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特表2023-502554疾患が処置された対象における最小残存病変(MRD)の有無を求める方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】疾患が処置された対象における最小残存病変(MRD)の有無を求める方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6869 20180101AFI20230118BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20230118BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALN20230118BHJP
   C12Q 1/6886 20180101ALN20230118BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z ZNA
C12M1/34 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6886 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022507775
(86)(22)【出願日】2020-08-27
(85)【翻訳文提出日】2022-04-04
(86)【国際出願番号】 EP2020073960
(87)【国際公開番号】W WO2021037971
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】19382730.0
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】522049716
【氏名又は名称】フンダシオン パラ ラ インベスティガシオン ビオメディカ デル ホスピタル ウニベルシタリオ 12 デ オクトゥブレ
(71)【出願人】
【識別番号】522049727
【氏名又は名称】フンダシオン デル セクトール プブリコ エスタタル セントロ ナティオナル デ インベスティガシオン オンコロギカ カルロス テルセロ(エフ.エス.ピー.シーエヌアイオー)
(74)【復代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】バリオ ガルシア,サンティアゴ
(72)【発明者】
【氏名】アヤラ ディアス,ローザ マリア
(72)【発明者】
【氏名】ラパード マルティネス,マリア インマクラーダ
(72)【発明者】
【氏名】ガヒード マーティン,エヴァ マリア
(72)【発明者】
【氏名】パス-アレス ロドリゲス,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】オネチャ デ ラ フエンテ,マリア エスター
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス ロペス,ホアキン
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029AA23
4B029BB20
4B029FA12
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA18
4B063QA19
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QX01
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、増殖性疾患が処置された対象における最小残存病変の有無を求めるための方法、キット、およびシステムに焦点を当てるものであり、前記方法、キット、およびシステムは、
(A)左から右へと読み取られる第1の文字の列記を得るために、前記疾患の処置前に前記対象から得た生物学的試料のゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅して配列決定する工程と、
(B)左から右へと読み取られる第2の文字の列記を得るために、前記疾患の処置後に前記対象から得た生物学的試料のゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅して配列決定する工程であって、ヌクレオチド配列は、突然変異したとき、前記増殖性疾患の遺伝子マーカーである、工程と、
(C)工程(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、工程(A)で得た第1の文字の列記それぞれとの類似度DSを求める工程と、
(D)工程(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、最高値のDS、すなわちDSHVを選択する工程と、
(E)Lを得るために、閾値Tを超えるDSHVを有する第2の文字の列記の数を合計する工程と、
(F)第2の文字の列記の総数Lを合計する工程と、
(G)次の式
MRD=(Lxk)/(LxD)、
MRD=L/L、または
MRD=gxLx(D/k)/L
のいずれかに従い、最小残存病変MRDの値を算出する工程と、
(H)(i)前記遺伝子マーカーの最小変異読取り頻度minVRF、(ii)前記遺伝子マーカーの検出限界D-limit、(iii)平均突然変異ノイズavMut、および(iv)平均位置ノイズavPosを求める工程と、
(I)minVRF、D-limit、avMut、およびavPosのうち大きい方から、またはminVRFおよびD-limitのうち大きい方から実験感度ESを求める工程と、
(J)最小残存病変のレベルの値を、ESの値、minVRF、D-limit、avMut、およびavPosの値、またはminVRFおよびD-limitの値と比較することにより、前記対象における最小残存病変の有無を求める工程と
を含み、前記最小残存病変のレベルが、前記ES値、minVRF値、D-limit値、avMut値、またはavPos値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患が処置された対象における最小残存病変(MRD)の有無を求める方法であって、前記疾患は増殖性疾患であり、前記方法は、
(A)座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを含む一対のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患の処置前に前記対象から得た生物学的試料からのゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させる工程、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定する工程であって、これにより、左から右へと読み取られる第1の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、工程と、
(B)工程(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患の処置後に前記対象から得た生物学的試料からの一定量DのゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させる工程であって、前記ゲノムDNAは、前記生物学的試料の二倍体細胞あたりの平均重量kを有している、工程、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定する工程であって、これにより、左から右へと読み取られる第2の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られ、工程(A)および(B)で増幅された各ヌクレオチド配列は、400ヌクレオチドよりも短く、遺伝子の突然変異ヌクレオチド配列または非突然変異ヌクレオチド配列のいずれかであり、ヌクレオチド配列は、突然変異すると、一塩基変異型突然変異、インデル突然変異、および体細胞遺伝子再構成突然変異の群から選択される突然変異を含む遺伝子マーカーである、工程と、
(C)工程(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、工程(A)で得た第1の文字の列記それぞれとの類似度を求める工程であって、工程(B)で得た第2の文字の列記と工程(A)で得た第1の文字の列記との類似度DSは、
(i)それぞれ第1および第2の文字の列記におけるものと同じである、第1および第2の文字の列記における文字の総数Cを数えること、
(ii)前記第1および第2の文字の列記における文字の総数Cを数えること、および
(iii)次の式
DS=C/C
に従いDSを算出すること
により求められる、工程と、
(D)工程(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、最高値のDS、すなわちDSHVを選択する工程と、
(E)閾値Tより大きなDSHVを有する第2の文字の列記の数を合計することで、第1の文字の列記と同じである第2の文字の列記の総数Lを取得する工程と、
(F)以下
(i)Lおよび
(ii)Tより大きなDSHVを有していない第2の文字の列記の数
を合計することで、第2の文字の列記の総数Lを取得する工程と、
(G)次の式
MRD=(Lxk)/(LxD)、
MRD=L/L、または
MRD=gxLx(D/k)/L
のいずれかに従い、最小残存病変MRDの値を算出する工程であって、式中、gは、細胞ごとの遺伝子コピー数であり、Dは、ngの単位であり、kは、ng/細胞の単位である、工程と、
(H)以下
(i)前記遺伝子マーカーの最小変異読取り頻度minVRFであって、minVRFは、次の式
minVRF=k/D
に従い算出され、式中、Dとkは上記で定義したとおりである、minVRF、
(ii)以下
(a)前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの溶液の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第1の組成物を取得すること、
(b)前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(c)前記第1の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第2の組成物を取得すること、
(d)前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(e)前記第2の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第3の組成物を取得すること、
(f)前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(g)前記第3の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第4の組成物を取得すること、
(h)前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(i)第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の平均対数avlogMRD1、および第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogC1、ならびに
第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の平均対数avlogMRD2、および第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogC2
を算出すること、
(j)前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1A、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1B、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1C、
前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1D、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1E、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1F、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2A、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2B、
前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2C、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2D、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2E、および
前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2F
を算出すること、
(k)以下
D1AとD1Dとの乗算によりR1、
D1BとD1Eとの乗算によりR2、
D1CとD1Fとの乗算によりR3、
D1AとD1Aとの乗算によりR4、
D1BとD1Bとの乗算によりR5、
D1CとD1Cとの乗算によりR6、
D2AとD2Dとの乗算によりR7、
D2BとD2Eとの乗算によりR8、
D2CとD2Fとの乗算によりR9、
D2AとD2Aとの乗算によりR10、
D2BとD2Bとの乗算によりR11、
D2CとD2Cとの乗算によりR12、
を算出すること、
(l)次の式
S1=(R1+R2+R3)/(R4+R5+R6)
を使用してS1、
次の式
S2=(R7+R8+R9)/(R10+R11+R12)、
を使用してS2を算出すること、
(m)S1とS2を比較することであって、これにより、
S2がS1よりも少なくとも30%低い場合、第3の組成物の濃度は検出限界D-limitであり、
S2がS1に等しい、またはS1より30%低い場合、工程(H)(ii)(a)~(H)(ii)(l)は、前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの溶液の代わりに前記第1の組成物を用いて繰り返される、比較すること
による、前記遺伝子マーカーの検出限界D-limit、
(iii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、
(a)工程(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患がなく前記遺伝子マーカーのない対象から得た生物学的試料のゲノムDNAの少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させること、
(b)増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定することであって、これにより、左から右へと読み取られる第3の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、配列決定すること、
(c)前記疾患がなく前記遺伝子マーカーがないm人の対象において工程(H)(iii)(a)および(H)(iii)(b)を繰り返すことであって、mは少なくとも9である、繰り返すこと、および
(d)前記遺伝子マーカーの配列決定から得たものと同一である第3の文字の列記の平均画分を算出することであって、平均画分は平均突然変異ノイズavMutである、算出すること
による平均突然変異ノイズavMut、ならびに
(iv)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列と同一の各ヌクレオチドに関する変異読取り頻度VRFを算出することによる平均位置ノイズavPosであって、前記遺伝子マーカー中の前記一塩基変異型突然変異を担うヌクレオチドは、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列におけるものとは異なり、前記VRF値の平均はavPosである、平均位置ノイズ
を求める工程と、
(I)実験感度ESを求める工程であって、ESは、
(i)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、工程(H)で算出されるようなminVRF、D-limit、avMut、およびavPosのうち大きい方、または
(ii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、工程(H)で算出されるようなminVRFおよびD-limitのうち大きい方
である、工程と、
(J)前記対象における最小残存病変の有無を、以下
(i)工程(G)で算出した最小残存病変MRDレベルの値を、工程(I)で求めた実験感度ESの値と比較することであって、
(a)前記MRD値のレベルが前記ES値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(b)前記MRD値のレベルが前記ES値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること、または
(ii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、工程(G)で算出された最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したminVRFの値とを比較することであって、
(a)前記MRD値のレベルが前記minVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記MinVRF値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したavMutの値とを比較することであって、
(b)前記MRD値のレベルが前記avMut値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記avMut値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したavPosの値とを比較することであって、
(c)前記MRD値のレベルが前記avPos値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記avPos値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したD-limitの値とを比較することであって、
(d)前記MRD値のレベルが前記D-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(e)前記MRD値のレベルが前記minVRF値、avMut値、avPos値、およびD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること、または
(iii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、工程(G)で算出された最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(I)で算出したminVRFの値とを比較することであって、
(f)前記MRD値のレベルが前記minVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記minVRF値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したD-limitの値とを比較することであって、
(g)前記MRD値のレベルが前記D-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(h)前記MRD値のレベルが前記minVRF値およびD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること
のいずれかにより求める工程と
を含む、方法。
【請求項2】
前記増殖性疾患が、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫(MM)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、リンパ腫、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性新生物(MPN)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンストレームリンパ腫(WL)、ホジキンリンパ腫(HL)、および固形腫瘍からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記遺伝子マーカーが前記疾患を引き起こす、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記疾患の処置前に前記対象から得た組織試料の前記ゲノムDNA中の前記遺伝子マーカーの変異読取り頻度VRFが、
(i)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるときに少なくとも5%、または
(ii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるときに少なくとも2%
である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記遺伝子マーカーが、
(P)前記疾患を抱える前記対象における遺伝子のヌクレオチド配列に含まれる少なくとも1つの突然変異を特定し、このように特定した各突然変異の変異読取り頻度VRFを求める工程と、
(Q)10%を超えるVRFを有する突然変異を特定することにより、10%を超えるVRFを有する工程(P)で特定された突然変異を選択する工程であって、10%を超えるVRFを有する突然変異は、
(a)最高のVRFを有する体細胞遺伝子再構成突然変異、
(b)工程(P)で特定した体細胞遺伝子再構成突然変異が10%超のVRFを有していない場合、最高VRFを有するインデル突然変異、または
(c)工程(P)で特定した体細胞遺伝子再構成突然変異またはインデル突然変異が10%超のVRFを有していない場合、最高VRFを有する一塩基変異型突然変異
である、工程と、
(R)前記対象中の遺伝子のヌクレオチド配列のうち工程(Q)で選択した前記突然変異を含むものをポリメラーゼ連鎖反応により増幅する座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを特定する工程と
により選択され、前記工程(Q)で選択された前記突然変異を含む前記ヌクレオチド配列は、前記遺伝子マーカーである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
工程(P)で特定した突然変異が、10%を超えるVRFを有していない場合、前記遺伝子マーカーは、さらなるn-1遺伝子マーカーと共に、以下の工程により選択され、
工程(Q)は、
(i)2%~10%のVRFを有する突然変異を特定することにより、2%~10%のVRFを有する工程(P)で特定したn個の突然変異であって、
(a)最高のVRFを有する体細胞遺伝子再構成突然変異、または
(b)工程(P)で特定したn個未満の体細胞遺伝子再構成突然変異が2%~10%のVRFを有していない場合、最高のVRFを有するインデル突然変異
である突然変異を選択することを含む工程(Q’)に置き換えられ、または
工程(P)で特定したn個未満の体細胞遺伝子再構成突然変異が2%~10%のVRFを有し、工程(P)で特定したn個未満のインデル突然変異が2%~10%のVRFを有する場合、工程(Q’)は、
(ii)5%~10%のVRFを有する突然変異のうち一塩基変異型突然変異であるものを特定することにより、5%~10%のVRFを有する工程(P)で特定したn個の突然変異
を選択することを含み、
工程(R)は、
(i)工程(Q’)で選択されたn個の突然変異のうち1つを選択し、選択した突然変異を含む前記対象における遺伝子のヌクレオチド配列をポリメラーゼ連鎖反応により増幅する座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを特定することであって、前記選択した突然変異を含む前記ヌクレオチド配列は遺伝子マーカーである、特定すること、および
(ii)工程(R’)(i)をn-1回繰り返すことであって、1回あたり、以前に工程(R’)(i)で選択されていない工程(Q’)で選択された残りのn-1個の突然変異のうち1つに対して行われる、繰り返すこと
を含む工程(R’)に置き換えられ、
前記方法はさらに、工程(A)~(I)をさらにn-1回繰り返す工程であって、1回あたり、工程(R’)で特定した異なるプライマー対を使用する、工程と、工程(J)を、以下の工程(J’):
(i)最小残存病変のレベルの平均値avMRDと実験感度の平均値avESとを比較する工程であって、
(a)前記avMRD値が前記avES値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(b)前記avMRD値が前記avES値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、工程、または
(ii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、最小残存病変のレベルの平均値avMRDと、minVRFの平均値avminVRFとを比較する工程であって、
(a)前記avMRD値が前記avminVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、工程、および
前記avMRD値が前記avminVRF値未満であるとき、最小残存病変レベルの平均値avMRDと、avMutの平均値avavMutとを比較する工程であって、
(b)前記avMRD値が前記avavMut値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、工程、および
前記avMRD値が前記avavMut値未満であるとき、最小残存病変レベルの平均値avMRDと、avPosの平均値avavPosとを比較する工程であって、
(c)前記avMRD値が前記avavPos値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、工程、および
前記avMRD値が前記avavPos値未満であるとき、最小残存病変レベルの平均値avMRDと、D-limitの平均値avD-limitとを比較する工程であって、
(d)前記avMRD値が前記avD-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(e)前記avMRD値が前記avminVRF値、avavMut値、avavPos値、およびavD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、工程、または
(iii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、最小残存病変のレベルの平均値avMRDと、minVRFの平均値avminVRFとを比較する工程であって、
(f)前記avMRD値が前記avminVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、工程、および
前記avMRD値が前記avminVRF値未満であるとき、最小残存病変レベルの平均値avMRDと、D-limitの平均値avD-limitとを比較する工程であって、
(g)前記avMRD値が前記avD-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(h)前記avMRD値が前記avminVRF値およびavD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、工程
と置き換える工程とを含み、
ここで、nは2~5から選択される自然数である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記体細胞遺伝子再構成突然変異が、免疫グロブリン遺伝子再構成突然変異である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記疾患が急性骨髄性白血病(AML)、骨髄増殖性新生物(MPN)、または骨髄異形成症候群(MDS)であるとき、前記ヌクレオチド配列は、ASXL1、BCOR、BCORL1、CALR、CBL、CEBPA、CSF3R、DNMT3A、EGLN1、EPA1、EPOR、ETV6、EZH2、FLT3、IDH1、IDH2、JAK2、KDM6A、KIT、KMT2A、KRAS、MPL、NF1、NPM1、NRAS、PHF6、PRPF40B、RAD21、RUNX1、SETBP1、SF3A1、SF3B1、SH2B3、SMC1A、SRSF2、STAG2、TET2、THPO、TP53、U2AF1、VHL、WT1、およびZRSR2からなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記疾患が慢性リンパ球性白血病(CLL)または急性リンパ芽球性白血病(ALL)であるとき、前記ヌクレオチド配列は、IGH、IGK、EZH2、FLT3、JAK2、KRAS、NRAS、PHF6、SF3B1、TP53、IL7R、PTEN、STAT5B、CRLF2、EGR2、NFKBIE、PLCG2、JAK3、JAK1、IL7、WHSC1、TYK2、FBXW7、IKZF1、BIRC3、POT1、RPS15、KLHL6、PTPN11、ATM、IRF4、BRA、XPO1、CXCR4、BCL2、CDKN2A、MYD88、KMT2D、CREBBP、PAX5、NOTCH1、STAT3、およびBTKからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記疾患がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンストレームリンパ腫(WL)、またはホジキンリンパ腫(HL)であるとき、前記ヌクレオチド配列は、ARID1A、ARID1B、B2M、BCL10、BCL2、BCL7A、BRAF、BTG1、BTK、CARD11、CCND3、CD58、CD79A、CD79B、CDKN2A、CDKN2B、CIITA、CREBBP、CTSS、CXCR4、EP300、ETS1、EZH2、FOXO1、GNA13、HIST1H1E、HNRNPK、ID3、IKZF3、IRF4、IRF8、ITPKB、KMT2D、KRAS、MEF2B、MFHAS1、MUM1、MYC、MYD88、NOTCH1、P2RY8、PAX5、PCBP1、PIM1、PIM2、PRDM1、RRAGC、S1PR2、SMARCA4、SOCS1、STAT3、STAT6、TCF3、TNFAIP3、TNFRSF14、TP53、およびXPO1からなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記疾患が多発性骨髄腫(MM)であるとき、前記ヌクレオチド配列は、IGH、IGK、CRBN、IRF4、TP53、NFKB2、KRAS、NRAS、BRAF、FAM46C、FGFR3、DIS3、TRAF3、ATM、MAX、RB1、CYLD、CCND1、NF1、KLHL6、PTPN11、ACTG1、MAF、ZNF292、ROBO1、EGR1、FAT3、PRKD2、HUWE1、TRAF2、CDKN1B、RASA2、UBR5、ZFHX4、DUSP2、SP140、BIRC2、CRBN、およびLTBからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
疾患が処置された対象における最小残存病変(MRD)の有無を求めるシステムであって、前記疾患は増殖性疾患であり、前記システムは、
(A)座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを含む一対のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患の処置前に前記対象から得た生物学的試料からのゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させるための手段、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定するための手段であって、これにより、左から右へと読み取られる第1の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、手段と、
(B)(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患の処置後に前記対象から得た生物学的試料からの一定量DのゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させるための手段であって、前記ゲノムDNAは、前記生物学的試料の二倍体細胞あたりの平均重量kを有している、手段、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定するための手段であって、これにより、左から右へと読み取られる第2の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られ、(A)および(B)で増幅された各ヌクレオチド配列は、400ヌクレオチドよりも短く、遺伝子の突然変異ヌクレオチド配列または非突然変異ヌクレオチド配列のいずれかであり、ヌクレオチド配列は、突然変異すると、一塩基変異型突然変異、インデル突然変異、および体細胞遺伝子再構成突然変異の群から選択される突然変異を含む遺伝子マーカーである、手段と、
(C)(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、(A)で得た第1の文字の列記それぞれとの類似度を求めるための手段であって、(B)で得た第2の文字の列記と(A)で得た第1の文字の列記との類似度DSは、
(i)それぞれ第1および第2の文字の列記におけるものと同じである、第1および第2の文字の列記における文字の総数Cを数えること、
(ii)前記第1および第2の文字の列記における文字の総数Cを数えること、および
(iii)次の式
DS=C/C
に従いDSを算出すること
により求められる、手段と、
(D)(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、最高値のDS、すなわちDSHVを選択するための手段と、
(E)閾値Tより大きなDSHVを有する第2の文字の列記の数を合計することで、第1の文字の列記と同じである第2の文字の列記の総数Lを取得するための手段と、
(F)以下
(i)Lおよび
(ii)Tより大きなDSHVを有していない第2の文字の列記の数
を合計することで、第2の文字の列記の総数Lを取得する手段と、
(G)次の式
MRD=(Lxk)/(LxD)、
MRD=L/L、または
MRD=gxLx(D/k)/L
のいずれかに従い、最小残存病変MRDの値を算出するための手段であって、式中、gは、細胞ごとの遺伝子コピー数であり、Dは、ngの単位であり、kは、ng/細胞の単位である、手段と、
(H)以下
(i)前記遺伝子マーカーの最小変異読取り頻度minVRFであって、minVRFは、次の式
minVRF=k/D
に従い算出され、式中、Dとkは上記で定義したとおりである、minVRF、
(ii)以下
(a)前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの溶液の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第1の組成物を取得すること、
(b)前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(c)前記第1の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第2の組成物を取得すること、
(d)前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(e)前記第2の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第3の組成物を取得すること、
(f)前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(g)前記第3の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第4の組成物を取得すること、
(h)前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(i)第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の平均対数avlogMRD1、および第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogC1、ならびに
第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の平均対数avlogMRD2、および第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogC2
を算出すること、
(j)前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1A、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1B、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1C、
前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1D、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1E、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1F、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2A、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2B、
前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2C、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2D、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2E、および
前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2F
を算出すること、
(k)D1AとD1Dとの乗算によりR1、
D1BとD1Eとの乗算によりR2、
D1CとD1Fとの乗算によりR3、
D1AとD1Aとの乗算によりR4、
D1BとD1Bとの乗算によりR5、
D1CとD1Cとの乗算によりR6、
D2AとD2Dとの乗算によりR7、
D2BとD2Eとの乗算によりR8、
D2CとD2Fとの乗算によりR9、
D2AとD2Aとの乗算によりR10、
D2BとD2Bとの乗算によりR11、
D2CとD2Cとの乗算によりR12
を算出すること、
(l)次の式
S1=(R1+R2+R3)/(R4+R5+R6)
を使用してS1、
次の式
S2=(R7+R8+R9)/(R10+R11+R12)
を使用してS2
を算出すること、
(m)S1とS2を比較することであって、これにより、
S2がS1よりも少なくとも30%低い場合、第3の組成物の濃度は検出限界D-limitであり、および
S2がS1に等しい、またはS1より30%低い場合、(H)(ii)(a)~(H)(ii)(l)は、前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの溶液の代わりに前記第1の組成物を用いて繰り返される、比較すること
による、前記遺伝子マーカーの検出限界D-limit、
(iii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、
(a)(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患がなく前記遺伝子マーカーのない対象から得た生物学的試料のゲノムDNAの少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させるための手段、
(b)増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定するための手段であって、これにより、左から右へと読み取られる第3の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、手段、
(c)前記疾患がなく前記遺伝子マーカーがないm人の対象において(H)(iii)(a)および(H)(iii)(b)を繰り返すための手段であって、mは少なくとも9である、手段、
(d)前記遺伝子マーカーの配列決定から得たものと同一である第3の文字の列記の平均画分を算出するための手段であって、平均画分は平均突然変異ノイズavMutである、手段
を用いての平均突然変異ノイズavMut、
(iv)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列と同一の各ヌクレオチドに関する変異読取り頻度VRFを算出するための手段を使用しての平均位置ノイズavPosであって、前記遺伝子マーカー中の前記一塩基変異型突然変異を担うヌクレオチドは、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列におけるものとは異なり、前記VRF値の平均はavPosである、平均位置ノイズ
を求めるための手段と、
(I)実験感度ESを求めるための手段であって、ESは、
(i)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、(H)で算出されるようなminVRF、D-limit、avMut、およびavPosのうち大きい方、および
(ii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、(H)で算出されるようなminVRFおよびD-limitのうち大きい方
である、手段と、
(J)前記対象における最小残存病変の有無を、
(i)(G)で算出した最小残存病変MRDレベルの値を、(I)で求めた実験感度ESの値と比較することであって、
(a)前記MRD値のレベルが前記ES値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(b)前記MRD値のレベルが前記ES値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること、または
(ii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、(G)で算出された最小残存病変MRDのレベルの値と、(H)で算出したminVRFの値とを比較することであって、
(a)前記MRD値のレベルが前記minVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記MinVRF値未満であるとき、(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、(H)で算出したavMutの値とを比較することであって、
(b)前記MRD値のレベルが前記avMut値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記avMut値未満であるとき、(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、(H)で算出したavPosの値とを比較することであって、
(c)前記MRD値のレベルが前記avPos値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記avPos値未満であるとき、(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、(H)で算出したD-limitの値とを比較することであって、
(d)前記MRD値のレベルが前記D-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(e)前記MRD値のレベルが前記minVRF値、avMut値、avPos値、およびD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること、または
(iii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、(G)で算出された最小残存病変MRDのレベルの値と、(I)で算出したminVRFの値とを比較することであって、
(f)前記MRD値のレベルが前記minVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記minVRF値未満であるとき、(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、(H)で算出したD-limitの値とを比較することであって、
(g)前記MRD値のレベルが前記D-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(h)前記MRD値のレベルが前記minVRF値およびD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること
のいずれかにより求めるための手段と
を含む、システム。
【請求項13】
前記増殖性疾患が、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫(MM)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、リンパ腫、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性新生物(MPN)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンストレームリンパ腫(WL)、ホジキンリンパ腫(HL)、および固形腫瘍からなる群から選択される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記遺伝子マーカーが前記疾患を引き起こす、請求項12または13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記疾患の処置前に前記対象から得た組織試料の前記ゲノムDNA中の前記遺伝子マーカーの変異読取り頻度VRFが、
(i)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるときに少なくとも5%、または
(ii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるときに少なくとも2%
である、請求項12から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記遺伝子マーカーが、
(P)前記疾患を抱える前記対象における遺伝子のヌクレオチド配列に含まれる少なくとも1つの突然変異を特定し、このように特定した各突然変異の変異読取り頻度VRFを求めるための手段と、
(Q)10%を超えるVRFを有する突然変異を特定することにより、10%を超えるVRFを有する(P)で特定された突然変異を選択するための手段であって、10%を超えるVRFを有する突然変異は、
(a)最高のVRFを有する体細胞遺伝子再構成突然変異、
(b)(P)で特定した体細胞遺伝子再構成突然変異が10%超のVRFを有していない場合、最高VRFを有するインデル突然変異、または
(c)(P)で特定した体細胞遺伝子再構成突然変異またはインデル突然変異が10%超のVRFを有していない場合、最高VRFを有する一塩基変異型突然変異
である、手段と、
(R)前記対象中の遺伝子のヌクレオチド配列のうち(Q)で選択した前記突然変異を含むものをポリメラーゼ連鎖反応により増幅する座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを特定するための手段と
により選択され、(Q)で選択された前記突然変異を含む前記ヌクレオチド配列は、前記遺伝子マーカーである、請求項12から15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
(P)で特定した突然変異が、10%を超えるVRFを有していない場合、前記遺伝子マーカーは、さらなるn-1遺伝子マーカーと共に、以下により選択され、
(Q)は(Q’)と置き換えられ、(Q’)は、
(i)2%~10%のVRFを有する突然変異を特定することにより、2%~10%のVRFを有する(P)で特定したn個の突然変異を選択するための手段であって、該突然変異は、
(a)最高のVRFを有する体細胞遺伝子再構成突然変異、または
(b)(P)で特定したn個未満の体細胞遺伝子再構成突然変異が2%~10%のVRFを有していない場合、最高のVRFを有するインデル突然変異
である、手段を含み、または
(P)で特定したn個未満の体細胞遺伝子再構成突然変異が2%~10%のVRFを有し、(P)で特定したn個未満のインデル突然変異が2%~10%のVRFを有する場合、(Q’)は、
(ii)5%~10%のVRFを有する突然変異のうち一塩基変異型突然変異であるものを特定することにより、5%~10%のVRFを有する(P)で特定したn個の突然変異
を選択するための手段を含み、および
(R)は(R’)と置き換えられ、(R’)は、
(i)(Q’)で選択されたn個の突然変異のうち1つを選択し、選択した突然変異を含む前記対象における遺伝子のヌクレオチド配列をポリメラーゼ連鎖反応により増幅する座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを特定するための手段であって、前記選択した突然変異を含む前記ヌクレオチド配列は遺伝子マーカーである、手段、および
(ii)(R’)(i)をn-1回繰り返すための手段であって、1回あたり、以前に(R’)(i)で選択されていない(Q’)で選択された残りのn-1個の突然変異のうち1つに対して行われる、手段
を含み、
前記システムはさらに、(A)~(I)をさらにn-1回繰り返すことであって、1回あたり、(R’)で特定した異なるプライマー対を使用する、繰り返すこと、および、(J)を、以下の(J’):
(i)最小残存病変のレベルの平均値avMRDと実験感度の平均値avESとを比較するための手段であって、
(a)前記avMRD値が前記avES値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(b)前記avMRD値が前記avES値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、手段、または
(ii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、最小残存病変のレベルの平均値avMRDと、minVRFの平均値avminVRFとを比較するための手段であって、
(a)前記avMRD値が前記avminVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、手段、および
前記avMRD値が前記avminVRF値未満であるとき、最小残存病変レベルの平均値avMRDと、avMutの平均値avavMutとを比較するための手段であって、
(b)前記avMRD値が前記avavMut値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、手段、および
前記avMRD値が前記avavMut値未満であるとき、最小残存病変レベルの平均値avMRDと、avPosの平均値avavPosとを比較するための手段であって、
(c)前記avMRD値が前記avavPos値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、手段、および
前記avMRD値が前記avavPos値未満であるとき、最小残存病変レベルの平均値avMRDと、D-limitの平均値avD-limitとを比較するための手段であって、
(d)前記avMRD値が前記avD-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(e)前記avMRD値が前記avminVRF値、avavMut値、avavPos値、およびavD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、手段、または
(iii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、最小残存病変のレベルの平均値avMRDと、minVRFの平均値avminVRFとを比較するための手段であって、
(f)前記avMRD値が前記avminVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、手段、および
前記avMRD値が前記avminVRF値未満であるとき、最小残存病変レベルの平均値avMRDと、D-limitの平均値avD-limitとを比較するための手段であって、
(g)前記avMRD値が前記avD-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(h)前記avMRD値が前記avminVRF値およびavD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、手段
と置き換えることを含み、
ここで、nは2~5から選択される自然数である、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記体細胞遺伝子再構成突然変異が、免疫グロブリン遺伝子再構成突然変異である、請求項12から17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記疾患が急性骨髄性白血病(AML)、骨髄増殖性新生物(MPN)、または骨髄異形成症候群(MDS)であるとき、前記ヌクレオチド配列は、ASXL1、BCOR、BCORL1、CALR、CBL、CEBPA、CSF3R、DNMT3A、EGLN1、EPAS1、EPOR、ETV6、EZH2、FLT3、IDH1、IDH2、JAK2、KDM6A、KIT、KMT2A、KRAS、MPL、NF1、NPM1、NRAS、PHF6、PRPF40B、RAD21、RUNX1、SETBP1、SF3A1、SF3B1、SH2B3、SMC1A、SRSF2、STAG2、TET2、THPO、TP53、U2AF1、VHL、WT1、およびZRSR2からなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列である、請求項12から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記疾患が慢性リンパ球性白血病(CLL)または急性リンパ芽球性白血病(ALL)であるとき、前記ヌクレオチド配列は、IGH、IGK、EZH2、FLT3、JAK2、KRAS、NRAS、PHF6、SF3B1、TP53,IL7R、PTEN、STAT5B、CRLF2、EGR2、NFKBIE、PLCG2、JAK3、JAK1、IL7、WHSC1、TYK2、FBXW7、IKZF1、BIRC3、POT1、RPS15、KLHL6、PTPN11、ATM、IRF4、BRA、XPO1、CXCR4、BCL2、CDKN2A、MYD88、KMT2D、CREBBP、PAX5、NOTCH1、STAT3、およびBTKからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列である、請求項12から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記疾患がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンストレームリンパ腫(WL)、またはホジキンリンパ腫(HL)であるとき、前記ヌクレオチド配列は、ARID1A、ARID1B、B2M、BCL10、BCL2、BCL7A、BRAF、BTG1、BTK、CARD11、CCND3、CD58、CD79A、CD79B、CDKN2A、CDKN2B、CIITA、CREBBP、CTSS、CXCR4、EP300、ETS1、EZH2、FOXO1、GNA13、HIST1H1E、HNRNPK、ID3、IKZF3、IRF4、IRF8、ITPKB、KMT2D、KRAS、MEF2B、MFHAS1、MUM1、MYC、MYD88、NOTCH1、P2RY8、PAX5、PCBP1、PIM1、PIM2、PRDM1、RRAGC、S1PR2、SMARCA4、SOCS1、STAT3、STAT6、TCF3、TNFAIP3、TNFRSF14、TP53、およびXPO1からなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列である、請求項12から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記疾患が多発性骨髄腫(MM)であるとき、前記ヌクレオチド配列は、IGH、IGK、CRBN、IRF4、TP53、NFKB2、KRAS、NRAS、BRAF、FAM46C、FGFR3、DIS3、TRAF3、ATM、MAX、RB1、CYLD、CCND1、NF1、KLHL6、PTPN11、ACTG1、MAF、ZNF292、ROBO1、EGR1、FAT3、PRKD2、HUWE1、TRAF2、CDKN1B、RASA2、UBR5、ZFHX4、DUSP2、SP140、BIRC2、CRBN、およびLTBからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列である、請求項12から18のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
(A)および(B)におけるポリメラーゼ連鎖反応により増幅するための手段は、PCR機器を含み、
(A)および(B)における前記少なくとも1つのヌクレオチド配列を配列決定するための手段は、超並列シーケンシングプラットフォームを含み、前記シーケンシングは、超並列シーケンシングであり、
(A)で得た第1の文字の列記それぞれについて、(B)、(C)で得た第2の文字の列記それぞれとの類似度を求めるための手段は、少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を含み、
(D)において最高値のDSを選択するための手段は、少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を含み、
第1の文字の列記のうちIにおいて第2の文字の列記と同じであるものの総数Lを得る手段は、少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を含み、
(F)において第1の文字の列記の総数Lを得る手段は、少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を含み、
(G)において最小残存病変のレベルを算出するための手段は、少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を含み、
(H)において、最小変異読取り頻度minVRF、検出限界D-limit、平均突然変異ノイズavMut、および平均位置ノイズavPosを求めるための手段は、少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を含み、
(I)において実験感度ESを求めるための手段は、少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を含み、
(J)において最小残存病変の有無を求めるための手段は、少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を含む、請求項12から22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
疾患が処置された対象における最小残存病変(MRD)の有無を求めるキットであって、前記疾患は増殖性疾患であり、前記キットは、
(A)座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを含む一対のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患の処置前に前記対象から得た生物学的試料からのゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させるための手段、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定するための手段であって、これにより、左から右へと読み取られる第1の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、手段と、
(B)(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患の処置後に前記対象から得た生物学的試料からの一定量DのゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させるための手段であって、前記ゲノムDNAは、前記生物学的試料の二倍体細胞あたりの平均重量kを有している、手段、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定するための手段であって、これにより、左から右へと読み取られる第2の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られ、(A)および(B)で増幅された各ヌクレオチド配列は、400ヌクレオチドよりも短く、遺伝子の突然変異ヌクレオチド配列または非突然変異ヌクレオチド配列のいずれかであり、ヌクレオチド配列は、突然変異すると、一塩基変異型突然変異、インデル突然変異、および体細胞遺伝子再構成突然変異の群から選択される突然変異を含む遺伝子マーカーである、手段と、
(C)(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、(A)で得た第1の文字の列記それぞれとの類似度を求めるための手段であって、(B)で得た第2の文字の列記と(A)で得た第1の文字の列記との類似度DSは、
(i)それぞれ第1および第2の文字の列記におけるものと同じである、第1および第2の文字の列記における文字の総数Cを数えること、
(ii)前記第1および第2の文字の列記における文字の総数Cを数えること、および
(iii)次の式
DS=C/C
に従いDSを算出すること
により求められる、手段と、
(D)(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、最高値のDS、すなわちDSHVを選択するための手段と、
(E)閾値Tより大きなDSHVを有する第2の文字の列記の数を合計することで、第1の文字の列記と同じである第2の文字の列記の総数Lを取得するための手段と、
(F)以下
(i)Lおよび
(ii)Tより大きなDSHVを有していない第2の文字の列記の数
を合計することで、第2の文字の列記の総数Lを取得する手段と、
(G)次の式
MRD=(Lxk)/(LxD)、
MRD=L/L、または
MRD=gxLx(D/k)/L
のいずれかに従い、最小残存病変MRDの値を算出するための手段であって、式中、gは、細胞ごとの遺伝子コピー数であり、Dは、ngの単位であり、kは、ng/細胞の単位である、手段と、
(H)以下
(i)前記遺伝子マーカーの最小変異読取り頻度minVRFであって、minVRFは、次の式
minVRF=k/D
に従い算出され、式中、Dとkは上記で定義したとおりである、minVRF、
(ii)以下
(a)前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの溶液の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第1の組成物を取得すること、
(b)前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(c)前記第1の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第2の組成物を取得すること、
(d)前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(e)前記第2の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第3の組成物を取得すること、
(f)前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(g)前記第3の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第4の組成物を取得すること、
(h)前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(i)第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の平均対数avlogMRD1、および第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogC1、ならびに
第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の平均対数avlogMRD2、および第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogC2
を算出すること、
(j)前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1A、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1B、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1C、
前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1D、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1E、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1F、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2A、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2B、
前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2C、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2D、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2E、および
前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2F
を算出すること、
(k)D1AとD1Dとの乗算によりR1、
D1BとD1Eとの乗算によりR2、
D1CとD1Fとの乗算によりR3、
D1AとD1Aとの乗算によりR4、
D1BとD1Bとの乗算によりR5、
D1CとD1Cとの乗算によりR6、
D2AとD2Dとの乗算によりR7、
D2BとD2Eとの乗算によりR8、
D2CとD2Fとの乗算によりR9、
D2AとD2Aとの乗算によりR10、
D2BとD2Bとの乗算によりR11、
D2CとD2Cとの乗算によりR12、
を算出すること、
(l)次の式
S1=(R1+R2+R3)/(R4+R5+R6)
を使用してS1、
次の式
S2=(R7+R8+R9)/(R10+R11+R12)
を使用してS2
を算出すること、
(m)S1とS2を比較することであって、これにより、
S2がS1よりも少なくとも30%低い場合、第3の組成物の濃度は検出限界D-limitであり、
S2がS1に等しい、またはS1より30%低い場合、(H)(ii)(a)~(H)(ii)(l)は、前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの溶液の代わりに前記第1の組成物を用いて繰り返される、比較すること
による、前記遺伝子マーカーの検出限界D-limit、
(iii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、
(a)(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患がなく前記遺伝子マーカーのない対象から得た生物学的試料のゲノムDNAの少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させるための手段、
(b)増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定するための手段であって、これにより、左から右へと読み取られる第3の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、手段、
(c)前記疾患がなく前記遺伝子マーカーがないm人の対象において(H)(iii)(a)および(H)(iii)(b)を繰り返すための手段であって、mは少なくとも9である、手段、
(d)前記遺伝子マーカーの配列決定から得たものと同一である第3の文字の列記の平均画分を算出するための手段であって、平均画分は平均突然変異ノイズavMutである、手段
を用いての平均突然変異ノイズavMut、
(iv)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列と同一の各ヌクレオチドに関する変異読取り頻度VRFを算出するための手段を使用しての平均位置ノイズavPosであって、前記遺伝子マーカー中の前記一塩基変異型突然変異を担うヌクレオチドは、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列におけるものとは異なり、前記VRF値の平均はavPosである、平均位置ノイズ
を求めるための手段と、
(I)実験感度ESを求めるための手段であって、ESは、
(i)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、(H)で算出されるようなminVRF、D-limit、avMut、およびavPosのうち大きい方、および
(ii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、(H)で算出されるようなminVRFおよびD-limitのうち大きい方
である、手段と、
(J)前記対象における最小残存病変の有無を、
(i)(G)で算出した最小残存病変MRDレベルの値を、(I)で求めた実験感度ESの値と比較することであって、
(a)前記MRD値のレベルが前記ES値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(b)前記MRD値のレベルが前記ES値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、
比較すること、または
(ii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、(G)で算出された最小残存病変MRDのレベルの値と、(H)で算出したminVRFの値とを比較することであって、
(a)前記MRD値のレベルが前記minVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記MinVRF値未満であるとき、(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、(H)で算出したavMutの値とを比較することであって、
(b)前記MRD値のレベルが前記avMut値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記avMut値未満であるとき、(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、(H)で算出したavPosの値とを比較することであって、
(c)前記MRD値のレベルが前記avPos値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記avPos値未満であるとき、(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、(H)で算出したD-limitの値とを比較することであって、
(d)前記MRD値のレベルが前記D-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(e)前記MRD値のレベルが前記minVRF値、avMut値、avPos値、およびD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること、または
(iii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、(G)で算出された最小残存病変MRDのレベルの値と、(I)で算出したminVRFの値とを比較することであって、
(f)前記MRD値のレベルが前記minVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記minVRF値未満であるとき、(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、(H)で算出したD-limitの値とを比較することであって、
(g)前記MRD値のレベルが前記D-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(h)前記MRD値のレベルが前記minVRF値およびD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること
のいずれかにより求めるための手段と
を含み、
ここで、
(A)および(B)におけるポリメラーゼ連鎖反応により増幅するための手段は、PCR機器を含み、
(A)および(B)における前記少なくとも1つのヌクレオチド配列を配列決定するための手段は、超並列シーケンシングプラットフォームを含み、前記シーケンシングは、超並列シーケンシングであり、
(A)で得た第1の文字の列記それぞれについて、(B)、(C)で得た第2の文字の列記それぞれとの類似度を求めるための手段は、少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を含み、
(D)において最高値のDSを選択するための手段は、少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を含み、
第1の文字の列記のうち第2の文字の列記と同じであるものの総数Lを得る手段は、少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を含み、
(F)において第1の文字の列記の総数Lを得る手段は、少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を含み、
(G)において最小残存病変のレベルを算出するための手段は、少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を含み、
(H)において、最小変異読取り頻度minVRF、検出限界D-limit、平均突然変異ノイズavMut、および平均位置ノイズavPosを求めるための手段は、少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を含み、
(I)において実験感度ESを求めるための手段は、少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を含み、
(J)において最小残存病変の有無を求めるための手段は、少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を含む、キット。
【請求項25】
前記増殖性疾患が、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫(MM)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、リンパ腫、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性新生物(MPN)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンストレームリンパ腫(WL)、ホジキンリンパ腫(HL)、および固形腫瘍からなる群から選択される、請求項24に記載のキット。
【請求項26】
前記遺伝子マーカーが前記疾患を引き起こす、請求項24または25のいずれか一項に記載のキット。
【請求項27】
前記疾患の処置前に前記対象から得た組織試料の前記ゲノムDNA中の前記遺伝子マーカーの変異読取り頻度VRFが、
(i)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるときに少なくとも5%、または
(ii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるときに少なくとも2%
である、請求項24から26のいずれか一項に記載のキット。
【請求項28】
前記遺伝子マーカーが、
(P)前記疾患を抱える前記対象における遺伝子のヌクレオチド配列に含まれる少なくとも1つの突然変異を特定し、このように特定した各突然変異の変異読取り頻度VRFを求めるための手段と、
(Q)10%を超えるVRFを有する突然変異を特定することにより、10%を超えるVRFを有する(P)で特定された突然変異を選択するための手段であって、10%を超えるVRFを有する突然変異は、
(a)最高のVRFを有する体細胞遺伝子再構成突然変異、
(b)(P)で特定した体細胞遺伝子再構成突然変異が10%超のVRFを有していない場合、最高VRFを有するインデル突然変異、または
(c)(P)で特定した体細胞遺伝子再構成突然変異またはインデル突然変異が10%超のVRFを有していない場合、最高VRFを有する一塩基変異型突然変異
である、手段と、
(R)前記対象中の遺伝子のヌクレオチド配列のうち(Q)で選択した前記突然変異を含むものをポリメラーゼ連鎖反応により増幅する座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを特定するための手段と
により選択され、(Q)で選択された前記突然変異を含む前記ヌクレオチド配列は、前記遺伝子マーカーである、請求項24から27のいずれか一項に記載のキット。
【請求項29】
(P)で特定した突然変異が、10%を超えるVRFを有していない場合、前記遺伝子マーカーは、さらなるn-1遺伝子マーカーと共に、以下により選択され、
(Q)は(Q’)と置き換えられ、(Q’)は、
(i)2%~10%のVRFを有する突然変異を特定することにより、2%~10%のVRFを有する(P)で特定したn個の突然変異を選択するための手段であって、該突然変異は、
(a)最高のVRFを有する体細胞遺伝子再構成突然変異、または
(b)(P)で特定したn個未満の体細胞遺伝子再構成突然変異が2%~10%のVRFを有していない場合、最高のVRFを有するインデル突然変異
である、手段を含み、または
(P)で特定したn個未満の体細胞遺伝子再構成突然変異が2%~10%のVRFを有し、(P)で特定したn個未満のインデル突然変異が2%~10%のVRFを有する場合、(Q’)は、
(ii)5%~10%のVRFを有する突然変異のうち一塩基変異型突然変異であるものを特定することにより、5%~10%のVRFを有する(P)で特定したn個の突然変異
を選択するための手段を含み、および
(R)は(R’)と置き換えられ、(R’)は、
(i)(Q’)で選択されたn個の突然変異のうち1つを選択し、選択した突然変異を含む前記対象における遺伝子のヌクレオチド配列をポリメラーゼ連鎖反応により増幅する座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを特定するための手段であって、前記選択した突然変異を含む前記ヌクレオチド配列は遺伝子マーカーである、手段、および
(ii)(R’)(i)をn-1回繰り返すための手段であって、1回あたり、以前に(R’)(i)で選択されていない(Q’)で選択された残りのn-1個の突然変異のうち1つに対して行われる、手段
を含み、
前記キットはさらに、(A)~(I)をさらにn-1回繰り返すことであって、1回あたり、(R’)で特定した異なるプライマー対を使用する、繰り返すこと、および、(J)を、以下の(J’):
(i)最小残存病変のレベルの平均値avMRDと実験感度の平均値avESとを比較するための手段であって、
(a)前記avMRD値が前記avES値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(b)前記avMRD値が前記avES値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、手段、または
(ii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、最小残存病変のレベルの平均値avMRDと、minVRFの平均値avminVRFとを比較するための手段であって、
(a)前記avMRD値が前記avminVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、手段、および
前記avMRD値が前記avminVRF値未満であるとき、最小残存病変レベルの平均値avMRDと、avMutの平均値avavMutとを比較するための手段であって、
(b)前記avMRD値が前記avavMut値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、手段、および
前記avMRD値が前記avavMut値未満であるとき、最小残存病変レベルの平均値avMRDと、avPosの平均値avavPosとを比較するための手段であって、
(c)前記avMRD値が前記avavPos値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、手段、および
前記avMRD値が前記avavPos値未満であるとき、最小残存病変レベルの平均値avMRDと、D-limitの平均値avD-limitとを比較するための手段であって、
(d)前記avMRD値が前記avD-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(e)前記avMRD値が前記avminVRF値、avavMut値、avavPos値、およびavD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること、または
(iii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、最小残存病変のレベルの平均値avMRDと、minVRFの平均値avminVRFとを比較するための手段であって、
(f)前記avMRD値が前記avminVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、手段、および
前記avMRD値が前記avminVRF値未満であるとき、最小残存病変レベルの平均値avMRDと、D-limitの平均値avD-limitとを比較するための手段であって、
(g)前記avMRD値が前記avD-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(h)前記avMRD値が前記avminVRF値およびavD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、手段
と置き換えることを含み、
ここで、nは2~5から選択される自然数である、請求項28に記載のキット。
【請求項30】
前記体細胞遺伝子再構成突然変異が、免疫グロブリン遺伝子再構成突然変異である、請求項24から29のいずれか一項に記載のキット。
【請求項31】
前記疾患が急性骨髄性白血病(AML)、骨髄増殖性新生物(MPN)、または骨髄異形成症候群(MDS)であるとき、前記ヌクレオチド配列は、ASXL1、BCOR、BCORL1、CALR、CBL、CEBPA、CSF3R、DNMT3A、EGLN1、EPAS1、EPOR、ETV6、EZH2、FLT3、IDH1、IDH2、JAK2、KDM6A、KIT、KMT2A、KRAS、MPL、NF1、NPM1、NRAS、PHF6、PRPF40B、RAD21、RUNX1、SETBP1、SF3A1、SF3B1、SH2B3、SMC1A、SRSF2、STAG2、TET2、THPO、TP53、U2AF1、VHL、WT1、およびZRSR2からなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列である、請求項24から30のいずれか一項に記載のキット。
【請求項32】
前記疾患が慢性リンパ球性白血病(CLL)または急性リンパ芽球性白血病(ALL)であるとき、前記ヌクレオチド配列は、IGH、IGK、EZH2、FLT3、JAK2、KRAS、NRAS、PHF6、SF3B1、TP53、IL7R、PTEN、STAT5B、CRLF2、EGR2、NFKBIE、PLCG2、JAK3、JAK1、IL7、WHSC1、TYK2、FBXW7、IKZF1、BIRC3、POT1、RPS15、KLHL6、PTPN11、ATM、IRF4、BRA、XPO1、CXCR4、BCL2、CDKN2A、MYD88、KMT2D、CREBBP、PAX5、NOTCH1、STAT3、およびBTKからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列である、請求項24から30のいずれか一項に記載のキット。
【請求項33】
前記疾患がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンストレームリンパ腫(WL)、またはホジキンリンパ腫(HL)であるとき、前記ヌクレオチド配列は、ARID1A、ARID1B、B2M、BCL10、BCL2、BCL7A、BRAF、BTG1、BTK、CARD11、CCND3、CD58、CD79A、CD79B、CDKN2A、CDKN2B、CIITA、CREBBP、CTSS、CXCR4、EP300、ETS1、EZH2、FOXO1、GNA13、HIST1H1E、HNRNPK、ID3、IKZF3、IRF4、IRF8、ITPKB、KMT2D、KRAS、MEF2B、MFHAS1、MUM1、MYC、MYD88、NOTCH1、P2RY8、PAX5、PCBP1、PIM1、PIM2、PRDM1、RRAGC、S1PR2、SMARCA4、SOCS1、STAT3、STAT6、TCF3、TNFAIP3、TNFRSF14、TP53、およびXPO1からなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列である、請求項24から30のいずれか一項に記載のキット。
【請求項34】
前記疾患が多発性骨髄腫(MM)であるとき、前記ヌクレオチド配列は、IGH、IGK、CRBN、IRF4、TP53、NFKB2、KRAS、NRAS、BRAF、FAM46C、FGFR3、DIS3、TRAF3、ATM、MAX、RB1、CYLD、CCND1、NF1、KLHL6、PTPN11、ACTG1、MAF、ZNF292、ROBO1、EGR1、FAT3、PRKD2、HUWE1、TRAF2、CDKN1B、RASA2、UBR5、ZFHX4、DUSP2、SP140、BIRC2、CRBN、およびLTBからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列である、請求項24から30のいずれか一項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には医療分野、より具体的には疾患診断の分野に含めることができる。
【0002】
特に、本発明は、増殖性疾患が処置された対象における最小残存病変の有無を、対象中の突然変異を解析することにより求めるための方法、キット、およびシステムに焦点を当てるものである。加えて、本発明は、前記対象に特化した処置方法にも焦点を当てており、該方法は、前記対象における最小残存病変(MRD)の有無を求めるために、前述の方法、キット、あるいはシステムの使用後に、前記対象に治療を施す工程を含む。
【背景技術】
【0003】
現在の増殖性疾患の検出および処置の方法は、臨床レベルで多くの疾患を制御し、それによって疾患の痕跡をすべて消し去ることが可能であることを意味する。それにもかかわらず、一部の疾患が検出されない、または処置後に対象の回復が完全ではない場合がある。後者の場合、疾患は、クローン選択のプロセスにより処置の選択的圧力下で薬物耐性を発達させ、これにより疾患の拡大、最終的には疾患の常発(recidivism)または再発を生じさせる恐れがある。そのため、所与の組織中の罹患細胞数をモニタリングすることが、非常に重要である。具体的には、疾患が処置された対象における最小残存病変(MRD)のレベルをモニタリングすることが、特に有益である。MRDは、疾患または罹患細胞(例えば癌細胞)に対して与えられた名称であり、この疾患の処置中または処置後に対象またはその特定組織に残存している。一般的に、MRDは、例えば化学療法による処置中または処置後に対象に残存する増殖性疾患を指す。
【0004】
現在、例えば、MRDレベルの判定を介したモニタリングは、様々な技法により実行可能である。ゴールドスタンダードであるフローサイトメトリー(FCM)では、最大8つの異なるマーカーを使用して疾患の表現型を求めることができる。この目的のために使用される別の方法は、免疫グロブリン(Ig)遺伝子の対立遺伝子特異的オリゴヌクレオチドPCR(ASO-PCR)であり、各患者または特定の分子マーカーに対して特異的なプライマーの設計が必要とされ、症例のわずか40%にしか適用できない。
【0005】
EP3018214A1は、次の式:MRD=LxD/k)/L によるMRDの算出を開示している。対照的に、Blood Cancer J.(2003)17(12):2474-2486は、次の式:MRD=10((ΔCt FUP -ΔCt DX )/-3:4)およびMRD=(FGCN/CGCNFUP/(FGCN/CGCNDXによるMRDの算出を開示している。
【0006】
そのため、本発明の課題は、疾患が処置された対象における最小残留病変(MRD)の有無を求める方法を提供することであり、この方法は、感度の改善、より大きな解析的再現性、およびレベルのより正確な判定を示すものであり、完全に自動化することで容易に標準化することが可能であり、それにより、実験室間の変動を最小限に抑えることができる。本発明のさらなる課題は、疾患のマーカーの特徴にかかわらず、疾患が処置された対象における最小残存病変(MRD)の有無を求めることが可能であり、こうして、再発の可能性がありさらなる処置を必要とする対象における疾患の存在の診断を可能にする、普遍的な方法を提供することである。加えて、本発明の課題は、対象に特異的であるとともに、対象集団から得たデータを含む外部データベースへのアクセスを必要としない方法を提供することである。
【0007】
さらに、本発明の課題は、患者に特異的であるとともに、最小残存病変を可能な限り排除するほど十分に疾患が処置されるのを確実とするほか、疾患の処置に必要な範囲を超える治療に患者を不必要にさらすことを回避する、疾患の処置方法を提供することである。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、増殖性疾患が処置された対象における実験的感度を示す閾値に対してMRD値を比較することで、前記対象における最小残存病変の有無を求めるための統計的に感度が高く特異的な手段を提供するという認識に基づくものである。従来より免疫グロブリン再構成データに依存している従来技術の方法と異なり、本方法は、対象における点突然変異(一塩基変異体、SNV)および挿入-欠失突然変異(インデル)に関連するデータに基づき、最小残存病変の有無を確実に求めることも分かっている。
【0009】
本発明は、疾患が処置された対象における最小残存病変(MRD)の有無を求める方法に関し、前記疾患は増殖性疾患であり、前記方法は、
(A)座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを含む一対のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患の処置前に前記対象から得た生物学的試料からのゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させる工程、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定する工程であって、これにより、左から右へと読み取られる第1の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、工程と、
(B)工程(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患の処置後に前記対象から得た生物学的試料からの一定量DのゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させる工程であって、前記ゲノムDNAは、前記生物学的試料の二倍体細胞あたりの平均重量kを有している、工程、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定する工程であって、これにより、左から右へと読み取られる第2の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られ、工程(A)および(B)で増幅された各ヌクレオチド配列は、400ヌクレオチドよりも短く、遺伝子の突然変異ヌクレオチド配列または非突然変異ヌクレオチド配列のいずれかであり、ヌクレオチド配列は、突然変異すると、一塩基変異型突然変異、インデル突然変異、および体細胞遺伝子再構成突然変異の群から選択される突然変異を含む遺伝子マーカーである、工程と、
(C)工程(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、工程(A)で得た第1の文字の列記それぞれとの類似度を求める工程であって、工程(B)で得た第2の文字の列記と工程(A)で得た第1の文字の列記との類似度DSは、
(i)それぞれ第1および第2の文字の列記それぞれにおけるものと同じである、第1および第2の文字の列記それぞれにおける文字の総数Cを数えること、
(ii)前記第1および第2の文字の列記における文字の総数Cを数えること、および
(iii)次の式
DS=C/C
に従いDSを算出すること
により求められる、工程と、
(D)工程(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、最高値のDS、すなわちDSHVを選択する工程と、
(E)閾値Tより大きなDSHVを有する第2の文字の列記の数を合計することで、第1の文字の列記と同じである第2の文字の列記の総数Lを取得する工程と、
(F)以下
(i)Lおよび
(ii)Tより大きなDSHVを有していない第2の文字の列記の数
を合計することで、第2の文字の列記の総数Lを取得する工程と、
(G)次の式
MRD=(Lxk)/(LxD)、
MRD=L/L、または
MRD=gxLx(D/k)/L
のいずれかに従い、最小残存病変MRDの値を算出する工程であって、式中、gは、細胞ごとの遺伝子コピー数であり、Dは、ngの単位であり、kは、ng/細胞の単位である、工程と、
(H)以下
(i)前記遺伝子マーカーの最小変異読取り頻度minVRFであって、minVRFは、次の式
minVRF=k/D
に従い算出され、式中、Dとkは上記で定義したとおりである、minVRF、
(ii)以下
(a)前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの溶液の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第1の組成物を取得すること、
(b)前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(c)前記第1の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第2の組成物を取得すること、
(d)前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(e)前記第2の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第3の組成物を取得すること、
(f)前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(g)前記第3の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第4の組成物を取得すること、
(h)前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(i)第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の平均対数avlogMRD1、および第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogC1、ならびに
第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の平均対数avlogMRD2、および第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogC2
を算出すること、
(j)前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1A、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1B、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1C、
前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1D、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1E、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1F、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2A、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2B、
前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2C、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2D、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2E、および
前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2F
を算出すること、
(k)D1AとD1Dとの乗算によりR1、
D1BとD1Eとの乗算によりR2、
D1CとD1Fとの乗算によりR3、
D1AとD1Aとの乗算によりR4、
D1BとD1Bとの乗算によりR5、
D1CとD1Cとの乗算によりR6、
D2AとD2Dとの乗算によりR7、
D2BとD2Eとの乗算によりR8、
D2CとD2Fとの乗算によりR9、
D2AとD2Aとの乗算によりR10、
D2BとD2Bとの乗算によりR11、
D2CとD2Cとの乗算によりR12
を算出すること、
(l)次の式
S1=(R1+R2+R3)/(R4+R5+R6)
を使用してS1、
次の式を使用してS2、
S2=(R7+R8+R9)/(R10+R11+R12)
を算出すること、
(m)S1とS2を比較することであって、これにより、
S2がS1よりも少なくとも30%低い場合、第3の組成物の濃度は検出限界D-limitであり、
S2がS1に等しい、またはS1より30%低い場合、工程(H)(ii)(a)~(H)(ii)(l)は、前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの溶液の代わりに前記第1の組成物を用いて繰り返される、比較すること
による、前記遺伝子マーカーの検出限界D-limit、
(iii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、
(a)工程(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患がなく前記遺伝子マーカーのない対象から得た生物学的試料のゲノムDNAの少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させること、
(b)増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定することであって、これにより、左から右へと読み取られる第3の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、配列決定すること、
(c)前記疾患がなく前記遺伝子マーカーがないm人の対象において工程(H)(iii)(a)および(H)(iii)(b)を繰り返すことであって、mは少なくとも9である、繰り返すこと、および
(d)前記遺伝子マーカーの配列決定から得たものと同一である第3の文字の列記の平均画分を算出することであって、平均画分は平均突然変異ノイズavMutである、算出すること
による平均突然変異ノイズavMut、ならびに
(iv)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列と同一の各ヌクレオチドに関する変異読取り頻度VRFを算出することによる平均位置ノイズavPosであって、前記遺伝子マーカー中の前記一塩基変異型突然変異を担うヌクレオチドは、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列におけるものとは異なり、前記VRF値の平均はavPosである、平均位置ノイズ
を求める工程と、
(I)実験感度ESを求める工程であって、ESは、
(i)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、工程(H)で算出されるようなminVRF、D-limit、avMut、およびavPosのうち大きい方、または
(ii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、工程(H)で算出されるようなminVRFおよびD-limitのうち大きい方
である、工程と、
(J)前記対象における最小残存病変の有無を、
(i)工程(G)で算出した最小残存病変MRDレベルの値を、工程(I)で求めた実験感度ESの値と比較することであって、
(a)前記MRD値のレベルが前記ES値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(b)前記MRD値のレベルが前記ES値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること、または
(ii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、工程(G)で算出された最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したminVRFの値とを比較することであって、
(a)前記MRD値のレベルが前記minVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記MinVRF値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したavMutの値とを比較することであって、
(b)前記MRD値のレベルが前記avMut値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記avMut値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したavPosの値とを比較することであって、
(c)前記MRD値のレベルが前記avPos値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記avPos値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したD-limitの値とを比較することであって、
(d)前記MRD値のレベルが前記D-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(e)前記MRD値のレベルが前記minVRF値、avMut値、avPos値、およびD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること、または
(iii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、工程(G)で算出された最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(I)で算出したminVRFの値とを比較することであって、
(f)前記MRD値のレベルが前記minVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記minVRF値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したD-limitの値とを比較することであって、
(g)前記MRD値のレベルが前記D-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(h)前記MRD値のレベルが前記minVRF値およびD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること
のいずれかにより求める工程と
を含む。
【0010】
加えて、本発明は、疾患が処置された対象における最小残存病変(MRD)の有無を求めるシステムに関するものであり、前記疾患は増殖性疾患であり、前記システムは、
(A)座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを含む一対のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患の処置前に前記対象から得た生物学的試料からのゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させるための手段、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定するための手段であって、これにより、左から右へと読み取られる第1の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、手段と、
(B)(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患の処置後に前記対象から得た生物学的試料からの一定量DのゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させるための手段であって、前記ゲノムDNAは、前記生物学的試料の二倍体細胞あたりの平均重量kを有している、手段、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定するための手段であって、これにより、左から右へと読み取られる第2の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られ、(A)および(B)で増幅された各ヌクレオチド配列は、400ヌクレオチドよりも短く、遺伝子の突然変異ヌクレオチド配列または非突然変異ヌクレオチド配列のいずれかであり、ヌクレオチド配列は、突然変異すると、一塩基変異型突然変異、インデル突然変異、および体細胞遺伝子再構成突然変異の群から選択される突然変異を含む遺伝子マーカーである、手段と、
(C)(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、(A)で得た第1の文字の列記それぞれとの類似度を求めるための手段であって、(B)で得た第2の文字の列記と(A)で得た第1の文字の列記との類似度DSは、
(i)それぞれ第1および第2の文字の列記におけるものと同じである、第1および第2の文字の列記における文字の総数Cを数えること、
(ii)前記第1および第2の文字の列記における文字の総数Cを数えること、および
(iii)次の式
DS=C/C
に従いDSを算出することにより求められる、手段と、
(D)(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、最高値のDS、すなわちDSHVを選択するための手段と、
(E)閾値Tより大きなDSHVを有する第2の文字の列記の数を合計することで、第1の文字の列記と同じである第2の文字の列記の総数Lを取得するための手段と、
(F)以下
(i)Lおよび
(ii)Tより大きなDSHVを有していない第2の文字の列記の数
を合計することで、第2の文字の列記の総数Lを取得する手段と、
(G)次の式
MRD=(Lxk)/(LxD)、
MRD=L/L、または
MRD=gxLx(D/k)/L
のいずれかに従い、最小残存病変MRDの値を算出するための手段であって、式中、gは、細胞ごとの遺伝子コピー数であり、Dは、ngの単位であり、kは、ng/細胞の単位である、手段と、
(H)以下
(i)前記遺伝子マーカーの最小変異読取り頻度minVRFであって、minVRFは、次の式
minVRF=k/D
に従い算出され、式中、Dとkは上記で定義したとおりである、minVRF、
(ii)以下
(a)前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの溶液の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第1の組成物を取得すること、
(b)前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(c)前記第1の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第2の組成物を取得すること、
(d)前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(e)前記第2の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第3の組成物を取得すること、
(f)前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(g)前記第3の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第4の組成物を取得すること、
(h)前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(i)第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の平均対数avlogMRD1、および第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogC1、ならびに
第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の平均対数avlogMRD2、および第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogC2
を算出すること、
(j)前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1A、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1B、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1C、
前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1D、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1E、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1F、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2A、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2B、
前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2C、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2D、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2E、および
前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2F
を算出すること、
(k)D1AとD1Dとの乗算によりR1、
D1BとD1Eとの乗算によりR2、
D1CとD1Fとの乗算によりR3、
D1AとD1Aとの乗算によりR4、
D1BとD1Bとの乗算によりR5、
D1CとD1Cとの乗算によりR6、
D2AとD2Dとの乗算によりR7、
D2BとD2Eとの乗算によりR8、
D2CとD2Fとの乗算によりR9、
D2AとD2Aとの乗算によりR10、
D2BとD2Bとの乗算によりR11、
D2CとD2Cとの乗算によりR12
を算出すること、
(l)次の式
S1=(R1+R2+R3)/(R4+R5+R6)
を使用してS1、
次の式
S2=(R7+R8+R9)/(R10+R11+R12)
を使用してS2
を算出すること、
(m)S1とS2を比較することであって、これにより、
S2がS1よりも少なくとも30%低い場合、第3の組成物の濃度は検出限界D-limitであり、
S2がS1に等しい、またはS1より30%低い場合、(H)(ii)(a)~(H)(ii)(l)は、前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの溶液の代わりに前記第1の組成物を用いて繰り返される、比較すること
による、前記遺伝子マーカーの検出限界D-limit、
(iii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、
(a)(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患がなく前記遺伝子マーカーのない対象から得た生物学的試料のゲノムDNAの少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させるための手段、
(b)増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定するための手段であって、これにより、左から右へと読み取られる第3の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、手段
(c)前記疾患がなく前記遺伝子マーカーがないm人の対象において(H)(iii)(a)および(H)(iii)(b)を繰り返すための手段であって、mは少なくとも9である、手段、
(d)前記遺伝子マーカーの配列決定から得たものと同一である第3の文字の列記の平均画分を算出するための手段であって、平均画分は平均突然変異ノイズavMutである、手段
を用いての平均突然変異ノイズavMut、
(iv)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列と同一の各ヌクレオチドに関する変異読取り頻度VRFを算出するための手段を使用しての平均位置ノイズavPosであって、前記遺伝子マーカー中の前記一塩基変異型突然変異を担うヌクレオチドは、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列におけるものとは異なり、前記VRF値の平均はavPosである、平均位置ノイズ
を求めるための手段と、
(I)実験感度ESを求めるための手段であって、ESは、
(i)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、(H)で算出されるようなminVRF、D-limit、avMut、およびavPosのうち大きい方、および
(ii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、(H)で算出されるようなminVRFおよびD-limitのうち大きい方
である、手段と、
(J)前記対象における最小残存病変の有無を、以下
(i)(G)で算出した最小残存病変MRDレベルの値を、(I)で求めた実験感度ESの値とを比較することであって、
(a)前記MRD値のレベルが前記ES値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(b)前記MRD値のレベルが前記ES値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること、または
(ii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、(G)で算出された最小残存病変MRDのレベルの値と、(H)で算出したminVRFの値とを比較することであって、
(a)前記MRD値のレベルが前記minVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記MinVRF値未満であるとき、(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、(H)で算出したavMutの値とを比較することであって、
(b)前記MRD値のレベルが前記avMut値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記avMut値未満であるとき、(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、(H)で算出したavPosの値とを比較することであって、
(c)前記MRD値のレベルが前記avPos値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記avPos値未満であるとき、(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、(H)で算出したD-limitの値とを比較することであって、
(d)前記MRD値のレベルが前記D-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(e)前記MRD値のレベルが前記minVRF値、avMut値、avPos値、およびD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること、または
(iii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、(G)で算出された最小残存病変MRDのレベルの値と、(I)で算出したminVRFの値とを比較することであって、
(f)前記MRD値のレベルが前記minVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記minVRF値未満であるとき、(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、(H)で算出したD-limitの値とを比較することであって、
(g)前記MRD値のレベルが前記D-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(h)前記MRD値のレベルが前記minVRF値およびD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること
のいずれかにより求めるための手段と
を含む。
【0011】
さらに、本発明は、疾患が処置された対象における最小残存病変(MRD)の有無を求めるキットに関し、前記疾患は増殖性疾患であり、前記キットは、
(A)座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを含む一対のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患の処置前に前記対象から得た生物学的試料からのゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させるための手段、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定するための手段であって、これにより、左から右へと読み取られる第1の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、手段と、
(B)(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患の処置後に前記対象から得た生物学的試料からの一定量DのゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させるための手段であって、前記ゲノムDNAは、前記生物学的試料の二倍体細胞あたりの平均重量kを有している、手段、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定するための手段であって、これにより、左から右へと読み取られる第2の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られ、(A)および(B)で増幅された各ヌクレオチド配列は、400ヌクレオチドよりも短く、遺伝子の突然変異ヌクレオチド配列または非突然変異ヌクレオチド配列のいずれかであり、ヌクレオチド配列は、突然変異すると、一塩基変異型突然変異、インデル突然変異、および体細胞遺伝子再構成突然変異の群から選択される突然変異を含む遺伝子マーカーである、手段と、
(C)(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、(A)で得た第1の文字の列記それぞれとの類似度を求めるための手段であって、(B)で得た第2の文字の列記と(A)で得た第1の文字の列記との類似度DSは、
(i)それぞれ第1および第2の文字の列記におけるものと同じである、第1および第2の文字の列記における文字の総数Cを数えること、
(ii)前記第1および第2の文字の列記における文字の総数Cを数えること、および
(iii)次の式
DS=C/C
に従いDSを算出することにより求められる、手段と、
(D)(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、最高値のDS、すなわちDSHVを選択するための手段と、
(E)閾値Tより大きなDSHVを有する第2の文字の列記の数を合計することで、第1の文字の列記と同じである第2の文字の列記の総数Lを取得するための手段と、
(F)以下
(i)Lおよび
(ii)Tより大きなDSHVを有していない第2の文字の列記の数
を合計することで、第2の文字の列記の総数Lを取得する手段と、
(G)次の式
MRD=(Lxk)/(LxD)、
MRD=L/L、または
MRD=gxLx(D/k)/L
のいずれかに従い、最小残存病変MRDの値を算出するための手段であって、式中、gは、細胞ごとの遺伝子コピー数であり、Dは、ngの単位であり、kは、ng/細胞の単位である、手段と、
(H)以下
(i)前記遺伝子マーカーの最小変異読取り頻度minVRFであって、minVRFは、次の式
minVRF=k/D
に従い算出され、式中、Dとkは上記で定義したとおりである、minVRF、
(ii)以下
(a)前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの溶液の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第1の組成物を取得すること、
(b)前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(c)前記第1の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第2の組成物を取得すること、
(d)前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(e)前記第2の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第3の組成物を取得すること、
(f)前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(g)前記第3の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第4の組成物を取得すること、
(h)前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(i)第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の平均対数avlogMRD1、および第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogC1、ならびに
第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の平均対数avlogMRD2、および第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogC2
を算出すること、
(j)前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1A、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1B、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1C、
前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1D、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1E、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1F、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2A、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2B、
前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2C、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2D、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2E、および
前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2F
を算出すること、
(k)D1AとD1Dとの乗算によりR1、
D1BとD1Eとの乗算によりR2、
D1CとD1Fとの乗算によりR3、
D1AとD1Aとの乗算によりR4、
D1BとD1Bとの乗算によりR5、
D1CとD1Cとの乗算によりR6、
D2AとD2Dとの乗算によりR7、
D2BとD2Eとの乗算によりR8、
D2CとD2Fとの乗算によりR9、
D2AとD2Aとの乗算によりR10、
D2BとD2Bとの乗算によりR11、
D2CとD2Cとの乗算によりR12
を算出すること、
(l)次の式
S1=(R1+R2+R3)/(R4+R5+R6)
を使用してS1、
次の式
S2=(R7+R8+R9)/(R10+R11+R12)
を使用してS2
を算出すること、
(m)S1とS2を比較することであって、これにより、
S2がS1よりも少なくとも30%低い場合、第3の組成物の濃度は検出限界D-limitであり、
S2がS1に等しい、またはS1より30%低い場合、(H)(ii)(a)~(H)(ii)(l)は、前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの溶液の代わりに前記第1の組成物を用いて繰り返される、比較すること
による、前記遺伝子マーカーの検出限界D-limit、
(iii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、
(a)(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患がなく前記遺伝子マーカーのない対象から得た生物学的試料のゲノムDNAの少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させるための手段、
(b)増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定するための手段であって、これにより、左から右へと読み取られる第3の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、手段、
(c)前記疾患がなく前記遺伝子マーカーがないm人の対象において(H)(iii)(a)および(H)(iii)(b)を繰り返すための手段であって、mは少なくとも9である、手段、および
(d)前記遺伝子マーカーの配列決定から得たものと同一である第3の文字の列記の平均画分を算出するための手段であって、平均画分は平均突然変異ノイズavMutである、手段
を用いての平均突然変異ノイズavMut、ならびに
(iv)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列と同一の各ヌクレオチドに関する変異読取り頻度VRFを算出するための手段を使用しての平均位置ノイズavPosであって、前記遺伝子マーカー中の前記一塩基変異型突然変異を担うヌクレオチドは、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列におけるものとは異なり、前記VRF値の平均はavPosである、平均位置ノイズ
を求めるための手段と、
(I)実験感度ESを求めるための手段であって、ESは、
(i)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、(H)で算出されるようなminVRF、D-limit、avMut、およびavPosのうち大きい方、および
(ii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、(H)で算出されるようなminVRFおよびD-limitのうち大きい方
である、手段と、
(J)前記対象における最小残存病変の有無を、以下
(i)(G)で算出した最小残存病変MRDレベルの値を、(I)で求めた実験感度ESの値と比較することであって、
(a)前記MRD値のレベルが前記ES値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(b)前記MRD値のレベルが前記ES値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること、または
(ii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、(G)で算出された最小残存病変MRDのレベルの値と、(H)で算出したminVRFの値とを比較することであって、
(a)前記MRD値のレベルが前記minVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記MinVRF値未満であるとき、(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、(H)で算出したavMutの値とを比較することであって、
(b)前記MRD値のレベルが前記avMut値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記avMut値未満であるとき、(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、(H)で算出したavPosの値とを比較することであって、
(c)前記MRD値のレベルが前記avPos値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記avPos値未満であるとき、(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、(H)で算出したD-limitの値とを比較することであって、
(d)前記MRD値のレベルが前記D-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(e)前記MRD値のレベルが前記minVRF値、avMut値、avPos値、およびD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること、または
(iii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、(G)で算出された最小残存病変MRDのレベルの値と、(I)で算出したminVRFの値とを比較することであって、
(f)前記MRD値のレベルが前記minVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記minVRF値未満であるとき、(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、(H)で算出したD-limitの値とを比較することであって、
(g)前記MRD値のレベルが前記D-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(h)前記MRD値のレベルが前記minVRF値およびD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること
のいずれかにより求めるための手段と
を含む。
【0012】
本発明はまた、疾患が処置された対象における前記疾患の処置方法に関するものであり、前記疾患は増殖性疾患であり、前記方法は、
(1)対象に治療を施す工程であって、該治療は、化学療法、免疫療法、または放射線療法、あるいはこれらの組合せから選択される、工程と、
(2)対象における最小残存病変(MRD)の有無を求める工程と
を含み、前記方法はさらに、
(A)座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを含む一対のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患の処置前に前記対象から得た生物学的試料からのゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させる工程、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定する工程であって、これにより、左から右へと読み取られる第1の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、工程と、
(B)工程(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患の処置後に前記対象から得た生物学的試料からの一定量DのゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させる工程であって、前記ゲノムDNAは、前記生物学的試料の二倍体細胞あたりの平均重量kを有している、工程、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定する工程であって、これにより、左から右へと読み取られる第2の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られ、工程(A)および(B)で増幅された各ヌクレオチド配列は、400ヌクレオチドよりも短く、遺伝子の突然変異ヌクレオチド配列または非突然変異ヌクレオチド配列のいずれかであり、ヌクレオチド配列は、突然変異すると、一塩基変異型突然変異、インデル突然変異、および体細胞遺伝子再構成突然変異の群から選択される突然変異を含む遺伝子マーカーである、工程と、
(C)工程(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、工程(A)で得た第1の文字の列記それぞれとの類似度を求める工程であって、工程(B)で得た第2の文字の列記と工程(A)で得た第1の文字の列記との類似度DSは、
(i)それぞれ第1および第2の文字の列記におけるものと同じである、第1および第2の文字の列記における文字の総数Cを数えること、
(ii)前記第1および第2の文字の列記における文字の総数Cを数えること、および
(iii)次の式
DS=C/C
に従いDSを算出することにより求められる、工程と、
(D)工程(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、最高値のDS、すなわちDSHVを選択する工程と、
(E)閾値Tより大きなDSHVを有する第2の文字の列記の数を合計することで、第1の文字の列記と同じである第2の文字の列記の総数Lを取得する工程と、
(F)以下
(i)Lおよび
(ii)Tより大きなDSHVを有していない第2の文字の列記の数
を合計することで、第2の文字の列記の総数Lを取得する工程と、
(G)次の式
MRD=(Lxk)/(LxD)、
MRD=L/L、または
MRD=gxLx(D/k)/L
のいずれかに従い、最小残存病変MRDの値を算出する工程であって、式中、gは、細胞ごとの遺伝子コピー数であり、Dは、ngの単位であり、kは、ng/細胞の単位である、工程と、
(H)以下
(i)前記遺伝子マーカーの最小変異読取り頻度minVRFであって、minVRFは、次の式
minVRF=k/D
に従い算出され、式中、Dとkは上記で定義したとおりである、minVRF、
(ii)以下
(a)前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの溶液の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第1の組成物を取得すること、
(b)前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(c)前記第1の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第2の組成物を取得すること、
(d)前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(e)前記第2の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第3の組成物を取得すること、
(f)前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(g)前記第3の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第4の組成物を取得すること、
(h)前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(i)第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の平均対数avlogMRD1、および第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogC1、ならびに
第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の平均対数avlogMRD2、および第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogC2
を算出すること、
(j)前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1A、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1B、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1C、
前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1D、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1E、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1F、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2A、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2B、
前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2C、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2D、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2E、および
前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2F
を算出すること、
(k)D1AとD1Dとの乗算によりR1、
D1BとD1Eとの乗算によりR2、
D1CとD1Fとの乗算によりR3、
D1AとD1Aとの乗算によりR4、
D1BとD1Bとの乗算によりR5、
D1CとD1Cとの乗算によりR6、
D2AとD2Dとの乗算によりR7、
D2BとD2Eとの乗算によりR8、
D2CとD2Fとの乗算によりR9、
D2AとD2Aとの乗算によりR10、
D2BとD2Bとの乗算によりR11、
D2CとD2Cとの乗算によりR12、
を算出すること、
(l)次の式
S1=(R1+R2+R3)/(R4+R5+R6)
を使用してS1、
次の式
S2=(R7+R8+R9)/(R10+R11+R12)
を使用してS2
を算出すること、
(m)S1とS2を比較することであって、これにより、
S2がS1よりも少なくとも30%低い場合、第3の組成物の濃度は検出限界D-limitであり、
S2がS1に等しい、またはS1より30%低い場合、工程(H)(ii)(a)~(H)(ii)(l)は、前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの溶液の代わりに前記第1の組成物を用いて繰り返される、比較すること
による、前記遺伝子マーカーの検出限界D-limit、
(iii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、
(a)工程(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患がなく前記遺伝子マーカーのない対象から得た生物学的試料のゲノムDNAの少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させること、
(b)増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定することであって、これにより、左から右へと読み取られる第3の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、配列決定すること、
(c)前記疾患がなく前記遺伝子マーカーがないm人の対象において工程(H)(iii)(a)および(H)(iii)(b)を繰り返すことであって、mは少なくとも9である、繰り返すこと、および
(d)前記遺伝子マーカーの配列決定から得たものと同一である第3の文字の列記の平均画分を算出することであって、平均画分は平均突然変異ノイズavMutである、算出すること
による平均突然変異ノイズavMut、ならびに
(iv)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列と同一の各ヌクレオチドに関する変異読取り頻度VRFを算出することによる平均位置ノイズavPosであって、前記遺伝子マーカー中の前記一塩基変異型突然変異を担うヌクレオチドは、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列におけるものとは異なり、前記VRF値の平均はavPosである、平均位置ノイズ
を求める工程と、
(I)実験感度ESを求める工程であって、ESは、
(i)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、工程(H)で算出されるようなminVRF、D-limit、avMut、およびavPosのうち大きい方、または
(ii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、工程(H)で算出されるようなminVRFおよびD-limitのうち大きい方
である、工程と、
(J)前記対象における最小残存病変の有無を、以下
(i)工程(G)で算出した最小残存病変MRDレベルの値を、工程(I)で求めた実験感度ESの値とを比較することであって、
(a)前記MRD値のレベルが前記ES値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(b)前記MRD値のレベルが前記ES値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること、または
(ii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、工程(G)で算出された最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したminVRFの値とを比較することであって、
(a)前記MRD値のレベルが前記minVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記MinVRF値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したavMutの値とを比較することであって、
(b)前記MRD値のレベルが前記avMut値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記avMut値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したavPosの値とを比較することであって、
(c)前記MRD値のレベルが前記avPos値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記avPos値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したD-limitの値とを比較することであって、
(d)前記MRD値のレベルが前記D-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(e)前記MRD値のレベルが前記minVRF値、avMut値、avPos値、およびD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること、または
(iii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、工程(G)で算出された最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(I)で算出したminVRFの値とを比較することであって、
(f)前記MRD値のレベルが前記minVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記minVRF値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したD-limitの値とを比較することであって、
(g)前記MRD値のレベルが前記D-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(h)前記MRD値のレベルが前記minVRF値およびD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること
のいずれかにより求める工程と
を含み、最小残存病変が前記対象に存在すると求められたとき、工程(1)および(2)が繰り返され、工程(1)の各繰返しは、以前に前記対象に施したものと同じ治療、または以前に前記対象に施したものとは異なる治療を施すことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】総じて10のヘム悪質液(heme-dyscrasias)を含んだ4つの異なるパネルを含む腫瘍血液学的診断用の遺伝子マーカーを定義するベン図である。パネルは、リンパ性白血病(慢性リンパ球性白血病(CLL)および急性リンパ芽球性白血病(ALL))、骨髄癌(急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、および骨髄増殖性新生物(MNP))、多発性骨髄腫(MM)、ならびにリンパ腫(びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンストロームリンパ腫(WL)、およびホジキンリンパ腫)における再発性遺伝子突然変異の重複性を示しており、結果として13の異なる群の遺伝子マーカーがもたらされる。多くの遺伝子(イタリック体)のコーディング(エクソン)領域は、1より多くのパネルに開示される疾患において突然変異する。リンパ性白血病パネルは、48個の頻繁に突然変異した遺伝子のコーディング領域すべてに加えてIgHとIgK再構成をカバーし、骨髄癌パネルは、43個の頻繁に突然変異した遺伝子のコーディング領域をカバーし、多発性骨髄腫パネルは、38個の頻繁に突然変異した遺伝子のコーディング領域に加えてIgHとIgK再構成をカバーし、リンパ腫パネルは、56個の頻繁に突然変異した遺伝子のコーディングをカバーしている。
図1B】異なる固形腫瘍に関連する4つの異なるパネルを含む固形腫瘍診断用の遺伝子マーカーを定義するベン図である。パネルは、肺、乳房、結腸直腸、および膵臓の固形腫瘍における再発性遺伝子突然変異の重複性を示しており、結果として12の異なる群の遺伝子マーカーがもたらされる。多くの遺伝子(イタリック体)のコーディング(エクソン)領域は、1より多くのパネルに開示される疾患において突然変異する。肺癌パネルは、21個の頻繁に突然変異した遺伝子のコーディング領域すべてをカバーし、乳癌パネルは、20個の頻繁に突然変異した遺伝子のコーディング領域すべてをカバーし、大腸癌パネルは、20個の頻繁に突然変異した遺伝子のコーディング領域すべてをカバーし、膵臓癌パネルは、20個の頻繁に突然変異した遺伝子のコーディング領域すべてをカバーしている。
図2】本発明による工程(c)のサブ工程(i)~(vii)を表す模式図であり、細い灰色の線
【0014】
【化1】
は、第1の文字の列記を表し、細い黒色の線
【0015】
【化2】
は、第2の文字の列記を表す。第1の文字の列記および第2の文字の列記において同じである文字または複数の文字の最も長く連続する配列の選択は、それぞれより太い線
【0016】
【化3】
および
【0017】
【化4】
により表され、これらは後に、前述の文字の列記から除外される。
図3】本発明による工程(c)のサブ工程(xi)~(xv)を表す模式図であり、細い灰色の線
【0018】
【化5】
は、第1の文字の列記を表し、細い黒色の線
【0019】
【化6】
は、第2の文字の列記を表す。第1の文字の列記および第2の文字の列記において同じである文字または複数の文字の最も長く連続する配列の選択は、それぞれより太い線
【0020】
【化7】
および
【0021】
【化8】
により表され、これらは後に、前述の文字の列記から除外される。
図4】本発明の次世代シーケンシング(NGS)方法の、DNA増幅、ライブラリ調製、およびシーケンシングの実験ワークフローを示す図である。具体的に、gDNAは、特異的プライマーを用いたq-PCRにより増幅される。この産物は生成され、品質と特異性が測定される。ライブラリ調製は、末端修復、アダプターライゲーション、サイズ選択、PCR増幅という4工程で行われる。次いで、この産物は生成され、品質と特異性が測定される。その後、ライブラリはNGSにより配列決定される。カスタムバイオインフォマティックパイプライン(custom bioinformatic pipeline)は、正確な位置に検索を集中させ、アンサンブルperl APIアノテーションを介して染色体領域を区切ることで、得られた配列を解析する。この手法は、特定の位置および特定の代替固定変異体における突然変異配列からの野生型配列を識別する。結果は、野生型配列間で突然変異した配列の比として表される。
図5A】本発明の一実施形態による、疾患が処置された対象における最小残存病変(MRD)の有無を求めるための一般化方法の一例を示すフローチャートである。MRD、minVRF、avMut、avPos、D-limit、およびESのレベルは、本発明に従い求められる。minVRF=最小変異読取り頻度、avMut=平均突然変異ノイズ、avPos=平均位置ノイズ、D-limit=検出限界、ES=実験感度であり、minVRF、avMut、avPos、およびD-limitのうちより大きいものとして定義される。
図5B】本発明の別の実施形態による、疾患が処置された対象における最小残存病変(MRD)の有無を求めるための一般化方法の一例を示すフローチャートである。MRD、minVRF、avMut、avPos、D-limit、およびESのレベルは、本発明に従い求められる。minVRF=最小変異読取り頻度、avMut=平均突然変異ノイズ、avPos=平均位置ノイズ、D-limit=検出限界、ES=実験感度であり、minVRF、avMut、avPos、およびD-limitのうちより大きいものとして定義される。
図6】本発明の方法の一部による、最小残存病変(MRD)のレベルを算出する方法の一例を示すフローチャートである。
図7A】本発明の実施形態による類似度(DS)を求めるための工程の一例を示すフローチャートであり、突然変異は免疫グロブリン再構成である。
図7B】本発明の別の実施形態による類似度(DS)を求めるための工程の一例を示すフローチャートであり、突然変異は免疫グロブリン再構成である。
図8A】本発明の一実施形態による、遺伝子マーカーのminVRF、前記遺伝子マーカーのD-limit、avMut、およびavPosを求めるための工程の一例を示すフローチャートである。
図8B】本発明の別の実施形態による、ESを求めるための工程の一例を示すフローチャートである。
図9-1】本発明の一実施形態による、最小残存病変(MRD)を定量する方法の一例を示すフローチャートである。
図9-2】本発明の一実施形態による、最小残存病変(MRD)を定量する方法の一例を示すフローチャートである。
図10A】本発明の実施形態による逆相補性度(DSrcs)を求めるための工程の一例を示すフローチャートであり、突然変異は免疫グロブリン再構成である。
図10B】本発明の別の実施形態による逆相補性度(DSrcs)を求めるための工程の一例を示すフローチャートであり、突然変異は免疫グロブリン再構成である。
図11A】本発明の一実施形態による、対象における疾患の処置のための一般化方法の一例を示すフローチャートである。
図11B】本発明の別の実施形態による、対象における疾患の処置のための一般化方法の一例を示すフローチャートである。
図12】3つのデータポイントの連続する組同士の間の最小二乗回帰を用いて遺伝子マーカーの検出限界(D-limit)を求める一般化方法(本明細書中では、「傾きの違いを用いた(difference in slope)方法」)を例示する希釈曲線を示す図である。所与の組は、連続して10倍低下した濃度の遺伝子マーカーの第1、第2、および第3の組成物により表され、3つのデータポイントの連続する組は、連続して10倍低下した濃度の遺伝子マーカーの前記第2、前記第3、および第4の組成物により表され、各データポイント(希釈点)は、所与の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRDレベルの対数(LOG_MRD)およびその希釈の対数(濃度、体積/体積)(LOG_DIL)を含んでおり、これにより、1つの組の回帰線が、連続する組の回帰線の少なくとも30%であるとき、第3の組成物の濃度は、D-limitとして確立される(本明細書では、3つのデータポイントの最終組の傾斜S2は0.3362であり、この値は、連続する組の傾斜S1(0.6322)の30%未満であり、そのため、D-limitはLOG_DIL=-5の指数部である)。
図13A】IDH1 R132Hに関する希釈曲線である。希釈限界(D-limit)は、連続して10倍増加する希釈(低下した濃度、体積/体積)の遺伝子マーカーを有する第1、第2、および第3の組成物から得た最後(第3、すなわち最大希釈)の希釈点を生じさせる遺伝子マーカーの組成物の濃度により表され、前記組の回帰線の勾配は、前記第2の組成物、前記第1の組成物、および前記第1の組成物よりも10倍少なく希釈された組成物(黒点)から得られる3つの希釈点の回帰線の勾配から30%未満逸脱し、各希釈点は、所与の組成物の前記遺伝子マーカーのMRDのレベルの対数(LOG_MRD)およびその濃度の対数(LOG_DIL)を表す。各希釈点の勾配は、希釈点、および前の2つ(すなわち、希釈の少ない)希釈点により定義される。黒い四角は、範囲外の希釈点を表し、実線は、範囲外の第1の点を含めて算出された希釈曲線(線)を表す。
図13B】IDH1 R132Cに関する希釈曲線である。希釈限界(D-limit)は、連続して10倍増加する希釈(低下した濃度、体積/体積)の遺伝子マーカーを有する第1、第2、および第3の組成物から得た最後(第3、すなわち最大希釈)の希釈点を生じさせる遺伝子マーカーの組成物の濃度により表され、前記組の回帰線の勾配は、前記第2の組成物、前記第1の組成物、および前記第1の組成物よりも10倍少なく希釈された組成物(黒点)から得られる3つの希釈点の回帰線の勾配から30%未満逸脱し、各希釈点は、所与の組成物の前記遺伝子マーカーのMRDのレベルの対数(LOG_MRD)およびその濃度の対数(LOG_DIL)を表す。各希釈点の勾配は、希釈点、および前の2つ(すなわち、希釈の少ない)希釈点により定義される。黒い四角は、範囲外の希釈点を表し、実線は、範囲外の第1の点を含めて算出された希釈曲線(線)を表す。
図13C】IDH2 R172Kに関する希釈曲線である。希釈限界(D-limit)は、連続して10倍増加する希釈(低下した濃度、体積/体積)の遺伝子マーカーを有する第1、第2、および第3の組成物から得た最後(第3、すなわち最大希釈)の希釈点を生じさせる遺伝子マーカーの組成物の濃度により表され、前記組の回帰線の勾配は、前記第2の組成物、前記第1の組成物、および前記第1の組成物よりも10倍少なく希釈された組成物(黒点)から得られる3つの希釈点の回帰線の勾配から30%未満逸脱し、各希釈点は、所与の組成物の前記遺伝子マーカーのMRDのレベルの対数(LOG_MRD)およびその濃度の対数(LOG_DIL)を表す。各希釈点の勾配は、希釈点、および前の2つ(すなわち、希釈の少ない)希釈点により定義される。黒い四角は、範囲外の希釈点を表し、実線は、範囲外の第1の点を含めて算出された希釈曲線(線)を表す。
図13D】IDH2 R140Qに関する希釈曲線である。希釈限界(D-limit)は、連続して10倍増加する希釈(低下した濃度、体積/体積)の遺伝子マーカーを有する第1、第2、および第3の組成物から得た最後(第3、すなわち最大希釈)の希釈点を生じさせる遺伝子マーカーの組成物の濃度により表され、前記組の回帰線の勾配は、前記第2の組成物、前記第1の組成物、および前記第1の組成物よりも10倍少なく希釈された組成物(黒点)から得られる3つの希釈点の回帰線の勾配から30%未満逸脱し、各希釈点は、所与の組成物の前記遺伝子マーカーのMRDのレベルの対数(LOG_MRD)およびその濃度の対数(LOG_DIL)を表す。各希釈点の勾配は、希釈点、および前の2つ(すなわち、希釈の少ない)希釈点により定義される。黒い四角は、範囲外の希釈点を表し、実線は、範囲外の第1の点を含めて算出された希釈曲線(線)を表す。
図13E】JAK2 V617Fに関する希釈曲線である。希釈限界(D-limit)は、連続して10倍増加する希釈(低下した濃度、体積/体積)の遺伝子マーカーを有する第1、第2、および第3の組成物から得た最後(第3、すなわち最大希釈)の希釈点を生じさせる遺伝子マーカーの組成物の濃度により表され、前記組の回帰線の勾配は、前記第2の組成物、前記第1の組成物、および前記第1の組成物よりも10倍少なく希釈された組成物(黒点)から得られる3つの希釈点の回帰線の勾配から30%未満逸脱し、各希釈点は、所与の組成物の前記遺伝子マーカーのMRDのレベルの対数(LOG_MRD)およびその濃度の対数(LOG_DIL)を表す。各希釈点の勾配は、希釈点、および前の2つ(すなわち、希釈の少ない)希釈点により定義される。黒い四角は、範囲外の希釈点を表し、実線は、範囲外の第1の点を含めて算出された希釈曲線(線)を表す。
図13F】KRAS G12Vに関する希釈曲線である。希釈限界(D-limit)は、連続して10倍増加する希釈(低下した濃度、体積/体積)の遺伝子マーカーを有する第1、第2、および第3の組成物から得た最後(第3、すなわち最大希釈)の希釈点を生じさせる遺伝子マーカーの組成物の濃度により表され、前記組の回帰線の勾配は、前記第2の組成物、前記第1の組成物、および前記第1の組成物よりも10倍少なく希釈された組成物(黒点)から得られる3つの希釈点の回帰線の勾配から30%未満逸脱し、各希釈点は、所与の組成物の前記遺伝子マーカーのMRDのレベルの対数(LOG_MRD)およびその濃度の対数(LOG_DIL)を表す。各希釈点の勾配は、希釈点、および前の2つ(すなわち、希釈の少ない)希釈点により定義される。黒い四角は、範囲外の希釈点を表し、実線は、範囲外の第1の点を含めて算出された希釈曲線(線)を表す。
図13G】KRAS G12Aに関する希釈曲線である。希釈限界(D-limit)は、連続して10倍増加する希釈(低下した濃度、体積/体積)の遺伝子マーカーを有する第1、第2、および第3の組成物から得た最後(第3、すなわち最大希釈)の希釈点を生じさせる遺伝子マーカーの組成物の濃度により表され、前記組の回帰線の勾配は、前記第2の組成物、前記第1の組成物、および前記第1の組成物よりも10倍少なく希釈された組成物(黒点)から得られる3つの希釈点の回帰線の勾配から30%未満逸脱し、各希釈点は、所与の組成物の前記遺伝子マーカーのMRDのレベルの対数(LOG_MRD)およびその濃度の対数(LOG_DIL)を表す。各希釈点の勾配は、希釈点、および前の2つ(すなわち、希釈の少ない)希釈点により定義される。黒い四角は、範囲外の希釈点を表し、実線は、範囲外の第1の点を含めて算出された希釈曲線(線)を表す。
図13H】KRAS G12Cに関する希釈曲線である。希釈限界(D-limit)は、連続して10倍増加する希釈(低下した濃度、体積/体積)の遺伝子マーカーを有する第1、第2、および第3の組成物から得た最後(第3、すなわち最大希釈)の希釈点を生じさせる遺伝子マーカーの組成物の濃度により表され、前記組の回帰線の勾配は、前記第2の組成物、前記第1の組成物、および前記第1の組成物よりも10倍少なく希釈された組成物(黒点)から得られる3つの希釈点の回帰線の勾配から30%未満逸脱し、各希釈点は、所与の組成物の前記遺伝子マーカーのMRDのレベルの対数(LOG_MRD)およびその濃度の対数(LOG_DIL)を表す。各希釈点の勾配は、希釈点、および前の2つ(すなわち、希釈の少ない)希釈点により定義される。黒い四角は、範囲外の希釈点を表し、実線は、範囲外の第1の点を含めて算出された希釈曲線(線)を表す。
図13I】KRAS G12Dに関する希釈曲線である。希釈限界(D-limit)は、連続して10倍増加する希釈(低下した濃度、体積/体積)の遺伝子マーカーを有する第1、第2、および第3の組成物から得た最後(第3、すなわち最大希釈)の希釈点を生じさせる遺伝子マーカーの組成物の濃度により表され、前記組の回帰線の勾配は、前記第2の組成物、前記第1の組成物、および前記第1の組成物よりも10倍少なく希釈された組成物(黒点)から得られる3つの希釈点の回帰線の勾配から30%未満逸脱し、各希釈点は、所与の組成物の前記遺伝子マーカーのMRDのレベルの対数(LOG_MRD)およびその濃度の対数(LOG_DIL)を表す。各希釈点の勾配は、希釈点、および前の2つ(すなわち、希釈の少ない)希釈点により定義される。黒い四角は、範囲外の希釈点を表し、実線は、範囲外の第1の点を含めて算出された希釈曲線(線)を表す。
図13J】KRAS G12Sに関する希釈曲線である。希釈限界(D-limit)は、連続して10倍増加する希釈(低下した濃度、体積/体積)の遺伝子マーカーを有する第1、第2、および第3の組成物から得た最後(第3、すなわち最大希釈)の希釈点を生じさせる遺伝子マーカーの組成物の濃度により表され、前記組の回帰線の勾配は、前記第2の組成物、前記第1の組成物、および前記第1の組成物よりも10倍少なく希釈された組成物(黒点)から得られる3つの希釈点の回帰線の勾配から30%未満逸脱し、各希釈点は、所与の組成物の前記遺伝子マーカーのMRDのレベルの対数(LOG_MRD)およびその濃度の対数(LOG_DIL)を表す。各希釈点の勾配は、希釈点、および前の2つ(すなわち、希釈の少ない)希釈点により定義される。黒い四角は、範囲外の希釈点を表し、実線は、範囲外の第1の点を含めて算出された希釈曲線(線)を表す。
図13K】KRAS G12Rに関する希釈曲線である。希釈限界(D-limit)は、連続して10倍増加する希釈(低下した濃度、体積/体積)の遺伝子マーカーを有する第1、第2、および第3の組成物から得た最後(第3、すなわち最大希釈)の希釈点を生じさせる遺伝子マーカーの組成物の濃度により表され、前記組の回帰線の勾配は、前記第2の組成物、前記第1の組成物、および前記第1の組成物よりも10倍少なく希釈された組成物(黒点)から得られる3つの希釈点の回帰線の勾配から30%未満逸脱し、各希釈点は、所与の組成物の前記遺伝子マーカーのMRDのレベルの対数(LOG_MRD)およびその濃度の対数(LOG_DIL)を表す。各希釈点の勾配は、希釈点、および前の2つ(すなわち、希釈の少ない)希釈点により定義される。黒い四角は、範囲外の希釈点を表し、実線は、範囲外の第1の点を含めて算出された希釈曲線(線)を表す。
図13L】KRAS G13Dに関する希釈曲線である。希釈限界(D-limit)は、連続して10倍増加する希釈(低下した濃度、体積/体積)の遺伝子マーカーを有する第1、第2、および第3の組成物から得た最後(第3、すなわち最大希釈)の希釈点を生じさせる遺伝子マーカーの組成物の濃度により表され、前記組の回帰線の勾配は、前記第2の組成物、前記第1の組成物、および前記第1の組成物よりも10倍少なく希釈された組成物(黒点)から得られる3つの希釈点の回帰線の勾配から30%未満逸脱し、各希釈点は、所与の組成物の前記遺伝子マーカーのMRDのレベルの対数(LOG_MRD)およびその濃度の対数(LOG_DIL)を表す。各希釈点の勾配は、希釈点、および前の2つ(すなわち、希釈の少ない)希釈点により定義される。黒い四角は、範囲外の希釈点を表し、実線は、範囲外の第1の点を含めて算出された希釈曲線(線)を表す。
図13M】NRAS G12Dに関する希釈曲線である。希釈限界(D-limit)は、連続して10倍増加する希釈(低下した濃度、体積/体積)の遺伝子マーカーを有する第1、第2、および第3の組成物から得た最後(第3、すなわち最大希釈)の希釈点を生じさせる遺伝子マーカーの組成物の濃度により表され、前記組の回帰線の勾配は、前記第2の組成物、前記第1の組成物、および前記第1の組成物よりも10倍少なく希釈された組成物(黒点)から得られる3つの希釈点の回帰線の勾配から30%未満逸脱し、各希釈点は、所与の組成物の前記遺伝子マーカーのMRDのレベルの対数(LOG_MRD)およびその濃度の対数(LOG_DIL)を表す。各希釈点の勾配は、希釈点、および前の2つ(すなわち、希釈の少ない)希釈点により定義される。黒い四角は、範囲外の希釈点を表し、実線は、範囲外の第1の点を含めて算出された希釈曲線(線)を表す。
図13N】NRAS G12Vに関する希釈曲線である。希釈限界(D-limit)は、連続して10倍増加する希釈(低下した濃度、体積/体積)の遺伝子マーカーを有する第1、第2、および第3の組成物から得た最後(第3、すなわち最大希釈)の希釈点を生じさせる遺伝子マーカーの組成物の濃度により表され、前記組の回帰線の勾配は、前記第2の組成物、前記第1の組成物、および前記第1の組成物よりも10倍少なく希釈された組成物(黒点)から得られる3つの希釈点の回帰線の勾配から30%未満逸脱し、各希釈点は、所与の組成物の前記遺伝子マーカーのMRDのレベルの対数(LOG_MRD)およびその濃度の対数(LOG_DIL)を表す。各希釈点の勾配は、希釈点、および前の2つ(すなわち、希釈の少ない)希釈点により定義される。黒い四角は、範囲外の希釈点を表し、実線は、範囲外の第1の点を含めて算出された希釈曲線(線)を表す。
図13O】NRAS G13Dに関する希釈曲線である。希釈限界(D-limit)は、連続して10倍増加する希釈(低下した濃度、体積/体積)の遺伝子マーカーを有する第1、第2、および第3の組成物から得た最後(第3、すなわち最大希釈)の希釈点を生じさせる遺伝子マーカーの組成物の濃度により表され、前記組の回帰線の勾配は、前記第2の組成物、前記第1の組成物、および前記第1の組成物よりも10倍少なく希釈された組成物(黒点)から得られる3つの希釈点の回帰線の勾配から30%未満逸脱し、各希釈点は、所与の組成物の前記遺伝子マーカーのMRDのレベルの対数(LOG_MRD)およびその濃度の対数(LOG_DIL)を表す。各希釈点の勾配は、希釈点、および前の2つ(すなわち、希釈の少ない)希釈点により定義される。黒い四角は、範囲外の希釈点を表し、実線は、範囲外の第1の点を含めて算出された希釈曲線(線)を表す。
図13P】NRAS Q61Rに関する希釈曲線である。希釈限界(D-limit)は、連続して10倍増加する希釈(低下した濃度、体積/体積)の遺伝子マーカーを有する第1、第2、および第3の組成物から得た最後(第3、すなわち最大希釈)の希釈点を生じさせる遺伝子マーカーの組成物の濃度により表され、前記組の回帰線の勾配は、前記第2の組成物、前記第1の組成物、および前記第1の組成物よりも10倍少なく希釈された組成物(黒点)から得られる3つの希釈点の回帰線の勾配から30%未満逸脱し、各希釈点は、所与の組成物の前記遺伝子マーカーのMRDのレベルの対数(LOG_MRD)およびその濃度の対数(LOG_DIL)を表す。各希釈点の勾配は、希釈点、および前の2つ(すなわち、希釈の少ない)希釈点により定義される。黒い四角は、範囲外の希釈点を表し、実線は、範囲外の第1の点を含めて算出された希釈曲線(線)を表す。
図13Q】KIT D816Vに関する希釈曲線である。希釈限界(D-limit)は、連続して10倍増加する希釈(低下した濃度、体積/体積)の遺伝子マーカーを有する第1、第2、および第3の組成物から得た最後(第3、すなわち最大希釈)の希釈点を生じさせる遺伝子マーカーの組成物の濃度により表され、前記組の回帰線の勾配は、前記第2の組成物、前記第1の組成物、および前記第1の組成物よりも10倍少なく希釈された組成物(黒点)から得られる3つの希釈点の回帰線の勾配から30%未満逸脱し、各希釈点は、所与の組成物の前記遺伝子マーカーのMRDのレベルの対数(LOG_MRD)およびその濃度の対数(LOG_DIL)を表す。各希釈点の勾配は、希釈点、および前の2つ(すなわち、希釈の少ない)希釈点により定義される。黒い四角は、範囲外の希釈点を表し、実線は、範囲外の第1の点を含めて算出された希釈曲線(線)を表す。
図13R】NPM1 Insに関する希釈曲線である。希釈限界(D-limit)は、連続して10倍増加する希釈(低下した濃度、体積/体積)の遺伝子マーカーを有する第1、第2、および第3の組成物から得た最後(第3、すなわち最大希釈)の希釈点を生じさせる遺伝子マーカーの組成物の濃度により表され、前記組の回帰線の勾配は、前記第2の組成物、前記第1の組成物、および前記第1の組成物よりも10倍少なく希釈された組成物(黒点)から得られる3つの希釈点の回帰線の勾配から30%未満逸脱し、各希釈点は、所与の組成物の前記遺伝子マーカーのMRDのレベルの対数(LOG_MRD)およびその濃度の対数(LOG_DIL)を表す。各希釈点の勾配は、希釈点、および前の2つ(すなわち、希釈の少ない)希釈点により定義される。黒い四角は、範囲外の希釈点を表し、実線は、範囲外の第1の点を含めて算出された希釈曲線(線)を表す。
図13S】IgK再構成に関する希釈曲線である。希釈限界(D-limit)は、連続して10倍増加する希釈(低下した濃度、体積/体積)の遺伝子マーカーを有する第1、第2、および第3の組成物から得た最後(第3、すなわち最大希釈)の希釈点を生じさせる遺伝子マーカーの組成物の濃度により表され、前記組の回帰線の勾配は、前記第2の組成物、前記第1の組成物、および前記第1の組成物よりも10倍少なく希釈された組成物(黒点)から得られる3つの希釈点の回帰線の勾配から30%未満逸脱し、各希釈点は、所与の組成物の前記遺伝子マーカーのMRDのレベルの対数(LOG_MRD)およびその濃度の対数(LOG_DIL)を表す。各希釈点の勾配は、希釈点、および前の2つ(すなわち、希釈の少ない)希釈点により定義される。黒い四角は、範囲外の希釈点を表し、実線は、範囲外の第1の点を含めて算出された希釈曲線(線)を表す。
図13T】IgKに関する希釈曲線である。希釈限界(D-limit)は、連続して10倍増加する希釈(低下した濃度、体積/体積)の遺伝子マーカーを有する第1、第2、および第3の組成物から得た最後(第3、すなわち最大希釈)の希釈点を生じさせる遺伝子マーカーの組成物の濃度により表され、前記組の回帰線の勾配は、前記第2の組成物、前記第1の組成物、および前記第1の組成物よりも10倍少なく希釈された組成物(黒点)から得られる3つの希釈点の回帰線の勾配から30%未満逸脱し、各希釈点は、所与の組成物の前記遺伝子マーカーのMRDのレベルの対数(LOG_MRD)およびその濃度の対数(LOG_DIL)を表す。各希釈点の勾配は、希釈点、および前の2つ(すなわち、希釈の少ない)希釈点により定義される。黒い四角は、範囲外の希釈点を表し、実線は、範囲外の第1の点を含めて算出された希釈曲線(線)を表す。
図14A】2018年9月に急性骨髄性白血病(AML)と診断された対象(AML_401)の最後の追跡訪問(2019年1月25日)に関する、定量的MRDステータス(すなわち、MRDのレベル)対時間および実験感度(ES)の図である。診断時、対象には、MRDマーカー:KRAS G12Dにおける1つのクローンSNV(L/Lを適用した後の診断で定義された変異読取り頻度、VRFdiag=0.47)、NP1における1つのサブクローン挿入(NPM1_W290Fs)(VRFdiag=0.27)としての使用に適した2つの異なる体細胞変異を認めた。対象は、シタラビン+イダルビシン(3+7)[Cyta+Ida(3+7)]、続いて高用量のシタラビンで処置された。自己幹細胞移植(自己移植)前の最後の追跡訪問では、KRAS G12DにおけるESは、D-limit曲線(6.8x105)により定義され、NPM1はminVRF(1.0x10-5)により定義される。
図14B】AML_401におけるKRAS G12D突然変異に関するminVRF、avMut、D-limit、およびavPosの値を示す図である。それぞれ本明細書で詳しく定義されるように、minVRFは初期量のDNA(650ng)により定義され、avMutは10個の陰性対照の平均により定義され、D-limitは、log(MRDのレベル)対希釈(濃度、体積/体積)曲線の対数に関する第2の組の3つ連続するデータポイント(遺伝子マーカーの最低濃度の組成物を含む)間の回帰線の勾配が、前記曲線に関する第1の組の3つ連続するデータポイント(遺伝子マーカーの最高濃度の組成物を含む)のものより少なくとも30%低いとき、連続して10倍低下した濃度の遺伝子マーカー(体積/体積)を含む4つ一組の組成物の第3の組成物におけるマーカーの濃度により定義され、avPosは、代替的な読取りに関するエラー率により定義される。
図14C】AML_401におけるNPM1 ins突然変異に関するminVRF、avMut、D-limit、およびavPosの値を示す図である。それぞれ本明細書で詳しく定義されるように、minVRFは初期量のDNA(650ng)により定義され、D-limitは傾きの違いを用いた方法により定義され、avMutとavPosはともに0である。
図15A】2014年2月に多発性骨髄腫(MM)と診断された対象(MM_577)の最後の追跡訪問(2016年1月6日)における、定量的MRD状態対時間および実験感度(Exp.感度、ES)を示す図である。診断時、対象には、MRDマーカー:Igkにおける再構成(Igk rearr.)としての使用に適した突然変異を認めた。対象は、免疫調節因子+プロテアソーム阻害剤(IMID+P I)で処理され、自己幹細胞移植が行われた。移植後の最後の追跡訪問では、IgK rear.におけるESは、minVRF(1.00x10-5)により定義される。
図15B】MM_577におけるIgK rear.突然変異に関するminVRF、avMut、D-limit、およびavPosの値を示す図である。それぞれ本明細書で詳しく定義されるように、minVRFは初期量のDNA(650ng)により定義され、avMutは10個の陰性対照の平均により定義され、D-limitは傾きの違いを用いた方法により定義され、avPosは代替的な読取りに関するエラー率により定義される。
図16】2015年1月に多発性骨髄腫(MM)と診断された対象(MM_628)の最後の追跡訪問(2016年1月8日)における、定量的MRD状態対時間および実験感度(Exp.感度、ES)を示す図である。診断時、対象には、MRDマーカー:NRAS Q61HにおけるクローンSNVとしての使用に適した体細胞突然変異を認めた。対象は、免疫調節因子+プロテアソーム阻害剤(IMID+P I)で処理され、自己幹細胞移植が行われた。移植後の最後の追跡訪問では、NRAS Q61HにおけるESは、avPos(1.4x10-4)により定義される。
図17】2017年10月に急性骨髄性白血病(AML)と診断された対象(AML_981)の最後の追跡訪問(2018年11月1日)における、定量的MRD状態対時間および実験感度(Exp.感度、ES)を示す図である。診断時、対象には、MRDマーカー:NRAS Q61RにおけるクローンSNVとしての使用に適した体細胞突然変異を認めた。対象は、シタラビン+イダルビシン(3+7)[Cyta+Ida(3+7)]、続いて高用量のシタラビンで処置された。自己幹細胞移植(自己移植)前の最後の追跡訪問では、NRAS Q61RにおけるESは、avMut(6.06x10-5)により定義される。
図18A】2014年12月に多発性骨髄腫(MM)と診断された対象(MM_606)の最後の追跡訪問(2017年2月後半)における、定量的MRD状態対時間および実験感度(Exp.感度、ES)を示す図である。診断時、対象には、MRDマーカー:IgHにおける再構成(IgH rearr.)としての使用に適した突然変異を認めた。対象は、免疫調節因子+プロテアソーム阻害剤(IMID+P I)で処理され、2年目と3年目の維持の前に自己幹細胞移植が行われた。移植後の最後の追跡訪問では、IgH rear.におけるES は、minVRF(1.00x10-5)により定義される。
図18B】MM_606におけるIgH rear.突然変異に関するminVRF、avMut、D-limit、およびavPosの値を示す図である。それぞれ本明細書で詳しく定義されるように、minVRFは初期量のDNA(650ng)により定義され、avMutは10個の陰性対照の平均により定義され、D-limitは傾きの違いを用いた方法により定義され、avPosは代替的な読取りに関するエラー率により定義される。
図19A】様々な病因を持つ対象における定量的MRD状態対時間の判定の例を示す図である。特にKRAS T58I突然変異を用いた対象MDS_712における骨髄異形成症候群(MDS)。
図19B】様々な病因を持つ対象における定量的MRD状態対時間の判定の例を示す図である。特にKRAS G12D突然変異を用いた対象MDS_581における多発性骨髄腫(MM)。
図19C】様々な病因を持つ対象における定量的MRD状態対時間の判定の例を示す図である。特にEZH Y646S突然変異を用いた対象FL_739における濾胞性リンパ腫(FL)。
図19D】様々な病因を持つ対象における定量的MRD状態対時間の判定の例を示す図である。特にIDH2R172K突然変異を用いた対象AML_101における急性骨髄性白血病(AML)。
図20A】ゴールドスタンダードのフローサイトメトリー(Flow MRD)と比較した、4人の多発性骨髄腫対象における定量的MRD状態対時間の判定の例を示す図である。KRAS G12A突然変異を用いて対象MM_827において求められる。各例では、実験感度(ES)は、クローンSNV突然変異(SNV_ES)およびフローサイトメトリー(Flow_ES)の両方を使用して求められる。
図20B】ゴールドスタンダードのフローサイトメトリー(Flow MRD)と比較した、4人の多発性骨髄腫対象における定量的MRD状態対時間の判定の例を示す図である。KRAS G12D突然変異を用いて対象MM_561において求められる。各例では、実験感度(ES)は、クローンSNV突然変異(SNV_ES)およびフローサイトメトリー(Flow_ES)の両方を使用して求められる。
図20C】ゴールドスタンダードのフローサイトメトリー(Flow MRD)と比較した、4人の多発性骨髄腫対象における定量的MRD状態対時間の判定の例を示す図である。KRAS Q61R突然変異を用いて対象MM_700において求められる。各例では、実験感度(ES)は、クローンSNV突然変異(SNV_ES)およびフローサイトメトリー(Flow_ES)の両方を使用して求められる。
図20D】ゴールドスタンダードのフローサイトメトリー(Flow MRD)と比較した、4人の多発性骨髄腫対象における定量的MRD状態対時間の判定の例を示す図である。KRAS G12A突然変異を用いて対象MM_623において求められる。各例では、実験感度(ES)は、クローンSNV突然変異(SNV_ES)およびフローサイトメトリー(Flow_ES)の両方を使用して求められる。
図21A】TSC2 p.L248V突然変異を用いて対象腺癌_002、B.WAS p.T45M突然変異を用いて対象腺癌_002において求められる肺癌(腺癌)対象における、定量的MRD状態(破線)対時間の判定の例を示す図である。各例では、循環する遊離DNAは、遺伝物質の供給源として使用され、実験感度(点線)は、フローサイトメトリーを用いて求められる。
図21B】WAS p.T45M突然変異を用いて対象腺癌_002において求められる肺癌(腺癌)対象における、定量的MRD状態(破線)対時間の判定の例を示す図である。各例では、循環する遊離DNAは、遺伝物質の供給源として使用され、実験感度(点線)は、フローサイトメトリーを用いて求められる。
図21C】KMT2D p.Q2014突然変異を用いて対象濾胞性リンパ腫_547において求められる濾胞性リンパ腫対象における、定量的MRD状態(破線)対時間の判定の例を示す図である。各例では、循環する遊離DNAは、遺伝物質の供給源として使用され、実験感度(点線)は、フローサイトメトリーを用いて求められる。
図21D】KRAS p.G12A突然変異を用いて対象濾胞性リンパ腫_061において求められる濾胞性リンパ腫対象における、定量的MRD状態(破線)対時間の判定の例を示す図である。各例では、循環する遊離DNAは、遺伝物質の供給源として使用され、実験感度(点線)は、フローサイトメトリーを用いて求められる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、疾患が処置された対象における最小残存病変(MRD)の有無を求めるための方法、システム、およびキットに関するものである。本発明はまた、最小残存病変の有無を求めるための前記方法を含む、前記疾患が処置された対象における疾患の処置方法にも関する。好ましくは、方法、システム、およびキット(図5Aと5Bに例示される)、ならびに処置方法(図11Aと11Bに例示される)は、生物学的技法とコンピュータプログラム製品を使用する。
【0023】
具体的に、本発明は、対照における最小残存病変(MRD)の有無を求めるための方法、システム、およびキット、ならびに該疾患が処置された対象における疾患の処置方法に関するものであり、この方法は、最小残存病変の有無を求めるための前記方法を含んでおり、前記疾患は増殖性疾患である。このため、前記対象は、かかる任意の増殖性疾患が処置された個体である。
【0024】
MRDは、増殖性疾患の処置後に対象に残る疾患に与えられた名称である。このため、MRDの有無をもとめることとは、対象において増殖したまま残る罹患細胞の有無を求めること、または、前記増殖性疾患の処置後に対象における蔵相区性疾患に関連する遺伝物質の有無を求めることを意味する。好ましくは、MRDの有無を求めることとは、前記増殖性疾患の処置後に対象の生物学的試料または組織に増殖したまま残る罹患細胞の有無を求めること、あるいは、前記増殖性疾患の処置後に対象の生物学的試料または組織における増殖性疾患に関連する遺伝物質の有無を求めることを意味する。増殖性疾患の有無は、罹患細胞の上、中、または外側での遺伝子マーカーの発現または発現欠如に基づき特定することができる。
【0025】
増殖性疾患は、細胞の過剰増殖を特徴とする疾患である。好ましくは、前記増殖性疾患は、造血組織またはリンパ組織の腫瘍であり、より好ましくは、リンパ増殖性疾患、白血病、リンパ腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性新生物、または固形腫瘍からなる群から選択される。前記白血病は、多数の異常な血液細胞をもたらす血液の癌、このましくは骨髄癌およびリンパ性白血病からなる群から選択されるものであり、前記骨髄癌は、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性新生物(MPN)からなる群から選択され、一方で前記リンパ性白血病は、慢性リンパ球性白血病(CLL)および急性リンパ芽球性白血病(ALL)からなる群から選択される。前記リンパ腫は、リンパ球から発達する血液の癌、このましくはホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)、リンパ増殖性疾患から選択されるものであり、より好ましくは、ホジキンリンパ腫(HL)または非ホジキンリンパ腫(NHL)は、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンストレームリンパ腫(ワルデンストレームマクログロブリン血症、WL)、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)から選択される。前記固形腫瘍は、嚢胞を伴わない癌、好ましくは肉腫、癌腫、およびリンパ腫からなる群から選択され、より好ましくは、肺癌、乳癌、大腸癌、膵臓癌、肝臓癌、脳癌、腎臓癌、胃癌、子宮頸癌、前立腺癌、および精巣癌、さらに好ましくは肺癌、乳癌、大腸癌、および膵臓癌からなる群から選択される。より好ましい実施形態では、前記増殖性疾患は、
急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、および骨髄増殖性新生物(MPN)からなる群から選択される骨髄癌、
多発性骨髄腫(MM)、
慢性リンパ球性白血病(CLL)および急性リンパ芽球性白血病(ALL)からなる群から選択されるリンパ性白血病、
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンストレームリンパ腫(WL)、およびホジキンリンパ腫からなる群から選択されるリンパ腫、
肺癌、乳癌、大腸癌、および膵臓癌からなる群から選択される固形腫瘍(液体生検)
からなる群から選択される。さらに好ましい実施形態では、前記増殖性疾患は、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫(MM)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンストレームリンパ腫(WL)、ホジキンリンパ腫(HL)、骨髄増殖性新生物(MNP)、および骨髄異形成症候群(MDS)からなる群から選択される。本発明の特に好ましい実施形態では、前記増殖性疾患は、(図1にも示される)以下の4つの群のうち1つから選択される(本発明にも示される):(1)慢性リンパ球性白血病(CLL)および急性リンパ芽球性白血病(ALL)からなる群から選択されるリンパ性白血病、(2)急性骨髄性白血病(AML)、骨髄増殖性新生物(MPN)、および骨髄異形成症候群(MDS)からなる群から選択される骨髄性癌、(3)多発性骨髄腫(MM)、ならびに(4)ホジキンリンパ腫(HL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、およびワルデンストレームリンパ腫(WL)からなる群から選択されるリンパ腫。本発明のより特に好ましい実施形態では、前記増殖性疾患は、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)、および濾胞性リンパ腫(FL)からなる群から選択され、最も好ましくは、前記増殖性疾患は、急性骨髄性白血病(AML)および多発性骨髄腫(MM)である。
【0026】
疾患が処置された対象における最小残存病変(MRD)の有無を求めるための方法、システム、またはキットの工程(A)、ならびに、最小残存病変の有無を求めるための前記方法を含む対象における疾患の措置方法の工程(A)は、一連の工程(生物学的技法)として、
座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを含む一対のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患の処置前に前記対象から得た組織試料からのゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させる工程(図6のブロック(200))、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定する工程であって、これにより、左から右へと読み取られる第1の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、工程(図6のブロック(202))
を含む。
【0027】
同様に、疾患が処置された対象における最小残存病変(MRD)の有無を求めるための方法、システム、またはキットの工程(B)は、以下の一連の工程(生物学的技法)として、
工程(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患の処置後に前記対象から得た組織試料からの一定量DのゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させる工程であって、前記ゲノムDNAは、前記生物学的試料の二倍体細胞あたりの平均重量kを有している、工程(図6のブロック(204))、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定する工程であって、これにより、左から右へと読み取られる第2の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、工程(図6のブロック(206))
を含む。
【0028】
工程(A)と(B)は、同時に、あるいは、工程(A)に次いで工程(B)、またはその逆といったように連続して行うことができる。工程(A)と(B)において増幅された各ヌクレオチド配列は、400ヌクレオチドより短く(ゆえに、400塩基対より短い)、好ましくは350ヌクレオチドより短く、より好ましくは300ヌクレオチドより短い。前記ヌクレオチド配列は、遺伝子の突然変異ヌクレオチド配列または非突然変異ヌクレオチド配列のいずれかであり、ヌクレオチド配列は突然変異すると、遺伝子マーカーである。
【0029】
本発明では、前記突然変異ヌクレオチド配列は、一塩基変異型突然変異、インデル突然変異、および体細胞遺伝子再構成突然変異の群から選択される突然変異を含む。ゆえに、本発明では、疾患は、遺伝子のヌクレオチド配列における少なくとも1つの体細胞突然変異の存在を特徴とするものであり、この突然変異は、一塩基変異型突然変異(SNV)、挿入-欠失(インデル)突然変異、または体細胞遺伝子再構成突然変異である。一実施形態では、前記疾患は、一塩基変異型突然変異、インデル突然変異、または体細胞遺伝子再構成突然変異に起因するものである。好ましくは、前記体細胞遺伝子再構成突然変異は、免疫グロブリン遺伝子再構成突然変異である。より好ましくは、前記疾患は、高い対立遺伝子負荷および/または少なくとも1つの点突然変異(SNV)または少なくとも1つのインデルを伴う少なくとも1つの腫瘍クローン型ヌクレオチド配列を特徴とする。
【0030】
好ましい実施形態では、前記疾患は、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄増殖性新生物(MPN)、または骨髄異形成症候群(MDS)であり、ASXL1、BCOR、BCORL1、CALR、CBL、CEBPA、CSF3R、DNMT3A、EGLN1、EPAS1、EPOR、ETV6、EZH2、FLT3、IDH1、IDH2、JAK2、KDM6A、KIT、KMT2A、KRAS、MPL、NF1、NPM1、NRAS、PHF6、PRPF40B、RAD21、RUNX1、SETBP1、SF3A1、SF3B1、SH2B3、SMC1A、SRSF2、STAG2、TET2、THPO、TP53、U2AF1、VHL、WT1、およびZRSR2からなる群(パネル1)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における突然変異を特徴とする。より好ましくは、前記疾患は、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄増殖性新生物(MPN)、または骨髄異形成症候群(MDS)であり、以下
ASXL1、BCOR、BCORL1、CALR、CBL、CEBPA、CSF3R、DNMT3A、EGLN1、EPAS1、EPOR、ETV6、EZH2、FLT3、IDH1、IDH2、JAK2、KDM6A、KIT、KMT2A、KRAS、MPL、NF1、NPM1、NRAS、PHF6、PRPF40B、RAD21、RUNX1、SETBP1、SF3A1、SF3B1、SH2B3、SMC1A、SRSF2、STAG2、TET2、THPO、TP53、U2AF1、VHL、WT1、およびZRSR2からなる群(パネル1.2)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列におけるインデル突然変異、または
ASXL1、BCOR、BCORL1、CALR、CBL、CEBPA、CSF3R、DNMT3A、EGLN1、EPAS1、EPOR、ETV6、EZH2、FLT3、IDH1、IDH2、JAK2、KDM6A、KIT、KMT2A、KRAS、MPL、NF1、NPM1、NRAS、PHF6、PRPF40B、RAD21、RUNX1、SETBP1、SF3A1、SF3B1、SH2B3、SMC1A、SRSF2、STAG2、TET2、THPO、TP53、U2AF1、VHL、WT1、およびZRSR2からなる群(パネル1.3)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における一塩基変異型突然変異
を特徴とする。
【0031】
またさらに好ましくは、前記疾患は、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄増殖性新生物(MPN)、または骨髄異形成症候群(MDS)であり、以下
IDH1、IDH2、JAK2、KIT、KRAS、NPM1、およびNRASからなる群(パネル1.4)、またさらに好ましくはIDH1 R132C、IDH1 R132H、IDH2 R140Q、IDH2 R172K、JAK2 V617F、KIT D816V、KRAS G12A、KRAS G12C、KRAS G12D、KRAS G12R、KRAS G12S、KRAS G12V、KRAS G13D、KRAS T58I、NPM1 W290fs (NPM1 ins)、NRAS G13D、NRAS G12V、NRAS G12D、およびNRAS Q61Rからなる群(パネル1.4.1)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列におけるインデル突然変異
を特徴とする。
【0032】
別の好ましい実施形態では、前記疾患は、慢性リンパ球性白血病(CLL)または急性リンパ芽球性白血病(ALL)であり、前記ヌクレオチド配列は、IGH、IGK、EZH2、FLT3、JAK2、KRAS、NRAS、PHF6、SF3B1、TP53、IL7R、PTEN、STAT5B、CRLF2、EGR2、NFKBIE、PLCG2、JAK3、JAK1、IL7、WHSC1、TYK2、FBXW7、IKZF1、BIRC3、POT1、RPS15、KLHL6、PTPN11、ATM、IRF4、BRA、XPO1、CXCR4、BCL2、CDKN2A、MYD88、KMT2D、CREBBP、PAX5、NOTCH1、STAT3、およびBTKからなる群(パネル2)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における突然変異を特徴とする。より好ましくは、前記疾患は、慢性リンパ球性白血病(CLL)または急性リンパ芽球性白血病(ALL)であり、以下
IGHおよびIGKからなる群(パネル2.1)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における体細胞遺伝子再構成突然変異、または
EZH2、FLT3、JAK2、KRAS、NRAS、PHF6、SF3B1、TP53、IL7R、PTEN、STAT5B、CRLF2、EGR2、NFKBIE、PLCG2、JAK3、JAK1、IL7、WHSC1、TYK2、FBXW7、IKZF1、BIRC3、POT1、RPS15、KLHL6、PTPN11、ATM、IRF4、BRA、XPO1、CXCR4、BCL2、CDKN2A、MYD88、KMT2D、CREBBP、PAX5、NOTCH1、STAT3、およびBTKからなる群(パネル2.2)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列におけるインデル突然変異、または
EZH2、FLT3、JAK2、KRAS、NRAS、PHF6、SF3B1、TP53、IL7R、PTEN、STAT5B、CRLF2、EGR2、NFKBIE、PLCG2、JAK3、JAK1、IL7、WHSC1、TYK2、FBXW7、IKZF1、BIRC3、POT1、RPS15、KLHL6、PTPN11、ATM、IRF4、BRA、XPO1、CXCR4、BCL2、CDKN2A、MYD88、KMT2D、CREBBP、PAX5、NOTCH1、STAT3、およびBTKからなる群(パネル2.3)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における一塩基変異型突然変異
を特徴とする。
【0033】
またさらに好ましくは、前記疾患は、慢性リンパ球性白血病(CLL)または急性リンパ芽球性白血病(ALL)であり、以下
IGHおよびIGKからなる群(パネル2.4)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における体細胞遺伝子再構成突然変異、または
JAK2、KRAS、およびNRASからなる群(パネル2.5)、またさらに好ましくはJAK2 V617F、KRAS G12A、KRAS G12C、KRAS G12D、KRAS G12R、KRAS G12S、KRAS G12V、KRAS G13D、NRAS G13D、NRAS G12V、NRAS G12D、およびNRAS Q61Rからなる群(パネル2.5.1)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列中のインデル突然変異または一塩基変異型突然変異
を特徴とする。
【0034】
別の好ましい実施形態では、前記疾患は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンストレームリンパ腫(WL)、またはホジキンリンパ腫(HL)であり、ARID1A、ARID1B、B2M、BCL10、BCL2、BCL7A、BRAF、BTG1、BTK、CARD11、CCND3、CD58、CD79A、CD79B、CDKN2A、CDKN2B、CIITA、CREBBP、CTSS、CXCR4、EP300、ETS1、EZH2、FOXO1、GNA13、HIST1H1E、HNRNPK、ID3、IKZF3、IRF4、IRF8、ITPKB、KMT2D、KRAS、MEF2B、MFHAS1、MUM1、MYC、MYD88、NOTCH1、P2RY8、PAX5、PCBP1、PIM1、PIM2、PRDM1、RRAGC、S1PR2、SMARCA4、SOCS1、STAT3、STAT6、TCF3、TNFAIP3、TNFRSF14、TP53、およびXPO1からなる群(パネル3)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における突然変異を特徴とする。より好ましくは、前記疾患は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンストレームリンパリンパ腫(WL)、またはホジキンリンパ腫であり、以下
ARID1A、ARID1B、B2M、BCL10、BCL2、BCL7A、BRAF、BTG1、BTK、CARD11、CCND3、CD58、CD79A、CD79B、CDKN2A、CDKN2B、CIITA、CREBBP、CTSS、CXCR4、EP300、ETS1、EZH2、FOXO1、GNA13、HIST1H1E、HNRNPK、ID3、IKZF3、IRF4、IRF8、ITPKB、KMT2D、KRAS、MEF2B、MFHAS1、MUM1、MYC、MYD88、NOTCH1、P2RY8、PAX5、PCBP1、PIM1、PIM2、PRDM1、RRAGC、S1PR2、SMARCA4、SOCS1、STAT3、STAT6、TCF3、TNFAIP3、TNFRSF14、TP53、およびXPO1からなる群(パネル3.2)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列におけるインデル突然変異、または
ARID1A、ARID1B、B2M、BCL10、BCL2、BCL7A、BRAF、BTG1、BTK、CARD11、CCND3、CD58、CD79A、CD79B、CDKN2A、CDKN2B、CIITA、CREBBP、CTSS、CXCR4、EP300、ETS1、EZH2、FOXO1、GNA13、HIST1H1E、HNRNPK、ID3、IKZF3、IRF4、IRF8、ITPKB、KMT2D、KRAS、MEF2B、MFHAS1、MUM1、MYC、MYD88、NOTCH1、P2RY8、PAX5、PCBP1、PIM1、PIM2、PRDM1、RRAGC、S1PR2、SMARCA4、SOCS1、STAT3、STAT6、TCF3、TNFAIP3、TNFRSF14、TP53、およびXPO1からなる群(パネル3.3)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における一塩基変異型突然変異
を特徴とする。
【0035】
またさらに好ましくは、前記疾患は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、ワルデンストレームリンパリンパ腫(WL)、またはホジキンリンパ腫であり、以下
EZH2、KMT2D、およびKRASからなる群(パネル3.4)、またさらに好ましくはEZH2Y646S、KMT2D Q2014Fs(KMT2D p.Q2014Fs)、およびKRAS G12A(KRAS p.G12A)からなる群(パネル3.4.1)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列中のインデル突然変異または一塩基変異型突然変異
を特徴とする。さらにより好ましくは、前記疾患は濾胞性リンパ腫(FL)であり、以下
EZH2、KMT2D、およびKRASからなる群、またさらに好ましくはEZH2 Y646S、KMT2D Q2014fs、およびKRAS G12Aからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列中の一塩基変異型突然変異
を特徴とする。
【0036】
また別の好ましい実施形態では、前記疾患は、多発性骨髄腫(MM)であり、IGH、IGK、CRBN、IRF4、TP53、NFKB2、KRAS、NRAS、BRAF、FAM46C、FGFR3、DIS3、TRAF3、ATM、MAX、RB1、CYLD、CCND1、NF1、KLHL6、PTPN11、ACTG1、MAF、ZNF292、ROBO1、EGR1、FAT3、PRKD2、HUWE1、TRAF2、CDKN1B、RASA2、UBR5、ZFHX4、DUSP2、SP140、BIRC2、CRBN、およびLTBからなる群(パネル4)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列の突然変異を特徴とする。より好ましくは、前記疾患は多発性骨髄腫(MM)であり、以下
IGHおよびIGKからなる群(パネル4.1)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における体細胞遺伝子再構成突然変異、または
CRBN、IRF4、TP53、NFKB2、KRAS、NRAS、BRAF、FAM46C、FGFR3、DIS3、TRAF3、ATM、MAX、RB1、CYLD、CCND1、NF1、KLHL6、PTPN11、ACTG1、MAF、ZNF292、ROBO1、EGR1、FAT3、PRKD2、HUWE1、TRAF2、CDKN1B、RASA2、UBR5、ZFHX4、DUSP2、SP140、BIRC2、CRBN、およびLTBからなる群(パネル4.2)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列の突然変異、または
CRBN、IRF4、TP53、NFKB2、KRAS、NRAS、BRAF、FAM46C、FGFR3、DIS3、TRAF3、ATM、MAX、RB1、CYLD、CCND1、NF1、KLHL6、PTPN11、ACTG1、MAF、ZNF292、ROBO1、EGR1、FAT3、PRKD2、HUWE1、TRAF2、CDKN1B、RASA2、UBR5、ZFHX4、DUSP2、SP140、BIRC2、CRBN、およびLTBからなる群(パネル4.3)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列の一塩基変異型突然変異
を特徴とする。
【0037】
さらにより好ましくは、前記疾患は多発性骨髄腫(MM)であり、以下
IGHおよびIGKからなる群(パネル4.4)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における体細胞遺伝子再構成突然変異、または
KRASおよびNRASからなる群(パネル4.5)、またさらに好ましくはKRAS G12A、KRAS G12C、KRAS G12D、KRAS G12R、KRAS G12S、KRAS G12V、KRAS G13D、KRAS Q61R、NRAS G13D、NRAS G12V、NRAS G12D、NRAS Q61H、およびNRAS Q61Rからなる群(パネル4.5.1)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列中のインデル突然変異または一塩基変異型突然変異
を特徴とする。
【0038】
別の好ましい実施形態では、前記疾患は固形肺腫瘍であり、TSC2、WAS、EGFR、SMARCA4、MET、KEAP1、PTPRT、FAT1、STK11、RB1、ERBB2、NF1、FAT4、TP53、KMT2D、 PIK3CA、KMT2C、ATM、KRAS、BRAF、LRP1B、ARID1A、およびCDKN2Aからなる群(パネル5)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列中の突然変異を特徴とする。より好ましくは、前記疾患は肺癌であり、以下
EGFR、SMARCA4、MET、KEAP1、PTPRT、FAT1、STK11、RB1、ERBB2、NF1、FAT4、TP53、KMT2D、 PIK3CA、KMT2C、ATM、KRAS、BRAF、LRP1B、ARID1A、およびCDKN2Aからなる群(パネル5.1)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列におけるインデル突然変異、または
TSC2、WAS、EGFR、SMARCA4、MET、KEAP1、PTPRT、FAT1、STK11、RB1、ERBB2、NF1、FAT4、TP53、KMT2D、PIK3CA、KMT2C、ATM、KRAS、BRAF、LRP1B、ARID1A 、およびCDKN2Aからなる群(パネル5.2)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における一塩基変異型突然変異
を特徴とする。さらにより好ましくは、前記疾患は固形肺腫瘍であり、TSC2 L248V(TSC2 p.L248V)、およびWAS T45M(WAS p.T45M)からなる群(パネル5)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における一塩基変異型突然変異を特徴とする。
【0039】
別の好ましい実施形態では、前記疾患は、固形乳房腫瘍であり、CDH1、AKT1、GATA3、NCOR1、BRCA2、MAP2K4、TBX3、RUNX1、ESR1、MED12、RB1、ERBB2、NF1、PTEN、TP53、KMT2D、PIK3CA、KMT2C、ATM、およびARID1Aからなる群(パネル6)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における突然変異を特徴とする。より好ましくは、前記疾患は乳癌であり、以下
CDH1、AKT1、GATA3、NCOR1、BRCA2、MAP2K4、TBX3、RUNX1、ESR1、MED12、RB1、ERBB2、NF1、PTEN、TP53、KMT2D、PIK3CA、KMT2C、ATM、およびARID1Aからなる群(パネル6.1)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列におけるインデル突然変異、または
CDH1、AKT1、GATA3、NCOR1、BRCA2、MAP2K4、TBX3、RUNX1、ESR1、MED12、RB1、ERBB2、NF1、PTEN、TP53、KMT2D、PIK3CA、KMT2C、ATM、およびARID1Aからなる群(パネル6.2)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における一塩基変異型突然変異
を特徴とする。
【0040】
別の好ましい実施形態では、前記疾患は、固形大腸腫瘍であり、TGFBR2、CTNNB1、RNF43、APC、SMAD4、FAT4、TP53、KMT2D、PIK3CA、KMT2C、ATM、KRAS、BRAF、LRP1B、およびPTENからなる群(パネル7)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における突然変異を特徴とする。より好ましくは、前記疾患は大腸癌であり、以下
TGFBR2、CTNNB1、RNF43、APC、SMAD4、FAT4、TP53、KMT2D、PIK3CA、KMT2C、ATM、KRAS、BRAF、LRP1B、およびPTENからなる群(パネル7.1)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列におけるインデル突然変異、または
TGFBR2、CTNNB1、RNF43、APC、SMAD4、FAT4、TP53、KMT2D、PIK3CA、KMT2C、ATM、KRAS、BRAF、LRP1B、およびPTENからなる群(パネル7.2)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における一塩基変異型突然変異
を特徴とする。
【0041】
別の好ましい実施形態では、前記疾患は、固形膵臓腫瘍であり、TGFBR2、CTNNB1、RNF43、APC、SMAD4、MEN1、GNAS、RBM10、ATRX、DAXX、TP53、KMT2D、PIK3CA、KMT2C、ATM、KRAS、BRAF、LRP1B、ARID1A、およびCDKN2Aからなる群(パネル8)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における突然変異を特徴とする。より好ましくは、前記疾患は膵臓癌であり、以下
TGFBR2、CTNNB1、RNF43、APC、SMAD4、MEN1、GNAS、RBM10、ATRX、DAXX、TP53、KMT2D、PIK3CA、KMT2C、ATM、KRAS、BRAF、LRP1B、ARID1A、およびCDKN2Aからなる群(パネル8.1)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列におけるインデル突然変異、または
TGFBR2、CTNNB1、RNF43、APC、SMAD4、MEN1、GNAS、RBM10、ATRX、DAXX、TP53、KMT2D、PIK3CA、KMT2C、ATM、KRAS、BRAF、LRP1B、ARID1A、およびCDKN2Aからなる群(パネル8.2)から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における一塩基変異型突然変異
を特徴とする。
【0042】
またさらに好ましい実施形態では、前記増殖性疾患は、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)、濾胞性リンパ腫(FL)、および肺癌(腺癌)からなる群から選択され、
前記疾患は、急性骨髄性白血病であるとき、KRAS、NRAS、NPM1、およびIDH2、より好ましくはKRAS G12D、NRAS Q61R、NPM1 W290fs(NPM1 ins)、およびIDH2 R172Kからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における突然変異を特徴とし、
前記疾患は、多発性骨髄腫であるとき、KRAS、NRAS、IGK、およびIGH、より好ましくはKRAS G12D、KRAS G12A、KRAS Q61R、NRAS Q61H、IGK、およびIGHからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における突然変異を特徴とし、
前記疾患は、骨髄異形成症候群であるとき、KRAS、より好ましくは KRAS T58Iからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における突然変異を特徴とし、
前記疾患は、濾胞性リンパ腫であるとき、EZH2、KMT2D、およびKRAS、より好ましくはEZH2 Y646S、KMT2D Q2014fs、およびKRAS G12Aからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における突然変異を特徴とし、
前記疾患は、肺癌であるとき、TSC2およびWAS、より好ましくはTSC2 L248VおよびWAS T45Mからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における突然変異を特徴とする。
【0043】
さらに好ましい実施形態では、前記増殖性疾患は、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫(MM)、骨髄異形成症候群(MDS)、および濾胞性リンパ腫(FL)からなる群から選択され、
前記疾患は、急性骨髄性白血病であるとき、KRAS、NRAS、NPM1、およびIDH2、より好ましくはKRAS G12D、NRAS Q61R、NPM1 W290fs(NPM1 ins)、およびIDH2 R172Kからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における突然変異を特徴とし、
前記疾患は、多発性骨髄腫であるとき、KRAS、NRAS、IGK、およびIGH、より好ましくはKRAS G12D、KRAS G12A、KRAS Q61R、NRAS Q61H、IGK、およびIGHからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における突然変異を特徴とし、
前記疾患は、骨髄異形成症候群であるとき、KRAS、より好ましくは KRAS T58Iからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における突然変異を特徴とし、
前記疾患は、骨髄異形成症候群であるとき、EZH2、より好ましくはEZH2 Y646Sからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における突然変異を特徴とする。
【0044】
特により好ましい実施形態では、前記増殖性疾患は、急性骨髄性白血病(AML)または多発性骨髄腫(MM)であり、
前記疾患は、急性骨髄性白血病であるとき、KRAS、NRAS、およびNPM1、より好ましくはKRAS G12D、NRAS Q61R、およびNPM1 W290fs(NPM1 ins)からなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における突然変異を特徴とし、
前記疾患は、多発性骨髄腫であるとき、NRAS、IGK、およびIGH、より好ましくはNRAS Q61H、IGK、およびIGHからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における突然変異を特徴とする。
【0045】
工程(A)、(B)、および(H)(iii)(a)における生物学的試料は、対象から採取した生物学的物質の試料を含む。組織試料は、少なくとも1つの細胞に含まれる遺伝子の領域に少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。好ましくは、前記生物学的試料は、組織、血液、尿、糞便、唾液、粘液、精子、骨、毛髪、および/または爪の中の少なくとも1つの細胞のゲノムDNAにおける少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。工程(A)における生物学的試料は、最小残存病変(MRD)の有無が求められているとともに、処置前に疾患が診断されている対象から得た診断(あるいは較正または対照)試料である。工程(B)における生物学的試料は、最小残存病変の診断のために前記対象からも得られる試験(または追跡)試料である。工程(H)(iii)(a)における生物学的試料は、
最小残存疾患(MRD)の有無が求められている対象が処置を受けている疾患、および
疾患が特徴づけられる遺伝子マーカー(ゆえに突然変異)
のない、対象から得た対照試料である。工程(A)の生物学的試料は、工程(B)の生物学的試料と同じ対象から疾患の処置前に採取されたものであり、好ましくは、高対立遺伝子負荷またはクローン負荷が伴う試料である。工程(B)で増幅されたヌクレオチド配列は、生物学的試料から得た一定量DのゲノムDNAで構成される。工程(B)における生物学的試料は、二倍体細胞ごとのゲノムDNAの平均重量kを有している。
【0046】
各生物学的試料中の前記ゲノムDNAは、好ましくは循環遊離DNA(cfDNA)であり、さらにより好ましくは循環腫瘍DNA(ctDNA)である。
【0047】
ゲノムDNAの各ヌクレオチド配列は、プライマー対を用いたPCRにより増幅され、これにより、前記プライマー対は、前記ヌクレオチド配列に隣接するワトソンおよびクリック鎖上の異なる相補配列に結合する座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを含み、これにより前記ヌクレオチド配列の5’および3’限界が特定される。特に、ワトソン鎖のヌクレオチド配列の3’末端は、フォワードプライマーでアニーリングされた配列の5’末端にてヌクレオチドに隣接するヌクレオチドから始まる。逆に、ワトソン鎖のヌクレオチド配列の5’末端は、リバースプライマーでアニーリングされた配列の5’末端にてヌクレオチドに隣接するヌクレオチドに相補的なヌクレオチドから始まる。同様に、クリック鎖のヌクレオチド配列の3’末端は、リバースプライマーでアニーリングされた配列の5’末端にてヌクレオチドに隣接するヌクレオチドから始まる。逆に、クリック鎖のヌクレオチド配列の5’末端は、フォワードプライマーでアニーリングされた配列の5’末端にてヌクレオチドに隣接するヌクレオチドに相補的なヌクレオチドから始まる。したがって、DNAポリメラーゼは、前述のプライマーの5’末端に結合し、ヌクレオチド配列を複数回複製する。
【0048】
プライマーは、工程(A)において生物学的試料に存在し得るヌクレオチド配列の特定の突然変異または変異(すなわち遺伝子マーカー)を特定するように選択された座位特異的プライマーであり、前記突然変異は、前記対象が処置を受けている疾患を示す。ゆえに、本発明の方法は、アンプリコンシーケンシング手法を使用して検出可能な増殖性疾患の遺伝子マーカーに適用される。
【0049】
疾患の処置前に対象から得た生物学的試料に存在するヌクレオチド配列の突然変異または変異は、前記疾患の指標であるとともに、好ましくは前記生物学的試料において最大比率で(すなわち、最大の変異読取り頻度VRFで)特定される、遺伝子マーカーである。変異読取り頻度は、本明細書で定義されるように、遺伝子マーカーの相対頻度であり、割合として(または前記割合に100を乗じたパーセンテージとして)表される。要するにこれは、座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーにより増幅されるゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列における突然変異の相対頻度であり、ヌクレオチド配列から得られるすべての文字の列記のうち、前記遺伝子マーカーを含むヌクレオチド配列から得られる文字の列記の割合を求めることにより算出される。
【0050】
好ましくは、前記プライマー対は、表1、2、および3に開示される配列番号1~配列番号130の配列の対のうち、いずれかから選択される。より好ましくは、突然変異が体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、IgH遺伝子のヌクレオチド配列を増幅するために使用されるプライマーは、表1に示される配列番号1~配列番号28のうちいずれかであり(配列番号28は、配列番号1~27のうちいずれかと組み合わせることができる)、一方、IgK遺伝子のヌクレオチド配列を増幅するために使用されるプライマーは、表2に示される配列番号29~配列番号38のうちいずれかである(配列番号29~34は、配列番号35または36のいずれかと組み合わせてプライマー対を形成することができ、配列番号37と38は対である)。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
さらにより好ましくは、突然変異が一塩基変異型突然変異またはインデル突然変異であるとき、表3に列記される遺伝子のヌクレオチド配列を増幅するために使用されるプライマー対は、その中に示される配列番号39~配列番号130を有するプライマーにより表される46個の対のうちいずれかである。
【0054】
【表3-1】
【0055】
【表3-2】
【0056】
【表3-3】
【0057】
【表3-4】
【0058】
このように、工程(A)および(B)において、ヌクレオチド配列の少なくとも1つの特異的変異が特定されるという事実の結果として、工程(A)および(B)は、少なくとも1つのヌクレオチド配列(すなわち1つ以上のヌクレオチド配列)を生物学的試料中において特定、増幅、および配列決定することを含み、ゆえに、これに対応する文字の少なくとも1つの列記(すなわち、これに対応する文字の1つ以上の列記)が与えられる。
【0059】
このように、各生体試料に存在する少なくとも1つのヌクレオチド配列の増幅は、少なくとも1つの関心領域(すなわち、対象が処置されている疾患を示す少なくとも1つの特異的突然変異)を特定する特定のプライマーを用いて行われ、その後に、超並列シーケンシングプラットフォーム上でそれぞれが処理される。したがって、この少なくとも1つの関心領域上の試験試料は、予想される感度カバレッジ以上で増幅されるとともに配列決定された。試験試料の増幅では、前記試験(追跡)試料のゲノムDNA(gDNA)の量DをPCRに使用し、所望の感度でのシーケンシングに十分な量が得られるまで増幅を繰り返すのが好ましい。好ましくは、前記試験試料のgDNAの量Dは、所与の細胞数をサンプリングすることで入手可能なものと同等の感度が得られることを確実にするべく、PCRに使用される。感度は、疾患および残りの循環する腫瘍細胞に対する試験への適用のためのあらゆる例において求められる。
【0060】
PCRにて所望の感度(S)で配列決定するために使用される試験(追跡)試料のゲノムDNAの量D(ng)は、先ず前記疾患の処置後に対象から得られる生物学的試料(試験試料)におけるDNA濃度([DNA]、ng/μl)を測定し、これに前記試料の体積(μl)を乗算することにより確立される。次いで、この値を使用して、PCRに使用される試験試料の等価細胞数(N)を以下の式
N=D/k
に従い求める。式中、NとDは上記で定義したとおりであり、kは、試験試料の二倍体細胞ごとのゲノムDNAの平均重量であり、これによりkは、細胞ごとに6.49x10-3ナノグラムの値を呈することが好ましい。続いて、試験試料のPCRに使用される等価細胞数(N)は、以下の式
V=1/(NxS)
に従い所望の感度(S)に達するために、PCRでの使用が必要な試料の体積(V、μL)の算出を可能とする。
【0061】
10-5の感度は、少なくとも100,000個の等価細胞のゲノムDNAの使用により達成可能な感度と一致する。試験試料の体積(V)は、シーケンシングに十分な量(D、ng)のゲノムDNAを得るのに必要なPCR実験の数を決定し、加えて、以下の式
D=[DNA]xV
に従いPCRに使用される試験試料のゲノムDNAの量(D)を算出するために使用される。
【0062】
増幅は、multiplex-PCRから選択される以下のPCR技法のいずれか1つ、および1対のプライマーを用いたsingle PCRにより行うことができる。増幅は、マルチプレックスPCRにより行うことが好ましい。
【0063】
任意選択で、工程(A)と(B)は、当該技術分野における通常の方法を用いて配列決定する工程の前に、前記少なくとも1つの増幅されたヌクレオチド配列をさらに単離する工程を含んでもよい。このため、工程(A)と(B)の第1の工程は、少なくとも1つの長いヌクレオチド配列上での少なくとも1つのヌクレオチド配列の選択的増幅により前記少なくとも1つの長いヌクレオチド配列から得られる前記少なくとも1つのヌクレオチド配列の増幅を含み、長いヌクレオチド配列はそれぞれポリヌクレオチドを含み、該ポリヌクレオチドは好ましくは、二本鎖または一本鎖DNAあるいはRNA、より好ましくは二本鎖DNA、さらに好ましくは二本鎖ゲノムDNAから選択される。前記ポリヌクレオチドが一本鎖DNAであると、そこから相補的配列を合成して、その後に工程(A)または(B)を実施して二本鎖DNAを得る。前記ポリヌクレオチドがRNAであると、そこから相補的二本鎖DNAを合成(レトロ転写)して、その後に工程(A)または(B)を実施する。
【0064】
こうして増幅かつ任意選択で単離される、工程(A)と(B)それぞれの少なくとも1つのヌクレオチド配列は、後に配列決定される。工程(A)のヌクレオチド配列の配列決定は、これに相当する左から右へ読み取る第1の文字の列記をもたらし、第1の文字の列記はそれぞれ、文字の合計数Cを有している。さらに、第1の文字の列記の総数(L)は、工程(A)における異なるヌクレオチド配列の総数に相当する。工程(B)のヌクレオチド配列のシーケンシングは同様に、これに相当する左から右へ読み取る第2の文字の列記をもたらす。
【0065】
シーケンシングは、多重および/または高スループットヌクレオチドシーケンシング技法である。シーケンシングは、好ましくは次世代技法、より好ましくは超並列シーケンシング(例えば、超並列シグネチャシーケンシング(MPSS))により行われる。本発明の一実施形態では、複数のプライマーがシーケンシングに使用されるとき、工程(A)と(B)におけるシーケンシング工程は、使用される様々なプライマーを特定するためのバーコードを使用して実施される。本発明の特に好ましい一実施形態では、シーケンシングは、emulsion-PCRを使用する超並列シーケンシングにより実施される。
【0066】
工程(A)と(B)における前記少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅および配列決定する別個の工程はそれぞれ、別個の手段(すなわち別の機器)により実施されてもよい。代わりに、これら別個のステップの2つまたは全てが、同じ機器によって実行されてもよい。
【0067】
工程(A)と(B)におけるヌクレオチド配列のシーケンシングは、対応する文字の列記をもたらし、これにより、文字の各列記中の各文字は、1つの文字(letter)を含む。本発明の一実施形態では、工程(A)と(B)におけるヌクレオチド配列のシーケンシングは、対応する文字のリストをもたらし、これによって、文字の各列記中の各文字は、数(または記号)に関連する文字を含む。より好ましくは、各文字は、配列決定方法の限界内で最高品質(Q)を有するヌクレオチド配列中の対応する位置にて特定されるヌクレオチドを表し、これに関連する数または記号は品質(Q)であり、Qは、ヌクレオチド配列中の対応する位置にて特定されるヌクレオチドを表す文字が不正確である確率の整数マッピングである。このため、本発明の工程(A)と(B)で得られる文字の列記はそれぞれ、好ましくはシーケンス形式ファイル、より好ましくは.fastqファイルに含まれる。
【0068】
代替的に、各文字は、最高比率でヌクレオチド配列中の対応する位置にて特定されるヌクレオチドを表すことがより好ましい。この代替例のさらに好ましい一実施形態では、前記文字に関連する文字は、最高比率でヌクレオチド配列中の対応する位置にて特定されるヌクレオチドを表し、これに関連する数または記号は、その中で特定される前記ヌクレオチドの比率(例えば、百分率、分数、または比として)である。
【0069】
文字の連続配列は、別の文字または文字の不在により途切れていない列記であり、前記文字の連続配列は、途切れていないヌクレオチドの連続配列を表す。上記のものと同様に、文字の連続配列中の各文字は、1つ以上の文字、好ましくは数または記号に関連付けられる1つ以上の文字を含み、より好ましくは、各文字は、シーケンシング方法の限界内の最高品質(Q)を有するヌクレオチド配列中の対応する位置にて特定されるヌクレオチドを表し、これに関連する数または記号は、品質(Q)であり、Qは、ヌクレオチド配列中の対応する位置にて特定されるヌクレオチドを表す文字が不正確である確率の整数マッピングである。このため、この本発明のより好ましい実施形態では、文字の連続配列中の各文字が、シーケンシング方法の限界内の最高品質(Q)を有する対応位置にて特定されるヌクレオチドを表すとき、前記文字の連続配列は、ヌクレオチドの連続配列を表す文字の連続配列を含む。
【0070】
代替的に、文字の連続配列中の各文字は、好ましくは、数字または記号に関連付けられる文字を含み、より好ましくは、各文字は、最高比率でヌクレオチド配列中の対応する位置にて特定されるヌクレオチドを表す。このより好ましい代替例の一実施形態では、文字の連続配列中の前記文字に関連する文字は、最高比率でヌクレオチド配列中の対応する位置にて特定されるヌクレオチドを表し、これに関連する数または記号は、その中で特定される前記ヌクレオチドの比率(例えば、百分率、分数、または比として)である。このため、このより好ましい代替的実施形態では、前記文字の連続配列は、ヌクレオチドの連続配列を表す文字の連続配列を含み、前記文字の連続配列中の各文字は、最高比率でヌクレオチドの連続配列中の対応する位置にて特定されるヌクレオチドを表す。
【0071】
文字の各列記中の各文字は、前記ヌクレオチド配列中の1つのヌクレオチドに対応し、前記列記中の文字の順序は、前記ヌクレオチド配列中のヌクレオチドの順序に対応する。このように、前記列記の左端の文字は、前記ヌクレオチド配列のワトソン鎖の3’末端でのヌクレオチドまたはヌクレオチドの比率に対応し、前記列記の右端の文字は、前記ヌクレオチド配列のワトソン鎖の5’末端でのヌクレオチドまたはヌクレオチドの比率に対応する。同様に、前記ヌクレオチド配列の各クリック鎖を表す、文字の補完的(または部分上補完的)な列記が得られ、これにより、前記列記の左端の文字は、前記ヌクレオチド配列のクリック鎖の3’末端でのヌクレオチドまたはヌクレオチドの比率に対応し、前記列記の右端の文字は、前記ヌクレオチド配列のクリック鎖の5’末端でのヌクレオチドまたはヌクレオチドの比率に対応する。
【0072】
続いて、工程(A)で得た各第1の文字の列記と、工程(B)で得た各第2の文字の列記との比較が行われる。前記比較は、最終的に第1の文字の列記の総数Lを求めるように行われ、これは、第2の文字の列記と同じである。言い換えれば、この比較は、第2の文字の列記と同一である(すなわち一致する)Lを求めるように行われる。Lを求めるために、工程(A)で得た各第1の文字の列記と、工程(B)で得た各第2の文字の列記との類似度を求める必要があり、類似度DSは、工程(B)で得た各第2の文字の列記と、工程(A)で得た各第1の文字の列記とに対して求められる。比較工程を実行し、何とか「生物学的知識」を実装するために、外部データ(例えば、集団由来の遺伝子データベース)にアクセスするバイオインフォマティクスに適した方法が知られているが、本発明の方法は、外部データにアクセスする必要なく(すなわち、工程(A)または(B)で取得したデータ以外のデータにアクセスする必要なく)作用する。このために、実施が必須と考えられる第1の特徴は、ファジィ論理である。配列が等しいまたは異なるだけである古典的バイナリ論理を使用するシーケンサの失敗率は、非常に高く、有用なものではない。異なると評価される高比率(ほぼすべて)のヌクレオチド配列は等しいものであるが、シーケンサのエラーに起因して異なるものと考えられる。したがって、任意の文字の2つの列記間の類似度を評価するための比較プロセスが、実施される。
【0073】
本発明の一実施形態では、文字の列記中の各文字は、文字が第1および第2の文字の列記中で同じであるとき、第1の文字の列記中の文字が第2の文字の列記中の文字と同じであると求められるような文字(すなわち、文字が各列記中で同じであるとき、ある文字の列記中の文字が、別の文字の列記中の文字と同じであると求められる)。本発明の好ましい一実施形態では、文字の列記中の各文字は、数字または記号に関連する文字を含み、より好ましくは、各文字は、シーケンシング方法の限界内で最高品質(Q)のヌクレオチド配列中の対応する位置にて特定されるヌクレオチドを表し、数または記号はそれぞれ、品質(Q)を表す。このため、前記本発明の方法のより好ましい実施形態では、第1の文字の列記中の各文字と第2の文字の列記中の各文字は、数または記号に関連する文字を含み、前記数または記号は、品質(Q)を表し、前記文字は、最高品質(Q)を有するヌクレオチド配列中の対応する位置にて特定されるヌクレオチドを表し、最高品質を有する文字が第1および第2の文字の列記中で同じであるとき、第1の文字の列記中の文字は、第2の文字の列記中の文字と同じであると求められる(すなわち、文字が各列記中で同じであるとき、ある文字の列記中の文字は、別の文字の列記中の文字と同じであると求められる)。これに加えて、文字だけでなく、これに関連する数字または記号も、列記間で比較されてもよく、好ましくは、文字と、各列記中の各文字についてこれに関連する品質(Q)を表す数または記号とを比較することにより比較される。このため、本発明の方法のさらにより好ましい実施形態では、品質(Q)に関連する文字を含む文字の1つの列記中の文字は、最高品質を有する文字が各列記中で同じであり、文字の品質(Q)が、カットオフ限界またはエラー、より好ましくはカットオフ限界内の各列記中で同じであるとき、品質(Q’)に関連する文字を含む別の文字の列記中の文字と同じであると求められる。例えば、品質が1.00(すなわち100%)のTとして割り当てられる所与の位置にある文字は、カットオフ限界値を0.99に設定(すなわち、エラーを1%に設定)したときに、品質が0.99(すなわち99%)のTとして割り当てられる所与の位置にある文字と同じとみなすことができる。このため、以下の工程(c)では、第1および第2の文字の列記、あるいはその部分においてカットオフ限界内で同じである文字またはその最長連続配列を選択する各工程は、1つ以上の文字または文字の1つ以上の連続配列が比較により最長と特定されるときに、先ず第1の文字の列記と第2の文字の列記、あるいはその部分間で前述の比較を行うこと、次いで以下に与えられる基準に基づき文字またはその最長連続配列を選択することを含む。この方法では、カットオフ限界は、好ましくは0.99、より好ましくは0.999、さらに好ましくは0.9999、最も好ましくは0.99999の品質(Q)に設定され、および/またはエラーは、最大1%、より好ましくは0.1%、さらに好ましくは0.01%、最も好ましくは0.001%に設定される。本発明の方法のさらに好ましい一実施形態では、第1の文字の列記中の文字は、最高品質(Q)を有する文字が第1および第2の文字の列記中で同じであるとき、第2の文字の列記中の文字と同じであると判定され、第1の文字の列記中の文字の品質は、第2の文字の列記中の文字の品質の0.01(1%)以内、さらに好ましくは0.001(0.1%)以内、より好ましくは0.0001(0.01%)以内、最も好ましくは0.00001(0.001%)以内である。
【0074】
代替的に、比較は、各文字の列記中に最高品質(Q)または最高比率で存在する各文字を含む文字を比較することにより行われる。このため、本発明の方法では、文字の1つの列記中の文字は、好ましくは文字が同じであるときに、別の文字の列記中の文字と同じであると求められる。
【0075】
代替的に、比較は、各文字を含む1つ以上の文字それぞれの比率を比較することにより行われる。このため、比較は、ヌクレオチド配列中の各位置にて特定される1つ以上のヌクレオチドそれぞれの比率を比較することにより行われる。この方法では、ある文字の列記中の文字は、文字の比率がエラー内で同じであるとき、別の文字の列記中の文字と同じであると求められる。例えば、所与の位置にあるAの比率が0.11であり、所与の位置にあるTの比率が0.89である(すなわち、A:T比が0.11:0.89である)文字は、エラーが5%エラーに設定されるとき、所与の位置にあるAの比率が0.1であり、所与の位置にあるTの割合が0.9である(すなわち、A:T比が0.1:0.9である)文字と同じであるとみなすことができる。このため、以下の工程(C)では、第1の文字の列記および第2の文字の列記、あるいはその部分において同じである文字またはその最長連続配列を選択する各工程は、1つ以上の文字または文字の1つ以上の連続配列が比較により最長と特定されるときに、先ず第1の文字の列記と第2の文字の列記、あるいはその部分間で前述の比較を行うこと、次いで以下に与えられる基準に基づき文字またはその最長連続配列を選択することを含む。この方法では、エラーは最大1%、より好ましくは0.1%、さらに好ましくは0.01%、最も好ましくは0.001%に設定される。
【0076】
このため、工程(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、工程(A)で得た第1の文字の列記との類似度は、続いて工程(C)において求められ、工程(B)で得た第2の文字の列記と工程(A)で得た第1の文字の列記との類似度DSは、
(i)それぞれ第1および第2の文字の列記におけるものと同じである、第1および第2の文字の列記における文字の総数Cを数えること、
(ii)前記第1および第2の文字の列記における文字の総数Cを数えること、および
(iii)次の式
DS=C/C
に従いDSを算出すること
により求められる。
【0077】
特定の好ましい実施形態では、突然変異が免疫グロブリン再構成であるとき、工程(A)で得た第1の文字の列記と工程(B)で得た第2の文字の列記との類似度DSは、サブ工程(i)~(x)(図2に概略的に表されるサブ工程(i)~(vii))または(xi)~(xviii)(図3に概略的に表されるサブ工程(xi)~(xv))により求められる。図7Aと7Bは、このような特に好ましい実施形態による、類似度(DS)を求めるための工程(方法)(208)の例を示すフローチャートを開示している。前記特に好ましい実施形態では、工程(C)は、工程(B)で得た第2の文字の列記と、工程(A)で得た第1の文字の列記との類似度DSを、
(i)第1の文字の列記および第2の文字の列記にて同じである文字またはその最長連続配列を選択することであって、同じ長さの2つ以上の文字または2つ以上の最長連続配列が選択されるときに、文字の列記の最も右側にある文字またはその最長連続配列が選択される、選択すること(図7Aのブロック(300))、
(ii)工程(i)で選択した文字またはその最長連続配列を、第1の文字の列記および第2の文字の列記にて同じである文字またはその最長連続配列を選択する後の工程から除外すること(図7Aのブロック(302))、
(iii)第1の文字の列記および第2の文字の列記にて同じである、工程(ii)で除外した文字またはその最長連続配列の左側に位置する文字またはその最長連続配列を選択することであって、同じ長さの2つ以上の文字または2つ以上の最長連続配列が選択されるときに、文字の列記の最も右側にある文字またはその最長連続配列が選択される、選択すること、および
第1の文字の列記および第2の文字の列記にて同じである、工程(ii)で除外した文字またはその最長連続配列の右側に位置する文字またはその最長連続配列を選択することであって、同じ長さの2つ以上の文字または2つ以上の最長連続配列が選択されるときに、文字の列記の最も左側にある文字またはその最長連続配列が選択される、選択すること(図7Aのブロック(304))、
(iv)工程(iii)で選択した各文字および/またはその各最長連続配列を、第1の文字の列記および第2の文字の列記にて同じである文字またはその最長連続配列を選択する後の工程から除外すること(図7Aのブロック(306))、
(v)第1の文字の列記および第2の文字の列記にて同じである、先の工程で除外した各文字またはその各最長連続配列のすぐ左側にある文字の連続配列に位置する文字またはその最長連続配列を選択することであって、同じ長さの2つ以上の文字または2つ以上の最長連続配列が選択されるときに、文字の列記の最も右側にある文字またはその最長連続配列が選択される、選択すること、および
第1の文字の列記および第2の文字の列記にて同じである、先の工程で除外した各文字またはその各最長連続配列のすぐ右側にある文字の連続配列に位置する文字またはその最長連続配列を選択することであって、同じ長さの2つ以上の文字または2つ以上の最長連続配列が選択されるときに、文字の列記の最も左側にある文字またはその最長連続配列が選択される、選択すること(図7Aのブロック(308))、
(vi)工程(v)で選択した各文字および/またはその各最長連続配列を、第1の文字の列記および第2の文字の列記にて同じである文字またはその最長連続配列を選択する後の工程から除外すること(図7Aのブロック(310))、
(vii)第1の文字の列記および第2の文字の列記にて同じである文字またはその最長連続配列が選択されなくなるまで、工程(v)と(vi)を繰り返すこと(図7Aのブロック(312)にて決定)、
(viii)工程(i)~(vii)のいずれかにて除外した第1の文字の列記中の文字数、および
工程(i)~(vii)のいずれかにて除外した第2の文字の列記中の文字数
を合計することで、それぞれ第2および第1の文字の列記と同じである、第1および第2の文字の列記中の文字の総数Cを取得すること(図7Aのブロック(314))、
(ix)C
第1の文字の列記から除外した文字および/またはその最長連続配列間に位置するとともに、工程(c)の(i)~(vii)のいずれかにて除外されなかった第1の文字の列記中の文字の総数、および
第2の文字の列記から除外した文字および/またはその最長連続配列間に位置するとともに、工程(c)の(i)~(vii)のいずれかにて除外されなかった第2の文字の列記中の文字の総数
を合計することで、第1および第2の列記における文字の総数Cを得ること(図7Aのブロック(316))、ならびに
(x)次の式
DS=C/C
に従いDSを算出すること(図7Aのブロック(318))、あるいは
(xi)第1の文字の列記および第2の文字の列記にて同じである文字またはその最長連続配列を選択することであって、同じ長さの2つ以上の文字または2つ以上の最長連続配列が選択されるときに、文字の列記の最も右側にある文字またはその最長連続配列が選択される、選択すること(図7Bのブロック(400))、
(xii)工程(xi)で選択した文字またはその最長連続配列を、第1の文字の列記および第2の文字の列記にて同じである文字またはその最長連続配列を選択する後の工程から除外すること(図7Bのブロック(402))、
(xiii)第1の文字の列記および第2の文字の列記にて同じである、工程(xii)で除外した文字またはその最長連続配列の左側に位置する文字またはその最長連続配列を選択することであって、同じ長さの2つ以上の文字または2つ以上の最長連続配列が選択されるときに、文字の列記の最も右側にある文字またはその最長連続配列が選択される、選択すること、および
第1の文字の列記および第2の文字の列記にて同じである、工程(xii)で除外した文字またはその最長連続配列の右側に位置する文字またはその最長連続配列を選択することであって、同じ長さの2つ以上の文字または2つ以上の最長連続配列が選択されるときに、文字の列記の最も左側にある文字またはその最長連続配列が選択される、選択すること(図7Bのブロック(404))、
(xiv)工程(xiii)で選択した各文字および/またはその各最長連続配列を、第1の文字の列記および第2の文字の列記にて同じである文字またはその最長連続配列を選択する後の工程から除外すること(図7Bのブロック(406))、
(xv)第1の文字の列記および第2の文字の列記にて同じである文字またはその最長連続配列が選択されなくなるまで、工程(xiii)と(xiv)を繰り返すこと(図7Bのブロック(408)にて決定)、
(xvi)工程(xi)~(xv)のいずれかにて除外した第1の文字の列記中の文字数、および
工程(xi)~(xv)のいずれかにて除外した第2の文字の列記中の文字数
を合計することで、それぞれ第2および第1の文字の列記と同じである、第1および第2の文字の列記中の文字の総数Cを取得すること(図7Bのブロック(410))、
(xvii)C
第1の文字の列記から除外した文字および/またはその最長連続配列間に位置するとともに、工程(c)の(xi)~(xv)のいずれかにて除外されなかった第1の文字の列記中の文字の総数、および
第2の文字の列記から除外した文字および/またはその最長連続配列間に位置するとともに、工程(c)の(xi)~(xv)のいずれかにて除外されなかった第2の文字の列記中の文字の総数
を合計することで、第1および第2の列記における文字の総数Cを得ること(図7Bのブロック(412))、ならびに
(xviii)次の式
DS=C/C
に従いDSを算出すること(図7Bのブロック(414))
により求めることを含む。
【0078】
前記特に好ましい実施形態の工程(C)では、第1および第2の文字の列記において同じである文字を選択するサブ工程(i)と(xi)は、前述の比較基準に従い、第1および第2の文字の列記における個々の文字を比較することを含む。さらに、第1および第2の文字の列記において同じである文字の最長連続配列を選択する前記サブ工程(i)と(xi)は、前述の比較基準に従い、第1および第2の文字の列記における連続する個々の文字を比較することを含む。前記特に好ましい実施形態の工程(C)のサブ工程(i)~(iv)および(xi)~(xiv)は、同一であることに留意されたい。
【0079】
前記特に好ましい実施形態の工程(C)では、第1および第2の文字、またはそれらの部分と同じである文字またはその最長連続配列を選択する各工程の後、こうして選択された前記文字またはその最長連続配列を除外する工程が行われ、除外する各工程は、こうして選択された文字またはその最長連続配列を、第1および第2の文字の列記において同じである文字またはその最長連続配列を選択する後の工程における考慮から除外することを含む。除外する各工程は、こうして除外された文字またはその最長連続配列に隣接する各文字間の点にて途切れている文字の非連続配列をもたらすことに留意されたい。そのため、前記特に好ましい実施形態の工程(C)のサブ工程(v)~(vii)において、第1および第2の文字の列記またはその部分において同じである文字またはその最長連続配列を選択する後の工程は、以前に除外した文字またはその最長連続配列を超えて延在する配列の代わりに、先の工程にて除外した各文字またはその各最長連続配列に隣接して位置する文字の連続配列を考慮する。さらに、前記特に好ましい実施形態の工程(C)のサブ工程(xiii)~(xv)において、第1および第2の文字またはその部分において同じである文字またはその最長連続配列を選択する後の工程は、除外した文字またはその最長連続配列の両側にて文字を乗り越える(bridges)配列を考慮しない。
【0080】
第1および第2の文字リストにおいて同じである文字またはその最長連続配列を選択かつ除外する各サイクルは、第1および第2の文字の列記において同じである文字またはその最長連続配列が選択されなくなるまで、前記特に好ましい実施形態の工程(C)にて繰り返される。前記特に好ましい実施形態の工程(C)のサブ工程(iii)および(xiii)では、選択は、前記特に好ましい実施形態の工程(C)のサブ工程(ii)および(xii)にて除外した文字またはその最長連続配列の左側に位置する文字の連続配列に対して、または前記特に好ましい実施形態の工程(C)のサブ工程(ii)および(xii)にて除した文字またはその最長連続配列の右側に位置する文字の連続配列に対して、それぞれ同時に繰り返されることが好ましい。代替的に選択は、先ず前記特に好ましい実施形態の工程(C)のサブ工程(ii)および(xii)で除外した文字またはその最長連続配列の左側に位置する文字の連続配列に対して、次いで前記特に好ましい実施形態の工程(C)のサブ工程(ii)および(xii)で除外した文字またはその最長連続配列の右側に位置する文字の連続配列に対して繰り返されてもよい。代替的に選択は、先ず前記特に好ましい実施形態の工程(C)のサブ工程(ii)および(xii)で除外した文字またはその最長連続配列の右側に位置する文字の連続配列に対して、次いで前記特に好ましい実施形態の工程(C)のサブ工程(ii)および(xii)で除外した文字またはその最長連続配列の左側に位置する文字の連続配列に対して繰り返されてもよい。
【0081】
同様に、前記特に好ましい実施形態の工程(C)のサブ工程(v)では、選択は、先の工程で除外した各文字またはその各最長連続配列のすぐ左にある文字の連続配列に対して、および先の工程で除外した各文字またはその各最長連続配列のすぐ右にある文字の連続配列に対して同時に行われることが好ましい。代替的に選択は、先ず先の工程で除外した各文字またはその各最長連続配列のすぐ左にある文字の連続配列に対して、次いで先の工程で除外した各文字またはその各最長連続配列のすぐ右にある文字の連続配列に対して行われてもよい代替的に選択は、先ず先の工程で除外した各文字またはその各最長連続配列のすぐ右にある文字の連続配列に対して、次いで先の工程で除外した各文字またはその各最長連続配列のすぐ左にある文字の連続配列に対して行われてもよい
【0082】
さらに、前記特に好ましい実施形態(すなわち、突然変異が免疫グロブリン再構成である)の工程(C)のより好ましい実施形態では、文字またはその最長連続配列を選択する各工程は、文字の最長連続配列を選択する工程であり、前記文字の最長連続配列は、最低でも2つの文字を含む。このため、第1および第2の文字リストにおいて同じである文字またはその最長連続配列を選択かつ除外する各サイクルは、第1および第2の文字の列記において同じである最低でも2つの文字を有する文字の最長連続配列が選択されなくなるまで、前記さらに特に好ましい実施形態の工程(C)にて繰り返される。より好ましくは、前記文字の最長連続配列は、最低でも3つ、さらに好ましくは最低でも4つの文字を含む。
【0083】
(第1の文字の列記および第2の文字の列記において同じである文字またはその最長連続配列がすべて除外されているため)第1の文字の列記および第2の文字の列記において同じである文字またはその最長連続配列を選択することが一旦不可能となると、第1の文字の列記にて除外されかつ第2の文字の列記にて除外された文字の総数Cは、前記特に好ましい実施形態の工程(C)のサブ工程(viii)および/または(xvi)により得られ、前記特に好ましい実施形態の工程(C)のサブ工程(i)~(vii)および(xi)のいずれかにてそれぞれ除外された第1の文字の列記中の文字数、ならびに前記特に好ましい実施形態の工程(C)のサブ工程(i)~(vii)および(xi)のいずれかにてそれぞれ除外された第2の文字の列記中の文字数が、合計される。第1および第2の文字の列記にて除外された文字の総数Cはまた、2x(第1の文字の列記にて除外された文字数)、または2x(第2の文字の列記にて除外された文字数)と考えられる場合がある。同様に、第1の文字の列記中の文字の総数Cは、前記特に好ましい実施形態の工程(C)のサブ工程(ix)および/または(xvii)により得られ、C、前記特に好ましい実施形態の工程(C)のサブ工程(i)~(vii)および(xi)~(xv)のいずれかにて除外されなかった第1の文字の列記から除外された文字および/またはその最長連続配列間に位置する第1の文字の列記中の文字数、ならびに前記特に好ましい実施形態の工程(C)のサブ工程(i)~(vii)および(xi)~(xv)のいずれかにて除外されなかった第2の文字の列記から除外された文字および/またはその最長連続配列間に位置する第2の文字の列記中の文字数が、合計される。
【0084】
このように、本発明の方法、システム、またはキットのほか、前記疾患が処置されている対象における疾患の処置方法に含まれる最小残存病変の有無を求める方法は、方法に対して引数として供給される特定のヌクレオチド配列を表す文字の列記を、バイオインフォマティクスの観点からランダムと考慮される場所にて断片化したヌクレオチド配列をそれぞれが表す文字の列記の組合せを伴うデータファイル内で検出することを意図したものである。したがって、組合せ中の少なくとも1つの文字の列記は、ランダムな長さを有しているため、(工程Aにて)特定のヌクレオチド配列を表す文字の列記が少なくとも1つの文字の列記にてそれぞれ見出され得る場所は予め把握されない。このため、本発明の方法は、位置合わせと比較との組合せを含む。本発明の方法は位置合わせと比較との組合せ混合を含むため、本発明では、比較は、第1および第2の文字の列記において同じである最初の文字またはその最長連続配列、ならびに第1および第2の文字の列記において同じである最後の文字またはその最長連続配列(すなわち、第1および第2の文字の列記の極端に最も近い一致する文字またはその最長連続配列間を含む)からのみ行われ、これにより、CとCは、第1および第2の文字の列記において同じである最初の文字またはその最長連続配列、ならびに第1および第2の文字の列記において同じである最後の文字またはその最長連続配列の部分にわたって求められると考えられる。したがって、好ましい実施形態では、前記特に好ましい実施形態の工程(C)のサブ工程(i)~(vii)または(xi)~(xv)のいずれかにて取り除かれる文字またはその最長連続配列それぞれは、.dnaファイルに入れられ、前記特に好ましい実施形態の工程(C)のサブ工程(viii)と(xvi)は、-trimオプションを使用してCを算出するために.dnaファイル中のデータを使用することができ、そうすることで、第2の列記と同じである第1の列記中の最後の文字またはその最長連続配列間でのみ比較が行われる。
【0085】
工程(C)に続いて工程(D)が実行され、ここでは、工程(B)で得た各第2の文字の列記について、最高値のDSであるDSHVが選択される(図6のブロック(210))。しかし、(本明細書中では任意でワトソン鎖として定義される)工程(A)と(B)における各ヌクレオチド配列が、相補的ヌクレオチド配列(特に、本明細書中では任意でクリック鎖として定義される逆相補的配列)を有し、そのため工程(A)で得た第1の文字の列記および工程(B)で得た第2の文字の列記が、それぞれ対応する逆相補的な第1の文字の列記および対応する逆相補的な第2の文字の列記をさらに有するという事実により、好ましい実施形態では、前述の工程(A)におけるヌクレオチド配列だけでなく相補的ヌクレオチド配列も、工程(C)と組み合わせて本発明の工程(A)と(B)にかけることができる。
【0086】
図9は、以下の本発明の好ましい実施形態を例示する、対象における最小残存病変のレベルを定量する方法(504)のフローチャートを開示している。前記好ましい実施形態では、本発明は、対象における最小残存病変(MRD)のレベルを定量するための方法に関連するものであり、工程(A)、(B)、(C)、(E)、(F)、および(G)は、本発明の方法、システム、およびキットに開示されるとおりであるが(図9のブロック(600)~(608)、(622)、(624)、および(216))、以下の工程:
(A’)PCR機器および一対のプライマーを使用したポリメラーゼ連鎖反応により、工程(A)において少なくとも1つのヌクレオチド配列に対して相補的な逆相補的配列である少なくとも1つの各ヌクレオチド配列を増幅させ、超並列シーケンシングプラットフォーム上で前記少なくとも1つの逆相補的ヌクレオチド配列を配列決定して、左から右へと読み取られる少なくとも1つの逆相補的な第1の文字の列記を得る工程であって、前記一対のプライマーは、座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを含む、工程(図9のブロック(610)と(612))、
(B)PCR機器、ならびに先の工程と同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを使用したポリメラーゼ連鎖反応により、工程(B)において少なくとも1つのヌクレオチド配列に対して相補的な逆相補的配列である少なくとも1つの各ヌクレオチド配列を増幅させ、超並列シーケンシングプラットフォーム上で前記少なくとも1つの逆相補的ヌクレオチド配列を配列決定して、左から右へと読み取られる少なくとも1つの逆相補的な第2の文字の列記を得る工程(図9のブロック(614)と(616))、ならびに
(C’)工程(B’)で得た逆相補的な第2の文字の列記それぞれについて、工程(A’)で得た逆相補的な第1の文字の列記それぞれとの類似度を求める工程(図9のブロック(618))であって、工程(B’)で得た逆相補的な第2の文字の列記と工程(A’)で得た逆相補的な第1の文字の列記との類似度DSrcsは、少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を用いて、
(i)それぞれ逆相補的な第1および第2の文字の列記におけるものと同じである、逆相補的な第2および第1の文字の列記における文字の総数Ccrcsを数えること、
(ii)第1および第2の文字の列記における文字の総数Ctrcsを数えること、および
(iii)次の式
DSrcs=Ccrcs/Ctrcs
に従いDSrcsを算出すること
により求められる、工程
も含まれ、工程(D)は、少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を用いて、工程(A)で得た第2の文字の列記およびその対応する逆相補的な第2の文字の列記それぞれに対して、最高値のDSまたはDSrcsであるDSHVを選択する工程(D’)(工程(図9のブロック(620))と置き換えられる。
【0087】
図10Aと10Bは、前記特に好ましい実施形態の好ましい実施形態による、逆相補的類似度(DSrcs)を求める工程(618)のフローチャートを開示しており、突然変異は免疫グロブリン再構成であり、これにより、逆相補的類似度を求める前記工程の代案が例証される。ゆえに、前記特に好ましい実施形態の前記好ましい実施形態では、工程(D)は、
プライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、工程(A)において前記少なくとも1つのヌクレオチド配列に相補的な逆相補的配列である少なくとも1つの各ヌクレオチド配列を増幅し、前記少なくとも1つの逆相補的ヌクレオチド配列を配列決定して、左から右へと読み取られる少なくとも1つの逆相補的な第1の文字の列記を得ること、
先の工程と同じプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、工程(B)において前記少なくとも1つのヌクレオチド配列に相補的な逆相補的配列である少なくとも1つの各ヌクレオチド配列を増幅し、前記少なくとも1つの逆相補的ヌクレオチド配列を配列決定して、左から右へと読み取られる少なくとも1つの逆相補的な第2の文字の列記を得ること、および
工程(B)で得た逆相補的な第2の文字の列記それぞれについて、工程(A)で得た逆相補的な第1の文字の列記それぞれとの類似度を求めることであって、工程(B)で得た逆相補的な第2の文字の列記と工程(A)で得た逆相補的な第1の文字の列記との類似度DSrcsは、
(xix)逆相補的な第1の文字の列記および逆相補的な第2の文字の列記にて同じである文字またはその最長連続配列を選択することであって、同じ長さの2つ以上の文字または2つ以上の最長連続配列が選択されるときに、逆相補的な文字の列記の最も右側にある文字またはその最長連続配列が選択される、選択すること(図10Aのブロック(900))、
(xx)工程(xix)で選択した文字またはその最長連続配列を、逆相補的な第1の文字の列記および逆相補的な第2の文字の列記にて同じである文字またはその最長連続配列を選択する後の工程から除外すること(図10Aのブロック(902))、
(xxi)逆相補的な第1の文字の列記および逆相補的な第2の文字の列記にて同じである、工程(xx)で除外した文字またはその最長連続配列の左側に位置する文字またはその最長連続配列を選択することであって、同じ長さの2つ以上の文字または2つ以上の最長連続配列が選択されるときに、逆相補的な文字の列記の最も右側にある文字またはその最長連続配列が選択される、選択すること、および
逆相補的な第1の文字の列記および逆相補的な第2の文字の列記にて同じである、工程(xx)で除外した文字またはその最長連続配列の右側に位置する文字またはその最長連続配列を選択することであって、同じ長さの2つ以上の文字または2つ以上の最長連続配列が選択されるときに、逆相補的な文字の列記の最も左側にある文字またはその最長連続配列が選択される、選択すること(図10Aのブロック(904))、
(xxii)工程(xxi)で選択した各文字および/またはその各最長連続配列を、逆相補的な第1の文字の列記および逆相補的な第2の文字の列記にて同じである文字またはその最長連続配列を選択する後の工程から除外すること(図10Aのブロック(906))、
(xxiii)逆相補的な第1の文字の列記および逆相補的な第2の文字の列記にて同じである、先の工程で除外した各文字またはその各最長連続配列のすぐ左側にある文字の連続配列に位置する文字またはその最長連続配列を選択することであって、同じ長さの2つ以上の文字または2つ以上の最長連続配列が選択されるときに、逆相補的な文字の列記の最も右側にある文字またはその最長連続配列が選択される、選択すること、および
逆相補的な第1の文字の列記および逆相補的な第2の文字の列記にて同じである、先の工程で除外した各文字またはその各最長連続配列のすぐ右側にある文字の連続配列に位置する文字またはその最長連続配列を選択することであって、同じ長さの2つ以上の文字または2つ以上の最長連続配列が選択されるときに、逆相補的な文字の列記の最も左側にある文字またはその最長連続配列が選択される、選択すること(図10Aのブロック(908))、
(xxiv)工程(xxiii)で選択した各文字および/またはその各最長連続配列を、逆相補的な第1の文字の列記および逆相補的な第2の文字の列記にて同じである文字またはその最長連続配列を選択する後の工程から除外すること(図10Aのブロック(910))、
(xxv)逆相補的な第1の文字の列記および逆相補的な第2の文字の列記にて同じである文字またはその最長連続配列が選択されなくなるまで、工程(xxiii)と(xxiv)を繰り返すこと(図10Aのブロック(912)にて決定)、
(xxvi)工程(xix)~(xxv)のいずれかにて除外した逆相補的な第1の文字の列記中の文字数、および
工程(xix)~(xvx)のいずれかにて除外した逆相補的な第2の文字の列記中の文字数
を合計することで、それぞれ逆相補的な第2および第1の文字の列記と同じである、逆相補的な第1および第2の文字の列記中の文字の総数Ccrcsを取得すること(図10Aのブロック(914)、CはCcrcsを指す)、
(xxvii)Ccrcs
逆相補的な第1の文字の列記から除外した文字および/またはその最長連続配列間に位置するとともに、工程(C)の(xix)~(xxv)のいずれかにて除外されなかった逆相補的な第1の文字の列記中の文字の数、および
逆相補的な第2の文字の列記から除外した文字および/またはその最長連続配列間に位置するとともに、工程(C)の(xix)~(xxv)のいずれかにて除外されなかった逆相補的な第2の文字の列記中の文字の数
を合計することで、逆相補的な第1および第2の文字の列記中の文字の総数Ctrcsを得ること(図10Aのブロック(916)、C はCtrcsを指す)、ならびに
(xxviii)次の式
DSrcs=Ccrcs/Ctrcs
に従いDSを算出すること(図10Aのブロック(918))
により求められる、あるいは
(xxix)逆相補的な第1の文字の列記および逆相補的な第2の文字の列記にて同じである文字またはその最長連続配列を選択することであって、同じ長さの2つ以上の文字または2つ以上の最長連続配列が選択されるときに、逆相補的な文字の列記の最も右側にある文字またはその最長連続配列が選択される、選択すること(図10Bのブロック(1000))、
(xxx)工程(xxix)で選択した文字またはその最長連続配列を、逆相補的な第1の文字の列記および逆相補的な第2の文字の列記にて同じである文字またはその最長連続配列を選択する後の工程から除外すること(図10Bのブロック(1002))、
(xxxi)逆相補的な第1の文字の列記および逆相補的な第2の文字の列記にて同じである、工程(xxx)で除外した文字またはその最長連続配列の左側に位置する文字またはその最長連続配列を選択することであって、同じ長さの2つ以上の文字または2つ以上の最長連続配列が選択されるときに、逆相補的な文字の列記の最も右側にある文字またはその最長連続配列が選択される、選択すること、および
逆相補的な第1の文字の列記および逆相補的な第2の文字の列記にて同じである、工程(xxx)で除外した文字またはその最長連続配列の右側に位置する文字またはその最長連続配列を選択することであって、同じ長さの2つ以上の文字または2つ以上の最長連続配列が選択されるときに、逆相補的な文字の列記の最も左側にある文字またはその最長連続配列が選択される、選択すること(図10Bのブロック(1004))、
(xxxii)工程(xxxi)で選択した各文字および/またはその各最長連続配列を、逆相補的な第1の文字の列記および逆相補的な第2の文字の列記にて同じである文字またはその最長連続配列を選択する後の工程から除外すること(図10Bのブロック(1006))、
(xxxiii)逆相補的な第1の文字の列記および逆相補的な第2の文字の列記にて同じである文字またはその最長連続配列が選択されなくなるまで、工程(xxxi)と(xxxii)を繰り返すこと(図10Bのブロック(1008)にて決定)、
(xxvi)工程(xix)~(xxv)のいずれかにて除外した逆相補的な第1の文字の列記中の文字数、および
工程(xix)~(xvx)のいずれかにて除外した逆相補的な第2の文字の列記中の文字数
を合計することで、それぞれ逆相補的な第2および第1の文字の列記と同じである、逆相補的な第1および第2の文字の列記中の文字の総数Crcsを取得すること(図10Bのブロック(1010)、CはCcrcsを指す)、
(xxvii)Ccrcs
逆相補的な第1の文字の列記から除外した文字および/またはその最長連続配列間に位置するとともに、工程(C)の(xix)~(xxv)のいずれかにて除外されなかった逆相補的な第1の文字の列記中の文字の数、および
逆相補的な第2の文字の列記から除外した文字および/またはその最長連続配列間に位置するとともに、工程(C)の(xix)~(xxv)のいずれかにて除外されなかった逆相補的な第2の文字の列記中の文字の数
を合計することで、逆相補的な第1および第2の文字の列記中の文字の総数Ctrcsを得ること(図10Bのブロック(1012)、CはCtrcsを指す)、ならびに
(xxviii)次の式
DSrcs=Ccrcs/Ctrcs
に従いDSrcsを算出することであって(図10Bのブロック(1014))、
サブ工程(i)~(x)を用いて、工程(B)で得た第2の文字の列記それぞれに対してDSを求めるとき、サブ工程(xix)~(xxviii)を用いて対応する逆相補的な第1の文字の列記それぞれに対してDSrcsが求められ、および、工程(i)~(x)を用いて、工程(B)で得た第2の文字の列記それぞれに対してDSを求めるとき、サブ工程(xxix)~(xxxvi)を用いて対応する逆相補的な第1の文字の列記それぞれに対してDSrcsが求められる、算出すること、および
工程(B)で得た第2の文字の列記およびその対応する逆相補的な第2の文字の列記に対して、最高値のDSまたはDSrcsであるDSHVを選択すること(図10Bのブロック(1014)から続くが、図中には示されない)
により求められる、求めること
を含む。
【0088】
ゆえに、0.0のDSまたはDSrcsは、第1の文字の列記中の文字が第2の文字の列記中の文字と同じではないことを意味し、1.0のDSまたはDSrcsは、第1の文字の列記中の文字がすべて第2の文字の列記中の文字と同じであることを意味する(すなわち、前記疾患を処置した後の対象からの生物学的試料のヌクレオチド配列は、前記疾患を処置する前の対象から得た生物学的試料の塩基配列と厳密に等しい)。このため、本発明の方法は、対象から得た生物学的試料中のどのくらいのヌクレオチド配列が、その元の(ワトソン)形態またはその逆補体(クリック)版のいずれかで引数配列(argument sequence)(前記疾患を抱える対象から得た生物学的試料のヌクレオチド配列)を包含するのかに関する情報を提供する。
【0089】
工程(B)で得た少なくとも1つの第2の文字の列記に対してDSHVを求めると、工程(B)で得た第2の文字の列記のうち閾値Tを超えるDSHVを有するものの数は、続いて工程(E)にて合計され、これにより、第1の文字の列記と同じである第2の文字の列記の総数Lが得られる(図6のブロック(212))。同様に、工程(F)では、L、およびTを超えるDSHVを有していない第2の文字の列記の数が合計され、Lが得られる(図6のブロック(214))。Lは、第2の文字の列記の総数に対応する。好ましくは、前記閾値Tは、前記DSおよびDSrcsに対して0.99、より好ましくは0.999、さらに好ましくは0.9999、最も好ましくは0.99999に設定される。工程(E)と(F)は同時に行われてもよく、または工程(E)は、工程(F)の前または後に行われてもよく、好ましくは工程(F)は工程(E)の後に行われる。
【0090】
続いて、MRDのレベルを算出するために工程(G)が実行される(図6のブロック(216))。MRDレベルの算出は、以下の式
MRD=(Lxk)/(LxD)、
MRD=L/L、または
MRD=gxLx(D/k)/L
のいずれかに従い実行される。式中、L、D、k、およびLは、先に定義したとおりであり、かつ以下に定義されるとおりである。
=第2の文字の列記と同じである第1の文字の列記の総数。
D=疾患の処置後の対象から得た生物学的試料のゲノムDNAの量D(ng)(そこから、少なくとも1つの第1の文字の列記が、シーケンシングにより得られる)。
k=疾患の処置後に対象から得た生物学的試料の二倍体細胞ごとのゲノムDNAの平均重量k(ng/細胞)。
=第1の文字の列記の総数。
g=細胞ごとの遺伝子コピー数(二倍体細胞ではg=2)。
【0091】
工程(H)は、
(i)遺伝子マーカーの最小変異読取り頻度minVRF(minVRFは初期細胞等価物を表す)であって、該遺伝子マーカーは、工程(A)と(B)にて、工程(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーにより増幅されるヌクレオチド配列の突然変異形態である、minVRF、
(ii)前記遺伝子マーカーの検出限界D-limit、
(iii)平均突然変異ノイズavMut、
(iv)平均位置ノイズavPos
を求めることを含む。これらの値は、それぞれ同時または段階的に求めることができ、これに加えて、工程(G)は工程(H)の前または後に実行されてもよく、好ましくは工程(H)は工程(G)の後に実行される。
【0092】
具体的には、工程(H)は、
(i)前記遺伝子マーカーの最小変異読取り頻度minVRFであって、minVRFは、次の式
minVRF=k/D
に従い算出され、式中、Dはng/μLの単位にあり、kはngの単位にある、minVRF、
(ii)傾きの違いを用いた方法による、前記遺伝マーカーの検出限界D-limitであって、該方法は、
(a)前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの溶液の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第1の組成物を取得すること、
(b)前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(c)前記第1の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第2の組成物を取得すること、
(d)前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(e)前記第2の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第3の組成物を取得すること、
(f)前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(g)前記第3の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第4の組成物を取得すること、
(h)前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(i)第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の平均対数avlogMRD1、および第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogC1、ならびに
第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の平均対数avlogMRD2、および第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogC2
を算出すること、
(j)前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1A、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1B、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1C、
前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1D、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1E、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1F、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2A、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2B、
前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2C、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2D、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2E、および
前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2F
を算出すること、
(k)D1AとD1Dとの乗算によりR1、
D1BとD1Eとの乗算によりR2、
D1CとD1Fとの乗算によりR3、
D1AとD1Aとの乗算によりR4、
D1BとD1Bとの乗算によりR5、
D1CとD1Cとの乗算によりR6、
D2AとD2Dとの乗算によりR7、
D2BとD2Eとの乗算によりR8、
D2CとD2Fとの乗算によりR9、
D2AとD2Aとの乗算によりR10、
D2BとD2Bとの乗算によりR11、
D2CとD2Cとの乗算によりR12
を算出すること、
(l)次の式
S1=(R1+R2+R3)/(R4+R5+R6)
を使用してS1、
次の式
S2=(R7+R8+R9)/(R10+R11+R12)
を使用してS2、
を算出すること、
(m)S1とS2を比較することであって、これにより、
S2がS1より少なくとも30%低いとき(すなわち、S2とS1との差がS1の値の30%以上)、第3の組成物の濃度がD-limitであり、
S2がS1に等しい、またはS1より30%低いとき(すなわち、S2とS1との差がS1の値の0~30%未満)、工程(H)(ii)(a)~(H)(ii)(l)は、前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの前記溶液の代わりに前記第1の組成物を使用して繰り返される、比較すること
を含む、検出限界D-limit、
(iii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、
(a)工程(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患がなく前記遺伝子マーカーのない対象から得た生物学的試料のゲノムDNAの少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させること、
(b)増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定することであって、これにより、左から右へと読み取られる第3の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、配列決定すること、
(c)前記疾患がなく前記遺伝子マーカーがないm人の対象において工程(H)(iii)(a)および(H)(iii)(b)を繰り返すことであって、mは少なくとも9、より好ましくは少なくとも99である、繰り返すこと、および
(d)前記遺伝子マーカーの配列決定から得たものと同一である第3の文字の列記の平均画分を算出することであって、平均画分は平均突然変異avMutである、算出すること
による、平均突然変異ノイズavMut(増幅およびシーケンシング工程の平均エラー率を表す)、
(iv)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列と同一の各ヌクレオチドに関する変異読取り頻度VRFを算出することによる平均位置ノイズavPosであって、前記遺伝子マーカー中の前記一塩基変異型突然変異を担うヌクレオチドは、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列におけるものとは異なり、前記VRF値の平均はavPosである、平均位置ノイズ
を求めることを含む。
【0093】
工程(H)(i)~(h)(iv)では、遺伝子マーカーは、工程(a)と工程(B)にて、工程(a)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーにより増幅されるヌクレオチド配列の突然変異形態である。したがって、工程(H)(ii)(b)、(d)、(f)、および(h)にて求められるMRDのレベルは、
(A1)工程(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの前記溶液中に含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させること、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定することであって、これにより、左から右へと読み取られる文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、配列決定すること、
(B1)工程(A1)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、それぞれ第1、第2、第3、および第4の組成物に含まれるDNAの量D1に含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させること、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定することであって、これにより、左から右へと読み取られる文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、配列決定すること、
(C1)各組成物に対して工程(C)~(G)を実行することにより、第1、第2、第3、および第4の組成物それぞれにおけるMRDレベルを求めることであって、工程(B1)で得た各文字の列記は、工程(B)で得た第2の文字の列記それぞれと置き換えられ、所与の組成物に対して工程(A1)で得た各文字の列記は、工程(A)で得た第1の文字の列記それぞれと置き換えられ、D1はDと置き換えられ、kは定数(6.49x10-3ng)であり、工程(g)で使用される式は、工程(A)と(B)で得た文字の列記を用いたMRDレベルの算出に用いられる式と同じである、求めること
によって求めることができる。第1、第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度は、前記遺伝子マーカーを含まないため希釈物と同等であるゲノムDNAの溶液の単位体積当たりの、前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの溶液の体積で測定され、これにより例えば、前記第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogc1は、前記第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの希釈物の平均対数と同じであることに留意されたい。
【0094】
遺伝子マーカーのminVRFの判定に続き、前記遺伝子マーカーのD-limit、avMut、およびavPosを工程(H)、実験感度ESを工程(I)で求める。実験感度ESは、
(i)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、工程(H)で算出されるようなminVRF、D-limit、avMut、およびavPosのうち大きい方、または
(ii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、工程(H)で算出されるようなminVRFおよびD-limitのうち大きい方
である。
【0095】
最後に、工程(J)は、工程(G)でMRDレベル、工程(H)で遺伝子マーカーのminVRF、前記遺伝子マーカーのD-limit、avMut、およびavPos、ならびに工程(I)でESのレベルを求めて、最小残存病変の有無が求められる工程である。工程(J)は、以下のように
(i)工程(G)で算出した最小残存病変MRDレベルの値を、工程(I)で求めた実験感度ESの値とを比較することであって、
(a)前記MRD値のレベルが前記ES値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(b)前記MRD値のレベルが前記ES値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること、または
(ii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDレベルの値を、工程(H)で算出したminVRFの値とを比較することであって、
(a)前記MRD値のレベルが前記minVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記MinVRF値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したavMutの値とを比較することであって、
(b)前記MRD値のレベルが前記avMut値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記avMut値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したavPosの値とを比較することであって、
(c)前記MRD値のレベルが前記avPos値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記avPos値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したD-limitの値とを比較することであって、
(d)前記MRD値のレベルが前記D-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(e)前記MRD値のレベルが前記minVRF値、avMut値、avPos値、およびD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること、または
(iii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDレベルの値を、工程(I)で算出したminVRFの値と比較することであって、
(f)前記MRD値のレベルが前記minVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記minVRF値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したD-limitの値とを比較することであって、
(g)前記MRD値のレベルが前記D-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(h)前記MRD値のレベルが前記minVRF値およびD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること
の、3つの工程(J)(i)、(J)(ii)、または(j)(iii)のいずれかにより、前記対象における最小残存病変の有無を求めることを含む。
【0096】
しかし、本発明の処置方法では、工程(J)はさらに、前記対象に最小残存病変が存在すると求められたとき、工程(1)と工程(2)を繰り返すことを含み、工程(1)の各繰返しは、以前に前記対象に施したものと同じ治療、または以前に前記対象に施したものと異なる治療を施すことを含む。
【0097】
前述の方法、システム、キット、および処置方法の一実施形態では、前記疾患の処置前に前記対象から得た組織試料の前記ゲノムDNA中の遺伝子マーカーの変異読取り頻度VRFは、
(i)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるときに少なくとも5%、または
(ii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるときに少なくとも2%
である。
【0098】
本発明の別の実施形態では、最小残存病変(MRD)の有無が求められている前記対象における前記疾患を示す遺伝子マーカーは、
(P)前記疾患を抱える前記対象における遺伝子のヌクレオチド配列に含まれる少なくとも1つの突然変異を特定し、このように特定した各突然変異の変異読取り頻度VRFを求める工程と、
(Q)10%を超えるVRFを有する突然変異を特定することにより、10%を超えるVRFを有する工程(P)で特定された突然変異を選択する工程であって、10%を超えるVRFを有する突然変異は、
(a)最高のVRFを有する体細胞遺伝子再構成突然変異、
(b)工程(P)で特定した体細胞遺伝子再構成突然変異が10%超のVRFを有していない場合、最高VRFを有するインデル突然変異、または
(c)工程(P)で特定した体細胞遺伝子再構成突然変異またはインデル突然変異が10%超のVRFを有していない場合、最高VRFを有する一塩基変異型突然変異である、工程と、
(R)前記対象中の遺伝子のヌクレオチド配列のうち工程(Q)で選択した前記突然変異を含むものをポリメラーゼ連鎖反応により増幅する座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを特定する工程と
により選択される。前記工程(Q)で選択された前記突然変異を含む前記ヌクレオチド配列は、前記遺伝子マーカーであり、より好ましくは、前記疾患を示す遺伝子マーカーは、前記疾患が特徴づけられる前述の遺伝子パネルの遺伝子のうち1つに存在するヌクレオチド配列において特定される。
【0099】
好ましくは、10%を超える変異読取り頻度VRFを有する遺伝子マーカーは、前記疾患の処置の前に前記対象から得た組織試料の前記ゲノムDNAにおいて特定可能である。しかし、これがそうではない事象では、10%を超える変異読取り頻度VRFを有する遺伝子マーカーが、前記疾患の処置の前に前記対象から得た組織試料の前記ゲノムDNAにおいて特定されない場合、複数の遺伝子マーカーが、本発明の方法、システム、およびキットに使用するために必要となる。このため、本発明の好ましい実施形態では、前述の本発明の実施形態の工程(P)において特定される突然変異が10%を超えるVRFを有していない場合、遺伝子マーカーは、さらにn-1遺伝子マーカーとともに、以下の工程により選択され、
工程(Q)は、
(i)2%~10%のVRFを有する突然変異を特定することにより、2%~10%のVRFを有する工程(P)で特定したn個の突然変異であって、該突然変異は、
(a)最高のVRFを有する体細胞遺伝子再構成突然変異、または
(b)工程(P)で特定したn個未満の体細胞遺伝子再構成突然変異が2%~10%のVRFを有していない場合、最高のVRFを有するインデル突然変異
を選択することを含む工程(Q’)に置き換えられ、または
工程(P)で特定したn個未満の体細胞遺伝子再構成突然変異が2%~10%のVRFを有し、工程(P)で特定したn個未満のインデル突然変異が2%~10%のVRFを有する場合、工程(Q’)は、
(ii)5%~10%のVRFを有する突然変異のうち一塩基変異型突然変異であるものを特定することにより、5%~10%のVRFを有する工程(P)で特定したn個の突然変異
を選択することを含み、および
工程(R)は、
(i)工程(Q’)で選択されたn個の突然変異のうち1つを選択し、選択した突然変異を含む前記対象における遺伝子のヌクレオチド配列をポリメラーゼ連鎖反応により増幅する座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを特定することであって、前記選択した突然変異を含む前記ヌクレオチド配列は遺伝子マーカーである、特定すること、および
(ii)工程(R’)(i)をn-1回繰り返すことであって、1回あたり、以前に工程(R’)(i)で選択されていない工程(Q’)で選択された残りのn-1個の突然変異のうち1つに対して行われる、繰り返すこと
を含む工程(R’)に置き換えられ、
前記方法はさらに、工程(A)~(I)をさらにn-1回繰り返す工程であって、1回あたり、工程(R’)で特定した異なるプライマー対を使用する、工程と、工程(J)を、工程(J’):
(i)最小残存病変のレベルの平均値avMRDと実験感度の平均値avESとを比較する工程であって、
(a)前記avMRD値が前記avES値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(b)前記avMRD値が前記avES値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、工程、または
(ii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、(G)で算出された最小残存病変のレベルの平均値avMRDと、minVRFの平均値avminVRFとを比較する工程であって、
(a)前記avMRD値が前記avminVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、工程、および
前記avMRD値が前記avminVRF値未満であるとき、最小残存病変レベルの平均値avMRDと、avMutの平均値avavMutとを比較する工程であって、
(b)前記avMRD値が前記avavMut値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、工程、および
前記avMRD値が前記avavMut値未満であるとき、最小残存病変レベルの平均値avMRDと、avPosの平均値avavPosとを比較する工程であって、
(c)前記avMRD値が前記avavPos値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、工程、および
前記avMRD値が前記avavPos値未満であるとき、最小残存病変レベルの平均値avMRDと、D-limitの平均値avD-limitとを比較する工程であって、
(d)前記avMRD値が前記avD-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(e)前記avMRD値が前記avminVRF値、avavMut値、avavPos値、およびavD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、工程、または
(iii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、最小残存病変のレベルの平均値avMRDと、minVRFの平均値avminVRFとを比較する工程であって、
(f)前記avMRD値が前記avminVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、工程、および
前記avMRD値が前記avminVRF値未満であるとき、最小残存病変レベルの平均値avMRDと、D-limitの平均値avD-limitとを比較する工程であって、
(g)前記avMRD値が前記avD-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(h)前記avMRD値が前記avminVRF値およびavD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、工程
と置き換える工程とを含み、ここで、nは、2~5から選択される自然数であり、より好ましくは、nは、2または3から選択される自然数である。VRF値の比較により、マーカーとしての任意の所与の突然変異の有効性を、該マーカーが一塩基変異型突然変異、インデル突然変異、または免疫グロブリン再構成突然変異であるかどうかとは独立して評価することが可能になる。このため、本発明はさらに、疾患が処置されている対象における最小残存病変の評価に適した遺伝子マーカーの有無を求めるための方法を含む。特に、本発明の工程(P)、(Q)、(Q’)、(R)、および(R’)自体は、好ましくは本明細書に記載の方法、キット、システム、および処置方法に使用するために、前記遺伝子マーカーを選択するための方法を含む。
【0100】
前述のように、本発明はまた、疾患がすでに処置されている対象を処置するための方法に関連するものであり、該方法は、前記対象における最小残存病変(MRD)の有無を求めるための前述の方法、システム、またはキットを使用した後に前記対象に治療を施す工程を含む。
【0101】
特に、本記述の処置方法では、前記対象にMRDの存在が求められたとき(図11Aと11Bのブロック(106)にて決定)、前記対象にMRDの不在が求められるまで、前記対象に処置を施す工程が繰り返され、その後、前記対象におけるMRDの有無が求められる(図11Aと11Bのブロック(108))。要するに、本記述の処置方法は、対象の疾患を処置する工程と、前記処置の後に前記対象におけるMRDの有無を求める工程とを含み、前記疾患が前記処置後に前記対象に残っている場合、前記対象の疾患を処置する工程、および続いて前記処置の後に前記対象におけるMRDの有無を求める工程は、前記対象に疾患がこれ以上残らなくなるまで繰り返される。本記述の処置方法では、対象の疾患を処置する工程の各繰返しは、以前に前記対象に施したものと同じ治療、または以前に前記対象に施したものと異なる治療を施すことを含む。好ましくは、以前に前記対象に施したものと異なる治療は、その後の対象の疾患を処置する工程の繰返しすべてにおいて施される。
【0102】
本記述の処置方法では、対象の疾患を処置する工程、およびその後の前記処置後に前記対象におけるMRDの有無を求める工程は、前記対象にMRDが存在しないと求められるまで繰り返される。しかし、対象の疾患を処置する工程、およびその後の前記処置後に前記対象におけるMRDの有無を求める工程は、処置の各サイクルの終わりに前記対象にMRDが存在しないと求められる場合、好ましくは最大4サイクルの処置、より好ましくは最大3サイクルの処置、さらに好ましくは最大2サイクルの処置にわたり繰り返される。
【0103】
前記処置方法は、前記対象に治療を施す工程を含み、前記治療は、好ましくは化学療法である。より好ましくは、前記化学療法は、
プロテアソーム阻害剤および免疫調節剤、または
任意選択でシタラビンの投与後にシタラビンおよびアントラサイクリン系抗生物質またはアントラセンジオン
の投与を含む。
【0104】
さらに好ましくは、前記化学療法は、
ボルテゾミブおよびプレドニゾン(VMP)、または
任意選択でシタラビンの投与後にシタラビンおよびアントラサイクリン系抗生物質またはアントラセンジオン
の投与を含む。
【0105】
さらにより好ましい実施形態では、多発性骨髄腫またはリンパ腫の場合、前記化学療法は、
各サイクルがボルテゾミブおよびプレドニゾン(VMP)の投与を含む、9~18サイクルの処置
からなり、または骨髄性癌、好ましくは急性骨髄性白血病の場合、前記化学療法は、
各サイクルが、7日間にわたるシタラビンの投与、および3日間にわたるアントラサイクリン系抗生物質またはアントラセンジオンの投与を含む1または2サイクルの処置(導入後処置)、あるいは
各サイクルが、7日間にわたるシタラビンの投与、および3日間にわたるアントラサイクリン系抗生物質またはアントラセンジオンの投与を含む1または2サイクルの処置(導入後処置)、続いて任意選択で、各サイクルがシタラビンの投与を含む1または2サイクルの処置(導入後処置)
からなる。
【0106】
本発明のさらに好ましい実施形態では、前記化学療法は、前記疾患が多発性骨髄腫であるとき、各サイクルがボルテゾミブおよびプレドニゾン(VMP)の投与を含む9~18サイクルの処置からなる。本発明の別の好ましい実施形態では、前記化学療法は、前記疾患が急性骨髄性白血病または任意の骨髄性新生物であるとき、各サイクルが、7日間にわたるシタラビンの投与、および続いて3日間にわたるアントラサイクリン系抗生物質またはアントラセンジオンの投与を含む1または2サイクルの処置(サイクル間で30~35日)(導入後処置)からなる。本発明のまた別の好ましい実施形態では、前記化学療法は、前記疾患が急性骨髄性白血病または任意の骨髄性新生物であるとき、各サイクルが、7日間にわたるシタラビンの投与、および続いて3日間にわたるアントラサイクリン系抗生物質またはアントラセンジオンの投与を含む1または2サイクルの処置(サイクル間で30~35日)、続いて各サイクルがシタラビンの投与を含む1または2サイクルの処置(硬化後(post-consolidation)処置)からなる。本発明の処置方法の一実施形態では、アントラサイクリン系抗生物質またはアントラセンジオンは、イダルビシンである。
【0107】
本発明では、MRDレベルは、(図5Aと5Bのブロック(104)において総じて例証される)7つの工程(A)~(G)を含む方法により前記疾患が処置されている対象において定量され、図6のブロック(200)と(202)の工程(A)、ブロック(204)と(206)の工程(B)、ブロック(208)の工程(C)、ブロック(210)の工程(D)、ブロック(212)の工程(E)、ブロック(214)の工程(F)、およびブロック(216)の工程(G)を含む方法(104)に対してさらに例証される。これらの7工程は、好ましくは、対象集団から得たデータを含む外部データベースにアクセスすることなく実行される。前記工程は、生物学的技法および少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を使用して実行される。
【0108】
さらに、遺伝子マーカーのminVRF、前記遺伝子マーカーのD-limit、avMut、およびavPosは、(図5Aと5Bのブロック(105)において総じて例証される)追加の工程(H)において求められ、図8Aのブロック(300)と(302)の工程(H)(i)、ブロック(304)と(306)の工程(H)(ii)、ブロック(308)の工程(H)(iii)、およびブロック(316)の工程(H)(iv)を含む方法(304)に対してさらに例証される。一方、ESは、(図5Bのブロック(105)において総じて例証される)別の工程(I)において求められ、図8Bのブロック(416)における方法(404)に対してさらに例証される。
【0109】
本発明の特に好ましい実施形態は、疾患が処置された対象における最小残存病変(MRD)の有無を求める方法に関し、前記疾患は、急性骨髄性白血病(AML)または多発性骨髄腫(MM)から選択される増殖性疾患であり、前記方法は、
(A)座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを含む一対のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患の処置前に前記対象から得た生物学的試料からのゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させる工程、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定する工程であって、これにより、左から右へと読み取られる第1の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、工程と、
(B)工程(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患の処置後に前記対象から得た生物学的試料からの一定量DのゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させる工程であって、前記ゲノムDNAは、前記生物学的試料の二倍体細胞あたりの平均重量kを有している、工程、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定する工程であって、これにより、左から右へと読み取られる第2の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られ、工程(A)および(B)で増幅された各ヌクレオチド配列は、400ヌクレオチドよりも短く、遺伝子の突然変異ヌクレオチド配列または非突然変異ヌクレオチド配列のいずれかであり、ヌクレオチド配列は、突然変異すると、一塩基変異型突然変異、インデル突然変異、および体細胞遺伝子再構成突然変異の群から選択される突然変異を含む遺伝子マーカーである、工程と、
(C)工程(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、工程(A)で得た第1の文字の列記それぞれとの類似度を求める工程であって、工程(B)で得た第2の文字の列記と工程(A)で得た第1の文字の列記との類似度DSは、
(i)それぞれ第1および第2の文字の列記におけるものと同じである、第1および第2の文字の列記における文字の総数Cを数えること、
(ii)前記第1および第2の文字の列記における文字の総数Cを数えること、および
(iii)次の式
DS=C/C
に従いDSを算出すること
により求められる、工程と、
(D)工程(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、最高値のDS、すなわちDSHVを選択する工程と、
(E)閾値Tより大きなDSHVを有する第2の文字の列記の数を合計することで、第1の文字の列記と同じである第2の文字の列記の総数Lを取得する工程と、
(F)以下
(i)Lおよび
(ii)Tより大きなDSHVを有していない第2の文字の列記の数
を合計することで、第2の文字の列記の総数Lを取得する工程と、
(G)次の式
MRD=(Lxk)/(LxD)、
MRD=L/L、または
MRD=gxLx(D/k)/L
のいずれかに従い、最小残存病変MRDの値を算出する工程であって、式中、gは、細胞ごとの遺伝子コピー数であり、Dは、ngの単位であり、kは、ng/細胞の単位である、工程と、
(H)以下
(i)前記遺伝子マーカーの最小変異読取り頻度minVRFであって、minVRFは、次の式
minVRF=k/D
に従い算出され、式中、Dとkは上記で定義したとおりである、minVRF、
(ii)以下
(a)前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの溶液の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第1の組成物を取得すること、
(b)前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(c)前記第1の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第2の組成物を取得すること、
(d)前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(e)前記第2の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第3の組成物を取得すること、
(f)前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(g)前記第3の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第4の組成物を取得すること、
(h)前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(i)第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の平均対数avlogMRD1、および第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogC1、ならびに
第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の平均対数avlogMRD2、ならびに第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogC2
を算出すること、
(j)前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1A、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1B、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1C、
前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1D、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1E、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1F、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2A、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2B、
前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2C、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2D、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2E、および
前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2F
を算出すること、
(k)D1AとD1Dとの乗算によりR1、
D1BとD1Eとの乗算によりR2、
D1CとD1Fとの乗算によりR3、
D1AとD1Aとの乗算によりR4、
D1BとD1Bとの乗算によりR5、
D1CとD1Cとの乗算によりR6、
D2AとD2Dとの乗算によりR7、
D2BとD2Eとの乗算によりR8、
D2CとD2Fとの乗算によりR9、
D2AとD2Aとの乗算によりR10、
D2BとD2Bとの乗算によりR11、
D2CとD2Cとの乗算によりR12
を算出すること、
(l)次の式
S1=(R1+R2+R3)/(R4+R5+R6)
を使用してS1、
次の式
S2=(R7+R8+R9)/(R10+R11+R12)
を使用してS2
を算出すること、
(m)S1とS2を比較することであって、これにより、
S2がS1よりも少なくとも30%低い場合、第3の組成物の濃度は検出限界D-limitであり、
S2がS1に等しい、またはS1より30%低い場合、工程(H)(ii)(a)~(H)(ii)(l)は、前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの溶液の代わりに前記第1の組成物を用いて繰り返される、比較すること
による、前記遺伝子マーカーの検出限界D-limit、
(iii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、
(a)工程(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患がなく前記遺伝子マーカーのない対象から得た生物学的試料のゲノムDNAの少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させること、
(b)増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定することであって、これにより、左から右へと読み取られる第3の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、配列決定すること、
(c)前記疾患がなく前記遺伝子マーカーがないm人の対象において工程(H)(iii)(a)および(H)(iii)(b)を繰り返すことであって、mは少なくとも9である、繰り返すこと、および
(d)前記遺伝子マーカーの配列決定から得たものと同一である第3の文字の列記の平均画分を算出することであって、平均画分は平均突然変異ノイズavMutである、算出すること
による、平均突然変異ノイズavMut、ならびに
(iv)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列と同一の各ヌクレオチドに関する変異読取り頻度VRFを算出することによる平均位置ノイズavPosであって、前記遺伝子マーカー中の前記一塩基変異型突然変異を担うヌクレオチドは、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列におけるものとは異なり、前記VRF値の平均はavPosである、平均位置ノイズ
を求める工程と、
(I)実験感度ESを求める工程であって、ESは、
(i)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、工程(H)で算出されるようなminVRF、D-limit、avMut、およびavPosのうち大きい方、または
(ii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、工程(H)で算出されるようなminVRFおよびD-limitのうち大きい方
である、工程と、
(J)前記対象における最小残存病変の有無を、
(i)工程(G)で算出した最小残存病変MRDレベルの値を、工程(I)で求めた実験感度ESの値と比較することであって、
(a)前記MRD値のレベルが前記ES値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(b)前記MRD値のレベルが前記ES値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること、または
(ii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、工程(G)で算出された最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したminVRFの値とを比較することであって、
(a)前記MRD値のレベルが前記minVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記MinVRF値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したavMutの値とを比較することであって、
(b)前記MRD値のレベルが前記avMut値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記avMut値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したavPosの値とを比較することであって、
(c)前記MRD値のレベルが前記avPos値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記avPos値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したD-limitの値とを比較することであって、
(d)前記MRD値のレベルが前記D-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(e)前記MRD値のレベルが前記minVRF値、avMut値、avPos値、およびD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること、または
(iii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、工程(G)で算出された最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(I)で算出したminVRFの値とを比較することであって、
(f)前記MRD値のレベルが前記minVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記minVRF値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したD-limitの値とを比較することであって、
(g)前記MRD値のレベルが前記D-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(h)前記MRD値のレベルが前記minVRF値およびD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること
のいずれかにより求める工程と
を含み、ここで、前記増殖性疾患は、
(i)KRAS、NPM1、およびNRASからなる群、より好ましくはKRAS G12D、NPM1 W290fs(NPM1 ins)、およびNRAS Q61Rからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列におけるインデル突然変異または一塩基変異型突然変異を特徴とする急性骨髄性白血病(AML)、または
(ii)IGHおよびIGKからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における体細胞遺伝子再構成突然変異、または
NRASからなる群、より好ましくはNRAS Q61Hからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列におけるインデル突然変異または一塩基変異型突然変異
を特徴とする多発性骨髄腫(MM)
を含む。
【0110】
本発明の別の特に好ましい実施形態は、疾患が処置された対象における最小残存病変(MRD)の有無を求める方法に関し、前記疾患は、濾胞性リンパ腫(FL)または肺癌(腺癌)から選択される増殖性疾患であり、前記方法は、
(A)座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを含む一対のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患の処置前に前記対象から得た生物学的試料からのゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させる工程、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定する工程であって、これにより、左から右へと読み取られる第1の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、工程と、
(B)工程(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患の処置後に前記対象から得た生物学的試料からの一定量DのゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させる工程であって、前記ゲノムDNAは、前記生物学的試料の二倍体細胞あたりの平均重量kを有している、工程、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定する工程であって、これにより、左から右へと読み取られる第2の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られ、工程(A)および(B)で増幅された各ヌクレオチド配列は、400ヌクレオチドよりも短く、遺伝子の突然変異ヌクレオチド配列または非突然変異ヌクレオチド配列のいずれかであり、ヌクレオチド配列は、突然変異すると、一塩基変異型突然変異を含む遺伝子マーカーである、工程と、
(C)工程(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、工程(A)で得た第1の文字の列記それぞれとの類似度を求める工程であって、工程(B)で得た第2の文字の列記と工程(A)で得た第1の文字の列記との類似度DSは、
(i)それぞれ第1および第2の文字の列記におけるものと同じである、第1および第2の文字の列記における文字の総数Cを数えること、
(ii)前記第1および第2の文字の列記における文字の総数Cを数えること、および
(iii)次の式
DS=C/C
に従いDSを算出することにより求められる、工程と、
(D)工程(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、最高値のDS、すなわちDSHVを選択する工程と、
(E)閾値Tより大きなDSHVを有する第2の文字の列記の数を合計することで、第1の文字の列記と同じである第2の文字の列記の総数Lを取得する工程と、
(F)以下
(i)Lおよび
(ii)Tより大きなDSHVを有していない第2の文字の列記の数
を合計することで、第2の文字の列記の総数Lを取得する工程と、
(G)次の式
MRD=(Lxk)/(LxD)、
MRD=L/L、または
MRD=gxLx(D/k)/L
のいずれかに従い、最小残存病変MRDの値を算出する工程であって、式中、gは、細胞ごとの遺伝子コピー数であり、Dは、ngの単位であり、kは、ng/細胞の単位である、工程と、
(H)以下
(i)前記遺伝子マーカーの最小変異読取り頻度minVRFであって、minVRFは、次の式
minVRF=k/D
に従い算出され、式中、Dとkは上記で定義したとおりである、minVRF、
(ii)以下
(a)前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの溶液の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第1の組成物を取得すること、
(b)前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(c)前記第1の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第2の組成物を取得すること、
(d)前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(e)前記第2の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第3の組成物を取得すること、
(f)前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(g)前記第3の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第4の組成物を取得すること、
(h)前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(i)第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の平均対数avlogMRD1、および第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogC1、ならびに
第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の平均対数avlogMRD2、および第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogC2
を算出すること、
(j)前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1A、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1B、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1C、
前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1D、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1E、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1F、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2A、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2B、
前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2C、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2D、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2E、および
前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2F
を算出すること、
(k)D1AとD1Dとの乗算によりR1、
D1BとD1Eとの乗算によりR2、
D1CとD1Fとの乗算によりR3、
D1AとD1Aとの乗算によりR4、
D1BとD1Bとの乗算によりR5、
D1CとD1Cとの乗算によりR6、
D2AとD2Dとの乗算によりR7、
D2BとD2Eとの乗算によりR8、
D2CとD2Fとの乗算によりR9、
D2AとD2Aとの乗算によりR10、
D2BとD2Bとの乗算によりR11、
D2CとD2Cとの乗算によりR12
を算出すること、
(l)次の式
S1=(R1+R2+R3)/(R4+R5+R6)
を使用してS1、
次の式
S2=(R7+R8+R9)/(R10+R11+R12)
を使用してS2
を算出すること、
(m)S1とS2を比較することであって、これにより、
S2がS1よりも少なくとも30%低い場合、第3の組成物の濃度は検出限界D-limitであり、
S2がS1に等しい、またはS1より30%低い場合、工程(H)(ii)(a)~(H)(ii)(l)は、前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの溶液の代わりに前記第1の組成物を用いて繰り返される、比較すること
による、前記遺伝子マーカーの検出限界D-limit、
(iii)以下
(a)工程(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患がなく前記遺伝子マーカーのない対象から得た生物学的試料のゲノムDNAの少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させること、
(b)増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定することであって、これにより、左から右へと読み取られる第3の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、配列決定すること、
(c)前記疾患がなく前記遺伝子マーカーがないm人の対象において工程(H)(iii)(a)および(H)(iii)(b)を繰り返すことであって、mは少なくとも9である、繰り返すこと、
(d)前記遺伝子マーカーの配列決定から得たものと同一である第3の文字の列記の平均画分を算出することであって、平均画分は平均突然変異ノイズavMutである、算出すること、
による、平均突然変異ノイズavMut、
(iv)前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列と同一の各ヌクレオチドに関する変異読取り頻度VRFを算出することによる平均位置ノイズavPosであって、前記遺伝子マーカー中の前記一塩基変異型突然変異を担うヌクレオチドは、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列におけるものとは異なり、前記VRF値の平均はavPosである、平均位置ノイズ
を求める工程と、
(I)実験感度ESを求める工程であって、ESは、工程(H)で算出されるように、minVRF、D-limit、AvMut、およびAvPosのうち大きい方である、工程と、
(J)前記対象における最小残存病変の有無を、
(i)工程(G)で算出した最小残存病変MRDレベルの値を、工程(I)で求めた実験感度ESの値と比較することであって、
(a)前記MRD値のレベルが前記ES値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(b)前記MRD値のレベルが前記ES値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること、または
(ii)工程(G)で算出した最小残存病変MRDレベルの値を、工程(H)で算出したminVRFの値とを比較することであって、
(a)前記MRD値のレベルが前記minVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記MinVRF値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したavMutの値とを比較することであって、
(b)前記MRD値のレベルが前記avMut値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記avMut値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したavPosの値とを比較することであって、
(c)前記MRD値のレベルが前記avPos値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記avPos値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したD-limitの値とを比較することであって、
(d)前記MRD値のレベルが前記D-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(e)前記MRD値のレベルが前記minVRF値、avMut値、avPos値、およびD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること
のいずれかにより求める工程と
を含み、ここで、前記増殖性疾患は、
(i)EZH2、KMT2D、およびKRASからなる群、またさらに好ましくはEZH2 Y646S、KMT2D Q2014fs、およびKRAS G12Aからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列中の一塩基変異型突然変異を特徴とする濾胞性リンパ腫(FL)、または
(ii)TSC2およびWASからなる群、さらにより好ましくはTSC2L248VおよびWAS T45Mからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列中の一塩基変異型突然変異を特徴とする肺癌(腺癌)
である。
【0111】
本発明の別の特に好ましい実施形態は、疾患が処置された対象における疾患を処置する方法に関し、前記疾患は、急性骨髄性白血病(AML)または多発性骨髄腫(MM)から選択される増殖性疾患であり、前記方法は、
(1)対象に治療を施す工程であって、該治療は、化学療法、免疫療法、または放射線療法、あるいはこれらの組合せから選択される、工程と、
(2)対象における最小残存病変(MRD)の有無を求める工程と
を含み、前記方法はさらに、
(A)座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを含む一対のプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患の処置前に前記対象から得た生物学的試料からのゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させる工程、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定する工程であって、これにより、左から右へと読み取られる第1の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、工程と、
(B)工程(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患の処置後に前記対象から得た生物学的試料からの一定量DのゲノムDNAに含まれる少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させる工程であって、前記ゲノムDNAは、前記生物学的試料の二倍体細胞あたりの平均重量kを有している、工程、および
増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定する工程であって、これにより、左から右へと読み取られる第2の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られ、工程(A)および(B)で増幅された各ヌクレオチド配列は、400ヌクレオチドよりも短く、遺伝子の突然変異ヌクレオチド配列または非突然変異ヌクレオチド配列のいずれかであり、ヌクレオチド配列は、突然変異すると、一塩基変異型突然変異、インデル突然変異、および体細胞遺伝子再構成突然変異の群から選択される突然変異を含む遺伝子マーカーである、工程と、
(C)工程(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、工程(A)で得た第1の文字の列記それぞれとの類似度を求める工程であって、工程(B)で得た第2の文字の列記と工程(A)で得た第1の文字の列記との類似度DSは、
(i)それぞれ第1および第2の文字の列記におけるものと同じである、第1および第2の文字の列記における文字の総数Cを数えること、
(ii)前記第1および第2の文字の列記における文字の総数Cを数えること、および
(iii)次の式
DS=C/C
に従いDSを算出すること
により求められる、工程と、
(D)工程(B)で得た第2の文字の列記それぞれについて、最高値のDS、すなわちDSHVを選択する工程と、
(E)閾値Tより大きなDSHVを有する第2の文字の列記の数を合計することで、第1の文字の列記と同じである第2の文字の列記の総数Lを取得する工程と、
(F)以下
(i)Lおよび
(ii)Tより大きなDSHVを有していない第2の文字の列記の数
を合計することで、第2の文字の列記の総数Lを取得する工程と、
(G)次の式
MRD=(Lxk)/(LxD)、
MRD=L/L、または
MRD=gxLx(D/k)/L
のいずれかに従い、最小残存病変MRDの値を算出する工程であって、式中、gは、細胞ごとの遺伝子コピー数であり、Dは、ngの単位であり、kは、ng/細胞の単位である、工程と、
(H)以下
(i)前記遺伝子マーカーの最小変異読取り頻度minVRFであって、minVRFは、次の式
minVRF=k/D
に従い算出され、式中、Dとkは上記で定義したとおりである、minVRF、
(ii)以下
(a)前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの溶液の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第1の組成物を取得すること、
(b)前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(c)前記第1の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第2の組成物を取得すること、
(d)前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(e)前記第2の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第3の組成物を取得すること、
(f)前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(g)前記第3の組成物の1部分を、前記遺伝子マーカーを含まないゲノムDNAの溶液の10部分で希釈することにより第4の組成物を取得すること、
(h)前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値を求めること、
(i)第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の平均対数avlogMRD1、および第1、第2、および第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogC1、ならびに
第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の平均対数avlogMRD2、および第2、第3、および第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の平均対数avlogC2
を算出すること、
(j)前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1A、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1B、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD1との差D1C、
前記第1の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1D、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1E、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC1との差D1F、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2A、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2B、
前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーのMRD値の対数と前記avlogMRD2との差D2C、
前記第2の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2D、
前記第3の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2E、および
前記第4の組成物中の前記遺伝子マーカーの濃度の対数と前記avlogC2との差D2F
を算出すること、
(k)D1AとD1Dとの乗算によりR1、
D1BとD1Eとの乗算によりR2、
D1CとD1Fとの乗算によりR3、
D1AとD1Aとの乗算によりR4、
D1BとD1Bとの乗算によりR5、
D1CとD1Cとの乗算によりR6、
D2AとD2Dとの乗算によりR7、
D2BとD2Eとの乗算によりR8、
D2CとD2Fとの乗算によりR9、
D2AとD2Aとの乗算によりR10、
D2BとD2Bとの乗算によりR11、
D2CとD2Cとの乗算によりR12、
を算出すること、
(l)次の式
S1=(R1+R2+R3)/(R4+R5+R6)
を使用してS1、
次の式
S2=(R7+R8+R9)/(R10+R11+R12)
を使用してS2
を算出すること、
(m)S1とS2を比較することであって、これにより、
S2がS1よりも少なくとも30%低い場合、第3の組成物の濃度は検出限界D-limitであり、
S2がS1に等しい、またはS1より30%低い場合、工程(H)(ii)(a)~(H)(ii)(l)は、前記遺伝子マーカーを含むゲノムDNAの溶液の代わりに前記第1の組成物を用いて繰り返される、比較すること
による、前記遺伝子マーカーの検出限界D-limit、
(iii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、
(a)工程(A)におけるものと同じ座位特異的フォワードプライマーおよび座位特異的リバースプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により、前記疾患がなく前記遺伝子マーカーのない対象から得た生物学的試料のゲノムDNAの少なくとも1つのヌクレオチド配列を増幅させること、
(b)増幅された各ヌクレオチド配列を配列決定することであって、これにより、左から右へと読み取られる第3の文字の列記が、このように配列決定された各ヌクレオチド配列から得られる、配列決定すること、
(c)前記疾患がなく前記遺伝子マーカーがないm人の対象において工程(H)(iii)(a)および(H)(iii)(b)を繰り返すことであって、mは少なくとも9である、繰り返すこと、
(d)前記遺伝子マーカーの配列決定から得たものと同一である第3の文字の列記の平均画分を算出することであって、平均画分は平均突然変異ノイズavMutである、算出すること
による、平均突然変異ノイズavMut、
(iv)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列と同一の各ヌクレオチドに関する変異読取り頻度VRFを算出することによる平均位置ノイズavPosであって、前記遺伝子マーカー中の前記一塩基変異型突然変異を担うヌクレオチドは、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列におけるものとは異なり、前記VRF値の平均はavPosである、平均位置ノイズ
を求める工程と、
(I)実験感度ESを求める工程であって、ESは、
(i)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、工程(H)で算出されるようなminVRF、D-limit、avMut、およびavPosのうち大きい方、または
(ii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、工程(H)で算出されるようなminVRFおよびD-limitのうち大きい方
である、工程と、
(J)前記対象における最小残存病変の有無を、
(i)工程(G)で算出した最小残存病変MRDレベルの値を、工程(I)で求めた実験感度ESの値と比較することであって、
(a)前記MRD値のレベルが前記ES値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(b)前記MRD値のレベルが前記ES値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること、または
(ii)前記突然変異が一塩基変異型突然変異であるとき、工程(G)で算出された最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したminVRFの値とを比較することであって、
(a)前記MRD値のレベルが前記minVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記MinVRF値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したavMutの値とを比較することであって、
(b)前記MRD値のレベルが前記avMut値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記avMut値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したavPosの値とを比較することであって、
(c)前記MRD値のレベルが前記avPos値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記avPos値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したD-limitの値とを比較することであって、
(d)前記MRD値のレベルが前記D-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(e)前記MRD値のレベルが前記minVRF値、avMut値、avPos値、およびD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること、または
(iii)前記突然変異がインデル突然変異または体細胞遺伝子再構成突然変異であるとき、工程(G)で算出された最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(I)で算出したminVRFの値とを比較することであって、
(f)前記MRD値のレベルが前記minVRF値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在する、比較すること、および
前記MRD値のレベルが前記minVRF値未満であるとき、工程(G)で算出した最小残存病変MRDのレベルの値と、工程(H)で算出したD-limitの値とを比較することであって、
(g)前記MRD値のレベルが前記D-limit値以上であるとき、前記対象には最小残存病変が存在し、および
(h)前記MRD値のレベルが前記minVRF値およびD-limit値未満であるとき、前記対象に最小残存病変は存在しない、比較すること
のいずれかにより求める工程と
を含む。最小残存病変が前記対象に存在すると求められたとき、工程(1)および(2)が繰り返され、工程(1)の各繰返しは、以前に前記対象に施したものと同じ治療、または以前に前記対象に施したものとは異なる治療を施すことを含み、
ここで、前記増殖性疾患は、
(i)KRAS、NPM1、およびNRASからなる群、さらにより好ましくはKRAS G12D、NPM1 W290fs(NPM1 ins)、およびNRAS Q61Rからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列におけるインデル突然変異または一塩基変異型突然変異を特徴とする急性骨髄性白血病(AML)であって、前記治療は、7日間にわたる少なくとも1サイクルのシタラビン投与とその後3日間にわたるイダルビシン投与、続いて処置がさらに1回必要とされる場合にシタラビンの投与を含む化学療法である、急性骨髄性白血病、あるいは
(ii)IGHおよびIGKからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列における体細胞遺伝子再構成突然変異、または
NRASからなる群、より好ましくはNRAS Q61Hからなる群から選択される遺伝子のヌクレオチド配列におけるインデル突然変異または一塩基変異型突然変異
を特徴とする多発性骨髄腫(MM)
であり、前記治療は、プロテアソーム阻害剤および免疫調節剤、好ましくはボルテゾミブおよびプレドニゾンの、少なくとも1サイクルの投与を含む化学療法である。
【0112】
コンピュータプログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を有するコンピュータ可読記憶媒体(または複数の媒体)を備えていてもよい。
【0113】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスにより使用される命令を保持および記憶することができる有形デバイスであってもよい。コンピュータ可読記憶媒体として、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、または前述の任意の適切な組合せを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例を非網羅的に列挙すると、携帯型コンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、携帯用コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリスティック、フロッピーディスク、その上に命令が記憶された溝におけるパンチカードや隆起構造物などの機械的に符号化されたデバイス、および前述の任意の適切な組合せが挙げられる。
【0114】
本明細書に記載のコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体から各コンピューティングデバイス/処理デバイスへと、あるいはネットワーク、例えば、インターネット、ローカルエリアネットワーク、広域ネットワーク、および/または無線ネットワークを介して外部コンピュータまたは外部記憶デバイスへとダウンロード可能である。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ、および/またはエッジサーバを含む場合がある。各コンピューティングデバイス/処理デバイス中のネットワークアダプタカードまたはネットワークインターフェースは、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、記憶のためにコンピュータ可読プログラム命令を各コンピューティングデバイス/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体に送る。
【0115】
本発明の操作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、あるいはSmalltalkやC++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語や同様のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語を含む1つ以上のプログラミング言語の任意の組合せで書かれたソースコードまたはオブジェクトコードのいずれかであってもよい。コンピュータ可読プログラム命令は、全体的にユーザーのコンピュータ上で、部分的にユーザーのコンピュータ上で、独立型ソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザーのコンピュータ上で、部分的にリモートコンピュータ上で、または全体的にリモートコンピュータまたはサーバ上で実行可能である。後者のシナリオでは、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)を含む任意のタイプのネットワークを介してユーザーのコンピュータに接続することができ、または接続は、(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを使用するインターネットを介して)外部コンピュータに対して実行することができる。いくつかの実施形態では、例えば、プログラム可能な論理回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、またはプログラマブルロジックアレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実行するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用して電子回路を個別化することにより、コンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0116】
本発明の態様は、本発明の実施形態および/または工程による方法、装置(システム)、ならびにキットのフローチャート図および/またはブロック図を参照しつつ本明細書に記載される。フローチャート図および/またはブロック図の正方形または菱形のブロックそれぞれ、ならびにフローチャート図および/またはブロック図中のブロックの組合せは、生物学的技法またはコンピュータ可読プログラム命令、あるいはこれらの組合せにより実施可能であることを理解されたい。
【0117】
これらコンピュータ可読プログラム命令は、汎用コンピュータ、特殊目的コンピュータ、または他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサに提供され、コンピュータまたは他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックにおいて指定された機能/行為を実施するための手段を作成するように機械を製造することができる。これらコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、プログラマブルデータ処理装置、および/または他の装置が特定の方法で機能するように導くことができるコンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよく、そうすることで、中に命令が記憶されているコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックにて指定された機能/行為の態様を実施する命令を含む製造品を備える。
【0118】
コンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、または他の装置上で実行される一連の操作工程に、コンピュータ実装プロセスを行わせるために、コンピュータ、他のプログラマブルデータ処理装置、または他の装置にロードされてもよく、そうすることで、コンピュータ、他のプログラム可能な装置、または他の装置上で実行される命令は、フローチャートおよび/またはブロック図のブロックにてブロックに指定された機能/行為を実施する。
【0119】
図中のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびキットの可能な実装のアーキテクチャ、機能性、および操作を例示するものである。これに関して、フローチャートまたはブロック図中の各ブロックは、指定された論理機能を実施するための1つ以上の実行可能命令を含むモジュール、セグメント、または命令の一部を表す場合がある。いくつかの代替的な実装では、ブロックに注記された機能は、図に注記された順序から外れて生じる場合がある。例えば、連続で示される2つのブロックは、実際には、ほぼ同時に実行されてもよく、または、関係する機能に応じて逆の順序で実行されてもよい。また、ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロック、ならびにブロック図および/またはフローチャート図のブロックの組合せは、特定の機能または行為を実行するか、専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組合せを実行する専用ハードウェアベースのシステムにより実施することができる。
【0120】
以下の特許請求の範囲内の手段または工程すべてに加え、機能要素の対応する構造、材料、行為、および等価物は、具体的に請求されるように請求された他の要素と組み合わせて機能を実行するための任意の構造、材料、または行為を含むことが意図されている。本発明の記述は、例示および説明の目的のために提示されているが、開示された形態での本発明の実施形態に徹底または限定することは意図されていない。本発明の実施形態の範囲および趣旨から逸脱することなく、多くの修正と変形が当業者に明白であろう。実施形態は、本発明の実施形態の原理および実際の適用を最良に説明するために、かつ、様々な実施形態に関する本発明の実施形態が企図した特定の使用に適していると当業者が理解するのを可能とするために選択および記述された。
【実施例
【0121】
以下の実施例は本発明を例示しており、本発明を限定するものではなく例示するものであるとみなされるべきである。
【実施例1】
【0122】
自己幹細胞移植のための選択前に患者から得た追跡試料中のMRDレベルの判定(図14
i)対象と試料
2018年9月14日、対象AML_401をAMLと診断した(図14に示すように、時点TP1での診断試料)。2つの異なる連続試料を採取して解析し、AMLにおける標準治療処置:シタラビン+イダルビシン(3+7)誘導(時点TP2、2018年10月22日)、続いて高用量シタラビン(時点TP3、2018年12月18日)に対する応答レベルを定めた。遺伝子マーカーを求めるために必要に応じて診断試料の解析内で、自己幹細胞移植(自己移植)前に採取した余剰時点(TP4、2019年1月25日)での解析を、本実施例に記載する。
【0123】
ii)試料からのDNAの抽出と定量化
DNA抽出をMaxwell(登録商標)16MDx機器(Promega Biotech Iberica,SL)上で行い、Qubit(登録商標)2.0蛍光光度計(Invitrogen(商標),Thermo Fisher Scientific,Inc.,WA,USA)上で定量化した。診断試料は、溶出体積30μLで20ng/μLを提示した。TP4は、溶出体積30μLで46ng/μLを提示した(TP4で得られたDNAの総量=1380ng)。
【0124】
iii)診断時の遺伝子マーカーの判定
MRDの存在をさらに追跡するための遺伝子マーカーを定めることを目的として、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、骨髄増殖性新生物(MPN)のほか、その他骨髄癌の対象において頻繁に突然変異する複数の遺伝子の骨髄腫パネルを用いて、カスタム次世代シーケンシング(NGS)による診断時に突然変異プロファイルスクリーニングを行った(表4を参照。NGSシーケンシングに関して前記骨髄腫パネルに含まれる遺伝子とこれが位置する染色体、前記パネルが各遺伝子に対して含むアンプリコンの数、パーセンテージで表されるアンプリコンすべてを包含する遺伝子の領域、およびエクソンの数が示されている)。診断試料TP1のライブラリ調製とNGSシーケンシングは、Thermo Fisher Scientific Inc.の定める標準プロトコルに従い、前記骨髄腫パネルを使用して行った。
【0125】
【表4-1】
【0126】
【表4-2】
【0127】
iv)MRDレベルの定量化と実験感度(ES)の判定
遺伝子マーカーを選択するための突然変異スクリーニングの後、2つの癌特異的(体細胞)突然変異を検出した。一方は26.7%のVRFをもってKRAS G12Dに影響を及ぼす一塩基変異であり、他方は47.2%のVRFをもってアミノ酸W290に影響を及ぼすNPM1上のフレームシフト挿入(インデル)(NPM1 W290fs、NPM1 ins)である。続いて、診断時に検出したこれら特異的な突然変異を、追跡診断において試験した。
【0128】
予め、実験工程としてDNA増幅、ライブラリ調製、およびシーケンシングを含むプロトコル(図4)を、以下のように確立した。
(a)これら2つの突然変異を包含する特定のプライマーを表3から選択し、これを使用して時点TP4にて患者試料から得た650ngのgDNAを増幅させ、自己移植前に採取した。PCR増幅に使用したgDNAの量により、エラー補正アルゴリズムの第1のパラメータminVRFを次のように求めることが可能となった:
minVRF=[二倍体細胞あたり6.49×10-3ngのDNA]/[PCR増幅に使用したgDNAの量(ng)
=6.49×10-3/650ngのgDNA
=1.0×10-5図14Bおよび14C)。
(b)gDNAは、選択したプライマーとPlatinum(商標)Taq DNAポリメラーゼ高忠実度(Invitrogen(商標),Thermo Fisher Scientific,Inc.)を用いた第1のPCRにより、最初の変性では94℃で60秒、続く変性では94℃で15秒を35サイクル、アニーリングでは58℃で30秒、および伸張では68℃で30秒の条件で増幅させた。最終体積は100μL(79.6μLのDNA-HO、10μLの10×高忠実度PCR緩衝液、4μLの50nM MgSO、2μLの10mM dNTP Mix(NZYTech,Lda,Lisbon,Portugal)、0.4μLのDNAポリメラーゼ(5U/μL)、2μLの10μMフォワードプライマー、および2μLの10μMリバースプライマーであった。
(c)ライブラリは、Ion Torrent(商標)用のNEBNext(登録商標)Fast DNA Library Prep Set(New England Biolabs,Inc.,Ipswich,MA,USA)を用いて構築した。増幅したDNAおよび増幅したライブラリの両方に関する最終産物の特異性と定量は、Agilent Bioanalyser 2100(Agilent Technologies,Palo Alto,CA,USA)を用いて解析した。
(d)最後に、推計1万の読取り深さをもってIon Proton Systemプラットフォーム(Life Technologies,Thermo Fisher Scientific Inc.)上でライブラリを配列決定し、.fastqファイルを作成した。これらのファイルを、標的突然変異配列および野生型配列を絶対値で特異的に検出する、本発明で利用されるMRDレベルを定量化する方法により解析した。Ensembl perl APIを使用して、突然変異配列とwt配列を、40bpで境界を付けたFASTA形式で位置づけた。最後に、名称識別子、実行およびバーコード識別子、染色体位置、変異体、調査されたFASTAでの特異的配列(突然変異フォワード、突然変異リバース、wt(野生型)フォワード、およびwtリバース)、これらそれぞれの絶対値での数と比(突然変異/wt)を伴う.csvファイルを得た。
(e)この方法はまた、KRAS G12Dのような点突然変異に関するavPosを定量し、これにより、avPosは、遺伝子マーカーおよび非突然変異配列と同一であるヌクレオチド配列(すなわち、各代替物(alternative))に関する平均変異読取り頻度avVRFであるが、前記遺伝子マーカーにおける一塩基変異型突然変異に寄与するヌクレオチドは、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列におけるものとは異なる。要するに、代替物は、突然変異配列に存在するもの(例えばA)および天然配列に存在するもの(例えばG)とは異なるヌクレオチド(例えばCまたはT)をSNVの位置にて有するという点で天然配列および突然変異配列とは異なる2つの異なる非天然配列を指す(天然配列のように、非天然の代替配列は疾患を引き起こさないが、非天然(突然変異)配列は疾患を引き起こす場合がある)。特に、2つの代替物の中央値(または平均)を算出し、これにより、エラー補正アルゴリズムのavPosパラメータを確立する。この方法を適用して、位置chr1:115258747に対するKRAS G12Dにおける一塩基変異(SNV)の代替的な読取り数を得て、G>Aの実際の突然変異に関する突然変異配列の数は、683118の読取りのうち11であり、非天然代替物の数は、G>Tでは683118の読取りのうち2、G>Cでは683118の読取りのうち0である(図14B)。この対象において検出したNPM1におけるもののようなインデル、または免疫グロブリン再構成に関するavPosパラメータは、同じ位置かつ同じ順序で代替的な突然変異配列を正確に有している可能性がほぼ0であるため、本方法では算出も考慮も必要ない(図14C)。
(f)工程(a)~(e)に記載したものと同じ手法を、健康なドナーから得た10個の試料を対象に、KRAS遺伝子に影響を及ぼす突然変異なしに繰り返して、エラー補正アルゴリズムのavMutパラメータを4.3x10-5と判定した(図14B)。この対象において検出したNPM1におけるもののようなインデル、または免疫グロブリン再構成に関するavMutパラメータは、同じ位置かつ同じ順序で代替的な突然変異配列を正確に有している可能性がほぼ0であるため、本方法では算出も考慮も必要ない(図14C)。
(g)工程(a)~(e)に記載したものと同じ手法を、分子の50%に存在する突然変異を伴う初期の市販のDNAのうち試験中のもの(KRAS G12DおよびNPM1 ins)から実施した10倍希釈曲線において繰り返した。このように、最大7つの連続する10倍希釈の希釈ライブラリを調製し、上述のように配列決定して、本明細書に記載の方法によりD-limitパラメータを算出した(図14Bと14C)。
【0129】
v)NGSの結果の解釈
対象AML_401を対象に得たMRD値とESデータの概要を図14Aに示す。これにより、時点TP4でのKRAS G12DマーカーのESを、上述のように算出した4つのパラメータのうち高いもの、すなわちD-limitにより定め、これにより、ES(KRAS G12D)=6.8×10-5であった。本対象を対象に同じ時点で同じマーカーについて算出したMRDレベルは、MRD(KRAS G12D)=3.4×10-5であった。本マーカーではES>MRDであったため、この対象におけるこの時点でのMRD状態は、MRD陰性である。
【0130】
さらに、NPM1 insのESを、上記のように算出した4つのパラメータのうち高いもの、すなわちminVRFにより定め、これにより、ES(MPN1 ins)=1.0×10-5である。この対象を対象に同じ時点で同じマーカーについて算出したMRDレベルは、0であった。本マーカーではES>MRDであったため、この患者におけるこの時点でのMRD状態も、MRD陰性であると認めた。
【0131】
このため、前記マーカーのいずれかでは、最小残存急性骨髄性白血病は前記対象には存在しないと結論づけることができる。
【実施例2】
【0132】
臨床試験に参加する骨髄腫患者から得た追跡試料におけるMRD状態の判定(図15
以下、大規模並列シーケンシング(MPS)を介した、免疫グロブリン(Ig)の遺伝子のポリクローナルバックグラウンド再構成内の腫瘍クローン型配列の定量化のための方法を提示する。BおよびT細胞新生物におけるクローン再構成の検出により、これらの病状の進行(evolution)に対するモニタリングが可能となる。B細胞中のこれら再構成を定量化するために、表1と2に開示されるIgH、IgK、およびKDELに関するプライマーを使用した。これらの断片は症例の90%以上をカバーするからである。これら特定の再構成の選択は、短い(200bp未満)配列のみを増幅するプライマーの設計に起因するものであり、540のチップを備えて、IONプラットフォームS5プラットフォームでのこれら断片の配列決定が可能となる。VDJ、IgH、GDR3、KVJ、KDELの診断での陰性患者は、IgH、VDJ、CDRl、およびIgL DJのようなBIOMEDプライマーの残部を用いて配列決定することができる。これらの断片のサイズは300~400塩基対(bp)であるため、400bp用の反応キットを備えたPGMプラットフォームや、この断片サイズをカバーすることができる530のチップを備えたION S5プラットフォームなどの他のプラットフォームを使用する必要がある。
【0133】
材料と方法
i)対象試料
2013年10月28日(TP1)、対象(MM_577)を多発性骨髄腫(MM)と診断した。従来の治療による最初のサイクル後、2014年1月14日(TP2)に、患者は完全な応答を達成した。2015年4月、患者を臨床試験に登録し、2015年6月2日(TP3)にボルテゾミブとサリドマイドを伴う治療による導入後に完全な反応を維持した。移植のために患者を選択し、選択後、2015年10月8日(TP4)に完全寛解を呈した。臨床試験は2016年に終えたが、2016年1月16日(TP5)でも患者は完全寛解状態にあった。
【0134】
ii)試料からのDNAの抽出と定量化
DNA抽出をMaxwell(登録商標)16MDx機器(Promega Biotech Iberica,SL)上で行い、Qubit(登録商標)2.0蛍光光度計(Invitrogen(商標),Thermo Fisher Scientific,Inc.,WA,USA)上で定量化した。診断試料は、溶出体積30μLで214ng/μLを提示した。TP5は、溶出体積30μLで148ng/μLを提示した(TP5で得られたDNAの総量=6420ng)。
【0135】
iii)試料のPCR
Platinum(登録商標)Taq DNAポリメラーゼ高忠実度(Life Technologies)を用いてPCRを行い、使用したプライマーは、IgHおよびIgKに関するBIOMED-2プロトコルに記載されたものであった。IgH遺伝子の前記断片を増幅するのに使用したプライマーは表1に示すが、IgK遺伝子の前記断片を増幅するのに使用したプライマーは、表2に示す。
【0136】
試験試料の増幅は、試験試料の体積(V、μL)に基づき必要に応じて算出したPCR実験(すなわちPCRチューブ)の数、前記試料のマイクロリットルごとの等価細胞数(minVRF)、達成が所望された感度(S)、および最終PCRチューブ体積を用いて行った。したがって、試験試料に対する各PCR反応混合物の各成分(PCRチューブごと)の量は、次のとおりであった。
a)PCR IgH
84μLのPlatinum HIFIマスターミックス
4μLのPrimers CDR1/CDR2/CDR3ミックス(チューブA、B、C)
4μLのプライマーJH57
8μLのgDNA
b)PCR IgK
80μLのPlatinum HIFIマスターミックス
4μLのPrimers KVmix(チューブF)
4μLのプライマーJ
4μLのプライマーJ1-4
8μLのgDNA
c)PCR DH
84μLのPlatinum HIFIマスターミックス
4μLのプライマーD1-6(チューブD)またはDH7(チューブE)
4μLのJH57
8μLのgDNA
d)PCR KDEL
80μLのPlatinum HIFIマスターミックス
4μLのPrimers KVmix(チューブG)
4μLのINTR(チューブH)
4μLのKDEL
8μLのgDNA
【0137】
診断試料は同じ反応をもって増幅させたが、1μLのDNAを使用した(1μLのDNA=約20ngのgDNA、すなわち[DNA]=20μg/mL)。診断試料において所与の感度を達成する必要がないためである。
【0138】
iv)断片化を伴わないアンプリコンライブラリの調製
両試料(診断と追跡)の増幅産物を使用し、Ion Plus Fragment LibraryキットおよびAgencourt Ampure XP(Thermo-Fisher)を用いて断片化を伴わないアンプリコンライブラリをそれぞれ調製した。Ion Plus Fragment Library kitを用いた反応物すべての体積の半分を使用することが可能であると分かった。最終ライブラリ濃度は、Generead Library Quantキット(Qiagen)においてqPCRを用いて求めた。ライブラリは、各試料の特定のバーコードを使用して生成した。
【0139】
v)超並列シーケンシング
表1および表2に記載のプライマーを使用して、IGHおよびIGK遺伝子の像副産物の超並列シーケンシングを介して、主要なクローンを診断試料において特定した。製造業者(Thermo-Fisher)の指示に従い、OneTouch(商標)Ion v2 Kit Template 400 DL、400 Ion PGM(商標)Sequencing Kit v2、およびIon Chip 318(商標)を使用して、PGMプラットフォーム(Ion Torrent Personal Genome Machine(商標)TMプラットフォーム)上でKit250bpを超える断片を持つクローン試料を配列決定した。250bp未満の断片(主に再構成KVJおよびKDELを持つサンプル由来)は、PROTONプラットフォーム:Ion Proton(商標)I emulsion OT2 Template KitおよびシーケンシングIon Proton(商標)Sequencing Kit(Thermo-Fisher)を使用して配列決定した。すべての試薬は、わずかな変更を伴ってそれらのプロトコルを使用してLifetechから購入した。PGMプラットフォーム技術では最大250bpの断片を配列決定されるが、異なる化学を使用したLifetechの別の市販のキットを用いて最大400bpの断片を配列決定することが可能である。
【0140】
vi)バイオインフォマティクス解析
配列決定後、2つの試料の.fastqファイルを、対応するバーコードに従いTorrentのブラウザから得た。各.fastqファイルは、前記試料中に含まれるDNAのヌクレオチド配列を表す、左から右へと読み取られる文字の列記を含むほか、前記文字の列記の各文字に対応する品質スコアをさらに含む。
【0141】
数学的およびコンピュータ方法(ITツール)を使用して、すなわちFrequencyRank.sh Bourneシェルスクリプト (frequency_rank.sh)を使用して診断試料中の各クローン型配列の定量化を判定し、配列を降順の頻度順に並び替えた。一旦、診断試料中で追跡試料と同じであるクローン配列を判定したら、左から右へと読み取られる文字の列記として前記クローン配列それぞれを含むとともに、文字の総数を有する.dnaファイルを作製した。
【0142】
引数配列(第2の文字の列記)と同じと見なした診断試料中で特定されたクローン配列(第1の文字の列記)の数を、-trimオプションおよび0.99の一致比(類似度)を用いる-trimSeqSearchFastq.javaプログラムを使用して計数し、値Lを得た。第1の文字の列記の総数から、Lを求めた。
【0143】
本発明の方法は、アライメントと比較の組合せを含むので、最初と最後の一致する位置間でのみ比較が行われ、-trimオプションは、プロセスにこのように作用するように命じて、試料配列内の最初と最後の位置(一致に関係なく)に代わり、最初と最後の一致する位置からの比較を制限する。続いて、SeqSearchFastq.javaプログラムからの出力Lを、L、k、およびDに関する値とともに使用して、MRDを算出する。
【0144】
viii)MRD定量化
先の方法はIgK 遺伝子においてクローンIg再構成を特定した。このことは、配列決定した読取りが39.57%であることを表す。
【0145】
追跡細胞におけるIg再構成のシーケンシングでは、診断時に定めたクローンIgK再構成に関連する読取りは明らかにならなかった。このことは、MRDレベル=0を意味する。
【0146】
ix)実験感度の定義
minVRFは前述のように定めた。これにより、次のとおりになる:
minVRF=[二倍体細胞あたり6.49×10-3ngのDNA]/[PCR増幅に使用したgDNAの量(ng)
=6.49×10-3/650ngのgDNA
=1.0×10-5図15Aおよび15B)。
【0147】
同じ位置および同じ順序で突然変異の代替配列を正確に有している確率がほぼ0(約100)であるため、免疫グロブリン再構成におけるavPosおよびavMutの値は、本方法では算出も考慮も必要とされない(図15B)。
【0148】
IgK再構成のD-limitは、3.2x10-6と算出した(図15Aと15B)。
【0149】
x)解釈
対象MM_577を対象に得たMRD値とESデータの概要を図15Aに示す。これにより、時点TP5でのIgK再構成マーカーのESを、上述のように算出した4つのパラメータのうち高いもの、すなわちminVRFにより定め、これにより、ES(IgK)=1.0x10-5であった。この対象を対象に同じ時点で同じマーカーについて算出したMRDレベルは、MRD(IgK)=0であった。本マーカーではES>MRDであったため、この対象におけるこの時点でのMRD状態は、MRD陰性である。
【実施例3】
【0150】
臨床試験に参加するAML患者から得た追跡試料におけるMRD状態の判定(図17
材料と方法
i)対象と試料
2017年9月23日、対象AML_981をAMLと診断した。3つの異なる連続試料を採取して解析し、シタラビン+イダルビシン(3+7)(時点TP2、2018年11月28日)、続いて高用量シタラビン(時点TP3、2018年2月23日)での誘導後、AMLにおける標準治療処置に対する応答レベルを定めた。遺伝子マーカーを求めるために必要に応じて診断試料の解析内で、自己幹細胞移植(自己移植)前に採取した余剰時点(TP4、2018年11月1日)での解析を、本実施例に記載する。
【0151】
ii)サンプルからのDNAの抽出と定量化、および診断時の遺伝子マーカーの判定。
実施例1の項目ii)とiii)それぞれに記載するように実施した。
【0152】
iii)MRDレベルの定量化と実験感度(ES)の判定
遺伝子マーカーを選択するための突然変異スクリーニング後、1つの癌特異的(体細胞)突然変異を検出し、これには46.0%のVRFを伴うNRAS Q61Rに影響を及ぼす1つの一塩基変異が含まれていた。続いて、診断時に検出したこの特異的な突然変異を追跡診断において試験した。
【0153】
実施例1と同様に、PCR増幅に使用したgDNAの量により、エラー補正アルゴリズムの第1のパラメータminVRFを次のように求めることが可能となった:
minVRF=[二倍体細胞あたり6.49×10-3ngのDNA]/[PCR増幅に使用したgDNAの量(ng)
=6.49×10-3/650ngのgDNA
=1.0×10-5
【0154】
続いて、実施例1で定めたものと同じプロトコルを実施した。
【0155】
NRAS Q61Rにおいて位置chr1:115256528に対する一塩基変異(SNV)の代替的な読取り数を得た。A>Gの実際の突然変異における突然変異配列の数は1618941の読取りのうち14であり、非天然代替物の数は、A>Tでは1618941の読取りのうち0、A>Cでは1618941の読取りのうち4であった。
【0156】
実施例1の項目iv)の工程(a)~(e)に記載したものと同じ手法を、健康なドナーから得た10個の試料を対象に、NRAS遺伝子に影響を及ぼす突然変異なしに繰り返して、エラー補正アルゴリズムのavMutパラメータを6.06x10-5と判定した。
【0157】
実施例1の項目iv)の工程(a)~(e)に記載したものと同じ手法を、分子の50%に存在する突然変異を伴う初期の市販のDNAのうち試験中のもの(NRAS Q61R)から実施した10倍希釈曲線において繰り返した。このように、最大7つの連続する10倍希釈の希釈ライブラリを調製し、上述のように配列決定して、本明細書に記載の方法によりD-limitパラメータを1.91x10-5として算出した。
【0158】
iv)NGSの結果の解釈
時点TP4でのNRAS Q61Rマーカーの実験感度(ES)は、上記のように算出した4つのパラメータのうち高いもの、すなわちavMutにより定め、これにより、ES(NRAS Q61R)=6.06x10-5であった。本対象を対象に同じ時点で同じマーカーについて算出したMRDレベルは、MRD(NRAS Q61R)=1.91x10-5であった。本マーカーではES>MRDであったため、この対象におけるこの時点でのMRD状態は、MRD陰性であった。
【0159】
このため、前記マーカーでは、最小残存急性骨髄性白血病は前記対象には存在しないと結論づけることができる。
【実施例4】
【0160】
臨床試験に参加する骨髄腫患者から得た追跡試料におけるMRD状態の判定(図18
材料と方法
i)対象試料
2014年12月2日(TP1)、対象(MM_606)を多発性骨髄腫(MM)と診断した。従来の治療による最初のサイクル後、患者は完全な応答を達成した。2014年7月9日(TP2)では、患者は誘導後療法の下、完全応答を持続した。2014年11月(TP3)、患者は自己移植後に完全寛解した。臨床試験は2016年に終えたが、2016年2月(TP4)でも患者は完全寛解状態にあった。1年後の2017年2月23日、患者の症状が再発した(TP5およびTP6)。
【0161】
ii)試料からのDNAの抽出と定量化、試料のPCR、断片化を伴わないアンプリコンライブラリの調製、超並列シーケンシング、およびバイオインフォマティクス解析
実施例2の項目ii)~vii)それぞれに記載するように実施した。
【0162】
iii)MRD定量化
先の方法はIgH遺伝子においてクローンIg再構成を特定した。このことは、配列決定した読取りが55.6%であることを表す。
【0163】
追跡試料におけるIg再構成のシーケンシング(TP6)では、診断時に定めたクローンIgH再構成に関連する読取りが明らかになった。このことは、MRDレベル=0.045を意味する。
【0164】
iv)実験感度の定義
minVRFは前述のように定めた。これにより、次のとおりになる:
minVRF=[二倍体細胞あたり6.49×10-3ngのDNA]/[PCR増幅に使用したgDNAの量(ng)
=6.49×10-3/650ngのgDNA
=1.0×10-5図18Aおよび18B)。
【0165】
同じ位置および同じ順序で突然変異の代替配列を正確に有している確率がほぼ0(約100)であるため、免疫グロブリン再構成におけるavPosおよびavMutの値は、本方法では算出も考慮も必要とされない(図18B)。
【0166】
IgH再構成のD-limitは、1x10-5.4と算出した(図18Aと18B)。
【0167】
v)解釈
対象MM_606を対象に得たMRD値とESデータの概要を図18Aに示す。これにより、時点TP6でのIgH再構成マーカーのESを、上述のように算出した4つのパラメータのうち高いもの、すなわちminVRFにより定め、これにより、ES(IgH)=1.0x10-5であった。この対象を対象に同じ時点で同じマーカーについて算出したMRDレベルは、MRD(IgK)=0.045であった。本マーカーではES<MRDであったため、この対象におけるこの時点でのMRD状態は、MRD陽性である。
【実施例5】
【0168】
肺葉切除および化学療処置療後の臨床試験における肺腺癌由来の追跡試料中のMRD状態の決定(図21B
材料と方法
i)対象と試料
2018年1月12日、対象AC_003を(AC)においてIV期肺腺癌と診断した(図21Bに示すように、時点TP1での診断試料)。3つの異なる連続試料を採取して解析し、応答のレベルを定めた。末梢血循環遊離DNA(cfDNA)を肺葉切除前に採取した(TP2、2018年3月12日)。19サイクルおよび28サイクルのペンブロリズマブ投与後、完全応答状態におけるcfDNAを2つ以上の時点(TP3、2018年5月7日およびTP4、2019年10月15日)。遺伝子マーカーを求めるために必要に応じて、診断試料の解析内の最後の時点(TP4、サイクル29)のMRD状態を、本実施例に記載する。
【0169】
ii)試料からのDNAの抽出と定量化
cfDNA抽出をMaxwell(登録商標)16MDx機器(Promega Biotech Iberica,SL)上で行い、Qubit(登録商標)2.0蛍光光度計(Invitrogen(商標),Thermo Fisher Scientific,Inc.,WA,USA)上で定量化した。診断試料は、溶出体積30μLで23.08ng/μLを提示した。TP4は、溶出体積30μLで29.3ng/μLを提示した(TP4で得られたDNAの総量=88ng)。
【0170】
iii)診断時の遺伝子マーカーの判定
MRDの存在をさらに追跡するための遺伝子マーカーを定めることを目的として、16000個のアンプリコンを使用して、409個の遺伝子のコーディング領域すべてをカバーする市販の標的化シーケンシングパネル(Ion AmpliSeq(商標)Comprehensive Cancer Panel(Thermo-Fisher,Ref 4477685))を用いて、突然変異プロファイルスクリーニングを診断時に実施した。診断試料TP1のライブラリ調製とNGSシーケンシングは、Thermo Fisher Scientific Inc.の定める標準プロトコルに従い、前記市販のパネルを使用して行った。
【0171】
iv)MRDレベルの定量化と実験感度(ES)の判定
遺伝子マーカーを定めるための突然変異スクリーニング後、1つの癌特異的(体細胞)突然変異、すなわち27.7%のVRFを伴うWAS T45Mに影響を及ぼす1つの一塩基変異を選択した。続いて、診断時に検出したこの特異的な突然変異を、追跡診断において試験した。
【0172】
予め、実験工程としてcfDNA増幅、ライブラリ調製、およびシーケンシングを含むプロトコル(図4)を、以下のように確立した。
(a)この突然変異をカバーする特定のプライマー対をデザインし、これを使用して、29の治療サイクル後に採取した時点TP4での患者試料から65ngのcfDNAを増幅させた。PCR増幅に使用したcfDNAの量により、エラー補正アルゴリズムの第1のパラメータminVRFを次のように求めることが可能となった:
minVRF=[二倍体細胞あたり6.49×10-3ngのDNA]/[PCR増幅に使用したgDNAの量(ng)
=6.49×10-3/65ngのgDNA
=1.0×10-4
(b)cfDNAは、選択したプライマーとPlatinum(商標)Taq DNAポリメラーゼ高忠実度(Invitrogen(商標),Thermo Fisher Scientific,Inc.)を用いた第1のPCRにより、次の条件で増幅させた:最初の変性では94℃で60秒、続く変性では94℃で15秒を35サイクル、アニーリングでは58℃で30秒、および伸張では68℃で30秒。最終体積は100μL(79.6μLのDNA-HO、10μLの10×高忠実度PCR緩衝液、4μLの50nM MgSO、2μLの10mM dNTP Mix(NZYTech,Lda,Lisbon,Portugal)、0.4μLのDNAポリメラーゼ(5U/μL)、2μLの10μMフォワードプライマー、および2μLの10μMリバースプライマーであった。
(c)ライブラリは、Ion Torrent(商標)用のNEBNext(登録商標)Fast DNA Library Prep Set(New England Biolabs,Inc.,Ipswich,MA,USA)を用いて構築した。増幅したDNAおよび増幅したライブラリの両方に関する最終産物の特異性と定量は、Agilent Bioanalyser 2100(Agilent Technologies,Palo Alto,CA,USA)を用いて解析した。
(d)最後に、推計1万の読取り深さをもってIon Proton Systemプラットフォーム(Life Technologies,Thermo Fisher Scientific Inc.)上でライブラリを配列決定し、fastqファイルを作成した。これらのファイルを、標的突然変異配列および野生型配列を絶対値で特異的に検出する、本発明で利用されるMRDレベルを定量化する方法により解析した。Ensembl perl APIを使用して、突然変異配列とwt配列を、40bpで境界を付けたFASTA形式で位置づけた。最後に、名称識別子、実行およびバーコード識別子、染色体位置、変異体、調査されたFASTAでの特異的配列(突然変異フォワード、突然変異リバース、wt(野生型)フォワード、およびwtリバース)、これらそれぞれの絶対値での数と比(突然変異/wt)を伴う.csvファイルを得た。
(e)この方法はまた、WAS T45Mのような点突然変異に関するavPosを定量した。これにより、avPosは、遺伝子マーカーおよび非突然変異配列と同一であるヌクレオチド配列(すなわち、各代替物(alternative))に関する平均変異読取り頻度avVRFであるが、前記遺伝子マーカーにおける一塩基変異型突然変異に寄与するヌクレオチドは、前記遺伝子マーカーおよび前記非突然変異配列におけるものとは異なる。要するに、代替物は、突然変異配列に存在するもの(例えばA)および天然配列に存在するもの(例えばG)とは異なるヌクレオチド(例えばCまたはT)をSNVの位置にて有するという点で天然配列および突然変異配列とは異なる2つの異なる非天然配列を指す(天然配列のように、非天然の代替配列は疾患を引き起こさないが、非天然(突然変異)配列は疾患を引き起こす場合がある)。特に、2つの代替物の中央値(または平均)を算出し、これにより、エラー補正アルゴリズムのavPosパラメータを確立する。この方法を適用して、位置chrX:48542673に対するWAS T45Mにおける一塩基変異(SNV)の代替的な読取り数を得て、C>Tの実際の突然変異に関する突然変異配列の数は、269295の読取りのうち6であり、非天然代替物の数は、C>Aでは269295の読取りのうち2、C>Tでは269295の読取りのうち0である。この対象において検出したNPM1におけるもののようなインデル、または免疫グロブリン再構成に関するavPosパラメータは、同じ位置かつ同じ順序で代替的な突然変異配列を正確に有している可能性がほぼ0であるため、本方法では算出も考慮も必要ない。
(f)工程(a)~(e)に記載したものと同じ手法を、健康なドナーから得た10個の試料を対象に、WAS遺伝子に影響を及ぼす突然変異なしに繰り返して、エラー補正アルゴリズムのavMutパラメータを2.7x10-5と判定した。
(g)工程(a)~(e)に記載したものと同じ手法を、分子の50%に存在する突然変異を伴う初期の市販のDNAのうち試験中のもの(WAS T45M)から実施した10倍希釈曲線において繰り返した。このように、最大7つの連続する10倍希釈の希釈ライブラリを調製し、上述のように配列決定して、本明細書に記載の方法によりD-limitパラメータを2.2x10-5として算出した。
【0173】
v)NGSの結果の解釈
時点TP4でのWAS T45MマーカーのESは、上記のように算出した4つのパラメータのうち高いもの、すなわちminVRFにより定め、これにより、ES(WAS T45M)=1x10-4であった。本対象を対象に同じ時点で同じマーカーについて算出したMRDレベルは、MRD(WAS T45M)=2.2×10-5であった。本マーカーではES>MRDであったため、この対象におけるこの時点でのMRD状態は、MRD陰性であった。
【実施例6】
【0174】
従来の治療を受けている濾胞性リンパ腫(FL)患者由来の追跡試料におけるMRDレベルの判定(図21D
材料と方法
i)対象と試料
2019年9月、対象FL_061をFLと診断した(図21Dに示すように、時点TP1、20/09/2019での診断試料)。6つの異なる連続試料を採取して解析し、FLにおける標準治療処置:リツキシマブ維持に続くアントラサイクリンベースのレジメン(TP2~7、1~6の処置サイクル)に対する応答のレベルを定めた。患者の症状再発を2020年8月(TP8)に検出し、救命処置としてレナリドミドを投与した。遺伝子マーカーを求めるために必要に応じて、診断試料の解析内で、再発前の最後のサイクルの解析(TP7、2020年3月30日での処置サイクル6)を、本実施例に記載する。
【0175】
ii)試料からのcfDNAの抽出と定量化
末梢血cfDNA抽出をMaxwell(登録商標)16MDx機器(Promega Biotech Iberica,SL)上で行い、Qubit(登録商標)2.0蛍光光度計(Invitrogen(商標),Thermo Fisher Scientific,Inc.,WA,USA)上で定量化した。診断試料は、溶出体積30μLで12ng/μLを提示した。TP7は、溶出体積30μLで3ng/μLを提示した(TP7で得られたcfDNAの総量=65ng)。
【0176】
iii)診断時の遺伝子マーカーの判定
MRDの存在をさらに追跡するための遺伝子マーカーを定めることを目的として、濾胞性リンパ腫(FL)およびその他の種類のリンパ腫の対象において頻繁に突然変異する複数の遺伝子のリンパ腫特異的パネルを用いて、カスタム次世代シーケンシング(NGS)による診断時に突然変異プロファイルスクリーニングを行った(表5を参照。NGSシーケンシングに関して前記骨髄腫パネルに含まれる遺伝子とこれが位置する染色体、前記パネルが各遺伝子に対して含むアンプリコンの数、パーセンテージで表されるアンプリコンすべてを包含する遺伝子の領域、およびエクソンの数が示されている)。cfDNA診断試料TP1のライブラリ調製とNGSシーケンシングは、Thermo Fisher Scientific Inc.の定める標準プロトコルに従い、前記リンパ腫パネルを使用して行った。
【0177】
【表5-1】
【0178】
【表5-2】
【0179】
iv)MRDレベルの定量化と実験感度(ES)の判定
遺伝子マーカーを選択するための突然変異スクリーニング後、1つの癌特異的(体細胞)突然変異を検出し、これには57%のVRFを伴うKRAS G12A 上に1つのフレームシフト挿入(インデル)が含まれていた。続いて、診断時に検出したこの癌特異的突然変異を追跡診断において試験した。
【0180】
予め、実験工程としてDNA増幅、ライブラリ調製、およびシーケンシングを含むプロトコル(図4)を、以下のように確立した。
(a)これら2つの突然変異を包含する特定のプライマーを表Xから選択し、これを使用して時点TP7にて患者試料から得た65ngのcfDNAを増幅させ、サイクル6の処置後に採取した。PCR増幅に使用したcfDNAの量により、エラー補正アルゴリズムの第1のパラメータminVRFを次のように求めることが可能となった:
minVRF=[二倍体細胞あたり6.49×10-3ngのDNA]/[PCR増幅に使用したcfDNAの量(ng)
=6.49×10-3/65ngのgDNA
=1.0×10-4
(b)cfDNAは、選択したプライマーとPlatinum(商標)Taq DNAポリメラーゼ高忠実度(Invitrogen(商標),Thermo Fisher Scientific,Inc.)を用いた第1のPCRにより、次の条件で増幅させた:最初の変性では94℃で60秒、続く変性では94℃で15秒を35サイクル、アニーリングでは58℃で30秒、および伸張では68℃で30秒。最終体積は100μL(79.6μLのDNA-HO、10μLの10×高忠実度PCR緩衝液、4μLの50nM MgSO、2μLの10mM dNTP Mix(NZYTech,Lda,Lisbon,Portugal)、0.4μLのDNAポリメラーゼ(5U/μL)、2μLの10μMフォワードプライマー、および2μLの10μMリバースプライマーであった。
(c)ライブラリは、Ion Torrent(商標)用のNEBNext(登録商標)Fast DNA Library Prep Set(New England Biolabs,Inc.,Ipswich,MA,USA)を用いて構築した。増幅したDNAおよび増幅したライブラリの両方に関する最終産物の特異性と定量は、Agilent Bioanalyser 2100(Agilent Technologies,Palo Alto,CA,USA)を用いて解析した。
(d)最後に、推計1万の読取り深さをもってIon Proton Systemプラットフォーム(Life Technologies,Thermo Fisher Scientific Inc.)上でライブラリを配列決定し、fastqファイルを作成した。これらのファイルを、標的突然変異配列および野生型配列を絶対値で特異的に検出する、本発明で利用されるMRDレベルを定量化する方法により解析した。Ensembl perl APIを使用して、突然変異配列とwt配列を、40bpで境界を付けたFASTA形式で位置づけた。最後に、名称識別子、実行およびバーコード識別子、染色体位置、変異体、調査されたFASTAでの特異的配列(突然変異フォワード、突然変異リバース、wt(野生型)フォワード、およびwtリバース)、これらそれぞれの絶対値での数と比(突然変異/wt)を伴う.csvファイルを得た。
(e)この対象において検出したKRASにおけるもののようなインデル、または免疫グロブリン再構成に関するavPosパラメータは、同じ位置かつ同じ順序で代替的な突然変異配列を正確に有している可能性がほぼ0であるため、本方法では算出も考慮も必要ない。
(f)この対象において検出したKRASにおけるもののようなインデル、または免疫グロブリン再構成に関するavMutパラメータは、同じ位置かつ同じ順序で代替的な突然変異配列を正確に有している可能性がほぼ0であるため、本方法では算出も考慮も必要ない。
(g)工程(a)~(e)に記載したものと同じ手法を、分子の50%に存在する突然変異を伴う初期の市販のDNAのうち試験中のもの(KRAS G12A)から実施した10倍希釈曲線において繰り返した。このように、最大7つの連続する10倍希釈の希釈ライブラリを調製し、上述のように配列決定して、本明細書に記載の方法によりD-limitパラメータを算出した。
【0181】
v)NGSの結果の解釈
時点TP7でのKRAS G12AマーカーのESは、上記のように算出した4つのパラメータのうち高いもの、すなわちminVRFにより定め、これにより、ES(KRAS G12A)=1.0×10-4である。本対象における同じ時点で同じマーカーについて算出したMRDレベルは、MRD(KRAS G12A)=5.5×10-1であった。本マーカーではES<MRDであったため、この対象におけるこの時点でのMRD状態は、MRD陽性である。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9-1】
図9-2】
図10A
図10B
図11A
図11B
図12
図13A
【図
図13B
【図
図13C
図13D
図13E
図13F
図13G
図13H
図13I
図13J
図13K
図13L
図13M
図13N
図13O
図13P
図13Q
図13R
図13S
図13T
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図16
図17
図18A
図18B
図19A
図19B
図19C
図19D
図20A
図20B
図20C
図20D
図21A
図21B
図21C
図21D
【国際調査報告】