03-1.83 (m, 8H), 1.75-1.74 (m, 2H)。
【0225】
実施例11
【0226】
【化50】
【0227】
合成経路:
【0228】
【化51】
【0229】
ステップ1
化合物11aの塩酸塩(500 mg, 3.48 mmol)を1,2-ジブロモメタン(5 mL)に溶解した後、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(900 mg, 6.97mmol)を加え、反応液を25℃で14時間撹拌した。反応が完了した後、反応液を水(30 mL)で希釈し、酢酸エチル(20 mL×4)で抽出し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮し、クロマトグラフィーによって分離して(3:1, 石油エーテル/酢酸エチル, Rf=0.6)化合物11bを得た。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ = 3.41 (t, J=7.0 Hz, 2H), 2.99 (t, J=13.3 Hz, 2H), 2.92 (t, J=7.0 Hz, 2H), 2.83 (t, J=7.0 Hz, 2H), 2.29 (tt, J=7.1, 14.5 Hz, 2H)。
【0230】
ステップ2
化合物11b(250 mg, 795 μmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(4 mL)に溶解した後、化合物1q(187 mg, 875 μmol)及び水酸化ナトリウム(63.6 mg, 1.59 mmol)を加え、50℃で0.5時間撹拌した。反応が完了した後、反応液に水(50 mL)を加えて希釈し、酢酸エチルで抽出し(30 mL×3)、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮し、クロマトグラフィーによって分離して(1:1, 石油エーテル/酢酸エチル, Rf=0.1)化合物11cを得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 448、実測値448。
【0231】
ステップ3
化合物11c(300 mg, 670 μmol)をトリフルオロ酢酸(3.0 mL)に溶解し、反応液を100℃で1時間撹拌した。反応が完了した後、反応液を濃縮し、残留物を高速液体クロマトグラフィー(塩酸系)によって精製して化合物11dの塩酸塩を得た。
【0232】
MS-ESI計算値[M+H]+ 298、実測値298。
【0233】
ステップ4
化合物11dの塩酸塩(108 mg, 323 μmol)、化合物1f(111 mg, 356 μmol)を無水ジオキサン(2 mL)に溶解した後、炭酸セシウム(264 mg, 809 μmol)及びメタンスルホン酸(2-ジシクロヘキシルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2,4,6-トリイソプロピル-1,1-ビフェニル)(2-アミノ-1,1-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(29.3 mg, 32.4 μmol)を加え、反応液を窒素ガスの保護下で105℃で12時間撹拌した。反応が完了した後、反応液を減圧濃縮し、クロマトグラフィーによって分離して(10:1, ジクロロメタン/メタノール, Rf=0.3)粗製品である化合物を得た。粗製品にメタノール(5 mL)を加え、15℃で16時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキをメタノールで洗浄し(2 mL×2)、乾燥して化合物11を得た。
【0234】
MS-ESI計算値[M+H]+ 528、実測値528。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 10.21 (s, 1H), 8.91 (s, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.09 (s, 1H), 7.72 (s, 1H), 4.09 (t, J=5.6 Hz, 2H), 3.06-2.92 (m, 4H), 2.89-2.77 (m, 4H), 2.49-2.46 (m, 6H), 2.31-2.18 (m, 2H), 1.82-1.72 (m, 2H), 1.71-1.59 (m, 3H), 1.54-1.42 (m, 2H), 1.35-1.20 (m, 1H)。
【0235】
実施例12
【0236】
【化52】
【0237】
合成経路:
【0238】
【化53】
【0239】
ステップ1
化合物11dのトリフルオロ酢酸塩(90 mg, 219 μmol)、化合物7a(72 mg, 241 μmol)を無水ジオキサン(2 mL)に溶解した後、炭酸セシウム(250 mg, 766 μmol)及びメタンスルホン酸(2-ジシクロヘキシルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2,4,6-トリイソプロピル-1,1-ビフェニル)(2-アミノ-1,1-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(20 mg, 21.9 μmol)を加え、反応液を窒素ガスの保護下で105℃で12時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、クロマトグラフィーによって分離して(10:1, ジクロロメタン/メタノール, Rf=0.3)精製して粗製品である化合物を得た。粗製品にメタノールとエタノールの混合溶液(4/1, 10 mL)を加え、20℃で16時間撹拌し、濾過し、濾過ケーキをメタノールで洗浄し(2 mL×2)、水で洗浄し(2 mL×2)、乾燥して化合物12を得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 514、実測値514。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 10.00 (s, 1H), 8.84 (s, 1H), 8.64 (s, 1H), 8.08 (s, 1H), 7.70 (s, 1H), 4.08 (t, J=5.6 Hz, 2H), 3.00 (t, J=13.5 Hz, 2H), 2.91-2.78 (m, 6H), 2.47 (s, 3H), 2.46 (s, 3H), 2.31-2.18 (m, 2H), 2.04-1.92 (m, 2H), 1.91-1.78 (m, 2H), 1.76-1.62 (m, 2H)。
【0240】
実施例13
【0241】
【化54】
【0242】
合成経路
【0243】
【化55】
【0244】
ステップ1
化合物13a(2.00 g, 26.6 mmol)及び1,4-ジブロモブタン(5.75 g, 26.6 mmol)をアセトニトリル(100 mL)に溶解した後、炭酸カリウム(7.36 g, 53.26 mmol)を加え、反応液を80℃で12時間撹拌した。反応が完了した後、反応液を濾過し、濾液を減圧濃縮し、ジクロロメタン(250 mL)で希釈し、飽和炭酸カリウム水溶液で洗浄し(75 mL×1)、有機相を収集し、水相をジクロロメタンで抽出し(75 mL×9)、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮して無色油状製品13bを得た。
【0245】
MS-ESI計算値[M+H]+ 130、実測値130。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ = 3.61-3.55 (m, 1H), 3.40-3.34 (m, 1H), 2.99 (br s, 1H), 2.69-2.62 (m, 1H), 2.61-2.54 (m, 4H), 1.84-1.70 (m, 4H), 1.04 (d, J=6.5 Hz, 3H)。
【0246】
ステップ2
化合物13b(2.95 g, 23.1 mmol)をジクロロメタン(25 mL)に溶解し、0℃に冷却させた後、0℃でトリフェニルホスフィン(9.07 g, 34.6 mmol)及び四臭化炭素(9.94 g, 30.0 mmol)を加え、反応液を15℃で12時間撹拌した。反応が完了した後、水(150 mL)を加えて希釈し、ジクロロメタンで抽出し(100 mL×3)、有機相を収集した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で水相値をpH=9に調節し、酢酸エチルで抽出した(100 mL×3)。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮して黄色油状製品13cを得た。粗製品を次の反応に直接使用した。
【0247】
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ = 2.84-2.77 (m, 1H), 2.65-2.59 (m, 1H), 2.58-2.52 (m, 1H), 2.51-2.48 (m, 2H), 2.51-2.46 (m, 1H), 1.76-1.71 (m, 3H), 1.74-1.71 (m, 2H), 1.66 (d, J=6.6 Hz, 3H)。
【0248】
ステップ3
化合物1q(200 mg, 636 μmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(4 mL)に溶解した後、化合物13c(134 mg, 700 μmol)及び水酸化ナトリウム(50.9 mg, 1.27 mmol)を加え、50℃で2時間撹拌した。反応が完了した後、反応液を減圧濃縮し、反応液に水(50 mL)を加えて希釈し、酢酸エチルで抽出し(30 mL×3)、合わせた有機相を飽和食塩水で洗浄し(40 mL×1)、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮して黄色固体化合物13dを得た。粗製品を次の反応に直接使用した。
【0249】
MS-ESI計算値[M+H]+ 426、実測値426。
【0250】
ステップ4
化合物13d(300 mg, 670 μmol)をトリフルオロ酢酸(10 mL)に溶解し、反応液を100℃で12時間撹拌した。反応が完了した後、反応液を濃縮し、残留物を高速液体クロマトグラフィー(塩酸系)によって精製して化合物13eの塩酸塩を得た。
【0251】
MS-ESI計算値[M+H]+ 276、実測値276。
【0252】
ステップ5
化合物13eの塩酸塩(76.0 mg, 244 μmol)、化合物7a(72.4 mg, 244 μmol)を無水ジオキサン(3 mL)に溶解した後、炭酸セシウム(159 mg, 487 μmol)及びメタンスルホン酸(2-ジシクロヘキシルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2,4,6-トリイソプロピル-1,1-ビフェニル)(2-アミノ-1,1-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(22.1 mg, 24.4 μmol)を加え、反応液を窒素ガスの保護下で105℃で12時間撹拌した。反応が完了した後、反応液を減圧濃縮し、水(50 mL)を加えて希釈し、酢酸エチルで抽出し(30 mL×3)、合わせた有機相を飽和食塩水で洗浄し(40 mL×1)、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮し、残留物を高速液体クロマトグラフィー(塩酸系)によって精製して化合物13の塩酸塩を得た。13の塩酸塩をジクロロメタン(30 mL)で溶解した後に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20 mL)及び飽和食塩水(20 mL)を順に用いて洗浄し、有機相無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮し、残留物を薄層クロマトグラフィーによって分離して精製して(10:1, ジクロロメタン/メタノール, Rf=0.3)化合物13を得た。
【0253】
MS-ESI計算値[M+H]+ 492、実測値492。1H NMR (400MHz, MeOH-d4) δ = 8.87-8.77 (m, 1H), 8.08-8.00 (m, 1H), 7.63-7.52 (m, 1H), 4.71-4.53 (m, 1H), 4.37-4.12 (m, 1H), 3.67-3.37 (m, 3H), 3.05-2.91 (m, 3H), 2.65-2.52 (m, 6H), 2.22-2.04 (m, 6H), 1.97-1.76 (m, 5H), 1.55-1.33 (m, 3H)。
【0254】
実施例14
【0255】
【化56】
【0256】
合成経路:
【0257】
【化57】
【0258】
ステップ1
化合物14a(2.00 g, 26.6 mmol)及び1,4-ジブロモブタン(5.75 g, 26.6 mmol)をアセトニトリル(100 mL)に溶解した後、炭酸カリウム(7.36 g, 53.26 mmol)を加え、反応液を80℃で12時間撹拌した。反応液を濾過し、濾液を減圧濃縮し、ジクロロメタン(250 mL)で希釈し、飽和炭酸カリウム水溶液で洗浄し(75 mL×1)、有機相を収集し、水相をジクロロメタンで抽出し(75 mL×9)、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮して化合物14bを得た。
【0259】
MS-ESI計算値[M+H]+ 130、実測値130。1H NMR (400MHz, CDCl3) δ = 3.63-3.58 (m, 1H), 3.41-3.35 (m, 1H), 2.90 (br s, 1H), 2.73-2.66 (m, 1H), 2.63-2.57 (m, 4H), 1.82-1.74 (m, 4H), 1.06 (d, J=6.5 Hz, 3H)。
【0260】
ステップ2
化合物14b(2.48 g, 19.2 mmol)をジクロロメタン(25 mL)に溶解し、0℃に冷却させた後、0℃でトリフェニルホスフィン(7.55 g, 28.8 mmol)及び四臭化炭素(8.28 g, 25.0 mmol)を加え、反応液を15℃で12時間撹拌した。反応液に水(150 mL)を加えて希釈し、ジクロロメタンで抽出し(100 mL×3)、有機相を収集した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で水相をpH=9に調節し、酢酸エチルで抽出した(100 mL×3)。有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮して化合物14cを得た。粗製品を次の反応に直接使用した。
【0261】
ステップ3
化合物1q(250 mg, 795 μmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(3 mL)に溶解した後、化合物14c(229 mg, 1.19 mmol)及び水酸化ナトリウム(63.6 mg, 1.59 mmol)を加え、50℃で2時間撹拌した。反応が完了した後、反応液を減圧濃縮し、反応液に水(30 mL)を加えて希釈し、1 Mの塩酸水溶液で反応液をpH=3に調節し、ジクロロメタンで洗浄した(50 mL×3)。1 Mの水酸化ナトリウム水溶液で反応液をpH=11に調節し、ジクロロメタンで抽出し(60 mL×3)、合わせた有機相を飽和食塩水で洗浄し(150mL×1)、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮して化合物14dを得た。粗製品を次の反応に直接使用した。
【0262】
MS-ESI計算値[M+H]+ 426、実測値426。
【0263】
ステップ4
化合物14d(430 mg, 1.01 mmol)をトリフルオロ酢酸(15 mL)に溶解し、反応液を100℃で3時間撹拌した。反応が完了した後、反応液を濃縮し、残留物を高速液体クロマトグラフィーによって精製して(塩酸系)化合物14eの塩酸塩を得た。
【0264】
MS-ESI計算値[M+H]+ 276、実測値276。
【0265】
ステップ5
化合物14eの塩酸塩(80.0 mg, 206 μmol)、化合物7a(61.2 mg, 206 μmol)を無水ジオキサン(6 mL)に溶解した後、炭酸セシウム(168 mg, 515 μmol)及びメタンスルホン酸(2-ジシクロヘキシルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2,4,6-トリイソプロピル-1,1-ビフェニル)(2-アミノ-1,1-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(18.7 mg, 20.6 μmol)を加え、反応液を窒素ガスの保護下で95℃で12時間撹拌した。反応が完了した後、反応液を減圧濃縮し、クロマトグラフィーによって分離して精製し(10:1, ジクロロメタン/メタノール, Rf=0.25)、粗製品を得た。粗製品を高速液体クロマトグラフィーによって精製して(塩酸系)化合物14の塩酸塩を得た。
【0266】
MS-ESI計算値[M+H]+ 492、実測値492。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ = 7.76-7.68 (m, 1H), 7.53-7.45 (m, 1H), 7.05-6.98 (m, 1H), 4.12-4.02 (m, 1H), 3.98-3.88 (m, 1H), 3.77-3.59 (m, 3H), 3.31-3.21 (m, 2H), 2.68-2.53 (m, 2H), 2.20-2.08 (m, 5H), 2.06-1.93 (m, 4H), 1.89-1.77 (m, 5H), 1.73-1.62 (m, 2H), 1.53-1.47 (m, 3H)。
【0267】
実施例15
【0268】
【化58】
【0269】
合成経路:
【0270】
【化59】
【0271】
ステップ1
化合物1q(357 mg, 1.14 mmol)及び化合物15a(300 mg, 1.14 mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(3 mL)に溶解し、反応液に水酸化ナトリウム(136 mg, 3.41 mmol)を加え、反応液を50℃で0.5時間撹拌した。反応液を水(60 mL)で希釈し、酢酸エチル(60 mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、有機相を水(200 mL×1)及び飽和食塩水(200 mL×1)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮し、粗製品をカラムクロマトグラフィーによって分離して(2/1, 石油エーテル/酢酸エチル, Rf=0.45)化合物15bを得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 498、実測値498。
【0272】
ステップ2
化合物15b(255 mg, 0.509 mmol)をトリフルオロ酢酸(20 mL)に溶解した。反応液を窒素ガスの保護下で100℃で2時間撹拌した。反応液を減圧濃縮し、化合物15cのトリフルオロ酢酸塩を得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 248、実測値248。
【0273】
ステップ3
化合物15cのトリフルオロ酢酸塩(200 mg, 0.554 mmol)をテトラヒドロフラン(3 mL)及びメタノール(3 mL)に溶解し、反応液に二炭酸ジ-tert-ブチル(121 mg, 0.554 mmol)及びトリエチルアミン(224 mg, 2.21 mmol)を加えた。反応液を25℃で1時間撹拌した。反応液を水(60 mL)で希釈し、ジクロロメタン(60 mL×4)で抽出し、有機相を合わせ、有機相を水(200 mL×1)及び飽和食塩水(200 mL×1)を順に用いて洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を減圧濃縮し、粗製品を高速液体クロマトグラフィー(中性条件)によって精製して化合物15dを得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 348、実測値348。
【0274】
ステップ4
化合物15d(40 mg, 0.115 mmol)及び1f(40.5 mg, 0.125 mmol)を無水ジオキサン(3 mL)に溶解し、窒素下で、混合溶液に炭酸セシウム(102 mg, 0.313 mmol)及びメタンスルホン酸(2-ジシクロヘキシルホスフィノ)-3,6-ジメトキシ-2,4,6-トリイソプロピル-1,1-ビフェニル)(2-アミノ-1,1-ビフェニル-2-イル)パラジウム(II)(9.45 mg, 10.4 μmol)を加え、反応液を100℃で12時間撹拌した。反応液を濃縮し、粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって分離して(20:1, ジクロロメタン/メタノール, Rf=0.35)化合物15eを得た。
【0275】
MS-ESI計算値[M+H]+ 578、実測値578。
【0276】
ステップ5
化合物15e(68.0 mg, 0.113 mmol)を無水メタノール(3 mL)に溶解し、塩酸/メタノール溶液(4.23 mL, 4 M, 16.9 mmol)を加え、反応液を25℃で1時間撹拌した。反応液を濃縮し、残留物をメタノール(30 mL)において1時間撹拌し、濾過し、メタノール(10 mL×2)で洗浄した。濾過ケーキをメタノール(30 mL)において1時間撹拌し、濾過し、メタノール(10 mL×2)で洗浄し、濾過ケーキを収集し、減圧乾燥して化合物15の塩酸塩を得た。
【0277】
MS-ESI計算値[M+H]+ 478、実測値478。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 10.22 (s, 1H), 8.99 (br s, 2H), 8.90 (s, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.72 (s, 1H), 4.09-3.96 (m, 2H), 3.23-3.12 (m, 2H), 3.07-2.92 (m, 3H), 2.81-2.71 (m, 1H), 2.53-2.51 (m, 6H), 2.17-2.05 (m, 1H), 1.82-1.58 (m, 7H), 1.54-1.45 (m, 2H), 1.34-1.21 (m, 1H)。
【0278】
実施例16
【0279】
【化60】
【0280】
合成経路:
【0281】
【化61】
【0282】
化合物15の塩酸塩(30 mg, 0.049 mmol)を無水メタノール(3 mL)に溶解し、反応液にホルムアルデヒド水溶液(6.39 mg, 78.7 μmol, 純度:37%)及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム(6.60 mg, 0.105 mmol)を加えた。反応液を10℃で1時間撹拌した。反応液に水(20 mL)を加えてクエンチし、減圧濃縮してメタノールを除去し、濾過し、メタノール(3 mL×2)で洗浄した。粗製品を高速液体クロマトグラフィー(塩酸条件)によって精製して化合物16の塩酸塩を得た。MS-ESI計算値[M+H]+ 492、実測値492。1H NMR (400MHz, DMSO-d6) δ 10.65-10.43 (m, 1H), 10.22 (s, 1H), 8.91 (s, 1H), 8.66 (s, 1H), 8.10 (s, 1H), 7.76-7.70 (m, 1H), 4.14-3.99 (m, 2H), 3.79-3.42 (m, 2H), 3.16-2.92 (m, 4H), 2.86-2.81 (m, 3H), 2.53-2.51 (m, 6H), 2.30-1.84 (m, 2H), 1.81-1.58 (m, 6H), 1.53-1.42 (m, 2H), 1.34-1.22 (m, 1H)。
【0283】
インビトロ活性試験
1.MNK2タンパク質キナーゼに対する本発明に係る化合物の阻害活性のインビトロ評価
実験の目的:MNK2タンパク質キナーゼに対する化合物の阻害活性を検出すること
実験材料:アッセイ緩衝溶液は、8 mMの3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸、0.2 mMのエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、0.01%のポリオキシエチレンラウリルエーテル、5%のグリセリン、0.1%のβ-メルカプトエタノール、1 mgのウシ血清アルブミンであった。
【0284】
実験操作:Eurofins Pharma Discovery Services UK LimitedのKinaseProfilerTMサービスを用いてMnk2タンパク質キナーゼに対する阻害活性を測定した。試験化合物を含む連続DMSO希釈液(10μMから3倍連続希釈を行い)、MNK2(h)タンパク質キナーゼ及び0.33 mg/mLのミエリン塩基性タンパク質を新たに調製した緩衝溶液(pH 7.0)に加え、均一に撹拌した。33P-ATP(放射強度10μCi/μL)及び10 mMの酢酸マグネシウム混合物を加えて反応を開始し、室温で40分間反応させ、リン酸を加えて0.5%の濃度に希釈して反応を停止した。10 μLの反応液をP30濾過機(P30 filtermat)で濾過し、0.425%のリン酸で4回洗浄し、1回あたり4分間であり、メタノールで1回洗浄し、乾燥後にFilter-Binding方法によって放射強度を検出した。
【0285】
タンパク質キナーゼに対する化合物の阻害活性は、ブランク基質(純粋なDMSO)に対して残されたタンパク質キナーゼ活性の百分率として示される。Prism4ソフトウェアパッケージ(GraphPad)を利用してIC50値及び曲線を計算した。
【0286】
【表1】
【0287】
実験結論:本発明に係る化合物は、いずれもMNK2タンパク質キナーゼに対する優れた阻害活性を示している。
【0288】
2.MNK1タンパク質キナーゼに対する本発明に係る化合物の阻害活性のインビトロ評価
実験の目的:MNK1タンパク質キナーゼに対する化合物の阻害活性を検出すること
実験材料:アッセイ緩衝溶液は、20 mMの4-ヒドロキシエチルピペラジンエタンスルホン酸(pH 7.5)、10 mMの塩化マグネシウム、1 mMのエチレングリコールジエチルエーテルジアミン四酢酸、0.02%のポリオキシエチレンラウリルエーテル、0.02 mg/mLのウシ血清アルブミン、0.1 mMのバナジン酸ナトリウム、2 mMのジチオスレイトール、1%のDMSOであった。
【0289】
実験操作:Reaction Biology Corp.のKinase HotSpot Profilingサービスを用いてMnk1タンパク質キナーゼに対する阻害活性を測定した。基質を新たに調製した緩衝溶液に加えた後、MNK1(h)を加え、均一に撹拌した。Echo550を用いて試験化合物を含む連続DMSO希釈液(3μMから3倍連続希釈を行い)を加え、33P-ATP(最終放射強度0.01 μCi/μL)を加えて反応を開始し、室温で120分間プレインキュベートした。その後、P81イオン交換紙(Whatman # 3698-915)で濾過し、0.75%のリン酸で洗浄した。濾紙に残された放射性リン酸化された基質の濃度を測定した。
【0290】
タンパク質キナーゼに対する化合物の阻害活性のデータは、ブランク基質(純粋なDMSO)に対して残されたタンパク質キナーゼ活性の百分率として示されている。Prism4ソフトウェアパッケージ(GraphPad)を利用してIC50値の計算及び曲線フィッティングを行った。
【0291】
【表2】
【0292】
実験結論:本発明に係る化合物は、MNK1タンパク質キナーゼに対する優れた阻害活性を示している。
【0293】
3.eIF4Eリン酸化に対する本発明に係る化合物の阻害活性のインビトロ評価
実験の目的:HCT116細胞株のeIF4Eリン酸化に対する化合物の阻害IC50値を検出すること
実験材料:HCT116細胞(ATCC)、RPMl1640培地(Life technology)、ウシ胎児血清(Hyclone)、二重抗生物質(ペニシリン、ストレプトマイシン)(Millipore)、リン酸塩緩衝溶液(Corning)、384ウェル細胞プレート(PerkinElmer)、AlphaLISA(登録商標)SureFire(登録商標)Ultra(商標)p-eIF4E(Ser209)Assay Kit(PerkinElmer)。
【0294】
実験操作:HCT116細胞を消化した後に細胞懸濁液を調製し、96ウェルプレートにプレーティングした。その後、細胞プレートをインキュベーターに入れて一晩培養した。化合物を対応する濃度まで希釈して細胞培養プレートに加え、引き続き3時間培養した。その後、lysis bufferを用いて細胞を溶解させ、溶解液を384ウェルプレートに移した。キットの説明書に従って混合受容体を新たに調製し、384ウェルプレートに加え、室温で1時間インキュベートし、キットの説明書に従って混合給与体を新たに調製し、384ウェルプレートに加え、室温で1時間インキュベートし、EnVisionにおいて標準的なAlphaLISAプログラムを用いてシグナルを読み取り、Graphpad prismを用いて曲線フィッティングを行うと共にIC50を計算した。
【0295】
【表3】
【0296】
実験結論:本発明に係る化合物は、eIF4Eリン酸化に対する優れた阻害活性を示している。
【0297】
4.本発明に係る化合物の薬物動態学評価
実験目的:CD-1マウスのインビボにおける化合物の薬物動態学を試験すること
実験材料:CD-1マウス(雄性、7~9週齢、上海西普爾-必凱実験動物有限公司)
実験操作:標準プロトコールで化合物の静脈内注射及び経口投与後の齧歯類動物の薬物動態特性を試験し、実験中に候補化合物を透明な溶液又は均一な懸濁液に調製し、マウスに単回静脈内注射及び強制経口によって投与した。静脈内注射及び経口用溶媒は10%のヒドロキシプロピルβシクロデキストリン水溶液又は生理食塩水溶液であった。当該プロジェクトは、4匹の雄性C57BL/6マウスを使用し、2匹のマウスに静脈内注射によって投与し、投与量は0.5 mg/kgであり、0 h(投与前)及び投与の0.083、0.25、0.5、1、2、4、8、12、24 h後の血漿試料を収集し、別の2匹のマウスに強制経口によって投与し、投与量は2 mg/kgであり、0 h(投与前)及び投与の0.25、0.5、1、2、4、8、12、24 h後の血漿試料を収集し、24時間以内の全血試料を収集し、3000 gで10分間遠心分離し、上清を分離して血漿試料を得て、内部標準を含む420倍体積のアセトニトリル溶液を加えてタンパク質を沈殿させ、800 rpmで10分間ボルテックスし、1 μLの上清液を注入し、LC-MS/MS分析方法によって血中薬物濃度を定量的に分析すると共に、例えばピーク到達濃度(Cmax)、クリアランス率(CL)、半減期(T1/2)、組織分布(Vdss)、薬物-時間曲線下面積(AUC0-last)、生物学的利用能(F)などの薬物動態パラメータを計算した。
【0298】
【表4】
【0299】
実験結論:本発明に係る化合物は、CD-1マウスにおいて良好な吸収を示している。
【0300】
5.CT-26マウス移植腫瘍における本発明に係る化合物のインビボ薬効実験
実験の目的:CT-26マウス移植腫瘍における化合物のインビボ薬効を試験すること
実験材料:CT-26細胞、10%のウシ胎児血清を含むRMPI-1640培地、マウス(雌性、上海必凱実験動物有限公司)
実験操作:CT-26細胞を10%のウシ胎児血清を含むRMPI-1640培地で培養し、5%CO2の37℃インキュベーターで培養した。継代によって適切な濃度に増殖させ、且つ腫瘍細胞が対数増殖期にある場合、腫瘍細胞を収集し、カウントしてDPBS(リン酸塩緩衝溶液)に再懸濁し、細胞懸濁液の濃度を3×106/mLに調整して接種に用いる。
【0301】
マウス結腸癌移植腫瘍の確立:細胞を収集し、濃度を3×106細胞/ミリリットル(DPBSで細胞懸濁液に再懸濁した)に調整し、滅菌条件下で、マウスの右側背部に0.1 mLの腫瘍細胞を皮下注射し、各マウスに接種される細胞数は3×105であった。腫瘍が一定の大きさに増殖した後にデジタルノギスで腫瘍の長さ(a)及び幅(b)を測定し、腫瘍体積を計算し、腫瘍体積(Tumor volume, TV)の計算式はTV=a×b2/2であった。
【0302】
CT-26腫瘍細胞の接種:接種当日に動物の体重に応じて群分けして投与し、1群当たり8匹の動物にし、接種当日はD0として示された。腫瘍が60 mm3程度に増殖した時に腫瘍の大きさ及び体重に応じて抗体群を群分けした。実験期間に動物の体重及び腫瘍の大きさを週に3回測定し、同時に動物の臨床症状を毎日観察して記録し、毎回の投与は、いずれも最も近い一回に秤量された動物の体重を基準とした。30 mg/Kg QD(1日1回)、90 mg/Kg QD(1日1回)、200 mg/Kg QD(1日1回)の投与量で21日間投与した後のマウス結腸癌移植腫瘍に対する化合物の阻害効果を測定し、具体的な情報は下記表5に示されている。
【0303】
抗腫瘍活性の評価指標は相対腫瘍増殖率T/C(%)であり、T/C(%)>40%は無効を示し、T/C(%)≦40%で、且つ統計学的処理においてP<0.05は有効を示し、T/C(%)の計算式はT/C(%)=(TRTV/CRTV)×100%であった。TRTVは治療群の相対腫瘍体積であり、CRTVは陰性対照群の相対腫瘍体積であり、TGI(%)a=(1-処理群の投与終了時の平均腫瘍体積/溶媒対照群の治療終了時の腫瘍体積)×100%。
【0304】
【表5】
【0305】
実験結論:本発明に係る化合物は、マウス結腸癌移植腫瘍に対して顕著な阻害効果を有する。

【国際調査報告】