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特表2023-502607金属包装粉末コーティング組成物、コーティングされた金属基材、及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】金属包装粉末コーティング組成物、コーティングされた金属基材、及び方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20230118BHJP
   C09D 5/03 20060101ALI20230118BHJP
   C09D 5/46 20060101ALI20230118BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20230118BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20230118BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D5/03
C09D5/46
C09D7/63
C09D7/61
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527692
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(85)【翻訳文提出日】2022-05-12
(86)【国際出願番号】 US2020060538
(87)【国際公開番号】W WO2021097308
(87)【国際公開日】2021-05-20
(31)【優先権主張番号】62/935,404
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/056,472
(32)【優先日】2020-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テトラパック
2.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】518155030
【氏名又は名称】エスダブリューアイエムシー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 充利
(72)【発明者】
【氏名】ジョスリン、リチャード ディー.
(72)【発明者】
【氏名】スキルマン、チャールズ アイ.
(72)【発明者】
【氏名】デソウサ、ジョセフ
【テーマコード(参考)】
4J038
【Fターム(参考)】
4J038CB001
4J038CG141
4J038DD001
4J038DF001
4J038MA14
4J038PA02
4J038PB04
4J038PC02
(57)【要約】
粉末コーティング組成物、特に金属包装粉末コーティング組成物、コーティングされた金属基材、及び方法であって、粉末コーティング組成物が、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子であって、粉末ポリマー粒子が、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する、粉末ポリマー粒子と、好ましくは、粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤と、を含む、粉末コーティング組成物、特に金属包装粉末コーティング組成物、コーティングされた金属基材、及び方法。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属包装粉末コーティング組成物であって、
少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子であって、前記粉末ポリマー粒子が25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する、粉末ポリマー粒子を含む、金属包装粉末コーティング組成物。
【請求項2】
ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々、それらに由来する構造単位、又はその両方を実質的に含まない、請求項1に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項3】
前記粉末ポリマー粒子が、10ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する、請求項1又は2に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項4】
前記粉末ポリマー粒子が、100~140の形状係数、1~20の圧縮性指数、及び/又は1.00~1.25のハウスナー比を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項5】
前記粉末ポリマー粒子が、一次ポリマー粒子の凝集体を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項6】
潤滑剤をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項7】
前記粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項8】
前記粉末ポリマー粒子が、ポリアクリレート、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項9】
金属包装粉末コーティング組成物を作製する方法であって、
少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を提供することであって、前記粉末ポリマー粒子が、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する、提供することと、
任意選択で、1つ以上の電荷制御剤を前記粉末ポリマー粒子に適用し、粉末コーティング組成物を形成することであって、
前記粉末コーティング組成物が、金属包装粉末コーティング組成物である、形成することと、を含む、方法。
【請求項10】
金属包装を形成する際に使用するのに好適な金属基材をコーティングする方法であって、
金属包装粉末コーティング組成物を提供することであって、前記粉末コーティング組成物が、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含み、前記粉末ポリマー粒子が、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する、提供することと、
前記粉末コーティング組成物を前記金属基材の少なくとも一部分に方向付けることであって、前記金属基材が最大635ミクロンの平均厚さを有する、方向付けることと、
前記粉末コーティング組成物が、前記金属基材の少なくとも一部分に硬化した連続付着コーティングを形成するのに有効な条件を提供することであって、前記硬化した連続付着コーティングが、最大100ミクロンの平均厚さを有する、提供することと、を含む、方法。
【請求項11】
前記粉末ポリマー粒子が、一次ポリマー粒子の凝集体を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記粉末コーティング組成物が、前記粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤をさらに含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記粉末コーティング組成物が、1つ以上の潤滑剤をさらに含むか、又は前記方法が、1つ以上の潤滑剤を前記硬化したコーティングに適用することをさらに含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記粉末コーティング組成物を前記金属基材の少なくとも一部分に方向付けることが、
前記粉末コーティング組成物を輸送体に供給することと、
電磁場によって、前記粉末コーティング組成物を前記輸送体から前記金属基材の少なくとも一部分に方向付けることと、を含む、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記粉末コーティング組成物を方向付けることが、前記輸送体と前記金属基材との間の電場によって、前記粉末コーティング組成物を前記輸送体から直接前記金属基材の少なくとも一部分に方向付けることを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
請求項10~15のいずれか一項に記載の方法によって調製されたコーティングで、表面が少なくとも部分的にコーティングされた、コーティングされた金属基材。
【請求項17】
請求項16に記載のコーティングされた金属基材を含む、金属包装容器、その一部分、又は金属クロージャ。
【請求項18】
前記表面が、缶本体の内面、外面、又はその両方である、請求項17に記載の金属包装容器、その一部分、又は金属クロージャ。
【請求項19】
前記表面が、リベット缶端部及び/又はプルタブの表面である、請求項17に記載の金属包装容器、その一部分、又は金属クロージャ。
【請求項20】
硬化した連続付着コーティングが表面の少なくとも一部分に配設された金属基材を含むコーティングされた金属基材であって、
前記金属基材が、最大635ミクロンの平均厚さを有し、
前記硬化した連続付着コーティングが、最大100ミクロンの平均厚さを有し、
前記硬化した連続付着コーティングが、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む金属包装粉末コーティング組成物から形成され、前記粉末ポリマー粒子が、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する、コーティングされた金属基材。
【請求項21】
請求項20に記載のコーティングされた金属基材を含む、金属包装容器、その一部分、又は金属クロージャ。
【請求項22】
金属包装を作製する方法であって、
硬化した連続付着コーティングが表面の少なくとも一部分に配設された金属基材を提供することであって、
前記金属基材が、最大635ミクロンの平均厚さを有し、
前記硬化した連続付着コーティングが、金属包装粉末コーティング組成物から形成され、前記粉末コーティング組成物が、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含み、前記粉末ポリマー粒子が、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する、提供することと、
金属包装容器、その一部分、又は金属クロージャの少なくとも一部分内に前記基材を形成することと、を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年11月14日に出願された米国仮出願第62/935,404号、及び2020年7月24日に出願された米国仮出願第63/056,472号に対する優先権を主張し、その両方は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
多種多様な液体適用コーティング組成物が、金属包装物品(例えば、食品及び飲料缶、金属クロージャ)の表面上に硬化したコーティングを提供するために使用されてきた。例えば、金属缶は、「コイルコーティング」又は「シートコーティング」操作を用いて液体コーティング組成物でコーティングされることがあり、すなわち、好適な基材(例えば、鋼又はアルミニウム金属)の平面コイル又はシートが、後に硬化(例えば、キュアリング)される好適な液体コーティング組成物でコーティングされる。次いで、コーティングされた基材を缶の端部又は本体に形成する。あるいは、液体コーティング組成物は、形成された物品に(例えば、噴霧、浸漬、圧延などによって)適用され、次いで、硬化(例えば、キュアリング)されて、連続コーティングを形成し得る。
【0003】
金属包装コーティングは、好ましくは、基材への高速適用が可能であり、この厳しい最終用途で機能するために、硬化したときに必要な特性を提供すべきである。例えば、硬化したコーティングは、好ましくは、食品に接触しても安全であり、包装された食品又は飲料製品の味に悪影響を及ぼさず、基材に対する優れた付着性を有し、汚れ、並びに「ポッピング」、「ブラッシング」及び/又は「ブリスター」のような他のコーティング欠陥に耐え、過酷な環境に曝された場合でも長期間劣化に耐えるべきである。加えて、硬化したコーティングは、一般に、缶の製造中に好適なフィルムの完全性を維持することが可能であり、製品包装中に缶が受け得る加工条件に持ちこたえることが可能であるべきである。硬化したコーティングはまた、一般に、下地の金属基材がへこむような日常的な(例えば、店の棚からの)缶の落下事象にも、破裂又は亀裂を生じることなく耐えることが可能であるべきである。
【0004】
液体包装コーティングは、今日、剛性金属包装市場の必要性を大部分において満たすが、それらの使用に関連するいくつかの顕著な欠点がある。液体コーティングは、出荷コストの一因となる大量の水及び/又は有機溶媒を含有する。次いで、液体コーティング組成物が適用される際、コーティング硬化プロセス中に水又は溶媒を除去するために、多くの場合、化石燃料燃焼の形態で、著しい量のエネルギーを消費しなければならない。有機溶媒が硬化フィルムから出されると、揮発性有機成分(Volatile Organic Content、VOC)の生成の一因となるか、又は大型でエネルギー消費の高い熱酸化装置によって軽減する必要がある。さらに、これらのプロセスは、著しい量の二酸化炭素を放出し得る。
【0005】
従来の液体包装コーティングの1つの代替手段は、積層コーティングの使用である。このプロセスでは、加熱ステップを介して、積層又は押出プラスチックフィルムを金属に付着させる。その所産は、様々な食品及び飲料缶部品を生産するために後に使用され得るコーティングされた金属基材である。積層フィルムを生産するために必要なプロセスは、限られた数の熱可塑性材料としか適合しない(例えば、材料は、薄膜に延伸されるのに必要な引張強度を有していなければならない)。また、そのようなフィルムを延伸することができる程度には限界もあり、基材上に適用できる最終的なコーティングの薄さが制限される。積層鋼又はアルミニウムに対応するために既存の製缶ラインを改造することに対して、相当な設備投資も求められ得る。
【0006】
別の代替手段である粉末コーティングは、剛性金属包装(例えば、溶接缶本体のための粉末サイドシームストライプ)において有用性が限られている。しかしながら、その使用は、従来的に粉砕された粉末の粒径が比較的大きく(30ミクロン超)、包装用コーティングに必要な低い膜厚(通常10ミクロン未満)に適していないため、制限されている。
【0007】
粉砕/摩砕技術を使用してより小さな粒子(例えば、5ミクロン)を形成することはできるが、これらのポリマー材料の低分子量(そのような強い粉砕に必要な特性の制限)は、食品及び飲料産業に必要な金属包装コーティングに求められる性能標準を有するフィルムを形成するのに適しているとは考えられていない。例えば、米国特許第7,481,884号(Stelterら)及び米国特許第6,342,273号(Handelら)は、粉末コーティングを基材に適用するための方法を開示しており、これらにおいて、粉末粒子は、粉砕/摩砕によって形成される。
【0008】
粉砕(すなわち、化学的に生成された粉末)などの機械的方法以外のより微細な粒径を生成ために利用可能な方法があるが、そのような微粉末の従来の粉末適用は、多くの場合、一貫性がないか、又は別様には低品質のフィルムをもたらす。
【0009】
従来の液体、粉末、及び積層包装コーティング組成物に関連する上記の欠点を克服する、剛性金属包装用途のための改良されたコーティング組成物が必要とされる。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、粉末コーティング組成物、特に金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、若しくは一般包装容器(例えば、缶)、その一部分、又は金属クロージャ)粉末コーティング組成物、コーティングされた金属基材、並びに方法-金属包装粉末コーティング組成物を作製する方法、金属基材をコーティングする方法、及び金属包装容器(例えば、食品、飲料、又はエアロゾル缶)、その一部分、又は容器用の金属クロージャを作製する方法を提供する。
【0011】
本発明は、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子であって、粉末ポリマー粒子が、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する、粉末ポリマー粒子と、好ましくは、粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤と、を含む、金属包装粉末コーティング組成物を提供する。
【0012】
粉末ポリマー粒子は、好ましくは化学的に生成される。好ましくは、粉末ポリマー粒子は、機械的に生成された、例えば、粉砕ポリマー粒子又は他の同様の破砕若しくは微粉化プロセスから形成されたポリマー粒子ではない。より好ましくは、粉末ポリマー粒子は噴霧乾燥粉末粒子である。
【0013】
粉末ポリマー粒子は、好ましくは、100~140(例えば、球形及びジャガイモ形状)、より好ましくは120~140(例えば、ジャガイモ形状)の形状係数を有する。粉末コーティング組成物は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、好ましくは少なくとも50重量パーセント(重量%)、より好ましくは少なくとも60重量%、さらにより好ましくは少なくとも70重量%、なおより好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%の粉末ポリマー粒子を含む。
【0014】
本発明はまた、金属包装粉末コーティング組成物を作製する方法であって、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を提供することであって、粉末ポリマー粒子が、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する、提供することと、任意選択で、1つ以上の電荷制御剤を粉末ポリマー粒子に適用し、粉末コーティング組成物を形成することであって、粉末コーティング組成物が、金属包装コーティング組成物である、形成することと、を含む方法を提供する。粉末ポリマー粒子は、好ましくは化学的に生成される。好ましくは、粉末ポリマー粒子は、機械的に生成された、例えば、粉砕ポリマー粒子又は他の同様の破砕若しくは微粉化プロセスから形成されたポリマー粒子ではない。粉末ポリマー粒子は、好ましくは、100~140(例えば、球形及びジャガイモ形状)、より好ましくは120~140(例えば、ジャガイモ形状)の形状係数を有する。
【0015】
本発明は、金属包装の形成における使用に好適な金属基材をコーティングする方法であって、金属包装粉末コーティング組成物を提供することであって、粉末コーティング組成物が、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含み、粉末ポリマー粒子が、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する、提供することと、粉末コーティング組成物を金属基材の少なくとも一部分に方向付けることであって、金属基材が最大635ミクロンの平均厚さを有する、方向付けることと、粉末コーティング組成物が、金属基材の少なくとも一部分に硬化した連続付着コーティングを形成するのに有効な条件を提供することであって、硬化した連続付着コーティングが、最大100ミクロン(好ましくは最大50ミクロン、より好ましくは最大25ミクロン、さらにより好ましくは最大20ミクロン、さらにより好ましくは最大15ミクロン、最も好ましくは最大10ミクロン)の平均厚さを有する、提供することと、を含む、方法をさらに提供する。例えば、金属包装は、食品、飲料、又はエアロゾル容器、その一部分、又は金属クロージャなどの容器である。好ましくは、粉末コーティング組成物は、粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤を含む。粉末ポリマー粒子は、好ましくは、ポリマーを粉砕して粉砕ポリマー粒子を形成することによって調製されない(すなわち、粒子は粉砕粒子として提供されない)。
【0016】
本発明はまた、硬化した連続付着コーティングが表面の少なくとも一部分に配設された金属基材を含むコーティングされた金属基材であって、金属基材が、最大635ミクロンの平均厚さを有し、硬化した連続付着コーティングが、最大100ミクロン(好ましくは最大50ミクロン、より好ましくは最大25ミクロン、さらにより好ましくは最大20ミクロン、なおより好ましくは最大15ミクロン、最も好ましくは最大10ミクロン)の平均厚さを有し、硬化した連続付着コーティングが、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含む金属包装粉末コーティング組成物から形成され、粉末ポリマー粒子が、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する、コーティングされた金属基材を提供する。粉末コーティング組成物は、好ましくは潤滑剤を含む。
【0017】
本発明は、金属包装を作製する方法であって、硬化した連続付着コーティングが表面の少なくとも一部分に配設された金属基材を提供することであって、金属基材が、最大635ミクロンの平均厚さを有し、硬化した連続付着コーティングが、金属包装粉末コーティング組成物から形成され、粉末コーティング組成物が、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含み、粉末ポリマー粒子が、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する、提供することと、金属包装容器、その一部分、又は金属クロージャの少なくとも一部分に基材を形成することと、を含む、方法をさらに提供する。例えば、金属包装は、食品、飲料、エアロゾル、若しくは一般包装容器、その一部分、又は金属クロージャなど、金属容器又は他の材料、例えば、ガラスの容器に使用され得る容器である。粉末コーティング組成物は、好ましくは、潤滑剤を含む。
【0018】
本明細書では、「金属包装」コーティング組成物は、剛性金属上に直接(例えば、後に剛性金属包装に適用(例えば、付着)される、少なくとも10ミクロン厚の自立型プラスチックフィルム、紙若しくは他の繊維性材料、又は金属箔とは対照的に)、又は基材の上にある自立型フィルム(すなわち、積層などによって別の基材に適用される前に形成されるフィルム)に由来しない前処理層若しくはプライマ層上に間接的にコーティングするのに好適なコーティング組成物を指す。したがって、例として、金属基材の上にある紙層、又は金属基材の上にある積層プラスチック層のいずれかに適用された粉末コーティング組成物は、本明細書で使用される金属包装コーティング組成物ではない。
【0019】
本明細書で言及される粒径は、製造業者によって推奨されるように較正された、Beckman Coulter LS230レーザ回折粒径分析器又は同等物を使用して、出発材料(例えば、一次ポリマー粒子、電荷制御剤、潤滑剤など)についてのレーザ回折粒径分析によって決定され得る。
【0020】
「D値」、つまりD50、D90、D95、及びD99は、粒子を粒径の小さい順に並べたときに、試料の体積を指定された割合に分割する粒径である。例えば、粒径分布の場合、中央値はD50(又はある特定のISOガイドラインに従う場合、x50)と呼ばれる。D50は、分布を、この直径を上回る半分と下回る半分とに二分するミクロン単位の粒径である。Dv50(又はDv0.5)は、体積分布の中央値である。D90は、粒径を説明するものであり、分布の90パーセントは、粒径がより小さく、10パーセントは、粒径がより大きい。D95は、粒径を説明するものであり、分布の95パーセントは、粒径がより小さく、5パーセントは、粒径がより大きい。D99は、粒径を説明するものであり、分布の99パーセントは、粒径がより小さく、1パーセントは、粒径がより大きい。本明細書で特に明記しない限り、D50、D90、D95、及びD99は、D50、D90、D95、及びD99をそれぞれ指す。本明細書で指定されるD値は、レーザ回折粒径分析によって決定され得る。
【0021】
「粉末コーティング組成物」は、粉末粒子を含み、液体担体を含まない組成物を指すが、粉末粒子の調製に使用され得る微量の水又は有機溶媒を含んでもよい。粉末コーティング組成物は、典型的には、凝集体の形態であっても、そうでなくてもよい、細かく分割された自由流動性粉末ポリマー粒子の形態である。
【0022】
本明細書では、凝集体(又はクラスタ)は粒子のアセンブリであり、後者は一次粒子と呼ばれる。
【0023】
「硬化した」コーティングは、粒子を架橋反応により共有結合でキュアリングさせたもの(例えば、熱硬化性コーティング)、又は架橋反応を伴わずに単に連続層に融合させたもの(例えば、熱可塑性コーティング)を金属基材に付着させ、それにより、コーティングされた金属基材を形成するものを指す。「硬化した」という用語は、コーティングの相対硬度又は柔軟度(Tg)に関連するものを意味するものではない。
【0024】
「付着」コーティングは、実施例セクションに記載の付着試験による、金属基材などの基材に付着する硬化したコーティングを指す。9又は10、好ましくは10の付着性レーティングは、付着性であるとみなされる。
【0025】
「連続」コーティングは、ピンホール、及び基材の露出をもたらす他のコーティング欠陥がない、硬化したコーティングを指す。そのようなフィルムの欠陥/不良は、実施例セクションに記載の平坦パネル連続性試験を使用してミリアンペア(mA)で測定された電流流量によって示され得る。
【0026】
特定の成分を「実質的に含まない」という用語は、本発明の組成物又は硬化したコーティングが、あったとしても100万分の1000(ppm)未満の列挙された成分を含有することを意味する。特定の成分を「本質的に含まない」という用語は、本発明の組成物又は硬化したコーティングが、あったとしても100万分の100(ppm)未満の列挙された成分を含有することを意味する。特定の成分を「本質的に完全に含まない」という用語は、本発明の組成物又は硬化したコーティングが、あったとしても100万分の10(ppm)未満の列挙された成分を含有することを意味する。特定の成分を「完全に含まない」という用語は、本発明の組成物又は硬化したコーティングが、あったとしても10億分の20(ppb)未満の列挙された成分を含有することを意味する。
【0027】
「ビスフェノール」という用語は、6炭素環及びその環の炭素原子に結合した水酸基を各々含む2つのフェニレン基を有する、多価ポリフェノールを指し、2つのペヒレン(pehylene)基の環は、共通の原子を共有しない。例として、これらのフェノール化合物のみが1つのフェニレン環を含むため、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコールなどはビスフェノールではない。
【0028】
「食品接触面」という用語は、食品との長期接触を意図した物品(例えば、食品又は飲料缶)の表面を指す。例えば、食品又は飲料容器(例えば、缶)の金属基材の関連で使用される場合、この用語は、概して、上に適用される粉末コーティング組成物がない場合に食品に接触すると予想される容器の内部金属表面を指す。例として、金属製の食品又は飲料缶の内面に適用されたベース層、中間層、及び/又はポリマートップコート層は、缶の食品接触面に適用されると考えられる。
【0029】
「上に」という用語は、表面又は基材上に適用されたコーティングの関連で使用される場合、表面又は基材に直接(例えば、バージン金属又は電気めっき鋼などの前処理された金属)又は間接(例えば、プライマ層上に)適用されるコーティングの両方を含む。したがって、例えば、前処理層に適用されるコーティング(例えば、クロム又はクロムフリー前処理から形成される)又は基材の上にあるプライマ層は、基材上に適用された(又はその上に配設された)コーティングを構成する。
【0030】
「ポリマー」及び「ポリマー材料」という用語には、有機ホモポリマー、コポリマー、例えば、ブロック、グラフト、ランダム、及び交互コポリマー、ターポリマーなど、並びにそれらのブレンド及び修飾物が含まれるが、これらに限定されるものではない。さらに、特に限定されない限り、「ポリマー」という用語は、材料のすべての可能な幾何学的構成を含むものとする。これらの構成には、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びアタクチック対称が含まれるが、これらに限定されない。
【0031】
「アリール基」(例えば、アリーレン基)という用語は、フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、フルオレニレン、及びインデニルなどの閉芳香環又は環系、並びにヘテロアリーレン基(例えば、環内の1つ以上の原子が炭素以外の元素(例えば、窒素、酸素、硫黄など)である閉芳香族若しくは芳香族様環炭化水素又は環系))を指す。好適なヘテロアリール基としては、フリル、チエニル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、トリアゾリル、ピロリル、テトラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、カルバゾリル、ベンゾオキサゾリル、ピリミジニル、ベンゾイミダゾリル、キノキサリニル、ベンゾチアゾリル、ナフチリジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、プリニル、キナゾリニル、ピラジニル、1-オキシドピリジル、ピリダジニル、トリアジニル、テトラジニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリルなどが挙げられる。そのような基が二価であるとき、それらは、典型的には、「アリーレン」又は「ヘテロアリーレン」基(例えば、フリレン、ピリジレンなど)と称される。
【0032】
本明細書で使用される「フェニレン」という用語は、任意の置換基(例えば、ハロゲン、炭化水素基、酸素原子、ヒドロキシル基などを含む)を有し得る、6炭素原子アリール環(例えば、ベンゼン基のような)を指す。したがって、例えば、以下のアリール基は、各々、フェニレン環、-C-、-C(CH)-、及び-CH(CHCl-である。さらに、例えば、ナフタレン基のアリール環の各々は、フェニレン環である。
【0033】
ここで、「含む」という用語及びその変形形態は、これらの用語が明細書及び実施形態に現れる限定的な意味を有するものではない。そのような用語は、記載されたステップ若しくは要素、又はステップ若しくは要素のグループを含むが、他のステップ若しくは要素、又はステップ若しくは要素のグループを排除するものではないことを意味すると理解されるであろう。「からなる」は、「からなる」という語句に続くものを含み、かつ、それに限定されることを意味する。したがって、「からなる」という語句は、列挙された要素が必要又は必須であり、他の要素が存在しない場合があることを示す。「から本質的になる」は、語句の後に列挙された任意の要素を含むことを意味し、列挙された要素について本開示で指定された活動又は作用に干渉しないか、又はそれに寄与しない他の要素に限定される。したがって、「から本質的になる」という語句は、列挙された要素が必要又は必須であるが、他の要素が任意選択であり、列挙された要素の活動又は作用に実質的に影響を及ぼすかどうかに応じて存在し得るか、又は存在しなくてもよいことを示す。無制約型語法(例えば、含む(comprise)及びその派生語)で本明細書に列挙された要素又は要素の組み合わせのいずれかは、追加的に、制約型語法(例えば、からなる(consist)及びその派生語)、及び部分的制約型語法(例えば、から本質になる(consist essentially)及びその派生語)で列挙されていると考えられる。
【0034】
「好ましい」及び「好ましくは」という用語は、ある特定の状況下で、ある特定の利益をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じ状況又は他の状況下で、他の実施形態が好ましい場合もある。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用でないことを暗示するものではなく、本開示の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものでもない。
【0035】
本出願では、「a」、「an」、及び「the」などの用語は、単数形の実体のみを指すことを意図するものではなく、特定の例が例示に使用され得る一般的なクラスを含む。「a」、「an」、及び「the」という用語は、「少なくとも1つ」という用語と互換的に使用される。後にリストが続く「のうちの少なくとも1つ」及び「のうちの少なくとも1つを含む」という語句は、リスト内の項目のいずれか、及びリスト内の2つ以上の項目の任意の組み合わせを指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、内容が別途明確に指示されない限り、「及び/又は」を含む通常の意味で概して用いられる。
【0037】
「及び/又は」という用語は、列挙された要素のうちの1つ若しくはすべて、又は列挙された要素のうちの任意の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0038】
また、本明細書では、すべての数値は、「約」という用語で修飾され、ある特定の実施形態では、好ましくは、「正確に」という用語で修飾されると仮定する。本明細書で測定量に関連して使用される場合、「約」という用語は、測定を行い、測定の目的及び使用される測定機器の精度に見合ったレベルの注意を払う当業者によって予想されるような測定量の変動を指す。本明細書では、ある数(例えば、50まで)「まで」には、その数(例えば、50)が含まれる。
【0039】
また、本明細書では、端点による数値範囲の列挙は、その範囲、並びに端点(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)、及び任意の部分範囲(例えば、1~5は、1~4、1~3、2~4などを含む)内に包含されるすべての数字を含む。
【0040】
本明細書で使用される場合、「室温」という用語は、20℃~25℃の温度を指す。
【0041】
「範囲における」又は「範囲内の」という用語(及び同様の記述)は、記載された範囲の端点を含む。
【0042】
本開示の上記の「発明の概要」は、本開示の各開示された実施形態又は全実装形態を記載することを意図するものではない。以下の記載は、例示的な実施形態をより具体的に例示する。本出願全体にわたるいくつかの箇所では、実施例の一覧を通してガイダンスが提供され、これらの実施例は、様々な組み合わせで使用することができる。いずれの場合にも、列挙された一覧は、代表的な群としてのみ働き、排他的な一覧として解釈されるべきではない。したがって、本開示の範囲は、本明細書に記載の特定の例示的な構造に限定されるべきではなく、むしろ、少なくとも実施形態の言語によって説明される構造及びそれらの構造の等価物に及ぶ。本明細書において代替案として積極的に列挙されている要素のいずれかは、所望により任意の組み合わせで、実施形態に明示的に含まれるか、又は実施形態から除外されてもよい。本明細書では様々な理論及び可能な機構が考察されている場合があるが、そのような考察は実施可能な主題を限定するように機能すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1A】従来の摩砕ポリエステル粉末コーティング粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像であり、これは、電磁場で使用するには大きすぎ、角度がありすぎる。
図1B】化学的に生成されたポリマー粒子のSEMである。
図1C】化学的に生成されたポリマー粒子のSEMである。
図2】噴霧乾燥装置の概略図(Buchi B290噴霧乾燥機製品文献、BUCHI Labortechnik AG、Flawil,Switzerlandから再現された図)である。
図3A】粉末コーティング組成物を基材に送達することができる適用デバイスの線画である。
図3B】粉末コーティング組成物を基材に送達することができる適用デバイスの線画である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本開示は、粉末コーティング組成物(すなわち、コーティング組成物)、特に金属包装粉末コーティング組成物、コーティングされた金属基材、方法、例えば、金属包装粉末コーティング組成物を作製する方法、金属基材をコーティングする方法、及び金属包装(例えば、容器、その一部分、又は金属クロージャ)を作製する方法、並びに金属包装を提供する。金属包装容器の例としては、食品、飲料、エアロゾル、及び一般的な金属包装容器が挙げられる。金属クロージャの例としては、ねじ切りキャップ、又はねじ山若しくはラグ付きの蓋、及びボトル上に圧着されるクラウンが挙げられる。そのようなクロージャは、金属であるが、金属又は非金属包装容器に有用である。
【0045】
金属包装粉末コーティング組成物は、そのような金属包装容器及び金属クロージャの食品接触面に特に有用である。本開示の金属包装粉末コーティング組成物は、金属基材の食品接触面に特に有用であるが、それらはまた、ガラス(例えば、ガラスボトル)、剛性及び可撓性プラスチック、ホイル、紙、板紙、又はそれらの組み合わせである基材など、食品、飲料、又は他の製品を包装するための他のタイプの基材に有用であり得る。
【0046】
本開示の金属包装容器及び金属クロージャの結果として得られるコーティングされた食品接触表面は、液体含有製品を包装するために特に望ましい。少なくとも部分的に液体の性質(例えば、湿潤)である包装された製品は、コーティングと密接な化学的接触があるため、コーティングに相当な負担をかける。そのような密接な接触は、数か月、又はさらには数年続き得る。さらに、コーティングは、製品の包装中に低温殺菌又は調理プロセスに耐えるために必要とされ得る。食品又は飲料包装の領域において、そのような液体含有製品の例としては、ビール、アルコールサイダー、アルコールミキサー、ワイン、ソフト飲料、エネルギー飲料、水、水飲料、コーヒー飲料、茶飲料、ジュース、肉ベースの製品(例えば、ソーセージ、肉ペースト、ソースにおける肉、魚、イガイ、アサリなど)、ミルクベースの製品、果物ベースの製品、野菜ベースの製品、スープ、マスタード、ピクルス製品、ザウアークラウト、マヨネーズ、サラダドレッシング、及び調理ソースが挙げられる。
【0047】
乾燥製品を包装するために使用される多くのコーティングは、上記の「湿潤」製品での使用に必要なコーティング特性の厳密なバランスを保有していない。例えば、個別に包装されたクッキーの装飾用金属ブリキ缶の内部に使用されるコーティングが、内装スープ缶コーティングとしての使用に必要な特性を呈するとは期待されないであろう。
【0048】
本開示の容器は、包装用コーティングに対して侵襲的な性質でない傾向にある乾燥粉末製品(例えば、粉末ミルク、粉末ベビーミルク、粉末クリーマ、粉末コーヒー、粉末洗浄製品、粉末医薬品など)を包装するために使用され得るが、市場における量が多いため、より典型的には、コーティングは少なくとも多少は「湿潤」した性質であるより侵襲的な製品と併せて使用されることになる。したがって、本開示の粉末コーティング組成物から形成される包装コーティングは、好ましくは、下層の金属基材を腐食から保護し、包装製品の不適切な劣化(例えば、見苦しい色の変化又は臭気若しくは不快な臭いの導入)を回避しながら、過酷な環境条件下を含めて、1つ以上の困難な科学的特徴を有する包装製品と長時間かつ密接に接触することが可能である。そのような困難な化学的特徴の例としては、水、酸性度、脂肪、塩、強力な溶媒(例えば、洗浄製品、燃料安定剤、又はある特定の塗料製品)、侵襲的な噴射剤(例えば、ある特定のジメチル-エーテル含有噴射剤などのエアロゾル噴射剤)、染色特性(例えば、トマト)、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0049】
したがって、好ましくは、本開示の金属包装粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々、それらに由来する構造単位、又はその両方を実質的に含まず、本開示の粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々、それに由来する構造単位、又はその両方を本質的に含まず、本開示の粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々、それに由来する構造単位、又はその両方を本質的に全く含まず、又は本開示の粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々、それらに由来する構造単位、又はその両方を全く含まない。
【0050】
より好ましくは、本開示の金属包装粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、すべてのビスフェノール化合物、それに由来する構造単位、又はその両方を実質的に含まず、本開示の粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、すべてのビスフェノール化合物、それに由来する構造単位、又はその両方を本質的に含まず、本開示の粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、すべてのビスフェノール化合物、それに由来する構造単位、又はその両方を本質的にまったく含まず、又は本開示の粉末コーティング組成物、好ましくは硬化したコーティングは、すべてのビスフェノール化合物、それに由来する構造単位、又はその両方をまったく含まない。
【0051】
好ましくは、テトラメチルビスフェノールF(TMBPF)は、本発明の粉末コーティング組成物又は硬化したコーティングから除外されない。TMBPFは、以下に示される4-[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]-2,6-ジメチルフェノールであり、以下の反応により作製される。
【0052】
【化1】
【0053】
この文脈では、「それに由来する構造単位」は、参照された分子がその直接合成に実用的に使用された結果、参照された分子からその構造を派生させる任意の単量体又は重合体分子の下位分子成分である。例として、これらには、芳香族ジグリシジルエーテル化合物(例えば、ビスフェノール(BADGE)のジグリシジルエーテル、ビスフェノールF(BFDGE)のジグリシジルエーテル)、及びエポキシノバラスが含まれる。さらに、本明細書で使用される場合、この用語は、TMBPFを含まない(すなわち、TMBPFはビスフェノールFに由来しない)。
【0054】
例えば、粉末コーティング組成物は、ビスフェノールA及びBADGEが反応形態若しくは未反応形態、又はそれらの組み合わせで組成物中に存在するかどうかに関係なく、600ppmのビスフェノールA及び600ppmのビスフェノールAのジグリシジルエーテル(BADGE)を含むビスフェノールAを実質的に含まない。
【0055】
ビスフェノール化合物(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールS)の量は、出発成分に基づいて決定することができる。試験方法は必要ではなく、これらの化合物が微量であることを考慮し、便宜上、重量パーセントの代わりに百万分率(ppm)を使用することができる。
【0056】
ビスフェノール化合物の意図的な添加は概して望ましくないが、意図的でない微量のビスフェノールが、例えば、環境汚染によって本出願の組成物又はコーティング中に存在する可能性はあり得ることを理解されたい。
【0057】
現在のところ利用可能な科学的証拠のバランスから、既存のコーティングから放出され得る微量のこれらの化合物は、ヒトへの任意の健康被害をもたらすものではないことが示されているものの、それでも、一部の人々は、これらの化合物がヒトへの健康被害をもたらす可能性があると認識している。結果として、これらの化合物を食品接触表面上のコーティングから排除することが一部から望まれている。
【0058】
また、味、毒性、又は他の政府の規制要件などの要因により、そのような表面に不適切な成分の使用を回避することが望ましい。
【0059】
例えば、好ましい実施形態では、粉末コーティング組成物は「PVCを含まない」。すなわち、粉末コーティング組成物は、好ましくは、あったとしても2重量%未満の塩化ビニル材料及び他のハロゲン化ビニル材料、より好ましくは、0.5重量%未満の塩化ビニル材料及び他のハロゲン化ビニル材料、さらにより好ましくは、あったとしても1ppm未満の塩化ビニル材料及び他のハロゲン化ビニル材料を含有する。
【0060】
可能性のある、例えば、味及び毒性の懸念を最小限にするための一般的な指針として、粉末コーティング組成物から形成された硬化したコーティングは、実施例セクションに記載のグローバル抽出試験に従って試験される場合、抽出可能物を、検出できる量で含む場合、好ましくは、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満含む。これらの試験条件の例として、硬化したコーティングを10重量%のエタノール溶液に121℃で2時間曝露し、続いて40℃で溶液中に10日間曝露する。
【0061】
そのようなグローバル抽出値の低減は、硬化したコーティング中の移動性種又は移動性である可能性のある種の量を制限することによって得ることができる。この文脈において、「移動性」は、実施例セクションのグローバル抽出試験に従って、キュアリングコーティングから抽出され得る材料を指す。これは、例えば、不純反応物ではなく純粋反応物を使用すること、加水分解性成分又は結合の使用を避けること、コーティングに効率的に反応しないことがある低分子量添加物の使用を避ける又は制限すること、及び最適化したキュアリング条件を任意選択で1つ以上のキュアリング添加物と組み合わせて使用することによって達成することができる。これにより、本明細書に記載の粉末コーティング組成物から形成された硬化したコーティングは、食品接触面での使用に特に望ましい。
【0062】
粉末コーティング組成物は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、好ましくは少なくとも50重量パーセント(重量%)、より好ましくは少なくとも60重量%、さらに好ましくは少なくとも70重量%、なおより好ましくは少なくとも80重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%の粉末ポリマー粒子を含む。粉末コーティング組成物は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、好ましくは最大100重量%、より好ましくは最大99.99重量%、さらに好ましくは最大95重量%、最も好ましくは最大90重量%の粉末ポリマー粒子を含む。様々な任意選択の添加剤(例えば、電荷制御剤、潤滑剤など)は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、最大50重量%の量で存在し得る。
【0063】
本発明において、粉末ポリマー粒子は、好ましくは、1つ以上の電荷制御剤と接触している。より好ましくは、1つ以上の電荷制御剤は、粉末ポリマー粒子の表面上にある。さらにより好ましくは、1つ以上の電荷制御剤は、粉末ポリマー粒子の表面に付着している。
【0064】
好ましくは、1つ以上の電荷制御剤は、粉末コーティング組成物(例えば、電荷制御剤及び粉末ポリマー粒子)の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量パーセント(重量%)、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも1重量%の量で存在する。さらに好ましくは、1つ以上の電荷制御剤は、粉末コーティング組成物(例えば、電荷制御剤及び粉末ポリマー粒子)の総重量に基づいて、最大10重量%、最大9重量%、最大8重量%、最大7重量%、最大6重量%、最大5重量%、最大4重量%、又は最大3重量%の量で存在する。
【0065】
本明細書の好ましい粉末コーティング組成物は、「乾燥」粉末コーティング組成物である。すなわち、粉末粒子は、液体担体中に分散されていないが、むしろ乾燥粉末形態で存在する。しかしながら、乾燥粉末は、少量の水又は有機溶媒(例えば、2重量%未満、1重量%未満、0.1重量%未満など)を含有し得ることを理解されたい。乾燥プロセスに供されたときでも、粉末は、典型的には、例えば、大気中の湿度に存在し得る残留液体などを少なくともいくらか含む。
【0066】
粉末コーティング組成物及び作製方法
本発明によれば、金属包装(例えば、食品、飲料、又はエアロゾル缶)粉末コーティング組成物(すなわち、自由流動性粉末の形態のコーティング組成物)が提供される。そのような組成物は、金属基材などの基材上に硬化した付着コーティングを形成することができる。特に、そのような組成物はまた、食品、飲料、若しくはエアロゾル缶、一般的な金属包装缶若しくは他の容器、その一部、又は金属包装容器若しくは他の容器のための金属クロージャ(例えば、ガラス瓶用のクロージャ)に有用であり得る。粉末コーティング組成物は、粉末ポリマー粒子、好ましくは粉末ポリマー粒子と接触する1つ以上の電荷制御剤(例えば、粉末ポリマー粒子の表面上に存在し、典型的には、それに付着されている)を含む。
【0067】
ポリマー粒子
粉末コーティング組成物中のポリマーの分子量は、典型的なポリマーがある範囲の分子量をカバーすることを考慮して、いくつかの重要な測定基準によって説明され得る。数平均分子量(Mn)は、試料の総重量をその試料中の分子の総数で除算することによって決定される。重量平均分子量(Mw)は、試料中の各異なる分子量の合計をその分子量における試料の重量分率で乗算して計算することによって決定される。多分散性指数(Mw/Mn)は、試料の分子量範囲がどれだけ広いかを表すのに使われる。多分散性指数が高いほど、分子量範囲が広い。Mn、Mw、及びMw/Mnは、すべて、様々な分子量のポリスチレン標準のセットに対して測定されたゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)によって決定され得る。
【0068】
粉末粒子のポリマーのMnは、少なくとも2,000ダルトン、好ましくは少なくとも5,000ダルトン、より好ましくは少なくとも10,000ダルトン、さらにより好ましくは少なくとも15,000ダルトンである。粉末粒子のポリマーのMnは、乳化重合アクリルポリマー又はある特定の他の乳化重合ラテックスポリマーで起こり得るような数百万(例えば、10,000,000ダルトン)であり得るが、Mnは、好ましくは最大10,000,000ダルトン、より好ましくは最大1,000,000ダルトン、さらにより好ましくは最大100,000ダルトン、なおより好ましくは最大20,00ダルトンである。好ましくは、ポリマー粒子のポリマーのMnは、少なくとも2,000ダルトン及び最大10,000,000ダルトン、より好ましくは少なくとも5000ダルトン及び最大1,000,000ダルトン、さらにより好ましくは少なくとも10,000ダルトン及び最大100,000ダルトン、なおより好ましくは少なくとも15,000ダルトン及び最大20,000ダルトンである。
【0069】
粉末ポリマー粒子は、4未満、3未満、2未満、又は1.5未満の多分散指数を有するポリマーから作製され得る。しかしながら、ポリマーが前述の範囲外の多分散性指数を有することが有利であり得る。例えば、理論に拘束されることを意図するものではないが、同じ材料でのより高い分子量(例えば、柔軟性及び他の機械的特性)及び(例えば、流動及びレベリングのための)より低い分子量の両方の利点を達成するために、より高い多分散性指数を有することが望ましい場合がある。
【0070】
粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満、好ましくは20ミクロン未満、より好ましくは15ミクロン未満、さらにより好ましくは10ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する。好ましい実施形態では、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD90を有する粒径分布を有する。より好ましい実施形態では、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD95を有する粒径分布を有する。さらにより好ましい実施形態では、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD99を有する粒径分布を有する。
【0071】
好ましくは、粉末コーティング組成物(すなわち、粉末コーティング組成物全体又は組成物全体の全粒子)は全体として、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する。好ましい実施形態では、粉末コーティング組成物は全体として、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD90を有する粒径分布を有する。より好ましい実施形態では、粉末コーティング組成物は全体として、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD95を有する粒径分布を有する。さらにより好ましい実施形態では、粉末コーティング組成物は全体として、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD99を有する粒径分布を有する。
【0072】
本明細書に記載の粒径分布(例えば、D50、D90、D95、D99など)は、低い方の粒径端に制限されない。しかしながら、D50(好ましい実施形態では、D90、D95、又はD99)1ミクロン超、2ミクロン超、3ミクロン超、又は4ミクロン超であり得る。
【0073】
上記の粒径分布(例えば、D50、D90、D95、及びD99)は、ポリマー粒子の一部、又はすべての表面上に任意選択で存在し得る任意の追加材料を考慮して解釈されるべきである。したがって、例として、任意選択の電荷制御剤を適用する前に、ポリマー粒子が6.5ミクロンのD50を有し、任意選択の電荷制御剤を適用した後、並びに完全に配合された粉末コーティング組成物において7ミクロンのD50を有する場合、7ミクロンは最終ポリマー粒子に対する関連するD50である。
【0074】
1つ以上の電荷制御剤がポリマー粒子の表面上に存在する好ましい実施形態では、上記の粒径分布(例えば、レーザ回折粒径分析によって決定されるD50、D90、D95、及びD99)は、ポリマー粒子上に存在する電荷制御剤を含めて全体的なポリマー粒子に適用される。
【0075】
粉末ポリマー粒子、及び任意選択で全コーティング組成物(すなわち、粉末コーティング組成物全体)は、好ましくは、(例えば、オレンジピール外観とは対照的に)非常に滑らかなコーティングを得るために、並びに適用されたコーティング材料の量及びコストを最小限に抑えるために、狭い又は非常に狭い分布の粒径を有する。本開示の粉末コーティング組成物は、上記の粒径パラメータの外側の粒径を有するポリマー粒子を含み得ることが企図される。好ましくは、粉末コーティング組成物中に含まれるそのような任意選択の「より大きな」及び/又は「より小さい」ポリマー粒子又は他の粒子の総量は、粉末コーティング組成物及び/又は硬化したコーティングの所望の特性が実質的に保存される(例えば、粉末コーティング組成物の所望の適用特性、キュアリングコーティングの所望の付着性、柔軟性、耐薬品性、コーティング審美性など)ように十分に少ない。そのような実施形態では、好ましくは、粉末コーティング組成物中に存在する全粒子の実質的な大部分、体積%(例えば、65%以上、80%以上、90%以上、95%以上、99%以上など)は、上述の粒径パラメータに従う粒径を呈する。
【0076】
凝集前の一次ポリマー粒子及び他の出発材料(例えば、荷電制御剤、潤滑剤など)、凝集してもしなくてもよい粉末ポリマー粒子、又は粉末コーティング組成物の粒径を決定するのに有用な方法は、レーザ回折粒径分析である。そのような分析のための例示的なデバイスは、製造業者によって推奨されるように較正されたBeckman Coulter LS230レーザ回折粒径分析器又は同等物である。この分析器の粒径分析は、国際標準ISO13320:2009(E)の原理を具体化すると考えられている。
【0077】
レーザ回折粒径分析のための試料は、例えば、実質的に非膨潤性溶媒(シクロヘキサノン又は2-ブトキシエタノールなど)で試料を希釈し、それらを均一に分散させるまで振盪することによって調製することができる。好適な溶媒の選択は、試験される特定の粒子に依存するであろう。溶媒スクリーニング試験は、好適な実質的に非膨潤性溶媒を特定するために行われる必要があり得る。例として、ポリマー粒子が約1%以下で膨潤する溶媒(レーザ回折粒径分析によって決定される)は、実質的に非膨潤性溶媒とみなされるであろう。
【0078】
当業者は、コーティングプロセスの前に一次粒子の粒径を測定することができるが、凝集体が形成されると容易に決定することはできないことが理解されるであろう。すなわち、凝集体を形成する一次粒子の粒径は、出発材料に基づいて決定される。さらに、凝集体の粒径を測定するために、凝集体の試料をコーティングプロセス中に(例えば、噴霧乾燥プロセス中に)収集する。コーティングが形成されると、凝集体の粒径の正確な決定は、容易に決定することができない。
【0079】
本開示の粉末ポリマー粒子は、例えば、フレーク、シート、ロッド、球状、ジャガイモ形状、球形、又はそれらの混合を含む、任意の好適な形状であり得る。例えば、沈殿したポリマー粒子は、典型的には球形である。好ましくは、粒子は、ジャガイモ形状若しくは球形、又はそれらの混合である。
【0080】
任意の好適な粉末ポリマー粒子を使用することができるが、好ましいポリマー粒子は化学的に生産されたポリマー粒子である。化学的に生産された粉末は、機械的加工以外の方法(例えば、従来の粉砕以外)によって調製された微細粉末として一般的に定義され得る。そのようなポリマー粒子は、機械的加工手段(例えば、粉砕、摩砕など)によって典型的に達成されるものとは異なる表面形態及び/又は粒子形状を有する。そのような機械的技術は、より大きなサイズのポリマー材料の固まりを、何らかの方法で粉砕し、より小さなサイズのポリマー粒子を生産することを伴う。しかしながら、そのようなプロセスは、典型的には、不規則な角度粒子形状及び粗い不規則な表面形態を生じさせ、広い粒径分布をもたらし、それによって、所望の粒径分布を達成するための追加の濾過を必要とし、これにより、廃棄物及び追加のコストがもたらされる。そのような機械的加工からもたらされるポリマー粒子は、しばしば「微粉化」又は「粉砕」(従来調製された)粒子と呼ばれる。例として、角ばっていて不規則であり、幅広い粒径分布を有する従来の摩砕ポリエステル粉末コーティング粒子の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)画像を示す図1Aを参照されたい。
【0081】
対照的に、化学的に生産されたポリマー粒子は、より規則的で滑らかな表面形態、並びにより規則的で一貫した粒子形状及び粒径を有する傾向がある。加えて、認識可能な廃棄物を生成することなく、粒径分布をより正確に標的化し、制御することができる。理論に拘束されることを意図するものではないが、機械的に生産された粒子と比較して、化学的に生産された粒子の高められた均質性及び規則性(例えば、形状、表面形態、及び粒径分布に関して)は、基材へのより良好、かつより予測可能な効率的な移動及び適用、並びに最終的にはそこから生産される硬化した付着包装コーティングのより良好なコーティング性能特性をもたらすと考えられる。例として、概して狭い粒径分布を有する化学的に生産されたポリマー粒子を示す図1B(概してジャガイモ形状の粒子)及び図1C(概して球形の粒子)を参照されたい。
【0082】
ポリマー粒子を生産するための化学的プロセスの例には、界面重合、有機溶液中での重合、水性媒体中での乳化又は分散重合などの重合、低分子量又はポリマー親水性、疎水性、若しくはフルオロフィル性界面活性剤を使用した、界面活性剤中の(例えば、分散相又は連続相での)ポリマーの分散、制御沈殿などのポリマーの沈殿、溶融ブレンドポリマー、粒子凝集、マイクロカプセル化、再結晶化、コアシェル形成、並びに「複合」粉末ポリマー粒子を形成する他のプロセスが含まれる。
【0083】
粉末ポリマー粒子(好ましくは、全粉末コーティング組成物のすべての粒子)は、少なくとも100、又は少なくとも120の形状係数を有し得る。例えば、粉砕又は微粉粒子を使用すると、形状因子は、最大165、又は最大155、又は最大140であり得る。したがって、粒子は、(100~120未満の経常係数を有する)球形、又は(少なくとも120~最大140の形状係数を有する)ジャガイモ形状、又は球形及びジャガイモ形状の混合であり得る。対照的に、従来の機械的に生産されたポリマー粒子は、典型的には、145を超える形状係数を有する。粉末ポリマー粒子は、好ましくはジャガイモ形状である。形状係数は、以下の式を使用して決定することができる。
形状係数=((ML)/A)×(π/4)×100
式中、ML=粒子の最大長(球体=2r)、及び
A=投影された面積(球体=πr)。
【0084】
形状係数は、流動型粒子動的画像分析器CAMSIZER X2を使用して動的画像分析(Dynamic Image Analysis、DIA)を使用して決定することができる。粒子形状パラメータには、凸性、球形度、対称性、及びアスペクト比(長さ対幅の比)が含まれる。
【0085】
形状分析のために、典型的には、粒径が1ミクロン未満の粒子は、典型的には無視される。理論に拘束されるものではないが、そのような小さな粒子は、大きな粒子と同様の形状を有し、及び/又は大きな粒子の形状は、形成された最終的なコーティングの性能を制御すると考えられている。
【0086】
動的画像分析(DIA)は、照明された背景の前のカメラシステムを通過する粒子の流れを使用する。動的画像分析システムは、自由落下粒子及び懸濁液を測定し、凝集傾向のある粒子に対しては空気圧による分散も特徴とする。粒子画像を使用して、広範囲の形状パラメータが測定される。
【0087】
動的画像分析(DIA)の粉末試料は、例えば、適切な流体で測定される粉末の試料を分散させることによって調製することができる。次いで、調製された試料は、動的撮像技術を採用しているCAMSIZER X2などの動的画像分析器で測定することができる。試料は、加圧空気によって分散され、2つの明るいパルス化LED光源によって照明される間隙を通過する。次いで、分散粒子の画像(より具体的には、それらの影、又は投影)を2つのデジタルカメラによって記録し、例えば、ISO試験法13322-2(2006)によって、(動的撮像を介した粒径分析上で)必要に応じて粒子の様々な長さ及び幅の記述子を決定するために形状について分析する。
【0088】
粉末ポリマー粒子(好ましくは、全粉末コーティング組成物のすべての粒子)は、好ましくは、少なくとも1、及び最大20の圧縮性指数を有する。より好ましくは、圧縮性指数は、1~10、11~15、又は16~20であり得る。圧縮性指数は、以下の式を使用して決定することができる。
圧縮性指数=((タップ密度-バルク密度)/(タップ密度)×100)
ここで、タップ密度及びバルクは、各々、ASTM D7481-18(2018)に従って決定される。粉末ポリマー粒子(好ましくは、全粉末コーティング組成物のすべての粒子)は、好ましくは、少なくとも1.00、及び最大1.25のハウスナー比を有する。より好ましくは、ハウスナー比は、1.00~1.11、1.12~1.18、又は1.19~1.25である。ハウスナー比は、以下の式を使用して決定することができる。
ハウスナー比=タップ密度/バルク密度
ここで、タップ密度及びバルク密度は、上記で定義/決定されたとおりである。
【0089】
好ましくは、粉末ポリマー粒子は、少なくとも公平な流動特性(例えば、16~20の圧縮性指数を有し、ハウスナー比が1.19~1.25である)、又は少なくとも良好な流動特性(例えば、11~15の圧縮性指数を有し、ハウスナー比が1.12~1.18である)、又は優れた流動特性(例えば、1~10の圧縮性指数を有し、ハウスナー比が1.00~1.11)を有している。
【0090】
粉末ポリマー粒子について上述した粒径分布(例えば、D50など)と同様に、形状因子、圧縮性指数、及びハウスナー比は、最終粉末コーティング組成物中のポリマー粒子の表面上に任意選択で存在し得る任意の追加の材料(例えば、電荷制御剤)を含めたものであるべきである。
【0091】
好ましい実施形態では、全粉末コーティング組成物は、粉末ポリマー粒子について上に開示された範囲内にある、D50、D90、D95、D99、形状因子、圧縮性指数、及びハウスナー比のうちの1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、及び好ましくはすべてを呈する。
【0092】
好ましい実施形態では、粉末ポリマー粒子は、凝集体(すなわち、一次ポリマー粒子のアセンブリ)の形態である。凝集体(すなわち、クラスタ)は、最大25ミクロン、最大20ミクロン、最大15ミクロン、又は最大10ミクロンの粒径を有し得る。凝集体粒径のより低いサイズ範囲は制限されないが、典型的には、粒径は、少なくとも1ミクロン、少なくとも2ミクロン、少なくとも3ミクロン、又は少なくとも4ミクロンとなる。好ましくは、一次ポリマー粒子は、少なくとも0.05ミクロン、最大8ミクロン、最大5ミクロン、最大3ミクロン、最大2ミクロン、又は最大1ミクロンの一次粒径を有する。一次粒径は、出発材料のレーザ回折粒径分析によって決定され得、ポリマー凝集体の粒径(例えば、噴霧乾燥プロセス中に収集される凝集体)はまた、レーザ回折粒径分析によって決定され得る。
【0093】
凝集粒子は、典型的には、噴霧乾燥によって形成される。凝集体は一次粒子のアセンブリであり、後者は重合プロセスによって形成される。噴霧乾燥プロセスは、典型的には、噴霧ノズルを使用して、液体液滴を形成することを伴い、各液滴はその中に一次粒子を含む。次いで、液滴を乾燥させて凝集体を形成する(すなわち、各々が各液滴中にある一次粒子のクラスタ又はアセンブリである)。二次粒径と称され得る凝集体の粒径は、凝集体内の一次粒子の数によって決定される。これは、液滴のサイズ及び/又は各液滴内の一次粒子の濃度によって制御することができる。例えば、小さな凝集体は、噴霧ノズル圧力を増加させて小さな液滴の微細なミストを形成することによって形成され得る。また、小さな凝集体は、液体中の一次粒子の濃度を低下させるが、より低い噴霧ノズル圧力を使用し、より大きな液滴を形成することによって形成され得る。
【0094】
各粉末ポリマー粒子は、単一のタイプのポリマー材料から形成され得るか、又は2つ以上の異なるタイプのポリマー材料を含み得る。必要に応じて、1つ以上のタイプのポリマー材料に加えて、凝集してもしなくてもよい粉末ポリマー粒子は、粉末ポリマー粒子の総重量に基づいて、最大50重量%の1つ以上の任意の添加剤を組み込んでもよい。したがって、好ましくは、粉末ポリマー粒子は、粉末ポリマー粒子の総重量に基づいて、少なくとも50重量%の量の1つ以上のポリマーを含む。より好ましくは、粉末ポリマー粒子は、粉末ポリマー粒子の総重量に基づいて、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、又は100重量%の量の1つ以上のポリマーを含む。
【0095】
そのような任意選択の添加剤としては、例えば、潤滑剤、付着促進剤、架橋剤、触媒、着色剤(例えば、顔料若しくは染料)、強磁性粒子、脱気剤、レベリング剤、湿潤剤、界面活性剤、流れ調整剤、熱安定剤、防食剤、付着促進剤、無機充填剤、金属乾燥剤、及びそれらの組み合わせが挙げられ得る。そのような任意選択の添加剤は、さらに、又はあるいは、粉末ポリマー粒子に加えて粉末コーティング組成物に含まれる他の粒子中に存在し得る。
【0096】
ポリマー粒子は、1つ以上の熱可塑性ポリマー、1つ以上の熱硬化性ポリマー、又はそれらの組み合わせの任意の好適な組み合わせを含み得る。ある特定の好ましい用途では、ポリマー粒子は、1つ以上の熱可塑性ポリマーの任意の好適な組み合わせを含み得る。「熱可塑性」という用語は、十分に加熱されたときに、溶融して形状が変化し、十分に冷却されたときに、硬化する材料を指す。そのような材料は、典型的には、認識可能な化学的変化を呈することなく、繰り返し溶融及び硬化を受けることができる。対照的に、「熱硬化性」は、架橋され、「溶融」しない材料を指す。
【0097】
ポリマー材料は、好ましくは、15グラム/10分超、50グラム/10分超、又は100グラム/10分超のメルトフローインデックスを有する。ポリマー材料は、好ましくは、最大200グラム/10分、又は最大150グラム/10分のメルトフローインデックスを有する。粉末コーティング組成物全体は、そのようなメルトフローインデックスを示し得る。本明細書で言及される「メルトフローインデックス」は、190℃で、かつ2.16キログラム重量で、ASTM D1238-13(2013)に従って測定される。
【0098】
ある特定の実施形態では、ポリマー粒子は、半結晶性、結晶性ポリマー、非晶質ポリマー、又はそれらの組み合わせから作製される。好適な半結晶性又は結晶性ポリマーは、任意の好適な結晶化度パーセントを示し得る。いくつかの実施形態では、本開示の粉末コーティング組成物は、少なくとも5%、少なくとも10%、又は少なくとも20%の(体積基準の)結晶化度パーセントを有する少なくとも1つの半結晶性又は結晶性ポリマーを含む。例として、所与のポリマーの結晶化度パーセントは、以下の式を使用して示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSC)試験によって評定され得る。
結晶化度パーセント(%)=[A/B]×100
式中、「A」は、1グラム当たりのジュール(J/g)における所与のポリマー(すなわち、DSC曲線の溶融部分の「下」の総面積)の融解熱であり、及び
「B」は、ポリマーの100%結晶状態に対するJ/gの融解熱である。
【0099】
多くのポリマーについて、理論上のB値は科学文献で利用可能であり得、そのような値が使用され得る。ポリエステルポリマーの場合、例えば、そのようなB値が文献で利用可能でない場合は、近似値として145kgのB値を使用することができ、これは、Cheng,Stephen、Pan,Robert、及びWunderlich,Bernard、「Thermal analysis of poly(butylene terephthalate)for heat capacity,rigid-amorphous content,and transition behavior,」Macromolecular Chemistry and Physics,Volume 189、Issue10(1988):2443-2458で報告されているように、100%結晶性ポリブチレンテレフタレート(PBT)の融解熱である。
【0100】
好ましくは、ポリマー粒子の少なくとも1つのポリマー材料(より好ましくは、ポリマー粒子中に存在するポリマー材料の実質的にすべて又はすべて)は、少なくとも半結晶性(例えば、半結晶性又は結晶性)である。ポリマー粒子は、非晶質ポリマー材料、又は少なくとも半結晶性ポリマー材料及び非晶質ポリマー材料のブレンドを含み得る。ASTM-D3418-15(2015)は、ポリマーの結晶化特性(結晶化ピーク温度)を評定するための有用な方法の例である。
【0101】
使用されるポリマーは、任意の好適なガラス転移温度(Tg)又はTgの組み合わせを呈し得る。粉末ポリマー粒子は、好ましくは、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃のガラス転移温度(Tg)、及び最大150℃、最大125℃、最大110℃、最大100℃、又は最大80℃のガラス転移温度(Tg)を有する非晶質ポリマーから作製される。
【0102】
より低いTgのポリマー(例えば、少なくとも0℃又は少なくとも30℃のTgを有するものなど、40℃より低いTgを有するもの)は、粒子が、より高いTg(例えば、少なくとも40℃)を有するポリマーを少なくとも1つ含む限り、本明細書で使用する粉末ポリマー粒子の作製に使用することができる。
【0103】
ポリマー粒子は、さらに、コアシェル形態(すなわち、ポリマー粒子の外側部分又はシェルは、内側部分又はコアとは異なる組成である)であり得る。そのような場合、シェルは、理想的には、全ポリマー粒子の10重量%以上を含み、上記のTg選好は、ポリマー粒子のシェルにのみ適用される。言い換えれば、ポリマー粒子のシェルは、好ましくは、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃のTg、及び最大150℃、最大125℃、最大110℃、最大100℃、又は最大80℃のTgを有するポリマーから作製される。
【0104】
粉末ポリマー粒子は、好ましくは、少なくとも40℃の融点及び最大130℃の融点を有する結晶性又は半結晶性ポリマーから作製される。
【0105】
好ましい実施形態では、ポリマー粒子のポリマー材料の実質的にすべて(すなわち、50重量%超)は、そのような融点又はTgを呈する。古典的な非晶質ポリマーは、例えば、任意の識別可能な融点を示さない(例えば、DSC融解ピークを示さない)、又は任意の結晶領域を含まない。したがって、そのような古典的な非晶質ポリマーは、0%の結晶化度パーセントを呈すると予想され得る。したがって、本開示の粉末コーティング組成物は、0%又は実質的に0%の結晶化度パーセントを有する1つ以上の非晶質ポリマーを含み得る。しかしながら、必要に応じて、本開示の粉末コーティング組成物は、0以外の結晶化度パーセント(例えば、5%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満など)を有する1つ以上の「非晶質」ポリマーを含み得る。
【0106】
ポリマー粒子の1つ以上のポリマーは、脂肪族若しくは芳香族、又は1つ以上の脂肪族ポリマーと1つ以上の芳香族ポリマーとの組み合わせであり得る。同様に、1つ以上のポリマーは、飽和若しくは不飽和、又は1つ以上の飽和ポリマーと1つ以上の不飽和ポリマーとの組み合わせであり得る。
【0107】
好適なポリマー粒子は、水(例えば、ラテックスポリマー)から、又は有機溶媒(例えば、ノナン、デカン、ドデカン、又はイソヘキサデカン)から、又はそれらの組み合わせから調製することができる。水性ポリマーは、コストを考慮し、加工時のVOCレベルを維持し、粉末コーティング組成物に残留する有機溶媒を排除するため、好ましい。
【0108】
粉末ポリマー粒子は、乳化、懸濁、溶液、又は分散重合ポリマー粒子(すなわち、乳化、懸濁、溶液、又は分散重合プロセスから作製された粒子)であり得る。典型的には、そのようなポリマーは、自己乳化性基(例えば、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸基、又はそれらの塩)を含むが、これは要件ではない。当業者に周知のように、中和剤(例えば、アミン、アンモニア、又は水酸化アンモニウム)、特に揮発性のものも、そのようなポリマー粒子の作製に使用することが可能である。逆に、必要に応じて、酸で中和された塩基群も使用され得る。非イオン性極性基もまた、代替的又は追加的に使用され得る。
【0109】
粉末ポリマー粒子は、沈殿ポリマー粒子(すなわち、沈殿プロセスから作製された粒子)であり得る。粉末ポリマー粒子は、液体媒体中での重合、続いて好適な乾燥プロセス(例えば、噴霧乾燥、真空乾燥、流動床乾燥、放射線乾燥、フラッシュ乾燥など)を介して形成することができる。粉末ポリマー粒子はまた、任意選択で乳化に使用されるようなディスペンサに結合された(例えば、混練機、混合機、押出機などを使用する)溶融ブレンドを介して形成することができる(例えば、そのようなプロセス機器の説明については、米国特許第6,512,024号(Pateら)を参照のこと)。しかしながら、好ましくは、粉末ポリマー粒子は、粉砕ポリマー粒子又は他の同様の破砕若しくは微粉化プロセスから形成されたポリマー粒子ではない。より好ましくは、粉末ポリマー粒子は噴霧乾燥粒子である。
【0110】
粉末ポリマー粒子のポリマーは、ポリアクリル(すなわち、アクリル又はアクリレート又はポリアクリレート)、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はそれらの組み合わせ(すなわち、アクリロニトリルブタジエンスチレンなどのコポリマー又はそれらの混合物)であり得る。ポリマーは、工学プラスチックであり得る。工学プラスチックは、より広く使用されている商品プラスチック(ポリスチレン、ポリプロピレン、及びポリエチレンなど)よりも良好な機械的及び/又は熱的特性を有する熱可塑性材料の群である。工学プラスチックの例としては、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート、及びポリアミドが挙げられる。好ましくは、粉末ポリマー粒子のポリマーは、ポリアクリル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、又はそれらの組み合わせである。
【0111】
個々の粒子は、1つのポリマー又は2つ以上のポリマーで作製され得る。個々の粒子は、全体を通して均一であり得るか、又は1、2、3、若しくはそれ以上の「シェル」層を有する「コアシェル」構成を有するか、若しくは勾配構造(例えば、連続的に変化する構造)を有し得る。そのような「コアシェル」粒子は、例えば、2つ以上の異なる段階の乳化重合、ポリマー界面活性剤を使用して行われる乳化重合、又はそれらの組み合わせを介して創出された多段ラテックスを含み得る。粒子の集団は、均一粒子とコアシェル粒子の混合物を含む、ポリマーの混合物を含み得る。
【0112】
好ましい実施形態では、ポリマー中に十分な数の環状基、好ましくはアリール基及び/又はヘテロアリール基(例えば、フェニレン基)を含めることは、特に包装される製品がいわゆる「持ちにくい」食品又は飲料製品である場合、食品接触包装コーティングに好適なコーティング性能を達成するための重要な要因である。ザウアークラウトは、持ちにくい製品の一例である。このような性能を提供する環状基はアリール基又はヘテロアリール基であることが多いが、好適な脂肪族環状基、例えば、脂肪族架橋二環式基(例えば、ノルボルナン又はノルボルネン基)、脂肪族架橋三環式基(例えば、トリシクロデカン基)、(例えば、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールから誘導される構造単位を用いて提供されるような)シクロブタン基、シクロブテン基、又はスピロジシクロ基(例えば、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン(PSG))などが、こうした性能を提供してもよい。
【0113】
例えば、ポリマー粒子がある特定のポリエーテル又はポリエステルポリマー、環状基、より好ましくはアリール及び/又はヘテロアリール基から形成される場合、好ましくは、少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも30重量%、さらにより好ましくは少なくとも35重量%、最適には少なくとも45重量%のそのようなポリマーを構成する。環状基(例えば、アリール/ヘテロアリール基)の上限濃度は特に限定されないが、好ましくは、そのような基の量は、好ましくは、ポリマーのTgが本明細書で論じられるTg範囲内にあるように構成されている。そのようなポリマー中の環状基(例えば、アリール及び/又はヘテロアリール基)の総量は、典型的には、約80重量%未満、より好ましくは75重量%未満、さらにより好ましくは約70重量%未満、最適には60重量%未満のポリエーテルポリマーを構成する。そのようなポリマー中の環状基(例えば、アリール及び/又はヘテロアリール基)の総量は、ポリマーに組み込まれた環状基含有重合性化合物(例えば、アリール又はヘテロアリール含有重合性化合物)の重量及び環状基を構成するそのような重合性化合物の重量分率(例えば、アリール又はヘテロアリール基)に基づいて決定することができる。
【0114】
好ましいアリール又はヘテロアリール基は、20個未満の炭素原子、より好ましくは11個未満の炭素原子、さらにより好ましくは8個未満の炭素原子を含む。アリール又はヘテロアリール基は、好ましくは少なくとも4個の炭素原子、より好ましくは少なくとも5個の炭素原子、さらにより好ましくは少なくとも6個の炭素原子を有する。置換又は非置換フェニレン基は、好ましいアリール又はヘテロアリール基である。
【0115】
あるいは、環状基の少なくとも一部、若しくは全部は、多環式基(例えば、二環式、三環式、又は4つ以上の環を有する多環式基)である。
【0116】
粉末ポリマー粒子は、ポリエステルポリマーを含み得る。好適なポリエステルとしては、1つ以上の好適なポリカルボン酸成分(例えば、ジカルボン酸成分、トリカルボン酸成分、テトラカルボン酸成分など)から形成されるポリエステル、及び1つ以上の好適なポリオール成分(例えば、ジオール成分、トリオール成分、4つのヒドロキシル基を有するポリオールなど)が挙げられる。必要に応じて、1つ以上の他のコモノマーを任意選択で使用してもよい。ジカルボン酸成分及びジオール成分が好ましい。
【0117】
好適なジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸(例えば、2,6-ナフタレンジカルボン酸)、及びフランジカルボン酸(例えば、2,5-フランジカルボン酸)などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、及びアゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、及びフマル酸などの不飽和酸、及びそれらの混合物が挙げられる。他の好適なポリカルボン酸(又は無水物)の例としては、ベンゼン-ペンタカルボン酸、メリット酸、1,3,5,7ナフタレン-テトラカルボン酸、2,4,6ピリジン-トリカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、3,5,3’,5’-ビフェニルテトラカルボン酸、3,5,3’,5’-ビピリジルテトラカルボン酸、3,5,3’,5’-ベンゾフェノネテトラカンボン酸、1,3,6,8-アクリジネトカルボン酸、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸、無水ナディック酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、及びそれらの混合物が挙げられる。前述の酸の無水物又はエステル及びそのような酸、無水物又はエステルの混合物も使用され得る。
【0118】
好適なジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、及びデカメチレングリコールなど、式HO-(CH-OH(式中、nは約2~10である)で表されるポリメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなど、式HO-CH-C(R)-CH-OH(式中、Rは、1~4個の炭素原子を有するアルキル基である)で表される分岐グリコール、ジエチレングリコール及びトリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール(CHDM)などのシクロヘキサン環を有するジオール、2-メチル-1,3プロパンジオール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールなどのシクロブタン環を有するジオール、イソソルビド、トリシクロデカンジメタノール、スピロ二環式ジオール(例えば、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(PSG))、及びそれらの混合物が挙げられる。グリセロール、トリメチロールプロパン(TMP)、及び他の好適な三官能性以上のポリオールもまた、単独で、又は任意の他の好適なポリオールと組み合わせて使用され得る。
【0119】
ポリエステルポリマー粒子は、好ましくは、半結晶性又は結晶性ポリマーから作製される。好適な例示的な結晶性及び半結晶性ポリエステルポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)、PET/I、ポリブチレンテレフタレート(「PBT」)、ポリエチレンナフタレート(「PEN」)、ポリ-1,4-シクロヘキシルジメチレンテレフタレート、及びそれらのコポリマー並びに組み合わせのようなPETのコポリマーが挙げられる。ポリエステル材料は、ダイマー脂肪酸を含む成分から形成され得る。有用な市販のポリエステル材料の非限定的な例としては、例えば、DYNAPOL L912(トリシクロデカンジメタノール由来の多環式基を含む)、DYNAPOL L952、DYNAPOL P1500、DYNAPOL P1500HV(約170℃の融点温度、約20℃のガラス転移温度、及び約20,000の数平均分子量を有する)、DYNAPOL P1510、及びDYNAPOL P1550(各々Hiils AGから入手可能であり、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸を含むモノマーをベースとする)などの商品名DYNAPOLで市販されているポリエステル、TRITAN商品名で市販されているポリエステル材料(Eastman Chemical Companyから入手可能であり、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールを含むモノマーをベースとする)、例えば、GRILTEX DD2267EG及びGRILTEX D2310EGなどの商品名GRILTEXで市販されているポリエステル材料(各々、EMS-Chemieから入手可能であり、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸を含むモノマーをベースとする)を挙げることができる。
【0120】
好適な粉末ポリマー粒子を作製する際に使用され得る例示的なポリエステルポリマーは、例えば、米国特許公開第2014/0319133号(Castelbergら)、米国特許公開第2015/0344732(Witt-Sansonら)、米国特許公開第2016/0160075号(Senekerら)、国際出願第PCT/US2018/051726号(Matthieuら)、米国特許第5,464,884号(Nieldら)、米国特許第6,893,678号(Hiroseら)、米国特許第7,198,849号(Stapperfenneら)、米国特許第7,803,415号(Kiefer-Liptakら)、米国特許第7,981,515号(Ambroseら)、米国特許第8,133,557号(Parekhら)、米国特許第8,367,171号(Stensonら)、米国特許第8,574,672号(Doreauら)、米国特許第9,096,772号(Lespinasseら)、米国特許第9,011,999号(Cavallinら)、米国特許第9,115,241号(Gaoら)、米国特許第9,187,213号(Prouvostら)、米国特許第9,321,935号(Senekerら)、米国特許第9,650,176号(Cavallinら)、米国特許第9,695,264号(Lockら)、米国特許第9,708,504号(Singerら)、米国特許第9,920,217号(Skillmanら)、米国特許第10,131,796号(Martinoniら)、及び米国特許公開第2020/0207516号(Senekerら)に記載されている。
【0121】
C4環を有するポリエステルポリマー、例えば、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールを含むものなどの、例えばシクロブタンジオール型化合物に由来するある特定の構造セグメント中に存在するものなどを使用することができる)。そのようなC4環を含む例示的なそのようなポリエステルは、例えば、WO2014/078618(Knottsら)、米国特許第8,163,850号(Marshら)、米国特許第9,650,539号(Kuoら)、米国特許第9,598,602号(Kuoら)、米国特許第9,487,619号(Kuoら)、米国特許第9,828,522号(Argyropoulosら)、及び米国特許公開第2020/0207516号(Senekerら)に記載されている。
【0122】
好ましくは、粉末ポリマー粒子は、ポリエーテルポリマーを含み得る。ポリエーテルポリマーは、複数の芳香族セグメント、より典型的には芳香族エーテルセグメントを含有してもよい。ポリエーテルポリマーは、任意の好適な反応物及び任意の好適な重合プロセスを使用して形成され得る。ポリエーテルポリマーは、例えば、増量剤化合物(例えば、好ましくは多価フェノール、より好ましくは二価フェノールであるジオール、二塩基酸、又はフェノールヒドロキシル基及びカルボン酸基の両方を有する化合物)を含む反応物から形成されてもよい。好ましい実施形態では、ポリエポキシドは、多価フェノールのポリエポキシド(より典型的には、二価フェノールのジエポキシド、例えば、ジグリシジルエーテル)である。好ましくは、(i)多価フェノール化合物は、オルト置換ジフェノール(例えば、テトラメチルビスフェノールF)であり、(ii)ジエポキシドは、オルト置換ジフェノール(例えば、テトラメチルビスフェノールF)のジエポキシド、又は(iii)(i)及び(ii)の両方である。
【0123】
ポリエーテルポリマーは、オルト置換ジフェノールのジエポキシド(例えば、テトラメチルビスフェノールFのジグリシジルエーテル)及び1つのみのフェノール環(例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、又はそれらの置換バリアント)を有する二価フェノールを含む反応物から形成され得る。
【0124】
ポリエーテルポリマーは、多価フェノールに由来しないジエポキシド(典型的にはジグリシジルエーテル又はジグリシジルエステル)を含む反応物から調製され得、これは、1つ以上の骨格又はペンダントアリール又はヘテロアリール基を含む。そのような芳香族ジエポキシドは、例えば、ジオール、二酸、ジアミンなどの2つ以上の反応性基を有する芳香族化合物から調製され得る。芳香族ジエポキシドを形成する際に使用するのに好適なそのような例示的な芳香族化合物としては、1-フェニル-1,2-プロパンジオール、2-フェニル-1,2-プロパンジオール、1-フェニル-1,3-プロパンジオール、2-フェニル-1,3-プロパンジオール、1-フェニル-1,2-エタンジオール、バニリルアルコール、1,2-,1,3-又は1,4-ベンゼンジメタノール、フランジメタノール(例えば、2,5-フランジメタノール)、テレフタル酸、イソフタル酸などが挙げられる。
【0125】
ポリエーテルポリマーは、典型的には脂肪族ジエポキシド、より典型的には脂環式ジエポキシドである1つ以上の脂肪族ポリエポキシドを含む反応物から調製され得る。例示的な脂肪族ジエポキシドには、シクロブタンジオール(例えば、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール)、イソソルビド、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、2-メチル1,3-プロパンジオール、トリシクロデカンジメタノール、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(PSG)及びこれらの混合物のジエポキシド(典型的には、それらのジグリシジルエーテルである)が含まれる。
【0126】
好適な粉末粒子を作製する際に使用され得る例示的な反応物、重合プロセス、及びポリエーテルポリマーは、米国特許第7,910,170号(Evansら)、米国特許第9,409,219号(Niederstら)、米国特許公開第2013/0280455(Evansら)、米国特許公開第2013/0316109(Niederstら)、米国特許公開第2013/0206756(Niederstら)、米国特許公開第2015/0021323(Niederstら)、国際公開第2015/167088号(ValsparSource)、国際公開第2015/164703号(ValsparSource)、国際公開第2015/057932号(ValsparSource)、国際公開第2015/179064号(ValsparSource)、及び国際公開第2018/125895号(ValsparSource)に記載されている。
【0127】
あるいは、ポリエーテルポリマーは、任意のビスフェノール又はビスフェノールの任意のエポキシドを含まない成分から形成され得るが、意図的でない微量が、例えば、環境汚染によって存在する可能性があり得る。そのようなビスフェノールを含まないポリエーテルポリマーを形成するのに好適な反応物の例としては、前段で参照した特許文献に記載されているビスフェノール類以外の材料に由来するジエポキシドのいずれか、及びそのような特許文献に開示されているビスフェノール類以外の増量剤化合物のいずれかが挙げられる。ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、及びそれらの置換バリアントは、そのようなビスフェノールを含まないポリエーテルポリマーの作製に使用するための好適な増量剤化合物の非限定的な例である。
【0128】
好ましくは、粉末ポリマー粒子は、エチレン性不飽和モノマーのフリーラジカル重合を介して形成されたポリマーを含み得、アクリルポリマーは、そのようなポリマーの好ましい例である。そのようなポリマーは、典型的には、(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸から選択される1つ以上のモノマーを含むことを考慮して、本明細書では便宜上「アクリルポリマー」と称される。好ましいアクリルポリマーとしては、有機溶液重合アクリルポリマー及び乳化重合アクリルラテックスポリマーが挙げられる。好適なアクリルポリマーは、(メタ)アクリル酸エステル、任意選択のエチレン性不飽和モノ又は多官能酸、及び任意選択のビニル化合物を含む成分の反応生成物を含む。例えば、アクリレートフィルム形成ポリマーは、エチルアクリレート、アクリル酸、及びスチレン(好ましくは、2,2’-アゾビス(2-メチル-ブチロニトリル)及びtert-ブチルペルオキシベンゾエートフリーラジカル開始剤の存在下)を含む成分の反応生成物であり得る。
【0129】
好適な(メタ)アクリル酸エステル(すなわち、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステル)の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート及びノニル(メタ)アクリレートが挙げられる。任意の好適な異性体又は上記の異性体の組み合わせを使用してもよい。例として、「ブチル(メタ)アクリレート」の開示は、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレートなどのすべての異性体を開示することを意図している。一般に、本明細書に開示されているように、特に反対の指示がない限り、所与のモノマーに関するすべての異性体の開示が意図されている。
【0130】
好適なエチレン性不飽和モノ又は多官能酸の例としては、メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、メサコン酸、シトラコン酸、ソルビン酸、及びフマル酸が挙げられる。
【0131】
好適なビニル化合物の例としては、スチレン、ハロスチレン、イソプレン、共役ブタジエン、アルファ-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロオクタン、ビニルシクロヘキセン、及びステアリン酸ビニルが挙げられる。
【0132】
市販のアクリルポリマーの例としては、VIACRYL SC454/50BSNB、VIACRYL SC383w/50WA、及びVANCRYL2900DEV(すべてCytec Industries Inc.、West Patterson,NJから)、並びにNEOCRYL A-639、NEOCRYL XK-64、URACON CR203M3、及びURACON CS113S1G(すべてDSM Neoresins BV、5140 AC Waalwijk,Netherlandsから)の商品名で入手可能なものが挙げられる。
【0133】
好適な粉末粒子を作製する際に使用され得る例示的なアクリルポリマーは、米国特許第8,168,276号(Cleaverら)、米国特許第7,189,787号(O’Brien)、米国特許第7,592,047号(O’Brienら)、米国特許第9,181,448号(Liら)、米国特許第9,394,456号(Rademacherら)、米国特許公開第2016/0009941号(Rademacherら)、米国特許公開第2016/0376446号(Gibanelら)、米国特許公開第2017/0002227号(Gibanelら)、米国特許公開第2018/0265729(Gibanelら)、国際公開第2016/196174号(Singerら)、国際公開第2016/196190号(Singerら)、国際公開第2017/112837号(Gibanelら)、国際公開第2017/180895号(O’Brienら)、国際公開第2018/085052号(Gibanelら)、国際公開第2018/075762号(Gibanelら)、国際公開第2019/078925号(Gibanelら)、国際公開第2019/046700号(O’Brienら)、及び国際公開第2019/046750(O’Brienら)に記載されている。
【0134】
粉末ポリマー粒子は、ポリエーテルポリマー及びアクリルポリマーの両方を含む乾燥ラテックス粒子を含み得る。そのようなラテックス粒子の例は、例えば、国際公開第2017/180895号(O’Brienら)及び国際公開第2019/046700号(O’Brienら)に記載されている。
【0135】
好ましくは、粉末ポリマー粒子は、ポリオレフィンポリマーを含み得る。好適なポリオレフィンポリマーの例としては、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンメタクリル酸コポリマー、プロピレンアクリル酸コポリマー、プロピレンメタクリル酸コポリマー、及びエチレンビニルアルコールコポリマーが挙げられる。
【0136】
市販のポリオレフィンポリマーの例としては、DOW PRIMACOR5980i、DUPONT NUCREL、POLYBOND1103、NIPPON SOARNOL(EVOH)、ARKEMA OREVAC18751、及びARKEMA OREVAC18360の商品名で入手可能なものが挙げられる。好適な粉末粒子を作製する際に使用され得る例示的なポリオレフィンポリマーは、米国特許第9,000,074号(Choudhery)、米国特許第8,791,204号(Choudhery)、国際公開第2014/140057号(Akzo Nobel)、米国特許第8,722,787号(Romickら)、米国特許第8,779,053号(Lundgardら)、及び米国特許第8,946,329号(Wilburら)に記載されている。
【0137】
好適なポリオレフィン粒子は、ポリオレフィンポリマーの水性分散液から調製され得る。そのような水性ポリオレフィン分散体を生産するための好適なプロセスの説明については、例えば、米国特許第8,193,275号(Monclaら)を参照されたい。市販の水性ポリオレフィン分散体の例としては、例えば、CANVERA 1110製品、CANVERA 3110シリーズ、及びCANVERA 3140シリーズを含む、Dowから入手可能な製品のCANVERAシリーズが挙げられる。本明細書に開示される仕様の乾燥粉末ポリマー粒子は、例えば、噴霧乾燥などの本明細書に開示される好適なプロセスのいずれかを含む、任意の好適なプロセスを使用して達成することができる。好ましくは、噴霧乾燥を使用して、本明細書に開示される仕様の乾燥粉末ポリマー粒子を形成する。
【0138】
粉末ポリマー粒子は、エーテル成分又は金属乾燥剤の一方又は両方と組み合わせて不飽和ポリマーを含み得る。エーテル成分は、不飽和ポリマー自体中に存在し得る。理論に拘束されることを意図するものではないが、好適な量の不飽和(例えば、ノルボルネン基、及び無水マレイン酸、イタコン酸、官能基化ポリブタジエンに由来する飽和構造単位などに存在するような、例えば、脂肪族又はシクロ脂肪族炭素-炭素二重結合)が、好適な量のエーテル成分又は金属乾燥剤(例えば、アルミニウム、コバルト、銅、それらの酸化物、それらの塩)と組み合わせて存在することにより、粉末コーティング組成物の熱キュアリング中に分子量の構築をもたらし、硬化したコーティングを形成できると考えられている。例えば、そのような反応機構並びに好適な材料及び濃度のさらなる考察については、米国特許第9,206,332号(Cavallinら)を参照されたい。粉末ポリマー粒子のポリマーは、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも35、又は少なくとも50のヨウ素価を有し得る。好適なヨウ素価の上限範囲は特に限定されないが、ほとんどのそのような実施形態では、ヨウ素価は典型的には約100又は約120を超えることはない。前述のヨウ素価は、材料1グラム当たりのヨウ素のセンチグラムで表される。ヨウ素価は、例えば、「Standard Test Method for Determination of Iodine Values of Tall Oil Fatty Acids」と題するASTM D5768-02(Reapproved 2006)を用いて測定することができる。
【0139】
任意選択の電荷制御剤
本開示の粉末コーティング組成物の好ましい実施形態では、1つ以上の電荷制御剤が、コーティング組成物中に含まれる。すなわち、好ましい実施形態では、粉末ポリマー粒子は、1つ以上の電荷制御剤と接触している。
【0140】
好ましくは、1つ以上の電荷制御剤は、粉末ポリマー粒子の表面に配設される。ポリマー粒子は、好ましくは、1つ以上の電荷制御剤で少なくとも実質的にコーティングされるか、又は完全にコーティングされている。1つ以上の電荷制御剤は、より好ましくは、粉末ポリマー粒子の表面に付着される。
【0141】
電荷制御剤は、粉末コーティング粒子が、基材への静電付与をより良好に容易にするために、電荷(好ましくは、摩擦帯電)を効率的に受け入れることを可能にする。電荷制御剤はまた、粉末コーティング粒子が、長期間にわたって潜在摩擦帯電をより良好に維持することを許容し、経時的な静電付与特性の劣化を回避する。1つ以上の電荷制御剤を組み込むことによって達成される利点に加えて、薬剤は、システムに悪影響を及ぼしてはならない。例えば、電荷制御剤は、適用装置の任意の構成要素(定着器など)の機能又は硬化したコーティングの性能(付着性、発色性、透明性、又は製品耐性など)に悪影響を及ぼすような方法で干渉してはならない。
【0142】
したがって、粒子及び電荷制御剤のそのような組み合わせは、本明細書では「摩擦帯電性粉末ポリマー粒子」(又は単に「帯電性ポリマー粒子」又は「帯電性粒子」)と称される。粉末ポリマー粒子に対する電荷制御剤の使用及び配向は、トナー印刷業界ではよく知られている。
【0143】
基材への適用中、電荷制御剤は、好ましくは、摩擦によって粉末ポリマー粒子に電荷を提供し、それによって帯電した(すなわち、摩擦帯電)粉末ポリマー粒子を形成する。
【0144】
電荷制御剤は、正に帯電した粉末コーティング組成物とともに使用するためのものであり得る。あるいは、電荷制御剤は、負に帯電した粉末コーティング組成物とともに使用するためのものであり得る。
【0145】
電荷制御剤は、無機粒子、有機粒子、又はその両方(例えば、無機変性有機粒子又は有機金属粒子)を含み得る。好ましくは、電荷制御剤は、無機粒子を含む。電荷制御剤は、正に帯電しているか、又は負に帯電していてもよい。
【0146】
電荷制御剤粒子は、任意の好適なサイズであり得る。典型的には、電荷制御剤粒子は、サブミクロン範囲(例えば、1ミクロン未満、100ナノメートル以下、50ナノメートル以下、又は20ナノメートル以下)の粒径を有するが、任意の好適なサイズが使用され得る。好ましくは、電荷制御剤粒子の粒径は、0.001ミクロン~0.10ミクロンである。電荷制御剤粒子の粒径を決定するための有用な方法は、粉末ポリマー粒子について本明細書に記載されるように、レーザ回折粒径分析である。
【0147】
好適な電荷制御剤の例としては、親水性ヒュームド酸化アルミニウム粒子、親水性沈殿アルミニウムケイ酸ナトリウム粒子、金属炭酸塩及びスルホン酸塩粒子、四級アンモニウム塩(例えば、四級アンモニウム硫酸塩又はスルホン酸塩粒子)、ペンダント四級アンモニウム塩を含有するポリマー、強磁性粒子、遷移金属粒子、ニトロシン若しくはアジン色素、銅フタロシアニン顔料、クロム、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウムの金属錯体、又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0148】
任意選択の添加剤
本開示の粉末コーティング組成物は、所望の効果を提供するための1つ以上の他の任意選択の添加剤を含み得る。例えば、組成物の美観を高めるため、組成物の製造、加工、取り扱い、及び適用を促進するため、並びにコーティング組成物又はそれから得られる硬化したコーティングの特定の機能的特性をさらに改善するために、そのような任意選択の添加剤をコーティング組成物に含めることができる。1つ以上の任意選択の添加剤は、噴霧乾燥粒子の一部などの粒子自体の一部を形成し得る。
【0149】
本開示の硬化したコーティングは、好ましくは食品接触面に使用されるため、味、毒性、又は他の政府の規制要件などの要因による、そのような表面に不適切な添加剤の使用を回避することが望ましい。
【0150】
そのような任意選択の添加剤の例、特に食品接触表面に使用されるコーティングで使用するのに好適なものとしては、潤滑剤、付着促進剤、架橋剤、触媒、着色剤(例えば、顔料若しくは染料)、強磁性粒子、脱気剤、レベリング剤、湿潤剤、界面活性剤、流れ調整剤、熱安定剤、防食剤、付着促進剤、無機充填剤、金属乾燥剤、及びそれらの組み合わせが挙げられ得る。粉末コーティング組成物は、1つ以上の潤滑剤、顔料、架橋剤、又はそれらの組み合わせを含み得る。
【0151】
好ましい実施形態では、本開示の粉末コーティング組成物は、例えば、可撓性のための1つ以上の潤滑剤を含む。好適な潤滑剤の例としては、カルナウバワックス、合成ワックス(例えば、フィッシャー-トロプシュワックス)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス、ポリオレフィンワックス(例えば、ポリエチレン(PE)ワックス、ポリプロピレン(PP)ワックス、及び高密度ポリエチレン(HDPE)ワックス)、アミドワックス(例えば、微粉化エチレンビスステアラミド(EBS)ワックス)、それらの組み合わせ、及びそれらの変性版(例えば、アミド変性PEワックス、PTFE変性PEワックスなど)が挙げられる。潤滑剤は、任意選択で球形であり得る微粉化ワックスであり得る。潤滑剤は、金属缶、特に金属製のリベット缶端部及びプルタブの製造において、コーティングされた金属基材シートに潤滑性、ひいては柔軟性を付与することにより、製造を容易にする。
【0152】
1つ以上の潤滑剤は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%の量で本開示の粉末コーティング組成物中に存在し得る。さらに、1つ以上の潤滑剤は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、最大4重量%、最大3重量%、又は最大2重量%の量で存在し得る。
【0153】
潤滑剤は、粉末ポリマー粒子中に、粉末ポリマー粒子上に、粉末コーティング組成物を形成するために使用される別の成分中に、又はそれらの組み合わせで存在し得る。潤滑剤はまた、別個の粉末層内に適用される第2の粉末コーティング組成物内に適用され得る。例えば、潤滑剤は、ベース粉末層のキュアリング前に、本開示の粉末ポリマー粒子を含むベース粉末層上の「ダストオンダスト」アプローチに適用され得る。
【0154】
好適な市販の潤滑剤の例としては、Munzinからの製品のCERETANライン(例えば、CERETAN MA7020、MF5010、MM8015、MXF2999、MT9120、MXD3920、及びMXF9899製品)、Munzigからの製品のLUBA-PRINTライン(例えば、LUBA-PRINT255/B、276/A(ND)、351/G、501/S-100、749/PM、及びCA30製品)、ShamrockからのSST-52、S-483、FLUOROSLIP893-A、TEXTURE5347W、及びSPP-10製品、BYKからの製品のCERAFLOURライン(例えば、CERAFLOUR981、988、996、258、970、及び916製品)、及びBYKからのCERACOL607製品が挙げられる。
【0155】
これらの潤滑剤のいくつかの粒径、及び供給元によって特定されるようなそのような粒径を決定するために使用される方法(本明細書では、そのような潤滑剤粒径は、レーザ回折粒径分析によって測定することができる)を以下の表に示す。
【0156】
【表1】
製造元の文献による
【0157】
好ましい実施形態では、本開示の粉末コーティング組成物は、1つ以上の架橋剤及び/又は触媒を含む。さらに、又はあるいは、粉末コーティング組成物は、1つ以上の自己架橋性ポリマーを含み得る。好適な架橋剤(例えば、フェノール架橋剤、アミノ架橋剤、又はそれらの組み合わせ)及び触媒(例えば、チタン含有触媒、ジルコニウム含有触媒、又はそれらの組み合わせ)の例は、米国特許第8,168,276号(Cleaverら)に記載されている。
【0158】
「架橋剤」という用語は、ポリマー間又は同じポリマーの2つの異なる領域間に共有結合を形成することができる分子を指す。好適な架橋剤の例としては、カルボキシル反応性キュアリング樹脂が挙げられ、架橋剤(例えば、EMS-Griltechから商品名PRIMID(例えば、PRIMID XL-552及びPRIMID QM-1260製品)で市販)などのベータヒドロキシアルキルアミド架橋剤、及び例えばフェノール架橋剤、ブロックイソシアナート架橋剤及びアミノプラスト架橋剤などのヒドロキシル硬化樹脂が好ましい。他の好適なキュアリング剤としては、例えば、ベンゾオキサジン系フェノール樹脂又はヒドロキシアルキル尿素などのベンゾオキサジン硬化剤を挙げることができる。ベンゾオキサジン系キュアリング剤の例は、米国特許公開第2016/0297994号(Kuoら)において提供されている。ヒドロキシアルキル尿素の例は、米国特許公開第2017/0204289号(Kurtzら)において提供されている。
【0159】
フェノール架橋剤は、フェノールとのアルデヒドの縮合生成物を含む。ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドは、好ましいアルデヒドである。フェノール、クレゾール、p-フェニルフェノール、p-tert-ブチルフェノール、p-tert-アミルフェノール、及びシクロペンチルフェノールなどの様々なフェノールを用いることができる。
【0160】
アミノプラスト架橋剤は、典型的には、尿素、メラミン、及びベンゾグアナミンなどのアミノ又は網戸基含有物質を有するホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロトンアルデヒド、及びベンズアルデヒドなどのアルデヒドの縮合生成物である。好適なアミノプラスト架橋樹脂の例としては、ベンゾグアナミン-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、エステル化メラミン-ホルムアルデヒド、及び尿素-ホルムアルデヒド樹脂が挙げられる。好適なアミノプラスト架橋剤の1つの具体的な例は、Cytec Industries,Inc.からCYMEL303の商品名で市販されている完全にアルキル化されたメラミン-ホルムアルデヒド樹脂である。
【0161】
好ましくは、粉末コーティング組成物は、任意の添加された架橋剤を含まない。そのような実施形態では、粉末粒子のポリマーは、選択されたポリマーの化学的性質及び所望のコーティング特性に応じて、自己架橋ポリマーであり得るか、又はそうでなくてもよい。
【0162】
1つ以上の架橋剤は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも5重量%、又は少なくとも8重量%の量で本開示の粉末コーティング組成物中に存在し得る。1つ以上の架橋剤は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、最大40重量%、最大30重量%、最大20重量%、又は最大10重量%の量で存在し得る。
【0163】
好ましい実施形態では、本開示の粉末コーティング組成物は、顔料及び/又は染料などの1つ以上の着色剤を含む。粉末コーティング組成物に使用するのに好適な着色剤の例としては、二酸化チタン、硫酸バリウム、カーボンブラック、及び酸化鉄が挙げられ、有機染料及び顔料も含まれ得る。
【0164】
1つ以上の着色剤は、本開示の粉末コーティング組成物中に、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、例えば、少なくとも1重量%、少なくとも2重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、又は少なくとも15重量%の量で存在し得る。1つ以上の着色剤は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、最大50重量%、最大40重量%、最大30重量%、又は最大約20%の量で存在し得る。より高い着色剤濃度の使用は、より薄いコーティングで良好な被覆を達成するのに有利であり得る。
【0165】
本開示の粉末コーティング組成物は、1つ以上の無機充填剤を含み得る。本開示の粉末コーティング組成物に使用される例示的な無機充填剤としては、例えば、粘土、雲母、ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化バリウム、硫酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムマグネシウム、酸化アルミニウム亜鉛、酸化チタンマグネシウム、酸化チタン鉄、酸化チタンカルシウム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0166】
無機充填剤は、好ましくは非反応性であり、粉末の形態で粉末コーティング組成物に組み込まれてもよく、好ましくは、1つ以上の粉末ポリマー粒子のブレンドと同じ又は小さい粒径分布を有する。
【0167】
1つ以上の無機充填剤は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも1重量%、又は少なくとも2重量%の量で本開示の粉末コーティング組成物中に存在し得る。1つ以上の無機充填剤は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、最大20重量%、最大15重量%、又は最大10重量%の量で存在し得る。
【0168】
好ましい実施形態では、本開示の粉末コーティング組成物は、1つ以上の流れ調整剤を含む。流れ調整剤は、均一な薄膜を達成するのを助けることができ、微粉末粒子により別様で発生し得るダマ及び粉塵の問題の低減をさらに支援し得る。
【0169】
流れ調整剤の例としては、シリカ粒子(例えば、疎水性ヒュームドシリカ粒子、親水性ヒュームドシリカ粒子、疎水性沈殿シリカ粒子、親水性沈殿シリカ粒子)などの無機粒子、及びポリアクリルなどの有機樹脂が挙げられる。
【0170】
流れ調整剤として使用するための市販の材料の例としては、Evonikからの製品のAEROSIL、AEROXIDE、及びSIPERNATライン(例えば、AEROSIL R972、R816、200、及び380製品、AEROXIDE Alu C製品、及びSIPERNAT D17、820A、22S、50S、及び340製品)、Orient Corporation of Americaからの製品のBONTRONシリーズ(例えば、製品のBONTRON Eシリーズ、Sシリーズ、Nシリーズ、及びPシリーズライン)、及びWackerからの発熱性シリカ製品のHDKライン(例えば、HDK H1303VP、H2000/4、H2000T、及びH3004製品)が挙げられる。 粉末コーティング組成物で使用するための例示的な流れ調整剤は、Henkel Corporation、Rocky Hill、CTから商品名PERENOLで市販されているポリアクリレートである。さらに有用なポリアクリレート流れ調整剤は、Protex Franceから商品名ACRYLON MFPで市販されており、ドイツのBYK-Chemie GmbHから市販されているものである。当業者に既知の多数の他の化合物もまた、流れ調整剤として使用され得る。
【0171】
1つ以上の流れ調整剤は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも0.2重量%の量で本開示の粉末コーティング組成物中に存在し得る。1つ以上の流れ調整剤は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、最大5重量%、又は最大1重量%の量で存在し得る。
【0172】
好ましい実施形態では、本開示の粉末コーティング組成物は、1つ以上の界面活性剤を含む。粉末コーティング組成物に使用するのに好適な界面活性剤の例としては、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、分散剤、及びそれらの組み合わせが挙げられる。界面活性剤のうちの1つ以上は、ポリマー界面活性剤(例えば、アルカリ可溶性樹脂)であり得る。コーティング組成物で使用するのに好適な界面活性剤の例としては、非イオン性及びアニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0173】
1つ以上の界面活性剤は、本開示の粉末コーティング組成物中に、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも0.2重量%の量で存在し得る。1つ以上の界面活性剤は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、最大10重量%、又は最大5重量%の量で存在し得る。
【0174】
粒子状形態(例えば、潤滑剤)にある添加剤について、粒子は、粉末ポリマー粒子以下の粒径を有する。典型的には、それらは、サブミクロン範囲(例えば、1ミクロン未満、100ナノメートル以下、50ナノメートル以下、又は20ナノメートル以下)であるが、好適なサイズが採用され得る。任意選択の添加剤(例えば、潤滑剤)の粒径を決定するための有用な方法は、レーザ回折粒径分析である。
【0175】
粉末コーティング組成物の作製方法
金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般包装容器、その一部分、又は金属クロージャ)粉末コーティング組成物は、以下のように作製することができる。初期ステップでは、本明細書に記載の粉末ポリマー粒子が提供される。次いで、これらは、好ましくは、本明細書に記載されるような、1つ以上の電荷制御剤と組み合わされる。好ましくは1つ以上の電荷制御剤と接触しているこれらの粒子は、次いで、そのまま、又は1つ以上の任意選択の添加剤とともに、本明細書に記載される金属包装(例えば、食品、飲料、エアゾール、又は一般包装容器、その一部分、又は金属クロージャ)粉末コーティング組成物として使用するために好適な粉末コーティング組成物として使用される。
【0176】
ポリマー粒子は、例えば、沈殿ポリマー粒子、沈殿以外の方法によって形成されるポリマー粒子、又は沈殿及び非沈殿ポリマー粒子の組み合わせを含む、任意の好適なポリマー粒子であり得る。任意の好適な方法を使用して、適切なサイズの本開示の沈殿粒子を形成することができる。この方法は、ポリマー材料が中に分散されている、好ましくは中に溶解されている担体(例えば、溶媒)を提供することと、(例えば、担体の温度を冷却することによって、又は担体の組成を変化させることによって、又は担体中のポリマーの濃度を変化させることによって)担体中のポリマー材料の溶解度を低下させて、沈殿粒子を形成することと、を含む。好ましくは、本方法は、有機溶媒と固体結晶性ポリマーとの混合物を調製することと、混合物を、有機溶媒中の固体結晶性ポリマーを分散させる(及び好ましくは溶解させる)が、溶融しない十分な温度に加熱することと、混合物を冷却して、沈殿ポリマー粒子を形成することと、を含む。
【0177】
粉末ポリマー粒子は、当業者に周知である乳化、懸濁、溶液、又は分散重合法を使用して調製され得る。例えば、ポリマーは、標準的な技法を使用して水性乳剤、懸濁液、溶液、又は分散液の形態で調製され、その後、例えば、噴霧乾燥、流動床乾燥、真空乾燥、放射線乾燥、凍結乾燥、及びフラッシュ乾燥などを含む様々な技術のいずれかを使用して粒子を形成することができる。好ましくは、乾燥は噴霧乾燥を伴う。乳化/懸濁/分散/溶液重合を使用して生産されたポリマー粒子は、典型的には沈殿粒子とみなされない。
【0178】
粉末ポリマー粒子は、好ましくは、ポリマーを粉砕して粉砕ポリマー粒子を形成することによって調製されることはない(すなわち、粒子は粉砕粒子として提供されることはない)。
【0179】
好ましくは、粉末ポリマー粒子は、本明細書に記載されるように、一次ポリマー粒子の凝集体として提供され、これは、当業者に周知の標準的な技術を使用して調製され得る。例えば、ポリマーは、水性乳化/分散/懸濁/溶液技術の形態で調製され、その後、例えば、噴霧乾燥技術を使用して乾燥され得る。噴霧乾燥は、凝集体を直接形成し得る。噴霧乾燥は、液滴の噴霧への液体供給原料の噴霧化を伴い、液滴を乾燥チャンバ内の熱風と接触させることを伴う。噴霧は、典型的には、回転式(ホイール式)又はノズル式の噴霧器によって生産される。制御された温度と気流の条件下で、液滴からの水分の蒸発と乾燥粒子の形成が進む。粉末粒子は、典型的には、乾燥チャンバから実質的に連続的に放出される。操作条件及び乾燥機設計は、製品仕様の乾燥特性に従って選択される。
【0180】
図2は、圧縮空気又は窒素などの加圧ガス(1)を使用して、ステンレス鋼ノズル(2)を介して液体製品のエアロゾル化噴霧を生成する好適な噴霧乾燥装置(例えば、Buchi B290実験室規模噴霧乾燥器)を示す。この噴霧は、実験室の空気又は窒素(3)などの乾燥ガスとともにガラス乾燥塔(4)に共溶出され、液体製品の液滴が加熱された空気/ガスによって脱水/脱溶媒され、それらの元の溶剤又は分散剤をほとんど含まない固体粉末粒子が得られる。ガラスサイクロン(6)は、次いで、粉末を加熱溶媒蒸気から分離する。試料を収集して粒径及び形状を決定する場合、典型的には、サイクロン(6)の底にある収集ジャー(5)で収集する。最後に、水/溶媒蒸気は、粒子フィルタ(7)を通過し、蒸気が排出又は収集される前に、任意の微粒子を除去する。
【0181】
典型的には、噴霧乾燥技術から形成された凝集粒子は、球形又は実質的に球形である。凝集体の粒径は、典型的には、乳剤/分散液/懸濁液/溶液の固形分が高くなり、かつ/又は噴霧乾燥ノズルにおけるより噴霧圧力が低くなると、大きくなるであろう。必要に応じて、二次乾燥(例えば、流動床を使用する)を行って、凝集体から結合水を除去することができる。
【0182】
あるいは、一次粒子を、例えば、乳化/分散/懸濁/溶液重合によって、又は沈殿によって形成し、続いて、凝集及び/又は合体させて、例えば、化学的凝集又は機械的融合を使用して凝集粒子を形成することができる(例えば、ポリマーのTg以上に加熱して一次粒子を凝集粒子に融合する)。添加剤(例えば、顔料、潤滑剤、界面活性剤)の有無にかかわらず、凝集した分散粒子を形成する際に、任意の好適な凝集プロセスを使用することができる。
【0183】
粒子凝集プロセスの例は、米国特許第9,547,246号(Klierら)に記載されており、熱可塑性ポリマー、安定な分散液又は乳剤の形成を促進することができる安定化剤(例えば、界面活性剤)、任意選択の添加剤、及び錯体形成を引き起こすことができる凝集剤(例えば、アルカリ土類金属又は遷移金属塩)を含む水性分散液を容器中で形成することを含む。次いで、混合物を均質化するまで攪拌し、例えば約50℃の温度まで加熱する。混合物は、所望のサイズへの粒子の凝集を可能にするために、一定期間、そのような温度で保持され得る。凝集したトナー粒子の所望のサイズが達成されると、混合物のpHは、さらなる凝集を阻害するために調整され得る。粒子は、粒子が合体して球形化することを可能にするために、例えば、約90℃の温度までさらに加熱することができ、pHは低下する。次いで、ヒータをオフにし、反応器混合物は室温まで冷却することが許容され、その時点で凝集して合体した粒子を回収し、任意選択で洗浄し、乾燥させる。粒子凝集プロセスはまた、熱硬化性ポリマーを含む水性分散液から開始して使用され得る。
【0184】
また、本開示の粉末ポリマー粒子は、高品質デジタルカラー印刷のためのトナー粒子を作製するための、G.E.Kmiecik-Lawrynowicz、DPP2003:IS&Ts International Conference on Digital Production Printing and Industrial Applications、211~213ページに記載されている乳化凝集プロセスを使用して作製され得る。
【0185】
本明細書に記載されるように、粉末ポリマー粒子は、好ましくは、1つ以上の電荷制御剤と組み合わされて、充填可能な粉末ポリマー粒子を形成する。好ましくは、本開示の粉末コーティング組成物を作製する方法は、1つ以上の電荷制御剤を粉末ポリマー粒子に適用し、粉末コーティング組成物を形成することを含む。(本明細書に記載の任意選択の添加剤のいずれかと同様に)電荷制御剤は、それらの形成中(例えば、噴霧乾燥プロセスのように)又はそれに続いて粉末ポリマー粒子に添加され得る。
【0186】
1つ以上の電荷制御剤は、ポリマー液滴又は新生形成粒子が電荷制御剤に接触するように、噴霧乾燥プロセスの前に、又はその間と前の両方に、導入することができる。理論に拘束されることを意図するものではないが、噴霧乾燥プロセス中の電荷制御剤の存在は、粉末ポリマー粒子の移動性を高め、粉末ポリマー粒子の凝集を回避又は阻害し、する、及び/又はプロセス機器上の粉末ポリマー粒子の粘着を回避又は抑制する目的で有利であり得る。
【0187】
1つ以上の電荷制御剤を乾燥粒子に(例えば、噴霧乾燥プロセス後に)添加してもよい。例えば、1つ以上の電荷制御剤を粉末ポリマー粒子の表面に適用することができる。これは、ポリマー粒子を1つ以上の電荷制御剤で完全にコーティングすることを伴い得る。さらに、又はあるいは、それは、1つ以上の電荷制御剤を粉末ポリマー粒子の表面に付着することを伴い得る。
【0188】
電荷制御剤と粉末ポリマー粒子とのこの組み合わせは、帯電性粒子を形成する。例えば、摩擦又は誘導などによる粉末粒子の帯電は、コピー技術又はレーザプリンタ技術一般的に知られているプロセスを使用して影響を与えることができる(そのプロセスは、例えば、L.B.Schein、Electrophotography and Development Physics、32~244ページ、第14巻、Springer Series in Electrophysics(1988)において明らかにされている)。
【0189】
1つ以上の任意選択の添加剤が、当業者に周知である帯電性粒子とともに使用される場合、標準的な混合方法を使用することができる。1つ以上の任意選択の添加剤は、粉末ポリマー粒子、電荷制御剤、又はその両方と組み合わされ得る。そのような任意選択の添加剤は、粉末ポリマー粒子の調製中に、又はそれに続いて添加され得る。そのような添加剤の一部は、粉末ポリマー粒子に組み込まれ、粉末ポリマー粒子上にコーティングされるか、又は粉末ポリマー粒子とブレンドされ得る。
【0190】
本開示はまた、金属包装粉末コーティング組成物を金属包装の金属基材上に使用させることを含む方法を提供する。複数の当事者が関与する場合、第1の当事者(例えば、金属包装粉末コーティング組成物を製造及び/又は供給する当事者)は、第2の当事者(例えば、金属コータ(例えば、飲料缶端部のコイルコータ)、缶メーカ、又はブランド所有者)に対して金属包装粉末コーティング組成物の最終使用に関する指示、推奨、又は他の開示を提供することができる。そのような開示は、例えば、包装用容器又はその一部分を形成する際の後に使用するための金属基材のコーティング、予め形成された容器又はその一部分の金属基材のコーティング、そのような使用のための粉末コーティング組成物の準備、そのコーティングのキュアリング条件又はプロセス関連条件、又は得られたコーティングとともに使用するための包装製品の好適なタイプに関する指示、推奨又は他の開示が含まれ得る。そのような開示は、例えば、技術データシート(Technical Data Sheet、TDS)、安全データシート(Safety Data Sheet、SDS)、規制開示、保証若しくは保証制限記述、マーケティング文献又はプレゼンテーション、若しくは企業のウェブサイト上で起こり得る。第2の当事者に対してそのような開示を行う第1の当事者は、商業的に金属基材に組成物を実際に適用し、商業的に包装容器の金属基材にそのようなコーティング基材を使用し、及び/又はそのようなコーティングされた容器に製品を充填するのが第2の当事者であっても、金属包装粉末コーティング組成物を金属包装(例えば、容器又はクロージャ)の金属基材に使用させたものとみなされるものとする。
【0191】
コーティングされた金属基材及びコーティングの方法
本開示はまた、コーティングされた金属基材を提供する。金属基材は、好ましくは、金属食品又は飲料容器(例えば、缶)、エアロゾル容器(例えば、缶)、一般包装容器(例えば、缶)、又はガラス瓶のためのクロージャを形成するのに好適な厚さである。金属基材は、最大635ミクロン、好ましくは最大375ミクロンの平均厚さを有する。好ましくは、金属基材は、少なくとも125ミクロンの平均厚さを有する。金属箔基材が、例えば包装物品を形成する際に採用される実施形態では、金属箔基材の厚さは、上記のよりもさらに薄くてもよい。
【0192】
そのような金属基材は、硬化した付着コーティングが表面の少なくとも一部分に配設されている。硬化した付着コーティングは、本明細書に記載されているように、金属包装(例えば、食品、飲料、又はエアゾール缶)粉末コーティング組成物から、1つ以上の任意選択の添加物を用いて、又は用いずに形成される。
【0193】
本開示の硬化(例えば、キュアリング)コーティングは、好ましくは、金属(例えば、鋼、ステンレス鋼、錫を含まない鋼(TFS)、錫めっき鋼、電解錫プレート(ETP)、アルミニウムなど)に良好に付着する。それらはまた、例えば、食品、飲料、又はエアロゾル製品への長期曝露によって引き起こされ得る腐食又は劣化に対する高レベルの耐性を提供する。
【0194】
硬化した付着コーティングが表面又は基材「上に」配設されている状況では、表面又は基材に直接(例えば、新品の金属や電気めっき鋼のような前処理を施した金属)又は間接的(例えば、プライマ層上)に適用されたコーティングの両方が含まれる。したがって、例えば、前処理層に適用されるコーティング(例えば、クロム又はクロムフリー前処理から形成される)又は基材の上にあるプライマ層は、基材上に適用された(又はその上に配設された)コーティングを構成する。
【0195】
金属基材として鋼シートを使用する場合、表面処理は、亜鉛めっき、錫めっき、ニッケルめっき、電解クロメート処理、クロメート処理、及びリン酸処理などの1つ、2つ、又はそれ以上の種類の表面処理を含み得る。アルミニウムシートが金属基材として使用される場合、表面処理は、リン酸クロム処理、リン酸ジルコニウム処理、又はリン酸塩処理などの無機化成処理、アクリル樹脂又はフェノール樹脂などの水溶性樹脂とタンニン酸に例示される、無機化成処理と有機成分との組み合わせに基づく有機/無機複合化学変換処理、又はアクリル樹脂などの水溶性樹脂とジルコニウム塩との組み合わせに基づく適用型処理を含み得る。
【0196】
硬化した付着コーティングは、連続的である。そのため、基材の露出をもたらすピンホール及びその他のコーティングの欠陥がなく、その結果、(i)基材の許容できない腐食、さらには基材に穴が開いて製品の漏れにつながる可能性があり、及び/又は(ii)包装された製品の粗悪化につながる可能性がある。コーティングの粗さ又はテクスチャが所望される実施形態(例えば、美的目的のためのある特定の外装缶コーティング)を除いて、硬化した連続コーティングは、特にほとんどの内装缶コーティングについて、好ましくは滑らかである。
【0197】
硬化した連続付着コーティングは、最大100ミクロン(特に、コーティングがテクスチャを有する場合)、好ましくは最大50ミクロン、より好ましくは最大25ミクロン、さらにより好ましくは最大20ミクロン、さらにより好ましくは最大15ミクロン、最も好ましくは最大10ミクロンの平均厚さを有する。内装缶コーティングは、典型的には、平均して10ミクロン未満の厚さである。好ましくは、硬化した付着コーティングは、少なくとも1ミクロン、少なくとも2ミクロン、少なくとも3ミクロン、又は少なくとも4ミクロンの平均厚さを有する。
【0198】
硬化したコーティングは、金属包装容器の内面(例えば、3ピースエアロゾル缶又はアルミニウムモノブロックエアロゾル缶などの食品、飲料、又はエアロゾル缶本体)、そのような容器本体の外面、リベット缶端部、プルタブ、及びそれらの組み合わせを含む、任意の好適な表面上のコーティングとして使用され得る。硬化したコーティングはまた、他の包装容器の内装面又は外装面、又はその一部分、王冠、又は定量吸入器(Metered Dose Inhaler、MDI)缶を含む金属クロージャ(例えば、ガラス容器用)に使用され得る。内装食品接触面を有するそのような特定の缶、リベット缶端部、及びプルタブは、特定の柔軟性要件、並びに味、毒性、及び他の政府規制要件を有する。
【0199】
本開示の粉末コーティング組成物はまた、食品又は飲料製品又は他の製品を包装する際に使用するための基材を含む、剛性金属基材以外の基材上に使用され得る。例えば、粉末コーティング組成物は、金属又はプラスチックパウチ又は他の可撓性包装の内装面又は外装面をコーティングするために使用され得る。粉末コーティング組成物はまた、(例えば、テトラパックパック容器などに採用されるように)繊維板又は板紙、様々なプラスチック容器(例えば、ポリオレフィン)、ラップ、又はフィルム、金属箔、又はガラス(例えば、傷を防止するか、又は所望の色若しくは他の美的効果を提供するためのガラス瓶の外装)をコーティングするために使用され得る。
【0200】
硬化したコーティングは、実施例セクションに記載のグローバル抽出試験に従って試験される場合、抽出可能物を、あったとしても、好ましくは50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満含む。重要なことに、そのようなコーティングは、食品接触表面上での使用に好適である。したがって、そのようなコーティングされた金属基材を含む金属包装容器(例えば、食品、飲料、又はエアロゾル缶)が提供され、特に金属基材のコーティングされた表面は、(食品、飲料、又はエアロゾル製品に接触する)容器本体の内装面を形成する。あるいは、コーティングされた表面は、リベット缶端部及び/又はプルタブの表面である。
【0201】
金属基材は、好ましくは、平面コイル又はシートの形態である。シート状コーティングは、正方形又は長方形の「シート」に予め切断された基材片を分離するために、コーティング組成物を適用することを伴う。コイルコーティングは、コイル状金属ストリップ(例えば、アルミニウム)を巻き取り、次いで、最終的に巻き取られる前に、前処理、コーティング、及び乾燥機器に通される特別な適用方法である。本開示の好ましい粉末コーティング組成物の使用は、従来の液体コーティングを使用するときに採用される前処理ステップの必要性を排除し、それによって適用プロセスを簡素化し、コストを下げることができる。コイルコーティングにより、高スループットにおいて短時間で大きな表面積の非常に効率的なコーティングが許容される。
【0202】
例えば、連続プロセスにおけるコイル基材の移動表面は、好ましくは、少なくとも毎分50メートル、少なくとも毎分100メートル、少なくとも毎分200メートル、又は少なくとも毎分300メートルのライン速度で移動する。典型的には、ライン速度は、毎分400メートル未満である。コイルコーティング適用組成物のキュアリング時間は、好ましくは少なくとも6秒、少なくとも10秒、又は少なくとも12秒、最大20秒、最大約25秒、又は最大約30秒である。コイルコーティングをキュアリングするための熱ベークの状況では、そのようなキュアリング時間は、オーブン内の滞留時間を指す。そのような実施形態では、キュアリングプロセスは、典型的には、200℃~260℃のピーク金属温度を達成するために行われる。
【0203】
したがって、本開示による基材に粉末コーティング組成物を適用するプロセスは、好ましくは、コイルコーティングプロセス又はシートコーティングプロセスで使用される。
【0204】
硬化したコーティングは、1つ以上の任意選択の添加剤、特に本明細書に記載の粉末ポリマー粒子と潤滑剤とを有する、又は有さない本明細書に記載のような金属包装粉末コーティング組成物から形成され得る。潤滑剤は、粉末ポリマー粒子中、粉末ポリマー粒子上、粉末コーティング組成物を形成するために使用される別の成分中、(又はそれから形成される硬化したコーティング)又はそれらの組み合わせの硬化したコーティング内に存在し得る。代替的又は追加的に、本明細書に記載のような潤滑剤(例えば、カルナウバワックス、合成ワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、又はそれらの組み合わせ)は、硬化したコーティングに適用され得るか、又は別様に(例えば、別の粉末組成物の適用を介して)、硬化したコーティングの表面上に配設され得る。同様に、潤滑剤は、コーティングキュアリングの前(すなわち、いわゆる「ダストオンダスト」適用技術において)本開示のポリマー粒子を含む第1の粉末層に適用される別個の粉末層に適用され得る。しかしながら、硬化したコーティング内に、又はその上に組み込まれると、潤滑剤は、好ましくは、少なくとも0.1重量%(又は少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%)の量で存在し、潤滑剤は、粉末コーティング組成物(又はそれから形成された硬化したコーティング)の総重量に基づいて、最大4重量%(又は最大3重量%、又は最大2重量%)の量で存在する。
【0205】
好ましくは、非晶質ポリマー(及び/又は非晶質部分を有する半結晶性ポリマー)を含む硬化したコーティングは、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃のガラス転移温度(Tg)、及び最大150℃、最大130℃、最大110℃、又は最大100℃のTgを有する。多くの包装技術について、特に、より侵襲的な製品の内装缶コーティングについては、耐食性のために、より高いTgコーティングが好ましい。
【0206】
硬化したコーティングは、任意の検出可能なTgを有しない場合がある。
【0207】
好ましくは、粉末コーティング組成物の好ましい実施形態から生産された硬化したコーティングは、内装飲料缶コーティングの従来の平均乾燥フィルムコーティング重量(例えば、内装ソーダ飲料缶コーティングに対して1平方メートル当たり約2.3グラム)において従来のアルミニウム飲料缶の最終ストック上に配設されたときに、4T T曲げ試験に合格できる。有用なT曲げ試験手順は、ASTM D4145-10(2010、再承認2018)に記載されている。
【0208】
金属包装容器(例えば、食品、飲料、又はエアゾール缶)、又はリベット缶端部若しくはプルタブなどの容器(例えば、缶)の一部に製造される金属基材上の硬化したコーティングは、可撓性が特に重要である。可撓性は、コーティングが、キュアリング後製造ステップ(例えば、ネッキング及びドーム改質)中、又は輸送若しくは使用中に缶が適度な高さから落下した場合に金属基材とともに撓むことができるので、重要である。
【0209】
可撓性は、実施例セクションに記載の可撓性試験を使用して決定することができ、これは、コーティングされた基材が、リベット飲料缶端部を生産するために必要な形成プロセスを経る際に、その完全性を保持する能力を測定するものである。それは、形成された端部における亀裂又は破砕の有無の尺度である。好ましくは、本明細書に記載のコーティング組成物から形成された硬化したコーティングは、この可撓性試験に合格する。より好ましくは、コーティング組成物は、洗浄及び前処理されたアルミニウムパネルに適用され、242℃のピーク金属温度(Peak Metal Temperature、PMT)及び1平方インチ当たり約7.5ミリグラムの乾燥膜厚を達成するために適切な時間の硬化ベークを受け、完全変換202標準開封飲料缶端部に形成されるとき、脱イオン水に溶解した1重量%のNaClを含有する電解質溶液に4秒間曝露される間に5ミリアンペア未満の電流を伝える。
【0210】
金属基材をコーティングする方法
金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般的な包装容器(例えば、缶)などの金属包装容器、又はその一部分、又は金属クロージャ)の形成における使用に好適な金属基材をコーティングする方法も提供される。そのような方法は、本明細書に記載の粒子を含む(好ましくは、摩擦帯電された粒子を含む)金属包装粉末コーティング組成物を提供することと、粉末コーティング組成物(好ましくは、摩擦帯電粉末コーティング組成物)を、好ましくは電磁場(例えば、電場)又は任意の他の好適なタイプの印加電場によって、金属基材(例えば、コイル又はシート)の少なくとも一部に方向付けることと、粉末コーティング組成物が、金属基材の少なくとも一部分に硬化した連続コーティングを形成するのに有効な条件を提供することと、を含む。
【0211】
粉末コーティング組成物を金属基材の少なくとも一部分に方向付けることは、好ましくは、粉末コーティング組成物を輸送体に供給することと、粉末コーティング組成物(好ましくは、摩擦帯電粉末コーティング組成物)を、電磁場(例えば、電場)、又は任意の他の好適なタイプの印加電場によって、輸送体から金属基材の少なくとも一部分に方向付けることと、を含む。粉末コーティング組成物を方向付けることは、好ましくは、輸送体と金属基材との間の電場によって、粉末コーティング組成物を金属基材の少なくとも一部分に直接輸送体から方向付けることを含む。
【0212】
粉末コーティング組成物を方向付けることは、好ましくは、粉末コーティング組成物(好ましくは、摩擦帯電粉末コーティング組成物)を、輸送体と転写媒体との間の電磁場(例えば、電場)又は任意の他の好適なタイプの印加電場によって、輸送体から転写媒体に方向付けることと、粉末コーティング組成物を転写媒体から金属基材の少なくとも一部分に転写することと、を含む。転写は、例えば、熱エネルギー(熱処理技術を使用)、又は電気的、静電的、若しくは機械的力などの他の力を適用することによって実行され得る。
【0213】
このプロセスは、従来の印刷プロセスと同様であるが、印刷プロセスとは対照的に、実質的に完全に(例えば、90%超)コーティングされた基材をもたらすことができ、基材の被覆率は通常はるかに低く(例えば、10%のみ)なる。例えば、摩擦若しくは誘導による粉末粒子の帯電(摩擦帯電として知られる)、輸送又は搬送、基材への適用は、コピー技術又はレーザプリンタ技術で一般的に知られているプロセスを使用して行うことができる。特に、電場は、コロナ放電若しくは可動又は固定の対電極などの従来の方法を使用して適用することができる。そのようなプロセスは、例えば、米国特許第6,342,273号(Handelsら)及びL.B.Schein、Electrophotoraphy and Development Physics、32~244ページ、第14巻、Springer Series in Electrophysics(1988)Springer Series in Electrophysical(1988)において明らかにされている。
【0214】
例えば、導電性金属ドラムを含む転写媒体を使用することができる。転写は、複数の転写媒体を使用して1つ以上のステップで実行することができる。
【0215】
粉末コーティング組成物は、磁性担体粒子を含み得るが、非磁性粒子も使用され得る。好適な磁性担体粒子は、例えば、鉄、鋼、ニッケル、マグネタイト、γ-Fe、又は例えばCuZn、NiZn、MnZn、及びバリウムフェライトなどのある特定のフェライトのコアを有する。好適な非磁性担体粒子としては、ガラス、非磁性金属、ポリマー、及びセラミック材料が挙げられる。これらの粒子は、様々な形状、例えば、不規則又は規則的な形状、及びサイズ(例えば、粉末ポリマー粒子の粒径と同様)であり得るが、球形、実質的に球形、又はジャガイモ形状が好ましい。
【0216】
好ましくは、輸送体は、磁気ローラを含み、粉末コーティング組成物は、例えば、米国特許第4,460,266号(Koppら)に記載されているように、磁気ローラによって搬送される。本プロセスにおいても有用な磁気ローラ又はブラシ装置に加えて、例えば、非磁気カスケード開発プロセスがある。さらに、例えば、米国特許第2,725,304号(Landriganら)に記載されているように、空気による輸送、例えば、パウダークラウド現像を使用することができる。
【0217】
図3Aは、磁性担体粒子の助けを借りずに、粉末コーティング組成物を基材に送達することができる適用デバイスの線図である。図3Bは、磁性担体の助けを借りて、粉末コーティング組成物を基材に送達することができる適用デバイスの線図である。例示的なプロセスの間、光導電性ドラム(光導電性コーティングを有するドラム)の表面上に、コロナワイヤで均一な電荷(正又は負のいずれか)を誘導させる。走査光源(例えば、レーザ及びミラーアセンブリ又は発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)アレイのいずれか)は、コンピュータ生成画像をドラム上の対応するパターンに変換する。ドラム上の光導電性コーティングは、光源がドラムの表面に衝突する場所で反対の電荷に反転する。同時に、粉末コーティング組成物は、一連のオーガ及び現像剤ロールを通っての移動によって摩擦帯電される。この帯電は、粉末が(ドラムと密接に接触すると)、走査光源によってクロス帯電されたドラムの領域に静電的に付着されるようなものである。
【0218】
場合によっては、図3Aに示されるように、粉末コーティング配合物は、磁性担体粒子を必要としないように開発される。これは、典型的には、本出願の他の箇所で論じられる電荷制御剤と流れ調整剤を慎重に選択することによって行われる。場合によっては、図3Bによって実証されるように、粉末コーティング粒子が摩擦帯電からの潜在電荷を維持するのを助けるために、(一般にドラム又は基材に転写されない)磁性担体粒子が採用される。
【0219】
図3A及び図3Bに示されるように、1つ以上のコロナワイヤは、走査光源がドラム上に創出したのと同じパターンで、粉末コーティング粒子をドラムから基材に転写するために、金属基材上に十分な反対電荷を提供する。次いで、金属基材上の粉末コーティング粒子の得られたパターンを、粒子を互いに融合させ、連続コーティングを形成させる熱、放射線、又は誘導定着器を通過させる。
【0220】
粉末コーティング組成物が、金属基材の少なくとも一部分に硬化した連続付着コーティングを形成するのに有効な条件は、好ましくは、(例えば、対流オーブン又は誘導コイルを使用する)熱エネルギー、UV放射、IR放射、又は電子ビーム放射を粉末コーティング組成物に適用することを含む。そのようなプロセスは、1つ以上の個別の又は複合ステップで実行することができる。条件は、熱エネルギーを適用することを含み得る。熱エネルギーを適用することは、少なくとも100℃又は少なくとも177℃のオーブン温度を使用することを含み得る。熱エネルギーを適用することは、最大300℃又は最大250℃のオーブン温度を使用することをさらに含み得る。熱エネルギーを適用することは、コーティングされた金属基材を、少なくとも177℃のピーク金属温度(PMT)に好適な時間にわたって加熱することを含み得る。好ましくは、熱エネルギーを適用することは、コーティングされた金属基材を、少なくとも218℃のピーク金属温度(PMT)に好適な時間にわたって加熱することを含む。期間は、コイルコーティングを形成する場合には、5秒程度の短いものでもよいし、15分程度の長いものでもよく、好ましくは、1分未満であってもよい。好ましくは、これは連続プロセスで生じる。
【0221】
本開示のコーティングされた金属基材を絞り、かつ再絞りすることができる。重要なことに、得られた薄い金属基材上のコーティングは、連続的かつ付着性のままである。
【0222】
金属包装及び作製方法
本開示はまた、本明細書に記載されているようなコーティングされた金属基材を含む金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般的な包装容器(例えば、缶)、その一部分、又は金属クロージャなどの金属包装容器)を提供する。金属基材のコーティングされた表面は、好ましくは、容器(例えば、缶)又はクロージャ(外装面を形成することができるが)の内装面を形成する。金属基材のコーティングされた表面は、好ましくは、リベット缶端部、プルタブ、及び/又は缶本体の表面である。金属包装容器(例えば、食品、飲料、又はエアロゾル缶)は、食品、飲料、又はエアロゾル製品で充填され得る。
【0223】
金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般的な包装容器(例えば、缶)などの金属包装容器(例えば缶)、その一部分、又は金属缶若しくはガラス瓶などの容器用の金属クロージャ)を作製する方法が提供される。この方法は、硬化した連続付着コーティングが表面の少なくとも一部分に配設された金属基材(例えば、コイル又はシート)を提供することであって、金属基材が、最大635ミクロンの平均厚さを有し、硬化した連続付着コーティングが、金属包装粉末コーティング組成物から形成され、粉末コーティング組成物が、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子を含み、粉末ポリマー粒子が、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する、提供することと、金属包装容器(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般包装缶)又はその一部分、又は容器(例えば、金属缶又はガラス瓶)のための金属クロージャの少なくとも一部分内に(例えば、スタンピングすることによって)基材を形成することと、を含む。
【0224】
例えば、本明細書に記載の粉末コーティング組成物から形成された硬化したコーティングがその上に配設された、スタンピングされたリベット飲料缶端部(例えば、ソーダ缶又はビール缶)などのツーピース又はスリーピース缶又はその一部分は、このような方法を用いて形成することができる。標準的な製造技術、例えば、スタンピングを使用することができる。
【0225】
金属基材のコーティングされた表面は、好ましくは缶の内装面を形成する。金属基材のコーティングされた表面は、好ましくは、リベット缶端部、プルタブ、及び/又は缶本体の表面である。缶は、食品、飲料、又はエアロゾル製品で充填することができる。
【0226】
例示的な実施形態
実施形態A:金属包装粉末コーティング組成物
実施形態A-1は、金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般的な包装容器(例えば、缶)、その一部分、又は金属クロージャ)粉末コーティング組成物であり、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子(好ましくは、噴霧乾燥粉末ポリマー粒子)であって、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する、粉末ポリマー粒子と、好ましくは、粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤と、を含む。
【0227】
実施形態A-2は、実施形態A-1の粉末コーティング組成物であり、粉末ポリマー粒子は、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する。
【0228】
実施形態A-3は、実施形態A-1又はA-2の粉末コーティング組成物であり、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD90を有する粒径分布を有する。
【0229】
実施形態A-4は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD95を有する粒径分布を有する。
【0230】
実施形態A-5は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD99を有する粒径分布を有する。
【0231】
実施形態A-6は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末ポリマー粒子は、1ミクロン超、2ミクロン超、3ミクロン超、又は4ミクロン超のD50(好ましくは、D90、D95、又はD99)を有する粒径分布を有する。
【0232】
実施形態A-7は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末コーティング組成物は全体として、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD50(好ましくは、D90、D95、又はD99)、及び任意選択で25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD90を有する粒径分布を有する。
【0233】
実施形態A-8は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%の粉末ポリマー粒子を含む、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物である。
【0234】
実施形態A-9は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、最大100重量%、最大99.99重量%、最大95重量%、又は最大90重量%の粉末ポリマー粒子を含む、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物である。
【0235】
実施形態A-10は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、1つ以上の電荷制御剤が存在し、好ましくは、粉末コーティング組成物(例えば、電荷制御剤及び粉末ポリマー粒子)の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも1重量%の量で存在する。
【0236】
実施形態A-11は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、1つ以上の電荷制御剤が存在し、好ましくは、粉末コーティング組成物(例えば、電荷制御剤及び粉末ポリマー粒子)の総重量に基づいて、最大10重量%、最大9重量%、最大8重量%、最大7重量%、最大6重量%、最大5重量%、最大4重量%、又は最大3重量%の量で存在する。
【0237】
実施形態A-12は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末ポリマー粒子は、(機械的に生産された(例えば、粉砕された)ポリマー粒子とは対照的に)化学的に生産される。
【0238】
実施形態A-13は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末ポリマー粒子は、100~140(球形及びジャガイモ形状)、好ましくは120~140(例えば、ジャガイモ形状)の形状係数を有する。
【0239】
実施形態A-14は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末コーティング組成物は全体として(すなわち、全組成物)、100~140(球形及びジャガイモ形状)、好ましくは120~140(例えば、ジャガイモ形状)の形状係数を有する。
【0240】
実施形態A-15は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末ポリマー粒子は、1~20(又は1~10、11~15、又は16~20)の圧縮性指数を有する。
【0241】
実施形態A-16は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末コーティング組成物は全体として、1~20(又は1~10、11~15、又は16~20)の圧縮性指数を有する。
【0242】
実施形態A-17は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末ポリマー粒子は、1.00~1.25(又は1.00~1.11、1.12~1.18、又は1.19~1.25)のハウスナー比を有する。
【0243】
実施形態A-18は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末コーティング組成物は全体として、1.00~1.25(又は1.00~1.11、1.12~1.18、又は1.19~1.25)のハウスナー比を有する。
【0244】
実施形態A-19は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末ポリマー粒子は、熱可塑性ポリマーを含む。
【0245】
実施形態A-20は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末ポリマー粒子は、15グラム超/10分、50グラム超/10分、又は100グラム超/10分のメルトフローインデックスを有するポリマーを含む。
【0246】
実施形態A-21は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末ポリマー粒子は、最大200グラム/10分、又は最大150グラム/10分のメルトフローインデックスを有するポリマーを含む。
【0247】
実施形態A-22は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末コーティング組成物は全体として、15グラム超/10分、50グラム超/10分、又は100グラム超/10分のメルトフローインデックスを呈する。
【0248】
実施形態A-23は、先行実施形態のいずれかにの粉末コーティング組成物であり、粉末コーティング組成物は全体として、最大200グラム/10分、又は最大150グラム/10分のメルトフローインデックスを示す。
【0249】
実施形態A-24は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末ポリマー粒子は、熱硬化性ポリマーを含む。
【0250】
実施形態A-25は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末ポリマー粒子は、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃のガラス転移温度(Tg)を有する非晶質ポリマーを含む。
【0251】
実施形態A-26は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末ポリマー粒子は、最大150℃、最大125℃、最大110℃、最大100℃、又は最大80℃のTgを有する非晶質ポリマーを含む。
【0252】
実施形態A-27は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末ポリマー粒子は、少なくとも40℃の融点を有する結晶性又は半結晶性ポリマーを含む。
【0253】
実施形態A-28は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末ポリマー粒子は、最大130℃の融点を有する結晶性又は半結晶性ポリマーを含む。
【0254】
実施形態A-29は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末ポリマー粒子は、ポリアクリル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はそれらの組み合わせ(すなわち、コポリマー、又はアクリロニトリルブタジエンスチレンなどのそれらの混合物)から選択されるポリマーを含む。好ましくは、ポリマーは、ポリアクリル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0255】
実施形態A-30は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、ポリマーMnは、少なくとも5,000ダルトン、少なくとも10,000ダルトン、又は少なくとも15,000ダルトンである。
【0256】
実施形態A-31は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、ポリマーMnは、最大10,000,000ダルトン、最大1,000,000ダルトン、最大100,000ダルトン、又は最大20,00ダルトンである。
【0257】
実施形態A-32は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、ポリマーは、4未満、3未満、2未満、又は1.5未満の多分散指数(Mw/Mn)を有する。
【0258】
実施形態A-33は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、1つ以上の電荷制御剤が存在し、好ましくは粉末ポリマー粒子の表面上に配設されている(より好ましくは、ポリマー粒子は、電荷制御剤で少なくとも実質的にコーティングされているか、又は完全にコーティングされている)。
【0259】
実施形態A-34は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、1つ以上の電荷制御剤は、存在する場合、粉末ポリマー粒子が、基材への適用を容易にするために電荷を効率的に受け入れることを可能にする。
【0260】
実施形態A-35は、実施形態A-34の粉末コーティング組成物であり、1つ以上の電荷制御剤は、存在する場合、基材への適用中に、摩擦によって粉末ポリマー粒子に電荷を提供し、それによって摩擦帯電粉末ポリマー粒子を形成する。
【0261】
実施形態A-36は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、1つ以上の電荷制御剤は、サブミクロン範囲(例えば、1ミクロン未満、100ナノメートル以下、50ナノメートル以下、又は20ナノメートル以下)の粒径を有する粒子を含む。
【0262】
実施形態A-37は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、1つ以上の電荷制御剤は、無機粒子を含む。
【0263】
実施形態A-38は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、1つ以上の電荷制御剤は、親水性ヒュームド酸化アルミニウム粒子、親水性沈殿ケイ酸アルミニウムナトリウム粒子、金属炭酸塩及びスルホン酸塩粒子、四級アンモニウム塩(例えば、四級アンモニウム硫酸塩又はスルホン酸塩粒子)、ペンダント四級アンモニウム塩を含有するポリマー、強磁性粒子、遷移金属粒子、ニトロシン若しくはアジン染料、銅フタロシアニン顔料、クロム、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウムの金属錯体、又はそれらの組み合わせを含む。
【0264】
実施形態A-39は、潤滑剤、付着促進剤、架橋剤、触媒、着色剤(例えば、顔料又は染料)、強磁性粒子、脱気剤、レベル化剤、湿潤剤、界面活性剤、流れ調整剤、熱安定剤、腐食防止剤、付着促進剤、無機充填剤、及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上の任意選択の添加剤をさらに含む、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物である。
【0265】
実施形態A-40は、1つ以上の潤滑剤をさらに含む、実施形態A-39の粉末コーティング組成物である。
【0266】
実施形態A-41は、実施形態A-40の粉末コーティング組成物であり、1つ以上の潤滑剤は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%の量で粉末コーティング組成物中に存在する。
【0267】
実施形態A-42は、実施形態A-40又はA-41の粉末コーティング組成物であり、1つ以上の潤滑剤は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、最大4重量%、最大3重量%、又は最大2重量%の量で粉末コーティング組成物中に存在する。
【0268】
実施形態A-43は、1つ以上の架橋剤及び/又は触媒をさらに含む、実施形態A-39~A-42のいずれかの粉末コーティング組成物である。
【0269】
実施形態A-44は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末ポリマー粒子は、一次ポリマー粒子の凝集体(すなわち、クラスタ)を含む。
【0270】
実施形態A-45は、実施形態A-44の粉末コーティング組成物であり、凝集体は1ミクロン~25ミクロンの粒径を有する。
【0271】
実施形態A-46は、実施形態A-44又はA-45の粉末コーティング組成物であり、一次ポリマー粒子は、0.05ミクロン~8ミクロンの一次粒径を有する。
【0272】
実施形態A-47は、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり、粉末ポリマー粒子は、噴霧乾燥粉末ポリマー粒子である。
【0273】
実施形態A-48は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々、それに由来する構造単位、又はその両方を実質的に含まない、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物である。
【0274】
実施形態A-49は、TMBPFを除いて、すべてのビスフェノール化合物、それに由来する構造単位、又はその両方を実質的に含まない、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物である。
【0275】
実施形態A-50は、グローバル抽出試験に従って試験される場合、抽出可能物を、あったとしても50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満含むコーティングを形成する、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物である。
【0276】
実施形態A-51は、付着性レーティング9又は10、好ましくは10で、付着性試験に従って、金属基材などの基材に付着するコーティングを形成する、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物であり。
【0277】
実施形態A-52は、ピンホール及び基材が露出する他のコーティング欠陥のない連続する硬化したコーティングを形成する、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物である。そのようなフィルムの欠陥/不良は、実施例セクションに記載の平坦パネル連続性試験を使用してミリアンペア(mA)で測定された電流流量によって示され得る。
【0278】
実施形態A-53は、洗浄及び前処理されたアルミニウムパネルに適用され、242℃のピーク金属温度(PMT)及び1平方インチ当たり約7.5ミリグラムの乾燥膜厚を達成するために適切な時間の硬化ベークを受け、完全変換202標準開封飲料缶端部に形成されるとき、脱イオン水に溶解した1重量%のNaClを含有する電解質溶液に4秒間曝露される間に5ミリアンペア未満の電流を伝える、先行実施形態のいずれかの粉末コーティング組成物である。
【0279】
実施形態B:金属包装粉末コーティング組成物の作製方法
実施形態B-1は、金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般包装容器、その一部分、又は金属クロージャ)粉末コーティング組成物を作製する方法であって、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子(好ましくは、噴霧乾燥粉末ポリマー粒子)を提供することであって、粉末ポリマー粒子が、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する、提供することと、任意選択で、1つ以上の電荷制御剤を粉末ポリマー粒子に適用し、粉末コーティング組成物を形成することであって、粉末コーティング組成物が、金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般的な包装容器、その一部分、又は金属クロージャ)粉末コーティング組成物である、形成することと、を含む。
【0280】
実施形態B-2は、実施形態B-1の方法であり、粉末ポリマー粒子は、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する。
【0281】
実施形態B-3は、実施形態B-1又はB-2の方法であり、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD90を有する粒径分布を有する。
【0282】
実施形態B-4は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD95を有する粒径分布を有する。
【0283】
実施形態B-5は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD99を有する粒径分布を有する。
【0284】
実施形態B-6は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%の粉末ポリマー粒子を含む。
【0285】
実施形態B-7は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、最大100重量%、最大99.99重量%、最大95重量%、又は最大90重量%の粉末ポリマー粒子を含む。
【0286】
実施形態B-8は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末コーティング組成物は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、1つ以上の電荷制御剤、好ましくは少なくとも0.01重量%、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも1重量%の1つ以上の電荷制御剤を含む。
【0287】
実施形態B-9は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末コーティング組成物は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、1つ以上の電荷制御剤、好ましくは最大10重量%、最大9重量%、最大8重量%、最大7重量%、最大6重量%、最大5重量%、最大4重量%、又は最大3重量%の1つ以上の電荷制御剤を含む。
【0288】
実施形態B-10は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、(機械的に生産された(例えば、粉砕された)ポリマー粒子とは対照的に)化学的に生産される。
【0289】
実施形態B-11は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、100~140(球形及びジャガイモ形状)(又は120~140(例えば、ジャガイモ形状))の形状係数を有する。
【0290】
実施形態B-12は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、1~20(又は1~10、11~15、又は16~20)の圧縮性指数を有する。
【0291】
実施形態B-13は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、1.00~1.25(又は1.00~1.11、1.12~1.18、又は1.19~1.25)のハウスナー比を有する。
【0292】
実施形態B-14は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子を提供することは、有機溶媒と固体結晶性ポリマーとの混合物を調製することと、混合物を、有機溶媒中の固体結晶性ポリマーを分散させる(及び好ましくは溶解させる)が、溶融しない十分な温度に加熱することと、混合物を冷却して、沈殿ポリマー粒子を形成することと、を含む。
【0293】
実施形態B-15は、実施形態B-1~B-13のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子を提供することは、水性ポリマー乳剤、懸濁液、溶液、又は分散液を形成することと、水性ポリマー乳剤、懸濁液、溶液、又は分散液を乾燥させて、粉末ポリマー粒子を形成することと、を含む。
【0294】
実施形態B-16は、実施形態B-15の方法であり、乾燥は、噴霧乾燥、流動床乾燥、真空乾燥、放射線乾燥、凍結乾燥、又はフラッシュ乾燥を含む。
【0295】
実施形態B-17は、実施形態B-16の方法であり、乾燥は噴霧乾燥を含む。
【0296】
実施形態B-18は、実施形態B-17の方法であり、この方法は、1つ以上の電荷制御剤を適用し、1つ以上の電荷制御剤を適用することは、ポリマー液滴又は新生形成粒子が電荷制御剤に接触するように、噴霧乾燥プロセスの間、前、又は間と前の両方に1つ以上の電荷制御剤を導入することを含む。
【0297】
実施形態B-19は、実施形態B-1~B-17のいずれかの方法であり、方法は、1つ以上の電荷制御剤を適用することを含み、1つ以上の電荷制御剤を適用することは、1つ以上の電荷制御剤を乾燥粉末ポリマー粒子に適用することを含む。
【0298】
実施形態B-20は、先行実施形態のいずれかの方法であり、1つ以上の電荷制御剤を適用することは、粉末ポリマー粒子の表面に1つ以上の電荷制御剤を適用することを含む。
【0299】
実施形態B-21は、実施形態B-20の方法であり、1つ以上の電荷制御剤を粉末ポリマー粒子の表面に適用することは、ポリマー粒子を1つ以上の電荷制御剤で完全にコーティングすることを含む。
【0300】
実施形態B-22は、実施形態B-20又はB-21の方法であり、1つ以上の電荷制御剤を粉末ポリマー粒子の表面に適用することは、1つ以上の電荷制御剤を粉末ポリマー粒子の表面に付着させることを含む。
【0301】
実施形態B-23は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、熱可塑性ポリマーを含む。
【0302】
実施形態B-24は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、15グラム超/10分、50グラム超/10分、又は100グラム超/10分のメルトフローインデックス、好ましくは最大200グラム/10分、又は最大150グラム/10分のメルトフローインデックスを有するポリマーを含む。
【0303】
実施形態B-25は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃のガラス転移温度(Tg)を有する非晶質ポリマーを含む。
【0304】
実施形態B-26は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、最大150℃、最大125℃、最大110℃、最大100℃、又は最大80℃のTgを有する非晶質ポリマーを含む。
【0305】
実施形態B-27は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、少なくとも40℃の融点を有する結晶性又は半結晶性ポリマーを含む。
【0306】
実施形態B-28は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、最大130℃の融点を有する結晶性又は半結晶性ポリマーを含む。
【0307】
実施形態B-29は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、ポリアクリル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はそれらの組み合わせ(すなわち、コポリマー、又はアクリロニトリルブタジエンスチレンなどのそれらの混合物)から選択されるポリマーを含む。好ましくは、ポリマーは、ポリアクリル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0308】
実施形態B-30は、先行実施形態のいずれかの方法であり、ポリマーMnは、少なくとも5,000ダルトン、少なくとも10,000ダルトン、又は少なくとも15,000ダルトンである。
【0309】
実施形態B-31は、先行実施形態のいずれかの方法であり、ポリマーMnは、最大10,000,000ダルトン、最大1,000,000ダルトン、最大100,000ダルトン、又は最大20,00ダルトンである。
【0310】
実施形態B-32は、先行実施形態のいずれかの方法であり、ポリマーは、4未満、3未満、2未満、又は1.5未満の多分散指数(Mw/Mn)を有する。
【0311】
実施形態B-33は、先行実施形態のいずれかの方法であり、1つ以上の電荷制御剤は、存在する場合、粉末ポリマー粒子が、基材への適用を容易にするために摩擦帯電を効率的に受け入れることを可能にする。
【0312】
実施形態B-34は、先行実施形態のいずれかの方法であり、1つ以上の電荷制御剤は、サブミクロン範囲(例えば、1ミクロン未満、100ナノメートル以下、50ナノメートル以下、又は20ナノメートル以下)の粒径を有する粒子を含む。
【0313】
実施形態B-35は、先行実施形態のいずれかの方法であり、1つ以上の電荷制御剤は、無機粒子を含む。
【0314】
実施形態B-36は、先行実施形態のいずれかの方法であり、1つ以上の電荷制御剤は、親水性ヒュームド酸化アルミニウム粒子、親水性沈殿ケイ酸アルミニウムナトリウム粒子、金属炭酸塩及びスルホン酸塩粒子、四級アンモニウム塩(例えば、四級アンモニウム硫酸塩又はスルホン酸塩粒子)、ペンダント四級アンモニウム塩を含有するポリマー、強磁性粒子、遷移金属粒子、ニトロシン若しくはアジン染料、銅フタロシアニン顔料、クロム、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウムの金属錯体、又はそれらの組み合わせを含む。
【0315】
実施形態B-37は、1つ以上の任意選択の添加剤を粉末コーティング組成物に添加することをさらに含む、先行実施形態のいずれかの方法である。
【0316】
実施形態B-38は、実施形態B-37の方法であり、1つ以上の任意選択の添加剤を添加することは、1つ以上の任意選択の添加剤を、粉末ポリマー粒子、任意選択の電荷制御剤、又はその両方と組み合わせることを含む。
【0317】
実施形態B-39は、実施形態B-38の方法であり、1つ以上の任意選択の添加剤を添加することは、1つ以上の任意選択の添加剤を粉末ポリマー粒子に組み込み、1つ以上の任意選択の添加剤を粉末ポリマー粒子上にコーティングするか、又は1つ以上の任意選択の添加剤を粉末ポリマー粒子とブレンドすることを含む。
【0318】
実施形態B-40は、実施形態B-39の方法であり、1つ以上の任意選択の添加剤を添加することは、粉末ポリマー粒子調製中に1つ以上の任意選択の添加剤を添加することを含む。
【0319】
実施形態B-41は、実施形態B-37~B-40のいずれかの方法であり、1つ以上の任意選択の添加剤は、潤滑剤、付着促進剤、架橋剤、触媒、着色剤(例えば、顔料又は染料)、強磁性粒子、脱気剤、レベル化剤、湿潤剤、界面活性剤、流れ調整剤、熱安定剤、腐食防止剤、付着促進剤、無機充填剤、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0320】
実施形態B-42は、1つ以上の潤滑剤をさらに含む、実施形態B-41の方法である。
【0321】
実施形態B-43は、実施形態B-42の方法であり、1つ以上の潤滑剤は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%の量で粉末コーティング組成物中に存在する。
【0322】
実施形態B-44は、実施形態B-41又はB-42の方法であり、1つ以上の潤滑剤は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、最大4重量%、最大3重量%、又は最大2重量%の量で粉末コーティング組成物中に存在する。
【0323】
実施形態B-45は、1つ以上の架橋剤及び/又は触媒をさらに含む、実施形態B-41~B-44のいずれかの方法である。
【0324】
実施形態B-46は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、一次ポリマー粒子の凝集体(すなわち、クラスタ)を含む。
【0325】
実施形態B-47は、実施形態B-46の方法であり、凝集体は1ミクロン~25ミクロンの粒径を有し、一次ポリマー粒子は、0.05ミクロン~8ミクロンの一次粒径を有する。
【0326】
実施形態B-48は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末コーティング組成物は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々、それに由来する構造単位、又はその両方を実質的に含まない。
【0327】
実施形態B-49は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末コーティング組成物は、TMBPFを除いて、すべてのビスフェノール化合物、それに由来する構造単位、又はその両方を実質的に含まない。
【0328】
実施形態B-50は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末コーティング組成物は、グローバル抽出試験に従って試験される場合、抽出可能物を、あったとしても、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満含む硬化したコーティングを形成する。
【0329】
実施形態B-51は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末コーティング組成物は、付着性レーティング9又は10、好ましくは10で、付着性試験に従って、金属基材などの基材に付着する硬化したコーティングを形成する。
【0330】
実施形態B-52は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末コーティング組成物は、ピンホール及び基材が露出する他のコーティング欠陥のない連続する硬化したコーティングを形成する。そのようなフィルムの欠陥/不良は、実施例セクションに記載の平坦パネル連続性試験を使用してミリアンペア(mA)で測定された電流流量によって示され得る。
【0331】
実施形態B-53は、先行実施形態のいずれかの方法であり、洗浄及び前処理されたアルミニウムパネルに適用され、242℃のピーク金属温度(PMT)及び1平方インチ当たり約7.5ミリグラムの乾燥膜厚を達成するために適切な時間の硬化ベークを受け、完全変換202標準開封飲料缶端部に形成されるとき、脱イオン水に溶解した1重量%のNaClを含有する電解質溶液に4秒間曝露される間に5ミリアンペア未満の電流を伝える粉末コーティング組成物である。
【0332】
実施形態B-54は、金属包装粉末コーティング組成物を金属包装の金属基材上に使用させることをさらに含む、先行実施形態のいずれかの方法である。
【0333】
実施形態C:金属基材をコーティングする方法
実施形態C-1は、金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般的な包装容器(例えば、缶)、その一部分、又は金属クロージャ)の形成における使用に好適な金属基材をコーティングする方法であり、この方法は、金属包装粉末コーティング組成物を提供することであって、粉末コーティング組成物が、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子(好ましくは、噴霧乾燥粉末ポリマー粒子)を含み、粉末ポリマー粒子が、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する、提供することと、粉末コーティング組成物を金属基材の少なくとも一部分に方向付けることであって、金属基材が最大635ミクロンの平均厚さを有する、方向付けることと、粉末コーティング組成物が、金属基材の少なくとも一部分に硬化した連続付着コーティングを形成するのに有効な条件を提供することであって、硬化した連続付着コーティングが、(例えば、ざらつきのある缶外装に対して)最大100ミクロン(好ましくは最大50ミクロン、より好ましくは最大25ミクロン、さらにより好ましくは最大20ミクロン、さらにより好ましくは15ミクロン、最も好ましくは最大10ミクロン)の平均厚さを有する、提供することと、を含む。
【0334】
実施形態C-2は、実施形態C-1の方法であり、粉末コーティング組成物は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%の粉末ポリマー粒子を含む。
【0335】
実施形態C-3は、実施形態C-1又はC-2の方法であり、粉末コーティング組成物は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、最大100重量%、最大99.99重量%、最大95重量%、又は最大90重量%の粉末ポリマー粒子を含む。
【0336】
実施形態C-4は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末コーティング組成物は、粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤を含む。
【0337】
実施形態C-5は、実施形態C-4の方法であり、粉末コーティング組成物は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも1重量%の1つ以上の電荷制御剤を含む。
【0338】
実施形態C-6は、実施形態C-4又はC-5の方法であり、粉末コーティング組成物は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、最大10重量%、最大9重量%、最大8重量%、最大7重量%、最大6重量%、最大5重量%、最大4重量%、又は最大3重量%の1つ以上の電荷制御剤を含む。
【0339】
実施形態C-6は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末コーティング組成物を方向付けることは、粉末コーティング組成物(好ましくは、摩擦帯電粉末コーティング組成物)を、電磁場(例えば、電場)、又は任意の他の好適なタイプの印加電場によって金属基材の少なくとも一部分に方向付けることを含む。
【0340】
実施形態C-7は、実施形態C-6の方法であり、粉末コーティング組成物を方向付けることは、粉末コーティング組成物を電界によって金属基材の少なくとも一部分に方向付けることを含む。
【0341】
実施形態C-8は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末コーティング組成物を金属基材の少なくとも一部分に方向付けることは、粉末コーティング組成物を輸送体に供給することと、電磁場によって、粉末コーティング組成物を輸送体から金属基材の少なくとも一部分に方向付けることと、を含む。
【0342】
実施形態C-9は、実施形態C-8の方法であり、粉末コーティング組成物を輸送体から方向付けることは、輸送体と金属基材との間の電場によって、粉末コーティング組成物を金属基材の少なくとも一部分に直接輸送体から方向付けることを含む。
【0343】
実施形態C-10は、実施形態C-8又はC-9の方法であり、粉末コーティング組成物を輸送体から方向付けることは、輸送体と転写媒体との間の電場によって、粉末コーティング組成物を輸送体から転写媒体に方向付けることと、粉末コーティング組成物を転写媒体から金属基材の少なくとも一部分に転写することと、を含む。
【0344】
実施形態C-11は、実施形態C-10の方法であり、転写媒体は、導電性金属ドラムを含む。
【0345】
実施形態C-12は、実施形態C-10又はC-11の方法であり、粉末コーティング組成物を転写媒体から金属基材の少なくとも一部分に転写することは、熱エネルギー、又は電気的、静電的、又は機械的力を適用することを含む。
【0346】
実施形態C-13は、実施形態C-8~C-12のいずれかの方法であり、輸送体は磁気ローラを含み、粉末コーティング組成物は磁性担体粒子を含む。
【0347】
実施形態C-14は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末コーティング組成物が、金属基材の少なくとも一部分に硬化した連続付着コーティングを形成するのに有効な条件を提供することは、(例えば、対流オーブン又は誘導コイルを使用する)熱エネルギー、UV放射、IR放射、又は電子ビーム放射を粉末コーティング組成物に適用することを含む。
【0348】
実施形態C-15は、実施形態C-14の方法であり、条件は、熱エネルギーを適用することを含む。
【0349】
実施形態C-16は、実施形態C-15の方法であり、熱条件を適用することは、少なくとも100℃又は少なくとも177℃の温度で熱エネルギーを適用することを含む。
【0350】
実施形態C-17は、C-16の実施形態C-15の方法であり、熱条件を適用することは、最大300℃又は最大250℃の温度で熱エネルギーを適用することを含む。
【0351】
実施形態C-18は、先行実施形態のいずれかの方法であり、金属基材は、鋼、ステンレス鋼、錫を含まない鋼(TFS)、錫めっき鋼、電解錫プレート(ETP)、又はアルミニウムを含む。
【0352】
実施形態C-19は、先行実施形態のいずれかの方法であり、金属基材は、最大375ミクロンの平均厚さを有する。
【0353】
実施形態C-20は、先行実施形態のいずれかの方法であり、金属基材は、少なくとも125ミクロンの平均厚さを有する。
【0354】
実施形態C-21は、先行実施形態のいずれかの方法であり、硬化した連続付着コーティングは、最大25ミクロン、最大20ミクロン、最大15ミクロン、又は最大10ミクロンの平均厚さを有する。
【0355】
実施形態C-22は、先行実施形態のいずれかの方法であり、硬化した付着コーティングは、少なくとも1ミクロン、少なくとも2ミクロン、少なくとも3ミクロン、又は少なくとも4ミクロンの平均厚さを有する。
【0356】
実施形態C-23は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する。
【0357】
実施形態C-24は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD90を有する粒径分布を有する。
【0358】
実施形態C-25は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、(機械的に生産された(例えば、粉砕された)ポリマー粒子とは対照的に)化学的に生産される。
【0359】
実施形態C-26は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、100~140(球形及びジャガイモ形状)(又は120~140(例えば、ジャガイモ形状))の形状係数を有する。
【0360】
実施形態C-27は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、1~20(又は1~10、11~15、又は16~20)の圧縮性指数、及び1.00~1.25(又は1.00~1.11、1.12~1.18、又は1.19~1.25)のハウスナー比を有する。
【0361】
実施形態C-28は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、熱可塑性ポリマーを含む。
【0362】
実施形態C-29は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、15グラム超/10分、50グラム超/10分、又は100グラム超/10分のメルトフローインデックス、好ましくは最大200グラム/10分、又は最大150グラム/10分のメルトフローインデックスを有するポリマーを含む。
【0363】
実施形態C-30は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃のガラス転移温度(Tg)を有する非晶質ポリマーを含む。
【0364】
実施形態C-31は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、最大150℃、最大125℃、最大110℃、最大100℃、又は最大80℃のTgを有する非晶質ポリマーを含む。
【0365】
実施形態C-32は、先行実施形態のいずれかの方法であり、硬化したコーティングは、検出可能なTgを有していない。
【0366】
実施形態C-33は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、少なくとも40℃及び最高130℃の融点を有する結晶性又は半結晶性ポリマーを含む。
【0367】
実施形態C-34は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、ポリアクリル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はそれらの組み合わせ(すなわち、コポリマー、又はアクリロニトリルブタジエンスチレンなどのそれらの混合物)から選択されるポリマーを含む。好ましくは、ポリマーは、ポリアクリル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0368】
実施形態C-35は、先行実施形態のいずれかの方法であり、ポリマーMnは、少なくとも5,000ダルトン、少なくとも10,000ダルトン、又は少なくとも15,000ダルトンである。
【0369】
実施形態C-36は、先行実施形態のいずれかの方法であり、ポリマーMnは、最大10,000,000ダルトン、最大1,000,000ダルトン、最大100,000ダルトン、又は最大20,00ダルトンである。
【0370】
実施形態C-37は、先行実施形態のいずれかの方法であり、ポリマーは、4未満、3未満、2未満、又は1.5未満の多分散指数(Mw/Mn)を有する。
【0371】
実施形態C-38は、実施形態C-4~C-37のいずれかの方法であり、1つ以上の電荷制御剤は、粉末ポリマー粒子が、基材への適用を容易にするために摩擦帯電を効率的に受け入れることを可能にする。
【0372】
実施形態C-39は、実施形態C-4~C-38のいずれかの方法であり、1つ以上の電荷制御剤は、サブミクロン範囲(例えば、1ミクロン未満、100ナノメートル以下、50ナノメートル以下、又は20ナノメートル以下)の粒径を有する粒子を含む。
【0373】
実施形態C-40は、実施形態C-4~C-39のいずれかの方法であり、1つ以上の電荷制御剤は、無機粒子を含む。
【0374】
実施形態C-41は、実施形態C-4~C-40のいずれかの方法であり、1つ以上の電荷制御剤は、親水性ヒュームド酸化アルミニウム粒子、親水性沈殿ケイ酸アルミニウムナトリウム粒子、金属炭酸塩及びスルホン酸塩粒子、四級アンモニウム塩(例えば、四級アンモニウム硫酸塩又はスルホン酸塩粒子)、ペンダント四級アンモニウム塩を含有するポリマー、強磁性粒子、遷移金属粒子、ニトロシン若しくはアジン染料、銅フタロシアニン顔料、クロム、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウムの金属錯体、又はそれらの組み合わせを含む。
【0375】
実施形態C-42は、先行請求項のいずれかの方法であり、粉末コーティング組成物は、潤滑剤、付着促進剤、架橋剤、触媒、着色剤(例えば、顔料又は染料)、強磁性粒子、脱気剤、レベル化剤、湿潤剤、界面活性剤、流れ調整剤、熱安定剤、腐食防止剤、付着促進剤、無機充填剤、及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上の任意選択の添加剤を含む。
【0376】
実施形態C-43は、実施形態C-42の方法であり、粉末コーティング組成物は、硬化したコーティングに組み込まれる1つ以上の潤滑剤をさらに含む。
【0377】
実施形態C-44は、先行実施形態のいずれかの方法であり、1つ以上の潤滑剤を硬化したコーティングに適用することをさらに含む。
【0378】
実施形態C-45は、実施形態C-43又はC-44の方法であり、1つ以上の潤滑剤は、硬化したコーティングの総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%の量で硬化したコーティング中、若しくはその上に存在する。
【0379】
実施形態C-46は、実施形態C-43~C-45のいずれかの方法であり、1つ以上の潤滑剤は、硬化したコーティングの総重量に基づいて、最大4重量%、最大3重量%、又は最大2重量%の量で硬化したコーティング中、若しくはその上に存在する。
【0380】
実施形態C-47は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、一次ポリマー粒子の凝集体(すなわち、クラスタ)を含む。
【0381】
実施形態C-48は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末コーティング組成物は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々、それに由来する構造単位、又はその両方を実質的に含まない。
【0382】
実施形態C-49は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末コーティング組成物は、TMBPFを除いて、すべてのビスフェノール化合物、それに由来する構造単位、又はその両方を実質的に含まない。
【0383】
実施形態C-50は、先行実施形態のいずれかの方法であり、コーティングは、グローバル抽出試験に従って試験される場合、抽出可能物を、あったとしても50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満含む。
【0384】
実施形態C-51は、先行実施形態のいずれかの方法であり、付着コーティングは、付着性レーティング9又は10、好ましくは10で、付着性試験に従って、金属基材などの基材に付着する。
【0385】
実施形態C-52は、先行実施形態のいずれかの方法であり、連続する硬化したコーティングは、ピンホール及び基材が露出する他のコーティング欠陥を含まない。そのようなフィルムの欠陥/不良は、実施例セクションに記載の平坦パネル連続性試験を使用してミリアンペア(mA)で測定された電流流量によって示され得る。
【0386】
実施形態C-53は、先行実施形態のいずれかの方法であり、洗浄及び前処理されたアルミニウムパネルに適用され、242℃のピーク金属温度(PMT)及び1平方インチ当たり約7.5ミリグラムの乾燥膜厚を達成するために適切な時間の硬化ベークを受け、完全変換202標準開封飲料缶端部に形成されるとき、脱イオン水に溶解した1重量%のNaClを含有する電解質溶液に4秒間曝露される間に5ミリアンペア未満の電流を伝える粉末コーティング組成物である。
【0387】
実施形態C-54は、先行実施形態のいずれかの方法によって調製されたコーティングで、少なくとも部分的にコーティングされた表面を有するコーティングされた金属基材である。
【0388】
実施形態C-55は、実施形態C-1~C-53のいずれかの方法によって調製されたコーティングで、少なくとも部分的にコーティングされた表面を有する金属基材を含む、金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般的な包装容器(例えば、缶)、その一部分、又は金属クロージャ)である。
【0389】
実施形態C-56は、実施形態C-55の金属包装であり、表面は、容器(例えば、缶)本体の内装面、外装面、又はその両方である。
【0390】
実施形態C-57は、実施形態C-55の金属包装であり、表面は、リベット缶端部及び/又はプルタブの表面である。
【0391】
実施形態C-58は、食品、飲料、又はエアロゾル製品で満たされた、実施形態C-55~C-57の金属包装である。
【0392】
実施形態D:コーティングされた金属基材
実施形態D-1は、硬化した連続付着コーティングが表面の少なくとも一部分に配設された金属基材を含むコーティングされた金属基材であって、金属基材は、最大635ミクロンの平均厚さを有し、硬化した連続付着コーティングは、最大100ミクロン(好ましくは最大50ミクロン、より好ましくは最大25ミクロン、さらにより好ましくは最大20ミクロン、さらにより好ましくは最大15ミクロン、最も好ましくは最大10ミクロン)の平均厚さを有し、硬化した連続付着コーティングが、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子(好ましくは噴霧乾燥粉末ポリマー粒子)を含む金属包装缶粉末コーティング組成物から形成され、粉末ポリマー粒子が、25マイクロメートル未満のD50を有する粒径分布を有し、好ましくは、硬化した連続付着コーティングは、グローバル抽出試験に従って試験される場合、抽出可能物を、あったとしても50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満含む。
【0393】
実施形態D-2は、実施形態D-1のコーティングされた金属基材であり、潤滑剤は、粉末ポリマー粒子中、粉末ポリマー粒子上、粉末コーティング組成物を形成するために使用される別の成分中、硬化するコーティングの表面上、又はそれらの組み合わせに存在する。
【0394】
実施形態D-3は、実施形態D-2のコーティングされた金属基材であり、潤滑剤は、粉末コーティング組成物又は硬化したコーティングの総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%の量で存在する。
【0395】
実施形態D-4は、実施形態D-2又はD-3のコーティングされた金属基材であり、潤滑剤は、粉末コーティング組成物又は硬化したコーティングの総重量に基づいて、最大4重量%、又は最大3重量%、又は最大2重量%の量で存在する。
【0396】
実施形態D-5は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、粉末コーティング組成物は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%の粉末ポリマー粒子を含む。
【0397】
実施形態D-6は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、粉末コーティング組成物は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、最大100重量%、最大99.99重量%、最大95重量%、又は最大90重量%の粉末ポリマー粒子を含む。
【0398】
実施形態D-7は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、粉末コーティング組成物は、粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤を含む。
【0399】
実施形態D-8は、実施形態D-7のコーティングされた金属基材であり、粉末コーティング組成物は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも1重量%の1つ以上の電荷制御剤を含む。
【0400】
実施形態D-9は、実施形態D-7又はD-8のコーティングされた金属基材であり、粉末コーティング組成物は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、最大10重量%、最大9重量%、最大8重量%、最大7重量%、最大6重量%、最大5重量%、最大4重量%、又は最大3重量%の1つ以上の電荷制御剤を含む。
【0401】
実施形態D-10は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、金属基材が、鋼、ステンレス鋼、錫を含まない鋼(TFS)、錫めっき鋼、電解錫プレート(ETP)、又はアルミニウムを含む。
【0402】
実施形態D-11は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、金属基材が、最大375ミクロンの平均厚さを有する。
【0403】
実施形態D-12は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、金属基材は、少なくとも125ミクロンの平均厚さを有する。
【0404】
実施形態D-13は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、硬化した付着コーティングが、最大25ミクロン、最大20ミクロン、最大15ミクロン、又は最大10ミクロンの平均厚さを有する。
【0405】
実施形態D-14は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、硬化した付着コーティングは、少なくとも1ミクロン、少なくとも2ミクロン、少なくとも3ミクロン、又は少なくとも4ミクロンの平均厚さを有する。
【0406】
実施形態D-15は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、粉末ポリマー粒子は、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する。
【0407】
実施形態D-16は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD90を有する粒径分布を有する。
【0408】
実施形態D-17は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、粉末ポリマー粒子は、(機械的に生産された(例えば、粉砕された)ポリマー粒子とは対照的に)化学的に生産される。
【0409】
実施形態D-18は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、粉末ポリマー粒子は、100~140(球形及びジャガイモ形状)、120~140(例えば、ジャガイモ形状)の形状係数を有する。
【0410】
実施形態D-19は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、粉末ポリマー粒子は、1~20(又は1~10、11~15、又は16~20)の圧縮性指数を有する。
【0411】
実施形態D-20は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、粉末ポリマー粒子は、1.00~1.25(又は1.00~1.11、1.12~1.18、又は1.19~1.25)のハウスナー比を有する。
【0412】
実施形態D-21は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、粉末ポリマー粒子は、熱可塑性ポリマーを含む。
【0413】
実施形態D-22は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、粉末ポリマー粒子は、15グラム超/10分、50グラム超/10分、又は100グラム超/10分のメルトフローインデックス、好ましくは最大200グラム/10分、又は最大150グラム/10分のメルトフローインデックスを有するポリマーを含む。
【0414】
実施形態D-23は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、粉末ポリマー粒子は、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃のガラス転移温度(Tg)を有する非晶質ポリマーを含む。
【0415】
実施形態D-24は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、粉末ポリマー粒子は、最大150℃、最大125℃、最大110℃、最大100℃、又は最大80℃のTgを有する非晶質ポリマーを含む。
【0416】
実施形態D-25は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、硬化したコーティングは、検出可能なTgを有していない。
【0417】
実施形態D-26は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、粉末ポリマー粒子は、少なくとも40℃及び最高130℃の融点を有する結晶性又は半結晶性ポリマーを含む。
【0418】
実施形態D-27は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、粉末ポリマー粒子は、ポリアクリル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はそれらの組み合わせ(すなわち、コポリマー、又はアクリロニトリルブタジエンスチレンなどのそれらの混合物)から選択されるポリマーを含む。好ましくは、ポリマーは、ポリアクリル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、又はそれらの組み合わせから選択される。
【0419】
実施形態D-28は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、ポリマーMnは、少なくとも5,000ダルトン、少なくとも10,000ダルトン、又は少なくとも15,000ダルトンである。
【0420】
実施形態D-29は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、ポリマーMnは、最大10,000,000ダルトン、最大1,000,000ダルトン、最大100,000ダルトン、又は最大20,00ダルトンである。
【0421】
実施形態D-30は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、ポリマーは、4未満、3未満、2未満、又は1.5未満の多分散指数(Mw/Mn)を有する。
【0422】
実施形態D-31は、実施形態D-7~D-30のいずれかのコーティングされた金属基材であり、1つ以上の電荷制御剤は、粉末ポリマー粒子が、基材への適用を容易にするために摩擦帯電を効率的に受け入れることを可能にする。
【0423】
実施形態D-32は、実施形態D-7~D-31のいずれかのコーティングされた金属基材であり、1つ以上の電荷制御剤が、サブミクロン範囲(例えば、1ミクロン未満、100ナノメートル以下、50ナノメートル以下、又は20ナノメートル以下)の粒径を有する粒子を含む。
【0424】
実施形態D-33は、実施形態D-7~D-32のいずれかのコーティングされた金属基材であり、1つ以上の電荷制御剤は、無機粒子を含む。
【0425】
実施形態D-34は、実施形態D-7~D-33のいずれかのコーティングされた金属基材であり、1つ以上の電荷制御剤は、親水性ヒュームド酸化アルミニウム粒子、親水性沈殿ケイ酸アルミニウムナトリウム粒子、金属炭酸塩及びスルホン酸塩粒子、四級アンモニウム塩(例えば、四級アンモニウム硫酸塩又はスルホン酸塩粒子)、ペンダント四級アンモニウム塩を含有するポリマー、強磁性粒子、遷移金属粒子、ニトロシン若しくはアジン染料、銅フタロシアニン顔料、クロム、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウムの金属錯体、又はそれらの組み合わせを含む。
【0426】
実施形態D-35は、先行請求項のいずれかのコーティングされた金属基材であり、粉末コーティング組成物は、付着促進剤、架橋剤、触媒、着色剤(例えば、顔料又は染料)、強磁性粒子、脱気剤、レベル化剤、湿潤剤、界面活性剤、流れ調整剤、熱安定剤、腐食防止剤、付着促進剤、無機充填剤、及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上の任意選択の添加剤を含む。
【0427】
実施形態D-36は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、粉末ポリマー粒子は、一次ポリマー粒子の凝集体(すなわち、クラスタ)を含む。
【0428】
実施形態D-37は、実施形態D-36のコーティングされた金属基材であり、凝集体は1ミクロン~25ミクロンの粒径を有する。
【0429】
実施形態D-38は、実施形態D-36又はD-37のコーティングされた金属基材であり、一次ポリマー粒子は、0.05ミクロン~8ミクロンの一次粒径を有する。
【0430】
実施形態D-39は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、粉末コーティング組成物は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSの各々、それに由来する構造単位、又はその両方を実質的に含まない。
【0431】
実施形態D-40は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、粉末コーティング組成物は、TMBPFを除いて、すべてのビスフェノール化合物、それに由来する構造単位、又はその両方を実質的に含まない。
【0432】
実施形態D-41は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、付着コーティングは、付着性レーティング9又は10、好ましくは10で、付着性試験に従って、金属基材に付着する。
【0433】
実施形態D-42は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、連続する硬化したコーティングは、ピンホール及び基材が露出する他のコーティング欠陥を含まない。そのようなフィルムの欠陥/不良は、実施例セクションに記載の平坦パネル連続性試験を使用してミリアンペア(mA)で測定された電流流量によって示され得る。
【0434】
実施形態D-43は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であり、洗浄及び前処理されたアルミニウムパネルに適用され、242℃のピーク金属温度(PMT)及び1平方インチ当たり約7.5ミリグラムの乾燥膜厚を達成するために適切な時間の硬化ベークを受け、完全変換202標準開封飲料缶端部に形成されるとき、脱イオン水に溶解した1重量%のNaClを含有する電解質溶液に4秒間曝露される間に5ミリアンペア未満の電流を伝える粉末コーティング組成物である。
【0435】
実施形態D-44は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材であって、金属基材は、前処理又はプライミングされた基材を含む。
【0436】
実施形態D-45は、先行実施形態のいずれかのコーティングされた金属基材を含む金属包装(例えば、金属包装容器、その一部分、又は金属クロージャ)である。
【0437】
実施形態D-46は、実施形態45の金属包装であり、金属基材のコーティングされた表面は、缶本体の内装面を形成する。
【0438】
実施形態D-47は、実施形態D-45又はD-46の金属包装であり、金属基材のコーティングされた表面は、缶本体の外装面を形成する。
【0439】
実施形態D-48は、実施形態45の金属包装であり、コーティングされた表面は、リベット缶端部及び/又はプルタブの表面である。
【0440】
実施形態D-49は、実施形態D-45~D-48の金属包装であり、缶は、食品、飲料、又はエアロゾル製品で充填される。
【0441】
実施形態E:金属包装の作製方法
実施形態E-1は、金属包装(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般的な包装容器(例えば、缶)などの金属包装容器(例えば、缶)、その一部分、又は金属包装容器若しくはガラス瓶などの金属クロージャ)の作製方法であり、この方法は、硬化した連続付着コーティングが表面の少なくとも一部分に配設された金属基材を提供することであって、金属基材が、最大635ミクロンの平均厚さを有し、硬化した連続付着コーティングが、金属包装粉末コーティング組成物から形成され、粉末コーティング組成物が、少なくとも2000ダルトンの数平均分子量を有するポリマーを含む粉末ポリマー粒子(好ましくは、噴霧乾燥粉末ポリマー粒子)を含み、粉末ポリマー粒子が、25ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する、提供することと、金属包装容器(例えば、食品、飲料、エアロゾル、又は一般的な包装容器(例えば、缶))の少なくとも一部分、その一部分、又は金属クロージャ(例えば、金属包装容器又はガラス瓶の場合)内に基材を形成することと、を含む。
【0442】
実施形態E-2は、実施形態E-1の方法であり、潤滑剤は、粉末ポリマー粒子中、粉末ポリマー粒子上、粉末コーティング組成物を形成するために使用される別の成分中、硬化したコーティングの表面上、又はそれらの組み合わせに存在する。
【0443】
実施形態E-3は、実施形態E-2の方法であり、潤滑剤は、粉末コーティング組成物又は硬化したコーティングの総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも0.5重量%、又は少なくとも1重量%の量で存在する。
【0444】
実施形態E-4は、実施形態E-2又はE-3の方法であり、潤滑剤は、粉末コーティング組成物又は硬化したコーティングの総重量に基づいて、最大4重量%、又は最大3重量%、又は最大2重量%の量で存在する。
【0445】
実施形態E-5は、先の実施形態のいずれかの方法であり、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、又は少なくとも90重量%の粉末ポリマー粒子を含む。
【0446】
実施形態E-6は、先の実施形態のいずれかの方法であり、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、最大100重量%、最大99.99重量%、最大95重量%、又は最大90重量%の粉末ポリマー粒子を含む。
【0447】
実施形態E-7は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末コーティング組成物は、粉末ポリマー粒子と接触している1つ以上の電荷制御剤を含む。
【0448】
実施形態E-8は、実施形態E-7の方法であり、粉末コーティング組成物は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.01重量%、少なくとも0.1重量%、又は少なくとも1重量%の1つ以上の電荷制御剤を含む。
【0449】
実施形態E-9は、実施形態E-7又はE-8の方法であり、粉末コーティング組成物は、粉末コーティング組成物の総重量に基づいて、最大10重量%、最大9重量%、最大8重量%、最大7重量%、最大6重量%、最大5重量%、最大4重量%、又は最大3重量%の1つ以上の電荷制御剤を含む。
【0450】
実施形態E-10は、先行実施形態のいずれかの方法であり、金属基材は、鋼、ステンレス鋼、錫を含まない鋼(TFS)、錫めっき鋼、電解錫プレート(ETP)、又はアルミニウムを含む。
【0451】
実施形態E-11は、先行実施形態のいずれかの方法であり、金属基材は、最大375ミクロンの平均厚さを有する。
【0452】
実施形態E-12は、先行実施形態のいずれかの方法であり、金属基材は、少なくとも125ミクロンの平均厚さを有する。
【0453】
実施形態E-13は、先行実施形態のいずれかの方法であり、硬化した付着コーティングは、最大100ミクロン(好ましくは最大50ミクロン、より好ましくは最大25ミクロン、さらにより好ましくは最大20ミクロン、さらにより好ましくは最大15ミクロン、最も好ましくは最大10ミクロン)の平均厚さを有する。
【0454】
実施形態E-14は、先行実施形態のいずれかの方法であり、硬化した付着コーティングは、少なくとも1ミクロン、少なくとも2ミクロン、少なくとも3ミクロン、又は少なくとも4ミクロンの平均厚さを有する。
【0455】
実施形態E-15は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD50を有する粒径分布を有する。
【0456】
実施形態E-16は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、25ミクロン未満、20ミクロン未満、15ミクロン未満、又は10ミクロン未満のD90を有する粒径分布を有する。
【0457】
実施形態E-17は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、(機械的に生産された(例えば、粉砕された)ポリマー粒子とは対照的に)化学的に生産される。
【0458】
実施形態E-18は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、100~140(球形及びジャガイモ形状)(又は120~140(例えば、ジャガイモ形状))の形状係数を有する。
【0459】
実施形態E-19は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、1~20(又は1~10、11~15、又は16~20)の圧縮性指数を有する。
【0460】
実施形態E-20は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、1.00~1.25(又は1.00~1.11、1.12~1.18、又は1.19~1.25)のハウスナー比を有する。
【0461】
実施形態E-21は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、熱可塑性ポリマーを含む。
【0462】
実施形態E-22は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、15グラム超/10分、50グラム超/10分、又は100グラム超/10分のメルトフローインデックス、好ましくは最大200グラム/10分、又は最大150グラム/10分のメルトフローインデックスを有するポリマーを含む。
【0463】
実施形態E-23は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも60℃、又は少なくとも70℃のガラス転移温度(Tg)を有する非晶質ポリマーを含む。
【0464】
実施形態E-24は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、最大150℃、最大125℃、最大110℃、最大100℃、又は最大80℃のTgを有する非晶質ポリマーを含む。
【0465】
実施形態E-25は、先行実施形態のいずれかの方法であり、硬化したコーティングは、検出可能なTgを有していない。
【0466】
実施形態E-26は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、少なくとも40℃及び最高130℃の融点を有する結晶性又は半結晶性ポリマーを含む。
【0467】
実施形態E-27は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、アクリル(すなわち、アクリレート)、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリスチレン、又はそれらの組み合わせ(すなわち、コポリマー、又はアクリロニトリルブタジエンスチレンなどのそれらの混合物)から選択されるポリマーを含む。
【0468】
実施形態E-28は、先行実施形態のいずれかの方法であり、ポリマーMnは、少なくとも5,000ダルトン、少なくとも10,000ダルトン、又は少なくとも15,000ダルトンである。
【0469】
実施形態E-29は、先行実施形態のいずれかの方法であり、ポリマーMnは、最大10,000,000ダルトン、最大1,000,000ダルトン、最大100,000ダルトン、又は最大20,00ダルトンである。
【0470】
実施形態E-30は、先行実施形態のいずれかの方法であり、ポリマーは、4未満、3未満、2未満、又は1.5未満の多分散指数(Mw/Mn)を有する。
【0471】
実施形態E-31は、実施形態E-7~E-30のいずれかの方法であり、1つ以上の電荷制御剤は、粉末ポリマー粒子が、基材への適用を容易にするために摩擦帯電を効率的に受け入れることを可能にする。
【0472】
実施形態E-32は、実施形態E-7~E-31のいずれかの方法であり、1つ以上の電荷制御剤は、サブミクロン範囲(例えば、1ミクロン未満、100ナノメートル以下、50ナノメートル以下、又は20ナノメートル以下)の粒径を有する粒子を含む。
【0473】
実施形態E-33は、実施形態E-7~E-32のいずれかの方法であり、1つ以上の電荷制御剤は、無機粒子を含む。
【0474】
実施形態E-34は、実施形態E-7~E-33のいずれかの方法であり、1つ以上の電荷制御剤は、親水性ヒュームド酸化アルミニウム粒子、親水性沈殿ケイ酸アルミニウムナトリウム粒子、金属炭酸塩及びスルホン酸塩粒子、四級アンモニウム塩(例えば、四級アンモニウム硫酸塩又はスルホン酸塩粒子)、ペンダント四級アンモニウム塩を含有するポリマー、強磁性粒子、遷移金属粒子、ニトロシン若しくはアジン染料、銅フタロシアニン顔料、クロム、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、カルシウムの金属錯体、又はそれらの組み合わせを含む。
【0475】
実施形態E-35は、先行請求項のいずれかの方法であり、粉末コーティング組成物は、付着促進剤、架橋剤、触媒、着色剤(例えば、顔料又は染料)、強磁性粒子、脱気剤、レベル化剤、湿潤剤、界面活性剤、流れ調整剤、熱安定剤、腐食防止剤、付着促進剤、無機充填剤、及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上の任意選択の添加剤を含む。
【0476】
実施形態E-36は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末ポリマー粒子は、一次ポリマー粒子の凝集体(すなわち、クラスタ)を含む。
【0477】
実施形態E-37は、実施形態E-36の方法であり、凝集体は1ミクロン~25ミクロンの粒径を有する。
【0478】
実施形態E-38は、実施形態E-36又はE-37の方法であり、一次ポリマー粒子は、0.05ミクロン~8ミクロンの一次粒径を有する。
【0479】
実施形態E-39は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末コーティング組成物は、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールS、それに由来する構造単位、又はその両方を実質的に含まない。
【0480】
実施形態E-40は、先行実施形態のいずれかの方法であり、粉末コーティング組成物は、TMBPFを除いて、すべてのビスフェノール化合物、それに由来する構造単位、又はその両方を実質的に含まない。
【0481】
実施形態E-41は、先行実施形態のいずれかの方法であり、硬化した連続付着コーティングは、グローバル抽出試験に従って試験される場合、抽出可能物を、あったとしても50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、又は1ppm未満含む。
【0482】
実施形態E-42は、先行実施形態のいずれかの方法であり、付着コーティングは、付着性レーティング9又は10、好ましくは10で、付着性試験に従って、金属基材に付着する。
【0483】
実施形態E-43は、先行実施形態のいずれかの方法であり、連続する硬化したコーティングは、ピンホール及び基材が露出する他のコーティング欠陥を含まない。そのようなフィルムの欠陥/不良は、実施例セクションに記載の平坦パネル連続性試験を使用してミリアンペア(mA)で測定された電流流量によって示され得る。
【0484】
実施形態E-44は、先行実施形態のいずれかの方法であり、洗浄及び前処理されたアルミニウムパネルに適用され、242℃のピーク金属温度(PMT)及び1平方インチ当たり約7.5ミリグラムの乾燥膜厚を達成するために適切な時間の硬化ベークを受け、完全変換202標準開封飲料缶端部に形成されるとき、脱イオン水に溶解した1重量%のNaClを含有する電解質溶液に4秒間曝露される間に5ミリアンペア未満の電流を伝える粉末コーティング組成物である。
【実施例
【0485】
これらの実施例は単に例示目的のものであり、添付の実施形態の範囲を過度に限定することを意味するものではない。本開示の広い範囲を示す数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載される数値は可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それぞれの試験測定に見られる標準偏差から必然的に生じるある特定の誤差を本質的に包含する。最低でも、実施形態の範囲に均等論の適用を制限しようとするものではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有効桁数に照らして、通常の丸め技術を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。
【0486】
特に明記しない限り、実施例及び明細書の残りの部分におけるすべての部、パーセント、比などは重量によるものであり、実施例で使用したすべての試薬は、例えば、Sigma-Aldrich Company、Saint Louis,Missouriなどの一般的な化学物質供給業者から入手したか、又は従来の方法により合成することができる。以下の略語を以下の実施例で使用することができる。ppm=100万分の1、phr=100分の1ゴム、mL=ミリリットル、L=リットル、m=メートル、mm=ミリメートル、cm=センチメートル、kg=キログラム、g=グラム、min=分、s=秒、hrs=時間、℃=摂氏度、°F=華氏度、MPa=メガパスカル、及びN-m=ニュートンメートル、Mn=数平均分子量、cP=センチポアズ。
【0487】
試験方法
特に示されない限り、以下の試験方法を利用することができる。
【0488】
付着性試験
付着性試験は、ASTM D 3359-17(2017)、試験方法Bに従って、SCOTCH610テープ(Saint Paul,MNの3M Companyから入手可能)と、横に4つ、縦に4つの傷からなる格子パターン(およそ1~2mm間隔)を用いて、125ミクロン厚以下のコーティングについて実施した。試験は、典型的には、試料ごとに3回繰り返される。付着性は、付着性は0~10の尺度で評価し、「10」のレーティングは付着不良がないこと、「9」のレーティングはコーティングの90%が付着していること、「8」のレーティングはコーティングの80%が付着していること、などを示す。9又は10の付着性レーティングは、典型的には、商業的に実行可能なコーティングに望ましい。したがって、本明細書では、9又は10、好ましくは10の付着性レーティングが付着性であるとみなされる。
【0489】
Tgの示差走査熱量測定
示差走査熱量測定(「DSC」)用の粉末組成物の試料を標準的な試料パンに秤量し、標準的なDSC加熱-冷却-加熱方法を使用して分析する。試料を-60℃で平衡化し、次いで20℃/分で200℃に加熱し、-60℃に冷却し、次いで20℃/分で200℃まで再度加熱する。ガラス転移温度は、最後の熱サイクルのサーモグラムから計算される。ガラス転移は、遷移の変曲点で測定される。
【0490】
ゲル浸透クロマトグラフィによる分子量測定
ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)試験用の試料は、まず粉末ポリマーを好適な溶媒(例えば、所与の粉末ポリマーに適切であればTHF)に溶解することによって調製される。次いで、この溶液のアリコートを、ポリスチレン(「PS」)標準の混合物とともにGPCによって分析する。試料の分子量は、GPC実行を処理し、標準を検証した後に計算される。
【0491】
グローバル抽出試験
グローバル抽出試験は、コーティングから、コーティングされた缶に詰められた食品内に移動する可能性があり得る移動物質の総量を推定するように設計されている。典型的には、コーティングされた基材は、所与の最終用途をシミュレートするために、様々な条件下で水又は溶媒ブレンドに供される。
【0492】
許容可能な抽出条件及び媒体は、21CFR§175.300、段落(d)及び(e)に見出すことができる。本発明で用いた抽出手順は、食品医薬品局(FDA)の「Preparation of Premarket Submission for Food Contact Substances:Chemistry Recommendations」(2007年12月)に従った。FDA規制によって定義される許容可能なグローバル抽出限界は、100万分の50(ppm)である。
【0493】
片面抽出セルは、若干の修正を加えて、Journal of the Association of Official Analytical Chemists,47(2):387(1964)に見られる設計に従って作られている。セルは、9in(インチ)×9in×0.5inで、テフロンスペーサの中心に6in×6inの開放領域を有する。これにより、36in又は72inの試験品を食品模倣溶媒に曝すことが許容される。セルは、300mLの食品模倣溶媒を保持する。このとき、表面積に対する溶媒の割合は、36inと72inの試験品をそれぞれ曝露した場合、8.33mL/inと4.16mL/inとなる。
【0494】
本発明の目的のために、試験品は、0.0082インチの厚さの5182アルミニウム合金パネルからなり、Permatreat(登録商標)1903(Chemetall GmbH、Frankfurt am Main,Germanyより供給)で前処理されている。これらのパネルを試験コーティングでコーティングし(試験セルに適合するのに必要な少なくとも6in×6inの面積を完全に覆う)、242℃のピーク金属温度(PMT)をもたらす10秒間の硬化ベークを行ない、11グラム/平方メートル(gsm)の最終乾燥フィルム厚を得る。セル当り72inの総表面積について、セル毎に2つの試験品を使用する。試験品は、食品模倣溶媒として10%の水性エタノールを使用して4回に分けて抽出される。試験品を121℃で2時間処理し、次いで40℃で238時間保管する。試験溶液は、2、24、96、及び240時間後にサンプリングされる。試験品を、上記の条件下で10%の水性エタノールを使用して4回に分けて抽出する。
【0495】
各試験溶液を、ホットプレート上で加熱することによって、予め秤量した50mLビーカで蒸発乾固させる。各ビーカを250°F(121℃)のオーブンで最低30分間乾燥させる。次いで、ビーカをデシケータに入れて冷却し、次いで、一定重量に秤量する。一定重量は、差が0.00005g以下である連続した3回の重量として定義される。
【0496】
抽出セルにテフロンシートを使用した溶剤ブランクも同様に模擬物質に曝露し、一定の重量まで蒸発させて、溶剤自体によって添加された抽出残留物の試験品抽出残留物重量を補正する。2つの溶媒ブランクを各時点で抽出し、平均重量を補正に使用する。
【0497】
総不揮発性抽出物は、以下のように計算される。
【0498】
【数1】
式中、Ex=抽出残留物(mg/in
e=試験された複製当りの抽出物(mg)
s=抽出された面積(in
【0499】
好ましいコーティングにより、50ppm未満のグローバル抽出結果、10ppm未満のより好ましい結果、1ppm未満のさらにより好ましい結果が得られる。最も好ましくは、グローバル抽出結果は、最適には検出不可能である。
【0500】
平坦パネルの連続性試験
この試験では、平坦な金属基材に適用されたコーティングの連続性を測定し、金属基材を露出させることができる細孔、亀裂、又は他の欠陥がほとんどない連続フィルムの有無を示す。この方法は、実験室及び商業的にコーティングされた鋼及びアルミニウム基材の両方に使用され得る。試験アセンブリが採用されており、これは、非導電性の固体ベース(試験パネルを支えるのに十分な大きさ)と、ベースに取り付けられたヒンジ付きクランプ機構と、試験パネルに下降して密閉できるように(試験パネル上の6インチ直径の円形領域が電解液に曝されることになる)、クランプ機構に接続された非導電性の電解液保持セルと、電解液を満たすのに十分な大きさの、電解液保持セル内の穴と、電解液保持セルに挿入された電極と、からなる。出力電圧6.3ボルトのWACO Enamel Rater II(Wilkens-Anderson Company、Chicago,ILから入手可能)を(以下に説明するように)試験アセンブリとともに使用し、電流の形態で金属露出度を測定する。以下の試験で使用される電解質溶液は、脱イオン水に溶解した1重量%の塩化ナトリウムからなる。
【0501】
8インチ×8インチの金属のパネルを、式又は技術データシートで規定されるように、試験するコーティングでコーティングし、キュアリングさせる。試験コーティングについてコーティング厚さ又はキュアリングスケジュールが規定されていない場合、試験パネルは、242℃ピーク金属温度(PMT)を達成するために適切な持続時間で硬化ベークを利用して、1平方メートル当たり11グラム(gsm)の最終乾燥フィルム厚を得るようにコーティングされなければならない。各試験パネルは、1回のみ使用することができ、目に見えて傷又は擦れがあってはならない。試験パネルを、試験コーティングを上向きにして試験アセンブリ内に置く。次いで、電解質保持セルを試験パネル上に下降させ、クランプを閉じることによって所定の位置にロックする。エナメルレータからの正のリード線は、コーティングを含まない領域でパネルの縁部に接続される。ベアメタル基材を露出させるために、小さな領域を研磨又は擦り取る必要があり得る。次いで、電解質セルを十分な電解質溶液で充填して、セルの陰極との接触を確実にする。エナメルレータからの負のリード線は、セルの上部の陰極に接続される。最後に、Wacoエナメルレータ上のプローブを下降させて、試験電流を作動させる。
【0502】
フィルムの欠陥/不良は、ミリアンペア(mA)で測定された電流流量によって示される。試験された各パネルについて初期のミリアンペア読み取り値を記録し、結果をミリアンペアで報告する。変数ごとに2つ以上の判定が実行される場合、平均読み取り値が報告される。本発明の好ましいコーティングは、上記のように試験したときに、10mA未満、より好ましくは5mA未満、最も好ましくは2mA未満、最適には1mA未満を伝える。
【0503】
可撓性試験
この試験は、リベット飲料缶端部などの製造品を生産するために必要な形成プロセスを経て、コーティングされた基材がその完全性を保持する能力を測定する。それは、形成された端部における亀裂又は破砕の有無の尺度である。端部は、典型的には、電解質溶液で充填されたカップ上に置かれる。カップを反転させて、端部の表面を電解質溶液に露出させる。次いで、端部を通過する電流の強度を測定する。製造後にコーティングが無傷のままである場合(亀裂又は破砕なし)、最小限の電流が端部を通過する。
【0504】
本評価では、完全に変質した202個の標準的な開放飲料端を、脱イオン水中の1重量%のNaClからなる室温電解質溶液に4秒間曝露した。評価されるコーティングは、6~7.5ミリグラム/平方インチ(「msi」)(又は9.3~11.6グラム/平方メートル)の乾燥膜厚で飲料端部の内装面上に存在し、7msiが目標厚さであり、式又は技術データシートの規定に従ってキュアリングさせた。試験コーティングのためにキュアリングスケジュールが規定されていない場合、試験パネルは、242℃ピーク金属温度(PMT)を達成するために適切な持続時間で硬化ベークを利用してコーティングされなければならない。金属曝露は、WACOエナメルレータII(Wilkens-Anderson Company、Chicago,ILから入手可能)を用いて6.3ボルトの出力電圧で測定した。測定された電流強度は、ミリアンペアで報告される。端部の連続性は、典型的には、最初に試験し、その後、端部が低温殺菌、ダウファックス、又はレトルトに供される。
【0505】
本発明の好ましいコーティングは、上記のように試験したときに10ミリアンプ(mA)未満、より好ましくは5mA未満、最も好ましくは2mA未満、そして最適には1mA未満を伝える。低温殺菌、ダウファックス洗剤試験又はレトルト後、好ましいコーティングは、20mA未満、より好ましくは10mA未満、さらにより好ましくは5mA未満、さらにより好ましくは1mA未満の連続性をもたらす。
【0506】
本明細書で引用される特許、特許文書、及び刊行物の完全な開示は、各々が個別に組み込まれたかのように、参照によりそれらの全体が組み込まれる。記載されているような本明細書と、参照することにより本明細書に組み込まれるいずれかの文書の開示との間に矛盾又は不一致がある限り、記載されているような本明細書が優先される。本開示の様々な修正及び変更は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者に明らかになるであろう。本開示は、本明細書に記載される例示的な実施形態及び実施例によって過度に限定されることを意図するものではなく、そのような実施例及び実施形態は、例としてのみ、本明細書に記載の実施形態によって以下のように限定されることが意図される本開示の範囲とともに提示されることを理解されたい。

図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
【国際調査報告】