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  • 特表-螺旋状アンカー群設置システム 図1
  • 特表-螺旋状アンカー群設置システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-24
(54)【発明の名称】螺旋状アンカー群設置システム
(51)【国際特許分類】
   B63B 21/50 20060101AFI20230117BHJP
   B63B 21/00 20060101ALI20230117BHJP
   B63B 21/18 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
B63B21/50 Z
B63B21/00 B
B63B21/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529429
(86)(22)【出願日】2020-11-23
(85)【翻訳文提出日】2022-07-14
(86)【国際出願番号】 US2020061834
(87)【国際公開番号】W WO2021118798
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】62/939,239
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505318916
【氏名又は名称】トリトン システムズ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、ザカリー
(72)【発明者】
【氏名】マンドゥーヤーノ、ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ブラッドショー、アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ロバートソン、タイラー
(57)【要約】
【要約】
【解決手段】 本明細書は洋上固定システムを開示する。この洋上固定システムは、2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーであって、各アンカーは所定の長さを有するものである、前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーと、前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーを接続する基部として機能するテンプレートとを有する。いくつかの実施形態は、さらに、前記テンプレートの外周部から前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーの長さ方向と実質的に平行な方向に延出するスカート部を有し、これにより追加的な水平方向の支持が提供される。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上固定システムであって、
2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーであって、各アンカーは所定の長さを有するものである、前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーと、
前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーを接続する基部として機能するテンプレートと
を有する、洋上固定システム。
【請求項2】
請求項1記載の洋上固定システムにおいて、さらに、
前記テンプレートの外周部から前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーの長さ方向と実質的に平行な方向に延出するスカート部を有し、これにより追加的な水平方向の支持が提供されるものである、洋上固定システム。
【請求項3】
請求項2記載の洋上固定システムにおいて、前記スカート部は、前記テンプレートから、前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーと同一の方向に延出し、前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーの長さの約5%~約50%まで延出するものである、洋上固定システム。
【請求項4】
請求項2記載の洋上固定システムにおいて、前記テンプレートおよび前記スカート部は、現場で組み立て可能な独立した部品である、洋上固定システム。
【請求項5】
請求項4記載の洋上固定システムにおいて、前記テンプレートおよび前記スカート部は均一構造体である、洋上固定システム。
【請求項6】
請求項1記載の洋上固定システムにおいて、前記テンプレートは、さらに、前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーの各々のための連結点を有する金属テンプレートを有し、これにより、各螺旋状アンカーが前記テンプレートに永久的に連結されるものである、洋上固定システム。
【請求項7】
請求項1記載の洋上固定システムにおいて、各螺旋状アンカーは、シャフトと、螺旋状プレートとを有するものである、洋上固定システム。
【請求項8】
請求項7記載の洋上固定システムにおいて、各螺旋状アンカーは、実質的に互いに平行である、洋上固定システム。
【請求項9】
請求項7記載の洋上固定システムにおいて、前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーのうちの少なくとも1つは、前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーのうちの少なくとも別の1つと平行ではないものである、洋上固定システム。
【請求項10】
請求項1記載の洋上固定システムにおいて、各螺旋状アンカーのシャフトは、前記テンプレートを貫通して前記テンプレートに固定されるものである、洋上固定システム。
【請求項11】
洋上固定システムであって、
2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーであって、各アンカーは所定の長さを有するものである、前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーと、
前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーを接続する基部として機能するテンプレートと、
前記テンプレートの外周部から前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーの長さ方向と実質的に平行な方向に延出するスカート部であって、前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーの長さの約5%~約50%の距離まで延出するものであり、これにより追加的な水平方向の支持が提供されるものである、前記スカート部と
を有する、洋上固定システム。
【請求項12】
請求項1記載の2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーを有する洋上係留システム。
【請求項13】
洋上浮体式プラットフォームを固定する方法であって、
1若しくはそれ以上の螺旋状アンカーによりテンプレートを海底に固定する工程であって、前記1若しくはそれ以上の螺旋状アンカーは前記テンプレートを貫通して前記テンプレートに固定されるものである、前記固定する工程と、
係船索により前記浮体式プラットフォームを前記テンプレートに係留する工程と
を有する、方法。
【請求項14】
請求項13記載の方法において、さらに、
前記テンプレートの外周部から海底内に延出するスカート部を提供する工程を有する、方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法において、前記スカート部は、前記1若しくはそれ以上の螺旋状アンカーの長さの約5%~約50%まで海底内に延出するものである、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府の権利
本発明は、エネルギー省により認可された、契約番号第DE-SC0017969号、プロジェクト番号第2576号に基づき、政府の支援を受けて考案されたものであり、政府は本発明における特定の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年11月22日付で出願した、「Helical Anchor Group Installation System(螺旋状アンカー群設置システム)」と題する米国特許仮出願第62/939,239号に対して利益を主張するものであり、その開示内容の全体がこの参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書は洋上固定システム(offshore anchor system)を開示する。この洋上固定システムは、2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーであって、各アンカーは所定の長さを有するものである、前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーと、前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーを接続する基部として機能するテンプレートとを有する。
【0004】
いくつかの実施形態は、さらに、前記テンプレートの外周部から前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーの長さ方向と実質的に平行な方向に延出するスカート部を有し、これにより追加的な水平方向の支持が提供される。
【0005】
いくつかの実施形態において、前記スカート部は、前記テンプレートから、前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーと同一の方向に延出し、前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーの長さの約5%~約50%まで延出している。
【0006】
いくつかの実施形態において、前記テンプレートおよび前記スカート部は、現場で組み立て可能な独立した部品である。
【0007】
いくつかの実施形態において、前記洋上固定システムは、2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーであって、各アンカーは所定の長さを有するものである、前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーと、前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーを接続する基部として機能するテンプレートと、前記テンプレートの外周部から前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーの長さ方向と実質的に平行な方向に延出するスカート部であって、前記2若しくはそれ以上の螺旋状アンカーの長さの約5%~50%の距離まで延出するものであり、これにより追加的な水平方向の支持が提供されるものである、前記スカート部とを有する。
【0008】
いくつかの実施形態は、洋上浮体式プラットフォームを固定する方法を提供し、この方法は、このような固定システムを海底に固定する工程と、浮体式プラットフォームを固定システムに係留する工程とを有する。
【0009】
上記態様およびその他の態様は、本開示により自明となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本明細書に記載の1実施形態による風力タービンおよび固定システムの概略図である。
図2図2は、本明細書に記載の固定システムの部分切り取り図である。
【0011】
本図面は例示のみを目的とするものであり、必ずしも原寸に比例したものではない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
洋上風力発電所の需要は、その実用性とともに増加している。このような洋上風力発電所の成功において重要な点は、タービンを安全に固定することにある。現在の固定手段は、タービンの増加にともなって極めて大型になっており、それに起因して設置問題、輸送の複雑化、および製造の大規模化が生じている。本発明は、洋上風力発電所に対して、製造が容易かつ輸送可能であるとともに、全体的なコストをより低減して簡易設置を可能とする解決手段を提供する。提案する固定手段は、低コスト、製造の容易性、低騒音、輸送の容易性、より簡易的な設置等のうちの1若しくはそれ以上の利点がある。
【0013】
大型固定手段の代わりに、提案するシステムにおいては、複数の小型かつ製造が容易な螺旋状アンカー(helical anchors)が採用され、当該螺旋状アンカーは近接して配置され、テンプレートおよび任意選択のスカート部と組み合わされる。このような組み合わせは、洋上浮体式風力発電の分野では使用されていない。
【0014】
本明細書に開示するシステムは、複数の小型螺旋状アンカーと、テンプレートと、任意選択のスカート部を用いて、浮体式風力発電プラットフォームを係留するのに必要とされる浮上能力および水平方向の能力を提供する。本発明は、螺旋状アンカー、テンプレート、および任意選択のスカート部の3つのコンポーネントから構成され、浮体式風力発電の分野に必要とされる能力を提供する。本固定システムは、海中の遠隔ツールによって設置される。螺旋状アンカーは、前記システムにおける浮上能力の大半を提供する。螺旋状アンカーは、トルクおよび押下力(ダウンフォース)を加え、海底にねじ込むことによって設置される。現場特有の土壌状態に応じて、最適性能を提供する螺旋状アンカーの様式、サイズ、および長さが決定される。テンプレートは、全ての螺旋状アンカーを保持するとともに、浮体式プラットフォームに係留接続部を提供する基部プラットフォームであるか、若しくは硬質コンポーネントが接続された基部プラットフォームである。また、テンプレートは、海中ツールが各アンカーを設置する間に着座する基部を提供する。テンプレートは、浮上能力および水平方向の能力をある程度提供するが、システム全体と比べると、その効果は比較的小さい。テンプレートの主な目的は、安定性を提供し、係留接続点からの荷重を各アンカーに伝達することにある。スカート部は、前記システムの水平方向の能力を増大させる。
【0015】
各螺旋状アンカーは、シャフトと、螺旋状プレートとを有する。シャフト長は、約5~20フィートに及び、連結装置によって連結されてもよい。螺旋状プレートは、アンカーを捩り込むことによりシャフトを下方に向かって海底内に移動させるように設計および配置されている。単一の固定システムにおいて、テンプレートを介して複数のアンカーを同時に採用することができる。
【0016】
テンプレートは、コンクリート、および/または金属(これらに限定されるものではない)などの任意の好適な材料でできた基部を有する。テンプレートは、複数のアンカーの各アンカーと係合し、各アンカーを全体的に1つのシステムとして接続する。テンプレートおよびアンカーは、個別に輸送して現場で組み立てることができ、これにより、輸送、使用、および設置が容易となるとともに、現場の必要性に応じてサイズ変更が可能となる。
【0017】
スカート部は、テンプレートの外周部に取り付けられた、サイズおよび厚さが異なる外側シェルを有し、この外側シェルは、金属、石、またはコンクリートを含む(これらに限定されるものではない)、任意の好適な材料でできている。
【0018】
図1は、本明細書に記載する固定システムを利用して海底に係留された単一風力タービンの概略図を示す。図示するように、風力タービンは、水線上または水線の近傍で浮体式プラットフォームに取り付けられており、任意のタービンおよび浮体式装置を使用することができる。本明細書に記載する固定システムとともに、(単一または複数の)様々なタービン、および浮体式装置(例えば、浮体式プラットフォーム、オランダ製トリフローター型浮体(Dutch tri-floater)、バージ、円材、単胴船、TLPなど)を使用することができる。
【0019】
浮体式プラットフォームは、1若しくはそれ以上の係船索(mooring lines)によって1若しくはそれ以上の固定システムに取り付けられている。
【0020】
各固定システムは複数の螺旋状アンカーを有し、各アンカーは、海底に埋め込まれテンプレートに連結されている。テンプレートの外周部にはスカート部が提供され、このスカート部も海底に埋め込まれて追加の水平方向の支持を提供する。螺旋状アンカーとともにスカート部の深さは、設置現場の深さ、海底組成物、海流などの要因、およびその他の考慮事項に応じて個別に決定される。いくつかの実施形態において、スカート部は、アンカーシャフトの長さの5%まで海底内に延長してもよく、またいくつかの実施形態において、スカート部は、アンカーシャフトの長さの10%、15%、20%、25%、30%、40%、または50%まで海底内に延長してもよい。
【0021】
図2に示すように、テンプレートは円形であり、付随するスカート部は中空の円筒体である。テンプレートについては、楕円形、正方形、長方形などを含む、任意の形状を使用することができ、その側壁を延長させて補完形状を有するスカート部を形成することができる。
【0022】
図示するように、単一の係留接続部および係船索がテンプレートに取り付けられているが、いくつかの実施形態では、複数の係船索をテンプレートに取り付けてもよい。
【0023】
複数の螺旋状アンカー、テンプレート、および任意選択のスカート部の組み合わせにより、製造、輸送、および設置が容易な、安定固定装置を作製することができる。
【0024】
いくつかの実施形態において、2若しくはそれ以上の固定システムを利用して同一のプラットフォームを係留することができる。
【0025】
本明細書を一読した当業者であれば、本開示の範囲および要旨から逸脱することなく上記実施形態およびその他の実施形態が自明であると考えられる。
【0026】
洋上浮体式風力タービンを固定するためのコストは、浮体式風力タービンのプロジェクトのエネルギー生産コストを低減し、節約の機会を提供する上で障害となっている。西海岸の現場は深海であるため、さらにコストが上昇する。従来の固定システムでは、係留に必要とされる高牽引力を達成するために、大型高重量の重り、ケーシング、または高牽引力・埋め込み力が使用されている。高重量の重りおよび前記力は最終的にはコスト高の原因となる。本明細書では、小さい力で設置ができ、かつ一般海洋船から遠隔制御が可能である、堅牢な固定質システムを提案する。本技法は、深海における海底特性調査のコスト節約手段として採用されており、係留設置コストにおいて同様のコスト節約が提供できる。本固定技法はサイズ変更が可能であり、石油ガス、パイプライン、およびその他の再生可能エネルギーシステムなど、洋上風力発電を超えた多種の海中基盤に適用できる。低コストのグリーンエネルギーによる公益に加え、本システムでは環境に対する騒音影響が最小限となる。
図1
図2
【国際調査報告】