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特表2023-502548医療用抗菌織物用繊維及びその製造方法
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  • 特表-医療用抗菌織物用繊維及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-24
(54)【発明の名称】医療用抗菌織物用繊維及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D01F 6/62 20060101AFI20230117BHJP
   D01D 5/253 20060101ALI20230117BHJP
   D03D 15/37 20210101ALI20230117BHJP
   D03D 15/50 20210101ALI20230117BHJP
【FI】
D01F6/62 303F
D01D5/253
D03D15/37
D03D15/50
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022540453
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(85)【翻訳文提出日】2022-06-29
(86)【国際出願番号】 CN2020095716
(87)【国際公開番号】W WO2021135084
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】201911386331.2
(32)【優先日】2019-12-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518015734
【氏名又は名称】江蘇恒力化繊股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尹 立新
(72)【発明者】
【氏名】魏 存宏
(72)【発明者】
【氏名】朱 承乾
(72)【発明者】
【氏名】蒋 麗波
【テーマコード(参考)】
4L035
4L045
4L048
【Fターム(参考)】
4L035AA05
4L035BB31
4L035BB89
4L035BB91
4L035CC07
4L035JJ04
4L035KK05
4L045BA14
4L045CB01
4L045DA19
4L045DA42
4L048AA20
4L048AA34
4L048AA37
4L048AA42
4L048AA43
4L048AA46
4L048AA48
4L048AA49
4L048AA51
4L048AA55
4L048AA56
4L048AC00
4L048AC12
4L048CA00
4L048CA04
4L048DA22
(57)【要約】
抗菌ポリエステル溶融体を、紡糸口金上のY字型吐出孔から圧出した後、環状吹きで冷却し、FDY工程に従ってFDYを製造し、弛緩熱処理を経て製造される医療用抗菌織物用繊維の製造方法であって、異なるY字型吐出孔の3つのスリットの形状及び大きさは同一であり、全てのY字型吐出孔は同心円を成すように位置し、且つ各Y字型吐出孔の最短スリットはランダムに配向する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌ポリエステル溶融体を、紡糸口金上のY字型吐出孔から圧出した後、環状吹きで冷却し、FDY工程に従ってFDYを製造し、弛緩熱処理を経て製造される医療用抗菌織物用繊維の製造方法であって、
Y字型吐出孔のY型の3つのスリットの長さの比率が1.0:1.5~2.5:1.5~2.5であり、前記3つのスリットの幅は同一であり、最短スリットの長幅比は2.5~3.5:1であり、互いに隣接する2つのスリットの中心線のなす角は120°であり、異なるY字型吐出孔の3つのスリットの形状及び大きさは同一であり、
全てのY字型吐出孔は同心円を成すように位置し、且つ各Y字型吐出孔の最短スリットはランダムに配向する、
ことを特徴とする医療用抗菌織物用繊維の製造方法。
【請求項2】
前記抗菌ポリエステル溶融体の固有粘度は0.50~0.55dL/gである、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療用抗菌織物用繊維の製造方法。
【請求項3】
前記抗菌ポリエステルは主にポリエステル及びその中に分散された抗菌剤からなり、前記抗菌剤は銀系の抗菌剤であり、銀イオンの含有量は100~300ppmである、
ことを特徴とする請求項2に記載の医療用抗菌織物用繊維の製造方法。
【請求項4】
前記FDY工程のパラメータは、紡糸温度は270~280℃、冷却吹き温度は20~25℃、冷却風速度は1.80~2.30m/s、第1ローラ速度は1800~2000m/min、第1ローラ温度は85~95℃、第2ローラ速度は2700~2900m/min、第2ローラ温度は150~170℃、巻取速度は2640~2830m/minである、
ことを特徴とする請求項3に記載の医療用抗菌織物用繊維の製造方法。
【請求項5】
弛緩熱処理温度は90~120℃、処理時間は20~30minである、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療用抗菌織物用繊維の製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の医療用抗菌織物用繊維の製造方法により製造される医療用抗菌織物用繊維であって、
立体捲縮形態を有し、且つ断面がY字型を成す複数の抗菌ポリエステル単糸からなる、
ことを特徴とする医療用抗菌織物用繊維。
【請求項7】
捲縮収縮率は26~29%、捲縮安定度は78~82%、捲縮伸長率は55~62%、捲縮弾性回復率は70~75%である、
ことを特徴とする請求項6に記載の医療用抗菌織物用繊維。
【請求項8】
破断強度は2.4~2.6cN/dtex、破断伸長率は55.0±5.0%、単糸繊度は1.00~1.50dtexである、
ことを特徴とする請求項6に記載の医療用抗菌織物用繊維。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概してポリエステル繊維製造技術に関し、より詳しくは、一種の医療用抗菌織物用繊維及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療衛生事業の強化と共に、多くの医療用紡績品が生まれている。衣類用紡績品と違って、医療用紡績品は主に抗菌性と実用性が要求されている。衣類用紡績品は消費者の着心地に対する欲求を満たすために様々な原料を採用しなければならないけれども、ほとんどの医療用紡績品が使い捨て用品であるので、できるだけ少ない原料を使うのは製造コストが削減できる。改質または変型がしやすいポリエステル繊維は医療用紡績品に広く応用されていたが、その弾性を与える加工は一般的に仮撚又は複合紡糸として、製造コストを向上させることになる。
【0003】
よって、便利な工程で捲縮弾性を有する医療用紡績品向け繊維を製造することは、意味深い課程である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の医療用紡績品向けポリエステル繊維に捲縮弾性を与えることに関する技術の複雑性の問題を克服し、一種の医療用抗菌織物用繊維及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため本発明は、抗菌ポリエステル溶融体を、紡糸口金上のY字型吐出孔から圧出した後、環状吹きで冷却し、FDY工程に従ってFDYを製造し、弛緩熱処理を経て製造される医療用抗菌織物用繊維の製造方法であって、
Y字型吐出孔のY型の3つのスリットの長さの比率が1.0:1.5~2.5:1.5~2.5であり、前記3つのスリットの幅は同一であり、最短スリットの長幅比は2.5~3.5:1であり、互いに隣接する2つのスリットの中心線のなす角は120°であり、異なるY字型吐出孔の3つのスリットの形状及び大きさは同一であり、
全てのY字型吐出孔は同心円を成すように位置し、且つ各Y字型吐出孔の最短スリットはランダムに配向する医療用抗菌織物用繊維の製造方法を提供する。
即ち、紡糸口金上に複数のY字型吐出孔を設け、各Y字型吐出孔はいずれもスリットI、スリットII及びスリットIIIを含み、異なるY字型吐出孔のスリットIは、いずれも3つのスリットのうち、最短のスリットであり、一つのY字型吐出孔におけるスリットI、スリットII及びスリットIIIの長さの比率は1.0:1.5~2.5:1.5~2.5であり、一つのY字型吐出孔におけるスリットI、スリットII及びスリットIIIの幅は同一であり、スリットIの長幅比は2.5~3.5:1である。一つのY字型吐出孔におけるスリットIとスリットIIの中心線がなす角は120°であり、スリットIIとスリットIIIの中心線がなす角は120°であり、スリットIとスリットIIIの中心線がなす角は120°である。また、異なるY字型吐出孔における3つのスリットの形状および大きさは同一であり、すべてのY字型吐出孔のスリットIは、ランダムに配向して配置される。
【0006】
本発明に係る好適態様を以下に示す。
【0007】
前記医療用抗菌織物用繊維の製造方法において、抗菌ポリエステル溶融体の固有粘度は0.50~0.55dL/gである。
【0008】
前記医療用抗菌織物用繊維の製造方法において、抗菌ポリエステルは主にポリエステル及びその中に分散された抗菌剤からなり、前記抗菌剤は銀系の抗菌剤であり、銀イオンの含有量は100~300ppmである。
【0009】
前記医療用抗菌織物用繊維の製造方法において、FDY工程のパラメータは、紡糸温度は270~280℃、冷却吹き温度は20~25℃、冷却風速度は1.80~2.30m/s、第1ローラ速度は1800~2000m/min、第1ローラ温度は85~95℃、第2ローラ速度は2700~2900m/min、第2ローラ温度は150~170℃、巻取速度は2640~2830m/minである。
【0010】
前記医療用抗菌織物用繊維の製造方法において、弛緩熱処理理温度は90~120℃、処理時間は20~30minである。
【0011】
本発明は、前記好適態様のいずれか一項に記載する方法で製造される医療用抗菌織物用繊維も提供する。すなわち、立体捲縮形態を有し、且つ断面がY字型を成す複数の抗菌ポリエステル単糸からなる医療用抗菌織物用繊維を提供する。
【0012】
好ましくは、前記医療用抗菌織物用繊維について、
中国国家標準規格GB6506-2001によって、捲縮収縮率は26~29%、捲縮安定度は78~82%、捲縮伸長率は55~62%、捲縮弾性回復率は70~75%であり、
破断強度は2.4~2.6cN/dtex、破断伸長率は55.0±5.0%、単糸繊度は1.00~1.50dtexである。
【0013】
発明原理としては以下の通りである。
【0014】
本発明における医療用抗菌織物用繊維は、FDY工程に従って製造され、抗菌ポリエステル溶融体を長さの異なる3つのスリットを有するY字型吐出孔により圧出し、環状吹きで冷却する。吐出孔のY字型は非対称な構造であるため、1つのスリットは、Y字型吐出孔の最前で冷却風に当たり、且つ冷却風と接触する表面は当該スリット表面の全体である。その他の2つのスリットは、冷却風が吹き当たる表面のみで冷却風と接触する。繊維が自発吐出した後、断面上の位置によって溶融体の冷却速度が異なるため、主に、以下のように現れる。即ち、紡糸時、冷却風速は1.80~2.30m/sであるが、吹き出し口に近い部分は風速がより速く、より速く冷却され、吹き出し口から遠い部分は風速がより遅く、より遅く冷却される。Y字型吐出孔のY字中の一つのスリットが、冷却風に当たる際、当該スリットの溶融体は速く冷却され、Y字中のその他のスリットは冷却が遅い。紡糸張力により、Y字中のその他の部分は、細くなりやすくて内応力が集中する。この種の断面の応力及び太さが非対称な繊維は、熱処理または延伸過程において、立体捲縮性能を示し、且つ捲縮が良く、繊維の弾性回復率が大きい。
【0015】
なお、一のフィラメントの束において、単糸の捲縮方向が異なる。これは、すべてのY字型吐出孔が同心円を成すように位置し、且つ各Y字型吐出孔の最短スリットがランダムに配向するため、非対称な応力の方向も異なり、捲縮方向がさらに異なるためである。従って、捲縮方向が異なる単糸が一のフィラメントの束中に「乱雑」に生じ、当該繊維は嵩高で厚い手触りとなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の利点としては、
(1)本発明に提出した方法において、非対称的なY字型吐出孔を有する紡糸口金でポリエステルFDYを紡糸して、冷却吹きに当たる糸条の断面内応力を非対称にして、得られた医療用抗菌織物用繊維に捲縮形態を与える。
(2)本発明に提出した医療用抗菌織物用繊維は、仮撚加工を経ずに、弛緩熱処理で捲縮弾性も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明におけるY字型吐出孔の見取り図である。
図2】本発明における口金の吐出孔配置概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施例を挙げてさらに詳細に本発明を説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、本発明の内容を読んだこの分野の技術者が本発明を様々に修正しても、それは本発明の等価形として、本発明の請求の範囲内に入る。なお、実施例における種々の物性および特性の測定方法は下記のとおりである。
本発明におけるY字型吐出孔の見取図は図1、口金の吐出孔配置概念図は図2に示す。Y字型吐出孔について、長さの比率が1.0:1.5~2.5:1.5~2.5であり、幅が同じである三つのスリットを有し、そのうち、最短スリットの長幅比は2.5~3.5:1であり、互いに隣接する2スリットの中心線のなす角は120°であり、そして全てのY字型吐出孔は同心円によって配列しながらそれらの最短スリットはランダムに配向する。
図1図2はただ表示のためであって、本発明を限定することがない。
【0019】
実施例1
医療用抗菌織物用繊維の製造方法は、銀系抗菌剤RHA-02が銀イオン含量100ppmで分散されたポリエステル(固有粘度0.54dL/g)を、口金のY字型吐出孔により圧出し環状吹きで冷却してFDYにし、さらに弛緩熱処理する。そのうち、
Y字型吐出孔は長さの比率が1.0:1.7:1.5であり幅が同一である三つのスリットを有し、最短スリットの長幅比は3.3:1であり、互いに隣接する2スリットの中心線のなす角は120°であり;
そしてY字型吐出孔は、数量が24であり等間隔で円形状に位置し、さらに、ある吐出孔の最短スリットの中心線を基準線として、ほかの吐出孔の最短スリットの中心線と基準線とのなす角は、時計回りにより表記すれば、それぞれ10°、60°、2°、30°、90°、15°、22°、90°、1°、3°、170°、40°、45°、30°、10°、100°、106°、100°、41°、80°、65°、2°、50°であり;
FDY工程のパラメータは、紡糸温度は278℃、冷却吹き温度は23℃、冷却風速度は2.19m/s、第1ローラ速度は1960m/min、第1ローラ温度は92℃、第2ローラ速度は2800m/min、第2ローラ温度は163℃、巻取速度は2740m/minであり;
弛緩熱処理理温度は109℃、処理時間は21minである。
得られた医療用抗菌織物用繊維は、複数のY字型断面単糸を含み、捲縮形態であり、その捲縮収縮率が26%、捲縮安定度が80%、捲縮伸長率が57%、捲縮弾性回復率が70%、破断強度が2.4cN/dtex、破断伸長率が60%、単糸繊度が1.10dtexとする。
【0020】
実施例2
医療用抗菌織物用繊維の製造方法は、銀系抗菌剤RHA-02が銀イオン含量300ppmで分散されたポリエステル(固有粘度0.55dL/g)を、口金のY字型吐出孔により圧出し環状吹きで冷却してFDYにし、さらに弛緩熱処理理する。そのうち、
Y字型吐出孔は長さの比率が1.0:1.5:1.9であり、幅が同一である三つのスリットを有し、最短スリットの長幅比は2.8:1とし、互いに隣接する2スリットの中心線のなす角は120°であり;
そしてY字型吐出孔は、数量が24であり等間隔で円形状に位置し、さらに、ある吐出孔の最短スリットの中心線を基準線として、ほかの吐出孔の最短スリットの中心線と基準線とのなす角は、時計回りにより表記すれば、それぞれ28°、162°、64°、3°、6°、105°、22°、90°、1°、3°、170°、40°、45°、30°、10°、100°、106°、100°、41°、80°、65°、2°、50°であり;
FDY工程のパラメータは、紡糸温度は278℃、冷却吹き温度は23℃、冷却風速度は2.19m/s、第1ローラ速度は1970m/min、第1ローラ温度は92℃、第2ローラ速度は2820m/min、第2ローラ温度は168℃、巻取速度は2760m/minであり;
弛緩熱処理理温度は109℃、処理時間は20minである。
得られた医療用抗菌織物用繊維は、複数のY字型断面単糸を含み、捲縮形態であり、その捲縮収縮率が26%、捲縮安定度が80%、捲縮伸長率が58%、捲縮弾性回復率が70%、破断強度が2.45cN/dtex、破断伸長率が58%、単糸繊度が1.20dtexである。
【0021】
実施例3
医療用抗菌織物用繊維の製造方法は、銀系抗菌剤RHA-02が銀イオン含量290ppmで分散されたポリエステル(固有粘度0.54dL/g)を、口金のY字型吐出孔により圧出し環状吹きで冷却してFDYにし、さらに弛緩熱処理理する。そのうち、
Y字型吐出孔は長さの比率が1.0:2.0:2.5として幅が同一である三つのスリットを有し、最短スリットの長幅比は3.5:1であり、互いに隣接する2スリットの中心線のなす角は120°であり;
そしてY字型吐出孔は、数量が30として等間隔で円形状に位置し、さらに、ある吐出孔の最短スリットの中心線を基準線として、ほかの吐出孔の最短スリットの中心線と基準線とのなす角は、時計回りにより表記すれば、それぞれ10°、60°、2°、30°、90°、15°、22°、90°、1°、3°、170°、40°、45°、30°、10°、100°、106°、100°、41°、80°、65°、2°、50°、28°、162°、64°、3°、6°、105°であり;
FDY工程のパラメータは、紡糸温度は277℃、冷却吹き温度は23℃、冷却風速度は2.12m/s、第1ローラ速度は1930m/min、第1ローラ温度は91℃、第2ローラ速度は2780m/min、第2ローラ温度は161℃、巻取速度は2720m/minであり;
弛緩熱処理理温度は104℃、処理時間は23minである。
得られた医療用抗菌織物用繊維は、複数のY字型断面単糸を含み、捲縮形態であり、その捲縮収縮率が27%、捲縮安定度が78%、捲縮伸長率が62%、捲縮弾性回復率が71%、破断強度が2.48cN/dtex、破断伸長率が56%、単糸繊度が1.28dtexである。
【0022】
実施例4
医療用抗菌織物用繊維の製造方法は、銀系抗菌剤RHA-02が銀イオン含量295ppmで分散されたポリエステル(固有粘度0.54dL/g)を、口金のY字型吐出孔により圧出し環状吹きで冷却してFDYにし、さらに弛緩熱処理理する。そのうち、
Y字型吐出孔は長さの比率が1.0:1.6:2.0であり、幅が同一である三つのスリットを有し、最短スリットの長幅比は2.8:1とし、互いに隣接する2スリットの中心線のなす角は120°であり;
そしてY字型吐出孔は、数量が36として等間隔で円形状に位置し、さらに、ある吐出孔の最短スリットの中心線を基準線として、ほかの吐出孔の最短スリットの中心線と基準線とのなす角は、時計回りにより表記すれば、それぞれ10°、60°、2°、30°、90°、15°、28°、162°、64°、3°、6°、105°、121°、93°、161°、123°、75°、129°、22°、90°、1°、3°、170°、40°、45°、30°、10°、100°、106°、100°、41°、80°、65°、2°、50°であり;
FDY工程のパラメータは、紡糸温度は276℃、冷却吹き温度は21℃、冷却風速度は2.04m/s、第1ローラ速度は1930m/min、第1ローラ温度は90℃、第2ローラ速度は2780m/min、第2ローラ温度は159℃、巻取速度は2720m/minであり;
弛緩熱処理理温度は98℃、処理時間は24minである。
得られた医療用抗菌織物用繊維は、複数のY字型断面単糸を含み、捲縮形態であり、その捲縮収縮率が29%、捲縮安定度が82%、捲縮伸長率が59%、捲縮弾性回復率が75%、破断強度が2.5cN/dtex、破断伸長率が55%、単糸繊度が1.36dtexである。
【0023】
実施例5
医療用抗菌織物用繊維の製造方法は、銀系抗菌剤RHA-02が銀イオン含量121ppmで分散されたポリエステル(固有粘度0.52dL/g)を、口金のY字型吐出孔により圧出し環状吹きで冷却してFDYにし、さらに弛緩熱処理理する。そのうち、
Y字型吐出孔は長さの比率が1.0:2.5:24であり幅が同一である三つのスリットを有し、最短スリットの長幅比は2.7:1とし、互いに隣接する2スリットの中心線のなす角は120°であり;
そしてY字型吐出孔は、数量が24であり等間隔で円形状に位置し、さらに、ある吐出孔の最短スリットの中心線を基準線として、ほかの吐出孔の最短スリットの中心線と基準線とのなす角は、時計回りにより表記すれば、それぞれ152°、96°、54°、100°、175°、75°、22°、90°、1°、3°、170°、40°、45°、30°、10°、100°、106°、100°、41°、80°、65°、2°、50°であり;
FDY工程のパラメータは、紡糸温度は273℃、冷却吹き温度は21℃、冷却風速度は2.01m/s、第1ローラ速度は1890m/min、第1ローラ温度は89℃、第2ローラ速度は2770m/min、第2ローラ温度は158℃、巻取速度は2710m/minであり;
弛緩熱処理理温度は97℃、処理時間は24minである。
得られた医療用抗菌織物用繊維は、複数のY字型断面単糸を含み、捲縮形態であり、その捲縮収縮率が29%、捲縮安定度が78%、捲縮伸長率が55%、捲縮弾性回復率が74%、破断強度が2.55cN/dtex、破断伸長率が54%、単糸繊度が1.44dtexである。
【0024】
実施例6
医療用抗菌織物用繊維の製造方法は、銀系抗菌剤RHA-02が銀イオン含量193ppmで分散されたポリエステル(固有粘度0.5dL/g)を、口金のY字型吐出孔により圧出し環状吹きで冷却してFDYにし、さらに弛緩熱処理理する。そのうち、
Y字型吐出孔は長さの比率が1.0:2.2:2.5であり、幅が同一である三つのスリットを有し、最短スリットの長幅比は3:1とし、互いに隣接する2スリットの中心線のなす角は120°であり;
そしてY字型吐出孔は、数量が24であり等間隔で円形状に位置し、さらに、ある吐出孔の最短スリットの中心線を基準線として、ほかの吐出孔の最短スリットの中心線と基準線とのなす角は、時計回りにより表記すれば、それぞれ166°、40°、23°、138°、112°、55°、180°、53°、174°、142°、131°、87°、49°、90°、65°、5°、74°、161°、30°、158°、45°、109°、23°、47°であり;
FDY工程のパラメータは、紡糸温度は271℃、冷却吹き温度は20℃、冷却風速度は2m/s、第1ローラ速度は1880m/min、第1ローラ温度は88℃、第2ローラ速度は2770m/min、第2ローラ温度は153℃、巻取速度は2710m/minであり;
弛緩熱処理理温度は97℃、処理時間は27minである。
得られた医療用抗菌織物用繊維は、複数のY字型断面単糸を含み、捲縮形態であり、その捲縮収縮率が29%、捲縮安定度が78%、捲縮伸長率が58%、捲縮弾性回復率が73%、破断強度が2.56cN/dtex、破断伸長率が53%、単糸繊度が1.50dtexである。
【0025】
実施例7
医療用抗菌織物用繊維の製造方法は、銀系抗菌剤RHA-02が銀イオン含量201ppmで分散されたポリエステル(固有粘度0.5dL/g)を、口金のY字型吐出孔により圧出し環状吹きで冷却してFDYにし、さらに弛緩熱処理理する。そのうち、
Y字型吐出孔は長さの比率が1.0:1.5:2.0であり、幅が同一である三つのスリットを有し、最短スリットの長幅比は2.9:1であり、互いに隣接する2スリットの中心線のなす角は120°であり;
そしてY字型吐出孔は、数量が48として等間隔で円形状に位置し、さらに、ある吐出孔の最短スリットの中心線を基準線として、ほかの吐出孔の最短スリットの中心線と基準線とのなす角は、時計回りにより表記すれば、それぞれ10°、60°、2°、30°、90°、15°、22°、90°、1°、3°、170°、40°、45°、30°、10°、100°、106°、100°、41°、80°、65°、2°、50°、166°、40°、23°、138°、112°、55°、180°、53°、174°、142°、131°、87°、49°、90°、65°、5°、74°、161°、30°、158°、45°、109°、23°、47°であり;
FDY工程のパラメータは、紡糸温度は270℃、冷却吹き温度は20℃、冷却風速度は1.8m/s、第1ローラ速度は1800m/min、第1ローラ温度は85℃、第2ローラ速度は2700m/min、第2ローラ温度は150℃、巻取速度は2640m/minであり;
弛緩熱処理理温度は90℃、処理時間は30minである。
得られた医療用抗菌織物用繊維は、複数のY字型断面単糸を含み、捲縮形態であり、その捲縮収縮率が28%、捲縮安定度が82%、捲縮伸長率が61%、捲縮弾性回復率が72%、破断強度が2.59cN/dtex、破断伸長率が52%、単糸繊度が1.00dtexである。
【0026】
実施例8
医療用抗菌織物用繊維の製造方法は、銀系抗菌剤RHA-02が銀イオン含量202ppmで分散されたポリエステル(固有粘度0.55dL/g)を、口金のY字型吐出孔により圧出し環状吹きで冷却してFDYにし、さらに弛緩熱処理理する。そのうち、
Y字型吐出孔は長さの比率が1.0:2.0:2.5であり、幅が同一である三つのスリットを有し、最短スリットの長幅比は2.5:1であり、互いに隣接する2スリットの中心線のなす角は120°であり;
そしてY字型吐出孔は、数量が24であり等間隔で円形状に位置し、さらに、ある吐出孔の最短スリットの中心線を基準線として、ほかの吐出孔の最短スリットの中心線と基準線とのなす角は、時計回りにより表記すれば、それぞれ10°、60°、2°、30°、90°、15°、22°、90°、1°、3°、170°、40°、45°、30°、10°、100°、106°、100°、41°、80°、65°、2°、50°であり;
FDY工程のパラメータは、紡糸温度は280℃、冷却吹き温度は25℃、冷却風速度は2.3m/s、第1ローラ速度は2000m/min、第1ローラ温度は95℃、第2ローラ速度は2900m/min、第2ローラ温度は170℃、巻取速度は2830m/minであり;
弛緩熱処理理温度は120℃、処理時間は20minである。
得られた医療用抗菌織物用繊維は、複数のY字型断面単糸を含み、捲縮形態であり、その捲縮収縮率が28%、捲縮安定度が82%、捲縮伸長率が58%、捲縮弾性回復率が72%、破断強度が2.6cN/dtex、破断伸長率が50%、単糸繊度が1.10dtexである。
図1
図2
【国際調査報告】