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特表2023-502372データ伝送窓を有するグレージングおよびその製造方法およびその使用
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  • 特表-データ伝送窓を有するグレージングおよびその製造方法およびその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-24
(54)【発明の名称】データ伝送窓を有するグレージングおよびその製造方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/20 20060101AFI20230117BHJP
   H05B 3/86 20060101ALI20230117BHJP
   C03C 27/12 20060101ALI20230117BHJP
   B60S 1/02 20060101ALI20230117BHJP
   B60J 1/20 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
H05B3/20 392A
H05B3/86
C03C27/12 M
B60S1/02 300
B60J1/20 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527875
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(85)【翻訳文提出日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 GB2020052891
(87)【国際公開番号】W WO2021094767
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】1916522.4
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591229107
【氏名又は名称】ピルキントン グループ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【弁理士】
【氏名又は名称】柿沼 公二
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ ジェレミー ブート
(72)【発明者】
【氏名】アラステア フレンチ
【テーマコード(参考)】
3D225
3K034
4G061
【Fターム(参考)】
3D225AA02
3D225AA03
3D225AB01
3D225AC09
3D225AD01
3K034AA02
3K034AA15
3K034AA34
3K034BB05
3K034BC12
3K034CA02
3K034CA14
3K034CA17
3K034CA22
3K034HA09
3K034JA01
3K034JA06
3K034JA10
4G061AA23
4G061BA01
4G061BA02
4G061CB14
4G061CB19
4G061CD02
4G061CD03
4G061CD18
(57)【要約】
本発明は、第1のガラスシート1、第1のガラスシート1の一部にわたって延在する抵抗性コーティング2、抵抗性コーティング2に接続された第1のバスバー3および第2のバスバー4、抵抗性コーティング2内の複数の除去ライン6および複数の除去ライン6によって形成された複数のチャネル7を備える抵抗性コーティング2内のデータ伝送窓5、およびチャネル7の少なくとも1つに配置された少なくとも1つの導電性要素8、を備えるグレージング10であり、ここで、導電性要素8は、抵抗性コーティング2によって第1のバスバー3および第2のバスバー4から分離される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グレージング10であって、
第1のガラスシート1と、
前記第1のガラスシート1の一部にわたって延在する抵抗性コーティング2と、
前記抵抗性コーティング2に接続された第1のバスバー3および第2のバスバー4と、
前記抵抗性コーティング2のデータ伝送窓5であって、
前記抵抗性コーティング2における複数の除去ライン6と、
複数の前記除去ライン6によって形成される複数のチャネル7と、
前記チャネル7の少なくとも1つに配置された少なくとも1つの導電性要素8と、
を備える、前記抵抗性コーティング2のデータ伝送窓5と、
を備え、
ここで、前記導電性要素8は、前記抵抗性コーティング2によって第1のバスバー3および第2のバスバー4から分離される、
グレージング10。
【請求項2】
前記抵抗性コーティング2は、前記第1のガラスシート1上に堆積される、請求項1に記載のグレージング10。
【請求項3】
前記抵抗性コーティング2は、少なくとも1つの銀の層を備える、請求項1または2に記載のグレージング10。
【請求項4】
前記抵抗性コーティング2は、0.3~20.0Ω/□の範囲のシート抵抗を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載のグレージング10。
【請求項5】
前記データ伝送窓5は、少なくとも3つのチャネル7を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のグレージング10。
【請求項6】
前記データ伝送窓5は、所定の周波数帯域でデータを伝送することを可能にするように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載のグレージング10。
【請求項7】
前記導電性要素8は、線状である、請求項1から6のいずれか一項に記載のグレージング10。
【請求項8】
前記導電性要素8は、十字型、T型、円形、三角形または多角形形状である先端Cを備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のグレージング10。
【請求項9】
前記導電性要素8は、銀、銅またはタングステンを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のグレージング10。
【請求項10】
前記導電性要素8は、フリットおよび少なくとも80%の銀を備えるスクリーン印刷ペーストを使用して印刷される、請求項1から9のいずれか一項に記載のグレージング10。
【請求項11】
前記導電性要素8の幅は、5μm~5mmの範囲である、請求項1から10のいずれか一項に記載のグレージング10。
【請求項12】
前記導電性要素8は、少なくとも3つのチャネル7の各々に配置される、請求項1から11のいずれか一項に記載のグレージング10。
【請求項13】
少なくとも1つのチャネル7は、少なくとも2つの中断ライン11を備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のグレージング10。
【請求項14】
少なくとも1つの中断ライン11は、先端Cの上方または下方に少なくとも1つのギャップ12を備える、請求項13に記載のグレージング10。
【請求項15】
グレージングの周囲に配置された不明瞭化バンド9をさらに備える、請求項1から14のいずれか一項に記載のグレージング10。
【請求項16】
グレージング10を製造する方法であって、
第1のガラスシート1を準備するステップと、
前記第1のガラスシート1の一部にわたって延在する抵抗性コーティング2を堆積させるステップと、
前記抵抗性コーティング2に接続された第1のバスバー3および第2のバスバー4を準備するステップと、
前記抵抗性コーティング2内にデータ伝送窓5を構成するステップであって、
前記抵抗性コーティング2内に複数のレーザー除去ライン6を提供するステップと、
複数の前記除去ライン6によって複数のチャネル7を形成するステップと、
前記チャネル7の少なくとも1つの内に少なくとも1つの導電性要素8を配置するステップと、
少なくとも1つの前記導電性要素8を、前記抵抗性コーティング2によって前記第1のバスバー3および第2のバスバー4から分離するように構成するステップと、
を含む、前記抵抗性コーティング2内にデータ伝送窓5を構成するステップと、
を含む、グレージング10を製造する方法。
【請求項17】
前記導電性要素8は、中間層材料のプライに埋め込まれた銅またはタングステンを備えるワイヤである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記導電性要素8は、インクジェットプリンタを使用してデジタル印刷される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記導電性要素8は、スクリーン印刷によって印刷される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のバスバー3および第2のバスバー4は、前記導電性要素8と同時にスクリーン印刷によって印刷される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
建物の窓または車両の窓としての、請求項1から15のいずれか一項に記載のグレージングの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ伝送窓を有するグレージング、当該グレージングを製造する方法および当該グレージングの使用に関する。
【0002】
グレージングのデータ伝送窓は、例えばレーザー除去によって作製される、導電性コーティングに少なくとも1つの中断がある領域であり、それを通した電磁放射を介して、電子デバイスをデータ通信可能にする。導電性コーティングが抵抗加熱に使用される場合、中断は、グレージング全体の熱分布に影響を与える。
【背景技術】
【0003】
米国特許第7880120号明細書(Schmidt)は、2本の導体レールに接続された抵抗加熱コーティングを設けた窓ガラスを開示している。少なくとも1つの導体レールに接触する導電性ストランドは、通信窓と呼ばれるコーティングの中断をまたぐ。当該通信窓の横方向の縁の周りにホットスポットが形成されるリスクは、低減される。
【0004】
米国特許出願公開第2015/071673号明細書(Paulus)は、複数のグリッドを形成するように配置された導電性コーティング内に複数のアブレーションを備える、導電性コーティングおよびデータ伝送窓(DTW)をその中に備えたグレージングを開示している。隣接するグリッド間の距離は、所定の周波数の電磁放射の伝送を最大化するように調整される。
【0005】
米国特許第10062952号明細書(Dai)は、加熱可能なコーティングを有する加熱可能な窓と、通信窓とも呼ばれる周波数選択性表面(FSS)を備えたコーティングの領域と、を開示している。FSSは、垂直スロットのセットが水平スロットのセットと交差する領域を少なくとも備え、パッチアレイを形成する。パッチアレイは、電流が通信窓を加熱することが可能であるように、除去されていないコーティングのストリップによって互いに離間する。
【0006】
DTWを加熱するための除去されていないコーティングの複数のチャネルを備えるDTWを有し、使用中にグレージング全体に所定の熱分布を提供する、代替のグレージングの需要が依然として存在する。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明は、第1の態様において、グレージングであって、
第1のガラスシートと、
第1のガラスシートの一部にわたって延在する抵抗性コーティングと、
抵抗性コーティングに接続された第1のバスバーおよび第2のバスバーと、
抵抗性コーティングのデータ伝送窓であって、
抵抗性コーティングにおける複数の除去ラインと、
複数の除去ラインによって形成される複数のチャネルと、
チャネルの少なくとも1つに配置された少なくとも1つの導電性要素と、
を備える、抵抗性コーティングのデータ伝送窓と、
を備え、
ここで、少なくとも1つの導電性要素8は、抵抗性コーティング2によって第1および第2のバスバーから分離される、
グレージングを提供する。
【0008】
本発明者は、電流用のチャネル内に導電性要素を配置し、抵抗性コーティングによって導電性要素をバスバーから分離することが、グレージング全体に有用な熱分布を提供するのに有利であることを見出した。本発明は、望ましくないホットスポットの温度を下げ、望ましくないコールドスポットの温度を上げ、所定の領域でグレージングのより速い曇り除去または霜取りを提供する。
【0009】
驚くべきことに、そのような導電性要素を有するチャネル内の温度は、導電性要素を有しない同じチャネルと比較して上昇し、従来技術とは異なり、データ伝送窓を通るRF伝送に最小限の影響を及ぼす。
【0010】
本発明は、導電性要素が少なくとも1つのバスバーに直接接触しなければならないという従来技術(例えば、米国特許第78801207800120号明細書)に見られる技術的不利益を克服する。
【0011】
抵抗性コーティングは、第1のガラスシート上に堆積され得る。
【0012】
抵抗性コーティングは、少なくとも1つの銀の層を備え得る。
【0013】
抵抗性コーティングは、0.3~20.0Ω/□の範囲のシート抵抗を有し得る。
【0014】
データ伝送窓は、少なくとも3つのチャネルを備え得る。
【0015】
データ伝送窓は、所定の周波数帯域においてデータの送信を可能にするように構成され得る。
【0016】
導電性要素は、線状であり得る。
【0017】
導電性要素は、十字型、T型、円形、三角形または多角形の形状である先端を備え得る。
【0018】
導電性要素は、銀、銅またはタングステンを備え得る。
【0019】
導電性要素は、フリットおよび少なくとも80%の銀を備えるスクリーン印刷ペーストを使用して印刷され得る。
【0020】
好ましくは、導電性要素は、5μm~5mmの範囲の幅を有する。
【0021】
好ましくは、導電性要素は、少なくとも3つのチャネル、より好ましくは少なくとも6つのチャネル、最も好ましくは少なくとも9つのチャネルの各々に配置される。少なくとも1つの導電性要素は、チャネルの所定の選択部内に、好ましくはデータ伝送窓の左側および右側のチャネル内に、より好ましくはデータ伝送窓の中央のチャネルに配置され得る。
【0022】
本発明によるグレージングは、グレージングの周囲の周りに配置された不明瞭化バンドをさらに備え得る。
【0023】
好ましくは、不明瞭化バンドは、データ伝送窓を少なくとも部分的に覆う。有利には、不明瞭化バンドは、導電性要素を少なくとも部分的に覆い、その結果、不明瞭化バンドによって覆われていない導電性要素の部分は、グレージングを通した視認性にあまり影響を及ぼさない。
【0024】
本発明は、第2の態様において、グレージングを製造する方法であって、
第1のガラスシートを準備するステップと、
第1のガラスシートの一部にわたって延在する抵抗性コーティングを堆積させるステップと、
抵抗性コーティングに接続された第1および第2のバスバーを準備するステップと、
抵抗性コーティング内にデータ伝送窓を構成するステップであって、
抵抗性コーティング内に複数のレーザー除去ラインを提供するステップと、
複数の除去ラインによって複数のチャネルを形成するステップと、
チャネルの少なくとも1つの内に少なくとも1つの導電性要素を配置するステップと、
少なくとも1つの導電性要素を、抵抗性コーティングによって第1および第2のバスバーから分離するように構成するステップと、
を含む、抵抗性コーティング内にデータ伝送窓を構成するステップと、
を含む、グレージングを製造する方法を提供する。
【0025】
本発明者は、導電性要素を抵抗性コーティングによってバスバーから分離されるように構成することが、有用な熱分布を有するグレージングを製造する簡単な方法であることを見出した。
【0026】
導電性要素は、中間層材料のプライに埋め込まれた銅またはタングステンを備えるワイヤであり得る。
【0027】
導電性要素は、インクジェットプリンタを使用してデジタル印刷され得る。
【0028】
導電性要素は、スクリーン印刷によって印刷され得る。好ましくは、第1および第2のバスバーは、スクリーン印刷によって印刷される。有利には、導電性要素およびバスバーは、スクリーン印刷によって同時に印刷され、したがって、2つのプロセスステップを1つに組み合わせる。
【0029】
本発明は、第3の態様において、車両用ウィンドウスクリーン、車両用リアウィンドウ、車両用サイドウィンドウまたは車両用ルーフウィンドウを含む、建物用の窓または車両用の窓としての請求項1に記載のグレージングの使用を提供する。
【0030】
本発明者は、抵抗性コーティングによってバスバーから分離される導電性要素を配置することによって、より速い曇り除去または霜取りの技術的効果がもたらされるため、本発明によるグレージングを建物の窓または車両の窓として使用することが非常に有利であり、データ伝送窓を介したRF伝送への影響を最小限に抑えることを見出した。
【0031】
ここで、本発明を、単なる例として添付の図面を参照して説明する。ここで、同様の参照番号は、同様の部品を識別する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明によるグレージングの平面図であり、グレージングは、1つの導電性要素を有する。
図2】本発明によるグレージングの平面図であり、グレージングは、6つの導電性要素を有する。
図3】本発明によるグレージングの平面図であり、グレージングは、9つの導電性要素を有する。
図4】本発明によるグレージングの平面図であり、グレージングは、9つの導電性要素と導電性要素を覆う不明瞭化バンドとを有する。
図5】本発明によるグレージングの平面図であり、グレージングは、中断ラインおよびギャップを有する3つのチャネル内に3つの導電性要素を有する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1を参照すると、グレージング10は、ガラスシート1を備える。ガラス板1は、フロート法で形成されたソーダ石灰シリカガラスであり得、厚さは、0.5mm~25mmまたは0.5~3mm、より好ましくは1.0~2.1mmの範囲である。ガラスシート1は、焼鈍、熱強化または強化され得る。
【0034】
グレージング10は、第2のガラスシートと、第1のガラスシート1と第2のガラスシートとの間に中間層材料のプライと、をさらに備え得、積層ガラスを形成する。第1および第2のガラスシートは、同じ組成のものであり得る。中間層材料のプライは、ポリビニルブチラール(PVB)であり得、厚さは0.76mmである。積層ガラスの厚さは、4.3~5.1mmの範囲であり得る。
【0035】
抵抗性コーティング2は、好ましくは第1のガラスシート1の周囲ではなく、第1のガラスシート1の一部を横切って延在する。抵抗性コーティング2は、第1のガラスシート1、第2のガラスシートまたは中間層材料のプライ上に堆積され得る。
【0036】
抵抗性コーティング2は、銀の1つ、2つまたは3つの層を備え得る。好ましくは、銀の層は、誘電体材料の層によって分離される。抵抗性コーティング2は、フッ素ドープ酸化スズなどの透明導電性酸化物の層を備え得る。
【0037】
抵抗性コーティング2は、0.3~20.0Ω/□、好ましくは0.5~12.0Ω/□、より好ましくは1.0~4.0Ω/□の範囲のシート抵抗を有する。
【0038】
第1のバスバー3および第2のバスバー4は、抵抗性コーティング2に接続され、ガラスフリットおよび少なくとも80%、85%または100%の銀を含むスクリーン印刷ペーストを使用して印刷され得る。
【0039】
データ伝送窓5は、抵抗性コーティング2で構成され、抵抗性コーティング2内の複数の除去ライン6と、複数の除去ライン6によって形成される複数のチャネル7と、を備える。
【0040】
データ伝送窓5は、好ましくは少なくとも3つのチャネル7、より好ましくは少なくとも6つのチャネル7、最も好ましくは少なくとも9つのチャネル7を有する。チャネル幅は、1~10mm、好ましくは、3~5mmであり得る。
【0041】
除去ライン6の幅は、通常0.1mm~0.3mmである。電流用の少なくとも2つのチャネル7は、除去ライン6によって形成される。
【0042】
データ伝送窓5は、所定の周波数帯域でデータを伝送することが可能であるように構成される。好ましくは、周波数帯域は、1MHz~20GHz、より好ましくは1GHz~18GHz、より好ましくは2GHz~12GHz、より好ましくは3.5GHz~11.5GHz、より好ましくは4GHz~8.5GHz、最も好ましくは2.5GHz~5.8GHzである。有利には、周波数帯域は、電子料金収受(ETC)のために選択される。
【0043】
導電性要素8は、チャネル7の少なくとも1つに配置され、線状または長方形などの長く細い形状を有する指形状であり、必要に応じて十字型、T型、円形、三角形または多角形として形作られる先端Cを有し得る。有利には、先端Cは、指とは異なる形状であり、電流の異なる経路を可能にし、したがって、ホットスポットを回避する。
【0044】
導電性要素8は、フリットおよび少なくとも80%、85%または100%の銀を含むスクリーン印刷ペーストを使用して印刷され得、または銅、タングステンもしくは他の任意の適切な導体を備え得、ワイヤもしくは金属ストリップもしくはスクリーン印刷として塗布され得る。
【0045】
導電性要素8の幅は、5μm~5mm、好ましくは20μm~3mm、より好ましくは0.3mm~1mmの範囲であり得る。
【0046】
不明瞭化バンド9は、グレージング10の周囲に配置され、データ伝送窓5を少なくとも部分的に覆う。有利には、不明瞭化バンドは、導電性要素8を少なくとも部分的に覆い、その結果、より見えにくくする。
【0047】
図2では、複数の導電性要素8は、データ伝送窓5の左側および右側に、各側に3つずつ、6つのチャネル7に配置される。
【0048】
図3では、導電性要素8が9つのチャネル7内にあるため、図2よりも多くの電流がデータ伝送窓5を流れる。
【0049】
図4では、導電性要素8が不明瞭化バンド9で完全に覆われているため、グレージングを通した視認性は図3よりも優れている。
【0050】
図5では、3つの導電性要素8は、3つのチャネル7に配置される。各チャネル7は、2つの中断ライン11を有する。除去ライン6がグリッドとして構成される米国特許出願公開第2015/071673号明細書に開示されるように、隣接するグリッド間の1つ以上の中断ライン11は、水平偏波のRF性能を維持し得る。水平方向の電流は、垂直方向に整列した中断ライン11によって遮断される。中断ライン11を有するチャネル7は、より広くなり得、より多くの垂直電流がデータ伝送窓5に流れることが可能になる。中断ラインは、除去ライン6と同じように、レーザー除去によって形成されることが好ましい。
【0051】
垂直中断ライン11は、RFだけでなく加熱のための水平方向の流れの電流を制限する。ホットスポットは、それらの間に導電性要素8を有する中断ライン11の導入から生じ得る。この問題を解決するために、先端Cは、細長いT型の中断ライン11を横切って延在し得る。有利には、電流は、細長い先端Cを通って流れるため、チャネル7のより多くが導電性要素8からの電流の流れに対して利用可能であり、こうして、ホットスポットの温度を下げる。
【0052】
導電性要素8は、隣接する中断ライン11よりも短い長さを有し得、例えば、不明瞭化バンド9によって隠される。中断ライン11の少なくとも1つのギャップ12は、先端Cの上方または下方に設けられ得る。有利には、電流は、ギャップ12を通って流れるため、チャネル7のより多くが導電性要素8からの電流の流れに対して利用可能であり、こうして、ホットスポットの温度を下げる。
【実施例
【0053】
下記は、本発明の実施例の説明である。本発明は、下記に説明する実施例に限定されない。
【0054】
表1に、概して図4に示されるように、本発明の4つの実施例および1つの比較例に関連する温度測定値を示す。
5つの場合全てにおいて、
データ伝送窓5は、各々幅6mmの9つのチャネル7を有し、
抵抗性コーティング2は、10Ω/□のシート抵抗を有する。
4つの実施例では、導電性要素8は、各々49mmの長さを有する。
【0055】
実施例1は、6つの導電性要素8を、図2のように各側に3つずつ有するが、図4のように不明瞭化バンドで覆われるように構成される。導電性要素8は、バスバー3、4と直接接触せず、線形状であり、100%銀、幅1mmで構成される。
【0056】
実施例2は、実施例1と類似しているが、9つの導電性要素8を有し、図4のように9つのチャネル7の各々に1つずつ配置される。
【0057】
実施例3は、実施例2と類似するが、直径100μmの銅線を使用する。
【0058】
実施例4は、実施例3と類似するが、直径25μmのタングステンワイヤを有する。
【0059】
比較例では、チャネル7内に導電性要素8が存在しない。
【0060】
加熱を42ボルトで12分間シミュレートし、温度測定をデータ伝送窓5の3つの場所で行った。
A:側方(図4の左側)、典型的なホットスポット
B:上部(図4の中央)、典型的なコールドスポット
C:導電性要素8の先端、側方から2番目(図4の右側)
【0061】
【表1】
【0062】
導電性要素8の先端Cの温度は、実施例1において、最も高かった。データ伝送窓5の中央および上方Bの温度は、実施例2において、最も高かった。驚くべきことに、本発明は、必要に従って所定量のチャネル7内に電流を集中させることによって、所定の温度分布を提供する。
【0063】
実施例2(銀)および実施例3(銅)の側方Aの温度は同じであった。有利には、より低い材料コストで側方Aのホットスポットの同じ低温を達成するために、銅は、銀の代わりに使用され得る。
【0064】
実施例4(タングステン)の側方Aの温度は、実施例1(銀)より低い。有利には、ホットスポット温度を下げてより見えにくくするために、直径25μmのタングステンワイヤは、幅1mmの銀線の代わりに使用され得る。
【0065】
比較例は、抵抗性コーティング2によってバスバー3、4から分離された導電性要素8が存在しないため、上方Bおよび先端Cに最も冷たいコールドスポットを有し、最も熱いホットスポットAを有する。車両のフロントガラスとして使用する場合、実施例1から4は、比較例と比較して、曇り止めまたは霜取りの性能が向上する。
【0066】
図面中の参照番号は以下の通りである。
【符号の説明】
【0067】
1 ガラスシート
2 抵抗性コーティング
3 第1のバスバー
4 第2のバスバー
5 データ伝送窓
6 抵抗性コーティング内の除去ライン
7 電流用チャネル
8 導電性要素
9 不明瞭化バンド
10 グレージング
11 チャネル内の中断ライン
12 中断ライン内のギャップ
A データ伝送窓の側方のホットスポット
B データ伝送窓の側方のコールドスポット
C 導電性要素の先端
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】