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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-24
(54)【発明の名称】電磁誘導装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 21/08 20060101AFI20230117BHJP
   H01F 30/10 20060101ALI20230117BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20230117BHJP
   H01F 1/34 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
H01F21/08
H01F30/10 A
H01F30/10 C
H01F27/24 H
H01F27/24 P
H01F27/24 E
H01F1/34 140
H01F30/10 S
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529087
(86)(22)【出願日】2020-11-17
(85)【翻訳文提出日】2022-07-11
(86)【国際出願番号】 FR2020052090
(87)【国際公開番号】W WO2021099724
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】1912987
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】デレット、ジェラール
(72)【発明者】
【氏名】ルド、セルジュ
(72)【発明者】
【氏名】シュプレミニアン、ウルリッヒ
(72)【発明者】
【氏名】カルドゥ、エマニュエル
【テーマコード(参考)】
5E041
5E070
【Fターム(参考)】
5E041AB14
5E041AB19
5E070AA11
5E070BA08
5E070CA14
5E070MM10
(57)【要約】
本発明は、放熱手段が設けられた可変エアギャップを備えた電磁誘導装置に関する。詳細には、本発明による前記装置は、前記可変エアギャップをその内部に収容するコアを含む。前記エアギャップは、前記コアにおいて発生し得る磁束をガイドするための第1強磁性プレートをさらに含む。前記磁束は、前記コアの飽和磁場よりも小さい飽和磁場を集合的に有することができる。本発明の条件による前記可変エアギャップは、放熱手段を形成している横方向突出部をさらに備え、この横方向突出部は、前記第1プレート側面から延在している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
強磁性コア(200)と、
可変エアギャップ(400)と称される少なくとも1つのエアギャップと、
を備えた電磁誘導装置(100)であって、
前記エアギャップは、前記コア内に体積Vを画成し、
前記体積V内に複数の強磁性メインプレート(500)が配置され、
前記複数の強磁性メインプレート(500)は、互いに略平行で、且つ、前記コア内を流れ得る磁力線に平行な方向に配置され、
前記複数のメインプレート(500)は、前記複数のプレートの全てが前記強磁性コア(200)の飽和磁場よりも低い飽和磁場を有するように構成された断面を有し、
前記複数のメインプレート(500)は、複数の横方向突出部(600)をさらに備え、
前記複数のメインプレート(500)がその飽和磁場よりも高い磁場により横切られたときに、前記複数の横方向突出部(600)は、前記複数のメインプレート(500)内で発生し得る熱を放散させるように構成され、
前記複数の横方向突出部(600)は、前記複数のプレートの側面(501)から、前記側面(501)に略直交する方向に沿って延出している、
電磁誘導装置(100)。
【請求項2】
前記複数の横方向突出部(600)は、前記複数のメインプレート(500)に対して垂直な複数の二次プレート(700)を形成するように前記複数のメインプレート(500)を対で接続している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記強磁性コア(200)、前記複数のメインプレート(500)及び前記複数の横方向突出部は、同一の強磁性材料からなる、
請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
全てのメインプレート(500)は、同一である、
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記複数のメインプレート(500)及び前記複数の横方向突出部により空けられた体積Vである空体積Vは、10W/m/Kよりも高い熱伝導率を有するヒートシンク材料により少なくとも部分的に充填され、
前記ヒートシンク材料は、好ましくはアルミナを含む、
請求項1から4のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記強磁性コア(200)は、FeX型の金属合金及びA(Fe,B)型のスピネル構造のフェライト酸化物の中から選択される強磁性材料を含み、
ここで、Xは、Si、Al、Co、Niから選択される元素の1つを含み、
A=(Mn,Ni)、B=(Co,Cu,Al,・・)である、
請求項1から5のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記強磁性コア(200)は、互いに略平行な2つの平坦な端部(200a,200b)を含み、
当該端部は、互いに対向し、且つ表面積Sを有し、
前記2つの端部は、前記可変エアギャップ(400)を区画し、
前記メインプレート(500)は、前記端部に対して垂直に配置され、
前記強磁性コア(200)は、有利には多角形状のフレームを有し、さらに有利には矩形状のフレームを有する、
請求項1から6のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記複数のメインプレート(500)は、断面表面積Sを有する断面を有し、
全てのメインプレート(500)の断面表面積の合計は、前記表面積Sよりも小さい、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記強磁性コア(200)は、2つのベース(101)を含み、
前記ベースの各々は、内面(101a)及び外面(101b)と称される2つの主面を備え、
前記内面と外面とが略平行であり、
前記ベース(101)は、前記ベースの内面(101a)に沿って互いに向かい合い、
前記可変エアギャップ(400)は、前記ベースの1つに形成されており、
前記コア(200)は、さらに、互いに略平行で且つ前記2つの内面の間に延出する複数の脚を備え、
前記複数の脚は、少なくとも1つの主脚(102)と、少なくとも1つの側脚(103)と、少なくとも2つの漏洩脚(104,105)とを備え、
前記装置は、少なくとも1つの一次巻線(301)及び少なくとも1つの二次巻線(302)をさらに備え、
前記一次巻線と二次巻線の各々は、前記主脚(102)の周囲に巻かれたメインセクション(301b,302b)と、一次漏洩セクション(301a,301c)及び二次漏洩セクション(302a,302c)と称された漏洩セクションとを含み、
一次漏洩セクション(301a,301c)及び二次漏洩セクション(302a,302c)の各々は、異なる漏洩脚に巻き付けられている、
請求項1から6のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記可変エアギャップ(400)は、前記2つの漏洩脚の間に配置され、
前記一次プレートがフィンの形態である、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記フィンは、前記エアギャップがその間に配置されている2つの漏洩脚を結ぶ軸により規定される方向に沿って配向されている、
請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記凹部は、考慮されたベースの前記内面(101a)に開口している、
請求項9から11のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記凹部は、前記考慮されたベースの前記外面(101b)に開口している、
請求項9から12のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの主脚(102)が単一の主脚(102)を含み、
前記少なくとも2つの漏洩脚が4つの漏洩脚を含み、
前記一次漏洩セクションが2つの一次漏洩セクションを含むことで、前記一次巻線が、前記一次漏洩セクション(301a)、前記メインセクション(301b)、及び他方の一次漏洩セクション(301c)のうちの一つを順番に含み、
前記一次漏洩セクションの各々は、異なる漏洩脚に巻き付けられ、
前記二次漏洩セクションは、2つの二次漏洩セクションを含むことで、前記二次巻線が、前記二次漏洩セクション(302a)、前記メインセクション(302b)、及び他方の二次漏洩セクション(302c)のうちの一つを順番に含み、
前記二次漏洩セクションの各々は、異なる漏洩脚に巻き付けられている、
請求項9から13のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記少なくとも1つの側脚が4つの側脚を含み、
前記4つの側脚と前記4つの漏洩脚とは、前記主脚(102)を中心とする円を描き、
前記側脚と前記漏洩脚とは、規則的に交互に配置され、
各セクションは、前記主脚(102)に対して、二次漏洩セクションに直径方向に対向して配置されている、
請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの側脚は、2つの側脚を含み、
前記少なくとも2つの漏洩脚は、4つの漏洩脚を含み、
前記4つの漏洩脚は、第1グループ(106)及び第2のグループ(107)と称されると共に、2つの漏洩脚から成る2つのグループを形成し、
前記4つの漏洩脚及び前記2つの側脚は、前記主脚(102)を中心とする円を描き、
前記側脚と前記グループ(106,107)とが規則的に交互に配置されている、
請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つのエアギャップは、第1エアギャップ(401)及び第2エアギャップ(402)を含み、
前記第1エアギャップ(401)及び前記第2エアギャップ(402)は、前記第1グループ(106)及び前記第2グループ(107)のそれぞれの前記漏洩脚の間の中間に配置されている、
請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記一次漏洩セクションの各々は、前記第1グループ(106)の前記漏洩脚(104)のいずれか一方の周りに形成され、
前記二次漏洩セクションの各々は、それぞれ、前記第2グループ(107)の前記漏洩脚(105)のいずれか一方の周りに形成されている、
請求項17に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及び電気の分野に関する。詳細には、本発明は、先行技術で公知の装置と比較して磁気損失及び熱損失が低減された、可変インダクタンスを有する磁気インダクタに関する。
【0002】
有利には、本発明による磁気インダクタは、AC/DC又はDC/DC電力コンバータ、特にはDAB(「デュアル・アクティブ・ブリッジ」)コンバータに実装される。
【背景技術】
【0003】
磁気インダクタは、当業者によく知られた装置であり、多くの用途において実装されている。
【0004】
一般に、磁気インダクタは、強磁性材料から作られたコアと、コアの一部の周囲に形成された巻線とを含む。コアは、エアギャップも含み得る。この装置は、磁化インダクタンスLと称される特性量により特徴付けられ、この特性量は、強磁性材料、コア(及びそのエアギャップ)の形状寸法、及び巻線(特には、この巻線を形成している巻数)に依存する。
【0005】
幾つかの用途、特に電子コンバータは、公称動作のための高い磁化インダクタンス値Lと、幾つかの動作点のための低い磁化インダクタンスを必要とし得る。
【0006】
これは特に、いわゆるLLC共振コンバータのトポロジーの場合である。
【0007】
実際、LLCコンバータの変圧器の磁化インダクタンスは、スイッチング損失を制限して良好な効率を保証するために、公称動作電圧では高くなるべきであるが、入力電圧が低下したときに、負荷に供給される電力の連続性を保証するために大幅に低減され得るべきである(本明細書の末尾に記載する非特許文献1に記載されているような、停電の際のデータバックアップを保証しなければならないサーバ電源システムの場合を参照されたい)。
【0008】
この問題により、このタイプのコンバータを、バックアップ機能を保証するために低インダクタンス値でサイジングすることになり、これより効率が損なわれる可能性がある。
【0009】
DABコンバータトポロジーの場合、変圧器の磁化インダクタンスと直列に配置された、いわゆる「直列」インダクタンス値がコンバータの動作範囲を決定する。
【0010】
送信電力は、直列インダクタンス値L、及び、ドライバにより設定された入出力電圧間の位相差に反比例する。
【0011】
場合によっては、直列インダクタ機能を、変圧器とは別の部品により実装することも可能である。しかし、直列インダクタンス機能が、同一の変圧器の漏洩インダクタンスにより保証される場合もある。
【0012】
いずれの場合も、単一の直列インダクタンス値は動作範囲を制限し、DABコンバータを駆動するための柔軟性がより低いことが証明されている。これは、本明細書の末尾に記載する非特許文献2に記載されている。これらの問題を克服するために、磁束に応じて(従って、巻線に流れる電流Iに応じて)磁化インダクタンスL又は可変の直列を有する磁気インダクタを実装することが検討され得る。より具体的には、低電流Iでは高い磁化L又は直列インダクタンスを有し、高電流Iでは低いインダクタンスを有する磁気インダクタが必要であろう。
【0013】
しかし、磁気インダクタは、一般的に、巻線に流れる電流Iの、強磁性コアが飽和されない飽和電流Isatよりも低い範囲で動作するようなサイズにされている。
【0014】
この領域では、電流Iが飽和電流Isatよりも小さい限り、磁化インダクタンスLは前記電流Iに依存しないままである。しかし、電流Iが飽和電流値Isatを超えるとすぐにコアの磁気飽和が発生し、これが、透磁率と、その結果、磁化インダクタンスLとを急激に減少させる。
【0015】
従って、磁気インダクタンスの動作中に磁化インダクタンスLの変動が必要な場合、異なる解決策が検討され得る。一般的に、これらの解決策は、磁気インダクタの動作範囲を、強磁性材料の完全な飽和に先立って非線形モードまで拡大することを提案している。このため、透磁率を低くすること、及び/又はエアギャップのサイズ低減の検討が可能である。
【0016】
これら2つの解決策のいずれかを実施すれば,飽和電流Isatよりも高い電流Iの値でコア全体に均一に飽和が発生する。
【0017】
しかし、これらの解決策は満足のいくものではない。
【0018】
実際、インダクタに高周波電流I(一般的に10kHzよりも高い)が流れると、コア全体が飽和し、インダクタ、及び、インダクタが組み込まれた部品全体に、重大な体積的磁気損失(volumetric magnetic loss)を与える原因となり得る。
【0019】
また、これらの損失によりコアの加熱が生じ得る。
【0020】
さらに、飽和モードでは、コアにもはや閉じ込められなくなった磁束線が、磁気インダクタ付近に配置された部品を乱れさせる可能性がある。具体的には、これらの外乱は、電磁的不適合、及び/又は、渦電流による損失の原因となり得る。
【0021】
従って、明細書の末尾に記載する特許文献1~5において、コア、特にはエアギャップのサイジングの方法により、コアの飽和を前記エアギャップ内に配置することが可能であると提案された。
【0022】
しかし、この提案されたサイジング方法は満足のいくものではない。
【0023】
実際、コアの飽和がエアギャップ付近に留まっていても、エアギャップは磁気損失及び過熱の原因となり、部品全体の動作を妨害する可能性がある。
【0024】
また、これらの磁気損失及び発熱により、このような磁気インダクタの実装が、高周波の電流I、具体的には500kHzに達する電流Iに制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】米国特許第3603864号明細書
【特許文献2】米国特許第5440225号明細書
【特許文献3】米国特許第4728918号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2015/0109086号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2010/0085138号明細書
【非特許文献】
【0026】
【非特許文献1】Jeong et al., “Analysis on Half-Bridge LLC Resonant Converter by Using Variable Inductance for High Efficiency and Power Density Server Power Supply”, 2017 IEEE Applied Power Electronics Conference and Exposition, March 26th-30th, 2017
【非特許文献2】Saeed et al., “Extended Operational Range of Dual-Active-Bridge Converters by using Variable Magnetic Devices”, 2019 IEEE Applied Power Electronics Conference and Exposition, March 17th-21th, 2019
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
従って、本発明の目的は、磁気損失及び加熱が先行技術から公知の装置と比較して低減される可変磁化インダクタンスLを有する電磁誘導装置を提供することである。
【0028】
また、本発明の別の目的は、先行技術から公知の装置よりも高い周波数で動作し得る電磁誘導装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明の目的は、強磁性コアと、可変エアギャップと称される少なくとも1つのエアギャップとを備えた電磁誘導装置により少なくとも部分的に達成され、前記エアギャップは、前記コア内に体積Vを画成し、当該体積V内に強磁性メインプレートが配置されている。当該強磁性メインプレートは互いに略平行で、且つ、前記コア内を流れ得る磁力線に平行な方向に配置されている。前記メインプレートは、前記プレートの全てが前記強磁性コアの飽和磁場よりも低い飽和磁場を有するように構成された断面を有する。また、前記メインプレートには横方向突出部が設けられており、これは、前記メインプレートがその飽和磁場よりも高い磁場により横切られたときに前記メインプレート内で発生し得る熱を放散させるためのものである。前記横方向突出部は、前記プレートの側面から、前記側面に略直交する方向に沿って延在している。
【0030】
一実施形態によれば、前記横方向突出部は、前記メインプレートに対して垂直な二次プレートを形成するように前記メインプレートを対で接続している。
【0031】
一実施形態によれば、前記強磁性コア、前記メインプレート及び前記横方向突出部は同一の強磁性材料から作られる。
【0032】
一実施形態によれば、全てのメインプレートは同一である。
【0033】
一実施形態によれば、前記メインプレート及び前記横方向突出部により空けられた体積Vである空体積Vが、10W/m/Kよりも高い熱伝導率を有するヒートシンク材料により少なくとも部分的に充填される。好ましくは、前記ヒートシンク材料はアルミナを含む。
【0034】
一実施形態によれば、前記強磁性コアは、FeX型の金属合金(Xは、Si、Al、Co、Niから選択される元素の1つを含む)、A(Fe,B)型のスピネル構造のフェライト酸化物(A=(Mn,Ni)、B=(Co,Cu,Al,・・)の中から選択される少なくとも1つの強磁性材料を含む。
【0035】
一実施形態によれば、前記強磁性コアは、本質的に互いに平行な2つの平坦な端部を含み、当該端部は互いに対向し、且つ表面積Sを有する。前記2つの端部は前記可変エアギャップを区画し、前記メインプレートは前記端部に対して垂直に配置されている。前記強磁性コアは、有利には多角形状の、さらに有利には矩形状のフレームを有する。
【0036】
一実施形態によれば、前記メインプレートは、断面表面積Sを有する断面を有し、全てのメインプレートの断面表面積の合計は、前記表面積Sよりも小さい。
【0037】
一実施形態によれば、前記強磁性コアは2つのベースを含み、当該ベースの各々に2つの主面が設けられ、当該主面は、それぞれ、内面及び外面と称される。当該内面と外面とは略平行であり、前記ベースは、前記ベースの内面に沿って互いに向かい合い、前記可変エアギャップが前記ベースの1つに形成されている。前記コアは、さらに、本質的に互いに平行で且つ前記2つの内面の間に延在する複数の脚を含み、当該複数の脚は、少なくとも1つの主脚と、少なくとも1つの側脚と、少なくとも2つの漏洩脚とを含む。前記装置は、少なくとも1つの一次巻線及び少なくとも1つの二次巻線をさらに備え、当該一次巻線と二次巻線の各々が前記主脚の周囲に巻かれたメインセクションと漏洩セクションとを含む。当該漏洩セクションは、それぞれ一次漏洩セクション及び二次漏洩セクションと称され、各々が、異なる漏洩脚に巻き付けられている。
【0038】
一実施形態によれば、前記可変エアギャップは前記2つの漏洩脚の間に配置され、前記一次プレートはフィンの形態である。
【0039】
一実施形態によれば、前記フィンは、前記エアギャップがその間に配置されている2つの漏洩脚を結ぶ軸により画定される方向に沿って配向されている。
【0040】
一実施形態によれば、凹部が、考慮された(considered)ベースの内面に開口している。
【0041】
一実施形態によれば、前記凹部は、前記考慮されたベースの外面に開口している。
【0042】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つの主脚は単一の主脚を含む。前記少なくとも2つの漏洩脚が4つの漏洩脚を含み、前記一次漏洩セクションが2つの一次漏洩セクションを含む。これは、前記一次巻線が、前記一次漏洩セクション、前記メインセクション、及び他方の一次漏洩セクションのうちの1つを順番に含むようになされ、前記一次漏洩セクションの各々は、異なる漏洩脚に巻き付けられている。また、前記二次漏洩セクションは2つの二次漏洩セクションを含み、これは、前記二次巻線が、前記二次漏洩セクション、前記メインセクション、及び他方の二次漏洩セクションのうちの1つを順番に含むようになされ、前記二次漏洩セクションの各々は、異なる漏洩脚に巻き付けられている。
【0043】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つの側脚は4つの側脚を含み、当該4つの側脚と前記4つの漏洩脚とが、前記主脚を中心とする円を描き、前記側脚と前記漏洩脚とは規則的に交互に配置されており、各セクションは、前記主脚に関して二次漏洩セクションに直径方向に対向して配置されている。
【0044】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つの側脚が2つの側脚を含み、前記少なくとも2つの漏洩脚が4つの漏洩脚を含んで、2つの漏洩脚から成る2つのグループを形成し、これらはそれぞれ第1グループ及び第2のグループと称される。前記4つの漏洩脚及び前記2つの側脚は、前記主脚を中心とする円を描き、前記側脚と前記グループとが、規則的に交互に配置されている。
【0045】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つのエアギャップは、前記第1グループ及び前記第2グループのそれぞれの前記漏洩脚の間の中間に配置された第1エアギャップ及び第2エアギャップを含む。
【0046】
一実施形態によれば、前記一次漏洩セクションの各々が、それぞれ、前記第1グループ)の前記漏洩脚のいずれか一方の周りに形成される。前記二次漏洩セクションの各々が、それぞれ、前記第2グループの前記漏洩脚のいずれか一方の周りに形成されている。
【0047】
一実施形態によれば、前記内面のいずれか一方に、溝が、各漏洩脚から所定距離を有して各漏洩脚の周りに形成され得る。この溝は、漏洩脚と主脚との間に介在される。
【0048】
その他の特徴及び利点を、本発明による電磁誘導装置の以下の説明に示す。電磁誘導装置は、非限定的な例として添付図面を参照して与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明による可変エアギャップの概略斜視図である。
図2】本発明による可変エアギャップの別の構造の概略斜視図である。
図3】本発明に関して実施され得る強磁性コアを示す図である。
図4】電磁誘導装置のインダクタンスL(縦軸、単位「H」)の推移を、コイルに流れる電流I(横軸、単位「A」)の関数として示したグラフである。
図5】本発明の第1実施形態による電磁誘導装置の概略斜視図である。
図6a】本発明に関して実施され得るハーフコアの概略側面図である。
図6b】本発明に関して実施され得るハーフコアの概略上面図である。
図7】本発明の第1実施形態による電磁誘導装置の、図6a及び図6bに示したような2つのハーフコアが実装された概略図である。
図8】本発明の第2実施形態の第1変型例による電磁誘導装置の概略図である。
図9】本発明の第2実施形態の第2変型例によるハーフコアの内面に沿った概略断面図である。
図10】本発明の第2実施形態の第2変型例によるハーフコアの概略斜視図である。
図11】本発明の第2実施形態の第2の変型例による巻線が設けられたハーフコアの、内面に沿った断面を示す図である。
図12】冷熱源に接触しているベースの外面に開口しているエアギャップの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明は、放熱手段が設けられた可変エアギャップを備えた電磁誘導装置に関する。
【0051】
詳細には、本発明による装置は、可変エアギャップが収容されるコアを含む。さらに、前記エアギャップは、コアにて発生し得る磁束を導くための第1強磁性プレートを含み、第1強磁性プレートは、コアの飽和に必要な値よりも低い磁束値に対して飽和モードで動作することが意図されている。磁束は、磁気回路の全体を通じて保存性である。
【0052】
本発明の条件による可変エアギャップは、放熱手段を形成している横方向突出部をさらに含み、横方向突出部は、第1プレートの側面から延在している。
【0053】
より詳細には、本発明は、電磁誘導装置100(図1図3)に関する。
【0054】
電磁誘導装置100は、インダクタンスLを有する磁気インダクタであってよく、AC/DC又はDC/DC電力変圧器、特にはDABコンバータに組み込まれる。
【0055】
電磁誘導装置100は、強磁性コア200(図1図2図3に図示)を備える。
【0056】
強磁性コア200は、FeX型の金属合金(Xは、Si、Al、Co、Niから選択される元素の1つを含む)、A(Fe,B)型のスピネル構造のフェライト酸化物(A=(Mn,Ni)、B=(Co,Cu,Al,・・)の中から選択される少なくとも1つの強磁性材料を含む。
【0057】
強磁性コア200は、少なくとも1つの導電性コイル300(又は巻線)に流れる電流Iにより誘導される磁力線により横断され得る。コイル300は強磁性コア200の一部分の周りに形成され、主軸XX’に従って延在している。
【0058】
「主軸」とは、導電性コイルの対称軸を意味すると理解されよう。
【0059】
具体的には、導電性コイル300は、強磁性コア200の一部分の周りに、導電性ワイヤ、例えば銅線を巻回して作られる。
【0060】
また、強磁性コア200は、エアギャップ、より詳細には可変エアギャップ400(図1及び図2)を含む。
【0061】
詳細には、エアギャップ400は、強磁性コア400の凹部又は材料の欠落により形成される。
【0062】
凹部又は材料の欠落により、強磁性コア400を形成している強磁性材料の連続性が分断される。
【0063】
可変エアギャップ400は、除去された又は欠落している材料の体積に対応する体積Vを強磁性コア200内に画成している。
【0064】
強磁性材料から作られたメインプレート500が、可変エアギャップ400により画成される体積V内に配置されている。
【0065】
「プレート」とは、全体的に平坦で薄い形状の要素であると理解されよう。詳細には、プレートは、本質的に互いに平行で、輪郭により接続された2つの側面501を含む。
【0066】
さらに、メインプレート500は本質的に互いに平行であり、強磁性コア200に流入し得る磁力線に平行な方向に従って配置されている。
【0067】
本発明によれば、プレート、特にメインプレートの向きは、その側面501の向きにより定義される。言い換えれば、前記磁力線は、メインプレート500の側面により形成される平面の方向と平行である。
【0068】
また、メインプレート500は、表面積Sを有する断面を有し、この表面積Sは、前記メインプレート500の全てが、飽和磁場Bsat1(第1磁場Bsat1と称する)を有するように適合されている。第1磁場Bsat1は、強磁性コア200の飽和磁場(第2磁場Bsat2と称する)よりも低い。
【0069】
「断面」とは、メインプレートと交差する磁力線に垂直な断面平面に沿った断面を意味すると理解されよう。
【0070】
強磁性コア200を横切る磁場Bの振幅は、コイル300に流れる電流Iに依存する。詳細には、第1磁場Bsat1及び第2磁場Bsat2は、コイル300に流れる電流Iが、それぞれ第1飽和電流Isat1及び第2飽和電流Isat2に等しいときに到達される。
【0071】
従って、電磁誘導装置100の挙動、及び、より詳細にはその磁化インダクタンスLは、コイル300に流れる電流Iに依存することになる。
【0072】
この点に関し、図4は、メインプレート500が全て同一である電磁誘導装置100の異なる動作モードをグラフで表したものである。
【0073】
「同一のメインプレート」とは、同一形状、同一寸法及び同一材料によるプレートを意味すると理解されよう。
【0074】
このような装置100は、コイル300に流れる電流Iに関連する3つの動作モード又はレベル「A」、「B」、「C」を有し、これらはそれぞれ、第1飽和電流Isat1よりも小さいレベル、第1飽和電流Isat1と第2飽和電流Isat2との間に含まれるレベル、及び、第2飽和電流Isat2よりも大きいレベルである。
【0075】
より詳細には、モード「A」は、強磁性コア200及びメインプレート500が飽和していない線形モードに対応している。このモードでは、強磁性コア200及びメインプレート500の透磁率は、コアに流れる磁界にほとんど依存しないか、又は依存せず、従って、インダクションLもまた本質的に一定であり、第1インダクションLに等しい。
【0076】
モード「B」は、インダクタンスLが第2インダクションLまで低下することを特徴とする。
【0077】
詳細には、この低下は、メインプレート500の飽和によるものであり、第1磁場Bsat1よりも高い磁場の影響により、その透磁率が大幅に低下し、1に近い値に達する。
【0078】
最後に、モード「C」は、コイル300に流れる、第2飽和電流Isat2よりも高い電流により生じる強磁性コア200及びメインプレート500の飽和モードに対応している。このモードにおいてインダクタンスLは再び値Lまで低下する。
【0079】
本発明によれば、メインプレート500には、強磁性の横方向突出部600も設けられている。
【0080】
「突出部」とは、配置された面にて突出している部材を意味することが理解されよう。
【0081】
横方向突出部600は、詳細には、メインプレート500がその飽和磁場Bsat1よりも大きい磁場により横切られたときにメインプレート500内で発生しやすい熱を放散させることを目的としている。
【0082】
詳細には、横方向突出部600は、前記メインプレート500の側面501から、前記側面501に本質的に直交する方向に沿って延在している(図1及び図2)。
【0083】
横方向突出部600は、長方形、円形、正方形、三角形の断面を有し得る。
【0084】
横方向突出部600は、メインプレート500に垂直な二次プレート700を形成するように、メインプレート500を対(ペア)で接続し得る(図2)。
【0085】
特に有利な方法において、二次プレート700は、コアに流れる磁場が第2磁場Bsat2よりも低いときに飽和しないような寸法になっている。従って、メインプレート500が飽和すると、二次プレート700は、エアギャップ領域周辺の磁束のオーバーフローを制限する。言い換えれば、二次プレート700は、エアギャップ内の磁束の誘導を確実にし、事実上、磁場の横方向放射を制限する。
【0086】
さらに、横方向突出部は、可変エアギャップにより画成される体積Vに制限され得る。
【0087】
有利には、強磁性コア200、第1プレート500及び横方向突出部600は同一の強磁性材料から作られる。
【0088】
さらに有利には、第1プレート500及び突出部600により空けられた体積Vである空体積Vは、10W/m/Kよりも高い熱伝導率を有する放熱材料601(図5)により少なくとも部分的に充填され得る。有利には、放熱材料はアルミナを含む。
【0089】
放熱材料の存在により、エアギャップにて生成された熱をヒートシンクに向けて排出することで、横方向突出部600による冷却を補助できる。
【0090】
電磁誘導装置100の第1実施形態によれば、強磁性コア200は、表面積Sを有する2つの平坦な端部200a,202bを含み、これらの端部は本質的に互いに平行であり、互いに対向している。
【0091】
端部200a,202bは可変エアギャップ400を区画し、メインプレート500は端部200a,202bに対して垂直に配置されている。
【0092】
メインプレート500は、断面表面積Sを有する断面を有し、全てのメインプレートの断面表面積の合計は、表面積Sよりも小さい。
【0093】
強磁性コアは、多角形状の、さらに有利には矩形状のフレームを含み得る。
【0094】
例えば、図5に示すように、磁性コア200は、強磁性材料から構成された5つの平行六面体セクション201~205を含み、これらの平行六面体セクションは、それらの端部が、矩形フレームを形成するように対で接合されている。2つのセクション204と205とが矩形フレームの一辺を形成し、それらの端部200a及び200bにてエアギャップ400により(間隔gを有して)離間されている。
【0095】
本発明による装置のサイジングの原理を、以下に、正方形のサイドフレームを形成し/且つ図5に示されているコアに基づいて提示する。しかしこのサイジング原理はこの構成のみに限定されず、当業者は、他のタイプのコアの形状寸法に容易に適応させ得る。
【0096】
この例では、同一の一次プレート500が、間隔gを有する端部200aと200bとを接続している。端面領域200a及び200bの、一次プレートの一部分により覆われている割合が符号fで示されている。
【0097】
そして、透磁率μの強磁性材料から作られた一次プレートのみが設けられたエアギャップ構造のリラクタンスRは、以下のように表される。
【数1】
【0098】
二次プレートが考慮されている限り、エアギャップ構造のリラクタンスは、リラクタンスネットワーク法を構造の構成要素の各々に適用することにより簡単に計算される。これらのプレートの厚さは記号eで示され、間隔gと比較して小さい(ep<<g)。
【0099】
さらに、二次プレートは、透磁率μの強磁性材料を含み、エアギャップを、直列に配置された複数の二次エアギャップに分割する。
【0100】
従って,各二次エアギャップのリラクタンスResは,以下のように表される。
【数2】
【0101】
一次プレート及び二次プレートを含むエアギャップ構造の合計リラクタンスは、プレートを分離しているN二次リラクタンスの合計である。すなわち、
【数3】
【0102】
これらの式から、図5に示した装置のインダクタンスL(μ,μ)を推論でき、それは以下のように表される。
【数4】
【0103】
このインダクタンスの式は,その間隔gが項F(μ,f)で重み付けされる一定のエアギャップの場合に得られる式と同一である。
【0104】
従って、この項は、インダクタンスの値に現れるエアギャップの距離の変更を、磁気回路の形状寸法を変更せずに可能にする。このためには、一次プレートの透磁率μを、印加される電流の関数として変化させることが必要である。
【0105】
表面積Sと比較して相対的に小さい表面積を有する断面を有する一次プレートは、磁束保存則に従って、コアを横切る磁気誘導よりも高い磁気誘導により横切られる。このような考慮により、特に一次プレート500において、局所的に飽和作用を生じさせることができる。
【0106】
一次プレートにおける磁気誘導Bstは、強磁性コアでの磁気誘導Bの増幅に対応している。この増幅は、表面積率fの関数であり、以下の関係で与えられる。
【数5】
【0107】
コイルに流れる電流Iが増大すると、磁気誘導も増大する。しかし、コイルに流れる電流Iが飽和電流Isatに達するとすぐに、一次プレートの磁気誘導は飽和値Bsatに達し、一方、強磁性コアはリニアモードのままである。
【0108】
これに関し、飽和電流の値は以下の関係で与えられる。
【数6】
【0109】
飽和電流Isatよりも高い電流の場合、一次プレートの透磁率μは1に等しい。電流制御により得られるであろうインダクタンス変動の振幅を求めるために、飽和を除いた低誘導(I<<Isat)での公称動作に続いて、一次プレートで飽和が発生する高誘導(I>>Isat)での動作(μ=1)が考慮される。これら2つの極端なケース間のインダクタンスの変動が、以下の式で与えられる。
【数7】
【0110】
図6a、図6b、図7は、電磁誘導装置100の第1実施形態に関連する強磁性コアの別の構成を示している。この別の構成において、強磁性コアは2つのハーフコア200及び200を含み、これらは、当業者に公知のETDタイプ(円筒状の中央脚を有するダブルE)のコアである。
【0111】
強磁性ハーフコアの測定結果が図6a、図6bに関して得られ、以下の表で報告する。
【表1】
【0112】
2つの同一のハーフコアは、エアギャップが中央の柱207(図7)に形成された状態で、互いに対向するように取り付けられている。この例では、エアギャップの間隔gは5mmに等しい。
【0113】
エアギャップ構造は、等間隔に配置された厚さ0.41mmの一次プレート(21.65mm×5mm)5枚と、厚さ1mmの二次プレート(21.65mm×21.65mm)2枚とを含む。
【0114】
強磁性材料の透磁率は1500であり、飽和誘導は430mTである。中心柱207に導電性ワイヤが5ターン巻かれている。
【0115】
これらの条件下で,飽和電流は6Aである。Isatよりも低い電流の場合,コアのインダクタンスは16mHであり,一次プレートの飽和後は3mHに減少する。二次プレートにより展開される熱交換面が,自然対流による冷却を向上させて、構造体内での加熱を100℃に抑えることを可能にしている。
【0116】
以下の説明は、電磁誘導装置100の第2実施形態に関する。
【0117】
詳細には、この第2実施形態に対応する電磁誘導装置100は、「デュアル・アクティブ・ブリッジ」(DAB)タイプの電力コンバータの構成要素として実装されることができ、上述の要素を本質的に包含している。
【0118】
この点に関し、図8及び図9図11は、この第2実施形態の第1変型例及び第2変型例のそれぞれに従って実施され得るハーフコア200及び200の平面概略図である。
【0119】
この第2実施形態によれば、強磁性コア200は、2つのハーフコア200及び200から成る組立体を含む。
【0120】
この点に関し、強磁性コア200は2つのベース101を含み、これらの各々に2つの主面が設けられている。これらの面をそれぞれ内面101a及び外面101bと称し、これらは本質的に平行である。
【0121】
ベースは、その内面101aに沿ってそれぞれ互いに向かい合い、可変エアギャップ400が、ベースの1つに、より詳細にはその体積内にある。
【0122】
コアは、さらに複数の脚を含み、これらの脚は本質的に互いに平行であり、2つの内面101aの間に延在している。
【0123】
複数の脚は、少なくとも1つの主脚102と、少なくとも1つの側脚103と、少なくとも2つの漏洩脚104及び105とを含む。
【0124】
この装置は、さらに、少なくとも1つの一次巻線301と、少なくとも1つの二次巻線302とを含む。
【0125】
一次巻線301と二次巻線302の各々は、主脚102の周囲に巻かれたメインセクションと、漏洩セクションとを含み、漏洩セクションは、それぞれ一次漏洩セクション及び二次漏洩セクションと称され、各々が、異なる漏洩脚104及び105に巻き付けられている。
【0126】
有利には、可変エアギャップ400は2つの漏洩脚の間に配置されており、一次プレートはフィンの形態である。
【0127】
さらに有利には、フィンは、エアギャップがその間に配置された2つの漏洩脚を結ぶ軸により画定される方向に従って配向される。
【0128】
さらに、凹部は、エアギャップを含むベースの内面及び外面のいずれか一方につながり得る。
【0129】
この点に関し、図12は、冷熱源に接触しているベース101の外面101bに開口しているエアギャップ400の概略図を示している。
【0130】
強磁性コアは、1本の主脚102と、合計4本の漏洩脚104及び105とを含み得る。
【0131】
この点に関し、一次漏洩セクションが2つの一次漏洩セクションを含み、これは、一次巻線301が、一次漏洩セクション301a、メインセクション301b、及びその他の一次漏洩セクション301cのうちの1つを順番に含むようになされ、一次漏洩セクションの各々が、異なる漏洩脚に巻き付けられている。
【0132】
同様に、二次漏洩セクションが2つの二次漏洩セクションを含み、これは、二次巻線302が、二次漏洩セクション302a、メインセクション302b、及びその他の二次漏洩セクション302cのうちの1つを順番に含むようになされ、二次漏洩セクションの各々が、異なる漏洩脚に巻き付けられている。
【0133】
第1変型例(図8)によれば、少なくとも1つの側脚103は、4つの側脚103を含む。
【0134】
より詳細には、4つの側脚103と4つの漏洩脚104,105とが、主脚102を中心とする円を描き、そこに側脚と漏洩脚が規則的に交互に配置されている。各一次漏洩セクションは、さらに、主脚に対して二次漏洩セクションの1つに直径方向に対向して配置されている。
【0135】
ここまで記載した装置は、変圧器機能と直列インダクタ機能を含む。
【0136】
変圧器機能は、主脚を取り囲んでいる一次巻線301及び二次巻線302のそれぞれのメインセクション301b,302bにより保証される。
【0137】
一次巻線と二次巻線に生じる直列インダクタンスは、一次漏洩セクション301a及び301cと二次漏洩セクション302a及び302cにより保証される。
【0138】
こうして、一次巻線に電流を流すことにより主脚に生じる「変圧器磁束」と称される磁束が、ベース、側脚、他方のベースを連続的に通過して、再び主脚を横切るループ状の経路を辿る。
【0139】
同様に、一次「漏洩」流が、一次回路の2つの漏洩脚を結ぶ別の輪郭を流れる。この輪郭は、円筒形のベースを、その厚さ方向に、2つの一次漏洩脚のベースを結ぶ線に沿って横切る。二次漏洩流も、2つの二次漏洩脚により描かれる同様の輪郭を流れる。
【0140】
2つの漏洩脚の間のエアギャップを可変にすることで、可変漏洩インダクタの性質を装置に与えることができる。
【0141】
同様に、可変エアギャップを2つの二次漏洩脚間に設けることで、可変漏洩インダクタの性質を装置に与えることができる。
【0142】
第2変型例(図9図11)によれば、強磁性コアは、2つの側脚103と、4つの漏洩脚104及び105とを含む。
【0143】
2つの漏洩脚104と2つの漏洩脚105とは、それぞれ第1グループ106、第2グループ107と称される、2つの漏洩脚から成る2つのグループを形成している。
【0144】
さらに、4つの漏洩脚と2つの側脚は、主脚を中心とした円を描き、そこに側脚と前記グループとが規則的に交互に配置されている。
【0145】
有利には、少なくとも1つのエアギャップ400は、第1グループ106及び第2グループ107のそれぞれの漏洩脚の間の中間に配置された第1エアギャップ401及び第2エアギャップ402を含む。
【0146】
詳細には、一次漏洩セクションの各々が、それぞれ、第1グループの漏洩脚の一方及び他方の漏洩脚の周囲に形成されている。
【0147】
同様に、二次漏洩セクションの各々は、それぞれ、第2グループ107の漏洩脚の一方及び漏洩脚の他方の周囲に形成されている。
【0148】
この第2変型例によれば、同一グループの漏洩脚同士が近接していることで、漏洩をより正確に制御できる。
【0149】
また、漏洩脚と側脚との間の磁束を制限するように、フラックスバリア800もベース101に形成され得る。詳細には、これらのフラックスバリア800は、第1グループ106の要素の各々と第2グループ107の要素の各々と側脚との間の凹部領域を含み得る。
【0150】
詳細には、凹部領域は、縁から、考慮されたベースの半径に沿って延在し得る。
【0151】
最後に、考慮される変型例に関わらず、内面のいずれか一方に、溝が、各漏洩脚から所定距離を有して各漏洩脚の周りに形成され得る。この溝は、漏洩脚と主脚との間に介在される。
【0152】
本発明によるコアの製造工程は、射出成形技術(「PIM」すなわち「粉末射出成形」)を含み得る。この技術は、複雑な形状を有する部品の大量生産に特に非常に適している。
【0153】
射出成形では、最初に、原料を成形するステップを実行する。
【0154】
詳細には、原料は、最終部品を形成するための有機材料(又は高分子バインダー)と無機粉末(金属又はセラミック)との混合物を含む。
【0155】
原料を射出成形機に注入し、その技術は当業者に公知である。射出成形機により、粉末と共に射出されたポリマーをキャビティ内で溶融し、前記粉末に所望の形状を与えることができる。
【0156】
こうして成形及び溶解された原料を冷却して固化させ、射出成形機により与えられる形状に固定する。
【0157】
その後、原料から形成された部品を、有機物を除去するために脱型及び脱バインダーする。
【0158】
その後、部品を焼結により固め得る。
【符号の説明】
【0159】
100:電磁誘導装置
102:主脚
103:側脚
104:漏洩脚
105:漏洩脚
200:強磁性コア
300:コイル
301a:一次漏洩セクション
301b:メインセクション
301c:一次漏洩セクション
302a:二次漏洩セクション
302b:メインセクション
302c:二次漏洩セクション
400:可変エアギャップ
500:強磁性メインプレート
501:側面
600:横方向突出部
700:二次プレート
800:フラックスバリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】