(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】組織を修復するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20230118BHJP
A61L 31/16 20060101ALI20230118BHJP
A61L 29/04 20060101ALI20230118BHJP
A61L 31/04 20060101ALI20230118BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230118BHJP
A61P 9/14 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
A61M25/10 550
A61L31/16
A61L29/04 100
A61L31/04 110
A61K45/00
A61P9/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527947
(86)(22)【出願日】2020-11-17
(85)【翻訳文提出日】2022-05-13
(86)【国際出願番号】 US2020060831
(87)【国際公開番号】W WO2021101858
(87)【国際公開日】2021-05-27
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521141121
【氏名又は名称】アルーセント バイオメディカル,インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘイズ,アールビー ユージーン
(72)【発明者】
【氏名】タイラー,スティーヴン エー.
【テーマコード(参考)】
4C081
4C084
4C267
【Fターム(参考)】
4C081AC06
4C081AC10
4C081BA12
4C081BB03
4C081BB06
4C081CA081
4C081CE02
4C084AA17
4C084MA65
4C084NA10
4C084ZA36
4C084ZA44
4C267AA07
4C267BB06
4C267BB09
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB28
4C267BB29
4C267BB48
4C267CC09
4C267DD01
4C267EE01
4C267EE08
4C267GG11
4C267GG16
4C267HH08
(57)【要約】
組織修復のための装置および方法が提供される。装置は、近位端部から遠位先端まで延在しるカテーテルシャフトであって、膨張管腔およびライトファイバ管腔を含む管腔を画定するカテーテルシャフトと、膨張管腔と流体連通する遠位先端に近位のカテーテルシャフトの透光性遠位セグメント上に位置付けられたコーティングされたバルーンであって、コーティングされた遠位バルーンが、コーティングされたバルーンの外面上の透光性材料およびコーティングされた材料を含む、コーティングされたバルーンと、ライトファイバ管腔内のカテーテルシャフト内に位置付けられ、かつ透光性遠位セグメントを通して延在しているライトファイバと、を含んでもよい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
近位端部から遠位先端まで延在し、かつ透光性遠位セグメントを有するカテーテルシャフトであって、膨張管腔およびライトファイバ管腔を含む管腔を画定する、カテーテルシャフトと、
前記膨張管腔と流体連通する前記遠位先端に近位の前記遠位セグメント上に位置付けられたコーティングされたバルーンであって、前記コーティングされた遠位バルーンが、前記コーティングされたバルーンの外面上の透光性材料およびコーティングされた材料を含む、コーティングされたバルーンと、
前記ライトファイバ管腔内の前記カテーテルシャフト内に位置付けられ、かつ前記遠位セグメントを通って延在する、ライトファイバと、を備える、装置。
【請求項2】
前記膨張管腔が、前記コーティングされたバルーンに膨張流体を提供し、前記コーティングされたバルーン内の前記膨張流体の圧力が、前記コーティングされたバルーンを拡張状態に拡張させる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コーティングされた材料が、天然血管足場治療化合物である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記天然血管足場化合物が光活性化される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記遠位セグメントおよび前記コーティングされたバルーンの前記透光性材料が透明である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ライトファイバが、前記遠位セグメントおよび前記コーティングされたバルーンを通して光活性化を提供する、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記コーティングされたバルーンが、血管壁の形態に適合する材料を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記カテーテルシャフトが、前記カテーテルシャフトの長さに沿って前記遠位セグメントまで遮蔽され、前記遠位セグメントおよび前記コーティングされたバルーンからの光透過を可能にする、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記コーティングされたバルーンは、前記カテーテルシャフトが血管の標的領域に誘導されるときに前記コーティング材料を保護する圧縮位置を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
拡張状態において、前記コーティングされたバルーンが、標的領域内の血管壁に接触し、前記コーティングされた材料が、前記コーティングされたバルーンの前記外面から前記標的領域に移行する、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記カテーテルシャフトが、前記カテーテルシャフトと同心のガイドワイヤ管腔をさらに画定する、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記ライトファイバ管腔が、前記遠位先端の開口部に延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記ライトファイバ管腔が、前記ライトファイバ内腔を通過し、かつ前記遠位先端の前記開口部を通して前記ライトファイバを出る冷却剤を受容するように構成されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
被験者の血管内の組織修復の方法であって、
前記血管内にカテーテルを提供することであって、前記カテーテルが、
近位端部から遠位先端まで延在し、かつ透光性遠位セグメントを有するカテーテルシャフトであって、膨張管腔、ガイドワイヤ管腔、およびライトファイバ管腔を含む複数の管腔を画定する、カテーテルシャフトと、
前記膨張管腔と流体連通する前記遠位先端に近位の前記遠位セグメント上に位置付けられたコーティングされたバルーンであって、前記コーティングされた遠位バルーンが透光性材料を含む、コーティングされたバルーンと、
前記ガイドワイヤ管腔内の前記カテーテルシャフト内に位置付けられ、かつ前記遠位セグメントを通して延在する、ライトファイバと、を備える、提供することと、
第1の所定の時間量の間、前記コーティングされたバルーンを所定の圧力まで膨張させることと、
前記第1の所定の時間量が完了した後、前記コーティングされたバルーンを膨張させたままで第2の所定の時間量の間、前記ライトファイバに接続された光源を活性化し、それによって前記遠位セグメントおよび前記コーティングされたバルーンを通して光透過を提供して、治療領域内の薬物を活性化することと、を含む、方法。
【請求項15】
前記コーティングされたバルーンが、天然血管足場治療化合物でコーティングされている、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記天然血管足場化合物が、光活性化される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記遠位セグメントおよび前記コーティングされたバルーンの前記透光性材料が透明である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記ライトファイバが、前記遠位セグメントおよび前記コーティングされたバルーンを通して光活性化を提供する、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記カテーテルシャフトが、前記カテーテルシャフトの長さに沿って前記遠位セグメントまで遮蔽され、それによって前記遠位セグメントおよび前記コーティングされたバルーンからの光透過を提供する、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
装置であって、
近位端部から遠位先端まで延在し、かつ透光性遠位セグメントを有するカテーテルシャフトであって、膨張管腔およびライトファイバ管腔を含む管腔を画定する、カテーテルシャフトと、
前記膨張管腔と流体連通する前記遠位先端に近位の前記遠位セグメント上に位置付けられたコーティングされたバルーンであって、前記コーティングされた遠位バルーンが、前記コーティングされたバルーンの外面上の透光性材料およびコーティングされた材料を含む、コーティングされたバルーンと、
前記ライトファイバ管腔内の前記カテーテルシャフト内に位置付けられ、かつ前記透光性遠位セグメントを通って延在する、ライトファイバと、を備え、
前記カテーテルシャフトが、前記カテーテルシャフトの長さに沿って前記遠位セグメントまで遮蔽され、前記遠位セグメントおよび前記コーティングされたバルーンからの光透過を提供し、前記コーティングされた材料が、光活性化治療化合物である、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、2019年11月18日に出願された米国特許出願第16/686,879号からの優先権を主張するものであり、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
技術分野
本開示は、概して、血管開存性を復元するための装置および方法に関する。より具体的には、限定するものではないが、開示される実施形態は、カテーテル、および天然の血管足場を作製し、血管開存性を修復するためのするためのカテーテルシステムに関する。
【0003】
背景の説明
バルーンカテーテルは、治療部位の遠位または近位のいずれかで血流を閉塞することを含む、いくつかの外科的用途で使用される。バルーンの膨張は、血管を破裂させるか、その他の方法で損傷する可能性がある、バルーンの過剰拡張または破損を避けるために制御されなければならない。経皮経管血管形成術(PTA)は、閉塞した動脈を開くためにバルーンが使用されるもので、アテローム性病変の治療に広く使用されている。しかしながら、この技法は、再閉塞および再狭窄の困難な問題によって制限される。再狭窄は平滑筋細胞(SMC)の過剰増殖に起因し、再狭窄率は20%を上回る。したがって、PTAで治療された患者の約5人に1人は、数ヶ月以内に再治療を受けなければならない。
【0004】
加えて、ステント留置は、一般的な治療であり、狭窄した動脈硬化部位はバルーンカテーテルを用いて機械的に拡張され、続いて血管管腔内に金属製ステントを配置して血液の流れを回復させる。動脈の収縮または閉塞は問題を含むものであり、それ自体が問題となるか、または重大な健康合併症を引き起こす可能性がある。金属製ステントを管腔内に留置した場合、20%~30%の患者が術後の治療を必要とすることが分かっている。この高頻度の術後治療の原因の1つは、ステントが配置されているにもかかわらず、血管管腔内の血管内動脈過形成により管腔が狭くなることである。ステント内再狭窄を低減するために、再狭窄抑制薬物を表面に担持するタイプのステントを設計し、ステントが動脈内に配置されると、血管管腔内で制御された様式で薬物が溶出されるようにする試みがなされている。これらの試みは、シロリムス(免疫抑制剤)およびパクリタキセル(細胞傷害性抗腫瘍薬)などの様々な薬剤を利用する薬物溶出ステント(以下、DESと称される)の商品化につながった。しかしながら、これらの薬物は、その細胞周期に作用することにより、血管細胞(内皮細胞および平滑筋細胞)の増殖を阻害する効果を有するため、平滑筋細胞の過剰増殖に起因する血管内膜過形成を抑制することができるだけでなく、ステントの留置中に一旦剥離した内皮細胞の増殖を抑制する。これは、血管の内膜の修復または治療が低下する悪影響をもたらし得る。血管内膜の内皮細胞に覆われていない部位では血栓症が起こりやすい傾向にあることを鑑みると、抗血栓薬を長期間、例えば半年程度投与しなければならず、抗血栓薬の投与にもかかわらず、中止すると晩期血栓症や再狭窄のリスクが生じることになる。
【0005】
したがって、本開示が取り組む技術的課題は、治療剤の周囲の組織への制御された送達を提供するデバイスを作製し、血管を最終形状に押し広げ、組織内の治療剤を機能化し、成型形状を形成し、血流を可能にし、組織機能を回復させることによって、これらの従来技術の困難を克服することである。この技術的課題に対する解決策は、本明細書に記載され、特許請求の範囲で特徴付けられる実施形態によって提供される。
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施形態は、カテーテル、カテーテルシステム、およびカテーテルシステムを使用して組織足場を形成する方法を含む。有利には、例示的な実施形態は、周囲の組織への治療剤の制御された均一な送達を可能にし、組織を最終的な形状に成型し、成型形状を形成して血管を押し広げる組織内の治療剤を機能化する。組織は、心血管系内の血管の血管壁であり得る。
【0007】
本開示の実施形態によれば、装置が提供される。装置は、近位端部から遠位先端まで延在し、かつ透光性遠位セグメントを有するカテーテルシャフトであって、膨張管腔およびライトファイバ管腔を含む管腔を画定する、カテーテルシャフトを含み得る。本装置は、膨張管腔と流体連通する遠位先端に近位の前記遠位セグメント上に位置付けられたコーティングされたバルーンであって、コーティングされた遠位バルーンが、コーティングされたバルーンの外面上の透光性材料およびコーティングされた材料を含む、コーティングされたバルーンをさらに含み得る。本装置は、ライトファイバ管腔内のカテーテルシャフト内に位置付けられ、かつ遠位セグメントを通して延在する、ライトファイバも含み得る。
【0008】
いくつかの実施形態では、膨張管腔は、コーティングされたバルーンに膨張流体を提供し、コーティングされたバルーン内の膨張流体の圧力が、コーティングされたバルーンを拡張状態に拡張させる。
【0009】
いくつかの実施形態では、コーティングされた材料は、天然血管足場治療化合物である。天然血管足場化合物は、光活性化され得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、遠位セグメントおよびコーティングされたバルーンの透光性材料は、透明である。ライトファイバは、遠位セグメントおよびコーティングされたバルーンを通して光活性化を提供し得る。コーティングされたバルーンは、血管壁の形態に適合する材料を含み得る。カテーテルシャフトは、カテーテルシャフトの長さに沿って遠位セグメントまで遮蔽され得、遠位セグメントおよびコーティングされたバルーンからの光透過を可能にする。
【0011】
いくつかの実施形態では、コーティングされたバルーンは、カテーテルシャフトが血管の標的領域に誘導されるときにコーティング材料を保護する圧縮位置を有する。コーティングされたバルーンは、標的領域内の血管壁に接触し得、コーティングされた材料は、コーティングされたバルーンの外面から標的領域に移行する。カテーテルシャフトは、カテーテルシャフトと同心のガイドワイヤ管腔をさらに画定し得る。ライトファイバ管腔は、遠位先端の開口部に延在し得、ライトファイバ管腔は、ライトファイバ管腔を通過し、遠位先端の開口部を通してライトファイバを出る冷却剤を受容するように構成されている。
【0012】
本開示の別の実施形態によれば、被験者の血管における組織修復方法が提供される。本方法は、カテーテルを血管に提供することを含み得る。カテーテルは、近位端部から遠位先端まで延在し、かつ透光性遠位セグメントを有するカテーテルシャフトであって、膨張管腔およびライトファイバ管腔を含む管腔を画定する、カテーテルシャフトを含み得る。本装置は、膨張管腔と流体連通する遠位先端に近位の遠位セグメント上に位置付けられたコーティングされたバルーンであって、コーティングされた遠位バルーンが、コーティングされたバルーンの外面上の透光性材料およびコーティングされた材料を含む、コーティングされたバルーンをさらに含み得る。本装置はまた、ライトファイバ管腔内のカテーテルシャフト内にも位置付けられ、かつ遠位セグメントを通して延在する、ライトファイバを含み得る。本方法は、コーティングされたバルーンを第1の所定の時間量の間、所定の圧力まで膨張させることと、第1の所定の時間量が完了した後、コーティングされたバルーンを膨張させたままで第2の所定の時間量の間、ライトファイバに接続された光源を活性化し、それによって遠位セグメントおよびコーティングされたバルーンを通して光透過を提供して、治療領域内の薬物を活性化することと、をさらに含み得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、コーティングされたバルーンは、天然血管足場治療化合物でコーティングされ、天然血管足場治療化合物は、光活性化される。ライトファイバは、遠位セグメントおよびコーティングされたバルーンを通して光活性化を提供し得る。カテーテルシャフトは、カテーテルシャフトの長さに沿って遠位セグメントまで遮蔽され得、それによって、遠位セグメントおよびコーティングされたバルーンからの光透過を提供する。
【0014】
本開示の別の実施形態によれば、装置が提供される。本装置は、近位端部から遠位先端まで延在し、かつ透光性遠位セグメントを有するカテーテルシャフトであって、膨張管腔およびライトファイバ管腔を含む管腔を画定するカテーテルシャフトと、膨張管腔と流体連通する遠位先端に近位の遠位セグメント上に位置付けられたコーティングされたバルーンであって、コーティングされた遠位バルーンが、コーティングされたバルーンの外面上の透光性材料およびコーティングされた材料を含む、コーティングされたバルーンと、ライトファイバ管腔内のカテーテルシャフト内に位置付けられ、かつ透光性遠位セグメントを通して延在する、ライトファイバと、を含み得る。カテーテルシャフトは、遠位セグメントまでカテーテルシャフトの長さに沿って遮蔽され得、遠位セグメントおよびコーティングされたバルーンからの光透過を提供し、コーティングされた材料は、光活性化治療化合物である。
【0015】
開示される実施形態の追加の特徴および利点は、一部は以下の説明に記載され、一部は説明から明らかになるか、または開示される実施形態の実践によって学ぶことができるであろう。開示される実施形態の特徴および利点は、添付の特許請求の範囲に特に指摘される要素および組み合わせにより実現され、達成されるであろう。
【0016】
前述の概要および以下の発明を実施するための形態の両方は、単に例および説明的なものであり、特許請求の範囲に記載される開示された実施形態を限定するものではないことを理解されたい。
【0017】
添付の図は、本明細書の一部を構成する。図面は、本開示のいくつかの実施形態を示しており、説明とともに、添付の特許請求の範囲に記載される開示される実施形態の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本開示の実施形態による、カテーテルを含む例示的な装置の側面立面図である。
【
図2A】
図1のカテーテルの遠位部分の側面立面図である。
【
図2B】
図2Aの例示的なカテーテルの斜視部分断面図である。
【
図3】
図1のカテーテルの近位部分の側面立面図である。
【
図4】
図2Aの線4-4に沿って取られた断面図である。
【
図5A】本開示の実施形態による、別の例示的なカテーテルの遠位部分の側面立面図である。
【
図5B】
図5Aの例示的なカテーテルの斜視部分断面図である。
【
図6】
図5Aのカテーテルの近位部分の側面立面図である。
【
図7】
図5Aの線7-7に沿って取られた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで、本開示の実施形態および態様を詳細に参照し、その例は添付の図において示される。可能であれば、同一または同様の部分を参照するために、図面全体を通して同じ参照番号が使用される。
【0020】
図1は、本開示の一実施形態による装置100を示す。装置100の近位端部106から遠位先端110まで延在するカテーテルシャフト104を有する装置100。装置100は、被験者の血管(例えば、血管(例えば、blood vessel))内での長手方向の移動および位置付けのために構成され得る。いくつかの実施形態では、装置100は、血管の領域の治療のために構成され得る。いくつかの実施形態では、装置100は、血管を閉塞する場合がある一方で、他の実施形態では、装置は、血管を閉塞しない場合がある。例えば、装置100は、以下でより詳細に説明するように、血管内に形状を形成し成型することができる装置100によって占有される血管の領域への薬物の送達のために構成され得る。
【0021】
装置100は、装置100の近位端部に位置付けられた、
図3でより詳細に示される近位端部コネクタ114を含み得、カテーテルシャフト104は、そこから遠位方向に延在し得る。カテーテルシャフト104は、近位端部コネクタ114の複数のポート115を介してアクセス可能な複数の管腔を画定し得る。複数のポート115は、複数の管腔と連通するために望ましい外部源と係合するように構成され得る。ポートは、シリンジ、オーバーモールディング、クイックディスコネクトコネクタ、ラッチ接続、有刺鉄線接続、鍵付き接続、ねじ接続、または複数のポートのうちの1つを外部源に接続するための任意の他の好適な機構を含むがこれらに限定されない、様々な接続機構を介して外部源と係合し得る。外部源の非限定的な例としては、膨張源(例えば、生理食塩水)、気体源、治療源(例えば、医薬品、薬物、または以下でさらに考察される任意の望ましい治療剤)、光源などが挙げられ得る。いくつかの実施形態では、装置100は、ガイドワイヤ管腔164(
図4を参照)を介してガイドワイヤ(図示せず)とともに使用されて、カテーテルシャフト104を血管の標的領域に誘導することを支援することができる。
【0022】
図1~
図4は、装置100が、遠位先端110に近位のカテーテルシャフト104の遠位セグメント130上に位置付けられたコーティングされたバルーン120を含み得ることを示す。いくつかの実施形態では、コーティングされたバルーン120は、0mm~1mm、0mm~2mm、0mm~3mm、0mm~10mm、または0~50mmの距離で遠位先端110から近位にオフセットされ得る。コーティングされたバルーン120は、適合性または半適合性のバルーンが膨張されるときに、血管の壁または被験者の他の中空体構造を支持するのに好適な任意の形状を採り得る。例えば、コーティングされたバルーン120は、カテーテルシャフト104の遠位セグメント130を取り囲む円筒形状に拡張し得る。円筒形状は、コーティングされたバルーン120の近位端および遠位端で徐々に内側に先細りになり、それにより、カテーテルシャフト104と接触してカテーテルシャフト104と同一平面上になるコーティングされたバルーン120の徐々に先細りになった近位端部および遠位端部を提供し得る。
【0023】
膨張したコーティングされたバルーン120が形成し得る形状の非限定的な例としては、円筒形状、フットボール形状、球形、もしくは楕円体形状が挙げられ、また金属ステントに見られるような剛性の異なる2つの表面間に共通する縁部効果を低減するように、処理された血管形状と未処理の血管形状との間の電位差を制限するために、対称形状または非対称形状で選択的に変形可能であり得る。コーティングされたバルーン120によって血管内部に及ぼされる力は、血管または他の中空体構造の静止位置に保持された装置100で血管壁を足場にするのに十分に強力であり得る。しかしながら、その力は、血管の内面または他の中空体構造を損傷するほど大きくはない。コーティングされたバルーン120は、実質的に透光性であり得る。
【0024】
装置100は、近位端部コネクタ114の近位に位置付けられた複数のコネクタ115を含み得る。例えば、コーティングされたバルーン120は、膨張源を受容することができるコネクタで近位端部106で終端され得る。いくつかの実施形態では、コネクタは、ルアー構成であり得る。中心管腔(以下でより詳細に考察される)は、近位端部から遠位先端の外側に管腔を通り抜けるための流体源を受容することができるコネクタで近位端部で終端され得、いくつかの実施形態では、ルアー構成を含み得る。中心管腔はまた、カテーテル装置を所望の解剖学的位置まで追跡するためのガイドワイヤを収容し得る。以下でより詳細に考察されるように、装置100はまた、光源に接続することができるアダプタで近位端部で終端され得るライトファイバを含み得る。各ライトファイバは、別個の異なるアダプタで終端し得るか、または各ライトファイバは、光源へのアダプタを共有し得る。ライトファイバは、装置100に組み込まれ得る。
【0025】
装置100の材料は、生体適合性であり得る。カテーテルシャフト104は、押出成形可能であり、管腔の完全性を維持することができる材料を含み得る。カテーテルシャフト104の遠位セグメント130は、ライトファイバからの光透過を可能にするために実質的に透光性である。カテーテルシャフト104の材料は、ガイドワイヤ上を追跡するのに十分に剛性があり、非外傷性であるのに十分に柔らかい。カテーテルシャフト104は、ポリマー、天然もしくは合成ゴム、金属およびプラスチックもしくはそれらの組み合わせ、ナイロン、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、ナイロン/PEBAブレンド、熱可塑性コポリエステル(TPC)を含むがこれらに限定されない材料で作製され得、非限定的な例はHYTREL(登録商標)(デラウェア州ウィルミントンのDupont de Nemours,Inc.から入手可能)およびポリエチレンであり得る。シャフト材料は、シャフトの長手方向の長さに対するカラム強度を最大化するように選択することができる。さらに、シャフト材料は、十分なカラム強度を提供するように編み込むことができる。シャフト材料は、ガイドワイヤに沿ってデバイスがスムーズに動くように選択することもできる。カテーテルシャフト104はまた、潤滑性コーティング、ならびに抗菌性コーティングおよび抗血栓性コーティングを備え得る。シャフト材料は、送達または収集する薬剤の有効性に干渉しないように選択する必要がある。この干渉は、いかようにも薬剤を吸収するか、薬剤に付着するか、または薬剤を変化させる形態を採り得る。本開示のカテーテルシャフト104は、約2~16のフランス単位(「Fr.」であって、1つのフランス単位は、ミリメートルの1/3、または約0.013インチに等しい)の間であり得る。冠動脈で使用されるカテーテルシャフトは、直径が約3~5Frの間であり得、より具体的には3Frであり得る。末梢血管で使用されるカテーテルシャフトは、直径が約5~8Frの間であり得、より具体的には5Frであり得る。大動脈で使用されるカテーテルシャフトは、直径約8~16Fr、より具体的には12Frであり得る。
【0026】
コーティングされたバルーン120は実質的に透光性であり得、ライトファイバからの光が、コーティングされたバルーン120の膨張直径を実質的に越えて透過することを可能にする。コーティングされたバルーン120は、材料が血管の形態に実質的に適合するように準拠し得る。コーティングされたバルーン120の材料は、弾性であり得、血管の形態に実質的に弾性的に適合することが可能であり、それによって、非拡張的および非外傷的な様式で最適な薬物送達を提供する。装置100は、最適な治癒を促進するために、血管にいかなるさらなる外傷(例えば、アテローム切除または経皮的経管血管形成術「PTA」または血管準備方法によって引き起こされる外傷)も引き起こしてはならない。
【0027】
図2Aおよび2Bは、1つ以上の薬物、例えば、天然血管足場(NVS)化合物でコーティングされ得るコーティングされたバルーン120を示しており、これは、以下でさらに考察されるように、光によって活性化され得る。コーティングされたバルーン120の拡張は、必要に応じて治療領域(例えば、血管)を形作り得、より詳細に後述するように、コーティングされたバルーン120の外面にコーティングされた1つ以上の薬物(例えば、NVS)を治療領域に提供し得る。
【0028】
コーティングされたバルーン120は、折り畳まれたまたは圧縮された位置または配向から拡張された位置または配向へと拡張可能であり得る(
図4)。いくつかの実施形態では、コーティングされたバルーン120は、カテーテルシャフト104が血管の標的領域に誘導されるときに、折り畳まれた構成であり得る圧縮位置にあり得る。圧縮されたまたは折り畳まれた構成は、カテーテルシャフト104が血管の標的領域に誘導されるときに、コーティングされたバルーン120の外面上のコーティングされた材料を保護し得る。コーティングされたバルーン120が標的領域に位置付けられるとき、コーティングされたバルーン120は、拡張位置に膨張され得る。
【0029】
コーティングされたバルーン120は、コーティングされたバルーン120の近位端部および遠位端部に位置付けられたマーカーバンド122を含み得る。マーカーバンド122は、ユーザ(例えば、外科医)が血管造影などの撮像システム内でコーティングされたバルーン120を容易に配置することができるように、処置中のコーティングされたバルーン120の正確な位置追跡を可能にし得る。いくつかの実施形態では、マーカーバンド120は、装置100に統合された放射線不透過性の金または白金バンドであり得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、ライトファイバ140は、装置100に統合され得る。本明細書で使用される場合、「統合された」という用語は、ライトファイバが装置100の交換不可能な要素になるように、装置100にオーバーモールドされているライトファイバを指し得る。他の実施形態では、以下で説明するように、ライトファイバ140は取り外し可能であり得る。いくつかの実施形態では、ライトファイバは、製造時に装置100に統合され得る。他の実施形態では、ライトファイバは、臨床準備プロセス中にカテーテルラボ内の装置100に統合され得る。
【0031】
ライトファイバ140は、カテーテルシャフト104内に位置付けられ、遠位セグメント130を通って延在し得る。ライトファイバ140は、遠位セグメント130およびコーティングされたバルーン120を通して光を透過させ得る。ライトファイバ140は、近位端部コネクタ114に接続され得、複数のポート115のうちの少なくとも1つを介してライトファイバ起動源に接続される近位端部を有し得る。いくつかの実施形態では、ライトファイバ140は、遠位セグメント130およびコーティングされたバルーン120を通して透過させる375ナノメートル(nm)~475nm、およびより具体的には450nmの波長で光を透過させるように構成され得る。ライトファイバ140は、10nm~400nmの紫外線(UV)範囲の外側に光を放出し得る。いくつかの実施形態では、ライトファイバ140は、ライトファイバ管腔158内に位置付けられ得、ライトファイバ140は、遠位セグメント130およびコーティングされたバルーン120からのみ光が透過されるように、カテーテルシャフト104の長さに沿って覆われ得、または遮蔽され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、ライトファイバ140は、プラスチックコアおよびクラッドから作製され得る。コアの屈折率は高い。クラッドの屈折率は低い。コア材料の非限定的な例は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)であり得る。クラッドの非限定的な例は、シリコーン材料であり得る。光源は、ライトファイバ140の波長および供給電力を制御し得る。ライトファイバのクラッドの破断のパターンは、血管壁への均一な電力分配を確保する。長さが長いものは長さが短いものとは異なるパターンを有する。クラッドの遠位長さは、バルーンの長さと一致する。
【0033】
図4は、本開示の実施形態による、アセンブリ100内の複数の管腔を示す、
図2の線4-4に沿った断面図である。カテーテルシャフト104は、外径および外面130を有し得る。カテーテルシャフト104は、近位端部106から遠位先端110まで延在する3つの異なる別個の管腔の内部構成を有し得る。
【0034】
コーティングされたバルーン120は、膨張管腔150と流体連通し得る。膨張管腔150は、カテーテルシャフト104を通って延在し得、近位端部コネクタ114の複数のポート115のうちの1つにおいて入力を有し得る。膨張管腔150を介した、コーティングされたバルーン120と膨張源との間の流体連通により、コーティングされたバルーン120が、選択的に充填および拡張され得る。
【0035】
ライトファイバ管腔158が提供され得る。ライトファイバ管腔は、1つ以上のライトファイバを受容するようにカテーテルシャフト104内に位置付けられ得、ライトファイバ管腔158は、近位端部106から遠位セグメント130内に延在し得る。別の例示的な実施形態では、カテーテルシャフト104は、複数のライトファイバ管腔を含み得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、ライトファイバ管腔158は、近位端部106から遠位先端110まで延在し得、近位端部106および遠位先端110の各々に開口部を含み得る。ライトファイバ管腔158は、冷却剤(例えば、生理食塩水などの流体)を連通し得る近位端部から冷却供給を受容するように構成され得、遠位先端110における開口部は、冷却剤がライトファイバ管腔158を通過し、ライトファイバ管腔158の遠位先端110における開口部を通って出ることを可能にし得る。そのような実施形態では、ライトファイバ管腔158を通過する冷却剤は、ライトファイバ140を取り囲み、ライトファイバ140に温度調節を提供し得る。
【0037】
ガイドワイヤ管腔164もまた提供され得る。ガイドワイヤ管腔は、カテーテルシャフト外径と同心であり得、近位端部106から遠位先端110を通ってカテーテルシャフト104内に配置され得る。ガイドワイヤ管腔164は、近位端部および遠位先端と連通する所望の解剖学的位置への装置100の配置を補助するためにガイドワイヤを収容することができる。ガイドワイヤは、装置100とは別個であり、および異なり、また近位端部を越えて近位に、およびカテーテルシャフトの遠位先端を越えて遠位に延在し得る。ガイドワイヤ管腔164は、カテーテル外径と同心に配置され、カテーテルシャフトは、ガイドワイヤと同心に配向され、カテーテルシャフト104の一方の側に偏るか、または左右に振れることなく、カテーテルシャフト104がガイドワイヤに追従することを可能にする。ガイドワイヤは、ライトファイバの作動中に解剖学的位置を維持したまま、ガイドワイヤ管腔104内に留まり得る。
【0038】
示されるように、カテーテルシャフト104は、膨張管腔150、ライトファイバ管腔158、およびガイドワイヤ管腔164の3管腔押出であり得る。ガイドワイヤ管腔164は、膨張管腔150とライトファイバ管腔158との間でカテーテルシャフト104内に同心に位置付けられ得る。膨張管腔150およびライトファイバ管腔158は、半円形または半円形の断面形状を有し得、膨張管腔150とライトファイバ管腔158との間に中心的に位置付けられるガイドワイヤ管腔164を組み合わせて取り囲み得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、装置100は、
図4に示される3管腔押出の代わりに、2管腔押出を含み得る。そのような実施形態では、1つの管腔は、ガイドワイヤを受容するように構成され得、他の管腔は、ライトファイバを受け入れ、膨張源に接続されるように構成され得、これにより膨張源はコーティングされたバルーン120と流体的に連通することができるようになる。
【0040】
図5A~
図7は、取り外し可能なライトファイバ240を受容するカテーテルシャフト204を有するコーティングされたバルーン220を有する装置200の別の実施形態を示す。コーティングされたバルーン220は、上述したコーティングされたバルーン120と同じまたは類似の特徴を有し得る。装置200は、上述した装置100の同じ構成要素および特徴の多くを共有し得る。
【0041】
コーティングされたバルーン220は、遠位先端210に近位のカテーテルシャフト204の遠位セグメント230上に位置付けられる。いくつかの実施形態では、コーティングされたバルーン220は、0mm~1mm、0mm~2mm、0mm~3mm、0mm~10mm、または0~50mmの距離で遠位先端110から近位にオフセットされ得る。コーティングされたバルーン220は、コーティングされたバルーン220を参照して上述したように、適合性または半適合性のバルーンが膨張されるときに、血管の壁または被験者の他の中空体構造を支持するのに好適な任意の形状を採ることができる。
【0042】
コーティングされたバルーン220は、コーティングされたバルーン220の近位端および遠位端に位置付けられたマーカーバンド222を含み得る。マーカーバンド222は、ユーザ(例えば、外科医)が撮像システム内でコーティングされたバルーン220を容易に配置することができるように、処置中のコーティングされたバルーン220の正確な位置追跡を可能にし得る。いくつかの実施形態では、マーカーバンド220は、装置200に統合された放射線不透過性の金または白金バンドであり得る。
【0043】
装置200は、装置200の近位端部に位置付けられた、
図6でより詳細に示される近位端部コネクタ214を含み得、カテーテルシャフト204は、そこから遠位方向に延在し得る。カテーテルシャフト204は、近位端部コネクタ214のポート215のうちの1つ以上を介してアクセス可能な管腔を画定し得る。ポート215は、複数の管腔と連通することが望ましい外部源と係合するように構成され得る。ポートは、シリンジ、オーバーモールディング、クイックディスコネクトコネクタ、ラッチ接続、有刺鉄線接続、鍵付き接続、ねじ接続、または複数のポートのうちの1つを外部源に接続するための任意の他の好適な機構を含むがこれらに限定されない、様々な接続機構を介して外部源と係合し得る。外部源の非限定的な例としては、とりわけ、膨張源(例えば、生理食塩水)、気体源、治療源(例えば、医薬、薬物、または以下でさらに考察される任意の望ましい治療剤)、光源が挙げられ得る。いくつかの実施形態では、装置200は、ガイドワイヤ管腔264(
図7を参照)を介してガイドワイヤ(図示せず)とともに使用されて、カテーテルシャフト204を血管の標的領域に誘導することを支援することができる。
【0044】
図7は、本開示の実施形態による、アセンブリ200内の管腔を示す、
図5Aの線7-7に沿った断面図である。カテーテルシャフト104は、近位端部206から遠位先端210まで延在する2つの異なる別個の管腔の内部構成を有し得る。
【0045】
コーティングされたバルーン220は、膨張管腔250と流体連通し得る。膨張管腔250は、カテーテルシャフト204を通って延在し得、近位端部コネクタ214のポート215のうちの1つにおいて入力を有し得る。膨張管腔250を介した、コーティングされたバルーン220と膨張源との間の流体連通により、コーティングされたバルーン220が、選択的に充填および拡張され得る。
【0046】
ライトファイバ管腔264は、ライトファイバおよびガイドワイヤを受容するようにカテーテルシャフト204内に位置付けられ得、ライトファイバ管腔264は、近位端部206から遠位セグメント230内に延在し得る。ライトファイバ管腔264は、カテーテルシャフト204および膨張管腔250と同心であり得、近位端部206から遠位先端210を通って、カテーテルシャフト204内に配置され得る。ライトファイバ管腔264は、近位端部および遠位先端と連通する所望の解剖学的位置への装置200の配置を補助するためにガイドワイヤを収容することができる。ガイドワイヤは、装置200とは別個であり、および異なり、また近位端部を越えて近位に、およびカテーテルシャフトの遠位先端を越えて遠位に延在し得る。ガイドワイヤ管腔264は、カテーテル外径と同心に配置され、カテーテルシャフトは、ガイドワイヤと同心に配向され、カテーテルシャフト204の一方の側に偏るか、または左右に振れることなく、カテーテルシャフト204がガイドワイヤに追従することを可能にする。ガイドワイヤは、ライトファイバの作動中に解剖学的位置を維持したまま、ライトファイバ管腔264内に留まり得る。
【0047】
ライトファイバは、取り外し可能であり得、カテーテルシャフト204内に位置付けられ、遠位セグメント230を通って延在するようにライトファイバ管腔264を通って挿入され得る。ライトファイバは、遠位セグメント230およびコーティングされたバルーン220を通して光を透過させ得る。ライトファイバは、近位端部コネクタ214に接続され得、ポート215のうちの少なくとも1つを介してライトファイバ起動源に接続される近位端部を有し得る。いくつかの実施形態では、ライトファイバは、遠位セグメント230およびコーティングされたバルーン220を通して透過させる375ナノメートル(nm)~475nm、およびより具体的には450nmの波長で光を透過させるように構成され得る。ライトファイバは、10nm~400nmの紫外線(UV)範囲の外側に光を放出し得る。いくつかの実施形態では、ライトファイバは、ライトファイバ管腔264内に位置付けられ得、ライトファイバは、遠位セグメント230およびコーティングされたバルーン220からのみ光が透過されるように、カテーテルシャフト204の長さに沿って覆われ得、または遮蔽され得る。
【0048】
各装置100、200の構成要素について詳細に説明したので、装置100および200の両方と関連する方法を理解することができる。薬物源の送達の標的領域は、心血管系の血管であり得る。いくつかの実施形態では、標的領域は、損傷した血管細胞デブリを置換または除去するために、最初に、経皮経管血管形成術(PTA)またはアテローム切除術によって準備され得る。カテーテル装置100、200は、PTAを置き換えることを意図しない場合があり、コーティングされたバルーン120、220の機能圧力は、薬物機能化中に血管を押し広げるのに十分であるに過ぎない。コーティングされたバルーン120、220は、コーティングされた薬物を血管壁に均一に送達するために、血管壁と接触するように膨張され得る。この血管支持位置にある間、光源は、カテーテルシャフト104、204を通り、コーティングされたバルーン120、220を通り、血管壁内に透過させるために、カテーテルシャフト104、204内のライトファイバ140に供給され得る。
【0049】
本開示の実施形態は、被験者の血管における組織修復の例示的な方法を提供する。本方法は、装置(例えば、装置100、200)を提供することと、臨床処置のために装置を準備することと、を含み得、これは、装置を滅菌することと、ライトファイバを光源に接続することと、を含み得る。本方法は、視覚化のために血管造影を使用してガイドワイヤを介して治療部位に装置を前進させ、マーカーバンドを所望の治療部位と整列させることをさらに含み得る。その後、バルーンは、治療領域のサイジングチャートに基づいて(例えば、治療血管の直径に基づいて)所望の圧力まで膨張され得、バルーンの膨張を所定の時間量(例えば、1~3分)維持し、薬物が動脈の壁に移行することを可能にする。
【0050】
本方法は、バルーンが膨張したままである間に、所定の時間量(例えば、1~3分間)光源をオンにすることと、光をライトファイバに透過させることと、動脈内に輸送された薬物を光で活性化すること可能にすることと、をさらに含み得る。完了したら、バルーンを収縮させて取り外すことができる。
【0051】
本開示の別の実施形態は、被験者の血管における組織修復の例示的な方法を含む。本方法は、装置(例えば、装置100、200)を提供することと、臨床処置のために装置を準備することと、を含み得、これは、装置を滅菌することと、ライトファイバを光源に接続することと、を含み得る。本方法は、視覚化のために血管造影を使用してガイドワイヤを介して治療部位に装置を前進させ、マーカーバンドを所望の治療部位と整列させることをさらに含み得る。その後、バルーンは、治療領域のサイジングチャートに基づいて(例えば、治療血管の直径に基づいて)所望の圧力まで膨張され得、バルーンの膨張を所定の時間量(例えば、1~3分)維持し、薬物が動脈の壁に移行することを可能にする。
【0052】
本方法は、バルーンが膨張したままである間に、ガイドワイヤを取り外すことと、ライトファイバをガイドワイヤ管腔に沿って配置することと、をさらに含み得る。ライトファイバが所定の位置に配置されると、本方法は、所定の時間量(例えば、1~3分間)光源をオンにすることと、光をライトファイバに透過させることと、動脈内に輸送された薬物を光で活性化すること可能にすることと、をさらに含み得る。完了すると、ライトファイバは、取り外され得、ガイドワイヤは、装置内に戻され得、収縮したバルーンが取り外され得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、薬物は、硬化または活性化されないが、薬物は、組織タンパク質と架橋するように機能化される。組織タンパク質、薬物、および光は、治療効果を生み出すために存在し得る。薬物の機能化は、時間依存的ではなく、適切な強度での波長のみに依存する瞬間的またはほぼ瞬間的であり得る。光電力は、ライトファイバ、バルーン、および組織壁を通る損失を補償し、治療中の熱の蓄積を避けるためにバランスを取ることができる。追加的または代替的に、薬物の機能化は、発振される、パルスにされる、または光電力が一定期間オンであり、別の期間オフであるオフデューティサイクルの光電力に相関し得る。いくつかの実施形態では、デューティサイクルは、10%であり得、これは、光電力が10%の時間オンであり、90%の時間オフであることを意味する。他の実施形態では、デューティサイクルは、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%であり得る。
【0054】
加えて、本開示のデバイスで有用な治療剤には、気体、液体、懸濁液、乳濁液、または固体であるいくつかの薬剤のいずれか1つまたはそれらの組み合わせを含み、これらは治療または診断目的で血管から送達または収集され得る。治療剤としては、生物学的活性物質、または生物学的応答を誘発することができる物質が挙げられ、これには、内因性物質(塩基性線維芽細胞成長因子、酸性線維芽細胞成長因子、血管内皮成長因子、血管新生因子、microRNAを含むがこれらに限定されない成長因子もしくはサイトカイン)、ウイルスベクター、タンパク質を発現することができるDNA、徐放性ポリマー、および非修飾細胞もしくは修飾細胞が挙げられるがこれらに限定されない。治療剤は、新たな血管の形成を誘導する血管新生剤を含み得る。治療剤はまた、血管壁の狭窄を治療するために使用される抗狭窄剤または抗再狭窄剤を含み得る。治療剤は、血管壁の狭窄を治療するために使用され得る光活性化抗狭窄剤または光活性化抗再狭窄剤などの光活性化剤を含み得る。
【0055】
したがって、装置100は、多機能性であり、開位置および閉位置で薬物送達制御を提供し、紫外線(UV)範囲(10nm~400nm)の外側の特定の波長の光源で薬物機能化中に形状を形成する血管壁を押し広げる。
【0056】
したがって、本明細書に記載した装置および方法は、治療領域(例えば、血管)へのNVSの送達を提供し、装置を使用するか、または上述した方法に従って、その治療領域への修復を提供する。上述した装置および方法は、同時に(例えば、パクリタキセルおよびNVSで)他の血管への損失を最小化して血管を治療すること、血管を足場にして成型すること、および治療領域に送達される1つ以上の薬物の光活性化を提供する。これらの利点は、本明細書に記載した装置および方法を利用して達成することができる。
【0057】
本開示の実施形態によれば、NVS化合物は、米国特許第6,410,505B2号および米国仮特許出願第62/785,477号に記載されるような二量体ナフタルイミドを含み得る。例えば、二量体ナフタルイミド化合物、2,2’-((エタン-1,2-ジイルビス(オキシ))ビス(エタン-2,1-ジイル))ビス(6-((2-(2-アミノエトキシ)エトキシ)エチル)アミノ)-1H-ベンゾ[デ]イソキノリン-1,3(2H)-ジオン)、別名10-8-10ダイマー、6-[2-[2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エチルアミノ]-2-[2-[2-[2-[6-[2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ]エチルアミノ]-1,3-ジオキソベンゾ[デ]イソキノリン-2-イル]エトキシ]エトキシ]ベンゾ[デ]イソキノリン-1,3-ジオン、2,2’-[1,2-エタンジイルビックス(オキシ-2,1-エタンジイル)]ビス[6-({2-[2-(2-アミノエトキシ)エトキシ}アミノ)-1H-ベンゾ[デ]イソキノリン-1,3(2H)-ジオン]、および1H-ベンズ[デ]イソキノリン-1,3(2H)-ジオン、2,2’-[1,2-エタンジイルビス(オキシ-2,1-エタンジイル)]ビス[6-[[2-[2-(2-アミノエトキシ)エチル]アミノ]-(9Cl)、ならびに本明細書では式(I)の化合物と称するものが、本明細書に開示されている。Id.
【0058】
前述の説明は、例示の目的のために提示されている。これは網羅的なものではなく、開示された正確な形態または実施形態に限定されない。実施形態の修正および適応は、開示される実施形態の明細書および実践の考慮から明らかになるであろう。例えば、記載される実装形態は、ハードウェアおよびソフトウェアを含むが、本開示と一致するシステムおよび方法は、ハードウェア単独として実装され得る。さらに、特定の構成要素が互いに結合されるように説明されているが、そのような構成要素は互いに統合され得、または任意の好適な様式で分散され得る。
【0059】
さらに、例示的な実施形態が本明細書に記載されているが、範囲は、本開示に基づいて、等価な要素、修正、省略、組み合わせ(例えば、様々な実施形態にわたる態様の)、適合および/または変更を有する任意およびすべての実施形態を含む。特許請求の範囲の要素は、特許請求の範囲で用いられる言語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書に記載される実施例または本出願の実行中に限定されず、これらの実施例は非排他的なものとして解釈されるべきである。さらに、開示された方法のステップは、ステップの並べ替えおよび/またはステップの挿入もしくは削除を含む、任意の様式で修正することができる。
【0060】
本開示の特徴および利点は、詳細な明細書から明らかであり、したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の趣旨および範囲内に含まれるすべてのシステムおよび方法を網羅することが意図される。本明細書で使用される場合、不定冠詞「a」および「an」は、「1つ以上」を意味する。同様に、複数の用語の使用は、所与の文脈において曖昧でない限り、必ずしも複数を示すわけではない。特に別段の指示がない限り、「および」または「または」などの単語は、「および/または」を意味する。さらに、多数の修正および変形が本開示を研究することから容易に生じるので、本開示を例示および説明される正確な構造および動作に限定することは望ましくなく、したがって、本開示の範囲内である、すべての好適な修正および均等物を用い得る(例えば、スリットアパーチャ、アパーチャ、穿孔は、実施形態の真の範囲を維持して、交換可能に使用され得る)。
【0061】
他の実施形態は、本明細書に開示される実施形態の明細書および実践を考慮することから明らかになるであろう。本明細書および実施例は、以下の特許請求の範囲によって示されている開示された実施形態の真の範囲および趣旨とともに例としてのみ考慮されることが意図されている。
【国際調査報告】