(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-24
(54)【発明の名称】落下防止システム
(51)【国際特許分類】
A62B 35/00 20060101AFI20230117BHJP
B66C 23/16 20060101ALN20230117BHJP
【FI】
A62B35/00 H
B66C23/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529506
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(85)【翻訳文提出日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 IB2020060467
(87)【国際公開番号】W WO2021099874
(87)【国際公開日】2021-05-27
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】ストラウス,アンドリュー シー.
(72)【発明者】
【氏名】バウアー,ニコラス ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ウェイス,ミカエル ティー.
【テーマコード(参考)】
2E184
3F205
【Fターム(参考)】
2E184JA05
2E184KA04
2E184LA03
3F205AA01
3F205AC01
3F205AC05
3F205GA02
(57)【要約】
落下防止システムは、第1の側と、第1の側の反対側に画定された第2の側と、を画定しているベースプレートを含む。落下防止システムはまた、ベースプレートの第1の側に近接してベースプレートに接続されたマストアセンブリを含む。落下防止システムは更に、マストアセンブリに対して傾斜し、マストアセンブリに枢動可能に接続されたジブを含む。落下防止システムは、ベースプレートの第2の側に近接してベースプレートに接続可能な釣合い重りを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側と、前記第1の側の反対側に画定された第2の側と、を画定しているベースプレートと、
前記ベースプレートの前記第1の側に近接して前記ベースプレートに接続されたマストアセンブリと、
前記マストアセンブリに対して傾斜し、前記マストアセンブリに枢動可能に接続されたジブと、
前記ベースプレートの前記第2の側に近接して前記ベースプレートに接続可能な釣合い重りと、
を備える、落下防止システム。
【請求項2】
前記釣合い重りの重心が、前記ベースプレートの中心からオフセットされている、請求項1に記載の落下防止システム。
【請求項3】
前記ベースプレートが、前記第2の側においてスロットを更に画定しており、前記スロットが、前記釣合い重りを少なくとも部分的に前記スロット内に受け入れている、請求項1に記載の落下防止システム。
【請求項4】
前記釣合い重りが、略矩形の形状である、請求項1に記載の落下防止システム。
【請求項5】
前記釣合い重りを前記ベースプレートに取り外し可能に接続するための複数の締結要素を更に備える、請求項1に記載の落下防止システム。
【請求項6】
前記複数の締結要素が、複数のケーブルおよび複数のターンバックルのうちの少なくとも一方を含む、請求項5に記載の落下防止システム。
【請求項7】
前記釣合い重りの材料が、金属およびコンクリートのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の落下防止システム。
【請求項8】
前記落下防止システムの前記ベースプレートが、搬送装置によって受け入れ可能である、請求項1に記載の落下防止システム。
【請求項9】
第1の側と、前記第1の側の反対側に画定された第2の側と、を画定しているベースプレートと、
前記ベースプレートの前記第1の側に近接して前記ベースプレートに接続されたマストアセンブリと、
前記マストアセンブリに対して傾斜し、前記マストアセンブリに枢動可能に接続されたジブと、
前記ベースプレートの前記第2の側に近接して前記ベースプレートに接続可能な釣合い重りであって、前記釣合い重りの重心が、前記ベースプレートの中心からオフセットされている、釣合い重りと、
を備える落下防止システム。
【請求項10】
前記ベースプレートが、前記第2の側においてスロットを更に画定しており、前記スロットが、前記釣合い重りを少なくとも部分的に前記スロット内に受け入れている、請求項9に記載の落下防止システム。
【請求項11】
前記釣合い重りを前記ベースプレートに取り外し可能に接続するための複数の締結要素を更に備える、請求項9に記載の落下防止システム。
【請求項12】
前記複数の締結要素が、複数のケーブルおよび複数のターンバックルのうちの少なくとも一方を含む、請求項11に記載の落下防止システム。
【請求項13】
前記釣合い重りの材料が、金属およびコンクリートのうちの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の落下防止システム。
【請求項14】
前記落下防止システムの前記ベースプレートが、搬送装置によって受け入れ可能である、請求項9に記載の落下防止システム。
【請求項15】
落下防止システムを組み立てる方法であって、前記落下防止システムが、第1の側と、前記第1の側の反対側に画定された第2の側と、を画定しているベースプレートを含み、前記方法が、
マストアセンブリを前記ベースプレートの前記第1の側に近接して前記ベースプレートに接続する工程と、
釣合い重りを前記ベースプレートの前記第2の側と整列させる工程と、
前記釣合い重りを前記ベースプレートの前記第2の側に近接して受け入れる工程と、
前記釣合い重りを前記ベースプレートの前記第2の側に近接して前記ベースプレートに取り外し可能に接続する工程と、
を含む、方法。
【請求項16】
前記釣合い重りの重心が、前記ベースプレートの中心からオフセットされるように、前記釣合い重りを前記ベースプレートに接続する工程を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記釣合い重りを前記ベースプレートの前記第2の側において画定されたスロット内に受け入れる工程を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記釣合い重りを複数の締結要素によって前記ベースプレートに取り外し可能に接続する工程を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の締結要素が、複数のケーブルおよび複数のターンバックルのうちの少なくとも一方を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記落下防止システムの前記ベースプレートを搬送装置によって受け入れる工程を更に含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、落下防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建設、工業、保守、および関連産業に適用される規制に従い、作業員が高所で作業を行うときに作業員が落下するのを防ぐシステムを採用することが不可欠である。そのような規制に準拠するために、業界は、様々な対策を取り、作業現場で作業する作業員の保護を確実にしている。通常、落下防止システムは、作業員が高所で作業を行う際に作業現場で使用される。落下防止システムは、必要に応じて、フォークリフトなどの搬送装置によって、ある場所から別の場所に輸送可能である。更に、落下防止システムは、典型的には、ベースアセンブリ、マストアセンブリ、およびジブ部分を含む。作業員は、落下防止を確実にするために、1つ以上のケーブルを使用してジブ部分に係留される。落下防止システムは軽量であり、設置および輸送が容易であり、動作における改善された信頼性を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0003】
概して、本発明は、落下防止システム、およびそのような落下防止システムの組み立て方法に関する。
【0004】
本開示のいくつかの実施形態は、落下防止システムに関する。落下防止システムは、第1の側と、第1の側の反対側に画定された第2の側と、を画定しているベースプレートを含む。落下防止システムはまた、ベースプレートの第1の側に近接してベースプレートに接続されたマストアセンブリを含む。落下防止システムは更に、マストアセンブリに対して傾斜し、マストアセンブリに枢動可能に接続されたジブを含む。落下防止システムは、ベースプレートの第2の側に近接してベースプレートに接続可能な釣合い重りを含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、釣合い重りの重心が、ベースプレートの中心からオフセットされている。
【0006】
いくつかの実施形態では、ベースプレートは、第2の側においてスロットを更に画定している。スロットは、釣合い重りを少なくとも部分的にスロット内に受け入れている。
【0007】
いくつかの実施形態では、釣合い重りは、略矩形の形状である。
【0008】
いくつかの実施形態では、落下防止システムは、釣合い重りをベースプレートに取り外し可能に接続するための複数の締結要素を更に含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、複数の締結要素は、複数のケーブルおよび複数のターンバックルのうちの少なくとも一方を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、釣合い重りの材料は、金属およびコンクリートのうちの少なくとも1つを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、落下防止システムのベースプレートは、搬送装置によって受け入れ可能である。
【0012】
本開示のいくつかの実施形態は、落下防止システムに関する。落下防止システムは、第1の側と、第1の側の反対側に画定された第2の側と、を画定しているベースプレートを含む。落下防止システムはまた、ベースプレートの第1の側に近接してベースプレートに接続されたマストアセンブリを含む。落下防止システムは更に、マストアセンブリに対して傾斜し、マストアセンブリに枢動可能に接続されたジブを含む。落下防止システムは、ベースプレートの第2の側に近接してベースプレートに接続可能な釣合い重りを含む。更に、釣合い重りの重心は、ベースプレートの中心からオフセットされている。
【0013】
本開示のいくつかの実施形態は、落下防止システムの組み立て方法に関する。落下防止システムは、第1の側と、第1の側の反対側に画定された第2の側と、を画定しているベースプレートを含む。方法は、マストアセンブリをベースプレートの第1の側に近接してベースプレートに接続する工程を含む。方法はまた、釣合い重りをベースプレートの第2の側と整列させる工程を含む。方法は、ベースプレートの第2の側に近接して釣合い重りを受け入れる工程を更に含む。方法は、釣合い重りをベースプレートの第2の側に近接して複数の締結要素によってベースプレートに取り外し可能に接続する工程を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下の図と共に以下の「発明を実施するための形態」を検討することで、本明細書に開示する例示的実施形態は、より完全に理解することができる。図は、必ずしも原寸に比例して描かれているとは限らない。図面で使用されている同様の数字は同様の構成要素を示す。複数の同様の要素が存在する場合、特定の要素を指す小文字の指定によって、単一の参照番号が複数の同様の要素ごとに割り当てられ得る。要素をまとめて参照する場合、又は非特定の1つ以上の要素を参照する場合は、小文字の指定を省略できる。しかしながら、所与の図内で構成要素を示すための番号の使用は、同じ番号で示されている別の図内の構成要素を限定することを意図していないことが理解されよう。
【0015】
【
図1】本開示の一実施形態による輸送のための搬送装置によって受け入れられた落下防止システムの側面図である。
【
図2】
図1に示す落下防止システムの斜視図である。
【
図3】
図1に示す落下防止システムに関連付けられた主要機構を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示す落下防止システムの釣合い重りおよびベースプレートを示す、落下防止システムの分解図である。
【
図5】
図1に示す落下防止システムに関連付けられた様々なパラメータを示す概略図である。
【
図6】
図1に示す落下防止システムの組み立て方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の説明では、説明の一部を構成し、様々な実施形態が実例として示される、添付の図面が参照される。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想定され、実施され得ることを理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味では解釈されない。
【0017】
本開示は、ベースアセンブリと、高さ調節可能なマストアセンブリと、マストアセンブリの一部に接続されたジブと、釣合い重りと、を有する落下防止システムに関する。高さ調節可能なマストアセンブリは、固定マストセクションと、固定マストセクションに対して移動され得る可動マストセクションと、を含む。要件に応じて、可動マストセクションを固定マストセクションとロックすることができる。更に、マストアセンブリをベースアセンブリとロックすることができる。落下防止システムを使用して、任意の作業現場または製造業界で作業する作業員の落下を停止または防止することができる。
【0018】
本明細書で使用される「整列された」という用語は、第1の構成要素と第2の構成要素との間の角度的整列を指す。第1の構成要素が突起またはタブであり、第2の構成要素が、相補的な開口部、溝、またはスロットを画定している場合、第1の構成要素は、第1および第2の構成要素が互いに整列されたときに、第2の構成要素内に少なくとも部分的に受け入れられることができる。第1および第2の構成要素が互いにずれている場合、第1の構成要素は、第2の構成要素内に受け入られることができない。場合によっては、第1および第2の構成要素は、それらが整列されたときに、軸方向に互いに間隔が空いていてもよい。
【0019】
図1は、例示的な落下防止システム100を示す。落下防止システム100は、建設、工業、保守などの産業において使用され得る。落下防止システム100は、用途の要件に応じて、ある場所から別の場所に輸送可能である。この目的のために、落下防止システム100は、搬送装置102によって受け入れ可能である。搬送装置102としては、フォークリフト、ハンドトラック、またはある場所から別の場所への落下防止システム100の輸送を容易にするために使用され得る任意の他の搬送装置を挙げることができる。
【0020】
落下防止システム100は、第1の側106と、第1の側106の反対側に画定された第2の側108と、を画定しているベースプレート104を含む。更に、第1の表面110(
図2に示される)が、第1の側106において画定され、第2の表面112が、第2の側108において画定されている。ベースプレート104は、略矩形の形状である。あるいは、ベースプレート104は、正方形の形状であってもよい。更に、落下防止システム100のベースプレート104は、搬送装置102によって受け入れ可能である。一例では、ベースプレート104は、搬送装置102のアーム114を受け入れるための1つ以上のポート(図示せず)を含み得る。
【0021】
図2に示されるように、ベースアセンブリ116が、ベースプレート104に接続されている。落下防止システム100のベースアセンブリ、マストアセンブリ128、およびジブ152が、要件に応じて、ベースプレート104に対して枢動できるように、ベースアセンブリ116は、ベースプレート10に枢動可能に接続されていることに留意されたい。したがって、ベースアセンブリ116は、枢動点118(
図3に示される)を中心として枢動可能である。更に、ベースアセンブリ116は、いくつかの機械的締結具120(
図3に示される)を使用して、ベースプレート104の第1の側106に近接して結合されている。より具体的には、ベースアセンブリ116のプレート122(
図3に示される)が、ベースプレート104に取り外し可能に結合されている。機械的締結具120としては、ボルト、ねじなどを挙げることができる。機械的締結具120は、チップアップ取り付け中または輸送中にベースアセンブリ116の枢動を容易にするために、取り外されてもよい。更に、釣合い重り126が、ベースプレート104に接続されている。
【0022】
落下防止システム100は、ベースプレート104の第1の側106に近接して配置された、ベースプレート104に接続されたマストアセンブリ128を含む。より具体的には、マストアセンブリ128は、ベースアセンブリ116によってベースプレート104に接続されている。マストアセンブリ128は、マストアセンブリ128によって画定されている第1の軸線「A1」を中心として回転可能である。マストアセンブリ128は、固定マストセクション130および可動マストセクション132を含む。可動マストセクション132は、マストアセンブリ128の高さ「H1」を調節するために、固定マストセクション130に対して移動するようになっている。よって、用途の要件に応じて、マストアセンブリ128の高さ「H1」を様々に変更することができるように、可動マストセクション132を固定マストセクション130に対して移動させることができる。可動マストセクション132は、第1の方向「D1」に沿って移動して、マストアセンブリ128の高さ「H1」を増加させ、第1の方向「D1」と反対の方向に移動して、マストアセンブリ128高さ「H1」を減少させることができる。言い換えれば、可動マストセクション132は、ベースプレート104に対して伸縮可能である。更に、落下防止システム100の収納位置では、可動マストセクション132は、完全に格納された位置にあり得る。落下防止システム100が使用中の場合、可動マストセクション132は、可動マストセクション132と固定マストセクション130との間の相対移動に基づいて、ベースプレート104に対して延びることができる。固定マストセクション130および可動マストセクション132としては、中空の正方形の管を挙げることができるが、限定されない。
【0023】
図3を参照すると、主要機構134が、落下防止システム100に関連付けられている。一例では、主要機構134は、ウインチアセンブリとして具体化されている。主要機構134は、以下、同じ意味でウインチアセンブリ134と呼ばれてもよい。ウインチアセンブリ134は、可動マストセクション132に動作可能に接続されている。より具体的には、ウインチアセンブリ134は、可動マストセクション132に動作可能に接続され、可動マストセクション132を固定マストセクション130に対して移動させる。更に、ウインチアセンブリ134は、ブラケット142を介して固定マストセクション130に接続されている。可動マストセクション132は、ウインチアセンブリ134の動作に基づいて移動可能である。ウインチアセンブリ134は、ケーブル136を含む。ウインチアセンブリ134は、固定マストセクション130に対して可動マストセクション132を移動すること、および固定マストセクション130に対して可動マストセクション132をロックすることのうちの少なくとも1つを行うようになっている。ウインチアセンブリ134は、マストアセンブリ130の高さ「H1」を上昇させるために、可動マストセクション132に第1の張力「T1」を選択的に加えて、可動マストセクション132を固定マストセクション130に対して移動させる。更に、ウインチアセンブリ134は、可動マストセクション132が固定マストセクション130とロックされると、可動マストセクション132に第2の張力「T2」を選択的に加えて、固定マストセクション130と可動マストセクション132との間の相対移動を防止する。第2の張力「T2」は、以下、同じ意味で張力「T2」と呼ばれる。
【0024】
更に、ウインチアセンブリ134は、ケーブル136を含み、ケーブル136が、ウインチアセンブリ134による張力「T2」を選択的に加える。より具体的には、ケーブル136は、固定マストセクション130と可動マストセクション132との間の相対移動を防止するために、可動マストセクション132に張力「T2」を選択的に加えるようになっている。更に、ケーブル136は、固定マストセクション130と可動マストセクション132との間の相対移動を選択的に可能にするようになっている。より具体的には、ケーブル136は、第1の張力「T1」を選択的に加えて、可動マストセクション132を固定マストセクション130に対して移動させる。ウインチアセンブリ134は、ブラケット138によって固定マストセクション130と結合された第1のプーリ(図示せず)と、第2のプーリ140と、ウインチドラム150と、を含む。ケーブル136は、ケーブル136の一端が固定マストセクション130の上端146で終端されるように、第1のプーリおよび第2のプーリ140を通って経路設定される。ウインチアセンブリ134は、手動で動作させてもよく、または電動ドリル(図示せず)を使用して動作させてもよい。
【0025】
更に、ウインチアセンブリ134はハンドル148を含む。ウインチアセンブリ134を手動で動作させる場合、作業員がハンドル148を回転させ、そのことが次に、一連のギア(図示せず)を介してウインチドラム150を回転させる。ウインチドラム150の回転により、ケーブル136は、ウインチドラム150の周りに格納されるか、または巻き取られる。ウインチドラム150の周りへのケーブル136の格納により、可動マストセクション132が第1の方向「D1」(
図2に示される)に沿って移動することによって、マストアセンブリ128の高さ「H1」が上昇する。更に、ウインチアセンブリ134は、可動マストセクション132に張力「T2」を加えて、可動マストセクション132を静止位置に保持する。より具体的には、ウインチアセンブリ134は、固定マストセクション130と可動マストセクション132との間の相対移動を排除するために、可動マストセクション132を固定マストセクション130とロックする。一例では、ウインチアセンブリ134は、ウインチドラム150の周りへのケーブル136の更なる巻き取りを制限し、それによって可動マストセクション132と固定マストセクション130との間の相対移動を制限するブレーキ機構(図示せず)を含み得る。可動マストセクション132は、ウインチアセンブリ134によって加えられる第2の張力「T2」に基づいて静止位置に保持されることに留意されたい。更に、ケーブル136の巻き出しにより、可動マストセクション132が第1の方向「D1」と反対の方向に移動することによって、マストアセンブリ128の高さ「H1」が減少する。
【0026】
ウインチアセンブリ134を電動ドリルによって動作させる場合、ハンドル148がクラッチアダプタと交換される。クラッチアダプタは、ウインチアセンブリ134の動力付き駆動ハブに結合される。次いで、電動ドリルが、クラッチアダプタの入力シャフトに取り付けられる。電動ドリルが作動されると、入力シャフトが回転し、これにより一連のギアを介してウインチドラム150が回転し、ケーブル136がウインチドラム150の周りに格納されることによって、マストアセンブリ128の高さ「H1」が上昇する。
【0027】
図2に示されるように、落下防止システム100はまた、マストアセンブリ128に対して傾斜し、マストアセンブリ128に枢動可能に接続されたジブ152を含む。より具体的には、ジブ152は、可動マストセクション132に枢動可能に接続されている。図示の実施形態では、ジブ152は、可動マストセクション132に対して実質的に垂直である。ジブ152は、第1の端部158および第2の端部159を画定している。第1のブラケット部材154が、可動マストセクション132の上部156に固定接続されている。ジブ152の第1の端部158は、ジブ152が枢動点160において枢動可能に接続されるように、第1のブラケット部材154に接続される。第1のブラケット部材154は、ベアリングと、可動マストセクション132に対するジブ152の枢動を容易にするシャフトと、を含んでもよい。いくつかの例では、ジブ152としては、1つ以上の伸縮アームを挙げることができるが、限定されない。更に、落下防止システム100が組み立てられるときに、ジブ152は、バー162によってマストアセンブリ128に対して垂直に保持される。バー162の第1の端部164は、第2のブラケット部材166によって可動マストセクション132に枢動可能に接続されている。バー162の第2の端部168は、第3のブラケット部材170によってジブ152に接続されている。
【0028】
一例では、ジブ152は、アンカーポイント172を含む。
図2に示されるように、アンカーポイント172は、ジブ152の第2の端部159に接続されている。アンカーポイント172は、固定デバイス、例えば、ケーブル、ハーネス、または他のそのようなデバイスの一端を落下防止システム100に固定することができるポイントを提供する。固定デバイスの他端は、作業員に固定され、作業員に落下防止をもたらす。他の例では、アンカーポイント172の位置は、要件に応じて様々に異なっていてよい。例えば、ジブ152は、ジブ152の下側に固定されたトラック(図示せず)を含んでもよい。アンカーポイント172の位置を様々に変更するために、トラックにトロリー(図示せず)が摺動可能または回転可能に接続され、トロリーにアンカーポイント172が接続されてもよい。
【0029】
図4を参照すると、落下防止システム100は、ベースプレート104の第2の側108に近接してベースプレート104に接続可能な釣合い重り126を含む。図示の実施形態では、釣合い重り126は、略立方体の形状である。しかしながら、釣合い重り126の形状は、用途の要件に応じて様々に異なっていてよい。釣合い重り126は、ベースプレート104のスロット124内に受け入れ可能である。ベースプレート104は、第2の側108においてスロット124を画定している。スロット124は、釣合い重り126を少なくとも部分的にスロット内に受け入れている。スロット124の形状およびサイズは、釣合い重り126の形状およびサイズに基づく。更に、釣合い重り126の材料は、金属およびコンクリートのうちの少なくとも1つを含む。したがって、釣合い重り126は、金属またはその合金の鋳造ブロックを具体化したものであり得る。あるいは、釣合い重り126は、コンクリートの鋳造ブロックを具体化したものであってもよい。場合によっては、釣合い重り126は、複数の重りを着脱可能に受け入れてもよい。重りの数およびタイプは、用途の要件に応じて変更されてよい。
【0030】
釣合い重り126は、ベースプレート104に取り外し可能に接続される。よって、落下防止システム100は、釣合い重り126をベースプレート104に取り外し可能に接続するための複数の締結要素174を含む。落下防止システム100は、4つの締結要素174を含む。しかしながら、締結要素174の総数は、要件に応じて様々に異なっていてよい。よって、落下防止システム100は、釣合い重り126をベースプレート104に取り外し可能に接続するための2つの締結要素174を含んでもよい。それぞれの締結要素174の第1の端部176が、ベースプレート104に接続される一方、それぞれの締結要素174の第2の端部178は、釣合い重り126に接続される。釣合い重り126は、釣合い重り126をベースプレート104に接続するための締結要素174の第2の端部178を取り外し可能に受け入れるフック180を含む。本明細書に示される釣合い重り126は、釣合い重り126の側面182に配置された4つのフック180を含む。落下防止システム100が2つの締結要素174を含む場合、釣合い重り126は、釣合い重り126の側面182に配置された2つのフック180を含み得ることに留意されたい。
【0031】
より具体的には、側面182のそれぞれが、対応する締結要素174の第2の端部178を取り外し可能に受け入れるための単一のフック180を含み得る。
【0032】
複数の締結要素174は、複数のケーブルおよび複数のターンバックルのうちの少なくとも一方を含む。図示の実施形態では、締結要素174は、ターンバックルとして具体化されている。釣合い重り126は、ベースプレート104に取り外し可能に接続されているので、釣合い重り126は、搬送装置102の輸送中は取り外されることができる。釣合い重り126の取り外しは、釣合い重り126および落下防止システム100を別々に移動することによって、落下防止システム100が、より小さな容量の搬送装置102によって輸送されることを可能にし得る。
【0033】
図4および
図5を参照すると、釣合い重り126の重心「CG1」が、ベースプレート104の中心184からオフセットされている。より具体的には、釣合い重り126の重心「CG1」は、ベースプレート104の第2の表面112(
図5を参照)から距離「X1」(
図5に示される)に画定される。一例では、距離「X1」は、約1フィートから2フィートの範囲内にあるが、限定されない。具体的な例では、釣合い重り126の重心「CG1」は、落下防止システム100を輸送するために使用される搬送装置102(
図1を参照)の最前部から2フィート(60.96センチメートル)以内にある。重心「CG1」が、搬送装置102から2フィート以内にあるので、落下防止システム100を、より小さな容量の搬送装置102によって拾い上げ、移動させることができる。より具体的には、釣合い重り126の重心「CG1」が第2の表面112から距離「X1」に存在するように、ベースプレート104の第2の側108において釣合い重り126を接続することにより、重心「CG1」を、ティッピングポイントから離れるようにシフトさせることができ、そのことが次に、ベースプレート104の全体的なサイズを維持しながら、落下防止システム100の重量を低減することが可能となり得る。
【0034】
図5に示されるように、一例では、静的平衡方程式を使用して、力「F」を支持するために必要とされる釣合い重り126の重量を決定することができる。力「F」は、落下防止システム100に加えられ得る、力「F2」の水平成分および/または力「F3」の垂直成分を含み得る。静的平衡方程式は、例えば、カンチレバー距離「X2」、アンカーの高さ「H2」、落下防止システム100の重量、落下防止システム100の重心「CG2」、釣合い重り126の重量、釣合い重り126の重心「CG1」、落下防止システム100の支点「F1」と重心「CG2」との間の距離「X3」、支点「F1」と釣合い重り126の重心「CG1」との間の距離「X4」、荷重「L1」の角度、およびアンカーポイント172において落下防止システム100に加えられる力「F」などの変数を使用し得る。
【0035】
第2の表面112から距離「X1」だけ離れた釣合い重り126の重心「CG1」の位置は、力「F」に効果的に対抗し得る。これにより、落下防止システム100の重量は、重心「CG1」に依存するので、落下防止システム100の重量の低減が可能になり得る。よって、落下防止システム100の重量の低減が、釣合い重り126の重量の低減を可能にし得る。更に、落下防止システム100の重量を低減することで、より小さな容量の搬送装置を使用して落下防止システム100を移動することができるので、落下防止システム100の輸送性を改善し得る。したがって、落下防止システム100の顧客は、容易に入手可能な搬送装置を使用することができる。
【0036】
本開示は、落下防止システム100の重量を低減し、ベースプレート104の適度に小さい設置面積を維持しながら、釣合い重り126の重心「CG1」を支点「F1」から離れるように再配置することを可能にするための技術を提供することができることに留意されたい。そのような技術は、釣合い重り126の重量を低減することを可能にし、そのことが次に、落下防止システム100がより小さな搬送装置によって輸送されることを可能にし、また、カンチレバー距離「X2」の更なる延長を可能にし得る。更に、本明細書に記載の落下防止システム100は、組み立ておよび輸送が容易であり得る。
【0037】
図6は、落下防止システム100の組み立て方法600を示す。落下防止システム100は、第1の側106と、第1の側106の反対側に画定された第2の側108と、を画定しているベースプレート104を含む。更に、落下防止システム100のベースプレート104は、搬送装置102によって受け入れられる。工程602では、マストアセンブリ128が、ベースプレート104の第1の側106に近接してベースプレート104に接続される。工程604では、釣合い重り126を、ベースプレート104の第2の側108と整列させる。工程606では、釣合い重り126が、ベースプレート104の第2の側108に近接して受け入れられる。
【0038】
工程608では、釣合い重り126が、ベースプレート104の第2の側108に近接してベースプレート104に取り外し可能に接続される。釣合い重り126は、複数の締結要素174によってベースプレート104に取り外し可能に接続される。複数の締結要素174は、複数のケーブルおよび複数のターンバックルのうちの少なくとも一方を含む。更に、釣合い重り126は、ベースプレート104の第2の側108において画定されたスロット124内に受け入れられる。更に、釣合い重り126は、釣合い重り126の重心「CG1」がベースプレート104の中心184からオフセットされるように、ベースプレート104に接続される。
【0039】
特定の実施形態が本明細書において図示および説明されているが、図示および記載されている特定の実施形態は、本開示の範囲を逸脱することなく、様々な代替的実施態様および/または等価の実施態様によって置き換えられ得ることが、当業者には理解されよう。本出願は、本明細書に論じられた特定の実施形態のいずれの適応例または変形例も包含することが意図されている。したがって、本開示は、特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることが意図されている。
【国際調査報告】