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特表2023-502617レーザ加工システム及びレーザ加工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】レーザ加工システム及びレーザ加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/082 20140101AFI20230118BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20230118BHJP
【FI】
B23K26/082
B23K26/00 Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527834
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-05-12
(86)【国際出願番号】 KR2020018695
(87)【国際公開番号】W WO2021137488
(87)【国際公開日】2021-07-08
(31)【優先権主張番号】10-2019-0179976
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518062668
【氏名又は名称】ミーレ カンパニー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イ ジュンジョン
(72)【発明者】
【氏名】イ デヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ ボンドン
(72)【発明者】
【氏名】ソン チャンファン
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD02
4E168AD07
4E168AD11
4E168CA06
4E168CB04
4E168CB07
4E168CB22
4E168DA23
4E168DA24
4E168DA25
4E168DA27
4E168EA15
4E168HA01
4E168JA01
4E168JA15
4E168JB03
4E168KA08
4E168KA15
(57)【要約】
本発明は、レーザ加工システム及びレーザ加工方法を提供する。 本発明は、レーザビームを出力するレーザ発振器と、被加工物が取り付けられ、かつ予め設定した方向に移動する加工テーブルと、レーザ発振器と加工テーブルとの間に位置し、レーザビームを被加工物に入射させるレンズと、レーザ発振器から出力されたレーザビームをレンズに入射させるミラーとを備える光学ユニットと、予め記憶された被加工物の設計加工座標に応じてミラーを制御し、レンズに入射するレーザビームの位置を調整する第1のコントローラとを含むレーザ加工装置を備える、レーザ加工システムを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビームを出力するレーザ発振器と、
被加工物が取り付けられ、かつ予め設定した方向に移動する加工テーブルと、
前記レーザ発振器と前記加工テーブルとの間に位置し、前記レーザビームを前記被加工物に入射させるレンズと、前記レーザ発振器から出力された前記レーザビームを前記レンズに入射させるミラーとを備える光学ユニットと、
予め記憶された前記被加工物の設計加工座標に応じて前記ミラーを制御し、前記レンズに入射する前記レーザビームの位置を調整する第1のコントローラと、を含むレーザ加工装置を備える、レーザ加工システム。
【請求項2】
前記第1のコントローラは、
前記レンズに入射する前記レーザビームの位置において、前記レンズの円周方向に沿う位置及び前記レンズの径方向に沿う位置の少なくともいずれか1つを調整し、前記被加工物に入射する前記レーザビームの角度を調整する、請求項1に記載のレーザ加工システム。
【請求項3】
前記第1のコントローラは、
前記被加工物のエッジの形状に応じて、前記被加工物の被加工面が所定の傾きを有するように、前記レンズに入射する前記レーザビームの位置を調整する、請求項2に記載のレーザ加工システム。
【請求項4】
前記第1のコントローラは、
前記被加工物のエッジの形状に応じて、前記レンズの中心から、前記レンズに入射する前記レーザビームの距離を一定に保ちながら、前記レンズに入射する前記レーザビームの円周方向に沿う位置を調整する、請求項1に記載のレーザ加工システム。
【請求項5】
前記光学ユニットは、
前記加工テーブルとは独立に移動する、請求項1に記載のレーザ加工システム。
【請求項6】
予め設定した方向に移動しながら前記被加工物の画像を撮像する撮像ユニットと、
前記撮像した画像に基づいて前記被加工物の実際加工座標を生成する第2のコントローラと、を含む検査装置をさらに備える、請求項1に記載のレーザ加工システム。
【請求項7】
前記第2のコントローラは、
前記設計加工座標と前記実際加工座標との差分値と、予め設定した閾値とを比較し、前記差分値が前記閾値以下である場合、前記実際加工座標を前記第1のコントローラに伝達し、前記差分値が前記閾値を超える場合、加工中断を判定する、請求項6に記載のレーザ加工システム。
【請求項8】
1つ以上の前記検査装置を備え、前記レーザ加工装置を前記検査装置の数の以上に備える、請求項6に記載のレーザ加工システム。
【請求項9】
ミラー及びレンズを備える光学ユニットを用いて、レーザ発振器から出力されたレーザビームを被加工物に入射させるレーザ加工方法であって、
前記被加工物の加工座標を取得するステップと、
前記取得した加工座標に応じて前記ミラーを制御し、前記レンズに入射する前記レーザビームの位置を調整するステップと、を含む、レーザ加工方法。
【請求項10】
前記レーザビームの位置を調整するステップは、
前記レンズに入射する前記レーザビームの位置において、前記レンズの円周方向に沿う位置及び前記レンズの径方向に沿う位置の少なくともいずれか1つを調整し、前記被加工物に入射する前記レーザビームの角度を調整する、請求項9に記載のレーザ加工方法。
【請求項11】
前記レーザビームの位置を調整するステップは、
前記被加工物のエッジの形状に応じて、前記被加工物の被加工面が所定の傾きを有するように、前記レンズに入射する前記レーザビームの位置を調整する、請求項9に記載のレーザ加工方法。
【請求項12】
前記レーザビームの位置を調整するステップは、
前記被加工物のエッジの形状に応じて、前記被加工物の被加工面が所定の傾きを有するように、前記レンズに入射する前記レーザビームの位置を調整する、請求項9に記載のレーザ加工方法。
【請求項13】
前記被加工物の加工座標を取得するステップは、
予め設定した方向に移動する撮像ユニットで前記被加工物の画像を撮像するステップと、
前記撮像した画像に基づいて前記被加工物の実際加工座標を取得するステップと、を含む、請求項9に記載のレーザ加工方法。
【請求項14】
前記被加工物の加工座標を取得するステップの後に、
予め記憶された設計加工座標と前記実際加工座標との差分値を予め設定した閾値と比較するステップと、
前記差分値が前記閾値以下である場合、前記設計加工座標を前記実際加工座標に置き換えるステップと、
前記差分値が前記閾値を超える場合、加工中断を判定するステップと、をさらに含む、請求項13に記載のレーザ加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、レーザ加工システム及びレーザ加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な形状を有するディスプレイパネル又は画素の高集束化に応じてゼロベゼルを実現したディスプレイパネルが開発及び生産されている。 このようなディスプレイパネルは、誘電体(dielectric material)を含む複数の層が積層されて構成されるが、加工の精度を考慮して従来の接触式の切断方法ではなく、非接触式の切断方法を用いて切断加工を行っている。
【0003】
レーザを用いた従来の非接触式の切断方法の場合、切断の対象となる被加工物のエッジの設計の座標を予め入力した後、入力された座標に応じてそのまま切断を行うことになる。 しかしながら、被加工物の設計の座標と実際の座標との間に誤差が存在することもあり、このような誤差は、一定ではないため、設計の座標に応じて切断加工を行う場合、所望の大きさの被加工物が得られなくなる。
【0004】
また、レーザを用いた従来の非接触式の切断方法は、被加工物の形状に応じてリアルタイムでレーザ加工装置を制御することが困難な問題点がある。
【0005】
前述の背景技術は、発明者が本発明を導出するために保有していたか、本発明を導出する過程で習得した技術情報であり、必ずしも本発明の出願の前に一般公衆に公開された公知の技術とは限らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施例は、切断加工を含む様々な非接触式の加工を高精度で行うことができ、被加工物の形状に応じてリアルタイムでレーザ加工装置を制御することができるレーザ加工システム及びレーザ加工方法を提供することを目的とする。 ただし、前述の課題は、本発明の実施例に係るものであり、本発明の目的及び解決しようとする課題はこれに限定されない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例に係るレーザ加工システムは、レーザビームを出力するレーザ発振器と、被加工物が取り付けられ、かつ予め設定した方向に移動する加工テーブルと、レーザ発振器と加工テーブルとの間に位置し、レーザビームを被加工物に入射させるレンズと、レーザ発振器から出力されたレーザビームをレンズに入射させるミラーとを備える光学ユニットと、予め記憶された被加工物の設計加工座標に応じてミラーを制御し、レンズに入射するレーザビームの位置を調整する第1のコントローラとを含むレーザ加工装置を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るレーザ加工システム及びレーザ加工方法は、被加工物の設計加工座標と実際加工座標との差を補正することができる。 また、本発明に係るレーザ加工システム及びレーザ加工方法は、被加工物の形状に応じてレーザ加工装置をリアルタイムで制御することにより、様々な形状を有する被加工物の加工を高精度かつ高速で行うことができる。 特に、本発明に係るレーザ加工システム及びレーザ加工方法は、レーザの入射経路を制御して様々な角度で被加工物の被加工面を加工することができる。 また、本発明に係るレーザ加工システム及びレーザ加工方法は、誘電体を含む被加工物を精度よく加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施例に係るレーザ加工システムを示す図である。
図2図1の第1のコントローラを示す図である。
図3図1のレンズに入射するレーザビームの位置の一例を示す図である。
図4図1のレンズに入射するレーザビームの位置の他の例を示す図である。
図5A-5E】~図4に示すレーザビームの位置に応じた被加工物の加工状態を示す図である。
図6図1のレーザ加工システムを用いて被加工物を加工する状態を示す図である。
図7】本発明の一実施例に係る検査装置を示す図である。
図8図7の第2のコントローラを示す図である。
図9】本発明の他の実施例に係るレーザ加工システムを示す図である。
図10図9の第1のコントローラを示す図である。
図11】本発明の他の実施例に係るレーザ加工方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施例に係るレーザ加工システムは、レーザビームを出力するレーザ発振器と、被加工物が取り付けられ、かつ予め設定した方向に移動する加工テーブルと、レーザ発振器と加工テーブルとの間に位置し、レーザビームを被加工物に入射させるレンズと、レーザ発振器から出力されたレーザビームをレンズに入射させるミラーとを備える光学ユニットと、予め記憶された被加工物の設計加工座標に応じてミラーを制御し、レンズに入射するレーザビームの位置を調整する第1のコントローラとを含むレーザ加工装置を備える。
【0011】
本発明の一実施例に係るレーザ加工システムにおいて、第1のコントローラは、レンズに入射するレーザビームの位置において、レンズの円周方向に沿うレーザビームの位置及びレンズの径方向に沿うレーザビームの位置の少なくともいずれか1つを調整し、被加工物に入射するレーザビームの角度を調整してもよい。
【0012】
本発明の一実施例に係るレーザ加工システムにおいて、第1のコントローラは、被加工物のエッジの形状に応じて、被加工物の被加工面が所定の傾きを有するように、レンズに入射するレーザビームの位置を調整してもよい。
【0013】
本発明の一実施例に係るレーザ加工システムにおいて、第1のコントローラは、被加工物のエッジの形状に応じて、レンズの中心から、レンズに入射するレーザビームの距離を一定に保ちながら、レンズに入射するレーザビームの円周方向に沿う位置を調整してもよい。
【0014】
本発明の一実施例に係るレーザ加工システムにおいて、光学ユニットは、加工テーブルとは独立に移動してもよい。
【0015】
本発明の一実施例に係るレーザ加工システムにおいて、予め設定した方向に移動しながら、被加工物の画像を撮像する撮像ユニットと、撮像した画像に基づいて被加工物の実際加工座標を生成する第2のコントローラとを含む検査装置をさらに備えてもよい。
【0016】
本発明の一実施例に係るレーザ加工システムにおいて、第2のコントローラは、既設計加工座標と実際加工座標との差分値と、予め設定した閾値とを比較し、差分値が閾値以下である場合、実際加工座標を第1のコントローラに伝達し、差分値が閾値を超える場合、加工中断を判定してもよい。
【0017】
本発明の一実施例に係るレーザ加工システムにおいて、1つ以上の検査装置を備え、レーザ加工装置を検査装置の数以上に備えてもよい。
【0018】
本発明の他の実施例に係るレーザ加工方法は、ミラー及びレンズを備える光学ユニットを用いて、レーザ発振器から出力されたレーザビームを被加工物に入射させるレーザ加工方法であって、被加工物の加工座標を取得するステップと、取得した加工座標に応じてミラーを制御し、レンズに入射するレーザビームの位置を調整することによってレーザ加工を行うステップとを含む。
【0019】
本発明の他の実施例に係るレーザ加工方法において、レーザ加工を行うステップは、レンズに入射するレーザビームの位置において、レンズの円周方向に沿う位置及びレンズの径方向に沿う位置の少なくともいずれか1つを調整し、被加工物に入射するレーザビームの角度を調整してもよい。
【0020】
本発明の他の実施例に係るレーザ加工方法において、レーザ加工を行うステップは、被加工物のエッジの形状に応じて、被加工物の被加工面が所定の傾きを有するように、レンズに入射するレーザビームの位置を調整してもよい。
【0021】
本発明の他の実施例に係るレーザ加工方法において、レーザ加工を行うステップは、被加工物のエッジの形状に応じて、被加工物の被加工面が所定の傾きを有するように、レンズに入射するレーザビームの位置を調整してもよい。
【0022】
本発明の他の実施例に係るレーザ加工方法において、被加工物の加工座標を取得するステップは、予め設定した方向に移動する撮像ユニットで被加工物の画像を撮像するステップと、撮像した画像に基づいて、被加工物の実際加工座標を取得するステップとを含んでもよい。
【0023】
本発明の他の実施例に係るレーザ加工方法において、被加工物の加工座標を取得するステップの後に、予め記憶された設計加工座標と実際加工座標との差分値を予め設定した閾値と比較するステップと、差分値が閾値以下である場合、設計加工座標を実際加工座標に置き換えるステップと、差分値が閾値を超える場合、加工中断を判定するステップとをさらに含んでもよい。
【0024】
前述したこと以外の他の側面、特徴、及び利点は、以下の発明を実施するための具体的な内容、特許請求の範囲、及び図面より明らかになるだろう。
【0025】
本発明は、様々な変形を加えることができる上に、様々な実施例を有することができ、特定の実施例を図面に例示し、発明の説明に詳細に説明する。 しかしながら、これは本発明を特定の実施例に限定することを意図するものではなく、本発明の精神及び技術の範囲に含まれる全ての変形、等価物ないし代替物を包含することを理解されたい。 本発明の説明において、他の実施例に示されていても、同一の構成要素は同一の符号番号を付する。
【0026】
第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用され得るが、構成要素は、用語によって限定されるべきではない。 用語は、ある構成要素を他の構成要素から区別する目的で使用され得る。
【0027】
本出願で使用される用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたものであり、本発明を限定することを意図するものではない。 本出願において、「含む」又は「有する」などの用語は、本明細書に記載の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はそれらの組み合わせが存在することを指定するものであり、1つ又は複数の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はそれらの組み合わせの存在又は追加の可能性を予め排除しないことで理解されたい。
【0028】
以下に、添付された図面に図示された本発明に係る実施例を参照し、本発明を詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施例に係るレーザ加工システム1を示す図である。 図2は、図1の第1のコントローラ19を示す図である。
【0030】
本発明の一実施例に係るレーザ加工システム1は、レーザ切断を含むレーザ穿孔、レーザ描画、レーザパターニング、レーザスクライビングなどの様々なレーザ加工に使用してもよい。 ただし、以下では、説明の便宜上、レーザ加工システム1がレーザ切断加工に用いられるものとして説明する。 なお、被加工物Wの種類は、特に限定されない。 被加工物Wは、誘電体(dielectric material)を含むディスプレイパネルに加え、金属シート、セラミック基板などであってもよい。
【0031】
図1に示すように、レーザ発振器11は、レーザ加工装置10の一側に配置される。 レーザ発振器11は、特定の波長を有するレーザビームを生成して出力することができるレーザ源を備えてもよい。 レーザ発振器11から出力されるレーザビームの種類は特に限定されず、被加工物Wの種類や加工方式に応じて適宜選択してもよい。 例えば、レーザ発振器11から出力されるレーザビームは、ルビーレーザビーム、Nd:YAGレーザビーム、Ti:サファイアレーザビームなどを含む固体レーザビームと、色素レーザビームなどを含む液体レーザビームと、CO2レーザビーム、He‐Neレーザビーム、Ar+レーザビーム、エキシマレーザビームなどを含む気体レーザビームのいずれかであってもよい。 ただし、以下では説明の便宜上、レーザ発振器11から出力されるレーザビームは、CO2レーザビームであるものとして説明する。 また、CO2レーザビームの波長、9.3μm以上10.6μm以下であってもよい。
【0032】
レーザ発振器11は、図示しない電源装置に接続されており、電源装置から電源が印加されるとレーザビームを出力することができる。 また、図1に示すように、レーザ発振器11は、第1のコントローラ19に接続される。 レーザ発振器11から出力されるレーザビームの特性、例えば、レーザビームの強度、周期、出力タイミングなどは、第1のコントローラ19で発生する信号によって制御され得る。
【0033】
図1を参照すると、本発明の一実施例に係るレーザ加工装置10は、加工テーブル13を含む。 加工テーブル13は、レーザ発振器11と対向するように配置されてもよい。 加工テーブル13は、被加工物Wが取り付けられる取り付け面を有し、被加工物Wが取り付けられた状態で予め設定した方向に移動してもよい。 例えば、加工テーブル13は、X軸、Y軸、Z軸それぞれの方向に移動してもよく、Z軸を中心に回転してもよい。
【0034】
加工テーブル13は、固定部材(図示せず)を備えてもよい。 上記の固定部材は、加工テーブル13の一側に形成され、被加工物Wを加工テーブル13の取り付け面に固定する。 これにより、固定部材は、加工工程が行われる間に、被加工物Wが取り付け面から離脱することを防止することができる。 上記の固定部材の種類は特に限定されず、加工テーブル13の上面に形成された複数の吸着孔又は被加工物Wを機構的に固定する複数のクランプユニットであってもよい。 図1及び図2に示すように、加工テーブル13は、第1のコントローラ19に接続される。
【0035】
加工テーブル13の動作、例えば、上記の固定部材が被加工物Wを固定する動作又は加工テーブル13の移動速度や回転速度、移動方向、移動距離などは、第1のコントローラ19によって制御され得る。
【0036】
図1を参照すると、ミラー15は、レーザ発振器11と加工テーブル13との間に配置されてもよい。 ミラー15は、レーザ発振器11から出力されるレーザビームLaの光路を制御することができる。 レーザ加工装置10に含まれるミラー15の個数は特に限定されず、以下では説明の便宜上、レーザ加工装置10が第1のミラー15aと第2のミラー15bとを含むものとして説明する。 本発明の一実施例において、第1のコントローラ19の制御信号に応じた高速応答速度を実現するために、ミラー15はガルバノミラー(Galvano-mirror)であり得る。
【0037】
図1及び図2に示すように、ミラー15は、第1のコントローラ19に接続される。 ミラー15の動作、例えば、ミラー15の傾斜角度や傾斜速度などは、第1のコントローラ19によって制御され得る。 より具体的には、図1及び図2を参照すると、レーザ発振器11から出力されたレーザビームLaは、まず第1のミラー15aによって反射される。 第1のミラー15aで反射されたレーザビームLbは、第2のミラー15bに入射する。 第2のミラー15bで再反射されたレーザビームLcは、後述するレンズ17の一面に入射し、レンズ17を通して被加工物Wに照射される(レーザビームLd)。
【0038】
図1を参照すると、レンズ17は、加工テーブル13とミラー15との間に配置されてもよい。 レンズ17は、ミラー15から反射されたレーザビームLcを集光し、被加工物WにレーザLdを照射する。 本発明の一実施例において、レンズ17はf‐thetaレンズであってもよい。 図1では、レンズ17が1つであることが示されているが、これに限定されない。 例えば、レンズ17は、複数の球面レンズ又は平面レンズで構成されてもよい。 これにより、レンズ17は、レンズ17の中心部以外の他の領域にレーザビームLcが入射されても、被加工物W上にレーザビームLdの焦点を集めることができる。
【0039】
図1を参照すると、光学ユニット14は、ミラー15及びレンズ17によって構成されてもよい。 光学ユニット14は、レーザ発振器11から出力されるレーザビームLaの光路を調整し、被加工物W上の所望の位置にレーザビームLdを照射することができる。 また、光学ユニット14の動作及び位置は、第1のコントローラ19によって制御され得る。
【0040】
第1のコントローラ19は、予め記憶された被加工物Wの設計加工座標に応じてミラーを制御することで、レンズに入射するレーザビームの位置を調整する。 図1及び図2に示すように、第1のコントローラ19は、駆動部191と、プロセッサ193と、メモリ195と、入出力インタフェース部197とを含んでもよい。 駆動部191は、プロセッサ193から制御信号の入力を受け、レーザ発振器11と、加工テーブル13と、ミラー15と、レンズ17とを制御する。 より具体的には、駆動部191は、プロセッサ193の命令に基づいて、レーザ発振器11の位置、レーザ発振器11から出力されるレーザビームの強度、周期、及び出力タイミングなどを制御する信号を生成して転送してもよい。 また、駆動部191は、プロセッサ193の命令に基づいて、加工テーブル13の位置、移動速度、移動方向、移動距離、加工テーブル13に設けられた固定部材を用いた被加工物Wの固定などを制御する信号を生成して転送してもよい。
【0041】
また、駆動部191は、プロセッサ193の命令に基づいて、ミラー15の位置、傾斜角度、傾斜速度などを制御する信号を生成して転送してもよい。 また、駆動部191は、プロセッサ193の命令に基づいて、レンズ17の位置などを制御する信号を生成して転送してもよい。 また、駆動部191は、プロセッサ193の命令に基づいて、ミラー15及びレンズ17を含む光学ユニット14を一体的に制御する信号を生成して転送してもよい。
【0042】
また、駆動部191は、レーザ発振器11、加工テーブル13、ミラー15、レンズ17のそれぞれに独立的に信号を転送して制御してもよい。 例えば、駆動部191は、被加工物Wが取り付けられた加工テーブル13のみを制御して加工工程を行うか、若しくはミラー15又はレンズ17のみを制御して加工工程を行ってもよい。
【0043】
プロセッサ193は、メモリ195に記憶された被加工物Wの加工情報に基づいて駆動部191を制御してもよい。 例えば、プロセッサ193は、メモリ195に記憶され、被加工物Wの加工基準値となる設計加工座標に基づいて駆動部191を制御してもよい。 これにより、駆動部191は、レーザ発振器11と、加工テーブル13と、ミラー15と、レンズ17とを制御し、レーザ発振器11から出力されるレーザビームLaが予め設定した光路に沿って被加工物W上の設計加工座標に照射されるように信号を転送して制御してもよい。
【0044】
図3は、図1のレンズに入射するレーザビームLcの位置の一例を示す図である。 図4は、図1のレンズに入射するレーザビームLcの位置の他の例を示す図である。 図5A図5Eは、図4に示すレーザビームLcの位置に応じた被加工物Wの加工状態を示す図である。 図6は、図1のレーザ加工システム1を用いて被加工物Wを加工する状態を示す図である。
【0045】
前述したように、本発明の一実施例に係るレーザ加工システム1は、レーザ発振器11から出力されるレーザビームLaの光路を制御して被加工物Wを加工することができる。 例えば、図3に示すように、レーザ加工システム1は、レンズ17に入射するレーザビームLcの位置を制御し、被加工物Wに入射するレーザビームLdの位置を制御してもよい。 より具体的には、図1を参照すると、レーザ発振器11から出力されるレーザビームLaは、第1のミラー15aと第2のミラー15bとを経て光路が偏向され、偏向されたレーザビームLcはレンズ17の一面に入射され得る。 このとき、第1のコントローラ19は、第1のミラー15a及び第2のミラー15bの位置、傾斜角度、又は傾斜速度を制御し、レンズ17上の所望の位置にレーザビームLcを入射させてもよい。
【0046】
図3に示すように、レンズ17の中心点O’を原点とする座標系(X’軸及びY’軸)を定義してもよい。 また、レンズ17の上面に入射するレーザビームLcの位置は、中心点O’からの水平距離rと、中心点O’との角度θとで表される極座標で示してもよい。 また、図3を参照すると、レンズ17を上面から見たとき、すなわち、レーザビームLcが入射する方向でレンズ17を見たとき、レンズ17の上面の様々な位置にレーザビーム(Lc)が入射され得る。 各々のレーザビームLcは、レンズ17の円周方向に沿う位置又はレンズ17の直径方向に沿う位置が互いに同じでもよく、異なってもよい。
【0047】
図4を参照すると、本発明の一実施例に係るレーザ加工システム1は、レンズ17に入射するレーザビームLcの位置において、レンズ17の中心点O’からの距離が異なるように制御され得る。 より具体的には、レーザビームLc1は、レンズ17の中心点O’に入射してもよい。 このとき、中心点O’との距離r1は0である。 また、レーザビームLc2は、レンズ17の中心点O’からX’軸方向に距離r2だけ離隔した位置に入射してもよい。 また、レーザビームLc3は、レンズ17の中心点O’からX’軸方向に距離r3だけ離隔した位置に入射してもよい。 また、レーザビームLc4は、レンズ17の中心点O’からX’軸方向に距離r4だけ離隔した位置に入射してもよい。 また、レーザビームLc5は、レンズ17の中心点O’からX’軸方向に距離r5だけ離隔した位置に入射してもよい。
【0048】
図5A図5Eを参照すると、本発明の一実施例に係るレーザ加工システム1は、レンズ17の上面に入射するレーザビームLcの位置を制御し、被加工物Wの被加工面が異なるように加工してもよい。 より具体的には、図5A図5Eにおいて、軸Ax1は、被加工物Wに形成された被加工領域の最下端から鉛直方向に延びる軸である。 また、C1は、被加工物Wの上面において、軸Ax1と被加工領域の左端部との間の距離である。 また、C2は、被加工物Wの上面において、軸Ax1と被加工領域の右端部との間の距離である。 また、φは、軸Ax1と被加工物Wの右側の被加工面との間の角度である。 このとき、加工しようとする対象は、被加工物Wの右側の被加工面であってもよい。
【0049】
図5Aは、図4のレーザビームLc1がレンズ17の上面に入射した場合の加工状態を示す図であって、被加工物Wの被加工領域が軸Ax1を中心に実質的に対称となることがわかる。 すなわち、図5Aにおいて、C1及びC2は実質的に同じであってもよい。 また、φ1及びφ2は実質的に同じであってもよい。
【0050】
図5Bは、図4のレーザビームLc2がレンズ17の上面に入射した場合の加工状態を示す図であって、レーザビームLc2の位置は、レンズ17の中心点O’からX’軸方向にr2だけ離隔することにより、図5Aに比べて軸Ax1が右側にシフトしたことが分かる。 すなわち、C1はC2より大きくなってもよい。 また、φ1がφ2より大きくなってもよい。
【0051】
図5Cは、図4のレーザビームLc3がレンズ17の上面に入射した場合の加工状態を示す図であって、レーザビームLc3の位置は、レンズ17の中心点O’からX’軸方向にr3だけ離隔することにより、図5Bに比べて軸Ax1が右側にさらにシフトしたことが分かる。 すなわち、C1はC2より大きくなってもよい。 また、φ1がφ3より大きくなってもよい。
【0052】
図5Dは、図4のレーザビームLc4がレンズ17の上面に入射した場合の加工状態を示す図であって、レーザビームLc4の位置は、レンズ17の中心点O’からX’軸方向にr4だけ離隔することにより、図5Cに比べて軸Ax1が右側にさらにシフトしたことが分かる。 特に、被加工物Wの上面と右側の被加工面とが実質的に垂直をなすことができる。 すなわち、被加工物Wの上面において、被加工領域の端部の間の総距離はC1であり、C2は実質的にゼロであり得る。 また、φ4は実質的にゼロであり得る。
【0053】
図5Eは、図4のレーザビームLc5がレンズ17の上面に入射した場合の加工状態を示す図であって、レーザビームLc5の位置は、レンズ17の中心点O’からX’軸方向にr5だけ離隔することにより、図5Dに比べて軸Ax1が右側にさらにシフトしたことが分かる。 特に、被加工物Wの右側の被加工面が軸Ax1から左側に突出したオーバーハング(overhang)領域を形成する。 これにより、被加工物Wの右側の被加工面は、軸Ax1を基準に、左側に傾斜した逆テーパ(reversetaper)形状を有してもよい。 すなわち、C1はC2よりも大きく、φ5はマイナス方向であり得る。 ただし、前述の「実質的に対称、垂直、又はゼロ」の意味は、工学における誤差を含む概念であり、数学における厳密な意味の対称、垂直、又はゼロを意味するものではない場合がある。
【0054】
前述のように、本発明の一実施例に係るレーザ加工システム1は、レンズ17に入射するレーザビームLcの位置を制御し、被加工物Wの被加工面を様々な形状で加工することができる。 例えば、図6に示すように、被加工物Wは、長辺部、短辺部、凹部、凸部などの様々な形状のエッジを含んでもよい。 また、被加工物Wのエッジの曲率は、被加工物Wの加工座標によって異なってもよい。
【0055】
レーザ加工システム1は、予め記憶された被加工物Wの設計加工座標に基づいて、第1のコントローラ19を通してレーザ発振器11、加工テーブル13、ミラー15、及びレンズ17の少なくともいずれか1つを制御し、被加工物Wの様々な形状に対応することができる。 より具体的に、被加工物Wの被加工面の傾きを一定に形成しようとする場合、レーザ加工システム1は、ミラー15の位置及び傾斜角度を制御し、レンズ17の中心点O’とレーザビームLcとの距離rを一定に保ちながら加工工程を進めることができる。 あるいは、被加工物Wの被加工面の傾きを被加工物Wの形状又は加工座標によって異なるように形成しようとする場合、レーザ加工システム1は、被加工物Wの形状に応じてミラー15の位置及び傾斜角度を制御し、レンズ17の中心点O’とレーザビームLcとの間の距離rを異なるように設定しながら加工工程を進めることができる。 このとき、被加工物Wを平面視すると、被加工物Wのエッジとレンズ17との間の距離を一定に保つことができる。
【0056】
また、レーザ加工システム1は、被加工物Wが取り付けられる加工テーブル13を予め設定した方向に移動させながら加工を行ってもよい。 あるいは、レーザ加工システム1は、加工テーブル13だけでなく、光学ユニット14を予め設定した方向に移動させながら加工を行ってもよい。 これにより、被加工物Wが加工座標に応じて様々な形状を有する場合、高速加工を容易に行うことができる。
【0057】
このような構成により、本発明の一実施例に係るレーザ加工システム1は、被加工物Wの被加工面の形状を多様に加工することができる。 また、レーザ加工システム1は、様々な形状を有する被加工物Wに対しても迅速に加工することができる。
【0058】
図7は、本発明の一実施例に係る検査装置20を示す図である。 図8は、図7の第2のコントローラ29を示す図である。
【0059】
図7を参照すると、本発明の他の実施例に係るレーザ加工システム1は、検査装置20をさらに含んでもよい。 検査装置20は、被加工物Wの形状を検査し、被加工物Wの実際加工座標を取得し、これをレーザ加工装置10に伝達することができる。 検査装置20は、検査テーブル21と、支持台23と、撮像ユニット25と、搬送ユニット27と、第2のコントローラ29とを含んでもよい。
【0060】
検査テーブル21は、被加工物Wが取り付けられる取り付け面を有する。 図7には、検査テーブル21が被加工物Wを一方向に移動させることを示しているが、これに限定されない。 例えば、前述した加工テーブル13と同様に、検査テーブル21自体がX軸、Y軸、Z軸の方向に水平移動しながら、Z軸を中心に回転してもよい。 検査テーブル21は、前述した加工テーブル13と実質的に同一の構成を有してもよく、その詳細な説明は省略する。
【0061】
支持台23は、検査テーブル21の一側に設けられ、ガントリー(gantry) 形状を有してもよい。 支持台23には、後述する撮像ユニット25が設けられ、撮像ユニット25を予め設定した方向に移動させるための構成を含んでもよい。 図7では、検査テーブル21に対して支持台23を固定していることが示されているが、これに限定されない。 例えば、支持台23は、検査テーブル21及びローラ(図示せず)などを通して連結され、一方向に移動してもよい。
【0062】
撮像ユニット25は、支持台23の一側に設けられ、予め設定した方向に移動しながら、被加工物Wを撮像する。 より具体的には、被加工物Wのエッジに沿って画像を撮像し、これを後述する第2のコントローラ29に伝達してもよい。 第2のコントローラ29は、撮像した画像に基づいて、被加工物Wの実際加工座標を取得してもよい。 このとき、撮像ユニット25は、撮像しようとする被加工物Wのエッジの特定ポイントを選択的に撮像してもよい。
【0063】
搬送ユニット27は、検査テーブル21から離隔して設けられてもよい。 搬送ユニット27は、検査を終了した被加工物Wをレーザ加工装置10に搬送するか、又は外部に搬出する。 搬送方式は特に限定されない。
【0064】
第2のコントローラ29は、撮像ユニット25によって撮像した画像に基づいて被加工物Wの実際加工座標を生成する。 図7及び図8を参照すると、第2のコントローラ29は、駆動部291と、プロセッサ293と、メモリ295と、入出力インタフェース部297とを含んでもよい。 駆動部291は、プロセッサ293から命令を受け、検査テーブル21と、支持台23と、撮像ユニット25と、搬送ユニット27とを統合又は独立に制御する信号を転送することができる。
【0065】
プロセッサ293は、メモリ295に記憶された被加工物Wの加工情報に基づいて駆動部291を制御してもよい。 例えば、プロセッサ293は、メモリ295に記憶された設計加工座標に基づいて、撮像ユニット25で被加工物Wのエッジに対する画像を撮像するように駆動部291を制御してもよい。 このとき、プロセッサ293は、撮像対象となる被加工物Wの撮像ポイントを設定することができる。 例えば、プロセッサ293は、長辺部及び短辺部、又は凹部及び凸部の撮像ポイントの数及び位置を適切に設定することができる。 また、プロセッサ293は、撮像ユニット25が撮像した画像に基づいて、被加工物Wのエッジに対する実際加工座標を取得する。 また、プロセッサ293は、取得した実際加工座標と記憶された設計加工座標との差分値(オフセット値)を算出することができる。
【0066】
プロセッサ293は、実際加工座標と設計加工座標との差分値と、メモリ295に記憶された閾値とを比較する演算を行ってもよい。 より具体的に、両座標の差分値が予め設定した閾値以下である場合、プロセッサ293は、実際加工座標をレーザ加工装置10の第1のコントローラ19に伝達する。 また、プロセッサ293は、搬送ユニット27を制御し、被加工物Wをレーザ加工装置10に搬送する。 一方、両座標の差分値が予め設定した閾値を超える場合、プロセッサ293は、被加工物Wはレーザ加工に不適切であると判定し、加工中断を判定してもよい。 また、搬送ユニット27を制御し、被加工物Wを外部に搬出してもよい。
【0067】
レーザ加工装置10の第1のコントローラ19は、受けた実際加工座標に基づいて、被加工物Wに対するレーザ加工を行ってもよい。 レーザ加工装置10を用いるレーザ加工は、前述したレーザ加工と実質的に同一であり、その詳細な説明は省略する。
【0068】
このように、本発明に係るレーザ加工システム1は、レーザ加工装置10と検査装置20の両方を備えることにより、被加工物Wの設計加工座標と実際加工座標との誤差を補正することができる。 これにより、レーザ加工システム1は、被加工物Wをより精度よく加工することができる。
【0069】
他の実施例において、第2のコントローラ29は、取得した被加工物Wの実際加工座標に補正を行って補正加工座標を取得してもよい。 例えば、被加工物Wを実際加工座標よりも縮小又は拡大して加工しようとする場合、取得した実際加工座標を所定の割合で拡大又は縮小することで補正加工座標を取得してもよい。 第2のコントローラ29は、取得した補正加工座標を第1のコントローラ19に伝達し、第1のコントローラ19は、補正加工座標に基づいてレーザ加工を行ってもよい。 ただし、補正加工座標は、実際加工座標を拡大又は縮小したものに限定されず、特定領域の座標のみが補正されたものであってもよい。
【0070】
他の実施例において、本発明に係るレーザ加工システム1は、複数のレーザ加工装置10と複数の検査装置20とを備えてもよい。 例えば、レーザ加工装置10で費やされる工程時間が検査装置20で費やされる工程時間よりも長い場合、レーザ加工システム1は、1つ以上の検査装置20と、その検査装置20の数よりも多くの数のレーザ加工装置10を備えてもよい。 これにより、検査装置20による検査を終了した被加工物Wをレーザ加工装置10に伝達し、被加工物Wのレーザ加工に要する工程時間を最小化することができる。 ただし、レーザ加工装置10及び検査装置20の数は特に限定されず、加工工程に要する時間を考慮して適宜選択してもよい。
【0071】
他の実施例において、本発明に係るレーザ加工システム1は、1つの被加工物Wの両面を加工するために用いられてもよい。 例えば、レーザ加工システム1は、2つのレーザ加工装置10と1つの検査装置20とを含んでもよい。 また、2つのレーザ加工装置10のそれぞれを被加工物Wの上面及び下面に配置してもよい。 まず、検査装置20を用いて被加工物Wの一面に対して実際加工座標を生成し、被加工物Wの一面に配置されたレーザ加工装置10は、実際加工座標に基づいて被加工物Wの一面を加工する。 次に、被加工物Wの他面に配置されたレーザ加工装置10は、実際加工座標を反転させ、反転した加工座標を生成し、これに基づいて被加工物Wの他面に対する加工を行ってもよい。 すなわち、取り付けられた被加工物Wを反転させる必要なく、生成された実際加工座標のみを反転させ、そのまま加工を行ってもよい。 このような構成により、レーザ加工に要する時間を短縮することができる。
【0072】
図9は、本発明の他の実施例に係るレーザ加工システム1を示す図である。 図10は、図9の第1のコントローラ19を示す図である。
【0073】
他の実施例において、本発明に係るレーザ加工システム1は、一体に構成されたレーザ加工装置10及び検査装置20を備えてもよい。 図9及び図10を参照すると、本発明に係るレーザ加工システム1は、レーザ加工装置10として、レーザ発振器11と、ミラー15及びレンズ17を含む光学ユニット14と、第1のコントローラ19とを含んでもよい。 また、検査装置20は、検査テーブル21と、支持台23と、撮像ユニット25とを含んでもよい。 また、光学ユニット14及び撮像ユニット25の両方は、支持台23に設けられてもよい。 また、第1のコントローラ19は、レーザ発振器11と、光学ユニット14と、検査テーブル21と、支持台23と、撮像ユニット25とを制御することができる。 これにより、本実施例に係るレーザ加工システム1は、検査テーブル21に取り付けられた被加工物Wを撮像ユニット25で撮像し、実際加工座標を取得することができる。
【0074】
また、レーザ加工システム1は、取得した実際加工座標に基づいて、レーザ発振器11及び光学ユニット14で被加工物Wに対するレーザ加工を行うことができる。 このような構成により、一つの領域で被加工物Wに対するレーザ加工を行うことができ、レーザ加工システム1の総合サイズを小さくすることができ、レーザ加工システム1の構造を簡素化することができる。
【0075】
図11は、本発明の他の実施例に係るレーザ加工方法を示す図である。
【0076】
図1図11を参照すると、本発明に係るレーザ加工方法は、ミラー15及びレンズ17を備える光学ユニット14を用いて、レーザ発振器11から出力されるレーザビームを被加工物Wに入射させるレーザ加工方法であって、被加工物Wの加工座標を取得するステップS100と、取得した加工座標に応じてミラー15を制御し、レンズ17に入射するレーザビームの位置を調整することによってレーザ加工を行うステップS300とを含む。
【0077】
まず、被加工物Wの加工座標を取得する(S100)。 ここで、被加工物Wの加工座標は、レーザ加工装置10の第1のコントローラ19に記憶された設計加工座標であってもよい。 あるいは、被加工物Wの加工座標は、検査装置20を用いて被加工物Wを撮像し、これにより取得した実際加工座標であってもよい。 あるいは、取得した実際加工座標に基づいて縮小又は拡大する補正を行った補正加工座標であってもよい。
【0078】
次に、取得した加工座標と記憶された加工座標とを比較し、両座標値の差が予め設定した閾値を超えるか否かを判定してもよい(S200)。 具体的には、検査装置20を用いて被加工物Wの実際加工座標を取得した場合、レーザ加工装置10のメモリ195に記憶された設計加工座標と実際加工座標とを比較し、両座標値の差を算出する。 また、両座標値の差が予め設定した閾値を超える場合、検査装置20は、当該被加工物Wはレーザ加工に適していないと判定し、加工中断を判定してもよい(S300)。 加工中断を判定するとき、被加工物Wは、検査装置20によって外部に搬出されてもよい。 あるいは、両座標値の差が予め設定した閾値以下である場合、検査装置20は、実際加工座標をレーザ加工装置10に伝達する。 また、レーザ加工装置10は、記憶された設計加工座標を取得した実際加工座標に置き換えてもよい。
【0079】
設計加工座標に基づいてレーザ加工を行ったり、取得した実際加工座標を予め設定した基準に従って補正し、補正した加工座標に基づいて、レーザ加工を行う場合、前述したステップS200は省略してもよい。
【0080】
次に、レンズ17に入射するレーザビームLcの位置を制御してレーザ加工を行う(S300)。 具体的に、取得した加工座標に基づいてレーザ加工を行うため、レーザ発振器11はレーザビームLaを出力する。 出力されたレーザビームLaは、ミラー15を経てレンズ17に入射する(レーザビームLc)。 このとき、レーザ加工装置10は、取得した加工座標及び被加工物Wの形状に対応してミラー15を制御することにより、レンズ17に入射するレーザビームLcの位置を制御することができる。 レンズ17に入射するレーザビームLcの位置について、レンズ17の円周方向に沿うレーザビームの位置及びレンズ17の直径方向に沿うレーザビームの位置の少なくともいずれか1つは制御されてもよい。 これにより、レンズ17を経て被加工物Wに入射するレーザビームLdの位置を制御することができる。 レンズ17に入射するレーザビームLcの位置は、被加工物Wのエッジの形状と、形成しようとする被加工面の傾きに応じて制御してもよい。
【0081】
本発明に係るレーザ加工システム1及びレーザ加工方法は、被加工物Wの設計加工座標と実際加工座標との差を補正することができる。 また、本発明に係るレーザ加工システム1及びレーザ加工方法は、被加工物Wの形状に応じてレーザ加工装置10をリアルタイムで制御することにより、様々な形状を有する被加工物Wの加工を高精度かつ高速で行うことができる。 特に、本発明に係るレーザ加工システム1及びレーザ加工方法は、レーザの入射経路を制御して様々な角度で被加工物Wの被加工面を加工することができる。 また、本発明に係るレーザ加工システム1及びレーザ加工方法は、誘電体を含む被加工物Wを精度よく加工することができる。
【0082】
本明細書では、限定された実施例を中心に本発明を説明したが、本発明の範囲内には、様々な実施例が含まれることができる。 さらに説明されていないが、均等な手段も本発明にそのまま組み合わされるものとする。 したがって、本発明の真の保護範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、レーザ加工システムに関するものであり、様々な形状を有する被加工物の形状に応じてリアルタイム加工が要求されるレーザ加工システムに適用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】