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特表2023-502556開位置にプレテンションされた閉鎖要素を備えたスイッチキャビネット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】開位置にプレテンションされた閉鎖要素を備えたスイッチキャビネット
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/38 20060101AFI20230118BHJP
   E05F 1/10 20060101ALI20230118BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20230118BHJP
   H02B 1/56 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
H02B1/38 Z
E05F1/10
H05K5/03 D
H02B1/56 A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022517164
(86)(22)【出願日】2020-08-28
(85)【翻訳文提出日】2022-03-16
(86)【国際出願番号】 DE2020100763
(87)【国際公開番号】W WO2021069011
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】102019127470.2
(32)【優先日】2019-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512086138
【氏名又は名称】リッタル ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
【氏名又は名称原語表記】Rittal GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Auf dem Stuetzelberg,35745 Herborn,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラウレシュ, スヴェン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ,フランク
(72)【発明者】
【氏名】バウマー,カールステン
【テーマコード(参考)】
2E050
4E360
5G016
【Fターム(参考)】
2E050AA00
2E050BA03
2E050CA00
2E050CA04
2E050DA01
2E050DB01
4E360BA06
4E360BB02
4E360BB12
4E360BB23
4E360BC03
4E360BD03
4E360BD05
4E360EA16
4E360EC11
4E360EC14
4E360ED16
4E360ED23
4E360ED24
4E360GA02
4E360GA25
4E360GA43
4E360GB89
4E360GB99
5G016AA04
5G016CC03
5G016CC13
(57)【要約】
本発明は、ハウジング(2)と、少なくとも1つのヒンジ(3)を介してそれに枢動可能に固定され、ドアリーフ(4)を有するドア(5)とを有するスイッチキャビネット(1)に関し、ドアリーフ(4)は、開口部(6)と、前記開口部(6)を閉鎖し、電気的に制御可能なロック要素(8)によって、その開位置方向への機械的プレテンションに対抗して閉位置に保持される閉鎖要素(7)とを有することを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(2)と、少なくとも1つのヒンジ(3)を介して前記ハウジング(2)に枢動可能に固定されるドア(5)とを有するスイッチキャビネット(1)であって、前記ドア(5)はドアリーフ(4)を有し、前記ドアリーフ(4)は、開口部(6)と、前記開口部(6)を閉鎖し、電気的に制御可能なロック要素(8)によって、その開位置方向への機械的プレテンションに対抗して閉位置に保持される閉鎖要素(7)とを有することを特徴とする、スイッチキャビネット(1)。
【請求項2】
開位置方向へのプレテンションが、前記開口部(6)内に延びる少なくとも1つの圧縮ばね(9)により、好ましくはガス圧縮ばねにより提供される、請求項1に記載のスイッチキャビネット(1)。
【請求項3】
前記閉鎖要素(7)が、少なくとも1つのドアリーフ(10)、好ましくは2つのドアリーフ(10)を有し、少なくとも1つのさらなるヒンジ(11)を介して前記開口部(6)の垂直縁部に枢動可能に固定されるドアである、請求項1または2に記載のスイッチキャビネット(1)。
【請求項4】
前記電気的に制御可能なロック要素(8)が、前記ドアリーフ(4)の内側から前記開口部(6)の境界を越えて前記開口部(6)の開けた開口に突出する少なくとも1つの電磁石(12)を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のスイッチキャビネット(1)。
【請求項5】
開位置方向へのプレテンションが、少なくとも閉位置から開位置の方向への前記閉鎖要素(7)の第1の部分移動区間において、互いに独立して設計された少なくとも2つのプレテンション要素(9、13)を有する冗長プレテンション装置によって提供される、請求項1~4のいずれか1項に記載のスイッチキャビネット(1)。
【請求項6】
前記プレテンション要素の第1は、圧縮ばね(9)、好ましくはガス圧縮ばねからなり、前記プレテンション要素の第2は、弾性的に変形可能なばね要素(13)、好ましくはコイルばねからなる、請求項5に記載のスイッチキャビネット(1)。
【請求項7】
前記閉鎖要素(7)が開位置と閉位置との間の部分開放位置において前記第1の部分移動区間の外側に配置されるとき、2つの前記プレテンション要素(9、13)のうちの一方は前記閉鎖要素(7)から係合解除され、他方は前記閉鎖要素(7)に引き続き係合する、請求項5または6に記載のスイッチキャビネット(1)。
【請求項8】
前記開口部(6)が、前記スイッチキャビネット(1)の内部に面する前記ドアリーフ(4)の内側に設けられた空気透過性のアクセス保護グリルによって覆われており、前記開口部(6)を閉鎖する少なくとも1つの前記閉鎖要素(7)が、閉位置から開位置の方向で前記ドアリーフ(4)の外側に向かって枢動可能な少なくとも1つのドアリーフ(10)を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載のスイッチキャビネット(1)。
【請求項9】
前記スイッチキャビネット(1)の前記ドア(5)は、完全に開いた位置と完全に閉じた位置との間でプレテンションなしに往復移動可能であり、その際、前記ドアリーフ(4)が封止要素(18)を介して前記スイッチキャビネット(1)のフレーム(14)に対して軸受され、閉位置では、プッシュロッドロック(17)によって前記封止要素(18)を圧縮しながら前記フレーム(14)にロックされる、請求項1~8のいずれか1項に記載のスイッチキャビネット(1)。
【請求項10】
前記スイッチキャビネット(1)の前記ドア(5)は、
a.反対方向に動き、前記ハウジング(2)の対向する垂直プロファイル側面にヒンジで固定される2つの部分ドア(15)を有し、その各々は、前記閉鎖要素(7)を形成し、かつ、少なくとも1つのさらなるヒンジ(11)を介して前記開口部(6)の2つの垂直縁部のうちの外側の垂直縁部に枢動可能に固定される、ドアリーフ(10)を有するか、または、
b.前記ハウジング(2)の垂直プロファイル側面にヒンジで固定され、前記閉鎖要素(7)を形成する2つのドアリーフ(10)を有するドア(5)であり、前記ドアリーフ(10)は同じ方向に枢動可能であり、そのために、前記ドアリーフ(10)の第1のドアリーフは、少なくとも1つのさらなるヒンジ(11)を介して、前記開口部(6)の2つの垂直縁部のうちの外側の垂直縁部に枢動可能に固定され、前記ドアリーフ(10)の第2のドアリーフは、少なくとも1つのさらなるヒンジ(11)を介して、前記開口部(6)を二等分する前記ドアリーフ(4)の垂直な中央ウェブ(16)に枢動可能に固定される、請求項1~9のいずれか1項に記載のスイッチキャビネット(1)。
【請求項11】
前記開口部(6)は、前記ドアリーフ(4)の高さおよび幅の大部分にわたって、少なくとも前記高さおよび幅の50%以上にわたって延びている、請求項1~10のいずれか1項に記載のスイッチキャビネット(1)。
【請求項12】
前記開口部(6)は、前記ドアリーフ(4)の高さの大部分にわたって、少なくとも前記高さの50%以上にわたって一体的に延びている、請求項1~11のいずれか1項に記載のスイッチキャビネット(1)。
【請求項13】
前記開口部(6)は、前記ドアリーフ(4)の垂直な中央ウェブ(16)を介して幅方向に2分割されている一方、高さ方向には途切れていない、請求項1~12のいずれか1項に記載のスイッチキャビネット(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングと、ドアリーフを有するドアとを有するスイッチキャビネットであって、ドアは、少なくとも1つのヒンジを介して枢動(回動)可能に固定され、電気的に制御可能なロック要素によって、その開位置方向への機械的プレテンションに対抗して閉位置に保持されるスイッチキャビネットに基づいている。このようなスイッチキャビネットは、CN 109119914 Aから公知である。DE 10 2006 010 360 B3は、同様のスイッチキャビネットを開示している。
【背景技術】
【0002】
特に、このようなスイッチギヤキャビネットは、緊急時、例えばスイッチギヤキャビネットのハウジングに収容された電気スイッチギヤやIT環境等の冷却システムの故障時に、例えば、スイッチギヤキャビネットの通常の動作状態を回復するか、スイッチギヤまたは特にIT環境を適切に停止して、システムの破壊を回避するための措置を開始する時間を得るために、少なくともサーバ故障を遅延できるように、その内部を緊急換気できるよう設定される。
【0003】
スイッチキャビネットのドアを機械的に開位置にプレテンションするために、例えばガススプリング等の適切なプレテンション手段が使用されている。これは、例えばスイッチキャビネットに収容された装置またはIT環境のメンテナンスを行う手間にスイッチキャビネットのドアを定期的に開いた後、スイッチキャビネットが再び閉じられるときに閉鎖要素のプレテンションに打ち勝つために、使用者によってかなりの力が加えられる必要があるという欠点を有する。また、このシステムの原理は、プッシュロッドクロージャのような標準化されたエンクロージャクロージャシステムを使用できないことを決定づけ、これは、共通部品を使用したいという願望を打ち消すものである。さらに、公知のスイッチキャビネットは、例えば、緊急時に、ロック要素を電気的に制御することによって完全に自動で開いたドアが、スイッチキャビネットの内部への妨げのないアクセスを可能にするという欠点を有し、これは、データ保護の理由のみならず望ましくない可能性がある。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の目的は、スイッチキャビネットのドアを閉じる際に高い閉鎖力の適用を回避し、さらに、スイッチキャビネットのドアのための特別な閉鎖具の使用を省き、さらに、スイッチキャビネットが緊急開放状態にあるときに必要に応じてスイッチキャビネットの内部へのアクセス保護を提供するように準備された、冒頭に述べたタイプのスイッチキャビネットをさらに開発することにある。
【0005】
この課題は、請求項1の特徴を有するスイッチキャビネットによって解決される。従属請求項は、それぞれ、本発明の有利な実施形態に関する。
【0006】
したがって、ドアリーフが、開口部と、開口部を閉鎖する閉鎖要素とを有し、当該閉鎖要素が、電気的に制御可能なロック要素によって、その開位置方向への機械的プレテンションに対抗して閉位置に保持されることが規定される。
【0007】
スイッチキャビネット筐体の緊急換気のためにスイッチキャビネットドア全体を開く必要がないということは、一方では、スイッチキャビネットシステムの通常運転中、使用者は緊急開口のプレテンション力に抗して働く必要がなくなるので、高い閉鎖力を加えることなくスイッチキャビネットドアを開閉できることを意味している。また、スイッチキャビネットのドア閉鎖システムは、例えば、トグルドアハンドルを介して調整可能なプッシュロッドロックとして、非常換気のない通常のスイッチキャビネットのように設計されることもできる。最後に、本発明による解決策では、スイッチキャビネットのドアが閉じた状態で閉鎖要素が開位置にあるときに、スイッチキャビネットの内部へのアクセスを防止するために、ドアリーフの内側に適切な手段を設けることができる。この目的のために、例えば、穴あきグリルのようなアクセス保護グリルを設けて、ドアリーフの内側から開口部を閉鎖することができる。例えば、使用者が保守のためにスイッチキャビネットのドアを開けるような通常の動作時には、アクセス保護は使用者がスイッチキャビネットの内部にアクセスすることを妨げない。アクセス許可の要求は、標準的なスイッチキャビネットと同様に、スイッチキャビネットのドアのハンドルを介して、例えばシリンダ錠またはアクセス許可カードを読み取るための無線インターフェイスを介して行うことができる。
【0008】
開位置方向へのプレテンションは、開口部内に延びる少なくとも1つの圧縮ばね、好ましくはガス圧縮ばねによって提供され得る。
【0009】
閉鎖要素は、少なくとも1つのドアリーフ、好ましくは2つのドアリーフを有するドアであってもよく、この/これらのドアリーフは、少なくとも1つのさらなるヒンジを介して開口の垂直縁部に枢動可能に固定される。したがって、一実施形態において、本発明によるスイッチキャビネットのドアは、ドアインドアの概念として設計されてもよい。開口部は、空気の交換のために可能な限り最大の開口断面を提供するために、ドアリーフの高さおよび幅の大部分にわたって延びることが提供され得る。好ましくは、開口部は、ドアリーフの高さおよび/または幅の少なくとも50%にわたって延在する。
【0010】
開口部は、ドアリーフの高さの大部分にわたって一体的に延びているが、少なくとも高さの50%にわたって延びていることが提供され得る。また、開口部が、ドアリーフの垂直な中央ウェブを介して幅方向に2分割される一方、高さ方向には途切れることがないことが好ましいことが提供され得る。
【0011】
電気的に制御可能なロック要素は、ドアパネルの内側から開口部の境界を越えてドアパネルの開けた開口に突出する少なくとも1つの電磁石を有することができる。
【0012】
開位置方向へのプレテンションは、少なくとも閉位置から開位置の方向への閉鎖要素の第1の部分移動区間において、互いに独立して設計された少なくとも2つのプレテンション要素を有する冗長プレテンション装置によって提供され得る。
【0013】
この場合、プレテンション要素の第1は、圧縮ばね、好ましくはガス圧縮ばねからなってもよく、プレテンション要素の第2は、弾性的に変形可能なばね要素、好ましくはコイルばねからなってもよい。
【0014】
閉鎖要素が開位置と閉位置との間の部分開放位置において第1の部分移動区間の外側に配置されるときに、2つの冗長プレテンション要素のうちの1つは、閉鎖要素から係合解除されることができ、他方は、閉鎖要素に係合され続けることができる。このようにして、電気的に制御可能なロック要素が閉位置からのロック要素の第1の部分移動区間に沿ってトリガされる、すなわち解放されるとき、ロック要素の閉位置からの急速な移動を達成するために、増加したトルクがロック要素に及ぼされることができる。
【0015】
開口部は、スイッチキャビネットの内部に面するドアリーフの内側に設けられた空気透過性のアクセス保護グリルによって覆われることができる。開口部を閉鎖する少なくとも1つの閉鎖要素は、閉位置から開位置の方向でドアリーフの外側に向かって枢動されることができる少なくとも1つのドアリーフを有することができる。
【0016】
スイッチキャビネットのドアは、完全に開いた位置と、ドアリーフが封止要素を介してスイッチキャビネットのフレームに載る完全に閉じた位置との間をテンションなしに往復移動でき、封止要素を圧縮しながらプッシュロッドロックで閉位置にロックできるので、通常動作時、すなわちスイッチキャビネットの緊急換気がトリガされていない動作状況では、緊急換気を有しない標準的なスイッチキャビネットと比較して、使用者にとって動作上の違いがない。つまり、通常運転時、つまりスイッチキャビネットの緊急換気が発動していない運転状況では、緊急換気を持たない標準的なスイッチキャビネットと比較して、使用者にとっての操作性に差が出ない。
【0017】
スイッチキャビネットのドアは、ハウジングの対向する垂直プロファイル側面にヒンジで固定される2つの対向する部分ドアを有してもよく、その各々は、少なくとも1つのさらなるヒンジを介して開口部の2つの垂直縁部のうちの外側の垂直縁部に枢動可能に固定された、閉鎖要素を形成するドアリーフを有する。
【0018】
代替的に、スイッチキャビネットのドアは、ハウジングの垂直プロファイル側面にヒンジで固定され、閉鎖要素を形成する2つのドアリーフを有するドアであってもよく、ドアリーフは同じ方向に枢動可能であり、そのために、ドアリーフの第1のドアリーフは、少なくとも1つのさらなるヒンジを介して、開口部の2つの垂直縁部のうちの外側の垂直縁部に枢動可能に固定され、ドアリーフの第2のドアリーフは、少なくとも1つのさらなるヒンジを介して、開口部を二等分するドアリーフの垂直な中央ウェブに枢動可能に固定される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下、図を参照しながら、本発明のさらなる詳細を説明する。
図1】技術水準に応じた一般的なスイッチキャビネットを示す。
図2】本発明に係るスイッチキャビネットのドアの例示的な実施形態の正面図である。
図3】閉鎖要素が開いた状態の図2に係るスイッチキャビネットのドアの透視図である。
図4】本発明に係るスイッチキャビネットのさらなる実施形態を通しての水平断面の詳細図である。
図5】閉鎖要素の部分的に開いた状態での図4に係る実施形態を示す。
図6】閉鎖要素が開いた状態での、本発明に係るスイッチキャビネットのドアのさらなる実施形態の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、先行技術から知られ、DE 10 2016 010 360 B3に全詳細が記載されているようなスイッチキャビネット1の断面を示す。
【0021】
スイッチキャビネット1は、様々な平坦な部品、例えば、サイドパネル、ルーフパネル、特に図1に係る実施形態では開放状態にあるリアドア5が固定されたフレーム14を有し、当該フレームは、スイッチキャビネット1の背面側に設けられ、例えばスイッチキャビネット冷却システムが故障した場合にスイッチキャビネット内部の緊急換気を行うために、事故時に緊急開放できるように設計されている。
【0022】
緊急換気のために、スイッチキャビネットドア5は、ガス圧ばねとして設計された閉鎖要素7によって図1に示すその開位置にプレテンションされ、一方、スイッチキャビネットシステムの通常動作中にスイッチキャビネットドアを閉鎖状態に保つために、例えば磁気ロックとして設計されたロック要素8が設定されており、すなわち、図1に示すスイッチキャビネット内部の緊急換気が必要とされないいかなる場合にも、リアパネルドア5を閉鎖状態に保つよう、この目的のために、ロック要素8は、ガス圧ばね7によって与えられる開位置へのプレテンションに対抗する、すなわち、少なくともそれを補償する、好ましくはそれを著しく過補償する閉鎖力を提供する必要がある。
【0023】
図1に係る実施形態は、例えば、メンテナンスの際に、後部ドア5を開けた使用者が、ガス圧力ばね7によって、内部に問題なくアクセスすることが妨げられるだけでないことを示す。メンテナンスが行われた後、使用者は、後部ドア5を再び閉鎖するためには、ガス圧力ばねのプレテンション力に打ち勝ってドア5をその閉位置に移動させなければならない。適切な量の力でドア5を閉位置に移動させた後、使用者は、ドア5がガス圧力ばね7のプレテンションに抗して閉位置に保持されるように、例えば磁気ロック等のロック要素8を作動させなければならない。さらに、図1は、ロック要素8がトリガ(起動)され、その後、ドア5が開かれた場合、許可されていない可能性のある第三者がスイッチキャビネット1の内部にアクセスできることを示している。
【0024】
これに対して、図2は、本発明に係るスイッチキャビネットのドア5の例示的な実施形態を示し、当該ドア5はドアリーフ4を有し、当該ドアリーフ4は、等距離のヒンジ3またはヒンジ半体の列をドア側面の対向する垂直面に有し、他方、反対側の垂直面には、ドアリーフ4の前側に取付けられたトグルレバーによって調節可能なプッシュロッドロック17を有する。この点、スイッチキャビネットのドア5は、非常換気のために準備されていない標準的なスイッチキャビネットのドアとして設計されているので、この点でも同一の部品を使用することができる。
【0025】
本発明によれば、スイッチキャビネットのドア5は開口部6を有し、当該開口部6は、本例では垂直ウェブ16を介して2つの部分に形成され、本質的にドアリーフ4の全体またはほぼ全体の高さにわたって延びている。高さに垂直なドア5の幅方向において、開口部6は、少なくともドアリーフ4の幅の50%以上に相当する幅を有する。したがって、閉鎖要素7は2つのドアリーフ10を備え、当該ドアリーフ10はそれぞれ一方の側がヒンジで取付けられた部分ドア15として設計されている。
【0026】
部分ドア15は、ヒンジ側と反対側のその垂直面において、垂直方向に1つずつ等距離に配置された3つのロック要素8によって図2に示す閉位置に保持されており、当該ロック要素8は、例えば磁気ロックとすることができる。部分ドア15の下側および上側には、ガス圧ばね9が各部分ドア15に設けられており、図2に示すドアの位置では圧縮された状態にあり、これに伴って部分ドア15には図3に示す開位置の方向にプレテンションが掛かっている。ロック要素8は、このプレテンションに打ち勝ち、部分ドア15を図2に示す閉位置に保持する。
【0027】
ロック要素8は、電気的に制御可能であり、例えば、図4および図5に示すように、開口部6内に突出するようにスイッチキャビネットのドア5のドアリーフ4に取付けられる電磁石12を有し得る磁気ロックととして設計することができる。ひいては、閉鎖要素7のドアリーフ10は、電磁石12によって与えられる電気的な吸引力によって、ドアリーフ10を図4に示す閉位置に保持できるように、磁気または磁化可能な電機子プレートを有する。緊急換気の場合、電磁石は、電磁石12と電機子プレート19との間の磁気吸引力が中断されるように非通電にすることができ、その場合、ドアリーフ10は、図5に示すように、それに及ぼされるプレテンションによりその開位置に枢動(回動)させられる。
【0028】
図4に示す開位置から図5に示すドアリーフ10の部分開放位置への移行中に、ドアリーフ10にできるだけ高いトルクを作用させ、それによってドアリーフ10が図5に示す部分開放位置に迅速に到達するために、例えば完全開に必要なガス圧力ばねに加えて、本実施形態ではコイルばねとして設計されている弾性圧力ばね13の助けによって追加のプレテンション力が提供されることが提供される。コイルばねは、電磁石がすでに作動している状態でドアリーフが再び閉じられるときに磁気吸引力によって発生するドアリーフ10の閉鎖運動を減衰させる機能も有しており、したがって、例えばジャミング(電波妨害)の危険性を低減することができる。
【0029】
本発明に係るスイッチキャビネットのドア5のさらなる実施形態が図6に示される。この場合、開口部6は、再び、2つの部分に形成され、開口部6の全高にわたって垂直に延びる中央ウェブ16によって2つの等しい大きさの部分開口に分割される。各部分開口は、別々の部分ドア15によって閉鎖することができ、必要に応じて、電磁石12から電機子プレート19に作用する磁気吸引力が遮断されたときに、圧縮ばね9の助けを借りて開くことができる。
【0030】
前述の説明、図面および特許請求の範囲に開示された本発明の特徴は、個々にまたは任意の組み合わせで本発明に必須である場合がある。
【符号の説明】
【0031】
1 スイッチキャビネット
2 ハウジング
3 ヒンジ
4 ドアリーフ
5 ドア
6 開口部
7 閉鎖要素
8 制御可能なロック要素
9 圧縮ばね
10 ドアリーフ
11 さらなるヒンジ
12 電磁石
13 ばね要素
14 フレーム
15 部分ドア
16 中央ウェブ
17 プッシュロッドロック
18 封止要素
19 電機子プレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-07-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング(2)と、少なくとも1つのヒンジ(3)を介して前記ハウジング(2)に枢動可能に固定されるドア(5)とを有するスイッチキャビネット(1)であって、前記ドア(5)はドアリーフ(4)を有し、前記ドアリーフ(4)は、開口部(6)と、前記開口部(6)を閉鎖し、電気的に制御可能なロック要素(8)によって、その開位置方向への機械的プレテンションに対抗して閉位置に保持される閉鎖要素(7)とを有し、開位置方向へのプレテンションが、少なくとも閉位置から開位置の方向への前記閉鎖要素(7)の第1の部分移動区間において、互いに独立して設計された少なくとも2つのプレテンション要素(9、13)を有する冗長プレテンション装置によって提供され、前記閉鎖要素(7)が開位置と閉位置との間の部分開放位置において前記第1の部分移動区間の外側に配置されるとき、2つの前記プレテンション要素(9、13)のうちの一方は前記閉鎖要素(7)から係合解除され、他方は前記閉鎖要素(7)に引き続き係合することを特徴とする、スイッチキャビネット(1)。
【請求項2】
開位置方向へのプレテンションが、前記開口部(6)内に延びる少なくとも1つの圧縮ばね(9)により、好ましくはガス圧縮ばねにより提供される、請求項1に記載のスイッチキャビネット(1)。
【請求項3】
前記閉鎖要素(7)が、少なくとも1つのドアリーフ(10)、好ましくは2つのドアリーフ(10)を有し、少なくとも1つのさらなるヒンジ(11)を介して前記開口部(6)の垂直縁部に枢動可能に固定されるドアである、請求項1または2に記載のスイッチキャビネット(1)。
【請求項4】
前記電気的に制御可能なロック要素(8)が、前記ドアリーフ(4)の内側から前記開口部(6)の境界を越えて前記開口部(6)の開けた開口に突出する少なくとも1つの電磁石(12)を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のスイッチキャビネット(1)。
【請求項5】
前記プレテンション要素の第1は、圧縮ばね(9)、好ましくはガス圧縮ばねからなり、前記プレテンション要素の第2は、弾性的に変形可能なばね要素(13)、好ましくはコイルばねからなる、請求項に記載のスイッチキャビネット(1)。
【請求項6】
前記開口部(6)が、前記スイッチキャビネット(1)の内部に面する前記ドアリーフ(4)の内側に設けられた空気透過性のアクセス保護グリルによって覆われており、前記開口部(6)を閉鎖する少なくとも1つの前記閉鎖要素(7)が、閉位置から開位置の方向で前記ドアリーフ(4)の外側に向かって枢動可能な少なくとも1つのドアリーフ(10)を有する、請求項1~のいずれか1項に記載のスイッチキャビネット(1)。
【請求項7】
前記スイッチキャビネット(1)の前記ドア(5)は、完全に開いた位置と完全に閉じた位置との間でプレテンションなしに往復移動可能であり、その際、前記ドアリーフ(4)が封止要素(18)を介して前記スイッチキャビネット(1)のフレーム(14)に対して軸受され、閉位置では、プッシュロッドロック(17)によって前記封止要素(18)を圧縮しながら前記フレーム(14)にロックされる、請求項1~のいずれか1項に記載のスイッチキャビネット(1)。
【請求項8】
前記スイッチキャビネット(1)の前記ドア(5)は、
a.反対方向に動き、前記ハウジング(2)の対向する垂直プロファイル側面にヒンジで固定される2つの部分ドア(15)を有し、その各々は、前記閉鎖要素(7)を形成し、かつ、少なくとも1つのさらなるヒンジ(11)を介して前記開口部(6)の2つの垂直縁部のうちの外側の垂直縁部に枢動可能に固定される、ドアリーフ(10)を有するか、または、
b.前記ハウジング(2)の垂直プロファイル側面にヒンジで固定され、前記閉鎖要素(7)を形成する2つのドアリーフ(10)を有するドア(5)であり、前記ドアリーフ(10)は同じ方向に枢動可能であり、そのために、前記ドアリーフ(10)の第1のドアリーフは、少なくとも1つのさらなるヒンジ(11)を介して、前記開口部(6)の2つの垂直縁部のうちの外側の垂直縁部に枢動可能に固定され、前記ドアリーフ(10)の第2のドアリーフは、少なくとも1つのさらなるヒンジ(11)を介して、前記開口部(6)を二等分する前記ドアリーフ(4)の垂直な中央ウェブ(16)に枢動可能に固定される、請求項1~のいずれか1項に記載のスイッチキャビネット(1)。
【請求項9】
前記開口部(6)は、前記ドアリーフ(4)の高さおよび幅の大部分にわたって、少なくとも前記高さおよび幅の50%以上にわたって延びている、請求項1~のいずれか1項に記載のスイッチキャビネット(1)。
【請求項10】
前記開口部(6)は、前記ドアリーフ(4)の高さの大部分にわたって、少なくとも前記高さの50%以上にわたって一体的に延びている、請求項1~のいずれか1項に記載のスイッチキャビネット(1)。
【請求項11】
前記開口部(6)は、前記ドアリーフ(4)の垂直な中央ウェブ(16)を介して幅方向に2分割されている一方、高さ方向には途切れていない、請求項1~10のいずれか1項に記載のスイッチキャビネット(1)。
【国際調査報告】