(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】サージカルフード用の多層バイザーシステムを製造する方法
(51)【国際特許分類】
A41D 13/12 20060101AFI20230118BHJP
B32B 7/06 20190101ALI20230118BHJP
B29C 48/21 20190101ALI20230118BHJP
B29C 48/17 20190101ALI20230118BHJP
A42B 1/012 20210101ALI20230118BHJP
A42B 1/04 20210101ALI20230118BHJP
A42B 1/0182 20210101ALI20230118BHJP
A42B 1/0195 20210101ALI20230118BHJP
A42B 1/048 20210101ALI20230118BHJP
A42B 1/0186 20210101ALI20230118BHJP
A42B 1/019 20210101ALI20230118BHJP
【FI】
A41D13/12 118
B32B7/06
B29C48/21
B29C48/17
A42B1/012
A42B1/04 C
A42B1/0182
A42B1/0195
A42B1/04 P
A42B1/048
A42B1/0186 E
A41D13/12 109
A42B1/019 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527173
(86)(22)【出願日】2020-11-09
(85)【翻訳文提出日】2022-05-20
(86)【国際出願番号】 US2020059639
(87)【国際公開番号】W WO2021096795
(87)【国際公開日】2021-05-20
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518263531
【氏名又は名称】オーアンドエム ハリヤード インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャスコム、ジェラルド・ティー
(72)【発明者】
【氏名】ミタニ、ナミタ・エー
【テーマコード(参考)】
3B011
4F100
4F207
【Fターム(参考)】
3B011AA00
3B011AA01
3B011AA02
3B011AB06
3B011AC00
4F100AK41A
4F100AK45A
4F100AR00C
4F100AR00D
4F100AT00A
4F100BA02
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4F207AR06
4F207KA01
4F207KA17
4F207KB26
(57)【要約】
サージカルフードまたは衣服のための多層バイザーシステムが提供される。本システムは、ベースフィルム層と、フィルム層の各々の間に滅菌表面を形成するべく、高温で共押出される1以上の除去可能フィルム層とを含み、外科処置の過程で汚れたまたは飛沫等が飛散した除去可能フィルム層を剥離することにより、外科医の視界が妨げられない状態を維持する。したがって、バイザーシステムの層を滅菌するために、別個の滅菌ステップを必要としない。除去可能フィルム層の各々は、さらに、最外側の除去可能フィルム層を除去するためにどのタブを最初に引っ張るべきかを着用者が容易に知ることができるように、着用者がタブを容易に区別することができるような独自の特徴を備えたタブを含んでいてもよい。さらに、タブが除去可能フィルムの外周に位置するので、視界が妨げられることはない。加えて、フィルム層は、下側にある除去可能フィルム層またはベースフィルム層から容易に除去されるまで、所定の位置に確実に保持される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人保護用システムの多層バイザーシステムを製造する方法であって、
前記多層バイザーシステムは、第1の外周を画定するベースフィルム層及び、第2の外周を画定し、かつ前記ベースフィルム層の外面に除去可能に取り付けられた第1の除去可能フィルム層を含み、
前記第1の除去可能フィルム層の前記第2の外周は、前記ベースフィルム層の前記第1の外周に完全に包含されており、
ベースフィルム及び第1の除去可能フィルムを含むバイザー複合フィルムを共押出するステップと、
前記ベースフィルム及び前記第1の除去可能フィルムを前記ベースフィルム層の前記第1の外周の形状にそれぞれ切断するステップと、
前記第1の除去可能フィルムを、前記第1の除去可能フィルム層の前記第2の外周の形状に切断するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記ベースフィルム層の前記外面が、別個の滅菌ステップを実施することなく滅菌される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記共押出するステップが、少なくとも摂氏約280度(華氏535度)の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記多層バイザーシステムが、前記第1の除去可能フィルム層の外面に除去可能に取り付けられた第2の除去可能フィルム層をさらに含み、
前記第2の除去可能フィルム層が第3の外周を画定し、
前記第2の除去可能フィルム層の前記第3の外周は、前記ベースフィルム層の前記第1の外周に完全に包含されており、
前記バイザー複合フィルムを共押出するステップは、第2の除去可能フィルムを、前記第1の除去可能フィルム及び前記ベースフィルムと共押出するステップを含み、
前記第2の除去可能フィルムを前記第2の除去可能フィルム層の前記第3の外周の形状に切断するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の除去可能フィルム層の前記第3の外周が、前記第1の除去可能フィルム層の前記第2の外周に完全に包含されている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の除去可能フィルム層の前記外面が、別個の滅菌ステップを実施することなく滅菌される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記共押出するステップが、少なくとも摂氏約280度(華氏535度)の温度で実施される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
外周を有するバイザー形状を形成するべく前記ベースフィルム及び前記第1の除去可能フィルムを切断するステップは、ダイカットによって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
着色フィルムの第1のストリップを、前記第1の除去可能フィルム層に隣接する前記第1の除去可能フィルム層の前記第2の外周の上端に位置合わせするステップと、
第1の着色タブを形成するべく、前記着色フィルムの前記第1のストリップを、前記第1の除去可能フィルム層の前記第2の外周の前記上端に沿って切断するステップとをさらに含み、
前記第1の着色タブは、前記ベースフィルムからの前記第1の除去可能フィルムのユーザによる除去を容易にする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記着色フィルムの第2のストリップを、第2の除去可能フィルム層に隣接する前記第2の除去可能フィルム層の第3の外周の上端と位置合わせするステップと、
第2の着色タブを形成するべく、前記着色フィルムの前記第2のストリップを、前記第2の除去可能フィルム層の前記第3の外周の前記上端に沿って切断するステップとをさらに含み、
前記第2の着色タブは、前記第1の除去可能フィルム層からの前記第2の除去可能フィルム層のユーザによる除去を容易にするように構成される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
無菌の保護用サージカル衣服の製造方法であって、
ベースフィルム層と、前記ベースフィルム層の外面に除去可能に取り付けられた第1の除去可能フィルム層とを含む多層バイザーシステムを、前記ベースフィルム層及び前記第1の除去可能フィルム層が共押出され、前記ベースフィルム層の前記外面は滅菌されるようにして、提供するステップと、
不織布材料、ヘルメット等の帽子を含むサージカルフードを提供するステップと、
保護用サージカル衣服を形成するべく、前記多層バイザーシステムを前記サージカルフード、前記ヘルメット等の帽子の取り付け領域に取り付けるステップと、
保護用サージカル衣服を滅菌するべく、保護用サージカルフードをエチレンオキサイドガスに曝すステップとを含む方法。
【請求項12】
個人用保護システム用の多層バイザーシステムであって、
ベースフィルム層と、
前記ベースフィルム層の外面に除去可能に取り付けられた第1の除去可能フィルム層とを含み、
前記ベースフィルム層及び前記第1の除去可能フィルム層は共押出されている、システム。
【請求項13】
前記ベースフィルム層が第1の外周を画定し、前記第1の除去可能フィルム層が第2の外周を画定し、前記第1の除去可能フィルム層の前記第2の外周が前記ベースフィルム層の前記第1の外周に完全に包含されている、請求項12に記載の多層バイザーシステム。
【請求項14】
前記ベースフィルム層の前記外面が無菌であるように構成される、請求項12に記載の多層バイザーシステム。
【請求項15】
前記ベースフィルム層がポリエステルまたはポリカーボネートを含む、請求項12に記載の多層バイザーシステム。
【請求項16】
前記第1の除去可能フィルム層が、ポリエステルまたはポリカーボネートを含む、請求項12に記載の多層バイザーシステム。
【請求項17】
前記ベースフィルム層の内面に塗布される反射防止コーティングをさらに含む、請求項12に記載の多層バイザーシステム。
【請求項18】
前記ベースフィルム層の内面に除去可能に取り付けられた保護フィルムをさらに含む、請求項12に記載の多層バイザーシステム。
【請求項19】
前記第1の除去可能フィルム層がタブを含み、前記タブは、前記ベースフィルム層からの前記第1の除去可能フィルム層の除去を容易にする、請求項12に記載の多層バイザーシステム。
【請求項20】
前記第1の除去可能フィルム層は、透明な視認部及び着色タブ部を含む、請求項12に記載の多層バイザーシステム。
【請求項21】
前記第1の除去可能フィルム層の外面に除去可能に取り付けられた第2の除去可能フィルム層をさらに含み
前記第1の除去可能フィルム層及び前記第2の除去可能フィルム層は、共押出されている、請求項12に記載の多層バイザーシステム。
【請求項22】
前記ベースフィルム層が第1の外周を画定し、前記第2の除去可能フィルム層が第3の外周を画定し、前記第2の除去可能フィルム層の前記第3の外周が前記ベースフィルム層の前記第1の外周に完全に包含されている、請求項21に記載の多層バイザーシステム。
【請求項23】
前記第1の除去可能フィルム層の前記外面が滅菌されている、請求項21に記載の多層バイザーシステム。
【請求項24】
前記第2の除去可能フィルム層がポリエステルまたはポリカーボネートを含む、請求項21に記載の多層バイザーシステム。
【請求項25】
前記第2の除去可能フィルム層がタブを含み、前記タブが、前記第1の除去可能フィルム層からの前記第2の除去可能フィルム層の除去を容易にする、請求項21に記載の多層バイザーシステム。
【請求項26】
前記第1の除去可能フィルム層がタブを含み、
前記第1の除去可能フィルム層の前記タブは、前記第2の除去可能フィルム層の前記タブと視覚的に異なる、請求項25に記載の多層バイザーシステム。
【請求項27】
請求項12に記載の前記多層バイザーシステムを含むサージカルフードであって、
前記サージカルフード及び前記多層バイザーシステムが滅菌されている、サージカルフード。
【請求項28】
一体型サージカルフード及び請求項12に記載の多層バイザーシステムを含むサージカルガウンであって、
前記サージカルガウン、前記一体型サージカルフード及び前記多層バイザーシステムが滅菌されている、サージカルガウン。
【請求項29】
請求項12の多層バイザーシステムを備えたサージカルガウン及び別個のサージカルフードを含む個人用保護システムであって、
前記個人用保護システムが単一パッケージでエチレンガスにより滅菌されている、個人用保護システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年11月13日に出願された米国特許出願第16/681,911号明細書の利益を主張しており、それらの出願の全開示は、引用を以て本明細書の一部となす。
【0002】
本発明の主題は、広くは、手術室における医療提供者や、危険な物質や液体に曝される危険性のある他の環境における人々が着用するサージカルガウン(衣服)、ヘルメット、及び換気システムと共に使用することができるサージカルフードのバイザー要素に関する。
【0003】
外科医等の医療提供者は、手術室の無菌状態の確保、着用者の保護、及び着用者にとって快適な環境を作り出すために、手術中、特に、膝、股関節、肩の関節形成術及び再置換術などの整形外科的全関節置換術中に、不織布製のサージカルスーツまたはガウン、バイザー付きフード、及び空冷式または換気システムの組み合わせを着用することがよくある。そのような手術中には、生体液のエアロゾルまたは液滴の飛沫がバイザーに付着することにより、外科医等の医療提供者の視界を妨げる恐れがある。したがって、外科医等の医療提供者により良い視界を提供するために、バイザーは、1以上の透明な除去可能フィルムを含む。外科医等の医療提供者は、透明な除去可能フィルムに生体液や組織等が付着して視界が妨げられた場合には、そのフィルムを除去または剥離することにより、除去された透明フィルムの下側に配置されたバイザーの他の透明な除去可能フィルムまたは透明ベースフィルムの汚れていないきれいな表面を露出させる。透明な除去可能フィルム及び透明ベースフィルムは無菌である必要があるが、これらの透明フィルムは互いに密接的に接触しているため、これらの透明フィルムの適切な滅菌はしばしば問題となる。
【0004】
現在、全ての不織布製のサージカルスーツまたはガウン及びフードの滅菌には、エチレンオキサイド(EO)ガスが用いられている。しかしながら、EOガスを用いて複数の透明フィルムを有するバイザーを滅菌する場合、通常、それらの透明フィルムは互いに対して直接的に接触しており、そのようなポリエステル製のフィルムはガスを透過しないという問題が存在する。すなわち、このようなフィルム層間の直接的な接触及びポリエステルフィルムの非透過性により、EOガスが最外側に露出した透明フィルムを透過して、その透明フィルムの下側に配置された他の透明フィルムを滅菌することが妨げられてしまう。
【0005】
そこで、場合によっては、下側に配置された露出していない透明フィルムを滅菌するために、ガンマ線照射や電子ビーム照射などの放射線滅菌を用いることにより、複数の透明フィルムを有するバイザーを事前に滅菌することがある。しかしながら、バイザーの放射線滅菌は、バイザーが個人用保護システムとしてのフードまたはサージカルスーツに取り付けられる前に行う必要がある。例えば、バイザーを含むフードや、1以上の不織布製のガウン、またはスーツなどの最終形態の個人用保護システムに放射線滅菌を行う場合、ポリプロピレン不織布に、強度、耐久性、または完全性(integrity)を喪失するような劣化を引き起こしたり、不快な臭いを発生させたりする。さらに、そのような放射線滅菌により、不織布の経時的安定性が許容し難いほど損なわれる恐れがある。したがって、放射線による事前の滅菌ステップは、多層バイザーを個人用保護システムに取り付ける前に実施することが必要である。そしてその後、EOガスを用いることにより、最終形態となった個人用保護システムを滅菌する。しかしながら、最終形態であるサージカルフードまたは個人用保護システムへのEOガスによる滅菌に加えて、多層バイザーの事前の滅菌ステップを別個に実行すると、製造時間及びコストの両方が大幅に増加する。
【0006】
したがって、透明ベースフィルム及び透明ベースフィルムに取り付けられた1以上の透明な除去可能フィルムを有するバイザーであって、バイザーが共に着用されるフード及び/または、サージカルスーツもしくはガウンに組み込まれる前に別個に行われる事前の滅菌ステップを必要としないものが求められている。特に、フィルムを除去しやすくするために、透明な除去可能フィルムを互いに区別するための1以上の特徴を備えた2以上の透明な除去可能フィルムを有するバイザーもまた有用であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、個人用保護システム用の多層バイザーシステムを製造する方法に関する。多層バイザーシステムは、ベースフィルム層と、ベースフィルム層の外面に除去可能に取り付けられた第1の除去可能フィルム層とを含み、ベースフィルム層は、第1の外周を画定し、第1の除去可能フィルム層は、第2の外周を画定し、第1の除去可能フィルム層の第2の外周は、ベースフィルム層の第1の外周内に完全に包含される。この方法は、ベースフィルム及び第1の除去可能フィルムを含むバイザーを共押出するステップと、ベースフィルム及び第1の除去可能フィルムをベースフィルム層の第1の外周の形状に切断するステップと、第1の除去可能フィルムを、第1の除去可能フィルム層の第2の外周の形状に切断するステップとを含む。
【0008】
ある実施形態では、ベースフィルム層の外面は、別個の滅菌ステップを実施することなく滅菌される。
【0009】
他の実施形態では、共押出するステップは、少なくとも摂氏約280度(華氏535度)の温度で実施される。
【0010】
さらなる実施形態では、多層バイザーシステムは、第1の除去可能フィルム層の外面に除去可能に取り付けられた第2の除去可能フィルム層をさらに含み、第2の除去可能フィルム層は第3の外周を画定し、第2の除去可能フィルム層の第3の外周は、ベースフィルム層の第1の外周に完全に包含されている。ここで、バイザーの多層のフィルムを共押出するステップは、第2の除去可能フィルムと、第1の除去可能フィルム及びベースフィルムとを共押出するステップを含む。さらに、第2の除去可能フィルム層の第3の外周を形成するべく、第2の除去可能フィルムを切断するステップを含む。さらに、第2の除去可能フィルム層の第3の外周は、第1の除去可能フィルム層の第2の外周に完全に包含されていてもよい。さらに、第1の除去可能フィルム層の第2の外周は、別個の滅菌ステップを実施することなく滅菌される。
【0011】
さらなる他の実施形態では、周囲を有するバイザー形状を形成するべく、ベースフィルム及び第1の除去可能フィルムを切断するステップは、ダイカットによって実施される。
【0012】
さらなる他の実施形態において、この方法は、着色フィルムの第1のストリップを、第1の除去可能フィルム層に隣接する第1の除去可能フィルム層の第2の外周の上端に位置合わせするステップと、第1の着色タブを形成するべく、着色フィルムの第1のストリップを第1の除去可能フィルム層の第2の外周の上端に沿って切断するステップとを含み、第1の着色タブは、ベースフィルムからの第1の除去可能フィルムのユーザによる除去を容易にするように構成される。さらに、この方法は、以下のステップをさらに含むことができる。着色フィルムの第2のストリップを、第2の除去可能フィルム層に隣接する第2の除去可能フィルム層の第3の外周の上端に位置合わせするステップと、第2の着色タブを形成するべく、着色フィルムの第2のストリップを、第2の除去可能フィルム層の第3の外周の上端に沿って切断するステップとをさらに含み、第2の着色タブは、第1の除去可能フィルム層からの第2の除去可能フィルム層のユーザによる除去を容易にするように構成される。
【0013】
本発明はさらに、個人用保護システムのための多層バイザーシステムに関する。バイザーシステムは、ベースフィルム層と、ベースフィルム層の外面に除去可能に取り付けられた第1の除去可能フィルム層とを含む。ベースフィルム層及び第1の除去可能フィルム層は共押出されている。
【0014】
ある実施形態では、ベースフィルム層は第1の外周を画定し、第1の除去可能フィルム層は第2の外周を規定し、第1の除去可能フィルム層の第2の外周は、ベースフィルム層の第1の外周に完全に包含されている。
【0015】
他の実施形態では、ベースフィルム層の外面は無菌であるように構成される。
【0016】
さらなる実施形態では、ベースフィルム層は、ポリエステルまたはポリカーボネートを含む。
【0017】
さらなる他の実施形態では、第1の除去可能フィルム層は、ポリエステルまたはポリカーボネートを含む。
【0018】
追加の実施形態では、バイザーシステムは、ベースフィルム層の内面に塗布される反射防止コーティングを含む。
【0019】
さらなる他の実施形態では、バイザーシステムは、ベースフィルム層の内面に除去可能に取り付けられた保護フィルムを含む。
【0020】
さらにある実施形態では、第1の除去可能フィルム層がタブを含み、タブは、ベースフィルム層からの第1の除去可能フィルム層の除去を容易にするように構成される。
【0021】
他の実施形態では、第1の除去可能フィルム層は、透明な視認部及び着色タブ部を含む。
【0022】
さらなる実施形態では、バイザーシステムは、第1の除去可能フィルム層の外面に除去可能に取り付けられた第2の除去可能フィルム層を含む。ここで、第1の除去可能フィルム層及び第2の除去可能フィルム層は、共押出されている。さらに、ベースフィルム層は第1の外周を画定し、第2の除去可能フィルム層は第3の外周を画定し、第2の除去可能フィルム層の第3の外周は、ベースフィルム層の第1の外周に完全に包含される。さらに、第1の除去可能フィルム層の外面は無菌であってもよい。さらに、第2の除去可能フィルム層は、ポリエステルまたはポリカーボネートを含んでいてもよい。さらに、第2の除去可能フィルム層は、タブを含んでいてもよく、タブは、第1の除去可能フィルム層からの第2の除去可能フィルム層の除去を容易にする。さらに、最初の除去可能フィルム層はタブを含んでいてもよい。さらに、第1の除去可能フィルム層のタブは、第2の除去可能フィルム層のタブと視覚的に異なっていてもよい。
【0023】
本発明はさらに、サージカルフード及び多層バイザーシステムが無菌である、上記のような多層バイザーシステムに関する。
【0024】
本発明はまた、上述したような一体型サージカルフード及び多層バイザーシステムを含むサージカルガウンに関するものであり、サージカルガウン、一体型サージカルフード、及び多層バイザーシステムは無菌であるように構成される。
【0025】
本発明はさらに、サージカルガウンを含む個人用保護システムと、上記のような多層バイザーシステムを含む別個のサージカルフードに関するものであり、個人用保護システムは、1つのパッケージでエチレンガスにより滅菌される。
【0026】
本発明はさらに、無菌の保護用サージカル衣服を製造する方法に関する。この方法は、ベースフィルム層の外面が無菌であるように構成される、上記のような多層バイザーシステムを提供するステップと、不織布材料、ヘルメット等の帽子を含むサージカルフードを提供するステップと、保護用サージカル衣服を形成するべく、多層バイザーシステムをサージカルフード、ヘルメット、または帽子の取り付け領域に取り付けるステップと、保護用サージカル衣服を滅菌するべく、保護サージカルフードをEOガスに曝すステップとを含む。
【0027】
本発明の上記等の特徴、態様及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を参照することにより、より良く理解できるであろう。添付図面は、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、本発明の実施形態を図示し、本明細書と共に本発明の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0028】
当業者を対象にした本発明の完全かつ実現可能な開示(ベストモードを含む)が、添付図面を参照して、本明細書の残りの部分により詳細に説明される。
【0029】
【
図1】本発明の一実施形態に係るバイザーシステムの正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る共押出されたバイザーフィルムの層の概略図である。
【
図4A】
図1のバイザーシステムの剥離タブの実施形態に係る正面図である。
【
図4B】
図1のバイザーシステムの剥離タブの実施形態に係る正面図である。
【
図4C】
図1のバイザーシステムの剥離タブの実施形態に係る正面図である。
【
図4D】
図1のバイザーシステムの剥離タブの実施形態に係る正面図である。
【
図5】本発明のバイザーシステムの剥離層の配置を変更した正面図である。
【
図6】
図1のバイザーシステムを組み込んだサージカルフードを示す図である。
【
図7】本発明のバイザーシステムを製造するための方法の順序を示すフローチャートである。
【
図8】本発明のバイザーシステムを含む無菌の保護用サージカル衣服を製造するための方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の様々な実施形態及びその1以上の実施例について詳細に説明する。各実施例は、本発明を説明するために提示されたものであり、本発明を限定するものではない。実際、本発明において、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明の様々な変更形態及び変形形態が可能であることは、当業者にとって明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として例示または説明された特徴を、別の実施形態を用いて、さらなる別の実施形態を創出することもできる。したがって、本発明は、添付された特許請求の範囲及びその均等物の範囲に含まれる限り、そのような変更形態及び変形形態を包含することを意図している。
【0031】
本明細書で、「約」、「ほぼ」、または「広く」という用語を値の変更に使用する場合、値が5%上下しても、開示された実施形態内に留まることを示す。さらに、複数の範囲が設けられている場合、複数の範囲に記載された最小値及び最大値の任意の組み合わせが本発明により企図される。例えば、「約20%~約80%」及び「約30%~約70%」の範囲が記載されている場合、本発明では「約20%~約70%」の範囲または「約30%~約80%」の範囲も企図される。
【0032】
広く言えば、本発明は、個人用保護システムの構成要素となり得るサージカルフード用のバイザーシステムに関する。実施形態によっては、個人用保護システムは、換気システムを備えていてもよい。本発明はさらに、バイザーシステムを製造する方法、及びバイザーシステムを組み込み、かつ、該バイザーシステムの事前の滅菌ステップを必要としない保護用サージカル衣服を製造する方法に関する。バイザーシステムは、ベースフィルム層と、少なくともベースフィルム層の外面に除去可能に取り付けられた第1の除去可能フィルム層とを含む。ベースフィルム層及び第1の除去可能フィルム層は共押出されている。具体的には、一実施形態では、第1の除去可能フィルムは、ベースフィルムの外面に除去可能に取り付けられ、第2の除去可能フィルムは、第1の除去可能フィルムの外面に除去可能に取り付けられる。また、ベースフィルム層、第1の除去可能フィルム層、及び第2の除去可能フィルム層のそれぞれは、共押出されたフィルムであるように構成される。フィルムは、各フィルム層の無菌性を確保するのに十分な高い温度で同時に共押出される。無菌性とは、製品に病原菌存在する確率を概念化したものである。食品医薬品局が医療機器に要求する安全な無菌性保証レベル(「SAL」)、すなわち「ターミナルキル(Terminal kill)」は10-6であり、これは100万個に1個の割合で1の微生物が含まれる可能性があることを意味する。換言すると、ターミナルキルは一般的に細菌の6logの減少を意味する。フィルムの共押出の温度は「ターミナルキル」を達成するのに十分な程度高いため、多層バイザーシステムの各層を滅菌するための別個の滅菌ステップを必要としない。本発明のバイザーシステムの透明フィルムは、EOガスを透過しない材料であるポリカーボネートまたはポリエステルから形成されてもよいが、熱可塑性フィルム材料を共押出するときの高い温度は、フィルム層間の無菌性を達成するのに十分な温度である。また、各フィルム層間の酸素不足により、無菌状態を維持することができる。したがって、バイザーシステムを滅菌された保護衣服に組み込む前の、バイザーシステムの事前の滅菌ステップを必要としない。
【0033】
つまり、本発明のバイザーシステムが企図する共押出アプローチを利用することにより、バイザーフィルム形成時に、各層間が無菌状態の多層バイザーシステムを形成することができる。これは、接着剤を用いる現在のフィルム取り付け方法とは全く対照的である。現在利用可能なバイザーシステムでは、本発明のバイザーシステムとは異なり、EOガスが、接着剤によって互いに結合されたフィルム間に浸透することができない。また、EOガスは、ポリエステルまたはポリカーボネート製の透明フィルムを透過することもできない。そのため、バイザーシステムをサージカルフードに取り付ける前に、放射線滅菌(例えば、ガンマ線滅菌)を用いてバイザーシステムを別個に滅菌する中間ステップをしばしば必要とする。その後、サージカルフードを、例えばEOガスによって滅菌するため、滅菌プロセスは非常に非効率的であり、時間のかかるものになっている。
【0034】
他方、本発明の企図する共押出フィルム層は、高温の共押出プロセスにより生物学的インジケータ(B1)微生物を死滅させ、各フィルム層の下層への無菌表面の提供を可能にする。したがって、本発明の成果である多層バイザーシステムは、形成後、サージカルフードまたはサージカルフードが取り付けられたサージカルガウンに対して、接着等の方法で取り付けられてもよい。そして、保護用衣服全体は、EOガスに曝されることにより、1回の工程で滅菌することができる。したがって、現在利用可能な多層バイザーシステムに必要とされる、複数の工程で個々の構成要素を滅菌する必要がない。これは、バイザーシステムのフィルム層の中間面が、共押出プロセスの高温によりフィルムの共押出時に滅菌され、その後、バイザーシステムの内面及び外面が、保護用サージカル衣服のその他の部分と共にEOガスにより滅菌されるためである。これにより、汚れた最外側の透明フィルムをバイザーシステムから剥離して廃棄した場合に、透明フィルム(例えば、ベースフィルム及び1以上の除去可能フィルム)の全てが無菌であるサージカルフード及び/またはガウンが得られる。
【0035】
さらに、本発明のバイザーシステムは、外科医等の医療提供者の邪魔にならないように、バイザーシステムの除去可能な透明フィルムの外周に、除去可能フィルム層のそれぞれを除去するための1以上の剥離用タブの配置を企図していることを理解されたい。さらに、様々な透明フィルムは、使用時に透明フィルムを互いに固定するのに十分な接着強度で互いに結合される。それと同時に、外科医等の医療提供者が、他のフィルム層を剥離したり、サージカルフード及びバイザーシステムが固定されている下側のヘルメットを離脱させたりすることなく、最外側の汚れた透明フィルムを容易に剥がして除去することを可能にする接着強度で互いに結合される。
【0036】
バイザーシステムのある特徴及び本発明の製造方法のより詳細な説明は、
図1~
図8を参照することにより、よりよく理解することができる。
【0037】
図1は、本発明によって企図される、あるバイザーシステム100の正面図を示している。バイザーシステム100は、ベースフィルム110を含む。ベースフィルム110は、上部112、下部114、第1の側部116、第2の側部118、及び、サージカルフードに組み込まれたときに着用者の顔から離れる方向に向く面であり、かつ、外部環境に曝され得る外向き面111(
図2を参照)と、サージカルフードに組み込まれたときに着用者の顔に最も近い面である内向き面(図示せず)を含む第1の外周124を有する。ベースフィルム110は、バイザーシステム100の第1の側部116及び第2の側部118から延びるタブ120及び122を含んでいてもよい。タブ120及び122を使用することにより、バイザーシステム100を、
図6に示すサージカルフード10などに固定してもよい。バイザーシステム100はまた、下側に配置された、汚れていないフィルム層を露出させるために、容易に剥離できるよう構成された少なくとも1つの除去可能フィルム、例えば、複数の除去可能フィルムを含む。例えば、バイザーシステム100は、
図1に示すように、ベースフィルム層110の第1の外周124内に完全に包含されるような、第2の外周152を有する第1の除去可能フィルム層140を少なくとも含んでいてもよい。例えば、
図1~
図2に示すように、バイザーシステム100は、第1の除去可能フィルム層140及び第2の除去可能フィルム層160を含み、第2の除去可能フィルム層160は、ベースフィルム層110の第1の外周124内に完全に包含されるような第3の外周172を有する。複数の除去可能フィルム層、例えば、除去可能フィルム層140及び160は、各々、タブ(例えば、タブ150及び170)を含んでいてもよく、これにより、最外側の除去可能フィルム層140または160が汚れたとき、またはそれらのフィルムが接触する血液、組織等の物質等の要因により着用者の視認性が低下したときに、着用者は最外側の除去可能フィルム層140または160を剥離することができる。
【0038】
図1~
図2に示すように、実施形態によっては、タブ150及び170は、バイザーシステム100の反対側にそれぞれ配置されてもよい。例えば、第1の除去可能フィルム層140のタブ150は、ベースフィルム層110の第1の側部116に隣接して配置されてもよく、第2の除去可能フィルム層160のタブ170は、ベースフィルム層110の第2の側部118に隣接して配置されてもよい。一方、他の実施形態(図示せず)では、タブ150及び170の両方を、バイザーシステム100の同一側に配置してもよい。タブ150及び170は、タブ150または170のいずれもがバイザーシステム100を通じた着用者の視野を遮らないように、各々、除去可能フィルム層140及び160の各々の上部、または除去可能フィルム層140及び160の側部の一方または両方に配置されてもよい。
図5は、第1の除去可能フィルム層140Aの一方側にタブ150Aを備えた第1の除去可能フィルム層140Aと、第2の除去可能フィルム層160Aの他方側にタブ170Aを備えた第2の除去可能フィルム層160Aとの組み合わせを有するバイザーシステム100Aの他の実施形態を示している。
図5に示すように、任意で、第2の除去可能フィルム層160Aは、タブ170Aの他方の側部に切断部161Aを含み、第1の除去可能フィルム層140Aのタブ150Aと一列に並ぶように配置してもよい。これにより、タブ150A及び第1の除去可能フィルム層140Aを露出させて、除去可能層を容易に区別することができる。
【0039】
図1に示すように、ベースフィルム110は、約13cm(5インチ)~約38cm(15インチ)の範囲、例えば、約16.5cm(6.5インチ)~約33cm(13インチ)、例えば、約20cm(8インチ)~約28cm(11インチ)の範囲でY方向の高さH1を有していてもよい。
【0040】
一方、第1の除去可能フィルム層140は、タブ150を含めて、約10cm(4インチ)~約33cm(13インチ)の範囲、例えば、約15cm(6インチ)~約28cm(11インチ)、例えば、約17.5cm(7インチ)~約25cm(10インチ)の範囲でY方向の高さH2を有していてもよい。タブ150を含まずに測定した場合、第1の除去可能フィルム層140は、約7.5cm(3インチ)~約30.5cm(12インチ)の範囲、例えば、約10cm(4インチ)~約28cm(11インチ)、例えば、約13cm(5インチ)~約23cm(9インチ)の範囲で、上端142から下端144まで延びるY方向の高さH3を有していてもよい。
【0041】
第2の除去可能フィルム層160はまた、タブ170を含めて、約7.5cm(3インチ)~約30.5cm(12インチ)の範囲、例えば約10cm(4インチ)~約28cm(11インチ)、例えば、約13cm(5インチ)~約23cm(9インチ)の範囲でY方向の高さH3を有していてもよい。すなわち、タブ170を含む第2の除去可能フィルム層160の高さが、タブ150を除く第1の除去可能フィルム層140の高さとほぼ同じであってもよい。タブ170を含まずに測定した場合、第2の除去可能フィルム層160は、約5cm(2インチ)~約28cm(11インチ)の範囲、例えば、約7.5cm(3インチ)~約25cm(10インチ)、例えば、約10cm(4インチ)~約20cm(8インチ)の範囲でY方向の高さH4を有していてもよい。
【0042】
さらに、ベースフィルム層110は、タブ120及び122を含めて、約33cm(13インチ)~約58cm(23インチ)の範囲、例えば、約35.5cm(14インチ)~約56cm(22インチ)、例えば、約38cm(15インチ)~約51cm(20インチ)の範囲でX方向の全幅W1を有していてもよい。また、ベースフィルム層110は、タブ120及び122を含まない場合、約28cm(11インチ)~約51cm(20インチ)の範囲、例えば、約30.5cm(12インチ)~約48cm(19インチ)、例えば、約35.5cm(14インチ)~約43cm(17インチ)の範囲でX方向の幅W2を有していてもよい。
【0043】
さらに、第1の除去可能フィルム層140及び第2の除去可能フィルム層160はそれぞれ、約23cm(9インチ)~約46cm(18インチ)、例えば、約25cm(10インチ)~約43cm(17インチ)、例えば、約30.5cm(12インチ)~約38cm(15インチ)の範囲で、X方向の幅W3を有していていもよい。
【0044】
さらに、タブ150及び170は、約1.3cm(0.5インチ)~約9cm(3.5インチ)の範囲、例えば、約2.5cm(1インチ)~約7.6cm(3インチ)、例えば、約3.8cm(1.5インチ)~約6.5cm(2.5インチ)の範囲で幅W4を有していてもよい。
【0045】
さらに、フィルム層110、140、及び160のそれぞれの寸法、またはバイザーシステム100に設けられた除去可能フィルムの枚数に関係なく、フィルムはそれぞれ透明であってもよく、そしてそれぞれのフィルムはポリカーボネートまたはポリエステルから形成されてもよい。ある実施形態では、フィルム110、140、及び160はポリエステルであってもよい。例えば、フィルムは、一般にPETと呼ばれる透明なポリマーポリエチレンテレフタレートから形成されてもよい。PETは熱可塑性であるため、高温により軟化して溶けるように構成される。
【0046】
本発明によるフィルムは、様々な方法で製造することができる。好ましい製造方法では、例えば、フラットフィルム共押出法による共押出を利用する。さらに、本発明によるフィルムの個々のコーティング及び全てのコーティングの両方は、押出、特にフラットフィルム共押出法により形成されてもよい。
図3に示すように、バイザーフィルム200のフラットフィルム共押出において、溶融ポリマー、例えばポリエステルを、複数の押出機及び出口開口部で合流するダイスロット、例えばフラットダイを通してキャストし、そのフラットフィルム形状を採用する。共押出プロセスは、異なる範囲で冷却する溶融温度及び粘度/密度の範囲で、ポリマー、例えば、ポリエステルを供給することができる。共押出フィルム202、206、及び208は、最終的な多層バイザーフィルム200のフィルム202、206、及び208間の除去の容易性を維持しながら、それに隣接する表面(すなわち、ベースフィルム202及び第1の除去可能フィルム206の間、並びに、第1の除去可能フィルム206及び第2の除去可能フィルム208の間)に接着性をもたらす極薄タイ層によって互いに結合されてもよい。
【0047】
バイザーフィルム200は、
図3に示すように、1以上の保護フィルム212を任意選択で含んでいてもよく、これは、バイザーフィルム200の最外層を形成してもよい。保護フィルム212は、任意の適切な保護熱可塑性フィルム材料、例えば、ポリエチレンフィルムから形成されてもよい。保護フィルム212を含む場合には、ベースフィルム202及び/または第2の除去可能フィルム208の無菌性を維持し、ベースフィルム202及び/または第2の除去可能フィルム208の完全性を保護することにより、例えば、傷から保護することが可能である。本発明の他の実施形態では、保護フィルム212は、ベースフィルム202、第1の除去可能フィルム206、及び第2の除去可能フィルム208の共押出後に、バイザーフィルム200またはバイザーシステム100の最外層のいずれかに付加してもよい。例えば、バイザーシステム100(図示せず)の実施形態では、以下で詳細に説明する接着ガスケット126をベースフィルム層110に付加した後、保護フィルム212を第2の除去可能フィルム層160の上に付加してもよい。
【0048】
本発明の態様によっては、フィルム202、206、及び208が共押出されるポリエステル材料の溶融温度は、摂氏約280~約288度(華氏約535~約550度)の範囲であってもよい。したがって、共押出される場合、フィルム202、206、及び208のそれぞれを形成する溶融ポリエステルの層は、一般に、摂氏約280~約288度(華氏約535~約550度)の溶融温度以上の温度である。バイザーシステム100の層110、140、及び160のそれぞれを形成するフィルム202、206、及び208を形成するために共押出されるポリエステル材料の非常に高い溶融温度が、層110、140及び160のそれぞれの間の無菌性を確保することにより、バイザーシステム100の無菌性に寄与している。
【0049】
一方、病院の蒸気式オートクレーブシステムは、外科用器具の滅菌に推奨される摂氏約134度~約137度(華氏約274~約278度)の温度でターミナルキルを達成している。無菌性とは、製品に病原菌存在する確率を概念化したものである。食品医薬品局が医療機器に要求する安全な無菌性保証レベル(「SAL」)、すなわち「ターミナルキル(Terminal kill)」は10-6であり、これは100万個に1個割合で1個の微生物が含まれる可能性があることを意味する。換言すると、ターミナルキルは一般的に細菌の6logの減少を意味する。
【0050】
したがって、摂氏約280~約288度(華氏約535~約550度)の溶融温度でのポリエステルの共押出、及びフィルムの間の空間、例えば、空気または酸素が無い状態でのフィルムの共押出により、ターミナルキルの推奨温度の範囲をはるかに上回ることになる。本発明者らは、ポリエステルフィルムの共押出が、バイザーシステム100の層の別個の滅菌ステップを必要とすることなく、バイザーシステム100のベースフィルム層110を形成するベースフィルム202の外面の滅菌、及びバイザーシステム100の第1の除去可能フィルム層140を形成する第1の除去可能フィルム206外面の滅菌を達成できることを見出した。共押出フィルム200の無菌性に関する臨床試験において、共押出フィルム200から形成された20個のサンプルバイザー100の、無菌性及び微生物の増殖について試験を行った。試験の結果、20個のバイザーの全てにおいて微生物が増殖しておらず、無菌であることが確認された。特に、滅菌に関する現在の基準では、20個のバイザーで試験された20個のサンプルサイズは、製品の無菌性を確立するために許容できるとされている。したがって、本発明のバイザー100は、滅菌基準を満たしている。
【0051】
例えば、
図3に示すように、ベースフィルム202、第1の除去可能フィルム206及び第2の除去可能フィルム208を含むバイザーフィルム200を共押出してもよく、それらのフィルムは、バイザーシステムの形成時に、ベースフィルム層110、第1の除去可能フィルム層140、及び第2の除去可能フィルム層160をそれぞれ形成する。
図3に示すように、バイザーフィルム200は、ベースフィルム202及び第1の除去可能フィルム206の間、並びに、第1の除去可能フィルム206及び第2の除去可能フィルム208の間に解放層(release layer)210をさらに含んでいてもよい。解放層210は、
図3に示すように、別個のフィルムであってもよく、または、ベースフィルム202、第1の除去可能フィルム206、もしくは第2の除去可能フィルム208と混合及び共押出された1以上の添加組成物であってもよい。解放層210は、バイザーシステム100の形成時に、除去可能フィルム206、208のそれぞれが、フィルムの隣接する層から容易に剥離することを可能にするように構成される。それぞれの解放層210は、外側の除去可能フィルム層と共に除去されるように構成される。例えば、バイザーシステム100の第2の除去可能フィルム層140が剥離されると、
図3に示すように、バイザーシステム100の第2の除去可能フィルム層140を形成する第2の除去可能フィルム208、及び第2の除去可能フィルム208に直接隣接する解放層210の両方が一緒に剥離される。
【0052】
さらに、
図3に示すように、バイザーフィルム200のベースフィルム202から形成されるベースフィルム層110は、約150マイクロメートル(6ミル)~約350マイクロメートル(14ミル)(1ミルは0.001インチ)の範囲、例えば、約175マイクロメートル(7ミル)~約325マイクロメートル(13ミル)、例えば、約200マイクロメートル(8ミル)~約300マイクロメートル(12ミル)の範囲でZ方向の膜厚T1を有していてもよい。一実施形態では、ベースフィルム層の厚さT1は、約250マイクロメートル(約10ミル)であってもよい。バイザーフィルム200の除去可能フィルム206及び208から形成される除去可能フィルム層140と160とは、約10マイクロメートル(0.4ミル)~約125マイクロメートル(5ミル)の範囲、例えば、約25マイクロメートル(1ミル)~約100マイクロメートル(4ミル)、例えば、約30マイクロメートル(1.2ミル)~約70マイクロメートル(3ミル)の範囲でZ方向の膜厚T2を有していてもよい。一実施形態では、除去可能フィルム層140及び160は、それぞれ、約50マイクロメートル(約2ミル)の厚さT2を有していてもよい。バイザーフィルム200の解放層210は、約5マイクロメートル(0.2ミル)~約25マイクロメートル(1ミル)の範囲で、フィルム200のZ方向の厚さT3を有していてもよい。さらに、保護フィルム212が設けられる場合、保護フィルム212は、約19マイクロメートル(0.75ミル)~約38マイクロメートル(約1.5ミル)の範囲でZ方向の厚さT4を有していてもよい。例えば、ノギスを用いて測定したZ方向の多層バイザーシステム100の総厚みT5は、約250マイクロメートル(約10ミル)~約400マイクロメートル(約16ミル)の範囲であってもよい。
【0053】
ベースフィルム層110、並びに複数の除去可能フィルム層、例えば、層140及び160を有するバイザーシステム100を通して見るとき、バイザーシステム100は、単一のプラスチックフィルムのように見える。本発明者らは、バイザーシステム100の透明度、すなわち光の透過率が、バイザーシステム100を形成するために使用されるフィルムの層の数に反比例することを見出した。したがって、より少ない層を有するバイザーシステム100は、一般に、より多くの層を有するバイザーシステムよりも光透過率の割合が高いことがある。本発明のバイザーシステム100は、外科医等の使用者に十分な視野を提供するために、約85%以上、例えば、約88%以上、例えば、約90%以上の目標光透過率を有する。さらに、本発明のバイザーシステム100は、外科医等の使用者に十分な視野を提供するための、高い透明度が求められている。バイザーシステム100は、約95%以上、例えば、約96%以上、例えば、約97%以上の目標透明度を有する。本発明者らは、外科医等のユーザのバイザーシステム100の除去可能な剥離層に対する要望が、外科医等のユーザにとってのバイザーシステム100の透明性及び透明度、例えば、手術等の医療処置を実行する際の明瞭な視野を確保するための重要性と同程度であることを見出した。本発明のバイザーシステムは、少なくとも約88%の光透過率と少なくとも約96%の透明度を維持しながら、一般に、例えば、1~約4つの剥離層といった、いくつかの剥離フィルム層を含んでいてもよい。
【0054】
一般的なポリエステルフィルムは、後方入射光を約8~11%反射するが、これは眼精疲労/疲労を引き起こすのに十分な数値である。したがって、反射防止コーティング204は、例えば、水性塗布、または
図3に示すように、ベースフィルム202の内面へ共押出されてもよい。反射防止コーティング204は、バイザーシステム100のグレアを低減するように構成される。グレアは、タスク(見ているもの)とグレアソース(光源など)の光度比が大きくなることにより発生する。態様によっては、反射防止コーティング204は、バイザーシステム100のグレア及び曇りの両方を低減するための反射防止及び防曇コーティングであってもよい。例えば、ベースフィルム202に適用し得る反射防止及び防曇コーティングは、3M(登録商標)社によって提供されるAFAR防曇反射防止剤である。AFARテクノロジーは80%以上の光吸収を備えているため、グレアを大幅に軽減する。
【0055】
バイザーフィルム200の形成後、例えば、上記のような共押出によって、バイザーシステム100は、バイザーフィルム200から個々の層110、140、及び160のそれぞれを切断することによって形成されてもよい。そのような方法の1つとして、バイザーフィルム200をダイカットまたはキスカットすることにより、バイザー層110、140、及び160を形成する。例えば、バイザーシステム100のベースフィルム層110の外周(上部)112の形状の第1のダイカットは、バイザーフィルム200のすべての層を切断してもよい。次いで、第1の除去可能フィルム層140の第2の外周152の形状の第2のダイカットは、第2の除去可能フィルム208及び第1の除去可能フィルム206を、解放層210と共に切断することにより、第1の除去可能フィルム層140を形成してもよい。次いで、第2の除去可能フィルム層160の第3の外周172の形状の第3のダイカットは、第2の除去可能フィルム208及びその隣接する解放層210のみを切断して、第2の除去可能フィルム層160を形成してもよい。したがって、バイザーシステム100のフィルム層110、140、及び160のそれぞれは、バイザーフィルム200からダイカットされてもよく、それぞれが、上記及び
図1~
図2に示すように、別個の形状及び寸法を有する。本発明の他の態様では、バイザーシステム100は、例えば、層110、140、及び160のそれぞれを所望の形状にレーザーカットすることにより、または層110、140、及び160のそれぞれを切断することができる任意の他の適切な方法により、バイザーフィルム200から形成されてもよい。
【0056】
図4A~
図4Eを参照すると、第1の除去可能フィルム層140及び第2の除去可能フィルム層160のタブ150、170は、それぞれ、着用者がタブ150、170を容易に区別できるようにするための、異なる形状、色、質感等の独自の特徴を有するように形成されてもよい。したがって、着用者は、タブ170を使用して、最も外側の、すなわち第2の除去可能フィルム層160を除去するために、どのタブを最初に引っ張るべきかをより容易に知ることができる。例えば、
図1~
図2、及び
図4A~
図4Bにも示しているが、
図4Aに詳細に示すタブ150は、
図4Bに詳細に示すタブ170とは異なる形状を有している。例えば、タブ150は、
図1及び
図2に示すように、第1の除去可能フィルム層140に隣接する上部151a、下部151b、及び側部151cを有する三角形状であってもよい。上部151aは、
図4Aに示すように、側部151cの上端と下部151bの他方端との間で傾斜していてもよい。対照的に、タブ170は、上部171a、第2の除去可能フィルム層160に隣接する下部171b、第1の側部171c及び第2の側部171dを有する四角形状であってもよい。第1及び第2の側部171c、171dはそれぞれ、タブ170がほぼ四辺形、例えば、長方形または台形を形成するように、上部171aと下部171bとの間を接続していてもよい。したがって、タブ150、170の異なる形状は、ユーザが2つのタブを区別して、どちらのタブを最初に引っ張るべきかの判断を容易にすることができる。
【0057】
さらに、第2のタブ170は、第1の色を有するように形成されてもよく、第1のタブ150は、第2の色を有するように形成されてもよいが、第2の色は、第1の色とは異なる。2つの色を簡単に区別できるように、第2の色が第1の色とは視覚的に対照的であることが理想である。タブ150及び170のそれぞれの色は、2つの異なる色の着色テープから形成されてもよく、それらは例えば、バイザーフィルム200と共押出されるか、またはバイザーシステム100をバイザーフィルム200から切断した後に除去可能フィルム層140及び160に取り付けられる。
【0058】
タブ150及び/または170は、着用者が触感に基づいてタブを区別できるように、異なる質感を有するようにさらに形成されてもよい。例えば、タブ170は、
図4Cに示すように、質感要素(textured elements)176を含んでいてもよく、その一方で、タブ150は、質感要素を含まず滑らかであってもよい。質感要素176は、任意の適切な手段、例えば、バイザーフィルム200の形成中の共押出、印刷、インプリント等の方法で3D造形、成形、または質感表面を得られる任意の他の適切な手段によってタブ上に形成されてもよい。一般に、タブの外向きの表面は、着用者が質感要素176を認識することができるように、質感要素176を含んでいるが、態様によっては、タブの両方の表面に質感要素176を含んでいてもよい。質感要素176は、例えば、直線または曲線などの線、破線、点及び/または一点鎖線パターン、円、渦巻き、チェック柄、斜め柄、または任意の他のパターンで形成されてもよく、質感要素176が、均一なパターンではなくランダムに形成されていてもよい。
【0059】
図4D~4Eに示すように、1以上のタブ、例えば、タブ170は、タブ170を折り畳むか、または折り目を付けることにより三次元形状を形成するための折り目178をさらに含んでいてもよい。
図4Eは、線E‐Eに沿って取られた
図4Dのタブ170の断面図である。タブは、1以上の折り目178を含んでいてもよい。例えば、複数の折り目178を含むことにより、しわの寄ったまたは不均一な質感を形成してもよい。
図4D及び
図4Eに示すような折り目178は、例えば、バイザーシステム100から離れる方向にタブ170の上部171aを折り畳むことにより、着用者がタブ170をより容易に見つけ、より容易に掴むことを可能にする。折り目178は、約20度~約100度、例えば、約30度~約90度、例えば、約45度~約60度の角度を形成してもよい。
【0060】
図1及び
図2では、接着ガスケット126をベースフィルム層110に適用してもよい。接着ガスケット126は、例えば、
図5に示すように、バイザーシステム100をサージカルフードに接着するように構成される。接着ガスケット126は、内周130及び外周128によって画定され、それにより、内周130は、バイザーシステム100がサージカルフード10に取り付けられるとき、除去可能フィルム層140、160が完全に露出したままになるように、第1の除去可能フィルム層140の第2の外周152を取り囲む。接着ガスケット126は、任意の適切な接着剤材料から形成されてもよい。例えば、ホットメルト接着剤、例えば、低温ポリオレフィンホットメルト接着剤または接着剤を使用してもよい。他の接着剤として、感圧接着剤または熱活性化接着剤を含んでいてもよい。接着ガスケット126をベースフィルム層110に適用した後、かつ、バイザーシステム100をサージカルフード10に取り付ける前に、サージカルフード10の組み立ての準備ができるまで、バイザーシステムの外層、例えば、第2の除去可能フィルム層160及び接着ガスケット126を保護するために、保護フィルム212を、接着ガスケット126と接触するようにバイザーシステム100上に配置してもよい。
【0061】
図6に示すように、バイザーシステム100のサージカルフード10への組み立てまたは移行中に、第2の除去可能フィルム層160に隣接する保護フィルム212は、接着ガスケット126を露出させるために除去されてもよい。次いで、バイザーシステム100は、サージカルフード10、他の医療用ヘルメットまたは医療用衣服の内側部分に挿入されてもよい。例えば、サージカルフード10は、不織布バリア布、例えば、ポリプロピレン不織布12から作製されてもよい。サージカルフード10は、取り付け領域14によって囲まれるバイザーシステム100を受け入れるように構成された切り欠き領域20を含んでいてもよい。次いで、接着ガスケット126は、
図6に示すように、サージカルフード10の内側部分の取り付け領域14に適用される。サージカルフード10を組み立てた後、ベースフィルム層110の内側に保護フィルム212が設けられている場合、それを除去する。この時、サージカルフード10は、最終的な包装及び滅菌の準備ができている。次いで、保護用サージカル衣服全体、例えば、バイザーシステム100を含むサージカルフード10は、エチレンオキサイド(EO)ガスに曝されることにより、1回の工程で滅菌することができる。EOガスは、サージカルフード10の不織布ならびにバイザーシステム100の露出面に浸透することにより滅菌するが、バイザーシステム100の内部の層は、バイザーシステム100を形成するためのバイザーフィルム200の共押出時の高温により滅菌されたままである。これは、最も外側の透明なフィルムの1以上が汚れ、バイザーシステムから剥離され、捨てられた場合に、すべての透明なフィルム(例えば、ベースフィルム及び1以上の除去可能フィルム)が無菌であるサージカルフード及び/またはガウンを提供する。上記のように、バイザーフィルム200の高温の共押出に起因するバイザーシステム100の内部の層の滅菌のために、サージカルフード10を組み立てる前にバイザーシステム100を事前の滅菌ステップを必要としない。
【0062】
図7に示すように、本発明はさらに、多層バイザーシステム及び多層バイザーシステムを組み込んだ保護用サージカル衣服を製造する方法に関する。ステップ702において、ベースフィルム及び第1の除去可能フィルムを含むバイザー複合フィルムが共押出される。任意で、第2の除去可能フィルムもまた、バイザー複合フィルムの形成において共押出される。ベースフィルム、第1の除去可能フィルム、及び第2の除去可能フィルムは、摂氏約280度~約288度(華氏約535度~華氏約550度)の範囲の溶融温度を有する熱可塑性ポリエステルまたはポリカーボネート材料から形成される。共押出ステップ702は、溶融温度よりも高い温度、すなわち、摂氏約280度(華氏約535度)で実施される。そして、ステップ704から始まり、バイザーシステム100がバイザー複合フィルムから切り出される。具体的には、ステップ704において、バイザー複合フィルムの各層は、ベースフィルム層の外周の形状に切断される。次いで、ステップ706において、第1の除去可能フィルム及び第2の除去可能フィルムが設けられている場合には、第1の除去可能フィルム層の外周の形状に切断される。任意で、第1の除去可能フィルム層140の第2の外周152は、第1のタブ150の形状を含む。次いで、ステップ708において、第2の除去可能フィルムが、第2の除去可能フィルム層の外周の形状に切断される。その結果、第1の除去可能フィルム層140及び第2の除去可能フィルム層160の第2の外周152及び第3の外周172の両方がベースフィルム層110の第1の外周124内にそれぞれ含まれるような、2つの除去可能フィルム層を有するバイザーシステム100が得られる。任意で、第2の除去可能フィルム層160の第3の外周172は、第2のタブ170の形状を含む。さらに、第1のタブ150の形状及び第2のタブ170の形状は、ユーザが第1のタブ150と第2のタブ170とを容易に区別できるように、互いに異なるか、または区別されてもよい。さらに、共押出ステップ702を実行するときの高温のために、第1の除去可能フィルム層140に隣接するベースフィルム層110の外面及び第2の除去可能フィルム層160に隣接する第1の除去可能フィルム層140の外面は、バイザーシステム100の層を滅菌する追加のまたは別個の滅菌ステップを必要とせずに、製造時に滅菌されている。この方法の態様によっては、ステップ704、706、及び708で実行される切断は、ダイカット、例えば、キスカット、またはレーザーカット、またはすべてではなくとも、フィルムのいくつかの層を切断するための他の適切な手段によって行われてもよい。
【0063】
次いで、ステップ710において、着色フィルムの第1のストリップは、第1の除去可能フィルム層140に隣接する第1の除去可能フィルム層の第2の外周152の上端142と位置合わせされてもよい。ステップ712において、着色フィルムの第1のストリップは、第1の着色タブ150を形成すべく、第1の除去可能フィルム層140の第2の外周152の上端142に沿って切断される。第1の着色タブは、ユーザによるベースフィルムからの第1の除去可能フィルムの除去を容易にするように構成される。次いで、ステップ714において、着色フィルムの第2のストリップは、第1の除去可能フィルム層140に隣接する第2の除去可能フィルム層160の第3の外周172の上端162と位置合わせされてもよい。ステップ716において、着色フィルムの第2のストリップは、第2の着色タブ170を形成すべく、第2の除去可能フィルム層160の第3の外周172の上端162に沿って切断される。第2の着色タブ170は、ユーザによるバイザーシステム100からの第2の除去可能フィルム160の除去を容易にするように構成される。
【0064】
ステップ718において、接着ガスケット126は、第1の除去可能フィルム層140の第2の外周152を取り囲む接着ガスケット内周130を有するベースフィルム層110の外面、及びベースフィルム層110の第1の外周124に含まれる接着ガスケット外周128に適用される。ステップ720において、1以上の保護フィルム212が、バイザーシステム100の外面に貼付されることにより、バイザーシステム100及び接着ガスケット126の層を保護する。
【0065】
図8に示すように、本発明はさらに、バイザーシステム100を含む滅菌保護用サージカルフードを製造する方法に関する。ステップ802において、上記で説明され、
図1及び
図2に示すバイザーシステム100が提供される。例えば、バイザーシステム100は、
図7に示す方法700にしたがって製造されてもよい。バイザーシステム100のベースフィルム層110の外面は、ベースフィルム層110が第1の除去可能フィルム層140及び第2の除去可能フィルム層160と共に共押出されたときの高温により、無菌となっている。したがって、バイザーシステム100の事前の滅菌のステップは必要としない。次いで、不織布材料、ヘルメット等の保護用帽子を含むサージカルフードが、ステップ804において提供される。バイザーの開口部がまだ設けられていない場合、サージカルフード、ヘルメット、または帽子から切り出される。ステップ806において、多層バイザーシステム100は、サージカルフード、ヘルメット、または帽子の取り付け領域14に取り付けられ、保護用サージカル衣服を形成する。多層バイザーシステム100の接着ガスケット126は、取り付け領域14に取り付けるために使用される。次に、ステップ808において、保護用サージカル衣服全体が、例えば、EOガスに曝されることにより、単一のパッケージで滅菌される。言い換えれば、上記のように共押出されたバイザーフィルム200から作製されたバイザーシステム100を使用することにより、各バイザー層の滅菌された内面をもたらし、保護用サージカル衣服全体を、バイザーシステム100の事前の滅菌ステップを必要とすることなく、単一の滅菌ステップで滅菌することができる。
【0066】
本明細書は、実施例を用いてベストモードを含む本発明の内容を開示し、かつ、本発明を当業者が実施(任意の装置またはシステムの作製及び使用、並びに記載内容に組み入れられたあらゆる方法の実施を含む)することを可能にしている。本発明の特許される技術範囲は、特許請求の範囲の請求項の記載によって特定され、当業者が想到可能な他の実施形態もそれに含まれ得る。そのような他の実施形態は、各請求項の文言と異なっていない構成要素を含む場合、またはそれらが各請求項の文言とは実質的には異ならない均等な構成要素を含む場合、それらの請求項の特定する技術範囲内にあるものとする。
【国際調査報告】