IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スミスズ インターコネクト アメリカズ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2023-502244無線周波数デバイスにおける周波数等化及び温度補償システム及び方法
<>
  • 特表-無線周波数デバイスにおける周波数等化及び温度補償システム及び方法 図1
  • 特表-無線周波数デバイスにおける周波数等化及び温度補償システム及び方法 図2
  • 特表-無線周波数デバイスにおける周波数等化及び温度補償システム及び方法 図3
  • 特表-無線周波数デバイスにおける周波数等化及び温度補償システム及び方法 図4
  • 特表-無線周波数デバイスにおける周波数等化及び温度補償システム及び方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-23
(54)【発明の名称】無線周波数デバイスにおける周波数等化及び温度補償システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 3/14 20060101AFI20230116BHJP
   H03H 7/54 20060101ALI20230116BHJP
   H03H 7/01 20060101ALI20230116BHJP
【FI】
H04B3/14
H03H7/54
H03H7/01 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529111
(86)(22)【出願日】2020-11-17
(85)【翻訳文提出日】2022-06-10
(86)【国際出願番号】 US2020060842
(87)【国際公開番号】W WO2021101863
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】62/936,720
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519417551
【氏名又は名称】スミスズ インターコネクト アメリカズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SMITHS INTERCONNECT AMERICAS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195534
【弁理士】
【氏名又は名称】内海 一成
(72)【発明者】
【氏名】モアメル ハサノヴィック
(72)【発明者】
【氏名】コンラッド ウィリアム ジョーダン
【テーマコード(参考)】
5J024
5K046
【Fターム(参考)】
5J024AA06
5J024CA06
5J024CA09
5J024CA10
5J024DA25
5J024DA35
5J024HA01
5K046EE22
5K046EE23
(57)【要約】
周波数等化器を提供する。この周波数等化器は、第1ポート及び第2ポート間に延在する主セグメントと、この主セグメントに対し結合関係に配置され且つ第3ポート及び第4ポート間に延在する結合セグメントとを有するカプラを具えている。この周波数等化器は更に、第1ポート及び入力ライン間に電気的に直列に結合されている第1サーミスタと、第2ポート及び出力ライン間に電気的に直列に結合されている第2サーミスタと、第3ポートを通って結合された第1シャント抵抗とを有具えている。この周波数等化器は、この周波数等化器を経て送信される信号に対して周波数等化と温度補償とを同時に達成する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ポート及び第2ポート間に延在する主セグメント及びこの主セグメントに対し結合関係に配置されているとともに第3ポート及び第4ポート間に延在する結合セグメントを有しているカプラと、
前記第1ポート及び入力ライン間に電気的に直列に結合された第1サーミスタと、
前記第2ポート及び出力ライン間に電気的に直列に結合された第2サーミスタと、
前記第3ポートを通って結合された第1シャント抵抗と
を具える周波数等化器であって、この周波数等化器が当該周波数等化器を経て送信される信号に対して周波数等化と温度補償とを同時に達成するようにした周波数等化器。
【請求項2】
請求項1に記載の周波数等化器が更に、前記第4ポートを通って結合された第2シャント抵抗を具えている周波数等化器。
【請求項3】
請求項1に記載の周波数等化器において、前記主セグメント及び前記結合セグメントが互いに異なる幅を有している周波数等化器。
【請求項4】
請求項1に記載の周波数等化器において、前記カプラが更に、前記主セグメントに対して第2結合関係に配置され且つ第5ポート及び第6ポート間に延在している第2結合セグメントを有しており、前記周波数等化器が更に、
前記第5ポートを通って電気的に結合された第3シャント抵抗と、
前記第6ポートを通って電気的に結合された第4シャント抵抗と
を具えている周波数等化器。
【請求項5】
請求項1に記載の周波数等化器において、前記カプラが更に、前記主セグメント及び前記結合セグメントと間に延在するシャントラインを有している周波数等化器。
【請求項6】
請求項1に記載の周波数等化器において、前記主セグメントの長さを前記周波数等化器に対する入力信号の四分の一波長よりも長くした周波数等化器。
【請求項7】
請求項1に記載の周波数等化器が更に、前記第1サーミスタに対し電気的に並列結合された第1インダクタと、前記第2サーミスタに対し電気的に並列結合された第2インダクタとを具えている周波数等化器。
【請求項8】
請求項1に記載の周波数等化器において、前記第1サーミスタ及び前記第2サーミスタの少なくとも一方がサーミスタペーストを有している周波数等化器。
【請求項9】
請求項1に記載の周波数等化器が更に、前記入力ラインと、前記出力ラインと、前記第1ポートと、前記第2ポートとの少なくとも1つを通って電気的に結合された少なくとも1つのインピーダンス調整用構造体を具えている周波数等化器。
【請求項10】
第1表面及び第2表面を有する基板と、
前記第2表面上に配置された接地平面と、
前記第1表面上に配置された結合ストリップ及び前記接地平面により規定され且つ第1ポート及び第2ポート間に延在する主セグメントを有するとともに、前記第2表面上に配置された結合ストリップ及び前記接地平面により規定され、且つ前記主セグメントに対し結合関係に配置され、しかも第3ポート及び第4ポート間に延在している結合セグメントを有しているカプラと、
前記第1表面上に配置され、前記第1ポート及び入力ライン間に電気的に直列に結合された第1サーミスタと、
前記第1表面上に配置され、前記第2ポート及び出力ライン間に電気的に直列に結合された第2サーミスタと、
前記第3ポートを通って結合された第1シャント抵抗と
を具える電子回路パッケージにおいて、
この電子回路パッケージを経て送信される信号に対して周波数等化と温度補償とを同時に達成するようにした電子回路パッケージ。
【請求項11】
請求項10に記載の電子回路パッケージが更に、前記第1表面上に配置され且つ前記第4ポートを通って電気的に結合された第2シャント抵抗を具えている電子回路パッケージ。
【請求項12】
請求項10に記載の電子回路パッケージにおいて、前記主ストリップと前記結合ストリップとが互いに異なる幅を有している電子回路パッケージ。
【請求項13】
請求項10に記載の電子回路パッケージにおいて、前記カプラが更に、前記第1表面上に配置された第2結合ストリップ及び前記接地平面により規定された第2結合セグメントを有し、この第2結合セグメントが前記主セグメントに対して第2結合関係に配置されているとともに第5ポート及び第6ポート間に延在しており、前記周波数等化器が更に、
前記第1表面上に配置されているとともに前記第5ポートを通って電気的に結合された第3シャント抵抗と、
前記第1表面上に配置されているとともに前記第6ポートを通って電気的に結合された第4シャント抵抗と
を具えている電子回路パッケージ。
【請求項14】
請求項10に記載の電子回路パッケージにおいて、前記カプラが更に、前記主セグメント及び前記結合セグメント間に延在するシャントラインを有している電子回路パッケージ。
【請求項15】
請求項10に記載の電子回路パッケージにおいて、前記主セグメントの長さを前記周波数等化器の入力信号に対する四分の一波長よりも長くした電子回路パッケージ。
【請求項16】
請求項10に記載の電子回路パッケージが更に、前記第1サーミスタに対し電気的に並列結合された第1インダクタと、前記第2サーミスタに対し電気的に並列結合された第2インダクタとを具えている電子回路パッケージ。
【請求項17】
請求項10に記載の電子回路パッケージにおいて、前記第1サーミスタ及び前記第2サーミスタの少なくとも一方が前記第1表面上に配置されたサーミスタペーストを有している電子回路パッケージ。
【請求項18】
請求項10に記載の電子回路パッケージが更に、前記入力ラインと、前記出力ラインとの少なくとも1つを通って電気的に結合された少なくとも1つのインピーダンス調整用構造体を具えている電子回路パッケージ。
【請求項19】
周波数等化器製造方法であって、この周波数等化器製造方法が、
第1ポート及び第2ポート間に延在する主セグメントを具えているとともに、この主セグメントに対し結合関係に配置され且つ第3ポート及び第4ポート間に延在する結合セグメントを具えているカプラを形成するステップと、
前記第1ポート及び入力ライン間に第1サーミスタを電気的に直列に結合するステップと、
前記第2ポート及び出力ライン間に第2サーミスタを電気的に直列に結合するステップと、
前記第3ポートを通して第1シャント抵抗を電気的に結合するステップと
を具え、前記周波数等化器がこの周波数等化器を経て送信される信号に対して周波数等化及び温度補償を同時に達成するようにする周波数等化器製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載の周波数等化器製造方法が更に、前記第4ポートを通して第2シャント抵抗を電気的に結合するステップを具えている周波数等化器製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年11月18日に出願した米国仮特許出願第62/936,720号に対する優先権を主張するものであり、その開示内容全体を参照により本出願の一部としてここに援用する。
【背景技術】
【0002】
ここに記載する実施例は一般的に無線周波数(RF)の相互接続に関するものであり、特にRFデバイスにおける周波数等化及び温度補償に関するものである。
【0003】
RFデバイスは、遠隔通信(リモートコミュニケーション)及び遠隔探査(リモートセンシング)のような多くの分野に対して用いられている。このようなデバイスの性能、例えば、所定の入力信号に対して所望の出力信号を生ぜしめるこのようなデバイスの能力は、入力信号の周波数やRFデバイスの温度のような多くの異なる要因により影響を受ける可能性がある。例えば、RF信号の減衰量は、一般的に、RF信号の周波数が増大するにつれて増大する。更に、温度が高くなるのに応じて、一般的に、RF信号の減衰量が増大する。RFデバイスは、一般的に、特定の周波数範囲(レンジ)及び温度範囲の双方又は何れか一方に亘って比較的一貫性があるように実行する必要がある為、これらの相互作用が不所望なものとなるおそれがある。しかし、補償回路を付加することによりRFデバイスの部品、製造及び設置の費用を増大させる可能性があり、設置する場合、RF適用分野において追加の物理的スペースを占める可能性がある。従って、改善した周波数等化及び温度補償を提供する回路が望ましいものである。
【発明の概要】
【0004】
本発明の1つの態様では、周波数等化器を提供する。この周波数等化器はカプラ(結合器)を有し、このカプラは、第1ポート及び第2ポート間に延在する主セグメントと、この主セグメントに対し結合関係(第1結合関係)に配置されているとともに第3ポート及び第4ポート間に延在する結合セグメント(第1結合セグメント)とを有している。この周波数等化器は更に、第1ポート及び入力ライン間に電気的に直列に結合された第1サーミスタと、第2ポート及び出力ライン間に電気的に直列に結合された第2サーミスタと、第3ポートを通って結合された第1シャント(分路)抵抗とを有している。この周波数等化器は、この周波数等化器を経て送信される信号に対して周波数等化と温度補償とを同時に達成する。
【0005】
本発明の他の態様では、周波数等化器に対する電子回路パッケージを提供する。この電子回路パッケージは、第1表面及び第2表面を有する基板と、第2表面上に配置された接地平面と、第1表面上に配置された主ストリップ(主細条)及び前述した接地平面により規定された主セグメントを有するカプラとを具えている。主セグメントは第1ポート及び第2ポート間に延在している。カプラは更に、第2表面上に配置された結合ストリップ(第1結合ストリップ)と接地平面とにより規定された結合セグメントを具えている。この結合セグメントは主セグメントに対し結合関係に配置されているとともに、第3ポート及び第4ポート間に延在している。電子回路パッケージは更に、第1表面上に配置され且つ第1ポート及び入力ライン間に電気的に直列に結合されている第1サーミスタと、第1表面上に配置され且つ第2ポート及び出力ライン間に電気的に直列に結合されている第2サーミスタと、第1表面上に配置され且つ第3ポートを通って結合された第1シャント抵抗とを有している。この電子回路パッケージは、この電子回路パッケージを経て送信される信号に対して周波数等化と温度補償とを同時に達成する。
【0006】
本発明の他の態様では、周波数等化器を製造する方法を提供する。この方法は、第1ポート及び第2ポート間に延在する主セグメントを有するとともに、この主セグメントに対し結合関係に配置され且つ第3ポート及び第4ポート間に延在する結合セグメントを有するカプラを形成するステップと、第1ポート及び入力ライン間に第1サーミスタを電気的に直列に結合するステップと、第2ポート及び出力ライン間に第2サーミスタを電気的に直列に結合するステップと、第3ポートを通して第1シャント抵抗を電気的に結合するステップとを具える。この周波数等化器はこの周波数等化器を経て送信される信号に対して周波数等化及び温度補償を同時に達成する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の代表的な周波数等化器を示す線図である。
図2図2は、図1に示す周波数等化器の具体例としうる代表的な電子回路パッケージを示す平面図である。
図3図3は、図1に示す周波数等化器の具体例としうる他の代表的な電子回路パッケージを示す平面図である。
図4図4は、図1に示す周波数等化器の具体例としうる更に他の代表的な電子回路パッケージを示す平面図である。
図5図5は、図1に示す周波数等化器を製造する代表的な方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
関連する基本的な機能を変えることなく変更を許容しうる程度に如何なる定量的表現をも修正するために、本明細書及び特許請求の範囲の全体に亘り用いているものと近似する用語が適用されるものである。従って、“約”、“ほぼ”及び“実質的に”のような用語により修飾された値は指定された正確な値に制限されるべきものではない。少なくとも一部の例では、近似する用語は、値を測定する計器の精度に対応させることができる。この場合に且つ本明細書及び特許請求の範囲全体に亘って、複数の数値範囲の限界を組み合わせたり相互に交換したり、このような数値範囲を識別したり、文脈又は用語が別の意味を表していない限りここに含まれる部分範囲(サブレンジ)をこのような数値範囲が有するようにする。
【0009】
ここで開示するシステム及び方法は、1つの周波数等化器回路を用いる無線周波数(RF)分野に対して周波数等化と温度補償との組み合わせを容易にするものである。周波数等化器回路は、カプラとサーミスタとの組み合わせを用いて、周波数等化と温度補償との双方を実行するものである。従って、ここに開示する周波数等化器は、RF分野において周波数等化及び温度補償を改善しうるとともに、周波数等化及び温度補償を実行するのに必要とする材料の量及び物理的スペースを低減させるものである。
【0010】
ここに開示する特許保護対象には周波数等化器が含まれるものである。この周波数等化器はカプラを有し、このカプラは、第1ポート及び第2ポート間に延在する主セグメントと、この主セグメントに対して結合関係に配置され且つ第3ポート及び第4ポート間に延在している結合セグメントとを有している。この周波数等化器は更に、第1ポート及び入力ライン間に電気的に直列結合された第1サーミスタと、第2ポート及び出力ライン間に電気的に直列結合された第2サーミスタと、第3ポートを通って結合された第1シャント抵抗とを有している。この周波数等化器は、この周波数等化器を経て送信される信号に対して周波数等化と温度補償とを同時に達成する。
【0011】
ある具体例では、周波数等化器が更に、第4ポートを通って結合された第2シャント抵抗を有するようにする。
【0012】
ある具体例では、主セグメント及び結合セグメントが互いに異なる幅を有するようにする。
【0013】
ある具体例では、カプラが更に、主セグメントに対して第2結合関係に配置され且つ第5ポート及び第6ポート間に延在している第2結合セグメントを有し、周波数等化器が更に、第5ポートを通って電気的に結合された第3シャント抵抗と、第6ポートを通って電気的に結合された第4シャント抵抗とを有するようにする。
【0014】
ある具体例では、カプラが更に、主セグメント及び結合セグメント間に延在するシャントラインを有するようにする。
【0015】
ある具体例では、主セグメントの長さを周波数等化器に対する入力信号の四分の一波長よりも長くするようにする。
【0016】
ある具体例では、周波数等化器が更に、第1サーミスタに対し電気的に並列結合された第1インダクタと、第2サーミスタに対し電気的に並列結合された第2インダクタとを有するようにする。
【0017】
ある具体例では、第1サーミスタ及び第2サーミスタの少なくとも一方がサーミスタペーストを有するようにする。
【0018】
ある具体例では、周波数等化器が更に、入力ラインと、出力ラインと、第1ポートと、第2ポートとの少なくとも1つを通って電気的に結合された少なくとも1つのインピーダンス調整用構造体を有するようにする。
【0019】
ここで図1を参照するに、この図1には周波数等化器100が示されている。この周波数等化器100は、カプラ102と、第1サーミスタ104と、第2サーミスタ106と、第1シャント抵抗108と、第2シャント抵抗110と、第1インダクタ112と、第2インダクタ114とを有している。
【0020】
カプラ102は、主セグメント116及び結合セグメント118を有している。主セグメント116は第1ポート120と第2ポート122との間に延在する送信ラインセグメントである。結合セグメント118は第3ポート124と第4ポート126との間に延在する送信ラインセグメントである。ある実施例では、主セグメント116及び結合セグメント118をマイクロストリップ、ストリップライン及び他の種類のRF伝送ラインの何れか又はこれらの任意の組み合わせとして実現する。第3ポート124は第1シャント抵抗108で終端され、第4ポート126は第2シャント抵抗110で終端されている。ある実施例では、第1シャント抵抗108及び第2シャント抵抗110は、結合セグメント118に対する整合インピーダンス負荷となるように選択した抵抗値を有する。例えば、ある実施例では、第1シャント抵抗108及び第2シャント抵抗110の各々が50オームの抵抗値を有するようにする。
【0021】
結合セグメント118は主セグメント116に対して結合関係に配置されている。RF電力が第1ポート120で受信されると、この電力は第2ポート122及び第4ポート126を介して送信される。第2ポート122及び第4ポート126の一方で送信される電力の量は第1ポート120で受信されるRF電力の周波数に依存する。例えば、入力信号が四分の一波長である主セグメント116に対応する周波数(この場合しばしば“中心周波数”と称する)を有する場合、RF電力の最大量が結合セグメント118に転送されるとともに第4ポート126を介して送信されるようにでき、且つRF電力の最小量が第2ポート122を介して送信されるようにすることができる。入力信号の周波数が中心周波数よりも増大するにつれて、第2ポート122を介して送信されるRF電力の量が増大する。従って、カプラ102が中心周波数よりも大きな範囲で作用する場合、このカプラ102は、減衰量が入力周波数に反比例する減衰器として作用し、結合セグメント118は、高周波に増大する際に減衰量が大きくなるRF信号の傾向を補償するようになる。
【0022】
ある実施例では、主セグメント116及び結合セグメント118が、周波数と減衰量との間の特定の関係を達成するために選択したある種の伝送ライン特性(例えば、特性インピーダンス、電気長、伝送ライン間の距離、等)を有するようにする。例えば、ある実施例では、主セグメント116及び結合セグメント118をマイクロストリップラインとし、その各々が特定の結合関係を達成するように選択した異なる幅及び形状の双方又は何れか一方を有するようにする。
【0023】
第1サーミスタ104はカプラ102の第1ポート120と入力128との間に電気的に結合され、第2サーミスタ106はカプラ102の第2ポート122と出力130との間に電気的に結合されている。ある実施例では、入力128及び出力130をそれぞれ、例えば、入力伝送ライン及び出力伝送ラインとし、この場合、周波数等化器100が入力128で入力信号を受信するとともに出力130で出力信号を送信する。第1サーミスタ104及び第2サーミスタ106は、第1サーミスタ104又は第2サーミスタ106の温度変化に応答して変化する抵抗値を有している。例えば、ある実施例では、第1サーミスタ104及び第2サーミスタ106は、温度が増大するにつれて減少する抵抗値を有する負温度係数(NTC)のサーミスタとする。従って、第1サーミスタ104及び第2サーミスタ106による入力信号の減衰量は温度が増大するにつれて減少し、周波数等化器100が温度の増大時に減衰量を大きくするRF信号の傾向を補償するようになる。
【0024】
第1インダクタ112は第1サーミスタ104に対して電気的に並列に結合され、第2インダクタ114は第2サーミスタ106に対して電気的に並列に結合されている。第1インダクタ112及び第2インダクタ114はそれぞれ、予め決定した動作周波数においてこれら第1インダクタ112及び第2インダクタ114におけるそれぞれの寄生キャパシタンスを無視するインピーダンスを有している。
【0025】
図2は、代表的な電子回路パッケージ200を示す平面図である。この電子回路パッケージ200は、(図1に示す)周波数等化器100の代表的な具体例である。この電子回路パッケージ200は基板202を有している。この電子回路パッケージ200は更に、カプラ102と、第1サーミスタ104と、第2サーミスタ106と、第1シャント抵抗108と、第2シャント抵抗110と、第1インダクタ112と、第2インダクタ114とを有しており、これらは基板202の表側(前面)に配置されたマイクロストリップとして実現されているとともに、一般的に図1に関して説明したように機能する。電子回路パッケージ200は更に、インピーダンス調整用構造体204を有しており、これらのインピーダンス調整用構造体も基板202の表側に配置したマイクロストリップとして実現されている。電子回路パッケージ200は更に、基板202の裏側(裏面)に配置した接地平面(図示せず)を有している。
【0026】
電子回路パッケージ200は、接地平面と共に、例えば、主セグメント116、結合セグメント118、第1サーミスタ104、第2サーミスタ106、第1シャント抵抗108、第2シャント抵抗110、第1インダクタ112及び第2インダクタ114を規定する導電性トレース(例えば、マイクロストリップ)を有する。ある実施例では、第1サーミスタ104、第2サーミスタ106、第1シャント抵抗108及び第2シャント抵抗110の少なくとも1つが、基板202上に配置されたペースト(例えば、サーミスタペースト)を含むようにする。これに加えて又はこれに代えて、ある実施例では、第1サーミスタ104、第2サーミスタ106、第1シャント抵抗108及び第2シャント抵抗110の少なくとも1つが、他の種類の抵抗成分(例えば、表面実装(SMT)成分)を含むようにする。
【0027】
インピーダンス調整用構造体204は入力128、出力130、第1ポート120及び第2ポート122を通って結合されている。これらインピーダンス調整用構造体204は、基板202の前面に配置されたマイクロストリップを有するとともに、このマイクロストリップと基板202の裏面上に配置した接地平面との間に延在するとともにこれらの間で電気接続を構成する貫通孔206を有している。ある実施例では、インピーダンス調整用構造体204が、例えば、予め決定した動作周波数において電気回路パッケージ200における寄生キャパシタンスを無視するように選択した長さを有するようにする。
【0028】
図3は、他の代表的な電子回路パッケージ300を示す平面図である。この電子回路パッケージ300は、(図1に示す)周波数等化器100の他の代表的な具体例である。この電子回路パッケージ300は、カプラ102と、第1サーミスタ104と、第2サーミスタ106と、第1シャント抵抗108と、第2シャント抵抗110と、第1インダクタ112と、第2インダクタ114と、基板202と、インピーダンス調整用構造体204と、貫通孔206とを有しており、これらは一般的に図1及び2につき説明した通りに作用する。この電子回路パッケージ300は更に、第2結合セグメント302と、第3シャント抵抗304と、第4シャント抵抗306とを有している。
【0029】
第2結合セグメント302は、第5ポート308と第6ポート310との間に延在している。第5ポート308は第3シャント抵抗304で終端し、第6ポート310は第5シャント抵抗306で終端している。これらシャント抵抗304及び306は第2結合セグメント302に対する整合インピーダンス負荷である。例えば、ある実施例では、第3シャント抵抗304及び第4シャント抵抗306の各々は50オームの抵抗値を有するようにする。
【0030】
第2結合セグメント302は主セグメント116に対して結合関係に配置されている。この第2結合セグメント302は一般的に、(図1に示す)結合セグメント118につき説明した通りに機能するとともに、この結合セグメント118と相俟って、高周波に増大する際に減衰量が大きくなるRF信号の傾向を補償する作用をする。この第2結合セグメント302は更に、結合度(例えば、主セグメント116からのRF電力の転送量)を増大させる。従って、電子回路パッケージ300は、周波数と減衰量との間で特に所望とする関係を達成する高度の能力を有するようになる。
【0031】
図4は、他の代表的な電子回路パッケージ400を示す平面図である。この電子回路パッケージ400は、(図1に示す)周波数等化器100の他の代表的な具体例である。この電子回路パッケージ400は、カプラ102と、第1サーミスタ104と、第2サーミスタ106と、第1シャント抵抗108と、第1インダクタ112と、第2インダクタ114と、基板202と、インピーダンス調整用構造体204と、貫通孔206と、第2結合セグメント302と、第3シャント抵抗304とを有しており、これらは一般的に図1~3につき説明した通りに作用する。この図4は更に、第1シャントライン402及び第2シャントライン404を有している。
【0032】
第1シャントライン402は第1ポート120と第2ポート126との間に延在するマイクロストリップラインであり、第2シャントライン404は第1ポート120と第6ポート310との間に延在するマイクロストリップラインである。これらの第1シャントライン402及び第2シャントライン404は更に、結合度(例えば、主セグメント116からのRF電力の転送量)を増大させる。従って、電子回路パッケージ400は、周波数と減衰量との間で特に所望とする関係を達成する高度の能力を有するようになる。
【0033】
図5は、(図1に示す)周波数等化器100を製造する代表的な方法500である。代表的な実施例では、この方法500は、第1ポート(例えば、第1ポート120)及び第2ポート(例えば、第2ポート122)間に延在する主セグメント(例えば、主セグメント116)と、この主セグメントに対し結合関係に配置され且つ第3ポート(例えば、第3ポート124)及び第4ポート(例えば、第4ポート126)間に延在する結合セグメント(例えば、結合セグメント118)とを有するカプラ(例えば、カプラ102)を形成するステップ502を有している。この方法500は更に、第1サーミスタ(例えば、第1サーミスタ104)を第1ポート及び入力ライン間に電気的に直列に結合するステップ504を有している。この方法500は更に、第2サーミスタ(例えば、第2サーミスタ106)を第2ポート及び出力ライン間に電気的に直列に結合するステップ506を有している。この方法500は更に、第3ポートを通して第1シャント抵抗(例えば、第1シャント抵抗108)を電気的に結合し、周波数等化器100がこの周波数等化器100を経て送信される信号に対して周波数等化及び温度補償を同時に達成するようにするステップ508を有している。
【0034】
本発明の方法及びシステムの代表的な実施例を詳細に上述した。本発明の方法及びシステムはここに開示した特定の実施例に限定されるものではなく、むしろ本発明のシステムの構成要素及び本発明の方法のステップの双方又は何れか一方は、ここに開示した他の構成要素及び他のステップの双方又は何れか一方から独立して且つ別々に用いることができるものである。従って、本発明の代表的な実施例は、ここで具体的に開示していない多くの他の分野と関連させて実施且つ使用することができる。
【0035】
ここに開示した本発明のシステム及び方法の技術的効果には、(a)入力信号の四分の一波長よりも大きい長さを有するカプラを用いるRFデバイスにおける減衰に対し周波数等化を達成する効果と、(b)1つ以上のサーミスタを用いるRFデバイスにおける減衰に対し温度補償を達成する効果と、(c)周波数等化及び温度補償を1つの電子回路パッケージ内に組み込むことにより周波数等化及び温度補償回路の物理的スペースの大きさを低減させる効果との少なくとも1つを含むものである。
【0036】
本発明で開示した種々の実施例の特定の機能は幾つかの図面に示すことができており、他の図面には示すことができていないが、このことは便宜上のためのみである。本発明の開示原理によれば、ある図面の如何なる機能も他の如何なる図面の如何なる機能とも組み合わせて参照及び主張の双方又は何れか一方を行うことができるものである。
【0037】
本明細書は、最良のモードを含む種々の実施例を開示する例を用いているとともに、如何なるデバイス又はシステムを形成するとともに使用することや、導入した如何なる方法をも実行することを含む本発明の開示を如何なる当業者によっても実行しうるようにする例を用いているものである。本発明の開示の特許可能な範囲は特許請求の範囲により規定されるものであり、当業者が気付く他の例も含みうるものである。このような他の例は、これらが特許請求の範囲の逐語的言語と相違しない構造要素を有するか、又はこれらが特許請求の範囲の逐語的言語との非現実的な相違しか有していない同等の構造要素を含む場合には、特許請求の範囲内にあるものとみなされるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】