(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-23
(54)【発明の名称】多孔質溶解性固体構造体
(51)【国際特許分類】
A61K 8/46 20060101AFI20230116BHJP
C11D 17/06 20060101ALI20230116BHJP
C11D 1/28 20060101ALI20230116BHJP
C11D 1/10 20060101ALI20230116BHJP
C11D 1/90 20060101ALI20230116BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20230116BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20230116BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20230116BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20230116BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230116BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20230116BHJP
A61K 8/42 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
A61K8/46
C11D17/06
C11D1/28
C11D1/10
C11D1/90
C11D3/37
C11D3/20
A61K8/44
A61K8/81
A61K8/34
A61Q19/10
A61K8/42
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528986
(86)(22)【出願日】2019-11-20
(85)【翻訳文提出日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 CN2019119586
(87)【国際公開番号】W WO2021097691
(87)【国際公開日】2021-05-27
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホンシン タン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ウェイン グレン ジュニア
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC302
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC791
4C083AC792
4C083AD111
4C083AD112
4C083BB05
4C083CC23
4C083DD21
4C083EE50
4C083FF04
4H003AB09
4H003AB21
4H003AB22
4H003AD04
4H003BA10
4H003BA19
4H003DA02
4H003EB05
4H003EB08
4H003EB33
4H003ED02
(57)【要約】
多孔質溶解性固体は、イセチオネート界面活性剤と、非サルフェートアニオン性界面活性剤と、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせとを含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質溶解性固体構造体であって、
a.前記多孔質溶解性固体の約20重量%~約50重量%、好ましくは約22重量%~約50重量%、より好ましくは約28重量%~約45重量%、更により好ましくは約34重量%~約41重量%のイセチオネート界面活性剤、好ましくはココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイルメチルイセチオン酸ナトリウム、又はこれらの組み合わせと、
b.前記多孔質溶解性固体の約4重量%~約25重量%、好ましくは約6重量%~約18重量%、より好ましくは約8重量%~約16重量%、更により好ましくは約10重量%~約16重量%の非サルフェートアニオン性界面活性剤、好ましくはココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウレススルホコハク酸二ナトリウム、又はこれらの組み合わせと、
c.前記固体構造体の約5重量%~約28重量%、好ましくは約7重量%~約26重量%、より好ましくは約9重量%~約24重量%、更により好ましくは約11重量%~約22重量%の両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせ、好ましくはラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、又はこれらの組み合わせと、
d.前記多孔質溶解性固体構造体の約18重量%~約38重量%、好ましくは約20重量%~約36重量%、より好ましくは約22重量%~約34重量%、更により好ましくは約24重量%~約32重量%のポリビニルアルコールと、
e.約4.5%~約20%、好ましくは約5.5%~約17%、より好ましくは約6.5%~約14%、更により好ましくは約7.5%~約11%のグリセリンと、
を含み、
前記多孔質溶解性固体構造体が、約0.05g/cm
3~約0.20g/cm
3、好ましくは約0.07g/cm
3~約0.18g/cm
3、より好ましくは約0.09g/cm
3~約0.16g/cm
3、又は更により好ましくは約0.11g/cm
3~約0.14g/cm
3の密度を有する、多孔質溶解性固体構造体。
【請求項2】
破断点歪みが、20mm以上、好ましくは25mm以上、より好ましくは30mm以上、又は更により好ましくは35mm以上である、請求項1又は2に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項3】
イセチオネートのレベルが、約20重量%~約30重量%であり、非サルフェートアニオン性界面活性剤のレベルが、約15重量%~約25重量%であり、両性及び/又は双性イオン性界面活性剤のレベルが、約15重量%~約25重量%である、請求項1又は2に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項4】
イセチオネートのレベルが、約31重量%~約41重量%であり、非サルフェートアニオン性界面活性剤のレベルが、約7重量%~約18重量%であり、両性及び/又は双性イオン性界面活性剤のレベルが、約7重量%~約18重量%である、請求項1又は2に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項5】
イセチオネートのレベルが、約38重量%~約41重量%であり、非サルフェートアニオン性界面活性剤のレベルが、約7重量%~約17重量%であり、両性及び/又は双性イオン性界面活性剤のレベルが、約7重量%~約17重量%である、請求項1又は2に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項6】
前記イセチオネートが、ココイルイセチオン酸ナトリウムを含み、前記非サルフェートアニオン性界面活性剤が、ココイルグルタミン酸ナトリウムを含み、前記双性イオン性界面活性剤が、ラウラミドプロピルベタインを含む、請求項5に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項7】
前記イセチオネートが、約15重量%~約32重量%のラウロイルメチルイセチオン酸ナトリウム、及び約7重量%~約25重量%のココイルイセチオン酸ナトリウムを含み、前記非サルフェートアニオン性界面活性剤が、ココイルグルタミン酸ナトリウムを含み、前記双性イオン性界面活性剤が、ラウラミドプロピルベタインを含む、請求項5に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項8】
イセチオネートのレベルが、約21重量%~約25重量%であり、非サルフェートアニオン性界面活性剤のレベルが、約14重量%~約17重量%であり、両性及び/又は双性イオン性界面活性剤のレベルが、約22重量%~約25重量%である、請求項1又は2に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項9】
イセチオネートのレベルが、約21重量%~約25重量%であり、非サルフェートアニオン性界面活性剤のレベルが、約22重量%~約25重量%であり、両性及び/又は双性イオン性界面活性剤のレベルが、約14重量%~約17重量%である、請求項1又は2に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項10】
前記イセチオネートが、ココイルイセチオン酸ナトリウムを含み、前記非サルフェートアニオン性界面活性剤が、ココイルグルタミン酸ナトリウム及びラウレススルホコハク酸二ナトリウムを含み、前記双性イオン性界面活性剤が、ラウラミドプロピルベタインを含む、請求項8又は9に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項11】
前記イセチオネートが、ココイルイセチオン酸ナトリウムを含み、前記非サルフェートアニオン性界面活性剤が、ココイルグルタミン酸ナトリウムを含み、前記双性イオン性界面活性剤が、ラウラミドプロピルベタインを含む、請求項8又は9に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項12】
前記多孔質溶解性固体構造体が、複数の層を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項13】
総界面活性剤量が、前記多孔質溶解性構造体の約40重量%~約70重量%である、請求項1~12のいずれか一項に記載の多孔質溶解性固体の構造体。
【請求項14】
水溶性ポリマーがポリビニルアルコールを含み、可塑剤がグリセリンを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項15】
前記多孔質溶解性固体構造体が、連続気泡発泡体である、請求項1~14のいずれか一項に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、非サルフェート界面活性剤を含有する多孔質溶解性固体構造体を目的とする。
【背景技術】
【0002】
水溶性ポリマー担体又はマトリックス中に界面活性剤及び/又は他の活性成分を含む多孔質溶解性固体構造体は、洗浄のために使用することができる。このようなシートは、水中での溶解時に界面活性剤及び/又は他の活性成分を送達するのに特に有用である。同じ製品カテゴリにおける従来の顆粒又は液体の形態と比較して、このような構造体は、より優れた構造的一体性を有し、より濃縮され、保管、輸送/運送、運搬、及び取り扱いがより容易である。サルフェートを含まない洗浄剤が最近奨励されている。しかしながら、溶解性固体構造体では、従来、サルフェートベースの洗浄剤が使用されており、それを除去すると、加工が困難な構造体が創出される場合がある。したがって、加工可能なサルフェートフリーの溶解性固体構造体が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、本出願は、多孔質溶解性固体構造体であって、a)当該多孔質溶解性固体の約20重量%~約50重量%、好ましくは約20重量%~約50重量%、より好ましくは約28重量%~約45重量%、更により好ましくは約34重量%~約41重量%のイセチオネート界面活性剤、好ましくはココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイルメチルイセチオン酸ナトリウム、又はこれらの組み合わせと、b)当該多孔質溶解性固体の約4重量%~約20重量%、好ましくは約6重量%~約18重量%、より好ましくは約8重量%~約16重量%、更により好ましくは約10重量%~約16重量%の非サルフェートアニオン性界面活性剤、好ましくはココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウレススルホコハク酸二ナトリウム、又はこれらの組み合わせと、c)当該固体構造体の約5重量%~約28重量%、好ましくは約7重量%~約26重量%、より好ましくは約9重量%~約24重量%、更により好ましくは約11重量%~約22重量%の両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせ、好ましくはラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、又はこれらの組み合わせと、b)当該多孔質溶解性固体構造体の約18重量%~約38重量%、好ましくは約20重量%~約36重量%、より好ましくは約22重量%~約34重量%、更により好ましくは約24重量%~約32重量%のポリビニルアルコールと、e)約4.5%~約20%、好ましくは約5.5%~約17%、より好ましくは約6.5%~約14%、更により好ましくは約7.5%~約11%のグリセリンと、を含み、当該多孔質溶解性固体構造体が、約0.05g/cm3~約0.20g/cm3、好ましくは約0.07g/cm3~約0.18g/cm3、より好ましくは約0.09g/cm3~約0.16g/cm3、又は更により好ましくは約0.11g/cm3~約0.14g/cm3の密度を有する、多孔質溶解性固体構造体を目的とする。
【0004】
これらの及びその他の態様は、以下の「発明を実施するための形態」を読むことにより、更に明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0005】
定義
本明細書で使用するとき、「可撓性」という用語は、物品が、その長手方向に垂直な中心線に沿って90度で曲げられた場合に、破損することなく、又は著しい破壊を伴わずに、応力に耐える物品の能力を意味する。好ましくは、このような物品は、顕著な弾性変形を受けることができ、5GPa以下、好ましくは1GPa以下、より好ましくは0.5GPa以下、最も好ましくは0.2GPa以下のヤング率によって特徴付けられる。
【0006】
本明細書で使用するとき、「固体」という用語は、物品が制限されずかつ外力が物品に加えられていない場合に、20℃で、かつ大気圧下で、その形状を実質的に保持する(即ち、その形状においていかなる可視変化もない)、物品の能力を意味する。
【0007】
多孔質溶解性固体構造体は、まず様々な材料を含有するプレミックスを調製し、次いで、その中にガスを導入することによってプレミックスに通気し、続いて、通気されたプレミックスをシートに成形し、最後に、シートを高温で乾燥させることによって作製することができる。多孔質溶解性固体構造体は、水蒸発、気泡崩壊、薄膜気泡表面から気泡間のプラトー境界への侵入型排液(気泡間に開口部を生成して連続気泡を形成する)、及びプレミックスの固化といった同時的な機構の下で、乾燥工程中に形成される。様々な加工条件が、例えば、湿潤プレミックス中の固体含有量、湿潤プレミックスの粘度、重力、及び乾燥温度などのこれらの機構、並びに制御された排液を達成して所望の多孔質溶解性固体構造体を形成するように加工条件を均衡化させる必要性に影響し得る。
【0008】
ここでは、多孔質溶解性固体構造体の製造プロセスの例を示す。供給トラフに、通気された湿潤プレミックスを充填する。加熱された回転可能なシリンダ(ドラム乾燥機とも称される)を、当該供給トラフの上方に配置する。当該加熱されたドラム乾燥機は、約130℃の制御された表面温度を特徴とする円筒状の加熱された外面を有し、これは、(矢頭を伴う細い曲線によって示されているように)時計回り方向に沿って回転して、通気された湿潤プレミックスを供給トラフから引き上げる。通気された湿潤プレミックスは、ドラム乾燥機の円筒状の加熱された外面上に薄いシートを形成し、当該乾燥機は、このような通気された湿潤プレミックスのシートを約10~15分間回転及び乾燥させて、多孔質固体構造体を形成する。通気された湿潤プレミックスの粘度並びにドラム乾燥機の回転速度及び表面温度を単純に調節することによって、シートの厚さを制御することも可能であるが、このように形成されたシートの一貫した厚さを確保するために、プレミックス引き上げ位置の近傍にレベリングブレードを配置してもよい。乾燥したら、次に、ドラム回転の最後に手動で又はスクレーパによって、多孔質固体構造体を引き上げることができる。更なる加工の用意のために、多孔質固体構造体のシートをロール状に巻き取ってもよい。
【0009】
湿潤プレミックスは、多孔質固体構造体になる過程でかなり厳密なプロセスを通過し、完成した多孔質固体構造体は、消費者に優しい製品に成形するために追加の加工に供され得る。したがって、多孔質固体構造体を形成するためのプレミックス及び形成された多孔質固体構造体の両方を加工する能力が重要である。サルフェートベースの界面活性剤をプレミックス製剤から除去した場合、これらの製剤の多孔質固体構造体への加工及び多孔質固体構造体の形成後の加工中に問題があった。これらの問題としては、例えば、ロールの巻きをほどき、切断している間の剥離能、回転能、及び強度を挙げることができる。
【0010】
初期非サルフェート製剤の評価において、加工性に関するいくつかの問題があったことが判明している。非サルフェート製剤は、不十分な引張特性を有する傾向があり得、それによって、プレミックス及び/又は得られる多孔質固体構造体の加工及び商品化が困難になると考えられる。破断点歪みの引張特性は、製剤の加工性及びスケールアップ、並びに特にロールの巻きをほどき、細断/切断している間の剥離能、回転能、及び強度と相関することが見出されている。特に、20mm以上の破断点歪みは、生成物が十分に加工可能であることを予測する傾向がある。したがって、多孔質溶解性構造体の破断点歪みは、例えば、20mm以上、30mm以上、又は35mm以上であってよい。
【0011】
驚くべきことに、本発明者らは、補助的なアニオン性共界面活性剤及び両性/双性イオン性界面活性剤と組み合わせて、高レベルのイセチオネートベースの界面活性剤(多孔質溶解性固体の20重量%以上)を主界面活性剤として含む多孔質溶解性固体構造体が、依然として消費者に関連する条件下で高速溶解特性を提供しながら、上述した加工上の課題を解決するために段階的に変化する引張強度を提供することを見出した。理論に拘束されるものではないが、補助的なアニオン性共界面活性剤及び両性/双性イオン性界面活性剤を用いて、(乾燥プロセス中の通気後の気泡の開口並びに高い弾性及び引張強度を可能にするのに)十分な程度にそれを調節することによって、イセチオネート界面活性剤の結晶化度を平衡化することにより、許容可能な多孔質溶解性固体構造体の形成が可能になると仮定される。
【0012】
しかしながら、界面活性剤カクテルの平衡化には、多少の作業を要した。以下の表1から分かるように、様々なレベルの類似の界面活性剤を含有するいくつかの多孔質固体構造体(正確な処方は、以下の実施例のセクションに記載)は、大幅に異なる破断点歪み値を有する。20mm以上の破断点歪み値は、適切に加工可能である多孔質溶解性固体構造体を意味すると考えられる。したがって、14及び20~24の番号の付いた実施例は、許容できない破断点歪みを有する。
【0013】
【0014】
プレミックス
上記のように、多孔質溶解性固体構造体は、プレミックスとして始まる。プレミックスは、一般に、所望の成分を混合することによって調製される。多孔質溶解性固体構造体の成分としては、例えば、界面活性剤、水溶性ポリマー、可塑剤、水などを挙げることができる。これらについては、以下でより詳細に論じる。プレミックスは、メカニカルミキサーを使用して形成することができる。本明細書で有用なメカニカルミキサーとしては、勾配のあるブレードタービン、又はMAXBLEND(商標)ミキサー(Sumitomo Heavy Industries)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
最適な加工性のために、プレミックスの粘度を調整してもよい。それは、例えば、40℃及び1s-1で測定した場合、約1,000cps~約25,000cpsの範囲であり得る。プレミックスの粘度は、後続の乾燥工程中の通気されたプレミックスの細孔膨張及び細孔開口に著しい影響を及ぼし得、異なる粘度を有するプレミックスからは、非常に異なる発泡構造体の柔軟性多孔質溶解性固体シート物品が形成され得る。一方、プレミックスが約25,000cpsよりも高い粘度を有する場合、そのような湿潤プレミックスの通気はより困難になる場合がある。より重要なことに、後続の乾燥工程中の薄膜気泡面から三次元発泡体のプラトー境界内への介在液体排出は、悪影響を受け得るか、又は著しく制限され得る。乾燥中の侵入型排液は、後続の乾燥工程中の通気された湿潤プレミックスの細孔膨張及び細孔開口に影響を及ぼす。その結果、そのように形成された可撓性多孔質溶解性固体シート物品は、それによって、著しく小さい細孔及び細孔間のより低い相互結合性(すなわち、開いた細孔よりも「閉じた」細孔の方が多い)を有してもよく、これにより、水がそのようなシート物品の中へ進入し、そこから退出することを困難にする。他方、プレミックスが約1,000cps未満の粘度を有する場合、通気された湿潤プレミックスは十分に安定ではなくなる場合がある、すなわち、通気後及び乾燥前に湿潤プレミックス中で気泡があまりにも迅速に破裂、崩壊、又は合体する場合がある。結果として、得られる固体シート物品は、所望のものに比べて、はるかに多孔性が低く、より高密度であってもよい。
【0016】
したがって、プレミックスの粘度は、例えば、40℃及び1sec-1で測定したとき、約1,000cps~約25,000cps、約3,000cps~約24,000cps、約5,000cps~約23,000cps、又は約10,000cps~約20,000cpsの範囲であり得る。プレミックスの粘度値は、コーン及びプレート形状を有するMalvern Kinexus Lab+レオメーター(CP1/50 SR3468 SS)を使用して、ギャップ幅0.054mm、温度40℃、及び剪断速度1.0レシプロカル秒で360秒間測定することができる。
【0017】
プレミックス中の固形分のレベルも加工性に影響を及ぼす場合がある。プレミックス中の固形分のレベルは、例えば、当該湿潤プレミックスの総重量の約15%~約70%、約20%~約50%、又は約25%~約45%であり得る。固体含有パーセントは、水及び低沸騰アルコールのような明らかに揮発性のあらゆる物質を除いた、固体成分、半固体成分、及び液体成分の全ての総加工混合物の重量による重量パーセントの合計である。
【0018】
通気プロセスの直前及び/又は通気プロセス中に、周囲温度よりも高いが、その内部で成分の分解を引き起こす任意の温度よりも低い温度で、湿潤プレミックスを予熱してもよい。例えば、湿潤プレミックスを、約40℃~約100℃、約50℃~約95℃、約60℃~約90℃、又は約75℃~約85℃の範囲の高温で維持してよい。更に、通気前に達した温度などの高温でプレミックスを維持しようと試みるために、通気プロセス中に追加の熱を加えてもよい。これは、例えば、1つ以上の表面からの伝導性加熱、蒸気の注入、又は他の加工手段を介して達成することができる。
【0019】
混合物への気泡の導入及び所望の固体シート物品の形成を改善するために、通気工程前に及び/又は通気工程中に、湿潤プレミックスを予め加熱する行為により、固体をより高い含有パーセントで含む湿潤プレミックスの粘度を低下させる方法が提供され得ると考えられる。固体のより高い含有パーセントを実現することは、乾燥の全体的なエネルギー要件を低減し得るために望ましい。したがって、固体パーセントの増加は逆に、水濃度含有量の減少及び粘度の増加をもたらし得る。上記のように、高すぎる粘度を有するプレミックスは望ましくない。予め加熱することは、そのような粘度を効果的に妨害し、これにより、高い固体含有量のプレミックスを使用した場合であっても、高速溶解性シート物品の製造を可能にする。
【0020】
プレミックスに通気してもよい。湿潤プレミックスの通気は、後で、乾燥時にその中に多孔質溶解性固体構造体を形成するのに十分な量の気泡を湿潤プレミックスに導入するために実施される。十分に通気されたら、プレミックスは、通気されていないプレミックス(不注意に補足された気泡をわずかに含んでもよい)又は不十分に通気された湿潤プレミックス(いくつかの気泡を含有する場合があるが、体積割合ははるかに低く、気泡サイズは著しく大きい)よりも低い密度を特徴とする。通気された湿潤プレミックスは、例えば、約0.05g/mL~約0.5g/mL、約0.08g/mL~約0.4g/mL、約0.1g/mL~約0.35g/mL、約0.15g/mL~約0.3g/mL、又は約0.2g/mL~約0.25g/mLの範囲の密度を有する。
【0021】
通気は、物理的又は化学的手段のいずれによっても達成することができる。例えば、通気は、例えば、ローターステーターミキサー、遊星ミキサー、加圧ミキサー、非加圧ミキサー、バッチミキサー、連続ミキサー、半連続ミキサー、高剪断ミキサー、低剪断ミキサー、水中スバージャー、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない、任意の好適な機械的加工手段を使用することによって、機械的撹拌を通して湿潤プレミックスにガスを導入することにより達成することができる。通気は、例えば、発泡系による二酸化炭素(CO2ガス)の形成を含む、1つ以上の成分の化学反応を介してその場でガスを形成させるために化学的発泡剤を使用することによって、化学的手段を介して達成することもできる。
【0022】
通気されたプレミックスの気泡サイズは、得られる固体シート物品の多孔質溶解性固体構造体において均一な層を実現するのを支援する。通気されたプレミックスの気泡サイズは、例えば、約5~約100マイクロメートル又は約20マイクロメートル~約80マイクロメートルであり得る。気泡サイズの均一性により、得られる多孔質溶解性固体構造体が一貫した密度を有するようになる。
【0023】
シート形成
十分な通気後、通気されたプレミックスは、対向する第1及び第2の側面を有する1枚以上のシートを形成することができる。シート形成工程は、任意の好適な方法で、例えば、押出成形、鋳造、成型、真空成形、プレス、印刷、コーティングなどによって実施することができる。より具体的には、通気されたプレミックスは、(i)それを浅いキャビティ若しくはトレー又は特別に設計されたシート型に鋳造することと、(ii)それを乾燥機の連続ベルト又はスクリーン上に押出成形することと、(iii)それを回転ドラム乾燥機の外面上にコーティングすることと、を行うことによってシートに形成することができる。シートが形成される支持面は、金属(例えば、鋼、クロムなど)、TEFLON(登録商標)、ポリカーボネート、NEOPRENE(登録商標)、HDPE、LDPE、ゴム、ガラスなどの、防食、非干渉、及び/又は非粘着性の材料によって形成されてもよく、又はコーティングされてもよい。好適な製造方法の例は、例えば、CN2019/071751、国際公開第2012138820号及び同第2010077627号に見出すことができ、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
通気された湿潤プレミックスの形成されたシート、すなわち、多孔質固体溶解性構造体は、例えば、0.5mm~4mm、0.6mm~3.5mm、0.7mm~3mm、0.8mm~2mm、又は0.9mm~1.5mmの範囲の厚さを有し得る。そのような通気されたプレミックスの形成されたシートの厚さを制御することは、得られる固体シート物品が所望の連続気泡構造を有することを確実にするために重要であり得る。形成されたシートが薄すぎる(例えば、厚さが0.5mm未満)場合、通気されたプレミックス中に捕捉された気泡の多くが後続の乾燥工程中に膨張して、得られる固体シート物品の厚さ全体にわたって延在する貫通孔を形成する。このような貫通孔は、多すぎる場合、シート物品の全体的な構造的完全性及び美的外観の両方を著しく損なう場合がある。形成されたシートが厚すぎる場合、乾燥により長い時間がかかるだけでなく、その厚さに沿って異なる領域(例えば、上部、中央部、及び底部領域)間での細孔径の変動がより大きな固体シート物品が生じる。乾燥時間が長いほど、気泡の破裂/崩壊/合体、排液、細孔膨張、細孔開口、水蒸発などを通して、より大きな力の不均衡が生じ得る。更に、比較的薄いシートの複数の層を、所望の洗浄効果又は他の効果をもたらすために、より大きな厚さの三次元構造に組み立てることができ、一方で、依然として、迅速に溶解するために十分な細孔構造を提供すると共に、比較的短い乾燥時間内で効率的な乾燥を確実にすることができる。
【0025】
乾燥
多孔質溶解性固体構造体は、当技術分野において適切な任意の方法で乾燥させてよい。乾燥中、プロセスは、乾燥時間全体又は乾燥時間の少なくとも半分のいずれかに及ぶ、反重力加熱方向の使用を含み得る。いかなる理論にも束縛されるものではないが、このような反重力加熱方向は、乾燥工程中に形成されたシートの底部領域に向かう過度の介在液体排出を低減又は妨害することができると考えられる。更に、上面が最後に乾燥されるので、形成されたシートの上面付近の気泡を膨張させ、上面に細孔開口を形成するのにより長い時間を可能にする(湿潤マトリックスが乾燥されると、気泡はもはや膨張しないか、又は表面開口を形成することができないため)。その結果、このような反重力加熱による乾燥によって形成される多孔質溶解性固体構造体は、より迅速な溶解、並びに他の予想外の効果を可能にすることができる、改善された連続気泡構造を特徴とする。反重力加熱は、例えば、回転ドラム、伝導ベースの加熱構成などによって提供され得る。
【0026】
乾燥プロセスはまた、加熱された回転可能なシリンダの使用を含んでいてもよい。多くの場合ドラム乾燥で使用される、加熱された回転可能なシリンダは、例えば蒸気又は電気によって内部で加熱することができ、例えば、所定の回転速度でベースブラケットに取り付けられた電動駆動装置によって回転させることができる。加熱された回転可能なシリンダ又はドラムは、例えば、約0.5メートル~約10メートル、約1メートル~約5メートル、又は約1.5メートル~約2メートルの範囲の外径を有し得る。それは、例えば、約80℃~約170℃、約90℃~約150℃、約100℃~約140℃の制御された表面温度を有し得る。更に、このような加熱された回転可能なシリンダは、例えば、約0.005rpm~約0.25rpm、約0.05rpm~約0.2rpm、又は約0.1rpm~約0.18rpmの速度で回転し得る。
【0027】
当該加熱された回転可能なシリンダは、その外面が非粘着性コーティングでコーティングされていてもよい。非粘着性コーティングは、加熱された回転可能なドラムの外面上に重なってもよく、又は加熱された回転可能なドラムの外面の媒体に固定されてもよい。媒体としては、耐熱不織布、耐熱性炭素繊維、耐熱金属又は非金属メッシュ等が挙げられるが、これらに限定されない。非粘着性コーティングは、シート形成プロセス中の損傷からシート状物品の構造的一体性を効果的に維持することができる。
【0028】
また、上述した原材料の通気されたプレミックスを加熱された回転可能なドラム上に加えるための供給機構を提供し、それによって、加熱された回転可能なドラムの外面上に粘性プレミックスの薄層を形成することもできる。したがって、プレミックスのこのような薄層は、加熱された回転可能なドラムによって接触加熱/乾燥を介して乾燥される。供給機構は、例えば、供給トラフを含み得るが、当該供給トラフには、少なくとも1つ以上の供給ホッパと、供給の動的観察のための撮像装置と、供給ホッパの位置及び傾斜角度を調整するための調整装置と、が設置されている。当該調整装置を使用して、当該供給ホッパと加熱された回転可能なドラムの外面との間の距離を調整することによって、形成されたシート状物品の厚さを異ならせるという必要性を満たすことができる。調整装置はまた、速度及び品質の材料要件を満たすように、供給ホッパを異なる傾斜角度に調整するために使用することができる。
【0029】
加熱された回転可能なドラムによって既に形成されている多孔質溶解性固体構造体を掻き取る又は掬い上げるための静的掻き取り機構が存在していてもよい。静的掻き取り機構は、更なる加工のために既に形成されている多孔質溶解性固体構造体を下流に搬送するために、例えば、ベースブラケット上又はその片側に設置してよい。静的掻き取り機構は、加熱された回転可能なドラムに、自動的に又は手動で接近し及びそこから離れるように移動することができる。
【0030】
多孔質溶解性固体構造体物品の作製プロセスは、以下のとおりであってよい。まず、ベースブラケット上の非粘着コーティングを有する加熱された回転可能なドラムを、電動駆動装置によって駆動する。次に、調整装置が、供給ホッパと加熱された回転可能なドラムの外面との間の距離が予め設定された値になるように供給機構を調整する。一方、供給ホッパは、多孔質溶解性固体構造体を作製するための原材料の全て又は一部を含有する通気されたプレミックスを、加熱された回転可能なドラムの外面上に加えて、その上に、所望の厚さを有する当該通気された湿潤プレミックスの薄層を形成する。任意選択で、加熱シールドの吸引装置が、加熱された回転可能なドラムによって生成された熱蒸気を吸引する。次に、加熱された回転可能なドラムによって比較的低温(例えば、130℃)で乾燥させた後に、通気された湿潤プレミックスの薄層によって形成された乾燥/固化したシート物品を、静的掻き取り機構が掻き取る/掬い上げる。乾燥/固化したシート物品はまた、このような静的掻き取り機構を用いずに、手動で又は自動的に剥離され、次いでローラーバーによって巻き上げることもできる。
【0031】
総乾燥時間は、プレミックスの処方及び固形分含有量、乾燥温度、熱エネルギー流入、及び乾燥される多孔質溶解性固体構造体の厚さに依存する。乾燥時間は、例えば、約1分~約60分、約2分~約30分、約2~約15分、約2~約10分、又は約2~約5分であり得る。
【0032】
このような乾燥時間中、乾燥時間の半分超、(例えば、上述の回転ドラムベースの加熱/乾燥構成におけるもののように)乾燥時間の55%若しくは60%超、又は(例えば、底部伝導ベースの加熱/乾燥構成におけるもののように)乾燥時間の75%超若しくは更には100%にわたって重力方向と実質的に反対となるように加熱方向を配置してよい。更に、通気された湿潤プレミックスのシートは、第1の期間にわたって第1の加熱方向下で、次いで、第2の期間にわたって第2の反対の加熱方向下で乾燥させてよいが、第1の加熱方向は、重力方向と実質的に反対である。このような加熱方向の変化は、例えば、長手方向中心軸に沿って回転することができる蛇行形状の細長い加熱ベルトによって、本明細書に図示されていない様々な他の構成によって容易に達成することができる。
【0033】
多孔質溶解性固体シート物品は、以下のうちの1つ以上を更に特徴とし得る:
・約85%~100%又は約90%~100%の連続気泡含有率、
・約150μm~約1000μm又は約200μm~約600μmの全体平均孔径、
・約5μm~約200μm、約10μm~約100μm、又は約10μm~約80μmの平均気泡壁厚さ、
・当該多孔質溶解性固体構造体の約0.5重量%~約25重量%、約1重量%~約20%重量%、又は約3重量%~約10%重量%の最終水分含量、
・約0.6mm~約3.5mm、約0.7mm~約3mm、約0.8mm~約2mm、又は約1mm~約1.5mmの範囲の厚さ、
・約50グラム/m2~約250グラム/m2、約80グラム/m2~約220グラム/m2、又は約100グラム/m2~約200グラム/m2の坪量、
・約0.05グラム/cm3~約0.5グラム/cm3、約0.06グラム/cm3~約0.4グラム/cm3、約0.07グラム/cm3~約0.2グラム/cm3、又は約0.08グラム/cm3~約0.15グラム/cm3の密度、
・約0.03m2/g~約0.25m2/g、約0.04m2/g~約0.22m2/g、約0.05m2/g~約0.2m2/g、又は約0.1m2/g~約0.18m2/gの比表面積。
【0034】
配合物
本明細書に記載される多孔質溶解性固体構造体は、例えば、界面活性剤、水溶性ポリマー、可塑剤、添加剤などを含有し得る。多孔質溶解性固体構造体は、例えば、多孔質溶解性固体構造体の約25重量%~約80重量%、約40重量%~約70重量%の総界面活性剤を含み得る。それはまた、多孔質溶解性固体構造体の約10重量%~約40重量%の水溶性ポリマーを含み得る。多孔質溶解性構造体はまた、複数の層を含んでいてもよい。これらの層は、例えば、多孔質溶解性固体構造体の単層で構成され得る。単層多孔質溶解性構造体は、例えば、シートのような任意の適用可能な形態であってよい。多孔質溶解性構造体は、柔軟性であってもよい。多孔質溶解性固体構造体は、例えば、皮膚洗浄剤として使用することができる。多孔質溶解性固体構造体は、連続気泡発泡体であり得る。
【0035】
界面活性剤
界面活性剤は、所望の連続気泡構造を形成するのに十分な量の安定した気泡を作製するために、通気プロセス中に乳化剤として機能し得る。界面活性剤は、所望の洗浄効果を送達するための活性成分としても機能し得る。多孔質溶解性固体構造体は、例えば、イセチオネート界面活性剤、非サルフェートアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、又は両性界面活性剤と双性イオン性界面活性剤との組み合わせを含み得る。
【0036】
イセチオネート界面活性剤は、多孔質溶解性固体の約20重量%~約50重量%、約22重量%~約50重量%、約28重量%~約45重量%、約31重量%~約41重量%、約34重量%~約41重量%、約38重量%~約41重量%、約20重量%~約30重量%、約21重量%~約25重量%のレベルで存在し得る。イセチオネート界面活性剤は、例えば、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイルメチルイセチオン酸ナトリウム、又はこれらの組み合わせを含み得る。一例では、多孔質溶解性固体構造体は、約15重量%~約32重量%のラウロイルメチルイセチオン酸ナトリウムと、約7重量%~約25重量%のココイルイセチオン酸ナトリウムと、を含む。別の例では、多孔質溶解性固体構造体は、約21重量%~約25重量%のココイルイセチオン酸ナトリウムを含む。
【0037】
非サルフェートアニオン性界面活性剤は、サルフェートを含まないアニオン性界面活性剤を含む。非サルフェートアニオン性界面活性剤は、多孔質溶解性固体構造体の約4重量%~約25重量%、約6重量%~約18重量%、約7重量%~約18重量%、約7重量%~約17重量%、約8重量%~約16重量%、約10重量%~約16重量%、約14重量%~約17重量%、約15重量%~約25重量%、又は約22重量%~約25重量%のレベルで存在し得る。非サルフェートアニオン性界面活性剤としては、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸二ナトリウム、ラウレススルホコハク酸二ナトリウム、ココイルタウリン酸ナトリウム、ラウロイルタウリン酸ナトリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム、ラウロイル乳酸ナトリウム、ラウロイルグリシン酸ナトリウム、ココイルグリシン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。非サルフェートアニオン性界面活性剤のサブセットは、例えば、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウレススルホコハク酸二ナトリウム、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0038】
両性及び/又は双性イオン性界面活性剤は、多孔質固体構造体の約5重量%~約28重量%、約7重量%~約26重量%、約9重量%~約24重量%、約11重量%~約22重量%、約7重量%~約18重量%、約7重量%~約17重量%、約14重量%~約17重量%、約15重量%~約25重量%、又は約22重量%~約25重量%のレベルで存在し得る。本明細書で使用するのに好適な両性共界面活性剤としては、脂肪族ラジカルが直鎖又は分枝鎖であってよく、脂肪族置換基のうちの1つが約8~約18個の炭素原子を含有し、1つが、カルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、又はホスホネートなどのアニオン性基を含有する、脂肪族二級及び三級アミンの誘導体として説明される界面活性剤を挙げることができる。好適な両性界面活性剤としては、コカミノプロピオン酸ナトリウム、コカミノジプロピオン酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、ココアンホプロピオン酸ナトリウム、コーンアンホプロピオン酸ナトリウム、ラウラミノプロピオン酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホヒドロキシプロピルスルホン酸ナトリウム、ラウロアンホプロピオン酸ナトリウム、コーンアンホプロピオン酸ナトリウム、ラウリミノジプロピオン酸ナトリウム、コカミノプロピオン酸アンモニウム、コカミノジプロピオン酸アンモニウム、ココアンホ酢酸アンモニウム、ココアンホヒドロキシプロピルスルホン酸アンモニウム、ココアンホプロピオン酸アンモニウム、コーンアンホプロピオン酸アンモニウム、ラウラミノプロピオン酸アンモニウム、ラウロアンホ酢酸アンモニウム、ラウロアンホヒドロキシプロピルスルホン酸アンモニウム、ラウロアンホプロピオン酸アンモニウム、コーンアンホプロピオン酸アンモニウム、ラウリミノジプロピオン酸アンモニウム、コカミノプロピオン酸トリエタノールアミン、コカミノジプロピオン酸トリエタノールアミン、ココアンホ酢酸トリエタノールアミン、ココアンホヒドロキシプロピルスルホン酸トリエタノールアミン、ココアンホプロピオン酸トリエタノールアミン、コーンアンホプロピオン酸トリエタノールアミン、ラウラミノプロピオン酸トリエタノールアミン、ラウロアンホ酢酸トリエタノールアミン、ラウロアンホヒドロキシプロピルスルホン酸トリエタノールアミン、ラウロアンホプロピオン酸トリエタノールアミン、コーンアンホプロピオン酸トリエタノールアミン、ラウリミノジプロピオン酸トリエタノールアミン、ココアンホジプロピオン酸、カプロアンホ二酢酸二ナトリウム、カプロアンホジプロピオン酸二ナトリウム、カプリロアンホ二酢酸二ナトリウム、カプリロアンホジプロピオン酸二ナトリウム(disodium capryloamphodipriopionate)、ココアンホカルボキシエチルヒドロキシプロピルスルホン酸二ナトリウム、ココアンホ二酢酸二ナトリウム、ココアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ジカルボキシエチルココプロピレンジアミン二ナトリウム、ラウレス-5カルボキシアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウリミノジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウロアンホジプロピオン酸二ナトリウム、オレオアンホジプロピオン酸二ナトリウム、PPG-2-イソデセチル(isodecethyl)-7カルボキシアンホ二酢酸二ナトリウム、ラウラミノプロピオン酸、ラウロアンホジプロピオン酸、ラウリルアミノプロピルグリシン、ラウリルジエチレンジアミノグリシン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
両性共界面活性剤は、以下の構造による界面活性剤であってもよい:
【0040】
【化1】
式中、R
12は、9~15個の炭素原子を含む置換アルキル系、9~15個の炭素原子を含む非置換アルキル系、9~15個の炭素原子を含む直鎖アルキル系、9~15個の炭素原子を含む分枝鎖アルキル系、及び9~15個の炭素原子を含む不飽和アルキル系からなる群から選択されるC連結一価置換基であり、R
13、R
14、及びR
15は、それぞれ独立して、1~3個の炭素原子を含むC連結二価直鎖アルキル系、及び1~3個の炭素原子を含むC連結二価分枝鎖アルキル系からなる群から選択され、M+は、ナトリウム、アンモニウム、及びプロトン化トリエタノールアミンからなる群から選択される一価対イオンである。好適な両性界面活性剤の1つのサブセットは、ココアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ二酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ二酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸アンモニウム、ココアンホ酢酸アンモニウム、ラウロアンホ酢酸トリエタノールアミン、ココアンホ酢酸トリエタノールアミン、及びこれらの混合物を含む。
【0041】
多孔質溶解性固体構造体は、双性イオン性界面活性剤を含んでいてもよく、当該双性イオン性界面活性剤は、脂肪族ラジカルが直鎖又は分枝鎖であってよく、脂肪族置換基の1つが約8~約18個の炭素原子を含有し、1つが、カルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート又はホスホネートなどのアニオン性基を含有する、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体である。双性イオン性界面活性剤は、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルアミンオキシド、コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルジメチルアミノヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、コカミドプロピルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココベタインアミドアンホプロピオネート、ココ-ベタイン、ココ-ヒドロキシスルタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、ココ-スルタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、ラウリルスルタイン、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。好適な双性イオン性界面活性剤は、ラウリルヒドロキシスルタインである。双性イオン性界面活性剤は、ラウリルヒドロキシスルタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココ-ベタイン、ココ-ヒドロキシスルタイン、ココ-スルタイン、ラウリルベタイン、ラウリルスルタイン、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0042】
両性及び/又は双性イオン性界面活性剤のサブセットは、例えば、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0043】
水溶性ポリマー
多孔質溶解性固体構造体は、例えば、多孔質溶解性固体構造体の約18重量%~約38重量%、約22重量%~約34重量%、又は約24重量%~約32重量%の範囲の量の水溶性ポリマーを含み得る。
【0044】
本明細書において好適な水溶性ポリマーは、例えば、約50,000~約400,000ダルトン、約60,000~約300,000ダルトン、約70,000~約200,000ダルトン、又は約80,000~約150,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有するものから選択してよい。重量平均分子量は、各ポリマー原材料の平均分子量を合計し、多孔質溶解性固体構造体内に存在するポリマーの総重量の重量基準でのそれぞれの相対重量百分率を乗じることによって計算される。本明細書で使用される水溶性ポリマーの重量平均分子量は、湿潤プレミックスの粘度に影響を与える場合があり、これはひいては、通気工程中の気泡の数及びサイズ、並びに乾燥工程中の細孔膨張/開口結果に影響を与え得る。更に、水溶性ポリマーの重量平均分子量は、湿潤プレミックスの全体的なフィルム形成特性、及びある界面活性剤との適合性/不適合性に影響を及ぼし得る。
【0045】
本明細書で有用な水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、ポリアクリレート、カプロラクタム、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメチルアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタアクリレート、アクリル酸とメチルアクリレートとのコポリマー、ポリウレタン、ポリカルボン酸、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミン、ポリエチレンイミン、マレイン酸/(アクリレート又はメタクリレート)コポリマー、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸とのコポリマー、酢酸ビニルとクロトン酸とのコポリマー、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマー、ビニルピロリドンとカプロラクタムとのコポリマー、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、アニオン性モノマーと、カチオン性モノマーと、両性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの組み合わせを含む合成ポリマーを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0046】
水溶性ポリマーはまた、例としてカラヤガム、トラガカントガム、アラビアガム、アセマンナン、コンニャクマンナン、アカシアガム、ガティガム、乳清タンパク質分離物、及び大豆タンパク質分離物を含む植物起源のもの、グアーガム、ローカストビーンガム、マルメロ種子、及びオオバコ種子を含む種子抽出物、カラギーナン、アルギン酸、及び寒天などの海藻抽出物、果物抽出物(ペクチン)、キサンタンガム、ジェランガム、プルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、及びデキストランを含む微生物由来のもの、並びにカゼイン、ゼラチン、ケラチン、ケラチン加水分解物、スルホン酸ケラチン、アルブミン、コラーゲン、グルテリン、グルカゴン、グルテン、ゼイン、及びシェラックを含む動物起源のもの、を含む天然起源のポリマーから選択されてもよい。
【0047】
改質された天然ポリマーを、水溶性ポリマーとして使用してもよい。好適な改質された天然ポリマーとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート、ニトロセルロース及び他のセルロースエーテル/エステルのようなセルロース誘導体、並びにヒドロキシプロピルのようなグアー誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
水溶性ポリマーはまた、デンプンを含んでいてもよい。本明細書で使用するとき、「デンプン」という用語は、天然デンプン及び加工デンプンの両方を含む。デンプンの典型的な供給源としては、穀物、塊茎、根、豆果及び果実を挙げることができる。より具体的な天然の供給源としては、トウモロコシ、豆、ポテト、バナナ、大麦、小麦、米、サゴ、アマランス、タピオカ、アロールート、カンナ、サトウモロコシ、及びこれらのろう質又は高級アミラーゼ類を挙げることができる。天然デンプンは、剪断されたデンプン又は熱抑制されたデンプンなどの物理的に改質されたデンプン、架橋、アセチル化、及び有機エステル化、ヒドロキシエチル化、並びにヒドロキシプロピル化、リン酸化、並びに無機エステル化、カチオン性、アニオン性、非イオン性、両性及び双極性、並びにこれらのコハク酸塩及び置換サクシネート誘導体などの化学的に改質されたデンプン、酸化、酵素変換、酸加水分解、熱若しくは酸デキストリン化、熱的及び/又は剪断された生成物によって調製される流動性又は薄い煮沸デンプン、本明細書で有用であり得る熱及び/又は剪断生成物、を含むデンプンに由来する変換生成物、並びに、当該技術分野において既知のアルファ化デンプン、を含んだ改質デンプンを形成するために当該技術分野において既知の任意の改質方法によって改質することができる。
【0049】
水溶性ポリマーの有用なサブセットは、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、デンプン及びデンプン誘導体、プルラン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、又はこれらの組み合わせを含み得る。更に更なるサブセットは、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、又はこれらの組み合わせを含む。
【0050】
本明細書で有用なポリビニルアルコールは、約40%~約100%、約50%~約95%、約70%~約92%、又は約80%~約90%の範囲の加水分解度を特徴とするものを含み得る。市販のポリビニルアルコールとしては、SELVOL(商標)523、SELVOL(商標)530、SELVOL(商標)540、SELVOL(商標)518、SELVOL(商標)513、SELVOL(商標)508、SELVOL(商標)504が挙げられるがこれらに限定されない、Celanese Corporation(Texas,USA)製の商品名SELVOL(商標)、Kuraray Europe GmbH(Frankfurt,Germany)製の商品名Mowiol(登録商標)及びPOVAL(商標)、Lubon Vinylon Co.(Nanjing,China)を含む様々な供給元から市販されているPVA 1788(PVA BP17とも称される)、並びにこれらの組み合わせを挙げることができる。多孔質溶解性固体構造体は、例えば、このような物品の総重量の約10%~約25%又は約15%~約23%の、80,000~約150,000ダルトンの範囲の重量平均分子量及び約80%~約90%の範囲の加水分解度を有するポリビニルアルコールを含み得る。
【0051】
本明細書に記載するとおりの必須の構造及び物理的/化学的特徴を備える多孔質溶解性固体構造体を提供するのに役立つ限り、単一のデンプン又はデンプンの組み合わせを、必要とされる水溶性ポリマーの全体のレベルを低下させるような量で充填材料として使用してもよい。しかしながら、デンプンが多すぎると、シート物品の溶解度及び構造的一体性を含む場合がある。デンプンは、例えば、当該多孔質溶解性固体構造体の20重量%以下、0重量%~約10重量%、0%~5重量%、又は0重量%~1重量%のレベルで存在し得る。
【0052】
可塑剤
可塑剤は、当該多孔質溶解性固体構造体の総重量の約4.5%~約20%、約5.5%~約17%、約6.5%~約14%、7.5%~11%の範囲の量で多孔質溶解性固体構造体中に存在し得る。本明細書で使用するのに好適な可塑剤としては、例えば、ポリオール、コポリオール、ポリカルボン酸、ポリエステル、ジメチコンコポリオール、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0053】
有用なポリオールの例としては、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール(特に200~600)、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、グリセロール誘導体(プロポキシル化グリセロールなど)、グリシドール、シクロヘキサンジメタノール、ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチルペンタン-1,3-ジオール、ペンタエリスリトール、尿素、糖アルコール(ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、キシリトール、マルチトール、並びに他の一価及び多価アルコールなど)、単糖、二糖、及びオリゴ糖(フルクトース、グルコース、スクロース、マルトース、ラクトース、高フルクトースコーンシロップ固形物、及びデキストリンなど)、アスコルビン酸、ソルビン酸塩、エチレンビスホルムアミド、アミノ酸、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
ポリカルボン酸の例としては、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0055】
好適なポリエステルの例としては、グリセロールトリアセテート、アセチル化モノグリセリド、ジエチルフタレート、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
好適なジメチコンコポリオールの例としては、PEG-12ジメチコン、PEG/PPG-18/18ジメチコン、PPG-12ジメチコン、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
他の好適な可塑剤としては、アルキル及びアリルフタレート;ナフタレート;乳酸塩(例えば、ナトリウム塩、アンモニウム塩、及びカリウム塩);ソルベス-30;尿素;乳酸;ピロリドンカルボン酸ナトリウム(pyrrolidone carboxylic acid、PCA);ヒアルロン酸ナトリウム又はヒアルロン酸;可溶性コラーゲン;変性タンパク質;L-グルタミン酸モノナトリウム;グリコール酸、乳酸、クエン酸、マレイン酸及びサリチル酸などの、α及びβヒドロキシル酸;ポリメタクリル酸グリセリル;ポリクオタニウムなどのポリマー可塑剤;タンパク質、並びに、グルタミン酸、アスパラギン酸、及びリシンなどのアミノ酸;水素デンプン加水分解産物;その他の低分子量エステル(例えば、C2~C10アルコールと酸とのエステル);及び、食品及びプラスチック業界の当業者に既知である任意の他の水溶性可塑剤;並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
可塑剤の有用なサブセットは、グリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、及びこれらの混合物を含む。本明細書では、グリセリンが最も一般的に使用される可塑剤である。
【0059】
追加成分
上述の成分、例えば、水溶性ポリマー、界面活性剤、及び可塑剤に加えて、多孔質溶解性固体構造体は、その意図される用途に応じて、1つ以上の追加成分を含んでいてもよい。そのような1つ以上の追加成分は、例えば、パーソナルクレンジング活性物質を含み得る。そのような成分はまた、多孔質溶解性固体構造体、例えば、pH調整剤、着色剤、香料など、処方及び/又は審美性に役立つための機能を有し得る。
【0060】
多孔質溶解性固体構造体は、多孔質溶解性固体構造体で使用することが知られているか又はそうでなければ有用である他の任意成分を更に含んでいてもよいが、ただし、このような任意材料は、本明細書に記載されている選択された必須材料と適合性があるか、又は過度に製品性能を損なわないことを条件とする。
【0061】
多層多孔質溶解性固体構造体
多孔質溶解性固体構造体が形成されたら、2枚以上のそのようなシートを更に組み合わせ及び/又は処理して、球状、立方体、長方形、楕円形、円筒形、ロッド状、シート状、花形、扇型、星形、ディスク形などが挙げられるがこれらに限定されない、任意の望ましい三次元形状の多層多孔質溶解性固体構造体を形成することができる。シートは、その例として化学的手段、機械的手段、及びこれらの組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野において既知の任意の手段によって、組み合わされ及び/又は処理されてもよい。このような組み合わせ及び/又は処理工程は、本明細書において集合的に「変換」プロセスと称され、すなわち、これは、2枚以上の多孔質溶解性固体構造体を、所望の三次元形状を有する多層多孔質溶解性固体構造体に変換するように機能する。
【0062】
従来の溶解性固体物品は、比較的高い長さ/幅対厚さ比を有し、すなわち、このような物品の水への迅速な溶解を確実にするために、比較的薄い。したがって、このような溶解性固体物品は、典型的には、比較的大きいが薄いシート製品の形態で提供され、これは、取り扱いが困難となる場合があり(例えば、ぺらぺらし過ぎており、容易に互いにくっついて使用時に引き離すのが困難である)、消費者にとって審美的に美しいものではない。しかしながら、溶解要件によって付与される制約に起因して、そのような製品形態の変化又は改善のための空間はほとんど又は全く存在しない。
【0063】
しかしながら、多孔質溶解性固体構造体の複数の層を一緒に積み重ねることによって形成された多層多孔質固体構造体は、同じアスペクト比を有する単層固体構造体よりも溶解性が高い場合がある。これにより、このような多層固体構造体を厚さ方向に沿って著しく伸長させて、取り扱いがより容易でありかつ消費者にとってより審美的に美しい(例えば、厚いパッド又は更には立方体の形態の製品)三次元製品形状を作製することが可能になる。
【0064】
多孔質溶解性固体構造体の複数の層を積み重ねることによって形成される多層多孔質溶解性固体構造体は、最大寸法D及び最小寸法z(最大寸法に対して垂直である)によって特徴付けることができるが、D/z比(以下、「アスペクト比」とも称される)は、1~約10、約1.4~約9、約1.5~約8、又は約2~約7の範囲である。アスペクト比が1である場合、溶解性固体物品は球状の形状を有することに留意されたい。アスペクト比が約1.4である場合、溶解性固体物品は立方体形状を有する。
【0065】
多層多孔質溶解性固体構造体は、例えば、約3mm~約20cm、約4mm~約10cm、又は約5mm~約30mmである最小寸法zを有し得る。
【0066】
上記の多層多孔質溶解性固体構造体は、例えば、約2~約60、約4~約50、約5~約40、又は約6~約30の単層多孔質溶解性構造体を含み得る。
【0067】
多層溶解性固体構造体は、そのような多層多孔質溶解性固体構造体の外面(例えば、1つ以上の側面)から可視である、異なる色の多孔質溶解性固体構造体を含み得る。異なる色のこのような可視シートは、消費者にとって審美的に美しいものであり得る。更に、異なる色は、個々のシートに含まれる異なる有益剤を示す視覚的手がかりを提供することができる。例えば、多層多孔質溶解性固体構造体は、第1の色を有しかつ第1の有益剤を含有する第1のシートと、第2の色を有しかつ第2の有益剤を含有する第2のシートとを含んでいてよいが、第1の色は、第1の有益剤を示す視覚的手がかりを提供し、一方、第2の色は、第2の有益剤を示す視覚的手がかりを提供する。
【0068】
更に、例えば、噴霧、散布、散粉、コーティング、展延、浸漬、注入、又は更には蒸着によって、上述のような多層多孔質溶解性固体構造体の個々のシートの間に、1つ以上の機能性成分を「挟んで」もよい。このような機能性成分と個々のシートの周辺部近傍の切断シール又は縁部シールとの干渉を回避するために、機能性成分は、2枚の隣接するシート間の中央領域内に位置していてよく、当該領域は、そのような隣接するシートの周辺部から、最大寸法Dの少なくとも10%の距離だけ離間している領域として定義される。
【0069】
試験方法
A)平均細孔径の決定
Hitachi TM3000 Tabletop Microscope(S/N:123104-04)を使用して、試料のSEM顕微鏡写真を取得する。多孔質溶解性固体構造体の試料は、面積が約1cm×1cmであり、より大きなシートから切断される。画像を倍率50Xで収集し、ユニットを15kVで動作させる。最低5つの顕微鏡画像を、各試料にわたってランダムに選択された位置から収集し、平均孔直径が推定される約43.0mm2の総分析面積を得る。
【0070】
次いで、SEM顕微鏡写真を、まず、Matlab内の画像解析ツールボックスを使用して処理する。必要に応じて、画像をグレースケールに変換する。所与の画像について、Matlabの「imhist」関数を使用して、単一画素ごとの強度値のヒストグラムを生成する。典型的には、このようなヒストグラムから、細孔内のより明るいシート表面の画素及びより暗い領域の画素に対応する2つの別個の分布が明らかとなる。これら2つの分布のピーク値の間の強度値に対応する閾値を選択する。次いで、この閾値よりも低い強度値を有する全ての画素を、0の強度値に設定し、それよりも強度値が高い画素を1に設定し、これによって、2値の白黒画像を生成する。次いで、その2値画像を、ImageJ(https://imagej.nih.gov、バージョン1.52a)を用いて分析して、細孔面積比及び孔径分布の両方を調べる。各画像のスケールバーを使用して、ピクセル/mmスケールファクタを提供する。分析のために、自動閾値化機能及び分析粒子機能を使用して、各細孔を分離する。分析関数からの出力は、画像全体と細孔面積とに対する面積比及び検出された細孔ごとの細孔周長を含む。
【0071】
平均孔径は、DA50として定義され、すなわち、総細孔面積の50%は、DA50平均直径以下の水力直径を有する細孔から構成される。
水力直径=「4*細孔面積(m2)/細孔周長(m)」
【0072】
これは、全て円形ではない細孔を考慮するために計算された等価直径である。
【0073】
B)局所平均細孔径及び平均気泡壁厚の決定
多孔度は、多孔質溶解性固体構造体によって占有される全空間に対する空隙空間の比率である。多孔度は、空隙空間を閾値化によって区画化し、全ボクセルに対する空隙ボクセルの比率を決定することによって、μCTスキャンから計算することができる。同様に、固体体積分率(solid volume fraction、SVF)は、全空間に対する固体空間の比率であり、SVFは、全ボクセルに対する占有されたボクセルの比率として計算することができる。多孔度及びSVFのいずれも、多孔質溶解性固体構造体の高さ方向における孔径分布、又は多孔質溶解性固体構造体ストラットの平均気泡壁厚などの構造情報を提供しない平均スカラー値である。
【0074】
多孔質溶解性固体構造体の3D構造を特徴付けるために、高い等方性空間分解能でデータセットを取得することができるμCT X線走査機器を使用して試料を撮像する。好適な計測器の一例は、以下の設定で作動するSCANCO Systemモデル50μCTスキャナ(Scanco Medical AG,Bruttisellen,Switzerland)である。エネルギーレベル:133μAで45kVp;投影:3000;視野:15mm;積分時間:750ms;平均:5回;及びボクセルサイズ:3μm。走査及びその後のデータ再構成が完了した後、スキャナシステムは、ISQファイルと称される16ビットデータセットを作成し、そこでは、グレーレベルは、X線減衰の変化を反映し、ひいては材料密度に関連する。次いで、ISQファイルを、スケーリング係数を使用して8ビットに変換する。
【0075】
走査された試料は、通常、直径およそ14mmのコアを穿孔することによって調製される。穿孔器を低減衰発泡体上に平らに置き、次いで、走査用の直径15mmのプラスチック円筒管に取り付ける。取り付けられた切断試料全ての体積全体がデータセットに含まれるように、試料の走査を取得する。このより大きなデータセットから、試料データセットのより小さいサブボリュームを、走査された試料の総断面から抽出して、3Dのデータスラブを作成し、ここで、細孔は、エッジ/境界効果なしに定性的に評価することができる。
【0076】
高さ方向における孔径分布を特徴付けるために、ストラットサイズ、局所厚さマップアルゴリズム、又はLTMを、サブボリュームデータセット上に実装する。LTM法は、ユークリッド距離マッピング(Euclidean Distance Mapping、EDM)で開始し、各空隙ボクセルのその最も近い境界からの距離に等しいグレーレベル値を割り当てる。EDMデータに基づいて、細孔を表す3D空隙空間(又は、ストラットを表す3D固体空間)を、EDM値に一致するようにサイズ決めされた球体でモザイク化する。球体によって囲まれたボクセルに、最大球面の半径値を割り当てる。換言すれば、各空隙ボクセル(又はストラットの固体ボクセル)には、両方が空隙空間境界(又はストラットの固体空間境界)内に適合しかつ割り当てられたボクセルを含む、最大球面の径方向値が割り当てられる。
【0077】
LTMデータ走査から出力された3D標識された球面分布は、高さ方向(又はZ方向)における二次元画像のスタックとして処理し、スライスごとの球面直径の変化を試料深度の関数として推定するために使用することができる。ストラットの厚さを、3Dデータセットとして処理し、平均値は、サブボリュームの全体又は一部について評価することができる。計算及び測定は、Thermo Fisher Scientific製のAVIZO Lite(9.2.0)及びMathworks製のMATLAB(R2017a)を使用して行うことができる。
【0078】
C)連続気泡含有率
連続気泡含有率を、ガス比重瓶法によって測定する。ガス比重瓶法は、体積を正確に測定するガス置換法を使用する一般的な分析技術である。置換媒体としてヘリウム又は窒素のような不活性ガスが使用される。多孔質溶解性固体構造体の試料を既知の体積の計器コンパートメント内に密閉し、適切な不活性ガスを入れ、次いで、別の精密な内部体積に膨張させる。膨張前後の圧力を測定し、これを用いて試料の体積を計算する。
【0079】
ASTM標準試験方法D2856は、気体比重瓶(air comparison pycnometer)のより古いモデルを使用して連続気泡の割合を決定するための手順を提供する。この装置はもはや製造されていない。しかしながら、MicromeriticsのAccuPyc比重瓶を使用する試験を実施することにより便利に、かつ精密に連続気泡パーセントを決定することができる。ASTM手順書D2856は、発泡材料の連続気泡比率を決定するための5つの方法(A、B、C、D及びE)について述べている。これらの実験のために、窒素ガスを使用し、Accupyc 1340を使用して、ASTM foampycソフトウェアにより、試料を分析することができる。ASTM手順書の方法Cは、連続気泡比率を計算するために使用されるべきである。この方法は、以下の式に従って、キャリパー及び標準体積計算を使用して決定されたような幾何学的体積を、Accupycによって測定されたような連続気泡体積と単純に比較する。
連続気泡パーセント=試料の連続気泡体積/試料の幾何学的体積*100
【0080】
これらの測定は、Micromeritics Analytical Services,Inc.(One Micromeritics Dr,Suite 200,Norcross,GA 30093)により行うことが推奨される。この技術に関する更なる情報は、Micromeritics Analytical Servicesのウェブサイト(www.particletesting.com又はwww.micromeritics.com)で入手可能であるか、又はClyde Orr及びPaul Webbによる「Analytical Methods in Fine particle Technology」において公開されている。
【0081】
D)最終水分含有量
多孔質溶解性固体構造体の最終水分含量は、Mettler Toledo HX204 Moisture Analyzer(S/N B706673091)を使用することによって得ることができる。最低1gの試料を測定トレー上に置く。次いで、分析時間10分及び温度110℃の追加のプログラム設定で、標準プログラムを実行する。
【0082】
E)厚さ
多孔質溶解性固体構造体の厚さは、Mitutoyo Corporation Digital Disk Stand Micrometer Model Number IDS-1012E(Mitutoyo Corporation,965 Corporate Blvd,Aurora,IL,USA 60504)などのマイクロメーター又は隙間ゲージを用いて得ることができる。そのマイクロメーターは、直径1インチ、重さ約32グラムのプラテンを有し、約0.09psi(6.32gm/cm2)の印加圧力において厚さを測定する。
【0083】
多孔質溶解性固体構造体の厚さは、プラテンを引き起こし、試料の一部をプラテンの真下のスタンド上に置き、注意深くプラテンを下げて試料に接触させ、プラテンを離し、試料の厚さをデジタル読み出しでミリメートル単位で測定することにより、測定することができる。平らではないより剛性の基材の場合を除いて、可能な限り低い表面圧力で厚さを測定するのを確実にするために、試料をプラテンの全ての縁部まで十分に伸長させなければならない。
【0084】
F)シート物品の坪量
多孔質溶解性固体構造体の坪量は、その面積当たりの試料の重量(グラム/m2)として計算することができる。面積は試料の外縁部に対して垂直な平面への投影面積として計算される。試料は10cm×10cmの正方形に切断されているので、面積は既知である。次いで、このような正方形の各々を秤量し、次いで、得られた重量を100cm2の既知の面積で除して、対応する坪量を決定する。
【0085】
したがって、不規則な形状の多孔質溶解性固体構造体について、それが平らな物体である場合、そのような物体の外周内に取り囲まれている面積に基づいて、その面積を計算する。したがって、球状物体に関しては、面積は、平均直径に基づいて3.14×(直径/2)2として計算される。したがって、円筒状物体に対しては、面積は、平均直径及び平均長さに基づいて直径×長さとして計算される。不規則な形状の三次元物体に対しては、その面積は、この側面に垂直に方向付けられた平坦表面上に投影される最大外側寸法を備える側面に基づいて計算される。このことは、物体の外側寸法を1枚のグラフ用紙に鉛筆で注意深くトレーシングし、次に正方形を近似的に計数し、その正方形の既知の面積を乗算することによるか、又はスケールを含むトレーシングした領域(コントラストのために陰影がつけられている)の写真を撮り、画像分析技術を用いることにより、その面積を算定することによって達成できる。
【0086】
G)密度
多孔質溶解性固体構造体の密度は、次の等式によって求めることができる:密度計算値=多孔質固体の坪量/(多孔質固体の厚さ×1,000)。多孔質溶解性固体構造体の坪量及び厚さは、上述の方法に従って求めることができる。
【0087】
H)比表面積
多孔質溶解性固形構造体の比表面積は、ガス吸着技術を介して測定することができる。表面積は、分子規模の固体試料の露出した表面の測定値である。BET(Brunauer、Emmet、及びTeller)理論は、表面積を決定するのに使用される最もよく知られているモデルであり、ガス吸着等温線に基づいている。ガス吸着は、物理的な吸着及び毛管凝縮を使用してガス吸着等温線を測定するものである。この技術は、以下の工程によって要約される。試料を試料管に入れ、真空下又はガス流下で熱して試料の表面上の汚染物を除去する。試料重量は、脱ガスされた試料及び試料管の混合重量から空の試料管重量を差し引いて得られる。次に試料管を分析ポート上に置き、分析を開始する。この分析プロセスの最初の工程は、試料管を排気し、次に液体窒素温度でヘリウムガスを使用して試料管内の自由空間体積を測定する。次に試料を再度排気し、ヘリウムガスを除去する。計器は次に、要求される圧力測定値が達成されるまで、ユーザが特定する間隔でクリプトンガスを投与することによって吸着等温線を収集し始める。次に試料を、クリプトンガス吸着を備えるASAP2420を使用して分析してもよい。これらの測定は、Micromeritics Analytical Services,Inc.(One Micromeritics Dr,Suite 200,Norcross,GA 30093)により行うことが推奨される。この技術に関する更なる情報は、Micromeritics Analytical Servicesのウェブサイト(www.particletesting.com又はwww.micromeritics.com)上で入手可能であり、又はClyde Orr及びPaul Webbによる「Analytical Methods in Fine particle Technology」という書籍において公開されている。
【実施例】
【0088】
以下の実施例は、本明細書に記載されているものを更に例示する。実施例は例示目的のためだけに与えられ、その多くの変形例が趣旨及び範囲から逸脱することなく可能であることから、限定として解釈されるべきではない。全ての例示されている量は、特に指定のない限り、全プレミックスの重量に対する濃度、すなわち重量/重量パーセントである。
【0089】
以下に記載する指定の重量パーセントで、以下の界面活性剤/ポリマー液体プレミックスを調製する。液体製剤は、イセチオネート主界面活性剤(ココイルイセチオン酸ナトリウム及びラウロイルメチルイセチオン酸ナトリウム)アニオン性共界面活性剤(ココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウレススルホコハク酸二ナトリウム)、及び両性界面活性剤(コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム)の量のレベル及び種類が異なる。
【0090】
【0091】
【0092】
【表4】
1Superol K,USP FCC EPグリセリン、CAS:56-81-5、供給元:Procter & Gamble Chemicals
2粘度21~26cps及び加水分解%86~89%を有するBP-17、CAS:9002-89-5、供給元:Liwei Chemical Company LTD(China)
3JORDAPON SCI、CAS:61789-32-0、供給元:BASF
4ISELUX、CAS:928663-45-0、供給元:Innospec Active Chemicals
5MIRANOL ULTRA L-32、CAS:68608-66-2、供給元:McIntyre Group Ltd(University Park, IL)
6AMPHOSOL HCA-B、供給元:Stepan Company(Northfield, IL)
7MACKAM DAB-ULS、CAS:4292-10-8、供給元:McIntyre Group Ltd(University Park, IL)
8EVERSOFT UCS-50 SG、CAS:68187-30-4、供給元:Sino Lion(New Jersey)
9MACKANATE EL P、CAS:68815-56-5、供給元:Solvay
10Citric Acid Anhydrous Fine Granular 51N、供給元:S.A. Citrique Belge N.V.(Pastorijstraat 249, B-3300 Tienen, Belgium)
【0093】
上記液体プレミックス組成物は、従来のオーバーヘッドスターラー(IKA(登録商標)Works,Inc.(Wilmington,DE)から入手可能なIKA(登録商標)RW20DZM Stirrer)及びホットプレート(Corning Incorporated Life Sciences(Lowell,MA))を使用して調製することができる。適切なサイズの清潔な容器に、均質になるまで100~150rpmで撹拌しながら蒸留水及びグリセリンを添加する。ポリビニルアルコールを好適な容器に秤量し、目に見える塊の形成を避けると同時に混合物を撹拌し続けながら、スパチュラを使用して少量ずつゆっくりと主混合物に添加する。混合速度は泡の形成を最小限に抑えるように調節する。混合物を75~80℃までゆっくりと加熱した後、界面活性剤を添加する。次いで、撹拌し続けながら混合物を85℃に加熱し、次いで、室温まで冷却させる。蒸発で失われた水を補うために、追加の蒸留水を添加する(容器の元の風袋重量に基づく)。
【0094】
以下に記載のとおり、実施例1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、及び12の界面活性剤/ポリマー液体加工溶液から、それぞれ、実施例13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、及び24に表される多孔質溶解性固体構造体を調製する。
【0095】
注:簡略化のために、処方は、絶乾条件(相対湿度0%)を仮定して表示される。しかしながら、多孔質固体は吸湿性であり、空気中の相対湿度%に応じて水分を吸収する。例えば、50%相対湿度では、以下の多孔質固体は約7~10%の水分を含むであろう。
【0096】
【0097】
【0098】
【0099】
以下のように、プレミックス液体加工溶液から多孔質溶解性固体構造体を調製する。10mLのプレミックスを、室温で80mLの目盛り付きプラスチックビーカーに移す。スラリーが同伴空気とともに0.25g/cm3の密度で目盛り付きビーカーの40mLの印まで膨張するまで、IKA ULTRA-TURRAX(登録商標)T25高速ミキサー(例えば、Hobart Corporation(Troy,OH)から入手可能)を使用して、6,500RPMで混合物に通気する。次いで、得られた通気された混合物を、矩形の40mm×175mmのアルミニウム金型に深さ1.0mmになるようにスパチュラで広げ、45度の角度で保持した金属製スパチュラの直線縁部を用いて過剰の湿潤発泡体を除去し、金型表面にわたってゆっくりと均一に引きずる。次いで、アルミニウム金型を、100℃の予熱された表面温度を有するホットプレート上に置き、次いで、表面が指触乾燥状態になるまで最長30分間乾燥させる。金型を室温まで冷却させ、薄いスパチュラ及びピンセットを用いて、実質的に乾燥した多孔質固体を金型から取り出す。
【0100】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0101】
相互参照される又は関連する任意の特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0102】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質溶解性固体構造体であって、
a.前記多孔質溶解性固体の約20重量%~約50重量%、好ましくは約22重量%~約50重量%、より好ましくは約28重量%~約45重量%、更により好ましくは約34重量%~約41重量%のイセチオネート界面活性剤、好ましくはココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウロイルメチルイセチオン酸ナトリウム、又はこれらの組み合わせと、
b.前記多孔質溶解性固体の約4重量%~約25重量%、好ましくは約6重量%~約18重量%、より好ましくは約8重量%~約16重量%、更により好ましくは約10重量%~約16重量%の非サルフェートアニオン性界面活性剤、好ましくはココイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウレススルホコハク酸二ナトリウム、又はこれらの組み合わせと、
c.前記固体構造体の約5重量%~約28重量%、好ましくは約7重量%~約26重量%、より好ましくは約9重量%~約24重量%、更により好ましくは約11重量%~約22重量%の両性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、又はこれらの組み合わせ、好ましくはラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、又はこれらの組み合わせと、
d.前記多孔質溶解性固体構造体の約18重量%~約38重量%、好ましくは約20重量%~約36重量%、より好ましくは約22重量%~約34重量%、更により好ましくは約24重量%~約32重量%のポリビニルアルコールと、
e.約4.5%~約20%、好ましくは約5.5%~約17%、より好ましくは約6.5%~約14%、更により好ましくは約7.5%~約11%のグリセリンと、
を含み、
前記多孔質溶解性固体構造体が、約0.05g/cm
3~約0.20g/cm
3、好ましくは約0.07g/cm
3~約0.18g/cm
3、より好ましくは約0.09g/cm
3~約0.16g/cm
3、又は更により好ましくは約0.11g/cm
3~約0.14g/cm
3の密度を有する、多孔質溶解性固体構造体。
【請求項2】
破断点歪みが、20mm以上、好ましくは25mm以上、より好ましくは30mm以上、又は更により好ましくは35mm以上である、
請求項1に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項3】
イセチオネートのレベルが、約20重量%~約30重量%であり、非サルフェートアニオン性界面活性剤のレベルが、約15重量%~約25重量%であり、両性及び/又は双性イオン性界面活性剤のレベルが、約15重量%~約25重量%である、請求項1又は2に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項4】
イセチオネートのレベルが、約31重量%~約41重量%であり、非サルフェートアニオン性界面活性剤のレベルが、約7重量%~約18重量%であり、両性及び/又は双性イオン性界面活性剤のレベルが、約7重量%~約18重量%である、請求項1又は2に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項5】
イセチオネートのレベルが、約38重量%~約41重量%であり、非サルフェートアニオン性界面活性剤のレベルが、約7重量%~約17重量%であり、両性及び/又は双性イオン性界面活性剤のレベルが、約7重量%~約17重量%である、請求項1又は2に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項6】
前記イセチオネートが、ココイルイセチオン酸ナトリウムを含み、前記非サルフェートアニオン性界面活性剤が、ココイルグルタミン酸ナトリウムを含み、前記双性イオン性界面活性剤が、ラウラミドプロピルベタインを含む、請求項5に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項7】
前記イセチオネートが、約15重量%~約32重量%のラウロイルメチルイセチオン酸ナトリウム、及び約7重量%~約25重量%のココイルイセチオン酸ナトリウムを含み、前記非サルフェートアニオン性界面活性剤が、ココイルグルタミン酸ナトリウムを含み、前記双性イオン性界面活性剤が、ラウラミドプロピルベタインを含む、請求項5に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項8】
イセチオネートのレベルが、約21重量%~約25重量%であり、非サルフェートアニオン性界面活性剤のレベルが、約14重量%~約17重量%であり、両性及び/又は双性イオン性界面活性剤のレベルが、約22重量%~約25重量%である、請求項1又は2に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項9】
イセチオネートのレベルが、約21重量%~約25重量%であり、非サルフェートアニオン性界面活性剤のレベルが、約22重量%~約25重量%であり、両性及び/又は双性イオン性界面活性剤のレベルが、約14重量%~約17重量%である、請求項1又は2に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項10】
前記イセチオネートが、ココイルイセチオン酸ナトリウムを含み、前記非サルフェートアニオン性界面活性剤が、ココイルグルタミン酸ナトリウム及びラウレススルホコハク酸二ナトリウムを含み、前記双性イオン性界面活性剤が、ラウラミドプロピルベタインを含む、請求項8又は9に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項11】
前記イセチオネートが、ココイルイセチオン酸ナトリウムを含み、前記非サルフェートアニオン性界面活性剤が、ココイルグルタミン酸ナトリウムを含み、前記双性イオン性界面活性剤が、ラウラミドプロピルベタインを含む、請求項8又は9に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項12】
前記多孔質溶解性固体構造体が、複数の層を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項13】
総界面活性剤量が、前記多孔質溶解性構造体の約40重量%~約70重量%である、請求項1~12のいずれか一項に記載の多孔質溶解性固体の構造体。
【請求項14】
前記多孔質溶解性固体構造体が、更に、水溶性ポリマー及び可塑剤を含み、
前記水溶性ポリマーがポリビニルアルコールを含み、
前記可塑剤がグリセリンを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【請求項15】
前記多孔質溶解性固体構造体が、連続気泡発泡体である、請求項1~14のいずれか一項に記載の多孔質溶解性固体構造体。
【国際調査報告】