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特表2023-502488大規模多次元無線システムのための無線X2Xアクセス及び受信機についての方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-24
(54)【発明の名称】大規模多次元無線システムのための無線X2Xアクセス及び受信機についての方法
(51)【国際特許分類】
   H04J 99/00 20090101AFI20230117BHJP
   H04L 27/00 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
H04J99/00 100
H04L27/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529636
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(85)【翻訳文提出日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 EP2020082987
(87)【国際公開番号】W WO2021099622
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】102019218089.2
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】518378824
【氏名又は名称】コンチネンタル テーヴェス アクチエンゲゼルシャフト ウント コンパニー オッフェネ ハンデルス ゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Continental Teves AG & Co. OHG
【住所又は居所原語表記】Guerickestrasse 7, D-60488 Frankfurt am Main, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ダビド ゴンザレス ゴンザレス
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】オスバルド ゴンサ
(72)【発明者】
【氏名】飯盛 寛貴
(72)【発明者】
【氏名】ジュゼッペ タデウ フレイタス デ アブレウ
(72)【発明者】
【氏名】ラツヴァン-アンドレイ ストイカ
(57)【要約】
過負荷通信チャネルにおいて送信される送信シンボルベクトルを推定するコンピュータ実施方法は、受信信号ベクトルによって表される信号を受信することであって、受信信号ベクトルが、シンボルのコンスタレーションから選択された及び1つ又は複数の送信機から送信された送信シンボルを表す信号の重畳に対応する、受信することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複素係数のチャネル行列によって特徴付けられる過負荷通信チャネルにおいて送信される送信シンボルベクトルを推定する、コンピュータ実施受信機方法(3)であって、
- 受信機(R)において、受信信号ベクトルによって表される信号を受信すること(102)であって、前記受信信号ベクトルが、シンボルの少なくとも1つのコンスタレーションから選択された及び1つ又は複数の送信機(T)から送信された送信シンボルを表す信号の重畳に対応する、受信すること(102)と、
- 前記受信信号ベクトルの及び前記少なくとも1つのコンスタレーションの全てのシンボルについての前記送信シンボルベクトルの、閉形式の少なくとも微分可能な凸関数(37)を含む凸領域において、探索空間を定義すること(104)と、
- 第3の関数(9)として与えられるlノルムの2次近似を適用することにより、第1の関数(7)によって与えられる第1の最適化公式を第2の関数(35)によって与えられる第2の最適化公式に変更することによって、前記閉形式の前記微分可能な凸関数(37)を取得することであって、前記第2の関数(35)を取得した後で第4の関数(36)が計算される、取得することと、
- 送信シンボルの前記推定についての最適解(sopt)を見つけるために反復手続を適用することと、
を含む、方法。
【請求項2】
- 前記受信信号ベクトル及び前記送信シンボルベクトルの閉形式の微分可能な凸関数(37)が、前記第4の関数(36)のWingerts微分の設定を適用することによって取得される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記最適解(sopt)が、前記第2の関数(35)の固定要素についての行列乗算によって計算される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
複素係数のチャネル行列によって特徴付けられる過負荷通信チャネルにおいて送信される送信シンボルベクトルを推定する、コンピュータ実施受信機方法(4)であって、
- 受信機(R)において、受信信号ベクトルによって表される信号を受信すること(102)であって、前記受信信号ベクトルが、シンボルの少なくとも1つのコンスタレーションから選択された及び1つ又は複数の送信機(T)から送信された送信シンボルを表す信号の重畳に対応する、受信すること(102)と、
- 前記受信信号ベクトルの及び前記少なくとも1つのコンスタレーションの全てのシンボルについての前記送信シンボルベクトルの第5の関数(44)のs及びペナルティパラメータλを提供する少なくとも閉形式解を含む凸領域において、探索空間を定義すること(104)と、
- 第6の関数(38)として与えられる第1の最適化公式を変更することによって、s及びペナルティパラメータλを提供する閉形式の第5の関数(44)を取得することであって、前記第6の関数(38)が、第7の関数(6)の実数値2次制約付き2次計画問題(QCQP)バージョンであり、前記第7の関数(6)が、一般化固有値公式及びメビウス変換された第8の関数(43)に再計算される、取得することと、
- 送信シンボルの前記推定についての最適解(sopt)を見つけるために反復手続を適用することと、
を含む、方法。
【請求項5】
前記反復手続の中で、推定解s(s)に関して与えられる係数β、コンスタレーションアルファベット(x)、及びタイトニングパラメータαが決定される、請求項1及び/又は請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記反復手続の反復数iのインクリメントが続行される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
現在の反復の解と前回の反復の解との間のユークリッド距離を用いて解変量δの計算が続行される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
δ<ε又は反復の最大数に到達した場合、前記反復が終了され、並びに前記推定された送信ベクトルsの前記解が決定及び生成されるように、収束基準が制御される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
プロセッサ、揮発性及び/又は不揮発性メモリ、通信チャネル(208)において信号を受信するように適合される少なくとも1つのインターフェースを有する通信システムの受信機(R)であって、前記不揮発性メモリが、マイクロプロセッサによる実行時に、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を実施するように前記受信機を構成する、コンピュータプログラム命令を記憶する、受信機(R)。
【請求項10】
コンピュータ上での実行時に前記コンピュータに請求項1~8のいずれか一項の方法を実行させるコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【請求項11】
請求項10のコンピュータプログラム製品を記憶及び/又は送信するコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過負荷チャネルにおけるデジタル通信の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
2030年までに、1000億超の無線デバイスが、モノのインターネット(IoT)、第5世代(5G)セルラー無線、及びその後継などの新興ネットワーク及びパラダイムを通して相互接続されると推定される。この将来の展望は、結果として生じるリソースの競合の急増を伴うデバイス密度の著しい増加を暗示している。したがって、拡散符号過負荷及びキャリアアグリゲーション(CA)がユーザ又はチャネルキャパシティを適度に増加させることを目的とするアドオン特徴であった、先行の第3世代(3G)及び第4世代(4G)システムとは異なり、将来の無線システムは、著しいリソース過負荷を伴う非直交アクセスによって特徴付けられるであろう。
【0003】
「リソース過負荷」又は「過負荷通信チャネル」という表現は、典型的には、いくつかのユーザ又は送信機Tによって同時に使用され、送信機の数NがリソースRの数Nよりも大きい通信チャネルを指す。受信機において、送信信号の多重度が、1つの重畳された信号として現れる。チャネルは、シンボルの重畳を送信し、それによって「従来の」直交送信方式における利用可能なチャネルリソースの範囲を超える単一送信機によって過負荷である場合もある。「過負荷」は、直交送信方式に見られるような、例えばタイムスロットなどの間に、単一送信機がチャネルに対して排他的アクセスを行う方式と比較して発生する。過負荷チャネルは、例えば、非直交多元接続(NOMA:Non-Orthogonal Multiple Access)及び劣決定多入力多出力(MIMO:Multiple-Input Multiple-Output)チャネルを用いた無線通信システムにおいて見出され得る。
【0004】
このような過負荷システムの主な課題の1つが、受信機における検出であり、これは、ゼロフォーシング(ZF:zero-forcing)及び最小平均二乗誤差(MMSE:minimum mean square error)などの周知の線形検出法のビット誤り率(BER:bit error rate)性能が、過負荷通信チャネルにおいて信号を検出するための好ましい選択である最尤(ML:maximum likelihood)検出よりもはるかに低いためである。ML検出法は、送信機毎に、受信信号ベクトルと、送信された可能性があるシンボルの所定のセットからの各シンボルに対応する信号ベクトルとの間のユークリッド距離を判定し、それによってそのような困難な条件下で送信シンボルを推定することを可能にする。ベクトルが受信信号のベクトルに対して最小距離を有するシンボルが、推定された送信シンボルとして選択される。しかしながら、離散領域において大きなセットに対して実行される必要がある計算数は指数関数的に増加するため、シンボルのセットがより大きくなり、且つ送信機の数がより大きくなるとともに、ML検出があまりうまくスケールしないことは明らかである。
【0005】
本発明に関連する先行技術は、科学論文及び特許の両方を含む。この問題を回避するために、例えば、C.Qian、J.Wu、Y.R.Zheng、及びZ.Wangによる“Two-stage list sphere decoding for under-determined multiple-input multiple-output systems,”IEEE Transactions on Wireless Communication,vol.12,no.12,pp.6476-6487,2013、並びにR.Hayakawa、K.Hayashi、及びM.Kanekoによる“An overloaded MIMO signal detection scheme with slab decoding and lattice reduction,”Proceedings APCC,Kyoto,Japan,Oct.2015,pp.1-5において、球内復号に基づくいくつかの信号検出方法が過去に提案されている。これらは、より低い複雑性においてML検出の性能に漸近的に到達するそのケイパビリティを示す。しかしながら、既知の方法の複雑性は、送信信号次元のサイズ、即ちユーザ数と共に指数関数的に増大して、それによって大規模システムへの適用を妨げる。
【0006】
“Convex optimization-based signal detection for massive overloaded MIMO systems,”IEEE Transactions on Wireless Communication,vol.16,no.11,pp.7080-7091,Nov.2017においてR.Hayakawa及びK.Hayashiは、前の解決策において見つかったスケーラビリティの問題に対処するための大規模過負荷MIMOシステムのための低複雑性信号検出器を提案する。この低複雑性信号検出器は、絶対値和(SOAV:sum-of-absolute-value)受信機と呼ばれ、2つの異なる手法、a)A.Aissa-El-Bey、D.Pastor、S.M.A.Sbai、及びY.Fadlallahにより“Sparsity-based recovery of finite alphabet solutions of underdetermined linear system,”IEEE Transactions on Information Theory,vol.61,no.4,pp.2008-2018,2015において提案された正則化に基づく方法、並びにb)P.L.Combettes及びJ.-C.Pesquetにより“Proximal splitting methods in signal processing,”Fixed-point algorithms for inverse problems in science and engineering,pp.185-212,2011に記載された近接分離法、の組み合わせに依拠する。これは、R.Hayakawa及びK.Hayashi,“Convex optimization-based signal detection for massive overloaded MIMO systems,”の範囲が、過負荷MIMOシステムのための低複雑性未符号化信号検出に至ることを意味し、それはSOAV最適化(lノルムベースアルゴリズム)を利用するものである。
【0007】
Razvan-Andrei Stoica and Giuseppe Thadeu Freitas de Abreu,“Massively Concurrent NOMA:A Frame-Theoretic Design for Non-Orthogonal Multiple Access,”in Proc.Asilomar Conference on Signals,Systems and Computers,pp.1-6,Pacific Grove,USA,Nov.2017は、NOMAシステムのための初期のフレーム理論設計を提案しており、この設計では、多数のユーザの相互干渉(MUI)がまとめて最小化される。これは、最小過負荷の場合についての代数的調和技術又は抽象フレームのための凸最適化を経た複雑逐次反復非相関(CSIDCO:complex sequential iterative decorrelation via convex optimization)のいずれかを考えて構築される、低コヒーレンスタイトフレームにおいて別個のベクトルで各ユーザのシンボルをプリコーディングすることによって実現される。それによって、結果となる大規模同時非直交多元接続(MC-NOMA)は、全てのユーザがシステムの完全直交リソースを有利に堅固且つ同時に利用することを可能にする。提案された手順は、したがって、各ユーザに割り当てられたリソースを制限するペナルティにおいて、疎なアクセスに排他的に基づいて干渉を減少させようとする他の符号化NOMA手法とは全く異なる。従来の直交多元接続(OMA)及び最新式のNOMAシステムの両方に対してMC-NOMAによって得られるBER、周波数利用効率、及びサムレートゲインについて論じられ、示されている。Razvan-Andrei Stoica and Giuseppe Thadeu Freitas de Abreu,“Massively Concurrent NOMA:A Frame-Theoretic Design for Non-Orthogonal Multiple Access,”は、低複雑性であるが合理的なBER性能を有する大規模同時NOMAシステムのための多段式並列干渉除去ベース信号検出器について記載する。
【0008】
T.Datta,N.Srinidhi,A.Chockalingam,and B.S.Rajan,“Low complexity near-optimal signal detection in underdetermined large MIMO systems,”in Proc.NCC,Feb.2012,pp.1-5.は、N×N劣決定MIMO(UD-MIMO)システムにおける信号検出を提案し、i)N>1にわたって過負荷係数α=Nで、N>Nであり、ii)Nシンボルが、空間多重化によってチャネル使用毎に送信され、iii)N、Nは大きい(数十の範囲内)。反応性タブー探索に基づく低複雑性検出アルゴリズムが考えられる。低複雑性で大規模UD-MIMOシステムにおいて近最適性能を供給する、変数閾値ベースの停止基準が提案される。大規模UD-MIMOシステムのMLビット誤差性能についての下限も、比較のために取得される。4-QAM(32bps/Hz)を用いた16×8 V-BLAST UD-MIMOシステムにおける10-2の未符号化BERにおいて0.6dBの範囲内のML下限に近いBER性能を達成するために、提案されるアルゴリズムが示される。4-QAM/16-QAMを用いた32×16、32×24 V-BLAST UD-MIMOについて類似の近ML性能結果が示される。提案されるアルゴリズムとUD-MIMOについてのλ生成球内復号器(λ-GSD)アルゴリズムとの間の性能及び複雑性比較は、提案されたアルゴリズムが、著しく低い複雑性においてであるがλ-GSDとほぼ同一の性能を達成することを示す。これは、T.Datta,N.Srinidhi,A.Chockalingam,and B.S.Rajan,“Low complexity near-optimal signal detection in underdetermined large MIMO systems”が、比較的小さなサイズの送信信号次元を有する劣決定MIMOシステムのための低複雑性信号検出を開示することを意味する。
【0009】
Fadlallah,A.Aissa-El-Bey,K.Amis,D.Pastor and R.Pyndiah,“New Iterative Detector of MIMO Transmission Using Sparse Decomposition,”IEEE Transactions on Vehicular Technology,vol.64,no.8,pp.3458-3464,Aug.2015は、大規模MIMOシステムにおける復号の問題を扱う。この場合、最適ML検出器は、信号及びコンスタレーション次元に伴う複雑性の指数関数的増加に起因して非実用的になる。この論文は、許容できる複雑性オーダで反復復号手順を導入する。この科学論文は、有限コンスタレーション及びモデルを用いたMIMOシステムを、スパース信号ソースを用いたシステムとして考えている。我々は、復号信号の一定ノルムを保持しつつ受信信号とのユークリッド距離を最小化するML緩和検出器を提案する。検出問題が凸最適化問題に相当することが示されており、凸最適化問題は、多項式時間で解くことができる。2つの適用例が提案されており、シミュレーション結果は、提案された検出器の効率性を示す。Fadlallah,A.Aissa-El-Bey,K.Amis,D.Pastor and R.Pyndiah,“New Iterative Detector of MIMO Transmission Using Sparse Decomposition”は、MLの凸再公式化に基づくlノルムベース信号検出アルゴリズムについて記載している。R.Hayakawa及びK.Hayashi,“Convex optimization-based signal detection for massive overloaded MIMO systems”との差異は、しかしながら、それが、2次計画法が数値凸ソルバを介して解かれる必要があるという事実に起因して高複雑性を必要とするということである。
【0010】
米国特許第2018234948号明細書は、NOMAシステムにおけるアップリンク検出方法及びデバイスを開示する。当該方法は、NOMA送信単位ブロックに対応する第1の端末セット内の各端末上でパイロット有効化検出を、検出終了条件が満たされるまで繰り返し実行することであって、第1の端末セットは、NOMA送信単位ブロック上でアップリンクデータを送信し得る端末を含む、実行することと、各繰り返し期間内にパイロット有効化検出を通して判定される第2の端末セット内の各端末上でチャネル推定を実行することであって、第2の端末セットは、NOMA送信単位ブロック上でアップリンクデータを実際に送信した端末を含む、実行することと、各繰り返し期間内に第2の端末セット内の各端末のデータチャネルを検出及び復号することと、を含む。米国特許第2018234948号明細書は、PDMA、パイロット有効化検出、及び発見的反復アルゴリズムについて記載している。
【0011】
国際公開第2017071540A1号パンフレットは、非直交多元接続における信号検出方法及びデバイスを開示し、これらは、非直交多元接続における信号検出の複雑性を低減するために使用される。当該方法は、閾値より大きな信号対干渉及び雑音比を用いてユーザノードを判定することと、判定されたユーザノードを第1のセットに形成すること及び1つ又は複数のチャネルノードを多重化する全てのユーザノードを第2のセットに形成することと、第1のL反復プロセスを用いて各チャネルノードによって第1のセット内の各ユーザノードに送信されたメッセージを判定することであって、Lは、1より大きいか又はNより小さく、Nは、正の整数である、判定することと、第1のL反復プロセスを用いて各チャネルノードによって第1のセット内の各ユーザノードに送信された、判定されたメッセージに従って、(L+1)番目からN番目の反復プロセスを用いて各チャネルノードによって第2のセット内の各ユーザノードに送信されたメッセージを判定することと、各チャネルノードによって第2のセット内の各ユーザノードに送信されたメッセージに従って、各ユーザノードにそれぞれ対応するデータ信号を検出することと、を含む。これは、国際公開第2017071540号パンフレットがPDMA、閾値ベース信号検出、反復対数尤度計算を特徴とすることを意味する。
【0012】
米国特許第2018102882A1号明細書は、制限された量の制御情報を用いたダウンリンクNOMAについて記載している。利用可能なサブキャリアの一部を用いて、第1の端末デバイス及び1つ又は複数の第2の端末デバイス宛にシンボルを追加し、送信する基地局デバイスが、第1の端末デバイスを1つ又は複数の第2の端末デバイスよりも低いエネルギーに設定する電力設定ユニットと、1つ又は複数の第2の端末デバイス宛の信号について、第1の端末デバイス宛の信号についてのリソース割り当てとは異なるリソース割り当てを実行するスケジューリングユニットと、第1の端末デバイス宛の信号についてリソースを割り当てるときに、第1の端末デバイス宛の信号に追加されるべき1つ又は複数の第2の端末デバイスによって使用される変調方式が同一であるように変調方式を制御する、変調及び符号化方式(MCS:modulation and coding scheme)判定ユニットと、を含む。米国特許第2018102882A1号明細書は、パワードメインNOMA、送信及び受信アーキテクチャ設計を開示する。
【0013】
国際公開第2017057834A1号パンフレットは、無線通信システムにおいて非直交多元接続方式に基づいて端末が信号を送信する方法を公開する。当該方法は、事前定義された非直交コードブックの中の端末用に選択されたコードブックについての情報及び選択されたコードブックから選択されたコードワードについての情報を含む制御情報を基地局から受信するステップと、選択されたコードブックについての情報及び選択されたコードブックから選択されたコードワードについての情報に基づいて、送信されるアップリンクデータに対するリソースマッピングを実行するステップと、リソースマッピングに従ってリソースにマッピングされるアップリンクデータを基地局に送信するステップと、を含み得る。国際公開第2017057834号パンフレットは、事前設計されたコードブックベースNOMA、並列干渉除去、逐次干渉除去、送信及び受信アーキテクチャ設計を示す。
【0014】
国際公開第2018210256A1号パンフレットは、ビットレベル動作を開示する。このビットレベル動作は、標準(QAM、QPSK、BPSKなど)変調器を用いてNOMA送信を生成するために、変調及びリソースエレメント(RE)マッピングの前に実施される。このように、ビットレベル動作は、著しく少ない信号処理及びハードウェア実施複雑性においてNOMAの利点(例えば、改善されたスペクトル効率、減少したオーバヘッドなど)を実現するために活用される。ビットレベル動作は、具体的には、入力ビットストリームよりも長く、且つ入力ビット値の関数として計算される出力ビット値を含む、出力ビットストリームを作り出すように設計される。それによって、出力ビットストリームが変調(例えばM-ary QAM、QPSK、BPSK)を受けるときに、そうでなければ入力ビットストリームから生成されている拡散動作を、NOMA固有変調器又はシンボルドメイン拡散動作のいずれかによって結果となるシンボルがエミュレートする。国際公開第2018210256号パンフレットは、ビットレベル符号化及びNOMA送信機設計のための解決策を提供する。
【0015】
国際公開第2017204469A1号パンフレットは、実験データのデータ分析用システム及び方法を提供する。分析は、本実験から直接生成されない基準データを含んでもよく、基準データは、ユーザによって提供されるか、ユーザからの入力を用いてシステムにより計算されるか、又はユーザからのいかなる入力も用いることなくシステムにより計算される、実験パラメータの値であってもよい。そのような基準データの別の例は、機器の較正方法などの、機器についての情報であってもよいことが示唆される。
【0016】
韓国公開特許第20180091500A号明細書は、ロングタームエボリューション(LTE)などの第4世代(4G)通信システムよりも高いデータレートをサポートするための、第5世代(5G)又はプレ5G通信システムに関する開示である。本開示は、多元接続をサポートするためのものである。端末の動作方法は、第1のリソースが少なくとも1つの他の端末との直交多元接続をサポートすることを通して少なくとも1つの第1の基準信号を送信するプロセスと、第2のリソースが少なくとも1つの他の端末との非直交多元接続をサポートすることを通して少なくとも1つの第2の基準信号を送信するプロセスと、少なくとも1つの他の端末を用いて非直交多元接続方式に従ってデータ信号を送信するプロセスと、を含む。韓国公開特許第20180091500号明細書は、ランダムアクセス及びユーザ検出を伴う現在のOMA(LTE)システムを用いたNOMA送信/受信方法論のための解決策を示す。
【0017】
米国特許第8488711B2号明細書は、低復号複雑性を有する劣決定MIMOシステム用復号器が提供されることを記載している。復号器は、1.スラブ復号器によって全ての有効な候補点を効率的に取得することと、2.段階1から取得される候補セットへの動的半径適合を用いて論理積演算を行うことによって最適解を見つけることと、の2つの段階から構成される。順序変更手順も開示される。順序変更は、劣決定MIMOシステムのためのより低い計算複雑性及び近ML復号性能を提供するために、提案される復号アルゴリズムに組み込まれ得る。米国特許第8488711号明細書は、スラブ球内復号器、劣決定MIMO、及び近ML性能について記載している。
【0018】
特開2017521885A号公報は、無線通信システムにおける階層型変調及び干渉除去のための方法、システム、及びデバイスについて記載している。ベース変調層及びベース変調層上で変調される拡張変調層の両方に基づく通信を提供し、よって同一又は異なるユーザ機器に提供される同時データストリームを提供し得る様々な展開シナリオがサポートされる。セル内から受信される干渉信号を補償するため、他のセルから受信される干渉信号を補償するため、及び/又は隣接する無線通信ネットワークにおいて動作し得る他の無線装置から受信される干渉信号を補償するために、様々な干渉緩和技術が実施例において実施される。これは、特開2017521885号公報がマルチセル/マルチユーザシステムのための階層型変調及び干渉除去を開示することを意味する。
【0019】
欧州特許出願公開第3427389A1号明細書は、無線アップリンク送信において電力制御及びリソース選択のシステム及び方法を開示する。eNodeB(eNB)は、より高い伝搬損失レベルを示す無線リンク上でより低い開ループ送信電力制御ターゲットに基づいてユーザ機器(UE)に非直交信号を送信することを促す制御情報を含むダウンリンク信号を複数のUEに送信し得る。より低い開ループ送信電力制御ターゲットは、より高い処理利得及び/又はより高い符号化利得を有する非直交拡散シーケンスなどの、より大きな帯域幅キャパシティを有するチャネルリソースのセットに関連付けられ得る。eNBが、1つ又は複数の非直交リソース上で干渉信号をUEから受信するとき、eNBは、干渉信号に対して信号干渉除去を実行して、アップリンク信号の少なくとも1つを少なくとも部分的に復号し得る。干渉信号は、制御情報に従って異なるUEによって送信されるアップリンク信号を含み得る。欧州特許第3427389号明細書は、リソース管理(送信電力、時間、及び周波数)並びに送信ポリシーについての解決策を与える。
【0020】
概して言うと、既に示したように、モバイルデータレート及び大規模無線接続性の需要が連続的に増加することを考慮すると、将来の通信システムは、時間、空間、及び周波数などの無線リソースの不足に直面することとなる。従来の線形検出方法は高いエラーフロアを示すため、そのような過負荷システムの主な課題の1つが、受信機における検出である。この問題を克服するために、最適性能に到達するそれらのケイパビリティを示す球内復号に基づくいくつかの新規な方法が、過去に提案されているが、それらの複雑性が、引用された先行技術に示されたように送信信号次元のサイズ(即ち、ユーザの数)と共に指数関数的に増大し、それによって、将来の(無線)シナリオにおけるIoT及びその他のものなどの、実際のユースケースに対するそれらの適用を妨げる。
【0021】
引用された先行技術に基づいて、以下の結論が引き出され得る。比較的小さなシステム(<30)の場合、球内復号ベースアルゴリズムは、MLと比較して比較的低い複雑性を有するML検出の性能に漸近的に到達する。しかしながら、大規模システムの場合、そのような球内復号ベースアルゴリズムは、極めて計算量が多い。したがって、より低複雑性の代替手段が、従来より提案されている。具体的には、SOAVなどのスパース再構成アルゴリズムは、著しく低い複雑性と共により優れたBER性能を示している。しかしながら、関連する最新技術は、(ある数学的構造を用いた)lノルム近似に基づいて開発されている。引用された先行技術のこれらの方式の大半が、中程度~高い複雑性及びスケーラビリティの欠如につながる、lノルムベースの信号検出アルゴリズムに基づく。さらに、エラーフロア性能が通常見つかり、これは、無線チャネルの状態、ビット当たりのエネルギー対雑音比に関わりなく性能が限られることを意味する。SOAV復号器は、著しく低い複雑性を有する優れたBER性能の点から、他の最新の方式より性能が優れていることが分かっているが、SOAVの不足分は、入力信号の離散性を捕捉するために採用されるlノルム正則化関数がlノルム近似によって置換されることであり、さらなる改善のための可能性を残している。
【0022】
既存の提案/方式/方法に関する1つの非常に基本的な問題は、スケーラビリティの欠如、即ち、リソースを共有するユーザの数が非常に多いときに実現可能性のある複雑性である。これは、提案される発明によって対処される態様の1つである。
【0023】
先行技術に記載された提案された特徴のいずれも、論じられたスケーラビリティを満たさないことは明らかである。したがって、提案される発明は、このギャップに対処し、その後の発展が、さらなる複雑性の低減、性能、及び不完全なチャネル状態情報などの他の実際の態様に集中することとなる。これに関連して、(NOMAにおける復号のような)大きな組み合わせ問題によって、それは、最良解が見つかることを保証することが不可能な、おそらく良解でさえ見つからない凸問題となる。凸問題では、この時点での複雑性については何も言わなくても最良解/最適解を見つけることが常に可能である。これに関する解は、システムを作動させる構成とみなされてもよく、即ち、全てのユーザからのメッセージ/通信が適切に受信され、及び/又は復号される。
【0024】
これに関連して、大規模システムとは、より多くのユーザに同時にサービスする能力を有するシステムを意味し、その能力が非常に重要である。しかしながら、非常に高い複雑性はスケーラビリティを危険にさらし、したがって、NOMAベースシステムは、それが今日所望されるように実用的に実行可能ではない。提案される発明は、組み合わせを凸問題に変換することによって複雑性の問題に取り組む鍵であり、したがって、NOMAをより実用的にする。この問題に対する解として、本発明は、効率的なシンボル検出を可能にするために信号の離散性を利用することが可能な、大規模多次元信号再構築方式のための4つの異なる検出方法に寄与する。
【0025】
本発明は、受信機に既知の有限基数のアルファベットからサンプリングされた離散信号の複数ストリームが同じチャネルを共有する、低負荷、完全負荷、及び過負荷シナリオにおける大規模多次元無線通信システムのシンボル検出問題を扱う。言い換えると、過負荷無線システムにおける同時通信の復号(受信)、即ち、異なる送信機が同じ無線リソース(例えば、スペクトル)を同時に共有するシステムである。これに関連して、復号は、特にユーザ数が増大するときに、必要となる計算複雑性に起因して困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
したがって、本発明の目的は、大規模多次元無線システムのための無線X2Xアクセス及び受信機についての方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、決定及び劣決定の両方の大規模無線システムのための過負荷通信チャネルにおいて送信された送信シンボルベクトルを推定する、4つのコンピュータ実施受信機方法を提示する。それらの方法のいずれも、lノルムによるlノルムの通常の緩和に頼らず、その全てが、最新式よりも良い性能及び低複雑性を示す。提案される受信機方法の主なアイデアは、非凸(であるが連続的)lノルム制約によって組み合わせのML検出問題を再公式化することであり、それによって、計算複雑性を低減させつつほぼML性能を達成するための潜在能力を有するように、問題を凸化することが可能となる。適合可能なlノルム近似、及び1つの方法については分数計画法技術を利用して、本発明は、凸化された最適化問題を導入し、閉形式反復型の4つの検出/復号器方法を提案した。
【0028】
過負荷通信チャネルにおいて送信される送信シンボルベクトルを推定する第1のコンピュータ実施受信機方法は、離散性認識ペナルティ付けゼロフォーシング受信機方法(DAPZF:discreteness-aware penalized zero-forcing receiver-method)として示され、周知のゼロフォーシング受信機を離散入力の文脈に一般化する、より低複雑性の代替手段を提供するように設計される。
【0029】
過負荷通信チャネルにおいて送信される送信シンボルベクトルを推定する第2のコンピュータ実施受信機方法は、離散性認識一般化固有値受信機方法(DAGERM:discreteness-aware generalized eigenvalue receiver-method)と称され、比較される性能と複雑性との間のトレードオフを提供するだけでなく、第1の受信機方法に対する改善された解決策としてペナルティ付けパラメータが設定される必要がないことにより異なる。さらに、送信範囲内のいくつかの重大な状況において、第1の受信機方法が数値不安定性を抱えることもあり得ることが分かっており、その検出問題は、1つの不等式制約を伴う2次制約付き2次計画問題(QCQP-1:quadratically constrained quadratic program with one inequality constraint)として公式化され、ムーアの定理に基づいて解かれる。
【0030】
過負荷通信チャネルにおいて送信される送信シンボルベクトルを推定する第3のコンピュータ実施受信機方法は、スタンドアロン解をもたらすように、交互方向乗数法(ADMM:alternating direction method of multiplier)が組み込まれた変形である。
【0031】
過負荷通信チャネルにおいて送信される送信シンボルベクトルを推定する第4のコンピュータ実施受信機方法は、混合ノルム離散ベクトル(MDV:Mixed-Norm Discrete Vector)復号器方法と称され、説明される。この手法は、重み付け混合ノルム(l及びl)正則化に依拠し、lノルムが、平滑パラメータαによって決まる連続近似によって代用される。結果として生じる目的関数は、凸ではないがアプリケーション分数計画法(FP:Fractional Programming)を介して局所的に凸化されて、凸制約を有する反復凸問題をもたらし、それは、内点法を用いて解かれ得る。過負荷システムの検出に関連する記載された回復問題がスタンドアロン式で解かれ得るという事実が動機となって、閉形式解を可能にするように元の問題が再度再公式化される第2の方法もまだある。この目的を達成するために、重み付け混合ノルム正則化は、FP原理の適用例を用いて今回直接局所的に近似される。
【0032】
我々は、汎用的な多次元信号検出問題に対処したため、提案される方法は、無線通信における幅広い適用例(例えば、6Gワイヤレス、次世代システム、インターネットオブエブリシング(Internet of Everything)、車両通信、車両内通信、スマートシティ、スマートファクトリー)並びに画像/ビデオ処理及び生体画像処理などの他の分野に適用され得る。
【0033】
本発明は、デジタル通信において使用されるシンボルが、アナログ、即ち連続領域におけるアナログ信号として最終的に送信され、且つ減衰、相互変調、歪み、及び全ての種類のエラーが、送信機からアナログ通信チャネルを通して受信機に至るまで途中で信号を不可避的に修正しているため、信号が、全ての場合ではないが大抵、特に送信信号のベクトルの推定に対して信号振幅及び信号位相によって表されるとき、受信機における送信シンボルの「検出」が、使用方法に関わらず、第1に送信信号の「推定」のままであることを、認識する。しかしながら、本明細書との関連では、「検出する」及び「推定する」という用語は、その区別がそれぞれの文脈によって示されない限り同義で使用される。推定された送信信号のベクトルが一旦決定されると、それは、推定された送信シンボルに変換され、最終的には推定された送信シンボルを送信データにマッピングする復号器に提供される。
【0034】
大きな利点は、都心又は工業プラントのような非常に混雑した場所での可能な限り保証された接続性及び技術的な実現可能性、並びに自動製品及び非自動製品の全てのセンサについてのIoT接続性を有効にすることである。
【0035】
本明細書及び特許請求の範囲との関連では、通信チャネルは、複素係数のセット又は行列によって特徴付けられる。チャネル行列は、また、大文字Hによって参照され得る。通信チャネルは、任意の適当な媒体、例えば電磁波、音波、及び/又は光波を搬送する媒体において確立され得る。チャネル特性は、完全に既知であり、シンボルの各送信中は一定であり、即ち、チャネル特性が経時的に変化し得る間、各シンボルの送信が一定チャネルを経験すると仮定する。
【0036】
「シンボル」という表現は、離散シンボルcのセットの要素を指し、それは、シンボルのコンスタレーションC、又はより世俗的には、送信を構成するために使用されるアルファベットを形成する。シンボルは、データの1つ又は複数のビットを表し、コンスタレーションCを用いたシステムにおいて一度に送信され得る情報の最小量を表す。送信チャネルにおいて、シンボルは、アナログ状態の組み合わせ、例えば搬送波の振幅及び位相によって表されてもよい。振幅及び位相は、例えば、複素数又はデカルト平面の横座標上の縦座標値を指してもよく、ベクトルとして扱われてもよい。要素がCから取られるシンボルであるベクトルは、本明細書において、小文字sによって参照される。各送信機は、データを送信するために同じコンスタレーションCを使用し得る。しかしながら、送信機が異なるコンスタレーションを使用することも、同様に可能である。受信機は、それぞれの送信機において使用されるコンスタレーションについての知識を有すると仮定する。
【0037】
凸領域は、任意の2点が領域内に完全にとどまる、即ち、直線上の任意の点が凸領域内の点である直線によって接続され得る領域である。凸領域は、任意の次元数を有してもよく、本発明者は、4次元以上の領域内の直線のアイデアは、可視化が困難であり得ることを認識している。
【0038】
「成分(component)」又は「要素(element)」という用語は、特にベクトルを参照するときに、以下の明細書全体を通して同義的に使用され得る。
【0039】
前述の通り、典型的なML検出方式において、1つの制約は、コンスタレーションCのシンボルcについての離散信号ベクトルへの強い集中であり、それは、信号ベクトル、したがって受信信号のベクトルへの最小距離を有するシンボルを見つけるための、例えば既知の効果がある分数計画法(FP)アルゴリズムを用いることを妨げる。多くの場合、強い集中は、検出を記述する式においてコンスタレーションCのシンボルについて個々の計算を実行することを通して表される。いくつかの方式は、最も可能性の高い送信シンボルを推定するためにFPアルゴリズムの使用を可能にし、且つ連続的であり、最小値を見つけるためにFPアルゴリズムに従い得るlノルムを通してコンスタレーションCの離散性を記述することによってシンボルについての個々の計算を置換することを試みる。しかしながら、lノルムを用いることによって、概して望ましくないかなりの量の推定誤差がもたらされる。
【0040】
本明細書に提示される方法の過負荷システムについての検出方式は、lノルムに頼ることによってlノルムの緩やかな緩和に依存しない。むしろ、本発明の方法では、タイトなlノルム近似である関数fが採用され、それによって、非凸分数目的関数の最適化のために効率的且つ堅固なFPフレームワークを利用することが可能となる。非凸分数目的関数は、計算量が少なく、シミュレーションによってSOAVより性能が優れていることが示されている。
【0041】
本発明は、図面を参照しながらさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】共有媒体への直交多元接続の簡略化された概略表現を示す。
図2】共有媒体への非直交接続の簡略化された概略表現を示す。
図3】通信チャネル上で通信する送信機及び受信機の例示的一般化ブロック図を示す。
図4】本発明の実施形態4を実施する方法ステップの例示的フロー図を示す。
図5】本発明の実施形態4の方法ステップの詳細を示す。
図6】コンスタレーション、送信信号及び受信信号の例示的且つ基本的な例を示す。
図7】分数計画法を用いて効率的に解かれ得る、本発明に従って決定される第3の関数の簡略化された例示的グラフィカル表現を示す。
図8】受信機方法3の本発明の実施形態1を実施する中心となる方法ステップの例示的フロー図を示す。
図9】受信機方法3の本発明の実施形態1を実施する方法ステップの例示的フロー図を示す。
図10】本発明の実施形態2を実施する中心となる方法ステップの例示的フロー図を示す。
図11】本発明の実施形態2を実施する方法ステップの例示的フロー図を示す。
図12】本発明の実施形態3を実施する中心となる方法ステップの例示的フロー図を示す。
図13】本発明の実施形態3を実施する方法ステップの例示的フロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下では、本発明の受信機方法の概略的な理論的基盤が、Nの送信機及びN<Nの受信リソースを有する例示的劣決定無線システムを参照して、システムの過負荷率がγ≡N/Nによって与えられ、且つ受信信号が、周知の信号実現後に、
y=Hs+n (1)
としてモデル化され得るように説明される。
ここで、
【数1】
であり、
【数2】
は、基数2のコンスタレーションセットCからサンプリングされた各要素を有する送信シンボルベクトルであり、bは、シンボル毎のビット数を示し、
【数3】
は、ゼロ平均及び共分散行列
【数4】
を有する円対称複素加算性白色ガウス雑音(AWGN:additive white Gaussian noise)ベクトルであり、
【数5】
は、送信機側と受信機側との間の平坦フェージングチャネル行列を記述する。
【0044】
従来の検出器では、ML検出は、受信信号yについての送信信号ベクトルsMLを推定するために使用され得る。ML検出は、受信信号ベクトルyとコンスタレーションCのシンボルcの各シンボルベクトルsとの間の距離を判定することを必要とする。計算回数は、送信機の数Nと共に指数関数的に増加する。
【0045】
ML関数に対するターゲットセットの離散性は、効率的なFPアルゴリズムを用いることを妨げる。FPアルゴリズムは、受信信号yについての送信信号ベクトル
【数6】
を推定するために、連続入力を有する関数において最小値を見つけるのに効率的であることが既知である。
【0046】
本発明によれば、ML関数についての離散ターゲットセットは、最初に十分類似の連続関数に変換され、FPアルゴリズムを通して解を求めることができる。
【0047】
この目的を達成するために、離散ML関数の代替表現
【数7】
が、制約の近似のためにMLのような性能を保持するペナルティ付き混合l-l最小化問題に最初に変換される:
【数8】
ここで、w及びλは、重み付けパラメータである。表記
【数9】
は、重みw及びλが適切に最適化される限り、近似が依然として近ML性能を達成する可能性を有することを示す。Nは、送信機の数であり、Nによって参照され得る。さらに、式2を関数7と命名する。
【0048】
ノルムに頼ることなく、ML検出の新規な再公式化においてlノルムの扱いにくい非凸性に取り組むことを目標として、それは、2つの異なる技術を最初に導入することが簡便であることを証明する。前者は、lノルム関数の適合可能な近似であり、
【数10】
ここで、xは、長さNの任意のスパースベクトルである。lノルム代用による緩和とは異なり、式(9)での表現は、αを十分小さくすることによって任意にタイトにされ得る。一方、2次変換(QT)と呼ばれる後者の技術は、比率和非凸関数を伴う最適化問題を解くための変換である。テイラー級数近似及び半正定値緩和(SDR:semidefinite relaxation)などのいくつかの方法が、過去10年において非凸比率関数の変換について既知であるが、QTは、その扱いやすい表現に起因して、異なる最適化セットアップ及び幅広い適用性において優れた性能を示している。以下のように目的関数として比率和を有する汎用最大化問題を考える。
【数11】
ここで、a(x)は、任意の複素ベクトル関数を示し、B(x)は、任意の正定値対称行列であり、xは制約集合Xにおいて最適化される変数である。
【0049】
続いて、最適ML検出に漸近的に近いビット誤り率(BER)性能を目指して、式(9)において与えられる柔軟なlノルム近似を介してQTベースのいくつかの新規な受信機方法1~4を提案する。
【0050】
受信機方法1(DAFZF)についての概略的な理論的基盤
反復の最大回数は、収束を保証しながら既知の解法に対して決定されないため、大きな回数の反復を計算することは、実用的なボトルネックであり得る。このことが動機となって、したがって可能な限りアルゴリズム複雑性を低減させることを目的として式/関数(7)に取り組み、式/関数(7)に対する閉形式解を有する新たな単純反復アルゴリズム/方法を提案する。この目的を達成するために、lノルムの2次近似を結合して、
【数12】
をもたらす。ここで、
【数13】
である。
【0051】
(35)における上記ペナルティ付き最小化問題は、単純凸2次最小化であり、それは、sに関してウィルティンガー微分を取ることによって、効率的に解かれ得ることに留意し得る。即ち、
【数14】
であり、これは、
【数15】
をもたらす。
【0052】
式(37)における単純且つ閉形式の解によって、固定されたBについての行列積1つだけによって最適soptを計算することが可能となる。上記を考慮して、展開される疑似コードが示される。
【数16】
【0053】
受信機方法2(DAGED)についての概略的な理論的基盤
指摘の通り、受信機方法3及び1は、受信機方法4の2つの異なるボトルネックにそれぞれ取り組んでいることに留意されたい。言い換えると、後述する受信機方法3のADMMベースのアプローチは、スタンドアロン方法であるように提案されており、その方法では、無制限反復機構に起因して時間効率は制限され得る。一方、受信機方法1は、反復内部ループを回避することによってむしろ時間効率を改善することを目的としており、アルゴリズムを実行する前にペナルティパラメータλの最適化を課している。上記を考慮すると、このサブセクションでは、したがって、一般化固有値問題に基づく式(6)のための、内部ループを回避する意味での非反復型且つスタンドアロンアプローチを提案する。式(6)を想起すると、それは、実数値のQCQP-1として公式化され得る。即ち、
【数17】
ここで、G=H
【数18】
ここで
【数19】
である。
【0054】
ムーアの定理を考慮すると、スレーターの条件が満たされる、即ち制約(38b)を満たす少なくとも1つの実行可能解が存在すると仮定して、以下のようなμopt≧0が存在する場合にのみ、soptは式(38)に対する大域解である。
(G+μopt)sopt=(Hy+μoptv) (40a)
g(sopt)≦0 (40b)
μoptg(sopt)=0 (40c)
これは、
(G+μopt)sopt=(Hy+μoptv) (41a)
g(sopt)=0 (41b)
又は等価的に
кθ-v+(Hy+μoptv)=0
{-vθ+G-(G+μopt)z=0
(Hy+μoptv)θ-(G+μopt)z=0 (42)
を生じる。ここで、
【数20】
である。
【0055】
(42)の連立方程式は、一般化固有値問題として書き換えられ得ることに容易に気付き得る。即ち、
【数21】
ここで、
【数22】
である。
【0056】
メビウス変換を式(43)の行列束に適用することが便利であると証明して、以下の逆行列束が結果として得られる。
【数23】
ここで、
【数24】
である。
【0057】
式(44)の変換された一般化固有値問題について、最適ξoptは、行列束(44)の最大実有限一般化固有値であることが示されている。メビウス変換技術によって、最小固有値の計算が最大固有値と比較して不正確である場合があるという周知の事実に起因して最小正実固有値の計算を回避することが可能となることに留意されたい。上記の全てを考慮すると、方法4が疑似コードとして要約される。
【数25】
【0058】
受信機方法3(DAPZF)についての概略的な理論的基盤
前述した受信機方法3を改善するために、受信機方法4の実行前に事前定義/最適化の問題を克服する。受信機方法4に対する低複雑性及びスタンドアロンの代替手段を取得するための示唆された第1のステップは、lノルム正則化が、式(9)及びQT技術を用いて単純2次関数に再公式化され得ることを認識することである。式(9)の2行目を式(5)に代入する。得られた結果は、
【数26】
ここで、α<<1且つアイデンティティ
【数27】
である。
【0059】
式(18b)は、sに関して微分可能な凹凸関数(concave-over-convex function)であるため、QTは上記制約に直接適用され得て以下をもたらし、
【数28】
ここで、
【数29】
である。
【0060】
さらなる簡単化及び扱いやすさのために、式(20b)の制約は、以下のような行列形式で再公式化され得る。
【数30】
ここで、
【数31】
である。
【0061】
上記を考慮すると、式(18)は、凸QCQP-1として書き換えられ得る。即ち、
【数32】
これは、以下のように等価的に書き換えられ得る。
【数33】
【0062】
式(24)の上記QCQP-1は、数値凸ソルバを使用することにより内点法によって効率的に解かれ得るが、このようなブラックボックス依存アルゴリズムは、多くの場合、現実世界では実用的でない実施につながるだけでなく、比較的大規模な問題に対しては時間的にも非効率な解につながることに言及する。後者の問題を効率的に解くために、ADMMが以下で活用される。ADMMアルゴリズムは、種類の凸問題を解くために発明されている。
【数34】
f(x):C→R且つg(s):C→Rが閉である場合に、複素入力x∈C且つs∈Cをそれぞれ有する適切な凸関数である。D∈Rn×n及びD∈Rn×nは、任意の行列を示し、c∈Rは、任意のベクトルである。上記ADMM問題において、f(x)及びg(z)の有限性及び微分可能性に対する仮定が行われていないが、式(25)などの凸問題についての反復(スケールされた)ADMMアルゴリズムの収束は、以下の更新で示されている。
【数35】
ρ>0は、拡張ラグランジュパラメータを示している。
【0063】
式(24)は、以下の代替最適化問題として書き換えられ得る。
【数36】
これは、以下の更新を生じる。
【数37】
【0064】
sの更新について、導関数は、単純に閉形式の解をもたらす。
【数38】
【0065】
xの更新については、しかしながら、目的関数を用いたラグランジュ乗数法を用いて、2次制約に起因して閉形式の解を得ることは困難である。
L(x,μ)=x(μB+I)x-2Re{(μb+s-u)x}+μδ (30)
この式から、導関数を取ることによって最適値が得られ得る。
opt=(μB+I)-l(μb+s-u) (31)
【0066】
大域的最小化x=s-uが式(28b)における不等式制約を満たす場合、x=s-uが解であり、そうでない場合、不等式は、等式として満たされなければならないことに留意されたい。上記説明を考慮して、式(31)を等式制約に代入すると、
以下が得られる。
【数39】
ここで、diag(・)は、行列のi番目の対角要素を示し、(・)は、ベクトルのi番目の要素である。上記式を満たす最適なμを見つけるために、以下、(dγ(μ)/dμ)<0を示すことによってγ(μ)がμに関して狭義単調減少関数であることを明らかにする。この目的を達成するために、以下を取得する。
【数40】
【0067】
Bの対角要素全てが非負実数であるという事実に起因して、γ(μ)は、μ≧0において非増加関数であることに留意されたい。したがって、γ(μ)=0を満たす最適なμが、2分法及びニュートン法などの反復求根アルゴリズムによって見つけられ得る。
【数41】
最適なμを用いて(32)を解くと、
u←u+x-s (34c)
【数42】
【0068】
受信機方法4についての概略的な理論的基盤
ノルムに頼ることなく、lノルムの扱いにくい非凸性を扱うために、lノルムは、漸近的にタイトな表現で置換される。
【数43】
ここで、xは長さTの任意のスパースベクトルである。lノルムのタイトな近似は、そのとき、ペナルティ付き混合l-l最小化問題におけるlノルムの代用として用いられ、制約|s-c|≦tijを有するスラック変数tijが導入されて、
【数44】
を生じ、ここでα≪1である。
【0069】
式(5a)における比率
【数45】
は、凸非負分子及び凹(線形)正分母に起因して凹凸構造を有するため、K.Shen及びW.Yuによる“Fractional programming for communication systems-Part I:Power control and beamforming,”IEEE Trans.Signal Process.,vol.66,no.10,pp.2616-2630,May 2018において示されているように、2次変換(QT)の収束のための必要条件が満たされ、それによって、式(5a)は、以下の凸問題に再公式化され得る。
【数46】
ここで、
【数47】
である。
【0070】
βijの収束によって、式は、反復してβijを更新すること及び所与のβijについて式を解くことによってFPを用いて解かれ得る。初期非凸最適化問題を凸最適化問題に変換することによって得られる式は、拡張ラグランジュ法などの既知のアルゴリズムを用いて効率的に解かれ得る。
【0071】
したがって、複素係数のチャネル行列Hによって特徴付けられる過負荷通信チャネルにおいて送信される送信シンボルベクトル
【数48】
を推定する、本発明によるコンピュータ実施方法は、受信機Rにおいて、受信信号ベクトルyによって表される信号を受信することを含む。受信信号ベクトルyは、1つ又は複数の送信機から送信されるシンボルcのコンスタレーションCから選択された送信シンボルベクトルsを表す信号の重畳にチャネルによって加えられる任意の歪み及び雑音を加えたものに対応する。
【0072】
1つより多くの送信機の場合、受信機Rが実質的に同時に、例えば所定の時間ウィンドウ内に、異なる送信機Tからシンボルの送信を受信するように、送信機Tは時間的に同期され、即ち送信機Tと受信機Rとの間で共通の時間基準が仮定される。シンボルが同時に又は所定の時間ウィンドウ内に受信されることは、送信機Tがシンボルのシーケンスを1つずつ送信すると仮定して、全ての時間的に同期して送信されたシンボルが、後続のシンボルが受信される前に受信機Rにおいて受信されることを意味する。これは、送信機Tと受信機Rとの間の距離に依存する伝播遅延が補償されるように、送信機Tがそれらの送信の開始時間を調整する設定を含んでもよい。これは、後続シンボルを送信する間に時間ギャップが提供されることも含み得る。
【0073】
方法は、受信信号ベクトルy及びコンスタレーションの全てのシンボルcについての送信シンボルベクトルsの少なくとも成分を含む凸探索空間を定義することをさらに含む。さらに、第1の連続関数f及び第2の連続関数fが探索空間において定義される。これに関連して、定義することは、所定の関数についての、又は所定の関数における因数又は変数の範囲などを選択することを含み得る。
【0074】
第1の連続関数fは、受信信号ベクトルy及びチャネル特性Hの関数であり、探索空間からの入力ベクトルs及びチャネル行列Hの積が受信信号ベクトルyに等しい、大域的最小値を有する。
【0075】
第2の連続関数fは、探索空間からの入力ベクトルsの関数であり、コンスタレーションCのシンボルcの送信シンボルベクトルsのそれぞれについて著しく低い値を有する。
【0076】
本発明によれば、第1の関数f及び第2の関数fは、重み付け加算によって第3の関数fに結合され、分数計画法アルゴリズムFPが、第3の関数fを最小化する入力ベクトル
【数49】
を見つけることを目標として、第3の関数fに適用される。言い換えると、
【数50】
は、最適解又はFPアルゴリズムを第3の関数fに適用した結果であり、それに対して、第3の関数fが最小値を有する。
【0077】
第3の関数fを最小化する入力ベクトル
【数51】
が見つかると、入力ベクトル
【数52】
を推定された送信ベクトル
【数53】
に変換するマッピング規則が入力ベクトルに適用され、推定された送信ベクトルにおいて、インデックス「C」は、全ての単一成分がコンスタレーションCに属することを示す。言い換えると、ベクトルが2つの成分A及びBを有する場合、第3の関数fを最小化する入力ベクトル
【数54】
の成分A及びBのそれぞれが、探索空間内で任意の値を有し得る。これらの値は、推定された送信ベクトル
【数55】
の値A’及びB’に変換され、そのそれぞれが、コンスタレーションCのシンボルcについての送信シンボルベクトルsのいずれか1つにおいて生じる値のみを有し得る。成分は、例えばコンスタレーションCのシンボルcの送信シンボルベクトルsのいずれかの対応する成分の最近値を選択することによって、別々にマッピングされ得る。
【0078】
マッピング後、推定された送信シンボルベクトル
【数56】
が、送信メッセージのデータビットを取得するために復号器に出力される。
【0079】
1つ又は複数の実施形態では、第2の関数fは、コンスタレーションのシンボルの各ベクトルにおける著しく低い値の周辺において関数の勾配を判定する、調節可能な因数を有する。調節可能な因数は、FPアルゴリズムがより早く収束すること、及び/又は最適解若しくは少なくともより良い解からさらに遠い場合がある極小値をスキップすることに役立ち得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、調節可能な因数は、コンスタレーションの異なるシンボルに対して異なり得る。例えば、第1の関数fの大域的最小値からさらに遠いシンボルについてのベクトル周辺の勾配は、非常に急である場合があるが、著しく低い値に非常に近いだけであり得る。FPアルゴリズム及び使用される開始値に依存して、これは、第1の関数fの大域的最小値からより大きな距離に位置する極小値をスキップすることに役立ち得る。一方、第1の関数fの大域的最小値の近くに位置するシンボルについてのベクトル周辺の勾配は、著しく低い値に対してある距離においてはやや浅くてもよく、距離が縮まるにつれて急勾配になる。使用されるFPアルゴリズムに依存して、これは、関数が著しく低い値に急速に収束することに役立ち得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、第1の関数fは、大域的最小値から単調増加している。第1の関数は、FPアルゴリズムが収束するのに役立つ、FPアルゴリズムのための粗いガイダンス関数と考えられ得る。したがってそれは、第1の関数自体がいかなる極小値も有しない場合に有利である。
【0082】
通信システムの受信機は、プロセッサ、揮発性及び/又は不揮発性メモリ、並びに通信チャネルにおいて信号を受信するように適合される少なくとも1つのインターフェースを有する。不揮発性メモリは、コンピュータプログラム命令を記憶し得る。コンピュータプログラム命令は、マイクロプロセッサによる実行時に、本発明による方法の1つ又は複数の実施形態を実施するように受信機を構成する。揮発性メモリは、動作中にパラメータ及び他のデータを記憶し得る。プロセッサは、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータなどのうちの1つと呼ばれ得る。また、プロセッサは、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの任意の組み合わせを用いて実施されてもよい。ハードウェアによる実施において、プロセッサは、ASIC(特定用途向け集積回路)、DSP(デジタル信号生成器)、DSPD(デジタル信号生成デバイス)、PLD(プログラマブルロジックデバイス)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)などとして本発明を実施するように構成されるそのようなデバイスと共に提供され得る。
【0083】
一方、ファームウェア又はソフトウェアを用いて本発明の実施形態を実施する場合、ファームウェア又はソフトウェアは、本発明の上述した関数又は動作を実行するためのモジュール、手続、及び/又は関数を含むように構成され得る。また、本発明を実施するように構成されるファームウェア又はソフトウェアは、プロセッサにロードされ、又はメモリに保存されて、プロセッサにより駆動される。
【0084】
本方法は、受信信号のベクトル及びコンスタレーションのシンボルのベクトルとの間のユークリッド距離を判定するための既知のML法に存在する離散制約をコンスタレーションのシンボルのベクトルについて著しく低い値を提示する凸領域内の第1の関数に変換することによって、コンスタレーションの離散性質から生じる送信シンボルベクトルの候補を推定するための効率的なFPアルゴリズムを適用することにおける困難性に対処する。凸領域内の関数の最小値は、送信信号のベクトルの良好な推定を見つけるために力押し計算よりも効率的である、既知のFP法又はアルゴリズムを適用することによって見つけられ得る。凸領域内の第2の連続関数は、受信信号のベクトルからの距離を増加させると共に推定結果にペナルティ付けする第1の関数に追加される。
【0085】
本発明は、全て同一のコンスタレーションCを使用する送信機から重畳された信号を検出することについて上記で説明されているが、異なる送信機が異なるコンスタレーションCを使用する状況にも適用可能である。即ち、コンスタレーションCのシンボルがアルファベットの文字と考えられる場合、各送信機が異なるアルファベットを使用してもよい。
【0086】
当業者は、例示的実施形態の以下の詳細な説明は、単なる例示であり、何らかの限定であるように意図されないことを理解するであろう。他の実施形態は、この開示の利益を有するそのような当業者にそれら自体を容易に示唆する。添付図面に示されるように、例示的実施形態の実施に対して詳細に参照が行われる。同一又は類似の部分を参照するために、同一の参照標識が図面及び以下の詳細な説明全体を通して使用される。図面において、同一又は類似の要素は、同一の参照指示子によって参照され得る。
【0087】
本発明の実施形態によれば、本明細書で説明されるコンポーネント、プロセスステップ、及び/又はデータ構造は、様々な種類のオペレーティングシステム、コンピューティングプラットフォーム、コンピュータプログラム、及び/又は汎用機械を用いて実施され得る。加えて、ハードワイヤードデバイス、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は特定用途向け集積回路(ASIC)などの汎用性の少ないデバイスは、また、本明細書に開示される発明概念の範囲及び思想から逸脱することなしに使用され得ることを当業者は認識するであろう。一連のプロセスステップを含む方法がコンピュータ又は機械によって実施され、且つそれらのプロセスステップが機械による一連の可読命令として記憶され得る場合に、それらは、コンピュータメモリデバイス(例えば、ROM(Read Only Memory)、PROM(Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、FLASHメモリ、ジャンプドライブなど)、磁気記憶媒体(例えば、テープ、磁気ディスクドライブなど)、光学記憶媒体(例えば、CD-ROM、DVD-ROM、紙カード、及び紙テープなど)、並びに他の既知の種類のプログラムメモリなどの有形媒体上に記憶され得る。
【0088】
実施形態の詳細な説明
本開示の実施形態の作成及び使用について以下で詳細に述べる。しかしながら、本明細書に開示される概念は、多岐にわたる特定の文脈において具現化されてもよく、本明細書で述べる特定の実施形態は、単なる例示であり、特許請求の範囲を限定する役割ではないと理解されたい。さらに、様々な変更、代用、及び改変が、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の思想及び範囲から逸脱することなく、本明細書において行われ得ると理解されたい。
【0089】
図1及び図2はそれぞれ、直交多元接続及び非直交多元接続の基本特性を示す。図1は、例えば無線通信システムにおいて共有送信媒体のチャネルへの送信リソースの順序付きアクセスの1つの例示的実施形態を示す。利用可能な周波数帯域は、いくつかのチャネルに分割される。単一チャネル又は隣接若しくは非隣接チャネルの組み合わせが、一度に任意の1つの送信機によって使用され得る。異なる送信機は、異なる網掛けパターンによって示され、別個のタイムスロット又はいくつかの後続のタイムスロットにおいて送信されてもよく、それらが送信毎に送信するチャネル又はチャネルの組み合わせを変更してもよい。図1に示されるように、任意の送信機が、より長い期間にわたって1つのチャネルリソースを使用してもよく、別の送信機が、同時に2つ以上のチャネルリソースを使用してもよく、さらに別の送信機が、その両方、より長い期間にわたって2つ以上のチャネルリソースを使用してもよいことに、留意されたい。いずれにせよ、1つの送信機だけが、一度に任意のチャネルリソース又はその組み合わせを使用し、各送信機から信号を検出及び復号することは比較的容易である。
【0090】
図2aは、図1に示されるのと同一の周波数帯域を示しているが、送信機に対して常に1つ又は複数の個別のチャネルの一時的な排他的割り当てが存在するとは限らない。むしろ、周波数帯域の少なくとも一部が、複数の送信機によって同時に使用されてもよく、個別の送信機から信号を検出及び復号することは、さらにより難しい。ここでも、異なる網掛けパターンは異なる送信機を示し、丸で囲まれた部分は、1つ又は複数の送信機が同時にリソースを使用する所を示す。左から始めて最初は3つの送信機が直交方式で一時的に排他的にチャネルリソースを使用するが、次の時点では、2つの送信機が部分的に重なり合うチャネルにおいて送信する。水平の網掛けパターンによって表される送信機は、図の一番下に示されるチャネルに対する排他的アクセスを有し、この送信機によって使用される次の3つのチャネルは、別の送信機にも使用され、点線の楕円内の対角線網掛けパターンによって表される。重畳は、斜交網掛けパターンによって示される。次の時点では類似の状況が発生し、そこでは、2つの送信機のそれぞれが、2つのチャネルリソースを排他的に使用しながら、両方が第3のチャネルリソースを共有する。2つより多くの送信機が、そのそれぞれが使用するチャネルリソースのいくつか又は全てを少なくとも一時的に共有し得ることに留意されたい。これらの状況は、部分的過負荷又は部分的NOMAと呼ばれ得る。
【0091】
異なる表現において、図2bは、図2aと同一の周波数帯域を示す。送信機への1つ又は複数の個別のチャネルの明確に一時的な排他的割り当てが存在せず、且つ周波数帯域の少なくとも一部が、複数の送信機によって少なくとも一時的に同時使用されるため、個別の送信機からの信号を検出及び復号する困難性は、任意の単一送信機を識別できない灰色塗り潰しパターンによって示される。言い換えると、全ての送信機が、全てのチャネルを使用する。
【0092】
いくつかの送信機からの信号は、それ以外よりも高い電力を用いて送信され、その結果、より高い信号振幅で受信され得るが、これは、送信機と受信機との間の距離に依存し得る。図2a及び図2bは、非直交多元接続環境において見出される状況を理解することに役立ち得る。
【0093】
図3は、通信チャネル208上で通信する送信機T及び受信機Rの例示的一般化ブロック図を示す。送信機Tは、特に、送信されるデジタルデータのソース202を含み得る。ソース202は、デジタルデータのビットを符号化器204に提供し、符号化器204は、シンボルに符号化されたデータビットを変調器206に転送する。変調器206は、例えば1つ若しくは複数のアンテナ又は任意の他の種類の信号エミッタ(図示せず)を介して、通信チャネル208に変調データを送信する。変調は、例えば、直交振幅変調(QAM)であってもよく、直交振幅変調では、送信されるシンボルが、送信信号の振幅及び位相によって表される。チャネル208は、無線チャネルであってもよい。しかしながら、一般化されたブロック図は、有線又は無線の任意の種類のチャネルに有効である。本発明に関連して、媒体は共有媒体であり、即ち、複数の送信機及び受信機が同一媒体にアクセスし、より詳細には、チャネルが複数の送信機及び受信機によって共有される。
【0094】
受信機Rは、例えば、1つ若しくは複数のアンテナ又は任意の他の種類の信号受信機(図示せず)を介して、通信チャネル208を通して信号を受信する。通信チャネル208は、送信信号に雑音をもたらすことがあり、信号の振幅及び位相が、チャネルによって歪むことがある。歪みは、例えば通信チャネルを経て送信される既知の特性を有するパイロットシンボルを分析することを通して取得され得るチャネル特性に基づいて制御される受信機(図示せず)において提供されるイコライザによって補償され得る。同様に、雑音は、受信機(図示せず)のフィルタによって減少又は除去され得る。信号検出器210は、チャネルから信号を受信し、受信信号からどの信号がチャネルに送信されたかを推定しようとする。信号検出器210は、推定された信号を推定されたシンボルに復号する復号器212に、推定された信号を転送する。復号が、おそらく送信された可能性があるシンボルを生成する場合に、それが、デマッパー214に転送される。デマッパー214は、推定された送信信号に対応するビット推定及び対応する推定されたシンボルを、例えばさらなる処理のためにマイクロプロセッサ216に出力する。そうではなく、復号が送信された可能性が高いシンボルを生成しない場合に、推定された信号を予想されるシンボルに復号するための試行の失敗が、異なるパラメータで信号推定を繰り返すために信号検出器にフィードバックされる。送信機の変調器及び受信機の復調器におけるデータの処理は、互いに補完的である。
【0095】
図3の送信機T及び受信機Rが、概して既知とみられるが、受信機R、及びより詳細には本発明による受信機の信号検出器210及び復号器212は、図4を参照して以下で説明される本発明の方法を実行し、既知の信号検出器とは異なる動作をするように適合される。
【0096】
図4は、本発明の実施形態を実施する方法ステップの例示的フロー図を示す。ステップ102において、信号が、過負荷通信チャネルにおいて受信される。信号は、シンボルcのコンスタレーションCから選択され、且つ1つ又は複数の送信機Tから送信された送信シンボルを表す信号の重畳に対応する。ステップ104において、探索空間が、受信信号ベクトルy及びコンスタレーションCの全てのシンボルcについての送信シンボルベクトルsの少なくとも成分を含む凸領域において定義される。ステップ106において、第1の連続関数fが定義され、fは、受信信号ベクトルy及びチャネル特性Hの関数である。第1の関数fは、探索空間からの入力ベクトルs及びチャネル行列Hの積が受信信号ベクトルyに等しい、大域的最小値を有する。さらに、ステップ108において、第2の連続関数fが、探索空間において定義され、fは、探索空間からの入力ベクトルsの関数である。第2の関数fは、コンスタレーションCのシンボルcの送信シンボルベクトルsのそれぞれについて著しく低い値を有する。ステップ104、106、及び108は図に示される順序で実行されなくてもよく、多少同時に、又は異なる順序で実行されてもよいことに留意されたい。第1の関数f及び第2の関数fは、ステップ110において重み付け加算を通して第3の連続関数fに結合される。第3の関数fが決定されると、第3の関数fを最小化する入力ベクトル
【数57】
を見つけることを目標とするステップ112において、分数計画法アルゴリズムが第3の関数fに適用される。分数計画法アルゴリズムからの結果出力である入力ベクトル
【数58】
は、ステップ114において、推定された送信ベクトル
【数59】
に変換され、推定された送信ベクトルにおいて、全ての単一成分が、コンスタレーションCのシンボルcの送信シンボルベクトルsの対応成分の可能な値のリストからの値を有する。変換は、推定された値に最も近いリストからの値を選択することを含み得る。推定された送信ベクトル
【数60】
は、次いでステップ116において、コンスタレーションCからの推定された送信済みシンボル
【数61】
に復号するための復号器に出力される。送信済みシンボル
【数62】
は、ステップ118において、送信されたデータの1つ又は複数のビットにさらに処理され得る。
【0097】
図5は、第3の関数f、特にさらに上述した式6による関数を最小化する入力ベクトル
【数63】
を見つけるために実行される、本発明の方法ステップの詳細を示す。ステップ112-1において、分数計画法は、推定された送信信号のベクトルについての開始値
【数64】
で初期化され、βijは、ステップ112-2において、推定された送信ベクトルの開始値
【数65】
について決定される。次いで、
【数66】
についての新たな候補が、ステップ112-2において決定される値βijについての式を解くことによって、ステップ112-3において導出される。解が収束しない、ステップ112-4の「いいえ」の分岐の場合、値βijは、ステップ112-3において導出された新たな候補
【数67】
に基づいて決定され、式を解くプロセスが繰り返される。解が収束する、ステップ112-4の「はい」の分岐の場合、
【数68】
は、その成分が、コンスタレーションCからのシンボルcのベクトルsから値を推測する、推定された送信ベクトル
【数69】
をマッピングするために、図4のステップ114に転送される。
【0098】
図6a)は、コンスタレーションCからのシンボルc、c、c、及びcの例示的且つ非常に基本的な例を示す。シンボルc、c、c、及びcは、QAM変調のシンボルを表し得る。図6b)は、チャネルを経て実際に送信されたシンボル、この場合はシンボルcを示す。図6c)は、受信機において実際に受信された信号を示す。チャネルにおける何らかの歪み及び雑音に起因して、受信信号は、送信されたシンボルcの振幅及び位相に正確に置かれていない。最尤検出器は、受信信号とコンスタレーションからの各シンボルとの距離を判定し、受信信号に最も近い推定シンボルとしてその1つを選択する。非常に単純な例において、これは、シンボルcである。このプロセスは、受信信号及びコンスタレーションからのシンボルの全ての個別の対に対する計算を実行する必要があり、コンスタレーション内のシンボルの数及び信号を送信した可能性のある送信機の数と共に指数関数的に増加する計算回数をもたらし得る。
【0099】
図7は、分数計画法を用いて効率的に解かれ得る、本発明に従って決定される第3の関数の簡略化された例示的グラフィカル表現を示す。グラフィカル表現は、図6a)に提示されたものと同一のコンスタレーションに基づき、同じ信号cが送信されたと仮定される。3次元空間の底面は、信号ベクトルの振幅及び位相についての凸探索空間を表す。垂直次元は、第3の関数についての値を表す。探索空間が凸であるため、第3の関数は、実際には離散シンボルc、c、c、及びcの4つだけがコンスタレーションにあるとしても、振幅及び位相の任意の組み合わせについての値を有する。倒立円錐の形状を有する面は、凸探索空間上の第1の連続関数の結果を表し、受信信号の位置において大域的最小値を有する。円錐形状面から下向きに突出する4つのスパイクは、コンスタレーションからのシンボルの位相及び振幅において著しく低い値を有する、第2の連続関数を表す。第1の関数及び第2の関数は、第3の関数に結合されており、第3の関数は、やはり連続的であり、ここで、第3の関数を最小化する振幅及び位相を見つけるために分数計画法アルゴリズムを受け得る。この表現は極めて簡略化されていることに留意されるべきであるが、本発明の理解を助けるものと考えられる。
【0100】
図8及び図9は、複素係数のチャネル行列によって特徴付けられる過負荷通信チャネルにおいて送信される送信シンボルベクトルを推定する、コンピュータ実施受信機方法3の実施形態である。方法は、受信機Rにおいて、受信信号ベクトルによって表される信号を受信する102。この受信信号ベクトルは、シンボルの少なくとも1つのコンスタレーションから選択され、1つ又は複数の送信機Tから送信された送信シンボルを表す信号の重畳に対応する。さらに、受信信号ベクトル及び少なくとも1つのコンスタレーションの全てのシンボルについての送信シンボルベクトルの閉形式の少なくとも微分可能な凸関数37を含む、凸領域内の探索空間の定義104が行われる。
【0101】
閉形式の微分可能な凸関数37を取得するために、第1の関数7によって与えられる第1の最適化公式が第2の関数35によって与えられる第2の最適化公式に再計算される。これは、第3の関数9として与えられるlノルムの2次近似を適用することによって行われ、第2の関数35を取得した後で第4の関数36が計算される。受信機方法3の中心となる要素である、受信信号ベクトル及び送信シンボルベクトルの閉形式の微分可能な凸関数37を取得するために、第4の関数36のWingerts微分の設定を適用することによって取得される。その後、第2の関数35の固定要素のための行列乗算によって計算される最適解(sopt)が、図9のステップ306に示されるように行われる。ステップ307において与えられる収束δをチェックすることによって、送信シンボルの推定についての最適解(sopt)を見つけるための反復手続が実行される。
【0102】
図10及び図11は、過負荷通信チャネルにおいて送信される送信シンボルベクトルを推定する、コンピュータ実施受信機方法4の第2の実施形態を示している。チャネルは、複素係数のチャネル行列によって特徴付けられる。
【0103】
この第2の方法4は、シンボルの少なくとも1つのコンスタレーションから選択され、1つ又は複数の送信機Tから送信された送信シンボルを表す信号の重畳に対応する、受信信号ベクトルを含む。さらに、含む凸領域内の探索空間の定義104は、受信信号ベクトル及び少なくとも1つのコンスタレーションの全てのシンボルについての送信シンボルベクトルの第5の関数44をカバーする、s及びペナルティパラメータλを提供する少なくとも閉形式解を含む、凸領域内の探索空間を定義すること104によって、行われる。この第5の関数44は、受信機方法4の中心となる要素である。
【0104】
第6の関数38として与えられる第1の最適化公式を変更することによって、s及びペナルティパラメータλを提供する閉形式の第5の関数44を取得するために、第6の関数38は、第7の関数6の実数値2次制約付き2次計画問題(QCQP)バージョンであり、第7の関数6は、一般化固有値公式及びメビウス変換された第8の関数43に再計算される。これが行われる場合、送信シンボルの推定についての最適解(sopt)を見つけるための反復手続を適用することが行われる。これは、図11のステップ406に示される。
【0105】
さらに、計算される方法3及び方法4の推定解を得るために、反復手続の場合に、推定解s(s)、コンスタレーションアルファベット(x)、及びタイトニングパラメータαに関して与えられる係数βが決定される。
【0106】
図12及び図13は、コンピュータ実施受信機方法5の第3の実施形態を示している。
【0107】
図12及び図13は、過負荷通信チャネルにおいて送信される送信シンボルベクトルを推定する、コンピュータ実施受信機方法5の第3の実施形態を示している。チャネルは、複素係数のチャネル行列によって特徴付けられる。
【0108】
この第3の方法5は、シンボルの少なくとも1つのコンスタレーションから選択され、1つ又は複数の送信機Tから送信される送信シンボルを表す信号の重畳に対応する、受信信号ベクトルを含む。さらに、含む凸領域内の探索空間の定義104は、受信信号ベクトル及び少なくとも1つのコンスタレーションの全てのシンボルについての送信シンボルベクトルの第5の関数44をカバーするs及びペナルティパラメータλを提供する少なくとも閉形式解を含む、凸領域内の探索空間を定義すること104によって行われる。この第5の関数34は、受信機方法5の中心となる要素である。
【0109】
s及びペナルティパラメータλを提供する非閉形式の第9の関数(34)は、第10の関数(9)及び第11の関数(5)の組み合わせとして与えられる第3の最適化公式を変更することによって取得される。第10の関数(9)は、第12の関数(18)を取得するために2次変換によって第11の関数(5)と結合される。第13の関数(24)は、第12の関数(18)のQCQP-1変換を用いて決定され、交互方向乗数法(ADMM)が適用され、送信シンボルの推定のための最適解(sopt)を見つけるために反復手続が実行される。
【0110】
さらに、計算される方法5の推定解を得るために、反復手続の場合、係数βはループを用いて式20によって決定され、且つ第9の関数(34)を解くための特別な収束基準を有し、第9の関数(34)は、推定解s(s)に関して与えられ、コンスタレーションアルファベット(x)及びタイトニングパラメータαが決定される。
【0111】
これは、複素係数のチャネル行列によって特徴付けられる過負荷通信チャネルにおいて送信される送信シンボルベクトルを推定する、コンピュータ実施受信機方法5であって、受信機Rにおいて、受信信号ベクトルによって表される信号を受信すること102であって、受信信号ベクトルが、シンボルの少なくとも1つのコンスタレーションから選択され、且つ1つ又は複数の送信機Tから送信された送信シンボルを表す信号の重畳に対応する、受信すること102と、受信信号ベクトル及び少なくとも1つのコンスタレーションの全てのシンボルについての送信シンボルベクトルの第5の関数44のs及びペナルティパラメータλを提供する少なくとも閉形式解を含む凸領域において探索空間を定義すること104と、第10の関数9及び第11の関数5の組み合わせとして与えられる第3の最適化公式を変更することによって、s及びペナルティパラメータλを提供する非閉形式の第9の関数34を取得することであって、第10の関数9が、第12の関数18を取得するために2次変換によって第11の関数5と結合され、第13の関数24が、第12の関数18のQCQP-1変換を用いて決定され、交互方向乗数法(ADMM)が適用される、取得することと、送信シンボルの推定のための最適解(sopt)を見つけるために反復手続を適用することと、を含む方法が実行されることを意味する。
【0112】
表Iには、最初の3つの提案された受信機のそれらの計算複雑性に関する相対性能が示されている。参考のために、SOAV及びSBR復号器の複雑性がその表に含まれているが、SCSRのものは省略している。これは、SOAVの方がコストが低く、両者のBER性能が一致するためである。複雑性性能評価は、Intel Core i9プロセッサ、クロック速度3.6GHz、及び32GBのRAMメモリを有するコンピュータにおいて、全ての比較される受信機が64ビットMATLAB 2018bを実行する経過時間をカウントすることによって行われる。そのようにして得られ、表Iに要約された結果では、DAPZF受信機の複雑性が3つの新たな方法の中で最も小さいだけでなく、実際にSOAV復号器よりも著しく低い(ほぼ10倍)。また、DAPZFは、低負荷及び完全負荷シナリオにおいてADMM-DAPSD及びDAGED法と同様のBER性能を達成するため、その方式が、それらの場合に選択する方法であると結論付けられ得る。
【0113】
表Iにおいて、DAPZFの次に、DAGEDが、新たな受信機のうち計算量が2番目に少ないことも明らかとなる。このことが、そのBER性能と共に用いられるときに、ここで開発された3つの受信機の中でDAGED方式が選択のトレードオフ方法であるという結論につながる。最後に、ADMM-DAPSDの解決策が、表Iによれば全ての中で最も計算量が高いと分かる。この手法は、過負荷シナリオにおいて最も高いBER性能をもたらすものでもあるため、これは驚くことではない。概して、寄与する方法は、したがって、同時に過負荷多次元システムの実現可能性を実証しながら、システムセットアップによる3つの異なる選択を提供する。
【0114】
【表1】
図1
図2
図3
図4-5】
図6a)】
図6b)】
図6c)】
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】