(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-24
(54)【発明の名称】オブジェクトの測定データをセグメント化するためのコンピュータ実装方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/11 20170101AFI20230117BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20230117BHJP
【FI】
G06T7/11
G06T7/00 610Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529494
(86)(22)【出願日】2020-11-18
(85)【翻訳文提出日】2022-06-22
(86)【国際出願番号】 EP2020082537
(87)【国際公開番号】W WO2021099385
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】102019131437.2
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516211617
【氏名又は名称】ボリュームグラフィックス ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】VOLUME GRAPHICS GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ ポリウォダ
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA09
5L096BA03
5L096DA02
5L096EA02
5L096EA06
5L096FA33
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA02
5L096GA51
5L096GA55
5L096JA03
(57)【要約】
第1の長手方向端部(11)および第2の長手方向端部(12)を有する管状ハウジング(10)と、円周方向の隙間を有して管状ハウジングに受け入れられる少なくとも1つの制振マス(30)と、第1の弾性要素(51)および第2の弾性要素(52)とを備える、マスダンパデバイス。少なくとも1つの端部閉鎖部(13、14)が、第1または第2の長手方向端部に配置される。ハウジング(10)および端部閉鎖部は、第1および第2の端部閉鎖部の長手方向取付け位置を規定する、協働する取付け面(11a、12a、13a、14a)を有する。取付け面(11a、12a、13a、14a)は、第1および第2の端部閉鎖部が長手方向取付け位置でハウジングに取り付けられているとき、第1の弾性要素(51)および第2の弾性要素(52)が制振マス(30)と端部閉鎖部(13、14)との間で圧縮されるように配置される。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの材料遷移領域を有するオブジェクトの測定データをセグメント化するためのコンピュータ実装方法であって、前記測定データが、前記少なくとも1つの材料遷移領域を有するデジタルオブジェクト表現を生成するために用いられ、該デジタルオブジェクト表現が、前記オブジェクトに関する空間的に分解された複数の画像情報項目を有し、
前記測定データを決定するステップ(102)と、
前記デジタルオブジェクト表現において少なくとも2つの均質領域をセグメント化するステップ(104)と、
該少なくとも2つの均質領域の間の少なくとも1つの材料遷移領域の位置を決定するステップ(106)と、
を含むコンピュータ実装方法(100)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの材料遷移領域が、マルチ材料遷移領域(50、52)である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
なくとも2つの均質領域をセグメント化するステップ(104)が、
前記測定データ及び又はデジタルオブジェクト表現において少なくとも2つの均質領域を決定するサブステップ(107)と、
材料遷移領域の少なくとも1つの予測位置を得るために、空間的に分解された複数の画像情報項目の局所的類似度を分析するサブステップ(108)と、
各均質領域の境界領域が材料遷移領域の前記少なくとも1つの予測位置に配置されるまで、各均質領域の範囲を適合させるサブステップ(110)と、
を含み、
前記少なくとも2つの均質領域の間の少なくとも1つの材料遷移領域の位置を決定するステップ(106)が、
前記少なくとも1つの境界領域において、及び好ましくは前記少なくとも1つの境界領域の周囲において、前記少なくとも1つの材料遷移領域の位置を決定するサブステップ(112)
を含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記局所的類似度の分析(108)が、前記空間的に分解された複数の画像情報項目の変化列及び又は前記空間的に分解された複数の画像情報項目の局所的分散に基づく請求項3に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも2つの均質領域をセグメント化するステップ(104)の前に、
所望の形状のデジタル表現を前記デジタルオブジェクト表現と整合させるステップ(114)
を含み、
前記測定データ及び又は前記デジタルオブジェクト表現における少なくとも2つの均質領域が、所望の形状の前記デジタル表現に基づいて決定される請求項1から4のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記整合させるステップ(114)が、
前記画像情報の前記局所的類似度から、前記オブジェクトの前記材料遷移領域のデジタル表現を決定するサブステップ(116)と、
前記所望の形状のデジタル表現と前記材料遷移領域のデジタル表現とを互いに適合させるサブステップ(118)と、
を含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記整合させるステップ(114)が、
前記デジタルオブジェクト表現における前記材料遷移領域の少なくとも一部を決定するサブステップ(120)と、
前記材料遷移領域の前記少なくとも一部に基づいて、前記所望の形状のデジタル表現と前記デジタルオブジェクト表現とを互いに適合させるサブステップ(122)と、
を含む請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも2つの均質領域をセグメント化するステップ(104)が、
空間的に分解された複数の画像情報項目の頻度分布を分析するサブステップ(124)であって、前記頻度分布が、前記オブジェクトに関する空間的に分解された複数の画像情報項目のうち同一画像情報項目の頻度に基づくサブステップと、
前記頻度分布に基づいて、前記少なくとも2つの均質領域を決定するサブステップ(126)と、
を含む請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記デジタルオブジェクト表現において少なくとも2つの均質領域をセグメント化するステップ(104)が、
均質領域をセグメント化するために、前記オブジェクトに関する空間的に分解された複数の画像情報項目のうち同一画像情報項目が連続する領域についてオブジェクト表現を分析するサブステップ(128)
を含み、
材料が、各均質領域に割り当てられる請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記デジタルオブジェクト表現において少なくとも2つの均質領域をセグメント化するステップ(104)の前に、
前記測定データ及び又は前記デジタルオブジェクト表現において空間的に分解されたラベル値によって、前記均質領域を定義するラベルフィールドを生成するステップ(130)を含み、
距離フィールドの少なくとも1つの距離値が、各ラベル値に割り当てられ、
距離値が、均質領域の最も近い界面への距離を表し、
前記デジタルオブジェクト表現をセグメント化するステップ(104)が、前記ラベルフィールド及び前記距離フィールドに基づいて実施される請求項1から9のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項11】
少なくとも1つの材料遷移領域の位置を決定するステップ(106)が、
ユーザによる入力及び又は評価規則によって、異なるタイプの材料遷移領域の選択を提供するサブステップ(132)と、
前記選択されたタイプの材料遷移領域のみに基づいて、請求項3に記載の前記局所的類似度を分析するステップ(108)よりも高い精度で、前記セグメント化されたデジタルオブジェクト表現における材料遷移領域の位置を決定するサブステップ(134)と、
を含む請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの材料遷移領域の位置を決定するステップ(106)が、
ユーザによる入力及び又は評価規則によって、要求されるプローブポイントを有する前記デジタルオブジェクト表現内の領域を提供するサブステップ(136)と、
要求されるプローブポイントを有する前記デジタルオブジェクト表現における前記提供された領域に基づいて、位置を決定すべき材料遷移領域の選択を提供するサブステップ(138)と、
を含む請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記デジタルオブジェクト表現において少なくとも2つの均質領域をセグメント化するステップ(104)の後に、
前記セグメント化されたデジタルオブジェクト表現に適合させる前記オブジェクトの形状要素の材料遷移領域のタイプを、ユーザによる入力及び又は評価規則によって予め定義するステップ(140)と、
前記均質領域の間に予め定義されたタイプの材料遷移領域を有する前記オブジェクト表現の領域または前記オブジェクト表現内のプローブポイントに基づいて、前記オブジェクトの形状要素を前記セグメント化されたデジタルオブジェクト表現に適合させるステップ(142)と、
を含む請求項1から12のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項14】
前記少なくとも2つの均質領域間の少なくとも1つの材料遷移領域の位置を決定するステップ(106)の後に、
前記均質領域間の材料遷移領域に基づいて、前記オブジェクトの形状要素を前記セグメント化されたデジタルオブジェクト表現に適合させるステップ(144)と、
前記形状要素が適合される前記材料遷移領域における前記均質領域の材料を決定するステップ(146)と、
前記形状要素の適合に関する結果とともに、前記材料遷移領域における前記決定された前記均質領域の材料に関連する情報を出力するステップ(148)と、
を含む請求項1から13のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項15】
コンピュータ上で実行可能であり、コンピュータ上で実行されると、該コンピュータに請求項1から14のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を有するコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オブジェクトの測定データをセグメント化するためのコンピュータ実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製造されたオブジェクトが所望の仕様に適合しているかどうかを判断する品質保証のために、これらのオブジェクトを測定し、所望の仕様と比較することが行われる。この場合、測定は、例えば、寸法測定として実施され得る。寸法測定は、例えば、オブジェクトの表面の様々な点をスキャンすることによって実施され得る。さらに、例えば、コンピュータ断層撮影による測定を実施することも可能であり、それによって得られた測定データが分析される。この場合、オブジェクト内部表面もチェックすることができる。この場合、測定データは、例えば、ボリュームデータの形態であってもよいし、ボリュームデータに変換されてもよい。測定データにおいてオブジェクトの異なる領域を互いに区別できるようにするために、測定データは異なる領域に分割される。これは、例えば、可視化、リバースエンジニアリング、多成分機能解析、材料および材料特性のシミュレーションの際に特に関心が寄せられることである。さらに、本方法を実行する前に、測定データが前処理されてもよい。測定データには、例えば、分割された形状に基づく金属アーチファクト、ビームハードニング、散乱放射補正などのアーチファクト補正や、ガウシアンフィルタやメジアンフィルタなどのデータフィルタが適用されてもよい。
【0003】
しかし、複数の材料からなる測定対象物のボリュームデータのセグメント化は、特定の2つの材料間の材料遷移ごとに特定のセグメンテーションアルゴリズムを適合させる必要があるため、これまで満足に実施することができなかった。例えば、グレースケール値を解析する場合、測定データ中のグレースケール値が比較的小さい材料間の材料遷移を検出するためには、測定データ中のグレースケール値が比較的大きい材料間の材料遷移を検出する場合よりも低い閾値を使用する必要がある。そのため、大局的な閾値に基づいてこれらのボリュームデータをセグメント化することはあまり期待できない。特に、測定データにアーチファクトがある場合、多くのアルゴリズムでは、異なる材料を正しくセグメント化することができない。さらに、正しいセグメンテーションが、すべての材料遷移における正確な測定結果を提供する、すなわち、材料遷移の位置を正確に決定するのには十分であるとはいえない。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の目的は、オブジェクトの測定データをセグメント化するための改良されたコンピュータ実装方法を提供することであると考えられ、本方法は、オブジェクトに関する測定データから材料遷移を正しく検出することを提供する。
【0005】
本発明の主な特徴は、請求項1および請求項15に記載されている。請求項2から14は、構成に関する。
【0006】
本発明は、少なくとも1つの材料遷移領域を有するオブジェクトの測定データをセグメント化するコンピュータ実装方法であって、前記測定データが、前記少なくとも1つの材料遷移領域を有するデジタルオブジェクト表現を生成するために用いられ、該デジタルオブジェクト表現が、前記オブジェクトに関する空間的に分解された複数画像情報項目を有し、前記測定データを決定するステップと、前記デジタルオブジェクト表現において少なくとも2つの均質領域をセグメント化するステップと、該少なくとも2つの均質領域の間の少なくとも1つの材料遷移領域の位置を決定するステップと、を含むコンピュータ実装方法を提供する。
【0007】
したがって、本発明は、異なる材料の領域をセグメント化するステップを、材料遷移領域を決定するステップから分離している。この場合、異なる材料の領域を識別するために、まず、オブジェクト表現における均質領域が決定される。デジタルオブジェクト表現は、2次元であっても3次元であってもよい。空間的な次元に加え、時間的な次元も考慮すれば、4次元のオブジェクト表現も可能である。
【0008】
この場合、均質領域とは、一貫した材料または一貫した材料の混合物を有する領域を意味すると理解される。画像情報は、例えば、オブジェクトの寸法測定時のコンピュータ断層撮影による測定データから得られるグレースケール値であってもよい。
【0009】
測定データ又は画像情報が、例えば、2つの閾値、例えば上限閾値と下限閾値との間にある領域、すなわち、局所的な測定データが類似しているか又は類似の値を有する領域、すなわち局所的類似度が高い場合は、均質であると見なされる。したがって、デジタルオブジェクト表現が均質領域に関連する画像情報は、一例では、狭い範囲のグレースケール値を有し得る。したがって、均質領域は、絶対的に均質というわけではなく、許容範囲内の変動を有し得る。閾値は、予め設定されていてもよいし、均質領域を決定する際に決定されてもよい。ただし、グレースケール値によって領域の均質度を定義する必要はない。また、別の例として、繊維配向が類似した繊維状物質を有する領域も、この場合グレースケール値自体が均質でなくても、均質であるとみなすことができる。しかし、繊維から生じるテクスチャによって定義されるパターンは均質である。領域またはオブジェクト全体の材料は、例えば、単一材料であってもよく、すなわち、材料遷移領域における材料遷移は、この例では、異なる材料構造間の遷移または単一材料から背景への遷移であってもよい。
【0010】
別の例では、少なくとも2つの均質領域間の少なくとも1つの材料遷移領域の位置を決定するステップにおける材料遷移領域の正確な決定は、材料遷移領域が探索される小さな探索領域を有してもよい。その後、デジタルオブジェクト表現において少なくとも2つの均質領域をセグメント化するステップの前に、任意選択で粗いセグメンテーションを実施してもよい。この粗いセグメンテーションの結果は、均質領域または類似したテクスチャ領域の検出であってもよい。その後、デジタルオブジェクト表現の少なくとも2つの均質領域をセグメント化するステップで、さらに正確なセグメンテーションを行ってもよい。
【0011】
例えば、局所的類似度が低下している場合は、均質領域間の材料遷移領域が決定されてもよい。そうでない場合は、該当する均質領域が結合される。この場合、材料遷移領域は、例えば、材料表面、2つの隣接する材料表面、狭い材料領域で区切られた複数の材料遷移、または個々の材料等の内部構造の遷移を有していてもよい。
【0012】
材料遷移領域は、例えば、生体材料間の遷移、溶接シーム、繊維配向の異なる領域などを有していてもよい。材料遷移領域は、明確な材料表面を有する必要はない。さらなる例として、材料遷移領域は、測定及びCADモデルの両方で表面として近似または表現されてもよい。
【0013】
さらに、少なくとも1つの材料遷移領域が、例えば、マルチ材料遷移領域であってもよい。マルチ材料という用語は、複数の均質な個別材料の領域のみに関するものではない。繊維や空隙が存在する場合、基礎となる材料が同一のままであっても、それぞれ別の材料領域を特定してもよい。特に同一または類似の材料組成の場合、異なる特性を有する領域は別個の材料として明示的に解釈され得る。CTスキャンの背景、通常はオブジェクトの周囲の空気も、同様に測定データにおける材料となることがある。
【0014】
すなわち、オブジェクトは、オブジェクトの背景を表す画像情報に加えて、材料遷移、例えば表面が決定される、測定データ中の少なくとも2つの材料を備えている。
【0015】
さらなる例によれば、少なくとも2つの均質領域をセグメント化するステップが、前記測定データ及び又はデジタルオブジェクト表現において少なくとも2つの均質領域を決定するサブステップと、材料遷移領域の少なくとも1つの予測位置を得るために、空間的に分解された複数の画像情報項目の局所的類似度を分析するサブステップと、各均質領域の境界領域が材料遷移領域の前記少なくとも1つの予測位置に配置されるまで、各均質領域の範囲を適合させるサブステップと、を含み、前記少なくとも2つの均質領域の間の少なくとも1つの材料遷移領域の位置を決定するステップが、前記少なくとも1つの境界領域において、及び好ましくは前記少なくとも1つの境界領域の周囲において、前記少なくとも1つの材料遷移領域の位置を決定するサブステップを含んでいてもよい。
【0016】
この例では、異なるアルゴリズムが使用され、これらのアルゴリズムが、測定データの異なる表示形式を調査する。それぞれに長所と短所を有する異なるアルゴリズムを使用することで、使用するアルゴリズムの強みを最適な方法で利用可能となる。例えば、測定データからの画像情報をまず1つのアルゴリズムで解析し、各画像情報項目が、例えば局所的に隣接する画像情報項目と比較され得る。これをプレセグメンテーションと呼ぶことができる。さらに、これは、例えば、3次元の測定データに対して有利に実施され得る。しかし、3次元測定データにリンクさせることもできる2次元測定データも使用され得る。次に、類似の画像情報項目が組み合わされて、均質領域が形成される。このようにして、少なくとも1つの均質領域が決定される。この場合、均質領域の決定の基となるアルゴリズムが不正確である可能性があり、その結果、均質領域の境界が、均質領域に接し得る材料遷移領域の位置と一致しないことがある。画像情報の局所的類似度を分析するために、さらなるアルゴリズムを使用することができる。局所的類似度の解析は、画像情報が隣接する画像情報とわずかに類似している領域を決定するために使用され得る。これらの領域は、材料遷移領域の予測位置として特定することができる。この場合、予測位置は、例えば、オブジェクトの所望の形状から、又は測定データの別の表現から生じることもある。次に、均質領域の境界領域が、例えばその位置を移動させるなどして、さらなるアルゴリズムによって適合される。この場合、均質領域の範囲を変更することができる。境界領域の位置は、境界領域が材料遷移領域の予測位置を構成するようになるまで調整される。したがって、個々のアルゴリズムの欠点は、さらなるアルゴリズムを使用することによって補うことができる。この場合、境界領域は、均質領域に接する均質領域の一部を意味するものとして理解される。この場合、境界領域は、均質領域の内部に予め定義された範囲を有していてもよい。境界領域の周囲とは、均質領域の一部と、均質領域の外側に配置され、境界領域に直接隣接する領域の一部と理解される。この周囲は、均質領域内では、境界領域のない均質領域よりも短い範囲を有する。
【0017】
本実施例では、局所的類似度に対して特定の閾値を超える値を有する領域を、局所的類似度の表現において異なる材料領域間の材料遷移領域として識別することができる。そして、この材料遷移領域に接する領域は、プレセグメンテーション後にこの領域の割合が最も大きかった材料に完全に割当てられる。この場合、材料領域間に閉じた材料遷移領域が形成されないことも起こり得る。これは、例えば、「クロージング」というモルフォロジー演算によって閉じることができ、その際、該当する材料遷移領域はともに拡張し、その間の小領域は削除される。
【0018】
さらなる例では、局所的類似度の表現に対して、代替的または追加的にプレセグメンテーションを実施することができる。この場合、例えば、分水嶺(watershed)変換又は領域拡張法を使用することができる。これにより、連続した領域が生成される。局所的類似度の表現は、同様に、より安定した結果を得るために、フィルタリングや他の演算を行ってもよい。この一例として、ガウシアンフィルタが挙げられる。
【0019】
さらに、前記局所的類似度の分析が、例えば、前記空間的に分解された複数の画像情報項目の変化列及び又は前記空間的に分解された複数の画像情報項目の局所的分散に基づいて行われてもよい。
【0020】
画像情報がグレースケール値である場合、例えば、空間的に分解されたグレースケール値の勾配を変化列で表すことができる。また、均質領域がテクスチャに基づくものであれば、例えば画像情報の局所的分散を利用して局所的類似度を判断することができる。この場合、勾配表現は局所的勾配の絶対値であることが好ましい。それらは、材料遷移領域の近傍で値が増加することを示す。
【0021】
さらなる例では、少なくとも2つの均質領域をセグメント化するステップの前に、所望の形状のデジタル表現を前記デジタルオブジェクト表現と整合(align)させるステップを含み、前記測定データ及び又はデジタルオブジェクト表現における少なくとも2つの均質領域が、所望の形状の前記デジタル表現に基づいて決定されてもよい。
【0022】
したがって、測定データの少なくとも大まかな事前整合(pre-alignment)を得るために、例えば材料遷移領域の予測位置を所望の形状から収集することができる。この場合、所望の形状は、オブジェクトのCADモデルであってもよい。その後、所望の形状の領域またはCADモデルの領域を、測定データ内の対応する領域に割り当てることができる。したがって、コンピュータ実装方法は、材料遷移の位置を決定する際に、所望の形状から得られる以前の知識を利用することができる。これは、プレセグメンテーションの一部として実行することができる。
【0023】
代替的または追加的に、他のセンサを用いた測定から得られたオブジェクトの形状に関する情報、例えば帯状光投影などの光学的手法も使用可能である。
【0024】
さらに、前記整合させるステップが、例えば、前記画像情報の局所的類似度から、前記オブジェクトの前記材料遷移領域のデジタル表現を決定するサブステップと、前記所望の形状のデジタル表現と前記材料遷移領域のデジタル表現とを互いに適合させるサブステップと、を含んでいてもよい。
【0025】
この例では、画像情報の局所的類似度から決定されるオブジェクトの材料遷移領域は、デジタルオブジェクト表現を整合させるために、所望の形状のデジタル表現に適合される。この場合、まず、グレースケール値の局所的類似度の表現が計算され得る。この表現は、例えば、グレースケール値の増大によって、測定データにおいて材料遷移領域が存在し得る領域を示すことができるが、それぞれの材料遷移領域のタイプに関するより詳細な情報を提供することはできない。局所的類似度によって決定された表現は、直接CADに適合させることができる。このようにして、大まかではあるが高速な整合が可能となる。
【0026】
さらに、前記整合させるステップが、例えば、前記デジタルオブジェクト表現における前記材料遷移領域の少なくとも一部を決定するサブステップと、前記材料遷移領域の前記少なくとも一部に基づいて、前記所望の形状のデジタル表現と前記デジタルオブジェクト表現とを互いに適合させるサブステップと、を含んでいてもよい。
【0027】
この場合、材料遷移領域の一部のみが決定される。この場合の材料遷移領域の部分は、例えば、材料遷移領域が決定されるアルゴリズムによって決定することができ、この決定は、大まかであってもよく、すなわち、必ずしもすべての材料遷移領域が正しく獲得されるとは限らない。この場合、オブジェクトの外側の空気に対する材料遷移領域のみが決定されれば十分かもしれない。大まかな整合を行うにはこれで十分な場合もある。この材料遷移領域の決定は、時間を節約するために、任意に、例えばIso50のような高速アルゴリズムを使用して、あるいは解像度を下げたデータで実施されてもよい。しかし、材料遷移領域を決定するために局所的類似度もまた分析されてもよい。デジタルオブジェクト表現と所望の表現との整合は、この例では、材料遷移領域の一部のみに基づいて行われる。
【0028】
さらなる例によれば、表面の少なくとも1つの部分は、高速アルゴリズムを使用して決定されてもよい。
【0029】
このようにして、表面の一部が比較的短時間で決定されてもよい。この決定された表面の一部は、例えば、デジタルオブジェクト表現を迅速に、大まかに整合させるために使用されてもよく、これは、その後のステップで、例えば、より細かく整合される。さらに、表面の一部を迅速に決定した後、材料遷移領域をより正確に決定することができる。
【0030】
一例によれば、少なくとも2つの均質領域をセグメント化するステップが、空間的に分解された複数の画像情報項目の頻度分布を分析するサブステップであって、前記頻度分布が、前記オブジェクトに関する空間的に分解された複数の画像情報項目のうち同一画像情報項目の頻度に基づくサブステップと、前記頻度分布に基づいて、前記少なくとも2つの均質領域を決定するサブステップと、を含んでいてもよい。
【0031】
画像情報が、例えばグレースケール値である場合、頻度分布はグレースケール値ヒストグラムとなる。頻度分布の分析に基づいて、既存の均質領域の典型的なグレースケール値が特定される。典型的なグレースケール値は、均質領域の判定を簡略化するために使用され得る。この場合、個々の材料のグレースケール値を特定するために、特定の材料を示す偏差に従って、グレースケール値ヒストグラムを、場合によっては自動的に分析することもできる。これが自動化されることで、ユーザによる入力の待ち時間を回避することができる。特に、例えばインラインで多数の測定値を評価する場合に有効である。同一画像情報項目とは、この場合、例えばグレースケール値として、同一の値を有するか、または、均質領域を決定する際のグレースケール値の範囲よりも小さいグレースケール値の範囲に配置されている画像情報項目である。
【0032】
さらなる例では、前記デジタルオブジェクト表現において少なくとも2つの均質領域をセグメント化するステップが、均質領域をセグメント化するために、前記オブジェクトに関する空間的に分解された複数の画像情報項目のうち同一画像情報項目が連続する領域についてオブジェクト表現を分析するサブステップを含み、材料が、各均質領域に割り当てられてもよい。
【0033】
この例では、グレースケール値が可能な限り均質な連続領域、つまり同一画像情報項目を特定するために測定データを自動分析する。決定された連続領域から、既存材料の典型的なグレースケール値に関する結論を導き出すことができる。この情報は、セグメンテーションの際にプレセグメンテーションとして利用することができる。この場合、可能な限り均質な連続したグレースケール値領域に関してボリュームのグレースケール値を調べるために、特定の材料を示す偏差に従って、グレースケール値ヒストグラムを、場合によっては自動的に分析することも可能である。これが自動化されることで、ユーザによる入力の待ち時間をなくすことができる。特に、例えばインラインで多数の測定値を評価する場合に有効である。
【0034】
さらなる例によれば、本方法は、前記デジタルオブジェクト表現において少なくとも2つの均質領域をセグメント化するステップの前に、前記測定データ及び又は前記デジタルオブジェクト表現において空間的に分解されたラベル値によって、前記均質領域を定義するラベルフィールドを生成するステップを含み、距離フィールドの少なくとも1つの距離値が、各ラベル値に割り当てられ、距離値が、均質領域の最も近い界面への距離を表し、前記デジタルオブジェクト表現をセグメント化するステップが、前記ラベルフィールド及び前記距離フィールドに基づいて実施されてもよい。
【0035】
ラベルフィールドは、デジタルオブジェクト表現におけるある位置に、ある材料を割り当てる。この目的のために、画像情報の異なる値または値の範囲、例えばグレースケール値を割り当てることができる。例えば、それぞれの場合で、2つの閾値の間にある特定の範囲を、異なる材料に割り当てることができる。同時に、均質領域が割り当てによって定義される。ラベルフィールドは、暗黙のうちに材料遷移領域の大まかな位置を表す。この場合、距離フィールドの距離値が各ラベル値に割り当てられ、距離値は、関連する均質領域の最も近い界面への最短距離を定義する。距離フィールドは、表面の位置を表す。異なる材料の決定的な材料遷移領域は、単一の距離フィールドを用いてサブボクセル精度で保存することができ、場合によっては符号を付けないことも可能である。この場合、距離フィールドは表面がどこに位置するかを表すか、または格納することができる。この場合、ラベル値は、複数の距離値に割り当てることもでき、したがって、例えば、均質領域の重複領域において、異なる均質領域に割り当てることができる。ラベルフィールドとともに、表面の各領域について、どのような材料遷移領域が関与しているかを決定することが可能である。これは、ラベルフィールドに隣接して表示されている材料によって示される。ラベルフィールドは、表面形状を決定する際にしばしば使用されるため、距離フィールドは、これを記述または保存するための特に効率的な方法となる。
【0036】
さらなる例では、少なくとも1つの材料遷移領域の位置を決定するステップが、ユーザによる入力及び又は評価規則によって、異なるタイプの材料遷移領域の選択を提供するサブステップと、前記選択されたタイプの材料遷移領域のみに基づいて、前記局所的類似度を分析するステップよりも高い精度で、前記セグメント化デジタルオブジェクト表現における材料遷移領域の位置を決定するサブステップと、を含んでいてもよい。
【0037】
したがって、材料遷移領域の位置の決定は、ユーザ入力、対応するマトリックスまたは評価規則によって定義される特定のタイプの材料遷移領域に限定される。そのため、選択されていない材料遷移領域のタイプやその位置が必要でないものは決定されない。これにより、計算時間や容量を節約することができる。
【0038】
材料遷移領域のタイプとは、例えば、2つの特定の材料間または1つの材料内の2つの異なる材料構造間の遷移を意味すると理解される。材料遷移のタイプは、例えば、PVCとスチールの間の遷移などであってもよい。
【0039】
さらなる例によれば、少なくとも1つの材料遷移領域の位置を決定するステップが、ユーザによる入力及び又は評価規則によって、要求されるプローブポイントを有する前記デジタルオブジェクト表現内の領域を提供するサブステップと、要求されるプローブポイントを有する前記デジタルオブジェクト表現における前記提供された領域に基づいて、位置を決定すべき材料遷移領域の選択を提供するサブステップと、を含んでいてもよい。
【0040】
したがって、材料遷移領域の位置の決定は、オブジェクト表現において、ユーザ入力または評価規則に従ってプローブポイントが要求される領域、すなわち、材料遷移領域の位置の決定は、注目領域に限定される。オブジェクト表現において材料遷移領域の位置が注目される領域は、例えば手動で送信されてもよいし、例えば評価規則で定義されてもよいし、評価規則から導かれてもよく、例えばフィッティングポイントが要求される全ての材料遷移領域であってもよい。したがって、プローブポイントが要求されない材料遷移領域は決定から除外される。これにより、計算能力をさらに節約することができる。
【0041】
本方法は、前記デジタルオブジェクト表現において少なくとも2つの均質領域をセグメント化するステップの後に、例えば、前記セグメント化されたデジタルオブジェクト表現に適合させる前記オブジェクトの形状要素の材料遷移領域のタイプを、ユーザによる入力及び/又は評価規則によって予め定義するステップと、前記均質領域の間に予め定義されたタイプの材料遷移領域を有する前記オブジェクト表現の領域又はオブジェクト表現内のプローブポイントに基づいて、前記オブジェクトの形状要素を前記セグメント化されたデジタルオブジェクト表現に適合させるステップと、を含んでいてもよい。
【0042】
したがって、例えば寸法測定を行うために形状要素を適合させる場合、ユーザ入力または評価規則によって予め定義されたタイプの材料遷移領域に配置されているプローブポイントのみが考慮される。評価規則またはプローブ対象の形状要素を手動で定義することにより、検索される材料遷移領域で予測される材料を定義することができる。この場合、それぞれの材料の向きや配置も考慮される。その場合、この材料遷移領域にあるプローブポイントのみが設定され、異なる材料遷移領域にあるプローブポイントが設定された場合は警告が出力される。これは、オプションとして、個々のプローブポイントを基に定義することもできる。これにより、形状要素の不必要な適合を避けることができる。
【0043】
さらなる例によれば、本方法は、前記デジタルオブジェクト表現において少なくとも2つの均質領域をセグメント化するステップの後に、前記均質領域間の材料遷移領域に基づいて、前記オブジェクトの形状要素を前記セグメント化されたデジタルオブジェクト表現に適合させるステップと、前記形状要素が適合される前記材料遷移領域における前記均質領域の材料を決定するステップと、前記形状要素の適合に関する結果とともに、前記材料遷移領域における前記決定された前記均質領域の材料に関連する情報を出力するステップと、を含んでいてもよい。
【0044】
したがって、形状要素を適合させる際に、決定された材料遷移領域にどの材料が関与しているかが判断される。この情報は、測定結果の一部として、例えばメタ情報として出力されてもよい。
【0045】
材料遷移領域のタイプ及び関係する材料は、例えば測定データの3D/2Dビューとして、または適合した形状要素の表現またはリストとして、色分けして視覚化されてもよい。
【0046】
また、本発明は、コンピュータ上で実行可能であり、コンピュータ上で実行されると、該コンピュータに先に記載の方法を実行させる命令を有するコンピュータプログラム製品に関する。
【0047】
コンピュータプログラム製品の利点および効果ならびに展開は、上述した方法の利点および効果ならびに展開からもたらされる。したがって、この点に関しては先の記述を参照されたい。コンピュータプログラム製品は、例えば、コンピュータに対して実行可能な命令を有するコンピュータプログラム要素を格納するデータ記憶媒体を意味すると理解することができる。代替的または追加的に、コンピュータプログラム製品は、例えば、コンピュータプログラム要素を有するフラッシュメモリまたはメインメモリなどの永久的または揮発性のデータメモリを意味するものと理解することもできる。しかし、これによって、コンピュータプログラム要素を有するさらなる種類のデータメモリが除外されることはない。
【0048】
本発明の更なる特徴、詳細及び利点は、特許請求の範囲の文言及び図面に基づいて例示的な実施形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】コンピュータ実装方法のフローチャートを示す図である。
【
図2】セグメント化するステップの例示的な実施形態のサブステップを含むフローチャートを示す図である。
【
図3】セグメント化するステップのさらなる例示的な実施形態のサブステップを含むフローチャートを示す図である。
【
図4】決定するステップの例示的な実施形態のサブステップを含むフローチャートを示す図である。
【
図5】整合させるステップの例示的な実施形態のサブステップを含むフローチャートを示す図である。
【
図6a】本方法の例示的な実施形態のステップのシーケンスを示す概略図である。
【
図6b】本方法の例示的な実施形態のステップのシーケンスを示す概略図である。
【
図6c】本方法の例示的な実施形態のステップのシーケンスを示す概略図である。
【
図6d】本方法の例示的な実施形態のステップのシーケンスを示す概略図である。
【
図6e】本方法の例示的な実施形態のステップのシーケンスを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
オブジェクトの測定データをセグメント化するコンピュータ実装方法が、参照符号100を用いてその全体が下記事項とともに示される。コンピュータ実装方法100は、まず、
図1によって説明される。
【0051】
図1は、オブジェクトを測定した測定データをセグメント化するためのコンピュータ実装方法100の一実施形態のフローチャートである。この場合、オブジェクトは、少なくとも1つの材料遷移領域を有する。
【0052】
第1のステップ102において、オブジェクトに関連する測定データが決定される。この場合、測定データは、例えばコンピュータ断層撮影(CT)測定によって決定することができる。しかしながら、測定データを決定するための他の方法、例えば磁気共鳴断層撮影等もそれによって除外されることはない。測定データは、少なくとも1つの材料遷移領域を有するデジタルオブジェクト表現を生成するために使用される。デジタルオブジェクト表現は、オブジェクトに関連する空間的に分解された複数の画像情報項目から構成される。
【0053】
測定データがCTデータの場合、必ずしもボクセルあたり単一のグレイスケール値のみから構成される必要はない。マルチモーダルデータ、すなわち複数のセンサからのデータ、あるいはマルチエナジーCTスキャンからのデータであってもよく、その結果、各ボクセルに複数のグレースケール値が存在することになる。さらに、元の測定データに関する分析からの結果も、方法100においてさらなる空間的に分解されたグレースケール値、例えば繊維配向の分析結果又は局所的な多孔度の分析結果として使用することができる。例えばカラーチャンネルと呼ばれ得る追加情報は、したがって、可視スペクトルの色が表現されていなくても、着色されたボクセルデータのように解釈されることができる。この追加情報は、方法100において有利に使用することができる。
【0054】
オプションのステップ114において、オブジェクトの所望の形状のデジタル表現は、ステップ102による決定された測定データからデジタルオブジェクト表現と整合される。オブジェクトの所望の形状のデジタル表現は、例えば、オブジェクトを製造する前に作成されたオブジェクトのCAD表現であってもよい。CADモデルにおける形状は、必ずしも表面または材料遷移領域として記述される必要はない。その代わりに、または追加的に、画像のスタック、ボクセルボリュームまたは距離フィールドとして暗黙的に表現されていてもよい。これは、特にアディティブマニュファクチャリング時に利用することができる。さらに、この情報は、複雑な変換なしに、直接ラベルフィールドに変換することができる。しかし、所望の形状の更なる表現形式は、それによって除外されない。
【0055】
測定データ及び又はデジタルオブジェクト表現における少なくとも2つの均質領域は、所望の形状のデジタル表現に基づいて決定される。材料遷移領域及び均質な材料を有するオブジェクト又はオブジェクトの領域は、所望の形状のデジタル表現において知られているので、測定データ又は測定データから生成されるデジタルオブジェクト表現における均質領域は、ステップ114における整合の後に所望の形状のデジタル表現から推測され得る。
【0056】
整合中に、すなわち、所望の形状の形状領域を測定データに適合させる際に、どの材料がグレースケール値の遷移に関与し、それらがどのように配置されているかを考慮することが可能である。材料の配置から、材料遷移の方向が明らかになることがある。この情報は、通常、所望の形状で知られており、それぞれの場合で測定データから局所的に容易に決定することが可能である。これにより、互いに一致しない材料遷移領域が割り当てられ、誤った整合が行われることを防ぐことができる。
【0057】
また、測定データと所望の形状との間の非剛体マッピングによって整合を行うことも可能である。
【0058】
さらなる任意選択のステップ130において、測定データ及び又はデジタルオブジェクト表現における空間的に分解されたラベル値によって均質領域を定義するラベルフィールドが、任意のプレセグメンテーション中に作成されてもよい。
【0059】
ラベルフィールドは、符号付きまたは符号なしの距離フィールドと組み合わせることができる。この場合、距離フィールドの少なくとも一つの距離値は、各ラベル値に割り当てられる。この場合、距離値は、均質領域の最も近い界面までの距離を記述する。各材料に対して、別々の距離フィールドを作成してもよい。
【0060】
均質領域の界面は、材料遷移領域に配置されている。この場合、ラベル値は複数の距離フィールドに割り当てることができるため、複数の距離値に割り当てることができる。すなわち、オブジェクト内の各材料の材料遷移領域は、それぞれ別の距離フィールドで表現することができる。距離フィールドを用いることで、少ないメモリ使用量で、かつ少ない演算量で、均質領域の大きさを記録することができる。
【0061】
この場合、例えば、オブジェクトの特定の材料のうち、特定の大きさのボリュームの連続した領域のみが測定領域で発生し得ることを示す既知の知識を使用することが可能である。これは、ラベルフィールドを作成する際に、より大きな連続した領域がこの材料に割り当てられないということを考慮することができる。これにより、セグメンテーションの際のエラーを減らすことができる。
【0062】
例えば、ある最大サイズのねじが測定領域内に存在することがある。測定ボリュームのある時点で、この材料に大きな領域が割り当てられた場合、この方法では、割り当てが推定的に間違っていたことを判断することができる。
【0063】
CADモデルなどの所望の形状との整合やレジストレーションは、原則として、測定からの材料遷移領域が所望の形状の対応する材料遷移領域に適合するように実施することができる。つまり、両者が最もよく一致する姿勢が探索される。この場合、適切な割り当てを見つけるために、コーナーやエッジなどの形状の特定の特徴を明示的に特定することも可能である。この場合、ユーザまたは評価規則は、どの材料、材料遷移または所望の形状の構成要素を考慮し、どれを考慮しないかを選択することができる。さらに、測定データの遷移のタイプを知ることで、誤った割り当て、ひいては誤ったレジストレーションを防ぐことができる。
【0064】
また、測定データと所望の形状との間のレジストレーションも、非剛体的に行うことができる。
【0065】
さらに、ラベルフィールドを作成する際に、測定データをデータベースから既知の形状要素(例えば、ねじ)を検索することができる。形状要素または予め定義された範囲内で類似している形状要素が測定ボリューム内で識別された場合、例えば、プレセグメンテーションのグレースケール値の範囲に対応する材料ラベルを割り当てたり、関連する所望の形状を形状要素に適合させることによって、所望の形状の知識をさらなる評価で使用することができる。さらに、代替的に又は追加的に、対応する評価プランを自動的に呼び出してもよい。さらなる例では、オブジェクトが、シーンツリーにおいて自動的に識別または命名されてもよい。データベースからの既知の形状要素の検索が、方法100のさらなるステップで実施されてもよい。
【0066】
さらなるステップ104において、少なくとも2つの均質領域がデジタルオブジェクト表現からセグメント化される。任意選択のプレセグメンテーションが実施された場合、ステップ104は、主セグメンテーションと呼ばれることがある。この場合、デジタルオブジェクト表現における均質領域が決定され、互いに区切られる。ステップ130によるラベルフィールドが使用される場合、ステップ104は、ラベルフィールド及び距離フィールドに基づいて実施される。
【0067】
ステップ104では、他のセンサからの情報を使用することができる。材料遷移領域の位置を適合させる場合、これらのセンサで得られた表面情報を使用して、材料遷移領域をこの方向に延長するか、または材料遷移領域がこの方法で決定された表面を越えて延長されるのを防止する。
【0068】
ステップ104の後、ステップ140が任意に実施され得る。ステップ140において、材料遷移領域は、オブジェクトの形状要素がユーザによって入力され、及び/又は評価規則から収集されることによって予め定義される。この場合、形状要素は、セグメント化されたデジタルオブジェクト表現の材料遷移領域に適合させることを意図している。例えば、円柱は、対応する材料遷移領域によって縁取られた円柱状の均質領域に適合させることができる。
【0069】
さらなる任意のステップ142において、オブジェクトの形状要素は、セグメント化されたデジタルオブジェクト表現に適合される。この場合、均質領域間に配置される予め定義された材料遷移領域が検索される。そのような予め定義された材料遷移領域を有するオブジェクト表現の領域又はオブジェクト表現内のプローブポイントは、オブジェクトの形状要素をセグメント化されたデジタルオブジェクト表現に適合させるために使用される。
【0070】
さらに、材料内部の小さな空洞や空気中の材料粒子は、通常ノイズに起因する望ましくない不正確なセグメンテーションであるため、例えば測定データにおいて識別され、除去されてもよい。さらに、ノイズの影響を最小化するために、セグメント化された表面を平滑化してもよい。このような措置は、原則として、各ステップの後に考えられ、特に、結果の安定性を向上させ、後続のステップで必要な計算時間を短縮するために役立つ。
【0071】
ステップ106において、少なくとも2つの均質領域の間に配置された少なくとも1つの材料遷移領域の位置が決定される。この場合、2つの均質領域間の領域は、セグメント化されたデジタルオブジェクト表現から決定される。材料遷移領域の位置は、2つの均質領域の間のこれらの領域にあることが仮定され、決定される。
【0072】
ステップ130、104及び106において、異なる測定データを使用することができる。異なる測定データ、例えばMRT又は超音波から得られる異なるボリュームデータセットをステップ130のプレセグメンテーションで実行し、主セグメンテーションをCTデータで実行することができる。ただし、このためには、異なるモダリティのデータセットが互いに整合されることが必要である。
【0073】
ステップ140及び142の代替として又は加えて、さらなる任意選択のステップ144において、均質領域間の材料遷移領域に基づいて、オブジェクトの形状要素をセグメント化されたデジタルオブジェクト表現に適合させてもよい。このステップでは、ステップ140とは対照的に、予め定義された材料遷移領域ではなく、ステップ106における少なくとも2つの均質領域間の少なくとも1つの材料遷移領域の位置の決定から決定された材料遷移領域が使用される。
【0074】
後続のさらなる任意選択のステップ146において、形状要素が適合される材料遷移領域における均質領域の材料が決定される。これは、例えば、画像情報によって実施することができる。画像情報がグレースケール値である場合、グレースケール値の特定の範囲を特定の材料に割り当てることができる。これにより、均質領域における材質を決定することができる。
【0075】
さらなる任意選択のステップ148において、材料遷移領域における均質領域における決定された材料に関連する情報が、形状要素の適合に関連する結果のメタ情報として出力される。決定された材料に関連する情報は、オブジェクトの既知の知識と比較することができる。例えば、オブジェクト内の特定の形状要素に対して、特定の材料が提供されてもよい。その場合、対応する形状要素に対して決定された材料は、同一の材料であるべきである。不一致の場合、オブジェクトの製造における誤った適合や欠陥が決定され得る。
【0076】
図2は、ステップ104及びステップ106の任意選択のサブステップを示す。第1の任意選択のサブステップ107は、測定データ及び/又はデジタルオブジェクト表現において少なくとも2つの均質な領域を決定することを含む。この目的のために、画像情報は、例えばグレースケール値の範囲内の領域または類似のテクスチャを有する領域など、均質な領域が存在するかどうかを決定するために分析される。
【0077】
さらなる任意選択のサブステップ108において、空間的に分解された複数の画像情報項目の局所的類似度が分析される。この場合、例えば、空間的に分解された複数の画像情報項目の変化列を分析してもよい。代替的または追加的に、空間分解された複数の画像情報項目の局所的分散を解析してもよい。局所的分散は、変化列を使用するよりも、複数の材料遷移領域において、より迅速に、より頑強に算出されてもよい。局所的類似度から、オブジェクトの異なる構成要素間の材料遷移領域の予測位置を決定してもよい。これらの材料遷移領域の予想位置は、サブステップ107で決定された均質領域の予測境界の位置である。
【0078】
さらなる任意選択のサブステップ110において、均質領域が次に適合される。この目的のために、各均質領域の範囲が変更され、その結果、各均質領域の境界領域が、材料遷移領域の予測位置に配置される。したがって、材料遷移領域の予測位置が、オブジェクト表現において均質領域の境界となる。
【0079】
ステップ106のさらなる任意選択のサブステップ112において、サブステップ110による少なくとも1つの境界領域における少なくとも1つの材料遷移領域の位置が決定される。この場合、少なくとも1つの材料遷移領域の位置を決定する際に、少なくとも1つの境界領域の周囲も含まれることがある。境界領域は、材料遷移領域の予測位置に配置されるので、少なくとも1つの材料遷移領域の検索半径は、境界領域、又は境界領域及びその周囲に限定される。
【0080】
代替的または追加的に、プレセグメンテーションは、局所的類似度の表現に対して既に実行されていてもよい。この場合、例えば、分水嶺(watershed)変換または領域拡張法を使用することができる。これにより、連続した領域が生成される。局所的類似度の表現は、同様に、より安定した結果を得るために、フィルタリングや他の演算を行ってもよい。例えば、ガウシアンフィルタが挙げられる。
【0081】
プレセグメンテーションのこの変形例のさらに任意選択のサブステップにおいて、これらの連続した領域は、次に、例えば、元の測定データ中の、領域に関連付けられた、グレースケール値の形態であってよい画像情報を分析することによって、特定の材料に割り当てられてもよい。
【0082】
さらなるプレセグメンテーションの方法は、例えばグレースケール値として存在する画像情報の勾配に基づいて、ボリューム内の場所依存の電気抵抗をモデル化することができる。その後、各材料または各コンポーネントについて、小さな開始領域が定義される。これは、注目領域テンプレートまたはCAD表現などの所望の形状を使用して実施されてもよい。ポテンシャルラインは、特に生物学的構造における材料遷移領域の優れた推定を形成する。
【0083】
機械学習を用いたアルゴリズムもプレセグメンテーションに使用することができる。さらに、他のモダリティまたはセンサ、例えばマルチセンサによって決定された既知の知識も、代替的または追加的にプレセグメンテーションに使用することができる。
【0084】
プレセグメンテーションの結果は、予備的なラベルフィールドであり、場合によっては距離フィールドを含む。
【0085】
ラベルフィールド及び又は、それとは別に、距離フィールドは、精度を上げたり、データ量を減らしたりする目的で、様々な解像度で保存され得る。必要であれば、コーナーや多くの材料が接する材料遷移領域をより詳細に記述できるように、追加の距離フィールドや法線フィールド内の局所法線方向の記述が追加されてもよい。より高い解像度が要求される基準としては、局所的である可能性があるが、例えば、コーナーや複数のエッジの存在、複数の材料の集まり、法線の激しい変化や空間的変動などが考えられる。
【0086】
図3は、代替的に又は追加的に使用することができるステップ104の更なる例示的な実施形態を示す。この場合、ステップ104は、空間的に分解された複数の画像情報項目の頻度分布が分析される任意選択のサブステップ124を含む。この場合、頻度分布は、オブジェクトに関する空間的に分解された複数の画像情報項目のうち同一画像情報項目の頻度に基づいている。これは、例えば、画像情報のヒストグラムであってもよい。画像情報が例えばグレースケール値である場合、これはグレースケール値ヒストグラムである。この場合、同一画像情報項目は、同一の値を有するデジタルオブジェクト表現の異なる位置のグレースケール値となる。
【0087】
さらなる任意選択のサブステップ126において、少なくとも2つの均質領域が、頻度分布に基づいて決定される。異なる材料が異なるグレースケール値の範囲を有する場合、例えば、特定の材料に対するグレースケール値の範囲は、グレースケール値ヒストグラムから導出され得る。そして、これらの決定されたグレースケール値の範囲によって、均質領域を決定することができる。
【0088】
サブステップ124及び126の代替として又は加えて使用することができるさらなる任意選択のサブステップ128において、オブジェクト表現は、オブジェクトに関する空間的に分解された複数の画像情報項目のうち同一画像情報項目の連続する領域について分析される。分析は、均質領域をセグメント化し、各均質領域に材料を割り当てるために使用される。同一画像情報項目の連続領域が決定された結果、少なくとも連続する領域は既に均質である。異なる連続領域を分析することで、画像情報が類似している複数の連続領域を統合することが可能となる。
【0089】
図4は、ステップ106の一実施形態を示す。任意選択のサブステップ132において、異なるタイプの材料遷移領域の選択が提供される。この提供は、ユーザによる入力によって、及び/又は、評価規則によって実施されてもよい。材料遷移領域のタイプを選択することにより、例えば、オブジェクトの品質をチェックする際に関心のある特定の材料遷移領域を提供することが可能になる。
【0090】
さらなる任意選択のサブステップ134において、サブステップ132の後に、少なくとも選択されたタイプの材料遷移領域の位置が決定され得る。この場合、位置は、非常に高い精度で決定される。この場合、精度は、上述したサブステップ108の場合よりも高くなる。ただし、この場合、サブステップ108が予め実施される必要はなく、つまりサブステップ134と108が択一的にまたは組み合わせて実施されてもよい。選択されたタイプの材料遷移領域の位置のみが精度を高めて決定される場合、残りの材料遷移領域の位置は決定されないか、または精度を高めて決定されることがないので、計算時間を節約することができる。
【0091】
ステップ106の代替または追加の任意選択のサブステップ136において、要求されるプローブポイントを有するデジタルオブジェクト表現内の領域が提供され得る。これらの領域は、ユーザによる入力によって、及び/又は評価規則によって提供されることができる。要求されるプローブポイントを有する提供された領域は、例えば、オブジェクトの品質をチェックするときに関心を持たれるかもしれない。
【0092】
さらなる任意選択のサブステップ138において、プローブポイントが要求され、その位置を決定することが意図されているデジタルオブジェクト表現の提供領域内または提供領域に配置される材料遷移領域を選択し提供することが可能である。このサブステップにより、プローブポイントが要求される領域にのみ材料遷移領域が選択され提供されるので、計算時間を節約することが可能となる。また、プローブポイントが要求されない他の領域では、材料遷移領域の位置を決定することを省略することができる。
【0093】
図5は、ステップ114の一実施形態を示す。任意選択のサブステップ116において、オブジェクトの材料遷移領域のデジタル表現が、画像情報の局所的類似度から決定され得る。例えば、画像情報の局所的類似度がこれらの領域において当該領域の外側よりも低い場合、材料遷移領域はデジタルオブジェクト表現の領域内にあると仮定することができる。
【0094】
さらなる任意選択のサブステップ118において、所望の形状のデジタル表現と材料遷移領域のデジタル表現とは、サブステップ116の後に互いに適合させることができる。材料遷移領域は、特に、同様に所望の形状で存在するオブジェクトの表面又は材料境界を有することができるので、材料遷移領域は、所望の形状で存在する表面又は材料境界と整合させてもよい。したがって、デジタルオブジェクト表現の形態の測定データは、所望の形状に少なくともおおよそ整合されてもよい。
【0095】
サブステップ116及び118の代替として又はそれに加えて実施することができるさらなる任意選択のサブステップ120において、デジタルオブジェクト表現における材料遷移領域の少なくとも一部が決定されてもよい。材料遷移領域のこの部分は、さらなるサブステップ122において、所望の形状のデジタル表現とデジタルオブジェクト表現とを互いに適合させるために使用されてもよい。デジタルオブジェクト表現と所望の形状との整合のために、したがって、すべての材料遷移領域を知ること又は決定することは必要ではない。デジタルオブジェクト表現の形態の測定データを所望の形状に整合させるために、材料遷移領域の一部のみ、例えば、オブジェクトの外面を必要とされてもよい。
【0096】
方法100の任意選択のステップ130及びいくつかのさらなるステップは、方法100に関連したラベルフィールドの使用を示す
図6aから
図6eを用いて、以下に詳細に説明される。この場合、
図6aは、オブジェクトの断面に関連する測定データからの画像情報のデジタル表現10を概略的に示す。この概略的なデジタル物体表現は、例えば、コンピュータ断層撮影測定の断面表現であってよい。この場合、画像情報は、明瞭性の理由から、
図6aにおいてグレースケール値として図示されていないグレースケール値であってもよい。グレースケール値が大きく変化する遷移領域のみが、線として図示されている。
【0097】
オブジェクトは、部分領域12、14、16、18を有し、それぞれの画像情報は均質領域を形成している。部分領域12は、材料遷移領域20によって部分領域14と区切られている。また、部分領域12は、材料遷移領域22によって部分領域16及び18と区切られている。材料遷移領域24は、部分領域16と部分領域18との間に配置されている。しかしながら、画像情報のデジタル表現10において、遷移領域26、28及び30も見ることができるが、シャドーイング又は他のアーチファクトに起因するものであり、材料遷移領域ではない。
【0098】
この場合、従来のアルゴリズムでは、遷移領域26、28、30を材料遷移領域20、22、24から区別することができないという問題がある。したがって、最初に、画像情報が分析される任意選択のプレセグメンテーションを実施することが可能である。
【0099】
この場合、
図6bは、
図6aからの画像情報の表現10を、ラベルフィールド32としてグリッドを用いて示している。ラベルフィールド32は、任意の所望の解像度を有してよく、例えば、ボクセル又はピクセルの解像度よりも粗くてもよく、ボクセル/ピクセル精度又はサブボクセル/サブピクセル精度を有していてもよい。ラベルフィールド32及び/又は距離フィールドは、ほとんどの場合、測定データと同じ構造及び解像度を有することになる。しかしながら、例えば、より低い解像度、したがってより大きなセル、又は異方性解像度、したがって立方体の代わりに直方体を選択することができる。さらに、構造も、例えば立方体の代わりに四面体を適応させることができる。さらに、1つ以上の距離フィールドの助けを借りて、サブボクセル精度で材料遷移領域を表現できるようにすることは、絶対に必要というわけではない。これは、材料遷移領域の位置を決定するとき、または決定した後にのみ必要となる場合がある。したがって、セグメンテーションの際にはラベルフィールドのみで作業を行い、距離フィールドは材料遷移領域の位置を決定する際にのみ使用するようにすれば、計算時間や記憶領域を節約することができる。
【0100】
画像情報がグレースケール値である場合、例えば、ある閾値未満のグレースケール値は、
図6bにおいてラベル「〇」で示されている第1の材料、例えば、空気に割り当てられることができる。さらなる閾値よりも上のグレイスケール値は、
図6bのラベル「+」で示されている第2の材料に割り当てられる。2つの閾値の間にあるグレースケール値は、
図6bで「×」で示されている第3の材料に割り当てることができる。
【0101】
ラベルフィールドは、距離フィールドと組み合わせることができる。
【0102】
さらに、例えばピン番号1~9を持つコネクタの場合、オブジェクトの個々の部分に関連する所望の形状からの情報を使用して、それぞれの材料に関連する情報を得ることができる。したがって、同一の材料の領域をオブジェクトの異なる部分に分割することも可能である。このようにすることで、測定データの評価方法がより明確になる。理想的には、領域は、既に所望の形状に定義された階層構造で列挙または表示されることが望ましい。
【0103】
同様に、ラベルフィールドで分離している、あるいは連結していない同一の材料の領域も、自動的に分割することができる。
【0104】
図6cによる次のステップでは、画像情報の局所的類似度を解析して得られる表現34が決定される。これは、例えば、勾配表現であってもよい。ここでは、材料遷移領域20と22と24とが明確に識別可能である。遷移領域26から30は、この表現では見ることができない。しかしながら、画像情報の表現10とは対照的に、オブジェクトの個々の部分領域は、互いに質的に区別することができない。すなわち、
図6cによる表現から、部分領域の材料を推論することはできない。
【0105】
表現34は、
図6dに例として示されているように、ラベルフィールド32にリンクされている。この場合、均質領域が全てのセクションにおいて材料遷移領域20、22及び24によって境界づけられていないことが識別できるようになる。したがって、均質領域の境界は、任意選択のステップ130を実施するときに使用されるステップ104による主セグメンテーションの間に、例えば矢印36及び40で「〇」から「×」へ、矢印38で「+」から「×」へ、均質領域を再ラベリングすることによってシフトされる。矢印36及び40において「〇」のラベルを有していた領域は、
図6eにおいて消滅しており、現在は「×」のラベルを有する領域に属している。矢印38でラベル「+」の領域が減少し、ラベル「〇」の領域が増加した。同様の処理が、矢印42、44、46の箇所でも行われる。矢印46及び44において、ラベル「+」を有する2つの以前に分離していた均質領域がともに成長し、ラベル「×」を有する領域が消滅している。
【0106】
代替的または追加的に、1つの材料に属する個々の領域をデジタルオブジェクト表現でマーキングし、ラベルフィールドを作成することができる。このマーキングは、次の材料遷移領域までインテリジェントに自動的に拡張される。また、材料遷移領域がユーザによって示され、例えば材料遷移領域が他の材料遷移領域と衝突するまで自動的に増加するようにすることも可能であり、その結果、ユーザは完全な材料遷移領域を示すことを余儀なくされることがなくなる。そのため、正確なマーキングが不要となる。さらに、ラベルフィールドの領域を処理するために、オープニング、クロージング、収縮と拡張、反転、ブール演算またはフィルタなどの平滑化ツールなどの演算を使用することができる。
【0107】
さらに、ユーザの意見で材料遷移領域が存在する領域を強調することが可能である。この場合、アンカーポイントを設定し、そこで材料遷移領域として、いわばメタ情報として処理を行うこともできるし、局所的類似度の表現において、画像情報を直接変更することもできる。
【0108】
あるいは、欠陥のある材料遷移領域も除去したり、弱めたりすることができる。処理後、これに基づいてラベルフィールドが再計算される。この場合、ユーザが定義した位置に意味のある材料遷移領域が見つからない場合は、警告を出力することも可能である。
【0109】
また、局所的なデータ品質の表面ベースの決定も使用することができる。この場合、材料遷移領域の精度を表す品質値を各材料遷移領域に割り当てることができる。
【0110】
局所的類似度の表現は、測定データから、具体的にはボリュームデータから、異なる方法で計算することができる。例えば、Sobelオペレータ、ラプラスフィルタまたはCannyアルゴリズムが使用され得る。どのアルゴリズムを使用し、どのようにパラメータ化するかは、ユーザが手動で行うことができる。例えば、ラベルフィールドを作成する際に最良の結果をもたらすアルゴリズムを、プレビュー画像に基づいて選択することができる。さらに、最良の結果を得るために、ラベルフィールドを適合させる前に、局所的類似度の表現をフィルタリングによって処理することができる。例えば、ガウシアンフィルタを使用することで、ラベルフィールドの適合時にノイズが結果に与える悪影響を最小限に抑えることができる。
【0111】
アルゴリズムによっては、ラベルフィールドを適合させた後に、さらに小さな領域が不正にセグメンテーションされる可能性がある。これを修正するために、任意選択のサブステップを実行することも可能である。
【0112】
この場合、個々の材料領域に対してオープニングやクロージングなどのモルフォロジー演算を適用することで、小さな領域を削除することができる。
【0113】
さらに、定義された最大サイズ未満の連続領域は削除することができ、周囲の材料に割り当てることができる。2つ以上の他の材料に囲まれた領域は、任意で異なるまたはより大きな最大サイズを提供することができ、または全く削除することができないが、1つの他の材料にのみ囲まれた領域は、依然として上記の最大サイズで処理することができる。このようにして、例えば、2つの材料間の材料の薄い層を保持することができる。
【0114】
図6eは、主セグメンテーションの結果である。ここで、ラベルフィールドの境界は、材料遷移領域20、22、24にほぼ対応している。したがって、コンポーネントまたは材料12、14、16がセグメント化される。
【0115】
例えば、局所的な表面を表すことができる材料遷移領域は、適合したラベルフィールドに基づいて、より高い精度で計算される。この目的のために、これに特化したさらなるアルゴリズムを使用することができる。この場合、材料遷移領域の正確な位置は、例えば数ボクセルのような小さな周辺領域で探索される。これは通常、CTデータで実施することを意図した正確な寸法測定のための前提条件である。
【0116】
この目的のために、原理的には、例えば測定データに直接働きかけるアルゴリズムなど、異なるアルゴリズムを使用してもよい。これらのアルゴリズムは、例えば、局所的または大局的な閾値によって、あるいはグレースケール値プロファイルの最大勾配または転換点を検索することによって、表面の局所的な位置を決定することが可能である。
【0117】
さらに、材料遷移領域の正確な局所位置は、例えば、グレースケール値プロファイルに2次多項式を適応することにより、局所的類似度の表現または勾配もしくは分散表現において決定することが可能である。この多項式の極値の位置を表面の位置として使用することができる。
【0118】
しかし、上記の説明から、さらなるアルゴリズムが排除されるわけではない。
【0119】
材料遷移領域に配置された表面、または材料遷移領域に配置された材料の、表面法線の、おそらくは近似的な方向に関する知識は、ラベルフィールド及びそこに暗黙的に格納された表現から導き出すことが可能である。この知識は、より厳密な結果を得るために、いくつかのアルゴリズムによって使用することができる。この知識は、利用可能であれば、代替的に所望の形状、例えばCADモデルから収集することも可能である。
【0120】
そして、これは、開始面に関する情報を要求される、または使用できるアルゴリズムと組み合わせて実施され、それに基づいて面の正確な位置を計算する。
【0121】
さらに、コーンビームアーチファクト、サンプリングアーチファクト及びノイズをラベルフィールド作成前または作成後に低減することができる。
【0122】
図7は、マルチ材料遷移領域の一例を示す図である。この場合、
図7には、材料48、54、56が図示されている。この場合、材料48は、材料54と56との間に配置され、他の2つの材料と比較して非常に短い範囲を有する。材料遷移領域52は、材料48と材料54との間に配置されている。材料遷移領域50は、材料48と材料56との間に配置されている。全体として、2つの材料遷移領域50及び52は、従来の方法を使用しても解決することが困難なマルチ材料遷移領域を形成している。従来の分割方法では、このような領域を単に1つの材料遷移領域として検出するのが一般的であった。しかしながら、上述した本発明のコンピュータ実装方法100を用いると、非常に近接した複数の材料遷移領域を検出することができる。
【0123】
本発明は、上述した実施形態の1つに限定されるものではなく、様々な変更が可能である。特に、上述した例示的な実施形態は、互いに組み合わせることができる。また、方法100のステップは、論理的に可能であれば、任意の所望の順序で実施することができる。
【0124】
設計の詳細、空間配置および方法ステップを含む、特許請求の範囲、説明および図面から明らかになるすべての特徴および利点は、単独でも多種多様な組み合わせでも、本発明に不可欠なものとなり得る。
【国際調査報告】