(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-24
(54)【発明の名称】改良された切りくず除去性を有する外科用ミリングカッタ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/16 20060101AFI20230117BHJP
【FI】
A61B17/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527882
(86)(22)【出願日】2020-11-12
(85)【翻訳文提出日】2022-07-12
(86)【国際出願番号】 EP2020081822
(87)【国際公開番号】W WO2021094411
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】102019130568.3
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502154016
【氏名又は名称】アエスキュラップ アーゲー
【住所又は居所原語表記】Am Aesculap-Platz, 78532 Tuttlingen Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エドガー ブラスト
(72)【発明者】
【氏名】マーティン マキル
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160LL01
(57)【要約】
本開示は、外科用ミリングカッタに関し、前記外科用ミリングカッタは、シャフト(17、35、47、57)であって、前記シャフト(17、35、47、57)の長手方向に延びる回転軸(19、37、49、59)を中心とした駆動ユニットへの回転的駆動結合用の前記シャフト(17、35、47、57)と、前記シャフト(17、35、47、57)の遠位に配置されたカッタヘッド(18、36、48、58)と、を備え、前記ミリングカッタヘッド(18、36、48、58)は、組織の回転式除去装置のためのそれぞれの切れ刃(23、24、41、42、50a、50b、60a、60b)を備える少なくとも2つの歯(21、22、39、40)を有し、前記切れ刃(23、24、41、42、50a、50b、60a、60b)は、遠位方向及び横断方向の両方における組織の除去装置のためにそれぞれ設計され、切りくず空間(30a、30b、54a、54b)は、円周方向において隣接する歯(21、22、39、40)の間に、自由空間として形成されており、各切りくず空間(30a、30b、54a、54b)は、前記回転軸(19、37、49、59)の側方であって、前記それぞれの切れ刃(23、24、41、42、50a、50b、60a、60b)に向かい合う前記回転軸(19、37、49、59)の前記側方において、前記切れ刃(23、24、41、42、50a、50b、60a、60b)から、前記回転軸(19、37、49、59)の側方であって、前記切れ刃(23、24、41、42、50a、50b、60a、60b)から離れる方向に向いている前記回転軸(19、37、49、59)の前記側方における領域へ延びている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)であって、
シャフトであって、前記シャフト(17、35、47、57)の長手方向に延びる回転軸(19、37、49、59)を中心とした駆動ユニットへの回転式駆動結合用の前記シャフト(17、35、47、57)と、
前記シャフト(17、35、47、57)の遠位に配置されたカッタヘッド(18、36、48、58)と、を備え、
前記カッタヘッド(18、36、48、58)は、回転的に組織を除去するためのそれぞれの切れ刃(23、24、41、42、50a、50b、60a、60b)を備える少なくとも2つの歯(21、22、39、40)を有し、
前記切れ刃(23、24、41、42、50a、50b、60a、60b)は、遠位方向及び横断方向の両方における組織の除去のためにそれぞれ設計され、
切りくず空間(30a、30b、54a、54b)は、円周方向において隣接する歯(21、22、39、40)の間に、いずれの場合もクリアランスとして形成されており、
各切りくず空間(30a、30b、54a、54b)は、前記回転軸(19、37、49、59)の側方であって、前記それぞれの切れ刃(23、24、41、42、50a、50b、60a、60b)に向かい合う前記回転軸(19、37、49、59)の前記側方において、前記切れ刃(23、24、41、42、50a、50b、60a、60b)から、前記回転軸(19、37、49、59)の側方であって、前記切れ刃(23、24、41、42、50a、50b、60a、60b)から離れる方向に向いている前記回転軸(19、37、49、59)の前記側方における領域へ延びていることを特徴とする、外科用ミリングカッタ。
【請求項2】
前記切れ刃(23、24、41、42、50a、50b、60a、60b)は、それぞれ遠位の半径方向内側から近位半径方向外側へ弧状であり、及び/又は、それぞれ非螺旋状かつ捩れなしであることを特徴とする、請求項1に記載の外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)。
【請求項3】
前記ミリングカッタ(16、34、46、56)は、前記ミリングカッタ(16、34、46、56)の前記回転軸(19、37、49、59)の直径方向において反対側に配置された正確に2つの歯(21、22、39、40)を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)。
【請求項4】
前記歯(21、22、39、40)の前面(26a、26b、44、45)が、特に前記回転軸(19、37)が横たわる共通の平面にまたがるように、前記歯(21、22、39、40)は、前記回転軸(19、37)を横断する方向に互いにオフセットされていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(16、34)。
【請求項5】
切削方向における前記歯(21、22、39、40)の前記前面(26a、26b、44、45、51)は、実質的に、前記回転軸(19、37)における前記遠位部分から始まって前記近位方向に延びている平坦及び/又は段差(28a、28b)であり、かつ、前記回転軸(19、37)に対して、前記前面(26a、26b)の前記平面において2°から10°の設定角度(f)で配置されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)。
【請求項6】
前記歯(21、22、39、40)は、前記回転軸(37)に対して横断する方向に、互いにオフセットしないで直径方向反対側に位置し、特に、一方の歯(39)の前面(26a)と他方の歯(40)の後面(27b)とが共に平坦な表面(44)を形成し、一方の歯(39)の後面(27a)と他方の歯(40)の前面(26b)とが共に平坦な表面(45)を形成するように、位置することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)。
【請求項7】
前記切れ刃(23、24、41、42)の少なくとも1つは、少なくとも1つの分断部(32a、32b、33a、33b、33c)又は溝(32a、32b、33a、33b、33c)を有し、前記分断部又は溝は、求心方向に前記歯(21、22、39、40)に組み込まれ、前記切れ刃の長さを低減し、それによって送り力を低減させることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)。
【請求項8】
前記歯(21、22、39、40)の厚さは、前記回転軸(19、37)に対して1°から10°の歯厚の角度(g、h)とともに遠位から近位へ増加することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)。
【請求項9】
前記歯(21、22、39、40)の前記遠位厚さは、半径方向における前記カッタヘッド(18、36)の直径(D)の1/20から1/10の間であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)。
【請求項10】
前記切れ刃(23、24、41、42)は、前記切れ刃(23、24、41、42)に沿って2°から30°の一定の逃げ角(b、k)を有し、又は、前記切れ刃(23、24、41、42)は、2°から30°の範囲の逃げ角(b、k)であって、前記切れ刃(23、24、41、42)の経路に沿って変化する前記逃げ角(b、k)を有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)。
【請求項11】
前記切れ刃(23、24)は、0°のすくい角を有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(16)。
【請求項12】
前記カッタヘッド(18、36)は、その遠位端(20、38)において、110°から150°の先端角(c、i)を有する先端を有することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)。
【請求項13】
前記外科用ミリングカッタは、前記回転軸(19、37)に対して、回転的に対称であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(16、34)。
【請求項14】
前記外科用ミリングカッタは、
第1の回転方向における組織除去をもたらす第1の切れ刃(50a、60a)と、
前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向における組織除去をもたらす第2の切れ刃(50b、60b)と、を有することを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(46、56)。
【請求項15】
前記カッタヘッド(18、36、48、58)は、前記回転軸(19、37、49、59)を通る断面において、フレーム形状、円錐形状、オリーブ形状又はローラ形状の断面形状を有することを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)。
【請求項16】
骨及び/又は軟骨を工具で機械加工し、取得された前記骨及び/又は軟骨材料を収集し、必要に応じて、保管し、骨材料の成長に使用する、骨材料及び/又は軟骨材料の取得方法であって、前記骨及び/又は軟骨の前記機械加工が、切削工具、特に、請求項1から15のいずれか一項に記載の前記外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)を用いて実施されることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科用ミリングカッタに関し、このミリングカッタは、シャフトの長手方向に延びる回転軸周りの駆動ユニットとの回転駆動結合のためのシャフトと、シャフトの遠位に配置されたカッタヘッドを有し、カッタヘッドは、組織を回転的に除去する切れ刃を有する少なくとも2つの歯を有し、前記歯はそれぞれ、遠位方向及び横断方向の両方で組織を除去するように設計され、かつ、ミリングカッタの回転軸の遠位部分から始まって近位方向に向かって半径方向外側に延び、このミリングカッタにおいて、切りくず空間が、円周方向の隣接する歯の間のクリアランスとして形成される。本開示はまた、骨材料及び/又は軟骨材料の取得方法に関し、この方法において、骨及び/又は軟骨が工具によって機械加工され、取得された除去後の骨/軟骨材料が収集され、必要に応じて保管され、骨材料の成長に使用される。
【背景技術】
【0002】
外科用ミリングカッタは、従来技術から一般的に知られており、長手方向に延びる回転軸周りに回転的に駆動することによって、骨又は軟骨などの硬組織を除去するために使用される。ローズヘッドバー又はローズドリルは、ほぼ球形のカッタヘッドを備えたミリングカッタ工具であり、直径に応じて、6から14個の歯の切れ刃を持つ多数の歯が備わっている。歯とその切れ刃は、ミリングカッタの回転軸上でカッタヘッドの遠位端において収束する。多数の歯の結果として、歯の高さは遠位端領域の方向に減少し、回転軸において直接ゼロになる。これは、ミリングカッタの遠位端及びその近傍に、個々の歯の間に歯間空間がないことを意味する。適切な幾何学的最適化により、カッタヘッドの遠位端の領域に、いくらか大きな歯高と、従って、いくらか大きな切りくず空間を作成することは可能でありえる。しかしながら、切れ刃が中心、即ちミリングカッタヘッドの回転軸で交わるため、そのような最適化をした場合でさえ、切りくず除去が困難であり、結果として比較的に高温になり、その場所の視界がひどく制限される又はその場所の視界が存在しないといった欠点が存在する。
【0003】
このようなローズドリルの歯/切れ刃は、通常、研削によって製造される。この目的のために、いわゆるポインテッドディスクが使用される。これらは通常60°から90°の研削角度を持ち、カッタヘッドでの材料の除去によって歯間空間を形成する。カッタヘッドにおけるポインテッドディスクの貫入深さは、対応する切れ刃を持つ歯が、前の歯間空間の歯の前部と次の歯間空間の歯の後ろから形成されるように設定される。カッタヘッドの近位領域を研削するときに、ポインテッドディスクがカッタシャフトに突き刺さらないように、歯は通常、捩れ、つまり螺旋状にカッタヘッドに挿入される。このようにして、カッタヘッドの近位領域の歯又は切れ刃を、回転軸にいくらか近くに形成することができる。ポインテッドディスクは、切れ刃のすくい角が負となるように、通常は-10°から-40°の間になるように、調整される。切れ刃の逃げ角はそれに応じて非常に大きく、40°から70°の間である。
【0004】
生産面でのこのようなローズドリルの欠点は、歯/切れ刃の数が多いことによって生産中の研削機械の稼働時間が長くなり、生産コストの上昇につながることである。
【0005】
このタイプのミリングカッタ工具の実用上の欠点は、生産に関連する比較的尖った歯とその数が多いため、骨を加工するときにいわゆる「ガタガタ」が頻繁に発生しうることであり、ミリングカッタが制御不可能な跳ねによって機械加工する領域から離れ、正確な作業が不可能又は非常に困難となるときに、その欠点が明らかになる。
【0006】
さらなる欠点は、切りくず空間として機能する遠位端領域の歯の間の比較的小さな歯間空間によって引き起こされる。機械加工中に除去された骨材料は切りくず空間に蓄積し、新たに除去された材料のためのスペースを作るためにそこから移動される必要がある。歯間空間を通過する材料の移動が不十分な場合、切りくず空間がブロックされ、切りくず空間に蓄積された材料によって切れ刃がシールドされる。その結果、それ以上の材料除去は不可能となる。これは、このようなミリングカッタヘッドで軸方向において満足のいく切削性能と切削力を実現することが難しい理由の一つである。軸方向の骨を除去するために外科的処置を深部(即ち軸方向)に実行しなければならないことが非常に多いため、この欠点は特に深刻である。カッタヘッドの中央の閉塞した切れ刃又は歯間空間は、カッタヘッド自体によって視界が遮られるために、外科医にとって検出することが困難又は不可能である。手術中に詰まった歯間空間をきれいにすることは非常に困難である。いったん歯間空間が塞がれ、外科医が骨の作業を続けると、圧力の増加と摩擦の増加を招くことがあり、これは温度の上昇につながる。わずか45°Cを超える温度はすでに患者のタンパク質の凝固を引き起こし、既知の悪影響をもたらす可能性があるため、これは特に致命的である。
【0007】
後者の問題を軽減するために、そのようなミリングカッタは、動作中に液体でフラッシングされたり、又は冷却される。液体は切りくず除去を補助し、機械加工する箇所における熱を低減する。しかしながら、切削性能が不十分で液体が添加されると、特定の箇所で熱が高まり、機械加工された骨が凝固する可能性がある。さらに、歯間空間内に位置する材料に過度の加熱が発生すると、その材料が、加熱の結果としてそこで凝固する可能性があり、除去するのが非常に困難である。
【0008】
さらなる欠点は、ミリングカッタの形状のために、外科医がその場所、即ち工具先端の領域の手術領域を見ることができないことであり得る。これは、駆動中のミリングカッタと停止中のミリングカッタの両方に当てはまる。従って、その場所を綿密に調べるために、ミリングカッタを、完全ではないにしても、少なくとも部分的に、操作領域から取り除く必要がある。
【0009】
最後に、そのようなローズドリルやローズヘッドバーの多数の深い歯間空間は、日々の臨床業務の中における処理の一部として、清掃することが困難である。
【0010】
上記のミリングカッタに加えて、例えばいわゆるオリーブカッタ又はニューロカッタなどの2つの切れ刃を備えたミリングカッタ工具、並びにいわゆるツインカッタのミリング工具が医療技術において知られている。しかしながら、これらの切りくず空間は顕著に小さい。
【0011】
比較的大きな切りくず空間は、切れ刃が1つしかない外科用ミリングカッタ、いわゆるシングルカッタによって提供される。このような機器の一例は、米国特許出願公開第2017/0150974号明細書に開示されている。しかしながら、切れ刃が1つだけで、カッタヘッドが回転軸に対して非対称/偏心するように設計されているため、その質量が偏心して分散し、動作中に不均衡が発生する。これにより、ミリングカッタ工具の荒く不安定な動作が発生し、ハンドピース、特にそのベアリングに高い負荷がかかり、増大した動作ノイズをもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この背景に対して、本開示の目的は、先行技術の上記の欠点を低減することであり、特に、軸方向での改善された切削性能、低発熱、及び遠位端領域からの改善された切りくず除去を備えた、特に骨の機械加工のための医療における高速アプリケーションのためのミリングカッタを提供することである。さらなる目的は、特に洗浄が容易であり、特に、さらなる人工材料の取得のために骨又は軟骨などの組織材料を取得するのに適したミリングカッタを提供することである。最後に、本開示は、骨材料及び/又は軟骨材料を得るための改良された方法を提供することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、本開示による、請求項1に記載の外科用ミリングカッタによって解決されるものであって、即ち、外科用ミリングカッタは、シャフトであって、シャフトの長手方向に延びる回転軸を中心とした駆動ユニットへの回転駆動結合用の、特に外科用ハンドピースを備えるシャフトと、シャフトの遠位に配置されたカッタヘッドとを有し、カッタヘッドは、組織を回転的に除去するためのそれぞれの切れ刃を備えた少なくとも2つの歯を有し、切れ刃は、軸及び/又は遠位方向並びに半径及び/又は横断方向の両方で組織を除去するようにそれぞれ設計されており、歯間空間とも呼ばれる切りくず空間は、いずれの場合においても円周方向に隣接する歯の間にクリアランスとして形成されており、各切りくず空間は、それぞれの切れ刃に向かい合う回転軸の側方において、切れ刃から、領域であって、少なくともミリングカッタの遠位部分において、対応する切れ刃から離れる方向に向いている回転軸の側方における領域へ延びている。本開示によれば、各切りくず空間は、ミリングカッタの回転軸の切れ刃側に形成され、少なくとも遠位領域であって、それぞれの切れ刃から離れる方向に向いている回転軸の側方における遠位領域において延びているとも言える。本開示による外科用ミリングカッタは、好ましくは、その回転軸に対して回転対称に、及び/又は回転軸に対して対称な質量分布を有するように設計され、その結果、不均衡なしに動作することができる。
【0014】
本開示の特定の利点は、歯又は切れ刃の設計が、回転軸(先端)における、又は回転軸(先端)の近くのカッタヘッドの遠位端領域の歯間空間/切りくず空間が可能な限り大きくされることである。これは、ミリングカッタで除去された材料(特に骨粉や骨片)の排出を確実にする。材料排出のための液体ベースのサポートは、基本的に、有利な態様における、ほとんどの場合において、低減可能である。過度の加熱の結果として、歯間空間における処理された骨及び除去された材料の凝固を確実に回避することができる。従って、歯間空間及び切れ刃における歯のアクセシビリティが良好であるため、ミリングカッタは特に清掃が容易である。本開示のさらなる特定の利点は、本開示によるミリングカッタの形状及びその切りくず空間により、外科医は、ミリングカッタの全部又は一部を手術領域から除去する必要なしに、その場所を特に良好に見ることができることである。最後に、熱発生が著しく低いので、本開示によるミリングカッタでの加工中の骨材料の、特に45℃以上の温度への不均衡な加熱を確実に回避することができる。これの有利な結果は、除去された骨材料が損傷を受けていない/損傷を受けないため、例えば骨材料の成長などのさらなる使用に利用できることである。
【0015】
本開示の有利な実施形態は、従属請求項に記載されており、以下により詳細に説明される。
【0016】
一実施形態は、切れ刃がそれぞれ遠位の半径方向内側から近位の半径方向外側に向かって弧状であることを特徴とする。それらはまた、ほぼ半円形であり、及び/又はカッタヘッドの最も広いポイントから半径方向に弧状にカッタシャフトに戻るように延びていてもよい。好ましくは、カッタヘッドの切れ刃は、ミリングカッタの回転軸の遠位部分から近位方向に向かって半径方向外側に延びている。特に、各カッタヘッドの切れ刃は、エッジ側に形成することができ、ミリングカッタがその回転軸(長手軸)を中心に回転するときに、好ましくは本質的に球形であるエンベロープ曲線に沿って動くように形付けられることができる。このようなミリングカッタは球形カッタと称されてもよく、材料が横断方向/半径方向及び/又は軸方向/遠位方向に除去される用途に特に適している。本開示の文脈において、カッタヘッドは、ミリングカッタの回転中の切れ刃によって描写されたエンベロープ形状が、例えばフレーム形カッタ、円錐形カッタ、円筒形カッタ又は楕円形カッタの形状といった他の形、を有するように設計されてもよい。
【0017】
さらなる実施形態によれば、歯又は切れ刃は、それぞれ、非螺旋状及び/又は捩れのないものであってもよい。これは、歯間空間へのアクセシビリティ及び洗浄の適合性を改良する。さらに、そのような歯/切れ刃形状は、比較的容易に、迅速に、そして安価に製造することができる。
【0018】
さらなる実施形態によれば、ミリングカッタは、ミリングカッタの回転軸における直径方向反対側に配置された正確に2つの歯又は切れ刃を有してもよい。ミリングカッタがその回転軸を中心に回転したとき両方の切れ刃が材料を除去するよう、切れ刃は、2つの歯の互いに反対側を向くように形成されている。歯の切削側表面は歯前部とも呼ばれ、歯の切れ刃の反対側は歯後部と呼ぶ。切削側(即ち、歯前部側)のそれぞれのクリアランスは、本開示の意味において、対応する切れ刃で除去された材料ための切りくず空間を表す。切れ刃/歯の説明された配置と設計により、2つの歯間空間は特に大きく、そのため除去された材料の特に良好な移送が保証され、凝固していない骨の迅速な治癒が達成される。
【0019】
このような2つの歯又は両刃の設計は、少なくともミリングカッタの遠位端から回転軸に向かってカッタヘッドを回転軸の両側(横断方向)において機械加工することによって、特に効果的かつシンプルに達成することができる。次いで、この機械加工は、好ましくは、大部分において平坦であり、それぞれの歯の歯前部を形成する表面を形成する。
【0020】
代えて又は加えて、歯前部を形成する表面が段差又は肩を介して反対側の歯の歯後部に移行するように、段差又は肩が、回転軸の遠位部分から開始して近位方向に延びていてもよい。この段差又は肩は、一方の歯の歯前部と、切削方向に隣接する歯の後面、つまり他方の歯の歯後部との間に境界を形成する。製造に関して特に有利な実施形態では、段差又は肩は、カッタヘッドの後部(近位)領域がミリングカッタのシャフトと接触しないように、カッタヘッドの遠位端と回転軸との交点から、回転軸に対して斜めの角度で、カッタヘッドの先端から延びる。この角度は、好ましくはそれぞれの前面の平面内にあり、設定角度とも呼ばれ、好ましくは2°から10°の範囲内である。言い換えれば、歯前部は、円周方向の逃げ角と共に、カッタ又は切れ刃を形成する。代えて又は加えて、歯後部は一定の幅で設計されてもよい。
【0021】
歯前部は、切れ刃におけるすくい角が0°となるように設計及び/又は配置される。
【0022】
本開示のさらなる実施形態によれば、歯は、一平面においてオフセットすることなく、回転軸(37)に対して横断方向に、互いに直径方向反対側に配置及び形成されてもよい。特に、この平面は回転軸も含む。特に、歯は、一方の歯の前面と他方の歯の後面とが共に平坦な表面を形成するように、形成することができる。一方の歯の後面ともう一方の歯の前面とが共に、前述の表面の反対側のさらなる平坦な表面を形成する。2つの表面は互いに平行であってもよい。好ましくは、それらは、回転軸を横断する方向に互いに平行であり、回転軸の方向に歯厚の角度だけ互いに傾斜している。
【0023】
材料の排出に関する本開示の特に有利な実施形態は、少なくとも1つの切れ刃が、特に切りくず破壊溝として、少なくとも1つの分断部又は溝を有することを特徴とする。これは、特に求心方向において歯に組み込むれてもよい。切れ刃の分断部は、切れ刃の幅を狭め、骨への切れ刃の貫入を促進し、切削性能が向上する。隣接する歯/切れ刃の切りくず破壊溝は、特に一方の歯の溝が他方の歯の切れ刃に対応する位置に配置され、かつ、その逆も同様となるように、互いにオフセットして設計及び/又は配置されてもよく、それによって歯の切れ刃が交互に除去に関与する。このようにして、除去された材料の移送が最適化されるように、除去された切りくずのサイズ及び形状は決定される。さらに、これにより、ミリングカッタが名目上より多くの切れ刃を有する場合でも、回転軸を中心とした回転中にそれぞれの切れ刃セクションによって掃引される領域に対して、1つの切れ刃のみが噛み合うようになる。
【0024】
切削方向の歯の後側、即ち歯後部は、特に、歯がシャフトに向かって遠位から近位に円錐状に広がるように、回転軸に対して傾斜して形成及び/又は配置され得る。歯後部は、特に平坦な表面の形で設計することができ、これは、アクセシビリティ、洗浄の適合性、及び製造の容易さに有利に働く。
【0025】
特に、歯厚は、遠位から近位へ向かって、回転軸に対して1°から10°の角度で増加してもよい。この角度は、歯厚の角度と呼ばれる。これは特に高い安定性と優れた洗浄性をもたらす。歯又は切れ刃の遠位の厚さは、特に、半径方向のカッタヘッドの直径の1/20から1/10の間であってもよい。このようにして、特に大きなクリアランスが、切りくず空間として、歯/切れ刃の高い安定性と同時に提供されうる。さらに、切削性能とガタつき傾向は、歯厚の適切な設計によって影響を受け得る。最後に、カッタヘッドの強度は、必要な高さでの歯厚によって定義されてもよい。
【0026】
本開示のさらなる実施形態は、切れ刃が2°から30°の範囲で一定の逃げ角を有することを特徴とする。あるいは、切れ刃は、特に2°から30°の間の範囲で、遠位から近位への経路に沿って変化する逃げ角を有してもよい。切れ刃は0°のすくい角を有していてもよい。円周方向の逃げ角は、材料の除去を画定するカッタヘッドの形状を形成する。切削性能と、がたつき傾向とは、対応する逃げ角の設計によって影響を受ける可能性がある。上記のように、経路に沿って逃げ角を変化させることにより、切削性能及びガタつき傾向は、さらにポジティブな影響を受ける可能性がある。
【0027】
特にユーザフレンドリーな実施形態は、カッタヘッドがその遠位端で110°から150°の角度を有する先端を有することを特徴とし、これは、使用中、特に軸方向にミリングカッタ工具を用いて作業するときに、特にセンタリング及び取り扱いが良好で簡単になる。この角度は、先端角と呼ばれる。先端に近接して、切れ刃/歯は、さらなる経路において、弧状、特に円形状であってもよい。
【0028】
本開示によれば、ミリングカッタは、時計回りのミリングカッタ(右利きのカッタ)又は反時計回りのミリングカッタ(左利きのカッタ)のいずれかとして設計することができる。
【0029】
方法に関して、本開示による解決策は、骨材料及び/又は軟骨材料を取得するための方法にあり、骨及び/又は軟骨は工具で機械加工され、取得された骨/軟骨材料は収集され、必要であれば、骨材料の成長のために保管され、使用され、骨及び/又は軟骨の機械加工が、切削工具、特に本開示による外科用ミリングカッタを用いて、特に本明細書による、及び/又は添付の特許請求の範囲に記載された1つの請求項に従って、実施される。
【0030】
要約すると、本開示は、特に2つの切れ刃のみを有し得る外科用ミリングカッタを提供すると言うことができる。歯間空間は、好ましくは、除去された組織が可能な限り妨害されることなく運び去られるように設計される。特に、歯の形態は、歯の強度に必要とされないすべての材料を取り除いて、設計されてもよい。さらに、ミリングカッタの表面、特にカッタヘッドの表面は、特に容易に滑らかで平坦になるように設計することができ、これは切りくずの排出に有利に働く。低い温度変化及び特に良好な切りくず排出の結果として、特に穏やかな材料除去が、開示によるミリングカッタによって達成することができ、除去される材料の変化及び/又は損傷は、大部分、又は完全に、回避される。従って、本開示に従ってミリングカッタを介して除去された材料は、本開示による方法の一部としてのそのような材料の人工的再成に特によく適している。
【0031】
特に、本開示は以下の利点をもたらす:
-特に軸方向で非常に優れた切削性能
-切れ刃が2つしかないことによる、非常に良好な切りくず排出
-組織及び切れ刃における温度変化の低減
-カッタヘッドの非常に簡単な清掃性
-切れ刃の対称構造
-非常にアクセスしやすい表面のため、掃除が簡単
-負のすくい角がない
-ガタつき傾向が低い
-歯間空間が詰まり傾向がない
-回転軸に対して対称に配置された質量による、振動のない非常に静かな稼働
-歯/切れ刃の数が少ないため、低コストで製造可能
-骨を処理するための医療の高速アプリケーション向けに製造が簡単で安価なミリングカッタ
【0032】
本開示のさらなる特徴及び利点は、図の以下の例示的かつ非限定的な説明から生じる。これらは本質的に単なる概略図であり、本開示の理解を助けるためにのみ役立つ。以下が示される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】先行技術によるローズドリルの2つの斜視図を示す。
【
図2】先行技術によるシングルカッタの斜視図を示す。
【
図3】本開示の第1の実施形態によるミリングカッタの遠位セクションの斜視部分図を示す。
【
図5】回転軸を横断する方向における
図3のミリングカッタの断面図を示す。
【
図8】回転軸を通る
図3のミリングカッタの一部を示す。
【
図9】異なる方向からの
図3のミリングカッタの斜視図である。
【
図10】異なる方向からの
図3のミリングカッタのさらなる斜視図を示す。
【
図11】本開示によるミリングカッタの異なる実施形態の斜視図を示す。
【
図15】本開示によるミリングカッタの異なる実施形態の斜視図を示す。
【
図16】異なる方向からの
図15のミリングカッタの斜視図を示す。
【
図17】本開示によるミリングカッタの異なる実施形態の斜視図を示す。
【
図18】切りくず空間のマーキング付きの
図7に対応する図示である。
【
図19】切りくず空間のマーキング付きの
図14に対応する図示である。
【
図20】本開示によるミリングカッタのさらなる実施形態の上面図を示す。
【
図21】回転軸を横断する方向における
図20のミリングカッタの断面図を示す。
【
図24】本開示によるミリングカッタのさらなる実施形態の側面視を示す。
【発明の詳細な説明】
【0034】
図1は、異なる方向からの2つの斜視図における従来技術によるローズドリル1を示している。これは、近位側にカッタシャフト2を有し、遠位側に、ほぼ球形の外側輪郭を有するカッタヘッド3を有する。ローズドリル1は、長手軸4を有し、これは動作中の回転軸4でもある。図示されている例では、これは、合計8つの歯5を備え、歯5の回転軸4から離れる方向に向いている側に、切れ刃7であって、カッタカッタヘッド3の遠位先端6からカッタシャフト2に向かう近位方向に延びる切れ刃7が、それぞれに形成されている。それぞれの歯間空間8は、隣接する歯5の間に形成される。歯5はそれぞれ、捩れを有し、遠位から近位に螺旋状に延びている。従って、歯5とその切れ刃7は、ローズドリル1の回転軸4におけるカッタヘッドの遠位末端9において収束していると言える。
図1の2つの図では、歯5の高さは、遠位末端9に向かって減少し、回転軸4又は先端6でそれぞれ直接ゼロであることが明確に示されている。換言すれば、歯間空間の深さは、遠位末端9又は遠位先端6でそれぞれゼロであり、カッタシャフト2に向かって近位方向に増大する。従って、ミリングカッタ1の長手軸4の方向における軸方向前進中に除去された材料に利用可能な切りくず空間は、先端6の近くで非常に小さく、先端6には存在しないので、歯間空間8は、最初に説明した欠点で容易に詰まる可能性がある。
【0035】
図2は、斜視図で、いわゆるシングルカッタ10の形態の、さらに知られるミリングカッタ10を示している。これは、近位側にカッタシャフト11を有し、遠位側にカッタヘッド12を有する。シングルカッタ10は、長手軸13を有し、これは動作中の回転軸13でもある。カッタヘッド12は、片側に挿入された回転軸13までの平坦化によって形成され、実質的に平坦な前面15が形成される切れ刃14bを有する。凹んだエッジ14aは、切れ刃14bの反対側に形成されている。これは、切れ刃14bのためのクリアランス/自由表面を形成する。ミリングカッタは時計回りの回転専用に設計されている、つまり時計回りの回転でのみ切削する。その設計により、カッタヘッド11の全体の質量は回転軸13の片側に配置され、その結果、シングルカッタ10の質量分布は非対称であり、これは冒頭に説明した欠点に関連している。
【0036】
図3、
図9及び
図10は、本発明による外科用ミリングカッタ16の第1の実施形態を示し、
図4から
図8には、異なる方向からの図及び断面図も示されている。ミリングカッタ16は、近位側にカッタシャフト17を有し、遠位側にカッタヘッド18を有する。ミリングカッタ16は、長手軸19を有し、長手軸19は動作中の回転軸19でもある。カッタシャフト17は、その遠位端20においてカッタヘッド18を中央で貫く回転軸19に対して同軸に延在し、回転軸19は、(特に
図7を参照)。
【0037】
カッタヘッド18は、正確に2つの歯21、22、即ち第1の歯21及び第2の歯22を有する。歯21は、組織を回転的に除去するための切れ刃23を有する。歯22は、組織を回転的に除去するための切れ刃24を有する。2つの歯21、22、及び、従って切れ刃23、24もまた、ミリングカッタ16の回転軸19の直径方向反対側に配置され、回転軸19を横切って互いにオフセットされている。切れ刃23、24は、それぞれが、対応する歯21、22であって、回転軸19から離れる方向に向いている歯21又は22側に配置され、それぞれ弧状である。それらは、回転軸19の遠位端20から始まり、最初に遠位の半径方向内側から近位の半径方向外側に延び、次にカッタヘッド18の最も広い点25からさらに弧を描いて近位の半径内側に向かってカッタシャフト17へ延びる。切れ刃23、24はそれぞれ非螺旋状で捩れがない。この設計により、ミリングカッタ16は、その回転軸19を中心に回転するとき、本質的に球形のエンベロープ曲線を有する。
【0038】
2つの歯21、22は同一であり、歯21の説明は、歯22にも同様に適用される。
図7に特によく見られるように、歯21は、回転方向において歯21の前面を形成する平坦な前面26aと、回転方向において歯21の後面を形成する平坦な後面27aと、を有する。歯22は、回転方向において歯22の前面を形成する平坦な前面26bと、回転方向において歯22の後面を形成する平坦な後面27bとを有する。回転方向は、ミリングカッタ16の切削方向である。歯21、22は、2つの歯21、22の前面26a、26bが、回転軸19が存在する共通の平面にまたがるように、回転軸19(
図7を参照)に対して横断方向に互いにオフセットされている。特に
図7では、第1の歯21の切れ刃23と第2の歯22の切れ刃24とが、遠位端20の先端であって、回転軸19が遠位端20をまさに貫通する遠位端20の先端で接していることが明確に視認される。回転軸19は、前面26a及び前面26bの平面内にある。
【0039】
後面27a/27bは、前面26a/26bに対して、軸方向に4°から12.5°の間の長手方向の歯の角度g´だけ傾斜しており、カッタヘッド18は、8°及び25°の間の全歯厚の角度g(
図8を参照)を有する。さらに、後面27a/27bは、前面26a/26bに対して、回転軸19を横断する方向に、0°から10°の間の横断方向の歯の角度aだけ傾斜している(
図7を参照)。遠位端20における歯21の歯厚S´は直径に依存し、カッタヘッド18の直径Dの約1/10(10分の1)である。遠位端20における歯22の歯厚S´もまた直径に依存し、カッタヘッド18の直径Dの約1/10(10分の1)である。従って、カッタヘッド18のカッタヘッド厚Sは、合計で直径D(
図4を参照)の約2/10である。カッタヘッド18の遠位端20は、90°から150°の先端角c(
図6を参照)を有する先端として設計されている。切れ刃23、24はそれぞれ、遠位端20の先端から、カッタシャフト17の方向に110°から170°のクリアランス角dに亘って延びている(
図6を参照)。
【0040】
歯21の前面26aと歯22の後面27bとの間には、段差28a又は肩面29aを備える肩28aが形成されており、これは、回転軸19において遠位端20から開始して近位方向に延びている。歯22の前面26bと歯21の後面27aとの間に、段差28b又は肩面29bを備える肩28bが形成され、これは、回転軸19において遠位端20から開始して近位方向に延びる。前面26a、26bから肩面29a、29bへの移行部は丸みを帯びており、2°から10°の範囲の設定角度f(
図6参照)で配置されている(
図6を参照)。設定角度fは、回転軸19に対して斜めであり、前面26a、26bの平面にある。肩面29a、29bはまた、回転軸19を横断する平面において、110°から160°の範囲の歯の正面角eで配置されている(
図5を参照)。それぞれの切れ刃23、24の逃げ角bは、0°から30°の範囲にあり、円周方向に、即ち、クリアランス角dの全範囲に亘って形成される(
図7を参照)。前面26a、26bから肩面29a、29bへの移行部は、いずれの場合も丸みを帯びており、これにより、材料の排出及び洗浄の適合性が向上する。
【0041】
図7は、切りくず空間30aが、第1の歯21の回転方向前方に、その前面26aとその肩面29aとの間のクリアランスとして形成され、前記の切りくず空間は、ミリングカッタ16の第1の歯21とその切れ刃23を介して除去された材料にとって利用可能であり、隣接する歯22の後面27bの後ろの領域31aと合わせて総切りくず空間30a/31aを形成することを明確に示している。さらに、切りくず空間30bが、回転方向において第2の歯22の前方に、その前面26bとその肩面29bとの間のクリアランスとして形成され、前記の切りくず空間は、ミリングカッタ16の第2の歯22とその切れ刃24を介して除去された材料にとって利用可能であり、隣接する歯21の裏面27aの後ろの領域31bと合わせて総切りくず空間30b/31bを形成する。
図18は、参照記号のない
図7の図を示しており、クリアランス30a、30b、領域31a、31b、及び、ミリングカッタ16の両方の歯21、22の切りくず空間30a/31a、30b/31bが、対応するハッチングで示されている(切りくず空間30a、30b:ハッチングされたマーキング、領域31a、31b:チェックのマーキング)。
図7はまた、切りくず空間30a、30bであって、回転軸19のそれぞれの切れ刃23、24に向かい合う側の切りくず空間30a、30bが、切れ刃23、24から、領域であって、回転軸19の切れ刃23、24から離れる方向に向いている領域に向かって延びていること、及び、それぞれの切りくず空間30a、30bが、回転軸19の切削側に形成されているとともに、少なくとも遠位領域であって、回転軸19のそれぞれの切れ刃23、24から離れる方向に向いている遠位領域において延びていることを示す。
図3から
図10において、第1の歯21に属する部分は、参照記号に追加されたaによって印付けられている一方、第2の歯22に属する部分は、参照記号に追加されたbによって印付けられている。例えば、前面26aは、第1の歯の前面であり、前面26bは第2の歯22の前面である。
【0042】
図11から
図14は、本開示によるミリングカッタ34のさらなる実施形態を示している。ミリングカッタ34は、近位にカッタシャフト35を有し、遠位にカッタヘッド36を有する。ミリングカッタ34は、長手軸37を有し、長手軸37は、動作中の回転軸37でもある。カッタシャフト35は、回転軸37に対して同軸に延び、回転軸37は、その遠位端38においてカッタヘッド36を中央に貫通している(特に
図11を参照)。
【0043】
カッタヘッド36は、第1の歯39及び第2の歯40を有する。歯39は、組織を回転的に除去するための切れ刃41を有する。歯40は、組織を回転的に除去するための切れ刃42を有する。2つの歯39、40と、従って切れ刃41、42も、その中心に回転軸37が横たわる共通の平面に、ミリングカッタ34の回転軸37の直径方向反対側に配置される。切れ刃41、42は、それぞれ、対応する歯39又は40の側であって、回転軸から離れる方向に向いている側に配置される。切れ刃41、42はそれぞれ円弧状である。それらは、回転軸37上の遠位端38で始まり、最初に遠位の半径方向内側から近位の半径方向外側に延び、次にカッタヘッド34の最も広い点43から、カッタシャフト35の近位の半径方向内側に向かって弧を描いて続く。切れ刃41、42はそれぞれ非螺旋状で捩れがない。切れ刃41、42のこの形状は、ミリングカッタ34に、その回転軸37の周りを回転するときに本質的に球形のエンベロープ曲線を与える。
【0044】
図11及び
図12に特によく見られるように、2つの歯39、40は、回転軸37に対して正反対側におけるカッタヘッド36に平坦化が形成されるという点で同一に形成される。従って、カッタヘッド36は、互いに対向する2つの平面44、45を有し、二つの平面44、45は、回転軸37を横断する方向に互いに平行であり、かつ、回転軸37の方向に互いに傾斜している。表面44、45及び切れ刃41、42は、表面44が切れ刃41の前面と切れ刃42の後面を形成し、表面45が切れ刃42の前面と切れ刃41の後面を形成するように、互いに配置及び形成されている。
【0045】
表面44は、表面45に対して軸方向に0°から20°の間の歯厚の角度hだけ傾斜している(
図12を参照)。遠位端38の先端におけるカッタヘッド34のカッタヘッド厚Sは、0.05mmから1.0mmの間である(
図12を参照)。カッタヘッド36の遠位端38は、90°から160°の先端角iを有する先端として形成される(
図13を参照)。切れ刃41、42はそれぞれ、遠位端38の先端43から、カッタシャフト35の方向に110°から170°のクリアランス角jに亘って延びている(
図13を参照)。カッタヘッド36は、最も広いポイントで直径Dを有する。円錐の長さL、即ち、回転軸37の方向における表面44、45の拡張は、約7/9D(直径Dの7/9)である。表面44、45は、半径Rでカッタシャフト35に移行し、半径Rは、直径Dの約半分に対応する。切れ刃41、42の逃げ角kは、いずれの場合も、0°から30°の範囲にあり、円周方向、つまり、クリアランス角jの全域に亘って形成される(
図13及び
図14を参照)。
【0046】
図14は、切りくず空間30aが第1の歯39の回転方向前方のクリアランスとして形成されることを明確に示しており、前記切りくず空間は、ミリングカッタ34の第1の歯39及びその切れ刃41を介して除去される材料に利用可能であり、かつ、隣接する歯40の後ろの領域31aと共に総切りくず空間30a/31aを形成する。さらに、切りくず空間30bは、第2の歯40の回転方向前方のクリアランスとして形成され、前記切りくず空間は、ミリングカッタ34の第2の歯40及びその切れ刃42を介して除去された材料に利用可能であり、かつ、隣接する歯39の後ろの領域31bと共に総切りくず空間30b/31bを形成する。
図19は、参照符号のない
図14の図を示し、
図19では、ミリングカッタ34の両方の歯39、40のクリアランス30a、30b、領域31a、31b、及び切りくず空間30a/31a、30b/31bは、対応するハッチングでマークされている(切りくず空間30a、30b:ハッチングされたマーキング、領域31a、31b:チェックのマーキング)。
【0047】
図15及び
図16は、上記の
図3から8の実施形態の変形例を示し、ここで、歯21の切れ刃23は、溝32a、32bの形態の分断を有し、歯22の切れ刃24は、溝33a、33b、33cの形態の分断を有する。溝32a及び32bならびに溝33a、33b及び33cは、それらの間に残っている切れ刃部分によってそれぞれ互いに離間されている。それらはまた、対応する歯21、22に求心方向に挿入され、切れ刃23、24を分断する。第1の歯21の溝32a及び32bは、第2の歯22の残りの切れ刃に対応する第1の歯21の溝32a、32bの位置に部品が配置され、第2の歯22の溝33a、33b及び33cの位置に、第1の歯21の対応する残りの切れ刃部分が配置されるように、第2の歯22の溝33a、33b及び33cに対して、切れ刃23、24の円周方向にオフセットされている。これにより、材料の特に均一な除去が可能になる。他の特徴に関して、
図3から
図8及び
図15及び
図16の実施形態は類似している。本開示の範囲内で、
図11から
図14の実施形態は、そのような溝32a、32b、33a、33b、33cを備えてもよいことに留意されたい。
【0048】
図17は、
図15及び
図16の実施形態の変形例を示しており、1つの溝32a、33aのみが、切れ刃23、24のそれぞれに組み込まれている。これにより、特に均一な材料除去が可能になる。他の特徴に関しては、
図3から
図8及び
図17の実施形態は類似している。本開示の範囲内で、
図11から
図14の実施形態は、そのような溝32a、33aを備えていてもよいことに留意すべきである。
【0049】
図20、
図21、
図22、及び
図23は、本開示によるミリングカッタ46のさらなる実施形態を示し、これは、特に、
図2に示されるシングルカッタ10とは区別される。ミリングカッタ46は、近位側にカッタシャフト47と、遠位側にカッタヘッド48を有する。それは、また、長手軸49を有し、長手軸49は、動作中の回転軸49でもある。カッタヘッド48は、2つの対称的に反対側の平坦化であって、それぞれのケースにおいて回転軸49の前の短い距離までの平坦化によって形成される。カッタヘッド48は、先端53において回転軸49まで逃げ角mで延びる追加の尖った表面66を備える。カッタヘッド48は、切れ刃50bを有し、その反対側にさらなる切れ刃50aが形成される。両方の切れ刃50a、50bは、同じ形状及び寸法、特に同じ直径を有し、尖った表面66と共に、共通の前面51を形成する。前面の反対側において、それらは、実質的に平坦な後面52を一緒に形成する。特に
図21及び
図22に示されるように、後面52は、前面51よりも小さいので、2つの切れ刃50a、50bのそれぞれに逃げ角kが形成される。前面は、両方の切れ刃50a、50bのためのクリアランス/自由表面を形成する。先端53とも呼ばれるカッタヘッド48の前エッジ53は、好ましくは切れ刃としても形成され、軸方向、即ち回転軸49の方向に切削効果を得ることができる。これは、例えば、両方の切れ刃50a、50bがそれぞれ回転軸49まで正確に延びることによって達成することができる。両方の切れ刃50a、50bの切りくず空間54a、54b及びクリアランス55a、55bは、
図21に示される。
【0050】
従って、ミリングカッタ46は、時計回りの回転と反時計回りの回転の両方のために設計される、即ち、時計回りと反時計回りの両方の回転で切削する。その形状により、カッタヘッド48の質量は、回転軸49に対して非対称な尖った表面66の省略によって最小化され、非常にスムーズな動作をもたらす。さらに、カッタヘッド48は、驚くほど小さい寸法、特に、例えば、3mm、4mm、又は5mmよりも小さい直径で設計され得る。
【0051】
図24、
図25、
図26及び
図27は、本開示によるミリングカッタ56のさらなる実施形態を示し、これはまた、
図2に示されるシングルカッタ10とは区別される。ミリングカッタ56は、
図20及び
図21に示されるミリングカッタ46と同様であり、時計回りと反時計回りの両方の回転用に設計されている、つまり、時計回りの回転と反時計回りの回転の両方で切削する。それは、近位側にカッタシャフト57、遠位側にカッタヘッド58を有する。それは、また、長手軸59を有し、これは動作中の回転軸59でもある。カッタヘッド58は、2つの対向する平坦化によって形成され、平坦化の一方は前面61を形成し、平坦化の他方は後面62を形成する。前面61と後面62との間に、カッタヘッド58の片側に切れ刃60bが形成され、反対側に別の切れ刃60aが形成される。カッタヘッド58の遠位端は、先端63の形態をしている。ミリングカッタ56の特徴は、その前面61が先端63の回転軸59上にあることである。前面61、切れ刃60a、60b、及び回転軸59は、先端63で交わると言うことができる。2つの切れ刃60a、60bは、同じ形状及び寸法、特に同じ直径を有する。特に
図24に示すように、後面62は前面61よりも小さいので、2つの切れ刃60a、60bのそれぞれに逃げ角mが形成される。前面は、両方の切れ刃60a、60bに対してそれぞれのクリアランス/自由表面を形成する。カッタヘッド58の前エッジ又は先端63は、好ましくは、切れ刃としても形成され、その結果、切削作用は、軸方向、即ち回転軸59の方向に実施することができる。両方の切れ刃60a、60bの切りくず空間64a、64b、及びクリアランス65a、65bは、
図24に描かれている。
【0052】
カッタヘッド58は、その先端63にカッタヘッドの厚さSを有する。先端63から開始して、前面61及び後面62は、歯厚の角度hだけ互いに対して傾斜している。また、前面61は、回転軸59に対して上歯厚の角度nだけ傾斜しており、後面62は、回転軸59に対して下歯厚の角度oだけ傾斜し、h=n+oの関係が適用される。
【0053】
その形状により、ミリングカッタ56は、
図20及び
図21に示されるミリングカッタ46よりも偏心に関して幾分好ましくない質量分布を有するが、回転軸59の方向におけるより良好な切れ刃特性を有する。また、カッタヘッド58は、驚くほど小さい寸法、特に、例えば、3mm、4mm、又は5mmよりも小さい直径で形成され得る。
【符号の説明】
【0054】
1:ローズドリル
2:カッタシャフト
3:カッタヘッド
4:長手軸、回転軸
5:歯
6:遠位先端
7:切れ刃
8:歯間空間
9:遠位末端
10:シングルカッタ
11:カッタシャフト
12:カッタヘッド
13:長手軸、回転軸
14a:凹状エッジ
14b:時計回り回転用切れ刃
15:前面
16:ミリングカッタ
17:カッタシャフト
18:カッタヘッド
19:長手軸
20:遠位端
21:第1の歯
22:第2の歯
23:切れ刃
24:切れ刃
25:最も広いポイント
26a:第1の歯21、39の前面
26b:第2の歯22、40の前面
27a:第1の歯21、39の後面
27b:第2の歯22、40の後面
28a:第1の歯21、39の段差/肩
28b:第2の歯22、40の段差/肩
29a:第1の歯21、39の肩面
29b:第2の歯22、40の肩面
30a:第1の歯21、39の切りくず空間
30b:第1の歯22、40の切りくず空間
31a、31b:後面の後ろのクリアランス
32a、32b:溝
33a、33b、33c:溝
34:ミリングカッタ
35:カッタシャフト
36:カッタヘッド
37:長手軸
38:遠位端
39:第1の歯
40:第2の歯
41:切れ刃
42:切れ刃
43:最も広いポイント
44:表面
45:表面
46:ミリングカッタ
47:カッタシャフト
48:カッタヘッド
49:長手軸
50a、50b:切れ刃
51:前面
52:後面
53:前端、先端
54a、54b:切りくず空間
55a、55b:クリアランス
56:ミリングカッタ
57:カッタシャフト
58:カッタヘッド
59:長手軸
60a、60b:切れ刃
61:前面
62:後面
63:前端、先端
64a、64b:切りくず空間
65a、65b:クリアランス
66:尖った面、ポイントシンニング(point thinning)
a:横断方向の歯の角度
b:逃げ角
c:先端角
d:クリアランス角
e:歯の正面角度
f:設定角度
g:歯厚の角度
g´:長手方向の歯の角度
h:歯厚の角度
i:先端角
j:クリアランス角
k:逃げ角
L:円錐の長さ
m:シンニング角
n:上歯厚の角度
o:下歯厚の角度
D:直径
R:角度
S:カッタヘッド厚
S´:歯厚
【手続補正書】
【提出日】2022-07-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ミリングカッ
タであって、
シャフトであって、前記シャフ
トの長手方向に延びる回転
軸を中心とした駆動ユニットへの回転式駆動結合用の前記シャフ
トと、
前記シャフ
トの遠位に配置されたカッタヘッ
ドと、を備え、
前記カッタヘッ
ドは、回転的に組織を除去するためのそれぞれの切れ
刃を備える少なくとも2つの
歯を有し、
前記切れ
刃は、遠位方向及び横断方向の両方における組織の除去のためにそれぞれ設計され、
切りくず空
間は、円周方向において隣接する
歯の間に、いずれの場合もクリアランスとして形成されており、
前記歯又は前記切れ刃は、非螺旋状かつ捩れなしであり、
各切りくず空
間は、前記回転
軸の側方であって、前記それぞれの切れ
刃に向かい合う前記回転
軸の前記側方において、前記切れ
刃から、前記回転
軸の側方であって、前記切れ
刃から離れる方向に向いている前記回転
軸の前記側方における領域へ延びていることを特徴とする、外科用ミリングカッタ。
【請求項2】
前記切れ
刃は、それぞれ遠位の半径方向内側から近位半径方向外側へ弧状であり、及び/又は、それぞれ非螺旋状かつ捩れなしであることを特徴とする、請求項1に記載の外科用ミリングカッ
タ。
【請求項3】
前記ミリングカッ
タは、前記ミリングカッ
タの前記回転
軸の直径方向において反対側に配置された正確に2つの
歯を有することを特徴とする、請求項
1に記載の外科用ミリングカッ
タ。
【請求項4】
前記
歯は、前記回転軸を横断する方向に互いにオフセットされていることを特徴とする、請求
項3に記載の外科用ミリングカッ
タ。
【請求項5】
前記歯の前面が、前記回転軸が横たわる共通の平面にまたがるように、前記歯は、前記回転軸を横断する方向に互いにオフセットされていることを特徴とする、請求項4に記載の外科用ミリングカッタ。
【請求項6】
切削方向における前記
歯の前記前面は、実質的に、前記回転
軸における前記遠位部分から始まって前記近位方向に延びている平坦及び/又は段
差であり、かつ、前記回転
軸に対して、前記前
面の前記平面において2°から10°の設定角
度で配置されていることを特徴とする、請求項
5に記載の外科用ミリングカッ
タ。
【請求項7】
前記歯は、前記回転軸に対して横断する方向に、互いにオフセットしないで直径方向反対側に位置し、特に、一方の歯の前面と他方の歯の後面とが共に平坦な表面を形成し、一方の歯の後面と他方の歯の前面とが共に平坦な表面を形成するように、位置することを特徴とする、請求項
1に記載の外科用ミリングカッタ。
【請求項8】
前記切れ
刃の少なくとも1つは、少なくとも1つの分断
部又は
溝を有し、前記分断部又は溝は、求心方向に前記
歯に組み込まれ、前記切れ刃の長さを低減し、それによって送り力を低減させることを特徴とする、請求項
1に記載の外科用ミリングカッ
タ。
【請求項9】
前記
歯の厚さは、前記回転
軸に対して1°から10°の歯厚の角
度とともに遠位から近位へ増加することを特徴とする、請求項
1に記載の外科用ミリングカッ
タ。
【請求項10】
前記
歯の前記遠位厚さは、半径方向における前記カッタヘッ
ドの直
径の1/20から1/10の間であることを特徴とする、請求項
1に記載の外科用ミリングカッ
タ。
【請求項11】
前記切れ
刃は、前記切れ
刃に沿って2°から30°の一定の逃げ
角を有し、又は、前記切れ
刃は、2°から30°の範囲の逃げ
角であって、前記切れ
刃の経路に沿って変化する前記逃げ
角を有することを特徴とする、請求項
1に記載の外科用ミリングカッ
タ。
【請求項12】
前記切れ刃は、0°のすくい角を有することを特徴とする、請求項
1に記載の外科用ミリングカッタ。
【請求項13】
前記カッタヘッ
ドは、その遠位
端において、110°から150°の先端
角を有する先端を有することを特徴とする、請求項
1に記載の外科用ミリングカッ
タ。
【請求項14】
前記外科用ミリングカッタは、前記回転
軸に対して、回転的に対称であることを特徴とする、請求項
1に記載の外科用ミリングカッタ(16、34)。
【請求項15】
前記外科用ミリングカッタは、
第1の回転方向における組織除去をもたらす第1の切れ
刃と、
前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向における組織除去をもたらす第2の切れ
刃と、を有することを特徴とする、請求項
1に記載の外科用ミリングカッ
タ。
【請求項16】
前記カッタヘッ
ドは、前記回転
軸を通る断面において、フレーム形状、円錐形状、オリーブ形状又はローラ形状の断面形状を有することを特徴とする、請求項
1に記載の外科用ミリングカッ
タ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
その形状により、ミリングカッタ56は、
図20及び
図21に示されるミリングカッタ46よりも偏心に関して幾分好ましくない質量分布を有するが、回転軸59の方向におけるより良好な切れ刃特性を有する。また、カッタヘッド58は、驚くほど小さい寸法、特に、例えば、3mm、4mm、又は5mmよりも小さい直径で形成され得る。
以下の項目は、国際出願時の特許請求の範囲に記載の要素である。
(項目1)
外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)であって、
シャフトであって、前記シャフト(17、35、47、57)の長手方向に延びる回転軸(19、37、49、59)を中心とした駆動ユニットへの回転式駆動結合用の前記シャフト(17、35、47、57)と、
前記シャフト(17、35、47、57)の遠位に配置されたカッタヘッド(18、36、48、58)と、を備え、
前記カッタヘッド(18、36、48、58)は、回転的に組織を除去するためのそれぞれの切れ刃(23、24、41、42、50a、50b、60a、60b)を備える少なくとも2つの歯(21、22、39、40)を有し、
前記切れ刃(23、24、41、42、50a、50b、60a、60b)は、遠位方向及び横断方向の両方における組織の除去のためにそれぞれ設計され、
切りくず空間(30a、30b、54a、54b)は、円周方向において隣接する歯(21、22、39、40)の間に、いずれの場合もクリアランスとして形成されており、
各切りくず空間(30a、30b、54a、54b)は、前記回転軸(19、37、49、59)の側方であって、前記それぞれの切れ刃(23、24、41、42、50a、50b、60a、60b)に向かい合う前記回転軸(19、37、49、59)の前記側方において、前記切れ刃(23、24、41、42、50a、50b、60a、60b)から、前記回転軸(19、37、49、59)の側方であって、前記切れ刃(23、24、41、42、50a、50b、60a、60b)から離れる方向に向いている前記回転軸(19、37、49、59)の前記側方における領域へ延びていることを特徴とする、外科用ミリングカッタ。
(項目2)
前記切れ刃(23、24、41、42、50a、50b、60a、60b)は、それぞれ遠位の半径方向内側から近位半径方向外側へ弧状であり、及び/又は、それぞれ非螺旋状かつ捩れなしであることを特徴とする、項目1に記載の外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)。
(項目3)
前記ミリングカッタ(16、34、46、56)は、前記ミリングカッタ(16、34、46、56)の前記回転軸(19、37、49、59)の直径方向において反対側に配置された正確に2つの歯(21、22、39、40)を有することを特徴とする、項目1又は2に記載の外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)。
(項目4)
前記歯(21、22、39、40)の前面(26a、26b、44、45)が、特に前記回転軸(19、37)が横たわる共通の平面にまたがるように、前記歯(21、22、39、40)は、前記回転軸(19、37)を横断する方向に互いにオフセットされていることを特徴とする、項目1から3のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(16、34)。
(項目5)
切削方向における前記歯(21、22、39、40)の前記前面(26a、26b、44、45、51)は、実質的に、前記回転軸(19、37)における前記遠位部分から始まって前記近位方向に延びている平坦及び/又は段差(28a、28b)であり、かつ、前記回転軸(19、37)に対して、前記前面(26a、26b)の前記平面において2°から10°の設定角度(f)で配置されていることを特徴とする、項目1から4のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)。
(項目6)
前記歯(21、22、39、40)は、前記回転軸(37)に対して横断する方向に、互いにオフセットしないで直径方向反対側に位置し、特に、一方の歯(39)の前面(26a)と他方の歯(40)の後面(27b)とが共に平坦な表面(44)を形成し、一方の歯(39)の後面(27a)と他方の歯(40)の前面(26b)とが共に平坦な表面(45)を形成するように、位置することを特徴とする、項目1から3のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)。
(項目7)
前記切れ刃(23、24、41、42)の少なくとも1つは、少なくとも1つの分断部(32a、32b、33a、33b、33c)又は溝(32a、32b、33a、33b、33c)を有し、前記分断部又は溝は、求心方向に前記歯(21、22、39、40)に組み込まれ、前記切れ刃の長さを低減し、それによって送り力を低減させることを特徴とする、項目1から6のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)。
(項目8)
前記歯(21、22、39、40)の厚さは、前記回転軸(19、37)に対して1°から10°の歯厚の角度(g、h)とともに遠位から近位へ増加することを特徴とする、項目1から7のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)。
(項目9)
前記歯(21、22、39、40)の前記遠位厚さは、半径方向における前記カッタヘッド(18、36)の直径(D)の1/20から1/10の間であることを特徴とする、項目1から8のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)。
(項目10)
前記切れ刃(23、24、41、42)は、前記切れ刃(23、24、41、42)に沿って2°から30°の一定の逃げ角(b、k)を有し、又は、前記切れ刃(23、24、41、42)は、2°から30°の範囲の逃げ角(b、k)であって、前記切れ刃(23、24、41、42)の経路に沿って変化する前記逃げ角(b、k)を有することを特徴とする、項目1から9のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)。
(項目11)
前記切れ刃(23、24)は、0°のすくい角を有することを特徴とする、項目1から10のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(16)。
(項目12)
前記カッタヘッド(18、36)は、その遠位端(20、38)において、110°から150°の先端角(c、i)を有する先端を有することを特徴とする、項目1から11のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)。
(項目13)
前記外科用ミリングカッタは、前記回転軸(19、37)に対して、回転的に対称であることを特徴とする、項目1から12のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(16、34)。
(項目14)
前記外科用ミリングカッタは、
第1の回転方向における組織除去をもたらす第1の切れ刃(50a、60a)と、
前記第1の回転方向とは反対の第2の回転方向における組織除去をもたらす第2の切れ刃(50b、60b)と、を有することを特徴とする、項目1から13のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(46、56)。
(項目15)
前記カッタヘッド(18、36、48、58)は、前記回転軸(19、37、49、59)を通る断面において、フレーム形状、円錐形状、オリーブ形状又はローラ形状の断面形状を有することを特徴とする、項目1から14のいずれか一項に記載の外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)。
(項目16)
骨及び/又は軟骨を工具で機械加工し、取得された前記骨及び/又は軟骨材料を収集し、必要に応じて、保管し、骨材料の成長に使用する、骨材料及び/又は軟骨材料の取得方法であって、前記骨及び/又は軟骨の前記機械加工が、切削工具、特に、項目1から15のいずれか一項に記載の前記外科用ミリングカッタ(16、34、46、56)を用いて実施されることを特徴とする、方法。
【国際調査報告】