(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-24
(54)【発明の名称】リソプラスティ装置内でエネルギーを導き集中させるためのエネルギーマニホールド
(51)【国際特許分類】
A61B 17/22 20060101AFI20230117BHJP
【FI】
A61B17/22 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529040
(86)(22)【出願日】2020-11-11
(85)【翻訳文提出日】2022-07-08
(86)【国際出願番号】 US2020059960
(87)【国際公開番号】W WO2021101766
(87)【国際公開日】2021-05-27
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521549268
【氏名又は名称】ボルト メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】クック,クリストファー,エー.
(72)【発明者】
【氏名】シュルタイス,エリック
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE04
4C160EE12
4C160MM36
(57)【要約】
患者の体内の血管壁内の又は血管壁に隣接する血管病変を治療するためのカテーテルシステムは、カテーテル流体と、エネルギーを発生させるエネルギー源と、エネルギーガイドと、エネルギーマニホールドとを含む。エネルギーガイドは、血管病変の近くに選択的に位置付けられるガイド遠位端を含む。エネルギーガイドは、エネルギー源からエネルギーを受け取り、カテーテル流体内にプラズマバブルを発生させるように構成される。エネルギーマニホールドは、ガイド遠位端の近くで、エネルギーガイドに結合される。エネルギーマニホールドは、本体チャンバを画定するマニホールド本体であって、カテーテル流体の少なくとも一部を保持するように構成される、本体チャンバと、マニホールド本体を貫通するマニホールド開口部とを含む。エネルギーマニホールドは、プラズマバブルからのエネルギーを、本体チャンバから、マニホールド開口部を通して、血管病変の方へ導く。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内の血管内の又は血管に隣接する血管病変を治療するためのカテーテルシステムであって、カテーテル流体と、エネルギーを発生させるエネルギー源とを含み、
前記血管病変の近くに選択的に位置付けられるガイド遠位端を含むエネルギーガイドであって、前記エネルギー源からエネルギーを受け取り、前記カテーテル流体内にプラズマバブルを発生させるように構成される、エネルギーガイドと、
前記ガイド遠位端の近くで前記エネルギーガイドに結合されるエネルギーマニホールドであって、(i)本体チャンバを画定するマニホールド本体であって、前記本体チャンバが前記カテーテル流体の少なくとも一部を保持するように構成される、マニホールド本体と、(ii)前記マニホールド本体を通って延在するマニホールド開口部とを含む、エネルギーマニホールドと
を備え、
前記エネルギーマニホールドが、前記プラズマバブルからのエネルギーを、前記本体チャンバから前記マニホールド開口部を通して前記血管病変の方へ導く、
カテーテルシステム。
【請求項2】
前記エネルギーマニホールドが、前記マニホールド本体を貫通する複数のマニホールド開口部を含み、
前記エネルギーマニホールドが、前記プラズマバブルからのエネルギーを、前記本体チャンバから前記複数のマニホールド開口部のそれぞれを通して前記血管病変の方へ導くように構成される、
請求項1に記載のカテーテルシステム。
【請求項3】
前記複数のマニホールド開口部が、前記マニホールド本体の周囲に、放射状パターンで位置付けられる、請求項2に記載のカテーテルシステム。
【請求項4】
前記複数のマニホールド開口部が、前記マニホールド本体の長さに沿って、渦巻状パターンで配置される、請求項2に記載のカテーテルシステム。
【請求項5】
前記複数のマニホールド開口部が、前記マニホールド本体の長さに沿って位置付けられる、請求項2に記載のカテーテルシステム。
【請求項6】
前記エネルギーガイドが、前記血管病変に力を与える、前記カテーテル流体内の1つ又は複数の圧力波を発生させる、請求項1~5のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項7】
前記エネルギーガイドが、光ファイバーを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項8】
バルーン内部を画定するバルーン壁を含むバルーンであって、前記バルーン内部に前記カテーテル流体を保持するように構成される、バルーンをさらに備え、
前記ガイド遠位端及び前記エネルギーマニホールドが、前記バルーン内部に位置付けられる、請求項1~7のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項9】
前記バルーンが、膨張状態に膨らむために、前記カテーテル流体で選択的に膨張可能であり、
前記バルーンが前記膨張状態であるとき、前記バルーン壁が、前記血管病変に略隣接して位置付けられるように構成される、請求項8に記載のカテーテルシステム。
【請求項10】
前記エネルギーマニホールドが、前記プラズマバブルからのエネルギーを、前記本体チャンバから前記マニホールド開口部を通して前記バルーン壁の方へ導くように構成される、請求項9に記載のカテーテルシステム。
【請求項11】
前記マニホールド本体が、マニホールド近位端を含み、
前記エネルギーガイドの前記ガイド遠位端が、前記マニホールド本体の前記マニホールド近位端に固定される、請求項1~10のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項12】
前記マニホールド本体が、略円筒チューブ形状であり、略円筒形状の本体チャンバを画定する、請求項1~11のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項13】
前記マニホールド本体が、前記マニホールド近位端と、反対側のマニホールド遠位端とを含み、
前記本体チャンバが、前記マニホールド近位端の近くでより大きく、及び、前記マニホールド遠位端の近くでより小さいような先細である、請求項1~11のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項14】
前記ガイド遠位端に結合されるガイド端プロテクタをさらに備え、
前記ガイド端プロテクタが、前記本体チャンバ内で発生する前記プラズマバブルからのエネルギーから、前記ガイド遠位端を保護するように構成される、
請求項1~13のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項15】
前記エネルギーマニホールドが、前記本体チャンバ内で発生した前記プラズマバブルからのエネルギーの向きを前記マニホールド開口部の方へ変えるエネルギーダイバータをさらに含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項16】
前記マニホールド本体がマニホールド遠位端を含み、
前記エネルギーダイバータが前記マニホールド遠位端に隣接して位置付けられる、請求項15に記載のカテーテルシステム。
【請求項17】
前記エネルギーマニホールドが、前記エネルギーガイドの前記ガイド遠位端から導かれる前記エネルギーを集中させるように構成される光学要素をさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項18】
前記光学要素が、サファイアから形成される、請求項17に記載のカテーテルシステム。
【請求項19】
前記光学要素が、前記エネルギーガイドの前記ガイド遠位端に直接結合される、請求項17又は18に記載のカテーテルシステム。
【請求項20】
前記光学要素が、前記エネルギーガイドの前記ガイド遠位端上に直接形成される、請求項17又は18に記載のカテーテルシステム。
【請求項21】
前記光学要素が、前記ガイド遠位端と前記光学要素との間に空気空間を画定するために、前記エネルギーガイドの前記ガイド遠位端から離間して位置付けられる、請求項17又は18に記載のカテーテルシステム。
【請求項22】
前記空気空間が、カテーテル流体が前記空気空間内に保持されないように、前記本体チャンバの残りの部分から封止される、請求項21に記載のカテーテルシステム。
【請求項23】
前記空気空間が、透明な光学媒体で満たされる、請求項21又は22に記載のカテーテルシステム。
【請求項24】
前記エネルギーガイドの前記ガイド遠位端に直接結合されるガイド端キャップ
をさらに備え、
前記光学要素が、前記ガイド端キャップに直接結合される、請求項17又は18に記載のカテーテルシステム。
【請求項25】
前記ガイド端キャップ及び前記光学要素の少なくとも1つが、ガラスから形成される、請求項24に記載のカテーテルシステム。
【請求項26】
前記マニホールド本体が、マニホールド近位端を含み、
前記マニホールド近位端が、前記光学要素に固定される、請求項24又は25に記載のカテーテルシステム。
【請求項27】
前記カテーテル流体が、湿潤剤及びサーファクタントのうちの1つを含む、請求項1~26のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項28】
前記エネルギーガイドの前記ガイド遠位端に結合されて、それから離れるように延在する延長チューブをさらに備え、
前記延長チューブが、前記カテーテル流体の少なくとも一部を保持するように構成され、
前記エネルギー源からの前記エネルギーが、前記エネルギーガイドを通して案内された後に、前記延長チューブを通して伝達される、
請求項1~27のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【請求項29】
患者の体内の血管内の又は血管に隣接する血管病変を治療するための方法であって、
エネルギー源でエネルギーを発生させるステップと、
前記血管病変の近くにエネルギーガイドのガイド遠位端を位置付けるステップと、
前記ガイド遠位端の近くで前記エネルギーガイドにエネルギーマニホールドを結合するステップであって、前記エネルギーマニホールドが、(i)本体チャンバを画定するマニホールド本体であって、前記本体チャンバがカテーテル流体の少なくとも一部を保持するように構成される、マニホールド本体と、(ii)前記マニホールド本体を貫通するマニホールド開口部とを含む、結合するステップと、
前記エネルギーガイドで前記エネルギー源からのエネルギーを受け取るステップと、
前記エネルギーガイドからの前記エネルギーで前記カテーテル流体内にプラズマバブルを発生させるステップと、
前記エネルギーマニホールドで、前記プラズマバブルからのエネルギーを、前記本体チャンバから前記マニホールド開口部を通して前記血管病変の方へ導くステップと
を含む、方法。
【請求項30】
前記結合するステップが、前記エネルギーマニホールドが前記マニホールド本体を貫通する複数のマニホールド開口部を含むステップを含み、
前記導くステップが、前記エネルギーマニホールドで、前記プラズマバブルからのエネルギーを、前記本体チャンバから、前記複数のマニホールド開口部のそれぞれを通して、前記血管病変の方へ導くステップを含む、
請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記結合するステップが、前記複数のマニホールド開口部が前記マニホールド本体の周囲に放射状パターンで位置付けられるステップを含む、
請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記結合するステップが、前記複数のマニホールド開口部が前記マニホールド本体の長さに沿って渦巻状パターンで配置されるステップを含む、
請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記結合するステップが、前記複数のマニホールド開口部が前記マニホールド本体の長さに沿って位置付けられるステップを含む、
請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記プラズマバブルを発生させる前記ステップが、前記血管病変に力を与える前記エネルギーガイドで前記カテーテル流体内に1つ又は複数の圧力波を発生させるステップを含む、
請求項29~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記位置付けるステップが、前記エネルギーガイドが光ファイバーを含むステップ
を含む、請求項29~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
バルーン内部を画定するバルーン壁を含むバルーンを提供するステップと、
前記バルーン内部内に前記カテーテル流体を保持するステップと、
前記ガイド遠位端及び前記エネルギーマニホールドを前記バルーン内部内に位置付けるステップと
をさらに含む、請求項29~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
膨張状態に膨らませるために、前記カテーテル流体で前記バルーンを選択的に膨張させるステップと、
前記バルーンが前記膨張状態であるときに、前記バルーンの前記バルーン壁を前記血管病変に略隣接して位置付けるステップと
をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記導くステップが、
前記プラズマバブルからのエネルギーを、前記エネルギーマニホールドで、前記本体チャンバから前記マニホールド開口部を通して前記バルーン壁の方へ導くステップ
を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記結合するステップが、前記マニホールド本体がマニホールド近位端を含むステップを含み、
前記エネルギーガイドの前記ガイド遠位端を前記マニホールド本体の前記マニホールド近位端に固定するステップをさらに含む、
請求項29~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記結合するステップが、前記マニホールド本体が略円筒チューブ形状であり、略円筒形状の本体チャンバを画定するステップを含む、
請求項29~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記結合するステップが、前記マニホールド本体が前記マニホールド近位端と反対側のマニホールド遠位端とを含むステップを含み、
前記本体チャンバが、前記本体チャンバが前記マニホールド近位端の近くでより大きく、且つ、前記マニホールド遠位端の近くでより小さいような先細である、
請求項29~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
ガイド端プロテクタを前記ガイド遠位端に結合するステップをさらに含み、
前記ガイド端プロテクタが、前記本体チャンバ内で発生する前記プラズマバブルからのエネルギーから、前記ガイド遠位端を保護するように構成される、
請求項29~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
エネルギーダイバータで、前記マニホールド開口部の方へ、前記本体チャンバで発生した前記プラズマバブルからのエネルギーの向きを変えるステップ
をさらに含む、請求項29~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記エネルギーマニホールドを結合する前記ステップが、前記マニホールド本体が前記マニホールド遠位端を含むステップを含み、
前記向きを変えるステップが、前記マニホールド遠位端に隣接して前記エネルギーダイバータを位置付けるステップを含む、
請求項43に記載の方法。
【請求項45】
光学要素で前記エネルギーガイドの前記ガイド遠位端から導かれた前記エネルギーを集束させるステップ
をさらに含む、請求項29~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記集束させるステップが、前記光学要素がサファイアから形成されるステップを含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記集束させるステップが、前記光学要素を前記エネルギーガイドの前記ガイド遠位端に直接結合するステップを含む、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項48】
前記集束させるステップが、前記光学要素を前記エネルギーガイドの前記ガイド遠位端上に直接形成するステップを含む、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項49】
前記集束させるステップが、前記ガイド遠位端と前記光学要素との間に空気空間を画定するために、前記エネルギーガイドの前記ガイド遠位端から離間して前記光学要素を位置付けるステップを含む、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項50】
前記光学要素を位置付けるステップが、カテーテル流体が前記空気空間内に保持されないように前記空気空間が前記本体チャンバの残りの部分から封止されるステップを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記光学要素を位置付けるステップが、前記空気空間が透明な光学媒体で満たされるステップを含む、請求項49又は50に記載の方法。
【請求項52】
前記エネルギーガイドの前記ガイド遠位端にガイド端キャップを直接結合し、前記ガイド端キャップに前記光学要素を直接結合するステップをさらに含む、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項53】
前記ガイド端キャップを直接結合し、前記光学要素を直接結合する前記ステップが、前記ガイド端キャップ及び前記光学要素のうちの少なくとも1つがガラスから形成されるステップを含む、
請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記エネルギーマニホールドを結合する前記ステップが、前記マニホールド本体がマニホールド近位端を含むステップを含み、
前記マニホールド近位端を前記光学要素に固定するステップをさらに含む、
請求項52又は53に記載の方法。
【請求項55】
前記結合するステップが、前記カテーテル流体が湿潤剤及びサーファクタントのうちの1つを含むステップを含む、
請求項29~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
延長チューブを前記エネルギーガイドの前記ガイド遠位端に結合し、前記エネルギーガイドの前記ガイド遠位端から離れるように延在するステップと、
前記延長チューブで前記カテーテル流体の少なくとも一部を保持するステップと、
前記エネルギー源からの前記エネルギーが前記エネルギーガイドを通して導かれた後に、前記エネルギー源からの前記エネルギーを前記延長チューブを通して伝達するステップと
をさらに含む、
請求項29~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
患者の体内の血管内の又は血管に隣接する血管病変を治療するためのカテーテルシステムであって、エネルギーを発生させるエネルギー源を含み、
湿潤剤及びサーファクタントのうちの1つを含むカテーテル流体と、
前記血管病変の近くに選択的に位置付けられるガイド遠位端を含むエネルギーガイドと
を備え、
前記エネルギーガイドが、前記エネルギー源からエネルギーを受け取り、前記カテーテル流体内にプラズマバブルを発生させるように構成される、
カテーテルシステム。
【請求項58】
前記カテーテル流体が、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、ポロクサマー188、ポロクサマー407、ポリソルベート20、及びポリソルベート40からなる群から選択される、
請求項57に記載のカテーテルシステム。
【請求項59】
前記カテーテル流体が、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、ステアリン酸ナトリウム、4-(5-ドデシル)ベンゼンスルホン酸塩、ドキュセート(ジオクチルソジウムスルホサクシネート)、アルキルエーテル燐酸エステル塩、及びパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)からなる群から選択される、
請求項57に記載のカテーテルシステム。
【請求項60】
前記ガイド遠位端の近くで前記エネルギーガイドに結合されるエネルギーマニホールドをさらに備え、
前記エネルギーマニホールドが、
(i)本体チャンバを画定するマニホールド本体であって、前記本体チャンバが前記カテーテル流体の少なくとも一部を保持するように構成される、マニホールド本体と、
(ii)前記マニホールド本体を貫通するマニホールド開口部と
を含み、
前記エネルギーマニホールドが、前記プラズマバブルからのエネルギーを、前記本体チャンバから前記マニホールド開口部を通して前記血管病変の方へ導く、
請求項57~59のいずれか一項に記載のカテーテルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年11月22日に出願された、「ENERGY MANIFOLD FOR LASER-DRIVEN LITHOPLASTY DEVICE」と題される米国仮特許出願第62/939,409号、及び、2020年11月6日に出願された、「ENERGY MANIFOLD FOR DIRECTING AND CONCENTRATING ENERGY WITHIN A LITHOPLASTY DEVICE」と題される米国特許出願第17/091,050号の優先権を主張する。許容される限り、米国仮特許出願第62/939,409号及び米国特許出願第17/091,050号の内容は、参照することにより本明細書にその全体が組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
身体の血管内の血管病変は、心筋梗塞、塞栓症、深部静脈血栓症、脳卒中などの主要な有害事象のリスクの増加と関連する可能性がある。重度に石灰化した血管病変などの重度の血管病変は、臨床状況での医師の治療及び開存性の達成が困難である可能性がある。
【0003】
血管病変は、いくつか例を挙げれば、薬物療法、バルーン血管形成術、アテレクトミー、ステント留置、血管グラフトバイパスなどの処置を使用して治療されてもよい。このような処置は、必ずしも理想的でないことがあり、又は、病変に対処する後治療を必要とすることがある。
【0004】
リソプラスティ(lithoplasty)は、身体の血管内の血管病変を破壊するための、近年使用されある程度の成功を収めてきている1つの方法である。リソプラスティは、流体充填バルーンカテーテルにおいて血管内で発生する圧力波及びバブル動態の組合せを利用する。特に、リソプラスティ治療の間、高エネルギー源は、プラズマ、及び、最終的に、流体充填バルーン内の圧力波並びに急激なバブル膨張を発生させるために使用され、1つ又は複数の血管病変を含む脈管構造内の治療部位における石灰化を粉砕する。プラズマ開始からの関連する急激なバブル形成、及び、結果として得られるバルーン内の局所的な流体速度は、非圧縮性流体を通して力学的エネルギーを伝送し、バルーン壁に対向する血管内カルシウムに破砕力を与える。バルーン壁に衝突するときの流体運動量の急激な変化は、液圧衝撃又は水撃として知られている。
【0005】
血管壁内の又は血管壁に隣接する治療部位における血管病変に圧力を与えて、血管病変の破砕を引き起こすように、流体充填バルーン内で発生したエネルギーをより正確且つ精密に導く及び/又は集中させることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
リソプラスティカテーテルシステム内の治療送達パラメータの血管開存性及び最適化を高めることが継続的に望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
本発明は、血管壁を有する血管内に配置するためのカテーテルシステムを対象とする。カテーテルシステムは、患者の体内の血管壁内の又は血管壁に隣接する血管病変を治療するために使用することができる。カテーテルシステムは、カテーテル流体と、エネルギーを発生させるエネルギー源とを含む。さまざまな実施形態において、カテーテルシステムは、エネルギーガイドと、エネルギーマニホールドとを含む。エネルギーガイドは、血管病変の近くに選択的に位置付けられるガイド遠位端を含む。エネルギーガイドは、エネルギー源からエネルギーを受け取り、カテーテル流体内にプラズマバブルを発生させるように構成される。エネルギーマニホールドは、ガイド遠位端の近くでエネルギーガイドに結合される。エネルギーマニホールドは、(i)本体チャンバを画定するマニホールド本体であって、本体チャンバがカテーテル流体の少なくとも一部を保持するように構成される、マニホールド本体と、(ii)マニホールド本体を貫通するマニホールド開口部とを含む。エネルギーマニホールドは、プラズマバブルからのエネルギーを、本体チャンバからマニホールド開口部を通して血管病変の方へ導く。
【0008】
いくつかの実施形態において、エネルギーマニホールドは、マニホールド本体を貫通する複数のマニホールド開口部を含む。このような実施形態において、エネルギーマニホールドは、プラズマバブルからのエネルギーを、本体チャンバから複数のマニホールド開口部のそれぞれを通して、血管病変の方へ導くように構成される。1つのこのような実施形態において、複数のマニホールド開口部は、マニホールド本体の周囲に、放射状パターンで位置付けられる。別のこのような実施形態において、複数のマニホールド開口部は、マニホールド本体の長さに沿って、渦巻状パターンで配置される。さらに別のこのような実施形態において、複数のマニホールド開口部は、マニホールド本体の長さに沿って位置付けられる。
【0009】
ある実施形態において、エネルギーガイドは、血管病変に力を与える、カテーテル流体内の1つ又は複数の圧力波を発生させる。さらに、エネルギーガイドは、光ファイバーを含むことができる。
【0010】
いくつかの実施形態において、カテーテルシステムは、バルーン内部を画定するバルーン壁を含むバルーンをさらに含む。バルーンは、バルーン内部にカテーテル流体を保持するように構成される。ガイド遠位端及びエネルギーマニホールドは、バルーン内部に位置付けられる。あるこのような実施形態において、バルーンは、膨張状態に膨らむために、カテーテル流体で選択的に膨張可能である。バルーンが膨張状態であるとき、バルーン壁は、血管病変に略隣接して位置付けられるように構成される。さらに、いくつかのこのような実施形態において、エネルギーマニホールドは、プラズマバブルからのエネルギーを、本体チャンバからマニホールド開口部を通してバルーン壁の方へ導くように構成される。
【0011】
ある実施形態において、マニホールド本体は、マニホールド近位端を含み、エネルギーガイドのガイド遠位端は、マニホールド本体のマニホールド近位端に固定される。
【0012】
1つの実施形態において、マニホールド本体は、略円筒チューブ形状であり、略円筒形状の本体チャンバを画定する。別の実施形態において、マニホールド本体は、マニホールド近位端と、反対側のマニホールド遠位端とを含み、本体チャンバは、マニホールド近位端の近くでより大きく、及び、マニホールド遠位端の近くでより小さいような先細である。
【0013】
いくつかの実施形態において、カテーテルシステムは、ガイド遠位端に結合されるガイド端プロテクタをさらに含み、ガイド端プロテクタは、本体チャンバ内で発生するプラズマバブルからのエネルギーから、ガイド遠位端を保護するように構成される。
【0014】
ある実施形態において、エネルギーマニホールドは、本体チャンバ内で発生したプラズマバブルからのエネルギーの向きをマニホールド開口部の方へ変えるエネルギーダイバータをさらに含む。いくつかのこのような実施形態において、マニホールド本体はマニホールド遠位端を含み、エネルギーダイバータはマニホールド遠位端に隣接して位置付けられる。
【0015】
いくつかの実施形態において、エネルギーマニホールドは、エネルギーガイドのガイド遠位端から導かれるエネルギーを集束させるように構成される光学要素をさらに含む。1つの実施形態において、光学要素は、サファイアから形成されるが、光学要素は他の好適な材料から形成することができることが理解される。代替的な実施形態において、光学要素は、エネルギーガイドのガイド遠位端に直接結合することができる、光学要素は、エネルギーガイドのガイド遠位端上に直接形成することができる、又は、光学要素は、ガイド遠位端と光学要素との間に空気空間を画定するために、エネルギーガイドのガイド遠位端から離間して位置付けることができる。ある実施形態において、空気空間は、カテーテル流体が空気空間内に保持されないように、本体チャンバの残りの部分から封止される。
【0016】
ある実施形態において、カテーテルシステムは、エネルギーガイドのガイド遠位端に直接結合されるガイド端キャップをさらに含む。このような実施形態において、光学要素は、ガイド端キャップに直接結合することができる。さらに、いくつかのこのような実施形態において、ガイド端キャップ及び光学要素の少なくとも1つは、ガラスから形成される。またさらに、ある実施形態において、マニホールド本体は、マニホールド近位端を含み、マニホールド近位端は、光学要素に固定される。
【0017】
いくつかの実施形態において、カテーテル流体は、湿潤剤及びサーファクタントのうちの1つを含む。
【0018】
ある実施形態において、カテーテルシステムは、エネルギーガイドのガイド遠位端に結合されて、それから離れるように延在する延長チューブをさらに含み、延長チューブは、カテーテル流体の少なくとも一部を保持するように構成される。このような実施形態において、エネルギー源からのエネルギーは、エネルギーガイドを通して案内された後に、延長チューブを通して伝達される。
【0019】
本発明はさらに、患者の体内の血管壁内の又は血管壁に隣接する血管病変を治療するための方法を対象とし、当該方法は、(A)エネルギー源でエネルギーを発生させるステップと、(B)血管病変の近くにエネルギーガイドのガイド遠位端を位置付けるステップと、(C)ガイド遠位端の近くでエネルギーガイドにエネルギーマニホールドを結合するステップであって、当該エネルギーマニホールドが、(i)本体チャンバを画定するマニホールド本体であって、本体チャンバがカテーテル流体の少なくとも一部を保持するように構成される、マニホールド本体と、(ii)マニホールド本体を貫通するマニホールド開口部とを含む、結合するステップと、(D)エネルギーガイドでエネルギー源からのエネルギーを受け取るステップと、(E)エネルギーガイドからのエネルギーでカテーテル流体内にプラズマバブルを発生させるステップと、(F)エネルギーマニホールドで、プラズマバブルからのエネルギーを、本体チャンバからマニホールド開口部を通して、血管病変の方へ導くステップとを含む。
【0020】
本概要は、本出願の教示の一部の概説であり、本主題を排他的又は網羅的に取り扱うことを意図するものではない。さらなる詳細は、詳細な説明及び添付の特許請求の範囲に見出される。他の態様は、以下の詳細な説明を読んで理解し、その一部を形成する図面を見ることで当業者に明らかになり、詳細な説明及び図面のそれぞれは、限定的な意味で解釈されるべきではない。本明細書の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその法的均等物により定義される。
【0021】
図面の簡単な説明
本発明の新規の特徴並びに本発明自体は、その構造とその動作の両方に関して、付随する説明とともに見られる添付図面から最もよく理解されるであろう。図面中、同様の参照文字は同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】さまざまな実施形態によるカテーテルシステムのある実施形態の概略断面図であり、カテーテルシステムはエネルギーガイドとエネルギーマニホールドとを含む。
【
図2】エネルギーマニホールドのある実施形態を含むカテーテルシステムのある実施形態の一部の概略断面図である。
【
図3】エネルギーガイドの一部及びエネルギーマニホールドの別の実施形態の概略断面図である。
【
図4】エネルギーガイドの一部及びエネルギーマニホールドのさらに別の実施形態の概略断面図である。
【
図5】エネルギーガイドの一部及びエネルギーマニホールドのさらに別の実施形態の概略断面図である。
【
図6】エネルギーガイドの一部及びエネルギーマニホールドのさらに別の実施形態の概略断面図である。
【
図7】エネルギーガイドの一部及びエネルギーマニホールドのさらに別の実施形態の概略断面図である。
【
図8】エネルギーガイドの一部及びエネルギーマニホールドのさらにまた別の実施形態の概略断面図である。
【
図9A】カテーテルシステム内で使用可能であるエネルギーガイド組立体の代替の実施形態の概略断面図である。
【
図9B】エネルギーガイド組立体の別の代替の実施形態の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態は、さまざまな修正形態及び代替形態になりやすいが、その詳細は一例及び図面として示され、本明細書で詳細に説明される。しかしながら、本発明の範囲は、説明される特定の実施形態に限定されないことが理解される。逆に、本発明は、本明細書の趣旨及び範囲内に含まれる修正形態、均等物、並びに代替形態を網羅するものである。
【0024】
説明
血管病変の治療は、罹患した患者の主要有害事象又は死亡を減少させることができる。本明細書で言及されるように、主要有害事象は、血管病変の存在のために体内のどこでも起こる可能性があるものである。主要有害事象は、主要有害心事象、末梢血管系若しくは中央血管系の主要有害事象、脳の主要有害事象、筋系の主要有害事象、又は、いずれかの臓器の主要有害事象を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
さまざまな実施形態において、本明細書に開示されるカテーテルシステム及び関連する方法は、患者の体内の血管内に又は血管に隣接して位置する治療部位における、石灰化した血管病変又は線維性の血管病変などの血管病変へ進むように構成されるカテーテルを含むことができる。カテーテルは、カテーテルシャフトと、カテーテルシャフトに結合及び/又は固定される膨張可能バルーンとを含む。バルーンは、バルーン内部を画定するバルーン壁を含むことができる。バルーンは、患者の脈管構造を通してカテーテルを進めるのに好適な収縮状態から、治療部位に対して所定の位置にカテーテルを固定するのに好適な膨張状態まで膨らませるために、バルーン内部にカテーテル流体を受けるように構成することができる。
【0026】
ある実施形態において、カテーテルシステム及び関連する方法は、バルーンのバルーン内部に保持されるカテーテル流体において局所的なプラズマを作るために、カテーテルシャフトに沿って、バルーンのバルーン内部に配設される1つ又は複数のエネルギーガイド、たとえば、光ファイバーなどの光ガイドによって案内されるエネルギーを提供する、エネルギー源、たとえば、レーザ源などの光源又は別の好適なエネルギー源を利用する。よって、エネルギーガイドは、時には「プラズマジェネレータ」と呼ぶことができる、又は、治療部位に位置するバルーンのバルーン内部に位置付けられるエネルギーガイドのガイド遠位端に又はその近くに「プラズマジェネレータ」を組み込むということができる。局所的なプラズマの作成は、圧力波を開始することができ、最大サイズに急速に膨らむことができ、次いで、崩壊時に圧力波を起動することができるキャビテーションイベントを通して散逸することができる1つ又は複数のバブルの急速な形成を開始することができる。(時には単に「プラズマバブル」とも呼ばれる)プラズマ誘起バブルの急速な膨張は、バルーンのバルーン内部に保持されるカテーテル流体内に1つ又は複数の圧力波を発生させることができ、それによって、患者の体内の血管壁内の又は血管壁に隣接する治療部位において、血管病変上に圧力波を与えて、血管病変に破砕を引き起こす。いくつかの実施形態において、エネルギー源は、エネルギー、たとえば、光エネルギーのサブミリ秒のパルスを提供するように構成することができ、バルーン内のカテーテル流体においてプラズマ形成を開始し、急激なバブル形成を引き起こし、治療部位においてバルーン壁に圧力波を与える。よって、血管内病変上に破砕力を与えるために、圧力波は、機械エネルギーを非圧縮性カテーテル流体を通して治療部位に伝送することができる。いかなる特定の理論にも拘束されることは望まないが、病変に破砕を引き起こすために、血管内病変と接触するバルーン壁のカテーテル流体運動量の急激な変化が、血管内病変に伝送されると信じられている。
【0027】
本明細書に開示されるカテーテルシステム及び関連する方法は、バルーン内に位置付けられ、エネルギーガイドに結合及び/又は固定されるエネルギーマニホールドをさらに含む。エネルギーマニホールドは、血管内の又は血管に隣接する治療部位における血管病変に圧力を与えて、破砕を引き起こすように、バルーン内で保持され、エネルギーマニホールド内で少なくとも部分的に保持されるカテーテル流体内で発生したエネルギーを導く及び/又は集中させるように構成される。より詳細には、患者の体内の血管内の又は血管に隣接する治療部位において血管病変に圧力を与えて、破砕を引き起こすために、エネルギーマニホールドは、たとえば、レーザ駆動圧力波発生装置などのリソプラスティ装置によって発生する音響及び機械エネルギーを導き及び/又は集中させる。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「血管内病変」及び「血管病変」は、特に明記しない限り、交換可能に使用される。よって、血管内病変及び/又は血管病変は時には、本明細書では単に「病変」と呼ばれる。
【0029】
当業者は、本発明の以下の詳細説明が単なる例示であり、いかなる意味においても、限定を意図しないことが分かるであろう。本発明の他の実施形態は、本開示の利益を有するそのような当業者にそれらを容易に示唆するであろう。ここで、添付図面で示されるような、本発明の実施態様が詳細に参照される。同一又は類似した名称及び/又は参照インジケータは、同一又は同様の部品を指すために、図面及び以下の詳細説明を通して使用される。
【0030】
明瞭さのために、本明細書で説明される実施態様の一連の特徴のすべてが示されて、説明されることはない。そのような実際の実施態様の開発では、アプリケーション関連及びビジネス関連の制約への準拠などの、開発者の特定の目標を達成するために、数多くの実施態様に特異な決定が行われなければならず、これらの特定の目標は実施態様によって、そして、開発者によって異なることが理解される。さらに、そのような開発努力は複雑で時間がかかるが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する当業者にとって、エンジニアリングの日常的な事業であることに留意されたい。
【0031】
本明細書に開示されるカテーテルシステムは、多くの異なる形態を含むことができる。ここで
図1を参照すると、さまざまな実施形態によるカテーテルシステム100の概略断面図が示されている。カテーテルシステム100は、血管の血管壁内の又は血管壁に隣接する1つ又は複数の血管病変に破砕を引き起こすために、圧力波を与えるのに好適である。
図1に示される実施形態において、カテーテルシステム100は、カテーテル102と、1つ又は複数のエネルギーガイド122Aを含むエネルギーガイドバンドル122と、源マニホールド136と、流体ポンプ138と、エネルギー源124、電源125、システムコントローラ126、及びグラフィックユーザインタフェース127(「GUI」)のうちの1つ又は複数を含むシステムコンソール123と、ハンドル組立体128と、エネルギーマニホールド129とのうちの1つ又は複数を含むことができる。或いは、カテーテルシステム100は、
図1に関して特に示されて説明されるものよりも多い構成要素又は少ない構成要素を有することができる。
【0032】
カテーテル102は、患者109の身体107の中の血管108の血管壁108A内の又は血管壁108Aに隣接する治療部位106へ移動するように構成される。治療部位106は、たとえば、石灰化した血管病変などの1つ又は複数の血管病変106Aを含むことができる。さらに又は代替的に、治療部位106は、線維性の血管病変などの血管病変106Aを含むことができる。
【0033】
カテーテル102は、膨張可能バルーン104(時には本明細書では単に「バルーン」と呼ばれる)と、カテーテルシャフト110と、ガイドワイヤ112とを含むことができる。バルーン104は、カテーテルシャフト110に結合することができる。バルーン104は、バルーン近位端104Pと、バルーン遠位端104Dとを含むことができる。カテーテルシャフト110は、カテーテルシステム100の近位部114からカテーテルシステム100の遠位部116まで延在することができる。カテーテルシャフト110は、長手方向軸144を含むことができる。カテーテルシャフト110は、ガイドワイヤ112にわたって移動するように構成されるガイドワイヤ管腔118も含むことができる。本明細書で利用されるように、ガイドワイヤ管腔118は、ガイドワイヤ112が延在する導管を画定する。カテーテルシャフト110は、膨張管腔(図示せず)及び/又はさまざまな他の目的のためのさまざまな他の管腔をさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、カテーテル102は、遠位端開口120を有することができ、ガイドワイヤ112を収容することができて、カテーテル102が移動されて、治療部位106に又は治療部位106の近くに位置付けられるとき、ガイドワイヤ112上を追跡することができる。
【0034】
バルーン104は、バルーン内部146を画定するバルーン壁130を含む。バルーン104は、患者の脈管構造を通してカテーテル102を進めるのに好適な収縮状態から、治療部位106に対する所定の位置にカテーテル102を固定するのに好適な(
図1に示されるような)膨張状態に膨らませるために、カテーテル流体132で選択的に膨張させることができる。別の方法で述べると、バルーン104が膨張状態であるとき、バルーン104のバルーン壁130は、治療部位106に略隣接して位置付けられるように構成される。
図1は、膨張状態であるときに、バルーン104のバルーン壁130が血管108の治療部位106から離間して示されていることを示しているがこれは説明を容易にするために行われていることが理解される。バルーン104が膨張状態であるとき、バルーン104のバルーン壁130は、通常、治療部位106に略直接隣接している及び/又は治療部位106に当接していることに留意されたい。
【0035】
カテーテルシステム100での使用に好適であるバルーン104は、収縮状態であるときに、患者の脈管構造を通過することができるものを含む。いくつかの実施形態において、バルーン104はシリコーンから作られる。他の実施形態において、バルーン104は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリウレタン、PEBAX(商標)材料などのポリマー、ナイロン、又は、任意の他の好適な材料などの材料から作ることができる。
【0036】
バルーン104は、(膨張状態において)任意の好適な直径を有することができる。さまざまな実施形態において、バルーン104は、1ミリメートル(mm)未満から25mmまでの範囲の(膨張状態における)直径を有することができる。いくつかの実施形態において、バルーン104は、少なくとも1.5mmから14mmまでの範囲の(膨張状態における)直径を有することができる。いくつかの実施形態において、バルーン104は、少なくとも2mmから5mmまでの範囲の(膨張状態における)直径を有することができる。
【0037】
いくつかの実施形態において、バルーン104は、少なくとも3mm~300mmの範囲の長さを有することができる。より詳細には、いくつかの実施形態において、バルーン104は、少なくとも8mm~200mmの範囲の長さを有することができる。比較的より長い長さを有するバルーン104は、より大きな治療部位106に隣接して位置付けられることができ、よって、治療部位106の中の正確な場所で、より大きな血管病変106A又は複数の血管病変106Aに圧力波を与え、破砕を引き起こすために使用可能であってもよいことが理解される。より長いバルーン104は、いずれか1つの所定の時間に、複数の治療部位106に隣接して位置付けられることもできることがさらに理解される。
【0038】
バルーン104は、約1気圧(atm)~70気圧の膨張圧力まで膨張させることができる。いくつかの実施形態において、バルーン104は、少なくとも20atm~60atmの膨張圧力まで膨張させることができる。他の実施形態において、バルーン104は、少なくとも6atm~20atmの膨張圧力まで膨張させることができる。さらに他の実施形態において、バルーン104は、少なくとも3atm~20atmの膨張圧力まで膨張させることができる。さらに他の実施形態において、バルーン104は、少なくとも2atm~10atmの膨張圧力まで膨張させることができる。
【0039】
バルーン104は、円錐形状、正方形状、長方形状、球面形状、円錐/正方形状、円錐/球面形状、引き延ばされた球面形状、楕円形状、先細形状、骨形状、段差径形状、オフセット形状、又は円錐状オフセット形状を含むが、これらに限定されない、さまざまな形状を有することができる。いくつかの実施形態において、バルーン104は、薬剤溶出コーティング又は薬剤溶出ステント構造を含むことができる。薬剤溶出コーティング又は薬剤溶出ステントは、抗炎症薬、抗悪性腫瘍薬、抗血管新生薬などを含む1つ又は複数の治療薬を含むことができる。
【0040】
カテーテル流体132は、液体又はガスとすることができる。使用に好適なカテーテル流体132のいくつかの例は、水、生理食塩水、造影剤、フルオロカーボン、パーフルオロカーボン、二酸化炭素などのガス、又は任意の他の好適なカテーテル流体132のうちの1つ又は複数を含むことができるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、カテーテル流体132が、ベース膨張流体として使用することができる。いくつかの実施形態において、カテーテル流体132は、約50:50の体積比の、生理食塩水と造影剤との混合物を含むことができる。他の実施形態において、カテーテル流体132は、約25:75の体積比の、生理食塩水と造影剤との混合物を含むことができる。さらに他の実施形態において、カテーテル流体132は、約75:25の体積比の、生理食塩水と造影剤との混合物を含むことができる。しかしながら、生理食塩水と造影剤との任意の好適な比率を使用することができることが理解される。カテーテル流体132は、圧力波の移動速度が適切に操作されるように、組成物、粘度などに基づいて調整することができる。ある実施形態において、使用に好適なカテーテル流体132は生体適合性である。カテーテル流体132の体積は、選択されたエネルギー源124及び使用されるカテーテル流体132の種類によって調整することができる。
【0041】
ある実施形態において、カテーテル流体132は、湿潤剤又は界面活性剤(サーファクタント)を含むことができる。これらの化合物は、固体と液状物との間の張力を低下させることができる。これらの化合物は、乳化剤、分散剤、洗剤、及び疏水化剤の働きをすることができる。湿潤剤又はサーファクタントは、液体の表面張力を減少させ、完全に湿らせて、光学部品(エネルギーガイド122Aなど)及び機械部品(エネルギーマニホールド129など)と接触することを可能にする。これにより、エネルギーマニホールド129内でのバブルの滞留、及びガスのポケット又は混入が減少する又は排除される。湿潤剤として使用することができる化学物質の非排他的な例は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、ポロクサマー188、ポロクサマー407、ポリソルベート20、ポリソルベート40などを含むがこれらに限定されるものではない。サーファクタントの非排他的な例は、イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤、並びにステアリン酸ナトリウムを含むことができるが、これらに限定されるものではない。別の好適なサーファクタントは、4-(5-ドデシル)ベンゼンスルホン酸塩である。他の例は、いくつか例を挙げれば、ドキュセート(ジオクチルソジウムスルホサクシネート)、アルキルエーテル燐酸エステル塩、及びパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)を含むことができる。
【0042】
湿潤剤又はサーファクタントを使用することで、エネルギーガイド122Aとの直接の液体接触により、エネルギーをより効率的にプラズマに変換することが可能になる。さらに、エネルギーマニホールド129及びカテーテル102の他の部分で使用される、寸法の小さい光学部品及び機械部品とともに湿潤剤又はサーファクタントを使用すると、より大きい(又は、完全な)湿潤を達成することは、さほど難しくない。液体の表面張力を減少させることにより、そのような小さい構造を液体で効果的に濡らす、したがって、略又は完全に浸す難しさを減少させることができる。光学及び機械構造並びにエネルギーガイド122Aへの付着から空気又は他のガスバブルを減少させる又は排除することによって、装置の効率をかなり増加させることができる。
【0043】
湿潤剤又はサーファクタントの特定の割合は、使用されるカテーテルシステム100及び/又はエネルギーマニホールド129の設計パラメータに適するように変えることができる。1つの実施形態において、湿潤剤又はサーファクタントの割合は、カテーテル流体132の約50容量%より小さくすることができる。非排他的な代替の実施形態において、湿潤剤又はサーファクタントの割合は、カテーテル流体132の約40容積%、30容積%、20容積%、10容積%、5容積%、2容積%、1容積%、0.1容積%、又は0.01容積%より小さくすることができる。さらに代替的に、湿潤剤又はサーファクタントの割合は、前述の範囲外とすることができる。
【0044】
いくつかの実施形態において、造影剤で使用されるコントラスト剤は、イオン性又は非イオン性ヨウ素系コントラスト剤などのヨウ素系コントラスト剤を含むことができるが、これらに限定されるものではない。イオン性ヨウ素系コントラスト剤のいくつかの非限定的な例は、ジアトリゾ酸、メトリゾ酸、イオタラム酸、及びイオキサグル酸を含む。非イオン性ヨウ素系コントラスト剤のいくつかの非限定的な例は、イオパミドール、イオヘキソール、イオキシラン、イオプロミド、イオジキサノール、及びイオベルソールを含む。他の実施形態において、非ヨウ素系コントラスト剤を使用することができる。好適なヨウ素を含有しないコントラスト剤は、ガドリニウム(III)系コントラスト剤を含むことができる。好適なフルオロカーボン及びパーフルオロカーボン薬剤は、パーフルオロカーボンドデカフルオロペンタン(DDFP、C5F12)などの薬剤を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
カテーテル流体132は、電磁スペクトルの紫外領域(たとえば、少なくとも10ナノメートル(nm)~400nm)、可視領域(たとえば、少なくとも400nm~780nm)、又は近赤外領域(たとえば、少なくとも780nm~2.5μm)の光を選択的に吸収することができる吸収剤を含むものを含むことができる。好適な吸収剤は、少なくとも10nm~2.5μmのスペクトルに沿った吸収極大を有するものを含むことができる。或いは、カテーテル流体132は、電磁スペクトルの中赤外領域(たとえば、少なくとも2.5μm~15μm)又は遠赤外領域(たとえば、少なくとも15μm~1mm)の光を選択的に吸収することができる吸収剤を含むものを含むことができる。さまざまな実施形態において、吸収剤は、カテーテルシステム100で使用されるレーザの発光極大と適合する吸収極大を有するものとすることができる。非限定的な例として、カテーテルシステム100で使用可能なさまざまなレーザは、ネオジム:イットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG、発光極大=1064nm)レーザ、ホルミウム:YAG(Ho:YAG、発光極大=2.1μm)レーザ、又は、エルビウム:YAG(Er:YAG、発光極大=2.94μm)レーザを含むことができる。いくつかの実施形態において、吸収剤は水溶性とすることができる。他の実施形態において、吸収剤は水溶性ではない。いくつかの実施形態において、カテーテル流体132で使用される吸収剤は、エネルギー源124のピーク発光に適合するように調整することができる。少なくとも10ナノメートル~1ミリメートルの発光波長を有するさまざまなエネルギー源124が、本明細書の他の場所で論じられる。
【0046】
カテーテル102のカテーテルシャフト110は、エネルギー源124と光連通するエネルギーガイドバンドル122の1つ又は複数のエネルギーガイド122Aに結合することができる。エネルギーガイド122Aは、カテーテルシャフト110に沿って、バルーン104内に配設することができる。いくつかの実施形態において、各エネルギーガイド122Aは光ファイバーとすることができ、エネルギー源124はレーザとすることができる。エネルギー源124は、カテーテルシステム100の近位部114で、エネルギーガイド122Aと光連通することができる。
【0047】
いくつかの実施形態において、カテーテルシャフト110は、第1のエネルギーガイド、第2のエネルギーガイド、第3のエネルギーガイドなどの複数のエネルギーガイド122Aに結合することができ、それは、ガイドワイヤ管腔118及び/又はカテーテルシャフト110のまわりの任意の好適な位置に配設することができる。たとえば、ある非排他的な実施形態において、2つのエネルギーガイド122Aは、ガイドワイヤ管腔118及び/又はカテーテルシャフト110の周囲で、約180度離間させることができる。3つのエネルギーガイド122Aは、ガイドワイヤ管腔118及び/又はカテーテルシャフト110の周囲で、約120度離間させることができる。又は、4つのエネルギーガイド122Aは、ガイドワイヤ管腔118及び/又はカテーテルシャフト110の周囲で、約90度離間させることができる。さらに代替的に、複数のエネルギーガイド122Aは、ガイドワイヤ管腔118及び/又はカテーテルシャフト110の周囲で、互いから均等に離間させる必要はない。より詳細には、エネルギーガイド122Aは、望ましい場所での望ましい効果を実現するために、ガイドワイヤ管腔118及び/又はカテーテルシャフト110の周囲で均等に又は不均等に配設することができることがさらに理解される。
【0048】
カテーテルシステム100及び/又はエネルギーガイドバンドル122は、近位部114でエネルギー源124と光連通し、遠位部116のバルーン104のバルーン内部146のカテーテル流体132と光連通する任意の数のエネルギーガイド122Aを含むことができる。たとえば、いくつかの実施形態において、カテーテルシステム100及び/又はエネルギーガイドバンドル122は、1つのエネルギーガイド122Aから30より多いエネルギーガイド122Aを含むことができる。
【0049】
エネルギーガイド122Aは、バルーン内部146のカテーテル流体132においてプラズマ及び/又は圧力波を発生させるために、任意の好適な設計を有することができる。よって、光ガイドとしてのエネルギーガイド122Aの概要は、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載のものを除いて、いかなる方法でも限定することを意図しない。より詳細には、カテーテルシステム100は、多くの場合、光源としてのエネルギー源124、及び光ガイドとしての1つ又は複数のエネルギーガイド122Aとともに説明されるが、カテーテルシステム100は、バルーン内部146のカテーテル流体132において望ましいプラズマを発生させるために、任意の好適なエネルギー源124及びエネルギーガイド122Aを代わりに含むことができる。たとえば、1つの非排他的な代替の実施形態において、エネルギー源124は、高電圧パルスを提供するように構成することができ、各エネルギーガイド122Aは、バルーン内部146に延在する離間した電極を含む電極対を含むことができる。このような実施形態において、高圧の各パルスは、電極に印加されて、電極間に電気的アークを形成し、それは、順番に、プラズマを発生させ、治療部位106の血管病変106A上に破砕力を提供するために利用されるカテーテル流体132内の圧力波を形成する。さらに代替的に、エネルギー源124及び/又はエネルギーガイド122Aは、別の好適な設計及び/又は構成を有することができる。
【0050】
ある実施形態において、エネルギーガイド122Aは、光ファイバー又は可撓性ライトパイプを含むことができる。エネルギーガイド122Aは、薄く、可撓性とすることができ、強度のごくわずかな損失で光信号を送信することができる可能性がある。エネルギーガイド122Aは、その周囲をクラッドによって囲まれるコアを含むことができる。いくつかの実施形態において、コアは、円筒形のコア又は部分的に円筒形のコアとすることができる。エネルギーガイド122Aのコア及びクラッドは、1つ又は複数の種類のガラス、シリカ、又は1つ又は複数のポリマーを含むがこれらに限定されない1つ又は複数の材料から形成することができる。エネルギーガイド122Aは、ポリマーなどの保護被膜も含んでもよい。コアの屈折率はクラッドの屈折率より大きいであろうことが理解される。
【0051】
各エネルギーガイド122Aは、ガイド近位端122Pから、バルーン内部146に位置付けられる少なくとも1つの光窓(図示せず)を有するガイド遠位端122Dまで、その長さに沿ってエネルギーを案内することができる。
【0052】
或いは、エネルギーガイド122Aは、別の好適な設計を有することができる、及び/又は、エネルギー源124からのエネルギーは、別の好適な方法によってバルーン内部146に案内することができる。たとえば、いくつかの非排他的な代替の実施形態において、バルーン内部146にエネルギー源124からエネルギーを案内することは、さまざまな実施形態に記載されたものに類似したエネルギーガイド122Aと、エネルギーガイド122Aのガイド遠位端122Dに結合及び/又は固定される(
図9Aに示される)延長チューブ980Aとを含むことができる(
図9Aに示される)エネルギーガイド組立体978Aで実行することができる。このような実施形態において、延長チューブ980Aは、カテーテル流体132で満たされるように構成される中空チューブとすることができる。あるこのような実施形態において、延長チューブ980Aは、延長チューブ980A内に保持することができるカテーテル流体132の屈折率より小さい屈折率を有する(
図9Aに示される)チューブ壁982Aを含むことができる。さらに、代替的なこのような実施形態において、延長チューブ980Aは、高分子材料から形成されることができる、又は、延長チューブ980Aは、延長チューブ980Aの内面上に設けられる(
図9Bに示される)誘電体コーティング984Bを有する剛性及び/又は金属性の基材を含むことができる。いくつかのそのような代替の実施形態は、
図9A及び9Bに関してより詳細に記載される。
【0053】
エネルギーガイド122Aは、カテーテル102のカテーテルシャフト110のまわりに及び/又はそれに対して多くの構成を考えることができる。いくつかの実施形態において、エネルギーガイド122Aは、カテーテルシャフト110の長手方向軸144と平行に走ることができる。いくつかの実施形態において、エネルギーガイド122Aは、カテーテルシャフト110に物理的に結合することができる。他の実施形態において、エネルギーガイド122Aは、カテーテルシャフト110の外径の長さに沿って配設することができる。さらに他の実施形態において、エネルギーガイド122Aは、カテーテルシャフト110の中の1つ又は複数のエネルギーガイド管腔内に配設することができる。
【0054】
エネルギーガイド122Aは、ガイドワイヤ管腔118及び/又はカテーテルシャフト110の周囲の任意の好適な位置にも配設することができ、エネルギーガイド122Aのそれぞれのガイド遠位端122Dは、バルーン104の長さに対して及び/又はガイドワイヤ管腔118の長さに対して、任意の好適な長手方向の位置に配設することができる。
【0055】
ある実施形態において、エネルギーガイド122Aは、1つ又は複数の光音響トランスデューサ154を含むことができ、ここで、各光音響トランスデューサ154は、それが配設されるエネルギーガイド122Aと光連通することができる。いくつかの実施形態において、光音響トランスデューサ154は、エネルギーガイド122Aのガイド遠位端122Dと光連通することができる。さらに、このような実施形態において、光音響トランスデューサ154は、エネルギーガイド122Aのガイド遠位端122Dと対応する及び/又はそれに一致する形状を有することができる。
【0056】
光音響トランスデューサ154は、エネルギーガイド122Aのガイド遠位端122Dで又はその近くで、光エネルギーを音波に変換するように構成される。音波の方向は、エネルギーガイド122Aのガイド遠位端122Dの角度を変えることによって調整することができる。
【0057】
ある実施形態において、エネルギーガイド122Aのガイド遠位端122Dに配設される光音響トランスデューサ154は、エネルギーガイド122Aのガイド遠位端122Dと同じ形状を考えることができる。たとえば、ある非排他的な実施形態において、光音響トランスデューサ154及び/又はガイド遠位端122Dは、円錐形状、凸形状、凹形状、球根状形状、正方形状、階段状形状、半円形状、卵形形状などを有することができる。エネルギーガイド122Aは、エネルギーガイド122Aの長さの1つ又は複数の側面に沿って配設される追加の光音響トランスデューサ154をさらに含むことができる。
【0058】
いくつかの実施形態において、エネルギーガイド122Aは、エネルギーガイド122Aのガイド遠位端122Dで又はその近くに位置することができる側面の方へ、及び、バルーン壁130の方へ、エネルギーガイド122Aを出るためにエネルギーを導くように構成されるエネルギーガイド122A内に1つ又は複数のダイバーティング特徴部、すなわち「ダイバータ」(
図1に示されない)をさらに含むことができる。ダイバーティング特徴部は、エネルギーガイド122Aから、その軸方向経路から離れて、エネルギーガイド122Aの側面の方へエネルギーの向きを変えるシステムの任意の特徴部を含むことができる。さらに、エネルギーガイド122Aはそれぞれ、各エネルギーガイド122Aの長手方向又は周囲の表面に沿って配設され、ダイバーティング特徴部と光連通する1つ又は複数の光窓を含むことができる。別の方法で述べると、ダイバーティング特徴部は、ガイド遠位端122Dに又はその近くにある側面の方へエネルギーガイド122Aのエネルギーを導くように構成することができ、ここで、側面は光窓と光連通する。光窓は、エネルギーガイド122Aの上又はそのまわりの被覆材がないエネルギーガイド122Aの部分などの、エネルギーがエネルギーガイド122A内からエネルギーガイド122Aを出ることを可能にするエネルギーガイド122Aの部分を含むことができる。
【0059】
使用に好適なダイバーティング特徴部の例は、反射素子、屈折素子、及びファイバーディフューザを含む。エネルギーガイド122Aの先端から離れるエネルギーを集束させるために好適であるダイバーティング特徴部は、凸面、屈折率分布(GRIN)レンズ、及び鏡像焦点レンズを有するものを含むことができるが、これらに限定されるものではない。ダイバーティング特徴部との接触時、エネルギーは、エネルギーガイド122Aの側面と光連通するプラズマジェネレータ133及び光音響トランスデューサ154のうちの1つ又は複数へと、エネルギーガイド122A内で向きを変えられる。次いで、光音響トランスデューサ154は、光エネルギーを、エネルギーガイド122Aの側面から離れて広がる音波に変換する。
【0060】
さらに又は代替的に、ある実施形態において、エネルギーガイド122Aに組み込むことができるダイバーティング特徴部は、そのような血管病変106Aに圧力を与えて、破砕を引き起こすために、治療部位106の血管病変106Aと接触するバルーン壁130の特定の領域の方へ音響及び機械エネルギーを導いて及び/又は集中させるために、エネルギーマニホールド129の設計に組み込むこともできる。
【0061】
源マニホールド136は、カテーテルシステム100の近位部114に又はその近くに位置付けることができる。源マニホールド136は、エネルギーガイドバンドル122の1つ若しくは複数のエネルギーガイド122A、ガイドワイヤ112、及び/又は、流体ポンプ138と流体連通して結合される膨張導管140を受けることができる1つ又は複数の近位端開口を含むことができる。カテーテルシステム100は、必要に応じて、カテーテル流体132で、すなわち、膨張導管140を介して、バルーン104を膨張するように構成される流体ポンプ138も含むことができる。
【0062】
上記のように、
図1に示される実施形態において、システムコンソール123は、エネルギー源124、電源125、システムコントローラ126、及びGUI127のうちの1つ又は複数を含む。或いは、システムコンソール123は、特に
図1に示されるものより多い構成要素又は少ない構成要素を含むことができる。たとえば、ある非排他的な代替の実施形態において、システムコンソール123は、GUI127なしで設計することができる。さらに代替的に、エネルギー源124、電源125、システムコントローラ126、及びGUI127のうちの1つ又は複数は、システムコンソール123の特定の必要性なしに、カテーテルシステム100内に設けることができる。
【0063】
示されるように、システムコンソール123及びそれとともに含まれる構成要素は、カテーテルシステム100のカテーテル102、エネルギーガイドバンドル122、及び残りの部分に動作可能に結合される。たとえば、いくつかの実施形態において、
図1に示されるように、システムコンソール123は、エネルギーガイドバンドル122がシステムコンソール123に機械的に結合されるコンソール接続開口部148(時には概して「ソケット」とも呼ばれる)を含むことができる。このような実施形態において、エネルギーガイドバンドル122は、エネルギーガイド122Aのそれぞれの部分、たとえば、ガイド近位端122Pを収容するガイド結合ハウジング150(時には概して「フェルール」とも呼ばれる)を含むことができる。ガイド結合ハウジング150は、エネルギーガイドバンドル122とシステムコンソール123との間の機械的結合を提供するために、コンソール接続開口部148内に嵌合して、選択的に保持されるように構成される。
【0064】
エネルギーガイドバンドル122は、エネルギーガイド122A及び/又はエネルギーガイドバンドル122をカテーテルシステム100の使用中にカテーテル102とともに血管108に延在するときによりコンパクトな形態とすることができるように、個々のエネルギーガイド122Aのそれぞれをより近くにまとめるガイドバンドラ152(又は、「シェル」)も含むことができる。
【0065】
エネルギー源124は、エネルギーガイドバンドル122のエネルギーガイド122Aのそれぞれ、すなわち、エネルギーガイド122Aのそれぞれのガイド近位端122Pと光連通して、選択的に及び/又は代替的に結合することができる。特に、エネルギー源124は、個々のガイドビーム124Bとして、エネルギーガイドバンドル122のエネルギーガイド122Aのそれぞれに選択的に及び/又は代替的に導き、それで受けることができるパルス源ビームなどの源ビーム124Aの形態でエネルギーを発生させるように構成される。或いは、カテーテルシステム100は、1つより多いエネルギー源124を含むことができる。たとえば、1つの非排他的な代替の実施形態において、カテーテルシステム100は、エネルギーガイドバンドル122のエネルギーガイド122Aのそれぞれのために、別個のエネルギー源124を含むことができる。
【0066】
エネルギー源124は、任意の好適な設計を有することができる。ある実施形態において、エネルギー源124は、エネルギーガイド122Aのガイド近位端122Pに結合するために、小さい点に集束するエネルギー源124からエネルギーのサブミリ秒のパルスを提供するように構成することができる。次いで、エネルギーのそのようなパルスは、エネルギーガイド122Aに沿って、バルーン104のバルーン内部146の場所に導かれ及び/又は案内され、それによって、バルーン104のバルーン内部146のカテーテル流体132において、たとえば、エネルギーガイド122Aのガイド遠位端122Dに位置することができるプラズマジェネレータ133を介して、プラズマ形成を引き起こす。特に、エネルギーガイド122Aのガイド遠位端122Dで放出されるエネルギーは、バルーン内部146のカテーテル流体132内でプラズマを形成するために、プラズマジェネレータ133にエネルギーを与える。プラズマ形成は、急激なバブル形成を引き起こし、治療部位106に圧力波を与える。例示的なプラズマ誘起バブル134は、
図1に示される。
【0067】
さまざまな非排他的な代替の実施形態において、エネルギー源124からのエネルギーのサブミリ秒のパルスは、約1ヘルツ(Hz)~5000Hz、約30Hz~1000Hz、約10Hz~100Hz、又は、約1Hz~30Hzの周波数で、治療部位106に送達することができる。或いは、エネルギーのサブミリ秒のパルスは、5000Hzより大きい若しくは1Hz未満より小さくすることができる周波数で、又は、任意の他の好適な範囲の周波数で、治療部位106に送達することができる。
【0068】
通常は、エネルギー源124がエネルギーのパルスを提供するために利用されるが、エネルギー源124は、単一の源ビーム124A、すなわち、単一のパルス源ビームを提供するとしてさらに記載することができることが理解される。
【0069】
使用に好適なエネルギー源124は、レーザ及びランプを含むさまざまな光源を含むことができる。或いは、エネルギー源124は、任意の好適な種類のエネルギー源を含むことができる。
【0070】
好適なレーザは、サブミリ秒のタイムスケールのショートパルスレーザを含むことができる。いくつかの実施形態において、エネルギー源124は、ナノ秒(ns)のタイムスケールのレーザを含むことができる。レーザは、ピコ秒(ps)、フェムト秒(fs)、及びマイクロ秒(μs)のタイムスケールのショートパルスレーザも含むことができる。カテーテル102のカテーテル流体132内のプラズマを実現するために採用することができるレーザ波長、パルス幅、及びエネルギーレベルの多くの組合せがあることが理解される。さまざまな非排他的な代替の実施形態において、パルス幅は、少なくとも10ns~3000ns、少なくとも20ns~100ns、又は、少なくとも1ns~500nsを含む範囲内にあるものを含むことができる。或いは、任意の他の好適なパルス幅範囲を使用することができる。
【0071】
例示的なナノ秒レーザは、UV~IRスペクトル内のものを含むことができ、約10ナノメートル(nm)~1ミリメートル(mm)の波長にわたる。いくつかの実施形態において、カテーテルシステム100での使用に好適なエネルギー源124は、少なくとも750nm~2000nmの波長で光を発することが可能なものを含むことができる。他の実施形態において、エネルギー源124は、少なくとも700nm~3000nmの波長で光を発することが可能なものを含むことができる。さらに他の実施形態において、エネルギー源124は、少なくとも100nm~10マイクロメートル(μm)の波長で光を発することが可能なものを含むことができる。ナノ秒レーザは、最大200kHzの繰り返し数を有するものを含むことができる。
【0072】
いくつかの実施形態において、レーザは、Qスイッチツリウム:イットリウムアルミニウムガーネット(Tm:YAG)レーザを含むことができる。他の実施形態において、レーザは、ネオジム:イットリウムアルミニウムガーネット(Nd:YAG)レーザ、ホルミウム:イットリウムアルミニウムガーネット(Ho:YAG)レーザ、エルビウム:イットリウムアルミニウムガーネット(Er:YAG)レーザ、エキシマレーザ、ヘリウムネオンレーザ、二酸化炭素レーザ、並びに、ドープされたパルスファイバーレーザを含むことができる。
【0073】
さらに他の実施形態において、エネルギー源124は、直列にグループ化された複数のレーザを含むことができる。さらに他の実施形態において、エネルギー源124は、主発振器電力増幅器(MOPA)などの高エネルギー増幅器に供給される1つ又は複数の低エネルギーレーザを含むことができる。さらにまた他の実施形態において、エネルギー源124は、カテーテル流体132にプラズマバブル134を作るのに必要なエネルギーを提供するために、並列又は直列に組み合わせることができる複数のレーザを含むことができる。
【0074】
カテーテルシステム100は、少なくとも1メガパスカル(MPa)~100MPaの範囲の最大圧力を有する圧力波を発生させることができる。特定のカテーテルシステム100によって発生する最大圧力は、エネルギー源124、吸収材料、バブル膨張、伝播媒体、バルーン材料、及び他の要因に依存する。さまざまな非排他的な代替の実施形態において、カテーテルシステム100は、少なくとも約2MPa~50MPa、少なくとも約2MPa~30MPa、又は、少なくとも約15MPa~25MPaの範囲の最大圧力を有する圧力波を発生させることができる。
【0075】
圧力波は、カテーテル102が治療部位106に置かれたときに、エネルギーガイド122Aから半径方向に伸びる少なくとも約0.1ミリメートル(mm)から約25mmを超える範囲内の距離から治療部位106に与えることができる。さまざまな非排他的な代替の実施形態において、圧力波は、カテーテル102が治療部位106に置かれたときに、エネルギーガイド122Aから半径方向に伸びる少なくとも約10mm~20mm、少なくとも約1mm~10mm、少なくとも約1.5mm~4mm、又は、少なくとも約0.1mm~10mmの範囲内の距離から治療部位106に与えられることができる。他の実施形態において、圧力波は、前述の範囲とは異なる別の好適な距離から治療部位106に与えることができる。いくつかの実施形態において、圧力波は、少なくとも約0.1mm~10mmの距離で、少なくとも約2MPa~30MPaの範囲内で、治療部位106に与えることができる。いくつかの実施形態において、圧力波は、少なくとも約0.1mm~10mmの距離で、少なくとも約2MPa~25MPaの範囲から、治療部位106に与えることができる。さらに代替的に、他の好適な圧力範囲及び距離を使用することができる。
【0076】
電源125は、エネルギー源124、システムコントローラ126、GUI127、及びハンドル組立体128のそれぞれに電気的に結合されて、必要な電力を供給するように構成される。電源125は、そのような目的のための任意の好適な設計を有することができる。
【0077】
システムコントローラ126は、電源125に電気的に結合されて、電源125から電力を受け取る。さらに、システムコントローラ126は、エネルギー源124及びGUI127のそれぞれに結合され、エネルギー源124及びGUI127のそれぞれの動作を制御するように構成される。システムコントローラ126は、少なくともエネルギー源124及びGUI127の動作を制御することのために、1つ又は複数のプロセッサ又は回路を含むことができる。たとえば、システムコントローラ126は、要望通り、及び/又は、任意の望ましい発射レートでエネルギーのパルスを発生させるために、エネルギー源124を制御することができる。
【0078】
システムコントローラ126は、治療部位106に隣接するカテーテル102の位置決め、カテーテル流体132によるバルーン104の膨張などの、カテーテルシステム100の他の構成要素の動作を制御するように構成することもできる。さらに又は代替的に、カテーテルシステム100は、カテーテルシステム100のさまざまな動作を制御するために、任意の好適な方法で位置付けることができる1つ又は複数の追加のコントローラを含むことができる。たとえば、ある実施形態において、追加のコントローラ及び/又はシステムコントローラ126の一部は、ハンドル組立体128内に位置付けることができる、及び/又は、組み込むことができる。
【0079】
GUI127は、カテーテルシステム100のユーザ又は操作者がアクセス可能である。さらに、GUI127は、システムコントローラ126に電気的に接続される。そのような設計により、GUI127は、カテーテルシステム100が治療部位106の血管病変106Aに圧力を与えて破砕を引き起こすために効果的に利用されることを確実にするために、ユーザ又は操作者が使用することができる。GUI127は、ユーザ又は操作者に、カテーテルシステム100の使用前、使用中、及び使用後に使用することができる情報を提供することができる。1つの実施形態において、GUI127は、静的な視覚データ及び/又は情報をユーザ又は操作者に提供することができる。加えて又は代替的に、GUI127は、カテーテルシステム100の使用中、時間が経つにつれて変わるビデオデータ又は任意の他のデータなどの動的な視覚データ及び/又は情報を、ユーザ又は操作者に提供することができる。さまざまな実施形態において、GUI127は、ユーザ又は操作者への警報の働きをしてもよい、1つ又は複数の色、異なる寸法、変化する明度などを含むことができる。さらに又は代替的に、GUI127は、オーディオデータ又は情報をユーザ又は操作者に提供することができる。GUI127の詳細は、カテーテルシステム100の設計要求、すなわち、特定ニーズ、仕様、及び/又はユーザ若しくは操作者の要望に応じて変えることができる。
【0080】
図1に示されるように、ハンドル組立体128は、カテーテルシステム100の近位部114に若しくはその近くに、及び/又は、源マニホールド136の近くに位置付けることができる。本実施形態において、ハンドル組立体128は、バルーン104に結合され、バルーン104から離間して位置付けられる。或いは、ハンドル組立体128は、別の好適な場所に位置付けることができる。
【0081】
ハンドル組立体128が、カテーテル102の作動、位置決め、及び制御を行うために、ユーザ又は操作者によって取り扱われて、使用される。ハンドル組立体128の設計及び特定の特徴は、カテーテルシステム100の設計要求に適合するように変えることができる。
図1に示される実施形態において、ハンドル組立体128は、システムコントローラ126、エネルギー源124、流体ポンプ138、及びGUI127のうちの1つ又は複数から離れているが、電気及び/又は流体連通している。いくつかの実施形態において、ハンドル組立体128は、システムコントローラ126の少なくとも一部をハンドル組立体128の内部に一体化できる、及び/又は、含むことができる。たとえば、示されるように、あるこのような実施形態において、ハンドル組立体128は、システムコントローラ126の少なくとも一部を形成することができる回路156を含むことができる。1つの実施形態において、回路156は、1つ又は複数の集積回路又は任意の他の好適な回路を有するプリント回路基板を含むことができる。代替的な実施形態において、回路156は、省略することができる、又は、さまざまな実施形態において、ハンドル組立体128の外側に、たとえば、システムコンソール123内に位置付けることができるシステムコントローラ126内に含めることができる。ハンドル組立体128は、特に示されて、本明細書に記載されたものより少ない構成要素、又は、追加の構成要素を含むことができることが理解される。
【0082】
エネルギーマニホールド129は、血管108の血管壁108A内又は血管壁108Aに隣接する治療部位106において血管病変106Aに圧力を与えて、破砕を引き起こすように、バルーン内部146内のカテーテル流体132内で発生するエネルギーを導き及び/又は集中させるように構成される。より詳細には、エネルギーマニホールド129は、治療部位106へのそのようなエネルギーの送達を増強するために、音響及び/又は機械エネルギーを集中させて、治療部位106の血管病変106Aと接触するバルーン壁130の特定領域の方へ導くように構成される。よって、エネルギーマニホールド129は、カテーテルシステム100の有効性を効果的に改善することができる。
【0083】
いくつかの実施形態において、別個のエネルギーマニホールド129は、個々のエネルギーガイド122Aに含めることができる、及び/又は、組み込むことができることが理解される。或いは、他の実施形態において、単一のエネルギーマニホールド129は、1つより多いエネルギーガイド122Aとともに動作するように構成することができる。さらに代替的に、各エネルギーガイド122Aは、その中に組み込まれる、又は、それと関連付けられるエネルギーマニホールド129を有する必要はない。
【0084】
エネルギーマニホールド129の設計及び/又はエネルギーマニホールド129の特定の位置決めは、カテーテルシステム100の要件に適合するように変えることができる。さまざまな実施形態において、エネルギーマニホールド129は、エネルギーガイド122Aに、すなわち、エネルギーガイド122Aのガイド遠位端122Dにおいて又はその近くで、結合及び/又は固定することができる。或いは、エネルギーマニホールド129は、エネルギーガイド122Aから分離及び/又は離間させることができる。
【0085】
ある実施形態において、エネルギーマニホールド129は、(たとえば、
図2に示される)マニホールド本体260と、カテーテル流体132内で発生したプラズマの形態で音響及び/又は機械エネルギーを治療部位106に隣接して位置付けられるバルーン壁130の方へ導くために、マニホールド本体260内に位置付けられて及び/又はマニホールド本体260を貫通する(たとえば、
図2に示される)1つ又は複数のマニホールド開口部262とを含むことができる。1つ又は複数のマニホールド開口部262は、音響及び/又は機械エネルギーを要望通り導くために、任意の好適な寸法、形状、向き、及びパターンで設けることができる。たとえば、いくつかの実施形態において、マニホールド開口部262は、円形、正方形、長方形、三角とすることができ、又は、バルーン104内の特定の場所に音響及び/又は機械エネルギーを導いて集中させるように特に設計された他の好適な形状を有する。
【0086】
さらに、エネルギーマニホールド129は、任意の好適な数のマニホールド開口部262を含むことができる。たとえば、ある実施形態において、エネルギーマニホールド129は、エネルギーマニホールド129のマニホールド本体260上のどこかに、マニホールド本体260内に、又はマニホールド本体260に沿って位置付けることができる単一のマニホールド開口部262のみ含む。或いは、他の実施形態において、エネルギーマニホールド129は、複数のマニホールド開口部262、たとえば、2つ、3つ、4つ、又は4つより多いマニホールド開口部262を含むことができ、それらは、エネルギーマニホールド129のマニホールド本体260上に、マニホールド本体260内に、又はマニホールド本体260に沿って、任意の好適なパターンで位置付けることができる。1つの非排他的なこのような実施形態において、マニホールド開口部262は、エネルギーマニホールド129の周囲に放射状パターンで位置付けることができる。別の非排他的なこのような実施形態において、マニホールド開口部262は、エネルギーマニホールド129の長さに沿って走る渦巻状パターンで配置することができる。さらに別の非排他的なこのような実施形態において、マニホールド開口部262は、交互方向に放出するように、エネルギーマニホールド129の長さに沿って互い違いにすることができる。或いは、マニホールド開口部262は、エネルギーマニホールド129のマニホールド本体260上に、マニホールド本体260内に、又はマニホールド本体260に沿って、別の好適な方法で配置することができる。
【0087】
エネルギーマニホールド129のさまざまな代替の実施形態は、以下の後続の図の中で、本明細書に示されて、詳細に記載される。
【0088】
図2は、カテーテルシステム200の実施形態の一部の概略断面図であり、エネルギーマニホールド229の実施形態を含む。カテーテルシステム200の設計は変えることができる。さまざまな実施形態において、
図2に示されるように、カテーテルシステム200は、カテーテルシャフト210と、バルーン内部246を画定するバルーン壁230、バルーン近位端204P、及びバルーン遠位端204Dを有するバルーン204と、バルーン内部246内に実質的に保持されるカテーテル流体232とを含むカテーテル202、並びに、エネルギーガイド222A、並びに、エネルギーマニホールド229を含むことができる。或いは、他の実施形態において、カテーテルシステム200は、特に示されて本明細書に記載されているものよりも多い構成要素又は少ない構成要素を含むことができる。たとえば、
図1に示された特定の構成要素、たとえば、ガイドワイヤ112、ガイドワイヤ管腔118、源マニホールド136、流体ポンプ138、エネルギー源124、電源125、システムコントローラ126、GUI127、及びハンドル組立体128は、明瞭さのために
図2では特に示されていないが、カテーテルシステム200の任意の実施形態にはおそらく含まれるであろう。
【0089】
カテーテルシャフト210、バルーン204、カテーテル流体232、及びエネルギーガイド222Aの設計及び機能は、上で本明細書に示され記載されたものに略類似している。したがって、そのような構成要素の詳細説明は繰り返されない。
【0090】
バルーン204も、患者の脈管構造を通してカテーテル202を進めるのに好適な収縮状態と、(
図1に示された)治療部位106に対する所定の位置にカテーテル202を固定するのに好適な膨張状態との間で選択的に可動である。いくつかの実施形態において、バルーン近位端204Pは、カテーテルシャフト210に結合することができ、バルーン遠位端204Dは、ガイドワイヤ管腔118に結合することができる(
図1に示される)。バルーン204はまた、たとえば、(
図1に示される)流体ポンプ138から、(
図1に示される)膨張導管140を介して、バルーン204のバルーン内部246に導かれる、カテーテル流体232で膨張させることができる。
【0091】
前述の実施形態と同様に、エネルギーガイド222Aは、1つ又は複数の光音響トランスデューサ254を含むことができ(1つの光音響トランスデューサ254のみが
図2に示されている)、ここで、各光音響トランスデューサ254は、それが配設されるエネルギーガイド222Aと光連通することができる。いくつかの実施形態において、光音響トランスデューサ254は、エネルギーガイド222Aのガイド遠位端222Dと光連通することができる。さらに、このような実施形態において、光音響トランスデューサ254は、エネルギーガイド222Aのガイド遠位端222Dに対応する、及び/又は、それに一致する形状を有することができる。光音響トランスデューサ254は、エネルギーガイド222Aのガイド遠位端222Dで又はその近くで、光エネルギーを音波に変換するように構成される。音波の方向は、エネルギーガイド222Aのガイド遠位端222Dの角度を変えることによって調整することができる。
【0092】
さまざまな実施形態において、エネルギーマニホールド229は、治療部位106における(
図1に示される)血管病変106Aに圧力を与えて、破砕を引き起こすために、バルーン内部246内のカテーテル流体232で発生するエネルギーを導く及び/又は集中させるように構成される。より詳細には、エネルギーマニホールド229は、治療部位106へのそのようなエネルギーの送達を増強するために、治療部位106の血管病変106Aと接触するバルーン壁230の特定領域の方へ音響及び/又は機械エネルギーを導いて集中させるように構成される。さらに、本実施形態において示されるように、エネルギーマニホールド229は、カテーテル流体232で満たすことができるバルーン204の内部に位置付けられる。
【0093】
図2に示される実施形態に示されるように、エネルギーマニホールド229は、エネルギーガイド222Aに結合及び/又は固定される。或いは、エネルギーマニホールド229は、エネルギーガイド222Aから分離及び/又は離間させることができる。
【0094】
エネルギーマニホールド229の設計は変えることができる。ある実施形態において、
図2に示されるように、エネルギーマニホールド229は、マニホールド本体260と、カテーテル流体232内で発生したプラズマの形態でエネルギーを治療部位106に隣接して位置付けられたバルーン壁230の方へ導くためにマニホールド本体260内に位置付けられて及び/又はマニホールド本体260を貫通する1つ又は複数のマニホールド開口部262とを含む。特に、1つ又は複数のマニホールド開口部262は、エネルギーガイド222Aの使用によりカテーテル流体232内で発生したエネルギーが、外向きに、たとえば、放射状に、エネルギーガイド222A及びエネルギーマニホールド229から離れて、バルーン壁230の方へ向けられるように構成される。エネルギーマニホールド229及び/又はマニホールド開口部262はさらに、血管壁内の又は血管壁に隣接する治療部位106内の正確な場所で血管病変106Aに最も効果的に圧力を与えて破砕を引き起こす方法でエネルギーを導いて集中させるように構成及び/又は位置決めすることができる。さらに又は代替的に、エネルギーマニホールド229は、特に
図2に示されるものよりも多くの構成要素を含むことができる。多くの実施形態において、エネルギーマニホールド229は、エネルギーマニホールド229の全体的な動作にさらに影響を与える特定の他の特徴をさらに含むことができ、したがって、カテーテルシステム200の全体的な有効性を改善することができる。たとえば、他の実施形態において、エネルギーマニホールド229は、ガイド端プロテクタ、エネルギーダイバータ、及び、マニホールド開口部262を通して治療部位106の中の望ましい場所の方へ要望通りエネルギーをより効果的に集中させて導くために利用することができる光学要素のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0095】
マニホールド本体260及びマニホールド開口部262は、任意の好適な設計、寸法、形状、及び向きを有することができる。その最も単純な形態では、マニホールド本体260は、戦略的に、マニホールド本体260内に位置付けられる及び/又はマニホールド本体260を貫通する、着目される穴として、1つ又は複数のマニホールド開口部262を含む、穴のあいた、細長い円筒形チューブの形態で提供される。
図2に示される実施形態に示されるように、マニホールド開口部262は、マニホールド本体260の周囲260C、又は外周に放射状パターンで位置付けることができる。さらに又は代替的に、マニホールド開口部262は、マニホールド本体260に対して別の好適な方法で位置付けることができる。たとえば、ある非排他的な実施形態において、マニホールド開口部262は、マニホールド本体260の長さ260Lに沿って互いに離間して位置付けることもでき、及び/又は、マニホールド開口部262は、マニホールド本体260の長さ260Lに沿って走る渦巻状パターンで配置することができる。或いは、マニホールド本体260は別の好適な設計を有することができる、及び/又は、マニホールド開口部262は別の好適な方法で位置付けることができる。
【0096】
図2に示されるように、エネルギーガイド222Aは、マニホールド本体260のマニホールド近位端260Pに又はその近くに位置することができる、すなわち、エネルギーガイド222Aのガイド遠位端222Dは、細長いマニホールド本体260のマニホールド近位端260Pに挿入される。
図2に示される実施形態に示されるように、エネルギーガイド222Aは、エネルギーがエネルギーガイド222Aから導かれる略半球形の、球形ガイド遠位端222Dを有することができる。或いは、ガイド遠位端222Dは、平坦な劈開端又は任意の他の好適な形状などの別の好適な形状を有することができる。いくつかの実施形態において、エネルギーガイド222Aは、マニホールド本体260に固定、たとえば、直接固定することができる。エネルギーガイド222Aは、任意の好適な方法で、マニホールド本体260に固定することができる。しかしながら、エネルギーガイド222Aは、マニホールド本体260に直接固定する必要はないことが理解される。ある実施形態において、エネルギーガイド222Aは、エネルギーガイド222Aの実質的な長さに沿ってエネルギーガイド222Aを囲んで保護するように構成されたガイドジャケット264を含むことができる。
【0097】
示されるように、マニホールド本体260は、エネルギーガイド222Aのガイド遠位端222Dから離れるように、マニホールド本体260のマニホールド遠位端260Dの方へ延在する略円筒形状の本体チャンバ266(又は、「本体空洞」)を画定する。或いは、マニホールド本体260は、別の好適な形状、たとえば、わずかに先細の設計、仕切られたチャンバ、及び/又は、略円筒形状以外の本体チャンバ266を有する本体チャンバ266を画定することができる。
【0098】
カテーテルシステム200の使用中、バルーン204を膨張するために利用されるカテーテル流体232はまた、バルーン内部246から、マニホールド本体260によって画定される本体チャンバ266の少なくとも一部に、1つ又は複数のマニホールド開口部262を通って入ることができる。その後、エネルギーガイド222Aを通して導かれたパルスエネルギーは、ガイド遠位端222Dより前の、エネルギーマニホールド229の本体チャンバ266内に存在するカテーテル流体232内で、プラズマ誘起バブル134(
図1に示される)を発生させる。バブル134が膨らむと、バブル134はバブル134より前のカテーテル流体232を本体チャンバ266の長さに沿って駆動する。よって、膨らんだバブル134は、本体チャンバ266を通って導かれ、マニホールド本体260に形成されて、マニホールド本体260を貫通するマニホールド開口部262を通り過ぎる及び/又は通過するので、選択的に流出することができる。よって、マニホールド開口部262は、バルーン壁230の方へ外向きにプラズマ誘起バブル134からのエネルギーを導き、そこに送達されたエネルギー、たとえば、光音響トランスデューサ254からの音響エネルギーを集中させる。
【0099】
本実施形態において、マニホールド遠位端260Dは略平坦であり、マニホールド遠位端260Dは封止され、それにより、本体チャンバ266内で発生したエネルギー、たとえば、本体チャンバ266内でマニホールド開口部262を初期に通る任意のエネルギーをブロックして方向を変えて、マニホールド開口部262の方に戻す。よって、エネルギーは、マニホールド開口部262を通して、治療部位106に隣接するバルーン壁230の方へより効果的に導くことができる。
【0100】
そのような設計によって、1つのエネルギーガイド222Aによって作られたエネルギーは、カテーテル組立体200の長く細いバルーン204全体に分散されることができ、マニホールド開口部262を通して、バルーン壁230の方へ、たとえば、放射状に導くことができる。したがって、特に、より大きい長さのバルーン204における、1つのエネルギーガイド222A及び/又は1つのエネルギー源124からのエネルギーは、治療部位106の複数の領域(又は、複数の治療部位106)を同時に治療することができる。
【0101】
バブル134自体のエネルギーは伝播距離とともに消散するので、マニホールド本体260の長さ260Lに沿って均等にエネルギーを分散させるために、マニホールド開口部262は、寸法、形状、及び向きを変えることができることが理解される。たとえば、いくつかの実施形態において、マニホールド開口部262は、マニホールド本体260のマニホールド近位端260Pの方へより小さくすることができ、マニホールド本体260のマニホールド遠位端260Dの方へ断面積を増加させることができる。異なる非排他的な実施形態において、マニホールド開口部262は、略円形状、長円形状、正方形状、長方形形状、又は、別の好適な形状とすることができる。
【0102】
マニホールド本体260は、エネルギーを治療部位106における血管病変の方へ要望通り導くために、任意の好適な数のマニホールド開口部262を含むことができる。
【0103】
図3は、エネルギーガイド322Aの一部及びエネルギーマニホールド329の別の実施形態の概略断面図である。本実施形態に示されるように、エネルギーマニホールド329は、
図2に関して示されて説明されたエネルギーマニホールド229と、設計、位置決め、及び機能が略類似している。たとえば、エネルギーマニホールド329も、エネルギーガイド322Aのガイド遠位端322Dに結合及び/又は固定されるマニホールド近位端360P及び略平坦で封止されたマニホールド遠位端360Dを含むマニホールド本体360と、マニホールド本体360に形成された及び/又はマニホールド本体360を貫通する1つ又は複数のマニホールド開口部362とを含む。本実施形態において、エネルギーマニホールド329も、マニホールド本体360によって画定される本体チャンバ366からの音響及び/又は機械エネルギーを、治療部位106へのそのようなエネルギーの送達を増強するために、マニホールド開口部362を通して、(
図1に示される)治療部位106における(
図1に示される)血管病変106Aと接触する(
図2に示される)バルーン壁230の特定領域の方へ導いて集中させるように構成される。
【0104】
しかしながら、本実施形態において、エネルギーガイド322Aのガイド遠位端322Dは、前述の実施形態とはわずかに異なる形状を有する。特に、
図3に示されるように、エネルギーガイド322Aは、前述の実施形態で示された略半球形の球形端の代わりに、エネルギーがエネルギーガイド322Aから本体チャンバ366に導かれる平坦な劈開ガイド遠位端322Dを有することができる。非排他的な代替の実施形態において、ガイド遠位端322Dの形状は、円錐状、楔形状、又は錐体とすることができる。さらに代替的に、ガイド遠位端322Dの形状は、任意の他の好適な幾何学的形状又は構成を有することができる。
【0105】
図4は、エネルギーガイド422Aの一部及びエネルギーマニホールド429のさらに別の実施形態の概略断面図である。
図4に示されるように、エネルギーマニホールド429は、設計、位置決め、及び機能の点で前述の実施形態と多少類似している。たとえば、エネルギーマニホールド429も、エネルギーガイド422Aのガイド遠位端422Dに結合及び/又は固定されるマニホールド近位端460Pを含むマニホールド本体460と、マニホールド本体460に形成された及び/又はマニホールド本体460を貫通する、すなわち、マニホールド本体460の長さ460Lに沿った及び/又はマニホールド本体460の周囲460Cのまわりのさまざまな点の、1つ又は複数のマニホールド開口部462とを含む。本実施形態において、エネルギーマニホールド429も、マニホールド本体460によって画定される本体チャンバ466からの音響及び/又は機械エネルギーを、治療部位106へのそのようなエネルギーの送達を増強するために、マニホールド開口部462を通して、(
図1に示される)治療部位106における(
図1に示される)血管病変106Aと接触する(
図2に示される)バルーン壁230の特定領域の方へ導いて集中させるように構成される。カテーテル流体432の少なくとも一部及び/又はマニホールド本体460の本体チャンバ466内に位置付けられて及び/又は発生するプラズマも
図4に示されていることが理解される。
【0106】
しかしながら、
図4に示される実施形態に示されるように、エネルギーマニホールド429及び/又はエネルギーガイド422Aは、ガイド端プロテクタ468と、エネルギーダイバータ470とをさらに含む。
【0107】
ガイド端プロテクタ468は、エネルギーガイド422Aのガイド遠位端422Dに結合される。ガイド端プロテクタ468は、(
図2に示される)カテーテル流体232内で発生するプラズマ及び圧力波からガイド遠位端422Dを保護するために、ガイド遠位端422Dを少なくとも略完全に囲む又は取り囲むように構成される。しかしながら、ガイド端プロテクタ468は、依然としてエネルギーを要望通りにエネルギーガイド422Aのガイド遠位端422Dから放出することができる方法で形成される。ガイド端プロテクタ468は任意の好適な設計を有することができ、及び/又は、任意の好適な材料から形成することができる。たとえば、ある非排他的な実施形態において、ガイド端プロテクタ468は、シリコーン、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、エポキシ、又は他の好適な高分子のうちの1つ又は複数を含むことができる、及び/又は、それらから形成することができる。
【0108】
ある実施形態において、示されるように、マニホールド本体460、たとえば、マニホールド本体460のマニホールド近位端460Pは、ガイド端プロテクタ468に直接固定及び/又は結合することができる。別の方法で述べると、このような実施形態において、ガイド端プロテクタ468の少なくとも一部は、マニホールド近位端460Pとエネルギーガイド422Aとの間に位置付けられる。さらに又は代替的に、マニホールド本体460のマニホールド近位端460Pの少なくとも一部は、エネルギーガイド422Aに略直接固定及び/又は結合することができる。
【0109】
エネルギーダイバータ470は、本体チャンバ466内のカテーテル流体232の中で発生するエネルギーの向きを変えるように構成され、そのため、そのようなエネルギーは、マニホールド本体460に形成されるマニホールド開口部462の方へ、より正確に導かれる。エネルギーダイバータ470は、要望通り、マニホールド開口部462の方へエネルギーの向きを変えて導くために、任意の好適な寸法、形状、及び設計を有することができる。
図4に示される実施形態において、エネルギーダイバータ470は、わずかに円錐形状であり、略平坦な角度付き外面を有し、マニホールド遠位端460Dに隣接して位置付けられ、それにより、エネルギーは、マニホールド遠位端460Dから離れるように、マニホールド遠位端460Dの近くに位置付けられるマニホールド開口部462の方へ曲げられる。さらに、ある実施形態において、エネルギーダイバータ470は、反射素子、屈折素子、及びファイバーディフューザのうちの1つ又は複数を含むことができる。或いは、エネルギーダイバータ470は、別の好適な寸法、形状、若しくは設計を有することができ、又は、特に
図4に示されるものとは異なる方法で位置付けることができる。たとえば、いくつかの実施形態において、エネルギーダイバータ470は、凸面、凹面を含むことができ、いくぶん球形状とすることができ、又は、別の好適な形状を有することができる。
【0110】
図5は、エネルギーガイド522Aの一部及びエネルギーマニホールド529のさらに別の実施形態の概略断面図である。
図5に示されるように、エネルギーマニホールド529は、設計、位置決め、及び機能の点で前述の実施形態と多少類似している。たとえば、エネルギーマニホールド529も、エネルギーガイド522Aのガイド遠位端522Dに結合及び/又は固定されるマニホールド近位端560Pを含むマニホールド本体560と、マニホールド本体560に形成される及び/又はマニホールド本体560を貫通する1つ又は複数のマニホールド開口部562とを含む。本実施形態において、エネルギーマニホールド529も、マニホールド本体560によって画定される本体チャンバ566からの音響及び/又は機械エネルギーを、治療部位106へのそのようなエネルギーの送達を増強するために、マニホールド開口部562を通して、(
図1に示される)治療部位106における(
図1に示される)血管病変106Aと接触する(
図2に示される)バルーン壁230の特定領域の方へ導いて集中させるように構成される。
【0111】
図4に示される実施形態と同様に、エネルギーマニホールド529も、マニホールド遠位端560Dに隣接して位置付けられるエネルギーダイバータ570を含むことができ、それにより、エネルギーは、封止されたマニホールド遠位端560Dから離れるように、マニホールド開口部562の方へ曲げられる。本実施形態において、エネルギーダイバータ570は略球形状である。或いは、エネルギーダイバータ570は、
図5に示されるものとは別の好適な寸法、形状、又は設計を有することができる。
【0112】
しかしながら、本実施形態において、エネルギーマニホールド529及び/又はエネルギーガイド522Aは、エネルギーガイド522Aのガイド遠位端522Dに直接結合される及び/又はガイド遠位端522D上に直接形成される光学要素572、たとえば、レンズ又は別の好適な種類の光学要素をさらに含むことができる。さらに、示されるように、光学要素572は、マニホールド本体560によって画定される本体チャンバ566に延在するように位置付けることができる。いくつかの実施形態において、光学要素572は、ガイド遠位端522Dから導かれるエネルギー、たとえば、光エネルギーを集束させるように構成されるエネルギー耐性のある光学要素とすることができる。さらに、光学要素572はさらに、マニホールド本体560内、すなわち、本体チャンバ566内に保持することができる(
図2に示される)カテーテル流体232内でプラズマを形成するために必要なエネルギー集中を増強するように構成することができる。あるこのような実施形態において、光学要素572は、サファイアから形成することができる。或いは、光学要素572は、1つ又は複数の他の好適な材料から形成することができる。
【0113】
示されるように、ある実施態様において、光学要素572及びマニホールド近位端560Pの一部も、すなわち、
図4に示されるガイド端プロテクタ468にいくらか類似した方法で、エネルギーガイド522Aのガイド遠位端522Dのための保護囲いを形成することができる。
【0114】
図5に示される実施形態において、本体チャンバ566は、略先細の設計を有することができ、それにより、本体チャンバ566は、マニホールド近位端560P、エネルギーガイド522A、及び光学要素572の近くで、より大きい及び/又はより広く、マニホールド遠位端560D及びマニホールド開口部562の近くで、より小さい及び/又はより薄い。そのような設計によって、本体チャンバ566は、光学要素572に略隣接し、(
図1に示される)プラズマバブル134がカテーテル流体232内で形成されてもよいところにある、バブル開始チャンバ556Aと、マニホールド遠位端560D及びエネルギーダイバータ570に略隣接し、プラズマバブル134がマニホールド遠位端560Dの方へ膨らむときに、プラズマバブル134からの機械及び/又は音響エネルギーをより効果的に集束及び集中させるように構成される集束チャンバ556Bとを含むものといえる、及び/又は、それらに分割することができる。さらに、その少なくともいくつかかがマニホールド遠位端560Dの近くで位置付けられるマニホールド開口部562は、本実施形態であり、治療部位106へのそのようなエネルギーの送達を増強するために、バブル134の機械及び/又は音響エネルギーを、放射状パターンの外向きに、治療部位106で血管病変106Aと接触するバルーン壁230の特定領域の方へ、より効果的に集中させて導くことができる。
【0115】
図6は、エネルギーガイド622Aの一部及びエネルギーマニホールド629のさらに別の実施形態の概略断面図である。
図6に示されるように、エネルギーマニホールド629は、設計、位置決め、及び機能の点で前述の実施形態と多少類似している。たとえば、エネルギーマニホールド629も、エネルギーガイド622Aのガイド遠位端622Dに結合及び/又は固定されるマニホールド近位端660Pを含むマニホールド本体660と、マニホールド本体660に形成される及び/又はマニホールド本体660を貫通する1つ又は複数のマニホールド開口部662とを含む。本実施形態において、マニホールド本体660は、略平坦で封止されたマニホールド遠位端660Dの近くに位置付けられる単一のマニホールド開口部662のみ含む。或いは、エネルギーマニホールド629は、マニホールド本体660の長さ660Lに沿って離間して、及び/又は、任意の好適なパターンでマニホールド本体660の周囲660C又は外周のまわりで放射状に、位置付けることができる1つより多いマニホールド開口部662を含むことができる。
【0116】
本実施形態において、マニホールド本体660は、歪みを緩和するために、それがエネルギーガイド622Aのガイド遠位端622Dに結合及び/又は固定(接合)される領域において、わずかに厚い。別の方法で述べると、示されるように、マニホールド近位端660Pの又はその近くの、及び、エネルギーガイド622Aに略隣接する、マニホールド本体660の壁は、マニホールド本体660の壁の残りの部分よりわずかに厚い。
【0117】
さらに、エネルギーマニホールド629も、マニホールド本体660によって画定される本体チャンバ666からの音響及び/又は機械エネルギーを、治療部位106へのそのようなエネルギーの送達を増強するために、マニホールド開口部662を通して、(
図1に示される)治療部位106における(
図1に示される)血管病変106Aと接触する(
図2に示される)バルーン壁230の特定領域の方へ導いて集中させるように構成される。
【0118】
図6に示されるように、本実施形態において、エネルギーマニホールド629も、マニホールド本体660内、すなわち、本体チャンバ666内に保持することができる(
図2に示される)カテーテル流体232内でプラズマを形成するために、ガイド遠位端622Dから導かれるエネルギーを集束及び集中させるように構成される光学要素672を含む。しかしながら、本実施形態において、光学要素672は、ガイド遠位端622Dと光学要素672との間に空気空間674を画定するために、エネルギーガイド622Aのガイド遠位端622Dから離間して位置付けられる。1つの実施形態において、光学要素672は、マニホールド本体660によって画定される本体チャンバ666に圧入されるボールレンズとすることができる。本体チャンバ666内への光学要素672の圧入により、カテーテル流体232が保持される本体チャンバ666の部分から、空気空間674を効果的に封止することができる。この設計によって、封止された空気空間674は、空気空間674でプラズマを開始することなく、光学要素672への結合の前に、エネルギーガイド622Aからのエネルギーが膨らむことを可能にする。光学要素672から遠位の本体チャンバ666の領域は、プラズマをその中で発生させるために、カテーテル流体232に浸されることが理解される。このような実施形態において、光学要素672は、サファイアから形成することができる。或いは、光学要素672は、異なる設計を有することができ、及び/又は、1つ又は複数の他の好適な材料から形成することができる。さらに又は代替的に、ある非排他的な実施形態において、空気空間674は、エネルギーガイド622Aを光学要素672に結合するために、PMMA、エポキシなどの透明な光学媒体で満たすことができる。さらに代替的に、空気空間674は、透明なインデックスマッチング液、油、又は別の好適な流体も含むことができる。
【0119】
図7は、エネルギーガイド722Aの一部及びエネルギーマニホールド729のさらに別の実施形態の概略断面図である。
図7に示されるように、エネルギーマニホールド729は、設計、位置決め、及び機能の点で前述の実施形態と多少類似している。たとえば、エネルギーマニホールド729も、エネルギーガイド722Aのガイド遠位端722Dに結合及び/又は固定されるマニホールド近位端760Pを含むマニホールド本体760と、マニホールド本体760に形成される及び/又はマニホールド本体760を貫通する1つ又は複数のマニホールド開口部762とを含む。本実施形態において、エネルギーマニホールド729も、マニホールド本体760によって画定される本体チャンバ766からの音響及び/又は機械エネルギーを、治療部位106へのそのようなエネルギーの送達を増強するために、マニホールド開口部762を通して、(
図1に示される)治療部位106における(
図1に示される)血管病変106Aと接触する(
図2に示される)バルーン壁230の特定領域の方へ導いて集中させるように構成される。
【0120】
本実施形態において、エネルギーマニホールド729は、角度付きの封止されたマニホールド遠位端760Dの近くに位置付けられる単一のマニホールド開口部762のみ含む。本実施形態に示されるように、マニホールド開口部762は、(
図1に示される)プラズマ誘起バブル134、すなわち、プラズマ誘起バブル134の機械及び/又は音響エネルギーを、マニホールド本体760から外へ放射方向に導くために、前述の実施形態よりわずかに大きく及び/又は広くすることができる。より詳細には、本実施形態におけるマニホールド開口部762の形状は、集中された高指向性パターンで、バブル134並びに機械及び/又は音響エネルギーを外に導く。或いは、エネルギーマニホールド729は、マニホールド本体760の長さ760Lに沿って離間して、及び/又は、任意の好適なパターンでマニホールド本体760の周囲760C又は外周のまわりで放射状に、位置付けることができる1つより多いマニホールド開口部762を含むことができる。さらに代替的に、マニホールド遠位端760Dは、
図7に示されるものとは別の好適な設計及び/又は形状を有することができる。
【0121】
さらに、本実施形態において、マニホールド本体760も、それがエネルギーガイド722Aのガイド遠位端722Dに結合及び/又は固定(接合)される領域において、わずかに厚い。しかしながら、マニホールド本体760は、ガイド遠位端722Dに隣接するその領域においてより小さい周囲760C又は外周をさらに有するが、その場合、マニホールド本体760の残りの部分を通してわずかにより大きい周囲760C又は外周を有するために、ガイド遠位端722Dから外にテーパを付ける。そのような設計も、歪みを緩和するために利用される。
【0122】
図7に示されるように、本実施形態において、エネルギーマニホールド729も、マニホールド本体760内、すなわち、本体チャンバ766内に保持することができる(
図2に示される)カテーテル流体232内でプラズマを形成するために、ガイド遠位端722Dから導かれるエネルギーを集束及び集中させるように構成される光学要素772を含む。
図6と同様に、本実施形態において、光学要素772も、ガイド遠位端722Dと光学要素772との間に空気空間774を画定するために、エネルギーガイド722Aのガイド遠位端722Dから離間して位置付けられる。1つの実施形態において、光学要素772は、カテーテル流体232が保持される本体チャンバ766の部分から空気空間774を効果的に封止するために、マニホールド本体760に接合されるサファイアレンズとすることができる。この設計によって、封止された空気空間774も、空気空間774でプラズマを開始することなく、光学要素772への結合の前に、エネルギーガイド722Aからエネルギーが膨らむことを可能にする。このような実施形態において、光学要素772から遠位の本体チャンバ766の領域は、プラズマをその中で発生させるために、カテーテル流体232に浸される。或いは、光学要素772は、異なる設計を有することができ、及び/又は、1つ又は複数の他の好適な材料から形成することができる。さらに又は代替的に、ある非排他的な実施形態において、空気空間774も、エネルギーガイド722Aを光学要素772に結合するために、PMMA、エポキシなどの透明な光学媒体で満たすことができる。
【0123】
図8は、エネルギーガイド822Aの一部及びエネルギーマニホールド829のさらにまた別の実施形態の概略断面図である。
図8に示されるように、エネルギーマニホールド829は、設計、位置決め、及び機能の点で前述の実施形態と多少類似している。たとえば、エネルギーマニホールド829も、エネルギーガイド822Aのガイド遠位端822Dに結語及び/又は固定されるマニホールド近位端860Pを含むマニホールド本体860と、マニホールド本体860に形成される及び/又はマニホールド本体860を貫通する1つ又は複数のマニホールド開口部862とを含む。本実施形態において、エネルギーマニホールド829は、マニホールド本体860の略平坦な封止されたマニホールド遠位端860Dの近くでマニホールド本体860の周囲860C又は外周のまわりに放射状に位置付けられるマニホールド開口部862を含む。或いは、エネルギーマニホールド829は、マニホールド本体860の長さ860Lに沿って離間して、及び/又は、任意の好適なパターンでマニホールド本体860の周囲860C又は外周のまわりで放射状に、位置付けることができる任意の好適な数のマニホールド開口部862を含むことができる。
【0124】
本実施形態において、エネルギーマニホールド829も、マニホールド本体860によって画定される本体チャンバ866からの音響及び/又は機械エネルギーを、治療部位106へのそのようなエネルギーの送達を増強するために、マニホールド開口部862を通して、(
図1に示される)治療部位106における(
図1に示される)血管病変106Aと接触する(
図2に示される)バルーン壁230の特定領域の方へ導いて集中させるように構成される。
【0125】
しかしながら、
図8に示されるように、エネルギーマニホールド829、すなわち、マニホールド本体860は、前述の実施形態とは異なる方法でエネルギーガイド822Aに結合される。特に、示されるように、エネルギーマニホールド829及び/又はエネルギーガイド822Aは、ガイド端キャップ876と、光学要素872、たとえば、レンズとをさらに含む。より詳細には、
図8に示されるように、ガイド端キャップ876は、エネルギーガイド822Aのガイド遠位端822Dに略直接結合され、光学要素872は、ガイド端キャップ876に略直接結合される。さらに、示されるように、マニホールド本体860、すなわち、マニホールド本体860のマニホールド近位端860Pは、光学要素872に固定(接合)される。よって、本体チャンバ866は、光学要素872とマニホールド本体860のマニホールド遠位端860Dとの間のマニホールド本体860によって画定され、マニホールド本体860は、エネルギーガイド822Aのガイド遠位端822Dから離間して位置付けられる。
【0126】
ある実施形態において、ガイド端キャップ876及び光学要素872は、シリカ、又はエネルギーガイド822Aのガイド遠位端822Dに効果的に接合することができる他の種類の任意のガラスから形成することができる。接合は、CO2レーザ又はアーク放電源を使用して、ガラスを溶融することによって実現することができる。或いは、接合は、UV硬化エポキシ又はアクリレートなどの高分子接着剤を使用して実現することができる。さらに代替的に、接合は、別の好適な方法で実現することができる。また代替的に、ガイド端キャップ876及び/又は光学要素872は他の好適な材料から形成することができる。
【0127】
上記のある実施形態と同様に、ガイド端キャップ876及び光学要素872は、マニホールド本体860、すなわち、本体チャンバ866内に保持することができる(
図2に示される)カテーテル流体232内でプラズマを形成するために、ガイド遠位端822Dから導かれるエネルギーを集束及び集中させるように構成される。その後、(
図1に示される)プラズマ誘起バブル134、すなわち、プラズマ誘起バブル134の機械及び/又は音響エネルギーは、マニホールド本体860から離れるように、治療部位106の血管病変106Aと接触するバルーン壁の特定領域の方へ、放射方向外向きにマニホールド開口部862を通して導くことができる。
【0128】
図9Aは、カテーテルシステム100内で使用可能であるエネルギーガイド組立体978Aの代替の実施形態の概略断面図である。特に、
図9Aは、エネルギーガイド組立体978Aが、エネルギーガイド922Aと、エネルギーガイド922Aに結合及び/又は固定される延長チューブ980Aと、プラズマジェネレータ933Aとを含むことを示す。或いは、エネルギーガイド組立体978Aは、
図9Aに特に示されて記載されるものより多い構成要素又は少ない構成要素を含むことができる。
【0129】
エネルギーガイド922Aは、前で詳細に記載されたことと略類似している。よって、エネルギーガイド922Aは再び詳細には記載されない。示されるように、エネルギーガイド922Aは、クラッド988Aによって囲まれるコア986Aを含む。エネルギーガイド922Aのコア986A及びクラッド988Aは、1つ又は複数の種類のガラス、シリカ、又は1つ又は複数の高分子を含むがこれらに限定されない、1つ又は複数の材料から形成することができる。コア986A及びクラッド988Aは、(
図1に示される)エネルギー源124からの(エネルギービーム990Aとして示される)エネルギーが、エネルギーガイド922Aの長さに沿って、ガイド近位端(
図9Aに示されない)からガイド遠位端922Dに効果的に案内されるように構成される。さらに、示されるように、いくつかの実施形態において、エネルギーガイド922Aは、エネルギーガイド922Aの実質的な長さに沿ってエネルギーガイド922Aを囲んで保護するように構成されるガイドカバー964Aをさらに含むことができる。
【0130】
延長チューブ980Aは、エネルギーガイド922Aに結合及び/又は固定され、エネルギーガイド922Aから離れるように延在する。より詳細には、示されるように、延長チューブ980Aは、エネルギーガイド922Aのガイド遠位端922Dに結合及び/又は固定することができ、エネルギーガイド922Aのガイド遠位端922Dから離れるように延在する。さまざまな実施形態において、延長チューブ980Aは、略中空であり、(
図1に示された)バルーン104の(
図1に示された)バルーン内部146に保持されるカテーテル流体932Aの一部を流すように構成される。いくつかの実施形態において、延長チューブ980Aは、エネルギーガイド922Aのガイド遠位端922Dを囲む高分子の非導電材料又は誘電材料から形成されるチューブ壁982Aを含む。たとえば、延長チューブ980A及び/又はチューブ壁982Aは、テフロン(登録商標)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、カプトン(登録商標)又は他の好適な材料のうちの1つ又は複数から形成することができる。
【0131】
示されるように、ある実施形態において、延長チューブ980Aは、カテーテル流体932Aが延長チューブ980Aに入ることができるチューブ入口992Aをさらに含むことができることが理解される。
【0132】
重要なことに、このような実施形態において、延長チューブ980Aのチューブ壁982Aは、カテーテル流体932Aの屈折率より小さい、エネルギー源124からのエネルギー990Aの波長における屈折率を有する。たとえば、いくつかのこのような実施形態において、カテーテル流体932Aは、約1.50~1.60の屈折率を有することができ、延長チューブ980Aのチューブ壁982Aは、約1.30~1.50の屈折率を有することができる。
【0133】
カテーテル流体932Aとチューブ壁982Aとの屈折率の違いは、チューブ壁982Aの内面に入射した光の全反射を引き起こし、延長チューブ980Aの軸に沿って戻るように導く。そのような構成の開口数(NA)は、以下の式によって与えられる。
【数1】
【0134】
理想的には、延長チューブ980AのNAは、エネルギーガイド922AのNAに等しい、又は、それより大きいであろう。これは、エネルギーガイド922Aのガイド遠位端922Dに伝達された光エネルギー990Aのすべてが補足されて、プラズマジェネレータ933Aに伝達されることを確実にする。延長チューブ980AのNAがエネルギーガイド922AのNAに等しい又はそれより大きいとき、延長チューブ980Aに入るエネルギー990Aのすべてが、補足されて、前方へ、すなわち、プラズマジェネレータ933Aの方へ伝達される。
【0135】
延長チューブ980A内でのエネルギー990Aの物理的挙動は、延長チューブ980A内の材料が流体であり、プラズマ誘起バブル又は圧力波によって損傷を受ける可能性がないことを除いて、エネルギーガイド922A自体の中のそのような挙動と略同一である。高分子又は誘電材料は、エネルギーガイド922Aを形成するために通常使用される固体材料とは異なり、柔軟である。場合によっては、エネルギーガイド922Aのそのような材料は、音響機械エネルギー又は高速粒子の衝突によって、容易に粉砕又は破壊される可能性がある。延長チューブ980Aは、プラズマジェネレータ933Aの非常に近くに光エネルギーを伝達することもでき、それによって、その変換効率を増大させる。延長チューブ980Aが作られる材料のコンプライアンス、及び、主導体、すなわち、カテーテル流体932Aが液体であるという事実により、局所的なプラズマからのエネルギー及び結果として得られる圧力波を、硬くもろい材料が耐えるよりも非常に良好に、耐えることが可能となる。
【0136】
エネルギーガイド922A及び延長チューブ980Aは任意の好適な長さとすることができることが理解される。たとえば、いくつかの実施形態において、エネルギーガイド922Aは、実質的にバルーン104まで延在することができ、延長チューブ980Aは、バルーン104のバルーン内部146のみで延在する。或いは、他の実施形態において、延長チューブ980Aは、長さを伸ばすことができ、潜在的に(
図1に示される)カテーテル102の主要部を通るエネルギーキャリアになることができる。
【0137】
プラズマジェネレータ933Aは、エネルギーガイド922A及び延長チューブ980Aを通して伝達されたエネルギー990Aによって接触されたとき、プラズマを発生させるように構成される。プラズマジェネレータ933Aは、任意の好適な設計を有することができ、及び/又は、任意の好適な材料から作ることができる。たとえば、いくつかの実施形態において、プラズマジェネレータ933Aは、金属又はセラミック材料の1つから形成することができる。或いは、プラズマジェネレータ933Aは、他の好適な材料から作ることができる。
【0138】
延長チューブ980Aを含むことによって、エネルギーガイド922Aのガイド遠位端922Dは、カテーテル流体932A内で発生するプラズマから離間して、より効果的に維持することができることが理解される。よって、このような設計は、エネルギーガイド922Aのガイド遠位端922Dの耐久性及び長命を改善する手段を提供する。より詳細には、このアプローチの利点は、以下のことを含むことができるが、これらに限定されるものではない。1)それは、エネルギーガイド922Aのガイド遠位端922Dを、局所的なプラズマが発生する点から離れるように移動し、それによって、性能を損なうことなく、バブル及びプラズマからの有害な衝撃を最小化する。2)それは、エネルギーをプラズマジェネレータ933Aに伝達する単純な手段を作る。3)それは、エネルギーの集中されたビームを、最小限の分離でプラズマジェネレータ933Aの直前まで伝達することを可能にし、それにより、エネルギーガイド組立体978Aの変換効率及び圧力波生成能力は向上する。4)それは、エネルギーガイド922Aの光学及び機械特性に対する依存を減少させることによって、プラズマジェネレータ933Aの設計を簡略化する。
【0139】
さまざまな実施形態において、エネルギーガイド組立体978Aは、上で本明細書に詳細に記載されたエネルギーマニホールドの実施形態に、さらに結合される。より詳細には、エネルギーガイド組立体978Aは、前に記載されたエネルギーマニホールドのいずれの実施形態とも使用可能である。或いは、いくつかの実施態様において、エネルギーガイド組立体978Aは、エネルギーマニホールドに結合されることなく利用することができる。
【0140】
図9Bは、エネルギーガイド組立体978Bの別の代替の実施形態の概略断面図である。示されるように、エネルギーガイド組立体978Bは、前述の実施形態で示されていたものと略類似している。たとえば、エネルギーガイド組立体978Bも、前述の実施形態と略類似しているエネルギーガイド922B及びプラズマジェネレータ933Bを含む。さらに、エネルギーガイド組立体978Bも、エネルギーガイド922Bのガイド遠位端922Dに結合及び/又は固定されて、エネルギーガイド922Bのガイド遠位端922Dから離れるように延在する延長チューブ980Bを含む。
【0141】
しかしながら、本実施形態において、延長チューブ980Aは、前述の実施形態と若干異なる。より詳細には、
図9Bに示される実施形態では、延長チューブ980Bのチューブ壁982Bは、金属又はセラミック材料などの剛性材料から形成することができ、誘電体又は高分子コーティング984Bを、チューブ壁982Bの内面994B上に被覆することができる。そのような設計によって、チューブ壁982Bは、より強固な機械構造、並びに、プラズマ及び音響機械エネルギーからの粉砕及び損傷に対する耐性を提供することができる。チューブ壁982Bの内面994B上のコーティング984Bは、カテーテル流体932Bに対してより低い屈折率を提供することができ、それによって、伝達されるエネルギー990Bのために総内部反射率を作る。
【0142】
コーティング984Bは、任意の好適な方法で、チューブ壁982Bの内面994B上に加えることができることが理解される。たとえば、コーティング984Bは、溶剤フィルム又は化学気相蒸着(CVD)を使用して、チューブ壁982Bの内面994B上に加えることができる。均一の薄いフィルムを硬い基板に加えるための多くの選択肢が存在する。基本的な要件は、コーティング984Bの厚さがエネルギー990Bの波長より10倍以上大きいということである。
【0143】
さまざまな実施形態において、エネルギーマニホールドは、より伝統的なカテーテルシステムに存在する多くの問題を解決するために利用することができる。たとえば、
1)エネルギーマニホールドは、単一のエネルギーガイド、たとえば、単一のレーザ圧力波発生装置を使用する長いバルーンカテーテルと接触する治療部位内の複数の領域(複数の病変)の治療を可能にし、複数のエネルギーガイド又は複数の接続されたエネルギー源、たとえば、レーザエネルギー源を含む必要がない。
2)伝統的なカテーテルシステムでは、単一のエネルギーガイド又は光ファイバー源の端部から放出される圧力波エネルギーは、完全に球形の容積に放出され、したがって、それはバルーン内部の円筒形領域に接触する。これは、それらの断面が完全に円形であるときのみ、単一のエネルギーガイドアプローチを、石灰化の破砕に効果的とすることがある。しかしながら、エネルギーマニホールドは、マニホールド本体の設計、並びに、エネルギーマニホールドのマニホールド本体の寸法、形状、及びマニホールド開口部の数を選択的に修正することによって、機械エネルギーを集中させて、特定領域に局所化する。結果として、これは、不連続である又は断面が半円形である病変を破砕するために、ずっと効果的である可能性がある。
3)さまざまな実施形態において、エネルギーマニホールド自体の機械的集合体は、エネルギーガイドのガイド遠位端を、膨らむバブルによって発生する反力及び圧力から保護する手段を提供する。
【0144】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、内容及び/又は文脈で明らかにそうでないことが示されていない限り、複数の場合も含めて意味することに注目すべきである。用語「又は(or)」は、内容又は文脈が明確に別途指示されていない限り、「及び/又は(and/or)」を含む意味において一般に使用されることにも留意すべきである。
【0145】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、語句「構成される」は、特定の任務を実行する、又は、特定の構成を採用するように構築又は構成される、システム、装置、又は他の構造を説明することにも留意すべきである。語句「構成される」は、配置及び構成される、構築及び配置される、構築される、製造及び配置されるなどの他の同様の語句と交換可能に使用することができる。
【0146】
本明細書で使用される見出しは、米国特許規則1.77項に基づく提言に適合するために、又はそうでなければ、編成上の手掛かりを提供するために設けられている。これらの見出しは、本開示から作成されることがあるいずれかの請求項に記載される本発明を限定又は特徴づけるものとはみなされないものとする。一例として、「背景」における技術の説明は、技術が本開示におけるいずれかの発明の先行技術であることを認めるものではない。「概要」又は「要約」はいずれも、作成された請求項に記載される本発明の特徴とはみなされない。
【0147】
本明細書で説明する実施形態は、網羅的であること又は以下の詳細な説明に開示される厳密な形態に本発明を限定することを意図するものではない。むしろ、実施形態は、当業者が原理及び実践を評価し理解できるように選択され説明されている。よって、態様について種々の具体的並びに好ましい実施形態及び技術を参照して説明してきた。しかしながら、本明細書の趣旨及び範囲内から逸脱することなく、多くの変形及び修正がなされてもよいことを理解すべきである。
【0148】
カテーテルシステムの複数の異なる実施形態が本明細書に図示及び記載されてきたが、任意の1つの実施形態の1つ又は複数の特徴を、他の1つ又は複数の実施形態の1つ又は複数の特徴と組み合わせることができ、それは、そのような組合せが本発明の目的を満たす場合であることが理解される。
【0149】
カテーテルシステムの複数の例示的な態様及び実施形態が上で論じられてきたが、当業者は、それらの特定の修正、置換、追加、及び下位の組合せを認識するであろう。したがって、以下で紹介される以下の添付の特許請求の範囲は、それらの真の趣旨及び範囲内であるすべてのそのような修正、置換、追加、及び下位の組合せを含むと解釈され、本明細書に示される構造又は設計の詳細の限定を意図しないことが意図されている。
【国際調査報告】