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特表2023-502533動きに影響される治療線量を再構成するための部分変形マップ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-24
(54)【発明の名称】動きに影響される治療線量を再構成するための部分変形マップ
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20230117BHJP
   A61B 34/20 20160101ALI20230117BHJP
【FI】
A61N5/10 M
A61B34/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530749
(86)(22)【出願日】2020-11-18
(85)【翻訳文提出日】2022-07-13
(86)【国際出願番号】 US2020061115
(87)【国際公開番号】W WO2021108190
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】62/940,037
(32)【優先日】2019-11-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/098,149
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505172824
【氏名又は名称】アキュレイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100210239
【弁理士】
【氏名又は名称】富永 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】マウラー ジュニア カルヴィン アール
(72)【発明者】
【氏名】シュナー エリック
(72)【発明者】
【氏名】ホロウェイ リッチ
(72)【発明者】
【氏名】シーア ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック チャールズ ブランドン
(72)【発明者】
【氏名】ゴルチョフスキー ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ブロードハースト ロバート エリヤ
(72)【発明者】
【氏名】フォスキー マーク
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AE01
4C082AG53
4C082AJ13
4C082AJ16
4C082AN05
4C082AP07
4C082AP08
4C082AR02
(57)【要約】
方法は、標的対象の治療計画画像であって標的対象内の構造の配置と関連する情報を含んでいる標的対象の治療計画画像を特定するステップを備える。本方法は、情報に基づいて、標的対象と関連する基準データセットを生成するステップであって、基準データが前記標的対象の複数の位置を示しているステップを更に備える。本方法は、基準データに基づいて標的対象特有モデルを生成するステップと、標的対象特有モデルの1又は2以上のハイパーパラメータを修正して、複数位置の内の第2位置に対応する第2標的対象特有モデルを生成するステップと、を更に備える。本方法は、第2標的対象特有モデルに基づいて放射線治療送達デバイスを制御して、前記標的対象に放射線治療を送達するステップを更に備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的対象の治療計画画像を特定するステップであって、前記治療計画画像が前記標的対象内の構造の配置と関連する情報を含んでいるステップと、
前記情報に基づいて、前記標的対象と関連する基準データのセットを生成するステップであって、前記基準データが前記標的対象の複数の位置を示しているステップと、
前記基準データに基づいて第1標的対象特有モデルを生成するステップと、
処理デバイスによって、前記第1標的対象特有モデルを前記治療計画画像に適用して、前記複数位置の内の第1位置に対応する変換された治療計画画像を生成するステップと、
前記変換された治療計画画像を基準画像と比較するステップと、
前記比較するステップに基づいて、前記第1標的対象特有モデルの1又は2以上のハイパーパラメータを修正して、前記複数位置の内の第2位置に対応する第2標的対象特有モデルを生成するステップと、
前記第2標的対象特有モデルに基づいて放射線治療送達デバイスを制御して、前記標的対象に放射線治療を送達するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記治療計画画像は、3次元(3-D)又は4次元(4-D)の解剖学的画像の一方であり、前記変換された治療計画画像及び前記基準画像は、2次元(2-D)画像である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記標的対象の3-D、4-D、又は他の導出された画像から前記第1標的対象特有モデルを構築するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記標的対象と別の対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーションから前記第1標的対象特有モデルを構築するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第1時刻の前記標的対象と第2時刻の前記標的対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーションから前記第1標的対象特有モデルを構築するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記標的対象と合成アトラス対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーションから前記第1標的対象特有モデルを構築するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記対象特有モデルは、前記標的対象の中心アトラス、基底変換のセット、及び外観変化を備え、前記方法は、前記中心アトラス、前記基底変換のセット、及び前記外観変化を線形結合させて、前記標的対象を見出すことのできる1又は2以上の構造の推定値を生成するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記対象特有モデルは、実データ又は合成データの内の少なくとも1つのセットに対する次元削減を用いて展開される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記標的対象特有モデルの前記情報及び1又は2以上のパラメータを用いて、基準時刻における前記標的対象の解剖学的構造と画像取得時刻における前記標的対象の解剖学的構造との間に完全4-D時空間対応マッピングを構築する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記標的対象特有モデルの前記情報及び1又は2以上のパラメータを用いて、画像取得時刻における前記標的対象の完全4-D時空間外観モデルを構築する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記情報の受信と同時に補助解剖学的又は擬似解剖学的信号を受信するステップを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記補助信号を前記第1標的対象特有モデル及び前記情報と相関させて、前記第2標的対象特有モデルの時間分解能を高める、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記補助信号は、三角測量された発光ダイオード(LED)マーカのセットに基づいて光学的に取得される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
情報を保存するメモリと、
前記メモリに動作可能に接続された処理デバイスであって、
標的対象の治療計画画像であって、前記標的対象内の構造の配置と関連する情報を含んでいる標的対象の治療計画画像を特定する、
前記情報に基づいて、前記標的対象と関連する基準データであって前記標的対象の複数の位置を示している基準データのセットを生成する、
前記基準データに基づいて第1標的対象特有モデルを生成する、
前記第1標的被験者特有モデルを前記治療計画画像に適用して、前記複数位置の内の第1位置に対応する変換された治療計画画像を生成する、
前記変換された治療計画画像を基準画像と比較する、
前記比較に基づいて、前記第1標的対象特有モデルの1又は2以上のハイパーパラメータを修正して、前記複数位置の内の第2位置に対応する第2標的対象特有モデルを生成する、
前記第2標的対象特有モデルに基づいて放射線治療送達デバイスを制御して、前記標的対象に放射線治療を送達する、ことになっている処理デバイスと、を備える放射線治療送達システム。
【請求項15】
前記治療計画画像は、3次元(3-D)又は4次元(4-D)の解剖学的画像の一方であり、前記変換された治療計画画像及び前記基準画像は、2次元(2-D)画像である、請求項14に記載の放射線治療送達システム。
【請求項16】
前記処理デバイスは更に、前記標的対象の3-D、4-D、又は他の導出された画像から前記第1標的対象特有モデルを構築することになっている、請求項14に記載の放射線治療送達システム。
【請求項17】
前記処理デバイスは更に、前記標的対象と別の対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーションから前記第1標的対象特有モデルを構築することになっている、請求項14に記載の放射線治療送達システム。
【請求項18】
前記処理デバイスは更に、第1時刻の前記標的対象と第2時刻の前記標的対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーションから前記第1標的対象特有モデルを構築することになっている、請求項14に記載の放射線治療送達システム。
【請求項19】
前記処理デバイスは更に、前記標的対象と合成アトラス対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーションから前記第1標的対象特有モデルを構築することになっている、請求項14に記載の放射線治療送達システム。
【請求項20】
前記対象特有モデルは、前記標的対象の中心アトラス、基底変換のセット、及び外観変化を備え、前記処理デバイスは更に、前記中心アトラス、前記基底変換のセット、及び前記外観変化を線形結合させて、前記標的対象を見出すことのできる1又は2以上の構造の推定値を生成することになっている、請求項14に記載の放射線治療送達システム。
【請求項21】
前記対象特有モデルは、実データ又は合成データの内の少なくとも1つのセットに対する次元削減を用いて展開される、請求項14に記載の放射線治療送達システム。
【請求項22】
前記標的対象特有モデルの前記情報及び1又は2以上のパラメータを用いて、基準時刻における前記標的対象の解剖学的構造と画像取得時刻における前記標的対象の解剖学的構造との間に完全4-D時空間対応マッピングを構築する、請求項14に記載の放射線治療送達システム。
【請求項23】
前記標的対象特有モデルの前記情報及び1又は2以上のパラメータを用いて、画像取得時刻における前記標的対象の完全4-D時空間外観モデルを構築する、請求項14に記載の放射線治療送達システム。
【請求項24】
前記処理デバイスは更に、前記情報の受信と同時に補助解剖学的又は擬似解剖学的信号を受信することになっている、請求項14に記載の放射線治療送達システム。
【請求項25】
前記補助信号を前記第1標的対象特有モデル及び前記情報と相関させて、前記第2標的対象特有モデルの時間分解能を高める、請求項24に記載の放射線治療送達システム。
【請求項26】
前記補助信号は、三角測量された発光ダイオード(LED)マーカのセットに基づいて光学的に取得される、請求項24に記載の放射線治療送達システム。
【請求項27】
前記放射線源に連結されたガントリを更に備え、前記ガントリは、前記放射線源を前記標的対象の周りに回転させるように構成される、請求項14に記載の放射線治療送達システム。
【請求項28】
前記ガントリは、Cアームガントリを備える、請求項27に記載の放射線治療送達システム。
【請求項29】
前記ガントリは、リングガントリを備える、請求項27に記載の放射線治療送達システム。
【請求項30】
前記放射線源に連結されたロボットアームを更に備え、前記ロボットアームは、前記放射線源を円形又は楕円形の軌道に沿う複数の位置に位置決めするように構成される、請求項14に記載の放射線治療送達システム。
【請求項31】
前記ロボットアームは、前記放射線源を前記標的対象周りの前記複数の位置に位置決めする、請求項30に記載の放射線治療送達システム。
【請求項32】
前記放射線ビームは、キロボルト(kV)治療ビームを含む、請求項14に記載の放射線治療送達システム。
【請求項33】
前記MLCはバイナリMLCを含む、請求項14に記載の放射線治療送達システム。
【請求項34】
非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、処理デバイスによって実行されると、前記処理デバイスに対して、
標的対象の治療計画画像であって、前記標的対象内の構造の配置と関連する情報を含んでいる標的対象の治療計画画像を特定する、
前記情報に基づいて、前記標的対象と関連する基準データであって前記標的対象の複数の位置を示している基準データのセットを生成する、
前記基準データに基づいて第1標的対象特有モデルを生成する、
前記処理デバイスによって、前記第1標的対象特有モデルを前記治療計画画像に適用して、前記複数位置の内の第1位置に対応する変換された治療計画画像を生成する、
前記変換された治療計画画像を基準画像と比較する、
前記比較に基づいて、前記第1標的対象特有モデルの1又は2以上のハイパーパラメータを修正して、前記複数位置の内の第2位置に対応する第2標的対象特有モデルを生成する、
前記第2標的対象特有モデルに基づいて放射線治療送達デバイスを制御して、前記標的対象に放射線治療を送達する、ように仕向ける命令を備えた非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項35】
前記治療計画画像は、3次元(3-D)又は4次元(4-D)の解剖学的画像の一方であり、前記変換された治療計画画像及び前記基準画像は、2次元(2-D)画像である、請求項34に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項36】
前記処理デバイスは更に、前記標的対象の3-D、4-D、又は他の導出された画像から前記第1標的対象特有モデルを構築することになっている、請求項34に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項37】
前記処理デバイスは更に、前記標的対象と別の対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーションから前記第1標的対象特有モデルを構築することになっている、請求項34に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項38】
前記処理デバイスは更に、第1時刻の前記標的対象と第2時刻の前記標的対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーションから前記第1標的対象特有モデルを構築することになっている、請求項34に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項39】
前記処理デバイスは更に、前記標的対象と合成アトラス対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーションから前記第1標的対象特有モデルを構築することになっている、請求項34に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項40】
前記対象特有モデルは、前記標的対象の中心アトラス、基底変換のセット、及び外観変化を備え、前記処理デバイスは更に、前記中心アトラス、前記基底変換のセット、及び前記外観変化を線形結合させて、前記標的対象を見出すことのできる1又は2以上の構造の推定値を生成することになっている、請求項34に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項41】
前記対象特有モデルは、実データ又は合成データの内の少なくとも1つのセットに対する次元削減を用いて展開される、請求項34に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項42】
前記標的対象特有モデルの前記情報及び1又は2以上のパラメータを用いて、基準時刻における前記標的対象の解剖学的構造と画像取得時刻における前記標的対象の解剖学的構造との間に完全4-D時空間対応マッピングを構築する、請求項34に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項43】
前記標的対象特有モデルの前記情報及び1又は2以上のパラメータを用いて、画像取得時刻における前記標的対象の完全4-D時空間外観モデルを構築する、請求項34に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項44】
前記処理デバイスは更に、前記情報の受信と同時に補助解剖学的又は擬似解剖学的信号を受信することになっている、請求項34に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項45】
前記補助信号を前記第1標的対象特有モデル及び前記情報と相関させて、前記第2標的対象特有モデルの時間分解能を高める、請求項44に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項46】
前記補助信号は、三角測量された発光ダイオード(LED)マーカのセットに基づいて光学的に取得される、請求項44に記載の非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年11月25日出願の米国特許仮出願第62/940037号の利益を主張する2020年11月13日出願の米国特許出願第17/098149号の米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張するものであり、その開示は、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、動きに影響される治療線量を再構成するための部分変形マップに関する。
【背景技術】
【0003】
放射線治療では、腫瘍性細胞を破壊するために、患者の体外の線源から放射線治療ビームによって放出される放射線線量が、体内の標的領域に送達される。意図する治療領域に治療線量によって送達される放射線の量を最大限にしつつ、非治療領域に送達される放射線の量を最小限にするように注意しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許仮出願第62/940037号明細書
【特許文献2】米国特許出願第17/098149号明細書
【0005】
本開示は、以下に与える詳細な説明から、並びに本開示の様々な実施態様に関する添付図面から、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】本明細書に記載する実施形態による、ヘリカル放射線送達システムを示す図である。
図1B】本明細書に記載する実施形態に従って使用することができるロボット放射線治療システムを示す図である。
図1C】本明細書に記載する実施形態による、Cアームガントリベースの放射線治療システムを示す図である。
図2】本開示の実施形態による、動きに影響される治療線量を再構成するための部分変形マップを生成する方法の第1の流れ図である。
図3】本開示の実施形態による、動きに影響される治療線量を再構成するための部分変形マップを生成する方法の第2の流れ図である。
図4】本開示の実施形態による、動きに影響される治療線量を再構成するための部分変形マップを生成する方法の第3の流れ図である。
図5】本明細書に記載する実施形態による、動きに影響される治療線量を再構成する部分変形マップを生成するために使用できる種々のシステムの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態は、画像誘導治療の分野に関し、特に、動きに影響される治療を再構成するための部分変形マップ用のシステムに関するものである。様々な実施形態において、本明細書で提供するシステム及び方法は、放射線療法用途の単一画像からの患者内変換モデルの生成及び使用と、生成的画像変成によるレジストレーションに関する外観変化の影響の低減とを記述する。
【0008】
一実施形態では、放射線治療療法の一構成要素は、治療時における計画画像の空間と患者の空間との間の変換を推定するステップとすることができる。理想的には、この変換は、2-D投影画像又は光学マーカ位置などの一部の限定された低遅延監視情報から治療時に取得可能であるため、変換は時間的に正確であるとすることができる。このような変換は、多くの形態で、具体的には標的追跡、線量蓄積、及び予測計画についてオンライン適応に役立つ可能性がある。実際、患者特有の良好な変換モデルがあれば、適応放射線療法の画像解析部分を解決することができる。
【0009】
一実施形態では、治療時の2-D投影図から決定することができる確かな変換は、少数のパラメータで記述可能であるとすることができ(例えば、さもなければ、同じ投影図を意味する多くの可能な変換が存在する可能性がある)、それらのパラメータによって張られる空間は、その確かな変換から構成されるとすることができる(例えば、見込みのない変換が探索空間から排除されるように)。例えば、変換モデルが呼吸を記述する場合、全ての合理的なパラメータ選択は、確かな呼吸を生成するはずである。呼吸に影響される部位では、呼吸相関コンピュータ断層撮影(RCCT)の位相間で主成分分析(PCA)を用いて、そのようなモデルを構築することができる。同様に、構造上少数の自由度を有する剛体変換、さもなければ線形変換のレジストレーションも、実証することができる。
【0010】
一実施形態では、呼吸運動モデルの場合、モデル構築に使用される情報を計画時にRCCTから決定することができる。骨盤など、変換が分画間時間尺度で観察される他の部位の場合には、そうでない可能性がある。更に、呼吸モデルもこれらの分画間変換の影響を受ける場合があり、そのような呼吸運動モデル及びRCCTの精度は一般に劣る可能性がある。理想的には、そのようなモデルは、類似画像で観察された変換に基づいて単一の計画画像から構築可能であり、患者が受ける可能性の高い変換に汎化できよう。
【0011】
一実施形態では、単純な運動モデルは以下のように構築することができる:全ての画像を共にレジストレーションして、何とか中心に位置する「平均」画像と、平均画像から位相画像の各々への変換セットとを形成し、グループワイズレジストレーションで生じた変位ベクトル場に対して直接PCAを実行する。この結果、平均変位ベクトルμと、最初の数個の固有ベクトルの線形結合が訓練セット内の全ての変換をよく近似するようなN個の固有ベクトルvとが得られる。
【0012】
パラメータを、最初の1~3個の固有ベクトルの線形結合(変位ベクトル場をもたらす和)に関する乗数として考慮することで、1~3個のパラメータを備えた妥当且つ確かな患者特有の呼吸モデルを生成することができる。これらの固有ベクトルは、変動モードとして知られているかもしれない。一実施形態では、変換が妥当な数の患者画像から学習できるよりも複雑であるため、同様のプロセスを男性の骨盤に対して使用しない場合がある。男性の骨盤に対して患者特有の変換モデルを構築することは可能であるが、上記の手順は、状況によっては成功しない可能性がある。この問題を解決し、この手法の工学的複雑さを軽減するために、複数の患者からの変換情報を単一の部位特有変換モデルに結合させ、次いでこれを新規の患者に適用できるようにすることが求められている。
【0013】
一実施形態では、多患者変換モデルを構築するために、複数の患者からのPCAモデルを共通アトラス空間に登録し、そこで結合させ、次いで新規の患者に再レジストレーションすることができる。一実施形態では、変動モードが患者変換の空間を越えて共通空間へ変換される場合、それらは未知の変化を受ける。
【0014】
患者特有の変換モデルを線形次元削減で記述することができる、又はその可能性はあるが、先の手法の失敗は、輸送問題の解が非線形であることを示唆している。
【0015】
本開示は、このレジストレーション問題に対する解決策を提案するものであり、単一の患者計画画像が与えられた場合に、変換モデルを生成することができ、この変換モデルは、治療の経過に亘って観察される可能性の高い、その計画画像の確かな非剛体変換を生成して、変換モデルのパラメータ(ひいてはその変換)が少数の2-D投影図から決定できるようにする。
【0016】
本明細書に記載するように、一般的な概念として、モデルを複雑な解剖学的プロセスに適合させることができ、これにより、限られた情報から対象の内部3-D構造(及び場合によっては外観)の推測が可能となる。これらのモデルは、本質的に生体力学的である、或いは機械学習を介して(例えば、オートエンコーダニューラルネットワークによって)生成されるとすることができる。例えば、まれにしか患者を2-D画像取得に曝すことがないまま、患者の内部変形の完全な3-Dマップを治療送達のどの時点についても推測することができる。別の例では、すぐ前の数分の1秒間に取得することができる限られたデータから、一瞬間に対する完全な3-D変形マップを推測することになっている。
【0017】
このようなシステム及び方法は、様々な状況で使用することができる。 非限定的な例として、本明細書に記載するシステム及び方法は、以下のために使用することができる:リアルタイム適応-腫瘍のサイズ及び形状の変化及び/又は他の解剖学的構造に対する腫瘍位置の変化に適応するために放射線治療処置をリアルタイムで調整すること;線量再構成-腫瘍、周囲構造及びそれらの互いに対する位置に影響を与える、治療送達中に生じた内部運動(例えば、心臓、脊椎、及び腹部に対する、治療中の肺腫瘍の動き、又は前立腺、直腸、及び膀胱の相対位置に影響を与える、治療中の膀胱充満及び直腸の動き)を考慮しつつ、対象に送達される線量を計算すること;a)各時点について完全な3-D変形マップを計算し、これらのマップを介して(治療前の)3-D画像を変形させることによって、治療又は撮像手順の送達のあらゆる時点について対象の3-D画像を生成すること、及びb)ほんの僅かな投影図(場合により、たった1つの投影図)から3-D変形マップを推定し、これを画像再構成の逆投影ステップに組み込むことによって、より良い4-D・CT画像を生成することを含む、4-D撮像。
【0018】
更なる用途には、2-DX線ビューからのリアルタイムトポグラフィ撮像-ほぼ最後の1秒分の2-DX線画像データから完全な3次元変形マップを計算し、(治療前の)3-D・CTを変形することによって、現在MR-LINACシステムでのみ利用できる種類の表示を再現することが可能である-すなわち、治療送達中の対象を貫くトポグラフィ画像スライスのリアルタイムビューを含めることができる。これらのトポグラフィ画像は3-D変形マップから導出されるため、プランニングからROIの輪郭に伝達して画像上に重ねることも容易である。同様に、他のシステムを用いてオフラインで取得されたMR及び/又はPETの機能データなど、計画画像と共にレジストレーションされる他の画像データを伝達することもできる。このような機能オーバレイにより、これらのリアルタイム断層ビューは、さもなければ高価なMR-LINAC治療システムを必要とする臨床的便益と同じ便益をほぼ全て提供することができる。
【0019】
別の例では、本明細書に記載する方法及びシステムは、生物学的反応の予測器として使用することができる-本開示により、あらゆる治療又は撮像手順から、あらゆる時点についての完全な3-D変形マップをルーチン的に取得することが可能となる。今度はこれによって、解剖学及び運動パターンの経時的な変化に関する幅広いクラスの分析が可能となり、この分析を用いて、腫瘍反応又は疾患の進行及び治療転帰の他の側面をより良くモデル化することができる。例えば、a)肺患者の治療中に換気及び換気の変化を計算する、及びb)組織の剛性及び弾性特性と、おそらくは放射線損傷に起因する、肺、腹部、及び/又は骨盤における剛性及び弾性特性の変化とを計算する。
【0020】
一実施形態では、「標的」、「標的領域」、「標的対象」などの用語は、治療領域(例えば、腫瘍)の近く(所定の近傍内)にある1又は2以上の基準を指す場合がある。別の実施形態では、標的は骨構造とすることができる。更に別の実施形態では、標的は患者の軟組織を指す場合がある。標的は、本明細書に記載するように、同定及び追跡のできるいずれか所定の構造又は領域(患者自身の全体を含めて)とすることができる。
【0021】
図1Aは、本開示の実施形態によるヘリカル放射線送達システム800を示す。ヘリカル放射線送達システム800は、リングガントリ820に取り付けられた線形加速器(LINAC)850を含むことができる。LINAC850を用いて、電子ビームをX線放出ターゲットに向けることによって放射線ビーム(つまり治療ビーム)を生成することができる。治療ビームは、標的領域(すなわち、腫瘍)に放射線を送達することができる。この治療システムは、LINAC850の遠位端と連結されたマルチリーフコリメータ(MLC)860を更に含む。MLC860は、本明細書に記載するように、eMLCとすることができる。 MLCは、MLCの開口を調整して治療ビームの成形を可能にするために可動である複数のリーフを収容するハウジングを含む。リングガントリ820は、患者830がそのリング/トロイドの穴を貫いて延在するトロイダル形状を有し、LINAC850はリングの周囲に取り付けられ、その中心を通る軸の周りに回転して、患者周りの1又は2以上の角度から送達されるビームで標的領域を照射する。治療中、同時に患者830を治療寝台840上でガントリの穴を通って移動させることができる。
【0022】
ヘリカル放射線送達システム800は、撮像線源としてのLINAC850とX線検出器870とを備えた撮像システムを含む。セットアップのために患者830を撮像して治療前画像を生成するために、LINAC850と対向するX線検出器870に入射する一連のX線ビームを関心領域(ROI)に向けることにより、LINAC850を用いて、患者830のROIのメガボルトX線画像(MVCT)を生成することができる。一実施形態では、ヘリカル放射線送達システム800はまた、リングガントリ820上にLINAC810に対して直交して(例えば90度だけ離れて)取り付けられたkV撮像線源810から成る2次撮像システムを含むことができ、標的領域に撮像X線ビームを投射するように、並びに患者130を透過した後で検出器の撮像面を照らすように位置合わせすることができる。
【0023】
図1Bは、本明細書に記載する実施形態に従って使用することができる放射線治療システム1200を示す。図示のように、図1Bは放射線治療システム1200の構成を示す。図示の実施形態では、放射線治療システム1200は、放射線治療線源として機能する線形加速器(LINAC)1201と、治療ビームを成形するためにLINACの遠位端と連結されたMLC1205(例えば、eMLC)とを含む。一実施形態では、LINAC1201を位置決めして、多くの角度から、多くの平面に、患者周りの手術体積にビームを送達して病的解剖学的構造(例えば標的)に照射するために、LINAC1201は、複数(例えば5以上)の自由度を有するロボットアーム1202の端部に取り付けられる。治療は、単一のアイソセンタ、複数のアイソセンタを備えた、又は非アイソセントリックな進入路を備えたビーム経路を伴うとすることができる。
【0024】
LINAC1201は、ロボットアーム1202を動かすことによって治療中に複数の異なるノード(LINAC1201が停止して放射線を送達することができる所定の位置)に位置決めすることができる。ノードにおいて、LINAC1201は1又は2以上の放射線治療ビームを標的に送達することができ、その場合、放射線ビームの形状は、MLC1205内のリーフポジションによって決定される。ノードは、患者の周りに略球状の分布に配置することができる。ノードの特定の数及び各ノードで適用される治療ビームの数は、治療する病理解剖学的構造の位置及び種類の関数として変わる可能性がある。
【0025】
別の実施形態では、ロボットアーム1202とその端部にあるLINAC1201は、放射線が送達されている間、ノード間で連続動作することができる。放射線ビーム形状及び2-D強度マップは、LINAC1201の連続動作中、MLC1205内のリーフの迅速な動作によって決定される。
【0026】
放射線治療システム1200は、X線源1203A及び1203B(つまり、撮像線源)と固定式X線検出器1204A及び1204Bとに接続された処理デバイス1230を有する撮像システム1210を含む。代わりに、X線源1203A、1203B及び/又はX線検出器1204A、1204Bは可動式とすることができ、その場合、それらを再位置決めして、標的との位置合わせを維持する、又は代わりに異なる向きから標的を撮像する、又は多くのX線画像を取得して3次元(3-D)コーンビームCTを再構成することができる。一実施形態では、当業者には理解されるように、X線源は点線源ではなく、むしろX線源アレイである。一実施形態では、LINAC1201は撮像線源として機能し、その場合、LINACの出力レベルは撮像に許容可能なレベルまで低下する。
【0027】
撮像システム1210は、コーンビームCT又はヘリカルメガボルト・コンピュータ断層撮影(MVCT)などのコンピュータ断層撮影(CT)を実行することができ、撮像システム1210によって生成された画像は2次元(2-D)又は3次元(3-D)とすることができる。2つのX線源1203A及び1203Bは、手術室の天井の固定位置に取り付けることができ、2つの異なる角度位置(例えば90度離れた)からX線撮像ビームを投射してマシンアイソセンタ(本明細書では治療センタと呼び、治療中に患者を治療寝台1206上に位置決めするための基準点を提供する)で交差するように、並びに患者を透過した後にそれぞれの検出器1204A及び1204Bの撮像面を照らすように、位置合わせすることができる。一実施形態では、撮像システム1210は標的及び周囲の関心体積(VOI)の立体撮像を提供する。
【0028】
別の実施形態では、撮像システム1210は、2つを超える又は2つ未満のX線源と、2つを超える又は2つ未満の検出器とを含むことができ、検出器のいずれも、固定式ではなく可動式とすることができる。更に別の実施形態では、X線源及び検出器の位置は入れ替えることができる。当業者にはよく知られているように、検出器1204A及び1204Bは、X線を可視光に変換する発光物質(例えば、アモルファスシリコン)と、その光をデジタル画像に変換するCMOS(相補型金属酸化膜シリコン)又はCCD(電荷結合素子)の撮像セルのアレイとから製作することができ、そのデジタル画像は、デジタル画像の座標系を基準画像の座標系に変換する画像レジストレーションプロセス中に基準画像と比較することができる。基準画像は、例えば、デジタル再構成放射線写真(DRR)とすることができ、DRRは、CT画像を通した光線の投影によってX線画像形成プロセスをシミュレートすることに基づいて3-D・CT画像から生成される仮想的なX線画像である。
【0029】
一実施形態では、IGRT送達システム1200はまた、2次撮像システム1239を含む。撮像システム1239は、コーンビーム・コンピュータ断層撮影(CBCT)撮像システム、例えば、medPhoton社製のImagingRing・Systemである。代わりに、他のタイプの体積撮像システムを使用することができる。2次撮像システム1239は、アームに取り付けられた回転式ガントリ1240(例えば、リング)と、1又は2以上の軸に沿って(例えば、治療寝台1206の頭部から足部に延びる軸に沿って)回転式ガントリ1240を動かすレールシステム(図示せず)とを含む。撮像線源1245と検出器1250が、回転式ガントリ1240に取り付けられる。
【0030】
回転式ガントリ1240は、治療寝台の頭部から足部まで延びる軸の周りに360度回転することができる。従って、撮像線源1245と検出器1250は、数多くの異なる角度に位置決めすることができる。一実施形態では、撮像源1245はX線源であり、検出器1250はX線検出器である。一実施形態では、2次撮像システム1239は、別々に回転可能な2つのリングを含む。撮像源1245を第1のリングに取り付けることができ、検出器1250を第2のリングに取り付けることができる。一実施形態では、回転式ガントリ1240は、ロボットアーム1202との衝突を回避するために放射線治療送達中は治療寝台の足部に静止する。
【0031】
図1Bに示すように、画像誘導放射線治療システム1200は更に、治療送達ワークステーション150と関係付けることができる。治療送達ワークステーションは、放射線治療システム1200から離れて、放射線治療システム1200及び患者が位置する治療室とは異なる部屋に位置することができる。治療送達ワークステーション150は、本明細書に記載するように、1又は2以上の画像レジストレーションに基づく標的運動の検出に基づいて患者1225への治療送達を修正する処理デバイス(処理デバイス1230又は他の処理デバイスの場合がある)及びメモリを含むことができる。
【0032】
図1Cは、Cアーム放射線送達システム1400を示す。一実施形態では、Cアームシステム1400では、LINACのビームエネルギは、治療中に調整することができ、LINACをX線撮影及び放射線治療の両方に使用することができる。別の実施形態では、システム1400は、X線画像を生成するためのオンボードkV撮像システムと、より高エネルギの治療用放射線ビームを生成するための別個のLINACとを含むことができる。システム1400は、ガントリ1410と、LINAC1420と、ビームを成形するためにLINAC1420の遠位端と連結されたMLC1470と、ポータル撮像検出器1450とを含む。ガントリ1410は、選択された投射に対応する角度に回転させて、治療寝台1440上の患者1430についてVOIのX線画像を取得するために使用することができる。
【0033】
ポータル撮像システムを含む実施形態では、LINAC1420は、患者1430の標的を透過してポータル撮像検出器1450に入射するX線ビームを生成し、標的のX線画像を作り出すことができる。標的のX線画像が生成された後、LINAC1420のビームエネルギを増大させることができるので、LINAC1420は、患者1430の標的領域を治療するための放射線ビームを生成できる。別の実施形態では、kV撮像システムは、患者1430の標的を透過するX線ビームを生成し、標的のX線画像を作り出すことができる。一部の実施形態では、ポータル撮像システムは、治療の送達中にポータル画像を取得することができる。ポータル撮像検出器1450は、ビームが患者1430を透過した後の出射放射線フルエンスを測定することができる。これにより、内部基準又は外部基準或いは解剖学的構造の断片(例えば、腫瘍又は骨)をポータル画像内で位置付けることができる。
【0034】
代わりに、本明細書に記載するkV撮像線源又はポータル撮像装置及び運転方法は、更に他タイプのガントリベースのシステムと共に使用することができる。一部のガントリベースのシステムでは、ガントリは、アイソセンタを通る軸の周りにkV撮像線源及びLINACを回転させる。ガントリベースのシステムは、略トロイダル形状を有するリングガントリを含み、その場合、患者の体がリング/トロイドの穴を通って延在し、kV撮像線源及びLINACがリングの周囲に取り付けられ、アイソセンタを通る軸の周りに回転する。
【0035】
ガントリベースのシステムはCアームガントリを更に含むことができ、その場合、kV撮像線源及びLINACが、アイソセンタを通る軸の上方に片持ち式に取り付けられ、その軸の周りを回転する。別の実施形態では、kV撮像線源及びLINACをロボットアームベースのシステムで使用することができ、このシステムは、上述のようにkV撮像線源及びLINACが取り付けられるロボットアームを含む。本開示の態様は更に、ガントリベースのLINACシステム、放射線療法及び放射線手術と関係する静止画撮像システム、統合画像誘導を用いた陽子線治療システム、介入的画像診断及び術中X線撮像システムなど、他のこのようなシステムで使用することができる。
【0036】
上記及び本明細書に記載するシステムに関して、一実施形態では、放射線治療送達システム(例えば、いずれかの好適なタイプの)は、情報を保存するメモリと、メモリに動作可能に連結された処理デバイスとを含むことができる。様々な実施形態において、処理装置及びメモリは、いずれかの数の動作を実行するように構成/プログラムすることができる。例えば、一実施形態では、処理デバイスは、標的対象の治療計画画像を特定することができ、治療計画画像は、標的対象内の構造の配置と関連する情報を含んでいる。処理デバイスは更に、情報に基づいて、標的対象と関連する基準データセットを生成することができ、基準データは、標的対象の複数の位置を示している。
【0037】
処理デバイスは更に、基準データに基づいて第1標的対象特有モデルを生成し、これを治療計画画像に適用して、複数位置の内の第1位置に対応する変換された治療計画画像を生成することができる。処理デバイスは更に、変換された治療計画画像を基準画像と比較することができる。処理デバイスは更に、比較に基づいて、第1標的対象特有モデルの1又は2以上のハイパーパラメータを修正して、複数位置の内の第2位置に対応する第2標的対象特有モデルを生成することができる。処理デバイスは更に、第2標的対象特有モデルに基づいて放射線治療送達デバイスを制御して、標的対象に放射線治療を送達することができる。
【0038】
一実施形態では、治療計画画像は、3次元(3-D)又は4次元(4-D)の解剖学的画像の一方とすることができ、変換された治療計画画像及び基準画像は、2次元(2-D)画像とすることができる。一実施形態では、処理デバイスは、標的対象の3-D、4-D、又は他の導出された画像から第1標的対象特有モデルを構築することができる。別の実施形態では、処理デバイスは更に、標的対象と別の対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーション(deformable registration)から第1標的対象特有モデルを構築することができる。別の実施形態では、処理デバイスは更に、第1時刻の標的対象と第2時刻の標的対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーションから第1標的対象特有モデルを構築することができる。更に別の実施形態では、処理デバイスは、標的対象と合成アトラス対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーションから第1標的対象特有モデルを更に構築することができる。
【0039】
一実施形態では、本明細書に記載する対象特有モデルは、標的対象の中心アトラス、基底変換のセット、及び外観変化を備え、処理デバイスは更に、標的対象の中心アトラス、基底変換のセット、及び外観変化を線形結合させて、標的対象を見出すことのできる1又は2以上の構造の推定値を生成することができる。一実施形態では、対象特有モデルは、実データ又は合成データの内の少なくとも1つのセットに対する次元削減から展開することができる。
【0040】
一実施形態では、標的対象特有モデルの情報及び1又は2以上のパラメータを用いて、基準時刻における標的対象の解剖学的構造と画像取得時刻における標的対象の解剖学的構造との間に完全4-D時空間対応マッピングを構築することができる。更に標的対象特有モデルの情報及び1又は2以上のパラメータを用いて、画像取得時刻における標的対象の完全4-D時空間外観モデルを構築することができる。
【0041】
一実施形態では、処理デバイスは、情報の受信と同時に補助解剖学的又は擬似解剖学的信号を更に受信することができる。補助信号を第1標的対象特有モデル及び情報と相関させて、第2標的対象特有モデルの時間分解能を高めることができる。前記補助信号は、三角測量された発光ダイオード(LED)マーカのセットに基づいて光学的に取得することができる。
【0042】
本明細書に記載するように、放射線治療システムは、放射線源に連結されたガントリを必要に応じて備えることができ、その場合、ガントリは、放射線源を標的対象の周りに回転させるように構成される。一実施形態では、ガントリはCアームガンストリを含む。一実施形態では、ガントリはリングガントリを含む。放射線治療システムは、放射線源に連結されたロボットアームを必要に応じて任意に含むことができ、その場合、ロボットアームは、放射線源を円形又は楕円形の軌道に沿う複数の位置に位置決めするように構成される。一実施形態では、ロボットアームは、放射線源を標的対象周りの複数の位置に位置決めする。放射線ビーム(例えば、放射線源からの)は、キロボルト(kV)治療ビームを含むことができる。MLCは、バイナリMLCを含むことができる。機器及び機能についていずれか他の適切な組み合わせが、本明細書では更に想定される。
【0043】
図2は、本開示の実施形態による、動きに影響される治療線量を再構成するための部分変形マップを生成する方法200の第1の流れ図を示す。一般に、方法200は、ハードウェア(例えば、処理デバイス、回路、専用ロジック、プログラマブルロジック、マイクロコード、デバイスのハードウェアなど)、ソフトウェア(例えば、処理デバイス上で走らされる又は実行される命令)、又はそれらの組み合わせを含むことのできる処理ロジックで実行することができる。一部の実施形態では、方法200は、図1Aの放射線治療システム800の処理ロジックで実行することができる。
【0044】
図2に示すように、方法200は、ブロック201において処理ロジックが標的対象の治療計画画像を特定することから開始することができる。一実施形態では、治療計画画像は、標的対象の構造配置と関連する情報を含むことができる。一実施形態では、治療計画画像は、3次元(3-D)又は4次元(4-D)の解剖学的画像の一方であり、変換された治療計画画像及び基準画像は、2次元(2-D)画像である。
【0045】
ブロック203で、処理ロジックは、情報に基づいて、標的対象と関連する基準データセットを生成することができ、基準データは、標的対象の複数の位置を示している。例えば、一実施形態では、処理ロジックは、標的画像を収集し、それらを共にレジストレーションして、数ある方法の中でも、標的対象特有モデルを生成することができる。これはデータそのものとすることができ、処理ロジックは、例えばPCA法を用いて、合成データを生成することもできる。その場合、処理ロジックは、変換に対してPCAを実行することができる。次に、PCAで生成された基底を用いて、新しい変換を生成することができる。
【0046】
一実施形態では、標的対象の複数の位置は、いずれかの数の標的対象について考えられるいずれかの数の身体形状、歪み、並進、変形などを表す。複数の位置は、記載したような将来の変換で適用される、そのようなもののライブラリを表すことができる。一実施形態では、位置のライブラリは、いずれかの数の標的対象及び/又は患者からのデータを含むことができ、いずれかの数の標的対象及び/又は患者に等しく適用されるとすることができる。特定の標的対象に関連する位置だけをその標的対象に適用する必要はない。第1標的対象に関連する位置を第2標的対象に適用することができ、逆もまた同様である。
【0047】
ブロック205で、処理ロジックは、基準データ(説明したように、他の標的対象のデータを含むことができる)に基づいて、第1標的対象特有モデルを生成することができる。第1標的対象特有モデルを生成することができる1つの可能な方法は、前述のPCA実施形態であり、その場合、RCCTからの画像が全て共にレジストレーションされ、結果として得られる変換に対してPCAが実行される。他の適切な方法も想定される。
【0048】
ブロック207で、処理ロジックは、第1標的対象特有モデルを治療計画画像に適用して、複数位置の内の第1位置(例えば、標的対象の第1のもっともらしい位置)に対応する変換された治療計画画像を生成することができる。一実施形態では、本システムは、変換を生成する。この変換は、標的空間内の各点に適用される。これは、計画空間内の対応する点を生成する。次いで、計画画像の値がその点で計算され、標的空間内の出力バッファに配置される。
【0049】
次に、ブロック209での処理ロジックは、変換された治療計画画像を基準画像と比較して、変換された治療計画画像の推定精度を決定することができる。一実施形態では、これは、変換された画像が基準画像にどれだけよく一致するかを評価しようとするいずれかの適切な「画像一致」関数で決定することができる。基本的な関数は差の二乗和となり、その場合、処理ロジックは、各ピクセルで2つの画像を減算し、差を二乗し、それらを全て合計することができる。他の実施形態では、処理ロジックは機械学習を用いて、画像一致関数を学習することができる。
【0050】
その比較に基づいて、ブロック211での処理ロジックは、第1標的対象特有モデルの1又は2以上のハイパーパラメータ(例えば、1又は2以上の標的対象の1又は2以上の位置と関連するパラメータ)を修正して、複数位置の内の第2位置に対応する第2標的対象特有モデルを生成することができる。一実施形態では、第2位置は、第1位置よりも現在の標的対象の位置をより正確に表現するものとすることができる。次に、ブロック213での処理デバイスは、第2標的対象特有モデルに基づいて放射線治療送達デバイスを制御して、標的対象に放射線治療を送達することができる。一実施形態では、対象特有モデルは、実データ又は合成データの内の少なくとも1つのセットに対する次元削減を用いて展開することができる。
【0051】
一実施形態では、標的対象特有モデルの情報及び1又は2以上の(ハイパー)パラメータを用いて、基準時刻における標的対象の解剖学的構造と画像取得時刻における標的対象の解剖学的構造との間に完全4-D時空間対応マッピングを構築することができる。更に、必要に応じて、標的対象特有モデルの情報及び1又は2以上のパラメータを用いて、画像取得時刻における標的対象の完全4-D時空間外観モデルを構築することができる。
【0052】
図3は、本開示の実施形態による、動きに影響される治療線量を再構成するための部分変形マップを生成する方法の第2の流れ図300を示す。一般に、方法300は、ハードウェア(例えば、処理デバイス、回路、専用ロジック、プログラマブルロジック、マイクロコード、デバイスのハードウェアなど)、ソフトウェア(例えば、処理デバイス上で走らされる又は実行される命令)、又はそれらの組み合わせを含むことのできる処理ロジックで実行することができる。一部の実施形態では、方法300は、図1Aの放射線治療システム800の処理ロジックで実行することができる。一部の実施形態では、方法300は、必要に応じて図2の方法200及び/又は図4の方法400を補完する。
【0053】
図3に示すように、方法300は、ブロック301において処理ロジックが標的対象の3-D、4-D、又は他の導出された画像から第1標的対象特有モデルを構築することで開始することができる。代わりに、又はそれに加えて、ブロック303において、処理ロジックは、標的対象と別の対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーションから第1標的対象特有モデルを構築することができる。代わりに、又はそれに加えて、ブロック305において、処理ロジックは、第1時刻の標的対象と第2時刻の標的対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーションから第1標的対象特有モデルを構築することができる。代わりに、又はそれに加えて、ブロック307において、処理ロジックは、標的対象と合成アトラス対象との間の少なくとも1つの非剛体レジストレーションから第1標的対象特有モデルを構築することができる。
【0054】
図4は、本開示の実施形態による、動きに影響される治療線量を再構成するための部分変形マップを生成する方法400の第3の流れ図を示す。一般に、方法400は、ハードウェア(例えば、処理デバイス、回路、専用ロジック、プログラマブルロジック、マイクロコード、デバイスのハードウェアなど)、ソフトウェア(例えば、処理デバイス上で走らされる又は実行される命令)、又はそれらの組み合わせを含むことのできる処理ロジックで実行することができる。一部の実施形態では、方法400は、図1Aの放射線治療システム800の処理ロジックで実行することができる。一部の実施形態では、方法400は、必要に応じて図2の方法200及び/又は図3の方法300を補完する。
【0055】
一実施形態では、対象特有モデル(例えば、図2のブロック205、207、211、及び213のモデル)は、標的対象の中心アトラス、基底変換のセット及び外観変化を備える。その場合、ブロック401又は図での処理ロジックは、中心アトラス、基底変換のセット、及び外観変化を線形結合させて、標的対象を見出すことのできる1又は2以上の構造の推定値を生成することができる。ブロック403で、処理ロジックは必要に応じて、情報の受信と同時に補助解剖学的又は擬似解剖学的信号を受信することができる。補助解剖学的又は擬似解剖学的信号は、いずれかの数の好適な特徴を有することができる。例えば、一実施形態では、補助信号を第1標的対象特有モデル及び情報と相関させて、第2標的対象特有モデルの時間分解能を高めることができる。別の実施形態では、補助信号は、三角測量された発光ダイオード(LED)マーカのセットに基づいて光学的に取得される。
【0056】
ここで、本明細書に記載した方法200、300、及び400を参照しながら、様々な任意の実施形態を説明する。例えば、先行する4-D・CT画像及び4-D変形マップの、限られたビューデータを用いた精緻化を説明する。この構想は、呼吸運動又は他の周期的運動に影響される患者の解剖学的構造に対する時間依存変形マップを計算する能力を向上させることに重点を置くものである。一実施形態では、1つ又は限られた数の2-D投影ビューから3-D変形マップを再構成することに関係する困難を簡単にするために、本開示は、それまでに取得された4-D・CT及び対応する3-D変形マップのセットの使用を実現する。このアイデアは、ビュー又は一連のビューと最もよく一致する呼吸位相を決定し(例えば、外部振幅測定を用いて、又は直接、ビューをデジタル再構成放射線写真(DRR)と比較することによって)、次に、その呼吸位相と関連する変形マップに小さな調整を行って、変形された3D画像のDRRを観察された2Dビュー(複数可)によりよく一致させるものである。変形マップに対するこれらの小さな調整を更に制約して、4-D・CT及び関連する4-D変形マップの隣接位相間に既に存在する運動の方向を支持することができる。
【0057】
この手法の利点の1つは、1つ又は僅か一握りのビューから患者の変形を推定できることである。別の利点は、それによって、トモセラピ又はコーンビームCTシステムなどの低速回転撮像システムについて非剛体運動の推定が可能となることである。
【0058】
別の任意の強化には、動きに影響される治療線量を再構成するための部分変形マップの使用が含まれる。この構想は、動きに影響される線量計算を改善するために、治療中に同時取得された場合に利用できる可能性のある限られた画像データを用いることに重点を置いている。一知見によると、いずれかの時点で送達される治療線量のほとんどは、患者の小領域に限定されることが多い。例えば、トモセラピでは、一度に標的の一分画しか扱わず、治療送達の経過と共に標的を横切って掃引されるファンビームを用いて、線量が送達される。治療中に患者が動いている場合、送達される線量は、治療ビームがその線量を送達している瞬間に治療ビームの下で生じている動きに最も影響される。それゆえ、治療送達内のいずれの時刻についても、その瞬間の治療ビーム下の領域における患者の動き(例えば、変形マップ)を知るだけでよい。
【0059】
治療送達と同時に患者を撮像し、同時に治療ビーム下にある患者の当該部分周りの限られた視野だけを有するという例示的な実施形態が想定される。各時点で現れる患者の変形マップを再構成することが可能であり、これは、標的周囲の領域においてのみ、変形データを含む(又は正確なデータを含む)。動きに影響される線量再構成のためには、患者の完全な変形マップが常に利用できるとは限らないとしても、これで線量を正確に計算するのに十分である可能性がある。
【0060】
有効な治療位置の周りの限られた視野についてだけ変形を計算することに加えて、治療ビームに直交する2次元での変形を計算するだけでよい場合がある。一部の実施形態では、治療ビームに平行な方向の変形はあまり重要でない可能性があり、なぜなら、この方向では線量勾配が小さく、計算された線量の全体的な精度にあまり影響を与えないからである。有利なことに、限られた数の次元で変形を計算することは、他の用途-例えば、運動追跡、リアルタイム送達適応、4-D画像再構成など-にも応用できる可能性がある。
【0061】
別の任意の強化には、4-D・CTと直接的にX線ビューからの4-D変形とに関する5-Dモデルを使用することが含まれる。この構想は、呼吸運動又は他の周期的運動に影響される患者の解剖学的構造に対する時間依存変形マップを計算する能力を向上させることに重点を置くものである。
【0062】
一部の実施形態では、時間依存CT画像(例えば、「4-D・CT」)を再構成する方法は、単相3-D・CTに加えて、外部でモニタされた呼吸振幅及び呼吸数に依存する、各ボクセルと関連する変形関数を導出するステップを含む。これは、3つの空間次元+呼吸振幅+呼吸数を指して、SDCTと呼ばれることがある。この方法は、高速CTスキャナ(例えば、「シネ」取得モードでのスライス取得)で既に再構成された2D画像スライスを既に有することに依拠している。
【0063】
一実施形態では、この新しい構想は、再構成された2-D画像スライスに依拠せず、その代わりに、再構成が実行される前に撮像システムで取得された1-D又は2-D投影ビューに直接働きかけるものである。この構想は、単相CT画像再構成を実行すると同時に時間依存変形マップを導出し、この変形が各ボクセルの振幅と速度の線形関数としてモデル化できるという仮定を用いて、自由度を減らして問題をより扱いやすくするというものである。単相CTと変形マップの両機能を収束するまで反復して更新するように設計された反復再構成として、これを実装することが想定できよう。一実施形態では、反復更新方式は、取得された各2-Dに2-Dで計算された変形を逆投影することによって計算された変形マップ上の勾配を使用することができる。一実施形態では、動きを無視して再構成された3-D・CTを反復最適化の出発点として使用することができる。この手法の利点の1つは、これがトモセラピ又はコーンビームCTシステムなどの低速回転撮像システム上で機能できるということである。
【0064】
図5は、本明細書で論じる方法論の内のいずれか1つ又は2つ以上をシステムに実行させるための命令セットを内部で実行することができる種々のシステム600の例を示す。別の実施態様では、このマシンをLAN、イントラネット、エクストラネット、及び/又はインタネットで他のマシンに接続(例えば、ネットワーク接続)することができる。 各システムは、クライアントサーバ・ネットワーク環境のサーバ又はクライアントマシンの立場で、ピアツーピア(又は分散型)ネットワーク環境のピアマシンとして、或いはクラウドコンピューティング基盤又は環境のサーバ又はクライアントマシンとして、動作することができる。
【0065】
本システムは、マシンが行う動作を指定する(逐次的な又は別な方法の)命令セットを実行することができるマシンである。更に、単一のマシンを示しているが、用語「マシン」はまた、本明細書で論じる方法論の内のいずれか1つ又は2つ以上を実行するために1つ(又は複数)の命令セットを個々に又は共同で実行するいずれかのマシン集合を含むものと見なすべきである。
【0066】
以下に記載し図5に示すように、システム600は、画像診断システム605、治療計画システム610、及び治療送達システム615を含むことができる。画像診断システム605は、その後の医学的診断、治療計画、治療シミュレーション及び/又は治療送達のために使用できる患者の医学的診断画像を生成することが可能ないずれかのシステムとすることができる。例えば、画像診断システム605は、コンピュータ断層撮影(CT)システム、磁気共鳴画像(MRI)システム、陽電子放出断層撮影(PET)システム、このようなシステムの組み合わせなどとすることができる。議論しやすいように、画像診断システム605は、以下で時にはX線撮像モダリティに関連して論じる場合がある。他の実施形態では、前述のような別の撮像モダリティも使用することができる。
【0067】
一実施形態では、画像診断システム605は、撮像ビーム(例えば、X線)を生成するための撮像線源620と、撮像線源620で生成されたビーム、或いは撮像線源からのビームによって誘発された二次ビーム又は二次放出(例えば、MRIスキャン又はPETスキャンにおいて)を検出し受け取る撮像検出器630とを含む。
【0068】
一実施態様では、撮像線源620と撮像検出器630とをデジタル処理システム625に繋いで、撮像動作を制御し、画像データを処理することができる。一実施形態では、画像診断システム605は、治療送達システム615及び/又は治療計画システム610から撮像コマンドを受信することができる。
【0069】
画像診断システム605は、デジタル処理システム625、撮像線源620及び撮像検出器630の間でデータ及びコマンドを転送するためのバス又は他の手段680を含む。デジタル処理システム625は、1又は2以上の汎用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、デジタル信号プロセッサ(DSP)などの専用プロセッサ、或いはコントローラ又はフィールドプログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)などの他タイプの処理デバイスを含むことができる。デジタル処理システム625はまた、メモリ、記憶デバイス、ネットワークアダプタなどの他の構成要素(図示せず)を含むことができる。デジタル処理システム625は、例えば、Digital Imaging and Communications in Medicine(DICOM)形式などの標準形式でデジタル診断画像を生成するように構成することができる。
【0070】
別の実施形態では、デジタル処理システム625は、他の標準又は非標準のデジタル画像形式を生成することができる。デジタル処理システム625は、データリンク683を介して治療送達システム615に診断画像ファイル(例えば、前述のDICOM形式のファイル)を送信することができ、そのデータリンクは例えば、ダイレクトリンク、ローカルエリア・ネットワーク(LAN)リンク、又はインタネットなどのワイドエリア・ネットワーク(WAN)リンクとすることができる。更に、システム間で転送される情報は、遠隔診断又は治療計画構成などにおいて、システムを接続する通信媒体を介してプル又はプッシュされるとすることができる。遠隔診断又は治療計画では、システムユーザと患者の間に物理的分離があるにも拘わらず、ユーザは本開示の実施態様を利用して、患者を診断又は治療することができる。
【0071】
一実施形態では、治療送達システム615は、治療計画に準拠して標的体積に所定の放射線量を処方するために、治療用及び/又は外科用の放射線源660を含む。治療送達システム615はまた、コーンビームCTなどのコンピュータ断層撮影(CT)を実行するための撮像システム665を含むことができ、撮像システム665によって生成された画像は2次元(2-D)又は3次元(3-D)とすることができる。
【0072】
治療送達システム615はまた、放射線源660を制御し、画像診断システム605及び/又は治療計画システム610からデータを受信して処理し、治療寝台675などの患者支持デバイスを制御するために、デジタル処理システム670を含むこともできる。デジタル処理システム670は、カメラフィードバック・システムに接続される、又はその一部とすることができる。デジタル処理システム670は、本明細書に記載する動作のいずれかを実行するように構成することができる。デジタル処理システム670は、1又は2以上の汎用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、デジタル信号プロセッサ(DSP)などの専用プロセッサ、或いはコントローラ又はフィールドプログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)などの他タイプのデバイスを含むことができる。デジタル処理システム670の処理デバイスは、本明細書に記載する動作を行うための命令を実行するように構成することができる。
【0073】
一実施形態では、デジタル処理システム670は、情報と処理デバイスが実行する命令とを保存するために、処理デバイスに繋がれた、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含むことのできるシステムメモリ又は他の動的記憶デバイスを含む。システムメモリはまた、処理デバイスによる命令の実行中に一時変数又は他の中間情報を保存するために使用することができる。システムメモリはまた、静的情報と処理デバイスに対する命令とを保存するために、読出し専用メモリ(ROM)又は他の静的記憶デバイスを含むことができる。
【0074】
デジタル処理システム670はまた、情報及び命令を保存するための1又は2以上の記憶デバイス(例えば、磁気ディスクドライブ又は光ディスクドライブ)を意味する記憶デバイスを含むことができる。記憶デバイスは、本明細書で論じる治療送達ステップを実行する命令を保存するために使用することができる。デジタル処理システム670は、バス692又は他タイプの制御及び通信インタフェースによって放射線源660及び治療寝台675に繋ぐことができる。
【0075】
一実施態様では、治療送達システム615は、バス692を介してデジタル処理システム670と接続された入力デバイス678及びディスプレイ677を含む。ディスプレイ677は、標的の移動速度(例えば、治療中の標的体積の移動速度)を特定するトレンドデータを示すことができる。ディスプレイはまた、患者の現在の放射線曝露量と、患者に投射される放射線曝露量とを示すことができる。入力デバイス678により、臨床医は治療中に治療送達計画のパラメータを調整することができる。
【0076】
治療計画システム610は、治療計画及び/又はシミュレーション計画を生成し修正するための処理デバイス640を含む。処理デバイス640は、1又は2以上の汎用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、デジタル信号プロセッサ(DSP)などの専用プロセッサ、或いはコントローラ又はフィールドプログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)などの他タイプのデバイスを表すとすることができる。処理デバイス640は、本明細書で論じるシミュレーション生成動作及び/又は治療計画動作を行うための命令を実行するように構成することができる。
【0077】
治療計画システム610はまた、情報と処理デバイス670が実行する命令とを保存するために、バス686によって処理デバイス640に繋がれた、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含むことのできるシステムメモリ635又は他の動的記憶デバイスを含むことができる。システムメモリ635はまた、処理デバイス640による命令の実行中に一時変数又は他の中間情報を保存するために使用することができる。システムメモリ635はまた、静的情報と処理デバイス640に対する命令とを保存するために、バス686に繋がれた読出し専用メモリ(ROM)及び/又は他の静的記憶デバイスを含むことができる。
【0078】
治療計画システム610はまた、情報及び命令を保存するためにバス686に繋がれた1又は2以上の記憶デバイス(例えば、磁気ディスクドライブ又は光ディスクドライブ)を意味する記憶デバイス645を含むことができる。記憶デバイス645は、本明細書で論じる治療計画ステップを実行する命令を保存するために使用することができる。
【0079】
処理デバイス640はまた、情報(例えば、VOIの2次元又は3次元表現)をユーザに表示するために、陰極線管(CRT)又は液晶ディスプレイ(LCD)などの表示デバイス650に繋ぐことができる。キーボードなどの入力デバイス655は、情報及び/又はコマンド選択を処理デバイス640に伝達するために処理デバイス640に繋ぐことができる。1又は2以上の他のユーザ入力デバイス(例えば、マウス、トラックボール又はカーソル方向キー)もまた、方向情報を伝達し、処理デバイス640に対するコマンドを選択し、ディスプレイ650上のカーソル移動を制御するために使用することができる。
【0080】
治療計画システム610は、そのデータベース(例えば、記憶装置645に保存されたデータ)を治療送達システム615などの治療送達システムと共有することができるので、治療送達に先立って治療計画システムからエクスポートする必要はない。治療計画システム610は、データリンク690を介して治療送達システム615にリンクさせることができ、一実施形態では、そのデータリンクは直接リンク、LANリンク、又はWANリンクとすることができる。
【0081】
データリンク683、686、及び690がLAN又はWAN接続として実装される場合、画像診断システム605、治療計画システム610及び/又は治療送達システム615のいずれをも分散配置にすることができるので、システムは互いに物理的に離れていてもよいことに留意されたい。代わりに、画像診断システム605、治療計画システム610及び/又は治療送達システム615のいずれかを1又は2以上のシステムに互いに統合することができる。
【0082】
前述の説明から、本開示の態様は、少なくとも部分的にソフトウェアで具体化できることが明らかであろう。すなわち、本技法は、処理デバイス625、640、又は670(図5参照)に応答して、例えば、メモリに収容された命令シーケンスを実行することにより、コンピュータシステム又は他のデータ処理システムで実行することができる。様々な実施態様では、ハードウェア回路をソフトウェア命令と組み合わせて使用し、本開示を実装することができる。従って、本技法は、ハードウェア回路とソフトウェアのいずれか特定の組み合わせに、又はデータ処理システムで実行される命令用のいずれか特定ソースに限定されない。更に、本明細書全体を通して、説明を簡単にするために、様々な機能及び動作をソフトウェアコードによって実行される又は生じるものとして記述することができる。しかしながら、そのような表現によって示されるのは、それらの機能が処理デバイス625、640、又は670によるコードの実行から生じるということであると当業者は認識しよう。
【0083】
汎用又は専用のデータ処理システムによって実行された時にそのシステムに本開示の様々な方法を実行させるソフトウェア及びデータを保存するために、コンピュータ可読媒体を使用することができる。この実行可能なソフトウェア及びデータは、例えば、システムメモリ及び記憶装置、或いはソフトウェアプログラム又はデータの内の少なくとも1つを保存することができるいずれか他のデバイスを含めて、様々な場所に保存することができる。従って、機械可読媒体は、マシン(例えば、コンピュータ、ネットワークデバイス、携帯情報端末、製造用ツール、1又は2以上のプロセッサのセットを備えたいずれかのデバイスなど)によってアクセス可能な形式で情報を提供する(すなわち、保存する)いずれかの機構を含む。例えば、機械可読媒体は、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイスなどの記録可能/記録不可能な媒体を含む。機械可読媒体は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体であるとすることができる。
【0084】
前述の説明から明らかなように、特に明記しない限り、「受け取る」、「位置決めする」、「実行する」、「放出する」、「引き起こす」などの用語は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的な(例えば、電子的な)量として表されるデータを操作して、コンピュータシステムのメモリ又はレジスタ又は他のこのような情報記憶装置又は表示デバイス内の物理量として同様に表される別データに変換する、コンピュータシステム又は同様の電子コンピューティングデバイスの動作及び処理を指すことができると理解されよう。本明細書に記載する方法の実施態様は、コンピュータソフトウェアを用いて実装することができる。公認規格に準拠するプログラミング言語で書かれている場合、本方法を実装するように設計された命令シーケンスは、様々なハードウェアプラットフォーム上で実行するため、並びに様々なオペレーティングシステムにインタフェース接続するためにコンパイルすることができる。更に、本開示の実施態様は、いずれか特定のプログラミング言語に関連して説明されない。様々なプログラミング言語を用いて本開示の実施態様を実装することができると理解されよう。
【0085】
本明細書に記載する方法及び装置は、医療診断撮像及び治療での使用だけに限定されないことに留意されたい。別の実施態様では、本明細書の方法及び装置は、工業用撮像及び材料の非破壊検査など、医療技術分野以外の用途で使用することができる。そのような用途では、例えば、「治療」は一般に、ビーム(例えば、放射線、音響など)の適用など、治療計画システムによって制御される動作の遂行を指すとすることができ、「標的」は非解剖学的な物体又は領域を指すとすることができる。
【0086】
上述の明細書では、その特定の例示的な実施態様に関連して本開示を説明した。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載される本開示のより広範な趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更をそれらに加えることができることは明らかであろう。従って、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮すべきである。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】