(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-24
(54)【発明の名称】S1P1受容体に関連する状態を処置する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/403 20060101AFI20230117BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20230117BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20230117BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230117BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
A61K31/403
A61P1/00
A61P1/04
A61K45/00
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527202
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(85)【翻訳文提出日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 US2020061653
(87)【国際公開番号】W WO2021102357
(87)【国際公開日】2021-05-27
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500478097
【氏名又は名称】アリーナ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100183379
【氏名又は名称】藤代 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】コモリ-オッキコーン ヘザー キヨミ
(72)【発明者】
【氏名】グエン-クレアリー タイ カーティス
(72)【発明者】
【氏名】ユ ジン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA06
4C084NA14
4C084ZA661
4C084ZA662
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC10
4C086GA14
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA06
4C086NA14
4C086ZA66
(57)【要約】
好酸球性消化管疾患の処置方法であって、それを必要とする個人に、標準用量の(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2、3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)又はその薬学的に許容される塩を処方及び/又は投与することを含む、方法が提供される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
好酸球性消化管疾患の少なくとも1つの症状又は徴候の処置又は改善を必要とする個人において好酸球性消化管疾患の少なくとも1つの症状又は徴候を処置又は改善する方法であって、それを必要とする前記個人に、治療有効量の(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)又はその薬学的に許容される塩を含む医薬剤形を投与する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記好酸球性消化管疾患が、好酸球性食道炎(EoE)、好酸球性胃炎(EG)、好酸球性胃腸炎(EGE)、及び好酸球性大腸炎(EC)から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
好酸球性食道炎(EoE)の少なくとも1つの症状又は徴候の処置又は改善を必要とする個人において好酸球性食道炎(EoE)の少なくとも1つの症状又は徴候を処置又は改善する方法であって、それを必要とする前記個人に、治療有効量の(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)又はその薬学的に許容される塩を含む医薬剤形を投与する工程を含む、方法。
【請求項4】
好酸球性食道炎(EoE)の少なくとも1つの症状又は徴候を処置、予防、又は改善する方法であって、
EoEの少なくとも1つの症状又は徴候を示す個人を選択する工程であって、前記個人が、上昇したレベルの、食道好酸球、エオタキシン-3、ペリオスチン、血清IgE(総及びアレルゲン特異的)、IL-13、IL-5、TARC、TSLP、血清ECP、及びEDNから選択されるバイオマーカーを有する、工程と、
それを必要とする前記個人に、治療有効量の(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)又はその薬学的に許容される塩を投与する工程と、
を含む、方法。
【請求項5】
前記個人が、前記処置前又は処置時(「ベースライン」)に、食道において強拡大1視野(hpf)あたり15個以上の好酸球を示すことに基づいて選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記個人が、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与後10日目に、ベースラインから、hpfあたりの好酸球数の少なくとも50%の減少を示す、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記個人が、処置の開始前又は開始時(「ベースライン」)に、約50pg/mLを超えるエオタキシン-3レベルを示すことに基づいて選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記個人が、投与後10日目に、ベースラインから、エオタキシン-3レベルの少なくとも50%の減少を示す、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記個人が、乳製品、卵、小麦、大豆、トウモロコシ、魚、甲殻類、ピーナッツ、木の実、牛肉、鶏肉、オーツ麦、大麦、豚肉、インゲン、リンゴ、及びパイナップルから選択される食品に含まれる食物アレルゲンに対してアレルギー反応を示す、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記個人が、埃、花粉、カビ、植物、ネコ、イヌ、又は昆虫のうちの1つに由来する非食物アレルゲンに対してアレルギー反応を示す、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
好酸球性食道炎(EoE)の少なくとも1つの症状又は徴候を処置、予防、又は改善する方法であって、
個人をEoEにかかりやすくするアレルゲンに対してアレルギー反応を有する個人を選択する工程と、
それを必要とする前記個人に、治療有効量の(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)又はその薬学的に許容される塩を含む医薬剤形を投与する工程と、
を含む、方法。
【請求項12】
前記アレルゲンが、乳製品、卵、小麦、大豆、トウモロコシ、魚、甲殻類、ピーナッツ、木の実、牛肉、鶏肉、オーツ麦、大麦、豚肉、インゲン、リンゴ、パイナップルから選択される食品に含まれる食物アレルゲンである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アレルゲンが、埃、花粉、カビ、植物、ネコ、イヌ、又は昆虫のうちの1つに由来する非食物アレルゲンである、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
EoEの症状又は徴候が、食道の好酸球性浸潤、食道壁の肥厚、食物拒絶、嘔吐、腹痛、胸焼け、逆流、嚥下障害、及び食片圧入から選択される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与が、前記個人においてEoE関連バイオマーカーのレベルの低下をもたらす、請求項1~14に記載のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記EoE関連バイオマーカーが、食道好酸球、エオタキシン-3、ペリオスチン、血清IgE(総及びアレルゲン特異的)、IL-13、IL-5、血清胸腺及び活性化調節ケモカイン(TARC)、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)、血清好酸球カチオン性タンパク質(ECP)、並びに好酸球由来ニューロトキシン(EDN)から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
化合物1又はその薬学的に許容される塩が、第2の治療薬又は治療と組み合わせて投与され、前記第2の治療薬又は治療が、IL-1β阻害剤、IL-5阻害剤、IL-9阻害剤、IL-13阻害剤、IL-17阻害剤、IL-25阻害剤、TNFα阻害剤、エオタキシン-3阻害剤、IgE阻害剤、プロスタグランジンD2阻害剤、免疫抑制剤、糖質コルチコイド、プロトンポンプ阻害剤、NSAID、アレルゲン除去、及び食事管理から選択される、請求項1~16に記載のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記個人が、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与前又は投与時に、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、及びアレルギー性結膜炎から選択される疾患又は障害を有するか、又はそれを有すると診断されている、請求項1~17に記載のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記個人が、少なくとも1つの治療薬又は治療に対する不十分な反応、反応の喪失、又は非忍容性を示している、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記剤形が、絶食条件下で投与される、請求項1~19に記載のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記剤形が、摂食条件下で投与される、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記治療有効量が、約0.5~約5.0mgの化合物1に相当する、請求項1~21に記載のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記治療有効量が、2mgの化合物1に相当する量である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記個人に、第1の期間に2mgの化合物1に相当する量が投与され、その後、第2の期間に3mgの化合物1に相当する量が投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記治療有効量が、3mgの化合物1に相当する量である、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記剤形が、調整なしで投与される、請求項1~25に記載のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
化合物1又はその薬学的に許容される塩が、経口投与される、請求項1~26に記載のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
化合物1又はその薬学的に許容される塩が、経口投与に好適なカプセル剤又は錠剤として製剤化される、請求項1~27に記載のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
化合物1又はその薬学的に許容される塩が、
化合物1、
化合物1のカルシウム塩、及び
化合物1のL-アルギニン塩
から選択される、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
化合物1又はその薬学的に許容される塩が、化合物1のL-アルギニン塩である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
化合物1又はその薬学的に許容される塩が、化合物1のL-アルギニン塩の無水非溶媒和結晶形態である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
化合物1又はその薬学的に許容される塩が、化合物1の無水非溶媒和結晶形態である、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記治療有効量の化合物1又はその薬学的に許容される塩が、前記個人に1日1回投与される、請求項1~32に記載のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記方法が、性別特異的ではない、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記個人が、少なくとも1つの治療薬又は治療を以前に投与されている、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記個人が、少なくとも1つの治療薬又は治療に対して不十分な反応を有し、反応を喪失し、又は非忍容性であった、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
処置が、臨床反応を誘導及び/若しくは維持すること、並びに/又は臨床的寛解を誘導及び/若しくは維持することを含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
処置が、強拡大1視野あたり6個以下の好酸球による組織学的反応を誘導及び/又は維持することを含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記投与が、重篤な有害事象をもたらさない、請求項1~38に記載のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
化合物1又はその薬学的に許容される塩が、前記個人において急性心拍数低下又は心臓ブロックを実質的に誘導することなく投与される、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与中に有害事象についてモニタリングする工程を更に含み、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与を中断又は中止する工程を更に含んでもよい、請求項1~40に記載のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
好酸球性食道炎(EoE)を処置する方法であって、それを必要とする個人に、治療有効量の(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)又はその薬学的に許容される塩を投与する工程を含む、方法。
【請求項43】
前記それを必要とする個人が、処置前又は処置時(「ベースライン」)に、前記個人の食道において強拡大1視野(hpf)あたり15個以上の好酸球を示す、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記それを必要とする個人が、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与後16週目に、ベースラインから、hpfあたりの好酸球数の少なくとも30%の減少を示す、請求項42又は43に記載の方法。
【請求項45】
前記剤形が、絶食条件下で投与される、請求項42~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記剤形が、摂食条件下で投与される、請求項42~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記治療有効量が、約0.5~約5.0mgの化合物1に相当する、請求項42~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記治療有効量が、2mgの化合物1に相当する量である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記治療有効量が、1mgの化合物1に相当する量である、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記治療有効量が、1日1回の頻度で投与される、請求項42~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記治療有効量が、朝に投与される、請求項42~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記個人が、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与後に、ベースラインから15個未満のeos/hpfの食道PECを示す、請求項42~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記個人が、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与後に、ベースラインから6個未満のeos/hpfの食道PECを示す、請求項42~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記個人が、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与後16週目に、ベースラインから、hpfあたりの好酸球数の少なくとも30%の減少を示す、請求項42~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記個人が、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与後16週目に、ベースラインから、hpfあたりの好酸球数の少なくとも40%の減少を示す、請求項42~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記個人が、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与後16週目に、ベースラインから、hpfあたりの好酸球数の少なくとも50%の減少を示す、請求項42~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記投与が、重篤な有害事象をもたらさない、請求項42~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
化合物1又はその薬学的に許容される塩が、前記個人において急性心拍数低下又は心臓ブロックを実質的に誘導することなく投与される、請求項42~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
個人における好酸球性食道炎(EoE)の処置方法で使用するための(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)又はその薬学的に許容される塩である化合物であって、前記方法は、それを必要とする個人に、治療有効量の(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)又はその薬学的に許容される塩を投与する工程を含む、化合物。
【請求項60】
前記治療有効量が、約0.5~約5.0mgの化合物1に相当する、請求項59に記載の使用のための化合物。
【請求項61】
前記治療有効量が、1mgの化合物1に相当する、請求項60に記載の使用のための化合物。
【請求項62】
前記治療有効量が、2mgの化合物1に相当する、請求項60に記載の使用のための化合物。
【請求項63】
前記治療有効量が、3mgの化合物1に相当する、請求項60に記載の使用のための化合物。
【請求項64】
前記治療有効量が、1日1回の頻度で投与される、請求項59~63のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項65】
前記それを必要とする個人が、前記処置前又は処置時(「ベースライン」)に、前記個人の食道において強拡大1視野(hpf)あたり15個以上の好酸球を示す、請求項59~64のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項66】
前記個人が、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与後に、ベースラインから15個未満のeos/hpfの食道PECを示す、請求項59~65のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項67】
前記投与が、重篤な有害事象をもたらさない、請求項59~66のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項68】
化合物1又はその薬学的に許容される塩が、前記個人において急性心拍数低下又は心臓ブロックを実質的に誘導することなく投与される、請求項59~67のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
好酸球性食道炎を含む好酸球性消化管疾患の処置に有用な方法が提供される。例えば、Gonsalves Clin Rev Allergy Immunol https://doi.org/10.1007/s12016-019-08732-1を参照のこと。
【背景技術】
【0002】
好酸球性食道炎(EoE)などの食道炎症性疾患は、食道での高レベルの好酸球及び基底域過形成(basal zonal hyperplasia)を特徴とする疾患であり、小児及び成人で増々診断されている。その病因、自然歴、及び最適な治療を含む疾患の多くの態様は不明なままである。EoEにはすべての年齢層が罹患するが、最も頻度が高いのは20~50歳の個人である。EoEの症状は、胃食道逆流疾患(GERD)の症状にしばしば似ており、嘔吐、嚥下障害、痛み、及び食片圧入を含む。この疾患は痛みを伴い、嚥下困難を引き起こし、患者を他の合併症にかかりやすくする。EoEは、しばしばGERDと誤診され、EoE患者の適切な処置の遅れを生じさせる。
EoEの診断に現在必要な診断基準には、1)食道機能障害の症状、2)食道のみに罹患する、少なくとも15個の強拡大1視野あたりの好酸球を伴う好酸球性食道炎、及び3)好酸球性食道炎の他の原因の除外が含まれる。他の原因には、好酸球性胃腸炎、セリアック病、クローン病(CD)、感染症、アカラシア、血管炎、及び好酸球増多症候群が含まれ得る。
EoEの病因はまだ完全には理解されていないが、EoEは2型ヘルパーT(Th2)細胞媒介性アトピー性疾患とみなされている。EoEの発症は、遺伝的感受性と、食品抗原(主に非IgE媒介)、エアロアレルゲン、及び環境要因に対する不適切な免疫駆動性炎症反応との間の多因子相互作用に起因すると考えられている。EoE患者の食道組織で観察されるバリア機能障害の遺伝的素因により、アレルゲン分子が上皮を容易に通過することが可能となり、その後にTh2駆動性アレルギー性過敏症が起こる。このTh2細胞媒介性活性は、サイトカイン産生(インターロイキン[IL]-4、IL-5、及びIL-13を含む)並びにその後の好酸球の活性化及び食道への動員(好酸球性炎症)を引き起こす。食道に入ると、好酸球は、上記の食道の症状、組織の損傷及びリモデリングを引き起こす有害な分泌物を放出し、追加のバリア機能障害を誘発して、炎症サイクルを更に強化する。
現在の治療はしばしば一過性の又はわずかな症状緩和しか提供しないため、EoEの新しく、効果的で、安全な処置に対する満たされていない大きな臨床的必要性が残っている。本開示は、この必要性を満たし、関連する利点も提供する。
本出願中のいかなる参考文献の引用も、そのような参考文献が本出願の先行技術であることを認めるものと解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0003】
好酸球性消化管疾患の少なくとも1つの症状又は徴候の処置又は改善を必要とする個人において好酸球性消化管疾患の少なくとも1つの症状又は徴候を処置又は改善する方法であって、それを必要とする個人に、治療有効量の(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)又はその薬学的に許容される塩を含む医薬剤形を投与することを含む、方法が提供される。
好酸球性食道炎(EoE)の少なくとも1つの症状又は徴候の処置又は改善を必要とする個人において好酸球性食道炎(EoE)の少なくとも1つの症状又は徴候を処置又は改善する方法であって、それを必要とする個人に、治療有効量の(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)又はその薬学的に許容される塩を含む医薬剤形を投与することを含む、方法が提供される。
好酸球性食道炎(EoE)の少なくとも1つの症状又は徴候を処置、予防、又は改善する方法であって、EoEの少なくとも1つの症状又は徴候を示す個人を選択することであって、該個人が、上昇したレベルの食道好酸球、エオタキシン-3、ペリオスチン、血清IgE(総及びアレルゲン特異的)、IL-13、IL-5、TARC、TSLP、血清ECP、及びEDNから選択されるバイオマーカーを有する、選択することと、それを必要とする個人に、治療有効量の(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)又はその薬学的に許容される塩を含む医薬剤形を投与することと、を含む、方法が提供される。
好酸球性食道炎(EoE)の少なくとも1つの症状又は徴候を処置、予防、又は改善する方法であって、個人をEoEにかかりやすくするアレルゲンに対してアレルギー反応を有する個人を選択することと、それを必要とする個人に、治療有効量の(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)又はその薬学的に許容される塩を投与することと、を含む、方法も提供される。
【0004】
好酸球性食道炎(EoE)を処置する方法であって、それを必要とする個人に、治療有効量の(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)又はその薬学的に許容される塩を投与することと、を含む、方法も提供される。いくつかの実施形態では、それを必要とする個人は、処置前又は処置時に(「ベースライン」では)、個人の食道において15個以上の強拡大1視野(hpf)あたりの好酸球を示す。いくつかの実施形態では、それを必要とする個人は、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与の16週後に、ベースラインからのhpfあたりの好酸球数の少なくとも30%の減少を示す。いくつかの実施形態によれば、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、絶食条件下で投与される。いくつかの実施形態によれば、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、摂食条件下で投与される。いくつかの実施形態では、治療有効量は、約0.5~約5.0mgの化合物1に相当する。いくつかの実施形態では、治療有効量は、2mgの化合物1に相当する量である。いくつかの実施形態では、治療有効量は、1mgの化合物1に相当する量である。いくつかの実施形態によれば、治療有効量は、1日1回の頻度で投与される。いくつかの実施形態では、治療有効量は、朝に投与される。いくつかの実施形態では、個人は、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与後に、ベースラインから15個未満のeos/hpf(less than 15 eos/hpf from base line)の食道PECを示す。いくつかの実施形態では、個人は、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与後に、ベースラインから6未満のeos/hpf(less than 6 eos/hpf from baseline)の食道PECを示す。いくつかの実施形態では、個人は、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与の16週後に、ベースラインからのhpfあたりの好酸球数の少なくとも50%の減少を示す。いくつかの実施形態では、個人は、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与の16週後に、ベースラインからのhpfあたりの好酸球数の少なくとも40%の減少を示す。いくつかの実施形態では、個人は、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与の16週後に、ベースラインからのhpfあたりの好酸球数の少なくとも50%の減少を示す。いくつかの実施形態によれば、投与は、重篤な有害事象をもたらさない。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、個人において急性心拍数低下又は心臓ブロックを実質的に誘導することなく投与される。
本明細書に開示される本発明のこれら及び他の態様は、特許開示が進むにつれて、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】
図1は、EoEの病因を示す。ステップ1では、食道上皮細胞が樹状細胞をTh2表現型に極性化する。ステップ2では、樹状細胞がリンパ節(LN)に移動し、Th2 T細胞の分化を促進する。ステップ3では、新たに活性化されたTh2細胞がLNを離れる。ステップ4では、Th2細胞が食道に移動し、サイトカインを分泌する。ステップ5では、好酸球がTh2サイトカインを介して食道に動員される。
【
図2】
図2は、欧州の多施設治験に登録された成人EoE患者の内視鏡症状を示す:白い滲出液(a)、縦走溝(b)、びまん性浮腫(c)、固定リング(d)、重度の狭窄(e)、並びにリング、溝、及び浮腫(f)。
【
図3】
図3は、実施例3で更に記載されるように、免疫細胞サブタイプのベースラインから7日目までの平均変化率に対する化合物1の効果を示している。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書で使用する場合、以下の単語及び句は、それらが使用される文脈が別段で示す場合を除いて、一般に以下に記載される意味を有することを意図する。
化合物1:本明細書で使用する場合、「化合物1」は、(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(その結晶形態を含む)を意味する。
【化1】
【0007】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT特許出願番号PCT/US2009/004265を参照のこと。非限定的な例として、化合物1は、国際公報第2010/011316号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるように、無水非溶媒和結晶形態として存在し得る。別の非限定的な例として、化合物1のL-アルギニン塩は、国際公報第2010/011316号及び国際公報第2011/094008号(それらの各々は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、無水非溶媒和結晶形態として存在し得る。別の非限定的な例として、化合物1のカルシウム塩は、国際公報第2010/011316号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるような結晶形態として存在し得る。化合物1は、文献ではエトラシモド(etrasimod)又はAPD334と称されている。
化合物1又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくは水和物は、経口投与される選択的な合成スフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体1,4,5モジュレーターである。今日まで、化合物1又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくは水和物は、様々な用量で処置された約281人の成人対象において安全で十分に認容性であることが見出されている。その安全性及び忍容性は、最大5mgの単回投与及び最大4mgの反復用量で、1日1回(QD)での健常な成人対象を対象による第1相試験で評価された。UC患者での第2相用量設定試験では、2mgのQDでの12週間の処置により、プラセボと比較して臨床的に意味があり、統計的に有意な内視鏡的及び症候性の改善が見出された。有益な持続効果が、その後の非盲検延長試験において最大46週間観察された。
【0008】
投与:本明細書で使用する場合、「投与」は、個人が化合物を内在化するように、化合物又は他の治療、治癒、又は処置を提供することを意味する。
処方:本明細書で使用する場合、「処方する」とは、薬物又は他の治療、治癒、又は処置の使用を依頼、承認、又は推奨することを意味する。いくつかの実施形態では、医療従事者は、化合物、投与レジメン、又は他の処置の使用を個人に口頭で助言、推奨、又は許可することができる。この場合、医療従事者は、化合物、投与レジメン、又は処置の処方を提供してもよいし又は提供しなくてもよい。更に、医療従事者は、推奨する化合物又は処置の処方を提供してもよいし又は提供しなくてもよい。例えば、医療従事者は、化合物を提供せずに、化合物を入手する場所を個人に助言することができる。いくつかの実施形態では、医療従事者は、化合物、投与レジメン、又は処置のための処方を個人に提供することができる。例えば、医療従事者は、書面又は口頭で個人に処方を与えることができる。処方は、紙又はコンピュータファイルなどの電子メディア、例えば、ハンドヘルドコンピュータデバイスに書き込むことができる。例えば、医療従事者は、紙片又は電子メディアを化合物、投与レジメン、又は処置の処方に変換することができる。更に、処方は、電話で連絡するか(口頭)、ファックスを送るか(書面)、又はインターネットを介して電子的に薬局又は調剤薬局(dispensary)に提出することができる。いくつかの実施形態では、化合物試料又は処置を個人に与えることができる。本明細書で使用する場合、化合物試料の付与は、化合物の暗黙の処方を構成する。世界中の異なる医療制度は、化合物又は処置を処方及び/又は投与するために異なる方法を使用し、これらの方法は、本開示に包含される。
処方には、例えば、個人の名前及び/又は生年月日などの識別情報を含めることができる。更に、例えば、処方には、薬品名、薬品の強さ、用量、投与頻度、投与経路、調合される(dispensed)数又は量、リフィルの数、医師名、医師の署名などを含めることができる。更に、例えば、処方には、DEA番号及び/又は州番号を含めることができる。
【0009】
医療従事者には、例えば、本明細書に記載の状態の処置のための化合物(薬物)を処方又は投与することができる医師、看護師、診療看護師、又は他の関連する医療専門家を含めることができる。更に、医療従事者には、例えば保険会社を含む、化合物又は薬物を推奨し、処方し、投与し、又は個人がそれを受けることを予防することができる誰をも含めることができる。
予防する(prevent)、予防する(preventing)、又は予防(prevention):本明細書で使用する場合、特定の障害又は特定の障害に関連する1つ以上の症状の発生若しくは発症の予防などの「予防する(prevent)」、「予防する(preventing)」、又は「予防(prevention)」という用語は、障害の完全な予防を必ずしも意味しない。例えば、「予防する(prevent)」、「予防する(preventing)」、及び「予防(prevention)」という用語は、疾患又は状態の少なくとも1つの症状を最終的に示し得るが、まだそうなってはいない個人に予防的(prophylactic)又は予防的(preventative)に処置を施すことを意味する。そのような個人は、その後の疾患の発生に相関することが既知であるリスク因子に基づいて同定することができる。或いは、予防(prophylactic)手段として、リスク因子を事前に同定せずに予防的(prevention)治療を施すことができる。少なくとも1つの症状の発症を遅延させることも、予防(prevention)又は予防(prophylaxis)とみなすことができる。
処置する(treat)、処置する(treating)、又は処置(treatment):本明細書で使用する場合、「処置する(treat)」、「処置する(treating)」、又は「処置(treatment)」という用語は、疾患若しくは状態の少なくとも1つの症状をすでに示しているか、又は疾患若しくは状態の少なくとも1つの症状を以前に示した個人に処置を施すことを意味する。例えば、「処置する(treating)」には、疾患又は状態の症状を緩和、軽減、若しくは改善すること、追加の症状を予防すること、症状の基礎をなす代謝原因を改善すること、疾患若しくは状態を阻害すること、例えば、疾患若しくは状態の発症を阻止すること、疾患若しくは状態を和げること、疾患若しくは状態の退行を引き起こすこと、疾患若しくは状態によって引き起こされる状態を和げること、又は疾患若しくは状態の症状を停止させることが含まれる。例えば、障害に関する「処置する(treating)」という用語は、その特定の障害に関連する1つ以上の症状の重症度の軽減を意味する。したがって、障害の処置は、障害に関連するすべての症状の重症度の軽減を必ずしも意味せず、障害に関連する1つ以上の症状の重症度の完全な軽減を必ずしも意味しない。
忍容性:本明細書で使用する場合、個人への用量の投与が許容できない有害事象又は許容できない有害事象の組み合わせをもたらさない場合、個人は化合物の用量を「忍容する」と言われる。当業者は、忍容性が主観的な尺度であり、ある個人には忍容し得る場合があるものが別の個人には忍容し得ない場合があることを理解するであろう。例えば、ある個人は、頭痛を忍容し得ない場合があり、しかし、2人目の個人は、頭痛は忍容し得る場合があるが嘔吐は忍容し得えず、しかし、3人目の個人の場合、頭痛のみ又は嘔吐のみのいずれかは忍容し得るが、たとえそれぞれの重症度が単独で経験したときよりも少ない場合でも、その個人は頭痛及び嘔吐の組み合わせは忍容し得ない。
非忍容性:本明細書で使用する場合、「非忍容性」は、用量の減少又は薬品の中止をもたらす重大な毒性及び/又は忍容性の問題を意味する。「非忍容性」は、本明細書では「認容し得ない」という用語に置き換えることができる。
有害事象:本明細書で使用する場合、「有害事象」は、化合物1又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくは水和物による処置に関連する不都合な医学的出来事である。一実施形態では、有害事象は、白血球減少症、便秘、下痢、悪心、腹痛、好中球減少症、嘔吐、腰痛、及び月経障害から選択される。一実施形態では、有害事象は、心臓ブロック、例えば、第1度房室心臓ブロックである。一実施形態では、有害事象は、急性心拍数低下である。一実施形態では、有害事象は、80%未満のFEV1、FVCなどの異常な肺機能検査所見である。一実施形態では、有害事象は、ALT及びAST>2×ULNの上昇などの異常な肝機能検査である。一実施形態では、有害事象は、黄斑浮腫である。
処置を必要とする及びそれを必要とする:本明細書で使用する場合、処置に言及する場合の「処置を必要とする」及び「それを必要とする」は、個人が処置を必要とするか又は処置から恩恵を受ける、医療提供者(医師、看護師、診療看護師など)による判断を意味するために交換可能に使用される。この判断は、医療提供者の専門知識の範囲内の様々な要因に基づいて行われるが、これには、本発明の化合物によって処置可能である疾患、状態、又は障害の結果として、個人が病気であるか又は病気になるという知識が含まれる。したがって、本発明の化合物を保護的若しくは予防的様式で使用することができ、又は本発明の化合物を疾患、状態、若しくは障害を軽減、阻害、若しくは改善するために使用することができる。
個人:本明細書で使用する場合、「個人」とは、任意のヒトを意味する。いくつかの実施形態では、ヒト個人は「対象」又は「患者」と称される。
急性心拍数低下:本明細書で使用する場合、「急性心拍数低下」とは、薬物投与後、数時間以内に例えば1~3時間以内に最大になり、その後、心拍数は投与前の値へと戻る、例えば1分あたり10拍(bpm)以上の正常洞調律からの心拍数の低下を意味し、例えば、約5bpm未満、例えば、約4bpm未満又は約3bpm未満又は2bpm未満である。
正常洞調律:本明細書で使用する場合、「正常洞調律」とは、処置を受けていないときの個人の洞調律を意味する。正常洞調律の評価は、医師の能力の範囲内である。正常洞調律は、一般に60~100bpmの範囲の心拍数をもたらす。
用量:本明細書で使用する場合、「用量」は、ある特定の時間に疾患又は障害を処置又は予防するために個人に与えられる化合物1又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくは水和物の量を意味する。
標準用量:本明細書で使用する場合、「標準用量」は、疾患又は障害を処置又は予防するために個人に与えられる化合物1又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくは水和物の用量を意味する。目標用量は、処置する疾患の性質及び重症度によって変動し得る。
治療有効量:本明細書で使用する場合、薬剤、化合物、薬物、組成物、又は組み合わせの「治療有効量」は、非毒性であり、かつ、対象又は患者(例えば、ヒト対象又は患者)への投与時に何らかの所望の治療効果を生じさせるのに有効な量である。対象のための正確な治療有効量は、例えば、対象のサイズ及び健常、状態の性質及び程度、投与のために選択される治療薬又は治療の組み合わせ、並びに当業者に既知の他の変動要因に依存し得る。所与の状況に対する有効量は、日常的な実験によって決定され、臨床医の判断の範囲内にある。いくつかの実施形態では、治療有効量は、標準用量である。
好酸球性食道炎:本明細書で使用する場合、「好酸球性食道炎」又は「EoE」は、食道内の異常な好酸球性炎症及び食道機能不全を特徴とする炎症性疾患を意味する。EoEの病因を
図1に示す。EoEの主な症状には、胸痛及び腹痛、嚥下障害、胸焼け、食物拒絶、嘔吐、並びに食片圧入が含まれるが、これらに限定されない。EoEの臨床病理は、食道壁における隆起又は気管様リング及び食道粘膜における好酸球浸潤が存在していることを特徴としている。EoEは現在、食道の内視鏡検査と、これに続く食道粘膜内層の顕微鏡的及び生化学的分析とによって診断される。EoEは、対象の状態に応じて、アレルギー性又は非アレルギー性に分類され得る。本発明は、アレルギー型及び非アレルギー型の両方のEoEを処置する方法を含む。
食道狭窄:本明細書で使用する場合、食道狭窄は、その直径及び関連する解剖学的異常に基づいて、単純又は複雑に分類することができる。単純な狭窄は、内視鏡で簡単に通過することができる、対称又は同心の内腔及び12mm以上の直径を有する短い狭窄として定義される。複雑な狭窄は、通常2cmより長く、角張っているか又は不規則であり得、12mm未満の直径を有する。これは、大きな食道裂孔裂孔ヘルニア、食道憩室、又は気管食道瘻に関連し得る。複雑な狭窄では、単純な狭窄と比較して、再発率が高く、拡張に関連する有害事象のリスクが高い。狭窄の重症度は、典型的な外径が9mmである診断用内視鏡の通過で遭遇する抵抗によって推定することができる。軽度の狭窄は抵抗なしで内視鏡を通過させ、中程度の狭窄はしばしば抵抗を増加させるが、重度の狭窄は通過することができない場合がある。
図2を参照のこと。
アレルゲン:本明細書で使用する場合、「アレルゲン」は、感受性のある個人のアレルギー反応を刺激することができる任意の物質、化学物質、粒子、又は組成物を意味する。アレルゲンは、例えば、乳製品(例えば、牛乳)、卵、小麦、大豆、トウモロコシ、ライ麦、魚、甲殻類、ピーナッツ、及び木の実などの食品に含まれるか、又はそれらから得られ得る。あるいは、アレルゲンは、例えば、埃(例えば、ダニを含む)、花粉、昆虫毒(例えば、ミツバチ、ハチ、蚊などの毒)、カビ、動物の鱗屑、ラテックス、薬品、薬物、ブタクサ、草、樺の木などの非食品中に含まれるか、又はそれから得られ得る。
アレルギー応答又はアレルギー反応又はアレルギー症状:本明細書で使用する場合、「アレルギー応答」、「アレルギー反応」、「アレルギー症状」などの句には、蕁麻疹(urticaria)(例えば、蕁麻疹(hive))、血管浮腫、鼻炎、喘息、嘔吐、くしゃみ、鼻水、副鼻腔炎、涙目、喘鳴、気管支痙攣、最大呼気流量(PEF)の低下、胃腸障害、紅潮、唇の腫れ、舌の腫れ、血圧の低下、アナフィラキシー、及び臓器機能不全/機能障害から選択される1つ以上の徴候又は症状が含まれる。「アレルギー応答」、「アレルギー反応」、「アレルギー症状」などには、例えば、IgE産生の増加、アレルゲン特異的免疫グロブリン産生の増加、及び/又は好酸球増多症などの免疫学的応答及び反応も含まれる。
好酸球浸潤:本明細書で使用する場合、「好酸球浸潤」は、対象の血液、食道、胃、十二指腸、及び回腸を含む器官又は組織における好酸球の存在、より具体的には、食道及び胃を含むがこれらに限定されない胃腸菅領域の粘膜内層における好酸球の存在を指す。好酸球性浸潤は、例えば、EoEに罹患している対象の食道組織生検で分析される。いくつかの実施形態によれば、「好酸球浸潤」は、食道における15個以上の強拡大1視野あたりの好酸球の存在を指す。「強拡大1視野」という用語は、例えば、対象の食道由来の組織中の好酸球を観察するために使用される顕微鏡による400倍の標準的な全倍率を指す。特定の実施形態では、「好酸球浸潤」には、白血球、例えば、リンパ球、好中球、及び肥満細胞による組織への浸潤が含まれる。例えば、食道組織への白血球浸潤は、好酸球特異的マーカー(例えば、CD11c
Low/Neg、SiglecF
+、F4/80
+、EMR1
+、Siglec
8+、及びMBP2
+)、マクロファージ特異的マーカー(例えば、CD11b
+、F4/80
+、CD14
+、EMR1
+、及びCD68
+)、好中球特異的マーカー(例えば、CD11b
+、Ly6G
+、Ly6C
+、CD11b
+、及びCD66b
+)、及びT細胞特異的マーカー(例えば、CD3
+CD4
+CD8
+)などの細胞表面マーカーによって検出することができる。
食道好酸球の減少:本明細書で使用する場合、「食道好酸球の減少」とは、EoEを有する対象の食道で測定され、化合物1又はその薬学的に許容される塩、その溶媒和物、若しくは水和物で処置された好酸球及び他の白血球の数が、化合物1又はその薬学的に許容される塩、その溶媒和物、若しくは水和物で処置されていない同じ又は同等の対象で測定された食道好酸球よりも少なくとも5%、10%、20%、50%、70%、80%、又は90%低いことを意味する。特定の実施形態では、好酸球浸潤の減少は、食道粘膜の生検において15個未満の強拡大1視野あたりの好酸球、例えば、強拡大1視野あたり、10個未満の好酸球、9個未満の好酸球、8個未満の好酸球、7個未満の好酸球、6個未満の好酸球、又は5個未満の好酸球を検出することを意味する。特定の実施形態では、食道好酸球の減少は、対象の食道粘膜において好酸球が検出されないことを意味する。
EoE関連バイオマーカー:本明細書で使用する場合、「EoE関連バイオマーカー」という用語は、非EoE患者に存在するか又は検出可能であるマーカーのレベル又は量とは異なる(例えば、より多い又はより少ない)レベル又は量でEoE患者に存在するか又は検出可能である、任意の生物学的反応、細胞種、パラメーター、タンパク質、ポリペプチド、酵素、酵素活性、代謝産物、核酸、炭水化物、又は他の生体分子を意味する。例示的なEoE関連バイオマーカーには、例えば、食道好酸球、エオタキシン-3(CCL26)、ペリオスチン、血清IgE(総及びアレルゲン特異的)、IL-13、IL-5、血清胸腺及び活性化調節ケモカイン(TARC;CCL17)、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)、血清好酸球カチオン性タンパク質(ECP)、並びに好酸球由来ニューロトキシン(EDN)が含まれるが、これらに限定されない。「EoE関連バイオマーカー」という用語はまた、EoEを有さない対象と比較してEoEを有する対象において差次的に発現される、当技術分野で既知の遺伝子又は遺伝子プローブが含まれる。例えば、EoEを有する対象で有意にアップレギュレートされる遺伝子には、CCL8、CCL23、及びCCL26などのTヘルパー2(Th2)関連ケモカイン、ペリオスチン、カドヘリン様26、並びにTNFα誘導タンパク質6が含まれるがこれらに限定されない。あるいは、「EoE関連バイオマーカー」にはまた、最終分化タンパク質(例えば、フィラググリン)などのEoEによりダウンレギュレートされる遺伝子が含まれる。特定の実施形態は、化合物1又はその薬学的に許容される塩、その溶媒和物、若しくは水和物の投与による疾患の逆転をモニタリングするためのこれらのバイオマーカーの使用に関する。そのようなEoE関連バイオマーカーを検出及び/又は定量化するための方法は当技術分野で既知であり、このようなEoE関連バイオマーカーを測定するためのキットは様々な商業的供給元から入手することができ、様々な商業診断研究所がそのようなバイオマーカーの測定も提供するサービスを提供している。
嚥下障害症状に関する質問票:本明細書で使用する場合、「嚥下障害症状質に関する問票」又は「DSQ」は、EoEを有する患者における固形食品に対する嚥下障害の存在及び重症度を把握する、検証済みの患者報告結果質問票を指す。対象は、目覚めてから固形食を食べたかどうか、その日の固形食に対する任意の嚥下障害、嚥下障害エピソード中に利用した救済戦略に基づく嚥下障害の重症度、及びもしある場合には飲み込みに関連する最悪の毎日の痛みの重症度を記録する。DSQは、ベースラインの嚥下障害の重症度及び処置介入による変化を特徴づけるために使用することができる。いくつかの実施形態によれば、DSQ合計スコア範囲は0~84である。
医薬組成物:本明細書で使用する場合、「医薬組成物」は、化合物1などの少なくとも1つの活性成分を含む組成物を意味し、該活性成分には、化合物1の塩、溶媒和物、及び水和物を含むがこれらに限定されず、これにより、組成物は、特定の効果的な結果の調査に適している。当業者は、活性成分が当業者の必要性に基づいて所望の効果的な結果を有するかどうかを決定するための適切な技術を理解し、認識するであろう。
水和物:本明細書で使用する場合、「水和物」は、非共有分子間力によって結合された化学量論的又は非化学量論的量の水を更に含む、本発明の化合物又はその塩を意味する。
溶媒和物:本明細書で使用する場合、「溶媒和物」は、非共有分子間力によって結合された化学量論的又は非化学量論的量の溶媒を更に含む、本発明の化合物又はその塩を意味する。好ましい溶媒は、揮発性、非毒性、及び/又は微量でのヒトへの投与に許容可能である。
【0010】
本発明による化合物は、無機酸及び有機酸を含む薬学的に許容される非毒性酸から調製される薬学的に許容される酸付加塩を含む薬学的に許容される塩として任意選択で存在し得る。代表的な酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ジクロロ酢酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、シュウ酸、p-トルエンスルホン酸などが含まれるが、これらに限定されず、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれるBerge et al., Journal of Pharmaceutical Sciences,66:1-19(1977)に記載されているものである。
酸付加塩は、化合物合成の直接生成物として得てもよい。或いは、遊離塩基を適切な酸を含む適切な溶媒に溶解し、溶媒を蒸発させるか、又はそうでなければ塩と溶媒とを分離することにより、塩を単離され得る。本発明の化合物は、当業者に既知の方法を使用して、標準的な低分子量溶媒と溶媒和物を形成し得る。
【0011】
化合物1に言及するときに「薬学的に許容される塩、溶媒和物及び水和物(pharmaceutically acceptable salts, solvates and hydrates)」という句又は「薬学的に許容される塩、溶媒和物、又は水和物(pharmaceutically acceptable salt, solvate, or hydrate)」という句が使用される場合、該句は化合物1の薬学的に許容される溶媒和物及び/又は水和物、化合物1の薬学的に許容される塩、並びに化合物1の薬学的に許容される塩の薬学的に許容される溶媒和物及び/又は水和物を包含することが理解される。塩である化合物1に言及するときに「薬学的に許容される溶媒和物及び水和物(pharmaceutically acceptable solvates and hydrates)」という句又は「薬学的に許容される溶媒和物又は水和物(pharmaceutically acceptable solvate, or hydrate)」という句が使用される場合、これは、そのような塩の薬学的に許容される溶媒和物及び/又は水和物を包含することも理解される。本明細書に記載の剤形が、活性成分として、化合物1若しくは薬学的に許容される塩のいずれか又はその溶媒和物若しくは水和物を含み得ることは、当業者には明らかであろう。更に、化合物1の様々な水和物及び溶媒和物並びにそれらの塩は、医薬組成物の製造における中間体としての使用が見出されるであろう。本明細書に記載されているもの以外の好適な水和物及び溶媒和物を作製及び同定するための典型的な手順は、当業者に周知であり、例えば、K.J.Guillory, “Generation of Polymorphs, Hydrates,Solvates, and Amorphous Solids,”in: Polymorphism in Pharmaceutical Solids,ed.Harry G.Britain,Vol.95,Marcel Dekker,Inc.,New York,1999の202~209頁を参照のこと。したがって、本開示の一態様は、熱重量分析(TGA)、TGA質量分析、TGA赤外線分光法、粉末X線回折(XRPD)、カールフィッシャー滴定、高分解能X線回折などの当該技術分野で既知の方法によって単離及び特性決定することができる、化合物1及び/又はその薬学的に許容される塩の水和物及び溶媒和物を処方及び/又は投与する方法に関する。ルーチンで溶媒和物及び水和物を同定するための迅速で効率的なサービスを提供するいくつかの営利企業がある。これらのサービスを提供している企業の例には、Wilmington PharmaTech(デラウェア州ウィルミントン)、Avantium Technologies(アムステルダム)、Aptuit(コネチカット州グリニッジ)が含まれる。
【0012】
本明細書に開示される方法において整数が使用される場合、「約」という用語を整数の前に挿入することができる。
本明細書全体を通して、文脈が別段で要求をしない限り、「含む(comprise)」という単語又は「含む(comprises)」若しくは「含む(comprising)」などの変形は、記載されたステップ若しくは構成要素若しくは整数又はステップ若しくは構成要素若しくは整数の群を含むが、任意の他のステップ若しくは構成要素若しくは整数又は構成要素若しくは整数の群を除外しないことを意味する。
本明細書全体を通して、別段で明記しない限り、又は文脈が別段で要求をしない限り、単一のステップ、物質の組成、ステップの群、又は物質の組成の群への言及は、1つ及び複数(すなわち、1つ以上)のそれらのステップ、物質の組成、ステップの群、又は物質の組成の群を包含すると解釈される。
本明細書に記載の各実施形態は、別段で明記しない限り、必要な変更を加えて、他のすべての各実施形態に適用されるものとする。
当業者は、本明細書に記載の発明が、具体的に記載されているもの以外の変形及び修正を受けやすいことを理解するであろう。本発明は、そのようなすべての変形及び修正を含むことを理解されたい。本発明はまた、別段で明記しない限り、本明細書で参照又は示されるすべてのステップ、特徴、組成物、及び化合物を個別に又は集合的に含み、上記ステップ又は特徴の任意のすべての組み合わせ又は任意の2つ以上を含む。
本発明は、例示目的でのみ意図される本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されない。機能的に同等の製品、組成物、及び方法は、明らかに、本明細書に記載の本発明の範囲内である。
明確にするために別個の実施形態の文脈で説明される本発明の特定の特徴はまた、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明される本発明の様々な特徴はまた、別個に又は任意の好適なサブコンビネーションで提供することができる。例えば、化合物1又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくは水和物を処方及び/又は投与することを記載する方法は、2つの方法:化合物1又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくは水和物を処方することを記載する1つの方法、及び化合物1又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくは水和物を投与することを記載する他の方法に分けることができる。更に、例えば、化合物1又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくは水和物を処方することを記載する方法と、化合物1又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくは水和物を投与することを記載する本発明の別個の方法と、を組み合わせて、化合物1又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、若しくは水和物を処方及び/又は投与することを記載する単一の方法にすることができる。
【0013】
好酸球性消化管疾患の少なくとも1つの症状又は徴候の処置又は改善を必要とする個人において好酸球性消化管疾患の少なくとも1つの症状又は徴候を処置又は改善する方法であって、それを必要とする個人に、治療有効量の(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)又はその薬学的に許容される塩を含む医薬剤形を投与することを含む、方法が提供される。
好酸球性食道炎の少なくとも1つの症状又は徴候の処置又は改善を必要とする個人において好酸球性食道炎の少なくとも1つの症状又は徴候を処置又は改善する方法であって、それを必要とする個人に、治療有効量の(R)-2-(7)-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)又はその薬学的に許容される塩を含む医薬剤形を投与することを含む、方法が提供される。
好酸球性食道炎(EoE)の少なくとも1つの症状又は徴候を処置、予防、又は改善する方法であって、EoEの少なくとも1つの症状又は徴候を示す個人を選択することであって、個人が、上昇したレベルの食道好酸球、エオタキシン-3、ペリオスチン、血清IgE(総及びアレルゲン特異的)、IL-13、IL-5、TARC、TSLP、血清ECP、及びEDNから選択されるバイオマーカーを有する、選択することと、それを必要とする個人に、治療有効量の(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)又はその薬学的に許容される塩を含む医薬剤形を投与することを含む、方法が提供される。
【0014】
いくつかの実施形態では、好酸球性消化管疾患は、好酸球性食道炎(EoE)、好酸球性胃炎(EG)、好酸球性胃腸炎(EGE)、及び好酸球性大腸炎(EC)から選択される。
いくつかの実施形態では、個人は、処置前又は処置時に(「ベースライン」では)、食道において15個以上の強拡大1視野(hpf)あたりの好酸球を示すことに基づいて選択される。
いくつかの実施形態では、個人は、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与後10日目に、ベースラインからのhpfあたりの好酸球数の少なくとも50%の減少を示す。
いくつかの実施形態では、個人は、処置の開始前又は開始時(「ベースライン」)に、約50pg/mLを超えるエオタキシン-3レベルを示すことに基づいて選択される。
いくつかの実施形態では、個人は、投与後10日目に、ベースラインからエオタキシン-3レベルの少なくとも50%の減少を示す。
【0015】
いくつかの実施形態では、EOEは、食道の内視鏡検査後に続く、食道粘膜内層の顕微鏡分析及び生化学的分析によって診断される。いくつかの実施形態では、EOEは、食道の内視鏡検査並びに食道内視鏡的特徴(例えば、浮腫、リング、滲出液、溝、及び狭窄)の存在及び重症度によって診断される。いくつかの実施形態では、EOEは、1つ以上の食道レベル(近位、中位、及び/又は遠位)の内視鏡検査及び生検によって診断される。いくつかの実施形態では、診断は、個人の好酸球数及び/又は組織学的特徴の分析の結果である。
好酸球性食道炎(EoE)の少なくとも1つの症状又は徴候を処置、予防、又は改善する方法であって、個人をEoEにかかりやすくするアレルゲンに対してアレルギー反応を有する個人を選択することと、それを必要とする個人に、治療有効量の(R)-2-(7-(4-シクロペンチル-3-(トリフルオロメチル)ベンジルオキシ)-1,2,3,4-テトラヒドロシクロペンタ[b]インドール-3-イル)酢酸(化合物1)又はその薬学的に許容される塩を含む医薬剤形を投与することを含む、方法も提供される。
いくつかの実施形態では、個人は、アレルゲンに感受性である。例えば、対象は、次の特徴のうちの1つを示し得る:(a)1つ以上のアレルゲンに曝露された場合、アレルギー反応又は応答を起こしやすい、(b)1つ以上のアレルゲンに対してアレルギー反応又は応答を以前に示したことがある、(c)アレルギーの既往歴がある、及び/又は(d)アレルギー応答又はアナフィラキシーの兆候若しくは症状を示す。特定の実施形態では、対象は、EoEに関連するアレルゲン、又は対象をEoEの発症に対して感受性を高くする及び/若しくはEoEを発症しやすくするアレルゲンに対してアレルギーがある。
いくつかの実施形態では、個人は、食物アレルゲンに対してアレルギー反応を示す。例えば、対象は、乳製品、卵、小麦、大豆、トウモロコシ、ライ麦、魚、甲殻類、ピーナッツ、木の実、牛肉、鶏肉、オーツ麦、大麦、豚肉、インゲン、並びにリンゴ及びパイナップルなどの果物を含むがこれらに限定されない食品に含まれるアレルゲンに対してアレルギーを有し得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、個人は、埃、カビ、昆虫、花粉を含む植物、並びにネコ及びイヌなどのペットに由来するアレルゲンなどの非食物アレルゲンに対してアレルギーがある。非食物アレルゲン(環境アレルゲン又はエアロアレルゲンとしても知られている)の例には、ハウスダストダニアレルゲン、花粉アレルゲン、動物毛垢アレルゲン、昆虫毒、草アレルゲン、及びラテックスが含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、EoEの症状又は徴候は、食道の好酸球浸潤、食道壁の肥厚、食物拒絶、嘔吐、腹痛、胸焼け、逆流、嚥下障害、及び食片圧入から選択される。
いくつかの実施形態では、個人は、処置前に、例えば、肥満細胞などの炎症誘導性メディエーターの食道過剰発現、食道の好酸球浸潤、食道壁の肥厚、嚥下障害、食片圧入、胸痛及び腹痛、並びに/又はEoE関連バイオマーカーのレベルの上昇などのEoEの1つ以上の兆候を示す(又は示している)。
いくつかの実施形態では、個人は、よりEoEにかかりやすいか、又はEoE関連バイオマーカーのレベルの上昇を示し得る。例えば、個人は、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、及びアレルギー性結膜炎などのアトピー性疾患又は障害を患っている。いくつかの実施形態では、対象は、遺伝性の結合組織障害を有する。そのような対象集団は、例えば、IgE、エオタキシン-3、ペリオスチン、IL-5、又はIL-13などのEoE関連バイオマーカーのレベルの上昇を示し得る。
いくつかの実施形態では、個人は、1つ以上のEoE関連バイオマーカーのレベルの上昇を示す。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与は、個人においてEoE関連バイオマーカーのレベルの低下をもたらす。いくつかの実施形態では、EoE関連バイオマーカーは、食道好酸球、エオタキシン-3、ペリオスチン、血清IgE(総及びアレルゲン特異的)、IL-13、IL-5、血清胸腺及び活性化調節ケモカイン(TARC)、胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)、血清好酸球カチオン性タンパク質(ECP)、及び好酸球由来ニューロトキシン(EDN)から選択される。
いくつかの実施形態では、処置前に、個人は、食道において15個以上の強拡大1視野あたりの好酸球の存在を示す。いくつかの実施形態では、処置前に、個人は、上昇した末梢好酸球数(>300個の細胞/アップ(>300 cells/up))又は上昇した血清IgE(>150kU/L)を示す。いくつかの実施形態では、処置前に、個人は、食道において15個以上の強拡大1視野あたりの好酸球及び上昇した末梢好酸球数(>300個の細胞/アップ)又は上昇した血清IgE(>150kU/L)を示す。
【0017】
いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、リンパ節への組織樹状細胞の移動を低減させる。
いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、浸潤性TH2及びCD8 T細胞を減少させる。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、循環T細胞を減少させる。
いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、組織サイトカインを減少させる。
いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、好酸球浸潤を減少させる。
いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、好酸球の組織蓄積を減少させる。
いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与前又は投与時に、個人は、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、及びアレルギー性結膜炎から選択される疾患又は障害を有するか、又はそれを有すると診断される。
【0018】
いくつかの実施形態では、医薬剤形は、個人に1日1回投与される。
いくつかの実施形態では、個人に、約0.5~約5.0mgの化合物1に相当する量が投与される。いくつかの実施形態では、個人に、2mgの化合物1に相当する量が投与される。いくつかの実施形態では、個人に、2.25mgの化合物1に相当するが投与される。いくつかの実施形態では、個人に、2.5mgの化合物1に相当する量が投与される。いくつかの実施形態では、個人に、2.75mgの化合物1に相当する量が投与される。いくつかの実施形態では、個人に、3mgの化合物1に相当する量が投与される。いくつかの実施形態では、個人に、3mgの化合物1に相当する量が投与される。いくつかの実施形態では、個人に、1mgの化合物1に相当する量が投与される。
いくつかの実施形態では、個人に、化合物1又はその薬学的に許容される塩が少なくとも1ヶ月、例えば、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間投与される。いくつかの実施形態では、個人に、化合物1又は薬学的に許容可能な塩が少なくとも1週間、例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間投与される。いくつかの実施形態では、第2の期間は、無期限であり、例えば、長期投与である。
いくつかの実施形態では、個人に、第1の期間に2mgの化合物1に相当する量が投与され、その後、第2の期間に3mgの化合物1に相当する量が投与される。いくつかの実施形態では、第1の期間は、少なくとも1ヶ月間、例えば、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間などである。いくつかの実施形態では、第1の期間は、少なくとも1週間、例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間などである。いくつかの実施形態では、第2の期間は、少なくとも1ヶ月間、例えば、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間などである。いくつかの実施形態では、第2の期間は、少なくとも1週間、例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間などである。いくつかの実施形態では、第2の期間は、無期限であり、例えば、長期投与である。
いくつかの実施形態では、個人に、第1の期間に3mgの化合物1に相当する量を投与され、その後、第2の期間に2mgの化合物1に相当する量が投与される。いくつかの実施形態では、第1の期間は、少なくとも1ヶ月間、例えば、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間などである。いくつかの実施形態では、第1の期間は、少なくとも1週間、例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間などである。いくつかの実施形態では、第2の期間は、少なくとも1ヶ月間、例えば、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間などである。いくつかの実施形態では、第2の期間は、少なくとも1週間、例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間などである。いくつかの実施形態では、第2の期間は、無期限であり、例えば、長期投与である。
いくつかの実施形態では、個人に、第1の期間に1mgの化合物1に相当する量が投与され、その後、第2の期間に2mgの化合物1に相当する量が投与される。いくつかの実施形態では、第1の期間は、少なくとも1ヶ月間、例えば、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間などである。いくつかの実施形態では、第1の期間は、少なくとも1週間、例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間などである。いくつかの実施形態では、第2の期間は、少なくとも1ヶ月間、例えば、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間などである。いくつかの実施形態では、第2の期間は、少なくとも1週間、例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間などである。いくつかの実施形態では、第2の期間は、無期限であり、例えば、長期投与である。
いくつかの実施形態では、個人に、第1の期間に2mgの化合物1に相当する量が投与され、その後、第2の期間に1mgの化合物1に相当する量が投与される。いくつかの実施形態では、第1の期間は、少なくとも1ヶ月間、例えば、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間などである。いくつかの実施形態では、第1の期間は、少なくとも1週間、例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間などである。いくつかの実施形態では、第2の期間は、少なくとも1ヶ月間、例えば、1ヶ月間、2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間などである。いくつかの実施形態では、第2の期間は、少なくとも1週間、例えば、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間などである。いくつかの実施形態では、第2の期間は、無期限であり、例えば、長期投与である。
【0019】
いくつかの実施形態では、標準用量は、調整なし(without titration)で投与される。いくつかの実施形態では、標準用量は、調整なしで投与され、個人は、重篤な関連する有害事象を経験しない。いくつかの実施形態では、標準用量は、他のS1P受容体モジュレーターで見られる初回投与効果を回避するための調整を必要とせずに投与される。
いくつかの実施形態では、剤形は、絶食条件下で投与される。いくつかの実施形態では、剤形は、摂食条件下で投与される。
【0020】
いくつかの実施形態では、本方法は、性別特異的ではない。
いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、第2の治療薬又は治療と組み合わせて投与され、第2の治療薬又は治療は、IL-1β阻害剤、IL-5阻害剤、IL-9阻害剤、IL-13阻害剤、IL-17阻害剤、IL-25阻害剤、TNFα阻害剤、エオタキシン-3阻害剤、IgE阻害剤、プロスタグランジンD2阻害剤、免疫抑制剤、糖質コルチコイド、プロトンポンプ阻害剤、NSAID、アレルゲン除去、及び食事管理から選択される。
いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、少なくとも1つの治療薬又は治療で以前に投与され、治療薬又は治療は、IL-1β阻害剤、IL-5阻害剤、IL-9阻害剤、IL-13阻害剤、IL-17阻害剤、IL-25阻害剤、TNFα阻害剤、エオタキシン-3阻害剤、IgE阻害剤、プロスタグランジンD2阻害剤、免疫抑制剤、糖質コルチコイド、プロトンポンプ阻害剤、NSAID、アレルゲン除去、及び食事管理から選択される。
【0021】
いくつかの実施形態では、個人は、IL-1β阻害剤で処置されるか、又は処置された。いくつかの実施形態では、IL-1β阻害剤は、アナキンラ、リロナセプト、又はカナキヌマブである。
いくつかの実施形態では、個人は、IL-5阻害剤で処置されるか、又は処置された。いくつかの実施形態では、IL-5阻害剤は、ベンラリズマブ、メポリズマブ、又はレスリズマブである。
いくつかの実施形態では、個人は、IL-9阻害剤で処置される。
いくつかの実施形態では、個人は、IL-13阻害剤で処置されるか、又は処置された。いくつかの実施形態では、IL-13阻害剤は、レブリキズマブ、RPC4046、又はトラロキヌマブである。
いくつかの実施形態では、個人は、IL-17阻害剤で処置されるか、又は処置された。いくつかの実施形態では、IL-17阻害剤は、イキセキズマブ又はブロダルマブである。
いくつかの実施形態では、個人は、IL-25阻害剤で処置されるか、又は処置された。
いくつかの実施形態では、個人は、TNFα阻害剤で処置されるか、又は処置された。いくつかの実施形態では、TNFα阻害剤は、SIMPONI(登録商標)(ゴリムマブ)、REMICADE(登録商標)(インフリキシマブ)、HUMIRA(登録商標)(アダリムマブ)、又はCIMZIA(登録商標)(セルトリズマブペゴル)である。
いくつかの実施形態では、個人は、エオタキシン-3阻害剤で処置されるか、又は処置された。
いくつかの実施形態では、個人は、IgE阻害剤で処置されるか、又は処置された。いくつかの実施形態では、IgE阻害剤は、オマリズマブである。
いくつかの実施形態では、個人は、プロスタグランジンD2阻害剤で処置されるか、又は処置された。
【0022】
いくつかの実施形態では、個人は、免疫抑制剤で処置されるか、又は処置された。いくつかの実施形態では、免疫抑制剤は、AZASAN(登録商標)(アザチオプリン)、IMURAN(登録商標)(アザチオプリン)、GENGRAF(登録商標)(シクロスポリン)、NEORAL(登録商標)(シクロスポリン)、又はSANDIMMUN(登録商標)(シクロスポリン)である。免疫抑制剤(immunosuppressant)は、免疫抑制剤(immunosuppressive)又は免疫抑制剤(immunosuppressive agent)とも称される。
いくつかの実施形態では、個人は、プロトンポンプ阻害剤で処置されるか、又は処置された。いくつかの実施形態では、プロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾール、パントプラゾール、エソメプラゾール、又はデクスランソプラゾールである。
いくつかの実施形態では、個人は、糖質コルチコイドで処置されるか、又は処置された。いくつかの実施形態では、糖質コルチコイドは、UCERIS(登録商標)(ブデソニド)、DELTASONE(登録商標)(プレドニゾン)、MEDROL(登録商標)(メチルプレドニゾロン)、又はヒドロコルチゾンである。糖質コルチコステロイドは、糖質コルチコイド又はコルチコステロイドとも称される。
いくつかの実施形態では、個人は、NSAIDで処置されるか、又は処置された。いくつかの実施形態では、NSAIDは、アスピリン、セレコキシブ、ジクロフェナク、ジフルニサル、エトドラク、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、ナブメトン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、サリチル酸塩、スリンダック、又はトルメチンである。
いくつかの実施形態では、個人は、アレルゲン除去で処置されるか、又は処置された。
いくつかの実施形態では、個人は、食事管理で処置されるか、又は処置された。いくつかの実施形態では、食事管理は、アレルギー検査又は既往歴について陽性と検査された食品が食事から排除される、標的化された食事の排除を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、食事管理は、アレルギー検査結果に基づいて食事を排除する代わりに、患者は、アレルギーを引き起こす一般的な食品(牛乳、卵、小麦、大豆、ピーナッツ/木の実、魚/甲殻類)を排除する経験的な6種の食品の排除を含む。
いくつかの実施形態では、食事管理は、すべてのタンパク質供給源が食事から除かれて、患者はアミノ酸調合物のみを飲む、成分栄養食を含む。
いくつかの実施形態では、食事管理は、特定の食品が食事から除かれ、次いで、どの食品が反応を引き起こすかを決定するために一度に1つずつ戻して追加される、食品試験を含む。食事管理には、どの食品が許容されるかを決定するために食品が再導入されるときに、生検を伴って内視鏡検査を繰り返すことが含まれ得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、個人は、好酸球性食道炎の処置のための別の薬剤で不十分な反応を有し、該薬剤に対する反応を喪失し、該薬剤に対して非忍容性であり、又は該薬剤に対する依存性を示している。いくつかの実施形態では、個人は、好酸球性食道炎の処置のために他の薬剤に対して不十分な反応を示している。いくつかの実施形態では、個人は、好酸球性食道炎の処置のための別の薬剤に対する反応を喪失している。いくつかの実施形態では、個人は、好酸球性食道炎の処置のための別の薬剤に対して非忍容性である。
いくつかの実施形態では、個人は、従来の治療で不十分な反応を示し、該治療に対する反応を喪失し、該治療に対して非忍容性である。いくつかの実施形態では、個人は、従来の治療に対して不十分な反応を示している。いくつかの実施形態では、個人は、従来の治療に対する反応を喪失している。いくつかの実施形態では、個人は、従来の治療に対して非忍容性である。いくつかの実施形態では、従来の治療は、IL-1β阻害剤、IL-5阻害剤、IL-9阻害剤、IL-13阻害剤、IL-17阻害剤、IL-25阻害剤、TNFα阻害剤、エオタキシン-3阻害剤、IgE阻害剤、プロスタグランジンD2阻害剤、免疫抑制剤、糖質コルチコイド、プロトンポンプ阻害剤、NSAID、アレルゲン除去、及び食事管理から選択される。いくつかの実施形態では、以前の従来の治療は、以前の処置と称される。
いくつかの実施形態では、個人は、少なくとも1つの治療薬若しくは治療で不十分な反応を示し、該治療薬若しくは治療に対する反応を喪失し、又は該治療薬若しくは治療に対して非忍容性である。いくつかの実施形態では、個人は、少なくとも1つの治療薬又は治療に対する不十分な反応、反応の喪失、又は非忍容性を示している。いくつかの実施形態では、個人は、過去3ヶ月の期間にわたって、少なくとも1つの治療薬又は治療に対する不十分な反応、反応の喪失、又は非忍容性を示している。いくつかの実施形態では、個人は、過去6ヶ月の期間にわたって、少なくとも1つの治療薬又は治療に対する不十分な反応、反応の喪失、又は非忍容性を示している。いくつかの実施形態では、個人は、過去9ヶ月の期間にわたって、少なくとも1つの治療薬又は治療に対する不十分な反応、反応の喪失、又は非忍容性を示している。いくつかの実施形態では、個人は、過去1年間にわたって、少なくとも1つの治療薬又は治療に対する不十分な反応、反応の喪失、又は非忍容性を示している。いくつかの実施形態では、個人は、過去2年間にわたって、少なくとも1つの治療薬又は治療に対する不十分な反応、反応の喪失、又は非忍容性を示している。いくつかの実施形態では、個人は、過去3年間にわたって、少なくとも1つの治療薬又は治療に対する不十分な反応、反応の喪失、又は非忍容性を示している。いくつかの実施形態では、個人は、過去4年間にわたって、少なくとも1つの治療薬又は治療に対する不十分な反応、反応の喪失、又は非忍容性を示している。いくつかの実施形態では、個人は、過去5年間にわたって、少なくとも1つの治療薬又は治療に対する不十分な反応、反応の喪失、又は非忍容性を示している。
いくつかの実施形態では、処置前に、個人にプロトンポンプ阻害剤治療が施されている。いくつかの実施形態では、処置前に、個人は、プロトンポンプ阻害剤治療で不十分な反応を有し、該治療に対する反応を喪失し、又は該治療に対して非忍容性であった。いくつかの実施形態では、個人は、少なくとも2ヶ月間、安定用量のプロトンポンプ阻害剤治療を受けている。
【0025】
いくつかの実施形態では、処置前に、個人は重度の狭窄を有さない。
いくつかの実施形態では、本方法は、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与中に有害事象をモニタリングすることと、任意選択で、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与を中断又は中止することと、を更に含む。
いくつかの実施形態では、処置は、投与中の心拍数をモニタリングすること、投与中の肺機能をモニタリングすること、又は投与中の肝機能をモニタリングすることを更に含む。
いくつかの実施形態では、処置は、投与中の心拍数をモニタリングすることを更に含む。
いくつかの実施形態では、処置は、投与中の肺機能のモニタリングを更に含む。
いくつかの実施形態では、処置は、投与中の肝機能のモニタリングを更に含む。
いくつかの実施形態では、本方法は、本明細書に記載の状態の処置に起因する有害事象の発生率及び重症度を低減する。
いくつかの実施形態では、有害事象は、重篤な有害事象である。
いくつかの実施形態では、重篤な有害事象は、白血球減少症、便秘、下痢、悪心、腹痛、好中球減少症、嘔吐、腰痛、及び月経障害から選択される。
いくつかの実施形態では、本方法は、重篤な有害事象をもたらさない。
いくつかの実施形態では、標準用量は、個人において急性心拍数低下又は心臓ブロックを実質的に誘導することなく投与される。
いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、6bpmを超える心拍数低下を引き起こさずに投与される。
いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、他のS1P受容体モジュレーターで見られる心拍数に対する初回投与効果なしに投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、他のS1P受容体モジュレーターで見られる房室伝導に対する初回投与効果なしに投与される。
【0026】
いくつかの実施形態では、処置の方法は、内視鏡反応を改善するためのものである。いくつかの実施形態では、処置の方法は、内視鏡的改善、例えば、粘膜の内視鏡的外観を改善するためのものである。
いくつかの実施形態では、処置することは、臨床反応を誘導及び/若しくは維持すること、粘膜の内視鏡的外観を改善すること、並びに/又は臨床的寛解を誘導及び/若しくは維持することを含む。
いくつかの実施形態では、処置することは、EOEと診断された患者において、ベースラインからのhpfあたりの好酸球数の少なくとも30%の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、EOEと診断された患者において、ベースラインからのhpfあたりの好酸球数の少なくとも10%、20%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の減少を含む。いくつかの実施形態によれば、EOEと診断された患者におけるベースラインからのhpfあたりの好酸球数の減少は、16週間で達成される。いくつかの実施形態によれば、EOEと診断された患者におけるベースラインからのhpfあたりの好酸球数の減少は、10、12、14、16、20、24、26、30、36、40、又は52週間で達成される。
いくつかの実施形態では、処置することは、EOEと診断された患者において、ベースラインからの食道ピーク好酸球数(PEC)の少なくとも30%の減少を含む。いくつかの実施形態では、処置は、EOEと診断された患者において、ベースラインからの食道PECの少なくとも10%、20%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の減少を含む。いくつかの実施形態によれば、EOEと診断された患者におけるベースラインからの食道PECの減少は、16週間で達成される。いくつかの実施形態によれば、EOEと診断された患者におけるベースラインからの食道PECの減少は、10、12、14、16、20、24、26、30、36、40、又は52週間で達成される。
いくつかの実施形態では、処置することは、EOEと診断された患者において、嚥下障害症状に関する質問票(DSQ)スコアのベースラインからの改善を含む。いくつかの実施形態では、処置することは、少なくとも10ポイント、少なくとも20ポイント、少なくとも30ポイントなどのDSQスコアの改善を含む。
いくつかの実施形態では、処置は、臨床的寛解を誘導するためのものである。いくつかの実施形態では、処置は、臨床的寛解を維持するためのものである。いくつかの実施形態では、処置は、臨床的寛解を誘導及び維持するためのものである。
いくつかの実施形態では、処置は、臨床反応を誘導するためのものである。いくつかの実施形態では、処置は、臨床反応を維持するためのものである。いくつかの実施形態では、処置は、臨床反応を誘導及び維持するためのものである。
いくつかの実施形態では、処置は、内視鏡的寛解のためである。
いくつかの実施形態では、処置することは、好酸球性食道炎の徴候及び/又は症状を軽減することである。いくつかの実施形態では、処置することは、好酸球性食道炎の徴候を軽減することである。いくつかの実施形態では、処置することは、好酸球性食道炎の症状を軽減することである。いくつかの実施形態では、処置することは、6個以下の強拡大1視野(hpf)あたりの好酸球による組織学的反応を誘導及び/又は維持することを含む。
いくつかの実施形態では、処置することは、臨床的寛解を誘導及び/又は維持することである。いくつかの実施形態では、処置することは、臨床的寛解を誘導及び維持することである。いくつかの実施形態では、処置することは、臨床的寛解及び/又は臨床的反応を誘導及び/又は維持することである。いくつかの実施形態では、処置することは、臨床的寛解及び臨床的反応を誘導及び維持することである。いくつかの実施形態では、処置することは、臨床的寛解及び/又は臨床的反応を誘導することである。いくつかの実施形態では、、処置することは、臨床的寛解及び/又は臨床的反応を維持することである。いくつかの実施形態では、処置することは、臨床的寛解及び臨床的反応を誘導することである。いくつかの実施形態では、処置することは、臨床的寛解及び臨床的反応を維持することである。いくつかの実施形態では、処置することは、好酸球性食道炎の徴候及び/又は症状を軽減することである。いくつかの実施形態では、処置することは、好酸球性食道炎の徴候及び症状を軽減することである。いくつかの実施形態では、処置することは、好酸球性食道炎の徴候を軽減することである。いくつかの実施形態では、処置することは、好酸球性食道炎の症状を軽減することである。いくつかの実施形態では、処置することは、好酸球性食道炎の徴候及び症状を軽減し、その臨床的寛解を誘導及び維持することである。いくつかの実施形態では、処置することは、好酸球性食道炎の症状を軽減することである。いくつかの実施形態では、処置することは、従来の治療に対して不十分な反応を有している個人において、好酸球性食道炎の徴候及び症状を軽減し、その臨床的寛解を誘導及び維持することである。いくつかの実施形態では、、処置することは、従来の治療に対する反応を喪失しているか又は従来の治療に対して非忍容性である個人において、好酸球性食道炎の徴候及び症状を軽減し、その臨床的寛解を誘導及び維持することである。いくつかの実施形態では、処置することは、従来の治療に対して不十分な反応を有している好酸球性食道炎を有する個人において、徴候及び症状を軽減し、臨床反応を誘導及び維持することである。いくつかの実施形態では、処置することは、従来の治療に対する反応を喪失しているか又は従来の治療に対して非忍容性である好酸球性食道炎を有する個人において、徴候及び症状を軽減し、臨床反応を誘導及び維持することである。いくつかの実施形態では、、処置することは、臨床的寛解及び/又は粘膜治癒を誘導及び/又は維持することである。いくつかの実施形態では、処置することは、臨床的寛解及び粘膜治癒を誘導及び維持することである。いくつかの実施形態では、処置することは、粘膜治癒を誘導及び維持することである。いくつかの実施形態では、処置することは、臨床的寛解を誘導及び維持することである。いくつかの実施形態では、処置することは臨床的寛解を誘導することである。いくつかの実施形態では、処置することは、粘膜治癒を誘導することである。いくつかの実施形態では、処置することは、臨床的寛解を維持することである。いくつかの実施形態では、、処置することは粘膜の治癒を維持することである。いくつかの実施形態では、、処置することは、誘導反応者において臨床的寛解を達成及び/又は持続させることである。いくつかの実施形態では、処置することは、誘導反応者において床的寛解を達成及び持続させることである。いくつかの実施形態では、処置することは、誘導反応者において臨床的寛解を達成することである。いくつかの実施形態では、処置することは、誘導反応者において臨床的寛解を持続させることである。いくつかの実施形態では、処置することは、臨床反応を誘導及び/又は維持することである。いくつかの実施形態では、処置することは、臨床反応を誘導及び維持することである。いくつかの実施形態では、処置することは、臨床反応を誘導することである。いくつかの実施形態では、処置することは、臨床反応を維持することである。いくつかの実施形態では、処置することは、内視鏡的改善を誘導することである。いくつかの実施形態では、処置することは、内視鏡的改善を維持することである。いくつかの実施形態では、処置することは、達成された内視鏡的改善である。いくつかの実施形態では、処置することは、内視鏡的寛解を改善することである。いくつかの実施形態では、処置することは、内視鏡的寛解を維持することである。いくつかの実施形態では、処置することは、組織学的治癒を誘導することである。いくつかの実施形態では、処置することは、組織学的治癒を維持することである。いくつかの実施形態では、処置することは、排便の頻度を改善することである。いくつかの実施形態では、処置することは、排便の頻度の改善を維持することである。いくつかの実施形態では、処置することは、粘膜の内視鏡的外観を改善することである。いくつかの実施形態では、処置することは、粘膜の内視鏡的改善を維持することである。いくつかの実施形態では、処置することは、誘導中の粘膜の内視鏡的外観を改善することである。いくつかの実施形態では、処置することは、内視鏡サブスコアを改善することである。いくつかの実施形態では、処置することは、内視鏡サブスコアの改善を維持することである。
【0027】
いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、重度の活動性感染症(active infection)を有する個人では推奨されない。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、活動性感染症を有する個人では推奨されない。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、重度の感染症を有する個人では推奨されない。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、感染が制御されるまで、重度の活動性感染症を有する個人では推奨されない。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、感染が制御されるまで、活動性感染症を有する個人では推奨されない。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、感染が制御されるまで、重度の感染症を有する個人では推奨されない。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与は、活動性感染症中に開始されない。いくつかの実施形態では、個人は、感染についてモニタリングされる。いくつかの実施形態では、個人が感染症を発症した場合、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与は停止される。いくつかの実施形態では、感染症が重篤になった場合、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与は停止される。いくつかの実施形態では、個人が感染症を発症した場合、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与は中止される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、感染症を有する個人に投与されない。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、活動性感染中に投与されない。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩の投与は、活動性感染症中に開始されず、投与中に感染症が発生した場合には個人をモニタリングし、感染症が重篤になった場合には投与を停止する。いくつかの実施形態では、感染は軽度である。いくつかの実施形態では、感染は中等度である。いくつかの実施形態では、感染は重度である。いくつかの実施形態では、感染は重度である。いくつかの実施形態では、感染は、重篤な有害事象である。いくつかの実施形態では、感染症は、呼吸器感染症である。
いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、重篤な有害事象を引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、心拍数に関連する重篤な有害事象を引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、心拍数の変化に関連する重篤な有害事象を引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、心拍数の上昇に関連する重篤な有害事象を引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、徐脈に関連する重篤な有害事象を引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、房室ブロックに関連する重篤な有害事象を引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、房室伝導に関連する重篤な有害事象を引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、徐脈を引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、房室ブロックを引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、処置の初日に軽度より大きい(例えば、10bpm超の)心拍数低下を引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、他のS1P受容体モジュレーターで見られる初回投与効果なしに投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、他のS1P受容体モジュレーターで見られる初回投与の心血管効果なしに投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、心拍数の症候性変化なしに投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、心臓リズムの症候性変化なしに投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、他のS1P受容体モジュレーターで見られる初回投与効果を回避するための調整を必要とせずに投与される。
いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、肝機能検査(LFT)を増加させることなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、LFTの上昇を引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、ALTを増加させることなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、ASTを増加させることなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、3×ULN超にALTを増加させることなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、2.5×ULN超にALTを増加させることなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、2×ULN超にALTを増加させることなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、1.5×ULN超にALTを増加させることなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、3×ULN超にASTを増加させることなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、2.5×ULN超にASTを増加させることなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、2×ULN超にASTを増加させることなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、1.5×ULN超にALTを増加させることなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、ビリルビンを増加させることなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、3×ULN超にビリルビンを増加させることなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、2.5×ULN超にビリルビンを増加させることなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、2×ULN超にビリルビンを増加させることなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、1.5×ULN超にビリルビンを増加させることなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)を増加させることなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、3×ULN超にGGTを増加させることなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、2.5×ULN超にGGTを増加させることなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、2×ULN超にGGTを増加させることなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、1.5×ULN超にGGTを増加させることなく投与される。
いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、肺機能検査での異常を引き起こすことなく投与される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、黄斑浮腫を引き起こすことなく投与される。
いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、経口投与される。
【0028】
いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、経口投与に好適なカプセル剤又は錠剤として製剤化される。
いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1、化合物1のカルシウム塩、及び化合物1のL-アルギニン塩から選択される。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1のL-アルギニン塩である。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1のL-アルギニン塩の無水非溶媒和結晶形態ある。いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩は、化合物1の無水非溶媒和結晶形態である。
【0029】
標準用量の化合物1又はその薬学的に許容される塩、水和物、若しくは溶媒和物及び任意選択で1つ以上の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物も提供される。化合物1又はその薬学的に許容される塩、水和物、若しくは溶媒和物及び任意選択で1つ以上の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物も提供される。担体は、製剤の他の成分と適合性があり、そのレシピエントに過度に有害であってはならないという意味で「許容可能」でなければならない。
いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩、水和物、若しくは溶媒和物は、生又は純粋な化学物質として、例えばカプセル剤製剤中の粉末として投与される。
いくつかの実施形態では、化合物1又はその薬学的に許容される塩、水和物、若しくは溶媒和物は、1つ以上の薬学的に許容される担体を更に含む医薬組成物として製剤化される。
医薬組成物は、任意の適切な方法によって、典型的には、液体を含む活性化合物を若しくは微粉化した固体担体又はその両方とを必要な比率で均一に混合し、次いで、必要に応じて、得られた混合物を所望の形状に形成することによって調製され得る。
【0030】
結合剤、充填剤、許容可能な湿潤剤、錠剤化した潤滑剤、及び崩壊剤などの従来の賦形剤は、経口投与用の錠剤及びカプセル剤中で使用され得る。本明細書に記載の化合物は、当技術分野で周知の技術を使用して、医薬組成物へと製剤化することができる。本明細書に記載されているもの以外の好適な薬学的に許容される担体は、当該技術分野で既知であり、例えば、Remington,The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition,2000,Lippincott Williams&Wilkins(編集者:Gennaro et al.)を参照のこと。
経口投与のため、医薬組成物は、例えば、錠剤又はカプセル剤の形態であり得る。医薬組成物は、好ましくは、特定の量の活性成分を含む投与量単位の形態で作製される。そのような投与量単位の例は、ラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプン、又はジャガイモデンプンなどの従来の添加剤を含み、結晶セルロース、セルロース誘導体、アカシア、コーンスターチ、又はゼラチンなどの結合剤を含み、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、又はカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの崩壊剤を含み、タルク又はステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤を含む、カプセル剤、錠剤、散剤、粒剤、又は懸濁液である。固形調製物には、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散性粒剤が含まれる。固体担体は、希釈剤、香味剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤、又はカプセル化材料としても作用し得る1つ以上の物質であり得る。
【0031】
散剤では、担体は、細かく分割された固体であり、細かく分割された活性成分と混合されている。
錠剤では、活性成分は、好適な比率で必要な結合能力を有する担体と混合され、所望の形状及びサイズに圧縮される。
散剤及び錠剤は、様々な割合量の活性化合物を含み得る。散剤又は錠剤中の代表的な量は、活性化合物の0.5~約90パーセントであり得る。しかしながら、当業者は、この範囲外の量がいつ必要になるかを知っているであろう。散剤及び錠剤に好適な担体には、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバターなどが含まれる。「調製物」という用語は、活性成分が担体と共に又は担体なしで担体によって取り囲まれ、したがって該担体と会合しているカプセル剤を提供する、担体としてのカプセル化材料を有する活性化合物の製剤を含む。同様に、カシェ剤及びトローチ剤が含まれている。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤、及びトローチ剤は、経口投与に好適な固形物として使用することができる。
【0032】
医薬製剤は、好ましくは単位剤形である。そのような形態では、調製物は、適切な量の活性成分を含む単位用量に分割される。単位剤形は、パッケージングされた調製物であり得、パッケージは、別個の量の調製物を含み、パケット(packeted)錠剤又はカプセル剤などである。単位剤形はまた、カプセル剤若しくは錠剤自体であり得るか、又は適切な数のパッケージング形態のそれらのうちのいずれかであり得る。
【0033】
更なる実施形態には、以下の実施例に開示される実施形態が含まれ、これらは、限定するものとして決して解釈されるべきではない。
【実施例】
【0034】
実施例1
化合物1のL-アルギニン塩を含む即時放出硬質ゼラチンカプセル剤からなる製剤を表1に示すように調製した。
【表1】
*おおよその重量である。カプセル剤仕様に基づく
**充填カプセル剤と空カプセル剤の重量を組み合わせて計算された理論上の総重量
【0035】
実施例2
化合物1のL-アルギニン塩を含む即時放出錠剤からなる製剤を表2に示すように調製した。
【表2】
【0036】
実施例3
単盲検(すなわち、対象のみ)、プラセボ対照、無作為化、固定投与手順の並行設計試験により、健常な日本人及び白人男性対象のPK、PD、安全性、及び忍容性を評価した(ここで報告されたデータは予備臨床試験に基づいている)。合計49人の対象が登録され、1mg若しくは2mgの化合物1又はプラセボを1日1回7日間受け、続いて、15日目に追加の単回用量を受け、これは無処置期間の1週間後に投与された。リンパ球数中央値の漸進的な減少が、初回投与後(2日目の初回投与後の最初の完全な血球数測定によって決定される)から8日目の反復投与期間終了まで、すべての処置群で観察された。7日目でのベースラインからの変化率中央値は、日本人の1mg群では-23.61%であり、白人の1mg群では-25.79%であり、日本人の2mg群では-50.00%であり、白人の2mg群では-43.67%であった。15日目(投与前)でのベースラインからの変化率中央値は、日本人の1mg群では0.00%であり、白人の1mg群では-21.43%であり、日本人の2mg群では-6.67%であり、白人の2mg群では-16.23%であった。詳細な免疫表現型検査を健常な対象で行った。一般に、化合物1で処置された対象は、循環B細胞、CD4+TCM、CD4+TN、Th17、Th2、CD8+TCM、及びCD8+TN細胞数中央値の用量依存的な減少を示し、これは投与前の7日目においてピークに達した。このデータを
図3に示す。この試験は、化合物1が、EoE病因に関連するTh2 T細胞を含む、健常な対象における総リンパ球数の用量依存的な減少を誘導することを実証するのに役立った。
【0037】
実施例4
EGDの卵白アルブミン(OVA)誘導マウスモデルを評価する。処置群には以下が含まれる:1.)ナイーブ(n=5)、2.)OVAチャレンジのみ(n=10)、3.)OVAチャレンジ+デキサメタゾンPO(n=10)、4.)OVAチャレンジ+ビヒクル対照PO(n=10)、5.)OVAチャレンジ+1mg/kg化合物1 PO(n=10)、及び6.)OVAチャレンジ+3mg/kg化合物1 PO(n=10)。化合物1及びビヒクルを1日2回投与し、デキサメタゾンをチャレンジ日に1日1回投与する。
雌Balb/cマウスを、0日目及び14日目にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の50μgのOVA+1mgの水酸化アルミニウムアジュバントで腹腔内(IP)感作する。その後、マウスを、100μlのPBSに懸濁された10mgのOVAで週3回で3週間、経口経管摂取によってチャレンジする。
食道組織、胃及び腸組織、並びに血液/血清を採取する。抗マウス主要塩基性タンパク質抗体を使用した免疫組織化学(IHC)により、食道、胃、及び腸試料を好酸球について評価する。食道溶解物又は血清を以下のサイトカイン/ケモカインの発現について分析する:エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、INFg、IL-1a、IL-1b、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IL-10、IL-12(p40)、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17A、IP-10、KC、LIF、LIX、MCP-1、M-CSF、MIG、MIP-1a、MIP1b、MIP-2、RANTES、TNFa、及びVEGF-A。
フローサイトメトリー、PK、抗OVA IgE、及びサイトカイン分析のために、血液/血清を収集し、アリコートにする。CD45、CD3、TCRb、TCRgd、CD25、CD11c、MHC-II、CD103、CD4、CD8、B220/CD19、SiglecF、及び生存率についてのFACS分析により、総細胞計数及び細胞分化を行う。抗OVAIgE抗体のレベルをELISAによって測定し、血清をPKについて評価する。
化合物1を受けたマウスは、リンパ球レベルの用量依存的な減少を示した。
【0038】
実施例5
EOEのL2-IL5OXAマウスモデルにおける化合物1の使用を評価する。4-エトキシメチレン-2-フェニル-2-オキサゾリン-5-オン(OXA;Sigma,St Louis,Missouri,USA)接触過敏症プロトコル(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Masterson JC, McNamee EN, Hosford L, Capocelli KE, Ruybal J, Fillon SA, Doyle AD, Eltzschig HK, Rustgi AK, Protheroe CA, Lee NA, Lee JJ, Furuta GT. Local hypersensitivity reaction in transgenic mice with squamous epithelial IL-5 overexpression provides a novel model of eosinophilic oesophagitis. Gut. 2014 Jan;63(1):43-53に記載される)を使用して、食道炎症マウスモデルを利用する。
異なる群のL2-IL5マウスを各実験で使用する。処置群には以下が含まれる:1.)ビヒクル、2.)OXAチャレンジのみ、3.)ビヒクルチャレンジ+1mg/kg化合物1 PO、4.)OXAチャレンジ+2mg/kg化合物1 PO、5.)OXAチャレンジ+3mg/kg化合物1 PO、及び6.)OXAチャレンジ+10mg/kgデキサメタゾンIP。
OXA過敏症プロトコルの0日目に、麻酔した実験動物の腹部の皮膚を剃り、OXAを皮膚表面に塗布して(ビヒクル中のOXAの3%(w/v)溶液)、プロトコルの感作期を開始する。感作されたマウスは、プロトコルの5、8、及び12日目に、近位食道への30%ビヒクル中のOXAの1%(w/v)溶液を用いた経管摂取(p.c.)による食道の局所OXAチャレンジを受ける。ビヒクル対照動物を上記のように感作し、4:1ビヒクルのみでチャレンジする。最後のOXAチャレンジの24時間後に、すべてのマウスを評価する(プロトコル13日目)。マウスの腹腔内(i.p.)注射(10mg/kg体重)によるコルチコステロイドデキサメタゾン(DEX)又は化合物1の経口溶液により、局所OXAチャレンジ期中に(DEXの場合はプロトコル5、8、10、及び12日目、化合物1の場合は1日1回又は2回)、マウスの追加群を同時に処置する。対照動物は、生理食塩水ビヒクルのみの腹腔内注射を受ける。
食道組織、胃及び腸組織、並びに血液/血清を採取して分析する。食道及び血清をサイトカイン産生について評価する。組織試料を好酸球について評価する。食道溶解物又は血清を以下のサイトカイン/ケモカインの1つ以上の発現について分析する:エオタキシン、G-CSF、GM-CSF、INFg、IL-1a、IL-1b、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IL-10、IL-12(p40)、IL-12(p70)、IL-13、IL-15、IL-17A、IFN-g、IP-10、KC、LIF、LIX、MCP-1、M-CSF、MIG、MIP-1a、MIP1b、MIP-2、RANTES、TNFa、及びVEGF-A。
フローサイトメトリー、PK、及びサイトカイン分析のために、血液/血清を収集し、アリコートにする。CD45、CD3、TCRb、TCRgd、CD25、CD11b、CD11c、MHC-II、CD103、CD4、CD8、CD19、SiglecFのうちの1つ以上についてのFACS分析により、総細胞計数及び細胞分化を行う。
【0039】
実施例6
EoE医薬品開発に関するFDAガイダンス(草案、2019年2月)に従って臨床試験を行う。試験集団は、15個以上の強拡大1視野あたり好酸球(eos/hpf)であることのEGDによる組織学的確認がなされる。生検を近位食道及び遠位食道の両方から採取し、該生検には追加情報として食道中央が含まれる場合がある。個人は、プロトンポンプ阻害剤(PPI)治療がうまくいかなったか、又は組織学的確認を行いながら少なくとも2か月間安定した用量を受けることができる。試験では、重度の狭窄のある個人を除外し、ベースライン狭窄の有無によって無作為化を層別化する。
治験は、臨床的及び組織学的評価項目の両方で有効性を評価するための少なくとも24週間の長期処置についての試験期間、続いて、少なくとも52週間の総処置期間を提供するための延長を伴って設計される。試験には、処置の持続性並びに再発の発生率及再投与の必要性について特性評価するために、有効性の初期評価後における無作為での中止の設計が含まれる。
評価項目には、(1)明確に定義された臨床転帰評価を使用した兆候及び症状のベースラインからの改善、並びに任意選択で、複数群でプールされたデータを使用した経験累積165分布関数で補足されたアンカー(患者の全般的印象尺度など)、並びに(2)6個以上のeos/hpfによる組織学的反応が含まれる。
【0040】
実施例7
好酸球性食道炎を有する個人における化合物1の安全性、有効性、及びPKを評価するために、第2相無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床試験を行う。試験には以下が含まれる:1.)上部消化管内視鏡検査(EGD)及び生検を行うためのスクリーニング期間、2.)1mgの化合物1、2mgの化合物1、又はプラセボによる16週間の二重盲検誘導処置期間、並びに3.)延長期間。
適格基準には、EoEの組織学的確認(例えば、3つのセグメントのうち2つにおいてeos/hpf≧15個)、嚥下障害が示されること(例えば、2エピソード/週×2週間)、及びステロイド外用剤(topical steroids)の4週間のウォッシュアウトが含まれる。一次及び二次転帰には、食道の近位、中位、及び遠位生検の組織学的評価項目;ピークeos/hpfの変化%(例えば、16週目)、16週目においてeos/hpf≦6個(及び<15個)を達成する割合;EoE組織学的スコアリングシステム(HSS)のスコア及び等級の変化;患者から報告された結果の変化%(例えば、嚥下障害症状に関する質問票(DSQ)における変化%);好酸球性食道炎活動性指数(EEsAI)の変化;並びに内視鏡参照スコア(EREFS)の変化が含まれる。
【0041】
実施例8
第2/3相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照臨床試験を、EoEの組織学的確認(eos/hpf≧15個)がなされ、嚥下障害が示され、プロトンポンプ阻害剤(PPI)に対して不十分な反応を示す個人において行う。試験には以下が含まれる:1.)用量1の化合物1、用量2の化合物1、又はプラセボを用いた、最大24週間の用量設定期間、2.)選択した用量の化合物1又はプラセボを用いた、最大24週間のピボタル期間、及び3.)選択した用量の化合物1又はプラセボを用いた、延長期間。その後、フォローアップ訪問を行う。
食道の近位及び遠位生検を行う。評価項目には、eos/hpfの変化(例えば、eos/hpf≦6個の達成%)及び嚥下障害症状に関する質問票への回答が含まれる。
【0042】
実施例9
第2相、無作為化、二重盲検、多施設共同試験により、活動性EoEを有する成人において、プラセボと比較した化合物1の有効性、安全性、及び薬物動態(PK)を評価する。試験は、最大60週間の総試験期間のための、最大28日間のスクリーニング期間、24週間の二重盲検処置(二重盲検処置期間)、28週間の積極的長期処置(延長処置期間)、及び4週間のフォローアップ(安全性フォローアップ期間)で構成される。
適格対象は、二重盲検様式で無作為化され(3:3:2の比率)、1mgの化合物1、2mgの化合物1、又は対応するプラセボの経口錠剤を二重盲検処置期間中及び延長処置期間中に1日1回受ける。1mg又は2mgの化合物1の提供される製剤は、実施例1に記載されるようにして調製し得る。1錠を1日1回、水と共に(食事の有無にかかわらず)ほぼ同時に、毎日、好ましくは朝に服用する。
二重盲検処置期間を完了し、延長処置期間の適格基準を満たすすべての対象は、延長処置期間に入ることができる。二重盲検処置期間中に1mg又は2mgの化合物1群に属していた対象は、延長処置期間中において同じ用量の化合物1を継続する。二重盲検処置期間中にプラセボ群に属していた対象は、延長処置期間の開始時に、1mg又は2mgの化合物1へと再び無作為化される(1:1の比率)。試験処置(1mg又は2mgの化合物1)は盲検化されたままである。
24週目の二重盲検処置期間の用量選択分析後、延長処置期間において化合物1の用量(1mg又は2mg)を中止する場合がある。このシナリオでは、中止された用量を延長処置期間中に受けた対象は、次の試験訪問時に、選択された化合物1の用量に切り替えられる。
【0043】
含入基準
・インフォームドコンセント(IC)時に18歳~65歳までの男性又は女性であること
・スクリーニング上部消化管内視鏡検査(EGD)時に、食道の任意のレベル(近位、中位、又は遠位)からの15個以上の好酸球(eos)/強拡大1視野(hpf)(約60個のeos/mm2)の食道ピーク好酸球数(PEC)を伴う組織学的に活動性のEoEを有すること。好酸球増多症は食道に隔絶されている必要がある。
・固形食品がゆっくりと落ちるか、又は喉に詰まると定義され、2週間にわたって1週あたり2回以上のエピソードの平均頻度を伴う(スクリーニング期間中に嚥下障害症状に関する質問票(DSQ)を使用して文書化されている)、嚥下障害を有すること。
【0044】
除外基準
・試験の組織学的、内視鏡的、又は症状の評価項目の評価を妨げるか又は影響を及ぼし得る、以下の非EoE状態又は手順のいずれかの履歴があること:a.好酸球性食道炎を引き起こすか又はその原因となる可能性のある状態(例えば、好酸球性胃炎[EG]、胃腸炎、又は食道病変を伴う大腸炎、重度の胃食道逆流症[GERD]、アカラシア及び他の食道運動障害、好酸球増多症候群、食道病変を伴うクローン病[CD]、食道感染症[真菌性、ウイルス性]、結合組織疾患、運動亢進症候群、自己免疫障害及び血管炎、食道病変を伴う皮膚疾患[すなわち、ペンフィガス]、薬物過敏反応、ピル食道炎、移植片対宿主疾患、メンデル障害[例:マルファン症候群II型、高免疫グロブリンE(IgE)症候群、ホスファターゼ及びテンシンホモログ過誤腫症候群、ネザートン症候群、重度のアトピー代謝消耗症候群])
・b.食道の評価を妨げる状態(例えば、自発的な出血のリスクがある食道静脈瘤、EGDのスクリーニング時に8~10mmの内視鏡が拡張せずに狭窄を通過できない高度な食道狭窄)
・c.嚥下障害を引き起こすか又はその原因となる可能性のある状態又は手順(例、バレット食道、ロサンゼルスグレードB以上のびらん性食道炎、重大な食道裂孔ヘルニア[≧4cm]、食道切除、噴門形成術、胃スリーブ手術)
・EGDのスクリーニング前12週間以内に食道狭窄の拡張を行ったこと。
・EGDのスクリーニング前8週間以内のEoEの処置のためにコルチコステロイドを使用したこと。
・EGDのスクリーニング前8週間以内に、EoEのための以下の治療の投与(投与量/頻度)を中止、開始、又は変更したこと。以下の治療のいずれかを受けている対象は、試験参加中、安定したレジメンを維持する必要がある。
a.成分栄養食
b.EoEフードトリガー(food trigger)除去食
c.PPI治療
・スクリーニングEGD前12か月以内に、経口免疫治療(OIT)又は舌下免疫治療(SLIT)を含む任意の免疫治療/脱感作を使用したこと。注:安定した(すなわち、スクリーニングEGD前に6か月以上の)皮下免疫治療(SCIT)が許可される。SCITの対象は、試験参加中、安定した処置を続ける必要がある。
・以下に示すように、ベースライン前の時間枠内で以下の免疫調節治療のいずれかを使用したこと。2週間以内における代謝拮抗剤(例えば、AZA、6-MP、MTX、6-TG)、カルシニューリン阻害剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス)、MMF;12週間以内(抗IL-5抗体(例えば、メポリズマブ、レスリズマブ、ベンラリズマブ)、抗IL-4/13抗体(例えば、デュピルマブ)、抗IgE抗体(例えば、オマリズマブ)、TNFα阻害剤(例えば、インフリキシマブ)、JAK阻害剤(例えば、トファシチニブ、オクラシチニブ);24週間以内(抗CD20抗体(例えば、リツキシマブ、オマリズマブ)、抗CD52抗体(例えば、アレムツズマブ)、他の細胞枯渇治療(例えば、骨髄移植)、全身照射);又はベースライン測定が試験のために行われる前の任意の時点で服用した、スフィンゴシン1-リン酸受容体モジュレーター(例えば、フィンゴリモド、シポニモド、オザニモド)若しくはナタリズマブ。対象は、52週後の試験処置の最後の投与の2週間後及び4週間後におけるフォローアップ訪問又は早期終了(ET)訪問を有する。
【0045】
有効性評価項目:
本試験で評価される有効性の測定には、食道ピーク好酸球数(PEC)、EoE組織学スコアリングシステム(HSS)、DSQ、食品回避質問(FAQ)、好酸球性食道炎内視鏡参照スコア(EREFS)、好酸球性食道炎成人の生活の質(EoE-QOL-A)、患者の全般的印象-変化(PGIC)、及び患者の全般的印象-重症度(PGIS)が含まれる。
主要有効性評価項目には、以下が含まれる:
・16週目における食道PECのベースラインからの変化率。
副次有効性評価項目には、以下が含まれる:
・16週目におけるDSQスコアのベースラインからの絶対変化
・16週目における食道PECのベースラインからの絶対変化
・16週目における15個未満のeos/hpfの食道PECを有する対象の割合
・16週目における6個以下のeos/hpfの食道PECを有する対象の割合。
【0046】
安全性は、有害事象(AE)の発生率、臨床検査所見、12誘導心電図(ECG)(初回投与モニタリングのため、定義された処置中断期間後の処置再開時、並びに延長処置期間の開始時、投与前及び初回投与の4時間後に行う)、身体検査、バイタルサイン(初回投与後少なくとも4時間にわたり1時間ごとに測定)、肺機能検査(PFT)、眼科検査、及び光干渉断層撮影(OCT)により評価される。
【0047】
本開示の方法の他の使用は、特に、本特許文書の検討に基づいて、当業者に明らかになるであろう。
【国際調査報告】