(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】バイオセンサーテストストリップ及びその方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/08 20060101AFI20230118BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
G01N35/08 A
G01N37/00 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526431
(86)(22)【出願日】2020-11-12
(85)【翻訳文提出日】2022-05-06
(86)【国際出願番号】 CN2020128387
(87)【国際公開番号】W WO2021093812
(87)【国際公開日】2021-05-20
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522178980
【氏名又は名称】五鼎生物技術股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】APEX BIOTECHNOLOGY CORPORATION
【住所又は居所原語表記】No.7, Li-hsin 5th Rd., Hsinchu Science Park, Hsinchu City, Taiwan 300
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】▲シン▼ 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】林 伯駿
(72)【発明者】
【氏名】陳 思豪
(72)【発明者】
【氏名】陳 宏聞
(72)【発明者】
【氏名】梁 恒嘉
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058DA07
2G058GA06
2G058GA12
(57)【要約】
【課題】 バイオセンサーテストストリップ及びその方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、バイオセンサーテストストリップ及びその方法を提供する。前記バイオセンサーテストストリップは、反応流路を有する反応層と、前記反応層の上に位置し、前記反応流路を覆う仕切板層と、前記仕切板層の上に位置し、排気流路を有する排気層と、前記仕切板層を貫通して前記排気流路と前記反応流路を連通する連通孔とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応流路を有する反応層と、
前記反応層の上に位置し、前記反応流路を覆う仕切板層と、
前記仕切板層の上に位置し、排気流路を有する排気層と、
前記仕切板層を貫通して前記排気流路と前記反応流路を連通する連通孔とを含むバイオセンサーテストストリップであって、
前記反応流路は、試料採取口をさらに含み、液体試料を前記試料採取口から前記反応流路に入らせる毛細管構造を有し、前記排気流路は毛管現象による前記液体試料の流量を減らすように構成される、
バイオセンサーテストストリップ。
【請求項2】
前記排気流路における空気抵抗は、R
Gとし、ΔR
Lは前記反応流路における前記液体試料と空気との抵抗差である請求項1に記載のバイオセンサーテストストリップ。
【数1】
【請求項3】
前記排気流路は、前記排気層上に波状で配置される請求項1に記載のバイオセンサーテストストリップ。
【請求項4】
前記排気流路は、前記排気流路の延伸方向に垂直する横断面を有し、前記横断面が長径及び短径を有し、前記長径対前記短径の比が5より大きい請求項1に記載のバイオセンサーテストストリップ。
【請求項5】
前記連通孔は、前記反応流路に連通される下槽と、前記下槽の上に位置する中槽とを有し、前記下槽は前記中槽に連通される開口部を有し、前記開口部が水平面を特定し、前記中槽は底部を有し、前記底部が前記開口部に連結される連結部分を有し、前記連結部分の表面が前記水平面より高くないチョークバルブを含む請求項1に記載のバイオセンサーテストストリップ。
【請求項6】
前記連通孔は、疎水性内壁を有する請求項4に記載のバイオセンサーテストストリップ。
【請求項7】
前記排気層は、
第1層にある第1空気流路と、前記第1層を覆う第1上蓋と、前記第1上蓋にある接続孔とを備えた第1排気組と、
第2層にある第2空気流路と、前記第2層を覆う第2上蓋と、前記第2上蓋の上にある排気孔とを備え、前記第1排気組の上に設けられた第2排気組とを含み、
前記第1空気流路、前記接続孔、前記第2空気流路、及び前記排気孔は前記排気流路を形成する、
請求項1に記載のバイオセンサーテストストリップ。
【請求項8】
前記排気層は、第1層と、前記第1層を覆う第2層と、前記第2層を覆う第3層とを含み、
前記液体試料が前記反応流路に入る場合、前記排気流路内の空気の流れ方向は、次の順序を含み、すなわち、
(1)前記第1層から前記第2層を経由して前記第3層に入ること、(2)次に前記第3層から前記第2層を経由して前記第1層に戻ること、及び(3)さらに前記第1層から前記第2層を経由して前記第3層に入ること、
を含む請求項1に記載のバイオセンサーテストストリップ。
【請求項9】
前記反応層は、前記反応流路に連通される少なくとも1つの副排気流路を含み、前記排気流路の代わりに前記副排気流路が前記反応流路の局所領域の前記液体試料の流量を決定し、前記局所領域は前記反応流路と前記副排気流路との交点を含む請求項1に記載のバイオセンサーテストストリップ。
【請求項10】
前記局所領域は、前記反応流路の前記試料採取口から前記反応流路と前記副排気流路との交点まで延伸する領域を含む請求項9に記載のバイオセンサーテストストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオセンサーテストストリップに関し、特に、液体試料の流量を制御する生化学的テストストリップに関する。
【背景技術】
【0002】
体外医学測定は、現在の医療産業で極めて重要な役割を果たしている。生体体液の変化を定性的・定量的に測定することで、病気の迅速な診断や治療の指標情報を与える。医学的又は生化学的試験では、テストストリップの使用が一般的な手法になっている。
【0003】
従来技術は、毛管力によって液体試料を反応領域に吸入するテストストリップを開示している。この種のテストストリップは、毛管力液体試料のせん断応力、凝集力、及び粘性などの物理的状態の影響を受けるため、液体試料の流量及び作用力を制御できない。したがって、この種のテストストリップは、単一の試薬又は同じ場所で作用する複数の試薬の単純な反応にのみ適している。長い流路内で複数の試薬が反応するように設計要件がある場合、この種のテストストリップは、流量を制御できないため混合不均一などの問題が発生しやすくなる。
【0004】
従来技術は、測定キャリアも開示し、流路の一端は試料採取口として設け、他端が外部動力装置(例えば圧力ポンプ)に連結され、外部動力装置を介して液体試料の流量制御効果を奏する。ただし、この外部加圧方法は、試料に損傷を与えやすく(例えば血球の破裂につながる)、流路と動力装置との間の継ぎ目を高精度で結合する必要があるなどの欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、液体試料の流量を減らす機能を備えたバイオセンサーテストストリップを提供する。バイオセンサーテストストリップは毛管現象による液体試料の流量を減らすように構成される排気流路を備える。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によれば、本発明は、バイオセンサーテストストリップ及びその方法を提供する。前記バイオセンサーテストストリップは、反応流路を有する反応層と、前記反応層の上に位置し、前記反応流路を覆う仕切板層と、前記仕切板層の上に位置し、排気流路を有する排気層と、前記仕切板層を貫通して前記排気流路と前記反応流路を連通する連通孔とを含む。
【0007】
別の態様では、本発明は、バイオセンサーテストストリップの構造を決定する方法を提供する。前記バイオセンサーテストストリップは、反応流路における液体試料の流量を減らすため、排気流路を有する。前記方法は、液体試料と空気の抵抗パラメータから排気流路と反応流路の構造的関係を得る。
【0008】
本発明は、他の態様も含み、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を参照又は以下に記載されている本発明の実施形態を利用すると、本発明のこれら特徴及び利点をより明確に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例1に係るバイオセンサーテストストリップの概略図
【
図2】本発明の実施例2に係るバイオセンサーテストストリップの概略図
【
図3】本発明の実施例3に係るバイオセンサーテストストリップの概略図
【
図4A】本発明の実施例4に係るバイオセンサーテストストリップのチョークバルブ概略図
【
図4B】本発明の実施例4に係るバイオセンサーテストストリップのチョークバルブ概略図
【
図5】本発明の実施例5に係るバイオセンサーテストストリップの概略図
【
図6A】本発明の実施例6に係るバイオセンサーテストストリップの概略図
【
図6B】本発明の実施例6に係るバイオセンサーテストストリップの概略図
【
図7】本発明の実施例7に係るバイオセンサーテストストリップの概略図。
【
図8】本発明の実施例8に係るバイオセンサーテストストリップの概略図
【
図9A】排気流路のない従来のバイオセンサーテストストリップの操作を示す写真
【
図9B】排気流路のない従来のバイオセンサーテストストリップの操作を示す写真
【
図9C】排気流路のない従来のバイオセンサーテストストリップの操作を示す写真
【
図10A】本発明の一実施例に係るバイオセンサーテストストリップの操作を示す写真
【
図10B】本発明の一実施例に係るバイオセンサーテストストリップの操作を示す写真
【
図10C】本発明の一実施例に係るバイオセンサーテストストリップの操作を示す写真
【
図10D】本発明の一実施例に係るバイオセンサーテストストリップの操作を示す写真
【
図10E】本発明の一実施例に係るバイオセンサーテストストリップの操作を示す写真
【
図10F】本発明の一実施例に係るバイオセンサーテストストリップの操作を示す写真
【
図11A】本発明の一実施例に係るバイオセンサーテストストリップの操作を示す写真
【
図11B】本発明の一実施例に係るバイオセンサーテストストリップの操作を示す写真
【
図11C】本発明の一実施例に係るバイオセンサーテストストリップの操作を示す写真
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下は、添付の図面を参照しつつ本発明の好ましい実施例を例示する。本発明の内容を曖昧にしないように、以下の説明はまた、従来の構成要素、関連材料、及びその関連処理技術を省略する。
【0011】
(実施例1)
図1を参照すると、実施例1は、バイオセンサーテストストリップの構造を決定する方法を提供し、前記方法は側面断面図である
図1に示すようなバイオセンサーテストストリップ100に適用する。図に示すように、バイオセンサーテストストリップ100は、長尺状で、試料採取端101を特定する。バイオセンサーテストストリップ100は、基板層110の上にあり、反応流路121を有する反応層120と、前記反応層120の上にあり、液体試料190の流動及び電気化学反応を行うための空間である反応流路121を覆う仕切板層130と、前記仕切板層130の上にあり、排気流路141を有する排気層140と、前記仕切板層130を貫通して前記排気流路141と前記反応流路121を連通する連通孔150とを含む。バイオセンサーテストストリップ100は、外部に通じ、排気流路141に連通される排気孔161外部に通じる排気孔161を有する上蓋160をさらに含む。前記反応流路121は、毛細管構造を有する。前記排気流路141は、毛管現象による前記液体試料190の流量を減らす機能を有する。この実施例は、上記の電気化学的テストストリップによって例示されることに留意されたい。その他の実施例において、テストストリップに光学的検出ウィンドウを設けることができる。さらにその他の実施例において、テストストリップには光学及び電気化学の両方を使用することができる。
【0012】
実施例1は、次のステップを含むバイオセンサーテストストリップの構造を決定する方法を提供する。(1)以上のようなバイオセンサーテストストリップ100を用意するステップ、(2)式Iに従ってバイオセンサーテストストリップ100の無次元抵抗μ*を計算するステップ、
【0013】
【0014】
式中、μGは、前記排気流路内の空気抵抗で、μLは前記バイオセンサーテストストリップに使用される液体試料190の抵抗であり、
【0015】
(3)前記無次元の抵抗比μ*より大きい数を取るステップ、及び、
(4)当該数値を無次元の長さの比L*と定め、かつ次の式IIに代入して前記反応流路121と前記排気流路141の構造的関係を得るステップ、
【0016】
【0017】
式中、WLは、前記反応流路121の管壁厚、HLは前記反応流路121の管壁の高さ、LLは前記反応流路121の長さ、CLは前記反応流路121の矩形補正係数であり、
WGは、前記排気流路141の管壁厚、HGは前記排気流路141の管壁の高さ、 LGは前記排気流路141の長さ、CGは前記排気流路141の矩形補正係数であり、
ここで、CL又はCGは、それぞれ次の式IIIにより得られ、
【0018】
【0019】
式中、Wは、前記反応流路121又は排気流路141の管壁厚、Hは前記反応流路121又は排気流路141の管壁の高さである。上式の由来は次の通りである。上記方法は、バイオセンサーテストストリップ100を例にすることに留意されたい。上記方法は、本発明の他のバイオセンサーテストストリップの実施例にも適用できる。
【0020】
液体試料190を収容できるバイオセンサーテストストリップ100の体積は、反応流路121の形状によって定める。反応流路121内が四方を囲まれた細長状管路で、液体試料190の流量QL計算の近似式は、次のように表される。
【0021】
【0022】
式中、WLは、反応流路121の管壁厚、HLは反応流路121管壁の高さ、μLは液体試料190の粘性、LLは反応流路121の長さ、ΔPは反応流路121における液体試料190の毛管圧力である。流路距離の圧力差を考慮しない場合、ΔPLの計算式は、次のようになる。
【0023】
【0024】
γは、液体の表面張力、θは反応流路121の表面に対する液体試料190の接触角である。
【0025】
バイオセンサーテストストリップ100内の空気の流動は、主に液体試料190から加えられる作用力によって引き起こす。換言すれば、液体試料190は、毛管作用により反応流路121で流動すると同時に、空気を押し付けて前進することができる。
図1の矢印Fは、押し付けられた空気の流れ方向を示す。液体試料190及び空気に対する反応流路121の管壁の作用下で、反応流路121と排気流路141とが直結するため、空気流量Q
Gが明らかに液体試料190の流量Q
L時より小さい場合、液体試料190の流量は、空気流量によって支配される。簡単に言うと、排気流路141によって発生される空気抵抗を利用して空気流動速度を制御すると共に液体流量及び生(電気)化学反応時間を制御することができる。
【0026】
一般的な排気流路の内壁内の空気流量計算式は、次のように表される。
【0027】
【0028】
式中、WGは排気流路の管壁厚、HGは排気流路の管壁の高さ、μGは空気粘性、LGは排気流路の長さである。Cは、矩形補正係数(RECTANGLE CORRECTION COEFFICIENT)、すなわち、矩形流路が空気流動に生じる抵抗係数であり、次の式で計算できる。
【0029】
【0030】
排気流路は、前記排気流路の延伸方向に垂直する横断面を有する。異なる横断面の異なる長幅比を上記の矩形補正係数の式に代入して計算すると、長方形横断面の排気流路が空気流量に与える影響は正方形横断面の排気流路よりも小さいことが分かる。これにより、排気流路は、長径及び短直径の横断面を有することが好ましい。より好ましい実施例において、前記長径対前記短径の比は2より大きく、より好ましくは6より大きく、好適には8より大きい。
【0031】
上記の空気流量計算式から、液体試料190に空気抵抗の影響を与える排気流路141の長さは重要な効果を有することが分かる。
図1に示すように、排気流路141の体積は、V2で、反応流路121の体積がV1である。液体試料190が試料採取口101に注入される前、空気が反応流路121及び排気流路141を満たす。液体試料190は、毛管現象が発生して反応流路121に入ってから空気抵抗の影響を受ける。したがって、空気抵抗の影響を計算する際には、反応流路121のV1及び排気流路141の的V2を検討に入れる必要がある。したがって、バイオセンサーテストストリップ100の総空気流量の計算式は、次のようになる。
【0032】
【0033】
QGTは、総空気流量、QGV1は反応流路121の空気流量、QGV2は排気流路の空気流量である。
【0034】
しかしながら、反応流路121の断面積は、排気流路141の断面積よりもはるかに大きいため、反応流路121の空気流量も排気流路141の空気流量によってけん制されるため、総空気流量QGTを計算する時に反応流路121の空気流量QGV1を無視することができる。したがって、前記総空気流量計算式は次のように修正できる。
【0035】
【0036】
異なる液体試料の粘性は、空気流量QGを変化させるため、この実施例において、異なる粘性の液体試料が空気流量QGに与える影響を最小限に抑えるため、各流路から貢献される抵抗力を考慮する必要があり、液体試料の粘性と空気粘性の関係は、次の式で表される。
【0037】
【0038】
式中、RGは、排気流路141における空気抵抗、ΔRLは液体試料190と空気の反応流路121における抵抗差、CG及びCLは排気流路141及び反応流路121の矩形補正係数、μ*は無次元の抵抗比、L*は無次元の長さの比である。
【0039】
上述から分かるように、前記無次元の抵抗比μ*が前記無次元の長さの比L*より大きいという条件を満たすバイオセンサーテストストリップ100は、反応流路121における空気と液体試料190との抵抗が排気流路141内で発生する空気抵抗よりも小さいことを確保できることから空気流量QGが液体試料流量QLよりもはるかに小さいことを実現する。ただし、本発明は、μ*とL*の差を制限せず、好ましくはμ*とL*の比差は5倍、より好ましくはμ*とL*の比差は20倍、特に好ましくはμ*とL*の比差は100倍である。別の実施例において、液体試料190流量の制御に対する周囲温度の干渉を低減するため、測定機器(図示せず)にヒータを設けてバイオセンサーテストストリップ100に使用されることで、バイオセンサーテストストリップ100を毎回使用する時に反応流路121又は排気流路141内の圧力は同じになるよう確保する。
【0040】
上述の式は、いくつかの実施例に適用される。ただし、いくつかの他の実施例において、例えば液体試料の粘性が非常に大きいことで、上述の式が合わない場合、次の実施例2の方法で調整することができる。
【0041】
(実施例2)
図2は、実施例2に係るバイオセンサーテストストリップ200の各構成要素の分解図である。バイオセンサーテストストリップ200は、長尺状で、試料採取端201及び連結端202を特定し、前記連結端202は測定機器(図示せず)に電気的に接続される。
図2を参照すると、バイオセンサーテストストリップ200は、基板層210の上にあり、反応流路221を有する反応層220と、前記反応層220の上にあり、反応流路221を覆う仕切板層230と、前記仕切板層230の上にあり、排気流路241を有する排気層240と、前記仕切板層230を貫通して前記排気流路241と前記反応流路221を連通する連通孔250とを含む。バイオセンサーテストストリップ200は、外部に通じ、排気流路241に連通される排気孔261を有する上蓋260をさらに含む。
他の実施例において、排気孔(図示せず)は、排気層240に設けられる。実施例2の反応流路221、連通孔250、及び排気流路241の詳細設計(例えばこれらの組立体の管又は孔の寸法)は、実施例1に記載の方法を参照し得る。この実施例において、反応流路221も毛細管構造を有し、かつ排気流路241が毛管現象による前記液体試料190の流量を減らす機能を有する。
【0042】
図2を参照すると、上記基板層210、反応層220、仕切板層230、排気層240及び上蓋260は、一般的にポリ塩化ビニル(PVC)、ガラス繊維(FR-4)、ポリエステル(POLYESTER SUPHONE)、ベークライト(BAKELITE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ガラス板、セラミック、又は上記材料の任意の組み合わせから選択された絶縁材料で製造される。上記の各層を図に示すように順次組み立てるとバイオセンサーテストストリップ200を形成できる。
【0043】
図2を参照すると、基板層210は、基板層210に配置された電極ユニット211をさらに含む。電極ユニット211は、互いに絶縁された少なくとも1セットの電極で構成され得る。電極ユニット211の材料は、パラジウム接着剤、白金接着剤、金接着剤、チタン接着剤、炭素接着剤、銀接着剤、銅接着剤、金銀混合接着剤、炭素銀混合接着剤、又は上記導電性材料の任意の組み合わせであり得る。
【0044】
図2を参照すると、反応層220の反応流路221は、試料採取端201に位置する試料採取口222を有する。本発明に適した液体試料は、一般的に血液であるがこれに限定されない。反応流路221は、液体試料が試料採取口から反応流路221に入る方向に沿って4つの試薬領域223a、223b、223c及び223dを配列し、それぞれ各種同じ又は異なる試薬224を格納する。反応流路221上の面積が大きい領域は、実際にはこの領域での液体試料の流量を緩和するためのものである。面積が大きい領域で液体試料が滞留する時間は、比較的多い。試薬は、面積が大きい領域に格納されることができるが、本発明はこれに限定されない。本発明はまた、1つの試薬領域のみを含む、他の数の試薬領域の実施例も有する。本発明に適した試薬は、酵素(例:グルコースグルコアミラーゼ)、導電性媒体(例:ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム)、リン酸塩緩衝液、保護剤(例:タンパク質、デキストリン、デキストラン、アミノ酸)を含み、抗原、抗体、微生物細胞、動植物細胞、動植物組織等の生物的識別能力を有する成分も含む。
図2は、反応流路221が直線経路であることを示し、本発明はその他の経路形状の反応流路221の実施例も含む。
図2に示すように、この実施例において、液体試料が前記試料採取端222から前記反応流路221に入ると、反応流路221の空気は末端221Tに向けて流動され、排気流路241内の空気が排気孔261の方向に向けて流動する。
【0045】
図2を参照すると、仕切板層230は、試料採取端201の側に試料採取口222に対応する第1切欠部231を有する。連通孔250は、末端221Tに近い側に仕切板層230を貫通する。仕切板層230、反応層220の内壁、及び基板層210は、反応流路221の空間を共同で画成し、ここで、仕切板層230は反応流路221の上壁を構成し、基板層210が反応流路221の底壁を構成し、反応層220の内壁が反応流路221の側壁を構成する。一実施例において、反応流路221の少なくとも1つの壁面は、親水性機能を有し、好ましくは反応流路221の底壁又は上壁に位置する。別の実施例において、反応流路221の底壁又は上壁に比べると、連通孔250の孔壁はよりも疎水性の機能を有する。
図2によれば、反応流路221の開始端(試料採取口222の位置)とは反対側に、連通孔250は反応流路221の末端221Tに対応する。すなわち、反応流路221からの空気は、最後の試薬領域223Dを通って流れてから連通孔250に到達することができる。他の実施例において、連通孔250の位置は、反応流路221の他の適切な位置に対応し得る。
【0046】
図2を参照すると、排気層240は、試料採取端201の側に第1切欠部231及び試料採取口222に対応する第2切欠部242を有する。
図2は、排気流路241が排気層240上に波状で配置され、本発明は、線状、デジタル波状、のこぎり状、三角波状、各種不規則な湾曲状を含む他の形状の反応流路の実施例も含む。
【0047】
図2を参照すると、上蓋260は、試料採取端201の側に第2切欠部242、第1切欠部231及び試料採取口222に対応する第3切欠部262を有する。上蓋260、排気層240の内壁、及び仕切板層230は、排気流路241の空間を共同で画成し、ここで、上蓋260は排気流路241の上壁を構成し、仕切板層230が排気流路241の底壁を構成し、排気層240の内壁が排気流路241の側壁を構成する。別の実施例において、第3切欠部262のサイズは、前記試料採取口222よりも小さい。他の実施例において、第1切欠部231又は第2切欠部242のサイズは、前記試料採取口222よりも小さくてもよい。
【0048】
(実施例3)
図3は、実施例3のバイオセンサーテストストリップ300の各構成要素の分解図である。バイオセンサーテストストリップ300が実施例2のバイオセンサーテストストリップ200に似っており、相違点はバイオセンサーテストストリップ300が親水性層310をさらに含むことである。前記親水性層310は、基板層210の底部電極を露出させるための第1露出口311、第2露出口312及び第3露出口313を有する。親水性層310の機能は、安定した流量の効果を奏するため、反応流路221内の液体試料と管表面との間の接触角を減少させることである。実施例3は、基板層210の親水性機能が需要に応えきれていない場合、例えば基板層210に電極ユニット211を設ける必要があることにより、表面の親水能力の変化が制限されている場合に使用できる。この実施例において、反応流路221における一般的な液体試料の流量は、排気流路241によって制御される。反応流路221におけるいくつかの高粘性の液体試料の流量は、排気流路241によって制御される予想流量よりも遅いことで、排気流路241によって制御される流量に流量誤差が生じる。親水性層310を利用すると、このような不利な状況を軽減又は避けることができる。
【0049】
(実施例4)
図4A及び
図4Bは、実施例4のバイオセンサーテストストリップのチョークバルブ410の断面透視図であり、ここで
図4Aは液体試料を示さず、
図4Bは液体試料を示す。実施例4その他の構成要素は、実施例2又は実施例3を参照し得る。チョークバルブ410は、連通孔250内に設けられる。換言すれば、チョークバルブ410は、実施例2又は実施例3を参照すると、反応流路221の末端221Tに対応し、かつ仕切板層230を貫通する連通孔250内に位置する。この実施例において、チョークバルブ410は、液体試料がオーバーフローして排気流路241に入ることを防ぐことができる。
【0050】
図4Aを参照すると、チョークバルブ(連通孔)410は、反応流路221に連通される下槽411と、前記下槽411の上に位置する中槽412とを有し、前記下槽411は前記中槽412に連通される開口部413を有し、前記開口部413が水平面413pを特定する。前記中槽412は、底部414を有し、前記底部414が前記開口部413に連結される連結部分414cを有し、前記連結部分414cの表面が前記水平面413pより高くないので、下槽411の液体試料に登る壁がないよう流れ遮断効果を奏する。
【0051】
図4A及び4Bを参照すると、中槽412のサイズは、下槽411のサイズよりも大きい。また、チョークバルブ410は、前記中槽412に連通される上槽415をさらに含み、前記上槽415のサイズは、好ましくは前記中槽415に小さいか等しく、又は好ましくは前記下槽411に小さいか等しい。中槽412の高さは、液体試料190が上槽415又は排気流路241に入るのをさらに防ぐため、前記開口部413での液体試料190の最大高さよりも高い。他の実施例において、チョークバルブ410は、上槽412を含まなくてもよい。この実施例において、チョークバルブ410の上槽415は、排気層240に位置し、チョークバルブ410の中槽412が仕切板層230に位置し、チョークバルブ410の下槽411が反応層220に位置する。別の実施例において、中槽412、下槽411、上槽415(もしあれば)は、仕切板層230に位置し得る。別の実施例において、連通孔250は、互いに積み重ねられた2つ以上のチョークバルブ410を含み得る。
【0052】
さらに他の実施例において、前記連結部分414cの表面は、疎水性表面を形成する。
図4B及び下式を参照すると、連結部分414cの表面が疎水性表面を形成して、チョークバルブ410の流れ遮断効果を増強することを示している。例えば連結部分414cの表面がより疎水性になると、液体試料は連結部分414cの表面に近づきにくくなり、液体試料の波面を上昇させる。
【0053】
【0054】
流路境界は、開口部413、下槽411の管壁と連結部分414cの表面の交点として特定される。ΔPCは、流路境界の管壁の液体圧力(すなわち、液体試料が開口部413にある時下槽411の管壁に寄りかかる圧力)、γlaは液体試料の表面張力係数、Wは下槽411の幅、θは液体試料と下槽411の管壁との接触角、Aは液体試料と流路境界の波面弧、βは開口部413と連結部分414cの接触角である。このため、β調整によりΔPCを制御でき、βは0°≦β<90°だけである。β角度=90°の場合、ΔPCが小さくなるが、流れの遮断効果を奏しやすくなる。また、流路境界の管壁の液体圧力と液体試料の下槽411における毛管圧力(ΔPL関係がΔPC=ΔPLに達すると、下槽411の液体試料は上へ流れなくなる。
【0055】
(実施例5)
図5は、実施例5に係るバイオセンサーテストストリップ500の各構成要素の分解図である。バイオセンサーテストストリップ500は、排気層が異なることを除いて実施例2のバイオセンサーテストストリップ200に似っている。バイオセンサーテストストリップ200の排気層240が1層の空気流路のみを有し、実施例5は2層の空気流路を有する。図に示すように、バイオセンサーテストストリップ500の排気層540は、第1層511にある第1空気流路541と、前記第1層511を覆う第1上蓋512と、前記第1上蓋512にある接続孔513とを備えた第1排気組510と、第2層521にある第2空気流路542と、前記第2層521を覆う第2上蓋522と、前記第2上蓋522の上にある排気孔523とを備え、前記第1排気組510の上に設けられた第2排気組520とを含み、前記第1空気流路541、前記接続孔513、前記第2空気流路542、及び前記排気孔523は前記排気流路550を形成する。この実施例において、前記第1空気流路541及び前記第2空気流路542は、同じ流路パターンを有する。他の実施例において、第1空気流路541及び第2空気流路542の流路パターンは異なる。
【0056】
(実施例6)
図6Aは、実施例6に係るバイオセンサーテストストリップ600の各構成要素の分解図である。
図6Bは、実施例6に係るバイオセンサーテストストリップ600の排気層640の上面透視図(各構成要素が積み重ねられた後)である。バイオセンサーテストストリップ600は、排気層が異なることを除いて実施例2のバイオセンサーテストストリップ200に似っている。バイオセンサーテストストリップ200の排気層240が1層の空気流路のみを有し、実施例6は3層の空気流路を有する。
図6A及び
図6Bを一緒に参照すると、排気層640は、第1層610と、前記第1層610を覆う第2層620と、前記第2層620を覆う第3層630とを含む。前記排気層640は、前記第1層610に配置された第1空気流路641と、前記第2層620に配置された第2空気流路642と、前記第3層630に配置された第3空気流路643とをさらに含み、前記第1空気流路641、前記第2空気流路層642、及び前記第3空気流路643は前記排気流路650を形成する。液体試料が前記反応流路222に入る場合、前記排気流路650内の空気の流れ方向は、次の順序を含む。すなわち、(1)前記第1層610から前記第2層620を経由して前記第3層630に入る。(2)次に前記第3層630から前記第2層620を経由して前記第1層610に戻る。(3)さらに前記第1層610から前記第2層620を経由して前記第3層630に入る。前記排気流路650内の空気の流れ方向は、前記順序(2)及び(3)を繰り返して順序(3)に滞留することをさらに含む。バイオセンサーテストストリップ600は、前記排気層640を覆う上蓋660をさらに含む。前記上蓋660は、排気孔661を有し、前記排気流路650内の空気の流れ方向は順序(3)の後に前記上蓋660の前記排気孔661に流れて排出されることをさらに含む。
図6Aを参照すると、第1空気流路641は、第3空気流路643に直接通じることができない。第1空気流路641は、第2空気流路642を介して第3空気流路643に通じる必要がある。
【0057】
図6A及び
図6Bを一緒に参照すると、第1層610、第2層620、及び第3層630は、それぞれ第1空気流路641、第2空気流路642、及び第3空気流路643を有し、各空気流路がそれぞれ互いに連通しない複数の部位を含む。排気流路650は、前記順序(1)、順序(2)、及び順序(3)がそれぞれ前記第1空気流路641を通って流れる部位が互いに異なるように構成されている。例えば順序(1)は、前記第1空気流路641の部位641aを通って流れる時、その後の順序(2)が前記第1空気流路641の部位641bを通って流れ、またその後の順序(3)が前記第1空気流路641の部位641cを通って流れる。同様に、排気流路650は、前記順序(1)、順序(2)、及び順序(3)がそれぞれ前記第2空気流路642を通って流れる部位が互いに異なるように構成されている。例えば順序(1)は、前記第2空気流路642の部位642aを通って流れる時、その後の順序(2)が前記第2空気流路642の部位642bを通って流れ、またその後の順序(3)が前記第2空気流路642の部位642cを通って流れる。同様に、排気流路650は、前記順序(1)、順序(2)、及び順序(3)がそれぞれ前記第3空気流路643を通って流れる部位が互いに異なるように構成されている。例えば順序(1)は、前記第3空気流路643の部位643aを通って流れる時、その後の順序(2)が前記第2空気流路643の部位643bを通って流れ、またその後の順序(3)が前記第2空気流路643の部位643cを通って流れる。
【0058】
(実施例7)
図7は、実施例7に係るバイオセンサーテストストリップ700の概略図であり、反応層720と基板層210の重ねられた透視図のみを示している。バイオセンサーテストストリップ700は、実施例2のバイオセンサーテストストリップ200に似っており、相違点として、バイオセンサーテストストリップ700は反応層720に設けた第1副排気流路710と、外部に直接排出できる副排気孔730とを含むことが挙げられる。第1副排気流路710は、前記反応流路221に連通される。他の実施例において、副排気孔730はその他の層にあってもよい。第1副排気流路710は、排気流路241の存在下で反応流路221の第1局所領域において他の領域よりも液体試料の流れを速くするために用いられ、前記第1局所領域は反応流路221と第1副排気流路710との交点を含む。前記第1局所領域は、前記反応流路221の試料採取口222から前記反応流路221と前記第1副排気流路710との交点まで延伸する領域790(
図7)をさらに含み得る。この実施例において、加速したい特定の第1局所領域は、試料採取口222から試薬領域223aまでの排気流路241である。この実施例において、第1副排気流路710は、液体試料が先に前記副排気孔730に接触してから排気流路241に対応する連通孔250に到達するように構成される。
図7を参照すると、この実施例において、第1副排気流路710は、液体試料がその中に入るのを可能にする。液体試料が試料採取口222に入る時、第1副排気流路710は、液体試料の流量を決定し、この時第1副排気流路710が空気抵抗機能を持たない場合、液体試料は反応流路221の毛管作用によってその流量を決定することができる。次に、液体試料が第1副排気流路710を満たすと、第1副排気流路710の機能がオフになる(すなわち、外気に通じない)。この時、反応流路221での液体試料の流量は、排気流路241によって制御する流量に戻る。第1副排気流路710は、反応流路221と外部に直接排出できる副排気孔730との間のチャネルである。 第1副排気流路710が短いほど、前記反応流路221での液体試料の流れをより加速することができる。この実施例において、第1副排気流路710は、液体試料が試料採取口222に入らない時、外気に通じ、開状態と呼ばれることに留意されたい。他の実施例において、第1副排気流路710は、反応流路221の任意の位置、例えば複数の試薬領域のうちの1つ又は複数を随意的に設ける。上記から、排気流路241の代わりに第1副排気流路710は反応流路221の第1局所領域の液体試料の流量を決定できることが分かる。
【0059】
別の実施例において、バイオセンサーテストストリップ700の反応層720は、第1副排気流路710に加えて、前記反応流路221に連通される第2副排気流路(図示せず)を有する。第2副排気流路は、液体試料が前記試料採取口222から入った後、先に前記第1副排気流路710に到達し、次に排気流路241の一部分を経由して前記第2副排気流路に到達し、さらに排気流路241の他部分を経由し、最後に排気流路241に対応する連通孔250に到達するように構成される。第1副排気流路710とは異なり、第2副排気流路710は液体試料が前記第1副排気流路710に入らない時、閉状態(外気に通じない)にある。液体試料が前記第1副排気流路710を閉じた後、適切なタイミングに前記第2副排気流路を閉状態から開状態(外気に通じる)に変えられることで、前記反応流路221の第2局所領域での液体試料の流れを加速させることができる。前記第2副排気流路を閉状態から開状態に変えるための各種適切な方法を有し得る。例えば電極ユニット211で液体試料が反応流路241の特定の位置を通過することを検出すると、前記第2副排気流路を開に作動させる。この実施例において、液体試料が試料採取口222に入らない時、排気流路241が存在する場合(開状態)、第1副排気流路710が開かれ、第2副排気流路が閉じられる。液体試料が試料採取口222に入る時(排気流路241の第1局所領域に入る)、第1副排気流路710は、液体試料の流量を決定する。液体試料が第1副排気流路710を満たす時、第1副排気流路が閉られ、第2副排気流路はまだ開かれていない場合、液体試料の流量は排気流路241によって制御される流量に戻る。次に、前記第2副排気流路が開かれると、液体試料が排気流路241の第2局所領域に入り、この時第2副排気流路は、液体試料が第2副排気流路を満たすまで、液体試料の流量を決定する。液体試料が第1副排気流路710を満たし、さらに第2副排気流を満たすと、この時液体試料の流量は、排気流路241によって制御される流量に戻る。上記から、排気流路241の代わりに第2副排気流路は、反応流路の第2局所領域の液体試料の流量を決定できることが分かる。
【0060】
(実施例8)
図8は、実施例8のバイオセンサーテストストリップ800の概略図であり、反応層820と基板層810の重ねられた上面透視図のみを示している。バイオセンサーテストストリップ800と実施例2のバイオセンサーテストストリップ200との相違点は、反応層820の反応流路821の構成及び基板層810の電極ユニットの構成にある。実施例8の特徴は、反応流路821の経路が少なくとも1つの湾曲部を含み、湾曲部を介して反応流路821での液体試料の流量を減少させることができる。図に示すように、試料採取口822から開始して、反応流路の経路は湾曲部821a、湾曲部821b、湾曲部821c、湾曲部821d、湾曲部821e、湾曲部821f、及び湾曲部821gを含む。
【0061】
図8を参照すると、実施例8の別の特徴は、反応流路821の断面積が前記反応流路821を通過する領域の違いによって変化することである。図に示すように、反応流路821の断面積は、試料採取口822から反応流路821の末端821tまで均しく同じではない。例えば図に示す領域Bは、断面積が大きい領域である。反応流路821の特定第1局所領域の断面積を変更することにより、前記特定第1局所領域での液体試料の流量を微調整することができる。
【0062】
図9A、
図9B及び
図9Cは、排気流路のない従来のバイオセンサーテストストリップ900の操作を示す写真である。
図9Aの写真は、液体試料Sがバイオセンサーテストストリップ900の反応流路920にちょうど滴下した様子を表示し、
図9AのタイマーTに表示している時間が04秒であった。
図9Bの写真は、液体試料Sが反応流路920の2/3以上を流れた様子を表示し、
図9BのタイマーTに表示している時間が06秒であった。
図9Cの写真は、液体試料Sが反応流路920の最末端に到達した様子を表示し、
図9CのタイマーTに表示している時間が07秒であった。以上は、排気流路のないバイオセンサーテストストリップ900の液体試料Sが反応流路920を満たす時間は10秒未満かかることを示す。
【0063】
図10A、
図10B、
図10C、
図10D、
図10E、及び
図10Fは、本発明の一実施例に係るバイオセンサーテストストリップ1000の操作を示す写真である。バイオセンサーテストストリップ1000は、実施例2と類似する排気流路を有する。バイオセンサーテストストリップ1000の反応流路の形状は、バイオセンサーテストストリップ900と同じである。
図10Aの写真は、液体試料Sがバイオセンサーテストストリップ1000の反応流路1020にちょうど滴下した様子を表示し、
図10AのタイマーTに表示している時間が31秒であった。
図10B、
図10C、
図10D、
図10E、及び
図10Fは、液体試料Sが反応流路1020を通って最末端まで流れる過程を順次示し、各写真のタイマーTに表示している時間が1分31秒、2分31秒、3分31秒、4分31秒、5分44秒であった。以上は、本発明の排気流路を有するバイオセンサーテストストリップ1000の実施例の液体試料が反応流路1020を満たす時間は、5分44秒かかることを示している。
【0064】
図11A、
図11B、及び
図11Cは、本発明の一実施例に係るバイオセンサーテストストリップ1100の操作を示す写真である。バイオセンサーテストストリップ1100は、実施例2に示すものに似っている排気流路を有する。バイオセンサーテストストリップ1100の反応流路の形状は、バイオセンサーテストストリップ1000と同じであるが、1つの副排気流路1120を追加している。
図11Aの写真は、液体試料Sがバイオセンサーテストストリップ1100の反応流路1020にちょうど滴下し、副排気流路1120を迅速に満たすことを示し、
図11AのタイマーTに表示している時間が06秒であった。
図11B及び
図11Cは、液体試料Sが反応流路1020を通って最末端まで流れる過程を順次示し、各写真のタイマーTに表示している時間が1分31秒、5分31秒であった。以上は、本発明の排気流路及び副排気流路を有するバイオセンサーテストストリップ1100の実施例の液体試料が反応流路を満たす時間は、5分31秒かかることを示し、
図10A~10Fに示す実施例(排気流路あり、無副排気流路なし)の所要の時間よりも少ない。
【0065】
本発明の精神又は本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で本発明を具体化することができる。前記の具体的実施例の態様は、例示にすぎず、限定的ではないと見なされるべきである。したがって、本発明の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の均等の意味及び範囲内に入る変更は、特許請求の範囲内に網羅すると見なされる。
【符号の説明】
【0066】
1000 バイオセンサーテストストリップ
100 バイオセンサーテストストリップ
101 試料採取端
1020 反応流路
1100 バイオセンサーテストストリップ
110 基板層
1120 副排気流路
120 反応層
121 反応流路
130 仕切板層
140 排気層
141 排気流路
150 連通孔
160 上蓋
161 排気孔
190 液体試料
200 バイオセンサーテストストリップ
201 試料採取端
202 連結端
210 基板層
211 電極ユニット
220 反応層
221 反応流路
221T 末端
222 試料採取端
223a、223b、223c、223d 試薬領域
224 試薬
230 仕切板層
231 第1切欠部
241 排気流路
242 第2切欠部
250 連通孔
260 上蓋
261 排気孔
262 第3切欠部
300 バイオセンサーテストストリップ
310 親水性層
311 第1露出口
312 第2露出口
313 第3露出口
410 チョークバルブ
411 下槽
412 中槽
413 開口部
413p 水平面
414 底部
414c 連結部分
415 上槽
Α 波面弧
Β 接触角
Θ 接触角
W 幅
500 バイオセンサーテストストリップ
510 第1排気組
511 第1層
512 第1上蓋
513 接続孔
520 第2排気組
521 第2層
522 第2上蓋
523 排気孔
540 排気層
541 第1空気流路
542 第2空気流路
550 排気流路
600 バイオセンサーテストストリップ
610 第1層
620 第2層
630 第3層
640 排気層
641 第1空気流路
641a、641b、641c 部位
642 第2空気流路
642a、642b、642c 部位
643 第3空気流路
643a、643b、643c 部位
650 排気流路
660 上蓋
661 排気孔
700 バイオセンサーテストストリップ
710 第1副排気流路
720 反応層
730 副排気孔
790 領域
800 バイオセンサーテストストリップ
810 基板層
811 基板層
820 反応層
821 反応流路
821a、821b、821c、821d、821e、821f、821g 湾曲部
821t 末端
821f 湾曲部
822 試料採取口
900 バイオセンサーテストストリップ
920 反応流路
B 領域
F 矢印/空気の流動方向
S 液体試料
T タイマー
V1 体積
V2 体積
【国際調査報告】