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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-24
(54)【発明の名称】ケーブルネジ接続システム
(51)【国際特許分類】
   H02G 15/013 20060101AFI20230117BHJP
   F16B 2/06 20060101ALI20230117BHJP
   F16B 37/08 20060101ALI20230117BHJP
   F16B 39/282 20060101ALI20230117BHJP
   F16B 37/00 20060101ALI20230117BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20230117BHJP
   H02G 15/02 20060101ALI20230117BHJP
   H02G 3/22 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
H02G15/013
F16B2/06 A
F16B37/08 Z
F16B39/282 Z
F16B37/00 B
F16B35/00 Y
H02G15/02
H02G3/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529358
(86)(22)【出願日】2020-11-16
(85)【翻訳文提出日】2022-07-15
(86)【国際出願番号】 EP2020082259
(87)【国際公開番号】W WO2021099266
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】BE2019/5803
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504019733
【氏名又は名称】フェニックス コンタクト ゲーエムベーハー ウント コムパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・シュリューター
(72)【発明者】
【氏名】アンチェ・スコウラネク
【テーマコード(参考)】
3J022
5G363
5G375
【Fターム(参考)】
3J022DA11
3J022DA17
3J022EA41
3J022EB02
3J022EC02
3J022FB03
3J022FB07
3J022FB12
3J022FB17
3J022GA00
3J022GA06
3J022GA14
5G363AA16
5G363BA01
5G363CA01
5G363CA12
5G363CB01
5G375AA02
5G375BA02
5G375BB01
5G375BB29
(57)【要約】
本発明は、ハウジング壁に配置させるためのケーブルグランドシステムであって、ケーブルを受容するための開口部と、ハウジング壁の第1の側面で支持するための第1の支持面と、第1の端部領域及び第1の端部領域の反対側に位置する第2の端部領域と、を有している案内要素であって、少なくとも1つの雄ネジ部が、少なくとも第1の端部領域の周囲に配置されている、案内要素と、ハウジング壁の第2の側面で支持するための第2の支持面と、締結要素の内面に配設されている雌ネジ部と、を有している締結要素であって、雌ネジ部が、螺合状態において案内要素の雄ネジ部と係合するように構成されている、締結要素と、を備えているケーブルグランドシステムにおいて、接触構造を有する少なくとも1つの接触面がそれぞれ、雄ネジ部と締結要素の内面とに隣り合った状態で、案内要素の周囲に配置されており、接触面が、螺合状態において互いに機械的に接触するように構成されていることを特徴とするケーブルグランドシステム。また、本発明は、ケーブルネジ接続システムのための案内要素及び締結要素に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング壁(11)に配置させるためのケーブルグランドシステムであって、
ケーブルを受容するための開口部(19)と、前記ハウジング壁(11)の第1の側面で支持するための第1の支持面(13)と、第1の端部領域(5)及び前記第1の端部領域(5)の反対側に位置する第2の端部領域(7)と、を有している案内要素(3)であって、少なくとも1つの雄ネジ部(17)が、少なくとも前記第1の端部領域(5)の周囲に配置されている、前記案内要素(4)と、
前記ハウジング壁(11)の第2の側面で支持するための第2の支持面(25,25′,25′′,25′′′,25′′′′)と、締結要素の内面に配設されている雌ネジ部(23,23′,23′′,23′′′,23′′′′)と、を有している前記締結要素(21,21′,21a′′,21a′′′,21b′′,21′′′′)であって、前記雌ネジ部(23,23′,23′′,23′′′,23′′′′)が、螺合状態において前記案内要素(3)の前記雄ネジ部(17)と係合するように構成されている、前記締結要素(21,21′,21a′′,21a′′′,21b′′,21′′′′)と、
を備えている前記ケーブルグランドシステムにおいて、
接触構造を有する少なくとも1つの接触面(27a,27b,27b′,27b′′,27b′′′,27b′′′′)がそれぞれ、前記雄ネジ部(17)と前記締結要素(21,21′,21a′′,21a′′′,21b′′,21′′′′)の前記内面とに隣り合った状態で、前記案内要素(3)の周囲に配置されており、
前記接触面(27a,27b,27b′,27b′′,27b′′′,27b′′′′)が、螺合状態において互いに機械的に接触するように構成されていることを特徴とするケーブルグランドシステム。
【請求項2】
前記接触面(27a,27b,27b′,27b′′,27b′′′,27b′′′′)が、前記接触構造としてローレットを有していることを特徴とする請求項1に記載のケーブルグランドシステム。
【請求項3】
前記雌ネジ部(23,23′,23′′)が、第1の個別ネジターン又は前記第1の個別ネジターンの少なくとも部分領域を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のケーブルグランドシステム。
【請求項4】
前記雌ネジ部(23)が、前記第1の個別ネジターンの分断部によって分離された、前記第1の個別ネジターンの少なくとも2つの径方向において対向する部分領域を備えていることを特徴とする請求項3に記載のケーブルグランドシステム。
【請求項5】
前記雌ネジ部(23′′)が、前記第1の個別ネジターンの分断部によって分離された、同一の長さ又は異なる長さの前記第1の個別ネジターンの複数の部分領域を備えていることを特徴とする請求項3に記載のケーブルグランドシステム。
【請求項6】
前記雌ネジ部(23′′′,23′′′′)が、第2の個別ネジターン又は前記第2の個別ネジターンの少なくとも部分領域を備えており、
前記第1の個別ネジターンの部分領域と前記第2の個別ネジターンの部分領域とが、同一の構成とされ、軸線方向において隣り合った状態で前記締結要素(21a′′′,21′′′′)の前記内面に配置されていることを特徴とする請求項3~5のいずれか一項に記載のケーブルグランドシステム。
【請求項7】
前記雄ネジ部(17)と前記雌ネジ部(23,23′,23′′,23′′′,23′′′′)とがそれぞれ、並目ネジとして構成されていることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のケーブルグランドシステム。
【請求項8】
前記締結要素(21,21′,21a′′,21a′′′,21b′′,21′′′′)の前記第2の支持面(25,25′,25′′,25′′′,25′′′′)において、螺合状態において前記案内要素(3)に対して平行に延在している少なくとも1つのスロット状の凹所(33,33′,33′′,33′′′,33′′′′)が、前記締結要素(21,21′,21a′′,21a′′′,21b′′,21′′′′)に設けられていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のケーブルグランドシステム。
【請求項9】
前記凹所(33,33′,33′′,33′′′,33′′′′)が、前記締結要素(21,21′,21a′′,21a′′′,21b′′,21′′′′)の前記接触面(27a,27b,27b′,27b′′,27b′′′,27b′′′′)の周囲に円状に少なくとも部分的に延在しており、
突出するカラー(35,35′,35′′,35′′′,35′′′′)が、前記第2の支持面(25,25′,25′′,25′′′,25′′′′)に窪んだ状態で配置されていることを特徴とする請求項8に記載のケーブルグランドシステム。
【請求項10】
少なくとも2つの隆起部(29a,29b)が、前記第1の端部領域(5)の方向において前記第1の支持面(13)に配置されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載のケーブルグランドシステム。
【請求項11】
前記隆起部(29a,29b)が、径方向において対向して前記第1の支持面(13)に配置されていることを特徴とする請求項10に記載のケーブルグランドシステム。
【請求項12】
前記締結要素(21a′′,21a′′′,21b′′)が、二分割式で構成されており、2つの半体を備えており、
前記半体が、特にラッチ接続を介して互いに相互接続するように構成されていることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項に記載のケーブルグランドシステム。
【請求項13】
雌ネジ部(23,23′,23′′,23′′′,23′′′′)と雄ネジ部(17)との噛み合い領域が、少なくとも部分的に粗面化されており、平均表面粗さRz20~30、好ましくはVDI3400等級36に従った粗さを有していることを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載のケーブルグランドシステム。
【請求項14】
バネ接続要素(31a,31b)が、前記案内要素(3)の前記第2の端部領域(7)に配置されていることを特徴とする請求項1~13のいずれか一項に記載のケーブルグランドシステム。
【請求項15】
ケーブルグランドシステムのための、特に請求項1~14のいずれか一項に記載のケーブルグランドシステムのための案内要素であって、
ケーブルを受容するための開口部(19)と、
ハウジング壁(11)の一の側面で支持するための支持面(13)と、
第1の端部領域(5)及び前記第1の端部領域(5)の反対側に位置する第2の端部領域(7)と、
を備えている前記案内要素において、
雄ネジ部(17)が、少なくとも前記第1の端部領域(5)の周囲に配置されており、
接触構造を有する少なくとも1つの接触面(27a)が、前記雄ネジ部(17)に隣り合った状態で前記案内要素の周囲に配置されていることを特徴とする案内要素。
【請求項16】
ケーブルグランドシステムのための、特に請求項1~14のいずれか一項に記載のケーブルグランドシステムのための締結要素であって、
ハウジング壁(11)の一の側面で支持するための支持面(25,25′,25′′,25′′′,25′′′′)と、
前記締結要素の内面に配設されている雌ネジ部(23,23′,23′′,23′′′,23′′′′)であって、前記雌ネジ部(23,23′,23′′,23′′′,23′′′′)が、螺合状態において、案内要素(3)の、特に請求項15に記載の案内要素の雄ネジ部(17)と係合するように構成されている、前記雌ネジ部(23,23′,23′′,23′′′,23′′′′)と、
を備えている前記締結要素において、
接触構造を有する少なくとも1つの接触面(27b,27b′,27b′′,27b′′′,27b′′′′)が、前記内面に配置されていることを特徴とする締結要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング壁に配置するためのケーブルグランドシステム、ケーブルグランドシステムのための案内要素、及びケーブルグランドシステムのための締結要素に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルグランドシステムは、例えば、太陽光発電の分野で利用されており、例えば、ハウジング壁を貫通させて1つ以上の太陽電池モジュールをインバータに接続するために利用される。
【0003】
ケーブルグランドの案内要素の一方の端部が、ハウジング壁の開口部を貫通して挿入され、ケーブルグランドの案内要素は、案内要素の第1の支持面と案内要素に固定された締結要素の第2の支持面との間においてハウジング壁に固定可能とされる。ケーブルを受容可能な若しくは受容する、及び/又は、ケーブルを案内する際に通過する開口部は、ケーブルグランドシステムを部分的に又は完全に貫通して延在している。一般に、このようなケーブルグランドシステムは、同時に、螺合されたケーブルの張力を緩和させる。例えば特許文献1は、ケーブルグランドシステムを開示している。
【0004】
さらに、ケーブルグランドシステムは、ケーブルを相手側プラグインコネクタ部分と接触させるために、プラグインコネクタ部分を形成している。
【0005】
通常、ケーブルグランドシステムは、ハウジング壁の開口部に固定される。ケーブルグランドシステムの案内要素は、開口部を通じて案内される端部に、雄ネジ部を有しており、例えばナットのような取付要素が、当該端部が開口部を通じてハウジングの内部に、例えばインバータのハウジングの内部に案内された後に、当該雄ネジ部に螺合されるからである。ここで、締結要素を螺合することによって、案内要素の第1の支持面は、ハウジング壁の反対方向に引かれ、ハウジング壁において且つ第1の支持面と第2の支持面との間において締結要素に締結される。
【0006】
社内の実務経験から、出願人は、細目ネジ部を有するケーブルグランドシステムを認識している。特に、アクセス性の悪い取付領域では、ケーブルグランドシステムをハウジング壁に固定するために多大な労力が必要とされる。取付具を数回付け直す必要があるからである。また、ケーブルグランドシステムの座がハウジングの揺れや振動に起因して緩むので、ハウジング壁に対するケーブルグランドシステムの固定接続が緩む。さらに、既知のケーブルグランドシステムは、その構造が複雑であることに起因して、製造コストを要することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】独国特許出願公開第2016118521号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、簡便、迅速、且つ、確実に取付可能であって、製造コストが低い改良型ケーブルグランドシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
当該目的は、請求項1に規定される特徴を有している物品によって達成される。
【0010】
従って、ハウジング壁に配置するためのケーブルグランドシステムであって、ケーブルを受容するための開口部と、ハウジング壁の第1の側面に支持するための第1の支持面と、第1の端部領域及び反対側の第2の端部領域とを具備する案内要素であって、雄ネジ部が少なくとも第1の端部領域の周囲に配置されている、案内要素と;ハウジング壁の第2の側面に支持するための第2の支持面と、内面に配設された雄ネジ部とを具備する締結要素であって、雌ネジ部が、螺合状態の場合に案内要素の雄ネジ部と係合するように構成されており、接触構造を有する少なくとも1つの接触面が、案内要素の周囲に配置されており、雄ネジ部に隣接しており、且つ、締結要素の内面に配置されており、螺合状態にある場合に接触面が互いに機械的に接触するように構成されている、締結要素と:を備えているケーブルグランドシステムが提供される。
【0011】
案内要素は、ハウジング壁の開口部を通じて挿入するためのスリーブの形態に構成されている。電気ケーブル又は光ケーブルが、案内要素の例えば貫通開口部として構成された開口部の内部に又は当該開口部を通じて案内される。案内要素は、例えばディスク状の形態に構成されている第1の支持面を有しており、第1の支持面の直径は、ハウジング壁の開口部の直径より大きい。しかしながら、第1の支持面は、ハウジング壁の開口部に少なくとも部分的に重なるのであれば、異なる形状であっても良い。
【0012】
雄ネジ部は、貫通開口部の周囲において少なくとも部分的に、且つ、案内要素の第1の端部領域の方向において、好ましくは第1の支持面に隣接して配置されている。雄ネジ部は、一のネジターン又は幾つかのネジターンを有しており、且つ、連続的に構成されているか、又はネジの経路に沿った分断部を有している。
【0013】
締結要素は、“壁固定具(wall fastening)”とも呼称され、1つ以上の部品から構成されている。例示的には、締結要素は、保持ナットの形態に構成されている。締結要素の内面は、締結要素を通じて延在している円柱状の開口部を形成するように構成されている。
【0014】
締結要素が案内要素に完全に螺合されている状態は、“螺合状態”と呼称される。第2の支持面は、例えばハウジング壁の開口部と重なり合う形状を有する平坦面として、案内要素に向かって面している締結要素の端面に形成されている。例えば、第2の支持面は、ディスク上の形態に構成されており、第2の支持面の直径は、ハウジング壁の開口部の直径より大きい。これにより、螺合状態において、締結要素は、案内要素をハウジング壁に固定し、案内要素及びハウジング壁と機械的に接触可能となる。
【0015】
さらに、接触構造を有する少なくとも1つの接触面がそれぞれ、好ましくは第2の端部領域の方向において締結要素の雄ネジ部及び内面に隣接して、案内要素の周囲に配置されており、螺合状態において接触面同士が互いに機械的接触するようになっている。一の実施例では、螺合状態において、案内要素の接触面は、第1の端部領域の方向において雄ネジ部に隣接して、締結要素の対応して配置された接触面と機械的に接触している。接触面は、非常に粗い表面によって形成されており、さもなければ、例えば螺合状態において互いに機械的に接触するようになっているローレットのような、機械工作により精細に形成された輪郭を有している。これに関連して、接触面は、係止面及び/又は摩擦面とも呼称され、接触構造は、係止構造及び/又は摩擦構造と呼称される。
【0016】
これにより、優位には、締結要素は、螺合状態において案内要素に固定されるので、結果として得られる接続の品質は、少なくとも締結要素の細目ネジとの接続に相当する。しかしながら、案内要素に対する締結要素の長い螺合が不要となるにもかかわらず、確実な保持を確保することができる。
【0017】
一の実施例では、接触面は、接触構造としてローレットを有している。
【0018】
“ローレット”との用語は、互いに対して平行に延在するか又は交差する溝又はノッチのパターンを意味することに留意すべきである。特に、“ローレット”は、歯の山又は歯の谷によって形成されている。優位には、案内要素の周囲に形成されたローレットと締結要素に形成されたローレットが、締結要素の螺合解除が顕著に困難になるように、締結要素の螺合の際に互いに対して噛み合うことができる。さらに優位には、例えば振動の作用下において、螺合状態にある締結要素の意図しない緩みを顕著に防止することができる。
【0019】
一の実施例では、雌ネジ部が、第1の個別ネジターン又は第1の個別ネジターンの少なくとも部分領域を備えている。
【0020】
個別ネジターンは、締結要素の内面に所定のピッチで360°の周方向の螺旋状線であることに留意すべきである。個別ネジターンの部分領域は、“フランクリブ”とも呼称される。一の実施例では、雌ネジ部は、第1の個別ネジターンのみを備えている。
【0021】
優位には、雌ネジ部のこのような構成によって、取付時間が短縮される。また、工具に複雑な折り畳み可能なコアが必要であることを考慮すると、細目ネジと比較して、ケーブルグランドシステムの製造工具、例えばプラスチック工具の製造は、よりコスト効果に優れた方法で実現される。
【0022】
一の実施例では、雌ネジ部は、ネジターンの中断部によって分離された、第1の個別ネジターンの少なくとも2つの径方向に対向する部分領域を備えている。代替的な実施例では、雌ネジ部は、ネジターンの中断によって分離された、同一の長さ又は異なる長さの第1の個別ネジターンの複数の部分領域を備えている。
【0023】
所望の適用分野に従って、ネジターンの部分領域の数及びネジターンの部分領域それぞれの長さは別々に選択可能である。
【0024】
一の実施例では、雌ネジ部は、第2の個別ネジターン又は第2の個別ネジターンの少なくとも部分領域を備えており、第1の個別ネジターンの部分領域と第2の個別ネジターンの部分領域とは同一に構成されており、軸線方向において隣り合った状態で締結要素の内面に配置されている。
【0025】
例えば、2つの360°周方向螺旋状線が周囲に配置されている。当該実施例では、部分領域は、二重に機能し、軸線方向において互いに隣り合った状態で締結要素の内面に沿って配置されている。
【0026】
優位には、第2の個別ネジをさらに配置させることによって、ネジ接続の品質はさらに向上する。
【0027】
一の実施例では、雄ネジ部及び/又は雌ネジ部は、並目ネジ(steep thread)として構成されている。例えば、雄ネジ部のネジピッチは、コア直径の3分の1~4分の1に相当する範囲内にある。
【0028】
優位には、ケーブルグランドシステムにおける既知のネジピッチと比較して、締結要素は、このような並目ネジを介して、より簡便且つ迅速に案内要素に螺合される。
【0029】
一の実施例では、締結要素の少なくとも1つのスロット状の凹所が、締結要素の第2の支持面に配設されており、当該凹所は螺合状態において案内要素に対して平行に延在している。
【0030】
締結要素の“呼吸領域(breathing region)”として知られている領域は、このようなスロット状の凹所によって実現される。これにより、優位には、案内要素に対する締結要素の着座がさらに改善される。例えば、接触面を有している締結要素の一部分が、凹所によって容易に広げられるので、堅固且つ確実な着座が実現されるまで容易に螺合させることができる。従って、工具を利用しなくても手作業で締結要素をねじ込むことができる。
【0031】
例えば、凹所は、締結要素の接触面を少なくとも部分的に円状に囲んでいる。突出したカラーが、第2の支持面に窪んだ状態で配置されている。例えば、その結果として形成されたカラーは、円筒状に構成されており、第2の支持面に1ミリメートル~数ミリメートルの範囲で窪んだ状態で配置されている。
【0032】
優位には、このように凹んでいるか又は後方に配置されているカラーによって、締結要素が案内要素に螺合される場合に、ネジ山同士が互いに良好に支持される。
【0033】
一の実施例では、少なくとも1つの隆起部又は少なくとも2つの隆起部が、第1の端部領域の方向において第1の支持面に配置されている。
【0034】
隆起部は、棘状に構成されているか、又は第1の支持面の部分領域に配置された平坦な表面とされる。適用分野に従って、隆起部は、又は第1の支持面の領域に環状に若しくは周囲に配置されているか、又は支持面に円周方向リングの形態で配置されている。
【0035】
優位には、隆起部は、第1の支持面又はシールの圧縮損傷から保護するように機能し、一の実施例では、第1の支持面に配置されており、取付状態において、第1の支持面とハウジング壁との間に配置されている。一の実施例では、ケーブルグランドシステムは、シールを含んでいる。さらに、隆起部は、特に手作業でケーブルグランドを取り付ける場合に、設置者にフィードバックを付与するように機能する。例えば、ケーブルグランドシステムがトルクレンチで締め付けられない場合には、例えば、ハウジング壁に対する隆起部の当接が、取り付けられたシールが十分に緊密に圧縮されており、当該シールがシール機能を十分に果たしていることを設置者に示すことができる。隆起部は、数mmの面積を占めており、1mm又は数mmの高さを有している。隆起部が支持面に配置されていない場合には、所定の締付トルクによって、取り付けられたシールが過度に圧縮されないことのみが保証される。優位には、少なくとも1つの隆起部又は少なくとも2つの隆起部を配置することによって、手作業で取り付ける場合におけるシールの過度の圧縮を防止することができる。
【0036】
例えば、隆起部は、径方向において互いに対して対抗した状態で第1の支持面に配置されている。
【0037】
一の実施例では、締結要素は、二分割式で構成されており、2つの半体を備えている。これにより、例えば、半体は、特にラッチ接続を介して互いに相互接続可能であるように構成されている。
【0038】
例えば、2つの半体は、最初に案内要素の雄ネジ部の領域に押し込まれ、その後に、2つの半体におけるネジターン又はネジターンの部分領域が案内要素の雄ネジ部に接触又は係合するまで、互いに対して相対的に移動可能とされる。相互接続によって、2つの半体は互いに相互接続される。
【0039】
これにより、優位には、締結要素は、より迅速且つ確実に案内要素に配置される。
【0040】
一の実施例では、雌ネジ部と雄ネジ部との噛み合い領域が、少なくとも幾つかの領域において粗面化されており、例えば平均表面粗さRz20~30、好ましくはVDI3400等級36の準拠の粗さを有している。
【0041】
VDI3400等級36に準拠する特定の粗さが、1975年6月に発行されたガイドラインVDI3400に記載されている。
【0042】
優位には、雌ネジ部と雄ネジ部との相互接続領域及び/又は接触面の相互接触領域から成る粗面化された実施例によって、案内要素と締結要素との接続はさらに改善される。
【0043】
案内要素の第2の端部領域は、対応する相手側プラグインコネクタ部品に差し込むことができるプラグインコネクタ部品として構成されている。一の実施例では、バネ接続要素が、案内要素の第2の端部領域に配置されている。
【0044】
優位には、バネ接続要素を有する実施例によって、案内要素は、プラグイン接続の第1の構成要素とされ、第2の構成要素は、簡便に2つの構成要素を差し込むために、対応する接続要素を有している。
【0045】
また、本発明は、ケーブルグランドシステムのための、特に本明細書に記載のケーブルグランドシステムのための案内要素であって、ケーブルを受容するための貫通開口部と、ハウジング壁の一方の側面を支持するための支持面と、第1の端部領域及び反対側の第2の端部領域とを有している案内要素において、雄ネジ部が、少なくとも第1の端部領域の周囲に配置されており、接触構造を有する少なくとも1つの接触面が、外部ネジに隣接して案内要素の周囲に配置されている、案内要素に関する。
【0046】
さらに、本発明は、ケーブルグランドシステムのための、特に本明細書に記載のケーブルグランドシステムのための締結要素であって、ハウジング壁の位置の側面を支持するための支持面と、内面に配設された雌ネジ部とを有している締結要素において、螺合状態において、雌ネジ部が、案内要素の、特に本明細書に記載の案内要素の雄ネジ部と係合するように構成されており、接触構造を有する少なくとも1つの接触面が、内面に配置されている、締結要素に関する。
【0047】
さらなる実施例では、案内要素と締結要素とは、ケーブルグランドシステムに関連して説明した特徴を有している。
【0048】
本発明の基礎を成す思想については、図示の例示的な実施例に基づいて以下に詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】ハウジング壁面に配置されたケーブルグランドシステムを表わす。
図2】案内要素を表わす。
図3A】第1の実施例における締結要素を表わす。
図3B】第1の実施例における締結要素を表わす。
図3C】第1の実施例における締結要素を表わす。
図4A】第2の実施例における締結要素を表わす。
図4B】第2の実施例における締結要素を表わす。
図4C】第2の実施例における締結要素を表わす。
図5A】第3の実施例における締結要素を表わす。
図5B】第3の実施例における締結要素を表わす。
図5C】第3の実施例における締結要素を表わす。
図6】第4の実施例における二分割式締結要素の半体を表わす。
図7】第5実施例における締結要素を表わす。
図8】案内要素と締結要素とが螺合状態にあるケーブルグランドシステムの側面図である。
図9図8に表わすケーブルグランドシステムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、ハウジング壁11に配置されているケーブルグランドシステム1を表わす。案内要素3の第1の端部領域5は、ハウジング壁11の開口部9を通じて案内され、第1の支持面13に、すなわち図示の実施例では第1の支持面13に-案内要素3の第2の端部領域7に向かって面しているハウジング壁11の側面に配置されたシール要素15に当接する。
【0051】
また、図1は、第1の端部領域5の周囲に配設されている雄ネジ部17と、当該実施例では案内要素3を貫通して延在している貫通開口部19として構成されている開口部とを表わす。
【0052】
図示の締結要素21は、ネジナットの形態に構成されており、締結要素21の外面には、駆動工具を締結要素21に取り付けるための六角状の構造体が設けられている。さらに、図示された締結要素21の内面には、雌ネジ部23が形成されている。図示の締結要素21は、締結要素21が案内要素3に螺合された場合には、案内要素3の周囲に配置されている。このために、雌ネジ部23は、螺合状態で案内要素3の雄ネジ部17と係合する構成されている。このために、図示の固定要素21は、雌ネジ部23を有しており、雌ネジ部23は、一条のネジターンを分断することによって分離された当該ネジターンの2つの径方向において対向する部分領域を有している。このことについては、以下の図面を参照しつつ詳述する。
【0053】
接触構造を有する接触面27A,27bそれぞれが、第2の端部領域7の方向において案内要素3の周囲に配置されており、締結要素21の内面において雄ネジ部17に隣接している。締結要素21が案内要素3に螺合されると、接触面27a,27bが互いに機械的に接触する。
【0054】
図2は、案内要素3を表わす。図示の案内要素3は、図1に表わす案内要素3であるが、図2は、構成要素が全く配置されていない状態の案内要素3を表わす。図示の案内要素3の雄ネジ部17は、ネジの経路に沿った分断部を具備する複数のネジターンを有している。
【0055】
接触構造を有する接触面27bが、雄ネジ部17と案内要素3の第1の支持面13との間で、第2の端部領域7の方向において案内要素3の周囲に配置されている。図2に表わす接触面27bは、接触構造として、互いに対して平行に方向づけられているローレットを有している。案内要素3の周囲に形成されたローレットと、締結要素に形成されたローレット(図示しない)とは、締結要素の螺合の際に互いに噛み合うので、締結要素の螺合解除が顕著に防止される。これにより、さらに優位には、例えば振動の起こり得る作用に起因する螺合状態の締結要素の緩みが、顕著に防止される。図示の実施例では、特に、案内要素3は、(第1の端部領域から第2の端部領域に至るまで)異なる軸方向の範囲で延在している2つの対向する接触面27aを備えている。
【0056】
図示の雄ネジ部17の(特にネジのフランクの)及び/又は第1の支持面13の表面の一部又はすべてが、平均表面粗さRz20から30、好ましくはVDI3400等級36に従った粗さを有している。同様に、締結要素21の表面、特に雌ネジ部23(例えばネジのフランク)及び/又は第2の支持面25の表面は、2平均表面粗さRz0から30、好ましくはVDI3400等級36に従った粗さを有している。代替的には、又はローレットに加えて、案内要素3及び/又は締結要素の接触面27A,27bは、最大高さ(最大山高さ-最大谷深さ)とこのような粗さを有している。
【0057】
さらに、図2は、略平坦な第1の支持面13を表わす。図2では、第1の支持面13が円状の形状で図示されているが、その形状が少なくとも部分的にハウジング壁の開口部を覆うのに適した形状であれば、異なる形状であっても良い。
【0058】
第1の端部領域5の方向における第1の支持面13の縁部では、2つの隆起部29a,29bが、径方向において互いに対向した状態で第1の支持面13に配置されている。隆起部29a,29bは、数mmの面積を占めており、1mm又は数mmの高さを有している。シール要素(例えば図1を参照)が、第1の支持面13に配置されており、シール要素の縁部は、隆起部29a,29bを覆っていない。図示の隆起部29a,29bは、ケーブルグランドシステムの取付の際に、第1の支持面13を、又は第1の支持面13に配置されたシールを圧縮損傷から保護するように機能する。図示の実施例の代替として、又は図示の実施例に加えて、3つ以上の隆起部が支持面13に配置されている場合がある。代替的な実施例では、隆起部が支持面13に配置されていない。このような代替的な実施例では、通常、規定トルクを利用することによって、過圧縮に起因する設置されたシール要素の損傷が確実に防止される。
【0059】
図3A図4A、及び図5Aは締結要素21,21′,21a′′,21b′′の等角図であり、図3B図4B、及び図5Bは締結要素21,21′,21a′′,21b′′の平面図であり、図3C図4C、及び図5Cは締結要素21,21′,21a′′,21b′′の実施例のさらなる図である。
【0060】
図3A図3B、及び図3Cは、第1の実施例における締結要素21を表わす。図示の締結要素21は、既に図1に表わした締結要素21を表わす。図示の実施例では、雌ネジ部23が、2つの径方向において対向する部分領域から形成されている。
【0061】
図4A図4B、及び図4Cは、第2の実施例における締結要素21′を表わす。図示の実施例は、雌ネジ部23′が締結要素21′の内面において1回360°延在している一条のネジターンを有している点において、図3A図3B、及び図3Cに表わす実施例と相違する。
【0062】
図5A、5B、及び5Cは、第3の実施例における締結要素21a′′、21b′′を表わす。図5A、5B、及び5Cに表わす締結要素21a′′,21b′′は、二分割式で構成されており、2つの半体を備えている。2つの半体は、図示の係止接続を介して互いに相互接続可能とされる。雌ネジ部23′′は、複数の、当該実施例では4つの、一条のネジターンの部分領域を備えており、2つの部分領域はそれぞれ、現に半体それぞれに配置されている。また、(図示しない)実施例では、2つの半体は、使用目的に従って、同一の長さを有する部分領域又は異なる長さを有する部分領域を有している。
【0063】
図6は、第4の実施例における2部品から成る締結要素21a′′′の一方の半体を表わす。
【0064】
図6に表わす半体は、雌ネジ部23′′′が第2の個別ネジターンの部分領域を備えている点において、既に図5A図5B、及び図5Cに表わした実施例と相違する。第1の個別ネジターンの図示の部分領域と第2の個別ネジターンの図示の部分領域とは、同一の構造を有しており、軸線方向において隣り合った状態で締結要素の内面に配置されている。
【0065】
図7は、第5の実施例における締結要素21′′′′を表わす。図7に表わす締結要素21′′′′は、一体構造になっており、既に図6に表わした締結要素21′′と同様に、第1の個別ネジターンと第2の個別ネジターンとを具備する雌ネジ部23′′′′を有している。
【0066】
また、図3A図7は、凹所33,33′,33′′,33′′′,33′′′′と、図示の実施例それぞれにおいて窪んだ状態で第2の支持面25,25′,25′′,25′′′,25′′′′に配置されている周方向カラー35,35′,35′′,35′′′,35′′′′と、締結要素21,21′,21a′′,21a′′′,21b′′,21b′′′′の内面に配置されている接触面27b,27b′,27b′′,27b′′′,27b′′′′とを表わす。
【0067】
図8は、案内要素3及び締結要素21が螺合された状態のケーブルグランドシステム1の側面図である。図9は、図8に表わすケーブルグランドシステム1の断面A-Aにおける部分断面図である。
【0068】
図示のケーブルグランド1は、ハウジング壁11に配置されている。案内要素3の第1の端部領域5は、ハウジング壁11の開口部9を通じて案内され、シール要素15が第1の支持面13上に配置された状態で、案内要素3の第2の端部領域7に向かって面したハウジング壁11の側面に当接している。
【0069】
図8及び図9では、締結要素21は、案内要素3に完全に螺合されている。これにより、螺合状態において、締結要素21は、案内要素3をハウジング壁11に固定する。
【0070】
図9は、締結要素21の内面に配設された雌ネジ部23が案内要素3の雄ネジ部17に螺合されていることを表わす。
【0071】
さらに、図示の如く、案内要素3の締結要素21が螺合状態にある場合には、接触面27a,27bが互いに機械的に接触している。締結要素21の接触面27bは、締結要素21の雌ネジ部23から(軸方向において)離隔配置されている。
【0072】
図示の実施例では、案内要素3に対して平行に延在しているスロット状の凹所33が、締結要素21に配設されている。凹所33は、締結要素21の接触面27bの周囲に円状に延在しており、形成されたカラー35は、第2の支持面25に窪んだ状態で配置されている。
【0073】
さらに、図示の実施例では、バネ接続要素31a,31bが、案内要素3の第2の端部領域7に配設されている。バネ接続要素31A,31bによって、案内要素3は、プラグイン接続の第1の構成要素として利用可能となり、第2の構成要素(図示しない)は、対応する接続要素を有しているので、2つの構成要素を簡便にプラグイン接続することができる。
【符号の説明】
【0074】
1 ケーブルグランドシステム
3 案内要素
5 第1の端部領域
7 第2の端部領域
9 開口部
11 ハウジング壁
13 第1の支持面
15 シール要素
17 雄ネジ部
19 貫通開口部
21,21′,21a′′,21a′′′,21b′′,21′′′′ 締結要素
23,23′,23′′,23′′′,23′′′′ 雌ネジ部
25,25′,25′′,25′′′,25′′′′ 第2の支持面
27a,27b,27b′,27b′′,27b′′′,27b′′′′ 接触面
29a,29b 隆起部
31a,31b バネ接続要素
33,33′,33′′,33′′′,33′′′′ 凹所
35,35′,35′′,35′′′,35′′′′ カラー
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】