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特表2023-502518電気刺激療法の送達のための電極の電気刺激振幅の独立した制御
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-24
(54)【発明の名称】電気刺激療法の送達のための電極の電気刺激振幅の独立した制御
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20230117BHJP
   A61N 1/05 20060101ALI20230117BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/05
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530173
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(85)【翻訳文提出日】2022-06-03
(86)【国際出願番号】 US2020062053
(87)【国際公開番号】W WO2021108428
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】16/694,549
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507020152
【氏名又は名称】メドトロニック,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119781
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 彰吾
(72)【発明者】
【氏名】ヤング-ディクソン,ブレンダン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,アリシア・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ペスカー,シェリル
(72)【発明者】
【氏名】ビーオール,ランス
(72)【発明者】
【氏名】キルベーン,スーザン・ヘイルマン
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053CC10
4C053JJ01
4C053JJ02
4C053JJ13
4C053JJ27
(57)【要約】
調整可能なマスター振幅を有する電流調節器又は電圧調節器を使用して電気刺激を送達する医療用デバイスの技術が記載される。1つの例示的な方法は、電気刺激装置のプログラマを介して、所望の電流振幅を示すユーザ入力を受信することと、所望の電流振幅を達成するための目標調整として、第1の部分の調整又は第2の部分の調整を選択することと、を含む。神経調節システムは、第1の電極と、第2の電極と、第1の刺激パルスを第1の電極に、及び第2の刺激パルスを第2の電極に送達するように構成された刺激生成器であって、第1の刺激パルスの第1の電流振幅が、マスター振幅の第1の部分であり、第2の刺激パルスの第2の電流振幅が、マスター振幅の第2の部分である、刺激生成器と、プロセッサと、を備え、プロセッサは、刺激生成器に対する初期命令を生成して、(i)マスター振幅の第1の部分に基づく第1の刺激パルス、及び(ii)マスター振幅の第2の部分に基づく第2の刺激パルスを送達することと、所望の電流振幅を含むユーザ入力を受信することと、所望の電流振幅に基づいて、第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する調整が必要であると判定することと、所望の電流振幅とマスター振幅との比較に少なくとも部分的に基づいて、目標調整を判定することであって、プロセッサが、(A)目標調整として、少なくとも第1の部分に対する調整を判定すること、又は(B)目標調整として、(i)マスター振幅に対する調整と、(ii)マスター振幅調整に対する少なくとも第2の部分に対する調整と、を判定すること、を行うように更に構成されている、判定することと、目標調整に少なくとも部分的に基づいて、刺激生成器に対する調整命令を生成して、所望の電流振幅で第1の刺激パルスを送達し、かつほぼ同じ第2の電流振幅で第2の刺激パルスを送達することと、を行うように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経調節システムであって、
第1の電極と、
第2の電極と、
第1の刺激パルスを前記第1の電極に、及び第2の刺激パルスを前記第2の電極に送達するように構成された刺激生成器であって、前記第1の刺激パルスの第1の電流振幅が、マスター振幅の第1の部分であり、前記第2の刺激パルスの第2の電流振幅が、前記マスター振幅の第2の部分である、刺激生成器と、
プロセッサと、を備え、前記プロセッサが、
前記刺激生成器に対する初期命令を生成して、(i)前記マスター振幅の前記第1の部分に基づく第1のシミュレーションパルス、及び(ii)前記マスター振幅の前記第2の部分に基づく前記第2の刺激パルスを送達することと、
所望の電流振幅を含むユーザ入力を受信することと、
前記所望の電流振幅に基づいて、前記第1の刺激パルスの前記第1の電流振幅に対する調整が必要であると判定することと、
前記所望の電流振幅と前記マスター振幅との比較に少なくとも部分的に基づいて、目標調整を判定することであって、
前記プロセッサが、
(A)前記目標調整として、少なくとも前記第1の部分に対する調整を判定すること、又は
(B)前記目標調整として、
(i)前記マスター振幅に対する調整と、
(ii)前記マスター振幅調整に対する少なくとも前記第2の部分に対する調整と、を判定すること、を行うように更に構成されている、判定することと、
前記目標調整に少なくとも部分的に基づいて、前記刺激生成器に対する調整命令を生成して、前記所望の電流振幅で前記第1の刺激パルスを送達し、かつほぼ同じ前記第2の電流振幅で前記第2の刺激パルスを送達することと、を行うように構成されている、神経調節システム。
【請求項2】
前記所望の電流振幅に基づいて、前記第1の刺激パルスの前記第1の電流振幅に対する前記調整が必要であると判定するために、前記プロセッサは、前記ユーザ入力が前記第1の刺激パルスの前記第1の電流振幅の増加を要求していると判定するように構成されており、
前記目標調整として、少なくとも前記第1の部分に対する前記調整を判定するために、前記プロセッサは、(i)前記第1の部分が部分最大値になく、(ii)前記所望の電流振幅が前記マスター振幅より小さいとき、前記第1の部分に対する前記調整が、前記第1の部分を増加させることを含むと判定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記所望の電流振幅に基づいて、前記第1の刺激パルスの前記第1の電流振幅に対する前記調整が必要であると判定するために、前記プロセッサは、前記ユーザ入力が前記第1の刺激パルスの前記第1の電流振幅の減少を要求していると判定するように構成されており、
前記目標調整として、少なくとも前記第1の部分に対する前記調整を判定するために、前記プロセッサは、前記第1の部分が部分最大値にないとき、前記第1の部分に対する調整が、前記第1の部分を減少させることを含むと判定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記所望の電流振幅に基づいて、前記第1の刺激パルスの前記第1の電流振幅に対する前記調整が必要であると判定するために、前記プロセッサは、前記ユーザ入力が前記第1の刺激パルスの前記第1の電流振幅の増加を要求していると判定するように構成されており、
前記目標調整として、前記マスター振幅に対する前記調整及び少なくとも前記第2の部分に対する前記調整を判定するために、前記プロセッサは、前記所望の電流振幅が前記マスター振幅より大きいとき、
前記マスター振幅に対する前記調整が、前記マスター振幅を増加させることを含み、かつ
少なくとも前記第2の部分に対する前記調整が、前記マスター振幅の前記増加に対して前記第2の部分を減少させることを含む、と判定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記所望の電流振幅に基づいて、前記第1の刺激パルスの前記第1の電流振幅に対する前記調整が必要であると判定するために、前記プロセッサは、前記ユーザ入力が前記第1の刺激パルスの前記第1の電流振幅の減少を要求していると判定するように構成されており、
前記目標調整として、前記マスター振幅に対する前記調整及び少なくとも前記第2の部分に対する前記調整を判定するために、前記プロセッサは、前記第1の部分が、前記第1の電極に対して定義された部分最大値にあり、前記第2の部分が、前記第2の電極に対して定義された部分最大値にないとき、
前記マスター振幅に対する前記調整が、前記マスター振幅を減少させることを含み、かつ
少なくとも前記第2の部分に対する前記調整が、前記マスター振幅の前記減少に対して前記第2の部分を増加させることを含む、と判定するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサが、
前記マスター振幅の前記減少に基づいて、前記第2の部分を第1の量だけ増加させて、元の第2の電流振幅に対してほぼ同じ振幅に前記第2の電流振幅を維持するように更に構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサが、
ユーザインターフェースを介して表示するために、ミリアンペア測定ユニットを含む測定ユニットにおいて前記第1の電流振幅を出力することと、
前記ユーザインターフェースを介して、ミリアンペア測定ユニットを含む測定ユニットにおいて前記所望の電流振幅を定義する前記ユーザ入力を受信することと、
前記ユーザインターフェースを介して表示するために、ミリアンペア測定ユニットを含む測定ユニットにおいて前記第1の刺激パルスの前記第1の電流振幅に対する前記調整を出力することと、を行うように更に構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記プロセッサが、
前記調整命令の一部として前記刺激生成器に、前記第1の部分に対する前記調整又は前記第2の部分に対する前記調整に対応する部分値を出力するように更に構成されており、前記部分値が、それぞれの電極が所望の強度を特定のゾーンに送達する相対度を定義する前記第1又は第2の電極の寄与の変化を示す、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
電気刺激振幅を調整する方法であって、前記方法が、
刺激生成器に対する初期命令を生成して、(i)マスター振幅の第1の部分に基づく第1のシミュレーションパルス、及び(ii)前記マスター振幅の第2の部分に基づく第2の刺激パルスを送達することと、
所望の電流振幅を含むユーザ入力を受信することと、
前記所望の電流振幅に基づいて、前記第1の刺激パルスの前記第1の電流振幅に対する調整が必要であると判定することと、
前記所望の電流振幅と前記マスター振幅との比較に少なくとも部分的に基づいて、目標調整を判定することとであって、
前記方法が、
(A)前記目標調整として、少なくとも前記第1の部分に対する調整を判定すること、又は
(B)前記目標調整として、
(i)前記マスター振幅に対する調整と、
(ii)前記マスター振幅調整に対する少なくとも前記第2の部分に対する調整と、を判定すること、を更に含む、判定することと、
前記目標調整に少なくとも部分的に基づいて、前記刺激生成器に対する調整命令を生成して、前記所望の電流振幅で前記第1の刺激パルスを送達し、かつほぼ同じ前記第2の電流振幅で前記第2の刺激パルスを送達することと、を含む、方法。
【請求項10】
前記所望の電流振幅に基づいて、前記第1の刺激パルスの前記第1の電流振幅に対する前記調整が必要であると判定することは、前記ユーザ入力が前記第1の刺激パルスの前記第1の電流振幅の増加を要求していると判定することを含み、
前記目標調整として、少なくとも前記第1の部分に対する前記調整を判定することは、(i)前記第1の部分が部分最大値になく、(ii)前記所望の電流振幅が前記マスター振幅より小さいとき、前記第1の部分に対する前記調整が、前記第1の部分を増加させることを含むと判定することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記所望の電流振幅に基づいて、前記第1の刺激パルスの前記第1の電流振幅に対する前記調整が必要であると判定することは、前記ユーザ入力が前記第1の刺激パルスの前記第1の電流振幅の減少を要求していると判定することを含み、
前記目標調整として、少なくとも前記第1の部分に対する前記調整を判定することは、前記第1の部分が部分最大値にないとき、前記第1の部分に対する前記調整が、前記第1の部分を減少させることを含むと判定することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記所望の電流振幅に基づいて、前記第1の刺激パルスの前記第1の電流振幅に対する前記調整が必要であると判定することは、前記ユーザ入力が前記第1の刺激パルスの前記第1の電流振幅の増加を必要要求していると判定することを含み、
前記目標調整として、前記マスター振幅に対する前記調整及び少なくとも前記第2の部分に対する前記調整を判定することは、前記所望の電流振幅が前記マスター振幅より大きいとき、
前記マスター振幅に対する前記調整が、前記マスター振幅を増加させることを含み、かつ
前記第2の部分に対する前記調整が、前記マスター振幅の前記増加に対して前記第2の部分を減少させることを含む、と判定することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記所望の電流振幅に基づいて、前記第1の刺激パルスの前記第1の電流振幅に対する前記調整が必要であると判定することは、前記ユーザ入力が前記第1の刺激パルスの前記第1の電流振幅の減少を要求していると判定することを含み、
前記目標調整として、前記マスター振幅に対する前記調整及び少なくとも前記第2の部分に対する前記調整を判定することは、前記第1の部分が、前記第1の電極に対して定義された部分最大値にあり、前記第2の部分が、前記第2の電極に対して定義された部分最大値にないとき、
前記マスター振幅に対する前記調整が、前記マスター振幅を減少させることを含み、かつ
前記第2の部分に対する前記調整が、前記マスター振幅の前記減少に対して前記第2の部分を増加させることを含む、と判定することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記マスター振幅の前記減少に基づいて、前記第2の部分を第1の量だけ増加させて、元の第2の電流振幅に対してほぼ同じ振幅に前記第2の電流振幅を維持することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
命令を記憶したコンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令が、実行されるときに、1つ以上のプロセッサに、請求項9~14のいずれか一項に記載の方法を実行させる、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、2019年11月25日に出願された米国特許出願第16/694,549号の利益を主張し、当該出願の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、医療用デバイスに関し、より具体的には、電気刺激療法を送達する医療用デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
医療用デバイスは、様々な医学的状態を治療するために使用され得る。医療用電気刺激デバイスは、例えば、電極を介して患者に電気刺激療法を送達し得る。電気刺激療法は、患者内の神経、筋肉、又は脳組織、又は他の組織の刺激を含み得る。電気刺激デバイスは、患者内に完全に埋め込まれ得る。例えば、電気刺激デバイスは、埋め込み可能な電気刺激生成器、及び電極を担持する1つ以上の埋め込み可能なリードを含み得る。電気刺激デバイスは、リードレス刺激装置を備え得る。場合によっては、埋め込み可能な電極は、1つ以上の経皮リード又は完全に埋め込まれたリードを介して外部電気刺激生成器に結合され得る。
【0004】
医療用電気刺激装置は、慢性疼痛、振戦、パーキンソン病、うつ病、てんかん、尿又は便失禁、骨盤痛、性的機能障害、肥満、又は胃不全麻痺などの様々な症状又は状態を緩和するために、患者に電気刺激療法を送達するために使用され得る。電気刺激装置は、患者の脊髄、骨盤神経、胃腸器官、末梢神経に近接しているか又は脳内にある電極を含むリードを介して電気刺激療法を送達するように構成され得る。脊髄に近接した刺激及び脳内の刺激は、それぞれ脊髄刺激(spinal cord stimulation、SCS)及び深部脳刺激(deep brain stimulation、DBS)と呼ばれることが多い。
【発明の概要】
【0005】
概して、本開示には、電気刺激を送達する医療用デバイスのプログラミング技術が記載される。特に、本開示には、ユーザ入力として、電気刺激システム内の特定の電極に送達される個々の刺激パルスの所望の振幅を受信することができるユーザインターフェースが記載される。加えて、本開示には、所望の振幅を定義するこのようなユーザ入力を利用して、所望の振幅を達成する電気刺激装置のパラメータを判定するためのプログラミング技術が記載される。本開示の様々な技術によれば、電気刺激装置は、1つ以上の他の電極に送達される他の刺激パルスの振幅を維持しながら、所望の振幅を達成する。
【0006】
例示するために、例示的な電気刺激装置は、調整可能なマスター振幅を有するマスター電源、及び複数の電極に結合された刺激生成器を含む。刺激生成器は、ユーザによって指定された様々な振幅で電極に電気刺激パルスを送達する。いくつかの実施例では、マスター電源は、個々の電極の個々の振幅を達成するために使用されるマスター電圧振幅及び/又はマスター電流振幅を含み得る。マスター電流振幅を伴う実施例では、刺激生成器は、各電極について、有限数の個別制御可能な電流調節器分岐を含む。このようにして、電流調節器分岐の一部又は全てを選択的に活性化することによって、刺激生成器は、マスター電流振幅の部分である電流振幅で電気刺激パルスを送達することができる。そのような実施例では、部分は、利用可能な調節器分岐の総数と比較して、特定の電極のためにその時点で活性化された特定の数の調節器分岐として定義される。
【0007】
例示的な実施例では、刺激生成器は、第1の電極に、マスター振幅の第1の部分である第1の電流振幅を有する刺激パルスを送達することができる。同様に、刺激生成器は、第2の電極に、マスター振幅の第2の部分である第2の電流振幅を有する刺激パルスを送達することができ、第2の部分は、場合によっては、第1の部分と同等であり得る。この実施例では、刺激生成器は、調整目標電極に対応するより多くの若しくはより少ない電流調節器分岐を活性化することによって、マスター振幅を増加させることによって、又はこれら2つの何らかの組み合わせによって、調整目標電極に送達される電流振幅を増加又は減少させることができる。
【0008】
場合によっては、特定の電極の所望の電流振幅がマスター電流振幅を超える場合、刺激生成器は、マスター電流振幅を、マスター電流源から利用可能な最大電流振幅まで調整することができる。しかしながら、いくつかの実施例では、ユーザは、1つの電極の電流振幅にのみ影響を及ぼし、他の電極の電流振幅には影響を及ぼさないことを希望する場合があり、これは、電極部分への変化なしにマスター電流振幅が増加するときに発生し得る。したがって、以前に定義された電流振幅で他の電極に送達される刺激パルスを維持するために、刺激生成器は、非調整目標電極の部分を調整することができる。加えて、電気刺激装置は、個々の刺激パルスに対して所望の電流振幅をサポートするのに十分なマスター振幅を提供するために、特定の電源から利用可能な最大振幅までマスター振幅を調整することができる。いずれの場合も、ユーザは、ユーザインターフェースから制御され得る電流振幅のために、電気刺激システムに、調整、又は初期設定を要求することができる。したがって、ユーザインターフェースは、ユーザ入力として、調整のために目標とされた電極の所望の電流振幅を受信する。
【0009】
このようにして、電気刺激装置の処理回路は、他の電極の電流振幅を元の電流振幅に近く維持しながら、第1の電流振幅への調整を引き起こし得る。すなわち、調整のために目標とされた特定の電極に対する1つの所望の電流振幅の単一のユーザ入力は、振幅を新たに設定するか、又は以前に設定された振幅を調整するかにかかわらず、所望の電流振幅の実装をもたらし得る。所望の電流振幅は、所望の電流振幅がマスター電流振幅より大きいか、それより小さいか、又はそれに等しいかに関係なく実装されてもよく、それと同時に、非調整目標電極に対応する電流調節器分岐の数を調整することによって、調整のために目標とされない他の電極に送達される電流振幅を維持し得る。
【0010】
一実施例では、本開示は、神経調節システムを対象とし、このシステムは、第1の電極と、第2の電極と、第1の刺激パルスを第1の電極に、及び第2の刺激パルスを第2の電極に送達するように構成された刺激生成器を備え、第1の刺激パルスの第1の電流振幅は、マスター振幅の第1の部分であり、第2の刺激パルスの第2の電流振幅は、マスター振幅の第2の部分である。神経調節システムは、刺激生成器に対する初期命令を生成して、(i)マスター振幅の第1の部分に基づく第1のシミュレーションパルス、及び(ii)マスター振幅の第2の部分に基づく第2の刺激パルスを送達するように構成されたプロセッサを更に備える。プロセッサは、所望の電流振幅を含むユーザ入力を受信し、所望の電流振幅に基づいて、第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する調整が必要であると判定するように更に構成されている。プロセッサは、所望の電流振幅とマスター振幅との比較に少なくとも部分的に基づいて、目標調整を判定するように更に構成されている。プロセッサは、(A)目標調整として、少なくとも第1の部分に対する調整を判定すること、又は(B)目標調整として、(i)マスター振幅に対する調整と、(ii)マスター振幅調整に対する少なくとも第2の部分への調整と、を判定すること、を行うように更に構成されている。プロセッサは、目標調整に少なくとも部分的に基づいて、刺激生成器に対する調整命令を生成して、所望の電流振幅で第1の刺激パルスを送達し、かつほぼ同じ第2の電流振幅で第2の刺激パルスを送達するように更に構成されている。
【0011】
別の実施例では、本開示は、方法を対象とし、この方法は、刺激生成器に対する初期命令を生成して、(i)マスター振幅の第1の部分に基づく第1のシミュレーションパルス、及び(ii)マスター振幅の第2の部分に基づく第2の刺激パルスを送達することと、所望の電流振幅を含むユーザ入力を受信することと、を含む。この方法は、所望の電流振幅に基づいて、第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する調整が必要であると判定することを更に含む。この方法は、所望の電流振幅とマスター振幅との比較に少なくとも部分的に基づいて、目標調整を判定することを更に含む。この方法は、(A)目標調整として、少なくとも第1の部分に対する調整を判定すること、又は(B)目標調整として、(i)マスター振幅に対する調整と、(ii)マスター振幅調整に対する少なくとも第2の部分への調整と、を判定すること、を更に含む。この方法は、目標調整に少なくとも部分的に基づいて、刺激生成器に対する調整命令を生成して、所望の電流振幅で第1の刺激パルスを送達し、かつほぼ同じ第2の電流振幅で第2の刺激パルスを送達することを更に含む。
【0012】
別の実施例では、本開示は、命令を含むコンピュータ可読記憶媒体を対象とし、命令は、実行されるときに、少なくとも1つのプロセッサに、刺激生成器に対する初期命令を生成して、(i)マスター振幅の第1の部分に基づく第1のシミュレーションパルス、及び(ii)マスター振幅の第2の部分に基づく第2の刺激パルスを送達することと、所望の電流振幅を含むユーザ入力を受信することと、を少なくとも行わせる。命令は、実行されるときに、少なくとも1つのプロセッサに、所望の電流振幅に基づいて、第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する調整が必要であると判定することを、少なくとも更に行わせる。命令は、実行されるときに、少なくとも1つのプロセッサに、所望の電流振幅とマスター振幅との比較に少なくとも部分的に基づいて、目標調整を判定することを、少なくとも更に行わせ、目標調整は、(i)少なくとも第1の部分に対する調整、又は(ii)マスター振幅に対する調整と、マスター振幅に対する調整に対する少なくとも第2の部分への調整と、を含む。命令は、実行されるときに、少なくとも1つのプロセッサに、目標調整に少なくとも部分的に基づいて、刺激生成器に対する調整命令を生成して、所望の電流振幅で第1の刺激パルスを送達し、かつほぼ同じ第2の電流振幅で第2の刺激パルスを送達することを、少なくとも更に行わせる。
【0013】
本開示の1つ以上の態様の詳細は、付随する図面及び以下の記述において説明される。その他の特徴、対象及び利点は、説明及び図面並びに特許請求の範囲から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の様々な技術による、刺激リードに結合された電気刺激装置を含む例示的な療法システムを示す概念図である。
図2】本開示の様々な技術による、電気刺激装置と共に使用するための、図1のプログラマなどのプログラマの様々な例示的な構成要素を示すブロック図である。
図3】本開示による、例示的なプログラマスクリーンを示す。
図4】本開示の様々な技術による、図1に示す電気刺激装置などの電気刺激装置の様々な例示的な構成要素を示すブロック図である。
図5図1及び/又は図4の電気刺激装置などの電気刺激装置と共に使用するための例示的な電気刺激生成器の様々な構成要素を示すブロック図である。
図6】本開示の技術を実行するための例示的な方法を示すフローチャートである。
図7】本開示の技術を実行するための例示的な方法を示すフローチャートである。
図8】本開示の技術を実行するための例示的な方法を示すフローチャートである。
図9】本開示の技術を実行するための例示的な方法を示すフローチャートである。
図10】本開示による、例示的なプログラマスクリーンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、電極と、電流振幅によって定義される刺激振幅を有する電気刺激パルスと、を使用して電気刺激療法を送達するための医療用デバイスの様々な技術を説明する。医療用デバイスは、ユーザインターフェースを介して、プログラマからの電流振幅のユーザ入力を受信することができる。ユーザ入力は、1つ以上のリードの電極によって送達される刺激パルスの電流振幅の変化を指定することができる。ユーザ入力に応答して、電気刺激生成器の処理回路は、目標調整として第1の部分の調整又は第2の部分の調整のうちの少なくとも1つを実装するかどうかを判定することができる。すなわち、少なくとも2つの電極を含む実施例では、目標調整は、本開示の様々な技術に従って、1つ以上の非調整電極の少なくとも1つの第2の部分を調整することと共に、調整電極の第1の部分を調整するか、又はマスター電流振幅を調整することによって、所望の電流振幅を達成することができる。
【0016】
図1は、患者6に刺激療法を送達するために使用され得る例示的なシステム2を示す概念図である。患者6は、通常、必ずそうであるわけではないが、人間である。一般に、療法システム2は、1つ以上の電極を介して患者6に電気刺激を送達する電気刺激装置4(例えば、埋め込み可能な医療用デバイス(implantable medical device、IMD))を含む。電気刺激装置4は、マスター電流と、電気刺激装置4が1つ以上の電極11によって供給又はシンクされる電流を調節することを可能にする電流調節器アレイと、を含み得る。したがって、電気刺激装置4は、1つ以上の電極11に対して電流調節器を実装するために使用され得るいくつかの電流調節器分岐を含み得る。説明のために、電極は、埋め込み可能な電極であるものとして説明される。しかしながら、例示的な技術は、埋め込み可能な電極に限定されない。
【0017】
電極は、埋め込み可能な医療用リード10などの1つ以上の医療用リード、及び場合によってはハウジング電極上に展開され得る。電気刺激は、制御電流パルス又は電圧パルスの形態、又は実質的に連続電流又は電圧波形であり得る。刺激プログラムは、パルス又は波形の様々なパラメータを定義することができる。パルス又は波形は、実質的に連続的に又はバースト、セグメント、若しくはパターンで送達され得、単独で、又は1つ以上の他の刺激プログラムによって定義されたパルス若しくは波形と組み合わせて送達され得る。いくつかの実施例では、電極のうちの1つ以上は、電気刺激装置4のハウジング14上に位置し得る。加えて、埋め込み可能な電極は、リードレス刺激装置上に展開され得る。
【0018】
いくつかの実施例では、電気刺激装置4は、例えば、リードセグメント12によって担持される電極を介して、患者6に深部脳刺激(DBS)又は皮質刺激(cortical stimulation、CS)療法を送達することができる。図1は特定の刺激環境(例えば、DBS)を示しているが、本開示の技術はそのように限定されず、電気刺激装置4は、Goetzらによる「PROGRAMMING TECHNIQUES FOR CONTROLLING RATE OF CHANGE OF ELECTRICAL STIMULATION THERAPY」と題する米国特許第8,560,080号、及びGoetzらによる「MANAGING ELECTRICAL STIMULATION THERAPY BASED ON VARIABLE ELECTRODE COMBINATIONS」と題する米国特許第8,996,123号に記載されているように、患者6の脊髄など、患者6の他の部分に刺激療法を送達することができ、それらの内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。例えば、他の電気刺激システムは、胃腸器官、骨盤神経若しくは筋肉、末梢神経、又は他の刺激部位に電気刺激を送達するように構成され得る。加えて、図1は完全に埋め込み可能な電気刺激装置4を示しているが、本開示で説明される技術は、経皮リードを介して展開された電極を有する外部刺激装置に適用され得る。
【0019】
図1に示す実施例では、電気刺激装置4は、患者6の鎖骨領域に埋め込まれる。電気刺激装置4は、プログラム可能な電気刺激(例えば、電流若しくは電圧波形、又は電流若しくは電圧パルス)を生成し、刺激電極11のアレイを担持する医療用リード10を介して刺激を送達する。概して、制御された電流パルスを使用した電気刺激の送達は、例示の目的で本開示に記載される。場合によっては、電気刺激装置は、複数のリードを含み得る。図1の実施例では、リード10の遠位端は分岐しており、2つのリードセグメント12A及び12B(集合的に「リードセグメント12」)を含む。リードセグメント12A及び12Bは各々、電極11のアレイの一部を形成する電極のセットを含む。様々な実施例では、リードセグメント12A及び12Bは各々、4つ、8つ、又は16個の電極を担持することができる。図1では、各リードセグメント12A、12Bは、リードセグメント12の遠位端の近くの異なる軸方向位置でリング電極として構成された4つの電極を担持する。本開示の残りの部分全体を通して、簡潔さのために、本開示は、概して、「リードセグメント」又はリード全体であり得る「リード」上に担持された電極を指し得る。
【0020】
図1は、ハウジング電極13を更に示している。ハウジング電極13は、電気刺激装置4の気密封止されたハウジング14の外面と一体的に形成されてもよく、又は別様にハウジング14に結合されてもよい。一実施例では、ハウジング電極13は、電気刺激装置4上の活性で非着脱可能な電極として説明され得る。いくつかの実施例では、ハウジング電極13は、電気刺激装置4のハウジング14の外向き部分の非絶縁部分によって画定される。ハウジング14の絶縁部分と非絶縁部分との間の他の区分を用いて、2つ以上のハウジング電極を画定することができる。いくつかの実施例では、ハウジング電極13は、ハウジング14の実質的に全て、ハウジング14の一方の側部、ハウジング14の一部分、又はハウジング14の複数の部分を備える。本開示の技術の例示的な一実装形態、例えば、全極配置では、1つ以上の電極11は、ハウジング電極13を介して送達される刺激パルスと実質的に同時に、リード10から患者6に刺激パルスを伝達することができる。
【0021】
いくつかの実施例では、電気刺激装置4は、分岐していても分岐していなくてもよい1つ以上のリードに結合され得る。そのような実施例では、リードは、共通のリード延長部を介して、又は別個のリード延長部を介して電気刺激装置4に結合され得る。リード10の近位端は、電気刺激装置4のヘッダに結合され得る。リード本体の導体は、リードセグメント12上に位置する刺激電極を電気刺激装置4に電気的に接続し得る。リード10は、電気刺激装置4の埋め込み部位から、患者6の首に沿って、患者6の脳16まで横断する。いくつかの実施例では、リードセグメント12A及び12Bは、脳16の1つ以上の領域に電気刺激を送達するために、それぞれ右半球及び左半球内に埋め込まれ得る。
【0022】
リードセグメント12A、12Bは、患者6の頭蓋内のそれぞれの穴を通して脳16の所望の場所内に埋め込まれ得る。リードセグメント12A、12Bは、リードセグメント12A、12B上に位置する電極が目標組織に電気刺激を提供することができるように、脳16内の任意の場所に配置され得る。リードセグメント12A、12Bの電極は、リング電極として示されている。いくつかの実施例では、リードセグメント12A、12Bの電極は、異なる構成を有し得る。例えば、リードセグメント12A、12Bの電極は、成形された電界を生成することができる複合電極アレイ形状を有し得る。複合電極アレイ形状は、各リードセグメント12A、12Bの周囲の周りの複数の電極(例えば、部分リング又はセグメント化電極)を含み得る。いくつかの実施例では、リードセグメント12は、図1に示すように、細長いシリンダ以外の形状を有し得る。例えば、リードセグメント12は、パドルリード、球形リード、屈曲可能なリード、又は患者6の治療に有効な任意の他のタイプの形状であり得る。加えて、電極は、パドルリード上の電極パッド、リードの本体を取り囲む円形電極、適合可能な電極、カフ電極、セグメント化電極、又は単極、双極、多極などの電極構成を形成することができる任意の他のタイプの電極であり得る。
【0023】
療法システム2は、臨床医又は患者によって操作される外部プログラマなどのプログラマ40を含み得る。いくつかの実施例では、プログラマ40は、臨床医がユーザインターフェースを介して患者6の刺激療法をプログラムすることを可能にするハンドヘルドコンピューティングデバイスであり得る。例えば、プログラマ40を使用して、臨床医は、刺激療法の送達における使用のための刺激パラメータを指定することができる。プログラマ40は、プログラムをダウンロードし、任意選択で、電気刺激装置4によって記憶された動作上又は生理学的データをアップロードするために、電気刺激装置4を用いた遠隔測定をサポートすることができる。プログラマ40はまた、患者6又は臨床医がプログラマ40及び電気刺激装置4と相互作用することを可能にするディスプレイ及び入力キーを含み得る。このようにして、プログラマ40は、電気刺激装置4によって送達される刺激療法の制御のためのユーザインターフェースを患者6に提供する。例えば、患者6は、プログラマ40を使用して、電気刺激を開始、停止、又は調整することができる。特に、プログラマ40は、患者6が、期間、電流又は電圧振幅、パルス幅、パルス形状、及びパルス速度などのプログラムの刺激パラメータを調整することを可能にし得る。患者6はまた、電気刺激装置4による刺激の送達を制御するための現在のプログラムとして、(例えば、複数の記憶されたプログラムの中から)プログラムを選択することができる。
【0024】
場合によっては、プログラマ40は、医師又は臨床医プログラマ40として特徴付けられ得る。例えば、プログラマ40は、プログラマ40が主に医師又は臨床医による使用を意図している場合、臨床医プログラマを含み得る。他の場合では、プログラマ40は、プログラマ40が主に患者による使用を意図している場合、患者プログラマとして特徴付けられ得る。概して、医師又は臨床医プログラマは、刺激装置4によって使用するための臨床医によるプログラムの選択及び生成をサポートし得るが、患者プログラマは、通常使用中の患者によるそのようなプログラムの調整及び選択をサポートし得る。
【0025】
プログラマ40が臨床医又は患者の使用のために構成されるかどうかにかかわらず、プログラマ40は、無線通信を介して電気刺激装置4又は任意の他のコンピューティングデバイスと通信し得る。プログラマ40は、例えば、当該技術分野で知られているRF遠隔測定技術を使用して、電気刺激装置4との無線通信を介して通信し得る。プログラマ40はまた、802.11若しくはBluetooth仕様セットによる無線周波数(RF)通信、赤外線データ協会(IrDA)仕様セットによる赤外線通信、又は他の標準若しくは独自の遠隔測定プロトコルなど、様々なローカル無線通信技術のいずれかを使用して、有線又は無線接続を介して別のプログラマ又はコンピューティングデバイスと通信し得る。プログラマ40はまた、磁気若しくは光学ディスク、又はメモリカード若しくはスティックなどの取り外し可能な媒体の交換を介して、別のプログラミング又はコンピューティングデバイスと通信し得る。更に、プログラマ40は、例えば、ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)、ワイドエリアネットワーク(wide area network、WAN)、公衆交換電話ネットワーク(public switched telephone network、PSTN)、又は携帯電話ネットワークを介して通信して、当該技術分野で知られているリモート遠隔測定技術を介して、電気刺激装置4及び他のプログラミングデバイスと通信し得る。
【0026】
いくつかの実施例では、電気刺激装置4は、所与の時間にプログラムのグループに従って刺激を送達する。そのようなプログラムグループの各プログラムは、電流又は電圧振幅、パルス幅、パルス形状、パルス速度、並びに電極構成(例えば、電極の組み合わせ及び極性)の各々についてのそれぞれの値など、複数の療法パラメータの各々についてのそれぞれの値を含み得る。電気刺激装置4は、プログラムグループの異なるプログラムに従って、パルス又は他の信号をインターリーブすることができる。そのような実施例では、プログラマ40を使用してプログラムを作成し、プログラムをプログラムグループにアセンブルすることができる。いくつかの実施例では、プログラマ40を使用して、プログラムグループの1つ以上のプログラムの刺激パラメータを調整し、電流刺激装置4による刺激の送達を制御するために現在のプログラムグループとしてプログラムグループを選択することができる。
【0027】
概して、システム2は、一定の電流若しくは電圧波形、又は一定の電流若しくは電圧パルスの形態で、患者6に刺激療法を送達する。パルスの形状は、異なる設計目的に従って変動し得、傾斜又は台形パルス、正弦波の又は他の方法で湾曲したパルス、2つ以上の離散的な振幅を有する階段状パルス、密に離間した対のパルス、並びに上記のいずれかの二相性(単一パルス内の正及び負の態様)又は単相(単一パルス内の正の態様のみ又は負の態様のみ)変動を含み得る。電流ベースの刺激の場合、電気刺激装置4は、調節電極と呼ばれる1つ以上の電極によって供給又はシンクされる電流を調節する。いくつかの実施例では、電極のうちの1つ以上は、未調節であってもよい。そのような構成では、ハウジング電極及び/又はリード電極は、未調節電極であり得る。
【0028】
ソース電流は、電極(アノード)から流出する正の電流を指し得るが、シンク電流は、電極(カソード)に流入する負の電流を指し得る。調節されたソース電流は、より大きい全体的なソース電流を生成するように合計され得る(例えば、複数のソース電流からの電流は、全体的なソース電流を生成するように互いに合計される)。同様に、調節されたシンク電流は、より大きい全体的なシンク電流を生成するように合計され得る(例えば、複数のシンク電流からの電流は、全体的なシンク電流を生成するように互いに合計される)。調節されたソース電流及び調節されたシンク電流は、部分的又は完全に互いに相殺され得、部分的な相殺の場合には、正味のソース電流又はシンク電流の形態の正味の差が生成する。いくつかの実施例では、調節されていない電流経路は、この正味差にほぼ等しい電流を供給又はシンクすることができる。いくつかの実施例では、調節されたソース電流及びシンク電流は、実質的に平衡され得る。
【0029】
上述のように、いくつかの例示的な実装形態(例えば、全極配置)では、1つ以上の電極11は、ハウジング電極13から患者6に送達される刺激電流と実質的に同時に、リード10からの刺激電流を組織に伝達し得る。いくつかの例示的な実装形態(例えば、双極/多極配置)では、1つ以上の電極11は、アノード及びソース電流として作用するように構成され得、一方、1つ以上の異なる電極11は、カソード及びシンク電流として作用するように構成され得る。別の例示的な実装形態(例えば、単極配置)では、ハウジング電極13は、アノード及びソース電流として作用するように構成され得、一方、1つ以上のリード上の1つ以上の電極11は、カソード及びシンク電流として作用するように構成される。本開示の技術は、単極配置、双極/多極配置、及び全極配置を使用して実装することができる。
【0030】
臨床医又は患者6などのユーザは、プログラマ40のユーザインターフェースと相互作用して、電気刺激装置4をプログラムすることができる。本開示で説明される様々な技術によれば、プログラマ40は、所望の電流振幅を示すユーザインターフェースを介して、ユーザ入力を受信するために使用され得る。プログラマ40は、以下でより詳細に説明するように、電気刺激装置4を制御して、電気刺激装置4に、所望の電流振幅で電極に刺激パルスを送達させるか、又は他の方法で刺激装置4をプログラムすることができる。電気刺激装置4のプログラミングは、概して、電気刺激装置4の動作を制御するためのコマンド、プログラム、又は他の情報の生成及び伝達を指し得る。例えば、プログラマ40は、電気刺激装置4の動作を制御するためのプログラム、パラメータ調整、プログラム選択、グループ選択、又は他の情報を送信し得る。加えて、刺激装置4のプログラミングは、プログラマ40を介して、目標刺激ゾーンを示すユーザ入力を受信することと、一連の1つ以上の中間刺激ゾーンを介して初期刺激ゾーンから目標刺激ゾーンに電気刺激を遷移させるように電気刺激装置を制御することと、を含み得る。
【0031】
電気刺激装置4及びプログラマ40は、図1に示すように、ケーブル又は無線通信を介して通信し得る。プログラマ40は、例えば、RF遠隔測定技術を使用して、電気刺激装置4との無線通信を介して通信し得る。プログラマ40はまた、802.11若しくはBluetooth(商標)仕様セットによるRF通信、(例えば、IrDA標準による)赤外線通信、又は他の標準若しくは独自の遠隔測定プロトコルなど、様々なローカル無線通信技術のいずれかを使用して、他のプログラマと通信し得る。プログラマ40は、電気刺激装置4との双方向通信を可能にするトランシーバを含み得る。
【0032】
いくつかの実施例では、プログラマ40の処理回路は、ユーザ(例えば、臨床医、医師、患者など)が1つ以上の電極11に送達される電気刺激パルスに対して所望の電流振幅を定義する電流振幅値を入力することを可能にするユーザインターフェースを介してユーザ入力を受信することができる。例示的な実施例では、ユーザインターフェースは、入力として、第1の電極11に関して「1.2」ミリアンペア(mA、ミリアンペアとも)を受け入れ得る。この実施例では、「1.2」の入力は、1.2mAの電流振幅を有する刺激パルス又は1.2mAに近似する(例えば、1.19mA)刺激パルスを送達するための第1の電極に対するユーザコマンドを示し、いずれにしても、実際の電流振幅値の丸めにより、ユーザインターフェース上で1.2mAとして表示されるはずである。例えば、第1の電極11に送達される刺激パルスの電流振幅は、マスター電流を調節するいくつかの電流調節器分岐を活性化又は不活性化することによって達成され得る。例示的な実施例では、電気刺激装置4の処理回路、又は刺激生成器の処理回路は、電流調節器分岐の総数に対して刺激システムの電流調節器分岐の数を定義する部分値を調整すること、及び/又はマスター電流振幅を調整することなどによって、様々な調整を実行して、1.2mAの所望の電流振幅を達成することができる。
【0033】
プログラマ40のユーザインターフェースは、各電極に対応する電流振幅を表示することができる。場合によっては、プログラマ40のユーザインターフェースはまた、1つ以上の電極の各電流振幅に関連付けられた部分量を表示することができる。いずれにしても、ユーザは、プログラマ40のユーザインターフェースに表示される電流振幅値を増加又は減少させることによって、特定の電極に対応する電流振幅を調整することができる。
【0034】
ユーザが部分寄与を調整することを伴う実施例では、臨床医は、特定の電極の電流振幅を調整することを試みるとき、所与の電極がマスター電流に対して所望の強度を送達する程度を定義することによって、電極の寄与を調整する。臨床医は、0.0(0%)~1.0(100%)のスケールで特定の電極に対する寄与を設定することができ、パーセンテージ又は10進数の値は、特定の電極に関連付けられた電流調節器を実装するために刺激生成器が使用する電流調節器分岐の総数の割合を示す。
【0035】
いくつかの実施例では、プログラマ40のユーザインターフェースは、各電極に対応する電流振幅を表示することができる。ユーザインターフェースは、記入可能フィールド、又は増加若しくは減少入力キーなどの他の調整入力デバイスを提供することができ、これにより、ユーザは、電気刺激装置4の調整のために目標とされた所与の電極11に対して、又は調整のために目標とされた複数の電極11に対して、所望の電流振幅を入力することができる。電気刺激装置4の処理回路は、ユーザ入力として、所望の電流振幅、又は電流振幅に対する調整を受信することができる。所望の電流振幅は、アンペア(例えば、ミリアンペア)の形態で入力され得る。
【0036】
所望の電流振幅は、マスター電流振幅の電流振幅設定より多いか、それより少ないか、又はそれに等しくてもよい。すなわち、ユーザ入力と共に含まれる値は、マスター電流振幅と直接比較され得る。マスター電流振幅は、刺激システムの任意の所与の電極11に対する最大電流振幅を定義する。マスター電流振幅は、各電極11に対して活性化された電流調節器分岐の数に基づいて、電極11にソース電力を提供する。一実施例では、第1の電極は、64個の分岐のうち64個の活性化された分岐を有することができ(例えば、64/64)、したがって、マスター振幅の100%を提供するが、第2の電極は、64個の分岐のうち32個の活性化された分岐を有してもよく(例えば、32/64)、したがって、マスター振幅の50%を提供する。マスター振幅は、必要に応じて、最大マスター振幅まで、上方又は下方に調整され得、この場合、電極の分岐の数は、電極が調整用の電極であるか、又は一定の電流振幅を維持することを意図した電極であるかに基づいて、調整される必要があり得る。
【0037】
所望の電流振幅、又は電流振幅に対する調整に基づいて、電気刺激装置4の処理回路は、様々な部分及び/又はマスター電流振幅を調整することができる。少なくとも2つの電極を含む実施例では、電気刺激装置4の処理回路は、振幅調整のために目標とされた電極の第1の部分に対する調整(以下、「第1の部分の調整」)又はマスター電流振幅に対する調整、及び振幅調整のために目標とされない別の電極に対応する第2の部分に対する調整(以下、「第2の部分の調整」)を含む、2つの部分の調整のうちの1つを実行し得る。本開示は、例示目的のために、いくつかの例では2つ又は3つの電極を参照するが、本開示の技術は、そのように限定されず、部分の調整は、マスター又は参照振幅を使用して電気刺激を提供するために使用される任意の数の電極に適用され得る。
【0038】
図2は、電気刺激装置4のプログラマ40の様々な構成要素を示す機能ブロック図である。図2に示すように、プログラマ40は、処理回路53、メモリ55、遠隔測定回路58、及びユーザインターフェース59を含む。概して、処理回路53は、ユーザインターフェース59を制御し、メモリ55に及びメモリ55からデータを記憶及び取得し、遠隔測定回路58を介して電気刺激装置4を用いたデータの送信を制御する。処理回路53は、1つ以上のマイクロプロセッサ、コントローラ、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)、又は同等の個別若しくは集積論理回路の形態をとり得る。本明細書における処理回路53に帰属する機能は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそれらの任意の組み合わせとして具体化され得る。
【0039】
メモリ55は、プログラマ40に起因する機能の様々な態様を処理回路53に提供させる命令を記憶することができる。メモリ55は、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、読み取り専用メモリ(read-only memory、ROM)、コンパクトディスクROM(compact disc ROM、CD-ROM)、磁気メモリ、電子的消去可能プログラマブルROM(electronically-erasable programmable ROM、EEPROM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(non-volatile random access memory、NVRAM)、フラッシュメモリなどの任意の固定の又は取り外し可能な磁気、光学、又は電気媒体を含み得る。メモリ55はまた、メモリ更新又はメモリ容量の増加を提供するために使用され得る取り外し可能なメモリ部分を含み得る。取り外し可能なメモリはまた、患者データがプログラマ40から別のコンピューティングデバイスに容易に伝達されることを可能にし得る。メモリ55はまた、電気刺激装置4の動作を制御する情報を記憶し得る。
【0040】
遠隔測定回路58は、電気刺激装置4への及び電気刺激装置4からのデータの伝達を可能にする。遠隔測定回路58は、スケジュールされた時間に、又は遠隔測定回路58が電気刺激装置4の接近を検出するときに、電気刺激装置4と自動的に通信し得る。あるいは、遠隔測定回路58は、ユーザインターフェース59を介してユーザによって信号伝達されると、電気刺激装置4と通信し得る。RF通信をサポートするために、遠隔測定回路58は、増幅器、フィルタ、ミキサー、エンコーダ、デコーダなどの適切な電子構成要素を含み得る。
【0041】
いくつかの実施例では、プログラマ40は、例えば、RF通信又は近位誘導相互作用を使用して、電気刺激装置4と無線で通信することができる。この無線通信は、アンテナに結合され得る遠隔測定回路58の使用を通じて可能である。プログラマ40はまた、無線通信技術を介して、又は有線接続、例えば、ネットワーク接続を介した直接通信を介して、別のコンピューティングデバイスと通信するように構成され得る。プログラマ24と別のコンピューティングデバイスとの間の通信を容易にするために用いられ得るローカル無線通信技術の実施例は、802.11又はBluetooth仕様セットに基づくRF通信、赤外線通信を含む。
【0042】
プログラマ40は、ユーザインターフェース59を含み得る。上述のように、ユーザ(例えば、臨床医又は患者6)は、例えば、手動で選択、変更、若しくは修正するか、特定の電極若しくは複数の電極によって送達される刺激パルスの電圧若しくは電流振幅を調整するか、又は刺激データを閲覧するために、ユーザインターフェース59と相互作用し得る。ユーザインターフェース59は、プログラマ40がユーザから入力を受信することを可能にするスクリーン及び1つ以上の入力ボタン又は入力フィールドを含み得る。スクリーンは、液晶ディスプレイ(liquid crystal display、LCD)、プラズマディスプレイ、ドットマトリックスディスプレイ、又はタッチスクリーンであり得る。入力ボタンは、タッチパッド、増加又は減少ボタン/キー、及び電気刺激を制御するために必要な他の入力媒体を含み得る。ユーザインターフェース59の実施例は、以下の図3を参照しながら説明される。
【0043】
ユーザインターフェース59は、ユーザ入力として、第1の電極の所望の電流振幅を受信することができる。いくつかの実施例では、ユーザは、ユーザインターフェース59を介して、電極11の所望の電流振幅値を入力することができる。いくつかの実施例では、ユーザ入力は、1つ以上の電極11の初期設定を含み得るか、又はプログラムされた電流振幅設定を既に有する電極に対する調整を含み得る。処理回路53は、複数の電極システムの特定の電極の所望の電流振幅を含むユーザ入力を受信し、電気刺激装置4に命令(例えば、調整命令)を送信して、所望の電流振幅に従って電気刺激を送達するための電気刺激装置4の調整を実装することができる。別の実施例では、処理回路53は、遠隔測定回路58を介して、電気刺激装置4にユーザ入力を送信することができ、次いで、電気刺激装置4は、目標調整を判定し、調整命令を生成することができる。したがって、遠隔測定回路58は、所望の電流値を定義するユーザ入力に基づいて、調整命令として、ミリアンペア値を電気刺激装置4に通信することができる。別の実施例では、遠隔測定回路58は、調整命令として、部分値を電気刺激装置4に通信し得、調整命令は、所望の電流値を定義するユーザ入力に基づいて、調節器分岐の構成を電気刺激装置4に示す。
【0044】
いくつかの実施例では、プログラマ40は、所望の電流振幅を含むユーザ入力に基づいて、電気刺激装置の調整を判定することができる。調整は、電極の所望の電流振幅がマスター電流振幅より大きいか、それに等しいか、又はそれより小さいかどうかに応じて、場合によっては、セグメント化電極リングを含む実施例などにおいて、調整のために目標とされた特定の電極の部分が部分最大値であるかどうかに応じて、第1の部分の調整又は第2の部分の調整のうちの1つから選択され得る。
【0045】
調整のために目標とされない他の電極の電流振幅を維持するために、調整がマスター電流振幅の変化を引き起こす場合、他の電極の部分は、マスター電流振幅の変化に対して調整される必要があり得る。これは、利用可能な電流調節器分岐の合計と比較した活性化された電流調節器分岐の数の変化によって定義される、より多く又はより少ないマスター電流振幅を非調整目標電極に使用しない限り、マスター電流振幅の変化が、他の電極の電流振幅を変化させるためである。上述のように、利用可能な電流調節器分岐の合計と比較した活性化された電流調節器分岐の比は、個々の電極の個々の振幅を取得するために使用されるマスター振幅の部分として全体を通して言及される。
【0046】
図3は、プログラマ40上に提示されたユーザインターフェース59の例示的なスクリーンを示す。ユーザインターフェース59は、1つ以上のリード12の1つ以上の電極48の電流値を調整するために使用され得る。電極48は、図1の電極11の一実施例である。図3は、1つの例示的なリード12を表示している、ユーザインターフェース59の表示ウィンドウ240を示す。いくつかの実施例では、ユーザインターフェース59は、各々が1つ以上の電極48を有する複数のリードを表示し得る。
【0047】
図3の実施例では、ウィンドウ240は、図1のリード12A又は12Bのうちの1つに対応し得る例示的なリード12を図式的に示す。例示的な実施例では、リード12は、4つの電極、すなわち、電極48A~48D(集合的に「電極48」と呼ばれる)を含む。リード12は、使用中の特定のリード構成に応じて、より多くの、又はより少ない電極48を有し得、図1に示されるリードセグメント12A及び12Bなど、2つ以上のリードがスクリーン240に表示され得る。説明を容易にするために、本開示の様々な技術に従って、4つの電極(又は4つの電極の一部分)のみがリード12に示され、2つの電極のみが、様々な電流調整の例を示すために使用される。加えて、ウィンドウ240は、刺激ゾーン、電界ゾーン、活性化ゾーンなど(図示せず)を示すことができる。例えば、ゾーンは、リード12のソース電流の電極48のうちの1つ以上によって生成されたアノードゾーンであり得る。第2のゾーンは、リード12のシンク電流の電極48のうちの1つ以上によって生成されたカソードゾーンであり得る。
【0048】
図3の実施例では、4つの電極の各々に隣接して、表示ウィンドウ240は、電極48又は電極の組み合わせの各々に関連する電流を示し得る。特に、電極48Aは、記入可能フィールド又は他の方法で調整可能なフィールド214Aを含み得、電極48Bは、別の記入可能フィールド又は他の方法で調整可能なフィールド214Bを含み得る(以下、「フィールド214」)。フィールド214は、電極48の各々が(例えば、ミリアンペアで測定される)どれだけの電流を供給又はシンクしているかを示し得る。電極48A及び48B(すなわち、例示的な第1及び第2の電極)に関してのみ示されているが、フィールド214は、セグメント化されたリード実装の場合におけるセグメント化電極を含む、全ての電極に等しく適用され得る。
【0049】
いくつかの実施例では、ユーザインターフェース59の表示ウィンドウ240は、マスター電流振幅及び/又は最大電流振幅に関する情報を示す表示ウィンドウ210及び212を含み得る。いくつかの実施例では、ユーザインターフェース59は、ユーザが、表示ウィンドウ240から、マスター電流振幅及び/又は最大電流振幅に関する情報を隠すためのオプションを提供することができる。このようにして、ユーザインターフェースは、ユーザが個々の電極48又は電極48の組み合わせの電流振幅の調整に焦点を合わせることを可能にし得る。いずれの場合も、ウィンドウ210又は212は、マスター電流振幅及び最大電流振幅を提供し得る。そのような実施例では、ユーザインターフェース59は、所望の電流振幅が最大値に近づくときにユーザに警告することができる。すなわち、ユーザインターフェース59は、それぞれの電極又は電極の組み合わせの電流振幅を表示することを優先して、表示ウィンドウ210又は212から隠すことができる。
【0050】
例示的な実施例では、ユーザインターフェース59は、ユーザがフィールド214を直接使用してユーザ入力を提供して、1つ以上の電極48の所望の電流振幅を達成することを可能にし得る。例えば、ユーザインターフェース59は、入力として、フィールド214A内の「1.1」及びフィールド214B内の「1.2」を受け入れることができる。場合によっては、一方又は両方のフィールドに電流振幅値が事前に入力されてもよく、その場合、ユーザは、事前に調整値で入力された値を調整することができる。一実施例では、ユーザインターフェース59は、フィールド214Aに「1.1mA」を表示することができ、これは、電極48Aが、刺激振幅として1.1mAでプログラムされていることを示す。したがって、ユーザインターフェース59は、入力として、「1.1」からより高い又はより低い振幅値への第1の電極48Aに対する調整を受け入れることができる。例えば、ユーザインターフェース59は、「1.1」から「1.3」への第1の電極48Aの調整を受け入れることができる。フィールド214Bが電極48Bの電流振幅を示す事前に入力された電流値を有する実施例では、フィールド214Bは、第1の電極48Aに対する調整の前後に同じ値を表示することができる。
【0051】
いくつかの実施例では、ユーザは、ユーザインターフェース59を使用して電流振幅及び他のパラメータを調整することができるが、この変更は、ユーザがユーザインターフェース59を介して明示的なコマンドを提供するまで効果を発しない場合がある。例えば、ユーザは、「1.1mA」から「1.3mA」に電極48Aを調整することができるが、電極48Bが「1.2mA」の電流値に留まることを望む場合がある。本開示の様々な技術によれば、明示的なコマンドが使用されるか否かに関係なく、ユーザは、フィールド214Bを使用して、「1.1mA」から「1.3mA」に電極48Aを調整することができ、フィールド214Bは、調整の前後に「1.2mA」を表示することができ、これは、電極48Bの電流振幅が、「1.2mA」から変化しないままであることを示す。ユーザインターフェース59を介して受信されたユーザ入力は、プログラマ40から電気刺激装置4に転送され得る。すなわち、電気刺激装置4は、プログラマ40からユーザ入力を受信し、それに応じて様々なプログラミング要求を実装することができる。
【0052】
図4は、いくつかの実施例では、示されるようにプログラマ40と無線で通信し得る、例示的な電気刺激装置4の様々な構成要素を示すブロック図である。いくつかの実施例では、電気刺激装置4は、処理回路50、メモリ52、遠隔測定回路56、アンテナ57、及び刺激生成器60を含む。刺激生成器60は、電極48A~Q(まとめて「電極48」)に結合された図5にも示されている。いくつかの実施例では、電極48A~48Pは、埋め込み可能であり得、1つ以上のリード12上に展開され得る。図1に関して、リードセグメント12A及び12Bは、それぞれ電極48A~H及び電極48I~Pを担持することができる。場合によっては、1つ以上の追加の電極は、例えば、共通又は接地電極又はハウジングアノードを提供するために、電気刺激装置4のハウジング上に又はその中に位置し得る。いくつかの実施例では、リード又はリードセグメントは、8つの電極を担持して、2×8電極構成(各々が8個の電極を有する2つのリード)を提供し、合計16個の異なる電極を提供する。
【0053】
いくつかの実施例では、単一のリード、2つのリード、3つのリード、又はそれ以上を備える異なる電極構成が提供され得る。加えて、リード上の電極カウントは変化し得、リードごとに同じであっても異なっていてもよい。他の構成の例としては、8つの電極を有する1つのリード(1×8)、12個の電極を有する1つのリード(1×12)、16個の電極を有する1つのリード(1×16)、各々が4個の電極を有する2つのリード(2×4)、各々が4個の電極を有する3つのリード(3×4)、各々が8個の電極を有する3つのリード(3×8)、それぞれ4つ、8つ、4つの電極を有する3つのリード(4-8-4)、12又は16個の電極を有する2つのリード(2×12、2×16)、11又は13個の電極を有する2つ以上のリード、あるいは他の構成が挙げられる。処理回路50は、異なる電極を選択して、様々な電極の組み合わせを形成することができる。加えて、処理回路50は、選択された電極に様々な極性を割り当てて、電極をアノード又はカソードとして指定し、そこから追加の電極構成を形成することができる。
【0054】
電極48Qは、電気刺激装置4のハウジング上に担持され得る1つ以上の電極を表す。電極48Qはまた、ハウジングから延在する専用の短いリード、又は電極48A~48Pを担持するリードのうちの1つの近位部分であり得る。近位部分は、例えば、リードがハウジングに結合されている点において又はその近くで、ハウジングに密接に隣接していてもよい。電極48Qは、上記のように、1つ以上のリードのリード本体上に位置し得る電極48A~48Pの間で選択された調節電極及び/又は未調節電極を有する電極構成で使用するための調節電極又は未調節電極として構成され得る。電極48Qは、電極を担持し、刺激生成器60、処理回路50、メモリ52、及び遠隔測定回路56などの電気刺激装置4の構成要素を収容するハウジング上で一緒に形成され得る。
【0055】
ハウジング電極48Qは、単極配置でカソードシンク電流として使用するように構成された1つ以上の電極48A~48Pと実質的に同時に、アノード対ソース電流として使用するように構成され得る。ハウジング電極48Qは、全極配置でアノードとして使用するように構成された別の電極48A~48Pによって供給される電流と実質的に同時に、アノード対ソース電流として使用するように構成され得る。特定の例として、電極48A、48B、及びハウジング電極48Qは各々、アノードとして使用するように構成され得る。電極48A、48Bは、ハウジング電極48Qを介して送達される電気刺激電流と実質的に同時に電気刺激電流を送達することができる。この図では、1つ以上のカソードは、アノード48A、48B、及び48Qによって供給されるシンク電流に対してリード上で他の電極(例えば、電極48C~48Pのいずれか)を用いて形成することができる。
【0056】
メモリ52は、処理回路50によって実行するための命令、刺激療法データ、センサデータ、及び/又は患者6の療法に関する他の情報を記憶することができる。処理回路50は、刺激生成器60を制御して、メモリ52に記憶された複数のプログラム又はプログラムグループのうちの選択された1つ以上に従って刺激を送達することができる。メモリ52は、RAM、ROM、EEPROM、NVRAM、フラッシュメモリ、磁気メモリなどの任意の電子データ記憶媒体を含み得る。メモリ52は、処理回路50によって実行されるときに、本開示の処理回路50及び電気刺激装置4に起因する様々な機能を処理回路に実行させるプログラム命令を記憶し得る。
【0057】
処理回路50は、1つ以上のマイクロプロセッサ、DSP、ASIC、FPGA、又は他のデジタル論理回路を含み得る。処理回路50は、電気刺激装置4の動作を制御する。例えば、処理回路50は、刺激生成器60を制御して、メモリ52から取得された選択されたプログラム又はプログラムのグループに従って刺激療法を送達することができる。いくつかの実施例では、処理回路50は、刺激生成器60を制御して、例えば、刺激パルス又は連続波形として、1つ以上の刺激プログラムによって指定された電流振幅、パルス幅(該当する場合)、及び速度で、電気信号を送達することができる。処理回路50はまた、刺激生成器60を制御して、電極の組み合わせとも呼ばれる電極48のサブセットを介して、及び1つ以上のプログラムによって指定された極性で、刺激を選択的に送達することができる。本明細書における処理回路50に帰属する機能は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそれらの任意の組み合わせとして具体化され得る。
【0058】
特定のプログラムグループを選択すると、処理回路50は、刺激生成器60を制御して、グループ内のプログラムに従って刺激を送達することができる。各プログラムは、適用可能な場合、振幅、パルス幅、及びパルス速度などの刺激パラメータのセットを指定することができる。連続波形の場合、パラメータは、振幅及び周波数を含み得る。加えて、各プログラムは、刺激の送達のための特定の電極の組み合わせ、並びに電極の極性及び調節/非調節状態に関する電極構成を指定し得る。電極の組み合わせは、単一のアレイ又は複数のアレイ内で、及び単一のリード上で又は複数のリードの間で、特定の電極を指定し得る。電極の組み合わせは、電気刺激装置4のハウジング上の少なくとも1つのアノード(例えば、電極48Q)、リード上の少なくとも1つのアノード、及びリード上の少なくとも1つのカソードを含み得る。リード担持アノード及びカソードは、2つ以上のリードが提供される場合、同じリード又は異なるリード上にあり得る。プログラムは、パラメータ及び電極を選択することによって、又はゾーンベースのプログラミングによって直接定義され得、パラメータ及び電極は、刺激ゾーンの操作又は位置決めに応答してプログラマによって自動的に判定される。
【0059】
刺激生成器60は、図1のリード12などのそれぞれのリードの導体を介して電極48A~Pに電気的に結合される。刺激生成器60は、電気刺激装置4のハウジング内に配設された導電体を介して1つ以上のハウジング電極48Qに電気的に結合され得る。ハウジング電極48Qは、電極48A~48Pのうちの1つ以上と組み合わせて電極構成を形成するために、調節電極又は未調節の電極として構成され得る。ハウジング電極48Qは、アノードとして使用するように構成された1つ以上のリード上の1つ以上の電極、例えば、電極48A~48Pのいずれかと実質的に同時に、アノード対ソース電流として使用するように構成され得る。
【0060】
刺激生成器60は、刺激パルス又は波形を生成するための刺激生成回路、及び、例えば、処理回路50による制御に応答して、異なる電極の組み合わせにわたって刺激を切り替えるための回路を含み得る。刺激生成器60は、処理回路50からの制御信号に基づいて、プログラムに従って電気刺激信号を生成する。
【0061】
例示的な一実装形態では、例えば、全極配置では、刺激生成器60は、刺激電極、例えば、アノードとして、ハウジング電極48Qを使用して刺激を送達するのと実質的に同時に、刺激電極、例えばアノードとして、電極48A~Pのうちの1つ以上を使用して刺激を送達するように構成され得る。リード上のアノード及びハウジングを使用して、リード上の1つ以上のカソードと併せて刺激を送達することができる。一例として、刺激電流の送達のために選択された電極の組み合わせは、ハウジングアノードと、リード上のアノードと、同じリード又は異なるリード上のカソードと、を含み得る。他の実施例では、電極の組み合わせは、ハウジング14上の少なくとも1つのアノードと共に、1つ以上のリード上の複数のアノード及び/又は複数のカソードを含み得る。いくつかの実施例では、電極の組み合わせは、1つ以上のリード上の1つ以上のアノード、及び同じリード又は異なるリード上の1つ以上のカソード、例えば、双極/多極配置を含み得る。他の実施例では、電極の組み合わせは、ハウジング上のアノード、及び1つ以上のリード上の1つ以上のカソード、例えば、全極配置を含み得る。更に別の実施例では、電極の組み合わせは、同じくリード上の1つ以上のアノードと共に、ハウジング上のカソード、及び1つ以上のリード上の1つ以上の追加のカソード、例えば、全極配置の変形形態を含み得る。
【0062】
遠隔測定回路56は、電気刺激装置4とプログラマ40との間の双方向通信を可能にするためのRFトランシーバを含み得る。遠隔測定回路56は、様々な形態をとることができるアンテナ57を含み得る。例えば、アンテナ57は、医療用デバイス4に関連付けられたハウジングに埋め込まれた導電性コイル又はワイヤによって形成され得る。いくつかの実施例では、アンテナ57は、電気刺激装置4の他の構成要素を担持する回路基板上に取り付けられるか、又は回路基板上の回路トレースの形態をとり得る。このようにして、遠隔測定回路56は、例えば、新しいプログラム若しくはプログラムグループ、又はプログラム若しくはプログラムグループに対する調整を受信するために、図1のプログラマ40との通信を可能にし得る。遠隔測定回路56は、プログラマ40の遠隔測定回路58と同様であり得る。
【0063】
図5は、例示的な刺激生成器60の様々な構成要素を示すブロック図である。刺激生成器60は、例えば、図4を参照しながら説明したように刺激生成器60の機能を実行するために、電気刺激装置と共に使用され得る。図4の実施例では、刺激生成器60は、電極48を介して患者6に電流刺激パルスを送達するように選択的に構成されている。しかしながら、本開示は、調節された電流パルスが送達される実施例に限定されない。他の実施例では、刺激生成器60は、調節された電流パルスではなく、連続的で調節された電流波形を提供することができる。いくつかの実施例では、刺激生成器60は、連続波形とパルスの組み合わせを送達するか、又は連続波形又はパルスのいずれかを選択的に送達することができる。刺激生成器60は、パルス又は連続波形の形態で、一定の電流ベース又は一定の電圧ベースの刺激のいずれかを生成することができる。刺激生成器60はまた、一定の電力(電流と電圧の積)又は制御された電荷刺激パルスを提供するように制御され得る。
【0064】
図5に示す実施例では、刺激生成器60は、マスター電流/電圧64、及び電流/電圧調節器アレイ68を含む。いくつかの実施例では、刺激生成器60は、スイッチアレイ66を更に含み得る。マスター電流/電圧64は、電流/電圧調節器アレイ68に動作電力を提供することができ、マスター電流(例えば、マスター電流振幅)又はマスター電圧のレベルを設定する調節電流又は調節電圧を含み得る。図5に示すように、マスター電流/電圧64は、電流/電圧調節器アレイ68に動作電力を提供し、かつ電極48への接続のために、適切な場合にマスター電流又はマスター電圧を提供するように結合され得る。電流調節器アレイ68を調節するために提供される最大動作電流レベル及びマスター電流レベルは、任意の所与の時間において異なり得る。例えば、マスター電流振幅は、最小動作条件及び最大動作条件に従って、マスター電流振幅を増加又は減少させることができるように、最大動作電流レベル未満であり得る。いくつかの実施例では、図3を参照しながら説明したように、ユーザインターフェース59は、様々な電極の電流振幅を調整しながら、ユーザが参照するためのそのような情報を表示することができる。
【0065】
処理回路50は、(例えば、刺激コントローラを介して)スイッチアレイ66及び電流/電圧調節器アレイ68を制御して、電極48を介して刺激を送達することができる。動作中、処理回路50は、電極の組み合わせ、電極極性、刺激電流振幅、パルス速度、及び/又はパルス幅、並びに1つ以上のリード上のハウジングアノード及び1つ以上のリードアノードの間に分配されるか、又はそれによって寄与されるソース電流のパーセンテージ、及び1つ以上のカソードによってシンクされるシンク電流のパーセンテージなどの刺激パラメータを指定し得る1つ以上のプログラムに従って、電気刺激の送達を制御し得る。プログラムは、外部コントローラを介してユーザによって定義され、電気刺激装置4にダウンロードされ得る。
【0066】
電流/電圧調節器アレイ68は、複数の調節された電流源又はシンクを含む。電流調節器は、電流源若しくはシンクのいずれかとして機能し得るか、又はソース若しくはシンクのいずれかとして動作するように選択的に構成され得る。いくつかの実施例では、電流/電圧調節器アレイ68は、電流の代わりに、又はそれに加えて、電圧を調節することができる。便宜上、「電流調節器」という用語は、いくつかの例では、ソース又はシンクのいずれかを指すために使用され得る。したがって、電流/電圧調節器アレイ68内の電流調節器の各々は、電極48のうちの対応する1つ、又は電極48のうちの対応する1つから電流を受信する調節電流シンクを介して刺激を送達する調節電流源として動作することができ、電極48は、リード上に、刺激装置ハウジング上に、リードレス刺激装置上に、又は他の配置で提供され得る。
【0067】
各電流調節器は、複数の電流調節器分岐に対応し得る。いくつかの実施例では、電流調節器分岐は、並列電流調節器分岐と共になど、並列に実装され得る。電流調節器分岐の数は、各電流調節器の分解能を定義する。例えば、電流調節器分岐の数は、いくつかの実施例では64であり得、その結果、電流振幅は、所与の電極に対して1/64の増分(すなわち、1/64の分解能)で調整され得る。64個の電流分岐は、例えば本開示全体を通して使用されるが、本開示の技術は、そのように限定されず、電流分岐の数は、64個より多い又は少ない分岐であり得る。例えば、いくつかの実装形態では128個の電流分岐が使用され得、その結果、特定の電極の電流調節器は、1/128の増分(すなわち、1/128の分解能)で調整され得る。1/64の分解能を有する例示的な実装形態例では、完全出力のリング電極は、64個の分岐(例えば、64/64)を実装し得る。加えて、刺激生成器60は、最高強度活性ゾーンの最高寄与電極の各々について、64個の並列電流調節器分岐全てが使用されるように設定され得る。
【0068】
セグメント化されたリード(例えば、セグメント化電極)を含む実施例では、リード12の様々な軸方向位置の電極は、セグメント化電極のリング内の電極セグメントの数で割った、電極に利用可能な分岐の数にほぼ等しい部分最大値を有し得る。例えば、リング電極は、64個の電流調節器分岐を含む実施例で最大64/64部分を有し得るが、セグメント化電極のリング内のN個のセグメント化電極の各々は、最大約64/N部分を有し得る。例示的な実施例では、リング内の3つのセグメント化電極の場合、各電極は、21/64部分の部分最大値を有し得る。いくつかの実施例では、リング電極を含む任意の所与の電極の部分最大値は、電流調節器分岐の完全な数(例えば、64個の分岐)に到達し得る。すなわち、処理回路53又は処理回路50は、使用中の特定の刺激生成器60(例えば、電流調節器分岐の数)に基づいて、任意の部分最大値を課すように構成され得る。例えば、前の実施例のようなリング内の3つのセグメント化電極の場合、各電極は、処理回路53又は処理回路50によって事前定義されたX/X部分(例えば、64/64部分)又はX/X未満の部分の部分最大値を有し得る。
【0069】
スイッチアレイ66を含む実施例では、スイッチアレイ66の各スイッチは、電極48のうちの対応する1つを、電流/電圧調節器アレイ68の対応する双方向電流調節器又はマスター電流/電圧64のいずれかに結合することができる。いくつかの実施例では、処理回路50は、スイッチアレイ66内のスイッチを選択的に開閉して、ハウジング電極(例えば、電極48Q)、及び1つ以上のリード上の電極48A~48Pのうちの1つ以上を、電流/電圧調節器アレイ68内の調節された電流源又はシンクに接続することによって調節電極として構成する。いくつかの実施例では、処理回路50は、スイッチアレイ66内のスイッチを選択的に開閉して、ハウジング電極、例えば、電極48Q、又はリード上の電極のいずれかを、マスター電流/電圧64に接続することによって未調節電極として構成することができる。加えて、処理回路50は、電流/電圧調節器アレイ68内の個々の調節電流源又はシンクを選択的に制御して、刺激電流パルスを選択された電極に送達することができる。スイッチアレイ66が使用されない例では、電極48は、それにもかかわらず、電流/電圧調節器アレイ68に、及び/又はマスター電流/電圧64に結合され得る。
【0070】
マスター電流/電圧64は、電極が未調節ソース(高電圧レール)又は未調節シンク(低電圧レール)であるようにプログラムされているかどうかに応じて、調節された電源によって供給される高電圧又は低電圧であり得る。したがって、マスター電流/電圧64は、必要に応じて、調節されていない基準電極への選択的結合のために、適切なとき、高い又は低いマスター電流又はマスター電圧を生成することができる。調節された電源は、マスター電流/電圧64として使用するための、及び電流/電圧調節器アレイ68の電力レールとして使用するための、1つ以上の調節された電圧レベルを生成することができる。同じマスター電流/電圧64は、図5では電流/電圧調節器アレイ68に結合されているものとして示されているが、スイッチアレイ66に結合されたマスター電流、及び電流調節器アレイ68に提供される最大電流振幅には、異なる電流振幅が使用され得る。いずれの場合も、調節された電源は、電源又は複数の電源、例えば1つ以上のバッテリ(例えば、充電式電池)によって提供される電流から、調節された電流振幅を生成し得る。
【0071】
処理回路50は、スイッチアレイ66の動作を制御して、異なる刺激プログラムによって定義される電極構成を生成する。場合によっては、スイッチアレイ66のスイッチは、電子信号をスイッチングするために使用される金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(metal-oxide-semiconductor field-effect-transistor、MOSFET)又は他の回路構成要素であり得る。スイッチアレイ66のスイッチは、マスター電流/電圧64に関連付けられた調節されていない電流経路を介して対応する電極に結合され得る、調節されていない電流の量を搬送するように設計され得る。いくつかの実施例では、2つ以上の調節電極48は、調節電極が不平衡な電流分布を生成するように、異なる量の電流を送達するように意図的にプログラムされ得る。他の実施例では、調節されたソース及びシンク電流は、実質的に全ての電流が、それぞれの調節された電流源及びシンクを介して供給及びシンクされ得るように、平衡され得る。
【0072】
調節電極又は未調節基準電極のいずれかとして電極48の個々の制御を提供するために、処理回路50は、スイッチアレイ66及び電流/電圧調節器アレイ68の動作を制御する。刺激が患者6に送達されると、電流パルスの例では、処理回路50は、スイッチアレイ66を制御して、所望の電極の組み合わせの選択された刺激電極を、必要に応じて電流/電圧調節器アレイ68のそれぞれの電流調節器に、又はマスター電流/電圧64に結合する。処理回路50は、調節電極に結合された電流/電圧調節器アレイ68の調節された双方向電流源を制御して、指定量の電流を供給又はシンクする。例えば、処理回路50は、選択された電流源又はシンクをパルスごとに制御して、電流パルスを対応する電極に送達することができる。
【0073】
処理回路50はまた、不活性電極、例えば、所与の電極構成において調節電極として活性でない電極に結び付けられた電流/電圧調節器アレイ68の調節された双方向電流調節器を不活性化する。電流/電圧調節器アレイ68の各調節された双方向電流調節器は、対応する電極が調節電極として使用されないときに、調節された電力を電流調節器から接続解除するか、又は他の方法で電流源を無効にする、処理回路50によって制御される内部イネーブルスイッチを含み得る。
【0074】
図6は、本開示の様々な技術による、図1のシステム2などの神経調節システムを制御するための例示的な方法を示すフローチャートである。神経調節システムは、少なくとも2つの電極48、及び刺激生成器60を含み得る。刺激生成器60は、少なくとも2つの電極48の第1の電極48Aに第1の刺激パルスを、及び第2の電極48Bに第2の刺激パルスに送達するように構成され得る。そのような実施例では、刺激生成器60は、第1の電流振幅で第1の電極48Aに第1の刺激パルスを送達することができ、第2の電流振幅で第2の電極48Aに第2の刺激パルスを送達することができる。図5を参照しながら上述したように、第1の電流振幅は、マスター振幅の第1の部分を使用して実装され得、第2の刺激パルスの第2の電流振幅は、マスター振幅の第2の部分を使用して実装され得る。いくつかの実施例では、神経調節システムは、刺激パルスの少なくとも一部分に戻り経路を提供するための第3の電極を含み得る。
【0075】
電気刺激装置4によって実行されるものとして説明されているが、図6図9の例示的な方法は、プログラマ40、電気刺激装置4、外部デバイス若しくはサーバ(例えば、リモートサーバ)、又はこれらのデバイスのうちの1つ以上の組み合わせのいずれか1つ以上によって、例えば、これらのデバイスのうちのいずれか1つ以上の処理回路によって実行され得る。一実施例では、処理回路53は、ユーザインターフェース59を介したユーザ入力に基づいて、部分及び振幅に対する調整を判定することができる。次いで、プログラマ40は、判定された調整を電気刺激装置4に送信し得、ここで、電気刺激装置4は、調整を実装し得る。別の実施例では、処理回路53は、ユーザ入力を受信し、ユーザ入力を電気刺激装置4に送信し、電気刺激装置4は、本開示の様々な技術に従って電気刺激装置4に対する調整を判定することができる。
【0076】
いくつかの実施例では、電気刺激装置4は、調整されたマスター振幅値、刺激パルスの電流振幅値、及び/又は部分値などの表示のために、プログラマ40に情報を送信することができる。プログラマ40は、そのような情報をメモリ55に記憶することができ、いくつかの実施例では、情報を使用して、電気刺激装置4に対する更なる調整を判定することができる。同様に、電気刺激装置4は、プログラマ40から受信された調整要求を、後続の実装のためにメモリ52に記憶することができる。いくつかの実施例では、電気刺激装置4は、リモートサーバ又はプログラマ40などの別のデバイスから受信された入力に基づいて、図6図9のうちの1つ以上の方法を実行することができる。次いで、電気刺激装置4は、本開示の様々な技術に従って様々なパラメータを調整し、調整、又は電流値のみなどの調整の部分的要約を、プログラマ40、又は表示用の別のユーザインターフェースデバイスに通信することができる。
【0077】
電気刺激装置4の処理回路50は、所望の電流振幅を含むユーザ入力を受信することができる(602)。例えば、処理回路50は、プログラマ40の処理回路53から所望の電流振幅を受信することができる。処理回路53は、ユーザインターフェース59のフィールド214A又は214Bを介してユーザによって提供されるような所望の電流振幅を、処理回路50に伝達することができる。いくつかの実施例では、刺激パルスが既に特定の振幅で実装され、ユーザが振幅を調整することを希望した場合など、処理回路50は、最初に、マスター振幅の第1の部分に基づいて第1のシミュレーションパルスを送達するための刺激生成器60に対する命令を生成し、マスター振幅の第2の部分に基づいて第2の刺激パルスを送達することができる。いくつかの実施例では、ユーザは、振幅を新たにプログラムすることができ、この場合、初期命令は、ユーザが所望の電流振幅を設定するまで、ゼロ振幅で送達することであり得る。
【0078】
ユーザ入力に応答して、処理回路50は、ユーザ入力が、第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する調整が必要であることを示すと判定することができる(604)。例えば、調整前の元の第1の電流振幅は0mAであり得るか、又は1.1mAなどの非ゼロ値であり得る。ユーザ入力は、1.2mAなど、元の値より大きい値であり得るか、又は場合によっては、電流振幅の要求された減少を示す、元の値未満0.9mAであり得る。いずれの場合も、処理回路50は、ユーザ入力が、元の値から、元の値より大きいか又は小さいかのいずれかである調整された値までの、第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する要求された調整を示すと判定することができる。
【0079】
所望の電流振幅を含むユーザ入力に基づいて、処理回路50は、所望の電流振幅とマスター振幅とを比較するか、又はそうでなければ、所望の電流振幅がマスター振幅に等しいか、それより小さいか、又はそれより大きいかを判定することができる(606)。例えば、処理回路50は、所望の電流振幅が、別のデバイスからのマスター電流振幅より大きいか、それに等しいか、又はそれより小さいかに関する指示を受信することができる。いくつかの実施例では、処理回路53は、所望の電流振幅がマスター振幅に等しいか、それより小さいか、又はそれより大きいことを示す比較情報を、処理回路50に伝達することができる。
【0080】
処理回路50は、所望の電流振幅とマスター振幅との比較に少なくとも部分的に基づいて、目標調整を判定することができる(608)。例えば、処理回路50は、電極48Aの第1の部分を調整する目標調整として、第1の部分の調整スキームを利用することができる。処理回路50は、電極48Bの第2の部分を調整する目標調整、及びマスター振幅に対する調整として、第2の部分の調整スキームを利用することができる。第1及び第2の部分の調整は、図7を参照して更に説明される。
【0081】
目標調整として選択された特定の部分の調整に基づいて、処理回路50は、刺激生成器60に対する命令(例えば、調整命令)を生成して、所望の電流振幅で第1の刺激パルスを送達し、第1の部分に対する調整前に第2の電極に送達されていたのとほぼ同じ第2の電流振幅で第2の刺激パルスを送達することができる(610)。すなわち、処理回路50は、目標調整を利用して、第1の電流振幅を調整して、第2の刺激パルスを同じ又はほぼ同じ振幅に維持しながら、所望の電流振幅を達成することができる。近似は、特定の数の電流調節器分岐で利用可能な有限の分解能に起因し得る。例えば、第2の部分の調整は、第2の振幅を可能な限り元の第2の振幅に近く維持するように、マスター振幅の増加、及びマスター振幅の増加に対する第2の部分の減少をもたらし得る。
【0082】
上述のように、正確な同じ振幅は可能でない場合があるが、特定の丸め規則に起因して、ユーザインターフェース59上の表示は、同じ電流振幅を表示し得る。64個の分岐調節器を含む例示的な実施例では、第2の電流振幅は1.1mAであり得、調整されたマスター振幅は2mAであり得る。したがって、処理回路50は、第2の部分が35/64になるようにプログラムすることができ、これは、実際には1.09mAに等しいが、35/64部分は、第2の電流振幅を可能な限り1.1mAに近く維持する。しかしながら、ユーザインターフェース59は、電流値を表示するとき、1.09mAを最大1.1mAに丸める場合があり、したがって、ユーザにとって、第2の電流は、第2の部分及びマスター振幅に対する調整を有するにもかかわらず、同じままであり得る。
【0083】
いくつかの実施例では、電気刺激装置4は、第1の電流振幅から後続の電流振幅への遷移中に、患者6に電気刺激を送達し続け、これにより、遷移後に強度を上方に傾斜させる必要性を防止する。いくつかの実施例では、ユーザは、所与の時間に1つの電極の電流振幅を調整することに限定され得るが、いくつかの実施例は、ユーザが複数の電極の電流振幅を同時に調整することを可能にし得る。例えば、ユーザは、一度に複数の電極に対して所望の電流振幅を入力することができ、そのため、処理回路50は、本開示の様々な技術に従って特定の部分の調整を選択することができる。
【0084】
処理回路53がユーザ入力に基づいて部分及びマスター振幅調整を判定することを伴う実施例では、処理回路53は、遠隔測定回路53を介して処理回路50に調整命令を提供するように構成され得る。同様に、処理回路50は、遠隔測定回路58を介して処理回路53から調整命令を受信するように構成され得る。いずれの場合も、電気刺激装置4(例えば、刺激生成器60)への調整命令出力は、部分値、振幅値、又はそれらの組み合わせを含み得る。例えば、プログラマ40は、ユーザ入力によって定義される所望の電流振幅を達成するために、電極48のいずれか1つの部分値を、第1の部分から、調整された部分に調整するように刺激生成器60に命令する、電気刺激装置4に対する調整命令を出力することができる。
【0085】
図7は、図6の方法に関して実装される第1及び第2の部分の調整の差を示すフローチャートである。上記のように、電気刺激装置4によって実行されるものとして説明されているが、図7の例示的な方法は、電気刺激装置4、プログラマ40、外部デバイス若しくはサーバ(例えば、リモートサーバ)、又はこれらのデバイスのうちの1つ以上の組み合わせのいずれか1つ以上によって、例えば、これらのデバイスのうちのいずれか1つ以上の処理回路によって実行され得る。
【0086】
第1の電極48Aの電流振幅に対する調整を伴う実施例では、処理回路50は、第1の部分の調整スキームを実装するか第2の部分の調整スキームを実装するかを判定することができる(702)。上述のように、処理回路50は、第1の電極の所望の電流振幅とマスター電流振幅との比較に少なくとも部分的に基づいて、第1又は第2の部分の調整のうちの1つを利用し得る。
【0087】
第1の部分の調整が利用される場合、処理回路50は、電極48Aに関して第1の部分を調整することができる(704)。第1の部分の調整が目標調整として利用される場合、第1の部分は調整され、第2の部分も同様に調整され得ることに留意されたい。
【0088】
第2の部分の調整が利用される場合、処理回路50は、電極48Bに関して第2の部分を調整することができる(706)。加えて、処理回路50は、マスター振幅を調整することができる(708)。第2の部分の調整が目標調整として利用される場合、第2の部分は調整され、マスター振幅は調整され、第1の部分も同様に調整され得ることに留意されたい。しかしながら、場合によっては、第1の部分は、電流振幅の所望の変化、電流電極構成、及び/又は電流マスター振幅に応じて調整されない場合がある。処理回路50は、刺激生成器60に対して命令(例えば、調整命令)を生成して、目標調整に基づいて、第1の電極48Aを介して第1の刺激パルスを送達し、第2の電極48Bを介して第2の刺激パルスを送達することができる(710)。
【0089】
第1の部分の調整スキーム及び第2の部分の調整スキームは、潜在的な目標調整であるものとして説明されているが、本開示の技術は、そのように限定されない。いくつかの実施例では、処理回路50は、第1の部分の調整スキームと第2の部分の調整スキームとの組み合わせを実行し得る。例えば、処理回路50は、所望の電流振幅を達成するために、第1の部分の調整と第2の部分の調整との間で遷移し得る。一実施例では、処理回路50は、第1の部分の調整を実行して、第1の電極48Aの部分を調整することができる。処理回路50は、第1の電極48Aの部分に対する調整が、マスター振幅と共に調整されるマスター振幅のトリガをもたらすと判定し得る。例えば、第1の電極48Aは、他の電極のうちで最も高い振幅を送達しており、したがって、マスター振幅は、電極に送達される最も高い振幅に従うか又はそれによって駆動され得るため、第1の電極48Aは、マスター振幅を駆動する電極であり得る。しかしながら、第1の電極48Aの部分に対する調整は、マスター振幅より小さい所望の電流振幅を達成するために、第1の電極48Aの部分を減少させることを含み得る。加えて、第1の電極48Aの振幅の減少は、第2の電極48Bの振幅より小さくてもよい。そのような場合、他の電極が駆動電極になり得、マスター振幅は、第2の電極48Bのために定義された電流振幅を下回って減少しない場合がある。したがって、第1の部分の調整スキームと第2の部分の調整スキームとの組み合わせは、連続して、又は反復プロセスとして、マスター振幅、第1の電極48Aの第1の部分、及び第2の電極48Aの第2の部分を調整するために必要とされ得る。例えば、処理回路50は、所望の電流振幅が全ての刺激パルスに対して達成されるまで、第1の部分の調整スキームと第2の部分の調整スキームの各々の間で反復プロセスを実行することができる。
【0090】
場合によっては、マスター振幅は、第2の部分に対する調整前に、第2の部分に対する調整と連続して、又は第2の部分に対する調整後に調整され得ることに留意されたい。例えば、目標調整が、マスター振幅が上方に調整されること(例えば、マスター振幅の増加)を示す場合、最初に部分値を変更し、続いてマスター振幅に対する調整を行うことができる。別の実施例では、目標調整が、マスター振幅が下方に調整されること(例えば、マスター振幅の減少)を示す場合、最初にマスター振幅を調整し、続いて部分値に対する調整を行うことができる。また、電極48A及び48Bは、本開示の様々な実施例における様々な電極を例示するために使用され、本開示の技術は、そのように限定されず、リードの任意の電極が、本開示の趣旨に沿って第1の電極又は第2の電極として使用され得ることにも留意されたい。
【0091】
図8は、第2の電極48Bの電流振幅を維持しながら、第1の電極48Aの第1の電流振幅を調整するための例示的な方法を示すフローチャートであり、両方とも、調整可能なマスター電流振幅のそれぞれの部分によって定義される振幅を有する。上記のように、電気刺激装置4によって実行されるものとして説明されているが、図8の例示的な方法は、電気刺激装置4、プログラマ40、外部デバイス若しくはサーバ(例えば、リモートサーバ)、又はこれらのデバイスのうちの1つ以上の組み合わせのいずれか1つ以上によって、例えば、これらのデバイスのうちのいずれか1つ以上の処理回路によって実行され得る。
【0092】
処理回路50は、第1の電極48Aの振幅の変化を含むユーザ入力を受信することができる(804)。非限定的な実施例では、ユーザは、1.0mAから1.1mAまで電気刺激送達を増加させるか、又は1.0mAから0.9mAまで電気刺激を減少させるための、第1の電極48Aの振幅の変化を要求するユーザ入力を提供することができる。したがって、処理回路50は、第1の電極48Aの振幅に対する調整が、第1の電極48Aの振幅の増加を含むか減少を含むかを判定することができる(806)。ユーザ入力が第1の電流振幅を増加させる要求を示す場合、処理回路50は、第1の電極48Aの所望の電流振幅が、マスター電流振幅より大きい増加を含むかどうかを判定することができる(808)。所望の電流振幅がマスター振幅より大きい場合、処理回路50は、第2の部分の調整を使用して所望の電流振幅を達成することができる(812)。
【0093】
例えば、マスター振幅が1.0mAであり、ユーザ入力が1.0mA~1.1mAの所望の電流振幅を含む場合、マスター振幅を1.1mAに増加させて、第1の電極48Aの第1の部分が変化しないままであり得るように、第1の電極48Aの所望の電流振幅を達成することができる。しかしながら、マスター振幅が増加するので、第2の電流振幅を、ユーザ入力前と同じ値又はほぼ同じ値に維持するために、第2の部分を、マスター振幅に対する調整に対して調整することができる。例えば、第2の電極48Bの第2の電流振幅は、処理回路50が、第1の電極48Aの第1の電流振幅の増加を要求するユーザ入力を受信する前に、0.5mAであり得る。
【0094】
したがって、64個の電流調節器分岐を含む実施例では、第2の部分は、1.0mAのマスター振幅で第2の電極48Bの0.5mAを達成するために、変化前に32/64であり得る(すなわち、1.0mA(32/64)=0.5mA)。ユーザ入力を考慮して、マスター振幅が1.0mAから1.1mAまで増加すると、この実施例における第2の部分は、1.1mAのマスター振幅の部分に基づいて可能な限り0.5mAに近く達成するために、減少され得る。具体的には、第2の部分は、合計約0.498mAになるように、29/64、又は64個の全電流調節器分岐のうちの29個の電流調節器分岐に減少され得る。処理回路50が使用することができる特定の丸め規則により、0.498mAは、ユーザインターフェース59上で0.5mAに丸められ得、したがって、ユーザにとっては、第2の振幅は、ユーザが第1の振幅への変化を要求した後に意図されるような影響を受けないように見える。すなわち、第2の部分に対する調整後の第2の振幅は、元の第2の振幅とほぼ同じであり得る。第2の部分及びマスター振幅が変化しないままである実施例では、第2の振幅も、同じままであり得る。いずれの場合も、第2の振幅は、同じ又はほぼ同じであり得、これは、刺激生成器から利用可能な分解能、又は言い換えれば、利用可能な電流調節器分岐の総数に依存する範囲内であることを意味する。これは、分岐の総数の単一の分岐が、有限ステップサイズ(例えば、1/64)に従って部分を増加又は減少させるように完全に実装され得、したがって、マスター振幅の関数として可能な限り元の振幅に近い調整された振幅を達成するために近似が使用され得るためである。
【0095】
所望の電流振幅がマスター振幅より小さい場合、処理回路50は、第1の電極48Aの第1の部分が部分最大値にあるか、又は少なくとも第2の電極48Bの第2の部分より大きいかどうかを判定し得る(810)。そうである場合、処理回路50は、第2の部分の調整を使用し得る(812)。そうでない場合、処理回路50は、第1の部分の調整を使用し得る(814)。例えば、処理回路50は、第1の部分の調整を使用して、第1の部分を増加させ得る。第2の部分の調整が使用される場合、処理回路50は、第1の電極48Aの第1の刺激パルスの所望の電流振幅を達成するために、マスター振幅を増加させることと、電極48Bの第2の部分を減少させることとの両方に対して第2の部分の調整を使用することができる。
【0096】
ユーザ入力が第1の電流振幅を減少させる要求を示す場合、処理回路50は、マスター電流振幅がそれに応じて減少しなかった場合、第1の電流振幅の所望の減少が、マスター電流振幅より小さい振幅をもたらし得ると自動的に判定することができる(806)。どちらにしても、処理回路50は、第1の部分が部分最大値における唯一の部分であるか、又は少なくとも第2の電極48Bの第2の部分より大きいかどうかを判定し得る(816)。第1の部分が部分最大値における唯一の部分であるかどうかを判定するいくつかの場合には、処理回路50は、第1の電極48Aの第1の部分が、第1の電極48Aに対して定義される部分最大値にあり、第2の電極48Bの第2の部分が、第2の電極48Bに対して定義される部分最大値にないと判定し得る。そうである場合、処理回路50は、第2の部分の調整スキームを目標調整として使用し得る(812)。そうでない場合、処理回路50は、第1の部分の調整を使用し得る(814)。例えば、処理回路50は、第1の部分の調整を使用して、第1の部分を減少させ得る。第2の部分の調整が使用される場合、処理回路50は、第1の電極48Aの第1の刺激パルスの所望の電流振幅を達成するために、マスター振幅を減少させることと、電極48Bの第2の部分を増加させることとの両方に対して第2の部分の調整を使用することができる。
【0097】
図9は、双極及び単極配置に関して本開示の技術を実行するための例示的な方法を示すフローチャートである。上記のように、電気刺激装置4によって実行されるものとして説明されているが、図9の例示的な方法は、電気刺激装置4、プログラマ40、外部デバイス若しくはサーバ(例えば、リモートサーバ)、又はこれらのデバイスのうちの1つ以上の組み合わせのいずれか1つ以上によって、例えば、これらのデバイスのうちのいずれか1つ以上の処理回路によって実行され得る。
【0098】
最初に、処理回路50は、第1の電極の電流振幅の所望の増加を含むユーザ入力を受信することができる(902)。例示を簡単にするために、第1の電極は、カソード電極を示すために、図9では「C0」によって示され得る。この実施例では、少なくとも3つのカソード電極が記載されている(例えば、C0~C2)。しかしながら、電極の数は、3つよりも多いか、又は3つ未満であってもよく、3つは、例示目的のために選択されている。接尾辞付きの「A」を含む他の電極は、アノード電極を示し得る。処理回路50は、第1の例では、電極構成が、少なくとも1つの調節されたアノードを有する双極配置をサポートするかどうか、又は電極構成が、少なくとも1つの調節されないアノードを有する双極配置をサポートするかどうかを判定することができる(904)。処理回路50は、電流振幅の調整前の時間に、特定の配置に関する情報を受信することができる。例えば、処理回路50は、初期構成段階において、どんなタイプの電極配置が使用中であるかをメモリ52に記憶することができる。
【0099】
単極刺激配置(例えば、単極)は、概して、電流を供給するハウジング上のアノードと、電流をシンクする1つ以上のリード上の1つ以上のカソードとの使用を指す。双極刺激配置は、概して、電流を供給するリード上のアノードと、電流をシンクする同じリード及び/又は別のリード上のカソードとの使用を指す。多極刺激配置は、概して、各々が電流を供給(又はシンク)するリード上の1つ以上のアノード(又はカソード)、及び電流をシンク(又は供給)する同じリード又は別のリード上の1つ以上のカソード(又はアノード)の使用、あるいは電流を供給するリード上の1つのアノード、及び電流をシンクする同じリード又は別のリード上の複数のカソードの使用を指す。単極電極関係と双極電極関係の両方を組み合わせるハイブリッド刺激配置は、全極配置と称され得る。本開示の技術は、単極配置、双極/多極配置、及び全極配置を使用して実装することができる。
【0100】
例示的な実施例では、双極刺激配置は、少なくとも3つの電極を含み得、第3の電極は、他の2つの電極のための戻り経路を提供する。単極刺激配置では、第3の電極が含まれ得るが、第3の電極は、そのような単極構成で戻り経路を提供するために使用されなくてもよい。
【0101】
単極構成では、処理回路50は、C0が、部分最大値にあるか、又は少なくとも第2の電極C1~C2のいずれかの第2の部分より大きいかどうかを判定することができる(920)。そうである場合、処理回路50は、第2の部分の調整を使用し得る(908)。第2の部分の調整が使用される場合、処理回路50は、第2の部分の調整を使用して、マスター振幅を増加させることができる(910)。処理回路50はまた、第1の電極C1の第1の刺激パルスの所望の電流振幅を達成するために、電極C1~C2の第2の部分を低減又は減少させることができる。C0が部分最大値にない場合、処理回路50は、第1の部分の調整を使用し得る(914)。例えば、処理回路50は、第1の部分の調整を使用して、C0の第1の部分を増加させ得る(916)。加えて、処理回路50は、C1~C2部分を、第1の電極C1の第1の刺激パルスに対する電流振幅の要求された調整前の元の値に維持することができる。
【0102】
双極構成では、処理回路50は、C0が、部分最大値にあるか、又は少なくとも第2の電極C1~C2のいずれかの第2の部分より大きいかどうかを判定することができる(920)。そうである場合、処理回路50は、第2の部分の調整を使用し得る(922)。第2の部分の調整が使用される場合、処理回路50は、第2の部分の調整を使用して、マスター振幅を増加させることができる(924)。処理回路50はまた、電極C1~C2の第2の部分を低減し得る。加えて、処理回路50は、電極A0~A2に関連付けられた部分を増加させ得る。C0が部分最大値にない場合、処理回路50は、第1の部分の調整を使用し得る(914)。例えば、処理回路50は、第1の部分の調整を使用して、C0の第1の部分を増加させ得る(916)。加えて、処理回路50は、C1~C2部分を、第1の電極C1の第1の刺激パルスに対する電流振幅の要求された調整前の元の値に維持することができる。加えて、処理回路50は、電極A0~A2に関連付けられた部分を増加させ得る。図10は、プログラマ40の例示的なユーザインターフェーススクリーンである。図10の実施例では、プログラマ40のユーザインターフェース59は、電極に関連付けられた刺激振幅を数値的に表示し得る。この実施例では、図10は、セグメント化されたリードを示し、そのセグメント化電極は、本開示の様々な技術に従って調整された刺激振幅を有し得る。
【0103】
図10では、隣接する電極78A及び78Bという、2つの数が示されている。いくつかの実施例では、フィールド214Aの上側の数は、第1の電極、例えば、電極78Aによって供給又はシンクされる所望の電流振幅を示し得る。フィールド214Bの下側の数は、第2の電極、例えば、本開示の特定の例示的な実施例では、調整のために目標とされない電極78Bによって供給又はシンクされる刺激振幅を示し得る。しかしながら、いくつかの実施例では、電極78Aと電極78Bの両方、又は更なる電極は、調整のための目標であり得る。例えば、リード12は、本開示の様々な技術によれば、3つの電極を含んでよく、2つは並列に調整される。図10はまた、マスター電流振幅を示しているウィンドウ210を示す。64個の電流調節器分岐を含む実施例では、電極78Bは、分岐の64/64を実装することができるが、電極78Aは、35/64にマスター電流振幅2.0mAを乗じたものが約1.1mAに等しいため、分岐の35/64(例えば、64個の分岐のうちの35個)を実装することができる。前述のように、表示される電流値は、事前定義された丸め規則に従って丸められてもよいが、実際の振幅は、表示された振幅より大きいか又は小さい場合がある。
【0104】
図10の実施例では、ユーザインターフェース59はまた、所望の電流振幅を調整するために、上/下矢印などの入力デバイスを含む。いくつかの実施例では、ユーザインターフェース59は、ユーザがどのように入力を提供することを望むかのオプションを有し得るように、入力デバイス及び記入可能フィールドを提供することができる。
【0105】
いくつかの実施例では、処理回路50は、ユーザインターフェースを介して表示するために、ユーザインターフェース59を介して表示することなどのために、ミリアンペア測定ユニットを含む測定ユニットにおいて第1の電流振幅を出力することができる。例えば、処理回路50は、ユーザインターフェース59などのユーザインターフェースデバイスに、「1.09」(丸め前)又は「1.1」(丸め後)の電極78Aの表示値を提供することができる。次いで、処理回路50は、ユーザインターフェースデバイス59から、ミリアンペア測定ユニットを含む測定ユニットにおいて所望の電流振幅を定義するユーザ入力を受信することができる。例えば、ユーザは、電極78Aに関して2.2mAを望む場合がある。このように、プログラマ40は、所望の電流値を処理回路50に伝達することができる。処理回路50は、本開示の様々な技術に従って調整を実行することができる。例えば、処理回路50は、マスター振幅を2.2mAまで増加させ、電極78Bに関連付けられた部分を64/64から58/64に減少させて、電極78Bの電流振幅を2.0mA(又は1.99mAの丸め前)に維持しながら、第1の部分も35/64から64/64まで増加させることによって、電極78Aの所望の電流振幅2.2mAを達成することができる。次いで、処理回路50は、ミリアンペア測定ユニット(すなわち、2.2mA)を含む測定ユニットにおいて第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する調整を出力し得る。例えば、処理回路50は、リミアンペア値がユーザインターフェース59を介して表示され得るように、プログラマ40に2.2mAを出力することができる。
【0106】
いくつかの実施例では、処理回路50はまた、ユーザインターフェース59を介して表示するために、第1の部分に対する調整又は第2の部分に対する調整に対応する部分値を出力し得、部分値は、それぞれの電極が所望の強度を特定のゾーンに送達する相対度を定義する第1又は第2の電極の寄与の変化を示す。電極の寄与は、所与の電極がゾーンの所望の強度を送達する程度である。電極の寄与は、0.0~1.0の値を有し得る。ゾーンは、カソード(例えば、刺激用)又はアノード(例えば、遮蔽/ガード用)であり得る。電極の「寄与」は、概して、所与の電極が、電極を採用するゾーンに所望の強度を送達する相対度を指す。したがって、電極の寄与は、0.0~1.0の値を有し得る。電極の寄与は、Goetzらによる「MANAGING ELECTRICAL STIMULATION THERAPY BASED ON VARIABLE ELECTRODE COMBINATIONS」と題する米国特許第8,996,123号に記載されており、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。例えば、図10の表示ウィンドウ240は、寄与レベルを示す分数値、小数値、又はパーセンテージ値を含み得る。しかしながら、ユーザは電流振幅を調整しているため、分数値、小数値、又はパーセンテージ値の表示は、ユーザが、フィールド214又はそれに関連付けられた入力デバイスを使用して電流値を調整する際に使用することができる情報を提供しない場合がある。
【0107】
以下で、本開示による1つ以上の例示的な技術について説明する。例示的な技術は、一緒に又は任意の組み合わせで実行され得る。
【0108】
実施例1:神経調節システムは、第1の電極と、第2の電極と、第1の刺激パルスを第1の電極に、及び第2の刺激パルスを第2の電極に送達するように構成された刺激生成器であって、第1の刺激パルスの第1の電流振幅が、マスター振幅の第1の部分であり、第2の刺激パルスの第2の電流振幅が、マスター振幅の第2の部分である、刺激生成器と、プロセッサと、を含み、プロセッサは、刺激生成器に対する初期命令を生成して、(i)マスター振幅の第1の部分に基づく第1のシミュレーションパルス、及び(ii)マスター振幅の第2の部分に基づく第2の刺激パルスを送達することと、所望の電流振幅を含むユーザ入力を受信することと、所望の電流振幅に基づいて、第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する調整が必要であると判定することと、所望の電流振幅とマスター振幅との比較に少なくとも部分的に基づいて、目標調整を判定することであって、プロセッサが、(A)目標調整として、少なくとも第1の部分に対する調整を判定すること、又は(B)目標調整として、(i)マスター振幅に対する調整と、(ii)マスター振幅調整に対する少なくとも第2の部分に対する調整と、を判定すること、を行うように更に構成されている、判定することと、目標調整に少なくとも部分的に基づいて、刺激生成器に対する調整命令を生成して、所望の電流振幅で第1の刺激パルスを送達し、かつほぼ同じ第2の電流振幅で第2の刺激パルスを送達することと、を行うように構成されている。
【0109】
実施例2:所望の電流振幅に基づいて、第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する調整が必要であると判定するために、プロセッサは、ユーザ入力が第1の刺激パルスの第1の電流振幅の増加を要求していると判定するように構成されており、目標調整として、少なくとも第1の部分に対する調整を判定するために、プロセッサは、(i)第1の部分が部分最大値になく、(ii)所望の電流振幅がマスター振幅より小さいとき、第1の部分に対する調整が、第1の部分を増加させることを含むと判定するように構成されている、実施例1のシステム。
【0110】
実施例3:所望の電流振幅に基づいて、第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する調整が必要であると判定するために、プロセッサは、ユーザ入力が第1の刺激パルスの第1の電流振幅の減少を要求していると判定するように構成されており、目標調整として、少なくとも第1の部分に対する調整を判定するために、プロセッサは、第1の部分が部分最大値にないとき、第1の部分に対する調整が、第1の部分を減少させることを含むと判定するように構成されている、実施例1のシステム。
【0111】
実施例4:所望の電流振幅に基づいて、第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する調整が必要であると判定するために、プロセッサは、ユーザ入力が第1の刺激パルスの第1の電流振幅の増加を要求していると判定するように構成されており、目標調整として、マスター振幅に対する調整及び少なくとも第2の部分に対する調整を判定するために、プロセッサは、所望の電流振幅がマスター振幅より大きいとき、マスター振幅に対する調整が、マスター振幅を増加させることを含み、かつ少なくとも第2の部分に対する調整が、マスター振幅の増加に対して第2の部分を減少させることを含む、と判定するように構成されている、実施例1のシステム。
【0112】
実施例5:所望の電流振幅に基づいて、第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する調整が必要であると判定するために、プロセッサは、ユーザ入力が第1の刺激パルスの第1の電流振幅の減少を要求していると判定するように構成されており、目標調整として、マスター振幅に対する調整及び少なくとも第2の部分に対する調整を判定するために、プロセッサは、第1の部分が、第1の電極に対して定義された部分最大値にあり、第2の部分が、第2の電極に対して定義された部分最大値にないとき、マスター振幅に対する調整が、マスター振幅を減少させることを含み、かつ少なくとも第2の部分に対する調整が、マスター振幅の減少に対して第2の部分を増加させることを含む、と判定するように構成されている、実施例1のシステム。
【0113】
実施例6:プロセッサが、マスター振幅の減少に基づいて、第2の部分を第1の量だけ増加させて、元の第2の電流振幅に対してほぼ同じ振幅に第2の電流振幅を維持するように更に構成されている、例5のシステム。
【0114】
実施例7:プロセッサが、ユーザインターフェースを介して表示するために、ミリアンペア測定ユニットを含む測定ユニットにおいて第1の電流振幅を出力することと、ユーザインターフェースを介して、ミリアンペア測定ユニットを含む測定ユニットにおいて所望の電流振幅を定義するユーザ入力を受信することと、ユーザインターフェースを介して表示するために、ミリアンペア測定ユニットを含む測定ユニットにおいて第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する調整を出力することと、を行うように更に構成されている、実施例1~6のいずれかのシステム。
【0115】
実施例8:プロセッサが、調整命令の一部として刺激生成器に、第1の部分に対する調整又は第2の部分に対する調整に対応する部分値を出力するように更に構成されており、部分値が、それぞれの電極が所望の強度を特定のゾーンに送達する相対度を定義する第1又は第2の電極の寄与の変化を示す、実施例1~7のいずれかのシステム。
【0116】
実施例9:神経調節を実行する方法は、刺激生成器に対する初期命令を生成して、(i)マスター振幅の第1の部分に基づく第1のシミュレーションパルス、及び(ii)マスター振幅の第2の部分に基づく第2の刺激パルスを送達することと、所望の電流振幅を含むユーザ入力を受信することと、所望の電流振幅に基づいて、第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する調整が必要であると判定することと、所望の電流振幅とマスター振幅との比較に少なくとも部分的に基づいて、目標調整を判定することであって、方法が、(A)目標調整として、少なくとも第1の部分に対する調整を判定すること、又は(B)目標調整として、(i)マスター振幅に対する調整と、(ii)マスター振幅調整に対する少なくとも第2の部分に対する調整と、を判定すること、を更に含む、判定することと、目標調整に少なくとも部分的に基づいて、刺激生成器に対する調整命令を生成して、所望の電流振幅で第1の刺激パルスを送達し、かつほぼ同じ第2の電流振幅で第2の刺激パルスを送達することと、を含む。
【0117】
実施例10:所望の電流振幅に基づいて、第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する調整が必要であると判定することは、ユーザ入力が第1の刺激パルスの第1の電流振幅の増加を要求していると判定することを含み、目標調整として、少なくとも第1の部分に対する調整を判定することは、(i)第1の部分が部分最大値になく、(ii)所望の電流振幅がマスター振幅より小さいとき、第1の部分に対する調整が、第1の部分を増加させることを含むと判定することを含む、実施例9の方法。
【0118】
実施例11:所望の電流振幅に基づいて、第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する調整が必要であると判定することは、ユーザ入力が第1の刺激パルスの第1の電流振幅の減少を要求していると判定することを含み、目標調整として、少なくとも第1の部分に対する調整を判定することは、第1の部分が部分最大値にないとき、第1の部分に対する調整が、第1の部分を減少させることを含むと判定することを含む、実施例9の方法。
【0119】
実施例12:所望の電流振幅に基づいて、第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する調整が必要であると判定することは、ユーザ入力が第1の刺激パルスの第1の電流振幅の増加を要求していると判定することを含み、目標調整として、マスター振幅に対する調整及び少なくとも第2の部分に対する調整を判定することは、所望の電流振幅がマスター振幅より大きいとき、マスター振幅に対する調整が、マスター振幅を増加させることを含み、かつ第2の部分に対する調整が、マスター振幅の増加に対して第2の部分を減少させることを含む、と判定することを含む、実施例9の方法。
【0120】
実施例13:所望の電流振幅に基づいて、第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する調整が必要であると判定することは、ユーザ入力が第1の刺激パルスの第1の電流振幅の減少を要求していると判定することを含み、目標調整として、マスター振幅に対する調整及び少なくとも第2の部分に対する調整を判定することは、第1の部分が、第1の電極に対して定義された部分最大値にあり、第2の部分が、第2の電極に対して定義された部分最大値にないとき、マスター振幅に対する調整が、マスター振幅を減少させることを含み、かつ第2の部分に対する調整が、マスター振幅の減少に対して第2の部分を増加させることを含む、と判定することを含む、実施例9の方法。
【0121】
実施例14:実施例13の方法は、マスター振幅の減少に基づいて、第2の部分を第1の量だけ増加させて、元の第2の電流振幅に対してほぼ同じ振幅に第2の電流振幅を維持することを更に含む。
【0122】
実施例15:実施例9~14のいずれかの方法は、ユーザインターフェースを介して表示するために、ミリアンペア測定ユニットを含む測定ユニットにおいて第1の電流振幅を出力することと、ユーザインターフェースを介して、ミリアンペア測定ユニットを含む測定ユニットにおいて所望の電流振幅を定義するユーザ入力を受信することと、ユーザインターフェースを介して表示するために、ミリアンペア測定ユニットを含む測定ユニットにおいて第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する調整を出力することと、を更に含む。
【0123】
実施例16:実施例9~15のいずれかのシステムは、調整命令の一部として刺激生成器に、第1の部分に対する調整又は第2の部分に対する調整に対応する部分値を出力することを更に含み、部分値は、それぞれの電極が所望の強度を特定のゾーンに送達する相対度を定義する第1又は第2の電極の寄与の変化を示す。
【0124】
実施例17:命令を記憶したコンピュータ可読記憶媒体であって、命令が、実行されるときに、1つ以上のプロセッサに、刺激生成器に対する初期命令を生成して、(i)マスター振幅の第1の部分に基づく第1のシミュレーションパルス、及び(ii)マスター振幅の第2の部分に基づく第2の刺激パルスを送達することと、所望の電流振幅を含むユーザ入力を受信することと、所望の電流振幅に基づいて、第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する調整が必要であると判定することと、所望の電流振幅とマスター振幅との比較に少なくとも部分的に基づいて、目標調整が、(i)少なくとも第1の部分に対する調整、又は(ii)マスター振幅に対する調整、及びマスター振幅に対する調整に対する少なくとも第2の部分に対する調整を含むと判定することと、目標調整に少なくとも部分的に基づいて、刺激生成器に対する調整命令を生成して、所望の電流振幅で第1の刺激パルスを送達し、かつほぼ同じ第2の電流振幅で第2の刺激パルスを送達することと、を少なくとも行わせる、コンピュータ可読記憶媒体。
【0125】
実施例18:所望の電流振幅に基づいて、第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する調整が必要であると判定するために、命令が、実行されるときに、1つ以上のプロセッサに、ユーザ入力が第1の刺激パルスの第1の電流振幅の増加を要求していると判定すること、を少なくとも行わせ、少なくとも第1の部分に対する調整は、(i)第1の部分が部分最大値になく、(ii)所望の電流振幅がマスター振幅より小さいとき、第1の部分を増加させることを含む、実施例17の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0126】
実施例19:所望の電流振幅に基づいて、第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する調整が必要であると判定するために、命令が、実行されるときに、1つ以上のプロセッサに、ユーザ入力が第1の刺激パルスの第1の電流振幅の減少を要求していると判定すること、を少なくとも行わせ、少なくとも第1の部分に対する調整は、第1の部分が部分最大値にないとき、第1の部分を減少させることを含む、実施例17の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0127】
実施例20:所望の電流振幅に基づいて、第1の刺激パルスの第1の電流振幅に対する調整が必要であると判定するために、命令が、実行されるときに、1つ以上のプロセッサに、ユーザ入力が第1の刺激パルスの第1の電流振幅の増加を要求していると判定すること、を少なくとも行わせ、マスター振幅に対する調整及び少なくとも第2の部分に対する調整は、所望の電流振幅がマスター振幅より大きいとき、マスター振幅を増加させることと、マスター振幅の増加に対して第2の部分を減少させることと、を含む、実施例17の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【0128】
本開示で説明される技術は、少なくとも部分的に、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実施され得る。例えば、技術の様々な態様は、医師若しくは患者プログラマ、刺激装置、又は他のデバイスなどのプログラマで具体化された、1つ以上のマイクロプロセッサ、DSP、ASIC、FPGA、又は任意の他の同等の集積若しくは個別論理回路、並びにそのような構成要素の任意の組み合わせ内で実装され得る。「プロセッサ」、「処理回路」、又は「コントローラ」という用語は、一般に、前述の論理回路のいずれかを、単独で、又は他の論理回路若しくは任意の他の同等の回路と組み合わせて、並びに単独で、又は他のデジタル若しくはアナログ回路と組み合わせて指し得る。
【0129】
ソフトウェアで実装される態様では、本開示に記載されるシステム及びデバイスに起因する機能の少なくとも一部は、RAM、ROM、NVRAM、EEPROM、フラッシュメモリ、磁気メモリ、光学媒体などのコンピュータ可読記憶媒体上の命令として具体化され得る。命令は、本開示に記載の機能の1つ以上の態様をサポートするように実行され得る。
【0130】
本開示の様々な態様が記載されている。これらの例及び他の態様は、下記の特許請求の範囲の範囲内である。
図1
図2
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図6
図7
図8
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図10
【国際調査報告】